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1960-03-16 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十六日(水曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 生田 宏一君 理事 川野 芳滿君    理事 關谷 勝利君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 土井 直作君       宇田 國榮君    高橋清一郎君       竹内 俊吉君    塚原 俊郎君       長谷川 峻君    村瀬 宣親君       山田 彌一君    島口重次郎君       正木  清君    山花 秀雄君       内海  清君    菊川 君子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 楢橋  渡君         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     大石 重成君         日本国有鉄道常         務理事     兼松  學君         日本国有鉄道常         務理事     關  四郎君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月十一日  委員下平正一辞任につき、その補欠として河  上丈太郎君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員淺沼稻次郎辞任につき、その補欠として  柏正男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員柏正男辞任につき、その補欠として淺沼  稻次郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十六日  航空法の一部を改正する法律案内閣提出第一  〇二号) 同月十一日  常磐線平以北輸送力強化促進に関する請願(  齋藤邦吉紹介)(第九五一号)  同(八百板正紹介)(第一一二三号)  野岩羽線建設促進に関する請願八百板正君紹  介)(第一一二四号)  特急はやぶさ号等の川内駅停車に関する請願(  中馬辰猪紹介)(第一一七二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第六三号)  陸運に関する件      ————◇—————
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  陸連に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。關谷勝利君。
  3. 關谷勝利

    關谷委員 陸運事務所の件に関しまして、運輸大臣自治庁長官お尋ねをいたしたいと思います。運輸大臣お尋ねするのは、何やらわかりきったことの御質問を申し上げるようなことでありますが、現行の運輸省組織機構の面につきまして、交通政策というものは、公益性あるいはあらゆる交通機関総合性というふうなことを考えてやらなければならないのでありまして、その出先機関というものが一元的になければならぬというようなことは、早くから言われておるのでありますが、運輸大臣も、これから先の自動車行政とかいろいろな面につきまして、この円滑を期するために一番困っておられるのは、陸運事務所の問題であり、またその予算であろうと思います。これにつきまして大臣の御意見を聞いたりするのはおかしい話でありますので、お尋ねいたしませんが、この陸運事務所が現在のようになります以前には、昔の道監——道路運送監理事務所を廃止いたしまする際に、ほかの出先機関を整理いたしますために、これもその一つに含められたのでありますが、これだけは特異性のあるもので、どうしても廃止してはならぬというふうなことになって参りまして、そうして今のような変則のものにでき上がっておるので、そのために非常に不便だといわれておるのでありますが、大臣御就任以来、この陸連事務所ほんとうのすっきりとした姿でなかったために、行政上まことに困ったというふうな事例がおありになったかどうか、この点簡単に、一口でようございますからお答え願いたい。
  4. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ただいま御指摘になりました点でありますが、陸運事務所運輸省管轄下になくて地方行政管轄下にあるために、いろいろと運輸自動車行政の面に支障を来たすことが多いのであります。たとえば白ナンバー取り締まり等問題等につきましても、地方長官の意思によっては、運輸省から出しました指令が、そり地方長官考えによって全然、あるいは熱意を持って行なわれないというために、白ナンバー等取り締まりについても非常な支障を来たしておるような姿であります。また、ある地方、たとえば長崎県のごときは、ちょうど前の知事時代にやはり長崎県自体が、いろんな自動車業公共企業体で行なっておる等の関係がありまして、その点について、いろいろな弊害等も生じておるのでありますから、少なくとも自動車行政を一元的に徹底させるにつきましては、どうしてもこれを陸運局の一元化のもとにやらなければいろいろと工合が悪いのであります。特に自動車のような一定の地域に限局されずして、他県にまたがって広範に機動するような場合におきましては、どうしてもやはり運輸省管轄下に置くべきものであると信ずるのであります。そういう点につきまして、私、大臣になりましてから石原長官にもお願いを申し上げまして、陸運事務所について運輸省に移管してもらうという問題を、目下折衝しておるような次第と、特に最近の白ナンバー等の問題をめぐりまして、痛切にその点を自動車行政上感じておるような次第であります。
  5. 關谷勝利

    關谷委員 石原長官お尋ねいたしますが、白ナンバー取り締まりの上から、陸運事務所陸運局出先でなく、知事の管下にあったために行政処分その他で非常に困ったことがあったということや、今の長崎県が公営企業をやっておりますために、陸運局出先としての機能を発揮することができなかった。知事が、県民の管理者である知事と、この公営企業管理者である知事とが、その点が混同せられて非常に困ったというふうなことを、楢橋大臣が非常に痛切に感じておられて嘆いておられましたが、そういうような事例をあなたはお聞きになったことがありますか。
  6. 石原幹市郎

    石原国務大臣 ただいまお話のありました白ナンバー取り締まりの問題であるとか、あるいは長崎県の事例とかいうことだけでなしに、陸運事務所の問題につきましては、自分もいろいろ実際の行政面の直接の責任者となったこともありまするし、私自身としても前々からいろいろ感じておることについては意見を持っておるのであります。今、關谷委員お話しになりましたように、これは出先機関の整理のときに、同じ一連の問題として府県行政配下陸運事務所が入ったわけであります。しかし私は、この陸運事務所知事の下にあるという今の行政機構、形については、必ずしもうまくいっていないと思います。そこで何らかの形でこの問題を解決しなければならぬと私自身も思っておるのでありますが、一面陸運事務所所掌事務の中におきましても 今日の非常に錯雑、錯綜した交通行政から考えまして、陸連事務所にある仕事全部があのままの形でいいかどうかということについても、再検討してもらわなければならぬと思っておるのであります。そういう意味楢橋運輸大臣の方といろいろ話し合いをしておるのであります。ことに私が持っておりまする考え方といたしましては、車検事務であるとか、あるいは登録というようなことは知事配下系統というよりも、これを公安委員会系統に置いた方が、より合理的であり、能率的でないかと考えておるのであります。自動車運転手に関するいろいろな仕事公安委員会がやっておるのでありまして、人に関する面はやっておるのでありますから、車に関する面もその方がより合理的じゃないか。機構組織人員その他においても、これだけの膨大な組織を持っておるのでありますから、それからもともとは、關谷委員も御承知であったと思うのでありますが、実際が自動車に関する大体の仕事交通警察関係であった。それから、立ちましたついでにさらにいま一つ自動車許可認可等に関する事務は、これは陸運系統でまかしていった方がいいと思いますが、ただその際にもできる限り公安委員会意見を徴してもらう。狭い道路に大きなバスが入り込んで困っているということは今各地で非常な問題になっておるわけでありますから、こういう場合には公安委員会意見を徴してもらうという組織をもっと強化してもらいたい、こういう希望を持っておるのであります。私が陸運事務所に対して持っておる考え方は今申し上げたような点でありまして、現状は必ずしもいい制度ではない、かように私は思っております。
  7. 關谷勝利

    關谷委員 自治庁長官もかつて地方行政首脳部でおられたこともありますので、よくわかっておられるとみえて、正直に言っておられるようであります。陸運事務所が必ずしもいいものではないというそのお言葉、なるほどと思われるのでありますが、今お話しになりました公安委員会と密接な連絡をとること、これはまことにけっこうでありますが、私は警察公安委員会の方にというふうな御意見についてはちょっとふに落ちないのでありまして、警察があの昔の内務省警察であったというようなときから考えますと、警察というものは警察本来の任務、治安維持に専念すべきものであって、そうして行政に介入すべきではないというふうなことからこういうふうになっておるのでありますが、こういうふうなことを、また陸運事務所あたりのその一部を警察にまかす方がいいんだ、公安委員会にまかす方がほんとうだというふうなそのお考えは、私は時代逆行しておる考え方でないかと思います。これについてはあとでまたお尋ねしますので、その際に同時にお答えを願ったらけっこうと思います。  運輸大臣お尋ねをするのでありますが、この陸運事務所事務的にも非常に繁忙をきわめておる。予算の面においてもこれが盲点になっておるというふうなことで、私かってこういうふうなことを言ったことがあるのでありますが、あの陸連事務所予算を見ておりますと、自動車運送協議会というふうなものの費用あたりは、これは三十万やそこらのものを、委員手当その他旅費等を合わせましても三十何が円でありましたか、これを九つに割り、さらにその中で各委員に割り当てるということになりますと、どんな勘定でこういう数字が出ておるのかというようなことを私考えるほど少ないのであります。なお、時間外の手当もなければ旅費もない。通信費等もないために土曜日に書類をまとめて本省あるいは陸運局本局へ送るんだというふうな、まことに人員の面からいきましても予算の面からいきましても、このくらい虐待せられておるところはないといわれておるのでありますが、今度の場合にも、これは多少の増員をいたしましたけれども、あんなことでは間に合うものではない。ちょっと東京あたり陸連事務所を見ますと百三十名職員がおりますが、年間に一万六千余の事案が処理せられておるのでありまして、一日が六百四十一件というふうなことで、そのためにみんなが過労といいますか、休むのができてくる。そうするとその負担がまたほかへいく。さらにその次の者がまた過労のために休むというふうなことで、事務負担が多いために職員が次々に倒れていっているのが現状だというふうなことでありますので、この予算の面と人員の面につきましては相当考えなければならぬというふうに考えるのでありますが、この点については大臣どういうふうにお考えでございますか、来年の予算要求の際には陸運事務所予算というものに重点を置くというふうなお考えがあるかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  8. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ただいま關谷委員の御指摘のありましたことはごもっともでありまして、私も実は運輸大臣になりましてから陸運事務所のあの事務等を見まして、しかもあの激増する大きな負担に耐えかねて、今おっしゃいますような事態が起こっておるので非常に重視いたしまして、今回の予算折衝等におきましても二百七十名近くの人員の増加を要求いたしたのであります。定員増を許さないというふうな閣議の話し合い等もありましたけれども、特にいろいろと折衝いたしまして九十数名、全体で百十名近くのものをふやしてもらいましたけれども、まだこれでは実際言うとはなはだ不十分であるのでありまして、今一番日本交通関係において大きな問題になっておるのは御指摘自動車行政の面でありますから、これをどうしても打破する上において、来年度においては一段と一つ努力をして、この点に重点を置いて問題を解決したい。今回の予算等におきましても在来から見れば画期的な定員増を獲得いたしましたけれども、しかし実際上のこの激増しておる仕事の量からいいますと、はなはだ私から言わせれば汗顔の至りでありまして、まだ微力にして足らざることを実は恥じるのでありますが、この点については痛切に感じておりますので、できるだけ努力をいたしたいと思います。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 これは運輸大臣自治庁長官両方お尋ねを申し上げたいのでありますが、行政管理庁業務報告に、陸運事務所仕事の上におきましての責任所在の不明確あるいは事務能率の低下というふうなことは、これは機構が原因をしておるのだというふうなことで、陸運事務所陸運局出先機関にすべきものだという報告が出ておるやに私は承知をしておるのでありますが、この点両大臣から、そういうふうなことを御存じであるかどうか、一つ承っておきたいと思います。
  10. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 「陸運局及び陸連事務所処理業務実態報告書の第四常陸運事務所の要約」について二十八年の十二月行政管理庁監察部から「委任事務の殆んど全部が所長に一任されており、府県側の関心は極めて薄く、事務委任一大眼目であった地方自治体の遠路、産業行政と給付は殆んどその効果をあげていない。現状の如く曖昧な位置にいつまで事務所を放置することは、職員の志気を低下し、責任所在の不明確と事務能率の阻害を生ずる虞あり、早急に解決を要するものと考える。」という勧告を受けております。
  11. 石原幹市郎

    石原国務大臣 私も昭和二十八年の十二月に行政管理庁監察部からそういう意見が出ておるということを承知いたしております。
  12. 關谷勝利

    關谷委員 業務内容のことで先ほど自治庁長官からもちょっと出ておりましたが、登録検査というふうなものについて運輸大臣自治庁長官との間に御意見の相違があるのではないかと思いますので、両大臣の御意見を承りたいと思いますが、登録制度というのはこれは自動車所有権抵当権所在を証明する純私法的な行政であります。府県知事が行ないまするよりは国家機関が行なうのが適当と私たちは思うのでありますが、この所有権の移動が非常にひんぱんにありまして、全国事務機関相互間の統一的な連絡が非常に必要だというような面から見ましても、私はこれは陸運事務所でやっておるのが適当だというふうに考えております。なお検査業務は、府県ごと検査の水準が違っておるということになると、しやすいところへということになって参ったりいたしますので、全国一律にやっていかなければならぬということもありますので、陸運事務所でやることが適当である、こういうふうに考えております。なお、こういう業務警察行政以外のものであって、陸運事務所がやる方が本来であって、そして公安委員会に所属するというようなことは、警察行政逆行であると考えるのでありますが、この点運輸大臣自治庁長官両方から一つ率直な御意見を漏らしていただきたいと思います。
  13. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ただいま御指摘になりましたような登録の問題も、お話通りでありまして、やはりこれは国家機関がなすべきものが妥当であると実は思うのであります。なお車検登録を移管する問題でありますけれども、これはやはり自動車行政の重要なるエレメントをなすものでありまして、これを警察に移すということにつきましては、端的に言いますれば陸運事務所の心臓を取ってしまうような形になるのでありまして、やはりこの車検の問題は、陸運事務所が当然自動車行政の一環としてやり、陸運局統一下に置くべき性格のものである、私も關谷委員と同意見でありまして、警察というものの持っておる本来の性格からいいますと、こういう行政面はやはり行政面に渡すということが民主的な行き方であって、これを警察に移すというようなことは時代逆行である、こういうふうに考えます。
  14. 石原幹市郎

    石原国務大臣 私も警察というものは防犯なり治安、こういうことに専念すべきであって、行政に関与すべきでないことは同感であります。しかし最近の様相を見ておりますと、例の火薬危険物の爆発その他から、いわゆる危険物警察を今のまま通反省の所管にしておいて、公安委員会警察系統がほとんどノー・タッチであるという現状はこのままに放任できないということで、この国会に火薬類取締法改正案が出て、公安委員会の介入あるいは警察官の臨検検査というものが非常に強化されていくわけなんです。こういう面の危険物警察であるとかあるいはこれに匹敵する、それ以上ではないかという交通地獄交通警察的な面について、警察がもっと介入するということは、人命保護国民生活保護意味から申してむしろ当然なことである、これは何も警察逆行でも何でもない、いわゆる警備警察というか、昔の思想警察的な面に入り過ぎてはいかぬということでありまして、人命関係する部分に警察が関与していくということは当然なことではないかと思うので、その点は一つよく振り分けて考えてもらいたい。私も三十年ばかり前に神奈川県の保安課長としてこういう事務を三年ばかりやったのであります。車体検査からナンバー登録から昔は実際ずっとやった。ただ敗戦後の警察機構の改革で、何もかも全部一切がっさい警察機能を縮小しなければいかぬということで、これは私は少し占領政策行き過ぎの是正がやはり一つの問題ではないかとすら考えております。その代表的なものが今回の交通車検登録、今ここで具体的に論議されている問題ではその二点だろうと思う。それで登録を純私法的だとかどうとかおっしゃいましたけれども、それはそういう見方もあります。しかし戸籍だって市町村がやっておるのであって、ナンバー登録ということは事故あるいは犯罪の捜査、そういうことに非常に大きな関係を持っておるのであって、それで、ことに車体検査は先ほど申し上げましたように、運転手免許とか、そういう車を動かす人の面は公安委員会がやっております。東の危険があるかどうか、そういうこともその系統でやった方がいいのじゃないか。私はこまかいことは知りませんけれども、臨時の免許とかいろいろなことはみな警察が現にやっている面が相当あるのでありまして、何も私は機構のなわ張りとかそういうことで言うているのでなしに、陸運事務所陸運局系統に返していいと思います。知事会やその他は反対しておりますけれども、私はすっきりした系統がいいと思っておる。今の知事のもとにあって、有名無実な形は決していい制度と思っておりません。しかし、その機会に本来交通と密接な関連のあるこれらの部面については、知事とは言わない、県庁とは言わない、公安委員会の方に譲ってもらう方が、より交通実績を上げ得るのじゃないか、人命保護実績も上げ得るのじゃないか、こういうことから言うている次第であります。
  15. 關谷勝利

    關谷委員 警察事故防止の面その他人命尊重関係から、検査登録というふうなことを公安委員会でと言いますが、それは事故防止人命尊重というふうな点では、道路交通取締法を現にあなたのところで審議中であろうと思いますが、これを完全にあなたの方でやっていただけばそれで十分なんです。何も登録車検にまで口を出していただかないでもこれは十分できるのであります。そして車検登録というふうなことは陸運事務所にまかして、あなたの方は運転手の素質の向上とかなんとかいうことをしておれば、両々相待ってそれが事故防止の完璧を期することができるので、あなたのお考えは、やはり昔の警察がなつかしくなって、その警察へ力を持たしたいというのが本音のように聞こえますが、この点は、道路交通取り締まりの面は公安委員会、それから車検登録というふうなことはこれは陸連事務所にまかすべきものだ、そしてその陸連事務所陸運局出先にすべきものであるということではっきり割り切っていただきたいと思います。今晩寝てよくお考えを願いたいと思います。  なお、あなた知事会議等反対があるというふうなことを言われましたが、四国の知事会議におきまして、予算も国のものであり、そして人員運輸省のものである、そういうふうな陸運事務所は要らぬ、陸運局に返します、受け取って下さいという決議をしております。この事実を御存じですか、陳情書が出ておりますぞ。
  16. 石原幹市郎

    石原国務大臣 私の申し上げたのは、昭和三十四年十二月十日に全国知事会議でそういう決議をしております。個々知事がいろいろの意見を持っていることは私も承知しております。だから、知事会議や何かで反対しているけれども、私自身考えは筋をすっきりした方がいいということを申し上げておるのであって、むしろ先ほど申し上げたような面は公安委員会の方がより適切ではないか、私の意見を求められたから、そういう私の意見を申し述べたつもりであります。そういう点はよく承知しております。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 その点は長官の御意見として聞きますが、それは私は妥当でないと考えておりますので、道路交通取締法の方にあなたの方は御専念をしていただく、それと、知事会議決議しておって、個々知事反対がと言うが、そういうふうな特別な知事がちょっとがんばったからまあまあというようなことでやっているが、実際にはこんなものは要らぬというのが全国的な考えです。あなたも地方知事をやっておられたが、その際にこんなものは要らぬ、じゃまになるというお考えがあったと思いますが、とにかく結論といたしまして、運輸省自治庁が早急にそれを話し合って、その点をはっきりしていただいて、まあ、あなたも外柔内剛でなかなかきかぬ気の人ですが、あまり強情をはらずに、一つ大臣が話し合ってこれを解決していただきたいと思います。
  18. 平井義一

  19. 井岡大治

    井岡委員 先ほど石原長官は、現在の陸運行政陸運事務所運輸省の方に統括したというのは、若干占領政策行き過ぎな面もある、こういう意味のことを御答弁なさったのでありますが、私はもう一度この機会陸運事務所ができました経過というものを明確にした方が、かえってこの問題の焦点を明らかにすることになると思いますので、これまでの経過について一応御説明をいただきたい。これは運輸省の方が御存じだと思いますから、運輸省の方から一つ……。
  20. 國友弘康

    國友政府委員 陸運事務所が成立しましたまでの経緯について申し上げたいと思います。戦争前には警察当局で所掌しておりましたのは、石原長官の言われました通りでございますが、昭和二十二年の三月に鉄道局自動車事務所というものが設置されまして、このときに石油等資材配給事務その他自動車運送事業等監督事務等を所掌しておりました。昭和二十三年の一月に鉄道局自動車事務所が廃止されまして、運輸省支分部局である道路運送監理事務所が設置されまして、このときに特定道路運送監理事務所というものができ、道路運送監理事務所車両検査事務を移管された。そのときの経過を申し上げますと、昭和八年に制定された自動車取締令という内務省令がございましたのですが、この自動車取締令は根拠法律のない独立命令でありましたので、旧憲法が廃止になりました際に、根拠法律のない独立命令として、昭和二十二年の十二月三十一日限りで効力を失ったわけでありまして、そのときに事務の分界をきめなければならないということでいろいろ検討されまして、従来から自動車輸送の監理行政と車両保安行政とはきわめて密接な関係にありましたにもかかわらず、自動車交通事業法と自動車取締令という二つの法令で所管省が異なっておりましたので、これらの不合理を是正して、道路交通に関する警察取り締まり警察当局、しこうして、運転手の運転免許制度等は警察当局の所掌、それから車両保安行政は運輸交通の所管省である運輸省の所管ということで、道路運送監理事務所に移管されたわけでございます。そういう経緯をたどりまして、車両検査事務陸運事務所が所掌しておりました。その際に陸運局の分室等を設けるという暫定的な措置もございましたが、昭和二十四年の八月に、「出先機関地方委譲のための措置」という閣議了解で、道路運送監理事務所事務、これは先ほどからお話の出ておりますように、予算及び任免権は運輸大臣にありますが、所属は都道府県知事に属するという形で終局的には昭和二十四年の十一月一日に陸運部分室は廃止されまして、都道府県陸運事務所が設けられる、こういう形をとったわけでございます。
  21. 井岡大治

    井岡委員 私はそのことをお尋ねしておるのでなくて、今お話しになった旧憲法で独立命令であった交通取締法について、それをお伺いしておるわけですが、これが出たときにすでに問題があったはずです。ですから、依然として今日も問題が残っておるのではないかと思うわけですが、たとえばこの問題について長官は、今度こういうように取り締まり警察にする方が正しい、そうして免許あるいは登録等の運輸行政の点については運輸省に移管する方がいいということ、このこと自体が若干占領政策行き過ぎのように私は思う、こういうような意味のことを答弁されたわけなんです。ですから、この点について前のときに問題がなかったのかあったのか、いわゆる戦時中のときに問題があったのかなかったのかということをまずお尋ねをしておるわけです。
  22. 國友弘康

    國友政府委員 これは、戦時中の問題といたしましては、あのころ鉄道省、それから運輸通信省に昭和十八年であったと思いますがなりまして、そのころこういう自動車行政というものを鉄道局に所管さすべきか、都道府県に所管さすべきかという問題がございましたが、いろいろ省内でも議論をしました結果、従来そういう交通取り締まりをしておる関係、ことにそのころは自動車が非常にまだ少なかった時代でありまして、都道府県に所管させようということで、都道府県に輸送課を置きまして、鉄道省からも輸送課長を派遣して任命するというような形で実際には運営しておったわけでございますが、この間鉄道と自動車との調整という問題その他の問題に関しまして、いろいろと問題があり、鉄道省及び運輸通信省の内部においても、これは鉄道局に所管さすべきでないかという意見は非常に強かったのでありますが、結局先ほど申し上げましたような経過をたどり、戦後まで都道府県で持っておって、問題はあった、こういう状況でございます。
  23. 井岡大治

    井岡委員 そうすると長官お尋ねをいたしますが、私の聞き違いであれば幸いですが、戦後運輸行政いわゆる自動車行政取り締まり行政を分けた、このことを正しいとお思いになっておるのかどうか、この点をまずお聞きしたい。
  24. 石原幹市郎

    石原国務大臣 大筋においてはいいと思います。
  25. 井岡大治

    井岡委員 それではその次に、昭和二十八年の十二月に行政管理庁監察部からこの問題について勧告が出ており、続いて三十年にも同様の勧告が出ておるわけですが、これらについて長官御存じであるかどうか、この点をお尋ねいたしたい。
  26. 石原幹市郎

    石原国務大臣 先ほど申し上げましたように、こういうものが出ておるということは私も承知しておりました。  それから、現に知事配下に名前だけ陸運事務所というものがあって、知事はもう自分でみずから判こをつくことはない。判こもみな陸運事務所で持っておって、一括して押しておる。極端な話は、問題でも起こったときに知事責任呼ばわりされるだけで、全く現在の陸運事務所の形というものは、府県行政の形においては、むしろお互いに非常に迷惑な形ではないかという実態も、私よく承知しております。
  27. 井岡大治

    井岡委員 それでは運輸省の方にお尋ねをいたすのですが、最初の勧告が出たのは二十八年です。それから次の勧告が三十年、今日はすでに三十五年です。この間これらの勧告についてどのような御処置をとられたのか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  28. 國友弘康

    國友政府委員 この監察報告がございまして、私どもとしては、これはもっともな勧告でもありまするし、その方向に実行に移したいと考えたのでございますが、役所の権限と申しますのは非常にむずかしいものでありますので、自治庁等とも、こういう勧告が出ておるので考慮願いたいということは言った、たしかそういう交渉はしたと思いますが、ついに実現しなかった。しこうして、そういうことは十年来われわれとしては感じておりましたところへ、白タクの取り締まりその他という問題が出て参りましたので、ことに最近痛切に感じてきましたので、ぜひこういう陸運事務所の一本化の問題というものを考えられたいということで、非常に積極的に自治庁とも交渉を始めたという経緯でございます。
  29. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 その問題につきまして、さいぜん私もちょっと申し上げましたが、私、運輸大臣になりましてかり、この点は非常に弊害もあるし、現状でやっておっても自治庁の方にプラスするものがない。現に運輸行政の方においていろんな支障を来たす。ことに地方によりましては、県会議員その他の人たちがいろいろな問題をやはり陸運事務所に、県にあるために、持ち込みまして、非常な問題を、いろいろな疑惑を起こさしたり、弊害が非常に多いから、どうしても運輸行政の一本化、すっきりした線にこれをなす必要がある、こういうことで、自治庁長官の石原さんと、私入閣しましてから間もなくこの問題を取り上げまして、御相談を申し上げ、かつまた内閣の総務長官その他の関係の連中にも一応了解を得て、この問題を一つ至急に解決したいということで折衝しておりますが、今日はやはり事務的にこの問題もしなければならぬということで、自動車局長等にもこの問題を自治庁との間にもいろいろと折衝させておるような次第であります。今、石原さんと私との話し合いで、石原さんのおっしゃいました二点の問題は、一つの私と石原さんとの話のつかない問題でありますが、この点はぜひとも石原さんに了解を願って、何とか解決をいたしたいと思っております。石原さんも、御存じのように、今おっしゃいましたように、これがこういうような変則な形であることはよくないということは、原則的に私と意見が一致しておりまして、あとその内容の、移す問題守について今しぼられておるのでありますけれども、これがだんだんこの委員会等において、皆さん方の御質問等によって明確になりつつありますので、この点も何とか話し合いをうけたい、こういうふうに思っております。
  30. 井岡大治

    井岡委員 御努力をされておるようですが、私の調べではあまり御努力をなさったようななにがうかがわれないのです。三十四年の八月に初めて交渉なさった。これは当委員会において、白タク問題で、たしか同僚の關谷委員が、陸運事務所府県管轄下にあるから、取り締まり等についてかなり混乱を来たしている、こういうことを提起されてから、初めてこの問題が取り上げられたように思うわけなんです。もちろん私はそのこと自体が必ずしも悪いと言うのではありませんけれども、少なくとも政府は、行政管理庁の勧告などというものについては、一方においては非常に神経質で、これがあるからこれがあるからということで、たとえば志免の問題などは四年間にわたってそのことを言い続けられてきたわけなんです。大臣がかわるたびごとにそれを言い続けられたわけなんです。ところが、こういう問題になりますと、どうも問題に火がついてきて、それからどうしようかというような、こういう歩みでは、何のために行政管理庁が勧告したのかわからなくなってしまう。こういうように思うわけです。しかも、最後のあげくの果ては、長官大臣を二人並べておいて聞かなければならぬということは、まことにぶざまなように思うので、われわれとしてはまことに不本意な話なんです。ですから、この問題について早急に結論を出すようにしてもらわなければならぬ、こういうように思うわけですが、この点両大臣からもう一度、話し合いしているのだということでなくて、早急に解決するという立場を明らかにしていただきたい。
  31. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 御指摘のように、この問題は自動車行政の最大のガンみたいになっている大きな問題でありますので、熱意を込めてぜひとも石原さんと私との間でこの問題を解決したい、こういうことを申し上げます。
  32. 石原幹市郎

    石原国務大臣 私もこの実情はよく知っておりまするので、できる限り解決の方向に努力したいと思います。幸い自由民主党の政務調査会等におきましても、それぞれの都会でこの問題の検討を始めておられるようであります。私も党に所属しておる大臣でありますので、党あたりで——大てい官庁の機構というものは、たびたび申し上げますように、なかなかむずかしいのです。だから、党あたりで強力に意見をまとめてもらって、それに私従って、早くこの問題を解決したいという考えを持っておる一人であります。
  33. 井岡大治

    井岡委員 官庁の機構が複雑だというのは、結局官僚に頭を押えられるということになってしまうので、この点は、大臣は官庁の長ですから、そういう機構の問題で抑えられないで、一つがんばってもらいたいと思います。  それからもう一つ、先ほど長官は、公安委員会意見を徴するということをわれわれとして考えたい、こういうお話でありましたが、この点については、關谷委員から態度を明らかにされましたので、私はあえてこれをもう一度繰り返そうとは思わないのですが、ただ問題は、交通取り締まりという立場から車検登録なりあるいはいろいろな問題を公安委員会に残すとするならば、どういう弊害が起こるだろうか、こう思うのです。たとえば、現在でも免許をする場合には、まず公安委員会意見を徴するということで徴しておるはずだと思うのですが、この点自動車局長お尋ねをいたしたいと思います。
  34. 國友弘康

    國友政府委員 公安委員会に対しまして免許申請がございました場合に、乗り合いバスあるいは路線トラックについては意見を聴取することを、先年の総理府の事故防止対策本部の決定によりまして覚書を交換いたしましていたしておりますが、警察当局の方からは、もう少し十分に連絡をしてくれという話もあり、その点につきましては現在妥当な線が出るように検討もし、また逐次陸運局の方に指示もしておる状態でありまして、意見聴取の面につきましては、私どもとしても今後考えていきたいと思っております。
  35. 平井義一

    平井委員長 井岡君、時間がありませんから簡単に願います。
  36. 井岡大治

    井岡委員 今のもう少し妥当な線という、そのもう少し妥当な線のところをもう少し明らかにして下さい。私は事実を知っておるから、この問題で将来長官考え方が間違っておるかということを明らかにしたいために、お尋ねをしているのです。この点だけもう一度明らかにして下さい。
  37. 國友弘康

    國友政府委員 乗り合いバスとか路線トラックの場合には、やはり道路交通の面で相当制約を受ける点がございますので、これらの新しい免許申請がございました場合には、公安委員会意見を現在聴取いたしておりますが、さらに事業計画の変更の認可申請等におきましても、道路交通支障を来たすような面も最近は出て参っておりますので、そういう事業計画の変更の面におきましても、将来公安委員会の方へ意見聴取をするという方向で現在考えておるわけでございます。
  38. 井岡大治

    井岡委員 そこで長官、今の問題ですが、現在のような状態で、警察の方がかなり強い権限を持っておいでになる。私がここでしゃべると、直ちにまた、お前はどこから種を入れたと言って、すぐ警察が、私の調べに行ったところは全部押えてしまうという状態なんです。たとえば、この面ここで私は質問をいたしました。これは橋のかけかえをやっておるわけであります。その橋のかけかえの隣に自動車を通す道がある。そこを当分の間通してもらいたい。そうでない限り、いわゆる徒歩連絡をしなければならぬ、こういう話なんですが、警察の方はがんとしてこれに応じなかった。これは、なるほど橋より狭い道路ではありましたけれども、自動車の利用するのには何ら支障を来たさない。にもかかわらずそういうことで、がんとしてこの間応じなかった問題があるわけなのです。これなどは明らかに公安委員会警察意見を徴することによって、いわゆる免許の許諾権を警察が握っておるんだというように錯覚を起こされておる一つの事実だと思うのです。こういう点を考え合わすならば、これは非常に長官の善意のお考えであるとしても、われわれとしてはいわゆる取り締まり警察行政警察に移行する危険性を持っておるというように理解せざるを得ないのです。こういう点から考えるならば、私はやはり交通取り締まりの問題は交通取り締まりの問題として、すでに政府は現行法では十分でないからということで参議院に提出をされて審議をされておる状況等から考え合わすならば、あくまで取り締まり警察取り締まり警察というように区分をすることが正しい、こう思うのです。いやしくもそれが行政の方に移行するとするならば、善意からくる錯覚というものが、結局免許の認許可権を持ったような格好になってしまう。こういうことでは私は運輸行政の一貫ということははかり得ないというように思うのですが、この点について一つ運輸大臣長官から、おのおの御答弁をいただきたい。
  39. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今、井岡さんのおっしゃいましたような弊害は、やはり起こり得ると思うのであります。
  40. 石原幹市郎

    石原国務大臣 許可認可の筋が陸運当局にあらねばならぬ、これはその通りでいいと思います。警察がそこへ介入してはならぬ。私が先ほど申し上げましたのは、今非常に問題になっておるところの、非常に細い道路に道一ぱいの大型の車なんかが入っておるということ、これはもう世の常識理論として非常に非難があるのです。それがどこからきているかというと、陸運系統一本でやっておるということ、最初の認可のときは何か意見が徴せられるが、その後、車でも増車されるとか、大きくなったとかいうような問題についての相談がないので、そういうときにも相談してほしいということを言うておるのであって、今、井岡委員が言われたような例は、大阪の例かどこの例か知りませんけれども、もしそういうことがあれば、指摘して下されば公案委員会を通じて厳重に警察当局に言いますから、そういう弊害は是正したい。私が言いましたことはそういうことてあります。それからこの陸運事務所の問題も、何も私の方に新たに権限をくれとかなんとか、なわ張りで言うておるのではなしに、人命保護や、いわゆる交通地獄を解消していく上において、どの形が一番能率的であり、効果的か。現在の陸連事務所のあの人数、あの機構、あのやり方ではやれないのではないかという世論もあるのです。運輸委員会の皆様方もやはりその地方行政方面あたりで論議されておる意見も参考に聞いてもらいたいと思うのであります。しかし組織機構の問題を早くすっきりしたものにしなければならぬということは私も同感でありまして、ちょうど運輸大臣も非常に熱心であります。私もその気持でおりますので、でき得るだけこの機会に結論を出したいと思っております。
  41. 井岡大治

    井岡委員 機構を残したいということでなくて、意見を徴するというような点はどうか、こういう若干好意ある態度を、大臣、先ほどの關谷委員との応答の中からお示しになりましたが、やはり問題は、運輸行政というものは運輸行政一本でやらなければいけないと思うのです。たとえば、これは事のついでに申し上げておきますが、やがて午後またやるということでありますから、できれば長官に出ていただきたいと思うのですが、現在の都市交通の一番のガンというものは何といったって路面電車を早くなくするということなんです。ところが自治庁の方ではこの問題について十分な態度というものはいまだ明確でない。せんだっても参考人に聞きましたら、都市交通責任がどこにあるのかさっぱりわからない。運輸省にあるか、あるいは大蔵省にあるか、自治庁にあるのか、さっぱりわからない、こういう積極的な意見が参考人から出ておる点等も考え合わせまして、いわゆる運輸の一貫行政考え合わすならば、やはりこの際陸運事務所という下部、末端の問題ではあるけれども、行政管理庁が勧告をし、あるいは意見を出しておるように、すみやかにこの体系をとられんことを望みたいのです。そのために格段の努力を払っていただきたいと思います。
  42. 川野芳滿

    ○川野委員 私は關谷委員の質問に関連して一言だけお尋ねを申し上げたいと存じます。石原自治庁長官は先ほど、陸運事務所の一元化には異論がない、しかしそのかわりに占領政策の是正、こういう言葉をお使いになったのでありますが、車検登録事務公安委員会の手に返してもらいたいということであります。これは言葉をかえて申しますならば、その事務公安委員会の手に返すならば、陸運事務所の  一元化を認めてやろう、こういう御答弁になろうかと考えますので、これを公安委員会の手に返すということになるならば、どういう点が非常に利益になるか、この点をもう少しはっきりお示しを願いたいと思う。
  43. 石原幹市郎

    石原国務大臣 占領政策の是正というような言葉を言いましたのは、誤解があってはいかぬと思いますから、ちょっと釈明だけしておきたいと思います。と申しますのは、警察を司法警察だけに限局したわけです。ところがその後、先ほどちょっと申し上げましたように、火薬の爆発や何かいろいろあって、危険物警察の面については、もう少し警察が介入しなければいかぬのじゃないかという意見が盛り上がってきて、今度の国会で法の改正が行なわれる。それと同じように交通警察の面についても考えなければならぬ面があるのではないかというのが私の意見でありまして、占領政策の是正というのは、抽象的にいえば警察だけに限ったのが少し行き過ぎておったのではないかという意味合いでありますから、誤解のないように願いたいと思います。  それから車検並びに貫録は、これは御承知のように運転手の方は公安委員会警察でやっておるわけです。人の面をやっておるのであって、人の面と同じように車体検査がどう行なわれておるかというようなことは、交通事故防止の上に非常に大きなことであり、しかしまたあれだけの大きな組織機構と陣容を打っておるのでありますから、むしろ警察の方がかえって効果的で実績が上がるのじゃないか。陸連事務所でも現在なかなかやり切れないのじゃないかといって、さらに機構をいろいろ考えておられるやの話も聞いておるのでありますから、その際の問題としてやはり検討すべきじゃないか。それからナンバーの問題なんかも、今車に関するいろいろの犯罪捜査からいえば、やはりナンバーの問題が一番なのであります。だからそういう事務登録も純司法的事務であるからこれはどうだというような議論でなしに、やはりどういう形が一番国民生活に利便を与えるか、人命保護にいいかということからも御検討を願いたいと思います。機構改革の際にこれらの問題も解決してもらえれば非常にしあわせであるという意見を私は申したのであります。
  44. 川野芳滿

    ○川野委員 危険物取り締まりとか交通警察の面、交通取り締まりという点について警察が大幅な権限を持ちますことは当然でございまして、何人も異議のないところであると思います。なるほど警察組織、陣容、人数等も多数ございますが、しかし車体の検査等におきましては、ある程度の技術というものが要ると私は思う。そして警察官はなるほど捜査面等におきましては万人が技術を持っておりますが、車体検査等の技術の面ということになりますと、技術を知っている人はわずかな人であるといわねばならないと思います。従って、技術が要る車体の検査等におきましては、これは公安委員会にかりに権限を譲りましても、私はそう効果はないのじゃなかろうかと思う。そこで、取り締まり面において大幅な権限を御要望になりますことはわれわれも賛成でございますが、車体の検査等におきましては技術が要る、こういう点にかんがみまして、公安委員の手に持っていくということをしないで、やはりこれは技術を持っている陸運事務所の方に従来通り置くことが適当でなかろうか、かように私は考えますが、いかがでございましょうか。
  45. 石原幹市郎

    石原国務大臣 それはもう車体検査に技術官が要るのはもちろんそうでありまして、それはその技術管がそっくりそのままの形で公安委員会に移るということで、技術の面はそういうことを考えております。ただ補助官として補助や手伝いがたくさん要るということであります。昔警察車体検査をいろいろやっておったころも、技師や技手がおったわけです。それは移ればいいのです。
  46. 川野芳滿

    ○川野委員 もちろん移るくらいのことは私も了承して御質問を申し上げているのだが、やはり今の機構が移るということになりますと、これが公安委員会の手に移りましてもさほど効果はないのじゃなかろうか、私はかように考えますから、あなたのその考え方を是正していただいて、なるほど取り締まりの面においては大幅な権限を有することもけっこうでありますけれども、車体検査登録等のごときは一つあなたのお考えを変えていただきたい、こういうことを御要望申し上げまして、私の質問は終わります。      ————◇—————
  47. 平井義一

    平井委員長 次に日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  生田宏一君。
  48. 生田宏一

    ○生田委員 総裁にお尋ねしたいのですが、総裁はこの間四国の方に御旅行になりまして、公式に御意見の御発表をなされているようでありますが、その席上で四国の開発について、特に四国を観光地として開発したい。一年に二百万ぐらいしか観光客がない、こういうことでは困るので、もっと観光設備を完備したい。ついては問題になっている本土—四国の鉄橋の架設についても明石、鳴門といわず瀬戸内海に三種の橋梁をかけて大いに観光センターとしての四国を開発したい、こういう御意見が出ておったようであります。これについてはかなり地元でもけげんな面持で総裁の話を聞いているようでありますが、その真相はどのようでございますか。新聞の伝える通りでございますか。われわれが憂慮しているのが間違いでございますか。私どももけげんな面持でお伺いするわけであります。お答え願います。
  49. 十河信二

    ○十河説明員 ただいまお話のありましたようなことは、こういう次第であります。四国をなるべく観光地としてもっと開発すべきではないか、そういう御意見を伺って、私は、もっともだ。自分はかつてラジオや新聞の年頭に夢を語るということでインタビューをしたことがあるのでありますが、それがラジオでも放送されましたし、新聞にも記事が出たのであります。そういうふうな夢として、自分は四国はスイスと大体同様の人口を持ち、自然のうるわしさはスイス以上だと思う。だからスイスが年に千二百五十万人の外客を誘致しているのに、日本はわずかに十五万、ことしはどのくらいになりますか、せいぜい二十万ぐらいだと思いますが、そういうふうな状態では情けないじゃないか、四国は内地の観光客が大体二百万ぐらいだと思います。ほぼ日光の半分程度、これではいかぬから、自分は夢としてこういうことを語ったことがあるのだ、その第一着手として今の明石海峡とかあるいは鳴門海峡を今力を入れて調査をしている、そういう意味のことを新聞記者にも話をしたのですが、それはそういう意味で申し上げたのであります。現実の問題としては、今申し上げているように鳴門あるいは明石、これに力を入れて調査しているということを言っております。
  50. 生田宏一

    ○生田委員 私のところに送って参りました徳島新聞に載っております記事は、総裁は鳴門といわず明石といわず、そのほか瀬戸内海に三種の横断橋を作るのである、こういうお話をされたといわれますが、私はまさか総裁がそういうことをおっしゃるはずはないと思うのです。四国に二百万の観光客がある、その観光客を千万人に開拓するという計画をあなたがお持ちになっておっても、今の国鉄の現況で、日本の財政で、一個所一千億以上かかる橋梁をあなたの在職中に三つも四つもかけるということがはたして可能であろうか。私たち政治家なり、また無責任な人間が夢を語るというのならよろしゅうございますが、しかし国鉄の一番の責任者である総裁が、自分はそういう考えを持っているといって地元に行って御演説なさった場合に、地元は何と考えるでしょう。十河さんは郷里へ帰られて大ふろしきを広げたとしか有識者は考えないでしょう。もしあなたが実際そういうことをお考えになっているとするならば、私はお尋ねしたいのですが、明石、鳴門海峡以外に国鉄が三つも四つもと言いましても、過去の運輸省なり国鉄の仕事の中に、何か具体的に調査した路線とかあるいは具体的に構想がまとまったとか、そういうものがおありになるかどうか、私はないだろうと思います。何も根拠がないものを、あなたが三つも四つも瀬戸内海に橋をかけたらいいだろうと言ったって、はたしてそれが技術的にかかるかどうかわかりません。総裁はむしろそういう問題については消極的に、手がたくやられるものだと考えておりましたところが、四国へ行かれてそういう話をされた、物議をかもすのは当然でございます。明石、鳴門の人たちから言いますならば、国鉄はほんとうにやる気があるのかどうか疑わしく考えるでありましょうし、またその他の、かりによくとった人でも、不可能だと思われた瀬戸内海の架橋ができるというのだろうか、もしできるということになったら、みなおのおの思惑を持って参ります。何も運輸省なり国鉄だけでなしに、建設省も思惑を持ってくる。地域的にも二、三のところが思惑を持ってくるのです。そのときに、具体化したものが何もないのに、あなたが三つなり四つなり橋をかけようというようなことを公式の席上で言明なさったということは、すでに一つのまとまった構想が運輸省としてできた、こういうようにとらざるを得ないでありましょう。ところが、私たちが聞いてみるとそんなものは一つもない、これは総裁が失言なさったのだろう、こういうことになるのです。ところが、そうおっしゃって参られたものを私たちがそうではないと言いってみたところで、これは始まらぬ話であります。私がきょうここでお尋ねしますのは、公式にあなたがおっしゃったことですから、公式に運輸省は明石、鳴門両海峡以外は今のところは計画を持っておらぬ、もし三、四の候補地が出てくるならば、それは今後検討すべき問題である、こういうお答えが私はされるべきだと思うのですが、いかがでございましょう。
  51. 十河信二

    ○十河説明員 もちろん明石、鳴門だけでも莫大な資金を要するからこれだけでも容易にできない。それであるから、たとえば尾道—今治間は民間で豪華な連絡船を作ってもらいたい。そうすれば、急行列車が尾道でとまり今治でとまるとこの間を民間の連絡船でつなげるから非常にいい観点ルートになるのじゃないか、そういうことも話をしておるのであります。今日国鉄は鳴門、明石以外にもちろん何の計画も持っておりませんし、何の調査もしていないのであります。今申しましたように、尾道へ特急をとめてくれといったときに、それはとめますが、ここへりっぱな連絡船を一つ民間でつけるように、今民間の船会社にも話をしておるのです。そういうことができれば、当然ここには特急がとまることになると思います。そういうふうに私は話をしておる。明石、鳴門だけでも容易ならぬ大事業である、国鉄だけで処理し切れない大事業であるということはわかっております。また、今日そう私はかたく信じております。
  52. 生田宏一

    ○生田委員 お話はよくわかりましたが、物議をかもすようなそういう表現をなるべくお慎み下さって、ただし、国鉄の事業については積極果敢に御推進下さらんことを要望しておきます。
  53. 平井義一

    平井委員長 久保三郎君。
  54. 久保三郎

    ○久保委員 総裁がおいでになりましたので、少しおそまきながら一つだけお尋ねをしたい。というのは、志免鉱業所の事後処理についてであります。この志免鉱業所の問題につきましては、ことしの一月二十六日に労使の間において一応の線が見出され、長きにわたりました紛争というか、そういうものが解決をしたとわれわれは考えているわけであります。その志免問題の解決の基本方針はおよそ三つあると思う。これは当事者間で取りかわした覚書によりましても、志免鉱業所は現在の経営を続けていく、と同時に、赤字解消にもちろん努めなければならぬ。それから、志免鉱業所において従前通り働く所属職員の労働あるいは生活不安は除去するように措置するというのが一つの方針だと思います。第二番目は、今後の経営の維持に必要な資金、資材等は当然投入する、これが二つ。三つ目は、今後の経営について大きな変革すなわち、売山あるいは閉山あるいは終掘、そういうときには、こういう重要な合理化がなされるときには、事前に労使双方で話し合いをして、特に労働条件については協議していく、この三つが解決の基本方針であったと思います。その後、具体的な措置について両者間において団体交渉を継続中だとわれわれは見ているわけであります。ところが団体交渉の中途において——特に配置転換の問題であります。配置転換も、この一月二十六日に両者間で一応の申し合わせというか、協定ができたわけであります。希望配転あるいは希望退職はおおむね干名程度とする、こういうことであったと思う。ところが、その後国鉄総裁の命令ということで井上支社長が談話を発表して、さらに具体的工作にかかっている問題は、希望をとりましたところが千名以上出た。千六百二十何名が出てきたということについてでございます。それでそれは全部レール側に引き取る、病気中の者は病院で回復を待ってレール側に引き取る、そういうようなことを一切の話し合いなくして発表しているわけです。この真意はどこにあるか。まず第一に、千名程度というのでありますから、おおむね千名であります。出たり入ったりは若干ございましょうが、あとの残留者によって志免鉱業所は先ほど読み上げた三項目に従って経営は維持していく、ところが千六百何十名全部引き取るとなりますれば、経営に対しては大きな変換がくると思う。ところがその変換については何らの御見解を示すことなく、あるいは協議することなく、希望が出たから全部とるのだということになりますと、今日まで誠意を込めた結論は総裁の方からくずれる。それであっては志免鉱業所に働く者は安心して働けない、こういう結果になると思う。これはいかなる経緯によって、いかなる意図であなたは井上支社長に総裁命令として発してそういうことをやられるのか、この点をお聞きしたい。
  55. 十河信二

    ○十河説明員 志免鉱業所の諸君につきましては、たびたび申し上げておりますように、あの炭鉱の寿命はだんだんと縮まって参りますから、そこで、切羽と取っ組んで働いてくれている従業員諸君は将来どうなるか、国鉄は一山経営でありますから、他の民間の炭鉱会社だと他の炭坑で仕事を継続し得るという希望がありますが、志免炭鉱は国鉄の一山経営でありますから、ここで切羽を掘り取ってしまえばあとどうなるかという不安がある、それで熱心に働いてくれておる従業員になるべくこの不安をなくしてやりたいということが一つの大きな目的であったのであります。そのことは、私はたびたびこの席でも申し上げたかと思うのであります。そういうふうな目的で団体交渉をいたしました結果、大体あれだけ反対運動があったんだから、そう希望者は多数に出ないだろう、まあ千名程度減ることがせいぜいじゃないか、こういうふうに組合の方でも考えられたことと想像いたしておりますが、われわれの方でもそういうふうな考えで希望者を募集しようというので、無条件に希望者を募集いたしたのであります。ところが、案に相違して、今のお話のように、希望者が千六百数十名出た。そうしてこれらの希望者が、ここにおっては安定ができないから、そこで親族会議や家族会議を開いて、どこかもっと安定した職場を得るように、長年住まいした志免であるけれども、これでは不安だから、どこかほかへこの際一つ配転をしてもらいたいということを申し出てきたのであるから、ぜひとも配転を全部引き取ってもらいたいという申し出がひんぴんと私のところへきておるのであります。そこで、これらの人に不安を継続させてはまことに相済まぬ、御承知のように、志免炭鉱は非常にガスの多い危険な炭鉱でありますから、最近炭鉱の事故が続々と出ております。万一そういうふうな事故があっては大へんである、これらの人に安心を与える必要がある、こう考えまして、労働組合との話し合いも大体千名程度ということで、数は制限しない、制限する意味じゃないということになっておりますから、彼らに安心を与えて、明るい気持で働いてもらいたい、事故を起こさないようにしてもらいたい、そういう趣旨で、私は今のように、みんな面接をして、事情の許す限り配転をさせるのだから、そう騒がないで落ちついておってくれということを言った次第であります。
  56. 久保三郎

    ○久保委員 今のお話を聞きますと、全部引き取ってくれと言うから引き取るんだ、炭鉱はガスが多くて危険だから、不安定だし、この際全部引き取るんだというお話であります。それだけでは話にならぬと思う。組合との間に、志免鉱業所は現在のまま国鉄経営を持続するんだというお約束がある。全部希望すれば、どうなるんです。全部希望してしまうと、総裁の言うように、千六百名、二千名、二千五百名となった場合に、志免鉱業所は経営できなくなってくる。千六百何十名でも、これは大きな問題だと思う。これをあなたの一方的な見解でおやりになること自体に私は間違いがありはしないかと思う。  それからもう一つは、数は制限しないのだ、こう言っておる。数は制限しないのだという意味は、おおむねという字がそうだと思う。おおむね千人、ところが、やはりおおむねというものは制限がある。それは総裁は千六百何十名は大体おおむねのうちへ入るのだと御解釈でありましょうが、普通の常識からいけば、千人程度というのは百名前後の出入りということにとるのが当然ではなかろうか。と同時に、その数の問題ばかりでなくて、あとの志免鉱業所の持続経営についての見通しを持っての妥結だと私は思う。そうしますと、千六百何十名出せば、あとの計画は狂ってくるわけであります。と同時に、やはり従来通り志免に骨を埋めるんだという職員がたくさん残っておる。それがいつ閉山されるかわからぬ、いつ廃山されるかわからぬ、こういうことでは、なるほどあなたがおっしゃるように、申し出があって、この際レール側に転換したいという希望をあなたは救ってあげることはできる、ところが、あの炭鉱に骨を埋めたいというまじめな諸君の希望はあなたは受け入れられないばかりか、これは反対に殺していく、押えていくという格好になる。私はここに問題があろうかと思う。しかも、これは当然労使間の話し合いで交渉の中からそういう線をどこに引くかはきめるべきだと思う。ところが一方的にあなたの命令で、しかも一方的な見解だけでやっていくこと自体について、再び志免は紛争に巻き込まれる危険性がある。これは総裁はあまりにもおえらい方でございますから、団体交渉の結論などは少し軽んじてごらんになるのがこういう結果になったんではなかろうかと失礼だが推測せざるを得ない。非常に残念です。当面あしたあたり青函がとまるかわからぬという問題もございましょう。この問題もわれわれの見通しでは少なくともけさあたりまでは解決してくれるだろう、こう考えておった。お互いに言い分はあるでしょう。総裁が帰ってきてから膠着状況に入って、あしたは船がとまるかもしれぬという危険がある。これはよくよくあなたも考え直していただきたい点だと思う。私は志免鉱業所の問題だけにしぼりますけれども、少なくともあなたのおっしやるような一方的な見解で千六百何十名受け入れるということは妥当なんですか、労使間の話し合いを抜きにして、志免鉱業所の今後の経営の見通しの問題については何も考えずに、レール側に引き取ってくれといえば引き取るのですか、どうですか。
  57. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 実は私がいろいろ組合との折衝の衝に当たっておりますので、少しく私からお答えさせていただきたいと思うのでございます。  志免の従業員に対して配転希望者を募りましたところが、ただいま総裁からも御答弁申し上げましたように、予想以上の数の応募者があったわけでございます。それでこれらの各自が配転を希望しておるのに対して、その人たちに甲乙をつけて、この人はいいけれどもこの人はいけないということは非常にむずかしい。しかし組合との前の協定におのずから常識的な幅があるということは私どもも承知いたしておりますので、協定はもとより尊重する考えでございますから、組合との間でよく話し合いをいたしまして、とにかく各自が配転を希望した人については、その希望をできるだけ実現させてあげることができるようにすべきであるというふうに考えますので、今後の処置について現在組合に対して話し合いをしておる最中でございます。私どもといたしましてはせっかく円満に進行しつつある志免炭鉱従業員の処置を混乱に陥れるようなことのないように、円満に処置をつけるようにしたい、こういうことでただいま話し合いを片一方でしておるわけでございまして、最初に申し上げましたように、現実に配転を希望した各個人に対して何か特別の身体上の欠陥があるとか、あるいは年令的にも無理であるとかいう人は別としまして、そうでない人に差別をつけるということは実際問題として非常に困難でありますから、それらの希望する者は希望のように処置してやるべきであるという総裁のお考えはこれまた当然のことだと思いますので、その線に沿うて配転問題を円満に処置するように組合との間で今話をしておる最中でございます。そういうことで一つ御了承を願いたいと思います。
  58. 久保三郎

    ○久保委員 今のお話で、実現してやりたいという気持は、率直に言って私にもございます。しかし、全体の立場から言うと、片方だけの要求を認めて、片方の要求を満たさないという方法はとるべきでないというのが一つ。もう一つは、労使間において話し合いができたものを一方的にくずすことは、いい労働慣行でないばかりか、逆である、こういうことです。しかも、これはあらためて聞きますが、志免鉱業所の今後の経営その他については、理事会の決定事項でありましたか。
  59. 十河信二

    ○十河説明員 もちろん理事会の決定事項でありまして、これも一方的に押しつけようというのではなく、さっき副総裁から申し上げましたように、円満に話し合いを継続しておるのであります。
  60. 久保三郎

    ○久保委員 いかに総裁といえども、団体交渉の結論も出たと思う。そうだとすれば、一方的に千六百名をレールが引き取るということは独裁です。理事会が執行機関でしょう。あなたは、はっきり言うと代表だけでしょう。そうだとすれば、それはおかしい。
  61. 十河信二

    ○十河説明員 もちろん千六百数十名の希望者が出たことも理事会に報告いたしまして、これをできるだけ希望に沿うて配転をしてやりたいということも、理事会の了承を得ております。また、残った人が安心して仕事ができるようにするということも、もちろん考えております。残った者だけを見殺しにして、希望者だけを優遇するというふうな考えは毛頭持っておりません。
  62. 久保三郎

    ○久保委員 それではお尋ねしますが、あとに残った者の安定について、どういう構想を持って志免鉱業所を経営していくのか、この点を一つあらためてお伺いいたします。
  63. 十河信二

    ○十河説明員 ただいまのところ、千六百数十名の希望者について、まだどれだけ配転するか、今交渉中でありまして、どれだけ残るかということもわかりませんから、残った人がどういうふうなことになるかということはわかりませんが、当初予定しておった三十万トンというものは若干私は下がらなければならぬじゃないかと思っております。
  64. 久保三郎

    ○久保委員 最初予想した三十万トンの出炭ができない、そういう場合には、出炭ばかりじゃなく経営全体をおにらみになるのでしょうが、そういうものを立てる場合に、最初は大体三十万トンの構想で妥結したのではないのですか。それならば、経営の変更じゃないですか。経営の変更ならば、この覚書がある通り、事前に労使協議の上決定していくべきではないですか。
  65. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 最初今三十万トンというお話が出ましたけれども、これは前の委員会等でもお話を申し上げたことがあったかと思うのでございますが、志免の炭鉱の経営上の赤字を極力減少さしたい。その赤字の中にはいろいろな要素もございますが、志免の経営費のうちの半分以上が人件費でございます。それで、まずできるだけ人員を圧縮するということが赤字を少なくしていきます大切な要素でありますので、従来三千二百人ほどおったものをとりあえず二千人程度に規模を圧縮して経営していこう。その二千人程度でやれる限度は大体三十万トンだろうということで三十万トンということを考えたわけでございまして、これは、ただいま総裁も申されましたように、最終的に千六百何がしの希望者のうちどれだけの人が実際に配転されるようになるかということはまだ確定はしておらぬわけでありますけれども、最後に落ちつく人数に応じまして、それに見合った生産計画を立てていかなければならないと思っております。それらの点につきましては、十分組合の諸君にも話をして了解してもらって、円満にこの処置ができるように取り計らいたい、かように考えております。
  66. 久保三郎

    ○久保委員 会お話で、人員に見合った経営計画を立てていくとおっしゃるが、三十万トン二千人、これで経営としてバランスがとれるかどうかという問題。それからもう一つは、今度はもっと減った場合出炭量を二十七、八万トンに減らす。そういう場合採算がとれるかどうか。減ったら採算がとれるとか余ったらとれるとかいうようなことは私はないと思うのです。これはむしろ人間と出炭量との総合的な計算からいくべきだと思う。そうだとすれば、配置転換をきめてからあと残った人間でやっていこうというのは、いろいろな点で非常に無理があると思う。出過ぎる場合も出過ぎない場合もあるので。こういう点は、いずれにしても、私が先ほどから言っているように、千六百何十名か申し出があったことも事実でしょう。事実とすれば、それを消化する場合はおおむね千人程度をこえるので経営にも変化を来たしますから、十分団体交渉を遂げた上において総裁は命令なり手配をすべきであった。にもかかわらず、事前にこういうことを一方的にやること自体に私は問題があると思うのです。これは総裁、別に何とも思っていないのですか。そういうことはどうなんです。
  67. 十河信二

    ○十河説明員 先ほど申し上げましたように、職員に安心して働いてもらいたい、いやいや家族会議まで開いて、親族会議まで開いて配転をしてもらいたいというものを無理に押えて炭鉱に置いておくことは従業員のためにも決してよくない、また炭鉱のためにもよくない、こう考えまして、人が少なくなればなるほど有利なところを掘っていくことができると思いますから、割合に赤字が減ってくるではないか、そう考えます。それゆえに、従業員の切なる希望であるから、私は、話し合いはもちろんいたしますけれども、労働組合の方でも異議なく承知してもらえるではないか、こう考えまして、それでみんなに安心して働けということが何より大切だ、こう思ってそういうふうに言った次第であります。
  68. 久保三郎

    ○久保委員 大物総裁だから、旅行先ではいろんな構想を話されまして、先ほどお話がありましたが、いずれにしましても、事前に了解なり何なりを得てやるというのが、御承知通り最近は新しい様式なのでございます。その点は一つまじめにやっていただきたい、こういうふうに思います。  続いて一つ当面の問題がございます。先ほど言った青函の不乗便の問題であります。これは解決するめどがございますか。
  69. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 青函の不乗便の問題につきましては、これはもう非常に長い間の問題でございまして、今日ただいまもまだ組合とこの問題について話をし合っておる最中でございます。それで実は昨晩徹夜でもって交渉をいたしまして、けさの明け方に当局側としての最後の考え方はこうであるという結論を組合側の方にお話をいたしまして、そのお返事を私はこちらへ参ります前にはまだ伺っておりませんでした。多分今ごろ国鉄の本社の中でこの問題についてまた話をしておるんじゃないかと思っておりますが、私どもとしましては、当局側もできる限りの譲歩をして、本来であれば、理屈を言えばいろいろ言いたいこともあるわけでございますが、そう一挙にすっきりさせるということも、やはり問題が労働問題でございますので、そう理屈通りにいかない場合もあるということを考えながら、今話をしておる最中でございまして、最後の結論につきましては、あるいは不幸にして決裂というようなこともないとは申し上げかねますけれども、できるだけそういうことのないように、組合側の了解も得て、一般のお客様や荷主さんに御迷惑をおかけすることのないようにいたしたいと考えておりますし、また従業員の諸君に対しても、そういうことのないようにという警告を先日来いたしておるような次第であります。
  70. 久保三郎

    ○久保委員 とにかく、この問題はきょう、あすに迫った問題であります。単なる総裁、副総裁の警告だけでいくものじゃなくて、やはり対等な立場に立って、両方努力ということにかかるわけであります。一片の警告をやっておいたから、あとはもうだめだということじゃなくて、一日かそこらの話し合いならば、もう少し話し合いを真剣に遂げて、一切そういうことによって要らぬ紛争は起こさぬようにやるべきだと思うのであります。これはきょうじゅうに、総裁もおられますし、運輸大臣もおられますから、一つ解決するようにやってほしい、こういうことを要望して終わります。以上です。
  71. 平井義一

  72. 島口重次郎

    ○島口委員 いろいろ御質問をいたしたいのでありますが、本質問に入ります前に、事務的な問題をお尋ねしたいと思います。  鉄道の新線を建設いたします際には、鉄道敷設法によりまして、予定鉄道路線に基づいてやっていると思いまするが、この点はどうなっておりますか。
  73. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 鉄道新線の建設につきましては、御承知通り敷設法に規定がございまして、敷設法の別表に将来建設すべき線名が交通網といたしまして出ております。現在の鉄道建設審議会の審議の過程は、その敷設法の別表に載っております路線の中から一応調査線というものを選びまして、この調査に基づいて建設線に上げていくのが、今までの鉄道建設審議会の仕事のやり方であります。
  74. 島口重次郎

    ○島口委員 別表にない際の手続はどうなりますか。
  75. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 別表にない鉄道の敷設ということはないわけでございまして、そういうものはやはり国会におきまして御審議を願いまして、別表に載せるということが必要でございます。
  76. 島口重次郎

    ○島口委員 請願やら陳情がたくさん出てくると思いますけれども、その審議会にかける優先順位を決定いたしまするには、どういう方法でやっておりますか。
  77. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 審議会にかけます優先順位ということでございますが、審議会におきまして御討議願いますのは、現在敷設法の別表に載っております線でも、すでに建設を終わった線もありまして、十分現在の別表の整理はできておりません。それで審議会におきまして審議されますのは、陳情とか請願とかいうものがありました地方の要望のある線をできるだけ落ちなく拾いまして、その中から御審議を願うというふうにいたしております。
  78. 島口重次郎

    ○島口委員 たくさんある陳情や請願の中から、地方の状況を考えまして審議会の方へ出すというお話でありますけれども、それはだれが決定するのでありますか。
  79. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 審議会自体で決定するものでございます。
  80. 島口重次郎

    ○島口委員 これは運輸大臣の方にお尋ね申し上げますけれども、東海道の新幹線は予定線に入っておらないものでありますかどうですか。
  81. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 東海道の新幹線は、敷設法の別表による交通網を形成するものではないのでありまして、予算の上におきましても、東海道幹線は増設費という項目で予算をお認め願っておるわけでございます。これは現在の東海道線が輸送力が行き詰まっておりますので、この改良のためにやったという解釈でございまして、建設の線ではございません。改良のための線でございます。
  82. 島口重次郎

    ○島口委員 その解釈の問題でありますけれども、やはり先ほど劈頭答弁がありましたように、新線を建設する際には、まず建設審議会の方にかけまして決定いたします、こういうことになっておりますると、従来あるものにさらに建設をいたしましても、新線と解釈するのがほんとうじゃないですか。予算の操作によってそうでないという解釈は妥当でないと考えますが、どうでしょう。
  83. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 先ほど私、敷設法に載っております別表は、日本における交通網を形成するものであるということを御答弁申し上げましたように、すでに東京——大阪というものは現在線があるわけでございまして、新しい線ではなく、これは考えようによりましては、単線を複線にするという場合には、やはり同じ線路増設でも改良として取り扱っておるわけでございます。そういう意味で、現東海道線の行き詰まりを解決いたしますために新しく敷くわけでございますが、これは改良費による工事でございます。これは単に今回だけではないわけでございまして、現在新幹線の用地は二割七分程度買っておりますが、昭和十六年当時にやはりこういう弾丸列車の計画がございまして、その当時にも十分議論が戦わされたわけでございますが、当時その問題につきまして、帝国鉄道会議という会議にかけて審議をいたしたわけでございます。その場合も、帝国武道会議の結論は、これは新しく敷く線ではなくて改良であるということで、改良工事といたしまして従来も考えたわけでございます。     〔委員長退席、井岡委員長代理着席〕 今回は、鉄道建設審議会が新しくできましたので、この問題につきまして十分検討いたしたわけでありますが、やはり敷設法の別表の法律解釈からいえば新線ではないという解釈になっておるわけでございます。
  84. 島口重次郎

    ○島口委員 どうも適法ではないけれども違法でもないという、すこぶる疑問的な問題があると思います。しかも、新幹線というような、国鉄がいまだかつてない企画を立てましてやるような大工事の際は、少なくとも法の精神から申し上げまして、審議会の方にかけるのが当然だと考えまするが、この点は大臣どう考えておりますか。
  85. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ただいま局長からお答え申し上げましたように、在来の拡張と申しますか、そういうような意味においてこれは処理されたものでありまして、今の扱い方で妥当だと思うのであります。
  86. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 審議会との関係お話でございますが、鉄道建設審議会は新線を討議するところでございますけれども、単に新線に限らず、新線に関連した問題につきましても御審議を願う場合がございます。それで御指摘のように、われわれといたしましては、法律的には改良線である、しかし経済的にはほかの線以上にウェートが強いというので、審議会にも常に御連絡申し上げまして、業務の進め方その他の内容につきましては、十分御説明をいたして御了解を待ておるわけであります。
  87. 島口重次郎

    ○島口委員 ただいまのお答えによりますと、審議会の方にも諮問いたしまして十分意見を聞いたという話でありますけれども、それでは審議会がこの東海道新幹線の建設に賛成をしておるわけですか。
  88. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 ただいま諮問という言葉がございましたが、諮問はいたしておりません。経済的に相当大きなものでございますので、建設審議会にも御説明申し上げまして、その際にもいろいろ御意見がありましたが、われわれといたしましては十分御了解を得て進めておるつもりでございます。
  89. 島口重次郎

    ○島口委員 今度の新幹線の問題は、規模におきましても工事の面におきましても、国際的な企画といわれておるのでありますが、同時に国鉄の今後における運命を支配するというような大問題でありますから、ただいま鉄監局長の御答弁にある通り、改造線であるからあえて諮問する必要がない、こういうことにこだわらずして、みずから進んで審議会に諮問いたしまして正規の回答をいただくのが当然だと考えますが、この点あえてもう一度お尋ねしたいと思います。
  90. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 審議会はやはり法律に基づきましてできました審議会でございますので、諮問ずる事項というものはきまっております。それで法律的にはわれわれはこれは改良線であって新線でないという解釈をとっておりますが、実際問題としまして、東海道新幹線は非常に大きな事業でございますから、私が審議会で御説明いたしておりますのは、ほかの線と同じように事実上は十分御説明申し上げ、また将来の工事の過程につきましても御説明を申し上げるということで御了解を得ております。
  91. 島口重次郎

    ○島口委員 この点の問題はいずれまた後ほど研究の上で質問いたしたいと思いますので、焦点を変えまして、今度の新幹線を作るのは、国鉄の赤字がたくさんあるので財政的にこれを穴埋めするための、もうけるための企画であるか、何のために作られるのであるか、お答え願いたいと思います。
  92. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 ただいま申し上げましたように、今度作ります広軌の線は、別れ線が三十六、七年ごろには詰まってしまう、たびたび申し上げるわけてありますが、単線で百二十ダイヤが入りますとほとんど輸送力が詰まってしまう、現在の東海道線におきましても、そういう部分が相当各方面に現われてきております。これが三十六、七年ごろになりますと全線的な行き詰まりを来たすという輸送の判定をいたしておるわけであります。御承知のように、東海道線といいますのは日本の心臓にも相当するところでございまして、現在の東海道線が詰まりますと全国的な国鉄の輸送が詰まってしまう、これをどうしても間に合うように打破しなければならないということで始めたわけでございまして、まず第一の必要は国鉄の輸送力をどうしても拡充しなければならないということでございます。その際に東海道線を改良線として計画いたしまして、採算ベースはどうかということも検討いたしました。その検討の結果として国鉄将来の経理に相当光明をもたらすという結論、いろいろそういう理由を考えまして、この改良線をするという決定をいたしたわけでございます。
  93. 島口重次郎

    ○島口委員 輸送の険路の解決のためだとおっしゃいますけれども、三十二年の十二月に出しておる国鉄の五カ年計画の資料によりますと、東海道線の計画といたしましては、重点的には複々線にいたしますけれども、ただいま提案されておるような新幹線の建設ではないように載っておりますけれども、もしそれほど輸送隘路のためにどうしてもやらなければならないという解釈なら、なぜ五カ年計画の中へ入れておかなかったか、その理由をお尋ねしたいのであります。
  94. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 ただいまお話のように、五カ年計画の際にはこの計画はまだ実っておりませんでした。その後五カ年計画を実施する際に検討を進めて参りましたところ、ほとんど全線にわたりまして複々線にしなければならないという結論が出て参ったわけでございます。この輸送をどう鉄道でまかなっていくかという検討をいたしたわけであります。それで複々線化にいたしましてもいろいろ議論がありまして、現在線につけまして三フィート六インチの線を引くということでございますが、御承知のように現在の東海道線の沿線は非常に開けておるところでありまして、そういう計画をいたしましても、土地の買収あるいは建物の買収という点からいいまして、ほとんど不可能に近い。それでは別線にいたしました改良線はどうかということも検討いたしました。その場合にも三フィート六インチがいいか、四フィート八インチの線がいいかということを詳細に検討いたしました結果、将来の輸送のあり方、輸送力の増強という面から見て四フィート八インチの線がいいのだという結論に達したわけであります。五カ年計画の当初にはまだその計画が実っておりませんでしたので、五カ年計画には載っておりませんが、五カ年計画を実施するため東海道線の輸送力の増加を検討いたします際に、五カ年計画に載っております単なる東海道線の増強では将来の輸送が持たないということがはっきりいたしましたので、この計画を立案いたしたわけであります。
  95. 島口重次郎

    ○島口委員 五カ年計画を立てますには、ただいま局長から答弁のありましたように、輸送上における隘路を解決する、あるいは財政的にも建設的な、赤字を解消いたしますという計画で五カ年計画ができたものだと確信するのでありますけれども、その後において東海道新幹線を建設するというのは、運輸省なり国鉄の首脳部はあまりにも無定見、無方針だと考えるのでありますが、この点はどうなんですか。
  96. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 この点におきましては、われわれの現東海道線の改良計画の見方におきまして誤りがあったという御指摘は認めなければならないのでありますが、五カ年計画の前半におきましても、やはり当初考えました輸送の状況と現在の状況と、時が進むにつれました輸送の情勢というものを勘案いたしまして改めておるところもございます。東海道線におきましてはそれが非常に顕著に現われまして新しい計画になったわけであります。五カ年計画の当時におきましても、東海道線のそういった複々線化ということはいろいろ検討しておったわけでありますが、まだ十分でなかった。実行の段階になりまして検討いたしまして、その計画が改められたというわけでございます。それで東海道線の複々線化という五カ年計画のものの中で新改良線に移行するという部面も相当あるわけであります。
  97. 島口重次郎

    ○島口委員 五カ年計画をやりましてその後に変更いたしました個所もあるということは私も肯定いたすのであります。ところが、先ほど来あるいは機会あるごとに説明いたしておりますのは、この東海道新幹線というのが国鉄の赤字を解消いたしまする大使命なんだ、あるいは日本のあらゆる国鉄の隘路を解消いたします基本的な対策なんだ、こう申しておるのでありますけれども、それほど重大な路線を、なぜ将来五カ年間にわたりまして大方針として建設をするこの計画の中に入れておかないかという問題であります。単にあとで検討したからこれを入れたということでは了承できないと思いますが、その間の事情はどうなんでありますか。
  98. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 ただいま繰り返し申しておりますように、五カ年計画当時におきましてもいろいろそういうことは議論されましたが、非常に大きな計画になりますので、まだ結論が出ていなかったわけであります。その後輸送力の算定その他をいたしまして、単なる現在線の部分的改良というものでは、将来の輸送はとうていまかなえないということがはっきりして参りましたので、この計画を定めたということでございまして、時間的に五カ年計画を策定するまでにはまだできていなかったということでございます。
  99. 島口重次郎

    ○島口委員 この五カ年計画を決定いたします際に、あとで東海道の新幹線につきましては何か改正があるということを予測しておられましたかどうか。
  100. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 五カ年計画を策定いたします際に、輸送の隘路を改良工事で直していくという計画を立てたわけでございます。ところが実行の段階になりまして検討いたして参りますと、その工事もなかなかむずかしい。かつまた輸送全体の将来を考えますと、そういう部分的な改良でなくて、やはり全然別線でやる方が、国鉄のためにも、日本全体の交通のためにもいいという結論に立ちまして、こういう計画ができたというふうに御了解を願いたいと思います。
  101. 島口重次郎

    ○島口委員 この五カ年計画によります東海道線における改良工事は、この計画に載っている程度でやりますれば輸送の隘路が解決できる、こういうふうに説明してありますが、あなたの説明と食い違っておりますね。
  102. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 その点は誤りがあるわけでございまして、五カ年計画に載っておる程度の改良工事では東海道線の隘路解決はできないという見地に立ちまして、現在の計画を新たに立てたわけでございます。
  103. 島口重次郎

    ○島口委員 それは後ほどでもよろしいですけれども、なぜ東海道改良につきます五カ年計画の算定基礎が出てきたかということを、詳細書面で出してもらいたいと思います。そういう面から考えますと、私らの考えでは、突然東海道新幹線が出てきたのは何か別個な理由があるのではないか、こう考えたのでありますが、われわれは表面出て参りました面だけを見ておりますけれども、われわれでは納得できない何か裏の事情があるのではないか、こう考えております。もしそういう事情がおありとするならば、ここで率直にお話を承りたいと思うのであります。
  104. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 別にそういう裏の事情はないわけでございまして、この東海道新幹線をやりますためには、一般の方にも入ってもらいました調査会を作りまして、十分審議をいたした上に決定をいたしたわけでございます。その調査会の資料をお手元にお届け申し上げたいと思います。
  105. 島口重次郎

    ○島口委員 それでは東海道の改造につきましては、鉄監局長みずから五カ年計画に誤りがある、こういうことを確認いたしましたので、この点の質問はこれで終わりたいと思います。そこで輸送隘路を解決いたします面と、もう一つの面は、国鉄の赤字解消対策の一つでもある、こういうようにお聞きをいたしたのでありますが、そういたしますと、東海道新幹線における収支予算の計画書というものがあるのでありますか。
  106. 兼松學

    ○兼松説明員 東海道だけの試算という、特別の計画というものはございませんけれども、新線を建設するにあたりまして、従来からの東海道区間における運輸数量の毎年の増を見通しまして、同時に、最近の電化とかディーゼル化等近代化による運輸増、いわゆる誘発という言葉で申しておりますが、その量と両方を計算いたしますと、投資に対しまして有利な収入、すなわち建設後五、六年たつならば非常に有利な経費が出るという計算が一応出ております。そういったようで、全体として建設初年度には非常に大きな、千七百二十五億円という建設費——利子を加えまして約二千億円かかりますけれども、建設の五年後には約七百億円程度の利益が、新旧両線を通じて上がってくるという勘定をいたしております。
  107. 島口重次郎

    ○島口委員 従来の五カ年計画を見ましても、相当計画的に建設工事をやりまして、予定計画を立てておりますが、その後の状況を見ますと、五カ年計画の見込みと実績の数字から見まして、約二千五百億の赤字が多くなっておると思います。そういう面から、皆さん方の計画を聞きましても、その後の執行段階におきまして計画が狂っておるのであります。そういたしますと、今度の東海道新幹線におきましても、単なる構想といたしましては、相当の利益が出てくる、プラスが出てくるといたしましても、われわれはそのままではのめないのでありますが、もっと計画的な収支予算書というものを説明いただきたいと思うのであります。
  108. 兼松學

    ○兼松説明員 過去におきまして投資いたしましたものにつきましても精密に計算いたしておりまして、現実には投資効率が十分に上がるように努力いたしております。それでここ数年来の投資の実績によりましても、御指摘のように、投資の金額があるにかかわらず必ずしも利益が出てないではないかという点はございますが、その方は経費の増に基づくものでございますが、その経費の大部分も、実は固定的な人件費の増大に基づくものでございまして、これは国家公務員並びに他公社等と権衡をとって、公労委の仲裁その他によって実施された結果と、一般並みの昇給等によるもの、並びにあとは利子がある程度上がってくるというものでございまして、私どもは長期計画を立てますときには、賃金とか物価が安定しておるというつもりで立てております。それで長期的に見ました場合の予定では、物価が上がれば収入の方も変化がくるという建前で長期計画を立てますので、五年、十年という計画の数字が、十年後になりますと変動を来たすことはございますけれども、計画といたしましては、物価、賃金は現状のままであるということは、運賃が物価と見合って全体的に考慮されるという、全体で計画いたしておりますので、長期計画といたしましては試算はできておりますけれども、過去の結果が違っておるということは、実質的には事実発生はいたしておりますが、それにつきましては、むしろ経営上の努力ではいかんともし得ない別の要素の反映だと考えております。数字はいつでも資料として御提出できると思います。
  109. 島口重次郎

    ○島口委員 あなたの方から資料として出されました二月二十七日付の「五カ年計画における資金計画及び実績」という表で申し上げたいのでありますけれども、計画から申し上げますると、今年度、三十五年度は第四年目でありますが、その方におきましては自己資金が三千二百三十二億であります。ところが実績の方におきましては二千四百二十一億でありまして八百十一億の赤になっております。さらに外部資金借入金、鉄道債券の問題におきましては、第四年度におきまして外部資金といたしまして千四百八十億でありますけれども、実績及び見込みの額におきましては二千百四十九億であります。従いましてここにおきましても六百六十九億という外部資金の増が見られております。こういう面から見ますると単なる人件費の問題ではないと考えておりますけれども、この点はどうなっておりますか。
  110. 兼松學

    ○兼松説明員 二つの要素がありまして、過去を累積いたしてみますと、昭和三十三年度は収入が非常に上がりませんで、収入の見込みが狂った面がございます。それからなべ底景気というものの影響で狂ったものがございます。それから仲裁裁定の方は初年度に千二百円の仲裁がございまして、千二百円は国鉄の経費に引き直しますと、百円が約八億五千万ないし九億になります。これは年によって多少変動が——だんだんふえて参りますが、そういった関係で年間では、千二百円の仲裁ということは百億円ほどの経費増になる。その上に三十三年度には二百円、それからそのほかに昨年が六百五十円ということでございますので、予定しましたときのべースよりは三年間で約四百五十億円ほど経費が人件費のみで増大いたしております。一方収入の方も予定通りふえませんで、約百七十か八十であったと思いますが、ちょっと数字を正確に……。収入が減りましたので、その合計で資金面に穴があいております。一方工事は予定よりも借入金をふやしてもできるだけやっていきたいということで、借入金をふやしましたので、逆に利子が一応ふえております。なお工事単価につきましても、五カ年計画の当初には六千三百億円程度と見積もって、それを何とかして切り下げて五千九百八十六億円でということで一応はめたのでございますけれども、その後の物価の値上がり等で約百億円以上の値上がりを来たしておりますというようなことで、それらがちょうど資金面の差額に出ておるような次第でございます。
  111. 島口重次郎

    ○島口委員 施行いたします工事の方も借入金を借りまして工事の促進をはかりつつある、こういう御答弁でありますけれども、この計画と実績から申し上げますと、改良費の方では第四年度を迎えました三十五年度におきまして全部消化をされたと仮定いたしまして四千四百三十六億であります。ところが実績及び見込みの方では三千七百五億でありまして、そのマイナスが七百三十一億少なくなっておるのであります。そういたしますと予定よりも多く金を借りて工事を進行しつつあるという答弁とは違っておるようでありますが、どうなんでありますか。
  112. 兼松學

    ○兼松説明員 もちろん当初計画では五千九百八十六億円でございますから約六千億円でございます。それを予算の一年の平均にいたしますと、五年といたしますれば千二百億円が毎年の予算でございます。しかしながら現実には、今までの平均では約一千億円程度の資金を投入されておりますので、現在までのところ平均いたしまして約一年おくれた結果になっておりますが、そのうちで先ほど申し上げました通りに収益の方から持ってくると申しますか、経営費の方から繰り入れる額が減った分の差額は、当初見通した以上に借金をふやしてやっておる。借金をふやしたけれども、なお予算上それだけの借り入れも許されないということで、実際的には約千億の規模でやったために御指摘のような多少のずれが、約一年のずれができてきたわけであります。
  113. 井岡大治

    井岡委員長代理 次会は委員長の指定により来たる十八日金曜日午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時七分散会