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1959-11-04 第33回国会 参議院 風水害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月四日(水曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   委員異動 本日委員池信三君辞任につき、その 補欠として川上為治君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     郡  祐一君    理事            稲浦 鹿藏君            重政 庸徳君            田中  一君            成瀬 幡治君            小平 芳平君            向井 長年君            森 八三一君    委員            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            江藤  智君            川上 為治君            木村篤太郎君            草葉 隆圓君            小山邦太郎君            斎藤  昇君            山本 米治君            米田 正文君            大倉 精一君            清澤 俊英君            栗山 良夫君            小酒井義男君            羽生 三七君            藤田藤太郎君            安田 敏雄君            大竹平八郎君   国務大臣    文 部 大 臣 松田竹千代君    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君    農 林 大 臣 福田 赳夫君    運 輸 大 臣 楢橋  渡君    国 務 大 臣 石原幹市郎君   政府委員    文部省管理局長 小林 行雄君    厚生省公衆衛生    局長      尾村 偉久君    厚生省社会局長 高田 正巳君    厚生省児童局長 大山  正君    厚生省保険局長 太宰 博邦君    農林政務次官  小枝 一雄君    運輸政務次官  前田  郁君   説明員    自治庁財政局財    政課長     松島 五郎君    運輸省港湾局管    理課長     岡田京四郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十四年九月の暴風雨により塩  害を受けた農地除塩事業助成に  関する特別措置法案内閣送付、予  備審査) ○昭和三十四年七月及び八月の豪雨、  同年八月及び九月の暴風雨又は同年  九月の降ひようによる被害農家に対  する米穀売渡特例に関する法律  案(内閣送付予備審査) ○昭和三十四年九月の風水害を受けた  漁業者共同利用に供する小型の漁  船の建造に関する特別措置法案(内  閣送付、予備審査) ○風水害対策に関する件  (厚生省文部省自治庁及び運輸  省関係被害状況並びに対策に関す  る件)   —————————————
  2. 郡祐一

    委員長郡祐一君) これより風水害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日古池信三君が辞任し、その補欠として川上為治君が選任されました。   —————————————
  3. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 十月三十一日委員会散会後、委員長及び理事打合会を開き協議いたしました結果、本日はまず農林省関係付託法案について提案理由説明を聴取したのち、農林省文部省自治庁運輸省関係被害状況及び対策について説明を聴取し、質疑を行います。明十一月五日も午前十時から委員会を開き、本日と同様付託された法案がありますれば、その提案理由説明を聴取し、なお災害関係の各省について被害状況及び対策説明を聴取することにいたします。以上御報告いたします。   —————————————
  4. 郡祐一

    委員長郡祐一君) それではただいまから農林省関係の三法案について提案理由説明を聴取いたします。
  5. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御説明をいたします。  まず、昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます一。  本年九月に発生いたしました台風第十四号及び台風第十五号は、中部地方を初めとして各県の海岸堤防に甚大な被害を与えましたが、背後農地におきましても激甚なる被害をこうむったものが相当面積に及び、多量の海水が浸入し、長期間湛水するという現象を生じたため塩分濃度がきわめて高くなった農地も見受けられるのであります。このような農地におきましては、すみやかに塩分を除去して農作物生育の障害を取り除き、被災農家農業経営の維持をはかる必要があるのであります。かかる事情によりまして、国は、地方公共団体土地改良区等が塩害を除去するために行なう潅漑排水施設設置または変更揚排水機による揚水または排水客土及び石灰等施用事業につきまして、これらの事業に要する経費の一部を補助しようとするものであります。  補助率について申し上げますと、もっぱら除塩効果目的といたしますところの灌漑排水施設設置または変更揚排水機による揚水または排水、及び石灰等施用事業につきましては十分の九、除塩効果のみでなく、土地改良的な効果をも含む客土事業につきましては二分の一となっております。  次に、昭和三十四年七月及び八月の豪雨、同年八月及び九月の暴風雨又は同年九月の降ひょうによる被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案提案理由を御説明申し上げます。  御承知通り本年七月、八月の豪雨、八月、九月の暴風雨または九月の降ひょうにより、伊勢湾沿岸諸県を初め各地において飯用米穀にも事欠く被害農家を多数生じている状態であります。ここにおきまして、政府はかかる農家に対しまして、その食糧の不安をなくするために政府所有米穀特別価格で売り渡し、他の災害対策と相待って米穀の再生産確保に寄与したいと考えまして、この法律案提案した次第であります。  次に本法案の骨子につきまして御説明申し上げます。第一点は、本法案対象となる災害は、本年七月及び八月の豪雨、八月及び九月の暴風雨または九月の降ひょうにより政令で定める地域内において生じた災害と規定しております。すなわち、適用地域政令で定めるのでありますが、被害程度調査いたしまして、これにより地域の指定をすることといたしているのであります。  第二点といたしましては、本法案によりまして米穀の売り渡しを受ける農家は、その生産する米穀について災害により著しい被害を受け、これにより飯用消費に著しく不足する旨の都道府県知事認定を受けることといたしております。  第三点といたしましては、政府都道府県及び市町村を通じて被害農家米穀を売り渡すことにしている点でありますが、これはなるべく被害農家米穀の購入が立法趣旨に沿って行なわれるようにはかっているのでありまして、政府都道府県市町村が一体となって農家の救済を期しているのであります。  第四点といたしましては、被害農家米穀をおおむね出産者価格をもって購入できるようにはかっている点であります。以上が提案理由概要でございます。  次に、昭和三十四年九月の風水害を受けた漁業者共同利用に供する小型漁船建造に関する特別措置法案につきまして、その提案理由の御説明を申し上げます。  本年九月本邦に来襲いたしました第十四号台風及び伊勢湾台風は、周知のように広範囲の地域に甚大な風水害をもたらしたのでありますが、特に今回は水産業における被害が大きく、その額は、漁港施設被害を含め約百八十億円の巨額に上っております。中でも沿岸漁業者の所有する小型漁船被害を受けたものは一万数千女の多くに達し、しかもその被害地域的に集中して発生しているのであります。これら被害沿岸漁業者は、経営規模のきわめて零細な漁家でありまして、漁船はその基本的な生産手段であり、これが被害漁家漁業経営生活に対する甚大な打撃となるのであります。従いまして、被害沿岸漁業者漁業経営及び生活を維持するためには、被害甚大な小型漁船の早急な復旧をはかることが最も必要なことでありますが、これら沿岸漁業者信用能力は低く、自力による復旧はきわめて困難な実情にありますので、これに対する応急措置として、組合員所有経営にかかる小型漁船被害のはなはだしい漁業協同組合に対し、国が特別の助成措置を講じ、被害を受けた沿岸漁業者共同利用に供する小型漁船建造させる必要があるのであります。このため、昭和三十四年九月の風水害による小型漁船被害が著しい都道府県対象として、その組合員の所有する小型漁船について  一定数または一定割合以上が風水害により沈没、滅失その他著しい損害を受けた漁業協同組合が、被害を受けた組合員共同利用に供するために、小型漁船建造する場合において、国は、予算の範囲内でこの都道府県に対して、建造費の八割に相当する額を補助することができることにいたした次第であります。以上がこの法律案提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願い申し上げる次第であります。
  6. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 以上で提案理由説明を終りました。本案に対する質疑は後日に護ることにいたします。   —————————————
  7. 郡祐一

    委員長郡祐一君) これより厚生省関係被害状況及び対策について説明を聴取いたします。渡邊厚生大臣
  8. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 本年七月以降の水害及び風水害による被害状況と、これに対してとられました措置概要について、御説明申し上げます。  今年度に入りまして、現在までに災害救助法適用した災害発生件数は十二件を数え、適用地域は三十三都道府県にわたっておりますが、その内訳は火災によるもの三件、水害によるもの五件、風水害によるもの四件となっております。このうち特に被害の甚大であったのは、七月中句の九州及び中国地方における水害、八月上旬の台風第六号及び八月中旬の台風第七号による風水害、八月下旬の東海、北陣地方における水害、九月中句の台風第十四号及び九月下旬の台風第十五号による風水害、以上の六件でございます。これらの各災害被害状況につきましては、お手元に配付いたしました資料通りでございます。  次に、これらの災害に対して、厚生省当局としてとった措置について申し上げますと、九月中旬の台風第十四号による風水害以外の災害につきましては、いずれも係官被害地へ派遣いたしまして、救助活動指導被害状況調査を行なわせております。  また台風第七号による風水害及び今回の災害におきましては、日本赤十字礼救援物資被害地輸送ずるため、自衛隊に協力方を求めましたほか、米国宗教団体から寄贈を受けた援助物資の受け入れ及び輸送について、手配をいたした次第であります。  特に今回の台風第十五号による風水害以後に、厚生省当局としてとった措置について申し上げますと、第一は、今回の災害のごとく非常災害の際における災害救助防疫及び復旧に関する施策を総合的に、かつ強力に推進するため、今回の台風発生と同時に、省内に災害対策本部を設け、自来この本部中心として、災害対策に積極的な活動を行なっている次第であります。厚生省といたしましては、災害発生以来被害激甚の県に係官を派遣し、被害状況調査救助実地指導及び防疫業務指導に当らせております。食品飲料水収容施設等供与給水班の派遣、罹災者救出等災害救助法に基づく措置状況、赤痢、ガス壊疽及び破傷風患者発生状況、並びにこれら疾病に対する対策中心とする防疫措置状況屎尿処理施設被害状況及びこれに対する措置状況医療救助班活動中心とする医療救護対策状況救急薬防疫用資材ガス壊疽及び破傷風抗毒素等必要医薬品輸送配布状況、その他日本赤十字社の救護活動状況在日米軍米国宗教団体等協力援助状況、並びに義援金募集状況につきましてはお手元資料通りでございます。  さらに今回の台風につきましては、その被害が甚大であることにかんがみ、厚生省といたしましては、行政上または予算上の特別措置として、災害救助法による救助基準引き上げ、たとえば食品単価引き上げ応急仮設住宅供与ワクの拡大及び建築費単価引き上げ等措置を講ずるとともに、被災県に対する世帯更生資金割当額増額母子福資金貸付制度による住宅補修資金等貸付ワク増額被災地における臨時保育所の開設、保育料徴収減免措置を講じて参りました。  また、国民健康保険を実施している被災市町村に対しましては、療養給付費補助金及び事費補助金の繰り上げ交付特別調整交付金交付を行ないました。  このほか、厚生省関係のありまする医療衛生関係施設水道関係施設を初めとする環境衛生施設社会福祉児童福祉関係施設等被害につきましては、その詳細を調査いたし、これらの復旧に要する費用について必要な予算な確保いたすべく、補正予算に計上いたしておるような次第でございます。  また、今回の災害復旧につきましては、政府においては、各種被害施設復旧費に対する国庫補助率引き上げ及びその他の必要な措置に関する特別立法を、昭和二十八年度の災害の際とりました措置に準じて行なうこととし、今国会に提出する方針が決定されましたので、厚生省におきましてはこの方針にのっとり、昭和二十八年度におきまして講ぜられましたる諸種の特別措置にならって特別措置法の立案を進めて参り、このほどようやくその成案を得ましたので、近く国会提案する予定でございます。
  9. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 以上で厚生大臣説明け終りました。ただいまの説明に対し御質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 災害救助法適用市町村という一覧表がございます。この一覧表を見ますと、当時新聞その他で私たちが知った市町村で入っていないところがある。これは、厚生省から行って、各県庁災害救助法適用市町村に一応して、それから監査か何かして変わったということであるのか、県庁申告通りなのか、ちょっと一つ……。
  11. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) これは法律によりまして府県発動したものを厚生省がそのまま認めるわけで、法的に効力を発生するわけでございます。
  12. 米田正文

    米田正文君 この前八月の水害のときに、京都府の裏の由良川の流域の問題ですけれども、そこに加佐町という町があります。この町は最近近舞鶴市に合併された所です。そこで市に編入されたために、救助法適用がなかった。それから対山に大江町という町があるんですが、これは合併された町村でないので、そこでは救助法適用されて、川をはさんで相向かってある町村で、片一方の従前通りの所は救助法適用された、合併された所は対岸と同じように被害を受けたけれども、救助法適用がなかった。従ってそれによるいろいろな処置がとられなかったということで、非常に地元の人の不満があったんですが、合併による旧町村処置については、他のいろいろな施設については、旧町村並みの扱いをした方が有利な場合には、そういう処置を各省やっておるところが多いのです。厚生省の側にそういう点について私は事務的にも意見は言っておきましたが、この処置は、私は旧町村の場合においては、旧町村単位において救助法適用する要件を備えておる場合には適用すべきだと思うのですが、大臣の御所見を承りたい。
  13. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) これは新しく町村合併いたしまして、その新市町村災害をこうむった、そのときに県が災害救助法適用をすれば、それを認めるけれども、もしも県の方にそういう村からの災害救助法の要請がなければ、これは救助法法律建前としてやむを得ないと思います。
  14. 米田正文

    米田正文君 それは合併促進法の精神からいえば、従前からの旧町村の場合よりも経済的な不利な条件にならないようにというのが、合併促進法一つ趣旨にもなっているわけで、たとえば建設にしても、農林にしても、各単独市町村で計算して、要件の整う場合には、それをとってやっている。だから私は今の救助法においても、今の法律でやれると思うのですが、どうですか。
  15. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) ごもっともな御質問だと思いますが、ただ災害救助法というのは、御存じのように法律趣旨が、災害のために秩序混乱と言いますか、いたしまして、貧富を問わず、みずからの力ではもう何ともできない、そういうときに公が出かけてこれを救助する、こういう建前でございます。それでその社会的な秩序混乱を大体市町村単位に押えて、そうして救助法発動をするわけです。そういたしますと、非常に部分的には相当な被害を受けておりましても、その市町村としては、たとえば配給機構でも何でも決して乱れてない。だから十分金のある人は、金さえ持っていれば食いものでも何でも手に入るというような状態でありますと、この災害救助法のねらいである秩序混乱して、貧富を問わず、これはもう現実にものが口に入らないというふうな事態にはならない場合があるわけです。まあ法律趣旨としまするところは、そういうところでございます。従って大きな市町村合併をされて、ほんの一部が、全体から見まして非常に小部分被害を受けたというふうなことになりますと、まあ災害救助法発動する一応の基準というものがございますものですから、府県知事の方で救助法発動を手控えるというふうな場合があり得るわけです。御指摘の点を具体的に実はどの程度のものか承知をいたしておりませんけれども、しかしそれはその実情に応じて、被害区域、その市町村区域、戸数、そういうふうなものの実情に応じて、弾力性を持っておりまするので、知事の方で必要と認めれば、これは発動して差しつかえないわけでございます。ただこの災害復旧するというような場合等には、これは非常に小部分でございましても、その個所自体が相当な被害を受けておれば、これは当然復旧のことにつきましては、さような取り扱いをしなければならぬ。そこにいわゆる応急救助目的とします災害救助法災害復旧とは若干ニュアンスの違いがある。この点がございまするので、今のようなことが理論的に起り得る場合があるわけでございます。しかし実情に応じまして、できるだけ不満の起らないように、これは措置していきたい、かように私たち考えております。具体的な問題として知事の方の認定に待ちたい、かように考えているわけでございます。
  16. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 一つだけ。災害救助の概算がここに出ているわけですが、たとえば十五号のときと、それから前にある七号あるいは五号ですが、非常に災害救助単価が、基準率が実際問題として変わってくることになる。それで、十五号のときは非常に不満ではございますけれども、五号、七号に比較すればいい。五号、七号の方は非常にお気の毒だと思う。そこでこれを厚生省としては、調整とか何かおやりになるようなお考えがあるのかないのか。報告を見ますと、五号、七号じゃ精算はしてないようですけれども、どういうふうな基準でおやりになるのか。たとえば一つ給食の例をとりましても片方は五十円、片方の十五号になると五十円でもらって、七十五円でもらって、九十円でもらっている。毛布につきましては片方の人は二枚しかいかない。今度片方は四枚いくというふうなことが出てくる。それはどういうふうにお考えですか。
  17. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 一応ごもっともな御意見でございまするが、この度の十五号の災害におきましては、非常に様相が一変いたしておりまして、たとえば水没地域なんかが長期にわたって水浸しになっておる。こういうことでありまして、災害救助適用をしなければならない期間というものが相当深刻であり、かつ長期にわたらなければならなかった。こういうことでありまして、たき出しも当初は五十円でありましたのが七十五円、七十五円でもなかなか被害が深刻であったものでございますから、とうていこれでは足りないということでございまして、九十円に上げた。あるいは期間延長等もやったわけです。  それから流失家屋あるいは倒壊家屋が非常に多うございましたものでございまするから、木材やそういう建設資材というものがなかなか現地におきましては応急の間に合わなかった。こういうようなことにも原因をいたしまして、それでとりあえず、とにかく急いで仮設住宅というものが必要であるということでありましたから、五坪八万円の単価を十万円まで上げたという、こういうような措置でございます。
  18. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 質問趣旨が……。従って精算をされる場合は、ここにある通り七号は七号で特別の措置をとられておりませんから、十五号のときに措置をとられたわけですから、十五号は十五号でこのできた基準で、七号、五号のような前のものについては前の法律案で大体措置をされる、そういう意図かどうかということを伺いたい。
  19. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) さようなように私ども取り計らっておる状況でございます。
  20. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 私もその点をちょっとお尋ねしようと思ったが、長期たき出しのために、最初七日間は五十円でよかった、ところが七日を過ぎて二十日までは七十五円、二十一日目からは九十円にせざるを得なかったというのは、これは一つの観念的な考えである。実際は最初からもうとにかくやらざるを得ないのであって、やっておるが、これでいかないからというので、七日ごろに二十五円お上げになったので、それだったら七日ごろにお上げになった前にあっても実際にやっておるのですから、むしろ発動の当時にさかのぼってやるべきでないか。栄養補給の場合、二十一日目の場合は理屈がつくと思うのです。もうちょっとごちそうを出さなければならぬということは、常識的に一応考えられるけれども、最初七日までは五十円でできたが、それから七日過ぎたら七十五円にしなければ、おにぎりのたき出しもできなんだというに至っては、あまりに机上の空論である。実際は最初から同じようなやり方をしておるが、その余分は市町村負担になる。結局、結論を申し上げると、こうなると思う。最初からもう思い切ってやらざるを得ないので、最初から七十五円の費用でやっておるが、それに対する国庫負担としての分が五十円であり、七十五円である。それでは無理じゃないか、むしろそれであるならば、七十円ということは、気がついたときには、やっていけないからというその声が耳に入ったときであって、それなら発動の当時にさかのぼってやるべきものである。このたき出しの問題についてこの点を伺っておきたい。
  21. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 最初はなかなか混乱をいたしておりまして、ようやくにぎり飯たき出しといったような程度でございました。しかし、だんだん長期にわたって参りますと、これでは栄養上困る、乾パンとにぎり飯じゃ困るから、やはりそこにはみそ汁もやらなければならない、イワシの一本もつけなければならぬ、そういうところから漸次内容を向上といいますか、充実さしていったことになったわけです。
  22. 郡祐一

    委員長郡祐一君) お諮りいたしますが、今厚生大臣に、衆議院予算委員会から質疑者が出てきておるからということでありますので、ごく簡単にどうぞ……。あるいは草葉君の御質疑は、もし政府委員でよければそのようにお願いしたいと思います。大竹さんが先ほどから発言を求められておりますので、大竹さんの御質疑が終わりましたら、厚生大臣衆議院予算委員会に本日は入り、後日は質疑を続けたいと思いますから、御了承を願いたいと思いまする。
  23. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 一点だけお尋ねいたしますが、義援金の問題と、それから救援物資配給の問題なんであります。本年のように非常に台風が多いと、いろいろそういう点において、当局混乱するだろうと思うのでありますが、この資料を見ますと、一応十四、十五号、伊勢湾台風というように、義援金並びに救援物資配給状況等が分かれておるのでありますが、ことに最後の伊勢湾台風が非常に大きかっただけに、諸外国の、ことに宗教団体等からも非常な救援物資が来ておるというような点を見まして、これはあくまでも、その都度の今風に応じてこれが配給をせられておるのであるか、あるいは場合によってはこれをまた流用しておる面もあるのか、その点を一つお伺いしたい。  それからいま一点。特に最後の伊勢湾台風配給状況でございますが、これはもう台風のああした混乱のときでありますから、必ずしも私は末端にスムーズに行くとは申しませんが、私ども現地に参りまして、いろいろな話を聞いたり、状況等を見ますると、新聞にも時おり伝えられております通り、問題が非常に多いのであります。この点については、当局としては意を用いて十分やられたと思うのでありますが、配給状況について、簡単でいいですから、一つ説明願いたい。以上二点お伺いいたします。
  24. 渡邊良夫

    国務大臣渡邊良夫君) 義援金と品の問題でございますが、これはやはり義援金の申し出の団体あるいは人々の意思によりまして、そのつどということに相なっております。配給問題につきましては、事務当局から御説明いたします。
  25. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 便宜私からお答えいたします。お尋ねの点、十五号台風に対しまする義援金の方は問題ございませんけれども、義援品の方は相当多量なものでございます。従いまして、これが末端まで公平に、しかも迅速に配られるということは非常にむずかしいことでございます。しかし、私どもといたしましては、それに非常な意を用いておりますることは事実でございまして、たとえば日赤の義援品のごとき、あるいは他の外国から、あるいはまた宗教団体等からの物につきましては、これはこちらで滞留をいたすというようなことはいたしておりません。どんどん現地と打ち合わせをいたしまして、できるだけ早く現地に送りつげております。ただ、現地に送りつけられまして、まず府県の扱いに入るわけでございます。府県から今度各市町村に渡り、それでたとえば市町村と申しましても、名古屋市のごときは、またこれを区役所において扱っております。そうして各罹災者の家庭に行くわけでございます。あるいは避難所等に行くわけでございます。その間におきまして、御存知のように今回のごとく非常に大きな災害で、ことに長期冠水というふうなことで、運搬その他が非常に困難をいたし、舟艇等によらなければならぬということが相当ございましたので、それが末端まで、しかも公平にこれが配られるということは非常に骨が折れることでございます。現実問題といたしまして、最初のうちはなかなかうまく参っておりませんようでございましたが、逐次改善を見ておりまして、最近におきましては、相当改善されて、あまり不平不満等も耳に入らなくなったことであります。ただ、こういう問題が市町村の末端に参りますとあることを御承知おき願いたいと思いまするのは、まだ水をかぶっておったりいたしまして、その部分に今配ってみても、水中の二階、屋根裏等にまだがんばっておる、そういうふうな所に直ちに配るのが適当のものもございますけれども、そうでないものもある。そういうふうなものをただやたらに配りますると、かえって不公平になったりなんかするというようなことがあるものがあるそうでございます。それで、さようなものにつきましては、市町村当局におきまして、もう少し模様を見て今後くる義援金品等もあわせてできるだけ公平に、上手に配りたいというふうな意味合いから、若干市町村等にとどまっておるものがあるということを、私耳にいたしております。しかし、それもまた実際問題といたしましてはもっともな話でございまするけれども、事柄の趣旨からいたしまして、できるだけ早く、しかも公平に配るということが寄付者の意図でございまするので、できるだけ早く配るようにというふうに私どもといたしましては督励をいたしておるようなわけでございます。以上申しましたようなことでございまして、決して非常にうまくいったとは私考えておりません。しかしながら、いろいろと関係者が努力をいたしましたことによりまして、だんだんと改善をして参り、最近におきましてはある程度上手に参っておる。かような情勢判断をいたしております。
  26. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 ききの御質問が、まだ私納得できぬので、イワシ一尾でも食べるというのは、七日ごろでは、少くとも伊勢湾台風では多くの地方はなかった。実際相当なごちそう——ごちそうというか、栄養のものを考えるというのはもっとあとだった。この七日で七十五円に引き上げんならぬというのは、最初から五十円では無理だというところで引き上げられたと思うのです、厚生大臣はああいう答弁でしたが、実際は……。二十一日以降に九十円になされたというのは、幾分か栄養というものを考えたということは考えられる。従って、七日に引き上げられるときには、実情最初からそういう状態であったからといって、さきのお話じゃ、決算がこれからですから、むしろ当初からこれは七十五円として考えるべきものじゃないかというのが私の考えの一点なんです。
  27. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 五十円では非常に安くてとてもやれぬじゃないかという声は、草葉先生御指摘のように、当初から現地ではございました。しかし現実問題としましては、これもよく御存じのように、物理的にカンパンくらいしか配れなかったのです。一番最初は、たき出しもほとんどできないくらいで、地方によって違いますけれども、カンパンを船で運んだり空中から投下するくらいのことしかできなかったおけです。それで、それがだんだんと落ちついて参りまして、むすびもやれるというふうなことになって参りましたのが実情でございます。実際といたしまして、最初はある市町村等のごとき、非常に何というか、野放図にいろんなものを放出したということもちょっと耳にいたしておりまするけれども、現実問題としては、そういう非常な混乱のときには、幾ら命を高く、りっぱなものを食わしてやろうといっても、配れないのです。カンパンくらいを配って回るのが精一ぱい、それも心かなか各戸には届かないというふうな状況でございましたと私どもは理解をいたしておるわけでございます。しかし、だんだん長期になりますと、カンパンとかただの握り飯だけでは、これはとても続くものじゃない。三日、四日ならばそれでよろしゅうございますけれども、続くものじゃない。そういうことになると、今、大臣も申しましたように、みそ汁もつけなければならぬ、たくあんもつけたい、あるいはサンマの一尾もつけたい、カン詰も配りたいというふうなことになりまして、それらもにらみ合わせまして、さらに、一体五十円じゃ安過ぎるのじゃないかという声も取り入れまして、七日目から七十五円に実は引き上げたわけなのであります。そういうわけでございますので、まあ先生の御趣旨の、最初から五十円というのは低過ぎるのだから、初日から七十五円を適用したらどらかという御指摘でございますが、応急救助というものは、実際にさかのぼるということは理論的にもあり得ないわけでございまして、都道府県がきめておりまする基準応急救助をやり、それが引き上げられれば、またその基準で現実にやっていくというようになるわけでございまするので、さようなことをも考え合わせまして、確かに五十円では安過ぎという議論は当初からございましたけれども、やはり引き上げを決定いたしました七日目から七十五円を適用して参りたいと かように考えておるわけであります。
  28. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 そこで 災害救助法の観念というのが一つの大きい問題になってくる。災害救助法は個人を対象にしておる。しかしその災害自身は、全体を対象として考える。そうしてやるときには決して一人に五十円とか七十五円とか考えずに、もうとっさの場合ですから、あらゆる方法をもってやる。あとで書類を作るときに人数を割ってそれに合うようにしていくというのが、実際現在の事務を取り扱う災害救助法の取り扱い方だ。ここに矛盾がありはしないか、会計検査院が行くときには、その場合は人数と全額とが合っておらないと突っ込まれる、だから無理にその人数と金額とが合うようにしていくというのがその災害救助のやり方です。それが事実に合わないから無理なところがあって、従って、いろいろな問題が起るもとになりはしないか。それで、もっと根本的に災害救助法の観念を考えていく、これが一つ。従って、この場合でも理屈はこれ以上は申し上げません。これは事務をとる方ではそうなってくるでしょうから、やむを得ないと思いますが、事実は最初からそういう状態だったのです。もう一点は、たとえば仮設住宅を作る、今度は一万六千円を二万円に引き上げる、二割五分引き上げる、なかなかこれも困難です。それから三割を四割に引き上げる、一割引き上げたからけっこうですけれども、これもこれからの問題が多い。予算措置が四割であるならば、おそらく同じような問題になってきやしないかという問題が一つ。それから避難所におきます施設、諸費用中の保健衛生のために二円負担を増し、入浴費等二円では、これはもう何ともしようがないのです。もう少し現実に合ったような災害救助法の運営をしていかないと、大へん手ぬかりになりはしないか。さきのような話になってくるのじゃないか。二円に人数をうんと掛けてきてやらざるを得ないようになる、そこに災害救助法の矛盾があります。二円で百人おっても二百人にすると四円になる、そういう矛盾があるところに現実の災害救助法発動に支障を来たすものがありはしないか、根本的に災害救助法を御検討願って、そうして現実の状態に合うようにしていくべきもので、たとえば災害救助法のできた当時におきましては、戦後も幾たびか改正されておりますが、おそらくヘリコプターで物資を運ぶということは考えられないことです。そのヘリコプターを自衛隊から借りる場合にはただでいいですよ。こちらから雇って配給する場合の費用が要ります。その費用をどこから持ってくるかという問題ももちろんありましょう。現実に今度の災害で一番困ったのは、水というものを欠いた。飲料水を欠いた。飲料水を受け入れる道具はどこから持ってくるかということで大へん困っている。バケツの買いようがない、ビニールを持ってきたというような、いろいろな困った問題がある。そういう現実の問題あるいは近代的になった生活の様相に対する災害救助法の改正と申しますか、そういう点について検討すべきもの並びに観念的に一番最初からの問題が一つありはしないかと思うのであります。
  29. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 今日救助法がとっております補助対象として見る限度といいますか、基準といいますか、これは決して十分なものとは私どもも必ずしも考えておりません。なお、ただいま草葉先生御指摘のように、今回の災害の、非常に異常な様相を呈しました大災害にかんがみまして、いろいろと災害救助法の運用等につきまして検討を加えてみる心要がありはしないかという御趣旨の御指摘でございましたが、私どもも十分検討を加えて参りたい、かように考えておるわけでございます。ただ、御引例になりましたヘリコプターを雇い上げる費用とか、それから舟艇等を借り上げる費用等につきましては、これは現在の災害救助法でも考え得るような建前にはなっておるわけでございます。現実の問題といたしまして、今日のような大災害、ことに異常な様相を呈しました災害につきまして、今日の災害救助法並びにその運用で万全であるかということにつきましては、先ほど申しあげましたように、私ども今後慎重に検討を加えて参りたい、かように考えおるわけでございます。
  30. 田中一

    ○田中一君 ちょっと資料を要求したいのですが、状況報告はわかりましたが、とられた措置のうち、これは大体県単位によって、県の要請によって分配しているようですが、特に応急住宅にしても、何県の何町には何戸、それから医療等についても大まかな申請に対する——申請は、あれも大体の標準でしょうけれども、とられた結果というものは、われわれには、わからない、それを、もういいと思いますから一つ……。現地出身の方々は皆さんわかっていると思うのです。自分の一番選挙に重要な所は何戸だ、これはわかるのですけれども、われわれ被害地出身でない者にはわからぬのですから、それらのとられた措置について、市町村別にそれらの資料を全部まとめてお出し願いたいと思います。
  31. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は資料ではないのですが、一点だけ厚生省にお尋ねしておきたいのですが、これは数は少ないかもしれませんが、たとえば国立の療養所などの入院患者で、被災者がある場合に、入院費などについて何か取り扱い上非常な問題ができるのじゃないかと思うのです。そういう点について厚生省で何かお考えになっておるか。
  32. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 主管の医務局長がおりませんので、私から便宜お答え申し上げます。国立療養所の入院患者の入院費の負担等につきましては、保険等があれば保険の方から払いますけれども、その人の経済状態に即応いたしまして、一部払えて一部払えないものは、払えないところを生活保護法で見てあげるとかあるいは生活保護法にかかりにくいもので、現実の問題として非常に全部を払うのはむずかしいというような場合には、国立療養所限りで、いわゆる減免というような措置もできることになっているように承知いたしております。従って、入院患者の家の方が災害にかかりまして、入院料の負担につきまして非常に困難を来たすというふうな場合におきましては、今のような方法でもってこれを措置することが可能である、私はかように考えております。
  33. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は今の局長の話を聞いておりますと、非常にどうもあいまいなんです。一つは、米田委員質問に対して、できるようであるような言い方、できないような言い方、また草葉委員の発言に対しても、そういう人を保護するという問題、災害救助をするという今日の事態に合ってやつているような言い方をされて……。私はきょうは答えてもらわないでもいいですが、この質疑はこの次やりますが、明確に一つ、たとえば加佐町のような問題のときにはどうするか。あそこの舞鶴市十万の中で、隣りの一万近くの町村被害を受けた。舞鶴市の中に入っているだけで、あそこに起きたような問題はどうするかというような問題には、できるようでもあり、できないようでもある答弁がありました。これは一つ、この質疑は今後続けますから、この次に明確に、今の救助をめぐって、今日に合った救助ができるような御発言もありましたが、明確にしていただきたいと思います。
  34. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は厚生省の方に資料一つ二つお願いしたい。その一つは、今年の各台風別の災害について、できれば府県別がよろしいと思いますが、全国各地から寄せられた要するに慰問品と申しますか、あるいは義援金、そういうものがどの程度の数量に相なっているか。また、私ども聞くところによりますと、全国各地から寄せられたあたたかい慰問品等が、現地において組織的に、なかなか完全に利用するように配るということがむずかしくて、担当者が非常に困っておられるということも聞いているのでありますが、その利用がどの程度に工合よく行われているのか、そういう点が統計的にわかりますならば知りたいと思うのであります。それで、その慰問品の分類整理等も、今後の問題といたしましては火急な場合に必要な品物を必要な人に渡すというようなことを考えますれば、ただ雑然と集めて梱包して送るということでなくて、途中で役所としては適当な指導をして、そうして現地で最も高度の利用ができるように、そういう梱包の仕方をすべきだと私は思うのであります。そういう配慮が厚生省で行われているかどうか。指導が行われているかどうかということは、いずれまた委員会でただしたいと思いますが、さしあたり資料を整えていただきたい。  それから第二に、同じ資料として、本年度の災害において、罹災のために肉親を失って孤児になっている未成年者が相当たくさんあるようであります。その未成年者の数並びにそれの援護措置等がどういう工合に行われましたか、こういう点も統計的に出していただきたいと思うわけであります。
  35. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 政府側に希望しておきます。要求された資料は至急提出して、委員会の審議に支障なきを期していただきたいと思います。  厚生省関係につきましては、なお質疑が残っておりますが、これは後日に譲ることといたします。   —————————————
  36. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 次に、文部省関係被害状況及び対策について説明を聴取いたします。
  37. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 昭和三十四年度発出の台風等による文教関係被害の概況とその対策について御説明いたします。  今年度の災害による被害の大部分は、七月以降九月の伊勢湾台風までの被害であります。特に九月二十六日中部日本を襲いました台風第十五号による風水害は、文教関係につきましても、まれに見る広範かつ深刻な被害を生じたのであります。  すなわち、人的被害といたしましては、児童、生徒及び学生の死亡者九百二十五名、行方不明者二百三十七名、負傷者五千五百四十七名、教職員の死亡者七名、行方不明者二名、負傷者二百五十二名に達し、物的面におきましては、各府県からの報告によりますと、公立学校施設八千九百七十六校、四十三億九千万円、公立社会教育施設百七十六カ所一億一千万円、公立体育施設四十三カ所、五千二百万円、私立学校施設二百六校、五億九千万円に及んでおり、国立文教施設についても、名古屋大学その他において三億六千万円余の被害を免じております。  これに対し、文部省では直ちに省内に対策本部設置するとともに、中部日本災害対策本部関係局長等を派遣し、教科書、学校給食等の応急措置に努めたのであります。  以上述べた第十五号台風による被害のほか、台風第七号による文教関係の総被害額は四億八千万円、その他の災害によるもの二億三千万円と報告されております。  教科書につきましては、現在までに被災教科書数は小学校用三十六万冊、中学校用十九万冊、高等学校用三万八千冊、計五十八万九千冊余に上っておりますが、すでにほとんど補給を完了いたしました。  学校給食につきましては、災害救助法発動地域内の学校においては、従来学校給食の実施、未実施のいかんを問わず、政府あっせんの物資による応急給食の実施について県教育委員会に対する指導を行ない、必要な物資の供給に遺憾なきを期したのであります。また、被災により学校給食費の支払い困難となる児童生徒が大幅に増加すると考えられますので、これに要する国庫補助分は、予備費支出によって措置いたすこととなっております。被災学生、生徒のうちには、学業継続が困難となっておる者が相当数あると思われますので、これらの者に対し、新たに育英資金を貸与する措置を講ずるとともに、国立大学等の授業料の減免を行なうことといたしております。  公立学校施設復旧につきましては、早期かつ適切にこれを行ならため特別立法提案し、特定地域の公立学校施設災害復旧費については国がその四分の三を負担ずることとし、その経費の算定に当たっては、原形復旧基準としながら、建物の新築復旧については鉄筋、鉄骨作りによる改良復旧の幅を広げることといたしました。これに要する経費として総額二十一億六千万円の国庫負担額が推定されますので、今次補正予算に十億八千万円を計上いたしております。  公立社会教育施設及び公立体育施設につきましては、特定地域におけるこれが復旧のため国が三分の二を補助するよう立法措置を講ずるとともに、本年度分国庫補助金として、それぞれ四百二十五万円及び三百四万円を計上いたしました。私立学校施設災害復旧につきましても、立法措置により、特定地域における私立学校復旧に二分の一の国庫補助を行なえるようにするとともに、私立学校振興会からの貸付を行なうことといたしました。補正予算には、国庫補助金五千三百万円を計上いたしております。  以上のほか、国立文教施設及び文化財関係災害復旧につきましては、予備費によって措置いたすこととなっております。  以上御報告申し上げます。
  38. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 以上で文部省関係説明を終わりました。ただいまの説明に対し、御質疑のある方は順次御発言願います。
  39. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 大臣に一点お尋ねをいたしたいのでありますが、この全日制の高等学校、これはもう問題ないわけでありますが、聞くところによりますと、との定時制の高等学校が、これは名古屋地区でありますが、今度の伊勢湾台風によって、所によっては、これはまあ生徒が集まって自然に校長がやらざるを得なかったのかもしれませんけれども、定時制のある高等学校では、あの暴風雨の中で一応授業をやっていたというようなことを聞いておるのであります。これは私はっきり学校の名前を今記憶いたしておりませんが、そういうまあ事実を知ったのでありますが、こういう点に対して、ふだんどういう文部省としては措置、指令をされておるのか、一つお伺いいたしたいと思います。
  40. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 文部省としては、常にこれらの問題に対しては府県の教育委員会にゆだねておるわけです。適当な措置は、その教育委員会によってとられるものとなっておるわけでございまして、ただいまお話の特定の県については、私はまだ承知いたしておりません。さようなことになっております。
  41. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 その学校は、結果においては非常に私はよかったと思うのであります。定時制の生徒は昼間働いておるものでありますから、相当みんな骨格もよろしい、途中でああいうような状況になって、そうして避難民がみんなその学校に押しかけて来た。そこで校長が先頭になって、そうしてその避難民の収容に当たった、むろん相当被災者は出ておると思いますけれども。そしてその水の中を夜中を通して、そうして何か教育委員会にパンツ一枚で出かけて行って報告をしたということを、私、
  42. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 簡単に……。文部省関係立法のみならず、このたびの臨時立法はみな災害の激甚地域、あるいは特定地域というような地域を規定いたしておるのでございますが、これは法案が出てきたときに十分審議しなければならぬと思っております。このいかんによって、国がどの範囲において高度の援助をするかということがきまるので、最も大切だと思うのですが、大体追加予算の概数ですけれども、これも計上いたしておりますし、文部省といたしまして、どこにこの特定の区域基準を置くか、こういうことを一つ承りたいと思うのでございます。あるいは全壊はこうする、半壊はこうすると、こういう出方、きめ方ならば、まあわれわれも大体わかるのでございますが、文部省の特定の区域というものをきめる基準考え方、いずれ法案が出たときにこれは十分御質疑せねばならぬ問題だと思いますが、大体今の考え方を承りたいと思います。
  43. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) たとえば公立学校の事例をとって申しますと、著しく被害がまあ大きいという地域を指定するわけございますが、その被害の著しく大きいということは、考え方にいろいろあるわけです。従来文部省立法いたしました事例で申しますと、被害金額とその地方公共団体の財政規模と申しますか、そういうものとの比較検討ということをいたしまして、それに基いてこの被害の大きさというものを検討しておるのでございます。ただいまお話がございましたように、全壊、半壊の学校数だけをとるという考えもございますが、まあ文部省としては、いろいろその点検討いたし  ておるわけでございますが、まだ今日はっきりした結論にはなっておりませんが、やはり設置者である地方公共団体の財政規模にもいろいろとり方があるわけでございますが、それも十分勘案すべきではなかろうかというように、今のところ、いたしておるわけでございます。
  44. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 その点は、そうすると大体公共土木関係被害激甚地の基準というものと考え方は同じと考えてもいいんですか。その被害は、どの範囲の被害をその区域被害とするか、あるいは農林、水産及び公共土木、文教というようなものを全部加えた総和を被害とするのが私は適当と思うのですけれども、そこらはどこらをお考えになっておるか、ちょっと承りたい。
  45. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) これは、御承知のように従来は、たとえば二十人災の場合には、公共土木全体というものの被害額を基準にいたしたようでございますが、その点につきましては、現在私どもの承っておりますところは、関係各省必ずしも歩調が一致されていない、関係各省それぞれの独自の立場で検討するということになりますれば、私どもやはり公立文教の場合は、公立文教施設被害の総額ということでいくべきではなかろうか、しかし、その点まだ考え方が固まったわけではありませんので、いろいろ省内で検討いたしておるわけでございます。
  46. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 最後に希望を申し上げておきますが、二十八年にあった災害について、そういう例があるのですから、少なくとも二十八年の基準より不利にならぬように、目下のところ、お考えになっておるのかどうか、その基準よりも縮小せぬようにお考えになっておるのか、あるいはまた新らしい基準をお考えになっておるのか、その点、一つ簡単でいいですから、お答え願いたい。
  47. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) お話の点につきましては、二十八年災に下回らないようにということにめどを置いてやっていきたいと思います。
  48. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣ちょっと答弁漏れがありますから、催促してはおかしいのでありますが、入学試験の問題ですが、愛知県は実は被害が非常に大きいわけでございますから、先ほどちょっと申しましたように、入学試験の問題については、これは府県の教育委員会に一切のことをまかせておって、文部省としては何らタッチしないのか、するのか、文部省として、何か指導、助言をするかどうか、もし指導、助言をするならどういうことをおやりになるのか。
  49. 松田竹千代

    国務大臣松田竹千代君) 今度の災害の規模は非常に広範であり、きわめて教室が少なくなっておる状況のもとにおいて、しかも教育は一日も休むことはできないという建前をとっておるのでありまするから、自然そこに非常に窮屈な、難儀な点は起こって参ります。すなわち、教室の問題もありまして、二部教授をやらなければならぬ所もありましょうし、また、特別の教室も作らなければならぬというような点もありますし、しかも、それは一方は建築が進まないので、相当長期にわたるというようなことも考えられるし、従って、そこによって来たるところのものは学力の低下というようなことも考えられるしいたしまするので、お話のように試験の問題が非常に問題となっております。今まだこれをどうするかということは、いろいろ検討しておるのですが、まだはっきりきめかねておるというような実情でありまして、地方の教育委員会、教育長の方も、特にこの点については意を用いて考えておられることと思いますが、文部省としてもまだどうせいという指導をするところまでいっておらぬことを、遺憾ながら申し上げざるを得ない実情になっておるということを申し上げておきます。
  50. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 この際、ちょっと資料をお願いしておきたいのですが、それは特殊学校、各種学校の被害状況、それから宗教法人の被害状況、これは資料を要求しまする以上、それに関連した文部省考え方をいずれ次回に伺いたい。
  51. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 重政委員の御質問に関連して私も伺っておきたいのですが、希望もあわせて……。  今、政府委員の言われました公立学校の被害総額と、その市町村の財政能力といいますか、標準税収入に比較してみるということになった場合に、先ほどもお話がありましたように、旧町村であれば適用になるのに、合併をして標準税収入が多くなった、合併すれば多くなるのは当然でありますから……。そうすればかからないという所がたくさん出てくるだろうと思うのです。おそらく文部省文部省でということになれば、公立学校の市町村負担になる被害総額というものをとられるでありましょうが、町村合併をしたがゆえに高率補助の適用は受けられないというようなことになりますと、町村合併したために、災害に要する経費はいわゆる市町村にしわ寄せされたという結論になるわけですから、その場合の課税標準率に対する割合というものが、二十人災のときよりぐんと下げなければ、私は問題にならぬだろうと思う。その点を御考慮いただきたいと思いますが、どういうふうにお考えになっておられますか。一応御意見を承っておきたい。
  52. 小林行雄

    政府委員(小林行雄君) 今、斎藤委員の言われたような事例につきましてまで、実は私ども深く配慮はいたしておらなかったわけでございますが、まあ筋から申せば、新しい市町村の中へ旧市町村が入っているわけでございまして、学校の施設災害復旧は、その旧市町村あるいは旧部落——今の部落でございますが、その部落だけで見るというわけでないという建前からいきますならば、まあ新市町村のものをとるべきであるという議論も出てくると思います。その辺、非常にデリケートでございますので、なるべくまあその市町村として、従来に比べて損にならないように数字を検討してみたいと思っております。
  53. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 それは公共土木も農林水産被害も全部旧市町村を単位にしてやっておるんですが、これはそんなにお迷いにならず、はっきり旧市町村を単位にしてとってやっていただきたいと思います。
  54. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 文部省関係につきましては、なお御質疑もあるのでありまするが、これを後日に譲り、午前の会議はこの程度にし、午後は一時半から自治庁運輸省関係について説明を聴取することにいたします。  休憩いたします。    午後零時十二分休憩    —————・—————    午後一時五十七分開会
  55. 郡祐一

    委員長郡祐一君) これより委員会を再開いたします。  まず、自治庁長官から説明を聴取いたします。
  56. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 本年の発生災害に、自治庁としまして今日まで対処して参りました事項の概略を御説明申し上げておきたいと思います。  本年度は相次ぐ台風及び豪雨によりまして、未曽有の大災害を受けたのでありまするが、これらの災害によりまする罹災者が空然の多きに上り、また多数の犠牲者を出しましたことは、まことに遺憾にたえないところでございます。災害によりまする被害額は、公共施設関係のみでも約二千億円前後ということになっておるのであります。この災害復旧事業その他の災害対策関係経費は著しく多額に上るものと考えられます。自治庁といたしましては、災害発生直後、まず八月それから九月及び十月の三回にわたりまして、被害府県に対しまして普通交付税の繰り上げ交付を行ないまして、二十三県に及んだかと思います。そうして災害に伴う応急の諸措置に対する資金手当を講じたのでありまするが、さらにこの災害関係経費の増高に対処いたしますために、これから申し上げるいろいろな特別措置を講じて参りたいと思うのであります。  まず第一は、災害特例債の特別立法でございます。  その第一が、いわゆる歳入欠陥債及び災害対策債の発行であります。災害による地方税の減免等に基きまする財政収入の減少及び災害救助、伝染病予防等の災害対策費の財源に充てるために、地方債の発行を許可するということが一つであります。  その次は公共土木施設、公立学校施設の小災害にかかる地方債の元利補給であります。公共土木施設の小災害につきましては、一カ所の工事費用が、都道府県につきましては十万円以上十五万円未満のもの、市町村につきましては五万円以上十万円未満のもの、それから公立学校施設の小災害としましては、一校当たりの復旧事業費が十万円以上のもの、こういうものにかかる地方債について国が元利償還費の三八・二%、被害激甚地域につきましては三分の二の元利補給を行なっていこう、こういう考え方なのであります。  その次は農地等火災害にかかる地方債の元利補給でありまして、農地及び農林水産業施設の小災害、これが一カ所の工事費用が三万円以上十万円未満のものにつきましては、農地が五割、農林水産業施設は六判五分の範囲内でありまして、これも被害激甚地域につきましては十分の九の範囲内で地方債の発行を認めまして、その元利償還費について国が元利補給をしよう、こういう考え方を一つ進めて参りたい。  それから次は地方債の増額でありまするが、災害復旧事業の地方負担は、通常地方債で処理することとなっておるのでありまするが、今回地方債の総額を百六十億円——一般会計分として百四十億円、それから公営企業分といたしまして二十億円、計百六十億円を増額したのであります。当初の地方債計画によるものが三十五億円あるのでありまするが、合わせて百九十五億円となるわけであります。これによって地方負担をまかなうことができるようにしていきたいと考えております。  その次は特別交付税による措置でありまするが、災害による財政収入の減少または特別の財政需要の増高に充てるための財源につきましては、従来から特別交付税の配分によって措置することとしておるのでありまするが、今回の予算補正によりまして、特別交付税の総額は約四十一億円を増加することとなるのでありまするが、これが配分に当たりましては、被災団体の財政の状況を十分勘案して遺憾なきを期していきたいと思っております。  その次は災害復旧事業等の国庫負担率の引き上げでありまして、別途審議される予定の災害関係特別立法、これは関係各省からそれぞれ出てくると思うのでありまして、特別立法によりまして、各種災害復旧事業等について国庫負担率を引き上げまして、復旧事業の円滑なる実施を期していくようにしたいと思っております。  これが自治庁として今日までの災害に対して対処していこうという考え方の大筋でございます。
  57. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 以上で説明を終ります。ただいまの説明に対して、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  58. 森八三一

    ○森八三一君 いずれ詳細な質疑は他日に譲りますが、ただいま大臣の御説明のところで、一点だけお伺いしておきます。農林水産業施設の小災害の場合に、「一カ所」という表現がされております。それから土木施設の小災害の場合も「一カ所」という表現があります。それから公立学校の小災害の場合に「一校当たり」という表現があります。その考え方はどういうように整理をされておるのか。先日他の委員からも同様の質問が岸首相にあったと思いまするが、ともいたしますると、この一カ所という基準の取り方が、省によってまちまちになっておるというきらいがないわけでもないと思います。どういうように地方自治庁としては今回の災害に対処されるのか。その考え方。それから一校当たりということは、分教場とか、いろいろのものがあろうと思いますが、そういうものもひっくるめて何々学校というものを一校と考えるのかどうかといったような考え方についての御方針をお伺いいたしたいと思います。
  59. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 公立学校の施設の「一校当たり」というのは、これは従来の普通の考え方は、いわゆる一件当たり——といいますと、運動場についてとか、屋体とか、こういうことであったのを、今、森委員が言われましたように、一学校当たり、何々学校、こういう考えでいきたい、こういうことであります。それから「一カ所」というのは、文字通り一カ所でありまするが、これは公共土木施設あるいは農林施設建設省、農林省でいろいろ考え方があるわけでありまするが、そういうものに準じて考えていきたい。こういう意味の文字通り一カ所ということになります。
  60. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、ここに「一カ所」と表現されておることは、土木工事について、建設省の方で、かりに百メートル以内に存在しておるものであれば、その被害を合計した結果が、ここに示されておるような標準に当てはまるという場合には、それを自治庁としては用いるんだ。それから農林災害の場合には、五十メートル以内のものであれば、それを合計した金額で判定するんだということで、地方自治庁といたしましては、別に指導的な意見はない。各主管省と申しまするか、この工事の主管省の方で定められる標準をそのまま採用するということで、自治庁には一カ所に関する考え方の整理はないというように了解してよろしいのかどうか。重ねてお伺いをしておきます。
  61. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 大体今、森委員が申されましたように、建設省なり農林省でそれぞれ基準を立ててやっておるのでありまして、それに即応するというか、基づいたような考え方でそれぞれの地方で処理されていく。こういうふうなことで、自治庁として特別の基準を示すとか、そういう考えは今のところ持っておりません。
  62. 森八三一

    ○森八三一君 これもしばしば論議されましたが、ここに「被害激甚地域」ということがありますが、自治庁長官として、また対策本部の副部長として、「被害激甚」というこの表現の解釈ですね、これを具体的に一つお示し願いたいと思います。
  63. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) これはまだ関係省の間で最終的結論に達しておりませんので、私からこの際確たることを申し上げることはできないのでありまするが、公共土木施設については、大体建設省のとる考え方に準じていきたい。それから農業関係施設については、農林省のとる考え方に準じていきたい。そういう考え方で今進んでおります。
  64. 森八三一

    ○森八三一君 地方自治庁の長官というお立場でお尋ねするのは少し筋が違うと思いますが、私は、この災害が発生いたしましてから、対策本部の実質上の本部長格で、非常な御尽力を願いました長官に対しては、敬意を表し、感謝をしておるんですが、今回のこの補正予算の編成に際しましては、副本部長という立場で、現地の事情に一番精通していらっしゃるのですから、ほんとうに思いやりのある御主張をなさって下さったと、こう私は理解をして感謝をしておる。そういう立場から考えますると、予算ができたんですから、この被害激甚地域というものの解釈が固まらずに予算を作るというわけには参りかねる。また、窮屈に考えるかもしれませんが、そういう地域の策定というものがあって、そこに十分の規矩を当てはめるなり、あるいはどういうものを当てはめるなりいたしまして、そのトータルが四百何億とかいうような数字になって初めて予算が成立する、こういうことにならなければ筋としてはおかしいと思うのです。そういう立場から、副本部長の立場で、被害激甚地域についてはかくかくの解釈だということがあったはずだと思うのです。がしかし、実施の段階でさらに問題があるから今後変えていこうということについては、私も了解をいたします。今ここでほんとうにそれで実施するのだということにはならぬ、今後法案の審査に伴って多少変わってくる所がある、それはわかりますが、予算編成の過程において、激甚地域というものは一体どうお考えになっているかということがなければおかしいと思うのです。その点いかがでしょうか。
  65. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 予算編成に当たりましては、厳格、正確に申せば、今、森委員の言われたように、積み上げてできるということになると思うのでありますが、しかしまだ調査その他等が十分でない際に、この予算が作られたのでありまするから、一応の大きなめどで、大体、まあ極端な言い方でありまするが、何割なら何割ぐらいが激甚地域になるであろうかということで、一応の大きなめどで編成されておると思うのであります。大体の考え方といたしましては、やはりその地方の財政力といいますか、いわゆる標準税収入と、それから公共施設農林施設あるいは学校施設、いろいろの災害被害額、こういうものを比べまして、非常にそれが大きく上回っておるというような所が激甚地という観念に入っていくと思うのであります。ただし、また地方々々によりまして、県全体としてはそれほどでもないけれども、地域的に非常に集中して深い被害を受けておる所が相当あるでありましょうから、そういう地方につきましては、市町村単位といいますか、地区単位に、またその激甚地を考えていく、こういうことになるかと思うのであります。なお、この標準税収入、つまりその地方の財政力と被害額というものだけでも律せられないような地帯が、中には出てくるかと思いますが、非常な災害中心地であっても、財政力がいいために、比率からいえばそれほどでないということになる所もあるかもわかりません。そういう点はまた一応常識判断といいますか、あまり常識とかけ離れることにならないような考慮が加えられて、激甚地というものがきめられていくのじゃないか、私は大筋としてはさように考えております。
  66. 森八三一

    ○森八三一君 今の点はまだ明確ではありませんが、いずれこれは各省に関係することでありまするから、私、他日に譲りますが、そこで、その標準税収額というものと、被害の査定の結果に基づく額とを対比して、もし後者の方が前者よりも上回っておるという場合には、特別立法による高率補助が適用されるということになると思うのであります。その標準税収額というものは一体いつを基準考えるのか、前年の標準額の実収というものでいけば、これは災害の結果変わって参ります。それから本年の標準税収額というもので考えまする場合でも、既定のもので考えれば、災害後の状態は変わってくる、災害後の状態というものを織り込んだ標準税収ということで考えるのかどうか、その実際の扱いを、私はよくわかりませんが、そういう実際の扱いは、一体どういうふうに考えて処理をされるのか、ただ形式的に過去の標準税収がどうであったからということじゃ、災害対策にならぬと思うのですが、どういう扱いになりますか。
  67. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 原則としまして、今年度の標準税率でかけて算出し得るものが、われわれの考えている標準税収入、こういうふうに解しております。
  68. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、このお示しになった第三項目の歳入欠款等の特別起債ということもございますが、本年の当初予算の額ではなくて、災害後にもう一ぺん計算をやり直したそのものによると、こう了解してよろしいかどうか、それが一点。  それから、かりにそういうように標準税収入額が低い所は、確かに復興の財政的能力がないということはわかります。わかりますが、そういうような財政能力のない所に対しましては、第一項にありますように、普通交付税なりあるいは特別交付税で差引不足額というものはめんどうを見ているのですから、そういうことを一体基準にすることが、災害復興の立場から考えて妥当であるかどうか。極端に申しますると、標準税収というものは非常に低い、低いけれども、それは最後には特交なりあるいは普通交付税で穴埋めになるので、結論からいけば、赤字団体というものは形式の上では存在しない。実体はあります、ありますが形式的には存在しない。そういうものさしを当てはめて高率の補助を適用するという考え方が妥当かどうかということについての理論的な解釈はどうでありましょうか。
  69. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 技術的な問題につきまして、私からお答えをさしていただきます。  まず第一番目の本年度の標準税収入を計算し直すかどうかというお尋ねでありますが、現在の災害土木費国庫負担法等にも、当該年度の四月一日の属する年度の収入ということになっておりまして、今回の特例法は、それぞれの各省で多少ニュアンスの相違は、被害地の指定についてはあると存じますけれども、私どもがただいま考えております税収入をとります場合には、交付税の計算の基礎になります基準財政収入額から算定いたしました税収入を、一応の標準としてとることが適当ではないかというふうに考えている次第でございます。  それから第二点の財政力のない所にはそれぞれ交付税の交付等によって補てんをされているのであるから、その関係においては、財政力は均等ならしめられているので、あえて税収入の差によって手当を変えなくてもいいではないかというお尋ねと考えられますが、この点につきましては、御承知通り交付税を計算いたします場合にも、税の全額を引き当てにして交付税を算出せずに、県におきましては八割あるいは市町村においては七割というようなものを一応基準財政収入に算定をするわけでありまして、あとの二割なり三割というものは、その団体のいわば計算外と申しますか、それぞれの団体の実情に応じて使用し得るように、基準財政需要額の外において計算をいたしております。従いまして、税収入の多い所と少い所では、今申し上げました二割、三割の額の違いが相当ありますので、やはり一般的な財政力を測定いたします場合には、標準税収入をとるのが適当ではないか、かように考えている次第であります。
  70. 森八三一

    ○森八三一君 今の事務的な答弁はわかりましたが、大臣にお伺いしたいのは、前段にお答えになったように、四月の交付税算定の基礎になっている標準税収というものを基礎にして考えるということは、災害の発生後における状態が非常に変わってくるのですから、それをものさしに当てはめるということは、ほんとうに被災地における復興をはかってやろうとする政府の思いやりとは、財政的に非常に変わった結果が出てくると私は思うのです。それでなければ非常にけっこうですが、私はそう思う。その点を一体どうお考えになるのですか。  それからあとの場合にいたしましても、標準税収入額の八〇%なり七〇%というものを一応考える、多少のゆとりを持っておる、そのゆとりというものがあるからということで考えるということも、果して妥当かどうか。その残りの額にもよることです。額にもよりまするが、必ずしも全体の額が大きくない場合には、残っておる二割、三割というものも小さいですから、そういうことを標準にするということは、災害復旧ということを考えますと、非常に不満足な状態が残る。不満足な状態が残りますということは、地方の自治体に対して将来に非常な瑕瑾を残すということになる。それを一体どうお考えになるのか。その点をお伺いします。
  71. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 一応の基準を立てるに当たりましては、先ほど申し上げたような考え方でいかなければならぬと思うのですけれども、そういうことでずっと割り出して見て、いろいろ不均衡なり不都合の生ずる所については、特別交付税の配分なりに当たって十分考えていきたいという建前で進んでおるわけであります。  それからいま一つ申し上げておきたいと思うのでありまするが、このいろいろの施設災害と標準税収入とを比較して考え方を出していくわけでありますが、いま一つは、災害救助費が、いわゆる標準税収入の一%なら一%をこえたというような市町村特例法の対象として考えていくというような考え方も加味いたしまして、大体森委員が心配されているようなところは解決していくのじゃないかと、私ども考えております。
  72. 森八三一

    ○森八三一君 今の御答弁では私はまだ納得ができません。ただ、昭和二十八年とか、過去の災害にはそういうものさしを当てはめてやったのだからということでもありましょうが、今回のような空前の大災害に対処いたしますためには、過去におけるものさしに不合理なものがあったといたしますれば、これを改めていくという態度をとらなければならぬと思うのであります。  そこで、私一人で質疑をいたしましてもいかがかと思いますので、もう少し私もこの点については数字的な検討をいたします。私の申し上げたいことは、今お話しになったような、四月の交付税算定の年度当初における標準税収入額というものを基礎に置いて考えるということは、ほんとうに災害復旧をはかる趣旨には沿いかねる場合が必ず存在をすると思いますので、そういう点について、もう少し大臣御研究を願いたいことと、それからあとの方に申し上げましたが、特別交付税、そういうもので穴埋めをされるにいたしましても、高率補助の適用があるかないかということでは非常に変わってくるのです。問題は違うのです。だから、そういうものさしが違っておりますると、公共土木にいたしましても、あるいは農業災害にいたしましても、その他の標準が全部そういうことになるというと大へんなことになる。そういう点ももう少し御研究願いまして、いずれ地方自治庁関係につきましては、詳細な質疑が行われるときがあろうと思いますので、そのときにもう一ぺん繰り返してお尋ねいたします。大臣の方でも十分一つ御研究おきを願うことをお願いいたしまして、一応私はきょうの質疑は留保して終わっておきます。
  73. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 私も罹災の度合いと、それからそれに対するいろいろな災害の手当と申しまするか、対策が、非常に不均衡を生じたり、ちぐはぐになっては大へんでありますので、そういう点は十分気をつけて、不公平のないように万全の注意を払って対処していきたい、かように思っております。
  74. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 ちょうど森君からお話がありましたので、この際、私も一言つけ加えて自治庁長官にお願いをしておきたいと思います。  自治庁長官は、地方災害対策本部最初から最も熱心に現地指導をしていただいておりまするから、今度の伊勢湾台風につきましても、実質上はだれよりも閣議の中ではよく御存じ。そこで、ただいまの森君の御輿間のように、標準税収入をもって単なる特例法の基準にしていきますると、現にいろいろな問題が実はあるのであります。私もいずれは具体的に検討する機会がありますので、きょうは申しあげませんが、もっとも激甚の所が入らずに、そうでない所が入るとか、いろいろ矛盾を生ずるので、これは全く森君のお話の通りでありまするから、ことにこの基準をきめる場合には、地方自治庁関係意見が強力に動いていくべきものだと私は考えますので、どうぞ今の点につきましては、一つ今回の災害について、あらゆる観点から御検討いただいて、特例法の基準の実施をどういう地方にするかという点につきましては、どうぞ自治庁長官の意見が強く反映いたしまするように御検討をいただいて御実施を願いたいことを持に希望しておきます。
  75. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 私は、ちょっと今の説明の中で、もう一度十分説明してもらいたいところがありますのでお伺いいたしますが、三の(1)の農地等小災害関係、それから(2)の土木施設等小災害関係、この中における「事業費の農地十分の五、農林水産業施設十分の六・五(被害激甚地にあってはそれぞれ十分の九)の範囲内において、地方債の発行を認め、」とありますが、これは、たとえば十あるものを十分の六・五しか地方債を認めないということなんですか。その点をちょっとお聞きしておきます。それからもう一つは、その次に「国が元利補給をする」ということがありますが、その地方債について全額これは元利補給する意味かどうかをちょっとお伺いしたいと思います。
  76. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 今、安田委員の言われました通りでありまして、農地の場合はそれで元利補給はその全部をやる、それから土木の場合はまたいろいろこまかく分かれます。それで初めて一般の公共施設の方と歩調が合う、ちょうど比率が合うと、そういうことになる。
  77. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、この(2)の方の土木施設等の小災害についての方は、この起債が、地方債についてはこれは被害額総額について起債を認めていく、そうして起債がかりに十としますと、そのうちの三八・二%ですかだけを元利補給すると、こういうことなんですか。ちょっとその考え方が、非常に前段の方は起債を押えていく、そうして全額元利補給する、あとの方は起債は大幅に認めるけれども、元利償還金の方において、元利補給は極度に押えていくというような、逆の形がこの中に出ているわけなんですが、これについて一つどういう解釈か、前段と後段に分けて御説明願いたいと思います。
  78. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 私から事務的に御説明を申し上げたいと思います。  農地の場合にありましては、御承知通り農地の所有者はそれぞれの個人が持っておられるわけでございますので、通常でございますならば、所有者がみずから復旧事業をやられるわけであります。今回、被害が激甚であることにかんがみまして、この場合に市町村がいわばその事業を代行するという考え方をとっておるわけでございまして、市町村が代行いたします場合に、本人の負担市町村が持ちますと申しますか、これをどういうふうに規制をするかという問題でございまして、これは昨年度の狩野川はんらんの場合にも同様な措置が前段についてはとられたわけでございまして、要するに、総事業費のうち市町村が起債をいたしまして持ちます部分が、農地については五割、農林水産業施設については六割五分、あとの残額につきましては、それぞれ団体なり、あるいは個人なりが持っていただく、こういう考え方に立っておるわけでございます。  そういうものでございますので、市町村負担をするというよりは、国が農業政策の立場から、積極的に農地復旧に対して援助を与える、こういうようなことで起債をいたしました分については、全額元利補給をいたしまして、市町村負担を残さない、こういう建前でできておるわけでございまして、また九割の面も、被害激甚地については同様の考え方でできておるわけでございます。ところが、公共土木施設の場合でございますと、これは市町村が管理をしておるわけでありますので、これは国がめんどうを見ようと見まいと、市町村みずからの負担において、あるいは府県みずからの負担でこの事業をやっていかなければならない。それに対して、国がどれほど今回の災害について援助を与えるか、こういう問題でございまして、その場合には、全部起債で一応やるわけでございますけれども、特に小災害のうちの大きな部分と申しますか、市町村の場合は五万円以上十万円未満、県の場合は十万円以上十五万円未満のものにつきまして、国がその元利償還金の三八・二%の元利補給をする。被害激甚地については三分の二の元利補給をする、さらに市町村については財政援助を与えていこう、かような考え方に立って立案をいたしたわけでございます。
  79. 小酒井義男

    小酒井義男君 今の質問に関連して……。これは小さな部分的な問題ですけれども、土木施設等の小災害の場合に、元利償還金三八・二%という表現がしてあるんですが、そのほかの場合は十分の五であるとか、十分の六・五であるとか、三分の二であるとかというふうに出ておって、ここだけパーセントで出されておるんですが、これはどういうわけでしょうか。
  80. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 私からお答えさしていただきます。三八・二%といたしましたのは、現在市町村が単独事業で——県も同様でございますが、単独事業で行ないます災害復旧につきましては、交付税の計算上、その二八・五%をいわゆる基準財政需要額というものに算入いたしまして財源措置を講ずることになっております。で、今回、これにさらに三八・二%を一方元利補給として加えまして、両方合わせて、大体三分の二の、六割六分七厘くらいになりますので、大体三分の二でございまするが、それで財源措置をしていきたい、まあかような考え方から逆算して出したようなわけでございます。
  81. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 もう一つお聞きしたいのですが、カッコ内の被害激甚地のことですが、これは他の方からも質問があって、それについてのお答えもあったわけですが、開くところによりますというと、市町村被害額とそれから戸数とを対比して、一戸当たりの被害額を出す、それが標準になって被害激甚地の指定が行なわれるということを聞いておるわけでございまして、その額が大体三万円くらいだということを聞いておりますが、果してそういう考え方でおられるのかどうかお聞きしたいと思います。  それからもう一つの問題で、実はこれは局地的な問題ですが、山梨県の早川あたりですけれども、現在まだ交通がとだえておりまして、米を町村に持っていくためにも、運賃が二千円かかる、けさあたりの地方新聞を見ますというと、二級酒が一升七百円もするというような状態なんです。すべての物価が上がってしまって、町村当局は傍観しておる程度で、どうにもならないというような状態があるわけなんでございますけれども、奥の方まで道路が開通するのには年内一ばいかかるというふうなことを聞いておりますけれども、そういうふうに非常に災害によって農地や公共土木施設被害を受けたばかりではなく、そういうあとの運賃等につきまして、非常に生活費が暴騰して被害をこうむっておるわけなんです。こういう地域に対して、何か政府筋において、特別に交付税なりあるいは起債を、被害にプラス・アルファして、そういうものを将来認めていかないと、なかなか町村は立ち上がりができないということになるのではないかと思うわけでございますけれども、こういう点についてのお考え一つあわせて伺いたいと思います。
  82. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 今言われました農地被害等についての考え方は、農地災害の方で農林省が持っておる考え方でありまして、それから公共施設の方についての建設者の考え方は、また建前が違うようでありまするが、建設省の方の考え方は、まだ最終結論に達していないようであります。最初申し上げましたように、今回のこの特例法でとる考え方は、建設なり農林なりで出し考え方に即応してやっていこう、こういう考え方でございます。  それから今の、物価が上がるという問題につきましては、罹災直後の物価の取り締まりについては、暴利取締会とかいろいろのものを適用して取り締まっておるのでありまするが、非常に山間僻地の交通不便等のために、実際の問題として相当高くかかるというような所について、果してそういう暴利取締令等を適用していいかどうかは、これは検討の余地があると思いますが、今言われたそういう問題について、さらに起債であるとか、あるいは特別交付税を認めてくれとかいう問題については、ここでそういうことも配慮してみたいとかどうとかということをお答えすることはまだできないと考える次第であります。
  83. 田中一

    ○田中一君 関連質問。どうも納得いかないのですが、これは建設省の方針がきまれば、建設省並びに農林省は、自分で分担したいものは全部引き受けるのでございますと、こうあなたは言いたいのだろうと思うのです。しかし、ここに一カ所の工事の費用が三万円以上十万円未満、これ以上のものはむろん国が見るわけなんですが、三万円以上十万円未満ということになっておる以上、三万円以下はあなた方が自主的にきめなければならぬ。三万円以下の、工事が少い場合、地方財政でまかない切れるものならいいけれども、そうでないものが数多くあった場合には、当然これは地方自治体も財源に苦しまなければならぬわけです。農林省では、かりに公共土木の場合を見ましても、県単十五万というもの、あるいは市町村十万というものを算定する場合には、一カ所云々ではなくて、関連する個所というものは認めているのです。公共土木の場合には、二十メートル以内に二つの工事があった場合、こっちが八万円、こっちが三万円の場合は、これは十一万円と認めている。一カ所の場合、八万円とあれば、補助対象にならない、八万円と三万円で十一万円になれば、これは認めておる、こういう措置をとっておる。農林省も同じように五十メートル以内に同種類の工事があった場合には、その二つを合わせて、あるいは三つを合わせて十万円以上の分は、国の補助対象にしようということを言っているのです。今お示しのものの中にも、公共土木の場合は、五万円以上十万円未満、それから農地等小災害の場合には三万円以上十万円未満になっている。三万円以上五万円以下の場合にはどうなるかというのです。これは建設省がきめたらその方針に従うということは、建設省もそれをきめない、農林省もきめない、そういうものは対象にならない、対象になるものとしては、今言われた通り公共土木の場合には二十メートル以内のものに対して、二つの小災害があった場合には、その二つを合わせて十万円以上のものはそれを認めよう、農地の場合には、五十メートル以内に二つのものがあった場合はそれを認めようという措置をとっている。少くとも自治庁は、地方財政に対するところの苦しさを補うために、今度の場合でも数々の立法措置をしようとしておるのです。従って、自治庁自体できめなければならぬという問題がここにあるわけです。三万円以上五万円以下の小災害に対してはどう措置するか、そういう問題が幾らあろうとも、その市町村が財政上の破綻を来たそうともおれは知らぬという態度をとるならば、そのように表明すればいいのです。実際上あなた方の方で調査しておらないのだから、その点わからないのでしょうけれども、二十八年災にいたしましても例年の災害にいたしましても、どういう措置をとっているか、今度の災害は口をきわめて、あなたが言っておるように、大災害であるから、地方財政が非常に困るであろうからそれを救済しなければならないという精神から数々の立法をしようとするなら、そういうことを建設省だ農林省だということに籍口して、自分の、自治庁長官自分で判断すべきものを、今ここでそういうような答弁ではいけない。あなた自身の判断で答えて下さい。
  84. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 私が申し上げましたのは、今あなたが言われたように、建設関係の工事については、たとえば二十メートルの中にあるもので関連しておるものであれば、それで十万円なり十五万円なりの判定をしていく、こういうことを言われたわけでしょう。私は先ほど建設省なり農林省考え方に、この面についても即応していくということは、やはり一カ所の五万円であるとかそういうものの考え方の出し方について、今度限度を下げる面についても比率が取れねば工合が悪いから、同じような考え方をとっていきたい、こういう意味で申し上げたのであります。
  85. 田中一

    ○田中一君 それがおかしいのです。これは災害の数の問題と非常に関連があるのです。そういう小災害が少ない場合はいいのです。ところが三万円以下とか五万円以下というものは、これもやはりあなたの言いたいのは、建設省が二十メーターときめたならば二十メーターにしよう、農地災害の場合は五十メーターときめれば自分も三万円以下のものが五十メーターの範囲内にあったら、二つ合わせて三万一千円になったら、この特別立法で認めていこうというようなことを考えておられるのでしょうけれども、少なくとも数の問題です。これが数十カ所、数百カ所というものがあった場合には、これをやっぱり救わなければ地方財政は破綻を来たす。一カ所の金額が少ないからといって、数の多い場合には困るわけです。そこで、私も。せんだっても建設大臣にも言ったのですが、小災害の実態というものをお調べになっておりますかというのです。ただ県や市が自分の方で言ってきたというだけであってはならないというのです。毎年々々大災害が来るわけではないのです。昨年も一昨年も少なかったのである。その場合に、自治庁としては実際の小災害の実態をお調べになっているかということを聞きたくなってくるのです。従ってこの際、あるいは三万円以下のものに対する措置、公共土木は五万円以下に対する措置政令等でこれをきめるとか、あるいは通牒で基準をきめますという答弁ならよろしゅうございますけれども、ただ単に国が補助するという、該当するようなケースだけでもってきめたのでは、自治庁長官本来の職務というものは完遂できないわけです。あなたは少なくとも地方債の現状から見て、この区域、この市町村はこういう実態だから、特別な措置をするのだという考えを持つならいいけれども……。そういう点、その上のものはいいけれども、下のものをどうするかという点について伺っておるわけです。それに対して従来どういう考えをもって対処しておったか、伺いたいと思うのです。
  86. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 先ほど大臣がお答えをいたしました建設省なり農林省なりのきめた線に従ってと申し上げました点については、二つの点がございます。一つ被害激甚地、私どもはただいま考えております起債の特例に関する法律では、通常の場合には、たとえば土木小災害については三八・二%、あるいは農地につきましては五割、六割五分で起債の充当をいたしまして、国が元利補給、そのほかに被害激甚地については九割なりあるいは三分の二なりの元利補給をする、こういうことを申し上げているわけでございまして、その被害激甚地というものは、建設省なり農林省なりがそれぞれ被害激甚地として高率品補助を適用いたします場合の基準として定めましたものに準拠して参りたいということをお答え申し上げたのが第一点でございます。  それからもう一つは、一件当たりの工事費というものをどういうふうに判定して三万円以上なりあるいは十万円以上なりを認めるかという問題について、これも現在の建設省あるいは農林省関係では、それぞれ二十メートル以内に連続しているとか、あるいは五十メートル以内に連続しているものというようなものを取り上げまして、それぞれは多少金額が落ちておりましても、合算して一定金額以上ならば取り上げるということになっている。これも大体建設省なり農林省なりの考え方に準拠していきたいということ、この二つの点を申し上げたわけでございます。  第一点の問題につきましては、先ほどから大臣がお答えした通りでございますが、第二の点についてさらにお尋ねでございますが、これは農地の場合と土木の場合には多少取り扱いが違うのではないかというふうに考えられます。と申しますのは、土木災害の場合におきましては、一応元利補給の対象にいたしますものは、市町村では五万円以上十万円未満、府県では十万円以上十五万円未満といたしておりますけれども、先ほども申し上げましたように、土木関係災害復旧費は、かりに国庫の援助がなくても、当該団体が、市町村なり県なりが実行しなければならない、そういう意味では従来も起債は所要事業費の全額を目途として承認をしているわけでございまして、従いまして、さしあたりの復旧事業が財源がないためにできないというようなことのないようには従来とも配慮をいたしているつもりでございます。ただ、農地の場合には三万円以下のものをそれではなぜ取り上げないかという問題でございますが、これは先ほど来申し上げましたように、農地は本来個人が持っておいでになるものに対して、国がどれだけ財政援助を与えていくかという問題でございまして、それに対して市町村は一応代行機関的な役割を果たしますけれども、市町村負担は残らないという建前で全額元利補給の対象にしているわけでございまして、その辺、ちょっと農地の場合には取り扱いを異にしておりますのを御了承願いたいと存じます。
  87. 米田正文

    米田正文君 今のに関連がございますが、お話の通り市町村なり県なりへ国で助成をする、補助をする災害のほかに、県なり市町村で単独に復旧事業をやらなければならぬいわゆる単独災害というものがあるのは御承知通りであります。その単独災害のうち、ここには小災害の分を取り上げているわけであります。その他の分について、今のもその一部ですけれども、三万円以下というのもその一部ですが、むしろ県でいえば十万円なり、それ以上のものも単独災害になるということがあるわけです。従って、私は今の三万円以下という問題も含めてではありますが、全体の単独災害のワクがやはり従前通り二カ年程度で完成ができるように、この予算としてできるような措置になっているかどうかという点を一点お伺いしたいのです。
  88. 松島五郎

    説明員(松島五郎君) 従来通り方針で大体復旧することを目途として起債その他の配慮をいたしたいと、かように考えております。
  89. 米田正文

    米田正文君 それで、国で助成をする工事には、それぞれ定義があって、なかなかやかましい厳格な定義があって、とれない分があるのです。いわゆる道路の問題でいえば、道路の砂利だけが流れたといったようなものは、災害復旧の範疇に入らない、そういうものは今度非常にたくさんあるようですが、それらに対する措置をとれるように、一つこの中で御配慮を願いたいと思います。そうして、一つ確実に二カ年でやれるように、予算の組み方を十分しておいていただきたいという点をさらに念を押したわけですが、もう一つは、今度は御承知のように八月の水害あるいは七月の水害では、山地の、治山の問題あるいは砂防の問題が非常に問題になりました。いわゆるこれは緊急治山なりあるいは緊急砂防として実施をする建前になっておりますが、これも今度のそれぞれの省では予算増額が非常に見られました。そうして従来は今年度だけの緊急砂防なり緊急治山であって、予算は翌年度からは一般の砂防なり治山なりに切りかえている、今後はそうではなくて、一定計画、三年くらいの間は緊急治山、緊急砂防でやる制度になったということを各省で言っております。従って、そうなると従前考え方と変って、従前、砂防のごときは翌年度からは起債の対象にならない、あるいは交付税の算定の中にも入らないという制度であったが、今度その点について、各省の事業の進捗状況に対応する自治庁方針をお伺いをしておきたい。
  90. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 私、今回の災害につきましては、機会を見つけては各地を見ておるのでありますが、今御指摘になりましたように治山なり砂防をやらなければ、下の方は原形復旧か改良復旧かという問題でなしに、上をやらなければ全然意味をなさないようなところを所々に見るのであります。今度の緊急治山なり砂防の問題につきましては、起債その他についても各省の計画に即応して十分留意をしていきたい。従来の取り扱いがどうなっておるかは別にいたしましても、こういう問題には対処していきたいという気持で検討を進めております。
  91. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 特交なりあるいは地方税の地交をやる場合に、特に四月の基準財政収入額、需要額、そういうものを標準にして大体やっていきたいというようなふうに財政課長はお答えになった。それから大臣は検討中だというように承りました。一般論としてやられる場合に、特交や地交をやられる場合に、基準財政収入額を基準にしてやるということを課長は標準にとると言う。大臣は検討中だというようなふうに答弁を留保しておられます。自治庁は、実際税の配分をする場合に、もう今までも四月のときにやったときも、お前のところは富裕県だから特交はやらぬぞ、交付税は必要ないじゃないかというように課長の答弁だと聞こえます。大臣の方は、そこのところはもう少し検討してからお答えしようじゃないかというようにおっしゃっている。答弁に二通りあります。そこで草葉さんの方からは、そんなことはやっては大へんだから大臣検討し直しなさいよという要望が出ておる。だから私が聞いておる問題もさっぱりわからぬ。自治庁は一ぺんもう富裕市町村にはやらないぞということの腹をきめておるが、この場は一つ逃げておこうじゃないかというように聞こえるが、一体自治庁の態度はどっちなのか。これは明確にしておいてもらわないといかぬと思います。御答弁を願います。
  92. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 普通交付税を配るとか、あるいはいろいろの財政計画を立てるという場合には、それは標準税収入とかそういうものが一応の基準になるのであります。それからまた今回の災害のいろいろの特例法を適用するかどうかにあたっても、標準税収入といろいろの施設災害額との比率というようなことも、これはもちろん一つの材料になるのでありますが、しかし、私が申し上げますのは歳入欠陥債を認めたり、あるいはまた特別交付税を配ったりしていく場合の考え方としては、そういうことだけでもこれはできない場合がありますので、歳入欠陥債を認めるか認めぬかという場合の一つの例としても、標準税収入と災害救助法で要ったような費用との比率であるとか、いろいろの要素を加味して考えていかなければならない。ことに特別交付税を配る場合には、被災地の現状であるとか、あるいはいろいろなものを考慮に入れて私は判断していきたいと思いまして、成瀬委員が言われているのは、名古屋市の場合の問題だろうと思いまするが、名古屋市なんかについても、これは富裕団体でありますけれども、こういうものを配分するにあたっては十分地元の事情を考え、検討して算定をしていきたい、こういう気持でおるということを申し上げたので、私と財政課長の答えと別にむじゅんはしていないと思うのであります。
  93. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 おっしゃる歳入欠陥債の問題は、いわゆる小災害等に関する地方債の特例であって、それが地方特交なり、あるいは地方交付税の方にもそういう考え方でやっていくから心配はないというような方針のようですが、再確認をするというわけじゃございませんけれども、当然歳入には当初の計画に欠陥が生ずることは当然のことです。だから交付税の問題、あるいは特交というものは再検討されるのが当然のことです。だから、長官がおっしゃるのはその通りなんですから、そういうふうにおやりになるものと私たちは了解しておって、あれをにらみ合せた、これをにらみ合せたというものではなくて、当然歳入欠陥というものが出ることは、これはたなごころを指すように明々白々のことなんですから、ですから、それはそういうふうにおやりになるものと了承してよろしゅうございますか。
  94. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) よろしゅうございます。
  95. 米田正文

    米田正文君 もう一つお尋ねしますが、この小災害農地も土木も両方ともですが、これはここに書いてあるのは特例ですね。そうすると、特例のまた特例になっているように思うのですが、三段になるのですか。三段というのは一般の従来の現行法でやる分と、それからある程度被害の大きいものは、ここに書いてあるカッコでないものが次の段で、そのまた特例、その三段になる。三段法ですが、これは当然基準も二つできるわけですね。その今の政令できめる分も。そういう趣旨ですね。
  96. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) その通りであります。
  97. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 ちょっと起債についてお尋ねいたしたいのですが、災害復旧事業費の地方負担に嘱するもの、これは初年度においては一〇〇%を認められておるようだが、従来の例をもってすれば次年度に回ったものはこれは七五%になる、あるいは三年度の分は六〇%になる。それがために地方の事業がついおくれて、そうして今度あたりも、それがすべてではないけれども、災害を大きくした原因にもなっておりまするので、今度の災害復旧事業は三年間にわたるものでも三年の継続事業で完成する。ところが、幾ら継続でやろうと思っても地方の負担力がなくなっておって、そこを一〇〇%認めてもらえばいいけれども、七〇%、六〇%になると、勢い延びてしまうおそれがありまするので、初年度と同様に三カ年間完成するまでは同じ割合で地方の起債を認めていただくようにしなければならないのではないか。これは各省を回ってみますると、それぞれの地方から熱列な要望がありますが、従って、これを希望を持ってお尋ねをいたすわけであります。  いま一つ災害の起債額が百万に達しないものはこれを認められない。地方ではこれを五十万に引き下げてもらいたいというのを、最近今度八十万ぐらいで一つどらかというようなことを漏れ伺っておるのでございまするが、これもまだ確定ではありますまい。そこで、われわれはぜひ一つ五十万まで下げてもらいたいというのが災害地、ことに小規模の自治体において要望されておることでございますので、これも希望を持って御質問をいたす次第でございます。
  98. 石原幹市郎

    国務大臣石原幹市郎君) 起債の充当率につきましては、私ども地方へ出て最も聞く問題の一つがそれであります。それで今まで初年度は予期せざるものが起こったのだから一〇〇%見てやらなければいけまい。次年度になると、ある程度地方でも準備してもらわなければなるまいというので、百とか、次年度の七十とか、三年度の六十という一応の基準が出ておるわけでありますけれども、私は現在のいろいろの地方財政の現状から見たり、ことに本年のような被害の大きい状態から見ると、これはできるだけ上げていかねばならない。現に年々少しずつこの率を高めてもらうように努力をしておるわけであります。またその配分にあたりましても、財政力の弱いところとかあるいは激甚地であるとか、そういうところにはなるべくたくさん充てるように、ことしあたりの配分にあたってもそういう考慮は十分払いつつやっておるつもりでありますし、またこれを増額することについては皆さん方の御援助、御協力を得て、このワクをふえるように一つ努力してもらいたい。  それからもう一つの八十万の件は、五十万という希望があるということは、私もよく聞いておりますけれども、まあ八十万くらいがどうだろうかというようなことで折衝し、検討しておるのでありますが、なお御意見を参考にして参りたいと思っております。
  99. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 十分御研究を願います。
  100. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 自治庁関係につきましてはなお質疑がありまするが、これは後日に譲ることにいたします。   —————————————
  101. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 次に、運輸省関係被害状況及び対策について説明を聴取いたします。
  102. 前田郁

    政府委員(前田郁君) 運輸省の災害関係予算措置について御説明いたします。  資料はお手元に差しあげてありますが、御承知通り鉄道、港湾その他に非常な災害をこうむったわけでありまして、施設等の被害台風十五号関係で四億六千五百三十六万一千円、その他が五億二十八万三千円、計五億一千五百六十四万四千円でありまして、これらの災害復旧については既定経費の充当、流用または予備費使用によるものとして、一部三十五年度に概算追加要求を行なうことにいたしたわけでありまする  災害対策費といたしまして、気象庁に台風を観測し、高精度かつ適切なる予報を行なうために、室戸岬に気象用レーダーを新設するための必要な経費を三千四百六十万二千円要求いたしました。それから台風襲来時における高潮予報を実施するため、東京、大阪、名古屋の三カ所に無線ロボット検潮儀を設置するための必要な経費を六百五十三万一千円要求いたしました。合計四千百十三万三千円を補正予算において要求いたしております。  それから公共事業費におきまして、まず港湾の公共事業費について、次の通り予算補正要求を行なっておるわけであります。伊勢湾高潮対策事業費の一部を補助するために必要な経費といたしまして五億八千万円を要求いたしております。それから昭和三十四年の豪雨及び台風等により被災した港湾施設災害復旧工事と、あわせて一部改修工事を災害の関連事業として施行するのに必要な事業費の一部を補助するため必要な経費として、三千三百七十五万三千円を要求いたしております。なお、昭和三十四年の豪雨及び台風等による港湾施設災害復旧事業費の一部を補助するための必要な経費といたしまして四億八千七百六十二万六千円、それから既定の港湾事業付帯事務費の追加といたしまして六十八万円、計十一億二百五万九千円の要求をいたしておる次第でございます。  以上の通りでございます。
  103. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 以上で、運輸省関係説明を終わります。  ただいまの説明に対して御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  104. 森八三一

    ○森八三一君 今度の災害に関連いたしまして特例法が制定せられ、補正予算が成立いたしますると、活発に復旧の仕事が進行していくと思うのであります。そういうことになりますると、被害の激甚地域におきましては、かなり復旧資材の輸送運搬ということがひんぱんの度を加えていくと存じます。さらにそういう地域に対しましては、人の出入りも非常に多くなるということが常識的に考えられるのであります。そこで、国鉄の今までの既定の駅だけでは、そういう復旧の仕事を早く完全に進めていくためには不十分であるというような場所ができるのではないかというように考える。そこで現在の駅と駅との間に臨時の駅でも作って、復旧の仕事に円滑を期するという措置をとるべきであると思いますが、そういうようなことをお考えになっておるのか、おらぬのか。また私が抽象的にそういうことを考えておりまするけれども、そういう地点を具体的に想像せられておるかどうかという点についてお伺いしたい。
  105. 前田郁

    政府委員(前田郁君) ただいまのお話でございますが、目下のところ、まだ具体的にそういうことは考えていないわけでございまして、従来の施設をば運用して、そうして緊急の用を果していこう、こういうわけでただいまやっております。
  106. 森八三一

    ○森八三一君 私の申し上げておるのは、今具体的にどこということは申しあげませんが、もし復旧の仕事を経済的にしかもスピーディに進めていくということのために、貨物の積み下し等について、そういうことを考えることが妥当であるというような事実がはっきりして参りました場合には、そういうような臨機の措置をとるというお考えを持っていただかなければならぬと思いますが、いかがでございますか。
  107. 前田郁

    政府委員(前田郁君) ただいまのお話はごもっともでございますが、もう現在途中あたりにおいて積み下しをしなければならぬ場合はやっておる次第でございます。
  108. 森八三一

    ○森八三一君 お話のように今の運輸省なり国鉄当局措置によって、私も十分措置されておると思うのでありますが、復旧が本格的に始まって参りますると、現在の情勢よりは変わった情勢が生まれてくるであろうとも想像せられる。今までの頭だけで考えておっちゃいかぬので、政府全体をあげて復旧の一日もすみやかであることを念願せられておることは申すまでもないと思う。そのために国鉄が協力をし、施策をめぐらしていくということは当然であろうと思いますので、そういう事態が発生した場合には、そういう措置をとるということについて考えを及ぼしていただかなければならぬと思いますが、それでも既設のことで十分だということにはならぬと思うのです。そういう具体的の事態が発生した場合には、当然来年の台風期までには提防その他のこともやらなければなりませんし、厳寒を控えて住宅の復旧等についても十分やっていかなければならぬ。そのために資材の運搬等についてちょっとした仮駅を作れば非常に都合よくいくという事態が生まれた場合にはとるという考えを持つべきだと思いますが、いかがですか。
  109. 前田郁

    政府委員(前田郁君) ただいまのお話でございますが、具体的に研究いたしまして、どうしてもただいまのお話の通り緊急処理をしなければならぬという場合は、国鉄とよく打ち合わせしまして、臨機の措置をとりたいと考えております。
  110. 森八三一

    ○森八三一君 今の御答弁で趣旨は了解いたしましたが、国鉄の運営が非常に経済的に難儀をしておるというときですから、既設の施設によっては十分まかない得ないというようなことに追い込まれる危険が私は多分にあろうと思うのです。そういう感覚ではなくて、この際は被災地における復旧に全力をあげて協力をする。国鉄の赤字という問題が先へくるのではなくて、復旧のために国鉄は最善を尽くすという考えを先へ出して、具体的な事例が発生した場合には善処をしていただくということを希望いたしまして、質問を終わっておきます。
  111. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 お伺いいたしますが、先ほどからの御説明によりますと、運輸省の公共事業としては、補助費ばかりのようですが、直轄工事をやっておられるところで、今度直轄で災害復旧をやられるというところはないのですか。
  112. 前田郁

    政府委員(前田郁君) ただいまのところでは全部補助港湾でございます。
  113. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 もう一つお伺いいたします。海岸保全としてやる部分について、港湾の地域であってもこれを一元的に海岸保全の見地から建設省でやらせるというような話が、港湾あるいはその港湾地域の一部について出ているかのように聞いておりますが、そこらの話し合いはどういうようになっていますか。あるいはそんな話はまだ全然出ておりませんか、運輸省内部で。
  114. 前田郁

    政府委員(前田郁君) 港湾等につきまして建設省でやっていくことは、ただいまのところでは何ら聞いておりません。
  115. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 港湾の区域には指定をされているけれども、しかしながら海岸保全の見地からこれは建設省、あるいは県で統一した方がよろしいというので、県を通じ建設省から協議があった場合には、なるべくその協議に応じるようにお願いをいたしたいと思うのですけれども、それについての御所見を承っておきます。
  116. 前田郁

    政府委員(前田郁君) まあ運輸省といたしましては、港湾内のことについて今やっているわけでありまして、なおそのほかのことについては建設省の方と相談していることもあるのでございまして、港湾の方だけは運輸省でただいまやっております。
  117. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 今の問題に関連して。御承知のように、実は海岸堤防その他海岸の保全等は海岸法によってきめられている。その海岸法には普通の場合は建設省、それから干拓の場合は農林省、漁港の場合は農林省、大体三省で海岸法による保全区域というものを指定されている。ところがそれがまちまちになっているために、そのまちまちになっている悪い結果が今度の災害に大へん悪く響いてきている。こういう実情がただいま斎藤君のお話になった今後の海岸のあるいは復旧なり、あるいは改良なりには一本でやったらどうかという意見が地方には強いわけです。そこで、運輸省が海岸法による保全区域を指定しておられるのはどのくらいの地域か、さらに、今後これをやっていかれる場合には、今の御質問のようにむしろ海岸というのは、本来からの運輸省が担当しておられます港湾の使命もあるけれども、高潮なりあるいは防波という見地からすると、建設関係の分野が相当多いから、これをともどもに協議をしてやるということが今後は必要ではないか、この点について今まではどういうふうに進んでおるかという趣旨中心であったと思うのですが、災害地では大へんこの点を心配をしておりますけれども、建設省等は十分三省が協議をしたいと申しておりますが、運輸省はどういうふうなやり方をしておいでになりますか。
  118. 前田郁

    政府委員(前田郁君) この問題は事務当局から答えてもらいます。
  119. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) ただいまのお話でございますが、御指摘のような声もいろいろございますので、運輸省といたしましては、特に今後の問題は、やはり建設省、農林省、三省でよく協議して、十分に完全に遺憾のないように今後いたしたいというふうに考えております。  さらに、運輸省の関係から見ますと、大体港湾区域内でございますが、港湾のいろいろな諸施設と海岸の諸施設というものは、技術的にもむしろ類似したものが非常に多いのでございまして、そういう点からは、やはり港湾区域内におけるものはむしろ一貫的に従来通りやっていっていいのではないかというふうに考えておりますが、よく協議いたしまして、各省の間でばらばらになるようなことがないように、この点は十分注意いたしたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  120. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 流木関係のことでちょっとお尋ねしたいわけです。それは名古屋にある貯木場がこわれましたですね。それを補修するのは、この予算でいうとどこに今度それが入ってくるのですか。
  121. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 貯木場の施設のうちで、いわゆる港湾施設になっております分とそうでないものがあると思いますが、港湾施設になっております分につきましては、やはり港湾の土木災害ということで処理していくわけでございます。今度の場合でございますと、港湾施設災害復旧事業費の一部を補助するための必要な経費というところから出ると思います。
  122. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それでわかりました。  名古屋にあります船見町の貯木揚、これはあなたの方だけじゃなくて、通産省の関係もあるわけですが、日本で一番いいと思っておるものが切れたわけですが、これは堤防の高さということもございますが、その収容能力、そのバランスの問題等があります。非常に遺憾と思ったのは、たとえば、名古屋港なりあるいは東京、大阪同じことだと思いますが、その入れる石数というものは大体限界があると思います。たとえば例を名古屋にとれば、入らなくて、ブイをあなたの方が貸して、そして名古屋港のところに適宜流れないようにつないであったのです。こういうことが私は法律的に許されておるかどうかわかりませんけれども、けしからぬことだと私は思っているわけです。一升のますに二升も木を入れておいたから被害を大きくしたということが言える。あるいは、そういうことはもう全然なしで、業者が持ってきさえすれば、それは通産省の方からAA制でずんずん持ってくる、そういうものに対してはどこにどうつなごうがそれは勝手だと、こういうことになっておるのか、その辺のところの一つ説明が願いたいのと、それから今言ったように、大体適正な収容力というものは当然あると思う。それに対して幾らでも許すのか。これは管轄があなたの方にあるのか、あるいは通産省にあるのか私もよく知らんですけれども、こういうものの対策というものはどういうふうにお考えになっておるのかお伺いします。
  123. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 貯木場を作りますのは港湾管理者、名古屋の場合でございますと名古屋港管理組合、これが計画いたします。で、今の御質問の、その区域外において木材を実際に収容したものを許可するかどうか、ちょっと私その法規関係を今ここではっきりしたことを存じませんが、いずれにいたしましても、今後の問題といたしましては、今度の災害のようなことにかんがみまして、貯木場の施設をもっとどういう場所に置くべきか、それから、施設をする場合にはどういった点に特に重点を置いて留意していかなければいけないかというようなことにつきましては、現在、運輸省が中心になりまして、関係の港湾管理者とも相談いたしまして、根本的に再検討をいたすことにいたしたいと思います。
  124. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もう一つお答え願いたいのは、一定の収容力、たとえば石数を百万石なら百万石しか収容ができないということになると思うのです、大体の施設からいいましてね。それに対して、名古屋で例をとりますと、大体名古屋は八十万石ぐらいしか施設がなかったように思うのです。ところがAA制になってしまったので、材木会社はもうければいいというわけで百万石ぐらい入れておいた。そういう監督権というものが、これは通産省との関係になりますが、何もこれはどうすることもできなくて、ブイを貸してつないでおいたようなことでいいものかどうか、それともそういうものがチェックができるようなものか、それは運輸省じゃなくて管理組合がやるんだと、こういう態度なのか、その辺はどうなっておるんですか、御説明を願いたい。
  125. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) ちょっと私詳しい点を存じないのでございますが、法律上の規制はないと思います。従いまして施設のやはり管理権ということから、おそらく管理組合がつかさどるべきものじゃないかと思います。ちょっとそれ以上詳しいことは存じません。
  126. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 ただいまの貯木場の問題ですが、たしかあの風害の発生する直前には、名古屋港の周辺には百二十万石くらいの木材があったということを聞いておるわけです。そのうちほとんど百万石近いものが流れて、それが人家に大へんな損傷を与えたり、人命を傷つけたり、こういうふうなことに相なったように聞いておるわけですが、ただいまの成瀬委員の御質問と同じように、私も確かに入れ過ぎておったという事態があるんじゃないか。ということになりまするというと、今後一体新しい施設といったようなものを考えられるような用意があるのか。おそらく現在のものではきわめて不十分、きわめて不安定な状態の中に係留をされておったというふうに考えざるを得ないわけです。そういうふうな考え方であるのかどうか。それからただいま公共事業の中のどの部分に入っておるかという御質問があったのですが、その金額は、おそらく管理組合でやっておりますのは八号貯木場といわれております貯木場だと思いますが、その復旧金額はどのくらいになっておりますかという問題と、それから私営の貯木場があるわけで、これも若干の損傷を受けたというふうに聞いておりますが、これらのものに対しまする何らかの助成をお考えになっておるか。助成をお考えになっておるとすればその金はどこに入っておるか、この三点について御質問いたします。
  127. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 第一の点でございますが、この点は先ほどもちょっと申し上げたと思いますが、現在の施設が必ずしも十分でないということがこれではっきり明確になったと思います。現在の位置においてさらに増設あるいは根本的にその位置についても再検討する。しかし名古屋のような場合には、全然これを直ちに新しいところに作って全部を移転するということはなかなか大へんでございますので、一部を移すということになります。そういう問題を含めまして、根本的に現在技術的な見地、それからそういった需要面もあわせ考えまして、再検討いたすことになります。  それから第二点でございますが、予算の額については、手元にその関係を切り離したものを持って参っておりませんので、後ほどにさしていただきたいと思います。  それから先ほどちょっと申し上げましたのを訂正さしていただきますが、八号地の南側の貯木場というものを海岸堤防ということで復旧考えておりますので、この方は伊勢湾高潮対策事業の方に入っておるのじゃないかというふうに考えておりますので、訂正さしていただきます。
  128. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 金額は……。
  129. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 全額はここに資料を持ち合わせておりませんので、後ほど御連絡いたします。
  130. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 それから第三点の民営施設の方は、何か助成の方法を考えておりますか。
  131. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 民営施設につきましては、現在のところ特別に助成のことは考えておりません。金融等の方法につきましては……。
  132. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 これはおそらく復旧に相当金がかかるのでありますから、何らかの助成ということをお考えにならないと、なかなか復旧できないのじゃないかという問題、そういう場合にはおそらく原形ではだめだということでございますから、適切な指示も与えてもらわなければならぬ。このことを一つお願いしておきます。
  133. 大倉精一

    ○大倉精一君 私は、きょうはちょっと無理な質問かもしれませんけれども、この次の委員会のときに一つ大臣からお答え願うようにお取り計らいを願いたいと思うのです。それはいろいろ報告を見ますと、ここにこれだけの予算を取った、ここにこういう予算を取ってこうやる、こういう報告がありましたけれども、これは運輸省が当初要求した予算からいいますと、全く話にならんような修正をされております。これによって果して御報告のようなことができるかどうか、私は非常に疑問に思うのです。たとえば災害対策費のうちで、第一の室戸岬に気象用レーダーを新設するのだ、こういうことで三千四百万円計上しておりますけれども、それはあなたの力で要求なさったのは二億円要求されておる。二億円要求されてわずかに三千四百万円。それからまたその次のロボット検潮儀にいたしましても、一千三百万円の要求に対してわずかに六百万円しか査定されていない。さらにまた公共事業費にいたしましても、第一の伊勢湾高潮対策事業費の一部を補助するため必要な経費五億八千万円と、それから三番の港湾施設災害復旧事業費の一部を補助するため必要な経費、これが四億八千七百六十万円、この合計が十億円になるのでありますけれども、当初の要求は十五億六千三百万円である。こういうふうに要求した予算に対しまして査定がこうなっておるのであって、この金額で果して説明のようにできるのかどうかということについて、一つ運輸当局の所信のほどを聞かしてもらいたいと思います。きょう答弁できなければ、大臣から聞かしてもらいたい。
  134. 前田郁

    政府委員(前田郁君) ただいまのお話の点でございますが、追加要求といたしまして、相当なことをいたしたいと考えておるわけでありまして、ただいまのところではこの程度でやっていきたいと考えておるわけであります。いずれまたこの次によくくわしく申し上げます。
  135. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今問題になっている名古屋港の貯木場に関して、どうも私はわからぬことがあるので、ちょっとお伺いいたしますが、その貯木に対しては、名古屋港がそれに対する何といいますか、貯木さすということで、貯木の量によって費用を徴収しておるのですか、しておらないのですか、この点まず第一に伺いたい、料金を取っておるか取っておらぬか。
  136. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) これはやはり使用料を取っているものだと思います。くわしい点はちょっと私存じません。
  137. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これはおそらく私は取っておるだろうと思う。そういう制度になっておるために、その許容量以上の貯木をしておったということが想像できるのですが、これを運輸省が監督しておる。ところがその貯木が乱入して、人命及び人家を非常に破壊しておるということなんです。破壊せられたものは、これは人間でも不法侵入をやれば罰しられるし、またあばれて器物をこわせば、補償、損害賠償を取られるというのだから、これは何か被害をこうむった側に対して、国、運輸省が監督の立場にあるのだから、あるいは名古屋港は被害をこうむってできぬかもわからぬが、運輸省は監督の立場にあるのだから、何かここにまあ理屈を言えば、補償、お見舞金とか、あるいは少くとも不法乱入したこの材木は断罪に処して、その人の所有にするとか何とかいう方法が私は講ぜられるのが、これが常識だろうと思うのですが、運輸省はその点に関してどういう考えを持っておるか伺いたい。
  138. 前田郁

    政府委員(前田郁君) ただいまの問題に対しましては、まことに重大な問題でございまして、まだ今運輸省でも検討中でございます。もう少し待っていただきたい。
  139. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 この点は、ほんとうに私は不思議でならなかったのですが、一つ笑いごとでなしに、しっかり検討してもらいたい。今度お見えになったときには、その検討の新論を一つお聞かせいただきたい。
  140. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ただいまの運輸省の御答弁を伺っておりますと、初めから終わりまで答弁になっておりません。これはもう少し自信のある、知らぬことは知らぬでいいし、調べて返事をすることは返事するでよろしい、あいまいな答弁は許されぬと思う。今度は一つ首をそろえて物事のよくわかる人に来てもらいたい。  それから先ほどの大倉さんの質問に私関連するのですが、今国内でやかましく言われているのは、台風の観測というものが非常に幼稚でだめだと言われている。しからば現在の観測施設というものはどうなっておるかというと、だれも知らない。この点は、次回に日本全土において台風観測の施設というものはどういうものがあるか、それを一つ資料として出していただきたい。  それから、運輸省は災害対策費の(1)については二億円、(2)の方については一千三百万円の要求を出されたというが、本格的な理想的な観測の体制を作るのには、本式の理想的な観測をするのには大体こんな小さな金でいいのかという私は疑問を持つのです。ほんとうに台風を事前に予知して、国民全般に知らせて、そして待避その他万全の措置をとるための責任を果たすのには、こういう程度の金では、私常識的に非常に少ないと思うのですが、はたしていいのか、だから運輸省は現在の観測設備はどういう工心に全国的になっているのか。それから現在の科学技術が許す範囲内において完全なものにするのには幾らかかるか、今度の予算に計上したのは幾らか、こういう工合にはっきり内容のわかるものを出してもらいたい。これだったら毎年同じことを繰り返すにすぎない。一つ台風がきたら一つ機械を買う、これもだめだということで来年また一つ買う、これでは百年河清を待つということと同じだ。そういう行政というものはない。これが中心になるわけだから、本格的なものを出して、そして当委員会において説明をされるように要求しておきます。
  141. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 私がお尋ねしたかったのは、実は気象観測の問題だったのです。この「伊勢湾台風に関する被害措置及び対策について」という中に、(11)には、「気象観測機能についてはすべて回復した。」と書いてある。あのときの状態は相当気象観測施設、いわゆる地方の測候所、気象庁の支所は場所によりましては機能がすっかりやられてしまって、全然その機能を発揮しておらぬ、その後は気象観測の予報その他は全然ストップしたような状態ではなかったか。それを「すべて回復した」というのは、従来の建物をそのまま、屋根がふっ飛んでしまったものを修理した程度ではないか。それからそのあとにはもろもろの施設を、「今後とるべき措置(中央における対策)」という中に気象関係が出て参っております。「気象庁における数値及び長期予報業務を拡充強化する。」、その他さらに「防災気象情報業務強化のため、特にその伝達、連絡、解説部面の増強を図る。」とありまするが、これは相当な予算が伴うし、相当な設備が伴う。ところが予算の方ではただいま御指摘にありましたレーダーと、それから検潮儀、これだけになっておる。これではどうも今後とるべき対策として予算化しない対策だけをここに羅列してあるようにしか思えないのです。これに対してはどういう処置をとられるか、その点を伺いたい。
  142. 前田郁

    政府委員(前田郁君) ただいまの台風の観測とか、予報とか、こういうことは最も重要なことでございまして、私は大隅半島の出身で、毎年これを受けまして、ことし初めて災害を受けなかったわけであります。皆さんと御同様にこのことを痛感しておるのであります。それで三十五年度にもっとしっかりしたものを出したい、こういうことでやっておりまして、ただいま私のところにもいろいろな案を持ってきておるわけでありますが、今まではこういうことは大蔵省であまり力を入れてくれなかったのでありますが、これをチャンスに私どもは一つ何とか今度はりっぱなものをこしらえてみたいと思っているわけでありまして、皆さまのきょうのお話を聞きまして、非常に力強く感ずるわけであります。次回には気象庁の者を出席させまして、もっとはっきりした答弁をいたしたいとこう考えております。
  143. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の栗山君の資料ですが、前の分はどういう設計で予算がなっておるか、それはあなたの方ではそれを減らされても何とかできると言われるが、それはどれくらいのものが減らされておるか、これは台風のものだけを資料として出していただきたい。  いま一つは、成瀬君の質問にあったと思うが、貯木場の問題に対して、大体管理権は名古屋市内の管理組合とかいうものが持っているらしいのですが、それはまあわかりました。しかしながら、それは重政さんが言われるようにいろいろな障害を起こし、またそれがあばれたために破堤したということも考えられる。そういうことが考えられる危険なものに対する大体監督権はどこにあるか。それに対してはっきりしたあれがありませんでしたね。それは運輸省にあるのじゃないですか。何かそこは逃げておられるような気がするのです。(「運輸省と農林省両方にあるのだよ。」と呼ぶ者あり)両方にあるということはありませんよ。これはどっちにあるのですか。
  144. 前田郁

    政府委員(前田郁君) 貯木場の方は運輸省が監督いたしておりまして、それから港湾管理組合の方は運輸省と、ほかに建設省かどこかやっているかどうか、それははっきりしません。
  145. 清澤俊英

    清澤俊英君 そんなばかな二重なあれはないと思う。管理のことというのは港がこわれるかこわれないかというような問題に対して、大体容量がきまっているでしょう。容量がきまっているものを容量以上のものを入れればこわれるに違いない。そういうものを管理するのが運輸省にあるに違いない。そんなとぼけたようなことはやめてもらいたい。
  146. 前田郁

    政府委員(前田郁君) 次回までによく調べて御答弁いたします。事務当局もよくわかりませんから御答弁できないので、この次はっきりした御答弁をいたします。
  147. 大倉精一

    ○大倉精一君 きようは非常にこの委員会運輸省関係は残念だと思います。災害の予防については運輸省は非常に重大な役割を果たしてもらわなければならぬにかかわらず、ほとんど答弁ができない。こういうことは非常に遺憾でありますから、これは委員長の方から十分に一つ注意してもらいたいと思います。従ってこの次の機会にそれぞれ大臣初め担当者に出てもらってもう一回やり直すようにしてもらいたい。
  148. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 私は運輸省につきましては特に念を押してみましたが、責任ある答弁は可能だというので委員会を進めておりました。しかし、ただいま大倉君の言われたような点は遺憾に思います。従いまして、運輸省に関しましてはまだ質疑に対する答えも十分できておりませんから、後日あらためてこれを行なうことにいたします。  今朝開会にあたりまして申し述べました予定では、五日は午前十時開会といたしましたが、理事諸君と協議の結果次回は明五日午後一時より開会いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後三時四十五分散会