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1959-12-08 第33回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月八日(火曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            伊能繁次郎君            大谷 瑩潤君            木村篤太郎君            小柳 牧衞君            下村  定君            一松 定吉君            松村 秀逸君            鶴園 哲夫君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            辻  政信君            向井 長年君   国務大臣    国 務 大 臣 赤城 宗徳君   政府委員    人事院総裁   浅井  清君    人事院事務総局    給与局長    滝本 忠男君    総理府総務長官 福田 篤泰君    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    防衛政務次官  小幡 治和君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁装備局長 塚本 敏夫君    調達庁長官   丸山  佶君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    防衛庁航空幕僚    監部幕僚長   源田  実君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家公務員制度及び恩給に関する調  査の件  (国家公務員給与に関する件) ○国の防衛に関する調査の件  (駐留軍関係施設の返還に関する  件)  (航空自衛隊次期主力戦闘機の機  種選定に関する件)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、国家公務員給与に関する件を議題として調査を進めます。  政府側出席方々は、浅井人事院総裁滝本給与局長福田総理府総務長官佐藤総理府長官増子公務員制度調査室長等方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 前回人事院給与勧告につきまして腰が非常に弱い、薄氷を踏むような思いで勧告をしておられるのではなかろうかと思っておる。そういう腰の弱さというのが、勧告の全体にしみ渡っておるというふうに公務員人たちは信じておる、そういう点について質問をし伺ったのでありますが、浅井総裁は、腰は弱いのじゃない、こういうお話であります。ですが、この点はやはり今後の全体にからんでくる問題でありますので、私としましては、強く浅井総裁に要望をいたしておきたいと思っております。  御承知のように、公務員三十六万の大きな犠牲の上に、すなわち団体交渉権争議権というものをなくするという上に立ちまして人事院が設置され、その機能というものが発揮されておるわけでありますけれども、これについて、過去、創設以来浅井総裁のとられた態度について非常に遺憾であると思っております。有名な末広厳太郎博士中労委会長当時、一年に一回ずつやめるという決意でやっておられる、あるいは今日の中労委会長であられる中山伊知郎さんにしましても、そういう決意でやはりやらない限りは、うまく運営できないという実情にもあろうと思っております。そういう点については人事院におきましても、あるいはそれ以上の意味合いがあるのではないかと思っております。従って人事院総裁がもっと正確に、正しく勧告されるように強く要望いたしたいと思っております。  民間給与をできるだけ低くとらまえようという点に非常に苦慮しておられることについて、先回も質問をいたしました。続いて調査やり方について、やはりそういうような考え方が出ておるというふうにも考えますので、申し上げたいのでありますが、それは事業所選定であります。事業所抽出される場合五千九百三十九という事業所選定しておられますが、この選定やり方、さらにその内容に至りまして、産業別とり方、さらに今度は個別調査に入りまして系統抽出やり方、さらに職種抽出やり方、いずれも公務員給与民間給与というものもできるだけ低く調査しようという考え方が、あまりにも露骨に出ておるように思います。その一つ一つについて伺いたいのでありますが、第一番目は事業所選定であります。五千九百三十九という事業所選定しておられます。しかし、この選定人事院の場合においては三段階に分けております。五百人以上、五百名から百名まで、五十名から百名までという三段階に分けておられるわけでありますが、御承知のように五百人以上の賃金を一〇〇といたしますと、五百人以下は七〇くらい、五十人から百人くらいの間の給与というものは大体六〇くらいというふうに企業別によりまして、非常に賃金較差が大きいわけであります。従って、その三つに分けたやつをどういう工合にとるかによって相当違いが出てくる。あるいはその組み合わせによっては、相当幅のある握り方、民間給与の把握の仕方ができるというふうに思います。過去四年間のあるいはもっとさかのぼってよろしいと思いますが、過去五年くらいの間の事業所選定の仕方を見ますと、非常に差がある。五百人以上を申しますというと、去年よりも二%ほど減っておりまり。さらにこの賃金の一番大きい五百人以上の事業所というのが二%減っておる。さらに一番賃金の低い五十人から九十九人というものが約四%ほどふえておる。これは各年申し上げてもいいわけでありますけれども、こういうことでは非常な問題があるのじゃないかというふうに思います。この事業所選定について伺いたいのです。毎年きまったような数字でなければいけないのじゃないかという点であります。毎年違うようでは困る、この点が一点。  それからもう一つ申し上げたいのは、そういう五千九百三十九という事業所をとられますが、その事業所は、今度は産業別に構成されておるわけでありますが、賃金産業別にひどい較差があることは、御承知通りであります。金融業が一番高い、建設業が低い、あるいは鉱工業、工業が一番低いというふうに産業別に非常に賃金較差が違う。ところが、このとり方も各年非常に違って、今年なんかにおきましては、三十四年度においては、最も悪いとり方になっておるというふうに思っております。この二点について、簡単に御説明いただきたいと思います。
  4. 浅井清

    政府委員浅井清君) 具体的の問題は給与局長から詳細に申し上げさせますが、ただいま御質問の一番前提となっておる点、つまり人事院はなるべく民間給与を低く出そうとしておるのではないかというお尋ねでございますが、さようなことは決してないのでございまして、人事院といたしましては、いつも公正に民間給与調査をいたしておるつもりでおります。具体的の点につきましては、給与局長からお答えをさせたいと思います。
  5. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) ただいま御指摘事業人事院民間給与調査をいたしまする事業所の数が、まず規模別に見て五百人以上、五百人から百人の間、それからそれ以下において数が去年より違っておるのじゃないか。しかも、その違い方が下の方に重点を置いた違い方になっておるのじゃないかという御指摘でございます。人事院といたしましては、まず、こういうことを申し上げたいと思うのであります。このパーセントの違いが出ましても、これはその個々事業所におきまして調査いたしましたものも、どの程度割合抽出したかということに応じまして、これを全事業所に復元いたすのであります。従いまして、人事院調査は、少なくも五十人以上について全数調査をしたと大体同様の結果に相なっておる、こういうことになるのであります。われわれはいわゆる任意差別抽出ということをいたしまして、事業所選定いたす、ところが、実際はその事業所の何かの都合で調査が不能である、やむを得ず変えなければならぬ、事業所選定したあとで変えなければならぬというようなことは、実際問題として起こるわけであります。そういうことも多少はあるということをつけ加えて申し上げたいのでありますが、そういうふうに無差別抽出をいたしました結果は、あるいは数が多いところが、場合によっては多かったりあるいは少なかったりいたすのであります。現に一例といたしまして、五百人以上の抽出割合抽出といいますか、全調査の中に占める事業数割合というものを三十年以降見て参りますると、三十年は五〇・三%、三十一年は五二・四%、三十二年は五〇・八%、三十三年が六一・七%、三十四年が五九・一%、これは時々によって変わっておるのであります。また、五十人から九十九人のところを見ましても、三十年が一一・三%、三十一年が一一・〇%、三十二年が一〇・二%、三十三年が一一・三%、三十四年が一一・九%、こういうふうに任意差別抽出の結果、あるいは数が多かったり少なかったりするということがあり得るのでございまして、これは決して故意ではないのであります。また、故意ではないのみならず、先ほど申し上げましたように、個々に出ました割合そのものが、たとえ五百人以上のところの抽出が多いというふうにごらんになっても、それは抽出がかりに多かったら、それが復元される場合には、やはり少ない割合で復元されて、全体としましては、五十人以上の事業所を全部調査したと同じ効果を来たすような方法によりまして調査いたしているのでありますから、この数字自体が問題ではないのであります。もちろん、同様のことがこの産業についても言えるのでありまして、われわれはこの任意差別抽出いたすのではありますけれども、場合によりましてある産業が少なかったり、多くなったりする、こういう状況であります。
  6. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 人事院としては、今五十人以上の企業対象にしておられるのですが、五百人以上の企業対象として、民間給与公務員給与を比較する意思はないか。私は国家行政組織上の建前からいって、公務員の五十人いるところ、三十人いるところであっても、国家行政組織からいいますならば、一万人も、千人も同じだと思っております。総理大臣が持っている行政権というものが末端まで分配されていく、さらに末端から上までヒーラルヒー的に結合していく。統制権あるいは監督権、こういうようなものによって統制している、その意味では三十人いるところも、五十人いる事業所があったとしても、それは一体的のものとして有機的に把握しなければならぬのでありまして、にもかかわらず、五十人の企業、六十人の企業、百人の企業対象とされるということは、やはり問題があるのじゃないだろうかと思っております。さらに、学歴構成の点からいいましても、あるいは経験年数の点からいいましても、五百人程度のところと比較するのが妥当じゃないかと思いますし、また団交権あるいは争議権というものを奪われている。あるいは政治活動というものがほとんど完全に制限されているというような、非常にきつい服務、中正の義務を背負わされている、そういうような公務員の立場からいいますならば、五十人以上ということでなくて、やはり五百人以上の企業対象にして調査し、それと公務員給与を比較するというのが妥当ではないだろうかというふうに思っております。従来人事院は、この点につきましては、税金の関係から申しておられるんですが、もっと国の行政組織上からも考えなければならぬ点ではないだろうか、重視しなければならぬのじゃないだろうか、こういうふうに思いますが、五百人以上の企業対象にして調査比較される意思はないかという点について伺います。
  7. 浅井清

    政府委員浅井清君) お答えを申し上げます。この点につきましては、全く相反する二つの意見があったということでございます。一方から見れば、国家のような大きな雇用主民間にはないので、こういう大きな会社民間にはない。さすれば、非常に五百人でも、千人でもずっと従業員の多い会社とだけ比較すればいいじゃないかという意見もございます。しかし、一方からいって、中小企業というものは、それではどうなるのか、これを全然無視して比較して、公務員給与というものが国民全体の負担である以上、これはあまりに高く見過ぎるのではないか、こういう意見が二つあるわけでございます。そこで、人事院は、従来から五十人以上とひとまずこれをきめましてやっている。ただし、五十人と申しましても、五十人の会社ではないのでございます。これは事業所でございますから、大きな会社でも、地方によって五十人の出張所、支店等があれば、それがその中に入っているのもある、こういうことでございますから、それは五十人以上という数字ではございますけれども、実は非常に大きな会社の五十人の支店であるという場合もあるのでございます。なお、この点につきましては給与局長から補足させます。
  8. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 規模をなぜ五十人にするかというお話でございますが、今総裁から申し上げましたように、従来から人事院といたしましては五十人以上の事業調査いたすということになっておるわけでございます。ただここで五十人以上の事業場調査いたすということはどういうことかということを申し上げますと、五十人の事業場における平均賃金というようなものを問題にいたしておるわけではございません。これは御承知通りであります、五十人以上の事業場におきまして、国の公務員と同等の職務をやっておるものを捕捉するわけであります。できない場合は、これはやむを得ぬのでありますが、そういうわれわれは、一定の職務内容あるいは学歴年令、ことしは学歴年令は問題にしなかったのでありますが、職務内容というものを確立いたしまして、そういうものがあるかどうか、ある場合にはそういうものをとってきてこれを調べる、こういうやり方でございまするので、五十人の事業場で、平均賃金を調べるということではございません。それからもう一つ申し上げたいことは、なぜ五十人以上ということに結局落ちついているかということでありますが、これを資料的に観察いたしてみますると、これはおおむね五人以上の従業員を雇用しておりますものの全数の中で、五十人以上のものがおおむね半ばに当たっておるということも、やはり五十人ということが落ちついてきておるゆえんだというふうに思っております。
  9. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この論議は別にいたしまして、次に系統抽出法というやつと職種抽出法というものをやっておられますね。私は系統抽出法をやりますと問題があるのじゃないかと思います。人事院民間調査実施要領によりますと、従業員数は、ことに大規模なものについては調査を簡素化するために抽出する、一万名以上の事業場について抽出をやるということになっておりますね。たとえば三万人以上の企業でありますというと五分の一の抽出をする。一万から三万人以上の大きな企業にあっては二分の一または三分の一を抽出する。要するに一万人以上という大きな企業にあっては、三分の一から五分の一という抽出をされる。このことはこういうことにはならないのですか、大きな事業場というのは、どうしたって賃金は減るし、較差がありますから、そうしますと、その人数は総体的に減るということになりはしないかという点が一つであります。これはどうしても民間を低く給与調査するという形になる。もう一つは、系統抽出法と同じように、職種抽出法をやっておられます。この職種抽出は、該当者が多い職種、たとえば新規採用者が二十五人以上あるようなところ、あるいは係員が百人以上、技手が百人以上というようなところにあっては、それぞれ三分の一、あるいは二分の一、あるいは六分の一という抽出をやると、そういたしますというと、こういう技手なりあるいは係員が百人以上ということになりますと、どうしても千人をこすような大きな企業になると思いますが、そういうところが三分の一なり二分の一を抽出されるということは、どうしても総体の民間給与というものが低く把握されるということになりはしないか、この二点について伺いたいと思います。
  10. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) ただいま御指摘系統抽出をいたしまして、そうして大きい事業場を数多く選び、そして小さい事業場を数少なく選んで、かりにそれだけ選んだものの中に、それぞれまた職種抽出で、個人がおるわけでありますから、そういうものをそのまま平均するということになりますれば、御指摘通りだと思います。ただわれわれがやっておりまするのは、いわゆるランダム・サンプリングの方法に従いまして、三分の一抽出いたしましたものはこれを三倍いたしまして、全部抽出いたしたと同じ形にいたす、で、五分の一抽出のところは、出してきましたものを五倍いたしまして、そうしてその部分については、全部調査したと同じことにいたすわけであります。そのようにいたしまして復元いたしまして、この五集団全部を調べたと同じような効果を持つような形にいたすわけでありますから、抽出の精粗によりまして影響が多いのじゃなかろうかという御心配は、当たらないことになると思うのであります。われわれがなぜそういう方法をやるかと申しますれば、御存じのように小規模事業が圧倒的に数が多い。われわれは限られた時間に調査をやらなければならない、同じ精度調査をかりにいたしますならば、小さい事業場を数多く回りまして、そうして非常にロードがかかるわけであります。調査技術上も、限られた時間に、限られた人員ではできないという面が一応ございます。しかし、これとてもあまりに抽出の率が違いましては問題でありますから、その限度は心得ておりますけれども、その限界内におきまして、大きい事業場抽出を多くいたし、小さい事業場抽出を、割合からいたしますれば少なくするということを、やむを得ずやっておる次第でございます。しかし先ほど申し上げましたように、その結果が大きい事業が大きいウエイトで影響しているということはないのでございます。
  11. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に伺いたいのは、人事院調査の表によりますと、職員工員区別が明らかにされていない、定義はもちろんしておりません。そうして要領によりまするというと、会社にまかしてある、区別のないところは全部工員職員というふうに入れていいというふうにしてある。従って非常にその意味ではこれは人事院としては、この点については全く放置しているといっていいのじゃないかと思います。そうしますというと職員の中に相当工員の数というものが入ってきているというふうふうに見て差しつかえないのか、そうしますと、職員工員給与の開きというものは相当較差がある、そうするというと、工員が相当たくさん入っているということによって、民間職員給与調査というのは下がるわけであります。さらにまた、この人事院実施要領によりまするというと、期間を定めずに、また一カ月以上をこえる期間を定めて雇用される者を対象にしておられる。そういたしますと、これはどうもこれだけでは、いわゆる臨時工臨時職員という人たちが入る可能性は否定できないのじゃないか。労働省調査によりましても一〇%ぐらいは入る、こういうことを言っておりますが、今の人事院調査によりまして、職員の中に相当工員が入っている、そのことによってこれは給与が低まる。こういう点と、もう一つ臨時職員あるいは臨時工という人たちが、どうしてもこれでは防ぎ切れないで入る可能性が否定できない。その点二点を伺いたいと思います。
  12. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 職員工員の別が不明確ではないかというお話しでございます。この点前回委員会におきまして鶴園委員の御質問に私がお答え申し上げた点が、ちょっと言葉が足らなかったために、誤解を持たれたのではなかろうかと思いますので、もう一ぺんあらためてその点を申し上げたいと思います。前回お答え申し上げましたのは、いわゆる期末勤勉手当人事院が考えまする際に参考といたしまする民間期末勤勉、いわゆるボーナスの支出状況、これは人事院調査におきましてはいわゆる精度表というものによって見る。一つ会社におきましてどういう精度になっておるか、あるいは給与支払いが全体としてどれだけの金額になっておるか、支払いを受ける人員がどれだけあるか、大まかな調査をいたすのであります。その精度表に記載してもらう場合におきましては、職員工員会社側で考えているところに従って、職員工員の別をしてもらうということを申し上げたのでありますが、われわれが給与を調べまする場合、すなわち俸給表を改訂いたしますための給与を調べます場合のやり方というものは、これは職務内容を限定いたしまして、職員工員ということではございません、それぞれの職種によって限定される形で調べるということにいたしておりますので、この点は問題はないのではなかろうか。前回お答えが多少誤解を生む結果になったのではなかろうかと思いますので、御了承願いたいと思います。それから人事院個別調査においても、なおかつ一カ月以上雇用されている者という見方をしているから、それで臨時工というようなものが入ってくるのじゃなかろうかという御心配です。この点につきましては、この人事院調査要綱によりまして、一カ月以上というこの言葉を不用意に書きました点につきましては、おわびを申し上げるよりしようがない。従ってこの点につきましては、来年以降はそういう表現をとらないように、もちろん注意いたす所存でございます。ただしかし、われわれは、調査を指導いたします場合には、この臨時工が入ってくるということは初めから予期しておりませんものすでから、従いまして、当然常勤として長らく勤めておる人を調べるということで指導いたしておる。間違って入ってくるものがあるかもわかりませんけれども、それはどういう調査におきましても伴う程度の誤差の範囲のものであろうかというふうに思っております。しかしこのことは、お前の方の調査要綱に、一カ月以上ということを明らかに書いておるじゃないかという御指摘を受ければ、何とも申しわけのしようがないのであります。ただわれわれが、そういう調査をやっておりますので、労働省調査されておりまする調査とあわせ考えてみましても、われわれの方にいわゆる臨時的なものが入っておるというふうには、現在大数的に見まして考えられない状態でございます。来年以降におきましては、この点は注意いたしまして、調査要綱におきましてもはっきり書きたいと思っております。
  13. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 一カ月以上というふうに書いておられまして、それで実施要領見ますというと、非常に誤解が起こる。一カ月以上というふうに書いてあるにかかわらず、見習工は除け、見習い職員は除けというふうになっている。しかし見習いは、一年でも半年でもおるわけであって、そういう意味で一カ月というふうに切りますと、あの要綱見ますと理解がつかない。おそらく私は相当入っておるのじゃないかと考えます。この点は論議しないことにいたしますが、さらに個人表に、個人調査に入りまして、総務の係、それから経理資材、この三つに限って調査をしてられます。どういうわけで資材経理とそれから総務というように限定をされるのか。役所の場合を言いますと、資材経理総務というところは、学歴構成というのはうんと低いのです。民間の場合においても同じだろうと思います。のみならず民間の場合におきましては、もっと給与の高いところがある、営業部人事院機構図表にもありますように、営業部あるいは企画部、あるいは調査部技術部、あるいは製造部、こういう職種をなぜおとりにならないのか。民間においては、こういうところが高いというふうに言われている。これを除いて、そして経理総務資材、この三つをとられておる。これはどうしても民間給与においては大きな問題があるんじゃないかと思う。個人調査でこれだけおとりになるのは問題があるんじゃないかと思う。もっと広げてとるべきじゃないかと思う。もっと広げてとるべきじゃないかと思う。経理総務資材という関係をおとりになるために、それと公務員を比較されればいろいろ矛盾が出てきて、公務員と比較される場合矛盾が出てきておりますが、この点を一つ伺いたいと思います。その点一つ回答願います。
  14. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) この総務経理資材というものをとっておりまするのは、一つ事業場におきまして、いわゆる平均賃金を問題にしておるのでないのでございまして、公務と、職務内容のほぼ同様のものをとるということが、この調査の目的でございます。これは公務員法に書いてある民間給与等を参考にしてきめるということでありますが、その場合に、職務内容の同じものを問題にするということは、当然のことであろうと思うのであります。もともと公務というものは、この民間とは違いまして、ある場合には権力行使ということで、民間とは違うのでありまするから、そういう意味で公務と民間と比較するということは、これは根本的に問題がないかといえば、やはりそこに一つの問題があろうかと思います。しかし現在の体系の中におきまして、公務と民間と大体同程度にするということは、職務内容が同じようなものをとってきて比較する、こういうことでございますので、公務にも、民間にも共通にあるし、また民間の各会社においても各事業場におきましても共通に存在いたしまするような、従って調査をする場合に数多くとり得る調査がよろしい、信頼度も高いという結果になるのでありますが、そういう総務経理資材というようなことを調査対象にいたしておる。で、われわれはこういうことで調査をして参りまして、ことしの調査結果をごらん願っても、この職務の種類、職務段階、すなわち俸給表別、等級別というところまでは職務内容ということ、あるいは困難の程度ということを問題にいたすのでありまするが、その中におきましてはやはり学歴、勤続年数というものを斉一にいたしまして、民間と公務では非常に形が違いまするから、そのまま比較するのは適当でございません。従いましてこれを両者共通のようにいたしまして、学歴の高いものが多い公務は、低い民間とは、これは両者共通の、すなわち大体同学歴程度というように補正をいたしまして比較をする。従って学歴の違いということは、われわれは調査の途中におきまして、それを斉一になるようにいたしておる、このようにいたしております。
  15. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 経理総務資材というのは官庁にもある、両方あるから比較しやすいということをおっしゃいますが、調査あたり各課ごとに調査するのがあり、局にも調査課というものがある。官房にもある。さらに企画部というのもあり、係だってある、あるいは課だってある。民間にもある。官庁の場合においても特に企画あるいは調査、こういうところに重点を置かれておる面も否定できないと思う。ですから両方ともあるんだから、総務経理資材というだけが民間調査対象になる、個人調査対象になるということはできないと思う。これはいずれ次の通常国会で一つ論議をして質問したいと思う。  次に、人事院調査をやりまして、それに基づいて勧告をいたしておりますが、五・七%民間より低い。今回これを若干の医療職、研究職、医者と研究者、これについての俸給を改めることが中心となって、あとは中堅職員を少し上げるという勧告俸給表については行なっておるわけですが、先般行政職俸給表の(一)、これは大体二十万近くの公務員がこれに該当するんですが、この行政職俸給表の(一)について申し上げた点を、もう少し突っ込んで申し上げたいと思いますが、この行政職俸給表の(一)に該当すると民間の俸給よりも一三・三%低い。公務員の方が一三・三%低い。平均いたしますと二千五百九十二円低い。今度この行政職俸給表(一)を変えまして、変えて大体四百五十六円上がる。平均して四百五十六円、二・三%ほど上がる。そうしますと、なお民間よりも、一一・三%低いのを二・三%上げたわけですから、なお一一%民間より低い。金額にいたしますと、二千五百九十二円低いというんですから、それから四百五十六円上げますと、なお二千百円ほど、行政職(一)の場合は民間より低いということになる。これはどういうふうにお考えになるか。  それからもう一つ研究職、これは民間よりも低いというので、相当これは、二七、八%低いというので、この研究職の俸給表を変えられた。ところが七等級は民間より二一%低いという数字を出しておる。これが今度改訂されまして、それは三%ほど改訂される。そうしますと、まだ一八%低い、七等級は一八%低い。金額にしまして二千円ほど低いと、明らかに数字が出ておる。さらに六等級、これは三四%低い、民間よりも。金額にしまして大体五千円低い。こういう数字を出しておる。今回これを改訂いたしまして九%ほど上げる、千三百円上げようというんですが、なお三千七百円低い。二五%低い、パーセントにしますと、民間よりも。こういうことはどういうわけなんですか。できるだけ民間よりも公務員の方を低くしておこうというお考えなんですか。あまりにも違いがひど過ぎる。それから医療職、医者の問題ですね。医者の問題については、五等級は民間よりも三二%低いという数字が出ておる。金額で七千百八十四円、七千円低い。今回九%上げます、金額にいたしますと二千円ほど上がります。しかし三二%低いところが九%上げた、上げたんですけれども、なお二三%低い、金額で言いますと五千円ほどまだ低い、上げてもなお低い。四等級もそうであります。四等級も民間より三〇%低い、金額にしますと一万六百円低い、今回六%ほど上げます。金額で二千円です。今回上げてもなお民間よりも二四%金額にしまして八千六百円低い。なぜこういうことをなさるのか、全部なぜ上げないのか。先ほど言われたように、非常に詳細な資料でもって御判断になっておられるんですから、なぜこういうことをなさるのか。今の行(一)の問題、それから医療職、それと研究職の問題について伺いたい。
  16. 浅井清

    政府委員浅井清君) お答えを申し上げますが、これは実にむずかしい問題でありまして、ただいまは低い方ばかりをおあげになりましたけれども、たとえば教員のごときは、これは公務の方が民間よりはずっと高いのでございます。それからまた警察職員でございますとか、税務職員でございますとか、これら民間にない職種がある、これは比較のしようがないのでございます。そこで、人事院がやっておりまするのは、おのおのの職種について官民の比較はいたしますが、およそ平均幾ら低いというので、適当にこれをそのときの情勢によって上げていく、これよりほかに私は方法はないように思っております。もしも低いのをみんなやりますれば、今度公務員の中でいろいろまた不均衡が出てくるのじゃないか、こういうふうにも考えます。なお給与局長から補足させます。
  17. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) ただいま御指摘の各俸給表別、等級別につきましては、御指摘通りの結果になっておると思います。人事院といたしましては、ただいま総裁から申し上げましたように、全体的な問題として考えざるを得ない。すなわち今年の調査におきましては、民間との較差というものは、基準内給与におきまして五・七%しかこれはこの四月以降、すなわち勧告の時期におきましては、すでにもう実現しておる問題でございますので、実際の差というものはそれより少ない。その程度のところを全体的に公務では上げる、すなわち全体の水準ということにつきまして、一応五・七%ということを問題にしたのでありまするが、公務内における配分という問題になって参りますれば、これは俸給表別、等級別に民間と合わせたということではございません。これはなぜそういうことになっておるかと申しますれば、御存じのように、従来給与法改正以前におきましては、一般俸給表というのがあったわけであります。そのほかに特別俸給表というものがございまして、一般俸給表だけを調べて、そうして特別俸給表はそれに応じて自然変わってくるという状況になっておったのであります。新しい給与法になりましてから、今回が二回目の調査をやった、前回はまだ初めてでございまするので、あまりそのことを問題にするほど確信を持たなかった。今回は二回目で、各俸給表別の民間較差というものも、ある程度落ちついた形で把握できたということは言えるのであります。ただ、結果的に見てみますれば、これはもうすでによく御承知いただいておることと思いますが、先ほど総裁も申し上げましたように、この俸給表職種の種類に従いまして、公務の方が高いものがあり、また低いものがあるというわけでございます。まあこの教員のごときは、直ちにこれを比較するのは適当かどうかわかりませんが、現に医療職俸給表(三)のごときだって、これは民間よりも公務の方が高いということになっておる。現在それでは全体として、どういうふうに公務の給与を考えるのが適当であるか、俸給表が変わりましてから後の話でございまするが、昨年度におきましては、まず研究と医療において初任給のところで若干その他の職種と差をつけたということをいたしたのでありますけれども、今年も俸給表別の違いをある程度反映いたすという意味におきまして、研究、医療につきまして、たとえば一番上げたところにおきましては、二千四百円くらいは上げた、行政職以下のところでは千円ないし八百円くらいになっておりますが、医療、研究あたりにおいては、そういうことをやった、これとても出て参りました較差そのものではございません。しかしながら、これは公務内におけるいろんな関係で、その他のバランスということもあるのでありまするから、これを民間と完全に合わすということでありますれば、あるものは上げ、あるものは下げるという結果になりましょうけれども、現在の状況のもとでは、そういうふうにするのが適当であるというふうには、人事院は判断していないのでございます。従いまして全体のバランスを考え、しかも全体としては民間較差に合わすということにいたしますれば、今回人事院のやったようなことになり、しかも今回はおおむね学校卒業後十年くらいのところを中心に、給与の改善をはかったということになっているのでございまして、各等級別にそれぞれ民間較差と合わしたということではないのでございます。
  18. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 なかなか苦しいお話しですが、全体としてというお話しですけれども、しかし人事院としては各職種によって賃金を変えたいというお気持で、行政職俸給表(一)とか、あるいは医療職俸給表(一)とかあるいは研究職俸給表というのをお考えになったのでしょう。各仕事によって、職務内容も、あれも違うから、俸給表を別にしましょうということだったのでしょう。それによって民間との比較をしようというお話しで進められたが、あまりに差が出てきてしまったから、あわてて全体の、全体のという話になったが、これは承知できないと思う。いかに調整をとられるとおっしゃっても、行政職俸給表(一)を例にとっても二千五百円低いのに、わずか四百円上げられる。これは何といっても承知できない。しかも俸給表ごとに、各職種ごとに賃金というのはきめるというお考えだってのでしょう。それを撤回なさるなら別ですよ。一本にまた俸給表をなさるならいい、三年前と同じように。そうじゃない。俸給表を分けて、そして俸給表ごとに人事院はお考えになるつもりだったのでしょう。従って民間の、医者は医者と比較する、研究者は研究者ごとに比較するというふうな調査を去年からやられた。ところが、その間にあまりにも大きな開きが出てきてしまった。今申し上げましたように、研究職でいいましても、あまりに開きが大き過ぎる。それがまだ二五%も三〇%も低いのじゃどうにもならぬじゃないですか。医者というのは共通性を持っている。この医者がまだ三〇%も低い。わずかに五、六%か七%しか上げられないというのでは、説明つかないと思いますよ。そこで伺いたいのですが、この研究職と医療職の場合に、非常に較差が出てきた。民間との場合において二七%、医療職の場合三〇%こすほど低い。これは研究職の人は低い低いと言っておった。医者の人たち民間人たちより低いということが去年出た。それが去年ほとんど上げなかった。ことしもまた出た。ことしはあわててちょっぴり上げられて放置される。これじゃわかった医者の人たち承知できないと思うのです。民間より三〇%以上も低いという数字が出て、そしてわずかに五、六%しか改訂しない。なお三〇%近い差があるということは、まあ医者の中堅あたりで一万円ほど低いです。それを放置するということは、これは人事院が、職種ごとに俸給表をきめる、給与をきめるという建前からいっても承知できないのじゃないかと思う。  そこで伺いたいのですが、なぜ医者と、それから研究職の場合に、これだけ民間との差が出たのだという点伺いたい。なぜ出たのか理由を明らかにしてもらいたい。
  19. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) なぜ出たかとおっしゃるわけでございまするが、われわれは調査の結果、こういうふうに差が出る、俸給表別あるいは等級別に比較いたして見まするならば、こういうふうに差が出るという事実を、調査の結果知ったのであります。
  20. 横川正市

    ○横川正市君 関連して。これは実態を調べていただくと、こういうものがおそらく出てきたと思うのですが、それは都市中心に、医者の分布される状況というのは、非常に高くなって、そして都市を離れるに従って医者の分布が稀薄になっている。その状況がそのまま、この各管掌の中央地方における医者の配置状況と比較してみると、おそらく同じような形というものが出てきておるのじゃないか。その中で特殊な例としては、たとえば市町村自治団体の雇用する医者の場合と、それから中央に官庁を持つ者の末端の医者の配置というのは、これまた非常に違った状況が出てきている。各自治団体では、医者に対して払うべき給与というものに相当苦慮しながらも、相当高い給与を支払っているということと、それから一本の俸給表に従って、何ら他に支払うべき要素を持たない官庁の医者に対しては、これはその点が影響されて、医者の分布がきわめて悪い。こういう状況も出てきておると思う。これを私は、少なくとも医者の給与として、医療職の職員に対する給与としての調査の場合には、こういう実態も当然勘案して、そして他と比較にならない使命を持っている医療職の職員のことですから、その点を十分考慮に入れるべきではなかろうか。これは、レントゲン技師に対して危険手当その他を創設して仕事をやらせているということと、もう一つは、医療という特殊な技能に類するという点を認めて、医療職に対する俸給表というものはきめられるべきではないか。そうでなければ、実際には医療機関がありながら恩典に浴さないという非常に多くの職員を持っていること、いわば困った状態というものは是正されないのじゃないか。この点を考慮に入れて、今言ったように、民間との比較の場合には、当然医者の給与というものは差別さるべきではないだろうかと思うのでありますが、その点はどのようにとられておるのか、あるいはとられているならば、内容について説明いただきたいと思います。
  21. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 御指摘のように、調査の結果は、国家の公務に従事いたしまする医者の給与と、民間の医者の給与というものが相当の較差があるという結果が出たわけでございます。人事院といたしましては、この較差を、お医者さんを入れます上に、国立病院あるいは療養所で非常に苦労されておるという状況もよく承知いたしておりまするので、対処したいということで、いろいろ考えてはおるのでありますけれども、ことしの場合におきましては、まず俸給表を分けてから、去年は初任給においてお医者と研究職というものを、ほかのものより異なった扱いをしたということで踏み切ったわけでありますが、ことしは、それを較差通りにはいたさなかったのでありますが、一般の行政職その他と相当異なった取り扱いをいたした。こういう状況でこれはとどまるのかということになりますと、それはそうはなかなか申し上げられないことで、まず俸給表が分れた、分れたということは、やはり将来に向ってはその俸給表別にりっぱな給与を考えていくということになるのであります。そういう方向に向かっておるということは申し上げるまでもないのであります。ただ、公務におきましては、公務の部内のいろいろな均衡の問題もございまするので、一挙にこの民間との較差をそのまま移してくる、たとえば、医療職(一)は三三%上げる、医療職(三)は七八・八%でありますから、おおむね二〇%引き下げる、そういうことは現実の問題としてはなかなかできない。従いまして、漸を追ってこれはやっていかなければならない。その点で、現在の場合におきましては、人事院は、まずこういう形でこの人事院勧告の線が実現されることを希望しておるわけであります。その上に、さらにお医者、研究職の問題をどうするかという問題が、第二段階の問題として起こってくる問題であるというふうにわれわれは考えておるのであります。それからまた給与実施上におきましても、たとえばいろいろな、人事院給与を実施いたします際に、こういう問題を少しでも解決していく方法があるわけでございまして、そういう可能性につきましては、現在いろいろ研究し、できるだけ早い機会にそういうことが実現するような努力ももちろんいたしておるわけであります。
  22. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  23. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  24. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは、研究職が二七%低い、医者の方が三三%低いというこの数字は、昨年ほぼ同じような数字が出ておるわけです。昨年は、初めてやったのであまり自信がなかったのでやらなかったとおっしゃる。その通りやらなかった。依然として低いまま据え置かれた。ことしも同じような結果が出た。さらに上回った低い数字が出ておる。しかも、今度はまことに微々たる是正しかやらない。医者はなお二五%低い。それから研究職は二〇%低いです。これは、これから漸次というようにお考えになっておられるようですが、そういうふうに二年間も据え置かれたのでは、何としても承知できない。局長のおっしゃるように、俸給表ごとに比較しようというお考えなんだから、やらなければいけない。  なお、なぜこういうふうに低く出たかということについては、ただ、調査の結果こういうふうになりましたというお話ですが、これはまことに私は不届け千万だと思う。研究職医者というのは、民間給与と正確に比較できるというところに、この結果が出たと思う。これは言うまでもないことじゃないですか。医者というのは、学歴が同じです。民間におろうと、官庁におろうと、同じです。研究者もそうです。民間におろうと公務員でおろうと、大体同じです。学歴、こういうものが簡単に比較できるようになっている。民間と比べて、研究所を持っておる、あるいは医療施設を持っておるというところは、工場で言うならば、やっぱり一万人以上とか、五千人以上とか、そういう大きな企業が持っておるわけです。研究所あるいは医療施設、そういうところと比較するわけですから、一万人あるいは五千人という大きな企業賃金がそのまま反映したものがここへ出てきます。だからこれだけの差が出た。それをお隠しになるというのはおかしいじゃないですか。  そこで、私は伺いたいのですが、行政職俸給表の(一)、普通の一般公務員、これは二十万人、この公務員民間とを比較する場合に、医者と同じようにできないかという点を私は主張したい。というのは、医者と今の研究者と同じように、もし五百人なり千名の大企業公務員を比較してごらんなさい。医者の場合はそうなっておる。ならざるを得ない。千名以上五千人以上の企業と比較せざるを得ないから、こういう数字が出てくる。公務員の行政職俸給表(一)の方と、千名、五千人以上の企業と比較してごらんなさい。もう一つ民間の行政職俸給表(一)に当たるものと、公務員の行政職俸給表(一)の学歴から見た場合に、質的に違いがある。これは人事院承知通りです。公務員の場合においては、一四%というのは大学を出ておる。民間の場合、五百人以上の企業では四%です。短大では、公務員の場合は一四%、民間の場合においては、五百人以上の企業では四%、三倍以上違う。学歴構成が。さらに新制高卒を比較した場合に、圧倒的に民間の場合、中学校卒業が多い。ですから、行政職俸給表(一)と、それに該当する民間の場合は、学歴があまり違い過ぎちゃって、それを、ラスパイレス、あるいは。パーシェ方式なり、あるいはフィッシャー方式と比較しても、比較しきれない面がある。こんな質的な差があったら比較できない。もし、この学歴というものを正確に民間と比較できる、それで研究職なり、あるいは医者と同じように五千人以上の民間企業と比較するということになれば、行政職の表だって三〇%低いですよ。どうです。  なお政府に伺いたいのですが、政府としても、それから人事院も、いわゆる行政職俸給ごとに、職種ごとに給与をきめていきたいというお考えだろうと思う。そうしますと、これだけの大きな差が出て、しかも去年も同じような数字が出ている。ことしやっと是正をしよう、それもちょっぴり……。こういう点について政府はどういうふうにお考えになっておるか伺いたいと思います。
  25. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 人事院は、もう調査の原則といたしまして、先ほどから申しておりまするように、五十人以上の事業所におきまして公務と対比し得るものを比較する、こういう形で調査をいたしておるわけでございます。従いましてそういう原則に従って行政職も調べ、研究職も調べる、あるいは医療職も調べる、こういうことになっております。で、行政職部内におきまして、公務の行政職と民間の行政職相当職種の間には相当の学歴の差があるではないか、御指摘通りであります。従いましてわれわれはこのフィッシャー、あるいはラスパイレス方式によりまして比較いたしまする場合に、等級内におきましてまず学歴によりまして、大学卒程度あるいは高校卒程度というように分類いたしまして、それぞれの比較をいたし、そうしてこれをさらに総合するというやり方で、すなわち学歴の低い者が多い、あるいは少ないということ、あるいは学歴の高い者も同様でございまするが、影響しない方法によりまして調査しておる。行政職におきましては学歴という問題は十分考慮いたしまして、その官民の違いが反映しないような方法によって調査しておる。さいぜん申し上げた通りであります。ただ研究職、医療職につきましても、御指摘のようにおおむね大学卒者が研究職であり、医療職でございまするので、こういう比較の場合には学歴別にいたしておりません。
  26. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうも滝本局長、五十人以上の調査で比較されるけれども、医療職、研究職の場合には五十人、百人といっても、おのずから比較するところが千人、五千人以上の企業と比較することになるということを私は言っているのですよ。私は診療所を持っているといったら、五千人以上の大きな企業になりますよ。あるいは研究所を持つといったら五千人、一万人以上の大きな企業でなければ研究所は持てない。だから五十人以上と比較するとおっしゃるけれども、医療職、研究職の場合には五千人なり一万人以上の企業と比較する結果になりゃせぬか、それを否定なさっちゃいかぬじゃないですか。それなら公務員の場合においても、行政職俸給の場合においてもそういうところと比較なさったらどうだということを私は申し上げたのですよ。どうですか、その点は。
  27. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 鶴園委員のおっしゃるようなこともあろうかと思います。しかし、先ほどから申しておりまするように、人事院といたしましては、やはり五十人以上のところにおきまして、公務と比較し得るものをとって比較するという建前に立っておりまするので、このような調査方法をいたしておるわけであります。
  28. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ですから五十人以上の企業調査をやって、俸給ごとに民間と比較をするというやり方が、こういう大きな矛盾を露呈したということになりませんか。五十人以上というけれども、医者の場合と研究職の場合には、一万人、五千人以上の企業と比較をする結果にならざるを得ないという矛盾が露呈したわけです。行政職俸給の(一)だって、決して五十人と比較できないです。学歴その他からいいましても、これはやっぱり千人から一万人というところで比較しなければ学歴というものは同じようなことが出てこない、こういう矛盾が出てくる。今後滝本局長は、あるいは浅井総裁も言っておられるけれども、俸給表ごとにこういうものをだんだん詰めていこうとおっしゃる。そういたしますと、俸給表ごとに、今の公務員給与はきまっておりますが、大へんな差が出てきませんか。行政職、研究職とは始終入れかわっておりますよ。自由に入れかえがきかなければいけないのです。学校も同じ大学を出ておる、専門学校を出ておる、短大を出ておるというのが交流するわけです。こういうことで二年あるいは三年と上がっていくということになると、これは行政職の公務員と同じような資格であっても、同じような学歴を持っておっても、経験年数を持っておっても、私は民間の場合は研究職はもっと高いことになる、医療職はもっと高いことになるという結果になりますよ。なお、政府はこういうような事態についてどいういうようにお考えになるか伺いたいと思うのです。
  29. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 給与の問題につきましては、政府としましては、人事院勧告を尊重いたす所在であります。従ってその調査方法あるいは内容等につきましても、人事院を信頼しておるわけでありますが、御指摘のようないろいろ不合理の点その他がもしありとすれば、十分検討いたしたいと思います。
  30. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 浅井総裁どうですか。
  31. 浅井清

    政府委員浅井清君) これは鶴園さんの御指摘のようでもありますけれども、これは医師、研究職の学歴から来る問題だと私どもは考えておるのであります。従いまして、片一方の方で行政職を比較いたしました場合に、あとでもって学歴を同じにして違いのないように、こういうふうに考えてやったのであります。
  32. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は何べんも申し上げておるように、五十人以上というシステムで比較すると、医師と研究者の場合には、これは五千人から一万人の企業と比較する結果になるのだ、学歴も同じですから簡単に比較できる。行政の場合においては、これは五十人以上と比較される、だからこれは低くなるのはあたりまえでしょう。学歴の点については、先ほど私申し上げたように民間公務員との間は非常に差がある。質は同じじゃないですよ。非常に違いがあるということは御存じの通りですよ。民間の場合においては、五百人以上の企業では四%大学卒というのがある、ところが、官庁の場合においては一四%ですよ、ちょうど三倍以上ですよ。短大でもそうです。三倍以上。そんなに学歴が違ったのじゃ、これは異質的な職員構成だと思うのです。それを一緒くたにして五十人以上というものと比較するから、そういう結果になるのです。私はそう思う。何といったって人事院は五十人以上の調査ということと、それから職種ごとに民間と比較をしようという考え方がこういう形で非常な矛盾を露呈してしまうということになるのじゃないかと思います。医療職にしても研究職にしても、こんな低いまま二年据え置かれたのじゃ、これは承知できない。三三%低いと言われてなお二十八%これは低い状態で放っておかれるわけですよ。研究者だってそうですよ。そうして私が申し上げるのは、研究職と行政職との間には交流するのですよ。短大を出ようと、大学を出ようと、あるいは高校卒であろうと、その間に非常な差が出てくるのです。学歴が同じでも、経験年数が同じであっても、研究職におるものと、行政職におるものとは非常に差が出てくる。給与局長がおっしゃるようにこの差をだんだん縮めていくのだとおっしゃる。この三三%、三〇%、二七%……従って毎年追い詰めていくのだ、一挙にできないというお話、そういたしますと、二年、三年の間に非常に差が出てくる。これは非常な矛盾だと思うのですよ。これは承知できないじゃないですか、ですからお変えになったらどうですか。
  33. 浅井清

    政府委員浅井清君) 医師、研究職は公務員民間規模の違うところから出てくる、こういうことの御趣旨でございますけれども、しからば今度は教員の俸給表を考えてみますると、これは民間よりも公務員の方が高く出ておるのでございます。しかしながら、これは事業所と申しますか、その学校の規模の差からは出ていないというのでございます。ですから必ずしもそれを見ましても、民間公務員との規模の差からだけは、鶴園さんの言われるような結果が出ない。それから五十人以上から人事院はやっておるじゃないかと仰せられますけれども、五十人というのは事業所を言っておるのであって、その会社そのものを言っておるのではないのでございますから、大体大きな会社でも、地方によっては五十人の事業所を持っておる。これは非常に大きな企業給与をもらっておるものも入っておる。それですからその点は御了承願いたいと思います。
  34. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 学歴の差が行政職俸給表(一)、それから民間との比較について、いつもですと。パーシェ式というものを使って、それからラスパイレスを使って、そうしてフィッシャー方式を使って、三つ示しておりますね。今度は示していないですよ。そうして単にラスパイレスでやった。それによって一三・三%の開きがある、こういうことですね。これをフィッシャーでやったらどうなるのか、きょうでなくともいいが数字一つお示し願いたい。それから。パーシェでやった場合に数字はどうなるか、数字をお示し願いたい、きょうでなくともいいが。少なくともこれだけ、行政職俸給表(一)と比較して民間の場合の学歴の差がこんなに差があっては、こういう方式では比較できない、ある程度質が同じような形でないと比較できないというふうに思います。で、従来滝本さんは民間公務員との給与を比較する場合にフィッシャー方式でやられた。それが正しいというふうに書いているわけです、滝本先生の編になるところの「賃金数学」というのですか、という本にもそういうふうに指摘しておられる。ラスパイレスやパーシェではいかぬ、フィッシャーでなければいかぬ。従来はラスパイレスやパーシェではじいた数字をそれぞれ出したが、今回は出しておられないわけですが、なぜラスパイレスでやられたかその数字をあとで一つお示しをいただきたい。  それから生計費の問題に移りたいと思いますが、御承知通り、この生計費の問題は非常に重要な内容を持っておって、公務員法でも規定しておるわけですが、人事院は「生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して」俸給を定めると、こういうふうになっておりますが、従って生計費は非常に重要ですから、この生計費について三点伺いたい。  第一点は、人事院は六大都市の全世帯をとられたが、なせ全世帯をとられたのであるか、勤労世帯をとられないのか。勤労世帯をとりますと、おそらく二割から三割高いのです。全世帯といいますと、これはニコヨンさんも入るし、生活保護を受けておる者も入る、全世帯ですと。勤労者の生計費をなぜおとりにならないか、総理府の統計では両方やっておられる。総理府統計局では勤労世帯も全世帯もとっている。両方あるが、何ゆえに全世帯をとられたか。勤労世帯の二割から三割下がるから、勤労世帯は高いから、高いものはおとりにならなかったということだろうと思われる、若干の理屈はあろうとも、最大の理由はそうであろうと思う。給与法の場合においても、民間給与の実態を調査してやったのであるから、生計費の場合も民間の生計費をやはり考えられるべきではないかというようなことが一点。  それから第二番目に伺いたい点は、六大都市の全世帯をとられて、並数をとられて、並数階層というものをとっておられるが、なぜ平均をとられないか。並数をとられるということは理屈としてあり得ると思うが、この場合平均をとるということが、常識上平均をとるということが考えられる。また、ごくありふれた考え方としては、平均という数字が出てくると思うが、並数をとられて平均をとられないが、並数と平均の数字を出していただきたい。おそらく並数の方が平均よりも一割くらい低いんです。低いという数字が出ております。詳しく追及してもいいが、並数の方が低いから、だから並数の方をおとりになったんでしょう。勤労世帯をとらないで、安く出るところの全世帯をとられ、さらに高く出るところの平均をとらないで並数階層をとられるということは、生計費の場合には大きな問題だと思う。  それからもう一つ、第三点は、生計費が非常に重要な内容になっておることは、公務員法六十四条二項に掲げておるところでございます。にもかかわらず生計費は十八才独身青年で、八等級一号俸に関連づけておる。あとの俸給表との関連をどうしておつけにならないか、わずかに十八才独身青年者だけ結びつけており、あとは全然結びつけていない。  付加してもう一点申し上げておきたいのですが、独身青年者というふうにお考えですが、公務員の平均年令は三十五才になっておりますよ。それから一人世帯というものを基準にして生計費をお考えなさったのはどういうわけです。しかも一人という生計費調査はどこにもない。総理府でも調査していない。二人とか三人というのが常識じゃないですか、生計費を考える場合。公務員の平均年令は三十五才。何がゆえに十八才という、一人世帯という変則的なものをとらえたか。この四点を伺いたい。
  35. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) 非常に問題が多かったので、あるいは落とすかもしれませんから、もしその場合は御注意をいただきたいと思います。  まず、最初の問題でございまするが、医療職、研究職の場合は、非常に大きな事業場対象とし、相当高学歴のものを対象とする。それに対して行政職は五十人以上の事業場からずっと大きいところまでやるわけでありますが、その中にまた学歴別にもいろいろなものがある。そういうことがあって、この両者の較差が非常に大きいのじゃないかということでございます。これはもちろんこの給与というものが事業場規模によりまして相当の違いがあるという事実もございます。しかしまた、給与職種別にある一定の水準を持つということもあるのであります。で、鶴園委員の御主張は、給与というものは規模別にのみ較差があるのだというふうな御見解で御意見を述べておられるのでありますけれども、われわれは給与の違いまする原因というものは、いろいろあるのじゃなかろうか、これは今後の研究課題として十分研究しなければならぬというように思っております。で、行政職におきましてはさいぜんから繰り返し申し上げておりますように、低学歴のものと高学歴のものをごっちゃにいたしましてそうして結びつけて給与を比較するということはやっていないのであります。これは民間においてと公務においてと学歴の高下によりまして、その分布が違うのでありまするけれども、それを考慮して両者を合わしたような標準的な形に直したような状況において比較いたすということをやっているのでありますから、そのようなことはないということを、もう一度つけ加えて申さしていただきます。  それから従来、ラスパイレス、パーシェ、あるいはフィッシャー、いろいろやっておるではないかというお話でございます。場合によりましていろいろのことをやっておったのであります。今回ラスパイレスを用いました理由というものは、今回の調査というものが調査表の数にいたしまして非常に数が多かった。三十万ぐらいあったのであります。それで限られた期間にそれだけの数字をこなしますためには、いろいろな調査方法、集計方法でこれをやるということは不可能であった。で、考えてみまするのに、ラスパイレスというものは、公務の場合においてものを比較して考える、たとえば公務を一〇〇とした場合に、民間がどれだけ高いかという形で表わした。従ってこれは公務をどれだけ上げるということにいたしますれば、それだけ民間に近づくという感じがはっきり出て参る。公務を中心に考えるわけでありまするし、それから結局は俸給表を直すという問題にいたしましても、公務を中心に考えることでございまするので、ラスパイレスを使うということはこれは非常に理屈が通っているのじゃないか、この場合におきましては。そういうようなわけで、今回はラスパイレスを使ったのであります。ラスパイレスしか計算はしていないのであります。これはやればいいじゃないかということもございまするけれども、膨大な計算でございまして、なかなか人員も予算もないのでございます、現在の状態におきましては。われわれの現在の状態において計算もしてございませんし、不可能である。このように申し上げざるを得ないのであります。  それから生計費の問題に移りまするが、まず六大都市の全世帯というものを使って、勤労者を使っていないというようなこと、その通りでございまするが、生計費を考えまする場合には、これは一般国民の消費の状態というものを目標にして考えるということは、これは当然であろうと思うのであります。その場合におきましても、なお勤労者のみを問題にするということも、これは理屈はあるかもしれませんが、また全世帯、すなわち消費者の全体を問題にするということも、これはまた理屈のあるところであります。また、総理府統計局の調査におきましては、やはりその調査対象として、いろいろな不適格といいますか、標準的でないような世帯はこれを排除してございまするので、全世帯といいましても、これはよほど調査し得る能力もある、生活状態も大体においてノルマルである。病人をかかえておるとか、あるいは失業者がおるとかいうようなことはないのであります。そういう全世帯をわれわれ一応の目標にしておるということで、これは意味のあることであるというように考えております。  なお、並数をとるのはけしからぬじゃないか、これは当然平均をとるべきである、算術平均ないしは加重平均をとるべきではなかろうか、これは御議論のあるところでありまするが、こういう世帯の生計の状態を見てみますると、これはいわゆる統計用語でいいまする標準型でないのでありまして、これは下の方に片寄った形になっておるのであります。従いまして、いわゆる平均をとりますと、それが全世帯の中において大部分をカバーいたしまするような場所でないのであります。従いまして、われわれとしてはこの並数というものをとっておる。で、なぜ並数平均ということにこだわるかということでありまするが、この生計費ということを考えまする場合には、やはり多少でも保障的、保障していこうというような考えが根底にあるわけでございます。そのときに、この全世帯の中で比較的高い層にありまする、平均をとるよりも、並数をとる方が理屈があるのではなかろうかとわれわれは考えております。  それからなぜ単身者をとるか、公務員の平均年令は相当高いのに、そういうところをとるのは問題にならぬのじゃないか、これは御指摘のような見解も確かにあろうかと存じます。ただ、われわれがやっておりますのは、いわゆるほんとうの意味の保障、最低生活を保障するという意味におきましてこの生計費を問題にしておるのではないのでございまして、標準生計費ということで考えております。また、この生計費というものは、人の状況によりましていろいろ違ってくる。たとえば、ある人は妻帯してもこどもができないという場合もありましょうし、また独身で通す方もあるかもしれませんし、また、家族構成が多い場合、少ない場合、いろいろあるわけで、そういうことをいろいろ勘案いたしました場合に、現在、これは人事院が従来から考えておったことでありまするが、まず人生の出発点でありまする十八才者のところにおきまして、独身男子の生計費というものを考える、こういうことで人事院は従来からやっている、それ以上に出ておりません。また、それを将来にわたって二人世帯、三人世帯というものの生計費を問題にする、それを俸給表に結びつけて考えるということが、理屈としては考えられるのでございまするけれども、現在人事院がやっておりますることは、生計費を給与の上で考えるということは、独身青年男子の生計費を、まずは新制高等学校の初任給辺とおおむね見合わすという程度のことをやっておるのでございます。
  36. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これで終わりますが、ラスパイレスとそれからフィッシャー方式でおやりになった場合には、これはもうフィッシャー方式が高くなるにきまっておる。それからラスパイレスという低いのをとられた。それから並数と、平均価、これはもう並数が低いにきまっておる。それをそういう理屈をつけられてもこれはおかしいですよ。さらに全世帯と勤労世帯とを比べた場合には、勤労世帯が、二、三割高いのです。低いところの全世帯をとられても……、数字を出してもいいですよ、そんなことをおっしゃるなら。さらに今のお考えの生計費は、十八才独身青年者だけに関連づけて、あとは関係づけないというお考えですが、これは国家公務員法六十四条第二項に反する。俸給表は、生計費、民間における賃金といういう順にあがっている。だから生計費というものが、もっと俸給表と結びつかなければならない。それが人生の出発の十八才のところだとおっしゃる、おかしな話です。これらの問題については、なお通常国会の際において、詳細数字を立てて論議したいと思いますが、公務員法の立場からいってもおかしい。生計費をまっ先にあげているのに、生計費は十八才のところだけ……、公務員の平均年令は三十五才ですよ。少なくとも二人世帯をとるべきですよ。十八才は非常に例外的な数字ですよ、生計費と俸給表とは結びついていないという点については、今後とも論争をやりたい。  最後に、年末手当の問題ですが、年末手当は、職員工員と平均して出しておられる。職員の場合は三・四カ月分になっている。先ほど私が申し上げたように、職員の中には、相当工員という人たちが入っておる、調査の立場からいってもそれが言える。人事院の場合、工員の実情からいって、職員だけに限る意思はないと言っているんですよ。いま一点、職員という中には相当工員が入っておられる。で、公務員の中の工員という人は非常に少ないのですから、そうするならば、職員工員と比較してもいいように思う。お考えがないかどうか。それからもう一つは、前回、私が指摘いたしましたように、また人事院もお認めになっているように、期末手当は二年おくれになっている。少なくとも一年半カ月ずつおれくている。ことしの六月は支給しなかった。人事院調査が出たのは、ことしの三月、そして六月は支給しなかった、来年の六月支給しようという、これはこの間質疑いたしましたように、少なくとも一年半はおくれている。これを政府は、おくれているという点については、何とか考慮したいというお考えのようですが、何かお考えになるべきじゃないだろうか。〇・一今度上げるというふうに指摘しておりますが、これで八億要るというのです。公務員としては十六億支給されなかったようなことになる。もう一点は、人事院は、同じ国家公務員である五現業との関係で、勤勉手当、期末手当の問題等について、いろいろ苦慮なさっておる、一生懸命調査されたことがある。それに基づいて勧告されたことがあったが、政府がその実施をけ飛ばした。それ以来同じ国家公務員である五現業との関連においては全く忘れたような形になっている、まことにおかしい。今日でもあるのですよ。五現業の前には、期末手当、勤勉手当、業績手当、三月末に出るところの特別手当四つある。公務員の場合には、期末手当と勤勉手当と二つしかない。御承知通りです。この点について、三十一年、人事院がいろいろ調査勧告された経緯をお忘れになっている。どうですその点については、把握されておられるのですか。三点についてお伺いいたします。
  37. 滝本忠男

    政府委員滝本忠男君) いわゆる民間のボーナスを調べますときに、職員工員ということで調べております。これは前回お答えを申し上げた通りであります。で、職員だけに限る意思はないというお話しでございまするが、この職員だけに限るということにかりにいたすといたしますれば、公務の中に、一体職員だけを対応さすのが適当であるかどうかという問題が起こって参るわけであります。で、御承知のように、期末手当につきましては、これは現在、職員工員別に公務の中を分けてやるとか、あるいは等級の上、あるいは初給というのに従ってその率を違える。そういうところまで民間を移しておらないのであります。で、現在民間を移しておりまするのは、この民間で出ておりまする総額というものの平均ということにだけ着目しておるのでございまして、現在、人事院は、これをさらに等級の上下に分けて率を変えるとか、あるいは職員工員別にその支給率を変えるということにいたすということは、現在のところは考えておりません。  それから、三十一年のときに人事院は年度末手当というものを勧告したではないか、これは明らかに三公社五現業のことを問題にしてのことであるのに、今はそういうことを考えておらないのかというお話しでございまするが、われわれは、民間給与を参考にして公務をきめていくという原則でございまするが、しかし、三公社五現業というものは、これは民間以上に公務とは深い関係にあるわけでございまするから、絶えずそういう動向は注意はいたしておりまするけれども、表面には出しておらない、こういう状況でございます。
  38. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  39. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を始めて。
  40. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 実は本日は法務大臣を迎えて緊急に問いただしたいことがあったのですが、実は法務大臣も来られないようでございますので、次の機会に譲ります。ただし総務長官一つお伺いしておきたい。もちろん、人事院関係にも実はたくさん持ってきておるのですけれども、委員長から、相当時間が延びたといって小言を受けておりますので、本日は省きます。けれども、実は総務長官にお尋ねしますが、この前の内閣、本委員会で、年末手当の増額について要請いたしました、いたしましたら、閣議で相談をするということで御答弁あったと思う。それで私その夜すぐ大阪へ汽車でたって、あくる朝朝刊を見ると、大蔵大臣は、本年の年末手当は見合わせるのだという新聞記事を見た。閣議で一体どういう総務長官が誠意ある御相談をされたか。その模様を一つお聞かせ願いたいと思う。
  41. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 先週の金曜日の閣議でこの問題が議題になりまして、私からも当然、強い年末手当の増額の要望がある、また、委員会におきましても強く委員からも発言があったということを率直に御報告しまして、また二、三の閣僚からも、何かこの際政府としても便法を講じられないだろうかということで、いろいろな意見が出たわけでございますが、発表通り、結論といたしましては、本年度の年末手当は支給しないことに閣議は決定したわけでございます。なお本日も、一応先週の金曜日閣議で決定しましたが、だれが、どの大臣がどう言ったかという具体的なことは差し控えたいと思いますが、再び議題になりまして、私からも、もう一度再検討願いたいと、相当時間をかけまして、各省の大臣もいろいろな意見の開陳がございまして、結論といたしまして、やはり人事院勧告尊重、それから年度所要額の財源の問題、あるいは給与体系の問題等から見まして、結論としましては、先週の金曜日の閣議決定を再確認ということに、遺憾ながらきまった次第でございます。
  42. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 新聞の記事を見ますると、大蔵大臣の、非常に来年度の財源の見通しの問題で、相当まあ意見が強く出ておったようでございます。その日の内閣委員会の大蔵大臣は、そういう点は十分一つ考えてみようというような含みのあるようなことを言っておるのです。委員会ではその場限りで答弁しておいて、閣議へ行くとなかなか空気が違うようでございますが、総務長官、幸いに総理府の公務員を管轄されるその責任者として私信頼しておりますので、一応閣議決定だということでございまするが、まだ期間がありますし、昭和三十年か三十一年には何らかの措置であとで考慮されたこともあるのです。で、本年は正月を迎えて、公務員の人々は非常に内心不満だと思う。それが、今後の公務、行政執行について相当影響すると思う。そういう点について、総務長官も十分御承知だと思いますけれども、なお伊勢湾台風で公務員諸君が非常に苦労しておる。しかも、地方公務員なり国家公務員の実態を見ましても、いわゆる金がないから超勤もどこでも払っておらないような状態なんです、実際は。そうしてああいう一つの災害が起こると、前線に出されて非常に苦労されておる。こういう事実。やっぱり何かねぎらわなければ、これは非常に問題があると思う。この前の委員会では、自衛官の問題ではちょっと出しました。総務長官おられたかどうか知りませんけれども、自衛官の場合は、超勤しようとしまいと二十時間ちゃんとつけておる。こういうような措置もとっておられる。一般の公務員については、超勤すら締められておる。これは各省の超勤の時間を見るとわかると思う。こういう実態を知りながら、なおかつ年末手当の問題について、わずかの増額すら拒否することは、これは総務長官としてもやはり責任を感じてもらわなければいけないと思うので、本日特に再び要請しておきます。  それから一つこれは法務大臣にぜひ聞きたいのですが、これは法務大臣に回しますけれども、政府のそういう責任者としてちょっとお伺いしておきたいのですが、いろいろ行政執行上の問題です。これは国家公務員でもいいのですが、国家事業でよろしゅうございますけれども、その場合に、建前は法律を作って何か支出するということが建前だと思う。ところで、そういう一般行政をやっているときにはそうはいかない場合があるのです。緊急支出の場合がありますし、法律、条例はあとでやろうという場合もあるのです。そういう場合に、具体的な問題は法務大臣に質問いたしますけれども、そういうときに、いわゆる一般刑法においても、また国家公務員法においても、違法性があるかどうか。そういう政府の統一見解を、一つできるならば述べていただきたいと思う。
  43. 福田篤泰

    政府委員福田篤泰君) 増子室長から答弁させていただきます。
  44. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) ただいまの御質問の趣旨がはっきりとのみ込めなかったのでございますが、おそれ入りますが、私ただいま聞いたところでは、何か行政上の支出を法律、条例等ばかりでなくて、必要の場合に出し得るという考え方の問題のように承ったのでございますが……。
  45. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一ぺん言いましょう。実は具体的に言うと、国家公務員の場合は、法律がございます。地方の場合は条例でやるというか、地方自治法にもあると思うのです。たとえば緊急に、今度の場合は増額しないと言っているのですけれども、増額する場合でも、国会は一応そういう審議はできないので、たとえば予算の繰り上げで支給しようという場合が出てくると思う。まあ地方の公務員の場合は、地方自治体で、そういう措置も、慣例上組合と妥結した場合、条例は翌年にするけれども、一応支出しようということになる場合がある。その場合一般刑法上、ある人に言わせると刑法二百四十七条ですか、いわゆる背任罪というようなことを言っておる人もあるのですけれども、そういう要請があるかどうかこれは政府の統一見解としてどういうものがあるか、そういう点を聞きたいのです。
  46. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) ただいまの御質問の点を特に給与という点で限定して考えますと、一般国家公務員あるいは地方公務員につきましては、それぞれ給与に関する法律があるわけでございます。そしてこの法律に基づかない給与は支払ってはならないという規定がございますので、給与というものに該当する限りは、法律もしくはそれに基づく条例以外では出せないということに現在なっております。
  47. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう建前は、法律上は言えるけれども、現実の問題としてそうせざるを……、これは給与の問題以外でもいいのですよ、一般行政上においてそういう支出をせざるを得ないという場合が往々出てきますよ。そういう場合、もうすべては条例、法律でなければ一銭も出せないのだというようなことをそれが行政官として今後行政を執行する上にそれができるかどうかという問題です。ありますよ、もしそれができないと言われれば例をあげますから。その点どうですか。
  48. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) 給与以外の問題におきましては、必ずしも法律に基づくということばかりではございません。従いまして、法律では一般的な権限なり判断が与えられており、それに即応した予算が議決されておりますれば、その限りにおいての支出は可能である場合がございます。ただし、私ども直接関係いたしております給与に関する限りは、いわゆる給与法定主義というものが現在の建前でございますから、それをみだりに例外を許すということは、私どもといたしましては好ましくないというふうに考えております。
  49. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ次回この問題については、法務大臣が来られんと、こちらの方の質問も主体性がないと思いますので、法務大臣にしますが、給与の場合、国家公務員の場合にはそういう罰則規定がありますが、地方公務員の場合には、どういう条例で、それが要請があるということがありますか。どちらです。
  50. 増子正宏

    政府委員増子正宏君) 地方公務員関係につきましては、これはむしろ責任があります自治庁の方から御答弁申し上げる方がよろしいかと思います。
  51. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、いいです。
  52. 中野文門

    委員長中野文門君) 暫時休憩いたします。    午後零時三十四分休憩    —————・—————    午後二時四十二分開会
  53. 中野文門

    委員長中野文門君) 内閣委員会を開会いたします。  国の防衛に関する件を議題として調査を連めます。政府側出席の方は、赤城防衛長官、門叶防衛庁官房長、加藤防衛庁防衛局長、塚本防衛庁装備局長、源田航空幕僚長、丸山調達庁長官、以上の方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  54. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私一日の日に、米空軍のジープ落下事件について二、三お尋ねしましたが、その際、人間のたくさんすんでおる土地の上空で、物資の投下訓練などは非常に危険だから、一つその旨早急に米軍の座間司令部へとにかく申し入れてほしいと、そういうことをお願いしたわけですが、その後防衛庁としては、どなたが座間司令部のどなたにどういうふうに交渉して、米軍の回答はいかようであったか、まずその点をお伺いします。
  55. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) お話の趣旨に沿うて米軍の方へ注意をいたしております。明日合同委員会がありますので、なお具体的に問題を進めていきたいと、こう考えております。
  56. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この五日の日に、社会党の軍事基地対策委員会として現地を調査したわけです。ところが、五日現在で承知したところは、四日の日もなお、ああいう事件発生後にかかわらず、米軍としては何らの反省もなく、同じように物資投下の訓練を続行しておったと、これはまことに遺憾だと思うのです。防衛庁として、正式に申し入れたにもかかわらず、防衛庁の申し入れを全然問題にしていないということにもなりますし、重ねてそういう危険な訓練をさらに続行するということについては、太田の市民としても非常に反感が強まっておるわけです。これは日米親善という大きな立場からもはなはだまずいと思うのですね、そういうことは。こういうことについて、一つ長官としてお考えをはっきりさしていただきたいと思います。
  57. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 私どもも、これを中止するという命令を出すわけには参りませんけれども、演習をするとすれば、そういうことは十二分に注意して、被害のないように強く話したいと思います。なお、交渉の経過等におきまして、調達庁長官がいろいろ話し合いしたのもありますから、それを申し上げたいと思います。
  58. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 事故の起きました直後におきまして、調達庁の現場の担当者が米軍の担当者とともに現場調査をいたしまして、被害の状況、よってきたる原因、いろいろ調べるとともに、かかることが何ゆえに起きたかという原因究明、あるいは今後の措置について申し入れを行なっておるのでございます。従いまして補償措置等につきましては、行政協定十八条によって当然されるべきものでありますので、その手続をとると同時に、現場の調べでは、事故の原因としましても、落下傘をつけているその落下傘が飛行機の翼にひっかかったということ、これが原因である、こういうようなこと、それらの事情に基づきまして、米軍側の司令部にも厳重に注意を喚起いたしております。それらに関する米軍側の調査の結果、今後の措置あるいは先般の委員会で申し上げましたように、あの地域を返還するという問題も今後進める、これらのことも実は明日合同委員会の議題に予定されておりますので、それに期待しておるわけであります。
  59. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この五日の現地調査の結果わかったことは、三日の日にも申し上げましたが、校舎からは二十メートルの地点に落ちている。しかもその隣りが畑であったので、畑の中へ二メートル近くも食い込んでいる。いかに衝撃が強かったかということと、問題は飛行機が飛行場を通り過ぎてから千五百メートルぐらい離れたところで、その物資を落としているわけです、ジープを。で、たまたま落下傘が開かなかったので学校すれすれに落ちたわけですが、もしあのとき、ああいう状況下で落下傘が開いておれば、太田市の地形から見て、太田市のどまん中にジープが落ちるという、そういうことになるのです。これはどなたが見てもそう判断せざるを得ないわけであります。落下傘が開いても開かなくても、いずれにしても相当な被害があったとしか考えられない、事ほどさように危険な訓練であった、そういうことであります。これは非常に問題だと思うのですが、この点いかがですか。
  60. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 実情について私の知りますところでは、ちょうどあの地点のところで、落下傘が予定通り開いておれば、予定の区域内に落下するのだそうでございます。それで従来はそれによって何らの事故も起こさずに済んだわけであります。ところが、たまたま当日の物は、先ほど申し上げましたように落下傘が翼に引っかかったということのために、搭載物である物がその場で落ちてしまった、これが現場で聞きました今までの実情でございます。いずれにしましても、このことによって地元の方に非常に不安を与え、今後の点ということも、非常に私の方でも重大視いたしておりますので、先ほど申し上げました通り今後の措置について、司令部に注意を喚起するとともに、それらの具体策を合同委員会において、十分に究明したいというふうに思っております。
  61. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 事件の起きたのは十二月一日ですが、調査団として現地調査したのは五日なんです。その五日現在で、米空軍としてはいまだに被害者に対して陳謝の何らの意思表示もなかった、これは従来からそういうことなんですか、こういう被害者に対して米空軍としては、何らそういう陳謝の意を表しない、そういう慣例できておるのですか。今回に限っていまだにまだ陳謝していないのか、いずれにしてもこれは非常識だと思うのですね。あれだけの被害を加えておいて、しかもあいさつ一つしない、こういうことは常識としてあり得ないと思うのですが、この点はどうなんですか。
  62. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 現地の調達庁の事務所の所長からの報告によりますというと、その被害当日、畑に落ちた被害者の方には、米軍もさっそく行って陳謝したそうであります。いずれにいたしましても、当然このような。落とすべからざるところへ落として人々に被害を与える、これは日本人アメリカ人を問わず陳謝し、あいさつするのは当然だと私ども考えております。申し上げましたように、畑に落ちた、その所有者の清水さんという方だそうでございますが、清水さんには向こうもさっそくあいさつに参り、おわびをしたそうでございますが、学校の方の市役所あるいは学校当局にはどうもあいさつがなかったようでございます。
  63. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この訓練の、そういうような危険な訓練の中止を強く申し入れてほしい。そういうこともさることながら、前々からお願いしております、キャンプ・ドルーについては、返還になっておりますが、飛行場については県民あげてその返還を強く要望しておるわけです。県知事初め、県議会その他で、あらゆるところで決議をして、関係方面に強く要望しておるわけです。それさえなければ、あの太田市上におけるこういう事故は未然に防ぎ得るわけなんです。しかしながら、これはたまたま太田の問題について今申し上げておるわけですが、米軍がこのような要領で、あちこちで訓練されたのでは、これはただ単に太田の問題だけでなくて、全国至るところでこういう訓練が繰り返されるとするならば、はなはだ危険だと思うのです。その点について強く、危険な訓練は一つ人間の住んでいる頭の上で物資の投下ということは、どう考えても物騒千万、非常に危険だと思う。そういう点強く重ねて申し入れていただきたいということと、お聞きすると、明日、日米合同委員会が持たれるようでありますが、その席上、一つ強くそういう点を重ねて申し入れていただくことと、それから太田、大泉の飛行場の返還について、あすたまたまそういう日米合同委員会がありますならば、一つもう防衛庁としては、前々から飛行場の基地設定については断念しておるわけでありますから、防衛庁としては遺憾ないわけでありますから、一つ早急にこの基地返還についても、一つ強く申し入れてあすの日米合同委員会でこれが実現できるよう、格段のお骨折りをいただきたい、この二点、いかがですか、防衛長官に対して一つお伺いしたい。時間もだいぶん迫っておりますので、以上で私の質問を終わりたいと思います。
  64. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 御趣旨の意に沿うて、合同委員会において強く申し入れをしたいと思います。
  65. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 先般来本委員会で取り上げている次期主力戦闘機械の問題は、いよいよ奇々怪々であります。国民はもちろんのこと、われわれ委員会を通じて質疑応答のできるわれわれ自身すら、ますますこの納得しかねるものがありますので、以下逐次承りたいと思います。  まず、源田空幕長に伺いたいんですが、日本が採用する次期主力戦闘機は、要撃用の戦闘機に重点が置かるべきであるということについては、現在でも変わりないかどうかお答え願います。
  66. 源田実

    説明員(源田実君) 主たる目的は要撃でありますが、それになお地上協力、海上協力というものが若干付加されます。
  67. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたは昨年の十月二十三日、本委員会で私の質疑に対して、もとよりという言葉を使って、もとより要撃用の戦闘機に重点が置かるべきである、こういうように断定して答弁されておるわけです。そこでその確認をしたわけですが、それで伺いますが、このF104という飛行機は、そもそも迎撃用の飛行機として米軍が採用したものではない、こういうことが伝えられておるわけですが、これに対しては、どういう認識を持っておられますか。
  68. 源田実

    説明員(源田実君) 私が今まで承知いたしております範囲では、F104はエアー・スペリオリティという言葉でやっております。これは制空権獲得用の飛行機、こういう工合に私は解釈しております。
  69. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 戦術空軍用として、このF104というものは設計もし、採用されたのだということが伝えられておるわけです。で、それを裏書きするように、ここに十二月五日付の朝日新聞の河村特派員が、ワシントンから電報を打っているんですが、相当信用できる記事だと思う。こういうことを書いてあるんですね。「F104を落とすのは本来目的の違ったものを使っていたのを、他所にまわすという意味になる。」こういうようにね。その防空用、迎撃用としてはF104というのは、初めからそういうことでないんだ、これは戦術空軍用だ、それでそもそもの使途に回すようになったともとれる、こういうことを報じているわけです。そこで私は防衛長官に承りたいと思うんですが、日本の採用しようとする次期主力戦闘機は、当然このアメリカの空軍で言うならば、防空空軍、戦術戦略空軍でなくして防空空軍に相当するものだと思う。従って要撃、迎撃を主として機種をきめるとするならば、おのずと他に問題が起こってこなければならぬと思う。F104はそもそも、さっきから言うように全天候性でもないし、また地上のセイジ組織にも直結しない、迎撃、防空用でない設計であり、そういう立場において米軍は採用したんだから、このたびその防空空軍から退けるというのは当然だと思うんですね。そういうことから考えれば、日本の自衛隊、特に日本の航空自衛隊の目的性格からして、憲法にも抵触してくるし穏やかでないと思うんですが、これに対してはどういう説明をなさるんでありますか。
  70. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) アメリカといたしましては、アメリカの編制の事情もあると思います。でありますので、F106を防空用に主として使う、104Cは戦術空軍に使っております。こういうことにアメリカではなっております。しかし、F106の方は防空のためにも適当しておるというようなことで、御承知の旧型の104Aは防空用に今まで使っておったわけですが、しかし、アメリカの空軍の事情から機能を分けて使うことになったのであります。しかし、日本ではどうかということでありますが、104の速力とか、上昇力あるいは余剰推力、こういう点、あるいは日本の地形から言いまして、迎え撃つのには、F104の性能が非常に適しておる、こういうことで、日本の防空にこれを採用するということでありますので、日本といたしましては防空空軍とか、戦術空軍ということには分けておりませんが、迎撃用として日本の防空のために使おう、また使うのにこれが適当である、こういうような観点から選定をいたしたわけであります。
  71. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 アメリカではF104━AもBも、いずれも第一線から退けて、予備軍の方に回わす、F104━Cは現在若干戦術空軍に使っているが、これを含めて来年度中に第一線から全部退けるんだ、それで一昨晩の報道によると、さらに九百機米空軍から飛行機を減らすんだ、こういうことが伝えられているんですが、源田さんはこれはどういう認識をもって帰られておられるんですか。
  72. 源田実

    説明員(源田実君) F104は、あの上昇力が非常に大きいところは、もともとインターセプターとして設計せられておる。インターセプター以外に、あれほどの上昇力を要求する必要はないと思います。もし他の目的にやるならば、あの上昇力を犠牲にしてなお搭載量をふやすとか、航続力をふやすとか、そういう方面に回わすべきだと考えます。米空軍で今度104━Aを防空空軍からはずして、これはまだ行く先ははっきりきまっておりません。タクチカルに回わすのか、ナショナル・エア・ガートに回わすのかはっきりしておりませんが、これをはずしたということは、さっきも防衛長官お話しのように、要するにオール・ウエザーでないから、これはデータリンクの関係上セイジに連結しない、これが主たる原因であると思います。なお104━Cについては、昨日もこれは米軍のワシントンのヘッドクオーターに、マーダを通じて照会しておりますが、104━Cを動かす意思は今のところ全然ないということでございます。また、九百機削減という話にちょっと聞いておりますが、この話は何をどれだけ減らすのか、これはわかっておりません。しかしながら、あの九百機には、現在アメリカの空軍が所有している全飛行機は、約二万機に達するんじゃないかと思います。この二万機というのは正確な数字じゃない、しかし相当大きい数字であります。その中から九百機を減らすという意味は、そのうちの旧式機を減らしていくんだ、こういう工合に私は今のところ了解しております。
  73. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 では源田さん伺いますが、アメリカが防空ミサイル体制に切りかえつつあるということをお認めになりますか、なられませんか。
  74. 源田実

    説明員(源田実君) 米軍においては、防空用のミサイルの担当する部門が逐次ふえております。
  75. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 次に伺いますが、あなたはF104━Cロッキードは、今後十年間使用に適する、こういうことを言われておりますが、その十カ年というのは、きょうの時点で十カ年なのか、昭和四十年に二百機が完成するわけですが、その四十年から、さらに十カ年間使えるということなんですか。どういう意味なんですか、その十カ年を説明していただきたい。
  76. 源田実

    説明員(源田実君) この前、十カ年と申しましたのは、この前に申し上げたときから十カ年という意味であります。ただその十カ年も、これは九年かあるいは十一年かそういうところは、これを正確に申し上げるというわけにもまだできませんし、またきれいに切ることもできないと思います。
  77. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 だとすれば、生産のスケジュールをまだ承っておりませんが、三十八、三十九年ごろが一番生産の能率の上がるときだと思うんですね。三十八、三十九、四十年ごろできた飛行機というものは、あなた方の説を認めても、四年間程度で、もう時代おくれで使えない、こういう計算になりますね。だから話はかえるけれども、すでに迎撃、要撃戦闘機として適格性がないという立場で、アメリカが第一線からおろした飛行機を、後刻また聞きたいと思うのですが、日本の特殊事情に適するというそれだけの理由で、これから六カ年計画で生産をするということは、非常に間違っているのじゃないですか。源田さん、私はあなたが本心を述べておられないのじゃないかと思うのですがね。防衛長官に気がねをして、将来の軍事情勢の見通しとか、あるいは兵器科学の発達とを勘案して、ほんとうにあなたは将来をこうなるだろう、こうすべきだという本心を述べておられないのじゃないかと、かように私は疑わざるを得ないわけなんですが、いかがですか。
  78. 源田実

    説明員(源田実君) 最後の飛行機ができ上がる前に、大部分の飛行機がすでにでき上がって、実際就役しているわけであります。従いまして一番最後に出た飛行機が、十年と区切れば四年か、五年ということになりますが、その十年の最後において、あるいはこれは第一線というか、第一流の飛行機ではないかもしれませんが、しかしながらそれならば、第二流としてこれが使えるか、使えないかという問題が残って参りますが、私は第二流としてなら上等、そのときにも使える。今のF86━Fがなおかつ役に立つがごとく、おのおの担当する目標に応じてこの飛行機は役に立っていくと考えます。  また、この今の対空ミサイルに切りかえる問題でありますが、これは日本もいずれにしてもこの有人機のみにたよるということはできないのでありまして、有人機の担当する部門が逐次総合的には少なくなっていく。そして対空ミサイルの担当する部門が多くなるのは自然の趨勢であり、日本も当然そうすべきであると思います。ただ、それをいかに転換していくかという問題が、急激なる転換をやる場合に、大きなブランクができまするし、日本の技術もまたそれに伴いません。従ってそういう点をよくにらみ合わせて、国防上に大きな欠陥を生じないように、逐次ミサイルに切りかえていくべきである。その最後において、有人機はミサイルに比べて、非常に少ない場面を担当することになろうかと考えます。しかしながら、そのときでも、なおかつ有人機でなければできない部門が残ります。従って、有人機が全廃されるということは考えられないことであります。
  79. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私の伺いたいポイントは、もう今でさえアメリカで第二流機と、こういうふうに烙印を押した飛行機を、これから一流機というような認定をして、六カ年計画で生産に入っていくということは、たとえ再軍備をし、飛行機を持つにしても、非常に将来の見通しのない、不適当な方策ではないか。この点を私は指摘している。源田空幕長が将来について、そういう点述べれば述べるほど、その疑問が起こって参るわけです。あなたはどなたかからにその制約をされて、あなたの本心を述べ得ない立場に立たされているのではないですか。防衛長官に伺いたいのでございますが、あなたどう思いますか。すでに要撃機、迎撃機として二流だという烙印を押された、その飛行機、しかもこれからの見通しというものは、うちの国がさあ二流になったから、もう一つ一流機を作ろうというようなことが、国家財政的にも可能か、可能でないかというようなことはまあさておいて、ちゃんと源田さんがそういう見通しを立てておられるわけです。それを今から六カ年計画でこれから生産しなければならぬ。どうしてそういう必要があるのか。また、そういうやり方というものは、きわめて私は適当でないと考えるのですが、長官としてはどうお考えになっておられますか。
  80. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) アメリカにおいて二流品という烙印を押されたという事実はございません。アメリカにおいても一流品です。
  81. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや、そうでない。
  82. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) アメリカは、専門家のあなたが御承知通り、レーダー基地も遠くまであります。アラスカでもカナダでも。そういうことでありまするから、遠くにおいて敵機が入ることをとらえられます。そういう点でありますから、日本と事情が違っています。ですから、アメリカが日本のような立場ならば、F104Cを当然防空用としても使うと思います。そういう意味におきまして、決して二流品というわけではない。一流品を、日本におきましてはやはり日本の防空の必要からこれを採用するということでございます。アメリカは、先ほどから申し上げましたように、アメリカの地理的な事情、あるいは財政的な事情もありましょう。そういう点の分野をはっきりするということで、日本は、いろいろな財政的の都合、あるいは地理的の状況からして、アメリカの一流品であるF104を採用する。こういうことでございます。
  83. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは伺いますが、ほとんど全国民の持っている疑問点ですから、明快に答えていただきたいと思います。  スピードがある、その上昇能力が優秀だ、だから迎撃機として非常に優秀だ、第一流だ、こういうならば、大は小を兼ねる。優は劣を兼ねます。アメリカは、どうしてF104Cを改良して、それに全天候性を付与して、それからセージ・システム、あるいはバッチ・システムに直結できるように、そういうように改良して、どうしてそれをアメリカは使われないのですか。
  84. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) これはアメリカのことですから、私が申し上げても的確ではないかと思いますが、私が考えるところによりますと、アメリカは、すでにF106、これを全天候性として十分使っています。ですから、そのほかにわざわざF104Cを全天候性に変えるのはむだだ、こういうふうに考えて機種を統一したF106でやっていく、こういうことだろうと思います。
  85. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 だから、全天候性という点からいっても、また、地上の警戒指揮組織との直結という点からいっても、アメリカではF106というコンベアがF104より優秀だという認定に立っているでしょう。いかがですか。
  86. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 優秀だということでなく、アメリカに適している。こういうふうに考えています。
  87. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは、こういうお考えなんですな。アメリカにとってもF106が迎撃戦闘機として最も優秀だ、日本においてはF…Cを改良したのが最も優秀だ、こういう認定に立っている。こういうことなんですか。
  88. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) アメリカにおいてF106が最も優秀だというよりも、アメリカにおいて最も適当しているということが適当な言葉じゃないかと思います。日本においてはF104Cが最も適当している。もちろん優秀ということはありますが、適当している。このいうように考えられます。
  89. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは伺いますが、アメリカでは、F104C並びにこれを改良したものはアメリカには適当でない。だからこれを第一線からおろした。これは標的機になるものもある。タラワ島に送られると聞いています。あるいは一部台湾に供与されると聞いております。要するに、迎撃防空部隊の第一線から下げた。向こうではあまり適当でないから下げるというのですね。ところが、日本に持ってくれば、これは非常に日本に適している、F106Aよりは日本に適当だ、こういうことならば、それをもらったらどうですか。有無相通ずで、アメリカより日本にくれば非常に優秀だというならば、一千億もかけて国産するよりは、それをいただいておいて、そしてちょっと改良すれば、それで事足りるじゃないですか。どうしてそういう交渉をなさらぬのですか。これからなさる用意があるかどうか、お答え願いたいと思います。それが一番安上がりで、有無相通じてよろしいと思うのですが、いかがですか。
  90. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) F106が適当だということは、F104Cが不適当だということではありません。F104Cは依然として向こうで使っておりまして、今回の発表でも何も……。
  91. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 落とした。
  92. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 落としません。104Cはもともと戦術機に使っております。あれは別に変更はありません。そこで、向こうでも、無用なものではなくて、使っております。それをもらったらいいじゃないか。まことにけっこうなことですが……。
  93. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それを交渉したらいい。
  94. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) なかなか━━なかなかどころか、これはできません。見通しは。
  95. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どうして。
  96. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) それは見通しできないものを、そんなことを交渉してみても、ばかにされるだけですから、私は交渉いたしません。やっぱり自分の国は自分で守るという基礎を作って、そうしていくのが、やっぱり日本の防衛の建前だと思います。今相当援助を受けておりますけれども、基本は、やはり日本でやるという気がまえをもって当たらなくちゃなりませんから。分担の点はなるべく多く分担さしたいと思っておりますが、ただでくれというようなこじき根性は出したくない。
  97. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたがF104Cは日本の国情に合って非常に優秀だ、向こうではあまり優秀でないというので第一線から下げたから、それで伺っているわけですよ。負担率もできるだけ多くしてくれ、多くしてくれといって向こうに要望しているわけでしょう。だから、向こうではあまり役に立たないが、日本に来て優秀だというならば、アメリカも一億ドルなり日本に援助するよりは、アメリカではあまり使いものにならない予備軍等に回すものを日本に回せば、アメリカにも都合がいいでしょう。こちらもあなた、半額ぐらいで取引したら、よっぽど安上がりじゃないですか。二百機というのが、三百機持ってくることができるかもしれませんよ。そういう交渉をやるべきじゃありませんか。どうしても私はそういう疑問が起こってくるわけです。F104Cは、アメリカにはあまり最適でない。だから第一線から落としたが、日本には最適だ、こういう説明があれば、そういう交渉を当然やるべきだ、こういうふうに考えざるを得ない。特にF104Aにしても、Cにしても、本年中にはずして、一部は標的機にしているというのですから、F104Aでも、それほどいいのならば、それは改良費というのはよけいかかりませんよ。それを日本に譲り受けて、そうして改良して使ったらいいじゃないですか。その疑問は、どうしても全国民が持っておる疑問です。もう一ぺんお答え願いたい。
  98. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 前提が違っておると思うのですが、F104Cが廃棄されたとか何とかということの建前でお話しになっておりますが、ロッキードの旧型も廃棄されておりません。またロッキードの新型、F104Cは依然として向こうでは戦術機に使っておりまして、廃棄したというような前提でお話しでありますが、廃棄はしておりませんで、向こうでも十二分に使っております。それは向こうで無償でよこすということならば、これは悪いことでもありませんが、しかし見込みのない交渉をしても、これはちょっと私は交渉にならぬと思います。お話の点は頭には入れておきますが、そういう交渉はちょっと私にはできかねます。
  99. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そこはおかしいですよ。どうしてもおかしいですよ。アメリカは、防空空軍としては最適でないといって落としたことは事実です。
  100. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 落としたのじゃないと言っているのです。
  101. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや、防空空軍から落とした。それで、アメリカでは最適でないが、日本には、地形上から非常に最適というならば、それをあなたこちらに回してもらったら、ただでなくともいいが、五割引きでもよろしいのですが、有無相通じて非常によろしいのじゃないですか。それをわざわざ今から業者がアメリカから、技術提携をして権利を買って生産するというのは納得できないわけですよ。  それで重ねて源田さんに伺いますが、あなたが防衛長官に答申した、国防会議にしたというのは幽霊機じゃないですか、F104CそれをJと改良するというわけでしょう。改良するにあたって全天候性にするというわけですね。これも一つ容易なことではないと思うんです。しかも、ナサールの改良型をつける。あなたがアメリカがナサールをつけて乗った飛行機は、輸送機級の飛行機だということを聞いておる。決してこれにナサールをつけて乗ってみたのではない。同じナサールでも、重いものに、輸送機級のものにつけて乗ったということなんです。それでナサールの改良型をつけて全天候性にする。それからまた、セイジでなくて、日本はその小型のバッジ組織を将来考えておる。それに直結するようにデータリンクを十分搭載できる。こういうことを自民党の委員に配ったPR文書に書いてありますが、全くそうなると、これは幽霊機だと思うのです。そういう全天候性ができるのかどうか。それから全天候性になるFCSは重みが加わってくるが、その重いものを載せられるのかどうか、バッジ組織に直結するデータリンクまで装置できるというが、それには重さがかかりますが、それもできるのかどうか。これは昨年ロッキードを落とすときに航続距離が問題になったわけです。もう一つタンクを作らなければいけないとか、航続距離が短いから云々といって落とされた理由になっておりましたが、この機体そのものはもう完成されたものとその当時高山課長から聞いたのですが、完成に近い……。飛行機はそのままだと思うが、これに上方脱出口を作る、それから今言ったFCSとバッジ組織まで、そういうふうにして一体その搭載分があるのかどうか、航続距離に影響は出てこないかどうか。それからそれだけの改造をやっても、スピードとか上昇能力に影響を及ぼさないのかどうか。これはしろうとが考えても、大きな影響が出てくると思うんですね。あなた方の四、五日の答弁を聞いておると、改良型だから改良型だからということで逃げておるわけです。そうして日本向けだ、日本向けだと言っているわけですが、やっぱり幽霊機じゃないですか。何の根拠があってそういうことをあなたは言われておるか、少し科学的根拠をもって御説明願いたい。
  102. 源田実

    説明員(源田実君) 104CにナサールをつけたやつをJと呼びます。そうしてこれが幽霊機ではないかというお話でございますが、104Jで104Cと変わりますのは、今ASG14というファイヤー・コントロール・システムを使っております、これに対しましてナサールを積みますと、それによって重量が若干ふえます。しかし、そのふえる重量というものはせいぜい二百ポンド程度であります。二百ポンドまでいくかいかないか、二百ポンド以下と今考えております。また今度エディクション・シートを上方にするためにふえる重量は、大体七十ポンドと考えております。そういたしますと、これがせいぜい三百ポンド足らず、二百数十ポンドの重量増加であります。
  103. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 データリンクは。
  104. 源田実

    説明員(源田実君) データリンクは非常に軽いのでありまして、そう大きく響きません。数ポンドか十何ポンドで、そんなもので済むと思います。従いまして、これはすでにわれわれの方で計算済みでありまして、現実の飛行性能に、戦術上影響するような上昇性能と速力に変化はございません。大体言いましても、秒の単位でいく程度のものであって、何秒違うか、十秒以内ぐらいであろうと思いますが、今数字はちょっと忘れましたが、しかし作戦上ほとんど変化はございません。また、そのスペースにつきましては、これはナサールは今までわれわれが見た全ファイヤー・コントロール・システムのうちで、最も小型のものであります。最も軽量であります。そうしてデータリンク、これもすでに余積が十分取ってあります。そうしてこれは幽霊機と申されますが、現実に今度飛んだ飛行機で幽霊機でないと言えるのは102だけであります、その意味においては。102はもうアメリカ空軍で今度102Aをあれから落としたと前後して102の三個スコードロンのものを落としております。そうして102だけが幽霊機ではない。あとの飛行機は全部それならば幽霊機ということになります。ところが、この幽霊機のうちでも一番現実の飛行機に近いものは、104Cにナサールをつけたものが、最も現実の飛行機に近い形を持っております。従いましてまたこのナサールの、われわれがこれの評価をやりましたのは、室中でやっております。空中でレーダーについてどういう点と、どういう点と、どういう点はこれをチェックしなければならないという点はわかっておりますので、その点をはっきるチェックしております。これがこの飛行機に入れば問題でないということはきわめて明瞭であります。また、この飛行機にナサールを積んだやつはスタッフがモック・アップを見てそれがうまく納まる。うまく配列されるということは確認しております。従ってこういうものはいわゆる幽霊機として扱うべき性質のものでなくて、まず現実の飛行機として取り扱って差しつかえないと考えます。
  105. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それほどの何なら、どうしてアメリカがこれを利用しないのかということが私は納得できない。どうしても。では源田さんに伺いますが、バッジ組織に直結させるための地上設備には、どのくらいの費用がかかるのですか。
  106. 源田実

    説明員(源田実君) これは今のバッジそのものを研究中でありまして、正確なる数字はちょっと申し上げかねます。
  107. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 おおよそ。
  108. 源田実

    説明員(源田実君) 相当かかるのじゃないかと思いますが……。
  109. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 相当といってどのくらい……。(「三百億だ」と呼ぶ者あり)
  110. 源田実

    説明員(源田実君) いや、そんなにはかからないと思います。百億ぐらいじゃないかと思いますが、これはまだはっきりと責任を持って申し上げる数字に至っておりません。
  111. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それだけの改良をやれば、源田さん、滑走路に、離着陸の滑走路に影響して参りませんか。私は四百ポンド前後動けば、最初から、それでなくてもこの飛行機というものは、滑走距離というものが問題だったのだから、滑走距離に相当私は影響してくると思いますが、その点はあなたどう考えられておりますか。
  112. 源田実

    説明員(源田実君) さっきも申し上げましたように飛行機の性能的には、この飛行機の重量が二百数十ポンドふえるということはほとんどこれは問題ございません。と申しますのは、104Dはこれは二座でありまして、人間の重量が一人分だけよけいになっております。また、われわれとアメリカ人のパイロットの平均重量の差が七十ポンドぐらいでございます。従いましてこの飛行機はこれだけの重量がふえたところで現実の滑走距離が、今要求している滑走路が間に合わなくなるほど、そんなに延びることは全然ないと申し上げたいと思います。
  113. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは伺っておきますが、あなたは滑走路は八千フィートあればよろしいと言ったのですね。前の佐薙空幕長は八千フィートの飛行場は浜松飛行場ただ一つだと本院で証言された。ところが、先般のあなたの答弁では、それ以外に千歳と小牧にある。それで滑走路はそれでよろしいのだ、こういう答弁でありましたが、八千フィートで、滑走路の拡張などしなくてよろしいのですね。念のために伺っておきます。
  114. 源田実

    説明員(源田実君) 滑走路は八千フィートあれば、通常われわれがそれで訓練もし、作戦もできます。ただ、ここで念のために申し上げておきますが、滑走路というのは、滑走距離が短い飛行機を使うにしても、長い飛行機ならもちろんでありますが、実際は長いほどいいわけであります。長いほど安全性に富むわけであります。従いまして八千フィートならば間に合いますが、しかしながら、これより長ければ長いほどいいのでありまして、われわれはその方を希望するのであります。
  115. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや、私が伺っているのは、この前から、滑走路は思ったより着地点がはっきりすれば八千フィートでよろしいというから、念のために伺っておきますが、八千フィートでよろしいのですか、それを念のために伺っておくのです。
  116. 源田実

    説明員(源田実君) 八千フィートで、この前申しましたように、われわれはこれを使用することができます。十分訓練もできます。しかし、将来にわたって八千フィート以上を全然要求しないということを、今私はここに明言することはできないと思います。
  117. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それはどういう意味なんですか。この前から、安全性と、ことに離着陸の場合の滑走路の距離というものが非常に大きな理由になっておった。だから佐薙空幕長が前の国会で証言した。今度あなたが、いや八千フィートの飛行場は浜松だけではなくて、千歳、小牧もあるので、それで十分だということがわかった。その理由としては、計器操縦をうまくして着地点がよくわかる、これは非常にむしろやさしいと思った、こういう発言をされているわけです。だから私はそれを確かめているわけなんだが、ほかの飛行機が入ってくれば別ですよ。けれどもこのロッキード104Cの改良型を採用している以上、この飛行機のために滑走路を延ばすというようなことは、今の答弁からあり得ないと思うのです。それを念を押しておきたいと思います。
  118. 源田実

    説明員(源田実君) 滑走路を延ばす場合に、大きな支障なしに延ばせるところだったら、これは私は延ばした方がいいと思います。と申しますのは、飛行場というものが、必ずしも滑走路がいつも風に向くとは限りません。
  119. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたは相当な人ですよ、源田さん。時と場合で都合のいいことを言うのはよして下さいよ。グラマンのときは、グラマンはそもそも艦上機だと、だから滑走路が短くて済むのだ、日本は四つの島で土地が狭いというのが大きな理由だったのです。それでロッキードの場合には、安全性と一緒に問題になった。あなたはおそらく押えようとして、将来に対してぼかしたことを言われる。この前の答弁と違っておる。あなたは昭和三十二年四月、五月ごろ、F86Fの事故が盛んに起こったときに、防衛庁に事故防止対策委員会というのができましたね。そのときあなたはその責任者となって日本全国の基地を回られた、そうしてあなたは、何と当時の防衛長官に答申されたかというと、F86Fは九千フィートの滑走路が必要だ、日本のパイロット・ソースからして九千フィートの滑走路が必要だということを、当時の防衛長官に答申された。事実でしょう。
  120. 源田実

    説明員(源田実君) それはちょっと違います。
  121. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それで、今度ロッキードになって八千フィートでいいというのは、私はパイロット・ソース等から考えると納得できない。本日私のところに電報がきたのですが、あなたはこういう事実を知っているかどうか。ドイツは、ノルベニッヒエアベース、この滑走路をF104のために一万三千フィートに延ばした、安全性が保てないから。約四千メーターに延ばしたという電報が来ている。源田さんが八千フィートでいいというのは、日本のパイロットはどんなに優秀か知らぬけれども、非常に疑問がある。ここに電報がきている。だから滑走路についてのあなたの答弁は一貫していないのですがね。八千フィートじゃだめなんじゃないですか。防衛庁の航空幕僚監部の二、三の懇意な人に聞いてみると、われわれとしても、どうしても一万フィートは要ると思うと言っているのですがね。何か八千フィートというのは後日問題が起こるのじゃないですか。責任ある答弁を一つしておいていただきたい。
  122. 源田実

    説明員(源田実君) この前の飛行安全検閲でありますが、その場合に、私が、津島長官でありますが、長官に出した報告書は、滑走路はF86Fのためにも一万フィートを希望すると出してあります。従いまして、一万フィートなければできないのだということは出しておりません。今同じことがF104に対しても言えますので、八千フィートで、とにかくこれをもってわれわれは訓練も作戦もできます。しかしながら、さらにこの飛行場に着くのを容易にし、さらに安全性を増し、有効にするためには、同じ言葉をここに当てはめて一向差しつかえないと考えます。また、ドイツの件でありますが、日本ではいろんな状況でそういうことが困難と考えます。しかしながら、ドイツのように、一万三千フィートの飛行場が得られるならば、われわれは少なくとも一万、それを希望いたします。しかし、現実問題として、これはきわめて困難だと思いますから、われわれはいま一万三千フィートを要請しておりません。またもう一つ申し上げたいことは、現実にこのF104Aを使って、ハミルトンでは、飛行場は八千フィートでここ数年間、今までやってきております。またわれわれはエドワードでF104A、B、C、D、四種類飛びました。その場合エドワードの飛行場は一万五千フィートであります。そのうちわれわれが使ったのは、いわゆるドラッグ・シュートを使わないで、その半分の七千五百フィートの滑走路に入っております。従いまして、私のようなものでもそれでいくのであるから、若い、ばりばりの人ならば、私は八千フィートなら、通常これでやっていけると、こう考えてあの報告書を出しました。
  123. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 長いほどよろしいということは、もちろん承らぬでもわかっております。要は、われわれは、何フィートあれば必要にして十分か、こういう点を、日本の国土、予算面から伺っているわけです。それで先般来からの答弁によりますと、八千フィートでよろしい、防衛長官に伺っておきますが、八千フィートでやっていただくのですね。ところが実際八千フィートではだめ、一万フィートなければ安全性を保てないということを承っているがゆえに承っている。この前、浜松だけではない、八千フィートで間に合うのは、松島もあれば千歳、小牧もある。こういうふうに答弁されているから、八千フィートでF104Cは訓練をやっていただく、こういうふうに防衛長官としてお考えになっているとみてもよろしいのですね。
  124. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) お話しのように、また報告にもありますように、八千フィートで間に合いますから八千フィートで間に合わせます。しかし、延ばせるところがあれば延ばしてもいいわけであります。それはなかなか困難だろうと思います。しかし、いつまでも八千フィートということに言いきるわけには参りません。延びるところがあれば、やっぱり延ばした方がいいと思います。しかし、間に合うなら間に合う程度でやっていきます。
  125. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 源田空幕長に伺いますが、アメリカが防衛空軍の第一線から落としたというのは、チンドールのこの結果というのが相当やっぱり影響しているんじゃないか、私が聞きまた調査したところでは、ロッキードは迎撃戦闘機として作られたのではないから、今までチンドールのあのテストには一回も出ていなかった。ことしの十月十四日から開かれたのに初めて出場した。で、その結果についてはあなたからも資料が出ているんですが、三つのカテゴリーが分かれているということを言われていますが、機体とFCSと火器と、このコンビというものは大事だと思うのですね。ベストのコンビで私はテストされるものと思うのです。で、この場合に、ここにコンベアの102が出ていますが、十七発のうちに五発直撃をした。ところが、このロッキードの場合、サイドワインダーを使って、三十二発のうちに二発しか直撃していない。この三十二発のうち二発しか直撃していないということは、これは迎撃機として非常に致命的であるという断定が下されるのじゃないですか。先般の本委員会では、サイドワインダーも非常に性能はよろしいのだというけれども、それは前の飛行機の後尾にこう追尾できた場合は、これから赤外線が出るから、できるでしょう。あるいは天候がよろしい場合は、赤外線ホーミングだから、それはサイドワインダーも相当な性能を発揮するでしょう。しかし、曇天だとか、夜間だとか、あるいは雨天だとか、あるいは、この飛行機の方の位置がこういうような位置にきた場合に、射撃のできる位置に追尾してつくということは、ロッキードにまあこれからナサールの改良型をつけるというのですが、そういうものをつけて、サイド・ワインダー、この武器系列では成果は上げ得ないのじゃないかと思うのですがね。そういうことがあなたからも出されました。このチンドールにおける、三十二発のうち二発しか命中しなかった、このことに私は現われておると思う。こういう結果が、やはりロッキードが要撃第一線防空部隊から排除されたという大きな私は理由になっていると思うのですね。そういう性能面に問題がある。また安全性は、今滑走路の問題も出て参りましたが、この前私は、あのノートン基地のあれを伺っているわけだ。問い合わせ中とありましたが、まだお答えありません。あのノートン基地の航空安全調査センターの発表では、三〇・五%の事故率というものが発表された。あなたのお帰りになったあとも、F104AはもちろんのことF104Cにおいても、二回事故が起こっているということが航空雑誌等でも報ぜられておるわけですね。そういう点からいって、アメリカですでに第一線から排除されたロッキード、これは安全性の点からいっても、第一、性能という点からいっても相当問題点があるのじゃないかと思うのですが、この点は防衛長官並びに源田空幕長はどういうように国民に説明せんとするのか、お答え願いたいと思う。
  126. 源田実

    説明員(源田実君) サイドワインダーの命中率につきまして矢嶋議員の申されましたことは、これは別個なそういう資料は私の方からは出していないと思います。
  127. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや、あなたからいただいた矢嶋三義氏に対する源田空僚長の説明要旨……
  128. 源田実

    説明員(源田実君) 私が説明しましたのは、そういうのではなくて、私がここで申しましたのは、カテゴリーが分かれておって、そのスコアで計算するとこう申し上げております。十七発中五発とかいうことは、米空軍ではそういうことは発表しないことになっております。
  129. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 しかしあなたの出したプリントにあるのです。
  130. 源田実

    説明員(源田実君) いえ私の方で差し上げた国会資料というのは……
  131. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 矢嶋三義氏に対する説明要旨、資料として提出してある。
  132. 源田実

    説明員(源田実君) これは、今の私がここで言ったやつは、十七発で五発直撃、それから二ミッション三十二発云々のこれは、ヒューズか何かの雑誌に出ておったやつだと思います。われわれの方で……。
  133. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたの答弁ですよ、これは。
  134. 源田実

    説明員(源田実君) いや米軍がいっておるとは言っておりません、私は。
  135. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたが、この前僕が数字をあげて言ったところが、私は別の数字を持っておると言って、それを開いてべらべらおしゃべりになった、それを資料として出していただいたのがこれですよ。三十二発で二発直撃じゃしようがないじゃないですか。
  136. 源田実

    説明員(源田実君) そのときに私が終わりに申し上げました、このスコアの点が問題であります。このうしろについておるのでありますが、米軍ではスコアを発表します。そのスコアによりますと、ここにありますように、この点数において両者似通ったものであります。これがほんとうの意味の成績だろうと思います。それからもう一つ、事故率の問題でありますが、これも米軍に照会いたしましたが、これについても同様に、ああいう事故率は、米軍としてはこれは一般に出していないということであります。
  137. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 少し答弁混線しているようです。私はあと十分しかないですからね、次いで伺って、時間があればまたそれにかかります。防衛長官に伺いたいのですがね。だれがアメリカ大使館に行って次のようなことを言われたのかお答え願いたい。主力戦闘機の問題は日本の国会でもめている。で、これがもめると、安保条約の改定に影響するのに、時もあろうに、もめているまっ最中にロッキードを第一線からはずすというような米空軍の発表があるのは、大へん迷惑だというので、マッカーサー大使にそれを通じた人がある、日本政府から。それでマッカーサー大使は、それをペンタゴン並びにアメリカの国務省に連絡をとったということが伝えられております。すでにマッカーサー大使から、国内の関係方面に対して、それに即応した抑制の動きがある。われわれは国のためを思ってこういうことを追及しているのに、だれが一体アメリカ大使館に行ってそういう遺憾の意を表明したり、要望をマッカーサー大使になされたのか。あなたがなされたのかお答え願いたい。
  138. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 日本で採用することにいたしましたロッキードのF104Cは別に変更にもなりませんし、変わっておりません。ですから、私どもはそういうことはあまり問題にしておりません。依然変わっておりません。ですから、国会に問題があるのを、迷惑だというようなことをマッカーサー大使に言ってはおりません。マッカーサー大使にお聞きになればわかると思います。私の方から全然そういう連絡、また私も行きません、もちろん。そういうように御了承願います。
  139. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたでなければ外務大臣ですよ。あらためてこれは追及します。どちらかですよ。それでは伺いますが、アメリカにそういう事実がないならば、米空軍スポークスマンの意がワシントン三日発でAP電で各社に報じられているのですがね、日本が採用したこのロッキードは優秀だというような援護射撃的な談話を発表し、あるいは一機当たり百七十六万ドル、そうしてこのコンベアは約その二倍に価格はなるであろう、こういうAP電が報ぜられているのですが、これは米空軍のスポークスマンの発表でしょうかどうでしょうか。あなたはどういうふうに理解していられますか。問題がなければこういうことを出す必要がない。どういうふうに理解していますか。
  140. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 向こうのプレスの方で、米空軍の方に聞いたかどうかわかりませんが、日本の新聞等に出ていますから、向こうの新聞等でも関心を持ったのだろうと思います。しいて私どもがそういうことをさせたとかそういう運動をしたというようなことでは全然ございません。
  141. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ではちょっと聞いておきますがね。このロッキードは一機百七十六万ドルというこの報道ですね。これはあなたはどういう眼をもってこれを見ていますか。
  142. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) われわれが折衝しているのとはまるで違う価格です。ですが、ジャパン・タイムズか何かにそういう数も出ていました。どういう根拠でありますか、折衝中の価格とはまるで違う価格であります。
  143. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 裏には裏があるので、まさに奇々怪々だと思うのですね。一部の情報では、米空軍スポークスマンはこのAPに対して遺憾の意を表明しているという情報も入っているのです。こういうようなことを米空軍スポークスマンは正式には発表していない、AP電として日本に流したことは遺憾であるという遺憾の意を米空軍スポークスマンが表明しているという情報も入っていますが、これ確かめられているかどうか。確かめていなかったら確かめていただきたい。あなた方の今度のロッキードの、PR宣伝文書の中にも米空軍の軽量の優秀な戦斗機として推奨しておる、保証しておるというような活字で引用されているだけに、私はこれをはっきりさせる必要があると思いますが、いかがですか。
  144. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 新聞がどういう働きをしたか、私どもがはっきりする必要を認めません。
  145. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや、それは確かめていただきたい。
  146. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 私どもは確かめる必要はないと思います。
  147. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 事実かどうかわからないものをどうしてPR用に引用するのですか。引用する以上は、事実かどうかということを確かめる必要がある。いかがですか。
  148. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) これは新聞の引用にとどまります。しかし、私どもはこれとは別に、こういう性能が優秀だというようなことは、顧問団その他からも聞いておりますが、これと直接関係はございません。
  149. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その都合のいいことだけ引用しないで下さい。それでは国民に対して他の報道も引用して下さい。アメリカではすでに防空用としては、これはもう時代おくれだと、だからこれを予備軍の方にお払い下げをするのだ、それを日本に回しているんだ、こういう報道もあるわけですから、報道を引用するならこういう説もあると国民に知らせるべきだと思う。自分の都合のいいところだけ引用して、そうしてその真偽を確かめないということでは筋が通らぬと思いますが、いかがでしよう。
  150. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 非常に悪いものを押しつけたというようなことを言っておる者もありますが、これは事実に反します。そういうことを宣伝、PRに引用する必要は認めませんから、私どもは確かな筋の点だけは確かに材料として、資料としてつかんでおります。今新聞の報道でありますが、それとは別に私どもの聞いておるところでも、また調査団も優秀だということを裏づけしておるのでありますから、そのことに間違いはないと、こう考えます。
  151. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 どうしても納得ができないのですね、これが五年になるか六年になるか、今大蔵省と交渉中というのですが、いずれにしても、これは時代おくれの役に立たないものになることは明確だと思うのですよ。今やアメリカで二流品として烙印を押したわけですからね。また、その性能を除いても、一般情勢から言っても、あなたの党の大物である河野一郎さんやそれから松村謙三さん、こういう方々が最近お帰りになって、もう戦争はないのだという大前提に立って日本の内政、外交を論じようとなさっておりますが、もう戦争はないのだ、だからその安保条約云々なんかというようなことは、それでけんかをしようとは思わない、こういうことを記者会見でも言っておる、座談会でも言われているのですがね、そういう認識に与党の相当の幹部か立たれておるときに、アメリカでは第一線からはずしたというロッキードをどこまでも生産しなければならぬというので、強引に行政事務を続けられているところはどうしても私は納得ができない。で、これに対する答弁も最後に承りたいし、それから源田空幕長に私は重ねて承りたいのですが、あなたは千早正隆さんという方を御存じだと思うのです。文芸春秋の十二月号に評しく書いてあるが、私実際に千早さんに親しく会ったのですが、非常にりっぱな方であり、あなたの人柄を私淑されておりました。おそらくこの文芸春秋の十二月号ずっと読まれたと思うのですが、この記事を読み、また千早さんに直接会って、その謦咳に接し、見解を承ってみると、源田さんは本心を吐いていないのではないだろうかというのですね。源田さんは、今の世界の軍事情勢の動きというものがわからぬ人ではない、非常に優秀な明敏な方だ。今ミサイル体制に切りかえられていっているときに、たとえ軍備するにあたっても、源田さんとしてはミサイル体制に切りかえる、即応するということをやらなければいかぬと思っているに違いない。今ごろから二マッハ級の有人戦闘機を六カ年計画で生産するというようなそういう考え方に源田という人が同調するはずはない。こういうふうに千早という人は非常に穏やかなりっぱな人物ですが、述べられているのですがね。そしてあなたがあの人の教官時代に述べられた「昔秦の始皇帝は万里の長城を造ってその恥を千載に残し、日本海軍は大和、武蔵を造ってその悔いを後世に残すか」と名演説をされた。それで大和、武蔵ではだめだ、航空時代に入ったんだからと、あなたが雄弁をふるわれた当時のことをずっと書かれ、また述べられて、あなたの意に反してこしらえた武蔵とか大和はどういう結果になったかということもここに書かれているわけですがね。どうも、私は時間がないからこれで終わるのですが、源田さんは本心を吐かれていないのじゃないかと思う。私は昨年初めてあなたにこの本院でお目にかかったときは、眼光けいけいとして、ジェットの神様だと言われているが、なるほどジェットの神様かなと非常に私は私淑し、敬服しておったのですが、最近どうも神様でないのじゃないかというふうに思うようになった。(笑声)笑いごとでなくて、源田報告そのものがゆがめられているのじゃないかというような感を持つように私はなったのです。ということは、昨年本院にお呼びしたときに、私どもは当時試乗してみなければいけないのじゃないかというときに、グラマン、ロッキードの問題のときに、佐薙さんは、乗ってみなくたってグラマンは絶対いいのだということを佐薙さんは絶対的に述べておった。しかし、航空の第一線のあなたに意見を聞こうとしてお伺いいたしたけれども、そのときに政治的素質があると思うのだが、佐薙さんみたいにグラマン万能、ロッキードは絶対いけないということをあなたは述べられていない。速記録を読んでもどっちでも逃げられるように述べている。乗ってみなれけばわからぬ、操縦性というものは乗ってみなければわからぬという最近述べられていることを一言も述べておらないわけです。そして今度の報告を見ますと、アメリカで国内生産が二年前からストップしている。それからまた、第一線の防空部隊から転籍をするということも承知しておった。承知しておったのに、これを報告書にも入れないし、また直属上官の赤城防衛長官にもこれを伝えなかった。このことは、あなたはやっぱりロッキードというものに結論を持っていく気持で、都合の悪いことは述べられなかったのじゃないか。すなわち、源田報告そのものがゆがめられているのじゃないか、そういうふうに思わざるを得ない。その結果として、はたして神様と信じていいかどうかという感が起こってこざるを得ないわけです。少なくとも国内生産とアメリカ航空部隊の配備状況はこういうふうになっているということは、航空幕僚監部の皆さんに知らせるとともに、直属上官である防衛長官にも伝えるべきだし、また、国防会議において説明を求められたときにも、こういう情勢でありますということを私は述べるべきだと思う。それを国防会議の議長も防衛長官も知らなかった、そういうことをあなたが教えなかったという点に、私はどうしても割り切れないものがあるわけです。千早さんと会って、あなたの人となりと、あなたの主張とを承ると、それらを総合して、この際源田報告が出たから、だからアメリカがどういうふうになろうが、ロッキードを最適として推し進めて行ってよろしいのだ、こういうことにはどうしても私は国民の一人としてついていけないわけです。まだ他に聞きたいことがありますけれども、きょうの予定がありますし、他に質疑の方がありますから、これで一応質問を終わりますが、防衛長官並びに源田空幕長のお答えをいただきたいと思います。
  152. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 戦争がないのにこういう飛行機を生産する必要ないじゃないか、こういう御質問でございますが、全面戦争がないというふうには私ども見ておりません。何がゆえにないか、国防しているからないと思います。そういう点から考えますならばやはり戦争抑止力としての国防は必要であると思います。そういう点から言いましても、日本の国防の立場からいけば、やはり空を守るということが必要で、そうなればやはり優秀なものを備えておくことが戦争に導かないために必要である、こういうふうに思います。
  153. 源田実

    説明員(源田実君) GMが将来有効であり、それが大部分GMに移らなければならないということは、私は、自分もその考えであります。ただ、先ほども申し上げましたように、今急激にGMに移るということは非常な危険を伴うと同時に、GMじゃできない問題がたくさんあります。従って、こういう点をよく勘案して逐次GMに移るべきである、こう考えます。また、104Aの生産終了を、この前御質問があったときは、これは衆議院だったと思いますが、米国におるとき知っておったかどうかというお話でありますが、もとより知っておったから知っておりましたと私は申したのです。実は知っておったのは、日本をたつ前から、ずっと前から、航空総隊司令時代から知っておったのであります。従いまして、この問題は日本を出る前から知っておった問題です。あらためてあの報告書の中に書く必要はないと思ってこれは入れなかったわけであります。それからもうあれは二年前に生産が終了しております。それから後は104Cになっております。それからもう一つ、防空部隊から、防空部隊からではなくて、防空空軍からであります。これから104Aが除かれるということは、九月の二十四日のウォールストリート・ジャーナルにもちょっと論説が載っております。その中に、そのとき米軍の発表で、F104Aのプロジェクトをやめるということが発表になっております。これはきわめて重大なる発表で私は大きな関心を持ちました。ところが、そのついでに新聞のちょっとその次の次くらいのところに、今後米国空軍としてはロング・レーンジャー、遠距離のインターセプターとしては101と106を生産する、こういう記事がありました。従いまして、104Aがそのうちに防空空軍から除かれるであろうということは一応予期しました。ただ、これは私としましては、相当期間がかかる、まず二、三年後であろう、こういう工合に当時私は判断しておりました。ところが、これは二、三年後でなくて来年除かれるということになりまして、この点は私が頭が悪くて見当を間違えたと思います。しかし、この程度のインフォーメーションなら他に相当ありまして、いろんなものが入って参ります。さらに別個の飛行機を、ロング・レーンジャー・インターセプターとして使いたいという考えを米空軍は持っておるという、こういう資料も入っております。こういうものを、一面あまりそういうデータをたくさん報告書に載せても、何らはっきりした根拠のないものを、ただ風評を載せたのでは非常にあぶないので、この点は避けました。しかし、来年除かれるとは私も予期しておりませんで、この点は私の判断の悪いところであります。これははっきり認めます。
  154. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 報告すべきでなかったでしょうか。
  155. 源田実

    説明員(源田実君) それを報告するとすれば、そのほかにも同様な不安定のものがたくさんございまして、従ってこれを除きました。
  156. 辻政信

    ○辻政信君 時間がないのでなるべく重複を避けて新しい資料に基づいて二、三お伺いします。  防衛庁がきょうの新聞で御発表になった「ロッキード問答」というこの資料、新聞には要旨しか出ておりませんが、この内容には赤城長官は責任をお持ちになりますか。
  157. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) どういう責任か知りませんが、私の方でこれは作って、党の方へ参考に渡したものであります。
  158. 辻政信

    ○辻政信君 どういうことかとおっしゃるのですが、そうじゃない。防衛庁がお作りになったならこの内容には誤りないという一つの自信がおありかどうかということを言っておるわけです。
  159. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) もちろん誤りない根拠に立って作ったものでございます。
  160. 辻政信

    ○辻政信君 もし誤ったら、誤りがあったら、ロッキードの白紙還元、少なくとも決定を延ばしますか。
  161. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) ロッキードの決定を左右するような誤りがあれば、それは延ばしましょう。左右するようなものがなければ、これは調査の不備な点もあろうと思いますが、そういう点では、白紙還元はいたしません。
  162. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃここに書いてある要点が間違っておったら、柱が間違っておったら延ばしますか。小さなことを言うのじゃない。根本問題だ。
  163. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 根本問題につきましては、柱につきましては、これは見解の相違もあろうと思います。そういう点で、あなたが見た柱と私の方の見た柱と違う場合もありますから、この点は、私の方の柱は私の方の柱として立てるつもりであります。
  164. 辻政信

    ○辻政信君 それではこの内容をかいつまんで申し上げると、ロッキード採用の根拠は、第一点が、米空軍の現有優秀機であるということ。第二は、西ドイツ、カナダも採用し、特に西ドイツにおいては生産を開始しておる。こう書いてある。第三点、コンベアは優秀だが上昇力と速力ではF104Cに劣っておる。しかも価格の方は高い。これが第三点。第四点は日本向けの改良型は日本の特殊事情に合う。この四つがその内容の四つの柱だと思う。その点はいかがですか。
  165. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) ロッキードのF104Cを採用したのは、アメリカで現に使っておるから、この理由だけで採用してはおりません。
  166. 辻政信

    ○辻政信君 四つです。
  167. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) グラマンは使っておりませんが、ロッキードは使っておるということは事実です。それが一つの要素であります。これのみで採用したわけではありません。そうしてこの点が現にアメリカ空軍で使用しておる、これは事実でございます。それから採用した理由にドイツ及びカナダが採用したからということが採用した理由になっておるということは、これは辻さんの独断です。この間から申し上げておりますが、調査団をドイツでも出したから、この点については私どもも調査団を出そう、こういうことでございます。このことを特に書きました根拠は、補給がなくなってしまうのではないか、ロッキードの方の補給がなくなってしまうのではないかという心配をされる向きもありましたので、この間も御指摘でありましたが、九十六機であとはドイツはやめるということではありませんです。調査をいたしました結果、そうして三百機の発注もあるし、ドイツでも生産するし、カナダもそういうことである。ですから、補給の点において欠けるところはないという意味を強調する考え方であります。
  168. 辻政信

    ○辻政信君 それでは一つ一つの資料によりまして、今申されました柱を一本ずつくずしていきます。くずれます。まず最初にお伺いしますが、米空軍は防空任務からはずして戦術空軍にした。この戦術空軍というものの主任務は何ですか、一体。
  169. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 航空幕僚長から答弁させますけれども、前提として、防空空軍から戦術空軍へF104Cは移していません。初めから戦術空軍に配属されておるので、今度移したという事実はございません。なお、その防空空軍、戦術空軍等につきましては空幕長から……
  170. 辻政信

    ○辻政信君 ちょっと、空幕長は要りません。これは時間の関係上省こうと思ったら、あなたがおっしゃるからつけ加えておきますが、この防空空軍としては、アメリカは104のAとB、Bは練習機です。戦術空軍というと戦場爆撃をやる。爆撃が主体です。これは104Cと104D、こうなっておるわけですね。それを防空空軍に使っておった104のAとBが役に立たないというのではずした、取り除いた。そうして爆撃機としてのF104Cと練習機としての104Dだけが残っておる、現在。防空にはF104というのは使われない、爆撃に使われておる。こういうことを申し上げた。いかがですか。
  171. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 104Aが役に立たないので、これを戦術空軍の方へ回そうというようなことではないと聞いています。財政上のこともございましょうし、それから全天候性という関係もあるし、F106を中心として防空をやるという理由だと思います。それから104Cが爆撃のためということには考えられません。やはり戦闘機としての機能を十分に持っておるわけでございますので、これは戦術空軍の方に回す、配属をしておりますが、爆撃用ということには考えられません。
  172. 辻政信

    ○辻政信君 それは違っておるのです。この戦術空軍というのは、大体全天候性は要らない。自分から進んで出ていく。ところが、防空部隊というのは要るのです、夜でも昼でも飛ぶから。だから全天候性というのは、戦術空軍には絶対不可欠の条件ではない。しかし、防空には絶対不可欠です。それがないから、104AとBをできないからやめてしまった。それが、ごく最近のアメリカのエビエーション・ウィークという雑誌でございます、これはきわめて権威のある防衛庁でも御研究になっているでしょう、その十一月二十三日号、それを抜粋いたしますと、こう書いてあります。米防空空軍は一九六〇年初めまでに104A及びB型昼間戦闘機をすべて廃棄処分する予定である。その総数は約百五十機と思われる。米空軍筋によると、F104を防空空軍より処分する理由は、一、全天候性にも欠けていること、二、セージに運動しないこと、三、北米大陸防空用として航続距離が短いこと等である。現在、戦術空軍に集結中の104C及びD型戦闘爆撃機と書いてある。戦闘爆撃機はそのままである。処分されるF104Aはおそらくマップで台湾の国府空軍に引き渡されることになろう。要らなくなったやつは、つぶすのは惜しいから蒋介石に持っていこう、これは権威ある資料です。いかがでありますか。
  173. 源田実

    説明員(源田実君) 戦術空軍の現在の向こうの任務といたしまして、われわれは104Cの部隊に参りましたが、戦術空軍は今辻さんの申されましたような、海外に派遣してそこで作戦するという任務を持っております。同時に、米国内に駐留する場合は、これはいわゆる防空に関して防空空軍司令官の作戦指揮下に入ります。従いまして防空に関して104Cが現在及び将来ともにこれが防空に使われる、ということは事実であります。ただ、この104Cがセージに連結しないことと、オール・ウェザーでないために、これはいわゆる透明な空気のところでやるやつに使われる、こういうことでございます。そうしてまた、アメリカのエア・ディフェンス・コンマンドから今度あそこにある四つの飛行隊が解体されます。それがその飛行機がどこに行くかということは、昨日マーグを通じて米国のペンタゴンから受けました電報によりますと、これはまだどこにやるともきめていない。ただ、これがいわゆるエア・ナショナル・ガードとか、そういうところに使われる場合は、セージに連結しない方法においてこれが防空に参加する、こういうことであります。
  174. 辻政信

    ○辻政信君 さすがは専門家で、明快な御答弁がありましたが、あなたのおっしゃった通りです。これは全天候性を持っておらん、セージに運動しないという二つの大きな欠陥を持っているために、防空というのでは主任務にならない。104Cでも、戦闘爆撃機は目で見てやるのでございますから、二つの要素は要らないから、主体はあくまで戦場爆撃というものに使われるというのが、この飛行機の性能であります、性格でありますから、副目的で昼、目で見えるときは防空として使う。そう解釈するのが至当な判断だと思う。そこで問題は、アメリカがこういう判断を下したという中には、これができてから、二年間の実験であります、二年間のアメリカの実験がここへ来た結論として出たと思う。あなたの方は、貴重な報告であるが、八十時間であります。二年間で結論をきたしたものを八十時間のいきさつで変更することはできないと思う。この決定にもう少し慎重さを必要としないかどうか、源田さんにお伺いします。
  175. 源田実

    説明員(源田実君) 104Cをそのまま日本に持ってくるとなれば、これは適当でないと思います。ところが、日本で採用しようとするのは、この104Cではなくて、Jであります。従いましてこれはオールウェザー性能を十分持ちます。従いましてこの点について、これは向こうでの二年間という期間は、われわれはどうしても実験するわけにはいきません。それで限られた時間で出した結論でありますが、私は間違いのない結論だと思っております。
  176. 辻政信

    ○辻政信君 そのことは知っております。それでは承りますが、104J、それはドイツの改良型と似ておりますか。
  177. 源田実

    説明員(源田実君) 改良型と似ております。レーダーの一部が違います。
  178. 辻政信

    ○辻政信君 それではここにドイツの航空技術雑誌お示しします。これもきわめて権威のあるものです。ここの写真のところには、あなたのおっしゃった104Jのことが書いてある。そうしてその註釈にいわく。この図は、カナダでロッキードF104スター・ファイターを、カナダのライセンスで作った改良された104Jである。これは元来、ドイツ国防省が現役及び偵察戦闘機として注文した中間試作機━━カッコ付きで遊び半分と書いてある━━遊び半分に中間試作機でやったやつを、カナダのライセンスでアメリカが作ったのだ、こう書いてある。ドイツは104Jをまだ正式としては決定していない。いかがでありますか。
  179. 源田実

    説明員(源田実君) その資料はわれわれの手元にございません。われわれの得ております資料では、ドイツは現在ロッキード社において104Dを生産中であります。104Jこれは早晩、来年生産を開始します。現在はその複坐機の方を生産中でありまして、すでに一号機ぐらいは受け取っていると思うのです。また、これは複坐でありまして、またその生産を開始しますが、Jは、これはドイツがロッキードに注文したものと承知しております。
  180. 辻政信

    ○辻政信君 それではあなたは、104Cの改造型というものが、いわゆる安全性を高めるために、上方脱出装置というのがありますが、下方のやつを上方にする、それはまだできておらないと思いますが、あなたはその改造された上方脱出装置に変更されたものにお乗りになりましたか。その方にお乗りになりましたか。
  181. 源田実

    説明員(源田実君) 私が向こうにおりますときは、104シリーズはその大部分が改造中でありました。それで、まだ私は改造されたのには乗っておりません。しかし、私が帰ってから、改造されたものが現在飛行中という情報を得ております。
  182. 辻政信

    ○辻政信君 その通りです。あなたは乗っておられない。九月号のエビエーション・ウィークにはこう書いてある。この改造をやったところが、地上実験をすると危険を感じて飛行を禁止していると書いてある、九月号に。飛んでおらない。いわゆる上部脱出装置の改造ができておらない。地上実験の結果、危険で飛行を禁止しているのです。御存じですか。
  183. 源田実

    説明員(源田実君) これはその情報は承知しておりません。しかし、飛行機がああいう改造を加えた場合には、初めから改造がすべて満点にいくとは限りません、若干の故障があって、その故障を逐次直しながらだんだん完備のものにいくのが普通であります。従いまして、もしこれが飛行中止になっておったとしましても、これはそんなに長くなるものではなくて、しばらくすれば解除されるものと考えます。
  184. 辻政信

    ○辻政信君 先ほどあなたは、ドイツは104D型をロッキード社に作らしているとおっしゃったが、ドイツに対する資料は防衛庁はほんとうに責任をもって調査はおやりになりましたか。やられたならば、どういう方法で、どこから資料を取られたか、それを承りたい。
  185. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) ドイツ大使館を通じて資料は取っております。
  186. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃ西ドイツ、カナダで正式決定した、少なくとも西ドイツにおいては最終決定をしている、こう見ていいのですか、重大な問題ですよ、これは。
  187. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 最終決定はしていると私ども考えております。ただ、最終決定という問題ですが、日本でもこれは最終決定するのには、本契約は装備局長がこの間お答えしましたように、来年の秋ころまでかかるわけでございます。しかし、私どもも最終決定とはいいながら、まだ予算も出しておりませんし、そういう手続が残っております。そういう手続の問題については、まだ調査未了でありますが私は決定している、それでこの間のお話のように九十六機だけであとはやめるという事実はない、こういうことは承知しております。
  188. 辻政信

    ○辻政信君 このロッキード問答に書いてあるのですね、はっきりこれは、米国の防空空軍としてはコンベア106、それを生産するほかは、生産は継続しないということのようであるが、しかし、F104Cは西独においてすでに生産を開始しと書いてありますね、間違いありませんか。だれでもいい。
  189. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 官房長から……。
  190. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) 私の方の、先ほど大臣からお話のありました党に資料としてお渡ししたものの中では、これは西独が九十六機輸入し、二百機の国産を予定しというふうに書いてあります。
  191. 辻政信

    ○辻政信君 生産を始めているかどうかという問題はここに書いてある。(「その資料をこちらに出してもらいたいな」と呼ぶ者あり)
  192. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) ドイツは御承知のように初め九十六機を買う、買ってから、そのあとで生産に着手するということでありまするから、ドイツ自体で今生産に着手しているとは私ども考えておりません。
  193. 辻政信

    ○辻政信君 このロッキード問題という、これが出ているとすればいただきたいが、これにははっきりと西独においてはすでに生産を開始していると書いてある、それを聞いている。どういう根拠でどういう調査ですでに開始したとおっしゃるかというのだ。
  194. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) どうもあんまりそう言われても困るのです。これは西独が九十六機輸入し、二百機国産を予定し、カナダにおいて約二百機調達を予定しているF104Cの改良型とほぼ同一のものである、こういうふうに発表しております。
  195. 辻政信

    ○辻政信君 各新聞に出たのは間違いですな。西独は九十六機輸入、二百機国産としてすでに生産を開始しと書いてあるのは間違いですね。
  196. 門叶宗雄

    政府委員(門叶宗雄君) どの点を御指摘になったか、(「新聞に出ている」と呼ぶ者あり)この問題には二、三ございますが、九十六機の出ておりますところには二百機の国産を予定し云々というふうに現われております。なおその前にも一カ所西独の点をあげてございます。しかしこれは第三問の点ですが、しかしF104Cは西独及びカナダにおいて新たに生産が開始されることになっているので云々というふうに私の方の資料にはなっております。
  197. 辻政信

    ○辻政信君 大体防衛庁のこの防空戦闘機に対する研究がアメリカに偏しておるのですね。アメリカはこの前の戦争では防空については戦争の体験はない。本国が爆撃されておらない。世界で一番防空の苦心をしたのがイギリスでありドイツでありフランスなんです。その戦略的な条件は日本とよく似ています。いわゆる国境を接しておるか、少なくとも防空の範囲が非常に狭まい。日本に非常に似ているのはアメリカじゃない。イギリスでありドイツであり、フランスだ。そうなってくると、この防空体制をアメリカのサルまねすることが、はたして日本に適するかどうか、こういう観点から見ると、アメリカの戦闘機というものはおくれておる。少くとも日本には適していない、地理的条件に適していない。戦略条件がむしろ適するのは、イギリスの防空、フランスの防空軍です。そういう方面も広く御調査をなさったか。なさったとすれば、その概要を承りたい。
  198. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 詳しくはまたそれぞれの専門の方から申し上げたいと思います。お説の通りに、私どもも考えております。ですからアメリカで防空空軍に使っておるから、コンベアがそのまま日本にいいというふうに考えたわけじゃございません。向こうで戦術空軍には使っていますが、しかしこれは日本の地理的条件や今言った防空範囲が狭いというようなドイツ等に非常に似ておる状況であります。そういうことを考えまして、今度の選定にも当たったわけでございます。
  199. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃ一つだけ承りましょう。フランスの現用戦闘機は何で、どういう性能を持っているか、簡単にだれでもいい。だれも答えられないのですか。だれでも早く。時間だ時間だ。常識ですよ。
  200. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 相談している間にちょっと防衛長官に。これは、政府委員心配して、見るなというから見ないでおるのだけれども、「米防空空軍からのF104A削減問題について」これは今、辻委員質問の中でも引用されておるのだが、これは一つ委員に配って下さい、僕ら見ないから、これは新聞社が発表したものです。これだけこの問題を当委員会で取り上げているのに、委員に見せることなんかできないというのは、そういうことはあり得ないと思う。委員長から一つ委員に配るように言って下さい。各新聞社に発表して、全国民に新聞を通じて報じている記事を、僕らに資料として出せぬというのはおかしいと思うのですよ。
  201. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) どうも独断が多いと思うのですよ、矢嶋さんは。出せないと言ったことはないです。出せないということを言ったわけじゃない。私の方は、党の方から出してくれというから党へ出したんです。その際に新聞発表をしただけで、出せないということを言ったわけじゃないですよ。一人でいつもあなたはきめてしまって(笑声)それはちょっとまづいと思う。
  202. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 出して下さいますね。
  203. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 出しますよ。
  204. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  205. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を始めて。
  206. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) フランスの戦闘機でございますが、いろいろ種類はありますが、今私の記憶にありますのでは、やはりミラージュ型が主力であるように記憶いたしております。
  207. 辻政信

    ○辻政信君 性能。
  208. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 性能につきましてはミラージュは一・数マッハくらいでございます。非常に小型の戦闘機であるように思います。
  209. 辻政信

    ○辻政信君 これはだめですよ、そういう研究では。いいですか、ミラージュの3A型というのがある。これは現在フランス空軍の主体戦闘機で、一千機完成されております。その性能は二マッハ、この飛行機の特に重要な点は滑走距離が六百メートル、二千フィートです。あなた方が今とろうとするロッキードの四分の一の短距離滑走で上昇できる。しかも、その性能はロッキードF104と大差ない。軽量小型。コンクリートの舗装がなくても、鉄板を敷いただけで離着陸が可能だというやつが、一千機常備されている。そういうことを調査せずにどうして一体アメリカのやつばかりをのぞいて歩いてくるのか。日本には、むしろフランスの戦闘機の方が、地形的にも戦術的にも適当しておる。調査したと言いながら、そんなことを答えられないというようなずさんな調査では、これは世界全体の軍事情勢をもう少しあなた方が真剣に検討せんと、ロッキードがいいという結論は出ませんよ。いかがですか。
  210. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) ここに資料がないから、防衛局長の十分な御説明ができなかったと思います。ミラージュにつきましては、私ども聞いておるのには、ドイツにおきましても、実はそれを採用しようかということで相当議論が出ております。しかし、やはりアメリカに行って調査してF104Cということで決定しております。そういう事情は、私も聞いております。それから一つは、やはり私どもフランスのいいものを採用しても悪いことはないのでありますが、これにつきましては費用分担ということがあります。再々話がありますように、いいものがあって、しかもできるだけやはり日本の国民の費用負担を少なくしたいとい観点からいたしましてやはり分担のあるもので、しかもよければ、それを採用するという方針の方が適当だろう、こういうふうに考えております。
  211. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃ言うが、このミラージュ3A型というのは、一機幾らしますか。アメリカの方が向こうの援助を受けられるから安上がりだというような御説明ですが、そうじゃないですよ。ミラージュ一機幾らですか。装備局長。
  212. 中野文門

    委員長中野文門君) 装備局長は先ほど退場しました。
  213. 辻政信

    ○辻政信君 装備局長おりませんか。それじゃ防衛局長。
  214. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) ただいま手元に資料を持っておりませんので…。
  215. 辻政信

    ○辻政信君 それじゃもう一つこの誤りを突きましょう。それは、皆さんはロッキードF104Cがコンベアよりもいい。特にスピードと上昇力が強い、こうおっしゃっておる。ところがまことに不思議なことは、これもアメリカの権威ある雑誌、先ほどのエビエーション・ウィークの十一月二十三日号にこういうことが載っておる。「コンベアF106が、現在ソ連の手にある世界公式スピード記録を奪い返すべく正式に試みるから各位御注目を願いたい。F106は加州エドワード基地の米空パイロットにより、すでに水平飛行における毎時千五百三十マイルを記録しており」、これはロッキードが千四百マイルで、それよりもずっと百三十マイル上です。「これは現在ソ連の三角翼機の持つ毎時千四百八十四マイルの記録をさらに三%上回ったものである。」、ソ連の最高記録を上回っておる。また「F106は、さらにフランスのダッソー社ミラージュ3Aが持つ百キロメートルの公式記録及び米国の大陸横断記録をも破ろうとするものである」。あなた方はコンベアはF104よりも悪い、スピードと上昇力において劣っていると、こうおっしゃっておる。とんでもないことがアメリカの雑誌に載っておるのです。もちろん、これはアメリカの雑誌ですから百パーセント正確とは言えぬが、少なくともこの雑誌はインチキ雑誌じゃない。権威のある資料ですよ。これについて御調査なさいましたか。
  216. 源田実

    説明員(源田実君) ただいまのF106が千五百三十マイルで、これは私がおるときに、たぶん米空軍パイロットじゃない、あるいは雑誌の間違いであろうと思います。これはコンベアのミスター・マイヤーというテストパイロットがやった記録であります。しかし、この記録は注意を要します点が二つあります。一つは、こういう記録を立てる場合は、特殊な装置をつけます。そうしてエンジンの入口の温度が相当上がりますから、そこを自分の手で調整するという特殊な装置をつけております。こういうことをその場合は特別にやっております。これは、きりもみなんかの実験をやる場合は、戦闘状態と変わった状態において実験をやります。また、これはレコードとしてそのときの世界最高記録である、これは事実である。しかし、そういうような特殊のことをやれば、104も当然これはその速力を出し得るものと考えます。また、われわれは戦闘行動におけるその速度を比較しなければならぬので、一番いい高度だけ短時間それが出ても大した意味がないとこう考えます。ところが、この104と106の速力の、これは現在の米空軍の現用機では、マッハ二でとめてあります。それ以上はとめてあります。従ってマッハ二を維持し得る高度が幾らから幾らまでであるかということは、戦闘上重要な問題であります。従いまして104が三万五千から六万をこえたところまでマッハ二が維持できます。しかし106は三万五千から大体五万、正確に覚えておりませんが五万五千付近までであります。従いましてこの速力は最高速度を維持し得る高度に同じく差がございます。従いまして、これにあります速力が優秀という意味は、単に一番早く出るところのみならず、その他の戦闘行動全体を通じての速度で考えていただきたいと思います。
  217. 辻政信

    ○辻政信君 時間がないので、まだこれは追及したいのですが、ほかの重要な問題に移ります。この戦闘機問題の議論で、防衛庁の最大の欠点はどこにあるか、これは機体の選定のみに夢中になっておる。滑走距離が軽視されておるという点、いいですか、これほど重大な問題はない。かりに104Cが八千フィートが源田さんの希望されておる一万フィートがいいとしたら、日本の国内で使えるのは四つの飛行場しかない。この限られた滑走路は、有事の際直ちにたたかれる。たたかれた滑走路は、これは木から落ちたサルと同様に飛行機を何百機持っておっても役に立たない、これが特徴なんです。われわれは苦い経験を持っている。そこで滑走距離の小さいもの、そうして至るところに秘密に作れる飛行場というものは、劣性軍にとっては大事なんです。アメリカのように、いわゆる優勢な戦力を持っている国は別問題です。日本のように弱小な兵力で、そうして地形を利用しながらやるのは、滑走路の短いものでどこでも行けるというものでなければならない。ところが、ミラージュ3Aはたった六百メートル、二千フィートです。芝生の上に鉄板を敷て離着陸も可能だ。これでは至るところに飛行場ができる。そこで一番大事な点を忘れている。いわゆる滑走路が長いということは、コンクリートに金がかかるというようなけちな問題ではない。われわれがこの前の戦争で最大の苦汁をなめたのは、滑走路を爆撃されて飛行機を持っていながら全くでくの坊になった。それをあなた方が検討せずに、ただ飛行機の性能とか、スピードとか、そういうことばかり検討して、滑走路というものがより以上重要であるということについて軽視されている。だから、私はこの純然たる専門上の、戦略上の問題から突いておる。104Cをやることは断じて適当じゃない。値段はあとから言うがはるかに安い、ミラージュ3A型が安いわけですが、いかがですか、源田さん、あなたも専門家だ。
  218. 源田実

    説明員(源田実君) 滑走路が有事の際に攻撃を受けやすくて、これが参れば飛行機は使えなくなるということは、われわれも十分体験しております。ただこの場合、われわれは104につきましても、これを将来短い滑走路、ないしはほとんど走らないでどうして飛べるかというような問題については、現在研究中であります。そうして全然見込みのないことではございません。またミラージュが非常に短い滑走路ということでございますが、やはりこの二千フィートという滑走路はこの104で約千フィート余り着陸、滑走距離が違います。そうしますと、これがほとんど走らないで百フィートとか、二百フィートとかというならば、これは大きな差が出てきますが、二千フィート走るとなりますと、これは滑走路としては、そのまん中に爆弾をくらった場合には、八千フィートの滑走路はこの両者とも使えないようになります。
  219. 辻政信

    ○辻政信君 そういう、あなたは二千フィートと八千フィートを比べて、二千フィートなら同じことじゃないか、という、これは違うのですよ。二千フィートの滑走路なら十も二十もできているのです。日本は八千フィートというものは四つしかない。そうすると目標がそこに集中される。分散できない、配置が。そこを私は言ってる。そこで特にあなたが最後におっしゃったように、現在各国とも戦闘機の滑走路をゼロにしよう、垂直戦闘機というものを中心に非常な努力が注がれておる。というのは、長大な滑走路はいかに有害であるか、いかに保持が困難であるかということは、過去の苦い経験から出た世界の趨勢だ。それを考えたら、八千フィートや一万フィートも要るようなロッキードは、将来の情勢から言っても、日本の置かれた地理的環境から見ても断じてとるべきではない。それを私は確信する。時間がないから次の問題に移ります。  最後のきめ手は、私はこの前に非常にこの議論が水掛け論になっておりますから、一つの証拠を示す意味で、私はドイツのこの問題にきわめて深い関係を持っておる有名人に友人を介して電報を打った。私費で返信料つきの電報です。その返事がけさ参りました。この人の名前は今出せばいいんですが、どうか名前だけは当分出してくれるなということで、出したら皆さんがああ、そうかというような有名人です。この席ではやめておきますが、それに六つの質問を出した。その翻訳ができ上っておりますから御参考に申し上げるが、よほど慎重にこれは御研究にならぬといかん問題です。どういうことかというと、第一の質問は、ドイツが104Cを採用されたが何に使うのか、主任務は何だ。この質問に対しての答えは、いきなり主任務は戦場爆撃、防空じゃない。防空はあくまでも副だ。こうきておる。第二の質問は、104Cを何機お買いになったか。今門叶さんは、それは九十六機買ったというが、私もそう思っておったが、ここにきておる返事は四十機買って、104Cと104D練習機を含めて約四十機を買っておる。こういうことです。それから第三の質問は、二百機国産の計画は立ったか、これに対して返答は、二百機国産は予定になっておる。だがドイツは104Cを改造し試験してから最終的にきめる。ロッキード社に上方脱出の改造をやらしているが、そのでき上るのが来年の六月である。こういう返事がきております。第四の質問、それはロッキードと交渉なさって一番困難を感じた点は何か、ドイツとして。これに対する返事は、ドイツの希望する試作機がまだできていない点にある。あなた方は、西ドイツは生産を開始したなんてとんでもないうそをこの国民のPRで使っておるが、冗談じゃない。ロッキード社に希望を出しておるが、希望通りの試作ができておらない。来年の六月にできる。その試験の結果が出なければ工場の設備もできない、工作機械の目鼻が立たない。いわんや、二百機国産の計画はあるけれども最終決定はできない、とこう書いてある。これは重大ですよ。次に第五の質問、防壁戦闘機としてロッキード以外に優秀機はないか。そこに一案として提供されたのがフランスのミラージュ3A型、これは二マッハ。飛ぶ性能は104Cとほとんど同じ。滑走距離は六百メートル、二千フィート。値段は八十六万ドル、三億円。約半額です。現在フランスは一千機を完成して、これがフランスの第一線機として活躍をしておる、試験済みだ。こういう回答がきました。最後に、アメリカが104Aを防空より除いたことのニュースの反響はどうだと聞いたら、第一の反響は非常に悪い、きわめて悪い。ただ、詳細な資料はあとで航空便でお送りしようと私費で返信料をつけてやった、土曜日に。けさ着いておる。あなたの方は外交関係を結んで、大使館を通じてやる。電報を打つのも国民の税金でやり、人をやろうと思っても税金でやれる。ところが、私費を投じてやったこの結論がかくのごとく出ているにかかわらず、ミラージュという名前さえ知らない。そういう状態で一千億の買い物をするのですか、一体。重大な問題が出てきた。証拠を突きつけている。だから私はあなたに言うのは、今急いできめてはいけませんよ、ドイツでさえきめておらない。日本より先に買ったドイツがまだ試作機ができておらないから試験が終わっておらない。来年の六月に出るその結果を見て、二百機やるかやらないかということを今保留している。これは赤城さん、私の言うのは抽象論でないのですから、どうかあなたのような色のつかないりっぱな政治家は、情勢が変わり、前提が違い、調査に欠陥があったら、すなおにおわびをして、認めて、そうしてこのロッキード問題というものに慎重をお期しになるように、それはあなたの性格ならできると思う。もし、私の集めた資料に間違いがあるなら訂正します。今までは間違いないと信じております。いかがですか。
  220. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 資料に間違いがあるという断言はできませんけれども、資料の判断につきましては、判断の違うところがあります。たとえば言葉じりをとらえてはいけませんが、ミラージュを知らなかったじゃないかといいますけれども、ドイツにおいてミラージュを採用するという点については、ずいぶん検討されたことを私たちも聞いております。そこで、生産に着手しているのじゃないということは私ども承知しておるわけであります。というのは、ドイツでは初めて買った。そうして、それから国内生産に移そうということでありまするから、ことしのあれは七月か八月ごろでしょうから、一応F104Cを採用するということは……。ですから、それからまだ生産には着手していない。今は買っている程度だというようなことも今のお話しの通りだと思います。これはやはり生産に着手するまでには、ある程度期間を要しますが、私はドイツとしては、やはりミラージュについても相当検討し、その検討の結果、ロッキードの104Cということにきめたのですから、私はその方針を進めていくとこう考えております。  もう一つは、前提が、ドイツできめたから日本でこれを採用したという前提ではないことは、私はここでも再々申し上げておるわけでございます。ドイツにおきましてきめたということは、非常に有力な参考にはなりますが、こちらの調査団が行きまして、それで、調査団の報告を尊重して決定したということなんでございます。それから価格が八十六万ドルで半分じゃないかといいますけれども、(辻政信君「全装備」と述ぶ)全装備で半分ではありません。ロッキードにいたしましても、今交渉中の価格は(辻政信君「安いことは事実でしょう。三億……」と述ぶ)安いことは事実でございます。
  221. 辻政信

    ○辻政信君 それで時間が惜しいから……。それは赤城さん、ミラージュにドイツが最初魅力を持っておって、そうして、それを104に変えた理由がわかりますか。これはドゴールの関係ですよ。政治的な。技術的な問題じゃない。ドゴールの政治的関係で、フランスとちょっとまずくなりまして、アメリカから買うといって買ったが、さて買ってみるとミラージュの方がはるかによいというので、非常な悩みを抱いておる。これがドイツ空軍のほんとうの実情です。ほんとうに悩んでおりますよ。困り抜いている。それから私は社会党の諸君と違って、F104が要らないというなら、いきなりこれは無用論であなた方をたたこうというのではない。あなたの方から除名されても、やっぱり保守党はかわいい。(「よけいなこと言うな」と呼ぶ者あり、笑声)日本全体を愛している。そういう意味で、あげ足取りな意見はやめて、建設的な意見一つ言うから、よく聞いておいてもらいたい。104Cは優秀ではあるが、まだ日本向けの試作機が、改良機ができておらない。これは事実でしょう、源田さん。試験を終わっておらないのです。ドイツもその二つの点を疑問に思って予定はしておるが、決定をし、生産を開始しておらない。いいですね、それはあなたの方はもう生産を開始しようとして来年度の予算に織り込もうとしているのです。ドイツは日本よりも半年前に決定した。しかも、ドイツが決定したということが、グラマン白紙還元の大きな理由であるということの岸総理大臣のあれは速記録に載っている。カナダもやったから、ドイツもやったから変えるといっているのが唯一の理由ではないか。少なくとも白紙還元の有力な理由になっている。そのドイツが日本より早くやって慎重を期しておるということをお忘れにならぬように。源田君が行って、日本の希望するものもでき上がって、八十時間乗ってきて、太鼓判押すなら私は文句を言わない。それができておらない、危険で飛行まで禁止しておるまだ現段階において……。それが一点。その次は国産ということを考えてもらいたい。F86の国産をして、それが今世界で後悔しているでしょう。あれを作っているのは日本だけでしょう。古くなってそうしてまだ七十機これから作ろうというのでしょう。あの二流、三流機を、これは工業のおくれた国がなまじっかこういうものの国産をしたら、いつもこうなるのですよ。ソ連とかアメリカのように非常に工業のすぐれた国は、一つの型ができたらすぐこれはできるのです。日本は型を作ること自体からやっていかなければならぬ、五年かかる、工業力のおくれたものが国産をするということは国家全体から見てきわめて不経済です。とり返しのつかぬことになる。だからこういう国がやる方法一つあるのです。要るだけ買ってくればいい、でき上がったものを訓練をしておけばよろしい。だからこれを買うなとは言わぬ、買うなとは言わぬが、国産だけはお控えなさい。いわんや閣議決定をしようとか、国防会議をあしたやろうとか、とんでもないこれは軽率です。そうしてF86、これがもうすでに手に入っている、三百機近く持っている。今から作ろうとしているこの飛行機こそ、これを利用して徹底的にパイロットを養成しなさい。パイロットがこれでほんとうに手に入っておれば、源田さんがやったように二、三カ月で新しい機種を乗りこなし得るのです。基本的な教育は旧式兵器でよろしい。そうして状況の悪いときにはパイロットさえ持っておればアメリカは喜んで持って来る。ただ持って来ますよ。(笑声)そういうときには助けてほしい、それが共同防衛です。アメリカがもう捨てたものを今から五年先を目標に作ろうということ自体に間違いがある。本気になって考えなさい。これはだから私の具体案は、さしあたり要るなら要るでよろしいから、104C、104D━━練習機、これを合わせて二十機ほど買ってくる、これに百億。そうしてミラージュであるとか、その他の世界の一流戦闘機を数機買ってくる、これは百五十億。そうして研究訓練しておけばよろしい。その次にお願いしたいのは、ヘリコプターですよ、現在陸海空自衛隊で使っているヘリコプターの総数が七十二機、こんな貧弱なことでは風水害その他の対策ができますか。これこそ国民が作ってほしいのです。だから戦闘機を減らして、このヘリコプターこそ百機でも二百機でも予算の許す限りお買いなさい。これは国民は文句を言いません。第三点は、残った予算で将来のGMの研究開発、これをやる。私があなただったら予算の組みかえをやる、いわゆる非戦闘機を百五十億買ってくる、そうして研究する。ヘリコプターに百億充てる、GMの開発に百億、それで三百五十億、政府原案の三分の一で世界の情勢におくれないように訓練もまたできる。こういうことをどうか虚心たんかいに、一岸内閣の面子にとらわれず、一防衛庁の役人の責任問題にとらわれないで、われわれがいなくなった五年先の日本を考えて下さい。お互いに五年たったら死ぬのが半分以上です。(笑声)そのときに苦労するのは国民なんだ、一千億出したものが使えないということになったら。いいですか、今この大事なときに赤城さんは何を苦しんで、国防会議を早く開こうとか、三十五年度の予算に入れようとかおっしゃいますが、こういうことをやらずに、論議をする時間がないが、あわててきめると、そうすれば国民は要らぬ誤解をしますよ。新三菱からもらったのじゃないか、ロッキードからもらったのじゃないかと、あなた個人誤解されないが、政府自体が誤解を受ける、政治信用を失う、これが大きいのです。もっと明瞭に調査すべきものは調査し、そうして段階を経ておやりになることを結論として、御答弁は求めないのですが、結論としてよく考えて下さい。時間の関係上きょうの資問はこれで打ち切ります。
  222. 中野文門

    委員長中野文門君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止〕
  223. 中野文門

    委員長中野文門君) 速記を起こして。
  224. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 先刻要望しました資料を出していただくのと、それから一つ委員長理事打合会で十分協議をいただきたい提案があるのです。それはただいまも辻委員からドイツの情勢等、辻委員がキャッチした情報によってお話があったわけですが、できるだけ早い機会に参考人の意見聴取を本委員会でぜひやっていただきたい。たとえば前佐薙空幕長の意見と源田空幕長の意見が非常に違いますので、たとえば前佐薙空幕長とか、あるいは千早氏とか適当な人があられると思いますが、あまり人数が多いというと、委員会としても大へんでしょうが、三、四人程度に人物をしぼって、できるだけ早い機会に本委員会で参考人の意見聴取をする機会をぜひ持っていただきたい。その具体的な点については、委員長理事打合会で御協議願いたい。これをお願い申し上げたい。
  225. 中野文門

    委員長中野文門君) ただいまの矢嶋君の要求の資料お差しつかえはございませんか。
  226. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) この間、党の方で出した資料ですね。
  227. 中野文門

    委員長中野文門君) ではどうぞ一つお願いします。  本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後四時五十七分散会    —————・—————