運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-11-18 第33回国会 参議院 風水害対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十八日(水曜日)    午前十時三十八分開会   ―――――――――――――   委員異動 本日委員鍋島直紹君辞任につき、その 補欠として仲原善一君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     郡  祐一君    理事            稲浦 鹿藏君            重政 庸徳君            田中  一君            成瀬 幡治君            小平 芳平君            向井 長年君            森 八三一君    委員            秋山俊一郎君            井上 清一君            石谷 憲男君            木村篤太郎君            草葉 隆圓君            古池 信三君            小山邦太郎君            斎藤  昇君            仲原 善一君            西川甚五郎君            山本 米治君            大倉 精一君            清澤 俊英君            栗山 良夫君            小酒井義男君            近藤 信一君            藤田藤太郎君            安田 敏雄君   国務大臣    建 設 大 臣 村上  勇君   政府委員    建設政務次官  大沢 雄一君    建設省計画局長 關盛 吉雄君    建設省河川局次    長       曾田  忠君    建設省住宅局長 稗田  治君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和三十四年八月の水害又は同年八  月及び九月の風水害に伴う公営住宅  法の特例等に関する法律案(内閣送  付、予備審査) ○昭和三十四年八月及び九月の暴風雨  による堆積上砂及び湛水排除に関  する特別措置法案内閣送付予備  審査) ○昭和三十四年七月及び八月の水害又  は同年八月及び九月の風水害を受け  た公共土木施設等災害復旧等に関  する特別措置法案内閣送付予備  審査) ○昭和三十四年台風第十五号により災  害を受けた伊勢湾等に面する地域に  おける高潮対策事業に関する特別措  置法案内閣送付予備審査)   ―――――――――――――
  2. 郡祐一

    委員長郡祐一君) これより風水害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。本日鍋島直紹君が辞任し、その補欠として仲原善一君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 郡祐一

    委員長郡祐一君) これより建設省関係法律案について補足説明を聴取し、質疑を行ないます。  まず、公営住宅法特例等に関する法律案議題といたします。補足説明を求めます。
  4. 稗田治

    政府委員稗田治君) ただいま議題となりました昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害に伴う公営住宅法特例等に関する法律案内容について御説明申し上げます。  第一条は、本年八月の水害または本年八月及び九月の風水害のうち、政令で定める地域に発生したものに関しまして、公営住宅法特例を設けた規定であります。  特例につきまして御説明申し上げます。第一項第一号は、事業主体前述災害により滅失した住宅災害の当時居住していた者に賃貸するため第一種公営住宅建設するときは、公営住宅法第八条第一項の規定にかかわらず、国は、予算範囲内で、その建設に要する費用の四分の三を補助するここができることといたしました。ただし書きでは、この場合の国の補助対象となる戸数を、災害により滅失した戸数の五割に相当する戸数といたしまして、これをこえる分については、対象外といたしました。第一項第二号は、事業主体が、前述災害により滅失した公営住宅災害の当時居住していた者に貸賃するため公営住宅建設する場合または災害により著しく損傷した公営住宅を補修する場合は、公営住宅法第八条第二項の規定にかかわらず、国は、予算範囲内で、第一種公営住宅につきましてはその費用の三分の二を、第二種公営住宅につきましてはその費用の四分の三を、それぞれ補助することができることといたしました。第二項は、前項規定による補助金の算定については、公営住宅法第七条第三項を準用することとし、建設大臣の定める標準建設費によって行なうことを明らかにいたしました。  次に、第二条は、産業労働者住宅資金融通法特例を定めました規定であります。特例につきまして御説明申し上げます。本年八月及び九月の風水害であって、政令で定める地域に発生したものにより住宅を失った産業労働者に貸し付けるため、この法律施行の日から二年以内に住宅建設しようとする専業者で、主務大臣の定める条件に該当し、かつ、災害により産業労働者住宅または事業場に著しい損害を受けたものに対して、住宅金融公庫が、産業労働者住宅資金融通法第七条の規定により産業労働者住宅建設に必要な資金を貸し付ける場合において、貸付を受けようとする事業者災害のため同法第九条第一項の償還期間内に償還することが困難な状況にあると認めるときは、償還期間を三年以内延長し、その償還期間内で三年以内の据置期間を設けることができるようにいたしました。  以上が、本案の各条の説明であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
  5. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 次に、堆積土砂及び湛水排除に関する特別措置法案について補足説明を求めます。
  6. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) ただいま議題となりました昭和三十四年八月及び九月の暴風雨による堆積土砂及び湛水排除に関する特別措置法案内容を、条を追って御説明申し上げます。まず第一条は、堆積土砂及び湛水の定義定めたものでございますが、堆積土砂とは、昭和三十四年八月及び九月の暴風雨に伴い発生した土砂等の流人、崩壊等による被害地域内に堆積した異常に多量の泥土、砂れき、岩石、樹木等をいうものとし、また湛水とは、昭和三十四年八月及び九月の暴風雨に伴い被害地域内に浸入した水で、浸水状態が一定の程度以上にわたっているものをさすことといたしまして、被害地域堆積土砂の量、浸水状態程度につきましては、政令でこれを定めることといたしました。  第二条は、堆積土砂排除事業に関する規定でございますが、第一項におきまして、河川、道路、公園、林業用施設漁場等区域内の堆積土砂につきまして、地方公共団体等排除事業施行する場合には、予算範囲内において、その事業費の十分の九を補助することができることと規定いたしましたが、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法その他の法令または予算の定めるところによりまして、国がその費用の一部を負担しまたは補助することができる施設等堆積土砂排除につきましては、それぞれの法令または予算の定めるところによることといたしまして、本条補助は行なわないことといたしました。  ただし、カッコ書きにおきまして、国がその費用の一部を補助する災害復旧事業に附随して行なうものを除くと規定してございますので、予算補助対象となる災害復旧事業でありましても、その事業内容堆積土砂排除主体とするものにありましては、本条補助を行なうことができるわけでございます。  第二項は、第一項に規定する区域外私有地等堆積いたしました土砂について市町村排除事業を行なう場合の規定でございますが、予算範囲内におきまして、その事業費の十分の九を補助することができますのは、市町村町が指定した場所に集積された土砂または市町村長堆積土砂を放置することが公益上重大な支障があると認めた堆積土砂排除事業に限ることといたしました。  第三項は、堆積土砂排除事業に関する主務大臣は、必ずしも明確ではございませんので、他の法令に別段の定めがある場合を除きまして、林業施設及び漁場にかかるものにつきましては農林大臣、その他の場合につきましては建設大臣といたしまして、補助金交付に関する主務大臣を明確にいたしたものでございます。  第三条は湛水排除事業につきまして、その事業費の十分の九を予算範囲内において補助することができることを規定いたしてございますが、湛水排除事業は、県や市町村のみならず、土地改良区等が事業主体になることも予想されますので、第二条第一項の堆積土砂排除事業と同様に地方公共団体以外の施行者につきましては、政令で定めることといたしました。  第二項は、湛水排除事業に関する補助金交付の事務は、農林大臣または建設大臣が行なうことといたしまして、その区分は政令で定めることといたしております。  第四条は、この法律によりまして、国がその費用補助いたします堆積土砂または湛水排除事業費範囲に関しましては、これを政令で定めることを規定したものでございます。  次に附則でございますが、第一項は施行期日公布の日としたものでございます。  第二項は、この法律施行前に施行されました堆積土砂または湛水排除事業につきましても、この法律が適用されることを明確にいたしたものでございます。  以上で逐条補足説明を終わります。
  7. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 次に、公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案及び伊勢湾等に面する地域における高潮対策事業に関する特別措置法案、両案について曾田河川局次長より補足説明を求めます。
  8. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) それでは昭和三十四年七月及び八月の水害または同年八月及び九月の風水害を受けた公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案につきまして逐条的に御説明申し上げます。  まず第一条第一項でございますが、これは今次の災害の激甚であることにかんがみまして、地方公共団体等昭和三十四年七月及び八月の水害または同年八月及び九月の風水害でありまして政令で定める地域に発生しました災害復旧事業を行ないます場合におきまして、その事業費に対します国の負担率公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法規定する率よりも引き上げまして、今次七月及び八月の水害または八月及び九月の風水害災害復旧事業費総額のうち、当該地方公共団体昭和三十四年度の標準税収入の二分の一に相当する額までの額については十分の八、標準税収入の二分の一をこえ標準税収入に達するまでの額に相当する額については十分の九、標準税収入をこえる額に相当する額については十分の十をそれぞれ乗じた額を合算した額の災害復事業費総額に対する率としたわけでございまして、これは昭和二十八年の大災害の際の特別措置と同じでございます。  第二項は、前項規定する災害に関しまして、国が直轄災害復旧事業を行なう場合の事業費に対します地方公共団体負担率を定めた規定でございますが、前項趣旨からその負担率は、前項により算定された国の負担割合を除いた割合といたしたわけでございます。  第三項は、第一項、第二項の規定が、地方公共団体財政負担を軽減して災害復旧事業促進をはかる趣旨でございますので、この特別措置法案で算定した国の負担率よりも現行負担法規定で算定した国の負担率の方が高い場合、たとえば、この法案では災害復旧事業費総額を今次七、八、九月の災害復旧事業費の額といたしております関係上、これらの月以外の災害復旧事業費の額が大きい場合に該当事例が生じて参りますので、この場合には、この法律規定を適用しないで、現行負担法で算定した高い率を適用することといたしました。  次に第二条は、災害関連事業に関する規定でございます。すなわち、地方公共団体またはその機関が、昭和三十四年七月及び八月の水害または同年八月及び九月の風水害であって政令で定める地域に発生したものについて災害復旧事業施行する場合において、災害復旧事業施行のみでは災害防止の効果が十分でなく、それを十分にするために災害復旧事業と合併して新設または改良事業施行する場合は、当該新設または改良事業事業費に対する国の負担率または補助率を、他の法令規定による負担率または補助率が三分の二未満のものは、これを三分の二に引上げ、また法令規定によらず予算補助として行なっていた事業につきましては、この規定により、その事業費に対する補助率を三分の二といたしましたわけでございます。従来これらの事業は、おおむね予算災害関連事業または災害復旧助成事業として予算に組まれ、法令規定による国の負担または補助率施行されていたのを、今回この規定により、その負担率または補助率を引き上げて、災害防止事業促進をはかることといたしたわけでございます。  第三条は、水防資材に関する国の補助規定でございます。昭和三十四年七月及び八月の水害または同年八月及び九月の風水害であって政令で定める地域に発生したものに関し、水防管理団体は、水防法規定により水防活動を行ない、多額の水防資材を使用いたしており、また都道府県水防法水防責任を有しております関係上、水防のために資材を使用したわけでございますが、この水防資材に関する費用政令で定めるものについて、国が予算範囲内でその費用の三分の二を補助することができることといたしたわけでございます。  次に付則について御説明申し上げます。  附則は、この法律施行期日公布の日からといたしておりますが、災害復旧事業または災害関連事業の中には、この法律施行前にすでに事業施行している場合もあります関係上、これらのものについてもこの法律規定を適用する必要がございますので、この法律をさかのぼって適用することといたしたものでございます。  以上が、公共土木関係逐条説明でございます。  次に、昭和三十四年台風第十五号により災害を受けた伊勢湾等に面する地域における高潮対策事業に関する特別措置法案につきまして逐条的に御説明申し上げます。  まず第一項でございますが、これは地方公共団体等が行ないます伊勢湾等高潮対策事業すなわち伊勢湾等に面する政令で定める地域におきまして、今次台風第十五号により激甚な災害を受けました海岸または海岸と同様の効用を有する河川及びこれらの災害を受けました海岸または河川と接続する海岸または河川につきまして、高潮、暴雨、洪水その他の異常な天然現象から生ずる災害を防止するために必要な河川海岸、港湾、漁港等施設新設改良及び災害復旧に関します事業を旅行する場合におきましては、地方公共団体財政負担の軽減をはかるために、国が、高率負担をすることを規定いたしております。この場合の国の負担率は、事業費災害復旧事業に相当する部分に要する費用の額とその他の部分に要する費用の額に区分いたしまして、災害復旧事業に相当する部分につきましては、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法もしくは農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律またはこれらの今次特別措置法を適用した場合における国庫負担率を算定いたしまして、その他の部分につきましては、他の法令規定によりますれば国の負担事または補助率が十分の八以上である場合におきましてはその率、それ以外の場合には十分の八をそれぞれ乗じて算定した額の当該伊勢湾等高潮対策事業費に対する率となるのでございます。  第三項は、国が直轄伊勢湾等高潮対策事業を行なう場合の事業費に対する地方公共団体負担率を定めた規定でございますが、前項趣旨から、その負担率は、前項規定により算定された国の負担割合を除いた割合といたしました。  第三項は、第一項、第二項の規定が、地方公共団体財政負担を軽減して伊勢湾等高潮対策事業促進をはかる趣旨でございますので、この法律規定による川の高率負担を優先適用することといたしまして、他の法令規定による負担等排除しているわけでございます。  第四項は、伊勢湾等高潮対策事業は、災害復旧事業改良事業とが統合されて一体となった事業でございますので、このうちには災害復旧事業に相当する部分が含まれているわけではございますが、当然には災害復旧事業と見ることはできないわけでございます。従いまして、伊勢湾等高潮対策事業に含まれる災害復旧事業に相当する部分負担法またはその今次特別措置法規定により災害復旧事業費に対する国の負担率を算定する場合には、その計算の基礎となる災害復旧事業総額に含まれず、国庫負担率が低くなって不合理となりますので、今回の伊勢湾等高潮対策事業費のうちの災害復旧事業に相当する部分費用も、これらの法律において、災害復旧事業費総額中に算入できるようにいたした規定でございます。  第五項は、国が直轄で行なう伊勢湾等高潮対策事業事業費に対する地方公共団体負担は、第二項の規定により行なわれることとなっておりますので、このままでは、国営土地改良有業として行なう干拓堤防等新設改良につきまして土地改良法第九十条第二項の規定により都道府県受益者負担金を徴収することができる権能までも排除することとなりますが、この法律は、それまで排除する趣旨ではございませんので、その点を明らかにするため、特に一項を設けた次第でございます。  次に附則について御説明申し上げます。  附則第一項は、この法律公布の日から施行することといたしておりますが、昭和三十四年台風第十五号が伊勢湾に襲来いたしましたのは昭和三十四年九月二十六日でございますので、この法律施行前にすでに施行している伊勢湾等高潮対策事業についてもその適用を遡及することといたしました。  附則第二項及び第三項は、伊勢湾等高潮対策事業施行に関し必要な法令の一部改正でございますが、伊勢湾等高潮対策事業は、その工事の規模、工期等から見て、国が直接又は委託を受けて施行することが必要であると考えられますので、建設省設置法及び行政機関職員定員法の一部を改正し、建設省中部地方建設局海岸部を設置するとともに、建設省定員を二百人増員することといたした規定でございます。  以上で、逐条的な御説明を終わります。
  9. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ただいま補足説明を聴取いたしました四法案を一括して議題とし、質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言願います。
  10. 田中一

    田中一君 政令は、公営住宅の方は出ておりますが、あとはいつ出ますか。
  11. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 長期湛水部分政令説明はちょっといたしかねますが、他の部分は全部できることになっております。
  12. 田中一

    田中一君 できているなら出していただきたい。
  13. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 提出するのですか、説明でいかがですか。
  14. 田中一

    田中一君 二十五も法律が出ておりますが、一々所管大臣に向かって政令出してくれのどうのと言えないわけです。椎名官房長官にははっきり申し上げております。政令が出なければ審議ができませんから、政令をお出し願いたいと言ってあります。所管大臣がかわるたびに一々政令はどうの、何がどうのというのは煩瑣にたえないことなんです。従って、政令を資料として出すのは当然でございますから、お出し願いたいと思います。
  15. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ただいまの田中君の要求に対して、何か御答弁ありますか。
  16. 田中一

    田中一君 あるはずでしょう。
  17. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 政令は直ちにそれでは用意いたします。提出いたします。
  18. 小平芳平

    小平芳平君 住宅被害というのは、滅失四万五千、半壊十一万七千というふうな滅失半壊になって被害状況が出ておりますけれども、たとえば十日とか二十日とか、そういう長い期間塩水につかっていたような住宅は、滅失の方に入っているのですか。半壊の方に入っているのですか。
  19. 稗田治

    政府委員稗田治君) 住宅被害報告の中の全壊、流失が滅失になっておりまして、半壊というのは現存の建物価値が五割以下の損害を受けたものが半壊というようになっているわけでございます。それから長期湛水区域に入っております建物につきましては、これは床上浸水ということになっているわけでございます。水が引きました場合、当然若干倒れる戸数も出て参るかと思いますけれども、一応それはその後の確認で定めるというつもりでございます。
  20. 小平芳平

    小平芳平君 そうしますと、倒れなければ床上浸水の扱いになるわけですか。たとえば十日、二十日という長い同水につかっていますと、あとどのくらい持つかということはどうでしょうか。
  21. 稗田治

    政府委員稗田治君) 長い期間水の中に立ち腐れになっておりますと、壁等も全部脱落いたしますので、これにつきましての住宅金融公庫の方の補修資金貸付につきましては、二割以上価値が減じたというものは補修資金を貸す取り扱いとなっております。
  22. 小平芳平

    小平芳平君 やはり半壊床上浸水かはむずかしいところと思いますけれども、水につかってすぐ引いた所と、長い間水につかっていた所とは、相当区別して扱っていただかなければならないと思います。それからそういう地帯の住宅の今後の建設には地上げをするようにということがうたってあるのですが、このことは、個人で地上げをするのでしょうか。それとも国の予算で多少なりとも地上げするめんどうを見てくれるんでしょうか。
  23. 稗田治

    政府委員稗田治君) 十月の二十一日付で次官通達を出しました趣旨は、今回の風水害にかんがみまして、高潮出水等の危険のある土地におきまして、災害危険区域条例を制定するようにという趣旨で、そういった災害の防除、対策を常日ごろから心がけるようにというので通達を出したわけであります。条例が制定されまして、現行規定として働くように相なりますれば、もちろん基礎かさ上げをする場合であるとか、あるいは土盛りをするというような場合におきましても、住宅金融公庫貸付の単価につきましては、そういった特殊の基礎に要する費用等につきましても、追加するように検討いたしております。
  24. 小平芳平

    小平芳平君 そうしますと、金融公庫の場合はよろしいとして、公営住宅の場合あるいは会社が寮として作るような場合はいかがでしょうか。
  25. 稗田治

    政府委員稗田治君) 公営住宅につきましては、今回提出いたしております補正予算に含まれております災害公営住宅五千二百二十九戸につきましては、その三割を木造以外の堅牢な構造にいたしておるわけであります。災害危険区域条例内容にもよりまするけれども、必ずしも地上げ一本やりで制限するという形でなしに、場合によれば鉄筋の堅牢な建物によって水害をある程度防ぐというような制限も加わってくるかと思います。従いまして、公営住宅では三割が木造以外の堅牢な構造にしてございますので、これの建設費の配分にあたりまして、適時その地区に合ったような構造公営住宅建設するように地方公共団体を指導して参るつもりでおります。  なお、住宅金融公庫で扱っております産業労働者住宅資金融通法による産業労働者住宅でございますが、これはその大部分鉄筋アパートの形式のものが大多数でございます。従いまして、水害の場合にも相当耐え得るというように考えているわけでございます。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 関連して。先ほど二十日も水につかっているという問題がありましたが、二十日ぐらいでなくて四十日も五十日も水没しておりまして、それがその潮の潮流によって引いたり満ちたりする。その場合に土台がほとんど荒らされてしまっておる。その場合に、やはり今度水が引きまして排水しましたところが、たとえば土台石と家とずれてしまっている。そういう場合に、水が引いてももとの位置にきちっとこれがおさまればいいけれども、おさまらぬ場合は、やはり家が傾いてしまうと、こういう現象が起きているわけなんです。これを半壊として扱った場合には、これはなかなか十五万円や十八万円で直るわけないのです。根本的にこれをもう一ぺん下からやり直さなければならぬ。しかも、これが四十日も五十日も水につかっておればほとんど腐ってしまっておる。こういう状態について半壊の処理というのは、適当であるかどうか、この点一つ明らかにしていただきたい。
  27. 稗田治

    政府委員稗田治君) 今回の水害におきましては、非常に長期間にわたりまして浸水していた家屋がございますので、これが排水する場合には住宅の倒壊等が起こるのではないかというので、愛知、三重等の各県にこの排水時期における住宅の手当等を指導して参ったわけであります。たとえば筋かいをつけるとか、あるいは突っ張りの棒を立てるとか、そういうようなことで指導して参りまして、すでに相当排水事業は完了してきたわけでございますが、県からの報告によりますと、排水の場合に意外に建物の損壊は少なかったというような報告を聞いておるわけでございます。  なお、この住宅金融公庫災害復興住宅建設並びに補修資金貸付等につきましては、排水後における損害をもって貸付資金をきめるように、そういうように府県を指導してございます。従いまして、建物を、これはもう使えない、新らしく建てた方がよろしいという場合には、新築資金を貸し付けるということに相なるわけでございます。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 もう一点。それから、住宅貸付の問題ですけれども、そうした査定で建て直した方がいいというふうに判断された場合には、やはり新規に住宅金融公庫から借りることができると今答弁されましたが、実際今までに非常に住宅貸付金がむずかしい。これが大きな悩みになっておる。今まで他の中小企業の金融関係だと、非常処置ということで従来一カ月ぐらいかかっておったのが二週間ぐらいでどんどん処理されておる。ところが、住宅の問題に限っては、これはなかなかむずかしくて、ほとんどだめだ。今まで一体どれくらい住宅で貸し出しをしておられるか。あなたの方でよくわかっておられると思うのですが、どれくらいあるのですか。
  29. 稗田治

    政府委員稗田治君) ただいま手元に最近の資料がございませんので、若干報告は古くなるわけでございますが、十日ほど前の報告でございますが、まず住宅金融公庫貸付を受ける場合に、都道府県の損壊の程度についての認定を要するわけでございます。それで、認定の申し込みにつきましては、三万二千ほどございまして認定書の発行の終わりましたのが二万七千戸、そのうち金融機関の力に貸付の申し込みをして参っておりますのが三千戸程度でございます。認定言の発行までは非常になだらかに速度が上がっておるわけでございますが、金融機関の方に貸付の申し込みをしてくるその間に非常に隔たりがあるわけでございます。この三千戸につきましては、金融機関の方でそれぞれ逐次貸付の承認をしておるわけでございます。なお、金融機関として判定できないようなものにつきましては、公庫の方で再調をするということで、まだ断わっておる件数はないように金融公庫の方から報告は受けておるわけでございます。三千戸のうち、貸付の承認になりまして着工しておる戸数につきましては、私詳細には存じていないのでございますが、その半数ほどにはすでにいっているのではないかというように考えておるわけでございます。  なお、手続等につきましては、住宅金融公庫災害復興住宅資金貸付は、災害用に初めから考えられた制度でございますので、金融機関として金を貸し付ける手続としては、これ以上の省略は困難ではないかというように考えておるわけでございます。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 今のお話だと、認定したのは二万七千戸あって、申し込んだのは三千戸だ、そうして、しかも現在までにどれだけ貸し付けたということがまだはっきりしていない、半分くらいだろうと、こう言っておられる。私の考えから言って、半分もないと思う。一割にも達していないだろうと思う。それはあまりむずかしいということで、あきらめて申し込みがないのが非常にたくさんある。借りたくてたまらぬのであるけれども、あまりむずかしい、規定が。そこで、銀行の窓口へ行ったって、ああでもない、こうでもないということで、従来の貸付の基準とほとんど変わりない。そこで、借りる人はそんなことをやっておってはなかなか家が建つわけじゃないということで、他の方法で金を借りてやっておるという事実がたくさんあるわけなんです。この点、私は住宅公庫は非常に今度の災害対策としてはまことにまずいと思うわけです。もっと簡素化して早く罹災者に家の建つようにそういう方途を私は見つけるべきが当然だと思う。その点についてどう考えておられますか。
  31. 稗田治

    政府委員稗田治君) 従来の災害につきましての実績から申しますと、この災害復興住宅資金貸付が殺到して参りまするのは、災害が起きましてから三月目くらいが一番殺到しておるのでございます。従いまして、この貸付をもちろん早く申し込んでいただくように金融機関としては用意しておるのでございますけれども、いろいろ、めいめい罹災者の計画等もございましておくれているのではないか、かように考えております。それから手続につきましては、十分簡素化してございますので。なおわれわれといたしましては災害に急速に間に合うような手続の検討は十分いたしたいつもりでございますけれども、実際としましては、かなり簡素化してあるわけでございます。
  32. 山本米治

    ○山本米治君 ただいま政府筋から住宅公庫の申し込みや、その他貸付承認等ついて大体の数字が示されました。私はちょうどここに名古屋支所の数字を持っておるわけです。今の示された数字、大体は間違いないのです。ちょっと古いのですが、十一月の六日の現在で認定申込戸数は、三万三千六十四戸になっております。それからそのうちで認定済みが二万八千日九十、申込戸数は三千五百二十五戸となっております。そのうち貸付承認は大体半分くらいと言われましたが、十一月六日現在では千百四十、半分でなくて約三分の一ですが、私も非常にこの住宅公序の貸し出しがおそいと思っておるのですが、そのおそい原因が、これは金融機関を通す、その場合に金融機関が保証する義務があるのかどうか。どの程度保証するのか。その保証を銀行が渋るがために、そこが隘路になってなかなかはかどらぬのじゃないかと考えるのですが、その貸付のおそい理由を一つお示し願いたいのですが……。
  33. 稗田治

    政府委員稗田治君) 金融機関の方は保証は必要といたしておりませんけれども、貸付の契約にあたりましては、保証人を二人つけることに相なっております。それで、市町村が債務保証をいたした場合には、保証人を省略することができるように取り扱っておるわけでございます。ただ、市町村の方におきまして保証人をぜひつけるということで自分の市町村の方は保証をしたいというような条件が、市町村の方から出ておりますので、保証人を全部省略するというような市町村の保証が、現在のところではないような状態でございます。
  34. 山本米治

    ○山本米治君 これは非常におくれていることは事実でございますから、なおこれがずっと促進されるように一つ軒促していただきたいと思います。
  35. 森八三一

    ○森八三一君 今の問題ですがね、従来の慣例によるというと、災害が起きてから三カ月ごろが一番申し込みの最盛期になるというのですが、今年の災害の実況は、大臣も御承知のように冬を控えておるのですね。だから被災者といたしましては一刻も早く安住の家を作りたいということは、これはもう普通の場合とは事情が違うと思うのです。だから私はこういう結果になるであろうことをかねがね考えましたので、災害の発生いたしました直後に現地を見まして、当時大臣も現地に行っていらっしやつたが、帰りまして十月十二日の日にたまたま農林委員会がありましたので、大臣と一緒に現地に行っていらっしゃいました石原副本部長の出席を求めまして、このことを強くお話し申し上げまして、特に今回の場合には農林漁業者の被災が非常に大きいということからいたしまして、従来の貸し出しの手続、ルートというものでは、必ずしも満足な結果が得られないだろう、そのことは今まで一般金融期間等とあまりなじみのなかった農民、漁民等が借り受けをしなければならぬ。そこで、従来の貸し出しルートを改正いたしまして、そういうようなほんとうに難儀をしている農林漁業者等に、常時金融的な立場で接触をしている農業協同組合とか、漁業協同組合というものを住宅公電の業務機関として指定するということが、あたたかい思いやりの実を上げるゆえんであろう、これはどうですかという質問をいたしましたところが、農林大臣も非常にごもっともだ、同時にまた、対策副本部長としての石原さんも、これは非常に大切なことだから建設省なり大蔵省等と連絡をとってすみやかにそういう措置を講ずるようにいたしますという趣旨の御答弁をちようだいいたしておるのであります。私は今度の災害に関して政府が非常に情熱を傾けてやっていらっしゃるという点には感謝いたしますが、今話を開きますると、三万戸近い申し込み戸数の認定が行なわれて、わずかに三千戸、しかもそのうち千二百戸程度より竣工していないという事実は、私もかねがね心配しておった事柄がここに現実に出ていると思う。そこで重ねてお伺いいたしますが、そういうようなことを御考慮になっておると承知いたしておりまするが、いつ一体そのことをおやりになるのか。こんなことは別に法律行為ではございませんので、すでにそういうように言明を得ていることでもございますから、早くその手続をおやりになれば、これは保証人を二名立てるとか何とかいいますが、その保証人の保証能力とか、そういうことについては農村の場合には農業協同組合、漁村の場合には漁業協同組合、山村の場合には森林組合などが一番よく知っている。しかもそういう所に常時貯金の出し入れもありますし、一般生活資金の供給もあるのですから、そういうものを早く指定することによってその実を上げることができると思うのですが、いつおやりになるのか、その点をはっきりお示し願いたい。
  36. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいま御指摘の点につきましては、大蔵省とも相談いたしまして、大蔵省当局も各種の協同組合等を窓口にしていくということについては差しつかえないということでございますので、直ちにやっていると思いますが、私どもやっているつもりでおるのでございますが、もしおくれておるといたしますれば、直ちにその手配をいたして、万遺憾なきを期したいと思っております。
  37. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの大臣の御答弁で了承いたしましたが、公庫の方に参りまして総裁なりそういう責任者にお会いいたしましてお話を聞きましても、ぜひそういうふうに公序の仕事に協同組合が協力してもらいたいのだということをおっしゃるのですね。それにもかかわらず、すでにもう二カ月も経過してできておらぬことは、これは非常に残念なことなんです。ですから、今お話のように即刻一つ手続を取り進めるということをやっていただきたいということを希望しておきます。  それから、その次にお伺いいたしたいのは、先刻田中委員からの御発言で、建設省関係の各種の特例法に関連いたしまして、至るところに政令にゆだねているところがたくさんあります。これは一つ建設省のみではございません。そこで、私どもこの特別委員会といたしましては、一刻も早く法律審査を終わりまして、被災者に安心を与えたい。そのことをやりまするためには、政令内容が明確でないというと十分な審査ができませんので、すでに一週間ほど前に官房長官の出席を求めて政令の提出をいつおやりになるかということをお尋ねした結果は、十三日中には出しましょうということで、われわれはそれを非常に期待しておったのが、今、田中君の大臣に対する門付に対して、そんなことを初めて聞いたような御答弁なので、一体官房長官と建設省関係は連絡があったのか、なかったのか、どうもその御発言の模様によると、何らそんな連絡はなかったようにも受け取れるのでありますが、連絡があって湛水地の問題であるとか、あるいはいわゆる被害激甚地の問題であるとか、省内の意見のまとまっておらぬものまでちょうだいしようとは思いませんが、その他にも二十八災のときと同じことをやるんだというものがたくさんあるのですね。そういうものはもうきまっておるのですから、早く一つお出し願うという手続は当然だと思うが、これは初めてお聞きになったのか、どうなんですか。
  38. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先ほど田中委員にお答え申しましたように、すぐ出すことにいたしますが、ただ、まだちょっと話がはっきり決定しておりませんものが長期湛水、堆土の面にありまして、その他の点につきましては、大体に決定を見ております。ただ、官房長行からは、次官会議でその話があったように承わっておりますが、どうも私どもの方としてもおくれて申しわけないのですけれども、実は全部できて、はっきりしてというような、潔癖、少し考え過ぎたものでありますから、今日までおくれておりますが、ただ、どうしても折り合いのついていないものだけを残しまして、あとは全部直ちに本日もうすぐ出すようにいたしますから、御了承願いたいと思います。
  39. 森八三一

    ○森八三一君 今の大臣の御答弁によりますると、官房長官がこの席ではっきりお答えになりましたそのことは、次官会議において官房長官から話があったということでありますれば、官房長はわれわれに答えられましたことを実行されておる。ところが、それを受けた各省関係でまだ実行されておらない。非常に残念に思います。ただ、今大臣のお話で全部を取りそろえてと考えたからまあおくれた。われわれが注文いたしましたのは、そういうように省内の意見のまとまらないものもありましょう、それは一刻も早くまとめて出していただくことにいたしまして、すでに決定しておるものについては、それぞれそのつどすみやかにお出しをいただきたいという趣旨であったわけでありますので、今の私への御答弁で、即刻取り進めるということでございますので、今までの連絡のまずかった点だとか、あるいは受け取り方のまずかった点をとやかく申し上げようとは思いません。とにかく審議を早くして、被災者に一刻も早く安心を与えたいという熱意から私どもは申し上げておるので、何もいやがらせを言ったり何かするというような気持は毛頭ございませんので、即刻一つお出しをいただきますることを、私といたしましては希望を申し上げておきまするし、これはぜひともほんとうに実行をいただきたいと思います。  その次にお伺いいたしたいことは、堆積土砂湛水排除に関する法律に関連してでございますが、この中に「土砂等の流人、」ということで「土砂等」という字が一つ使ってあります。「等」とは一体何を内容としておるのかという点が一つ。  その次に「異常に多量の泥土、砂礫、」というように、「異常に多量」という抽象的な表現が一つあります。ここにいう「異常に多量」とは一体どういう程度をここで考えていらっしゃるのか、まずその二点をお伺いします。
  40. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) ただいまの御質問は、堆積土砂及び湛水排除に関する特別措置法の第一条の部分に関する御質問でございましたが、堆積土砂の定義の中に、「土砂等の流人、崩壊等により」とあります「等」は、これはいろいろなものがたまりまして、町なり公共施設なりその他にいろいろな環境衛生並びに交通上あるいは支障を与えますので、そういう意味合いにおきまして、この支障のあるような現象を呈した事柄を意味しておるわけでございまして、多くの泥土と砂礫、岩石、樹木等という「等」の中には木材等も入れて考えておるわけでございます。異常に多量の泥土、砂礫等の「異常に多量」というのはどういう意味かとお話でございますが、これはこれらの全体の堆積土砂等が一団としてまとまりましたものが、あるいはまた当該市町村区域におきまして相当なまとまりをなしておる場合と、二つ考えられるのでございまして、従って、今回の場合におきましては、この前の立法例にもありますように、当該市町村区域につきましては三万立方メーター、それから一団のまとまりをなしておる土量といたしましては二千立方メーターというものを「異常に多量の泥土、」というふうに考えております。それで、そのことと実はこの政令、いわゆる「崩壊等により政令で定める地域内に堆積した」というこの地域との関係があるのでございまして、いわゆる堆積土砂の激甚地ということとして考えておりますのは、一つは当該市町村区域が三万立方メーター以上の堆積した土砂等がある地域、それからまたは長期湛水地域、またはその堆積した土砂等排除に要する事業費の額が、その資料村の昭和三十四年の標準税収入の十分の一以上に相当する額をこえる市町村につきましては、堆積土砂特別措置法の適用を受ける地域として考えられておるのでございまして、その地域のうち、長期湛水地域及び標準税収入の十分の一をこえる地域につきましては、三万立方メーターがあれば、もとよりなくても、一団として二千立方メーター以上の土量があるという所を、異常に多量の泥土等と考えておるわけでございます。
  41. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 議事進行について。  ただいま御説明になりました点は、私伺っておるところによるというと、堆積土砂及び湛水排除に関する特別措置法案の中にありまする、政令規定する部分の御説明だと思うのです。ですから、先ほどからも話題になっておりますように、どこまでが政令でどこまでが建設省の解釈なのかさっぱりよくわからないのでよ。何としても早く出してもらいたいという理由はそここにあるわけですね。で、委員長に私お尋ねしたいのですが、きのうの約束では、官房長官はけさまでにリストを作って持ってくるという話になっておったのです。きのうまでに提出しなかった政令案については、それはリストとして提出をするということでございますが、それがきているかどうか確かめてもらいたいと思います。
  42. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 私も督促をいたしておりますが、ただいまの段階で参りましたかどうか、これはすぐ確かめてみることにします。私の手元まではまだ参っておりません。
  43. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それで、建設省としては今のような政令に委任する部分説明等に入る場合があるわけですから、非公式でもいいですけれども、その政令要綱のようなものを出してもらって、こういうことになるのだという工合に、きっちりとして御説明いただけませんか。ただ解釈なのか、政令委任部分なのか、数字などが入つちやつてさっぱりよくわからない。
  44. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 今の件について、何がお答えいただけますか。
  45. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先ほどもお答え申しましたように、この堆積土砂等排水の面はまだどうもこの関係各省の間で折り合いがついておりませんが、他の部分は大体にもう決定いたしておりますので、そのできたものはすぐこれから用意いたしたい、提出いたしたいと思っております。
  46. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それで、他の省に関係のない部分でも非常に不明確な点があります。たとえば、今の堆積土砂及び湛水排除に関する法案の中で、私はこれは質問を別にいたそうと思っていながら、関連質問というか、議事進行の格好でそうなっちゃったわけですが、たとえば今、名古屋市の中で長期湛水地域で、一番問題になっているのは、貯木場にある何十万石という流木なんですが、あの流木が一体どれに当たるのか。道路から、宅地から、学校から、至るところかまわずに一本二十万円もするようなラワン材の大きいのが山積している。私も写真をとっているのだが、こんなのが三個ぐらいが積み上がっていると、乗用車の高さの三倍くらいあります。そういうものを、道をあけるところはやむを得ないから、まあ自衛隊が来て自衛隊の作業自動車であけたのですよ。ところが、そのほかのものはほうってあるわけですよ。そういうものの取り片づけというものは、この「異常に多量の泥土、砂礫、岩石、樹木」の中に入るのかどうか。これになければ「等」という中に入るのか。そういうことがはなはだもって不明確なんです。それは政令できちんとなさるべきだと僕ら考えているが、そういう点伺いたい。
  47. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) ただいまの御質問は、いわゆるこの経済的な価値のある、しかも所有者のはっきりしているような木材等もございますので……。だれも引き取り手のないというふうなものである場合におきましては、これは今回の「樹木等」という「樹木」は、木の根っこのあるやつでございますが、その「等」の中ですみやかに処置しなければならぬと思いますが、現在の法制では、遺失物法という法律によりまして、やはりこういうふうな種類の物件の処分の規定もございますし、あるいは他の法令におきましては、清掃法でありますとか、災害救助法でありますとか、そういうような法律によりましても、そういう、はっきりした所有者のあるもの、あるいはまたそれらの法律の建前から、市町村なり何かがいわゆる管理いたしまして行なう場合もありますが、場所々々によりまして、はっきりした持ち主のあるものは当然持ち主が片づけるべきものであります。しかしながら、やはり場所によりましてはどうしても今回のこの法律によって片づけないと工合が悪いというふうなものにつきましては、「樹木等」の中の「等」で読む場合もあり得ると思います。
  48. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ただいまの問題は、私有物権であって、しかも経済価値のあるものだから、この法律には含まれないと、こうおっしやたんですけれども、それは価値論からいうとそうかもしれません。しかし、災害という点から考えて、あの流木のために非常に大きな迷惑を現在もしているわけですね。これをどうするかという問題とは別問題だと私は思うのです。そこまであなたがおっしゃるならば、私は言葉を続けなければなりませんが、たとえば、それではあの貯木場の施設の管理権というものは、これは国にあるわけなんです。国が持っておった管理権あるいは国の出先き機関の持っておる管理権が十分にその責任を果たしておったかどうかということは、もうここで、委員会で問題になりました。そうして、はなはだ疎漏な点があって遺憾でありました、こういうことでありました。その遺憾な貯木場の中から流れ出た大木材が家をこわし、道路をこわし、学校をこわし、ついには人命までものみ取ってしまった。従って、私は国家賠償法によって国は罹災者には賠償しなければならぬと思っておるのです。これはまだ質問しておりませんが、流木の問題と国家賠償法との関係はどうなるのか。これは明確にしなければいかぬと思う。とにかく管理権を行使する上において手落ちがあったということになれば、これは賠償の責めに任じなければいけないのじゃないかと思う。しかも、復興する上において非常に迷惑している。木材業者も、おそらくあんなことになるとは思っていなかったでしょう。しかも自分の大切な財産があちらこちらに分散しているわけですから、これを集めなければならない。ところが水が引いてしまったあとであんなものを集めるといったって、それは容易なことじゃない。大へんなことです。一本自分の工場までか貯木場まで戻すのには大へんな費用がかかる。ですからそういうものをもしこの法律で見ないということであれば、どこで一体やるのか。そこまでお考えになっておるかどうか、その問題だと思うのです。大臣から御答弁願いたい。
  49. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) ただいまお答え申し上げましたのは、遺失物法等の関連で申し上げたのでございまして、この法律でそういう場合を、そういう木材を、堆積土砂排除事業として行なうことはできるというふうに私は思っておりますが、ただその場合に、行なった場合の行為は、遺失物法との関係におきましては、いわゆる事務管理を当該市町村がやったと、こういうことになるのじゃないかということの意味合いを申し上げたのでございます。現実には、その法律関係以前に、現在たまっております木材を引き取る人とあるいは被害を受けた人との間のいろいろな問題があろうかと思いますが、法律の建前といたしましては、今回の特別措置法対象にすることは、さまたげないわけでございますが、それを遺失物法その他の法規から申しますと、いわゆる遺失者とそれらの物件についての警察署との関係規定しておる法令の問題がございますので、それは事務管理的な関係になるのじゃないか、こういうふうに解釈しております。
  50. 森八三一

    ○森八三一君 私も今の点は質問をしたい点であったのですが、栗山先生から質問がありましたので、はっきりしておきたいのですが、この「等」の問題で、今、栗山委員から御質問のあったような、木材の取り片づけということが入るということになりますると、漂流物に関する関係は運輸省所管で処理をされておる。遺失物でありますればこれは警察の方の所管に属しておる。そこでこの「等」の中に入った場合には、そういうような他の法令に基づいて始末をした場合と、この特別法で始末をした場合と、国がその処理者に対して負担をする負担割合とか、そういうものが、変わってくるのであります。その場合に、この特例法によって処置をした場合の方が、私は高率な国の手当が受けられるという結果になると思うのです。そこがまた問題になるのです。今御説明のように、山元材等が道路にはんらんしておる、あるいは住宅に闖入しておるというものを、この法律によって取り片づけたという場合には、この法律に基づく国の助成なり手当をなさるというように、はっきりお答え願ったのですか。それでよろしゅうございますか。
  51. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) これは、ただいま水難救護法との関係も御質問の中にございましたのですが、漂流物との関係というお話が出ましたので、漂流したあと、水がついた所でなくて、漁場等におきましては、沈木の一定の本数につきましては、今回の堆積土砂等で処分するということで、農林省関係で行なうことになっております。従って、この堆積土砂等の法律の中の樹木等に木材を入れまして運営をいたすことは、法律上われわれは可能であると解釈しております。ことに今回の法律におきましても、公益上重大な支障がある、これを放置することが……。そういう場合におきましては、この事業を行なうわけでございますが、その場合に、行なった結果、その遺失物者とそれを片づけた人との間における遺失物法上の民法上の関係が発生してくると思います。それは先ほど申しましたように、民法の事務管理に相当する行為を行なったと、こういうふうにいたしまして、その補助金関係の内面的な処理をいたすべきものだと、こういうふうに考えております。
  52. 森八三一

    ○森八三一君 内面的な処置ですが、遺失物法等における規定による処置をした場合と、この法律によって処置をした場合と、処置をした人が受ける経済効果が違ってくるのですね。だから、それは処理をした人の自由意思によって、この法律を適用してほしいという場合には、この法律を適用してやる。遺失物法を適用してほしいという場合には、そういうものを適用してやる。こういうことでその処理をした人の――市町村なり、そういうものの――自由意思によって、いずれか選択をされるというように今の御説明はなるのですが、これはよろしゅうございますか。これはあとで問題が起きるのですよ、明確にしておかないというと。
  53. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) ただいまの点は、法律的に法務省との関係もございますので、最後の民事上の請求権の金額的な要素につきましては、よく協議をととのえまして御説明を申し上げたいと思います。
  54. 田中一

    田中一君 関連して。これは關盛君、去年の狩野川の場合にもこの問題はあったのですよ。狩野川、あの川から流れたものが……。前例があるでしょう。今法務省に協議をするといっても、それは処理されているはずなんです。たとえば宅地、大きな石がきている。この石は構図から見れば奇石であって庭石として高いものだというものもあるかもしれないけれども、どうにもじゃまなコンクリートのかけらの場合もある。その場合には、去年は、狩野川の場合には、道路まで持ち出せば、それは地方公共団体が処理する、運搬する。それに対する補助だと思うのです。宅地に入っては困るから、それは住宅金融公庫が、ある一定限度までは費用を融資してやろうということになって処理したのです。今、そんなことを法務省に打ち合わせるということは、ありようがないのです。昨年もその問題については、切り出した材木がどんどん流れてきて、その処置はできているはずなんです。こういうことは建設省は知らなければならないのです。いまさらそんなことをここで答弁するのはおかしい。毎年のように災害があるのです。そのたびに一々打ち合わせするのですか。そんな権利関係の問題は解決されているはずですから、即刻答弁していただきたい。  それからもう一つ、あなたの方で所管しているものは、予算書にある郡市災害ですか、都市災害の面でもって排土の問題は、これはどこに入っているのです、予算の方では。
  55. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) ただいま、私が法務省との関係につきましての答弁を保留いたしましたのは、民事上の金銭的な請求権の、遺失物法との関係内容でございまして、排土事業として担当いたします範囲につきましては、ただいま田中先生が御指摘の通りでございまして、いわゆる宅地等にあります物件を堆積土砂として排除すべき場所に運搬する行為を、この事業補助対象にしているわけでございます。ただし、他人の遺失物を取得した者と、物件の所有者とのいわゆる金銭的な関係が、事務管理の状態で、かりにその排除しました場所に置いておくわけであります。勝手に棄却消滅させるわけではございませんので、その点についての関係を申し上げたのでございます。  それから、今回の排土事業要する予算は、予備金で支出する、こういうことに今の補正計上予備金の中から支出される、こういうことになっております。
  56. 田中一

    田中一君 だから早く政令を出せというのですよ。わからないのですか。その規模が、これは一つ重大な問題ですから伺っておきますが、土砂なりが流入したということは、土地なり、畑なり、街路なり、宅地なりに堆積したというものばかりではない。これはあなたの方の計画局の方で所管になっているところの上水道や下水道、ここにたくさん詰まっている。これを一体どういうように認定するか。私は政令が出てからこまかく聞こうと思っているが、名古屋市などはひどいそうです。下水道それから上水道にも土砂が流入している。こういうものは、これはたとえば名古屋市は税収が多いから、お前の方でやれということになるのか。補助対象の指定になった場合、そういうものまで勘案して予備金から出すような準備があるかどうか。いろいろな法律案の質問をしていくと、結局裏づける予算の問題なんです。この法律はいろいろある。あなたの言っている排土事業というものは、土砂及び湛水排除に関する法律には、すべて一切が予算の許す範囲になっている。すべて予算の許す範囲なんです。従って、実体というものは、あなた方が実際つかまなければ当委員会でも納得するようなことにならないわけなんです。体、予備金でまかなえますといって、どのくらいの規模で、実体はどういうことになっているかということを知らなければならない。ただ一応大づかみの予算をきめてそのワク内で押しつけようということであってはならないと思うのです。大蔵大臣も再々言っているように、大蔵大臣は、そういう現象が起きたのでございますから、これを排除するためには金は幾らでも出しますという発言をしておられる。下水道や上水道など、表面に見えない場所に流入したところの土砂というものを、あなたの方の予算編成に、この法律の中に織り込んであるかどうか。この点一つ伺っておきます。これは予備金で出すというなら、それはあなた方の言明をとっておけば、予備金はまだきまっておらないから、相当なものを計上するということをおもんぱかって伺うのです。これは大臣から伺います。
  57. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 堆積土砂の為、浸水状態程度につきましては、政令で定めることにいたしておりますので、私は今の田中委員の御指摘になりました下水の中に土砂がたまっておる、そういうものもこれは当然排土作業としてこの政令で定めていくものだと、こう思っております。
  58. 田中一

    田中一君 大体八十億の予備金の中から、建設省の流用というか、予算づけられるものというのは十一、二億というようにわれわれは聞いたのです。新しい現象が生まれれば別ですが、発見されれば別ですが、今までの災害というものは、政府がつかんでおる、また府民が見ているところの災害というものの実態から、八十億のうち十一、二億のものが建設省に使われるのであろうというように見込まれておるように僕は了解する。そこで、たとえば愛知県なら愛知県名古屋市を見ても、上水道、下水道に流入した土量というものは莫大なものなんです。しいて言えば、何億になる。これは排除するものは大へんでしょう。これは今言っているように、もぐってやることができなければ表面を切って土砂排除しなければならぬわけでしょう。これは村上さんよく御承知だろうと思います。こういうものの今度は法律を出し、また、実際に排除しようとする場合に、見込んでいる予算を要求しようとするのか。また法律内容というものはそこにポイントがあるのです。水はポンプで揚げればいいのです。土砂の問題は大へんな問題です、そういう点が一つ。二十八年度災のときには、熊本の白川等の排除の場合でも、これは村上さん、あなたは災害対策委員長としていたので、よく御承知かと思いますが、大蔵町にこの点については、当時の精算の資料というものを要求している。これは排土事業は、あのときには私は金が余ったように記憶している。今度の場合には予算が足りないんじゃないかと思います。そういう点の失態をどれくらいまで握っていらっしゃるか。政令でむろんまかされるでしょうけれども、その点をまだ政令が出ておりませんから、十分に実態をつかんで交渉していただきたい、これは希望であります。
  59. 森八三一

    ○森八三一君 他の委員の発言がありますので、最後に一つお伺いいたしますが、この法律によりますと、今回の台風によりまして土砂堆積した場合に、それを排除するということが企図されているわけでありますが、台風による被害は、堆積だけではなくして、堆積するものもあれば、どこかに減った部分があるわけですね。泥が天から降ってくるわけじゃないのですから、どこかからそれが持ち去られている。持ち去られた場所は低くなっているわけですね。そこでお伺いいたしたいのは、堆積した土壌の排土についてはこの法律が適用される。土壌が掘れちまって、あと養殖等ができなくなった場所は、今回の特例法にはどこにもそういうものを救済するというような趣旨は出ていないように思うのでありますが、これはお考えになったのか、あるいけ見落としであったのか、そういうものはやってやる必要はないというふうに残酷にお考えになっているのか、その辺どうなんでございましょう。
  60. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 政令で定める地域でありましたならば、それはもちろん公共土木事業で復旧する必要があると思います。
  61. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、今申し上げましたように、漁場のような場合に、非常に深く、たとえて申しますと、ノリの養殖場なんか深くなってひびが立たないというような地点があっちこっちにできておるのです。そういう所は公共土木の方で海面までおやりになるのですか。
  62. 村上勇

    国務大臣村上勇君) そういうようなノリとかあるいは漁場等につきまして、これは農林省関係でありますので、私の方としてはこの場合どうもお答えいたしかねます。
  63. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連。今漁場を、これは農林省といわれたが、この間問題にちょっとなりましたのは、豪雨等の際にダムをあけるというのですね、それがためにそうやってダムにたまった土砂を流し出す、こういうことを通産省でやっております。そこで問題が今出ているのです。この法律にはおそらくそれは適用していないと思いますが、それによって、上流のダムのこちら側に非常に土砂がたまりましてそして大きな島ができる、川の真中に島ができる、これは建設省の方にもその実例を中心にして、たしか陳情がいっていると思うのです。そして島には木まではえておる、しかして流水が変る、変わって、次には必ずもう災害を受ける、こういう実例がたくさんあります。これはやはり堆積土砂暴風雨による堆積土砂なんです。それがこれからははずれると思うのです。おそらくはずれていくと思います。どうですか、入っておりますか。
  64. 關盛吉雄

    政府委員關盛吉雄君) 堆積土砂特別措置法と他の法令との関係についての御質問でございましたが、いわゆるこの法律は第二条に規定いたしておりますように、国が他の法令によりまして負担または補助を行ないます災害復旧の場合に、たとえば河川の敷地内に、流城内に土砂堆積いたしましてそれが河川の治水上措置しなければ河川災害復旧にならない。こういうふうな問題になる場合におきましては、その負担法によりまして処置いたします。道路につきましても同様でございます。交通がそのことによって支障がある、こういう場合におきましては、道路の災害復旧として堆積土砂の始末をいたしますので、この法律は、それらの他の法令によってそれぞれの特例を行なっております関係もありますので、今回はそれらの地域、公共施設対象になるような所は除いて、宅地等を中心に、また農地につきましては農地の措置がございますので、そういうふうな分担をきめまして今回の法律を考えたわけであります。
  65. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ただいま建設大臣予算委員会から出席を求めて参りましたので、もし簡単に建設大臣への御質疑があれは建設大臣の御答弁を願いますし、そうでありませんでしたら、建設大臣予算委員会への出席を許可いたしたいと思います。
  66. 清澤俊英

    清澤俊英君 そういう川の場合は、そこにはっとたまるわけのものでもない、長い間にたまってくる。それがどうも今まで建設省としてはそういう河床整理ですか、そういうことがあまり積極的に行なわれていないのです。従って、上流の洪水というものをかえって招いているのじゃないか、こういう感じが非常に強いのです。これはあなた方のところに陳情がいっているでしょう、信濃川の中魚沼郡十日町の地区にあるのです。二地区あるのです。そういう所をさらにかまっておられないが、そういうものを一体どうお考えになりますか。これは重大問題ですよ、災害が起きてから直すということは本質ではないと思うのです。起きない前に直してくれるのがほんとうだと思うのです。ことに最近ダムができまして、この間も私は言ったのですが、上流にダムができる、平常流水の量は減ってしまう、洪水時には土砂を流してくる、それはついに流れないで、上はだんだんたまっていく、今度の災害などを私は見ますとき、いろいろ学者の議論もありましょうが、大体そういった形で堤防等の整理等で、流水整理等をやったために土砂がたまって、だんだん川底が上ってくるというようなことで災害を大きくしているものが非常に多いのじゃないかと思うのです。そうしますならば、常に、たまりました土砂くらいのものを、何とかして片づけるぐらいのことを考えるのがあたりまえだと思うのであります。そういうことは、少しも建設省として、今までこちらが黙っておってもやられた覚えが私はないのです。こういうことはどうお考えになっておりますか。これは一つはっきりしたあれをして、将来の問題ですから、村上さんの大臣時代に一つこれぐらいのことは片づけて下さい。
  67. 村上勇

    国務大臣村上勇君) お答えいたします。  ダムによって洪水調整をしていく、あるいはまたそれがこの土砂崩壊を防ぎ、またそれを下流に流出することを防ぐというダムの効用というものは、非常に治水事業としては重要な役割を持っているのであります。しかし、たまたま御指摘のような場所があり、またその門扉の操作を科学的にやらなかったために、そういう遺憾な所があるいは一、二カ所あったようにも報告を受けておりますが、この点十分注意して参りたいと思います。特にただいま御指摘の十日町付近につきましては、清津川の問題だろうと思います。しかし、これは今のダムを除いてくれというのではなくて、あの方面からの陳情は、もう少し上流にダムを作ってほしいということを言って参っておりますが、堆積土砂につきましては、それは実際実地を見た上で、これを取り除くことでなければ、抜本的な治水対策ができないかどうかということを判断しまして、すべてこの事業を行なっていきたいと、こう思っております。
  68. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 建設大臣が可能ならば、本委員会での御答弁を願いたいと思います。予算委員会へどうしても出られなければいけませんでしたら、予算委員会の答弁を終わりまして、また本委員会に出席していただきたいと思います。
  69. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 三十分までいいです。
  70. 清澤俊英

    清澤俊英君 ダムを上へ上げてくれとか下へ下げてくれということは私は知りません。ダムの下流において堆積土砂があって、それがために流水道を変えて、こういう水のたんびに、洪水のたんびに、土砂がだんだんたまってくる。そうやって流水を変えて、ぶつつかる方向が変わって、それで堤防が切れる、上流の堤防は非常に弱いですから……。こういう災害を始終受けている、こういうことなんです。それはひとりあの地区だけでなくて、方々の中小河川にたくさん私どもは見ている。こういうものに対して、いまだかつてこちらから黙っているうちに、大体これくらいになったらこれを排除して直さなければならないという方法をとられたのを見たことがない。そんなことを常に考えておられるのかどうか、こういうことなんです。
  71. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 あの先ほどの流木の問題をもう一ぺん確かめておきたいのですが、この法律に基づいて、経済価値を持っている流木の処理も適用してよろしい、こういうことですね。これははっきりしておきたいと思います。  それから第二点は、現地でおそらくお聞き及びになっておると思いますが、あるいは所管が違うからと、またさようにおっしゃるかもしれませんが、実際に流木のために、所有者と罹災者との間にトラブルが起きております。そうして所有者が何がしかのお見舞金を出したということも聞いております。しかし、私はそういう格好で処理されることは適当ではないのではないかと思っているのです。見舞金も少のうございますしね。そこでただいまの、柱として名古屋市内でありますが、名古屋市内で、今度の災害の一番大きな一つの特色を作りました流木と罹災との関係所有者との関係、これを一体どうするのが一番正しいのか、この点について建設省はお考えになっているか、建設省で御所管でないということであれば、どこでそれをやるのか、その点を一つお聞かせ願いたいと思います。市がこれに介入したとも聞いておりません。確かに木材の貯木場における管理に若干遺憾な点があったということは認められているんですね。そうすれば、国なりその管理に当たった剛体が免責を完全にされるとも私は思わない。今ここで私はすぐ断定しての御答弁を求めることはちょっと困難かと思いますが、問題として一つ建設大臣に提議しておきますから、よく一つお考えを願いたいと思うのです。まずその点について御所信を伺っておきたいと思います。
  72. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 建設省としては、この排土事業の中に、この木材とか、あるいはいろいろな砂礫、岩石というようなものが含まれておりますので、もう持ち主も何もないのだ、それは単なる排土事業の中に含んで、あとで引き取り手も何もないということになれば、これはもう建設省で取り片づけるということは当然であります。しかし、もともと貯木場は、多分運輸省だろうと思います。それから木材ということからいえば農林省ですが、それがもう市場に出ておりますから、これは通産省にも関係があると思います。私どもはただ単純に考えて、もうこれはだれも引き取り手はないということになりますれば、これはもうりっぱに排上事業として片づけてしまいます。それから、それ以上は、われわれの関することでないと思います。
  73. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 いずれまたそれじゃ運輸省の所管のときにお尋ねしますが、ちょっとその問題に誤解がありますが、それは引き取り手がないのではないのです。もうのどから手の出るくらい所有者はほしいわけです。しかし、完全に貯木場で管理していただけると思って、国なり、国の代行機関のようなところが管理権を持っている所へ委託をして貯木をしておったところが、たまたまそれが流れ出してしまって、所有者の意に反した所に定着しておるわけです。しかも、定着するまでの間に多くの被害を連発していったわけですから、それの関係をどうするのか。じゃ、その点はもう少し御研究を願いたいと思います。関係省ともお打ち合せを願って……。  それから大臣に、これもすぐ御即答願えないと思いますから、御退席になるようですから、問題としてお尋ねをしておきたいのは、高潮対策ですね。高潮対策で、原状復旧だけが取り上げられておれば問題ありませんけれども、この法案を見まするというと、新設改良等の部面にまでもわたっております。そこで、三つの点をはっきりしていただかなければならぬと思いますことは、今度の台風で襲われました高潮対策として、従来施策をしてきた堤防のうちで、十分に耐え得られたものとこわれたものとの率がどの程度であるかということです。それから直轄工事と地方公共団体との担当工事の割合は――管理の割合ですね、どの程度になっておるか、これが十分明確でないというと、よくわからない。  それから、第二点は、新設改良するということであれば、将来の高潮を完全に防げるものでなければなりませんから、従って、高潮の技術的な高さの査定ということが必要になってくると思う。現にこのあなたの方からいただきました――これは農林省でしたかね、海面干拓なんかの場合でも、堤防の高さが全部入っております。しかし、二十八年災でこれで大丈夫だと思ってこしらえたのが、今度はその上を二メートルもこしてしまったと、それでこわれてしまったというのが実態でありますので、従いまして、その点を追及すれば、二十八年災には日本の気象学的な記録であれでよかったと思ったのだ、しかし今度は六十年も七十年も経験しなかったような大きなものが来てこわれたのですから、それは不可抗力、こういう御答弁でありますが、私はそれは非常に非科学的だと思うのですね。従って、もう少し科学的に防潮堤の高さというものを、権威をもって決定する方法はないかどうか、現在はどういう方法でやっておいでになるのか、今度新設改良するということであるならば、もうこんりんざい高潮には負けないような高さの堤防、また堤防の構造上の問題、そういうものがはっきり定められて、この法律が適用されていくのか、その点が第二点。  それから第三の問題は、工手の問題でありますが、高潮対策として、もし海岸堤防その他の構築をするということであれば、もうここでもしばしば話題になったと思いますが、直轄工事としてこれは一本でできないのか。国だ地方だといわないで、一つの基準に基づいて一つの科学的な権威に立って、国の直轄工事として、少なくとも海岸堤防だけはできないのか、こういうことを私は考えているのでありますが、その三つについて、きょうでなくてもよろしゅうございますが、しかるべき機会に一つ御答弁を願いたい。
  74. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 第一点は資料の御要求のようでございますし、十分調査いたしまして資料を提出いたします。  第二点の海岸堤防の高さ、あるいは構造また強度等につきましては、これは建設省だけできめるということを私どもは差し控えまして、農林、運輸、いずれも関係がありますので、関係三省の間で高潮対策審議会というものを設けまして、すでに毎日のように各省からそれぞれ専門的に出まして研究いたしております。なお、役所だけの研究ではまだ私ども少しどうかと思いますので、民間の学識経験者等に、この研究した結果をこれらにも諮りまして、十分科学的に、まあ将来こういうことの再び起きないようなものにして、すべての堤防の構造等を決定いたしたい、かようにまあ思いまして、すでに今審議会は発足して、毎日やっております。そうして規模ができましたならば、今度は恒久施設に移るわけでございますが、それにつきましては、ただいま御指摘のように、この工事はいろいろと分かれてやるよりも、とにかく愛知県にしても、三重県にしても、一応直轄に委託してやってほしいということでありますので、ことし、いわゆる初年度でありますが、今年度はまあやむを得ませんので、委託事業として直轄でやります。来年度からは、これはもう純然たる直轄事業としてやるようにいたしますので、中部地建に海岸部というものを一部設けまして、約定員二百名増になりますので、それによって万全を期して参りたい、かように思っている次第であります。
  75. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それで大体考え方としては私けっこうだと思いますが、この法律案にはそういう意味の積極的な指導精神というものは入っておりませんね。ただあらゆるケースに十分対応して処理できるような、いわゆる行政技術上の立場からの法律案になっておって、一つの考えを持っている指導精神というものが入ってない。ですから、その点は私どもが質問しなければわからなかった点でありまするから、今後は、やはり建設省としては、少なくとも高潮対策等のようなものは、毎年同じことを繰り返すのでなくて、そういう一つの高度の指導精神のもとに、法律を作るときにもやはり私は心がけていただきたい。これは私は強く要望いたしておきます。
  76. 小酒井義男

    小酒井義男君 大臣ちょっと広間がないようですから、私簡単に一、二点だけお尋ねしておきます。  災害復旧について原形復旧が重点なのか、改良復旧ということに重点を置いていくかということは、やはり今後の防災という関係からいって、政府がどれだけ積極性を持っておるか、消極的にやっていこうかという分かれ目になる点だろうと思うのです。そういう点で建設省としては、と申しますか、大臣としては、これはやはり今回などの災害の例にならって改良復旧をむしろ奨励をしていくんだと、こういう御意思かどうかということですね。私は、改良復旧をやるとすれば、改良復旧に一番積極的な方法は、改良するために要する費用というものは、それは別にやはり国が持っていくということが一番積極的な方法だと思うのです。そういうふうなことが考えられてもいいんじゃないかと思うのですが、そういう点について、まず第一点をお尋ねしたいのです。
  77. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 緊要度の高い所、どうしても改良復旧でなくてはならないという部分につきましては、私どもはいかなる困難がありましても改良復旧をして、二度と災害を受けないようにする、それが改良復旧でありまして、ずっと以前は原形復旧ということでやっておりましたが、二十八年の大災害あとからは、非常に改良復旧を積極的にやるようになったのであります。必要でもない所を改良する必要は、これはもうないのですが、しかし、今回の伊勢湾等海岸堤防に関しましては、むしろ原形に戻すよりも改良の方が金がさも上がるんじゃないか、それぐらいの改良をやって参らなければあの堤防復旧に完璧を期したということには言えないと思います。いずれ設計がきまるでありましょうが、いずれにいたしましても、今まで改良復旧事業費というものはコンマの八%だとか九%だとかいうことを聞いておりますけれども、その場所によってはあるいは一〇〇%以上の所があるというくらいに、私どもは積極的にこの改良復旧をいたしまして、将来かような災等を二度と繰り返さないということを原則として旅行して参りたい、かように思っております。
  78. 小酒井義男

    小酒井義男君 もう一点だけ。今、栗山委員から質疑のあった点で、私も実はお尋ねしようと思っておったんですが、この三省で従来分割してやっておった工事、ああいう所の分かれ目の所に、やはり今度の災害で堤防のこわれるようないろいろな点が見られたというようなことを私どもは聞いておるのです。この工事は一貫してやる、そしてあとのでき上ったものの管理なり運営なりはそれぞれの関係省が担当していくという、こういうことをやれば、やはり経済的にも、あるいは工事の責任が明確になる点においても、非常にいいことだろうと思うのですが、何が大臣、衆議院の委員会か何かで、そういう点については今後研究をしたいとか何とかいうような御答弁があったような、私どもの読み違いかもわかりませんが、そういう記憶があるのですが、栗山委員に御答弁になったように、今度の災害の復旧は、これはやはり仕事は一カ所で実際にはやっていくと、こういうふうにお答えになったんですか。
  79. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ちょっと先ほど栗山さんにお答えしたところで、私の解答がちょっと足りなかったところがあろうと思います。誤解のないようにお願いいたしたいと思います。私は、愛知県とか三重県とかいう地方公共団体海岸堤防の事業をやるということは、これは不適当であるということで、これは一括して建設省直轄として施行するということを申し上げましたので、今御指摘になりました農林省の干拓堤防も、また運輸省の港湾の堤防も、これまた建設省が一括してやるということは、これはただいまのところまで、そのところまではなっておりません。その点、一つ誤解のないようにお願いいたします。
  80. 小酒井義男

    小酒井義男君 そこで、私らの一常識として考えて、一つのところでやった方が、能率的にも、工事の責任の明確化の上においても、いろんな点で有利といいますか、経済的な工事ができるんじゃないかという気がすのですよ。どうしても三省で分割してやることの方が利点があるという点があれば、一ぺん承りたいです。
  81. 村上勇

    国務大臣村上勇君) それぞれ各省とも技術的に一つのプライドを持っておりますので、まあ提防の高さとか構造等については、これは三省ともその智のうをしぼって決定いたしますが、それからあとは、まあ私はむしろこれだけの大事業でありますと、三省が競争して、そしていいものを作っていくという工合いに、分業でやることも、これはあえて差しつかえないと思います。かりにこの事業に従事する土建各社にいたしましても、一社で全部やるというようなことはとうてい不可能でありますし、まあその設計というものがこれはもう一定したものでありますならば、これは三省に分かれておっても何ら差しつかえないものと、私はかように思っております。なお、堤防と堤防とのジョイント等のような点につきましては、これは十分入念にやることでありましょうし、また、そうさせなければならないのでありますから、そういう点につきましては、私はただいまの行政機構から申しまして、それぞれ誇りを持って事業をやるというような点においては、かえってこのことも差しつかえない、こういうふうに思っております。
  82. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ごく簡単にどうぞお願いします。
  83. 小酒井義男

    小酒井義男君 建設大臣の立場として、ほんとうのことが言っていただけるかどうか、各省でやることが私はどうしてもいいと思わぬのです。これはやはり総理大臣にでも出席をしてもらったときに質問すべき性質かと思いますが、まあきょうはこの程度にしておきます。  もう一点だけ。海岸堤防をやる場合に、その堤防を産業道路として上のてんばを使うというようなことはお考えになっておらないかどうか。現地としては非常にそういうことも要望しておる向きもあるようです。
  84. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 堤防の上を道路に使うということにつきましては、これは例があることでありますし、私どもも使って差しつかえのないものであれば、道路に使用しても差しつかえないと思いますが、いわゆる堤防の上り勾配とかその曲線のカーブの関係とか、あるいはまた最近のトラックなどは、もう十何トンというようなものが通りますので、あるいはそのためにその堤防に影響はないかどうかというような点を十分研究いたしました上で、もしそういうことが適当であるならば、私はあえて差しつかえないものと思います。
  85. 大倉精一

    ○大倉精一君 非常にお急ぎであるようでありますから、簡単に御質問しますけれども、お答えの方も一つわかるように簡単明瞭にお願いします。  災害復旧が原形復旧にしろ、あるいは改良復旧にしろ、りっぱなものを作るということも大事ですけれども、私の非常に心配をしておることは、やはり必要な時期に必要な工事の進捗がなければ、これは効能はないものと思う。特に堤防に関連してお伺いしたいことは、河川堤防については地元住民は来年の五月、六月ごろの出水期を非常に心配をしておる。ですから、そういう出水期に間に合うように、必要な工事量というものはやはり進捗させにやならぬと思う。従って私が非常に心配をしておることは、さらにまた要望をしたいと思うことは、工事量が、十分能力のある所に対しましては、しかも来年の出水期が非常に心配だという所に対しましては、やはりそれだけの工事量の進捗ができるように、国としてめんどうを見るべきじゃないか、あるいは進捗させるべきじゃないかと、かように考えるのですけれども、この点についてのお考えはいかがでしょうか。
  86. 村上勇

    国務大臣村上勇君) もう御指摘の通りでありまして、来年の台風期までには何としても緊要度の高い所から、十分耐えられるような程度までは作業を進めておかなければならないと思っております。従いまして、補助工事といえども、ある緊要度の高い場所では、これはもう五〇%も施行して差しつかえないと思っております。これもできるだけその危険の区域につきましては十分手配いたしまして、再び被害をこうむることのないような万全の措置を講じたいと、かように思っております。
  87. 大倉精一

    ○大倉精一君 まことにけっこうな御答弁ですけれども、これは国会用の御答弁であっては私はしようがないと思うのですね。  そこで、この前、私は具体的に現地について、たとえば桑名へ行ってみましたけれども、あそこの揖斐川の桜堤防、あそこは桜の木が植わっておるがために、非常にかえって危険な被害を受けた。この堤防が来年の出水期には非常に心配だとこう地元の人も言っているし、市役所も言っておるわけだ。ところが、あの端の南の方は、これは改良工下を完全にやるように、全面的にやるような計画があるのだが、北の方のあぶない所は、こわれた所だけをつくろっていくというような考え方のようであるから、これは非常に心配だと市の方も言っておりました。これは工事量も十分能力がありますから、全面的にやらしてもらいたいというような希望を言っておるけれども、今の御答弁からいきますと、桜堤防のごときはやはり全面的に改良復旧の工事進捗をさせなきゃならぬと、こういうふうに考えるのですけれども、具体的にその桜堤防の場合はどうなんですか。
  88. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは、よく事務当局とも相談しなきゃなりませんが、私もあの地点をよく視察いたしました。従いまして、あの桜堤防はそのまま放置するということは非常に危険があると思いますので、十分手当を加えまして、来年の出水というか、将来の出水に対して憂いのないようにいたしたいと、かように思っております。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは、最後に念を押すわけなんですけれども、そういう出水の心配があるというような場所ですね、これは、しかも工事の能力があるという場所につきましては、出水期に間に合うように工事の進捗をはかるような手当をする、こういう工合に確認してもよろしゅうございますか。
  90. 村上勇

    国務大臣村上勇君) その通りでございます。
  91. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 午後二時まで休憩いたし、二時から再開いたしまして、建設省関係法律案についての質疑を続行し、なお引き続き農林省関係法律案審議いたしたいと思います。  二時まで休憩いたします。    午後零時三十九分休憩    ―――――・―――――    午後二時二十五分開会
  92. 郡祐一

    委員長郡祐一君) これより委員会を開会いたします。  午前に引き続き建設省関係の四法案議題といたします。  御質疑のある方は順次発言を願います。
  93. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 住宅局長にお伺いしますが、度の災害住宅金融公庫貸付対象になるところの個人災の被害程度は、大体二割以上は貸付対象になるということを聞いておりますけれども、その通りでいいですか。
  94. 稗田治

    政府委員稗田治君) 住宅金融公庫災害復興住宅建設並びに補修の貸付でございますが、建設対象になるものは、現存の住宅の五割以上の減損がありました場合には、これを全壊と見まして建設資金を貸し付ける対象になるわけでございます。それから損壊に対して補修資金を貸し付ける対象でございますが、これは建物災害前の価値の二割以上の損失があった場合、二割以上五割未満でございます。五割以上になりますと全壊の取り扱いになりますので。二割以上五割未満の損失があったという場合に補修資金貸付対象になることになっております。
  95. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 今度の七号あるいは十五号等で災害を受けた人たちは、むしろ低所得居に非常に多くて、二割以上五割未満というようなものが非常に多いわけです。ところが、この人たちはふだんの生活程度も低いし、収入も少ないわけでございます。ところが現実には、各市町村で二割以上災害を受けたものは、すぐに市役所なり町村役場に行って証明書をもらって、住宅金融公庫すなわち地方では金融機関等が当たっているわけでございますが、そこへ行って申し込めばすぐに貸すというような周知をしたわけであります。そういうことで、罹災者の中にはその手続に従っていきますというと、現実に月収が一万五千円以上だとか、あるいはそれについて月収二万円の保証人を二名立てなければ対象にならぬとか、貸し付ける資格がないとかいうことで、ほとんどこれが隘路になって、現在借りられておらないというような実情が、先ほど質問がありましたように、三万何千戸あった中で千二百戸しか対象になっておらぬということになっておるのじゃないかというように判断できるわけです。従って、この問題の緩和をする必要があるのではないか。でなければ、いつまでたっても、平常時におけるところの住宅金融公庫貸付方法では、これらの広範な低所得層についての救助にはならない。こういうように判断するわけですが、この点、一つ御説明願いたいと思います。
  96. 稗田治

    政府委員稗田治君) 最初に先ほどお問い合わせのありました住宅金融公庫貸付の保証人の進捗状態につきまして御報告申し上げます。十一月十六日現在でございますが、損害の認定を受ける申し込みがありましたのが三万六千二百三十六でございます。認定君の都道府県におきまして発行の済みましたものが三万三千二百九十でございます。金融機関の方に貸付の申し込みがございましたのが五千七百二戸でございます。うち承認になりましたのが四千二百七十二戸でございます。大体貸付の進捗状況はそういうことになっておりまして、十一月十六日現在におきましても、認定書の発行の戸数貸付の申し込みをする戸数との間には、相当な開きがあるわけでございます。これはもちろん、いろいろの事情もございましょうけれども、罹災者の力でも復旧計画につきましてはいろいろ考えてやっておられるのかというように考えておるわけでございます。承認につきましては、五千七百二戸のうち四千二百七十一戸が貸付承認になっておるわけでございます。なお、この住宅金融公庫の補修の貸付につきまして、二割以上の損壊のあったものにつきましては貸付をすることにいたしておるわけでございますが、住宅金融公庫といたしましては、一応金融機関という前提でございますので、これはあくまで融資制度でございますので、やはりその回収という点につきましては、補助金と同じような考え方は建前としてできないことになっておるわけでございます。それで、償還能力の点でございますが、一応説明書に――各金融機関等に回してございます文書の中には、月収が毎月の償還額の六倍とか、そういった一応の標準は書いてございます。しかし、これも一律にそういった機械的な判定では実情に合わない面もございますので、たとえば農家等の場合には、前年度の所得税等からはなかなか償還能力が判定できない面もございますので、作付しております反別の市町村の証明書等によって、実情に合うように判断しておるわけでございます。なお、窓口の金融機関の方におきまして、あまり機械的な判断の仕方で断わっては、この災害時におきましては非常に非難も出てくると思いまして、窓口では、すぐ貸し付けていいものはすぐ貸付承認をするわけでございますけれども、これは若干疑義があるというものは、全部金融公庫の方で責任をもって償還能力を判定して貸付を承認するか不承認にするかきめるということで、非常に念入りな調査をした上で決定をしようということでやっておるわけでございます。
  97. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 大体わかりますが、たとえば、先ほど数字で示していただいたように、三万六千二百戸受付件数があると、ところが、うち貸付申し込みは五千七百にしかならぬと、大へんここには開きがあるのでございます。で、申し込みと承認との間には開きがないわけですが、受付と申し込みの間には非常に開きがある。この原因がどこにあるかということなんです。銀行の窓口へ行きますというと、そうすると一応受け付けるわけです。ところが、保証人その他について一応調査した場合に、地方においては、特に今度の災害が非常に山間僻地に及んでおるというようなときに、その村や町には月収二万円以上なんというような人たちはそうはいないわけです。ところが、保証人は幾人も保証するわけにはいかない。一人が一人の保証人になれば、あとはうまくないわけでありますから、そういうことで、月収二万円以上の人たちはそうざらにいるわけではない。ですから、それを二人立てて、たくさん申し込みがあったような場合においては、そういうような問題のところで、みんなそれが精査されてだめになってしまうというようなことになると、制度があっても貸さないような方向に行政措置がなる、こういうところに開きがあるのではないかと、こういうように思うわけでございますが、その点、どういうように分析されておりますか、お答え願いたいと思います。
  98. 稗田治

    政府委員稗田治君) この認定書の発行の件数と貸付の申し込みの件数との開きでございますが、これは従来の災害の事例にかんがみますと、やはり実際に貸付を申し込むという時期は、かなりずれて参るわけでございます。従いまして、今次の十五号台風におきましても、もちろん冬に向かっておるという非常に逼迫した事情がございますけれども、これからしり上がりに非常にふえてくるのではないかと、かように考えておるわけでございます。  なお、保証人の点でございますが、これにつきましては、先ほど御説明いたしましたように、住宅金融公庫の方では、市町村がもし債務保証をする場合には、保証人を省くことができるような取り扱いをいたしておるのでございますけれども、そこまでの全面的な保証ということを市町村の方で望んでおらないわけでございます。従いまして、現在におきましては、市町村が保証した場合も、市町村の方は保証人をつけるということを条件として市町村が保証するということで進んでおるのが大多数の例でございます。なお、この市町村の保証という手続をもう少し容易にいたしまして、貸付がもう少し迅速にいくようにということで、われわれの方といたしましては、市町村貸付契約の総額についての全面保証は、なかなか市町村の財政事情としても困難ではないか。そこで、貸付総額の三割程度の損失に対して市町村が保証するという場合には、そういった条件で市町村の保証を促進したらどうかということで、住宅金融公庫の方に検討を命じておるわけでございます。住宅金融公庫の方も、三割程度以上の損失に対して市町村が保証していただけば、まあそれでやっていけるのではないかということで、今そういうような方針をきめまして、市町村といろいろ打ち合わせをしておるのが実情でございます。
  99. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 市町村が債務保証者といいますか、引き受けていただけば、三割程度損失補償をするということについては了解できますが、個人で借りますときに、保証人は二万円だとか、あるいは被災者が一万五千円だとかいう、こういう金額の限度の問題をもう少し下げるというような工合に、これは行政措置でいかないものでしょうか、そういう点を一つ伺いたいと思います。
  100. 稗田治

    政府委員稗田治君) 償還能力についてでございますが、大体災害復興住宅の償還につきましては、毎月の月割にいたしますというと、新築の建設の場合には、三千円程度以下になるように配慮しておるわけでございます。補修資金につきましては、毎月の償還額が二千円程度以内におさまるように償還期間等も勘案してあるわけでございます。実際問題としましては、普通その償還する毎月の金額の六倍程度の収入がなければ無理ではないかという判定で、一般的な原則としては、そういうような取り扱いをしておるわけでございます。しかしながら、一がいに機械的な判定ばかりで償還能力をきめるわけにもいきませんので、そういった点につきましては、金融機関の方で定めかねる場合には、金融公庫の支所の方に全部書類を送らせまして、それで実際の、たとえば三年間据置期間がございますけれども、新築の場合は三年間、補修の場合は一年間でございますけれども、三年後の収入まで判定して支所の方で貸付をするように、そういうような取り扱いを現在いたしておるわけでございます。
  101. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私が先ほど申し上げましたように、今度の災害は非常に山間僻地の農林漁業者であるとか、低額所得層に多いわけなんです。これは平常の収入が少ないために、生活上自分の家を補修するというような余裕がないわけなんですよ。ところが、そういう人たちがたくさん今度は広範に被害を受けたわけですから、こういうような人たちに一つの国の恩典がいかなければならないというようにわれわれは判断しているわけなんです。ですから、従来のように保証人二人で二万円のものだとか、あるいは一万五千円以上、償還額の六倍以上収入がなければならぬというようなことでは、これでは普通の住宅金融公庫、平常時の場合と同じなわけなんです。従って、こういうような災害のときには、低額所得層への救助対策が講ぜられなければ根本的な対策ではないと、こういうように判断しておるわけなんです。従って先ほどのような質問を申し上げたわけでございますけれども、こういう点について今後鋭意努力を願いたい、こういうように思うわけなんです。  それからもう一つの問題として、町村が引き受けた場合において、その損失の三割程度ならば住宅金融公庫と打ち合わして貸付したいというお話があったわけでございますけれども、これは必ず実現の運びが、見通しがあるのかどうか、その点について御説明願いたいと思います。
  102. 稗田治

    政府委員稗田治君) 契約総額につきましての三割以上、つまり最小限の場合三割でございますが、市町村が債務保証をする場合には、それで契約するという方針で、住宅金融公庫が今次の災害あとで、いろいろ検討した結果、最近きめたわけでございます。従いまして、各市町村の方にもそういうような折衝を始めておるわけでございます。
  103. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、先ほどの御説明の中で十一月以降数字的に申し込みがふえ、承認もふえていくというようなお話があったわけでございますけれども、今年度予算の中で、これらの問題について予備費の中から出すかどうか、あるいは大蔵省との折衝の問題はどうなっていくのか、特にそういう点をお聞きしますというと、全国で全壊を含めて、半壊あるいは流失というようなのが十五万棟に及んでおるわけなんです。そうしますというと、非常に大きな金になってくるわけなんで、それらの問題についての予算措置の見通しはどうなっておりますか。
  104. 稗田治

    政府委員稗田治君) この金融公庫貸付の所要資金でございますが、これは財政投融資関係になりますが、本年度の災害復興住宅貸付契約の三十四年度年度当初にございましたワクというのは二十二億五千万円程度でございます。今回この契約の総ワクを九十五億に拡大いたしまして、それの本年度期間中の所要資金の不足に対しまして、政府の低利資金といたしまして四十億、さらに住宅金融公庫の回収資金から出て参ります自己財源九億、四十九億というものが本年度中に九十五億の貸付総額に対して必要であろうというように見込んでおるわけでございます。なおその積算でございますが、建設につきましては一万戸、補修関係につきましては六万五千戸ということをもとにして算定してあるわけでございます。
  105. 小酒井義男

    小酒井義男君 関連して。今の答弁で、最低三割の保証をすれば、市町村の保証があれば住宅金融公庫の貸し出しをすると、こういうことなんでございますね。
  106. 稗田治

    政府委員稗田治君) 災害復興住宅貸付につきましては、原則といたしますと市町村の債務保証というのは必要ではございません。これは普通の貸付契約と同じように、二人の保証人をつけて申し込めば貸付契約を結ぶことに相なっております。ただ災害時におきまして、普通のやり方よりも、市町村が債務保証をいたした場合には、貸付の償還能力等の判定におきましても、市町村のところで一応判定していただける。従って、貸付契約が迅速に運ぶというようなことで、市町村が保証した場合には保証人の省略もできるような取り扱いになっておるわけでございます。
  107. 小酒井義男

    小酒井義男君 それで、市町村住宅金融公庫との間でその話ができた所は、もう話がまとまって、そういう方法をとっておる所が相当出ておるのか、まだなかなかそこまで行っておらぬのかということがお尋ねしたいのです。
  108. 稗田治

    政府委員稗田治君) お答え申し上げます。多少報告が古いのでございますけれども、十月の二十日現在で判明しておるところで申しますと、債務保証の予約締結をしました市町村は、北海道が三、青森が一、秋田が一、新潟が二、長野が十七、山梨が一、合計二十五となっております。なお貸付契約見込みのものは、青森が一、長野が六十二、群馬が八、奈良一、合計七十二となっております。十四号台風におきましては北海道が十、秋田が一、合計十一の町村で契約を締結しております。また七号台風につきましては契約を締結したものは、山梨が三、同じく契約見込みのものがさらに山梨で三つございます。
  109. 小酒井義男

    小酒井義男君 被害の非常に激甚な地域ですね、そういう所になると、やはり住宅資金を借りたい人が非常に多いわけなんですが、そういう所は、やはり市町村も財政的に非常に困っておるのですね。そういう所では、この方法では非常に保証するということができにくいという事情があるのじゃないですか。
  110. 稗田治

    政府委員稗田治君) 愛知、三重等におきましては非常に住宅被害が激甚でございましたので、それで全面的な保証というのは非常に困難である。限定保証であれば保証してもよろしいという市町村の府県を通じての意見があったわけでございます。それで、金融公庫と相談いたしまして、先ほどお答えいたしましたような三割以上の、つまり最小限の場合は三割でございますが、そういう債務保証をしていただければ、市町村と債務保証の契約をいたそうということに方針をきめたわけでございます。
  111. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連して。これは非常にけっこうだと思いますが、町村によってはこれは議会にかけなければ、議会の承認を得なければそういう債務保証はできないと思う。そうしますと、ある場所では親切にやってくれる場所もできるし、ある場所ではやってくれない場所もある。結局、もし払われないときは、これはやはり補償していかなければならない。そういう契約をすれば、本質からいけば。ただ名前だけ通してくれればいいということじゃないと思う。そういう債務の責任が残ると思う。これはまことに不公平だと思うのですよ。町村にやれというくらいなら、なぜ国がそれくらいのものを一つ、町村にそういうことをやってやれ、そうしてそれをもしできないときは国がしてやるという方法がとられないのですか。それはおそらくは全部してくれるだろうと思います。今も小酒井君が質問せられるように、一番激甚であり、一番弱い町村ほど、あるいはそういう問題が醸成してくると思う。非常に余裕のある町村としては、まあそれくらいのこと、気の毒だからお互いにやっていこうじゃないかということで、あるいは決定してやるかもしれません。まことに私はそれは不公平な、考え方はいいですけれども、実際問題として不公平がそこに生ずるのじゃないか。いま一歩踏み出せないか、いま一歩建設省としては一つ踏み出して、国が何とか保証する、町村に保証してやるから、町村はそういう順序を踏みなさい、こうどうして踏み出せないのですか、その点一つ……。
  112. 稗田治

    政府委員稗田治君) 住宅金融公庫は一応金融機関という制度になってございますので、これはあくまで低利長期の住宅資金を貸し付けるという目的で作られた機関でございます。なお、この低利長期の資金を作り出すために、毎年国としては低利資金のほかになお産投資金等をまぜまして、逆ざやのような形で運営されておるわけでございます。従いまして、国としましては規正の低金利の貸付を行なわせるということで、相当これには力を入れておるわけでございます。補助金と違いますので、やはり金融機関とすれば、これは健全な経営の行なわれるような配慮が当然なされなければならないというようにわれわれは考えておるわけでございます。そこで、市町村の債務保証の場合でございますが、これは建設資金の場合でございますると、住宅が竣工いたしますと、それは抵当になって取られるわけでございます。従いまして、抵当の問題の方が市町村の保証というよりも先行するものでございます。ですから、実際問題といたしますと、そう市町村に実質上の御迷惑をかけるという点はあまりないのではないかというようにわれわれは考えておるわけでございます。  なお、貸付金でございますので、一応償還能力の判定ということもやむを得ない必須条件ではないかと思うわけでございます。そこで、それでは償還能力もない罹災者についてはどういうことかということに相なると思いますが、災害救助法の関係から、補修資金につきましてもごく低額所得者については二万円程度の金が出ることになっております。なおそのほかにも三万円の別口の融資等も道が開かれておるわけでございます。従いまして、国全体の政策といたしましては、今日の住宅金融公庫災害復旧住宅資金の融資によって、その利用をして、復興できる人は復興していただきたいというわけでございまして、このほかにも建設省といたしましては、災害公営住宅建設で低家賃の住宅の供給も行なっておるわけでございます。やはり融資制度でございますので、全部この融資制度だけで災害対策をカバーするということは不可能であると存じております。
  113. 清澤俊英

    清澤俊英君 納得できませんがね。だがしかし、ここで幾ら言い合っていたって始まりませんから、いずれ総合的な質問があるということですから、そのときまで延ばします。
  114. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 ただいまの説明の中に市町村には迷惑がかからないで、むしろ抵当権が設定されるのでその方が優先する、こういうようなお話があったわけなんです。で、その補修費に、かりに滅失した家でなく、補修費に二万円の収入のある人を保証人に立てなければならないというときに、抵当権が設定されるとするならば、この二万円の額を引き下げないと、地方のいなかでは、ほとんど活用の道がないわけです。この点をもっと限度を引き下げていくということでなければ、借りる資格が備わらないというふうに判断するわけなんですが、この点どうなんですか。
  115. 稗田治

    政府委員稗田治君) 抵当権が設定されますのは補修資金でなしに建設資金の場合だけでございます。補修資金の場合には、保証人の制度によっているわけでございますが、この場合におきましても、先ほどの保証人の所得の限度でございますけれども、これも一応機械的な水準としてはそういうことを、無理のない、支払能力の判定として定めたというわけでございまして、個別的にいろいろ事情のある方には金融公庫がみずから、金融機関の窓口を借りずに、よく事情を聞き、判定をするということでやっておるわけでございます。
  116. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私もちょっと住宅関係でお尋ねしたい。  最初に、建設省は三〇%の債務保証ということを方針としてきめられた。しかしこれはここで私が自治庁の代弁をするわけではないけれども、あなたはこの前のときにも住宅公庫と自治庁と折衝されたことがあったと思います。前に。そうしてそのときには物別れになっておるということも実は私たちも調べて知っております。こういう方針をきめられるということは、市町村が保証をしてスムーズに貸し出されるという点についてはいいと思いますが、初めから債務保証――焦げつくということを前提として貸し付けることもおかしいことになると思います。そこで、これは政府の政治的責任において、初めからこのくらいは焦げつくだろうということを想定をして貸し出されるということは、私も国家の金がむちゃくちやに使われるということは遺憾です。しかし、最悪の事態にはそういうことがあると思うのです。ですから、その場合には自治庁に対して、たとえば全部見てやるとか何とかということを国がやらなければ、市町村はやれませんですから、これは当然こういう方針を決定される場合には、ただ単なる住宅局の方針であるとか建設省の方針ではなくて、政府の方針として一つおきめ願うようにやってもらいたい。これは後ほど一つまたあらためていろいろの場合に御答弁が願えればけっこうだと思いますが、そういう点をきつく一つ要望として申し上げておきます。  それから問題は、一応金を借りるときに今心配されるのは、労賃も非常に高いし、補修した場合には大体補修ができた場合に、公庫から金がくるわけです。それから新築の場合にでも、御承知のようにむね上げができたというようなあとになるわけです。そこで、今は前渡金をもって、金をもってやらないととてもできないわけなんです。ところが、平時の場合は私もやむを得ないと思いますけれども、こういう非常の場合には、前渡金というものがスムーズに渡されなければならぬと思うのです。そこで前渡金を渡す。今度は家を建てずに、よそへ間違ったことに使ってしまうではないかということが出てくると思いますが、諌早の例のときも、何か千五百何件かあって、そのうちの三件か幾らどうもやむを得ないものがあった。しかし、それはやむを得ない理由であった。そこで前提金がスムーズに一つ出る方途ですね、それも何か市町村長等の保証があれば出るようなふうに考えておられるようですが、それは補修の場合のようでございますが、そうではなくて、新築の場合も一つそういうふうなことが考えられないものかどうか。あるいはまたこういうことについてもう十分手を打っておられるのかどうか。
  117. 稗田治

    政府委員稗田治君) 前渡金の関係でございますが、現在の取り扱いは、建設の場合に市町村が保証契約をいたしました所は、一応市町村の方で、建築に取りかかるということが見届けていただけるという前提のもとに、六割の前渡金を渡しておるわけでございます。今後まあこの前渡金の制度につきましても十分われわれも検討いたしたいと思っております。
  118. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 まあ私もあまり事務的な話ですから、あれしませんが、今末端で困っているのは、この問題が一番困っているから、早く一つ前渡金が渡るように、親金のない人がやっとこさ建てるような実情ですから、一つ早急に末端までやれるようなふうに格段の御努力が願いたいと思います。次に問題になるのは、事務が非常に問題になるのですが、これは、かれこれ調べてみると五通りくらいの種類になっているようですが、私がここで一つ問題にしようと思うのは地主ですね、いわゆる地主が土地の取得について拒否をする場合、なるほど罹災都市借地借家臨時処理法というのがある。しかし、これは自己資金をもって建てる場合には、通告をし、登記の手続をとればできるわけなんです。ところが、今言ったように住宅公庫の金を借りてやろうとした場合には、絶対に土地の取得関係関係に関するあるいは賃貸関係の証明吉がなければ家はできないことになっている。そういう問題についてどういうふうにお考えになっているのか。私は少なくとも今次の災害のようなときには、住宅関係に関して特別立法を出すのがあたりまえだと思っているのです。なぜそういう措置がとられておらないのか。地主の承諾がなければ絶対に金は借りられない。ところが地主は意識的にこれを拒否する場合がある。これを何か制限をされて、地上権が優先されてやれるという方途があるなら一つ教えていただきたい。こういう問題がある。だからそれに対してどういうふうにしようとされるのか、その方法、方針等を一つ承わりたい。
  119. 稗田治

    政府委員稗田治君) 住宅建設資金を貸し付ける場合に、地主の承諾書をとっておるわけでございますが、これは民事上の問題を引き起こさない措置としてはやむを得ないことと考えておるわけでございます。  なお、お申し述べのございましたように、罹災都市借地借家臨時処理法によりまして、元の借り受け人と地主との間にいろいろの問題があるかと思いますけれども、その場合には、もしその人に貸していただけなければ、建てた建物はその人が優先的に借地人として入れるように、借地借家臨時処理法はなっておるわけでございます。そういった借地借家臨時処理法の指定ということで今日まで参っておるわけでございます。
  120. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 なるほど家を建てた場合には、臨時処理法の二条、三条で優先賃借権がある、そういうふうなことは私もわかるのです。ところが、住宅公庫は上地獲得の証明書なりあるいは地主の承諾書がなければ金を貸し出さぬじゃないか。それだからあなたの方が、地主が拒否しておっても金が貸し出せる一つ方途というものを考えておられるかどうか。ないじゃないかということを私は指摘しているのです。地主が拒否した場合にどうやったらそれでは住宅公庫で金を借してもらえるのか、そこの辺のところが私にはわからないからお尋ねしておる。そこのところを一つ御説明願いたい。
  121. 稗田治

    政府委員稗田治君) 建設省といたしましては、民事上の問題を引き起こすような、地主の承諾なしに建設資金を貸し付けるという意図はございません。
  122. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、実際あなたが指摘されたように、全壊、流出が九万、半壊は六万と、十四、五万の家がだめになってしまった。今は家主、地主は、意識的に、家を作ってもらったら困るから作ってくれるなと、こう言う。補修も、私は金がないと言う。それではたな子の方で私が補修をすると言うと、いや、補修してくれちゃ困ると、こう言うわけです。そうすると、家を直すこともできなければ、金を借りて家を作ることもできないわけなんです。家は建たないわけなんです。そういうことがおわかりでございますか。民事上のそういう支障等が起きるようなことは私の方は困るから何にもやらぬという、そういう住七政策ですか。
  123. 稗田治

    政府委員稗田治君) 先ほどお答え申したように、国の災害時における住宅対策も、金融公庫一本で進んでおるわけではないわけでございます。災害公営住宅建設をいたしてございますし、また応急的な仮設住宅もこれは災害救助法によって建設が行なわれておるわけでございます。応急的な仮設住宅につきましては、もちろん耐用年限は二年というようにきめられておりますけれども、一応二年の間はそこに居住できるような住宅を建てるわけでございます。そういったいろいろの施策が伴って行なわれておるのでございまして、住宅金融公庫は、それらの公営住宅であるとか、仮設住宅であるとか、あるいは産労住宅であるとか、それらの間隙を縫ったところを補てんしようというので考えられた災害復興住宅貸付制度でございます。
  124. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そんな一般論を私は承ってもしようがないと思うのですよ。問題は、現に十何方の家がこわれたり流れたりしておるわけです。そこで地主が、あるいは家主が優先的なものではなくて、これに対してやはり借地権なりあるいは地上権というものが優先をされて、そして住宅が竣工をされるというような住宅政策というものをとるのが私は当然だと思っておる。住宅の方は間隙を縫っておるのだからそれだけの話だ、これでおしまいだ、あとは一つ公営住宅がある、応急住宅は、そんな五坪の所へ入っていらっしゃい、隣りはベニヤの境で切ってあるやつでけっこうだ、政府はこういう態度なのか。少くとも政策の一番の震源地はあなたのところなんです。それは大臣とかいろいろなものがあるが、住宅政策というものをどういうふうにするかということは、責任があるじゃないですか、あなたは。あなたのところは住宅公庫だけを扱うセクションか。建設省住宅局というものの局長さんならば、住宅政策全体の立場から眺めて立案されておると思う。だから今度の災害に関しては、住宅関係で特別な処置がとられなければならぬじゃないか、特別法くらい出てもあたりまえじゃないか、こう言っておるのです。それで、公印法でやるものはこれは公庫法でやるなり、そういう家主なり地主が拒否した場合に、これがスムーズにいくような処置をとられる当然の責任が私はあると思う。民事訴訟の問題になっては知らぬから捨てておく、これでは怠慢ですよ、無責任だと思いますよ。そういう立場に立つ観点から御答弁が願いたい。
  125. 稗田治

    政府委員稗田治君) 今次の災害につきましては、建設省といたしましては住宅関係特例法案も立案いたしまして、御審議にあずかっておるわけでございます。従来の災害公営住宅の場合には、滅失しました戸数の三割というのが原則でございましたけれども、今回はそれを五割に引き上げてあるわけでございます。  なお、第二種住宅補助金につきましても、三分の二の補助金を四分の三にまで引き上げて公営住宅特例を開いておるわけでございます。なお、産業労働者住宅につきましては据置期間を設け、償環期間の延長というような特例を設けたわけでございます。一般の住宅金融公庫法の関係につきまして、特例がないじゃないかというお尋ねもあるかと思いますけれども、これは二十八年災のときに特例にいたしましたものを本法に全部吸収してございます。従いまして、今回の住宅関係特例といたしましては、公営住宅法特例産業労働者住宅資金融通法特例とにしぼってあるわけでございます。
  126. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 まあ議論してもしょうがないのですが、そうすると、結局あなたがおっしゃる住宅公庫の方としては家主の方が大事だ、地主の方が大事だ、だからそういうものは家主が補修を拒否したらもう捨てておく、そういうものは、たな子は泣いておれ、今まで家は地主から借りて建てておったけれども、今度は地主が拒否したら住宅公庫で金々借りてやろうとしても、そういうものはもう捨てておく、家主や地主の方が大事だ、そういう態度ですか、住宅公庫に対しては。
  127. 稗田治

    政府委員稗田治君) 私が民事上の問題を引き起こすという観点から、一応承諾書を必要であると考えておると申しましたのは、決して家主なり地主の立場を擁護したというつもりではございません。これは実際問題としてそういう措置をいたしますと、間々平地に波瀾を引き起こすような問題が多く惹起されるであろうという考えに基づいて申し上げたものでございます。家主なり地主の立場につきましては、罹災都市借地借家臨時処理法等の関係もございますので、そういう観点からこれは罹災者に対して地主、家主が協力的な態度に出ることを望んでいるわけでございます。
  128. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あなたがどう思おうとも、家主や地主は拒否しているのですよ、やっては困ると、こういうことなんです。ということは、あなたも御承知のように土地の値上がりを見越してもう自分はある程度売りたい、これはいい幸いだから家の建たぬ方がいいというのが地主の考えなんです。家主も、一つ今度は出て行ってもらって、補修などをせずに取りこわして、そうしてそこに自分で適当な家を作って、高い家賃で貸してもいいでしょう、あるいは土地も売りたいということなんです。そういう家主や地主の人がいるわけなんです。多数いるか少数かということは別として、名古屋で今家が建たない大きな一つの問題点は……。だからこれに対して私は特別な処置をしていただかなければならぬと思う。それには住宅金融公庫で金を、自己資金でやった場合には、あなたが言われるように優先権がありますから、登記をしてやればいいわけです。そこでその場合に、拒否をしたというような場合に、拒否をしておるということが証明をされたら、補修の金を貸すとか、あるいは建設資金を貸すというような手当を住宅金融公庫としてはとるべきが私は当然じゃないかと思っておる、そういう措置がなぜとれませんか。拒否をしておる……。もし地主や大家を擁護するというのではなくて、たな子に特別な私は力を入れるというわけじゃないけれども、とにかく住宅がスムーズに建っていくことが非常に好ましいことなんです。大体こういうようなときに便乗して、大家、地主がたな子いじめをするというのは、不穏当なやり方だと思っておるわけです。だからこういうときには、住宅がスムーズに建つような方途を、住宅公庫としては考えるのがあたりまえじゃないか。だからそれには、拒否をしているということが証明をされるというようなことになれば、それに基づいて住宅公庫の方としては金を貸すというような措置がとられないかどうか。土地を獲得したという証明評かなければあなたの方は貸せないと言われる、大家がこれを補修してよろしいという承諾書がなければ金を貸さないという態度になっておる。ところが今度はそうではなくて、そういうことについて通告をしたら、ちょうど臨時処理法の二条、三条にあるようなことを通告済みであったならば、そういうことがとられるとするならば、住宅公庫の方としてはその書類で土地取得と見なすなり、あるいは大家の承諾と見なして金を貸すというようなふうに処置ができないものかどうか。どちらかやるのがあたりまえだと思う、いかがですか。
  129. 稗田治

    政府委員稗田治君) ただいまのところは、先ほど申し上げた通りでございまして、そういうような運びに至っていないわけでございます。将来の問題としては、十分研究いたしたいと思います。  なお、災害公営住宅建設ばかりでなしに、本年度の一般の公営住宅も罹災地にも建設いたしております。これの入居関係につきましては、罹災者を優先するようにというような指導をいたしておりまして、これは公団住宅等におきましても同じような取り扱いをやっておりますが、やはりそういうような別途の緩和策も用いましてやっているわけでございます。いろいろ問題が非常に――十分研究を尽くさなければならない点があると思いますので、ただいまの御意見につきましては、十分検討いたしたいと思っております。
  130. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 私は住宅公庫関係だけに実はしぼって、話を発展したら切りがございませんから、不十分だから非常に文句はたくさん言いたいのです。ところが、要は将来の問題ではなくて、今公営住宅を作ればいいとおっしゃるけれども、指導だけでもそう簡単に家が建たないのでよ、実際。宅地をたとえば一つの町村で、それで都市で――純然たる都市でなければそれはあるかも知れませんけれども――少し込み入った町になってくると、公営住宅を作るような土地を確保するということが大問題です。そんな抜け道をせずに、今まで建っておった家をもう一ぺんその場所に建てていくということを、たな子はこいねがっておる。それには住宅公庫が唯一の頼みなのですよ。ところが地主や大家は、災害に便乗した悪徳ぶりです。暴利取締令が、片一方では、物価ではあるわけです。ところが住宅関係では、大家、地主の方が優先的という結果になっておる。だから、将来じゃなくて、法務省等との連絡をされるということもございましょうけれども、それよりも住宅を、住宅金融公庫の窓口で、こういう場合には金を貸すということになれば、私は家が建ってしまえは、それに対して、今の臨時処理法で処理ができるのですよ。民事訴訟の問題があっても、これは通告をする、そして登記をすれば、あとで争いましても、裁判の判例等から見れば、これは家を作ったものが勝ちにきまっているのです。だからそういうことはそう心配はないのです。ただ、あなたの方で金を貸さないと家ができないのですから、金を貸すことを考えていただけないかと言ってるのです。また考えるべきがあたりまえじゃないかと、こう言っておるわけです。こういう主張に対して、将来研究するとか何とかいうのじゃなくて、今それで家が建たなくて因っておるのですから、あるいはみんなあなたの方の代理窓口をやっておる所にそういう相談をもちかけられて、私のところじゃ、ようやれませんから法務省へ行ってでも相談してくれませんか、というようなことを言っているのです。だから私は、あなたの方がそういう気持になりさえすればこの問題はできる問題だと思うのです。だから、ぜひ金を土地、取得なり、あるいは大家の証明が、拒絶したということが何らかの形において証明をされたら、それを承諾書というようなふうに、逆にすりかえて金を貸す。そういう処置をやられるのがあたりまえじゃないかと思っておるのです。どうですか。それは研究するじゃ済まされませんよ。きょうの問題ですよ。あしたの問題じゃないのです。そういう方針は出せませんか。
  131. 稗田治

    政府委員稗田治君) 十分研究さしていただきます。
  132. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そんな……あなたわかるでしょう、気持は。事柄はわかるのですか。大家と地主が今ほんとうに暴利的なものをやっておるのですよ。だからトタンの借が上がったから、それを売ったものに対して懲役何年というように罰則があるわけです。大家や地主が、たな子が家を建てるなり、あるいはいろんなことに対してじゃましたら、同じことだと思うのです。政府はそういう立場だったら一貫した施策をやってもらいたい。当然だと思うのです。  まあしかし、あなたが研究するというなら、一つ早急に研究して、この次の建設関係でやるときには、一つはっきりした御答弁を願いたい。これは約束できますか。ずっとやって、来年の話じゃないですから。
  133. 稗田治

    政府委員稗田治君) よく研究いたしまして、結論を出しましてお答え申し上げます。
  134. 古池信三

    ○古池信三君 関連して。一つこの機会に、法文の解釈についてお伺いしておきたいのです。公営住宅特例法の第二条二行口に、「滅失した産業労働者住宅その他の住宅」とありますが、これと四行目の「当該災害により産業労働者住宅又は事業場に著しい損害を受けたもの」云々とあるのとは、これは対象は全然別個なものですか。
  135. 稗田治

    政府委員稗田治君) 第二条の関係でございますが、最初に申しておりますのは、災害を限定しておって、なお「産業労働者住宅あるいはその他の住宅」に居住していた従業員に貸し付けるために、事業者建設する場合というので、一応これは産業労働者住宅災害特例を限定しているわけでございます。それからそのあとの「当該災害により産業労働者住宅又は事業場に著しい損害を受けたものに対し、」と申しますのは、今次の災害被害を受けなかった産業労働者住宅を供給しようとする事業者に対して、特に被害を受けなかったところにまでこの恩典を与える必要はないというので、適用される事業者を限定しているわけでございます。
  136. 古池信三

    ○古池信三君 そうしますと、この最初の「産業労働者住宅」というものは滅失してしまったわけですね。滅失してしまって、なくなったから、そのためにその住んでおった労働者のために住宅を建てよう、そういう場合に、次のような条件がある。その条件は別の産業労働者住宅または事業場に若しい損害がなければ、今申しましたように、滅失したものがあっても、そのかわりの住宅を建てる場合には、この特典は受け得られない、こういうふうになるわけですか。
  137. 稗田治

    政府委員稗田治君) 最初のところに書いてございますのは、必ずしも産業労働者住宅滅失した場合ばかりでなしに、その他の住宅でございますね、その被害につきましても、一応入れておるわけでございます。それで、あとの方で申しておりますのは、「産業労働者住宅又は事業場」ということになりますので、産業労働者住宅以外の社宅も事業場損害に含めておるわけでございます。損害の著しかった事業者に対しましては、支払期間の延長、償還期間の延長ないし据置期間を認めるという特例でございます。
  138. 古池信三

    ○古池信三君 どうもこの法律の読み力がはっきりしないのですが、この特例を受け得るのは事業者ですね。その事業者は、すでに滅失した住宅の代替物を建てよう、こう考えておる事業者である。ところがそれだけでは足りないのであって、そのほかに別に持っている「産業労働者住宅又は事業場に著しい損害」がなければ、そういう場合でも特典を受けられないように解釈できるのですが、その点はどうなんでしょうか。
  139. 稗田治

    政府委員稗田治君) たとえば、前段の「その他の住宅」と申しますのは、社宅でない場合もございます。自分の工場に通勤しておる工員が普通の借家に住んでおる。そういう場合も含めて卒業労働者住宅を建てようというものには、この特例を与えようというわけでございます。ただし、しかしながら事業会社等におきましても、いろいろ今回の災害で打撃の受け方が千差万別でございますので、著しい損害を受けた事業会社には、償還期間の延長、据置期間を設けるという特例の道を開いたわけでございます。
  140. 古池信三

    ○古池信三君 どうもまだ私には少しわかりにくいのですが、結局ここは条件が二つあるように思う。第一の条件は、すでに滅失した住宅のかわりを建てようという場合、それで、なおかつそれだけでは足りないのであって、「著しい損害を受けたもの」こういうふうになっておるように思う。そうしますと、後段の方の「著しい損害」というものを事業場なりあるいは他の労働者住宅に受けなかった場合には、最初の、第一段の条件だけでは、こういう特例は受けられないのか、産業労働者住宅滅失してしまった、その点においては非常に損守を受けておるわけなんですけれども、一方の方の事業場あるいは産業労働者住宅には著しい損害を受けておらぬ、こういう場合は、この特例の適用はないのですか。
  141. 稗田治

    政府委員稗田治君) 前段の方に「産業労働者住宅その他の住宅に」というので包括して書いてございますので、今お問い合わせのような意見が生ずるかと思いますけれども、産業労働者住宅を所有しておって、産業労働者住宅が今回の災害滅失したということは、当然その損害の額によっては著しい損害ということになるわけでございます。
  142. 古池信三

    ○古池信三君 一体産業労働者住宅なりあるいはその他の住宅滅失してしまったということは、これは著しい損害にならないのですか。
  143. 稗田治

    政府委員稗田治君) ここで「その他の住宅に」というのを非常に節用を広げて書いたものでございますから、「その他の住宅」というのは、一般の民間の借家に入っておる工員が、建物が流失したために家がなくなったということを含めて書いてあるわけでございます。それでこういうような二つに書いてあるわけでございます。もちろん産業労働者住宅滅失しておれば「著しい損害を受けたもの」ということに入って参ると思います。
  144. 古池信三

    ○古池信三君 大へんくどいようですけれども、どうもはっきりしないからお伺いするのですが、この法文の書き方は、もう少し具体的に申しますと、「二年以内に住宅建設しようとする事業者」であって、しかもその次の行に、「著しい損害を受けたものに対し、」とこうありますから、その二つの条件がそろわぬと特例が受けられないということになるのか、その著しい損害をほかの方では受けていないのだが、住宅だけは滅失してしまったのだ、その一つの条件だけでは、その適用はないのかどうかということをお聞きするわけです。そこをはっきりして下さい。
  145. 稗田治

    政府委員稗田治君) いずれにしましても、この特例を受けます事業者というのは、四行目に書いてございます条件が満足されなければいけないわけでございます。
  146. 古池信三

    ○古池信三君 先ほどの御答弁と矛盾するように思うのですが、「産業労働者住宅その他の住宅」、これは借家でも何でもよろしいのですが、それを滅失してしまったということは、その事業者にとっては著しいこれは損害と認めるのが常識だと思うのです。そういう場合に、そのかわりの住宅を建てようと、そのために作毛金融公庫から金を借りようという際に、この災害による特例法が適用できないというのは少しおかしいように思われるので聞くわけです。
  147. 稗田治

    政府委員稗田治君) 四行目に書いてございますのは、「産業労働者住宅又は事業場」ということになっておりますので、産業労働者住宅だけの著しい損害ばかりでなしに、その方の損害はなくとも、事業場に著しい旗雲があれば、やはり該当するわけでございます。
  148. 古池信三

    ○古池信三君 先ほど私が伺ったことがまた解明されないような気がいたすのです。今事業場のことを言われましたが、そうではなくて、ここに書いてある産業労働者住宅というのは、前段のものと後段のものとは別個であるかということを一番最初にお尋ねしたわけなんです。これは別個であるということであれば、一方の最初に書かれておる産業労働者住宅はもうすでに滅失してしまったんです。滅失したんだから、これはもう著しい損害も何もないわけです、そういう議論の余地はないわけです。あとに書いてある方は、まだ残っておる産業労働者住宅に署しい損害を受けた、こういうふうに解釈ができるわけなんですから、そうすれば、そういう二つの条件を満たさなければ、この特例の適用はないのかということをお伺いしているんですけれども、どうも私の質問の趣旨がおわかりにならないのかどうか、ただいまの御答弁では少し満足できないんです。もう一度お尋ねしておきます。
  149. 大沢雄一

    政府委員(大沢雄一君) 御質問の通りでございまして、前段と後段とは別個でございまして、社宅が滅失いたしましても、必ずしもその会社にとりましては著しい損害を受けたということはいわれない場合がございます。ただこの特例償還期間の延長と据置期間の延長でございまして、住宅の産労資金そのものを貸すこととは別でございますので、その点御了承をいただきたいと思います。
  150. 古池信三

    ○古池信三君 ただいまの政務次官の御答弁はよく了解しました。そこで「主務大臣の定める条件」というものは何であるか、それから「著しい損害」という、その著しい程度というものはどういうことであるか、この二点について、もう一度お伺いいたします。
  151. 稗田治

    政府委員稗田治君) その「主務大臣の定める条件に該当し、」と限定いたしました考え方は、産共労働者化宅の資金貸付の場合、従来からややもすれば大企業だけに偏する傾向があるということを、まま外部から批判されておるわけでございます。従いまして今回の特例におきましては、大企業に偏しないようにという意味で、この「主務大臣の定める条件」という条文を入れたわけでございます。
  152. 古池信三

    ○古池信三君 その条件は何であるかということをお尋ねしておるわけです。
  153. 稗田治

    政府委員稗田治君) この「定める条件」の内容でございますけれども、この特例法が施行になりましてから、産業労働者住宅建設の申し込みが出て参るわけでございます。それらの全般の申請者をまとめましてから判断する、こういうわけでございまして、今仮定して、こういうような場合というようなところまで進んでいないわけでございます。
  154. 古池信三

    ○古池信三君 この法律を出されまして、この法律審議を進めている段階において、条件とは何であるかということがはなはだ不明確であるということは、この法律審議上非常に支障があると思う。これはやはり今おっしゃったようなばく然たる意味ではなく、こういうこれこれの条件について審査をするんだということをはっきりしていただきたいと思います。  それからその行の下の方にある「著しい損害」とはどの程度のことをいうのか、これについてもはっきりした解釈をお示し願いたいと思います。
  155. 稗田治

    政府委員稗田治君) 前半の考え方として申しますと、適用をする場合は、社宅、事業所に著しい損害を受けたこと、それから従業員のうち災害により住宅を失った者が相当数あること、従業員にすみやかに住宅を供給する必要のあること、大企業のみに偏しないこと、及び専業者損害のために通常の条件では貸付金の償還が困難であるというように判定される者、それらの者につきまして条件等を定めるつもりでおります。
  156. 古池信三

    ○古池信三君 「著しい損害」というのは。
  157. 稗田治

    政府委員稗田治君) 「著しい損害」と申しますのは、貸付金の償還が、その打撃を受けて困難であるかどうかという程度損害額を指すものでございまして、これは事業会社の資本の規模等によりまして、画一的な扱いはできないかと存じます。
  158. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで問題は、この第二条の「風水書であって政令で定める地域に」政令で定めるというのは、この政令の第二条の「産業労働者が多い都道府県災害により滅失した住宅戸数が三千戸以上のものとする。」と、こういう工合に政令で出ているわけです。そうすると三千戸以上滅失していなければこういう適用がないということが一つ大きな問題になってきます。  それからまた、今質疑がありましたように、ここでは滅失と書いてあるが、はなはだしい損害の尺度はどこへ持っていくか。
  159. 稗田治

    政府委員稗田治君) 政令の要旨がお配りしてあると思いますが、ここに第二条関係は、特にこの産業労働者住宅建設が行なわれるであろうというそういった地域について指定をいたすわけでございます。で、ここで滅失戸数と申しますのは、全部のその府県の被害程度をそこにおける滅失戸数で判定しよう、住宅災害程度を判定しようというわけで三千戸を考えておるわけでございます。で、大体このぐらいの滅失戸数のない所では、この事業労働者住宅建設というものが、今までの体験でございますと、あまり需要がなかったわけでございます。
  160. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうしますと、今までのところはよくわかりませんけれども、私もしろうとですからわからぬけれども、しかし府県で三千戸以上滅失した府県でないと政令で定める地域に入らぬわけです。そうなれば、この第二条の適用があるわけです。そうでしょう。そして「住宅または事業場に著しい損害を受けたものに対し、」云々ということが書いてある。本文に書いてある。本文に書いてあって、こっちには滅失だけれども、本文には書いてある、この精神というものはどこへこの政令で生きてくるのか。そういうものがみんなここには書いてある。結局尺度は滅失三千戸ということであるが、この尺度、「著しい損害を受けたものに対し」てという問題は、どこへ生きてくるのですか、この政令の……。
  161. 稗田治

    政府委員稗田治君) この第二条関係は、産業労働者住宅資金融通法だけの特例でございまして、ここで「政令で定める地域」と申しますのは、先ほど申しました償還期間の延長あるいは据置期間の設定という特例だけでございます。それで、この「政令で定める地域」と申しますのは、お配りしてございます資料にございますように、一つの府県で三千戸以上滅失したような住宅災害のひどい所を選んでおるわけでございます。一般の産業労働者住宅資金融通法は、この政令で定める地域以外も全部貸付はできることになっております、ただ三年町の延長といったような特例だけが来たされるわけでございます。
  162. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、この政令の第二条関係の書き方は少しどうですか、これを読んでみてもいいですけれども、第二条関係政令でしよう、ここへいただいたのは……。「(産業労働者住宅資金融通法特例)に規定する政令で定める地域は、産業労働者が多い都道府県災害により滅失した住宅戸数が三千戸以上のものとする。」こういうことになっていますね、これ。そうすると、今のはちょっと出てこないじゃないですか、出てくるのですか。
  163. 稗田治

    政府委員稗田治君) お配りしてございますこの資料の政令案の要旨でございますけれども、文章上から申しますと、そう考えた考え方を幸いであるわけでございますので、政令になりますときは多少字句の修正はあると思います。しかし内容はこういうことを盛るわけでございます。それでこの政令案になりますけれども、要するに、三千戸以上滅失した都道府県を指定するんだということを申しているわけでございます。通常の産業労働者住宅資金融通法関係は、これは一般法にあるわけでございます。
  164. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっとどうも私、自分自身が悪いのかしらぬけれども、風水害にあって「政令で定める地域」で、その前段の「主務大臣の定め」による、要するに産業労働者住宅その他の住宅については三千戸以上という尺度、これは尺度については意見があっても、一応これでわかるような気がする滅失と書いてあるから。その後段の「かつ、」から始まって産業労働者住宅資金融通法により「著しい損害を受けたものに対して……。今の御声明では、これはこの政令区域以外に全部やるんだと、それで滅失の所は三千戸以上なんだと、こういうお話であったと、今聞いたのですが、それならこの書き方で、てにをはを変えるくらいじゃ、要するに理解ができないのじゃないんですか、もう少しはっきり書いてもらわなければ……。
  165. 稗田治

    政府委員稗田治君) 「政令で定める地域」内で、先ほど申し上げましたような「主務大臣の定める条件に該当したものが、この産業労働者住宅資金につきまして償還期限の延長とか、あるいは据置期間の恩典が与えられるわけでございます。それ以外の地域におきましてはこの恩典ばないわけでございますけれども、一般法による産業労働者住宅資金融通法による資金貸付は行なわれるわけでございます。はっきり申しますと、大体鉄筋のアパートでございますので、償還期限は普通三十五年でございます。この特例法の適用になる地域におきましては、三十五年が三十八年に延長され、なお当初の三年間が据置期間になると、こういうことでございます。
  166. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、こういうふうに理解したらいいわけですか。政令で定める地域というのは、滅失がその指定された地域の中に三千戸をオーバーして、著しい損害があったものに対してはこの適用を受けるということですか、その府県内において地域指定された……。ほかの所は特例は受けないと、こういうことですか。そうでないと、「著しい」というのは出てこない。
  167. 稗田治

    政府委員稗田治君) この政令案の要旨の方における「滅失した住宅戸数が三千戸以上」」と申しますのは、その事業者関係住宅を指しておるわけではないわけでございます。
  168. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それはわかります。
  169. 稗田治

    政府委員稗田治君) それから、条文の「産業労働者住宅又は事業場に著しい損害を受けたものに対し、」というのは、当該苦慮者の損害について言っておるわけでございます。
  170. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私はもうこれ以上はやめますから、よくあとから聞かしていただきますけれども、これは、どう考えてみたって、あなたのおっしゃるようにはならないですよ。「著しい損害」と「滅失」というやつを、政令で「滅失」ということを書いてしまって、これで適用がされるようなことが書いてあって、著しい損害を受けた住宅または事業場と、こう書いてあって、それじゃその区域だけかと言うと、いやそうじゃないとおっしゃる。これは私、まあこれで質疑をやめますが、一つ私もよく勉強してみますけれども、どうもこれだけじゃ理解がしにくい。
  171. 小酒井義男

    小酒井義男君 少し問題が違うのですが、公営住宅関係で、最近もいろいろな災害があったあとに公団の建てておる住宅が、非常に山の手の高い所に鉄筋コンクリートの高層住宅を造って、海岸線などの低い所に木造の平家住宅を建てておるというような従来の方法は、再検討をされるべきじゃないかというような意見が出ておるようですが、今度の場合などの冠水をしたような地帯に建てる場合の新しい公営住宅というものは、そういうようなことが考慮されて計画をされておるかですね。今私が、言ったようなことは、これは専門的な立場からいえば問題にならぬというような意見なのか。そういう点はどうなんですか。
  172. 稗田治

    政府委員稗田治君) 御指摘のように、愛知県等の災等におきましては、平地に、港湾に近い方に木造公営住宅が六千戸ほど建っておりまして、これが異常な満潮で被害を受けたわけでございます。また一方、東山の方には公団住宅鉄筋アパート、あるいは公営住宅におきましても鉄筋アパートあるいは二階建のコンクリートの住宅が建っておるわけでございます。非常に皮肉な対照をいたしておるわけでございまして、もし、あの建物が逆に鉄筋アパートが港湾に近い方に建っておれは、人命等につきましてももう少し損害も少なくて済んだのではないかというようにわれわれも考えておるわけでございます。ただ、現実の問題として、ああいうような被害を現出いたしましたのは、公営住宅におきましても鉄筋住宅が非常に少ないころ、公団住宅がまだ発足いたさないころに、容易に得られる宅地を開発いたしまして住宅を建てた結果、あのようなことになっておるわけでございます。しかしながら、今回の災害にかんがみまして、これではよくないというので、補正予算の案に計上してございます公営住宅建設の五千二百二十九戸の戸数につきましては、そのうち三割を木造以外のコンクリートの構造にいたしておるわけでございます。これらの建設の立地条件等につきましても、地方公共団体を指定いたしまして、今回の低湿地市の方にはできるだけそういった堅牢な建物を防護壁として建てるというように指導していきたいと思っております。
  173. 小酒井義男

    小酒井義男君 そういう方針であるにかかわらず三割ということは、どういうわけなんですか。もっとよけいお建てになったらいいのじゃないですか。これは予算関係なんですか。
  174. 稗田治

    政府委員稗田治君) 三割が非常に少ないのではないかという御質問でございますが、恒久的な対策として考えれば、私も全く同感でございます。ただ、従来災害公営住宅というのは、住宅の罹災者に早急に建てて間に合わせなければならないという災害時における住宅事情の緊急性というものを相当考慮しておるわけでございます。竣工期間におきまして、どうしても堅い堅牢な建物にいたしますと、かなりの期間を要するわけでございます。そこで、若干そういう期間につきまして御辛抱いただける戸数というようなことも考えたわけでございます。それからもう一つ、全体の五千二百二十九戸という戸数につきまして三割という戸数は、非常に少ないのでございますけれども、これをたとえば名古屋市等について考えますというと、六割程度木造以外の構造になるように配偶されるわけでございます。
  175. 小酒井義男

    小酒井義男君 まあいろいろな事情も私はあると思うんですが、そういう点はやはりほかの方法で解決をするようなことが考えられる余地がないかと思うんです。こうして木造住宅を作っておいて、まあ災害のあったような地域ですから、そういう損害を受けるような条件のものにまた金を使っていくことは、国の経済としても非常に不経済なことになるのじゃないかと思うんです。そういう点で、三割ということに限定をしなくて、条件が整えばできるだけ木造でないところの住宅を建てていくというようなことを検討していただきたいと思うんです。どうでございますか。
  176. 稗田治

    政府委員稗田治君) 公営住宅におきまして、堅牢な建物を、従来不燃構造というので不燃率という指数で表わしておるわけでございますが、風水害の場合にこの不燃率という言葉はぴったり参りませんけれども、実体としては耐風水害建物でございますので、公営住宅におきましては、今後木造は漸次廃止する方向に努力したいというように考えておるわけでございます。毎年この不燃率は、若干ずつでございますけれども、木造以外の戸数がふえておるわけでございます。来年度の予算におきましても、いっそうこの木造以外の堅牢な建物戸数を卸すように努力するつもりでございます。
  177. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 公共土木についてちょっと……。
  178. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 住宅の点でお伺いしたい方があるようですから、ちょっと……。
  179. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連してお尋ねするんですけれども、今の小酒井君の質問に対して、逐次鉄筋公営住宅を作る、非常にけっこうだと思います。問題は、そういう堅牢なものを作って、中へ入って家賃がどうか。堅牢なものを作ってもらって高い家賃では入り手がないわけなんです。たとえば、さっきあなた東山のようなものが海岸地帯にあればよかったということをおっしゃったのですが、あんなものがあっても、入り手がないということですが、家賃を一般大衆の入れるような格好にするにはどうしたらいいか、こういう対策が並行しておありになるかどうか、この際伺っておきたい。
  180. 稗田治

    政府委員稗田治君) 公営住宅の家五につきましては、たとえば災害公営住宅の場合でございますと、普通の災害公営住宅でございますというと、三分の二が国庫補助になっているわけでございます。従って、鉄筋のアパートにいたしましても、公団の低利資金で今建てられている鉄筋のアパートよりもずっと安い家賃になってございます。全国平均で申しますというと、第二種の三分の二の補助金のものは、家賃は二千円前後になるわけでございます。従いまして、もちろん初度建設費鉄筋アパートになりますと高くなるわけでございますから、従って家賃も高くなるわけでございますけれども、今日の事情から申しますれば、二千円程度の家賃は負担していただけるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  181. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 公共土木のことについてお尋ねしますが、現在まで緊急査定をしているわけでございますけれども、道路、河川海岸についての累計額というものはどのくらいになっておりますか。
  182. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 現在まで、お話のように、緊急査定をやっておりまして、また一部本査定に入っているものもございますが、大体六〇%程度は終わっております。なお予算案編成当時におきましては、大体二五%程度終わっております。
  183. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 この緊急査定の分については、これは本年度の予算において六〇%全部消化してしまうのかどうか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
  184. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 先ほど申し上げた六〇%といいますものは、緊急査定のほかに、一部本査定も入っているのでございます。大体緊急査定といいますものは、全体の三割程度というものが緊急査定の大体の目標になってございますが、そういうことで、六〇%全部につきまして、本年度予算でまかなうというふうには考えてございません。問題は、要するに予備費なりあるいは補正予算が決定されました場合におきましては、早急に予算の配賦が必要でございますから、できるだけ査定を急いでいるということだと思います。それからもう一つは、三十五年度の予算の編成におきましても、大体全般的な査定の状況がわかりませんと、正確な三十五年度の予算要求ができないというわけで、査定を大体十二月中ごろまでには終わりたいというつもりで作業を行なっているわけでございます。従いまして、今まで終わりましたものの全部につきまして、補正予算あるいはその他で消化するという考えではございません。
  185. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私たちしろうとの考えですが、緊急査定するところは来年の出水期が非常にあぶないと思って危惧される所なんです。従ってそういうところを査定しているわけでございます。ところが、ただいまの説明では、本年度中においてこの六〇%が消化されるかどうかについては自信がないというようなお答えがございましたが、午前中の建設大臣説明の中では、こういう緊急査定をしたような個所については、来年の出水期までに少なくとも最低限度五〇%以上は消化していく、こういうことは言っているわけです。その点についてちょっと食い違いがあるような気がしますけれども、御説明願いたいと思います。
  186. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 先ほども申し上げましたように、緊急査定といたしましては三〇%程度が目標になっています。それ以外に一部本査定を入れまして、大体現在までに終わっておりますのが六〇%ということでございます。従いまして、今申し上げましたように、先生がお話しになりました緊急査定が六〇%というのじゃございません。緊急査定は三〇%程度が目標でございます。従いまして、そのうち重要なものにつきましては、来年度の出水期までに間に合うように本年度の予算に計上して参ります。
  187. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、緊急査定の分は全体の三割で、その三割の中の六〇%が完了しているということですか。
  188. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 緊急査定といたしまして、大体、全体の三〇%程度が目標でございます。それ以外に本査定もやつておりますから、本査定と緊急査定を含めまして全体の六割程度の査定が終わっておりますということでございます。
  189. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうすると、全体の六〇%というものを、本査定と緊急査定を合わした六〇%は、本年度の予算の中で消化でき得る額なんですか。
  190. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 査定と申しますのは、大体今までの例によりますと、十二月中に、十二月の中ごろかと思いますが、十二月の中ごろまでに全部終わりまして、三十五年度の予算の編成におきまして確実な被害の実績を出すということで査定をやるわけでございます。そういたしませんと、三十五年度の予算の編成におきまして非常にあやふやな数字が出てくる。そういうわけで、十二月の中旬ごろまでに全部の査定を終わる、一〇〇%でございますね。そういう作業をやっております。そのうち緊急分につきましては、まあ言葉はいろいろございますけれども、いわゆる重要なものにつきましては、来年度の出水期までに工事が終わるように、大体まあ本年度におきましてはその完成までの五割程度予算を考えております。
  191. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は今度の災害について関連する問題で一、二聞いてみたいと思うのです。  今度の災害が起きまして、河川関係、防潮堤の関係をできるだけ私は見てきたつもりでございます。それで、まあ河川関係からいいまして、各河川災害が起きない河川改修という計画というものがあったら、きょうじゃなくてもよろしゅうございますから、資料を出してほしいと思います。  なぜそういうことを申し上げるかというと、たとえば紀ノ川を一つとってみますと、紀ノ川は、あれだけの水が出ても、海岸に入る所から十何キロですかの間、改修された所まで、あれから下は今度のたくさんの水と言われたときでも、被害というようなものは全然ない。安泰に和歌山のふちを流れている。ところが、ずっと上、吉野の方まで上って参りますと、川のまん中に島があったり、それからまた非常に狭い所があって、そこでダムのようにしてその周囲がみなやられている。これはずっと橋本、五条、吉野という工合にさかのぼっていけばいくほど顕著な例があるわけです。ですから、災害に対する河川の原状の回復でああいう復旧作業をおやりになっても、災害が結局その所だけがとまっても、ほかの所が切れるというか、また全体が水が詰まって、つかるということになりはせんか。  それからもう一つ特徴的な例ですけれども、滋賀県の日野川の問題です。日野川に参りますと、一応両方の堤防がある。ところが、ほんのまん中に水の流れている以外は民有地であります。もうりっぱな森林、植林地や、やぶとか、そういうものが民有地としてありますから、雨が降ったら、あの下の方の近江八幡の近所が切れる。これは切れるようになっていると思います。これは、だから、あの所のことを通称切れ所と言っておる。だから、そういうことで、あの森林を取り、そして、やぶを取って、あの堤防の内側だけでも改修したら、おそらく、ああいう水害が――もう琵琶湖のふちがすぐそばなんですから、ああいう切れるようなことはないと思う。そういう二つの特徴的な例を申し上げてみたんですが、まず一つは、河川改修はどういう構想でおやりになっておるか、できたら資料をいただきたい。それから、今の二つの例をあげた河川について、どういう計画があるか、今答えられるなら答えていただきたいと思います。
  192. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) まことにお説の通りでございまして、われわれといたしましても、河川の改修につきましては、計画的に、大幅に進捗いたしたいという考えを常日ごろ持っておるわけでございます。たとえば昭和二十八年の大災害におきまして、その当時、約一兆三千億円の全体計画を作りまして、その河川事業の進捗をはかって参ってきたわけでございますけれども、予算の都合によりまして、現在までの進捗率は大体一〇数%にすぎない。そういう現状でございますが、なお、最近の過去あるいはことしの非常な各地の大惨害に伴いまして、早急に五カ年計画を確立いたしたいという考えを持っております。実は、このために、本年の四月に治山治水閣僚懇談会というものが設置されまして、数次の会合を重ねておるわけでございますが、その会議におきまして、財政内衣づけのあります五カ年計画を確定いたしまして、計画的に治水事業あるいは治山幸業を強力に実施いたしたいというふうに考えておるわけであります。個々の河川につきましては、いろいろただいまお話のように、一部におきましては改修済みの所もあり、また一部におきましては全く末改修の所もございますが、大体の考え方といたしましては、経済効果の大きい所に実は重点を置いて参っているわけでございますが、いろいろ経済の伸展に伴いまして、河川の流域はほとんど開発が進んで参っておりまして、どこが特に重点であるというようなことも言えないような状態になっております。これにつきましても、なお十分検討いたしまして、遺憾のないような処置をとって参りたいというふうに考えております。
  193. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今の二つの例をあげたところのお話がなかったのですが、きょうお話がなければ、次の機会でもけっこうでございますけれども、たとえば、もう一つ例を申し上げますと、京都の桂川、亀岡は雨が降ったらダムになる。あれを百メートルほど岩を切れば、亀岡全体は一千万トンの水がつかないのですよ。淀川はもたない。あそこは雨が降ったら湖になって、土地の人はしんぼうする。こういうことを今日の社会で許されるかどうかというような問題があるわけでございます。私は、例をあげればたくさんあると思いますから、ぜひ一つ、この委員会の間に、何らかの形でお聞かせ願いたいと思います。資料があったら、ぜひいただきたいと思います。  それからもう一つは、このダムとの関係なんです。それで、ダムは通産省が電気事業として認可、許可をするわけです。そして、ゲートから自分の電気経済ベースで、水がたくさんできたら一はい水をあける。そういう関係は、私は通産省の関係だと思いますけれども、ただ、河川関係でこういう話を聞くわけです。許可を受けてダムを作ったのだから、このダムに必要な水がたくさん来たら、ゲートをあけて流すことは、われわれは許可を受けておる、だから、コントロールを最近のダムはみなしておられるそうでありますから、和歌山に起こった例ですが、あとは、政府が河川改修で、このダムを許可したと同じように、それに応じて河川の改修をやるのがあたりまえだ、こういう意見が出てきて、土地の人がものすごく怒っておるという例がある。だから、その関係は、これは、きょうはおそいから、あまり深く入りませんけれども、その関係において、河川改修は建設省はどういう工合にお考えになってダム――ができるときに、ダムの水量との関係というものはどういう工合にお考えになっておられるか、下流ですね。
  194. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 先ほどの紀ノ川、旧野川、この河川につきましては、別に調査をいたしまして御返事をいたしたいと思っております。  もう一つ、電源会社のダムの問題でございますが、これは操作規程というものがございまして、それには、要するに、入ってくる水以上の水は流してはいけないということになっております。で、洪水になりますと、ゲートをあけなければダムそのものが危険でございますから、ダムは一応ゲートをあけますけれども、その場合におきましても、入ってくる水以上の水は流してはいけないというようなふうにきまっております。つまり、逆な言葉で申し上げますと、すでにたまっておる水と入ってくる水と同時に出るようなことは、下流に危険を及ぼすというようなことになりますから、厳に注意を喚起しておるのでございます。もう一つは、特にこれは建設省所管の、いわゆる多目的ダムにおきましては、いろいろそういうゲートをあけて水を出す場合におきましては、警報施設を作っておりまして、下流の住民に警報でもって伝達する、そういうことをやっておりますが、必ずしも電力会社の、ダムにおきましては、そういう水を放流する場合におきまして、事前に一般に周知させるという設備に欠けておる点もありますが、そういう点につきましても設備をするように希望しております。従いまして、ダムがあるために下流の河川改修について特にどうこうということはないのでありまして、要するに、洪水の場合におきまして、入ってくる水の程度を考えまして、入ってくる水以上のものは流さないという前提におきまして、それに見合うような改修は考えております。
  195. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 入ってくる水以上のものは流さないというのはどこではかるかという問題が議論になる問題です。だから、私もちょっと和歌山と京都に起きたダムの問題で、他の所を調べてみましたら、その上流の所に雨が降ると、最近は、今たまっておる水をある程度どかして、一時、そこで一ぺんに水を流すと被守が起こるから、コントロールをして流しておるというようなことが講ぜられておると聞いておるが、実態はよくわかりませんが、だから、雨が降って水が来て全部開放してあけるということになると、どれだけ、流れてきた水がたまっておる水と一緒かということはわからぬものですから、下で被害が起こるという場合が多いと思います。これは、私は建設省と農林省、通産省の関係がよくわからぬものですから、建設省にこれくらいの関係があるかと思って尋ねてみたのですが、土木工事ですから、ダムを許可するでしょう。ゲートをあけたら何百トン、何千トンの水が出る、そういう場合には、それにこたえるだけの河川を土木工事として、ダムの放流と関連して、そこから下の河川に関連して許可を与えられておるかどうか、ダム自身、ゲートの容量やその他の許可が与えられているかどうかということをお聞きしたいのですが……。
  196. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) お説の通りでございまして、大体ダムを許可する場合におきましては、上流の水が大体過去のいろいろなデータを調べまして、大体最高これぐらいの水は出る可能性はあるという、そういう前提におきまして、ダムの構造その他につきまして見積りまして許可を与えております。
  197. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 このダムの関係は、どの部分までは建設省で、どの部分までが通産省ですか、建設関係建設省ですが、河川関係は……、そこらの区域を済みませんがお聞かせいただきたい。それでないと、私ども尋ねるのにちょっと困るのです。
  198. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 建設省所管のダムで申し上げますと、洪水調節とそれからその他の目的、たとえば発電、灌漑そういう多目的なダムがございますけれども、それは建設省の専管になっております。電力会社の場合は、そのダムを水力発電のみに使用する、そういう場合は大体通産省の所管になっております。それからそのダムの水を灌漑のみに使う――灌漑用水のみにダムの水を使う。そういうダムにつきましては、農林省の所管になっております。
  199. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 ちょっと先ほどの問題でお伺いしますが、先ほど説明によりますというと、緊急査定は全体の三 〇%、それから本査定と合わせて全体の六〇%今進行しておる、十二月中には一〇〇%終わる。こういうことになっておるわけであります。そうしますと、一〇〇%終わったところで、本年度の補正予算を含めまして、予備費を含めまして、本年度どの程度の工事が進行するかということ。
  200. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) すでに現在におきましてもまだ六〇%の進捗でございますし、それから予算当時におきましても大体二五%の進捗状況を示しておったのでございますが、そういう条件におきまして、その査定率等は、過去の三年程度の査定の率を基準といたしまして、一応補正予算を計上しておるわけでございます。従いまして、大体その査定の結果がどう出るかわかりませんけれども、過去の三年の査定率の基準通りに査定がかりに出るという前提におきましては、大体進捗率は二八・五%の進捗率になっております。
  201. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 工事が二八%行なわれたというわけですね。
  202. 大沢雄一

    政府委員(大沢雄一君) 安田委員からの御質問――先ほど来御質問の要旨と答弁が少し食い違っておるように私としては受け取っておるわけでございますが、他の衆議院等の関係委員会で、建設大臣から、明年度の台風期あるいは出水期までに原形に大体復旧できるということの御説明をなさっておりますのは、今年度のこの純正予算と来年度の四月から出水期までの予算と今わせまして、大臣の申し上げるような復旧ができるということを大臣が申しておるわけでございます。今年度の補正予算だけでそこまでできるということを大臣は申しておるわけではございませんから、ちょっとその点を御了承願いたいと思います。
  203. 郡祐一

    委員長郡祐一君) なお建設省関係法律案につきましては御質疑があることと存じまするが、それは後日に譲ることといたします。  この際一言申し上げておきます。委員会開会中、栗山委員から委員長あてに、次のようなお申し出がありました。    次記  当委員会の権威のため、本日委員会開会中、担当大臣より、一応約束が守られないならば釈明せしめられたい。    記  一、長期湛水区域の名古屋市の扱い方について、衆議院の奥村次官の答弁の始末、(大蔵省)  二、政令の提出予定日表の提出(官房長官)  このようなお申し出がありました。従いまして、本委員会の開会中、政令の提出予定日表につきまして、内閣官房長官を呼びましたところ、官房長官は公務のため、小笠官房副長官が参りまして、今日提出いたせなかったことについて、まことに遺憾でありましたが、明日午前中に提出いたします旨申し出て参りました。なお、長期湛水区域の扱い方の答弁につきましては、ただいま大蔵省から、前田政務次官が当方に参りましたという旨の連絡を受けたのでありまするが、ただいままでにまだ参っておりません。参りましたら、私から御趣旨をよく伝えることにいたしまするから、さよう御了解を願います。  次回は、明十九日午後一時から開会いたし、農林省関係法律案及び大蔵省関係法律案審議し、なお時間に余裕がありますれば、通産省関係法律案審議することといたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時二十七分散会