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1960-04-20 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十日(水曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 川野 芳滿君    理事 關谷 勝利君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 土井 直作君       宇田 國榮君    高橋清一郎君       塚原 俊郎君    長谷川 峻君       村瀬 宣親君    島口重次郎君       下平 正一君    館  俊三君       内海  清君    菊川 君子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 楢橋  渡君         国 務 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         防衛政務次官  小幡 治和君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  水品 政雄君         運輸事務官         (航空局長)  辻  章男君  委員外出席者         運輸事務官         (大臣官房文書         課長)     澤  雄次君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七八号)(参議院送付)  航空法の一部を改正する法律案内閣提出第一  〇二号)      ————◇—————
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  この際申し上げます。去る六日の陸運に関する件についての木原津與志君の発言中、不適当な点は委員長において適当に削除いたしたいと存じます。      ————◇—————
  3. 平井義一

    平井委員長 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。關谷勝利君。
  4. 關谷勝利

    關谷委員 以前に新聞を見ておりますと、あの石炭専用船関係あたりで、運輸大臣大蔵大臣とが、これは建造許可しないことができる、そういうふうなことも考えなければならぬというふうなことを発言しておられるやに、これは新聞でありますから、はっきりしたことはわかりませんが、そういうことが出ておりました。通産大臣は、これは許可すべきもので、そういうふうにやらしたいというふうなことが出ておりました。私はそれに関連いたしまして二、三点お伺いをいたしたいのでありますが、この臨時船舶建造調整法は、私たちがこれを作りました当時には、輸出船外国船というふうなものはこの中へ含まれておらなかった。これはもっぱら国内船建造についてこういうことを考えるのだというふうなことで、これを作った私たちのその当時の考え方はそうであったのでありますが、これは今はどういうふうに解釈しておられるのか。輸出船というふうなものはこれに何も除くと書いてもなければ含むとも書いてない。こういうことになりますと、あなた方が今解釈をしておられるのは含むと解釈しておるのですか、あるいは含まれないと解釈しておるのですか。
  5. 水品政雄

    水品政府委員 臨時船舶建造調整法対象といたしましては、輸出船も含まれるという解釈をいたしておりまして、従来もそういうふうに運用して参っておるわけです。
  6. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますると、あの石炭専用船あたり建造許可で押え得る、こういうふうに考えておられますか。
  7. 水品政雄

    水品政府委員 石炭専用船につきましても、臨時船舶建造調整法による建造許可対象になると考えております。
  8. 關谷勝利

    關谷委員 含んでおるということになりますると、対象にはなりまするが、しかしこの許可基準でありますが、第一に、「当該船舶建造によって、わが国商船隊質的低下をもたらすおそれのないこと、」これには該当はいたしません。第二に、「当該船舶建造が、それを配船しようとする航海区域または航路における船腹需給状況から見て著しく過剰となるおそれのないこと、」この点が大体問題であろうと思います。しかしながら、これは今計画しておりまするのが大体四万五千トン・クラスのものを三隻とか五隻作るということでありまするが、大体手間五航海やって、かりに三隻といたしましても、これは大体六十五万トンぐらい運ぶという程度にすぎませんが、通産省輸入計画あたりは三十五年度が五百六十三万トン、三十六年度が七百七万トン、三十七年度が八百五十万トン、四十年度が千二百四十五万トンというふうなことになっておるので、今までの日本船で積み取ったのと、外国船の積み取ったのとの比較からいたしますると、これは第二の、「当該船舶建造が、それを配船しようとする航海区域または航路における船腹需給状況から見て著しく過剰となるおそれのないこと、」ということから言いますと、これは過剰となるとは言えませんね。そういうふうなことで、第二にも私たち数字の上から計算いたしますると、これはこの基準にも該当をいたしません。「第三に、当該船舶の種類、船型、構造及び性能が、それを配船しようとする航路及びその輸送需要の性質に適応していること、」これもその通り適応しておるものを作ろうといたしておりまするし、「第四に、当該船舶建造によって、わが国商船隊の公正なる海外活動に著しく不利な影響を与えるおそれのないこと」というようなことでありまするが、この基準から申しましても、今まででも両方が運んでおりまして決して不利な影響を与えるということも考えられませんが、この一、二、三、四の許可基準からいきますると、これは許可をしなければならぬ、断わる条項がない、こういうように私たち考えますが、この点についてどういうふうに見ておられますか。
  9. 水品政雄

    水品政府委員 今御指摘の点で、私どもも一番この問題の扱い方基準となる関連は、第四項から出てくるのではないかと考えておりますが、それを決定する場合におきましても、今後わが国が米国からどれだけの石炭を輸入する計画を持ち、これに充当する船腹計画はどうなるかという全般を見合った上でなければ、わが国商船隊にどれだけの影響があるかという結論を下し得ないように考えておりまするので、今の段階ではそういうところはまだ明確になし得ない点もございます。そこで許可ができるか、許可すべきかという決断は、まだこの問題に対する具体的な点が十分そろっておりませんので、断定は下し得ないように考えております。
  10. 關谷勝利

    關谷委員 なにがそろっていないから断定ができないと言いますが、これは通産省輸入計画も御承知じゃないんですか。私たちがわかっておるくらいですから、わかっておるはずですし、ことに今まで三十三年度は三百二万トン、それで日本船で運んだものが百八十万トン、外国船が百二十二万ドン、三十二年度はこれが四百四十八万トン、外国船が三百二万トン、邦船が百四十六万トン、こういうふうなことになっておりますと、先ほど私が申し上げた三十五年以降の輸入計画数字から言いますと、これができたからといったって何も弊告はない、こういうふうに考えられるのであります。私なぜこれを言うておるかといいますと、これが許可になる、許可にならぬというふうなことによって造船業界が非常に騒いでおるようです。私は私の解釈を求められましたから、これはこういうふうな数字になってくるので、この一、二、三、四のどれで押えるということもできないんだ、だからこれは何も心配要らない、これを大臣許可しないということはおそらくできないはずだ、こういうことを——この間造船界代表者が来て、とにかく安定しないんだ、船会社なら、その日に運賃が入ってきて、人件費油代があればやっていけるんだが、われわれは大ぜいの工員をかかえておって、もしこれで造船所にアイドルを出すというようなことがあると大へんなことになりますというので、非常に不安な気持でおるようでありまするが、そういうふうな血から考えますと、無理な解釈をして押えるよりは、これは造船業界あたりが安心のできるように、こういうことになるのだからこれは許可を抑えないのだというふうなことをあなた方がはっきりさしてやった方がいいんじゃないか、こういうふうに考えるので私お尋ねしておるのでありますが、私が言っておること間違っておりますか、間違ってませんか。あなた方もうこれは材料も何もかもそろっておって、それで判断といって、いつまでかかって、下手な考え休むに似たりで、下手な考えなんかしない方がいいですよ。そうしてこれははっきり割り切って、許可すべきだというなら許可すべきだ、許可しないというのなら、どういう理由許可しないのだということをはっきりしてやった方がいいと思います。どういうふうに考えておられますか。
  11. 水品政雄

    水品政府委員 御指摘のような点私どもも十分考えておるのでありますが、石炭の今後の輸入見通しというものも一応の話は聞いておりますけれども、これもさらに十分確認をしてかかる必要がございますし、それから船腹増加量、あるいはまた一がいに石炭専用船と申しましても、いろいろな形態考えられておるようでございます。しかしこの問題については、実はまだ正式に、こういうふうな形態のものでこう作るという式では、建造許可はもちろんですが、建造許可をなす前段の予備的なとこるまで私ども承知をしておるのがないのでございます。それでそういう建造量、それから今後の運営の形態等を十分具体的に検討いたしませんと、「不利な影響を与える」、こういうふうな抽象的な表現になっておりますが、その場合に、たとえば日本船の積み取り比率がこれによって減少するかどうかというような問題も考えなければなりません。また不利な影響という内容につきましては、その他いろいろな観点から検討しなければなりませんので、またこの事柄は御指摘のように非常に大きな問題になっておりますので、私どもといたしましても十分検討した上でなければ結論は下し得ない、かように考えております。現在仮定の検討はできるのでございますけれども、具体的なものに対して検討する段階にまだ立ち至っておらぬわけでございます。従いまして、今ここでその点について明瞭な決定的な御返事ができないのが現状でございます。
  12. 關谷勝利

    關谷委員 まだ何もそういう建造申請は出ていないのですか。しかしそれにしても、えらい造船業界あたりは騒いでおったようであります。しかし出たならばどれくらいまでのものは許可すべきものだ。どれだけ以上のものは許可をすることができないのだということでも、あなたは今不利な影響を与えるというようなことで非常に慎重にやっておられるが、それならどの程度まで——これは三隻作っても年間六十五万トンふえるだけですよ。大したことにはならぬわけです。それから鉄鋼の造船計画というようなこともあなた方よく通産省と連絡とっておられませんと、今年鉄鉱石を輸入するのが千八百万トン、昭和四十年度になりますと、三千万トンとかなんとか、私この数字はまだ的確なものは調べておりませんが、そういうふうなことになりますと、輸出船だけでなくして、まだこの石炭専用船あたり国内でも作らなければならぬということになるのですが、その際に輸出船は例の金利が四分になっておる。それから国内船が今度利子補給をやりましても七分五厘にしかならないというようなことで、そこに差があるので外国船を保護するような格好になってくる。その点が非常に矛盾しておるのですが、これは結論を言いますと、諸外国に比べまして、わが国海連助成策が足らないんだ、不備なんだということに結論は落ちつくわけですが、逆の議論もあったり、いろいろ理屈をつければ、国内産業との関連とかなんとか、いろいろなことを言えば言えますが、外航船というものは国際競争の場面だけしかないわけでありますから、これは外国並みにしなければならぬということになりますと、助成策が足らないんだということに結論はなるわけであります。この助成策につきましては、大臣はどういうふうに考えておられますか。これはことしあたりので十分と思っておられますか、こういうふうに輸出船が四分というふうな場合に、これと見合うだけの助成策をやらなければならぬのだというふうなお考えであるのか、今でいいとお考えになっているのか、それを伺っておきしたい。
  13. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ただいま關谷委員が御質問になっておりまする点ですけれども製鉄会社輸銀の四分の金を活用して、外国船会社、しかもどちらかといえば、ILOその他からのがれておるような、パナマその他の籍を持つたような、つまり国際的な航海の秩序の上に、非常な横紙破り的なことをやっておる海運業者の一部と組んで、そして日本輸銀の金を利用して安い船を作って、長期用船計画を立ててやるというようなことは、日本海運政策からいって、この問題は、今指摘されたように、非常に大きなショックを与えておるのであります。従って、そういうような行き方を許容していくことによってたとえば船会社までも、どんどんそういうような第三国を利用してやるというようなことになってくれば、えらいことになってしまうという傾向等もありますので、船舶を輸出するために受ける輸銀の四分という金利を、そういうような場合に利用することそれ自体が、日本全体の産業の問題からいって、一体妥当であるかどうかという基本的な問題がここに介在いたしております。従って、その問題を解決するためには、どうしても、一方には、今御指摘のありましたような、貿易の自由化、為替の自由化からくる生産コストを下げるという点からいって、やはりトン当たり安い船を使って原料を仕入れ、これを輸出するということは、当然に製鉄業者その他が考える面もあるのでありますが、一方海運一つ政策という建前からいって、その持っておる経済上における重要性等を勘案して、一体どう調整するかという問題が、ここに介在いたしておるのであります。従ってそういうような問題が起こってくる根本原因を掘り下げてみれば、やはり国際競争にたえ得るだけの体質を、日本海運が持っておらないということは、しばしば問題になっておりますように、戦時補償も払わず、あるいは金利も、国際的な立場からいうと、非常な不利な立場に置かれておる。従って、国際水準まで日本造船に対する金利体系を改めるという建前によってのみ、本問題は解決するという結論に実は達するのでありますので、そういう点もこの機会にとらえまして、単に目先だけの問題でなくして、国際競争にたえ得る日本商船隊をどうしたらいいのかということは、この問題を一つ契機として、もっと深く掘り下げて考えるべき段階に追い込まれておると私は思っておるので、先般も参議院予算委員会においてそういう答弁をいたしております。一方大蔵大臣及び通産大臣等とも、この問題を契機として、一つ根本的に海運政策というものを考えようじゃないか。私の率直な意見から申し上げますれば、つまり国際的な競争にたえ得る体質からいえば、まだ日本保護政策は足らないと思っておるのであります。一方では海運業者自身合理化の問題もありますけれども、これは国内の問題ではなくして、相手が全部外国でありますから、アメリカ及びドイツ、英国、フランス、イタリア、その他らち外におりまする、今あばれ回っておりまする、パナマ中心とする、そういう変なギリシャの商船隊のようなものがあるのでありますから、こういうものを対象としていくべきであって、国内的よりも、そういう相手方を中心として、日本の国策をどう立てるベきかという段階であると思いますから、私はそういう基本的な問題とこの機会に取り組みたいと思って、通産大臣及び大蔵大臣とこの問題を協議することになっています。いまだ通産大臣から、この問題に対する正式な話し合いがありませんが、具体的に製鉄業者その他の人たちが、海運業者造船業者との間で寄り寄り折衝をやっているような状態であると聞いているので、それが具体化してさましたら、その問題にぜひ取り組みたい、実はこういうように思っております。
  14. 關谷勝利

    關谷委員 大臣考え方はしごくごもっともであって、そういうふうな方向に、三大臣で早急に協議をせられまして、外国会社に作らせてというふうな、こんな変則なことが起きないような海運助成策考えていただきたいと思います。  それと、さしあたりの今の建造許可の件でありますが、造船業界あたりのことも考えますと、私たちは今のところこれは許可をすべきであると考えております。今はまだ判断のというようなことを言っておられましたが、もうこれ以上の資料は集まってこないと思います。もう申請が出るか出ないかの段階でありますが、出た場合、大体想像せられますのは、三隻とも言い、六隻とも言うておりますが、一度に一社で二隻も三隻もということは出るはずはないので、八幅、富士、鋼管というふうなものが出すらしいが、とりあえず出てくるものは、一ぱいずっとしても三隻くらいのものであろうと思います。それが出た場合、許可をしますかしませんか。
  15. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 具体的に出ましたら、一体その背後外国会社がいかなる性格の会社であるか、またそれがどういうような影響力を与えるかというようなことを慎重に考えて、その問題を処理したいと思うのであります。一隻、二隻を許したことによって、その後において大きな波動力を与えるようなことがあってはならないのですが、一方には、關谷委員の言われますように、今日造船工業界が非常に重大な危機に直面し、かつ船が、御存じのように多いときには三百何十万トンから四百万トン近くあったものが、来年、再来年になれば、七十万トンも減るというような段階であって、関連産業その他も、これのいかんによっては、二百万近くの者に大きな影響を与えるというようなことがありますので、私も先般来造船工業界の人々を集めまして造船に対する一つ安定策に対して、いろいろと根本的に考究せしめ、立案せしめておるような状態でありますので、この問題もそれに重要な影響を与えますから、一方には、海運保護政策といいますか、日本海運体質を健全化して、これの足を強くするという一つ方向と、この問題とは、同じ私の管轄下においてもいろいろ矛盾した点等もありますけれども、その調和点を見出して、できるだけこの問題の処理をはかいたい。これは、やはり具体的に出てきましたその後において、背後会社その他を十分に調べて、そういうような造船界要望等も勘案しながら、一方に、海運界の全貌をよく見通して事を処理したい、こういうように思いますから、この辺で御了承願います。
  16. 關谷勝利

    關谷委員 大臣は非常に慎重に考えておられるようでありますが、一方においては海運助成案をやって、日本海運界競争のできるようにやっていきますと同時に、やはり造船界安定策ということも考えなければなりませんので、その点はこの法律をよく生かして、そして妙味のある通常をやっていただきたいということを希望いたしまして、私の質疑を打ち切ります。
  17. 平井義一

  18. 久保三郎

    久保委員 私も、引き続き造船問題についてお尋ねをしたいのでありますが、まず最初に、日本商船隊の整備であります。  今回この改正法案を出した理由は、この商船隊増強をはかるのには、今後五カ年間この法律を延長するのが適当だというようなことでおやりになっておるわけでありますが、大体現在の船腹は、およそ五百四十万トンくらいだろうとはうのでありますけれども、一方新長期経済計画によりますと、大体三十七年度で、貨物船の方で五百八十八万トン、それからタンカーで二百三十万トン、合計して八百十九万トン、こういう計画政府は出しているのでありますが、この五カ年間にどの程度船腹増強ができるのか。いわゆる船腹量の総トン数でどの程度までの計画をしてやっているのか、その点を最初に聞きたいと思います。
  19. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ちょっと今海運局長がおらぬものだから具体的な答弁はできないと思いますが、六百十万トンというのが大体きまっていて、政府の方としてそういう大きい数字はきめてないという……。
  20. 久保三郎

    久保委員 これは私は新長期経済計画の原木を持ってきませんで、写してきたのでありますが、いずれにしてもそういう数字が出ているのでありますが、三十七年度の目標である貨物船は年率一〇%の増強ということ、あとはタンヵーの力は二十何パーセントになるかと思うのであります。それでこの貨物船だけで見ると、三十一年度に比較して三十七年度で七七・一%増強しよう、こういう計画です。だからこの新長期経済計画は三十七年度を目標に置いている。そうしますとこの法案提出あと五カ年間延長しよう、そこにちょっとズレがございます。だから私が聞きたいのは、新長期経済計画によっておやりになっているのか、それとも別な観点からこの五カ年間の時限を延ばすのか、こういうのをまず聞きたいのです。今運輸大臣がおっしゃるように六百十万トンが今策定したところの最高の船腹量である、こういうことであるのか、それとも私が写したのが間違いであって、八百十九万トンは、大体三十七年度は違うというのか、大体どの程度まで増強したならば、日本の今後の経済展望からいって適当であるのか、これを聞きたいのです。
  21. 水品政雄

    水品政府委員 新長期経済計画に基づいて決定されたものであるかどうかという点につきましては、もちろんそういう計画に基づいて作るべきものであろうと思いますけれども、実情は年間国内船三十万トン程度精一ぱいという現状にございますので、実は五年でも百五十万トン程度建造量しか見込まれない現状でございます。そこでこの五カ年間を決定いたします場合は、そういうふうな現状に基づく見通しによりまして大体五年くらいが適当じゃないかというところで五年間をお願いしたわけであります。  それから長期経済計画がどうかという御質問につきましては、実は私準備がございませんので、またあらためてお答え申しあげます。
  22. 久保三郎

    久保委員 どうも政府の新長期経済計画というのも政府部内で当てにしてないような話、と言っては局長大へん御迷惑かと思うのでありますが、実際言うとそういう現状で、これは新長期経済計画というのは紙に書いたものだけであって——政府は全体の経済の中から船腹量はかくあるべしというのはやはり一つの指針ではないかと思うのでありますが、それに近づける工夫あるいは対策というようなものはあまりお考えにならないで、船舶局長が今お話しのように現状に即して大体年間三十万トンだということなんですが、これはどうなんですか。
  23. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 政府といたしましては、新長期経済計画の実現を期するように努力をしておるのであって——これも一つの想定でありまするけれども、その目的達成のためにはあらゆる生産増大のための努力を続けていくという建前をとって、近づくように努力しております。しかしまた一方に、現実にやはり事務当局としてかたいところでその問題を積み上げていくという点もあると思うのですが、これにフラス・アルフアすることが政治の力だから、そういうことでいっておるということで一つ御了承願いたい。
  24. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、だめを押しますが、六百十万トンが計画量でありますか。
  25. 水品政雄

    水品政府委員 さっきも申しましたように、長期計画に基づくきちっとしたやり方ももちろんあろうと思いますけれども、大事をとるという点もございますし、やはり現実を直視せずに期間をきめるということも問題でございますので、五カ年間くらいあれば大体日本海運経呂基盤の確立ができるのじゃないか、こういう点を考えて五カ年としたのであります。
  26. 澤雄次

    澤説明員 ちょっと補足して説明させていただきます。今、久保先生の言われました五カ甲計画は、政府としては閣議に報告されたものでございますが、先生のおっしゃられますように、今日としては非常なズレが出て参りますので、政府でまた新しい五カ年計画を検討いたしております。すでに閣議に報告されました五カ年計画では、大体三十七年度に六百十万トンの外航船——内航船でございませんで、外航船を持つことを目標にいたしまして、毎年五十万トンずつ建造するという計画になっております。現実には、大臣が御説明なさいましたように、そこまでは参っておらないのが実情でございます。
  27. 久保三郎

    久保委員 六百十万トンという数字は初めて正式に聞いたのでありまして、外航船ということでありますが、それはそれで承認するとしても、あなたのおっしゃる年間建造量を大体五十万トンに押えているということは、これは内航、外航を含めての話なのですか。新長期経済計画の中には年間外航船だけ五十万トンとは書いてないですね。全部の話です。
  28. 澤雄次

    澤説明員 当時の新長期経済計画の五十万トンと申しますのは外航船だけでございます。
  29. 久保三郎

    久保委員 ところが、そういうふうには書いてないということなのですね。年間約三千億、五十万トン建造とある。その後の計画は三十七年度貨物、タンカーで八百十九万一千トン、こういうことが出ているのです。その論争は別としても、この六百十万トンでそれでは計画の積み取り比率というものが確保されるのか、これをお尋ねしたいのです。
  30. 澤雄次

    澤説明員 六百十万トンで積み取り比率が確保されるかという御質問でございますが、これを策定いたしました当時の事情は、日本の貿易量は飛躍的に増大が予定されましたので、それに追っつけて外航船建造していくことが非常に困難でございますので、その当時の積み取り比率を悪化させない程反に外航船を拡充していく、それには五十万トン程度作ることが最小限度必要だということできまったわけでございます。ですから、積み取り比率は十分ではございません。
  31. 久保三郎

    久保委員 詳しいようですから、具体的な数字でお伺いしたいのですが、六百十万トンの外航船で積み取り比率は輸出入どの程度になるのが、お示し願いたい。
  32. 澤雄次

    澤説明員 その当時の政府計画で予定しました積み取り比率では貨物船で約五〇%程度、それからタンカーで、ちょっと数字をよく覚えておりませんが、七〇%程度まで持っていくことを目標といたしております。
  33. 久保三郎

    久保委員 全部正確に御存じだと思ったので、私も資料を持ってきません。さらに詳しくはあと機会にしたいと思います。お話がきっちりできると思ったから資料を置いできました。  続いて石炭合理化と最近問題になっている配船センターの問題、これについてお伺いしたい。(「海運局長でやりませんか」と呼ぶ者あり)海運局長には違いないけれども、船を作る方の法律を今出しておられる、基準もお作りになっているわけですね。だから、船舶局長にお聞きしても、これは一向失礼でないと思う。というのは、建造基準があるわけです。先ほど關谷さんも読み上げた第一から第四まである。その中の判定は、こういうものを知らなければ判定はできないんじゃないかと思ってお聞きしている。そうすると、この説明は海運局と合作ですか、どうなんですか。
  34. 水品政雄

    水品政府委員 この基準の適用にあたりましては、船腹が過剰になるかどうか、あるいは海運にどれだけの影響があるかどうかということを十分緊密に連絡をとりつつやっております。
  35. 久保三郎

    久保委員 それじゃおわかりになっているでしょう。おわかりにならなければ、わかりませんと言って下さい。  今問題になっているこの配船センターというか、専用船の建造でありますが、これは結局石炭合理化という大きな問題がある、片方は今度は内航船の問題が出てくる。これがいわゆる矛盾した形で出てきておるので、問題になっているのだろうと私は思う。そうでしょうね。石炭合理化の問題と内航船の問題とあるんでしょう。(「今のは外国の話だ」と呼ぶ者あり)違うんです。私の言っているのは国内です。あなたのおっしゃっているのはまた別です。
  36. 平井義一

    平井委員長 私語を禁じます。
  37. 久保三郎

    久保委員 だから、この問題の調和をどこではかるかというのが現在問題なんでしょう。これは政府内でどういう決着ができていますか。
  38. 水品政雄

    水品政府委員 今のお話の配船センターの問題は石炭の輸送を対象にしていろいろ検討されておるのでございますが、これも御承知のように、現在検討中でございまして、結論に達しておる問題ではないと承知しております。
  39. 久保三郎

    久保委員 配船センターの問題は石炭合理化という緊急の問題もある、こういうことなんですね。これは現在検討中では困るのだ。どういう事情になっているのか、それはやはり海運局長ですか。
  40. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 そうです。
  41. 久保三郎

    久保委員 それでは、海運局長が来るまで待っていましょう。  それではその次に、あなたの方の専門でしょうから、これだけはお伺いしましょう。現在の造船業界の状況、その点、見通しについて簡単にかいつまんでまず御説明をいただきたいということであります。  それから続けてこの問題についてお尋ねしますが、結局問題になっている大きなものは海運造船、鉄鋼、この三つがからんできたので、先ほどの輸出船の問題も出てくる。海運造船と鉄鋼、この中で支配的な、指導的な立場をとるのは何かというと、鉄鋼なんです。鉄鋼を何らの抑えもしないでおいて、今のままの状況で造船海運を持っていこうといってもこれは無理ではないかと思う。これについて鉄鋼を抑えるというか、コントロールする方法は政府考えておるのかどうか、これを一つお伺いします。
  42. 水品政雄

    水品政府委員 造船界現状についてごく概略を申し上げますと、これも御承知のように建造許可実績の面からの建造量について最初に申し上げたいと思うのでございますが、昭和三十年度におきましては二百五十九万トンの建造許可いたしております。それから三十一年度には二百八十九万六千トン、三十二年度には百八十万トン、三十三年度には百二十四万トン、三十四年度には八十九万トンというふうな建造許可をいたしておるのでございますが、この数字でもこらんのように、昭和三十一年をピークといたしまして、年々建造量が低下いたしております。そして今後の見通しといたしましては、三十四年度は八十九万トンという非常ながた落ちでございますけれども、さらに三十五年度、三十六年度におきましてはこれよりも建造量が低下するということが考えられますので、私どもといたしましては大臣の強い御指示によりましてれその造船対策について現在せっかく進めておりまして、何とかこれは今後の対策の推進について先生方の御協力をいただかなければならぬと思っておるのでございますが、そういうのが造船界現状でございます。  そこでその一つの対策の問題点といたしまして、鋼材の問題が非常に大きな問題でございます。わが国の鋼材価格は英国の建値等と比較いたしましても、トン当たり六千七百円も高いというような現状にございます。少なくとも鋼材の価格を国際水準にまで引き下げるということについて所管省である通産省と再三話し合いをいたしておりまして、その一つの方法といたしましては造船用鋼材の輸入をある程度自由化することによって、海外において安い鋼材の入手をはかるとともに、国内業者に対してもそれだけの刺激を与え、努力を要請するというような問題も一案として考えておるのでございますが、そのほかにつきましても、これは運輸省の所管ではございませんけれども、鋼材の問題については通産省も実は真剣に考えてくれておるのが現状でございます。
  43. 久保三郎

    久保委員 鋼材の問題、引き下げについてはいろいろ考えておるというのだが、いろいろ考えておるだけでいまだに結論が出ていない。そこで日本商船隊を含めて造船企業を一つ健全化してやっていこうというのですが、一番ネックの鋼材の問題について結論がつかぬでは、これはどうにも方法がないじゃないですか。今、關谷さんから御質問があった専用船の建造にしても、これは問題はそこなんです。これを解決しないではほとんど問題にならぬだろうと私は思うのです。これをはっきりして方針を立てて、その上で日本商船隊はどうあるべきか、造船工業はどうあるべきかということでいかない限りは、鉄鋼を野放しにしておいて、それで造船といわゆる海運だけを規制していこうということは、早くいえば抑えておいて増強しようという、これはとうてい問題にならぬと思う。これは運輸大臣どうでしょう、あなた先ほど政策についていろいろ御説明があったが、どうもきめ手というものを御発表にならないのでありますが、これはどういうふうに今考えておるのか、あるいはいつそういう問題を出すのか、これを一つ答弁いただきたいと思います。
  44. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 一番大事な鋼材の問題は、今局長が説明しましたように、外国の建値から見れば七千円、ある場合においては一万円も高い。従って製鉄関係の鋼材を少なくとも外国並みに安くするという場合には、やはり政府がこれに対して一定の価格の調整をやってくれることをしなければ、普通製鉄業者に談判しても言うことを聞かない。従ってこれに対して政府が補給をするか、それでなければ——先般造船工業界の者を集めましていろいろと事情等も調べましたが、為替の自由化で、外国の鋼材が安ければ外国から鋼材の自由な購入をやる、そうすればそれによってその問題は解決するけれども、そういうことをやることによって今度は日本経済に及ぼす影響という問題もまた起こってくるのであります。従って今通産大臣との間でこの造船の鋼材の問題について私の方から話し合いをし、一方大蔵省にもこの問題を実は提案いたしておりますが、大蔵省は鋼材の利子の差額を補給するなんということは容易に聞かないというような段階であります。従って、今ちょうど専用船の問題が起こりまして、關谷委員もさっき言われましたように、日本海運商船隊体質というものの本質を根本的に掘り下げて、国際的な水準にこれを帰一するという建前をとるという根本政策を立なければ一切の問題が解決しないという段階になっておるので、この機会にそういう問題を、災いと言っては失礼ですが、禍を転じて福となすという面までむしろ合理的な方向に持っていこうということを今考えておるのであります。おっしゃるように、鋼材を国際水準並みに安くすれば問題の解決は非常に簡単ですけれども、これをやろうとすれば今度は猛烈な反対がある。もちろん業者は聞かないのだから、結局政府の方で何とかしてやらなければならぬ。そうすれば、今度はそういう根本的な問題をやった場合において及ぼす影響というものがある。そういうことでありますから、ちょうどこの機会に、一番深刻な難を与えておりますのは、外国船会社の名前を借り、輸銀の金を使って安い船を作り、長期計画でこれを運ぶというやり方を押えようとしても、なかなか抑えられないという問題がある。押えるためには、やはり今言ったように根本的に問題を掘り下げていこうというようなところにきておりますので、今海運政策は目先のことばかりやつておるのだが、この問題は私の方もこの機会にもっと根本的なことをやらなければならぬ、こういうふうに考えておるのでありまして、ぜひそういうことを取り上げたいと思っております。
  45. 久保三郎

    久保委員 根本的なことを考えなければならぬということ。それだけは意見が一致しているのですが、実はその先がほしいのでありまして、松橋運輸大臣は政治力が旺盛だから期待はしておりますが、その前に、運輸大臣に言っておくのですが、ただ単に運輸省管轄だけが造船海運をやりましてもだめだ。いわゆる鉄鋼を含めた三者を一体にした一つ経済計画というか、そういう政策を打ち出すためには、一運輸大臣だけではだめだと思うのです。この辺やはり内閣総理大臣を使って、その中である程度方策をきっちりするというのでなければ問題になりませんよ。これは要望しておきます。  運輸大臣はお忙しくてよそへ行くというので、私は航空の関係がありますが、続いて計画造船の問題です。これは分科会でも海運局長にちょっとお尋ねし、運輸大臣もおられたのですが、船舶局長にあらためてお尋ねします。これは運輸大臣も、情勢が変わったから一つ答弁して下さい。短期船は今まで代替建設のいわゆるスクラップ・アンド・ビルドをやらないというのでありますが、これからはどうなんですか。やらないのですか。
  46. 水品政雄

    水品政府委員 その点につきましても現在まだ検討中でございまして、スクラップ・アンド・ビルドを定期船につきましても……。
  47. 久保三郎

    久保委員 定期船の中にも低能率船があるわけです。それを改善しなければ船質の改善にならぬということでやってきたんでしょう。しかも、解撤助成金はとれなかった。だからやれないという答弁をこの間しておりましたが、これは金利の面で、運輸大臣がいろいろ御折衝なさって、開銀並びに市中銀行の方の金利も下げようという方針に御決定になったでしょう。なったとすれば、この際船質全体の改善のためには定期船を含めてやるべきである。そうでないと、百万トンから以上になっている低能率船をそのまま温存するような形になる。そういうようなことはこの際踏み切ったらどうか、そう思うのですが、どうですか。
  48. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今おっしゃいましたように、やはりスクラップ・アンド・ビルドによって船質を根本的に改造して性能のよいものにするという基本方針に基づいてやりたいという考えを持っておりますが、いろいろ内部の問題がありましてまだ決定までは至っておりませんが、そういう方向で今努力しつつあるのであります。詳しいことは海運局長がいずれ来ますから、その点説明さしたいと思います。そういう方向は尊重してやりたいと思います。
  49. 久保三郎

    久保委員 運輸大臣にお尋ねしますが、もう一つは、自己資金建造船、これは大蔵省と運輸省との岡に意見の食い逢いがあるということでありますが、その訓整はもう完了しましたか。
  50. 平井義一

    平井委員長 久保委員に申し上げます。海運局長でなければ知らぬようです。海運局長が来たら答弁させます。      ————◇—————
  51. 平井義一

    平井委員長 次に、航空法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  52. 久保三郎

    久保委員 それでは大臣に、この前もお尋ねしたのでありますが、事務当局が調べがつかないというので、回答が保留になっている問題が一つございます。というのは、米軍に貸してある飛行場をわが方で使う場合、これは行政協定第二条第四項の(a)項によってやっているのかどうかというお尋ねをしたのでありますが、それはどういうことになっておりますか。
  53. 辻章男

    ○辻政府委員 お答え申し上げます。現在米軍に提供いたしております飛行場にわが方の民間機が乗り入れる問題でございますが、これはもちろん航空が再開されましてから、一般論としまして、政府から民間航空発達のために米軍の支障のない限りそういう乗り入れを広めてもらいたいという口頭の申し入れをして参っております。それに対しまして、米軍の方では、趣旨はわかったが、個々の飛行場の乗り入れの問題は、米軍の飛行場を管理する司令官にまかす方法でやりたいということで今日まで進んでおりまして、具体的には各飛行機ごとにその飛行場を管理しておりまする長が、許可書を出しております。これによりまして、現在乗り入れしている次第でございます。従いまして、今、久保先生からの、それは一体行政協定の第何条に基づくものであるかという点でございますが、私どもは第三条、すなわち飛行場を管理しておりまする管理権に基づきまして、そういうものが許可されておる、かように考えております。
  54. 久保三郎

    久保委員 第三条とおっしゃいますが、第三条第一項だと思うのでありますが、その場合でも、両国政府間で協議しなければならないということになっておりますが、今のお話は、権利権限を持っているそこの米軍の司令官が、単に口頭でよろしいと言えばいいのかということになりますが、これはどうなんです。
  55. 辻章男

    ○辻政府委員 行政協定の第三条に、今御指摘がございましたように、日本政府と米軍との間の協議が要るという条文がございますが、これはその米軍に提供いたしました区域の管理権の問題ではございませんで、その提供しました区域を米軍が使用するに必要な点から、その近傍までを管理権、管理的な権能を持つというその点について、合同委員会にかかりまして、両者の意思の合致が要るという趣旨であると解しております。
  56. 久保三郎

    久保委員 これはそうだとすれば、行政協定第二条四項の(a)によって、これはこちらが使用すべき筋合いだと私は思うのです。なぜそういうふうに切りかえられないのか。結局それは今のような場合は、早くいえば、向こうの使わぬ場合は、使わせてあげましょう、こういうのでしょう。そうすれ、ば、それは第二条の第四項の(a)です。ここに書くいてある。「合衆国軍隊が射撃場及び演習場のような施設及び区域を一時的に使用していないときは、日本国の当局及び国民は、それを臨時に使用することができる。」こうあるのです。     〔委員長退席、天野(公)委員長代理着席〕 この条項によって当然合同委員会を通じてこれは協議を求むべきはずです。残念ながらあまりにも卑屈過ぎる。第三条の管理権限、向こうの権能によってのみ左右されるというのではなくてこれは実際からいけば、向こうは使用しないで、日本の方に使用させることができるのでありますから、当然これは第二条の四項の(a)によってやらせるべきじゃないか、こう私は思うのですが、こういう折衝はなさらなかったのですか、あるいはこれからなさろうとしないのですか。
  57. 辻章男

    ○辻政府委員 経緯はただいま申し上げましたように、一般論としまして、これは米軍に提供しておるのでございますので、米市の自由と申しますか、管理のもとに米軍が使用する飛行場でございますので、私どもの方としましては、それの支障のないように使用さしていただきたいということを一般的に申し入れをいたしまして、米軍としては、この第三条の管理権に基づく方法でやりたいということで、今日まで至っておる次第でございましてそれによりまして特に非常な支障があるという状態でございませんので、今日まで至った次第でございますが、今、久保先生の御指摘になりましたような御意見も参酌いたしまして、また適当な機会にそういう考え方も検討したい、かように考えております。
  58. 久保三郎

    久保委員 防衛庁にお尋ねしますが、防衛庁の飛行機が、米軍に接収されているというか貸与してある飛行場を使用しておりますね。それはどの条項によってやっておるのですか。
  59. 小幡治和

    小幡(治)政府委員 行政協定の、今運輸省のお答えいたしましたあの同じ法規によってやっております。
  60. 久保三郎

    久保委員 そうすると、まるきり第二条第四項によるところのものではやっておらぬ、飛行場に関する限りそういうものは一つもない、こういうように了解してよろしゅうございますか、いかがです。
  61. 辻章男

    ○辻政府委員 航空機の乗り入れに関します限り、ただいま御答弁した通りでございます。運輸省に関する限りはそうでございます。
  62. 小幡治和

    小幡(治)政府委員 やはり運輸省と同じで、三条の方でやっております。
  63. 久保三郎

    久保委員 わかりました。はなはだ自主性のない話で、残念だと思います。いずれこの問題はあとから申し上げます。  それで 運輸大臣もうお帰りになる時間だそうですから、二つだけお聞きします。一つは、日本の領空は米軍に提供しておりますか、いかがでしょう。
  64. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 日本の領空を全部提供しておるということはあり得ないと思うのですが、米軍の練習しておる航空の練習区域については、これは米軍に提供しておるというのですか、必要なときには練習できるという体制に置いてあります。
  65. 久保三郎

    久保委員 演習の場合というお話がありましたが、演習の場合は貸してあるということがございましょうか。領空を飛んでもいいという取りきめがありますか。
  66. 辻章男

    ○辻政府委員 補足して申し上げます。今大臣の申された点は、これはこの前もいつか国会でも東海村の問題で問題になりましたように、ああいうふうに米軍が常に訓練として使う地域は、やはり空間として提供しておるというふうに考えております。私どもは、そういう空間は、一般の航空機に対しましては、危険区域として指定いたしまして、航行の安全上立ち入ることのないように措置をしておる次第でございます。
  67. 久保三郎

    久保委員 それは何の取りきめでやっておりますか。
  68. 辻章男

    ○辻政府委員 これは行政協定の第三条によりまして、合同委員会にかかってきめております。
  69. 久保三郎

    久保委員 行政協定の第三条ですか。第三条には領空という文字がございますか、あるいは領域の上空という文字がございますか。
  70. 辻章男

    ○辻政府委員 行政協定の第三条の一項でございまして、ちょっと読み上げてみますと、「合衆国は、施設及び区域内においてそれらの設定、使用、連帯、防衛又は管理のため必要な又は適当な権利、権力及び権能を有する。合衆国は、また、前記の施設及び区域に隣接する上地、領水及び空回又は前記の施設及び区域の近傍において、それらの支持、防衛及び管理のため前記の施設及び区域への出入の便を図るのに必要な権利、権力及び権能を有する。本条で許与される権利、権力及び権能を施設及び区域外で行使するに当っては、必要に応じ、合同委員会を通じて両政府間で協議しなければならない。」この中にございます空間に当たると解釈しております。
  71. 久保三郎

    久保委員 これは私も持っおるのでありますが、その空間は最大限にとっても近傍ですから、極限された空間ですね。
  72. 辻章男

    ○辻政府委員 必要な空間というふうに書いてございます。
  73. 久保三郎

    久保委員 必要なというのは、その文字だけとると必要なのでしょう。それはそうじゃない。「それらの支持、防衛及び管理のため前記の施設及び区域への出入の便を図るのに必要な」云云でしょう。出入でしょう。ちょっと違うでしょう。  それからもう一つ聞きますが、これもおかしい。この行政協定の第三条第一項は日米安全保障条約の第何条に基づいてこういうものができておるか。
  74. 辻章男

    ○辻政府委員 行政協定全体が安保条約の第三条から縁由していると考えております。
  75. 久保三郎

    久保委員 安保条約第三条は、結局区域とその施設は貸与しているんですね。区域というのは領土であり、あるいはそれに近接する領海である。施設というのは建造物その他ということでありますね。これははっきり提供しておる。また提供することになっておる。ところがこの行政協定の第三条第一項によって必要な空間というふうにおっしゃいますが、全文を読んでも、必要な空間ならどこでもいいということはない。  それともう一つは、たとえばこれは毎日新聞に十七日に出ておりましたが、これは問題がある。航空管制の問題ですが、十五日のちょうど一時ごろ、名古屋空港で衝突一歩手前というものがあった。これに類するものは当日全体として七件あったと、こう言うのです。この一例がここに載っているのであります。米軍のジェツト輸送機C135が、いわゆる飛行計画を出したの、羽田を飛び立つ四分前です。それで管制本部は小牧に対して、どうかという問い合わせをした。ところが現在防衛庁のジェット機が三十機かそこら今訓練しているから、三十分程度とにかく待てという指令だった。ところがそのとき、今度は羽田に向かって指令をしようと思ったところが、その飛行機はもう飛んでいったという。途中でつかまえようがない。それで途中でつかまったかどうか、きっとつかまらなかったでしょう。とにかく小牧の空は一つ空域をあけたという格好なのです。それで緊急着陸みたいな練習をして飛んでいってしまった、こういうことが一つあったのです。これは一つの例だと思いますが、そのほかに何件もある。日本の空は自由に米軍機が飛ぶということは実際あり得ない。しかもあり得るとすれば、これは何らのとりきめがないのだから国際民間航空条約違反だ。国際民間航空条約、ICAOの三条か二条だと思いますが、これは外国の飛行機は特別な協定あるいは取りきめがなければ領空を飛んではならぬというのです。そうして民間飛行は全部この国際条約によってやっておるわけです。ところが安全保障条約の名のもとに、何かいいかげんに、領空を全部貸しておるような格好でやっておるところに間違いが出てくる、そうだと思うのですが、どうでしょう。
  76. 辻章男

    ○辻政府委員 お答え申し上げます。実は私ども今、久保先生の示されました新聞を見まして、びっくりいたしまして、さっそく管制本部その他に照会をいたしまして調査をさせた次第でありますが、それによりますと、少しその新聞記事は、何と申しますか多少興味をそそるような書き方をいたしておるように感じられますので、私どもの調査しました点を申し上げたいと思います。これはそのジェット機が羽田から名古屋に行きたいということを管制の手続によりまして出してきたわけであります。その出発の時刻が四分前というふうに書いてございますが、それはその通りでございまして、すぐに立ちたいのだがどうかということを聞いて参った次第であります。これはもし航空路上にほかの問題がなければすぐに出して悪いことはないのでありまして、羽田ではすぐにそのことを管制本部の方に連絡したわけでございます。管制本部の方ではそういう際には、名古屋までと申しますと名古屋までの、管制区とわれわれ申しておりますが、俗に申せば航空路でございまして、名古屋までの航空路土で支障がないということで出発を許可したわけでございます。それでそのことを羽田の飛行場のタワーから、当該飛行機に対しまして、出発よろしいということで出発させたわけでございます。そしてこういう飛行機が羽田を何時何分に立って名古屋上空に向かったということを、これは管制本部から名古屋の方に知らせたわけでございます。名古屋の状況はどうかということを聞きますと、名古屋では今自衛隊の訓練があるので、三十分ほどあとくらいの方でないと着陸がむずかしいじゃないかというふうな返事があったのでございます。ところがそういうことを、立ちました飛行機に情報として提供してやろうということで、当該飛行機を無電で呼び出したのでございますが、ちょうどそのときに無電が故障しておりましたので、管制本部の方では、向こうの方は込んでおるという状態であり、もし無電の故障が直らなければ危険があるということで気をもんだそうでございます。ところが名古屋上空に参りました際には、無電の故障も直りまして、それで名古屋の飛行場の管制塔と連絡をとりまして、ある程度名古屋の手前で少し待つようにという指示で待っておりまして、ある程度自衛隊の訓練の飛行機が、空間を多少あけるような余裕があってから名古屋上空に差しかかったというのが真相でございます。でございますからこれは今御指摘がありましたように、領空を侵犯とかいうふうな問題ではございませんで、すべてわが方の管制の手続によりまして、その指示によって参ったのでございますが、今申しましたような点で、無線の故障というふうな点におきまして、わが方では心配したということがあったということでございます。
  77. 久保三郎

    久保委員 この羽田から小牧へ行った飛行機は、何の飛行で行ったのですか。
  78. 辻章男

    ○辻政府委員 これは一つの慣熟——慣熟と申しますのはなれ、熟練するというのでございますが、慣熟飛行の目的と聞いております。
  79. 久保三郎

    久保委員 慣熟飛行はどういう取りきめで飛ばせることができることになっているのですか。私が今まで拝見した政府間の取りきめなどは正式に飛行ができるというのは測図飛行ができるだけです。しかしこれも領空を貸してあるということはありませんから、実際はこの合同委員会の取りきめはどうもおかしいのですが、しいて領空も貸してあるというふうに解釈しても、飛行ができるという正式なあれはこれにあるだけですよ。在日米軍が、軍の使用する航空図の正確さを確保するために測図飛行を行なうことができるとあるのです。いわゆる写真を写すことですな、百歩譲ってもこれだけですよ。基本には領空を貸してやるということはない。しかしそれはまあ一応保留しておいても、飛行ができるというのは測図飛行だけなんだ。あとはない。
  80. 辻章男

    ○辻政府委員 慣熟飛行を特に禁止はしておりません。
  81. 久保三郎

    久保委員 禁止しているとか何とか言っているんじゃない。どういう取りきめでこれは許しているのか、禁止はしてないでしょう、やっているんですから。何もないですから、禁止するとは書いてない。先ほど言うように、国際民間航空条約によれば、国の飛行機は、結局特別な協定とかあるいは取りきめがなくては領空の上を飛んではいかぬと書いてあるのだが、取りきめか何かなければ飛べないでしょう。おかしいでしょう。条約違反でしょう。ただ単に惰性で、管制本部へ飛行計画がきたからおっ放してやるというものではないですよ、これは。
  82. 辻章男

    ○辻政府委員 これは、御承知かと思うのでございますが、今度アメリカ大統領のアイゼンハワーが国賓として来られるのに先だちまして、秘書が、これは特別機で来られるわけでございますが、その特別機を持って参りまして、ある程度航行の安全を期するために慣熟飛行をさしてもらいたいということで、外務省が中心になりましてアメリカ大使館側と打ち合わせをしましてそういうふうなものを認めておる、その当該飛行機がそれでございます。従って私ども政府間としてはよく了承しておるのでございますが、これが実は軍用機に属するかどうかという点につきましては、なお検討いたしますが、私どもはそういう意味で国が国賓として御招待申し上げるそれの特別機の問題でございますので、政府側としては十分了承を与えた次第でございます。     〔天野(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、米国大使館とか日本の外務省で正式に取りきめをして、慣熟飛行をやらせるということになったのですか、どうなんです。
  84. 辻章男

    ○辻政府委員 これは打ち合わせによりましてそういうことを了承したわけでございます。
  85. 久保三郎

    久保委員 それは何月何日だれとだれがやったか、はっきりしてもらいましょう。それから大統領の個人機は国の飛行機ですよ。一般の人が乗れるものは国際民間航空条約では国の飛行機とは言わぬです。国の飛行機とは警察とか軍の飛行機とかそういうものですよ。だからこれは国の飛行機ですよ。一般の飛行機じゃないのです。航空局長だからわかるでしょう、そのくらいは。これは国の飛行機で、一般の輸送機じゃないですよ。
  86. 辻章男

    ○辻政府委員 今あなたのおっしゃる通り、国の飛行機と考えております。
  87. 久保三郎

    久保委員 先ほどお尋ねした、だれとだれが何月何日どこでそういう慣熟飛行の取りきめをしたか、そういうのをちょうだいしないで、ただ単に管制本部は申し出があればさっとやってしまうということじゃないでしょう。航空局なら航空局に、あるいは管制本部なら管制本部へ、外務省と大使館との問の取りきめはこうなっているということが通報せられてから許可するんでしょう。そうでなくちゃおかしい。これは一つの例ですよ。そのほかにたくさんありますよ。ありますが、その一つの例で掘り下げていけばそういうことになる。
  88. 辻章男

    ○辻政府委員 たしかその会議は、今はっきり覚えておりませんが先週にあったと記憶いたします。
  89. 久保三郎

    久保委員 それはあとで調べて下さい。これで終わるわけではないですから……。ただ言っておきますが、先ほどの答弁の中で、領空を自由に飛んでもいいというところはないですね。それを自由に飛んでおるというのが現実だと思うのでありますが、それは次会までにはっきりしていただきたいと思うのであります。自由に飛んでもいいのは側図飛行だけですね。あとはないのです。  それから念のために言っておきますが、これは防衛庁にお尋ねした方がいいと思うのでありますが、防空飛行、これもその取りきめはあるのですが、飛行してもいいとは書いてない。防空任務に従事する軍用機に対しては交通管制上最優先権を与えることに同意している。交通管制上の最優先権を与えるということだけであって、飛んでもいいとは書いてない。だからこういう点も一つ——この全体を読むとこういうことですから、大体なるほど飛んで歩くことも許しているのだなと類推できるのです。ところがこれは証文でありますから、はっきりしてもらわないと困る。こういう点は一つ防衛庁の方から——防空の方はあなたの方もおやりでしょう。防空飛行というのはこれだけで許しているのかどうか。それから常時米軍機が練習する場合はどの条項によってやっているのか、日本の空を飛び回るということは……。
  90. 小幡久男

    小幡(久)政府委員 御質問の防空のために飛び回るということにつきましては、先ほどお話しになりました管制上の関係で運輸省の了解をいただきまして飛んでおります。これはアメリカの飛行機と違いまして日本のあれでございますので、運輸省の許可があれば当然飛べるものと了解しております。
  91. 久保三郎

    久保委員 それでは運輸省に聞きますが、運輸省の許可があれば飛べるというのですが、何の条項で飛べるか、これはどうなんです。
  92. 辻章男

    ○辻政府委員 これは要撃の際の飛行につきましては緊急を要しますので、私どもの方とそれから防衛庁と協議いたしまして、すべての飛行機に優先して着陸させるという了解を持っております。従いましてその際には滑走路土に飛行機があるとかその他危険の場合を冒してという意味ではないのでありますが、そういうふうな先に発着したいというふうな飛行機がございましても、それらをすべて発進を許しませずに、その要撃のための飛行機を最優先に発進させる許可を与える、そういう意味でございます。
  93. 久保三郎

    久保委員 それは書いてあるから、それを聞くているのではないんです。これはいわゆる交通管制上の手続には書いてあります。私が聞きたいのは、その前提になる飛行、領空を飛行するということ、それは何によってか、こう聞いている。非常にむずかしい問題ですから、よくお考えいただいてもけっこうですよ。常識的には、アメリカの駐留軍が日本の防衛に当たるとなっていますから、防空もやるのだというのはあたりまえの話なんですが、何も書いてないのをやるのはおかしいではないかというのです、私の聞いているのは。
  94. 辻章男

    ○辻政府委員 私どもは自衛隊の飛行機の要撃の話だと伺っておりますが、さようじゃございませんか。
  95. 久保三郎

    久保委員 アメリカのです。
  96. 辻章男

    ○辻政府委員 米軍機の要撃につきましても同様の扱いをするということになっております。
  97. 久保三郎

    久保委員 そうなっていますというのは常識としてはそうなっていましょう。しかし常識ではなくて、証文の問題ですから、それを聞いているのですよ。御回答はむずかしいと思いますからあと回しでもいいです。実際をいうと航空局長だけにお尋ねするのはどうかとも思っているのですが、ただ大事な点だと思っているからお尋ねしているのです。——お答えになりますか。
  98. 辻章男

    ○辻政府委員 官制上の優先的な扱いにつきましては、米軍機に関しましては行政協定に基づきまする合意によりましてすることを、両国間において取りきめております。
  99. 久保三郎

    久保委員 交通管制上の問題は両国間の合意によってきめているということでありますが、それはわかっているんです。そう書いてあるんですから。航空交通管制の前提になる飛行の方はどうなのか、こう聞いているのです。管制でさえ許可されれば飛んでもいいという話はないでしょう。人の土地ですよ。その前提はどうなのかと聞いている。これは防衛庁にもあわせて聞きたいのですが、防空上緊急の必要あるときの措置として、防空担当機関が保安管制を行なうことに日本は同意している。この細目の取りきめはどうなっているか。防空上緊急の必要がある場合には全部の航空交通管制を米軍にやらせる、こういうことについて取りきめてあるのですね。これの細部の取りきめはどうなっているか。今までにこういう事態があったかどうか。そういうことをやったためしがあるかどうか。
  100. 辻章男

    ○辻政府委員 お答え申し上げます。緊急の場合には防空担当機関が、保安管制をするということは、やはり私どもは管制の問題といたしまして、先ほど申し上げました行政協定に基づきまする管制の合意によって、そういうふうに取りきめておりますが、ただその細目につきましては何らの取りきめもいたしてございません。
  101. 久保三郎

    久保委員 何ら取りきめはしてないが、かつてやったことがあるかどうか。
  102. 辻章男

    ○辻政府委員 今までのところは前例はございません。
  103. 久保三郎

    久保委員 それじゃあと回しにしまして防衛庁長官がおいでになりましたから一つお尋ねします。今度の航空法の一部改正では、従来自衛隊がおやりになっていた飛行場に対しても運輸六臣が航空交通管制を統制することになっていますが、統制という文字は、こういう問題ではあまり聞きなれない言葉なんで、先般からお尋ねしているわけなんですが、実質的には航空交通管制を運輸大臣のもとで一元化するということでありますから、実際の運営からいきますと、自衛隊とか防衛庁の方の航空交通管制業務というのは、運輸大臣の指揮監督に実質的に持っていくように今回はなっているのかどうか、そういう点を一つお尋ねします。
  104. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 運輸大臣から御答弁申し上げたこととは存じておりますが、お尋ねでありますので申し上げたいと思います。  運輸大臣も防衛庁長官も同じ大臣でありますので、指揮監督という形はちょっとまずい関係であります。そこで法制同等でもいろいろ検討いたしまして、統制という言葉が適当だということで統制という言葉を使うことにしたのであります。  この意義を申し上げますと、権限の委任をした官庁が、委任をした業務に関し、委任を受けた官庁を指揮監督することは通常行なわれていることでありますが、指揮監督というこの用語は上下の関係にある行政機関相互問に通常用いられるものでありまして、今回の航空法の改正による委任業務につきまして、航空交通管制の一元的運用を完全なものとする必要が絶対的であると同時に、いずれも国務大臣である運輸大臣と防衛庁長官との関係でありますから、指揮監督という用語を避けることが適当であり、また「業務の運営に関する事項を統制する」という表現の方が業務の一元的運用の確保という趣旨を適切に表現しておる、こういうふうに考えまして統制という言葉を使うことになったのであります。  しからば、その統制の内容としてはどういうことであるか、こういうことであります。一々申し上げますならば、防衛庁長官は、委任を受けた事務の実施の方法につきまして、運輸大臣が当該事務に該当する事務の実施の方法について定める基準と同一の基準を定めなければならない、こういうこと。ただし、運輸大臣が支障がないと認めた場合にはこの限りではない、こういうふうにしたいということであります。第二は、運輸大臣は、防衛庁長官に委任をした事務に関しまして、当該事務を実施する自衛隊の部隊の長に報告を求め、実施について事務及び施設を視察することができることとすること。第三は、防衛庁長官は、委任を受けた事務を行なうにあたりまして、運輸大臣が当該事務を遂行するに十分な技能を有すると認めた者以外の者を当該事務に従事させてはならないこととすること。第四といたしましては、運輸大臣は、管制事務の統一ある実施を確保するために必要があると認めるときには、防衛庁長官に対しまして、委任をした事務の実施の方法等について、助言または勧告することができさることとする。こういうのが統制としての内容でございます。
  105. 久保三郎

    久保委員 それは大体今の正式な答弁でわかりました。これは両省大臣とも合意の上でお作りになったと思うのでありまして、われわれはそれを承知しました。そこで、せっかく助衛庁長官がおいででありますから一つだけお尋ねしておきたいのであります。というのは、この日米両国の合意によりまして、防空上緊急の必要のある場合の措置としては、防空担当機関が保安管制を行なうことに日本の国は同意している。保安管制というと、航空交通管制全体でありますから、そういう場合、もうアメリカが一手に掌握してこれを管制する、こういう取りきめのようであります。ついては、先ほどの航空局長答弁では、いまだかつてやったことはない、あるいは細部についての取りきめはない、こういうことでありますが、緊急の必要があるという場合はどういう場合であるのか。一方的な認定で緊急の必要があると認めるのか。またその場合の保安管制のやり方、あるいは指揮系統、そういうものはどういうふうになるのか。全然今のところ考えておらないし、取りきめもないのでしょうか。そうだとすれば、今、日米安全保障条約というものがあって、これから改定しようということでありますが、それも大体引き続いてこういうことになると思うのでありますが、そういうことを全然規定しておらぬということになりますと、問題が多いのではないか、こういうふうに思うのですが、これは今まで全然そういう規定はないのですか。
  106. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 アメリカが全面的に空の交通管制をするということにはなっておりません。アメリカはアメリカの管制官をレーダー・サイト等について出しています。日本日本として出しております。これが共同して連絡をとってやっておるということで、指揮系統は全然アメリカはアメリカ、日本日本、しかしその間に非常に緊密な連絡をとってやっておる、こういうのが事実であります。
  107. 久保三郎

    久保委員 長官のお話は普通の場合のことではなかろうかと実は思うのでありますが、この取りきめは、三十四年の六月の合意でありますが、これによりますと、四に「防空上緊急の必要があるときは、防空担当機関が保安管制を行なうことに同意している。」ということがありますが、これは当然防空担当機関というのはアメリカだと思うのです。アメリカでなくて、あるいは防衛庁ですか。アメリカだと思うのですが、いかがでしょうか。
  108. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 運輸当局から御答弁申し上げます。
  109. 辻章男

    ○辻政府委員 現在の法律のもとにおきましては、保安管制ということを防衛庁がやられることは困難かとわれわれは考えております。     〔「わからない」と呼ぶ者あり〕
  110. 平井義一

    平井委員長 もう一ぺん言うて下さい。
  111. 辻章男

    ○辻政府委員 従って防空担当機関というものは米軍がやるというふうにわれわれは考えております。
  112. 久保三郎

    久保委員 そこで防衛庁長官にちょっとお尋ねしますが、長官今お聞きのようなことでありまして、一朝有事の場合はアメリカが全部航空管制権を持つということであります。今まで安保改定その他の論議でいろいろありましたが、日本の領土はまず日本の自衛隊が守るというのが原則だと思うのでありまして、そういう場合にアメリカが主導権をとるというのは、どうも変じゃないかと思うのです。この場合防衛庁というか自衛隊はノー・タッチでございましょうか。いかがでしょう。
  113. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 事務当局答弁させます。
  114. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 航空局長からお話しになりましたごとく、現在の日本国内法制の建前におきましては、航空管制というものは一元的な運輸大臣がおやりになっておる。自衛隊に関する限り、今度の改正によりまして航交通官制権というものを広げられまして、自衛隊も含めてやろうということになるわけでございます。われわれの自衛隊といたしましては、今度の措置によりまして、航空局と一そう緊密な連絡を保ちながら、あらゆる場合におきまして自衛隊の任務の遂行に支障のないようにしようと思うのであります。ただ米軍との関係におきましては、米軍はやはり米国の協定及び法律によりまして、独自にある程度の権限を認められておりまして、これとの調整の問題になると思うのでありますが、この点は私どもは今後米軍と緊密に連絡を、いたしまして、航空局ももとより入っていただきまして、三者の間で緊密な連絡をして、今おっしゃったような点につきましては十分に検討して、遺憾のないようにしていきたい、かように考えております。
  115. 久保三郎

    久保委員 現在は、この間いただきました自衛隊法によって、当然治安出動というか、あるいは戦闘行為も予想しておられるのでしょうが、そういう場合、ここにある合意に基づくような防空上緊急の必要があるという場合でも、自衛隊はそういうものは掌握しない、いわゆる航空交通存制一元化のもとに運輸大臣のもとにやっていくのだ、こういうことで了解していいのですね。
  116. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 私どもはそのように考えているのでありまして、自衛隊はあくまでも日本国内法制に従っていきたい、かように思います。
  117. 久保三郎

    久保委員 まだあるのですが、長官はよろしゅうございます。  それでは運輸大臣に、あまりひっぱると意地が悪いと合われますから、一つだけお尋ねしますが、先般人間用の航空交通管制本部を実は見て参りました。そこでお尋ねしたいのは、あの防空壕の中にある管制本部はどこのものでありますか。日本のものか、米軍のものか、どっちなんです。
  118. 辻章男

    ○辻政府委員 あれは米軍の所有のものを無償で借りている次第であります。
  119. 久保三郎

    久保委員 そうだとすれば、借りているのでありますから、条件はありますか。
  120. 辻章男

    ○辻政府委員 これは米軍の管理、全体のああいうベースの管理のもとに従うことを条件に、わが方の業務の遂行をすることを認められておるわけであります。
  121. 久保三郎

    久保委員 もちろん管理に従うということでありますが、あそこへ出入りする場合には、われわれが行く場合にも事前に許可をもらって、この辺に何だか知らないが鑑札のようなものをつけて出入りする。出入り口にはピスドルを持った兵隊がおる。中におる人間もこの辺に写真入りの鑑札をつけているが、こういうような取りきめなんですか。
  122. 辻章男

    ○辻政府委員 そういうふうな条件のもとに許されておるわけであります。
  123. 久保三郎

    久保委員 これは少しどうかと思うのでありますが、そういうことはやめてほしいという要求をしたことはないのですか。
  124. 辻章男

    ○辻政府委員 これはその当時、できるだけ出入は簡易にというふうな話し合いをしたのでありますが、全体のベースの中にはいろいろ軍機的な施設もあるようでございますし、またあの防空壕的な建物の中にもそういうところがあるようでございまして、やむを得ずそういう条件のもとに許可した次第であります。
  125. 久保三郎

    久保委員 そこで運輸大臣にお尋ねするのでありますが、こういう、鑑札をつけさせられて国会議員が出入りするようなところはほかにありませんよ。国辱ですよ。これは向こうの施設の中にあるからこういうことになる。これを移転するのが当然です。あなた方は三十四年七月移管されたのだから、そのときから当然この施設をどこかの場所に移すとか、新しく日本の手によって作るとかということを計画して、三十五年度予算には上げるべきはずのものです。どういう理由で移転が今日まで延びているのですか。
  126. 辻章男

    ○辻政府委員 これは御指摘のように、昨年七月一日からわが方に管制本部の移管ができたわけでございますが、実は移管の手続、それから施設等の受け継ぎの問題に忙殺されまして、もし移転をするとしますれば、また相当な長日月がかかるものでございますので、私どもとしては、今御指摘がありましたように、出入の不便とか、環境の悪さとか、そういうような非常なまずい点があるのでございますが、それよりも何とか早く、いわゆる管制の自主権を日本側が持ちたいということで、そちらの方に力をそそぎまして、今日まで至っておる次第でございまして、私どももできるだけ早い機会に適当なところに移転をいたしまして、出入の不便を除くとともに、そこに働いております管制官の労働環境というものの改善も兼ねてはかっていきたい、かように考えておるわけであります。
  127. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今、航空局長が答えましたように、今日官制等につきましてこちらへ返還してもらった建前上もできるだけ急速にそういう方向へ持っていきたい、こういうふうに思います。
  128. 久保三郎

    久保委員 とにかく来年とかいうことになるのでしょうか、いずれにしても早急にあらゆる犠牲を払って取っ払うべきだと私は感じました。もう大臣はおかわりにならぬかもしれませんけれども、かわるときには重要な引き継ぎ事項でやってもらいたい。かわらぬと思いますがね。もっといい大臣になるかもしれませんが。  それから、運輸大臣がそわそわしているから、もう一つだけお尋ねしておきますが、全体の管制の装備が非常に老朽しておる。この新聞だけ見ても、あるいは現場へ行っても、たとえば通信機は雑音が入ってくる。レーダーは雨降りレ—ターだ。それはまあいい。途中で聞こえなくなったり、お天気が悪くなったときには見えなくなるようなレーダーが宮崎にはあるそうです。こういうようなことをやっておっては、一元化は言葉だけであって、実際は米軍にたよらなければならぬ。あるいは自衛隊にたよらなければならぬということになれば、法はどうあっても、実質的に指導権は運輸省の手から離れていくということであって、これは残念だと思うのです。よって、私がお尋ねしたいのは、そういう設備の充実計画、こういうものはできているのかどうか。これは計画に基づいて逐次やっているのかどうか。どうなんです。
  129. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 先般名古屋においてああいうような事件も起こりましたので、急速に運輸省の中におきまして、事務次官を長としてこの管制の問題を取り上げまして——つまり充実化、あるいは給与の問題あるいは設備の問題、その他各省との間における諸問題等を取り上げまして、今立案しつつあるのでありまして、大体近々のうちに結論に達すると思うのです。先般、私、閣議においても発言をしまして、総理以下にも注意を喚起し、この一番大事な航空管制というものがこういうような実態であることは、何をおいても非常な危険であるし、従ってこれに対する充実強化をはかりたいということを発言し、大蔵大臣等にもその旨を申しておるのでありまして、ぜひ急速にその問題を取り上げてやりたい、こういうように思っています。
  130. 久保三郎

    久保委員 大臣はもういいのですが、一言づけ加えておきます。答弁は要りません。  一昨年でありましたか、全日空が事故を起こしたときに、そのあと、あわてふためいて内閣は航空事故防止対策本部というものを作って、要綱を発表しておる。ところが要綱を発表しただけで、作文はよくできたが、中身はちっともうまくないというのが現実なんです。これはよほど強硬にこれをたてにとってあなたは閣議においてもがんばってほしい。大体においてまだ計画ができていないというのは、だらしがない。去年の七月一日から移管されたのでしょう。それを今日までどうも計画ができないなんというのはおかしい。こういうことは少し強力にやってほしいと思います。  次にお尋ねしたいのは、これはまた航空局長に対するお尋ねになりますが、昭和二十七年六月の合意事項の中で、一五号で「第三国航空機の日本領空への飛来を許可するときは日本政府は当該航空機の経路、空港、時期を含めてで来日米軍と相互に意見の一致をはかっている。」こうなっているわけです。それで今度は、今、国会で審議中の新安保条約並びに行政協定によりますれば——これは行政協定というより安保条約でしょう。これによりますれば、今の安保条約の第二条にあるところの第三国に基地貸与あるいは通過、こういうのを許与するというか、米国の事前の同意がなければ許与しない。今度の新安保の案ではこれは削除されておるわけです。そうだとすれば、この合意に基づく第三国航空機の日本領空への飛来、こういうものを当然改めらるべきだと思うが、これはどうなんですか。
  131. 辻章男

    ○辻政府委員 この第三国機の日本への飛来に関する情報の提供でございますが、やはりこれはいわゆる防空の見地からなお継続をしてもらいたいという御要望がございましたので、この点は従前通りそのままにしておきたいというふうに考えております。
  132. 久保三郎

    久保委員 この文章には日本政府が指導権をとってあるように書いてありますが、日本の航空管制の装備では、残念ながらこれはできない。そうでしょう。たとえば今使っているGCA、こういうものでは、実際いうと捕捉することができない。だからこの文章はいわゆる主体は日本政府になっていますが、これは実際は逆じゃないですか。だからあなたが答弁されたように、この旧安保第二条は削除されても、このままやっていきたい、こういう答弁をするようになるのじゃないですか、いかがですか、その関係は。
  133. 辻章男

    ○辻政府委員 私ども今申し上げておりますのは、管制関係が持っておりますレーダーその他によってキャッチしたものを通報するということではございませんで、第三国機の飛来に際しましては、航空法によりまして、一般の定期航空の場合は別でございますが、一々運輸大臣許可をとって、その際にこういう経路で、いつ、どこへ着きたいということを書面であらかじめ言って参る次第でございます。その書面による情報の提供でございます。
  134. 久保三郎

    久保委員 航空管制が一元化しておる今日、これは通報する義務はないと思う。またそういうことをやるべき筋合いじゃないでしょう。一元化しておるのだから、米軍の飛行機が飛ぼうが、これはさっきの領空の問題は別ですよ。アメリカの飛行機が飛ぶにしても、自衛隊の飛行機が飛ぶにしても、長間機が飛ぶにしても、全部航空交通管制は管制本部によって一元化しておるのだから、第三国の飛行機が何月何日どこに何時何分ごろ飛んでくるとか、その経路はどうだとかということを米軍に通知する理由はどこにもないじゃないですか。
  135. 辻章男

    ○辻政府委員 おっしゃる通り、交通管制上の場合としてはそういう必要はないと思います。米軍がそういう情報の提供を望んでおりますの、むしろ防空的な見地に立っての観点からそういうものを望んでおるというふうに私ども解釈いたします。
  136. 久保三郎

    久保委員 お尋ねしますが、防空というのは何ですか。防空というのはいわゆる空を守るということですね。空を守る責任はだれが持っているのですか。
  137. 辻章男

    ○辻政府委員 今防空と申し上げましたのは、先ほども議題になっておりましたように、私ども軍事的な点につきましてはあまりょく存じませんが、やはり現在でもときたま国籍不明の飛行機があるやに聞いております。そのような場合に、米軍及び防衛庁の飛行機がいわゆる要撃機として、通常スクランブルといわれておりますが、舞い上がるわけでございます。もし一般の民間機が入ってきます際に、そういう情報が不的確でありますれば、あるいは国籍不明機と間違えてそういうふうな行動を起こすおそれがある。事前にそういう情報を提供しますれば、いわゆるレーダ一網等で絶えず監視しておりまするところについて、どういうふうな飛行機があるのだということが的確にわかるから、無用ないわゆるスクランブルをする必要がないというふうに私どもは解しております。
  138. 久保三郎

    久保委員 スクランブルの話が出ましたが、飛行機が誤認されては過剰スクランブルになる、だからこういう条項があるのだという大へんもっともらしい答弁に変わってきたのでありますが、これはちょっとおかしいですね。航空一元化してでいるのでありますから、結局、これだけでは実際間門として足りないので、あらゆる飛行機の飛行について米軍に通知して連絡しておかなければならぬ、そうしなければスクランブルをやらなければならぬというのでは、ますますおかしいじゃいなですか。
  139. 辻章男

    ○辻政府委員 私どもは、管制上から得られました飛行機の情報につきましては、絶えず防衛庁の方と連絡をとりまして情報を出しております。
  140. 久保三郎

    久保委員 そうすると、特別にこれを取りきめる必要はないじゃないですか。いかがでしょう。特別に取りきめるということがどうもおかしいと私は思うのです。
  141. 辻章男

    ○辻政府委員 これは従来から在日米軍としてはこういう情報の提供を望まれておりました。そういう見地から必要であるということでございますので、私どもは徒未からやって参った次第でございます。
  142. 久保三郎

    久保委員 私の想像では、今の安保第二条に基づいての話ですが、これは安保を見てみるにしても、あまりほめた話ではないというふうに思うし、航空管制から言ってもそういう必要はどこにもないと私は思うのです。何か第三国のというのでしょう。第三国でない飛行機はどうするのですか。一々通知しているなら、それも書いたらいいじゃないか。それをそうではなくて特別に書いておるのがおかしいじゃないかというのです。それから、日本政府が許与する第三国の飛行機、これが防空上あぶないからという話はないですね。爆弾を積んでくるかどうかわからぬという飛行機は許可しないわけでしょう。そうだとすれば、そんなものを一々ここで通報するようなことを取りきめる必要はないのじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょう。
  143. 辻章男

    ○辻政府委員 私ども解釈は先ほど申し上げた通りでありまして、その必要があるかないかにつきましては、今申し上げた解釈以上に私どもどういうふうに扱えるかということはよく知らない次第でございます。
  144. 久保三郎

    久保委員 知らないというのじゃしょうがないから、この次までによく調べていただきましょう。それから先ほどのも調べて下さい。  それでは、話は飛び飛びになりますが、管制官の待遇、これについては今別途考えておりますか。この間からもやっておりますが、簡単でけっこうですからお答え下さい。
  145. 辻章男

    ○辻政府委員 ただいま検討中でございます。
  146. 久保三郎

    久保委員 それではこの法案に戻りますが、今度は「航空路」という文字が消えまして、「地表又は水面から二百メートル以上」をいわゆる管制区ということに規定したわけですね。いわゆる航空路以外でもあるという。そうしますと、これは日本全体ということになりますか、日本の領域、領海を含んで。
  147. 辻章男

    ○辻政府委員 領海を含みまして日本全体というふうに解釈いたしております。
  148. 久保三郎

    久保委員 日本全体でよろしゅうございますか。ところが日本の領空全体を管制するだけの能力がありましょうか。
  149. 辻章男

    ○辻政府委員 これは必要があれば、そういうふうに管制区なりあるいは管制圏を指定いたしまして、航空交通管制をやり得るということでございまして、ただいまのところ日本の空全体を悟制区なり管制圏に指定する考えは持っておりません。
  150. 久保三郎

    久保委員 しかし領空全体をにらむところがなければ、これからの航空の発達あるいはその他の問題からいっても、まずいのじゃなかろうかと私は思うのです。自分の空が自分で見えないという形はとるべきではないと思うのですが、いかがでしょう。
  151. 辻章男

    ○辻政府委員 全体の空を管制区なり管制圏に指定しなければ航行の安全を期しがたいという点でございますが、これは現在の航空機の状態、数、その他の運航の状態から見まして、まださような段階にまでは至っていない、私どもはさように考えております。
  152. 久保三郎

    久保委員 管制区以外のところの飛行は自由ということになりますね。だれが飛んでもいいというのですか。だれが飛んでもいいと言ってはおかしいですが、許可は要らないわけですね。それはいかがですか。
  153. 辻章男

    ○辻政府委員 いわゆる適法な操縦資格を持った者が有視界飛行の状態で飛ぶことについては、おっしゃる通り管制区以外のところにおきましては自由でございます。
  154. 久保三郎

    久保委員 ところが有視界でなくて計器飛行をするという場合はどうなのですか。そこには管制区がない。これは非常に仮定のような問題になりますが、どうなりますか、
  155. 辻章男

    ○辻政府委員 いわゆる計器飛行状態におきましても、航空法の高度の指定とかそういう点を守りますれば、自由に飛べるわけでございます。
  156. 久保三郎

    久保委員 それじゃもう一つ、別の問題ですが、米軍の飛行機が飛ぶ場合はその目的を明示しますか。
  157. 辻章男

    ○辻政府委員 目的を書いたもので出てくるわけでございますが、訓練ということが非常に多いようでございます。
  158. 久保三郎

    久保委員 先ほど言ったように、訓練の場合は飛行を別に許可していないですね。許可していないというよりも、許可条項にはないですね。そういう飛行があるのですか。
  159. 辻章男

    ○辻政府委員 これは管制上から申しますと、そういうものは許可して差しつかえないことになっております。
  160. 久保三郎

    久保委員 それじゃあらためてお尋ねしますが、日本の領空における飛行の許可はだれが責任を持ってするのですか。これはあなたの方じゃないですか。領空の通過、飛行、これはだれがやるのですか。
  161. 辻章男

    ○辻政府委員 行政協定の五条の二項によりまして、在日米重の飛行機は日本の上空を飛べる権利があるわけでございます。
  162. 久保三郎

    久保委員 合衆国の軍隊及び軍人はということになりますか、「合衆国軍隊が使用する施設及び区域に出入し、それらの間を移動し、並びにそれらの施設及び区域と日本国の港との問を移動する権利を与えられる。」ということでありまして、空を通行することは与えておられませんよ。空はないでしょう。
  163. 辻章男

    ○辻政府委員 これは、私どもは当然移動に際して、航空機であれば空を、船であれば水面を考えておりますが、もし疑義がございましたら、なお外務省の方にお尋ね願いたいと思います。
  164. 久保三郎

    久保委員 わかりました。本件は領空の問題等もありますので、外務大臣なり、所管の局長なり、次会に出てきてもらって答弁願いたいと思います。これは航空局長では無理だと思います。ただし航空管制というか、空の方は国際民間航空条約ですか、これによりますれば、当然所管の大臣運輸大臣だと思うのですよ。条約締結その他は外務大臣も入りましょう。そうだとすれば、単に航空交通管制だけが航空局の仕事でなくて、領空全体の支配権というものは当然日本が持っておると思うのです。これはアメリカとの間の約束でもそうです。これは二十七年六月のアメリカとの合意によっても、「日本国は、日本領空において完全かつ排他的な主権をもちかつそれを行使する。」なっておるのでありますから、この主権は日本が持っておるのです。日本国のどの行政機関が持っておるか、こう聞くのです。いずれにしてもこれは条約に関係する問題だと思いますので、これはここで航空交通管制の一元化というだけで問題を論ずるべきでなくて、日本の領空全体の問題としてやはり論ずる必要があると思う。私はあえて次は外務省関係から出てきてほしい、こういうふうに思います。  時間もありませんから、きょうはこれだけにします。
  165. 平井義一

    平井委員長 次会は来たる二十二日午前十時より理事会、午前十壁三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。午後一時四分散会