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1960-05-26 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月二十六日(木曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君    理事 木村 俊夫君 理事 關谷 勝利君       逢澤  寛君    池田 清志君       宇田 國榮君    高橋 英吉君       高橋清一郎君    竹内 俊吉君       長谷川 峻君    原 健三郎君       廣瀬 正雄君    福家 俊一君       堀内 一雄君    三池  信君       村瀬 宣親君     出席国務大臣         運 輸 大 臣 楢橋  渡君  出席政府委員         運 輸 技 官         (港湾局長)  中道 峰夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         気象庁長官   和達 清夫君  委員外出席者         海上保安庁警備         救難監     松野 清秀君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 五月二十六日  委員石田博英君、塚原俊郎君、三木武夫君及び  山田彌一辞任につき、その補欠として池田清  志君、堀内一雄君、逢澤寛君及び廣瀬正雄君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員逢澤寛君、池田清志君、廣瀬正雄君及び堀  内一雄辞任につき、その補欠として三木武夫  君、石田博英君、山田彌一君及び塚原俊郎君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月十八日  長野県の観光施設に対する融資順位の引上げに  関する請願井出一太郎紹介)(第四一六五  号)  観光事業に対する財政措置に関する請願井出  一太郎紹介)(第四一六六号)  大糸線の輸送改善に関する請願井出一太郎君  紹介)(第四一八五号)  国鉄長野、新潟間の各駅停車デイーゼルカー導  入に関する請願井出一太郎紹介)(第四一  八六号)  小海線の輸送力増強等に関する請願井出一太  郎君紹介)(第四一八七号)  鹿児島に管区海上保安本部設置に関する請願(  前田郁紹介)(第四一八八号) 同月二十一日  国鉄自動車営業係臨時雇用員定員化に関する  請願外八件(岡良一紹介)(第四七一五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  チリ地震津波による運輸施設被害に関する件      ————◇—————
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  陸運、海運、日本国有鉄道の経営、港湾海上保安及び気象に関する件について調査を行ないます。  この際、去る二十四日太平洋沿岸を襲った津波による被害状況について政府当局より説明を聴取いたします。楢橋運輸大臣
  3. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 一昨二十四日太平洋岸大洋波が発生いたしまして、各地に大きな被害を生じ、多数の人命、財産が失われたことは、伊勢湾台風の記憶いまだなまなましい今日におきまして、まことに痛恨のきわみであります。  今回の大津波はすでに御存じのように、二十三日日本時間の四時十五分、南米チリ沖に発生しました大地震に基づくものでありまして、この地震規模世界最大級地震といわれる昭和八年の三陸沖地震以上のものと思われます。この地震によって起こされました津波は、二十四日午前四時ごろから北海道から九州南部に至る太平洋町岸にわたって襲来し、各地相当被害を生じたのであります。  気象庁では午前五時北海道太平洋岸に対する警報を初めとして日本太平洋岸全般にわたって津波警報を発令いたしました。しかし今回の地震のように、震源地が非常に遠い場合には、従来の記録からいって、災害を伴うような津波が襲来した例がないのであります。このために的確な判断をすることができず、津波の第一波が襲来したことを知って、警報発令を行なわざるを得なかったわけであります。今後はこの貴重なる体験を生かしまして、遠距離地震についてもさらに的確な津波警報を出し得るよう、気象庁のこの方面施設体制整備改善について一そうの努力をいたしたい所存であります。  次に運輸省関係鉄道船舶港湾等被害の概況につきまして昨二十五日の夜までに判明いたしましたことにつきまして申し上げます。まず鉄道関係についてでありますが、国鉄関係では盛岡監理局関係が最も被害甚大でありまして、大船渡線開通に来月一ぱいを要する予定であります。全国における不通個所は二十三ヵ所でありましたが、すでに十一ヵ所が開通をいたしまして、さきに述べました大船渡線及び山田線を除いてはおおむね開通できる見込みであります。なおこの損害額は、今までのところ車両浸水被害を除き約二億円が見込まれております。  次に海上保安庁でとりまとめました船舶被害について申し上げますと、沈没したもの六十六隻、乗り揚げ百六十五隻、流失四百八十二隻その他被害三百三十六隻で計千五十一隻、約一万三千トンに達しております。なお海上保安庁船艇被害は、十五隻であります。  次に航路標識関係につきましては、灯浮標流失、移動が十九、灯台の消灯が五件ありました。  次に港湾関係被害につきましては、現在までに判明いたしましたところでは、直轄工事八戸小名浜等で一億円の損害が見込まれております。なお北海道諸港では被害甚大と思われますが、これについては目下調査中であります。また補助対象の分につきましては、八戸大船渡塩釜等五億八千万円の被害が見込まれております。  次に運輸省といたしまして、現在までにとりました措置及び今後の対策につき簡単に申し上げます。  鉄道関係につきましては、極力自力復旧に努め、一日も早く不通区間開通をはかるとともに、一般罹災者に対する救恤用品中、生活必需品につきましては六月二十三日まで無賃、応急建築材料等につきましては八月二十三日まで五割引の運賃減免措置をとったのであります。  また港湾関係につきましては、一昨二十四日夜一部の者を現地派遣いたしましたが、昨二十五日には全国を六班に分け、応旧工事を指示、災害実情調査損害査定のため、本省係官派遣対策の樹立に努めております。  海上保安庁につきましては、一昨二十四日早朝から非常配備を発令し、塩釜災害対策本部を設置いたしました。また航空機、ヘリコプター、巡視船被害地に出動せしめ、被害調査及び救援活動に当たらしめております。  以上をもちまして、被害状況及び現在までにとった措置につきまして申し述べたのでありますが、冒頭に申し上げましたように、今回の大津波の貴重なる体験を生かし、気象庁を中心といたしまして地震津波の現象に深い科学的なメスを入れ、今後かかる大被害をできる限り未然に防止できるよう、特に力を入れることを申し添えておきます。
  4. 平井義一

  5. 和達清夫

    和達政府委員 チリ地震津波について御説明申し上げます。  五月二十三日四時十五分に、南米チリの沖に大地震が発生いたしました。チリ付近は、二、三日前から相当大きな地震を二、三出しておりましたが、この二十三日四時十五分の大地震は、地震史上にもまれに見る大規模地震でございました。その大きさは、日本における三陸津波地震と申すものが昭和八年にございましたが、これらは世界の第一級の地震でありましたが、それにまさるとも劣らぬものでございます。そのために津波が起こりまして、その津波太平洋全般に伝播いたしました。日本にその津波が届きましたのが、翌日の午前四時ごろからでございます。津波は、大地震によって起こされるものほど、その波長が長く、また距離も非常に遠いのでありますので、日本に到着するころは、三十分ないし五十分というような長い周期をもって海面上がり下がりするのでございます。その海面上がり下がりは、海津の場所によりましていろいろ変わっておりまして、場所によっては第三番目の波が一番大きかったとか、いろいろの変化がございますが、要するに最大の海水が上がるのは、第一波が届きましてから一時間とか二時間あとということでございまして、それからはお手元配付資料に出ております。  このようにいたしまして、わが国を襲いました津波は、北は北海道から南は九州まで全般にわたりまして、その中でも北海道及び東北地方に強く、強きは五メートルからそれ以上、弱きも一メートル程度場所によって非常に違っておりますのも、お手元資料におよその津波の高さの大勢が示してある次第でございます。  これに対しまして、気象庁といたしましては、津波警報を出したのでございますが、その時刻はやはりお手元資料にございますように、五時以後でございます。津波警報を早く出しまして、そうして今回のような災害に対してできるだけのお役に立つことは、私どもの責任でございます。この点に関しましては、さらに早く出せなかったことにつきましては、おわび申し上げたいと思います。  日本には、このような津波が起こることはしばしばございます。小さいものを合わせますれば、数年に一度は津波が襲ってきておる現状であります。しかしこれらは、ほとんどことごとく日本付近の大地震から起こっておるものでありまして、まれにカムチャッカ方面アリューシャン方面の大地震のおりにも、日本相当津波が参ったことはありますが、それほど被害を起こすということはございませんでした。なお太平洋のかなたの中米、南米には相当地震がございますが、それらの地震によって日本被害を受けるような津波を受けたことは、今までにはございませんでした。ただしその方面に大地震がありますれば、弱い津波はしばしば観測いたしておりまして、その津波の性質、到達時間その他は、われわれよく存じておりました。  今回警報が適切に出せなかった理由の第一番は、私ども勉強の不足と知識の不十分からでございまして、過去に経験がございませんのと、こういうような遠いところの一万七千キロのかなたの大地震が、これほどの津波を出すということを前もってよく勉強しておかなかったことについては、申しわけないと存じております。今までに経験がございませんので、気象庁津波警報体制も、日本近海の大地震に対しては、従来十分なる体制を持って仕事をしておりましたが、遠い地震に対してはその体制が十分でなく、今回の場合にも、ハワイの津波センターあたりから情報は得ておりましたけれども被害を生ずるような津波がくるということを察知するだけのこちらの気がまえ不十分にて、ついに第一波到達を待って津波警報を出すということになった次第でございます。今後は、今回のことにかんがみまして、太平洋におきましてどこに地震が起こりましても、どのくらいの津波がくるということをよく勉強しておきまして、一方体制を整にまして、国際的にも情報が十分に入るようにいたしまして、今回のことを教訓にいたし、今後適正なる津波警報発令に対しては、最善の努力をいたしたいと思う次第でございます。
  6. 平井義一

  7. 松野清秀

    松野説明員 今回の津波に際しまして、海上保安庁のとりました措置及び海上における被害状況等について御説明申し上げます。  海上保安庁におきましては、五月二十四日午前五時二十分ごろ、気象庁から、弱い津波警報の伝達を受けましたので、直ちにその警報を全管区本部に伝達いたしました。これによりまして、全管区とも警戒配備についたわけでございますが、特に北海道を管轄いたしております第一管区東北地方を管轄いたしております第二管区及び関東地方を管轄いたしております第三管区におきましては、直ちにそれぞれ非常配備の態勢を整えまして、自来、巡視艇及び航空機によりまして、災害救助並びに被害状況調査に当たりますとともに、流れ出しました木材真珠いかだ等の除去、あるいはそれらの漂流物によります航路障害に関しましての航行警報、その他救援物資海上輸送あるいは航空輸送等に従事いたして参って、現在に至っておる次第でございます。  次に、海上保安庁の各出先機関から昨日の午後四時までに本庁に到着いたしました報告を総合いたしますると、巡視船艇航空機等活動状況及び被害状況は、先ほど大体大臣から報告がございましたが、なおその概略について申しますと、まず一般船舶につきましては、被害太平洋沿岸地帯一体にわたって発生いたしておりまして、沈没が六十六隻、千百七十五トン、乗り揚げが百六十五隻、九千三百八十一トン、流失が四百八十二隻、四百七十五トン、破損が三百二十六隻、千六百六十九トン、その他十隻、百九十二トン、行方不明が二隻で七トン、合計千五十一隻、一万二千八百九十九トン、こういうことになっております。なお、これらの被害船舶損害額につきましては、まだ十分な調査はできておりませんが、大体六億円余りに達するのではないか、さように推察をいたしております。  次に、ただいま申しました一般船舶海上における被害に伴いまする人員の被害は、これは主として北海道から三陸沖地帯において発生したものでございますが、死者が六十七名、行方不明が三十七名、計百四名となっております。  次に、各地木材真珠いかだあるいはカキいかだ等相当流失をいたしましたが、おもなものについて申しますと、東京港内でも木材約三百石が流失いたしております。清水ではカキいかだ八十一台が流失をし、木材約十五万石が流失いたしております。その他名古屋、鳥羽、尾鷲、紀州の田辺、四国の宇和島、九州油津等でも、木材真珠いかだあるいはカキいかだ等相当流失いたしておるのでございます。  次に、海上保安庁自体船艇航路標識舎屋等にも相当損害が発生いたしたのでございまして、おもなものの概略について申しますと、航路標識におきまして、灯浮標流失したものが九、移動したもの十一基、その他航路標識で消灯いたしましたものが九型、倒壊したものが三基、こういうことになっております。海上保安庁船艇におきましては、先ほど大臣から報告がございましたが、十五隻が若干の損害をこうむっております。その他通信施設とか舎屋等が冠水によりまして相当被害をこうむっておりまして、これら海上保安庁船艇、諸施設被害額は、目下のところ、大体五千万円くらいに達するのではないかという見込みでございます。  次に、海上保安庁船艇等の現在までの活動状況でございますが、おもなものについて申しますと、人命救助では、北海道霧多布湾内等巡視船が、救助を求めておりました被災者十四名を救助いたしております。一般船舶につきましては、被災船舶二十三隻を救助いたしております。その他家財道具等流失したものも若手救助いたしております。また、釧路から霧多布への毛布とか食糧等救援物資海上輸送及び航空輸送も行なっておるような状況でございます。  今日までの経過は、大体以上申し述べましたような次第でございますが、今後も私どもとしましては、関係機関とも緊密に連携をいたしまして、救援活動に遺憾のないように対処して参る所存でございます。
  8. 平井義一

  9. 中道峰夫

    中道政府委員 今今回のチリ地震津波によりまする港湾関係被害状況について御説明申し上げたいと思います。  港湾関係施設被害状況でございますが、先ほど大臣から御説明申し上げました通りでございますが、なおこれを府県別に取りまとめて申し上げてみたいと思います。  直轄港湾につきましては、内地の港湾では八戸小名浜港におきまして、防波堤あるいは工事用作業船損害が約八千八百万円、北海道におきましては広尾港、これは突堤、防波堤物揚場等でありますが、二千百万円、合計いたしまして約一億でございます。  補助をいたしております港湾につきましては、青森県で八千港、これは防波堤護岸等でありますが、八千二百万両、岩手県におきましては大船渡港でございますが、これは四千六百万円、宮城県では塩釜港、これは護岸浮棧橋等でありまして、これが四千二百万円、福島県におきましては小名浜、久ノ浜、これがやはり護岸、岸壁の舗装等でございますが、四百二十万円、三重県におきましては、尾鷲、引本、賀田、長島等の港におきまして、約六千六百九十万円の被害を出しております。和歌山県におきましては、海南、文里、日高におきまして、護岸港内埋没等によりまして七千三百万円、徳島県におきましては、浅川、橘の港におきまして、やはり護岸あるいは海岸寺におきまして三千四百五十万円、高知県におきましては、須崎、久礼港におきまして、同じく導流堤護岸船揚場等におきまして、二億三千万円の被害を出しております。また宮崎県におきましては、外浦港において、護岸被害約七百万円、以上現在まで判明いたしております被害額は、補助におきまして五億八千五百七十万円、直轄補助合計いたしまして七億一千七百二十万円でございますが、なお被害の激しいところにおきまして詳細まだ調査中でございまして、今後さらに増大をする見込みでございます。そのほか直轄港湾事業におきまする建物の被害等も若干ございます。  なおこれらの港湾施設被害につきましての対策といたしましては、二十四日に八戸宮古塩釜大船渡港の被害状況調査のため第二港湾建設局係官現地に参りました。また昨日、本省港湾検査官以下係官十名を全国六班に分けまして、北海道、秋田、青森、若手、宮城福島高知徳島三重和歌山に分かれまして、現地調査並びに現地との連絡に派遣をいたしました。なお神戸の第三港湾建設局からも和歌山高知徳島被害状況調査のために三班編成で派遣をいたしております。  なお港湾運送業関係釧路にはしけ、船の流失が若干ございます。また倉庫関係では大船渡塩釜宮古清水等床上浸水、受寄物の被害報告が出ておりますが、まだ詳細につきましては目下調査中でございます。
  10. 平井義一

  11. 山内公猷

    山内(公)政府委員 鉄道関係被害につきまして御説明申し上げます。  今回の津波によります鉄道不通機関といたしましては、北は北海道根室線から西は四国土讃線に至ります十線区被害を受けたわけでございますが、鋭意復旧努力いたしました結果、本日の八時現在におきましては、四線区、十区間不通個所を残すのみになりました。被害の最も大きかったのは、御承知の通り岩手県でございますが、大船渡線につきましては不通区間がまだ二〇・三キロ残っておりまして、現在陸前高田で折り返し運転をやっております。大体全通までは来月一ぱい、六月三十日くらいを目途といたしておりますが、できるだけ早く全通すべく現在努力いたしております。山田線につきましては、大体六月の十日くらいが一番おそいところでございまして、それまでに開通をしたいということでございます。土讃線は二十七日開通見込みになっております。それから石巻線につきましては、女川から女川港の間の貨物線の〇・五二キロメートルというのが不通になっておりますが、その後調べましたところ、この石巻線女川の橋梁の橋脚が移動しておるということがわかりまして、六月の二十五日、相当長くかかる見込みになっております。以上が国鉄被害でございますが、現在まだはっきりはいたしておりませんが、被害総額は大体二億程度ということを見込まれております。  私鉄関係につきましては、岩手県の岩手開発鉄道というのが線路浸水いたしまして、道床流出があったようでございまして、目下調査中でございますが、開通見込みはまだ立っておりません。大阪の和歌山電気軌道浸水をいたしましたが、これは二十四日の九時に開通をいたしたわけでございます。  貨物輸送関係輸送対策でございますが、先ほど大臣が申し上げましたように、罹災者救援用寄贈品並び罹災者用物資につきましては、すでに災害発生と同時に手配をいたしまして、罹災者救援用寄贈品につきましては、五月二十四日から六月二十三日まで、罹災者用物資につきましては、五月二十四日から八月二十三日までそれぞれ運賃減免をするように手配をいたしております。  以上、簡単でございますが、国鉄関係被害について御報告申し上げます。
  12. 平井義一

  13. 國友弘康

    國友政府委員 自動車関係被害について簡単に申し上げたいと思います。  不通個所につきましては、当運輸省関係被害状況に掲げてございますが、被害不通個所の最も多いのはやはり仙台陸運局館内でございます。バス、トラック、通運配達等車両営業所被害あるいは整備工場等につきましては、相当被害がございましたが、詳細につきましては目下集計中でございます。現地陸運局を通じまして輸送状況の把握に努め、輸送の確保のための所要の措置をとるようにいたしておるわけでございますが、なおこのような災害の際の乗務員の臨機の措置が適切であるということがぜひ必要だと思っております。ちょうど今回徳島県でそういうようなことがございまして、二十四日の朝の六時五十分でございますが、徳島県の阿南市の橘町の南一・六キロメートルばかりの地点で、乗客十三名を乗せまして運転しておりました徳島バスバス津波の第一波にあいまして、その後乗務員乗客を第二波がくるまでに山手の方に避難させまして、第二波以下によりまして、そのバスは波に引かれまして水没をしたというようなことで、こういう乗務員の適切な措置もあったのでございます。  以上、簡単に御報告申し上げます。
  14. 平井義一

    平井委員長 質疑の通告がありますのでこれを許します。關谷勝利君。
  15. 關谷勝利

    關谷委員 大へんな津波で非常な大きな被害がありましたことはまことに遺憾に存じます。罹災者といいますか、被災者と申しまするか、それに対する措置等につきましては、これは社労委員会等で論議をせられるはずでありまするので、その点は私は省きまして、主としてこれをどうして予知できなかったかという点につきまして、気象庁に対しましてお尋ねを申し上げたいと存じます。  和達長官世界地震学権威者最高権威と言われておる人であります。それだけに、私はこういうことがあったということにつきまして、なおさら遺憾に存じまするとともに、長官がただ一片の、黒星であった、遺憾であったというふうなことでは私は済まされない。あなたの高い学術的な研究、その他今までの経験からいいまして、私はもう少し真剣に取り組んでおったならば、この被害をもう少し小さく食いとめることができたのではないか、予報をもう少し完全にすることができたのではないかというふうな気がしてならないのでありまして、この点あなたが世界の第一人者であるということを考えると、なおさら私はそういうふうな気持がするのであります。  以下、二、三聞いてみたいと思いまするが、この報告書の中の最後結び言葉でありますが、「技術的にも、施設体制改善についても一層努力することとしたい。」こういうふうに書いてあるのでありまするが、技術的に見て、今の気象庁の技術的ではこういうふうなことは予知することができないというふうなことなのでありまするか。私はそういうふうなことではない、地属国である日本とし、ことにあなたがおられるというようなことで、最後結びに技術的にというふうな言葉が使われるはずのものではない、こういうふうに考えるのでありますが、技術的にもまだ幼稚なところもある、こういうふうなことでありまするか、どうでありまするか、その点一つ伺っておきたいと思います。
  16. 和達清夫

    和達政府委員 今回の津波に関しましては、私自身が地震学徒の一人としましてまことに印しわけないと思っております。今回の津波警報のおくれましたことは、先ほども申し上げましたように、根本におきましては経験なきために勉強知識の不十分を申す以外にはございません。従って、津波警報を出すという気象庁内の組織がこういう遠い地震について適当にできておらなかったという点は反省をいたさねばなりません。仰せの通り、技術という言葉は適当でなかったと思いますが、この技術という意味は、現在の地震学は、チリにこれだけの地震があって、これだけの海底変化が起こって、これだけの海水の動揺が起これば日本にどれだけという計算をすることは決してむずかしいことではないのであります。そういうことを前もって十分しておくということがまず第一の問題であります。第二に、地震が大きいから、その大きさに従って津波が出るというだけでなくして、その大地震が海底のいかなる場所にどういう地形の変動を起こしたかということを知らねば、どれだけの津波がそこから発生するということがわからないのであります。こういう点に関しましては地震学いまだしといわざるを得ない点もございます。この技術的という意味は、技術の業務をとる体制をも含みましてわれわれが知識経験とを持ち、技術者がこういう事変が起こりましたときに間違いなく事務体制をとれるような準備をしておくということが第一でありまして、それらが今回におきまして反省させられる点でございます。申すまでもなく、警報の現場におきましてはそれぞれの前もっての準備におきまして作業いたしておる次第で、私も専門でありますから日ごろ注意をいたしております。作業は現場がことごとくいたすものでございます。重要なことは私に報告をされます、私ごとを申しておそれ入りますが、そのころかぜのため執務以外臥床いたしておりました私に報告を得る機会が少なかったという点は深くおわびいたしたいと思います。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 今お話を聞いておりますと、それは技術の面という意味は、私たちが聞きますと、業務体制の面並びに施設の面、これだというふうなことでありますので、そういうふうな意味と了承をいたします。それと私が一番遺憾に思いましたのは、あなたがおられてこういうふうなことになったということでありますが、お話を聞きますと、休んでおられたということで、あなたの病気が被害を大にしたというような結論になって参りますが、これは病気まで責めるというわけに参りませんので、その点はやめます。  そうしますと、あなたは長野県の松代町ですか、あそこの地震観測所でそういうふうなことをキャッチした場合の報告はすぐには受け取らなかったということなんですか。
  18. 和達清夫

    和達政府委員 わが国における地震観測は、この津波を起こしましたチリ地震は非常に大きな地震でありますので多くの場所で観測しております。松代観測所においては最も正確なる記録をもちまして大体の大きさを推定いたしております。従って、地震に関する報告は私ども十分に持っておりまして、過去の経験から難波がくるだろうということは存じておりました。私どもが過去の経験によりますと、津波と申しましても、十センチとか、三十センチ、あるいは五十センチ程度の、一般の人には気がつかず、機械にのみ津波が観測される程度であるか、あるいはこういうように大きくなるかということにつきましてはさらに情勢を待っておった次第でございますが、ついにその警報を出すというところに踏み切れなかったことは、先ほどもたびたび申しましたように、勉強知識の不足と私は存ずるのであります。
  19. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、あなたが役所の方を病気で休まれるというふうなことになりますと、そのかわりに地震関係のよくわかる人というのは気象庁にはどなたがおられるわけですか。その人はそういうふうな報告を受けてどういうふうな処置をせられましたか。
  20. 和達清夫

    和達政府委員 津波警報地震課長がこれを作りまして、観測部長にも示し、そうして出すものでございます。地震課長は私は相当に優秀なる地震学者と信じております。観測部長は地震専門ではございませんけれども、もちろん地震についての一通り知識を持っております。
  21. 關谷勝利

    關谷委員 そうすると、地震課長はよくわかるというふうなことでありますが、この津波情報です。ここに出ておるのを見ますと、大きな災害があるぞよというふうな意味のことは一つも出ていないのです。みな大したことはないというふうなことで、言いわけか何かのように、六という地震はどの程度のものかというと、関東の大震災のときの地震の百分の一程度のものだというふうなことまで書いて、いかにも心配は要らぬのだというふうなことの情報の方が多いようでありますが、こういうふうな情報を出したためにかえって人的な被害あたりは出たんじゃないかというふうな気も私はするのです。地震課長というふうなところでは、そういうふうな判断——八ヵ四分の三というのはどのくらいの地震ですか。これは大へんなことになるというので、すぐ情報を流さなければならぬというふうな地震であるのか、あるいは六が東京の震災の百分の一というのですから、八ヵ四分の三でも大したことはないというふうなことになるのですか。この点私は技術的な面でわかりませんが、御説明願いたい。
  22. 和達清夫

    和達政府委員 地震の大きさの単位からいいますと、八をこしますと世界でも有数の大地震になります。日本において近年の最大地震といわれる三陸沖地震が八ヵ二分の一でございまして、それより少し大きいかという問題であります。しかしこの大きさの決定は後日いろいろの資料をもってきめるのでありまして、松代地震観測所が八ヵ四分の三もあろうかという推定をいたしただけであります。ともかく世界第一級の地震であるということはわかったのでございます。  その次に、ここにございます気象庁関係の発表いたしましたる警報情報等はきわめて正直に——もちろんそういたすべきでありますが、ここに出ておりまして、その通りでございます。これをごらんになりまして、いかにもなまぬるいとお感じになることもごもっともであると思います。これが、私が申しましたように、根本において知識勉強の不足が、あれほどの津波ということがやはり頭になかなかこなかったということを、ここに端的に見せておるといわざるを得ないのでございます。なおハワイにおきましても津波警報が出ておることも御承知の通りでありますが、ハワイにおきましても、津波の強さ、程度ということにはほとんど触れておりません。津波がくる。そしてその程度はわからぬが、被害が起こることもあり得るから注意しろという程度で、今日の津波警報をやっておる地震学者におきましては、かかる遠いところの地震におきましては、単なる地震観測だけでは、なかなか推定がつかない。なお、南太平洋の島におきまして、たった一つ私知っておりますのは、南太平洋の島では津波が一メートルきた。数量の入っているのはこれだけでございます。そういうように、それが伝わってきて波が大きくなるとか、衰えるとか衰えないとかいうことは、やはり前もっての勉強、過去のいかに小さな津波であろうとも、それをもってよく勉強しておきまして、大きな場合にはどういうふうになるかということを知っていませんと、数量的に考えまして、はっきりと警報に出すことが非常にむずかしいのでありまして、この情報その他は確かにあれだけの被害津波に対してはなまぬるい、あるいは弱いということは仰せの通りでありますが、根本におきまして、私どもが、一万七千キロを離れた、あのように遠いところの地震がこれだけ起こすということについての心がまえのなかったという点におきましては、幾重にも私ども勉強不足をおわびしたいと思います。
  23. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、三陸のあの世界的な地震よりもまだ大きいものだということを受け取ったというのでありますから、もう少し大きな警報を出すべきだというふうな感じもいたします。あの昭和八年三月三日の三陸沖の大地震の際に、私、新聞か何かでちょっと見たように思うのでありまするが、アラスカ、カナダ、アリューシャンあたりに対して相当被害があったのだ。日本であれだけの地震があった場合に対岸に対して相当被害があったというふうなことがちょっと出ておりましたが、そういうふうな記録は気象庁にありませんか。
  24. 和達清夫

    和達政府委員 三陸地震あるいは関東地震というものは、太平洋を越えて北米、南米津波を送っております。しかし私は、それが被害を与えるほどであったということは聞いておりません。しかし程度がいかに小さくても、あるいはそういう予期せざる海面の徴候がございますと、船その他において被害がありましたか、これはもう一度調べてみたいと思っております。とにかく今まで太平洋を渡って向こう側からこっちへ大被害を与えるということは、私の知識におきましては存じません。     〔委員長退席、天野(公)委員長代理着席〕
  25. 關谷勝利

    關谷委員 太平洋の向こうからこちらへ渡ったことはないというお話ですが、大体今までにわれわれが聞いておりますのに、あちらでは割合地震が少ないのですね。日本地震国で、こちらのが向こうにいくので、たまに向こうに大きいのがあればこちらにくる。向こう側にたくさんそういう地震があるということなら、今度あたりでもおそらく相当ななにがとれておったのだろうと思いますが、その点は、めったにないものがあったのだということですので、あまりこれ以上——あなたほどの人がおってこれだけの被害を受けるのだから、今としては方法がなかったというふうに私は了解するのであります。しかしこういうふうなことが起こってから考え得られることでありますが、三陸沿岸のあの地震の際には、これがカナダ、アラスカ、アリューシャンの方で津波が起こったというふうな記録が出ておるのでありますし、それから私たちが考えますと、北の方では全部取り巻かれておって最終段階で波の抜けるところがない、南へいくものは広いところへ出ていって抜けるところがあるというふうなことで、地震三陸沖で起こってもアメリカ側で起こっても、北へ向いていくやつは波の最終的なはけ場がないので、多かれ少なかれ津波が起こる——これはあなたのような専門家でありません、私はしろうとですから簡単な常識で判断するだけでありますが、抜けるところがない波というものは必ず津波を起こす。南の方では広く開いておるからそういうことは起こらぬのだということが私は考えられると思う。ことに三陸海岸というのはいわゆるリアス式の海岸というので、昔から、少し大きい波がありますと津波を起こすような地形にできておるのでありますから、三陸の方に対しましては、これにも多少強く書いてはありますが、それだけ大きな地震ということを受け取った場合には、こちら側の地震でさえアメリカ側、カナダ、アラスカあたりにいくというのでありますから、あの三陸に対しましては相当警報が要るのではなかったであろうかということが、しろうとなりでも考えられるのでありますが、この点、あなた方専門家が考えられて、なるほどそうだというふうなお考えはありませんか。
  26. 和達清夫

    和達政府委員 仰せの通りでありまして、私もそう考えます。今後その線で努力いたします。
  27. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、これは将来どの程度施設をして、どういうふうな気がまえを持っておれば、こういうふうな被害を防止することができるのか、そういう措置が講ぜられるのかどうか。講ぜられるとするならば、その具体的なことは今ここですぐできるかできないか、これはわかりませんが、検討して具体的な資料が出せるというなら出していただきたいし、今ここで御回答ができるなら、こういうことをもって絶滅できますという自信と、そうして具体的な方法をするには施設がどの程度要るのか、業務体制をどういうふうにしたらいいか、具体的に説明ができればここでしていただきたいし、またあとで資料をもう少し検討してその上で説明するというのでしたらその上でもけっこうであります。
  28. 和達清夫

    和達政府委員 第一に勉強知識の向上でありますが、これは今回の津波におきまして十分に私ども悟ったのでありますから、この点につきましては申し上げるまでもないと思います。  次に、今後の津波警報をさらに適正ならしめる措置としては、大体の考えを申しますと、第一番に現在の津波警報体制が、日本近海地震によるものに対して作られていて、今まで被害を起こすような津波がそんな遠い地震から起こったことがないために、それに適合しておりませんので、この体制を十分に検討いたしまして、遠いところの地震にも適合するように改めたいと思います。  第二番目に施設でありますが、これは島も南の方にあります、たとえば南鳥島というようなところは、もしもチリから津波がきますれば少なくとも二時間前には津波がくるところであります。こういうところには自動的に津波がきたことがわかりますような機械を備えまして、そしてこちらに知らせるというような警戒体制、それに類したような設備を十分に国内にわたって作りたいと考えております。  第三は情報であります。これはこういう遠い地震に対する津波におきましては、国際の協力が必要であります。現在この地震津波に対し大きな関心を持っておる国際の機関としましては、世界気象機関及び世界地球物理連合がございます。この二つとも一両年前から地震津波警報を出す重要性を認識し、これに対して検討を続けておりまして、私は遠からず国際的の体制が確立されるのであろうと思い、またそれに努力いたしております。しかしそういうような国際の体制というものは、そう簡単に早くできるわけでございませんから、それまでは日本がそれぞれ必要なる観測所、あるいは適当なところとそれぞれに話し合いをいたしまして、十分なる情報が得られるような前もっての準備をいたしておきたいと思います。もちろん、ハワイには太平洋津波センターというものがございまして、日本からも資料を送り、向こうからもきておるのでありますが、これがやはり事前にもっと十分なる打ち合わせと約束をいたしておきませんと、いろいろ事件が起こりますと混乱をいたしまして、十分に入手できなかったり、おそくなったりいたします。またお互いに勉強し合いまして、さらに的確なるものを交換いたせるようにいたさねばならぬと思っております。  以上でございます。
  29. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 関連して。關谷さんの質問に関連いたしますが、私は今、和達長官の話を聞いていまして勉強知識の向上が第一番に必要で、さらに施設、さらに情報、こう三つに分けてお話があったのですが、三陸海岸は御承知のように津波の名所になっております。     〔天野(公)委員長代理退席、委員長   着席〕 昭和八年の津波の場合には、約三千名の死傷者が出た。私は、和達さんが長官であると同時に、日本学術会議議長、学者としての権威者であられるので、常日ごろこれを尊敬しております。しかし今までの御答弁から見ますと、大体情報として得られるものは得ておった。しかしながらなお勉強の不足であり、知識の向上がまだ足りないのだというお話でしたが、私が一番心配しますのは、やはりその学問なり前 の経験に照らして予報するという、情報は一応とっても、それを使っての情熱が足りないんじゃないか。現に私はゆうべテレビを見ておりますと、女川地区では一名も死んでおりません。なぜかといいますと、午前三時に起きた漁師が海岸で——おそらく小便しに起きたのでしょう、海を見ておったところが、昭和八年の津波の模様がだんだんわかってきたので、これは大へんだといって警察なり役場へ電話をかけて、そしてサイレンを鳴らして全員退避をさしている。これは昭和八年なりその前からの津波に対する地方住民の非常な認識、ちょうどかつてわれわれが中学時代に英語の本で読んだように、オランダの子供がいつでも洪水なり、あるいは海から下にあるものだから、土手が水漏れしていると自分の国がだめになるという子供にまで徹底した観念が、穴のあいているのを一晩じゅう指を突っ込んで自分の国土を洪水の中から守った。私は日本地震学というものは、学生時代から、大森房吉先生以来世界的な権威だろうと思う。その最高峰にあなたはいらっしゃる。そして、しかも行政官庁の責任者なんです。ですから前々からそういう苦い経験のあるところの役所の方々が得ておる情報をもって、ほんとうに情熱を持ってやってもらったならばこれほどまでの被害はなかったのじゃないか。われわれは今から先、知識の向上なりあるいは施設、あるいは国際情報の交換等を得て、必要なる予算のいろいろな手当、もしなければならぬでしょう。しかしその一番先の問題は、私は長官にぜひお願いしたいのですが、関係職員がこの地震国であり、長い間何べんかなめておるところの津波に対する恐怖心、それを自分のものにして徹底的にやるという情熱がなくてはならぬのじゃないか。私は一職員が寝ておったとか、情報をとっておったけれども宿直員が十寝ておったとか、そういう粗末なことは言いません。しかしずっと行き渡っておった気持のゆるみというものが私は今日の結果をもたらしたのではないかと思うのですが、長官どうですか。私の選挙区は実はそういう三陸津波の名所なんです。こういうことが一人や二人のそうした官庁職員の緊張を欠くことによって起こるというものならば、これは大へんなことだと思う。この際一つしっかり御答弁をお願いしたい。
  30. 和達清夫

    和達政府委員 知識学問にも増してその業務に対する情熱が一番大切であるということはまことに仰せの通りで、私もそう思う次第でございます。私ども日本の国土を守る業務をいたしております者は、職員ことごとくがその情熱に燃えていたしておると信じております。新聞紙等におきまして、あるいはその宿直員も寝ておる者もございますので、誤られたかも存じませんけれども、その情熱においては私は信じております。しかしさらに御趣旨を伝えまして、気象庁の防災業務に携わる者の情熱をさらに高くしたいと考えます。  なおもう一つちょっと言わしていただきますのは、三陸方面の担当の仙台管区気象台は最も情熱を持って今までいたしておりまして、津波演習もいたしましたし、いろいろ知識の普及宣伝もいたしておった次第でありますが、さらに今回にかんがみてそれを強化いたしたいと思っております。
  31. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 三陸海岸に参りますと、至るところに昭和八年の三陸津波の哀悼の碑が建っておるのです。それを見ながら毎日漁師が暮らしをしておる。でありますから、これは最後にたよるところは学術的な指導なんです。自分らで守ろうといたしますけれども、権威のある指導をお願いしておる。それがいささかの狂いなく、研究の不足なく、またその研究をはっきり指導面に現わすところの情熱がなければ、これは将来大へんなことだと思うのです。その点についてこの際私はほんとうに御警告したいが、人間の命ほど大事なものはありません。しかも昨年伊勢湾台風もありましたけれども、今度の津波は何といっても名称さえもチリ地震津波という国際的なものなんです。しかもそれが地球の裏側で起こったことであるからわれわれは予測はできなかった、手当はできなかったということでは済まぬ。私は学問こそ世界共通だと思うので、十二分にその辺の御覚悟をお願いしたいと思います。さらにまた、昭和八年以来、それほど津波の重大なることがわかっておりながら、わずかにたった一つくらいしかそれに対する研究機関がその後できていないように私は思いますが、その点についてはいかがでございますか。
  32. 和達清夫

    和達政府委員 お尋ねの研究機関と申しますのは、たとえば地震研究所とか防災研究所とか、その他津波に関係しておる気象研究所もあります。そういうものとも思われますが、特にこういう津波に関する研究者の集まりといたしましては、名前は忘れましたけれども、JOTIと申す有力なる研究者が集まっておるグループがありまして研究いたしております。
  33. 生田宏一

    ○生田委員 私は関連のお尋ねを二つほどしたいと思うのであります。  おとといの朝六時ごろだったと思いますが、私の子供で試験勉強しておるのが私の部屋へ入ってきて、今テレビで聞いたんだが、ハワイでは大津波が来たらしい、ワイキキの浜などは前もって人間を避難せしめておるそうだ、こういうニュースが入ったが、これが日本にきそうだ、こう言って心配そうに私に話しておりました。もしそういうことが真実ならば、先ほど長官がお話しになりましたように、日本に大災害を与えるような地震であることが予測される情報は何も入っていなかった、こうおっしゃるのですが、どうもその間に少し私たちには解せないものがある。ハワイの方では日本よりは少なくとも七、八時間は早く津波が到来しておるのですから、ハワイにぶち当たった津波の大きさ、ハワイの島に対して与えた状況というものを、直ちに日本へは知らしてきておるはずでございます。その報告に基づいて、日本津波の大きさあるいは脅威に対して予測できないというのは、少しわれわれは解せない、こう思うのです。  もう一つお尋ねしたいと思いますのは、この太平洋を渡ってやってきた津波の影響、被害をこうむったのは日本であって、台湾とか中共とか、そういう太平洋の同じ条件であろうと思われるところが大した被害がない。沖縄が多少被害があったという程度である。小さく言うならば、南関東には何ら被害がないのであるが、三陸とか四国とか和歌山とか部分的に被害がある。これは津波に対する学問上の解明をするならば、どのような理由があって部分的に被害があるのであろうか。それからまた、きのうでございましたか、新聞で拝見をしたのですが、津波太平洋を渡ってくる場合には、海の深さ、浅さ、深度によって速度が違ってくる、その速度が、たとえば浅いところがあった場合に、浅いところを通過する津波の速度が鈍るものだから、両側の深いところを渡ってくる津波の方が早く前面に出てくる、それで浅いところの前方の空虚になった地域に対しては津波が集約して激しさを加えるんだ、こういうお話が出ておったようでございますが、はたしてそういうような学問上の理由があるのであるかどうであるか、そういうことも長官のお考えをお話ししていただくならば、われわれもこの問題についての多少の、何といいますか、単なるしろうと考えではなしに、学問に立脚した考え方がそこに生まれてくる、そこにまた対策も生まれてくると思いますので、お聞きするわけでございます。
  34. 和達清夫

    和達政府委員 第一番に、ハワイにあれだけの津波がきたということをわれわれがなぜ知らなかったか、なぜ手を打たなかったかという問題かと思います。私どもの業務用の通信には、ハワイへ非常な大きなのがきたというのが不幸にして参りませんでしたが、これは報道関係で社会の事象として入って参りました。気象庁にもそういう方面から知らして下すった方もあったのであります。この点につきましては、もう私は先ほど言葉を繰り返すのみでありまして、従来ハワイにおきましては、アリューシャンに地震がありましても非常な被害がありました。そのとき日本では大したことはありませんでした。その他、ハワイというところは太平洋のまん中にありまして、太平洋のどこにありましても、遠い地震といっても被害を受けるところであります。日本も遠い地震における被害というものを経験し、知識もあり、研究もしておけば、ハワイにこれだけの被害があったということは、すなわち日本においても考えなければならないということをやはり考えるべきであったと思うのです。この点は、先ほど申しましたように、この前がそうでなかったということで、残念ながら私どもは申しわけないと申し上げる以外にないと思います。  それから日本にもきました、ニュージランドにもきました、相当津波がありました。場合によってはまだ報道がないのか、ほんとうに被害がないのかわかりませんけれども、別に何とも言っていない太平洋岸の地域もあります。これらは海の深さの分布あるいは海に列島があるとか、それからその陸地の近所にきて海の深さがどう変わっおるか、海岸線がどうなっておるかということによって非常に違うのでございまして、日本は深い海に面しておりまして、津波の正面衝突というような不利な条件がございます。しかし富士火山脈からずっとマリアナ群島に通じておる一つの土手のようなものがございます。これが津波をどのくらいそこで勢力を弱めるかということについては研究の余地もございますけれども、少なくとも弱める作用はいたすはずでございまして、それが北海道三陸被害とそれから西との多少の差を与えておると思う次第であります。  なお、もちろん津波の速度は海の深さの平方根に比例しておるものでございます。そういうふうに海の深さが変わりますれば速度がそれぞれ変わって伝わってくるものですから、海の深さがいろいろと変わっておるということは、中にたくさんのレンズのようなものがあると考える。ある場合には集まり、ある場合には広がり、そういうような複雑な道を通って、そうして太平洋を渡って太平洋沿岸各地に伝わるために、地震の起きたところとこちらの陸との関係によっては集まるような不利なところもあれば、広がって割合にいいところもあるということでございます。
  35. 平井義一

    平井委員長 竹内俊吉君。
  36. 竹内俊吉

    ○竹内委員 時間がないようでございますから、一点だけ伺っておきたいと思います。  長官の御説明では、今度の予報警報のおくれたことは、気象庁が現に持っておる技術なりあるいは学問なりの限界がしからしめたのだ、こういう御説明に受け取れるのですが、私も長谷川君同様、そのほかに何か人心の弛緩というか、故意に怠慢であったとは思わないが、結果としてそれと同じような結果が出た点からかんがみて、そういう点が考えられるのであります。その一例としてお尋ねするのだが、二十四日の午前二時四十七分に岩手県の宮古測候所が津波の現象を観測した、こう伝えられておる。二時四十七分であります。あなたの方からの手配で一番早い警報は五時であります。その間二時間近いのでありますが、津波はこれは申し上げるまでもなくあれだけの津波であれば防御の方法はないと言っておる。高いところへ逃げるより方法はないのであります。従って警報がたとい五分早くても十分早くても非常に災害に及ぼす影響が大きいのであります。宮古で二時四十七分に津波状況を観測したということをどうして気象庁が取り上げなかったのか、またこれが関係測候所に伝達されなかったのか、不思議でならない。この点についての御説明を伺いたいと思います。
  37. 和達清夫

    和達政府委員 津波警報に従事する職員の熱意につきましては、再度十分に今後熱意を持っていたすように努力いたしまする  なお宮古におきまして二時五十分という津波到達時間は、機械がそれを記録しておるのを職員が行って見て、そして第一波は二時三十何分ですかに着いたというのでございまして、気象庁へその報告が届きましたのが四時二十七分でございます。このように現在の津波を知る機械は人がおりません海岸に小さな建物がありまして、そこに機械がありまして、その海面の昇降を記録する機械でございます。これらは仰せの通り人間がそれを感じることができませんと、行って見ませんが、おそらくこれは海岸の人から何か聞いて職員が走っていってそれを見まして、そして第一波がきているのだということを見た。そして電報を打ったのが四時二十七分と思うのであります。二時に第一波が動き出している記録を見て打ったので、四時二十七分とここに書きましたのはそういう意味における時間でございまして、電報の到達するのはまた別でございます。そういうことは決してよいことではございません。ここが施設と申すところでありまして、その機械は宿直員がいるところで目に見えてその動きが鳴っておるのが非常に大切なことであります。このことが伊勢湾台風のときに強く言われまして、全国にそういう海の状態を徹夜で作業しておる者がいつでも見て、今の海の状態はどうかということがわかるようにするために、今全国において刻々作っておりますが、高潮に使えるその機械は全く同じものがこの地震津波にも使えるのでございますから、さらにそういうような海面の状態を刻々知ることができる機械を備えつけたいというのが、先ほど施設をいろいろしなければならないというのの一つになっておるのでございます。
  38. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 和達長官は御病気であったそうでありまして、今も非常にお顔色が悪いので、私、情において忍びないのでありますが、将来きわめて人命に関する重大な問題でございますので、きわめて簡単に二、三お尋ねをしておきたいのであります。  ただいまも宮古において二時過ぎにすでにそういう変調があったというわけでございますが、これは火災報知機のようなものでも作っておきますならば、宿直のところにある一定の限度以上に高潮がきた場合には何かの鈴が鳴るというようなきわめて幼稚な機械でも作っておくならば、すぐに処置はできると思うのでございます。そういう点について日本で御研究になっておる方法、またその点について世界でどういう機械、科学技術が進んでおるか、その点をまず伺いたいのであります。第一宇宙の外までもいまや人知できわめることができますときに、地震があってから二十数時間たって後のこのような災害日本が受けねばならないということは、いかにも野蠻国のようにとられるのでございまして、何とも遺憾しごくに存ずるのでございまするが、私はこの際もう一つ、先ほど大ぜいの他の同僚委員からお尋ねがありましたことでひしひし思い当たりますることは、地震学という、いわゆる象牙の塔の中の象牙の塔に立てこもっておられる方の熱情や実力は疑いませんけれども、何か一般大衆とおれたちは違うのだという感じのもとにやっておられるのではないかということが、先ほどの長谷川委員その他の委員の御質問の中で着手できるのであります。と申しまするのは、かつて科学技術振興対策特別委員会におきまして宮本という高等学校の教諭がその地震研究をいろいろ訴えたいということがありましたときに、これを科学技術委員会で取り上げようといたしましたところが、地震課長は、このようなものを何で国会が取り上げるのか了解に苦しむと、いかにも国会の審議権を無視するような発表を新聞になさったのであります。その後、それは何かの勘違いであったということでございまするから、科学技術委員会においてはこれは不問に付したのでございまするが、今日いろいろ同僚委員の御質問を聞いておりますると、どうも地震課長のグループの方々の中に、地震というようなものは一般市民にはわからないんだ、象牙の塔のわれわれ以外には絶対わかるものではないという、一つの根本的な概念を持っておられるのではないかという心配を私は持ったのでございます。また何かの新聞にも、新聞、ラジオ、社会情報等ではいろいろあったように思うけれども気象庁においてはそういうものは取り上げないことにしておる、そういう一つの慣例のごときものがある、公報がこなければならない、簡単にそういう情報は取り上げないのだというようなことを、気象庁が言ったのかどうか、とにかく何かの新聞で私は見たように思うのであります。そういう地震研究に当たっておられる最高権威者の基本的なお考えはどこにあるのであるか。私はこれは長官にあるとは申しません。地震課長以下のいわゆる権威者の中にそういうお考えはくみ取られないかどうか、伺っておきたいのであります。
  39. 和達清夫

    和達政府委員 第一番に、津波を観測する機械のことでございます。海の状態をはかっておりまする検潮儀というものは、主目的が毎日の潮の高さをはかるものででございまして、その周期は半日に一回という振動をしておるものであります。海の波には風波のように数秒うねりでもって、もう少し長いのもございますけれども、とにかくそういう振動もございます。津波はその中間をいきまして、五分から四、五十分というような週期で振動するものでございます。それですから、津波だけをはかるといたしますれば、それに適当した機械をつけます。そうしてそういう海面の動きのあったときには警報のように呼び鈴か何か鳴りまして、いかなる夜中でもわかるようになっておる機械がございます。これは遠い地震津波の脅威を今まで受けておりましたハワイなどにおきましては、この種の機械でやっておる次第であります。日本は近い地震津波がほとんど全部でございましたから、それで、常に地震がございまして、その地震がまずベルをいたすのでございます。そうしますとすぐ同じ作業ができますので、そういう機械の自動化ということがおくれておったのでございますが、遠い地震のように寝耳に水になることをおそるるには、どうしても適当なる装置をつけまして自動化する必要があるのでございまして、これはすでに高潮に対して使っている機械がそのまま使えますので、わが国においては機械を増設すればよろしいということになります。  次に、地震学者が震災予防ということに関心が薄い、あるいは熱意がないのじゃないかというお尋ねでありますが、この点におきましては、ことにそういうような印象をお与えしているかということは、私どもにとって最も悲しいことであります。地震学というものは、日本におきましては震災予防ということから始まっておるのでありまして、決してアカデミックのものではございません。外国のように地震のないところの地震学は、これは震災予防というよりも地球というものを研究する一つの道具に使っておるのでございます。それでありますから、古く大森、今村先生の時代から、震災予防を忘れた地震学日本にないはずでございます。現在の地震学会におきましても、地震学会の第一の規約から、地震学を考究し震災予防防を旨とするということになっておりまして、お尋ねの地震予知につきましても、せんだっての総会におきまして、これを総合的にみなで研究して、どうやってこれを達成するかという有志の作業班まで作ってやろうといたしておるところでありまする。従って地震学者の、震災予防に対しての熱意は十分あると思いますが、特に気象庁におきましては、これは業務として地震に関する防災業務をいたしておるのでございまして、学者がいればよろしいのでありますし、またその知識は高いほどよろしいのでありますが、主たる任務は学問をするのではなくして、いかにしてわが国の震災を予防するか、あるいはこういう地震によって起こる津波に対して、一般の人たちに少しでも役に立とうとすることが私どもの任務でございまして、まことにそうおっしゃられることは汗顔の至りでございまして、私どもはそのつもりでやっておりましたが、そのお言葉にこたえまして今後一そうの努力をして、そういう御懸念のないようにいたしたいと思います。
  40. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 なお今の点についてお尋ねしたい点もありますが、時間が急ぐようでありますから次に移ります。  それは、今回もしハワイの太平洋津波センターの情報がもっと詳しければ、あるいは災害は防げたのではないかということを考えるのでございますが、一体この太平洋津波センターとの協定といいますか、二国間の協定でございますか国際協定でございますか、その内容はどのようになっておるのでございますか。また、このときに太平洋津波センターからは、津波の高さとかハワイにおける被害程度をどの程度まで知らせてもらえたのでございますか。これがもしあまり形式的なものであるといたしまするならば、それは私は国際信義にももとり、また人道上早く知らしてくれたならば人命が百何人も死なずに済んだということでありまするならば、これは私は十分将来のためにただしておかなければならない点だと思うので、お尋ねをする次第であります。
  41. 和達清夫

    和達政府委員 ハワイの津波センターは、一九四六年にアリューシャンの大地震でハワイが大津波を受けたことによって始まったものでありまして、ハワイではこれにかんがみまして太平洋地震を十分につかみたいというために、わが国から地震があればその情報を送る、また津波のおそれあるときにはその情報を送るというようなことになっておるのであります。こういう場合には、そのセンターというものは、そういう資料を送られたところにまた自分の方の解釈をくれるというのが習慣でございまして、私どもはそういう意味において向こうからもまた情報を受け取るわけであります。この両者の関係は、だいぶ前のことでありますし占領軍時代のことでございますのでちょっと記憶が十分でございませんが、今探しましたところでは、正確なる文書交換によって行なってはおりません。それで事務的に両方でこういうふうに通報し、こうし合おうという業務はいたしておるわけでありますから、これらはしっかり今後両者の間の関係をいたしまして、そして今後はもっと有効にまた確実に働くようにいたしたいと思う次第でございます。
  42. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 和達長官がかつて北京の紫光閣で周恩来とわたり合って、それまでとだえておった中共からの気象の情報を獲得したその熱意と手腕を、私もその席におりましたから高く評価しておるものでございます。いわんやアメリカとの交渉になりまするならば、その被害程度、波の高さ等を早急に責任を持って日本にも通報してもらうような根拠ある交換公文でも条約でも、こういうことこそ一つ進んで早急に確かなものを作っていただきたいと思うのであります。  次に、これでもう私の質問を終わりますが、このお配りをいただきました資料によりますと、たとえば函館に例をとってみまするならば、一番波の高かったのは二・三メートルであります。ところが第一波到達後一番高いところまでに達するのに三時間半を要したとこの図面に出ておるのであります。高知清水をとってみまするならば、波の一番高かったのは二・七メートルであって、第一波からこの最大の波までの所要時間は二・七時間くらい、三時間ほどであったというのであります。そこで、この第一波というもので全滅したものか、第一波の高さは普通どのくらいのものであるか。それが第一波でばさっと全滅をするものならば、もう最大の波までの所要時間というものは無意味になって参りますが、もし第一波というものがそれほど人畜を一挙に失うほどのものでないということでありますれば、三時間半とか二・七時間というような時間があるならば、これは相当出先において処置ができると存ずるのであります。こういう災害の問題は、中央において当然統一的に発令をすべきでございまするが、同時にまた出先においてやれることは大いにやらねばならない問題でございまして、この第一波の荷さ、それから第一波から最高の波までの時間、こういう関係を私は一つ伺いたい。  それから最後に、これは総理府の方がおいでになるならば聞きたいのでございますが、災害防止の対策に関する法律とかいうようなものが審議されるかのごとく聞いておるのであります。これは警報の発令組織になると思うのでありますが、今回の場合はもともと気象庁自体の発令の神経中枢がおくれたのでありますから、いかにその間の組織が完備しておりましても今度は役に立たなかったと思うのでございます。将来のことを考えまするときに、気象庁がたとい早くある発令を発表いたしましても、その後における伝達とかあるいは災害防止の組織が完備しておりませんと、せっかくの早くつかんだ情報も死んでしまうという結果になるわけであります。また今日のいろいろな勤務の組織を見まするならば、夜間の宿直体制とこれら災害防止との関係というようなものも非常に重大なことになるのでありまして、そこに私が火災報知機のようなものを利用する必要がないかということを先ほども申したのでございまするが、これら災害防止全体の対策に関する構想あるいはその法律がもうすでにでき上がっておるのか、いつごろ提案をなさる御予定になっておるのか、そういう点もあわせて伺いたいのでございます。
  43. 和達清夫

    和達政府委員 津波の時間的経過でございますが、資料の第三図をごらんになりますと、わずかの例でありますが、海面の昇降の例がございます。これをごらんいただきましても、最大の波の到達するのは、初めに小さいのがあってだんだん大きくなっていくのもあり、いろいろなものがございまして、第三波あるいは第四波が最大になるときもあります。でございますから、たとえばここにも例がありますけれども、第四波が最大といたしましても、第三波がそれよりわずかに小さいものでありますれば、もう第三波で非常に書がございますので、そこに書きました最大波をもって余裕時間とみなすことはちょっと問題もございますけれども、少なくとも最大波に至るまでにはそれだけの時間があるということは確かでございますので、この点は十分、おっしゃる通りいたしたいと存じております。
  44. 平井義一

    平井委員長 総理府が欠席いたして、おりませんので、楢橋運輸大臣より答弁をいたします。楢橋運輸大臣
  45. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今お尋ねになりました災害基本法は、今政府で調整をしている段階でありまして、いまだ成案にまでは至ってないという状況であります。
  46. 關谷勝利

    關谷委員 港湾あたりが七億以上の被害を受けております。ほかにも保安庁関係もありますが、これらに対しましては補正予算を組む必要があるのかないのか。なお、災害特別立法等は考えておるのかおられないのか。なお、これらの災害のうちで、事業者の天災不可抗力ということになりますと、請負人等あたりは、これはまたそれで救済されるわけでありますが、これは事業者の負担になるのか、請負者の負担になるのか。この三つの点——特別立法をやるのかやらないのか、補正予算を組むのか組まないのか、今度の災害で受けたものは、請負人の被害になるのか、事業者の被害になるのか、この点を伺っておきたいと思います。
  47. 中道峰夫

    中道政府委員 港湾関係といたしましては、先ほど申し上げましたように現地係官派遣いたしまして調査をいたしておりますので、ただいま御指摘ございましたように補正予算を組む、あるいは特別立法をする、なお事業者あるいは請負人との負担の関係等につきましては、その調査の結果を待ちまして十分検討いたしていきたいと思いますが、なお政府の方では、次官会議におきまして災害対策本部が置かれるように聞いておりますので、それらの点についても検討されるものと考えております。
  48. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 チリ地震津波災害に対しまして、気象庁が今回とりました措置等についてはなはだ遺憾の点があったことは、まことに申しわけなく実は存ずる次第であります。今、和達長官が申したように、やはり経験というものにとらわれて予防という点についてやや怠った感がある。また日本政府の予算等におきましても、予防というようなものについては容易に大蔵省あたりは納得しない点等がありましてことに気象庁ではいろいろと科学的な面について要請がありますけれども、なかなかこれが十分充足し得ない点があって、この点は気象庁にも実は気の毒に存じている次第であります。  ことにチリのような一万数千海里のあちらに起こった、地球の向こうに起こった地震がこういうスピードをもって襲うということは予想しなかったという点は、率直に和達長官が自分の不明なり研究の足らなかったことを披瀝しておるような次第であります。実はこの点につきましても、御存じのようにかつてハワイが、アリューシャンの三千何海理のところに起こった地震のために、やはり今回のような被害を受けて、これを経験としてセンターを作るということになったのであって、そのときの被害等日本には影響がなかった。海底地震における津波という問題は、学問的にも非常にむずかしい点があるようでありますけれども、全知全能をしぼって災害を防止するということが責務でありますから、この点は今申し上げましたような設備の点なり、あるいは国際的連絡の点なり、十分にこの苦い経験を生かしまして、今後の防災に努めたいと思う次第であります。  ことに、和達長官は、ここで申し上げてはどうかと思いますけれども、昨晩私のところに見えまして、伊勢湾台風といい、今回の災害といい、これらのことを考えれば、自分は気象庁長官として職を辞しておわびしたいというようなことを申されましたけれども、今日の段階におきまして、私としては気象庁のみを責めるわけにもいかない点があるのであります。十分にその責任を感ぜられたら、大事な方でありますから、今後一そうその防災に向かって全力を尽くしてもらいたいということで、実は慰撫したような次第であります。その点等も御了承下さいまして今後当委員会におきましても御尽力を賜わり、ともにこういう天災による災害の防止についていろいろと御援助を賜わりたい、こう思いまして一言申し上げる次第であります。(拍手)      ————◇—————
  49. 平井義一

    平井委員長 この際お諮りいたします。今回のチリ地震津波による被害状況調査するため、現地委員派遣いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、派遣地、派遣委員の人数及びその人選、派遣期間等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十六分散会