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1959-12-01 第33回国会 参議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月一日(火曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中野 文門君    理事            増原 恵吉君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            横川 正市君    委員            伊能繁次郎君            大谷 瑩潤君            木村篤太郎君            小柳 牧衞君            下村  定君            松村 秀逸君            矢嶋 三義君            山本伊三郎君            辻  政信君            向井 長年君   国務大臣    内閣総理大臣  岸  信介君    国 務 大 臣 赤城 宗徳君   政府委員    法制局長官   林  修三君    国防会議事務局    長       廣岡 謙二君    防衛政務次官  小幡 治和君    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 加藤 陽三君    防衛庁装備局長 塚本 敏夫君    外務省アメリカ    局長      森  治樹君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査の件  (航空自衛隊次期主力戦闘機の機  種選定に関する件)   —————————————
  2. 中野文門

    委員長中野文門君) これより内閣委員会を開会いたします。  前回に引き続き、航空自衛隊次期主力戦闘機機種選定に関する件を議題として調査を進めます。  本日は国防会議議長として岸内閣総理大臣のほか、赤城防衛庁長官及び関係政府委員が出席されております。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 三十分間に制限せられておりますので、お答えを簡単にお願いいたします。  世に不可思議なることは数々あれど、宙返り、空中サーカス、綱渡りと数々を演じた次期主力戦闘機機種決定経過ほど不思議なものはない、かように国民は思っております。決定されたロッキードF104ーJが、ほんとうに日本にとって適当な飛行機なのだろうか、また有効に役立つものであろうか。それにしても二百機生産されるそうだが、一体一機の価格幾らになるのだろうか、国民負担幾ら程度になるのだろうか、さらには冷戦緩和全面軍縮を指向する今の世界情勢下に、また幾何級数的に進歩しつつある軍事科学現状下に、根本的な問題としてそもそもロッキード104—Jのような約千億円もするような買いものを今することが適当なのだろうか。そういう考えは、一般国民はもちろんのこと、院内におられる国会議員の多数の方が持っております。与党の議員さんの中にも、相当こういう考えを持っておられます。そのほか防衛庁の内部の多数の公務員諸君が、疑念を持っております。またかつて国防会議の一員であったお方や、はなはだしくは元防衛庁長官であられたお方の中にも、このことはまさに世にも解しがたき不思議なことだと申されておる方がおられるのであります。強大無類の力が存在して、かくなったのではないかと思っている人は実に多いのでありますが、総理であり、国防会議議長であり、さらには、自衛隊の最高の指揮監督権保持者としての岸さんの解明を求めます。
  4. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 次期戦闘機の問題につきましては、すでに第一次の国防計画の一部として、かねて検討をいたして参った問題であります。昨年の四月国防会議におきまして、当時いろいろなデータに基づく調査に基づきまして、一応グラマン機内定をし、さらにいろいろ不確実な要素等につきまして、十分一つ検討して、最後決定を出すという意味において、一応内定をしたことは、御承知通りであります。当時は御承知のように、グラマン機におきましても、またロッキード104Cというようなものは未開発の状態でありまして、いろいろな設計であるとか、あるいはすでに試験機の時代で、十分なテストもまだ行ない得ない状況であったのでありますが、その後御承知のように、ロッキードの104Cが開発をされ、また諸外国における実際の採用、またこれに関するいろいろなデータ等につきましても、すでにある程度の確定的なものが出ましたので、本年八月にこれを一応内定を取り消しまして、白紙にして、さらに日本の権威ある調査団を送って、現実操縦もし、その他あらゆる点から検討して、その調査団調査の結果に基づいて、最後決定をするという考えのもとに、これを白紙還元をいたしたのであります。その後、源田調査団が参りまして、あらゆる点から調査検討をし、操縦もいたしまして、はっきりしたデータが出ましたので、問題になるところの数種の機種について、最も最良と認めるところのロッキード決定するということを、国防会議でいたしたわけでございます。いろいろ矢嶋委員の御議論は、さらに国際情勢であるとか、あるいは軍事科学発達であるとかいうふうな点に触れての御批判もございましたが、私どもは現在の国際情勢からいっても、やはり従来国防会議がきめておるところの、国力に応じて漸増をするというこの計画を遂行することが適当であると思うし、また、有人機の問題もなお必要であるという見地から、かように決定をいたした次第であります。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 機種決定等については、国防会議に出される資料は、防衛庁内局から出されるわけでありますが、防衛庁側意向を尊重されますか、どうですか。
  6. 岸信介

    国務大臣岸信介君) これはもちろん非常に専門的なものでございまして、技術的な点もございますし、防衛庁意見というものは、これは尊重すべきものであると考えます。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 グラマン内定白紙還元したのは、あなたは八月と言われたがそうではございません。岸内閣組閣完了のごたごたのまっ最中であった六月十五日でございます。このグラマン内定白紙還元するにあたりましては、専門である防衛庁側からそういう要望が、国防会議事務局に御要請があったのでございましょうか、なかったのでございましょうか。
  8. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 時日を私先ほど八月と申しましたのは、私の言い違いでございまして、六月でございます。この問題につきましては、御承知通り国会におきましても、いろいろ機種決定の問題について、議論衆参両院でいろいろ行なわれました……。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 白紙還元要請があったかなかったか。
  10. 岸信介

    国務大臣岸信介君) その点につきましては、要請というものはなかったと思います。しかし、各種のなにから見て、白紙還元することが適当であるというのが、当時の国防会議の問題でございます。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこが納得できません。専門である防衛庁側意向を尊重するということ、内定したものを、あれを白紙還元する以上は、専門である防衛庁側から、そういう要請があって行なわれるベきでしょう。そういう要請がなかったということは、事実はっきりしているわけです。それであなたは当時政治的配慮によって、これを白紙還元するということを主張された。当時の防衛庁長官伊能長官は、それに抵抗された。その伊能長官の態度を防衛庁内局は全面的に支持をした。こういう情勢下にあって白紙還元されたのでありますが、もう一回その理由お答え願いたい。防衛庁専門的意見を尊重するという言葉と矛盾をいたしますので、重ねてお伺いいたします。
  12. 岸信介

    国務大臣岸信介君) どの機種にするかということにつきましては、私は防衛庁及び防衛庁内におけるところの意見を、国防会議においても従来尊重して参ったのであります。白紙還元するということは、どのものにするいうことではございませんので、あれだけの論議があり、あれだけの議論がありまして、さらに内定した当時と違ったいろいろなデータも確実にわかるような状況になって、しかも現に操縦して、そうして性能やその他のものを調査するということが可能になっているにかかわらず、そういうことが行なわれておらない状況において、内定をそのまま決定にするということは、私は適当でないと考えまして、国防会議において、いろいろ国防会議議員意見も聞きまして、そして白紙還元して、そしてあらゆる問題になっている機種現実にあたって専門的に調査して、その調査に基づいて決定することが、最も適当であるという考えのもとに、内定白紙還元いたした次第でございます。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点理解できない点があります。一つ問題点が残りました。  しからば次に移ります。あなたの言葉をもってするならば、すっきりした詳しいデータがそろったので云々ということでありますが、いずれ、これは源田調査団とも対決をするつもりでありますけれども、何がゆえに最近は秘密主義をとるようになったか。当時は価格についても、性能についても、国会要請によって、資料を出された。ところが、このたびは決定までされて、価格についても、あるいは性能についても、秘密秘密だといって出されない。国防会議メモを提出するようにと言ったところが、国防会議事務局長は、議長である総理が提出してはならぬというから提出できないと言う。何がゆえにそういう秘密主義をとるか。私は米軍に問い合わせたのですが、米軍クリアランスをとる。そうして大体三段階になっている。だからあなたとか、源田さんはどういうクリアランス米軍からとっているか。もし源田さんが、こういう程度秘密は、源田は漏らすなという米軍からクリアランスをもらっておったならば、そのことを源田氏は発言することはできないということになっているわけです。だから源田氏が国防会議に発言したことは、それは皆さんが聞いておることだし、また矢嶋国会においても聞けることなんです。何がゆえにその秘密主義に変わったのか、それを反駁するならば、源田団長並びに岸総理は、アメリカ軍から何級のクリアランスを受け取っているかお答え願いたい。
  14. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 国防会議そのもの会議性質上から申しまして、これは私は会議は一切外部に公開しておりませんし、また、国防会議性質上、秘密にすべきものであると考えております。従って議事録もとっておりませんし、またメモ等もとっておりましても、これを外に出すべきものではないと考えております。ただ、飛行機性能その他のものにつきまして、これは必要なものは、また秘密でないものはおそらく出しておると考えておりますが、秘密にわたるところのものは私は出しておらないということであって、決して急に秘密主義に変わったというような考え方はございません。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 しからば伺いますが、内定当時は、価格がきまらないから内定にしておいて、そうして見積もり書を出さして検討して、しかる後に決定するのだと、こういうことを国会答弁しました。このたびは二百機の生産も最終決定し、生産会社まで決定しながら、なおかつ価格をきめなかったということはどういうことなのか、総理としては、二百機の生産について一体幾らと大づかみにしてこれを決定されたのかお答え願います。
  16. 岸信介

    国務大臣岸信介君) もちろん、価格の問題は、最後的の決定は、なお交渉を要する点がございますから、国防会議においてそれを決定はいたしておりませんけれども、しかしながら、国防会議におきまして検討をいたしたことは、これは当然でございます。従って、大蔵大臣国防会議議員でございますし、これが二百機という数にいたしますことにつきましても、もちろん財政上の見地からもございますし、従って大体の日本の将来の財政計画見通しをつけてこれが決定された。内定のときに価格がきまらないからだけの理由で実は内定したというような簡単なことではなかったと思うのであります。先ほど来申しているように、まだそのときには現実に十分な試験等が行われておらないものでありますから、そういう不確実なデータを確実にする、その中には価格も含まっておりましたけれども価格だけの点で内定にしたというような事情ではなかったのであります。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 検討されたとするならば、総理並びに議長としては、大よそ一機何万ドルとおつかみになっておられますか。
  18. 岸信介

    国務大臣岸信介君) その点につきましては、防衛庁長官委員会においても答弁をしておるということを聞いておりますが、その程度に私どもも大体の標準を、腹づもりをしておるのであります。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の伺っているのは、二百機に決定された場合に、一機何万ドル程度だと大まかに議長として含んで決断されたのか、それを何っているわけです。
  20. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今お答え申し上げましたように、防衛庁長官がかねてお答えをしておるように私も考えておったのであります。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 無責任ですよ、岸さん。あなた、これだけの買物をするのに、防衛庁長官にちょっと聞いて、その程度しか答えができないということに、そこにまた大きな問題点、疑惑が起こって参ります。  次、伺いますがね。IRBMICBM出現月ロケット宇宙ステーション出現は、軍事的にどういう意味を持つとあなたお考えになっておられますか。
  22. 岸信介

    国務大臣岸信介君) ICBMIRBMは、御承知通りこれは直接に軍備の方にこれが用いられるということにはっきりなっておりますので、ただ、月ロケットやあるいは宇宙ステーションの問題は、これが直ちに軍事に直接のなには持たないわけでありますけれども、しかし、とにかく非常な科学発達によって、いろいろな破壊力を持ったところの砲弾その他の原子爆弾というようなものを運ぶ手段として、従来のなにはこれでもって遠距離に対して非常な大きな一つの威力を持つと、こう考えるべきものであろう、こう思っております。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう点の国防会議における検討は足りません。今後の世界情勢軍事科学進歩という角度からの検討が足りない。月ロケット、ことに宇宙ステーション出現ということは、世界のどこからでも思うところに正確に爆弾を落とすことができる、核攻撃ができるということを証明するのです。それで若干数字を申し上げますが、IRBM、これはすでに実用段階に入っておりますが、これを用いるとウラジオ新潟間一分十三秒、樺太の真岡から札幌までは五十八秒です。モスコー東京間で二十二分、沖縄と重慶間では六分、私の計算では。二マッハ級戦闘機真岡札幌間は九分、新潟東京間は十分十秒ばかりで飛ぶこういうようになっておるわけですね。だから二マッハ級戦闘機を使っての局地戦ということはあり得ないわけです。必ずそれは大戦争になっていくわけです。ところがICBMIRBM出現によって今や戦争はできないという段階に来ておるわけなんですね。かかるがゆえに全面軍縮、あるいは世界冷戦緩和の方向に進んでいって、こういう把握を間違ったら、一千億以上血税をかけて二マッハ級ロッキードを買っても、五年後には無用ということになる確率は非常に大きいわけですよ。こういう検討がなされておりません。もうちょっと申し上げて意見を承りますが、この二マッハ戦闘機というのは、発射台として意味がある、だから二マッハ戦闘機を持っていくということは、日本のためよりもアメリカのためなんです。そういうようにこれはスピードが出てきましたから、アメリカアメリカを守るためにはNATOが大切なんです。SEATONEATOが大切なんです。そこにこの触角を出さなければ守れないわけなんですね。日本の場合に二マッハをもってすれば、アメリカ前進基地であるNEATOなりSEATOの線で守れるわけです。ところが、日本の場合この中心が浅い、たとえば新潟東京間でIRBMで七十秒、警戒警報も何もあったものじゃない、こういう時勢にこういう形で非常に危険で、ただスピードを出して飛ぶというような飛行機採用しても問題がある。もし飛行機を使うならば、これは発射台として価値があるのだから、非常に安全な、スピードはちょっと落ちても安全で、積載量があって、そうして優秀な火器管制装置火器を乗せてそして三マッハ、四マッハ程度ミサイル攻撃ができる、そういう態勢にしなければ、発射台としての価値がないわけです。私どもは確信をもってこの無用論を主張いたします。一千億以上の血税を使うことはむだだと考えるのです。これらの点について総理はどういうふうにお考えになったか簡単にお答え願います。
  24. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 将来のいわゆるミサイル発達によりまして、それの持つ重要度というものは、これはもちろん私どもも認めております。しかし近き将来において、それなら有人機というものは意味をなさないものであるか、今、矢嶋委員お話しのように五年後には、こういうものは無用になるという確率が非常に大であるというお話しでありますが、その点については、国防会議のわれわれは見解が違うのでありまして、やはり有人機の何は必要であるといういろいろな点から検討した結果、そういう結論を出したわけであります。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 世界観が違うとか見解が違うということでは済まされないのです。科学的に、数的に出てくるわけですよ。数的に出て参ります。ではもう少し伺いますがね。ちょっと角度を変えて伺いますが、総理在日米駐留軍の、日本の安全のための出動は、日本領域内に限られるのですか。日本の安全を守るためには、極東の平和と安全が必要であるから、在日米軍行動は、日本領域内に限られるというわけではない、たとえば台湾とかあるいは朝鮮まで、極東の平和と安全を維持するためには出動することはあり得る、こういう見解になっていると思うのですが、いかがですか。
  26. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今矢嶋委員お話しになった通りだと考えます。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうすると、朝鮮に問題が起こる、台湾に問題が起こる、これは極東の平和と安全のために重要な問題、ひいては日本にとって重要な問題、この兵器関係から。そうなりますと、たとえば重慶から京城までIRBMミサイルでは六分間で飛んで参ります。二マッハの今爆撃機ができておりますが、二マッハ爆撃機で五十分で飛んで参ります。そうなりますと、極東の平和と安全を維持するために、在日米軍は、朝鮮に問題が起こったとなると、重慶からIRBMで六分間、二マッハで五十分間で飛んでくるのですから、重慶という、そういう地域も極東の平和と安全を維持するために、在日米軍行動範囲としてあり得る、かようになると思うのですが、いかがですか、お答え願います。
  28. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私どもは、在日米軍行動範囲については、日本が侵された場合においては、日本を守るということが主であり、また、極東の平和と安全という場合においては、その目的がおのずからはっきりしているわけでありますから、今お話しの、設例されたような場合においては、これはまあ単におそらくそういう実例が起こってくるというと、極東の平和と安全とかいうことでなしに、世界戦争というような格好になるだろうと思うのです。そういう場合におけることは別として、やはり安保条約における米軍活動範囲というものは、その目的範囲内においておのずから限局されるものだ、かように考えております。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 新安保条約極東の平和と安全という言葉が落ちたら、アメリカは全然必要ないのです。極東の平和と安全のあの一語に大事なところがあるのです。それはこの科学兵器進歩から、当然重慶奥地まで対象に入るのです。しなければ意味をなさぬ。だから極東の平和と安全というのを言っているわけで、だから危険だというわけです。ことに主力戦闘機の二百機採用が、これは百八十機になったということで、マッカーサー大使から先般遺憾の意が表明された。赤城防衛庁長官、事実かどうか。それは米軍としては、安保条約極東の戦略から、二マッハ級のは日本に二百機必要だという点で出てきているわけです。それを勝手に百八十機にしたから遺憾の意を表明されたのです。従ってアメリカのこの方面MSA援助は四分の一くらいになるということですが、この点を赤城長官からお答え願います。一体分担率は従来は二分の一だったのですが、これは三分の一ということでとめ得るのかどうか、その点お答え願いたい。
  30. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) マッカーサーに会いまして、別にマッカーサーから遺憾の意は表されません。ただ、前に二百機と聞いておったのがそういうことになったのですか、こういうことだけでございます。分担率につきましては、従来は五〇・五〇が例でありましたが、アメリカの予算の点、その他によりまして、そういうふうに期待はできない、こういうふうに考えております。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それじゃあ三分の一。七千五百万ドルというと四分の一になる。それにも満たないものになって国民負担が非常に重くなると、かように思うのですが、二分の一がだめなら、三分の一はあなたは自信がありますか、お答え願います。
  32. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 三分の一になるかどうかということは、ただいま交渉に入ろうとしておるところでありますので、今見通しを申し上げる段階には、いっておりませんが、できるだけ多くしたいということを、この間実は申し入れをしましたが、なかなかこれからの折衝においても骨の折れることだと、こう考えております。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 安保条約の改定、それから次期主力戦闘機を二百機採用、それから第二次防衛計画みな一連のものです。一月十九日、安保条約調印に、ワシントンに総理がおいでになるそうですが、第二次防衛計画を携行していくということになっているんでしょう、いかがですか。
  34. 岸信介

    国務大臣岸信介君) まだ第二次防衛計画の問題に関しましては、防衛庁、あるいはその他関係方面におきまして検討中でありまして、国防会議にいつ出すというようなまだ目途もついておりません。従って、あなたのお話しのように、何か私がアメリカに参るという場合に、これを携行するというようなことを考えておりません。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 持って参らぬのですね。
  36. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今考えておりません。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 防衛庁長官どうですか。
  38. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 総理のお考え通り、私は持っていくなんとはおっしゃっておりません。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 米軍からは……。
  40. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 米軍からそういう要請はございません。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では、あと三分ほどあるようですから。価格の問題ですがね、三十三年八月、左藤さんが防衛庁長官のときに、ロッキードを七十九万ドルと出して、そのとき河野一郎さんが安いということを主張しましたが、それが八月二十二日から変わって参ったわけです。それを国内生産した場合に、しかもFCSはエアロ13にして百七万ドルでできるということで、六月十五日に白紙還元国防会議に提出している。だからこの上は、ロッキード社みずから出した数字で、これを国防会議検討して、エアロ13になっているから、この数字は絶対に守らなければならぬ数字です。源田さんは、持って帰るときに、百二十万ドル以下の数字を持って帰ったというのですが、私の情報では、グラマン、コンベアもこういう数字源田さんに示しております。そうすると、エアロ13をナサールに取りかえたのです。これはMG10、この価格は本委員会答弁、並びに私の資料に基づくものです。ですから勝手にナサールの改良をやって、装備局長答弁ですが、十四万ドルになったとしても、一機部品を入れないで百十四万ドルをこえるということは絶対あり得ない。これは防衛庁長官並びに議長、お約束できますかどうか承っておきたい。これは二割増しになりますから、一機百十万ドルから百三十二万ドルになれば四億七千五百万円になる。二百機で九百五十億円になる。ところが、秋からちらちら漏らしておるように、一機百二十万ドルとすれば、二割の部分品がつくから一機百四十四万円、五億一千八百万円、二百機にして千三十六億円となります。こういう金額になって参ります。かりにこれとこれとの差をとると、二百機で八十六億四千万円となるのですよ。こんなに金が違ってくるわけです。だから価格に重大関心を持っているんですが、私はここで議長並びに防衛庁長官から、部分品を入れないで百十万円ドル以下で買える、それが守れなかったならば、この三十三年の八月、ロッキードから出したこの数字白紙還元のときに出したこの数字の建前から、ロッキード社との交渉を打ち切るべきである。しかも、これは三十三年八月ロッキード社が七十九万ドルと出したこの資料、しかもこの説明がついています。FCS、ASG—14、制限全天候、レーダーミサイルが発射可能、上方脱出座席も入れてこれだということをロッキード社は書類に出しているわけです。かりにこれをナサールに改良しましても百十万ドルをこえることは絶対にあり得ない、この点を議長並びに防衛庁長官からお約束をしていただきたい。
  42. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 昨年八月に二百機として七十九万ドル、こういうような価格が出ております。この価格は、ロッキード社の独自の見解に基づいて、日本で国産した際の諸条件について防衛庁及び国内製造業者等の意見を求めることなく出したものであります。それに対しまして、防衛庁側といたしましては、各候補機種価格を総体的に比較する目的で、八月にこの資料に基づいて、国内事情を勘案して、一応の価格の見積もりをしたのが、そこにお示しの百七万ドルでございます。それはエアロ13型がついておったわけであります。実際に向こうと当たった価格ではないのでございます。で、今度いろいろ折衝をいたしております。近く発表できる程度にいくかと思いますが、折衝いたしております。しかし、これは矢嶋委員の計算で、ナサールが十四万ドルになるから、四万ドルしかふえないから百十一万ドル以上こすはずはないというわけには参りません。これは折衝の結果なるべく安くと思っておりますが、それの保証はここでいたしかねます。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最後の質問。
  44. 中野文門

    委員長中野文門君) 時間が超過してますから。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これで最後です。だから議長、私は言っているのです。大づかみもしないで、一千億円の買い物をしたことが無責任だということを私は申し上げているのです。かりに五億とすれば、自治体で言うならば三鷹市、熊谷市、銚子市、この一年間の財政規模が五億円、そこに土屋課長がおりますが、土屋課長のを計算しましたところが、土屋課長は高文の試験にパスして現在四十六歳ですが、この人の月給は五百五十五年たたなければ五億円にならない。だから土屋課長が二十八回生まれかわっても五億にならない。しかも……
  46. 中野文門

    委員長中野文門君) 本論に入って下さい。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 防衛庁資料によりますと、F88のパイロット一人当たりの養成経費は三千万円、そうして一機当たりの維持費が年間二千二百万円、こう防衛庁資料にある。しかも事故率は、私の米軍から借りた資料では三〇・五%、それほどの高価のものを買う。しかも、それが役立つか役立たぬかわからぬわけでありますから、価格のことを明確にしなければならない。私は最後に伺いますが、どうしてもこの裸で百十万ドル、部分品をつけて百三十二万ドル、これ以上高い値段はどうしても今までの経過から言って納得できません。それは今までにロッキード社から出た資料並びに本委員会に皆さん方が答弁された点から、これらのFCSの価格から言っても、それ以上のことはあり得ない。もし一機五万ドル違っても二百機で三十六億円のリベートが出てくることになる、これは私はアメリカ側の相当なところから聞いているわけなんですが、かかるがゆえに、政界の首脳人物はこれには非常に重大な関心を持って、ロッキードからグラマンに、それからロッキードと、転々と変わってきているわけでして、これほど世にも不可思議な問題はないと私は冒頭に申し上げたわけで、価格の点について、明快に一つ議長からお答えをいただいておきたいと思います。
  48. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 価格の点は、御指摘のように非常に私ども重大な問題だと思っております。この前の内定した当時には、非常に不確定であったものも非常に確定的にはっきりつかみ得るようになっておりますから、大体の見当はつけておりますが、なお実際の問題としては、会社と交渉してできるだけ安くするように努力をいたします。
  49. 横川正市

    ○横川正市君 関連。一問だけ関連。この前の委員会総理答弁と違うのがある、ちょっと関連して……。
  50. 中野文門

    委員長中野文門君) それではあなたの時間に入って下さい。
  51. 横川正市

    ○横川正市君 一問だけ……。私は、総理が前回この委員会においでになって、国防会議の議事の進め方にメモもとらない、あるいは言いっぱなしということについては、それは困るから、少なくとも国防会議については記録をとり、速記等をつけたらどうか、これについて総理は、あのときは検討いたしますと返事をしておられた。今回の返事はその点で非常に、私は検討した結果そうなったんだと言われればそれまでかもわかりませんが、当時の首相の心境とはいささか違うと思う。ただ、なぜそういうふうになったかという点について私が不可解に思うのは、この委員会機種決定の問題を論議するときに、先ほど矢嶋委員が言うように、資料の提出をあちこちとはかったのであります。その資料の提出がほとんどなされておらない。この資料の提出をしないという裏づけのために国防会議議事録もつけない、こういうふうに疑われても仕方のないような状況で私は現段階に立っていると思う。そういう疑いを持たせたままでは、あなたの方でもこれは不本意だと思いますから、この点については明確に答弁をいただきたい。  もう一つは、今回の機種決定についての最終の、最後段階まで、実は防衛庁もそれから国防会議も責任をとっておらない。これは源田調査団の報告を唯一の資料とし、そして責任の所在はそこだというふうに決定をされたように私どもは今までの答弁で聞くわけなんですが、一体この機種決定の最終的な責任というのはどこが持つのか、この点をはっきりしていただきたい。
  52. 岸信介

    国務大臣岸信介君) もちろん、この機種決定最後の責任は、国防会議において持ちます。  国防会議自体の議事の内容につきまして、確かにこの前の何におきまして検討すると私申し上げました。議事録をとったらどうだという御議論がありまして、そのことにつきましては、なお検討してみますということを申し上げました。いろいろ検討してみまするというと、やっぱり閣議であるとか、あるいは国防会議であるとかというようなものは、これに列しておる議員というものも、非常に大きな政治的な責任を持っておるものであり、それが自由に発言し、自由にその信念を吐露するということで、だれがいつの機会にどう言ったというようなことを、あとからせんさくすべき性質のものではないという、いろいろな考えを持たなければならぬ。そして国防会議におきましても、そういう意味において、従来も議事録をとっておらないが、今後においてもとらない方が適当である。従って、いろいろな心覚えのためにメモはとるけれども、それも決して会議外に持ち出すということはしないということに決定をいたした次第でございます。
  53. 下村定

    ○下村定君 私は新戦闘機機種選定そのものを、当初から国防会議の議題として取り上げたことは不適当と信ずる一員であります。しかしこのことは、本日は時間の関係もありますので、さかのぼって論及はいたしません。ただ、これに関連しまして、国防会議の運営につきまして、たった一言総理にお伺いいたしたいと存じます。  現在の国際情勢下におきましては、武力を用いる大きな戦争の発生範囲は、きわめて小さくなっていると存じますが、その反面におきまして、いわゆる心理戦、経済戦、科学戦というような闘争手段は今後も継続せられ、見方によっては激化するとも考えられます。一面におきましては、科学進歩ということも考慮しなければならぬと存じます。従ってこれに対する国防の計画は、従来のような軍事に偏したものではなく、内治、外交その他国政の全般にわたり、広い視野のもとに国防会議議員であられますところの関係閣僚の方々は、それぞれ主管に従って、積極的にこの計画の立案に参与せられ、総合的な計画が樹立されることが何よりも必要だと存ずる次第であります。  ところが、私の聞いておりますところでは、これまでの国防会議におきましては、この点がはたしてどうでありましょう。失礼な言葉でおそれ入りますが、やや不勉強な観がある。防衛計画も、いわば防衛庁から出されるところの軍事的の計画に他の議員諸公が若干の注文をつけて、あるいは経費の増額を押えるというような程度でないかと察する次第であります。これでは国防会議本来の使命にも沿いません。また、ただいま申し上げました世界情勢の変転、この変転は、私はかなり大きいものと思う。これに即応するためにも適当でないと思います。近く第二次の防衛計画が審議されると承っておりますが、この際、ただいま私の申し上げましたことについての総理大臣の御所見を簡単に伺いたいと存じます。
  54. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 御指摘のように日本防衛の問題は、単に狭い意味における軍事的な施設だけでもってこれができるわけじゃございません。従って、国防会議におきまして、われわれが防衛力の増強について国力、国情に応じてこれを漸増するという方針をきめます場合に、一番最初に日本の国防ということは、やはり内治、外交の全部にわたり、あるいは国内において国民生活を安定するまた外交として平和外交を推進する、さらに、国民全体の国土を防衛するという非常時におけるところの愛国心の涵養というものをみんな総括してこの日本の安全と平和が守れるのだ、祖国が守れるのだという見地を、やはりわれわれは常に頭に置いて考えていかなければならぬということをはっきりいたしておりますのも、全く御趣旨のような意味でございます。しかしながら、特に最近における軍事科学の非常なわれわれの予想しないような発達や、また国際情勢の上におきましても、いろいろとこの変化が出てきております。特に私は非常な軍事科学の極度の発達ということが、御指摘のように全面戦争であるとか、あるいは武力戦争というこの危険を非常に痛感して、そういうものを防いで、そうして話し合いによってものを解決しようというような情勢が出てきておることも、よく頭に置いて考えなければならぬと思っております。従って、第二次防衛計画を定める場合におきまして、単に数量的なまあ財政的な見地からだけでなしに、御指摘のように総合的な広い国際情勢の認識や、その他の上に立ってこれを検討し、最後決定をすべきものである、かように考えております。
  55. 下村定

    ○下村定君 次に、次期戦闘機の問題につきまして、次の二点につきまして防衛庁長官にお伺いしたいと思います。先般来、本委員会における御説明その他によりまして、目下主題となっておりますロッキード二百機整備せられる時期、その時期におきましては、これと併用してミサイルが相当に採用されるというふうに承っております。つきましては、その採用されるミサイルに要求する性能、所要の数というようなものにつきまして、大体の御構想を伺いたいと思うのです。もっとも、これは次期防衛計画に関することでございますから、具体的のお答えはお願いいたしませんが、大体のところでけっこうでありますから、お伺いいたしたいのであります。それは、戦闘機に関しましては、すでに二百機という目標が出ているのであります。これを検討する上からもその点は承知いたしたい次第であります。この点防衛長官のお答えをお願いいたします。
  56. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 防衛庁といたしましては、次期戦闘機二百機ができてからミサイルを導入しようということでなくして、次期戦闘機と併用して地対空、空対空も、これはすでにサイドワインダー、そういうミサイルを導入したい、こういうことで研究、検討を続けてきているわけでございます。そこで第二次計画ということになりますが、第一次の、第二次でなくて、三十五年度におきましても、私どもはナイキ・アジャクスの部隊を三十五年度から編成にかかりたい。しかし、これにつきましては、訓練のために二百人近くのものを出して、そうして実地に訓練をして、それが帰ってからそういうものが装備をされ、備えつけられる、こういうことになっていますので、三十五年度にそういうことができるとは私ども考えておりません。それの前提といたしまして、予算の折衝等もあります。それから第二次計画の策定を国防会議で諮って、それが可決されていますが、そういう前提がございます。でありますので、また、第二次計画総理からもお話しのようにまだ国防会議へ提案するまでに至っておりません。私の方の準備はできておりますが、まだそこまでいっておりません。予算の点もありますが、そういう点で確たることを申し上げる段階には参っておりませんけれども、私どもは空の守りは、やはり次期戦闘機のような優秀な戦闘機を必要とし、また同時にミサイル、高射砲、こういうもので守っていくことが、これが日本の平和と安全を守り、戦争に導かないで済むような格好だ、そういうようなことで進めている次第であります。
  57. 下村定

    ○下村定君 大体了承いたしましたが、ナイキ・アジャクス以外についてはいかがでありましょう。と申しますのは、従来日本国民大衆は、新しい兵器というものに対して非常に神経過敏であります。エリコンの場合、サイドワインダーの場合、ああいう騒ぎが起こる。これにさらに新しいものを持ち込むということになりますと、これはまた非常な事態が起こるのじゃないかと憂えるのでありますが、そういう面に対する御用意はいかがでございますか。
  58. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話し通りに、国民が非常に神経過敏になっているということも、私ども承知しております。この点は、何かミサイルというと、もう下村さんなどに申し上げるのは恐縮ですが、IRBMICBMのようなものを持ち込むのじゃないかというような感覚が非常に強いんじゃないか、そういうことでありますので、たとえばサイドワインダー等にいたしましても、これは飛行機から飛行機で撃つもので、これは通常兵器のようなものになっている、あるいはまた地対空等のミサイル等におきましても、世界各国の例を見ましても、これを採用している国が非常に多い、ほとんどといいくらい、われわれの聞いているところでは相当多い。こういうことで国民の理解を進める上におきまして、私どもがまだ足らぬ点が非常に多いと思います。で、そういう意味におきまして、私ども国民の理解を得ることに努めたい、こう考えております。
  59. 下村定

    ○下村定君 いま一つお伺いいたします。外国の飛行機が通告することなくて領空に侵入するという事態は、従来も相当起こっておるように承っております。有事の際はもちろんのこと、平時におきましても、このような行動を未然に防止し、また必要の場合には、相手の飛行機を領空外に退去せしめるというような使命から戦闘機の負う役割は私は相当重大と思います。また、その戦闘機は優秀なものでなければ効果はないと思うのであります。そこで、現在今の平時における領空の防備という現状がどういう程度になっておりますか、また、次期戦闘機が整備せられるまでの期間における空白を生ずることがないでありましょうか。これをいささか心配するのでありますが、これに関する防衛庁長官の御所見を伺いたいと存じます。
  60. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御説の通りであります。そういうことで幸いレーダー・サイト、米軍で管理しておりますものが日本に接収といいますか、譲渡を受けました。そこで、レーダー・サイトの基地におきまして、領空侵犯等につきましては十全の備えをいたします。でありますので、領空の侵犯のおそれがありましたときには、今のジェット戦闘機もありますから、それで直ちに出動いたします。直ちに出動して、領空外に退去するように連絡をいたしております。この点につきましては、私の承知している限りにおきましては、現在のジェット戦闘機におきましても、その職能を十分果しておるように承知しております。しかし、今のお話しのように、そういう点におきましても、優秀な早い上昇力のある戦闘機というものが、なおより以上の効果を発揮できるという確信は持っておりますけれども、現在のものでも相当十分に近い領空侵犯に対しては対処をいたしております。
  61. 下村定

    ○下村定君 なおこれらにつきまして具体的に伺いたいことがありますが、これは時間の関係上、別の機会にいたしまして、私の質問をこれで終わります。
  62. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 総理に二、三お伺いしたいと思いますが、前回の国防会議では、防衛庁決定した機種国防会議が承認し、そしてそういう新しい形をとって、機数等について決定しておる。そこでお伺いしたいわけですが、今後国防会議が一切の機種とか艦種、そういうことについては数量等については決定するけれども機種、艦種等については、もっぱら防衛庁に一任する、そういうことで筋を通してずっと今後永久にそういう新しい方針に従うのかどうか。時によってまたそれを便宜主義で変えてしまうのかどうか、そういう点をはっきりさしていただきたいと思います。
  63. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 先ほど下村委員からもちょっと御意見がございましたが、機種決定国防会議でやることが適当であるかどうかということは、実は私ども国防会議におきましても議論した点であります。しかし、今回の問題は、前からの続きもございますし、政治的ないろいろな意味もございますので、この国防会議において扱うことは扱うけれども、やはり本来の筋に返してこういう機種であるとか、あるいは艦種、あるいは実際のいろいろな武器の性能やその何というような問題については、これは防衛庁決定することが適当である。国防会議においてはそういうものが必要であるかどうか、先ほどお話がありましたように、国際情勢その他の一般から見て、そういうものが必要であるかどうか。また、その場合に規模をどうするかというような点に関して、広い見地から議論すべきものであって、必要であり、これだけの範囲内においてやるという場合において最も最良な、また最も技術的に優秀なものを選び、また作るというようなことは、これは防衛庁にまかすベきものであるというふうな考え方で今後進んで参りたいと、かように考えております。
  64. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 あなたは、前に国防会議議長としてグラマン内定したわけですが、その後みずから内定したグラマンに強く反対して、新たにロッキードを強く推しておる。その結果、当然防衛庁との対立状態が続いたわけですが、こういう事態を収拾する一つの便法として、白紙還元、相次いでまたロッキード派と目されておった源田空幕長を調査という名目でアメリカに派遣しておる。これは防衛庁長官の命であったと、そういう形式はとったとは思いますが、しかし、もうすでに源田調査団長がアメリカへ立つ前にもうロッキードはきまっておった、どうも私ども考えられるのは、このロッキードがいかに優秀であるかということを裏づけるための、そういう使命を持って源田空幕長は行かれた、そういうにおいがふんぷんとするわけです。この点について明確にしていただきたい。
  65. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 決してロッキードをあらかじめ定めて、決定してそれに対する資料を作るために源田調査団を派遣したというようなことではございません。御承知のようにこのグラマン内定し、その後におけるこの飛行機開発の進み方等が、そうして諸外国における新しい戦闘機機種決定等の事情もございまして、一応とにかく内定白紙還元して、ほんとうに日本にとってどの飛行機採用することがいいかということは、これは実際に飛行機に乗ってこれを試験もし、また専門家の技術的な面からいろいろな検討をした後において決定することが適当であるという意味において白紙還元したわけでございまして、決してロッキードにあらかじめきめて、これに対する資料を作成するために調査団を送ったというような事情では全然ないのであります。
  66. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 政府はたとえば次期戦闘機については、ロッキードで強引に押し切ったり、先般問題になりましたサイドワインダーなども持ち込む、こういう勢いに乗じて、先ほども御指摘のあった第二次防衛力整備計画を進めてきたわけです。そうして量より質へ、そういうスローガンで進んできたわけですが、さて来年度の予算財源難等から、どうもここに問題も起きてきた。与党内部にも批判の声が高まっておる。こういう中であなたは一つ理由のない防衛力整備計画というものを、十分ここに白紙に戻して考え直す必要があるんじゃないか。時間の関係で詳しいことは申し上げませんが、しばしば申し上げておるように、世界の情勢、さらにまた世界軍事情勢から推して、日本がさらにこの上防衛力を増強しようというような考えがいかに無法であるか、そういう世論が国内外に高まっておる。こういう点を国防会議議長として十分耳を傾ける必要があろうと思う、この点いかがですか。
  67. 岸信介

    国務大臣岸信介君) もちろん、国際情勢やあるいは日本の国力、国情、国民の世論の動向というようなものは、日本防衛の上におきまして、計画をきめる上においては十分に検討し、またこれに耳を傾けていかなければならぬ問題であると思います。私どもそういう含みで、国力、国情に応じて漸増するという方針を国防会議においてもきめておるわけでありまして、将来計画を定める上におきましては、十分に一つそういう点についても留意していきたい。かように考えております。
  68. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 いろいろな観点から検討してみても、どうしてもロッキード購入というような、防衛力を増強しなければならない理由が、私どもにはどうも見当たらないわけです。結局、最初矢嶋委員からも御指摘があったわけですが、明年一月に総理は安保調印のためにアメリカへ出かけられる。そういうときに間に合うように、第二次防衛力整備計画、そういうものは考えてない。そういう意味の御答弁がさっきありました。ありましたけれども、ただ単なるあなたの御答弁では信頼できないと思う。今までしばしばそういうことが繰り返されておるわけです。そういうことで、一つこの際十分深く検討していただきたい。アメリカのために防衛力整備計画を、もしかりにもお持ちになるということがあれば、どこの国の防衛計画かということが問題になるわけです。そういうふうな点で、ただ御答弁だけでなく、真剣に一つ国民の声を声として、国民の心を心として、十分この際考えるべきではないか。そういうふうに思うのですがいかがですか。
  69. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 第二次防衛計画の問題は、責任を持っております防衛庁において、第一次が三十五年で終わりますので、検討しておることは私承っております。しかしながら、今日国防会議において最後決定をしなければならぬものでありますが、国防会議に提案されるような状況になっているとは、私まだ聞いておりません。従って、私がかりにアメリカに参るといたしましても、何もそのことと、第二次防衛計画を持っていかなければならぬ理由は全然ないのでありまして、従って、そのために、間に合わすために第二次防衛計画をきめるということは、私全然考えておりません。
  70. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 あなたは、ロッキード決定に関して、世界の情勢をどういうふうに判断し、どういう脅威を現在頭に描いておられるのか。そこからロッキード機種決定ということも生まれてきたと思う。その根源、あなたの頭に描いておられるお考え一つ簡単に述べて下さい。
  71. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 日本防衛力は、御承知通り、敗戦後全然自衛の力を持っておらなかったわけでありまして、その後において、国力と国情に応じて漸増するといって今日まで参っておりますが、私は、この世界の大勢から見まして、日本の持っておるところの防衛力、また日本がその方面につぎ込んでおるところの額というものを、国民所得やその他予算の総額等から見まして、諸外国のこの方面に向ってのやっておることと比較してみますと、決して、いわゆる再軍備であるとか、あるいは防衛力を非常に何か世界の大勢に反して増強しているということではなくして、少なくとも、今日の国際間において独立国の一人前として最小限度の防衛力というものは持たなければならないという見地からわれわれは考えておるのでありまして、従って、今世界の大勢は、独立国が全然無防備の形において、そうしてその国の安全をはかっておるという国は、この日本のように工業力を持ち、人口をたくさん持っており、国際情勢の谷間にある国において、全然防衛力を持たないというようなことはあり得ないのでありまして、私どもは、日本が独立国として、そういう各種の客観情勢を考えてみて、最小必要限度の、われわれが一応の安心を持てる最小必要限度の防衛力を持とうというのが根底でありまして、決していわゆる今日世界で問題になっております軍縮とかというようなことに触れるような軍備拡張をわれわれがしておるというような考え方は持っておらないのであります。
  72. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 お言葉の中に、最小必要限度の防衛力、まことに重宝な言葉だと思うのですが、これは明確にしておかないと、たとえば世界に優秀な、マッハ二のロッキード二百台入れても、これが最小限度か。誘導弾ナイキとかハーキュリーとか、次々用意されておる。それでも必要にして最小限度の防衛力か。そういう限界が、言葉の魔術でいかようにも変わってくるわけです。非常に危険なお考えだと思う。その点をはっきりさしていただきたい。
  73. 岸信介

    国務大臣岸信介君) もちろん軍事科学、ことに最近の科学技術、軍事についての科学の非常な発達の情勢というものを頭に置いて、われわれが持つところのいわゆる防衛につきましても、やはり有効なものを持たなければ、ただ防衛するからといって、いつまでも竹やりでやるというような考え方では、これはいけない。従って、量よりもむしろ質に頭を置いて今後の増強をするという、国防会議の方針というものも、そういうところに私はあると思うのであります。もちろん、初めから、そうだからといって、われわれは、いかに科学技術が発達し、核兵器発達しても、核武装はしないというこの原則は、はっきりきまっておりますけれども、その他の問題につきまして、またわれわれが憲法上の制約を持っておることも十分に頭に置いて日本防衛に必要なものを考えていかなければならない。しかし、それを何と何はいいのだが、どこに線があるのか引けとおっしゃいましても、これは、科学技術の発達、国際的の情勢というものを頭に置いて考えなければならぬのでありまして、そういうものを無視した限度というものを作ることは、これはできない。かように申し上げるほかはないと思います。
  74. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 局地戦を前提にして、そうして敵機の要撃を目的として、次期主力戦闘機ロッキードが購入になった、そういうように考えられるわけですが、ただここで考えなければならぬのは、日本アメリカ軍事基地のある限り、これは日本に全面戦争が絶対にないというようなことも保証できないわけです。日本アメリカ軍事基地のある限り、ただ局地戦争だけを前提にして防衛計画を立てる、そういうことはできないと思うのです。こういう点を明確にしていただきたいと思います。
  75. 岸信介

    国務大臣岸信介君) いわゆる世界全面戦争というものの危険は、先ほどもありましたように、私は、今の国際情勢からいって、そういう危険が遠のいたものだと思います。しかし、全面戦争が起こったというような、そういう異常なあれを考えますと、過去の例で見ましても、必ずしもそこにアメリカの基地があるから全面戦争が起こった場合に巻き込まれるとか、危険があるとかいうような問題じゃなしに、全面戦争が展開されたという場合においては、両陣営とも自分の戦争遂行を最も有利ならしめるに必要な手段はすべて講ずるわけでありまして、実際中立国として永世中立国の立場を国際条約で認めておる国も侵略されるとか、その地理的な立場から言い、その国の情勢から言いますと、そういうことが起こってくることは、過去の経験からもあるのでありまして、全面戦争というものが起こった場合において日本がどうなるかということを、ただ単にアメリカの基地があるからどうとか、アメリカの基地がなければ日本は安全だというように簡単に解決することはできない、こう思います。
  76. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 前回の当委員会で、源田空幕長に私はこういうことをお伺いしたのです。日本がかりにICBMIRBM攻撃された場合、今問題のロッキードでこれを防ぐことができるか、そういう問いに対して、きっぱりそういうことはできません、別の方途を講じなければならない、そういう意味のことを答えておられる。こういう世界軍事情勢の中で巨額な国民血税を使うことは非常にむだではないか、そういう国民の声が非常に高い。役に立つならば、いい悪いは別として検討の余地はあるのでありますが、全然役立たないものを、ここで巨額の血税で買うことについては、国民は納得できないと思う。この点を明確にしていただきたい。
  77. 岸信介

    国務大臣岸信介君) ICBMIRBM発達は、確かに非常に大きな軍事化学の面におきましての一つの変更であると思います。またそれでもって日本攻撃された場合に、この戦闘機でもってどうなるかということについては、源田空幕長がお答えした通りである。しかし、今一方においてそういうミサイルが非常に発達をしておりますが、各国ともそれだからといって爆撃機やあるいは戦闘機というものは全然なくして、その方に全部乗り移っておるということでもございませんし、また、私は全部乗り移るものだと断定することは、これは適当でないと思います。従って戦闘機のこの問題も、また平時におきましても日本の領空を守る意味から申しましても、この優秀なものを持つことは必要でございまして、決してこれが無用のものになるというふうには私ども考えておりません。
  78. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 あなたはアメリカロッキード航空機製造会社を信頼しておられますかどうか。イエスかノーかお答え願いたい。
  79. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 信用しておるかどうかということでは、技術的にはああいう飛行機を作っておるのでありますから、その点における技術については、信用をおくべきものだと思います。
  80. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ところがこれは最近アメリカの会計検査院、アメリカに会計検査院というものがあるかどうか、日本の会計検査院に相当する役所だそうですが、これは政府の予算支出を監査いたしたところ、ロッキード社の四百十一万ドルにのぼる利潤水増しを指摘しておる。しかも、ロッキード社の社長が会社自体で再監査いたしましたところ、政府の監査の通り間違いございませんということで、この不当な利潤水増しを政府に返納しておる。こういうことは一つのほんの例でありますが、そのようにロッキード社は自国の政府に対してすらも、こういうような不当な利潤をむさぼっておる。そういうことから他国である日本が相手になるわけでありますから、この点よほど前を締めてかからないと、自国の政府ですらそうやって、うまうまとだますような不当な狡猾なロッキード社というものの一面がわかっておりますから、そういう点も十分心すべきではないか、そういう点を一つお伺いいたします。
  81. 岸信介

    国務大臣岸信介君) もちろん、この契約をしていきます上におきましては、そういう点も頭において利益制限率等についても明確に規定を置くようにいたしたいと思います。われわれはそういう不当なことのないように契約を結びます場合においては、十分に留意していかなければならない、かように思っております。
  82. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間が参りましたので、最後に一点お伺いいたしますが、この問題は、アメリカ岸総理がかねてから非常に尊敬しておる国だと思うのですが、そのあなたが尊敬しておるアメリカの国のダグラス航空会社の副社長がこういうことを言っておられるわけです。日本政府のやり方はほんとうに気違いじみている。アメリカでも新機種は最初は二機か三機を選んで、性能のテストを十分重ねて、そのあげく、もしよければ三十機とか、五十機、そういうふうに買う。これが常識だ。これはもうまことにその通りだと思う。何かこういうような気違いじみたことをやらなければならない理由があったのかどうか。こういう点を明確にしていただいて私の最後の質問を終ります。
  83. 岸信介

    国務大臣岸信介君) アメリカで新機種採用する場合におきましては、おそらく今まで全然生産をされておらない、新しく生産されたというものにつきましては、今お話しのようにあらゆる点から非常に厳密なテストをして、そうして採用するかしないかをきめていると私も聞いております。すでにロッキードにつきましては、御承知のようにアメリカの空軍がこれを採用し、あるいは西独それからカナダ等におきましてこれを採用いたし、すでにそういう基礎的のテストは十分に済んでおります。その他の機種につきましても、今日すでにそういうテストは行なわれて済んでおるのであります。そこで日本調査団専門家を派しまして、さらに実際に搭乗もし、これを操縦もし、その他あらゆる点から検討して、すでに行なわれているテストに現われているところのいろいろな数字データというものを、現地について確かめて最後決定をするようにいたした次第でございます。
  84. 辻政信

    ○辻政信君 時間の関係上きわめて簡潔に聞きますから、きわめて簡潔にお答えを願います。  岸総理は一昨年訪米をされてアイゼンハワーとの共同声明をお出しになっております。その精神は今でも変わりありませんか。
  85. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今でも変わりないと思います。
  86. 辻政信

    ○辻政信君 共同声明の冒頭に「国際共産主義は依然として大きな脅威であることについて意見が一致した。」とあるが、その認識は間違いありませんか。
  87. 岸信介

    国務大臣岸信介君) その当時そういう認識をいたしたのでありますが、その後における情勢におきましても、私は認識が変わっておりません。
  88. 辻政信

    ○辻政信君 ではこの大きな国際共産主義の脅威に対して、日米両国が共同して防衛に当たることが安保改定の精神である、そのための戦力を高揚する重要な手段が、ロッキード採用と解してよろしいか。
  89. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 安保条約を改定してこの日本の安全を守るということは、しばしば御説明申し上げましたように、現在安保体制というものが御承知のようにあるのです。これを合理化し、日米の信頼と理解の上に一そうそれを有効ならしめようというのがわれわれの考えでございます。ロッキードの問題は直ちにこれと関係があると申し上げることは適当でないかと思いますが、すでに日本の安全、日本防衛のためにわれわれがきめております防衛計画に基づいてその内容を整備するためにやっている。しかし、その防衛計画がどこからきているのだということになれば、やはり関連がある、かように思います。
  90. 辻政信

    ○辻政信君 そういたしますと、日米共同の仮想敵というものがなければなりません。仮想敵もないところに防衛計画はなり立たない。しからば極東における国際共産主義諸国が、日本防衛の仮想敵とみなしてよろしゅうございますか。
  91. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 特に国際共産主義の危険ということを申しているのでありまして、われわれは特に今日共産国との間にも友好親善の道を開くように努めております。私はその国を指定することは適当でないと思います。あくまでも国際共産主義の脅威に対してわれわれが国の安全を守る、それが直ちに共産国を指定して云々ということは適当でないと、かように思っております。
  92. 辻政信

    ○辻政信君 共産主義というものは理論であります。思想であります。これが侵略をするときにはその国の政策となり、その国の力となってくる。しかるに、あなたは国は指定しない。共産主義が脅威だということは成り立ちません。そういうあやふやな観点から日本の重要な防衛計画が立ちますか。
  93. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今申し上げたように、私どもは今日、過去におきましても、実は政府が責任を持ってどこそこが仮想敵国だというようなことは、私は申しておらないのであります。また、すべての国と友好親善を進めていこうという、国の、私どもの方針から申しますというと、とにかくどこそこをあげて仮想敵国というようなことを申し上げることは適当でない、かように考えております。
  94. 辻政信

    ○辻政信君 ではさらに突っ込んで聞きますが、竹島はいつから日本の領土になり、現在どこの県に属しておりますか。
  95. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 竹島は私ども日本の国が始まってから日本の領土であるという考え方を実は持っております。今日もなおそうである。ただ、不幸にしてこれが他の国によって占拠されておるという、不法占拠されているという状態であります。
  96. 辻政信

    ○辻政信君 どこの県に所属しておりますか。
  97. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 島根県であります。
  98. 辻政信

    ○辻政信君 一体日本ができてからといわれるが、国際法的にほんとうに日本の領土となったのはいつからですか。……この時間は除外しますよ。
  99. 中野文門

    委員長中野文門君) 除外いたしません。
  100. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 国際条約とか何かでもって日本の領土にするというようなことできまったのでないように私考えております。あるいは正確にそういう何か法規的な根拠を示せといわれれば、島根県の管轄に属しておりますから、それをきめたものできまったかと思います。
  101. 辻政信

    ○辻政信君 冗談じゃありません。これは明治三十八年の二月、日本世界日本の領土であるということを、日本政府の名においてはっきりと宣告をしております。それからどこの国からも抗議がない、これが国際法的な根拠なんです。そんなに勝手に生まれたものではない。あなたの生まれたのが、お生まれになったのが明治二十九年でしょう、あなたが小学校の三年生のときに、日本政府は竹島は日本の領土である、そうして島根県穏地郡五箇村という名前をつけた。この重大な、侵略されておる重大な地点に対して、総理ともあろうものが、いつ日本のものになったか、どこの県か聞かなければならないというようなことで竹島の問題は解決できません、いかがでございますか。
  102. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私は先ほど申し上げましたように、われわれ日本国民が宣言したときに、われわれの領土になったというのではなしに、その前から日本人はそう信じております。それをただそのときに私は声明したにすぎない、従ってその前からもずっと日本のものであるという、かように考えております。
  103. 辻政信

    ○辻政信君 それでは、そこには日本の施政権が行なわれておりますか。
  104. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 現在は実際占拠されておって、行なわれておらないというのが、現在の状態であります。
  105. 辻政信

    ○辻政信君 施政権が行なわれておらないところから、日本人から税金を取っている、日本人にのみ施政権を行使して、韓国人に取られておる、この事実をどう見ますか。
  106. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 課税の問題は、はなはだなにですが、私正確に調査をいたしておりませんから、その問題は正確に調査した上でお答え申し上げます。
  107. 辻政信

    ○辻政信君 赤城長官は、竹島は李承晩の軍隊で侵略されておるということをここで明言されておる。総理も侵略されておるとお認めになりますか。占拠と侵略とはどう違うか。
  108. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私は不法占拠という言葉を申したのでありますが、不法に占拠されているのが、現在の状態だと思います。占拠するために侵略して、そうして不法占拠したのだということになると思います。こう解釈します。
  109. 辻政信

    ○辻政信君 不法占拠ということが侵略なんです。あるいは日本人をゆえなくして殺すということが侵略です。事実は侵略に相違ない。その侵略ということが、はっきりしておるにかかわらず、政府は何らこれに対して積極的な、それを回収しようという努力がなされておらない。この五年間どういう処置をおとりになったか。
  110. 岸信介

    国務大臣岸信介君) もちろん、私どもは、外交のルートを通じまして、韓国側に強くその不法をなじりまして、これをやめるように請求しておる。しかし、それを韓国側は聞いておらないというのが実情であります。
  111. 辻政信

    ○辻政信君 外交ルートを通じて、いかなる交渉がなされておりますか。
  112. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 二十七年に、日本国政府は、韓国に抗議をいたしておりまして……。
  113. 辻政信

    ○辻政信君 二十七年ではないでしょう。落ちついてお答えなさい。
  114. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 二十七年……。
  115. 辻政信

    ○辻政信君 何月です。
  116. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 一月……。
  117. 辻政信

    ○辻政信君 二十七年は韓国は占拠しておりません。
  118. 岸信介

    国務大臣岸信介君) これは二十七年の一月に、李ラインの宣言を韓国側がしまして、その中に竹島が入っているという事実に対して、日本側はそれに対して、これは日本の領土だということを抗議したのが、二十七年の一月であります。
  119. 辻政信

    ○辻政信君 その次は。
  120. 岸信介

    国務大臣岸信介君) その次は二十九年、韓国が現実に竹島を占拠し、そうして常駐員を常駐させております。これに対して抗議をいたしております。
  121. 辻政信

    ○辻政信君 時間がありませんから、もっと突きたいが、これはあとの機会に譲りますが、日本の竹島が占領されて五年間、一体総理はこういうような認識で、国民の前に竹島が占領されておるという事実を解決する努力がなされているか、どうしてやっているか、全く答弁ができないじゃありませんか。私はこの前の委員会に通告しておる、この点を総理に聞くからよく調べてこいということを。一体ロッキードを作ったとか何とかいって金をかけておきながら、自分の国の領土が敵に取られていたのを五年間見捨てておいて、どこに一体国を防衛すると開き直ることができる。李承晩に片足取られておる。それを知らずにおいて、いつ来るか、どこの国かわけもわからないような、空気みたいな仮想敵国に対して、七百億の血税を使うといいながら、目の前に取られた竹島に対して、その答弁総理として責任を持てますか、あなたは。
  122. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 今のこの点の御質問があることについて、通告があったということでありますが、これは私に連絡がなかったために、私、現実調査をいたしたわけでありませんから、今お答えをした通りであります。私がこの正確な事実についてのなにについて御答弁を申し上げることができなかったからといって、私が総理として日本の国の防衛、及び日本の国がそういう不法に占拠されておることをそのまま等閑視しておるということでは絶対にないと思います。それは御了承願いたい。
  123. 辻政信

    ○辻政信君 もし、あなたの頭にその責任観念があるならば、そんなことは常識ですよ。それでは、別の観点から承りましょう。仮想敵国がないというなら、現在のF86で役に立つ、F86が間に合わぬということは、それよりも優秀などこかの国の飛行機が来るから、F104をとろうとするのでしょう。どこの国の飛行機を目標にしてロッキード採用されたか。
  124. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 具体的に先ほども申し上げたように、私どもどこの国の何を相手にどうするというような考え方では実はおらないのであります。ただ、世界の航空機の発達の現状や諸外国におけるところの軍備の状況というものを常に検討して、日本として適当な、必要な最小限度の防衛力は持とうと、こういう考え方にいたしておるわけであります。
  125. 辻政信

    ○辻政信君 実際の常識から言えば、F86が十分の機数をもって手に入っておる飛行機です。今から作ろうとしておる飛行機、また作っておる。なぜこの86でもってパイロットの養成をしておかぬか。パイロットの養成さえできておれば、源田君が実験したように、短時間のうちに104をこなすことかできる。そうすれば、104は数機だけ買ってきて、その訓練研究をし、いざというときに、パイロットさえおれば、アメリカも供与するだろうし、買うことができる。国産するほど不経済なことがどこにある。もしこれを国産したならば、五年たってF86と同じように世界の優秀機から落伍してしまう。そのために使う費用というものが飛行機よりさらに大きいということをお考えになりたいのです。
  126. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 飛行機操縦に当たるところの者を養成するということは、御指摘のように、非常に大事だと思います。ジェット機に対する基礎的な訓練というものをF86でいたして養成しておる現状も、辻委員の御承知通りであります。ただ、これで操縦する人を訓練だけしておけば、優秀なF104Cというようなものは持たなくていいじゃないかというお考えでありますが、やはりわれわれは、それに対して、生産するにいたしましても相当の時日を要することでありますし、これを普及するということにつきましても、十分平素から準備をしておく必要があると、かように思いますので、今回の二百機というものはきめたわけであります。
  127. 辻政信

    ○辻政信君 時間がないので、最後の問題に移りますが、国の防衛ということは、祖国のために青年が命を捨てることなんです。従いまして、最高の指導者というものは、国民の先頭に立つ、青年の先頭に立つ気魄がなければならない。しかるに、二十七日のデモに対し、私が終始その現状を見て、あまりにひどいので、あの日の災害対策委員会に乗り込んで、石原自治庁長官に、公安委員長に、はっきり事態の緊急性を訴えた。おそらくあなたもおいでになったから御存じだと思います。お聞きになりましたか。
  128. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私がそれを承りましたのは、災害対策委員会が参議院で開かれておりまして、その席上私に対するいろいろな質問がありましたので、私も出席をいたしておりました。そのときに、メモによって当時の状況についてある程度の情報を受けております。
  129. 辻政信

    ○辻政信君 では承りますが、二十八日の朝日の夕刊を読んでみますと、これは「柳井電」として、「岸首相は二十八日午前十時から山口県熊毛郡田布施町の自邸で記者会見を行ない、次のように語った。デモ隊が国会に乱入した事件を今朝知って驚ろいた。これは重大な民主主義の危機だ。」と、こう述べてある。あなたはあの席上で聞きながら、新聞記者には翌朝知ったとうそをついておられる。これはどうですか。
  130. 岸信介

    国務大臣岸信介君) そんなことを私は申しておりません。けさ知ったなんということは申しておりません。それは出る前の情勢についても話が記者会見のうちにありました。決してけさ知ったなんということは申しておりません。
  131. 辻政信

    ○辻政信君 これは朝日のミスとして、やめておきましょう。問題は、あなたはあの混乱の東京をあとにして、山口県に六時三十分におたちになっておるが、御尊父の五十周忌に参加なさるということは、人情としてわかります。わかりますが、総理大臣というものは、その人情を越えるだけのきびしい責任がある。その責任を、単に議長だけに、あるいは党の幹部にまかして、総理が一時たりといえども東京を離れる、こういうことで一体議会政治が守れると思うのですか。
  132. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私は、あの時に、情勢をいろいろ判断をいたしまして、それから、この院内の問題については、言うまでもなく、議長の責任において処せられる問題であり、また党としても、これに対する党総裁としての指示をいたしておりますし、また、官房長官にも政府としての必要なことを指示いたしまして、しかしながら、もしどうしても緊急であるということであればいつでも飛行機で帰ってくるということを申して出かけて行ったわけでございます。
  133. 辻政信

    ○辻政信君 岸さん、よく考えて下さいよ。あの当時は、実は与党議員の中にも、自衛隊を出さなければならぬという事態にまで切迫しておった。現に防衛庁では万一に応ずる出動の準備までも頭に考えておったときに、あなたは総理であると同時に、自衛隊の最高指揮官、それが一体、万一出動するかどうか、それを山口県から電話で指示できますか。この重大なときに、東京の混乱を与党の幹部であるとか、あるいは両院議長にまかせて、総理が離れるということ自体が……。去年の警職法はどうです。あの会期延長のときには、当院から便所へ行くと称して出て行っておる。今度はまた、この混乱をしり目にかけて法事に出かけておる。もし万一、日本が外国から侵略されたら、ワシントンへでも逃げようというのか。国民日本以外に逃げるところはない。私が言うのは、ほんとうにあなたが真剣に国を憂え、また、防衛庁の最高の責任者であるというならば、この危急なときにどうして東京を離れるか。それで良心に何か責任をお感じになりませんか。
  134. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私は、あのときの情勢を実際に見、またおったのでありますから、今言うように、自衛隊を出せというような話も一部にありましたけれども、私はそういう場合、あの事態に対して自衛隊を出すべきものでないと確信をしておった。そういう処置をとるべきものでないと、こう考えまして、そうして事態を見ておったが、離れても、この事態について非常に不測のことが起これば別であるけれども、私の責任において考えるだけの状態であるならば、私が一時この東京におらぬことも差しつかえないという十分確心を持ってやったことでありまして、決して私が国を憂える状態がないとか、またあのときに、そういう自衛隊を出すとか、そういうようなことをすることが事態を収拾する上において、あるいは国会の権威を保持する上において適当であるとは、私は今でも思っておりませんし、そのときも思わなかったのであります。
  135. 辻政信

    ○辻政信君 最後の一問。私は言うのですよ。終始、チャペル・センターからここまで三時間、赤旗の連中の動きを見ておった。陛下のお通りになる国会の表玄関に小便をひっかけて行く。そして、学生の中には、岸を殺せという声が起こっている。与党議員も、ちょっと近寄れない。しかも、そこに野党の社会党の書記長が先頭に立っておる。こういう事態です。あれでおさまったからいいが、警官は四百何十名やられておる。血を流しておる。七百名の負傷者を出し、一万二千のあの群衆に六千の警官で人がきを作ったけれども、ぶち破られておる。あれでおさまったからいいものの、あれが一体大混乱になったら、その責任はどうするのか。全学連の青年でも日本の青年ですよ。押しかけてきたら、あなたは表にいて、あるいは外のバルコニーに立って、青年に総理としてじゅんじゅんとして説くだけの気魄と信念と勇気がなくて、どうして一体一国の総理ということができるか。それよりもお父さんの五十周忌が大事ですか。総理大臣個人じゃありません。この危急なときに、あなたこそ、「学生諸君、間違っておる」、なぜその演説をあの機会に総理みずからできないか。これ以上聞きません。いかがですか。
  136. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 先ほど私の信念については申し上げた通りでありましてその点については、辻君の御意見と私の当時の判断及び何が違うということを御了承願いたいと思います。
  137. 中野文門

    委員長中野文門君) 本日の委員会は、これをもって散会いたします。    午後零時二十九分散会