○八木(一郎)委員 私は関連
質問でありますから、一問にしぼって簡単に
お尋ねをいたします。しかし
答弁は、
総理、大蔵、建設各
大臣から一件、農林
大臣から数件にわたって要求いたしたいと思います。
佐藤大蔵大臣は、
政府が
災害予算対策として意を用いた点は、第一に民生の安定及び生業の再建をはかったことである、このため特に
農地については、明年の
作付に支障なからしむることにし、これらに要する経費として百七億円を計上した、こう言われておりまするが、ただいま早稻田委員より述べられた伊勢湾
被害三県下だけでも、
農地の流失、喪失の面積は六千町歩、湛水面積は三万八千町歩、
農地の施設においては八千カ所、
海岸河川堤防の
決壊は百九十一カ所、三万六百メートルという驚くべき広
地域にわたって惨状を呈しておるのでありますが、中でも特に激甚な壊滅的な
被害を受けた開拓、
干拓地、たとえば鍋田干拓のような場所においても、海水に沈んで失ったかえるべくもなきとうとい若人の命、またまだ行方不明になっておるのが多数あります。しかし生命も財産も土地も家財もみな失ってしまったが、ふるさとがないというこの地においても、
政府はこれらの
干拓地に、明年の
作付に支障のない
程度まで再建
復旧の
確信があるかどうか、
確信を持って臨んでおるというならば、
予算的裏づけをもとにして説明をしてもらいたい。すなわち今生き残った
被災者たちは、この寒空を収容された学校、寺等で寝起きをしておりますが、身寄りもなければたくわえもない、家もなければ土地もない、こういうあわれむべき
状態のままでありますので、待っておるのはあたたかい
政府の思いやりある
対策だけであります。私は罹災者のその声なき声をここに訴えながら、こうして壊滅してしまった開拓地のこの
事業の将来についても、今後に対処して一体どうしようと
考えておるのか、おざなりな
答弁でなく、真摯な態度で、真剣なお気持を
国民の前に明らかにしていただきたいと思うのでございます。あるいは開拓、干拓
事業は臨海工業地帯にでも変えたらどうか、根本的に
考え直したらどうだというような説をなす人もあります。しかし
政府はこれが
復旧に全力を尽くして、これまで以上に開拓、干拓の持つ戦後の使命を貫いてやっていくというかたい御
決意があるかどうか。これはひとり
被災者だけでなく、全国の干拓、開拓
関係地方の方々が心配をしておる点であります。私のところにも電報に手紙に、たくさんの訴えを毎日のようにもたらしてきておる事実があるのであります。
一体わが国における干拓の歴史はきわめて古いのであります。しかし過去における
干拓地は、いわゆる干がた地が海へ前進して、その背後地を守りながら、これらの地帯の民生の安定、経済社会の発展に寄与するというのが歴史の事実であります。だからこそ
政府、
農林省は、農村青年建設隊の施設を生かして、ここで訓練をした青年を二、三男
対策の一環だとして開拓、
干拓地に入植させて、単に農業の生産に寄与するだけでなく、経済的な面を
考えるだけでなく、領土、国土の造成保全のための使命と役割をも果たさせておると思うのであります。しかしその埋めておりまする、拡張しておりまする面積は、調べてみますると、毎年つぶれ地として工場あるいは住宅等に転用されてつぶれてしまいまする田畑二万町歩の半ばにも達しておりません。かなりな国家的な
財政的な犠牲、
国民の献身的な
努力を注いでおるにかかわらず、住宅や工場につぶれてしまう
農地の半分も造成しかねておるというのが実態であります。こういう際に、この問題の、干拓、開拓の
事業の将来に対する
政府の所見をこの機会に明らかにしていただきたい、こういうことを要求いたしたいのでありまして、
政府、
農林省の青年建設隊の、入植をしていない建設隊員にして、せっかくの使命をも果たさずに、
被災者となって生き残っておる人もありますれば、死んでしまった人もあります。これらの方々に対する見舞金なりあるいは生活保障なりについて何らかの考慮があるかどうか。次に、生き残った被災農家の諸君は、営農の収入は皆無である、そうして生活をどうしてこれから守り抜こうかととほうにくれた姿は、はや四十日は過ぎておりまするけれ
ども、押し迫る年の暮れ、来春の植付までにはというところに希望をつなごうとしておるのでありますが、これらに対する建設、救農的な
事業の内容について説明を求めたいと思うのであります。
要するに干拓、開拓
事業については、国は特定土地改良
工事特別会計法
施行以来、七年完成を、両院の院議の決定もあり、
国民に約束をして、ただいま三年目に入っておるかと思います。
あと四年を待ってこれらの計画は完了するはずになっておりまするが、残
工事を四年間に、全国の開拓、干拓
関係のこの特別会計法に基づく
事業は、継続
予算をもってしてもりっぱにやり抜いていきますという
決意が
政府にあるかどうか。これによって計画的に
国民のこの方面に働く方々の支持を得ることができると思います。
以上は大体農林
大臣に尋ねたい点でありまするが、
海岸の
堤防の
施行に関しまして、昨日、本日にわたる熱心な質疑応答の間にだんだん理解を深めることができましたが、今朝の
新聞によりますると、
海岸堤防の
基準をきめる方向が決定をした、その一は、従来の
堤防の高さをさらに一メートル前後高くする、その二は、
堤防の背後の被覆もコンクリートにする、つまり裏側がコンクリート化していなかったために、さんたんたる
災害を受けたのを補強する、第三は、
堤防の中心にコンクリート土台を入れる、あるいは両わきに土台を築くというような図面入りの中部
日本新聞の記事を見たのであります。私も十三
号台風、
昭和二十八
年度災害に遭遇し、六十年このかたないような津波の被災を受けた一人でありますが、またぞろ六年も待たずして、その数倍にも及ぶというような
災害地に生を受けておりまして、
堤防に関しては、
しろうとでありますけれ
ども、非常に関心が深い。具体的な例もたくさんありまするが、要するに、
建設省も
農林省も
運輸省も、国も県も市も町村も、すべて
海岸の
堤防——これは
河川の
堤防に続いておりまするが、その
基準を設定をして、
堤防建設者はだれである、何月幾日だれの責任において建設したということまで明示して、二度と再び、
海岸堤防の構築が済んだ以上、破堤のうき目は見ない、こういうところまでやり抜いていただきたいというのが私の期待であるし、念願するところであります。今年のような大
台風は、そうそうやたらに毎年やってくるものではないと思います。と同様に、二十八年も思っていた。ところがまたぞろやられてみますると、来年やってこないという保証はどこにもないわけなんです。そうしますと、こんな
台風なんかは、最も率直に素朴に
考えますると、岸さんはちょうど名前が岸ですけれ
ども、護岸
工事を、岸をしっかりさえすればいけるのじゃないかという声は当然だと思う。これは
一つ思い切って、もう
海岸に関する限り心配は要らないというところまで、今申し上げたような設定
基準に基づいて、一連の
工事担当者が、だれがやっても大丈夫だというところまで、この伊勢湾
台風被災の中から、何とかこの道は開けぬものだろうかということを
考えておるわけであります。専門家によりますると、
日本のような、四面海に囲まれて、山は険しく、川は短し、雨はどしゃ降りの集中豪雨型であって、一気に下流に押し流される、
台風災害条件のまことに備わっておるこの国で、
大蔵大臣の言う民生の安定と生業に安んじていけるというのには、せめて岸だけは、
堤防だけはしっかりしたものにしてしまうということが絶対必要じゃないかというふうに思い詰めますと、何より大切なことは、今までやってきたようなこうやくばりはやめて、継ぎはぎでいくことを再検討をし、きびしい反省を加えまして、過
年度災害に次ぐ過
年度災害、こういう過
年度の
災害をこま切れ
予算でつくろっていくということは、今回限りやめてしまう、ここまで
決意をなさる意思はないかどうか、こういうことです。
政府は、
災害復旧について決して出し惜しみはしておりません、財布の底をはたいてやっておりますと言いますが、私は出し惜しみの問題や、財布の底をはたくというのが問題ではないと思う。今申しましたように、
海岸に囲まれておる国土の保全と、
国民が安んじて生業にいそしむことができるまで、
堤防の
工事、護岸
工事を事前
対策としてやってしまう、こういう
決意によって国政を見るということが何より大切だと思うのであります。
村上建設大臣は、五年間に三千五百億かけるならば、毎年一千億円の
災害を減らすことができるということを述べておると聞いております。専門家の
大臣が自信と信念を持ってこういう結論に達しておるとするならば、私はこの際
災害克服のために、勇気をふるって、決断されて、三十五
年度の
予算編成に臨むということが
国民の期待と待望に沿うことだと思っておるのでありまして、
災害の
対策は恒久的に根本的にやるとまで述べられた岸
総理大臣の
現地における
言葉、また本
会議における
決意のことが、おざなりでなく、真摯な態度で臨もうとしておられるかどうか、この点のお答えを要求して私の
質問は終りますが、
答弁はそれぞれ具体的にはっきりとお答えを願いたいと思います。