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楢橋国務大臣 一番大事な鋼材の問題は、今局長が説明しましたように、
外国の建値から見れば七千円、ある場合においては一万円も高い。従って製鉄関係の鋼材を少なくとも
外国並みに安くするという場合には、やはり
政府がこれに対して一定の価格の調整をやってくれることをしなければ、普通
製鉄業者に談判しても言うことを聞かない。従ってこれに対して
政府が補給をするか、それでなければ
——先般
造船工業界の者を集めましていろいろと事情等も調べましたが、為替の
自由化で、
外国の鋼材が安ければ
外国から鋼材の自由な購入をやる、そうすればそれによってその問題は解決するけれ
ども、そういうことをやることによって今度は
日本の
経済に及ぼす
影響という問題もまた起こってくるのであります。従って今
通産大臣との間でこの
造船の鋼材の問題について私の方から話し合いをし、一方大蔵省にもこの問題を実は提案いたしておりますが、大蔵省は鋼材の利子の差額を補給するなんということは容易に聞かないというような
段階であります。従って、今ちょうど専用船の問題が起こりまして、
關谷委員もさっき言われましたように、
日本の
海運の
商船隊の
体質というものの本質を根本的に掘り下げて、国際的な水準にこれを帰一するという
建前をとるという根本
政策を立なければ一切の問題が解決しないという
段階になっておるので、この
機会にそういう問題を、災いと言っては失礼ですが、禍を転じて福となすという面までむしろ合理的な
方向に持っていこうということを今
考えておるのであります。おっしゃるように、鋼材を
国際水準並みに安くすれば問題の解決は非常に簡単ですけれ
ども、これをやろうとすれば今度は猛烈な反対がある。もちろん業者は聞かないのだから、結局
政府の方で何とかしてやらなければならぬ。そうすれば、今度はそういう根本的な問題をやった場合において及ぼす
影響というものがある。そういうことでありますから、ちょうどこの
機会に、一番深刻な難を与えておりますのは、
外国の
船会社の名前を借り、
輸銀の金を使って安い船を作り、
長期計画でこれを運ぶというやり方を押えようとしても、なかなか抑えられないという問題がある。押えるためには、やはり今言ったように根本的に問題を掘り下げていこうというようなところにきておりますので、今
海運政策は目先のことばかりやつておるのだが、この問題は私の方もこの
機会にもっと根本的なことをやらなければならぬ、こういうふうに
考えておるのでありまして、ぜひそういうことを取り上げたいと思っております。