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1960-04-13 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十三日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 生田 宏一君 理事 關谷 勝利君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 土井 直作君       高橋清一郎君    塚原 俊郎君       長谷川 峻君    三田村武夫君       村瀬 宣親君    太田 一夫君       木原津與志君    島口重次郎君       館  俊三君    正木  清君       山花 秀雄君    内海  清君       菊川 君子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 楢橋  渡君  出席政府委員         法制局参事官         (第一部長)  山内 一夫君         防衛政務次官  小幡 治和君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         運輸事務官         (航空局長)  辻  章男君  委員外出席者         運輸事務官         (航空局監理部         総務課長)   福永 正美君         運 輸 技 官         (航空局技術部         長)      関口規矩二君         建設事務官         (道路局次長) 前田 光嘉君         日本国有鉄道常         務理事         (新幹線総局         長)      大石 重成君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 四月十三日  委員高橋英吉君及び山花秀雄辞任につき、そ  の補欠として三田村武夫君及び太田一夫君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員三田村武夫君及び太田一夫辞任につき、  その補欠として高橋英吉君及び山花秀雄君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十三日  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七八号)(参議院送付) 同日  特急はやぶさ号等の川内駅停車に関する請願(  池田清志紹介)(第二二七五号)  東海道新幹線の横浜市日吉地区通過反対に関す  る請願飛鳥田一雄紹介)(第二三三二号)  信越線改良及び電化による輸送力強化に関する  請願井出一太郎紹介)(第二四〇三号)  飯田線設備改良及び急行運転に関する請願(井  出一太郎紹介)(第二四〇四号)  中央東西線ディーゼルカー運転に関する請願  (井出一太郎紹介)(第二四〇五号)  信越、小海、中央東三線を結ぶディーゼルカー  運転に関する請願井出一太郎紹介)(第二  四〇六号)  農林畜水産関係物資国鉄貨物運賃公共政策割引  存続に関する請願池田清志紹介)(第二四  六五号)  林産物資国鉄貨物運賃公共政策割引存続に関す  る請願池田清志紹介)(第二四六六号)  航空輸送安全確保に関する請願江崎真澄君紹  介)(第二四六八号)  国鉄自動車営業係臨時雇用員定員化に関する  請願外三件(伊藤よし子紹介)(第二五〇五  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月八日  名古屋空港国際商業空港化に関する陳情書  (第五九八  号)  漁業取締船新船建造費全額国庫負担に関する  陳情書(第六五九  号)  渋谷、二子玉川間新玉川線敷設計画反対に関  する陳情書  (第六二七号)  国鉄ダイヤ改正に伴う貨物取扱駅の集約に関す  る陳情書(第  六二八号)  国鉄牟岐後免線早期着工に関する陳情書  (第六二九号)  日豊本線特別急行の運行に関する陳情書  (第六六五号)  特急はやぶさの車両改善等に関する陳情書  (第六六四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  航空法の一部を改正する法律案内閣提出第一  〇二号)  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第六四号)  日本国有鉄道の経営に関する件  陸運に関する件      ――――◇―――――
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  航空法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がございますので、これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 質問に入る前に、前会に質問しっぱなしで回答を保留しておりました御回答から先にいただきたいと思います。
  4. 辻章男

    辻政府委員 前の委員会におきまして久保先生から宿題になっておりました点につきましてお答え申し上げます。  まず第一に緊急事態の場合に、自衛隊運輸省航空交通管制業務との関係はどうなるかというのが一つございました。これは緊急の場合には航空交通管制業務がどうなるかにつきましては、航空法にもまた自衛隊法にも何らの規定がございません。従って私ども運輸大臣の所管のもとにおきまして航空交通管制業務は行なっていくものと考えております。ただ自衛隊法の第百一条に一般的に航空保安事務所航空標識所防衛庁長官協力要請がありました場合には特別の支障がない限りこれに協力しなければならないという規定がございまして、これはおそらく緊急の事態がある時間続きますような場合には、緊急事態に対処されまして防衛庁の方で航空交通に関しまして防衛庁として何らかの措置がとられ、またそれに伴いまするいわゆる協力要請があるのではないか。それにつきましてわれわれの方といたしましては特別な事情がない限りはそれに協力申し上げるということになるのじゃないかというふうに考えております。  それから次に、名古屋空港国際空港にしてもらいたいという要請が地元から盛んに出ておるのでございますが、現在御承知のように名古屋空港には自衛隊機相当離発着をいたしておるというような状態、それからなおそれが増加するような状態というものが、名古屋国際空港にするという考えに対しては障害になるかならないかというのが御質問でございまして、この点につきましては一般一つ飛行場自衛隊民間航空とが共用しておりますこと自体、これはしばしば議論にありましたように望ましい状態ではないのでありますが、特に国際空港となりますと、一般の国内の空港よりもさらに施設運用の点で完備しなければなりません。また各国におきましても国際空港一般民間機軍用機とが共用しているという例はほとんどございませんので、そういう意味におきましてやはり自衛隊機が使っておるとか、あるいはその数が増加するということは その空港国際空港として考える場合には障害になるものと考えております。  第三に、GCIGCA調整の問についてはどうかという御質問でございますが、GCIと申しますのは、普通迎え撃つ、要撃司令所というふうに日本では訳しておるのであります。またGCAと申しますのは盲目着陸装置ということでございまして、これとの関連でございますが、このGC1、要撃司令所と申しますのは、長距離レーダーを装備いたしまして対空の警戒とそれから要撃戦闘指揮所とを兼ねた施設でございます。大体半径が二百マイルくらいの広さで、また高度は五万フィート近いようなもののレーダーを持ちまして、そこにいわゆる国籍不明機が入って参りました場合には、すぐそのレーダーでとらえまして、そのレーダーによって味方の戦闘機要撃を指示していくというものでございます。GCAの方は盲目着陸装置でございますが、これは近距離レーダーの一種でございまして、このレーダー有効範囲は、今使っておりますものは大体半径三十マイルくらいで、高度は八千フィートくらいまでのものでございます。天候の悪いとき等におきましてこのレーダーで着陸せんとする飛行機をとらえまして、これを滑走路のすぐ上まで誘導して参って安全に着陸させるという装置でございます。従いましてGCIGCAというものは機能が異なっておるのでございますが、それでは航空交通管制上からGCIというものは全然価値のないものかと申しますと、そうではないのでございまして、今自衛隊で使っておられますのは要撃司令機能を利用して使っておられるのでございますが、私ども航空交通管制業務からいたしましても、この長距離レーダーによりまして、レーダーに各飛行機をとらえまして、管制圏あるいは管制区におきまする飛行機航空交通管制をやるにつきましては非常に役立つものでございまして、実は私どもこの長距離レーダーを一基ぜひ箱根付近に置きまして、航空交通管制本部の直轄のもとに——箱根上空というのは特に航空状況といたしまして日本では輻湊する地点でございますので、航空交通管制業務に役立たせたいという考えを持っておる次第であります。  それから次に、管制ジェット機レシプロ機とをどのように取り扱っておるかという御質問がございましたが、これはジェット機レシプロ機航空交通管制上は差別をして取り扱ってはおりません。いずれも同等な扱いをいたしております。  それから最後に、要撃任務を持ちました自衛隊機の取り扱いについてはどういうふうにしておるかという御質問でございますが、これは普通スクランブルと申しておりますが、国籍不明機に向かって、その任務を持ちまして離陸します飛行機に対しましては、これは防衛庁との話し合いによりまして、航空交通管制上の優先権を与えております。ただこの優先権を与えておるという意味でございますが、これはたとえば二機、三機離陸を予定されておる飛行機がありましても、それをあとにしてその飛行機をまっ先にやらせるという意味でございまして、非常な危険を冒してやるという意味ではないのでございます。離陸につきましての最優先権を与えておるということでございます。  以上、お答え申し上げます。
  5. 久保三郎

    久保委員 ただいまお話がありました緊急事態発生の場合の取りきめというか、そういうものは規定がない、こういうことで、ただ自衛隊法に基づいて自衛隊から要請があればこれに協力するというようなことだというのでありますが、えてしてこういうものは取りきめがないところにいろんな紛争なり事故が起きると私は思う。だから特に航空交通管制を主体的に握ろうという運輸省考え方であるとするならば、やはりあなたの主体的な立場からこれを取りきめる、そういう態勢があってしかるべきだと思うが、この点はどうですか。
  6. 辻章男

    辻政府委員 これはなかなかむずかしい問題でございまして、緊急の事態にいわば防空の見地から自衛隊に対してどういう措置考えられるのか、そのやり方によりまして、先ほど申し上げました仮定の問題ではございますが、協力要請があった場合にどういうふうに協力するかということがきまるのでございまして、この点、そういった事態が今後は望ましくないという点もございますし、私どもそこまで手が伸びておりませんので、防衛庁の方と取りきめがないような状態でございますが、その点につきましてはなお防衛庁とも連絡をとりまして検討を進めたい、かように考えております。
  7. 久保三郎

    久保委員 防衛庁にお尋ねしますが、ただいま航空局長から回答がありました。たとえば小牧飛行場国際空港としての性格からいけば、現在のような形は望ましくない、何とかしてくれという意味ですが、この問題についてどうお考えでしょう。
  8. 小幡治和

    小幡(治)政府委員 われわれ防衛庁といたしましても、ほんとうをいいますれば独立のそういうものを持ちたい気持はあるのでございますけれども、あの付近の各飛行場状況を調べましても、どうしても今日のところは小牧飛行場をわれわれとしてはある程度使っていかなくちゃならないという状況になっておりますので、支障のない限り一つ使わしていただきたいと存じております。
  9. 久保三郎

    久保委員 小牧航空自衛隊ですか、あれにはF86AあるいはDがたくさんおると思うのですが、これからの増備計画並びに現在はどれくらい入っているのですか。
  10. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 現在小牧におりますのはF86Dの部隊でございます。第百一、百二、百三の三つの飛行隊がおりまして、飛行機といたしましては86D五十四機、P33三十五機、計八十九機がおります。前回の委員会でもお尋ねに対してお答え申し上げたと思いますが、F86Dの五十四機は、われわれの考えております定数には若干足りないのでございます。定数までふやしたいという気持は持っておるのでございます。ただ三十五年度におきましては、このうちの一飛行隊を千歳の方に移動する計画がございますので、年度末におきましてはF86Dの飛行隊二つになります。でありますから、年度末におき場ましては86Dが現在の五十四機が五十一機くらい、P33が二十八機くらいという計画でございます。年度の途中におきましては現在より若干ふえる時期も、しばらくの間はあろうかと思います。
  11. 久保三郎

    久保委員 今の御説明では、小牧は、だんだんというか今年度中に配置機数は減らすということで了解していいですか。
  12. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 今申し上げましたところで御了解いただきますように、年度の途中におきましては若干ふえるのでございますが、年度の末におきましては減るのでございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 現在の小牧飛行場を使っている離着陸の回数は一日平均幾らになっておりますか。
  14. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 現在、私どもの方の調べによりますと、一日平均いたしまして七十回から八十回でございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 辻航空局長にお尋ねします。こういうふうに一日に七十回ないし八十回離着陸いたすのでありますが、こういう場合に、民間航空の面で今までに支障があったのかなかったのか、その点伺いたい。
  16. 辻章男

    辻政府委員 この点につきましては、現地で、私の方の名古屋保安事務所現地自衛隊責任者と会合いたしまして、いろいろ円滑にいくように協議して参っておるのでございますが、ただ、御承知のように定期航空はみな時間が定められておるのでございますけれども天候あるいは機体の整備等によりまして三十分程度は始終おくれるというのが遺憾ながら現実でございますので、支障と申しますと、そういう場合に、名古屋に参りまして、着陸しようと思いました際にちょうど自衛隊機離陸あるいは着陸しようというふうなことで、いわゆるホールディングと申しますが、上空で多少待つようなことはございます。これはある程度の支障といえば支障でございますが、やむを得ないことじゃないかと考えております。
  17. 久保三郎

    久保委員 これは一つの例でありますが、小牧に離着陸する民間航空機は一日平均しておよそ何回なんですか。
  18. 辻章男

    辻政府委員 今手元に持っておりますものは三十四年一月から十二月までの統計でございますが、年間約九千七百回くらいでございますので、月にいたしまして約八百回、日に二十五、六回というところでございます。
  19. 久保三郎

    久保委員 これは年々ふえてくるという格好でございます。そういう場合に、現在の航空管制業務は、おもに防衛庁仕事をやるような格好になる。七十回も八十回も離着陸する。片方は二十五回か三十回以内ということでは、どうも話が違うじゃないですか。これはこまかい問題でありますが、航空管制の大半が自衛隊機操作に当たるということでありますと、これはどうも理屈に合わぬとわれわれは考える。これに対して航空局長防衛庁に対して何らかの申し入れをしているかどうか。
  20. 辻章男

    辻政府委員 これは、全体的な問題と申しましても、実はわが国で保有いたしております民間機に比べまして防衛庁関係飛行機が数といたしましても圧倒的に多いわけでございます。またこの小牧飛行場につきましても、今お話がございましたように、民間機の割合が少ないのでございますが、私ども民間航空の安全な運航、その円滑な運航が確保できるならば、防衛庁と共用しております飛行場につきましては、飛行場の効率を上げる意味におきまして共同で使っていかざるを得ないのではないか、ただ、それが民間航空機に対しまして非常な障害になり、また、特に航空の安全を阻害するような点につきましては厳に申し入れをいたしまして、そごがないようにやっていくという建前をとっておるわけでございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 時間がありませんから先にいきますが、さっきのスクランブルですか、国籍不明機の問題については、これは何らの取りきめもないということでありますが、こういうものの管制もやはり細部的な取りきめが必要ではないか、こういうふうにわれわれは思うのですが、いかがでしょうか。
  22. 辻章男

    辻政府委員 これは、スクランブル飛行機につきまして管制扱いとして最優先的な離陸を認めておるということでございまして、管制に従わずに飛んでいくということではないのでございまして、前に離陸するような予定の飛行機がありましても、スクランブル飛行機は、そういうものを全部ストップさせまして、優先的に離陸させていくということでございまして、決して航空交通管制の外に置くということではございません。
  23. 久保三郎

    久保委員 先ほどのお話で、GCAGCIの細目の取りきめは別に御回答がありませんでした。これも片方は優秀な広範囲レーダー片方は小さい範囲レーダーということで勝手に——勝手にではないでしょうが、おのおのの立場でやっていくということになりますと、航空管制の一元化ができないのではないかと私は思う。よって、これに対してそういう取りきめをする必要がないかどうか、これをあらためてお尋ねいたします。
  24. 辻章男

    辻政府委員 先ほど申し上げました通りGCIと申しますのは、防空用のため要撃指令任務を持っておるのでございまして、従いましてこれは航空交通管制仕事ではなしに、いわゆる防空関係仕事でございますので、その面におきましては航空交通管制とは関係がございません。GCAは御承知通り飛行場に、天候の悪いときに計器によりまして滑走路の直前まで誘導して参るという機能を持った施設でございますので、その点はGCIGCAとは直接の関連はないわけでございます。ただ、GCIに使っておりまする長距離レーダーというものを管制上の目的のために使うということは管制上非常に望ましいことでございますので、私どもは、GCI機能とは別に、管制上として長距離レーダーを整備していきたいという考えを持っておる次第でございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、自衛隊GCIは単に防空上の問題のレーダーである、GCAは今言ったように航空管制上の問題である、こういうふうに画然と区別されるレーダーというものがございますか。それから、もう一つは、そういうことで仕事になっておるのかどうかということであります。
  26. 辻章男

    辻政府委員 これは多少レーダーの何と申しますか、機械操作の問題といたしまして、航空交通管制目的に使う場合と、それからGC1の要撃指令のために使う場合とによりまして多少の異同があるかと思うのでございますが、これはある長距離レーダーGCIの場合に使いますならば、その防空のための地形その他によりまして設置の場所がおのずからきまってくるわけでございます。また、航空交通管制の観点から長距離レーダーを整備していくということになりますと、航空交通管制の現状からしましておのずから場所が違ってくるわけでございまして、私どもは、先ほど申し上げましたように、航空交通管制目的のためには、第一に、箱根あたりにこれを作りましてやっていきたいという考えを持っておる次第でございますが、そういう意味におきまして、今のGCIとして使っておられますものを航空交通管制のために使うという点につきましては、それを直ちにそういうふうに利用していくということは困難であろう、かように考えておる次第でございます。
  27. 久保三郎

    久保委員 とにかくお話がはっきり言ってどうもよくわかりません。というのは、防空用であろうが管制用であろうが、レーダー飛行機をとらえるものです。ですから、広範囲飛行機をとらえるものと小範囲飛行機をとらえるものと、二つがあること自体がおかしい。実際からいえば広範囲にとらえるのが一番便利です。だから、これを箱根に作るというのでしょうが、実際に航空管制運輸省の手にあって、その下で自衛隊協力するということになるのでありますが、とらえる範囲が狭いものが主導権を持って、とらえる範囲が広いものが補助的な仕事をするということでは、そこにそごが起きはしないか、問題はこういうことなんです。こういう点についてどう考えておるか、あるいはそういうことについての調整の必要がありはしないかということを私は聞いておるのです。
  28. 関口規矩二

    関口説明員 GCIは、先ほど局長から申し上げましたように、約二百マイルぐらいの有効範囲がございます。GCAの方は三十マイルぐらいの範囲でございますが、これの使い方は、GCI防空活動をやって、仕事を終わって飛行場に帰ってくる飛行機を安全に盲目着陸させるためにGCAを使います。実際のやり方を申しますと、GCIの方からGCAの方へ密接に電話で連絡をいたします。AならAという飛行機が今GCA有効範囲に何分後に入る、どの位置に入るということを的確に指示いたしまして、GCAの方でその飛行機の映像をとらえたときにまたGCIの方へ連絡をしまして、それでAの飛行機GCAでとらえたから、あとGCAで誘導しますということを回答しまして、それによってGCAあと盲目着陸をさせます。GCA飛行場の中にございますが、GCIはほとんど飛行場の中にはございません。はるか離れたところにございます。大体そういったやり方で実施しております。
  29. 久保三郎

    久保委員 それで、この問題は一つだけ言っておきますが、今航空局長が言うように、GCI箱根の山につけたいという希望ですね。これはいつごろつけるのか知らないが、早くつけなければ、外から情報を与えたものが主導権を握っていくということでは話が逆ではないかと思うのです。  それから、もう一つは、今技術部長からの御説明で実際の運用はわかったが、そういう取りきめがはっきりあったのかどうか。ないとすれば、自衛隊が何らかの都合で情報をよこさぬという場合もあるので、そういうものははっきり取りきめをしておく必要がある。この二つだけ簡単に御説明を願いたい。
  30. 辻章男

    辻政府委員 箱根に私ども長距離レーダーをつけたいということで実は本年も予算を要求したのでありますが、財政の事情で実現できませんで、なお来年度以後にも引き続き実現方の努力をしたいと思っております。それからGCIGCA——これはGCIの方は必ずGCAでおりてくるということではないのでございますが、今技術部長が申しましたように、GCIからGCAに引き継ぎまして、天候の悪  いとき等におきましてそういうふうな着陸方式をとるに際しましては、両者におきまして取りきめをいたしております。
  31. 久保三郎

    久保委員 そこでお尋ねしたいのですが、今の航空局が持っている航空管制機能日本領空全体の航空管制は可能であるのかどうか。完全にこれができるのかどうか。自衛隊機械器具その他は使わぬで、今の航空局機能で、はたして日本領空内におけるところの航空管制に事欠かないのかどうか、それを一つ御答弁願いたい。
  32. 辻章男

    辻政府委員 これは現在の航空局だけの施設によりまして航空交通管制業務はやって参れます。ただ私どもといたしましては、機械施設あるいは人員等を整備いたしまして、だんだんと航空交通はひんぱんになりつつあるのでございますので、そういうふうな増加に対処するとともに、今までやっておりまする航空交通管制の制度と申しますか、これを一そう強めまして、航空の安全を一そう高めたい、かように考えております。
  33. 久保三郎

    久保委員 だめを押しますが、今の機能日本領空は全部管制可能だというのでございますね。
  34. 辻章男

    辻政府委員 さようでございます。
  35. 久保三郎

    久保委員 米軍等機能を一部借りている部面がありませんか。
  36. 辻章男

    辻政府委員 これは米軍に飛行場を提供しておりまする関係上、一部は米軍に事実上のその飛行場の周辺に関しましては委任しておるところがございます。
  37. 久保三郎

    久保委員 一任しているのじゃなくて、それはできないから向こうにまかせるのですか、どちらですか。
  38. 辻章男

    辻政府委員 これはできないからではなしに、航空基地の提供に伴いまして、取りきめによりまして一部委任しておるようなことでございます。
  39. 久保三郎

    久保委員 これはあと回しにしましょう。  そこで運輸大臣にお尋ねします。今度の法改正案では、自衛隊管制業務をやらせる飛行場ができますが、こういうものは運輸大臣防衛庁長官の当該業務を統制するということになっています。御説明によりますと統制というのは指揮監督より強いものだと、こういうふうな御説明があったと思います。指揮監督より強いものというのは具体的にどういうことでしょうか。
  40. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 今まで自衛隊航空の点につきまして、運輸大臣の管轄外に動いておった点があるのでありますので、管制をやはり統一して強化するという意味におきまして、運輸大臣の監督下に、あらゆるその方面に対する万全の措置については運輸大臣が指示するということにしたいと、こういうことです。
  41. 久保三郎

    久保委員 防衛庁にお尋ねしますが、今の運輸大臣の言明についてあなたの方はよろしいのでしょうか。
  42. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 私ども航空交通管制の一元的な運営をやるということにつきましては全然同感でございます。でありまするから、運輸大臣が全般的な権限をお持ちになりまして、それを防衛庁長官に御委任になりましたことにつきましては、一元的に運航されまして、国内航空交通の統制が安全にいきまするように適当なる御連絡、御措置があるのだろうというふうに了解しております。
  43. 久保三郎

    久保委員 政務次官にお尋ねしますが、統制ということは、ただいまのような御説明でそれはよろしいでしょうか。
  44. 小幡治和

    小幡(治)政府委員 ただいまの御説明といいますか、防衛局長の答弁申し上げましたそういう気持防衛庁考えております。
  45. 久保三郎

    久保委員 抽象的でわかりにくいのでありますが、この統制というのは法律用語ではあまり見かけない用語でございます。先ほども申し上げたように、指揮監督よりは強いものである、こういうことにとっているわけなんですが、それでよろしゅうございますか。
  46. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 要は航空管制の万全を期するための一元化のためにおける運輸大臣としてのとる処置——強いとか弱いとかいうよりも、そういうことの、つまり指揮ということに解釈したらいいと思います。
  47. 久保三郎

    久保委員 これは非常に抽象的な文字の解釈みたいになりますけれども、大へん大事な点なんです。御説明は指揮監督より上回るものであるというふうなのが統制だ、こういう御説明でございました。そうしますと、指揮監督よりというとどういうふうになるのか。指揮監督より上回るという表現はそういう意味だと思いますが、どういう程度のものですか。普通なら指揮監督することになるのですが、国務大臣同士の問題だから指揮監督もおかしいのでそういうふうにしたのかどうか、こういう点をお尋ねしたい。内容が指揮監督なのかどうなのか。
  48. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 国務大臣同士の話し合いでやるのだから、指揮監督という統制——指揮監督ということをやるについては、多少なにがあるから、従って統制という言葉を使って、つまり運輸大臣の一元化のもとに航空管制をやる、こういう意味なんです。
  49. 久保三郎

    久保委員 政治家の答弁だから大へんわかりにくい。ここは至って事務的に御答弁いただきたいと思う点でございます。防衛庁の次官にあらためてお伺いしますが、統制というのは、いわゆる指揮監督より上回るというならば指揮監督も入ると思う。それで御承諾なさっているわけなんですね。それは間違いありませんね。
  50. 小幡治和

    小幡(治)政府委員 やはりこれは大臣同士のことでございまして、指揮監督といいますと、いかにも何か一人の大臣のもとに一人の大臣が入ってしまう、要するに指揮監督を受けるという格好になってしまいますので、そういう点はやはり大臣同士でおかしいというので、指揮監督というそういう命令権とか指揮権とかいうわけじゃなく、しかし一元化は必要だという意味において統制という言葉を使って一元化の実をあげる。しかしそこに上下の関係があって指揮監督というふうなことはない。しかし一元化が必要だから、そこで統制という言葉で一元化の実をあげる、そういう意味で統制という言葉を使った、そういうふうにわれわれは解釈いたしております。
  51. 久保三郎

    久保委員 防衛政務次官の御説明運輸大臣の御説明とはどうもだいぶ隔たりがあるというふうに見るわけです。われわれは指揮監督より上回るものであるから統制だ、こういうふうな御説明で、なるほどそうか、あなたの方には単なる実際的な一元化にだけ比重がある、比重は一元化が目的でしょうが、その手段として統制するという。あなたの方はその手段についてはどうもはっきりしていない。今度の法改正案では、いわゆる一元化の目的のために統制する手段です。だから、手段について私は説明を聞いておるのであります。ところがあなたの御説明では、目的をおっしゃっているだけなんです。運輸大臣いかがでしょう。一元化ははっきりしておる。これはどちらも目的については隔たりはないようで、手段、方法が問題なのです。だから統制という文字を使っているのだろうと思います。
  52. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 手段、方法が問題だから、言いかえれば、今までのような防衛庁航空管制のらち外にあったものを、運輸大臣のもとにこれを統制して、その面における行政上の遺漏なきを期するためにこれを一元化してやる、こういうことなのです。それでいいじゃないですか。いかぬですか。防衛庁長官を指揮命令をするというわけにはいかぬけれども、行政面においては運輸大臣が指揮命令というか、全部統制してやるのだから、実体的には同じじゃないですか。僕は頭が悪いですか。(笑声)
  53. 久保三郎

    久保委員 運輸大臣は非常に大ざっぱにお考えでありますから、大体あなたの気持はそれでいいと思うのです。気持はいいのですが、実際は防衛庁に問題が何かありそうだというので法案を出してきたからには、その見解は政府部内で一致していなければならぬ。ところが、一元化はいいのだ、それは承諾したのだといっても、手続については、その統制という文字にからんで、今運輸大臣が言ったようなことで何かもやもやしておる。だから実質的には指揮監督を受けるというふうに解釈しているのか。われわれはそうだと思う。でなければ一元化はできない。指揮監督を実質的に分けるのだ、これが統制という文字だ、というふうに了解して防衛庁よろしゅうございますか。
  54. 小幡治和

    小幡(治)政府委員 要するに、われわれとしては運輸大臣の一元化のいろいろな措置に従うわけでございますから、結局、形式的には指揮監督ということは同じ大臣でおかしいのですが、実質的にはある程度それに従わなければ一元化になりませんから、そういう意味でやはり実質的には指揮監督——監督という言葉はどうか知りませんけれども、大体指揮でもって一元化のもとには入ると考えていいと思います。ですから実際の業務の上については支障はございません。しかし同じ大臣のもとで指揮監督とやってしまいますと、そこはやはり同じ大臣同士でおかしいですから、そういう意味において統制という言葉を使った。しかし実質的には、今おっしゃいましたように、大体そういう一元化の統制のもとに従うということだと思います。
  55. 久保三郎

    久保委員 防衛政務次官お話運輸大臣の大きな話とでは、少し大事なところで食い違いというか、どうもはっきりしない点があります。これは次会までに統一解釈をきっちり願いたいと思います。  それから、大臣同士がどうのこうのという話は私もしましたが、これは実質的な話をしているのであります。実際の業務の話です。これからのいわゆる航空管制一元化の問題でありますから、これは大事なことです。だから、お互いに意見の相違があって今後一元化ができなくなったということになりますと、これは大へんなことでありますので、次会までに一つ解釈の統一を願いたいと思うわけであります。
  56. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 これは久保さんも政治家だからわかっておられると思いますが、つまり防衛庁長官運輸大臣から指揮監督の命令を受けるという格好は、防衛庁としてはつらいだろうと思うのです。また、ちょっと筋からいってもおかしい。運輸大任が航空交通管制について統一するということは、これは戦争中の言葉から言えば、指揮監督よりもむしろ統一の方が強いのです。だからそういう意味で実をあげて、実際的に運輸大臣のもとに万全を期する態勢をとるということで一つ御了承願いたいのです。運輸大臣のもとに赤城長官が指揮命令を受けるというのではいささかおかしいと思います。(笑声)だから実際の扱いはそういうことです。
  57. 久保三郎

    久保委員 どうも楢橋運輸大臣は政治家だから、何とかうまくということでありますが、これは至って事務的な問題であると思います。だから事務的にやっていただけばいいのであります。いずれにしても、この次に防衛庁長官もおいでになりますので、政務次官もお帰りになりまして、今まで運輸大臣が答弁されたような線でいいのかどうか御相談をいただいて、次会にあらためて御答弁をいただきたい。  次に防衛庁にお尋ねするのですが、昔、十五年前までは戒厳令というのがありましたが、今度の自衛隊法にはそれに類するものはありませんね。
  58. 小幡治和

    小幡(治)政府委員 昔の戒厳令のようなものはございません。
  59. 久保三郎

    久保委員 それに類するものも予想されておりませんね。
  60. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 背の戒厳令ということが国民の権利を制限するというふうなものでございますと、これはございません。ただ、御承知かと思いますが、自衛隊法の中に治安出動——防衛出動というのは外部からの攻撃に対して発動するものでありますが、治安出動ということの規定がございます。この治安出動の場合におきましては、警察官の持っております権限よりか、自衛官の方に若干強力な権限を認めておる規定はございます。これは治安出動の建前が、通常の警察権をもって治安の維持ができない場合に自衛隊が出動するということでございますので、警察官より若干強力な権限を認めておるのでございます。
  61. 久保三郎

    久保委員 航空局長にお尋ねしますが、今防衛局長から御答弁があったような事態の場合の航空管制は予想されておりますか。
  62. 辻章男

    辻政府委員 そういう場合に航空管制がどうなるかにつきましては、実は私ども今予測をいたしておりません。
  63. 久保三郎

    久保委員 では防衛局長にお尋ねしますが、今あなたの御説明のような、警察権よりももっと強い権限が自衛隊に付与されるという場合に、航空交通管制一元化ができている今日、航空管制についてまでそういうものが及ぶことを予測しておりますか。
  64. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 現在のところはそういう規定はございません。
  65. 久保三郎

    久保委員 では先へ進みます。これは航空局長にお尋ねしますが、行政協定によって米軍の使用している飛行場施設を貸すのが四カ所くらいございます。たとえば三沢、調布というところ、それから板付もそうですが、こういうものはどんな取りきめで日本飛行機が離着陸できることになっているか、その点を御答弁願いたいと思います。
  66. 辻章男

    辻政府委員 全米軍に提供しております飛行場に民同航空機が離着することにつきましては、米軍に乗り入れのことを申し入れまして、できるだけ意見が合致したところにおいて乗り入れをしている次第でございます。
  67. 久保三郎

    久保委員 それは行政協定第六条に基づいての合同委員会の決定でやっているのかどうか。これはどっちなんですか。
  68. 辻章男

    辻政府委員 提供しました飛行場に対する民間機の乗り入れにつきましては、行政協定ではございません。行政協定ではなしに、そこの基地とこちらの日本側との協定でございまして、これは行政協定に基づく協定ではございません。
  69. 久保三郎

    久保委員 それは単なる協定ですか。行政協定に基づくところの協定ではなくて、単なる基地にある司令官と航空局との協定なんですか。そんなべらぼうな話はないでしょう。
  70. 福永正美

    ○福永説明員 行政協定によりまして、米軍に提供中の飛行場につきましては、その飛行場の管理者であるところの米軍との話し合いで乗り入れております。
  71. 久保三郎

    久保委員 第七条のいわゆる協定にゆえんするものかどうか。あるいは第六条か。どっちですか。
  72. 福永正美

    ○福永説明員 たしか第四条だと思います。提供基地を管理するところの米軍の管理権についての規定によると思います。
  73. 久保三郎

    久保委員 これはこういうことだと思うのです。行政協定第二条第四項の(a)、これですね。これでやっているのかどうか。
  74. 福永正美

    ○福永説明員 第二条第四項(a)というのは、向こうに提供している施設の管理権に関する規定とすれば、その項だと思います。この項に基づいて向こうが管理権を持っているわけですから、その管理者としての米軍との協定でやるわけでございます。直接に行政協定に基づいているものとは思われないわけであります。
  75. 久保三郎

    久保委員 行政協定に由来しないで、米軍に貸しておく飛行場、今の御説明によれば権利、権限、権能を有する、オール・マイティです。そこへ行政協定以外に入り込む余地はないのですよ。そうでしょう。だから行政協定以外の協定というものはない。それに由来しない協定というのはない。今度の行政協定では、権利、権限、権能というか、そういう表現はなくて、「必要なすべての措置を執ることができる。」と書いてある。こういうふうに変わった。今航空局が言うのは、使っているのは三沢なら三沢で、結局向こうの好意に基づいて使わしてやろうという格好だ。これも行政協定に由来するのです。しかし使わないときには日本の国が使う権利があるというのが第三条か第二条かどっちかにある。今ちょっと条文ははっきりわかりません。だから現在の形で使っているならば、これは米軍が使わないときには日本の国が使うことができるというものですから、その条項でこの協定はやるべきじゃないか。ところが、向こうのいわゆる好意というか、そういうものだけでやっているような条項で甘んじていることはない、こういうようにわれわれは考えるが、どうですか。
  76. 辻章男

    辻政府委員 その点につきまして、今手持ちの資料が不足しておりますので、おそれ入りますが、検討いたしまして次会にお答え申し上げたいと思います。
  77. 久保三郎

    久保委員 それで三沢、調布、岩国、板付、これは米軍に接収されている飛行場なんです。これらに対する航空管制はどうなっているか。どういう取りきめをやっているか。
  78. 辻章男

    辻政府委員 それらの飛行場に関しまする航空交通管制は米軍が事実上やっております。事実上こちらから委任している格好でございます。ただそのやり方につきましては、航空交通管制というものの性質上、一元的に同じ方式でやらなければなりませんので、その方式等につきましては緊密な連絡をとりまして、同一の方式を採用してやっております。
  79. 久保三郎

    久保委員 航空局長、それは委任しておるのですか。
  80. 辻章男

    辻政府委員 これは行政協定に基づきまする協定によりまして委任されております。
  81. 久保三郎

    久保委員 航空交通管制一元化の形からいって、自衛隊も一元化しようという今日——先ほど聞いたのは、日本領空全体が航空管制できるのか、これが自主権回復だと思うのです。ところが今委任しておると言うが、委任しておるのじゃない。行政協定では、そんな強いことは言ってない。そうだとすれば、「整合する」——私はこういう日本語は初めて見ますが、整合する、そういうものは全部整合するというなら、そういう手続で今までなぜやらなかったか。向こうにまるきり領空までとられている手はないでしょう。飛行場は貸したが、領空は貸してない。飛行場は貸しておるのですよ。施設は提供しておるが、領空は提供してないのです。ただ飛んで歩けるだけの話です。
  82. 辻章男

    辻政府委員 これは行政協定に基づきまする協定によりまして、提供飛行場につきましては管理者としてそういう航空交通管制的な仕事をやることを認めておるわけでございます。  そこにございまする「整合する」という意味でございますが、一部の飛行場では米軍が航空交通管制的な仕事をやっております。また私ども航空交通管制仕事をやっておる、この二つを不調和にならないように、一体的にやれるようにするということが整合の意味でございます。
  83. 久保三郎

    久保委員 これは米軍とは書いてないのですよ。これは「非軍用及び軍用」ですから、実際は自衛隊も入る。時間がありませんから、次会までに、どういう手続でどういう方法になっておるか、これは防衛庁の方に言っておきますか、これを一つ御解明いただきたい。  以上にします。      ————◇—————
  84. 平井義一

    平井委員長 次に、道路運送法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。井岡大治君。
  85. 井岡大治

    ○井岡委員 この間お伺いした二十五条の二の運行管理者の問題で、営業所ごとに週行管理者を定めるというのですが、運行管理者の基準点はどういうものか、この点をもう一度はっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  86. 國友弘康

    國友政府委員 運行管理者に関しましては、現在の自動車運送事業等運輸規則にもその要件が規定してございますが、今度この法律を改正いたしまして、トラック事業等にもその適用があることになりますと、この要件は変えなければならないと考えておりますが、現在自動車運送事業等運輸規則の二十五条に規定してございますところを申し上げますと、「事業用自動車の運行の管理に関して一年以上実務の経験を有する者」それから「事業用自動車の運転に関して三年以上の実務の経験を有する者」それから「乗車定員十一人以上の自家用自動車二両以上又は自家用自動車十両以上の運行の管理に関して一年以上実務の経験を有する者」であって、「かつ、陸運局長の行う教習を終了した者」、このグループが一つでございます。それから「旅客自動車運送事業の事業用自動車の運行の管理に関して三年以上実務の経験を有する者」、これは陸軍局長の教習等もなくて、三年以上の実務の経験を有する者はそれだけで資格が発生するという考え方に立っております。それから「旅客自動車運送事業の事業用自動車の運転に関して七年以上実務の経験を有する者」、七年以上事業用自動車を運転しておりましたらそれで資格が発生する、このようになっておりまして、これらの点に関しましては、先ほど申し上げましたように、トラック業等についてはまた考え直さなければなりませんので、今度は各事業ごとにこういう規定を置かなければならないと考えております。
  87. 井岡大治

    ○井岡委員 私がこの間御質問を申し上げた中で非常に心配をしておったことがやっぱり全部出ておるわけなんです。ほとんどが実務一年ないし三年、七年、こういうことになって参りますと、局長は非常に軽くものをおっしゃっておられますが——私は、その現在の規程を、私の調べたのと間違っておるかもわかりませんから、あとで出していただきたいと思うのですが、たとえばこういうことがあるわけです。「運行管理者は、上司の命をうけその担任事務を掌理する。」「運行管理者の担任事務は、次のとおりとする。運送の引受又は継続の拒絶に関すること危険物の輸送制限に関すること運送遅延の掲示に関すること、逆転事故に関する掲示に関すること、事故の場合の処置に関すること」等々があるわけです。こういうことになりますと、単に事務員程度の管理者ということではとうていおさまらないわけなんです。やはり営業所長が一切の権限を持つというようにしなければこれらの業務というものはできない。そこでこの業務を、いわゆる陸運局の教習を受けた者に与えるということになりますと、教習を受けなさい、こういったことによって、所長なり課長に権限を渡すことになるという規定をきめたのと何ら変わりがないことになるわけです。現在は規則でございますから、いろんな便法を使っておるようでありますが、これが本文になって参りますと、こういう便法は使われなくなるだろうと思うのです。同時にまたこれは、今の局長がどのようにお考えになり、ここで御答弁になろうとも、ずっと将来になって参りますと、当然この条項からいろんな問題が出てくると思うのです。ですから、この点はせんだって局長の言われたようなものじゃないように私は思うのですが、どうなんですか。
  88. 國友弘康

    國友政府委員 私どもの方で考えております連行管理者に関しましては、もちろん職務の性質上専門的知識ないしは経験を要求されるものであります。営業所長は全体的なその事業所の管理をいたしておりますが、運行管理者は運行の安全の確保に関しましての面を特に責任を持ってやる職務を担当する者ということで、非常に小さい営業所は別として、大体の営業所においては、私ども考えでは、所長のほかに進行管理者が置かれるであろう、置かれるべきであると考えております。しこうして、運行管理者はどういうものを担当するかということを申し上げますと、運転者がその乗務をします場合に、それらについて適当な運転手を乗せておるかどうかというような問題、すなわち、点呼をするとか、疲労運転者の乗務を禁止するとか、予備運転者の配置をするとか、運転者の総体的監督指導及び服務規律に関する監督ということもやはり運行管理者としていたします。これは、その営業所の所長ももちろんいたすわけでありますが、そういうことに対して特に運行の安全の確保というような面からする指導監督を担当する者を置かせたい、そういうことでやっております。大体そういうことに関連しました事項一つ一つを読み上げてみますと、運転者の監督、乗務員の乗務交番に関しまする指導、点呼、疲労運転者の乗務の禁止、予備運転者の配置、異常気象時における措置、道路状況の把握、運転基準図の作成あるいは経路の調査等に関しまして仕事を持たせております。従いまして、その全体的な管理業務等に関しましてはもちろん営業所長あるいは本社の管理者が考えることでございますが、個々の路線ごとに運転の基準図——運転者に持たせるものを作るとか、あるいは乗務距離の最高限度をタクシー等については規定しておりますが、これらについて守らせる。指導監督するとか、応急器具等の備付の確認をするとか、また今お話もございました事故の場合の臨時配車とか掲示等の業務を担当させます。しかし、私どもは、営業所長即運行管理者ということではなくて、運行管理者は運行の安全の確保のために特に任命する人でありまして、むしろ営業所長よりは下の、専門的に運行管理者として働ける人を任命していくべきであると考えておるのでございます。
  89. 井岡大治

    ○井岡委員 この問題の取り扱いについては、私は一つの私見を持っておりますが、これはまたあらためてお話しするとして、あなたの言われるその実際上の業務と全体の運行についての管理の責任とは、分離されなければならないと思うのです。現行では、たとえば「乗務員の過労防止に関すること」と書いてあるのですが、そういうことになりますと、実務全体の専決権を持つ者でないと、できないことなんです。単に乗務配置とか危険物を持ち込んではいかぬという訓示をするとか、あるいは自動車の中に消火器が備えつけてあるかどうかを点検するとかいうものでなくて、たとえば、業務管理上における問題として大きな権限が一定の段階で持たれておるわけなんです。それが単にあなたの言う運行管理者という一般的な概念でそれを規定しますと、実際上できない問題が起こってくるのではないか。特にその点は、先般も私は一つの例をあげて申し上げたのですが、たとえばあなた方の方で一々会社の機構まで立ち入って指導するなりあるいは監督するなり命令をするということはできないわけなんです。ある一面においてこの指導ができるといっても、全体の機構についてこうしなければいかぬという命令をやるわけにはいかないわけなんです。そしていわゆるこういう専決権は管理者に持たさなければいかぬということですから、ほかの者に代行さすということは実際問題としてできないわけなんです。そこで今までの一つの例は、とにかく初め代行者を設けておいて、その人がある一定の条件を備えるために教習をして、またもとへ戻すというような、非常に不便な方法をやっている。しかしこれは便法としてやられているわけです。ところが法律でこういうように明らかになりますと、そういう便法が設けられなくなるだろうと思うのです。そこにいわば行政といわゆる管理業務との大きな食い違いが出てくるのじゃないか、こう思うのです。こういう点で、私は先般も申し上げたような方法が別に考えられなければいけないのではないか、こう思うのです。そういう意味で、この点は一つ現行の運輸規則をお出しいただきたいのと、この法律によってどういうことをお考えになっておるかということを具体的に資料としてお出しいただきたい、こう思います。
  90. 國友弘康

    國友政府委員 運輸規則に関しましては、該当の条文だけでよろしゅうございますか。
  91. 井岡大治

    ○井岡委員 それでいいです。
  92. 國友弘康

    國友政府委員 それで今お話のございました点につきましては、現在の運用通りに実は今後も運用されるのではないかと考えております。と申しますのは、運行の管理者としてある一定の責任を持つ者を、先ほど申し上げましたように、営業所長以外の人で運行管理者が任命されると思いますが、その運行管理者につきましては、やはり補助者が必要なのでありまして、具体的な運転者を指導することのためには、運行管理者は一人でありましても、朝から晩までその営業所にすわっておることはできませんので、やはりその運行管理者の補助者というものが必要でありますから、その運行管理者の補助業務をやる者は当然何人か必要なわけであります。そういう運行管理者の補助業務をやっております者、それらも私どもはこの資格の中に加え得ると思っておるのです。そういうことでありますから、これは相当多くの人数があり得る、こう考えておるわけであります。
  93. 井岡大治

    ○井岡委員 やはり私とあなたとの若干の食い違いがあるわけなんです。そこでこの問題については、ここで幾ら言っても話がなかなかまとまりにくいと思いますから、省令でおきめになるようですから、その省令でおきめになることを、先ほど考えておられることをお出し願いたい。そしてそのときに私自身の希望なり意見なりを申し上げるということで、何か委員長非常にお急ぎのようですから、きょうは私はこれで質問を打ち切っておきます。      ————◇—————
  94. 平井義一

    平井委員長 次に、国鉄の経営に関する件について調査を行ないます。  この際、大石常務理事より発言を求められておりますので、これを許します。
  95. 大石重成

    ○大石説明員 私、このたび新幹線総局長を拝命いたしまして、いろいろと御審議をいただきました東京—大阪間の新幹線の工事の実現に専念することになりましたので、今後とも一そう努力をいたす覚悟でございますが、何分の御援助がなければできないことでもありますので、よろしく御援助のほどをお願いいたします。(拍手)     —————————————
  96. 平井義一

    平井委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。三田村武夫君。
  97. 三田村武夫

    ○三田村委員 ただいま国鉄の大石常務理事から東海道新幹線総局長に就任したというごあいさつがございましたが、私は大石総局長のもとにいよいよ全面的な工事が着手される段階に入りましたこの国鉄新幹線の問題に関連して、ごく簡単に一、二の点をお尋ねいたしておきたいと思います。  冒頭に一言いたしますが、たしか昨年の十一月二十幾日かと記憶いたしておりますが、今お話の国鉄新幹線の駅に関する当局の案が新聞に発表されたことがございます。その際その新幹線が通過する岐阜県に駅が設けられないということが県民の中に問題になりまして、大野副総裁から国鉄当局あるいは運輸当局に要請、要望があり、その結果岐阜県にも駅が一つできることになり、これが大きく話題を提供しました羽島駅問題でございます。委員各位御承知通り、政治家とか伴睦駅とか大野駅とか、ずいぶんマスコミでたたかれまして、大野副総裁も非常に御迷惑だったと思います。同時に国鉄、運輸当局も大へん御迷惑だったと思いますが、これは岐阜県民の立場からいいますと、どうしても駅を一つ置いてほしい、これは当然の要望でございます。私は、県民の要望ということだけでなく、国鉄としては画期的な一つの事業といいますか、東海道新幹線を敷設する目的とも関連してこの際にお尋ねいたしたいのでございます。  あの問題が表面化した直後、これはおそらく当委員会委員長も御承知と思いますが、岐阜市、大垣市、羽島市、この三市の関係者が上京して参りまして、猛烈な陳情運動が始まったのでございます。私のところへもなかなか熱心にやって参りましたが、ああいう形でマスコミの問題になった関係もありましたので、これは運動するとかどうとか、ことにわれわれがこの問題に介入して表立って騒ぐことはおもしろくないという観点から楢橋運輸大臣とも御相談申し上げ、国鉄当局の総裁、副総裁にもお会いして、各関係市、地元民はできるだけ意思を調整して、知事のもとで、一本にしたらどうだろう、県民あるいは県の立場からの要望は知事を通じて中央にこれを上達、申請する。中央ではその知事の意見なるものを参酌していただいて、これを基礎に御検討願う、こういうようにしてもらうようにわれわれは話を進めて参ったのでございます。たまたまことしの一月になりましてから少しばかり雑音が入って参りまして、これも皆さん御承知であると思いますが、運輸省、国鉄当局も大へん迷惑であろうと思いますが、また同時に地元としても非常にめんどうな問題になってきたのでございます。そういう点をいろいろ考えまして、ただいま大石常務から御発言がありましたように、いよいよ全面的な工事が始まるこの機会に、県の立場からというだけでなくて、東海道新幹線を敷設する目的とも関連して一、二点立場を申し上げ、御当局の御意見を伺っておきたいのでございます。  まず最初に国鉄当局にお尋ねいたしますが、この東海道新幹線敷設について、すでに決定済みの停車駅あるいはその位置というものを一つお示し願いたいのでございます。
  98. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 ちょっとその前に。ただいま三田村委員から東海道新幹線の中間駅の問題について、ことに岐阜県の問題について発言がありましたが、この問題は今御指摘のように、非常に世間でも騒いだ問題でありますが、運輸省の見解といたしましては、政治力に屈してやるというようなことをやっているのではありませんので、岐阜県もやはり膨大な土地を買収しますし、また中門駅でありますから岐阜県にもやはり一カ所だけは設けることが、国鉄の一つの公共性からいっても妥当であるという見解のもとに、岐阜県に一カ所ということを私が認可したのであります。もっともその前に大野副総裁、これは三田村さんなんかも一緒だと思うのですが、ぜひ岐阜市に設けてもらいたいという陳情等もありましたが、これは私は拒絶をしたのであります。なぜならば、十五分おくれて百億もかかるのだからこれは一つ考え直してもらって、今国鉄の考えておる東海道新幹線の基本線を曲げない範囲内において岐阜県に一カ所作るということは、これは運輸大臣として当然なすべきことであるということで国鉄当、  局に認可しておるのでありまして、従って単に政治力によってどこにす  る、ここにするということでなくて、やはり厳密な技術面その他からこれは判定すべきものである。羽島駅なんというのは勝手に羽島駅とつけておるだけの話であって、あとで国鉄から答弁があると思いますが、まだどこにきめたわけではない、そういうことで政治的にそういうことを左右したり、あるいはそれによってきめられておるということはないということをはっきり申し上げておくのであります。まず冒頭に私から御答弁申し上げます。
  99. 山内公猷

    山内(公)政府委員 国鉄から出ておりました中間駅の申請につきまして運輸省におきまして認可をいたしましたのは、ただいま先生御指摘の通り、昭和三十四年十一月十七日付でございます。それでこのところで各県別の市をあげまして、「追ってこの外、岐阜県下に一カ所駅設置を申請いたす予定であります。」という付則書がついておりまして、きまっておりますのは神奈川県の横浜市、小田原市、静岡県の熱海市、静岡市、浜松市、愛知県の豊橋市、名古屋市、滋賀県の米原町、京都府の京都市等でございまして、このほか東京、大阪のターミナルというものがその後決定をいたしたわけでございます。個々の具体的な問題につきましては、大石理事からお答えいたしたいと思います。
  100. 大石重成

    ○大石説明員 ただいまお話のございました、具体的に駅がどこというふうにきまりましたのは、東京駅は現在の東京駅の八重州口側から始発するということと、終端駅の大阪駅は、現在宮原というところに国鉄の操車場がございますが、そのところに駅を置くということがすでにきまりました。そのほか具体的にきまりましたのは小田原、熱海、この地点ということがきまりました。小田原は、現在の駅の小田急の裏側に駅を併設いたします。それから熱海は、現在の熱海駅の山側にやはりこれも併設をするということが決定しております。その他につきましては、ただいま監督局長からお話のございましたように、駅を作ります市がきまっておりまして、そのどこにするかということはただいま測量計画中でございます。まだ決定しておりません。
  101. 三田村武夫

    ○三田村委員 大体当局の御方針はわかりましたが、運輸大臣冒頭に御所見をお述べになりました、私もその通りだと思いますが、この問題は大臣も御苦労になっておられます通り、地元としては非常にめんどうなのであります。ただ私は、大臣が、すでに岐阜県に駅を一つ置くということは自分が決定したのだ、決裁したのだとおっしゃいましたから、岐阜県に駅を置くということについては多くを申し上げません。ただ私たち最初に、東海道の輸送運輸量が非常に多くなってきて、現在の東海道線では困るのだ、もう一つ作ろうじゃないかという話が出たときに、東京—大阪間の高速超特急の新しい路線を敷くんだ、その場合停車駅は名古屋だけだというような話を聞いておったのです。そこへ今お話のように、一応の構想を伺いますと、だんだん駅がふえてきたのか、初めからそういう御計画であったのか、とにかく現在の急行が停車する駅はほとんどとまるということになりますと、東京を出て大阪までの間、各通過していく県で駅のないのは岐阜県だけ、こういうことになるので、これは大臣も御承知通り、岐阜県としてはおさまらないのが当然でございます。何も大臣がおっしゃるように、政治的な圧力に屈するということでなしに、岐阜県に駅を置くということは当然の要望、要求であり、新しい幹線を作る目的からいっても、私は当然のことだと思うのでございます。ただこの場合、駅の位置をどこにするかということは問題であります。大臣お話通り、羽島駅という言葉はこれはマスコミがつけたんじゃないかと私は思います。そういうことでなくて、岐阜県に駅を一つ置くのならばどこが一番適切妥当であるかということ、これはもちろん大臣お話の中にもありましたが、地盤の関係も十分技術的に御調査なさらなければならぬことでありますし、同時に一体駅というものは何のために作るのか、新しい幹線を何のために作るのかということに考え至りますならば、一番経済効果の高い——国鉄は国鉄のためにあるんじゃなくて、国民のためにある機関でありますから、どこが一番経済効果が高いか、どこが一番妥当か、これは岐阜市の運動とか大垣市の運動とかいうことでなしに、将来長い間の問題でありますから、その点を十分お考え願いたいということでございます。これは先ほど申し上げましたように、いろいろ問題が波紋を描くことをおそれて、われわれは、表面、これは外でも内でもなるべく口にしないようにしておりました。大臣お話しのように、少々雑音が入ってきて、地元としても非常に困っておるのでありますが、知事が出しました県側の要望、要請と申しますか、これは大臣も国鉄当局もよく御存じであろうと思いますから、私は多くを申しません。ただ一、二点申し上げて大臣及び大石総局長の結論的な御所見を伺っておきたいと思うのでございます。  第一に、これはもちろんきまっておることではないのでありますが、一応われわれが了解いたしました国鉄新幹線の予定路線とでもいいますか、それによりますと、だいぶ下の方に寄るようであります。新しい駅の予定地が下の方に寄るようであります。岐阜県でいうとずっと南部であります。ところがこの南部地帯というものは、これは国鉄当局も御調査の結果十分御承知と思いますが、非常に低湿、かつ常習冠水地帯でありまして、条件の悪いところでございます。これはすでに十分御承知でございましょうが、雨季になりますと、常時機械排水をやらなければならぬ地域でございまして、実際大工事のできる地域ではないのであります。私も地元におりましてよく知っておりますが、地盤がきわめて脆弱でありまして、昭和十九年の東海地震、二十一年の南海地震で、非常に地盤沈下をいたしております。こういう地点でございまして、ことに昨年の伊勢湾台風の際の災害というものは、この南部地帯の低湿、地盤の脆弱な地域に非常に災害が多かった。長期冠水地帯ができまして、昔から長いこと、いわゆる輪中生活をやっていた地域でございまして、工事の上においてもなかなか困難な地点でございます。もちろん御調査の結果こういうところは避けられることは、当然そうあるべきだと私は思っております。この点どうぞ一つ十分御勘案願いたいと思います。県でも地盤沈下対策として、ここ数年の間に八億ないし十億くらいの金をつぎ込んで対策をやっているところで、こういうところはお避けになることとは思いますが、この点を十分御考慮願いたいと思います。これは私がひとり県民の立場から申し上げるだけでなくて、冒頭に申しましたように、新しい国鉄幹線を作るならば、十分経済効果的に、あるいはまた工事の点においても、より効果的な地点を御勘案願いたいという趣旨にほかなりません。  それから第二の問題といたしましては、最近の集中豪雨、ことに、何べんも申し上げますが、昨年の大災害をこうむりました伊勢湾台風において立証されたのでありますが、あの地帯は揖斐川、長良川の下流でございまして、堤防がいまだ脆弱でございます。昨年決壊したところは一、二カ所でございますが、決壊寸前の危険地帯が相当ございました。こういうところでございまして、建設省においても抜本的な治水防災対策をやるために、せっかく目下全力をあげて対策を進めておる地域でございます。そういう点を私はぜひ避けていただきたいと思う。これは特に技術的に御調査の上御検討願いたいと思うのでございます。  そこで、一つつけ加えて申し上げたいのは、これは私は実際にその設計工事の内容を伺ったわけではございませんが、御承知のように、今建設省の方で名神国道というものに着工いたしております。これは名古屋を起点にいたしまして、神戸まで行くのであります。これも大体三メートル五十から四メートル五十くらい高い道路にして走るのであります。一つの大きな人工築堤ができるわけであります。そこに今度国鉄新幹線ができますと、もう一本人工築堤ができる、相当高いものができるのであります。先ほど申し上げましたように、この辺は輪中地帯でございまして、耕地というものは機械排水をしなければならぬ地帯でございます。もちろんその中に立体交差、いろいろな施設があると思いますが、大量に揖斐川、長良川がはんらんして参りますと、縦の輪中を二つ作るような格好になって、今のままの状態で名神国道とそれから国鉄新幹線が二本並行し、交錯して参りますと、建設省は建設省の考え運輸省運輸省考え、国鉄は国鉄だけの考えからお考えになりますと、不慮の災害を誘発する、惨状目をおおうような災害も、私は必ずしもないとは保証しがたいと思うのでございます。民生の安定の見地から考えても、こういう点は十分一つこの際御勘案願いたいと思うのでございます。  それからもう一点特に申し上げておきたいのは、今予定線になっておったはずでございますが、揖斐川と、揖斐川の下流の牧田地区を通っていく。これはどうしても避けなければいけない。この牧田川という川は、伊吹山峰を源流とした養老山系全体の雨量を吐き出すいわば鉄砲川と呼ばれる川でございまして、この川のために、昨年の台風では、牧田の下流と揖斐川の下流合流点千メートルぐらいのところが二度決壊いたしました。やかましい問題になりました例の多芸輪中の決壊三千町歩、六十日間完全冠水、屋根の上まで水浸しになった、こういう地点であります。これは今申しました名神国道によって、牧田川の片面は予定地をきめてしまいまして、山も刈ってしまってあります。今度通るといたしますと、残された片面を通るだけでありまして、川をはさんで両面、片面名神国道、片面新東海道線、こういうことになりますと、耕地は全部なくなりますし、住宅地もなくなります。それだけでなくて、私は非常に危険だと思う。こういう点も——私、専門家でございませんが、長く自分たちの住んでいる地域ですので、よく頭に入っております。一つ考え願いたいと思うのでございます。大体知事の申請した条件の中に入っておるはずでございますが、どうぞこういう点は十分お考え願いたい。  それから、時間の関係もありますから多くは申しませんが、私は、さっき大臣がおっしゃいましたように、岐阜市に駅を持っていけとか、あるいは大垣市寄りにしろとか申しているのではないのですが、御案内のように、最近広域といいますか、日本の国内で広域なんという言葉は当てはまりませんが、少なくとも中部においては、愛知、三重、岐阜三県を一体にした中部経済圏総合計画というものがあるわけです。これは自然にそういう方向に参っているのでありまして、これの産業振興、経済開発の動脈になるものは、やはり輸送機関であります。道路であり、鉄道であります。従いまして、三県を一つにして見目した中部経済圏総合開発振興計画というものを頭に描きますと、やはり岐阜ではありませんが、今の羽島駅か桑名駅か知りませんが、それよりもだいぶ上にきてその位置をお考え願いませんと、知事の言うような位置くらいせめて考えていただきませんと、意味をなさなくなるのではないか。一つ一つ私は岐阜駅と比較した乗客、乗降数などは申しませんが、ちょっとこの間岐阜駅に行って調べただけでも、相当な乗降客がある。急行、準急行乗降客を調べてみますと、去年の二月からことしの一月、ちょうど一カ年間統計をとってみますと、急行、準急行で毎日平均約三千、岐阜駅で乗降客がございます。ことに御案内のように、観光日本という言葉が今はやり言葉になっておりますが、岐阜は観光地帯として非常に恵まれた条件を持っておりまして、外人客の来訪も相当ひんぱんになっております。こういう点も考え合わしてみますと、やはり冒頭に申しましたように、一番経済価値の高いところに置いてもらいたい。また北陸方面との経済交流の面、あるいは冨山、石川、高山線、こういった方面との経済交流の面、こういうことを勘案して、やはり一番便利なところは知事の申請した案くらいではないかと私は思います。  いま一つ、特にこの機会に申し上げて御検討願いたいことは、今県でも道路整備計画をやっているのです。この十六日建設大臣も参りまして、岐阜から大垣の間の新幹線道路の起工式をやることになっておるのでございますが、全体の道路整備計画関係から見ても、やはりもう少し上寄りでないと工合が悪いということは県民全体の要望でございます。どうぞ一つ今申し上げたことを念頭に置いていただいて、私は率直に結論として申し上げることは、大臣が冒頭に言われました政治的の雑音なんかどうでもいいのですが、そうでなくて、県全体、県民全体の立場から、関係地域一帯の要望、要求というものを十分参酌して、本省、中央、国鉄に出しておりますいわゆる知事の申請なるものを尊重していただいて、この知事の要請、要望というものを御検討の上、できるだけ早く御決定願いたいということでございます。これだけを申し上げて、運輸大臣と大石総局長の御見解なり御所信をこの機会に伺っておきたいと思います。
  102. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 ただいま三田村委員の言われました点でありますが、私が運輸大臣として国鉄に指示していますことは、今回画期的な東海道新幹線の基本線をくずさない範囲内において、やはり岐阜県民のできるだけの便益をはかるような、最も良識ある、しかも科学的によく検討して、その点に駅を作るべしということを指示している次第であります。またあなたのおっしゃいました点等も十分に勘案いたしたいと思います。
  103. 大石重成

    ○大石説明員 国鉄といたしましても、ただいま大臣からお話のございましたように、大臣の御方針によりまして新幹線を計画しておるわけでありまして、二、三御説明申し上げますと、最初東京と名古屋と大阪の三駅しか駅ができないものを考えておったのが、あとで駅がふえたのではないかというようなお話でございましたけれども、これは私たちといたしましては、最初からこの線は現在の東海道線をできるだけ救済ができるということが一つ目的でございまして、なおまたでき上がります新幹線は、もっと汽車が速く効果的に走れるような線路を作って救済ができるようにということと、また作りました線路が丈夫な線路でございまして、災害その他を受けるようなことがないような、また線路だけではございませんで、いろいろ先生からお話がございましたように、線路を作りましたために河川のはんらんだとか、悪水のはんらんだとか、また沿線の人家、工場といったものに、むやみに御迷惑をかけていくというようなことがないようなことを考えまして計画をしたわけでございまして、名古屋だけでないということは、御承知のように幹線調査会というのが運輸省にございました時分に、いろいろと輸送量の想定をいたしましたときにも、すでにただいま監督局長からお話がございました駅の数だけは一応考えた資料を差し出しておりまして、そのときに現在線からどのくらい新しい線に乗ってくるだろうというようなことを計算したのもございまして、決してこれは急に数をふやしてやったわけではございませんで、最初から考えておったのでありますが、ただ少しものの言い方にアクセントをつけまして、東京と名古屋と大阪しか行かない、三時間で走ることができるのだということを少し強く申し上げ過ぎて、あるいはそういうふうに御了解になったかと存じますが、この点につきましては、私ただいま申し上げたような事情でございますので、御了解をいただきたいと思います。  それから名古屋と米原の間の線につきましては、今いろいろと御注意、御忠告をちょうだいいたしまして、まことにありがたく拝聴したのでありますが、私たちといたしましても、実は名古屋の駅を出まして米原の駅に入ります間に、木曽、長良、揖斐の三河川の付近の地質の非常な脆弱な区間につきまして、ただいまこまかい地質調査をやっております。これは御承知のことだと存じますが、地質調査をやっておりまして、冒頭に申し上げましたように、でき上がりました線路が丈夫な線路であるように、また線路を作りまして、川を橋梁で渡らなければなりませんが、その渡り方につきましても、橋のかけ方によりまして洪水を助長するようなことがあってはならぬということもただいま十分研究しております。なおそのほか、名古屋を出ましたところに庄内川という川がございますが、この川の堤防の現状を十分考慮いたしまして、これは御承知のように道路の橋梁もございますし、現在の東海道の橋梁もございますし、いろいろと橋がたくさんございますので、なおこれに橋をもう一本かけるということによりまして、橋脚が流水の妨害になりまして洪水を助長するというようなことのないような地点をただいま詳細に技術的に研究しておりまして、渡河点をきめるということを考えております。また御指摘の牧田川につきましても、なまなましい現状、また技術的にいろいろと資料を道路公団の力からちょうだいいたしまして連絡をして、この川につきましても、ただいま申し上げましたように、新幹線を作りましたために、川がより一そうはんらんをいたしまして、地元の方に御迷惑のかからないように、また洪水だけでなくて、用地をたくさんちょうだいしなければなりませんので、そのために沿線の方が生計をあやまつというようなことのないような地点をただいま技術的に検討しておりまして、もちろん私たちといたしましても、できるだけ早く調査を完了いたしまして線路を決定したい、かように存じております。すべて御方針は運輸省からまた運輸大臣から強く御指示をちょうだいしておりますので、国鉄においては、技術的に最も経済的であり、最も丈夫な線路であり、しかも沿線の方に御迷惑のできるだけ少ない線で御利用価位のあるものというものを技術的に研究しておる段階でございます。
  104. 三田村武夫

    ○三田村委員 もう一点だけです。これは申し上げるまでもないことですが、今の東海道線ですね。子供心に覚えている汽笛一声新橋を、で始まって以来すでに数十年、これは東海道線としてそのまま残っております。それから莫大な千数百億の工費をかけてお作りになります東海道新幹線、これはおそらくは将来数十年あるいは有数十年そのまま残るものと思います。でありますから、現在の観点からだけでお考えにならず、将来の大きな構想のもとに御検討願いたいと思うのでございます。いろいろなことが地元の関係方面で言われるのであります。たとえば、岐阜から名古屋は近いから名古屋へ出ればいいじゃないか、こういう意見もありますが、これはなかなか地元として納得いたしません。今申しましたように、岐阜駅を中心にした急行の乗降客は相当多いのであります。私は、新しい東海道幹線ができますと、おそらくは現在の東海道線、なかんずく名古屋—米原の間は完全なローカル線になってしまうと思います。その場合に、地方産業開発という見地から考えたら、非常にさびしい、これじゃいけないということを岐阜県民として思うのはあたりまえであります。同時に、総合的な経済開発という観点から考えますならば、これは十分お考え願いたいのでございます。なお、工費とかいう問題もありますが、また時間的制約も、もちろんわれわれは考えます。しかしながら、多少の路線の変更によって三分、五分の時同的な延びがあるといたしましても、長い将来を考えた場合には、私はそう大した問題ではないと思う。工費の点も同様でございまして、これはぜひ一つ考え願いたいということが一つ。  もう一点。これは何と申しましても、今、大石総局長がおっしゃいましたように、地元の協力なくしてはやれない。関係地方住民の完全な理解、納得、協力を得ませんと、こういう大事業、大工事というものはなかなか実施が困難であります。その場合に、やはり県民、関係地帯一体の住民の理解、納得、同時にその責任者である県当局としても、これはあくまでも信念と自信を持って協力しなければならぬという気持になりませんとできませんよ。私も地元の一員として、非常にそれを心配する。でありますから、どうぞ一つ——もちろん国鉄は国鉄の立場があります。運輸省運輸省立場かありますが、汽笛一声新橋を、で発足いたしました現在の東海道線か幾十年もの間厳然として残ると同じように、新しい東海道幹線もやはり幾十年厳然としてそのまま残ることをわれわれはこいねがってやまない。そういう立場から申しますと、小さいと言っては語弊かありますが、工費が幾らよけいかかるとかいうこと——もとより大へんなことでありますが、長い将来を考えた場合、冒頭に申しましたように、また楢橋運輸大臣も言われましたように、どこが一番経済効果が高いのだ、利用度が高いのだということはお忘れないように、御検討賜わりたいと思います。どうぞ一つ、そういう点で、知事の出してきた案も十分尊重して御検討賜わりたい、特にこれを申し上げて、もう一度楢橋大臣と大石総局長の御所見を伺っておきたいと思います。
  105. 楢橋渡

    ○楢橋国務大臣 よくわかりました。
  106. 大石重成

    ○大石説明員 国鉄といたしましても、もちろん十分な知識がないのでありますから、知事さんのような、毎日現地を見ておられる方の御意見というものはありがたく拝聴いたしまして、十分設計、選定の上に参考にいたしましてやるつもりであります。      ————◇—————
  107. 平井義一

    平井委員長 次に、陸運に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。菊川君子君
  108. 菊川君子

    ○菊川委員 私は限定免許の法的な解釈につきましてはっきりしない点が二、三ございますので、その点をお伺いいたしたいと思います。  まず最初にお尋ねいたしたい点は、本年の六月に期限が切れることになっております国立箱根公園の自動車道路線に対する伊豆箱根鉄道の営業権につきまして、同社が同有料道路を通行する定期バスは二社のみに限ってほしいという、いわゆる限定免許と申しますか、これを申請しております。この点につきまして運輸省並びに建設省の方針と申しますか、どういうふうな方針をとっておられるか、その点をちょっと伺いたいと思います。
  109. 國友弘康

    國友政府委員 箱根の地区に関しましては、現在伊豆箱根鉄道株式会社が四路線の自動車道を経営いたしておりますが、今、先生からお話のございました自動車道に関しましては、目下運輸、建設両省の間で検討中でございまして、いろいろの従来のいきさつとか、いろいろな項目について一つ一つ検討をいたしておりますので、それらに関しましては運輸、建設両省の間で打ち合わせ中でございます。
  110. 前田光嘉

    ○前田説明員 建設省におきましても、本問題につきましては、運輸省連絡をとりながら現在慎重に検討中でございます。
  111. 菊川君子

    ○菊川委員 今、慎重に検討中ということでございますけれども道路運送法の第四十七条三項の限定免許について運輸省が法制局の見解を求めておりますね。これに対して昭和三十四年九月七百に法制局長官から次のように回答しておられます。それによりますと、「他の一般乗合旅客自動車運送事業を営む者にくらべ、当該特定の一般乗合旅客自動車運送事業を営む者を有利に取り扱うについて合理的理由があるかどうかに係るものといってよいであろう。したがって、たとえば、当該一般自動車道の建設又は維持管理に対する当該特定の一般乗合旅客自動車連送事業を営む者の寄与が顕著である場合等には、右の差別的取扱には合理的理由があるものといってよいであろうから、行政庁は、お示しの限定をすることができる」こういうふうな解釈をしておりますけれども運輸省として、これに対してどのような措置をなさるおつもりでいらっしゃいますか、その点伺いたいと思います。
  112. 國友弘康

    國友政府委員 運輸省から法制局に対しまして法制局の意見を求めまして回答を得たわけでございますが、具体的な個々の路線につきまして、今、菊川先生がお読み上げになりましたような法制局の回答の趣旨に沿いまして検討もいたし、そのほか自動車道事業を免許すべきかどうかというようなもろもろの免許基準もございますから、それらの点にも審査いたすわけでございまして、これら寄与が顕著であるかどうかというようなこと、すなわち合理的な理由があるかどうかというようなことに関しましては、個々の具体的な路線につきまして一つ一つ検討をしていくという建前でおります。
  113. 菊川君子

    ○菊川委員 道路運送法第四十七条三項の「自動車事業の免許は、通行する自動車の範囲を限定」することができるという条文について、行政執行する場合に一定した見解を持つべきではないかというふうに私は考えるわけでございます。というのは、行政執行の当事者である運輸省が問題が出るたびに一々法制局にお伺いを立てるということ、これはあまりに主体性がなさ過ぎるんじゃないかと私は考えるわけなんです。当然そこには運輸省自体としての一定した見解なり判断があっていいと思うのですが、ちょっとこの点を伺いたいと思います。
  114. 國友弘康

    國友政府委員 これは運輸省といたしましても、それらの行政措置をいたしますについての方針というものは立てる必要のありますことは当然でございますが、この問題の以前に供用約款でこのような自動車道の上を通行する車両を制限し得るような措置ができるかどうかという問題がございまして、それらに関しまして高松の陸運局その他におきまして供用約款の認可がなされたわけでございます。これらの点に関しまして、やはりわれわれとしてもそれは違法であろうという考え方に立ったのでございますが、しかしこれらについてはいろいろと問題もございますし、これらのことに関します措置をいよいよ陸運局に対しましてする以上は、法制局に対しましても法制意見を伺った上で措置をすべきであると考えましたので、それらのことに園違いたしまして考えられる事項を照会をいたしたいという状況でございます。
  115. 菊川君子

    ○菊川委員 またその問題はあとで伺うことにいたします。  次は「通行する自動車の範囲」ということですが、この場合の自動車というものは一体どの程度の範囲意味しているのでしょうか。自動車というものの概念を伺いたいと思うのです。
  116. 國友弘康

    國友政府委員 この自動車に関しましては、一般に道路運送車両法で自動車という概念に入っておりますもの、これを全部意味しておりまして、それらの、たとえばバスについてとか乗用車についてとか、これは料金の面において変えておりますが、道路運送車両法において自動車と称しておるものを含んでおるのでございます。
  117. 菊川君子

    ○菊川委員 私この場合二つの面に分けられるのじゃないかと思うのです。というのは物理的な面、もう一つは経済的、社会的な面、この両面に分けられるというふうに考えるわけでございます。たとえば物理的な面で考えた場合に、法制局が下した合理的な理念という点に合わないんじゃないかというふうに考えるわけです。というのは、物理的な面で自動車というものを規定、した場合に、その自動車の構造とか重量、それから機能というものから判断して、そうして限定免許を下すべきじゃ、ないかと考えるわけです。たとえば重過ぎて道路をこわすとか、それから自動車の型が大き過ぎて混乱を起こすとか、そういう場合には自動車の通行を限定するという、これはあたりまえのことだと思うのです。その意味から言っても、自動車という言葉の概念を物理的な面でとらえた場合には、法制局があげておられる合理的というものは妥当性が欠けておるんじゃないかと考えるわけです。それからいま一つは、経済的、社会的な面と申しますか、そういったものもちょっと考えますと、自動車道といっても道路運送法規定する道路であって、同法の第一条の目的に合って使用されなければならないというふうに考えるわけです。その場合には許可か社会的、経済的な基準に優先して物理的基準が先行してこそ初めてこの目的に合った自動車道の使用ということになると思うのです。その目的から見た場合に限定の申請者に対して独占させるということになると、第一条に相反することになると考えるわけです。また営業を拒絶した場合、一般に対して非常に迷惑がかかると私は考えるわけです。たとえば所有者以外の車が乗り入れた場合に、その所有者の車にまた乗りかえて通らなければならないというふうなことになるのじゃないでしょうか。その意味から申しましても第四十七条三項に規定されている「通行する自動車の範囲」という場合の、その自動車とはあくまでも社会的、経済的な面に優先して物理的な面での自動車を規定するのが妥当ではないかと考えますが、そうあってこそ私は目的に合致すると思うのですけれども、この点も一ついかがでございましょうか。
  118. 國友弘康

    國友政府委員 今通行する自動車の範囲につきましての問題でございますが、もちろん菊川先生のおっしゃいますように、物理的な自動車、すなわちトラックとか、あるいはバスとか、乗用車とかいうようなものについて、重量の重いものは通すべきではないというような限定、これはもちろん考えられることでございますが、そのほかに今回の、今問題になっております点については自動車の使用者についての限定がなし得るかどうかという問題に関連すると思うのでありますが、この点に関しましては議論はいろいろあるわけでございますけれども、バス等につきましてはやはり乗合バスをここを通すかどうかという、いわゆる自動車運送事業の面からする考え方ももちろん考慮に入れなければなりませんが、一般自動車道としてそういう場合に乗合バスを通すかどうか、ある一定の範囲の特定のバス事業者の乗合バスを通すかどうかという問題については、この通行する自動車の範囲を限定するという条項において検討を加え得る問題であろうと私ども考えておるのでございまして、その場合乗用車その他のトラック等につきましては、これは当然全部通すわけでございますが、具体的な特定の会社のバスについて通し得るかどうかということについては、やはり第四十七条第三項の「通行する自動車の範囲を限定」するという条項の中で検討し得る問題であろうと私ども考えておるのでございます。
  119. 菊川君子

    ○菊川委員 ちょっと何だかわかったような、わからぬようなことになって、ちょっとこれはむずかしい問題です。  それじゃさらりといきましょう。次は限定免許の点をお伺いしたいと思うのですが、道路運送法の第四十九条の一般免許の基準と異なる限定免許の基準、これを一つお聞かせいただきたいと思うのです。というのは、一般免許に関する基準は規定してありますけれども、限定免許を与えるときの基準は明文化されておりません。そこでその内容を一つお聞かせいただきたいと思います。
  120. 國友弘康

    國友政府委員 これは第四十七条第三項の自動車道事業の限定免許に関しましてもやはり第四十九条の免許基準は、当然この免許基準に適合するかどうかを審査しなければならないと思いますが、そのほかに、先ほど菊川先生がお読み上げになりました法制局の回答中にもある、合理的な理由があるかないかというようなことに関しましても検討を加えなければならない、こう考えております。
  121. 菊川君子

    ○菊川委員 それじゃ今度法一局の方にちょっとお尋ねしたいと思いますが、限定免許の基準がはっきりしていないために第四十七条の第三項の解釈、これを非常にややこしいものにしているということは、さっきも私申し上げたのですけれども、一々こうして伺いを立てたり、判断に迷うようなことになるのは、これがはっきりしていないからだと私は思うわけです。そこで法制局にお尋ねしたいことは、第四十七条の第三項は限定免許の必要条件が解消したときには、その効力を失うことになるのかどうか。たとえば道路を改修するとか、それから整備する、そういうときにはコンクリートがかわくまでは限定する必要があると思うのですけれども、こうした合理的な理由がなくなったときには限定を解消すべきではないかというふうに考えるわけです。また限定免許が無期限に行なわれるということになめますと、自動車を制限することになってしまいまして、公共の福祉に反すると思うわけでございます。現在の四十七条の三項が非常にあいまいになっておりますのは御承知通りですが、これをはっきりさせる意味からも、期限付限定もできるというように内容を整備したらどうかというふうにも考えられるわけです。現行法のように一々解釈に迷ったり、拡大解釈によって、奉るいはそういうようなことがあり得るかもしれないという式のややこしいものでなく、より完全なものにするために、期限付の限定というようなものをつけ加えてはどうかというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
  122. 山内一夫

    山内(一)政府委員 四十七条の三項というのは、ここに書いておりますように「自動車首事業の免許は、通行する自動車の範囲を限定して行うことができる。」とあって、言葉の上からいうと非常に裁量の強い形で出ておるわけであります。そこで限定の期間を限定するということはできるかどうかということでございますが、私としては、今申しました道路運送法四十七条の三項の、非常に裁量の幅の広い書き方からいたしまして、運輸大臣のお考えいかんによっては、できるのではないかというふうに思っております。
  123. 菊川君子

    ○菊川委員 たとえば寄与が多くなかったというような場合にも、それが俗な言葉で言いますと、つぎ込んだものが回収されたらあとは公開してもいいのではないかというふうに考えたり、もしているわけですけれども、いま一つは、法制局は「たとえば、当該一般自動車道の建設又は維持管理に対する当該特定の一般乗合旅客自動車運送事業を僻む者の寄与が顕著である場合等には、右の差別的取扱には合理的理由がある」というふうに言われているわけなんですが、この顕著な寄与というのはどういうことを意味するのでしょうか。
  124. 山内一夫

    山内(一)政府委員 これは新しく自動車道ができる可能性、それからさらに既存の自動車道がよくなる可能性、そういうことが公共の福祉に適合するということに相なると思うのですが、そういった見込みのある場合に限定免許をして、やはりそこに経営の安定を考えるということによって、自動車道が新しくでき、またよくなる、そういう可能性との関係において限定かできる、こういうふうに私どもは思っておるわけであります。
  125. 菊川君子

    ○菊川委員 合理的な理由、自動車道の建設、維持管理など、今の法制局のお答えでは、私まだ納得できない面もあるのですが、これ以外に何か合理的な理由というのがありましたら、具体的にお話しいただきたいと思うのです。
  126. 山内一夫

    山内(一)政府委員 この合理的理由があるかどうかというのは、運輸省からいただいた御質問の内容が、特定のバス事業者だけを通すというような形で限定していいかという御質問にお答えしたために、そういう特定のバス事業者にだけ限定できるかどうかというのは、建設または維持管理に顕著な寄与があるかどうかにかかわるというように思いましたものですから、その点を書きましたのです。だからそのほかに限定のいろいろな場合があるかと思いますが、先ほどから菊川先生おっしゃったように、自動車の物理的な形態、そういうような形でまた限定する場合も、これはあると思うのです。これはまた別の問題になりますが、当面特定のバス事業者だけに供用を限定するという問題については、これは建設または維持管理に顕著な寄与があるというように大体限られるのではないかと私は思っております。
  127. 菊川君子

    ○菊川委員 どうも頭が悪いのかどうかわかりませんが、のみ込めないのですが、もう少し何か運輸省から回答を求められたこと以外にあると思うので、ほかのことをちょっとあげていただきたいのです。
  128. 山内一夫

    山内(一)政府委員 ほかの場合は、たとえば、この自動直道は観光バスに限定するというような場合に、観光バス以外の人は通れないということになれば、これはまた別な意味一つの離別取り扱いが合理的になるという意味はございますが、特定のバス事業者に限る、その限定をする合理性というものは、そのバス事業者が当該の自動車道の建設または維持管理に顕著な寄与があるという場合に限定できる、そういうケースに限られるだろうというふうに思っておるわけであります。
  129. 太田一夫

    太田委員 関連して特に法制局第一部長にお尋ねをいたしますが、今のお話を聞いておりますと、若干不徹底なきらいがあるのです。特に天下の険といわれる箱根の山におきまして、道路運送法の解釈をめぐりましての大きな争いがある中で、法制局の態度が今のような考え方ですと、かえって問題を混淆させるのではないかと思うのです。特に今まで一般自動車道の免許を得ておるものが、途中において限定免許に切りかえるという新たなる申請をすることに対して、あなたは今お話しになりました三十四年九月七日の回答をお示しになっているのかどうか。最初から限定免許の一般準則をお示しになったのか、その点はどういうことでありますか。
  130. 山内一夫

    山内(一)政府委員 限定免許を特定のバス事業者だけにするという場合は、大きなのは最初自動車道を作るという場合が一番多かろうと思いますが、しかし既存の自動車道の幅を広げるとか、それからまた舗装をよくするとか、新たなる投資をする場合もあると思いますので、当初の免許だけに限って、この回答を出したわけでは私どもはありません。
  131. 太田一夫

    太田委員 しかし三十三年七月八日の運輸省の照会は、至急御回答をいただきたいということであり、差し迫った問題があるといって、すでに暗に現在具体的な問題で因っておるという話がその前提にあった。三十三年七月八日に運輸省の照会があり、一年と二カ月たちましてあなたの方の御回答があった。だから至急というのは大体一年以上かかるのでしょうが、こういうふうに非常にあなたの方は、現実に運輸省が行政上のいろいろな見解につきまして、あなたの方にはっきりした解釈をお求めになった場合に、あなたの方は単なる一般論でおやりになる。そこに問題があると思うのです。私は特にあるいは憲法第十四条違反の疑いがあるんではないかとさえ思われる。限定免許を、あなたのようにこそこそとしちゃった。あの文章を見ますと、ずっと最初三十二年ごろから供用約款の場合に、拒絶条項はいけないいけないといって、道路の公開性とか公共福祉の増進とか総合的な発展のためにあなたたちは非常にいい回答を示しておった。ところが三十四年九月七日になって、最後の方で今の合理的な理由があり、あるいはその寄与顕著なものに対しては若干の特典は与えてもいいということで、非常に大きな穴をお作りになってしまった。これが今日の紛糾の最大なる原因である。しかも、これは憲法十四条の違反の疑いさえあるということになりますと、法制局は相当大きな責任をとらなければいけない。あなたの方は政治的な立場で文章をお書きになる必要はないので、厳然たる法解釈のものでお立てになれば、一般自動車道路というものを、あなたたちがどういうふうに——そこに一般乗合自動車、いわゆるバス事業の免許をするのかしないかということについては、これは普遍的な一般自動車道はこれからどうあるべきかという、こういう道路運送法第一条の精神からこの問題は解釈してもらわなくちゃならなかったものだと思うのです。ですからあの(二)ですね、(二)で、限定免許はこういう場合によろしいとおっしゃった。今の合理的な場合、こういう場合は今の箱根なんかのことは全然念頭に置かずにおやりになったのか、あるいは念頭に置いておやりになったのかという点についてわれわれは疑点がある。おそらくこれは何らか政治的なものがあるんじゃないか、伏線があるんじゃないか、こんな疑惑さえあるのですが、その点はどうなんです。
  132. 山内一夫

    山内(一)政府委員 私の方は、この回答を出す以前から、実はそれは先生もおっしゃったように、箱根にいろいろ問題があるということは聞いておりました。しかし私の方は、箱根に現実の係争の問題があるという点についてどうすべきだという回答を実は出したわけじゃなくて、結論から申し上げればあくまで一般論として出したわけです。これは全体の道路運送法運用の問題として御質問があったというふうに了解をいたしておりまするし、実際問題として法制局の回答というものは、個々のケースにわたってこれはこうすべきだというふうな形で、具体的案件について法解釈としてこうすべきだということはやらない建前になっておるわけで、ですから常にこの問題の方で、実を申しますと問題自身も運輸省の方から直接書かないで、われわれの方の一つの問題設定というものを私の方でいたしまして書きましたので、その限りにおきまして具体的な箱根の係争の問題について法をこう適用すべきだということをやるつもりは毛頭ございません。これは運輸省御当局の方の具体的な行政の問題として了解しております。政治的にこれをどうのこうのというのは、確かにいろいろそういう御批評もいろいろな雑誌なんかで承るのでありますけれども、私どもこれは問題が問題だから、ずいぶん長い間検討いたしましたけれども、政治的にどうということを考慮してやった点は実はないのであります。
  133. 太田一夫

    太田委員 その点ですが、政治的な問題を考慮せずに一般法解釈としておやりになったというのなら、それは私は信じていいと思うのです。そうするとあれはほとんど適用されることはないと思う。たとえば公正な理由があるとか寄与が顕著だという場合は特典を与えるとするというふうになれば、たとえばあの早雲山線でも、観光バスが通るのには通行料が九百五十円もかかるからこれを半額にするというやり方があるのですね。公共の福祉だとか、あるいは一般公衆の利便というものを犠牲にするようなやり方で公正な云々という抜け道を作ることは非常に妥当を欠くとわれわれは思う。しかも独占するという、だんだん独占に近づいていきますから、これは公正競争の原則に違反するでしょう。あなたもその方面からも研究なさったことがあるだろうと思いますが、公正競争、いわゆる公正取引委員会関係するかもしれませんが、公正競争という建前からいいましてもこれは違反する見解だろうと思いますし、それが普遍的になされることは私は問題だと思う。しかも今度の場合は、ある特定の自動車運送事業者、バス業者が競争相手を排除しようとしていろいろと運輸省の方に申請をした。現在一般自動車道であるのを限定免許をしようとして免許の申請がえをした。これに対しまして今のあなたの方の法解釈の特定の例外的なものが活用されるとするならば、箱根の山、箱根国立公園、箱根というものは、ある特定の方の庭園化してしまうという危険もありますね。ですからそういう自分の利益だけを充足するために公衆の利便というものは全部排除してしまって、そうして他の競争者を排除しようとするような、こういう考え方に立つ者に激励を与えるような法解釈というのは私はどうも妥当を欠くと思うのですが、今でもその考え方について、あなたの方のあの九月七日の解釈については変更する意思があるかないか、あるいはあれは非常に稀有な場合であって、普通にはこれはないことだ、こういうふうにもう少し補足説明ができますか。
  134. 山内一夫

    山内(一)政府委員 その稀有の場合に限るかどうかというのは、現実の案件がこれに該当するかどうかの件数いかんによるわけで、私どもはこの解釈はこの解釈通り運輸省にやっていただくように期待しているわけで、これを特にきわめて例外の場合に限るのだというふうなことはこの論旨自身とまた矛盾をいたしますので、そういうふうに追って書きみたいな形でこの意見回答にさらにまた別の文子を運輸省の方に差し上げるというような気持はありません。それから回答全体の問題についてこれを修正するかどうかということは、これは私の一存ではいけませんけれども、部内でも相当慎重審議いたしましたし、私どもは今この考え方が一番正しいと実は思っております。
  135. 太田一夫

    太田委員 公正競争の点に疑いがあることにおいて公正取引委員会にかなり議論があるようですね。これはよく御存じかもしれませんが、あるそうです。私も聞いたことがある。とにかく一般自動車道として事業免許しておいたものを途中で今の限定免許に切りかえるということに対して回答を与えたものですか、あの回答は。この点はっきりと、一般自動車道として免許したものを途中で限定免許に切りかえるという、このことに対して、あなたはあのときの回答回答を与えたものであるか。
  136. 山内一夫

    山内(一)政府委員 そういう場合もあり得るということを考え回答したつもりでございます。
  137. 菊川君子

    ○菊川委員 今、太田委員からだいぶ深くお話がありましたので、私ちょっとこれにつけ加えたいのですが、四十七条三項は無期限の限定免許ということになっております。期限付の限定免許もあり得るというふうにでも明記したらどうなのかと思うのですが、この点どうでしょうか。
  138. 山内一夫

    山内(一)政府委員 三項の限定期限をつけることを条文に古くことは一つの立法上の措置としては考え得ることだと思います。
  139. 菊川君子

    ○菊川委員 それでは、久保先生がまたそれに関連してお尋ねなさるそうでありますから、私その点を避けまして、運輸省の方に今度お尋ねしたいのですが、たとえば道路の建設、維持にあたっておもな寄与者のほかに寄与者があった場合に特に顕著として区別するその根拠、これはどういうものなんでしょうか。それからこの前、土地提供の最大のものは国有地、それからまた公有地であったとしたときに、特定経営者に顕著として限定免許をするということは、ちょっと私おかしいのじゃないかと思うのですが、この点もちょっと伺いたいと思うのです。
  140. 國友弘康

    國友政府委員 これは法制局の回答は、寄与が顕著である場合ということでありますが、その寄与が顕著であるということに関しましては、寄与が顕著でなければいけないとわれわれは考えますので、その顕著の度合いを、われわれとしては十分に検討しなければならないと思います。それで、その顕著さが、たとえば二社なら二社につきまして顕著なものがありますれば、それはわれわれとしては、顕著なものということは、二社が顕著であれば、二社でも、顕著であるということは考えられると思いますが、これらに関しましては、やはり道路運送法では、申請を待って、われわれとしては審査をいたしますので、その申請をする場合の申請者の意図というものもまた、われわれとしては十分に検討しなければならない、こういうふうに考えております。
  141. 菊川君子

    ○菊川委員 限定免許ということは、これは将来の自動車運送行政に大きな支障を来たす憂いがあると思うのです。たとえば、大会社が資本力にものを言わせて、そして道路を作って維持管理をする、そして自分のバスだけを通すということになりますと、これは中小バス業者の発展は望めなくなると思うわけなんです。この点はどうでしょう。
  142. 國友弘康

    國友政府委員 今、菊川委員のおっしゃったような点につきましては、その限定自動車道、免許申請をいたして参りましたその場所について、たとえば交通系絡等の面から考えてどうかというような、運行といいますか、輸送の系絡がどういうふうになり、将来どういうふうに発展していくかという点に関しましても、私どもとしては、もちろん、大きな交通政策の面から考えていかなければならないと思っておりますので、そういうような面に関しましても、われわれとしては検討するわけでございます。
  143. 菊川君子

    ○菊川委員 いずれにしましても、限定免許の認可には、これは道路運送法第一条の目的を初め、道路そのものの公共性、それからまた公開性と申しますか、その原則を侵害する危険性が多分にあるというふうに考えるわけです。この点を十分に慎重に御検討いただきたいと思うのでございます。私これで質問を終わりたいと思うのですけれども……。
  144. 國友弘康

    國友政府委員 私どもは、諸般の点につきまして、十分検討を加えて参っております。
  145. 久保三郎

    久保委員 法制局にお尋ねいたします。これはあなたの方の見解を発表されましたが、前段については、自動車道のあるべき姿を言っております。一般公開性、これはあたりまえの話です。原則です。原則のほかに特例があるかどうかの問題ですが、これはいろいろ想定すれば、あるいはあるかもしれませんが、あなたの方の後段における追って書きみたいな見解は、先ほどからの御答弁でもだいぶわかりにくい点があるので、これだけお尋ねいたします。あなたの方の後段の、建設あるいは維持管理に非常に顕著なバス業者というか、自動車運送事業者ですね、そういうものがあった場合には、これに対して差別をつけて扱ってもいい、こういう御見解ですが、これは、そうなりますと、たとえばこういう道路があったとすれば、これは、バスのみ、あるいはトラックのみについては、専用道路こういう御解釈ですか。あとは  ハイヤー、タクシー、一般の路線トラックなり路線バスは入れない、だからこれは、路線トラックなり路線バスについては、これは専用道路という解釈ですか。そういう解釈になりゃしませんか、どうなんです。
  146. 山内一夫

    山内(一)政府委員 それは、専用自動車道ということは、運輸業者が、自分の自動車道を作って、その運輸事業者のバスだけを通すやつを専用自動車道というふうに観念しておりますから、今おっしゃったように、ほかの自家用車なりほかのものが入ってくるという自動車道は、これは一般自動車道というふうに観念いたしております。ただそこでバス事業者については、特定のバス専業者だけが通れるという意味で、その限りを見れば、一種の専用性がそこに出てきますけれども道路運送法上の建前としては、それも一般自動車道というふうに、私どもは理解しておるわけであります。
  147. 久保三郎

    久保委員 その解釈を聞いているんじゃなくて、あなたの方の御見解からいけば、これは専用道路じゃないか。バスならバス、路線トラックなら路線トラックに対して、こういう限定免許をする場合は専用道路になりはしないか、こういうことなんです。そういうあいまいな解釈がこの追って書きです。そうだという断定はしませんよ、私。しませんが、こういう見解は、えてしてそういう解釈も出てきやしないか。非常に混乱するんです。というのは、この自動車運送事業を営む者がどういう事業をやろうが、それは事業としては別個なんです。そうでしょう。自動車事業をやることと自動車運送事業をやることは、同じ人格のものであっても、これは事業は違うのです。違うでしょう。違うのだとすれば、これは、同一人がバス事業と道路事業と一緒にやっているから、顕著な寄与をした、だから差別をしてもいいという理屈はそこからは出てきやしないじゃないかということです。だから先ほどからのいろいろな御答弁でも、この点がどうも政治的な解釈じゃないという疑惑を持たれるのが当然じゃないかと思う。法制局ともあろうものが、外部の政治勢力に屈してこういう解釈をつけたとは私は思いませんが、先ほどからのあなたの御解釈は、たとえば道路運送法の四十七条三項ですか、自動車の範囲を限定する。これは道路運送法第一条からいっても、道路運送車両法からいっても、物理的な自動車道、こういう解釈が大体この法の精神だ、こうわれわれは思っておるのです。ところがあなたの方から言うと、そうじゃなくて、それ以外にも限定する。それからただいまの御質問にお答えになったのは、期限をきめて限定することもいいだろう、それもいいだろうというが、期限をきめて限定するというからには、無期限だって同じことですよ、私から言うと……。何がゆえに期限をきめておる。そしてその道路事業を停止するまでは限定する、そういうことでは道路は専用道路ですよ、はっきり言って……。だからその点の解釈をはっきりすべき時期にきているのですよ。あなたに集約してお伺いしたいのは、前段と後段とは相反するものが一緒になっているということです。前段は自動車道事業についての明確な見解が出ているわけです。後段は書かぬでもよかったものを書いているというにすぎない。たとえばこういう場合があるかと思う。その自動車道に一つの会社が免許を受けた、それがバスの運行密度が非常に多い。途中の交換設備もないという場合には、これはいわゆる道路運送法の運送事業の免許にあたっては、実際に道路は通れないのだから、一社でもってその密度が一ぱい、道路が支障があってだめだという場合に、通れないから、通れないものを通そうったって無理なんですから、そういう場合なら、これは想定される。顕著なる寄与をしたからどうのこうのということは、えてしてこれは政治的な解釈だと見られても仕方がないんじゃないか。こういうことは、法制局も政治の一部門だから言っておきますが、たとえば今話題になっている箱根全体の問題から言っても、これは何も関係のない者から言っても——私どもは何も関係がありません、ただ政治そのものを扱っているものですから——何も関係がない者から言っても、これでいいのだという疑問に答える意味ですか。これは私はそうではないと思う。これは行政的な措置でやるべきです、やるとすれば。法制局の見解は一般自動車道というものはどうあるべきかという原則をぴたり出せばいいのです。あと運輸大臣なり建設大臣なり何なり関係者かおやりになる。それ以外は、追って書きというものは必要ない。言わずもがなという言葉があるが、その通りだと思うのですが、どうですか。
  148. 山内一夫

    山内(一)政府委員 私の方は、御質問運輸省からありましたのでお答え申し上げただけでございます。限定免許をするということにつきましては、限定免許という制度がありますから、その限定免許をしたことによって通れる自動車の範囲が限定される。その限定のあり方が一体はたして公共の福祉に適合するかという観点から、その自動車道の建設または維持管理に寄与したものをどう扱うかという点を言いましただけでありまして、限定免許をすることによって何か特に会社の不当な、独占的な利益を保証するというふうに考えているわけではなくて、建設または維持管理に寄与したものの自動車だけを通すということによって、自動車道が建設され、またさらに自動車道がよくなるということが期待される場合には、そういうこともあり得るだろうということを申し上げただけであります。
  149. 菊川君子

    ○菊川委員 ちょっと私の期限付限定免許ということで誤解があるといけませんから、私の考え方を申し上げたいと思うのですが、たとえば道路を新しく作る場合には、会社としては当然相当な資本をつぎ込んでいるわけですから、ある一定の期間だけ通す必要があるのじゃないか、そういう意味の私は期限と申し上げたのですから、誤解のないようにお願いしたいと思います。
  150. 關谷勝利

    ○關谷委員 関連して。先ほどからの法制局あたりの御意見を聞いておりますと、これは自動車道事業というものを根底からくつがえした解釈をしておるのであります。「通行する自動車の範囲を限定して行うことができる。」ということは、物理的な面だけに限るのです。こしらえたときはそうなんです。作る自動車道がどういう自動車に耐え得られるかどうか、その範囲の限定であって、期間や経営者の関係あたりをとやかく言うべき筋合いのものではない。私たちが作ったときはそうですよ。速記録なんか全部調べてごらんなさい。そんなことはありません。それと、この自動車道事業の経営者と上を走らす一般の乗合自動車事業をやる者とくっつけて考えるからあなた方の大へんな解釈ができてくる。そして自動車道事業というものは公開であるべきものです。公開しないなら専用自動車道にしたらいいのです。公開しなければならない、扱うのは平等でなければならぬ。そのためには、自動車道事業を経営する人はAであってもよろしい、ところがそれで免許になった場合、上を走らす一般乗合自動車事業というものはAとBとが出た場合に、自動車道事業をやっておられるAよりもBの方がまさっておる条件の場合には、Bに許可しなければならぬのです。それが一般の公開原則の根底になるのです。それを下で、この自動車道事業に顕著な寄与をするという、その自動車道事業の公開の原則をはずして、それに寄与するものを優先したら、上を走る自動車事業の資格というものは、これは悪いものでもこれに寄与するのならやらなければならぬというふうな、道路運送法一般乗合自動車事業のあれに反した許可をやらねばならぬということになるのです。これは大へんなことです。私はこの問題につきましては三十分や一時間ではできません。あらためていずれあなたに出てきていただいて質疑応答はいたしますが、この範囲は物理的な面に限られます。こしらえた当時はそうであったのです。私らがこしらえたのです。私はその当時政務次官をやっておって答弁にたったのです。これは物理的な、その上を通ってその重量過重のために道路を損傷するようなものであってはならない、その範囲を限定するのに、上を走らす一般乗合自動車事業あたりのこの分を自動車道事業に寄与するものだという考え方ができてきたら、一般公開の原則というものは根底からくずれて参ります。これはおかしいですよ。私、あなた方が運輸省の方へ答弁しておられましたね、あの資料を持っておりますので、きょうこれが出てくるなら持ってきて、もう少し詳細にあなた方の言うことを間違いだと言いたかったが、たまたまきょう資料を持ってきておりませんが、この範囲というのは物理的な面に限る、これが私は原則だと思う。そうでなかったらこの法律自体が根底からくずれて参ります。それと、上を走らすものと自動車道事業経営者というものを一つにして考えて、Aが自動車道事業の経営者だから、上を走らす乗合自動車もAでなければならぬ、そういうような関連性をつけたら大へんです。上を走らすものはまた条件にかなったいいものを走らせなければいかぬ。もしその上を自分だけがやりたいというなら専用自動車道をやったらいい。そのために専用自動車道事業というものができている。一般自動車道事業というものはそういうものではないということをはっきり申し上げて、私は質問を後日に譲ります。資料を持ってきてあなたと対決いたします。
  151. 久保三郎

    久保委員 次会にまた本格的に審議してもらう必要があると思います。しかし、今、關谷委員からも御指摘があったように、立法当時の担当者なんでこの人の意見が正しいだろうと思います。  それで、念を押しておきますが、この次にもおいでいただきますが、自動車局長にも念を押しておきます。法制局の見解の後段は、これは行政措置としては考えられる場合があるかもしらぬが、法解釈としては少しおかしいということだけは申し上げておきます。
  152. 平井義一

    平井委員長 次会は来たる十五日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十七分散会