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1960-04-06 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月六日(水曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君    理事 川野 芳滿君 理事 關谷 勝利君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 土井 直作君       宇田 國榮君    高橋清一郎君       竹内 俊吉君    塚原 俊郎君       長谷川 峻君    原 健三郎君       福家 俊一君    三池  信君       木原津與志君    下平 正一君       館  俊三君    正木  清君       山花 秀雄君    内海  清君       菊川 君子君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 細田 吉藏君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         運輸事務官         (航空局長)  辻  章男君  委員外出席者         運輸事務官         (自動車局参事         官)      坂本 祐一君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     梶本 保邦君         運輸事務官         (航空局総務課         長)      福永 正美君         運 輸 技 官         (航空局技術部         長)      関口規矩二君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 四月六日  委員淺沼稻次郎君及び勝澤芳雄君辞任につき、  その補欠として木原津與志君及び山花秀雄君が  議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  航空法の一部を改正する法律案内閣提出第一  〇二号)  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第六四号)  陸運(拍手)に関する件      ————◇—————
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  航空法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 航空法の一部改正に関連して航空交通関係について二、三お尋ねしたいと思います。  まず第一に、先般も名古屋空港事故が発生したわけでありまして、この原因についてはいろいろあるようでありますが、いずれにしても今日、去年の七月から日本アメリカの手より完全に交通管制業務を引き継いだ、こういうことになっておるわけでありますが、これを運営する要員の面では現況はどういうようになっておるのか、予定計画通り要員充足はできておるのか、この点をまず第一に伺いたいと思います。
  4. 辻章男

    辻政府委員 お答え申し上げます。昨年七月一日からいわゆる航空交通管制本部仕事を引き継ぎまして、日本航空交通管制に関しましては全面的に運輸大臣責任を持つことになった次第でございます。現在、航空交通管制に従事しておりまする管制官の数は約四百名でございます。
  5. 久保三郎

    久保委員 私がお尋ねしているのは、計画通り要員充足ができておるかどうか、こういうことをお尋ねしておるのであります。
  6. 辻章男

    辻政府委員 計画通り要員充足されております。
  7. 久保三郎

    久保委員 それでは、三十五年度予算要求でありますけれども、これは成立しましたが、三十四年度充足計画通りできなかったので、三十五年度では三十四名の増員要求してある、こういうことになっていますが、その通りですか。
  8. 辻章男

    辻政府委員 本年度の三十五年度予算におきましては、三十四名の養成計画いたしております。
  9. 久保三郎

    久保委員 私が聞いているのは、新しい年度の三十五年度要求は三十四名の増員要求してはいないかということなんです。違いますか。
  10. 辻章男

    辻政府委員 さようでございます。
  11. 久保三郎

    久保委員 そこでこの三十四名の増員要求というのは、本来ならば三十四年度中に充足すべきはずであったものが、なお不足だ、こういうふうに考えられるがどうであるかという意味です。
  12. 辻章男

    辻政府委員 これは三十四年度不足分ということではございませんで、三十五年度に新たに養成するというものでございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 最初の計画は三十四年度末までに四百八十名の要員が必要だということであったと思います。それが現在は、先ほどのお話では四百名であるというのだが、八十名どうしたか。
  14. 福永正美

    福永説明員 ただいま予算定員は四百八十名現在までついておりますが、そのうち現在やっております者が約四百名ちょっとでございまして、その不足の八十名は病気その他でやめられた方あるいは退職されてほかに転職された方で、その補充がつかないというものでございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 補充がつかないということは不足なんでしょう。
  16. 福永正美

    福永説明員 ええ、そうでございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 そうだとすれば、予定計画通り充足していないということなんです。そうでしょう。まず第一に、この養成計画その他、充足計画が非常にずさんではないかということ、だからこの間のような管制見習官を単独で使わなければならぬような事態も出てくる、こういうことだと思う。どうでしょう。
  18. 福永正美

    福永説明員 全体では将来は七百五十名くらいに計画しておりまして、過去数年間毎年約六十名ずつ予算をとりまして、近い将来七百五十名までに充員する予定でありましたが、現在までとりましたのが四百八十名でございまして、そのうち採用いたしましたのも大体それくらいでございますが、採用してから後に病気でやめられたり、ほかに転職されたりした方がございまして、その不足分が大体八十名くらいということでございます。
  19. 久保三郎

    久保委員 その要員の問題でありますが、今のお話では、最終的な充員計画は七百五十名だ、毎年六十名前後を増員していくと、こう言われた。そういうことになりますと、現在の航空管制の実態からいって、現在の要員充足されておるのかどうか、足りるかどうかということであります。この点はどうですか。
  20. 福永正美

    福永説明員 現在は一部ローカル空港におきまして、たとえば北海道の稚内その他につきましては、多少現在員は減っておりますけれども重要空港につきましては、必要数充足されております。
  21. 久保三郎

    久保委員 大体稚内では若干不足しておるけれども重要空港では大よそ充足しておるというが、その内訳はどういうことになっておるか。どの程度がいわゆる充足というのか、われわれしろうとでわかりませんから、御説明いただきたい。
  22. 福永正美

    福永説明員 大体各主要飛行場につきましては、八時間勤務交代制をとりまして、一交代に大体三名ないし四名のタワー要員配置しております。従いまして、たとえば羽田空港におきましては、予算定員は大体タワーにおきましては十二名、それに課長を入れまして十三名でございますが、現在たとえば羽田におきましては十四名配置しております。
  23. 久保三郎

    久保委員 今のお話だと、羽田は大体定員より一名オーバーしておる、こういうことなのですね。ところが足りない方のお話は披露がないのでわかりませんが、足りない方も御披露いただきたいということが一つ。  もう一つは、たとえばこの間の名古屋のようなもの、つまり自衛隊との共管というか、共同でおやりになっているタワー、これは当然主体性が航空局にあるとすれば、三名が当直要員であるとするならば、自衛隊職員を入れずして三名充足運輸省責任ではないか。連絡その他必要があれば、正規の定員のほかに自衛隊から一人なり二人なりタワーに詰めることはいいと思うのですが、今の方式そのものに誤りがあると思う。いわゆる名古屋空港管制業務運輸省がやるのだということになっていますれば、全体が運輸省責任であって、自衛隊との連絡は別途の話です。だからそういうものを改める意思があるかどうか、この際これをお聞きしたいと思います。
  24. 辻章男

    辻政府委員 お答え申し上げます。現在防衛庁職員補助管制官として派遣してきていただいておりますタワーがあるのでございますが、これにつきましては、航空交通管制は、現行法のもとにおきましては、運輸大臣のもとに運輸省職員がやるという建前になっておりますので、補助管制官という名前を使っておりますが、実は補助管制官に出てきておられる方々は、防衛庁の中においてか、あるいは米軍等におきまして、すべて非常に優秀な技術養成を受けられた方々でございまして、形式的に補助管制官として扱っておりますが、実質的にはみな有能な方でございます。そういうことで現在形式と実質の問題にそういうふうな食い違いと申しますか、そういう点がございますので、将来の問題といたしましては、航空法の今提案いたしておりまする改正によりまして、そういうふうな自衛隊の有能な職員管制をやられる点につきましては、防衛庁に委任した範囲内におきましては管制官として扱っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 航空局長、あなたに念を押すのですが、私が聞くのは、優秀な技術であるからどうのこうのというのじゃなくて、運輸大臣責任を持って交通管制をするのなら、その責任体制を確立することが先だと思うのです。名前補助管制官であっても実際は僕のところの管制官よりも優秀だというお話ですが、そんなことを私は聞いておるのじゃないのです。ところが今使っている自衛隊補助管制官一つポジションを与えておるじゃないですか。そのポジションを与えておること自体に問題があると私は思う。だからこれは再三申し上げるように、当直三名必要ならば、主任官を入れて三名は運輸省管制官配置しろ、必要があれば自衛隊管制官が来て連絡に当たれというのです。ところがレーダーの監視もそうです。こちらの役人と自衛隊の隊員が来てレーダーをにらんでいる。タワーにおいてもいわゆる一つポジションを与えておる。この間の名古屋空港事件は、進入管制について自衛隊補助管制官がやった、そういうことでしょう。飛行場管制についてはこの間の事故のいわゆる責任者になっておる管制官見習いがやっておる。こういうことではどう考えても運輸省全国空港のいわゆる交通管制をやっているということにはならないのであります。だから、次会には防衛庁長官も呼びますけれども、はっきりあなたに聞きたいのは、これからそういう制度は改める意思があるかどうかということなのです。
  26. 辻章男

    辻政府委員 ただいま御指摘がございましたように、今管制塔におきましても、またGCAの運営におきましても、場所によりましては防衛庁職員運輸省職員とが共同して作業をやっております。ただ、先ほどの問題になりました名古屋管制塔の場合におきましても、私ども運輸省関係の専任の管制官の監督のもとに補助管制官を使っておるのでありまして、そういう意味におきましては運輸大臣のもとに一元的に航空交通管制を行ない、またその責任をとっておるやり方をいたしております。将来の問題につきましては、私ども例事故が起こりましてから、管制やり方あるいはその人員の配置その他について今全面的に再検討をいたしておりますので、御趣旨等を体しまして成案を得たい、かように考えております。
  27. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 航空局長にちょっとお尋ねします。せんだって小牧航空管制官が逮捕された。最近釈放されましたけれども……。私は週刊誌「コウロン」などを見ましても、これは非常に月給が安いですね。大学を出た者が深夜作業までやって一日仕事をして、しかもその上に殺人罪で逮捕され送検される。超過勤務手当も一時間わずか六円くらいということです。従ってこういう問題が起こったときに、そういうことに具体的に手をつけてやることが、定員の増加もさることながら、私はああいう連中に元気をつけるゆえんじゃないかと思うのです。大学を出た者が一万円以下の月給で、そうしておそらく役所にいるあなた方以上の苦しい仕事神経を使ってやっていながら休養もとれないということじゃ、とても大へんだと私は思うのです。そうしたときに、具体的にこういうふうなことをしてやるというようなことは、私は非常に元気をつけるゆえんだと思うのです。航空行政は結局人間でありますから、そういうことについても、実際的な行政としてどういうふうな手当かをこの際お考えになっているなら、お聞かせ願いたいと思います。
  28. 辻章男

    辻政府委員 管制官待遇の問題でございますが、これは一般公務員も非常に低いのでございますが、それと同じベースにおきまして管制官特別手当というものが付加されておるというのが現在の制度に相なっております。御指摘のように、一般公務員ベースもあまり高くないのでございますが、大体そのベースよりは多少上回っておるのが現状でございます。私どもとしましては、ああいう管制官というふうな非常に特殊な、しかも航空の安全に非常な影響を持つ仕事でございますので、むしろ公務員の中で特殊の職種にいたしまして、独立した制度を設けまして、また待遇等一般公務員とは切り離して考えてもらいたいという希望を長年持っておりまして、政府部内で種々折衝して参ったのでございますが、私どもの微力のせいもございまして、関係のところでは、一般公務員との関連を考えなければならぬという議論が強うございます。そういう特別な職種というものは案外考えずに、先ほど申しあげました特別手当制度でいこうじゃないかということで、実は昨年一応の終止符を打ったわけでございます。今回の事故にかんがみまして、また皆様からのそういうふうな御意見もございますので、私どもとしましては、そういうふうな特別な職種、またそれによります俸給表の改定というようなことにつきまして、もう一度関係の方を折衝してみたい、かように考えております。
  29. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 具体的に今度の事件が起こって、国民的にああいうものが注目を引いたのですが、そうしたときに私は一つ一つ解決しなければだめだと思うのです。ただ一般公務員並みとかいっても、技術者はほとんどオール・ナイトで仕事をして、そうしてその上にあれだけ大きな責任を背負っていくのです。しかも日本航空行政といっても、ああいう諸君が現場で働いているから飛行機が飛ぶので、それは局長さんが運輸省で幾らがんばったってだめです。そうしたことを一つ一つやることが行政のあたたかみだと思うのです。これは局長をいじめる意味でなくて、それでなければとてもだめです。ジェット機が幾ら飛ぼうと、日航に補助金を幾らやろうとだめです。それをこの際ここまでお願いします、ここまでは大蔵省でやりますというようなことで、ああいうふうな留置場にたたき込まれるようなものに対する愛情が出てくると思うのです。そういう意味では、ここで大いに運輸当局丸がかりでやっていただきたい。これは国民的な同情があると思うのです。こういうところを巧みにとらえて、そういう方々の地位の向上待遇改善をはかっていくことがあなた方の仕事だ。それについてもう一ぺん決意をお伺いしたいと思います。
  30. 辻章男

    辻政府委員 御趣旨を体しまして、できるだけ待遇改善に努めたいと思います。
  31. 久保三郎

    久保委員 引き続いてまた今の給与の問題ですが、特別手当をお出しになるというが、ことしの予算では年額六千円——大体二百八十万ほどしか組んでいない、特別手当とおっしゃるが、一人頭にしてもどんなにうまくやっても六千円、月五百円くらいの手当なんです。こんなものはむしろやらぬ方がいいんです。これはおあげになるから、これっぽかしという気持になるのです。月五百円ばかりならやらぬ方がいいのです。去年小牧飛行場にわれわれが国政調査で参りましたときに、いわゆる精神病というか、ノイローゼにかかる者が多い。それほどに神経を使う仕事をやる。こういうものに対して、先ほど長谷川委員からも御指摘がありましたが、給与全体の問題として考えなければいかぬ。少しばかりの手当をとって、今度は君らのために月五百円くらいとったということでは、これはうまくいきません。そういう点について、これは官房長の方も責任がある。だから官房長から、給与体系改善をする意思運輸省としてあるのかないのか、この点お伺いいたします。
  32. 辻章男

    辻政府委員 今の管制手当の問題でございますが、これは実は管制官全体には行き渡っておりませんので、非常に仕事の密度の濃いところ、具体的に申しますと航空交通管制本部勤務いたしております者、それから空港関係では、東京、名古屋、大阪、この三カ所の勤務者だけでございまして、大体月額にいたしまして二千円内外の管制手当を支給している実情でございます。
  33. 細田吉藏

    細田政府委員 航空管制官の問題につきましては、ただいま御指摘がございましたが、待遇改善問題もとより非常に大切な問題でございますが、すでに大臣からこの委員会でも答弁をいたしましたように、事故が起こりまして直後、運輸省の中に対策本部を設けまして、管制官関係する各般の問題につきまして根本的な検討を加える必要があるということになったのでございまして、項目的にこれを申し上げてみますと、管制組織自体の問題、それから管制官配置あるいは資格の問題、それから先ほど御質疑がございましたが、自衛隊管制員との共同勤務の問題、それから管制の規則が現在のままでいいかどうか、それから待遇、技能の向上の問題、これは宿舎の問題なんかもございます。それから根本的に飛行場共同使用の問題、それから管制の施設が、たとえば鉄道や船につきましては非常に長い経験を持っておりますので、単に人の注意力によるのではなしに、機械的な、施設的な安全の確保という点からいろいろな配意がなされておるわけでございますが、航空につきましてはこの点が欠けておるものがあるのではないか。そのほかいろいろな問題がございますが、こういった各般の問題につきまして非常に管制官制度自体が新しい仕事であり、日本に移りましてから間もないせいもございますが、これは申しわけをするわけではございませんけれども、非常にたくさんの欠陥を持っておるということをわれわれは厳粛に反省いたしておる次第でございます。  そのうちの一つ給与改善につきまして、ただいま久保先生並びに長谷川先生から御質疑がございましたが、私ども対策本部といたしまして、また運輸省といたしましても、この際にぜひとも根本的な解決をはかりたい、かように考えておる次第でございます。  なお今申し上げましたいろいろ各般の問題につきまして、直ちにできるものと、それからたとえば民間飛行場自衛隊飛行場と分離するといったような相当長期的な計画でなければならぬ問題があると思いますが、先ほども長谷川先生からおっしゃいましたような、できる問題から解決をしていき、また根本的にはどういう方向でいくということをこの際明確にいたしたい。これらの問題につきましてどうするかという結論につきましては、ただいま航空局が中心になりまして原案を作成しておりまして、私ども対策本部でなるべく早い機会結論を出したい、かように考えておる次第でございます。  待遇の問題につきましては、今直ちにどのようなものにするかという点につきましてはお答えできない点は残念でございますが、いずれにしましてもこの機会に根本的な検討を加えて改善をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  34. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんし、次会にまた御質問申し上げますから、先に進みたいと思います。  次には管制関係組織、これについては今検討しているのですか。今の組織でいいと思うのか。運輸省自体を含めてそういう組織について、今少しばかり官房長からお触れになりましたが、そういう問題について検討を進めておるかどうか、これをお開きしたい。
  35. 辻章男

    辻政府委員 これは、航空交通管制組織につきまして、事故対策本部でも議題になりまして、私ども検討を開始いたしております。世界の情勢を申し上げますと、大別しまして三種類ございます。一つは、空軍がありますところでは、全部空軍がやっておりますタイプのところがございます。それから民間——民間ではございませんが、運輸省のような航空を担当しておりますところが、軍民のものを全部やっておるというタイプがございます。それからもう一つは、そういう空軍関係あるいは民間航空関係と独立した機関で、軍の出身者一般公務員航空関係出身者を統合しました別個の組織を作りまして、一元的にやっておるという、大体三つのタイプがございます。私どもアメリカ制度をある程度資料も持っておるのでございますが、その他の国の制度につきましてなお資料を集める点もございますので、これらの資料を収集いたしまして、ある程度時間をかけて根本的に検討していきたい、かように考えております。
  36. 久保三郎

    久保委員 今御検討いただいているというのだが、今度の航空法の一部改正にしても、それから去年の七月からの傾向にしても、航空局自体方向は、運輸省自体で一本化したものをやっていきたい、こういう御方針ではないかと思うのであります。ところがこの一部改正では、航空自衛隊の方へも一部その権限を移譲するというか、委任するということなのでありまして、その辺がまた少しあいまいになってきた。基本方針をはっきり打ち出してやるべきだと思うのですが、どうも途中で夾雑物が入ってぐらついているのじゃないかと私は思うのです。こういう態度自体が全般の航空管制業務を衰退させ、混乱させる原因だと私は思うのです。これはむしろ航空局長にお尋ねするよりは、運輸大臣あるいは防衛庁長官を並べて聞くのが妥当だと思うので、この次聞きます。いずれにしても航空局長は、今まで通り方針が正しいと思ってやってきたのなら、その方針を貫くという態度をとってほしいと私は要望します。  それからもう一つ、それには今日の航空局自体体制不足ではないか。これだけの問題になって、これだけ輻湊してきている。業務を扱うところの——これは管制課というか、あるいは技術課でやっているのでしょう。そうじゃなくて、これは部なら部を一部増設して、そこではっきり体制を整えなければ、今後のジェット機の飛来について対応するいろいろな研究調査もできないのじゃないかと私は思うのです。一部局の問題だけじゃなくてこれは体制としてそういう形が必要だと思うのだが、これは考えておられるかどうか。いかがでしょう。
  37. 辻章男

    辻政府委員 現在航空交通管制組織は、御承知のように中央に航空交通管制本部という部局がございまして、これがいわゆる航空交通管制の中枢をなしております。それから各地の飛行場管制塔がございまして、ここで飛行場管制、ところによりましては進入管制をつかさどっておるわけでございます。これと航空交通管制本部との間は、すべて通信網を整備いたしまして、相互に連絡をとりながら一元的にやっておるということでございます。ただいま御指摘のありましたように、そういう制度でいいかどうかという問題でございますが、私ども当面その制度でやっていけるという考えを持っておったのでございます。先ほど御指摘がございましたように、なお根本的に制度組織を掘り下げてやってはどうかという御質問がございましたが、私ども現状は今のままでやっていけると思っておりますが、これと並行しまして、なお各国のやり方その他を参考にしながら根本的な問題を再検討していきたい、かように考えております。
  38. 久保三郎

    久保委員 時間がございませんからあとにします。大体あまり御方針がはっきりしていないようですから、来週までに一つ研究を願いたいと思います。  それから次にお尋ねしたいのは、従来の管制区あるいは管制圏、こういうものはそのままおやりになっておりますか。
  39. 辻章男

    辻政府委員 従来の管制区、管制圏につきましては、これをやめる考えはございません。
  40. 久保三郎

    久保委員 そうすると、何らの変更なく米軍時代からのものをもっておるわけですね。
  41. 辻章男

    辻政府委員 米軍管制をやっておりました当時も、管制区、管制圏の指定につきましては、運輸大臣が指定しておったのでありまして、これは米軍その他の関係のところとよく打ち合せをいたしましてやって参ったものでございます。
  42. 久保三郎

    久保委員 過去の歴史を聞いておるのじゃなくて、現状に合うかどうかと私は聞いておるのです。米軍占領時代の管制区あるいは管制圏というものを、そのまま引き継いでやっておられるようであるが、これは現状に合うかどうか。現状に合わない点がたくさんあるんじゃないか。そうだとすればこれは変更すべきじゃないか。というのは、占領時代から引き続いて安全保障条約に基づいての取りきめ、こういうものでおやりになっておると思うのだが、ほんとうに日本が空の管制圏をとったとするならば、日本の都合のいいように、さらに現実に合った姿に管制区なり管制圏は変更すべきではないか、こういうふうにわれわれ思っておるのだが、あなたはそうではないのか、どうなんです。
  43. 辻章男

    辻政府委員 現在しいておりまする管制区、管制圏につきましては、特に変更をしなければならぬというふうには考えておりません。ただ、これも今提案しておりまする航空法改正に関連するのでございますが、現行の航空法におきましては、公共の用に供せられる飛行場、あるいはそういうふうなものを中心としたところに管制区、管制圏がしき得るということになっております。たとえば自衛隊が専用しておりまする飛行場の周辺に、管制圏を指定するというようなことはできないという建前になっております。この改正法によりまして、公共の用に供していない飛行場の周辺におきましても、管制圏を指定し得るような制度にいたしまして、この法律が提案どおり通りますれば、私ども管制圏につきましては増加をさしていきたい、かように考えております。現在のものを今改廃しなければならぬというふうには考えていないわけでございます。
  44. 久保三郎

    久保委員 航空管制のことは私もしろうとでよくわかりませんが、今のお話だと、どうもあまり支障がないということだが、それじゃこういうことはどうなんです。いわゆる管制航空路はどうなんだ、これは従来通りでそういうものはおやりになっておるのか。
  45. 辻章男

    辻政府委員 法律上では管制区と称しておるものがいわゆる航空路でございまして、新しく飛行場ができまして、航空路の設定が必要となりますれば、管制区を指定するということにはなっていくと思います。現在指定されておりまする航空路、すなわち管制区につきましては、われわれそれで支障があるというふうには考えておりません。
  46. 久保三郎

    久保委員 それではあとで管制区、管制圏についての資料を出していただきたい。  次に管制方式ですが、管制方式は今でもアメリカのANC方式でおやりになっておるのですか。
  47. 関口規矩二

    ○関口説明員 ANC方式を採用しておりますが、それよりもICAOの国際標準方式を採用しておるという形になっております。
  48. 久保三郎

    久保委員 ICAOの国際方式を御採用になっているというが、ICAOの協定によれば管制用語は自国語が第一でございますね。それで航空機からの要求があれば英語で応対する、こういうふうになっていますね。そういうふうになっていますか。
  49. 関口規矩二

    ○関口説明員 ただいまのところは英語が第一になっております。ただし、  日本語で要求して参りました場合には日本語で応対いたします。しかし、管制本部におきましては両方の言葉で応対するというのが管制官に非常なロードをかけるものですから、これは英語のみでやっております。それから、これは全部にはまだ行き渡っておりませんが、日本語だけ専用の周波数、こういうものも設けてございます。この言葉の問題につきましては、日本語を採用するという件につきまして、われわれとしましても今その実現方にいろいろ努力いたしております。
  50. 久保三郎

    久保委員 ICAOの方式でないんで、逆ですね。英語が主体で、要求があれば日本語でやる。別に私は民族主義を振りかざすわけではございませんが、日本の空は日本のものなんです。日本航空管制なんです。これは当然日本語が主体であるべきだ。これは国際間で許されておることです。今せっかく御努力中であるというのですが、どういう点でこれはできないのか。去年の七月一日から移管になるときにはすでにそういうものが確立されてしかるべきなんです。ところが準備期間もなかったということでありましょう。いまだにそういう言葉をお使いになっておること自体、私は極端に言えば国辱ものではないかと思う。何が支障になっているのですか。現在なぜ英語を主体にしてやらなければならぬか、この支障の点がわかりません。御説明をいただきたい。
  51. 関口規矩二

    ○関口説明員 通常管制に使っております言葉は非常に簡略で明瞭で簡単でなければいけない。その場合使います日本語というものを作らなければならないわけであります。それを作りますのに、たとえば一つの英語をそのまま訳しますと非常に変な意味になりまして工合が悪い場合がございます。それから発音が間違いやすいのもございます。たとえば、百二十五度という言い方は通信の方では使っておりません。その場合はひと、ふた、ごと言います。そういう言い方をするのが間違いやすくないかどうか、そういうものからもうすべての用語について検討しなくちゃなりませんので、そういった面で時間がかかっております。
  52. 久保三郎

    久保委員 私はそういうことを聞いているのじゃないのです。どういうところにネックがあってやれないのか、率直に言ってほしいということなんです。たとえば、あなたが言う百二十五にしても、今電話をかけるのに、これは百二十五じゃない、一、二、五です。そんなものは簡単ですよ。英語で言ったって、ワン・ツー・ファイブです。そんなに違いはありません。だから、それはまあ別として、今まで日本語による管制用語の設定を怠っていたということが一つでしょう。それからもう一つ、もっと大きな問題は、おそらく今日の駐留米軍の飛行機との関係でしょう。そういう関係があるから英語を使っているのじゃありませんか。それからもう一つは、管制官養成についてあちらさまに当初ごやっかいになっておったということでしょう。だから、管制官養成にしても、管制の方式にしても、独自の立場に立ってやらなければならぬ時代にきている。このままずるりべったりいけば、ジェット機がどんどん入ってくる、だんだん発達してくるというとき、途中でそれを直すとなると大ごとですよ、そうなったときにはなかなかできません。それで、この際ふんばって、直す時期にきているのだから、いかなるところにネックがあるのか。これは用語の問題ではない。用語は、戦争中はみな日本語にして使ったこともある。野球の用語でも何でもそれでけっこう使えたのです。といって、極端なことを言う必要はない。たとえば英語で言う場合と日本語で言う場合、最近英語の日本語というものがある。私などは発音があまりいい方ではないけれども、こういうものはそのままでもいいが、いずれにしても、英語をそのまま日本語に訳すと変であって、了解しにくいものがあると言うが、そんなものがあったら別に作ればいいのです。日本人が聞いてわかる言葉というものは私は問題外であると思う。むしろ、今までのしきたりというか、今までの権威に従って、今日その惰性でやっている面が相当多い。これを改める意思があるのかどうか。航空局長、答弁を願います。
  53. 辻章男

    辻政府委員 今御指摘がございましたように、航空交通管制という仕事日本としては戦後の一番新しい仕事でございまして、養成も、御承知の通りアメリカ航空交通管制関係の担当官について受けまして、長らく米軍と一緒に仕事をして参った関係もございまして、むしろ、現在の管制官日本語で管制するよりも英語で管制する方がやりやすい、なれているということは事実でございます。そういうことで、実は管制用語の専門的な言葉につきましてはこれから日本語を作らなければならないというふうな情勢でございます。ただ、日本でどうしても英語による管制の必要なことは、駐留米軍がおりますことと、それから多数の国際線がありまして、外国の飛行機が入って参りますので、日本語だけではやり得ないのでございますが、私ども、できれば日本語と英語を併用して、どちらでもいいのだという制度考えたいと思っております。ただ、この点につきまして私は一番懸念されますのは、少なくとも、現在の管制官に全然目新しい日本語をもう一度覚えていただかなければならない。これは自国語でございますから、一たん覚えてしまえば何でもないかと思うのでありますが、ある過渡時期におきまして、たださえ忙しいところに労働が過重になるのじゃないかという点が一番懸念されておるのでありまして、そういう問題を検討しながら、日本の空で日本語が管制上使えないのだということのないように考えたいと思っております。ただ補足して申し上げておきますが、今全然日本語を使ってはいかぬということではないのでございまして、通例英語でやっておりますが、日本語でやってくれと言えばもちろん応じております。特に緊急事態あたりで非常に複雑な気象条件なりあるいは機内の状況あたりはやはり日本語の方が相互の連絡が早くいきますので、そういうことをやっております。全然日本語を排除しておるということではないのでございます。御趣旨に沿うようなことを検討しております。
  54. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 私もちょっとお尋ねしたいのです。せんだって、ある地方の婦人会の大会に行きましたら、婦人でさえも管制官事故について私に質問するのです。そして若い二十一、二ぐらいの者が殺人罪で訴えられて逮捕されておる。それは全然愛知県の婦人会じゃないのですよ。非常に心配しているのです。そしてその新聞記事の中に、英語で発信応答している関係からああいう事故を起こしたのじゃなかろうかという女らしい心配をしておる。そして、いかにも日本の空がアメリカの言葉で占領されているというので、一体どうして日本は独立国ですかという私に対する質問なんです。私はそのときに、これはどこの飛行場に行っても英語は多いけれども日本語も使っておりますとそこでは弁解してきましたが、われわれは飛行場に行ってみてあまり英語を使われるとやはり植民地みたいな感じがする。母国語であるからすぐ覚えるし、大事なときに助けてくれというのは日本語の方が一番先に出てくるのです。だからこの辺は、技術的な問題もあるかもしれぬけれども、やはり心の置きどころ、腹の据えどころをその辺に置いて、みんなの注目する問題については了解してもらうようにあなたの方でもお考え願わなければならぬ。従来の米軍との関係とか、いろいろなものがあるでしょうけれども、今から教えるものは新しく作って教えればいいので、そういう一般的に技術関係者でない者さえも注目しているということをこの際私はあなたに御披露申し上げて、覚悟をお願いしたいと思います。
  55. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんから簡単にやりたいと思います。言うだけ言っておきますから、あとのこまかいのは次会に答弁願いたいと思います。  この管制方式についてはまだ釈然としません。今、長谷川委員からも話が出ていますから、これはもう少し研究して、この次答弁してほしいと思います。というのは、要求があれば日本語でもやっているのだ、そういえば日本語の管制用語ができているのじゃないかと思うのです。そんなものは理由にならぬと思います。  それから管制の機械化について、不足であるかどうか、この次までに資料を出してほしい。  この次に防衛庁を呼びますけれども、その前にちょっとお尋ねしたい。防衛庁航空管制との関係、これは特に国籍不明機に対するスクランブルですか、こういうものについては何か特に取りきめてあるかどうか。これが一点。  もう一つは、こちらの管制用のGCAと、先ほどちょっと聞きました防衛庁のGCIの調節、こういうものができているのかどうか。  それから、これはないと思うのだが、岸内閣のもとではわからないので聞いておきたいのだが、いわゆる戒厳令をしくという場合がある。今の憲法でそういうものがあるかどうかは別として、岸内閣は何でもやるから……。そういうときの管制方式については防衛庁と取りきめてあるのか。  それからもう一つジェット機とプロペラの飛行機が入ってくるわけですが、これが同じ飛行場で離着陸しているわけだ。この間の事故一つの例だけれども、こういう場合の管制方式が完成しているのかどうか。答弁は次会でけっこうです。  それからもう一つお尋ねしておきたいのは、飛行場の分離についてはどう考えているか。たとえばこの間の事故を起こした小牧飛行場は、F86DあるいはE、こういうものの離着陸、さらには米軍機は大体年間三千五百回くらい離着している。そうでしょう。民間飛行機はその何十分の一かだ。主客転倒の立場になっている。しかもこの小牧に離着するほとんどが民間機はプロペラだ。あとの車用機米軍機はジェットがほとんどだ。こういう場合は当然、当初米軍から返還されるときに大よそ折衝があったと思うが、これは運輸省の所管に全部するはずだ。ところが共管になってきた。ところが最近は共管ではなくて向こうさまの使うのが多い。こういうふうになってきて、名古屋空港、いわゆる国際空港の立場というかそういうものが今後できるのかどうか。こういう問題について航空局はどういうように考えているか。  今までのは次会に答弁してけっこうです。資料があれば資料を出してほしい。  それからもう一つ。これは答弁して下さい。今度の航空法改正の際に利用航空運送事業というものができる。これは民法並びに商法にいうところの運送取扱業とは違うのかどうか。違わないとするならば、なぜ利用航空運送などという新語を発明したのか、その理由を聞きたい。
  56. 福永正美

    福永説明員 利用航空運送事業といいますのは、民法あるいは商法にいうところの運送取扱業ではございませんで、これは自分みずからが運送契約運送人になるところの状態でございます。従いまして、現在航空法では航空貨物取扱業という業態の規定がございますが、本規定に当たるところの事業がございませんので、新しく入れたわけでございます。
  57. 辻章男

    辻政府委員 ちょっと補足して申し上げますが、利用航空運送事業という言葉は非常に変な言葉かもしれませんが、業態はこういうことになるのでございます。ある甲というものが荷主になりまして、それから乙という利用航空運送事業者に運送契約を締結いたします。その甲乙間の運送契約の間におきましては、乙は運送を請負ったことになります。それから今度は乙は、たとえば日本航空に甲から引き受けた荷物をそっくりそのまま今度は荷主の立場になって運送契約を結ぶというふうな形になりまして、運送契約の当事者に二回なるわけであります。どうして航空事業でそういうものが起きたかと申しますと、これは国内でもそうでございますが、特に国際線は最近になりまして大口の貨物になりますと非常に割引を始めた。たとえば一万キロをこえますと一キロくらいの貨物運賃の三五%になってしまうのです。六五%引きの三五%になってしまうものですから、小口の貨物を全部運送を引き受けまして、これを大口の貨物にして航空会社に持っていけば相当さやがかせげるということで、利用航空運送事業というものが発達して参った、さような経済的な背景でございます。      ————◇—————
  58. 平井義一

    平井委員長 次に道路運送法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。井岡大治君。
  59. 井岡大治

    ○井岡委員 ごく簡単にお尋ねをいたしまして、なお残りましたら、次会にお尋ねすることにいたしたいと思います。  今度の改正で、二十五条の二に、「運輸省令で定める営業所ごとに」こう書いてありますが、運輸省令で定める営業所というものは、どういうものをさして言っておるのか、この点を一つお伺いいたしたい。
  60. 國友弘康

    國友政府委員 お答え申し上げます。この運輸省令は目下検討中でございますが、その内容として今考えておりますところのものは、営業所に配属される車両の数を基準として定められると思いますが、おおむね以下述べるような内容で考えております。  一般乗合旅客自動車運送事業及び一般貸切自動車運送事業につきましては、これは大型バスの関係もございまして、すべての営業所に運行管理者を置く。それから一般乗用旅客自動車運送事業、すなわちハイヤー、タクシー等につきましては、事業用自動車五両以上配属されている営業所に配属する。それから特定旅客自動車運送事業、これは特別な自動車運送事業でございますが、これらに関しましては、乗車定員十一人以上の事業用自動車が配属されている営業所、これは大型でもありますから、運行管理者を全部置く。それから乗車定員十人以下の事業用自動車を配属されている場所につきましては、五両以上配属されている営業所に置く。それから一般路線貨物自動車運送事業、すなわち路線トラックにつきましては、事業用自動車が配属されていて、かつ、その運行を管理しておる営業所につきましては、全部運行管理者を置きたい。それから一般区域貨物自動車運送事業、区域トラック、一般小型貨物自動車運送事業すなわち小型トラック事業及び特定貨物自動車運送事業につきましては、これは事業用自動車十両以上が配属されていて、かつ、その運行を管理しておる営業所に運行管理者を配属する、こういう予定で今進めております。
  61. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで問題は、この運行管理者の条件として、運転に経験のある者、こういうことになっておるわけです。そういたしますと、たとえば、バスなり観光ということになると、必ずしも運転に経験のある者が、乗務員の交代とか、あるいは路線の設計ということをやらない場合があり得るわけなんです。こういう場合はどういうようになさろうとするのですか。
  62. 國友弘康

    國友政府委員 第二十五条の二に、今度そういたすことで提案いたしております運行管理者の規定につきましては、「運輸省令で定める営業所ごとに、年令、事業用自動車の運行の管理又は運転の経歴その他について運輸省令で定める一定の要件を備える者のうちから、」というふうに書いてございますが、ここで「運行の管理又は運転の経歴その他」と規定しておりまして、今予想されております資格といたしましては、たとえば事業用自動車の運行の管理の実務経験が一年以上の者につきましては、そして、陸運局長の行なう教習というものをいたす予定でおりますが、陸運局長の行なう教習を修了した者は運行管理者になり得る。事業用自動車の運転経験につきましては、三年以上というふうに考えておりますが、三年以上の者につきまして、かつ、陸運局長の行なう教習を修了した者はなり得るということでございまして、全部運転経験のみについて申しておりませんで、あるいは運行管理の実務の方の経験者につきましても、任用し得るように考えております。
  63. 井岡大治

    ○井岡委員 ちょうど梶本部長がお見えになっておられるから、実例を引いてこの問題を明確にしておかないと、将来混乱が起こるときがあると思います。梶本部長が大阪の陸運局長でおられた場合に、人事異動の際、この問題にほぼ似た問題が起こった。それは、運行経験者あるいは運転経験者でない限り、自動車の営業所長になれないというような、これは梶本部長がお考えになったことではないけれども、そういう希望が出たわけです。そこでいろいろ話し合いをした結果、一応電車の運行の経験があっても、これは運行の経験者ということで一応は認める、こういうことで話がまとまったことを私は知っているわけです。そうなると、これは大きな会社になりますと、必ずしもそれだけを一つやっておらない。そこで、いわゆる人事管理の問題から非常に大きな混乱が起こるわけです。こういう点をどういうようにお考えになっているのか、この点を明らかにしておいていただかないと、将来人事管理面から大きな問題が起こってくる。なるほど自動車の運送事業という立場ではけっこうでございますが、多角的な経営をやっているときには大きな問題が起きる。こういうことを、私は前もって心配するからお尋ねをいたしておきたいと思います。
  64. 國友弘康

    國友政府委員 運行管理者につきましては、その営業所ごとに、適正な運行が行なわれるように指導する職員でありますが、これに関しましては、今申し上げましたように、必ず運転経験を持たなければいけないということではございませんで、運行の管理についての見習いをし、それの実務を習い、陸運局長の行なう教習を修了した者については、任命し得ると考えるわけであります。それら運転の経験のある者が大体適当ではございますが、運行の管理について、そういう仕事にタッチしていた者につきましても運行管理者にはなり得る。営業所長とかいうようなことと、運行管理者とは違いまして、営業所長の場合には、私の考えとしましては、必ずしも運転経験がなければいけないとも考えないのでございますが、ただ運行管理者の場合には、やはりその運行の実際を指導するわけでありますから、運行の管理の実務経験か、あるいは運転経歴等がなければ、運行管理者に任命すべきではないと実は考えておるわけであります。
  65. 井岡大治

    ○井岡委員 そこが問題なんです。営業所長というものが、運行管理者でない運行管理者を作るということは、これは実際上の問題としては間違いが起こると思うのです。これは助役がやるとか、あるいは特定の人間がやる、こういうことにあなたはお考えのようですが、それは、なかなかそういうことでは人事管理の面からできないわけなんですね。というのは、運行の計画を作るのは、何も助役が作るのでなくて、これは課長なり係長という運行管理者が作るのです。これを執行するために助役なりあるいはその他の係員がやらしておるだけなんです。だから運行管理者というものは経験者でなければならない、あるいは経験者でなくとも陸運局長の教習を経た者ということになりますと、あらかじめ教習を終えておかなければならぬ。あるいはその事業の行政上から所長なら所長が運行管理者でなければならぬという場合、事務系統に全く経験のない者からこれを抜擢をしようと思って、先に教習所にやれば、これはもう次は所長だということに裏打ちをすることになるわけなんです。こういういわゆる実務的な問題から考えて、あなたの言われるだけでは、これは現実に問題が非常に困難になる。人事の配置あるいは交流というようなものは全くできないということになりはしないかと思うのです。これは単にバス事業あるいは電鉄事業だけでなくて、トラック事業にしたって旅客事業にしたってみんなこのことを心配していると思うのです。私が特にこのことをお聞きするのは、部長がおいでになったときにも、私はこの問題でなかなか悩んだことがありますから、このことを言っているわけです。この点をもう少し明確にしていただきたいと思います。
  66. 國友弘康

    國友政府委員 実は今申し上げましたように、営業所と申しましても、非常に大きい営業所もあるわけでありまして、そういう営業所におきましては、やはり運行管理者と営業所長とは分化するものではないかと思うのです。たとえば小さい営業所におきましては、井岡先生のおっしゃいますように、営業所長が連行管理者である場合があると思います。そういう場合にはやはり運行管理者としての資格を備える者であってほしいと私は思いますが、大きい営業所におきましては、やはり運行管理者は、たとえば具体的に申しますと、運転者が仕業に出ていきます場合の点呼等もいたしますし、その他その運転者自体がその自動車に乗っていいかどうか、疲労しておらないか、飲酒しておらないかというようなことまで検査して乗せるべきでありまして、そういう具体的な、実際に運転者個人々々を指導するような人は、実は大きいところでは、私はむしろ営業所長が運行管理者にはなるべきではないと思います。そういうふうに、運行管理者即営業所長というわけではなくて、運行管理者の責任というものは、やはりそういうふうに仕業に出ます個々の運転者を選定するということにありますので、それにふさわしい人を運行管理者として任用してもらいたいと思いますので、私どもとしては、むしろ営業所長よりはもう少し下級の人でもいい、実際に具体的に運行管理ができ得る能力のある人を選定してもらいたい、こう考えておるのであります。
  67. 井岡大治

    ○井岡委員 この前法案の概要説明におたくから配られたこの資料中に、「例えば、路線バスの運転基準図の作成であるとか、」こう書いてあるのです。これが問題なんです。あとのあなたの言われる後段の乗務員の乗務交番の作成であるとか、あるいは就業前の点呼であるとか、あるいは注意を与えるとかいうものは、いわゆる所長が一応の方針を出して、そうしてそれを今あなたの言われる運行管理者に命じてやる場合、それでいいわけなんです。ところが路線の運転基準図を作るということになると、これは運行管理者が作るのじゃないわけです。こんなのにまかしておったのでは、これはとうてい全体の計画とマッチをしないわけなんですね。ここに問題があるわけなんです。だから大きいとか小ちゃいとかいう——もちろんあなたの言われる小さい営業所と大きい営業所は違うでしょうけれども一つはたとえば東京の例をとってみますと、東京の交通局の営業所は課長なんですね。この人が運行管理者です、一切の責任を持っておるわけです。ですから刑法上の問題も行政上の問題もすべてを握っておるわけです。そうしてそこで運転の計画を立てておるわけです。もちろん大きな計画というのは自動車部というものが持っておるわけですが、地区的にはその人が持っておるわけです。この人が管理者にならなければこの路線の基準図というものは作成ができないわけです。だから後段の分についてはお説のように理解しますけれども、前段のこの分についてはどういうようにお考えになっておるか、これを明らかにしておいていただかなければ問題が起こるというのです。
  68. 國友弘康

    國友政府委員 この路線バス等の運転基準図の作成等に関しましては、先生のおっしゃいますように、いわゆる運転計画というものは所長なり管理者が作るものだと私は思います。むしろそういう大きな全体計画としての管理面に関しまするものは、今申しましたように、管理者が作るわけでありますが、実はそれの準備段階等はこの運行管理者が作成する場合が多いとも思いますが、しかし、実はここで申します路線バスの運転基準図の作成というようなことは、われわれがねらっておりますのは、そういう全体計画ではなしに、むしろ乗務員が携行していきますたとえばAの停留所からBの停留所まで行くのに何分かかって、帰りには何分かかって、ここでこういうふうな待ち合わせをしてというような一仕業なら一仕業に関します運転基準図を作成するということでありまして、先生のおっしゃいますような全体計画というものは所長なり管理者が立てて、それに違法があればそれはいわゆる運行管理者としてではなくて、むしろ事業者として処分なり何なりさるべきであると思いますが、運行管理者というのはもっと具体的な運転手個人々々についての指導をするものと私どもは解釈しておるわけであります。
  69. 井岡大治

    ○井岡委員 その今言われたことは下の方ではできないのです、専決権を持たないのですから。すべての交代の路線は何分かかる、この路線については何ぼ給与を出す、こういうものは全部その専決権を持たないものではできない、団体交渉の対象にならないのですよ。所長とそこの組合の支部なら支部との間に団体交渉をやって、そうしてどこそこへ出ていくのには何分かかる、その路線はこういうように通っていきなさい、その帰りに時分は何分あげましょう、向こうとの乗り継ぎについては待ち合いは何分あげましょう、こういうものは全部所長の専決権において行なわれるわけです。この所長の専決権は所長がきめるのでなくて、勤労部がきめるわけであります。そうして勤労部がその最終決定権を持っておるわけです。こういう点を考えれば、あなたの言われる単に事務的に問題を処理するわけにはいかない問題が出てくるわけです。ですから私がこれを考えるのであれば、たとえば大きな事業所、会社はみんな教習所を持っておる、だから、すべての職員はある一定の教習期間は教習を受けなさい、そうしてあなたの方でこれこれこれこれの科目をぜひ修得させなさいという検修項目をまかして、そして委任をするならば、その人事配置というものに混乱が起こらなくて済むじゃないかと思うのです。さきにあなたの方は、陸運局長の行なう教習を受けなければいかぬと言ったが、たとえば私が受けるとすれば井岡は所長だということは初めからわかるわけです。こんな労務管理、人事管理ができますか。だから、こういう点をあなた方はどうお考えになっているか、この点もう一度聞いておきます。
  70. 國友弘康

    國友政府委員 今これらについては検討中でございますが、教習と申しましても実は比較的簡単な教習の場合もあり得るのです。陸運局長の指令下に地域ごとの教習ということもあり得ますので、それらの点に関しましては教習の方法その他については今後十分検討をしていきたいと思っておりますが、先ほど先生のおっしゃいましたように大きな車両の動き方等に関しましては、これはやはり本社なり、あるいは所長なりの権限で動くと思いますが、今のお話のここで申しております運行管理者というのは、具体的に、実際にその運転者個人が動きます場合に所持するものあるいははたしてその運転者がいいかどうかというようなことを判定するものという、比較的下のもので運行管理者というのを考えておるのでございます。
  71. 井岡大治

    ○井岡委員 なおこれから研究されるとおっしゃっておられますから、私はこれ以上追及しようとは思いませんが、この点はもう少し考えて下さい。そうでないと、たとい軽微なというか、軽易な教習であっても、お前は今度教習に行きなさい、こうやると、その人はすでに課長なり部長に選任前にチケットを渡したことと同じになるのです。あなたが一ぺん局長になってやってごらんなさい。そんなことはできないでしょう。人事はあくまで秘密でなければ、自薦、他薦が多くて人事なんというものはできるものじゃない。ですから私の言うのは、法文では非常に簡単にあなたのおっしゃる通りのことを考えてみたとしても、現実に行なう場合に行なえない問題が出てきますよ。ですからこれらの問題をもう少し具体的に検討をしていただきたい。そのために私が今申し上げたようなことをも考慮して考えられないと、非常に混乱が起こって、せっかくこれを改正されても実際にはやれないということになってしまう傾向があると思う。この点をまず申し上げておきます。従ってこれらの問題に関連しますから、自余の問題は次会に譲りたいと思います。  その次に、百二十六条の見出しの問題で、法律の中で、しまいの方に「若しくは使用する者若しくはこれらの者の組織する団体の事務所その他の事業場」こういうように書いてあるのですが、この「組織する団体」というのはどういうことなのですか。
  72. 國友弘康

    國友政府委員 百二十六条第二項でございますが、「自動車若しくは軽車両を所有し、若しくは使用する者若しくはこれらの者の組織する団体」こういう条文でございますが、これに関しましては前から申し上げますと、「道路運送事実者その他」とございまして、その道路運送事業者の組織する団体、これはたとえばバス協会とか、トラック協会とかございますことはすでに御承知の通りでございますが、自動車もしくは軽車両を所有する者と申しますのはこの自動車を所有しもしくは使用することを目的として組織しておる団体でございまして、われわれの方の考えておりますのは、自家用自動車の団体あるいは問題になっております共済組合のタクシーとかいうようなものもございますが、そういうものの組織を予想しておりまして、その他一般的な商業上とか工業上とかの組織団体は入らない、そういうふうに解釈しております。
  73. 井岡大治

    ○井岡委員 そうしますと、今までは共済タクシーであるとか企業組合、これから申請をして許可を受けようという企業組合は違法でございます、こういうようにあなた方の方でお話しなさり、そういう立場に立ってこれを取り締まって参られたと思うのです。ところがここでそれをその他の団体ということで認めますと、好きこのんでだれも免許をもらわなくとも、みずからの組織にやってやればしかられながらもやれる、こういうように解釈していいのですか。これは保障したことになるんじゃないですか。
  74. 國友弘康

    國友政府委員 これは立ち入り権限を認めるかどうかということだけを規定した条項でございまして、この規定によりまして道路運送事典を営むことができるというふうに認めるものでは毛頭ございません。そのことで、実はこの前から問題になっておったわけでありますが、道路運送事業というようなものを無免許でやっておる場合はどうか、それも事業かというようなことも当然問題になるわけであります。それに関しましては一番端的に申し上げておわかり願えると思いますのは、たとえば道路運送法の百二十八条罰則の規定でございますが、ここで、罰金刑に処する場合に、第一号で、「第四条第一項」これは自動車運送事業は免許を受けなければならないという規定でございますが、その「第四条第一項の規定に違反して自動車運送事業を経営した者」というように書いたことによって、その自動車運送事業をやることを認められておるのかというと、これは決してそうではありませんで、むしろこれは四条違反で処罰するので、こんなものは認めないんで、むしろやらせないということではありますが、やはり法規上はこれは免許があろうとなかろうと、この道路運送法の定義に書いてありますような反復継続して自動車を運行するような場合には、自動車運送事業となるわけでありまして、これは免許されておるかいなかということが一番大事なことであります。ただ業態から見ますと、免許されていなくても運送事業類似行為ができる、その類似行為をわれわれは法律の上では自動車運送事業といっておるのでありまして、そういう点で、たとえば事業場と申しましても、これが決して事業場というものがすぐに免許を受けておると解釈されるものではなくて、違法の事業場であってもやはり事業場であるとわれわれは読むわけでありまして、そういう点で、百二十八条に、「自動車運送事業を経営した者」というような規定をしておりますところをお読み下さればわかると思いますので、決してわれわれは違法行為をここで認めるとかいうようなことはありませんで、違反行為をいたしますものはむしろ取り締まっていきたい。そしてそのために行政取り締まりとか監督とか、行政取り締まりの指導とか行政取り締まりのためにそういう団体の事業場にも立ち入り権限を認められておる、こういうことなのでございます。
  75. 井岡大治

    ○井岡委員 わかっていただける、こういうことですが、私にはどうしてもわからないのです。いわゆる立入権を認めるということは、その事業場があるということ、そのことを認めるから立入権が発生してくるのであって、それがないという前提なら立入権というものは発生しないわけです。そういうように思うのですが、従ってこの問題は、あなたがどういうように御説明をなさろうとも、私は理解はできません。従って、この問題については、委員長お急ぎのようですので後日に譲りますから、もう少し研究をさしていただきたいと思います。  それで最後にお願いをしたいのですが、実は四月二日に神奈川県の県警の本部長からすみやかに陸運の免許を与えてやってもらいたいという申請がきておるようです。申し入れが出ております。これは、神奈川のハイヤー、タクシーについて今やっておいでのようですが、特に駐留軍の諸君は、早くやっていただかないと、もう資金を食いつぶしちゃうわけなんですね。そういうことで非常に困っておられる。これが東京と神奈川と並行しておやりになっているのかどうか。今東京の方がやっさもっさやっているのだから、これはあとからなんだ、こういうことになると大へんなことになると思うのですが、この点の事情をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  76. 國友弘康

    國友政府委員 東京陸運局ではハイヤー、タクシーの免許申請に関しまして、今お話のございましたように、東京も神奈川も審査をしておるのですが、毎回申し上げておりますように非常に数が多いわけでありまして、それらの審査に忙殺されておりますので、いささかおくれておるのでありますが、この間の取り扱い方の内容を申し上げますと、東京に関しましては二千八百両の増車ということがございますので、これらとのにらみ合わせの関係で、やはり現在のところは全体的な審査をいたさなければならないというので、審査の促進をはかっております。神奈川の場合には、この二千八百両というような増車のワクがございませんので、今までも随時免許をいたしてきたわけでありまして、今後もその方向で参りたいと思っておりますので、たとえば東京が終わってから神奈川をやるというようなことではなしに、神奈川につきましては現在審査も相当進捗しておりますので、これらにつきましてはできるだけ早い機会に処理を進めたい、随時処理を進めたいと考えております。
  77. 井岡大治

    ○井岡委員 最後にこの点だけは、特に駐留軍の諸君は、繰り返して申し上げますが、自分たちの資金を出して手持ちがなくなっちゃっているわけですから、何とか人道的な立場からも助けてやろうという意味で早急に出してもらいたい、このことを強く要望します。これらの問題については、またいずれあらためてお願いに参りますが、いずれにしても一つお願いしたい、こう思います。      ————◇—————
  78. 平井義一

    平井委員長 次に、陸運に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。木原津與志君
  79. 木原津與志

    ○木原委員 時間が非常にたっておるようですから、簡単に二、三御質問申し上げたいと思います。  まず最初にバスの、乗合自動車の新規の免許、これに関しまして先般、昭和三十四年の一月に行政管理庁から運輸省あてに勧告が出されておると承知しておる。その勧告の内容の一部にこういうのがある。新規免許の申請者を不当に申請を却下しておるということが一つ。次に申請から許可までの期限が長過ぎる。三年以上というような例があげられておりますが、免許申請から許可までの期限が非常に長い。このような点について行政管理庁から勧告を受けておると聞いておりますが、これに対しては運輸当局から行政管理庁に回答があったものと思いますけれども、どのような回答をなされたか。その点について明らかにしていただきたい。
  80. 國友弘康

    國友政府委員 行政管理庁から勧告がございまして、それらにつきまして——審査に関しまして、不当あるいは不法に却下しておるということはないと私どもは確信いたしておりますが、期限が長過ぎるとかその他の点につきましては、非常に事案が多くございまして、現在昭和三十四年十二月末に千三件、千件程度ございまして、これらのものを処理いたしますために業務能率を向上させるということで、たとえば、こちらの方で内部的に扱いますものについての標準期間というようなものも設定いたしまして促進するようにはかり、この点は行政管理庁の方にもこちらの意見を述べましたが、今後も事務の簡素化等についても検討して事務処理を円滑にしていきたい、こう考えております。事務の適正な運営については私ども非常に注意してやっておりますので、適正な判断をいたしておると考えておるのでございます。
  81. 木原津與志

    ○木原委員 適正な運営が行政上行なわれておるであろうことは、私も一応そう考えるのでございまするが、問題は、新規の免許が申請されると、必ずそこに既存の業者との関係が出てくる。そうすると、どうしても既存の業者は新規免許を拒否しなければならないという立場に立つことは、これは現在の偽らない事情下にあるわけです。そこでわれわれが聞くところによれば、この既存の業者がいろんな団体をこしらえて、そうして新規免許を運輸省から許されないように、ちょうど圧力団体のような形を作って猛烈な運動あるいは猛烈な圧力が運輸省にかかっておる。あるいは運輸審議会にかけられておる。そのために、これら圧力団体の威力に屈するというのか、あるいは圧力団体に押されるというのか、そういった関係でなかなか運輸省は新規免許についてすみやかに独自的に決定をやることができない。あるいはそういった既存業者に遠慮をして許可をしない、引き延ばす、こういったようなことが非常に行なわれておるという巷間の説もあるわけなんです。この点については運輸省は事業の免許について厳正な、しかも公共的な立場に立って処理をしておられるか、その点の運輸当局の所信をお伺いしたい。
  82. 國友弘康

    國友政府委員 私、自動車関係について申し上げたいと思いますが、この免許申請がございました場合に、既存業者が反対をいたしますことはこれは当然でございまして、これらの点は、われわれとしては反対の立場についてもやはりその立場を認めるということで、たとえば運輸審議会の公聴会とかその他の方法によりまして申請者の意見も十分に聞く、その反対者の意見も十分に聞く、それからそのほかに一般の公述をする人の意見も十分に聞くというような態勢で審理をいたしておりまして、そのほかにもいろいろな資料を集めて公正妥当な判断をすべく努力しているわけでございます。既存業者が圧力団体を組織して運輸当局に圧力をかけるというようなことは、よし圧力をかけようとしても、われわれはその圧力にかかるような状態ではありませんので、むしろわれわれとしては非常に厳正公平に物事を処理いたしておるのでありまして、むしろ事案がおくれております等の事情につきましては審査あるいは調査等に非常に時間がかかっておるとかその他の事情でおくれることはございますが、圧力団体の威力に制して事案の処理をおくらしておるとか引き延ばしておるとかいうようなことは絶対にございませんので、その点はわれわれとしては厳正公平な扱いをしておるということを確信を持って申し上げたいと思うのであります。
  83. 木原津與志

    ○木原委員 免許に関しては運輸大臣がやることは間違いありませんが、この際運輸審議会が公聴会その他をやって、その結果に基づいて運輸大臣あてに審議会の答申がなされるということを聞いておりますが、この運輸審議会の答申ということ、それから公聴会の公述の内容、こういったものが実際の免許に関してどのような影響あるいは役割を持っておるものであるか、その点を明らかにしていただきたい。
  84. 國友弘康

    國友政府委員 運輸審議会の答申に関しましては、運輸審議会が審査をいたしました結果を運輸大臣あてに答申するわけでございますが、この運輸審議会の答申は、運輸省設置法の第六条に「運輸大臣は、左に掲げる事項について必要な措置をする場合には、運輸審議会にはかり、その決定を尊重して、これをしなければならない。」ということが書いてございまして、この運輸審議会の決定は答申という形で出されるわけでございますが、その決定は、運輸省におきましては決定を尊重してという規定になっておりまして、ほとんどその答申通り行政措置をするということにいたしております。ただ、これがいかにも問題があるというような場合には、運輸大臣の違った行政措置ということもなし得ると思いますが、現在までにおきましては運輸審議会の答申と違った行政措置をしたことは、きわめてまれな場合にはございましたが、まずないということを申し上げていいと思います。
  85. 木原津與志

    ○木原委員 そのようにお聞きをすると、このバスの新規免許ということについて、運輸審議会の答申、従ってそれを構成する人たちというのは非常に重要な国家的な職務を持っておることに法律上もなっておると思うのであります。そこで運輸審議委員の身分上のことをお聞きいたしますが、現在運輸審議委員は何人おられるか、そしてこの身分は何であるか、待遇はどうなっておるか、その点を明らかにしていただきたい。
  86. 細田吉藏

    細田政府委員 運輸審議会は運輸大臣の諮問機関でございまして、その委員は七人でございます。そのうちの一人は運輸事務次官が職務上当然委員になっておりまして、あとの六人につきましては国会の同意を得まして内閣総理大臣が任命をいたしております。国家公務員でございます。任期は三年になっておりまして、ただいままでのやり方では、特別な事情のない限り任期の三年がきますと二人ずつかわられる、こういうやり方をとっておる次第でございます。  ただいまは運輸審議会の会長は中島登喜治氏でございまして、会長代理が岩村勝氏でございます。このほかに加藤閲男氏、武田元氏、青柳一郎氏、波多敏夫氏、これと運輸事務次官の粟沢一男が委員でございます。  給与につきましては、はっきりしたことはあとからお答えいたしますが、大体事務次官程度の給与になっていると承知いたしております。
  87. 木原津與志

    ○木原委員 そういう人たちが地方に出張して公聴会なんかをやる場合に、出張旅費、日当などを別に出しておりますか。
  88. 細田吉藏

    細田政府委員 もちろん規定の通りの出張旅費を支給いたしております。
  89. 木原津與志

    ○木原委員 それならば私は具体的に指摘いたしまして質問を続けますが、実はことしの一月の十八日から二十一日まで福岡市において長崎—博多間特急バスの申請に関して、さらに翌一月十九日には福江市営バスの新規免許について公聴会が福岡市で開催されております。これについて運輸審議委員が中島登喜治、岩村勝、青柳一郎、武田元、波多敏夫、加藤閲男、それに審議室長増川遼三、この人たちが福岡に出張されまして、そうして運輸審議委員は博多の帝国ホテルに十七日から二十一日までそれぞれ滞在しておる。同じく増川審議室長も一月の十七日から二十日まで四日間滞在されておるのであります。ところが私どもが調べたところによりますと、━━━━━━━━━━━━━━━━━一々明細に私ここで読み上げますから書き取っていただきたい。中島登喜治、宿泊期間一月十七日から二十一日まで宿泊料一万六千二百四十三円、岩村勝、一月十七日から二十日まで宿泊料八千百九十四円、青柳一郎、同じく十七日から二十日まで宿泊料九千五十七円、武田元、十七日から二十百まで宿泊料八千二百十一円、波多敏夫、二十日から二十二日まで一万七千九百三十六円、加藤閲男、一月十七日から二十日まで宿泊料七千七百三十四円、右合計宿泊料六万七千三百七十五円、さらに審議室長は福岡市の丸明旅館の宿泊費一月十七日から二十日まで一万一千八百三十六円、右合計七万九千二百十一円。これがいわゆる新規バスの免許について西鉄が先頭に立って福岡、長崎、佐賀各県のバス業者合計十社がこの公聴会でことごとく猛烈に反対意見を述べておる。━━━━━━━━━━━━━━━━その点については私ども調べがいってない。しかしそう想像される。そこであなたにお尋ねするのだが、大事な運転の免許について運輸大臣の諮問にこたえて公聴会の結果答申をする、しかも答申をしたならばほとんど全部その通りに免許になる、その通り行政決定がなされておるということになれば、この運輸審議会というものは実はもう全国の新規免許を受ける人たちのがん首を握っておるようなものなんです。このがん首を握っておる重大な職であるから、運輸省設置法によってこれらは特に特別職の国家公務員として、さらに今あなたの御答弁によれば事務次官と同じ年額給与を受けておる。しかも公聴会の重要なそういう仕事に出張するにあたっては旅費、日当まで出ておる。それらの人たちが公聴会で既存業者の自分の利益を擁護するために新規免許に反対をしておる━━━━━━━━━━━━━━━━一体公正な免許についての答申がこれはできると常識上思いますか。何も理屈の上からは━━━━━━━━━━━━━あるいは公正な答申はできるのだというような理屈もなるかもしれませんが、世の中の一般はそんなものじゃないと私は思うのです。こういうような現実の運輸審議の実態に関して一体運輸省はどうお考えですか。
  90. 細田吉藏

    細田政府委員 ただいま木原先生からおっしゃいました点非常に重大な問題をはらんでおるかと思います。もちろん運輸審議会は先ほど申し上げましたように国会の承認を受けて内閣総理大臣が任命するといったような非常に重い地位でございます。またこの答申が免許につきまして非常な重要性を持っておることもお説の通りでございます。こういう大事な職にある者がただいまおっしゃいましたようなことが事実であるとすれば、これは一番後段におっしゃったように、影響なしとかいうような程度の問題ではなかろうと思います。これは公聴会の当事者が直接どうこうしたというお話でございますので、これは非常によろしくない。よろしくない程度以上のもっと大きな問題かと思うのであります。ただ、私どもはただいままで一応調べたところでは、そのような事実はないということを運輸審議会の方から聞いておりますけれども、本日は非常に明確にいろいろ御調査の結果につきましてお話ございましたので、これらの点につきましては十分調査を私どもの方といたしましてさせていただきたい、かように考えておる次第であります。
  91. 木原津與志

    ○木原委員 すでに私の質問内容があなた方の方にわかって運輸審議会に調査をされておるということでございますならば、私どもの調査は今も申し上げるように具体的に、しかもこれに対してわれわれの方でホテルの経理並びに丸明旅館の会計、こういったような人たちから━━━━━━━━━━━━━━━━━もし必要があればだれがそういう責任者としてわれわれに明らかにしたかという名前をあげてもよろしゅうございますが、これはこの人たちは普通の会社の人でございますから私は申し上げません。しかもけしからぬことには、これも調査して下さい。この運輸審議室長なる人が一月の二十日に━━━━━━━━━━━━━━━━━その後の結果があったのか、そこのところわれわれまだ調査はできておりませんが、こういう添えものまである。これで私は大体法律屋ですが、これらの人は国家公務員ですから、これははっきり━━━ですよ。その利害関係者から━━━━━━━━━━を受けておるということになれば、私が━━すればこれは━━━ものですよ。そうでしょう。あなたもそう思われるでしょう。こういうことが運輸審議会で、しかも運輸省の直属の審議会で行なわれておる。これはおそらく全国の事例の一端だと私は思う。どこにいったってこんなことばっかりやって、━━━━━━━━━━━━━━━━━そうして帰ってきて涼しい顔して答申をする。その答申の内容はもう聞かぬでもわかってるじゃないですか。だれでも人情が移りますよ。これはみんな既存業者の利益を擁護するための答申であるに違いない。こういうようなことでは、まるで仕事はできませんよ。十分この点を調査して、次会に答弁していただくし、━━━━━━をやって下さい。そうでなければ、今千件免許の申請があるということになれば、千件は問題ですよ。こういう人たちの運輸審議会の答申で運命がきまるということになれば、これはたまったものではないですよ。ここで運輸審議会にメスを入れて下さい。そうしなければこれは大きな問題だ。
  92. 細田吉藏

    細田政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたことは、お説の通り非常に重大な問題でございまして、大臣にもこの旨を申し上げまして、私どもよく調査いたしました上でお答え申し上げたいと思います。
  93. 木原津與志

    ○木原委員 時間がありませんから、これでやめまして、厳密な調査の結果の報告を求めます。      ————◇—————
  94. 平井義一

    平井委員長 この際お諮りいたします。目下地方行政委員会において審査中の道路交通法案は、本委員会といたしましても非常に関係がありますので、この際地方行政委員会に連合審査会の開会の申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 平井義一

    平井委員長 異議なしと認め、さよう決しました。  次会は来たる八日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開催することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三分散会