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1960-03-09 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月九日(水曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 平井義一君    理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君    理事 關谷 勝利君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 土井 直作君       高橋清一郎君    竹内 俊吉君       長谷川 峻君    三池  信君       山田 彌一君    島口重次郎君       下平 正一君    館  俊三君       正木  清君    内海  清君       菊川 君子君  出席政府委員         運輸政務次官  前田  郁君         運輸事務官         (大臣官房長) 細田 吉藏君         運輸事務官         (海運局長)  朝田 靜夫君         運 輸 技 官         (船舶局長)  水品 政雄君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君  委員外出席者         海上保安庁次長 和田  勇君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     兼松  學君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 三月四日  委員小澤佐重喜君辞任につき、その補欠として  竹内俊吉君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月八日  外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部  を改正する法律案内閣提出第九六号) 同月四日  新得、足寄間鉄道敷設促進に関する請願正木  清君紹介)(第七一六号)  隼人、古江間国鉄自動車路線延長に関する請  願(前田郁紹介)(第七三六号)  国分、古江駅間鉄道敷設促進に関する請願(  前田郁紹介)(第七三七号)  鹿屋市に国際及び国内民間航空路開設に関す  る請願前田郁紹介)(第七三八号)  波見港修築に関する請願前田郁紹介)(第  七三九号)  古江線高須駅、根占町川北間鉄道敷設予定線を  調査線に編入の請願前田郁紹介)(第七四  〇号)  常磐線電化工事契約予定期限内完工に関する  請願塚原俊郎紹介)(第七四一号)  出雲崎漁港口航路標識設置請願小林進君  紹介)(第八四六号)  凍氷の鉄道貨物運賃等級特別等級適用に関す  る請願永山忠則紹介)(第八八〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二日  国鉄貨物取扱駅の集約化に関する陳情書  (第二四六号)  国鉄井原線敷設に関する陳情書  (第二四七号)  鹿児島本線西鹿児島上伊集院駅間広木信号  所の簡易停車場昇格に関する陳情書  (第二四八号)  浦島タクシー企業組合事業許可に関する陳情書  (第二四九号)  森、金吉及び下郷間に国鉄敷設に関する陳情書  (第二五〇号)  川田、山瀬両駅の貨物取扱廃止反対に関する陳  情書  (第三〇二号)  鍛冶屋原駅の貨物取扱廃止反対に関する陳情書  (第三〇三  号)  国鉄貨物運賃改訂及び取扱駅の集約化等反対に  関する陳情書  (第三〇四号)  土佐岩原外三駅の貨物取扱廃止反対に関する陳  情書  (第三五五号)  嬬恋線を豊野駅まで延長に関する陳情書  (第三五  六号)  個人タクシー大幅免許に関する陳情書  (第三七四号)  国鉄貨物取扱駅の集約化反対に関する陳情書  (第三七五  号)  陸運行政機構の一元化に関する陳情書  (第三七六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一  部を改正する法律案内閣提出第九六号)  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第六三号)  陸運に関する件  海上保安に関する件      ――――◇―――――
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 平井義一

    平井委員長 まず本案について政府当局より提案理由説明を聴取いたしたいと思います。前田政務次官
  4. 前田郁

    前田(郁)政府委員 ただいま議題となりました外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法は、昭和二十八年に制定され、昭和三十一年度までこの法律に基づき、利子補給契約及び損失補償契約が締結されて参ったのであります。しかるに昭和三十二年度において、スエズ動乱により、国際海運が著しい好況に恵まれましたため、わが国海運企業業績も逐次改善されましたので、それまで締結されていた利子補給契約による利子補給金支給を停止するとともに、一新たに建造された外航船舶については、利子補給契約締結に必要な予算措置を講じなかったのであります。このような方針は、昭和三十三年度及び昭和三十四年度においても踏襲されたのでありますが、一方海運市況は、スエズ動乱の解決後は急速に低落し、このため、海運企業業績もとみに悪化したのであります。このようにわが国海運業市況の低落に抵抗力がなく直ちに業績の低下を来たすほど企業基盤が弱体である原因は、根本的には、戦後の新造船がほとんど借入金によって行なわれており、かつその金利国際金利水準よりはるかに高いことによるのであります。このまま放置しますと、今後ますます激化する国際競争において、わが国海運の健全な発展が阻害されるのではないかと危惧されているのであります。このような現状にかんがみ、政府といたしましても昨年来提唱された各方面の意見を参考として、日本海運企業基盤を強化し、国際競争力を増強するための方策を鋭意検討して参りましたが、昭和三十五年度より海運企業合理化をはかるとともに、利子補給金支給復活することとし、来年度予算にその経費を計上した次第であります。この利子補給復活に伴い、外航船船建造融資利子補給及び損失補償法の一部につき必要な改正を行なおうとするものであります。次に改正法律案の概要について御説明申し上げます。  まず改正の第一点は、利子補給金納付する場合の利益計算方法を若干変更した点であります。現行法では、一定額以上の利益を計上した場合その会社は、利子補給金相当額を国に納付することとし、その利益は、会社決算において計上された利益によることになっております。この決算において不当な経理がある場合は、運輸大臣がその是正を勧告する建前になっておりますが、今回の改正措置によりさらに運輸大臣右勧告を行なった場合には、その勧告に従って再計算した利益の額を、利子補給金相当額納付の基準とし、利子補給金国庫納付に遺憾なきを期そうとするものであります。次に改正の第二点は、日本開発銀行に対する利子補給制度を廃止したことであります。現行法は、日本開発銀行に対する利子補給制度を定めていますが、実際には昭和二十八年度に一カ月半行なわれたのみで、その後は停止され、補助金等臨時特例等に関する法律によって日本開発銀行に対する利子補給規定を適用させない措置をとって今まで経過してきたのであります。このような実情にかんがみ、今回の改正において、これに関する規定を削除することとしました。改正の第三点は、当分の間、新たに損失補償契約を締結しないこととしたことであります。現行法では、船舶建造融資について、損失補償契約を結ぶことができることとなっておりますが、昭和三十五年度においては、これに必要な債務負担行為がなされておらず、また、現在の金融事情では、政府損失補償契約をしなくても、建治に必要な融資が可能でありますので、この制度の活用が必要となるまで、当分の間、その実施を停止することにしました。改正の第四点は、現行法では、利子補給が停止されていた期間中に建造された船舶について利子補給契約を結ぶ場合を予想しておりませんので、今回の利子補給復活に伴い、昭和三十二年度から昭和三十四年度までに建造された船舶についても利子補給契約を結ぶことができることとしました。以上が、この法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  5. 平井義一

    平井委員長 本案に対する質疑次会に譲ります。      ————◇—————
  6. 平井義一

    平井委員長 次に日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  7. 久保三郎

    久保委員 日本国有鉄道法の一部改正法律案についてでありますが、先般来から世銀借款についてはお尋ねを繰り返してきたのでありますけれども説明がいまだ交渉過程にあるというふうなことだけで、実際にはどういう進行状況になっているのかもはっきりはわからないということが一つございます。それでこの法案提出にあたっては、大よその見通しとか大よその輪郭とか、そういうものがなくて世銀から借款する手続をきめていくというのは、国会としても不見識ではなかろうかと思うので、くどいようでありますが、世銀借款についてお尋ねをしたいのであります。でありますから、明確なお答えをいただきたい。というのはどうもやり方が、法律は先に通してとりでを築いて、あとはその中で政府並びに関係機関がやってしまえばいいのだというふうにとれそうなので私は申し上げるのですが、それでは明朗なことではないのでありますから、一つはっきり答弁をいただきたい。特に先月の二十五日かと思うのでありますが、私が予算第四分科会質問を申し上げているときに、片方で大蔵委員会横山委員大蔵大臣質問をしています。この二つの答弁はそれぞれ食い違いがあります。世銀のいわゆるアメリカにおける金利の問題というようなことから、大蔵大臣はやや悲観的なことを述べられているようであります。ところが、それについては一言半句も予算分科会ではお述べになっておらないのであります。そういうことは、全体としてどういう連携があるのかないのかわかりませんが、どうもわれわれとしては解しかねるかと思うのであります。まず第一点としてお聞きしたいのは、世銀の今までの交渉はどういうふうになされているのか、これについて交渉ポイントはどういう点にあるのか、これをお尋ねします。
  8. 山内公猷

    山内(公)政府委員 世銀借款がまだはっきりしないのに、この法律案提出するのはなぜかということについて私から御答弁申し上げます。世銀借款をいたします前には、その前提条件といたしまして、国内法をそれに適合するように整備をするという必要がありますことは、従来まで世銀借款を行ないました道路公団並びに愛知川水というようなものでも同様に取り扱っておるわけでございまして、国内法整備いたしませんと、世銀借款前提条件が満たされず、交渉に入れぬ。交渉に入ってもなかなか具体的話し合いに入るというわけにいかないために、まずこの日本国有鉄道法の一部を改正する法律お願いをいたしておるわけであります。それで政府といたしましては、本年の国会にもすでにこの関係予算も盛り込んでおりますので、できるだけ本年度中にこの借款を成功させたいという気持で、この事務の進捗をいたしておるわけであります。この具体的な世銀との交渉国鉄におきまして当たっておるわけでございまして、兼松常務世銀当局に直接出向きまして折衝いたしておりますので、兼松常務からその間の経緯につきまして御説明していただきたいと思います。
  9. 久保三郎

    久保委員 今、鉄監局長から御説明のあった世銀借款前提条件である国内法整備ということはこれはわかります。世銀の規則でありますから、いずれそういうことは当然やらなければならぬ。ところがものの順序からいきますれば、大体の見通しというようなものについては、こういうものはやるべきではなかろうかと私は思う。今までのお話では残念ながらわれわれがほぼ了解するほどの御説明は御存じの通りない。ただ借りられる見込みである、そして今年の五月向こうから正式な調査団が来てそこで調査をされて、それから本ぎまりになる、こういう手順だけはお話しになりました。しかし今まで政府並びに国鉄当局世界銀行とお話し合いをされた中での話——別に取りきめにならぬものをどうこう言うわけじゃないのですが、どういうポイントが問題になっているか、どういうポイントで了解が遂げられたのか、そういう点をもう少しこまかく御説明あってしかるべきではないだろうか、こう思います。というのはこの世界銀行借款は、これは日本の国全体としての問題でありまして、事は一国鉄の問題ではないのであります。もう一つは、従来の世銀借款条件というものがだんだん緩和されているとはいうものの、やはり世銀性格からいっていろいろな制約がついてくるのは当然だと思います。条件いかんによってはこれは問題になるところだと思うのであります。そういう心配は一切ないんだという御説明もあるようでありますが、なければそれはそういうふうに変わったということでありましょうけれども、少なくとも心配があるとかないとかいう問題よりは、条件というものは大よそどういうものがあるんだろうかということくらいは国会に発表されてしかるべきではなかろうか、こう思うのです。それによってこの世銀借款がまずくなる、困難に逢着するという問題があるならこれはまた別だと思うのですが、私は、世銀から日本政府を裏づけにして国鉄借款することにはそういうものはあまりないのじゃないか、こう思います。一商社、一営利会社ならまた別でありますが、そういうことはないのでありますから、この点は一つはっきり御答弁いただきたい、こう思うのです。兼松常務理事が再三おいでになったそうでございますから、前会も御答弁をいただいたが、それより詳しく御説明ができるなら御答弁をいただきたい、こう思います。
  10. 兼松學

    兼松説明員 お答えいたします。世銀借款につきましては、過去におきまして数回の接触がございまして、第一回は大蔵大臣から、昨年の秋にローゼンがこちらに参りましたときに、日本政府としてはこの次の借款の題目として国鉄に対して一億ドルを融資してもらいたいと言われたのが正式に申し込まれた最初であります。世銀といたしましては各国のお金を預かっておりますので、各国にいろいろ権衡のとれた条件ということもございまして、まず事業対象説明をしてもらいたい、ということは、その事業自体が有益な事業であるということ、それから経験された技術その他でやるものであって、何ら試験的な試みでないということが必要である。ところでこの国鉄の新しい企画の中にはまだ未知の要件があるようにも思われるんだが、その点についてはどうかというような質問がその後ございました。それでは国鉄側から詳しくその内容説明しようということで、第一次的に昨年の暮れに私が参って予備的に話をいたしまして、彼らが問題としている点を聞いたのでございます。  問題としております点は、第一の点は技術的な点でございまして、今まで国鉄の話を聞いたのでは、必ずしも世界に例がないような企画をしておるように思われる、世銀性格から見て安全な投資ということが必要なので、いわゆる世界に類例のないようなことをやっているのではないか、こういう質問がございました。その点につきましては、私どもがいろいろ説明をいたしまして現在の狭軌線鉄道でも線路状況さへよければすでに百六十五キロ電車で走っている実験もしておる。ずいぶん前にはドイツでは二百キロというような電車も動かしている。蒸気機関車電気機関車の場合には線路抵抗が非常に大きくなるけれども電車という性格である場合においては線路に対する影響も少ないし、経済的に二百キロ程度の高速度、三時間を目途として東京—大阪を結ぶということは現実的な計画であるということを、詳しく図面、プロセス等に基づきましていろいろ説明をいたしました。そういった点でいろいろ技術的な議論がございまして、それについて詳しく説明をする約束をしたのであります。  その次には、国が保証をして、世銀条件として国鉄法律外国から借りられる性格があるかどうか、これは債券を発行したり借入金をしたりすることは許されている。それについて、では債務者保護の諸条件その他についてはどうなっているか、その点については政府当局において他のすでに世銀借款交渉が行なわれた同性格の公社、公団権衡を見合ったものを国会にお諮りしていただくはずになっておるようなことで、技術のこまかい諸点につきましての説明を一月にするということで別れました。今度は一月にたくさんの資料を持って参りまして、技師長以下多数の専門家——多数と申しましても四、五人でございますが、それぞれ五人の専門家から詳しく説明をいたしました。今まで彼らと話し合いをしましたところでは、国鉄計画技術的に非常に安全なものであるし、それからまた冒険でないということで、具体的にこれならお話し合いができる内容であるという点になっております。  その次には、国鉄資産状況はどうかということのいろいろな質問がございました。国鉄資産状況は御承知の通りいつも楽観を許さないものではございますけれども、同時に過去においても私どもとしてはすべて運賃というものは一般企業と違って特にもうかるようにできていないのである。原価を償うに足るという運賃法の原則でできているのだから、非常にもうかるような企業ではない。しかし政府としては法律によって長い目で見て原価を償う運賃を保障しておられるというようなことで、経理上の見通し説明いたしました。また東海道自体については、もちろん計画として健全であり、収支が成り立つかどうかという点につきましては、東海道投資することは、国鉄全体の輸送の隘路を打開する一番大事な方法であって、旅客輸送の大部分新線に移すとともに、旧線を貨物輸送の大部分と現在やっている通勤なりその他のローカルのサービスをよくすることによって、東海道がよくなるとともに国鉄全体の経営に貢献して、日本輸送力の上にいい影響があるのだという説明をいたしました。約二週間いろいろ説明いたしました結果、御説明はよくわかった、今までお話ししたのは世銀がこの問題についてどの程度立ち入るかという問題であったけれどもお話を承ってみて具体的な交渉に入るだけの十分な基礎があると思う。手続として今お話を承っただけで銀行が直ちに融資を決定するわけにはいかないから、五月に調査団を出すことにいたしましょう。そういったような段階が現在までの話でございます。従来までの例によりますと、世銀がそういった政府の申し入れにより調査団を出してやりました場合においては、よほど特別な事情がない限り具体的な交渉内容に入っておるし、また政府予算的に準備し、また法案お願いしておるということ自体日本国としての受け入れ態勢であると向こうも了解しておりますので、過去の例としていろいろ条件等のこまかい交渉にはある程度の期間は要るとは存じますが、交渉自体についてはまとまるという見通しはまず間違いないのではないか。それで今度利率とか期間というものについてはまだ具体的な交渉には入っておりませんが、先方の申すところでは、各国にはその時点においては同じ条件において貸す、それで日本に安く貸すとか英国に高く貸すということはないので、その時期々々において契約するときには世界をほぼ同じに扱ってお貸しします。それからそのときの金利その他は、世銀のコストと世銀債を、ヨーロッパで発行したり、アメリカで発行したり、世銀債券によって世銀の資金を調達いたします。その調達金利世銀経費を加えたものが、大体そのときの金利になるわけであります。現在の交渉の結果その他では、世銀債が五分で発行されておりますから、今交渉するものは六分ないし六分を少し上回るくらいの金利契約されるのではないかと思います。他国の例を見まして、期間長期は十五年ないし二十五年になって、大体十五年ないし二十年でございます。大体その条件は、本質的にはほかと変わらないだろうという段階の話でございました。それ以上の具体的な交渉は、先方手続として調査団をよこしまして、調査の結果そのレポートができた上で正式の法律上の契約に入るという段階になっておりますが、従来の例で申しまして、今お願いをしましたような段階見通しは間違いないのではないかと思います。
  11. 久保三郎

    久保委員 それでは今お話があった中で、世銀では東海道新幹線というそのもの、最近の国際的な傾向、そういうものについて、彼らは疑問を持っていなかったのか。いわゆる鉄道建設——大体鉄道事業というものが、最近は斜陽産業だと世界的にいわれておる中で、世銀はこれに疑問を持っておらなかったのか、どうなのですか。
  12. 兼松學

    兼松説明員 その点につきましては、米国及び非常に開発されました欧州等におきましては、鉄道産業に新たな投資をしたり線路を延ばしたりすることは、非常に例が少ないのでございますが、一方インドとか南ア等鉄道につきましては、世銀もすでに融資をいたしております。その国の開発状況というようなことを勘案して、融資対象をきめておるので、日本鉄道につきまして、新幹線必要性と、具体的な将来の運輸見通しについては、私どもの従来出しました資料につきましては、今までのところ、数字についての精密な調査経済見通しは、先方意見は将来また出すかとは存じますが、原則的には疑問はないという段階であると思います。
  13. 久保三郎

    久保委員 これに関連して、国内でも東海道新幹線建設について、再びこれに疑問を持ってきた、いろいろな意見が出ているわけです。これに対しては、これまでやってきた国鉄当局にすれば、反駁するいろいろな材料は持っていると思いますが、これに対しては反駁する値打はありますかありませんか。新幹線などは、大体もう長期見通しが立てば、こういうものは建設する必要がないのではないか、失敗するぞ、極端なある報道機関を見ますと、十河総裁の何といいますか一つ政治力で、これは彼の一世一代のなにをかけた仕事として考えているので、長期展望に立ったところのものではないという極論をしているものもあるわけであります。これに対してはどうなんですか。
  14. 兼松學

    兼松説明員 その点につきましては、私どもとしては現在の東海道線がすでに世界最高列車回数を動かしておる、複線としてはこれ以上ほとんど事実上入り切れないということ、しかも国鉄輸送力の二五%近くを運んでおる、それから東京大阪付近東海道地区には全人口の四割弱が集まっておる、また重要産業の大きなパーセンテージであるというような事情から、東海道線をこのままではやれないということは事実でございます。同時にそれならば並べて複線を作るかどうかということにつきましては、過般来政府におかれましてもいろいろ御審議をいただいた結果、あらゆる資料を御検討の上できめられて、一番経済的な方法で、合理的な方法がこの広軌幹線という結論が国内的にも出ております。国内的にはいろいろございましても、私どもとしては、今までの計画自体国鉄全体として非常に有効かつ適切に遂行できるものとかたく信じております。
  15. 館俊三

    館委員 関連して。外国から資本を入れる、そういうことの説明はるる聞いておる。これを新幹線が完成するまでの総予算と、外国から借款をしようとする見積もりの額とが、どういうことになるかということをちょっと聞きたい。その次に、それだけの融資日本国内にできるのができないのか、どうしてできなかったのかということ、ことしの予算総額でも非常に大きな予算総額になっておる、それから財政投融資の面でも非常にたくさんの財政投融資をやっておる、しろうとでわかりませんが、市中銀行の金融状態も相当楽になっておるのではないかと思うのです。そういう際における日本の何か国内鉄道債券といいますか、その資金を集めることができるのかできないのか、またできなかったとするならば、その理由についてここで説明してもらう必要があると思うのです。国際金融機関から幾ら借りるのか、それが全総額の大したものではないと私は考えておる、その辺の裏の話をここで説明なさらぬと——いたずらに外国資本を入れるということに私は反対するわけではありません。ひもつき予算でない以上いいのですけれども、そういう点について、日本国内の金融情勢はどうなっておるのか、非常にだぶついておるのではないかと、しろうと考えでも考えている、そういう点についての解明を一つやってもらわないと、単に頭から外国から借りるのだ借りるのだといっておったのでは、私は納得できない、そういう関連質問です。
  16. 山内公猷

    山内(公)政府委員 東海道新幹線の全部の費用は、利子を除きまして千七百二十五億円と現在見積もられております。世銀に対する今のところの借り入れ希望は一億ドル、三百六十五億円となっております。大体二割程度を世銀に期待しようということでございます。それで国内資本だけではできないかというお話でございますが、もちろんこれは経済の情勢が年々同じでございませんので、日本国内だけではできないと言い切るわけには参らないわけでございますが、何分にも千七百二十五億円、利子を入れますと大体二千億程度になる非常に大きな仕事でございますので、できるだけそういうところから借りられるものは借りて、特に世銀の方は日本の資金よりも期間も長く、かつまた利率も安いので、利用できればこの仕事が非常にスムーズにいくという考え方でございます。それから、国鉄でやっておりますのはこの新幹線だけでなくて、あらゆる工事をやっておりまして、鉄道公債を相当たくさん出しておるわけでございます。これが日本の証券市場に——いろいろな資金の調達が行なわれるわけでございますので、資金がだぶついておるというふうにはわれわれはまだ考えていないわけでございます。現在国鉄が公債の消化をいたしますのも、相当努力をいたしてやっておるわけでありまして、急激にそう大きな鉄道債を国鉄だけでまかなえるかどうかということは、ちょっと早急に楽観的にお話を申し上げるわけにはいかない、かように考えます。
  17. 館俊三

    館委員 利子を入れて約二千億という勘定ですが、それを一ぺんに出すわけではございませんでしょう。それからもう一つは、国際開発銀行から借りるお金というものは、これは今契約ができたからといって一時に入ってくる金じゃないですね。何年間の期限で入ってくるということになるんじゃないですか。そうすると、日本の金融界に対してそんなに影響を及ぼすものではないと私は思う。ことに大蔵省というものを背景にして、大蔵省と十分折衝なすった上でやむを得ず外国の銀行ということになったのか、それとも頭からそういうふうに弱腰に逃げたのかということを考えざるを得ない。国有鉄道ですから——長い歴史の国有鉄道は、なるべく日本の資本でやっていくのがほんとうだと私は思う。その辺についての大蔵省との折衝があったのかなかったのか、また年度別における費用の要求、必要高というものはどういうことになっているのか、それだけ聞いて関連質問を終わります。
  18. 山内公猷

    山内(公)政府委員 お話通り一時に借りるものではございません。ただ御承知の通り国鉄の現存の予算は、いろいろな方面で非常に金が要るわけでございまして、大蔵省にも三十五年度相当多くの財政資金の投資お願いをいたしております。それで、できるだけ国鉄の各方面の仕事を伸ばしたいという趣旨から、世銀の方にもお願いした方が仕事が早くいくという観点からお願いをいたしておるわけでございまして、ほかの仕事もやはり同様に重要でございますので、他の仕事を切ってというわけにも参りません。これまた国民生活に非常に重要な仕事をたくさん国鉄は持っておりますから、そういう全般的な要請を満たしながら、しかもこの工事もスムーズにやっていくというためには、できるだけ資金を豊富にしなければならないわけでございまして、そういう観点から大蔵当局とも御相談を申し上げまして、世銀借款をすべく現在努力をいたしておるわけであります。
  19. 久保三郎

    久保委員 先ほど御説明があった、長期展望に立って新幹線は必要であるという御説明でありますが、これはたびたび御説明を受けておるのであります。ただ私が申し上げたいのは、やはり最近の世論の一部かもしれませんけれども、そういう批判の声があるということ、これはやはり検討してみる必要があると思う。今までの検討も十分われわれはわれわれなりにやりました。あるいは当局当局としてやったでありましょうが、これはやはり一つ検討してみる価値があると思う。そこで最近の傾向は航空機の発達なども相当見のがし得ないものがございます。それからもう一つは特に東海道における高速自動車道の問題がある。こうなりますと、自動車あるいは航空機の発達というものをもう少し重みをかけて検討する必要がありはしないか、こうい思うのです。これをやらないで持っていくということ自体に、やはり今までの検討もさりながら、さらに慎重を期して検討する必要がある、こう思うのであります。これは私は国鉄なり運輸省に要望しておきますが、あらためてこの計画について、そういう問題について一つ資料を添えて説明を願いたい、こう思うのです。われわれ自身もやはりそういう世論があっては検討しなければいかぬ、これが一つ。それから続いてお尋ねしますが、これは鉄監局長の方がいいのですが、先ほど申しあげたように、大蔵大臣の見解、見通しはちょっと違うのです。最近の米国の状態、あるいは世界的な状態もありましょうが、そういうことからいってやや悲観的だ、こういうことなんです。そういうときに、ことし四十七億予算を組んであるのですが、これはどうするのかということにもなるわけです。こういう見通しについてはどうなんですか。
  20. 山内公猷

    山内(公)政府委員 実は私、大蔵大臣がどういう御答弁をされたかよくわかりませんので、その点に関しましては、われわれの方といたしましては、前段の先生のお尋ねの再検討を要するのではないかという問題でございますが、これは実は運輸省におきましても十分検討いたしました。御承知の通り相当多重の予算をとりまして、縦貫自動車道の調査をいたしました。その資料の中でも十分検討いたしたわけであります。それで先生のおっしゃるように、アメリカ及びヨーロッパにおきまして鉄道斜陽産業であり、鉄道を敷くよりも自動車道を敷いた方がいいという意見があることもよく知っております。そういう面からの検討も十分いたしましたが、われわれといたしましては、日本における状態と欧米における状態とが相当違うのではないかという感じを持っておるわけであります。この点で実は私も道路の調査団の一員といたしまして調査に参ったわけでありますが、アメリカにおきます道路網の発達と、日本における道路網の発達というものは相当違いますし、またああいう広大な国土における人口の分散の状態と、日本におきますような狭い国土に非常に密集した状態における輸送形態というものは、おのずから変わってくるのではないか。それで日本におきます鉄道の考え方は、私も行くまでは割合に悲観的だったのでありますが、アメリカ及びヨーロッパにおけるほどそう急速なる斜陽というものは起こり得ないのではないか。ということは、自動車の輸送力というものはスピードに反比例するものでございまして、高速自動車道を作りましても、この輸送力というものは、スピードが高くなれば高くなるほど、道路の輸送力というものは少なくなってくる勘定になるわけでございまして、今後の交通界におきまして非常に要求されるのはスピードの問題でございますが、そういう点で縦貫自動車通路が一本抜けたということによります輸送力は、国鉄からこれに転化するものも十分検討いたしたのでございますが、将来この東海道において伸びる輸送力を算定をいたした場合に、現在の旧東海道線ではとうていこの輸送の要請を満たすことはできないという結論に達したわけでございまして、その点はわれわれ今までの研究の段階では新東海道線ができてこれがすぐ不要なものになるというふうには考えておりませんで、この東海道東京—大阪間の輸送というものは、年とともに大きくなるのではないかというふうに交通情勢は考えているわけでございます。それから世銀関係大蔵大臣が悲観的だというお話、私よくわからないのでありますが、利率の問題ではないかと思うわけでございます。この利率の問題につきましては、先ほど兼松常務から御説明ございましたように、幾分上がりぎみになっておりますが、現在国鉄の借りております七分ちょっとこした程度のものよりは安く借りられるのではないか。もしも借りる交渉が成り立てばもう少し国内の資金よりも安く借りられるのではないかということを考えまして、やはり世銀借款ができるということは、この東海道新幹線の工事に非常に大きないい影響を及ぼすものであるという観点から、運輸省といたしましても、ぜひこれを実現いたしたいと考えておるわけでございます。それでわれわれは直接交渉に当たっておりませんで、国鉄の報告を受けておるわけでございますが、先ほどの兼松常務の御説明にもありましたように、相当世銀におきましても重要に考えて、誠意をもってこの問題を取扱ってもらっておるので、できれば年度内にこの借款を成立させたい、かように念願をいたしておるわけでございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 それじゃ最後に一つお伺いをしておきますが、世銀から資産状況なり、東海道線の収支状況を尋ねられて説明したということでありますが、世銀はやはり金融機関としての関係から、収支の状態は必ず聞くだろうと思います。今のような国鉄全体の運営からいけば、これは赤字経営になっておりますから、赤字経営のところへ金が導入できないのは、これは当然だと思います。その場合予想されるのは運賃値上げである。九州電力も何か一ノ瀬ダムの建設については、世銀から今の料金ではだめだから、料金値上げをという話があったやに聞いております。そういうことを考えますと、今後出てくる一つの大きな問題は運賃値上げの問題だと思うのですが、鉄監局長いかがですか。世銀からそういう条件がつけられても、それには耳を傾けないという約束ができますか、いかがですか。
  22. 山内公猷

    山内(公)政府委員 具体的にまだそういった話し合いに人っておりませんので、仮定の御質問になるわけでございます。先ほど兼松常務がこの点について御答弁申し上げておりますが、御承知のように現在の国有鉄道運賃法におきまして、「原価を償う」という条項があるわけでございまして、またもしも国鉄の財政状態が悪ければ、これにつきましては、政府補償というものは求められるし、またすることになると思いますので、そういう点で、われわれの方は世銀の、要望を満たし得るのではないか、かように考えております。
  23. 久保三郎

    久保委員 ちょっと確認しますが、私の質問に合致したということでありますね。結局運賃値上げを勧告されても、その条件が出ても、そういう条件にかわるものは政府補償ということがあるのだから、世銀心配なく金を貸してくれ、こう言えることだと思うのですね。私も実際そう思うのです。
  24. 山内公猷

    山内(公)政府委員 運賃値上げの問題は、運賃法にもございますように、国会の御承認を得なければならない問題でございまして、政府単独でそれができるというものではないとわれわれは考えております。
  25. 久保三郎

    久保委員 あなたの言うことは当然でありますが、世銀条件として出た場合に、それを運輸省は出してくるのかということなんです。あなたの先ほどの御説明ではそれはそういうことじゃなくても、政府補償という形をはっきりとるのだから、世銀はそれをのんで導入させるべきじゃないか、こういうことだと思うのです。だからそれはいいのだろうと私は思うのです。実際はそれでなくちゃいかぬと思うのです。それで赤字経営の問題は世銀の問題じゃなくて、国鉄全体の問題なんだから、そこにやはり政府補償の問題が出てこなければならぬ。ところがことしの予算を見れば、新線建設の、今までは別として、これからの三億ぐらいの利子補給も削られておる。それから国策として東海道新幹線をやるというのに百億の出資も出ないということであります。先ほどなるほど御質問があったようですが、財政投融資などは実際いうと金借りです。金利はあまり安くないのです。こんなものを借りてやっていくこと自体問題があるのです。だから運賃が安いか高いかの問題はまた別ですよ。高いか安いかの問題と国策の問題とは違うのであります。高いか安いかはそろばん勘定で、原価を割っている輸送もあるでしょう。この原価を割って輸送するものは政府補償として——政策としてやっておるものなら国家補償は当然なんです。新線建設もそうでしょう。やればみな赤字ですから、毎年九十億から百億出ておる。これだけは確実にやっていく。ところが五カ年計画は御案内の通り三十五年は四十億も削られておる。それで国鉄が今一番困っているのは、東海道もなるほど困るでしょう。新幹線を作らなければそれは困る。ところが毎日の状況はどうであるか。東京都を中心にして見ても、中央線の状態はどうなのか、あるいは東海道の近距離はどうなのかということを考えると、その方面の金は減っていく、こういうことではどこに行ったって話が通らぬのです。だから、くどいようでありますけれども、私は今あらためて言っておきますが、東海道新幹線はりっぱにできたが、あとの鉄道は乗りものとしても役には立たなくなったという時代がきたならば、十河総裁は銅像が建つかわりにみなから軽べつされるだろうと思うし、それからよけいなことでありますが、国鉄にすればこれは重大な問題だと思うのです。この法律は、総裁もこういう席にはおいでになってやはり国会意見もじかにお聞きになるのが当然じゃなかろうかと私は思うのであります。ほんとうにこれは大へんな問題だと思う。こういうことは老総裁にはあまり申し上げたくないのでありますが、私は全体の立場からいけば、責任体制とはかかるものではなかろうかと思うのです。副総裁がおいでになっているから、あなたでは役に立たぬということではありませんが、総裁が出てきて、これは総裁が命をかけてやる仕事だということを巷間伝えておる。それなら命をかけて国会に出てきて、われわれにもやはり理解と納得をさせなければならぬ。ところが総裁がお見えにならぬということは残念であります。この東海道新幹線の問題では出てきたのが何日か私は調べてみませんが、おそうらく一回あるかないかじゃないかと思うのです。そういうことでは世紀の事業をやろうということはちょっとどうかと思うのです。これはいやみじゃなくて、あたたかい気持で忠告しておりますから、次会審議のときには総裁はじかにおいでになって国会答弁にも立たれて、意見を聞かれるのが当然かと思うのであります。というのは東海道新幹線は三十五年度で二年目になる。建設途中で、しかけた仕事でありますが、世間ではその新幹線に対してやはり批判の声があるという事実、これは見のがすことはできません。そういう意味からも、私はこれは重要な法案として扱わざるを得ない。これはよほど慎重に考えてほしいと同時に、説明資料も、ただ大ざっぱなことでなく、十分に納得されるような資料提出を私はあらためて要求したいと思います。これで終わります。
  26. 土井直作

    ○土井委員 今度の東海道新幹線の工事に対して世銀から金を借りることになっておりますが、世銀から借りる場合において、一体国際関係において利系はどういうような形で締結されておるか、その点をお聞きしたいと思うのであります。
  27. 山内公猷

    山内(公)政府委員 ちょっと御質問の趣旨が聞き取れなかったのでありますが、国有鉄道が今度借りようとする利率の話にまではまだ入っておりませんが、従来の例でございますと、やはりときどきにより残して、先ほど兼松常務説明いたしましたように、違っておりまして、たとえば昭和二十八年度ごろにおきまして、大体五%程度でございました。ところが、三十二年、三十三年ごろには五%から五%八分の五程度になっておりまして、最近におきます富士製鉄、八幡製鉄、三十四年の締結でございますが、この利率を見ますと六%になっておるのでございます。国鉄につきましては、これから交渉に入りますので、まだわれわれは確実に何%になるというお答えはできないわけでございます。
  28. 土井直作

    ○土井委員 パーセンテージを示されておりますのは、いわゆる年何分というような形のものですが、それはどうなんです。
  29. 山内公猷

    山内(公)政府委員 それも今のパーセンテージは何分でございまして、二十八年ごろには、いわゆる五分でございますが、最近におきましては、六分の利率になっております。
  30. 土井直作

    ○土井委員 そこで世銀から借りるので、その場合において、この三の中に書いてありまするが、「鉄道債券について、外国人が支払を受ける利子についての所得税を免除する」ということに規定しておりますね。——そうなりますると、日本の人々が債券を買う場合には、大体年七分の利率、先ほど鉄監局長はそういうふうに説明しておりましたが、そこでその場合、内地人の場合においては実際上当然所得税が取られるわけです。ところが外国人の場合においては、ここで所得税というものが免除される。利率は内地人は七分だけれども、六%、言いかえれば六分ですね。そうなってくると、利率が非常に安くなっていくということにならざるを得ないのだが、そういう点については、大蔵当局とこちらの方の関係とでいわゆる外国人の所得税を免除するという事柄が、より安い利率を、外国人に対しては恩恵的にされるという結果になるのじゃないかと思うのだが、その点はどうですか。
  31. 山内公猷

    山内(公)政府委員 この方法は、日本国有鉄道法の、今回御審議お願いいたしておりますこの法律だけではないわけでございまして、従来の世銀借款におきましてもこういう方法をとっております。現在国際復興開発銀行からの外資の受け入れについて、日本開発銀行日本輸出入銀行、愛知用水公団等が発行する債券の利子に対する所得税の免除に関する法律という法律がございまして、その中に、日本国有鉄道を加えて、他の世銀から借りておる開発銀行あるいは輸出入銀行と同じようにしようとする趣旨でございまして、これは世銀性格からいいまして、世銀というものは利益を上げる会社でもなく、各国の重要な事業を遂行させるという趣旨でできておる特別な銀行でありますために、鉄道債券につきましても、その利子に対する所得税を、ほかの公団その他と同様に免除することは妥当であるという趣旨で御提案申し上げておる次第でございます。
  32. 土井直作

    ○土井委員 そういう点は十分わかっておるのでありまするが、実際上の問題として考えてみますると、国内債券を消化した場合においては、利率は高いようだけれども、実は国の中の経済のワクで処理できる。外国の場合においては、日本の金がそれだけ外国に流れていくということになるのであって、実際は、利率が安いようだけれども、結果的には高いものになってくるということが考えられる。そういうような面から考えて、なるほど世銀あるいは外債を売るという場合においてはそういうふうになっておるかもしれぬけれども、もう少しこの点についての工夫のあり方があってしかるべきじゃないか、こう考えるのですが、将来に対する考え方をこの際伺っておきたい、こう思うわけです。
  33. 山内公猷

    山内(公)政府委員 今のお尋ねは、ただいま私の申し上げました所得税の免除に関する根本的な問題であろうと思います。この法律のできました趣旨は、やはり世銀からの融資というものを円滑ならしめようという趣旨でできましたものと、先ほど申し上げました世銀性格から出ておると思うわけでございますが、御承知のように世銀というものは、世界各国世界銀行からの融資を受けておるわけでございまして、ある程度やはり、私もその立法の当時の状態をよく知りませんが、そういう世銀融資を受けやすい状態にするということも考慮の中に入っておったのではないか、かように考えるわけでございます。
  34. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 今度の国有鉄道法の一部を改正する法律案の提案というのは、結局世界銀行から命を借りるために提案されたということですね。そこで、昔から外国資本が今まで全然入らなかった、そういう先例がなかったかどうか。私の記憶では、汽笛一声新橋の日本に初めて鉄道ができたときには、これはやはり外国資本で、当時閣議で非常にもめたが、大隈さんが、外国の金を使ってじゃんじゃん作ろうじゃないかということで、とうとうあの鉄道ができたというふうに記憶しているのです。そういうことからいたしまして、一千七百億のうちの三百六十億程度の金が外国から入る。それに対する手当等については十人分お考えをいただいて、これにりっぱに着手し、そうして完遂することが望ましい。ただここでもうすでに二年目になっておりますが、われわれの耳にさえも、最近は何でも高速自動耳道路ができればすぐにそれに反対の立看板を立てて地価のつり上げをやるというのが一つの風潮ですが、この場合すでにそういうことが行なわれておるように入るのですが、さてそうした実情がありますかどうか。
  35. 兼松學

    兼松説明員 ただいまのところ新幹線につきましては、もちろん部分的にはいろいろ難問題もございますけれども、全般としては市町村、府県等が比較的御協力をしていただいておりまして、私ども交渉もそういった公共団体を相手といたしておるという段階でございます。全般的に申しますれば、大きな意味では大へんよく御協力をいただいておる段階にある。ただ部分的には問題の点も多少あるという実情であります。
  36. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 そういう公共団体がこういう大きな国策と申しますか、将来の交通地獄緩和のために協力をしておるという話は聞いておるのですが、われわれの耳に入ってくることは、運輸関係に精通しておるような方々が、その精通しておる知識と権利を乱用しながら一部地価のつり上げなどをすることによって交渉を難渋させながら自分たちの利益をはかっておるということが一つの隘路になっておる。さらにまたこれに対して新しい技術革新という意味から一生懸命やろうとする当局者、関係者の熱意を妨げておるやにも聞くのです。そこで私は、これほど画期的なことをやる方々ですから、そういうふうな啓蒙と、そういうつまらないことが起こらないように、またそういうものに乗らないように一つはっきりした態度を持ちながら推進されることをここで要望しておきます。      ————◇—————
  37. 平井義一

    平井委員長 次に陸運に関する件について調査を行ないます。質疑の通告がありましたので、これを許します。長谷川峻君。
  38. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 昭和二十四年から設置されております各県の陸運事務所の現況であります。これはどう考えてみましても運輸行政に関係し、またその行政を見守っておる者からすると、この機構は形式的には知事の下部機関になっておりますが、人事と予算は国が管掌しておりまして、機関として非常に中途半端であるということで従来から非常に関心を持たれておりますが、それについて当局の御意見はどうですか。
  39. 國友弘康

    國友政府委員 ただいま御質問のございましたように、私どもとしましても痛切にこの陸運事務所の制度が現状に合っていない、そうして中途半端な機関であるということを感じておる次第でありまして、お話の中にござまいましたように、昭和二十四年の八月一日に出先機関の地方移譲のための措置という閣議了解がございまして、この閣議了解によりまして都道府県単位の行政事務が地方に移譲されるということになりました際に、陸運事務所の現在のような制度が止まれまして、人事、予算等におきましては運輸省が所管しておる。すなわち、予算の面では、全部運輸省の予算として計上をし処理をしておりますし、人事の問題に関しましても、これは官吏といたしまして地方事務官という国家公務員でございます。従いまして、陸運事務所の職員の任命権は運輸大臣にあるわけでございます。ただ指揮命令の系統が都道府県知事に属し、都道府県知事の下部機関ということになっておるわけでありまして、このような中途半端の機関でありますために事務手続が非常に煩瑣になる、あるいは責任の所在が不明確になる。しこうして職員の士気の低下を来たすというような弊害が多々見受けられまして、これにつきましては早急に改善措置を講じなければならないと考えておるところでございます。
  40. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 そこで知事の方の下部機構になっておりますのですが、そうすると自治庁関係になるのです。従来これは非常に問題になっておりましたが、最近のように自動車行政が非常に重要視されている時代になりますと、自動車行政の末端にどういうふうにこれが響いているか。今のように隘路のあることはわかりましたが、現実的に自動車行政の末端機構にどういうふうにこれが響いているか。さらにまた今まで関係当局としてこれの本質的な解決のためにどういうふうに努力されてきたか。国会でわれわれが、運輸省なり国鉄の応援団体ではないのだけれども日本の行政のあり方という意味から何べんとなくあなた方がやりやすいようにいろいろ申し上げているにもかかわらず、関係当局が努力もしないでおってはお話にならない。そうしたところ、今までの努力なり解決方法にどういうふうにほかの役所に当たってこられたか。また相手の役所のにおい、これなどについてお話しいただければ……。
  41. 國友弘康

    國友政府委員 自動車に関しましては最近急激な増加の状況を示しておりまして、最近すでにもう二百六十万両を突破いたしまして、最近でも月に三万両程度ふえております。この自動車の激増ぶりがすなわち自動車行政に関しまする問題点を非常にはらんでおるわけでありまして、この激増します自動車に関しまする行政をやっていきます上において人員等におきましては、陸運事所の職員は昭和二十六年に比べますとむしろ減っておる。従って、自動車は五倍にも六倍にもなっておるのに、人員はむしろ前よりも減っておるというような状況でございまして、これらについては私どもも大いに努力をいたしておりますが、人員等の急激な増加ということは望めない。ことにまた、先ほど申し上げましたように、陸運事務所の職員が中途半端な機構のもとに仕事をするということが非常に士気の阻喪、低下を来たしているというような状況でございますので、先ほど来申し上げましたように、これを何とか解決をしなければならないとわれわれ考えまして、大臣以下その方向で努力しておるわけであります。これは、むしろ先生のおっしやいますように従前からその努力を続けてきたわけでございますが、積極的にはまず一番当面の折衝の相手方といたしましては、自治庁が地方の機構を所掌しておりますので、自治庁に対しまして昨年の夏ごろから、陸運事務所を運輸省に戻して一本化された完全な地方の陸運局の下部機関としたい、そういうことで交渉をいたしたわけでございます。書面に関しましては、昨年の夏、陸運事務所について運輸省から自治庁に移管されたいという申し入れをいたしまして、それに対して自治庁から返事をよこしたわけでありますが、さらにそれに対して運輸省の意見を述べ、さらに自治庁からそれについてのまた反駁の意見を述べてきた。これが昨年の十二月までの交渉経過でありまして、四回にわたりまして交渉を続けましたし、私も当面の行政局長その他とも十数回交渉をいたしましたが、われわれの段階では片がつきませんので、ことしに入りましてから事務次官同士の話し合いもいたしました。これに関しましても具体的な解決はしなかった。と申しますのは、運輸省側の主張といたしましては、自動車行政は広域行政であるから、国による統一的、一元的な行政が必要であると考える。しこうして海陸空の総合的な行政がなさるべきであるが、これについては運輸省の中の統一的な機構のもとにおいて初めて可能である。さらに自動車輸送行政、車検登録に関すること等は一元的、総合的に行なわれる必要がある。さらに職員の士気の向上と事務の能率化のためには名実ともに運輸省の支分局とする必要があるというような観点から、むしろ現在のように都道府県知事が指揮監督いたしますよりは、自動車の行動半径というものはもうすでに府県の単位を越えて活動をいたしておるような状況でありますから、もっと広域の行政をすベきであるということを考えまして、自動車の輸送管理の行政につきましては、そのような総合的、一元的な運輸省、陸運局、陸運事務所というような段階的な行政でやるべきであるというふうに考えております。さらに登録等におきましても、これは自動車の所有権及び抵当権の所有を国が証明してこれに登記的な効力を持たせるものでもありますので、これらいわゆる準司法行政事務というような観点から、不動産の登記事務と同じように国の事務とすべきである。また車両検査にいたしましても、これが事故防止対策の上から申しましても、事故を起こさない根本策は、やはり車両の保安というものが確保されなければいけない。このためには運輸省としてその保安の基準を作りますことはもちろんでありますが、これを実施します上においてやはり一元的に統一をとって実施をいたしませんと、たとえば車検等におきましても、むしろゆるやかな都道府県に自動車の検査が流れる、こういうような形にもなりますので、これら保安基準の点及びその実施につきましても運輸省に一元的にすべきであるという主張をいたしておるわけでありますが、自治庁といたしましては、これを最も端的に申しますと、昭和二十四年の地方移譲というものは今でもその趣旨は生きておる。しこうして都道府県の総合行政というものを考えた場合には、やはり自動車というものははずせないものであるから都道府県の所管にしておくべきである。陸運事務所というような現在の制度で今まで十年間やってきたのだが、これをこの際早急に解決をしなければならないという必要性をわれわれは認めない。むしろこの状況下において、運輸省の方で不便だというならば、その不便を除去するような具体的な方途を相談し合ったらいいではないかというのが自治庁の主張でございまして、いまだ自治庁との関係におきましては、解決を見ておりませんが、これに関しましては、しかし私どもとしては、もう早急にこの問題を解決いたしませんければ、こういう自動車の激増の状態に対処するためには、非常に因る。ことに白タク、もぐりトラックの取り締まり等の場合におきましても、陸運事務所の職員は陸運局からも連絡を受けるし、都道府県知事の指揮監督にも服さなければならないので、非常に仕事がやりにくい。これを一元化しますれば、むしろ今の陸運局の職に一人の力が二人分にも活用できるのではないかと考えておりますので、これらのことにつきましても、ぜひ大臣の段階においても折衝してもらおうと思っておりますが、大臣の段階になりますと、これは最終的な段階になりますので、現在もっと広範な交渉を続けておるという状況でございます。
  42. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 今の自動車局長の話を聞いて、事務次官の間においては二へんばかり折衝が行なわれたそうですが、私は今のように自動車がこんなふうに混雑しているときに、人事と予算をつけてやって——そしてこんなに複雑になっている隘路はみんなわかっているのです。ですから、これはできたら事務次官だけの話し合いでなくして、長い間のここの要望ですから、総合行政の立場から、やはり大臣折衝に持っていくようにし、この委員会なりあるいは運輸委員長なりの御推進によって、そういうふうに持っていってもらうことが一番いいのではないかと思いますが、この次大臣にでも出てもらいたいと思います。
  43. 平井義一

    平井委員長 わかりました。次会は自治庁長官と楢橋運輸大臣と呼ぶことにいたします。      ————◇—————
  44. 平井義一

    平井委員長 次に海上保安に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。館俊三君。
  45. 館俊三

    館委員 この前シコルスキーが落ちたときに、海上保安庁の話を聞いたのですが、その時分に私は細田さんに、海上保安庁なり航空局なり、あるいは気象庁というものは、運輸大臣としてあまり注意を払っておらぬじゃないかということの注意を喚起しておいたので、細田さんから運輸大臣に、保安庁なり航空局なり、あるいは気象庁の問題について、十分に要請に応じて活動されるように、お伝えを願ったことだと思っておりますが、私が質問する問題も、やはりシコルスキーの落ちた同じ土地における一つの事件を、海上保安庁はどういうふうにして吟味しておるのかということについてお聞きしたいと思っております。  保安庁の「海上保安の現況」を読みますと、「海上における犯罪のうち海事関係法令違反に次いで多いのは、漁業関係法令の違反である。漁業に関する法令は漁業秩序を確立して水産資源の総合的活用と持続的な生産を図ろうとするものであり、」云々というふうに書いておるのですが、こういう点について海上保安庁はどういうふうな体制をとってやっておるかということを、まず第一に聞きたいと思っております。もう少し読みますと、「多数者の暴力行為を伴う漁業紛争の契機となる場合が多い。従って海上保安庁では、漁業関係法令の違反については特に厳重な取締を行い、水産庁の行政処分と相まって漁業秩序の確立につとめている。」と漁業関係法令違反の取り締まりについてうたっておる。ところがわが地元においてはちょいちょいいろいろの紛争が起きている。これについてはわが地元の北海道ばかりでなく、内地でもあるのではないかと思っておりますが、そういう漁業関係の法令違反を取り締まる上において、海上保安庁としてどれだけ気を配っているかということについて一応聞いておきたいと思います。
  46. 和田勇

    ○和田説明員 お答えいたします。漁業関係法令違反の取り締まりにつきましては、単に北海道だけではございませんで、全国について申し上げますと、われわれの方の出先といたしまして、全国のおもな個所に九つの管区本部がございます。その管区本部の下に保安部というものがございます。さらにその下に保安署という組織を持っておりまして、われわれの方の職員は約一万一千でございます。そのうち海上で船に乗っておりますのが約半数の五千人程度でございます。実際に海上犯界は情報その他によってわれわれが探知いたす場合もございますが、海上で行なわれます場合が多いものですから、巡視船あるいは巡視艇をパトロールさせまして、絶えずその違反なきを期しておりまして、この巡視船が全国では大型のものが九十二父、小さいものが約二百隻でございますが、そういった体制で取り締まりをやっております。
  47. 館俊三

    館委員 次に北海道における海上保安庁の配置状況について御説明願いたいと思うのですが、巡視船あるいは巡視艇というものがどこに配置されてどういう仕事をしているか、また全体的に漁業関係法令違反をつかまえた成績、そういうものが上がっているのか上がっていないのか、件数その他についてお調べがあったら知らせていただきたい。
  48. 和田勇

    ○和田説明員 お答えいたします。北海道ではおもな拠点を五つ設けております。一つは小樽、稚内、函館、室蘭、釧路、この五カ所でございます。そのほかさらに留萌、江差、椴法華、浦河、網走、絞別、根室、広尾、羅臼というようなところも相当の拠点といたしております。これに配しまするに巡視船、これは大体二百七十トン以上の大型の船でございますが、これが小樽地区に三隻、稚内に二隻、函館に三隻、室蘭はございません。釧路に六隻。さらにこの巡視船より小さい、いわゆる巡視艇あるいは雑船と申しまして、さらに小さい船が小樽地区に六隻、稚内に三隻、函館方面に八隻、室蘭方面に五隻、釧路方面に十二隻配属してございます。  それから漁業取り締まりの実績等についてわかっていることがあればという御質問でございますが、ただいま手持ちにいたしておりますのは、主として道南海域の漁業関係法令の違反状況の調べたものが手元にございますので、それで申し上げますと、昭和三十四年一月から十二月の暦年でございますが、道南の函館、江差、室蘭、浦河、こういった方面で七十三件、人数にいたしまして百二十三人の人を検挙いたしております。なお道南におきましては、大体一年に四回程度、いわゆる漁業一斉取り締まりというものをしておりまして、先ほど申しました函館、江差、室蘭、浦河各部署の人間並びに所属船艇が一斉に取り締まりをやっておりまして、昨年は中型機船底曳網漁業取締規則違反のものが九件、その他のものが十一件、一斉取り締まりでは合計二十件を検挙いたしております。
  49. 館俊三

    館委員 この保安庁で発行した「海上保安の現況」というのを見ますと、海上保安部、あるいは海上保安署、航空基地、水路観測所というものがありますが、それの受け持ちがみな警備救難業務といっている。そのほかに天文の観測業務がありますし、航路標識の運営の業務もありますが、それも警備には違いないけれども、警備救難業務ということがありますれば、その業務のうちのどの項目で、一体漁業関係法令の違反について主力を注いでおるという部門があるのですか。  急ぎますからもう一つ言いますが、その「海上保安の現況」を見ますと、巡視艇が二百十五隻というのですが、これはそれでよろしい。この巡視艇に大いに活躍をしてもらわねばならぬようなことでないかと思うので、大きな船——函館にあるような千トン、七百トンというものよりも、巡視艇をこまめに回して、漁業関係法令違反を押えてもらわねばならぬということを私どもは考える。その点について、二百何隻では足りないのではないか。大きな船を作るよりも、この方に主力を注ぐべきではないかというふうに考えるが、どこの機関で、一体漁業関係法令違反を主として力を入れてやっておるのか。そういう点について、それから船の使い方について、お知らせを願いたい。
  50. 和田勇

    ○和田説明員 お答えいたします。海上保安庁では大きく分けまして、いわゆる警備救難、水路、灯台、この三つの業務をやっておりまするが、今先生の御質問の、どこでやっておるかというのは、警備救難の警備の方でございまして、保安部、保安署にそれぞれ専門家を配置してございますが、非常に業務が複雑であり、かつまた出先には人間も少のうございますので、多忙のときには協力するというようなことでございますが、専門の人間といたしましては警備の筋でやっております。  それから二百十五隻の巡視艇があるが、さらにもっと必要ではないかというお尋ねでございます。実はこの二百十五隻を出してございますが、たとえば北海道の道南地区について申し上げますと、先ほど私が室蘭は五隻と申しましたが、実際問題といたしまして、冬季相当波の荒いとき、また冬季でなくても、しけのときなんかには、この五隻のうち、実際取り締まりに当たれるものは、二十三メートル型一隻というような状況でございます。また浦河の一隻は、ちょうど二十三メートルで適当でございまするが、あと百函館の五隻のうち、取り締まりに適当な船は三隻でございましてあとの減ものは非常に小さいというような状況でございます。この二百十五隻のうち、全部が全部外に出まして取り減締まりに当たれないという状況でありまして、御指摘のように、私ども極力二十三メートル型と申しますか、港内でも業務が遂行でき、かつ外海にも出られるという二十三メートル型を非常に要望しておるのでございますが、まことにわれわれの努力も足りませんで、年々一隻あるいは零というような程度の予算しかつけていただけない実情でございます。
  51. 館俊三

    館委員 そういうことであるから、いろいろの漁業紛争が起きて、しかもその零細漁民が非常に難儀をするとい事態を放置されておるような格好になっているわけです。  それでもう一ついますと、保安庁としては犯罪が起こるような地区を指定しておるということが「海上保安の現況」で書いてある。つまり保安海域の設定ということが書いてある。それはどこらあたりを設定しているのですか。海上保安庁の設定の仕方が間違っておれば、北海道の道南、ことに日高とか函館地方あるいは釧路地方における、そういうものが設定地区になっていないとするならば、海上保安庁の注意の向けどころが非常に違っておるというような感じがいたしますので、それでその設定地区を北海道においてどこを設定しておるかということをお聞きしたい。
  52. 和田勇

    ○和田説明員 お答えいたします。この虞犯海域は、過去の虞犯操業の実態とかその他の関係を勘案いたしまして作ったものでございまして、北海道の浦河を中心に襟裳の方面、それから道東、これはいわゆるソ連と国境を接しておる方面、それから日本海の方面では江差方面が主であります。そういうふうに虞犯海域を設定いたしてございます。
  53. 館俊三

    館委員 それから保安庁としては、違反の場合の通報の経路を確立するとか、あるいは違反が起きた場合の情報の収集をやらなければならぬということを書いておりますが、それについての的確なる情報の通報の道が確立しておらないと、情報収集の方法がついていないと、これはその場その場における処理が的確にいかない、それはどういうふうになっているのですか。
  54. 和田勇

    ○和田説明員 お答えいたします。沿岸関係の漁業違反につきましては、主として沿岸の漁民から情報をいただく、そのほかにわれわれの方で専門の警備担当者がおりまして、各方面から情報をとっておるというような状況でございます。しかし、お断わりするようでありますが、何分人手も少のうございまするし、海上保安庁も創設後十二年にはなりますが、こういった方面につきましては、まだ陸の警察ほど十分な組織なり人なりを備えてございませんので、先生方からごらんになりますると、不十分な点があるのではないかと思いますが、こういった点につきましては、今後われわれが努力をいたしまして、御期待に沿いたいと考えておる次第であります。
  55. 館俊三

    館委員 通報機関が正確でない、あるいはしっかりしていない、速度がおそいということになると、急場の間に合わない。今ここでいろいろな情報を聞いてみますと、相当数の密漁船がある。船団を組んでお互いに通報しながら、巡視船をよけながら漁業法令を犯して密漁をしておる、そういう話がある。それにもかかわらず、人員が足りませんからというようなことであっては、密漁なりあるいは法令違反を防ぐ巡視船の体制はほとんどできていないと私は見る。そういうことのために、恵山岬から浦河の方面にかけての噴火湾の入口、毎年々々内地から密漁船が入ってくる、漁業法の何というんですか許可証を持たない船が入ってきたり、あるいは許可証を持っていても、中型底びき網の船なり小型の底びき網の船が、入ることのできない禁止区域内に入ってきて魚族を絶やしてしまうという状態が毎年々々繰り返して行なわれておる。そのために、沿岸の漁民は沖へ行って魚を取ることができないほど疲弊しておる。中には建網まで引き裂かれてしまうという状態が起きていて、非常に困窮をしておる。そういう点についての情報があなたのところに入っているのか入っていないのか。北海道の本部が小樽にあるんでしょう。きょう何か会議があって、小樽の本部長かどなたかいらっしゃっておる。うわさに聞きますと、そういうことを私が質問するそうだが、北海道で何が起きたんだろうというようなお話であったということを陰ながら聞いておる。そういうことでは漁業法令の違反を何を一体監視しておるかと言いたくなる。大体その検挙件数を見ますと、密入国、密出国、いろいろありましょうが、漁業法令違反は全海上犯罪検挙数の一三%にしかなっておらない。漁業関係者は、一生懸命に保安庁をたよりにしておるのだが、私は非常に困ったことだと考えておる。これは水産庁にお聞きすることなんだが、背景をなすから言いますけれども、北海道沿岸の漁獲号が非常に少なくなる、トロール船をやめなきゃならぬ、あるいは底びきをやめなきゃならぬということで、三十三年ですか三十二年ですか、その禁止区域の拡大を北海道の道議会が決議をした。ところが水産庁の方ではそれを完全にやってくれない、小さな制限区域だけにしたのです。ところがその制限区域内に、今言う無許可の船なりあるいは許可があっても禁止区域内に夜陰に乗じて入っておる。暴徒ですよ。海賊です。そういう者が青森、岩手あるいは宮城の方ですか、秋田の方ですか、北陸地方からどんどん入ってきて動きがとれない。日高沿岸、渡島、檜山の沿岸、噴火湾沿岸の漁民を脅かしておる。それが根絶やしにならない。海上保安庁はどうしておるのだ。季節になれば必ず新聞が書き立てる、漁民が騒ぐ。渡島の支庁では補助を出して、これに対する自衛手段を講じておるのです。あなたたちは情報を収集しておると言うが、そういう情報は収集しておるんでしょう。渡島支庁では船を一そう借りて、戸井から知内間の番警をやらしておる。そして漁民に沿岸漁業の秩序確立協力会を作らしておる。さらにある村においては、道庁が補助金を出して、自分で船を見つけてその密漁取り締まりをやらなければ、沿岸ですなびきをやっておる漁業が食えなくなる、根絶やしになる。毎年それをやっておる。それに今お話を聞くと、わずかに函館で動ける船が三隻だ、これではどうにもなりません。察するところ、辛うじて虞犯海域に入っているようなあやふやなお話ですが、十分な虞犯海域にして、こういうことのないようにしてもらいたい。保安庁に対する不信感が非常に大きい。小樽の海区本部長が知らないということは注意が疎漏だ、何をしておるかと言いたい。そういうことです。この前も、保安庁長官に私は言うたことがあるが、これは二、三年前のうわさでうそだと思います。けれども、密漁船を沿岸の船が追いかけていってつかまえてみたところが、━━━━━━━━━━━━それはうそだと思いますけれども、そういううわさが出るほど、不信感がつのっておる。━━━━━━━━━━━━━そういうことはここで取り消してもらってもいいのですけれども、そういうことではとても漁がとれなくてあえいでおる。檜山、渡島、日高とかあるいは噴火湾沿岸の魚が根絶やしになる。魚が産卵をして繁殖するところにきて、中の方に入ってかき回してしまう、建網をこわしてしまう。はなはだしきに至っては、建網についておる魚のたまりの網をそのまま持って逃げていくやつがある。そういう状態で、保安庁の使命が非常に私は重大だと思うのです。悪口を言うのじゃありません。十分にやっていただきたいということなんです。  そこでこの対策ですね。一体船の配備状況——今すぐ船ができない、一そう注文しても大蔵省は舞うことを聞かない、細田さんも手伝いをしない。そういうことであれば、現在の状況では、船の配置がえをしてここに集中する必要がある。釧路だとか根室の方の国際海域における違反については、国際信義に反するからといってだいぶ行っておるのかもしれません。また内地は漁民に経済的な力がある。ところが檜山、渡島沿岸における海を荒らされるということは、いよいよもって脅威を倍加されることになる。北海道としても、道南の日高地方の漁民をどうするかということが重大問題で、道議会で海域を広げることを決定して水産庁に来てだめになったというみじめな形になっておる。望みをかけておったのがついえてしまった。この対策について、しっかりした御返答を願いたい。どうするのです。それは内地の力でもいろいろあるかもしれませんけれども、経財力の豊かな内地の漁民が、七十五トンなり百トンの漁船で底びき網にやってきてかき回してしまう、禁止区域にも入ってくる。民生安定のためにも大へんなことです。私は、配置がえをしてでも、船をふやしてこの沿岸について十分な警備をする責任が保安庁にあると思う。新聞の見出しは、こういうことを書いてある。毎年出るのです。「定置網ズタズタ」底びきでやるばかりでなく、港から出ている定置網までずたずたにやってしまう。気の毒な見出しですけれども、「本州の中型船地元民までウニ採り」というように出ているのです。巡視船のことについて、「追いつけぬ巡視船」となっておる。これは速力が鈍いのですか。追っかけていっても追いつかない。巡視船をふやすと一緒に、まだほかに何か通報機関なり情報機関なりを十分に集めて、その対策を函館なり浦河なりそういうところで練る必要がある。もう少しその土地における保安庁は、漁民との接触なり町との接触なりそういうものをやって、通信網が足りないというばかりで寝ておってはいけぬと私は思う。そういう接触をやらないから、今だれが何を質問するかわかりませんというようなことで小樽の本部長が出てくる。これではいけぬと思う。その対策をどうするか、構想を一つ述べていただきたい。
  56. 和田勇

    ○和田説明員 ただいま館先生から御指摘のございましたように、内地、ことに東北の八戸とか青森あるいは宮城県、岩手県に根拠地を持っております中型の底びき船が、おっしゃる通り道南海域に入会操業をいたしておりましてこれが紛争をしょっちゅうやっておるわけであります。私どもの方ではそういったことは十分承知いたしておりました。ことにこの違反が夜間に多いものですから、先ほど申しましたような一斉取り締まりというようなこともやりますし、また平常は少ないながらも巡視船を警戒に当て、またヘリコプター等によっても取り締まりをやっておるわけでございます。もちろん十分ではございませんで、細大漏らさず違反を検挙し得るかということになりますと、あるいは漏れておるのもあるかもしれないと思うのであります。そこで、これは私ども一つの考えでございまして、あるいは間違えておるかもしれませんが、現在の水産庁でとっておりますやり方、いわゆる違反漁業船に対しまして行政罰を食らわしております。つまり停船処分というのをやっておりますが、この期間が割合に短いというのが多いのじゃないかと思います。また法令違反によって司法処分の判決を受けて、大体罰金というようなことでございますが、この罰金刑も比較的軽うございまして、こういった連中の中には、全部が全部ではございませんが、行政罰も比較的軽いし、また罰金刑の方も軽いというので、再々道南海域に出て参るというのがあるやに聞いております。また一般的に大きい中型の底びき漁業が沿岸の方々に御迷惑をかける、今お話の網を切ったというような例は、たとえばこれは本年のことでございますが、八戸所属の船が遭難いたしまして、乗組員が行方不明になった。これに関連して、その八戸の所属の船が十数隻死体捜査のために綱を引いたのであります。このときに間違えまして相当地元の沿岸の方に御迷惑をおかけしたようでございますが、これにつきましてはさっそく私の方で第五久栄丸、竜神丸、第五宝運丸の三隻を検挙いたしまして、それぞれ浦河の地検支部に送致いたしてございます。こういったふうに取り締まりはやっておるわけでございますが、先ほども申しましたように、この網目をくぐって参るこういったものを、細大漏らさず全部捕捉するということは、今先生からお話のありましたように船をふやすとか、あるいは情報網を確立するとかいったことがございますが、いずれにいたしましても人員、経費を伴う問題でございまして、私どもの方では相当の力を尽くしておるつもりでございます。  なお最後に、先ほど二、三年前に違反漁業船をつかまえてみたら━━━━━━━━━━というようなお話がございましたが、さようなことは絶対にございませんので、その点は御了解をいただきたいと存じます。
  57. 平井義一

    平井委員長 ただいまの館俊三君の発言中、━━━━━━━━不適当な発言があったように思われますので、後刻速記録を調べまして適当に善処いたしたいと存じます。
  58. 館俊三

    館委員 それでよろしい。そう言ったことは取り消したけれども海上保安官の素質がきわめて悪いというふうに見られているのではないかと私は考える。そういうところからそういう疑問が起こるのではないかと考える。素質が悪いということは、海上を船に乗って歩く人と岸にいる人との給与体系がどうであるかということも考えざるを得ない。そういうことはどうなっているか。それから違反者に対する行政処分だけで終わっているのか、私は法律はわからぬから、行政処分だけで終わっているのかどうかということ、それから違反したときの漁獲物その他はどう処理しているか、船体はどう処理しているか、あるいは漁業の許可証、たとえば陸上の自動車のように取り上げるのかどうか、そういう点も厳重にやらなければいかぬと思うのだが、そういう点は非常に疎略になっているのではないかという気かする。その点はどうですか。
  59. 和田勇

    ○和田説明員 お答えいたします。今保安官の素質が悪いというお言葉をいただいたのでございますが、一万一千ばかりいる職員の中には、あるいは一、二名そういった申しわけのない者もあったかと思いますが、私どもといたしましては、職員全体にさようなことはないと存じております。大体高等学校卒業の者を海上保安大学校に収容いたしまして、四年余り教育して幹部にする。さらにその下には、中学校を出ました者を海上保安学校、これは舞鶴にございますが、ここで教育をいたし、またすでに現存職員である者につきましても研修をやって、それぞれ業務に差しつかえないようにやっておりますので、一、二の例外はあったかと思いますが、さように御了承いただきたいと思います。  それから、お尋ねの行政処分といわゆる司法処分の関係でございますが、私どもの方は検察庁に送検する、そういたしますと、これが検事の方から起訴されまして、かりに有罪でありますと罰金あるいは懲役とか、そういったことになるわけであります。同時に、並行的に水産庁では、行政処分といたしましてこの事犯についてあるいは停船処分をする、あるいはまた、比較的簡単な説諭処分をするとか、そういったことがあるわけでございまして、水産庁の行政処分と司法裁判所の判決といいますか、この二本に分かれているわけであります。  それから、今の免状を取り上げることがあるかということにつきましては、私詳しく存じませんが、これは水産庁の方の権限に属する処分であります。
  60. 館俊三

    館委員 それは調べておいて下さい。  それではこれで終わりますけれども、シコルスキーというヘリコプターが落ちた、あなたの方の船が、新聞で書いているように追いつけぬというほどに速力が足らない。そういうことでは、海上におけるいろいろの犯罪と言ってはおかしいが、法律違反を追及する手段が非常に欠けている。通報綱が足りない、速力が鈍い、シコルスキーが落ちてしまった。これからあのあたり漁が盛んになりますから、シコルスキーの補充及び巡視艇、これを活用すること、予算は来年うんと要求しなければいかぬ。そしてそれを活用するについての企画を十分に立ててさっきお話のあった江差町が虞犯海域だというようなあやふやな言い方でなくて、江差町から噴火湾にかけて、日高の襟裳岬から恵山岬にかけての警戒を厳重にする具体的な方法を可能な限りにおいて立てるのが現実のやり方だと思う。それをやらなければいかぬ。この間もヘリコプターの話をして、それから一週間目ですが、その態勢が立っているかいないか。何でも新聞を見ると、シコルスキーというのはいいやつで、羽田に二機で函館に一機という話で、その一機がなくなって、羽田におったらいけないので、北海道に持ってくるのがいいと私は思うのですが、あのヘリコプターはどこの所属になっているのか、これも速力が速いし、見るにいいのですから——沿岸の漁民は沖で底びき網をやるのには、ランプをつけなければ底びき網はできないのですから、来ておるのはわかっておっても、それを追いまくったりつかまえたりする能力がない、行ったらたたき伏せられて、海の中へぶち込まれる場合もある、非常に残念なことなんです。その態勢の確立を十分にやっていかなければいかぬと思うのだが、お約束ができるかどうか。
  61. 和田勇

    ○和田説明員 お答えいたします。巡視船が速力がおそくて、違反漁業をした漁船の方が逃げていくというようなお話でございますが、これは絶無ではございません。と申しますのは、私どもの方の巡視船あるいは巡視艇というのは古い船も相当ございます。また速力もある種の制限を受けた時代もございまして、必ずしも漁船の非常にスピードの速いものには追いつけませんが、最近作っておりますものは、いずれも相当のスピードでございます。たとえば十五、六海里、あるいはフルに出しますると十八、九ノットというのもございまして、そういった面については、現在の巡視船、巡視艇が速力がおそくて検挙に相当重大な支障になっておるというようなことは御指摘の通りでございますが、こういった点につきましては、写真をとるとか、あるいは各地に情報網をめぐらしてその船が逃げ帰ったときに捕捉するというふうなことをいたしております。  それから、ヘリコプターのお話でございますが、これは予算はもちろんわれわれの海上保安庁に予算をつけていただくわけでありまするが、何さまちょうど年度末近く事件が起こりまして、実は昨日やっと函館へ航送しておるというような状況でございまして、この点につきましても地元から御要望がございますので、われわれといたしましては、この三十四年度の年度末の予算でどうこうということはむずかしいのでございますが、また三十五年度にも話はいたしたいと考えております。しかし、三十五年度はすでに予算が衆議院の方は済んだというようなことでございまして、これが大体一機八千万近くかかる、相当の経費を要しまするので、今直ちに先生の御指摘のように落ちない前と同じような状態に持っていけるかどうか、この点につきましては相当問題があるのではないかと思います。  また、さらに浦河方面あるいは函館方面に巡視船なり巡視艇を増強しろというようなお考えでございますがこういったことにつきましては、これはあるいは言いわけがましいことで恐縮でございまするけれども、いわゆる韓国との間には、李ライン問題で相当われわれの方は無理をいたしまして、九州プロパーの巡視船のほかに、たとえば山陰方面、それから四国、近畿方面からも船を出しております。また北海道では、先ほど先生もお話のありましたように、ソ連との国境を接する地域でしばしばわが方の漁船が拿捕されますので、この警戒等にも当たっておりまして、道南地区に全部の勢力を集中して、すぐ御要望に沿うようにやっていけるかどうかは、しばらく検討をさせていただきたいと思います。  なお、私どももこれは大体五カ年の長期にわたって海上保安業務について一つ計画を目下検討中でございます。また、かねがね浦河方面の地元の方からは、現在の二十三メートルの巡視艇では警備のみならず海難の救助にも事を欠くということで、いま一隻大型のものを配属してほしいというような要望も受けてございますので、こういったことにつきましても、諸般の計画を検討いたしまして、できるだけ御要望に沿い、また人員等につきましても、これは非常にむずかしい問題でございますが、整備いたしまして、先生の御指摘のあったようなまずい情報をとるというようなことがないようにいたしたいと思っております。  なお最後に、ちょっと私の言葉が足りませんでございましたが、小樽の第一管区の本部の警備救難部長は、この問題について全然知ってないというふうにおっしゃったかに承ったのでございまするが、そういうのではございませんので、さっそく話はいたしましたが、現在道南地区における問題がなかったといいますか、つい最近、先ほど申しましたように、一月の八戸の沈没した漁船の死体捜索にからみまして、多少違反の事実がございましたが、それ以外に継続的にそういったことがなかったこと、また噴火湾、内浦湾におきます無許可の操業は、従来割合発生いたしておりましたが、大規模な違反はない、比較的平穏であるというようなことから、一管の警救部長はそういうことを申し上げたということを私は申し上げたのでございまして、決しておろそかにしておるわけではございませんから、どうぞ御了承いただきたいと思います。
  62. 館俊三

    館委員 函館の海上保安部は保安部となっておるのですか。
  63. 和田勇

    ○和田説明員 さようでございます。
  64. 館俊三

    館委員 それから保安署というのはどこにありますか。
  65. 和田勇

    ○和田説明員 浦河にございます。
  66. 館俊三

    館委員 浦河は指揮下に入るのでございますか。
  67. 和田勇

    ○和田説明員 いいえ、浦河は室蘭の保安部の指揮下に入ります。
  68. 館俊三

    館委員 函館の保安部の人たちによく言うていただきたいことは、道庁が一生懸命になったかどうかして、沿岸の全町村の漁業秩序確立協力会というのができているらしいが、それあたりと十分連絡をとって話を聞いていただきたい。釜谷とか小安とか石崎とかいうところは、村の金を出して船を雇っておる。その上の支庁も、やはり金を出して船を雇って沿岸の警備に当たっておる。自衛手段を講ずるような形が出ておる。噴火湾から江差町にかけてのそうしたことも、保安部は知っておるのだろうと思いますけれども、情報の機関が足りないとするならばそういうところとも十分に連絡をとってやることが、函館の保安部の位置を確定することにもなるのだから、そういうつもりでやっていただきたい。今のいろいろな御答弁を聞いておっても、中途半端ですけれども、これは予算関係その他もありますけれども、十分にこの漁業法令違反について、密出国その他の違反ばかりに力を注がずに、まるで自衛隊の仲間みたいなことをやっていないで、国内の治安維持のためにやっていただきたい、こうお願いいたしておきます。
  69. 和田勇

    ○和田説明員 十分わかりました。
  70. 平井義一

    平井委員長 次会は、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案陸運に関する件についてそれぞれ質疑を行ないますので、質疑を行なう委員各位は、前もって御通告をお願いいたします。  次会は来たる十六日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十九分散会