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1959-12-03 第33回国会 参議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月三日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   委員の異動 十二月二日委員小林孝平君及び棚橋小 虎君辞任につき、その補欠として羽生 三七君及び東隆君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀本 宜実君    理事            櫻井 志郎君            仲原 善一君            戸叶  武君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            秋山俊一郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            高橋  衛君            藤野 繁雄君            大河原一次君            北村  暢君            中田 吉雄君            羽生 三七君            千田  正君            北條 雋八君            東   隆君   政府委員    農林省振興局長 増田  盛君    水産庁長官   西村健次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    水産庁漁港部長 林  真治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (畑作振興に関する件)  (漁港に関する件)  (北洋漁業に関する件)   —————————————
  2. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初に、委員の変更について御報告をいたします。昨日小林孝平君及び棚橋小虎君が辞任され、羽生三七君及び東隆君が選任されました。   —————————————
  3. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 畑作振興に関する件を議題にいたします。  この件について、岡村委員から質疑要求がありますので、この際これを問題にいたします。御質疑を願います。  なお、本件について政府からの出席は、農林省振興局長増田君、農林省振興局普及部長江川君でございます。
  4. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 畑作振興につきましては、いろいろ御心配を願っておるわけでございますが、北海道のように総面積の七〇%を占めておりますような耕作地帯はたくさんございますが、どうも年々歳々地方減耗ばかりやっておりまして、今やっておりまする仕事は、暗渠排水だとか客土のごときものは、これは当然やらなければならぬ仕事でございますが、一刻も早く地方減耗を防がなければならぬのじゃないかといったようなことが非常に大きくなってきております。ことに、金肥がだんだん増額されまして、このままではとうていいけない状態になっておるわけでございますが、御承知のように米を除きまする耕作物でも、世界的に非常な豊作であり、非常な安い価格になっておりまして、わが国でも畑作を耕作いたしておりまする者は、今までのような収獲物を高く売ろうというような考えではとうていいけない時期になっておるわけでございます。そこで、何とか増収をして、そして安い価格で売ってでもどうにか間に合うというような農家にならなければならぬのでございますが、なかなか長い前途を持っておりまして——こう申し上げると極端になるわけでございますが、私は真の農家でございまするために、自分の身を削るような気がいたしまするが、今のようでは当然ただ減耗一途をたどっておりまして、何も地方を培養して作物を多くとるというような施策はないわけでございます。そこで、何とかこれを真に地方を培養して物をとれるというふうにしたいと思いますが、御承知のように水田気候と水が大きな作用をし、第三に地方でございますが、畑作はそうではございません。気候地方によって得られるものでございまするが、実はこの間、池本先生講義がございまして、ちょっと行って私の意見を申し上げたら、その通りだと言われたのでございまするが、今のようでは北海道畑作農業は全く年一年として減耗いたしております。今、ビート耕作を盛んにいわれておりまするが、現在のようなビート耕作ではなかなかおぼつかないわけでございます。それなら、それよりほかに方法はないかというに、そうではございません。それで振興局の方でも、お考えがないわけではございませんが、なかなか出しにくいようで、私の考えておるような案は出ぬわけでございますが、相当な予算をもってやってもらっておるわけでございまするが、真に地方を培養するというような案をお考えになることはできないかどうか、一応お聞きしたいと思います。
  5. 増田盛

    政府委員増田盛君) 北海道畑作振興に関する御意見でございまして、特にその中でもっとも重要視せらるべきものは地方維持であるという御指摘でございまして、まことに私ども同感の至りでございます。北海道はこれは御承知通りでございまして、大体北海道農業指導原則はいろいろございますけれども、とりわけ、その中で大事な点と考えられ、しかも、農業近代化あるいは合理化に結びつくものとして理解されますのは、一つは、輪作の問題であり、一つは、有畜化、特に酪農化の問題であり、一つは、機械化の問題ではないかというふうに考えられておるのでありますが、これをばらばらに推進する場合におきましては、やはり御指摘のような、結局、慢性的な地方の収奪ということによりまして、畑作生産力が年々低下するという事態を引き起こすわけであります。これに対しまして私ども考えております点も、今、言いましたやはり基本的には有畜営農、特に酪農との結びつきを強化していく、それからやはり曲がりなりにも輪作体系を確立して、もうければいいんだという作物だけを連作するという害から土地を守っていかなければならない、まあかように考えておるわけでありまして、こういう点に着目いたしまして、実は施策といたしまして北海道に関しましては、寒冷地畑作農業振興のための資金融通臨時措置法を前国会で制定した場合におきましても、この指導的なアイデアはどこまでも機械化と同時に有畜化であり、酪農化であり、輪作化である、私はこれが筋通り実行されますならば、北海道における畑作土壌不良地帯におきましても、永続的な地方維持農業ができるんじゃないかと考えているわけであります。しかし、なかなか実行がこれ非常にむずかしいので、実は非常に弱っているわけでございます。そこで、堆肥増産そのもの補助金で云々ということはなかなかこれは考られないのでありまして、むしろ堆肥増産あるいは厩肥増産してすき込む、あるいは緑肥をすき込む、こういう農業経営全体として成り立つような基礎を提供するのがねらいだと思うのでありますが、しかし、私どもいろいろ考えておりましても、現実に一体日本の畑地土壌はどうなんだと、こう言われますと、まことに痛いところでございまして、そこで、根本的に水田土壌に関しましては、今までいろいろ調査もし、施策実施してきましたので、畑地に関しましては、いろいろな施策をとにかく実施すると同時に、有畜化とか、それから作付体系、こういう問題に結びつけていろいろ施策を展開すると同時に、基本的に畑地土壌調査をやろうということで、実は三十四年度、本年度からこれを実施しているわけであります。基礎的に畑地土壌生産力の現在調査をやりまして、それに対して現在基本調査と称しておりまするけれども基本調査がやがて段階が過ぎますと、実際に応用するための農家の個別の圃場に対する調査をするわけでありますが、そうして、それによって個々農家圃場に対する対策実施する、これは有機物の欠乏というのが一つのもっとも大きい問題として取り上げられるのじゃないかというふうに考えているわけでありまして、まあ大略申し上げまして、非常に困難な問題でありますけれども、以上、申し上げたような考えのもとに推進して参りたいと思います。
  6. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今、振興局長お話しになったことは、もう五年も八年も前から実は聞いておるわけでありまして、現在では北海道農家輪作形式となっておりますが、酪農が最もいいというので、やってもらっておりますし、どうにかやっておるのでございますが、牛を飼っております者の、大体まあ五万戸ぐらいだと思いますが、そのうちの半分は牛飼いなんでございます。あとの半分はすなわち酪農でございますが、自分のことをいうと卑近でございますが、私の家では酪農をやっておりますが、だれにも負けない作物をとっております。それならみんなやればいいじゃないか、そうは参りません。そこで、昔から言うておることではどうしてもならないのでございますので、私はずいぶん長い間しんぼうしてきたのでありますが、今、局長のおっしゃるようなことではとうていだめだ。一番地方を培養することが効果的であって、何でもとれる。とにかく北海道畑地調査ができておりますが、この調査を見ますると、大体六十万町歩と査定をいたしておるのでございますが、それの七七%は不良土地だと、こう書いてあります。それもそうだろうと思います。しかしながら、統計というものは、全部の統計がぴったりではありません。ですから、これは統計でありますから、けっこうでございますが、そういうことを知りながらやっておる者に、いろいろ欠点がございます。その欠点はなかなか言っても、どうしても簡単には直らないので、これは一つ援助のようなものでやっていくより方法がない。政府も今までに考えたことのないような方法で行くべきではないか、というように考えておりますが、私、実は不安なのは、ビート振興会というものを作って、そして日甜が三億四千万の出資をいたしておりますそういうものではないのです。そういうものではなくて、これをそのまま増産にやることにすれば、ビート会社はこぞってそれに共鳴するでございましょうしするので、そういうことではなしに、真に農家ほんとうにやれるようなことにしてやらなければならぬ、そういうふうにしていくことが目下の急務だと思います。そこで、ただいまのお話でございますが、私は堆厩肥よりもほかに方法はないが、こう言っても、なかなか簡単にはこれはこれもいきません。いきませんが、それではいけないから、これをやれる方向へ導いてやる。それも何ぼ作ってもいいのではなく、相当な限度をきめてやっていこう、土地をふやしていこう。そうでないと北海道畑地農業というものはだんだん減作していくのではないかということを考えておりますから、どうしても局長の方でそういう気持にならならければ——あとは何でございますが、何としてもこの堆厩肥増産をして、そして土地をふやしていくというより方法はございません。御承知のように酪農は、今まで四十センチのところを、四十センチの土地を二十センチおこしておったから、もう二十センチおこしてはますます土地がだめになります。また、いろいろなことを見ましても地方を培養するものは何にもございません。ただ酪農家がやっておるだけでございます。それが今、前に申しましたように二十二万戸のうちで五万戸が酪農、そのうち半分が牛飼いであとの半分が真の酪農でございます。そういう現状でございます。今度は方法を変えて、ほんとうに堆厩肥を作らして、地方を培養するよりほかに方法はないということでございますが、学者は非常に話はいいが、補助金なんかのことになると困る、だれに話をしても、それが悪いという人はございませんが、ただ補助金は無理だ、こういうことでございます。私は何十億、何百億という金を出して、たとえば振興局とか経済局でございますが、そこで一億や三億の補助金を出して、ほんとう北海道がよくなるなら大したことではないのではないか。あとビート会社なりなんなり、あらゆる方面でやってもらえばいい。このままでは絶対によくならぬということははっきりいたしておるのであります。そうでありますから、一つ真剣にお考えになりませんと、北海道畑作農業というのはますます減作の一途をたどっていきます。十分に真剣にお考え願わなければならないと思います。どうですか、その点。
  7. 増田盛

    政府委員増田盛君) 堆厩肥重要性に関しましては、私どもも痛感いたしておりまして、ただ考え方と、それからこれが実施になかなか徹底しない、しないというよりもなかなか零細農民の場合には、堆厩肥減の問題もございますが、なかなかやろうとしない。こういうところに悩みがあるわけでございます。これがどうしても実行しなければならないということは自明の理であります。北海道に関しましては、特に深耕あるいは心土耕混層耕用機械を導入をしております。この機械によって土壌改良をやるにつきましても、やはりそこに有機物を導入しないと持続的な効果が出てこない。そうして何年かの後には、すぐに前以上もっとやせた土地になってしまう。そうして、酪農の話も先ほど申し上げましたが、これも二十二、三万戸のうち五万戸だけでありまして、あとはどうするのだというお話がございまして、こういう点に関しましては、確かに全面的に検討を要するのではないか。一方におきまして、やはりそういう事態にもかかわらず、ビート作付奨励がございますと、無理をして地方を減退させながら作付する傾向も出て参ります。いろいろ考えておるのでありますが、そういう中にあって、まあ堆肥舎を作るものに融資をする、こういう手段も昔からとられておる。いろいろ考えられたのでありまして、これに対しても振興局としては取り上げまして、農業改良資金が一定のワクを作ってできるだけ北海道にはたくさんやるように奨励をしたのであります。しかし、それだけでは、農家堆肥舎を作り、あるいは堆肥盤を作って堆肥の造成をするという点が思うようにいかないわけであります。まあ非常にいい時期でありまして、あるいはおそまきでございますけれども、これは特に農業改良普及事業の最も根本的な問題でございますから、北海道庁とも十分この際じっくり地についた農業改良指導をやるように相談してみたいと思います。
  8. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 学者という人に相談して、その通りと返事をされたのは、三番町で講義をした池本先生だけです。あとの人は堆肥はけっこうだとはいいますが、なかなか聞いてくれない。私は何とか一反歩一千貫以上の堆肥をやりたい、そのかわり、一万五千貫以下の堆肥を製造した者には補助金をやらない、そうすれば年間四万ぐらいはいくだろう、そういうふうに考えるのです。そこで、振興局もなんでございますが、一つ道庁に行っても、道庁は遠慮をしてなかなか腰を上げません。知ってはいますよ。知っていますが、真の百姓ということを知らないで、理屈たけを知っていてはいけない。ですから真の百姓は私のようなことを考えておると思いますが、しかしながら、今までのようなことではなかなかやれません。でございますから、今までと違った方法を……、原料をただでやってくれといっても、一万五千以上の堆肥は困難だと思います。岡村は戦争中三万五千貫毎年作って世界一といわれました。とにかく五年おかなければビートはだめだというような土地じゃいけない。輪作もけっこうだ、場合によっては連作もできるというようにならなければならぬ。全部がそうならなければならぬ。しかしながら、四万町歩を年々やりますと二十万町歩はりっぱな畑になります。ビート会社は、十五ぐらいのビート会社北海道にはあっていいという土地になる、こう私は考えておりますが、たれに聞いても話はけっこうだこれでは何にもならないのでございます。多額の補助なしに、ある土地地方がよくなればこんないいことはないと私は考えております。この予算で三億か、二億の予算を削るのは何もめんどうでないので、別にどうこうしなくてもできると思います。ですから、むしろやる気があるかないかという点でございますが、局長は頭がいい人でありますから、その辺はよくおわかりと思います。どうぞ一つこれが実現するように御努力願いたいと思います。
  9. 東隆

    東隆君 岡村さんが今堆肥増産を強調されておりますが、私はこれに賛成であります。そこで私は、北海道畑地農業の場合に問題なのは、堆肥材料であります。これは実は、ないわけではないんですけれども、しかし、畑作物からこの材料を得ようといたしますと、相当困難な問題があります。十勝の方面考えてみても、豆科は、これは材料にはならない。それからジャガイモ材料になりません。そこで、どうしても禾本科作物をふやさなければならない。で、燕麦だけが北海道では堆肥材料としてありますが、あとの麦は、これはあまり作っておらない。そこで、どうしても北海道堆肥材料自分の農場の中から出そう、こういうふうに考えますと、禾本科作物を相当ふやさなければならない。これはローテーションの関係からいっても、当然そういうことになろうと思うのです。ところが麦は、御承知のように、酸性土壌にはこれは向かないわけです。そこで北海道では、先ほどお話があったように、特殊土壌が非常に多いのです。その大部分酸性土壌燕麦は辛うじて酸性土壌にもできる、こういうことで燕麦が残っております。だから北海道特殊土壌改良をやらんければ麦が入りらない。禾本科のものが入らない、従って、堆肥材料がない、こういう関連ができてくると思う。これは穀菽農業というものを中心に見た場合にそういうことになって、しかも、その穀菽農業をやっている所は、経営面積が非常に大きい。従って、動物を入れることがかえって集約になる地帯では、やはりそういう問題が起きてくるわけであります。だから、この点をあわせて考えて、私は、堆肥増産に力を注ぐことももっとより必要でありますが、北海道不良土壌改良ということについて、特に酸性土壌矯正という点に一つもっと力を入れてもらいたい。それで改良普及の例の基金制度がありますが、あれがたしか農業関係者が、貸付の金は一年じゃなかったので、二年でしたか、あのなには本来ならばもう少し二長くして、そうして量をたくさん使えるような態勢にしてもらって、そうしてやる態勢を作らなければだめだと、これは私はだいぶ前から主張しておりますが、なかなかそういうふうにならないわけです。で、開拓地には補助で入っておりますけれども既墾農地にはそれがないわけですから、これをもう少し強力なものにして、そうして改良をする。そうすると、麦ができる土地ですとビートは必ずできる。それからジャガイモなんかもどんどんできるから、こういう基本的な土壌調査をされる、こういうお話がありましたけれども、そっちの方面にやはり重点を置かれてお調べになる必要があると思います。全体を見て、私は堆肥がなぜできないか、こういう問題なんかも、やはりそういうような点があると思うのです。これを一つ大きな目でもって見てもらいたい、こう思うわけであります。あわせて堆肥を造成して、そうして北海道農地をりっぱなものにするのは、私は大賛成なんですが、そのもう一歩前にさかのぼってみなければならぬ問題がある、こう思っておりますから、この点はすでにやっておるようですが、もう少し強化してもらって、そうして酸性土壌一つ直してもらって、そうしてもう少しいろいろな作物がたくさんできるような態勢、そうして輪作北海道でもって十分にできるような畑作、これを作り上げていかなければだめなのだと、こう考えるわけです。あわせてそれだけのことを申し上げておきます。
  10. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 今、東君から酸性土壌お話がございましたが、なるほど酸性土壌もございます。そこで石灰を散布するときには、必ず堆肥をやらないとだめです。堆肥をやらないと、かえって悪いんです。土地のものがみな溶解して吸い上げられてしまう。あとは二回も作ったらもうだめになる。でございますから、酸性土壌を中和するために石炭をやるときには、必ず堆肥をやる原則にしてやらないとまずいんです。この点もお考え願わなければならぬと思います。私はほんとうにやって知っている男ですから間違いございません。その点で一つ考え願いたい。
  11. 増田盛

    政府委員増田盛君) 北海道不良土壌改良の問題に関しまして、堆厩肥中心にいろいろ有益なお話があり、さらに、それに関連いたしまして、酸性不良土矯正の問題について御指摘があったのでございますが、後者の点に関しましては、私どもの方は、御存じの通り、一応は農業改良資金酸性矯正資金を出しております。しかし、やはり今御指摘の中にありましたように、やるその数量も、やはりわれわれの指導も、道庁と相談いたしてやっておるのでございますが、やや少ないんじゃないか、こういう点も、従来は一応の試験場の試験研究なんかで、どれくらいやったらいいかという大めどの見当はありますけれども、これも実はさらにはっきりしたものでなしに、農民個々土地におる場合には、やはり酸土自体でも、いろいろな施用状況を考慮しなければならぬと思っておりまして、この点はなまぬるいことでありますが、もう一回基本的な調査をやりたいということで、三十四年度から地方保持基本調査——五千万円でございますが——正式に予算をとりまして実施をしておるわけであります。十分御指摘の点なども、今後の実施にあたっては考慮して参りたいと思っております。なお、最後の酸性矯正の問題についてでも、堆厩の施用が主要だという点も十分わかっておりますので、その点もあわせて考慮したいと思います。
  12. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もないようでありますから、本件はこの程度にいたします。   —————————————
  13. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 漁港の件を議題にいたします。  この件について櫻井委員から質疑要求がありますので、この際、これを問題にいたします。
  14. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 漁港災害復旧についてお伺いしたいと思いますが、過般制定された海岸法及び漁港法及び漁港法に関連した問題でもあるわけでありますが、海岸法の第五条の例外規定として、漁港区域漁港管理者が管理するというようなことになっておるようでありますし、また漁港法の二十五条では漁港管理者地方公共団体であることというようなことになっておるように存じます。そこで問題は、このたびの災害に関連してでありますが、漁港災害復旧については、今度の公共土木高率適用法律によりますと、少なくとも高率適用の地域の漁港災害復旧地元負担については非常に軽減されておる。しかし、高潮対策部分については、限度は、国庫負担が八割ですか、残余の二割を漁港管理者負担する、こういうようなことになっておるかと思うのでありますが、そこで、三重県等におきましては、この高潮対策負担ということについて非常に問題が起こっておる。漁港区域管理者は、地方公共団体ということであって、これはその公共団体が県である場合においては、問題はないのでありますが、私の聞いておる範囲では、大部分市町村になっておる。そうした場合に、この高潮対策地元負担というものが非常に大きいために、市町村財政から見ても非常に苦しい。で、漁港そのものについては問題はあるといたしましても、漁港区域として指定された海岸、その区域の中の海岸堤防ももちろん包含するという見地からいたしますならば、あえて漁港災害復旧及び高潮対策というのは、その漁港があるための受益者というだけではなしに、やはり本質的な国土保全、それからヒンダーランドの保全という問題が大きな問題としてあるわけでありますので、管理者である市町村だけが、その地元負担を背負うということによって、せっかく今度議決された法律に準拠して高潮対策をやる場合に、実質のある、今後災害を受けないようないい工事ができてくるという点からいたしましても、その地元負担が町村ということではなしに、県が負担をして、いい対策工事ができる方が当然いいじゃないか、こういうことが考えられるわけでありますが、従来、水産庁は、この漁港管理者としての地方公共団体という問題について、どういうふうな見解で来ておられるか、また、この地方公共団体市町村であるものと、それからごく一部には県である場合もあるかと思いますが、現状はどうなっておるかということをまずお答え願いたい。
  15. 林真治

    説明員(林真治君) お答え申し上げます。ただいまの災害対策及び今回の特に問題となりました伊勢湾等高潮対策に対する問題でありますが、お話のございましたように、漁港管理者は、法律によりまして、地方公共団体ということになっておりまして、すなわち、都道府県または市町村でございますが、これは私どもといたしましては、なるべく公共性というようなことにかんがみまして、広い行政区域を管轄する公共団体が管理をしていただくことが、管理上の面から見ますときわめて適切であるということには考えておるわけでございますが、いろいろ地方的事情もございますので、漁港法の内容検討の際にもいろいろ問題がございましたが、要は、従来の慣行もございまして、市町村になりますか、都道府県になりますかについては、都道府県及び市町村当局並びに関係の水産業協同組合等の間で、十分御協議をいただきまして、管理者となるべきものを、自主的にと申しますか、やっていただくということでやって参ったわけであります。それで、その現状を申し上げますと、御承知のように漁港には種別があるわけでございますが、第一種というのが一番俗にいう小さい漁港であります。二種三種、四種というふうにございますが、第一種におきましては、大体におきまして、北海道の特例を除きましては市町村管理が多いわけであります。第二種になりますと、市町村及び都道府県ということになり、第三種、第四種におきましては、特定な大都市にありまするものを除きましては、都道府県の管理になっておるわけであります。総数で参りますというと、大体二千七百足らずの漁港が現在指定されてあるわけでございますが、そのうちで二千百くらいは市町村管理、これは御承知のように、日本の漁港の実情が、沿岸漁業の実態からいたしましても、非常に数多いというような観点から、やむを得ないことであろうと考えておりますが、ともかくも、現状はそういうふうになっておるわけです。その漁港と、海岸保全事業、高潮対策事業を含めましての海岸保全事業との関係でございますが、これは海岸法におきまして、漁港区域にかかわらず、つまり重複いたしまする海岸保全区域管理者といたしましては、漁港管理者がなる、港湾も同様でございますが、そういう規定に相なっております関係で、ただいまのところでは、漁港管理者海岸管理者としてのいろいろな責務を果してやってきておるわけでございます。従いまして、海岸保全につきましても、第一種漁港等におきましては、ほとんど市町村ということに現状は相なっておるわけであります。高潮対策につきまして、特に地元負担等の関係あるいは漁港施設そのものの公共土木によりまする災害復旧につきましては、これは漁港の経済性、採算性、受益性等もございまするので、ともかくといたしまして、海岸保全、高湖対策を含めましたものにつきましては、これは採算性ということは考えられないわけでありまして、公共性の強いもののうちでも特に強いわけであります。他の一連の漁港区域外の海岸と何ら変わるところがないわけでございますから、そういう意味におきましては、私どもも従来考えておりましたのでありますが、なるべく都道府県が漁港管理者として、あるいは海岸管理者として処理していただくことがいいと考えておるわけでありますが、先ほどから申し上げましたような実情でございますので、これはなかなか中央におきまして強制をいたすということも困難ではなかろうかというふうに考えております。
  16. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 大体わかりましたが、水産庁ではまだ今度の災害、七月から九月の漁港災害あるいは高潮対策等については、査定はまだもちろん時間的の関係もあって済ましておられないだろうという想像は持っておるのでありますが、一応私が今日まで入手しておる資料でいいますならば、漁港災害が全国で約五十五億程度ですか、それから高潮対策の見込みとしては、愛知県、三重県、両県を合算して百億前後とかいうふうに聞いております。この数字は大体間違いありませんか。
  17. 林真治

    説明員(林真治君) 災害復旧につきましては、お説のように大体五十五、六億程度であります。これはもちろん急いでおりまするけれども、いろいろな関係で査定を全部終了いたしておりませんのと、もう一つは、愛知、三重両県等におきましては非常な大災害でございましたので、県自体の調査もなかなか容易でなかったという関係もございまして、ふえる傾向にあると思いますが、ただいまいろいろ査定をいたしておりますので、近いうちに的確な数字がつかめる、それは多少ふえて参るということであろうと思います。それから高潮対策事業につきましては、一応高潮対策事業の個所における災害を含めまして百億程度の計画を、これは実はまだ災害の査定と同時に、いろいろのものを考えておりますので、まあ言ってみれば机上プランということになると思いますけれども、一応そういうことを考えております。これについては、まあ現実に高潮対策事業の実施地域というものがまあ今、政令でいろいろやられておるわけでありますが、そういう関係で移動があるかもしれませんが、現在のところ、そういうことを一応考えております。
  18. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 そこで、おおむね高潮対策が百億前後、こうした数字をとっていったにいたしましても、私がここで問題にしておるのは、災害復旧そのものを特に問題にしておることでないのは、先ほど申し上げた通りなんだが、この中から災害復旧分を除いた分ですね、つまり八割補助という形で高潮対策分はおおむねどのくらいになりますか。
  19. 林真治

    説明員(林真治君) ただいま持っておりまする計画からいいますと、大体二十億程度が災害考えておりますので、残り、まあそのままやるとすれば、八十億でいわゆる高潮対策の分としてやられるものと、こういうふうに考えております。
  20. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 まあその八十億程度が今後のあなた方の実地調査によって相当動くでしょう。減るかふえるかは別問題といたしましても、いずれにいたしましても相当の巨額であるということについてはこれはもういなめない事実です。そこで、水産庁の方針としては、漁港そのものはいずれにいたしましても漁港区域の中の海岸保全という問題については、これは受益という点からいいますならば、漁港そのものというわけではない、非常に公共性の強いものだから、漁港管理者である地方公共団体はできるだけ広範囲のもので考えたい、かつはまた、そうした指導精神をもってきた、こういうことは裏返して具体的にいうならば、できるならば漁港管理者たる公共団体は県であってほしい、こういうお気持で指導してこられた、指導といってもまあどういう形で指導してこられたかは別にいたしましても、気持はそうであった、こう解釈してよろしゅうございますか。
  21. 林真治

    説明員(林真治君) お説の通りでございまして、特に先ほど管理者公共団体別のことを申し上げましたけれども、特にいわゆる漁港の管理態勢漁港そのもののいろいろな態勢につきましておくれておりまする北海道等におきましては、第一種漁港も全部現在のところ、道管理でやっておるわけでございまして、具体的にどういう措置をとったかということになりますと、いわゆる精神的な問題になりますけれども、そういう気持で指導して参りたいと思います。
  22. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 そうだといたしますと、私がここで非常に心配して御質向いたしておる問題については、過去において、おそらくこうした大きな災害復旧以外の今度高潮対策として考えられたような、そうした大きな事業というものは過去においては現地には行なわれなかった。もちろん、言うまでもなく昭和二十八年の十三号台風でありましたか、あのときには相当のことが行なわれたことは承知をいたしておりますが、しかし、いずれにしても今日の計画と比べるならば相当小さいものです。そこで、高潮対策として八割という補助は、高率の補助ではありますけれども、多数の漁港を包蔵している町村の負担という点からいいますならば、これは容易ならぬ問題である。しかし、その容易ならぬ問題を解決するのに、従来の水産庁の方向とはなはだしく違背しているとか、あるいは法律に手を触れなければならないとか、あるいは政令に手をつけなければならないとかという問題ではなしに、あなた方の過去における指導方針をもっと具体的に強化してもらうということによってこの問題は好転すると私は考えるのでありますが、そこで、具体的な方法としては、いろいろ指導方針はとってこられたけれども、はっきりした形はとっておられないように、御答弁の言葉から推測するのでありますが、そうした指導方針をもっと明確化して、もちろんこれは県に命令するとかということはできないことは私もよく知っております。その指導方針を明文化することによって、今度のせっかくこうした特別立法をやったのでありますし、その特別立法の精神と成果を十分生かすために、あなた方の指導方針というものを明文化して、できるだけ県管理にして高潮対策というものがりっぱにその成果を上げるように御指導なさる意思はございませんか。
  23. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私、ちょっとおくれて参りましたのですが、この前も予算委員会で同じ問題について御質問を受けました。現行法の建前あるいは現実の姿というもの、ことに三重県あたりでは町村管理の漁港が多いということにつきまして、これは立法論としてはいろいろ議論もございます。とにかく現実の問題としまして私の方としてはこれを解決して参りたい。そこで、私の方としては今、櫻井委員から御指摘がありましたように、具体的にはっきり県の方に通牒をいたしまして、できるだけ県管理に移してもらう、これは命令はできませんけれども、強くはっきりそういう指導をして参りたい、こう思っております。
  24. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 もう一点だけ。長官の御答弁で私は大体満足いたします。そこで、何しろ法律通り予算も通った問題でもありますので、せっかくそうした指導方針を明確に打ち出した通牒を出していただくといたしましても、あまりにおくれますとやはり地元の混乱を払拭することができない。いつまでも不安を与えるということにも相なりますので、できるだけすみやかにその通牒をお出し願いたい。もしできますならば、ここでいつごろまでに出されるということについて御答弁を願いたい。
  25. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私の方はできるだけすみやかに出したい。それからつけ加えて申しますと、実は十日、十一日に水産主務部課長会議——これはほかの目的で開きます——その会議に出して具体的によく県当局に話をしたい、こう思っております。
  26. 千田正

    ○千田正君 漁港部長並びに水産庁長官おいでになっておるからお伺いするのですが、このたびの災害予算のために、三十四年度本年度の一般既定予算もある程度調整された、そのうち全予算で、農林省ばかりでなく、各省予算の六十九億円を含む予算を一応たな上げして、災害予算の方に振り向けておる。農林省としては大体三十数億だと思いますが、そのうち水産庁関係予算の減ぜられた分はどれだけあるのですか、ことに漁港予算については。
  27. 林真治

    説明員(林真治君) お答え申し上げます。漁港関係につきましては、これは一般的でございますが、御承知のように災害復旧その他それに関連する費用は節約の対象となっておりませんので、漁港修築事業について節約を受けたわけでございます。その総額は約一億でございます。いわゆる所管別になっておりますので、内地といたしましては八千七百万円、それから北海道で千五百万円程度でございます。
  28. 千田正

    ○千田正君 これはもう三十五年度の予算、今度の予算はもうすでに要求されておるでしょうが、それはそれとして別に減額された分は来年度予算にプラスすることになっておりますか。それともこれはそのまま減額されっぱなしですか。
  29. 林真治

    説明員(林真治君) これは補正予算で節約減になりました。三十四年度としては減額になったわけでございます。三十五年度の予算に対する関係としましては、額から申しますと、ごくわずかではございますが、本年度の事業を、予算が減額になりましたから、それだけ事業計画を変えるということに相なるわけでございます。その事業計画をもとにいたしまして来年度の要求事業を考える、こういうことになるわけであります。別にこれをあらためて別途一億を要求するということは実は考えておりません。
  30. 千田正

    ○千田正君 実はこれは政府当局の、大蔵大臣の私の質問に対する答えとは、それは観点が違うのであります。私は今年度やる、三十四年度の予算、すでに一般予算として要請され、それが決定されたもののうちから六十九億何がしというものは一応節約した、これはいわゆる補正予算の立場からやむを得ない。そのかわり、これは来年度予算には要求されておる分に、さらに、この方だけは一応見て、そうして万全を期したいということは大蔵当局からわれわれに対して声明をしておる。そうだとすれば、たとえ一億であっても、すでに要求しておる額にプラス一億というものが入って、そうして今年度のいわゆる既定計画というものを変更せずに実行してもらわぬというと、せっかく本年度はもらうだろうという期待のもとに計画しておるものがどうもうまくない。あるいは来年度でやるというので、来年度の分はすでに要請しておるものが、こういうことによって今年度は来年度分になり、来年度の分は再来年度に繰り越されるのでは、ことに漁港予算などは少ないのに、なおさら、こういうことをやられたのでは、はなはだおもしろくないのです。そういう点はどういうようにお考えですか。
  31. 林真治

    説明員(林真治君) ちょっと表現が悪かったと思いますが、追加要求を別にいたさないということを申し上げたわけでございまして、来年度予算につきましては、私どもといたしましては要求しているものがまあそのまま認められるとは考えておりませんが、総体につきましては、来年度約百億の要求をいたしているわけであります。これに今回の災害の三十五年分、あるいは高潮対策の三十五年分等を加えますと、これは要求いたします額は、これからやるわけでございますが、百三、四十億になるのじゃないかというふうに考えております。従来の実績は御承知のようなことでございまして、この要求が必ずしも全部認められるということには参らないと思います。要求と、これからの予算折衝の段階におきまして、この一億に対する分は十分確保するように努めるつもりでやっているわけでございます。御了承願いたいと思います。
  32. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今の問題ですが、ただ水産庁の問題に限らず、農林関係の節約分に対する資料を一つ委員長から申し込んでおいていただきたい。今度の委員会までに、それは目くらいまで、細目くらいまでに分けて、そうしてよくわかるような調書を一つ申し込んでいただきたいと思います。
  33. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 承知いたしました。
  34. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 一点、漁港の問題についてお尋ねいたしたいのですが、先ほど櫻井委員からお尋ねのありました高潮対策その他について、海岸保全のための提防が復旧される場合に、その漁港管理者である市町村が残余の分を負担しなければならぬということになっている。それは今度のような場合、非常に苦しい状態にあるようであります。単に漁港だけの問題ではない、いろいろな災害が重なってどうにもならぬというようなことで困っているようでありますが、これは漁港法において管理者負担するということになっているので、法律上からいうといかんともならない。そこで、かような漁港の、直接漁港関係のない国土保全的な、たとえば防潮堤のごときものについての復旧に対する経費は、これは大体市町村におけるものは県が持つというのが本来じゃないか、こう思うのですが、そこで、将来において漁港法を改正して、さような性格の復旧については、管理者は都道府県とするといったような改正をする御意図はありませんかどうか。これは漁港に直接関係がある、あるいは間接にでも相当関係の深いものはやむを得ませんが、非常に関係の遠いものである、そういう場合には、これは市町村負担させるということは、まことに市町村の財政上からいって困難だと思いますが、そういう際には都道府県がこれを持つというふうな、管理者を読みかえるように法律を改正する意図はございませんか。
  35. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 今の問題、実は海岸法ですかの問題もありますし、今度立法されました高潮対策法律もありますので、それらとの関連においてわれわれとしても、それから漁港プロパーの問題としてもいろいろ検討しなければならない問題がありますので、私どもの方としては検討は進めて参りたい、こう思っております。ただ、漁港法だけをいじってそこを読みかえるというだけではたして適当かどうかという点を検討しなければ、私どもの方としては何とも申し上げられないわけですが、いずれにしましても検討して参りたい、こう思っております。
  36. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今、長官のお答えによりまして了承いたしましたが、それは私どもが懸念しております点を十分御賛成の上で、そういう趣旨を御認識の上での御発言と思います。従って、そういう方面、単に漁港法だけでなしに、関連した法律に手を入れる必要があるならばそういう点を考えて、かようなものは漁港の経費につきましても、負担は都道府県が残余の分を負担するというふうに将来変えていくというような方向に御検討願いたい。
  37. 仲原善一

    ○仲原善一君 今の漁港の問題に関連してお伺いしたいのですが、一種と二種との関係で、これが地方で事業が行なわれる場合に、国から出る補助金というものは、災害関係のない場合、これは相違がありますか、あるいは同じ率ですか。
  38. 林真治

    説明員(林真治君) 国から補助、あるいは負担として出ます率は同じでございます。
  39. 仲原善一

    ○仲原善一君 そこで、今度は地方の方に参りまして、地元の町村の負担する分と県の負担する分において一種、二種によって違いますか。
  40. 林真治

    説明員(林真治君) これは国費を除きました分についての各県と町村との比率という意味ですか。
  41. 仲原善一

    ○仲原善一君 そうです。
  42. 林真治

    説明員(林真治君) ばらばらでございます。各県によりまして非常な相違がある。ただし、全体の傾向としましては、先ほどから問題が出ておりますように、県管理のものについては、県の負担率が高く、町村管理のものについては県の補助という形になるので、県の支出します率は少ないというのが全体の傾向でございます。
  43. 仲原善一

    ○仲原善一君 そこでお伺いしたいのですが、財政力の非常に豊かな県と、それから貧弱県によって地元の負担というものが、町村の負担というものが非常に変わってくるわけです、現状では。今のお話通りであるとすれば、裕福な県であると国から出る以外の負担について県の方で相当持ってくれる。だから従って、そういう県は漁港もよくできるという形になりまするし、貧弱県ではやはり県の持ち分が非常に少ないので、ほんとうに地元の町村の負担分がふえるというので、ますます漁港が発展しないという、そういう傾向になろうかと思います。そこで何と申しますか、一種と二種とについて、国の負担以外の県なり町村で持つ分についての歩合というようなものについて、何か規定を設けられるような、あるいは指導を特に加えられるような御意見はあるかどうか。将来の問題ですが、いかがですか。
  44. 林真治

    説明員(林真治君) この問題につきましては、御承知のようにすべての事業におきまして、ただいまのところ、基本となりまする法律等においては、国の負担分を規制いたしておるわけであります。その他の分につきましては、事業主体と申しますか、管理主体と申しますか、そういったものの責任で事業をやりまする場合に、国から負担なり補助なりを一部のものをやるということになるわけです。それ以下を規制するということはなかなか困難な問題ではなかろうか。実は漁港法を昭和二十五年に制定したわけでありますが、そのときにいろいろ論議しました場合においても、そういった御趣旨のような問題がありましたので、内容的にいろいろ論議したわけであります。こういうことはちょっと法律の建前としては困難であろう。しかし、われわれ内面的な指導といたしましては、なるべく県は、財政上の問題はあると思いますけれども、たとえば漁港の修築にいたしましても、受益性の面から見ましても、単に地元に限られた問題では当然ないわけでありまして、具体的に使用します漁船は、そこの漁船だけということは決して、ないわけでありますから、小さな漁港においてもそうなんでありますから、そういった実質面を見まして、県内の漁業の振興というような意味から見ましても、当然県が相当関心を持っていただきたいということでやっておるわけでございますけれども、これはなかなかその県内におきましても、実は内輪話を申し上げれば、県内におきましても、財政当局とのいろいろな問題があると見えまして、また県によりましてはそういった面を解決されまして、相当関心を持っていただいておる県もあるわけであります。現状におきましてはまちまちでございます。
  45. 仲原善一

    ○仲原善一君 一種と二種の相違、あるいは指定の仕方というのに根本的な違いがあるわけですか。
  46. 林真治

    説明員(林真治君) 指定は、指定の基準を、内部基準でございますが作っておりまして、これは指定でございますから、港の性格を定めるということでございますから、勢力といいますか、内容といたしましては、勢力あるいは漁船の関係、その他の数量的な段階を設けまして、これでやっておるわけであります。
  47. 仲原善一

    ○仲原善一君 そこで、一種と二種との関係を、一種の分を二種にすれば、非常に地方の、今のお話漁港管理者の方の負担が県の方に自然にやってもらえるという、そういう県庁内部のあれがあるわけですが、その点は簡単に一種の漁港を二種の漁港に指定がえということにはなりにくいものですか、そのことをお伺いいたします。
  48. 林真治

    説明員(林真治君) お話のような問題が多少方々にあるわけであります。県の方では、一種を二種にすれば、いろいろな措置が変わってくるというようなことから、指定がえをしたらというお話もあるわけであります。しかし、漁港の指定といたしましては、先ほど申し上げましたように、その漁港の性格を定めるわけでございますから、いろいろ漁港の構成等を調査いたしまして、それはその結果、どうしても該当しないということがはっきりしたものをするということになりますと、今の基準を変えなければいけない。さて、それじゃ、基準をどういうふうに変えたらいいかという問題を検討しなければならないと思いますが、そういうことでやります場合、基準というものはそう変更すべきものでもなかろうと実は考えております。基準を変更いたしますと、落ちるものも出るということも実はあるわけでありまして、そういうことはあまり感心もいたさない。それで、県の方でおっしゃるのは、御承知だろうと思いますけれども、財政上の問題もございますが、従来の慣行を非常に言っておられるわけであります。現在一種でございましても、かつて県管理という立場をとっておられた場合には、これは県管理の漁港としてやっておられる。二種でございましても、漁港指定前の管理が町村管理であった場合には、その慣行を重んじて、なかなか県管理にされないというような実情もあるようであります。なかなかめんどうな問題を包蔵しているわけでございます。しかし、ともかくも、何とか港の何といいますか、客観的な努力が増大いたしまして、二種に変更すべきであるというものにつきましては、変更する意思は持っております。
  49. 仲原善一

    ○仲原善一君 私はもっぱら負担力とか、財政力、そういうものからお伺いをしているわけでありますが、一種と二種が国の負担分が同じであるということであれば、その辺は大して、どちらになっても違いはないのではないかという気がいたしますが、どうでしょう。
  50. 林真治

    説明員(林真治君) 負担の問題から申し上げますと、平等になっておるわけでありますが、しかし、少なくとも漁港法に種別をちょっと定めるようになっておりますので、その種別をやりますには、やはり一定の基準をもちまして、事務的にはやっておるわけでございますから、その基準に合ってくれば変更という問題があると思いますが、基準に合わなくても、とにかく国の負担が同じだからということで、なかなか解決は困難じゃなかろうかと考えます。
  51. 仲原善一

    ○仲原善一君 もう一つそれではお伺いしますが、一種と二種によって事業をやる速度が一方は早くからやるとかあるいはおくれるとか、そういう相違でもあるわけですか、実際上の問題として。
  52. 林真治

    説明員(林真治君) 実際上、一種と二種の相違によりましての事業の進度等の問題は、今までのところはございません。あるとしますれば、それは先ほどお話が出ましたけれども負担力の問題で、事業量の増大ができないということがありますと、進度が落ちるということはありますけれども、一種と二種であるということのために、その違いによりましての進度の相違ということはあまりないわけであります。私どもの方としましては、第三種漁港につきましては、これはもう特に重要なところでございますから、幾らか進度を高めております。
  53. 仲原善一

    ○仲原善一君 大体わかりましたが、だいぶまだもやもやした点もありますので、いずれまたあとでゆっくりお伺いいたします。
  54. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もないようでありますから、本件はこの程度にいたします。   —————————————
  55. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 北洋漁業の件を議題といたします。  本件について、千田委員その他から質疑要求がありますので、これを問題にいたします。御質疑を願います。
  56. 千田正

    ○千田正君 長官にお尋ねしますが、北洋漁業の問題は、もうすでに皆さん御承知通りであるし、来年早々モスクワにおいて日ソ漁業の話し合いをする順序になっておりますが、新聞紙等の伝えるところによると、当初予想されておった一月の十五日ですか——一月中旬はペンディングだということは、これはどういう理由でそうなったのかということ、まずその点から一つお伺いいたします。
  57. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) お答えいたします。本年東京で開かれました第三回の日ソ漁業委員会におきまして、議定書で、来年の日ソ漁業委員会の会議を始める時期をいつにするかということをきめております。これは来年の一月十九日ということに一応——一応といいますか、議定書にはなっております。ただし、その際に、これは非公式な発言であったように記憶しておりますが、ソ連側としては、十二月にハノイで共産圏四カ国の西太平洋漁業調査会議というものが開かれる、これに出席を必要とする。それからさらに来年の一月十八日からモスコーにおいて日、米、加、ソ連四カ国のオットセイの会議の科学者の会議がある、さらに二十五日から同じ会議の本会議が開かれる、というようなものがあるから、自分の方としては二月のおそい時期に変えてくれということを申し込むかもしれないということを言ったようであります。私はその席に同席はしておりませんでした。従いまして、そういう点を考えますと、今度の、ソ連は二月の下旬に延ばしてくれということを言って参りましたことは、全然予想されなかったことではないわけでありまして、この日ソ漁業委員会は二国間の会議でございますので、やはりそういう何と申しますか、一応議定書ではきまっておりますが、そういうただし書きみたいなものが非公式についておったという関係もありますので、全然予想されてない、突如として申し入れをしたという性質のものではないと、こういうふうに私どもは了解しております。
  58. 千田正

    ○千田正君 われわれはことし、あなたは出席したかどうか知らぬけれども、日ソの漁業協定において、豊漁年であることし八万五千トンに漁獲高が決定されたというそのこと自体非常に不満なんですよ。しかもその会議の内容を見ると、出漁をぎりぎりまで延ばされて、どうにもこれは承諾しなければ、もうにっちもさっちもいかないところまで追い込まれてから、やむを得ず承諾したというような格好にしかわれわれは受け取れない。そうしますというと、会議の内容がどうあろうとしましても、いつでも向こうは、この前も——ことしばかりじゃない、昨年のときもそうなんだが、漁期が近ついてくるに従ってああでもない、こうでもないとどんどん引き延ばし政策をやられる、そうして最後にはもうどうにもならないというところまで追い込まれてから漁獲量が決定するというような状況にたびたびこれは追い込まれているのじゃないか、そういうことを考えますと、たとえばことしの日ソ間の漁業協定がやはり漁獲量の決定に対してはそれは一月中にしなければならないのが二月になるかもしれない、これは早く話がまとまればいいが、まとまらないというと昨年、ことしやられたように、漁期が切迫してからいやおうなしにこちらが承諾せざるを得ないようなところに追い込まれるのじゃないか、そういう危険性が多分にあるので、その裏に何か外交上のかけ引きがあるのじゃないかと疑わざるを得ないのであります。そこで本年は八万五千トンとして、来年は私はこれより上回るという予想はどうにもつかない、あなたの方がついているというならば別であるが、どうも八万五千トンより上回るというようなことはとうてい想像がつかない。というのは、かつて岸総理大臣がソ連側に言ったところの量も大体そう多い量を言っていないのです。そうするというと、来年は豊漁年に相当しないとなると、漁獲量というものが相当予想より突破するというようなことはおそらくないのじゃないか。過去における漁獲の実績並びにそういうものをしさいに検討してみるというと、現在の漁船を調整しなければやっていけないところに追い込まれるのじゃないか。現在われわれのところにも陳情がきているのであります。現在四百六十隻では八万五千トンの決定された漁獲量の範囲内でやってみたところが採算がとれない、過去においては、ある場合においては調整するときに漁をやめる漁船に対しては残った漁船がその分を背負ってやめてもらうというような格好をしておった。ところが六十隻以上、あるいは五十隻というような大量の漁船をこの際調整するとなれば、これはとうてい残った連中には背負い切れないのじゃないか、そういう点もありまして、来年の日ソ漁業の話し合いというものは容易ならざる段階に入るのじゃないか。長官にしましてはことしのような漁獲量を確保できるという見通しがあるのか、ないとするならば、現在の状況では十分なる漁獲を得ることが漁業経営の面から決していい結果にならない、必然的に漁船の調整をせざるを得ないだろう、そういう面も十分に考慮されていると思いますが、そういう点について一応長官の所信を承りたいと思うのであります。
  59. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) まず最初に、先ほどの日ソ漁業委員会の会期の点につきまして、一応向こうからそういう文書がまだこちらには到達いたしておりませんが、門脇大使の方に出されたが、こっちの返事はまだいたしておりません。私どもの方といたしましては、従来の例もあり、できるだけ早い機会に開き、そうしてできるだけ早い機会に妥結するように持っていく、例年——昨年あるいは今年、毎年少しずつ時期がおくれて、そのために非常な苦しみを受けているというようなことはできるだけしたくない、またそうしないように全力をあげて参りたい、こう思っております。  それから、来たるべき日ソ漁業委員会における最大の議題であります来年の漁獲量の点、私どもといたしましては、過去数年にわたる漁獲統計、あるいは生物学的資料、そういうものを分析し、現に私たちやっております。生産部長が一昨年北海道に参りまして科学者と打ち合わぜまして、さらに東京におきましてそれを全部整理した上で最後の取りまとめをするということで進んでおります。私どもとしましては、いろいろこれには、率直に申し上げて漁獲量の確保には相当な困難がある、こう思います。公海における漁獲の実績等から見て、われわれとして主張すべきことは十分主張して、漁獲量の確保に努めたい、こう思っております。さらにこの問題が、今度は国内の問題、言いかえますると、北洋漁業のいわゆる再編成問題ということにからみ合って、非常に困難な局面に逢着しているわけでございます。私どもとしまして、率直に申し上げて、そう甘い見通しの上に立ってものを考えるわけにはいかない。現在十六船団、四百六十隻という独航船で北洋漁業をやっておりますが、これ御承知のように、一昨年以前ですね、オホーツク海が閉鎖になります前は、アリューシャン海域では十四船団四百隻程度が出ていたわけです。それが、漁獲量が減った本年において十六船団、四百六十ぱい出た、こういうことであります。この何隻出るか何船団出るかということは、これは本質的に経営の問題でありまして、いかに赤字でも、将来の見込みがあるかもしれないから、本年赤字でも全船出るというような決心を業界においてした場合において、これをわれわれの方で強権的に何隻やめろ、転換しろとか休業しろというようなことはすべき建前ではないと思います。しかし、私の方の考えとしまして、そうは申しましても、やはり独航船四百六十ぱいじゃとてもやっていけないという場合には、そこに自主的にこれをどうすべきかということを考えてしかるべきじゃないかという意味のことを、私はもう一月以上前でございますが意思を申し上げてあるのであります。しからば、その場合に、独航船の方で何ばいですか、たとえば四十隻なら四十隻あるいは六十隻というような相当の隻数のものを他に転換なり休業するという場合にどういう考えがあるかということにつきまして、私どもの方でもいろいろ考えまして、ちょうど昨年から始まっております北洋のミール母船漁業、これが来年は四船団出漁する予定になっております。このミール母船漁業に大体一船団当たり北洋の独航タイプの船であれば十隻ないし十五隻程度収容できる。従いまして、四船団計四十隻ないし六十隻は収容できるのじゃないか。そういうことで、私の方としましては、ミール母船漁業を計画している漁業会社に対しまして、来年については独航船がもし転換してくる場合においては、これを優先的に契約する、連れていくように申し渡してあるわけでございます。従いまして、そういうことによりますと、かりに、独航船のうちから、そういうふうに転換なり休業したいというものが出ました場合においては、この方面に収容するということは一つ考えられるのじゃないか、こういうふうに思っております。なお母船の方につきまして、先ほど申し上げましたように、現在十六船団ございます。これがやはり経営合理化という面ではやはり母船の数は少し多過ぎる。従って、これはもっと合理化して、母船の数を少なくする、そうして経費を節約するということは、全体の国民経済上からも必要であります。その点は母船会社に対しまして、私どもからはっきりその点についての何らかの方策をとるように意思を伝えております。まだこの方面につきましても具体的な案として出て参りませんけれども、私どもとしましては、これを経営の問題とはいいますけれども、やはりそこにこれだけの漁業につきましては、できるだけ合理的に規模を作り直すということが必要である、こういうふうに思っております。
  60. 千田正

    ○千田正君 ただいま長官のおっしゃった、これは業者のことであるから立ち入ってかれこれ言いたくないという、そういう気持はわかりますけれどもね。そもそもこれだけの母船をふやし、それから独航船をふやしたのは、かつて河野君が農林大臣のときに政治的な配慮によってどんどんやらせるような方針をとった。それはやはり全然水産庁関係しないというわけにはいかないのであって、そういう過去のやり方を、そのまま現在になっても余じんは残しておりますから、それはやはり水産庁としても、水産行政の立場から何かしなきゃならぬということは、これは考えてもらわなくちゃならない。もう一つはミールに転向することは非常にいいアイデアです。ところが、調整されるであろう、あるいは調整しなくちゃならないじゃないかという連中からいえば、沿岸漁業の方へ食い込んでいきたい、または沿岸漁業じゃなくて、カツオ、マグロの方へ臨時的でもいいからやらしてくれというようなことも言ってきておる。これはやはりカツオ、マグロ漁業に対する圧迫になるのですね、一つは。そういう面も、これは慎重に考えなければならない。もう一つは、新聞紙上にいろいろなことを取りざたされておりますが、オホーツク海におけるところの操業禁止によって非常にあそこは北海道の漁民にとっては大きな漁場であったのが締め出しを食わされた。北海道ばかりじゃない、オホーツク海は日本が操業できないということは単なる水産の問題でなくて、日本の国力の減退とさえもわれわれは考えておるのであって、これと漁獲との分離されたあの当初の日ソ間の漁業協定話し合いというものは、相当これは日本にとっては不利な立場にしょっちゅう立たされておる。今度もやはりオホーツク海というものは、もう放棄した格好で臨むとすればよほどこれは日本にとっては大きな問題なんですが、どういうふうに考えておりますか。
  61. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) オホーツク海につきましては、昨年の第二回でございますか、あそこでオホーツク海は閉鎖するというふうに委員会できめられております。ただし、これは調査をするということ、共同調査を行なって今後考えると、しかし、それはすぐ従って調査によってすぐ開くということには私は今の委員会の決定ではなっておらないと、こういうふうに了解しております。
  62. 千田正

    ○千田正君 さっきお話のあったように、八万五千トンと本年きめられた漁獲量というのは、大体予想豊漁年ということで日本側が強く主張したにもかかわらず中間的措置みたいな八万五千トンにきめられてしまった。来年は豊漁年に当たっていないのですね。そうなると八万五千トン以上はオーバーして漁獲できるということはとうてい今までの外交折衝等においての関係から推察しても八万五千トンを上回わるということは容易じゃないと思う。そうなるというと、それをカバーする意味においてはやはりオホーツク海の漁業等はある程度多少でも緩和することを要求してもいいのじゃないか、われわれはあらゆる意味において外交手段を使わなくちゃならないし、何らかの姿において少しずつでもいいからこの進む方向に持っていかなきゃならない。そういう点においてはどうなんですか。これはどうしても来年は、相当、むずかしい条件を向こうから出されておるのですか。そうなると、今のあなたのおっしゃった漁船の調整なんていうものはもっと深刻化してくると思うのだ。その点はどういうふうに考えておりますか。
  63. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) オホーツク海につきましては、先ほども申し上げましたように、本年から閉鎖されておりますので、自動的に開くとか、来年もまた閉鎖するかどうかをきめるというふうには委員会ではなっておりませんので、これにつきまして私はいろいろそれは別途の外交ルートということはあるいは考えられるかもしれませんけれども、おそらくオホーツク海を解放するという方向にものが運ぶことは困難であろう、こう思っております。ただ、オホーツク海の問題とは別個に、やはり漁獲量の問題というものにつきましては、率直に申し上げて、私の方は相当に折衝に困難を伴うということは覚悟しておりますが、先ほど申し上げましたように、やはり漁獲の統計、状況、いろいろな生物学的な資料、分析、こういうものについて、私どもとしてもできるだけ漁獲量を増大する方向に持って参りたい、こう思っております。
  64. 千田正

    ○千田正君 もう一つ。これはすこぶる重大なことですが、先ほどお話のように、モスクワで開かれる日、米、加のオットセイの会議にソ連が参加しておる。それとのかわりとしまして、アメリカ、カナダ側は、最近非常に北洋漁業への参加を要求している。参加というか、ラインの拡張を要求しているのですね。一応日米加漁業条約で結んだあのラインをさらに西側に向かって向こう側が拡大解釈をしようとしている。それと、今のオットセイにソ連側を参加させたから、日ソ漁業の中にアメリカ側も参加させろとか、あるいは制限区域の拡張ということを持ち出されるおそれが多分に私はあると思う。そういうおそれはありませんか。
  65. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) オットセイ条約は御承知のように、戦前も四カ国間にございました。御承知のように繁殖島がアラスカの沖のプリビロフ島、カムチャッカの沖のコマンドルスキー島あるいは海豹島でございますので、これは四カ国として従来もあった通り戦後も発足したのでございます。ただこれと、日、米、加の北太平洋の漁業国際条約というものは、特別に相互に関連があるというふうには私は考えておりません。ただし、それとは別個に、北太平洋、特にべーリング海におきましていろいろな面で四カ国で条約を結べというようなことが出てくる可能性は私はないとはいえないと思います。ただし、この問題と、今、千田委員の御指摘になりました日米加条約による暫定抑止線を西に動かすことについての議論は、これはちょっと別の面を持っております。これは、そういう四カ国でいろいろな条約を結ぶべきだという議論と別に、現行漁業条約付属議定書によりまして、暫定抑止線はより衡平に分かつ確定的な線としてきめるということが日米加の委員会に定められた任務であります。それに関連いたしまして、アメリカは、わが方の調査によると、アメリカ系のサケがもっと西の方に出ているから、もっと線を西の方に動かすべきだという主張をしているわけでございます。
  66. 千田正

    ○千田正君 それは、長官はしょっちゅう代表になって大いにやっていただいておるからわかるのですが、絶対にあのラインは突破させてはいけないと私は思う。あれから西へ、アメリカ、カナダの制限区域がかりに日本側の理論が圧迫されて向こうの言う通りになったとすれば、これまた、将来大きな漁業への圧迫になる。これはあくまで拒否すべきであると思いますが、この点はどういうふうに考えておりますか。
  67. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 日米加条約によりまして、科学的調査の結果に基づいて、そのアメリカ系をアジア系のサケ、マスがどう分布をしているか、どういうふうに交錯しているかということを調べて、その結果に基づいて、最もよく分かつ線を見出すということが条約にきめられております。従いまして、これはそういう科学的調査というものがどういうふうになるかということによるわけであります。かりに、アメリカ系のサケ、マスがずっと西の方に圧倒的に出ているということになりますと、これは今の条約上は、線は西にいくことになっております。しかし、条約上は、ここに別のはっきりした規定がありまして、しかし、交錯することは予想されておる、交錯した場合に最もよくかつ衡平に、衡平というのは、度量衡の衡、衡平に分かつ線ということを条約文に規定しているわけでございます。その意味は何かと申しますと、結局、暫定抑止線というものを引くことによって本来なら抑止の対象とならないアジア系のサケ、マスがそれより東に大量に出ている場合には、それと抑止線から西にきているアメリカ系のサケ、マス、この両方バランスして考えるべきだ、そうでないと、この最も衡平に分かつという条約の趣旨に沿わないという立場をもちまして、わが方としてははっきりその点を主張しているわけでございます。そういう面で見ますと、だんだん生物学的調査も進行して参りましたけれども、なるほどアメリカ系の紅ザケは相当西の方に、抑止線よりきていますけれども、一方アジア系の白サケとかマスも相当線より東の方にいっている。言いかえれば締結当時予想されたより、はるかに両方の混淆の程度がひどい、しかもアジア系の本来とっていい、しかも線のためにとれなくなっているサケ、マスが相当オーバーしているということで、これはわれわれとしてはまだまだ調査もできないし、私どもとしては線が西に行くというような結論が出るというふうには考えておりません。ただし、この条約の規定の解釈につきまして、アメリカ側と日本とは全く対立いたしまして、従いまして、委員会としては、締約国にこの条約の解釈を聞こうじゃないかということを今度決議いたしました。従って、まず第一にそういう線をきめるという条約の解釈議論として、私は日本側の解釈が全く正しいと思います。アメリカ側のサケの分布だけを強調している解釈は、カナダ側はこれに対して全然意見を申しておりません。そういう状況でございます。
  68. 千田正

    ○千田正君 時間もあまりありませんから、もう一点、ソ連側が公海の操業は自由だという建前から、いわゆるカナダの沖合い、アラスカの沖合い等に相当トロール船その他を出して操業しておる。それでアメリカやカナダの新聞が憤慨してそれを書いている。アメリカやカナダとしては、ソ連の船が来て勝手にとる、日本とは日米加条約等によってある程度の漁種は制限されておりますけれども、日本側として遠慮してこないような状況になっている。ソ連とは何らの条約の規定がないから、どしどし来て勝手にとっている。そうなるというと、日ソ間の条約の方にも進出してかまわないじゃないか、われわれも八、海自由の原則に基づいて、ソ連と日本がどういう条約があったにかかわらず、われわれは勝手にとってもいいじゃないか、こういう理論が成り立つというので、ある程度そういう考えを持っている人間もアメリカやカナダにおる。そこで、日ソ間のその漁業条約のみならず、われわれも参加さしたらいいじゃないか、こういうことをいっているのですね。そういう問題になってくるというと、これはオットセイと同じように、日、米、カナダ、ソ連と四カ国が入って、そうしてあらゆる漁業問題が討議されるということになるというと、これはまた非常に日本にとっては大きな圧迫になりやせぬかという私は危惧を持っている。そういうおそれはありませんか。
  69. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) これは非常に重要な問題でございます。今のような意見……。ただし、現実の問題としては——これは公海漁業は自由でございますから、アメリカなりカナダの漁業者が来ることは自由であります。現実の問題としてはそういう事実は私はない。むしろ逆に、日本がミール工船等でその漁場でやっております。それを同じような海域にソ連が相当大きな船団をことし出してきておる。それに対しましてアメリカ、ことにアラスカあたりが相当神経をとがらせておる。アラスカの一部の人には四カ国で条約を結ぶべきだというような意見も出ております。将来の方向としまして、一つの海域であって、しかも各国がそれぞれ操業力を増大して参ってくるという場合において、そこにいかなる形態の国際間の協定なり条約が結ばれるかということは、私は必ずしも予断を許さないんじゃないか。それからまた一方、海洋法——去年ジュネーヴで開かれました海洋法、これの関連におきましても、沿岸国と海洋国という対立というものを前提としていろいろ調整を考えている。こういう世界的な一つの漁業に関する国際法というものが漸次確立と申しますか、制度化するという方向は一つの大きな流れではないか、こういうふうに思っております。それ以上に私、その可能性というものについて、何ともこれはお答えいたしかねるわけで、ただし、私どもとしてはそういういろいろな可能性というものを考えつつ、今後どうするかということを検討して参らなくちゃならないし、現にいろいろな面から検討は加えております。
  70. 千田正

    ○千田正君 最後に一点だけ……。  ここに資料を出していただいておりますが、これで重点だけを一つお伺いしたい。これはまあ一昨年からのですが、この漁獲量とそれから漁獲した後の製品——カン詰等々にしましても、一体八万五千トンではどれだけの船や、あるいは漁業経営が成り立つか、それから、それをオーバーしたのでは成り立たないかという限度が、大体この資料では判断できると思うんですが、その目安の重点だけ、この資料を中心にして、簡単でいいですが重点的なお話を願いたいと思います。
  71. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) どれだけの漁獲量があれば成り立つかどうかという点は、これは率直に申し上げて非常にむずかしい問題だろうと思います。一つ例をとれば、四百六十ぱいの独航船について見ます場合に、あるいはまた十六隻の船団の場合につきまして、これの経費というものの算定が、私どもいろいろ数字はとっておりまするけれども、非常にむずかしい。たとえば、ことし八方五千トンで、北洋の母船式漁業の割当は七万八千三十四トン、これを四百六十隻、一隻当たりにしますと百五十四トン、その際に独航船側は、百五十四トンじゃとても経費が足らない、全船赤字出漁だと、こういうことを言われたわけであります。私どもとしまして、これに対して必ずしもそうは考えておらない。百五十四トンで、ことしの魚価にしますと、いろいろなあれを入れまして、たしか千五百万円をちょっと欠ける、千四百八十五万円か九十万円という数字なんです。これじゃ経費が償えないということも出ました。私どもの調べました範囲におきましても、独航船の経費は千三百万円、あるいは千四百万円だという数字も成り立つ、さらに、千七百万円でなきゃ成り立たないというような数字がいろいろ出て参ります。それから、母船の方につきましていいますと、これはさらに困難なことは、ここにございますように、各社いろいろ船がございますが、この船によっているいう性能なり、船齢、船価ですね、そういうものも違います。それから北洋漁業に対する依存度というものをどう見るかということで非常にむずかしいと思うのです。従いまして率直に申し上げますと、私どもの方としましては、この両者についてどこが限界かと、コストの限界かということははっきり答えを出すわけには参らない。と申しますのは、北洋漁業というものについて、これが一種の企業の特許的なものでありまして、政府はこの企業経営について内容をタッチしておる場合にはそういうことがはっきり把握ができますけれども、現在は単なる許可漁業でございまして、今申し上げますように、いろいろな事情がございますものですから、はっきりこの線を下ったら赤字だというようなことはわれわれの方で申しかねるわけございます。ただし、母船の数につきましては、先ほど申し上げましたように、従来漁獲量がもっと多い時期において、たとえば昭和三十二年ですか、十二万トンのときにおきましてアリューシャンでは十四船団だったということを一つ考えると、十六船団というのは多過ぎるじゃないか。そうして一船団当たりの独航船の数というものも、これは物理的におのずから限度はあります、操業上から収容隻数というのは。しかし、もっと一船団当たり収容させた方がコストは低下する、こういうふうに考えておる次第でございます。
  72. 千田正

    ○千田正君 どうも長官からお話を聞くというと、あまり内容にタッチするというと、あとの調整問題なども責任を背負わなくちゃならないから、あまりタッチしたくないようなお話なんですが、しかし、水産庁としてはやはり行政指導の立場からいいまして、やはり採算のとれないのをそのまま許可しておいて、今度とれなくなったからといって、国会だの、それから政府に陳情に来るのが年来の漁業者の実態なんですね、食えないから何とかしてくれ、しかもわれわれは国策の線に沿うて……なんという大きなことを言ってこられると、やはり政府としては何かめんどうを見てやらなくちゃならないじゃないかということになりますというと、ある程度経営に対しましても水産庁としてのアイデアをはっきり言うて、なるべく赤字を出さないようなサゼスチョンは当然してやるべきじゃないかと思うのですが、それはどうなんですか、全然タッチしないというのですか。
  73. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私の方は、今、千田委員のおっしゃったようなこともございますけれども、全然タッチしないで知らんふりをしておるということではございません。たとえば独航船について四百六十ぱいという全船出漁でいいのかということを一つ考えてもらいたい。ところが、独航船の連合会では全般出漁という線を今のところ打ち出しておるようでございます。そこで独航船につきましては、さっき申し上げましたミール工船の方に今押えさして、実はその方も来年の四月に出漁するので早く船をきめないと準備がでまないと困っておるので、そこで私の方としてもその辺のはっきり決心を迫られておるわけでございます。そういうふうに独航船の方で考えれば、これは四十ぱいないし六十ぱい程度は収容し得るのでどうだろうという点は前から慫慂しておるわけであります。それから、母船会社につきましては先ほど申し上げましたように、これは独航船側から従来からも主張しておりますように、現在十六船団では多過ぎる、こういうことでございます。私どもとしましても母船の関係団体に対しましてはっきりこの点はしっかりもっと合理的にいくように船団の数を減らすことについて強く要請しておるわけでございまして、行政指導というものは、こういうものにつきましては非常にデリケートであり、非常にむずかしい面が多々ございまして、何も私どもとしてはそういう労をいとっておるわけではございませんので、漸次と申しますか、時宜に応じて強く推進して参りたい、こう思っております。
  74. 千田正

    ○千田正君 それでは希望だけ申し上げます。  間もなく日ソ問題あるいはそれから日、米、加の問題等、いろいろ水産に関した問題が今後、来年早々から行なわれると思うのでありますが、その間の——委員会にできるだけ中間報告をときどきやっていただきたいということは、たとえば漁獲量がきまってから紛糾したり、そうしてどうにもならなくなればわれわれの方に陳情に来たり、水産庁にすわり込みをするというようないろいろな問題が起きてくる。ひいては今度は国際問題もありますので、できるだけ国会に、当委員会なども特に心配しておるのですから、水産庁としましては中間報告でも、それから進行状況でも機会あるごとに報告していただきたいということを特に希望をいたしまして、私の質問を終わります。
  75. 堀本宜実

    委員長堀本宜実君) 他に御発言もないようでありますから、本件はこの程度にいたします。  残余の議案は後日に譲り、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時三十一分散会