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政府委員(江口俊男君) それではお答えいたします。
警察として今回の第八次統一
行動をどういうふうに見ておったかという第一点でございますが、御
承知のように、
新聞報道等では、十万人の動員をするんだというような記事もございますけれ
ども、私
たちが現実に入手いたしました
情報によりますれば、約七万五千の動員がかけられておる、組合
関係が六万、学生
関係が一万五千というような数字になっておったのであります。しかしながら、
警視庁の判断、従来の経験とか、その行なわれる的の情勢等からして
警視庁が判断いたしましたのは、二万内外の者が集まるんじゃないか、こういうふうな判断であったのであります。しかしながら、実際に集まりましたのは、これは数え方によって違うかもしれませんけれ
ども、私
たちの方では二万五、六千、すなわち、私
たちが予想いたしましたものよりも、五千人ばかりは多かったという結果に相なるのであります。
それからもう
一つは、ああいう乱暴な
行動に出るかどうかということについて
警察はどう
考えておったかという点でありますが、これは遺憾ながら私
たちは、ああいうふうにほとんど全部、われわれの勘定によりますと、最盛時におきましては、約一万二千の人間が
構内に立ち入った。ああいう
状態になるということは
考えておらなかったというのが事実でございます。それは
国民会議ないしは
社会党等で出しておられる通達といいますか、指令といいますか、そういうものの話を聞きますというと、やはりたくさん集まりはするのだけれ
ども、現実に
国会には
代表者を選んで出すのであって、その結果をまた防衛庁前に集まって
報告する。それで五時に解散というのが正規の筋であったようでございます。しかしながら一方
全学連あるいは多少それに同調する組合
関係では、そういうやり方ではなまぬるい、やはり
国会の中に侵入して、そうして逮捕者を出し、それに対して抗議の坐り込みをやるのだというような
考え方を持って戦術
会議に臨んでおるという
情報もございまして、われわれもそういう
行動が場合によってはあるかもしれぬということは十分
考えておったのでありまするけれ
ども、そういうものと全体が一緒になってああいう形になるというふうには
考えていなかったのが、現在におきましては、やはり甘かったということになるわけでございます、従いまして私、直接
参議院と折衝したことはございませんけれ
ども、現場の
警視庁と
議会事務局との間には、私がただいま申し上げたような判断に立った折衝が行われたものと私は想像するわけでございます。それで私自身が
警視庁の
連絡を時々刻々受けてきました過程におきまして、前はもっと少く組んでおったのでありまして、こちらが差し出す人員も三千内外で何とかなるのじゃないかというふうに
考えておったのが二十七日の一日前までの
状況でございましたけれ
ども、その後入って参りまするただいま申し述べた
あとのような
情報によりまして、これは多少の従来以上の警戒をせにゃならぬというようなことで、現実には五千七百五十五名の
警察官を動員いたしております。その以外に待機部隊として、先ほど
お話ございましたように、数千のものを非常待機ということにいたしておったわけでございます。で、その配置は、
国民会議側が初めから予定として立てておられるチャペル・センター前、それから人事院横といいますか農林省前、それから総理官邸の下の特許庁前、この三個所を中心に配備いたしたのでありまするが、チャペル・センター前には九百七十人、
国会の
正門前には七百四十五名、先ほど三百名という数字が出ましたけれ
ども、これは後ほど申し上げるように、そこから多少地下鉄の降車口といいますか、その方に人員が押しかけていきましたので、そちらの方に割いたそうでありまして、あるいは現実の場合にはいなかったかと思いまするが、七百四十五名一応配置しておる。それから
国会の外周、その以外の外回りに千七十二名、それから人事院付近に千四百十八名、特許庁付近に千百七名、こういう合わせて五千七百何名の配置をいたしておったのでございます。これに対しまして動員されました
国民会議側と申しまするか、
デモ隊側の人数は、これも数え方が多少人によって違うと思いまするけれ
ども、チャペル・センター前で最盛のときに約一万一、二千、人事院付近におきましても約七千に近い、特許庁付近でも六千をこしておるというようなことで、合わせて二万数千人に達したようでございます。
それで、ただいまも私、
衆議院の法務
委員会に出ておったのでございまするが、その門を押しあけて入ってきたという
状況については、いろいろ説をなす者といいますか、はっきりとこうであったという事柄は目下調査中ということでございまして、今からなお調べなければならぬと思いまするけれ
ども、
構内を除いた
構内におけるその群衆の
行動なり何なりについては、一応
警視庁としてもほとんど間違いのない結論を得ているようでございますので、そのことを申し上げますが、要は、チャペル・センター前で車と人垣で
阻止しておった一角が崩れたというのが、
国会構内に多数の人間が入ってきた直接の原因になっておるようであります。あそこでは、ただいま申し上げたように、一万名以上の群衆と千名の
警察官が対峙をいたして、何べんも押し合いをいたしておりまして、
警察官側だけでも、ただいま警視総監の
答弁を開いておりますと、あそこで百名以上のけが人を出しておる。全部で三百数十名の
警察官のけが人がございますが、あそこの場所におきまして百名以上も出した。また群衆側におきましても、一番前の列に出ている連中、あるいは石垣の所に押しつけられている連中の中から、助けてくれというような声も、パト・カーを通じて聞こえておったということでございまして、うしろの方からは両方ともひどく押したわけですが、前の方は苦しくてしょうがない。けが人がそういうふうに双方に出たということで、
警察官のうしろから押しておった部隊を多少引きまして、間隔をあけて
負傷者を収容をしております。で、その
状態のときに人垣が破れまして、どっと、まあうしろの方からは押しているものですから、数百名の者がその
警察官の
阻止線を突破して
正門の方に向かった、こういうことであります。時たまたまそのころ
国会正門前では
議員団及び
代表者の方が第一陣として入って、第二陣として
——その辺がデリケートでありますけれ
ども、門をあけろとか締めるとかいうような
交渉があり、何名か入っておった。それを横の
——横のと言ってはおかしいのですが、まん中の門から、ただいま私が申し上げたチャペル・センター前の
阻止線を破って入ってきた群衆が門を押しあけて入っていったというのが、きっかけのようでございまして、その
あとは
警視庁としては、一たび
正門を破られて多数の者が
国会の
構内に
乱入した以上は、戦線を縮小して
国会をどうしても守らなければいかぬということで、私
たちも人事院の前で見ておりましたけれ
ども、不思議に思いましたのは、ずっと
警察官は今まで人事院の線で押えておった線をこの
国会の
正門まで引き揚げております。総理官邸の横の
警察部隊ももちろん引き揚げたということで、
あとは今まで対峙しておった部隊がなくなったものですから、それはもう抵抗なくしてこの近くまで来て、近くでさらに侵入しようとする者を押えようとした
努力は、配置転換等が十分にいかなかったことと、事の勢いとのはめに、ああいうふうにまあほとんど全部が入ってしまった、こういうことに相なった次第でございます。
その
あとの
構内におきまする事柄につきましては、ただいま私から申し上げる必要はないと思いますが、ただ四時二十分に
議会から二千五百名ずつの
警察官の
要請がございまして、合わせて四千名ほどを差し出したのでございますけれ
ども、中に入った者を実力で排除をするかどうかという事柄については別命を待てという
——もちろん
議長の
指揮権に入ることでございますので
——ということで待機をしたままで、
あとは別命を待っているうちに、まあ入った連中も六時ごろには最後的に出ていった、こういうことが私
ども知り得ておりまするその日の
状況の概要でございます。