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1959-11-12 第33回国会 参議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十二日(木曜日)    午前十時三十九分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     柴田  栄君    理事            鈴木 恭一君            手島  栄君            松平 勇雄君            森中 守義君    委員            黒川 武雄君            寺尾  豊君            野田 俊作君            最上 英子君            谷村 貞治君            鈴木  強君            野上  元君            光村 甚助君            牛田  寛君   国務大臣    郵 政 大 臣 植竹 春彦君   政府委員    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    郵政政務次官  佐藤虎次郎君    郵政大臣官房文    書課長     畠山 一郎君    郵政大臣官房人    事部長     佐方 信博君   説明員    郵政大臣官房電    気通信監理官  岩田 敏男君    郵政省監察局長 荒巻伊勢雄君    郵政省郵務局長 板野  学君    郵政省経理局長 西村 尚治君    日本電信電話公    社総裁     大橋 八郎君    日本電信電話公    社運用局長   山下  武君    日本電信電話公    社経理局長   山本 英也君    日本電信電話公    社資材局長   和気幸太郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件郵政事業及び電気通信事業運営並  びに電波に関する調査の件  (郵政省所管事項に関する件)  (日本電信電話公社事業概況に関す  る件)  (海外通信政策等に関する件)  (郵政職員の定員問題に関する件)   ―――――――――――――
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより開会いたします。  本日は、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。まず、郵政大臣より所管事項概況について御説明をお願いいたします。
  3. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 郵政省所掌事務について、災害状況等概略を御説明申し上げたいと存じます。七月以降数次にわたる局地的豪雨台風等により、通信関係におきましても大きな被害を受け、職員中からも犠牲者を出し、また、多数の被災者を出しましたことは、まことに遺憾でありまして、これらの方々に対して深く哀悼と同情の意を表する次第であります。  まず、七月十四日には、北九州西中国局地的豪雨があり、八月十四日には台風第七号の来襲により、近畿、中部、北陸及び関東の各地方にわたりかなりの被害が発生いたしました。特に山梨、長野両県下においては、河川のはんらんにより道路が破壊され、郵便物運送線路にも被害があり、一部地域郵便物欠配遅配を生じ、また、電信電話回線被害は約四万六千に達しました。次いで、八月二十六日には石川県等数県に集中豪雨があり、特に能登半島における被害が甚大でありました。また、九月に入っては、九州、四国及び北海道の各地方台風第十四号が襲い、特に九州北海道において郵便物集配運送被害を与え、また、電信電話回線約一万七千が罹障いたしました。  次に、本年度最大被害を与えました台風第十五号、いわゆる伊勢湾台風が、東海近畿中心として、九州を除くほとんど全土にわたって被害を与えました。その被害状況につきましては、先に本委員会におきまして御報告いたしましたので、詳細な説明は省略させていただきますが、現在なお平常に復していない個所が郵便電信電話ともにいまだにありますことはまことに遺憾でありまして、その完全な復旧を一日もすみやかにするために努力を続けております。  これらの相次ぐ台風豪雨等によりまして被害を受けました郵便局舎は、半壊十三、水没二、床上浸水二百四、床下浸水百六十八、破損一千八百七十三、合計二千二百六十となっております。郵政職員中の被災者もきわめて多く、家屋の全壊三百四、流失四十六、半壊一千六百十六、水没三十六、床上浸水二千三百十二、合計四千三百十四に及び、また、死者八名、重傷五名を出しました。被災地に対しましては、郵便貯金の非常払い、簡易保険の即時払い、簡易保険資金融資お年玉寄付金配分等資金面からの援助簡易保険救護班による医療救護を行ないましたほか、電報料金免除電話料金払い込み猶予無料電話設置NHK受信料免除等援護措置実施いたしております。また、被災職員に対しましては、給与の繰り上げ支給弔慰金見舞金支給医療救護等を行なって、極力その救済をはかった次第であります。私は、去る九月二十九日から十月二十三日まで、欧米各国に出張し、国際電気通信連合全権委員会議出席し、あわせて欧米諸国における郵便施設事務運営、さらにラジオ、テレビ、ことにカラーテレビ実情を見て参りましたので、その報告をいたします。  まず、全権委員会議についてでありますが、私が首席心権妻貝として出席を命ぜられ、十月十三日ジュネーヴに到着し、翌十四日の開会式におきまして、議長開会あいさつに引き続き各国代表全員代表してあいさつを行ない、特に電気通信における技術援助必要性を強調いたしましたところ、東南アジア諸国を初め、電気通信施設発達につききわめて熱心な国々に好感を与えたように思われます。この会議には、八十六ヵ国の代表約四百名が参加いたしておりますが、副議長にはわが国奥村大使が選ばれ、七年前のプエノスアイレス会議に比して日本国際的地位向上したことを今さらながら痛感いたしました。わが国から派遣された代表者各位も士気旺盛で真剣な努力を続けておりますので、この会議に対して、わが国は多大の効果を上げ得るものと考えます。かくて会議当初における任務を一応果たすことができましたので、一切の後事を奥村全権並びに当省松田全権等に託して帰国いたした次第であります。この会議につきましては、皆様から多大の御後援をいただき、特に衆議院から淺香、片島両議員並びに参議院から寺尾、山田両議員が現地においで下さいまして、絶大な応援をいただきましたことに対して深く感謝いたしておる次第であります。次に、郵便事務につきましては、米国ワシントンにおいてその機械化実情を視察して非常に参考になりました。なお、イタリアにおいては郵便事務運営郵便電信電話発達経路も見て参りました。  次に、カラーテレビにつきましては、米国、英国、オランダ、フランス及びイタリアにおいて、それぞれの政府首脳者と会談し、また、その実況も見て参りました。  これらの各国のうちもカラーテレビの本放送を行なっているのは米国だけでございますが、NBCの説明では、一時停滞ぎみでありました受像機数上昇率も本年八月から急に再び顕著になり始めたということであります。米国以外の各国では、いずれも実験の段階であり、標準方式の統一を待ちながら研究を続けております。  なお、全国会には、大臣官房官房長を置くことを内容とする、郵政省設置法の一部を改正する法律案を提出いたしましたので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  以上をもちまして私の説明を終わります。  さらに、これに、皆様に御配付申し上げました書類にはございませんが、一言つけ加えさして御報告申し上げたいと存じまするのは、最近、東京都内におきまして郵便物遅配欠配等が生じておりますことは、担当責任者といたしましてまことに遺憾に存ずる次第でございます。この問題につきましては、この問題が始まりまして以来、私たち担当者におきまして鋭意問題の解決、ことに円満に解決いたしまするように努力しておる最中でございますけれども、何とぞこの点御了承賜わりまするように、あわせてお願い申し上げまして、私の御報告を終わります。  それから、ただいま御報告申し上げましたところに、さらに今日までの郵政関係懸案事項のおもなものについて御報告を申し上げたいと存じます。
  4. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 発言を許します。
  5. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) それでは御報告申し上げます。  定員法の拘束を脱して事業官庁としての特性から何らか新しい道を開くべきではないかとの意見につきましては、公務員制度全般に関連するものであり、関係主管庁中心検討が重ねられておりますが、政府部内としての意見一致はいまだしておりません。なお、鋭意研究いたしたいと存じます。  郵政事業職員電波関係等職員との給与の格差の是正につきましては、次の三つの方法検討いたしました。  第一は、公共企業体等労働関係法適用を受けられるように措置し、賃金、その他の給与等団体交渉により決定する方法でありますが、この法律の目的から考えまして、企業体でないところの電波行政を包含させることはきわめて困難であると考えられます。   第二に、現行一般給与法適用職員の身分のまま、正波行政の特色を考慮して俸給表を別個に作成適用する方法でありますが、これについてもごく一部に限定されます関係上適切でないと考えられます。  そこで、第三の方法として、給与特例法規定に準ずる単行法を制定し、郵政事業職員との均衡を考慮して給与を定めることができるようにすることが適当の方法と考えられますので、当省としては、この線に沿って今春以来とりあえず人事院に検討をお順いしている次第であります。  郵便貯金特別会計の赤字につきましては、昭和三十四年度末に四百十七億円となる見込みでありまして、この歳入不足のために受け入れました補てん額について、将来、郵便貯金会計が黒字になりましたときに一般会計に返還するかどうかにつき大蔵省ともいろいろと話し合っておりますが、今のところ法律を改正して返還義務規定を削除するというような段階にまでは至っておりません。しかし、なおよく検討していきたいと思っております。  簡易保険民間保険競合につきましては、第二十八通常国会において簡保保険金重荷制限額を二十万から二十五万に引き上げる法案を御可決いただきました際の附帯決議もございましたし、かつ、簡保の将来の運命を左右する重要な事柄でありますので、昨三十三年八月に郵政審議会に諮問いたしておりましたところ、郵政審議会におきましても、特に小委共会を設けて慎重審議を重ねられ、去る十月三十日の会議におきまして、諮問事項に対する答申をいただきましたので、目下できるだけ、この答申を尊重し、この線に沿うべく事務当局検討を命じているところでございます。従ってまだ研究中であるわけですが、回答中では競合を避ける方法としての簡保国営独占について、「独占を復活すべき特別な理由は認められない」といっておりますし、かつ現在、簡保にも民保にも、また農協の生命共済にも未加入世帯が全世帯総数の三七・二%もある状況でございますし、さらに欧米外国に比しても生命保険普及がなお低いわが国状況からしまして、独占を復活せずとも簡保伸長余地相当あるのではないかと思われます。  次に簡保民間競合状態解消策として、両者間の分野の調整でございますが、現状におきましては、先ほど申し上げました普及状況が示しますように、なお両者ともおのおのその特長を生かしまして事業の進展をはかり得る余地がございますので、まだその時期ではないと判断をいたしております。  なお、現在は簡保事業経営上、独占時代と同じような諸般の制約がございますので、できるだけそれを撤廃する方向に努力いたしたいと考えております。  簡保年金積立金運用につきましては、やや不十分な体制になっておりますが、これも運用再開当時のいきさつから考えますと、やむを得ないものがあったかと考えられます。しかし、再開後すでに五年以上も経過したので、当方資金をもって融資するものについては、当省と自治庁で協議して決定するという本然の姿に戻ることが妥当だと存じ、関係省庁と話し合いを進めております。地方債財政投融資計画の中で組まれ、かつ交付金補助金等支給との関係もあり、自治大蔵両省個別詮議の中に当省も参画することは、なお検討余地があろうかと存じますが、財政資金としての協力運用を行います際に、地方債協力すべき総額なり、地方債事業別分担等については、自主的な立場を堅持しておりますし、また政府関係機関等選別融資額も同様な立場で行なっております。   また、先般、財政投融資計画諮問機関である資金運用部資金運用審議会委員二名の改選の際には当方の推薦する方を選任する等、当省の意見を反映させております。  なお、資金運用の方針として、利回り向上観点から大蔵省に預託しております余裕金自主運用並びに金融債、社債、株式に運用範囲を広げることも鋭意検討中であり、地方還元観点からは、九月一日から団体契約者貸付実施いたしまして、契約者の共同の利益となる施設設置融資する等、自主運用に対する努力をいたしております。  特定郵便局制度調査会答申につきましては、郵政省としてはこれを尊重することに決定し、当委員会にもその旨御説明申し上げておりますが、なお個々の問題につきましては、必要に心じ適切な措置を講じてゆきたいと考えております。  以上をもちまして御報告を終わります。
  6. 光村甚助

    光村甚助君 特に発言を許していただいてお尋ねしたいのは、この前の委員会の席上で、全逓との団体交渉の問題で二百五十円の支給の問題を質問したのですが、当時大臣は、留守だったので、大方政務次官にお話を申し上げました。そのときの中に、私からの発言で、前大臣の、当時の大臣でありまます寺尾さんに対して、われわれは再三陳情いたしました結果、当時寺尾さんは、自分の食を賭しても支給してやるということを我々は承って、非常に安心し期待をしていたわけでございます。ところが現在の大臣になってから一つも話が進まない、ぬらりくらりの答弁で、いつ支給するかわからないというようなことで非常に困っているわけです。ちょうど幸い前大臣と現大臣とここにおられますので、絶好の機会だと思いますが、寺尾さんは大臣事務引き継ぎのときに、この問題をどういう工合に現在の大臣にお引き継ぎになったのか。当時私たちに対して非公式であったけれども大臣として自分は職を賑しても支給することに努力するということを約束されたのです。やはり政治家として一ぺんそういう問題を引き受けた以上は、寺尾さんだって副議長もやったし、郵政大臣もやった有名な人なんだから、われわれに約束をほごせられるようなことは私はないと思うのだけれども、その当時の事情と現在の寺尾さんの心境、また現在の大臣は、寺尾さんは職を賭しても支給するというようなかたい決意を持っておる。あんたの決意なんというものは実にあやふやなものだから、その間のいきさつを、ちょうど二人おられますので、冒頭に一つお聞きしたいと思いまして、特に発言を求めた次第であります。
  7. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 事務引き継ぎがございました際に、寺尾大臣からこのことの重要性を話されまして、寺尾大臣といたしましても、一生懸命に御努力されまして、なお私に一生懸命に努力すべきであるという意味引き継ぎがございました。寺尾さんが職を川してもとおっしゃいましたお言葉は、私としては一生懸命に、きわめて一生懸命にという強い熱意を御表現なさったものとして事務を引き継いだのでございます。ちょうど必死になってやると申しましても、その成功しなかった場合に、別に必ず死ぬ、自殺するというわけでもない。必死と申しましても、それは一生懸命にやるんだ、もうほんとうに一生懸命にやるんだというその熱意を披瀝されました意味をもちまして、職を賭してもというお言葉があったものと私は解釈いたしまして、事務を引き継いだ次第でございまして、私もこの問題は、同じこの郵政屋棟で苦楽をともにしておりますこの従業員諸君に、その待遇をよくしたくないと考えます行政担当者は歴代一人もないわけで、私もその熱意ほんとうに燃えております。早く支給したくてしようがない、これが私の心境でございます。ところが御案内の通りに、予算総則にもああいう制限がございますので、また、なかなか渡したいと思いましても、大ぜいの人数でございますので、財政上もなかなか困難がございまして、その財政の困難を何とかして踏み越えて、出せるようにしたいものだと大蔵省とも話しますが、大蔵省としてもこの財政の打ちあけ話を披瀝されますと、なかなか捻出が困難であることを見受けております。そこで、全逓におかれまして正常化されまするというと、これはいやおうなしに仲裁裁定がさっそくにおりることになりますので、そのときには私たちは、予算総則にかんがみまして、支払いの義務が生じるわけでございますが、そういうふうな場合には、大蔵省幾ら財源がないと申されましても、どんな緊急な資金の必要があっても、それをあと回しにして、仲裁裁定実施するために大蔵省としては措置をしなければならない。従って私たちもその際には喜んで支給できる段階になる。さように考えまして、それでなくても、財源がある場合には、仲裁裁定のいかんにかかわらず出してもらうということを強く努力している最中でございます。
  8. 寺尾豊

    寺尾豊君 お名ざしで光村先生から私への何か御質疑のようにも拝聴いたしましたから、一言申し上げたいと思います。  私は、ただいま植竹郵政大臣の御発言を拝聴して、まことにごりっぱだと思います。あくまでも、全特定諸君にも支給するように努力をしたい、そう考えているんだ、そういう熱意を持っているんだというお言葉は、私がその当時に当面いたしました私の責任の問題といたしまして、なるほど仲裁裁定、こういったようなものを全特定と、全逓信労働組合との正式団交が行なわれないという形において、これを理論上から言えば問題がなるほどあったのでありますし、またさような考え方は、私は政府としてやむを得ない考え方だ。しかし少数の従事員にこの裁定をした、大多数の全逓信労働組合にこれを考えないということは、私は政治としてあり得ない。大蔵大臣もまたこのことに対しては相当理解を持っておったのであります。その財源、あるいはその考え方等については、もちろん意見もありますけれども、同じ事業に携わる従事員に対する待遇としては、この仲裁裁定がある部分実施をせられたならば、全逓信労働組合にもできるだけそれと差異のない同じ昇給あるいは待遇をなすべきだということは、現大蔵大臣も当時私にも話をさせられました。また予算委員会に置いてもさような発言があったかに私は記憶をいたしております。従いまして、私どもの考えておりますこの問題に対しましては、植村郵政大臣の御発言もその御趣旨にお考えになっているかに私は拝聴いたしました。さような次第でありますから、一つこの点は何とぞ御了承願いたいと思います。
  9. 森中守義

    森中守義君 私は、この問題はきょう午後、委員会案件に出ておりますから、そのときまた関係委員の方からも、ただいまの郵政大臣の御答弁のあった内容についていろいろ質問があるかと思いますが、特に今大臣答弁の中で大事な点がありますから、本来ならばここで絞め上げることだけれども、情けがあるから、御注意申し上げておく。あなたは今、財源理由として支給できないということを口をきわめておっしゃった。ところが前の委員会佐藤政務次官及び事務当局も、財源が問題ではない、筋が問題だ、こういうようなことを答弁されている。また私どもも、その筋が通るか通らないかという郵政当局判断であるから、意見一致を見ていないのであります。財源ではありません。外国に行ってお帰りになって、どのくらいたったかわかりませんが、もら少しその辺の事情をとくと勉強してもらわないと答弁にならない。従って午後のこの案件に入るまでにもう少し事務当局に、いろいろ勉強してきなきい。それだけ特に御注意申し上げておきます。   ―――――――――――――
  10. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 次に、日本電信電話公社総裁より、事業概況について御説明を願いたいと思います。
  11. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) 日本電信電話公社昭和三十四年度における災害状況並びに電信電話拡充第二次五ヵ年計画の改訂つきまして御説明いたします。  九月二十六日の十五号台風による通信施設被害状況とその復旧状況につきましては、前回の委員会において概略報告いたしましたが、その後の状況について申し上げます。  十一月十一日現在、市内電話回線につきましては、大部分応急復旧を終わりましたが、最も被害の大きかった東海地方では、名古屋市南部で約四百回線、店愛知海部郡一帯で約五百回線、三重県富田局で約四十回線が依然罹障しております。これらの地域局合あるいは全加入者宅が冠水罹災したため、復旧は村当困難な状況であります。市外電話回線につきましては、海部郡及び半田周辺ローカル同線約二十回線を除き他の銅線は全部復旧しております。  これらの地域につきましては、それぞれサービス・カーによる出張受付無料公衆電話設置移動無線等緊急措置を講ずることによりまして、重要通信の確保に努めるとともに、復旧を一日も早からしめんと鋭意努力を続けております。  また、電報につきましては、十月六日までに名古屋近辺冠水地域あてのものを除き、全国主要局において停滞する電報は一掃することができ、おおむね平常状態復旧いたしました。  次に、本年度現在までに発生した台風等公社施設相当の損害をこうむったものは、ただいま申し上げました十五号台風のほか、七月十三日の九州豪雨、八月十四日の七号台風、八月二十六日の能登豪雨及び九月十七日の十四号台風でありますが、これらに伴う被害は例年に比しきわめて甚大であり、合計いたしますと、市内回線約三十七号三千回線、市外回線約二万二千回線、電信同線約千三百回線が障害となり、職員罹災も死亡一名、負傷三十一名を初め家族及び住宅についても相当被害がございました。施設被害に対する復旧につきましては、公社職員並びに自衛隊等部外者協力により早期復旧を見ており、罹災職員に対しても見舞金支給応急収容社宅建設等、できるだけの手段を講じております。  これら災害に伴う復旧費は二十八億円に達する見込みであり、その内訳は、応急復旧費二十二億円、本復旧費六億円であります。  この予算措置につきましては、本来災害復旧の支出は、経費の流用及び予備費解除をもって措置するのが妥当であると考えますが、本年度は、ただいま申しましたように復旧費が多額に上るのみならず、予備費は三月及び八月の二回にわたり公共企業体等労働委員会より示された仲裁裁定実施等に充当する必要がありますので、既定成立予算内で復旧費を捻出することは困難であります。  従いまして、復旧費二十八億円につきましては、既定経費の差し繰りにより八億円を充当し、残余の二十億円については予算総則第二十二条により本年度増収額の一部をもってまかなうことといたしております。なお、七号台風及び十五号台風に伴う本復旧費は、三十五年度におきましてもなお約五億円程度必要でありますので、この分につきましては三十五年度予算に追加して要求いたしました。  次に、電信電話拡充第二次五カ年計画の改訂について申し上げます。  公社は、昭和三十三年度から第二次五カ年計画に基づき電信電話拡充実施して参りましたが、最近における加入電話並びに市外通話の需要の伸びはまことに著しいものがございまして、既定の規模をもってしては電話需給状況は逐年かえって悪化することとなり、また市外通話サービス改善等につきましても所期の目標を達成することはとうてい不可能であることが明らかになって参りました。このような情勢に対応しまして、国民一般の要望にこたえるとともに、日本経済の発展と国民生活水準向上に寄与するためには、既定計画を大幅に拡大することを必要と考え、昨年来鋭意作業を続けて参った次第でありますが、本年八月、ようやく第二次五カ年計画の改訂案の作成を終了しました。  その大綱を申し上げますと、加入電話につきましては、三十五年度以降三カ年間で少なくとも約百三十万の増設を行ない、五カ年計画期間中には既定計画百三十五万に対し百八十万余を増設することとし、公衆電話につきましては三カ年間で七万個を増設し、五カ年計画期間中には既定計画六万五千個に対し約十万個の増設を行ない、市外回線増設につきましては、加入電話の増設計画数の増加並びに最近の市外通話需要の増加に対処し、三カ年間で約四百二十万キロを増設し、五カ年計画期間中には既定計画の約四百三十万キロに対し約五百七十万キロの増設を行なうこと等を中心としております。  この改訂案を実現するために必要な建設資金は、三十五年度以降三カ年間に約四千五百億円、第二次五カ年計画全体といたしましては既定計画の約四千百億円を大幅に上回わる約六千二百億円に達するのであります。このような巨額の資金は、公社の自己資金のみによっては、とうていまかなうことができないのでありまして、財政融資、公募債券の発行等の資金措置のほか、加入申込者等に対し従来以上の御協力をお願いしなければならないことと存じますので、これらの点につきまして皆様方の深い御理解と絶大な御支援をお願いする次第であります。  以上をもちまして説明を終わります。   ―――――――――――――
  12. 柴田栄

    委員長柴田栄君) では、これより調査案件に関連して質疑に入りたいと存じますが、まず電電公社関係について御質疑のある方はどうぞ御発言を願います。
  13. 鈴木強

    鈴木強君 電電公社の質問をする前に、ただいま郵政大臣から所管事項説明がなされたのでありますが、私は今光村委員からもお話がありましたように、少なくとも国会に臨むに際して、郵政大臣所管事項説明ということは、前例から見ましても、非常に重大な全逓との現在の紛争等のことについてもお考え方が今まで述べられておったわけでありますが、今回は故意かどうかわかりませんが、全然触れられておりません。その中で今二百五十円の問題も出たのでありますが、国民が非常に心配をしておりますのは、きのうですか、新聞等に発表されましたように、非常勤三百万人かを動員してやるというようこともいわれておりますし、それから産経新聞などを見ますと、災害救済切手を発行する計画もお持ちのようなんですね。ですからそういったものも含めて、われわれが国会立場から非常に心配をしている重大問題に対して触れられておらないことを非常に遺憾に思います。むしろ進んでそれらの点につきましても御報告がほしかったということを私は希望するわけであります。  なお、前委員会において私が、日本の海外通信政策について御質問申し上げたわけでありますが、当時佐藤政務次官も御出席でございましたが、事が重要でありますしするので、大臣がお帰りになったあと、よく相談をして適切な答弁をいたします、こういう政務次官のお答えがありましたので、私はそれを了承して、この委員会を迎えたわけでありますが、大臣もお帰り早々ですから、いろいろな事務整理で忙しかったかもわかりませんが、従来のいきさつ等もお聞きになって、私の質問の前に、むしろ進んで、保留されているそういう問題についてもあなたの御所見を承りたかった。特に海外を視察して、問題のカラー・テレビの方式についても問題になっておりますが、ただ単にどこを回ってきたということもけっこうでありますが、少なくとも問題になっているこれらの問題に対して、あなたがこの委員会にあたって、砂糖はなめてみなければわからぬということでお出かけになったわけでありますから、まあ大体なめてみて、甘いか辛いか、どのくらいかということは、おわかりになっていると思いますので、そういう方向ぐらいは、私は進んでその御説明がほしかったわけでありますが、これらの問題につきましては、いずれまた機会をあらためて御質問することにいたしますが、当初私がこの前質問をいたしました海外通信政策について、一つこの際最初にお答えをいただきたいと私は思うのであります。
  14. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ただいま海外の通信政策につきましては、無線と有線とケーブルの問題があるわけでございますが、それからまた、無線の方につきましては、電波の割当問題もございますし、それからまた海外の通信政策を、海外における技術援助、通信に関しまする海外の設備をどういうふうな機構で、どういうふうにやっていくかといったような問題が多々あるわけでございますが、実はきょうはその考えを、ばらばらには持っておりますが、まとめましたものをこの次の委員会でまとめて御回答申し上げさせていただければけっこうだと思いますが、いかがでございましょうか。
  15. 鈴木強

    鈴木強君 それは大臣がけっこうだというので、私は一般的にカラー・テレビの問題とか、今私が指摘したような問題はあとでいい。しかし、前回の委員会で、アジア通信協力会議というものが、大臣がこちらにいらっしゃる当時、判こを押したのかどうか知りませんが、定款もでき上って発足しているわけであります。それと、その前にちょっと質問をした、太平洋同軸ケーブルの問題とあわせて、日本の海外通信政策というものが、郵政省としてどういうふうにお考えになっているか、このことを具体的に幾つかの例を出して御質問したわけであります。たとえば、公社が今ベトナム、フィリピン等に対して通信の建設計画に対して協力をしておりますが、これらの問題についても、やはり現在の公社法や有線電気通信法から見て、どうもわれわれは疑義があると思うのです。太平洋ケーブル一つを見ても、私が質問したように、政府は本腰をもってやっておられるというのだが、実際にはKDDとATTとの話し合いがどんどん進んでいるようなんだが、四十年ごろになると、海外の電波等も非常に割当が困難になってくる、行き詰まりがくると思うんです。そういう一連の政策に対して、当面どう考えておるのかということを私は質問したんです。それは、佐藤政務次官もいらっしゃいますが、御不在の委員会でありましたから、経過はお聞きになっていらっしゃるんですか。そういうお話を聞いているんですか、聞いていないんですか。聞いていれば適切な答弁ができるはずなんです。私は、どうも委員会に対して不親切のような気がしてならないんです。この次は責任のある答弁をいたしますということを、少なくとも政務次官がここでおっしゃったので、私はそれを了として引き下がっているのです。できればこの際、御連絡もあったと思いますが、それに対して郵政省はこういくんだということをお答えができると思うんです。そういう引き継ぎはなかったのですか。
  16. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 実は打ちあけ話でありますが、まとめ上げてまだ答弁資料を作っておるわけではございません。ただいま御指摘のように、個々の御質問がありますと、それについて御答弁申し上げたいと思いますが、まず、アジア通信協力会の問題でございますが、公社がベトナムにつきまして調査をいたしましたことは、これはあの際、日本の持ちます海外の調査機関につきましては、公社調査に応ずることが、あの際の適当な措置だったと存じますが、しかし、だんだんにさらにあれ以上の積極的ないろいろな海外施設の問題になりますと、公社がそれを担当いたして参りますることは、公社本来の業務も非常に繁忙であるという立場からいたしましても、またこれを遂行できないというふうな観点から、アジア通信協力会が発足いたしましたと承知いたしておりますので、このアジア通信協力会の活動に待ちまして、その海外協力を果たして参りたい、さように考えております。  この同軸ケーブル無装荷の搬送等、いろいろと問題はございますけれども、これにつきましては、お話がだいぶ専門的になりますし、それからまたアメリカのケーブル設置の意向もいろいろあるようでございますが、その詳細につきましては、私としましてはまだ承知いたしておりませんけれども、大体のことにつきましては、そういう問題がございまして、そのターミナルがどこへいくか、さらに日本としては、そのターミナルをどっちへ持っていってもらいたいとかいう希望も出るわけでございますが、それらのことにつきましては、専務当局から御説明申し上げさせたいと思います。
  17. 岩田敏男

    説明員(岩田敏男君) ただいま鈴木委員からの御質問でございますが、前回の委員会鈴木委員から、海外通信政策というものはどういうことを考えているのかという御質問がありまして、これにつきましては政務次官から、大臣がお帰りになってからお答えするということを申し上げたわけでありますが、事務当局といたしまして、大臣に十分まだお話しする機会を御ていませんので、その点まことに申しわけないと思っておりますが、一応われわれとして平生考えていることにつきまして申し上げてみたいと思います。  そこで、海外通信政策というものは、一体どういうものが海外通信政策なのかということは、非常にむずかしいわけでございますが、海外通信政策を確立するために、どういうような基本的な考え方が必要かということを考えてみますと、やはり戦後特にそうでありますけれども日本が国際社会の一員としての立場というものを重視していかなくちゃならぬのじゃないかという点、それから国力増進ということを考えますと、貿易増准ということに電気通信が非常に関係しておりますので、そういう意味から電気通信の役割というものを十分認識して、その上に立って進めていかなければならないんじゃないか。さらにその電気通信というものの役割を考えると、電気通信の技術がもとになりますので、技術をいかに伸ばしていくかということが基本の考え方になるのじゃないかと考えております。まだほかにいろいろあると思いますが、そういうような基本的な考え方をもとにいたしまして、しからば従来どのように海外通信政策の具体的なことを考えておったかということになるわけでございますが、それには具体的な問題で、個々のケースにあたってそれぞれ従来も考えておったわけでございますが、たとえば合理的な料金あるいは良質のサービスの提供という原則をやはり考えて政策を立てていく。あるいは海外通信回線の拡充ということもこれは積極的にやっていかなければならない。そうして技術援助というものも、これは大いに進めていかなければならない。こういうようなことを具体的な問題として進めて参っておるわけであります。しかし、そういうことをやるにいたしましても、いろいろとそのために必要な予算というものがやはり必要でございまして、それはいろいろな海外の情報の収集とか、そういった活動をもっと充実していかなければならない。あるいは国際会議等への積極的な参加によって日本立場というものを十分説明し、そうして国際協力をしていくということが必要である、あるいは先ほどもありましたけれども、海外の技術援助というものを大いに進めていく。こういうような意味合いをもって、一面には間接的なそういう面について進め、直接的には個々の問題について、ただいま申し上げたような考えのもとに進めて参りたい、こういうことであります。しかし、これらにつきましては、先ほど大臣からもお話しがありましたように、まことに個々ばらばらでございまして、われわれとしては、さらに今後一そう勉強して、しっかりとした政策というものを立てて進めて参りたい、こう考えております。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 まことに頼りない答弁で、私は非常に不満なんでずが、きょうは全般的な問題を取り上げましても、若干あなた方の方が認識不統一のようですから、二、三私は具体的な問題で一つお聞きしたいと思いますが、日本の通信政策の中で、特に電報電話等は、これは民間の国際線がある。放送関係ではNHKが海外放送をやっている。有線はちょっとおきますが、そういうわけで、オペレーションあるいはブロート・キャスティングの方はそういった一つの問題があると思いますが、特に通信機器等、後進地域、特にアジア、アフリカ地域に対して援助していくということになると、こういうことは通産省なり郵政省がその中にお立ちになると思うんですが、そういう経済協力、技術協力、こういう面からものをとらえて参りますと、どうも不十分なんです。ですから、何か国際放送にしても、これはNHK、それから国際電信電話はKDD、こういうふうな組織になっている関係から、それを総合的に今申し上げたような技術協力を含める点も入れて、日本政府がどうあるべきかということは、率直に言ってない。ですからアジア協力会が生まれるにしても、そういう政府の政策がはっきりしないから、業者連中も、後進地域の東南アジア、アフリカでは機器がほしいというが、それをほんとうにめんどうを見てくれるところがない。私は、アジア協力会が商事会社的に、機器メーカー連中の仲介役をするようなものであってはいかぬと思うのです。問題は、設計なり建設なり測量なり、すべての問題に対して、やはり日本協力をしてやらなければできないことだと思うのです。ところが、そういう道は、残念ながら、現在の法的立場から考えてみますと、電信公社がこれをやるにしても、これは公社法の建前から、大臣も言われているように、国内の電信電話事業というものを中心にして国民に奉仕する機関ですから、これが海外まで出てくるということは、現在の法律では私は許されていないと思うのです。そういうふうな一貫した海外通信政策というものが、どうして日本の国にはないのか、それを積極的に推進していこうという道がどうして閉ざされているのか、ここに疑問があるのです。大臣はITUの会議に出ていかれて、日本の通信政策というものが非常に海外では高く評価されておって、各国が期待している、だからその使命は非常に重大である、もっと真剣に考えなければならぬということをお述べになったわけですが、そういう思想が、もう戦後十四年もたっておりますが、個々ばらばらであって、何ら一つの方針がないというところに、日本の海外通信政策というものが行き当たりばったりになっているのだと私は思うのです。ですから、そういう系統的な一連の方針をお立てになって、その中で政府の方針に基づいて、それぞれの関係機関が一体になってやっていくというような方法を作らぬと問題があると私は思うのです。そういう点について、アジア協力というものができましたが、これがどういう性格を持つように将来おやりになるのか、大臣は、直接認可した当該大臣でもありますので、これは通産大臣とも御協議の上できめたらしいんですが、今触れられたように、何か日本の通信政策がないから、そこヘアジア協力会を持ってきて協力を求めたというような、そういう形式的な話じゃ私たちには納得できないんですが、その点はどうなんでございますか。
  19. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) アジア通信協力会議につきましては、まだ、どこの国にどうするという具体的な打ち合せまでは、役所としてやっておりません。まだ発足したてであって、大体において来南アの地域にぜひ技術援助、設備等につきましての活動を開始したいのだということで、その具体的なことを向こうの態勢が整い次第、聴収いたしまして、郵政省としてもそれに対して、このアジア通信協力会を監督いたしますのに、どういう態度で臨むべきか、向こうかう具体的な案が出次第、大至急検討して方針を決定していきたい、具体的の問題については、さように考えております。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 それは大臣、逆ですよ。要するに、あなたがアジア協力会というものを認可されるに際して、やはりこれは国際的な問題がからんでくるわけです。だから、政府としては、こういうような形でやってもらいたいんだという方針があったはずだと思うのです、それを認可するに際しては。ですから、大体アジア協力会がこれからやろうとすることは、どういうことをもくろんでいるのか、ただ、後進地域に対する技術協力をやるのだといっても、それじゃアジア協力会がそういう陣容を整えて、具体的な援助のできる態勢があるのかどうか。私は端的に言って、ただ単なる外国との窓口的な役割を果たすだけであって、実際に施設をし、機器を売り出して、それを建設していくという仕事は、これはだれがやるのですか。ただ単に商事会社みたいなものだったら、こんなものは私はやめてもらいたいと思う。
  21. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) その点はまことに同感で、応じことを考えております。お説の通り、これは単に営利会社的なものであってはならない。    〔委員長退席、理事鈴木恭一君着席〕 アジアの海外通信の一環として、この問題を考えていきたい。日本は平和的な技術相互援助態勢をもってこれに臨んでいきたい、さように考えております。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 私は、極端なことを言ったのですが、アジア通信協力会議というものが必然性を持って生まれたとは思えないのです。大臣も認めておられるように、政府の確たる通信政策というものがないから、関連する人たちが見るに見かねて、何かやらなければ、この日本の技術水準というものがせっかくの宝の持ち腐れになってしまうじゃないか。大いに日本の技術を導入したい、援助を受けたいという国がたくさんあるわけですから、そういう国に対して何らかの協力をしなければならぬという立場から、自然発生的に私は生まれてきたものだと思うのです。ですかうこれをこのままの形でいくのか、あるいは一歩進んで、政府が国策としてのそういうものを作って、その中で一元的な統制を加えつつ、しかも高度な技術水準というものに対して協力していく態勢を作るのか、こういう問題があると思うのです。だから、自然発生的にできたものを、それを易々として政府はずっとやっていくお考えなのか。今申し上げたように、むしろ進んで政府がそういう協力機関を作って、それに対する態勢を、これは組織的にも資金的にも、予算を含めたものになると思うのですが、そういうものをおやりになる考え方があって、暫定的におきめになったものなのか、どうなのか。こういう点が一つ問題になりますから、この点だけは一つ明らかにしていただきたいと思う。
  23. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) これは、全く率直に申し上げますと、自然発生的な……、日本電気通信工業がだんだん発達し、充実して参りまして、力がだんだん溢れて参りまして、そのところへ持ってきて、逆に海外の方では、そういう設備を必要とするのだけれども、それだけ自力でもってできないような電気設備を必要とする熱心な団々が東南アの方にあるわけで、その方かうの希望と、こっちの国力充実とが相待って、国力と申しますか、通信工業の充実と相待って、この問題が起きてきたわけで、かたがた、さっき御指摘の、電電公社がこういったような仕事をいたしますのは、公社法という法律から見まして、決して違法ではないけれども、さればとて、やはり公社の本来の使命の方に非常に忙しい電電公社としては、そちらの方まではとても手が出ない。そういうわけで、このアジア協力会の生まれることは、自然発生的ではありますが、期せずしてその必要が出てきたわけでありまして、また、虚宿公社におきましても、国際電信電話会社、KDDにおみましても、その定款から見ましても、そういうふうな仕事をいたしますには不向きなわけでございますので、それで、御指摘の通り自然発生的に生まれてはきたのでございますが、さて発生してみますれば、この監督官庁としては、ただに監督ばかりではなく、必ずこのアジア協力会が、その使命を果たしますためには、監督並びに、よく打ち合わせを行なって、その使命を全うさしていきたい、かような考えを持っております。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 大体お考えはわかりましたが、そこで問題になるのは、自然発生的にでき上がったアジア通信協力会というものを、一元的な政府の監督もしなければならぬでしょうし、指導もしなければならぬとおっしゃるのですが、現実にあなたの御指摘になっているように、その主体をなすのは、もちろんその機器メーカーが、海外に日本の機器を買ってもうう、こういうことも一つの目的になると思うのですが、それだけでは、私はやはり完全な授助にならぬと思うのです。やはりこの技術水準というものは、しろうとが行ってもできないものであるし、結局、専門家が相当現地で指導してやらなければ、これはできないものですから、そうなると日本の国で、通信政策に対して、技術に対して、力量を持っているのは電電公社じゃないかと私は思うのです。そうなればやはり電電公社がそこに一役買うような形も出てくると思うのです。しかし、今おっしゃるように、そのことは、現在の公社法あるいは有線電気通信法、そういうものかう見ても、あなたは違法ではないとおっしゃるけれども、厳密な意味からいったう、私はやはり疑義があると思っているのです。あるならば、あなたも完全だとは言っておられないのですから、そういう道を開くような制度上の改革もやはりやる必要があると思う。そういうことがあわせて行なわれてこそ、初めてアジア通信協力会というものは、いろいろ問題がありますけれども、一応使命を達成できることになると思うのですが、そういう何ら裏づけをせずに、多少の資金援助はするらしいのですが、自然発生的にできたからこれをやらしておけという、そういう考え方では、私はこの目的は達成することはできないと思うし、認可した当該大臣としてもあまりにも無責任ではないかと思うのです。そこで、この問題は公社法の問題とからんでおりますので、十分一つ大臣にも御検討いただきたいと思うのです。  そこで総裁も見えておられますから、大橋総裁に一つお尋ねをしたいのは、もう相当長い前に、私が、ベトナムに、ベトナムといっても南ベトナムに、米軍の通信施設設置する問題が出て参りまして、これに対して日本公社協力の要請があったようであります。現地に参っていろいろ視察もされ、視察というか調査もされたようでありますが、そういうことが、米軍の軍事施設ということに特に限定をされておりますし、南ベトナムの国が国力回復、復興のための文化施設としての通信政策でおやりになる場合は、これはまた国と国との間の話し合いでおやりになる場合もあると思うのですが、どうも私たち考えて、米軍の直接な軍事施設に対して、日本の方で電電公社協力をしていくということは、私はちょっと行き過ぎだと思うのですが、そういうことは指摘を今までしてきたのですが、その後経過等についても私たちは聞く機会がありませんでした。特にベトナムの賠償問題が今度の国会に批准を求められておるようなときであります。衆議院の予算委員会でも岡田春夫君がこの問題に対して公社説明を求めておるようでありますが、そういったようなことが、どうも日本の所管をする郵政省なり、あるいは政府全体として、この問題をどうとられておるのか、外相がその中にタッチして、外交ルートを通じてやってきたものかどうか、その点も非常に不明確なんです。ことに現在の公社が第二次五カ年計画を拡大修正して、資金的にも相当困難な、われわれから見て非常に困難な措置をしつつ、この需要供給のアンバランスをなくしていこうという考え方の拡大修正もされておる時期に、そこまで出かけていって、そういうことをやるだけの力量があるかどうか。私はその点も多少心配になるわけでありまして、そういったことが日本の政策の見地から個々ばらばらにやられてきておる。極端にいうと、向こうの国から電電公社の現場の局長あたりに人の供出を要請するような文言まで出してきておる。そういうことがあると思うのです。それらはおそらく公社の組織を通じていろいろ善処されておると思うのですけれども、いずれにしても、どうも不明朗なやり方が、との法の盲点をくぐってやるように思われるので、この際私は、そういうことをやらなければならぬ必然的な姿というものがあると思うのです。    〔理事鈴木恭一君退席、委員長着席〕 そういうことがいい悪いということを論ずる前に、その必要件を認めるためには、その道を開いていくということを政府としてどうしてもおやりにならなければ、何かしら公社当局としても苦境に陥ることがあると思うのです。そういう点も含めて、ベトナムの通信計画に対して電電公社が今日まで協力、支援をして参ったということは事実と思いますから、そういうことがどういう経過になっておられるのか。  さらに、フィリピンとの賠償問題にからんで、フィリピン全土にわたる通信網の拡充についても電電公社が直接協力しているようなこともあるわけでありますから、そういう点に対するいきさつもこの際聞かしてほしいと思うのです。
  25. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいまベトナムの問題、それに関連してフィリピンのことなど話がありました。公社が海外のさような技術的協力ということができるかどうかという根本的な問題から、第一出発されておるようでありますが、これは、この前、鈴木委員からも御質問があったように承っております。そのとき当局からも説明があったと思いますが、私どもの了解しているところでは、現在の公社法の第三条の規定でありますが、それによりまして、現在の電電公社は、その本来の業務に支障のない限り幾つかの、第三条の第二項にきめられております事柄につきまして、委託を受けて仕事をすることができる、かような規定があります。その委託を受けてやるという仕事の範囲は、必ずしも国内、国外と限定せられてはおりませんので、さような他の支障のない、法規に違反しない限りにおきましては海外の技術協力もまたできる、さような見地のもとに、今までやって参っておるわけでございます。  そこで、先ほど御指摘のありました南ベトナムの問題でありますが、これは私の就任前のことでありますので、あとで承ったことをここで申し上げるわけでありますが、たしか昭和三十二年でありますか、米軍の調達局から、南ベトナムの超短波の施設について、現場を調査、測量をして、計画を作って報告書を出すという役務を、入札によってそのことを、幾つかの商社もしくは公社を含めまして入札が行なわれたのであります。その入札に当時の公社が応じまして、結局公社に落札をいたしまして、その落札の結果、調査団を組織いたしまして、ベトナムに参りました。約三カ月余り調査の結果、報告書を提出いたしまして、これで公社としてのベトナム関係の仕事は終わったのであります。その後、承るところによりますと、その調査そのものが直ちに実行はされていないようであります。当時は超短波の施設でその調査をやってもらいたいということの要請でありました。それに基づいてやったのであります。承るところによりますと、その後はマイクロ施設でやる、こういうふうな計画に変わったらしいのでありまして、現在はアメリカのテレビ・アソシェートが調査を引き受けて目下調査をしておるようであります。  それからフィリピンの問題でありますが、これは、それとはまた全然別のことでありまして、当時フィリピン政府の方の依頼によりまして、公社から調査団が参りまして、フィリピン内における電話交換の施設と電信電話の市外線の計画を立てまして、その依頼に応じて報告を出しております。これも公社としては、それで一応依頼のことは、義務は果たしたわけであります。それだけ経過を申し上げます。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 これは今の総裁の御発言ですと、公社法第三条二項によってそういうこともやり得るのだ、こういう解釈をとられておるようでありますが、この点は、もちろん法文上平面的に読んでみると、そういう解釈も成り立たないこともないと思いますが、日本電信電話公社というものが、その長い歴史の中から現在に変わって参る経過から考え、しかも公社法の制定されたところの趣旨というものは、私は日本電信電話公社というものは、日本の国内における電信電話事業をあまねく公平に国民が亨受する、こういう精神が本体だと思うのです。だからここにある、郵政大臣から委託された業務及び委託による業務を行うことができるというふうに書いてあることを、そういうふうに広義に解釈をされて、それでいいのだということについては、これは私、やはり相当疑義があると思う。私たちけそう考えています。郵政大臣から委託された業務あるいは委託による左の業務というようなことを書いてあるのは、これは外国であるか、国内であるかということがないかう、これはそういうふうにやれるのだという、そういう解釈については、ちょっと私は行き過ぎのような気がするのです。ですから、制度上、大臣も言われておるように、もっとすっきりとして、もしここに書くならば、外国のそういう場合も、特に郵政大臣から委託された場合にやり得るというふうに書いておけばいいのです。私はそういう趣旨でなしに、むしろ国内的な問題、国内通信というものを主体にした電電公社ですから、そこまで電電公社が直接出かけていくということについては、やはり公社法全体の精神からいって疑義があると思っておるのです。それを拡大解釈をされて、もう制度上は、今おやりになっておるようないろいろな具体的な、無電施設を設けたり、あるいはあなたの方の公社の社員が直接外地に行って測量したり、設計したりされるというのは、本来の任務であるとは全然考えられない。そういう点は私は疑義があると思っておる。ですから、もっとあなた方がおやりになろうとしておる国内の電信電話事業拡充、発展ということが主目的であって、そこまで電電公社当局が乗り出していかなければならぬ責任は私はないと思う。そういう過大な責任を負わされつつ国内の電信電話事業拡充ということがほんとうにできるのですか。そういう自信がほんとうにおありになるのですか。今のアジア協力会議との関連からして、将来これはもうアジア地域あるいは後進地域の、アフリカを含めた中近東まで、そういうことがずっと出てくると思うのです。そういう場合に、今局地的な問題として解決できますが、そこまで手を伸ばしても、この法上かまわないのだという解釈になるのですか。そんなことは私は許されないと思うのです。現に皆さんが経営をあずかってやっておる電気通信事業の建設工事の問題にしても、いろいろやはり隘路があると思うのです。そういうものを、本来の目的を達成するようにもっと努力をすべきである。外国までこうした法上疑義のあることを、これは当然のことだということでおやりになることは、私は行き過ぎだと思うのです。この点に対しては、郵政大臣の御答弁では少し慎重だったのですが、公社当局は非常に割り切って考えておるようですが、この辺はどらですか、大臣と総裁。
  27. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいまお話しの、公社本来の任務は国内の電信電話事業を経営することにある。これはその通りだと思うのです。私も全く同感であります。ただその本来の事業に支障のない限りにおいて、その本来の仕事以外にかようなこともやり得ると公社法にきめております以上は、それに基づいて行動することは、私は差しつかえないと思います。しかしながら、これは決して積極的にどんどんこの方をやれということを書いてないことはむろんでありまして、きわめて限局せられたる範囲内において本来の仕事以外のことをやり得る、かような現在の建前になっております。これは政策の問題でありましょう。この程度のことはやらせることがいいか悪いか、あるいは考え方によっては、そういうものは一切やめてしまって、本来の事業電信電話事業に専念すべし、かように公社法を改正なされば、むろんそれはそれに専従してよろしい、それが本来の姿だと思うのであります。しかしながら、現在の国内のいろいろなことを考えまして、ほかにかようなものをそう近んでやる機関もないから、その程度までやらしてもいいのじゃないかというのが現在の法の建前だ、かように考えております。
  28. 森中守義

    森中守義君 関連して。これは実は私も多少用意しておりまして、今度の決算でお尋ねしたいと思っておりましたが、やはりこの際、少し今の鈴木委員の質問に対して、的確に総裁あるいは大臣の方からお答えをいただいておく方がいいと思いますので、伺っておきますが、今同問題になっているベトナムの問題、これを公社の問題だけだということで私は切り離しては考えておりません。やはりベトナム問題の一連のワク内における問題である。こういう認識を持っておるわけでございます。それで今総裁がお答えになりました法律上の解釈、これは私はやはりこの場における総裁のお答えであって、心からそういうことが条文の解釈からしても、実体からしても正しいという御認識はお持ちでないと。  それからもう一つ伺っておきたいのは、この前衆議院で御答弁になっておりましたが、要するに入札に参加をして落札をした、これに間違いがないとするならば、これは公衆電気通信法あるいは営業規則もしくは電電公社法、このいずれにも該当しない商法上の商行為であり、一種の営利を目的とした行為であるというふうに解釈せざるを待ません。そういうことになると、電電公社はいつそれでは一体そういう商法を中心にした行為を行ない得るようなことが可能性を持ってきたのかどうかというようなことで、これは非常に私は大いに論争しなければ解決しないと思うのですが、あれやこれや法律上の問題をいろいろいじるよりも、今はしなくも総裁が言われたように、何も積極的に自発的にこれをやったのではないというような話からうかがえることは、どうしても郵政告あるいは外務省が、こういうベトナム問題の一環として、これをむしろ電電公社を抑えつけられた。それでやむを得ず技術協力あるいは技術提供、こういう賠償の一環として進もうとしたのに、結果的には共同入札、落札という方向をたどったんではないか。こういったように私は考えておるのですが、その間の事情を、ほんとうに電電公社は進んで入札に参加をして落札を求めようとしたのか、あるいは政府政策の一環として電電公社にそういう形態のものを押しつけてきたのか、そういうものをもっと的確にお答えいただきたいと思う。もちろん私の方でもそれぞれの委員会でこの問題に対する措置をとってきたので、資料は用意してあります。これから先この問題は少し取り組んでいきたいと思いますけれども、とりあえずそういう観点から、郵政大臣あるいは総裁に御答弁を伺っておきたいと思います。
  29. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 先に鈴木委員の御質問にお答えして、それからただいまの問題に入りたいと思います。  まず、法律解釈でございますが、公社法第三条の規定には、海外の調査をしてはならなという禁止規定はないわけでございます。そこで禁止規定がない場合には何をしてもいいかということになりますが、禁止規定のない場合には、その業務が本来の業務に差しさわりのない限り、かつ、それがまた国策にも背反していない、またさらに友好国、ベトナムの利益にもなることであるというようなときには、これを行ないましても、法律解釈状差しつかえない、拡張解釈がしばしば世の中から是認されますゆえんのものはそこにあると考えます。それならば、それでは現在の法制だけでもって、公社法だけでもって、今後も積極的に公社が海外調査あるいは設備を実際に負担していくのが適切であるかないかということにつきましては、すでに申し上げました通り公社本来の使命が国内にあることは明確で、この文明解釈からいたしましても、頚椎解釈からいたしましても、公社法の立法精神にかんがみまして、当然のことでございまするので、この公社にはさらに積極的にやるという余力がないので、アジア協力会議の誕生になったものでございます。こういうふうに私は解釈しております。  次に、森中委員のお話でございますが、入札、落札という行為は、これは一種の営利を目的とした商行為であると、これは確かに商行為ではございますけれども日本の商法に照らしますれば、日本ではこれが商行為になっておるわけですけれども、しかしこれをやったからとて決して常利的業務を行なったことにばかりにはならない。たとえばベトナムの方のやり方として、あるいはアメリカ合衆国の方式といたしまして、党利行為でない場合でも一般入札して希望者を募って、その希望者、頼む方と頼まれる方とが価格、調査費用の点におきましても、意思が合致した相手方に仕事をさせるというふうなやり方を、そういうふうな方式をとります場合も、常利行為、常利目的でない場合もあるわけで、そのために今回の公社が参加いたしましたことは、常利行為というふうには私どもは解釈いたしておらないのでございますけれども、何をいたしましても、公社の本来の使命につきまして、また今回のベトナム問題につきまして、いろいろと御専門家の間の、国会におきまする御議論にもなるようなことになって参りますれば、なおさらその立法の精神にも立ち返りまして、これは今後は電電公社がすべきでもないし、また業務遂行の建前といたしまして、国際電信電話会社が請け負うべき建前でもない。そうすると新たにこれは何かの機関が必要であるというので、自然発生的にアジア協力会が止まれ出た。そうして今後は郵政省としてもアジア協力会を厳重に監督しながら、公正にその使命を果たさせていきたい、かように解釈もし、また方針を立てておるわけであります。
  30. 森中守義

    森中守義君 どうも私の質問の要点に大臣答弁が当たっていないのです。それは私は、今大臣のような解釈からいくならば、電電公社はそれでは一体何なんだ、こういう極論さえも言わざるを得ない。電電公社公社法がある。しかもその他適用を受ける法律というものは国内法でなければいかぬ。入札、落札というものは、明らかに私は商法上許されたものである。海外に持っていったから常利行為でなかったので、そういうことは言わぬでもよろしい、こういう理屈は私は成り立たないと思う。そういう法律上の解釈をめぐっていけば、あなたが何と言われてもどうしても理屈は通りません。ことに今の三条の問題にしても、要するにこれは義務規則じゃない、義務法じゃない、やってもよろしいということであって、やらなければならぬとはしていない。いわんやその前段にきておるものは、余裕があるならば支障のない範囲において、こういうことなんだから、何らこれは拘束されるべき筋合いのものでは全然ない。この一事をとらえてみても、問題はきわめて歴然としておるのみならず、もう少し論議を展開していくならば、今電電公社は第二次改訂をやろうとしておる。四千二百億の当初予算を六千二百億に拡大をしなければ、国内における電信電話の整備強化ができないというのが、公社は今頭痛の種じゃないですか。そういうことなら五十四カ国だか三カ国だかの各国の中においても、わが国電信電話事業はその中位にも行っていない。これは先般横田副総裁がここでお話しになった通り、そういう状態にあるわが国電信電話事業を、もう少しサービス・アップをやるためには、マイクロを伸ばさなければならないとか、そういう公社当局の配意によって六千数百億という膨大な予算を必要とし、しかも第二次五カ年計画の改計をやろうとしているのみならず、年々公社が決算として出してくる場合には、仕事が公社内部でも間に合わないで、予算の繰り越しがあるじゃありませんか。公社の中で消化できていないということです。一体どこに外国まで手を出して仕事をやっていいという余裕がありますか、これは私に実体論だと思う。だからして法律あるいは実体、いずれの面から照らしてみても、断じてそういう余裕はない、そういう必要はないというのです。だからそういう法律上の解釈や、あるいは実体上の認識を中心にして、進んでベトナムの入札に参加しようという意思が公社に私はあったとは思えない。だから冒頭に申し上げたように、ベトナム賠償の一環として政府当局が見つけてきた結果、これは電電公社がこういう形式でいやだろうと、あるいは好むまいと、こういう格好でやらせろというように押しつけたという認識以外に私は持てない、こういうわけです。だからその間の事情をもう少し的確に御説明願いたいという私の質問に対して、あなたは単に小ざかしい法律の解釈な振りかざしてみて、しかもその解釈にしても的確なところは一つもない、こういうことは答弁になりません。だから、なぜ電電公社が入札に参加をしたのか、その経緯を、いやしくも、これはあなたに関係はないだろうけれども、二、三代前の大臣がおそらくこれに関係していると思う。私もその事情はよく承知している。いずれその機会にこの問題は明らかにしたいと思っておりますが、もっと率直にお答えをいただいた方が先々のためになると思いますから、事情を、経緯をもう少しこまやかに御説明いただきたい。
  31. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 御質問の後段の具体的、実際あの当時の経過、事情説明事務当局からさしていただきまして、私は前段の御質問の方にお答え申し上げたいと存じます。  それはこの公社が余裕がなかったはずだという御質問の御趣旨と思いますが、確かに公社は五カ年計画を控え、それに懸命の努力を払っておるのでございますけれども一つ事業団体となりますと、やはりその団体には忙がしい用事の主目的に回ります役柄のものもおりますれば、また派生的な仕事の方に取り組む役目の役回りのものもおるわけでございますから、公社に幾う重大な国内の拡充計画があると申しましても、やはりそこには予算関係もあり、また人員の配置の関係もございまして、人員配置上余力があります場合には、海外の協力に対しまして、本来の業務に支障ない限り人をさき得る。また、ことにその費用が予算上は外国の費用でいたしまするような場合には、ただいまのような業務を遂行できたのである、さように私は解釈いたしておりますが、さて、その実際の具体的経過措置につきましては、事務当局の方から説明さしていただきたいと思います。
  32. 森中守義

    森中守義君 これは事務当局に答えをさせられてもだめなんです。政府が閣議できめて、政策的に問題を取り行なってきたわけだから、事務当局では何月何日にこういう文書を受けたとか、話を聞いてこうしたと、それだけの問題じゃない。そういうふうなことはベトナム問題の、ことに電電公社が落札に至った経緯としては何ら価置のないことです。政治的にこの問題は動いてきた、それを聞かせなさい、そう私は言っているのです。
  33. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) これは数年前の話であります。私は直接この問題にタッチしたわけではありませんが、私の今日まで聞いているところでは、政府から命令があったとか、政府から強圧があって無理やりに入札に参加させられたということは私承っておりません。これは当時、先ほども申し上げましたように、米軍の調達局の入札でありまして、調達局から、入札者の一員として入札に応じたうどうかというお話があってこれに参加した、かように心得ております。
  34. 森中守義

    森中守義君 大橋総裁がそういうように言い切られると、これはもう申された限りにおいては異倫はない。だけれども、こういうような経過をたどって、今ベトナムの問題が大問題に発展している現状において、私はそういう形式的な論議以外に、もっともっと深い問題があることは、これは間違いないのです。むしろ郵政大臣なり、あるいは政府全体のことをおもんはかっての今総裁のお答えじゃないかと思うのですが、実はここに監理官もおいでになる。しかも監理官室の分掌事項の中に賠償に関する事項というものがある。おそらく、監理官を通じてそういう話が事務的には電電公社にあったと思うのです。それで、もう少し大臣の方かう、電電公社が、事、海外の問題に、しかも大がかりな仕事をやろうというときに郵政省がタッチしていないはずはないのです。その間のいきさつを、今、総裁のお答えはお答えとして、この場では聞いておきますけれども、もう少し政治的な意味におけるお答えを私は求めておきたいと思うのです。
  35. 岩田敏男

    説明員(岩田敏男君) ただいま森中委員からのべトナムにおける無線通信施設調査につきましての当初の経緯についてどうかという御質問でございますが、当初、私も詳しくは存じ上げておりませんけれども、少くとも賠償問題とは全然関係ないスタートであったと思います。ただ公社から、ベトナムにおける無線通信施設調査について話があった場合に、郵政省としても、これは日本における通信技術というものが東南アジアの地域において発達するということは非常に望ましいことだというようなことで、もちろん賛成をしておったわけでございます。従って今申し上げましたように、政府からこれについて調査をするように命令したとか、あるいは賠償との関連において指示したというようなことは全然なかったと記憶しております。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 公社法の解釈については、私たちの解釈と皆さんの解釈とやはり相違しているわけです。そこでこの第三条二項が途中で改正になって、郵政大臣から委託された業務及び「委託による左の業務」というふうに途中から変わっておるわけです。ですかう、これは今お話しになったように、本来なら郵政省が、たとえば米軍からそういう施設に対して協力してもらいたいと、こういうお話が、これは外務省を通ずるか、どこを通ずるかわかりませんが、一つの国家機関を通じて要請があって、それを郵政省が受けて、日本の国策上、これはどうしても公社にやってもらわなければならぬという、こういう御認識に立って、むしろ郵政省から公社に委託する建前ということなんですね。ですから、公社の方から逆に郵政省に上申をして、それを国家的見地からよろしいということで認めるということは、そういうことは法の解釈からいえばおかしいと思うのです。逆だと思うのです、あなたの説明は。ですから、その点はおそらくそうなっていると思うのです。もちろん実際の運営については、そういう話もわかります。わかりますが、法の建前としては、郵政大臣がこれは委託するのだというお考えに立って、初めて公社にやらせるというのが法の建前でしょう。だから、いずれにしても、二十七年ですか、公社法が制定された当時、当時の思想というのは、付帯する業務といったって、これは外国にまで適用しろということは、われわれ公社法制定当時のいきさつを、ずっと提案理由説明から審議の過程を見てきましても、そういうことは何にもうたってないですよ。ですから、郵政大臣、総裁もお認めになっているように、主体は、公社というのは国内の電信電話事業に専念するものであって、そのほか付帯的に国内に生ずる問題で、特に郵政大臣が委託した場合は、公社がこれをやっていくというのが、こういうのがおおよその思想なんです。その後情勢がいろいろ変わってくるわけですから、憲法第九条の拡大解釈じゃないのですが、そのときに都合のいいような解釈をしているというのが、今のあなた方の答弁なんです。だから、私たちはこの事業だけを見詰めていった場合に、公社は国内の通信施設に専念していただくということで、そういう国際的に必要な場合には、国策的な見地に立って、公社にやらせることもあると思うのです。そういう大筋で進んでいないように今の答弁では聞こえるのですね。私は公社にやらせるのはいけないと言ってないのです。それは実力を持っているし、どうしても乗り出していかなければだめなんでしょう。だから、そういう法的に疑義のあるところがあるなら、進んで大義名分を明らかにして、今後電電公社というものが、そういう場合に、国策の立場から、国外における通信政策において協力していくという道を開いたらどうですか。そういうことを、条文の解釈を有利に解釈して、そして疑義が全然ないとも言えないこともないことをやらせるところに郵政当局の落度があると思うのです。これは公社を責めるよりも、郵政大臣所管事項としてこういう委託をするわけですから、もっと確信を持った考え方でやっていくようにしないと問題があると思うのです。だからこれは法律解釈は、非常な水かけ論になりますが、われわれはそういうふうに理解して公社をながめておりますが、私はここでこれ以上は時間もありませんので論争を避けたいと思いますが、一つ資料としてお出しいただきたいのは、これは委員長にもお願いしておきたいのですが、ベトナムの賠償はどういう外交ルートを通じて日本にきたのか。そうして、それを受けて郵政省はどういう態度をとって電電公社に委託したのか。その時期はいつだったのか。そうしてその計画や設計等も入っているようでありますから、どういう人を派遣したのか。その間の費用はだれが分担しているのか。建設の大よその計画はどういう計画であったのか。そういう点の資料を一つ出していただいて、それらの問題と関連してさらに次の機会にこの問題について私は政府のお考えを聞きたいと思いますが、ただ、今申し上げたように、どうもやり方が、岩田監理官のお話を聞くと、公社の方で積極的かどうか知りませんが、そういう話を聞いたから、私の方では認めたというような、そういうような答弁はちょっと私は受け取れない。そんな無責任考え方郵政省というものはおるのか。アジア協力会議だって、大臣はそれが肩がわりになるようなことを言っておりますが、アジア協力会議ができて、いざ電電公社協力を得ずにやるというなら、それは商事会社のまた受けだし、その仲介のようなものにすぎない。だれがその施設の設計をし、測量をし、建設をやるのですか。そういう道が明らかに、アジア協力会議の力によってできるとは毛頭思えません。このアジア協力会議の力でできるということになると、これは非常に問題があると思う。むしろアジア協力会議というものは自然発生的にできたということになる。これはやむを得ない状態の中でできたと思う。本来こんなものは政府がやるべきものであるが、あなたの方の施策が欠けているから出てきた。この出てきたものをすぐ殺すわけにもいかないから、それを動けるようにしてやるには、国策的立場でやっていくというのがアジア協力会議であるなれば、一億なんぼというような資金援助で、どういうようにして金を出すのか知らないが、今のところではそんなに大したことはできないでありましょうし、本体を動かせるような道をどう切り開くのか。法律的に疑義があり、国内的にもいろいろ行き詰まって手を焼いているときに、そんなところまでやれるのかどうか。しかし、それも時と場合によってはやらなければならぬでしょう。こういう場合には、堂々とやれる道を開いてからやったらどらか。そういうような政策的な欠陥が今日あるから、いろいろな問題が出てきた場合に、公社法というものを拡大解釈して、つじつまを合わしてやっているというような姿が出てきている。資金をふやして、二千億の資金をさらに三年間でふやして実際やれる自信があるか。第二次五カ年計画昭和三十三年あたりからスタートしておりますが、異常な努力をしなければできませんよ。資金的な調達を見ても、百億の外資を入れるというようなお話ですが、それがどういうふうになっているか、私はわかりませんが、果たしてやれるのか、やれないのか。少なくとも私は一たんきめた公社の第二次五カ年計画を修正して拡大しようという腹をきめた公礼当局と、それをバツク・アップした、与党というものは重大責任を感じていると思う。もしこれが不幸にして資金調達がうまくいかなかったら、せっかくやろうとしたことが御破算になるというような、所期の目的を達しなかったということになると、大臣を初め重大責任をとらなければならないくらいに考えなければならない。そういう国際的な重大施策に対して、自民党内部において積極的にきめた財政融資をどうしてもほんとうに完璧にやれる自信があるか。国内的において、そういうようないろいろな問題があるときに、さらに公社に、海外に出て行って、ああやれ、こうやれということは、そういうことは大臣としては無責任ですよ。ここではっきり五カ年計画を完全にやる、その上に立って国策としてのそういうものに協力できるのだという、そういう自信がなければ、私は納得できない。かりに法律解釈をあなたのような立場をとったとしてもですよ。そのはっきりした所信を私は聞きたい。
  37. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 電電公社につきましては、お話しの通りですが、ただいままでは、私たちの法の解釈というものは、絶対に違法ではない。違法ではないけれども、この事態の推移から見て、今後積極的に海外援助公社がやるべきでない、アジア協力会議のようなものが当然やるべきである、さように考えております。  なお、第二次五カ年計画につきましては、ただいま予算の問題を大蔵省に概算要求いたしまして、極力その獲得に努力しておる最中でございます。
  38. 岩田敏男

    説明員(岩田敏男君) 先ほどの鈴木委員の御質疑に関連いたしまして、ちょっと補足的な説明をいたしますが、公礼法の第三条第二項の、ここでは逓信大臣になっておりますが、「逓信大臣から委託された業務」ということでございますが、これは昭和三十三年の四月二十二日の法律第七十四号で郵便為替法の一部を改正する法律が出されました、そのときに、郵便為替法の改正によりまして、電信為替証書またはそれにかわる為替金に相当する現金を通信文とともに受取人に払い渡す制度が設けられまして、従ってこの受付業務を公社に委託できるようにするために、待にこのところだけ変わってきているということを補足いたしておきます。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 それはね、僕らはその審議に参画しておりますから知っているんですよ。だから、この条文がそういう経過を経て改正されたとしても――これは郵便為林の制度は変わったでしょう。電信為替のそのことだけをただ単に受けていないんですよ。少なくとも第二項というのは、「前項の業務の円滑な遂行に妨げのない限り、逓信大臣から委託された業務及び委託による左の業務」、こう書いてある。すべてが郵政大臣の委託によったものというふうに一応解釈をしていいと思うのです。ただし、「及び」というのがありますから、そういう解釈もできるかもしれませんがね。いずれにしても、公社が直接本来の目的でないものをやる場合には、この前段の郵政大臣が委託する、そういうものにウエートがかかってこなければうそですよ。国内的な問題であれば、僕はある程度公社に自主制がありますからね、これはおやりになっていいですが、事、国際的な問題ですからね。公社が直接郵政告の窓口を抜きにしてこういうことをやることは許されないことでしょう。必ずあなたのところに相談に行くはずですよ。むしろそういう海外協力という点になればなおさらのこと、郵政大臣というものはその中に入るべきだと思う。公社が独自におやりになるということはおかしいと思うのです。
  40. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ちょっと補足して申し上げますが、この三条の郵政大臣から委託された業務というのは、今説明がありましたように、三十三年の四月の改正でありますが、ただいま問題になっているベトナムの問題でありますかう、実は郵政大臣から委託された業務というのが入る前の問題であります。従いまして、それを除いた「委託による左の業務を行うことができる」、この条項でやっているわけであります。そこで郵政大臣郵政省は全然関係しなかったかと、こう仰せられることでありますが、これは先ほども申し上げましたように、調達庁からの、入札に参加したうどうかということで公社が参加したのでありますが、この参加するにつきましては、郵政省に何らの一言の断りもなしに参加したものではむろんありません。参加したにつきましては、郵政省の監理官のところで、かような話が調達庁の方からきたというので、これに参加するということを申し上げ、御了承を得ているわけであります。しかしながら、先ほどお話しのように、郵政大臣の方からこの条項によって委託したのじゃないかということではないのでございます。これは全く公社独自の解釈でもって入札に参加したのでありますけれども、それをやるにつきましては、あらかじめ監督官庁である郵政省の御承認を得て参加をした、かようなことになっておりますから……。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 それで米軍に対する通信サービスについては行政協定の中でサービス契約がございますから、日本の国内における米軍サービスは別な規定でやられているわけですね。ですから、これはもう平和条約、行政協定、サービス契約と、こういうふうな一連の国際的な義務履行としてやられているわけですから、それだけやはり、かりに日本国内にある米軍施設についても、この公社法というものと別にそういうサービス契約をやってやっているというのは事実でしょう。ですから、特にこれが外国の、ベトナムの国の中で米軍が施設をしようとするものなんですね。それを日本の電電公社に入社に入ったうどうかというような調達庁からのお話があったということですが、これはやはり、私はちょっと今申し上げたようなサービス契約等によって米軍の施設をやっている建前からいっても、少なくとも公社当局がこういう国際的な問題に対して、郵政省に連絡はしたでしょうが、能動的に出かけていくということについてはやはり問題があると思うのですよ。これは私はそう思いますね。ですからその辺のやり方に対して、皆さんもすっきり割り切ってやられているとは私は思わないのです、この法の建前からいって……。ですからそういう疑義の残るようなことをおやりになる場合に、しかもこれは国際的な問題ですから、米軍から日本の外務省を通して、郵政省の所管であるし、そういう主管大臣を通してそういう要請があって、それぞれの手続を経ておやりになるということであれば、私はまた筋が通ると思うのですよ。ところが解釈が、ここに書いてあるから、条文上あるからやってよろしいのだという判断に立って、国際的な問題にまで公社が直接乗り出していくというのは、私は行き過ぎではないかと思います。ですからこの疑義を解くことが先決ですかう、あまりここで苦しい解釈をなされるよりも、一応私は開くことを反対しているわけではないのですから、そういう道を開いてやれるようにしたらどうですか。そうせぬと、これはあなたが考えているアジア通信協力会議にしたって有名無実に終われますよ、そういう道を一つお考えいただけますか。
  42. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 前々申し上げたように、このことは、今までやった公社の行為は違法ではないけれども、これは鈴木委員の御指摘の通り、今後は海外の問題についても、明確な機関でもって明確に、だれが考えても論議が起こらないような態勢を整えて仕事をさせていく、こういうふうな監督行政をやっていきたいと、さように考えておりますが、しかしどう考えましても、今までの程度の公社がやって参りましたことは、これは違法ではない、そういうふうに考えております。  それからなお、総裁からお答え申し上げました話は、公社の方にやってきた、それを郵政省の方に承認を求めていったら郵政省で承認した、この承認という言葉意味は、やはり郵政大臣がその話を聞いて、わかった、よしわかった、それじゃ委託をしよう。やはり郵政省は委託行為をしたので、公社は受託行為をした、さような法律解釈をいたします。これはなおもう少しよく法律解釈を勉強してから……。
  43. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ちょっとそれにつきまして、先ほど鈴木委員からお話がありました資料は調製して御提出いただけますね。――お願いいたします。
  44. 森中守義

    森中守義君  大臣、ようございますか。さっきから委託を受けたとは電電公社はおっしゃっていない。入札に参加をしておる。参加をするということは、意思を決定したということだから、委託じゃない。だから条文の解釈からいけば、さっき鈴木委員の言われたことと多少私の見解が違うかもわからぬが、郵政大臣からのみ委託されたものとは書いてない。他からの委託もいい。「及び」というのがつないであるからこれはいいでしょう、その条文の解釈に限っては……。だけれども、委託を受けてベトナムの入札に参加したわけではない。調達庁が委託してきたのでも何でもない。だから進んでやったのか、あるいは消極的であったのか、そこの区別はともかくとして、一応電電公社が入札に参加する、しないは別として、意思決定に基づいて参加した。こういうことですから委託じゃない。これが一つ問題。それと、調達庁という問題がさっきから出ておりますし、私も後日また決算あたりでお話ししようと思っていましたけれども、調達庁は一体何をやるところですか。主として米軍の施設関係を担当しているところです。電信電話公社は、国内における公衆電気通信を取り扱うのが主たる任務というよりも、全体がその任務に集中されている。であるのに、海外に、調達庁がこれは米軍の施設だという、そういう認識のもとに、軍事施設をこうして入札があるが、どうだといわれて、電電公社がその入札に参加するということは、明らかにこれは主たる任務に反しているということだけは、これはだれが見ても疑いない。まあこういうことをここで並べていてもしようがないから、たださっき大臣鈴木委員の質問に対して、自今はアジア協力会を中心に云々というのであるけれども、何もかにも電電公社が海外にすることをシャット・アウトするというのじゃ困ります。事と内容によっては大いに海外におけるわが国電気通信事業の紹介なり協力が必要ですから、事と内容を混同してはいかぬというのをここで主張しているのであります。そのこと々訂正してもらわないと、速記録には、電電公社は海外に何もやらぬでもいいんだ、全部協力会がやる、こういうふうに速記録に載っておりますから、これは一つここで訂正していただきたいと思います。それと、この問題の結果は、今日ここではつかないようですから、いずれ後日に譲りたいと思います。とにかく速記録の訂正だけやっていただきたいと思います。
  45. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 私の発言中に、もし電電公社が手も足も出ないような発言がございましたら、それは一の訂正させていただきます。
  46. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは電電公社関係の問題につきましては、本日はこの程度にいたしたいと思います。  休憩いたします。    午後零時三十四分休憩    ―――――・―――――    午後一時四十七分開会
  47. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまより再開いたします。  午前中に引き続いて、電電公社関係の問題について、御質疑がなお若干残っておりまするので継続いたしたいと存じます。どうぞ御質疑をお願いいたします。
  48. 鈴木強

    鈴木強君 私三十分ほどしか時間がありませんので、非常に制約されておりまするので、簡単にお答えをいただいてけっこうでございますから、三つのことだけをお聞きしたいと思います。  経理局長がまだお見えになっておりませんのであとにして、工作工場の運営全般につきましては、前回の委員会でもすでに組合側と覚書を結んで、その線に沿って公社もおやりになっていただいていると思うのですが、どうもわれわれがその後の運営を見ておりますると、それが適切にやられているかどうか疑問の点がありましたので、前回概括的な点について御質問しておったわけでございますが、特にきょうお尋ねしたいのは、各工場に対して設備投資をするということが覚書の中に入っておるのですが、具体的に東京工作工場、荻窪、麹町、こういう三工場に対する新局舎の計画等も進んでおるようでありますが、三十四年度予算ではどの程度設備投資の点は見込んでおられるのでございますか。この点を資材局長の方からお答えいただきたいと思います。
  49. 和気幸太郎

    説明員和気幸太郎君) 工作工場の設備の拡充につきましてのお尋ねでございますが、三十四年度といたしましては、設計の段階でございまして、まだ建築に着工するという段階ではないのでございます。ただ、東京の芝浦に作ります総合工場につきましては、すでに設計を終わりまして、局舎の一部については契約を完了して着工に入ったという段階でございまして、本格的な建築は来年度以降、こういうことになっておるのであります。
  50. 鈴木強

    鈴木強君 それもお答えいただきたかった点ですが、それでなしに、工作工場の運営について長期運営計画がきまっておるわけですが、その中にたしか設備投資についても工作工場の長期運営の中に、工作工場がほんとう事業運営上役立つような形にしていきたい、こういう点で御計画があるわけでしょう。その中に具体的にたとえば荻窪工作工場についても数量品目についての整理も、もちろんこれは協議してやることになっておるわけでありますが、そういう問題と関連して少くとも廃止ないし縮小というそういう線については、十分に御配慮いただきたいという点があると思うのですよ。だから具体的に三十四年度予算でどの程度そういうものを整理されて、それに必要な整備拡充としてどの程度の設備資金が投入されておるか、こういう点をお聞きしたい。芝浦の方は設計が終って契約に移っているそうでありますが、この設計、それとその契約に至るまでの間組合側からも相当意見も出ているわけでしょう。また管理者の方からも出ていると思うのですね、それぞれの所属から。そういった点が十分取り入れられていると思われないようなふしもあるわけです。ですからそういう点と関連をして公社が約束をしておる――もちろんある程度の整理はしなきゃならぬと思いますが、それにしても荻窪等の特殊工作工場については、もう少し施設を働かして自営態勢というものを確立していく、こういう考え方になっていると思うのですが、そういう点と関連をして、新しくできる庁合にしても現在の施設の坪数から見て相当下回っている。こういう点も先回指摘したわけですが、それはさておいて、私が聞きたいのは、三十四年度予算の中でどの程度の設備投資を事業拡張のためにやっておるかということです。資料がなければあとでもいいですよ。
  51. 和気幸太郎

    説明員和気幸太郎君) ただいま御質問のございました芝浦の問題、荻窪の問題でございますが、芝浦の問題につきましては大体建物が三つにわかれるのでございまして、主庁合、それから付属庁舎、車町工場であります。三つにわかれる計画でございます。この中で先ほど申しましたすでに設計と契約が終ったと申しますのは主庁舎の関係でございまして、残りました付属庁舎、それから車両工場につきましては目下設計を進めておる段階でございます。建設の完了次第また組合側といろいろ相談をしていきたいとかように考えております。  それから荻窪の点につきましては、現在三十六ボーの電信の機械を五十ボーに改造するという仕事それから二百メガ無線機を二百五十メガに改造するというような新しい仕事がふえて参りましたので、荻窪全体では特に仕事がふえたというわけではないのでございまして、目下いそがしく仕事をしている、そういう段階でございます。なお荻窪につきましては特殊な機械を扱う関係でございますので、将来の見逸しといたしまして、符にこの小型搬送の修理どうするかということが一つの問題でございますが、この点につきましては従来直接メーカーに外注しておりましたものを、荻窪工場を通して外注をするというように実行に移しております。  なおそれに関連して荻窪の従業員の技術的な訓練ということも合せてやっております。大体今月中にはそういった訓練が終わると、そういう見通しでございます。そういうことで荻窪の今後も考えていきたいとさように存じておる次第でございます。なお先ほど御質問のありました工場別にどのくらい予算を計上するという点につきましては、ちょっと資料を持う合せがございませんので、別途一つ説明をいたしたいと思いますが……。
  52. 鈴木強

    鈴木強君 その付属工場とそれから車両工場の方については、一つさらに今お話がありましたように、十分皆の意見をお開きになっていただいて、少くとも廃止をして、その上に立って工作工場の長期運営を踏み切ったといも組合側の考え方もあるわけですから、だからこの運営がもし誤りがあるとすると、組合の方でも忍びがたきを忍んで廃止する、工作工場についても、これはのんでいるわけですね。ですからこの運営については一つ適切な本社かうの指導もしていただいて、少くともあの覚書が十分に実現できるような御配意をしていただきたいと思うのです。というのはこの工作工場の長期運営については長い間の懸案でありまして、やっとその基本方針というものが確立した矢先ですから、いろいろ通信局の段階で交渉しているようでありますが、なおかつ工場の従業員が将来に一つの希望を持って安心して従事できるような態勢としては、若干粗漏になっているような気もいたしますので、本札かうももっと強力な指導をしていただきたいと思うのです、これは前回もお願いしておきましたが。  それからもう一つ金沢の北陸の工作工場ですね。これが去年でしたか、おととしでしたか災害にあいまして、その当時国会でも問題になって廃止されるというような話もあった矢先だったものですから、新しい庁舎の問題について、当時副総裁の靱さんだと思うのですが、質問したところ、廃止する意思もないし、新しい庁舎を作りたい、こういう御答弁があったのです。その後いつまでたっても新しい庁舎を建てるというような話も出てきませんし、相当不安があるようですが、この庁舎新築についてはどういうふうに今お考えでございましょうか。これは運用計画局の方ですか、資材局の方でもけっこうですが。
  53. 和気幸太郎

    説明員和気幸太郎君) 北陸の工作工場についてお答え申し上げます。北陸工作工場は工作工場の長期計画によりましても存置していくというような決定をいたしております。ところが不幸にいたしまして昨年の四月の十七日に火事を出しまして焼けたわけであります。とりあえず私どもとしましては応急措置といたしまして同じ構内にございます倉庫を改造いたしまして、そこで自来工作の業務を続けてきているわけでございますが、私も今度の場所をつぶさに見たのでございますが、たしかに狭いのでございまして、早くこれを何とかして本格的な所に移さなければならぬ、そういうふうに考えております。つきましてはまあ新しく新築するか、あるいはまた金沢市内でいろいろな公社の建物ができた場合にそういうものを利用していくか、その点のことにつきましては現地の意見を十分聞いてきめたい、かように考えております。便宜本日も向うから資材部長に来てもらいまして、その点の具体的なことを打ち合わせている段階でありますが、できるだけ早く打ち合わせを終わりまして決定をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  54. 鈴木強

    鈴木強君 一年以上もその問題が、基本方針がきまらないためにいろいろな不安が出ていると思うのですが、具体的にきょうもそういうお話を伺えまして非常に意を強くするわけでありますが、非常に現地の人違も心配しているものですから早急に、これはどういうふうになるかわかりませんが、基本方針を出していただいて、それが長期計画になるかどうかわかりませんけれども、こうなるのだということをはっきりしておけば皆が多少おくれましても安心をしてやれますが、無方針ですと勤労意欲にも関係すると思いまするからその点は強く一つ促進方を要望しておきます。  それからその次にお尋ねしたいのは電信関係でございますが、御承知の通り日本電信のシステムが中継機械化の方向に逐次切りかえられつつありますが、いよいよその終末段階にきていると判断がされるわけであります。すなわち第二次玉カ年計画の終ります時期には東京、大阪の両中央電報局を、最終的に電信の第三次革命と申しますか、そういう革命が一つ終るわけでありますが、これについて先般も広島の中継機械化に対してかなり現地においてはトラブルがあったようでございます。しかし電信というものがさらにいいサービスを提供し、間違いなく迅速に着くというこの使命を果たすために、今公社のおやりになっている中継機械化の改式計画について、私は基本的に反対いたしません。ただこの改式に伴って労働者に対する労働条件が相当に影響してきています。特にまた電信の職場の実態を見ますと、勤続三十年、三十五年、四十年近い人たち相当たくさんおります。従ってこれらの人たちに対する職種転換等をやる場合でも、ほんとうに慎重に考えていただかないと困る問題があると思います。ですかう、そういう問題とあわせて労働条件の向上も常に考えつつおやりになっていただかないと、トラブルが相当激しくなり、そのことが一般の利用者にも迷惑をかけるということになるわけですかう、公社にまかされた権限の中で最高限度の御配意をいただいて、スムーズにこの中継機械化が全国的に終了するようにわれわれは念願しているわけであります。そういう立場に立って、今最終的に大問題が起きそうな東京、大阪両中央電報局の機械化中継に対して、今私が指摘いたしましたような労働対策の面も含めて、公社として今基本的にどういうお考えをもってやろうとしておるのか、これは運用局長から一つお聞きをしたいと思います。
  55. 山下武

    説明員(山下武君) ただいまの鈴木委員のお話につきましてお答えいたしますが、お話のように電信にとりましては非常に重大な変革期にございまして、そのことが従業員のいろいろな職種転換、配置転換その他にも大へんな影響を持っておるわけでございます。今までもいろいろと中継機械化のときには、そういう労働条件の改葬に関連いたしましていろいろと困難な事態が起きて参りましたのですが、東京、大阪の両中継の機械化は今までと違いました非常に大きな規模をもって、影響するところが非常に大きいのでありますために、本社といたしましてもいろいろと相談をいたしまして、従来中継機械化はおおむねその実施は通信局段階で行なっておりましたけれども、今回の重要性にかんがみまして本礼としても十分考えなければなるまいというので、せんだってから本社、通信局、営業局の幹部を委員といたしまして委員会を作りまして、いろんな角度から慎重に検討いたしておるわけでございます。ただいまの御意見のように影響するところが非常に多うございますし、労働条件の改善その他に関しても、慎垂に各局は真剣に考えなければならぬことが多うございますので、今後十分に研究をいたして円滑な実施をはかるようにいたしたいと思います。
  56. 鈴木強

    鈴木強君 対策委員会を作られて本格的な検討に入るというふうな段階だと思いますが、私は、もう時期はすでに多少おそいような気がするのです。というのは電信政策として、御承知の通り百十億近い赤字が出ておりまして、これは公共性と採算性というものがなかなかマッチしない。従って、電報一通が約百十円の赤字になるというような非常な無理な経営をしているわけですから、そういう赤字の蓄積がだんだんふえてくる、その赤字を電話の料金によってまかなっているというのが現状ですから、一面、電話の利用者から、すると、電話本来のサービス向上のために納めている料金が、電信の方の赤字に回っていくということになるとなかなか納得してくれません。別にむしろ電話が行き詰まっている、その行き詰まりを打開するために、百十億の金があるならば使わしてもらいたい、こういう意見がこれは参議院の段階においても、いろいろな公述を聞く場合にもそういう意見が出るわけであります。ですから、この赤字対策に対して何とか合理化をしてなくなそうという施束を懸命にやっていることは、私は認めます。だがしかし、その施策のやり方がややもすると、公共性の強い、しかもサービスを強く要求される事業の本質を阻害するようなことも出てくる場合が多いのです。皆さん御承知の通り電報等も請負制度に移行する、こういうようなことが出て参りまして、勢いこれはサービスの低下になってくる。ですから、私は、電電公社電信電話事業運営しているわけですから、今の経営者の立場からすれば、この赤字の補てんについても電話の収入から回さざるを得ない、これは認めます。だがしかし、その赤字がほんとうに経営上どう合理化してみても出る赤字でありまして、これを解消する対策を幾ら考えても、これは根本的な解決にたたない。ですから、電信政策に対してもう少し公社当局が本腰を入れて、たとえば料金制度の問題にしても、あるいは経営全般についてこう行くへきだというはっきりした政策が今日まで出ておらないという、まあ電話が非常に急ピッチで発達しておりますし、その方の需要も多いわけですから、ややもすると電話政策の方に重点が置かれて電信の方が軽んじられる、こういう傾向もなきにしもあらずであります。私はそういう点を非常に憂えておるのであります。ですから何回となくこの委員会においても電信政策のあり方についてはほんとうにこうあるべきだというものを出していただきたい、こういう意見を出しておるわけですが、一昨年でしたか、合理化委員会を持たれて、当面の高踏的な政策は打ち出されましたが、それによって合理化政策をやっておりますが、私はそれでは本質的な解決にならぬと思うのですね。この際思い切って電信政策に対してもう少し私は基本方針を公社に考えていただきたいと思うのです。これはただ単に運用局長一人だけでできることじゃないですから、総裁以下全幹部が英知をしぼってそういう方策を立て、国民にやはり明らかにして、そして電信政策の建て直しということを考えなければ、どうもそこに働いている職員も希望が持てないと、電信はどこに行ってしまうのだと、こういう危惧を持たれては、事業の発展のために非常にマイナスになると思いますから、そういう基本方針については私はもっと根本的に考える必要があると思うのです。それなくして中継機械化の方向に進んでいるところに今日の施策の欠如があると私は思います。ですから、まだ委員会を作ってどうやるのか基本的な方向がきまってないということは非常に残念です。しかし、質問の段階ですからこれ以上私の意見は申し上げませんが、とにかく局舎建設に対してもすでに一部は新庁舎ができ上りつつある、こういうような状況の中で、まだどうやるかという基本方針がきまってないということは、多少私は手ぬるいようにも思います。ですから、この際この点を総合的に判断されて作られた基本方針を、対策委員会の中から打ち出していただいて、またわれわれにもお聞かせいただき、われわれの意見も聞いていただいて、この中継機械化の最終段階を国民が迷惑しないような形で乗り切りますように、格段の御配意をいただくよう強くお願いしておきたいと思います。まだ全然構想的なものはないのですか。
  57. 山下武

    説明員(山下武君) ただいまのいろいろ電信の合理化のことに関しましての御意見でございまして、おっしゃいますように多大の赤字を電信事業が背負っておりますために、この赤字の電信事業をどうしたらいいかということは、これは公社に課せられた大きな問題だと思います。それのためにかねてからどういうようにしたらよろしいかということにつきましては、公社内で委員会も持ちましていろいろと検討をして参りましたのですが、なかなか電信の経営改善という問題はむずかしい要素が非常に多うございまして、急にその成果をあげるようなことができないのでございます。しかし、この経営改善といいますか、事業の合理化につきましては関係各局皆非常な関心を持って努力をしておるわけでございまして、先ほどから料金の問題とか、あるいは合理化施策の行き過ぎの問題とかいろいろ御指摘がございましたので、そういう点につきましても十分研究はしておるわけでございます。ただ将来の、電信事業をどう持っていくかということになりますると、なかなかむずかしい問題で、外国の例等から見ますると、こんなに赤字経営の場合には普通料金のある程度の適正化をはかったり、あるいは非常に電報の取り扱いの少ない局の取り扱いを隣接局に統合するとか、そんなようないろいろな施策をアメリカでもイギリスでも講じて、電信電話やその他に利用を食い込まれていくことによる経営難を救済しておるわけでございます。日本のいろいろな実情といいますると、必ずしもそういう施策は現在適当であるかどうかというようなことについても疑問でございまして、やはり現段階におきましては、電信の赤字はありましても電話事業によってこれをカバーしまして、電信電話を総合経営していくより仕方がないだろう、で、ただいまのいろいろな基本的な改善方針につきましては御指摘のように、われわれとしましてもさらに一そう研究いたしまして、場合によっては、その対策等につきましてあらためてまた御回答申し上げることがありはせぬかと思いますが、現段階においてはそのような状況に考えております。
  58. 鈴木強

    鈴木強君 大臣、今お聞きその通り公社事業の中で電信というのはきわめて厄介な存在になっているのですが、料金の制度の問題は一応おくとしても、今申し上げたような童話の収入によって電信の赤字をまかなっているというようなことが、電話利用者から見ると非常に矛盾に思われていることは事実だと思うのですが、これは政府当局として経世は経営者にまかされておるわけですかう、つべこべ言って参りたくないのですけれども、しかしこれは国策として、この電信事業が特に公共性を主張されて定額料金でずっとやっているわけです。ですからそういう政策上の問題としてお聞きしたいのですが、あなたは今のように電信がどんどん赤字がふえていく、合理化をやってもやってもふえていく、こういう事態をこのまま電話の収入によってまかなっていくというような方法が最善である、というふうに考えておられるのかどうなのか、この際大臣の所見を承りたいと思います。
  59. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) これはむろんおのおの独立の企業ではないけれども、それぞれ赤字でないことを望んでおります。これでうんと黒字になるということは、これはまたかえって、公社の本来の使命である公共性かうかんがみましていかがかと思いますが、しかしびたびたになるくらいの黒字にいたしたい、さように考えております。しかし現在のところではこの電信電話を一括いたしまして、当分の間運営をしながら赤字解消をすみやかに考究、検討していきたい、さように考えております。
  60. 鈴木強

    鈴木強君 大臣一つ専門的なことを私はここでは申しませんが、経営についての大まかなめどというのはわかっていただきたいと思うのです。ですからあなたも現在の経営がいいとは考えておらないようですから、一つこれはもう政府としても真剣に考えていただきたいと私は思うのです。今までの歴史を見てもなかなかこれは外国の例もあるのですが、電話と違いまして電信の黒字なんということは期待するととはとても無理です。これはウエスタン・ユニオンというアメリカの電信会社を私は見て参りましたが、ここらでも思い切った経営に根本的にやり直して、やっと今とんとんで経営していするというような状況です。ですからこれは電信というのは長い歴史もありますし、母死んだ、父危篤の電報もありますし、なかなかこれは料金を上げるということは無理なんです。ですからそこにはどういう経営能力を発揮しても黒字なんということはとても不可能な事業だと思うのですよ。その点もあなたのおっしゃるようにとんとんぐらいに持っていくということは、これはだれが事業を経営してみたって当然考えられることですから、そういう点に立って一つもう少し公社当局とも十分御連絡をいただいた上で、電信施策に対して今、運用局長もきわめておぼつかないような困ったということだけのお話ですが、基本方針としてはお考えになっているのだがなかなかまとまらないというような状況でございますかう、その点も一つ監督官庁の大臣ですからお知恵をかしていただいて、何か近い将来に抜本攻策を立てていただくように強く要望して、この点は終りたいと思います。  それから最後に風水害対策につきまして今総裁から御説明を聞きましたが、私たち非常に心配しておりましたのは、今度の台風によって約二十八億の被害が電電企業の中に出てきておるわけでありまして、これの復旧についてはかなり積極的にやっていただいております。これは私も認めます。しかし遺憾ながら、まだ今日完全に復旧されない所が愛知県下にはかなりございまして、現地を私も見て参りましたがまだ水没しているというような状況の中で、これはどうやって見ても復旧ができないという事態でございますから、国の全般的な救援施策の中で事業ぶ先走って少しやれるような積極施策をお願いしておきたいと思いますが、たまたま臨時国会が開かれて補正予算まて政府がお出しになっているわけでありますが、六百十四億というものが一応額としては出ておりますが、その中にはベトナム問題とか、あるいは石炭産業の当面の危機対策とか、そういうものが含まれておりますので非常に不満足でありますが、ここでは省きますが、公社既定予算の中で二十八億の災害が出ております。これをどうまかなうかということについて非常に関心を持っておったわけでありますが、今日の報告で二十八億円の中で、既定経費の差し繰りによって八億円を充当する、残余の二十億円については予算総則の二十二条により本年度増収額の一部をもってまかなう、こういうことで予算規模を多少変更しておやりになるようでありますが、今公社が第二次五ヵ年計画の二年目で二十八万の当初計画を多少拡大した格好で予算を取っております。従ってこの被害既定経費の節約やあるいは弾力条項によって増収分の一部を充てるということになりますと、当時の公社の考えられた計画というものがかなり狂ってくると私は思うのです。ですからこれらの問題について公社内部だけでこういう措置をしていいものかどうなのか、財政融資その他についてもきわめて貧弱な二十五億程度しか認められておらないわけでありますが、聞くところによりますと、これ自体が公社として認められていない、そんなことですから相当計画自体についても問題があろうかと存じますが、どんなやりくりをしても結局既定経費の節約をするということになると、どっかにボロが出てくると思います。この八億というのは大体既定経費の差し繰りですが、どこからやろうとしているのか、そのっことによって計画全体に影響がないのかどうか。  それからもう一つは二十億の弾力による増収分ですが、これは従来もちろん当初は目標額が設定されますが、それに対してどこまでいくかということは経営の妙味でありまして当初から予定できません。三百億の純利益が出るのか、あるいは四百億になるのか、二百億になるのかその点よくわかりませんが、いずれにしても従来の第一次五ヵ年計画から第二次五ヵ年計画予算措置を見ますと、資金措置を見ますと、そういう増収分の一部をもって施設増の方向に使ってきた。ところが今度は当初皆さんが三十四年度計画を立てるときに、どの程度にぶん取ったか知りませんが、こういうものを補正予算に充当して参りますと、やはりこの面からも二十八万の電話の架設ということが多少影響してくるのじゃないかと思いますが、この点の心配は危惧でありますかどうか。  それからもう一つは御承知の逸り、一定の目標額を突破した場合に、弾力によって能対制度も、これはわずかなものでありますがございます。そういったものが、一生懸命努力した従実員の立場からすると、多少なりこれは隔たれてしまうのじゃないかという危惧もあると思う。そういう点も関連をしてどうなるのか。そこら辺の三点をお聞かせいただきたい。
  61. 大橋八郎

    説明員大橋八郎君) ただいま、風水害の対策費として八億円の節約をやる、それはどこから節約したかという御質問があったわけです。これは八億のうち二億円は節約をしてそれを充当いたしました。残りの六億は、債務を償還する等に充てる計画でおりましたのを、その償還を一時取りやめましてそのうちから六億だけこちらへ回したと、かようなことになっております。
  62. 山本英也

    説明員(山本英也君) ただいまのお話で、本年度の予定をいたしておりますところの五ヵ年計画に、節約等を行ないますために支障を生ずるのではないか、という点が第一点だと思いますが、その点につきましては、ただいま総裁からお話のございましたように、建設勘定の建設投資額というものは、一文も節約あるいは繰り延べということをいたしておりません。従いまして、既定計画を遂行いたしますことは、予算的にも完全にでき得ることでございます。  それから第二点として、増収をもって充てるという二十億円については、それが予定をいたしておりますところの建設への分が減ることになるのではないか、という御趣旨かと思いますが、その点につきましては、今年度におきましては、損益勘定からの収支差額ということにきましては、三百十八億ほどを建設勘定の方に繰り入れることに予定をいたしておりますが、今年度の八月までの実績をながめますと、事業の収支状況はきわめて順調でございまして、相当の予定以上の収益を上げております。従いまして、ただいま申し上げました二十億程度のものは増収分をもって充てることにいたしまして二十二条の弾力の発動を郵政大臣にお願いした次第でございますから、その面からも収支差額の損益勘定からの繰り入れに支障を来たすことはございません。  それからなお、第三点として仰せられました、相当の増収がありますときには、業績その他に年度内におきまして支出をいたすことに、予算総則上認められておりますが、そういうものに響かないかという御質問かと思いますが、ただいま申し上げましたように、今年度におきまして収支の状況は、予想いたしましたものにつきまして相当順調な成績を示しておりますので、二十億程度増収分をそれに充てましても、下半期においてよほどの経済界の激変その他がなければ、その点につきましても業績賞与その他に支出いたします収入増高分というものが減る、という工合には私どもただいまのところ予想いたしておりませんので、御心配の点もないかと存じます。
  63. 鈴木強

    鈴木強君 最後ですが、大体この公社考え方で、こういうやりくりによって既定計画についても支障ないし、大丈夫だとこういうことですから、一応安心はいたしますが、しかし、この前の委員会でもお話が出ましたように、将来にわたって日本のような台風の多い国では、通信施設というものが完璧にそういう際においても維持できる、というような考え方をもってやるという総裁のお話もございましたが、ここにある七号、十五号に伴う本復旧費の三十五年度からの支出五億円、こういったものとの関連で、少なくとも委員会でそういう御答弁もいただいておりますし、通信建設の方法等についても、災害時における最小限度の被害にとどめる、というような基本方針をお考えになっておられると思うわけでありますが、そういうものとの関連でこの五億をみたと思うわけでありますが、それでなければ、基本的な非常事態に対する対策として、三十五年度あたりからかなり予算的にもそういう裏づけをして、非常事態に対応できるような通信の完璧の措置をお考えになっておりますかどうですか。そういう点はいかがでありますか。
  64. 山本英也

    説明員(山本英也君) ただいまの御質問は、来年度五億円程度の建設投資を災害復旧に要します金額として要するということを、さきほど総裁から申し上げたのでありますが、その内容は、今後の災害というようなものに対しますところのものではございませんので、今回の今年度におきまするところの災害復旧いたしますのでございますけれども、それが来年度にわたります分が約五億程度予定いたされますので、それを来年度予算において要求をいたしたいと考えておるところでございます。具体的に申し上げますれば、水没いたしましたところの電話局等の本復旧でございまして、局数にいたしまして二局程度かと存じます。
  65. 鈴木強

    鈴木強君 だからそのことはけっこうですよ。本復旧をやる場合に、今関連して、一回来た所ですから、将来再びまた来るということも考えなきやならんわけでしょう。そういう際に、根本的な再びこういう被害がないようなことをお考えになっておると思うんですよ。だからそういう政策が全然入れられないでおるのかどうかということです。総裁は将来そのことも考えてやるということを答弁されております、この前の委員会で。その計画は全然入っていないのですか。今までのようなありきたりの形でやろうと、こういうことですか。
  66. 山本英也

    説明員(山本英也君) ただいまのお話は、原状に復旧するのか、あるいは将来のことを考えて、もう少し改良した施設をもって本復旧に当たるのかというお話かと思いますが、その意味におきましては、裸線をケーブル化する計画をいたしましたり、あるいは現在手動で行なっておりますところの局を自動の局にいたしますとか、あるいは木造局舎に入っておりますものを本建築の局舎に入れるとか、そういう経費はもちろん入っております。ただ、全般的に災害対策として総体の施設を増加するという意味の金は入っておらないので、今回の災雲にあたりまして被害を受けた分の復旧といたしましては、将来に対しますところのいわゆる改良復旧と申しますか、そういう分は入っております。
  67. 鈴木強

    鈴木強君 これはせっかく今ここで本復旧をやろうというときですから、多少の改良復日は入っておるようですが、やはり十五号台風程度のものが来ないとは限らんですから、そういうことも十分取り入れての問題をやっていただきたいし、それからその当該の所だけじゃなしに、全般的に日本通信施設に対するそういう基本的な台風、非常災害に対処できるような施設拡充のことも十分配慮をして、三十五年度予算はすでにきまっておるようですが、実行段階でもやれることですから、一つ大いにわれわれの意見を入れて、これは国民のひとしく要望しておるところですから、そういう点を入れてやっていただくと同時に、当該の問題のあった所の復旧ですから、裸線をどうするとかそういうこともけっこうですが、もうちょっと再びこういうことがあってもだいじょうぶだというような自信の持てるような施設を作るように、五億で足りなかったらもっと要求してそうしてひとつやってもらわなくちゃ困る、そのことを要望しておきます。これで終わります。
  68. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 電電公社関係の問題につきましては、本日はこの程度にとどめたいと存じます。   ―――――――――――――
  69. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 次に、郵政省関係の問題について御質疑のある方はどうぞ御発言を願います。
  70. 野上元

    ○野上元君 それでは私から郵政事業の問題について御質問申し上げますが、今回は主として定員の問題、それから前回本委員会で懸案になっておりました仲裁裁定実施のその後の状況、さらに年末始の繁忙に対する郵政省の施策等について質問をいたしたいと考えます。  まず第一に、定員の問題について質問したいのですが、本日大臣から補足説明資料として出されておるのがありますが、この第一の懸案事項になっておりました定員法適用除外の問題については、長年わたって郵政当局に対してこの問題については要望を続けて参ったわけであります。がしかし本日の説明によっても、もう数年来の問題になるのにもかかわらず、なおかつ政府部内としてはなお意見一致をみておらない、こういう説明がなされておるわけでありますが、どういうところに意見一致をみないところがあるのか、あるいは郵政省としてはどう、しようとしておるのか、この点についてまず明らかにしてもらいたいと思います。
  71. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 定員法をはずせということにつきさましてたびたびいろいろの機会に御意見があったことは了承いたしております。結局公務員制度全体に関係する問題でありまして、本務者――本務者といいますか、それから定員法からはずしていいかどうかという問題、いろいろの問題があるかと思いまして、行政管理庁を中心に公務員制度全体の問題として考えられておるのが実情であります。郵政省としては一体どうかということにつきましては、まあ企業官庁としまして時々刻々情勢も変わってきますので、定員法で縛らなくて何か新しい方法、あるいはまたもう少し新機軸を出したらどうかという点につきましては、気持としては何かそういう方向に踏み切ったらいいのではないかという気持は、歴代答弁しておる通りであります。ただ公務員制度全体に関係する問題でありますので、郵政省として独自の見解で、強く何といいますか意見を主張していく機会が今までになかなかなかったわけでありまして、同時にまたかりに定員法をはずしましても、予算というものは厳として存するわけでありますので、現在は予算定員と定員法定員というものが一致いたしておりますが、予算はあるけれども定員法定員というものはそれより下であるとか、そういう問題はございませんので、実はごく最近についてはあまりその問題はつめていないというのがまあいつわらないところの実情であります。
  72. 野上元

    ○野上元君 公務員制度全般に関連する問題であるから検討を続けておると言うんだが、一体何年検討しようとするのですか、政府は。もう五年も六年も前の話であって、われわれは非常にこの問題については強く当局に要望してきたわけなんです。にもかかわらず五年も六年もたっても、いつまでたっても意見一致が見られないというようなことはおかしいと思うのです。一体どういうところで意見一致を見られないのか、その点を明らかにしてもらいたい。
  73. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) この問題につきましては、先ほど申し上げましたように郵政省がきめるという問題ではございません。行政管理庁が中心となって申し上げることでございますので、政府としてどうだということにつきましては、私から御答弁申し上げる資格がまあないのではないかと、こういうふうに考えております。
  74. 野上元

    ○野上元君 それでは郵政大臣から御答弁願いましょう。
  75. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 定員につきましては、ずいぶんと私たちの方から増員を要求しておるのでありますが、やはり十分には要求が満たされないのでありますけれども、しかし今回はもうすでに御存じであると存じますが、三千八百人増員いたしましたし、それに長期雇用の賃金者がおりますので、合計まあ六千名になっておりますから、業務には一応差しさわりないようにいたしたいと思いますけれども、これはやはり経営が会社組織とかそういったような民間事業体でありますれば、この定員者よりも、一時的の賃金者の方が経営に妙味があることは申し上げるまでもございませんが、しかし郵政省といったような公共的立場にある経営におきましては、その必要はないのでできるだけ定員をふやしまして、安心して仕事に従事してもらう方が所期の目的を進するわけでございます。そういうような観点から定員の要求を郵政省としてはいたしておりますが、ただいまのところ御案内の通りの三百万人の増員ということでまかなっているわけでございます。
  76. 野上元

    ○野上元君 私の質問に対する明確な回答ではないと思うのですね。私はどういうことが政府当局の中で意見一致をみない点か、こういうことを聞いているわけなんですが、私も全逓の幹部を長年やりまして、そうして毎年、この定員法の定員増加のことの要求のために、院内に入って各委員の方々とも話をして来ました。そうしていつも言われることは郵政事業は一般の行政官庁とは性格が違う、従って仕事に見合う定員を配置することが望ましい、こういう考え方については全く意見一致をみたのです。この点は与野党とも全く同感だ、こういうわけでございます。ところがしかしながら、郵政省に定員を増員すると、他の一般の行政官庁にも波及する一波万波論によって、いつもわれわれの要求が満たされなかったという経験があるわけであります。この点については、私は労働組合にまかせないで、行政官庁を実際に経営されているあなた方は、十分そのことをわかっているはずなんだから、五年も六年もこういう同じことの論争を繰り返さないで、一日も早く積極的に定員法のワクをはずすように努力することこそ郵政当局の私は任務じゃないかと思うのであります。それを今人事部長のお店によると、最近においては全然そういう問題については要望していることがない、というような御答弁があることは非常に遺憾だと思うのであります。その点について大臣はどういうようにお考えになっている
  77. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 定員のワクをはずしますということは、やはり財政全体、行政管理全体――もっともこれは管轄が違いますわけで、私から申し上げるのはどうかと思いますが、なかなかただいまの行政組織としてはむずかしいのじゃないかと考えます。従って私たちからも定員をはずすという要求はしたことはございませんが、それ以外の点につきましてはただいまの御指摘の通りでありまして、できるだけ定員をふやす気持で折衝しているわけでございます。
  78. 野上元

    ○野上元君 どうものらりくらりの御答弁でさっぱり要領を得ないのですが。
  79. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) ちょっと私から。実は野上委員から御指摘のごとく、私ども就任以来、大臣の旅行中、人事部の方も帯同いたしまして、人事院の吉岡事務総長、これは静岡県の副知事をしておったことがあって私と非常に伸がいい、八回ばかり今日まで折衝に参っているのであります。そこで御参考までに御了承願いたいと思うのですが、最近物が非常に多くなってきておるということにつきまして、私は、初めは御承知のように、何も知らないことですから、郵政事業というものは。ただ、短日私ども困っておるのは、あの三種といいますか、新聞の、月に一回か月に三回ぐらい、読みもしないようなものを新聞だの広告だのを満載して、毎日のように議員宿舎あるいは会館に配達される。これをごみ箱に捨てるのも大変なさわぎ、これだけ物が、最近多くなっているというので、これを、十日間分ぐらいためて持っていくのです。これほど物が多くなったのだから、認めたらどうかというので、八回ばかし、私率直に申し上げると、行ったのです。けれども、なかなか人事院の連中、しらくらしらくらしていて、なかなか口をあかないというので、実は大臣も、非常にこの問題については苦慮されて、一万一千七十五名ですか、三十五年度には。今大蔵省予算要求して、何とか、定員の増減の問題にあらずして、どうしても必要であるからというので、目下大臣も苦労し、私自身も、大蔵省の方に、その実情を訴えて、目下交渉中であります。  やがて今月の下旬あたりまでに、第一次の内示が出るであろうと、かように考えておりますが、内示をどうも少なくされると、それからまた増加させるのに骨が折れますから、なるべく内示を多くさせるようにしたいと、このように努力し、かつ人事院にも、その交渉に、就任以来八回ばかし行っておることだけを、御承知願いたいと思います。
  80. 野上元

    ○野上元君 私は、郵政省が今のような努力をされておっても、定員法というもののワクの中で、そういう努力を幾らされても、最終段階にいくと、先ほど言った一波万波論によって、郵政にふやしたらよそもふやさなければならぬ、こういう理屈によって、またほうむり去られることは明らかなのです。  従って、郵政省は特別な事業なんだから、現業官庁なんだから、定員法のワクをはずしてやっていかなければ、いつまでたっても、私はこの目的は達成されないと思うのだ。それは毎年々々同じことを何回も繰り返してきておるから、私はしつこく言うわけなのです。それで、郵政省は御承知のように独立採算制なのです。従って定員法のワクをはずしても勢い採算の中で、定員の増減をしなければならぬことなのだ。これは、自然に均衡がとれるはずです。収支見合って。なぜその定員法に、特別に縛られなきゃならぬということは、理論的にも私はおかしいから、この問題を何回も言っておるわけです。にもかかわらず、いまだ郵政省当局が非常に不熱心であるということだけはわかりました。
  81. 佐藤虎次郎

    政府委員佐藤虎次郎君) これから、いま一歩も二歩も、最大の努力をして御期待に沿うように努力する決意でおります。
  82. 野上元

    ○野上元君 それで、私は決意だけ聞いても、これは仕方がないので、結果を待ちますが、この富貴法のワクをはずさない、それで思うように定員が増員されないのですね。私の今手元にある資料、これは、郵政省郵便白書として出したものですよ。これによっても、毎年相当多数の増員が要求されておるわけです。にもかかわらず、その成立した定員は、何分の一にも満たないのですね。こういう状態が、毎年々々繰り返されてきた。そして、郵便物はどんどんふえていく。定員はふえないということが、今日非常に大きな郵政事業の問題になっておると私は思うのです。  従って、最近において都内各所において、特に問題が提起されておるわけです。この点について、私は質問したいと思うのですが、たとえば新聞に最近非常にやかましく言われておりまする中野の郵便局の問題、あるいは牛込その他周辺の十数局における郵便遅配問題、こういうのは、一体どういうところから、こういうことが起きたか、郵政当局は、どういうふうにお考えになっておりますか。
  83. 森中守義

    森中守義君 ちょっと関連してその前に……。  今の野上委員の質問に関連しまして、根本的なことですから、ぜひその前に、ある意味責任追及になるのですが質しておきたいと思います。  それは、私もいろいろ行政管理庁とか、方々に意見を聞いてみました、というのは、要するに昭和三十二年であったかと思います。会議録持ってくればいいのですが、そのときに公務員制度調査会ないしは制度調査室、これができたので、この中で、それらの問題をあわせて検討するということを、定員の周越にかかわらず、全般について政府答弁をしておったのです。ところが郵政事実の場合には、その制度調査室の結論がいつ出てくるかわからない、いわんや法改正その他幾多の関連する問題が整理されるかわからないという状況にあったので、制度調査宏あるいは公務員制度調査会の答申に基づく問題とは別個に、これは検討する必要があろうということを当時郵政大臣の田中角榮君に私は質問をしたことがある。これに対して時の田中郵政大臣は、それと行政管理庁の岡部という局長も、郵政の定員については、別個にこれは検討いたしますということを正確に答えている。もちろんここにお見えになっている佐方人事部長あるいは西村経理局長は、その意見を聞いておる。  だから、私のその会議の印象、あるいは出した意見、受けた答え、これらのものを総合していくならば、当然郵政省は、なるほど政府全体、内閣全体の問題であったにしても、郵政省という立場から、より積極的に定員法のワク外に郵政は置くべきであるという意見を開陳すべきであるし、そういう主張を続けていくのが、その内閣委員会における、国会においての答弁からして当然であろうと思う。  ところが、何ら積極的に郵政意見を開陳していない、積極的な主張をしていない。だから、私が当時憂慮した制度調査会の答申や、あるいは制度調査室のやっていることに籍合して、それを隠れみのにして、事態の遷延をはかっておるという、こういう結論が私は出てきていると思う。国会における大国の答弁あるいは事務当局が、それに従ってなそうとすることは、その場さえのがれればいいということですか。これは、この問題でなかったけれども、先般、光村委員大臣不在の際に、政務次官に激しくつめよったあの問題と全く同様です。何らやっちゃいないじゃないですか。どこにも努力をしたという形跡はない。言ってしまうならば、次年度の定員増加の要求をどれたけしていくのか、復活をどれだけ要求するか、そういう小手先の技術に終って、それで今省内に存在する幾多のこの臨時職員の問題に対して抜本的な解決をしなければ、その答えにもなりません。ここ三年ないし四年間というものは、全く定員の問題については、極論するならば、次年度の定員要求に終始一貫追われきってしまって、正常な事業運行をやっていこうという、その前提に立った定員の問題に対する根本的な解決を私は怠っておる。こういう結論が今出ておるわけです。  ことに先刻佐方人事部長が答えた中からいっても、あまりにも答弁がそらぞらしい、私はそういう答弁をごの場でまだ聞こうとは思わなかった。実は郵政省としては、そういう国会における約束もあるので、行政管理庁なり、あるいは制度調査室なり、それぞれの政府機関に対して、郵政省という立場から、強い要求をいたしております。だけれども、今なお、その実現の段階に至っていない。こういう答えが出なければ、うそだ。全然出ないじゃないですか。何をもって国会に対する答弁と心得ておりますか。植竹大正は、その当時責任者でないので、そこまで責任をとらせるということは酷であるかもしれぬけれども、やはり国務大臣郵政大臣という立場において、この貨任はとってもらわなければ困る。いわんや、昭和二十六年以降、国会は数回にわたって衆議院、参議院は院議として、この種の問題を扱っております。何と心得ておりますか。私は、さっきの人事部長答弁をどうしても受けかねる。行政管理庁や、あるいは大蔵省、そういうところに、国会に答えた、国会に約束をした経緯を考えるならば、強く主張すべきであろうと思う。そういうことをやっていない。やったというならば、お目にかかりましょう。何をもって郵政事業の円満な運行をはかろうとするのですか。もう一回、この問題に対して、陳謝で済むのじゃないけれども責任ある大臣の、私が経過を述べたので、この経過に対する判断としての答えを、もう一回受け取っておきたいと思う。
  84. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 実は定員の問題は、私ざっくばらんに申しますと、旅行の前に大蔵大臣に会いまして、強く主張したのでありまするが、予算編成のときに、さらに具体的に折衝しようという段階になっておりますのですが、その定員のワクをはずします問題は、なかなかまだ完全なところまでいっておりませんので、こちらへまだ御報告する段階にいっておりませんが、次回までに、この問題、さらにこの前の打ち合わせについては、どうなったかということを、予算方面からも、また行政管理の方面からも、よく打ち合わせまして、お答え申し上げたいと思います。
  85. 森中守義

    森中守義君 私が経過を述べたことを、大体理解されましたか。
  86. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 拝聴いたしました。
  87. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、やはり通信国策というのか、事業運行の原則をなすものは、むしろこの辺にありということがわかりましたか。
  88. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 定員を十分にとりまして、業務を完全に行なっていくべきだということを、よく認識いたしております。
  89. 森中守義

    森中守義君  毎年、次年度の定員要求を幾らにしていくのか、それで査定になってから、復活を幾らにする、こういうことだけが、今まで郵政省は終始一貫しているのですが、それではいけないということに気がつきましたか。
  90. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) なかなか郵政事務は、業務量が非常に多いので、定員不足であるということをよく認識いたしております。
  91. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ちょっと森中委員、今の野上委員の御質問に対する答弁がありますので。
  92. 板野学

    説明員(板野学君) 東京部内におきまする郵便遅配の原因につきましては、各局、それぞれ、いろいろ事情が異なっておるようでございますが、中野は、例の退職後の非常勤に対する処遇の問題、あるいはこれに関連するいろいろな法律関係の問題ということが一応中心になっております。その他の局につきましては、あるいは主任の任命のいろいろなやり方について不満がある、あるいは非常勤職員の任用につきましての順位の問題、あるいは非常勤職員を木採用にぜひやれ、あるいは芦員の要求、あるいは中野の局の一つ応援をしようじゃないかということもあるようでございます。いずれも、そのようなおのおの違ったいろいろな要求が個々に出て参ってきております。
  93. 森中守義

    森中守義君 大臣、さっきのことですが、ちょっと言われたようですが、この次あたりの委員会で、定員法をどうするかという統一ある見解が述べられますね。
  94. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) この次は、あまり期間が短かいと何ですが、来週あたりでありますれば、お答え申し上げます。
  95. 野上元

    ○野上元君 ただいま中野の問題について、郵務局長から原因等について、若干の答弁があったのですが、今述べられたことも、一つ理由だと思うのです。しかしそれは、うわべの理由であって、やはり最も大きな要素になるのは、定員が著しく不足しておる、こういうことが一番大きな原因になってあそこまで事態が大きくなったのだと私は考えるわけです。  それで今日、組合がやっておる定員の増員要求について、佐藤政務次管が、当然だ、こういう発言をされておりますが、全逓が定員要求闘争を行なっておることは、これは、もう当然だ、自分は現地を見て、定員の足らないのを非常に痛感した、こういうことを言っておられるわけですが、それについて、事務当局はどういうふうに考えられますか。
  96. 板野学

    説明員(板野学君) 郵便のことが中心になっておるようでございますから、私からお答えいたします。  来年度の定員の要求につきましては、郵便関係におきまして、定員といたしまして五千五百九十九人、賃金といたしまして二千九百五十四人を要求いたしておりまして、私どもといたしましては、できるだけ事業の運行に支障のないような定員を一つ確保していきたいということで、せっかくただいま大蔵省とも折衝をいたしておる次第でございます。
  97. 野上元

    ○野上元君 私は、ただいま郵政当局が次年度に増員を要求される数を発表されたのですが、その数字は、非常に過小なものだと考えるのです。  これは、郵政白書をごらんになれば、一目瞭然であります。郵政白書の中に、何年でしたか、昭和九年を基調として、ずっと数字が出ております。大体昭和九年のときには、郵便物数は約四十仁といわれたのですね。そのときに定員が九万三千何人、ところが昭和三十年においては約これまた郵便物が四十一億、そうして定員は七万四千名しかないのですね。そうすると、もうこのときすでに一万九千人の定員不足を告げているわけなんです。しかも御承知のように、戦前の公務員というか、官吏というか、これの身分あるいは地位というものは、今日のような安定したものじゃない。いわゆる重労働もあえてやらされたような時代にあったわけです。にもかかわらず一万九千人の今よりたくさんの定員を擁してあの当時の郵便物を処理しておった、こういうことになるわけです。  そうするとその後、郵便物は、どんどんふえております。三十五年度になると、相当ふえてきます。にもかかわらず、定員はほとんどふえておらない。それはもう全部従業員の肩にかかっておるといわれても仕方がない。だからこそ、私は先ほど言ったように、一般行政管理庁のあおりをくらって、一波万波論で片付けられたのでは、私は中野といわず、牛込といわず、あらゆるところで問題が起こる大きな要素がここにあると思うのですね。この根本的な原因を、あなた方が除去しない限り、常にこういう問題が起きてくる。いわば時限爆弾を抱えておると言われても仕方がない。これはあなた方が、実際に東京都内の現業局をお歩きになればわかります。最近の現業局における空気は、きわめて陰惨であります。非常に空気が悪い。これはなぜか。非常に重労働があるからであります。  その点について、郵政当局の今後の施策についてお伺いしたいと思う。
  98. 板野学

    説明員(板野学君) 現在のお話の通り昭和九年におきまして九万三千何人というのは、いろいろの労働条件等の変更に伴いまして、これを換算いたしますと、こういうことになるという数字でございまして、実在の定員は六万五千八百十二人でございました。これを、労働条件その他を換算すると、こうなる。私ども三十五年度におきましては、定員と賃金と合わせまして約八千名要求しておりまして、現在三十四年度の定員が七万八千幾らになっているわけです。  従いましていろんな能率増進等も含めまして、これだけの庁員と賃金をもらえば、大体、一つ、労働辻車ということがなくてやっていける、こういう計算で出しておるわけでございます。そういう点で一つ……。
  99. 野上元

    ○野上元君 そうすると、これは換算したって実際とは違うのだ、従って、現在の定員は、決して少なくない、こういう御意見ですか。
  100. 板野学

    説明員(板野学君) そういうわけではございませんで、現在の定員、総労働力としては、私どもも中の定数的非常勤を出しまして、数をそろえておるわけでございますが、定員として、これはやはりいただきたい、こういう意味で五千五百九十九人は定員、二千九百五十人と申しますのは、これは三十五年度のいわゆる定員実増に見合う人間、用員は、これはまあ毎年賃金でもらう、翌年には定員になる、こういう予算の仕組みになっておるわけでございます。従いまして両者合わせますと、約八千何百名のものを要求いたしますれば、現在七万八千でございますから、大体八万五、六千、そういたしますと、いろんな能率増進その他機械化に伴ういろいろの面もございまするが、大体これで、私どもはまかなっていける、こういうふうに考えておるわけでございます。
  101. 野上元

    ○野上元君 それだけ郵政省が要求されておる増員をもって、それで完全にできると、こういうわけですね。
  102. 板野学

    説明員(板野学君) 私ども、そういう工合に考えております。
  103. 野上元

    ○野上元君 そうすると、とれなかった場合は、どうするのですか、毎年とれないのが例になっておるが。
  104. 板野学

    説明員(板野学君) これは現実にある郵便物をどうしても扱わねばならぬ、こういう建前でございまするので、私ども、万一どうしてもとれなかった、こういうことを希望しておりませんけれども、そういう場合にはただいまやっております定数的非常勤をもって、その不足を補う、こういうふうに考えております。
  105. 野上元

    ○野上元君 定員の問題は、これだけやっても、おそらく一日論議しても尽きないような重大な問題ですが、きょうは、先ほど森中委員から言われたように、根本的の問題は、定員法の問題にあるわけですから、この問題について、ごく近い将来に、大臣からはっきりした答弁一つお願いをすることにいたします。  それで、今足らないところは非常勤で補うというふうに言われましたが、この非常勤が、最近非常な数になっているわけです、郵政省の中においても。これが非常に問題の種になっておる。われわれとしても、非常にこれは重要な問題だと考えておるわけであります。特に郵政省では、おそらく頭痛の種になっておると思うのですが、最近における非常勤の数というのは、どれくらいあるのか、明らかにしてもらいたい。
  106. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 約二万名おります。
  107. 野上元

    ○野上元君 それは、各事業部門を通じてですか。
  108. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 各事業部門を通じまして、これは特に郵便局の非常勤職員であります。
  109. 野上元

    ○野上元君 郵便局の中の各部門ですね。貯金。保険、郵便と。
  110. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 貯金局、保険局等を除きまして、普通局、特定局、いわゆる郵便局全部でございます。
  111. 野上元

    ○野上元君 それで、私も昨日都内のある局を視察いたしまして非常勤の状況調査して参りました。これらの点については、同僚議員からも、いろいろと質問があると思いますが、私が現場な見てきた感じからいえば、非可動のやっておる仕事と、いわゆる本務者のやっておる仕事とは、全く同じ内容を持っておるものだといえます。しかも非常勤の勤務年数を見ますると、一年以上です、みんな……。さらにまた、将来長く勤めるという状況にあるわけです。また当局としても、その当該局としても、これらの非常勤をやめさすというわけにも参らぬ。これは郵便物との関係でやめさすわけには参らぬ。非常勤として使わなければならぬ。こういう状態にあったわけです。  ところが、この非常勤の身分は御承知のようにきわめて不安定なものであって、同じ労働をやりながら、同じ業務を遂行しながら、本務者との間に、著しく待遇が悪い。これが最近非常勤の問題の、一つの大きな問題になっておるわけですが、最近、非常勤を一人雇うために、郵政省は幾ら出しておりますか。
  112. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) 非常勤の単価でございますが、予算上は、特殊有技者につきましては三百六十円、一般の非常勤者につきさましては二百五十円という単価で成立しております。ただ、それは予算上の問題でございまして、その単価で成立いたしました予算の総額の範囲内におきまして、各事業局で、各地方々々の状況を見まして、二百五十円では、必ずしも十分でないところもございましょうから、その場所に応じた単価で、個々に雇い入れておるというのが実情でございます。
  113. 野上元

    ○野上元君 その二百五十円と三百円というのは、それは最低ですか。最高はどこまででもいいのですか。
  114. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) 私の申し上げましたのは、予算成立上の単価を申し上げたのであります。ですから、まあ平均と申しましょうか、一般には二百五十円、それから特殊な有技者は三百円じゃなくして、三百六十円ということで成立しております。
  115. 野上元

    ○野上元君 それで明らかになりましたが、今日御承知のように、二百五十円で大の男が現実の問題として雇えるかどうか。皆さん方、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  116. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 実は、非常勤の問題について、ばらばらに返事をいたしておりますけれども、御承知のように、非常勤は、事業運行をしますために、各事業ごとに定言と非常劾をならしましておりますものですから、非常にばらばらに、経理局長が返事をしたり、私が返事をしたり、郵務局長が返事をしたりしてお聞き苦しいと思いますけれども、現実の問題としまして、先ほど申し上げましたまうに、非常勤は二万人おるわけです。その中で、私どものほうの計算では、一年未満という人が大体一万七千人ぐらいおるわけです。従いまして一年以上という数字は、二千五百ぐらいというふうに、われわれは考えておるわけであります。  それから非常勤の単価につきましては、予算上、経理局長からお話がございましたが、御承知のように、最高のワクというものは、全逓信労働組合言と私どもの方の協約によりまして、当該の人が、おのおの初任給をきめておりますけれども、本務者であったとしたならば幾らもらうかということの二十五分の一を最高のワクとしてきめておるわけであります。  それで現実問題として、その二百五十円で、どうかということにつきましては各地域ごとに、いろいろ問題もあろうかと思いますけれども、今のところは、そういうことで非常勤の人を採用しております。
  117. 野上元

    ○野上元君 私が聞いているのは、今人事部長が言われた二万名の非常勤は、これは当然定員法のワクでもはずれれば、本務者になるべき人なんですよ。これは郵便物というのは、この郵政白書を見ても、郵便白書を見ても、年々増加の一途をたどっておる。そして将来も、長くこの線をたどるであろう、こういうふうに発表されておるわけであります。従って季節的な非常勤は別としても、今あなたが言われた非常勤は、これは、もう当然本務者として雇われなきゃならぬ人たちだと思うのですよ。
  118. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 私はそう考えませんので、来年の事業量を考えましても、二万名の増員要求というのは、事務局としていたしておらぬわけであります。従いまして、この中には、長欠のあと補充とか、季節の関係の補充とか、そういう人も入っておるわけであります。この二万名の中に、相当長期にわたって採用される人に対しましては、もちろんいろいろ考慮したいと思いますけれども、二万名が、今直ちに定員不足の問題だというふうにはならないものだと考えております。
  119. 野上元

    ○野上元君 私は定員不足かどうかの問題は、これはいろいろ意見があろうかと思うのです。私たちは定員の問題については、さらに郵政当局とは違った意見を持っていますが、今ここで、その点にはふれませんが、特に私が問題にしておるのは、非常勤の身分の問題なのです。あるいは待遇の問題なのです。主としてこれは郵便物が増加しておる、そして定員がなかなか思うようにとれない。従ってその穴を定数的非常勤あるいはその他の非常勤によって埋めるんだ、こうあなた方おっしゃっておるわけなんだから、従ってこれを採用されても、非常勤は、これは、私は長く勤める性格のものだと思うのです。そういうことになると、全く同じ勤務と労働条件にあるにもかかわらず、片一方は二万円、三万円ともらっているし、片一方はわずか二百五十円しかもらえない。しかもいつ首になるかわからない。健康保険の問題もある。退職金の問題もある。あるいは年金の問題もある。いろいろな問題について、全く適用されておらない、こういう状態にある場合には、当然そこから私は問題が起こってくるのじゃないか。このことを実は重要視しておるわけなんです。これが今回東京に主として発生しつつある大きな問題の原因になっておるのじゃないかというふうに考えるわけなんであります。  従って、この問題については、あなた方が相当真剣になって解決をしなければ、永久にこの問題は、その根が残るんじゃないかということを私は感じます。ただ、先ほど言われたような若干の原因をあげられました。それは一つの顕在的な原因かもしれないけれども、しかし潜在的な原因はここにある。このことを私は言っておるわけなんです。  そういう事柄について、郵政当局としては、この非常勤をどういうふうに今後しようとするのか。ますます増加の傾向にあるが、一体これをどうしようとするのか。この点を明らかにしてもらいたいと思う。
  120. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 非常勤のことにつきましては、根本的には、来年の事業量を考え、今日の事業量を考えまして、各事業局が来年の予算要求をしている。それによって、できるだけ多くの人が本務者になっていくのが一番のやり方だと思います。  なお当該年度におきまして、業務量の異常な増加の場合には、先ほどのお話がありましたことと関連いたしまするので、常勤にするとか、あるいは契約できますならば、超過勤務の契約を結ぶとかということで、当該年度は処理していかなければならないものと思うわけであります。  そこで、非常勤者の処遇につきましては、問題はいろいろございます。先ほどお話のように、初任給をもっと上げたらどうかという両題があります。それから、ある程度長い人につきましては、月給制にしたらどうかという問題があります。それから常労の問題にもからんでくるだろうと思います。それからあるいは昇給の問題等も出てくるわけでありまして、私たちとしましては、非常に非常勤者が多くなっておりますが、この際、これらについて根本的な検討を加えたいということで、かたがた案を練っておりますけれども、御承知のように今年度は異常な出費がございまして、それを裏づけするだけの結論をなかなか得ないというのが実情でございますけれども、数多くの非常勤者の身分につきましては、これは何らか改善の道を求めていきたいということでやっている次第でございます。
  121. 野上元

    ○野上元君 最近都内に起きている問題を真剣に私たち検討を加えているわけですが、非常勤というのは御承知のように最近における状態は、主として若い人が多いのですよ。しかも働き盛りの人が多い。従って、実際にその現業局における事務の大きな部分を背負って立っているにもかかわらず、待遇が非常に悪いということが、非常に大きな悩みになっておるわけです。何とかしてこれを解決しなければ、この問題については、いつまでたっても繰り返し繰り返し問題が起きてくる。こういう可能性が十分に考えられるので、郵政当局としては、この問題については特に注意を払ってやつてもらわなければ困ると思うのです。  その点について、定員法の問題もさることながら、郵政大臣一つ、あなたの任期中に、この問題の解決のために、一般の努力をしてもらいたい。こういうふうに実は考えるわけですが、郵政大臣の所見を一つ承りたいと思う。
  122. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 仰せの通り、まことに大切な問題と思いますので、一生懸命努力して参ります。
  123. 光村甚助

    光村甚助君 私は、あなた方ほど学がないのでわからないのですが、郵便足ですから。公務員制度全般に、どう関連するのですか。私は、これがわからないのです。ほかの人はわかったようですが、私はわからないので、もう一ぺんこれを説明していただきたいのです。  と申し上げますのは、公務員制度全般に及ぼすというのは、郵政省は、ここにあなた方が認められているように事業官庁なんですよ。大蔵省や通産省、税務署と違うのです。たとえばこれは物を作るところと一緒なんです。昭和九年と昭和二十一――三年と今と、実際物に換算すれば、作っている数が多いわけです。それに、その昭和九年や昭和二十三年の時代の人間と同じ人間で、たくさんの物を作れということが私にはわからないのですが、こういうことが、どうして一般の公務員制度全般に及ぼすのですか。私には、どうしても、郵便屋上がりに、あなた方ほど、東京帝国大学を出た人の題はわからないので、実際わからないのですよ。その点、もう少し納得ができるように御説明していただきたいのですが
  124. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 公務員制度との関係につきましては、たとえば作業関係と内務関係をどうするかというようなことは、いろいろあったと思いますが、先ほど申し上げましたように、実は、予算定員というものと定員法とあまり食い違っておりませんために、最近におきましては、あまり行政管理庁その他と交渉いたしてない。まあ実は、あるようなことを申し上げて、非常なおしかりを受けましたが、先ほどもお話がありましたように、あらためまして大臣の御支持を待て、省内の意見もまとめて、上司とも相談いたしたいと思いますので、この問題につきましては、もうしばらくお許しをいただきたいと思います。
  125. 光村甚助

    光村甚助君 専売局でたばこをたくさん作れと言われたら、これは人をふやさなければいかぬのですよ、実際。郵便は、物を作らないからまだいい。結局は、物をたくさん配達しなければならぬ。最近は、四階建て五階建てという家ができて、五階に上がったって、物を配るのは二軒なんですよ。また下におりてきて、また上に上がらなければならない。昭和九年ごろには、こんな家もなかったのです。定員は元のままで、仕事ができないといえば、処分する。これは大臣矛盾をしていると、ちっとも思いませんか。
  126. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 確かに、その点は生活状態が画期的な進展を見せておりますので、それに合わせますように、当局としては機械化をもって、それを捕ったり、また業務の方法をできるだけ合理化してやっていくように努めておりますけれども、しかし仰せの通り郵政の業務というのは人の手で、手をわずらわしていたす業務でありまして、いかに機械化いたしましても、やはりただいまのような非常に苦労をかける業務でございます。しかしまた反面におきまして機械化いたしますれば、他の苦労が機械化によって簡素化されます部面と差し引き勘定になる場合もあろうかと考えまして、せっかく合理化に努めておる次第でございますが、御趣旨のことは、よくわかりましたので、その点も、業務の運営についてのすみやかなる結論を出すべき研究課題として検討いたすことにいたしたいと思います。
  127. 光村甚助

    光村甚助君 ニコヨンと言ったら、ちょっとしかられるかもしれませんが、失業対策事業で、女の人が朝九時ごろ出てきて車を引っぱって、午前中何時間か、午後何時間かやって、あれは幾らもらっているか知っていますか、郵務局長。あの女の人が、五十、六十くらいの女の人が、幾らもらっていますかも知っていますか。
  128. 板野学

    説明員(板野学君) 大体三百五十円か四百円見当の収入があると思います。
  129. 光村甚助

    光村甚助君 それなら、朝から晩まで鞄かついで、四階から五階まで上ったり、降りたりする人が二百五十円や二百八十円で来ると思っているのですか、どうですか。
  130. 板野学

    説明員(板野学君) 労働日数が、単なる日雇いの人と違うものですから、まあ一ヵ月にとる総額につきましては、そうは開きがないと思いますけれども、この二百五十円とかいうような平均の単価というものは、まあ各土地土地によって事情は違いますけれども、たとえば東京都のごときにおきましては、私は十分ではないんじゃないか、こういうわけで、私どもも、この平均の賃金をいろいろあんばいをいたしまして、現在のところ、東京都につきましては、大体内勤が二百八十円、外勤が三百円ということで、この標準でやっております。しかしこれは、私どもといたしましても、十分だということは考えておりませんのでございまして、いろいろ今後の予算折衝等におきましても、こういう面も、実情に合うように、一つ検討していただくということで参っておる次第でございます
  131. 光村甚助

    光村甚助君 定員法ができたのは、あれは二十五年ですか、二十四年ですか、それは、この事業官庁定員法ができるということが、これはまあ実際納得ができないのですが、済んだことは別として、人間が足りなくても毎年要求してもくれない。くれないから、非常勤を雇っていると言われるのですが、それは話は、野上君の方に譲りますが、ここに非常に無理が出てきて、あちこちにトラブルが起こっているわけです。二百五十円や二百六十円で働けないから、中学生か高校生あたりを雇うから、物もほったらかしたりするようなことになってしまう。最近、実際東京都内に限らないのですが、郵便遅配欠配ということが、世間の指弾を受けていること、郵政省は、組合側がストを起こしているから知らないという態度をとっておられるけれども、ということは大臣、これは、今まで私の議論から、あるいはさっきの野上君からの議論からすれば、これは昭和九年と昭和二十一年、二十二年と、今と比べたら、全然無理だということは、あなた認めているんですよ。ただ郵便物がおくれているから、これは組合がストをやっているということで逃げるということは、実際上、われわれ組合出身だというだけじゃなくて、国民の一人として私は納得できない。さっき言ったように、物を作らないからいいようなものですが、これは汽車をどんどんふやして、乗務員がいなかったら、これは衝突しますよ。郵便は、大体たくさん詰めていって、持っていくから、いろいろ無理してやっているんですよ、大臣。そういうことも考えずに非常勤で糊塗して、またその非常勤も、世間並みに払わずに、子供を雇ってしまうから、物を捨てたりなんかする事態が起こる原因が、あなたの方にないとおっしゃるのですか、こういう点は、どうですか、大臣。もう少し世間に対して、郵政省がだらしがないということで、責任をとったらどうですか。これは、組合の責任だけに私はおっかぶせるべきもんじゃないですよ。昭和九年の戸数と、今と比べたら、もう少し郵政省というのは、三十万くらいに人間をふやさないとやれないと思う。ふやさなければ、何にもならない。野球をやっているんじゃない、勝った負けたじゃない。ふやさなければ、意味がない。いくら努力しても、効果が上がらなければ何にもならない。  そういう点で私は組合だけに、あなた方、組合が悪いと言ってPRされますけれども、われわれに、こういう矛盾を追及されたら、何とか定員法をはずす、定員法をはずすということになりゃ金の問題になる。金の問題については、私は一つの議論を持っていますが、ここでは言いませんが、もう少し郵便物遅配ということに対しては、郵政省自体が、組合を弾圧するというだけじゃなくて、責任を持って人をふやしたら、私はこういう問題は解決できるんだと思うのですが、どうですか大臣
  132. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) それは確かに、人をふやしますれば、ずいぶん業事量が多くなっても、円滑にいくと考えます。
  133. 光村甚助

    光村甚助君 それだけじゃだめだというんですよ。昭和九年と、あなた、これを見てごらんなさい、昭和二十一年、二年、三年ごろと、物のふえた数と人とを。現在の人が無理な労働をやっておるということは、あなたの方で出しておる本に出ているんですよ。それなら、東京都関係、全国に現われておる現象が、組合がストをやっているから、くずれたというあなたのはけしからぬと思う。もう少し郵政省として道義的責任を感ずべきじゃないか。ただあなたのように、そんな簡単な答弁では、私は納得できない、国民の一人として。
  134. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 私も、就任の冒頭にも申しましたように、まことにその点は、全従業員諸君の非常に苦労の多い仕事であることを、これはもう、就任前から認識しておるのでございますが、なお御指摘の数字につきましても、それをもとにいたしまして、実は先般来他の省との折衝をいたしておるのでございますが、これにつきましては、先ほど野上委員の御質問に答えましたように、来週明確なお答えを申し上げたいと思います。それまで一つ、御猶予を願いたいと思います。
  135. 鈴木強

    鈴木強君 私は、これは行政管理庁の方に言うことかもしれませんが、日本の官業事業に対する国民や政府考え方が、ちょっとおかしい点があると思うんですね。一般国民から見ると、官庁職員が非常に多いとか、行政整理をなぜやらぬかとか盛んに言われるわけですよ。なるほど、全般的に非現業的な官庁と、それから現業を主体とする官庁の間には、事業の性格がはっきり違うわけですから、それを一緒にして、今までの行政整理のやり方を見ておると、現場段階は五分なら五分、三分なら三分というふうに、機械的に定員制限措置をずっとやってきておる。特に二十四年の定員法を制定する当時からのやり方を見ておると、そういう国民なり、一般的にものを見ておる人たち考え方に同調してしまって、そうではないんだ、官庁事業の中でも、こういう特殊な事業があるのだということをやはり認識していただいて、そうして必要ならば、これを見ても、これは郵政省の資料ですから、年痩別の郵便物を見ても、昭和九年を一〇〇にすると、三十三年は一二九とか、内国郵便物の種類別を見ても、二十七年が一〇〇で、一九九というように倍近くふえているんですね、仕事の量というものは。ですからそういう仕事の量がふえて、しかもそれがサービスよく、早く、間違いなく配達されるということになると、どうしても光村委員もおっしゃったような、最近の建築なんか見ましても、複雑化してきておるわけですね。ですから吉と違った苦労が、都会といわず、地方といわずあろわけですよ。いなかへ行っても、新聞なんか、あまりとらなかったようなところでも、えらい山奧でも、新聞を全部とっておる。そうするとおそらく五軒や六軒のうちでも、そこを一時間もかかって配達人が持っていかなければならない。そうすると取り扱い数の増加というのは、今の分布状態や建都構造の変革や、そういう点から見て、相当変革があると思う。ですからそういう事業の実態の中に立って郵政事業というものは、あるいは電気通信事実というものは、これだけ飛躍しているんだ、それに対して、皆さんの公代、公務員としてやっておる諸君が、どういう状態に置かれておるのか、定日は足りるのか足りないのか、その点を私はもっとアッピールして、ほんとうに間違った国民の考え方があるならばそれを変えていかなければならぬと思うのですよ。そういう実態を行管あたりがさぼっておって、機械的にものを見ているのですよ。というのは、行管も無責任だが、直接その事業をあずかっている郵政なり電通なり、国鉄なり、こういった現業官庁の理者というものは、もっと私は勇気を持って、その事実を訴えるべきだと思うのです。そうして適正な要員配置をして、郵政事業がスムーズにいけるような道を開かなければならぬと思う。定員法ができて、何名の定員掛ける単価、それが給与総額になるわけだ。そういうことをやって、定員法はあるのだが、実際今まで見ておると、相当に非常勤職員というか、臨時的な者を雇わなければ仕事ができない。定員法が、ほんとうに正しいものであれば、そんなことをするのがおかしいのだ。定員法の中でやればいい。どうしてもそんな無理な定員法があって、できないから、労働条件その他について、非常に問題になるような臨時者を雇って仕事をさせているというところに、政治の矛盾がある。  そういう点を私はもっと掘り下げて、そうして郵政事業というものが、ほんとうにうまく動くためには、そういうふうな身分の不安定な、中野にも私行ってみましたが、十八くらいの子供を雇って、そうしてごみ箱の中にまるめて入れてあるとか、めんどうくさくなって築地の中に入れたとか、国民の郵便物が、そういうような若い人たちによって扱われるような、そんなところまでいったら、郵政事業は地に落ちた。  だから、こういう事業の実態というものは現状でいいのかどうなのか。最近、政府の方で考えたのか、どこで考えたのか知らぬが、臨者をできるだけ本務者の方に行かそうというようなことを、新聞でちょっと散見しまして、これは非常にけっこうな方向に進んでいると思うのだが、しかし現実には、それがなかなか実現しない。だから年々歳々、郵政の職場では、物がふえるが人はふえない、こういう問題が絶えず起きているわけですね。だから、これらに対して郵政大臣が、他の官庁と違った企業体ですから、だから、この企業の実態を大いに閣僚諸君にも理解させていただいて、何といっても、根本的にはこの定員法の定数というものをふやしていく本道を進んでもらわなければ、無理な定員法を押しつけられて、そのために事業が紆余曲折をしているという実態は、長く放置できない。そういうことが、今日、全国的に常勤的非常勤職員とか、定数外とか何とか、いろいろな名前が幾つもあるわけですけれども、そんな糊塗策によって、物件費を差し繰ってまでやっていかなければならぬということは、どういうわけなんですか。実際、人を使うのですから、定員法じゃ足りないから、使っているのだ。それを本道に戻して、徹底的に措置をやるようにやらなければいかぬと思う。私は、行政管理庁あたりに、もっと認識を深め、閣僚諸君にも、実態というものをよく理解していただいて、そういう努力をして、行管あたりもできるだけ早く、そういう方向にいけるようにするのが、やはり郵政大臣なり運輸大臣なり大蔵大臣等、現業管庁を持っているとでろの大臣が相協力をして、その道を開くように懸命な努力をしていただかなければ、いつまでたっても私は解決しないと思うのですよ。  この点について、大臣は現在の、定員法がありながら、なおかつ人が足りなくて、補足的に郵政省が、わけのわからないような格好で人を雇って、それで国民の大事な郵政事業実施しなければならぬということに対する矛盾を感じないのですか。感ずるとすれば、それをやり直すような方向に、あなたは一つ勇断をもって御検討いただき、御協力いただくようにお願いできないかどうか。
  136. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 現業の、ことに郵便取扱いにつきましては、私は、一人残らず定員にしてしまうということよりも、多少は、やはり非常勤というものがあるので、弾力性のある、妙味のある実務運営ができると思いますが、さりとて定員は、今のようではならない。十分に増していかなければならないということは、先ほどから申し上げた通りでございますが、また郵便従事職員諸君に、非常な苦労をさしておるわけでありまして、また機械化によりまして、昔とは違ったかなり楽な面が出て参りました。楽な面が出たにもかかわらず、業務量が非常に著しい増加をいたしましたので、相変わらず苦労が、業務上の苦労がふえておるわけであります。  その辺の情勢をよく察知しておるつもりでおりますが、この点につこましては、先ほど申し上げましたように、皆さんの御意向、また、すなわちそれが私の意向でもございますので、よくその点を事務当局とも打ち合わせまして、さらに他の関係者とも連絡かつ協調いたしまして、できるだけの成果をあげたいと存じますが、何分にも、国家全体としての方針もあることながら、この現業官庁の定員問題の非常に重大なる点をよく強調して参る覚悟でございます。
  137. 野上元

    ○野上元君 ただいままでの質疑によって、郵政当局も現在の郵政従業員職員の定数は著しく不足しておるということが明らかになったわけであります。そうしてその確保のために、郵政大臣以下今後懸命な努力をし、その結果については、ごく近い将来の本委員会において明らかにされる、まあこういうことになったわけですが、ただ一つ、今大臣努力目標として言われた中に問題になるのは、やはり国家全般の立場に立ってという言葉がどうしても出てくるわけですね。それはもうわかるのです。わかるけれども、先ほど来申し上げましたように、郵政事業の場合は、いわゆる現業官庁であって、一般行政官庁とは、これは峻別してもいいというふうに私は考える。峻別しなければ、この問題は解決できない、こういうふうに実は考えておるわけです。従ってその点については、一つ研究をされて、方向を見出してもらいたいと思うのです。  さらに機械化の問題について、一言ふれられておりましたが、機械化五カ年計画等の資料が出されておりまして、ちょっと拝見いたしましたが、あれから見ても、五年後における機械化状態を見ても、大した問題じゃないのですね、郵政省の場合には。これは、白書の中にも書かれておるように、結論として、郵政事業というものは、機械化には限度がある。とりわけ人をもって処理をしなければならぬ事業である、この点を特に訴えておられるわけです。最近においては、機械化ができた半面、高層建築がどしどし建っておるわけです。郵便配達の一日の行程は、実に富士山を登りおりするくらい一日歩いておるということなんです。しかも坂道を歩いておるということなんです。こういう状況にあるということも、十分に検討されて、この問題については、一つ対処してもらいたいと思いますが、さらに具体的な問題について、二、三質問したいと思うのですが、私が中野の局に参りましたら、例のあの非常勤の人が、あまり郵便物が多過ぎたために、持って帰ると怒られる、従って怒られるのをおそれて、ごみ箱に分散して捨ててきた、こういう事件が発生して、今日世間から糾弾されております。  御承知のように郵便物の信書の秘密というものは憲法で保障されておるわけです。従ってこの保障は、これは絶対的なものであるわけですね。ところが、それを扱っておる人間が、法の適用を受けない人々によって扱われたというところに問題があるわけです。一体この郵便、この信書が、郵便物がごみ箱の中に捨てられて、だれかに開かれて、その秘密を、何といいますか保てなかった場合に、一体この責任は、どこにあるのですか。その点について、一つ郵政当局の見解を聞きたいのです。
  138. 板野学

    説明員(板野学君) 私どもの承知いたしておりまするところによりますると、管理者といたしましても、その非常勤の人を雇用いたして郵便物を配達いたします場合には、よく郵便法のいわゆるこの通信の秘密を保持する、そういう点をよく教えまして、そうして法の精神にたごうことがないようにということを十分に教えて、そうして出しておるわけでございます。また夕暮れ時になりまして、たとい郵便物が残っても、このような非常に大切な郵便物でございますから、これはもう、しかるどころではなく、どんどん持ち帰って干さい、暗くなって配れぬときには持って帰って下さいということも、十分に教えてある、このように報告を私ども受けております。  それから、いわゆる未成年者ではございまするけれども、一応労働基準法等によりまして、満十五才以上の者は雇用できるということになっております。しかしながら万一、これが通信の秘密に触れるというような事態が起きますれば、もちろん法に照らして処断されるわけでございますけれども、青少年の将来、こういうこともございまするので、先ほどの事件につきましては、これは郵便法の立場から処分はなかった、また秘密漏洩という事実もなかった、こういうことでございます。  そういうわけで一般の本務者につきましても、満十五才以上の人も、実は雇用されておるわけでございます。これらの点につきましても、十分に法の精神をのみ込まして働いていただくということにいたしておるわけでございます。万一にも、かかる通信の秘密を漏洩するということのないように、私どもとしては十分訓練をし指導をいたしておりまして、幸いに、現在まではそういう事実はございません。
  139. 森中守義

    森中守義君 郵務局長、あなたのところにこういう報告があるかどうかわかりませんが、これは市川という人が、はがきを受け取ったのです。それを私はもらってきました。付せんに、こういうことをつけてある、「この郵便物はふなれの者が配達しましたので尋ね当らず持ち戻り遅延をいたしました」目黒から二十九日に出して、それで中野の郵便局で、十一月の四日に付せんをつけて正しい配達をしているわけです。こういう例がありますか、私も逓信省から郵政省へ約二十年ほどお世話になってきました。かつてこういうような付せんのついた覚えがない、おそらく前島先生を初め通信事業関係をされた幾多の先輩が、こういう付せんのついたことを見て、郵政事業も地に落ちたと、こう言っているだろう、どういうことですか、郵政省が規格をきめて出している付せんに、こういう項目がありますか。ふなれの者が配達をした、尋ね当らずに持ち戻った、だからおくれた、というのがあります。この責任はどうするのです。  それで、あなた方は、何か組合がこれをやっているからとか、労働運動が、こういう結果を招来したということを宣伝されておる、ことに中野に行ってみて驚いたことは、あそこの郵便局で何にもないというのに、警官隊を三日名、十月の二十三日、何もやっていないというのに、警官隊を三百名ほど待機さしておる、しかも現場の局長あたりの意見によると、その必要はなかったという話しだ、ところが郵政局と郵政本省が、なまぬるい、警官隊を現場に入れておけ、こういう指図をしたという、話は余談になるけれどもほんとう郵政省とか、あるいは地方郵政局の郵便部とかが、ほんとうにまじめに問題を直視して解決しようとする横っちょの方から、労務対策、組合対策だということで、余計なおせっかいをしょる、ここに、虫も殺さぬような顔をしておる中田管理課長が、最近の郵政省の労務対策あるいは労働対策というものは出過ぎる、もう少し真剣に事業部がこの問題の解決に当たれば、こんなことにはならぬ。事もあろうに労務対策、組合対策という理由のもとに、警官隊を導入して、かえって問題をこじらかすような傾向が非常に強い。最近労務官僚ののさばりは、全国的に目に余るものがある。これは大臣、何も全逓郵政省団体交渉が閉ざされているとか、激しく対立しているとかいう問題とは別です、労務対策はどうなければならぬ。各事業部が、正常に事態の解決をはかろうとすれば、ここに来ておる中田管理課長のごときものが、問題の紛糾に拍車をかける。全国的に各事業部の部長、課長というような人たちは、そういう出過ぎた労務官僚のやり方に、かなり批判的であるということは、あなたもともとと承知をしてもらいたい。しかもだ、それで、そういう結果が郵政省始まって以来一回もなかったような、ふなれの者が配達をしましたから、持ち戻りをいたしました、で、遅延をいたしました、こういうことでどうするんです、郵政事業は。しかも今、野上委員の質問に対して、高校の低学年、未成年であるから罰則の適用もできません、困難であります、罰則の適用とか、それが困難であるという、そういうことは問題じゃないんです。郵便事業は、罰則適用を前提にしておりません。そういう罰則を適用しなくてもいいような人を、なぜ使わない。郵便法九条はどうしますか、憲法はどうするんです。その責任を一体国民に対して、どうして負おうとするのか、郵政省責任がないと言えますか、けしからぬこと、はなはだしい。のみならず先刻経理局長が答弁をされた中で、私ははなはだ、今始まった問題じゃありませんが、遺憾だと思うのは、賃金予算の成立の要件、最高最低というように、なるほど法律上の制定はある、だけれども事情に応じて二百三十一円になってみたり、三百四十円になっている、どうしてこういうばかなことをするんです。私は人事部長からも答えを、もらいたいと思っている。抜本的な解決をはかるということは、定員法のワク外による、それが急にできないとするならば、次善の策として非常勤を、現行制度の定数非常勤の正当な予算措置を講ずる、これはもうここ数年間、論議をかわされ問題になってきたことです。であるのに、賃金予算の成立の要件が、そういうものに置き直されていない。ところによっては三百四十円、ところによっては二百三十一円、どういうことですか。ことに私はつい二、三日前、郷里の熊本に帰ってきた、職場を回ってみた、建築部で過労のあまり発狂した、者がある、熊本の精神病院に今入っておる。次から次へ設計をする人、現場監督をやる人が倒れていっている。建築予算が八十五億とれた、七十億とれた、その限りにおいてはけっこうです。なぜ設計をする人や磁場監督をふやさない。まさに痛ましい事件が熊本で起きている。過労の結果発狂した、精神病院に入っております。すぐこれは人事の方で、私は照会してもらいたいと思う。これは建築だけではない、経理部にもあれば、人事にもある、どこにもある。最近郵政省の逓信病院のベットはどうです、数が足りない、次から次に、民間の病院にいわゆる委託ベットに病人を収容しております、こういう実情をどう見るんですか。東京郵政に行ってもその通り。優秀な建築の技術屋が三百四十円、三百円程度では、なるほど郵政省の建築や設計は修業のためになるからというので、官学なり私学を出て入っている。だけれども少なくとも生活に追われてゆくならば、優秀な技術者が郵政省の職場から離れてゆくでしょう、こういう実情をどう思うか。だから賃金予算の成立の要件を、もう少し正確にして、定数非常勤にかえて、本務者と同等な扱いをしていく、これが定員法の撤廃ができないならば、次善の策としてとるべき郵政省方法だろうと思う。中野の郵便局では、当然入れるべき健康保険にも入れていない。郵政省は、昭和二十九年に通達を出している。形の上では行政指導をやっている。その行政指導が、実行に移されていないじゃありませんか。私が中野で聞いてきた話では、定数非常勤が十六名、一般の非常勤が十五名、これらの人が内勤二百八十円、外勤三百円、それで実は二十九年に労働基準法五十二条に基づいて日雇い健保に入れろというような指導文書が出ている。ところが賃金の裏づけがない。中野の郵便局の場合には二百八十円の渡し切り、三百円の渡し切り――局長や課長のふところから健康保険の費用を出すわけにいかない――どういう行政指導をやっているのか。通達文書一本で、国会で問題になったときには、こういう文書を出しましたという、おそらく言いわけにしようという、そういう材料ではないかと私は思う。法律というものは、そういうものではありません。実行に移されていかなければならぬ。健康保険にも何にも入れないで、明らかに労働基準法に違反をしておきながら、処分をする、処罰をする、警官を呼ぶ、そうして、半面、信書の秘密は侵されても、その処理ができないような、また信書の秘密が侵されやすいような可能性のある人を雇わなければならぬ、あげくの果てには、郵政事業まことに九十年近い間、かつてないような汚点を残している。付せんに、さっき申し上げたように、不なれの者が配達しましたから持ち戻りました、おくれました、そういうことならば、郵政省の看板をはずしなさい。一体、何のために郵政省大臣を初め、月長がいるのですか、何をやつているのですか。これは、私はこれくらい問責をされても、郵政当局は返す言葉がないと思う。少なくとも、私も郵政省出身の一人である。長い将来に、この事業をつないでいかなければなりません。いやしくも皆さんが、郵政省をおあずかりになり、また私どもが、郵政省出身の議員という立場国会にいる限り、後世の人たちに、郵政事業に汚点を残していきたくない。手島大先輩がおいでになる、鈴木先輩もおいでになる。この皆さん方が次官のときには、こういう事態は一回もなかったはずた。あなた方の時代になって、こういうことになっている。どうして責任をとりますか。しかも何回も言うように、すなおに、人事なら人事関係の向きが、事態の解決をはかろうとすれば、あの辺に坐っている若い管理課長などが、のこのこと出てきて、ちょっと待て、労務対策だ、組合対策だということで問題をこじらかす。労務官僚が出過ぎるということも、私は一言言及しておきたい。まことに不手ぎわこの上もない最近の郵政事業の運行の状態であります。  大へんどうも、質問から問責みたいになりましたが、まず第一点は経理局長に、この賃金予算成立の要件について、もう少し正確に、少なくとも賃金用員諸君が、最低の生活の保障ができるように、郵政事業にたとえ日々雇用であったにしても、事業の威信を失わしめないように、安んじて事業に専念できるような非常勤の定数非常勤制度への切りかえの意思があるかどうか。  また人事部長には、昭和二十九年の計画がなぜ行なわれていないのか。労働基準法に違反をしている皆さん方が、口をきわめて郵政職員諸君法律を守れという、その主張を繰り返しておりながら、みずから労働基準法を守らなかった、その責任はどうするか。  その問題と、さらに荒巻監察局長がおいでになっていますが、監察は、当然日常の操作の面で定員状態が正常に剛直されておるかどうかという、そのチェックをやる義務がある。監察官の任務の中に、そういうものがうたわれている、そういうものを、どういったように取り扱って――郵政側に対して、そういう不測の事態の発生を未然に防止するために監察は存在するはずであるから、監察側として、郵政にどういう措置をとってきたか。それらのことも、あわせて御答弁をいただきたいと思います。  さらに、総括的なこの問題を、少なくとも今まで存続をしてきた郵政事業、さらに永遠に続けていかなければならないわが郵政事業に、取り返しのつかない汚点を残した郵政大臣責任ある答弁をも総括的に求めながら、個別に、今、名を指しました各部局長の答弁を私は求めておきたいと思います。
  140. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) まず、私からお答え申し上げますが、賃金の予算上の単価につきましては、先ほど野上委員からの御質問の際お答え申し上げましたように、一般用員につきましては単価二百五十円、特殊技術者は三百六十円ということで成立しているわけでございますが、ただこれは、あくまで予算の成立上の単価でございまして、成立いたしました全体の総額の中で、各地方地方実情を考慮いたしまして、必ずしも二百五十円で縛っているわけじゃございません。先ほど先生の御指摘にもありましたように、東京などでは内勤二百八十円、外勤三百円ということで雇っているわけでございます。しかしこれでも、なお少ないじゃないかという御情摘なのでありますけれども、それは、まあ大いに高額を支払うにこしたことはないのでありますけれども、どうも私どもの方といたしましても、やはり予算組理上の問題、郵政事業の健全経営といったような面からいたしまして、そう無制限に帯すわけに参りません。それから他方、地方におきましては、こういうことを申し上げては、またおしかりを受けるかもしれませんけれども、やはり地方によりまして、生活費その他若干相違があるわけでございますから、地方で安く雇えるところは、やはりこれも企業経営の立場からいたしまして、安く雇えるところは、安く雇ってもらって、高く出さなければ雇えないようなところに高く経費の充当をしていただくということで、各地方の局にお願いしているわけであります。  それからもう一つ、定数非常勤への切りかえというお話がございましたが、これは郵便関係につきましては十一月一日をもちまして二千九十九人という人数を限りまして、定数的非常勤に切りかえ操作をいたしております。
  141. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 健康保険の問題につきましては、お話の通り二十九年に通告を出しておりましたけれども、現状において、必ずしも守られていなかった。特に中野の問題が起こりましたので、これにつきましては、健康保険に入っておったと同じように処理をいたしますと同時に、各郵政局に対しまして、あらためてこの法律を守るようにという通知をいたした次第でございます。ただ、これは全くその通りでございますので、全部通知をいたしましたが、二十九年ごろは、非常勤者が非常に短期間で、共済組合に入り得たという問題もありましたために、その後、それになれておったのじゃないかと管理者の方は思うわけであります。ところが昨年の七月から例の共済組合法が改正になりまして、相当長期間つけないと、共済組合法の適用を受けないということになりましたので、その間のギャップは、こういう線で埋めなければならないということでございますので、私の方も、その点のあやまちがないようにあらためて指導いたしたつもりでございまして、決して国会答弁のために手を打ったということじゃございません。おくれましたことにつきましては、今後、これが守られるように努力いたす次第でございます。  それから話が、お言葉を返すようでございますけれども、先ほど労務管理の行き過ぎ等につきまして、中田君のことでお話がございましたけれども、全部、それは私の責任で上町の指示を得てやったことでございますが、あの中野の事件につきましては、八月から十月一ぱい、中田君は渡米いたしておりまして、全然本件には関係いたしておりません。にもかかわりませず、中野局の一部におきまして、中田君の留守宅に対しまして、たびたび張り紙をするとか、投書を入れるというようなことがあって、お留守宅では非常に困られた事件があるわけであります。今後行き過ぎがありましたときには、私の責任におきまして、いろいろと人事部内をまとめていきたいと思いますけれども、そういうことでございますので、お言葉を返すようでございますけれども説明さしていただきたいと思います。
  142. 荒巻伊勢雄

    説明員荒巻伊勢雄君) 監察関係は、年次監査を行なって、関係局の業務の全般につきまして調査いたして参ります。著しく業務が停滞し、また業務が国民の望まれるようなサービスになっていない、あるいは非違、犯罪等が存在するかどうかということにつきまして考査いたすわけでございまして、その考査の結果につきまして、当該局に対する所要の措置、また必要に応じて郵政局、本省への勧告等の事項もいたすわけでございます。  しかしながら定員問題につきましては、業務の内容その他につきまして、相当深い調査をいたしませんと、年次考査だけでは、なかなか簡単に結論が出て参っておりません。従いまして、業務全般の運行状況につきまして、その局の状況郵政省報告いたします。その状況によりまして、郵政局といたしましては、その局の状況について、さらに詳細なる特別考査等の実施を要望いたすようなこともございまして、さような場合におきましては、別の機会を作りまして、相当の監察官を配置いたしまして、定員状況そのほか特別の項目につきまして調査をいたして所要の改善に資する、こういうような手を打って参っておる次第でございます。
  143. 板野学

    説明員(板野学君) ただいまのはがきを拝見いたしまして、私どもも、まことにこれはもう、そのような事故を生じたということは、まことに申しわけないというふうに考えておるわけでございますが、あそこで滞留が生じましたので、なるべくその郵便物が完全に配れるような人を、私どもはつとめて雇用をいたしたいというふうに努めている次第でございます。  また十分注意は与えておりますけれども、その滞留物を急速に処理いたしまして、そうして国民の皆様に御迷惑がかからぬようにということで、しろうとくらいの人が雇用されるということでございまして、それを率直に、あまりにも率直に付せんの上に書き過ぎたのじゃないかというように、私自身受け取っておるわけでございまして、今後、私どもといたしましては、この滞留が生ずるというような原因をなくしまして、なるべく不慣れな者を雇わないように今後努力をしていきますと同時に、そういうような非常勤等につきましては、十分に指導いたしまして、ただいま先生のおっしゃいましたように、長い郵便の歴史に汚点の残らないように、今後とも気をつけていきたいと考えております。
  144. 森中守義

    森中守義君 経理局長、今のお答えの中で、日雇い健保の問題が、やはり経理局長にも関係があると思うのです、それで、令達をされる賃金予算の中から、今まで三百円、二百八十円であった。しかし問題が、そういうものが、抜けているということが明らかになったので、令達する中から、つまり三百円、二百八十円の中から、その分を編み出そうというような、こういうことですか。それとも、その分が別個に予算の裏打ちがしてあるのか、そのどちらですか。これは人事部長の方では、ぜひ基準を、五十二条は守っていきたいということですが、そういう行政指導に対しては、経理局長の方の予算の裏打ちがないとできないわけですね。実際問題としては。その辺の協議がはたして行なわれているのかどうか。またそれが確実に、私が申し上げている五十二条を守るべきであるというような趣旨に沿うように取り計らってもらえるのかどうか。これが第一点。  第二点は予算成立の要件ということで申し上げたわけですが、これは、やはり郵便関係が十月だか、定数非常勤になったという、こういうお話しですが、先刻の人事局長の御答弁からいけば、今なお二万名の者がいる。それも一昨年の定員法の審議の際に一万六千名か――たしか一万二千名くらいになったと記憶している。また、どんどんふえている。ふえたのはともかく、要するに郵政省の中にも、非常勤は全部定数非常勤というような、こういうようなものを制度化していかないと、何年経っても、こういう論議を繰り返す、定員法を撤廃できない限り。従って、言う方も聞く方も、また大蔵省と折衝する場合にも、こういうことの悪循環ではしようがないと思う。やはりこの際、思い切って郵政省の場合には、全員定数非常勤という一つの制度化を目ざして進んでいくという、そう御趣旨であるのかどうか。その点から、もう一ぺん正確にお答えいただきたい。  それから中田管理課長が渡米中のことであったということは、私知らなかったのですが、いずれにしても、中野の問題その他二、三の実例をあげれば、もっと正確なことがわかるのですが、たとえば保険に発生した問題、貯金や郵務に発生した問題に対して、ことさらに管理系統、労務系統の方から口を入れるということで、率直に問題が解決しそうなのを、ことさらに労務対策ということで吸い上げていくために、事態の解決ができないという事例がたくさんある。だから私は、労務官僚が出過ぎた、こういう断定をしているわけです。従って、なるほどそれが責任上たとい管理課長がやったにしても、労働係長がやったにしても、人事部長、ひいては事務次官、政務次官大臣というように、漸次より上級な人の責任に嘱腐していくでしょうけれども、何かしら最近の郵政省内に発生する問題を見ていると、そういう傾向が非常に強い。これは私は今、団交がないから、あるいは労使の双方が鋭く対立しているから、それで、そうだとは言い切れないでしょうけれども、やはりそういう労務官僚の出過ぎたということは、正常な労使関係をくずしていくということだけは、これは疑えない。むしろ労務対策あるいは労働対策というものは、控え目であってちょうどいいくらいです。こういう認識を持つのです。むしろ労務対策等のごときは、労働基準法が守られているかどうか、あるいは給与状態がどうか、こういうところに気を使うのが正しい労務政策である。何かことさらに相手に反発をして、相手と渡り合う、こういう認識と理解のもとに労務対策が続けられていくならば、まさに労務対策としては失敗です。その点が、どうも最近顕著に現われております。  一言、私は苦言を呈したわけですが、その点についても郵政本省あるいは地方郵政同等でも、極力労務官僚が出過ぎないように、不当に労務官僚が出張ってきたために問題をこじらせないように行政指導ができないものかどうか。その点もあわせて、御答弁をいただきたいと思う。
  145. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 第一点の日雇い健保の経費の問題でございます。これは本人か払う分につきましては、本人が払わなければならない。国の負担分につきましては、今度は経費を見ていこうということで通達いたしている。  それから第二点の、非常勤者全部を定数に見ていくかということにつきましては、これは、ここでこまかい資料を持っておりませんが、郵務局等で、翌としは定数にも持っていくということにつきましては、そういう通知をすると思いますけれども、場所によって、非常に違いますが、一時的に雇う人でありますとか、特殊のいわゆる常勤、非常勤、厚生施設等におります者、特殊の場合でございますけれども、そういうものを、今分析していっております。全話が全部、定数になるかどうかということにつきましては、私は、相当問題がある。これは二万名が、先ほど申し上げますように全部将来定員になる人じゃない。相当部分の、そういう定員になっていくような人につきましては、そういう制度を考えていかなくちゃならないということで、今、内容的にも制度的にも、せっかく研究いたしております。  それから労働関係のいろいろな問題につきましては、実は省としては一貫した一つの制度を持っておりましてたとえば事業局におきましては、ある程度話をまとめたいと思っておりましても、それが、ほんとうにまとまるかどうか、あるいは人事としての意見も、一ぺん聞いてまとめなければならない。大きな問題になりますと、必ず省議等を開きまして、各局の意見を聞いてやっておりますが、しかし、ままそういう問題があるといたしますれば、そういう点につきましては、そのつど、今の御意見も十分参考といたしまして善処していきたいと思います。
  146. 西村尚治

    説明員(西村尚治君) ただいま人事部長が御答弁されました通りでございますが、日雇保険の個人負担分につきましてはやはり個人に負担をいたしていただくという建前にいたしております。  それから定数非常勤の問題につきましては、先ほど私が申しました二千九十九人というのは、郵便関係の定数非常勤であります。こういうものは、当然定員で成立すべき建前のものだということで、来年度は、そういった性質のものは全部定員で要求いたすようにしております。  それで、人事部長の申しました二万名を、全部定数的非常勤というようなお話だったと思いますが、その二万名の中には、その定数的非常勤であるべき者のほかに、御説明申し上げるまでもないかと思いますけれども、長欠のあと補充の賃金だとか、年次休暇のあと補充賃金といったようなものもございまして、必ずしも、こういうものが定数的非常勤、あるいは定数で補充すべきものでもないということで、やはり賃金で要求をいたしておる次第でございます。
  147. 森中守義

    森中守義君 人事部長、こういう問題がちょっと私どもの耳に入っております。労働問題としまして、それは中野の郵便局で全逓がくずれた、全郵政に走った。いろいろなのが、郵政省の方で、どういう表現が一番正確かわかりませんが、近々の郵政局長会議、三局長会議の中に、一応発表しよう、それで、こういうような状態で、すでに全逓はくずれておるぞということを、労務対策として、あなた方は省議で決定された、あるいは人事部の方で、そういう意見をまとめたというような話も聞いております。はたして、その真偽のほどはどうだかわかりません、だけれども、中野の郵便局にそういう内容はない、またよしんばあったにしても、そういう組合関係のことを、組合内部の問題を、ことさらに三局長会議にかける、郵政局長会議にうんと宣伝をして、それで全逓に反対宣伝をやれというようなことは、これまた、労務対策としては行き過ぎである。もとより不当労働行為のそしりを免れない。こういうことで、ことさらに労使の関係が険悪な状態にならないように、もっと労使のあるべき姿はどうかということを正しく認識して取り計らってもらうように、半ば、これは要請にもなり、警告にもなりますが、一言追加しておきたいと思うのです。  そういう事実があるかないかお答えだけをもらっておきます。
  148. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 中野の事件が、こういう工合であるから、各郵政局長とも、こういうふうにしろとかいうようなことで何かした、議題に付して省議で決定したというようなことは全然ございません。明日と申しますか、局長会議がありますときに、いろいろな労務情勢の報告としては、出てくるかもしれません。しかし何ら、今私が大臣、次官の御了解を得て、省議決定して、こういう方法でやれというようなことはやっておりません。中野の事件を初めとしまして、至るところに、いろいろな問題が起こっておりますから、そういう労務情報としては、おそらく説明することになるだろうと思います。しかし、何ら省議決定しておるとか、ここで、どうしろとかいうことは申しておりません。
  149. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) ただいままでの御質問事項につきましては、事務当局からお答え申し上げました通りの趣旨をもって管理、監督して、督励してやらせることにいたします。  それから中野のことでありますけれども、実は、あれは労務関係の担当者は非常に行き過ぎたようなお言葉でしたけれども、どうも私、そういうふうなように思いませんですが、きわめて適切に、しかもあたたかくやってきたように思います。  実は一番初め、私のところへ葉書が舞い込みました。名前を石川君といったか……名前はよく覚えておりません。子供の手でしたが……。石川君とかいう友だちが、結核でしたか、非常にからだを悪くした、助けてやって下さいと、内容は詳しく書いてありません。そういう葉書が参りました。それから、それをすぐ調べるようにと、そうしたら健康保険に入っていない。何か現場では、むしろ好意的に、まさかそんなにからだが弱い子供とは思わないものだから、掛けなかったものと記憶しております。大分時間がたっておりますので、記憶にちょっとおぼろげなところがありますが、それでは何かそれにかわるような、できるだけの手をさしのべるようにという指示をいたしました。労務関係の省内の者たちは、その精神でずっとやって参りました。それが中野の問題、あの通りに問題が工合の悪い方へ、争議的な発展過程になってしまった。まことに遺憾でありますが、そういったような経過で、発端は、そういったような発端でございますので、そしてこの問題は、ほんとうにできるだけ大きくならないようにと念願いたしておるわけでございます。  先ほど総括的に答弁せよというお話で、手島次官、鈴木次官の当時のお話がございました。実は、あの当時は労働争議がちっともございませんで、まことにうらやましい時代であったと思います。すべて円満に業務が遂行いたしまして、ああいう時代に再びなりたいものだ。組合員諸君の幸福、組合員諸君のこの幸福利益の達成のためには、何がしかの労働争議でない方式をもちまして、生産性も阻害せず、国民大多数にも迷惑をかけずに、しかも組合員諸君の幸福が、どんどんと増進されますような方式になって参るような世の中になりますと非常にいいと、こう考えて、総括的には、さように考えております。  また精神病につきましては、最近では、この郵政省に限らず、郵政関係従事員に限らず、全国的に病院は、あっちもこっちも満員だということは厚生省から聞き及んでおる通りでございますので、郵政省におきましても、先ほど御指摘のような絆神病を出しましたことは、まことに遺憾に存じますが、この点につきましても、早速調査をさせて、適当な措置を講ずることにいたします。
  150. 森中守義

    森中守義君 私はどうも納得できない。今の大臣のお答えを聞いていますと、中野の問題が、何か労働争議によって、こういったこじれ方をしたように受け取れる。あなたは、今まで何をお聞きになっていたのですか。これはいつも私が言うように、結果は偶発的に起きるものではない。原因があります。経過がある。それで結果がある。なぜこういう問題が発生せざるを得ないような原因を作ったのですか、だれが作ったのですか。これが私が今、前島大先輩が事業を起こされて、長い歴史を持つ郵政人として、現在の大臣として、こういう問題をかかえながら、猛烈に反省する点はその辺にある。だれが原因を作ったのか。今までここで行なった質疑応答は、大臣、何を聞いていたのですか。組合側が、何かこう不必要に扇動して、問題がこじれたような表現の仕方は、これは私は正しい事実の認識に欠けると思う。原因をもう少し端的に、すなおに見てもらわなければ困ると思うのです。そうしなければ、問題は解決しませんよ。争議的なもの、組合的なものは、結果の中において問題が解決しないから、やむを得ず付随をしてくるものであって、原因というものは、郵政省の手落ちです。さっきから人事部長がはっきり言っておる。二十九年に日雇い健保に入れるべき通達を出し、行政指導したのに、やっておりませんでしたということを言っておる。また、採用の問題にしても、健康診断をして採用しなければならない。旅用のときに、健康診断もしでいないじゃないですか。そういう。よって立つ原因が、労働争議あるいは組合的なものに付随的に発展をしてきた。何も労働組合がけしかけたのじゃない。そういう事実を、もう少し端的に、率直に正直に認識をされないと、あなたが、先輩やあるいは後輩に残していかんとするわが郵政事業を一時預かる大臣としての資格は私はないと思う。何を反省しておるか。さっきの表現は取り消して下さい。
  151. 植竹春彦

    国務大臣植竹春彦君) 私は、だれかが使嗾して、こういうような争議にまで発展さしたといったようなただいまの御発言のようなことは、一言も言ってなかったつもりですが、万が一、速記録をお読み返し下さいまして、万が一、そういうことかあれば、そこを全部取り消しますが、そういう精神でありませんから、従って、そういうことを一言も言ったことはないはずですが、たった今の発言ですからまたもう一つ、ちょっと。そこで、私どもが申しましたことは、一番初めにそういったようなことで、この適当な措置郵政当局が行なって簡単に済むと思っておりましたところが、それが非常に挺雑化して、そうして今日のような、世間で非常に注目するようなことになったのは残念だと、こう申し上げた――なるべく小さく円満にすみやかにおさまることを希望したのだ、そういうことを言いましたので、何か表現の仕方が悪いところは、これは全面的に、率直に、そういう精神でありますから、簡単に取り消します。ごうぞよろしく。
  152. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 行政管理庁の行政管理局長山口酉君が御出席になっております。
  153. 野上元

    ○野上元君 ちょっと行管の局長に、私からお聞きしたいのですが、先ほど来、郵政省の定員の問題について、いろいろとやりとりがされておるわけです。  それで現在、定員を取り上げた原因は、あなたは、今までの質疑討論をお聞きにならないから、よくわからないと思いますが、郵便物が若しくふえておるにもかかわらず、それにタイ・アップした定員の増員がなされておらないところに、いろいろな問題が現在発生しつつあるわけです。最近新聞紙上で御承知のように、東京都内においても著しい郵便遅配が問題にされて、郵政当用が指弾を受けておるという事実があるわけです。これらについても原因はやはり定員が足らないというのが、一番大きな原因ではないかというふうにわれわれは考えておるわけです。  そこで、もう数年来にわたって郵政省の定員が足らないということが、強く国会の中でも論議され、院議によって、しばしば郵政省の定員増加についてきめられておるわけでありますが、にもかかわらず、ほとんど今日まで実現しておらない。かつまた郵政当局みずからが、毎年の予算を編成する際においては、相当多数の増員を要求しておるけれども、これまた大蔵省によって、ことごとく削られてしまって、わずかしか成立しておらない。こういう経緯になっておるわけです。これはなぜかというと、やはり定員法の問題じゃないかと、こういうふうに考えておるわけです。  御承知のように定員法は、二十四年年に制定されて公務員全般について、この法律によって律せられているわけですが、御承知のように一般の行政官庁と郵政省のごとく、現業官庁とはその内容が著しく違う。従ってわれわれとしては、郵政省の定員というものは、現業官庁らしく郵便物の増減に見合う定員を配置することである。これが最も妥当なものである。しかも、独立採算制をとられておるのだから、郵政省に定員のワクをはずしたからといって、ちゃくちゃに定員を増員するはずがない。これは収支との関係において、自然にバランスがとれるようにできておるじゃないか。従って、何ら定員法で、これを抑える必要がない。こういう見解を今日とっておるわけです。が、今郵政省、特に郵政大臣からの一般報告の中にも、この問題について、種々政府では検討しておるけれども、未だに意見一致をみておらないので、なお研究すると、こういうことになっておるわけですが、これは、もう数年来研究が続けられておるのにもかかわらず、未だに意見一致をみておらないというのはおかしいではないか。そんなにむずかしい問題ではないじゃないか。この点について、行官局長は当面の責任者でもありまするから、最近における郵政省の定員の問題について定員法からの拘束を脱することについて、政府の中に意見一致をみないというのが、どういう点で一致をみないのか、どういう理由によって一致をみないのか、その点一つ、明らかにしてもらいたいと思うのです。
  154. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 郵政関係職員定員法からはずした方がよろしいというような意見、従来から国会での論議で出ておりますその点につきまして、政府部内でもいろいろ検討をいたしております。しかし、従来からやはり一般的に、この公務員の増加ということに対して非常に世論のきびしいものがありますので、そういう面からも、できるだけふえない方式を考えていこうということが、かなり強くあったのでございます。しかしお話のように、確かに五現業につきましては同様、業務量というようなものに見合った人員を必要といたしますし、それが比較的算定しやすい状況にある。なおこの独立採算というような建前からいいまして、別にまた定員法で縛るという必要が、それほど強くないではないかという意見もあるわけで、それらの点につきまして、現在も、実は大臣から御答弁がございましたように検討をいたしております。  それで実は、私どもといたしましては、これは郵政だけでなく、林野、印刷、造幣、アルコール専売というようなものは、大体同じような観点でいくべき性質のものでございますので、これをどういうふうな取り扱いにするかということにつきまして、実は定員制度の現在のあり方には、いろいろ問題がございます。特に定員外の職員で、定員内の職員と同じような仕事をしている者も、まだ相当残っております。そういうふうなものの取り扱いをどうするかということにからみまして、この定員制度を広い見地から見直して何とかしたいということで、通常国会を目標にいたしまして、現在まだ事務段階でございますけれども大蔵省、公務員制度調査室、人事院などと折衝いたしております。その見直しにつきましては、まだ事務的な段階でございまらので、はなはだ不本意でございますが、明確には申し上げられない状況でございますけれども、何とかお話のような趣旨を盛り込んだ制度にならないものかという線で、鋭意検討いたしております。
  155. 野上元

    ○野上元君 私は、管理局長は、公務員の数がふえることに国民が非常に神経を高めていると、こう言われるわけですが、この問題は、しばしば新聞紙上でも論じられたところであって、現在国民七人に一人の公務員を養っている。従って日本は、公務員が多過ぎるんじゃないかということがよくいわれるわけですが、しかしその公務員の概念は、一体何かということです。郵政省民間事業になれば、これは公務員でなくなる。電電公社でも、公社になってしまえば、公務員ではなくなる、そういうものなんです。そして、とりわけ現業官庁というものは、公務員のワクから、実際ははずすべきが私は妥当だと思うのです。とにかく事業の収入によって、そのバランスの中において雇用しているのですから、一般の公務員のように、純然として税金を食っているというわけではないわけなんです。概念上、私は切り離されるべきものだと実は考えるわけです。従ってその点については、現業に関する限りは、行管としても、この概念については、どうか一つ割り切って、今後の問題について対処してもしいたいというように実は考えるわけです。  で、この問題については、まあ、後ほど一括してお答え願いたいと思いますが、そういうことで、行管としては、公務員の概念というものについて、一体どういうふうに考えられているのか。さらには、私たち定員法のワクをはすしてもらいたいということの最も大きな理由は、これは毎年の国会の中における論議からみて、あるいは予算のきまり方からみての経験から出ていることなんで、私たちが、郵政事業の定員の問題について、これはもう各党の委員の方々を陳情して歩いてみましても、みんな当然だと言うのですね。みんな、事業官庁である以上、郵便物がふえたら、当然定員をふやすべきである、一般の行政官庁とは、これは切り離して考えるべきである、その点については、大いに努力しましょう、こう言って、与野党とも、この問題には努力してくれるのですが、最後のどたんばにいくと、郵政事業だけふやすと、一般行政官庁もふやさなければならないという、一波万波論によって左右されてしまう。そうして、いつも大きく削られてしまうというのが、今日までの経験です。従ってこの定員をはずさなければ、いつまでたってもこの一波万波論によって、郵政省の定員がふえないという、こういう経験があるから、定員の問題については、このワクをはずしてもらいたいということを、しばしば行管にも私たちは話をしてきたところなんです。  これらの点について、行政管理庁としては、どう考えられているか。そうして通常国会を目途にして、今私が言ったような趣旨によって、この改訂を試みたいという御答弁でありますが、実際に、そういうふうにやっていただけるものかどうか。その点についても、一つ答弁いただきたいと思います。
  156. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 大体、先ほど申し上げましたように、考え方といたしまして、確かに一般の行政官庁の公務員と違った面がございます。そういう性格を十分考えまして、何か別の取扱いができないかということで協議をいたしておるわけでございます。ただ一般的に、性格が違っているから、はずせという意見もあるわけでございますが、しかし、はずした場合に、あといろいろ問題があるものですから、事務的にも整理すべきものがかなりありまして、目下、そういう点で関係省の事務当局と打ち合わせをいたしておる次第でございます。  で、通常国会までに、そういうふうに実現するかというお話になりますと、これは、まあ努力はいたしておるわけでございますが、もちろん何とかしたいと私どもとしては考えておりますけれども政府全体の方針がきまるかどうかという問題について、私が、その見通しを申し上げるのも適当でございませんので、御了承願いたいと思います。
  157. 野上元

    ○野上元君 郵政当局も、私の考え方については、同意できるといわれるんですが、今日まで行政管理庁に対して、定員をはずすという努力をどの程度郵政当局はされているのか。あなたの方はご存じですか。どういう話し合いを郵政省とされているか。郵政省が、あなたの方に、この定員法をはずす問題について、どういう働きかけをされているか。
  158. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 大体、私ども承知いたしておりますところでは、実は私は、管理局長になってあまり長くございませんので、従来からのいきさつは十分には承知いたしておりませんけれども郵政省の当局としましては、やはり一般公務員と別個の取り扱いをすることが至当であるというような線で意見を述べられているように聞いております。
  159. 佐方信博

    政府委員(佐方信博君) 先ほど申し上げましたように、私としましては、前の局長当時、お話しいたしましたが、先ほど率直に申し上げましたようなことで、新しい局長にいっておりませんので、ここで私の方としては、これからあらためてお話し申し上げますが、省議等でも、いろいろ申し上げたいと思いますが、そういう予定であります。
  160. 光村甚助

    光村甚助君 行管の管理局という所は、一体どういう仕事をする所なんですか。ちょっと、それを先にまずお伺いしたいんです。
  161. 山口酉

    政府委員(山口酉君) これは、法律で定められておりまして、すでに御承知だと思います。
  162. 光村甚助

    光村甚助君 知らないから聞いている。
  163. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 行政管理の仕事につきましては、わが国の行政管理の制度としましては、集中的に行政管理庁にあるわけではございませんで、特に非常に重要な財務統制につきましては、これは大蔵省が所管いたしております。私どもの所では、行政制度の基本問題に関する基礎調査で、各省が、直接担当いたしませんものにつきましては所管することにいたしております。  それから行政機関の機構、それから定員並びに業務の運営に関する企画をすることになっております。それぞれ各省におきましても、それぞれ所管の範囲内では、同様の問題があるわけでございますが、行政管理庁の立場上、そういう各省の関係を総合調整するような意味で、業務を実施しておることになっておるのであります。
  164. 光村甚助

    光村甚助君 これは、郵政省の人、あったら……。管理局長のところに一つ貸してあげるものがありませんか、あんたのところに、郵政省の方にあったら、ちょっと管理局長にあげて下さい。  ちょっとこれは私、からかうわけではありませんが、第一図、第八図、第九図をちょっと見てもらいたいと思うのです。――第一図、第八図、第九図をちょっと簡単に見てもらえばいいのです。これは昭和九年と二十一年から三十三年、三十四年度までの郵便増加の郵便物の物数、そういうのが出ておるわけです、一人当たりの事務量というものが。行管とか、大体大蔵省というようなところは、ほかの省から何でも持ってくれば叩く、叩っ切ればいいという考え方の人が私は多いと思うのですよ。あんたのうちに、私もそうですが、郵政に勤めていても、年賀状が五日に来れば、いい気持はしないのです。小包がおくれて来たら、あんただって、そうだと思うのですよ。しかし今の、通勤者がたくさんおって困っておるからといって、東京都では、これは電車を無人で走らすわけにいかないのです。実際上、通勤者がたくさんふえておれば、これは運転手も要ればやはり車掌も要るのです。ところが、たまたま郵政省というところだけは、そういう電車を動かすとでろがないものですから、ものがふえたら、カバンを大きくして詰め込んで、あんた御存じのように、このごろ四階建、五階建の建物があるわけなんだね。そこに五階建ての建物一回上れば両方しか配達できないのです、御存じかもしれませんが。それで昭和二十一年に定員法ができてから、今日まで人をふやしていないわけなんです、実際。そうして御存じのように、東京部内でも、郵便局で騒いでいる。それをただ単に組合が騒いでいるような印象を郵政省自体がPRしているわけです。われわれ国民の一人として、実際上、そういう郵政省が罪を組合だけに転嫁して、自分たち努力をしないというのがけしからぬことだと思っているのです。あんた方の方で努力をしておるのだと言うけれども郵政官僚なんというのは、たた自分のところの職権をかさに着て、いばって、定員をふやせてくれといったら、それを叩っ切る。大蔵省のことを言わぬでもいいが、自分の金をくれるように、叩けば、査定をすれば、それが仕事だと思っておる。そういうこと自体が、非常に国民に迷惑をかけている。これは、持って帰って見ていただいてもいいのですが、こんなに物がふえているのに、ただ行政管理庁は、さっきおっしゃったように、国民が公務員をふやすのをいやがるという点だけで、国民におもねるという点だけで人をふやさなければ、逆に郵便物遅配するという点で、国民に迷惑をかけているということからいえば、これはあんた方も、責任を負わなければならめということを言っておるのです。  そういう点で、もう少し郵政事業というものに認識を持って、郵政省から、ものを頼みに行ったら、ほんとうに、実際郵便従業員というものをもっとふやさなければいけないということと、もっと真剣に取り組んでいただきたいということを、皮肉じゃなくて考えているのです。その点について、一つ答弁を承りたい。
  165. 山口酉

    政府委員(山口酉君) お話のように、業務量に応じて定員を考えていかなければならないわけでございます、郵政省の方の計画、まあ業務の運営改善という問題も、いろいろお考えのようでございますし、そういうものと総合的に考えまして、できるだけ業務に支障のない定員が定められまするように、合理的な定員が定められるように努力をいたしたいと思います。
  166. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっとお尋ねをしたいのですが、私は、行政管理庁というのは、現在の各省庁の組織、機構、定員の中で、それぞれ定められた設置法に基づいて運営をされている事業がどうなっておるかということを、適切に運営されておるかどうか、もしやられていないとすれば、どこに欠陥があるのか、こういう私は指導的な立場を含めた行政監察というものをおやりになっておると思うのです。  その際に問題になるのは、ほんとうにこの郵政事業というものを深く理解をし、長い歴史の中で歩んできたこの事業が、過去どういう形態をたどっておったか、現状はどういう姿に置かれているのか、さらにそれを克服するのには、どうしたらよいのか、こういう私は、いわば第三者的な立場に立って、一つの解答を出すのが、行政監察の立場だと思うのですよ。あなた方は郵政省といわず、各省庁を行政監察されていると思うのですが、それに基づいて勧告もお出しになっておると思う。ですから、郵政省から頼みに行ったらどうするとか、こうするということではなしに、もちろんそれは、連絡はとりましょうが、管理庁自身の立場に立って、さっきお話のあったような、たとえばこの企業官庁である郵政事業に対して、定員というものを当てはめておくことはまずい、だからこれを一つはねのけておく、こういうことを出すのはけっこうですし、それから、それに基づいて定員というものが――その一番最後のぺ一ジにもありますが、非常に物数がふえておるにかかわらず、大蔵省からさじかげん一つでもって、ぴしぴし削られてしまって、実際郵政省がほしいという定員でも――最後のページを見て下さい。現在の予算定員が、どのくらい不足しているかということを見ても、三十四年度の物数を処理するための不足人員というものが四千四百六十八名です。これは、はっきり郵政省も認めているのですね。  こういうことで、あなた方監察してみて、実際に、その通りと是認されているのかどうなのか。私は、そういう立場で皆さんにお聞きしたいのです。何か行政管理庁の本来の目的というものから逸脱をされているような答弁も、伺っていると、あるものですから、多少、私はその点について、局長さんの意見をよく聞いておきたいと思ったので、発言を求めたのですが、ですから、こういう事実を、やはり実際に皆さんが行政監察してみて、郵便物が非常におくれている。もちろんその物数がふえている。大臣、さっき答弁されたように、機械化ということもやられておりますが、それは一部でありまして、バイク・モーターで、かりに配達をするとしても、高い建物の中を一階から四階まで上がったり下りたり、こうしなければならぬということもありますから、機械化によって、必ずしも定員というものが削減できるとも言えないわけですね。ですから、過去の昭和十九年なり、あるいは二十何年なりのデータをとって、郵政省が発表しておる中を見ても、そういう点から言うと、非常に問題が、定員一つをとっても、明らかになってきていると思うのです。ですから、私は皆さんが、この定員というものが、ほんとうに企業官庁に即応しないという立場に立ってこれを積極的に政府答申をし、ハッパをかけて、皆さんの観察に基づく正しい結論というものを実施させるように努力するのがあんた方の責任じゃないかと思うのですよ。ですから、郵政省からそういう話があったかないか、私よく知りませんけれども、そういうことでなしに、やはりもっと自主性を持って、行管というものが、一つの方針を打ち出してもらいたい、そう思っているのですよ。  その点は、私の考え方が間違いですか、ちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。
  167. 山口酉

    政府委員(山口酉君) ただいま行政監察についてのお話がございましたが、行政監察は、やはり行政管理庁でやっておりますので、その結果、定員の問題が、非常に行政運営上障害があるという結論が出ておりますれば、それを十分に参酌して定員査定をいたすことにいたしております。  ただお話の、今の郵政の問題につきまして、まだ定員全般、定員の妥当性ということについては、まだ検討した結果をもらっておりません。将来、そういうものがあれば、当然それを資料にして、定員の算定に資したい、資すべきであると存じております。  ただ、定員の問題につきましては、できるだけ合理的な線で定員をきめるべきでありますけれども、やはり財政上の立場というものが、さらにその上に加わるものでありますから、必ずしも最終的に決定する段階においては、合理的なことと考えられたもの通りにいかない場合が多いのであります。しかしそれも実は、行政監察のような事務的に十分検討した結果があれば、合理的のものを押しやすいということになるわけでございます。ただ意見が分れるというような点で、しっかりした資料を持っておりませんと、やはり財政上の強い要求でもありますと、十分維持できない場合があるわけなんです。  そういう面で、将来とも一つ、定員の査定などにも十分行政監察の結果、出ておりますものを参酌して参りたいと存じております。
  168. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと、あなたの考え方で疑問を持つのは、国家財政の見地から配慮をするということは、これは行政管理庁の純然たる任務からいうとおかしいのです。あなた方は、行政管理庁設置法に基いて、その任務の上から、これを各省庁が多いですから、人数も少いですし、会計検査院と同じように全部の役所をまんべんなく調査して、ほんとうに適切の結論を出すということはむずかしいと思うのです。私は、行管の方々は少くとも各省庁の仕事には精通されて、いわゆるエキスパート的に、策三者的に事業を眺めて、その白黒をつけていくという立場に置かれている方たちですから、経験も相当お持ちになっていられる方ですし、力量をお持ちになっていられる方が行政管理庁にこられると思うのです。  ですから、今まで発足してから郵政監察をやられたと思うのですが、そういう監察に基いて定員問題についても一つの例でございますが、その他いろいろ運営上まずい点もあれば、これは指摘されていると思うのですが、たとえば電電公社の経営を監察されて、その結果、一つの結論を出されております。私たちからみると、行政管理庁はエキスパートであると皆さんを信頼しております。信頼しておるだけに、出てきた緒論というものが、われわれが長年の間仕事に携わってきたものからみると、多少ピンぼけしておる点もあると思うのですが、これは大へん失礼の話ですから、自分が間違っておれば、大へん申しわけないことを申したことになるのですが、そういうこともございますが、とにかく一応行政管理庁というものを作った趣旨は私は適切の行政監察をして、日本の官業というものは、こうあるべきだという姿を出すことが管理庁の任務だと思っておりますから、あなた方の出した結論というものがこれが閣議に回ったら、大蔵省はさっそく財布のことをいうでしょう。ですから、あなた方がこれだけ去年ですか、臨時定員を本定員にする場合でも、これは農林省や建設省や各省庁がたくさん出てきました。ところが非常に少ない格好になってしまうのですが、その範囲というものは、国家財政全般から見て内閣全体が決定することであって、行政管理庁としては、主務官庁であるから、あなた方が積極的に出した結論を実行するように働きかけるのであって、その考えに方の中に、国の財政等を考慮して、こうやってはまずいから、これは人を減らしておこうじゃないか、われわれはこうしなければならぬのだが、これは遠慮しておかなければまずいという配慮をする必要は毛頭ないのです。  私聞きたいのは、行政管理庁が発足してから、郵政事業に対して監察をされて、その結論を勧告なり答申をされたことはないのですか。あなたのお話からいうと、ないように承わるのですが、これは昭和二十四年の本年度のことでなしに、三年度、二年度、一年度と、こういう発足以来の中で、まだ全然郵政事業に対しても、結論というものをお持ちになっていないのですか。  それからもう一つ、私が申し上げましたように、そこに財政的な考慮を皆さんが考えて一つの勧告をするというようなことがあっては、私はおかしいと思うのですが、その点、どうでございましょうか。
  169. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 私が先ほど出し上げましたのは、これは言葉が足りなかったようでございます。まあ大蔵省の仕事も含めて、結果として、そういうふうになっておるということを申し上げたのです。  それから行政監察につきまして、実は、私が申し上げるのは適当でないかと存じますが、私が担当しておる方ではございませんけれども、やったことはございますけれども、お話のような、定員についての結論が出るようなものはなかったように記憶しております。その他の個々の業務についてやった例はあると思います。
  170. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、たしか、私記憶が間違っていれば申しわけないのですが、私予算委員会の方で、昨年、一昨年来ずっとやっておりますが、各公務員の臨時職員の定員化の問題について宿議をしたことがあるのですが、その際、山口さんだったですか、ちょっと忘れましたが、当時の長官においでいただいて、そうしてあなた方が、各省庁ににこれだけの臨時職員がある。従ってこの中から、この程度の人は、何か基準を設けまして、臨時になってから十年以上は無条件でやるとかいうような、一つの基準を作って、国会に示したことがあるのですよ。われわれはその年令、勤続正数等についても、もっと短縮をしてもらいたいという意見も出したことがあるのですが、そういう資料をお作りになる場合に、全然郵政省の定員の実態というものを把握せずに、ただ勘でやったのですか、それでは……。あの予算委員会に提出した資料というのは、これはどういう点に根拠を求めてやったのですか。私は今のあなたのお話を聞きますと、全然行管としては結論がないにもかかわらず、そういうものを国会に出してきたということは、ちょっと疑問に思いますからね。
  171. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 私が誤解しておったのでございますが、実は、常勤職員につきまして、その実態の調査はいたしました。それに基づいていろいろ立案をいたした例がございます。ただその郵政省の全体の定員というものについて、それが適当かどうかという点の御意見かと思いまして、そういうものはやっておりません。しかし定員からはずれております職員の中で、定員に入れられるべきものがどういう工合になっておるかという点をつかむために、その定員外の職員の実態の調査は確かにいたしております。
  172. 鈴木強

    鈴木強君 あなたのそれはおかしいのですよ。私たちは、定員法というものによって、郵政省は二十三万なら二十三万という定員がきまりますね。ところが定員法はあるが、それでは実際に仕事ができない。そこで何万という非常勤議員を雇うわけですね。そうしてみますと、あなたの言うように、郵政省の定員は、何名かそれはわからぬ。わからぬが、とにかく非常勤の職員がたくさんいる。その中で何名を……これは定員化するような方向にいくことですからね、一つ予算的に裏づけが出ることですから、だから定員法が現実にあって、定員を変えることができない、従ってやむを得ず非常勤職員がこれだけいるから、それを加算するということですがね。その前提になるのは、郵政事業の中で、大体人がどのくらい必要なのだ、それは、定員法上どうしても本職員にできないので、やむを得ずして、業務運営については、これだけぐらいのものは本定員化の方向に一歩近づけていく。これはすなわち将来定員化すべきものなんです。  そうしますと、全体のワクというものがわからないで、ただ非常勤が多いからということでやるならば、各省庁で定員法というものは、そこにそのまま置いておいて、どんどん非常勤を雇って、非常勤の数が多い、長い間勤めておった人たちを、それを定員化しようということで、支離滅裂もはなはだしい。私は、行政管理庁というものが存在する今日においては、その職責を全うするためには、非常に人は少いでしょう。少くて運営ができなければ、やっぱりその運営ができるような道を聞いていただきますと同時に、的稀な一つ郵政事業に対する定員というものをやっぱり考えていただいて、その将来には、二十五万なら五万、六万なら六万というものを考えて、臨時職員を定員化に持っていくという方向でなければ、思想的に少しおかしいじゃないですか。私は、そう思うのです。  だからやっておらないことをここで私が幾ら追及しても、お聞きしようとしても、答えはできないと思うのですが、そういうことであっては、私は行管の職務といいますか、職責というものは、全うできないように思うのですね。私は、いずれ予算委員会でもこれらの問題については長官にも一つ明確に聞きでたいと思っているのですが、事務を担当されております皆さん方も、どうか一つ郵政事業の実態というものをもう少し、一つ十分に御検討いただいて、今日非常に取扱い逆数が倍以上にふえているにかかわらず、今日ごらんになってもわかりますように、定員は、逆に減っている。これは機械化し、あらゆる合理化をやってみても、現状とはマッチしない、そういうところこそ、あなた方が的確に指摘をしていただいて、ほんとう郵政事業というものは、山間僻地どこまでも、国民の事業としてスムーズに運営できるような道を聞くことが、私は皆さんに課せられた大きな任務だと思うのです。  だから、そういう点を一つ十分御勉強いただいて、私の言うことが間違っていなければ、そういう方向に一つ協力いただきたいと思うのです。これはどうですか。
  173. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 理論的には、おっしゃる通り、やはり全体の定員の状況を調べていかなければ、常勤職員を定員化する問題についても合理的ではないと思います。  で、現在の定員の中にも、まあ定員として働くポストでないというような者も、あるいはあるかもしれません。そういう点まで調べて出せば、一番正確であろうかと思いますけれども、この前の調査というのは、非常勤問題というのが、一つの問題になりましたが、そしてこれを政治的にも何とか始末をしなくちゃならぬということで、早急に、できるだけ合理的な線でまとめ上げようというのでございますので、理論的には、おっしゃる通り確かに無理があります。できますれば、将来の問題といたしましては、そういう観点で、実は定員の査定というものはやりたいと思っておりますので、目下いろいろ工夫をしておるところでございますので、その作業というものも、また膨大になりますものですから、なかなか思うにまかせない、できるだけそういう線でやりたいと思います。
  174. 森中守義

    森中守義君 山口局長、時間が大へんおそくなっておりますので、簡潔に二、三点お尋ねしますがね。  まず一つは、行政管理庁に各省庁から――郵政省でもけっこうですが、定員の大蔵省に対する要求が出てきた。それで、行政管理庁は、それを調整される場合に、一応調整された数が、大蔵省に折衝に移った場合、行管の認定よりも下回ったというような場合どうなりますか。こういうことが、実は行政管理庁はあってもないようなものだという意見になってみたり、あるいはいよいよ問題は、定員問題として存在する限り、こじれればこじれるほど、行政管理庁の株が上がる、存在理由があるということで、何か、大蔵省と各省との関係、あるいは行政管理庁と各省との関係が、どうもすっきりしない。これは、私は前の岡部さんにも三、三回聞いたことがある。少なくとも行政管理庁が設置法にいう各行政機関の定員調整をやるということであれば、認定をされた数よりも、大蔵省と各省の予算折衝が下回った場合には、当然行政管理庁として責任をとるべきだと思う。その状態は、どういうことになるのか。それを一つお聞かせいただきたいと思います。  それから、先刻野上委員の質問に対して、それは、定員法郵政ははずした方がいいじゃないか、こういうことの答弁でありました。どうも、やはり定見がないと思う。これは、会議録を見てもらえばわかるのですが、今申し上げた岡部さんと私の間、あるいは当時の石井長官、さらに田中郵政大臣との間に、少なくとも――先刻郵政当局にも申し上げたことですが――公務員制度調査会の炭山や、その答申の扱いをめぐって、いつまでも郵政の特殊事情にある定員事情というものを定員法のワク内にとめておくことはよろしくない、これをどうするかという私の質問に対してそういう時期を待たないで、別個に検討いたしましょう、こういうことが、行管の石井長官、さらに岡部前局長から答えが出ておるのです。そういういきさつを考えてみれば、先刻の野上委員に対する山口局長の答弁は、私は一貫した行管の方針を疑わざるを得ない。国会においては、体のいいことを言っておきながら、依然として郵政の定員については、定員法をとどめておくかどうかという、こういう抜本的な問題については、何ら検討されていないということは、私にとってみれば、不満この上もない。  それはあなたも御承知のように、郵政設置法あるいは特別会計法、各条文をごらんなさい。少なくとも設置法や郵政の特別会言法上に現われておる条文の中には、定員法を置いちゃおかしいのだ、はずさなければいかぬ、事業の成長に見合って自由自在に郵政事業が発展すべきであるということが、設置法や特別会計法のすかし文句として、よく見える。こういうことを考えてみれば、もうそろそろ郵政省の場合、定員法の中に置くべきであるか、別個にこれをはずすべきかという結論が出てもいい時期ではないかと思うのです。  しかるに、それら重要な問題が、いまだ解決をされないために、おそらく行政管理庁が、地方の行政監察同等から報告もあがっておるでしょうけれども郵政省の内部に発生をする幾多の問題というものは、全部定員の問題、すさまじい幾多の問題が、郵政省の中にあります。これは郵政省の管理運営上の責任もあるけれども、やはり行政管理庁も、その責任の一半は私は免れないと思う。  こういうように考えてくれば、もうそろそろ定員法の中に置くか置かないかという結論と、その責任の一半を、行管はどう果たしていくのか。さらに、大蔵省との関係をどうしていくか。もっと正確に、定見のある行政管理庁の答弁を、この際私は求めておきたいと思うのです。
  175. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 定員の査定につきましては、各省のお申し出を十分検討いたしまして、行政管理庁の意見を、予算査定の当月の方に回しております。その結果、財政上の見地から、さらに下回る――さらに削減する必要があるという意見で、こちらの方に意見が返ってくる場合もございます。そうすれば、その場合には、その点について折衝することになるわけでございます。その結果、どの点できまるかということが具体的にありまして、ある場合には、ふえることもございますし、ふえないこともあるという状況でございます。  それから定員法をはずすかどうかの問題につきましては、これは、かつてそういう論議がありまして、その後行政管理庁としても、検討をしたということは聞いております。私も、この前の通常国会で、そういう御意見が出たことを承知いたしております。何とか、実は解決したいということで、目下実際にやっておるわけでございまして、まだ事務段階でございますけれども、あまりこまかいことを申し上げるということも、実は折衝の段階ではデリケートなものがございますので、申し上げにくいのでございますが、御趣旨は、十分私どもといたしましても生かしたいという方向で努力いたしております。これは決して、うそを言っておるわけではございません。一つ、もうしばらく御猶予をいただきたいと思います。
  176. 野上元

    ○野上元君 定員の問題は、郵政当局の各般の施策にとって、基本的な問題ですから、この一回や二回の委員会の論議では、とうてい問題の解決になりません。そのことは、私たちもよく存じております。従って、本日行管の局長に来ていただきまして、おそくまでどうもありがとうございましたが、どうか先ほど来われわれが申し上げております、かつまた郵政当局も望んでおりまする方向に向かって、行管としては、今後特段の一つ努力をいただきたいと考えるわけでございます。その点一つよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  で、定員の問題については、今申し上げましたように、われわれとしても、たくさんの問題を抱えておるわけですが、きょうはどうやら時間が参ったようなので、次回に譲ることにいたしますが、特に御承知の出野事件が発生いたしました一つの原因として、あそこの非常勤の首を切ったという問題が出ておるわけで、これが火になって燃え広がったということになっておるわけであります。しかもその非勤に対しては、先ほど来この質疑応答の中で明らかにされましたように、採用時においては、健康の管理といいますか、診断といいますか、健康診断をやっておらないという手落ちが当局にもあった。かつまた、健保にも加入さしておらなかったというような、二つの落度があったということが明らかになったわけであります。にもかかわらず、この非常勤を病気だという理由のもとに首を切ったという両題が出たわけであります。その問題について、今日たくさんの署名が私のところに届けられており、そうして、これに対する将来の薄処方を郵政大臣に要望しております。従って、事務当局の万に出しておきますから、あとで一つごらんになって、善処方を要望するわけです。そうして次回に、本問題については、さらに当局の意見を聞きたいと思います。  それから委員長申し上げたいのですが、きょうは例の仲裁裁定実施後における情勢についてもお聞きしたかったし、かつまた、いよいよ迫ってくる年末首の繁忙に対する郵政省のあらゆる施策についてお伺いしたがったのでありますが、残念ながら時合がありません。従って次回に譲ることにいたします。  きょうはこれで……。
  177. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 了承いたしました。  なお、鈴木委員からお申し入れのありました災害記念切手の発行に陶する件等も残っておりますので、これらの件に関しては、別途理事会において相談することにいたします。  ほかに御発言もなければ、本日の調査は、この程度にいたしたいと思います。  それでは、散会いたします。    午後五時十八分散会