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1960-03-18 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十八日(金曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 川野 芳滿君    理事 關谷 勝利君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 土井 直作君       宇田 國榮君    大久保武雄君       高橋 英吉君    竹内 俊吉君       長谷川 峻君    原 健三郎君       福家 俊一君    三池  信君       村瀬 宣親君    山田 彌一君       島口重次郎君    下平 正一君       正木  清君    横山 利秋君       内海  清君    菊川 君子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 楢橋  渡君  出席政府委員         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (航空局長)  辻  章男君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     大石 重成君         日本国有鉄道常         務理事     兼松  學君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月十八日  委員三木武夫君、河上丈太郎君及び山花秀雄君  辞任につき、その補欠として大久保武雄君、下  平正一君及び横山利秋君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員大久保武雄辞任につき、その補欠として  三木武夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣  提出第六三号)  航空に関する件(名古屋空港における航空機衝  突事件)      ————◇—————
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  航空に関する件について調査を行ないます。  去る十六日名古屋空港において発生した航空機衝突事故について楢橋運輸大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
  3. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今回の名古屋空港における航空事故につきまして、御報告を申し上げます。  三月十六日午後七時三十八分、名古屋空港滑走路に南側から北方に向けて着陸いたしました全日空輸の下り二十五便DC3型機は滑走後百八十度旋回し、誘導路に向かおうとしておる際、同じ滑走路の南端から北方に向けて離陸滑走中の自衛隊ジェット機を認めました。双方においておのおの左に相手機を避けようとして間に合わず、接触衝突したものであります。このために、全日空機の乗客二名とスチュワーデス一名が死亡し、五名の重傷者と若干の軽傷者を出したのでありますが、これはまことに所管大臣として遺憾のきわみでありまして、これらの人人に対して深甚な哀悼の意をささげ、また負傷した方々に対しましても、慎重なお見舞を申し上げておる次第であります。  この事故原因につきましては、空港管制官指示が適切であったかどうか、その指示が適切であったものとして、航空機側におきましてその指示通りの行動をとったかどうかということを中心といたしまして、現地において運輸省防衛庁、検察庁、警察等が協同いたしまして調査に当たっておりましたのでありますが、その結果、空港管制官指示全日空機の所在の誤認に基づく不適切なものであったという疑いが持たれまして、担当管制官が逮捕されたのであります。しかし、一方において、管制官指示によりまして離陸滑走を開始した自衛隊ジェット機側におきましても、滑走路上全日空機標識等誤認し、滑走路が完全にあいている状態を確認せず離陸を開始した点、その措置の適切でなかった点の疑い等も生じておることが現地によって報告されておるのでありまして、従って、今回の事故原因について、さらにその究明に努力する所存でございます。  運輸省といたしましては、事務次官を長とする事故対策本部を設けまして、当面の善後対策を至急講ずるとともに、今後の事故発生を絶滅するため、原因を究明し、諸般の対策を樹立することにいたしておる次第であります。航空行政を預かるものといたしまして責任を痛感いたしておるのでありまして、不幸惨事にあわれました方々への弔慰見舞金あるいは損害に対する補償等の問題につきましては、目下事件明確化を待ちまして、至急処置するように考究いたしておるような次第でございます。  以上、御報告申し上げます。
  4. 平井義一

    平井委員長 質問の通告があります。これを許します。大久保武雄君。
  5. 大久保武雄

    大久保(武)委員 ただいま大臣から経過の御報告がありましたが、まことに今回の事件は不幸な事件であり、また日本におきましては最初事件と言われておりますけれども、これからかような事件が繰り返されないとは保しがたいのでございまして、航空交通のますます激化していく将来を考えますと、この際において将来予見されるべきあらゆる対策を講じておくことが最も必要であろうと考える次第であります。かような意味におきまして若干の御質問をいたしてみたいと思うのでございます。  第一に、今回の事故発生の主たる原因と目される管制の掌に当たっておった職員練習生だということを聞くのでございますが、これははたして事実であったのかどうか、練習生でありましたならば、その練習生責任の限界はいかん、また権限はいかなる権限練習生は持っておるのか、また一体さような練習生といったような実地見習いに重要なる管制実務を当たらしておる場所はほかにどれだけあるのか、この点を一つ明確にしていただきたい。これは大臣でなくても事務当局でもけっこうです。
  6. 辻章男

    辻政府委員 お答え申し上げます。ただいま大久保委員からの御質問でございますが、あの事故発生当時、全日空機及び自衛隊機管制指示承認等を与えました管制を担当しておりました者は、ただいま先生からお話がございましたように、いわゆる見習い中の者でございます。どうしてそういう者がそういう重要な仕事に携わり得るかということでございますが、これは大体管制塔運営につきましては三名ないし四名が一グループになって運営いたしておりまして、そういうふうな見習いのような者が当たります場合には、必ず監督者がおりまして、これが誤った指示を与えた場合に、それをすぐ訂正するという制度をとっております。あの名古屋管制塔事故発生当時におきましてもベテラン管制官がそれを監督しておった次第なんでございますが、事情を私ども調査したところでは、その管制官もその誤認をしたことにつきまして見のがしたような状況に相なっております。
  7. 大久保武雄

    大久保(武)委員 全国でどのくらいの飛行場にさような練習生が担当しておりますか。
  8. 辻章男

    辻政府委員 ただいまその個所を、全体につきましてはさっそく調査いたしまして報告申し上げたいと思いますが、ただこの際名古屋空港だけではございませんので、全国相当数そういう者が派遣されております。この管制官のそういう配置につきまして、簡単に御説明申し上げますと、大体採用いたしまして私どもの方で六カ月の研修をいたしまして、それから各地に配属いたしまして、ただいま申し上げたような勤務を九カ月させまして、それからその間に、所長等の推薦によりまして九カ月後におきまして管制官の試験を受けさせまして、そこで初めて一人前の管制官になるという制度をとっております。
  9. 大久保武雄

    大久保(武)委員 これは非常に重要な問題ですから、局長は、どこにどういう資格の人が管制に従事しておるかということは、平素からよく掌握しておいていただきたい、かように思います。  それから、今お話がありましたが、監督者が現場におったということでありますが、何人いたのか、またその監督者構成はどうなっておるのか、自衛隊飛行場を一部使用しておるということだそうでありますが、自衛隊員管制官の中に入っておったのかどうか、こういう点についてお答えを願いたい。
  10. 辻章男

    辻政府委員 事故の当時の名古屋管制塔の組織は、運輸省職員が二名でございます。それから自衛隊から派遣されておられます方が一名、計三名によりまして管制塔運営をやっておったわけでございます。それで運輸省の方の職員の一人が、昨日逮捕されましたその管制練習生でございまして、もう一人がベテランの、これがあの当時管制塔管制仕事の全体を監督いたしまする地位にございました。これは管制官職員でございます。それから、自衛隊から派遣されておられました方は、これは名古屋だけではございませんで、すべて管制補助ということで仕事に当たっていただいておりますが、名古屋の当時の場合におきましても、同様の資格仕事をしていただいておったわけでございます。
  11. 大久保武雄

    大久保(武)委員 自衛隊から来ておった人が管制補助だということでございますが、自衛隊から来ておった人もやはり管制業務に従事することがあると見なくてはなりませんが三人で構成をしておりますから、自衛隊機が出たり民間航空機が出たりしますから、必然自衛隊職員民間航空に対しましても管制に従事する、こういうことになりますが、こういったような自衛隊職員補助的な意味において管制業務を実施した場合の責任。それが民間航空に問題が起こったといったような場合における責任というのは、それは自衛隊職員が負えますか。
  12. 辻章男

    辻政府委員 その点に関しましては、事故の起こりました当時の名古屋管制塔配置から申しまして、もし自衛隊の方のかたの何か手落ちがございますれば、そういう点につきましては、先ほど申し上げましたベテラン管制官が、部分的には監督責任において、ちょうど私どもの方の管制見習いに対してこれを監督する立場にあると同じような形でこれを監督する立場にあるわけでございます。
  13. 大久保武雄

    大久保(武)委員 非常にその点の責任の分界というものが支離滅裂になっておると思いますが、運輸省関係見習生管制官といって、その上に主任管制官がおる。また自衛隊職員が、これは何らの身分を持たずして民間航空管制業務にも当たることがあり得る。しかしそれは主任官が統括をしておるんだ。そうい点において管制上の権限連絡統制というものが何もないままに管制業務運営されておるのではないか、かように考えられるのですが、この点はどういうふうに判断されますか。
  14. 辻章男

    辻政府委員 その点につきましては、ただいま大久保先生からの御指摘がございましたように、何と申しますか、制度といたしましてすっきりしない点があるように感ぜられるのでございますが、私どもといたしましては、防衛庁とも御相談いたしまして、この制度改善をはかっていきたい、かように考えております。
  15. 大久保武雄

    大久保(武)委員 何でも近く提案される航空法改正によりますと、運輸大臣防衛庁長官管制業務の一部を委任することができる、こういったような改正案をお出しになるということでございますが、この委任するということは、私さっき申し上げたように、航空管制ということは一元化していくことが一番よろしい、こういうことであるならば、また今までは運輸大臣がとっておられたのを今度は委任をする、こういうことになると、せっかく一元化しておったのがまた分かれる、一部は委任される、こういうことにもなるのですが、そういったような委任した場合に、防衛庁長官運輸大臣指揮監督ができますか、私はできぬのじゃないかと思う。
  16. 辻章男

    辻政府委員 これは今御指摘がございましたように、私ども、今国会に航空法改正を提案いたしまして御審議願いたいと思っておるのでありますが、その中に管制の一部を防衛庁長官委任するということを考えております。今そういうことでは二元的になるのではないかというふうなお話がございますが、現行の管制の態勢はどうなっておるかと申しますと、現在は、公共飛行場その他公共航空に関するところだけにつきまして管制圏及び管制区が設定し得る。その管制圏管制区という範囲に関しましてのみ航空交通管制が行ない得る建前になっております。従いまして、あるところに防衛庁専属飛行場がございまして、これが常時民間機が使用しないような公共用飛行場でないというような場合でございますと、これは現状のもとにおきましては全然航空交通管制のらち外に置かれます。またこれを航空交通管制の及ぶ範囲にすることもできないわけでございます。よく考えてみますと、たといそういうところの飛行場の周辺の空間にいたしましても、日本全体の航空交通の見地から申しますれば、区域においては一般航空交通に至大な関係を有するところもあるわけでございまして、私どもはこの法律改正によりまして、公共用でなくても必要なりと認められるところには、航空管制圏あるいは管制区を設定いたしまして、航空交通管制範囲に入れ得るようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。  それでは現在、先ほど申し上げましたような防衛庁専属飛行場におかれては、いわゆる管制的な業務はどういうことにされておるかと申しますと、私ども航空交通管制でやっておる飛行場管制につきましては、全然同じことをやっておられるのでありますけれども、これはただ航空交通管制とは呼ばれずに、自家用飛行場において整理のため私的に事務をやっておられるということになっておる次第でございます。これをこのたびの改正によりまして、そういう飛行場航空交通管制としてやる場合に、そういう航空交通管制業務をすべて運輸大臣指揮下にあります職員でやることが適当であるかどうか、むしろそういう場合には、航空交通管制下には入れるけれども、それは従来通り防衛庁職員におまかせしていいではないか、防衛庁にも航空交通管制部隊という部隊を持たれまして、訓練その他はやっておられる次第でございます。ただ、今御指摘がございましたように、そういうことになって航空交通管制というものを防衛庁長官委任したことによりまして二元的になったのでは非常な支障がございますので、運輸大臣委任いたしました仕事航空交通管制業務範囲におきましては、防衛庁長官運輸大臣統制に服するという規定を置きまして必要があれば指示し、それによって航空交通管制の一元的な体系は保っていきたい、かような考えでございます。
  17. 大久保武雄

    大久保(武)委員 非常に重要な点なんですが、その指揮監督統制、今統制という言葉で表わされましたが、これは初めての法律用語かもしれないと思うのですけれども統制という言葉の持っておる法律内容というものは一体どういうものですか。防衛庁では今管制部隊まで作るということでありますと、私は運輸大臣がそれを指揮監督できないように思うのだが、運輸大臣統制されるということでございますが、運輸大臣はどういうことをなさるのでございますか。これは大臣からでもけっこうですが、一つその辺のところをとくと御説明願いたいと思います。
  18. 辻章男

    辻政府委員 この統制という言葉の持つ範囲でございますが、これは必要な指示をなし得る、また必要な監督もなし得るという解釈でございます。
  19. 原健三郎

    ○原(健)委員 関連して。今、航空局長は、航空管制業務ははなはだ不備であるということを認められて、これから改善していきたい、こうおっしゃる。今から研究するのでは間に合わない、研究しておるはずだから、この際改善策運輸大臣から具体的に示していただきたい。
  20. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今申し上げましたように、航空管制重要性にかんがみまして、今運輸省がやっておる航空管制外にある、自衛隊が独自にやっておるものは、運輸大臣指揮下といいますか、統制下にこれを指示し、かつまた一元的に、それは防衛庁の方の面であろうとも管制に関しては運輸大臣によってやっていく。同時にこの管制の強化問題の内容等につきましては辻航空局長から説明いたさせます。
  21. 辻章男

    辻政府委員 航空交通管制について今後どういうふうに改善考えておるかという点でございますが、これは非常に基本的な問題と応急的な問題と、いろいろ問題が多岐にわたっておると思うのであります。また国の財政的な問題もからみますので、私どもも現在の航空交通管制業務のやり方その他につきまして、私ども立場から申しますれば必ずしも現状に甘んずるものではございませんで、われわれ年来思っておりますことは、なお航空交通管制について機械化によってその適正を期したい、たとえば今各国でも使いつつあるのでございますが、地上のレーダーがございまして、これによりますれば、飛行機が現在滑走路にあるかどうかというふうなことを肉眼で見ますと同時に、そのレーダーによりましてなおはっきり確認できる、そういうふうなレーダーの施設でございますとか、また今天候の悪いときには盲目着陸装置普通GCAといっておりますが、羽田初め千歳、大阪あたりにつきましてもこれをやっておるのであります。最近ILSという、それよりもなお高性能の機械ができて参りまして、これによりますれば着陸いたします時間が非常に節約になり、かつ的確になお精度を増していく。これは現在羽田で設置中でございまして、近く完成の予定でございますが、こういうものを国内の主要空路にも設置していく。また管制官待遇等の問題も、この仕事は非常に神経を使いまして、しかもその責任が非常に重大なものでございます。私どもとしては、こういう特殊な業務に対しましては、一般の公務員と違ったような待遇、つまり一般よりもよい待遇を与えたいということで、実は年来努力して参ったのでありますが、現在わずかに特別手当として僅少の手当がついておるだけでございますが、これらの点につきましても機会がありますれば何とか待遇をよくしていきたい。それからまた先ほども指摘がございましたように、これは私どもも深く反省しなければならぬと思うのでございますが、六カ月の研修の者をすぐに第一線に出すというふうな点につきましても、これは運輸省だけの問題でございますので、さっそく検討いたしたいと思います。また管制規則によりまして、それを基準にして管制官が各飛行機指示を与えておるわけでございますが、そういう指示の与え方に非常に錯誤なり不明確になるようなおそれがある個所があるかないか、これもさっそく検討いたしまして改善策を講じていきたい、かように考えておる次第でございます。
  22. 平井義一

    平井委員長 ちょっと大久保委員に申し上げます。航空法改正はまだ本委員会の議題となっておりませんので、航空機衝突事故について質問をお願いいたします。
  23. 大久保武雄

    大久保(武)委員 ただいまの委員長お話のように、これはまた航空法の問題で検討することにいたしまして私がここでお尋ねしたいのは、飛行場の衝突問題を今しきりに航空局長も話されましたが、将来に向かっては飛行機空中衝突ということがあり得ると思う。アメリカ辺では空中衝突がひんぱんに起こっておる。日本のような狭隘な国において、航空路線がどんどんふえていく、ジェット機の使用がふえていくということでございましたら、今後空中衝突ということが非常に多くなってくると思う。そうすれば、たとえば今航空局長も言ったように、その飛行場自衛隊だから自衛隊でやる、あるいは委任する、これは民間だからこっちでやるといっても、空中においてはお互いに交錯しているんだから、そういうことで権限委任その他をしておったら大へんだと思う。そこで私は今後の一つ制度問題——機械的な、科学的な操作法については言われたけれども制度の問題においてもやはり考えていかなければならぬのではないか。航空法委任する、この問題は航空法でやるとして、将来航空管制業務の一元化をする、空中衝突の予防まで含めた意味において、何らか航空保安行政管制行政を一元化するような道、そういうようなことについての考えがあるかどうか。アメリカにおきましては、CARといったような機関民間航空機関と車の管制業務お互いに分離しておったがために空中衝突がひんぱんに起こって、その結果これではいけないというので、アメリカにおいてはCAAという一つ管制業務の特別の機関を作って軍民を一体とした管制業務を最近実行することになっておる。これらの点について日本はどういうふうに考えておられるか、これは大臣から御答弁願いたい。
  24. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ただいま大久保委員のお説はごもっともでありまして、本日閣議におきまして私からも発言を申し上げたのですが、今回の大きな惨事は、やはり管制制度の不備という点がはっきりいたしておりますので、どうしても自衛隊並びに民間航空、そういうようなものを全一元的にする、独立した管制制度というものを強化して、これによって事故防止をやり、航空安全の確保をはかる必要がある。従ってそういうような観点について至急再検討をするということを発言もし、また総理もそれを了承したような次第であります。従って、そういうものについて運輸省におきましても、さいぜん御報告申し上げましたように、運輸次官を長といたしまして委員会を作っておりますので、そこでさっそく取り上げまして、防衛庁その他とも協議をいたしまして、そういう制度の確立に持っていきたい。特にこの管制官耳待遇等は驚くほど悪いといいますか、非常な精神的な労働をさせながらも、いろいろな規則上、人事院その他大蔵省等関係から、今まで航空局等においていろいろと努力しておりますけれども、なかなかうまく打破できないが、今回のこういうような事態を契機といたしまして、そういう制度も、安定するような制度、しかも優秀な技術者が安定して仕事ができていく——これは御存じのように、一つの誤りをやれば莫大なる人命及び物質的にも被害を与える最高の重大なる職務でありますから、そういう線に沿って至急立案してみたい、こういうように思うのであります。
  25. 大久保武雄

    大久保(武)委員 ただいまの大臣の御説明で了承いたしましたが、私も管制官の定員、待遇、こういう問題は、今大臣お話のように責任の重大さと関連いたしまして、一つ今後十分御努力を願いたいということを希望いたします。  最後に私がお尋ねいたしたいと思っておりますのは、これは防衛庁関係がございますが、今回新聞で見ますと、逮捕されましたのは練習生である管制官だそうでございます。練習生にすっかり責任を負わしてしまっておるということですが、一体主任管制官責任がないのか。また防衛庁操縦士は、なるほど管制から発進許可の指令があっても、それは無鉄砲に飛び出してもいいということではなかったと思う。ゴー・ストップがあっても、やはりそこに注意義務というものは、陸上交通といえども要請されると思うのです。なるほど灯火誤認したということでありますけれども、いやしくも飛行機乗りであるならば、その土建屋灯火と、飛行機の前灯ですか、あるいは窓の火もありましょうが、そういった灯火とを誤認するというようなことでは、はなはだ飛行機乗りらしくもないし、その辺の注意義務において防衛庁は完全であったとお考えになっておるか、この点は防衛庁からお答えを願いたい。
  26. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 今お尋ねになりました点はごもっともなことであります。私どもが話を聞きましたときに、その点について最初注意をしたのでございます。ただいままで私の方に参っております報告からしますと、当時の状況は、全日空飛行機は、両翼端あかりと尾翼に一つあかりをつけておったようであります。ただそれがどの程度に見えたかということでございますが、大体において晴天の状況であったということであります。それから自衛隊飛行機が出発しましたところと、全日空飛行機がおりましたところと、千数百フィートほど離れております。ずっと向こうの方に工事中のあかりがあったということも、一つの条件になると思います。私どもはやはり飛行場には、離陸を許可する場合におきましては飛行機がいないということが原則であるということを、一つ頭に入れなければいかぬ離陸のときには、自分の飛行機がスタート・ラインの滑走路の中央に位置しておるかどうかということを、パイロットとして注意しなければいけない。計器の整備がどうかということの順序がございまして、これを見てから行くはずでございます。そこらの点を考えまして、最終的な結論は、いずれ警察とか検察庁とかの御調査で判明すると思いますが、今のところはあれ以上の注意義務を要求することは困難であったのではなかろうかというふうな一応の結論に達しております。
  27. 大久保武雄

    大久保(武)委員 私は飛行機操縦の一番大事な点は離発着にあると思う。私は離陸と着陸の場合は、普通の注意義務以上の注意義務を課さなければならぬと思う。船舶におきましても、入港する場合におきましては船長が指揮をするということと同じでありまして、そういう点におきまして、自衛隊あるいは民間におきましても、離発着に関する注意義務というものは一段と加重されなければならぬということを、あらかじめ御認識願いたいと思うのでありますが、もう一つお尋ねしたいと思うのは、どうして操縦士が助かったか。あれだけの衝突をして、自衛隊ジェット機は焼けておりますから、私は当然自衛隊員も死んだと思っておった。ところが助かっておる。どうしてこれが助かったか、その点の事情を御説明願いたい。
  28. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 ジェット戦闘機につきましては、これは御承知かと思いますが、非常な危険がございますので、ボタンを押しますと天蓋と一緒に飛び出すような装置があるのでございます。それをあけて飛び出したというふうに私どもは承知しております。
  29. 大久保武雄

    大久保(武)委員 私は問題はそこにあると思うのです。なるほどジェット機は非常な速力を持っておって危険が伴うから、ボタンを押すことによって天蓋がはずれて自助的に飛び出す、これはよろしい。自衛隊員の生命を守る上においてよろしい。しかし、飛行機乗りであるならば、その瞬間においてボタンを押したということは、前方にダグラスDC3がおったということを認めたわけです。認めたから、そこには三十幾人のとうとい人命と財産があるということを、そこでその人は自認したわけです。自認したときに、ボタンを押して自分がジェット機から飛び出すことを考えるべきであるか、あるいは死力を尽くして、最後の瞬間において自分のジェット機を急旋回さして——これはぶつかるかもしれぬけれども、ぶつからない最善の努力をなぜしなかったか。私は、自衛隊員が、飛び出すことを考える前に、なぜ急旋回しようとする措置をとらなかったか、この点を一つ御説明願いたいと思います。
  30. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 この点はぜひ説明しなければならぬ点でありますけれども、私どもは十分その点を検討したのでございます。自衛隊飛行機は大体百ノットのスピードで走っております。そうして認めましたときに、すぐ左に旋回しております。同時にラダーをしぼりまして、浮力をつけて上がっております。上がりましてから、車輪が全日空機の翼に触れてひっくり返った。そのまま正面にぶつかったら大へんなことになったと思います。
  31. 大久保武雄

    大久保(武)委員 車輪が、ぶつかるまでに旋回の角度をとられたということは、認めてやってよろしい。しかしもう一歩努力されたならば、その車輪も触れぬで急旋回ができたかもしれぬ。飛行機乗りは、源田サーカスといわれるように、一種のサーカスみたいなものだ。ほんとうに瞬間的な勘というものは、相撲と同じですよ。ほんとうにここだと思う瞬間の問題が、事故を未然に防ぐことがあり得る。それが飛行機乗りの訓練だ。あなた方はそこのところは訓練しておるはずだと思う。それが訓練できなかったら、空中戦に勝てやしません。そこでその瞬間の一つの勘によって、三十名のとうとい人命と財産を守るということが、私は自衛隊の精神でなくてはいかぬと思う。自衛隊の精神は、国民の身体、生命と財産とを守るということだ。そういう前提があるならば、自分の飛び出すボタンを押す前に、もう一ぺん操縦桿を最高限度まで振り変えてみるという努力をなぜされなかったか。私は、自衛隊の根本の訓練のやり方において、国民の生命と財産を守るためには自分が死力を尽くす、自分は死んでも国民の方を先に守る、こういう精神を植えつけてもらいたい。私はこの点が若干遺憾があると思う。最善は尽くされたけれども、もう一つ突っ込んだ最善が尽くされておらなかったと思う。この点はもう一ぺん防衛局長から御説明願いたい。
  32. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 私は、パイロットとしましても最善の注意を払ったものだと思っております。このパイロットは飛行時間二千時間以上のパイロットでありまして、ジェット機にも千時間以上乗っております。ジェット機の操作にも十分なれておりましてただ問題は、その角度を変え、浮力を上げたときにどの距離まで近づいておったか、どの距離に達したときに全日空機を見たかということにあるのではないかと思います。発進したときはよく確認をしていなかった。近づいて見てそこで急に方向を変え、かじを上げたけれども、それは百ノットくらいのスピードで走っておりますから普通の飛行機のように簡単にいかなかったということじゃなかったかと思うのでございます。
  33. 大久保武雄

    大久保(武)委員 この点は私は最後に念を押しておきたいと思いますが、今後軍民の飛行場の共用あるいは空中における交通というものはますますしげくなって参りますが、私は自衛隊の精神というものは、おのれをなげうって国民の生命と財産を守るということにあると思う。そこで、さような場合において、まずみずから飛び出すということがやむを得なかったかもしれぬけれども、私は最後まで死力を尽くして国民のために尽くすということだけは、飛行時間が二千時間であろうと何であろうと——私は昔飛行機関係しておりましたから、二千時間がどのくらいのことかということはわかりますけれども、二千時間という問題を越えた人間の精神問題というものが大切だ。この点を、自衛隊の精神としては一番大事なことですから、私はあなたを非常に信用しておるんだが、今後とも部下を督励してやられるようにお願いしたい。これをもって私は終わります。
  34. 關谷勝利

    ○關谷委員 関連して。時間の制限がありますので簡単に御質問申し上げますから簡潔にお答えを願いたいと思います。今度の事故原因は、結局航空管制官のミス・オーダーであるというようなことに結論がなってくるようであります。その間にたとい自衛隊操縦士の過失が多少あるといたしましても、これは将来の問題でありますが、それにいたしましても国の責任であるというふうなことが言えるわけでありましてこういうふうなことが再び起こらないようにしなければならないのでありますが、今までにこういうふうなことにつきましては、航空管制の人的な面からは、あのような航空管制の要員というものは、アメリカあたりは非常に高度の待遇をいたしておりまするし、権威のあるものである人間がやっておるのでありまして、どこの国におきましてもこういうふうなものは相当の訓練ができておらなければならぬのであります。今までこういうふうなことを低い給料で、そうして何と申しますか、非常にやりにくいような境遇に置いておくというようなことが間違っておるのであります。以前に三原山の日航機の事故がありました。あのときに私、委員会を作りまして、その事故原因を究明いたしましたところ、占領中でありますので、あの当時パイロットの責任であるということでこれは終止符を打ったのでありますが、あれは日本政府にも責任がない。アメリカの方にも責任がない。それから日航機の信用を落とさないという角度から考えて、私たちはあの委員会ができたとき、最初からあの結論が出るというふうに承知しておったくらいでありますが、あのときの実情もミス・オーダーであったということであります。これは、真相はそうだということは、私はそれの直接の人からも聞いておるのでありますが、ああいうふうなミス・オーダーをやったその際に、将来こういうことは再び繰り返さないようにということで、航空局としては深く考えてこの人的あるいは施設の面、両方面からこの管制の強化ということをはからなければならない。それが今までやってなかったということはまことに怠慢といわなければならぬ。こういうふうな事故が起きて初めてまた思い出したようにこれからどういたしますというのでは、私は答弁にならぬと思う。そうして今の、これから先には待遇も向上しようし、それからいろいろ訓練もして、そうして権威あるものにしようというふうなことでありますので、その点は、私はやがて航空法改正の際にどういうふうなことをするのか、具体的に伺いたいと思います。なお施設の面におきましても、昨年久保三郎君でありましたかが名古屋地方を視察いたしました際に、あそこの、先ほど局長が答弁しておられましたGCAをLSに変えるのだというふうなことを言っておりますが、昨年の十月の報告の際に、こんなものではいかぬのだ、軍が戦時中に使っておったこんなものでは民間航空にはだめなので、そういうふうなものを早くしなければならぬ。こんなものを使っておるのは日本と韓国だけだというふうなことで、その際に、はや注意が与えてある。これを早くやらなければならぬというようなことは、これはよくわかっておりながらこれが今までできていないというふうなことも、私はこれはなぜこういうふうになったのかというふうなことも聞きたいと思うのであります。これは今やっておるということでありますので、私は早急に完成してもらいたいと思うのでありますが、以前にこのミスオーダーで事故を起こし、それがただパイロットの責任だというのであの場合を糊塗したからというので、それから後の改善策ができておらなかったことは、私はどうしてそういうふうなことができなかったのか、あまりこれは人命というふうなことを軽く見ておる結果ではないのかというふうなことを考えるのでありますが、この待遇改善とか権威ある高度のものにするという場合の具体策をいつまでに考えられるのか、この施設の改善がいつまでにできるのかということを、私ちょっとお尋ねを申し上げたいと思います。
  35. 辻章男

    辻政府委員 まことに管制現状は、ただいま関谷先生から御指摘ございましたように、私どもといたしましても深く反省しなければならぬ点が多々あると思うのでございます。ただ私どもといたしましては、微力ではございますが、現在まで与えられた予算の範囲内では最善を尽くして参ったつもりなのでございます。不幸にしてこういう事故を起こしましたことにつきましては、まことに申しわけないと思っております。将来の問題といたしまして、御指摘がございましたような施設、資材の整備、また人的な面におきます充実等につきましても改善策を至急に検討したいと思うのでございます。ただ、今年次的に、あるいはいつまでにその結論が出るかというお問いがございましたのですが、今のところちょっと時期までは申し上げるまで具体化しておりませんので、その点なおしばらく検討の時間を与えていただきたい、かように考えておる次第であります。
  36. 關谷勝利

    ○關谷委員 管制官の高度化といいますか、権威あるものにする点並びに施設の改善は、これは年次的とは申しますが、これは重点的に重要な面から早くやって完成して、再びこういうふうな事故の起こらないように、私は早くやっていただきたいと思います。  それから刑事責任につきましては、これはいろいろ今警察当局あるいは検察当局等でやっておられますので、その点には私は触れません。ただこういう事故を起こさないようにするために、将来自衛隊飛行場民間飛行場というものは区分するような方向に持っていかれるのかどうか、この点、大臣に御答弁を願います。
  37. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今、關谷委員のお尋ねの点でありますが、本来から理想的に言えば、どうしても民間航空とそれからああいう防衛庁ジェット機と緒に同じ滑走路でやるということは避けたいと思うのでありますが、しかし予算その他財政等々の関係もありますので、急速にこれを実行するということはなかなか困難であろうと実は思うのであります。しかし千歳その他方々を見ましても、ジェット機航空自衛隊の練習というものは相当激しく行ないますので、ことに關谷委員も御存じのように、旅客機とジェット機とのスピードの差からくるコントロールその他が、非常にこれはむずかしい問題等も包蔵いたしておりますのでこれは当面の問題といたしましては、防衛庁の長官と私との間にその点の一つ調節をしようということも、きょうも話し合いをしたような次第でありますが、でき得べくんば将来やはり民間航空とこういうものと分ける。ことに定期的に入ってくるこういう民間航空の国際的あるいは国内的重中性から、その安全を確保するということは、相当優位に考えなければならぬという考え方を持っておるのでありまして、一方、防衛庁それ自身も、練習その他については、国家的に重要な仕事でありますから、その辺のことを何とか分けていけるような方向に逐次持っていくように努力いたしたい、こういうように思うのであります。
  38. 關谷勝利

    ○關谷委員 それからこれは航空局長防衛局長と、両方に尋ねしたいのでありますが、電波で連絡をいたしておりまするのに、民間航空のと自衛隊のとは波長が違うので、そのために、ジェット機指示をしたのは民間航空の方へはわからない、民間航空の方へ指示をしたのはジェット機の方へはわからないのだというような、これが今度の事故の大きな原因になっておるのだというふうなことも聞いておるのでありまするが、この波長を合わす——かりに波長を合わせておったならば、ジェット機離陸指示をした場合に、DC3の方は、これは大へんだというので、急いで、たといそれが滑走路でなくても、芝生の中へでも突っ込んでいたと思います。波長を合わせて管制を統一するとか統制するとか、いろいろなことを言いますけれども、波長が違っておるのではそういうふうな不便も起きてくるので、今度の場合でも、波長が同じであったならばこの事故はなくて済んだのではなかろうかというふうなことも考えられるのですが、波長の関係について、両局長の間でお打ち合わせをしたことがありますか。
  39. 辻章男

    辻政府委員 お答え申し上げます。ただいま關谷先生から御指摘がございましたが、実はこれは電波的に申しますと波長の違いでございますが、実は今日本の民同機が持っておりますのは、VHFという型の無線機械なんでございます。それから、防衛庁飛行機の積んでおられまする無線機はUHFということで、形式が全然違うのでございます。それで、ただこの波長を合わせればということではないのでございまして、ただいまお話がございましたように、民間機に対する指示防衛庁飛行機が、また防衛庁に対するものを民間機がやりますには、その機械を統一しなければならぬという問題が出てくるわけでございます。それで、これは御指摘もございましたように、非常に順番を待っておりまする飛行機等につきましては、今自分よりも先に、たとえば滑走路におって発進を行なったというふうなことを聞くということは、管制上におきましても、非常に利点がございます。また飛行機としても、自分に今度くるであろう指示に対する心待ちもできるというふうに、便宜があると思うのでございますが、今の航空交通管制というものは、一応の建前といたしましては、個々の、自分に対する管制塔からの指示を受ければ、他方の飛行機に対する指示は聞かなくても、それでやり得るのだという一応の建前に立って運営しておりますので、ただいま申し上げたようなそういう利点というものは、そういう機械を統一されれば反射的に利益があるので、それは非常にけっこうなことだけれども、今までのところ、それを必ず統一しなければ管制の完全を期しがたいのだ、そういう見解には立たずに、今日まできておったわけであります。運輸省側の今までの事務的な見解を申し上げました。
  40. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 ただいま航空局長お話しになりました通りであります。自衛隊の戦闘機は、その用法からいたしまして、チャンネルの数の多いUHFを使っておるわけでございます。ただ、それを、そういう飛行場の離着陸の関係からいたしまして、VHFの方に合わせるということになりますと、これは非常に困難な問題が起こるかと思います。
  41. 關谷勝利

    ○關谷委員 この点はあとでよく研究せられまして、どちらが将来事故をなくす上に有利なのか、その点よく一つ考えおきを願いたいと思います。  それから最後に私お尋ねしたいのでありますが、いずれにいたしましても、これは刑事責任は別ですが、この損害補償というようなことにつきまして、そうでなくても全日空あたりは非常に経営がやりにくいというような状態でありますが、今度の際に、もちろん機体にも保険がついておりましょう、それから各シートごとに保険が、人命に対するものはついておるということでありますので、その点はまあ保険でまかなえるのであろうと思いまするが、しかしながら、これから先の一番繁忙期と申しますか、一番、全日空でいえば書き入れどきになりますが、その書き入れどきに、今でさえ飛行機がないので困っておるような全日空でありますが、これは国の方に過失があって、そしてこういうふうなことになりますと、その間の、何といいますか、ローカル線あたりを十分に航行するための飛行機の数が足らぬことになってくる。今でも足らぬものがさらに足らぬということになってきますが、そういうふうなことは国の責任ということになれば、国の方でまかなってやらねばならぬと思いますが、この具体策は何かお考えになっておられますか。
  42. 辻章男

    辻政府委員 全日本空輸の飛行機を一機なくしましたことによりまして、ちょうどこれから春のシーズンを迎えまして、常業的にも非常に不利益になるということは御指摘の通りだろうと思います。この点につきましては、まだ全日本空輸の補充の計画等も伺っておりませんが、私どもこの事故によりまして、全日空は経済的に非常なそういう損失をこうむられたばかりでなしに、また全日空事故を起こしたじゃないかというふうな、一般方々に悪い印象を起こさせまして、その点非常に相済まなく思っておる次第でございます。全日空の方のそういう計画が出て参りましたら、できるだけ行政的な面におきましても便宜をはかるように考慮したい、かように考えております。
  43. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 簡単に関連質問をいたしますが、辻航空局長お答えを願いたいのであります。私は当委員会の国政調査といたしまして、昨年の七月、久保委員とともにこの小牧の飛行場を視察いたしました。そのときに特に感じましたことは、航空管制官に対する処遇その他の点について、これで完全に責任が果たせるものかどうかということを、現地において非常に不安に感じたのであります。もちろん今回の事故が過失に基づくものであって、人命並びに国富の上に非常な損害を与えたその責任は、あくまでも追究せねばならぬと存じておりますが、現地に行ってみましたときに、あのかまぼこ小屋のようなまつ暗なところで、狭い、肩すれすれのところでレーダーを見ておる現状、当時夏でありましたが、全く息も詰まるようなところで、この貴重な任務についておったのであります。あるいは炎天下、高いところから全飛行場を見おろしての神経をすり減らすような航空管制官の勤務というものが、普通の状態でないことを現地においてつぶさに見たのであります。そのときの説明によりますると、あまりに責任が重大であるので、精神的に非常に負担が多いために、気違いというほどではないが、とにかく精神異常を来たす者が数人出た。しかしこれは遺伝とか肉体的な神経系統ではないのであって、静かなところへ二、三カ月入れておくと正常に復する。そうして元気になって勤めておる者も幾らもあるけれども、気違いになるほどこの仕事というものは非常に全心全霊を一点に集中して、緊張のきわみであるということを聞かされたのであります。暑いときなどは、ちょっと一ぱいのコーヒーでもやっぱり気分転換、神経を正常に戻すためには非常に効果があると思われるけれども、その一ぱいのコーヒーを出す予算もないということを聞かされておったのでありまして、そういう状態では、なかなかこの重大な任務がいつまでも事故なしに果たせるものかどうかということを、われわれ現地を視察して非常に不安に感じたのであります。今回、それとは関係はないかもしれませんが、たまたま偶然かなにかこういう事故が起こったことは、非常に遺憾などでは言葉の表現が足りない問題であると思うのであります。ただいま關谷委員のお尋ねに対しまして、これからの処遇その他航空管制官の訓練、能率の向上、事故防止についての方策は追って考えるというふうなお答えであったのでありますが、私は追って考える程度のものではないと思うのであります。いろいろ予算要求その他において大蔵省との関係がどうだったのか、こういう航空管制官の現状を、そのまま従来通りの普通の公務員としての給与体系だけで、年令に応じて二十九才の者は一万五千円とか、そういう程度のものでは、なかなかこの重大な任務は本人としても果たせないであろうし、国としてもまかせられないように思うのでありますが、この点に対して、辻航空局長現状をお調べになった上でのお考えをもう一度お聞きしたいのであります。
  44. 辻章男

    辻政府委員 お答え申し上げます。大体航空交通管制の公務員としての給与の面でございますが、これは概括的に申しますと、原則として一般公務員と同じ待遇ということになっております。これにつきまして、私ども今御指摘もありましたように非常に特殊な、しかも責任の重い仕事を担当して、特に狭いところで神経をすり減らすような事情をよく関係の向き、大蔵省関係あるいは人事院関係、そういうところに話を長年いたしまして、実はやっと去年の七月から、これもある一定以上の忙しいと認められる地区だけなんでございますが、管制特別手当という制度が日の目を見て今日に至っておる次第でございます。この手当の金額等につきましては、当初私ども考えておりましたものよりも非常に低うございますし、また範囲につきましても非常に狭められたような状況なんでございます。そういうことで、国の財政的な理由あるいはそういう特殊な職務に対するものの考え方、そういう点につきまして政府部内でもいろいろと御意見がありまして、現状になったような次第でございますが、この点につきましては、なお私どもといたしましては、機会を見て待遇改善になるような案を今巻き返して御要望したい、かように考えております。  それからまた、ただいまの御質問で施設が非常に貧弱であり、これの更新が必要ではないかということでございますが、私どもも趣旨といたしましては全然同感でございます。現存管制関係の施設として使っておりますものは、これは占領あるいは占領後を通じまして米空地が主として日本管制に当ってきたのでありますが、日本側にその施設なり人員、スタッフがなかったわけでありますので、米軍がまず始めまして、私ども非常に苦労して、新しい仕事を米軍から指導を受け、またアメリカ等にも人員を派遣いたしまして、このスタッフを作りまして、やっと去年七月に管制の本部というものを引き継ぎ今日に至っているわけでございます。施設等も米軍の方の非常に厚意的な考え方で、これを日本に貸与あるいは譲渡になって使っているわけでございます。そういうことで、ものによりましては野戦用的な資材をそのまま引き継いでやっているものもあります。私どもも機会あるごとに更新し、これを改善していきたいという気持は十分持っておるのでございますが、なかなか膨大な金がかかるものでございますので、予算的な制約を受けまして、われわれが思ったほどには進んでないのでございますが、逐次そういう方向に向かいつつある現状でございまして、この点につきましても私どもなお一そうの努力を続けていきたい、かように考えております。
  45. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 施設の点は今お答えになりましたけれども、すべて基礎的なものを整えないことには、末のものだけに目を散らしては、重大なことが起こることはどの部面においても当てはまることでありまして、どのようにりっぱなジェット機をそろえましても、神経の一番の中枢といいますか、もとでありますところの管制の指令が今回のように間違って起こるということになりますれば、先々のものをどんなに完備いたしましてもそれが一瞬にしてふつ飛んでしまうことは、今回のことがよくその例を示しているわけであります。今特別手当を七月からもらうようになったというようなお話もありまして、何か月に千五百円か手当がつくようになったというようなことを聞きましたけれども、実際の管制官の勤務状態を見ておりますと、それは普通の勤務とは全く違っておるのでありまして、千円とか千五百円とか、そういう種類のものではあの重大な任務はまかせ切れるものではないと私は思うのであります。普通の事務をやっているいわゆる公務員と、ああいう特殊な場所で特殊な任務に服して、しかも張り切った神経をむき出しにした、歯の神経をむき出しにして、それを炎天下に、あるいは酷寒にいつもさらしているような勤務でありまして、これに対しては、責任はもちろん厳重に追及しなければなりませんが、同時に責任を果たせるだけの思いやりのある処遇を考えなければ、またこういう事件がいつ起こらないとも限らないと思うのでありまして、その点につきましてもう少し当局の真剣な決意——たとい大蔵省の従来の方針がどうであろうと、このような方法もとってみよう、こういう抜本的な、飛躍的な処置も必要だというようなお考えをお述べいただきまして、国民に安心を与えていただく必要があると私は思います。
  46. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ただいま村瀬委員のおっしゃいましたことはまことにその通りでありまして、今日まで、かくのごとく重大なる空の交通を預かる制度が今日のような状態であったということはまことに申しわけなく存ずる次第であります。従って、今回のこの惨事を契機といたしまして、管制制度の再検討を至急するということで、きょう閣議においても私から大蔵大臣及び総理大臣にも発言をして、この問題について独立した一元的な——御存じのように民間航空及び自衛隊等もありますので、そういうもので抜本的なものを一つ考えて、しかもそれに働く人々が非常な精神的に大へんな労働でもあるし、また優秀な人々を養成しなければならない、そういう人が職に当たらなければならないということは明白でありますから、優遇その他につきましても、十分に考える方策を立てたいと思いまして、きのう出発いたしました運輸省内における善後対策委員会の中にもかけますし、きょうの閣議等にも私は話し、部内に報告いたしまして急速に制度を作らせ、これを各方面に了解を求めて万全を期したい、こういうことを申し上げます。
  47. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいまの運輸大臣の御方針に対しましては、私たちも非常に安心をいたすわけでありますが、従来大蔵省には一種のかたくなな考えがありまして、他とのつり合いとか、従来の慣例とかをたてにとって、大いに新しい方策に直ちにこれを推進するという点を予算の面でとかく阻害しておる傾向があったのでありますが、願わくは空前絶後でありたいこういう事件が起こりました以上は、大蔵省にも大いに考えを改めてもらいまして、われわれ国会議員といたしましても、大蔵省に対し蒙を開いて抜本的な、飛躍的な、予算その他では全然心配のない方策を至急とれますように協力をいたしたいと思いますが、当局におかれましても、今の運輸大臣の御方針をあくまでも貫徹せられまするように希望いたしまして、私の関連質問を終わります。
  48. 平井義一

  49. 横山利秋

    横山委員 私は事件の起こりました小牧の近くの者であります。少なくとも中京の人々は、一昨年あの下田で全日空機が墜落いたしまして、有能な中堅の名古屋市民三十有余名全員死亡という状態になり、今回また小牧でこういうことになったのでありますから、全日本の人、また政府、われわれはもちろんでありますが、特に現地の者といたしましては峻厳なこの問題の処理を要望しておるわけであります。その意味で、私は少し言葉が強うございますけれども大臣並びに防衛庁に理非曲直を明らかにした、はっきりした御答弁がいただきたいのであります。  まず第一にお伺いをいたしたいことは、本事件責任については、まだいろいろと取り調べその他がございますが、大きく分けて政府の責任である、民間側に責任がないというようなことになるのであるかどうか、その辺を明らかにしていただきたい。
  50. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 現段階の情報その他調査の点から申し上げますと、政府側に重大なる責任があるということは否定できない段階になっておるのでありますが、この点は、事件調査を今やっておりますから何でありますけれども、少なくとも全日空責任がないことだけは明らかである、こういうように思うのであります。
  51. 横山利秋

    横山委員 明確な御答弁で、けっこうであります。  そこで、政府側に最終的な責任が明確であった場合においては、その対策につきまして、死亡された犠牲者並びに間接的に起こった被害その他について、政府側は諸般の責任を負う対策をとられる覚悟があるかどうか、それをお伺いいたします。
  52. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 政府側において責任明確化した場合におきましては、国家賠償法の条項等に基づきまして、政府において責任をとるべきものであるということをここに言明をいたしておきます。
  53. 横山利秋

    横山委員 原因の中には直接的な原因と、それから根本的な原因とを分けて考えなければなりますまい。今大臣がおっしゃいました直接的な原因、今までお話がございましたのは主として直接的な原因で、村手管制官を中心とする責任、それから加藤防衛局長防衛庁側に責任が今のところないように思うといわれる。防衛庁側に責任ありやなしやという問題、これが直接的な原因でありますが、一つさかのぼって根本的な原因をわれわれは探求する必要があろうと思うのであります。  本小牧飛行場の管理につきましては、過ぐる二年前の国会におきまして、不肖私が大蔵委員会におきまして、大蔵大臣運輸省並びに防衛庁に対しまして質問をいたし、国有財産の所管を今後いかにするかについてただしたのであります。その際に明らかに運輸省側と防衛庁側との見解は根本的に相対立をいたしておりました。当初におきましては運輸省側としては、本小牧飛行場は地形その他民間航空の実態からいって、将来これは国際空港にする必要があり、この際一つ運輸省において民間航空専属にさすべきかわれわれは至当と考えるという考え方であり、防衛庁としてはぜひとも小牧飛行場を使用したいという強硬な主張でありました。それが妥協がなって三十三年八月十一日運輸事務次官荒木茂久二、防衛事務次官今井久両者の管理等に関する覚書が締結されました。私はこの覚書が当時においては明らかに一つの妥協の産物であると痛感をいたしたのであります。  そこでお伺いをいたしたいのは、この覚書が今日実現がされておるのでありますが、覚書によってその後使用上不便を感じたことはないか、これについて運輸省側並びに防衛庁側の見解を伺いたい。
  54. 辻章男

    辻政府委員 お答え申し上げます。ただいま御指摘のございましたその覚書によりまして、現在まで絶えず防衛庁の方と連結をとりながら支障なくやって参っております。
  55. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 防衛庁側といたしましても、ただいま航空局長お答えの通りでありまして、覚書を交換した以上は、この覚書によるべきことは当然であります。
  56. 横山利秋

    横山委員 私の聞いているのはそういうことではないのです。少なくともこの覚書を締結した当時における防衛庁、つまり自衛隊の使用と、それから民間航空の使用はいかなる状態を想定しておったかということであります。今日民間航空が一日に約二十回、自衛隊が一日に百六十回、かかることが一体当時において想定がされたのであるかどうかということであります。今を去ること二年前、これが締結した当時に、今のような約八倍になんなんとする自衛隊の使用ということが想定されてこの覚書が締結されたのであるかということであります。
  57. 辻章男

    辻政府委員 その覚書につきましては、そういう使用の回数等につきましては明らかにされておりません。ただわが方と、それから防衛庁の方と共同で使用いたしまして、お互いに話し合いまして、もし防衛庁の方での使用回数が非常に多くなりまして不便をこうむるというような場合には、もちろん協議をいたしましてこれを是正することも可能なんでございますが、ただいままでのところそういう事態も起こらずに、話し合いによりまして円滑に参っておるというのが今までの実情でございます。
  58. 横山利秋

    横山委員 そういう不確かな、あやふやな返事ではだめなんです。それでは逆に聞くけれども、今自衛隊は一日百六十円の離着陸だというのでありますが、ここ一年、二年、将来自衛隊としては小牧飛行場をどのくらいの使用に発展をする予想が立てられるかということであります。一年先、二年先という判断が適当かどうか知りませんけれども、少なくとも自衛隊としては小牧飛行場を将来使用する計画はどのくらい発展をするのか、百六十回の回数でとまるものであるか、将来伸びるものであるか、その将来の両方の想定に立たなければ、今後の根本的解決の方途は立たないではないかというのが私の言い分であります。
  59. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 ただいま小牧には、自衛隊といたしましては第三航空団がおるわけでございまして、第三航空団のF86D五十四機でございます。五十四機の編成は若干少ないのでございまして、F86Dの機数をもう少しふやしたいという希望は持っております。ただ、どの程度にふえるかということにつきましては、今正確なことを私申し上げられません。
  60. 横山利秋

    横山委員 それでは二年前に覚書を締結した当時は、自衛隊の一日の離着陸は何回くらいありましたか。
  61. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 昭和三十三年の、八月は、第三航空団がまだ完全に移駐をしておらない状況であったと思いますので、当時は今ほどの使用頻度はありませんでした。
  62. 横山利秋

    横山委員 何回くらいでしたか。
  63. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 ちょっと今記憶がございません。ただ私どもといたしましては、小牧は第三航空団を持っていきたいということは当時から申しておったわけでございます。
  64. 横山利秋

    横山委員 あなたはそうおっしゃるけれども、F86をこれ以上ふやしたら小牧にはこれ以上置くところはないのです。私の言いたいことは、大臣おわかりだと思うのですが、当時覚書を締結いたしました際は、このような民間航空機並びに自衛隊航空機の離着陸は想像がされていなかったのです。で、今新聞を見ますと、村手管制官の言っておりますには「逮捕された村手管制官見習が「共用の板ばさみで、自衛隊機に早く離陸をと心がけたのが失敗の元」と告白している。」こういうのであります。私どもが少なくとも当時妥協ではあるけれども、まあと思って見たこの覚書の精神というものは全く共用であり、同時に対等の立場において使用する、それが将来想定され、実際の使用回数も同じようなものとしてこの想定をしたのであります。しかるに今、片一方は百六大十回、しかも足の速いジェット機が飛び上がり飛び下がりしておるときに、わずか二十回で、プロペラが出たり入ったりするときに、管制官考える心境というものが大体想像されるではありませんか。その想像される心境のもとで、早く早く、ジェット機ジェット機だと言われれば、その心理というものは考えなければならぬ問題を含んでおるのではないか。しかも加藤防衛局長の言。いますには、将来ますます、小牧航空基地においてはジェット機数が多くなる可能性の方が多いと腹の中で言っておるわけです。そういう点に立ちますと、今回は確かにこの村手管制官の見誤りであったかもしれない。しかし、村手管制官見習いが陥った心理というものは、あるいはほかの人がなっても陥らないとだれが一体保証できるだろうか。大臣は先ほど、将来でき得ればこれは共同使用をやめて別々にしたいということをおっしゃった。しかし、それは単に口うらで、ああそうあれば望ましいということで大臣がおっしゃるものであるかどうか。本気に将来を展望するならば、二度と再びこういうことがないためには、これは共同使用であってはならぬと私は痛感をするのです。ほんとうに大臣としては、これを別々に使用させる、たとえば小牧の自衛隊をほかのところへ移管をする。大都市のすぐそばであるから小牧は国際空港に発展して民間専用にさせるという決意がほんとうにおありかどうか。  同時に防衛庁側に聞きたいのであります。防衛庁は、今回おれのところは責任はないというようなものの言い方をしておられるが、これは、私は直接原因だけをとがめやしません。私の言うのは、根本的な問題がある。防衛庁としても実際の話、不便でありましょう。不便だからこそ運輸省にこの航空法の一部改正を迫っておると私は思うのです。これは小牧だけじゃないでありましょう。全国至るところと言っては悪いですが、たくさんの個所に共同使用のところがあるとするならば、この際防衛庁としても、小牧の根本原因を摘出するために、少なくとも小牧は別々にすべきであると思うが、防衛庁側の見解をあわせてお伺いしたい。
  65. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ただいま横山さんがおっしゃることは、私も同感する点が多々あるのでありまして、おそらくその協定をやったときは、今日のような多くの飛行機、たとえば月に五千回も六千回も飛行機がなにしておるというような状態でありますから、おそらくそういうことは想定しなかったであろう。実は私、そのときのことは知りませんが、常識的にそう思うのであります。しかし自衛隊といたしましても、やはり自衛隊の本来の使命から、そこで相当練習しなければならないという段階にある現状でありますが、民間航空の主管大臣といたしましては、やはり非常にスピードの速いジェット機とそれからあの一般の輸送の、つまり旅客航空機との間のそういう一つの差が、コントロールその他についてもいろいろな大きな間違いを起こす原因にもなるし、また危険も非常に伴うのでありますから、私は、考えといたしましては、やはり旅客機としての安全を確保するということも考えることが、運輸大臣としては当然の責任でもありますし、従ってその点についてでき得べくんば、こういうことを契機といたしまして、各地にあります、たとえば千歳のごときも、私は一昨年予算委員長のときに、あそこを全部視察をして実際りつ然とした。ジェット機がずっと並んでおって、そうして日航の飛行機が入ってくる。もちろん防衛庁の方も非常に不便であろうし、日航の方も非常に危険がある。どうしてもあそこを丘珠か何かにどちらか振り向けるか変えたらいいじゃないかということを私が提案し、大臣になってからも、予算等もつきましたら、地元の千歳の方で非常に反対がありましたようなこともありましたが、こういうような危険な状態下に運営をしていくことにつきましては、どうしても現状を打破しなければならない。そこで当面すぐに膨大な飛行場を作るというようなことは、予算的にも許されない段階であるとすれば、少なくともそういう危険のないような運営の方法等も一つ考究すると同時に、やはり恒久的な対策としては、どうしても分離するという方向に持っていくということに推進をいたしたいと思うのでありまして赤城防衛長官とも、その点について、当面の問題と、恒久的な問題等についてよく協議をして、寝際に議会の答弁だけでなくて、現実に起こってきます大きな悲劇的な問題があるのでありますから、そういうことに一つ進めたいと実は考えております。
  66. 加藤陽三

    加藤(陽)政府委員 今、運輸大臣がおっしゃいましたごとく、自衛隊は専用の飛行場を待ちたいという希望は持っております。民間飛行機自衛隊飛行機が別々の飛行場で発着できるようになりますれば理想でございます。ただ、今小牧の飛行場について現実にどうかというお尋ねになりますと、私、事務当局でございますので、ここでお答え申し上げかねます。
  67. 横山利秋

    横山委員 さらにお伺いしたいのですが、私ども今、村手管制官言葉を引用して、何人といえども陥りやすい心境というふうに考えたのでありますが、一体航空機の離着陸について、自衛隊機民間機について何か順位でもつけておるのか、差別でも航空管制でしておるのかどうか、その点はいかがでありますか。
  68. 辻章男

    辻政府委員 これは緊急の場合を除きましては全然つけてはおりません。
  69. 横山利秋

    横山委員 覚書によりますと、航空交通管制運営の中で、防衛庁職員は主席管制官または主任管制官の指揮に従うようにというふうに書いてあるのでありますが、この航空交通管制運営要綱によって小牧はなされておりましたか。
  70. 辻章男

    辻政府委員 その通りでございます。
  71. 横山利秋

    横山委員 そういたしますと、当時防衛庁職員がこの中におったわけでありますか。
  72. 辻章男

    辻政府委員 当時管制塔には三名の職員がおりまして、うち一名は自衛隊から派遣されておられた職員でございます。
  73. 横山利秋

    横山委員 当時その三名の人々は、どういう地位で、どういう責任を負って行動をしておりましたか。
  74. 辻章男

    辻政府委員 三名のうち二名は運輸省職員でございまして、二名のうちの一名が主任管制官でございまして、この管制塔の当時の管制関係の全責任を負っておるわけでございます。それでその下のもう一人の職員が今問題になっておりました村手君でございます。もう一人が自衛隊から見えておる職員でございます。これは管制補助として主席管制官の指揮に従って仕事をしておられたわけであります。
  75. 横山利秋

    横山委員 自衛隊から来ておられた人はどういう仕事を担当し、その場における状況はどんなものでありましたか。
  76. 辻章男

    辻政府委員 自衛隊からこられておりました方はアプローチ・コントロールと申しまして、いわゆる進入管制、これは航空路上から飛行場のある一定の周辺まで参りました飛行機を、管制本部と連絡をとりまして飛行場の周辺に近づけるという仕事をやっておられたわけでございます。
  77. 横山利秋

    横山委員 その人々が村手管制官見習の仕事について見ておってチェックする、注意をするというような状況にはございませんでしたか。
  78. 辻章男

    辻政府委員 村手職員の措置についてチェックする立場にあるのは、先ほど申し上げました、当時これは加好君と申しますが、この主任管制官の役目でございました。
  79. 横山利秋

    横山委員 それではその場合における主任管制官の見解はどういうことでありましたか。
  80. 辻章男

    辻政府委員 主任管制官も、そういう指示が出たので、一応その状況管制塔から見たわけでございますが、この処置は妥当だと考えましたので、そのままにしたというのが事情でございます。従いまして補足いたしますと、村手君が錯誤したと同様の錯誤を主任管制官も犯したというふうに現存のところ考えております。
  81. 横山利秋

    横山委員 局長がここでおっしゃることにしてはきわめて重要なことでありますが、村手管制官見習がそういう過誤を犯したということを現に確認をし、そしてそれを了としたというのでありますか、村手見習がやったのを知らなくて責任をとったというのでありますか、どっちでありますか。
  82. 辻章男

    辻政府委員 昨日まで私ども大体そういうふうな情報を得ておったのでございますが、実はあの事件が起こりました当夜すぐに私の方から職員を二名派遣いたしまして、現地調査をさせて帰って参りまして、まだその報告を詳しく受けるひまなしに出席いたしましたので、その点はなおもう一度よく調査いたしましてから確定的に申し上げたいと思います。
  83. 横山利秋

    横山委員 ここは裁判所でございませんから、私は何人の厳密な責任を問うとかいうことではありませんけれども、しかし今局長の答弁がややあいまいになって参ったので、あらためてお伺いをしたいのでありますが、主任管制官立場として、部下、防衛庁から来ておられる人も指揮下にあるわけですから、それらを含めて平素いかなる職制、いかなる検討、いかなる指揮をし得るような状態にあるのであるか、またその当時の事情はどうであったかということについて、あなたの御調査の結果を聞きたかったのであります。重ねてお伺いをいたしますが、主任管制官たる者は、仕事上部下全部を常に掌握して、その部下の執務の状況が見れるような状態に常にあるかどうか、それから、その瞬間において主任管制官のとった処置はどういうことであったか、あらためてお伺いをいたします。
  84. 辻章男

    辻政府委員 一般論といたしまして、先ほど申し上げましたように、部下を掌握いたしまして、誤りがあればこれを即座に訂正させるというのが主任管制官の職務でございます。あの当時どういう具体的な措置をとったかにつきましては、先ほど申し上げましたように、現地へ参りました係官にもう一度よく事情を聞きまして、それからお答え申し上げたいと思います。
  85. 横山利秋

    横山委員 もうしばらく……。委員長にちょっとお許しを願いますが、少し航空法の問題に入らしていただきます。  今回の経緯について考えますと、先ほど運輸大臣と、防衛庁を代表する局長の御意見では、このような状態を根本的に克服いたしますためには、どうしても共同使用ではだめであるという御判断のようであります。しかりといたしますならば、また同時に村手管制官見習の心理を推察してみると、やはり今後まだあり得るような状況でもあります。その二点から考えますと、共同使用並びにこの共同覚書のまま推移して、そうして航空交通管制業務防衛庁に移管することによって、自衛隊機優先、ジェット機優先の航空管制業務ということになりやすいと思うのであります。この点は、航空法の一部改正案を提示せられたときの両者のお考えと、今小牧においてこの航空交通管制業務自体によって起こった問題との間に変化がある、判断の材料が違ってきたと私は考えるのでありますが、運輸大臣の御意見はいかがでありますか。
  86. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 防衛庁の防衛長官に委託するという問題は、さいぜん説明申し上げましたように、今日まで運輸大臣の支配下といいますか管轄下でなかった純然たる防衛庁航空の基地と申しますかそういうところにおいても、やはり運輸大臣航空管制の中にこれを編入させまして、その部分については防衛庁大臣にこれを委託する、しかしそれは運輸大臣指揮監督下に置く、こういうことで今日までのむしろ未完備な点をこれによって改正して一元化そうという考え方でありまして、従って法の精神から申し上げましても、管制に関する問題は一元化の方向へこれを持っていく、しこうして、今お尋ねになりましたそれを移管されることによって、たとえば小牧であるとか千歳であるとかいうものがそのために優先的に防衛庁ジェット機がいく、こういうことにはもちろんなり得ない、また優先できるというようなことを防衛庁に認めることは考えてはおりません。従って、その点は管制の妥当な運行の面においての点に限局されるのでありまして、そういう点についての防衛庁の権力といいますか、特権を拡大させるという考え方は持っておりません。
  87. 横山利秋

    横山委員 大臣のおっしゃっていることは、何を言っておられるのか私にはわからぬ。大臣自身が先ほどから御答弁された趣旨からいうと、この航空法の一部改正案の御説明に苦しまれるのが当然だと私は思うわけであります。今回は確かに運輸省側に手落ちがある。これは認めざるを得ないのではないかと私は思うのですけれども、そのよってきた根本の原因を尋ねてみますと、私どもは私どもなりの判断をするわけであります。この当面の責任運輸省側にあるからといって、根本的な対策について運輸省側に妥協することがあってはならぬと私は痛感をいたします。これは何も防衛庁側について私は云々する気持はありませんが、少なくともこの航空交通管制の誤りによって生じた問題であるならば、しかもその担当者の心理がそうであるならば、これを解決いたします方途というものはより抜本的でなければならぬのではあるまいか。このような問題が起こる前ならば、大臣の御説明もわからないではありません。しかし、この小牧の問題が起こって、そしてその直接の原因を探求して、大体そう見解に争いはない状況判断であるといたしましたならば、その状況判断に基づいて、この際今までのことを水に流した根本的対策を立てねばなるまいと思うのであります。その意味で、私は大臣か率直に、この航空法の一部改正案についてあらためてお考え直しをなさるべき必要があると思うのでありますが、重ねて率直な御意見を伺いたいのであります。
  88. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 御質問の御趣旨、今管制の面につきまして、さいぜんからこの小牧の事件をめぐりまして、管制制度の強化という建前、また一元化、すべてこれを再検討しようという考え方を今日持っておりますので、あるいは航空法の一部の改正の中における管制の問題をどういうふうにその線に沿うて扱うか、そういうことについても検討をいたしてみたい、こう思います。
  89. 横山利秋

    横山委員 最後に、先ほど冒頭にお答えを願いました慰謝の問題についてであります。先ほどもどなたかに御答弁がございましたが、政府としては重大な責任を痛感する、従って犠牲者に対する弔慰はもとより、先ほどのお話によれば、全日空に対する損害についても何かの方法で考えなければなるまいというような御趣旨がございましたが、直ちに政府として、犠牲者に対する弔慰並びに負傷者に対する手当等についてはどのような措置をとられておるかどうか。また、そのほか政府として今回の問題についてとるべき措置は、一体どういうことが考えられ、どういうことがなされておるか。その政府の責任に所属する問題について、具体的にその対策並びにとっておられることをお伺いをいたします。
  90. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今のところでは、管制官が逮捕されまして、真相を究明しておる段階でありまして、おそらく明日になると思うのですが、同じ飛行機をあそこへ持って参りまして、ジェット機をそこへなにして、一体その見通しその他どういう状態であったかということを、運輸省としましても、厳密に、明日その当時の状態を演出して判定をするということ等を今研究をいたしておりましてそういうことをやらせる考えを持っておるのであります。従って首相が究明され、はっきり政府側に責任があるという場合におきましては、さいぜん申し上げましたような点について、もちろん賠償その他の問題も、政府側に法律的に責任がある場合においては、当然にこれを持つということをやるべきだと思います。ただ大体はこういう段階になっておりますので、私はきょうの閣議におきましても、弔慰の問題あるいは暫定的にでも何とか慰謝する方法等を——いろいろ手続等においても明確にならなければだめでありますが、そういう点についてのむずかしい問題等もあるようでありますけれども、一応発言を求めて、急速にそういう問題についても解決の方法を講じたい、こういうことを申しております。
  91. 横山利秋

    横山委員 先ほど冒頭に申しましたように、中京地域におきましては、もう先年の下田における中堅市民の全員死亡並びに今回の問題でありますから、本件に対しましては、政府が峻厳に、しかも敏速に処置せられんことを常に要望をしておるのであります。今、大臣は、抽象的ではありますけれども、閣議においても発言をした、けれども今具体的に調査も進行中であるからとおっしゃったのでありますが、いま少し事務的に航空局長にお伺いをしたいのであります。犠牲者に対してさしあたりどういうことをなされんとするか、負傷者に対してはどういう処置をしておるのか、そのほか、全日空に対する態度はどうなのか。事務的にもう少し、この審議を通じて、名古屋市民並びに中京の諸君に対する政府の態度を明らかにしてほしいのであります。
  92. 辻章男

    辻政府委員 今回の事故によりまして不幸死亡された方、また負傷されて入院された方々に対しましては、実は昨日大臣の名代として、政務次官と航空局の技術部長が現地に参りまして、弔慰並びにお見舞のために御訪問いたしております。  その他の法律的な賠償の問題は、その事故原因がはっきりと確定するまで、今のところ措置をとり得る状態ではないんじゃないかというように考えられます。  それではさしあたり弔慰の方法はどうかという点でございますが、これは事務的に申しますと、現在の会計法なり役所の問題といたしまして、非常に困難があるかと思うのであります。先ほど大臣の言われました御趣旨に沿いまして、私どもさっそく財政当局と話し合って、何とか解決をしていく方法はないかどうか話し合ってみたい、かように考えております。      ————◇—————
  93. 平井義一

    平井委員長 次に日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  島口重次郎君。
  94. 島口重次郎

    ○島口委員 前回に引き続きまして兼松常務にお尋ねしたいのでありますけれども、例の五カ年計画の自己資金の面から申し上げたいと思いまするが、計画では三千二百三十二億であり、実績と見込みの額から申し上げますと二千四百二十一億で、八百十一億の減となっておりますが、これには間違いないですか。
  95. 兼松學

    ○兼松説明員 当初の計画をいたしましたときには、実は非常に精密な自己資金と外部資金との計画というものは、予算がございますので完全には立ちませんでしたので、一応の目安として立てましたものが今言われました四年度までのものでありまして、私どもの計算では当初計画といたしましては三十五年度までに三千五百九十二億円の自己資金というつもりでおりましたが、実績は大体二千五百七十一億円くらいの見込みを持っております。
  96. 島口重次郎

    ○島口委員 五カ年計画の自己資金の内訳につきましては、初年度は七百五十四億、第二年度におきましては七百九十九億、第三年度におきましては八百二十八億、三十五年度におきましては八百五十一億で、トータルをいたしますと三千二百三十二億だとこの資料に出ておりますけれども、間違いないのでありまするかどうか、もしこれに間違いないといたしますれば、実績の方から見ますると四年度である本年度予算が全部消化されたと仮定いたしまして、二千四百二十一億、こうなっておりまして、八百十一億が計画よりも収入が減になっておるという状況だと思いまするが、間違いはないかどうか、もう一度お尋ねをいたします。
  97. 兼松學

    ○兼松説明員 収入減だけではありませんので、経費の増と収入の減との差額で自己資金の減ということになっております。
  98. 島口重次郎

    ○島口委員 収入の減やらあるいは自己資金等の面におきまして、いずれでありましても少なくなりましたことが事実であると、こういたしますると、改良費の工事の面でありますが、これが三十二年度から三十五年度にかけまして四千四百三十六億であり、実績と見込みにおきましては三千七百五億でありますから、その差額が七百三十一億の工事がおくれておると、こう解釈してよろしいですか。しかもその工事がおくれておりますのは自己資金の面における八百十一億の減が影響いたしまして工事もおくれておる、こう理解してよろしいかどうか。
  99. 兼松學

    ○兼松説明員 さように考えます。
  100. 島口重次郎

    ○島口委員 外部資金の面でありますけれども、これも第四年度目である本年までを計算いたしますると一千四百八十億でありまするけれども、実績及び見込みの面から申し上げますると二千百四十九億でありまして、六百六十九億が多く外部資金からお借りをしておるということでありますが、これがどの面に使用されつつあるかをお尋ねいたします。
  101. 兼松學

    ○兼松説明員 金額としては外部資金の三十五年までの実績の見込みは、計画の方は千四百八十億でございましたが、実績見込みは千九百十二億となりまして、外部資金は四百三十二億多くなっております。それでこれの使い方というお言葉でございますが、実は国鉄の工事計画といたしましては工事勘定の方に内部資金、外部資金を合わせまして一本にして入れまして、そうしてそのうちから工事の緊急順位を見て工事を進めておるということでございますので、どの工事がどの資金かということは、利用債を除きましてはちょっと申し上げかねる次第でございます。
  102. 島口重次郎

    ○島口委員 いずれにいたしましても五カ年計画が金額にいたしまして七百億余の立ちおくれをいたしておるのでありますが、この立ちおくれております地域別の例をあげてもらいたいと思います。たとえば九州あるいは東北、北海道いずれの地域におきまして一番計画から立ちおくれをいたしていますかをお尋ねしたいと思います。
  103. 兼松學

    ○兼松説明員 私どもの基本計画といたしまして、ディーゼル化であるとか車両の増強というようなものも含めて、取りかえ諸改良というようなことも入れて計画いたしましたので、厳密にここで直ちに地域的にどうなったかという数字はちょっと申し上げかねるのでございますが、全体といたしまして項目で申しますと、新線建設が一番一般の新規投資としては進捗しておりますこと。それから取りかえ諸改良として古くなった施設を全国的にわたってかえますものは、当初見込みが千四百二十三億ということでございましたが、その後事実上いろいろかえなければならぬものが出て参りますので、来年度の予算を考慮して参りますと、当初計画を上回る更新ができるという格好になっております。一方これに反しまして幹線電化とか線路の増強というものがややおくれた姿になっておりまして、これは全国的にほぼ、九州の電化もおくれた、それから東北の電化も少し時期がおくれたというような関係で、項目としてはそういったものは平均をいたしております。ただ取りかえの方は、今年度は今までに緊急取りかえのものを先にいたしましたために取りかえの方が進捗いたしましたので、今御審議いただいております。来年度の予算では取りかえの方を少なくして増強の方に重点を置くことにいたしました。
  104. 島口重次郎

    ○島口委員 ただいまのことでは地域的な面はわからないけれどもとこういう御答弁でありますが、幹線電化の面につきまして全国的におくれておる、こういうお話でありますが、たとえば東北の例でありますけれども、この五カ年計画の青写真によりますと相当着工する予定でありますが、ほとんどやっておらぬと考えております。もしやっておる個所がありましたら説明を願いたいと思います。
  105. 兼松學

    ○兼松説明員 電化は一方から進めていきませんと車両の運用上まことに不利となりますので、東北線につきましては東京の方から、南から北の方に進めておりまして、現在黒磯までがすでに電化し、さらに進んで福島、仙台へ電化の工事をいたしております。
  106. 島口重次郎

    ○島口委員 毎年秋冬繁忙期と称する十二月からこの二月までは、東北六県から生産されまする農産物が、毎年輸送の隘路で混乱いたしておるのであります。本年におきましても、リンゴを輸送いたしますると米が送れない、あるいは木材、わら工品等を輸送することが不可能でありまして、大混乱いたすのであります。そういう面から、やはり五年計画があるといたしますならば、これを優先的に解決をいたしまして、その後に東海道新幹線等に着工いたしますのが当然だと考えております。今の段階においてすら、五年計画で決定いたしたものが未着工なのであります。当然やるべき五年間の大方針である。この方針をやらないで、なぜ東海道新幹線を着工するのか、こういうことをお尋ねしたいのであります。  もう一つ、関連いたしましてお尋ねいたしたいのは、例の青函海底トンネルの問題であります。今度の小牧における飛行場の問題でありましても、あるいは例の洞爺丸の問題におきましても、こういう突発事件発生いたしたときには、真剣にこれを解決をしなければならない、工事を促進しなければならない、こうあなた方は言いますけれども、そういう大事件なるものが国民の脳裏から薄れ去ろうとするときに、自然にこれに対するあなた方の努力がなくなりつつあるのであります。こういう意味から、青函海底トンネルも、当然日本の輸送問題の面から考えて、解決をしなければならぬ問題でありますが、この面もお尋ね申し上げたいと思います。
  107. 十河信二

    ○十河説明員 お答え申し上げますが、東海道は、申すまでもなく、日本全国の旅客、貨物が集まり、また、日本全国の全線に向かって旅客、貨物が流れ出るのであります。何と申しますか、心臓の近くの大動脈みたいなものであります。東海道が行き詰まっておるために、東北の旅客も貨物も非常に輸送が詰まってくる、山陽、山陰の方も詰まってくる、こういうわけでありまして、全国の輸送を円滑にするためには、どうしても幹線中の幹線である東海道の輸送を円滑にする必要があります。それで東海道新幹線に着手いたしたのであります。しかしながら、東北線も、あるいは山陰、山陽、裏縦貫等も必要でありますから、これらもでき得る限り促進するように努力いたしておる次第であります。  青函トンネルは、これは非常な難工事でありまして、この前にも大石理事から御説明申し上げたと思いますが、いろいろな点を調査する必要があります。外国から技術者を呼んで調査するとか、そういう非常にめんどうな調査をする必要があって、目下そういう方面に懸命の努力をいたしておるところであります。
  108. 島口重次郎

    ○島口委員 ただいま総裁が、東海道線が人間にたとえるならば心臓部でありまして、これの解消なくして全国的な輸送の問題は解決をされない、こういう答弁でありまするけれども、それならば、なぜ五カ年評面の際に、東海道新幹線の計画をしないのかということをお尋ねしたいと思います。
  109. 十河信二

    ○十河説明員 東海道新幹線は、当時からもいろいろ検討いたしておりました。こそくな輸送力増強で解決がつきやしないかということでやって参ったのであります。それでは解決がつかない、非常に行き詰まって、列車が片道百二十回以上になって、全線がそういうふうになってきている、行き計まってきたということに相なりましたので、それでやむを得ず東海道を急いでやることに相なったのであります。
  110. 島口重次郎

    ○島口委員 この五カ年計画を見ますると、部分的な増設をいたしまして、手入れをいたしまして、十分東海道の輸送なるものは解決ができるという計画であったのであります。少なくとも皆さん方が国鉄の執行部を担当いたしまして、五年間後における輸送状況がどうなるかという明確な認識なり見識を持たないで、どうしてこの計画というものを発表されたのでありますか。
  111. 十河信二

    ○十河説明員 それは前にも申し上げましたが、終戦後の日本の経済の発展が、われわれの予期しておった以上に急速に発展をいたしました。われわれの見通しの悪かったことは、これはまことに遺憾千万であります。われわれの見通し以上に日本経済が発展したということは、これは喜ぶべき現象じゃないかと思っておる次第でございます。
  112. 島口重次郎

    ○島口委員 ただ終戦後における日本の経済がすばらしい勢いで拡大した、こう言いますけれども、この計画を立てましたのが三十二年度であります。もう終戦後十二年を数えておるのであります。三十二年から、ただいまは会計年度から申し上げますと三十四年度であります。まだ二年よりたっておらないのであります。その二年間の経済的な膨張といいますか変化と申しますか、二年先も見れない十河総裁であるならば、案外大物総裁ではないと考えますが、いかがですか。
  113. 十河信二

    ○十河説明員 まことに遺憾でありますが、不明は私幾重にもおわび申し上げますが、この計画を立てたのは三十一年であります。三十二年度から着手したのであります。それでその当時の見通しが、さっきお話のあったように大都会付近の部分的な施設増強で間に合うだろう、こう思っておったのが、それじゃ間に合わぬという喜ぶべき行き詰まりに相なった次第であります。どうかその点は御了承を願いたいと思います。
  114. 島口重次郎

    ○島口委員 今言うように一年先も見えない五カ年計画を立てるような国鉄の見識というものに対しては、相当疑義を持たなければならない、こう思います。そういう面から、たとえば東海道新幹線建設をいたしますると、輸送の険路を解決をいたしますることはなるほどとうなずかれる部分があります。ただこれをやると絶対黒字になる、大きい収入が拡大するという前提は甘いと思いますが、いかがでしょうか。
  115. 十河信二

    ○十河説明員 東海道線が行き詰まりますと、さっき申し上げましたように、全国的の行き詰まりを来たす、全国で旅客も貨物も運べないという状態が起こってくるのでありますが、そこの急迫した、行き詰まった状態を打開することによって、収入も増加いたしますし、国民に対するサービスは大いに向上されてくる、こう考えておる次第であります。
  116. 島口重次郎

    ○島口委員 それでは、一つのそういう見通しを持っておるとするならば、ただ単に原則的な抽象論ではなしに、一つの青写真があると思いますが、その収支予算書なるものがあるといたしますれば、それを出してもらいたいと思います。
  117. 兼松學

    ○兼松説明員 収支の試算といたしまして、幹線調査会その他でいろいろ検討をされましたものは、東海道の新線に、一応これは旅客、貨物を分けたのでございますが、旅客としては、現在の新線区間を走るお客の約七割強が移る。長距離旅客としては移るというようないろいろの計算を基礎にいたしまして、初年度で収入が七百二十四億円、経費が二百九十五億円、その線だけをとりますならば、営業係数が四一%であるという見通しを立てております。
  118. 島口重次郎

    ○島口委員 ただいま兼松常務から東海道新幹線の収支予算書なるものを聞きましたけれども、ただここで聞いただけでは納得できないから、あとで資料で出してもらうといたしまして、きょうはこの程度でやめておこうと思いますが、委員長、どうでしょうか。
  119. 平井義一

    平井委員長 資料は出させますから、資料なしの質問があればやっておいてくれませんか。
  120. 島口重次郎

    ○島口委員 それでは十河総裁にお尋ねいたしますけれども、東海道線の輸送の隘路を解決することが日本全国の鉄道の解決だ、こう言いますけれども、事の優先順位の問題であります。五カ年計画で決定しておる個所を工事完成するなり、それを進行させつつの東海道新幹線ならばよろしいけれども、まだほとんど電化の問題、複線化の問題は各後進区域の面でやっておられないのであります。全然それを放棄いたしました形において東海道新幹線をやることは、国鉄の行政面から考えましても妥当でないと考えておるのでありますが、その点のお考えをお尋ねしたいと思います。
  121. 十河信二

    ○十河説明員 先刻から申し上げましたように、東海道線に全国から旅客、貨物が集まってくる。また東海道線から流れていくのであります。東海道線は三十五、六年ごろになれば全然行き詰まってしまう。行き詰まってしまえば他の線区を増強しても輸送が円滑にいかないという状態になるという事実が認められましたので、それでやむを得ず東海道新幹線の工事に着手することに相なったのであります。
  122. 島口重次郎

    ○島口委員 まだ二、三質問いたしたい面がありますけれども、次会にいたしまして、きょうはこの辺でやめることにいたします。
  123. 平井義一

    平井委員長 次会は来たる二十二日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時三分散会