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1959-11-24 第33回国会 参議院 風水害対策特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月二十四日(火曜 日)    午前十時三十九分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     郡  祐一君    理事            稲浦 鹿藏君            重政 庸徳君            田中  一君            成瀬 幡治君            小平 芳平君            向井 長年君            森 八三一君    委員            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            江藤  智君            上林 忠次君            木村篤太郎君            古池 信三君            小山邦太郎君            斎藤  昇君            仲原 善一君            西川甚五郎君            山本 米治君            吉江 勝保君            米田 正文君            大倉 精一君            清澤 俊英君            栗山 良夫君            小酒井義男君            藤田藤太郎君            安田 敏雄君            大竹平八郎君   国務大臣    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君   政府委員    厚生大臣官房長 森本  潔君    厚生省社会局長 高田 正巳君    厚生省児童局長 大山  正君    厚生省保険局長 太宰 博邦君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省農地局長 伊東 正義君   説明員    厚生省医務局長 黒木 利克君    厚生省年金局長 小山進次郎君    食糧庁総務部長 岡崎 三郎君    水産庁次長   高橋 泰彦君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和三十四年七月及び八月の水害又  は同年八月及び九月の風水害を受け  た者等に対する福祉年金支給に関  する特別措置法案内閣送付予備  審査) ○昭和三十四年七月及び八月の水害又  は同年八月及び九月の風水害を受け  た者に対する母子福祉資金貸付に  関する特別措置法案内閣提出、衆  議院送付) ○昭和三十四年七月及び八月の水害又  は同年八月及び九月の風水害を受け  た地域における公衆衛生の保持に関  する特別措置法案内閣送付予備  審査) ○昭和三十四年八月及び九月の風水害  を受けた社会福祉事業施設災害復  旧費に関する特別措置法案(内閣送  付、予備審査) ○昭和三十四年七月及び八月の水害又  は同年八月及び九月の風水害を受け  た都道府県災害救助費に関する  特別措置法案内閣提出衆議院送  付) ○昭和三十四年七月及び八月の水害又  は同年八月及び九月の風水害に際し  災害救助法が適用された地域におけ  る国民健康保険事業に対する補助に  関する特別措置法案内閣送付、予  備審査) ○昭和三十四年八月の水害又は同年八  月及び九月の風水害を受けた医療機  関の復旧に関する特別措置法案(内  閣送付予備審査) ○昭和三十四年九月の暴風雨により塩  害を受けた農地除塩事業の助成に  関する特別措置法案内閣提出、衆  議院送付) ○昭和三十四年七月及び八月の豪雨、  同年八月及び九月の暴風雨又は同年  九月の降ひようによる被害農家に対  する米穀の売渡特例に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○昭和三十四年九月の風水害を受けた  漁業者共同利用に供する小型の漁  船の建造に関する特別措置法案(内  閣提出衆議院送付) ○天災による被害農林漁業者等に対す  る資金融通に関する暫定措置法の  一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○昭和三十四年七月及び八月の水害又  は同年八月及び九月の風水害を受け  た農林水産業施設災害復旧事業等  に関する特別措置法案内閣提出、  衆議院送付) ○昭和三十四年八月及び九月の風水害  による任意共済に係る保険金の支払  等にあてるための資金融通に関す  る特別措置法案内閣提出衆議院  送付)   ―――――――――――――
  2. 郡祐一

    委員長郡祐一君) これより風水害対策特別委員会を開会いたします。  厚生省関係法律案審査いたします。去る二十一日付託になりました昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた者等に対する福祉年金支給に関する特別措置法案について、提案理由説明を聴取いたします。
  3. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) ただいま議題となりました昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた者等に対する福祉年金支給に関する特別措置法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  すでに御承知通り本年十一月より国民年金法に基づく福祉年金支給が開始されることになったのでありますが、この法律案は、今次の災害によって被害を受けた福祉年金受給権者につきまして所得制限による支給停止特例を設けようとするものであります。  国民年金法による福祉年金におきましては、前年度所得基準とする所得制限措置がとられているのでありますが、受給権者またはその配偶者もしくは扶養義務者が、今次の災害によって自己の住宅家財その他の財産につき甚大な被害を受けたため、今年度における所得が法定の基準以下となった場合には、特に支給停止措置を解除し、今年度分から福祉年金支給を行なおうとするものであります。  なお、この特例は、愛知県外三十都道府県の区域のうちの災害救助法適用地域全域に居住するものを対象といたしております。  何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 次に、ただいま聴取いたしました提案理由のほか、本法案について補足説明小山年金局長から求めます。
  5. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) お手元に差し上げてありまする参考資料もとにして簡単に御説明を申し上げます。  この法律案の第一条に定義が掲げてございますが、この定義の第一項は、この法律案の適用される被災地域について規定したものでございます。先ほど大臣から御説明申し上げました中にありますように、この法律案は、今次の水害または風水害によりまして被害を受けまして、災害救助法の発動されました全地域に適用するという考んでございます。従って、愛知県以下三十一都道府県に適用される、こういう趣旨法案でございます。  それから第二項は、この特例法案が適用されまする要件について規定したものでございます。この法律案は、この愛知県以下三十一都道府県におきまして災害を受けた人々のうちで、激甚な災害を受けた人々、この人を被災者としてこれに規定してございます。要件の概略は、末項に書いてありまするように、その住宅家財またはその他の財産価額のおおむね十分の五以上について被害を受けた人々に適用されると、かような内容でございます。住宅家財につきましては、すでに他の法律におきましてそれぞれ固まった内容考え方がありますので、それに従うことに相なるわけでございます。その他の財産につきましては、その喪失または棄損が、その人の生活に非常に大きな損害を与えるというようなものを政令で規定する予定でございまして、内容として予定されておりまするものは、まず第一に、農家についての田畑及び宅地、これは当然に含めることに相なっております。それから第二には、一般に商売道具といわれるような生産器具類はこれを含める考えでございます。その他につきましては、なお実態をよくきわめまして、それで尽くさない場合におきましてはさらに規定をしていく、かような考えでございます。要は、今次の災害によりまして非常に大きな被害を受けました場合をなるべく網羅していくというような考え方規定をいたしたいと、かように考えております。  それから第二条には、本人所得による支給停止に関する特例規定されてございますが、これは現存の国民年金法におきましては、本人が前年度において十三万円以上の所得を持っておりました場合においては、次年度においてその人の年金支給が停止される仕組みになっております。これを今次の災害によりまして激甚な被害を受けた人々について特例をもって解除しようという趣旨内容でございます。十三万円につきましては、本法におけると同じように、その人に扶養すべき十五才未満の子供がありまする場合においては、当然その人一人について一万五千円ずつを十三万円に加算をいたしましてこの十三万円を見るという仕組みは、そのままとり入れるわけでございます。なお、この法律におきましては、婚姻関係については、法律婚のほか事実婚をすべて含めております。その考えは当然にこれに入れることにいたしております。  それから第二項の規定趣旨は、こういうことでございます。災害を受けましたことによって財産その他について非常な損害を受けました場合においては、その年の所得のうちからその分を控除してその年の所得を計算するという趣旨扱い本法において、本法と申しますのは国民年金法において、されておりますので、そのやり方をそのままこれに取り組んでいくという当然の規定でございます。  それから第三条は、配偶者所得によって支給停止をされている人々についてこれを解除するという特例でございます。国民年金法におきましては、本人所得を持っておらなくとも、その配偶者が前年度において所得税を納める程度所得を持っている場合には、次年度において支給停止をされるという規定になっておるのでございます。これにつきましても、先ほど来申し上げておりまするのと同様の趣旨におきまして、その配偶者財産その他、について、非常に大きな被害があった場合には、これを解除しよう、こういう趣旨のものでございます。  それから第四条は、扶養義務者所得による支給停止についての特例でございますが、国民年金法におきましては、本人あるいは配偶者所得がなくても、その扶養義務者が、最も多い場合には、子供――むすこでございますが、このむすこさんに、五人家族の場合、五十万円以上の所得があります場合においては、次年度において支給停止をする仕組みになっておるのでありますが、このむすこさんがこの災害によって非常に大きな被害を受けました場合には、これを解除してその御老人なりあるいはしかるべき人々年金を出すようにしよう、こういう趣旨規定でございます。  なお、第二条、第三条、第四条、すべてを通じまして、このようにして支給停止を解除されまする人々範囲は、その所得の落ちました程度が、国民年金法の本来の所得制限の線を割った人々に限る。言いかえますならば、今回の特例措置によって支給停止を解除される者は、これが引き続き明年度においても今年度所得もとにいたしまして支給停止のことをきめまするので、そのまま支給停止が解除されていき得る人々に限るというような扱いをしているのでございます。  以上のような措置によりまして、今回新たに支給停止解除を受けまする人々の数として現在予想しておりますところは、参考資料の四十三ページに掲げてございますが、老齢福祉年金につきましては九千五百人程度障害福祉年金については九百五十人程度母子福祉年金については八百三十人程度でございまして、合わせて一万一千三百二十四名、これはまあ計算上この程度の人がこの特例法によって措置を受けるということに相なろうと推定をいたしております。これに要する金額は全部で七千一百万程度でございます。これは現在の予算範囲内で処置でき得る見込みでございます。  以上でございます。
  6. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 次に、去る二十日衆議院において修正議決されました昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた者に対する母子福祉資金貸付に関する特別措置法案について、修正部分を便宜、厚生省当局から説明を聴取いたします。
  7. 大山正

    政府委員大山正君) 衆議院議員提出修正案によりまして修正になりましたが、その修正個所につきまして御説明申し上げます。  第二条第一項中の「生業資金にあっては二年間、事業継続資金にあっては一年六箇月間」という点を、二年というように修正になっております。それから、同条第二項中に「一年間」とありますのを、同じく二年間と改めた修正案でございます。  この内容を簡単に御説明申し上げますと、母子福祉資金貸付に関しまして、生業資金につきましては、現行制度では据置期間が一年間になっておりますが、政府原案ではこれを一年間延長いたしまして二年間とするという案でございまして、この点につきましては修正がございません。事業継続資金につきましては、現行制度が六ヵ月間になっておりますのを、政府原案では一年延長しまして一年六ヵ月間とする案でございましたが、今回の修正によりましてはこれを二年間の据置期間とするという案でございます。住宅補修資金につきましては、現行制度では据置期間がないのでございますが、政府提出原案ではこれを一年間とするという案でございましたが、今回の修正になりましたのはこれを同じく二年とする。言いかえますならば、生業資金事業継続資金住宅補修資金据置期間をいずれも二年間とするという修正でございます。  以上、簡単でございますが、衆議院において議決になりました修正点を御説明申し上げました。
  8. 郡祐一

    委員長郡祐一君) それではこれから厚生省関係法律案議題といたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 これは局長でけっこうですが、福祉年金の先ほど大臣から説明があった点でありますが、「家財又はその他の財産価額のおおむね十分の五」と、こういう規定についての説明があったのでありますが、これはどういう基準においてこの調査をされるのですか、この点を伺いたいと思います。
  10. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) この点につきましては、そこに「おおむね十分の五以上」というふうに規定しましたのは、こういうような考え方でございます。実際問題といたしまして、実際に被害を受けた金額幾らであって、その人のもと金額幾らであるということを一々証拠書類を固めまして認定しますことは、実務上これは非常に困難であるだけでなく、災害地実情から見て無理のようでございます。従って、現在では税におきまして一つ認定基準をきめておるのがございますので、ほぼそれを差しつかえない限り準用して参りたいと思っております。具体的に申しますと、家屋につきましては、たとえば屋根の大部分が飛び散ったとか、あるいは半壊したとか、あるいは軒下近くまで浸水があったとか、もしくは土砂が流入した、この程度以上の被害があれば、おおむね十分の五程度以上の被害があったと認定する。同様に家財その他についても、そういった実務上からくる一つ認定基準を設けまして、その基準に該当するものは、いわば無条件に十分の五以上に当たるものとして取り扱っていく。しかし、なおそのほかにも、実際上はそこまでいかなくても、十分の五以上の被害を受けたというものがあり得ると思います。こういうものについては、被害者の側からかなり詳細な資料を出してもらって、それによって認定をしていく、おおむねそういうふうに扱いたいと思います。
  11. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 重ねて伺いますが、被害者の、大体個々提出を求めるのですか。あるいは民生委員を通じて調査をするとか、あるいはまた調査漏れのところは個々提出を求めるとか、その点を一つ伺います。
  12. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 被害程度につきましては、従来この種のものについて市町村長証明書を出しておりますので、その市町村長証明書をつけて申請をしてもらうということにいたしたいと思います。
  13. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 今お話屋根の破損であるとか、家財道具の問題まで出ておるのでありますが、そういう点から見まして、四十三ページのさっき御説明のありました対象人員の一万一千三百二十四人ですか、これは私どもは大ざっぱに見てあまり少いような気がするのでありますが、この点は相当自信を持った調査なんですか。
  14. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) これは、今度の災害について出ておりまする資料被害率というのがございます。たとえば床上以上の浸水がどの程度か、あるいは家屋の半壊がどの程度かというのがございます。これを用いて出したものでございます。しかし、何分にも一々実態に当たって積み上げた数字ではございませんので、実施いたしました結果がこれより多くなるが少くなるかということについては、私ども非常にはっきりした確信を持っておるというものではございませんけれども、この数字とそう違ったものにはならないと考えております。
  15. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうすると、この被害についての調査ですが、何か一応日限とかそういうめどをきめておやりになっておるのか、その点をいま一つ伺いたい。
  16. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 先ほど申し上げましたように、この認定のために用います実務上の基準は、単にこの目的のためだけに使うものではなくて、いわばほかの目的のために使われておりまするものを、そのまま使って参りたいという考えでございます。従って、従来被害を受けた人々がいろいろの事情から証明を受けておられるに違いないと思うのでありますが、受けておられるのであるならば、それが市町村長の発行した証明であるならば、それはそのまま受け入れて、まだもらっておられない人々については、これは新たに一つ調べて、市町村長から証明書を出していただく。かようにいたしまして、いずれにしても実情から見まして漏れのないようにいたしたい、かように考えております。
  17. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記をやめて。   [速記中止
  18. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて。
  19. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 母子福祉資金量というようなものについては、実際問題としては相当なワクを県なりあるいは市町村関係で広げなければならないと思っております。建前で言えば、児童局のあなたの方は受けて立たれるというような形になっておると思いますけれども、そうは言うものの、やはり一定の限界というものを大体予定しておるだろうと思いますし、それから負担額についても衆議院の方でいろいろな話し合いをされておると承っておるのですが、その辺のところはどうなっているのか、御説明願いたいと思います。
  20. 大山正

    政府委員大山正君) 母子福祉資金につきましては、国と都道府県負担関係につきましては現行制度が一対二、すなわち三分の二の国庫負担率でございますが、今回の特例法によりまして一対三、すなわち四分の三を国庫負担するという意味の法案になっておるのでございます。この資金量につきましては、現在まで関係府県から申請のありましたもので、国が負担すべく確定しております金額が四千五百万円、それから今後見込まれる金額が、本年度におきまして千五百万円、合計六千万円でございます。従いまして、都道府県負担しますこれの三分の一、二千万円を加えますと八千万円が本年度における被災母子家庭に対する貸付金ワクとして一応考えられる点でございます。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ私はこの資金量が妥当かどういうものかということはよくわかりませんが、少なくとも私が一、二聞いた例によりますと、市町村の方ではすでにもうこれは当初割り当ててしまった。そこで一銭も市町村の方にはワクがなくて困っておって、それに対して県に対して要請をすれば、まあどのくらいになるやらわからないからしばらく待ってくれというような話になっておった。そこで市町村としては、実際に災害が発生して、その日からあるいはその月からめんどうを見なければならないというようなところで因っておるというような話を承ったわけです。今お聞きしますと、四千五百万円の処置はすでにしてしまった、あと一千五百万円ほどのものを見込んでおるんだというお話なんですが、四千五百万円は、これは当初もうすでに渡ってしまっておるのか、今次災害で追加された分なのか、あるいは追加される分が一千五百万円をさすのか、その辺のところがちょっとわからないので、その説明を願うと同時に、今次災害においてもうすでに、何と申しますか、追加されたというような点で、もう少し僕たちにもわかるように説明を願えればいいと思います。
  22. 大山正

    政府委員大山正君) 母子福祉資金につきましては、年度当初から各県でそれぞれ予算を組みまして、それに対して国が所定の繰り入れをして運用しておるわけでございます。ただいま申し上げました四千五百万円と申しますのは、今回の災害のために特に各府県におきまして災害のために繰り入れようという額に対して国が負担すべき部分を見込んだ命が四千五百万円ということになりますので、今後この金が出るということになります。四千五百万円はすでに各関係の県から報告のあった分でございます。まだ報告はないけれども見込まれるという額が千五百万円、こういうことに相なっておるのでございまして、国の方の予算ワクとしましてはまだ十分余裕がございますので、県から申請があればまだ十分貸し付ける余裕がございます。各県が予算措置をするかどうかという点が問題でございまして、その点、今度の法案が成立しますれば、国庫負担率が四分の三に上がりますから、各県としては負担しやすくなるということでございます。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大へんあなたの方じゃ、おれの方は各県がやってくれさえすれば、幾らでもめんどうを見るよというような大へん気前のいい高姿勢の話なんですが、一体それではどのくらいあなたの方としてはなお余裕があって受けられる用意をしているのか。
  24. 大山正

    政府委員大山正君) 現在まで本年度既定予算余裕のあります国の残額は一億一千六百万円という金額になっておりますので、ただいま申し上げました六千万円全部国が出しまして、なお五千万円くらい余裕がございますので、その限度におきまして都道府県申請があれば十分貸し出すことがでぎる、こういうわけであります。
  25. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この国民健康保険事業に対する補助に関する特別措置法関係ですけれども、ちょっと一、二聞いておきたい。  特別国民健康保険関係は、ここでは出ていないのですが、どういうことになるのですか。
  26. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 国民健康保険組合というのは、皆さん御承知通り、たとえば同業の人たちが集まって、自分たちの力でやろうというふうなことで作っている国民健康保険でございます。こういうものにつきましては、従来から調整交付金というものはやらない、こういう建前になっておるわけです。今回の法律調整交付金の中に特別調整交付金という制度がありまして、災害のときなど、それでまかなうのが本旨でありますから、こういう大災害によりまして、それが不足するということを懸念して作った法律でございます。その趣旨からいたしましても、調整交付金と同じような考え方で参っております。それから実態から申しましても、御承知通り、そういう人たち給付内答も相当いい給付をしております。また財政力も……。そこで、従来からこういう組合につきましては、特別にこういう災害のための積立金を積み立てるように指導をして参っております。さような関係からいたしまして、こういうものにつきましては、もしそういう必要性が生じました場合には、そちらの方でもってまかなうようにさせるのが筋であろうかと、かように考えておる次第で、これを取り除いた次第であります。
  27. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 特別国民健康保険は二割の補助、五分の調整金ということになっておる。今、積立金をするようになっておるとおつしゃいますけれども、給付内容が、おのずからその組合でいいものをやっている。そうすると、法律できまった二割という国軍補助はおやりになっておるのですか。
  28. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 国民健康保険組合に対しましては、市町村と、先ほど申しましたように異なりまして、市町村の方は実施を義務づけておるわけでございますから、国の方で二割の国庫負担は精算して出します。組合の方は、これは自分たちが任意にその方か運営もうまくいくということで、独立してやっておるわけでございますから、その実態もまた町村の場合に比べて非常に有利な財政状況でございますので、これに対しまして市町村と同じように二割全部を出すということは、必ずしも妥当ではないというふうに考えまして、市町村の一番高い線、それの二割分だけを出す。もし組合がそれ以上のより高い給付をいたしまする場合においては、その分だけは組合の方が負担する、こういうふうなことにいたしている次第であります。
  29. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 法律で二割ときめておいて、そうしてその給付内容をセレクションして、ある一定のところを押えて二割でやる、これじゃ少し理屈に合わぬのじゃないですか。そういう状態で積立金をさしているからこれで処理せいなんと言ってみたところで、どういう理屈になるのかな。
  30. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 国民健康保険法の第七十三条には、この組合に対する補助に対して規定がしてあるわけでございますが、これを読んでみますると、「国は、政令の定めるところにより、組合に対して療養の給付及び療養費の支給に要する費用の十分の二を補助することができる。」と、こういうふうになっておるわけでございます。  それから市町村の方につきましては第七十条に規定して「国は、政令の定めるところにより、市町村に対して療養の給付及び療養費の支給に要する費用の十分の二を負担する。」こういうふうに法律の書き方においてすでに異なっておるわけでございます。
  31. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 法律の書き方が違うというけれども、大体法律というのは、何々ができるという書き方は、実質面ではその規定した額に応じて支給する、それに近いものをやるというのが実態じゃないですか。大体の法律実態との関係は。ところが、これは私が聞くところによると、大体その一割二、三分くらいしか出していないという話を聞くわけです。給付内容がどこで限度とされるのか、非常にむずかしいところだと思うのですけれども、そんなら二割なんということを書かなくてもいいと思うのです。この点、二割と書いておいて一割二、三分しか支給しないで、そうして組合だから、積立金があるからこういうときにはやらない、関係がないとはおっしゃらないけれども、やらないのだ、こういうことでは、国民の相互保険を守っていくという立場から、やほり問題があるんじゃないんですかね、私はそう思うのです。だからその同業者が組合組織でおやりになるのだから、給付内容がいいというなら、その全体が行なっている給付内容の平均をどの辺の水準に置くとか、単に町村の給付内容基準にして、そうしてあとみんな切ってしまって、そうして法律で定めた二割だということなら、組合を設立するということと二割を補助することとの関係は、私はむずかしくなってくると思う。そこで、こういう災害のときには積立金があるのだからというのは、やはり積立金もやって保険経済をよくするためあって、組合経済の自主運営ができるように二割の国庫補助ということになったのだと、私はそう思うのです。そうして今のお話ですと、市町村並みに切って、そうしてそれだけしか、国の補助は一割二、三分しか出していないということなら、今度の災害のときには、裏を返せば、私は当然これに応じて災害の特別措置が講ぜられるというのが実際じゃないですか。理屈じゃないですか。だから、それがある程度高い水準で二割のあれでおやりになっておるなら、それは今の積立金関係、保険経済の健全な中でおやりになっておるという理屈もつくでしょうけれども、それは市町村並みに切ってしまって、そうして実体の額からいえば、保険経済の額からいえば一割二、三分、それでいって、今度の特別措置は講じてやらぬ、積立金があるのだといったところで、少し筋が通らないのじゃないですかね、そこのところあたりは……。
  32. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) これは繰り返すようでございますが、実態から申しましても、国民健康保険組合内容及び負担能力及び給付というものは、市町村の国保に比べますると相当いいわけでございます。またそれは当然そうあるべきだと思います。そこで、これに対しまして国がどの程度にてこ入れするかということにつきましても、全然しないということであれば、またいろいろ御議論も出ようかと思いまするけれども、市町村の方に対しては、とにかく実施を義務つげておるわけでございまするから、これに対してかりに国が二割を負担する、二割が少ないという御議論もございましょうが、とにかく二割を負担する。それから五分の調整金でもって、特にひどいところを調整するというような場合に、やはりそれよりも内谷その他がいいものにつきましても、全部やはり二割を見るのだと、これはそういう意見も成り立とうかと思いまするけれども、私どもの立場といたしましては、それに対して市町村並みに見るということはいかがであろうか。そこで、まあそれに対してどの辺で線を引いたらいいかということにつきまして、大体先ほど申し上げましたように、市町村におったならば一番その内容のいいところの段階の市町村、こまかいことは申し上げませんが、そういうレベルのところに一応線を引きまして、そこまでの分は見ましょう、それ以上の分は一つ組合の力でやって下さい。国もいろいろ財政の都合もございますし、もし国がてこ入れするとなるならば、市町村の方は今でも国から二割の負担をいたしましても、なおかつ実際運営が苦しい所が相当あるわけでございますから、そちらの方でやるべき筋合いであろう、こういうふうな意味から、大体組合に対しましては、市町村に対します場合、その上澄み部分だけは手前の方で持ってもらうようにお願いしておるわけであります。そういうようなことからいたしまして、調整交付金の中に特別調整交付金制度を設けまして、かような災害が起きました場合の手当は特別調整交付金の方でやることになっておりまするけれども、まあ組合の場合については、それは調整交付金では見ないということが法律の第七十二条で規定してあるわけであります。組合に対しては調整交付金からも除いておるわけでございす。また、こういうようなことで前回の二十八年の際にもそういうようなことがとられたわけでございます。かような次第でございますので、この点はいろいろ御意見は御意見として承っておりまするけれども、こちらの立場も御了承いただきたいと思います。
  33. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、今よくわかって参りましたが、今度の処置は市町村の大体平均というか、高いところまでの要するに給付内容のそこまで以下のところは、この災害の手当を特別健康保険にするとおっしゃるわけですが、それは調整全がないからできない。それじゃ一切できぬということですね。そういうことでしょう。だから、今のお話が少しそういう工合に聞けたから、私はちょっとだめを押しているのですが、できないということですね。だから私が先ほどから申し上げているように、単に積立金でやりなさいというなら、私は二割が高いとか安いとか、これは法律できまってるんだから議論をしてもしようがないから、そういう議論をしているのではない。こういう災害のときに手当を二割までできるというなら、それに近い補助金をお出しになっていく、全体の組合の保険経済がそういうことなら、そういうあなたのおっしゃるように、積立金で処理をしなさいといってもいいけれども、実態はそうじゃない。保険給付が、同業者の組合ですからいいに違いない。自然よくなると思います。しかし、おのずからやはり組合員の力によってやっているその限度まで、何ぼまでといって法律で押えているわけじゃないんですから、そうはね上がったこともやってないと思います。そういうことで、法律でできると書いてあるが、一割二、三分でやっているということと、これとの関係はどうなるかということになってくるわけですよ。だからそういう点はやはり今のあなたの理論を推し進めていくなら、その地域における特別健康保険組合市町村並みの保険経済の額まではめんどうを見てあげましょう。この災害の手当はそのあとはできませんというなら幾らか話がわかるけれども、全然見ないということでなくて、少しもとに戻って、今私が言ったようにできると書いてあるが、二割とか法律できめておるけれども一割二、三分でいいんだ、こういうことじゃ少し話が通らぬのじゃないかというのが私の意見なんですよ。
  34. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) どうも藤田委員の御承知のところでの御質問でございまするので、まあそれ以上になりますと、また意見の問題になってくると思いますけれども、まあ大体そういうように組合というものが自分たちの合意によって作っているというような建前から、国がこれにてこ入れします場合においても、実施を義務づけておる市町村の場合と違ってくる、従って調整交付金制度法律の上から市町村には調整交付金は交付するという建前になっておりますが、組合は除かれておる。そうして今次の災害におきましては、その調整交付金でもってまかない切れないと予想された所にまあこの特別措置法律を作ったわけでございまするから、そういう趣旨からいたしまして、どうも組合に対してこれを考えるということがまあむずかしいんだと、しかしながら組合につきましてはそういう場合に備えて、大体年間の給付金の一割まで積み立てるように義務づけておりまするが、今度の災害におきましても、それでもってまかなっていかせるようにしたい、かようなことで一つ御了承いただきたい。
  35. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ですからあなたの方の意見はわかりました。私は了解できなくともわかりましたから、問題はそういう法律できめてできると書いてあるからというようなことでなしに、やっぱり医療内容をよくして健康を守るということですから、おのずから限度が、飛び上がったところで限度があると思いますけれども、法律がきめている二割を百パーセントいけるかいけぬか、私は実態はよくわかりませんが、ある程度調べてみましたけれども、多少高い、だからどの限度まではということは、その法律で二割をするという実体に沿うように一つ努力をしてもらわないと、この問題は私は問題が残ると思います。だから厚生省においても災害の手当は、私は市町村並みの限度までやってあげたい。これを一つ希望することと、それからもう一つは、やはりあなたのようなことをおっしゃるなら、やはり法律できめた二割のところまでは補助金を出してやるということでなければ理屈は通らぬ、私はそう思いますから、厚生省はそれはどうかよくお考えになって、問題の処理をしていただきたいと思う。それからもう一つの問題は、この健康保険の問題にはこの法律は触れてないわけですけれども、健康保険は今の状態では政府管掌と組合との関係がありますから、政府管掌の健康保険には補助金を出す、それから組合管掌のところには出さないという格好で運営がされておりますけれども、そのいずれにいたしましても、健康保険組合自身が持っている診療所であるとか、病院とか、そういうところが被害を受けたというような場合には、私は特別の処置をしてあげなければならぬと思う。また健康保険組合、また日雇健康保険組合に対してどういう処置が講じられているか、国民の健康保持の問題ですから、そういう点も特に災害の激しかった所においてどういう処置を講じられたか、これも開いておきたい。
  36. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 第一の健康保険の病院、診療所等につきましては、これはお話のように災害を受けたものがございます。これは私の方の特別会計で実施いたしておりますので、その方において手当をいたしております。  それから第二番目の健康保険及び日雇い健康保険の被保険者なんかですね、これに対しまして、こういう場合に何か考えるかと、こういうお話のようでありますが、これは現在のところでは、今までの通りで参りたいと思っております。今回お出しいたしました特別措置法趣旨は、御承知だと存じますが、もともとこういう災害がありました場合に、保険料なり、あるいは患者が医者の窓口で支払いますいわゆる一部負担金を払えない場合が出てくる、そうしますと、国民健康保険制度においては、その分を保険者がカバーするという建前になっております、一つの条件のもとに。そのカバーします結果、こういう大災害の場合においては、保険財政に穴があくであろうということを考慮いたしまして、この特別措置法調整交付金の一端をになうことにいたしたわけでございます。ところが、健康保険、日雇い健康保険法におきましては、そういう被保険者に対して保険料を減免するという制度もございません。またそういう人たちは、やはりそこに雇用関係がありまする限りは、やはり賃金、取入があるわけでございまするから、従ってそこでもって保険料というものも入るはずでございます。そこで健康保険等におきましては、保険料の滞納があった場合のその延滞金を免除する規定はございましたが、保険料その他を減免するという規定はないわけであります。従いまして、保険財政それ自体については、まず影響はないと考えてよろしいと思うのであります。  そこで、今度は被保険者の分でございますが、先ほど申しましたように、制度建前は異なりますが、国民健康保険においては大体給付するのは医療費の全部を給付するという建前の上に立ちまして、そしてそのうちの大多数――五割でございますが、それを本人がお医者さんの窓口に払いなさい。これは一部負担として義務づけているわけでございます。そこでそれが払えない場合においては給付するのがこの保険者の責任でございまするので、そこにいろいろな保険財政の問題が起こってくるわけでございます。これに反しまして、健康保険の家族等につきましては、これは給付いたしますのは、建前はむしろ家族については給付しない建前の上に立ちまして、家族療養費といたしまして医療費の半額を援助する、こういう形になっているわけであります。そこで、かりにお医者さんのところで家族が払う額は五割でありましても、国保の場合と健康保険の場合とは、その立て方が完全に変わっておるわけであります。健康保険においては、家族に対してはその医療費は、健康保険では払う建前じゃないけれども、五割を差し上げる、こういう負担の立て方になっているわけであります。従いまして、その五割以上の分につきましては、これは自由診療の場合と同様に、家族の人、患者が医者に払う、こういうことになるわけであります。  そこで、この点につきましては、健康保険といたしましては、これを災害の場合にだけその五割援助いたしまする度合いを、あるいは六割とか七割とか強めることは適当でない。これは何も災害でなくても、個々の御家庭とすればお困りになった場合において五割を払うことすらもう相当苦しい場合もあり得るわけでございまするので、それとこれとを同様に考えますると、災害の場合だけその家庭に対してより高い援助をするというわけには参らぬ。突き詰めて申しますれば、五割の家族療養費の給付率というものを、これを全般的にもう少し上げるという根本問題において解決すべきである、かようなことを考えておる次第でございます。
  37. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いやちょっと、健康保険と日雇い保険のことはわかりましたのですが、問題は、私は直営診療所とか、組合が持っている病院とか診療所とかが被害を受けた場合も、その組合の保険経済でまかないなさい、こういうことになりますか。今の政府管掌のやつは特別会計だから見る。で、組合管掌の方はどうなりますか。診療所とか病院を持っていますね、それが悪くなった場合は……。
  38. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) これは、国としてはただいまのところは何の措置もいたしておりません。ただ、これは組合あるいは事業主病院というようなところは、そちらの方において、まあ一般の金融機関なり何なりは自分のところの財政でもってまかなっていただくということになろうかと思います。  なお、そういう方面について、厚生年金保険の還元融資という制度があるわけでございます。これは今年度の分はもうすっかり出し切ったわけでございますが、また明年度もこういう制度がありますから、そういう面についてはそういう面で特別に考慮してあげたい、かように考えております。
  39. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、よくわかりましたが、問題はその事業者が病院、診療所を持っているのと、組合自身が持っているのとあると思いますね。だから、事業者が持っているのは、あなたのおっしゃる厚生年金保険還元融資ですか、それで……、それはまあ一般のものから見たらそういうことになるでしょうけれども、保険組合自身が持っている診療所とか病院というものは、何らかのこれはめんどうを見てあげなきゃいかぬのじゃないですか。それで、どうしてもその問題はむずかしいというなら、融資の問題も今年度はないのだということでなしに、特別の融資のワクをこしらえてめんどうを見てあげるという必要が出て来やしませんかね。
  40. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 健康保険組合などで病院を作ります場合においては、最初の設置の際も国の方では格別補助というようなこともしておらぬわけでございます。従いまして、今度のような災害が起きましたその災害復旧につきましても、今直ちにそういうことをすることは困難であろうかと思います。  融資の面につきましては、できれば今年からでもそれはやれればあるいは一番いいかもしれませんけれども、すでに相当、融資の今年度分は出し切ったので、もし何か戻って参りますものがあれば、そういうことに充てたいとは考えておりますが、ただいまのところでは、明年度に分において早急に見ていきたい、こういうふうに考えております。
  41. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと言い方がまずいな。残ってくるものがあるならというような、そういう言い方じゃまずいじゃないの。災害に対してめんどうを見てやるというのに、今年分はないから何か残ってきたもので、そういう言い方じゃなしに、積極的に厚生省が努力をしてそのめんどうを見る、力を入れるということでなければ、それはちょっとあげ足とるのじゃないけれども、少しまずいんじゃないかな。その点どうかな。それはあなたそういう言い方じゃあ困るな。どうですか大臣、今の問題について、特別の融資のワクを、めんどうを見てやるとか何とか、積極的に考えるということでなければ、残ってきたのがあったらというようなことじゃ、ちょっと困るね。もう一ぺん一つその点はっきりして下さい。
  42. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) まあ私の方の分ではございませんけれども、私的医療金融機関に対するいろんな措置を、特別措置考えておりますもので、その方とも話し合いまして、できるだけのことはいたしたいと、かように考えます。
  43. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ほかにないようですから、私、もう一、二点。  この被災者援護の問題についてでございますけれども、現地における人は非常にお困りになっておると思うので、具体的に、たとえば被災者世帯とか、死亡者とか、医療関係ということを衆議院でどういう工合に修正されたかよくわかりませんが、そういう点についてどういう処理をされるか、衆議院修正されたのがあるのか、ちょっとお聞かせ願えぬでしょうか。私ちょっとおくれて来ましたので、御説明があったかもわかりませんが……。
  44. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 被災者援護の関係につきましては、特別措置法案提出いたしておりません。ただ災害救助法の救助費に対する国庫補助特例を出しておりまするけれども、しかしこれにつきましても衆議院で特別御修正等の措置がございませんようでした。
  45. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そらですか。はい、わかりました。  そこで私のお尋ねしたいことは、これは私たち自身が考えることになりましょうが、被災世帯というのは、家は流され、仮設住宅を建てて、当座の一時資金、それから住宅の融資ということがありますが、なべかまから買っていかなければならぬ。そして非常に因っているから、立ち上がり資金というようなものが必要じゃないかと私は思うんです。それで、たとえばもう一つの問題を見ると、被災された方々にはそれはまあ融資の面も一時差し上げるというような、各町村では五千円とか一万円とかお上げになっておる所があると思います。だから地方財源の高低といいますか、そういうものでその額が違ったりしている。これはやはり天災であると同時に、その設備が悪かったり、施設が悪かったり、河川や堰堤が悪かったりして、その面では国全体の責任の面もあると思います。だからそういう方々に、一つは融資であり、一つは何か見舞金みたいなものを出すような保護をするというようなお考えが厚生省には浮かんでこなかったかどうかということが第一点です。  それから第二点は、たとえばこの被害でなくなられた人に対する、今までもそういう例がございます、弔慰命的な例がございまするが、そういういものはどういう工合にお考えになっているか。  もう一つ災害に起因して疾病されたような場合のめんどうをいつの限度まで見るのかどうか。災害の疾病、そういうことについて、これは他の法律とも関係をいたしますけれども、お考え方一つ承っておきたいと思うのです。
  46. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 第一点の見舞金、それからなくなられた方に対する弔慰金、この二点につきましては厚生省といたしましては考えておりません。罹災されました方につきましては、現在の災害救助法のいろいろな救助をいたしますのでございますが、この救助の程度といいますか、限度といいますか、これを、今回の災害につきましていろいろと引き上げて参りました。二、三の例を申し上げてみますると、たとえばたき出しに関する費用をずっと従来五十円でやっておりましたのを七十五円に引き上げ、それから九十円に引き上げて参りました。  それから御指摘の家を流されたり、全壊されたような方々、家を失われた方々に対しまして応急の仮設住宅を作って無料で、二年間の範囲におきましてはそこへ入っていただくという制度があるわけでございます。これにつきましても、従来はその一戸当たりの単価が八万円で実はずっとやって参っておりまして、これを今回の災害に際しまして、まあもう少し、少しでもいいものというような趣旨から、十万円に単価を引き上げて、それから戸数につきましても、従来そういう罹災をなされた方々の三割以内という戸数でございまして、制限がございましたのですが、これを一般的に四割まで引き上げました。さらに特殊な事情にあります地区につきましては、それ以上でも引き上げ得ると、設置戸数を多くし得るというふうなことで、大体約二万戸ばかりの応急仮設住宅を作る予算を、総額二十億程度のものでございますが、その予算を今回の補正でお願いをいたしておるようなことであります。   そのほか、お話の中にもございました毛布でございますとか、なべ、かま、日用品というようなもの、こういうふうなものの程度、限度につきましても、従来の災害よりは若干これを引き上げて参ることにいたしました。  さようなことが例でございますが、なお、さらに全般的に申しまして、第三点の疾病の場合の取り扱いに関連のあることでございますが、たき出しの期間にいたしましても、あるいは避難所の設置の期間にいたしましても、それから医療の期間にいたしましても、それぞれ水を長くかぶっておる所等につきましては、引き延ばして参りました。普通の災害の場合には、まあたき出しなんかも一応二、三日という制限があるのでございます。もちろん二、三日で打ち切って差しつかえのないような地区もございます。しかし、これも今日なお引き続いて、もら二ヵ月ぐらいになりますけれども、引き続いてたき出しもやっておる。その地区々々の実情に即しまして全般的に救助の期間を引き延ばした。まあさような措置をとって参りまして、救助につきましては、私どもといたしまして、いろいろ御不満はまだまだあるかと思いまするけれども、万全を期して参ったつもりでございます。ただ、最初に申し上げましたように、見舞金とかあるいはう弔慰金というようなものは、まあそれは差し上げればこの上ないわけでございまするけれども、別に悪いというものではございませんけれども、今までの例におきましてもさようなことはいたしておりません。従って、今回もさような措置はとらないことにいたしております。  なお、立ち上がり資金に関連をいたしますことといたしまして、先ほど母子福祉資金貸付お話がございましたが、これとは別に、母子世帯以外のボーダー・ライン層に対して世帯更生資金貸付という制度がございます。大体母子福祉資金貸付と非常によく似た制度でございますが、この世帯更生資金貸付につきまして、今回補正で一億五千万円の政府資金の追加をお願いいたしておるわけでございます。この中に生活資金というふうなものもございまして、従来、非常に限定された場合に、月三千円まで出しておりましたのを、この災害につきまして月一万五千円まで、三ヵ月間総計四万五千円ぐらいまでは貸し付け得るという制度に変えまして、それから生業資金というようなものにつきましても、従来もございますけれども、やはり同じように五万円程度までは貸付をするというふうなことにいたしまして、これに要する一億五千万円の資金の追加をお願いを補正でいたしておるわけでございます。  それから第三点の疾病の問題でございますが、災害救助法によりまする災害に基因をいたしました疾病の治療につきましては、法の建前は原則といたしまして救助班でやる医療、そういうふうなものをねらっているのが法の建前でございますけれども、今回は相当多数の方々を国立病院その他の病院に入院をさしたりなんかいたしております。それから一般の医療機関に通っておられる方々もございます。まあそういうふうな医療の問題につきまして、これもたしか二週間ぐらいの期間があるわけでございますが、これをそれぞれ実情に応じまして引き延ばして、現在もまた一部の方々につきましては災害救助費で医療を行なっておるような状態でございます。しかし、これは制度建前からいたしまして、もうそろそろ打ち切って他の制度に移行すべきものと私ども考えておるわけでございますが、実情をよく調べまして即応いたしたような措置をとりたいと、かように考えておるわけでございます。
  47. 小酒井義男

    小酒井義男君 関連して。災害のために働き手が失われたというような問題が出てくるんじゃないかと思うのですがね。生活保護が、従来でもなかなか受けられないですね。ことに今度こういう問題が新しく出てきた場合の問題について、何か政府としてお考えになっておる点があるかどうか。
  48. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 今回の災害によりまして働き手を失われた御家庭はもちろんでございますが、そうでない家庭におきましても、たとえばたんぼが全部収穫皆無になってしまったとか何とかいうようなことによりまして、罹災地におきましては生活保護法の被保護者が相当程度ふえて参るだろうということは、私ども予想いたしております。さようなことをも予想をいたしまして、もちろんこれだけじゃございませんけれども、生活保護法の保護費につきましては、今回の補正で三十七億円の追加補正をお願いをいたしておるようなわけでございます。ただ、この適用につきまして、今御指摘のように非常にきびしくて、なかなか保護法の対象にならないというふうな御意見も聞くのでございますが、この保護法の運用につきましては、それは確かに最低生活の基準というものを私ども設けておりまして、それに満たない収入の方々だけを保護するという原則を打ち立てております。従って、それ以上に収入のある方につきましては、これは保護法の適用はいたさないのでございますけれども、ただ、衆議院でもさような点についていろいろ御質問がありまして御論議をいただいたのでございますが、財産を持っておるとか、それから扶養義務者が別に東京なら東京で隆々とやっておるとかというような場合に、その財産を売ってしまえ、そうしなければ保護法の適用をしないとか、あるいは扶養義務者から扶養を受けた後でなければ保護法は適用しないとか、非常にその辺を窮屈に運用しておるじゃないかというふうな御指摘もございまして、しかし、これらの点につきましては、従来から御指摘になりまするほど窮屈な運用は実はいたしておりませんので、明確に財産の利用あるいは扶養義務者に対する追究等につきましては相当詳しい通牒が出ておりまして、たとえば畑が水をかぶって収穫皆無になった、さような場合に、ほかに大きな貯金もなし所得もないというふうな場合に、その財産を評価して、そうしてそれが幾らあるから保護法をかけないというふうな運用は、実はいたしておりません。従って、最初申し上げましたように、今回の災害によりまして被保護世帯が相当増加するであろうということは私ども予想をいたして、その財政的な準備もいたしておるようなわけでございます。
  49. 大倉精一

    ○大倉精一君 私も関連して一つだけお伺いしたいと思うんですけれども、先ほどの湛水地帯におけるたき出しその他の救助について、これは現在長期湛水をしておる所も近く排水になる。まことにけっこうだと思うんですけれども、問題は、水が引いて直ちに機械的に救助を打ち切ってしまう、こういうことが従来往々にあるので、かえって現地においては非常に困ったという状態があるわけなんで、従って、このたき出しその他の救援については、水が引いたかう直ちに機械的にこれを打ち切るというのではなくて、その地方の実情に即した幅のある、弾力性のある措置をお考えにならないというと、現地ではかえって非常に困るのではないか、特に長期湛水の地帯においては、なおさら私はそういうことが言えると考えるのですが、こういう点についてのお考えなり措置を、どうお考えになるか。
  50. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 御指摘のように、水が引いてすぐ救助を打ち切るということは、これはかえって水が引いたために、いろいろなことがやりにくいという場合も考えられますので、さようなことはいたしておりません。現実に、たとえばたき出しを打ち切った事例等におきましても、やはり水が引きまして、そのあとのある程度の整理がついた時期におきまして、たき出しその他の救助の手も打ち切っております。まだ水のついている所もございますので、今後の何と申しますか、運用の方針といたしましては、過去におきましてやって参りましたと同じように、言葉をかえて申しますれば、この地元の府県なりとよく相談をいたしまして、救助の目的に反しないような、実情に即した措置をとって参りたい。その地区々々のあれに即しまして、期間を延ばして参りたい、かように考えております。
  51. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 先ほどのお話にありました一番最後の疾病の問題からいきますが、この疾病で、今の災害救助費からおやりになっている、今度の災害については、入院その他のめんどうを見ているとおっしゃいましたが、非常にけっこうだと思いますが、問題は残ると思う。健衆保険とか、共済保険とか。で、最後のしわ寄せが結局生活保護の医療扶助というところに落ちてくるわけです。だかう、最後の落ちる前に、生活保護に落ちる前の状態の中で、最後の医療扶助に落ちる前、要するに、そういう生活保護法の対象の医療扶助というと、なかなかむずかしい条件があるから、そこへ落ちる前の、健康保険も共済保険もない、そういう方々の、打ち切られたあとの処置はどういう工合におやりになるか、たとえばけがをして六ヵ月もかかるというような人もあるとか、この災害を基因にして長期の疾病になるというような方ができているということもちょっと聞くのですが、私は正確な数字はつかんでおりませんけれども、そういう落ち込むまでの方々の処置の方法なんかはどうお考えですか、ちょっと聞かして下さい。
  52. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 保険がございましたり、あるいは非常にお金持ちはもちろん問題ないわけですが、保険がございましたり、そのほかの制度によってカバーされます方々は問題ないわけです。それかう、ずっと貧しくて、生活保護法の医療扶助に問題なくかかる方も、これも問題ないわけです。ところが、この中間、生活保護法にはかからぬけれども、ちょっとその途中の中間の方々で、保険も何もないという方々が具体的には問題になるわけです。それで、これにつきましては、医療費の貸付という制度が世帯更生資金と別にございまして、そうして現在、まあ一番問題になりまするのは愛知県だと思いますが、愛知県にまだその貸付ワクを一千万円ほど余裕を持っております。具体的に災害に関連をして入院をされた方々の数とか、あるいはいつごろなおるとか、この人は保険があるとかないとかいうようなことを、いろいろ実は地元の方で調査をいたしております。さような調査からいたしますると、今御指摘のような方々は非常に少数になりますので、従って、この医療費の貸付ワク一千万円があれば、もう十分まかなっていけるというふうに、私どもといたしましては判断をいたしておるわけでございます。まあこの制度を十分活用することによりまして、そういう方々については手当をして参りたい、かように考えております。
  53. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、愛知県名古屋市、特に国民健康保険がありませんからね、そういうところに問題が起きるわけですから、これは一つこれと関連して、国民健康保険が早く施行されることが望ましい問題ですけれども、そういう人が残りますから、残った方の処置は一つ万全を期してほしいと思います。  それから、先ほどのお話で、災害世帯に見舞金を、財政上ゆとりのある所とない所と、見舞金なんかが違って、実際問題として市町村から出しておられる。これはやはり他の何の目的もなく、被災者を援護するという目的で出しておられる。だかう、そういう意味で、これは地方自治庁の交付金との関係もありましょう、また災害救助法で、一本でやるといえばできることでございまするから、こういう各市町村がやっているような問題は、国がまとめて、たとえば立ち上がりの問題や、見舞金、弔慰金というような問題は、災害救助法についても、今度の災害についていろいろの問題点が出て研究されていることだと思いますから、市町村でやっているような問題を、一つ災害救助法でまとめて、何らかの形で施行するようにお考えを願いたいということを、最後にお願いをしておきます。  それからもう一つの問題ですが、各地に消費協同組合というのがあるのですね。で、消費協同組合の施設とか、それから物資、こういうものが災害を受けた場合に、何らの処置が今度の手当ではないわけです。だかう、低利、長期の融資を貸してあげるとかして、立ち上がらしていくという問題が私はあると思う。こういう点について、どういう処置をおとりになるか、一つお聞きたいと思います。
  54. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 今回の災害につきまして、生活協同組合の、何と申しますか、店舗とか、いわゆるそういう共同施設で被害を受けました総額は大体一千四、五百万円でございます。愛知県、三重県、岐阜県、この三県が中心で、総額といたしましてもそう大した額ではございませんが、なお、この生活協同組合の中には、規模もなかなかしっかりしておりまして、中小企業金融公庫とか何とかで金融の道のつくのもございます。それから職域の生協等におきましては、事業主から融資を受けるという手段を持っているのもございます。ところが、主として小規模な地域生協で、さような道のないのがございまするので、これらの持っておりまする共同施設に対する復旧につきまして、消費生活協同組合に対する貸付金法律というのが現在ございます。非常に当初予算もわずかでございますが、若干の金を計上いたしまして、国が一、都道府県が一、両方資金を出し合いまして、そうしてさような施設に貸し付ける制度がございます。それでこの制度によりまして貸付を行なって参りたい。その資金は、実は予備費で支出を――わずかな経費でございますが、予備金で支出をいたしてもらうことに、ただいま折衝をいたしております。
  55. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これは、今おっしゃった千四百万円というのは施設ですか、物品その他の要するに資材といいましょうか、物資も含んでいるのですか。
  56. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 今申し上げましたのは施設でございます。
  57. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 施設……。
  58. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) はあ。それで物品その他の被害も若干あったわけでございますが、これについて、これは御存じのようにそれに要する経費というものは非常に短期に回転をする、短期の、何と申しますか、運転資金のようなものでございますので、これはちょっと政府といたしまして長期の低利の金を貸すといろ対象には不適当ではないかと、まあこういうふうに実は考えて、共同施設投資のようなものに対して貸付をいたしたい。かように考えておるわけであります。
  59. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 厚生大臣はもうきょうは来られませんか。
  60. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 厚生大臣は十二時までおりましたのですが、十二時からの予定を持っておりましたために、ちょっと退席をいたしました。
  61. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 実は私一点だけ、この前、資料要求をいたしました問題についてですね、資料を出していただきましたから、それについて関連してお尋ねしたいと思います。  私が厚生省にお願いをいたしました資料要求の一つで、風水害によって孤児になった人の援護についてお尋ねをしたいと思います。実際今度の台風でどれくらいの孤児が出ているのか、親あるいはその他の扶養者を失った人がどれだけいるかということを、統計で出してもらいましたところが、愛知県、三重県、岐阜県、名古屋市、山梨県、長野県合わせまして百三十九名になっております。十八才未満のいわゆる孤児が百三十九名であります。で、二十八年災から以後ですね、毎年総数はどれくらいになっておりますか。災害によって出ておる孤児、おわかりになりますか。
  62. 大山正

    政府委員大山正君) 先般資料の御要求がございまして、十月三十日現在の数で、ただいまお読みになりました百三十九名の資料提出しておきましたのでございますが、その後、若干さらに判明いたしましたので、その点つけ加えて申し上げたいと思いますが、名古屋市におきまして三名ふえました。それから滋賀県で三名新たに判明いたしまして言わせて六名ふえましたので、百三十九名に六名ふえまして百四十五名がきょう現在でわかっている数字でございます。  御質問にありました昭和二十八年以降の災害による孤児の数につきまして、手元に資料を持っておりませんので、後ほど調べましてお答えさせていただきたいと思います。
  63. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これらの孤児につきまして、今まであるいは今次の風水害について、何か特別に援護の手を差し伸べられたことはございますか。あるいはまた特別の援護の手を差し伸べようとしておられる御構想がございますか。これをお伺いしたい。
  64. 大山正

    政府委員大山正君) 今度の災害が起こりまして、直ちに関係府県に通知をいたしまして、各県の児童相談所が中心になりまして、避難所ごとに巡回相談班を設けまして、このような孤児の発見並びにお世話をすることにいたしたのでございます。  現在判明いたしております百四十五名の孤児につきましては、大部分が祖父母、その他の親戚に引き取られておりまして、これが百六名であります。それから勤め先その他の縁故者に引き取られました者が十九名それから現在集団避難所におりますのが五名、これは学童疎開で集団的に他の学友と一緒に避難しておる者でございます。それから児竜福祉施設であります養護施設あるいは精薄施設等に措置いたしました者が十五名でございます。なおこの孤児につきましては、里親その他の希望者も相当あるのでございますが、いろいろ調べてみますと、財産その他を持っておる孤児が相当あるわけでございまして、この点、いわゆる戦災孤児、浮浪児とは若干事情が異なっておるのでありまして、そういうものを目立てにした里親希望者というものもなきにしもあらずということでございまして、この点につきましては、非常に慎重に調査いたしまして、適当な里親があればそこに措置するという考えでございますが、原則として養護施設に措置するというように考えておるのでございます。なお、後見人の選定等につきましては家庭裁判所できめることになっておりますので、私どもの方から法務省へも連絡いたしまして、その点も遺憾のないようにいたしておるような次第でございます。ただいま申し上げました数字のように、おおむね親戚、知人等に引き取られまして、なお今後、これらの親戚知人等の世話になっておることが適当かどうかという点につきましては、さらに児童相談所が今後ともよく注意して、財産関係その他で不都合なことの起こらないように十分注意いたしたいと考えております。
  65. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今、青少年の不良化防止の問題が非常に政治的にも問題になっているのですが、こういう孤児は戦災の場合もあるいはその他の原因の場合もありますけれども、何としても非常にいじけてくるのであります。特に親戚あるいは祖父母にめんどうだ見てもらうといたしましても、なかなか精神的なあたたかさというものがなくて、そしていじけて育っていくというのが非常に心配されるわけであります。そこで、ただいま遺産の管理についても適切な措置を講ずるとおっしゃいましたが、これはやはり将来何らかの法的な措置も、もしできるものならばして、こういう孤児の遺産管理というものはもう少し厳格にして、たまたま親が残した財産がありました場合には、それで安心して成人になれると、そういうようなやはり国としての援護を講じなければいけないのではないか。また全然財産のない孤児に至りましては、これは問題になりませんから、そういうものはやはり国が何か特別な法的措買を講じて、そして成人するまではいじけないで育っていけるようにする、こういうあたたかい国の施設もあってしかるべきではないかと私は考えるのであります。たまたま風水害の問題でお尋ねをしておるのでありますが、厚生省当局としては、風水害のほかに、さらにこういうような不幸な境遇に陥っておりまする孤児がいろいろな理由でたくさん出てくることと思いますので、そういう広い視野に立って弧児の成人までみとって、援護対策というものを将来真剣にお考えになる必要があるのではないか。まあ法律的にそういうことが可能であるかどうかということは、これはあなた方の御研究に待たなければなりませんが、少なくともそういう気持でおやりになる必要があるんじゃないか。財産の全然ない、また引き取り手のないというような孤児については、私は、憲法の定めるところによって、十分法制化し得るものと考えます。そういう意味で、今後面接、今起きておりまする孤児についてあたたかい目を離さないようにしていただくと同時に、もう少し恒久的な対策をお立ていただけるかどうか、こういう点について伺いたいと思う。これは本来ならば、別に局長で不十分だというわけではありませんが、厚生省の一つ重要な問題として取り扱っていただくために、私は大臣の所信を尋ねておきたいと思いますが、退席されましたので、局長からも機会あるごとに、よく省としての考えをまとめるようにしていただきたい。
  66. 大山正

    政府委員大山正君) ただいまの御意見、まことにごもっともでございまして、私どもといたしましても、今回の災害による孤児、その他いろいろな原因によります孤児につきまして、ただいまお話にありましたような気持で十分お世話して参りたいと、かように考えておるような次第でございます。財産のない者につきましては、養護施設に入れるか、あるいは里親に委託いたしまして養有して参り、その間の費用は、国が現在十分の八を持つことになっておるわけでございますが、国、都道府県等におきまして十分お世話して参りたい。また、財産関係のある者につきましては、先ほど申し上げましたような後見人の選定等につきまして、十分遺憾のないように、よく法務省当局とも打ち合わせて十分な措置を講じて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  67. 田中一

    ○田中一君 関連。財産があるという子供に対する相続税の問題なんか、特別な措置をとっておるんですか。財産相続税の問題ですね。何か特別の措置をとっているんですか。やっぱり現在普通に、普通というか、常態にある財産税を徴収されているのかどうか。
  68. 大山正

    政府委員大山正君) ただいまのところ、特にこの問題につきまして私の方といたしまして措置をとっておりませんのでございますが、なお十分関係当局と相談いたしまして、適当な措置考えたいと思っております。
  69. 田中一

    ○田中一君 いや、措置をとっていないという――措置を何とか、その子供の成長まで減らないような……。という第一歩は、財産税を取らないということが、あるいは軽減するということが、その考え方の出発だと思うんですよ。従って、子供に愛情を持つならば、この際、そういうものは免ずるというような措置をとる方向に、これはもう厚生省の権限内じゃないですけれども、厚生省としてはそういう方向にいくならいくというような明書がほしいわけなんですね。で、それはそういう方向にいくように関係当局と相談するというのか、その点をもう少し明確に厚生省の意思を伺っておきたい。説明して下さい。
  70. 大山正

    政府委員大山正君) 税務当局とこれは十分打ち合わせてやりたいと思います。
  71. 森八三一

    ○森八三一君 一点だけお伺いしたいと思いますが、公的医療機関の復旧に関する問題であります。御説明にあります要網によりますると、災害復旧に要する費用について二分の一を補助すると、こういうように相なっておりますか、ここに述べられておる災害復旧に要する費用とは、その内容がどういう性格のものであるのか、具体的にまずお伺いいたします。
  72. 黒木利克

    説明員(黒木利克君) 従来公的医療機関に対しまする国の補助は、診療棟と病棟だけでございます。今回も診療棟と病棟の被災に対して二分の一を補助するということになっております。
  73. 森八三一

    ○森八三一君 私がお伺いしておるのは、その内容災害復旧というものですから、被災前の原形に復旧するというだけにとどめなさるのか、公立学校等につきましては、さらに今後被災を繰り返してはいけませんから、改良復旧すなわち木造の建物等は鉄筋コンクリート等に改良していくということが法律に明記されておるのです。そういうような趣旨でなければ、人の生命をあずかる病院、診療所等につきまして、非常に私は問題が残ると思う。そこで、そういう改良復旧と申しまするか、そういうことまで考えていらっしゃるのか、いらっしゃらないのかということをお伺いしておる。
  74. 黒木利克

    説明員(黒木利克君) 災害復旧は、この国庫補助と起債等による措置でやりたい。従って、原形復旧にはこだわりませんで、できるだけ予算なりあるいは起債の可能な範囲においては改良復旧まで考えて参りたいと思っております。
  75. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、具体的にお伺いいたしますが、被災前の施設は、かりに一億円の価値のあったもの、それが被災によって非常な損傷を受けた。そこで復旧をしなければならぬ。その復旧をする場合に、今お話になりましたような改良復旧をあわせて行ないますれば四億円の費用を要するという場合に、この法律を文字通り解釈いたしますれば二億円の補助をするということになりますが、そういう趣旨でございますか。
  76. 黒木利克

    説明員(黒木利克君) これは、大蔵省なり自治庁とまだ詳細な打ち合わせをいたしておりませんが、補助金と起債によってできるだけ改良復旧と申しますかをやりたい。単なる原形復旧にとどめたくないという気持でおります。ただ、病棟、診療棟に限るわけでございます。
  77. 森八三一

    ○森八三一君 病院の復興ですからね。打ち合わせをして、これからどうするこうするというようなことでは、被災を受けておる病院の経営者としては待っておれないでしょう。今私が例示いたしましたように、被災前の施設は一億円の価値があった。今度はあなたがおっしゃるように改良復旧を認めてやっていきたい。改良復旧をすれば四億円かかる。そのときに、二分の一だから、二億円いただけますかということです。そいつを、まだこれから打ち合わせしてやるなんというそんな悠長なことで、人の病気や生命をあずかる病院の復旧ができますか。大体予算をおきめになるときには、おおむね打ち合わせをして金額が具体的に幾うになるか、設計等によりますから、今は言えませんけれども、方針的なものはきまっていなければおかしいと思うのです。そんなものがまだきまっておらぬのですか。
  78. 黒木利克

    説明員(黒木利克君) 実は各県におきまして復旧の具体的な計画が出そろっておりませんので、具体的な内容についてはまだ決定はいたしておりません。しかし、予算は、法律が決定次第直ちに交付基準を決定冷するつもりでおりますから、特に起債の額につきましては、まだ具体的な計画が各施設、県から出ておりませんので、具体的な内容まで申し上げる段階にはないのでございます。
  79. 森八三一

    ○森八三一君 私の質問が悪いのか……。今の方針として、改良復旧を認めるということをおっしゃったんですよ。改良復旧を認めようとすれば、私が今具体的に例示してお伺いしておることにはっきりお答えをいただきたいのです。予算範囲内という文字が使ってありますかう、きちっと二介の一にいかぬという場合があるいは起きるかもしれません。私は好ましいことではないと思いますが、そういう場合も理論的には存存すると思います。しかし、方針として改良復旧を認めるということでありますれば、今私が申し上げましたような場合には、二億円の補助をするという方針であると了承せざるを得ないと思うのですが、そう了承してようございますか。
  80. 黒木利克

    説明員(黒木利克君) もちろん予算範囲内でございますが、さように御了承願って差しつかえないと思います。
  81. 森八三一

    ○森八三一君 さらに、重大な問題ですからだめを押しておきますが、原形復旧ということで、今例示いたしましたような場合には、一億円のものを復興するだけで、その二分の一の五千万円の助成々上げるが、四億円の建物を作ることは御自由だということに、今の言明かう申しますれば、なりませんかね。そういうところまでお考えになっていますか。
  82. 黒木利克

    説明員(黒木利克君) 実は予算と、もう一つは起債の二つで、病棟と診療棟を復旧して参りたい、できるだけその機会にりっぱなものにして参りたいということでございますから、御質問のような御趣旨で運営して参りたいと思いますが、ただ、何分予算なりあるいは起債のワクがございますから、あるいはすべての被害の施設を復旧するというわけにも参りませんので、おのずから限度がございますが、そういう趣旨で運営して参りたいと思っております。
  83. 森八三一

    ○森八三一君 起債とからみ合ってお考えを述べられますが、公的医療機関の中には起債等に関係のないものが相当あるのですね。そういうものは復興の計画を立てまするのに、今申し上げましたようなことに考え及びますれば、二億円は補助金がちょうだいできる、あとの二億円の金をどう調達をして診療に遺憾なきを期するかということを考えなければならぬ。そこで、いよいよ具体的に准行していく過程で、予算範囲内ということだから二億円が一億八千万円とかいう程度のことはあり得ても、それが三分の一あるいは四分の一の補助になってしまうのですね。そういうことは想像できない。だから計画を立てますのに、大体言明いただきましたからこれ以上申し上げませんが、再確認しておきます。災害復旧に要する経費とは、改良復旧を認めるという趣旨に沿って新しく建設する費用の二分の一を補助する目途である。ただし、予算関係もありまするので、二分の一きっちりになるかならぬかということについては、これは実態に即して考えるということで、方針としては、原則的には要する新築経費の二分の一を助成するということである。その内応としては改良復旧を認めるということであると了承いたします。それでよろしゅうございますれ。
  84. 黒木利克

    説明員(黒木利克君) たとえば厚生連の病院のごときは、厚生連の系統の金融の措置がございますから、この辺をにらみ合わせまして解決をしたいと思っております。従って、改良復旧も必要に応じてそういうような資金のルートが別にあるというような場合等に考慮いたしたい、かように考えております。
  85. 森八三一

    ○森八三一君 資金のルートは関係ないでしょう。補助金ですからそんなこと考える必要がどこにありますか。資金のルートはどこからこようと、補助金をちょうだいした残額を施設者は考えればよろしいので、融資のあるところには補助金はやりませんという趣旨にも聞こえるのですが、それではおかしいじゃないですか。
  86. 黒木利克

    説明員(黒木利克君) 実は予算の総額が十分でございませんから、いわば予算と、いろいろな起債その他の融資の方法で、各病院ができるだけこういう機会にりっぱな病院に復旧できるようにという趣旨でございますから、補助金を主にして解決をするのでなしに、いろいろその他の起債なり融資なりその他総合的な方法で改良復旧に当たりたい、こういう趣旨でございます。
  87. 森八三一

    ○森八三一君 くどいのですが、法律に二分の一を補助することができるという明文のありますることは、原則として二分の一をやるのでありまして融資があるから補助金を減らしてみたり、融資のないところには二分の一一ぱいやってみたりということであってはならぬと思うのですね、そういう不公正平があっては。もし、そういう裁量があなた方に許されれば、これは問題になります。補助金をもらうのと、融資で考えてもらうのでは、あとの経営に非常に大きな関係があるでしょう。融資は利息を払いますし、また元金も償還するのですが、補助金はもらいっぱなしですね。そんなことがあなた方の裁量にまかされるということは、これは許されませんよ。ですからこの明文通り、私が最後に確認して申し上げた通り災害復旧に要する費用とは改良復旧を考慮する。そうしてその結果生ずる所要経費の二分の一を補助する。ただし、予算に制約があるので、その二分の一を多少欠ける場合も存在するということであって、もし、これが八分の一に減り十分の一に減るというような予算であったら、ここに二分の一を補助することができると書いてあるのは、まさに羊頭狗肉ですよ。そんな程度のことなら……。要綱には二分の一という限度を書いておきながら、予算の方では十分の一にも至らぬ予算しか取れぬというなら、こんなことをお書きにならぬ方がまだ惑わされなくていいと思うのです。少なくとも二分の一を補助することができるということをここにお示しになる以上は、これに近い予算を取れるという確信を持って参るのでなければ……。要綱には二分の一と書いておきながら、結果的には十分の一もいきませんということでは、これは話がおかしいですよ。そういうことじゃないでしょう。
  88. 黒木利克

    説明員(黒木利克君) 改良復旧の場合には、確実に病棟と診療棟との復旧に要する費用の二分の一をは補助するまではいけないと思いますが、ただ、この復旧を、単に補助金だけでなしに、いろいろな方法で援助したいという趣旨でございますから、この補助金の運営の方針によるわけでございますけれども、一応被害申請の個所数が少ない場合には、そういうことも可能でございますが、申請の個所数等が非常に多い、あるいは改良復旧の希望が非常に多いというふうな場合には、できるだけ公平に、しかも、たくさんの施設がこの措置によって復旧できるようにしたい、そういう趣旨でお答えした次第であります。
  89. 森八三一

    ○森八三一君 いよいよわからなくなりますがね。そうすると、結局あなた方は改良復旧は好ましいが、それは自由にやりなさい、政府としては予算範囲内で可能なことをやりましょうということですね。公立学校等については、改良復旧というものはどの程度認めるということをはっきりきめておくのですよ。それは児童生徒を扱う大切な建物ですから、再び生命に危険を感じさせないようにというのでそうなっているのです。病院はそれほどまでは考えませんという政府の態度である、こう了解せざるを得ないのですが、二分の一の補助をやる、そうして方針としては改良復旧を認める。それはその施設の性格上りっぱなと言っては語弊がありますが、ふさわしいものを作る。これはどうしても木造の安いものじゃいかぬから、しっかりしたものを作らなければならぬということがあなた方の御方針であれば、そういう方向に復旧を進めていくという態度でなければならぬと思う。そのためにこそ補助金という制度があるわけですから、その補助金の制度がさっぱり意味を失ってしまうような補助金なら、こういうことを明示されること自体が、かえって関係者が惑わされるという結果になると思うのですが、そうお考えになりませんか。二分の一といっておいて、そうして予算範囲内だから申請が多ければどうなるかわかりませんということじゃ、関係者が計画が立たぬじゃないですか。これだけの補助金が出る見込みだから、どういう改良復旧をやって、残りの資金はどう調達をするということを考えなければ……。無責任なことはできませんよ。考えてみたあとで、金が足りなくなったら借りなさい、それはもう借りられぬ。そうするというと、計画変更をしなければならぬ。また補助金が減ってくる、そんなことをやったんじゃ、大切な病院の復興はできませんよ。どうするのですか。
  90. 黒木利克

    説明員(黒木利克君) 原形復旧の場合は、診療棟と病棟については二分の一の補助を支出する。改良復旧の場合は、いろいろ規模なり計画が各施設によって異なりますので、その場合には確実に二分の一の補助ということには参りませんで、いろいろ他の起債とか、あるいは他の融資の方法と、からみ合わせましてきめざるを得ない、こういうことで運営して参りたいと思っておるのでございます。
  91. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 厚生省関係の質疑は、これを後日に譲ることとし、午後は農林省関係の質疑を行うことといたします。  午後一時半まで休憩いたします。    午後零時四十一分休憩    ―――――・―――――    午後二時十五分開会
  92. 郡祐一

    委員長郡祐一君) これより委員会を再開いたします。  農林省関係法律案審査いたします。  まず、去る二十日衆議院において修正議決されました昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業の助成に関する特別措置法案について、その修正部分を、便宜農林省当局から説明を聴取することにいたします。
  93. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 今、委員長からお話がありましたように、便宜私から、除塩関係法律につきまして修正議決のありました点を簡単に御説明申し上げます。  修正点は、本文ではございませんで、附則でございます。  附則で、原案におきましては、「この法律は、公布の日から施行する。」ということの一号だけでございまして、二号の施行前に行ないました除塩事業について適用するということは書いてございませんでした。われわれ事務的には、実はこの二号がなくても、一号で、この法律は九月の暴風雨によって塩害を受けたという規定をいたしておりますし、そういう事実がありますれば、この一号だけで、公布の日の前に行ないました事業でも、査定の結果はっきりしているものであれば、さかのぼって適用していいという実は解釈をとりまして、一号だけで御審議願うように出したのでございますが、衆議院で御議論の結果、ほかの法律にはこの二号のようなことも書いてございますので、こういう規定を入れた方が、その点ははっきりするのでなかろうかという御審議がございまして、この二号が追加になったような次第でございます。実質的には、われわれ考えていた点と同じでございますが、その点がはっきりしたという点が修正でございます。
  94. 郡祐一

    委員長郡祐一君) これより農林省関係法律案議題といたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  95. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、一つ御質問申し上げまするが、何か私どもの承っておるところでは、除塩に関する、第一条の事業の内容に何か変更があったというようなことを聞いておりますが、それはないですか。具体的に出しますると、稲刈りの場合ですね、あるいは除塩の中じゃなしに、湛水地の方の法律修正したということになるのか。その塩分を含んだ稲わらが現存していると、そいつを除去することは、除塩の目的を達成するためには非常に必要なんだ。そこで、稲株なり稲わうを除去するために要する経費についても助成するというような修正が行なわれたやに承っておりますが、そのことはどうなっておるか承りたい。
  96. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 今申し上げましたように、修正になりましたのは附則でございまして、今、先生のおっしゃいました稲刈りをするということの費用につきましては、この法律考え方としましては無理ではなかろうか。ただ、稲がありますために除塩の経費が非常によけいかかる。水をよけいかけますとか、あるいは石灰をよけい使用しますとか、そういうことにつきましては、当然かかり増しの費用につきましては、これはこの法律で行ないますが、稲刈り自体、除塩を離れました稲刈り自体の問題につきましては、この法律でやることは困難だというふうにわれわれは了解をいたしておりますし、そういうように御答弁をしておるという次第でございます。
  97. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、具体的に除塩の効果をあげるために、残存しておる稲株なり稲わらというものをその水田から除去することが適当であるという場合に、そういう行為をしたと、その行為に対する所要経費に対しては、この法律で助成できると、こう解釈していいのですか。そうじゃない  のでしょう。
  98. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 除塩をいたしますためには、私どもは稲刈りというものをしなくとも除塩というものはできるという考え方をとっております。それで、今おっしやいました稲刈りの費用というのは、これはわれわれは除塩のための経費でなくて、この法律以外のことではなかろうかというふうに解釈いたしておりまして、塩害を受けた農地の除塩というのは――そういう稲刈りをする費用というものは、この法律では見ておらぬというふうにわれわれは考えております。
  99. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そうすると、塩分を含んだ腐った稲が堆積しておる、それでこれを除去する行為に対する助成はせぬが、そうすると、従って水量というようなものも非常に多く使用しなければならぬ。だかうそういう特別な施設に対しては助成すると、こういうことになるんですか、こう了承していいのですか。
  100. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 稲刈りをするという、そういう作業自体は、この補助対象には考えておりませんが、そういう稲がありますために非常に水がよけいかかる、あるいはそのための動力費が非常に要りますとか、あるいは森先生からこの前御指摘がありましたように、井戸を掘うなければできぬような場合もあるかもしれません。あるいは石灰をよけいやるというような費用が、その稲がありますために費用がよけいかかるというようなものについては、これは当然この補助の適用対象になるというふうに考えております。
  101. 森八三一

    ○森八三一君 そういうことであるとすれば、結果的に国費というものに変わりがなければ、石灰をよけい使うというような資材の消費をするのでなくて、塩害をこうむった水田を耕作しておる農民諸君は、取り入れその他にも労力が要うなくなったわけですから、余剰労力が存在しておる。その余剰労力を使用して、まあ端的に申しますれば、一種の救農的な仕事にも通ずるかと思うのですが、除塩のために要する石灰の費用だとか、あるいは水をよけいかけるために要する費用というようなものにかえて、除去することによってその経費の方に節減が期せられるということであれば、要する経費はどっちにいたしましても同じことで、目的も同じように達成せられるということになれば、潮害をなしておる稲わらを除去するということに助成をやるということも除塩の目的を達することにもなると思う。そういう場合をもなせ含めてはいかぬのか、この法律では考えておらぬということであれば、法律で考うべきじゃないかということを私考えたくなってくるのですが、どういうわけでいかぬとおっしゃるのか。石灰をよけい使えば、塩分を含んだ稲わらがあってもそれは除去されます。それはわかります。石灰をよけい使わぬで稲わうを除去すれば、それでも目的は達する、どっちの方を選ふかという目的に沿って考えて参りまする場合には、水没の現状等を考察する場合、むしろ稲株を除去するということに経費を使う方がいいのではないかという考えに私はなるんですが、この法律考えておらぬということは明確です。これを考えるように修正するということがどうしていけないのか。
  102. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 私どもこれでまあ単価的に考えておりますが、先生おっしゃいました稲わらを除去した後でも、また当然これは除塩のことをやらなければいかぬと思います。それで、稲刈りをする費用ということでいろいろ現地等で言われている金は、かなり膨大な金が言われているということを私どもも聞いておりますし、むしろ私どもはそういうことをやらないでも、それよりも安い費用で、やはりある程度のかかり増しはあっても、この法律で除塩ができるのじゃないかという判断を実はいたしておりまして、稲刈り自体という問題につきましては、これは除塩ということとは別な問題でなかろうかという判断で、この補助対象にはしておらぬような次第でございます。
  103. 田中一

    ○田中一君 これは御承知のように、結論を求めるものは、来年の植付時期までにその田が十分に間に合うというところにねらいがあるわけなんですね。従って、稲株があろうともなかろうとも、植え付けられる状態というところに、この法律によって助成しようという方針があるわけです、目的があるわけなんですね。で、衆議院段階で、まあ率直に伺うと、あなた方が話し合った段階で、稲刈りといろ労働力ですね、これをも含めようではないかというような理解がなされたようにわれわれは承知しておるのです。従って、森委員かうもそういう質問が出たわけなんです。むろんあなたの方で与党と一緒になって話し合いをしたと思いますけれども、今はっきりと稲刈りというものは含まないのだ、稲刈りという行為、この賃金というものは含まないのだというなら、そのように御答弁願いたいと思うのです。そして、そういう要求が地元にはあるけれども、この法律では云々という必要はございません。この法律ではないことはわかつているのですから、従って、それは含まれておらないのだと、あるいはそういう点はこの法律の中に、内容において、地元においてそういうものを勘案されたのならされておるというように答弁していただきたいと思うのです。
  104. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) お答えいたしますが、今の稲刈りをしますそういう作業費というものは、この第一条の対象として考えておりません。
  105. 田中一

    ○田中一君 おらないのはわかっているのです。この法律を見ればおらないのですから。しかしながう、あなた方が話し合いの段階において、その後含まれている労働力をも見ようというような了解があったのかないのか伺いたいと思うのですよ。
  106. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) そういう了解があったというふうに私は存じておりません。
  107. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっと伺いますが、ざっくばらんに伺いますが、私たち衆議院において、与野党で話し合いができて、そして除塩をする場合に、やはり効果的にやった方がいいじゃないかというので、稲刈りというものを入れる、こういうふうに話し合いがついた、こういうふうに何っておったのです。だから森さんの質問になり、重政さんの質問になっているわけです。ところが、今聞いていますと、全然違ったことになっている。そこでまあ違ったなと思いながらお話を聞いていると、稲刈りをやると労賃が非常に高くついて、費用がむしろ莫大になるのじゃないかというようなところで、どうもあなたの方がまた寝返ってきたというような格好に聞こえるわけなんです。そこで実際問題として、除塩をするのが目的であり、そのためにやはりその費用を十分の九補助する、だから除塩が目的なんですから、何も石灰と水でやらなくたって、塩のそういうしみ込んでいるものを取って出すということは一つの除塩作業だというふうに見れば、除塩をするという目的ならば、その方があるいは安いかもしれない。だから当然除塩ということについて、そういうことをやるということについては、目的は私たちは合致しておると、こういうふうに考えるけれども、あなたの方としてはどういうふうにそういうものをお考えになるか。ただ単に、費用が安いとか高いとかということを離れて、除塩をしっかりやるためには、そういうものはやはりかえって外へ持ち出した方がいいんじゃないか、中へすき込むよりも。水で流しておいてすき込んでいく、あるいは石灰ですき込んでいくよりも、そういうものをむしろ外へ持ち出した方が除塩としてはむしろより完璧を期することになる。何も一年だけじゃなくして二年、三年も除塩をやらなければならぬようなことがあるかもしれない。来年の作付に間に合うようにされるのなら、そういうふうにした方がむしろ適切だと判断をされる場合があるかもしれない。だから、除塩を完全にやるには、その土地、その場所、いろんなことによって私は違うと思うけれども、むしろそれをやった方がいいと判断をした場合には、除塩の中にそういうものを入れることは何ら差しつかえないじゃないか、またそうやった方が適切ではないとか考えられますが、あなたの方はいかがお考えになられますか。
  108. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 先ほど森先生の御質問にもあったのでございますが、われわれとしましては、この法律で除塩ということをやっていきます際に、稲刈り作業ということまでも入れなくても目的は達成されるのじゃないかという見解で、法律対象にもいたしませんでした。しかし先ほど御答弁いたしましたように、衆議院におきまして、そういう稲刈りの作業費もこれに考えますということは、実は言っていないような次第でございます。
  109. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 どうもはっきりしないのだが、そうすると、農地局の見解は、この塩分を含んだ稲を水田にすき込んでも除塩の目的は達する、あるいはその塩分を含んでおる稲を水で洗浄してそしてすき込んでも除塩の目的は達する、こういうお考えですか。
  110. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) そういう見解をとっております。
  111. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そうすると、第二段階に、それに対する水量、塩を洗う水というようなものは普通よりも多く要るというのはこれは常識だろうと思うのです。だから、これに対する施設、多く要る水の施設に対しては助成する。それからまた科学的に石灰をそれをすき込むということになれば多くの量が要る、普通よりも。で、これはそういう意味において助成の対象とすると、これで除塩の目的が達成できると、こういう見解ですか。
  112. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) その通りの実は見解を持っております。
  113. 森八三一

    ○森八三一君 一応政府の考え方もわかりましたし、そういうような御説明の方法で除塩の目的を達成し得る場合もたくさんあろうと思います。思いますが、所在する水田の位置等によりまして、あるいはその土壌の性格によりまして、石灰をたくさん使うという結果が土質の将来に悪影響を与えるという場合が、今私がどこの地点にあるという具体的な例は持っておりません、おりませんが、理論的には存在すると思います。物が石灰ですから。許容量というものに限界があろうと思うのです。それから水でやる場合にいたしましても、いずれも前回も御質問申し上げましたように、海岸地点のことでありますので、上流から水を持ってくるということは、かなりこれは水利関係その他で困難な地点が多いといたしますと、さく井等によって始末をしなければならぬという場合も発生する。そういうようになりますと、水量を多くかければいいのではないかということは、実際には非常に困難な問題になる。そこで石灰の施用量も土質を悪化せしめないという限界にとどめるとか、あるいは水にいたしましても、そういうような無理な困難をあえて冒してやるという、多量に使わないということを考えますると、塩自体を人為的にある程度除去する。その他の方法によって除去して、残った部分だけをこの法律でねらっておる方法においてやるということの方が結果的にはいいという地点もあろうと思う。そういう場合には、それを認めないということはおかしい。こういう理屈が出てくると思うのですね。石炭をよけい使っちゃ土質に将来悪影響を与えるという危険の存在する地点、水でどんどんかけ流しをすればいいではないかといっても、水の方に制約があって、そうは思う通りにいかぬという場合は、含有されておる塩分自体を他の方法によって除去することを考える。そうして残った部分の塩分だけをこの法律の方法によってやれば、土質にも悪影響なし、水量にも無理はなくてやれる、こういうことになるのではないか。そういう地点がもし存在するとすれば、そういうことを考えないという考え方自体もおかしいのではないかと、こういう気がするのですが、その点はどうですか。
  114. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 非常に仮定の御質問でございますが、実はわれわれここに考えておりますのは、今先生のおっしゃいましたように、水が非常に足りないというような所、どうしても持ってこれぬというような所には客土をやったらどうかというようなことを実は中で考えておるような次第でございますが、先生のおっしゃいましたような所が現実の問題としてどういうふうにあるのか、実は私も今ここでは存じておりません。私どもといたしましては、今ここに書いてあるようなことで自的は達成できるのではないかというように考えておる次第でございます。
  115. 森八三一

    ○森八三一君 私も今ここで具体的にどこにどういうものがあるということを、遺憾ながら調査しておりませんから申し上げません。上げませんが、この特例法をお作りになったそのあたたかい気持の出発が、とにかく塩害によって来年の生産に悪影響があってはお気の毒だ、来年の生産だけはつつがなくやれるようにしてあげたいというのが、私は法律目的であり精神であろうと思う。でございますから、今当面のこととしては、この法律規定することで十分だと思われましても、私の申し上げるように、客土も非常に困難である、それから石灰を施用するということが将来悪影響を与えるという心配がある、水を豊富に使えばいいと言っても、そこに無理があるといったような地点が存在するとすれば、その場合には、除去されなければならぬ塩分自体の当初の出発点における量を減少せしめておいてこの法律の方法を適用すれば、政府の思いやりというものが十分に効果を発揮するということになると思うのです。なければ、そういうことを規定しておいてもやらなくてもいい。この法律に書いてあることはやらなければならぬということではないので、もし法律に書いてあることを全部やるということになると、これは大へんなことになる。あらゆる場合を想定して塩分を除去するという目的を達成するために考えられる理論的な方法というものを全部列挙しておいて具体的に当てはまることがなければ、その何項目というものは実施されなかったということで済む。法律としてはあらゆる場合を想定して十分なものにしておくということが私は大切だと、こう思いまするが、そういうことをなぜ考えていかぬのか、私は考えませんとか、法律にねらっておりませんということでなしに、政府のお気持が、来年の作付にはどんなことがあっても心配がないようにしてあげたい、そうして日本の食糧問題に寄与させるということであるとするならば、今申し上げますように、どこが考えられるかということがなくても、理論的にそういうようなものが考えられるといたしますれば、そういうものをも規定しておく、なければ実施しないということで済ますのが法律としては正しい行き方ではないか、こう思うのですが、それを否定されるゆえんを一つ説明願いたい。
  116. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 私はこの第一条に書いております四項目の事業で大部分のものはもうできるだろうという前提で実はこれを書いておるような次第でございます。
  117. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 森さんもいろいろと場合を想定して御質問になっておりますが、実は私はこれも私が調べたわけではございませんが、愛知県のたとえば飛島ですね、そういうような所で水で洗うという場合を想定いたしますと、犬山から用水を持ってくるわけです。そうしますと、水路の相当補充をせなくちゃなりません。しかも、冬に水を取るということになるから、相当なものになります。井戸を掘ればいいじゃないかと言われますけれども、井戸でやればやはり塩分が相当入っておるので、そういうことはできないので、相当かけてこなければならぬ場合が出てくる。もう一つは、そういうことをやった場合は水利権の問題が出てくるわけです。ですから、費用というものの節約の点から考えれば、私は塩分の非常にあるものはやはり除去するというのも費用を軽減する意味においては一つの方途じゃないかと思うのです。ですから、その地域その地域によってどちらか私は適切な方法があると思うのです。森さんが指摘されるように、書いてあるからやるのだというのじゃなくて、どちらをやったら適切かという点になって判断をした場合には、やはり塩分を非常に含んでおるものを突っ込んで洗ったり、石灰をまくよりも、そのものを除去した方がいい場合があるのです。その場合には、除塩という立場に立って事を処理するようなふうに解釈はできないものか。あなたの方ではそういうふうにやっていくことがいいとお考えにならないのかという点が一つ。もう一つは、ここにもし、この除塩のために水利権が出てきた場合には、水利権の補償というものはされるかどうか。ここにはないわけですけれども、あるいはほかにあるかどうか私は知りませんけれども、水利権というものについても当然補償ということを考えておかなければならぬと思う。もう一ぺん繰り返しますが、こういう低い所ですから、水を遠くの方から持ってきて、しかも一定期間ためておいて、しかも今度は高いところへ水を、海岸線の方が高いわけですから、ポンプ・アップしなくちゃならぬというようなことで、非常にたくさんの費用がかかるのです。ですから、私はむしろ塩分を非常に含んだものを取った方が安上がりだと思うのです。ですから、これはあとでちょっと補足したわけですけれども、その点について一つお答え願いたい。
  118. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 二点お尋ねでございますが、水利権の問題、これはたとえばそのほかにも排水施設を作ります場合に人の土地を通るとかいうような土地の補償の問題も出てくるかもしれません。こういうものは当然「かんがい排水施設の設置又は変更」ということに含めて考えていかなければならぬ問題だろうというふうに解釈いたしております。  それからもう一点の場所によってやり方が、いろいろ安い方法があるのじゃないかというお話でございます。今例を引かれましたが、おそらく木津でありますとか宮田でありますとか、あの辺の用水の関係だろうと思いますが、非灌漑期でございますので、私どもとしましては、あの用水は始終使っておりますし、特にこのためにそう補償をしたりということはないのじゃないかと思いますが、ここに書きました、第一条の補助対象として書きました気持ちは、大体過去の経験にかんがみましても、こういう施設をやれば目的を達せられるのではないか。二十八年の当時も目的を達せられましたし、私はこれでいいのじゃないかというような考えを今でもこれについて持っておる次第でございます。
  119. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 融資のことで少しお尋ねしたいわけですが、桃栗三年柿八年という一某がありますが、果樹の問題については、何か五年を七年に延長する、しかし据え置きはどれだけにするかというようなことについては検討するというような、この前御答弁になっているわけでございますが、果樹の問題についてもう少し延長ができないものか、それから据え置きをどのくらい考えておるか。
  120. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 果樹に対しまするところの天災融資法の融資の問題ですが、これは、この前御説明申し上げましたように、果樹が非常に長期を要するというような点からいたしまして、今までの天災融資法の償還期限五年を七年ということに延長しましたわけでございます。その中で二年ないし三年の据置期間をつけたい、こういうことを申し上げておったのでございますが、いろいろ検討いたしました結果、大体三年の据置期間にしたらどうだろうかというようなことで現在考えております。それから七年の償還期限では短いというような御意見のようでもございまするが、もちろんものによっては、七年ではそう十分ではないというようなことも考えられないことはないのでございますが、いずれも根本問題といたしましては、果樹の振興につきましては、いろいろ果樹の振興対策というようなものを検討しておりますので、その場合の中心問題は、やはり金融の問題であろうと思います。ですから、従いまして果樹に対します金融措置の根本的な問題は、そういう果樹の振興対策を根本的に検討いたしまする際に、一つこれは根本的に考えたいというふうに考えているわけでございます。
  121. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 実際問題としてある程度の償還期間というものをみておいていただかないと、実際金は借りたけれども、支払いの方で苦しまなくちゃならぬと思うんですが、あなたがおっしゃるように、四年据え置きですか、今は……。
  122. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 三年据え置きでございます。
  123. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 三年抑え置きの四年ということですが、いま少し私は延ばしていただかないと、実際あなたが一ぺんそういうものを作ってみて、どんなふうになるかということはやってみられるとわかりますが、お百姓さんがこういうものをやって、三年で十分成熟ができて、そうしてやっていけるかというと、とてもできない。だからやはりものを作る立場で言えば、もう少し三年をたとえば四年くらいにする、そうして償還はやはり十年くらいにするというような建前にならなければならぬと思います。ですから、もう少しこの点については検討をしてもらいたい、融資云々ということも一つからめて検討してもらいたい。なお、このほかに、金魚、あるいはボラ、ノリそだ、茶、そういうものが入ったということを聞いておりますが、その辺はどこら辺になっているか、お答え願いたい。
  124. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 金魚やボラにつきましては、先般来からいろいろ御質問もございまして、御答弁を申し上げておったところでございますが、一般の天災融資法で経営資金といたしまして融通されますものは二十万円の限度であるわけでございまして、そのほかに、農林漁業金融公庫からの施設資金といたしましては、百万円を限度といたしまして貸し付けることができる、こういう実情になっておりますので、これは特に融資の限度を引き上げましたのは真珠とウナギでございますが、それらと比べまして、経営資金といたしましては、二十万円の限度でやっていけるのじゃないか、こういう検討をいたしているわけでございます。この内容を一応の試算ではございまするが、申し上げますると、大体今までの調査で、金魚の養殖で被害を受けましたものは、経営体の数といたしまして百二十くらいございます。それからボラの養殖といたしまして、被害を受けましたものは、経営体の数で八十四ぐらいでございます。そういたしまして、この一つ当たりの被害は、何といいますか、養殖経営資金に当たりますものは大体養殖されておる物でございまするが、それとそれから施設の被害と、これを両方に区分してみますると、金魚では施設の被官が一件当たり大体三十二万一千円、それから養殖物、いわゆる金魚そのものの被害が十二万六千円というような内容でございます。それからボラの場合には、施設の被害が六十二万二千円、それから養殖物いわゆるボラの魚の方の被害が五十六万四千円、こういうような大体内容でございまして、これは今まで飼っておりました成魚が大体中心になって、それが被害を受けたわけでございまするので、新しくこれを復旧いたしまする場合には、もちろんこの施設の方の被害につきましては公庫の方から融資ができまするし、それから経営資金としての魚の方の購入、この費用の場合には、大体稚魚を買う、あるいは産卵新魚を買う、こういうことになるわけでございまするけれども、これは別に被害額全体を買う必要はないのでございまして、稚魚の場合にも値段は低いですし、それから産卵新魚を買う場合にも、これは数を少なく買えばいいというわけでございまするので、そういう点を考えまして、大体被害額の三分の一のもので大体やっていけると、こういう大体見当でございます。そういたしますると、経営資金といたしましては、金魚で、えさ代まで入れまして四万二千円でございます。それからボラの場合には、えさ代まで入れまして、大体十八万円という程度のものが経営資金として必要ではないかと、こういうような試算をいたしておるのでございまして、ですから、こういうような点からいいましても、経営資金といたしましては、大体二十万円の限度でやっていけるのじゃないかというような考え方でございます。  それから先ほどの果樹の場合に、もう少し期間の延長ができないかと、こういう御質問でございますけれども、これはいろいろ桃栗三年柿八年というようなこともございまするが、最近の技術からいいましても、相当実がなってくるのも早くなってきておりまするし、いろいろそういうような点を考えまして、とりあえず災害復旧対策といたしましては、大体七年の償還期限で、それから三年据置きというようなことで、とにかくどうやらそれは苦しいなりにもやっていけるのじゃないかと、こういうことを考えておりますわけでございます。
  125. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もう一つ、専業とそれから副業、こういうことでいろいろ貸付額が違っておるようですが、あなたの方は、専業あるいは副業という区分ですね、経営自体が非常に大きいのと小さいのとで私は差があると思うのですが、一体専業、副業というものを設けられたという意味、それからもう一つは、専業、副業の差というものをどういうところで区分をやられているか、その基準一つ明示しておいていただきたいと思います。
  126. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 専業と副業とを、実際問題としてどういう工合に区別するかということも、実際の運用上まことになかなかむずかしい問題もあるかと思いますが、大体一般的に考えておりますのは、主たる収入がその業によって得られているというような考え方からいたしまして、年間収入の半分以上がその業によって得られているというようなものは、大体専業というように考えていいのじゃないかというように考えておりますわけであります。そういたしまして、特に今度の場合に専業と副業というものを取り上げましたゆえんは、あの名古屋の地帯には、家畜の専業者というものが、いわゆる農家でなくて家畜を飼っているというようなもの、たとえば鶏のひなを作ってこれを売っているというようなものがありますものですから、そういう意味からいたしまして、特に専業というようなものを取り上げましたわけでございます。
  127. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ規模の大小によっても私は相当貸付額に差があっていいと思いますが、これは別といたしまして、分科会等でいろいろ意見が出ると思いますから……。  次に食糧庁関係がお見えになっているそうですから、お伺いしたいと思います。米屋さんの売り掛け代金のことですね、ちょっとお尋ねしたいと思いますが、部長も現地等へおいでになって現地の人とも話をされて、いろいろと事情をご存じなんでございますが、問題はやはり配給機構に乗って、普通の小売屋さんと商売が違うと思う。そこで浸水してしまった米、あるいは配給で持っていたけれども、その人がお金が払われないような実情にある人が実際浸水地にはあるわけです。お金も持っておられないようなことになって、どうしたってやはり問屋に対する延納というものは必然的に出てくると思うのであります。そこで延納に対して利子の問題も出てくるわけですが、普通のこれが自由経済に基づくところの商売なら、それに対する若干の物価の値上がりというようなことで、その損というものを補足する手もあると思いますが、何と申しましても配給機構に乗った米屋さん、しかも配給をああいう場合でも持っていかなくちゃならないという一つの義務もある。そのしわ寄せを一切米屋さんにしわ寄せするという点は、どうみたって片手落ちのことだと思われる。それに対して、その後どういうような処置をされているのか、あるいは処置をされていないとするならば、今後どういうふうにされようとするのか、その辺一つ説明願いたいと思います。
  128. 岡崎三郎

    説明員(岡崎三郎君) お米の配給の代金の問題でございますが、農家に対しましては、御承知のように法律で安売りということで、なおかつ、また一カ年の延納という措置をとりたいと思っているわけでございますが、ただいまの御質問は、一般消費者に対する米の延納売却についてはどうか、こういう問題かと存じます。私どもはこの今回の台風被害の特に激しかった愛知、三重、岐阜、三県の知事さんといろいろ打ち合せておりまして、被害農家に対する米の延納売却と同じような方法で、知事を通じて延納売却を行なう予定で照会しているのでございますが、実はいまだに確定的なお返事もないのでございます。ただいまお申し出のようないろいろな事情は、私どもの方でも存じております。もし知事の方からそういう申し出があれば、私の方ではこれに対して何らかの措置をとりたい。こう思っている最中でございます。
  129. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、一カ年間の延納を方針としては認めていく、そうしてそれに対する場合の利子補給は、あなたの方が全部一年延納するということを認める以上は、あなたの方が全部それに対する利子補給もする、そういう方針だというふうに了承してよろしゅうございますか。
  130. 岡崎三郎

    説明員(岡崎三郎君) もし延納売却を行なう、知事を通じての延納売却を行なうということになりますれば、そういうことでございます。今お話通り利子はつきません、その間につきましては。
  131. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうじゃなくて、もうすでに売ってしまってあるわけですね。ちょっと私は間違えておったのかどうか、これからの問題ではなくてすでにもうあの異常な災害のとき、冠水しておったようなときに、すでに売却済みのものですね、売却済みのもの、それからあるいは卸屋さんから米屋さんが自分で配給のために持ってきた、そうしたらそのときに浸水で米が浸水してしまって、これが全然配給ルートに乗らないようなものになってしまったというような点で、小売屋さんはそれの、代金を卸屋さんに大体五日ぐらいですか、いろんな組合によって違うようですが、五日から一週間くらいで代金を問屋に持っていかなくちゃならない、あるいは焦げついてしまったというような問題がありますが、それに対して、私は卸屋に対する米屋さんの延納に対してどういうような指導をしておみえになるか、あるいは延納した場合の利子負担というものは、米屋さんがそれは全然持ってしまうもののようなふうに食糧庁としては取り扱っておみえになるのか、あるいは指導しておみえになるのか、そうでなくて利子の問題についても、一つ考えてやろうじゃないか、あるいは問屋に対するところの延納というものも、ある程度認めてやろうじゃないかというような、そういう措置というようなものをとっておみえになるのがあたりまえだと思っておるわけですが、その辺どうですか。
  132. 岡崎三郎

    説明員(岡崎三郎君) 災害直後の、いわゆる配給を受けております消費者から配給代金の回収が遅延するというような避けられない原因が、これは確かにございました。そこで私どもの方では実はその当時におきまして延納売却あるいは延納日数の追加による売却ということをせざるを得ないだろうということを考えまして、実は該当しておりますこの愛知、三重、岐阜三県の事務所長に対しまして、実は直ちに照会を発したわけでございます。ところがやはりこれにはいろいろな事情がございまして、あまりたくさんのいわゆる申請書が出てこなかったのでございますが、それでもやはり二つ三つ出て参りましたので検討いたしました結果、三重に実は二件ばかりございます。それから奈良に一件ございますが、つまり現在延納日数は平均して三日間程度になっておるのでございますが、卸に対しまして私の方が売却をいたします場合に、それを八日から十一日ぐらい追加して延納するということで実は指令を出しまして、その当時としては実は処理済みになっております。それでこれを実施する期間でございますが、いわゆる卸に売却いたしました都度その代金の延納を認めるということで、実施期間はこの十一月の末日までということで、現在実はその三つの事件につきましては実施中なのでございます。
  133. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連して。これはもうすでに済んだことですけれども、この際参考のために聞いておきたいと思うのですけれども、災害の当時に、現地においては非常に米が不足しまして、一升について四百円、五百円、八百円というような高値を呼んだことがあるわけですけれども、これは食糧庁の方で備蓄米の放出もあったと思うのですけれども、これはそういう工合な極端な不足を来たした原因は何かはかにあるのかどうか、あるいは将来に対する対策は特にどういう点について考えなければならぬか、こういうことについてお考えがあったら一つ聞かしてもらいたい。当時の原因についてどういうわけでそんなに米が不足したか。
  134. 岡崎三郎

    説明員(岡崎三郎君) 災害の起こりました当時、非常に災害が激しかったために輸送その他が逼迫いたしまして、そういう事態が起こったんじゃないかと思われますが、私ども現実にこの食糧、いわゆる緊急食糧の輸送ということを受け持ってやって参りまして、やはり一番困りましたのは応急食糧でございます。特にいわゆる乾パンの手配、これが一番私ども困ったわけでございまして、発送はもう福岡から北海道に至るまで全部かき集めて送ったのでございます。しかし、やはりこれも非常に日数を要しましたので、従ってただいまお話しのような事態が起こったと思われます。従って私どもといたしましては、今後乾パンの貯蔵場所につきまして、今のところブロック内に一カ所というような集中的な貯蔵をやっておりますが、今後はやはり各事務所ごとに分散して貯蔵しなければならないのではなかろうか、そういうふうに考えております。またお米につきましては、これはそれぞれの被害の甚大な愛知、三重、それから奈良に対しまして、たとえば五日分の特配というようなことをやりまして、また業務用の内地米も特配したりいたしまして、極力その緩和に努めたのでございますが、これにつきましては、数量が一時とだえたけれども、いわゆる現場にちょっと届くのがおそかったという程度で、それが間に合わないで大へんに困ったというのは、いわゆる現地の輸送事情以外には、私どもの方ではさしあたっての原因というものは実は考えておらないような状況でございます。
  135. 大倉精一

    ○大倉精一君 二十六日に災害が起こったんですけれども、その付近の備蓄米の放出をなさったのは幾日でしたか。
  136. 岡崎三郎

    説明員(岡崎三郎君) いろいろ現地の備蓄米、現地にあるお米で大体処理できるということで特配なり何なりをしておったのでございます。ただ搗精能力が現地で低下しておりましたので、たとえば名古屋市につきましては、静岡、大阪からついて白米にした米を、委託搗精した上で送りましたが、それは十月の一日でございます。それから三重県につきましても、大阪で緊急に搗精いたしまして、十月一日に内地精米で百トン緊急輸送いたしております。それから奈良県につきましては、やはり内地米で三百トン、これも緊急輸送をいたした次第でございます。
  137. 大倉精一

    ○大倉精一君 ただいま乾パンの貯蓄について特段の将来計画をするというお話があったのですけれども、乾パンもさることながら、やはり米の備蓄並びに応急対策について、これも同時に私は非常な重大問題として計画をしなければならぬのじゃないか、かように考えておるんですが、そういうお考えはおありになるかどうか。
  138. 岡崎三郎

    説明員(岡崎三郎君) ただいまのお話のように、今回のこの災害をしさいに検討いたしまして、今後とも十分気をつけて、緊急の対策に手抜かりないようにいたしたい、そのように考えております。
  139. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 どうもよくわかりませんが、米屋さんの小売で浸水してしまって、配給が不能になってしまったという損害が出てきておると思う。それからもう一つ売掛金が焦げついたというわけですか、焦げついたと言ってはいけないかもしれませんが、回収がすぐできなくて、やはり延びておるのがあるだろうと思う。そういう問題は小売屋さんの方ではなくて、今お話を聞いておりますと、食料庁から卸のところで、この問題は二日間のものを八日ないし十一日に延納した、その措置だけで問題はほとんど解決してしまっておるというふうに聞こえるわけです。しかもあったところは三重県に二件、奈良県に一件ですか、その数件しかないように聞こえるわけですが、そういう実際問題としては実情にあるんですか。ですからほとんど問題はないと、こういうふうに受け取っていいわけですか。
  140. 岡崎三郎

    説明員(岡崎三郎君) 問題がないというわけには私ども考えておりませんけれども、ただ私どもといたしましては、やはりお米を売る相手は卸でございますし、直接には卸から代金をもらうということになっておりますので、根本的には私どもと対卸の関係でこれは処理するということになるわけでございます。ただし卸以降の段階、卸と小売、あるいは小売と消費者の段階でいろいろ問題はあることは聞いておりまするけれども、これはいろいろほかの資金繰りとか何かの関係もございまして、その中で何とか処理し得るものは処理していただくということで、私どもの方ではこの卸との間の問題として実は照会を発しまして、そうして受けつけたのが先ほど申し上げたようなことであったというわけでございます。
  141. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いや、私が問題にしておるのは卸と小売、あるいは小売と消費者との間の問題を実は心配しておるわけです。ということは普通の商売で、たとえば呉服屋さんで商品が浸水してしまった、なるほどそれと同じだと言えば、それまでかもしれませんけれども、配給をしなければならないと義務づけられておる小売屋さんでは、私は少し違うと思うんです。だから食糧庁としては、卸との関係だけであとのことは知らぬぞよというのではなくて、卸と小売屋さんとの間で今申しましたような、やはり品物が浸水してしまって配給不能になったようなもの、あるいは売掛金が取れずに延び延びになっているようなものがありまして、小売屋さんと卸との間には、やはり代金延納の問題も出て参りましょうし、損害負担の問題も出ておると思うんです。従ってそういう問題を食糧庁としてはどうしようとせられるのか。それは関係ないから知らぬでは、まことに不親切なようなことに聞こえるわけですが、私はもう少し末端機構までおやりになるのは当然なことだと思う。従ってその点をどうするかという点について一つお答えが願いたい。それはすでにやったというなら、一つやったことを御報告願いたい。やっていないとするなら、これからこうするんだという方針を御答弁願いたい。
  142. 岡崎三郎

    説明員(岡崎三郎君) 災害の場合に、これをいろいろ私ども事態を分けておるわけでございまして、まず災害が起こったときまでに売り掛けがありたというようなことが一つあると思います。それから災害によりまして、小売業者の手元で、いわゆる災害によってお米が水浸しになって使えなくなったというようなことが一つあると思います。それから第三の事態といたしましては、災害によりまするすぐ当時の食糧ということになりまするが、これは御承知のように災害救助法というものが大体発動されておりまするので、従ってこの救助法の適用が続いておりまする間は、これは問題ないということになるかと思うのでございます。従ってその発動がいよいよ停止された、さてその後どうするかということになるわけでございます。従って、まず一番当初の災害になるまでのお米の売掛金代金、これはちょっと私どもの方では何とも処置のつかぬ問題でもございますので、まことに申しわけないのでございますが、実は特段の手は打たなかったわけでございます。災害によって特に小売業者の手持ちのお米が流失、あるいは損傷を受けたというような場合には、これにつきましては、それぞれの集荷機関の地方団体につきまして、いわゆる調整金制度というのがございます。この中からその実額に応じて直ちに出すという手配を今ととのえております。  それから災害救助法の発動中はよろしいということで、それ以降の問題ということになりますると、実はその問題は、さっき申し上げました被害農家に対しまする米の延納売却ということと同じ方法ということになるわけでございまして、これにつきましては、知事を通じて売却延納をするというのが、大体ただいままでの道としてはあるわけでございまして、これにつきましては知事さんに照会を発しておるのでございますが、まだ御返事をいただいておらないという状況なのでございます。私どもの方では、さっき申し上げましたのは、そういう知事さんを通じてのあれで実施の希望があるかどうかということじゃ間に合いませんので、従ってさしあたりの措置として、すぐ救助法の停止になった翌日からの配給をどうするかということで、各事務所長に照会を出しましたところが、返事のあったのが二県のうち三件卸についてあったということなのでございます。以上でございます。
  143. 森八三一

    ○森八三一君 この前申したことと重複するかも知れませんが、重ねて数個の点をお伺いいたします。開拓、干拓地の入植者で、今回被災をされました者に対しましては、今までの貸し出してある政府資金、公庫資金については延期する等の措置を講ずるということで、これはわかります。それからそういう諸君は新しく他の開拓地に移住をして入植するという場合には、新規入植者としての措置をして、新しい営農に支障をはからしめるという措置をすることもわかります。それから今までの地点に再度農耕を営もうというような場合においても、新規入植者に対すると同様の措置と申しますか、残存の施設その他があるわけですから、そういうものを考慮しながら、観念的には新規入植と同様の掛買を講ずるということによって、それらの人々に対して将来の営農に支障なからしめるように、最善の措置をするということでありますので、その点についてはよく了解いたしましたが、そういうような開拓地におきましては、開拓者を扱う特殊の組織とか、あるいは一般の旧村の人をも含めた協同組合等、いろいろの姿があろうと思うのであります。そういう場合に、政府資金等につきましては延期等の方法によって措置なされまするが、協同組合等の自己資金措置されている部分については、何らの方途がないということになりますると、政府の施策に従って入植して参りました新しい開拓者、干拓者に対して、旧来からの農民諸君が非常に協力して、ありたけの貯金をつぎ込んで援助を与えた、それがほとんど取れないような状態に相なったというような場合には、何らかの措置をしてやらなければ、援助を与えてきている組織自体が破壊されてしまうというような事態に直面をする。と申し上げまするのは、援助を与えた側における農民諸君も、大なり小なり災害をこうむっているのですから、そういう諸君は今まで備荒的にたくわえて参りましたものを引き出す。それによって自分の自力更生的な営農を続けていこうとするその資金の返還が、払い出しに対応することが固定しているためにできないという事態が発生している極端な事例があると思うのであります。そういう場合における対策は一体どうなっているか。政府資金はわかりました。営農全体を通しての計画というのは、一体どうしようとされているのか。その点をまず第一にお伺いいたします。
  144. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) ただいまの御質問の点につきましては、特に農林中央金庫等におきましても、農業協同組合の何といいまするか、再建といいまするか、あるいは災害対策といいまするか、そういうような意味におきまして、農林中金等で特別な措置を講ずるというようなことを実施をいたしているのでございまして、今お話のありましたように、非常に協同組合から金を借りている者が、災害をこうむりまして金が返せなくなるというような事態が起こりました場合には、協同組合としてはできる限り既応の分について期限の延長をするとか、あるいはその時に応じました貸出条件の穏和を行なうというようなことでございまして、一般論といたしましては、そういうような考え方で系組協同組合全般といたしまして、そういう指導をいたしておりますわけでございます。
  145. 森八三一

    ○森八三一君 私がお伺いしたのは、開拓者個々に対する問題もないわけではありませんが、直接個人々々の問題ではなくて、農協等が開拓者に非常な援助を与えた。その与えたものが焦げついちゃうのですね、災害によって。その原資はどこからきているかといえば、これは組合員の貯蓄なり、そういうものが回って行っておる。その貯蓄をした当の組合員も災害をこうむっておるので、みずから立ち上がるためには、自分の蓄積の払い戻しを受けて対処しなければならぬ。ところが、一方固定しておるのですから、払い戻しはできない。簡単に申しますれば、払い戻し制限というような最悪の事態になるのですね。それは好んでやったわけではない。開拓者なり干拓者なりに対して、非常に熱心にそういうような施策をしてきたのです。そこで、今お話のように、農林中金等が系統金融機関として、そういうものについてはカバーしていくということはわかります。わかりますが、そういう組合は普通の観念から申しますと、貸し出し余力と申しますか、信用が経済上からは存在しないということなんですね。普通の御念で申しますと。そういうような場合に、金融ベースに乗らないような融資もやらしめなければ立ち上がりができぬということになるのですね。そういう場合は、何か政府資金に全部肩がわりをしてやるとかということが可能ならば問題はありませんけれども、組織の資金でやれと言っても、それはなかなか問題は解決しないと思う。こう思うのですが、それは解決する道はあるのですか。
  146. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) これは、実際問題といたしまして、農業協同組合がそういうような状態に立ち至りまして、その協同組合がたとえば金融機関としての能力を欠いてしまったというようなことで、そこから金が貸せないというようなことが起こりました場合には、これは場合によっては別の金融機関、あるいは上の別の金融機関等を使いまして、たとえば天災融資法の例なんかで言いますと、別の金融機関等を使いまして、それから金を貸させましてそれに対して区大災融資法の適用をやっていくというようなことも現実問題といたしましては実行ができるというような足前になっておるのでございまして、そういうようなことはおそらくあるまいとは思うのでございまするが、ほんとうに農業協同組合がそういうような状況になって、どうにも動きがつかないというような場合には、いろいろ別途のそういうような措置も講じられるというようなことになっておるのでございます。
  147. 森八三一

    ○森八三一君 非常にむずかしい問題ですから、そうはっきりとお答えはできかねると思いますが、大災資金等の融資によって当面の措置を切り抜けると申しましても、もちろん被害激甚地等で金利が非常に安くなる場合は、あるいはそういうことも考えられますけれども、そうでない人については、自分の貯金を払い戻して次の営農をやるか、付入金をして次の営農をやるかということになりますと、個人としてはそういう不時に備えて貯蓄をしておった、その貯蓄が用をなさぬということでは承知せぬと思うのです。しかし組合としては、他の人に貸し付けておるので、返せと言われても返すすべはない。それは別に違法行為をやったとか何とかではないでしょう。誠意を持ってやった結果がそうなっておるという場合には実際措置ができないのですね。現実にそういう紹介かできたと思うのです。だから金の問題ですから、そういいかげんに始末はつきませんよ。そういうほんとうの問題にぶつかってくると、口先では済まぬことなんです。そういう問題についてどうしても考えてもらわなければいかぬと思います。今ここで局長に具体的な案を求めるということはできぬと思いますが、これはぜひとも考えてもらわなければいかぬ。そこで、将来の問題としては、この前の委員会で御質問申し上げまして現在眠っておる再建整備法その他をもう一ぺん復活せしめるというようなことを考えたらどうか。これは今後の問題として十分研究するということでございましたので、これはほんとうに一つ通常国会にはそういう法案が出るような前提で御研究を願うということを希望しておきます。  それから資金の問題が出ましたので、資金の問題を一つ続けてお尋ねいたしますが、天災法は経営資金を貸すということが原則である。ただ、今回の改正によって小さな漁船等、施設資金を特別に貸し出しするような道を開いたということであって、これはあくまでも例外的な存在であるということもわかります。そこで、「経営資金とは」ということが問題になる。「経営資金とは」ということになりますると、農具のようなものも経営資金に当他これは入ると思いますが、農具の中にもトラクターのような大きなものから、かまのような小さなものまで存在する。それをどの辺まで線を引くかという問題は、実際問題としてかなりこれはむずかしい問題だと思うのです。経営資金ということの解釈ですね。それは一体どういうように観念的に整理されておるのか。これは具体的にということになりますれば、非常に膨大なものでございますので、今ここで短時間にお伺いすることはできぬと思いますが、経営資金ということの観念的な整理はどうしておられるのか。
  148. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 初めの農業協同組合についての問題で一言お答えしておきたいと思うのでございます。先ほどのお話で、農業協同紹介が災等を受けまして、支払資金に困ったというような場合につきましては、これにつきましても農林中金等が各信連等を指導いたしまして、この災害関係資金の調達のために、あるいは定期種金の期限前の解約であるとか、あるいはそのほか貯金の払い戻しにつきましては、できるだけ迅速にこれに全面的に応じて支援するようにというようなことで、いろいろ指導いたしておるわけでございまして、まあそういうようなことやなんかいろいろ合わせまして、できるだけ農業協同組合がこの災害のために有効に働けるようにというようなことで、農林省も全面的にこれを応援をいたしてやっておりますわけでございます。  また、農協の再建整備の問題でございまするが、これは、この前御答弁申し上げましたように、今の状態では、現在の災害とか、あるいは災害対策のためにいろいろな救援をやりました措置とか、そういうようなものが農業協同組合の経営の上にどういう工合に影響しますか、そういう点がはっきりいたしませんので、そういう点をもうしばらく様子を見て、どういう実態に相なりまするか、そういう点を検討して、その上でどういう措置を講ずるかというようなことは考えていきたいというふうに考えますわけでございます。  それから天災融資法の経営資金の問題でございます。経営資金といたしまして考えておりますのは、この前も申し上げましたように、やはり種苗であるとか、あるいは肥料であるとか、飼料、薬剤、農機具、その農機具の中で大体現在の基準は、原動機によって運転されるものというようなものは経営資金には入らないという考え方でおります。それ以外のものは大体経営資金に入るという考え方で整理をいたしておりますわけでございます。
  149. 森八三一

    ○森八三一君 その次に資金関係で、けさ午前中の委員会で厚生省に御賛同を申し上げたわけでありますが、公的医療機関が今度の災害をこうむったという場合には、厚生省の関係において公的医療機関の災害復旧に関する国車負担特例に関する法律ですか、というのができまして、原則としては災害復旧に要する資金の二分の一を助成するという特別立法がなされることになったのでありますが、必ずしもその二分の一がいくわけではない。そこでその災害復旧という言葉について、従前通りのものを作るという考え方なのか、改良復旧までも含めて考えるのかという質問を申し上げますると、改良復旧まで含めたというような気持であるというような御答弁もありてみたり、そうでもないような御答弁もあってみたり、実にあいまいな答口弁であったのですか、結論は何がしかの補助金が与えられることは明白になった。そうすると補助金だけでは足りません部分について一体どうするんだというお話を申し上げますると、それはそれぞれの主管省と協議をして善処をしたいというお話なのであります。そこで協同組合号の病院等になりますると、いずれも農林漁業金融公庫なり、あるいは系統の農林中金等から資金を借り受けるということになろうと思いまするが、私の過去に承知をしておる慣例によりますると、新しく借り受けんたする資金の借り受けを達成いたしまするためには、財務基準令その他の関係等がありまして、自己資金の充実をしろということが一つの条件として融資が達成せられておるという場合が多いと思うのであります。常態の場合にはそういうことはもちろん可能と思いまするが、今回のような災害地においては自己資金を充実せいというような話を持ち出してみたって、それは別の方で非常な国家的な援助を受けなきゃならぬという農民を相手に、これはできろ相談じゃないのですね。そういう場合にはほっておくこともできない。病院等の復日については、所要資金マイナス補助金の残額は、その設備が非常にむだなものであったり不必要なものであれば、これは十分厚生省が監督すると思いますが、厚生省の方で当然この地域に置く病院としてはその科度の施設というものは当然であるというふうに認定をされる場合においては、その資金というものは農林省の方で心配をしてくれるはずだと、こう言うのですが、そういう準備があるのかないのか、もし準備がないとなりますると、これは改良復旧等を考えましたのができないということに逢着するので、あらかじめそういうことは明確にしておきたいと思いますが、いかがでございます。
  150. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 協同組合の病院につきましては、公的医療機関に対する災害復旧の補助で厚生省の方で補助金が出る道が今回講じられるわけでありまして、その補助外につきましては、本省といたしましても、農林漁業金融公庫から融資の道をつけるという要するに考え方考えております。その場合に、お話のように自己資金の充実をはかれということがあるということでございますが、この点につきましては、今度災害を受けました各県の連合会あるいは単協等を調べてみましても、相当自己資金も充実しておりまして、実際に公庫から融資をいたしまする場合にも、そういう条件には大体ひっかからないだろうというふうに考えております。また、かりにいろいろ問題がございましても、何もこれが全然動かすことができないというような条件でもございませんで、金融の一つの方針でございまするから、あるいは実情によって自己資金が充実をしていない場合には、一緒にこれをあるいは年度内に充実をさせるようにしていくとか、いろいろの方法がございまして、そうしてまあその運用上は、実際問題として災害地の病院が困らないように運用していくというようなことで私たちも指導していきたいというふうに考えております。ただ全体的に大体りっはな組合でございますので、そういう問題で金が借りられないというような事態はあるまいというふうに考えております。
  151. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は小型漁船の建造に関してお伺いしたいと思いますが、まず最初に何っておきたいことは、これは小型漁船ですから、ほとんど沿岸漁業を対象にしておると思いますが、沿岸漁業といってもノリ船の一人船からポンポン蒸気、その他あるのでありますが、大体対象はどの程度のトン数、それからどの程度を小型船としてこの法案対象になっておるのか、まずその点を伺いたい。
  152. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) お答えいたします。被害を受けた小型漁船の程度でございますが、これは大体目標といたしましては動力船五トン未満くらいのところで計算をして、被害を受けたかどうかという基礎にいたしたいと考えておりますが、今度は共同利用施設として組合に船を再建させる場合の一応の基準といたしましては、動力船につきましては三トン、十五馬力程度、そのほかにもちろん無動力船の建造、こういうことも考えておる次第でございます。それからこれらの船はどういう漁業に従事しておるかというお尋ねでございますが、これはもちろんそのような船は沿岸漁業でございまして、ことに今度災害を受けた地帯でございますが、愛知県、三重県それから長崎県、北海道というようなところではいずれも養殖の漁業、まあ沿岸のごく小規模な釣、あるいははえなわ漁業といったような一般の沿岸漁業に従事しておる船でございます。
  153. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから先般大臣の御説明にもありました通り、伊勢湾関係だけでも小型漁船の被害を受けただけでも一万数千ある、しかもこれは非常に集中的に被害を受けておるわけでありますが、この被害は大体ほかの大きな船と違って、大体台風の状況はもら前もってわかっておりますから、おそらく外に出てやられたものでなく、大体係船のまま高潮でやられたとかそういうものが多いのじゃないかと思うのですが、大体一万数千隻の被害状況というものはそういう工合に解釈してよろしいのですか。あるいは沖合いでやられたものであれば、その程度はどのくらいであるか、それを一つ
  154. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) 今般の被害の特徴は、港の中に入っておった船が高潮ないしは風でやられたという被害が大部分でございます。
  155. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そこでお尋ねしたいのは、御承知のように船が全生産手段であることは言うを待たないのでありますが、そういう点でかりに補助を建造費の八割もらったところが、一万数千のうちのどのくらい建造にかかるかしりませんが、相当建造自体も解約的にならざるを得ないわけなんです。特に最初にお尋ねした通り小さい船が多いのでありますから、遠距離にこれを頼むということはおそらく少ないのじゃないか、従って伊勢湾なら伊勢湾地区に大体集約する、そういう点になると、なかなか建造というものがはかばかしく私はいかないのじゃないかと思う。それと同時に御承知通り農地関係の問題は客土の問題とか、あるいは今質疑応答申の除塩の問題とかそういう点がありますので、なかなか簡単にいきませんが、しかし、この漁業関係の問題につきましては、二十六日にああいう大きな被害があっても、おそらく翌々日くらいは波静かだ、ことに伊勢湾のごときは魚の種類が非常に豊富でもあり、そうして非常にたくさんの種類の魚が多い、そういうわけで、いながらにして、船がないためにどうすることもできないという面が非常に多いと思うのでありますが、従って八割の建造費の補助というものは非常にけっこうなんだが、同時に水産庁としては余っている船ということは簡単にいかないと思いますが、そういう点について特に全国に余裕のある船等はこういう所に回して、そうしてすぐにあしたからの一つ漁業に従事させるというような措置をとられた点はないのですか。これは私非常に大事だと思うのですが、今申し上げました通り、船さえあれば極端に言えば台風の翌日でも出かせぎができるわけなんですから、そういう措置をとられたかどうか一つお尋ねいたします。
  156. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) まず第一番目の御質問は、建造が急速にいく見通しかどうかというお尋ねでございますが、これも御心配の通り被害を受けた船を短時間の間に急送に回復させる見通しは実はございません、相当時間がかかるようでございます。従いまして、現実には御指摘のように翌日から直ちに漁に出得るような状況にありますし、ことに台風後の魚の状況は必ずしも悪くないのでございますが、ただいまのような状況のもとでは魚はおりながら船がなかったという事態が発生したわけでございます。そこで、現実にそれでは漁村ではどうしておるかといいますと、残りました若干の船を、この間もちょっと御説明いたしましたのですが、漁業協同組合が事実上その残った船を管理するような格好で、もちろん十分ではございませんが、なるべく広く能率的にフルに使うということで、たとえば無動力船を残った動力船で引いてもらったり、ないしは少し余分に乗せたり、ないしはちょっと無理な格好でございますが、多少かわるがわる使うというような格好でかなり無理な運用をして、若干ながらも、しかし復興しているような傾向でございます。従いまして、私ども一番おそれたノリの問題につきましても、大体そういったような格好でやりましたので、まずまず七、八割程度はこのままでいく、今後の政策いかんによっては大体七、八割以上はいけるだろうという見通しも、実は乏しい資材と乏しい漁船の中からそういうような見通しを得た次第でございます。また、ただいま申し上げました事情が、このたび漁業協同組合共同利用の船を作らすという一つ考え方を持った次第であったわけでございます。  それからその考え方は別として、どっちにしても船の、建造能力の点から申しまして急迫に補充できないとすると、ほかの地区から船を回すような措置をとったか、ないしは今後とる考えはないかというお尋ねでございますが、これは今次の災害を受けた地帯は実は漁船は漁業だけではなくて、御案内のようにその他のたとえば仮締め切りを行なうとか、食糧を運ぶとか、その他の方法に非常に実際上まあ徴発という言葉はわるいわけございますが、漁業者が相当漁業以外に協力して参っているわけでございます。そういう意味でまことに船が足りなかったわけでございまして、私どもも余っている地帯からこれらの足りない地帯に漁船を回すということは考えられないかということで、だいぶ検討してみたわけでございますが、実際問題としてはそれは不可能でございました。ただ若干隣りの県のごく近いところの船が回ったことは事実でございますが、これはその漁村内部で実際的に回っただけでございまして、私どもの力で回ったわけではございません。従ってこの点はいろいろ努力しようとしたのですが、具体的にそういう措置を講ずることは私どもとしてはできなかったということを申し上げるしかないと思いますが、ただ実態的には、幾分近所近辺のやや古いような船が若干回った例はあるけれども、ほんとうに必要とするようないい船が回ったとは思われないようでございます。それから現実にその後どうなっているかということでございますが、その後は一応ただいまのところ落ちついておりますが、一番の問題は修理、特に無動力船の修埋その他の問題での若干の船大工その他の不足の点がございますが、これは私どもは団体を通じまして、ないしは他の県を通じまして、大工が不足しているようだから、もしそういう心当たりがあれば回してもらいたいというような依頼をしている程度でございます。以上が今日までの漁船の不足についての若干の経過でございます。
  157. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 この一万五、六千隻というものは大体どうなんですか、伊勢湾関係の沿岸漁船のいわゆる台風前のパーセンテージとしてどのくらいにいっているのですか。
  158. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) 具体的事例として申し上げますと、愛知県で申しますと、軽微な被害を受けた小型船の数が全部で約六千隻ございます。それで修理不能程度にこわれた船が約一万五千隻程度というふうに思われます。それから三重県では、大体同じでございますが、五千五百隻のうちに修理不能程度のものが約三千隻というふうに考えております。それからこの組合の概数でいいますと、愛知県には約県下に九十組合ほどございますが、そのうち相当程度被害を受けた組合が約三十組合、従いまして約三分の一程度、それから三重県でいいますと、約百四十組合がございますが、そのうち相当程度被害を受けた組合が約五十程度というような計算になっております。
  159. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そうしますと、この修理不能がもうすでに二万あるわけですね、愛知、三重だけを見ましても。その他いろいろまだあるのでしょうが、少なくともまあ二万以上というものが修理不能だということになりますと、いろいろ今対策についてこまかい御説明がありましたが、なかなか台風前の状況にいくということは、これは私は容易ならぬことだと思うのでありますが、そこで水産庁としましてはどうなんですか。いろいろ漁業権の問題とか、これはまあ非常に特にやかましいのでありますが、各組合なり何かの了解を得て臨時対策として、どこか特別な船を組合を通じてそれにまかせる、そうして伊勢湾の中で漁獲をするとか、そういうような措置というものは、これはもう全然できないことなんでしょうか。
  160. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) 伊勢湾を具体的に申し上げますと、この地帯は御承知のようにノリの相当大きな生産額の地帯でございますが、現在のところ漁業権の関係から見ますと、ノリの漁業権はいずれも御承知のように地元の漁業協同組合がこれを持っておるわけでございます。ただいまも説明いたしましたように、ノリにつきましては相当額被害を受けましたけれども、その後鋭意ノリのひびの立て込みに努力いたしました結果、大体七、八割までにはこの十二月までにはできる、生産が十二月には上がってくるわけですが、その見通しが大体七、八割までいっておりまするので、そのような漁業権と、それからただいま申し上げましたような回復の度合いから考えまして、今にわかにそういったような権利関係を無視して、他の地区のものにこのノリをさせるということはかえって事態の混乱を招きまして、必ずしも生産を上げるゆえんではないのじゃないだろうか、むしろ現在のままなるべくすみやかに漁船を作らせるということに重点を置いた方がいいのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  161. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 関連して。ただいま大竹委員から御質問のありました船の数字の問題ですが、大竹委員は、ただいま修理不能のものは二万隻あるということをおっしゃった。あなたはそれを訂正も何もなさらず、そういう数字を肯定してもよろしいのでございますか。今までの説明と大へんな違いだと思っております。それはあなたが最初示された愛知県の修理不能の数字と全体の数字とが逆になっているのじゃないかと思うのですが、その点一ぺん念を押しておきます。
  162. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) これは私の説明が悪かったと思いますが、もう一度数字を申し上げますと、修理不能の隻数の全国的な推計が大体七千隻でございます。一万八千隻と申し上げましたのは、被害を受けた全国的な漁船の数でありまして、この中には修理可能な数も相当入っておりますので、その点はたびたび御説明いたしましたように、修理不能の隻数としては大体七千隻というふうに考えております。
  163. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は、さっきの質問の中に、あまりに船の被害があなたの説明で大きいものだから、従って、かりにノリ一つとっても八〇%というのは、なかなかこの十二月くらいまでに上がるということは、われわれの常識から考えてこれは無理だ、こら思って他の漁船等を――私は何も持っている人の権利を無視してなんと、そんなばかなことを言うのではない。これはきわめてむずかしいということを前提として話をしているんですが、それでああいうふうな質問をいたしたのですが、それはそれでよろしゅうございます。  それから建造並びに修理の問題なんですが、先ほどあなたからもお話があったわけでありますが、この小さい船なんかは私先ほど申し上げた通り、大体土地でやるものですが、従ってその船大工がおらぬ、修理工もおらぬというようなことで、これは相当全国的に手配をされて、かなり動員を現実においてされて、修理あるいは建造に従事しておるのですか、現在において。
  164. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) その後、府県からの報告によりますと、かなり賃金が上がって困っているという御指摘はありましたけれども、まあ十分ではございませんが、大体順調に修理は進んでおるというふうに報告を受けております。
  165. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 ちょっとお尋ねしておきますが、聞くところによりますと、衆議院において、今まで本院に政府当局から法律の要綱ないしは法律の運用等についての説明がございましたが、それに変化があっておるかどうか、何か変化があっておるようなことを附いておりますが、あれば一つ報告を願いたい。同時に、これは小型漁船に限りませず、一般の農林省関係法案につきましても同様でありますが、本来ならば、変化があればいち早くこっちに御報告をいただくべきものと思ちけれども、何にもございませんが、ほかにはそういうケースはないのか、小型漁船については何かそういうことがあるように聞いておりますが、そういうことを伺います。
  166. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) 小型漁船の建造に関する特別措置法案に対しましては、十一月二十日の衆議院災害地対策特別委員会において付帯決議がされました。それは以下の通りでございます。   政府は、本法の施行に当り沿岸漁業地域の被災の激甚なる実情に鑑み、小型漁船建造の助成について、実情に即応する弾力的な措置を行い、以て沿岸漁民の早期立上りを促進すべきである。  以上でございます。
  167. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 私どもはこういうふうに聞いておるんですが、かねて御説明になりました、この一組合における被災漁船が二十五そう以上の組合対象とする。それからもう一つは、七五%というものが五〇%に変わってきておりまして、それがさらに四〇%になったというふうに伺っておるんですが、それはどうですか。
  168. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) これは、当初私どもが説明いたしましたときには、ただいま御指摘の通り、一組合二十五隻以上の組合であって、またはその修理不能の率が七五%以上、さらに原則として漁船保険に加入しないものというような、いろいろな制約があったわけでございますが、これにつきましては、その後いろいろと御議論もあり、また私どもの方で財政当局とも連絡いたしまして、まず御報告いたしましたように、漁船保険ということはこのような措置関係させないということが一つと、それからただいま御指摘のように一組合二十五隻ということは変わりないわけですが、それに見合ら率を七五から五〇%、五割ということに一応なる。またさらにそれよりもややもらちょっと小さい漁協というようなものを対象にしてもいいではないかというようなことで、過日の委員会の席で、これは四〇%程度にすべきであろうというような御議論がありまして、ただいまその線で財務当局と連絡し、大体了解を得ておるような線で進んでおります。
  169. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その他の農林関係法案につきまして、今言ったような従来当委員会に御説明になったことで変化の起きておって、今日まで御説明のないようなものがあれば、一つ報告を願いたい。なければよろしゅうございます。ございませんか。
  170. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 私、実はこの前暫定法当時参りまして御説明いたしませんでしたので、官房長が御説明したわけでありますが、暫定法等におきましては、私は変わっておらぬと思うのでありますが、関係農家で割りまして五万円というふうな市町村の区域でございますとか、あるいは湛水法の指定のあった区域というものを高率補助の適用にいたしまして、あるいは開拓地につきましては、十戸以上の住宅被害があった、あるいはそれが一割以上というようなことになっておりまして、当時説明いたしたものとおそらく同じであろうと思っております。それからもう一つやはり湛水法につきましては、これは建設省所管でございますが、一週間三十ヘクタールということになっておりまして、これは量について実はいろいろ議論がございました。やります経緯におきましては議論がございましたが、政令では一週間三十ヘクタールということでやろうということに話し合いはなっております。
  171. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 私どもの方の関係の天災融資法の一部改正案、それから農業共済融資についての特別措置法案につきましては、何も変わりました点はございません。
  172. 仲原善一

    ○仲原善一君 簡単に二、三お伺いしたいと思いますけれども、食糧庁はいないですか。
  173. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 食糧庁はちょっと何か事務の都合で……。
  174. 仲原善一

    ○仲原善一君 それではこちらの関連ですけれども、農地局長にお伺いしたいと思うのですが、特にちょっと心配になりますのは、この災害関連事業です。被害激甚地は三分の二の補助があるわけですが、その補助残についての起債の問題です。その内容についてまあ詳しく一つお伺いしたいと思うんですが、たとえば三分の一の補助残についてどれくらいの起債が認められるのか、その起債の跡始末、たとえば元利補給をやるとか、あるいは地方交付税でこれを補うとか、そういう措置がどの程度行なわれるのか、この点についてお伺いいたします。
  175. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 起債の問題でございますが、自治庁とその後話し合いをいたしました金額は大体十九億、二十億弱のものを今度の災害補助分に見合いますところの分としまして、一応そのぐらいの額を予定しておこうということになっております。それで、これの将来の返還の問題でございますが、これにつきましては、御承知のように基準財政需要をはじきますときに、災害についての起債については一円について九十五銭という高い率で財政需要をはじきまして交付税を出すということになっておりますので、そういう取り扱いでこの分はいくというようにわれわれは考えております。
  176. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまのお話で、補助残の全額については起債が認められるわけですか。
  177. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 補助残につきましての起債の率でございますが、これは大体九割程度くらいのものを予定しておこうということで、一応ワクは十九億ということでございます。
  178. 仲原善一

    ○仲原善一君 この事項については政令とか何とか、そうでなくて、行政方針と申しますか、取り扱いの了解事項でやるわけですか。
  179. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) そのように考えております。
  180. 仲原善一

    ○仲原善一君 これに関連がありますけれども、小災害の問題ですが、この小災害の起債の問題について、一町村当たり従来だと百万円であったのを今回は八十万円にするとかいうようなことを漏れ聞いておるわけですが、これはその通りでありますかどうか。
  181. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 小災害につきましても、実は今御質問がございましたように、これにつきましても一応の額を予定してございます。それから御質問にありましたように、従来は市町村の親災害を含めまして、災害復旧の事業費が一番上は一千万以上でありまして、それから一件の起債の額が百万円以上ということになっております。これを今度は一千万程度を八百万におろし、一件当たりの起債の額も八十万ということに下げるというように取り扱いをきめております。
  182. 仲原善一

    ○仲原善一君 そこでこの町村に適用する場合に旧町村、合併以前の旧町村をとった場合が有利であるか、あるいは新町村での方が有利であるか、それはこの有利な方をとるということのようでございますが、その通りであるかどうかということ。  もう一つはその適用をやる場合に、昭和二十九年の一月一日以後に合併した町村についてそれを考えるということも聞いておるわけですけれども、これはどういう意味でそういう期日々きめられたのか。まあ災害とそういう町村合併の日にちというものと関連がないように思うわけですが、それ以前にすでに町村合併の法律も出ているわけです。あるいは昭和二十九年一月一日というのは、その促准法のできた、成立した日ではないかと思いますけれども、まあそういうことによって差別がつくということは非常に公平を欠くように思いますので、その一歩前の町村合併の法律の成立した日をとっていただければ非常に公平になるんじゃないかという気もいたしますので、希望もあわせて申し上げて、御意見を聞きたいと思います。
  183. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 今の期日の問題でございますが、これは先生おっしゃいましたように、促准法のできた以降ということで考えております。これにつきましては、やはりそういう合併促進法という一つの行政的な目的をいれてやりました以降のものにこれをとるのが適当ではないかというような見地で一応日は切手ございます。それ以後につきましては、先ほどおっしゃいましたように、有利な方をとって考えていくというようになっております。
  184. 仲原善一

    ○仲原善一君 どうも今の期日のきめ方については多少私は意見があるわけでございますが、せっかく恩典に浴し得る町村があるのに、予算関係か何か知りませんけれども、また狭めていくようなやり方については、非常に災害関係のある期日であればいいわけですけれども、早く町村合併をやったために災害が多いとか少ないとか、そういう関連が何にもない時期をとらえてやるということに非常に不合理を感じております。これは意見にわたりますので、その程度にいたします。  それから先ほどの八十万という町村の一件当たりの件数については、災害復旧災害事業の一件当たりの八十万円でございますけれども、これは三カ年にわたって災害復旧をやる場合には三カ年を含めたものであるか、その年の復旧分が八十万あればいいのか、その辺の取りきめはどういうふうになっておりますか、お伺いいたします。
  185. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 小災害につきましては、これはほとんど三年といわず単年度でやっているものが実は多うございます。しかし、金額の推計の基礎としましては、二年でやります場合には二年分含めましてという考えをとっております。
  186. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連して一つお伺いしたいのですけれども、先ほどもちょっと御答弁があったように、船の建造ないしは修理について、非常に人件費といいますか、賃金が上がっておる、こういう御報告がありましたが、これは現地においてはそうであろうと思います。そこで、建造費用並びに修理の費用、その費用の認定は、これは災害前の標準でおやりになるのか、あるいはまた、実際支出をした費用をもってに建造費として認定をされるのか、その点をまずお伺いしておきたいと思います。
  187. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) これは予算上の積算の基礎は一定の金額で計算してございますが、これは当然各地によって、準備が必ずしも同一でありませんので、これは予算を実行する場合にそれぞれ実際に合ったさような格好で運用して参りたいと、このように考えております。
  188. 大倉精一

    ○大倉精一君 実際に合言ったような格好と言われるのですけれども、いわゆる十分の八の補助をすると言っても、実際の出費というものが非常に重なっ、ているといっ場合には、十分の八が実際の場合には十分の五ぐらいになってしまうんじゃないかというような心配もあるわけですね。で、賃金が非常、に高騰したとかいような事実があるならば、そういうものを勘案して十分の八になるように補助を与えると、こういうような趣旨が今あなたが勘案するということになるのですか。
  189. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) その通りでございます。
  190. 大倉精一

    ○大倉精一君 もう一つお伺いしたいのですけれども、この法律によりますというと、組合員に限るのですね、対象が。漁業協同組合組合員が対象になっておるのですね。ところが実際今度の場合、適用地域にそういう場所があるかどうかわかりませんけれども、御承知のように漁業協同組合というのは非常に封建性の強い場所があるのですね。従って、協同組合に入っていない、ないしは入れてもらえないという場面がたくさんあるわけなんですよ。そういう人もやっぱり平等に被害をこうむっており、やはり災害救助をしてもらう権利も資格もあると思うのですけれども、組合員以外の人に対しては一体どういうようなことをお考えになっておるのか。これは、やっぱり組合員以外も含んで――実害に対して総括的の補償を与えると、こういう意味なのか、あるいは漁業権といいますか、これはむずかしいことになるかもわかりませんけれども、漁業権に対して被害算定の上にこういう措置をとられると、こういうお考えのか、どっちちなんですか。
  191. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) これは、現実に船を持って海に出ておるという漁業者の方々が地元の漁業協同組合に入っていないということは、まずまずほとんどあるまいというふうに考えております。ただ、漁業労務者ないしは非常に大型な漁業者が地元の協同組合に入っていないという場合ももちろんありますが、それからないしは船を持たにいわゆるちどりと申しますか、そういう方々も若干組合に入っていないということがございますけれども、このたびの地帯とこのたびの漁船の範囲内で考えますと、まずまずほとんどどこかの漁業協調組合に入っているというふうに、現実の問題としてはそういうふうにまあ考えておるわけでございます。  それから、ことにこのたびのたとえば愛知県の災害その他を拝見いたしますと、ただいま御指摘のように、漁業権と非常に関係があるわけでございますが、この漁業権は、御案内のように地元の漁業協同組合が権利者としてこの漁業権を管理しておりまするので、その点もやはりこの漁業協同組合を通してこのような漁船の施策をして参りましても、実態から離れることはまずあるまいというような見解を持っており、このように運用して参りたいというふうに考えるものでございます。
  192. 大倉精一

    ○大倉精一君 私が心配しておるのは、これは補償の問題とは少し違うかもしれませんけれども、現地においてはやはり漁業協同組合に入っていない漁業者もあると私は思います。そういう人の補償は一体どこでされるのか、これが非常に問題ではないかと思います。そういう場合に、漁業協同組合に対してこの際一組にやってもらいたいと言っても、いわゆる、いうところの村八分ということが往々にしてこういう部落には行なわれるのですわ。これに対して、あなたの方は、今ないとおっしゃったけれども、私は全然皆無ではないと思うんです。そいう人に限ってほんとうに生活なり立ち上がりなりに困難を来たしておるのじゃないかと思う。そういう人に対してやはり国家としての恩恵というものも見てやらなきゃならぬと思うんですけれども、これに対して格段な一つ御配慮を願わなければならぬと思うんですが、いかがですか。
  193. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) 私どもは、そういうような方はないとは思っておりますが、しかし、たくさんの中でございますから、万が一にもそういう御指摘のようなケースがあろうかと思いますが、その場合には、これは漁業権を漁業協面組合が管理している点もございまするので、加入を正当な理由なくして拒むというような措置については、私どもはかなり関心を持つことでございまするので、この点、もし万が一そういう方がありますれば、そういうような加入を拒まないよにいたして、それで地元の漁業協同組合に加入し、そうして漁業協同組合を通してこの助成の裏づけをされた漁船を建造して参るというふうにいたしたいと思います。  それから、先ほどの御質問にも関連するわけですが、御指摘のよに、漁業協同組合は完全に今理想的な格好で民主化されているとは思われない節が相当ございます。これは御指摘の通りでございます。ことに、今回のように漁業者個人の船をそのまま原形復旧ずるのではなくして、漁業協両組合が船を所有し管理するという格好にいたしませんと、いかに応急的な処理とはいえ、もし御指摘のように漁業協同組合にかなりボス的な運用をされるといたしますと、むしろ非常に何と申しますか、必要以上に漁業協同組合というものが漁船を持つとうことによって強くなりまして、御指摘のような心配はあろうかと思います。それで、この点につきましては、私どもも非常に心配する点でございまして、今後の運用としては細心の注意を払いまして、そういうことの絶対にないように厳重な指導をして参りたいと、このように考えて、おる次第でございます。
  194. 大倉精一

    ○大倉精一君 大へんけっこうだと思うんですけれども、ただ組合に加入することを拒むという場合、これは一がいに拒んだ方が悪いのではなくて、往々にして現地に行って見るというと、拒まざるを得ないような漁業協同組合実態があるという点に往々われわれぶつつかるわけなんです。ですからして、こういう機会に、そういう入ることを拒まざるを得ないというような実態のある漁業協同組合に対しては、強力な一つ民主的な指導をしてもらおなければいかんと思う。で、そうい場合に、今までそういうやむを得ざる事情によって拒んでおったそういう人々も、災害というものに対しては、これはもう国家が補償するものでありますからして、やはり国民である以上は何らかの救済をしなきゃならぬ、こういうことなんですね。そこで、漁業協同組合が船を一ぱい持ってにそうして共同使用させる、この共同使用にその人を加えないということになれば、その人はどうやって生きて行くか、こうなるわけなんです。そこで、この共同使用というものについては、国家がこというふうにやる限りにおいては、国家において責任があるのだから、でありますから、ぜひそういう弊害のない、ように一つ強力に御指導願いたい。と同時に、その補助金とか補償金というものが協同組合のボスによって非常に不明朗な使い方をされるということが往々にしてあるのでありますけれども、そういうものに対しましては、これは遺憾のないように監督しなければなりませんけれども、そういうような手配、手はずというものをおとりになっているかどうか。
  195. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) 御指摘のようないろいろな問題が予想されますので、今後十分注意いたしまして、遺憾のないように万全を期したいと思う次第でございます。
  196. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私、一つ委員長にお願いをしたい。先ほど出ましたように、衆議院では二十一自に相当な法案が上がり、そうして明日か明後日にも法案が上がってくる。そうしますと、衆議院法案が上がりますと、たとえばここに質疑の中に出て参りますように、衆議院でどう変わったか、変わらぬかというような議論が当局の間において行なわれるということでは、少しわれわれとしてもその衆議院修正したか、了解したか、そういうものを全部含めて法律の審議をもう今日では進めなければならぬのじゃないか。そういう意味で、どうか事務当局と連結でもして、あすの委員会までには衆議院で上がった法律修正または了解、付帯決議というような問題を一つぜひ委員に御配付を願いたい。これをお願いしておきでたいと思います。
  197. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 法案修正につきさましては、従来の先例の通り説明を求めております。本日は時間の都合でいかがかと思いますが、自治庁関係法案について一つ修正点がございます。本日お話し合いに出ておりますのは、了解のような点の問題でありまするので、全部がどのような形でお手元に届きますか、これは事務当局とも打ち合わせてみましょう。衆議院送付案について修正いたしましたものについては、委員長においては従来の通り委員会の扱いをいたしておりますので、御了解願います。
  198. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それで付帯決議の問題や、いろいろ聞いていると、通常国会でこの分はやるとか、やらぬとかという話まで伝わっているわけでございますから、どうか事務当付との関連において、われわれが十分知って審議ができるようにしていただきたい。  それから水産庁次長一つだけお尋ねしたいのですが、三分の一だけ建造する、その三分の一は十分の八である、そうしてあとの二分は補助対象にならないわけです。で、あとの三分の二の建造分については融資ということになるのだと思うのですけれども、どういう格好で、どういうところから融資をされるか。要するに十分の八の残った十分の二の分と、それから全体の三分の二の分との融資の関係をちょっと聞き漏らしておりましたので……。
  199. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) お答えいたします。今度のこの小型の漁船の建造に関しますこの措置は、趣旨から申しますと、金融ではどうにもならない被害激甚地につきまして、共同利用施設として三隻に対して一隻の割合で漁協に船を作ることを助成して参る。こういう考え方でございますので、従いまして三隻のうちの残りの二隻につきましては、金融がつかないという前提でございますので、これは今直もに金融で一隻は助成をもって建造し、残りの二隻は直ちに金融で建造させるということにはならないというふうに考えられます。ただ、御指摘のように、今般のこの対象になりまするのは、原則として三トン前後以下の被害漁船でございますので、三トン以上の船につきましては、これは農林漁業金融公庫の融資をつけるというふうにして参りたいと思います。  それから、いわゆる激甚である組合以外の少数の小型漁船の被害が相当これもあるわけでございますが、これにつきましては、先ほど経済局長から御税期がありましたように、小型の船の建造、取得につきましては、天災融資法、それからそれよりやや大きなものは、やはり農林漁業金融公庫の融資といこうことによって考えて参りたいと思います。ただ、漁協の建造の対象になります共同利用施設としての漁船につきましては、補助残融資はこれは公庫の方でめんどうをみて参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  200. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうしますと、小型の船が三隻あって三人の漁師がおるということになると、一隻に乗って漁業はやれないことになりますから、自然できるだけ早い期間に三隻こしらえて生活を維持していこうということに私はなると思うのです、そうでなければ生活はできませんから。だから問題を突き詰めますと、一つの漁業組合の中で三隻のうち一隻は十分の八の補助、あとつの二隻は今言う天災融資ですか、三トン以下のところですと天災融資、その他のところですと公庫融資で建造をされる。これをミックスして、やっぱりさしあたりは、いずれにしても三隻の中の一隻は建造の補助をされるのですから、あわせて融資を含めて、みながうまくいくようにという考え方はどうなんですか。
  201. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) これはただいま御指摘のように、現在の建造能力から申しまして、三隻に対して一隻ぐらいの建造能力しかございませんので、応急的に漁期にこの船を作っていただいて、これに対して助成するという措置を講ずるわけでございます。しかしながら、この事態はそう長く御指摘のように続かないわけでございまして、そのうちにある期間がたちまして、造船能力から見ますとそうひどく遠いことでない将来、やはり漁協でみんなの船を作ったけれども、そろそろ自分も持ちたいという時期も来るし、漁船の建造能力からいっても、持たしていい時期がやはり来るのじゃないかと思ております。このような時期になりましたら、そのような個人的な漁船の建造、取得に対してもやはり金融のお世話をして参りたいというふうに考えておるのでございます。
  202. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこが私は今非常に疑問に思っておるところです。三人の申で一つ船をこしらえる、しかしそれはほんの当座で、建造能力がないといえばこれは何をか言わんやで、私たちは何も言いませんけれども、一隻ができた、あとどうしても二隻こしらえないと生活ができないということになると、できるものに金融するということになると、一隻の船に対する処理をどうするか、今ある船をどう処分していくかという問題が起きてくるわけです。ですから、そういうものを建造能力とあわせて政府はこれだげしか補助ができぬというなら、本来なら何とかもう少ししてあげたいのだけれども、財源上の問題ですから、融資の問題とあわせて三隻に一隻という点を計画的な操作ができないかということを言っているのです。だからどうしても近い時間のうちにそういうことをやらなきゃならぬというときには、金融だとおっしゃるけれども、そこらあたりが漁業組合員同上の中で、三トン以下の小型船ですから、そういう問題の調整というのものが非常にむずかしくなってきやせぬ言たろうかと思うのですが、どうですか。これは財政上の問題かもしれませんが、聞かして下さい。
  203. 高橋泰彦

    説明員(高橋泰彦君) その点はなかなかむずかしいので、少し現地のいろいろだ事態の変化も眺めようと思ってはおりますが、ただいまのところではこのように考えておるのでございます。それはやはり、今度の共同利用ということで漁業協同組合が取得した一体船が、将来どうなるだろうかという問題がやっぱり根本だろうと思います。それにつきましては、やはりその点は共同化に沿うた線で予定はしたとは申しますが、やはり本省的にはあくまでも災実に対する応急意的な措置じゃないだろうか。従いまして、ある時期がきますると、場合によっては漁業協同組合で今作りますこの漁船を組合員に売却していくと申しますか、そういうような事態も場合によっては予想しておかなけれげならないというふうにも考えております。しかしながら一方、せっかく一つ共同利用施設として漁をし漁協が持つわけでございますが、これに対しましては、やはりあくまでもこのような施設を伸ばすべきであるという考え方もないわけではございません。ことに私ども考えておりまするのは、必ずしも原形復旧だけではなくて、場合によっては無動力船を動力化したいと、これは全部とは申しませんが、許された予算範囲内では無動力船を動力化して漁協が利用し、管理するということも考えております。従いまして、このような船につきましては、場合によっては組合員の指導船その他のような格好にいたしますと、必ずしもこれはすぐ組合員の再び個人有に売却していいというものではなくて、その中にもし共同化ということで現実的にしかもいい芽がそこに残るものとすれば、そういうものはかなり長く組合有の漁船ということで残しておいてもいいんじゃなかろうか。このようにも考えておるわけです。一体このような船が直ちに組合員に売却することになるのか、それとも協同組合共同利用施設として相当長くいくのであるかということについては、どうも私どもはその土地の実態、漁業の種類、または漁業協同組合のそれ自体のいろんな運動の問題、いろいろあろうかと思いまして、私どもはにわかにこれを左、右というふうに割り切ることはむずかしいだろうと、その点につきましては、もう少しその実態も見た上で、非常に無理であるならば、組合員の個人所有に移し、それから共同化の非常にいい芽が出ておれば、それはそのままとして残しておいて、その上に個人の漁船も融資でめんどうを見るという格好も考えたいと思います。この点は、はなはだお答えがあっちこっちいたしましたけれども、実態をもう少し拝見した上で最も適当な措置をとりたい、このように考えている次第でございます。
  204. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、私はその共同化の中に漁業者が入っていくことについては、私自身としては賛成なんです。しかし、それは賛成なんですが、実態の漁業組合自身の中では、そう実際のものが共有になってやっているかどうかというと問題があるので、実際の問題を聞いたのでして、将来の方向としてまことに私はけっこうだと思います。助け合っていく。しかし、それにしても三隻に一隻というと生活の問題が出てくるわけですから、そういう疑問を持っているわけですけれども、どうかそういう点はよく研究していただいて、長期低利金融か何かの処置で、やはりできるだけ早い時間にほかの船も、三隻のところせめて二隻も建造するということでなければ、食っていけないという現実の問題になってきますから、そういう問題をよくお考えになり研究を願いたいと思います。
  205. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 農林省関係法案の審議は、本日はこの程度といたします。  次回は、明二十五日午後一時から開会いたし、まず建設省関係法案から審議し、時間の関係により自余の諸法案についても御審議を願うことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十六分散会