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1959-12-01 第33回国会 参議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月一日(火曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     新谷寅三郎君    理事            小林 武治君            加瀬  完君            鈴木  壽君    委員            安部 清美君            大沢 雄一君            郡  祐一君            西郷吉之助君            白井  勇君            館  哲二君            西田 信一君            占部 秀男君            大森 創造君            松澤 兼人君            米田  勲君            基  政七君            杉山 昌作君   国務大臣    法 務 大 臣 井野 碩哉君    厚 生 大 臣 渡邊 良夫君   政府委員    自治政務次官  丹羽喬四郎君    自治庁選挙局長 松村 清之君    自治庁財政局長 奥野 誠亮君    自治庁税務局長 後藤田正晴君    法務省刑事局長 竹内 寿平君    厚生省社会局長 高田 正已君   説明員    自治庁行政局公    務員課長    今枝 信雄君    自治庁税務局市    町村税課長   鎌田 要人君    文化財保護委員    会事務局長   岡田 孝平君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○地方行政改革に関する調査の件  (選挙違反事犯処理に関する件)  (松本城の管理に関する件)  (災害対策に関する件)  (北海道の固定資産税減収に対する  財源措置に関する件)  (昭和三十四年発生災害に伴う地方  負担財源措置に関する調に関する  件)   —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから委員会を開会いたします。  まずお諮りいたします。先般来理事会におきまして、地方税法施行の実態について調査を行なうため参考人出席を求めることにつきまして協議をいたしておったのでありますが、きょうの理事会におきまして、固定資産税遊興飲食税について東京都主税局長入場税につきまして船橋市長をそれぞれ参考人として本委員会出席を求め、意見を聴取することと決定いたしたのであります。また、この参考人意見聴取は、明後三日午前に行なうことといたしましたが、理事会の決定通り取り運ぶことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  4. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから、地方行政改革に関する調査を議題として質疑を行ないます。  まず、選挙違反事犯処理に関する件につきまして、占部君に発言を許可いたします。
  5. 占部秀男

    占部秀男君 選挙違反の問題について、二、三お伺いをいたしておきたいと思うのでありますが、というのは、自治庁では、選挙制度調査会に小委員会を設けて、いわば現行制度の中でというか、公明選挙を実現する方法一つ答申さして、長官の話では、通常国会選挙法改正の問題をできれば出したい、かように言われておるという話ですが、この点について、まず選挙局長に伺います。
  6. 松村清之

    政府委員松村清之君) ただいま選挙制度調査会におきまして、選挙公明化をはかるための選挙制度改正につきまして調査審議を願っておるのでございます。この答申が出ましたならば、それに基づきまして、今度の通常国会法律改正案を提案したい、そういうふうに考えております。
  7. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、今度の改正がいわゆる選挙制度そのものを大きく変改するような大規模なものではない、いわば現行選挙法ワク内といえばおかしいけれども、ややそういうような、原則的にはワク内のような形の中で、公明選挙の問題を強く一つ出したい、こういうような方向であるということを聞いたんですが、その通りですか。
  8. 松村清之

    政府委員松村清之君) まあ現在のこの選挙制度、具体的に申し上げますれば、中選挙制度のもとにおいて、選挙公明化をはかるための問題をまず調査審議していただく、まあこれは、選挙公明化をはかるにつきましては、いろいろ根本的に考えなければならない問題もあるようでございますが、とりあえずといたしましては、そういう方向で進んでおります。
  9. 占部秀男

    占部秀男君 その場合に、自治庁の方のこれは考え方をお伺いしたいのですが、ここのところ、選挙の傾向を見ると、非常に金を多額にかけた買収事件が多いわけです。それで、何らかの形で、こうしたことが公明選挙を毒している一番もとになっている一つであると私たちは見ているわけです。そこで、こういうような点について、たとえば連座制強化するとか、いろいろと腐敗罪によって選挙が毒される、こういうことのないようにするための何らかの法改正考えておるかどうか、その点をお伺いしたい。
  10. 松村清之

    政府委員松村清之君) これは、一に選挙制度調査会調査審議の結果に待たなければならないと思うのでありますが、現在進行過程でございますが、金のかからない選挙を行ないますために、公営の拡充強化ということが一つ考えられるのではなかろうか。それから、選挙運動制限に関しまするいろいろな規定現行法にあるわけですが、この中で、言論とか文書、こういう制限規定はなるべくこれを緩和して、あとに残されました制限については制裁強化する、その一つ方法として、御指摘の連座制強化、こういうことが考えられているのでございます。
  11. 占部秀男

    占部秀男君 たとえばですね。総括主宰者逃亡して、二年たつと時効になる、こういうような点については、率直に言って、今考えておりませんか。
  12. 松村清之

    政府委員松村清之君) これは、調査会で検討する事項だと思うのでございますけれども、制裁強化内容といたしまして、時効期間の延長の問題、こういうものも検討の対象となるのではなかろうかと思います。
  13. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、これは警察庁へ尋ねるのか。法務関係に尋ねるのか、私もどうも勉強が足りなくて悪いのですが、その点は、一つどちらかでお願いしたいと思うのですが、最近の新聞によると、鮎川さんの方の逮捕された川合上野という二人の方について、拘置期間切れの再逮捕だ、こういうふうなことが出ているのですが、これは、どういうふうな理由で再逮捕したのか、これを伺いたいのですが……。
  14. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 川合上野両氏につきましては、すでに一部の犯罪が明白になっておりましたので、起訴をいたしておったわけでございます。で、逃走中の両氏に対しましては、御承知のように、追及の手をゆるめませんで、鋭意捜査しました結果、新聞等で御承知のような次第でめっかったわけでございます。取り調べをいたしたのでございますが、その間にまた別事件買収事犯が現われて参りましたので、その買収事犯について再逮捕を、つまり前の逮捕と二度目であるという意味で再逮捕と申しておるわけでございますが、同一事実について二度逮捕したわけではございません。
  15. 占部秀男

    占部秀男君 わかりました。そこで、この両名については、逃走中に先ほど仰せ通り起訴されておるわけですね。こういうように、逃走中に起訴をされた事例というのは、今までの選挙違反の問題の中で相当多数ありますか、どうですか、その事情をお伺いしたい。
  16. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 相当多数あるかという御質問でございますが、これは、あまりたくさんないと申した方が適当かと思います。と申しますのは、やはりこの起訴をいたしますには、検察官といたしましては、有罪の判決を得る見込みが相当確実であることを運用方針といたしましてはとっておるわけでございます。従って、被疑者弁解なりあるいは被疑者みずから出す資料、そういうものを検討せずして一挙に起訴をするということは、できれば避けたいわけでございます。しかしながら、選挙違反という違反の性質上、一種の共犯関係があるわけです。買収をして、金を供与したということになりますと、供与を受けた者があるわけであります。で、受けた者がすでに逮捕され、あるいはその状況を自白し、あるいは証拠があって、逃げておる者から供与を受けたことが確実だというような場合においては、本人のそれに対する弁解は聞いておりませんけれども、犯罪事実そのものについてはほとんど疑いをいれないケースも、これまた少なくないわけでございます。そういうものにつきましては、それをめっけて、その上で調べて起訴するのが常識でもありますし、常道でございますが、この公訴時効というのが非常に短期間でございますので、そういう明白なものにつきましては、起訴をいたしまして、そうして時効を中断するということによって、逃走してもむだであるということを思い知らせるというような措置を二、三の例でとったわけでございますが、そうたくさん事例といたしましてはあるわけではございません。
  17. 占部秀男

    占部秀男君 結局、選挙違反の問題については、時効が普通の刑法の場合とは違って短期になっておるわけですね。そういうような意味合いからも、時効中断目的が主となって、まあ主となるというか、何というか、目的もあって、その事実の明白であるという見込みのものについて、まあ逃亡中の起訴をしたと、こういうことになるわけでありますね。
  18. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 仰せ通りでございます。
  19. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、その起訴をしたときの起訴状の中の訴因ですね。この訴因にはどういうことがうたってありましたか、鮎川さんのこの二人の場合のときに。
  20. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 公訴事実そのものを申し上げますことは、まあ起訴状一本主義の建前になっておりますので、直接は申し上げかねるわけでございますが、趣旨だけを申し上げますと、上野浩氏の場合には、今次の六月二日の参議院議員選挙に際しまして、鮎川派運動員でありますが、その運動員として、候補者を当選せしめる目的で、篠塚という人に、選挙運動者に対する報酬等に充てさせる目的で、現金を三回にわたって約百万円交付しておる、こういう事実で起訴されておったわけでございます。  それからまた、川合正勝氏に対する分は、やはり同じような事情で、出納責任者を補佐していた井出哲夫という人に対しまして、選挙運動者に対する報酬等に充てさせる目的をもって、現金一千百万円を交付した、こういう事実で起訴されております。
  21. 占部秀男

    占部秀男君 なおお伺いしたいのは、この訴因にしたためられておるところの事実ですね。買収した事実、この事実は、もらった人の自供、そうしたところからこの事実というものを推定して、こういうふうに訴因に書かれたわけでありますか。犯人逃亡しておるわけですから、従って、この訴因の中の事実というものは、共犯関係の者の自供といいますか、そういうものを中心としてこの事実がしたためられておると、かように確認してよろしゅうございますか。
  22. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 本人供述に基づかないことは、もう申すまでもございませんが、交付を受けた者の供述その他諸般の証拠があるわけでございますが、これまた公判前でございますので、内容につきましては申し上げることをはばかりたいと存じます。
  23. 占部秀男

    占部秀男君 内容については私も、公判前でありますから、ここで深く入っては悪いと思うのですが、少なくとも訴因に書かれておるその内容が、起訴された当人逃亡中であると、こういうところから、自供その他はないわけですね。そこで、そういう事実を確認するためには、どういう確認の方法があったかということが、これは単に法律問題だけでなく、この選挙違反問題自体についても大きな問題になってくるわけですね。そこで、私は重ねて聞くわけでありますが、従って、その中で、共犯関係自供も含めてやられておる、それからなお、共犯者その者もたとえば起訴されておるとか何とか、そういうようなやはり事実がずっとあると思うのですがね。そういう点について二、三お話し願えませんですか。
  24. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 時効を中断しますためには、共犯者起訴されておることが必要でございます。従いまして、今名前をあげました二人は、いずれも相手方が訴起されておるわけであります。そしてその相手方供述その他によりまして、交付の事実を推定するに足るという確信のもとに起訴いたしたわけでございます。
  25. 占部秀男

    占部秀男君 そこでお伺いしたいんですが、この時効の問題ですがね。時効起算は、選挙違反の場合にはどういうふうになっておりますか。起算点といいますか。
  26. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 犯罪事実が行なわれた日から起算をいたします。
  27. 占部秀男

    占部秀男君 犯罪事実の行なわれた日から起算するということになると、その犯罪事実の行なわれた日というものは、どういう形で認定をするわけでありますか。当人自供であるとか、あるいはこちら側から証拠書類を出して、この日じゃないかということでするのですか。
  28. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) これは、犯罪事実認定のまあ一般の原則に従ってきめるわけでございますが、本人自供でありましても、その日でないこともあり得ますので、もし、その供与の場所にたまたまだれか居合わせたならば、その第三者の供述等と相まって日を確定いたす証拠を発見しなければならないわけでございます。これは、犯罪日時はやはり犯罪事実認定の重要な部分でございますので、この日時の確定ということは、自供だけでなく、いろいろな証拠によりましてその日だということを一応確定するわけでございますが、明確に何日というふうに言えない場合もあるわけなんです。何日ごろということになりますと、大体その何日ごろから起算いたしまして、逃亡しておれば二年、ただし、逃亡しておるということを証明しなければ二年にならない。そうでなければ一年ということになるわけでございます。そこの辺は、証拠によって日時認定するわけでございます。
  29. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、選挙違反の場合に、たとえば、候補者の失格というような問題まで関連のある総括主宰者ですね。あるいは出納責任者、こういうものの買収供応というような罪の場合、これは逃亡するとたしか時効は二年だと思いますが、あれは二年でございましたかな。
  30. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 公職選挙法の二百五十三条に時効規定がございますが、いろいろな種類の罪によってその時効期間も違いますけれども、今の買収事犯につきましては、六カ月で完成するのでございますが、犯人逃亡したときは、その期間は一年とすると、こういうことになっております。
  31. 占部秀男

    占部秀男君 買収関係は一年ですか。たしか選挙違反のものに、一年の場合と二年の場合と逃亡中の場合にはあったと私は記憶しておるのですが、その点を……。
  32. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) ちょっと私申し違えましたが、同条の三項によりまして一年と二年とあるわけでございます。逃亡すると二年になるわけでございます。
  33. 占部秀男

    占部秀男君 そこでお伺いしたいことは、昨年の総選挙ですね。昨年の総選挙の問題を考えてみますと、来年の、何といいますか、一年の中ごろ以前に、かりに総選挙のときに逃亡したような場合は、時効になるような形になるんじゃないかと思うのですが、昨年の総選挙は、あれはいつでございましたか。
  34. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 衆議院の総選挙は、昨年五月二十二日が期日でございます。
  35. 占部秀男

    占部秀男君 五月二十二日が総選挙の日であったということになると、かりに時効関係のような場合には、犯罪が行なわれた日を起算点とするわけですね。そうすると、その前に買収なら買収が行なわれたということになると、その前の日を起算点として勘定するということになりますか。
  36. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) さようでございます。もし事前運動でございますれば、その前の犯罪の日を起算点として、そこから勘定するわけでございます。
  37. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、昨年の総選挙の問題でございますが、そういうふうに考えてくると、少なくとも当日買収する者はないのであって、ほとんどその前に、これは買収というものがかりにあったとすれば行なわれておる。そうすると、来年の五月二十二日以前にほとんど時効…たとえば総括主宰者なりあるいは出納責任者なりが、そういうような買収その他の腐敗行為によって逃げておる。こういうような場合には、五月二十二日以前に時効というものがほとんど成立をしてしまう、こういう工合に私はなりはせんかと思うのですが、その点の見通しというか、お考えというか、その点はいかがですか。
  38. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 一般的には、仰せのようなことになるわけでございますが、先ほど申しましたように、共犯者起訴されております場合には、刑訴の規定で、逃亡しております共犯者時効は中断されておるわけでございますから、従って、今の逃亡者については、二年というのはストップされておりまして、二年でございますから、必ずしもそういう場合にはかりに逃亡者起訴しておりませんでも、共犯者起訴されておりますれば、それを証明することによって、実際には二年以上にわたって訴追できるわけでございます。
  39. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、共犯者起訴されておる場合には、二年以上にわたって訴追することができると、こういうような今の答弁でございますが、これはこういうふうに考えてよろしゅうございますか。逃亡者逮捕された場合には、あるいは自首してきた場合にはいつでも起訴ができると、こういうふうになるという工合考えてよろしゅうございますか、その事実があれば。
  40. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 公訴時効が完成していない間は、いつ何どきでも訴追できるわけでございますが、その訴追をします場合には、出てきたらすぐ起訴できるというような状態になっておる場合もありますし、逃亡しておって、すぐ起訴していいような証拠関係がはっきりしておる場合もありますが、必ずしも、共犯者起訴されておりましても、そう簡単にすぐ罪状が明白だといえない場合もあるわけでございまして、出てきたならば当然検事は取り調べまして、その上で起訴するということになるのじゃないか、かように考えます。
  41. 占部秀男

    占部秀男君 鮎川さんの方のお二人については、逃亡中に起訴されておる。それから、逃亡中に起訴されてない同じような程度の人、もしくはそれ以上の総括責任者であるか、あるいは出納責任者それ自体逃亡しておる場合があって、これも起訴されていない場合がある。こういうような扱い方は、これはどういうところに原因があるのでございますか。今度の鮎川さんの問題については、これは言い方が悪いのですが、非常に英断と私どもは考えておるのですが、この二つの場合はどういうところで違ってくるのですか。その点を一つ……。
  42. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) これは、事件々々の性格によってきまるわけでございまして、証拠のきわめて明白なものと、必ずしもそうでないものとあるわけでございます。これは、取り扱う方針が違うのじゃなくて、事件々々の性格によってきまる事柄でございます。
  43. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、昨年の総選挙以来今日まで、たとえば、総括責任者が逃げておるとか、あるいは出納責任者が逃げておる、もちろん買収供応の場合ですが、そういうような事件数というものはおよそどのくらいあるのでございますか。
  44. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) ちょっとその点調べておりませんので、明白にできませんことを遺憾といたします。
  45. 占部秀男

    占部秀男君 それではその点について、一度一つ総括的に資料を出していただきたいと思うのです。それは、どこのだれのところでしたこと、まあこうした条書きでけっこうですから、だれのところでどうなっておるということを、そうたくさんは私はないと思うのですが、そういう点を、今明日中というようなことは言いませんけれども、一つすっかり出していただきたい。  それからその中で、これは、人の名前をあげては非常に言いにくいのですけれども、去年、たとえば官房長官椎名さんですな。椎名さんのところの総括責任者が現在逃亡中であると、石川さんという弁護士が現在逃亡中である。それで、その石川さんに買収された方がすでに自白をして起訴されておるが、なお石川さんは未逮捕である。こういうような事件は、法務省なり検察庁の方としては御存じでございましょうか。
  46. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 存じております。そうしてその人が総括主宰者になりますかどうか、その点は必ずしも明確ではないと思いますが、目下行方を鋭意追求いたしておるところでございます。
  47. 占部秀男

    占部秀男君 総括主宰者であるかどうかということについては必ずしも明確でないというふうに言われますけれども、これは、かりに明確でないとしても、鮎川さんのお二人の方が起訴されたという場合には、総括責任者じゃなくて、むしろ総括責任者から金をもらった人、出納責任者から金をもらった人ですね。その人が起訴されておる。椎名さんの場合は、これは、石川さんという人が、私たち新聞その他いろいろと二、三材料的なものをもらっておるのですが、どうもそれを見ると、総括責任者であると思えるのですけれども、かりにそうでないとしても、少なくとも鮎川さんのところのこの二人と同程度、あるいは同程度以上の選挙運動における役割を果たした人であるということは、これはそう思えるのですけれども、その点いかがでしょう。
  48. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) この総括主宰者というのは、どういうことをやれば総括主宰者であるということは、実情に基づいて認定をする問題でございます。しかも、そういうような主宰者ということになりますと、候補者連座規定の適用を受ける場合もあるわけで、その地位とすれば非常に高い、選挙の運営としては高い地位にある人でございます。これはまあ申すまでもない。ところが、買収金額とか何とかいうことになりますと、必ずしも高い地位の人が多くの金を出すというものじゃないわけです。川合とか上野とかいう人は、大きな金額を扱っておるようでございますけれども、総括主宰者と認められるかどうかは、今後の捜査に待たなければならぬところでございます。おそらくはそうじゃないと現在のところでは考えられる事情もあるようでございますが、一方の方は、今出ておりますのは、きわめてわずかな金のようでございますが、下の方はですね。そういうのが、もちろんそれを調べなければなりませんが、そういう人がすぐ総括主宰者と見ていいかどうかということは、もう少し捜査してみなければ何とも断定できないところでございまして、従ってその扱いも、川合上野さんの場合とは若干違うのじゃないかというふうに考えるのでございます。
  49. 占部秀男

    占部秀男君 どうも椎名さんの名前を出したので、椎名さんばかりという形になるので、非常にまずいと思うのですけれども、あとでさっき要求いたしました資料をいただいたときに、これは全般的な問題としてやりたいと思うのですが、そこで、最後に聞いておきたいことは、今、法務省の方では、総括責任者であるかどうかはわからぬというようなお話でしたが、私たちの方の手もとの材料としては、その人が相当椎名さんの選挙運動の中では総括責任者と見られるほどの力を持った人であって、しかも、その人があちらこちらに動いて、動くことによってあちらこちらに買収をして、買収された人がまた、今度はあちらこちらを買収しておる、こういうような事実だけははっきりしておるんです。それはもう、法務省の方もそのぐらいのことはわかっておると思いますけれども、われわれの方も、そのぐらいの事実ははっきりしておるんです。それで何か、鮎川さんの方は、これは逃走中に起訴された。ところが、椎名さんの問題については、これは、相手方がもう起訴されておるのに、しかもその罪状は明白であるのに、逃走中に起訴されてないということで、どうも片手落ちのような感じがするんですがね。そういう点は、法務省の方としては、調べがついてないからこれはやむを得ないんだと、あくまでこういうふうにお考えでございますか。
  50. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 私の記憶いたしますところでは、昨年の総選挙ごろまで以前の事犯につきまして、ほとんど逃走中に起訴するというような取扱いを検事はいたしていなかったように思います。しかるに、今回の選挙におきましては、まあ逃走ということが一つ選挙の特徴のようにも見れるのでございまして、こういうのに対処しますために、検察当局がどういう態度をとるかということでまあ試みられた一つの——きわめて明白なものについてはやってみようかということで、一、二の事例に試みられた案件のように思うわけでございまして、先ほど申しましたように、両者の間にはいろいろ——それは内面的にはどういうことになっておりますかわかりませんが、少なくとも検察の面に表われておる事実だけからいたしますと、すぐ総括主宰者であるという断定をするだけの広範囲な違反というものは出ておらないようでございますが、そうだといたしますと、やはり調べた上でないと起訴しにくいというのが現状のように伺っておりますが、まあその取扱いは、現地の検察庁にまかされております。  ついでに、先ほどの資料の点につきましてもちょっと申し上げておきたいと思いますが、選挙違反処理につきましては、できるだけまあ政府側の影響力が及ばないようにするという建前から、法務大臣に稟請するというようなことはやっておりませんので、現地の検事長どまりで処理をするというような関係でございまして、そういう処置の具体的な取扱いというものは、検事長の判断でいたしておるのが現状でございます。従って、まあそういう事件も、逃亡者があり、だれが逃亡しておるかというようなことも、法務省には報告されておらないわけなんで、もし資料を作るといたしますれば、各庁にそういう点の調査を依頼しまして、その調査の結果をまとめないと資料にならない、こういう状況でございます。
  51. 占部秀男

    占部秀男君 資料の問題は、そういう状況ならば、相当期間がかかってもやむを得ないと思いますが、少なくとも通常国会の始まる前には、これは何とか一つまとめてもらいたいと思うのです。というのは、先ほど申しましたように、五月二十二日という一つの時点がありますからね。やはり明らかにすべきものは明らかにしていかなくちゃならぬ。こういうふうなところで、その点は資料をまとめてもらいたいと思います。  それからもう一つ、今言われましたこの石川さんの問題については、総括主宰者であるかどうかという点については疑問があるとしても、少なくともその人が多人数に投票をしてもらうために、ある特定の人たちに金を配った。その配った特定の人たちはもらったということを自供して、しかもそれは起訴されておる。こういうような条件のもとでは、当然鮎川さんの問題と同じように、逃亡中でももう罪状が明白なんである。そういう明白なものについては、やはり逃亡中のものについて起訴をして、まああなたが今言われたようないろんな点もあるかと思うんですけれども、選挙の公明を保つ上からいっても、時効中断措置を発動するのが私は当然ではないかというふうに考えるんですが、その点はいかがなものですか。
  52. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) その取り扱いは、法律的には私は同じだと思うのです、どっちにしても。ただ、起訴されたというようなことで、逃げておる方が新聞などを見て、とうてい逃げおおせるものじゃないというようなあきらめを生ぜしめるのに何らかの効果があるということにつきましては、これは一つの試みだったと思います。今回の選挙において逃亡者起訴したという取り扱いは。しかしながら、法律的な効果から見ますれば、時効は完成しないわけでございますから、二年たちましても完成しないわけでございますから、この点は、法律的には私は同じ効果を持つのじゃないかと思います。
  53. 占部秀男

    占部秀男君 なおこの間間については、総括的な資料をいただいてから一つまたやりたいと思いますので、きょうは、これで一つ質問を保留をしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  54. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) よろしゅうございます。
  55. 西田信一

    ○西田信一君 ただいま占部委員から要求された資料の点に関して、これは委員長にも一つお伺いしたいと思いますし、それから法務省側の方にもお伺いしたいと思うのですが、そういう資料は、法務省の方には報告がないから取りまとめに時間がかかる、こういう御答弁でありました。現在進行中のそういう事件に関して、報告のないものをさらに取りまとめて報告される御意思かどうかわかりませんが、そのこと自体が私は事件の解明上支障がないのかということを伺いたい思うのです。そういうことを資料として国会に提出されることは審理上差しつかえないのであるかどうか。それからまた、そういう資料の要求に対して、それを御提出される御意思であるのかどうかということをお伺いしたいし、また、委員長にお伺いしたいのですが、そういう資料をこの委員会が提出を要求すること自体が適当であるかどうかということの御判断ですね。これもお伺いしたいと思います。
  56. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 何某がどういう犯罪でいつ幾日から逃げておるというようなことを申すことが捜査の支障になるかどうかということは、これは一がいに申せないところでございまして、警察などでも指名手配表を公表して、逃亡しておる犯人を早く逮捕した事例も最近あるわけでございます。犯罪によりましては、そういうことをして公表をした形の方が逮捕しやすい場合もございますが、また一面、兇悪犯でないようなこの種の犯罪について、名前犯罪事実が明らかになることはかえっていけない場合もございますので、御要望にこたえるといたしましても、とくと考えて見なければならぬと思っておりますが、少なくとも何人逃亡した事例があるかというようなことは、これはお答えするのにはばからぬのじゃないかというふうな考え方をいたしておりますが、なお研究いたしまして資料を作成いたしたいと思います。
  57. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまの西田君のお話ですが、法務省当局からも御答弁がありましたように、捜査に著しい支障を来たすということでは困るでしょうが、先ほどの局長の御答弁では、大体そういった資料を、時間はかかるが、整えて出すことについては異存がないようなお話がありましたので、その範囲のものをお出しになることを委員会としても要求しても差しつかえないと考えます。
  58. 西田信一

    ○西田信一君 今のは、一般的にはわかるのです。しかし、今の鮎川さんの事件に関して、具体的に名前をあげての資料を要求されたように私はとったわけです。
  59. 占部秀男

    占部秀男君 そうじゃないのです。
  60. 西田信一

    ○西田信一君 なければけっこうですが、もしそうだとすると、法務省としてもお考えになる必要があるのじゃないかと考えましたので、お伺いしました。
  61. 占部秀男

    占部秀男君 念のために申し上げますが、僕の言ったのは、鮎川さんの件がこれこれこうで、こういうふうであるとか、それから、椎名さんの事件がこれこれこうで、こういうふうであるとかいうことを言ったわけではない。だから特に断わって、どうも具体的な例を出すと椎名さんばかりになってまずいから、従って総括的なものを出してもらって、それによって質問を続行したい、こういう意味で言ったのです。
  62. 加瀬完

    ○加瀬完君 刑事局長の御答弁の中に、今まで、相当総括的な責任者あるいはこれに類するような者でも、逃亡をしておるときには起訴をしないというような大体方針というか、傾向であった。しかし今度は、今占部委員が例に出しました鮎川派のような場合は、まあ逃亡者起訴事実に該当するような内容があれば、これを起訴するという試みをしてみたのだ、こういうような御答弁もございましたが、今まで検事などの会同で、検事総長なりあるいは監督の衝に当たる者が、一体起訴容疑の濃厚な者で逃亡をしている者に対して、時効を無効にするために起訴をしろというような一体指導はなかったのか。
  63. 井野碩哉

    ○国務大臣(井野碩哉君) 今まで検事長会同等においてそういう訓示をいたしたことはございません。これは、各検察庁のいろいろの事情によって、その検察庁がそういう判断をしてやっておるのであります。法務省としては、そういう問題にはタッチしない方針でやっております。
  64. 加瀬完

    ○加瀬完君 われわれが新聞等承知している限りにおいては、大きな選挙のあるごとに検事会同が行なわれて、そこで、悪質違反者に対しては、逃亡のいかんにかかわらず起訴をもって時効中断をするようにといったような話がたびたび出たと記憶をしておるわけです。今の岩手県の例は、そういったように、地方新聞でも、もう相当の程度選挙の責任者だということが明瞭になっているにもかかわらず、しかも、自身明瞭な事件を持っておりますから逃亡をしておるにもかかわらず、これを起訴をもって対抗をしないというのは一体どういうわけなのか。あるいは、かりに地方の検察局がそういう態度であったとしても、鮎川派の容疑に対しては、総括的責任者でもない者にまで起訴をしている。逃亡をしているにかかわらず起訴をしている。そうすると、一年のまあ時間の隔たりはあるとしても、一つ法務省なりあるいは検察当局なりの方針としては、そこに、何といいますか、一方にはゆるやかで一方にはきびしいという、捜査の手心といいますか、幅が生じていると第三者には判断されるおそれがあるのではないか。そういう容疑濃厚な者ならば、しかも、今度の選挙が悪質逃亡の傾向が多いというなら、それに対して新しい方針を打ち出したならば、過去の逃亡している者にまで遡及して、同じ新しい方針が適用されなければおかしいのではないか。それをも今日において黙認しているという理由は、私どもには理解に苦しむ。この点、局長さんにもう一度御答弁いただきたい。
  65. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 新しい方針を打ち出したというふうにお受け取りいただいたのでは恐縮なんでございますが、先ほど申しましたように、合同等におきまして、呑舟の魚を逃がさないようにという訓示は、これはいたすわけでございますが、取り扱い起訴をいたしました場合に、買収を例にとって申しますならば、金を供与したという事実を起訴いたしまして、その場合には、金を受け取ったという方も証拠が明白でない、供与したという方の起訴はしにくいわけでございます。ところが、ある人を中心といたしまして、供与した、下の方に向かって金をやったという起訴をいたすだけでは、そのある人に対して供与したそのもう一つ上の人については、時効の影響力がないわけです。そこで、逃げているもう一人の人から金をもらって、その金の一部を下の人に供与したという起訴をする場合に、供与したという事実が確実ではっきりしている場合、その場合には、供与したという起訴をいたしますが、同時に、もしも上からもらったという金が確実であるならば、そのある人について起訴する際に、下に供与した人が逃げている人からも金を受け取ったという起訴をいたしておきますれば、逃げている人は二年間で時効が完成するのじゃなくて、その事件があ限りは、上の者は時効はストップになっているわけでございます。そういう事情を勘案して、逃げておっても逃げきれるものではないのだということを訴訟手続の上においてはっきりさせているわけです。それは従来もやっているわけです。その上逃げている人を今度起訴して、新聞などで見ました者は——そういう裁判所内部における取り扱いをしても逃げている本人は知らずにおりますから、まだ逃げおおせるものだと思って逃げ隠れをしておりますとしますれば、それはむだなことだ、お前は起訴されているのだぞということが新聞等でわかれば、逃げておってもあきらめて出るということもあり得るのじゃないかというので、一つの試みとして一、二の庁がやったわけです。それは、法務省なり検察庁の方針がそういうふうに変更されたというのじゃないので、先ほど申しましたように、法律的には同じことなんだというふうに私どもは考えているわけでございます。従って、取り扱いを二つにしたとか、あるいは差別の扱いをしているのだというふうなことではない。法律的には同じことでございます、起訴いたしましても、もし起訴するということになりますと、これは非常に大事なことなんで、いやしくも起訴する以上は、確信がなければいけない。どんな事件でも、確信のある事件というのはなかなか得られないものなんで、本人が否認するなら否認のままでも、とにかく否認を聞いたということが検事の方にはっきりした心証を得るわけで、そういう心証形成が得られないままで、逃げた状態で起訴するということは、ほんとうは異例なことなんです。そういうわけで、先ほど申しましたように、一つの試みとして、今次選挙の特徴にかんがみて一、二の庁が扱ったというだけでございます。法律的にはほとんど差異がないというのが私どもの見方でございます。
  66. 加瀬完

    ○加瀬完君 過去の事例で、逃亡中であっても容疑濃厚な者は起訴したというのは、今のお話のように非常に少ないのか、それとも逃亡中の者で容疑濃厚な者は起訴している例の方が多いのか、これを一つ。それから、岩手の場合は、検察当局では、当然の起訴内容を具備したものだと一体認定しておられるのか、あるいは、本人逃亡しているけれども、その点は明瞭を欠くので起訴を猶予しているのか、立ち入ったことを聞いて恐れ入りますが、そうでないと、これは仮定の問題ですけれども、岩手の椎名さんの関係者であるから、容疑濃厚であるにかかわらず起訴が行なわれておらない。そうでない他の者は、もっと椎名さんのところの石川さんですか、その人に比べて選挙責任が軽いにもかかわらず、容疑がむしろそれほど明白でないにもかかわらず起訴されたという事実があったとすれば、これは、同じ検察庁の取り扱いとして、いかに地方検察当局の問題であっても、一方が軽くて起訴され、一方が容疑濃厚で見のがされているということは、これは許されない。仮定の問題で恐縮ですが、一体今まで逃亡者は絶対に起訴しなかったのか。起訴されている事例が多いのじゃないかと私は思う。今度の場合だけ起訴しないのは、起訴する内容に足る条件が具備されておらないという御認定なのかどうか、この点を、立ち入って恐縮ですが、お伺いたします。
  67. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 御質問の二つの点にお答えいたします。  第一の、逃亡者起訴するのが原則じゃないかということでございますが、それは、先ほど申し上げましたように、私の記憶しているところでは、今次選挙以外では、逃亡者を調べもせずに起訴したという事例というのは、私の承知している限りではないわけです。そういうふうに承知しておりますから、むしろ原則じゃなくて、今まではやってなかった。今回は、特別にそういう処置をとった庁が二、三の庁にあるということを申し上げたいと思います。  それから、今の椎名さんの関係の違反が濃厚であるかどうかという点につきましては、これは捜査の内容になりますので、お答えできないわけでございます。したくないわけでございます。時期が悪い、いずれはっきりすれば、もちろんいたして差しつかえないことでございますが、今この段階では適当でございませんから、お答えいたしかねるわけでございますが、抽象的に申しますならば、きわめて、もう本人が出てくれば、そのまますぐ公判で裁判を受けてもいいような証拠関係がそろっておれば、もし試みようと思えば、今度のような一、二の庁でやったような処置をとることも、それは可能でございます。それから、そうでないといたしますれば、やはり検察官としては、調べた上でなければ処置をできないという考えを持つかも知れません。その辺のところは、抽象的にはそういうことだと思います。
  68. 占部秀男

    占部秀男君 それで、今の点は、あと一つ資料を整えていただいて、法務大臣にも聞きたいと思っておるのですが、少し資料が不足ですから、それをいただいてから一つやりたいと思います。  なおこの点、委員長として一つ留保しておいていただきたい。
  69. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは次に、松本城の管理に関する問題について、占部君に発言を許します。
  70. 占部秀男

    占部秀男君 自治庁文化財保護委員会の方にこれはお尋ねしたいのですが、去る二十五日の朝日新聞初め各新聞では、国宝の松本城で、市長さん初め大ぜいの人たちが月見の宴を開いた。こういうようなことが大きく出ておるわけですが、この問題についてお伺いしたいと思うのであります。  そこで、文化財保護の方の事務局長さんにお伺いをしたいのですが、松本城はいつ国宝に指定になりましたか、お伺いしたいのです。
  71. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 松本城の国宝の指定は、昭和二十七年三月二十九日でございます。
  72. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、この松本城は、これは市の所有なのですか、それともだれか所有者があって、いわば市が管理責任者に選任されておるとか、まあその意味では、あるいは委員会の方から指定された管理団体でやるとか、いずれにしても三つのうちの一つになると思うのですが、そういう関係はどうなっておりますか。
  73. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 松本城は、天守閣、小天守、渡りやぐら、月見やぐら等がございます。これらの建造物は国有になっております。建物は国有でございまして、ただ、松本城の文化財としての管理は、松本市を管理団体に指定いたしまして、松本市が管理につきまして責任をもってこれをやっておるというわけでございます。
  74. 占部秀男

    占部秀男君 松本城は国有であって、管理団体が松本市であるということになりますと、一般的な管理の費用についてはどうなっておりますか。松本市だけで費用をまかなっておるのか、国庫補助がなされておるのか、その点をお伺いしたい。
  75. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 国有の財産ではございますけれども、この文化財の修理につきましては、国が直営でこの天守閣の修理工事をいたしましたのでございますが、平常の管理につきましては、これは管理団体である松本市が経費を支出いたしまして、その責任をもってこれを実施しておるのでございます。
  76. 占部秀男

    占部秀男君 平常の管理は松本市で費用を出している。修理については国が直営でやるのだ、こういう仰せでありますが、そうしますと、最近松本城は、たしか修理をしたはずであります。根本的な修理をして、まだ完成したばかりと私は記憶しておるのですが、かりに修理をした事実があれば、いつから着工して、いつごろに完成をしているのか、そういう点を一つお伺いしたい。
  77. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) ちょっと、修理着工や完成の日付は、確かなことは……。
  78. 占部秀男

    占部秀男君 およそでけっこうです。
  79. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) およそは、昭和二十九年から始めまして、約五カ年かかりまして、この松本城の天守閣の修理を完成したのでございます。
  80. 占部秀男

    占部秀男君 国が直営工事でやったというのですが、総額はどのくらいかかっておりますか。
  81. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 約五千万円かかっております。
  82. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、国が直営でやっておる、国有の国宝である、こういうことでありますので、これは当然委員会がいろいろの点では関与するわけでありますが、この松本城は、現在公開しておるわけですね。公開の場合には、だれが主体になって公開を行なっているのか。つまり、委員会の指令によるところの公開であるか、あるいは管理団体であるところの松本市が主体となって公開をしておるのか、そういう点をお伺いいたしたい。
  83. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 管理を松本市に一任いたしました以上は、すべて平常の管理、それからそのお城の公開は、すべて松本市が責任をもってこれを実施をしております。従って、松本市の方では、松本城管理条例というものを市の条例でもって制定いたしまして、その条例によりまして、管理並びに公開を実施いたしております。
  84. 占部秀男

    占部秀男君 松本市が主体になって管理をされているということでありますが、そうすると、公開に要する一切の費用も、松本市が管理費用の中から出してこれを負担しているのかどうか、こういう点を一つ
  85. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) その通りでございます。
  86. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、松本市が管埋条例を作ってこの公開の場合、あるいは管理の諸般についての、何と申しますか、規則のもとに行なっていると、こういうことでありますが、文化財保護法によりますと、委員会は管理に必要な指示をすることになっているわけであります。特に国宝、しかも、それが国有のものであるということからいっても、それから、修理について五千万円国が直営工事で行なっていると、こういうような事実から考えても、法の建前からいうと、二重、三重に委員会としては管理団体に管理方法について指示をしなければならないことに私はなっていると思いますし、同時にまた、松本市という管理団体は、文化財保護委員会からの指示に従って管理、すなわち公開その他をしなければならない、こういうふうに考えるわけでありますが、出しておりますか、出しておりませんか。また、その点はどういうふうになっておりますか、お答えを願いたい。
  87. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 特に指示、命令というようなものを文書では出しておりません。しかしながら、この修理につきまして、ずっと直営でもってこれが工事を完了いたしましたのでありまして、その工事期間中はもちろん、修理工事後におきましても、その管理につきましては、常に注意すべきことは注意いたし、また市の方で、その管理につきまして、いろいろとこちらに指示を求めてくる場合には、適当な勧告あるいは指示をいたしている、こういうことでございまして、特別に文書をもって指示、命令をいたしたということはございません。
  88. 占部秀男

    占部秀男君 特別に文書をもって松本市だけに指示、命令はしておらぬと言われるのでありますが、法によれば、一般的な管理方法については指示しなければならないことになっているので、従って、一般的な国宝についての管理、公開を含むものの管理、そうした問題についての基準といいますか、何といいますか、そういう点については、私は何か政令かあるいはまた指示、こういうことがなされておらなければならないと思うのでありますが、その点はいかがですか。
  89. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 一般的な指示を省令あるいはその他で現在までしておりません。ただこれは、個々の状況に応じまして、それぞれその修理者もしくは管理者が管理の方法を定めまして、それに対しましてこちらで指示あるいは勧告をいたしているという方法をとっております。
  90. 占部秀男

    占部秀男君 どうもおかしいですね。文化財保護法によれば、委員会がこれは責任々持って、重要文化財、特に国宝の問題については、国宝を滅失したり、毀損したりすることのないように、管理方法についても指示するということがはっきりとうたわれているわけであって、従って、文化財保護委員会としては、国宝を持っている所あるいは重要文化財を持っている所——もちろん有形の場合を言っているのですが、そういうような所については、有形であるがゆえに、特にそういうものの摩損、滅失あるいは破壊と、こういうことがないような、つまり管理の方法についての基準をきめておかなければならないし、また、きめておくことが法の建前ではないかと私は思うのですが、それはいかがですか。
  91. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) それにつきましては、ただいま指示の形式のことを申し上げたのでありますが、実際におきましては、国宝、重要文化財等につきましては、最も大切なことは、防火防災等の問題、あるいはまた落書きその他の毀損の問題、あるいは環境整備の問題というものが一番大きな問題でございますが、さような点につきまして、随時これは文書をもって各教育委員会に指示をいたしております。また、近時史跡、名所等におきまして、これがいろいろな原因で破壊され、あるいは無許可の原状変更が逐次行なわれているというような情勢が非常に強うございまして、さようなことに対しましては随時、その情勢に応じまして、それぞれやはり文書をもって各都道府県に指示をいたし、かつまた都道府県のあるいは教育長会議、あるいは担当責任者会議等におきましても、そういう問題につきまして随時指示をいたしておるのであります。
  92. 占部秀男

    占部秀男君 随時指示をいたしておるということは、随時指示をしたことがあるというのか、随時指示をしようとしておるのか、どっちですか。
  93. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 随時しておるのです、現在。ずっと前からです。
  94. 占部秀男

    占部秀男君 それじゃあなた、おかしいじゃないですか。僕は一般的な指示その他をしていないのかと言ったら、あなたはしていないと言う。指示していないのがなぜ文書で指示しているか。そういう点どうですか。
  95. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 先ほど省令等の形式でもって一般的な指示その他はないということを、形式的なことを申し上げたので、内容的には、毎年その修理の問題、また管理の諸問題につきまして指示をしておるのであります。
  96. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、従ってまた、そういうような一般的な指示というものは、松本城の場合も指示があったと考えてよろしゅうございますか。その点はいかがですか。事実問題として。
  97. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 事実さように考えてよろしゅうございます。で、松本城の場合には、松本市におきましては、昨年の十二月二十二日に新しく条例を設けまして、松本城管理条例というものを制定いたしまして、それを文化財保護委員会の方に報告をしてきておりますので、その条例は適当であると考えまして、それをこちらで受理しております。また管理団体の指定は、やはりこれも昨年の十月でございますが、その際に、管理団体として特に全責任を持って管理するようにというようなやはり指示をいたしておるのでございます。
  98. 占部秀男

    占部秀男君 市の管理条例ができて、それが委員会の方の一般的な指令、指示というものと合致しておる、いわゆる不適当ではない、こういう観点に立たれた、こういうことでありますな。
  99. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) そうであります。
  100. 占部秀男

    占部秀男君 そこでお伺いをいたしたいのですが、最近の新聞報道によると、この降旗市長が主催者になって、相当数の者がかみしもを着て、これは、写真も朝日新聞に出ておりますが、こういうようにやって、そこで飲めや歌えの月見の宴を張ったと、こういうことでありますが、こういう事実があったかなかったかということを、委員会の方では、現地の方に調べられたと思うのですけれども、調べたか調べてないか。調べたとしたならば、そういうような新聞に報道されたような事実はいずれにしてもあったかなかったか、こういう点について簡潔にお答え願いたい。
  101. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 新聞に出ましたので、とりあえず電話でもって事件内容を照会いたしましたのでございますが、さらに市の助役並びに松本城理事務所の所長補佐、これを呼びまして、事件につきまして、その内容につきまして調査さしたのであります。内容を申し上げますか。
  102. 占部秀男

    占部秀男君 調査した結果によると、ああいう使用の仕方は妥当であるというふうに考えられましたか。どうですか。
  103. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 調査の結果は、ちょっと多少内容に触れますが、城の工事、それから市政等に関与した人たちに対して、まあ感謝の意味を表わすために、三十三夜祭という行事がずっと昔からあった。これは、城の守護神を祭るまあ行事でございますが、そういう行事が昔からあった。それを、今申しましたような感謝の意を表わすために、その行事を兼ねまして、そして城の中で行なったというのでございまして、従来は、城の区域の中でございますけれども、城内ではやらなかったのでございますけれども、今回はまあ城内で、月見やぐらでやったというのでございます。その際に、まあいろいろ、特に防火防災の場合等につきましては、非常に主催者も注意いたしたようでございまして、たとえば、喫煙は一切させないとか、あるいはまた、火気を使用しないとか、特にそういう点は注意したようでありますが、ただ、あそこは電燈がございませんので、ぼんぼりにろうそくをつけたものを数本使用した。かような点で、これは火気厳禁の原則に反すると存じておりますから、まあできるだけ質素に月見の祝宴を行なったというのでございまして、多少新聞記事と違う点はございますが、大体私どものこの事件を調べました感じにおきましては、やはりこういう国宝城におきましては、これは最も大事なことは、やはり防火防災の点でございまして、そういう点から言いましても、これは電燈を一切つけていない。一般の公開も、これは昼間に限っておりまして、夜間はさせないことになっております。まあ市の条例でそうなっておりますから、やはりその原則に従いまして、これはよほどのことでない限りは、夜間は他の目的のために使うことは、これは適当ではないんではないかというような気持を持っております。  なお、松本城におきましては、平素非常にこの管理は行き届いておる方でございまして、他のこういう域を管理しております場所と比べまして、非常に熱心に、まあいわば模範的に城の管理をいたしておる。環境整備にいたしましても、平素のまたこまかい規則等にいたしましても、かなり熱心にやっておるのでございまして、そういう点から申しましても、今回の事件は、少しまあ行き過ぎではなかったろうか、遺憾な点があるのじゃなかろうかという気持を持っております。
  104. 占部秀男

    占部秀男君 私も、松本城は三回ばかりでき上がってから行ったことがあります。城の方にも案内されて行ったことがあって、ふだんの公開されておるその管理状態が非常にきびしく、非常にりっぱにでき上がっておるということは見て参りました。あなたの仰せ通りであります。ところが、それだけに、今度の市長さんのやり方については、多少行き過ぎがあったぐらいどころの問題ではないと、かようにまあ私は考えるわけです。というのは、どういうことであるかというと、今あなたは、できるだけ質素にやったと言いますけれども、質素にやったどころじゃない。かみしもをつけて、女子職員には封建時代の女の人の姿をさして、これは、またあとで今枝さんに聞くところですけれども、こういうようなことをやって、にぎにぎしく仮装行列のような形をやって、あそこでもって歌を歌って——僕はずっと調べてきましたが、歌を歌って、いわゆる一般的な宴会をあそこでやっておるわけです。殿様と同じような気持でこれをやっておる。しかもあなたは、防火防災という点は、一番この国宝あるいは重要文化財の建築物では大事なことである。たびたびそういう問題についても、他の問題についてと一緒に指示を出しておられると言うけれども、あの松本城は、のぼるときに、たばこを吸っちゃいかん、市の条例で、あぶないからたばこは厳禁だということになっておる。ところが、当日はみんなたばこを吸っておるんですよ。たばこを吸っておる。しかもあの中で、防火防災が大事だというのに、たとえぼんぼりであろうと、火をつけておる。何も、防火防災が大事であったならば、ぼんぼりに火をつけなくたって、松本にだって電池はあるだろう。電池の照明ぐらいはできるだろう。また、そういう器具をみな売っております。松本の店屋さんを歩いてもみな売っている。それだのに、裸ろうそくを入れたぼんぼりを使ってやっておるということは、これは、防火防災というよりは、当日の宴会の興を豊かにするために、こういうようなことをやっておるのだ、これは明らかです。こういうようなやり方が、はたして文化財の保護法に照らして正しいかどうか。文化財の保護法によれば、国宝を初め、文化財の保護管理にあたっては、滅失したり、棄損したり、盗み取られたりすることのないように、周到な用意で厳重適当な管理をしなければならないということになっておるのです。そういう管理の趣旨に対して、これが適当かどうか、あるいはまた、少しくらいの行き過ぎかどうか、そういう程度の問題、少しくらいの行き過ぎだと言って看過できる程度の問題であるかどうか、この点についてお伺いしたい。
  105. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 詳しく市の当局者からは当時の状況を聞いたのでありますが、市の当局者の説明によりますというと、喫煙をさせなかった。それからまた、酒のかんは事務所の方で行なって、城内では一切しなかった。非常にまあ火気は厳禁したのであるが、ただ、ぼんぼりを使用したという点は、これは事実であるということを申しております。まあさようなこまかい点は別といたしまして、やはり国宝の松本城のような所におきましては、これは、夜間はこの種の会合に使わせることは適当ではないと私は思います。従来は、この屋上の方で儀式だけを行ないまして、簡単な祭事のようなものを行ないまして、そしてあとは外で、祝宴とまではいかんでしょうが、簡単なものを行なったというのであります。この程度ならば、これは城の行事でございますから、いいのでございますけれども、行事を兼ねて、祝宴を城内で、しかも夜間行なうということにつきましては、これはやはり行き過ぎであって、適当なものではない、かように考えております。
  106. 占部秀男

    占部秀男君 あなたは、行事を夜間に行なった、二、三、ぼんぼりのようなものをつけて、こういう行事を行なうのは適当ではないと言われるのですが、適当でないのは、これはあたりまえな話なんだ。あたりまえなだけじゃなくて、市の条例それ自身にも違反している。この点は、あなた認めておられますな。市の条例、市の管理条例そのものにも違反しておる。この点は認めますか認めませんか。夜間使っちゃいかんものを使っているのだから、これは明らかなものじゃないか。
  107. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 火気使用の点につきまして、ぼんぼりを使用した点につきましては、もちろんこれは、市の方では、何か特に注意をいたしまして、バケツに水などを相当用意しておったというようなことを聞いております。
  108. 占部秀男

    占部秀男君 いや、注意するしないじゃなくて、市の条例にははっきりそういう点が出ておるし、この中に入ってみれば、たばこをのんじゃいかん、たばこですよ。たばこの火をつけちゃいかんというのに、ぼんぼりを夜間にやっておる。夜間は使わないのにやられておる。この点は、明らかに市の条例違反じゃないか。事実の問題を言っているのです。決して松本の市長をよけい責めようとか何とか、そういう感情的な問題じゃないのですよ。事実の問題を私は言っている。条例に違反しておりませんか。
  109. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) いや、まあ火気使用の点から言いますれば、確かにぼんぼりを使ったという点につきましては、これは条例の趣旨に合わないということは申し上げることができます。
  110. 占部秀男

    占部秀男君 文化財の保護法によれば、私が言うまでもなく、事務局長さんですから、よく御存じのことと思うけれども、一般の個人が所有しておる国宝あるいは重要文化財、あるいは他の団体が所有しておるところの、若しくは管理しておるところの国宝あるいは重要文化財についても、地方団体としては周到な用意をもって常にこれを保護することが任務である、こういうふうに文化財の保護法では規定されておる。人の持っておるものですよ。人の管理しておるものでも、これが滅失したり棄損したり破壊されたりすることのないように、しょっちゅう周到な注意をもってこれの保護の任に当たらなければならないというふうに、これはまあ何とか規定といいますか、私は知らぬけれども、規定されておるのです。いわんや当該の管理団体たる松本市は——松本市が管理団体でなくても、他のものが管理をし所有しておる問題でも、やはり棄損、破滅あるいは破壊することのないように、常に周到な注意を払って保護をしなければならない、保護することが務めであるというようにはっきりと書かれておる。いわんや松本市は管理団体として、二重の意味合いで、こういうことをすることが、文化財の保護法のこの建前からして、これは違反じゃないか、法の建前からしてこれは違反じゃないかと私は思うのですが、あなたはどういうように考えるか。
  111. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 法の趣旨からいいますならば、確かにかような会合を城内で夜間行なったことは、これは趣旨に合わないということは申し上げられます。ただ、文化財保護法の規定の何条の違反になるかどうか、厳密な意味におきまして法文の違反になるかどうかは、これはまだ最終的なことはちょっと申し上げかねますが、確かに法の趣旨からいってこれは適当ではない、遺憾な事実であったということは申し上げられます。
  112. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。占部委員調査をした内容だけ事務局長は御存じないんじゃないですか。あなたが電話で話をして、それを助役さんか何か来てもらったとか、実情を調査したと言いますけれども、事務局そのものでは、あなたの方の委員会そのものでは、これだけの問題になっておりますときに、松本城に参りまして実地調査をなさったのですか、なさらないのですか。
  113. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 先ほど申しましたように、市の助役並びに市の管理事務所の者を呼びまして、その状況を調査いたしております。
  114. 加瀬完

    ○加瀬完君 当面の、悪い言葉で言えば、被疑者に比すべき助役や管理者だけ呼んだって、自分たちの不始末なことをつまびらかにあなたに報告するはずはありませんよ。なぜ一体事務当局は、そんなに遠い所でもないのですから、松本に参りまして、つぶさに調査をして、文化財保護委員会の目的であるこういったような文化財の保護というものに万全を期するというやり方をなさらなかったのですか。文化財保護委員会ができてから文化財が喪失したものが数が多いじゃございませんか。ましてや、これだけ騒がれたら、これは実地調査をして、十分勧告しなければならないのじゃないのですか。それだけあなたの方で、占部委員の指摘される内容を把握しておらないという無責任さがあるのじゃないかという点を私は指摘しておきたいのですよ。
  115. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) とりあえず当の責任者を呼びまして、その事情を聴取いたしましたのでございますが、なお必要があれば、実地調査もいたしたいと存じます。
  116. 加瀬完

    ○加瀬完君 必要あるだろう。
  117. 占部秀男

    占部秀男君 まあ事実の問題については、あとでもう一ぺん——加瀬さんの今言ったことは重大なことなんで、これはもう一ぺん聞かなくちゃいけないのですが、いずれにしても、あなたは、法の第何条にそれが当たっているかということになると、研究してみなければわからぬと言われますが、正しい管理であるということは、これは言えないのです。はっきり、これは言えないと思うのですが、その点いかがですか、法の建前からいって。
  118. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) その通りでございます。
  119. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、この管理団体もしくは国宝の所有者、あるいは重要文化財の所有者、あるいは指定管理者、こういうものが正しい管理の方法をしなかった場合には、法は「必要な措置を命じ、又は勧告することができる」ということになっておる。これは、私が言うまでもないと思うのです。そこで、こういうようなばかばかしい管理をしておる。こういう管理のやり方は悪いのだ、従ってこれは正しくないのだから、正しいやり方をすべきだということを、文化財保護委員会としては勧告もしくは措置命令を出すべきである、かように私は考えるのですが、あなたはいかがでございますか。
  120. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 昨日市の助役並びに責任者が参りましたときには、口頭でもって私は、今回のやり方は不適当である、遺憾であるから、今後かようなことは一切やらないように、なお、将来の管理は万全を期するようにということを口頭で申し上げたのであります。
  121. 占部秀男

    占部秀男君 事務局長は今、口頭で何か注意を与えたと、こういうことです。けれども、これは、非常にやり方が私は正しくないと思う。なぜならば、この文化財保護法によれば、正しい管理をしなかった場合には、措置命令をするか、もしくは勧告をすることができて、そうしてそれで行なわれた措置命令もしくは勧告に対して、管理者あるいは管理団体等がこれに従わないような場合には、法の第百九条で行政罰が規定されておる。行政罰が規定されておるのですよ。罰金もしくは懲役の問題も入っておるのですよ。そういう問題を、あなたは単に注意した、それで済みますか。少なくとも正式の文書によるところの勧告、もしくは正式の文書によるところの措置命令を出して、国宝の保全を期するのがあなたの文化財保護委員会の任務じゃないですか。そういう点はどうですか。
  122. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) とりあえず、調査がまだ完全に済んでおりませんので、もう少し詳細に調査いたしまして、そうしてただいまおっしゃいましたような管理上の措置を指示をいたしたいと考えております。あるいは、これはむしろ文書をもってする方がいいと、かように考えております。
  123. 占部秀男

    占部秀男君 まあ調査が完了されてないとあなたは言われるけれども、今言われた防災防火の見地から立って、たばこ一つのませない所を、ぼんぼりを使用したり、事実上の問題としてはたばこをのんでいるのだ。しかし、ぼんぼりを使用した一つだけでも、文書でもって勧告をする値打のある問題じゃないですか。あなたはそう思いませんか。
  124. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) この問題につきましては、すみやかに全般の問題を調査いたしまして、文書をもって勧告もしくは指示いたしたいと考えております。
  125. 占部秀男

    占部秀男君 そうすると、松本の市長さんに対して、文書をもって勧告もしくは措置命令をいずれにしても出す、そういう点は、はっきりしておりますか。
  126. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) その通りです。
  127. 占部秀男

    占部秀男君 なお、この問題については、文化財保護委員会にかける必要があると思うのですが、そういう点の手続その他はやっておりますか。
  128. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) この問題につきましては、去る土曜日の、定例の文化財保護委員会でございますが、その際に、事件を詳細に報告いたしております。
  129. 占部秀男

    占部秀男君 まあこの問題で、実地調査も行なわずに詳細に報告したってどうも何なんですが、まあ一応措置命令もしくは勧告を文書で出すというのですから、一応その点は私たちも、中途半端ですけれども、了承しておきます。  それで、この問題に関連をして自治庁にお尋ねをしたいのですが、これは、公務員課長だけではまずいかもしれませんが、自治法によると、地方団体の長もしくは機関が正しくないような行政的な措置をする、あるいは不合理な措置をした場合には、内閣総理大臣の監督権による措置要求の問題があるわけですね。そこで、今度の松本市長のこうした扱いについては、自治庁として、法の二百四十六条の二に従って監督権を発動して、必要な措置を講ぜしめるのが当然であると思うのです。特に文化財委員会としては、今言ったように、文書によるところの措置命令もしくは勧告を出そうというのですから、従って、自治庁としても、必要な措置を講ぜしめるところの監督権を発動するのは、これは当然だと思うのですが、いかがですか。
  130. 今枝信雄

    説明員(今枝信雄君) ただいま御指摘の点は、私の所管でございませんので、所帯の者とよく協議をいたしたいと思いますが、ただいまの問題になっております事柄は、第一義的には文化財保護法の関連の事項でございまして、従いまして、自治法で、一般的な行政に関して是正措置を求めることも当然できるわけでございますが、直接的には文化財保護法の規定に基づいて措置をすることが適当ではないかと考えます。
  131. 占部秀男

    占部秀男君 なおこの点については、今の課長の御答弁では私は不満なんですが、所管違いということなんで、この点は、あとでもう一回所管の局長さんを呼んで、この点を一つやっていきたいと思うのですが、保留しておきます。  そこで、自治庁にお伺いをしたいのですが、この松本城の宴会のときに、市の女子職員に、まあこれは写真がありますから、私が言うまでもなく、見ていただきたいのですが、御殿女中のなりをさせてお酌をさせたりなんかしたと、こういうことで、市の職員としては、けしからぬというので、市長に抗議を申し出ているわけです。これは、地方公務員法による市の職員の職務のあり方というか、職員の上長の人の使い方というか、こういうことに関連して、こういうことが正しいかどうか、一つ務員課長さんにはっきりと御答弁を願いたいと思います。
  132. 今枝信雄

    説明員(今枝信雄君) 地方公共団体が主催いたしますいろんな行事に、その公共団体の職員が参集者の受付をいたしましたり、あるいは御案内をいたしましたり、その他接待役として掌にあたることは、通常の場合にはよく行われている事柄でございます。今回の催しの席に列席をいたしました市の女子職員の一人が、新聞の報道しておるところによりますと、「松本城の観光宣伝と黒門復元工事促進のためという趣旨をきいて結構なことと思って引受けた。むかしのままの衣装でゼンを運ぶ仕事をやったので、儀式的なものだった。テレビや写真をとるときお酌のまねをしてと言われたので演技的にその通りやった」ということを申しております。この程度のことでは、著しく不当だということは考えられないのであります。しかしながら、今回の催しの目的は、単に酒宴を催すというようなことだけでございまして、また、そういう宴席にはべるような役割を命じたということになりますと、これはきわめて不当な取り扱いだというふうな感じがいたすのでございます。出席をいたしました女子職員本人が感じておる、あるいは申しておる事柄がほんとうなのか、あるいは催しの内容がそういうことと著しくかけ離れたものであったということに関しましては、私どもといたしましては、その真相が実は明らかでございません。いずれにいたしましても、今回の催しについては、いろいろと批判がございますようで、市の行事に職員を接待役その他の役として使うような場合には、十分にその目的なりあるいは仕事の内容なりについて配慮を加えることが使用者としての当然の責務ではないか、こういうふうに考える次第であります。
  133. 占部秀男

    占部秀男君 女子職員の一人がやったので、その一人がそういうような感想を漏らしたというのですが、それは、どういう経路でお調べになりましたか。
  134. 今枝信雄

    説明員(今枝信雄君) これは、去る十一月二十九日の読売新聞の夕刊に、談話として載っておった記事でございます。
  135. 占部秀男

    占部秀男君 今枝さんは、公務員課長としては名課長であるというふうに歴代の公務員課長の中でいわれておるのですが、非常にどうも、とんでもないことをあなたから聞いたと思う。読売新聞に載っていて、新聞でそれがそういうことになっていたからそうでございますというような、あなたの答弁というものは無責任きわまると思うのですよ。そんなことでもって、地方公務員の職員としての利益を守る地方務員課長が勤まりますか。この問題は、第一番に、自分が引き受けたか引き受けないかという問題よりも、こういうようなことを引き受けさせる市長の職員の使い方に問題があるのですよ。弱い職員は、上から言われれば、いやでもおうでも、いやだと思っても、上司から言われれば、仕方がない、引き受けましょうと、こうなる。そういうことがないようにするために、国家公務員法なり地方公務員法なりができていて、給与、勤務に関する各条例も、その法に基づいて松本市なら松本市の条例ができておる。条例の中に、こういうことをやってよろしいということが書いてありますか。見なくたってわかる通り、書いてないのです。こういうことをやらせること自体地方公務員法の違反であり、市の条例違反じゃありませんか。この点はいかがですか。
  136. 今枝信雄

    説明員(今枝信雄君) 御指摘の事柄は、職員に対するいわゆる職務命令と申しますか、業務命令がはたして当を得たものであったかどうか、こういうことに帰すると思います。それで、先ほども申し上げましたように、職員の一人が言っているようなことが事実であるとすれば、それ自体が著しく当を欠くというふうには考えないのでございます。催しの内容自体が単に宴会を催すというような事柄でございまして、そういうふうな席にはべるような仕事を命ずる、こういうことであれば、これは著しく当を欠いたものである、こういうふうな考え方に立っておるのでございます。ところが、催しをやられました内容については、当方といたしましても詳細な調査はいたしておりません。いろいろと伺っておる程度の事柄でございまして、そのいずれとも決しかねるわけでございます。ただ、職務命令として、一般的に市の催す行事にいろんな接待役に出るということは、これはもう通常行なわれておることでございまして、そういう通常行なわれておるような接待役などの限度をこえておるかどうか、こういう判断の問題になろうかと思います。
  137. 占部秀男

    占部秀男君 そこで問題があるのですよ。あなたは今、通常の業務に対して、いわゆる市の催しものについて、受付あるいは接待等を行なっておる、そういうような限度をこえたものかどうかということは、その催しの内容を見てみなければわからぬと、結局そういうことになると思うのですが、その催しの内容については、確かにこの国宝の松本城を修理するについていろいろな、何というか、協力してくれたところの関係者を慰労するという形であることは事実である。慰労するなら慰労するで方法がある。市役所の中で祝賀会を開く場合もあるし、単に普通の料理屋に行って慰労をするという方法も、そのときそのときによってあると思う。国宝である松本城の中で、しかも文化財委員会としても、妥当ではない、文書によるところの措置命令もしくは勧告を出さなければならないのだ、そういうような内容を持ったところのこういう市の催しのあり方というものははたしてあるかどうか。こういう点は、自治庁であろうとどこであろうと、一定の常識があればはっきりわかる。しかも、松本の市長の談話によると、これは私が、個人がやった仕事である、いいですか、市でやった仕事ではないのだ、皆から三千円ずつ金を集めて、個人としてねぎらったというような、こういうようなことであった。個人でねぎらう宴会の席上で、女子職員を受付に出すこと自体が、今日公務員の制度のあり方からして正しくはない。いわんや御殿女中の風をさして酒間にはべらした。こういうことは、今日の民主主義国家の、しかも地方自治法に規定されておる地方自治の本旨からいって、自治庁として、やるべきことであるかやるべきことでないかということくらいは、はっきりとあなたはわかっておると思うが、この点はいかがですか。
  138. 今枝信雄

    説明員(今枝信雄君) 私申し上げましたのは、地方公共団体の主催する行事に職員が出る、こういう場合はあると、こういうことを申し上げたのでございます。個人的なものにもし出ておるということになれば、これはもう、公務員として仕事をしておるとはとても考えられないわけであります。もしそういうことであれば、これはもう単純なアルバイトをやっておるという事柄になると思います。その点は、実は私の方も、お断わり申し上げましたように、内容の詳細な調査をいたしておりませんので、いずれとも実は判断に苦しむわけでございます。
  139. 占部秀男

    占部秀男君 そこに問題がある。あなたは、市長の個人的な催しものであるならば、市の雇用関係のほかの問題である、単純なるアルバイトである、こういうように言うところに問題がある。単純なるアルバイトであるならば、市の職員を使う必要はない。芸者もおれば、このごろはほかから出てくる何とかいう、家政婦じゃない、何とかいうやつが松本にあります。松本婦人会というのがある。私は調べてきました。そういうところでは、市の行事をする場合でも、市の首脳部が宴会をする場合でも、そういうところから人を雇っている、しょっちゅう。それをせずに、市の職員をこういう所に、アルバイトか何か知らぬけれども、連れてくる。金をやったかやらぬかは私は今言いません。言いませんけれども、連れてくる。出る人は、市長さんの命令であるからといって出るのですよ。これは、降旗徳弥さんだから行こうというのじゃないのですよ。松本市長、降旗徳弥市長の話だから、これはやむを得ず出なければならぬ。そういうことのないために地方公務員法を作ったのじゃないのですか、根本的にいって。従来そういうような封建的な形が職員の間に行なわれておる。そこで、そういうことのないために地方公務員法を作り、国家公務員法を作ったんじゃないですか。しかも労働に対して、働く者に対して与えられるところの給与の基準にしても、職階制はわれわれは反対しておるけれども、職階に従って給与を与えるそのこと自体が、すでにもう市の職場以外の問題については、市長と市の職員との雇用関係はないのだ、そういうことのないようにしよう、こういうためにこの地方公務員法を作ったんじゃないですか。その点はどうなんですか。
  140. 今枝信雄

    説明員(今枝信雄君) 占部委員のおっしゃるように、公務員を私用に使うと、こういうことは、もう絶対にいついかなる場合でもあり得ないことだと思います。今回の場合が一体どれに該当するのか。市の行事であった場合には、公務員としての接待に当たる限度の問題になると思いますが、それから、個人的な催しであるということになりますと、これまた全然別個の問題として考えなければならない。それが単に全く両者の合意に基づいて出ておるということであれば、これはもういわゆる俗にいうアルバイトだということになります。しかし、そういうことでなしに、まあいわば優越的な地位を利用して、公務員をただ働きをさしておるということになれば、これはもう全く別の問題として、むしろ公務員制度、公務員法以前の問題として考えなければならぬ、こういうようなことであります。
  141. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、その事実が、今課長のところにわかってないというわけですから、私は、きょうはこれ以上は追及しません。事実を速急に調べて、いずれであるか、両者の単純なる合意の問題であるか、それとも地位を利用しての問題であるか、その点を調べて一つ、次回になるか、その次になるか、わからぬけれども、そのときに報告していただきたい。私どもは私どもなりにこれは調査網を持っておりますから、調査をして、そして一つその点を一致さしていきたいと思うし、同時に、後者の場合であったとしたならば——市長のそういうような使い方は、地方公務員法ができても、自治法ができてもまだまだあとを絶たないのですよ、あちらこちらで。それでこの際は、こういう大きな問題が起こったんだから、降旗さん個人については申しわけないけれども、全国の三十何万という地方公務員のほんとうのあり方のために、自治庁としては、はっきりしたやはり指示なり勧告というか、法に基づくところの権利があるのですから、そういう点をはっきりしてもらいたいと思います。これは、事実調べをしてから明らかにしたいと思いますから、本日は、これで一つ留保しておきます。
  142. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 午後一時半まで休憩いたします。    午後零時二十七分休憩    —————・—————    午後一時五十一分開会
  143. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 委員会を開会いたします。  北海道における固定資産税減収に対する国の財源措置につきまして、米田君から発言を求められております。
  144. 米田勲

    ○米田勲君 僕は、委員長に最初にお伺いしたいと思うんですが、こういう委員会で、僕らが大臣だとか政務次官だとか局長にいろいろなことをお尋ねする。その答弁は、とにかく、最善を尽くして実行に、行動に移されなければならぬものである。そういう責任のある立場で答弁が行なわれておるのだというふうに私は理解しておる。これは私の理解が正しいでしょうね。
  145. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) その通りだと思います。
  146. 米田勲

    ○米田勲君 そうでしょうね。それじゃ、自治庁の政務次官も来られておりますから、お聞きしますが、八月十日と九月十日と二度にわたり、九月十日のときには、大蔵政務次官にお尋ねしたわけです。八月十日の委員会では、私質問をいたしまして、石原大臣も同席をしたところで、税務局長から御答弁をいただいた。問題は、今委員長がお話されたように、固定資産税制限税率を引き下げた減収分に対する保障問題なんですが、問題は、三十五年度以降のことが今北海道の町村では大へんな頭痛の種になっておる。それで、三十四年度の分の減収について措置をされたときに、三十五年度以降については、附帯決議で、検討を加えることになっておりましたが、そのときに、私はこれは速記録も見たんですが、私の記憶しておる通りであると確認して今お尋ねをするわけですが、三十五年度の減収分に対する補てんは、いつの実績で算定をされて補てんをなさるのか。実際は、北海道の場合は、他の府県の場合と違って、開発途上にありますから、固定資産税の税収の見込みは年々増大をしていくということは常識的に考えられるわけです。そこで、三十五年度の減収分の見込みは、いつの時点でその実績を押えてなさるのかということについて私はお尋ねをしたところが、三十五年度は、三十五年度の推定実績によって見積もる。そしてぜひ補給金として、この減収分については向こうでめんどうを見てもらうように、一つ関係の方に折衝しよう、こういうことだった。私はそのときに、皆さんも記憶しておられると思いますが、三十六年度、三十七年度は、実績に応じてやってほしいというようなことに対して、税務局長がそれに同感の意を表したときに、石原大臣は、そう十年もそんなことをやられたのではちょっと困りますねという、笑い話のようなお話があった。しかし、少なくとも三十五年度、三十六年度という減収に対する財源の補てんについては、非常に積極的なお話であったというふうに私は記憶しております。それから、九月十日の常任委員会のときに、大蔵政務次官にお聞きをした際には、私の言っている気持に沿うような積極的な、とにかく努力をぜひ払いますという、非常に誠意のあるお答えをいただいた。ところが、最近になって、北海道の市町村長がわんさと詰めかけてきて申すのに、いや、自治庁に行ってお聞きをしたところが、大蔵省には、三十五年度分はその八割、次は六割、だんだん行ってゼロにするという方針のもとに、当面八割の折衝をしておる、こういうことをお聞きしたのですが、それは事実なんですか。
  147. 丹羽喬四郎

    政府委員丹羽喬四郎君) ただいま米田委員からの質問でございますが、私どもといたしまして、当委員会で申し上げましたことに対しましては、極力その実行ができるように努力することは当然のことでございまして、ことに、北海道の固定資産税の減税に対する減収補てんの問題につきましては、私どもも、あの当時におきましては、衆議院におきまして地方行政委員をしておりまして、その補てんにつきましては、わざわざ総理官邸まで押し寄せて参りまして、努力をした次第でございまして、北海道の財政実情の苦しいことは十分わかっておる次第でございます。実際問題といたしましては、何とかして補てんをしたいというような気持を持っております。おそらく八月の何日かに、前の局長の金丸君が、委員会委員の皆様に、ぜひそういうふうにしたいということを言ったのも、やはり何とかして補てんをして、穴を作らしたくないという気持の現われで言ったに違いないと思う次第であります。しかしながら、実は私どもといたしまして、あの当時からいたしまして、一応起債でこれをまかないまして、元利補給を国庫でやるというような補てんの態様というものは、いかにも、減税をしたという趣旨からいきまして、これを長く続けることは、どうも態様からいたしましても適当でない。何かほかに財源措置を講じなければならないということは、かねがね考えておるところでございまして、従いまして、これらはどういうふうなことでやったらいいかというので、今回私ども、委員の皆様の御意向も伺いまして、そうして検討いたしましたのが、減収補給金制度というものを作りまして、そうして大蔵省と折衝いたしまして、これを認めさせよう、こういう努力を今続けておる最中でございます。しかしながら、まあその後の状況からいたしまして、御承知通りに、非常な災害等が起こりまして、地方団体の財政支出はふえる一方でございます。従いまして、また、来年度の財源措置というものが非常に困窮を加えつつある次第でございます。かたがた、大蔵方面といろいろ折衝いたしておりますると、来年度の補給につきましては非常な難色を示しておる。また、補給の態勢からいたしましても、昨年と同様な起債によって、そうしてまた元利を補給するという道は、私どもそう考えておりますが、大蔵省でも、これはどうも認めにくいというようなところでございまして、どうしても先ほど申し上げました補給金制度にしてやらなければならない。しかしながら、補給金制度というものは特殊の制度でございますので、長らくこれを恒久的に認めさせるわけにいかぬ、ほかの財源を一面において探しつつ、また一面におきまして、税の自然増収というものを見込みつつ、漸次これを拡大して参りまして、そうしてこれを、そういうことをしなくても、今までの財政需要に合うように北海道の市町村の財政がたっていくということが一番望ましいことでございます。それをするためには、どういたしましても、今回まあ十割を出したいところでございますけれども、十割を出しましても、はたして通るかどうかということを非常に検討いたしまして、せめて八割は、もうぜひとも、どんなことがございましても、委員の皆様の御協力も得ましてこれを取りたいという考え方を持ちまして、ただいまこれを、補給金は三十四年度を基準といたしまして八割を一つ要求したい、これの貫徹方に懸命な努力をする、これがまあ今日の実情でございます。
  148. 米田勲

    ○米田勲君 ただいま事情については承りましたが、いろいろ自治庁の大蔵省に対する折衝には困難があるとは思いますよ。しかし私は、この委員会でこの問題をお聞きした際の自治庁方針、それからそれを受けて立とうとしておる大蔵政務次官の発言、そういうものから考えていって、これは折衝に困難があるという予想は、一応それを認めるとしても、八割に切り落として折衝を始めておるということは、これは約束が違うと私は言いたい。約束が違う。しかし、私らとあなた方との約束が違うなんという、そういう問題であれば、これはまあ話し合いで解決がつきますが、その約束の違いというのは、あげて、北海道の市町村長が困難な財政の状態の中で非常に困った状態が作り出されることが、その八割に減らされたことによって起こるということを考えたら、私は、単にこの前の話と違うではないかということだけでは事が済まないように思う。大体固定資産税制限税率を引き下げるということを国がやるなら、それに見合う財源というものを必ず片方に与えながらこれを切り下げていくというなら、これはよい政治ですよ。こっちの方の、与える方のかわりの財源はまだ検討中で、海か山かわからない。それなのに、こっちだけは下げてしまう。これだと、まあ三十四年度分は配慮をいただいたが、これからあとは、年々ひどい目にあう率が強くなる、こういうことですから、私は、あなた方の方の約束の手前もあるし、少なくともそのかわり財源が確実に見通しがつくまでは、とにかく少なくも、まあ三十四年度の実績とは言わないが、三十四年度の十割分に相当するものをとにかくことし三十五年度でやってもらって、そのかたわら、鋭意かわり財源に努力をしてもらって、八割にし、六割にしていく——見合ってですね、こういうふうにぜひしてもらいたい。それがまあ、あなた方もわれわれと約束した立場だし、われわれの知らない間に、話と違うことの折衝が行なわれているというんじゃ、はなはだ不本意なんですが、ぜひこの際、もう一ぺん交渉の方針を巻き返して、とにかくこの問題はそう莫大な、何十億、何百億というんなら、これは私もそう無理なことも言えないと思うが、たかが五億か六億でしょう、総額で。しかし、金としては五億か六億ですが、町村の小さい財政規模の中では、もう二百万、五百万という金がまるっきり痛いんですよ。そういう事情考えていただいて、今交渉しておるその方針を改めて、委員会で約束なされた通り、少なくも三十五年度に対しては十割と、そしてその間時をかせいで、かわり財源の努力をする、それの見通しがつき次第これを漸減していくと、こういうふうにぜひしてもらいたいし、そうなければならぬと思うんですが、いかがですか。
  149. 丹羽喬四郎

    政府委員丹羽喬四郎君) ただいまの米田委員の御論旨は、もっともでございますけれども、私ども一番苦慮しておりますのは、実はそれとやはり同じような関連でございますが、私どもも、減税をするのにやぶさかではございませんけれども、あらゆる税の減税ということは、国民の福祉の点から考えまして、これはけっこうなことでございますし、やぶさかではございませんが、その財源の補給というものを国に保障していただかなければ、これはなかなかむずかしいことでございます。私どもといたしまして、地方財政のことをになう立場から申しましては、非常に苦慮しておる次第でございます。この点につきましては、住民税の今度は減税の問題がある。これを国が約束いたしまして、それで、大体におきまして百二十億にのぼる本年度から減税になる。これの補給の道もまだ立っておりません。これもどうかして、私ども、先生方のお力も借りまして、それで獲得したい、こう思っておる際でございます。私ども、ほんとうに弱気のようで、おしかりを受けてはなはだ恐縮でございますけれども、北海道の固定資産税の減税補てんの問題につきましては、どうも特殊の、と申しますとはなはだ恐縮でございますが、地帯だけに、減税補てんをただその種目だけで長く続けるというのは、建前上からいたしまして、非常にやはり筋が通りにくい困難性も多々あることでございます。漸次これは合理的な方面で財源の補てんを考えていかたくちゃならない。それがためには、やはり現実的に見通すためには、少しやはり譲りまして、具体的の問題といたしまして、市町村で特別にそれがために穴が非常に大きくなったというような点につきましては、その財源その他の勘案をするという具体的の措置は、ぜひとも講じたいと思っているわけでございますが、どうしてもこれを打ち切らさないようにやるためには、どうしてもやはり今の私どもの要求、これを大いに貫徹させるということが、事務当局その他との折衝の考え方からいたしまして、やむを得ないのじゃないかというふうに考えまして、ただいませっかくそういうつもりで懸命な努力を続けているところでございますから、御了承いただけたら、こう思う次第でございます。
  150. 米田勲

    ○米田勲君 私は、この個人なり法人の税を軽減をしていくということは、よい政治だと思いますよ。しかし、自治体が財源をやはり税収によって求めているのですから、個人や法人の税を軽くしておいて、それでその負担の道を国が講じないとすれば、自治体自体は、住民に向かってまた何か無理なことを考えなきゃならなくなるのですよ。だから、左のほっぺたはなでてくれるけれども、右のほっぺたはぶんなぐられるというふうな、そういう妙な現象ですよ、これは。だから私は、補給金を、まあ五年も十年もというようなむちゃなことは申し上げないが、しかし、当面として、三十五年度はぜひ三十四年度のような努力をしてもらって、その一年の間に、何とか町村の負担にならないようなかわり財源を見出だすことに努力をしてもらって、それのめどのついたところで漸減方式を採用していくというふうにぜひ改めてもらいたい。まあ折衝に困難なことはよくわかりますよ。しかし、北海道のあの寒い所で、貧乏な町村の財政を切り回して苦労をしている、そういう住民や自治体の責任者の立場も考慮していただいて、ぜひ三十五年度も三十四年度と同様の措置で、もう一ぺんがんばっていただきたい。その一年の間にぜひかわり財源について努力をし、今自治庁考えているような漸減方式を採用する、こういうふうにぜひ改めてほしい。どうですか。
  151. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) この北海道の固定資産税制限税率引き下げに伴う補てんの方法につきましては、先ほど来米田さんから御質問のように、米田さんの御意見のような考え方も当然私はあると思います。また現実に、八月十日の当委員会における金丸前局長のお答えも、事実その当時は、自治庁といたしましては、全額補てんの方法で行きたいという、そういう考え方が一方にあったわけでございます。しかしながら、さらにいよいよ予算を提出するという段になりまして、各方面と意見を交換した結果、検討いたしまして、やはり減税のこの趣旨というものから考え、やはり一般会計で、予算面上恒久的に金が出ていくのだというやり方であっては、これは、減税の趣旨という面から見てはたしてどうであろうか。他方現実に北海道の市町村の実情を見た場合に、さればといって、減税しっぱなしというわけには、これはとうてい参らないわけで、やはりこれは、何らかの形で補てんをせざるを得ない。その場合に、恒久制度というのでは、減税の建前からいかがであろうか。やはりこれは、暫定制度として大蔵省当局に要求せざるを得ないのではないか。そこで、しからば暫定制度になったときに、具体的に、北海道の市町村がどうなるであろうかということも、私どもは検討をいたしたのでございますが、やはり実際の一体固定資産税の北海道における三十四年度、今年度ですが、それと三十三年度との比較が一体どうなっているであろうかというようなことも検討いたしたのでございますが、まず八割見当補てんをするならば、市町村が行政を営む上にどうにもならぬといったような状況にはならないのではないかという数字が実はあったのでございます。そういうことも考え、つまり自然増収でございます。さらにまた、御承知通りに、現在固定資産につきましては、固定資産の評価制度委員会ができまして、全面的に固定資産税制度についての改革が近く行なわれるというような点等も考慮いたしまして、あれこれ検討の結果、やはりこれは、漸減方式による減税補給金の制度がよかろう、こういうことに相なったような次第でございます。もちろん、私どもとしては、この漸減方式による補給金すら、減税の建前というようなことから、なかなか実際問題としては予算の獲得に困難を来たすのではなかろうかということで、私どもは、ぜひこれだけは取りたい、かように考えておる次第でございます。  なお、先ほど政務次官から住民税の問題のちょっとお話が出ましたけれども、私は、住民税の減収補てんというものは、これはやはり全額補てんで行ってもらわなければならぬものであるというふうに考えております。と申しまするのは、住民税につきましては、国税の所得税の減税をそのままおきましても当然受けるこれは減税でございます。また、従来からの例に徹しましても、所得税なりあるいは法人税なり改正がございますれば、これはやはり住民税につきまして、所得割額についてこれははね返しを従来いたしておるのでございます。ところが、本年度の所得税減税に伴う住民税の減収については、はね返しはやらない。その分は住民に返してやる。ただし、その前提として、減税補てんについては、これは十分考慮する、こういうことになっておりまするので、その点は、この固定資産税の場合と若干事情が違っておりまするので、私は、住民税の減税は、これは補てんということ々前提にしなければ私は事実問題としてできない、こういうように考えておりまするので、つけ加えさしていただきたいと思います。
  152. 米田勲

    ○米田勲君 私は、ただいまのお話をお聞きしても、なお納得できないのです。実は、私はもっと強いことを言いたいぐらいなのです、気持は。これはどうも、知らない間に私らの聞いた話と違うことが行なわれているということ自体、私は非常に言いたいことがある。しかし、そういうことを今申し上げてもしようがないと思うから、るる事情を説明して、考え直してもらいたいということが、当面して私は、半分はお願いですね、これは。今の自然増の見通しをにらみながら、八割見当で大体行けるだろうということを自治庁の方ではおっしゃるかもしれませんが、実際自治体の実情を見ますと、自然増を見ながらやらなければならぬ、学校の改築あるいは道路を直す、水道をどうするとかいう、そういうことを、細々ながらふえてくる自然増を頼みにしてやっているという実態でしょう。その自然増まで見られて、そうして大体八割で行けるだろうというふうに考えるのは、あまりにも愛情のないやり方ですよ、そういうやり方は。そうして固定資産税のまあ税法そのものは近く改正の見通しがあるというなら、そういうなら、三十五年度だけは、これは何も恒久的にと主張するわけじゃないのですから、二年間ぐらい、その従来の分を見てやっても、私は恒久的に見てやったことにはそんなものなりゃせん、もう一年十割見ても。その間にあなた方は、固定資産税改正か、もしくはかわり財源について見通しをつけてもらったところで初めて漸減方式を採用するか、またはその他の方式をとる、こういうのならば話はわかりますがね。どうもどの話を聞いても、何としても私は納得できないのです。一回もあなた方の方で、この問題について積極的な話を御答弁なさっておらぬのならば、私だけからの頼みだということになるのだが、これは明らかに、長官のいるところで、税務局長がはっきりした積極的な答弁をし、それだけで私心配だったので、大蔵政務次官にまたその次の月に聞いて、私の気持を千分に体して、積極的にがんばりますと言って答弁をしてもらっているのです。書いてある、この中に。それなのに、交渉の前途が不安だから、見通しがないからと言って、いきなり八割で折衝を開始していることは、私はどうしても考え直してもらいたい。どっちから考えてみても、その額は莫大ではないのですよ。ところが、その十割にするか八割にするかということは、国の立場から見たら大した額じゃないのに、それだけのものを今減らして、そうして市町村長青くなって東京へかけつけてくるといったようなかわいそうなことを、せっかく減税という愛情のあるよい政治をやった一方に、こういう措置をして自治体を苦しめるということは、僕は何としても政府の措置として正しくないと思う。だから、約束もあるし、従って、三十五年度だけはぜひ方針を変更して、十割をとにかくやってもらう。しかしそれは、恒久的にそういうことをわれわれが主張するものではないということだけは条件として、ぜひそうしてもらいたい。どうですか、政務次官。この際政治的に、一つこの問題を積極的に作戦を切りかえて交渉して下さいよ。
  153. 丹羽喬四郎

    政府委員丹羽喬四郎君) ただいまのお話、十分よくわかるのでございまして、私どもも、できればそういうふうにしたいという気持もないことはないわけでございますが、しかしながら、実は昨年でございましたか、あの起債を認めさせまして、元利補給を認めさせましたときもあの困難さでございます。これは昨年だけというようなことで、大蔵省についに認めさしたわけでございますが、今度の減収補給金制度になりますと初めて認めさせる制度でございますので、やはりこの全額まるまるということでは、この制度を認めさせる上からいっても、非常に私ども困難が来るのじゃないかと、確かにおっしゃった通り、私どもしょっちゅう自治体に関係しておりまして、あるいは下水道の問題とか、いろいろの問題で、どうしても行政水準を上げる上からいたしましても、順次施設がふえて参るということは当然のことでございまして、それがために財源をどんどんふやしてやりたいということは当然なことでございますが、どういたしましても、今回切りかえまして補給金制度を認めさせなくちゃならぬ。認めさせて、どうしてもわれわれが要求したものは貫徹させなきゃならない。貫徹させるのには、どうしても漸次これは減らしていく、必ずしも六、四、二というふうに固執するわけではございません。また来年度になりましたらば、そのときの状況によりましてどういうふうにするか、あるいはそのときの財源の付与というものをどういうふうにするかでございますが、ともかくも本年度この制度を認めさせるためには、どうしてもやはり全額ではむずかしいということで、これだけ私ども誠意を示すのだから、ぜひ大蔵当局もこの制度を認めろということで、地方全体かかりましてこれを認めさせよう、せっかくその決心で努力をしているところでございます。将来も続けるつもりでございますので、御了承願いまして、そうして一つ御鞭撻のほどをお願いしたい、こう思うわけであります。
  154. 米田勲

    ○米田勲君 紙が回ってきて、鈴木先生の御質問の時間があるということでありますが、僕は、最高の責任者である大臣が見えてから、あらためてまた聞きたいのです。私は、今お答えになっておられることは、何としても納得できない。立場はわかりますよ。作戦もわかる。しかし、北海道の事情からいって、何としてもこれは納得できません。だから、あらためて大臣に出席をしてもらって、前の答えに沿う責任のある答えをぜひいただかなければならない。この次まで保留します。
  155. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  156. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。
  157. 西田信一

    ○西田信一君 私は、ただいまの米田委員の質問に関連いたしまして御質問いたします。時間がないそうでありますから、私は簡単に質問をいたしますが、答弁は、一つ要点に触れてお答え願いたい。  まず、地方税の減税ということ、これは、いろいろ減税を実施するためには、条件なり理由なりというものが整備されなければならないと思うんですが、地方税の減税について、どういうふうに自治庁ではお考えになっておられるか。基本的な考え方をまず一つお伺いしたい。どなたでもけっこうです。
  158. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 三十五年度の……
  159. 西田信一

    ○西田信一君 いや、三十五年度に限りません。減税というものは、どういう条件が整ったらやるかということです。
  160. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 減税の考え方といたしましては、財政需要の面と、出該現行の法律に基づく税収とのバランスを見まして、税収が自然増が相当多くなってくる、こういうふうになって参りますと、これは、行政費の増高等ともにらみ合わせまして、自然増の一部は行政費の増高に当てる、一部は納税者に還元する、これが根本的な私は考え方であろうと思いますが、さて、地方の財政の状況から見ますというと、現在の地方税制は、国の税制とよほど建て方が変わっておりまするので、これは、国の減税に即応して、そのままの形で地方の減税をやるということは、これは私は、とうてい困難であると、かように考えております。
  161. 西田信一

    ○西田信一君 私のお聞きしたいのは、その減税をやる場合には、その理由と、それだけの条件が整わなければ、たとえば減税をやる余地がある場合、あるいはまた、そういう余地はないが、特に別な理由で、何らか政治的な配慮によって減税を行なうという場合とがあり得ると思うんですが、そういうふうにお考えでございますか。
  162. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 一般的な減税の場合と、政策的な理由による場合とございますが、後者の場合は、これはいわゆる租税特例措置になろうかと思います。
  163. 西田信一

    ○西田信一君 そこでお聞きしたいのですが、これは、政務次官もよく事情は御承知かと思うのですけれども、昨年の固定資産税制限税率の引き下げ、いわゆる固定資産税の減税は、どういう理由で行なわれたというふうに自治庁は把握されておられますか。
  164. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 政務次官、税務局長、いずれも昨年の制度改正の際には御在任になりませんで、私は当時から在任いたしておりますので、はなはだ僭越でございますが、かわりまして当時の趣旨を御説明さしていただきたいと思います。  御存じの通り、昨年の三月末現在でございますが、当時全国四千近くの市町村がございました中で、固定資産税の標準税率をこえまして課税をいたしておりまする団体は、圧倒的に北海道、東北に集中しておったわけでございます。特に、当時この標準税率は一・四%、制限率税は二・五%でございますが、一・四%の五割増し、すなわち二・一%をこえる市町村が全国で百七十七ございまして、その百七十七の市町村の九割までが北海道、山形、そういった所に集中いたしておったわけでございます。で、そういった市町村にいたしますというと、そういう市町村では、結局財源が稀薄でございますし、かたがたそういう所には、また税率が高いものでございますから、企業もなかなか参らない。そういうことで、いよいよそういう固定資産税の税率が高いことがその土地の発展を妨げている、こういう趣旨もございまして、それで、固定資産税制限税率を五割程度、標準税率の五割増し程度、すなわち二・一%まで引き下げる。それによりまして住民の負担の軽減、全国的な均衡化をはかる、こういう趣旨であったわけでございます。
  165. 西田信一

    ○西田信一君 私もそのように理解しておりますが、さっき第一問でお答えを願って、いわゆる財政的に余裕がある、こういう減税ではなくして、そういう特殊な、住民の負担を軽くし、それによって、産業の振興をはばんでいるものを、これを産業の振興をはかっていこう、こういうところに昨年の減税の理由があったというふうにただいまお答えがあったと思うから、その通りだろうと思うから、そのように御認識になっていることはけっこうです。従って、余裕のないところに減税をやっただけに、これに対するところのいわゆるかわり財源の措置というものが必要になったわけであります。そこで、いわゆるそのための措置といたしまして、昨年は、国が元利補給をするという特例差を認めたということになったと思うのですが、その点はどのように御認識になっておりますか。
  166. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) そういう観点で、私どもとしては、減税の減収補給金を主張し、ざっくばらんに申しまして、その主張が敗れて、変則ではございますが、起債によってその減収を補てんをし、元利を国が補給する、こういう形になっておるわけでございます。
  167. 西田信一

    ○西田信一君 そこで、しからばその減税補給ということは、これは、その最初の減税を行なった理由から申しましても、これは当然必要であるということはお認めになっている。そこで、ただいま米田委員との質疑応答を通して明らかになりましたように、そういう理由から減税をし、そういう必要を認めて、減税相当額に対する特例差を認めたにかかわらず、今度はこれをたった一年で、二年目からこれを引き上げていこうということは、これは何としても、当初の減税の理由あるいはまたそれに対する財源補給のこの理由からいたしまして、これは完全に他の財源によって別途補てんをされない限り、これは私は妥当でない。ことに、そのことを信じて、この減税に協力した北海道の市町村の立場というものは完全に無視されたというふうに思うんですが、何かそこに、自然増があるとか何とかいうようなお話がありましたけれども、私は、これは単なる言葉であって、実際にかくかくのあれがあるからこうであるということにはならないと思うし、それから、そのほかに多少他の税収の伸びがあったといたしましても、私がお聞きしたいんですけれども、いわゆる北海道の財政需要というものは、それ以上に大きくなって参っておる。こういう面からいたしまして、これは私は何ら理由にならないと思う。そこで、この減税相当分に対する将来の政府の対策というものは一体どうなんだということをこの際伺わないと、私どももその当時国家的な意味における北海道の将来を考えた減税というものが、それがたった一年でくずれ去ってしまうということは、われわれも承服できないのです。それについては、どういうふうにお考えですか。
  168. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 今回の固定資産税制限税率引き下げに伴う減税の必要性というものは、これはお説の通りでございます。これは、何とか補給をして参らなければいけないものである、かように私も考えております。ただ、私どもの考えは、その際やはり三十三年、三十四年のこの固定資産税の北海道における税の伸びというようなものも考え、さらには減税という考え方というような点も考えて、漸減方式をとったのであります。この点について先生方の御意見のような有力な考え方があることは、私も重々わかっております。わかっておりますが、私どもとしては、先ほど来お答えをいたしましたような考え方で予算の要求をいたしておるのであります。そこで北海道の各市町村の税の課税状況を見ますというと、一部の市を除いた大多数の市町村が超過課税をいたしております。ここらにも相当私は問題があろうかと思いますが、全国的に見ましても、財政力の稀薄な地方団体につきましては、これは、やはり何らかの形で、地方財源の充実の方図を講じていく。これを私どもは究極の目標としてやらなければ、問題の解決は実はなかなかできないのではなかろうか。私どもも、現在政府にできております税制調査会におきましても、極力そういう面を主張いたしまして、将来の税制の改正の際に、財政力稀薄な地方団体に、できるだけ独立の税源もしくは調整の財源を付与していくという形で現在の地方財政の窮状を打開して参りたいということで、現在せっかく努力をいたしておりますが、根本的には、そういう面もやはり考えなければ、これは解決が困難ではないか、かように実は思っております。
  169. 西田信一

    ○西田信一君 一般論としては、今のお説はわかりますが、これは、特定のきめられた市町村に対する減税が現実に行われておる。これに対するつまり補給でございましょう。従って、その限られた、限定された該当市町村に対するところの財源補てんがされなければならないのでございまして、一般論では律せられない問題だと私は思う。そこで、先ほどからお話を伺っておりまして、非常に私も残念に思うのですが、少なくともこれは、該当市町村に対する財源の、一般的なものじゃなくて、別途補てんというものが保障されない限り、私はやはり、その当時の一つの政府の責任として、公約の責任として、これは途中でこういうふうに二年目から引き下げる、さらに将来にわたって漸減をしていくということは、これはとんでもないことであって、私は、あなたが御存じになっておるかどうか存じませんけれども、二、三年前に北海道で木材引取税を軽減したときに、これを完全補てんするという約束がたちまちくずれてしまっておる。そういうことからいたしまして、それがさらにこういう問題が北海道に重なっていくということは、市町村にとっては、これはとても精神だけのことばかりでなくて、実際の市町村の財政の上から、耐えられないというふうに考えるのですが、どうでしょう、財政局長。北海道の例を見ましても、十分やっていけるというお見通しでございましょうか。北海道の財政の実態はどうなっているか、わかっておりましょうか。
  170. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 御承知のように、北海道の税負担が重いということは、やはり他の地方よりも財政状況が特に窮屈だということは言えると思います。問題は、その原因それぞれについて十分な手当をしていくことだと思うのでございまして、それについては、補助事業につきましても高率な負担をしていく。しかし、地元の意見を聞きますと、開拓関係の経費を地元がずいぶん負担を単独でやっているのだ、そういう点についてのめんどうを見ろというような話もございます。あるいは負担率をもっと上げろというような問題もございます。また、地方交付税の制度の面につきましても、寒冷補正等の面を通じまして、ある程度財政事情を特別に見ておるわけでございます。しかし、それら全体の施策がなお徹底を欠いているのじゃないか、こういうふうな御議論が十分あると思うのでございまして、それぞれの問題につきまして、それぞれの機関において常に検討を加えておることでもございますし、自治庁といたしましても、当然将来とも検討を十分加えて参りたいと考えておるわけでございます。
  171. 西田信一

    ○西田信一君 抽象的なお答えですがね。私のお聞きしたいのは、ただいま、当面問題になっている固定資産税の減税補給という観点に立ってお聞きしておるのですが、こういうような、自治庁方針でこうやっても、それは市町村は財政上困窮しない、困らないという保障がつくかどうかということをお聞きしたいのです。
  172. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 団体によりましてやはり両方あろうと思います。従いまして、その結果、あるいは特別交付制度の運用等をもちましてさらにめんどうを見るというような措置も必要ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  173. 西田信一

    ○西田信一君 政務次官にお伺いしますが、これは、私どもの主張、考え方というものは否定されておらない、もっともである、しかしながら、先ほどからのお答えによると、大蔵省との折衝上必要な手段としてやむを得ないのだ、こういう御答弁のようでありますけれども、これでは、その影響を受ける関係市町村が納得できませんわ。政府だけでなくて、われわれもやはりこれに対する、そういう減税を制度上やったということの政治上の責任というものもあると思う。従いまして、これは、ただそういう便宜的な考えでこれを終末をつけるということも、われわれも立場上できない。でありますから、少なくともこの問題についてはもう一度、米田君も申されましたように、政府といたしましては再考していただきまして、少なくともこの問題は、政府の一時的な言いのがれみたいなことでお茶を濁すというようなことでは、これは相済まぬと思いますし、私ども北海道の実態を知っているだけに、こういう問題は軽々に、そう簡単に片付けるわけには参らぬ。われわれも責任を感じておりますから、ぜひ再考を促しておきたいと思います。きょうは、のちほどまた大臣とも御相談の上、しかるべく一つこれに対して御再考を願っておきたいということにいたしておきます。  それから、いい機会だからお聞きしたい。ただいま、いろいろ自然増からカバーできるだろうという御意見がありましたけれども、私は、それ以上に、やはり逆に、北海道の開発事業というようなものはどんどん国策として進められておる。従って、国の開発予算が増額すると同時に、これにつれて市町村あるいは都道府県のこれに対する公共団体の負担というのは非常に激増して参るということになっている。従ってこれに対して、国策的な北海道の開発に対する地方公共団体の協力ということは当然でありますけれども、財政的な面において、これはついていけないということは事実なんです。これに対しまして、むしろ、何といいますか、基準財政需要額の中に、そういう開発予算の地方負担というものは当然求めるべきであるという、こういう主張が非常に強いわけである。この問題は、今の問題とは直接の関係はございませんけれども、北海道の市町村財政に対する重大な関係のある問題でありますから、一つ政府としては、これはどういうふうにお考えになっているか、この問題をどのように扱おうとされておるのか、一つ御見解を承っておきたいと思う。
  174. 丹羽喬四郎

    政府委員丹羽喬四郎君) ただいま西田先生からのお話でございますが、先ほど来私るる申し上げました通り、確かにこれは北海道だけでございません。地方団体が行政水準を高める、文化地域社会を作るためには、どうしてもやはり支出の増大することは当然のことでございまして、自然増は、まだ今の状態では幾らあっても足りないというふうに私ども考えている次第でございます。しかし、一方におきまして、固定資産税制限課税の問題は、やはり北海道の開発から申しましても、それからまた、納税者の立場からいたしましても、これは何とかやはり普通の府県並みにさせなくちゃならないということも、また当然のことでございます。ただ、それの補給を、特殊と申しては恐縮でございますけれども、ただ固定資産税制限課税を低めるということによりましての補給をいつまでも、やはり、たとえば一時的な元利保証による起債の制度とか、あるいはまた補給金制度でやるということは、いかにいたしましても筋道からいくと通らない。これはぜひほかの財源を付与するとか、いろいろな方法を講じまして、北海道に強い財力を与えるという方途につきましては研究しますとともに、こういったような変則的な制度はできるだけ早く解消したいということも、やはり一つの筋道でございます。やはり変則的の建前でございますというと、われわれが折衝をいたします場合におきましても、なかなか相手方も言うことを聞かないということも当然でございまして、実は、ただいま自治庁におきましては、未開発地帯における国庫負担と地方負担との区分を非常に考えておりまして、たとえてみますと、これはまだ熟しておりませんけれども、東北地帯であるとか、あるいはまた九州地帯であるとかいうような特別開発地域というものは、御承知通り、議員立法その他でできておりますけれども、さらに、ほんとうの意味におきます、北海道はもちろんでございますが、それを含めました未開発地域をあるべき行政水準まで持っていきたい、その財源をどういうふうに付与しなくちゃいかぬかということを、全面的に今財政局に検討さしている次第でございまして、そういうものを兼ね備えまして、北海道にぜひ財力をつけたいということを念願をしている次第でございます。御了承願います。
  175. 西田信一

    ○西田信一君 これで終わりますが、ただいまの御答弁で大体わかりますけれども、私が申し上げますのは、単なる行政水準の向上ということだけでなくて、国策として国家が取り上げている。これは北海道に限りませんよ、しかし、私は北海道のことを例に申しているのです。北海道の開発ということは、国策として取り上げている。こういう事業には、地方公共団体もその立場において一部負担をしなければならぬ、協力しなければならぬという立場にあるわけです。従って、特殊な開発のための経費というものが必要なんです。一般財政需要以外に必要である。こういうものは必然基準財政需要額の中に含めて、そうして財源措置考えてやることが当然であるというふうに考えるわけでございまして、こういう点について、自治庁はどういうお考えかということをお聞きしたかったわけでありますが、大体においてお答えを承ったようでありますけれども、こういう点を明確にしてもらいたい。こういうことに対してもう一度。
  176. 丹羽喬四郎

    政府委員丹羽喬四郎君) ただいまの開発は、原則的には国費によってやるということに大体なっているようでございますけれども、しかしながら、北海道の交付税の算定におきましては、面積あるいは道路その他につきましてやはり算定基準に入れております。これらの点につきましては、ほかの公共団体よりも、よほどそういう算定の基準におきまして上回るものが出てくるというふうに思っている次第でございますが、まだよく検討させまして、できるだけ合理的な方法で財力をつけるということには検討したいと、こう思っている次第であります。
  177. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) それでは、ただいまの固定資産税の減収に対する財源措置についての質疑は、今後適当な機会にさらに行なうといたしまして、本日はこの程度で打ち切ります。   —————————————
  178. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、厚生大臣が出席せられましたので、災害対策に関する件及び国民健康保険の運用に関する件を便宜一括して議題といたしまして、質疑に入ります。
  179. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 最初に、災害救助法関係のことについてお尋ねいたしたいと思います。これは、一つは、私ども委員会で主として考えていかなければならない地方財政という立場から、災害救助費あるいはそれに関連する費用の国と地方との負担の問題、こういうことが一つと、それから、この機会でございますから、災害救助の実際問題について一、二お聞きしてみたいと思います。  そこで、先般の大きな災害があったこういう際に、地方の団体からわれわれに、現在の災害救助法というものが非常に実情に即さない点が多い、特に救助の種類あるいはそれに対する財政的な面での問題で、非常にいろいろな実情を訴えられるわけなんですが、これは当然厚生省としては、こういう点についてはお考えになっておられることと思いますし、あるいはまた具体的に、こういう点はこういうふうに改めなきゃならぬというふうに考えられておる点もあるのではないかと思われるわけであります。先般の災害の際には、一部その救助の実際の費用の問題等について、基準を引き上げられたところもありますし、そういうような問題について、総括的に現在考えられておりますところを承りたいと思います。
  180. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 御承知のように、この災害救助法の発動は、府県知事が地域を指定いたしまして、市町村を指定いたしまして発動いたすのでございます。それに基づきまして、私どもの方は自動的にこれを承認し、予算措置も、これは大蔵省が当然これを認めるという内容になっておるような次第でございます。このたびの災害におきまして、私どもが、災害救助法の内容におきまして、たとえば仮設応急住宅であるとか、あるいは食事用の単価、それらのものにつきましても、五十円から九十円までの値上げをし、あるいは住宅の場合におきましては、単価八万円を十万円までといたしました。あるいは衣類の追加支給等も講じたような次第でありまして、その他これに準じました措置といたしまして、舟艇あるいはまた濾水器、あるいは給水車等に対しまするところの予算措置も、その場合に応じまして十一種に、さらにこういうようなものを手かげんをいたしまして、救助の対象といたしたような次第でございます。
  181. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 お話のように、今次の災害にあたって、私先ほどもちょっと触れましたが、いろいろ単価の引き上げ等をやっておられるのでありますが、しかし、今回取り上げられました救助の種類並びに単価の引き上げ、これでもって、他のものについては従来通りでいいかどうかという問題も、私検討されなければならない時期に来ているのじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけです。たとえば、これは、今の大臣のお話のように、たき出し等の費用については、現在の法では基準は五十円だ、それを七十五円ないし九十円まで引き上げてやることができるようになりましたが、これは今回だけのものであるのか、恒久的にこういうふうに基準の引き上げをするというのか、さらに、いろいろ見ますと、たとえば野外仮設の場合の費用の問題、あるいは埋葬費も、どうも二千二百円程度では間に合わぬ、実際やって見て間に合わぬ、こういう問題も出ているわけなんでございますから、こういう問題についてさらに検討なさっておられるのかどうか、こういうことも一つあわせてお聞きしたいのでございます。    〔委員長退席理事小林武治君着席〕
  182. 高田正已

    政府委員(高田正已君) 今回引き上げましたいろいろな単価、基準等におきまして、今回だけでなく、ずっと続けるものもございます。それからたとえば、先ほど大臣がおあげになりました応急仮設住宅の建築費の坪当たり単価一万六千円を二万円に引き上げる、結局、一戸当たりの従来の八万円が十万円になった、こういうものは、今後の災害におきまして引き続いてさような基準が適用されるわけでございます。その他にも、たとえば学用品の給与単価等は、今後引き続き適用されて参るわけであります。  なお、今回行なわれました措置の中で、今回に限り適用されるものがございます。それは、先ほど大臣がお引きになりましたたき出しの費用につきまして、一週間以上にわたった所においては七十五円、さらにもう少し長期になりまして三週間くらい以上に、二十一日以降は九十円というふうに引き上げていったわけでございます。かような措置が、非常にたき出しの期間が長くなりまして、その間に、単価の安い同じような種類のものを扱っておったんでは、栄養的にも非常に困るというような事情を勘案いたしまして引き上げていった。従って、普通の災害であれば、たき出しは三日か四日くらいで、さっと水が引く場合が多いのでありますが、そういうような場合には、今回も適用されませんし、今後におきましても適用されないわけであります。今あげましたような例は、今回の長期湛水というふうな特殊な災害の様相に基づいていたしました措置でございまするので、今後の災害について全部それが適用されるということの措置ではございません。まあ今御説明いたしましたように、さように二種類の措置があるわけでございます。
  183. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私お聞きしたいのは、二種数あることは、私ども承知いたしております。ただ、二種類あることは、私ども承知いたしております。ただ、二種類のうち、私聞いたのは、あるいははっきり御了解を得るまで私の聞き方が上手でなかったのかもしれませんが、そういうたとえば今のたき出しの費用なんか、今回だけの措置として認める、こういうものはこのままにして、今回だけのものにして、今後は基準引き上げという一般的なそれにするのかしないのかということが一つと、それから、今回取り上げられました学用品の問題なり、今あなたがおっしゃったようなこういう問題のほかに、なおこれからほかのもので、基準の引き上げ等について検討しておるものがないかどうか。たとえば、もっと申し上げますと、これは今回ということじゃありませんが、従来の災害、相当大きな火災等においてもいえると思うのですが、野外仮設の避難所の場合ですね。これは建てるとしても、とてもこれくらいの金ではやれないというのが一般的な、何と申しますか、現地の人たちの話なんです。ですから、やむを得ず学校等を使用する。これは、既存の建物利用というような意味で、これは時期的にも手っ取り早いということですから、しかし、それが長期にわたって学童の勉学に相当な支障を見ておるにもかかわらず、そういう使用を続けていくという場合に、一体なぜそんなことを続けるのかと申しますと、今の町村なり府県等の持ち出しにおいてあまり大きくなって、とても耐えられないのだ、我慢してもらっているというような一つ考え方になっている。さらに冬期なんかの——これは数年前でしたか、私ども実際に見たんですが、これはやはり学校に入って避難しておって、暖房費がどうしても一円か二円五十銭では間に合わないのだ、木炭にしろ、あるいはまきにしろ、とてもこれでは間に合わないのだ、しかし暖めないわけにはいかぬし、補助の対象になる額をこえると思いながらも、これをやらなければいかぬ、こういう問題があるものですから、そういうふうに、私今申しましたのは一つの例でございますけれども、さっき大臣からもお話があったように、今回基準を引き上げられた、あるいは一時的にしろ、今回だけの災害というので引き上げられましたが、そのほかに、今申しましたような事柄を検討なさっておるのかどうか、こういうことなんです。
  184. 高田正已

    政府委員(高田正已君) 避難所の経費につきましても、ほんのわずか引き上げたのでございますが、全般的に、今御指摘になりましたような避難所に関する経費、それから埋葬費、こういうふうなものにつきましては、私ども今後、それが妥当かどうかということを検討して参りたいと思っております。十一種の救助の項目があがっておりますが、大体今御指摘のその二点あたりが一番今度検討を要する問題ではあるまいかと、私どもも考えておるような次第でございます。
  185. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 埋葬費の問題等につきましても、あなたもおっしゃるように、現在おとな一件について二千二百円、これではとてもやれない。今回の名古屋市の相当責任のある方から私お聞きしたのですけれども、とてもこれではやれないのだというようなことを言っておられたのでございますから、一つこれは、今申しますように、野外避難所の場合あるいは埋葬費、これは例として私申し上げますが、やはり一つの国としての責任を持ってやります災害救助の問題でございますから、今回とられた措置以外にも、事情に即して、地方団体に多くの負担をかけるというようなことのないように、また、負担をかけさせまい、負担をかけまいとして、いいかげんな救助対策に終わってしまうというようなことがあっては困ると思いますから、そういう点で一つ十分御検討いただきたいと思います。 なおこれは、現在の救助の種類にはなっておりませんが、今回のでもそうでありますし、昨年の静岡県の狩野川の台風ですか、あの際のときにも実際問題としては起こっているし、それ以外の所でもやっておることですが、被災者に対する見舞金の問題でございます。これについて、一体このままでいいのかどうか。死者に対する——死者ですから、見舞金と言っては悪い、弔慰金ということになりますか、あるいは大きな被害を受けた方々に対する見舞金、ひどくけがをされた方に対する見舞金、こういういろいろな種類で実際行われている。これは全然法の対象外の事柄ですから、しかし、だからといって、それがいずれの災害があった場合においても必然のこととして行なわれておるというような場合に、これはこのままの形でいいものかどうかということについて、ちょっと私は、ほうっておけないというような感じがするのですが、大臣、こういう問題一つどうでございますか。
  186. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) まことにごもっともなような御意見にもとれるのですが、従来いろいろな天災、あるいは地震、あるいは、火災、落雷、そうしたような例等にかんがみましても、私ども、今そこまで考えるところの余裕はないのでございまして、各地方庁におきましては、それぞれ見舞その他のことを講じておるのでございまするが、国といたしまして、目下これが措置のことにつきましては考えておりません。
  187. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 事情からしましても、今秋申し上げましたように、災害のあるたびに、こういうことがむしろ当然のこととして行なわれておる。しかし、その負担は全部地方自治団体の負担なわけなんで、そこで、こういうことが政府として一つ災害救助法のワクの中で処理できるようなことを考える必要があるのかないのか、それまで要らぬというふうにおっしゃるのかどうか、この点一つ、私は、国としてもやるべきじゃないか。額の多少はともかく、やるべきじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  188. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 御承知のように、災害救助法の法律の問答からいたしまして、これが該当するかどうかということは、該当していないのでございまして、この中で見舞金制度を見てみろと言われましても、私どもちょっと了解しにくいのでございます。
  189. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 いや、もちろんおっしゃるように、私もさっきも申しましたように、法律の対象外になっているのです。今の法律じゃだめなのです。やるとすれば、法律を改めるか、何かの方法をとらなければいけませんが、そういうふうにお考えになれないものかどうか、こういうことなのです。
  190. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 現在のところ、考えられないことでございます。
  191. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今回名古屋市だけで、死者に対する弔慰金が三千万円出ております。それから、罹災者に対する見舞金が二億八千三百万円、いろいろないわゆる救助法による救助以外の今言った弔慰金、見舞金だけでございますよ。それから、昨年の静岡県の狩野川台風の際のそれを見ましても、県と地元で八百万円、約九百万円程度のそういう見舞金が出ているわけなんです。これは、私何べんも言うように、何といいますか、法にはないのだけれども、実際気の毒な目にあった方に対する自治体としての気持の表われとしてこれは取扱っていることなんでございますが、私は、国としても、こういう大きな災害の場合、地方自治体と国と別々にやれということでもないのですけれども、何か一緒になるような形で気持を表わすことが、私はやはり一つのあたたかいやり方じゃないだろうか、こういうふうに思うのですがね。今大臣は、全然考える余地はないんだ、こういう話なんですが、そういういやに冷たいようなことでいいのですかね。これはどうでしょう。
  192. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 見舞金その他であたたかい善政を施すということは、まことに望ましいことではございますけれども、先ほども申し上げましたように、他の天災等とのにらみ合わせもございまするので、国といたしましては、今のところ考えられない処置でございます。
  193. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 もちろん、この問題を考える場合には、おっしゃるように、他の天災等のことも考えなきゃいかんと思うのです。ただ私は、焦点をしぼって、今の問題について申し上げておるのでございますが、これだけを切り離して、他の方はどうなってもいいというような、そういうふうな気持はもちろん私にもありません。しかし、これはいわば天災であるか人災であるか、いろいろまあ最近言うのですが、とにかくなくなった方なりあるいは被害を受けた方というのは、これはいわば不慮の非常に大きな痛手、特に人命が失われたということに対しては、私ども、やはり何といってもこれはほうっておけない問題だと思うのです。もちろんこれは、金ですぐどうのこうの言うことで片づく問題ではないと思いますけれども、それに対して、やはり地方団体が今こういうふうにやっておるような形において国でも一つ考えていく。そのためには、現在の災害救助法では取扱い不可能でございますから、それを改めるか、あるいは何かの方法によってやることが当然じゃないだろうか。天災という言葉をさっき大臣お使いになりましたが、他の災害には、それぞれまあ何かの方法で金が出るというような場合もあるのですし、もちろんそういうものと全体的に考えなきゃいけませんけれども、一つこの問題について、私は政府としてこれはやはり考えるべき問題だろうと思うのです。やはり依然として、現段階においてはそういうことは不必要だ、こういうふうにおっしゃるのですか。
  194. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 地方が、たとえば名古屋市におきまして、見舞金を二億幾ら出している。もちろんこれらの見舞金というものは、生活更生資金というような、あるいは生活資金というものに当てられているのでありましょうが、国といたしましては、やはり世帯更生資金のワクの拡大とか、あるいは償還期限の延長とか、国の貸付の負担額の増額であるとか、こういう点につきまして、母子福祉法におきましては、貸付ワクというものを三倍くらいにまで、国の貸付高を地方負担の三倍くらいにまでいたしたような次第でございまして、もちろん二カ年据置というような、こういう処置を講じたような次第でございます。
  195. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私、その性質は、政府がたとえば母子福祉のためにあるいは世帯更生のためにやるということと違って考えるべきだと思うのですよ。それはそれとして、当然やらなきゃいけないことだし、私の言うのは、こういう災害で気の毒な目にあった、特に死亡とか一切の財を失ってしまったというような人に対する国としてのあるいは地方団体としての見舞のあたたかい気持をやる必要がないか、こういうことなんです。今後の行き方をどうするか。これはもちろん、救助法の中にも生業資金の問題もありますし、その他、今大臣がおっしゃるようないろいろな手段がありますが、そういう手段とは別に、こういう気の毒な、特になくなった方等に対して、やはり一つあたたかい、何と言いますか、お見舞、おくやみの気持として考えるべきじゃないだろうか。私はこの額は、そんなに大きな額をやれというようなことではございません。今地方団体がやっているのは、三千円とか、せいぜい五千円程度でございますから、あるいは千円程度のところもございます。ですから私は、金の点については、何十万円でなければいかぬとか、何百万円でなければいかぬということを言っているのじゃなくて、一つのあたたかい政治といいますか、行政を乗り越えた一つの政治としての思いやりある措置がとられてしかるべきじゃないだろうかということを私は言いたいのですが、どうですか。
  196. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 同じことを答弁いたすようでございまするけれども、総理大臣を初めといたし、関係閣僚間におきましても、政府間でいろいろ検討をいたしてみたのでございますけれども、やはり今のところ、そうした措置を講ずるということは、残念ながらできかねるような状態でございます。
  197. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 まあこれは、皆政府部内で相談をした上での結論だとおっしゃられれば、あなた一人で、かりに渡邊さん個人としてはどういうふうにお考えになっておられようとも、これはお前の言う通り賛成だということは、あるいは言えないかもしれませんけれども、これは、普通のなくなった方に対する、何と申しますか、香典のつもりで、これはやはり友人なり知己なり、いろいろそれは将来の生活のことはとにかく、なくなった時点においていろいろ、何といいますか、今言ったような香典というような意味での気持を皆表わすものだと思うのですね。そういう意味での私は何かあってしかるべきじゃないだろうか。ですから私は、これは全く私個人の考え方なんですが、今の災害救助法でこれはもちろん処理できる問題でなしに、あるいは法改正というようなことも考えてもみましたが、あるいはもう一つ別に立法して、地方団体と国が、こういうことのために、現在やっている災害救助基金みたような形において、特別のこういう基金めいたものを作って、今のような場合に出してやるんだ、こういうことも一つ方法ではないだろうかというように考えてもみましたのですが、これはまあ私個人の考え方でございますけれども、何か私は、やはり今後の一つの問題として、これは真剣に考えていってほしいと思うのですがね。
  198. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) 今後の問題といたしまして、それは現在明確にお答えすることはできません。
  199. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これは、ただしゃべっていると、陳情みたいな、懇願みたいな格好になりますからやめますが、一つこれは、御検討いただきたいと思うのです。  それでは、別の方の問題になりますが、災害救助法に関連して、一番初めに申し上げましたように、どうも今の災害救助法によってのいろいろ地方団体と国との費用分担等の問題を考えていきます場合に、私はちょっと不思議なように感ぜられる点があるわけなんです。そこで、一つ最初に、今の災害救助基金の積み立ての問題でございますが、これはあれですか。法の三十七条、三十八条によって積み立てすることになっておるわけなんですが、各都道府県とも、これは実際に法通りに行なわれておりますか。
  200. 高田正已

    政府委員(高田正已君) 各府県とも積み立てをいたしております。
  201. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 積み立ての額について。
  202. 高田正已

    政府委員(高田正已君) 額につきましては、ただいまその資料を持っておりませんでしたが、現在高も、私の方に調べたものがございますが、総額といたしましては、そう多額なものではございません。毎年積み立てていっておるわけでございますが、災害がありますると、この基金を使用いたしまするので、今日そう多額のものが積み立てておられるわけではございません。
  203. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私は、積み立ての総額を問題にしているのじゃなくて、これは、おっしゃる通り、積み立てても、何といいますか、取りくずし等のことが、実際に支出がありますから、そういう調べた場合に、積み立ての額というものが減って、現在高というものは減ってくるでございましょうから、私はその総額を言っているんじゃなくて、年々各都道府県において法通り、少なくともどの府県においても五百万円以下ではいけないはずなんで、法にそうなっているはずなんで、少なくとも五百万円は積み立てを実際やっておるかどうか、こういうことなんです。
  204. 高田正已

    政府委員(高田正已君) それは、積み立てをいたしております。
  205. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これは、各年度の予算の中に、はっきり特別会計として五百万円、少なくとも五百万円の積み立てをみんなやっていると、こういうことなんですか。私の調べでは、額の少ないところもあるのですが……。
  206. 高田正已

    政府委員(高田正已君) これは、毎年五百万円ずつ積み立てしろという意味ではなく、現在高五百万円に満たないときには積み立てていけ。それで、「当該年度における災害救助基金の最少額は、五百万円とする。」だから、五百万円以上持っておれということでございます。この法律通りには積み立てていっておると、私は承知をいたしておるわけでございます。    〔理事小林武治君退席、委員長着席〕
  207. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 もちろん五百万円以上に積み立てられておるのもありますが、そうでない所もあるようでございますが、少しこれはお調べになっていただきたいと思うのです。もちろん、何か災害があって、支出をした額が減っておる、こういう場合もあると思うんですよ。と思いますが、一つそういう場合には遅滞なく、次の県会あたりで、何か追加予算といいますか、そういう機会に行なわれておるかどうかということですね。
  208. 高田正已

    政府委員(高田正已君) さように承知をいたしておりますが、ただいまのお説のように、もう一度調べてみたいと存じます。
  209. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 自治庁の財政局長にお聞きしますが、今の各都道府県の積み立ての状況等について、あなたの方でどういうふうにごらんになっておられるのか、今私が厚生省の方にお聞きしたようなことについて、どういうふうにとらえられておるか。
  210. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 災害救助法の命ずる通りに運用をいたしておると考えております。いつか申し上げたと思いますが、三十三年度の決算見込みで、五億八千四百万円ということになております。
  211. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 自治庁と厚生省と両方ですが、この積立金、まあ現在大きな所でも小さい所でも一様にやっておる。しかも、最低限度が五百万ということになってくるわけですが、これに対して積極的な意義といいますか効果といいますか、こういう点について、やはりこのままの形でこれを積み立てていくというような考え方を持っておられるのかどうか。あるいは、どうも事情に合わなくなってきているんだ、こういうふうにお考えになるのかどうか。どちらかについて、お考えがもしあるなら、双方からお聞きしたいのですが。
  212. 高田正已

    政府委員(高田正已君) 自治庁にはまた別の考えがあるかもしれませんが、実は、災害救助基金というのは、今日の災害救助法ができまするまで、罹災救助基金として罹災救助基金法というものがございまして、そうして各都道府県で、地方におきまして積み立てて参ったのであります。それで、災害救助は原則として罹災救助基金でやるということで、そういう建前をとって参っておったのでございますが、今日の災害救助法が昭和二十二年にできましたときに、御存じのように、インフレの非常にどんどん進んでおりまするときで、大災害がございますと、その当時の罹災救助基金というようなものの程度ではとうていまかない切れないというふうな情勢でございましたので、今日の災害救助法のように、その救助に要しました費用につきましては、相当大幅な国庫負担を、国庫補助をいたすということにいたしまして、むしろ大災害になりますると、この災害救助基金の積立額程度のものでは何ともならないというような状態を十分承知しながら国庫補助の方の規定強化いたしまして、そうして大災害に対する財政援助をいたすという建前にいたしたわけでございます。ただその際に、従来から積み立てておりまする罹災救助基金をそのままやめてしまうのも、これもいかがかと存ぜられましたので、それで、その積立額の全額を若干ふやしまして、そうしてこの制度を残し、都道府県がみずから行ない、まあ国庫補助の対象にならないような小災害、そういうふうな場合の役にも立つ。さらに、大災害の場合にも、自分の負担金の一端をこれによって補うというふうなことにいたしたわけでございます。従って、今日のこの災害救助基金の額程度では、ことに今回のような大災害の場合には、ほとんどこれが大した役に立っていないということに相なるかと思います。しかしながら、前申しましたように、さような災害ばかりではなく、年々小さい災害があるわけでございますので、さようなときの役には立っておりまするから、この制度はこのままやはり存置をして、しばらく模様を見たい、かように今のところ考えているわけでございます。
  213. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 災害等の事態に備えまして、地方団体が財政の弾力性を維持していくために、平素から積立金等を造成していくということは、望ましいことだと思います。現在そういう意味では、全体、いろいろなものを合わせまして、積立金が二百数十億くらいになっていると思います。ただ、災害救助法の施行の関係で積み立てをするということになって参りますると、先ほどお話がございましたように、罹災救助基金当時と違いまして、金融関係も非常に進歩いたしておりますし、また、財政制度も非常に整備をされてきておりますので、特別大きな意味を持つというものではなくなってきていると思います。ただ、しいて申せば、精神的な意味はかなり認めてもよろしいということば言えるのではないかと考えております。
  214. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 時間がないから、続いてお聞きしたいのですが、大臣が帰る三時半までというお約束でございますから。あれですね、大臣。災害救助というものは、これは、法の通り国の責任において行われるのだ、都道府県知事は、いわば委任を受けた形において施行しているのだというふうに考えて、その通りでいいのですか。
  215. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) その通りでございます。
  216. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そこで、国の責任で行なうというような場合に、やはり考えなければいかんのは、都道府県とあるいは国との財政負担区分の問題が私はあると思うのです。それで、財政関係の実際の問題になると、責任は国が当然負っている。都道府県知事は、その委任を受けて仕事をしているのだという形を法ではとりながら、いろいろの意味での国庫負担の割合等からしますと、地方に非常に大きな重圧がかかっているのです。さっき局長から、いろいろな高率の補助というようなお話もございましたが、これは、多少のちょっとしたいじくった程度では、今の地方負担というものは、これは容易じゃない問題になって来ているわけです。特に今回のような、あるいは昨年の静岡県におけるようなことになりますと、非常な大きな負担になってきている。これを根本的に政府としては変えていかないと、法の上でのいわゆる責任をとるということと、実際での金の面での責任をとるということと、食い違ってきているということになると私は思うんですよ。こういう点については考えておられませんか。どうですか。
  217. 渡邊良夫

    ○国務大臣(渡邊良夫君) その点につきましては、国の負担分と地方の負担分につきましては、非常に聞いてみますと詳しい法律になっておるそうでありますが、これは十分検討いたしまして、できるだけそういう災害地のはなはだしい所にとりましては、高率補助の適用ということを十分御意見のように尊重いたしていきたいと考えております。
  218. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今の法では、国庫の負担区分をきめておりますですね。たとえば、標準税収入の見込み額の千分の二までは対象にならぬけれども、千分の二をこえて千分の二十以下の分については百分の五十と、段階をつけてやっていますね。今回千分の一まで切り下げられたようでございますが、今回のこれでいっても、これは何といいますか、大した恩恵にはならぬですね。千分の二を千分の一に切り下げられても大したことはないでしょう、ベースがちょっと上がるか下がるかということの問題であって。たとえば、標準税収入十億円の県があるとします。これは仮定ですから、お互いにわかりやすく、十億なら十億というふうに申し上げますが、十億という県がある。これで、かりに災害救助費のいわゆる国庫補助の対象になる額が一千万円出たといった場合に、今の法で行きますと、大体概算六百万円が県負担で、四百万円だけが国が持つというような格好になってくるんじゃないですか。千分の二まで、かりにこの二百万円が千分の二をこすかこさないかの論はあるかもしれませんが、一応二百万円までは補助の対象外だ。それをこして、千分の二をこしていく額というふうに、段階をもってやってみますと、今言ったように、県は六百万円、国が四百万円、千分の一に切り下げても、五百五十万円と四百五十万円と、こういう格好になってくる。だいぶ——だいぶとは言わないが、半分以上は地方団体が負担をしなければならないということになってきておるわけですね。だから私は、補助の引き上げというようなことを考えられておるようでございますけれども、検討なされておるということでございますが、これはやはり法律の第一条にうたわれてあるような、国が責任をもってやるのだという趣旨からすれば、やはり国が大部分持って、地方がたとえば三分の一持つとか、四分の一持つというのであればともかく、半分以上は地方団体が持って、半分以下が国なんだ、これで国が責任をもって災害救助を行なうのだといっても、私は、これはちょっと大きな顔をして言えないと思うのです。どうなんです。
  219. 高田正已

    政府委員(高田正已君) 御指摘の通り、千分の二を千分の一に下げてみたところが、あまり大した影響ございません。それで、国の補助率を上げたらどうかという、それから、普通税収入額が十億という場合に、たとえば一千万円程度の災害がございました場合には、補助率が非常に低くなるということも御指摘の通りでございます。この三十六条の負担区分は、実は災害が大災害になればなるほど高率に、それから、地方団体の財政力には反比例していくというような、二つの要素をかみ合わせて実はこういう負担区分の規定ができておるわけでございます。今回のような大災害になりますと、国全体といたしましては、八割何分かなんかの補助になるわけでございます。そういう高率の補助になるわけでございます。なぜこの小災害について率の非常に低いような負担区分がきめてあるかという問題になってくるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、昭和二十二年までは、この法律ができまするまでは、災害の場合の応急救助法は、罹災救助基金が明確になっておりまして、国がめんどうを見ておりません。この法律ができまして、初めて国がめんどうを見るということになったわけでございまするけれども、この救助法の最初のところにも書いてございますように、国が地方公共団体等と協力をして救助を行なうということになっておりまして、非常に部分的な小さい災害の場合には、従来とも国が全然援助をしなかったのだから、小さい災害の場合には、一つ地方限りでやってもらいたいのだ。できるだけ地方でやってもらいたい。大災害になって、しかも、その地方団体の財政力から申して相当な負担になるようであれば、それに応じて国が高率の補助をしていく、こういうふうな精神で実はできたのであります。さようなことで、この国庫負担の規定は、なかなか味のある規定ではございまするけれども、先ほど大臣が申されましたように、今後の問題といたしましては、私どもこれではたして妥当であるかどうかということについて、検討を加えて参りたいと思っております。
  220. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 時間がないから、もうやめますが、私が例にあげましたのは、これはいわば一つの例であって、それから、あなたのおっしゃるように、今回の大きな災害の場合には、八割以上も国か見ているのだと、こういうふうなことで、あるいは実際の例に当てはめていったら、私の言うことが一がいにその通りだというふうにあなた方も言いかねると思うのですが、ただ、税収入の十億というのは、いわば貧弱県ですね。それが千万円あるいは二千万円、かりに二千万円としてもいいのですが、災害の補助の対象になる額を小さい県で二千万円以上背負ってしまわなければいけないということになると、私はやはり、これはちょっと地方の団体にとって非常に気の得なことになると思う。それ以外に、対象のワク外になるいろいろなやはり仕事をしなければいけませんし、これはもちろん、特交等においても多少見てもらえますけれども、これだって知れたものでございますから、ですから、こういう面を一つやはりもう少し改めてやって、災害のたびに損するのは地方団体、もちろん、国も持ち出しがございますけれども、貧乏な地方団体がそのために困るのだということのないように一つ考えてやることが、災害救助法の法の精神に私は沿うものだと思うのですが、今後十分御検討なさるということでございますから、私、最後にこれを要望して、このたびは終わりたいと思います。約束の時間でございますから。なお大臣、きょう公庫法関係の特に会計問題等について、これもやはり地方財政の関係からいろいろお聞きしたいと思いましたけれども、時間でございますから、私、次回のしかるべきときにお願いしたいと思いますから、そのときにはぜひ出ていただきたいと思います。
  221. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 西田委員は、大臣に対して質疑がありますか。
  222. 西田信一

    ○西田信一君 ございますが、やはり今のと同じものですから、控えさせていただきます。
  223. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 厚生大臣は退席してよろしゅうございます。   —————————————
  224. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、お手元に配付されていると思いますが、「昭和三十四年発生災害に伴う地方負担及び財源措置に関する調」という調査を、自治庁から資料として提出されておられますので、これについて説明を聞きまして後、質疑に入りたいと思います。
  225. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 前の委員会で御要求いただいた資料でございます。  歳出関係では、第一に、補助災害復旧事業費等を並べております。あるいは、国費が幾らで、事業費全体が幾らであるという数字もそこへ書き込んでおいた方がよかったのではなかったかと思いますが、今この数字を取り寄せておりますので、便宜その数字も、説明にかえてここで読ませていただきます。  公共土木の事業費総額が百八十三億六千三百万円、このうち国費が百三十七億九千三百万円、従って、それを差し引きました残りが地方費でありまして、ガリ版に掲げているように、四十五億七千万円でございます。同じ筆法でずっと数字を申し上げますと、農地農業施設が、事業費総額で五十一億七千五百万円、これについての国費が四十六億五百万円、従って地方費は、ガリ版に掲げております五億七千万円でございます。公営住宅は、事業費総額が十六億九千万円、これについての国費が十二億二千万円でございます。地方費は、そこに書いてあります四億七千万円でございます。公立学校は、事業費総額が十五億七百万円、これについての国費が十億八千七百万円、従って地方費が、その差額の四億二千万円でございます。伊勢湾高潮対策の分が、五十四億八千三百万円が事業費総額、これについての国費が四十三億八千三百万円でございます。地方費は十一億円ということになります。災害関連では、事業費総額が四十九億七千四百万円でございます。そのうち国費が三十二億七千四百万円、従って、地方費は十七億円ということになります。予備支出にかかるもので、これらの災害復旧事業費等に予定されております額が四十七億円でございます。そのうち国費を三十七億円、地方費を十億円と、一応のこれは推計であります。小計の欄で、事業総額が四百十八億九千二百万円ということになります。国費が三百二十億六千二百万円、地方費が、そこに書いてあります九十八億三千万円でございます。  単独災害復旧事業費、今年度分を九十億円と予定しております。三十五年度に予定しておりますのは約百億円でございます。災害救助費等災害諸対策費は、事業費総額で八十億三千四百万円でございます。国費が六十二億三千四百万円で、差額の十八億円が地方費で、そこに書いてある数字でございます。先ほどお話のございました災害救助法に基づきます地方負担額は、大体十億円程度地方負担になっております。それから税の減免、それは二十億円と一応見込んでおります。そういたしますと、それらの合計が二百二十六億三千万円となるわけでございますが、先ほども議論のございました見舞金でありますとか、もろもろの災害諸対策の雑費的なものがあるのでございまして、これは、別に一律的な基準があるわけではございませんので、大体私たちのところでは、数十億円になるだろうと、こういうように見込みを立てているわけでございます。そういうような荒い推計でございますので、ここには数字に掲げておりません。歳入では、地方債が百七十五億円でございます。別途公営企業の関係の災害復旧につきまして二十億円あるわけでございます。ここには一般会計の分だけを書いておるわけでございます。特別交付税は、六十億円ないし七十億円を災害関係で配りたい、こういうような一応の予定を立てておるわけであります。そういたしますと、これらが二百三十五億ないし二百四十五億、こういうふうになってくるわけであります。  備考に書きましたように、上に掲げたもののほか、伝染病予防対策、病虫害駆除対策、公衆衛生対策、農産牧野対策、救農土木対策等の災害諸対策費、災害見舞金及び災害救助関係費等で国庫補助基本額をこえる支出または国庫負担の対象とならない支出が、なお数十億円あるものと見込まれております。これに対する財源としては、公共事業の節約に伴う地方負担の減、普通交付税の調整分の解除及び税収の自然増収というようなものがありますので、大体まかなえるのじゃないだろうか。こういう考え方をいたしておるわけでございます。公共事業費の節約関係で、地方負担の減は二十億円は下らないと思っておるわけでございます。普通交付税の調整分の解除は、全体で四十一億、そのうち災害団体に回るのは二十億ぐらいだろう、こういう見込みを立てておるわけでございます。
  226. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そこで、(註)に書いてありますことですが、かりに、ここに数十億円の災害救助関係の費用が見込まれるとしますと、それを五十億と大体押えまして、これは大ざっぱな押え方だろうと思いますが、歳出の合計が二百二十六億三千万円に五十億加えた二百七十六億ぐらいになりますね。そこで、歳入合計が二百三十五億ないし二百四十五億ですから、ちょっと足りない。足りない分は、公共事業費の節約による地方負担の減、それから普通交付税の調整分の解除、税収入の自然増と、こういうものによってまかなわれるものと考える、こういうふうに御説明になったと思うのですが、それでよろしゅうございますか。
  227. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) その通りでございます。
  228. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そこで私、これは、今の段階で的確に数字を押えるということはむずかしいと思うのですが、従って、大まかな論議になるしかこれはしようがないと思いますが、公共事業の節約に伴う地方負担の減といっても、これは、災害を受けたところばかり公共事業が削減されたわけでもなし、従って、これの中にどの程度、災害地のあるいは災害を受けた団体の上に書かれてあるような費用にあてられるのか、ちょっとここら、はっきりしませんが、その点一つ。  それから、普通交付税の調整分の解除ですね。これも、今次の大きな災害を受けた地方の団体に一体どの程度行くものか。  もう一つは、かりに行っても、これは災害対策のためにすぐ使えるのだというふうに勘定するのはどうかと思うのですが、ともかくこの調整分の解除をしたやつが、災害を受けた地方団体にどの程度入っていくのか。  それから、税収入の自然増でございますが、これも、全国的にいったら、相当自然増がある地方もあるでしょうし、あるいはトータルにおいてはふえてくるかも知れませんが、災害を受けた地方のいわゆる災害対策のために使える金として、どの程度見込まれるものか。それがはっきりしないと、ここで三十億ないし四十億足りないというやつが解決つかないと思うのですが、この点、どうでしょう。
  229. 奥野誠亮

    政府委員(奥野誠亮君) 第一点は、公共事業の節約に伴う地方負担の減少の問題でございます。これは、具体の節約の対象になる公共事業がきまって参りませんと、どの団体において財源が浮いてくるかわかりません。しかし、実際問題として、やはり災害の大きい団体において、おのずから従来予定しておった公共事業を打ち切って、災害復旧事業の方に重点を向けていかなければやっていけないのじゃないか、こう思っておるわけでございます。しかし、具体の公共事業がきまりませんと、どの団体が節減になるかわからないということは、御指摘の通りでございます。一般的な傾向としては、災害団体は、従来予定しておったような公共事業なやるという力が第一にもうなくなってきているのではないかという感じを私たちとしては持っているわけでございます。  それから第二の、普通交付税の調整解除の分でございます。これは、災害激甚地の基準財政需要額で按分して一応計算したものがございます。そうしますと、四十一億円のうちの二十億円くらいが災害地に向けられるものと、こういうようになるわけでございます。  第三の、税の増収の問題でございますが、これも団体によって非常に違ってくると思います。違ってくると思いますが、こういう災害諸対策のときに、政府部内でいろいろ論争をやったので、そういう点につきましても、こまかい見積もりを表示したのでございますが、やはり災害地全体を合計して参りますと、減収をこえて何十億円かの増収が出る、こういうような計算になっておったのでございます。従いまして、そういうようなことから行きますと、全体としては、地方財政の財源対策ができたということになるのではなかろうかと、こう思っておるのでございます。
  230. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私、心配なのは、今回の災害のみならず、いつの災害でもそうですが、地方自治団体が何とか、あまり大きな、かりに持ち出しをするにしても、そのために赤字になるというようなことのないようにすることが一番大事なことじゃないかと私は思うわけなんです。私は、何べんもうるさく、地方負担がどうなのか、間に合うかどうかというようなことをお聞きしたのですが、それは私はひとえにそういうような意味から、今回特例法等によって災害復旧の事業に対しては、いろいろめんどうを見ているのですが、しかし、土台になる地方自治体の財政関係になりますと、地方債が百七十億、特交が六十億ないし七十億、これしかない、はっきりしたものが。あと、おっしゃるように、公共事業の節約だとか、あるいは税の自然増収というようなものを掲げられましても、地方財政計画全体としてのバランスはとれていくかもしれませんが、被災地といいますか、その団体の財政がはたして耐え得るような形においてこういうようなものが見られるかどうか、私は非常に心配をするわけです。私は、一番初めにお尋ねしたように、今の段階では、きちっと押えがたいものがあると思いますから、大まかな話しかできませんが、あなたもそういうようなことを肯定しておられますけれども、何か、全体としてはバランスがとれても、その団体としては不安だというような感じを、私はまだぬぐい去ることができません。今後公共事業の節約の問題なり、交付税の調整解除の問題なり、あるいは税収の問題なり、もう少し十分御検討いただいて、愛知でも三重でも、その他山梨、長野でも、そのために非常にやり繰りのつかないような格好にならないように、いろいろ指導すると同時に、財政的な措置をすることが大事なことであろうと思いますので、この点私は要望します。いずれあとで、いろいろ御検討の上に、数字的なものが出てきましたならば、お示しいただきたと思います。  何べんも申し上げますように、決して今回の災害が、こういうような大規模な災害が、地方団体にとって、仕方がないということで、ことしだけの問題に終わるものかどうか。私は、後年度にいろいろな面で重圧が来ると思いますが、しかし、そういうものをできるだけ排除してやるということが、私は、政府としての、特に自治庁、あなた方としてのやり方だと思いますので、そういう意味から、一つ今言ったようなことをお願いするわけなんです。まずきょうは、まあ数字的にまだはっきりできない部面があるようでございますから、この程度にします。
  231. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ほかに御質問は……。  それでは、本日はこの程度で散会いたします。    午後三時五十一分散会