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1960-03-02 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二日(水曜日)各会派割当変更 後の本委員は、次の通りである。    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君    理事 川野 芳滿君 理事 木村 俊夫君    理事 關谷 勝利君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 土井 直作君       石田 博英君    宇田 國榮君       小澤佐重喜君    高橋 英吉君       高橋清一郎君    塚原 俊郎君       長谷川 峻君    原 健三郎君       福家 俊一君    三池  信君       三木 武夫君    村瀬 宣親君       山田 彌一君    淺沼稻次郎君       島口重次郎君    下平 正一君       館  俊三君    正木  清君       山花 秀雄君    内海  清君       菊川 君子君 ――――――――――――――――――――― 昭和三十五年三月二日(水曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 島口重次郎君       宇田 國榮君    高橋 英吉君       高橋清一郎君    福家 俊一君       三池  信君    村瀬 宣親君       下平 正一君    館  俊三君       正木  清君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 楢橋  渡君  出席政府委員         運輸政務次官  前田  郁君         運輸事務官           (大臣官房長) 細田 吉藏君         運輸事務官         (海運局長)  朝田 靜夫君         運 輸 技 官         (船舶局長)  水品 政雄君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         運輸事務官         (航空局長)  辻  章男君         海上保安庁長官 林   坦君         気象庁長官   和達 清夫君  委員外出席者         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 二月十八日  委員下平正一辞任につき、その補欠として河  野正君が議長指名委員に選任された。 同日  委員河野正辞任につき、その補欠として下平  正一君が議長指名委員に選任された。 三月二日  島口重次郎君が理事辞任した。     ――――――――――――― 二月十八日  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第六四号) 同月二十二日  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第六三号) 同月二十六日  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七八号)(予) 同月二十二日  東北本線古河、間々田両駅間に野木駅設置に関  する請願(山口好一君紹介)(第四九五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月十九日  常磐線電化促進に関する陳情書  (第一三四号)  日豊本線複線化に関する陳情書  (第一三五号)  高松港港口改良計画促進に関する陳情書  (第一三六号)  那珂湊海上保安署の昇格及び大型巡視艇増配に  関する陳情書(第  一三九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任の件  小委員補欠選任の件  南大東島における高層気象観測に必要な物品の  譲与に関する法律案内閣提出第一〇号)  国内旅客船公団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一一号)  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第六四号)  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第六三号)  臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七八号)(予)  航空及び海上保安に関する件      ――――◇―――――
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。理事島口重次郎君より理事辞任いたしたい旨の申し出がございますので、これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 平井義一

    平井委員長 次に、都市交通に関する小委員補欠選任についてお諮りいたします。小委員高橋清一郎君が先般委員辞任されたため、小委員が一名欠員になっておりましたが、同君が再び委員に選任されましたので、再度都市交通に関する小委員指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、今後委員異動等に伴いまして小委員及び小委員長が欠けた場合、その補欠選任委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  7. 平井義一

  8. 平井義一

    平井委員長 まず、政府当局より提案理由説明を聴取いたします。楢橋運輸大臣
  9. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ただいま議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  日本国有鉄道は、東海道本線輸送の行き詰まりを打開して、将来のわが国経済発展に伴う鉄道輸送需要増大に対処するため、工期おおむね五カ年の予定で、昭和三十四年から広軌、電気運転方式による東京—大阪間の幹線増設工事を実施いたしております。政府といたしましても、東海道線輸送力わが国産業経済に占める重要性にかんがみ、この幹線増設早期実現財政資金確保をはかる等、特段努力をいたしております。この工事に要する資金の一部といたしまして、国際復興開発銀行から外貨資金借り入れをいたしたいと存じますが、そのために借り入れ契約に基づいて発行する鉄道債券に関する事項を立法化する等の必要があります。  さて、今回改正の要点は、まず第一点といたしましては、日本国有鉄道は、国際復興開発銀行と締結する外貨資金借り入れ契約に基づいて同銀行鉄道債券を引き渡す必要があるときは、その発行事務外国銀行または信託会社に委託することができることといたしたことであります。  次に、日本国有鉄道国際復興開発銀行に引き渡した鉄道債券外国投資家が譲り受けた場合における外国向け元利金支払い及びその受領について、外資に関する法律特例措置を定めることといたしたことであります。  第三点といたしましては、日本国有鉄道国際復興開発銀行からの外貨資金借り入れ契約に基づいて発行した鉄道債券について、外国人支払いを受ける利子についての所得税を免除するため、関係法律改正することといたしたことであります。  このほか、第四点といたしまして、日本国有鉄道東海道幹線増設工事を円滑に行なわしめるため、理事の定数の増加を行なうことといたしたことであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。  次に、道路運送法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  道路運送現状にかんがみ、政府といたしましては、自動車運送事業による輸送安全度の向上、道路運送に関する秩序の維持、的確かつ強力な輸送実情の把握を行なう体制確立等、さしあたり緊急に措置を要する問題につきまして、鋭意検討を進めて参りましたところ、ようやく成案を得るに至った次第であります。  この法律案は、第一に、自動車運送事業者運行管理者選任義務運行管理者職務違反があった場合の解任命令等運行管理者制度確立するとともに、輸送の安全が確保されないおそれがある場合において自動車運送事業者に対して是正命令を行ない得るものとする等の措置により、自動車運送事業による輸送の安全の確保をはかることといたしております。  第三に、道路運送法違反による使用停止処分を受けた自動車につきまして、その使用停止処分実効性確保するための登録上の措置について定めるとともに、これら違反者に対する罰則を強化いたしまして、間接強制による違反の防止をはかり、他方、自家用自動車使用を健全化することにより道路運送の総合的な発達をはかるため特に必要な場合には、自家用自動車使用者事業場に立ち入ることもできるようにして、自家用自動車使用適正化のための行政指導を行ない得ることといたしております。  第三に、道路運送実態調査について定め、輸送需要その他道路における輸送実情を的確に把握するための体制確立をはかることといたしております。  最近の道路運送実情にかんがみ、特に緊急に立法化を要するものとして、以上の三項目を骨子としてこの法律案を提案した次第であります。  以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。  次に、臨時船舶建吾調整法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  現行臨時船舶建治調整法は、昭和二十八年に戦後のわが国外航商船隊再建のため船舶建造を調整する必要上制定されたものでありまして、その存続期間昭和三十六年三月二十一日までとなっておりますが、次に述べますような事情によりまして、本法存続期間昭和四十年三月三十一日まで延長したいというのが、この法律案提出いたすゆえんであります。  戦争によって、崩壊したわが国外航商船隊再建整備をはかるため、政府外航船建造につきまして、財政資金の投入、市中資金のあっせん、利子補給及び損失補償制度確立等種々助成策を講じて参りましたが、本法外航船建造運輸大臣の許可にかからしめることによりまして、建造される船舶が真に国民経済要請に適合するよう調整する機能を発揮して参ったのであります。  しかして、その間に建造されました外航船は、貿易外収入増加を通じてわが国国際収支改善に多大の貢献をなしているのでありますが、今後予想される貿易量増大に伴い、外航船腹整備拡充いたしますことは、依然わが国経済自立発展をはかるためには欠くことのできないものでありますので、政府は、今後も外航船建造につきましては、積極的な助成策をとることにより、海運企業の基盤とその国際競争力の強化をはかりつつ、国民経済要請にこたえようといたしているのであります。  このように政府外航船整備拡充についての助成策を続行いたします以上、その目的を達成する上におきまして補完的な役割を果たす臨時船舶建造調整法に基づく規制を引き続き行なうことがぜひとも必要なのでありまして、その必要性わが国国際海運現状から見て、少なくとも昭和三十五年度から五年間は存続するものと見るのが妥当であると存じます。  今回、臨時船舶建造調整法存続期間昭和四十年三月三十一日まで延長しようとするのは、以上の理由によるのであります。  なお、現行法昭和三十六年三月三十一日まで効力を有するのでありますが、その効力延長についての審議を今国会においてお願いいたしますのは、造船の場合におきましては、着工の数カ月以前に契約が締結されるのが通例でありますので、昭和三十六年四月以後に行なわれます建造について混乱を生ぜしめないためであります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  10. 平井義一

    平井委員長 三案に対する質疑次会に譲ることといたします。      ————◇—————
  11. 平井義一

    平井委員長 南大東島における高層気象概況に必要な物品譲与に関する法律案議題とし、審査を行ないます、  御質問はございませんか。——質問がないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。  これより討論に入りたいと存じますが、討論申し出もございませんので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、採決いたします。  南大東島における高層気象観測に必要な物品譲与に関する法律案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  13. 平井義一

    平井委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  ただいま可決いたしました本案報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
  15. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 どうもありがとうございました。      ————◇—————
  16. 平井義一

    平井委員長 次に、国内旅客船公団法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。正木清君。
  17. 正木清

    正木委員 私は簡単にお尋ねをしたいと思うのでございますが、国内旅客船現状は、現在、隻数にして二千百隻、総トンにして十一万、これが千二百八十三の旅客定期航路に就航しておりまして、私どもが真剣に考えました点は、年間にして七百五十万人の旅客のほかに、郵便物二百二十万個、手荷物千三百五十万個、貨物にして三百十万トン輸送しておるのが国内輸送現状でございます。従って、この国内旅客船整備、安全ということが当委員会で長年間にわたって問題になり、しかもこの間、沿岸航路には大きな犠牲がしばしば出まして、ついに国内旅客船整備のために公団組織ができまして、ようやく発足をした、こう私は心得ております。従って、当初の発足は、残念ながら私自身などが意図いたしましたものより、その資本構造においても非常に微々たるものでございましたけれども、いずれにしても発足したことは大へんにけっこうなことでありまして、運輸大臣の手元で今年度さらにこれの資本増加、これも残念ながら微々たるものでございまするが、いずれにしても資本増加を見て一歩前進をした、私はまことにけっこうなことだと思っておるのであります。  ただ、ここで私が一言質問しておきたいことは、こうした重要な、年間にして七百五十万人のお客さんを運び、郵便物にして二百二十万個、手荷物にして千三百五十万個、貨物にして三百十万トン輸送している国内旅客船、ところがこれに従事するところの船でございますが、一体どういうような形になっておるかというと、二千百隻のうち二十総トン以上の船舶が九百一隻、この九百一隻について調べてみますと、鋼船年令二十五年以上のものが百一隻、二万トンございます。全鋼船に対して隻数において四四%、総トン数において二八%、木船では年令十五年以上のものが三百三十四隻で一万三千五百総トン、全木船に対する比率は、隻数で五〇%、総トン数で五三%、こういうことは、運輸大臣、あなたは事務当局の方からお聞きになっているかどうか。この沿岸航路に従事する船の年令一口に言って老朽船でございますが、これは実に恐れ入った老朽船沿岸航路に就航しておる。人間でいうと私のような者が実は過重労働に従事しておる。大臣のように若くはないのです。ですから、こうした老朽船でよくぞまあ今日あの程度事故で済んだものだと、私はこう考えておる。だからまず第一に、この沿岸航路の今日まで果たしてきた重要な役割と、この船の老朽化した状態を二つ比較してみて、よくぞこれで一体あの程度事故で済んだものだということを、僕は政治を担当する運輸大臣にとくとお考えを願いたい。だからこそ二億であっても資本増加をして下さったのだと思うのですが、まずこれを考えてもらいたい。  それからもう一つよくお考えを願わなければならないと思いまするが、これらの沿岸航路をやっておる、一口に言うと船会社ですね、実は全国で八百八十三の事業者がこれに従事しておるわけでございますが、この事業者の内訳を見ますと、会社が二百十八、地方公共団体が八十七、組合が六十二、個人が五百十六やっておるのであります。ですから、前回にも事故が起きたときに、当委員会で非常に議論になりました点は何であったかというと、まず会社の二百十八といっても、一口に言うと陸と海と兼用してやっておる小さな会社なんです。ですから、ちょっとした事故でも、さあ事故が起きた、どうすることもできないというのが現状である。ましてや地方公共団体の八十七、組合の六十二、個人が五百十六もあるわけですから、どうにもならない。だから、もはやどうにもならない老朽船がよたよたとして沿岸航路に従事しておる。しかも従事しておるそのことは、国家的に見るというと、ただいま数字で具体的に申し上げたように、大きな仕事であります。これが現状なんです。こういうことを考え合わせてみていただきたいと思うのです。そこで、この会社内容になりますと八百八十三のうちのこの会社の二百十八の資本金を簡単に申し上げますと、資本金が一千万以上がわずかに四十六です。この一千万以上の会社内容を見ますと、これは陸もやっておるのです。船ばかりじゃないのです。それから百万未満の小規模会社が九十です。半分を占めておる。これが現状なんです。だから事業者零細性というのが、結論から言うと、この沿岸航路の特徴である。この沿岸航路に従事しておる会社、それから地方公共団体、それから組合個人というものは、結論から言うと、零細業者が国家的な大きな仕事を背負い込んでよたよたとやっておるんだ、こういうことです。そこで、御承知のように、離島航路整備法というものが生まれて、漸次ここまで発展してきたわけですが、私は、こうした実情をよく大臣は御存じであろうかとは思いますが、あらためてこの沿岸航路の重要さというものをお考えをいただいて、一つ年度大臣は思い切って資本増加するように、特段の御配慮を願いたい、こう思うのです。  それで私は事務当局にお伺いするんだが、前年度発足したわけですが、発足したときの実績、どういうような状態——ただいま資料をちょうだいしたわけですが、三十四年度のこの事業計画というものはどういうように具体的に進めていっているか、そして事務当局から見ると、あと何カ年後には、結論から言うと、零細的なこうした規模のもとに事業をいたしておるこういう会社内容整備をして、そうしてこの七百五十万人からのわれわれの同胞に心配をかけない、それから便利を与えるという見通しが立っておるのか。これはあるいは年次計画等もあるかもしれませんが、そういうものも、より具体的に詳細にここで御説明を賜わりたい、こう思うのです。
  18. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ただいま正木委員の御指摘になりました沿岸航路の問題は、まさに今おっしやいました通り非常な重要性があるにもかかわらず、実際に申しますと、今まで日の当たらない場所に置かれておって、他の外航船舶等のようなはなばなしい立場におらなくて、実質的には非常な国民経済的な興隆あるいは福祉のために黙々として働いておるのでありますから、この内航に関する問題について私も非常に心配をいたしまして、この点についてはどうしても補強をせなければならない、また老朽船等の改善ももちろんのこと、これらの人々に対しても一つ助成策と申しますか、そういうものをしなければばらぬというので、いろいろと海運局長等とも心配をしておったのでございますが、まだ十分でない。先般の予算もああいうような状態でございますが、御指摘になりました点は十分に考慮して、ぜひこの点については特段の力を入れたい、こういうように思うのでありまして、こまかい点につきましては海運局長から御説明させたいと思います。
  19. 朝田靜夫

    朝田政府委員 ただいま御質問のございました国内旅客船公団発足をいたしてどういう状況になっておるかという第一点の御質問にまずお答えをいたします。国内旅客船公団は、昨年六月九日に設立委員会を開催いたしまして、六月十二日に設立の登記を完了して、正式に発足をいたしたのであります。その後公団の財務、会計等に関しまする運輸省令、あるいは三十四年度予算事業計画あるいは資金計画業務方法書といったようなものの作成を準備いたしておりました一方、公団事業を直ちに進めますために、共同いたしまして建造あるいは改造いたします相手方の事業者公募を行ないまして、いろいろ公団といたしましても外方面の意見を聞きますことはもちろんでありますが、この公団法に盛られました精神をなるべく生かしたいということでもって選考にかかったわけであります。本年度公募に対します申し込みは、全部で九十隻、一万三千七百トンございます。工事総額におきましては三十億余りに達しておるのでありますが、本年度決定のものは、ただいま御指摘通り、きわめて出資融資とも規模の小さいものでありますので、その要請にもちろん全部こたえることはできませんが、買い取り分と申しますのは、北海道離島航路整備会社というものがございますが、これに対して公団はその共有で作った整備会社の持ち分を買い取るということも法律に認められておりますので、その買い取り分を含めまして、三十四隻、三千二百トンを決定いたしたのでございます。その工事費総額は約七億円でございます。うち公団負担分は四億八千万円でございます。また、今申し上げました公団買い取り分につきましては、三隻買い取りをいたしておりまして、これらの三隻はいずれもそれぞれ就航いたしております。本年度の改造する分につきましては、事業者設計あい資料の打ち合わせを行ないまして、設計図が確定しましてから、原則として船体、機関の別に指名競争入札方法をとりまして、工事契約を結んでおるのであります。年度内には九件工事契約締結完了見込みでございます。  それからその次の御質問でございますが、来年度計画はどうであるかということでございます。大体三十五年度建造、改造の公団業務といたしましては、五十隻、四千六百トン予定いたしております。こういうところに少しでも規模が拡大いたしましたのは、今御指摘通り政府出資が二億増額されましたことと、財政資金の借入金が五億ということで、比較的規模増大してくることができたということでありまして、三十五年度当初に選考を終わるように、すでに準備を進めておるのであります。もし予算なり法律改正法案が御承認願えますれば、末年度早々本格的に実施に移れる見込みでございます。  第三の御質問でございますが、五カ年計画あるいは将来のロング・ランのプランに対して一体どういう考えでおるかということでありますが、これにつきましては、今申し上げましたように、三十五年度事業資金は七億円でございます。二億の出資と五億円の財政資金借り入れでございまして、これをもってまかなう予定でおりますが、私ども当委員会にも御審議願いました当初の五カ年計画というものにつきましては、大体二百三十隻、二万一千総トン計画でおり示す。この点につきましては、鋼船は二十年以上のものは代替建造計画的に進める、木船につきましては、十年以上のものを全部なるべくすみやかに直そう、こういう考えでおるのでございますが、ただ年々の申し込み状況あるいは財政資金資金事情、あるいは予算についてのわれわれの努力も含めて、どうきまるかということによりまして、毎年そのつどきめて参りたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  20. 平井義一

    平井委員長 他に御質疑はありませんか。——他にないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  21. 平井義一

    平井委員長 これより討論に入りたいと存じますが、討論申し出もありませんので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、採決いたします。  国内旅客船公団法の一部を改正する法律案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  23. 平井義一

    平井委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  ただいま可決いたしました本案報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  この際、運輸大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
  25. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 御議決いただきましてありがとうございました。     —————————————
  26. 平井義一

    平井委員長 次に、過日函館郊外において発生した海上保安庁のヘリコプター墜落事件について発言の申し出がありますので、これを許します。館俊三君。
  27. 館俊三

    ○館委員 私の地元のことばかり言っておっておかしいのですけれども、この間新聞を見ておりますと、海上保安庁の函館航空基地のヘリコプターが銭亀沢村に墜落をいたしまして搭乗員が全部死んだという新聞記事が出ておりました。それについての経過報告を一つお聞きしたいと思っております。搭乗員が全部死んでしまったので原因が非常に不明であり、調査をしておるということでございますけれども、その調査状況その他についてお話を聞きたいと思います。
  28. 林坦

    ○林(坦)政府委員 昭和三十五年の二月二十四日に発生いたしました海上保安庁のヘリコプターの事故でございますが、これは場所は、北海道の渡島支庁亀田郡銭亀沢村宇賀小学校グラウンドの、北約五十メートルの場所であります。事故が発生いたしましたのは、ちょうど二月二十四日に、海上保安庁のシコルスキーの55型という——百五十一号機と称しておりますが、そのヘリコプターが函館周辺における訓練のために、朝の八時四十五分に飛行前の点検を開始いたしまして、続いて九時二十五分に発動機を起動いたしまして、暖機運転をいたしましたところ、機体もエンジンも、当時は異常を認められなかった。それで九時四十分に、機長の二等海上保安正上平啓洲外三名を乗せまして、訓練飛行に出発したのでございます。ところが九時五十三分から九時五十八分にかけまして、札幌航空保安事務所函館出張所及び宇賀小学校から——これは地元の警察を経由してございますが、函館の航空基地で同機の事故の情報がございました。現在まで私どもの方で知り得ました事実は、沿岸沿いに西の方から東に向かって飛行しておりましたこのヘリコプターが、現場上空付近で、高度約五十メートルで左旋回し、進路を北に向け、その後大きく左に傾いたが、一たん立ち直り、さらに左に傾いたまま機首を西に向けて、九時五十分ごろ小学校のグラウンドに通ずる、高さ約二メートル、幅約三メートルの切り通しの道路に激突、炎上した模様である、こういう報告を受けております。幸いに地上の物件及び地元民には被害はございませんでしたが、乗っておりました乗組員の四名——そのうち一名は全日空の職員でありますが、その四名は全員焼死した。この機体はしっぽの部分を残しまして、大破炎上したわけでございます。まことに貴重な人命と機材等をこういうことで失いまして、また世間をお騒がせいたしましたことにつきまして、深くおわびを申し上げたいと存じております。原因につきましては、航空局の方で事故の調査をしていただいておりまして、現在まで私どもの方ではわかっておらないのでございます。それが現在の状況でございます。
  29. 辻章男

    ○辻政府委員 私どもの方は、二十四日に海上保安庁から事故の発生の報告を受けまして、さっそく担当官二名を二十四日に現場に出しまして、なお二十五日に一人追加して現場に派遣をいたしまして、それから二十五日、六日と二日間にわたりまして、現場の見取図、現場写真、残存の機体各部の調査、焼けた部分の調査、基地での整備状況の調査、飛行記録の調査、それから目撃者の供述の調査、その他の調査をいたしまして、目下それらのデータに基づきまして事故の原因を探求中でございます。
  30. 館俊三

    ○館委員 このシコルスキーというヘリコプターですが、これは最優秀のヘリコプターというように新聞には書いてあるのです。これはどこから買ってきて、いつごろ作ったヘリコプターですか。新聞で見ておりますと、飛び立って五分間くらいで事故を起こした。しかもその落ちたところが非常に危険な、宇賀小学校ですか、そこから何ぼも離れてなかった。もしそこに落ちたとなったら大へんなことになるのです。  もう一つは、話を早く進めるために言いますが、搭乗員が四人おった。その四人のうち二人の操縦士は保安庁関係ですか、非常に優秀な人であった。もう一人は何かわかりませんが、そのほかに部外者の全日空の針ケ谷という人がけいこをするために乗っておった。これが非常に疑惑を招いておるという点があるのですが、そういう点はどういうふうにお考えになっておるかという点と、それから四人の犠牲者の跡始末、それについてどう考えておられるか。概括を簡単にお尋ねするのですが、こっちは専門家でないからわかりませんのでお答え願いたいと思います。
  31. 林坦

    ○林(坦)政府委員 今お話のございましたように、シコルスキーのヘリコプターは歴史も比較的古く、かつ優秀なものというふうにわれわれも了解いたしております。このヘリコプターは、アメリカのユナイテッド・エアクラフト・コーポレーションのシコルスキー・ディビジョンというので完成いたしました。製造番号はSS五万五千五百七号というものでございます。これを分解して輸入いたしまして、新三菱重工の名古屋航空機製作所で組み立てて、入手いたしましたのは昭和二十八年の八月十三日でございます。この航空機は先般函館に配属いたしましてから非常によく活動いたしております。幾多人命の救助その他に活躍をした航空機でございます。私どもといたしましても非常に貴重なかつ非常に役に立つ航空機でございました。たまたまこのときは訓練のために飛行をいたしたのでございます。乗っておりました上平機長は、このヘリコプターにすでに三百六十二時間以上の経験を持っております。その他のヘリコプター、また戦争中の経験などを入れますと、飛行時間は三千七百時間以上になる非常なベテランでございました。副操縦士になっております谷口一正氏は、やはりすでにS55の型につきまして免状を持った航空士でございまして、飛行経歴も大体五百五十時間といったような人でございました。そのほかにもう一人は、整備士の三宅幹男というのが乗っております。これは整備の面の担当者として乗っておったわけでございます。今御指摘のございましたように、それとほかに全日空の針ケ谷憲一という運航部のヘリコプター運航課長をしております人を同乗さしておったわけでございます。今この針ケ谷氏を乗せた問題についての御指摘がございました。私どもといたしましては、部外者の同乗につきましては厳格な取り扱いを行なっておりまして、昭和三十二年にその取り扱いの要領をきめまして、一件々々警救部長が承認いたしまして乗せるようにいたしております。この承認するにあたりましては、当庁の業務目的に支障のないこと、また時間的に物的にと申しますか、経済的に特に負担とならないこと、そのためには特別な飛行を行なうというようなことはしないようにしておりますが、この場合に当庁といたしましては、これらの基準によりまして、全日空の方から実は三十五年の二月一日付の文書によりまして申し入れがございまして、二月十日付でこの旨を許可して通知したわけでございます。これは全日空が近くシコルスキー55型ヘリコプターを入手することになっておりまして、そのために何とかその同型のシコルスキー55型の性能等について実地の見学をしたいという申し入れがあったわけでございます。海上保安庁は、昭和二十八年からシコルスキー55型につきましてはその運航をしておりまして、日本におきましてはこの使用経歴が最も長く、また航空法に基づきましてこの型の飛行機を進航し、使用している唯一の使用者でもございます。運航上の諸経験も海上保安庁が一番深いというわけで、従ってこの海上保安庁に実地見学の依頼がきたわけでございます。海上保安庁といたしましては、ほかにS55を用いておる機関がございませんし、これは航空の発達のためにもやむを得ないものであると考えまして、業務に支障を生じない範囲でこれに協力するという意味で、同乗を許したわけでございます。  それから、なおお尋ねのございました殉職者遺族に対する問題でございますが、これは大体国家公務員につきましては国家公務員災害補償法による遺族補償、これが千日分。それから葬祭補償、これは六十日分というものが、遺族に支給されることになっております。また、国家公務員共済組合法による給付といたしまして、公務上の遺族年令、これは俸給年額の四〇%でございますが、これが支給されることになっております、そういうことによりまして国家公務員たる遺族に対しましては補償があるわけでございます。また全日空の針ケ谷氏につきましては、この問題については本人の保険もございますし、会社といたしましても別途これに対する措置をとるということでございますが、なおわれわれの方とも話し合って、いろいろ打ち合わせをこれからしなければならぬかと思っております。もちろん公務員の場合には、金額としましても決して多くはないのでございますが、一人々々の遺族が今後やっていく上におきましては私どもできるだけの相談に乗りまして、今後の対策を立て得るようにできるだけの努力をするつもりでございます。
  32. 館俊三

    ○館委員 ヘリコプターの整備状況と機体検査はどのようになっているかということについて、地方の新聞ではこういうことを書いておる。函館の中央警察署は地上における整備状況がうまくいかなかったのではないか、そういうことについて検討をしておるという、調査ですか検討ですか、そういう批評が出ておる。これについては、この飛行機はできてから十年ですか、七、八年くらいたっておるようですが、その間における整備状況はどういうふうになっているか、これが非常に疑問である。かっきりやっていらっしゃるのか、やっていらっしゃらぬのか。函館の基地における要員が非常に不足しているのではないかという気がするのです。  それからもう一つ、針ケ谷氏を乗せるときに本庁の方で許可をされたというのですが、どういう理由で許可されたのですか。今のお話ですと、シコルスキーを見学するというようなお話でございましたけれども、操縦をけいこするため乗せたのですか、これから全日空が買うのだからその飛行状態を見るという見解において許可されたのですか。事故の原因については、針ケ谷氏が操縦台に乗っておったといううわさまである。これはどういうことなのかということが、私非常に考えさせられるところなんです。
  33. 林坦

    ○林(坦)政府委員 航空機につきましては、御承知のように保守といいますか、整備につきましては最も力を入れなければならないところでございます。それで私どもの方といたしましては、航空局とも協議いたしまして、この航空機につきましては製造会社作成いたしました整備、取り扱いのマニュアルというものがございます。それに従いまして整備をしておるわけでございまして、三百時間ごとに部分的オーバーホールをやり、六百時間ごとに全オーバーホールをやるということになっておるわけでございます。すでにそれらを了したわけでございます。なお次に三百時間のオーバーホールをする段階でございますが、それまでにはまだ約九十時間残っておるという状況になっております。また飛行機を飛ばします前、それからそのあとには、飛行前後の点検をいたしております。その場合も、飛行前後の点検は飛行のたびごとに確実に実施するというやり方をしておるはずでございまして、今度の場合につきましても飛行前の点検を十分にやって、その場合異状がなかったということによって出たという事実がございます。十分に飛行前の点検をし、確認をした上で出ております。そういう点で、整備の上に手落ちがあったとは考えておりません。  なおそのほかに、五十時間ごとにはさらにまた中規模といいますか、定時検査をやっておりまして、先ほどの飛行前後の検査よりもさらに詳細に各部を点検いたしまして試運転を行ない、機体状況を確認する、こういうことを五十時間ごとにやるという建前でやっているわけでございます。このちょうど二月二十四日の事故のありましたときには、それまでの使用時間が四十一時間四十分だと私は報告を受けております。そういう点と、それから今度の針ケ谷氏が乗りましたことにつきましては、先ほどもお話し申し上げましたように、こういう飛行機を買うからぜひこの飛行機の操縦状況の実地を見学したいということで乗せたのでありまして、私どもの方としましては見学のために乗せた、こういうわけでございます。ただあの航空機の構造からいいますと、操縦席がこう二つ並んでおりまして、その一方にほんとうの操縦士が乗り、一方に見学者が乗る、こういう形によって操縦いたしますので、針ケ谷氏をその操縦席の一つに乗せておったということは、見学の上からはもう当然の話でございます。その点は操縦席に乗っておったとしましても別段不思議はないかと思います。  なお、今お話のございました人員の問題でございますが、函館基地につきましては基地長として一人、飛行家、これはパイロットの関係でございますが四名、それから整備の関係が五名、通信関係三名、管理者一名、こういう態勢でございまして、現在のところこれで間に合ってやっていける態勢でございました。
  34. 館俊三

    ○館委員 まあ手落ちもないだろうと思いますけれども、飛行時間六百時間、三百時間でオーバーホールをやるというのですが、そういうことでは非常に間遠いような気がする。ことに、七年も八年もたっている飛行機ですから、優秀なものであっても、いろいろ組み立ての状況その他で故障が起こるかもしれない、もっと厳重にやってもらいたいと思っております。  もう一つお聞きしたいことは操縦士の養成問題です。私、考えるのに、ヘリコプターの操縦者というものは保安庁ばかりでなく、民間にもたくさんいる。針ケ谷氏がその操縦を見たいといって乗ったかもしれぬし、あるいは操縦をけいこするために乗せてもらったのじゃないか、そういう疑念があるのですが、その操縦者を養成する機関というか、操縦者をこしらえ上げる機関というものが民間あるいは官庁を通じてあるのかないのか。その辺がこの事件の疑惑を招かせる根拠ではないかと思っている。航空を発達させる上に針ケ谷氏を乗せたという理由はよくわかる。そういうことを聞きますと、操縦士養成機関といいますか、免許を与える機関といいますか、そういうものがあるのかないのかということを考えるわけであります。新聞で見ておりますと、今優秀な飛行機は羽田と函館に三機あって、函館に一機配属されているということになりますと、優秀なものが一機なくなって二機しかなくなる。そのほか操縦士が二十一人おって、うち六人は南極に派遣されているという話を聞いている。そうすると、操縦士が十五人くらいしかいない。残りの操縦士はどういうふうにして免状をとったのか、また民間の場合にはどうなっているのか。この辺が非常に不明確なために、これからも民間の飛行士を養うために、保安庁などでめんどうを見るとか、いろいろ問題が起きてくる。この辺はどうなっているのかお聞きしたいと思う。これが養成問題について、操縦士の待遇問題なんかも考えるのですが、操縦士の待遇があまりよくないという話がありますね。一般の保安部員といいますか、整備部員といいますか、それと大した差がない。それで操縦士を募集しても、操縦士に手をあげる人が少ない、こういううわさまで立っているのですが、操縦士の養成機関、あるいは操縦士をこれからどうして作っていくか、現在保安庁としてヘリコプターが何台あるのか、こういう問題について御説明願いたい。
  35. 辻章男

    ○辻政府委員 今の御質問で、三百時間ごとのオーバーホールでは運航の安全が期し得られぬではないかというまず第一点の御質問がございます。私ども技術的にいろいろ検討いたしまして、また各国の例等も参考にいたしまして、現在のところ三百時間ごとでオーバーホールをして、徹底的にわれわれの方の検査官も参りましてやっていく、その中間において、先ほど海上保安庁長官から御説明がありましたように、飛び立つ前には必ず出発前の点検を行ない、また五十時間ごとには内規として点検をやるということをやっておられるのでありまして、今、法律の問題といたしましては、三百時間ごとにやっていくということで適当ではないか、かように考えております。  それからヘリコプターの操縦士の養成関係でございますが、これは結論を先に申し上げますと、ただいま国としては何らの養成機関を持っておりません。現在一般の国の飛行士の養成機関といたしましては、宮崎に航空大学を持っておりますが、これは全部一般飛行機の操縦士の養成に使っております。われわれといたしましては、ヘリコプターがだんだん発達して参りましたので、このヘリコプターの操縦士養成につきましても考えたいとかねて検討はしておるのでございますが、何分飛行士の養成というものが非常に多額の経費を要しまして、財政的な面からも研究を要する点がありますことと、それから現在ヘリコプターはまだいわゆる料金を取って人を乗せて、定期的に人を運ぶという段階には至っていないのでありまして、現在北海道から東京あるいは九州というふうな、いわゆる定期航空というものはすべて飛行機によっておりますので、そういう定期航空ということになりますと、一般乗客の生命をあずかるという関係もありまして、まず現在のところ飛行機の方にもっぱら専念しているというふうな現状でございますが、ヘリコプターの問題につきましても、私ども現在すでに検討しておりますし、何らかの方法で国も考えなければならないというふうに考えておる次第であります。  海上保安庁関係につきましては、海上保安庁の方から御答弁があると思います。
  36. 林坦

    ○林(坦)政府委員 海上保安庁で現在保有しております航空機は、ベルというごく小型のヘリコプター四機、それから今度事故を起こしましたシコルスキー55というヘリコプターが、事故を起こしましたのを入れまして三機、それからビーチ・クラフトという、これは普通の航空機でありますが、双発の航空機を二機、ほかに宗谷に持っていっておりますものが、これは今度事故を起こしましたのの一回り大きいS58というやはりシコルスキーのヘリコプター、これを二機とベルを二機だけ持っていっておる状況でございます。
  37. 館俊三

    ○館委員 そうすると、私のさっき言いました二十一人おるといううち二人死んだということになるし、南極へも行っておるということになると、現在の飛行士が保安庁管下では非常に数が少ない。それに飛行機の数が、ヘリコプターの数が何台と言いましたか、十五、六台でありますか、そういうことでは海上保安のヘリコプターの役目というものは遂行できないように考えます。海難事故が非常に多い今日では大へんなことだと思う。函館基地では今大事な二人が死んでしまって、あとは見習いだけが残っておるとのことですが、函館の周辺は海難事故が非常に多い。小型漁船あるいは津軽海峡、日本海の荒波の海難、それが手薄になるということに対するお考えはどういうことになりますか。
  38. 林坦

    ○林(坦)政府委員 今御指摘のございましたように、海上保安庁の飛行機のパイロットは、従来総計二十九人おったわけでございます。そのうち二人今度の事故でなくなったわけであります。そのほか南極に八名持っていっておりますから、その残りをもって今内地のこれらの航空機の運航をやっておるわけであります。従って、今度の航空機の事故は、機材はともかくとしまして、人間の面におきましては、私どもにとっては実は非常に甚大なる打撃でございます。私どもとしましても、何とかこの補充につきまして全力をあげて措置しなければならないと、かように考えておる次第でございます。
  39. 館俊三

    ○館委員 さしあたっての函館の航空基地は海上保安の上で非常に重要なのだが、その点についての計画がございますか。今あそこには落ちた飛行機しかないわけですか。それは津軽海峡あるいは日本海の方における風雪による海難事故が非常に多い。この間の十四号台風、十五号台風でも、あなたのとろの飛行機、あるいは自衛隊の飛行機もあったでしょうが、非常によく働いてもらっておるはずです。そういう危険な場所だから配置されたのだと思いますが、その辺のところはどうなっておりますか。
  40. 林坦

    ○林(坦)政府委員 函館基地の問題につきましては、私どもも何とかすみやかに善処をいたしたいと考えております。今ちょうどこのヘリコプターで整備をいたしておったりなんかするのがございますので、直ちにすぐ持っていくという状態になっておらないのでございますけれども、私どもの方といたしましては、早急にその計画を立てるように現在研究いたしております。
  41. 館俊三

    ○館委員 それを至急にやっていただきたい。李ラインのところ、あるいは北の方でヘリコプターを必要とするところは非常に重大だと私は考えておるのでありますけれども、そういうことで十分に配慮をしていただきたいと思っております。民間航空などのヘリコプターの使用状況、あるいはその機材の安全性に対する監督状況はどうなっているかということ、これはお客さんを乗せて歩かないのには違いないけれども、たとえばだいぶ前に、どこやらの浜へ落ちて、海水浴をしている人をけがさしたり殺したりした例がある。今度の場合では学校の五十メートルか百メートルのところへ落ちている。大へんなことだ。そういう点で操縦士の腕前は非常に大事である。それから機械も整備することが大切である。旅客を乗せて歩かないということで軽視されておっては困ると私は思う。そういう意味でヘリコプターの操縦に関するいろいろな問題を至急解決してもらわなければならぬと思います。民間のいろいろの会社経営としてのヘリコプターもあるだろうし、いろいろありますが、そういうところの操縦士はどうなっているのか、これも十分に考えておかなければならぬと思いますが、その点の御意見はどうですか。
  42. 辻章男

    ○辻政府委員 お答え申し上げます。御指摘通り、ヘリコプターに限りませず、航空機の安全な運航ということは、その事故を起こした場合に、落下地点等におきまして思わざる災害が起こることでございますので、私どもといたしましては、飛行機、ヘリコプターを通じまして、先ほど申し上げたような、大きく検査、修理をする際には、こういうことをしなければならぬ、またそれはどういう感覚でしなければならぬということを、航空法によりまして定めまして、そのつど検査官が出かけまして厳重に検査をいたしております。それからまた操縦関係につきましては、先ほど申し上げましたように、国としては現存養成の機関は持っていないのでございますが、これに乗りまして操縦する者につきましては、航空法による一定の資格の免状がない者は乗れないという制度をとっておりまして、この試験は厳重にいたしておりますから、その点につきましては、われわれとしては十分な注意を払っておるというふうに考えておる次第でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、国としての養成の問題につきましては、ただいま飛行機の方に重点が置かれまして、ヘリコプターの方にまで手が伸びていないということで、これは今後検討したい、かように考えております。
  43. 館俊三

    ○館委員 今、民間から、それから官庁から、いろいろなところでヘリコプターが非常に流行しておるし、だんだん盛んになってきておる。その操縦士の免許を検査することはわかるけれども、免許をとるまでの技術を一体それらの人はどこでなにしておるのか、それがおかしいんですね。その免許をとるまでの技術養成を個人でやるのか、会社がやるのか、あるいはやる場合に何かおかしなことをやられたのでは、今のようなおかしな工合な問題が起こってくる。その辺は、その人は免状をとるまでにどういうふうに練習しておるか、勝手にやらしておるのかどうか。ことに便宜的に搭乗しておったのではあぶない話です。
  44. 辻章男

    ○辻政府委員 現在操縦士の養成につきましては、民間の会社の場合でございますと、その会社がヘリコプターを手に入れまして、これにすでに免状を持った人に養成を依頼して養成をやっていく。それで一定の技能を習得しました際に、国の操縦士の免状をとる試験を受けさせ、これに受かった者は一人前の操縦士としてやっていける、かようなのが通例でございます。
  45. 館俊三

    ○館委員 これは卵が先か鶏が先かというようなことで、通帳の免状を持っておった人がどこで一体免状をとるまでの練習をしたか、鶏が先か卵が先かというようなことになって、非常に吟味しなければならぬことだと思うのです。これで私の話はたくさんだと思うが、その辺を十分に吟味しないでおってもらっては、続々としてヘリコプターがふえるたびに操縦士が欠乏してくる、そういうことになる。  さっき聞き漏らしたのですが、操縦士の給料が非常に安い。保安要員というか整備員の給料と大差がない。それでヘリコプターの操縦士にはだれも募集してもあまり応じないという点は、保安庁関係ではどうなんですか。今の退職金や、その他遺族の救済で千六十何日出すかという話ですが、基本給が安かったら、これはみじめなものです。
  46. 林坦

    ○林(坦)政府委員 航空の手当の問題につきましては、いろいろほかとの関係もございますと思いますが、搭乗の手当というものが、大体操縦士の技能によりまして、一時間当たり五百円とか四百円ということにきまっておるわけでございます。これは月の最高限も六千円というふうにきまってはおりますが、今言いましたように、また海上捜索勤務等の場合のように危険な航空勤務を行なうという場合には、その一時間の三割増を支給する、こういったような規定がございまして、手当によって処置しておるわけでございます。まことに私ども考えまして、これで十分だとは決して考えておりません。ただ私どもの方といたしましては、何とかこの補充をいたさなければなりませんので、これは私どもの今の計画では、海上保安庁の部中から、たとえば海上保安大学校の卒業生の中から適任者を選んで訓練をするというようなことをいたしていきたいと思っております。  なお、先ほどちょっとお尋ねのございました教育の問題につきましては、やはりすでに免状を持ち、しかも教育の免状を持ったうちの職員が次々と教育をしていくというやり方になっております。その最初は、アメリカから資格を持った人がやって参りまして、そうして教えてくれたわけでございます。
  47. 久保三郎

    久保委員 今、館委員からそれぞれお話がありましたので、一つだけ私は聞きたいのですが、人間の補充の方は今お話があった通りで、やるというのでありますが、失われたヘリコプターの補充はどうするかということなんです。というのは、三十五年度の提案になっている予算案を見ても、なるほど海上保安庁関係は総額ではふえている。その中には、当たってみると、航路標識がなるほどおよそ入っているが、その他の救難関係の体制というものは、前に銚子港における遭難事故に関連して御質問申し上げたときの構想とはだいぶ後退している。後退している上に、今度ヘリコプター一台失われたということになると、これはどうなることでしょうか。この補充はどうするのか。政務次官がおられませんが、政務次官か大臣に聞くのがほんとうかと思うのでありますが、これはどういうことで考えておりますか。
  48. 林坦

    ○林(坦)政府委員 この点は私も実は、時期がこういう時期にああいう事故がありまして、ほんとうに頭を痛めておるのでございます。何とかできるだけ早い機会をつかまえまして、この補充に全力を尽くしたいと考えております。
  49. 久保三郎

    久保委員 ただ早い時期にその補充に全力を尽くしたいというだけでは、それは不安なんでありまして、なるほど三十五年度予算案がまだ議決になりませんが、これは順序から言えば、あと二カ月もたてば当然議決されるだろうと思いますが、いずれにしても、これは今のうちに、そういう事故があった、突発事故ですから、事故ということは計画じゃないのですから、これは追加なり補正なりを要求すべきものではないかと私は思うのです。それを、時期を見て早い時期にというのでは、ちょっと納得いかない。最低限のそういう航空機を一機失うということは大へんなことだと思うのです。これは政務次官がおられないのなら、官房長にお聞きした方がいいと思いますが、官房長どうなんです。お願いします。
  50. 細田吉藏

    ○細田政府委員 お答え申し上げます。突発的な事故で、しかもただいま長官からお答え申し上げましたように、時期がこういった時期でございます。ただ金額その他から考えまして、予算の流用というようなことでまかなえる性格のものでないと思っております。従いまして、私どもとしましてはもう少し検討しなければいけないと思いますが、来年度予算のやりくりができるかどうか徹底的に検討いたします。これがどうしてもできないということになりますれば、何らかの形で予算を組む一番近い時期に組み込まざるを得ない、大体こういうふうに考えておりますが、ただいま長官からも御説明がございましたように、警備の体制に大きな穴があいたわけでございまして、非常に責任を痛感いたしておりますので、私ども予算を担当いたしておりますものといたしましても十分考えてやりたいと思います。これ以上にはちょっと申し上げかねることでございます。
  51. 館俊三

    ○館委員 今私の申し上げたことは、ほんの簡単に時間を急いで申し上げたので、この点については保安庁なり航空局は十分に勘案をしていただいて今の久保さんのお話と同じに、まぜて徹底的に保安関係の整備をやっていただきたい、こう思うのです。  それから細田さんにちょっと言っておきますが、運輸省の外郭機関、たとえば気象庁、保安庁、そういうものは、いつも運輸行政の中では非常に左前にさせられておる傾向がある。これは非常によくない。そういうことにしているうちに、十四号、十五号の台風が来て、気象がどうとかこうとか世間からいわれるようになる。海上保安庁でもそういう問題が出てきておる。陸上運輸行政では国鉄、海上運輸行政では大きな船ばかりを主体にしておって、外局はそっちのけにしておる傾向がある。この点を注意申し上げておきますから、運輸大臣に十分にお話を願いたい。これで終わります。
  52. 平井義一

    平井委員長 次会は来たる九日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時十一分散会      ————◇—————