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1960-02-10 第34回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十日(水曜日)委員長指名で 次の通り小委員及び小委員長を選任した。  都市交通に関する小委員       天野 公義君    生田 宏一君       川野 芳滿君    關谷 勝利君       高橋清一郎君    塚原 俊郎君       井岡 大治君    久保 三郎君       菊川 君子君    土井 直作君    都市交通に関する小委員長                 川野 芳滿君 ————————————————————— 昭和三十五年二月十日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 川野 芳滿君    理事 關谷 勝利君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 島口重次郎君    理事 土井 直作君       宇田 國榮君    高橋清一郎君       竹内 俊吉君    三池  信君       村瀬 宣親君    下平 正一君       館  俊三君    正木  清君       山花 秀雄君    内海  清君       菊川 君子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 楢橋  渡君  出席政府委員         運輸政務次官  前田  郁君         運輸事務官         (大臣官房長) 細田 吉藏君  委員外出席者         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 二月四日  委員杉山元治郎君及び中崎敏君辞任につき、そ  の補欠として下平正一君及び淺沼稻次郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  山花秀雄君が議長の指名委員に補欠選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年度運輸省及び日本国有鉄道関係の  予算等に関する説明聴取      ————◇—————
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。  昭和三十五年度運輸省及び日本国有鉄道関係予算等について、政府当局より説明を聴収いたします。楢橋運輸大臣
  3. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 昭和三十五年度の運輸省関係予算の大綱について御説明申し上げます。  初めに今回の予算規模につきまして申し上げたいと存じます。  まず一般会計予算について申し上げますと、歳入予算総額は十六億六千四百八十六万五千円、歳出予算総額は四百五十三億五千八百八十五万九千円であります。今三十五年度歳出予算総額を前年度に比較いたしますと、八十四億三千百三十二万三千円の増額であり、二三%という顕著な増加率を示しております。さらに政府全体の歳出予算規模中における当省関係予算の比重を見ますと、三十五年度は二・九%を占め、前年度に比較して〇・四%の増加を示しており、わが国財政中における当省関係予算の占めます地位が漸次向上しつつあることを示すものと存じます。  歳出予算増加額の内訳を申しますと、行政部費系統におきまして二十九億九千八百六十九万六千円の増額であり、公共事業費系統におきまして五十四億三千二百六十二万七千円の増額となっておりますが、このうちには、両系統を通じ定員二百八十一人の純増が含まれております。なお、今申し上げました歳出予算のうちには、北海道港湾事業費等他省所管予算四十九億四千五百九十五万一千円が含まれております。  次に特別会計予算につきまして申し上げますと、木船再保険特別会計歳入歳出予定額は前年度より若干増額されまして二億八千二百七万三千円となり、自動車損害賠償責任保険特別会計歳入歳出予定額は、保険に付した自動車両数の増加保険料率の改訂に対応し、定員十二名の増加分を含め前年度に対して約十億円が増額された結果、四十億三千四百五十九万二千円となり、また三十四年度より設置された特定港湾施設工事特別会計歳入歳出予定額事業量の増大に伴いまして、定員七十四名の増加分を含め前年度に対して約十七億円が増額された結果、九十五億九百七十万一千円となっております。なお、このほか三十五年度財政融資計画中には、運輸省関係分として約二百二十五億円が予定されております。  以上をもちまして予算規模についての御説明を終わり、次に三十五年度の運輸省関係予算重点事項についての御説明に移りたいと存じます。  御承知の通り、三十五年度における経済運営基本的態度といたしましては、高水準に達した三十四年度経済のあとを受けて、世界経済動向に即しながらさらに着実な安定成長の実現をはかりますことを目標として、経済体質改善施策重点を指向し、日本経済長期的発展基盤の充実に努めることにいたしたいと存ずるのであります。  当省におきましても、この趣旨に従い、経済発展については輸送力がむしろ先駆となるべきものと判断し、港湾等交通基礎施設整備を推進することによりまして、産業基盤強化するとともに、国土保全対策一環となし、また海運航空及び観光による貿易外輸出振興をはかることによりまして、国際収支改善に資する所存でございます。  以上の趣旨によりまして、今回の予算におきましては、経済発展に先行する輸送力整備増強国際収支改善に寄与する貿易外輸出振興国民福祉向上のための交通安全の確保、災害の防除及び海上治安確保並びに運輸関係科学技術振興等の諸施策重点を置き、これらを積極的に推進することといたしております。  以下、重点施策別に要旨を御説明いたしたいと存じます。  まず輸送力増強に必要な経費についてでありますが、その歳出予算総額は二百十二億九千七百二十万一千円であり、このほかに財政融資として六十億円を予定しております。  このうちおもな事項といたしましては、第一に、特定港湾施設工事特別会計による港湾整備に必要な経費として、一般会計よりの繰入金を四十二億一千百七十万円計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、十二億二千七百九十万円の増額となっております。本特別会計事業といたしましては、歳入歳出予定額九十五億九百七十万一千円の規模をもちまして、輸出港湾として横浜港ほか五港及び一航路、石油港湾として千葉港ほか一港、鉄鋼港湾として室蘭港ほか九港、石炭港湾として苫小牧港ほか入港について港湾施設緊急整備を行ないますとともに、伊勢湾台風の被害にかんがみ、名古屋港ほか一港について伊勢湾高潮対策事業を行なう予定であります。  第二に、一般会計による港湾整備に必要な経費として百六十三億一千七十七万三千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、三十八億一千二百六十五が四千円の増額となっております。これによりまして、三十五年度は、前年度に引き続き特定重要港湾等主要港湾整備を強力に推進いたしますが、これとともに今回は、特に国土保全対策一環として海岸保全対策伊勢湾高潮対策地盤沈下対策災害復旧対策等の諸事業を飛躍的に強化するために必要な経費として六十億四千六十万円を予定しております。  以上申し上げました通り、三十五年度における港湾関係予算は、一般会計特別会計とを通じ、国庫負担として前年度に比較して五十億四千五十五万四千円の純増を予定しておりますので、これによる事業量の急速な増加に対処するとともに、台風防災体制整備しますため、本省に防災課臨時派湾調査設計室とを新没することにいたしております。  第三に、国内旅客船公団強化に必要な経費として、大蔵省所管産業投資特別会計中に二億円を計上するとともに、資金運用部資金よりの融資五億円を予定しております。これにより三十四年度に新設された公団の業務運営円滑化をはかり、三十五年度は約五十隻、四千六百総トン程度建改造を進める予定であります。  第四に、国内空港整備に必要な経費として五億二千五百万円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますると、八千三百六十七万五千円の増額となっております。これによりまして、既定空港としては、広島空港のほか九空港整備を続行いたしますとともに、新規空港としては名古屋ほか三空港整備に着手し、また新潟ほか一空港災害復旧を行なう予定であります。  次に、貿易外輸出振興に必要な経費といたしまして、その歳出予算総額は三十八億三千三百九十七万百千円であり、このほかに財政融資として約百六十五億円を予定しております。  このうちおもな事項といたしましては、第五に、外航船舶建造及び主機換装に必要な資金として、開発銀行よりの融資百四十五億円を予定しております。これによりまして、三十五年度においては特に海運企業基盤強化に留意しつつ、拡大するわが国貿易規模に即応した外航船腹整備をはかる予定であります。  第六に、外航船舶建造融資利子補給に必要な経費として九億五千四百二十七万円を計上しております。本制度は二十八年度に制定された外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法に基づくものでありますが、三十二年度からは諸般の事情により実施を停止して参ったものであります。本制度は、外航船舶建造資金を融通する市中金融機関に対する利子補給を行なうことによりまして、海運企業金利負担を軽減し、海運企業基盤強化しますとともに、これに国際競争力を賦与しようとするものでありますが、今回は企業合理化を前提としてこれを支給する予定であります。なお、契約限度額としては二十七億四千百四十八万五千円を計上しております。  第七に、三国間輸送の拡充に必要な経費として、三国間輸送助成金に六億九千万円、船員海外厚生施設整備費補助金に一千万円、計七億円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと二億円の増額となっております。これによりまして、前年度に引き続き三国間輸送を促進し、国際収支改善をはかるとともに、近海における過当競争の排除にも資したいと存じます。  第八に、移住船運航費補助に必要な経費として七千七百八十一万六千円を計上しております。前年度においては外務省所管に計上したのでありますが、今回はこれを千五百二十五万六千円増額し、足輪省所管運航補助に切りかえたものであります。  第九に、国際航空事業に対する出資として大蔵省所管産業投資特別会計中に五億円を計上しております。日本航空株式会社は三十五年度以降、新規路線の開設及び既設路線ジェット機化等の推進により、国際競争力強化を企図しておりますが、このためのジェット機追加購入等に対し、三十五年度に必要な資金の一部に充当させるため、前年度と同額の政府出資を行なうものであります。なお、これとともに同社の発行する社債については、二十億円を限度として債務保証を行なうことにしております。  第十に、国際空港整備に必要な経費として十三億一千九百万円を計上しておりますが、これを前年度に比較すると二億九千八百二十万七千円の増額となっております。このうち東京国際空港につきましては、十一億一千九百万円を計上しており、三十五年度においては滑走路新設等に着手し、航空交通量の増大と大型ジェット化への移行の趨勢に対処する予定であります。また大阪国際空港につきましては、二億円を計上しており、三十五年度においては滑走路の新設に着手し、東南アジア方面への国際航空路線空港として整備しようとするものであります。  第十一に、日本観光協会補助に必要な経費として二億一千三百四十万円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、千三百四十万円の増額となっております。これによりまして、三十四年に特殊法人に切りかえられた日本観光協会海外観光宣伝活動整備充実いたし、三十五年度においては、シカゴに海外事務所を新設しますとともに、海外宣伝資料作成費増額し、海外観光客積極的誘致を推進する所存であります。  第十二に、ユースホステル整備に必要な経費として、地方公共団体ユースホステル整備費補助金に四千七百五十万円、新規国立ユースホステルセンター建設費に二千万円、計六千七百五十万円を計上しております。これによりまして、地方公共団体の設置するユースホステルを前年度に引き続き整備しますとともに、国内及び国際ユースホステル大会の開催、内外百少年の交歓等の場とするため、新規国立ユースホステルセンターを大津市に建設する予定であります。  次に、交通安全の確保災害防除及び海上治安確保に必要な経費についてでありますが、その歳出予算総額は二十六億三千七百六十三万二千円であります。なお、この金額には、さきに申し上げました国土保全対策一環としての港湾における災害防除関係経費は含まれておりません。  このうちおもな事項といたしましては、第十三に、航路標識整備に必要な経費として六億五千万円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、一億四千万円の増額となっております。これによりまして、三十五年度は前年度に引き続き、航路標識の新営を改良改修との両面において、その整備を促進する予定であります。  第十四に、海上警備救難体制整備に必要な経費として円億九千八百三十七万七千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますると一億六千二十四万一五千円の増額となっております。これによりまして、三十五年度は老朽巡視船艇を三隻代替建造しますとともに、警備救難用航空機を一機追加し、また老朽通信施設改良改修を続行する予定であります。  第十五に、自動車輸送秩序の確立及び事故防止に必要な経費として二億三千三百八十六万三千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、三千九百二十九万七千円の増額となっております。これによりまして、激増の一途をたどる自動車両数に対応し、検査登録要員確保をはかりますとともに、東京ほか一カ所に車両検査場を新設する等、車両検査場施設増強によりまして検査登録機能強化をはかる予定であります。また、これとともに街頭監査及び既存事業者の監査を強化することによりまして、違法行為の絶滅を期し、自動車輸送秩序の確立に努める所存であります。  第十六に、航空交通管制業務及び航空保安施設整備に必要な経費として二億八千七百五十一万八千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、一億三千四百二万二千円の増額となっております。これによりまして、三十四年度に百水側に移管された航空交通管制業務について自主的運営体制を確立しますとともに、ジェット機時代への移行の趨勢に対処して高々度管制用無線施設整備し、また航空保安施設飛行検査を自主的に実施するため検査用航空機を一機購入する予定であります。  第十七に、基礎的気象業務整備に必要な経費として四億五千九百七万円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、一億二千五百四万二千円の増額となっております。これによりまして、三十五年度は前年度に引き続き無線模写放送を初めとする気象通信整備拡充を行なうことによって予報精度の向上をはかりますとともに、名古屋気象用レーダーの新設、気象庁木庁舎の新営続行等により、基礎的気象業務体制整備を促進する予定であります。なお、これとともに、気象業務国際性にかんがみまして、東京—ホノルル間等国際通信施設整備し、気象資料国際交換体制をも整備する予定であります。  第十八に、防災気象業務整備に必要な経費として三億五千四十五万一千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと、三千九百六十二万円の増額となっております。これによりまして、前年度に引き続き、水理水害関係気象業務整備しますとともに、空港整備進捗状況に対応して、航空気象実務整備し、また前年度より着手した農業気象業務につきましては、前年度に比較して二千九百三十二万九千円を増額し、福島県の残部及び山形県の一部に対し新規に実施する予定であります。なお、これとともに、伊勢湾台風の経験にかんがみまして、新規防災気象官制度を設置し、防災気象業務の指導を強化する予定であります。  最後に、運輸関係科学技術振興に必要な経費についてでありますが、その歳出予算総額は三億六千四百四十七万三千円であります。  このうちおもな事項といたしましては、第十九に、原子力船の開発及び原子力平和利用に必要な経費として八千八百九十四万円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと二千四百三十五万二千円の増額となっております。本予算のほとんどは一応総理府所管となっておりますが、これにより三十五年度は、世界の動向に対応して、原子力船の開発に関する研究原子力平和利用に関する研究並びに放射能汚染実態調査を促進する予定であります。  第二十に、運輸機関高速化及び近代化に関する研究に必要な経費として、科学技術試験研究補助金が四千五百七十八万九千円、運輸技術研究所その他直轄研究機関経費が二億二千九百七十四万四千円、計二億七千五百五十三万三千円を計上しておりますが、これを前年度に比較しますと六千三百五十三万五千円の増額となっております。これによりまして、三十五年度は運輸技術研究所気象研究所及び海上保安庁水路部研究業務を拡充強化しますとともに、研究補助金を適切に運用することによりまして、増大する事故防止をも考慮しつつ、運輸機関高速化及び近代化の要請に対処する所存であります。なお、これとともに、台風防災関係研究体制強化するため、気象研究所台風研究部を新設する予定であります。  以上をもちまして昭和三十五年度の運輸省関係予算についての御説明を終わります。  次に、昭和三十五年度日本国有鉄道予算の概要につきまして御説明申し上げます。  三十五年度の予算の編成にあたりまして、三十五年度は三十四年度の経済情勢の好況が引き続き持続するものと考えて収入支出予算を組みました。また、三十四年度に引き続き、老朽施設取りかえ、輸送力増強及び近代化を主目標とする国鉄五カ年計画の第四年度として、この計画の達成に支障を来たさないように配慮したほか、東海道幹線増設工事の促進を考えて策定いたしました。  以下、収入支出予算につきまして、損益、資本及び工事の各勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定について申し上げますと、収入においては、鉄道旅客輸送人員は、対前年度四・二%増で四十九億四千万人、輸送人キロは一千百五十五億人キロとして旅客収入二千三十二億円を見込み、また鉄道貨物輸送トン数は、対前年度六%増で一億八千六百万トン、輸送トンキロは九百十二億トンキロとして貨物収入一千六百十九億円を見込んでおります。これらの旅客貨物輸送に要します列車キロは四億六千百万キロで、対前年度三・五%増となっております。以上の旅客貨物収入のほか、雑収入等を含めまして、収入合計は三千八百一億円となっております。  次に経営費について見ますると、人件費につきましては三十四年三月の仲裁裁定実施による増額のほか、三十五年度の昇給と期末、奨励手当合計二・七五カ月分を見込みまして、給与の総額は一千三百九十四億円といたしております。また物件興につきましては、節約に特段の努力を払うことにいたしておりますが、おもなものといたしましては、動力費四百十五億円、修繕費五百四十一億円を見込んでおります。これらを合わせまして経営費総額は二千八百八十九億円となっております。  以上の経営費のほかに、受託工事費四十億円、資本勘定への繰り入れ五百九十九億円、利子及び債務取り扱い諸費二百二十三億円、予備安五千億円を合わせまして、損益勘定支出合計は三千八百一億円となっております。  次に資本勘定について申し上げます。  収入といたしましては、先ほど申し上げました損益勘定から受け入れます五百九十九億円のほか、不用施設等の売却による八億円、鉄道債券五百二十五億円、資金運用部等からの借入金二百九十七億円、合計一千四百二十九億円を計上いたしております。  他方、支出といたしましては、このうち一千二百五十二億円を工事勘定に繰り入れ、借入金等の償還百七十二億円、帝都高速度交通営団等への出資五億円を予定しております。最後に、工事勘定について申し上げます。  三十五年度は五カ年計画の第四年度に当たりますので、五カ年計画中で工事のおくれております幹線輸送対策車両増備重点を置きました。また東海道幹線増設工事については、全線にわたっての着工を予定いたしております。  以下、工事勘定の内容について御説明申し上げます。  まず新線建設につきましては、前年度と同じく九十五億円を計上いたしております。東海道幹線増設費は、前年度より百七十七億円を増額いたしまして二百七億円を計上し、幹線増設工事の促進をはかり、東海道線輸送の行き詰まりを早期に解消いたしたいと考えております。  通勤輸送対策といたしましては、前年度に引き続き、東京付近三十四億円、大阪付近二十三億円、電車増価百両二十一億円、計七十八億円を計上いたしております。  幹線輸送対策といたしましては、北海道、東北、常磐線裏縦貫、北陸線、東海道山陽線、九州、その他で百七十七億円を計上いたしております。  幹線電化につきましては、現在工事中の東北本線、常磐線、山陽本線、宇野線、北陸本線及び鹿児島本線の電化のための工事費六十八億円のほか、これに伴う電気機関車十二両、電車四十三両、計十五億円を合わせまして、合計八十三億円を計上いたしております。  以上のほか、貨車三千五百両等の車両増備、諸施設の取りかえ工事、総係費等を含めまして、支出合計は一千二百五十二億円となっておりまして、これらに要します財源といたしましては、資本勘定から受け入れます一千二百五十三億円を充てることにいたしております。  以上御説明申しあげました日本国有鉄道予算は、今後の経済界動向にもよりますが、これに予定されました収入をしけ、予定工事計画を完遂するためには格段の努力が必要であろうと考えられますので、公共企業体としていま一そうの経営合理化をはかり、もって日本経済発展に資するように指導監督して参りたいと存じております。  以上、昭和三十五年度日本国有鉄道予算につきまして御説明申し上げました。  以上は予算案説明でありますが、この機会に運輸行政に関する所信の一端を申し述べたいと思います。  第一に、経済の見通しと運輸行政でありますが、アメリカを初めといたします世界経済は、昨年来の景気上昇に引き続き、今年も高水準を維持するものと予測され、いわゆる黄金の六十年と呼ぶにふさわしい繁栄の年となると見られておるのであります。一方、国内経済につきましては、昭和三十四年度実質一三%という高い成長率が見込まれておりますにもかかわらず、国際経済の順調な拡大傾向財政金融面における適切な調整措置等にささえられまして、経済全体が高い水準において安定的均衡を保っておる次第であります。昨年来のこの拡大機運のあとを受けまして、三十五年度におきましても、日本経済は全体として引き続き順調に推移し、経済企画庁の予測によれば、実質六・六%程度の成長率が実現されるものと見込まれておるのであります。この目標を達成するためには、行政面におきましてもそれぞれ必要な施策を講じなければならぬわけでありますが、国民経済の成長をはかるために現段階において最も不要な施策は、海運鉄道港湾等産業基礎施設を充実させることであると信ずるのであります。かつて神武景気と称されました昭和三十一年当時において、輸送力が三大隘路の一つとなって、経済発展の重大なる制約的要因をなしたことは皆様も御存じの通りでありまして、経済活動の動脈である輸送力が再びその発展を阻害することのないようにわれわれは最大の努力を傾けたいと思うのであります。このことは私が就任以来、経済発展に先行する輸送力ということをしばしば機会あるごとに主張して参ったような次第であります。また、経済発展を安定的にならしめるためには、重要ないま一つの事柄は、国際収支の健全な拡大であります。生産活動を円滑にし、国民生活の水準を向上するために、日本経済はその多くを海外貿易に依存しなければならないことは申し上げるまでもありません。当省におきましても、この所管する産業部門である海運航空観光事業によるインヴィジブル・エクスポートをさらに増大させるとともに、船舶、鉄道、車両等の輸出の振興をはかり、もって国際収支改善に寄与するように努力する所存であります。なお、これに関連いたしまして、最近における貿易為替の自由化の趨勢をも十分に考慮しつつ、企業の安定を確保するため、適切な方策を実施して参りたいと思うのであります。以上の線に沿いまして、所管行政の各般について若干の所見を申し述べたいと思います。  第二に、海運でありますが、まず海運につきまして、懸案の利子補給予算を国会に提出いたしましたが、これは政府海運の育成について保護政策をとるのだという決意の表明であります。戦災について完全なる補償を実施した諸外国でさえ、手厚い助成を毎年行なっておるのでありますから、国際収支に占めるわが国海運の地位を考えるときに、これを助成すべきことは当然であるとわれわれは考えるのでありますが、多くの議論が存しておることは御承知の通りであります。しかし政府利子補給に踏み切り、さらに三国間助成金の交付を行なうに至ったことは、海運に対して並々ならぬ決意を示しておるものであります。海運企業もこの間の事情を安易に考えることなく、真剣な覚悟で、企業の再建、国際競争力強化をはかり、もって世論にこたえることが必要でありまして、こういう指導をいたしておるのであります。私は海運企業の指導監督にあたりまして、ことにきびしい態度をもって臨み、企業経営の合理化企業間の協調の促進を行なっていきたいと今後とも考えておるのであります。次に外航船腹の拡充につきましては、次年度財政融資の造船計画を可及的早期に実施いたしまして、その内容も優秀定期船の建造、船質改善の促進に重点を置きたいと考えております。  第三に、造船でありますが、海運企業につきましては、助成と指導の方向が一応確立されたのでありますが、今後の問題は、むしろ造船企業の安定対策にあると考えるのであります。もしこの市況の低迷がなお三年間継続した場合におきましては、三十二年度百八十万トンあったわが国の造船企業の受注量は、三十五年度以降は約六十五万トン程度に減少いたすのであります。その結果、船台の大半はからという状態に立ち至るのであります。従って造船所の労働問題につきましても深刻な事態の発生が懸念されるのであります。このため造船企業の安定対策といたしましては、次の諸点の実現に努力いたしたいと思うのであります。第一に、十六次造船を可及的すみやかに実施に移すこと。第二に、造船用鋼材及び機器用原材料の価格を国際水準まで低めるため、これらの輸入を自由にするとともに、造船関連工業製品の品質向上及び価格低減のため、格段の措置を講じたい。第三に、財政資金の援助によらないいわゆる自己資金船も、海運企業基盤強化を顧慮しつつ、その建造を促進すること。第四に、輸出船に対する延べ払い条件が、現在原則として七〇%、六年であるが、これらを八〇%、八年まで緩和することなどであります。しかしながら、やはり造船企業みずからの合理化努力並びに相互間の企業協調等が必要でありますから、その方面を十分に監督し、指導したいと思うのであります。  第四に、船員の問題でありますが、第一は海外船員の厚生施設であります。船員の労働条件の特殊性から、船員の福利の増進のために、上陸する港々に適当なる厚生施設を完備することは、船員の労働力の維持培養と労働能率の向上のため必要欠くべからざるものであります。特に海外の港に寄港した場合においてはその必要性はさらに大きなるものがあると思われまするので、運輸省といたしましては、本年度インドのカルカッタ及び米国のニューヨークに船員厚生施設を設置いたすべく取り運び中でありますが、三十五年度におきましては欧州方面に同様の厚生施設を設置いたす計画であります。次に、咸臨丸渡米百年記念の行事であります。また本年度は日米修好百年の記念すべき年に当たりますのでこれに関連する行事が多数行なわれますが、運輸省といたしましても、その一環として、咸臨丸の日本人船員の手による初の太平洋横断百年を記念いたしまして、航海訓練所の練習船二隻を米国に派遣し、先人の偉業をしのぶとともに、日米親善の一助に資することといたしたいと考えております。  第五に、港湾であります。港湾は道路と並んでわが国経済拡大発展基盤となるものであり、港湾設備拡充は重要な施策として推進することはもちろんであります。昨年の伊勢湾台風による激甚な被害にかんがみ、昭和三十五年度予算におきましては、港湾施設災害復旧港湾地帯の防災事業重点を置きつつ、五カ年計画の推進に努めることにしたのでありますが、いわゆる所得倍増の新しい長期経済計画の樹立に対応して、港湾事業の面におきましても、新しい長期計画の樹立につき検討いたしております。  第六に、国鉄であります。昭和三十二年四月、運賃一三%値上げに際しまして、国鉄は国民に対する公約として、老朽施設の取りかえ、輸送力増強及び近代化を主たる目標とする五カ年計画を策定し、実施して参りましたが、三十五年度はその四年目に当たるのであります。三十五年度予算を含めまして、その進捗状況は全体計画に対して六七%となる見込みであります。計画発足後の金融引き締めや景気下降の影響等により、資金確保に非常な困難があったことや、計画策定当初予定しなかった仲裁裁定等による人件費増加、資材の値上がりによる工事単価の増加等の悪条件が重なりましたが、工事はおおむね順調に推移しており、輸送力増強、サービス改善などに大きな効果をもたらしましたことは御承知の通りであります。今日、東海道幹道増設工事、動力近代化計画等、五カ年計画策定後発生した新しい事態に即応して、新計画を作成する必要に迫られておりますので、国鉄においては目下新長期計画の策定を準備中であります。運輸大臣といたしましては、長期的観点に立って日本国有鉄道事業を遂行することはその運営上必要であると思っておりますので、情勢の推移に即応するための新長期計画を十期に樹立する必要があると考えております。  次に第七としては、問題の自動車行政であります。わが国経済発展の過程において自動車輸送の占める役割はますます重要の度を加え、自動車保有台数も二百六十七万両余となるに至りました。この自動車保有数は、戦前最高の十二倍、終戦時の十九倍にも及ぶ膨大なものであります。このような自動車輸送の増大に伴い、自動車行政は輸送及び保安の両面において多くの困難な問題に当面しており、先ほど予算で御説明しましたように、機構及び要員を充実強化し、行政を強力に推進して参る必要があることは申すまでもありません。しかし一方、現在の自動者車行政及びその根拠法規が現実の自動車の需要の調整にマッチしているかいなかを、根本的に検討しなければならないときであると思います。そこで運輸省設置法を改正して、運輸大臣の諮問機関として自動車審議会を設置し、民間の学識経験者を結集して輸送及び保安の基本問題を討議し、自動車行政の進むべき方向を明らかにし、行政の刷新をはかりたいと考えております。また、陸運事務所につきましては、予算は国が支出し、職員の身分は国家公務員であり、その事務も、陸運局の行なう輸送行政と密接不可分のものでありながら、都道府県知事が形式的に事務の指揮監督権を有するというような現行制度は、事務の合理的、能率的遂行を阻害するものでありまして、ぜひとも陸運事務所を陸運局の直轄下部機関に改める必要があり、目下せっかく努力中であります。輸送行政につきましては、今国会に道路運送法の一部を改正する法律案を上程し、白タク、もぐりトラックのような、国法の定める輸送の秩序を乱す者に対する取り締まりを強化いたす所存でありますが、一方、自動車輸送に関する基本的諸統計を整備して、輸送の需給調整に万全を期し、かつまた都市における交通難の打開に努めたいと思っております。なお、昨年末以来発足した一人一車の個人営業タクシーにつきましては、その健全な育成をはかって参りたいと考えております。これを要するに、ますます発達する自動車交通に対しまして、自動車行政が決しておくれをとることのないよう、万般の施策を強力に推進いたす考えであります。  第八に、航空について申し述べます。国際航空のジェット化と将来の拡充計画でありますが、昨年四月におけるBOACのコメット四型の東京—ロンドン間の就航に次ぎまして、九月にはPAAのボーイング七〇七の東京乗り入れ、本年二月十七日にはAFの北極航空路に初のジェット機が就航するなど、民間航空界はいよいよ本格的なジェット機時代に突入した感が深いのであります。わが国でも、これらの国際情勢に対処し、今後の国際競争力強化をはかるため、三十年暮れに発注いたしましたDC—八型ジェット機四機をもって、本年夏ごろより太平洋線の一部をジェット化し、十二月ごろには太平洋線全路線と東京—香港線のジェット化を実現する計画であります。さらに本年一月には、DC—八型一機を追加発注いたしましたので、三十六年五月ごろの入手を待って、東京から北極経由欧州までの航空路を開設したい意向であります。また、東南アジア方面におきましても、外国航空会社との競争上、優秀な中距離ジェット機の投入を考慮しており、これらの機種を近く決定し、発注する所存であります。なお、三十六年度以降の計画といたしましては、南回り欧州線を開設し、終局的には世界一周路線の完成を目ざしたいと思っております。国内ローカル航空事業の育成について申し上げます。ローカル航空輸送事業は、創業以来赤字の累積で、全日本空輸株式会社の欠損今につきましても、本年度末までに相当の累積赤字が予想されている状態であります。このような現況並びに事業の性質が公共性の高い点とにかんがみ、政府といたしましても、従来から空港整備を促進して事業活動を容易にし、税制を合理化して経理負担を軽減し、所要資金のあっせんに努めるなど、積極的な育成措置を講じて参りました。また、日本航空株式会社と全日本空輸株式会社との提携強化をはかり、全日本空輸株式会社に対しましては、補助金を交付して航空機の仕様統一とその安全性の向上に努力いたしたのであります。今後におきましても、さらに両社の提携を強化して、ローカル航空運送事業の経営基礎の確立とその発展に努めたいと思います。  第九に、観光関係について申し上げますと、御承知の通りわが国を訪れる外人観光客は年を追うて増加し、またわが国において開かれる国際会議も、本年は列国議会同盟会議を初め多種多様にわたっております。従いまして、これらの情勢に対応する観光施設整備に努めるとともに、特に青少年の健全な旅行の推進をはかる所存であります。なお、三十五年度の計画といたしましては、シカゴに海外宣伝事務所を設置するほか、ユースホステルを八個所新設し、大津市にユースホステルセンターを建設すること等を考えております。  海上保安及び気象技術研究等につきましては、予算説明で詳しく申し述べましたので、ここでは省略させていただきます。  以上、運輸行政につきまして所信の一端を申し述べて参ったのでありますが、昭和三十五年度におきましては、今国会で御審議を願います予算及び法律に基づきまして、画期的な運輸行政を展開して参りたいと思いますので、どうぞ委員諸君も御支援下さいますように切にお願い申し上げる次第であります。
  4. 館俊三

    ○館委員 今所信表明のお話を聞いておったのですが、ただいま読まれた資料はここに配付になっておりませんね。
  5. 細田吉藏

    ○細田政府委員 その点についてお答え申し上げたいと思います。最初の運輸省予算説明と二番目の三十五年度日本国有鉄道予算の参考資料はお手元に差し上げております。それから、実は予算に関係はございますけれども、予算のほかに大臣としていろいろ運輸行政についての御説明を願った方がよかろうということで、私どもの方でいろいろ準備もいたしましたけれども、一応私どもの方は資料だけを大臣のお手元へお届けして、大臣のお考えでいろいろ取捨していただいてここでお話を願うということになっておりますので、大へん恐縮でございますが、あとからきょうのお話の次第をお手元にお届けさせていただきたいと思います。
  6. 館俊三

    ○館委員 大へんいい施政方針演説を聞いたのでありますが、これは万般に触れ、これからの運輸行政についての方向を示しておる。そこでそれを資料として、ほんとうは初めから出してもらいたかったのですけれども、あとからでもいいから、出す必要がある。今読まれたものを全部出していただきたい。  話のついでにもう一つお願いしておきますが、ここに船員法改正委員会における資料が出ております。これはほんの項目だけ書いてありまして、内容全般についてはこれを読んだだけではわからない。こういう資料じゃなくて、もっと内容に触れた資料が出るのか。出ないものとすればそれを出していただきたい。これも追加しておきます。
  7. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 これは、予算のこれに基づいた説明を、演説と言っては何だけれども、方針を言っておりますので、これによりまして逐次御審議を願う場合には全部資料を出すことにいたします。
  8. 館俊三

    ○館委員 これは大へん聞きごたえのある演説だと思った。そこで、あなたは責任のある部屋で責任のある地位でこれを言われるのだから、それを出す必要があると私は思う。
  9. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 気象関係についてちょっと言い落としましたが、気象につきましても、今度は伊勢湾台風等の川係がありまして、災害の予防という点について非常に努力する考えでありますから、御了承願います。
  10. 平井義一

    平井委員長 資料はあとから出させます。      ————◇—————
  11. 平井義一

    平井委員長 次に、本会期中に予定されております運輸省関係の内閣提出法律案について説明を聴取いたします。細田官房長。
  12. 細田吉藏

    ○細田政府委員 それでは、お手元に差し上げました第三十四回国会提出予定法律案件名表の順序に従いまして、現在予定いたしております提出法律案のきわめて概要につきまして御説明を申し上げます。全部で十六件ございまして、そのうちで予算を伴いますものが七件、その他が九件となっておるのであります。上の欄に米印のついております最初に固まっておりますのが予算関係であります。なお、あわせて提出の予定その他につきましてもつけ加えて御説明を申し上げたいと思います。  まず第一の運輸省設置法の一部を改正する法律案でございますが、これは海運局に、三十四年発足いたしました国内旅客船公団の監理官、これはほかの公団にも全部監理官というものがございますが、これを一人新たに置くということでございます。それから本省の付属機関といたしまして、自動車審議会を設ける。これは一年間の時限がついておるのでございますが、自動車行政の各般の問題につきまして、調査審議をしていただきますために、運輸大臣の諮問機関といたしまして、付属機関として自動車審議会を設けようとするものでございます。その他陸運局の日本国有鉄道に対する監督につきまして、昨年日本国有鉄道法の改正で入ったのでございますが、これはこれと平仄を合わせる意味で運輸省設置法に入れる等の技術的な小修正がございます。この運輸省設置法につきましては、衆議院、参議院とも二月五日すでに付託されておるのでございまして、審議は、衆議院の内閣委員会で近く提案理由の御説明を申し上げる段階になっておるのでございます。  次に二番目は、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の一部を改正する法律案でございまして、ただいま大臣の予算説明並びに先ほどからの所信表明にございました、いわゆる海運利子補給に関連する法律でございまして、昭和三十一年度まではすでに法律に基づきまして契約があるのでございますが、昭和三十二年度から三十四年度までの間に着工されました外航船舶につきましても、利子補給をいたす。このためには、過去に着工いたしましたもの、これの利子補給の契約を結ぶことができるということにすることが一番大きな点でございまして、この法案につきましても、予算関係でございますので、できるだけすみやかに国会にお出しできるような運びにいたしたいと思いまして、せっかく今最終の調整をいたしておるところでございます。  次に三番目の国内旅客船公団法の一部を改正する法律案でございますが、これはすでに前回の当委員会で二月三日に提案理由の説明をいたしておりますので省略いたしますが、資本金を二億円から四億円に増額するというものでございます。  次に日本国有鉄道法の一部を改正する法律案でございますが、これは東海道新幹線を建設するために、国際復興開発銀行から借り入れる外貨資金、これにつきまして、現在の日本国有鉄道法には所要の規定がございませんので、債権者の地位を保護する規定、その他いわゆる世界銀行からの借り入れという道を開くための、日本国手針道法の改正が必要であるということで出そうとするものでございます。なおそのほかに、東海道新幹線の仕事が本年から、先ほどの説明にもございましたように、約二百億の予算がつきまして、本格的に開始されるということのために、理事一名を増員するという内容の法案でございまして、これにつきまして、ごく最近に御提案できる段階になっておるかと思うのでございます。  次に南大東島における高層気象観測に必要な物品の譲与に関する法律案でございますが、これにつきましても、すでに御承知の通り、前回二月三百の当委員会において提案理由の御説明を申し上げましたので省略させていただきます。  以上が予算関係の法律でございます。  次にモーターボート競走法の一部を改正する法律案でございます。これは同法の第十九条によりまして、交付金制度の運用につきまして時限がきまっておるのでございまして、これが三十五年の九月三十日までとなっておるのでございます。従いまして、これを再検討いたしまして、競走の公正かつ安全な実施をはかる等の措置を講じようとするものでございます。競輪等の問題も同じ日に交付金制度の運用につきましては時限が参るという法律でございます。これにつきましては、ただいま政府部内におきまして他の省ともいろいろ相談をいたしておるところでございまして、まだ確たる成案を得ておらない次第でございます。  次に臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案でございます。これは有効期間が昭和三十六年の三月三十一日までになっておるのでございますが、これを四カ年延長いたしまして四十年の三月三十一日までにいたしたいというものでございまして、五百トン以上の船舶の建造を許可にかけておるのでございますが、これをさらに現在からいいますと約五年間になりますが、法律上は四年間延長する必要があると考えたため提案をいたしておる次第でございます。  次に道路運送法の一部を改正する法律案でございますが、道路運送法につきましては、各般の問題がございまして根本的な改正も考えなければならぬ段階であるというふうにしばしば当委員会等でも御指摘がございます。最も基本的な問題につきましては、さきに申し上げました自動車審議会等でもいろいろ御審議を願った上で進めたいと考えておるのでございまして、さしあたり今回提出しようといたしておりますものは、おもなものが大体二点ございまして、一つは運行の安全の問題でございます。一つはただいま大臣からもお話がございましたが、いわゆるやみ防止と申しましょうか、不法な自動車のいろいろな業態を現行法では十分取り締まり得ないというような点につきまして、これを明白にいたしたいというものでございます。これにつきましては、すでに最終的な案を得ておりますので、早ければ来週中くらいには提案ができるのではないかというふうに考えておる次第でございます。  次に道路運送車両法の一部を改正する法律案でございます。これはここに書いてございますように、自動車の使用の実態を確実に把握しまして、安全性を確保いたしますために、二輪の小型自動車及び軽自動車の車両番号標につきまして交付制度を設ける、それから軽自動車の使用の届出制度に関する規定を整備するものでございまして、自動車の安全、車両の安全という見地からの改正をいたしたいというものでございます。これにつきましても、道路運送法と並行いたしまして政府部内の最終的な段階にきておるのでございまして、できるだけすみやかに提案いたしたいと考えております。  次に航空法の一部を改正する法律案でございますが、これはやや技術的と申しましょうか、航空機の安全性、航空従事者の業務範囲、物件制限、そういった規定の現行法の不備を是正するという関係の事柄と、それから航空交通管制に関する規定、これがこちらへ昨年から移ったわけでございますが、この規定の整備をはかるということでございまして、内容といたしましては非常に技術的なこまごましたものがたくさんございます。詳細は省略させていただきます。これにつきましても、物件制限等で他の省との関係がございまして、若干の議論がございましたが、大体最終的な結論を得ましたので、これも遠からず提案できるという段階に至っておるわけであります。  次に捕獲審検所の検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、前に申し上げました二つと同時に三日に当委員会に提案理由の説明がございましたので、これまた省略いたします。  次に船員法の一部を改正する法律案でございますが、船員法につきましても、先ほど道路運送法について申し上げましたと同じと申しましょうか、根本的にいろいろな改正の問題があるのでございますが、今回は船員中央労働委員会からの船員法の改正に対する中間答申がございましたので、その中間答申の線に沿いまして部分的な改正をとりあえずいたす。中間答申でございますので、基本的な線につきましてはさらに船員中労委で御検討になっておりますので、その結論を待ってさらに第二段として根本的な改正を行ないたい。内容といたしましては、漁船に対する法の適用範囲を拡大する、それから行方不明の船員に対する手当の問題並びに予備船員の解雇予告及び解雇制限の制度を創設する等の改正をいたそうとするものでございます。  次に鉄道と道路との交差に関する法律案、通称踏切法案といわれているものでございますが、これにつきましてはここ二、三年来いろいろ検討いたしておるのでございます。踏み切り問題の重要性につきましては、もう当委員会でしばしば指摘されている通りでございます。鉄道と道路との交差の方式、それから立体交差施設及び踏切道の管理、費用の負担、それから踏切保安設備の設置、管理及び費用の負担、それから踏切保安人の配置及び職務権限、こういった踏み切りあるいは立体交差、そういった鉄道と道路との交差に関する基本的な法律をぜひこの際確立していただきたい、こういうことでございまして、本件につきましては政府部内、特に建設省と私どもの間で若干の意見の食い違いがございまして、まだはっきり見通しが立っておりませんけれども、いずれにしましても、この法律は当委員会でもしばしば御指摘がございますように、懸案になっているのでございます。何といたしましても本国会には政府部内の意見の調整をはかりまして、どうしても提案をいたしたいと私どもの方では強く決意いたしておるものでございます。  次に海岸法の一部を改正する法律案でございますが、これは大蔵、農林、運輸、建設四省の共同提案になっているものでございまして、伊勢湾台風の経験にかんがみまして、海岸保全施設災害復旧事業を主務大臣が海岸管理者にかわって直接みずからも施行できるということにしようとする法律案でございます。  次に公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案でございますが、これは国鉄、専売、電電、三公社の関係でございますので、大蔵、運輸、郵政、この三省の共同提案になっているのでございまして、前回は運輸省が担当いたしましたが、今回は郵政省が一応の窓口ということで三省の代表になってこの法案を進めていただくことになっているのでございます。御承知のように、公務員の共済組合法が公共企業体職員等共済組合法におくれまして実施されたのでございますが、これとの関連において公共企業体の方の共済組合法も変えなければならぬ点が出て参りまして、遺族年金の支給範囲の整備でありますとか、あるいは軍人恩給期間の組合員期間への算入、その他主としまして公務員共済組合法との関連で、組合員の地位を改善しようとするものでございます。  最後特定港湾施設工事特別会計法の一部を改正する法律案でございます。これは大蔵、運輸二者の共同提案になっているのでございますが、港湾特別会計におきまして、港湾管理者の負担金につきまして地方債証券による納付及びその資金的措置としての借入金を行なわないことといたしました。これに伴いまして特別会計の歳入及び歳出、予算及び決算の添付手数並びに当該借入金の借り入れまたは償還等に関する規定を整備しようとするものでございます。  なお最後特定港湾施設工事特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、大蔵省が一応両省を代表して出してくれることになっておりまして、政府部内の調整はすでに終わりまして、近く提案する運びになっております。前の二つにつきまして申し上げませんでしたが、海岸法の一部を改正する法律案並びに公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案は、ともに、政府部内としては意見がまとまりまして、それぞれ海岸法の方は建設省、それから共済組合法の方は先ほど申し上げました郵政省が代表をいたしまして、提案をいたすという運びになっておる次第でございます。  以上非常に概略でございますが、まで実は要綱も必ずしも最終案ができておらぬというようなものもございます。いろいろ進行状況が違うのでございますが、いずれにいたしましても私どもといたしましては、できるだけすみやかにこれらの法案につきまして御提案を申し上げたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  13. 井岡大治

    井岡委員 官房長にお尋ねをするのですが、このほかに法案を用意されておるかどうか、お尋ねをしてみたいと思います。
  14. 細田吉藏

    ○細田政府委員 実は私どもの方としまして省議で予定法律案として届け出をしておるものはこれだけでございます。そのほかいろいろな法案がございまして、研究中というようなものにつきましては、各局におきましていろいろたくさんございますけれども、一応私どもの役所全体として取り上げましたのは、ただいまのところこれだけでございます。
  15. 井岡大治

    井岡委員 その研究しているものにたとえばどういうものがあるか、一つこの際明らかにしておいていただきたい。
  16. 細田吉藏

    ○細田政府委員 先ほど申し上げましたが、道路運送法を、一応ここにも出ておりますが、さらにもっと拡大をした改正にするかどうかというような点は自動車局で検討いたしておりまして、できますならば、なるべく道路運送法の改正は大きい範囲にしたいということでございます。今話のまとまっているところはこの程度でございます。船員法につきましても、今ここに書いてありますほかに若干の研究はいたしております。それから鉄道関係につきましては、日本国有鉄道の運賃法をどうするかという問題が出ておりますけれども、これにつきましては、まだほんとうの研究というところであります。それから鉄道営業法でございますが、鉄道常業法につきましては、この委員会でもしばしば御議論もあったところでございまして、何しろ明治三十三年にできた非常に古い法律でありますが、ただこれは民、商法あるいは刑法というものと直接つながるような非常に大きな法案でございますので、相当長期にわたって鉄道監督局で研究してもらうことになっております。ほかにもあるかと思いますが、ちょっと私の気がつきましたところではその程度であります。      ————◇—————
  17. 平井義一

    平井委員長 この際お知らせいたします。去る三日の委員会において都市交通に関する小委員会を設置することと決し、その小委員及び小委員長の選任は委員長に一任されておりますので、この際御報告いたします。  小委員長には川野芳滿君。  小委員には       天野 公義君    關谷 勝利君       高橋清一郎君    塚原 俊郎君       生田 宏一君    井岡 大治君       菊川 君子君    久保 三郎君       土井 直作君 以上であります。  次会は来たる十七日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時四十五分散会