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1960-02-17 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十七日(水曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君    理事 川野 芳滿君 理事 關谷 勝利君    理事 久保 三郎君 理事 島口重次郎君    理事 土井 直作君       宇田 國榮君    高橋清一郎君       竹内 俊吉君    塚原 俊郎君       長谷川 峻君    福家 俊一君       三池  信君    井手 以誠君       下平 正一君    館  俊三君       正木  清君    菊川 君子君  出席政府委員         総理府事務官         (特別地域連絡         局長)     石井 通則君         運輸政務次官  前田  郁君         運輸事務官         (海運局長)  朝田 靜夫君         運 輸 技 官         (船舶局長)  水品 政雄君         運輸事務官         (捕獲審検再審         査委員会事務局         長)     今井田研二郎君         気象庁長官   和達 清夫君  委員外出席者         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 二月十三日  委員竹内俊吉辞任につき、その補欠として小  澤佐重喜君が議長指名委員選任された。 同月十七日  委員高橋清一郎君、長谷川峻君及び山花秀雄君  辞任につき、その補欠として林讓治君、竹内俊  吉君及び井手以誠君議長指名委員選任  された。 同日  委員竹内俊吉君、林讓治君及び井手以誠君辞任  につき、その補欠として長谷川峻君、高橋清一  郎君及び山花秀雄君が議長指名委員選任  された。     ————————————— 二月十二日  宇野、高松間鉄道敷設に関する請願福家俊一  君紹介)(第四〇号)  同(星島二郎紹介)(第八七号)  国鉄稲荷山線早期復活に関する請願外一件(星  島二郎紹介)(第八六号)  信越線改良及び電化による輸送力強化に関する  請願中澤茂一紹介)(第一五〇号)  同(松平忠久紹介)(第一五一号)  飯田線設備改良及び急行運転に関する請願(中  澤茂一紹介)(第一五二号)  同(松平忠久紹介)(第一五三号)  国鉄貨物取扱駅の集約化に関する請願芳賀貢  君紹介)(第一五四号) 同月十六日  中央東西線ディーゼルカー運転に関する請  願(中澤茂一紹介)(第二一九号)  同(松平忠久紹介)(第二二〇号)  同(吉川久衛紹介)(第三一三号)  農林畜水産関係物資国鉄貨物運賃公共政策割引  存続に僕する請願池田清志紹介)(第二五  一号)  神足駅の大口貨物取扱い存続に関する請願(川  崎末五郎君紹介)(第二五五号)  北信鉄道敷設に関する請願外一件(小坂善太郎  君紹介)(第二五七号)  国鉄貨物取扱駅の集約化等反対に関する請願(  田中彰治紹介)(第二五八号)  信越、小海、中央東三線を結ぶデイーゼルカー  運転に関する請願中澤茂一紹介)(第二五  九号)  同(松平忠久紹介)(第二六〇号)  同(吉川久衛紹介)(第三一五号)  信越線改良及び電化による輸送力強化に関する  請願吉川久衛紹介)(第三一四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  捕獲審検所検定の再審査に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第一二号)  南大東島における高層気象観測に必要な物品の  譲与に関する法律案内閣提出第一〇号)  日本国有鉄道の経営に関する件  海運に関する件      ————◇—————
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。都市交通に関する小委員会において今後調査の必要上、都市交通の現状及びその対策等について参考人より意見を聴取いたしたい旨の申し出がありますので、小委員会において参考人より意見を聴取いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び手続等につきましても委員長及び小委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  5. 平井義一

    平井委員長 捕獲審検所検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。  これより質疑に入りますが、別に質疑もないようでございますので、討論に入りたいと存じます。  討論申し出もありませんので、これより直ちに採決したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、採決いたします。  捕獲審検所検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  7. 平井義一

    平井委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  ただいま可決いたしました本案報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  9. 平井義一

    平井委員長 次に、南大東島における高層気象観測に必要な物品譲与に関する法律案議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  10. 久保三郎

    久保委員 ただいま議題になっております南大東島気象観測に関しての質問を若干いたしたいと思います。  まず第一に、今回提案されましたこの高層気象観測はいかなる効果をねらっているのか、さらにはどういう物品というか、観測器具譲与するのか、金額にしてどういうものか、予算はどういう方法で出すのか、そういう点でまずお尋ねをします。
  11. 和達清夫

    和達政府委員 お答え申し上げます。予算は三十五年度千九百万円ほどであります。これは初めの器械と三カ月分の消耗品を含んでおります。なおこの南大東島高層気象観測琉球政府とわが国と双方がお金を出すのでありまして、建物あるいは人員に関しては琉球側が出すことになっております。なお貸与あるいは譲渡しますものは、貸与するものは観測器械でありまして、譲渡するものは高層気象観測に使います毎日の消耗品的の器械その他でございます。
  12. 久保三郎

    久保委員 この仕事貸与譲渡二つおありになるのですね。それでこれは当分の間となっておりますが、今年度いわゆる三十五年度今回限りの問題ではないわけですね。
  13. 和達清夫

    和達政府委員 琉球におきましては経済的にも技術的にも十分でございませんので、日本から援助したいという本旨に基づきましてそれが琉球において可能な時期までと解釈いたしております。
  14. 久保三郎

    久保委員 次にお尋ねしたいのですが、譲与の相手方は当該いわゆる琉球南大大島高層気象観測を行なう気象機関というふうになっておるようでありますが、そういう機関貸与することになるのですか。
  15. 和達清夫

    和達政府委員 琉球政府気象台がすでに南大東島に小規模の測候所を持っております。そこにこの観測に必要な建物を建て人員を強化して琉球政府が行なうのに対する器材、消耗品の援助というのがおもな目的でございます。
  16. 久保三郎

    久保委員 現実には品物というか器械その他は現在ある南大東島琉球政府のものにいくのでありましょうが、日本政府として譲与する相手側は、気象台そのもの譲与するのかどうか、琉球政府譲与するのかどうか、そういう点をお聞きしたいのです。
  17. 和達清夫

    和達政府委員 琉球気象台譲渡あるいは貸与するものと考えております。
  18. 久保三郎

    久保委員 そこで、これは特別地域連絡局の方にお伺いするのがいいかと思いますが、日本政府琉球政府の一機関である気象台譲与する場合はこういう手続でよろしいかどうか、そういう手続があるのかどうか、これをお尋ねします。
  19. 石井通則

    石井政府委員 琉球政府日本政府関係でございますが、気象台というものは、琉球政府一つ機関となっております。従って、琉球政府譲渡あるいは貸与するというふうに実際上の問題はなると思いますが、その後担当者気象台になっておりますので、向こうとの申し合わせによりまして、琉球政府担当機関譲与するということは、可能であろうと思います。
  20. 久保三郎

    久保委員 従来いろんな協定日本琉球との間にありまして、それらの問題もはっきりしないのですが、本件はなおさらどうもはっきりしない。こういう手続でやるというと、いわゆる琉球日本一つの自治体である、こういう認定のもとにおやりになるということでしょうか、これはどうです。
  21. 石井通則

    石井政府委員 御承知のように、沖縄は、対日平和条約第三条によってアメリカ当局管理いたしております。しかしながら、沖縄は依然として日本領土でありますし、また、その住民日本国籍をも持っておるわけであります。従いまして、われわれといたしましては、沖縄を純然たる外国というものに考えていないわけでございますので、従来から日本政府関係当局琉球政府関係当局との取りきめによって本土沖縄との各種の連絡のこと、あるいはまた経費の支出のこと等もきめておるような次第でございます。
  22. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、今のお話では、今までは国際間の問題じゃなくて、いわゆる日本内部の問題として処理しているということにとってよろしいのですか。
  23. 石井通則

    石井政府委員 準内国的な措置という考えでおりまして、もちろん、アメリカ琉球政府を指揮しておりますので、アメリカ当局とも話し合いを進め、琉球政府におきましては、アメリカ管理当局承認を受けて、日本政府関係当局といろいろ取りきめをやっておるわけでありまして、府県とは違いますけれども、国内的な措置に準じて取り扱っておる次第であります。
  24. 久保三郎

    久保委員 どうもよくわからぬのでありますが、すっきりしたお話をお伺いしたいということで、質問しているわけです。今のお話だと、沖縄アメリカ民政府ですか、この方の承認を求めて向こう仕事をやる、こういうことであるようですが、そうしますと、この法律だけでやることはどうかと思う節が出てくるのでありますが、どうですか。アメリカ云々ということになりますれば、こういう法律でやること自体がおかしいじゃないか、そういうことになる。そうでないというならば、この法律で特定な人に、あるいは地方自治体に譲与するというのは、財政法の特例の法律を出せばできると思うのです。ところが向こう一つ沖縄政府機関である。その政府機関アメリカ施政権下に入っているということになりますと、はなはだどうもこれではおかしいじゃないか、こういうふうにも思うし、さらにこれからおそらく協定を結ばれてこの問題は処理されるであろうと思うのであります。もちろん提案説明にも、沖縄協定して実施する、こういうことでありますが、この協定そのものはどういう性格のものになるのか、この法律でやることだけで協定はどういうものであるか、こういう関係一つお聞かせいただきたい。
  25. 石井通則

    石井政府委員 御承知のように、外国との条約あるいは協定というものは、法律のほかに、いわゆる国会承認を求めなければならぬということになっておりますが、沖縄は先ほど申し上げましたように日本領土であり、その住民日本国籍を持っておるということになっておりますので、私ども沖縄外国というものに解釈していないのでございます。従来も、アメリカ了解を得まして、たとえば軍人遺家族等援護法のように、沖縄関係当月にその手続等につきまして委託をいたすような法律がございます。その委託充際のやり方につきましては、琉球政府と私どもの方と、あるいは交換公文みたいなものによりましてその実施内容をきめておりますし、あるいはそれに対しましては、予算事務委託費を流しておるわけであります。この事務委託費も、都道府県に準じたような計算の基礎をとりまして、琉球政府に対して委託契約をやって交付しておるというような状況でございまして、琉球政府との間の、これは協定になりますか、覚書になりますか——従来の二つの例は覚書となっています。昨年文部省指導主事派遣に関しましては、了解事項という言葉を使っておりますが、そういうような形で、琉球政府関係当局日本政府関係当局との取りきめをいたしまして、この法律なり予算なりを実施していく、こういうようなことになっているのでございます。
  26. 久保三郎

    久保委員 交換公文云々というお詰もございましたが、そうしますと国際間の問題ということに相なるわけですね。今のお話だとあいまいもことしておるようなお話なんですが、この問題はそういうふうに理解していいですか。
  27. 石井通則

    石井政府委員 決してあいまいもこということではございませんで、私ども沖繩地位に対する考え方の基本的な立場から出ておるものである、こういうように御解釈願いたいと思います。
  28. 久保三郎

    久保委員 沖縄地位に出発して出てくる問題である、こうおっしゃるか、それじゃ沖繩地位は何かということになるのですが、沖繩地位残存主権日本にある、残存主権の中におっしゃるようなあいまいもこたるものも入っている、こういうふうにこっていいのでしょうか。
  29. 石井通則

    石井政府委員 残存主権と申しますご、いわゆる日本領土権がある、従ってアメリカ条約三条の権限を放棄した場合にはむろん自動的に日本に返ってくるということと、沖縄における住民は依然として日本国籍を持っており、われわれの同胞であるというようなことでございまして、そのアメリカ管理に関しましても、アメリカ了解いたしますれば、たとえば現在やっておりますように、恩給法だとか軍人遺家族援護法とか未帰還者留守家族等援護法とか、いろいろな法律の施行も可能であるというような状況でございます。
  30. 久保三郎

    久保委員 あなたのおっしゃる残存主権、そういうものからいきますれば、沖繩の問題は、こういう一取りきめは国際間取りきめというふうにも解釈できるわけです。ただはっきりしたいのは、たとえばこれは一九五二年に結んである覚書でありますが、本土と南西諸島との間の貿易及び支払いに関する覚書、この問題は、日本政府は、ただいま提案されているようなものと同じケース考えておるものですか、どうなんですか。
  31. 石井通則

    石井政府委員 今度のこの法律が通りまして、予算をとりまして、琉球政府関係当局覚書等を作る場合には、大体昭和二十七年七月十日の覚書性格は同じであると解釈しております。
  32. 久保三郎

    久保委員 ただアメリカ側のこれに対する考え方日本と違っていると思うのですが、そうしますと、この覚書に対して日本政府はどういうふうに了解しているのですか。国際間のいわゆる国際協定とは考えていないのかどうか。
  33. 石井通則

    石井政府委員 私どもといたしましては、国際間の協たじゃないと解釈いたしております。
  34. 久保三郎

    久保委員 その問題で、沖縄民政府との同にそういうはっきりした見解がとられておりますか。
  35. 石井通則

    石井政府委員 この問題は外務省の万から答弁していただく方がはっきりするかと思いますが、この問題を討議いたしましたのは、ちょうど私ども機関ができる前でございまして、外務省関係各省との間に立ちましてこの覚書調印いたしたのでございます。外務省においても、これは国際間の協定でないということでやったものと記憶いたしております。
  36. 久保三郎

    久保委員 日本政府だけが一方的に国際協定ではないとおとりになっているようにも見受けられるのでありますが、アメリカアメリカで、そうじゃない、いわゆる沖繩民政府の承認をしてやることだから、これは国際間の協定である、こういうふうな認識に立っているというのであります。そうだとすれば、これは一方的な話では困るのでありまして、今の沖繩の特殊な地位からいって、日本沖縄民政府との関係はもう少しすっきりすべきではないか、こういうふうに私は思うのです。今回この南大東島協定を締結するにあたっても、こまかく言えば、おそらく再びそういう問題が出てくると思います。その際あなたの方は、アメリカ交渉してはっきりさせる意思を持っているのですか。
  37. 石井通則

    石井政府委員 従来から、こういうような話は一応外交チャンネルを通していろいろ話してもらいたいということでございますので、外務省において一応の案は話し合いをつけて、そして話し合いをつけたところで琉球政府関係当局覚書等を交換するということになっておりまして、従来から私どもは、アメリカ氏政府におきましても国際間の協定でないと解釈しておると考えております。この点はまた外務省にも連絡いたしまして、はっきりいたすようにいたす考えであります。
  38. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、あなたの御説明だと、沖縄に関する日本の権利はいわゆる残留主権というか、潜在主権は今までは、通説では領土処分権だけが潜在主権、そうしますと特殊なケースで、日本が持っている沖繩に関する残存主権というものは、こういう協定を結ぶというか、こういう方法で民政といいますか、そういうことができるんだ、そこまで主権が及んでいるんだ、こういうふうに了解していいんですか。
  39. 石井通則

    石井政府委員 アメリカ管理権を持っておりますので、アメリカ了解を得れば、たとえば従来恩給法も施行いたしておりますし、軍人遺家族援護法も施行いたしておりますし、それから留守家族等援護法も施行しておりますし、引揚者給付金等支給法等実施いたしておるのでありまして、アメリカ了解を得れば、日本のいろいろな措置ができると考えております。
  40. 久保三郎

    久保委員 そうしますとアメリカが持っている管理権がそれだけへこんだということですか、交渉して。
  41. 石井通則

    石井政府委員 へこんだといいますか、いわゆる日本沖縄との間の特殊な関係アメリカが了承して、アメリカ了解のもとにそれらの実施を許容しているということに解釈しておるわけであります。
  42. 久保三郎

    久保委員 そうしますと向こう主権へんこでいるわけではないというお話ですから、そうしますと交渉の結果譲ってもらったということに了解はできないですか。そうでなければ国際間の協定になってしまうじゃないか、こういう話なんです。
  43. 石井通則

    石井政府委員 その点においてひっこんだとか何とかいうようなことはどういうふうに考えていいか私はわかりませんが、その範囲で日本政府措置ができ得るということははっきり言えると思います。
  44. 久保三郎

    久保委員 それではあともあるそうですから最後に一つ。今度のこの法律が通れば当事者の協定ができるわけですね、協定向こう相手側はだれであるか、こちらはだれであるか、どういう者とどういう者との協定署名人はだれだ、大体予想はどうですか、交渉は。
  45. 和達清夫

    和達政府委員 気象庁長官琉球政府工務交通局長との間で観測実施に関して必要な事項について協定を行なう予定であります。
  46. 久保三郎

    久保委員 そうしますと今までの沖縄アメリカ民政府との交渉では、向こうはこれに承認を与えるという形式的なものをつけますか、つけませんか。形式的にはいわゆるこの協定承認したというようなサインをすることになっておりますか。
  47. 石井通則

    石井政府委員 これはアメリカ管理当局琉球政府に対して、そういう取りきめをすることがよろしいという承認をやるわけでございまして、日本政府に対して承認をするとかどうとかいうことではございません。さきにおあげになりました昭和二十七年七月十日のも、調印は七月十日にやりましたが、琉球政府アメリカ了解をとりまして、その実施は十月ごろになったのでございます。最近の文部省調査局長琉球政府文教局長との了解事項も、アメリカ政府調印と同時に琉球政府に対して承認を与えたのでございます。
  48. 久保三郎

    久保委員 それはもちろん日本政府承認をもらうなんという手はありませんよ。そういうことを聞いているのではなくて、協定を結ぶ向こう側がその協定書に、右を承認するという承認をもらうのかどうか聞いた。そういうことですな。もらうんですな、沖繩は。
  49. 石井通則

    石井政府委員 その形式は、事後承認したという例も前々はありますが、同時に琉球政府に対して承認するという文句をつけた場合もあります。
  50. 久保三郎

    久保委員 つけた場合もあるというのは、今度はどうなんですか。
  51. 石井通則

    石井政府委員 今度はまだ話の途中でございますから、今後にいろいろな問題が起こってくるだろうと思います。
  52. 久保三郎

    久保委員 今までもつけないものもあったのですか。
  53. 石井通則

    石井政府委員 そのときにその文章につけたものと、それから事後琉球政府に別の形で承認を与えたものと両方あります。
  54. 久保三郎

    久保委員 そうしますと今度のはわからぬということですか。
  55. 石井通則

    石井政府委員 これも外務省でいろいろ形式は相談いたしますが、琉球政府に対する承認というものが同時に同じく文書に入るか、あるいはまた事後に入れられるか、その点は外務省でよく検討してもらうことにいたしております。
  56. 平井義一

  57. 正木清

    正木委員 私は委員長のお許しを得ましたので、一つ気象庁関係のことについて簡単に質問をしてみたいと思います。  運輸行政に関する所信表明、本日は大臣出席でありませんが、運輸行政のベテランである政務次官出席でございますから、まず第一に政務次官お尋ねしたいのですが、重ねて申し上げます。運輸行政に関する所信表明の中で、当委員会において繰り返し繰り返し毎国会で、気象業務拡充強化について所信が述べられておったことは次官御存じの通りでございましょう。ところがこの所信表明の中でしさいに目を通してみますと、非常に大切な海上保安気象というものは結びの中でただ一言、特に災害予防に十分留意して参りましたと、こう述べてあるだけでございまして、私は実に残念に考えておる一人でございます。  そこで運輸省にお尋ねしたいのですが、政務次官等日本気象業務全般に対して一体どういうお考えを持って三十五年度の予算の編成にお臨みになったのか、まずこの基本的な点を次官お尋ねをいたします。  第二にお尋ねしたいことは、気象庁長官が御出席でございますので長官お尋ねしたいのでありますが、この所信表明結びの中で、特に災害予防に十分に留意した、こういうのでございまするから、この災害予防に十分留意した具体的な予算処置及び業務内容というものは一体どうなっているのか。一口に災害予防といっても、災害予防とは一体何かとなると相当広範なものだと私は存じております。そこでこの具体的な業務内容が、前年度として予算処置で具体的にどう現われてきたのか。しかも気象庁として運輸大臣のところへ提出した三十五年度の予算要求現実予算化されたこの業務内容とは一体どういう関係になっているのか、これをまずお尋ねいたします。
  58. 平井義一

    平井委員長 政務次官あと回しにして長官から先に答弁いたします。
  59. 和達清夫

    和達政府委員 三十五年度の予算は約四十一億九千七百万円でございます。三十四年度は約三十八億四千万円で、これには補正予算を含んでおりますが、三億円ばかりの増になっております。災害予防に特に留意された予算といたしましては、第一に防災気象官というものを置くために人員が二十七人ふえたこと、それから研究所に台風研究部というものが新設されたこと、それからレーダーの観測補正予算を含め二カ所新設されること、その他水害、高潮あるいは通信の面にわたってございますが、全体の費用としては先ほど申しました三億円ふえたというところから━━━━━━━━━と思います。
  60. 正木清

    正木委員 私は今の長官の答弁の中で、言葉じりをつかまえるわけではありませんが、━━━━━━━━━この言葉は速記をごらんになって取り消された方がよろしいと思います。  そこで私は具体的に長官お尋ねしたいことは、三十五年度の予算の中の特徴と見られるべきあなたのところの予算の増額のものは、この三十五年度予算大綱の中で十七と十八、しいて言えばこの二つですね。そうでしょう。この十七と十八に盛られた予算額とそしてこの具体的な整備内容をもってして、はたして所信表明の中でいうところの特に災害予防に十分な留意をしたというに値するかどうか、私のお伺いしたいのはこの点なんです。あなた方は気象庁の技術家として良心的に一体これで満足なのか不十分なのか。満足であるとすればどういう点で満足と言い切れるのか、不十分であるとするならば、こういう点こういう点が不十分であるという具体的な気象庁としての意思表明が当委員会にあってしかるべきではないか、この点を私はお尋ねしているのです。
  61. 和達清夫

    和達政府委員 第一に、御注意ありがとうございました。私、取り消します。災害に関する予算が非常に複雑多岐に方々に入っておりますので、三億円の一部がそれと申したのでありますが、はなはだ申しわけございませんでした。  お尋ねの、こういう予算で災害防止というものに万全を期せるかということでございます。これに対しては、私どもの要求というものが現状における一応の災害防止の線でございますが、いろいろの都合もございましょうが、天際に計上されたものは、先ほどお話しいたしました、それよりはるか下回っているものでございます。その中で、最も私どもが現在において必要と思いましたのは人員でございます。これも非常に困難と思いまして、三カ年計画を立てまして、防災気象官は五十何人かを来年度として計上したのでありますけれども、実際には二十七人であります。また台風観測部につきましてもわずか五人でございます。第一に人員については私どもとしては非常に残念でございますけれども、そういうふうに査定を受けたわけでございます。その他災害防止の施設あるいは観測に要する費用あるいは通行に対する費用というようなものも、気象仕事が高度の技術を要するものでありますし、できるだけ高度の技術を使いたいという私どもの希望か十分に達せられなかったうら  みはございます。技術というものは、高度を望めばかなり上まであるものでございますが、私どもといたしましては、こういうふうに査定いたされましたのでありますから、その中で最善を尽くしたいと思っております。
  62. 正木清

    正木委員 委員長にちょっとお尋ねしますが、運輸省関係、国鉄関係の一般総論の質問を与えられる機会が別途にございましょうか。
  63. 平井義一

    平井委員長 この次に必ず……。
  64. 正木清

    正木委員 それでは最後に、長官人員の問題に重点を置かれての御答弁でございますので、私は一言長官に具体的にお伺いしたいと思うのですが、水理水害関係、これについて、あなたの方では来年度の予算で十分である、これに職員さえふやしてもらえばいいのだ、こういう考え方なのかどうか。その次に、御存じのように航空というものは非常な速度で発達いたしておりますが、航空に対する気象業務、これも絶対にゆるがせにできない緊急を要することでございますが、これもまた前段と同じように、予算は十分だ、人さえあればそれで足りるのだ、こういう考え方なのかどうか。その次に、農業気象業務でございますが、これは日本の農業関係で私はしばしば言うことなんですけれども、一番大切な一つである農業気象業務というものが非常に等閑に付されている。これは水理水害の気象関係と相待って非常に大切なことが等閑に付されておるのだが、これも一体予算はこれで十分であって、そうして職員さえあれば足りるのか、この具体的な三つを御答弁願いたいと思う。  実は私は事の意外に驚いたことは、水理水害関係気象業務の中で、伊勢湾は歴史上かつてない大きな暴風雨による被害をこうむったのですから、ここにレーダーをつけるということはこれは当然であり、反対する筋合いのものではないと思うのです。そのことが  一体基本的に正しいのか正しくないのかというところに、やはり議論の分かれ道があろうかと存じます。であるならば、伊勢湾にレーダーができたのであるならば、なぜ一体しばしばあの大きな損害をこうむっておるところの本州と、それから北海道の函館にレーダー基地を設けないのだ、当然このことが問題になりませんか。長官、あなたはなるとお思いになりませんか。必要はないとお考えになっているのか、必要があると考えておるのか。私は、必要があると気象庁がお考えになるのであるならば、ものの十分おわかりになっている大臣あり政務次官がおられるのだから、こういう機会にこそ気象庁は意を決して大臣なり政務次官に迫って、当然置くべきものは置いたらよろしいじゃありませんか。ただ職員だけふやせば事足れりという答弁では、残念ながら私は満足できません。これは最後ですから、あなたも誠意をもって御答弁下さい。
  65. 和達清夫

    和達政府委員 私の言葉が至らなかったので申しわけございません。人間をもって足りるというのじゃなくして、人間が一番優先であると申したつもりでございました。気象庁の施設その他がなお整備を必要とすることは、もちろん申し上げるまでもないことと存じます。仰せになった農業気象、水理水害業務、航空気象、それぞれに大切なものでありまして、私どももできるだけ早くそれらの完備を望んでおるのでございます。年々に要求もふえますし、また農業気象も着手した当初ということで、結局におきましては予算につきましたようなことになりました次第であります。私どもの努力が足らなくて、この必要な業務がこの程度になりましたことについては、申しわけないと思っております。  なお、レーダーにつきましては、台風の一番初めにくるところを優先にいたしました結果、補正予算では、室戸岬、それから東海地方では名古屋付近といたしました。もちろん、北海道と本土の青函地域のようなところは非常に大切でございまして、これも要求いたしたのでございますが、残念ながら今年、つまり三十五年度にはそれを設置するだけの費用を計上されるに至りませんでした。私どもは今後機会があれば最優先にそこに置くべきものと信じ、努力いたしたいと思います。
  66. 前田郁

    ○前田(郁)政府委員 先ほど正木委員からお尋ねがございましたが、運輸大臣が前回の運輸委員会において詳細な予算説明をいたしましたので、所信表明のときは重複を避けるということで、実はこういうふうに簡単な説明をされたわけでございまして、この予算説明の中をごらん下さいますればわかるように、「基礎的気象業務の整備に必要な経費として四億五千九百七万円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、一億二千五百四が一千円の増額となっております。これによりまして、三十五年度は前年度に引き続き無線模写放送を初めとする気象通信の整備拡充を行なうことによって予報精度の向上をはかりますとともに、名古屋の気象用レーダーの新設、気象庁本庁舎の新営続行等により、基礎的気象業務体制の整備を促進する予定であります。なお、これとともに、気象業務国際性にかんがみまして、東京—ホノルル間等の国際通信施設を整備し、気象資料の国際交換体制をも整備する予定であります。」こういうことを申し上げておるわけでありまして、なお、「伊勢湾台風の経験にかんがみまして、新規に防災気象官制度を設置し、防災気象業務の指導を強化する予定であります。」こういうことを述べておるわけでありまして、決して気象問題を軽視しているわけではございませんから、その点御安心を願いたいと思っております。なお今度の伊勢湾台風の関係で大蔵当局あたりも非常に気象ということを重視して下さるようになりまして、今後のいろいろな折衝にはよほど今までと違った態度で運輸省の要求を受けてもらえるのではないか、こう考えておる次第であります。
  67. 正木清

    正木委員 私の質問を終わります。
  68. 平井義一

    平井委員長 ただいまの和達政府委員説明中、本人より発言を取り消したい旨の要求がありますので、委員長において後刻速記録を調べまして、その部分を会議録より削除することにいたします。      ————◇—————
  69. 平井義一

    平井委員長 次に、先ほど可決されました捕獲審検所検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案について、この際前田政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。前田政務次官
  70. 前田郁

    ○前田(郁)政府委員 先ほど捕獲審検所検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案を全会一致で可決下さいまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。      ————◇—————
  71. 平井義一

    平井委員長 次に、国鉄の経営に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。三池信君。
  72. 三池信

    ○三池委員 最初に委員長並びに吾孫子副総裁にお尋ね申し上げたいと思いますが、二月七日付の毎日新聞に、管理局の問題について九州の方では新聞記事が出ているのですが、これは御存じになっておられますか、どうですか。お読みになりましたか。
  73. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 九州の新聞に記事が出たということは伺いましたが、実はその新聞そのものはまだ拝見いたしておりません。
  74. 三池信

    ○三池委員 委員長は……。
  75. 平井義一

    平井委員長 私も読みません。
  76. 三池信

    ○三池委員 お二人ともお読みになってないそうでありますが、実は私がきょう御質問申し上げたいのは、その新聞の記事が一つの資料でありますので、一つどういう記事が出ているかということをここで読み上げてみたいと思います。二月七日日曜日の毎日新聞、見出しは「下関などに出張所衆院委・近く国鉄に勧告管理局の前提として」と大きな見出しがある。その記事は「衆院運輸委では五日の理事会で国鉄に「管理局を前提とした支社の出張所を新たに青森、山形、下関、長崎、宮崎の五カ所に設置するよう」勧告することを申合わせ、二、三日うちに同委員会にはかり国鉄に申し入れる。これは全国十二の都市(ほとんど旧管理部設置場所)から管理局設置の陳情運動がくり返され、同委員会もさきに地方行政単位の管理局設置を国鉄に勧告、再三回答を求めていたが、研究中の一点ばりで、はっきりした態度を示さないため業をにやし、同委員会が十二都市を五カ所にしぼって具体案を示し国鉄の回答を迫ることになったもの。」ここで委員長の談話が出ている。「平井委員長も「二、三日中に国鉄に勧告して国鉄側のハラをきく。できるだけ四月の新年度から発足させたい」とかなり強い態度であり、七、八年来続けられた管理局誘致の火花を散らした運動も支社の出張所の形でどうやら終止符を打つことになるのではないかとみられている。」これに対して吾孫子副総裁の談話。「これに対して五品孫子国鉄副総裁は「支社の出張所の形の管理局の増設については経費の節減、機構の問題などから国鉄としては必要を感じていない。しかし政治的な意味もあって客観的にも必要だとされるならふやすこともあり得るわけだ。設けるといってもいまのところどこにするか一切白紙でなんともいえない。正式に勧告を受けたうえで考えたい。勧告は尊重し慎重に結論をだす」と答えているので、国鉄としては管理局増設問題に対してこの際はっきりした態度を示し、結局はある程度の増設の形に踏切ることになるようだ。」こういう紀要なんです。お読みになっていないから今私が申し上げたので、あるいはびっくりされたのじゃないかと思うのですが、こういう事実があったかどうか。委員長に、こういうような問題で理事会の招集があったかどうかということをまずお尋ね申し上げたい。
  77. 平井義一

    平井委員長 お答えします。管理局の増設は、全国で非常な要望が昨年から強く主張されまして、その結果、理事の意向も一ぺん聞いてみようという気持で、去る五日の十二時に与野党の理事に集まっていただきまして、その希望なりあるいは意見なりを聞いたわけでございますが、管理局設置だけで聞いたわけではございません。国有鉄道に理事を三名増員する、まずこれの意見を聞き、どうして理車をふやすかという問題が済みましてから、実は国鉄といたしましても非常に要望を受けておる、これは何とかしなければならぬが、皆さんの意見を聞きたいということで、結局全国から十幾つ出ておりますが、その中から国鉄は出張所を二、三カ所くらい必要なところをふやしたいという意同を私は聞いておりましたので、理事会の意見その他の要望も強いので、五、六カ所にふやしたらどうかというふうに私がそのうち言おうということで、理事の方の意見を聞いたわけでございますが、その後、これは正式の機関でもなし、正式に私が勧告すべきものでもなし、委員会で決定すべきものでもございませんので、まだ正式の勧告はしておりません。私は皆さんの意見をいずれ副総裁なり総裁に申し上げて、これを参考にして何とか処理をしていただきたいというふうに現在考えておるわけで、それがために理事会を招集して、これを正式にきめて国鉄に勧告するというような理事会の招集ではなかったので、ただ理事の御意見を承っただけでございます。
  78. 三池信

    ○三池委員 委員長の今のお話だと、委員長が個人でこの管理局の問題について国鉄に勧告をしようと考えたのだということでありましたが、この勧告をやられるのですか、どうなんです。
  79. 平井義一

    平井委員長 勧告という言葉がどうも私はおかしいのですが、相談をしようというのです。これは勧告する資格はございません。その新聞は私は全然知りませんし、記者にも会ったことはございませんし、ほかの人にも話したことがございませんので、だれがそういうことを書いたか知りませんし、従って読みもしません。読むに値しないと考えておりますので、私は、勧告でなくて、皆さんの要望を御相談申し上げたいという考えでございます。
  80. 三池信

    ○三池委員 よくわかりましたが、私は実はこういうふうに考える。管理局の設置とかいうような問題は、実は国鉄の経営の上のむしろ事務的な問題であるので、おそらく委員会にもいろいろ関係地方から陳情があったと同時に、国鉄にはなお詳しい陳情があったはすだと思うのでありますから、一応そういう問題は、国鉄独自の経営上の立場に立った慎重な審議に待った決定の方がよりいいのであって、とかくこういうような問題に政治的な圧力を加えるような疑念を国民の上に植えつけるような処置は、当委員会としてはむしろなさない方がいいのじゃないか。国鉄は地方開発その他に関係の深い企業体であるとともに、また一方では非常な到権の伴う問題でありますから、政治的な介入というようなことはむしろやらない力がいい、こういうふうに私は実は考えておる。  次に、これは吾孫子副総裁にお尋ねしたいのでありますけれども、副総裁は常務理事のころからこの管理局の象設問題では非常な陳情を受けておられる、あるいは政治的な圧迫をさえ受けておられると思うのでありますが、巷間うわさされ、私が承知しておるところによりますと、管理局の増設というものはほんとうは国鉄当局としてはやりたくないのだ、しかしながら、昨年の二月二十六日のいわゆる国有鉄道法の一部改正、あの法案につけられた附帯決議によって、その附帯決議は管理局のあり方に対して再検討を加えろという決議ができておる。その再検討即管理局の増設というものと結びつけられ、当委員会でも副総裁もその問題ではいろいろ質問なり要望を受けておられるのじゃないかと私は考える。そういうようなことが今度の出張所の設置という問題に変わってきたのじゃないかというふうに推測をしておるのであります。しかし、この出張所というものは大体何をするものかということをまずお聞きしたい。出張所というものが、九州でありますと福岡にもあるようでありますけれども、ああいうような出張所を全国に五カ所ふやしてみても、国鉄の運営上あるいは地方の人たちが非常に要望していることにマッチするようなことはできないのじゃないか、私はこういうふうな疑念を一つ持っておるのでありますから、この出張所という形における云々というのがありますが、これはそういう出張所を設けようと思っておられるかどうかということがまず根本的な問題であります。出張所を設置しようと思っておられるならば、この出張所というものの業務あるいは任務は何をするのかということをまずお聞きしたい。
  81. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄の業務組織の問題につきましては、先年来地方機関としては支社制度というものをだんだん強化していく、そして国鉄が企業的な運営をやれるように組織もそれに合わせていこうという根本的な一つ考え方があるわけでございます。その場合に、支社制の強化ということに関連いたしまして、支社の下部機構でございます管理局等についても当然いろいろな角度から考えていかなければならない、こういうことで先年の委員会における附帯決議の御趣旨も、もちろんございまするが、国鉄自身としても、国鉄が企業体として安定した経営をしていくための管理組織というものについては、やはり十分慎重に検討しなければならないという考え方を現在も持っておるような次第でございます。ただ、この管理組織をどうするか、どの程度の権限を持たせ、どのような内容でやっていくかということについては、いろいろ検討をいたしておりますけれども、なかなか簡単にきめられない。と申しますのは、一方で相当血のにじむような合理化等も行なっております際に、ただそう軽々に手をつけて、いたずらに管理機構が大きくなるというようなことをさせてはならないという国鉄の監査委員会からの御勧告もありましたし、それやこれや考えまして、目下この問題につきましては、慎重に検討を続けておる次第でございます。  ただお尋ねのございました支社出張所というものを作る考えがあるかどうかということでございましては、従来いろいろ各方面から管理局の設置等について御要望をいただいております。それらの御要望の中には、やはり戦前の国鉄の業務組織が改変されましたために、現在の管理局の所在地というものが地方の政治あるいは経済の中心地から離れ過ぎて、そのためにいろいろ地元としても困る問題があるというお話もごもっともであると思いますので、それらの点を考えまして、国鉄のこれは公共的な性格から考えまして、それらの御要望に少しでも沿うために管理川をどうするかということは、まだ今すぐにきめられませんので、とりあえず二、三カ所に出張所——支社の出張所というようなものを設けて、それらの御要望におこたえするというようなことにしたらいかがであろうかという案を考えまして、実は運輸委員長のみならず、ほかの方々にも、国鉄としてはさしあたり二、三カ所ぐらいの出張所というものを作らしていただこうかと思っておるが、いかがであろうかというように御念見を伺ったことはございます。  それで、出張所で一体何をするかということでございますが、これは、出張所を研きます場所並びに当該地方の官公庁あるいは経済諸団体との連絡、折衝に関することでございますとか、あるいは国鉄は営業をやっておるわけでございますから、いわゆる市場調査、情報の収集というようなこともやらなければなりませんし、また地方地方の観光事業等もいろいろとございます。さらに、今各地方でいろいろ国鉄に対して御注文が出ておりますのは、国鉄にいろいろ要望をしようと思っても国鉄を代表する窓口になる地方機関が手近なところにないので、それに困るのだというお話もございますから、そういうような国鉄を御利用になる。あるいは国鉄に対していろいろ御要望がある方々に対する御意見を受理し、そしてまた、それを処理するというようなところ、要するに地方の支社の出店というものを要点に設置いたしたいということで——しかし、それも管理組織の根本的な問題をどうするかということについて、まだ最終的な結論が得られませんので、そうむやみに作るというわけにも参りませんから、二、三カ所ぐらい作りたいという考えであるということを申し上げて御意見を伺ったような次第でございます。
  82. 三池信

    ○三池委員 支社制度を作られて線別あるいは地方別の責任体制を確立するということがおそらく趣旨であったと思いますが、実情は、私どもが民間の人たちから承るところによりますと、必ずしも当局が当初意図しておられたような結果になっていないんじゃないかというふうに考える。ある意味においては屋上屋を架したような結果になった。たとえば九州ですと、門司に支社があり管理局がある。いろいろの問題はすべて門司に行きます。私、佐賀ですから、佐賀から門司に行きまして、管理局にも行き支社にも行き、さらに管理局の方は国鉄本社につながっておるというようなこと。また支社自体のあの機構では、九州全体の管理局を一手に掌握して、そうした責任体制で、人事から、予算から、すべての技術の面から、あるいは運転の面から実質的にそれを掌握するということは、あの機構では不可能に近いと私は考える。そういうような支社の出張所は福岡にもあるようでありますが、ほとんど福岡市の渉外関係にのみ従事しておる。実際の日常業務にはそうタッチしない。また権限も持たないというのが実情じゃないかと私は考えておる。もし出張所というものが福岡のような業務をやるところであるならば、これは幾らふやしても、地方のほんとうに血の出るような陳情をしておられるあの要望にこたえることはできないと考えておる。たとえば昨年の十月ごろの委員会で田口君が発言しておられることに、長崎は何があっても一ぺん一ぺん泊まりがけで門司まで行かなければならないということを言っておられる。それはたとえば、貨車操りにしましても、あるいは観光団、観光事業の問題にしましても、長崎駅では話にならないから一つ一つ泊まりがけで門司まで行かなければならない。これが田口君の言われる地方からの強い要望を受けての代弁だということだと思うのでありますが、そういう意味におきますと日常業務をやる一つの施設がほしい。昭和二十五、六年ごろにありました営業所的なもので、貨車操りにしましても、あるいは観光の問題にしましても、一ぺん一ぺん何か事があると門司の管理局まで飛んで行かなければならないというようなことがないようにしてもらいたいというのが私は要望の趣旨だと思うのでありますから、出張所が支社の出張所であって管理局との関係を直接持たないようなことでありますと、私はそういうほんとうに猛烈な地方からの要望にこたえる機構の創設にならないのではないか。こういう点は、ぜひ一つ考えていただきたい点でありまして、おそらく委員長も、この新聞記事にあるようなことは、新聞記者とも会っていないということでありますし、副総裁もおそらく副総裁談としておることについては御存じない、関知されないことだろうと私は考えております。そうでないならば、この副総裁の談として発表された新聞記事なんというものは、まことに奇怪きわまるものである。支社の出張所の形の管理局の増設なんというような表現というものは、何を意味するんだか、とんとわからぬ。しかも、それは国鉄としてはそういうことを必要としないんだ、必要としないけれども、政治的な意味もあって、客観的に必要だ——政治的に意味があって客観的に必要だというのは、国鉄の必要じゃなくて、客観的な必要だということでありますから、ほとんどこれは意味をなさないんで、おそらく練達の副総裁がそういうような談話を新聞記者にされるわけがない。私自身もこれは不問に付するわけであります。しかしながら、管理局の増設ということが、あの附帯決議にある機構の再検討ということと増設ということがシノニムであるというような考えは、お持ちになる必要はない。むしろ国鉄は、先ほども申されたように、一つの企業体であります。運輸事業そのものに専念するのではなくて、企業体になっておるのでありますから、むろん経営の合理化なんということは必要でありましょう、人員の問題もまた非常にむずかしい問題でありましょうから、そういうことは、国鉄自体の立場に立って、そうして企業体としての責任を果たし、また公共であるがために、国民大衆のあるいは地方地方の人たちの要望にこたえるようなそのあんばいをされることが私は一番必要だと思う。また、おそらく委員会のこの前の附帯決議というものも、管理局の再検討をしろということであって、いたずらに数さえふやして、われわれ地方は因っているんだから数をふやせと、経済ということも何も考えないで言っているとは私は考えない。委員会がそういう不見識な権威のないことを言うはずがない。再検討しろということは、最も合理的に、最も能率よく運営をするように検討しろということでありますから、そういう点では、増設々々ということでなくて、むしろ先ほど申しましたような日常業務において、地方の人たちが困らないようなことを、国鉄自体の立場において慎重に検討されたい、むしろこういう附帯決議があったから、運輸行政におけるところの委員会というものは、端的に言うと、まことにこうるさいところでございますから、一つ委員長に相談をしろというようなことはあったかもしれませんけれども、国鉄の権威においては、むしろそれは委員会の方をあなた方専門家がリードするくらいな気魄をもって運営に当ってもらいたい、こういうことを私は考えておるわけであります。たまたまこういう新聞記事が出ますと、地方では大騒動しているわけです。しかもこれは五カ所に限定したというようなこと自体が、私はおかしいと思う。吾孫子副総裁のさっきの話のように、二、三カ所くらいは仕方がないというようなことですけれども、二、三カ所も何もそういうことは問題じゃない。五カ所なら五カ所、十カ所なら十カ所、一つの基本方針に従って、確固たる信念のもとに、私は国鉄という国民のものである企業体をできるだけ合理的に運営してもらいたい。そうしてまた公共のためにぜひなるように、地方は非常に産業開発その他の面で国鉄に依存しているところが多いのでありますからこういう点は、一つぜひ考慮の上に立ってやってもらいたいと思うのであります。この新聞記事が真相を伝えないものであるということで、私の質問があるいはピントはずれになって、委員長を困惑させたかもわかりませんけれども、この点は一つあしからず御了承をお願いしておくわけであります。  ただ、私はここで一つ地方の立場から申し上げたいのですが、地方の人たちの要望は、官理局がありますと、どうしてもその所在地を中心として施設、行政が行なわれる、そういう傾向はやむを得ないが、あるのであります。従って、九州でありますと、長崎支線というものはとかく虐待されがちである。実際の例が、たとえば時間割の変更にいたしましても、佐賀地方におきましても、時間割が適当でないために、勤務しているところの従業員が、二時間も三時間も汽車に乗るために、汽車通勤の人が駅で待たされておる。そのために、会社はそれだけの時間外勤務手当を支給しなければならないというようなこともあるわけであります。また夜勤の場合でも、汽車の時間がないために泊まらなければならない、朝でも、三時間も早く起きていかなければ出勤時間に間に合わない、そういうようないろいろな面が出てくるわけであります。だから、そういうことに対する配慮が、管理局でもあるならば十分にしてもらえるだろうというような考えも多分にあるわけであります。これは私自身のことを言って非常におかしいのですが、あの特急のさくらの寝台車が一台とられてしまって、われわれは非常に困るのだという地方の要望で、これは長崎もそうでありますけれども、私はそれを代表して国鉄に陳情に行った。ところが、いやそれは御心配なさらなくてもよろしい、福岡までのお客さんにはあさかぜを御利用していただくようにしていただきまずから、そういう御心配はなくて、さくらを利用する人は福岡以西の人だからいい、ということであります。私は非常に奇怪な説明を聞いたと思った。あなたは福岡までだから、あさかぜにして下さい、さくらはやめてくれということを窓口で一つ一つ交渉ができるか、できやしない。いろいろ寝台車の編成の時間等の問題があって困難な事情もあるらしいのでありますが、現在どうかといいますと、私たちが一週間も前に寝台を申し込んでも、ない、それくらいな実情になっておる。これはお調べになったらわかると思いますが、非常に困難をしているということがある。こういう点から、やはり管理局でもあったら、そういう困難な問題が解消されるのではないかというような、いろいろの産業の問題、経済の問題、観光の問題などで不便をこうむるので、管理局をぜひ置いてもらいたいというような要望が強いと私は思う。そういうことがないように、機会均等の趣旨から、地方公共のためになるような配慮を特にしてもらいたい。それには、私はむしろ二十四年のころにありましたような営業所的なものを行政区域ごとに置かれると非常に能率のいい運営ができるのではないかということを考えておるわけであります。管理管理局といいますから、たとえば門司の管理局とかあるいは大分の管理局とかというような膨大な組織をみんなが予想するわけでありますが、国鉄としては、そういうものを置くことは、私はおそらく困難じゃないかと思います。私自身が考えておる。門司のごとく組織が大き過ぎるというところは別でありますけれども、一般にはそういうようなことははなはだ困難であります。私自身そう考える。  いろいろ私の意見などを申して恐縮でありますが、一つできるだけ政治的な介入を避けて、そうして国鉄独自の立場に立って、ほんとうのよき意味の国鉄運営ができて、むしろ委員会よりも国民に対しての期待に沿われるような御努力をお願いして、私の質問を、また意見を終わりたいと思います。
  83. 平井義一

    平井委員長 三池委員に申し上げます。委員長といたしましては、政治的圧力は断じて加えたこともありません。今後もそういうことはいたしませんが、ただ委員の希望、国民の要望、これを委員長として伝達することが民主政治であろうと私は考えております。委員がどう言おうと、理事がどう言おうと、委員長独断をもって国鉄に当たるということは断じてありません。これが政治的介入とか、そういうことを三池委員自身が考えるということは、私は大きな間違いだと思う。三池委員自身が要望があるならば、堂々と委員会で発言し、また国鉄に要望するというのが国民代表であろう、こう私は考えますので、今度の問題が政治的圧力である、こういうことを言う三池委員そのものが、衆議院議員としての存在を忘れていはせぬかと私は思う。私といたしましては、ただいま副総裁が言いましたが、国鉄として必要なところを二、三カ所と言いましたけれども、多年の委員の要望を、もう二、三カ所ふやせという要望をすることは、私は当然であろうと考える次第であります。  当時列席をいたしておりました川野委員に、一つ発言を許します。
  84. 三池信

    ○三池委員 その前にちょっと一言、今の委員長の発言に関して。委員長はだいぶ僕の発言を曲解しておられるようで、新聞記事を基礎にした私の話に対して、委員長がいかにも国鉄に政治的圧力を加えたかのごとく、そういう意図をもって私がさっきから発言しているように話しておられますが、それは大へんな誤解で、私はそういう意味で言っておるわけじゃない。特にこの問題については委員長は勧告もしていないし、また勧告する意思もないと言っておられるからそういう問題はむしろ解消しておって、私自身の平生の気持を吾孫子副総裁に開陳し要望しただけであって、今度の問題ではわが練達、清廉の委員長がそういうことをされるなどということは私は思っていない。私がそういうことを思うなどと、衆議院議員としての存在云々という委員長の発言の方がどっちかというと聞き捨てならないことだが、これは私は不問に付します。私はそういうことで言っておるわけじゃないということを一応釈明だけしておきます。
  85. 川野芳滿

    ○川野委員 私も管理局設置の問題につきましては当委員会においてたびたび発言いたしておりますので、この際さらに発言をいたしたいと考えますが、時間が非常におそくなっておりますので簡単に御質問を申し上げてみたいと思います。  先ほど吾孫子副総裁から、二、三カ所の出張所と申しますか、そういうことを考えておる、こういうような御発言があったようであります。しかし、日常生活と密接な関係を持っておるのが今日の管理局でございます。そこで私をして言わしめますならば、管理部を各県ごとに作ってもらいたい、これが私の希望でございます。管理局と申しますか、管理部と申しますか、出張所と申しますか、営業面を担当するところの機関を各県に作ってもらいたい、また私はこれを国会議員が要望することが地方民の声にこたえておるものと考えておる。先般運輸委員会で九州地方に旅行いたしますと、管理局のないところから管理局を設置してもらいたいという陳情が山のごとくなされました。そこでその声に応じて当委員会管理局設置の問題を取り上げて、そして当局に御相談するということは民主主義の本来の姿であると私は考えます。そこで実はもう少し当委員会でこの問題を熱心に取り上げてもらって、できるならば各県に管理局ができるように動いていただきたいと考えるわけであります。しかし国鉄当局の話を聞きますと、各県に管理局を置くということは不可能である、こういうようなお話もございますので、私といたしましては第一段、第二段という考えのもとに、まず第一段に数カ所に管理局を設置していただいて、その模様を見てさらに第二段に管理局を作ってもらえば国民の要望に沿う結果になるのじゃなかろうか、かように考えまして、実はいろいろと当局にも、これは陰ではありません、本委員会において強く要望をいたして参ったわけであります。そこで先ほど二、三カ所という声がございますが、これは国民の現在の空気から申しましても二、三カ所等ではとうてい満足なる国鉄の運営はできないと考えます。承りますと五カ所くらいという話もあったように私は聞くのでありますが、全国に七、八カ所をお作りいただくならば、この管理局設置の問題は一応終止符を打つのではなかろうか、管理局じゃなくとも出張所でけっこうでございます。われわれが聞き及びますところの出張所はおもに営業面を担当する出張所である、こういうことを聞きます。そういたしますと三池委員の御要望の点にも沿うわけでございます。そういうことですから、三池委員はいたずらに機構の拡大に反対されておるかのように私は聞き取れたのでございますが、もう少し出張所をたくさん増して、そして日常生活に密接な関係を持つところの鉄道でもありますから、州民の要望にこたえたがよかろう、私はかように考えるわけでございます。二、三カ所という点に言葉じりをとらえるわけではありませんが、あなたの考え方をもう少し変えていただきたい、これが私の質問の要旨であります。
  86. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 先ほど三池委員からまことに適切な御意見をお教えいただきましてありがとうございました。それから、実は私の言葉が足りませんでしたので少し補わしていただきたいと思いますが、国鉄が当初に考えました考えは、先ほども申し上げましたように、現在の地方の政治経済の中心地があまりにも管理局の所在地から離れ過ぎておる、そしていろいろ問題もあって、そのためにいろいろ御要望が出ておるというような個所をしぼって考えまして、二、三カ所ぐらいでいかがでございましょうか、その場所についても実は委員長のみならず、ほかの、平素いろいろ御指導にあずかっております先生方やその他の学識経験者の方にも御相談いたしておったのであります。それに対して先般委員長から、これは何も正式のお話というわけではございませんでしたが、理事会でこういう話が出て、五、六カ所ぐらいまで考えてみたらどうだというお話がございましたので、今私どもとしましては、二、三カ所というようなことにとらわれることなく、将来の国鉄の地方組織というものをどうするかということとあわせて検討いたしておる次第でございます。  なお、先ほど三池先生のお話の中に、福岡の支社の出張所を引き合いにお出しになりまして、あんなものでは意味がないじゃないかというお言葉がございましたが、実は福岡の支社の出張所と申しますのは、志免炭鉱の問題で直接本社と福岡との問で連絡しなければならないような問題が非常に多かったものでございますから、あれは実は支社長が支社長限りで便宜作った機関でございまして、今私ども管理局の設置の要望その他を考えてこれから作ろうと思っておる支社の出張所とは全然性格が違うものでございますから、それは御了解願いたいと思います。  なお、お言葉の中に、これは三池先生も川野先生も、もとの営業所的な機能というものを考えておるかどうかというお言葉がございましたが、私どもとしては今度支社の出張所を作ります際には当然そのつもりでおります。もともと支社の出張所を作ろうということを今検討いたしておりますのは、地元の管理局設置の御要望を考えて、少しでも鉄道を御利用になる方の御不便を解消したい、そしてまた鉄道の営業活動の面においてもプラスになるように処置したいということからスタートしておりますので、管理局に準ずると申しますか、管理局を設置することにかえるだけの値打のあるものを作るようにいたしたい、そういうふうな考え方でただいま検討いたしておる次第でございます。
  87. 川野芳滿

    ○川野委員 一文惜しみの百文失いという古い言葉がございますが、倹約倹約と言われますが、倹約もものによりけりでございまして、管理局を置くことによっていかに国鉄が利便を得ておるか、この例は熊本の管理局を先般私が視察いたしましたときによく聞いてきたのであります。熊本に実は昔は管理局はなかったのでありますが、戦後管理局が、鳥栖にかわって、熊本に置かれました。そこで熊本はどういう利便をしておるかと中のますと、日本全国で、利用債が一番たくさん買わされておるところは熊本県だそうでございますが、どうしてこんなに利用債の買い方が円満にいくかという質問をいたしますと、あそこの大田局長が、熊本市に管理局があると、知事、市長その他の有志に非常に親しく御交誼を願っておる、そういうわけで、利用債をお願いする際等におきましても非常に円満にいって、多額の利用債を買っていただいておる、こういう話もございました。これは一つの例でございますが、こういうような利便もありまして、わずかの経費は要りましても、また利便も得るところが多いと考えますので、こういう点を私は新たに研究課題として考えていただきたい。ことにこれは地方の例でございますが、先般早熟蔬菜等におきましても責任体制がとられる、そして責任トン数をオーバーしたところは報奨金をやる、こういう話であったのでございますが、宮崎県の半分は、先般来申しますように鹿児島管理局、この鹿児島管理局の方は責任トン数よりも非常なオーバーをいたしておる。ところが半分の大分管理局の方は責任トン数に達しなかった。大分管理局の分と鹿児島管理局の分を合わせますと、責任トン数をオーバーしておる。しかし管理局が二つに分断されておりますために、鹿児島管理局の方は報奨金がもらえ、大分管理局の方は報奨金がもらえなかったという厳然たる事実が、ここに現われているわけであります。そういうわけで、管理局があるかいなかということは非常に地方の利害に関するわけであります。そこで、先ほど二、三カ所とか五、六カ所とか言われますが、当委員会の空気としては、できるだけ各県に管理局を置いていただきたいというのが私は本心であろうと存じておる。しかしあなたの方で現在そうたくさんできないと言われるから、先ほど申しましたように、段階をつけて全国に実施いただこう、こういう考えを私は持っているわけでございますが、どうか一つもう少し元気を出されて、管理局のないところには全部置いていただくことはけっこうでございますが、万一そういうことが許されなければ、あなたの方で慎重に御考慮の上、第一段、第二段と段階をつけて、管理局あるいは出張所をお作り下さるように切に希望を申し上げまして、私の質問を終わる次第でございます。
  88. 生田宏一

    ○生田委員 管理局とか出張所などのお話が出ましたから、これは国鉄経営の基本問題に関することでございますので、私も一言、この際に副総裁にお話をしておきたいことがあるのです。管理局の問題も、これは機構の問題でございます。機構をいじるときに必ず弊害が生じ、その弊害というものを、現実の姿とその目的とをどこかでうまく調和をとらなければなりませんが、なかなかそううまくいきません。一例を申し上げますが、国鉄は今非常に経営が困難ですから、経営費が行き詰まっておることも私はよく承知いたしておりますし、経営の合理化をはからなければならぬこともよく承知しておりますが、この経営の合理化の一つの手段として、やはり機構いじりをやるということになるわけです。そこで全国に先がけて四国支社の方で、私の県では、四十六駅の中から十七駅だけ、現状通り貨物取扱駅として存置して、あとの約三十駅は貨物の取り扱いを廃止する、こういう方針を支社として出しておるようでございます。事情を聞いてみますと、貨物の取り扱いを廃止すると客車の運行が便利になり、そうして貨物の方は、月か年間かはっきり覚えておりませんが、五千トン未満のものは貨物の取り扱いをする必要がないだろうから廃止しようということで、そういうようにトン数で制限して廃止をするしないということになる、こういうことにせざるを得ないということのようですが、現実的にはなかなかうまくいかないと思います。どういうのは、国鉄の組織というのは長年の間、約八十年もの間国民生活の中に探く溶け込んで、そうして国民経済の中には至大な、強い影響力を持っておるわけです。一例をあげると、駅の構内に接触して大きな工場がぽつんと一つある。それは貨物の取り扱いをするというから、そこに敷地を設けて、全国でも有数な工場が一つぽつんと建っておる。その工場だけの貨物を扱っておるのですが、それが年間五千トン未満というので、貨物の取り扱い廃止ということになる。そうすれば、その工場のこうむる経済的な影響は大へんなものだと思うのですが、そうかといってどうしようもないことになる。また中には、へんぴな駅ではあるけれども、貨物の扱いをして、引込線もあるというので、すでに敷地を求めて工場を建設中のものもある。それもやはり廃止になる。しかし一方から言えば、国鉄経営は切り詰めなければならぬというし、またその反面には、客車の運行がスピード・アップされるんだという利益があるから、一般国民の利益としてはその方がいいんだという理論も成り立つ。そういうような現実をどう取り操っていいかということは、方針をきめたといって、一がいにそれで強行してもどうかと思う。そうかといって、私たちは国鉄の経営の合理化ということには大賛成をするものでございます。で、こういうことが起きるのですが、そういうときに——これは支社でやることでございますけれども、今徳島県でやっておりますが、香川県でも愛媛県でも、あるいは高知県でもやるに違いない。全国各地でやるに違いない。全国各地でこれをやると大へんなことになる。今徳島東だけの狭いところでやっておるということで、大きな火の手が上がっておりませんけれども、全国的にやることになると大へんなことになる。これは反対している人の言い分にも理屈がある。国鉄の支社の考えておられるのは、私たちは大局的には賛成すべき理由が大いにあるように思います。そこは副総裁などが——支社できめておることはきめておることですが、融通のつかないようですと困ると思うのですが、これはどのようにお扱いになりますか。私たちはごく理解を持ったつもりで聞いております。どういうことになりますか、御方針を一ぺん伺っておきたいと思います。
  89. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいま四国支社の例を引いての御質問でございましたが、実は国鉄としましては、各支社に対して、経営改善方策をどうしたらいいか案を作成しろという課題を、本社から出した形になっております。それ対して四国の支社長は、四国としてはこういうような案を考えたということで、本社の方へ報告して参りました。それを一応私ども理事会で話を聞きまして、原則的には四国の支社長の考え方はよろしい、だからその方向で進めるように、本社としてもできるだけ支援をしてやろう、ただ、しかし、今の支社長の計画と申しますものも、やはり相当な投資を伴う案にもなっておりますし、予算との関係がございまかから、まだ実は三十五年度の実行予算を固めるところまでいっておりませんので、予算との関連も考えて、必ずしも支社長の言う通りにやれない面も相当ございますし、それからまた、ただいま先生から御指摘のございましたような、地方の実情にそぐわない——地方からいろいろ御要望あるいは御注文が出ておるようなこともございますので、そういうようなことに対しましては、支社長としては当然の責務として、まずそれらの地方の方々によく御了解を願うように努力しろ、同時にまた、具体的に実行計画をきめる際にはそういうようなよけいなトラブルを起こしたりなんかしないように、十分実情を勘案した上できめてほしいというふうに話をしてございます。ただ方向としましては、四国の支社長の考えた案は本社としても将来の国鉄経営全体を改善してくい方策の一つのモデルのようにもなりますし、また私どもとしてもいい考え方であるというふうに考えまして、原則的にはそれを支持したいというふうな考えでおる次第でございます。
  90. 生田宏一

    ○生田委員 大体わかりましたが、問題はまだ私が言い残したものの中に二つほどあると思うのです。それは、貨物駅を廃止する場合に、その駅を利用しておった人たちに、貨物駅を廃止するのであるから、どういうような事後措置を配慮してやるかということが一つ。それから特にいなかの町で大して貨物がないんだといってみても、農業協同組合の所在地であって、駅の近くに農業協同組合の農業倉庫を持っておるのがたくさんございます。そういうようなところを考えずにやっておるように思いますから、そういう現状を一ぺん調べないと、支社の案というのはどうも一年間の貨物の取り扱いの数量が五千トン未満あるいはそれ以上ということで線を引いておるようですから、これでは少し考えが足りないのではないかと思いますから、一応いろいろな資料がそろいましたらお尋ねをしてもいいし、また御相談してもいいんでございますけれども、しかし支社の方は、原則的にこれを支持するとしても、考え方が、少し視野が狭いといいますか、どうもその点私たちがどうかと思う気風が見えます。ですからこれは、国民大衆の経済に深く食い込んだ組織の変更ですから簡単に割り出してはいけないと思うのです。よく注意していただきたいと思います。
  91. 館俊三

    ○館委員 今の副総裁のお話で、四国のその件についてモデル・ケースとして見ていらっしゃる、あまり無理をせぬでよろしいというようなお話もあったんです。しかしこれは本社で全国的にそういうことをやらせていらっしゃるのではないのですか。それは全国的に、四国だけの問題ではなくて、北海道でもどこでもかしこでもこの問題が非常にやかましい問題になっている。私の方でも、小さい管理局もないですけれども、この間たよりがありまして、ある小さい線では貨物駅が二つに集約されてしまう。あとはなくなる。今お話のあったような農業倉庫の問題、あるいは工場の誘致の問題、現存する工場の問題、そういった面から考えるときには、これは非常にとんでもないことになる。長年親しんできた国鉄の貨物駅が引き上げられるということになるのですが、これに対して反対期成会を作るという話が出ておる。瀬棚線です。これは全国的なケースなんで、本社の方でそういう指令を出してやっていらっしゃるものだというふうに考えておった。函館の管理局でもお手やわらかにやるという話はしておりましたけれども、非常に地方の経済的な諸事情に混乱を与えておる。小されば小さいほど混乱を与える。これはどういうことなんですか。支社にまかしてやるんですか、支社がきめたことを本社で賛成しておるんですか、本社から指今を出しておるのですか、あるいは全国の支社長会議なり管理局長会議あたりでそういう方針をきめておられるのですか、その辺が非常にわからぬ。もう一つ資料の要求がありましたが、そういうふうな意味の合理化をおやりになって、一体どれだけの経費の節減ができるのか、人員はどうなるのか、貨物の取り扱いがよけいになるのかならないのか、経済的な効果についての見通しについての資料ですか、そういうものを整えていらっしゃるならば、それも話を聞いて資料を出していただきたい。地方の経済界に及ぼす混乱は、北海道はあげてひどいのです。大都市のところは変化はありませんけれども、(「ある、ある」と呼ぶ者あり)あるんですか。私は小さいところにおるんですが、小さいところでは非常に混乱をしておる。北海道開発なんかというと工場の誘致やその他に非常に馬力をかけておる。ところが土地柄の条件があるにもかかわらず貨物の従来の取り扱いが不足だからこれはやめますということになったら大へんなことになる。せっかく誘致してきた製材所だとか、あるいは農業倉庫の問題、それが逃げ出す。逃げ出すにも逃げ出しようがないというような形も出てくる。各管理局でおそらくお手やわらかにおやりになるだろうと思いますけれども、そういう方針を本社が指示して賛同を与えて、あるいは指令を出してやっておったとすれば、地方の未端ではやはりその言う通りにやらなければならぬ。お手やわらかにやるのかやらないのか知りませんけれども、とにかく村じゆうに非常な衝動を与えておる。この辺は明確な御返答を願いたい。
  92. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄といたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、全国の各支社に対して経営改善のためにどういう方策をとったらいいか検討しろということを全国に課題として課しておるわけであります。と申しますのは国鉄の経営が非常に追い込まれておるということからきておるわけでございますが、どうしたらいいかということを各支社に対して考えさせておるのでありまして、四国にだけ考えさせておるというわけではございません。貨物の問題につきましては、これもやはり本社の基本的な考え方としまして、貨物の小運送機関が荷馬車であったときからトラックの時代に変わっておりますので、今のようにそうたくさん貨物の駅を置く必要はないじゃないか、また、そういうことが経営上のロスにもなっておるのだから、貨物の駅というものを相当思い切って集約して、しかもサービスには支障を来たさないようにやるのにはどうしたらいいかというようなことを全国的に検討さしておりますので、それらの資料につきましては適当なときに御説明も申し上げ、また御意見も承りたい、かように思います。
  93. 生田宏一

    ○生田委員 中国は三月一日に実施という御方針でございましたんですよ。そうするとそれまでには地元にもがまんをさすところはがまんをさせて、また存置するところは存置するというように、やはり調整をとらなければおさまらぬ問題だと思います。間に合うように資料を出してもらうか何らかしてもらいまして、この次の委員会にはもう一ぺんみんなで意見を出し合ってみたいと思います。      ————◇—————
  94. 平井義一

    平井委員長 次に、海運に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  95. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんから簡単にお尋ねを二、三申し上げます。     〔委員長退席、川野委員長代理着席〕  まず第一に、先般新聞でも報道されましたが、板谷商船の所属船である弥彦丸のいわゆる船体破損といいますか、このことが一つ。さらにもう一つは、最近報道されたことでありますが、太平洋漂流の富山丸、これは練習船のようでありますが、この富山丸の船体もどこかへ亀裂が入って、セメントをもらって埋めたがこれはどうにもならぬというようなことの二つの事件が相次いで起こっておるわけです。  まず一点最初にお尋ねしたいのは、この板谷商船の弥彦丸の船体検査はどこでだれが幾日にやったのか、その船体検査なるものではたして今回の事故のような点は気がつかないものであるかどうか。また練習船富山丸の方は、やはり同様出港時において完全な船であったのかどうか、こういうことが発見できない検査があり得るのかどうか。こういう点について一つ説明願いたい。
  96. 水品政雄

    ○水品政府委員 最初に弥彦丸の件でございますが、これは御承知と存じますけれども、昨年の七月から係船をいたしておりまして、昨年の十一月に相生市の播磨造船所で修繕を行なっております。その間船体、機関等につきましては日本海事協会の検査を受け、検査は十二月五日に終了いたしております。検査員の氏名は林孝治という人でございます。この検査員は、昭和九年に大阪帝大工学部の造船学科を卒業されまして、その後二十五年ごろまで川崎造船所等におきまして船舶の建造技術並びに船舶検査関係業務をずっとやっておった方でございますが、それが昭和二十五年以来日本海事協会の検査員といたしまして、各所を回って、現在相生市駐在の検査員をやっている人でございます。  この検査においてこういう状況が発見できなかったかどうかという御質問だったと思いますが、ちょっと説明的になってまことに恐縮でございますけれども、この検査は定期検査という検査を受けております。検査には中間検査と定期検査の二種類ありまして、四年口に定期検査と称しまして相当精密な検査をやるような姓前に、全世界的になっているのでございます。この定期検査におきましはどのような検査をやるか、政府の概則にもまた日本海事協会の規則にも相当詳細に規定しておるのでございます。ただ実際の検査の運用にあたりましては、同じ船齢の船でございましても、航路とか使用材料等によって一がいに機械的に基準をきめることはむずかしいの、でございまして、検査員の経験、技術に依存して判断する事項が非常に広くなっております。     〔川野委員長代理退席、生田委員長代理着席〕  そこで、この船の検査にあたりましての概要について今まで調査いたしたところでございますと、また手元に検査報告書の写しもございますが、そういうものを見ますと、普通の定期検査において行なうべき検査の手法は間違いなく行なっておるものと私どもも現在の段階では考えております。しかしなぜそういう方法でしからばこういう状況が発見できなかったか、こういう問題になると思いますが、この事故の大きな問題は、鉄板に穴があいたというケースが一番大きな問題であります。これは数カ所ございますが、そういう鉄板に穴があくような状況を発見する方法といたしまして、普通鉄板に試験のための穴をあけまして計測するという方法が原則的にとられております。それから、さっきも申しましたように、検査員の経験、技術に信頼しまして、その船の状況を見ましてこの部分が悪かろうというようなところをテスト・ハンマーでたたいて回る、そうすると大体是か非かという見当がつく、少なくともそれだけの経験は検査員は持っておるのでございますけれども、穴のあいた部分がほとんど中側に船の肋骨とか縦逸材等の取りついている部分でありまして、たたいてもわかりにくい部分ばかりでありますので、そういうような手法では実際にこれはわからなかった、こう思います。そこでこういうものについては大きなハンマーで両面からたたいて、すっかりさびを落とした状態であればあの状態はわかったはずでございますけれども、普通のやり方といたしましては必ずしも全面的にそれを従来は行なっていなかったわけでございます。そこで重複したようなことを申し上げますけれども、検査においては、普通の検査の手法は完全に施行されたが、あの船が戦時中にできた船で、相当特殊の、状況が悪かったということに対する認識があるいは少し不十分であったのじゃないかというふうに私ども考えておるのでございます。  次に富山丸の件でございますが、これは所有者が冨山県の船でございまして、漁業の練習船でございます。それで冨山市の日本海重工で建造されておりまして、進水いたしましたのは二十七年十月でございますから、まだ船齢の非常に若い船でございます。それで一般的に考えまして、腐食とか衰耗によって船底に穴があくということは常識的には考えられません。私どももそういう経験が今までございませんでした。  それから、現在まで電報等で承知いたしておりますところでは、場所がキールのそば——キールというのは船の一番底の厚い板でございますが、それの近くに穴があく、それのケースも衰耗等のことで起こるということは非常に少ないのであります。水中にあります厚い板でございますので、最も腐食の少ない部分でございます。そこで現在の報告だけでは私どもどういう原因かということを断定することが全然できないのでございますけれども、溶接船でございますので、あるいはその部分に溶接の不具個所でもあったのか、そこに事前にドックその他で何か当たって少し無理がいっておったのが、しけにあってああいうことになったのか、これは全く想像でございますけれども、この問題につきましても、いま少し船の状況がよくわかって参りませんと、原因が何であったろうかということが実は申し上げられない段階でございます。
  97. 久保三郎

    久保委員 今お聞きしていると、日本海事協会の所属の検査員が検査をしたというのですが、海事協会と政府との関係というか、運輸省船舶局ですか、その関係はどうなっているのですか。これは私よく知りませんからお尋ねするのですが、これが一つ。それからもう一つは、この練習船冨山丸の方は二十七年に進水したばかりであって、ボロ船というわけではない。だからこれは建造時において問題がありはしないか、こうしろうと判断するわけなんです。それからもう一つの弥彦丸の方は、今テスト・ハンマーその他で打ったのではわかりにくいと、こう言う。局長、時代は進んでいるのでありまして、中身を見る場合には、鋼材を見る場合でも、アイソトープをもって見るとか、いわゆるレントゲン投射をするとかいう方法がある時代に、こういうことをやっておらぬということ自体がおかしいのではないか。だからここで一点聞きたいのは、従来のテスト・ハンマー雅度でたたいてわかるような、勘にたよる時代ではもうない。しかも生命財産を運ぶ船なんだから、こんなでたらめきわまりのない検査は私はないと思う。出ていって帰りに荷を積んでからおかしくなったというのなら別だが、この弥彦丸のごときは途中ですでに浸水してきたというのでしょう。これは問題だと思うのですよ。わからなかったといえばそれまでの話でしょうが、こんなばかな話はないと思うのでありまして、検査の方法を改善する必要が私は当然あると思う。それからこの富山丸にしても、建造時の検査が粗漏ではなかったか。これは帰ってきてからよく調べてもらいたいと思うのです。いずれにしても海事協会はいかなるものか、まず一つ聞きたいと思う。
  98. 水品政雄

    ○水品政府委員 船舶安全法というのかございますが、それが日本全体の検査の全般をあれしております。その第八条によりまして、運輸大臣が認めた船級協会が船級をつけるということがございますが、御承知のように航洋船はほとんど全部各国とも船級をつけているわけでございます。日本船の場合は現在ほとんど一〇〇%日本海事協会で船級をつけておりますが、その船級をつけておる船で、そしてその船級が継続している間は日本海事協会のやつた検査については政府がやったものとみなす、こういう条文があるのでございます。従って、木船を例にとってみますと、これは海事協会の船級船でございまして、所定の検査を済ませ、そして船級が継続いたしておりますのと、継続しております間は政府がその船舶安全法に基づく検査を実施しているものとみなすということで、政府は検査をやっておらないのでございます。もちろんそれは船体、機関等でございまして、救命設備とかこういうものにつきましては海事協会が認める範囲に入っておりません。この部分につきましては政府が直接やっております。  それから第二点でございますが、富山丸は建造中に何か欠陥があったのではないかというお話でございますけれども、これも私、ちょっと先走った私見を申し上げましたので、実は帰ってきてみませんと、あまり想像でものを言えないと思うのでございますけれども、溶接船におきましては、ことにこういう小さい船の溶接というのは大型船の溶接よりも御承知のように非常にむずかしいのです。そうして溶接の長さというものが、この船だけでも何万メートルというものがございますので、それについて、検査はもちろん精密を期しているのでございますが、こういうケースも非常に少ないのでございます。あるいは外貌その他に全然異常はなかったのだが、多少の欠陥があったところに物が当たったというケースじゃないかと思うのですけれども、これは一つ実際に帰ってきた上で調査してからでなければ、正確なお答えが現段階ではできないと思うのでございます。  それから第三点の弥彦丸の検査の手法でございますが、これもごもっともでございまして、現在いろいろな計測機械がございますが、厚みをはかるというようなことに磁気探傷等の方法もないではないのでございますけれども、これはなかなか手軽にといいますか、これをやる作業がなかなか大へんなことでございます。すべてに足場を作って、新造船の足場のような状況にいたしまして計測するというようなことは、実際問題として時間的に非常にむずかしい問題がございますのと、それから私ども確かに非常に幼稚な方法ではございますけれども、今鉄板の厚み等を計測するというのは、各国とも全世界的に先ほど申し上げましたような手法で、そしてこういう事態がそう起こっているわけではないのでございまして今の段階ではこれを科学化するというような方法を急に進めることは実情としては非常にむずかしいと思うのでございます。ただ、それに対する対策でございますが、これはさっきも申し上げましたように、戦時標準船でございます。これは非常に特殊なケース考えるのでございます。これが戦時中の、材料のまた特に悪いものが使われていたような船がたまたま当たったのではないか、こう思われますので、そうした戦時中のその船一ぱいだけを対象に、もちろん検討しなければなりませんけれども、さらに戦標船全般につきまして現在の状況を徹底的に調査し、これに対する対策を早急に立てるということで、この事件の前から多少の手はつけておったのでございますけれども、この事件を契機に、私ども関係者を組合いたしまして、急速に今それを進めているのでございます。そうして、こういう全般の問題としてこれをやはり見ていかなければならないのじゃないか、かように考えている次第でございます。
  99. 久保三郎

    久保委員 科学的な検査の方法はとても無理だ、こういうお話のようであります。私はしろうとだからそれに対する反論もございませんが、とにかく現実に検査官が検査して一カ月足らずのうちに船はもう水が漏るというような検査自体どんな欠陥があるか、もしも沈没したらだれが責任を負いますか。運輸省が責任を負うのですか。検査の結果は心配なかった、その船が出ていった、水が漏って沈んでしまったという場合どうなんです。これは検査官が責任を負うのですか。大体海事協会と船主との関係はどうなんです。特殊な関係があるのですか。海事協会はどういう法人ですか。
  100. 水品政雄

    ○水品政府委員 海事協会というものは、御承知のように国際的に船級協会というものが各国にございます。有力なものには英国のロイド協会、それからアメリカアメリカン・ビューロー・オプ・シッピング——ABと称しておりますが、それからフランスにもノルウエーにも、有力海運国はほとんど自分の船級協会を持っておりまして、そして自国船の船級を主としてつけているのが慣例でございます。日本におきましてもずいぶん歴史は古いようであります。明治時代から名前は使っておった、スタートしておったようでございますけれども、正式に政府の検査の代行という言葉は当たりませんけれども、さっき申しましたような筋の代行的な用務をやるようになったのが、現在の船舶安全法が施行された昭和八年からでございます。それで非常に有力な経験のある検査員、さっきも申しましたような検査員、相当現場にも経験があり、そしてそれをまたさらに訓練してりっぱな検査員を備えている私ども信頼できる協会というように現在考えているわけでございます。
  101. 久保三郎

    久保委員 それでこの弥彦丸については、第十五次計画造船でスクラップにすることに予定されていたのだそうだが、その選から漏れてまた引っぱり出したというように新聞は報道しているのだが、それはその通りですか。
  102. 朝田靜夫

    ○朝田政府委員 この船をスクラップにするということを申し出て、十五次計画造船の申請をしたことは事実でございます。十五次造船では御承知のように選考に漏れまして、新造船をするかわりにこの船をつぶすことにはならなかったわけであります。
  103. 久保三郎

    久保委員 特にそういう今のようないきさつのある船を、さらに係船を解いて出航させるというときの検査でありますし、これは戦標船で、それでなくても悪い船だという定評があれば、検査官は当然特殊な入念な検査をしなければならぬはずです。また検査の結果そういうものがわかれば、どんなに船主からの要求があってもこれに応じてオーケーを与えるべきではないと思う。ところがどうも今までのいきさつを聞いてずっと類推いたしますと、何か検査官は優秀であった——優秀ならわかるはずだ。検査の方法はあまり進歩はないにしても、長年やっているのだから検査官に見つからぬはずがない、そういうことで検査官がオーケーをしたのではなかろうかということが一つ出てくるのです。こういうことが今まではあまり表面に出なかったが、たまたこのま弥彦丸が出てきたということではなかろうか。もしそうだとすれば、これは大へんなことだと思う。だから私ははっきり言うが、この検査官の責任はやはり追及さるべきだ。  それからもう一つお尋ねしたいのは、この船長以下途中で船主に電報を打ったが答えはない。答えは何かというと、二回目打ったら、下船すると言ったら、そのやめる者はだれだ、名前を知らせろといってきた。こういう船主はいい船主かどうかということ、これから海運業をやらせるのに適当な船主かどうかというふうに考えるのです。どういうふうにお考えでしょうか。
  104. 朝田靜夫

    ○朝田政府委員 私どもも今御指摘になりました事実を調査いたしましたところが、退職者を知らせという電報を打ったことも事実でございます。まことに海運企業の近代経営としては残念な経営態度であったと私は思います。そこで、こういうものをやめさせるかどうかということでありますが、法律上の問題としては、海運企業は御承知の通り届出制でやれることになっておりますが、これはむしろ良識のある経営態度を期待するように行政指導していくよりほかに方法はないと私は考えております。
  105. 久保三郎

    久保委員 この会社、板谷商船は今までも計画造船に乗って、あるいは利子補給をもらっているんですけれども、しかし今まで補給された利子は大体返したと思うのです。だから政府からの助成その他は今のところないと思う。ところが経理状況は、収支の方はかなりほかの会社に比べれば——会社の規模はどうかわかりませんが、ほかの一般的な会社に比べればいい方だと私は見ているのです。簡単に言えばもうかる。もうかるか、もうからないかは別にして、常識的にほかの会社よりいい。そういういい反面、無理しているというか、こういうことをやっている。当然直さなければならぬ船も直さぬで、いわゆる船員を酷使している。酷使しているというより、もっとひどい、命を投げ出すまでやらせろ、こういうことを強要している常識はずれな船主です。ですから、こういうものは今度の計画造船にも考える必要がある。これは当然今度提案になります利子補給の問題、これも問題なんです。前時代的な経営方針でやっているところに、こんな利子補給の九億も十億もやる必要はないと私は思う。まず第一にこれらの態度が改まらない限り勝手にしろという形になると思う。こういうものはほんとうに前時代的な経営者だと思うのです。しかもこれは船舶局の方では船舶安全法に基づいて乗組員の全部から申請があったからという形で調査することになったのでしょう。そうでしょう。船主からの問題じゃない。そういうところからいっても、こういうことをやらせた場合には、こういうもの運航させた責任といいますか、船舶安全法を無視した場合には、この船主は処罰になるのですか、罰則規定はあるのですか。
  106. 水品政雄

    ○水品政府委員 十分調査しないとわかりませんけれども、船主の責任として、非常に重大な欠陥がありとすれば、条文があったかもしれぬと思うのですけれども、私の今の記憶では、そういう船主を処分する条文はないように記憶いたしておりますが、調査をいたしましてお答えいたします。
  107. 久保三郎

    久保委員 一般的には刑法にも私は触れるように思うのです。当然その途中で手配すべきものを手配させないで、それを満身創痍で帰港させたというようなことも、これは幸いなことに港までたどりついたけれども、途中でこういう手配をしてくれと言ったのにかかわらず、やらぬというようなこと自体にも、私は刑法上の問題がありゃしないかと思うのです。これは厳重に処分すべきことではなかったかと思う。それから検査官も当然私は責任を問われるべきではなかったかと思う。わからぬということでは許せません。そんな検査官ならば、一検査官だけでなくて、この海事協会そのものも私は問題だと思う。これはあとでよく調べまして、どういうふうに事後処理をするのか、一つあらためてこの次にお聞きしたいと思います。  それから富山丸のことでありますが、これは高等学校の、水産学校といいますか、その生徒が乗り組んで行ったと思うのでありますが、新しい船にもかかわらずそういうものが出たということについて、これは大へんなことだと思うのです。これも県当局あるいはその船長なりそういうものをちゃんと究明すべき点はきっちり究明してほしいと思う。いいかげんで解決すべき問題ではないと私は思います。だからこれをまず第一に再確認しておきますが、船主に対する責任を船舶当局としては厳重にやはりやるべきものはやるという態度をとってほしいし、それからもう一つ、これはどちらになるか知りませんが、船員局の方になると思いますが、船員の身分その他の問題でもこういう問題はあると思う。きょうは船員局はおいでになっておりませんけど、これはここを通して一つ徹底的に究明してほしい、こう思います。時間もありませんし、なお真相がわかり次第、全部その資料は本委員会を通して提出してほしい、こう思います。  以上で質問を終わります。
  108. 生田宏一

    ○生田委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時十六分散会