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天埜良吉君 この
高潮対策事業の
計画を拝見いたしまして、非常にこれは整っておる案だと思いますが、その中で
名古屋港だとか、あるいは衣浦港が
計画されております
防波堤という湾港に設けるものがあります。これは誇張して言えば、今度の
伊勢湾台風の
被害が大きかったのは、非常な
高潮によるものであって、その
高潮も、これは
湾形が非常に都合の悪いものであるということが考えられるのでありまして、この
防波堤と書いてありますのは、これは
湾形を変える
一つの手段だと思われます。そうしますと、これは
防波堤という名前では的確にその機能を表わさないのじゃないかという気がするのでございます。むしろ
高潮対策堤とか、あるいはそういうような性質のものになるのじゃないかというふうに考えます。この点についてあるいは
防波堤でもいいかもしれませんが、そのほかの、この中に
計画されております
防波堤とはちょっと意味が違いますので、いろいろ世間に発表され、あるいは
予算折衝をなさる場合には、よほど
説明が要るのじゃないかというふうに考えます。
それからもう
一つ、二ページの所に(7)という所がありますが、ここに、「
防潮堤の構造は、出来るだけ強固なものとし、特に
越波に対する
法面保護及び
法尻の
洗堀防止に留意する。」、こうなっております。この点に非常に重要なことだとは思いますが、さらに法先というものに
相当意を用いる必要があるのではないかというふうに考えます。これは
運輸省においては常に波を扱っておりますので、波に対しては法先の根入れを十分にするということは、ほとんど常識になっておるから入れていないのではないかというふうに考えますけれども、しかし
防潮堤で今回こわれている実際をよく見ますと、
運輸省でやったものについては、これは非常に強固で、きぜんとして立っておりますが、そうでない場所で施工されたものについては、この法先が洗われて、つまり波の力によって上下運動になりますので、そこで洗われてこわれておるという例が非常に多いようであります。それで
河川あるいは湖水というようなところの
高潮を防ぐというような場合と、こういう海における
高潮を防ぐという場合には非常に差異があってどうしてもそこに伴う
波浪というものが問題になりまして、これが
堤防に当たった場合には、
波浪が上下運動をする水の
エネルギーとなって法先を非常に洗う。この点については、
運輸省としてはこれは十分注意をされておることでございますけれども、いわゆる
防潮堤構造を作る場合、この点に特に留意が必要だというふうに考えます。
そこで、先ほど
大臣がお話しになりましたように、今後は
防潮堤の築造に関して、
各省の所管に応じてやるのではあるが、そこで十分なる
技術的な連係あるいは構造の打ち合わせというようなものをなさるということで、非常にけっこうだと思いますが、その点特に留意をしていただきたい。私の考えでは、この
高潮を防ぐというようなことについて最も知識を持ち、最も経験を持っているのは、これは
運輸省をおいてほかにないと思いますので、よくその点リードされて、完全な
計画を立てられるように希望するわけでございます。
それからもう
一つ、
防潮堤を作りましても、中の
土地が平均水面より低いような所は非常に水引きが悪くて困るのでありますが、これに対して今度の
伊勢湾台風で苦い経験がたくさんあります。こういうような点については、私はやはり
防潮堤の内側は、少なくとも平均水面ぐらいまでには上げなくてはならないのではないかというふうに考えますが、これは
港湾区域内にもたくさんあることだと思います。ことに
干拓堤の中が多いのではありますけれども、そういうような点について、あるいは都市
計画事業だとか、別の事業でできることもありましょうけれども、今度の
災害を
契機に、
防潮堤の一環として、
災害関連とかいうようなことでやるようにしていただけないものかどうかという点が考えられるわけであります。
それからもう
一つ、
木材の
流出防止についてでありますが、これについては、従来は
木材の貯留というようなことについては、これは
公共事業でなしに、
公共事業であっても
政府の補助対象外にしてやっておるわけでありますが、荷さばき場ばかりでなしに、
貯留施設についてもこういうふうな面でやはり
政府の補助事業、指定の
公共事業として推進されるように希望するのでありますが、これらのことについて御見解を承りたいのであります。