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1959-12-03 第33回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月三日(木曜日)    午前十時二十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            小林 武治君            鍋島 直紹君            加瀬  完君            鈴木  壽君    委員            安部 清美君            郡  祐一君            西郷吉之助君            館  哲二君            西田 信一君            湯澤三千男君            占部 秀男君            大森 創造君            松澤 兼人君            米田  勲君            基  政七君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   法制局側    第二部第三課長 長谷川喜博君   説明員    自治庁長官官房    調査官     大村 襄治君    自治庁税務局市    町村税課長   鎌田 要人君   参考人    東京主税局長 松本 留義君    船 橋 市 長 渡辺 三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査の件  (地方税法施行の実状に関する件)   —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから委員会を開きます。  本日は、地方行政改革に関する調査として、地方税法施行実情に関する件につきまして、ただいま御出席をいただきましたお二人の参考人から御意見を伺うことといたしたいと存じます。  議事に入ります前に、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。本日は、御多用中のところを、当委員会のために御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。委員一同にかわりまして、厚くお礼を申し上げます。  当委員会といたしましては、地方税に関しまして、深い御造詣と貴重な御経験をお持ちのお二人からいろいろ御意見を拝聴し、今後の委員会の審査、調査に資して参りたいと考えておる次第でございます。どうか忌憚なく御意見の御開陳をお願いいたしたいと存じます。  なお、議事の進め方について申し上げますが、まず最初に、お二人からそれぞれ大体十五分程度で御意見開陳をお願いいたしたいと存じます。また、そのあとで、委員の方からいろいろ御質問を申し上げますが、その際には、なるべく簡明に御答弁をいただきまして、議事の進行に御協力をお願いしたいと存じまするから、その点、あらかじめお含みおき願いたいと思います。   —————————————
  3. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは、まず東京主税局長松本留義君から御意見を伺います。松本参考人には、固定資産税及び遊興飲食税につきまして、固定資産評価の問題、遊興飲食税調定徴収問題等を主とした東京都の実情について御説明をいただき、さらに地方税に対する御意見等をもあわせてお述べ願いたいと存じます。
  4. 松本留義

    参考人松本留義君) ただいまの固定資産制度固定資産評価関係の方から申し上げたいと思います。これにつきましては、お手元に簡単な資料を差し上げておきましたので、ごらん願いたいと存じます。  まず第一に、この固定資産評価につきましては、御承知通り税法上の自治庁長官指示によりまして、評価基準評価方法あるいは手続、こういうものが示されておりまして、その示されたところに準拠いたしまして、都のそういった関係手続をきめて、それによってやっておるわけでございます。もちろんこれは、二十五年のこの税の創設当時においては、必ずしもこのはっきりした指示もありませんでしたけれども、二十六年から時価準拠ということに変わりまして、その後逐年この手続にまず大体準拠いたしまして評価いたしておりまするので、あまり御説明申し上げる必要はないかと存じたのでありまするが、一応都の評価方法につきましての概要を、ここに三十三年度の評価をやりました実績によりまして概要を掲げておいたのであります。御承知通り、三十三年度は基準年度でありますので、そうした関係を申し上げたいのであります。  大体申しますると、宅地におきましては、都内の九百四十九カ所に基準路線を設定いたしまして、基準路線価をつけまして、それ以外の路線には、その基準路線価に比準した路線価というものをつけて、そして一般土地につきましては、これに面した標準的地形標準的地積土地、こういうものから比準してそれぞれ評価いたしておるのであります。ただ、ここで申し上げておきますることは、三十三年度当時は、低物価政策というような国のお示しもありまして、当時われわれといたしましては、二〇%程度の増を作業いたしておったのでありますが、当時全国的な方針というようなことで、原則的には評価均衡補正をする、こういうようなことで押えられた経緯もございます。もちろん例外として、土地区画整理等によるところの非常に状況の激変いたしました所では上げましたが、それ以外のものについては、全体として均衡補正をやるのだ、こういうようなことからいたしまして、大体都に示されたものといたしましては七・七%増くらいの平均価格を示されたのであります。そういうようなことからいたしまして、都といたしましても、そういう線に沿いまして土地評価をやったわけであります。まあ特別に激変のあった状況土地につきましては別でございますが、原則として自治庁の線に沿いまして補正をする、こういうことでやったのでありますが、住宅地にありましては、最高一・一七倍くらいでとどめるとか、あるいはその他は最高一・三五倍とか、こういうようなことをいたしたのでありまして、その結果として、既存宅地については八・五%くらいの増になっておるものもございます。しかし、大体としては自治庁指示平均価額程度、こういうことを目標としたのであります。従って、自治庁指示価格比較いたしますると七八・四%程度のものになる、こういうような数字になってきたのであります。計画いたしましたわれわれの場合でありますと、大体自治庁の示した九六%どまりでしたい、こう思ったのでありますが、以上のようないきさつがありまして、宅地につきましては、ある程度低目のものが決定になった、こういうような事情がございます。  それから農地につきましては、ここに書いてありますように、自然とかあるいは経済、水害等諸条件の各要素を調査いたしまして、この標準になりまする田五十九カ所あるいは畑七十八カ所、これを選定いたしまして、評点制によって評点いたしまして、そして全農地をこれに比準いたして評価したものであります。そのほかの土地につきましては、池沼あるいは山林等でございますが、これにつきましては、付近の土地に比準して評価する、こういうふうにいたしたわけであります。  それから第二番目には家屋でありますが、これは、再建築費を基礎といたしまして、家屋経過年数あるいは損耗の程度利用価値等に応ずる増減価、こういうものを考慮いたしまして評価いたしております。ただ三十三年度は、次に掲げた関係の点を考慮いたしまして、そして全般的に調査を行なっております。再建築費については、その水準を三十三年の一月一日に置く。あるいは経年減価については、二十九年以降は実際に据え置いたのでありますので、四年間経年減価をやる。あるいは最終残価率は再建築費の二〇%とした。あるいは利用価値増減価につきましては、地域差増価最高を二五%とし、あるいは環境不良等によりまして減価いたします場合には、その率を一〇%の幅にいたしております。  それから、三番目は償却資産でありますが、二十六年一月一日の場合には、現存の新品または新設価格基準といたしまして従前はやったのでありますが、三十三年度からは、前年度基準評価額から定率法によりまして年間減価額を控除しまして、そして価格変動率を乗じまして基準評価額を算定する方法をとったのであります。ただ、次に書いてありますように、資産の遊休とか能率低下等によります現況をしんしゃくいたしまして補正を行なっております。それからまた、最終残価率は一〇%にいたしました。船舶については、やはり再取得価額を算出いたしまして評価を行なっております。次の(五)に書いてありますような特殊な業種につきましては、外形によりまして簡易評価を行なっております。また、料理店等にかかる償却資産につきましては、現況によって格付をして、そして評価をするというような簡便な方法をとっているものもございます。  以上のような方法をとりまして、三十三年度の評価額がどの程度になるかということは、もう一枚の紙に資産別に書いてあります。件数は千五百十九万二千九百十八件であります。評価額は、(A)に書いてありますのをトータルいたしまして、一兆二千八百二十七億八千七百六十七万三千円であります。前年度は(B)に書いてありまして、一兆千九百四十七億八千五百五十九万五千円であります。比較いたしますと、その次の欄の通りでありまして、この比率は一、〇七四、七・四%アップになっております。各資産別アップの率は上欄通りであります。その下に掲げておきましたのは、三十一年度から三十三年度までの標準税収入決算額との比較の表であります。大体三十一年度、三十二年度の決算額は、標準税収入額ほど入っておらないのであります。三十三年度に至りまして若干上回っている、五億二千四百七十九万九千円であります。そこで、ことで申し上げておきたいことは、大体都といたしまして、三十三年のトータルを見ますと、やはり標準税収入を上回っておりまするが、今までは、実は上回っておらないのであります。この内容は、実は詳しい表は差し上げてございませんが、家屋土地償却資産、こういうふうに分かれております中で、トータルといたしまして五億になっているのでありますが、自治庁評価指示価格比較いたしますると、宅地について上回っておらないのであります。あとは大体指示価格程度でございます。極端に上回っておるのもございます。そういうのが実情でありまして、このような点がどういうふうになっておるか、こういう点を若干申し上げてみたい、こう思うのであります。  これは、実は宅地の点がそうなんでありまして、それ以外の面は、私のところは大体相当の評価になっておると、こう思うのであります。実はこれは、この宅地になりまするのが非常に私のところが多うございまして、ことにこの周辺地区土地というものが、どんどん地目変更宅地になっております。これが年間約百万坪ぐらいここ数年間なっておりまして、これが非常に全体の面からいって市街地の度合いが低いために価格も低い、こういうことで全体の平均を低下させておる、こういうのが実情であります。この宅地につきましては、平均指示価格の場合にもあまり考慮されていない、間接的に考慮されているとも言えると思いますが、そう考慮されているとは考えないのでありまして、そういう面が非常に全体の評価額を安く見られるというふうになっているのが実情でございます。その例として申し上げますと、大体その周辺地区は、地積において全体の三四・二%ぐらいありますが、これがそういう地区なんでありまして、評価額の面では、わずかに一三・七%ぐらいの評価額しかないというような程度でございます。ですから、既存宅地につきますれば、大体ほかの五大都市並み価格になっておるわけでありますが、実情は、周辺地区都市化農村地帯と申しますか、そういうものの都市化の面でこういうふうになっておる、こういうことであります。  それで最後に、若干申し上げておきたいと存じまするのは、この据え置き制度が出て参りました関係上、この間われわれの評価額を変動するわけには参りません。しかるに、需要供給関係からいいまして、東京都の二十三区内の地価というものは急激な暴騰をいたしております。これは、勧銀調査指数でもわかりますが、そういうような面から、三年間据え置きにされるというようなことを勘案いたしまして、今までも時価に追いつけなかった、こういうような面がますますそれに拍車をかけていく、こういうようなのが実情であります。それなら三年をまとめて増をしたらいいかということになりますと、この固定資産税性質から申しましてなかなかむずかしい問題でありまするので、ほとんど不可能でございます。そういう面から申しますれば、毎年々々アップする、従って適正なる時価に近づけるという機会を多くするというのがよかろうかとも考えるのであります。しかし、この点については、目下政府調査会等でも御審議中のことでありますから、いずれそのようになるかとも考えますが、そういうような事情がございます。それから、都市における土地はさほどでございませんが、家屋の面であります。この捕捉の面で、われわれは非常に腐心をいたしております。家屋捕捉に腐心すると言うと、お笑いになるかもしれませんが、大都市におきまする家屋所有者あるいは建築者というようなものは、法規通り実は手続をとってくれないものがきわめて多数ございます。これははなはだ遺憾でありまするが、われわれの個人調査でも、なかなかむずかしいというような面もございます。従って、われわれがちょっと怠っておりますと、時効にかかるまでも発見しないで済む、これは、われわれのうかつさもあるかと思いますが、そういう面もございまして、この捕捉を完全にする、こういう努力を実はやっておりまして、評価の面もさることながら、そういう面で、実は航空写真をとりまして全部ことしも来年もしらみつぶしにやっていこうと、こういうような努力も払っております。  それからもう一つは、これは税制の問題でございますが、なかなか都市固定資産税は、徴収率はあまりいいとは言えないのでありまして、これは物税でありまして、収益はあまり見ていないというような点もあろうかと思いますが、これはどんどん公売処分に付せばけっこうなんでありますが、なかなかそういう面もわれわれの国民感情として合わないという点もありまして、その辺の調整というもののむずかしさから、徴税面の苦心がかなり要る税の一つであります。非常に、税収全体といたしましては、都の場合でも、事業税あるいは都民税に次ぎますやはり三つの大きな柱でございますので、ほかの税種と違いまして、非常に都市における課税あるいは徴収が困難な税種一つであるというふうに考えております。  それから第二番目に、遊興飲食税徴税状況でありますが、お手元に配付いたしました遊興飲食税過年度分調定並びに収入状況累年比較表というのをお配りしてございます。これによりますと、三十三年度は調定額が四十五億でありまして、それから収入額が三十九億、歩合が八六・四%、こういうふうになっております。今年は調定が五十三億、それから収入が四十七億と、こういうふうに見ております。八八%、こういう数字です。この調定額は、指数の欄でごらんの通り、逐年伸びて参っております。いろいろの減税等の措置がありましたけれども、相殺いたしまして、このように伸びて参っております。二十七年を一〇〇といたしますならば、三十三年は一八〇というような調定額でして、収入の方におきましては一八五・九、こういうことになっております。  それで、その次の表をごらん願いますと、この次の表は、遊興飲食税標準税収との比較でございます。これは、比較増減とまん中の欄にございますが、それで見ますと、全部標準税収ほど人っておらぬという数字が出ております。三十三年度で申しますれば、一億六千七百万ばかり足らない、こういう数字であります。従って、その右の三角の三・七%、こういうことになります。しかし、まあ標準税収からすれば九六・三%は取っている、こういうことからして、以前の四八・七%という時代から見まするならば、格段の相違でございます。三十四年度は、大体自治庁で考えておりまする標準収入と同様の計画でございまして、決算はおそらく上回るものと思います。その右の方の指数は、二十七年度を一〇〇といたしました場合の収入額伸び工合あるいは標準税収との伸び工合でありまして、それで比較いたしまするならば、標準収入は、三十三年度で九四・五%を見込んでおりますが、収入額の方は一八七・六%であります。しかしその伸びも、下に書いてありますような、全国の場合と比較いたしまするならば、非常にこの収入額の方は伸びております。こういう数字が三十三年度に、四年度にも出ておるわけでございます。  以上がお示しいたしました資料説明でございますが、大体この遊興飲食税収入状況というものは、今のように、非常に逐年向上いたしております。従いまして、標準税収につきましてはこのようでありますが、ただここで、次に少し問題を申し上げておきたいと思いまするのは、これだけでもう捕捉程度がいいのかと、こういう問題があろうかと思います。これも、逐年向上していることはただいま申し上げた通りでありまするが、しかしながら、まあもっと取れるのではなかろうかというようなこともあろうかと思いまするけれども、われわれの逐年の努力というものが向上いたしまして、そうして標準税収を非常に下回っておったものが、今度は標準税収並みになった、さらに上回るような状況になるかもしれませんが、しかし、まだまだ足らぬではなかろうかと、こう思うのでありまして、この点については、検税を実は昨年から強化いたしまして、この捕捉をさらに大事なものにしようと、こういうことを実は考えております。それから、この徴収歩合でありまするが、実は、これは現過年度徴収歩合でございまして、ほかの全国平均から見まするならば、三十三年度は、実は現過年度でも九三%、それから、大阪等比較いたしましても八八・五%程度なんでありまして、この点も若干落ちております。これにつきましては、公給領収証制度が実施されましてから、格段の大きな収入歩合の増が出て参ったのでありますが、さらにこれを上げるべく実は目下努力をいたしまして、まあ昨年からそれぞれ一定の期間を切りまして、納税強調週間あるいは公給領収証の確実な実施の運動というようなものも展開いたしております。実は今月やっておるのでありまするが、そういうPRをやっております。また一面、納税貯蓄組合制度を活用する、こういうようなことも進めております。しかしながら、大都市業界と申しますかの実際から申しますると、非常にこれも困難な税種一つであります。実は、今の私のところでは、固定資産税遊興飲食税は非常に困難な二つの税種でありまして、われわれが検税あるいは納税貯蓄組合の活用、あるいはその他の納税思想のためのPR等を盛んにやっておりまするが、なかなかそう一挙に納税実績を上げる、その捕捉実績を上げるというのは、著効が上がっておらないというのが実は私の大きな悩みでございます。こういうようなものも、それならばどうすればいいのかというような御質問があるかもしれませんが、大都市のこの種の業態一般のものは別でありますが、特定の業態につきましては、この特別徴収義務者制度自体がマッチしているのかどうかというような点にも問題があろうかと思います。非常に経営者の転廃業による移動というものが激しい、こういうことが言えるのであります。銀座地区の中心あるいは浅草地区業者というようなものの移動は非後常に多うございます。従って、滞納整理というようなものにつきましても、資産点等からいたしまして、非常に困難な面がございます。ことに施設を借用いたしまして営業を続けているというようなものにつきましては、なかなか困難な面がございます。それから、捕捉の点の困難な面は何かと申しますと、一定業界の中には、この業態性質上非常に回転速度と申しますか、こういうものが高いものがございます。これは、非常にむずかしい面がございまして、運転度合いというものに困難な面がございます。業態によっては、必ずしもそう回転できないものもございますが、回転率の高いものについては、なかなか捕捉も困難であるというように考えております。もちろん、公給領収証制度を厳格にお守り願えれば、これはもうそういう問題はございませんが、これもまた、消費者業者との利益というものが相一致いたすような関係になりますので、これもなかなか守られにくい面も一面あるのであります。  以上のような、非常にむずかしい面のある点を、一つ制度として皆さん方が今後何らかの面で御検討を願った上で、われわれ簡便な徴収というようなものができるように、そういうようなものが税制として取り入れられるべきではなかろうか。これは、実は私が扱った上の感じでありまして、それならばどうするかという点については、今ここで申し上げてもどうかと思いますが、いずれまた申し上げてもよろしいと思います。いずれにいたしましても、そういった面がありまするので、遊興飲食税については、捕捉の面、それから滞納の防止、滞納整理というような面も実は困難を来たしているという実情であります。  どうもはなはだまとまりもなくて恐縮でございますが、これで終わります。
  5. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ありがとうございました。   —————————————
  6. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、船橋市長渡辺三郎君の御意見を伺いたいと思います。渡辺参考人には、入場税につきまして、船橋市における実情並びに本税に対する御意見をお述べ願いたいと思います。  先ほども申し上げましたが、きょうは時間の制約もございますので、大体要旨を十五分程度におまとめ下さってお述べ願いたいと思います。
  7. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) 先ほどの冒頭の委員長のごあいさつの中に、今後の地方行政の運営に参考にしたいというお言葉があったわけでございますが、船橋の場合は特異な例でございまして、あるいは参考に私はならないのじゃないかと思うのでありますが、ただ、御指摘になりました通り、お手元にしげた資料も、特異な例として現状までの経過一つ出したわけでございまして、特別な事態でございますので、こういったものを正常に直したいというふうには考えておることだけを先に申し上げておくわけでございます。  それでは、資料に基づきまして御説明したいと思うのでございますが、船橋の方の入湯税というものは、ここに書いてありますところの、船橋水面の五十万坪埋め立ての問題から発しておるわけでございます。この公有水面埋め立てによりますところの企業誘致を、当時船橋市長でありますところの高木さんが考えまして、そうして船橋の今後の計画は、やはり埋め立てによっていくほかないということで、こういった対策をもくろんだわけでございます。それで、埋め立てがようやくできるというような方向になって参りますと、ちょうどこの漁民の方の漁業補償費というものが非常に重要な問題になってくるわけでございまして、この補償費をどういうふうに出そうかということで問題があったわけでございます。その結果、昭和二十九年の十月には一応の目標がつきまして、当時は、埋め立ての完成したときには、一割五分の土地と五千万円の補償をする。そして二千五百万円は着工と同時にお支払いしようということで、漁業組合の幹部と話し合いができたのでございます。そうしてこの仮同意書に調印するとともに、これは、漁業組合の総会の議決を経て本同意書にかえるということになったわけでございます。そこで、同年十二月の市議会におきまして、全員協議会を開きました結果、埋立計画を県に申請するという一つのもくろみ、結論に達したわけでございます。これによりまして、公有水面の五十万坪埋立申請が県に提出され、そしてこの申請に対する千葉県知事諮問が発せられまして、昭和三十年の七月十一日付をもちまして行なわれ、そして同年の八月九日に諮問申請につき議決されたのでございます。その後漁業組合に対する話し合いが非常に難航いたしまして、三十年の八月には埋立地の一割五分と七千五百万円の補償案が出たが、流会となりました。ついで、三十一年の六月には、一億二千五百万円をもって総会にかけたが、またも流会となりまして、漁民は二派に分裂したわけでございます。その後この埋め立てをしようとする賛成派と反対派がございましたが、賛成派の方が埋立期成会を作りまして、そうして漁民の意思をまとめたのでございます。結局、その年の八月一日の総会におきまして、現金一億円は第一期工事着工と同時に、残りの二千五百万円は工事完了後に出すということで、また、昭和三十一年度、三十二年度にそれぞれ千二百五十万円の漁業振興費を交付しようということで、組合の最後の結論が得られたわけでございます。そして同年十月六日には細目協定が結ばれたのでございます。  そういうことによりまして、埋め立てがいよいよ実施段階に入るわけでございますが、この実際に埋め立てをやっていく場合におきます当時の状況で、市には金もないし、また起債も得られないということで、多額の事業費の財源をどうするかということで、また大きな壁に突き当たったわけでございます。やむなく一切の経費を朝日土地興業会社に立てかえてもらって仕事をしようということになったわけでございますが、そういったいろんな手続を経まして、着工の段取りとなって、現在に至ったわけでございます。そしてここから問題点が出てくるわけでございますが、特異な例というのは、こういうわけでございます。  問題点につきましては、入湯税を免除してしまったわけでございます。これは、市が漁民に補償する先ほど申しました一億二千五百万円の補償金、これは漁業組合の了解も得て、こうなったわけでございますが、これの支払いにつきましては、当時の市長高木良雄氏は、朝日土地の会社が五千万円、また市が七千五百万円の負担をする旨のことを市議会で行なっておりまして、そうしてこの市議会におきましても、この趣旨に基づきまして了解を与えたわけでございますが、その返済方法として、入湯税の免除をいたしまして、昭和三十二年四月分から昭和四十一年の三月分まで八年間入湯税を免除しようということになったわけでございます。  入湯税といたしましては、ちょうどこの八年間で七千五百万円を免除しましょうと、そうして、それがいわゆる朝日土地の方で、一時会社の方で立てかえておいてもらって、そうして船橋市は、入湯税を免除して相殺しようという考えから出発したと思うのでございます。そうしてこの立替金返済方法契約書について見ますと、市が漁民に現金補償する七千五百万円を会社に立てかえせしめると、この立てかえ金の債務負担により締結された公有水面埋立施行契約書第五条に基づく立替金の返済方法につきまして締結した契約書であります。この入湯税免除及び立替金返済方法契約書に対しまして、昭和三十三年四月二十一日付で、千葉県総務部長名をもって次の通りの改善措置を求める通知を受けております。そのイは、「地先水面埋立に伴う漁業権損失補償金支払のため、朝日土地興業株式会社と船橋センターの納入すべき入湯税の課税免除を条件とする契約を締結し、同社より七千五百万円の補償金相当額を収納し、これを補償金として支出しているが、この課税免除は、地方税法第六条の規定に違背し、また収納金の性質は、地方自治法第二百五十条の規定に抵触するものと解されるから、速かに所要の措置を講じ課税の適正を期するよう措置されたい」ということでございます。また、このときに条例を設けてございまして、条例に対しまして別に単行決議でもって課税免除をいたしております。  ロは、それに関連して、「課税免除については、条例によって措置されるべきものであって、単なる議決に委ねられるべきものではない。」ということでございます。その後市議会及び市民の間では、市と朝日土地興業株式会社と締結した立替金の返済方法契約書の期間につきまして、当初の規模より大幅に改増築し、収容能力が増大しておる。従って、そういったものを、現実に入湯行為者が増加しているので、これを無視してはならないという世論が高まったわけでございます。ちょうど昭和三十一年にこういったものを締結したときには、当時の見込みでは、千二百人前後の入湯行為者があるというふうに考えていたわけでございますが、ヘルス・センターは、その後二度三度と非常に収容能力をふやしたということで、もっと取れるじゃないか。従って、年数を減らして早目に解決したらどうかというような声が相当出ておるということでございます。その調査の上返済期間を短縮すべきである等が市政の論議の中心となっておるのでありますが、未解決のまま昭和三十四年四月の市長及び市議会議員選挙によりまして、本問題も頂点に達した感がございまして、同問題を違法であるとして、その解決を約した私がその事務を引き継いだことになったおけであります。  就任以来鋭意その解決に努力して参ったのでございますが、六月定例市議会におきまして、その所信を表明をいたしまして、入湯税の問題については対策委員会を設けまして、衆知を傾けて検討することが本問題を早期に解決する道であるといたしまして、学識経験者、議会代表者計十四名を委嘱したところ、学識経験者四名並びに議会代表者二名の方の辞退を受けまして、やむなく議会代表の八名によりまして、入湯税諮問対策につきましての委員会が九月十四日に発足したのであります。この間、事務当局といたしまして、資料の収集とか、法的見解等のいろいろの聴聞のため、自治庁あるいは県地方課に委員を派遣しまして、諸般の準備を整え、検討を加えていたのでありますが、ちょうど九月十六日第一回の対策委員会を開きまして、市長の方針を述べまして、資料を提出し、自後数回にわたりまして対策委員会を開きまして、その間、対策委員会でも、独自に県におもむきまして、実際やっていることの間違いであることの御指摘を受けたわけであります。ちょうどこのときに、九月十二日でございますが、住民の監査請求によりまして、監査の結果に基づく措置請求が出されまして、これによりまして私たちも早期解決を迫られたわけでありますが、地方三法に違背する諸問題等いろいろの点から、また相手が民間会社でありますので、そういったことの折衝等で手間取っておりますが、私の方といたしましても、この入湯税の問題は正常に返すべく、目下解決の点を見出すべく努力いたしておるのでございますが、一応このめどもつきましたので、明日から開かれますところの市議会に提案いたしまして、協賛を得たいというふうに、かように考えているわけでございます。  以上、簡単でございますが、概要を申し上げます。
  8. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ありがとうございました。   —————————————
  9. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまの参考人の公述に対しまして御質疑のある方は、順次御発言を願いたいと思います。
  10. 加瀬完

    ○加瀬完君 東京都の固定資産税並びに遊興飲食税に対する質問は、時間の関係もありまして、他の委員がなさると思いますので、船橋市長さんに私の方は主としてお伺いしたいと思います。  今、お話を承っておりますと、前市長のとりました入湯税免除の措置は違法であるという御確認は、現市長さんはなさっていらっしゃるというふうに了解してよろしゅうございますか。
  11. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) けっこうでございます。
  12. 加瀬完

    ○加瀬完君 その入湯税の免除が違法であるということになれば、当然入湯税を取るということになりますが、その御説明の中に出ました七千五百万円の、いわゆる今、市の方の御説明による債務と称するものと、どういう関係で御解決をなさるお考えですか。
  13. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) 入湯税との差引の問題でございますが、これは、御承知通り、七千五百万円のうち五千万円はすでに立てかえであるということが、実際の当時の経緯から見まして明らかでございます。いうならば、やみ起債でございまして、その点は、自治庁さん等の御指摘になることでございます。これを正常に戻す必要があるわけでありまして、七千五百万円のうち五千万円がすでに立てかえておいてもらっているということ、二千五百万円は埋立完了後に市が立てかえて払っていくというわけになるわけでございますが、現実にはまだ埋立が完了いたしませんから、五千万円分だけ立てかえてもらっておる。これだけは借金になっておるわけであります。これは、私といたしましても、当時の状況から確認いたします。ただし、この借金は正しい借金ではない、やみ借金であるということは御指摘の通りであります。これを直すためには、やはり入湯税は取り、そしてまた、一部分は会社から寄付してもらう、もう債権放棄をしてもらうというふうに考えて話を進めておるわけでございます。
  14. 加瀬完

    ○加瀬完君 その七千五百万円は、立てかえ債務であるというように市長さんはお考えですか。
  15. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) さようでございます。
  16. 加瀬完

    ○加瀬完君 やみ起債というお話がございましたが、これは、立てかえ債務とするならば、少なくも予算の上に歳入歳出で、きちんと区別が入っておらなければならないと思う。伺っておりますと、そういう措置はとられておらない。一時借入金にいたしましても、これは議会にかけなければなりませんのがかけてないし、まして起債ということになれば、これは、議決の上に、主務官庁の認可がなければなりませんが、もちろんそういうことはなさっておらない。おっしゃるように、どうしてもやみ起債という形になります。やみ起債ということでいたしますと、やみ起債というのを市長さんお認めになると言うならばやむを得ないのですけれども、このように歳入歳出に計上しない、予算に編入されないものに、一体債務というものを現市長さんはお認めになられるかどうか。
  17. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) この点、非常に私も実は苦慮しておったわけでございます。しかし、公的な場合のことで私的な例を申し上げては失礼でございますが、私たちが、たとえば宴会等をやりまして金を持っておらない、じゃ立てかえておいてくれというときには、実際のところ別に記帳もいたさずに、借金を道義的に感ずるわけです。そういった当時の状況から考えまして、やはりそういったことで、埋め立てのための補償金を出すために入湯税をあなたの方にあげましょうというふうな考え方から私は出発したのじゃないかと思うのですが、いずれにいたしましても、当時の市会の市長の説明にも、船橋市が市費をもって七千五百万円払うべきだということも言っておりますし、現実にそういった格好でもって補償金を、漁民の方も、船橋市が七千五百万円出すのだから、これ以上要求するのはよそうということで、一億二千五百万円で妥結しております。そういった状況が、御承知通り、はっきりと記帳上には出てこないわけでございますが、実情といたしましては、そういったやみ起債のような、やみ借金のようなことになっておるわけでございまして、この点は、なかなか公式通り第三者にこれだという御説明は困難でございます。従って、私は、本筋は、実は全部、そういったことで、会社から借金を放棄していただけば問題はないわけでございますので、どうだ、負けてくれないかということで進んだわけでございますが、向こうの立場もいろいろございまして、五千万円だけはじゃ放棄しましょう、それから、すでに五千万円払ったうちの二千五百万円は一応そこから放棄し、あとの将来残るべき、支払い金と称すべき二千五百万円についても放棄しましょうということで、七千五百万円のうち五千万円を放棄してもらうことには成功したわけでございます。あとの二千五百万円につきましては、御承知通り、今後措置をしなければならぬわけでございますが、実際上の問題といたしましては、そういった格好でもって解決しなければ解決できない。従って、市政運営上におきましても、それを早目に解決する必要に迫られておりますので、一番いい方法は、さっき言った七千五百万円を放棄してもらうのが一番いいのでございますが、五千万円というふうになったわけでございます。
  18. 加瀬完

    ○加瀬完君 今、料理屋の勘定の例を出しましたが、形式的には、どのような角度から見ても、市の債務という手続というものが踏まれておらないということはお認めになられると思う。  もう一つ、私は、この七千五百万円の債務内容についての疑義が持たれると思うのです。今、公有水面埋立施行契約書というものをいただきました。それから、この七千五百万円を支払う根拠になりました、公有水面五拾万坪埋立同意条件及び実施細目協定書というのが船橋市長漁業協同組合長との間に取りかわされておりますね。それで見ますと、すなわち船橋市の責任において一億二千五百万というものを漁民に現金補償として支払うという細目がきまっておるわけです、それで、この公有水面埋立施行契約書の算五条に、その一億二千五百万市が漁民に支払うべきものを朝日土地に立てかえ払いをさせた、その立てかえ金の返済方法というものが書かれておるわけです。しかし、この公有水面埋立施行契約書の第二条には、こういうふうに書かれております。「埋立実施に対する義務」として、「乙は、」——乙というのは朝日土地ですね——「前条の埋立工事施行に当り、甲に対する、船橋漁業協同組合総会の埋立同意条件並びに甲が船橋漁業協同組合と協定した埋立実施細目協定書を継承し、これを完全に履行する義務を負うものとする。」こう書いてあります。それから第四条には、「乙は、埋立に要する工事費並びに甲が本事業のため必要とする費用を市に立替えて工事を行い、工事完了後本事業に要したる実費を以て甲は乙に埋立地を有償にて譲渡する。」こう書いてあります。そうすると、五条はありますけれども、二条で、これは当然、市の行なうべき漁民に対する補償は、市から請負って工事を進める朝日土地が完全に履行する義務を負うものとするということになると思うのです。当然これは支払わなければならない義務がある。それから、その決済は、第四条で、結局本事業のために必要とする費用は、市の立てかえた分を工事が完了したとき埋立地をもって相殺をすると、こういうことになっているのですから、一億二千五百万朝日土地は立てかえ払いをしても、立てかえ払いの代金というものは、補償というものは、埋め立てをした土地で返ってくるわけですから、ここで決済が済んでいるわけです。従って、漁業補償も当然本事業のための必要なる費用ということになりますから、将来埋立地の譲渡をもって決済されるという性質のものでなければならないと解釈するのが私は当然だと思う。で、漁業補償金の支払い分だけは本事業のため必要なる費用というものから除かれるということはどこにも書いてない。すなわち、同意条件並びに埋立実施細目協定書の施行が工事請負において当然履行さるべき内容とはならないという理由は、この水面埋立契約書の中にはどこにも出てこない。そうすると、第二条と第四条で全部もう貸借関係が明快に解決されておるのに、第五条が加わったというところに、私は錯誤による挿入としか解釈できない。この点は、どのように市の方ではお考えになっておられるのですか。第二条と第四条というものがあって、その上に第五条を加えて、第二条、第四条と第五条は明らかに矛盾をする。悪口を言うならば、二重払いにもなりかねないということになると思う。この矛盾をする関係は、市長さんは、市長に御立候補のときにもいろいろと市民に御説明をしたようにも承っておりますが、これは、初め市長さんがお考えになっておったことの方が正しいのであって、今の七千五百万円が明らかに市の債務であるという御認定——債務ではあるかもしれぬ、債務ではあっても、入湯税のようなもので相殺をしなければならないと、入湯税に振りかわりをさせるような性格の債務ではないということが、この契約書の上から私ははっきりと出てくると思うのですが、この点についてどう御解釈をなさいますか。
  19. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) 御指摘の通り、二条と四条、五条とを検討いたしますと、確かに矛盾があるわけであります。矛盾がございますが、実際の点を調べてみますと、私たちは表示の仕方がまずいと思うのでございます。従いまして、私ども、市議会に対しましては、この点を公開することにいたしまして、二条につきましては、七千五百万円は含まないという意味のことをはっきり——実費に含まない。それから第五条につきましては、こういった立てかえ払いをするような、そういったところの条文を削除に近いところに持っていく、そういうことをしないのだということに公開することにしております。従いまして、実際は市が一銭も払っておらないということになりますので、意思とここに表わす表示が変わっておるのでございまして、法的には、これだけ見ますと疑問がありますので、これをはっきりしたいということに考えておるわけであります。
  20. 加瀬完

    ○加瀬完君 初め公有水面理立施行契約書を議決しておいて、二、三年たって問題が出て、問題の解決のために議決の内容を変えるということは、私は一体それができるものかできないものかという疑問を持つ。もう一つ、当時の事情を調べてみますと、第三条と第四条で、第五条はまことにナンセンスな条文であるということを裏書するような材料もございます。それは、御存じのように、朝日土地に請負をさせるときに、競争相手として若松築港が出てきておるはずです。その若松築港が請負契約を市に要請をしましたときに、一億円以上の金を直ちにここに並べなければ、お前の方にやらせるわけにいかぬと、それは市にかわって立てかえ払いをさせる金なんだと、それは埋め立てによって相殺するのだと、こういう説明を市の当局はしております。そうしますと、これは、朝日土地も、当然初めの出発においては、二条と四条で全部の費用関係の弁済はするという御趣旨であったと、当時の市の当局はそういうお考えであったと、これは推定をせざるを得ない。これは、法制局も来ておるようですから、法的な解釈という立場から、今配られております公有水面埋立施行契約書の二条と四条と五条というものが矛盾しないものかどうか、私のような解釈が成り立たないものかどうか、一つ参考のために伺いたいと思います。
  21. 長谷川喜博

    ○法制局参事(長谷川喜博君) 問題がきわめて具体的な問題でございますし、具体的な事情につきましては、私全くと言ってよいくらい承知しておりませんので、この契約の条項の解釈につきまして、具体的に妥当な解釈を出せるかどうか、全く自信はございませんけれども、法制局といたしまして、法律の条文としてこの契約の条項を読んだ場合にどういうふうに読むかといったような気持でこの解釈をいたしてみたいと思います。  今、加瀬完生から指摘されましたように、確かに二条と四条を関連して読みますと、この契約書の文面から出ます結論は、埋め立てに要する工事費と本事業のために必要とする費用で、埋立地を乙すなわち朝日土地に譲渡するという意味に読むのが、文理解釈としましては素直な解釈ではないか。ただ、すぐ四条の次の五条に、いわば突如としまして、「甲が組合に補償金支払のため乙をして立替払せしむる金五千万円也」云々といったような、漁業補償だけは本事業に要したる実費のワク外だといったような表現の条項が現われてきておりますので、特に四条と五条との形式的な文面をどう解釈するか、そういう契約を解釈する場合には、両契約の当事者の契約の文面に現われました以外の了解といったようなものも相当のウエートを占めると思われますので、そこで、実際の取り扱いと申しますか、今市長の御説明にありましたように、両当事者とも、この七千五百万円を市にかわって朝日土地が立てかえ払いしたのだということは承知の上でこの五条は書かれた、これは明らかだと思うのであります。ただ、この立てかえ払いをせしめる金五千万プラス二千五百万、金七千五百万円というのがそれではどこから出てきたか。そういたしますと、これはまた再びこの契約の条項だけで探してみますと、結局この立てかえ払いせしめるという根拠は、その前の条文の四条の、「甲が本事業のため必要とする費用を市に立替えて工事を行い」と、この「立替えて工事を行い」ということから、立てかえ払いせしめるその七千五百万円というのが出てくるのじゃないか。そうすると、やはり漁業補償金だけは別なものだと、この工事に必要とされる直接、間接の費用とは別のものだといったような気持はなかったのじゃないか。そうしますると、非常にこの辺がわれわれといたしましてはどう読んでいいのか、ちょっと迷うわけでございまして、さっき市長さんが、これは表現が悪かったんだと言われておりますが、債務は債務として、両当事者とも七千五百万の債務は承認しておる。ただ、その債務を承認した根拠は、この契約書の文面からはどうも引き出せない。ただ、それじゃ五条ははっきり無効の条項と言ってしまっていいかどうか、そこまではわれわれとしては申し上げかねるのでございまして、しいて申し上げますと、「埋立に要する工事費」と、それから「本事業のため必要とする費用を市に立替えて工事を行い」と、それと、そのすぐあとで、「工事完了後本事業に要したる実費」と、前の方は「工事費」と、それから「必要とする費用」と書き、それからあとの方は、「工事完了後本事業に要したる実費を以て甲は乙に埋立地を有償にて譲渡する」と、実費とわざわざ書き分けてあるところに、これは直接費だけだと、漁業補償金やなんかは立てかえはするけれども、対価には入れないのだ、別途に債務とするのだというところに、ここに実費と書き分けられたものがあるのではなかろうか、この程度の推測しかいたしかねるのでありまして、この契約の条項は、文理的にすなおな解釈といいますか、文理に忠実な解釈からは、当然七千五百万の債務の根拠はきわめて薄いのじゃないかということしか申し上げられません。
  22. 加瀬完

    ○加瀬完君 第二条のあとの方に、「埋立実施細目協定書を継承し、これを完全に履行する義務を負うものとする。」あとに、「ただし、乙は同意条件以外に甲の要請に基き漁業振興費として金弐千五百万円也を左記の通り甲に指定寄附する。」云々とある。埋立実施細目協定書を実施した上に、さらに同意条件を受けて、その上に同意条件以外に指定寄付をするという条件が第二条によって甲から乙は受けている。それで四条に、今長谷川課長の、「工事完了後本事業に要したる実費」というものは工事費だけだという説明があったのはおかしい。「工事費並びに本事業のため必要とする費用を市に立替えて工事を行い、工事完了後本事業に要したる実費」というのですから、これは、二条から引き続いて見れば当然事業関係一切、広義に解すべきだと思うのです。  それで、さらに伺いたいのは、立てかえさせたんだということは、二条によりましても四条によりましても、立てかえさせたということが前提になっておって、入湯税で相殺しなければならないということは、二条、四条によっては別に出てこない。そこで、立てかえをさせたと、しかも、その立てかえの返済方法は契約書にありますね。その返済方法はあるけれども、確かに立てかえをさせたんだという、工事費や何かと関係なく、七千五百万円の立てかえをさせたんだ、これは市が確かに借り受けましたという契約書がございますか。
  23. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) 確かに借り受けたという証拠になるものはございませんが、金は受け取りまして、漁民へは渡しました。漁民から取った受け取りはございます。
  24. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは、漁民には市が当然支払うべきものでありますから、漁民に支払いましたことは事実でしょう。しかし、これだけの、七千五百万円という金が、借用証もなければ契約書もないという間に授受されておるということは、すなわち第二条による履行義務として、あとで事業完了後土地の有償譲渡ということで相殺するという前提でなければ、私はおかしいと思うのですよ。これはどうお考えになりますか。
  25. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) 先ほどから実は申しておりますが、確かにおかしいのでありますので、私も、すでに立候補した当時、結局漁業補償を実費に加えれば、二重に期日土地がもうけるんじゃないかという気がいたします。少なくとも仕事の出発点が企業誘致ということになっております。企業誘致ということは、やはり企業を誘致するためには来やすい条件を作ることが必要なんだ、従って、そういったことから、一銭でも安い土地企業誘致のために使った方がいい、有利な条件を作るという前提に立ちまして、そういうところから考えますと、二重にそういうところに入ることは困るので、これをはっきりする必要があるということで公開して、七千五百万円は含まない、市が補償するといったこの実費の中に含まない、これは、ほんとうに市の立場に立って金融措置を促進するために七千五百万円出すんだという観点からいうと含めないと、含めないという公開をしようと、かように考えております。
  26. 加瀬完

    ○加瀬完君 七千五百万円は含まないという事情をもう一度、おそれ入りますが御説明下さいませんか。
  27. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) この二条につきましても、また四条によりましても、七千五百万円含めますというと、結局のところ、市で当然入湯税を取るべきやつを取らず、それを立てかえせしめた分が、ある特定の企業のために補償費として出すことになりますと、それを実費に加えますと、不当に会社が利益を得ますから、企業誘致という関係から、企業を誘致するためには一銭でも安い土地を提供することから、そういったものは実費から除くという方針にしたいと思っております。
  28. 加瀬完

    ○加瀬完君 七千五百万円を、市が今までの埋立実施細目協定内容から離れた単独なものとして朝日土地に支払いをしたところで、埋め立て土地というものは、市や朝日土地の思惑だけでなくて、第三者の経済的な思惑によって、上りもするが下りもするんです、現状は。現状から推定すれば、市長さんのおっしゃることとは逆で、朝日土地は、埋め立てによりまして相当の利益を得られる。その上にアルファーとして七千五百万がまたまるまる入るということになります。市民の利益というものから考えれば、第二条とか第四条によって、少なくも七千五百万は市の財産として残り得べきものを、悪い言葉で言えば、どろぼうに追い銭というように、もうけた上にさらにおまけをつけてもうけさしてやると、それは、朝日土地との関係は、非常に朝日土地は喜ぶ結果を招くでありましょうけれども、七千五百万の損失という一体市民のこの犠牲はどういうことになるかという、新しい問題が生まれてくると思うんです。それで、今法制局の見解でも、二条と四条と五条というものを比べれば、二条と四条というもので、五条というものの存在というものは非常に希薄になるということが明瞭になったと思うんです。それでも七千五百万円を支払いをしなければならない根拠というものは、私は出てこないと思う。なぜならば、七千五百万を借り受けたという契約書がない。借り受けた事実があっても、それは二条と四条で、もう土地によりまして朝日土地に支払いをするということは可能なんで、朝日土地一つも損はかけておらない。こういう契約内容であるにもかかわらず、あらためてまた七千五百万をここに出さなければならないという私は根拠はどこにもないと思う。これは市長さんは、初めのお考えを、市議会のいろいろの考えとの食い違いが出て、今まあ個人としてのお立場をはっきりとお出しになれないかとも思いますので、自治庁町村税課長はどうお考えになりますか。ちょっと意見を承りたい。
  29. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) ただいまの船橋市の問題、私の所管いたしておりますのは入湯税の問題でございます。で、入湯税の問題に限定いたしまして、この問題について私の方の考え方を簡単に申し上げたいと思います。  船橋市の、実はもう三十二年の十二月ごろでございましたか、問題があるということを伺いまして、その後私どもの方で県の地方課を通しまして、いろいろ事情を聴取いたしたのであります。結局、今問題になっておるようでございますが、この立替金、また立替金の性質については、ただいまいろいろ論議がございましたので、これはまあ私の所管でもございませんし、一応その問題ははずしまして、立替金と見返りに入湯税を免除したということについてだけ私の意見を申し上げますと、これは、地方税法の規定の解釈並びに運用の面から見ていかがかと思う節が多々あるわけでございます。で、ご存じの通り入湯税は、税金を払うのはお客様でございます。このヘルス・センターに入りますお客さんからヘルス・センターが税金を特別徴収義務者として徴収いたしまして、それを市に納めるわけでございますから、いわばこれは預かり金のまあ性質のものであります。今の地方税法では、この特別徴収義務者がお客さんから入湯税を預かりまして、それを市に納めることを免除するということを可能ならしめる条文はないと、私ども解釈いたしておるわけであります。地方税法第六条の規定では、公益上その他必要がある場合には地方税を免除することができる、地方税を免除するというのは、今の入湯客に対して入湯税を取らない、こういうことでございまして、特別徴収義務者がこれを取っておりながら、それを市に納めないということは、これはできないわけでございます。また、地方税法の入湯税の規定におきましては、特別徴収義務者が市に納める義務を免除するという規定もないわけでございます。それからもう一つは、今の立替金と入湯税との間には、何ら因果関係がないわけでございますから、この立替金のかわりに入湯税を免除するということは、これまたはなはだ筋が通らない、こういう趣旨で私どもおるわけでございまして、そういった面から、入湯税は、特にこれは環境衛生施設その他観光施設の改善のために、昭和三十二年度から目的税にわざわざこれを移した経緯もございますので、入湯税入湯税として完全に徴収しながら、この立替金の方の返済義務者側といたしますれば、その方はそれとして別途に歳出項目を明示して、明らかに設けて支払うべき性質のものではなかろうかという、こういうことで、県の地方課を通しまして船橋市の方に御指導申し上げている状況でございます。
  30. 加瀬完

    ○加瀬完君 行政官庁に伺うべきですけれども、結局朝日土地との契約も、市の条例に照らせば、二年以上同種の業に服しない者は請負契約の入札の無資格者だという御認定があるのですね。しかしながら、全然朝日土地はそういった立場でなかったにもかかわらず単独契約をなすっている、こういう点にも問題は私はあると思う。これらの点と先ほど私が伺った点とを総合いたしましても、二条、四条の解釈から、少なくも第五条というものを有効に認めていく必要はないという、第三者的に考えれば、当然そういう判断も成り立つわけでありますから、この点で市長さんは、七千五百万を二条と四条で解決をなさる方が市のためになる、こういうお考えはお持ちでございませんか。
  31. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) お答えいたします。  そういった立場もとれないことはないと思うのでございますが、しかし、あの当時の事情を、実は私、外部から見ておって、実は市長に立ったわけでございますが、従いまして、出時の事情を知っておる連中を委員に選んでそういったことを調査し、また事務当局との話を総合いたしますと、やはり相当会社側の立場を擁護する結果になってしまう結果になりますが、この契約自体について、この契約が二条、四条に基づきましてやった方がいいんじゃないかということになりまするが、しかし、企業を誘致するという大きな前提から考えますとも必ずしも……そういった悪い面を排除していって、そうしてすんなりしたことによって早くこの企業誘致の段階に入りたいという関係から、実は先ほど私申し上げましたようなことを考えて、政治的に考えていきたいというふうに、処置をしたいと思っておるわけでございます。
  32. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは、企業誘致の問題には関係ないと思うんです。埋め立てが進んでおるし、これから企業誘致というものは、もう土地がないんですから、ひとりでに船橋市にたくさんの会社が申し込みに来るわけでありますから……。問題は、七千五百万という支払いを、別途支払いをしなくてもいいものを、新しい形で支払いをするということの可否という問題になると思う。まあ市長さん、そういうお考えでありましたが、次の質問で、今の問題をもう少し検討して参りたいと思いますが、入湯税をお取りになるとおっしゃる。そうすると、これは当然ヘルス・センターが開設された三十一年十一月ですか、三十二年ですか、少なくも三十二年度からお取りになると思う。そうすると、お取りになるというからには、一体入湯人員というものをどういうように査定するか、こういう問題が出てくると思うのです。それと、その先の説明では、七千五百万、私はそういう形で支払う義務はないと思いますが、市長さんは、まあ円満に解決をしたいというのでお支払いなさるというが、七千五百万というものと一体入湯税というものをどういう形で相殺していくか。その御計画はどのようなおつもりですか。
  33. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) 先ほど申し上げましたけれども、七千五百万につきましては、とりあえずこの五千万は一応放棄していただく、もう請求しないということになれば、自然に解消するわけでございます。それから、あと二千五百万につきましては、入湯税徴収して、そうして返還するという格好になるのじゃないかと思います。
  34. 加瀬完

    ○加瀬完君 三十二年度は、入湯税をどのくらいお見込みですか。
  35. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) この当時のいろいろ話し合いもございまして、私は、三十二年度におきましては、大体千二百人ですか、千二百人前後とまあ記憶しているんですが……。
  36. 加瀬完

    ○加瀬完君 一日……。
  37. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) 一日です。
  38. 加瀬完

    ○加瀬完君 三十三年度は……。
  39. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) 三十三年度につきましては、私のところで委員会に出した資料はあるそうでございますが、あの資料は、抽出の資料でございまして、正確には目下つかめないわけでございます。これは、やはり調査いたしませんと、はっきりしないわけでございます。
  40. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは、朝日土地船橋温泉が開業をいたしましたのは、正確にいうと何年ですか。三十年十一月ですか。
  41. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) 三十年の十一月でございました。
  42. 加瀬完

    ○加瀬完君 この入湯者のつかみ方によって入湯税の取り方が非常に違ってくると思います。私の調査によりますと、遊興飲食税が、総収入額昭和三十三年は一億八千九百六十一万三千八百三十九円となっている。それで税額は、六百八十七万二百四十八円、それから、あそこにゴルフ場とゴルフ練習場がございますね。その娯楽施設入場税が、合計いたしまして三百四万七千二百八十八円となっている。中におる従業員たちにもいろいろ聞きただしてみますと、大体三十年から三十一年にかけては平均二千人、三十一年から三十二年にかけては五千人、三十二年から三十三年にかけては八千人、三十三年から三十四年にかけてはおそらく一万人と推定できる。そうすると、こういう推定を、税金を取る方は、大体推定というものはまあよけいつけるものですから、かりに若干よけいだと見ても、合計すると一億八千二百五十万という合計が出てくる。半分にしたって九千万、一億に近い入湯税が当然取れるはずなんです。これと二千五百万を相殺するような御計画ではないでしょうね。
  43. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) なかなか詳しくお調べになって恐縮でありますが、入湯税の点と遊興飲食税の点は、遊興飲食税がふえたからといって、入湯税がふえるということは考えられないわけでございまして、これは、自治庁さんもいらっしゃいますが、入湯行為者ということになりますと、必ずしも入った人が全部おふろに入らないということも考えられますので、そういった点が、実際の問題になるとむずかしい現地の問題でございます。たとえば、五千人入って、五千人から全部取れるか。入場券を発行しただけ税金が取れるかといいますと、そうではないのでございます。それは、たとえば十二才以上でなきゃならぬということと、同時に、実際にあそこに娯楽施設がございますので、ただ参りまして、おふろへ入らずに、その方に行って遊んだ場合には、これは入湯行為者になりませんので、入湯税の対象にならないということを引きますと、実際に入湯した数というのは、その何%かになるというようなことがむずかしい問題でございまして、これらにつきましての現実の調査というのはなかなかやれませんし、また、過去におきましては、そのように免税してしまったんだというようなことから、調査の段階が非常におろそかになっておりますので、実際にお説の通り行くかどうか、存じ上げないわけでございます。
  44. 加瀬完

    ○加瀬完君 そのヘルス・センターという所へ入場するときに、すでに入湯税は課されておるんです。ふろ場へ行って入湯税というものは課するべきものじゃない。そうでしょう。わきの別の施設の、ゴルフ場なんか行くのならともかくも……。ゴルフ場に行くにしたって、もうヘルス・センターの入場料というものの中に入湯税というものが当然加算されているわけです。船橋のヘルス・センターへ入る者と入湯税を納める者が非常に開きがあるということはあり得ないです、それは。もしそういうことを許すのなら、それは脱税を許しているものだ。  そこで、われわれも市民からいろいろと陳情を受けての見方は、今後市長がどのようにこの入湯税の対象人員というものを捕捉するかという問題にかかってくると思う。これをうやむやにしてしまっては、脱税の補助を市長がやっているようなことになる。遊興飲食税の問題に触れましたが、遊興飲食税を払うぐらいの人員は、当然これはあすこに入場して払うですよ。入場をすれば、入湯税を払って人っているのですよ。ふろへ入る入らないは別で、入湯税は、温泉の中に入るからには、入湯税を払わなければならないという立場が当然とれると思う。そうでなければ入湯税は取れませんよ。おれはふろは入らんのだからと言って、皆入湯税を払わないで中に入るということであったら、これは入湯税の意味がない。こういう点、どうももう少し明確さが私はほしいと思うわけであります。  それで、また前に返りますがね。この五千万円は、そうすると、朝日土地の方で放棄をいたしまして、二千五百万だけを市が払えばいいということになるわけですね。
  45. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) はい。
  46. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、少なくも、どんなに考えたって、一年分ぐらいの入湯税を見込めば、あとの遡及して三、四年の入湯税は、市にあらためて取ることができるということになるわけでしょうね。今まで、三十年十一月にできて、三十四年の十一月が終わったこの数年間というものがイコール二千五百万という解決をなさるわけじゃないのだろうと思う。
  47. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) 三十年、三十一年、二年度につきましては、入湯税はもう納付済みでございます。三十二年度以降は、この入湯税を、先ほど言ったような間違った議決によりまして、取らなかったわけでございます。三十二年度にさかのぼりまして、この金額を適正に考えて、そして徴収したい、かように考えているわけでございますが……。
  48. 加瀬完

    ○加瀬完君 くどいようですが、入湯税入湯税としてきちんとしてお取りになって、そして二千五百万なら二千五百万の負債は、あらためて市の間で決済する、こういう方法でしょうね。
  49. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) そうでございます。
  50. 加瀬完

    ○加瀬完君 具体的にどういうような手続でやりますか。
  51. 渡辺三郎

    参考人渡辺三郎君) 実は、きょうこちらへ来られないかと思ったわけでございますから、今、事務当局において、そういった予算上の措置その他について検討しているわけでございますが、入湯税は、三十二年までさかのぼりまして実際に徴収し、そしてこの実際間違いがありますので、あの傷あとが若干出て参りますが、これは今後、新しく解決した後に十分考えていくつもりでおります。一応のしわ寄せは、どこかに傷が残るのじゃないかと思いますが、これは何といたしましても処置ないことで、傷あとは若干残りますが、できるだけ一つ小さな傷あとにして処置したいと考えております。
  52. 加瀬完

    ○加瀬完君 市町村税課長ね。あなたは、さっき指導をしつつあると言ったけれども、この入湯税の取り方を今後どういうように御指導なさいますか、自治庁で、あるいは県を通して。
  53. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 入湯税は、先ほども御説明申し上げましたように、入湯客から取るわけであります。従いまして、さかのぼって取られる場合におきまして、先ほどからだんだんに話を伺っておったわけでございますが、この入湯客というものは、推定の方法というものは当然あるだろうと思います。そういった形でさかのぼってお取りになられる、当然そういうことになるわけです。
  54. 加瀬完

    ○加瀬完君 市長さん、入湯税は免除するということになっておりましても、これは、入湯税分の二十円は、朝日土地の方で一般の浴客から徴収をして、それは自分の収入として今まで相殺しておったわけですね。ですから、実質的に入湯税は取られておったわけです、浴客から入湯税に見合うものを。だから、幾ら取ったということを推定されぬということは私はないと思います。その点を今後自治庁は一体指導をして、市の損にならないようなお立場でおやりになるおつもりがあるのか。
  55. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 私ども、当然税の執行をいろいろな市の御相談にあずかるという立場にございますから、その点は、県の地方課を通じまして市の方に御趣旨の意に沿って指導して参りたいと思っております。
  56. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 時間もありませんから一点だけ……。さっきお話がございましたように、固定資産税遊興飲食税も、非常に捕捉が困難なものだと思います。特に遊興飲食税の場合は捕捉が困難であり、また、徴税の成績率を見ましても、あまり芳しいとはいえないと思うのですが、これに対していろいろ御苦心なさっておるようでございますし、何かいい方法があったらとかいうようなお話もございましたですが、特に東京都として、現在とられております遊興飲食税についての適確な捕捉あるいは徴税の成績を向上せしめるための方法がございましたら、一つお話し願いたいと思います。
  57. 松本留義

    参考人松本留義君) 課税の面の捕捉の問題でございますが、これにつきましては、先ほども申し上げましたが、公給領収証制度ができましてから、申告の実績というものは上がっております。従って、これを完全に実施させるという努力でありますが、これは非常に、先ほど申しましたように、微妙な点があり、むずかしいのでありますが、これをやっております。どういうふうにしてやっておるかという問題でありますが、これは、検税吏員も実は昨年増加いたしまして、主要な店舗を指定いたしまして、本局で直接調べております。各一戸々々調べております。それからもう一つ、それに準ずる程度の店舗につきましては、やはり店舗を指定いたしまして、各税務事務所の職員をしてやはり検税をやらせる、こういうふうな二段がまえをやっております。さらに脱税がございます。また、公給領収証の交付をしない面も若干われわれの調べたところではないとはいえません。従って、こういう面については、やはり脱税、反則の取り締まりを一方にやっております。この検税吏員と今の反則取り締まりとよく連絡をとりまして、一応の帳簿上の調査等に応じないものについては強制調査をやっている、こういうような状況でありましてそういうような段階で、あるいは罰金として相当額を課するものもありますし、追徴もいたします。また更正決定をする、こういうような段階でやっております。これはまあ権力に基づく関係でございますが、それ以外に、一般消費客に対する啓蒙運動、こういう面を実は毎年やっておりまして、新聞、ラジオ等を通じ、あるいは一般のテレビ等を通じまして、実は比較消費者の多い時期をねらいまして、十二月であるとか、あるいは秋口とかいうようなことで、そういう啓蒙運動をやっております。  それからもう一つ徴収の面でございますが、これはやはり、何と申しましても零細な業者につきましては、どうしても貯蓄組合に加入させましてそして支障のないように、計画的な納入をやらしておるのであります。まあ納期内に納入していただくというのが一番申告制度の建前なんでありますが、なかなか金繰りの点等、一様にも行かぬようであります。そういう点で、業者あるいは消費者、こういう面の啓蒙運動にも相当力を入れてやっております。ただいまやっておりまするそういった面の方策と申しますかは、以上のようなものでございます。
  58. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 公給領収証の問題でございますが、これを励行させることによって捕捉を適確ならしめるということが、これは根本問題だと思うのですが、これは、無責任な町の人たちの一部の話ですが、まともにこういうものをやっている業者はあまりないのだというようなことを言う人もあるので、あなた方のお見込みとしては、お客さんのどの程度について公給領収証というものの取り扱いをしているというふうにごらんになっているのか。おそらく百パーセントということは絶対ないだろうと思うのですが、お見込みとして、どういうふうな見方をなさっておりますか。
  59. 小林武治

    ○小林武治君 今の問題に関連して、課税の対象は公給領収証のみによってやっておるかどうか、ある程度見込み課税あるいは割当課税をやっているかどうか、その点も一つお聞かせいただきたい。
  60. 松本留義

    参考人松本留義君) 第一点の課税の、場合に公給領収証だけでやっているか、あるいは見込み課税をやっているかということでございますが、現在見込み課税あるいは割当課税というものをやっておりません。従って、公給領収証と申告額というものが見合うことになっております。それから第二点の、どの程度公給領収証制度が実施されているかというパーセンテージの問題でありますが、これは、全体のやつをここに申し上げる確たる基礎数字がございませんが、業態によって非常に差がございます、私たちで見まするのは。それで、ほんとうの感じを申し上げますれば、私たちの内偵の結果によるものでございまして、これがそのままだということは申し上げかねるのでありますが、業態別に申しますれば、大きな業者の旅館というようなもの、それから、飲食店の大きな経営者のようなものが、まあ適確にだいぶんやっていると感じております。それから大きな料亭でありますか、これはもうそう実は隠せないようであります。中には隠しているのがあると思いますが、全般的の感じから申しますと、大体切っておるようであります。一番率が少ないのじゃないかというのは、これは総体的な問題でございますが、さっきも申し上げましたが、抽象的に申し上げてわからなかったかと思いますが、普通洋式な業態で経営している、キャバレーでありますとか、あるいはバー、そういうような、出入りが非常に頻繁で、簡易に開店できるというものは、これはお客さんの都合もあるかと思いますが、なかなか切っていない、こういうような状態です。総体で、実は内偵の結果調べた数字が、これも、この数字がそっくり全般的な数字だということをお考えになっては実は行き過ぎかと考えますが、大体七〇%ちょっと、七四・五%くらいですかはまあ出しておる数字になっております。あとはどうもなかなか、これを出したりあるいは出さなかったりというような数字が出ております。しかし、これは全体の業者をやったのではございません。どうもおかしいというような点を抽出してやったのでございましてなかなか適確な数字をそういう点で申し上げにくいということなんでございます。
  61. 西田信一

    ○西田信一君 私、時間がございませんから、ちょっと簡単にお聞きしたいんですが、先ほどの御説明で、昭和二十七年から三十四年までの実績をお示しになりましたね。これを拝見して、聞いておりまして、二十七年当時は、基準財政収入額の十分の八の額に比較して四割幾ら、あるいはその翌年は四割三分何厘、半分以下あった年がたしか三年続いております。これがだんだん今向上してきて、大体収入額基準財政収入額の十分の八の額に追いついてきておる。ところが、これは一体どういうことに基因しているのかということをお聞きしたいわけです。  それから、全国の方と比較してみますと、全国の方は、東京都の場合よりも二十七年あたりでもずっと収入率が高い。しかしながら、これも同様に基準財政需要額とは相当の差があるようでありますが、自治庁からも適当な方が見えておったら伺いたいのですが、特に東京都の場合は、これはひどかった。これがこのように向上してきた理由、それから、その当時どういう理由でこのように収入率が低かったのかという点、それから、全国的に比較して、東京都が特に悪いのはどういうわけであるというような点を一つ率直に伺ってみたいと思うのです。
  62. 松本留義

    参考人松本留義君) ただいまの御質問は、従前の場合には、割当課税のような面もあったようであります。全般的に大都市の税収入については低いのでありますが、東京都は特に低いという御質問でありますが、この三十年から非常に上がってきておりまするのは、やはり先ほど申し上げました公給領収証制度が実施されていったというのも大きな原因であろうかと考えております。それから、全体的に考えますれば、自治庁の算定なり等が問題になろうかと思いますが、御質疑のような指数の点の推移ですか、これを考えてみますれば、当初めは若干無理な標準収入という面もあったんではなかろうかとも考えますが、その点の資料を今持ち合わしておりませんけれども、私の考えでは、大きな変遷の理由の一つ公給領収証制度、それからもう一つ税制上の問題、逐次減税されて参っております。そういうものもこの収入に大きな影響があったのではなかろうか、こういうように考えております。
  63. 西田信一

    ○西田信一君 ただいまの点、自治庁としては、どういうふうにお考えになりますか。
  64. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) ただいまお尋ねの点でございますが、大体都の主税局長さんが言われたと同じような感じを持っておるわけでございます。四、五年前、基準財政収入額標準税収入額に置きかえたものと各県の実績との割合が相当開きがあったということ、最近におきましては、その点が非常に詰まってきたということ、また東京都につきましては、非常に差があったのでございますが、非常に近づいてきております。こういった点の原因といたしましては、第一に納税秩序の確立、これが公給領収証制度全国的に三十二年採用し、それが逐次普及しまして、税務の面が軌道に乗ってきたということがまず第一に大きい原因ではないかと思います。その次の問題といたしましては、これはお話がありましたように、税率、免税点の改正がまたやはり三十二年を中心に大きく行なわれまして、そういう点が実態に合って、これも、ただいま申し上げました税務行政の軌道に乗るということも結び合わさって、今日の成績を来たした原因ではないか、かように考えておる次第であります。
  65. 西田信一

    ○西田信一君 いろいろ理由があると思いますけれども、今、東京都の御意見の中に、自治庁の見積額がちょっと強過ぎたのではないかということも御指摘になったわけですが、そういう点も、ただいまのお答えの中には、自治庁として、その原因の中の一つとしてお認めになったように伺ったわけですけれども、こういうような極端に、何十億も開きがあるというような結果では、これは、都道府県あるいは市町村の自治体の財政上の大きな問題だと思うのですが、そういう場合の自治体の財政について、こういうようなことは、ひとり遊興飲食税に限りませんけれども、こういうような非常な開きが生じたという場合に対する市町村の財政上の取り扱い、措置といいますか、そういうものを自治庁は一体どうお考えになりますか。
  66. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) 過去において、基準財政収入から割り返しました標準税収入と各地方団体の徴収実績という点について、かなり開きがあったという事実があるわけでありますが、その場合、どちらが正しくて、どちらが間違っておるという点は、いろいろ見方があろうかと思うわけであります。この基準財政収入額全国なりあるいはその基礎としての各県を見る場合、これは、地方交付税の算定の基礎であります基準財政収入のとり方でございますが、これは必ずしも各県の個々の実績のみではなく、国税であります所得税、法人税関係資料参考にいたしておるわけでございまして、私どもとしては、そう間違っておったとは考えておらないわけでございますが、なお、毎年のその点を見る場合につきまして参考にし得るあらゆる資料に基づいて、各県ごとの適正なる収入予定額を基礎にとれるようにするというふうにいたしておるわけでございます。ごらんの通り、最近非常に詰まっておりまして、中にはかなり上回っておる所も出てきておるわけでございますが、現在のところ、その辺の見方につきまして、総体としてそう誤りはないと確信いたしておりますが、なお、各県別の標準税収入額につきましては、一そう合理的な計算をいたしていきたいと考えております。
  67. 小林武治

    ○小林武治君 今の遊興飲食税の問題で、大衆飲食等については、組合を何か課税上利用しておりますか。今、個々の業者に全部調定を別々にやっておりますか。
  68. 松本留義

    参考人松本留義君) 全部個々の業者にやっております。組合は、利用しないわけではございません。やはりいろいろ周知徹底を期する場合には、組合を利用しております。
  69. 小林武治

    ○小林武治君 今のように、七〇何%くらいしか公給領収証を使っておらぬ、こういうことになると、相当程度の脱税を認めておる、こういうことになりまするが、これは、この公給領収証を出せと言うても出さないのが相当あるということになれば、東京都も、脱税があるとすれば、その脱税を防止するための何か、公給領収証を出せ出せ、こういう勧誘、勧奨だけでなくて、やはりある程度割り当てるとか、自分で調定する、公給領収証によらないで、調定するというようなことがあってもいいんじゃないかと思うのですが、どうですか、それは。二〇何%も脱税があるという……。
  70. 松本留義

    参考人松本留義君) ただいまの二〇何%の問題ですが、これは、私たちの不良、と言っては語弊があるかもしれませんが、嫌疑をかけたものの中で調べた数字でございますので、これが全般の数字であるということに、さっきも申し上げた通り、おとりになっていただくことはちょっと危険だと思います。実は、何軒かもう嫌疑をかけまして、それを出した数字でありますので、全般的にこれを推測するということはちょっと危険じゃないか、そう思います。それから今の問題ですが、これはなかなかむずかしい問題でありまして、非常に私のところは軒数が多いものですから、なかなかこれ一軒々々見張るというわけにも参りませんし、まあ結局、業者なりお客の一つ協力なり理解でやっていただくという以外に、なかなか性急には行けないのじゃないかと思うのであります。これは、その悪質なものについては、法人税なり、そういう関係の方面から、あるいは仕入先あるいは電灯料、水道料、ガス料というようなものを調べまして更正決定をいたします。しかし、それにいたしましても、更正決定するのはまあ過去のものだけでありまして、逐次減らしていくというような方法をとられますと非常に苦心惨たんたる、半年分というものがもう半年の間に元へ戻ってしまうというのが実情でありまするから、なかなかこれはもう、徴収義務者あるいはお客さんのやはり自覚というものがおそらく根本問題だろうと思います。概して言えば、納税思想というものが徹底しない以上は、この種の税収については、完璧を期するということは私は不応能だと思う。従って、先ほど申し上げましたように、われわれを苦しめないような税制というものが根本問題にあるべきだということを申し上げたのであります。
  71. 小林武治

    ○小林武治君 今の公給領収証の問題は、まあそれが全体の二〇%になるかどうかわからぬというのですが、それくらいたくさんあるということになると、十分な効果を発揮しておらない。それから、公給領収証を廃止してもらいたいという意見が相当強いのですが、この廃止については、あなた方絶対反対であるか。もう二、三年実施したから、大体業者業態の見当もついたし、廃止した方がいい、あるいは廃止したら困る。こういうことはどうですか。
  72. 松本留義

    参考人松本留義君) ただいまの問題は、やはり公給領収証制度というものは、業者の側からいえば非常な負担であります。それはわかるのでありますが、徴税の面から申しますれば、これは、ようやく軌道に乗ったものを一挙にしてこれを廃止いたしまするならば、おそらくはまた元に戻って、税の相当のものがゆるがせられる、こういうふうにわれわれ考えますので、廃止自体にはもう賛成いたしかねます。できるだけ、現在の税制でありまするならば、この領収証の制度一つさらにさらに、改良工夫の面がありますれば、これは別でありまするが、もり立てていくべきではなかろうか。これが地方の財政に寄与する面は非常に大きかろうと、私はそういうふうに考えます。
  73. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは、他に御質疑もないようでありまするから、質疑はこの程度にとどめておきます。  参考人のお二人の方には、長い時間いろいろ有益な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十五分散会