○
参考人(
松本留義君) ただいまの
固定資産の
制度、
固定資産の
評価関係の方から申し上げたいと思います。これにつきましては、お
手元に簡単な
資料を差し上げておきましたので、ごらん願いたいと存じます。
まず第一に、この
固定資産の
評価につきましては、御
承知の
通り、
税法上の
自治庁長官の
指示によりまして、
評価の
基準、
評価の
方法あるいは
手続、こういうものが示されておりまして、その示されたところに準拠いたしまして、都のそういった
関係の
手続をきめて、それによってやっておるわけでございます。もちろんこれは、二十五年のこの税の創設当時においては、必ずしもこのはっきりした
指示もありませんでしたけれども、二十六年から
時価準拠ということに変わりまして、その後逐年この
手続にまず大体準拠いたしまして
評価いたしておりまするので、あまり御
説明申し上げる必要はないかと存じたのでありまするが、一応都の
評価の
方法につきましての
概要を、ここに三十三年度の
評価をやりました
実績によりまして
概要を掲げておいたのであります。御
承知の
通り、三十三年度は
基準年度でありますので、そうした
関係を申し上げたいのであります。
大体申しますると、
宅地におきましては、都内の九百四十九カ所に
基準路線を設定いたしまして、
基準路線価をつけまして、それ以外の
路線には、その
基準路線価に比準した
路線価というものをつけて、そして
一般の
土地につきましては、これに面した
標準的地形の
標準的地積の
土地、こういうものから比準してそれぞれ
評価いたしておるのであります。ただ、ここで申し上げておきますることは、三十三年度当時は、低
物価政策というような国のお示しもありまして、当時われわれといたしましては、二〇%
程度の増を作業いたしておったのでありますが、当時
全国的な方針というようなことで、原則的には
評価の
均衡補正をする、こういうようなことで押えられた経緯もございます。もちろん例外として、
土地区画整理等によるところの非常に
状況の激変いたしました所では上げましたが、それ以外のものについては、全体として
均衡補正をやるのだ、こういうようなことからいたしまして、大体都に示されたものといたしましては七・七%増くらいの
平均価格を示されたのであります。そういうようなことからいたしまして、都といたしましても、そういう線に沿いまして
土地の
評価をやったわけであります。まあ特別に激変のあった
状況の
土地につきましては別でございますが、原則として
自治庁の線に沿いまして
補正をする、こういうことでやったのでありますが、
住宅地にありましては、
最高一・一七倍くらいでとどめるとか、あるいはその他は
最高一・三五倍とか、こういうようなことをいたしたのでありまして、その結果として、
既存宅地については八・五%くらいの増になっておるものもございます。しかし、大体としては
自治庁指示平均価額程度、こういうことを
目標としたのであります。従って、
自治庁の
指示価格と
比較いたしますると七八・四%
程度のものになる、こういうような
数字になってきたのであります。
計画いたしましたわれわれの場合でありますと、大体
自治庁の示した九六%どまりでしたい、こう思ったのでありますが、以上のようないきさつがありまして、
宅地につきましては、ある
程度低目のものが決定になった、こういうような
事情がございます。
それから
農地につきましては、ここに書いてありますように、自然とかあるいは経済、
水害等諸条件の各要素を
調査いたしまして、この
標準になりまする田五十九カ所あるいは畑七十八カ所、これを選定いたしまして、
評点制によって評点いたしまして、そして全
農地をこれに比準いたして
評価したものであります。そのほかの
土地につきましては、池沼あるいは
山林等でございますが、これにつきましては、付近の
土地に比準して
評価する、こういうふうにいたしたわけであります。
それから第二番目には
家屋でありますが、これは、再
建築費を基礎といたしまして、
家屋の
経過年数あるいは損耗の
程度、
利用価値等に応ずる
増減価、こういうものを考慮いたしまして
評価いたしております。ただ三十三年度は、次に掲げた
関係の点を考慮いたしまして、そして全般的に
調査を行なっております。再
建築費については、その水準を三十三年の一月一日に置く。あるいは
経年減価については、二十九年以降は実際に据え置いたのでありますので、四
年間の
経年減価をやる。あるいは
最終残価率は再
建築費の二〇%とした。あるいは
利用価値増減価につきましては、
地域差増価の
最高を二五%とし、あるいは
環境不良等によりまして減価いたします場合には、その率を一〇%の幅にいたしております。
それから、三番目は
償却資産でありますが、二十六年一月一日の場合には、現存の新品または
新設価格を
基準といたしまして従前はやったのでありますが、三十三年度からは、前年度
基準評価額から
定率法によりまして
年間減価額を控除しまして、そして
価格変動率を乗じまして
基準評価額を算定する
方法をとったのであります。ただ、次に書いてありますように、
資産の遊休とか
能率低下等によります
現況をしんしゃくいたしまして
補正を行なっております。それからまた、
最終残価率は一〇%にいたしました。船舶については、やはり再
取得価額を算出いたしまして
評価を行なっております。次の(五)に書いてありますような特殊な業種につきましては、外形によりまして
簡易評価を行なっております。また、
料理店等にかかる
償却資産につきましては、
現況によって格付をして、そして
評価をするというような簡便な
方法をとっているものもございます。
以上のような
方法をとりまして、三十三年度の
評価額がどの
程度になるかということは、もう一枚の紙に
資産別に書いてあります。件数は千五百十九万二千九百十八件であります。
評価額は、(A)に書いてありますのを
トータルいたしまして、一兆二千八百二十七億八千七百六十七万三千円であります。前年度は(B)に書いてありまして、一兆千九百四十七億八千五百五十九万五千円であります。
比較いたしますと、その次の欄の
通りでありまして、この比率は一、〇七四、七・四%
アップになっております。各
資産別の
アップの率は
上欄の
通りであります。その下に掲げておきましたのは、三十一年度から三十三年度までの
標準税収入と
決算額との
比較の表であります。大体三十一年度、三十二年度の
決算額は、
標準税収入額ほど入っておらないのであります。三十三年度に至りまして若干上回っている、五億二千四百七十九万九千円であります。そこで、ことで申し上げておきたいことは、大体都といたしまして、三十三年の
トータルを見ますと、やはり
標準税収入を上回っておりまするが、今までは、実は上回っておらないのであります。この内容は、実は詳しい表は差し上げてございませんが、
家屋、
土地、
償却資産、こういうふうに分かれております中で、
トータルといたしまして五億になっているのでありますが、
自治庁の
評価の
指示価格と
比較いたしますると、
宅地について上回っておらないのであります。
あとは大体
指示価格程度でございます。極端に上回っておるのもございます。そういうのが
実情でありまして、このような点がどういうふうになっておるか、こういう点を若干申し上げてみたい、こう思うのであります。
これは、実は
宅地の点がそうなんでありまして、それ以外の面は、私のところは大体相当の
評価になっておると、こう思うのであります。実はこれは、この
宅地になりまするのが非常に私のところが多うございまして、ことにこの
周辺地区の
土地というものが、どんどん
地目変更で
宅地になっております。これが
年間約百万坪ぐらいここ数
年間なっておりまして、これが非常に全体の面からいって市街地の
度合いが低いために
価格も低い、こういうことで全体の
平均を低下させておる、こういうのが
実情であります。この
宅地につきましては、
平均の
指示価格の場合にもあまり考慮されていない、間接的に考慮されているとも言えると思いますが、そう考慮されているとは考えないのでありまして、そういう面が非常に全体の
評価額を安く見られるというふうになっているのが
実情でございます。その例として申し上げますと、大体その
周辺地区は、
地積において全体の三四・二%ぐらいありますが、これがそういう
地区なんでありまして、
評価額の面では、わずかに一三・七%ぐらいの
評価額しかないというような
程度でございます。ですから、
既存の
宅地につきますれば、大体ほかの五
大都市並みの
価格になっておるわけでありますが、
実情は、
周辺地区の
都市化、
農村地帯と申しますか、そういうものの
都市化の面でこういうふうになっておる、こういうことであります。
それで最後に、若干申し上げておきたいと存じまするのは、この
据え置き制度が出て参りました
関係上、この間われわれの
評価額を変動するわけには参りません。しかるに、
需要供給の
関係からいいまして、
東京都の二十三区内の地価というものは急激な暴騰をいたしております。これは、
勧銀の
調査の
指数でもわかりますが、そういうような面から、三
年間据え置きにされるというようなことを勘案いたしまして、今までも
時価に追いつけなかった、こういうような面がますますそれに拍車をかけていく、こういうようなのが
実情であります。それなら三年をまとめて増をしたらいいかということになりますと、この
固定資産税の
性質から申しましてなかなかむずかしい問題でありまするので、ほとんど不可能でございます。そういう面から申しますれば、毎年々々
アップする、従って適正なる
時価に近づけるという機会を多くするというのがよかろうかとも考えるのであります。しかし、この点については、
目下政府の
調査会等でも御審議中のことでありますから、いずれそのようになるかとも考えますが、そういうような
事情がございます。それから、
都市における
土地はさほどでございませんが、
家屋の面であります。この
捕捉の面で、われわれは非常に腐心をいたしております。
家屋の
捕捉に腐心すると言うと、お笑いになるかもしれませんが、
大都市におきまする
家屋の
所有者あるいは
建築者というようなものは、
法規通り実は
手続をとってくれないものがきわめて多数ございます。これははなはだ遺憾でありまするが、われわれの
個人調査でも、なかなかむずかしいというような面もございます。従って、われわれがちょっと怠っておりますと、時効にかかるまでも発見しないで済む、これは、われわれのうかつさもあるかと思いますが、そういう面もございまして、この
捕捉を完全にする、こういう
努力を実はやっておりまして、
評価の面もさることながら、そういう面で、実は
航空写真をとりまして全部ことしも来年もしらみつぶしにやっていこうと、こういうような
努力も払っております。
それからもう
一つは、これは
税制の問題でございますが、なかなか
都市の
固定資産税は、
徴収率はあまりいいとは言えないのでありまして、これは物税でありまして、収益はあまり見ていないというような点もあろうかと思いますが、これはどんどん
公売処分に付せばけっこうなんでありますが、なかなかそういう面もわれわれの
国民感情として合わないという点もありまして、その辺の調整というもののむずかしさから、
徴税面の苦心がかなり要る税の
一つであります。非常に、
税収全体といたしましては、都の場合でも、
事業税あるいは
都民税に次ぎますやはり三つの大きな柱でございますので、ほかの
税種と違いまして、非常に
都市における課税あるいは
徴収が困難な
税種の
一つであるというふうに考えております。
それから第二番目に、
遊興飲食税の
徴税状況でありますが、お
手元に配付いたしました
遊興飲食税現
過年度分調定並びに
収入状況の
累年比較表というのをお配りしてございます。これによりますと、三十三年度は
調定額が四十五億でありまして、それから
収入額が三十九億、
歩合が八六・四%、こういうふうになっております。今年は
調定が五十三億、それから
収入が四十七億と、こういうふうに見ております。八八%、こういう
数字です。この
調定額は、
指数の欄でごらんの
通り、逐年
伸びて参っております。いろいろの
減税等の措置がありましたけれども、相殺いたしまして、このように
伸びて参っております。二十七年を一〇〇といたしますならば、三十三年は一八〇というような
調定額でして、
収入の方におきましては一八五・九、こういうことになっております。
それで、その次の表をごらん願いますと、この次の表は、
遊興飲食税の
標準税収との
比較でございます。これは、
比較増減とまん中の欄にございますが、それで見ますと、全部
標準税収ほど人っておらぬという
数字が出ております。三十三年度で申しますれば、一億六千七百万ばかり足らない、こういう
数字であります。従って、その右の三角の三・七%、こういうことになります。しかし、まあ
標準税収からすれば九六・三%は取っている、こういうことからして、以前の四八・七%という時代から見まするならば、
格段の相違でございます。三十四年度は、大体
自治庁で考えておりまする
標準収入と同様の
計画でございまして、
決算はおそらく上回るものと思います。その右の方の
指数は、二十七年度を一〇〇といたしました場合の
収入額の
伸びの
工合あるいは
標準税収との
伸びの
工合でありまして、それで
比較いたしまするならば、
標準の
収入は、三十三年度で九四・五%を見込んでおりますが、
収入額の方は一八七・六%であります。しかしその
伸びも、下に書いてありますような、
全国の場合と
比較いたしまするならば、非常にこの
収入額の方は
伸びております。こういう
数字が三十三年度に、四年度にも出ておるわけでございます。
以上がお示しいたしました
資料の
説明でございますが、大体この
遊興飲食税の
収入状況というものは、今のように、非常に逐年向上いたしております。従いまして、
標準税収につきましてはこのようでありますが、ただここで、次に少し問題を申し上げておきたいと思いまするのは、これだけでもう
捕捉の
程度がいいのかと、こういう問題があろうかと思います。これも、逐年向上していることはただいま申し上げた
通りでありまするが、しかしながら、まあもっと取れるのではなかろうかというようなこともあろうかと思いまするけれども、われわれの逐年の
努力というものが向上いたしまして、そうして
標準税収を非常に下回っておったものが、今度は
標準税収並みになった、さらに上回るような
状況になるかもしれませんが、しかし、まだまだ足らぬではなかろうかと、こう思うのでありまして、この点については、
検税を実は昨年から強化いたしまして、この
捕捉をさらに大事なものにしようと、こういうことを実は考えております。それから、この
徴収歩合でありまするが、実は、これは現
過年度の
徴収歩合でございまして、ほかの
全国平均から見まするならば、三十三年度は、実は現
過年度でも九三%、それから、
大阪等と
比較いたしましても八八・五%
程度なんでありまして、この点も若干落ちております。これにつきましては、
公給領収証制度が実施されましてから、
格段の大きな
収入歩合の増が出て参ったのでありますが、さらにこれを上げるべく実は目下
努力をいたしまして、まあ昨年からそれぞれ
一定の期間を切りまして、
納税の
強調週間あるいは
公給領収証の確実な実施の運動というようなものも展開いたしております。実は今月やっておるのでありまするが、そういう
PRをやっております。また一面、
納税貯蓄組合制度を活用する、こういうようなことも進めております。しかしながら、
大都市の
業界と申しますかの実際から申しますると、非常にこれも困難な
税種の
一つであります。実は、今の私のところでは、
固定資産税、
遊興飲食税は非常に困難な二つの
税種でありまして、われわれが
検税あるいは
納税貯蓄組合の活用、あるいはその他の
納税思想のための
PR等を盛んにやっておりまするが、なかなかそう一挙に
納税の
実績を上げる、その
捕捉の
実績を上げるというのは、著効が上がっておらないというのが実は私の大きな悩みでございます。こういうようなものも、それならばどうすればいいのかというような御
質問があるかもしれませんが、
大都市のこの種の
業態の
一般のものは別でありますが、特定の
業態につきましては、この
特別徴収義務者の
制度自体がマッチしているのかどうかというような点にも問題があろうかと思います。非常に
経営者の転廃業による
移動というものが激しい、こういうことが言えるのであります。
銀座地区の中心あるいは
浅草地区の
業者というようなものの
移動は非後常に多うございます。従って、
滞納の
整理というようなものにつきましても、
資産の
点等からいたしまして、非常に困難な面がございます。ことに施設を借用いたしまして営業を続けているというようなものにつきましては、なかなか困難な面がございます。それから、
捕捉の点の困難な面は何かと申しますと、
一定の
業界の中には、この
業態の
性質上非常に
回転速度と申しますか、こういうものが高いものがございます。これは、非常にむずかしい面がございまして、
運転度合いというものに困難な面がございます。
業態によっては、必ずしもそう回転できないものもございますが、
回転率の高いものについては、なかなか
捕捉も困難であるというように考えております。もちろん、
公給領収証の
制度を厳格にお守り願えれば、これはもうそういう問題はございませんが、これもまた、
消費者と
業者との利益というものが相一致いたすような
関係になりますので、これもなかなか守られにくい面も一面あるのであります。
以上のような、非常にむずかしい面のある点を、
一つ制度として
皆さん方が今後何らかの面で御検討を願った上で、われわれ簡便な
徴収というようなものができるように、そういうようなものが
税制として取り入れられるべきではなかろうか。これは、実は私が扱った上の感じでありまして、それならばどうするかという点については、今ここで申し上げてもどうかと思いますが、いずれまた申し上げてもよろしいと思います。いずれにいたしましても、そういった面がありまするので、
遊興飲食税については、
捕捉の面、それから
滞納の防止、
滞納整理というような面も実は困難を来たしているという
実情であります。
どうもはなはだまとまりもなくて恐縮でございますが、これで終わります。