○
高田(
富之)
委員 私は、
日本社会党を代表いたしまして、ただいま
提案されました
修正案に
賛成、
原案に
反対の
討論をいたしたいと思います。
ただいま
提案者から
説明がありましたように、わが党並びに
社会クラブで出しました
修正案というものは、きわめて
理論的にも正しく、また、実際的にも最も実情に適合いたしました理想的な
修正案であると
確信をいたしております。昨日の
質疑の中におきましても、この
趣旨を申し述べましたところ、
農林大臣も、これは考慮に値する考え方であるといって、ほぼ
賛成の意を表明せられておるわけであります。もっとも、
あとでまた時間を置いて若干訂正されましたが、しかし、その訂正の
意味も、もしこの
法律案が通れば
実施面でそういうふうにやろうという
意味だというふうな答弁であったように記憶をいたしておるのでありまして、いずれにいたしましても、この意図するところについては、良識ある方であれば何人もこれは
反対するいわれのない
修正案である、こう思うわけであります。と申しますのは、いずれにいたしましても、
政府の出しました
需給関係の
推定におきましても、ただいま
政府保有糸を全量放出した場合に必ず
市中に三万俵ないし四万俵のものが滞留するということであり、これは実需以上の
数量でありまして、
政府が
手持ちをするか、あるいは放出して
業界が
手持ちをするか、いずれにしても
手持ちになる
数量であるということは、
政府みずからが公にしておる
通りでありまして、三万俵ないし四万俵は余るということ。そういう余るものを
市中に投げ出すという必要はないわけでありまして、仮
需要にまでこたえる必要はないのでありますから、当然
滞留推定量のうち少ない方の三万俵をとりまして、三万俵
程度のものを保有しておくということは、
理論的にも実際的にも最も適切な処置であります。いやしくも、
価格安定制度、
安定法が現存いたします以上は、若干の
保有量というものがなければ、
安定法は事実上
機能を失うわけでありまして、
安定法を廃止してしまった後ならともかく、現在厳としてこれが存在する以上は、何ほどかのものを
手持ちしなければならないのは大
原則であります。従って、ただいま市内において放出しても当然残るだろうと想定される
程度のものを保有することは必要であります。従って、三万俵
程度のものは保有されて、
残余のおおむね一万五千俵
程度のものを売り出していって、本
生糸年度における
需給のアンバランスをある
程度補っていくということが適当であろうと思う。
この一万五千俵
程度のものを出すといたしましても、これは厳密な
意味における時価で放出する以外違法になるのでありますから、公正な
競争入札によりまして、正しい
成り行き相場を反映する
価格で売り渡すということになりますと、これまたおおむね
生産費とんとんということになるわけでありまして、
政府の計算する
生産費が一俵おおむね二十万円というところでありますと、現在の
成り行き相場とそう違わない、これとほぼ見合う
相場で、きわめて妥当なこれは
売り渡し価格の
最低限界であろうと思うのであります。従って、三千三百円を
最低限界といたしまして、
残余の一万五千俵
程度のものだけは
売り渡しを認めることは、非常に当を得た
措置であると思うのであります。
こういうことでありますので、もちろん
皆さんの御賛同を得て
修正案が通ると私は
確信しますが、まかり間違って万一これが通らないということになりましても、
実施面においてこの
修正案と同様の
実施がなされるであろうという
確信を、
大臣の昨日の
言明から持っておるわけであります。
いずれにいたしましても、今度の
原案というものは、
質疑の
過程で余すところなく明らかになりましたように、これはきわめて当を失したものであります。単に当を失した案であるばかりでなく、
不法な行為を
あとから裏づけるようなものでありまして、好ましからざるところである。元来、十八万円を
実施上の
最高価格なりと公称しまして今日までやって参りました
価格操作の
やり方は、
政府当局の
一大失敗でございます。こういう
失敗をいつまでも繰り返しておったのでは、
蚕糸業は、伸びるべきものも伸びられなくなってしまい、非常に萎縮した
状態、混乱した
状態に追い込められるのでありまして、
業界のために私は非常に悲しまざるを得ないのであります。昨年のあの大きな
失敗にこりまして、あれから教訓を学び取って、これからはいたずらなる
干渉はしないということをあのとき言われたわけであるし、
白書の中にもそういう
精神がある
程度出ておるのであります。にもかかわらず、今年度もまた再び去年と同じ
失敗を繰り返して、——去年は
下値ささえでもって
失敗をしたのですが、今度は
上値ささえで
失敗し、同じことをまた繰り返しているということになるわけであります。こういうふうなことは今後絶対に避けてもらわなければならぬと思う。
質疑の
過程でも明らかになりましたように、
実質最高価格十八万円説は違法であるということ、
最高価格はあくまで二十三万円と法に定められたもの以外はあり得ないということも、
統一見解によって明らかになりました。従って、
提案理由の中で述べられました
本法提案の第一
前提が
質疑の
過程でくずされたわけであります。
大臣の
言明によっても明らかに訂正されてしまっておるのであります。従って、これは
提案の
理由をすでに失ったのであります。こういう違法なもの、ありもしないものを
最高価格なりと称しまして、これを貫徹するために、
業界、
取引所に加えましたいろいろな
規制、これまた
不法であります。
不法の
連続であります。あまつさえ、強迫に類するような誤まった
行政指導の
やり方までいたしまして、なすべからざる
規制をなし、
思惑でなく実勢で
相場が上がっておるにもかかわらず、
思惑なりとこれを称し、そして、これに対する
規制と称しまして、
取引所の
機能を麻痺させ、
清算取引が茶番劇化するという
状態にまで追い込められてしまったのであります。角をためて牛を殺したのであります。そういうふうな行き過ぎた
干渉、こういうことが昨年のあの経験の中から悪いということは
重々承知のはずであるにもかかわらず、またそれを繰り返した。こういうことは今後二度と再び繰り返してもらっては困るのであります。そういう
不法な
行政措置の
連続である。なかんずく、
最終段階においてとりました買いかえ
措置のごときは、何人といえ
どもこの
違法性を疑わぬものはないのであります。無理な
前提に立った十八万円最高なるものを押し通すために違法の手段まで使ってやってきたというものに、
国会が
事後承認を与える、しりぬぐいをするというような役割を果たすべきものではないと思うのであります。
国会は、
立法されたものについては行
政府の法の忠実なる執行を監視監督する
責任があるわけでありまして、不当な
行政指導が行なわれ、
不法な
やり方があった場合にはこれを是正する、厳としてこれを正すというのが、われわれに与えられました使命であります。従いまして、あのような不当かつ
不法な
やり方を
連続いたしまして、しりぬぐいに出したのがこの
法案であり、しかも、この
法案たるや、
臨時措置法というものを全く運用いたしまして、あの大
暴落に対しまして
最低を守るためにできた
臨時措置法を、今度は逆に
上値ささえに用いようというふうなことは、
立法の
趣旨精神とは正
反対のものを織り込んで活用していこうというふうな行き方であります。これは法の
精神から言っても
邪道でございます。そういう
やり方が違法だとは言えないかもしれないけれ
ども、これは
邪道であって、そういうときには、
状態が変わったのでありますから、
臨時措置法は廃止いたしまして、そしてあらためて別の
立法をしなければならないのは当然でありまして、そういう
便宜主義、単なる
便宜主義のために
国会が利用されるというようなことは、これは
立法府の
権威を守る点から言いましても受けつけてはならぬと考えます。本年から言えば、この
法案は撤回されて、そして、もし何らかの
措置が必要ならば新しい別の
立法をしなければならないものであります。しかるにもかかわらず、
面子にこだわり、今までやってきたというその
政府の
面子のために、これをどこまでも通そうというようなことをお考えになることは、まことに遺憾しごくであります。しかし、このことは
与党の
皆さんといえ
ども実はよく御
承知のところなんでありまして、われわれが今日まで五十何日間にわたりまして
慎重審議をし、
政府の御反省を求めつつ参りましたその
過程においては、
与野党一致の体制で参ったのであります。
委員長といえ
ども、非常に苦しいお
立場にありながら、常に熱心に
政府与党幹部の間に御
意見を申し述べられまして、そうして何とか
事態を、あまり恥をさらさないで収拾しようというこの御苦衷を、われわれは
ほんとうに御同情申し上げておる次第であります。いずれにいたしましても、
高石委員を初め
与党の
委員諸君の御
質疑の中を
速記録を繰ってよく御熟読願うならば、言葉こそやわらかく、
政府に対して野党の言うような直截簡明な御主張はなされておらないまでも、
精神においては全く一致しておるわけでありまして、これらの
審議の
過程を見ますならば、本
委員会における
与野党を通じての
意向が那辺にありやということはきわめて明瞭であります。私
どもは、こういう点で、この
法案を通すなんということが万一ありとすれば、これは
国会の
権威の問題である、こう考えます。特に、この十八万円説なるものが違法なるものであることは、もはや
統一見解ではっきりいたしましたが、単に違法であるばかりでなく、不当である、正しくないということもまた明らかになったわけであります。すなわち、十八万円なるものを考えられました根拠が、あの
最悪段階の去年の異例の場合における
暫定措置としてこしらえた
最低価格の上へ、ただ四万円をくっつけた
最高価格にすぎないということ、これは
理論上も実際上も全く無
意味なものでありますし、また、あの
最悪事態において十六万円で
需給が均衡すると考えた一学者の学説、これもまたその当時の状況の中でこれを合理化した
理論にすぎないのでありまして、あの当時と今日とでは、
需要が十万俵も違うという、全く予想せざる
需給関係が展開されておるのでありますから、十八万円なるものが
理論的にも実際的にもいかにとるべからざる
最高価格であるかということも明瞭になったはずであります。従いまして、こういうふうな支離滅裂な案をなお固執して押し通すということは、まことにあり得べからざることであり、おそらく本
委員会におきましては満場一致をもって否決されるであろうと私は考えますが、かりにもそんなものが通るということになれば、私は、
ほんとうに、この
国会の
権威をしょって立つ大政党たる天下の
自由民主党の面目いずこにありやと言いたいのでありまして、
自由民主党の
諸君のためにも、この
法案は
反対をされて、そしてこの筋の通った
修正案に
全会一致御賛同なさるということにいたしまして、ぜひとも
国会の
権威、本
委員会の
権威を保たれますように、私は切に
皆さんにお訴えをいたしまして、
原案に
反対、
修正案に
賛成の
意向を表明した次第であります。(
拍手)