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1959-11-20 第33回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月二十日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 福田  一君    理事 岡崎 英城君 理事 辻  寛一君    理事 飛鳥田一雄君 理事 受田 新吉君    理事 木原津與志君       内海 安吉君    小金 義照君       田村  元君    富田 健治君       中川 俊思君    橋本 正之君      茜ケ久保重光君    石橋 政嗣君       中原 健次君    原   彪君  出席国務大臣         国 務 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         国防会議事務局         長       廣岡 謙二君         防衛政務次官  小幡 治和君         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (経理局長)  山下 武利君         防衛庁参事官         (装備局長)  塚本 敏夫君  委員外出席者         空     将         (航空幕僚監部         幕僚長)    源田  実君         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 十一月十八日  旧軍人恩給加算制復元に関する請願外一件(  田中龍夫紹介)(第三六九号)  同外二件(高瀬傳紹介)(第四二九号)  同(小泉純也君紹介)(第四六四号)  同(野田武夫紹介)(第四六五号)  同(亀山孝一紹介)(第五〇一号)  同(小金義照紹介)(第五〇二号)  同(橋本正之紹介)(第五〇三号)  同(船田中君紹介)(第五〇四号)  同(南好雄紹介)(第五〇五号)  同外一件(今松治郎紹介)(第五四九号)  鹿屋市に航空工廠設置に関する請願二階堂進  君紹介)第四一四号)  建国記念日制定に関する請願(纐纈彌三君紹  介)第四二八号)  傷病恩給の是正に関する請願高瀬傳紹介)  第四三〇号)  同(永山忠則紹介)第四三一号)  赤湯町及び和郷村の寒冷地手当増額等に関する  請願黒金泰美紹介)(第四六三号)  寒冷地手当増額等に関する請願塚田十一郎君  紹介)第四六六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件      ――――◇―――――
  2. 福田一

    福田委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。木原津與志君
  3. 木原津與志

    木原委員 本日は同僚議員から防衛庁長官戦闘機種の問題を中心として質問がございますので、その前に、私は戦閾機種の問題と重複しないように、安保改定の問題と、これとの関係において防衛力増強の問題が当然生じてくることが予想されますので、その点について長官がどういうような構想を持っておられるか、二、三質疑をいたしたいと思うのでございます。  この安保改定の第三条によりますと、この条約の改訂が成立するということになれば、第三条によって「武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を自国の憲法規定に従うことを条件として維持し、かつ、発展させる。」すなわち日本安保改定によって防衛力増強を必然的に義務づけられる結果になることは明らかでございますが、この点について防衛庁当局は、この安保改定の問題と国防力増強という問題とをどういうふうに考えておられるか。その点をまず先にお尋ねいたします。
  4. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 日米安全保障条約改定されないでも、現在におきましても自衛力増強するということを期待されておりますることは御承知通りであります。しからば安全保障条約改定された場合に、おのおの能力に応じて自衛方維持、発展することが、お話のように強制されたり、義務ということを意味しておるわけではございません。ただ私ども防衛を担当している立場から考えますならば、アメリカ日本を守らせる義務をはっきりさせるというのに、ただそれにばかり依頼して、みずからがみずからの国を守る努力をしないということは、日本独立国としての務めではない、こう考えますので、義務とか強制はせられませんけれども自衛力を充実していくということは日本自体として考えるべきことだ、こういうふうに思っております。
  5. 木原津與志

    木原委員 両国の間に条約が締結されれば、その条項に基づいて両国相互義務を負うことは当然なんです。条項に基づいた義務を負わないならば、条約意味はないわけなんです。この第三条によって「両締約国は、個別的及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助を行なう」、こういう文句を受けて、そうして防衛力を発展させ増強するということになるのでございますから、この新安保条約の第三条によって当然国が防衛力増強しなければならぬということに義務づけられると思うのでありますが、その点もう一ぺんはっきりした御答弁をお願いいたします。
  6. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 条約で締結されても、それがあるいは強制されたり義務づけたという結論は必ずしも出てこないと思います。今の場合でいいますと強要されるということはまずありません。それから義務ではなくして、私どもはこの条約によりまして、私ども自体として日本国力国情に応じて自衛力維持、発展させるということをこの条約の上において約束するわけでありまして、ただ漫然と自衛力を発展する義務を負うということではない。そういう信義に基づいて日本自体の判断によりまして、しかも日本国防方針国力国情に応じてということがありますから、そういう意味におきまして日本自体が独自の立場から維持、発展させる、こういうことを宣明することと私は思っております。
  7. 木原津與志

    木原委員 たまたまこの安保改定と時を同じうして、聞くところによれば防衛庁では防衛五カ年計画か六カ年計画か知りませんが、昭和四十年度までの期限内に防衛力増強するという計画策定されており、その計画国防会議に付議せられる予定にもなっておるということを聞いておるのでありますが、この防衛六カ年計画安保条約改定とはどういう関係にあるか、その点をお聞かせ願いたい。
  8. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 防衛計画につきましては第一次防衛計画というものがあります。これは昭和三十五年度終期になっています。その内容は、こまかいことはありますが、大きく申し上げますならば、陸軍の兵力を三十五年度までに十八万人にしたい、海の方は十二万四千トンにしたい、それから飛行機は約一千三百機にしたい、こういう目標を持って防衛三カ年計画を続けてきたのであります。ところが陸にいたしましても、あるいは海にいたしましても、あるいは空にいたしましても、その目標通り目標遂行ができないものもありますし、ものによっては変更しなくてはならぬものも生じてきておるわけでございます。ところで防衛というものは思いつきだけで、その年々でやるわけには参りませんので、常にある期間を限って、三年とか五年とかの計画を立てまして、その計画のもとにその年々にはまたその年度業務計画を立てます。その業務計画に基づいて、また予算というワクがありますから、最終的にはこの予算ワクによってその年々はきまってくる、こういうことでありますから、どうしても順序といたしまして、三十五年度終期とする第一次防衛計画が、目的が達せられないものがあり、あるいは変更しなくてはならないものがあるということが出てきました現在におきましては、三十五年度始期とするか、三十六年度始期とするかは別といたしまして、一つ計画を持たなければならないと思います。そういう観点から、この夏以来防衛庁といたしましては、三十五年度始期といたしまして四十年度終期とする防衛六カ年計画策定を進めてきておるわけでございます。ところがこれはまだ最終決定というわけには参っておりません。三十五年度予算との関係もひっかかってきておりますので、これとの関係においてあるいは三十六年度始期になるかどうかわかりませんが、ともかくもこれは国防計画の大綱になりますから、国防会議に付議してその決定を見ませんと最終決定には相なりません。そういうことで内部で計画策定して、まだ結論を出しておらない。しかもこれは国防会議において最終決定を踏むのだ、こういうことになっています。でありますから、お尋ねのように安全保障条約改定するためにそういうことをやっているのか、こういうことでありますが、そういうわけではございません。三カ年計画終期になりますから、その終期から、それを始期として五カ年計画を立てよう、こういうことであります。でありますから、五カ年計画あるいは六カ年計画安全保障条約改定と直接の関係はありません。しかし私が先ほど申し上げましたように、日本の平和と安全を保つための防衛というようなことにつきまして、日本が相当自主性を持たなければならぬ、こういう考え方は私ども持っておりますので、安保改定というようなことになっても、自主性はあくまで持っていきたい、こういう考え方を持っていますが、直接関係を持っておるものではございません。
  9. 木原津與志

    木原委員 長官はこの防衛力増強についての策定計画安保とは関係ないという御答弁趣旨のように聞きますが、もし安保改定が調印されるということになれば、防衛力増強ということは安保の成文の中からも当然出てくるわけなんです。そうなると、今あなた方が構想しておられるこの六カ年計画をさらに上回る防衛力増強ということが、新たにまたできてくるのではないかと思う。そういう点についてどういうふうなお考えでおられますか。
  10. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 防衛力維持、発展するということは、日本主体性のもとにこれをやることになっております。でありますから、現在の安保条約におきましても日本防衛力増強を期待されております。今度の改定におきましても維持、発展させるということになっておりますが、これは強制されるものでもございませんので、あくまでも日本自主性主体性に基づいて防衛力を充実し、維持、発展するということでございます。特に先ほどから申し上げましたように日本国防方針の中にも、国力国情に応じということもあります。それから防衛計画を立てても、先ほどから申し上げましたようにその年度々々の業務計画というものを立てます。その業務計画基づついて予算の要求をいたしまして、予算策定を経なければなりません。国会審議を経なければなりません。そういうことでありますから、私どもはそういう筋を通して防衛力の充実、維持、発展をしたいということであります。そしてまた現在の安保条約のもとにおきましても、私どもは自主的に防衛力を充実していくという線できて、そして三カ年計画を立てたのであります。今度六カ年あるいは五カ年計画を立てまして――これは国防会議でどういうふうにきまるかわかりませんけれども安保条約改定ができたから、それだから急にそれと違った要請をさせられるということはありません。この条約そのものが強制されておるものではありませんから、そういうことは私はないと信じております。しかし日本としては、先ほど申し上げましたように自主的に国力国情に応じ計画を立て、その計画を立てたものをその年度々々においては業務計画をさらにこまかく立て、それを予算血において裏打ちしてもらわなければなりませんから、国会に提出して皆さんの御審議を経る、こういうことでありますから、安保改定ができたから何か急激に増させられるのではないか、あるいは計画を変更して増すようなことにするのではないかというような御懸念があるようでありますけれども、その点はないと私は考えております。     〔委員長退席辻委員長代理着席
  11. 木原津與志

    木原委員 安保条約改定によって防衛力増強が別個に考えられるのじゃないという御答弁でございますので、その点はそれにして、次にまたお伺いしたいと思うのですが、安保条約の第五条等によって、日本にある米軍基地第三国から侵略を受けた場合に、日本は自発的に戦闘行為に入るのだという趣旨規定が当然うかがわれるのです。そこで、これにつきまして藤山外務大臣その他総理の説明を聞いてみますと、日本がそういう場合に自発的に防衛行動に移るのは、安保条約による集団的な自衛権として日本自衛隊軍事行動に出るのでなくて、日本本来の個別的な自衛権に基づいて、独自の立場で国土を守るために戦闘行為に入るのだ、すなわち個別的な自衛権による戦闘行為であって、集団的な自衛権による戦闘行為ではないということをしばしば言明されておられる。そこで私はこの点について、直接の軍の指揮官であるあなたにお尋ねしたいのだが、個別的な自衛権に基づく自衛隊行動だろうと、集団的な自衛権に基づく行動だろうと、結局は軍が発動すれば、軍事行動を起こすということになれば、これは日米の、アメリカ軍自衛隊との共同軍事行動になるということ、だろうと思うのです。そうすれば、そのアメリカ軍自衛隊とが一緒軍事行動をするという場合、これは個別的な自衛権だろうと集団的な自衛権だろうと、行動一緒なんでしょう。そこに私どもがどうしてもわからないところがあるわけなんです。その点を共同でやるのか。個別の場合と集団的な自衛権の場合と、何か軍事行動について差別があるのか、違った面があるのか。そこのところを大臣からはっきりお聞きしたいと思う。あるいは発動根拠が別々であっても、発動してしまったら一緒になって共同でやる、だ、こういうことになるのか。あくまでも別々の行動を両軍がとられるのか、その点について長官の御説明をお伺いしたい。
  12. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 日本基地におけるアメリカ軍攻撃された場合には、日本も、日本の領土、領空、領海を侵害された、こういう立場によって個別的自衛権発動する。これを集団的自衛権と言わない点につきまして一つ申し上げたいと思いますが、今言われている木原さんも御承知でありましょうが、バンデンバーグ決議等における集団的自衛権といいますけれどもお互いに対等に、たとえば日本の国が攻撃を受けた場合にはアメリカが出てきて守る、アメリカの本土を攻撃された場合に日本が行ってこれを援助する、こういうような完全なる形が集団的自衛権国際法上の正当防衛権集団的発動、こういうふうに見ているわけであります。ところが日本におきましては、日本憲法上の制約等もありますので、そういうことはできないことになっております。でありますので日本といたしましては、そういう集団的自衛権というもので動くのではなくして、日本アメリカ軍攻撃された場合には、これは日本個別的自衛権発動として日本武力を行使する、こういうことに相なろうかと思います。そういう場合に、いずれにいたしましてもこれは共同日本を守るという形をするのではないか、その場合においてどういう形でそれがなされるのか、こういうお尋ねかと思いますが、これにつきましてはおのおの個別的自衛権発動して、そうして共同になるという形でありますから、たとえば作戦でありますが、アメリカ作戦本部の指導によって日本自衛隊が動くとか、あるいは日本作戦本部命令によってアメリカ軍が動くとか、こういうことには相ならない。両方におきましてこれに対処する方策を立てますが、緊密なる連絡のもとに、日本の安全と平和、あるいは防衛のためにどういうようにするかということが協議されて行動に移される、こういうふうに考えております。
  13. 木原津與志

    木原委員 私が聞きたいのは、アメリカ軍日本にある軍事基地外国が、第三国攻撃した場合のことですが、この場合に日本軍事行動を起こすのは、日本の固有の個別的な自衛権行動を起こすのだ、こうおっしゃるのですね。ところがそうでなくて、この安保条約趣旨を、集団安全保障という形をそのまますなおに解釈すれば、日本にある軍事基地を第二国が攻撃した場全書は、これこそ集団防衛権によって日本自衛隊が、アメリカ軍基地侵略に対して行動を起こす、こういう集団自衛権ですね。集団的な防衛権、この場合と形が同じになってしまうのです。実っ質上は集団防衛権ではない、個別的な防衛権だと言っても、結局形においては、個別的な防衛によって発動しても集団的な防衛によって発動しても一緒になってくる。実質としては、日米共同軍事行動として形は一緒になってくる。ただ名目だけが、片方は個別的な自衛権によって発動したのだという、片方集団的な自衛権によって発動したのだという、発動の形、根拠が違うだけで、実際上は集団自衛権個別自衛権発動してしまえば一緒の形になる。こういうことになれば、結局実質的には、あなた方がおっしゃる日本の個別的な自衛権発動集団自衛権発動と何ら変わるところがない、こういうような結果になるのです。そうすれば、ここで憲法の九条の問題と関連して私は非常に疑問が出てくる。もし個別的な自衛権は当然憲法で認めているのだという解釈をとって、それが結局発動してしもうたら集団自衛権集団的な防衛権発動と同じ形をとった軍事行動がとられるということになれば、むしろ憲法九条は、個別的な自衛権を認めておるというだけでなくて、アメリカ軍基地日本にある以上、集団的な自衛権までも憲法が認めておるというように、解釈が拡張されるのじゃないか。だから私どもがその点を問題にするわけなんです。もう一回今のところ、何かどこかに集団自衛権の場合と個別自衛権の場合と、軍事行動の面において異なる、こういうところが違うのだというところがあるかどうか。もし違うところがない、発動してしまったら日米共同軍事行動だから、集団の場合も個別の場合も一緒だというならば、私は憲法の九条の問題は、ここからまた新たに解釈が広げられるということになろうかと思うのです。だからその点をいま一回明快な御答弁をお願いする。
  14. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 日本個別的自衛権発動でも、アメリカ攻撃されたような場合に、集団的防衛権と同じ形の行動をとることになりはしないか、こういうお尋ねです。そういう点で、二つの面において集団的自衛権の場合と違っています。一つ作戦本部であります、これはNATOなどでもそうでありますが、集団的自衛権の集合でありますならば、一つ司令部のもとにほかがみな統一的な行動をするわけです。この日本の場合においては、日本司令部アメリカ司令部とが、どちらも上だ。アメリカ司令部司令に従って日本自衛隊が動くとか、日本自衛隊命令によってアメリカの軍が動くとか、こういう形はとりません。お互いに別々に、そういう場合の作戦対策本部というものがありまして、その間の連絡を非常に密にして防衛に努めるということが、一つだと思います。もう一つは、集団的自衛権ということでありますならば、アメリカ攻撃されるとか、あるいはそのほかにアメリカが被害を受けるという場合には、これは日本の外に出まして、日本自衛隊がいわゆる海外派兵といいますか、外まで出て協力しなければならぬと思います。そういう点は日本憲法で禁止しておるところでありますことは御承知通りであります。でありますから日本にある基地アメリカの軍が攻撃されたからといって、集団的自衛権を持っているという建前で、外へ出るというようなことはありません。もちろん集団的自衛権ということでなくて、個別的自衛権発動ということで私どもこれを見ております。この二つの点において、すなはち作戦本部がどっちかが上で、その命令に従って行動するということでなくて、別々に対策本部ができるということ。それからもう一つは、集団的自衛権ということでありますならば、海外派兵までもしてアメリカに協力しなければなりませんが、その点は日本ではやらない。あくまで日本区域内におきますることに限られておるわけです。
  15. 木原津與志

    木原委員 今、集団自衛権発動の場合と個別的自衛権発動の場合とは、作戦のやり方が違うのだということを、長官は御答弁になりましたが、その点は政府の公式の見解として承ってよろしゅうございますか。もう一回繰り返しますが、もしアメリカ軍基地外国侵略した場合に、日本軍発動する。しかしこの日本軍発動した場合とアメリカの軍――これも当然発動しますね、これが発動した場合は、この条約趣旨は、日本の軍の発動集団自衛権による発動ではないのだから、これは個別の自衛権発動だから、独立した作戦司令部があって、その作戦司令部の下において日本軍は動くのだ、決してアメリカ軍の統轄のもとに、統率のもとに動くのではない。そこが集団自衛個別自衛の違いだ、こういうふうに承知してよろしゅうございますか。
  16. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 その行動する根拠は、今お話のように、日本個別自衛権根拠によって行動を起こす、アメリカはまた個別的自衛権あるいは集団的自衛権というような根拠行動を起こす、こういうことに相なるわけであります。根拠がそういうことでありますから――お互い集団的自衛権で、日本海外派兵でもできる、するという建前にあるならば、これは両方同じ形でありますから、そういう場合の行動におきましても、一本の形で動く。日本作戦といいますか、日本のあれによってもいいし、あるいはアメリカのあれによってもいいという場合もあるでしょう。しかしそうでないのですから、おのおの個別的自衛権あるいは集団的自衛権発動としての行動をとる、こういうことになっております。しかしそれだからといって、この間に全然連絡がないとか、勝手にやるというわけでありませんから、これは緊密な連絡はもちろんとらざるを得ないし、とると思います。ただその根拠が違うから、これは一体として、どっちかの司令部命令を受けてという形ではない、こういうことを申し上げておるわけであります。
  17. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 ちょっと関連さして下さい。今おのおの法仲的な根拠が違うから別々の作戦を立てる、こういうお話ですが、そういう御答弁の中には、もしもの場合両軍の上に最高司令部のようなもの、たとえばNATOの場合におけるような、米軍及び日本軍を統轄するような最高司令部を設ける意思はない、絶対にそういうことはない、こういう意味ですか。
  18. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 最高司令部が絶対に設けられないということを申し上げているわけではございません。それがどういうふうになるか、私も今考えておりません。ただそれがかりにできましても、そのときに日本自衛隊はその最高司令部命令で動くのではない。やはり日本最高司令に従って動く。従ってその最高司令部ができるとかできないとか、今ちょっと私そこまでは断定できませんが、かりにそういうものができたといたしましても、その命令によって動くということではなくて、日本自衛隊最高司令に従って動く。その日本最高司令というものは、在留米軍と緊密なる連絡をとっていく。だからそごはないような形はとらざるを得ないと思っております。
  19. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今のお話を実は前から僕は伺ってみたいと思っておったのですが、当然あなたのおっしゃるように、米軍集団自衛権日本軍個別的自衛権、こういうものに基づいて動作をするにしても、日本区域内においての防衛に当たるという点は同じわけです。従って日本区域内においての問題について、双方の軍に作戦上の意見の相違というものはしばしば出ます。そういう場合にあなたのおっしゃるような緊密な連絡なんということで問題が片づくはずはない。当然ここではたとえば日本からも二人、アメリカからも二人、こういうような人を出して最高司令部のようなものを形成し、そしてこの最高司令部決定に従って両軍が日本区域内において行動する、こういうことにならなければ、真の防衛なんてあなた方おっしゃるけれども、できるはずはないわけです。机の上では緊密な連絡なんということで済みますよ。しかし現実にたまが飛んでくるというような事態、あなた方がおっしゃるような事態があったとすれば、それでは済まないわけです。当然NATO甲の例にならって最高司令部のようなものを作ることになるのか、あるいはそういう緊密な連絡と称するものは日米合同委員会の中の一分科会で行なっていくのか。そういう機構についてまで明白に提示されないで、いたずらに日米共同防衛ということを論ぜられるのははなはだ無責任ではないだろうか、こういう感じがして、いつか一ぺんその点は十分伺ってみたいと思っておったところです。一体緊密な連絡なんということで、双方の軍に意見の相違があるという場合に済みますか。現に第二次世界大戦のときにも、参謀同士の間にも意見が違い、上級機関と下部機関との間にも意見が違い、並列する師団相互の間にも意見が違って、そのために損失を受けた例はたくさんあるはずです。ことにアメリカ軍日本という場合には、人種的な違いもありますし、戦術に対する基本観念も違うわけです。従ってそこには当然意見の相違が出てくることを予想しなければならぬ。仲よくやっているから出ないなんということをおっしゃる根拠はないはずです。そういう意見の対立、そういうものを調整する機関を当然お考えにならないで共同防衛などとおっしゃることは、それこそ抽象的だし、それこそ国民に対する欺瞞じゃないか、こう私は思っているわけです。最高司令部のようなものを双方から出して形成して、それに従って日本区域防衛をやるような機構を考えていらっしゃるのか。あるいは日米合同委員会の中の一分科会で緊密な連絡をおとりになるのか。その他どのような具体的な方法を考えていらっしゃるのか。それを明らかにしてほしいと思うのです。共同防衛などという言葉で、具体的な防衛の機構も考えておかないような無責任なことで一体やれる、だろうか、こういうことを私たちは非常に疑問に思っています。その点についても政府としての明確な態度を一つお示しいただきたい。
  20. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 日米合同委員会というふうなものは、当然事前協議その他のこともありますので、これは設けられると思います。私はその中にいわゆる専門委員会的なものが設けられる、こういうふうに相なろうかと今考えておりますが、この点につきまして、まだそこまではっきりした結論は出ておりません。
  21. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 日米合同委員会の中で、今まで作戦的な部門をちゃんと打ち合わせるような都会がありましたか。そんなものはないはずです。それを日米合同委員会を通じてとおっしゃるなら、日米合同委員会の中に、作戦をきちっと打ち合わせる、いざ有事の際には行動を統一するための小委員会をこれから作ろ、そういうことをはっきり明言されるのですか。そしてまた最高司令部のようなものは絶対作らぬ、こういうふうに断言していただけるのですか。はっきりした政府の態度を聞かなければ、国民は共同防衛といったってどうやってやるのか、何をやるのか、判断に迷ってしまいます。やはりあなた万は提案される以上は、国民が十分に判断できるだけの資料をそろえて提案すべきではないか。仲よくやるといったって、どうやって仲よくするのか、どうやって意見の調整をするのか、そういうことを明確にしなければ意味がないじゃありませんか。
  22. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知のように今の合同委員会はもっぱら事務的な問題を扱っておるわけであります。私が申し上げましたのは、この安保条約改定になりますならば、事前協議その他常時協議をする問題もありますから、そういう協議機関、これが安保委員会に似たようなものになるかどうか知りませんが、もっと違った委員会ができるだろうと思います。その委員会の中の部門として軍事的な専門委員会というようなものが設けられるようなことに相なろうか、こういうように考えておるのでありますが、まだその点におきましては断定的に申し上げることはできません。
  23. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 事前協議をする委員会と有事の際に作戦を練る、そして意見を統合する委員会と同じ委員会にするというのは、大変なことじゃないでしょうか。米軍が極東の平和と安全を守るために出動をするという、そういうことについてこちらが同意をするか、考え直してもらうか――拒否する権利があるとあなた方はおっしゃるが、拒否するか、これは政治的な判断ですよ。軍事的な判断ではないはずです。当然内閣が責任を持って行なう、こういうふうに藤山外相も言っておるはずです。すなわちそういう政治的な判断を、有事の際の作戦を統合する委員会に併合して一緒にやるということになれば、その事前協議は当然作戦に従属してしまう、軍の行動に従属してしまう、こういう結果をもたらすことは明らかじゃないでしょうか。政治と軍事とを区別せよ、こういうことを前から、日本の明治憲法の時代でも言っていながら、結局軍事に政治が引きずられた苦い経験を私たちはたくさん持っておるはずです。その誤まりを再びこの委員会の中で繰り返してしまう、こういうことになる、これは大へんなことですよ。まあこれから相談をしてやるのだという、そういう具体的な提案をしないそういうやり方に対しても、私は非常に政治的に問題があると思いますが、しかしこれから考えていく構想の中に、政治を軍事に従属させるような委員会を考えていらっしゃるとすれば、これは大へんなことだ。そういう委員会は必ず戦作を中心に話が進む、これは火を見るよりも明らかです。過去何百年間の人間の歴史の中で明確にわかっておることです。その中で事前協議を賛成するかしないかなんという、純粋な政治的な問題を同時に議論するなんという機構を考えておることは、これは大へんなことでしょう。言葉は悪うございますが、性根を据えてもう一ぺんはっきりお答えを願いたいと思います。
  24. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 どうも私の申し上げたことについて御了解が足らないと思いますが、私はその日米の事前協議などをする合同委員会にそれを設ける、こういうことを申し上げたわけではございません。そういう中にということですから、その下に軍事的な協議をするような機関が設けられる、こういうことに相なろうか、こういうことを申し上げたのであります。申すまでもなく自衛隊行動を開始するにつきましては、国防会議に諮ったり、あるいは国会の承認、こういうことがあるわけでございます。そういう点におきましては、日本自衛隊のそういう武力行使に当たるにつきましては、よく議会の関係あるいはその他の関係を十分考慮してやるわけでございます。その後の作戦等につきまして常時といいますか、連絡を密にするというようなことで、今のような機関が設けられることが必要である、こういうように考えております。
  25. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今答弁を訂正せられて、今度は上と下という関係になすったですが、それも問題じゃないでしょうか。事前協議をするかしないか、それを承諾するかしないかというのは純粋な政治的な問題ですよ。ところが作戦をどう打ち合わすかという問題は、これは防衛庁の軍事的な問題ですよ。その関係に上も下もあるはずはない。何か一緒にしていこうとする考え方が強いのじゃないか。こうして政治を軍事に従属させていこうとする、そういうあなたの考え方憲法違反です。私はそういう点についてのあなたの御説明はどうしても納得できませんよ。これは上と下の関係だからいいなんてものじゃない。同じ系列に属せしむべきものではないのです。それを同じ系列に考えていくというあなたの考え方は、かりに私の質問で答弁を訂正されたとしても、基本において変りはないのじゃないかと思う。私はそういう憲法違反のお答えについては了承できません。はなはだ恐縮ですが、木原さんに御迷惑ですから私もう打ち切りますが、双方から二人なり三人ずつ出し合って最高司令部のようなものを形成することはあり得るかないか、これが一つ。さらに事前協議と作戦的な打ち合わせとを峻別すべきであるかないか、あなた方が憲法違反をおやりになる意思があるかないか。それから第三にはそうした作戦その他を打ち合わせていく、今までの日米合同委員会にはそういう部門はございません。それをあなたはお作りになるとおっしゃるのですから、そういう部門をお作りになることについてアメリカとのある程度の話し合いがちゃんとできているかどうか、その経過、そしてその作られる委員会の構想、この三点にわたって一つ文書でお答えをいただきたいと思います。委員長、それを文書でいただいてよろしいでしょうか。
  26. 辻寛一

    ○辻委員長代理 承知しました。
  27. 木原津與志

    木原委員 そこで、今飛鳥田さんからも関連質問がありましたが、実際の軍事行動も――これは具体的に申し上げましょう。立川の基地に、ある第三国から攻撃があった、そしてアメリカ軍がこれの防衛のために立ち上がった。日本は、日本にある基地攻撃だからというので、アメリカ軍共同防衛のための軍事行動をする。その日本発動した軍事行動は、個別的な自衛権に基づく軍事行動だ。実際においては同じ国内における、日本地域における防衛ですから、これは共同防衛ということになりますわね。この共同防衛の形でやるのだ。その場合に、軍の行動の基づく法律上の根拠が違うのだから、共同はしても軍の司令部は別々だということをあなたが言われた。その点が私に納得できない。少なくとも一つの敵あるいは二つの敵を前にして、二つの国の軍隊が共同して防衛するときに、お互いの軍の指揮から作戦命令を出して別々な形をとるというようなことで、一体戦争ができるのですか。これは当然NATOの例もあるように、アメリカの指揮のもとに一貫した軍行動を、一つ命令系統から出る命令によって起こすということにならなければ、これは戦争になりません。これは私ども軍人が商売ではありませんから、戦争のことはわかりませんけれども、何ぼ共同軍事行動だということになっても、発動の形式が法律上違うから、別々に作戦指揮をやるのだ、そこが集団自衛個別自衛の違うところだとあなたはおっしゃったが、その考えは誤まりじゃありませんか。一つ作戦指揮のもとに、両軍が動くということになるのではありませんか。いま一回その点をくどいようですがお尋ねいたします。
  28. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 もちろん今のような場合には、統一した作戦行動に移らなければ意味をなしません。しかしアメリカ軍日本自衛隊を動かすとか、あるいはまた日本自衛隊アメリカ軍命令してこれを動かす、こういう形ではない。作戦につきましては一体となって話をし合うということは当然であります。しかしどっちかの国の命令によって、どっちかの国が動く、こういう形ではない、こういうように理解しておるわけでございます。
  29. 木原津與志

    木原委員 二つの軍隊が共同して動くのですから、どちらかの国の指揮系統に入らなければ、これは動きょうがないじゃありませんか。それでもなお指揮下に入らないで独立して動くということになるのでありますか、その点をお尋ねします。
  30. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 どっちかの指揮に入るわけですから、アメリカ軍アメリカの指揮に入るし、日本自衛隊の最高指揮権のもとに動かされる、これは当然のことでございます。ただその間に統一的なことがなくてはいけませんから、行動におきまして持ち場持ち場の分担もありますし、そういう点がそごしないで作戦行動ができるよう緊密に連絡をし、そういう一本の形で行動はすると思いますが、しかし発動する根源は違う、こういうふうに私は考えております。
  31. 木原津與志

    木原委員 日米共同軍事行動で、お互いが別々に行動をして戦争をするということでしたら、それは防衛になりませんよ。そんな戦争だったらせぬ方がいい。それは戦争になりませんよ。そんなことで国の防衛をやろうというのは、一体格好がつきますか。そういうことをされるのは日本アメリカの場合だけですよ。NATOの場合でもすべてアメリカの指揮下に入って一体となって動くというところに、同盟の意義があるのでしょう。日本の場合は個別的な自衛権発動に基づくの、だから、あくまでも日本建前として独立行動をとるのだ、そうして防衛するのだというのだったら、これは戦争になりません。そんな戦争だったら負けにきまっておるからしない方がいいのですよ。そういうような無理なことをおっしゃるのは、日本にある軍事基地外国侵略した場合に、実際上集団防衛権によって日本行動するのを、あなた方は個別的な自衛権行動するのだと無理なこじつけをされるから、今言うような矛盾がそこに出てくる、私どもはそう思う。そういう無理な解釈をしないで、これは条約に基づいて、アメリカ軍基地に対する攻撃に対して、安全保障条約規定により、集団自衛権として日本自衛隊行動するのだ、こういうふうにおっしゃれば矛盾は何も起こってこない。矛盾が起こらないのに、そういう場合実際は集団的な自衛権によって発動するのを無理やりにそうじゃない。個別的な自衛権による発動だ、こうおっしゃるから、そこのところに軍事行動の面においてちぐはぐな解釈がなされるわけなんです。私はそう思うのですが、長官はそうお考えになりませんか。
  32. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 集団的自衛権――的と申し上げてもいいのですが、それと一般の集団的自衛権と違うという点は、先ほども申し上げましたように日本憲法の制約があります。集団的自衛権ということになりますならば、アメリカ攻撃された場合には、日本アメリカまで出ていってアメリカの援助をする、こういうようなものが集団的自衛権としての完全なる姿、こういうふうに私ども解釈しておるのであります。そういう点におきまして、日本は海外まで行ってこれを援助するということはできないし、やるべきではないという憲法建前からいいまして、集団的自衛権というようなことにいたしますと、非常に何か海外派兵ども強制されたり、できるような解を受けますので、私ども集団的自衛権発動によるものではないというふうに解釈している次第でございます。
  33. 木原津與志

    木原委員 そこで、海外派兵ができないから完全な集団自衛権じゃないが、しかし国内の面における防衛という立場においては集団自衛権だと私どもはどうしてもここでそう言わなければ、今あなたがおっしゃるような、一緒になって軍事行動をする場合の軍事行動について無理な解釈をしなければならぬようになってくるのじゃ、ありませんか。だからこの場合は、海外派兵を含まない集団自衛権発動によって、日本アメリカ軍共同して防衛の任に当たるのだ、こういうのが筋道の立った解釈だと私は思うのですが、いかがですか。
  34. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 それは解釈の相違でありますが、私どもといたしましては、やはり集団的自衛権で国内でも発動するのだということになりますならば、飛行機の作戦等につきましても、一緒に外までも出ていくというようなことになりやすいように誤解を受けます。そういうようなことから申し上げまして、日本の施設区域内の場合に限るのだから、これは個別的自衛権発動だ、こう言った方が私ははっきりする、こういうのでそういう解釈をとっておるわけであります。
  35. 木原津與志

    木原委員 日本の国内での行動ばかりに制約されるから、それは集団的自衛権解釈しないのだという御趣旨のようですが、その点もちょっとおかしいと思う。何も集団的自衛権発動をそういうふうに拘束された考え方をしなくてもいいのじゃないかと思う。先ほどから指摘いたしますように、個別的自衛権発動だといっても、集団的自衛権発動だといっても、その発動の形式は違うかもしれぬが、発動してしまえば日米共同した軍事行動になるのですから、何も違いはないでしょう。違いはないのがあたりまえなんです。NATOなんかでも同じ例がございますが、発動してしまえば同じ統帥のもとに作戦行動をとらなければならぬということにおいて共同軍事行動ですから、変わりはないのです。だからそういう集団自衛権による防衛行動だといっても、何ら差しつかえないじゃありませんか。むしろあなたのようにそういう場合でもなお個別的自衛権だと言われるのが、私はどうも納得できないのです。
  36. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 実態的には集団的自衛権のような形でありましょうが、指揮権が違うということを先ほどから申し上げておるのでございます。日本日本最高司令部の指揮を受けるという形、アメリカアメリカの指揮を受ける。しかし作戦等においては緊密に一体化するような形でやらなければ、これはお話のようにてんでんばらばらにやったのでは防衛にならないから、それは同じような形になりますが、指揮の根源は違う、こういう点が日本憲法の特殊性からくる結果だと思います。
  37. 木原津與志

    木原委員 問答を繰り返しても何か平行線のようでございますから、これ以上お尋ねいたしませんが、ただ集団自衛権個別自衛権に基づく場合には法律上の発動の形式が違うから、従って指揮権も別々に行なわれる形における共同防衛をするのだ、それが個別的発動による共同防衛のやり方だというふうに政府の見解を聞いておきます。しかしその御見解はおそらく作戦の実態においては違ってきましょう。非常に優秀な軍隊と、日本自衛隊のような軍隊が共同作戦共同防衛をやる場合に、その世界一優秀な軍隊の指揮下に入らないで、日本自衛隊共同防衛できるはずはないのです。必ずアメリカ軍の指揮下に入らなければ共同して軍事行動はできないということになるのでありますが、無理にそうはしないのだとおっしゃるから、その点はそれでだいぶ時間もとりますから一応打ち切ります。  最後に私お尋ねするのですが、この安保条約改定によって、軍事力の増強ということも一応うたわれておる。またこれとは関係なしに、今長官の言明によれば独自な形における防衛六カ年計画策定しておる。聞くところによれば、昭和四十年におけるこの計画の完成の際は、おそらく予算も三千億にふくれ上がる、こういうようなことが予想される。ことしの予算に比べれば軍事費の増額は二倍にふくれ上がるというような計算になるのです。そこで私が長官お尋ねしたいことは、今月の二日に国際連合の政治委員会で、実に世界の八十二ヵ国の提案で軍縮の決議がなされたことは長官も御承知通り、しかも提案国の一つ日本も入っておるのです。そうして軍縮の提案をし、それが政治委員会で採択をされるというようなことになったのでありますが、いろいろな世界の雪解けの状況からみましても、軍備をこれ以上増大しない、あるいは撤廃するというところまでいこうというのが、現在の世界の情勢だろうと思います。     〔辻委員長代理退席、委員長着席〕 現に日本が軍縮の提案国になっておる。よその国には軍備を縮小しろということを言いながら、自分の国はむしろ軍備の拡大、しかも、やみ軍隊であるかどうか知りませんが、とにかく現在の三十四年予算の倍額にも五年後においてはなされようというようなこの増強計画なるものは、これはよその国にだけ軍備の縮小を要求し、自分の国は平然と軍備の拡張を計画しておるということでは、矛盾もはなはだしいのじゃないか。同じ政府が、片方では世界の各国に軍縮を呼びかけ、自分の足元では軍備拡張をやる、こういう態度に大きな矛盾があろうかと私は思うのですが、その点について一体どういうお考えでおられるか、長官の御見解をお伺いいたします。
  38. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 防衛六カ年計画の最終年の予算が大体二千九百億くらいになるのではないか、これは今の倍になるのではないか、こういうことでありますが、生産の成長とか所得の成長を無視してお考えになれば非常に大きくなるようでありますが、今の生産の伸びとか所得の伸びを根拠として算定いたしますならば、実質的に今の倍というようなことでありません。今一・七のところを二・三くらいに国民所得に対してなりましょうから、その差です。決して倍になるというようなことを考えておるわけではありません。そのときには国民所得も増しましょうし、あるいは民生安定の経費も相当増す、こういう前提でそういう計算を一応立てておるのでありまして、その点は御了承願いたいと思います。  それから世界が軍縮の傾向にあるのに、日本は軍拡になるのじゃないか、こういうお尋ねでございます。確かに東西両首脳の会談から、あるいは国際連合における提案等に基づきましても、東西両陣営等におきまして、お互いに雪解けをしていこう、軍縮に行こうということは現われておりまするし、私どもももちろん賛成であります。ただ現在の世界情勢は雪解けになっておりません。やむを得ず両陣営が凍結して、全面戦争はよそう、やれない、こういう形であろうと思います。そこでやれないようなこの現状からお互いに軍縮をしていこうじゃないか、こういう案が出されたのでありますけれども、その案が出されたから直ちに雪解けになったのだ、もういわゆる自衛力ども捨ててもいいのだ、こういうわけにはいかないと思います。ことに日本ではいろいろ言われておりますけれども、私は率直に言いまして、フルシチョフなどの提案がほんとうに実現するのはいつかということには疑問を持っております。しかし、かりにそういうことになって、国際警察軍によって世界の局部的な紛争等をおさめていこうということに相なったといたしました場合を考えてみましても、それにはやはりそれだけの協力を各国ともいたさなくてはならぬと思います。そういう点から考えてみましても、日本自衛力増強というものは非常にささやかなもので、世界の軍備という中に入るようなものではない。やはり平和と安全を守るための、国力国情に応じた最小限度のものをねらいとしてやっていこう、こういうところに考え方の基本がありますので、戦争をするための軍備拡張だ、こういうふうに私どもは考えておらないのであります。むしろ戦争をなくそうとするための、最小必要限度の自衛力を持っていく、こう考えておるので、そういう意味におきましてはやはり内容充実は必要だと思います。
  39. 木原津與志

    木原委員 まだ質疑が残っておりますが、次の機会に譲って、あとは戦闘機の問題が残っておるそうですから、これで私の質問を終わります。
  40. 福田一

    福田委員長 次に石橋政嗣君
  41. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 先日ロッキード決定に至りますいきさつを御説明願ったわけでございますが、それにつきまして私どもの方といたしましてもいろいろ検討してみたわけでございます。その検討に基づいて疑義のあります点をお尋ねしたいと思うわけでございます。  この説明書をずっと読みまして、結論として私どもが感ずることは、グラマンをロッキードに変えたのは、要するに今までロッキードのF104Cの欠点といわれておった点も、乗ってみた結果、資料で検討したのと違って、その不安がほとんどなかったというところにポイントがあるようであります。もっとせんじ詰めて言えば、聞くと見るとは大違いというのですか、聞くと乗るとは大違いというのですか、乗ったということに非常にウエートを置いて、これをにしきの御旗のようにしておる、こういう印象を受けている。そこでこの乗った飛行機について一つ一つお尋ねをしてみたいと思う。  まずここで比較されております五種類の飛行機、コンベア102、106、ノースロツプ156、グラマン98J―11、ロッキード104C、これ全部に必ず乗った、こういうことですか。
  42. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 時間の差はありますが、全部の飛行機に乗りました。
  43. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうしますと、乗った結果、前に資料で検討したものと違うという点がいろいろ出てきておるわけです。それもほとんどF104Cに関してでありますが、そうすると前グラマンを決定しました当時の資料に非常に間違いがあったということはお認めになるわけですか。
  44. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 グラマンを内定するときの資料に間違いがあったとは思いません。足らぬ点はあったろうと思います。それから開発されてからの事情によって変更されたものもあると思います。でありますから決して間違いではなかった、こう考えております。
  45. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 間違いと足らぬ点というのはどう違うのですか。私には明確にはわからない。たとえば行動半径についてみても、F104Cも増槽なしで二百ノーティカル・マイル以上飛べるとか、あるいは所要滑走路についても、乗ってみて八千フィートで十分だとか、いろいろF104Cについては変わった面があるようですが、これは間違いではなくて足らなかったとかなんとかいうのですか。どう違うのですか。
  46. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 たとえば行動半径の二百ノーティカル・マイルの問題につきましても、先に左藤防衛庁長官国会に所信を報告いたしましたときには、三百ノーテイカル・マイル以上のものはグラマンだけだった、こういうようなことを言っています。しかし一方において資料として委員会なんかに出したのには、やはりノースロップのN156Fも二百ノーティカル・マイルというように資料の中に出ているものを私もあとで見ました。そういうふうに一つの例をとりましても――これは内定後に出てきた資料でありますが、はたしてそれが確実性があるかどうかというようなことにつきましては、こちらではいつでもどっちも確実のように考えておりましたが、やはり現地におきまして操縦いたしました結果、それが確実である、F104Cも増槽なしで二百ノーティカル・マイル以上の行動半径にあるということを確認いたしたわけでございます。あるいは滑走路の点につきましても、大体こちらにおいてもわかってはおったのであります。わかっておりましたが、一面におきましては、いや、それ以上の滑走路を必要とする、こういうことでありましたが、事実、操縦してみて――その着陸のときの場所をきめるきめ方等におきまして、これは操縦してみないとわからなかった、こう言っていますが、そういうようなことで八千フィートでも間に合うというようなことになったのであります。でありますから、前の資料においてある程度出ておりましたものでも、今度のあれではっきり確認された、あるいはまた新たにいろいろな面で発見された点もある、そういう面を総合いたしまして、報告を受け、その報告の結果F104Cが適当である、こういうことに相なったのであります。
  47. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私どもがこれを問題にするのは、昨年左藤長官から御説明があったときには、とにかくグラマンに有利なように有利なように解釈しておるのじゃないかという印象を受けるわけなんです。今度はロッキードに有利なように有利なように解釈して報告がなされておるのじゃないか、こういう印象を受けるわけなんですよ。足らなかったと言おうと、間違いであったと言おうと、とにかく当時の資料、特に防衛庁が責任をもって本委員会説明をしましたその資料においてすら、非常に不確実な要素がたくさんあったことはお認めになるわけですね。
  48. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 その資料は現地におきまして収集したものもありますし、また現地でなく、商社のカタログ等によって収集したものもありますから、必ずしもその通りではなかった面も、今にしてみればないわけではありません。しかし大体においては私は資料が不正確だった、こういうふうには考えておりません。
  49. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 正確であったというのはおかしいじゃありませんか。乗ってみたら違っておったから――資料だけを検討してみたらグラマンがよいと思ったの、だけれども、実際乗ってみたらそうじゃなかった、グラマンの長所だと思われておった点が欠点であったり、ロッキードの欠点だと思っておった点が長所であったりしているというのが、今度の報告じゃないのですか。明らかに前回の資料がくつがえっておるのですよ。これは前回の資料に間違いがあったと私どもは思いますけれども長官が間違いという言葉を使いたくなければ、非常に不確実な要素がたくさんあったということくらいは、お認めになるのが筋じゃございませんか。いかがですか。
  50. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は乗ってみたのをにしきの御旗のように言っているわけではありませんが、乗ってみたときのことと乗らないときのことを比較するのは、比較の対象がどうかと思います。そういう意味におきまして、乗る前において集めた資料、その資料によってある判断を持ってくるというのは、それぞれに必要であり、相当しておったと思います。しかし乗ってみましてこの点が誤っていたということではなくして、この点においてはもっとこういう性能を持っておったとか、あるいはこういう点においてはこういうふうに改良されておったとか、こういうことで、今までの資料が全然でたらめだとか、間違っておったとかいうことではなくて、その資料以上に開発されておったり、伸びておった、こういう点が発見されたというのが、報告の内容の全般にわたっての指摘された点だというふうに私は見ております。
  51. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それではグラマン決定のときになぜあんなに急いでやられたのですか。乗ってもみないで、十分な検討を加えないで、なぜばたばたと一、二カ月の検討でグラマンを内定したのですか。これはどういうわけです。
  52. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 その辺の事情を私はよく承知しませんが、ともかくもそういうような内定という形で進めている間におきまして、新しい機種も開発され、いろいろもう少し検討する必要があるではないかというようなことになりましたから、検討に検討を重ね、その結果、白紙還元、調査団派遣、こういうことに相なったわけであります。私ども慎重を欠くきらいがあるではないかと思ったから白紙還元、調査団派遣ということになったのでありますから、その点はそういうように御了解願いたいと思います。
  53. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それではもう少し具体的に入りましょう。この報告書によりますと、生産の準備期間の項目、九項目です。この項に「実験の終了していないN156Fは不利である。」こういう御説明があります。この実験の終了していない、N156Fこれにも源田調査団は乗ったのですか。乗ったとすればどの程度乗ったのか、この点の御説明を願います。
  54. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 なかなかこれは乗れなかったそうです。しかし事実乗りました。これは時間は少なうございますが、乗ったのは確実であります。
  55. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは、その調査団がほんのわずか乗ったN156Fに装備されておりますエンジンはどの種類のエンジンですか。もう少し具体的に言えば、J85―1ですか、5ですか。
  56. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 事務当局から説明させます。
  57. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 J85―2です。これはエンジンを二つつけておりますので、J85―2。
  58. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 二つ一つかということを聞いているのではなしに、エンジンの種類の番号です、私が聞いておるのは。
  59. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 J85であります。
  60. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 J85はわかったのですが、J85の1というのと、J85のうというのとあるのです。そのどちらですか。結局古い型のですか、改良された新しい型のですかという質問なんです。
  61. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 源出調査団からその点をまだ聞いておりませんので、後刻御報告します。
  62. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 聞いておりませんのでとは何ですか。あなた方は源田報告というものを庁議で慎重審議検討したとおっしゃっておるじゃありませんか。それについているエンジンがどの型のものかもわからないのですか。古い型と新しい型では推力は半分ですよ。そういう大切なことも調べないで、慎重審議検討して庁議できまったのだ、そんなでたらめなことがありますか、大臣どうです。
  63. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 N156のエンジン等につきましても報告を受けましたが、局長は今ここで忘れておると思います。N156につきましては、いろいろ検討いたしましたが、ちょっと日本で採用するのには不適当だ、こういうような結論になっておったわけであります。そういうことで、局長としてもエンジンのことは聞いてはおりましたが、今直ちにお尋ねになると、ちょっと忘れておる、こういうことであると思います。
  64. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 今の装備局長のお答えはそうじゃないですよ。聞いてないと言っているのです。だから私は肝心のエンジンすらわからないような、そんなものを簡単になぜきめたかと言っておる。大臣答弁でも、N156Fとかなんとかいうのは問題にしてないということじゃないですか。グラマンとロッキード、この二つだけを並べておいて、そうしてどうしてF104の方をきめようか、ロッキードの方をきめようか、それが頭にきているという「証拠じゃないですか。F102とかF106とか、あるいは今申し上げているようなN156Fとか、いかにもりたくさんの種類を並べて、いずれも慎重に、平等に検討したかのような格好だけとっておいて、実際には問題にしてないということを示しておるじゃありませんか。どういうエンジンがついているかもわからない。大臣がわからないだけではなしに、担当の局長もわからぬ。そんなことでだれが了解しますか。はなからまま子扱いをしているということです。すぐに調べていらっしゃい。だから私は源田空将も出てこいと言ったのです。私どもがしろうとながら調べた結果、N156Fのエンジンが、古い型ではJ85の1、これを改良して85のうというものをつける。この古い型と新しい型の推力は半分とまで極言されている。その程度に性能が違う。そんな肝心なところまでよくこなされておらない、報告も受けてない。私はでたらめきわまると思う。質問を次に移しておきますから、その間に調べて下さい。
  65. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほどから非常にお疑いのようでありますが、F104CとJ―11ですか、そればかりが頭にきて、きめようとしていたのじゃないか、N156Fは問題にしてなかったのじゃないかということでありますが、決して調査団はそれを差別していたわけではありません。たとえば速力の点においてもどういう順序であったとか、あるいは上昇能力、限度についてもどうであったとか、あるいは行動半径がどうであったか、離着陸はどうか、武装の点はどうか、将来性はどうか、こういう点を各機種について検討したのであります。たまたまN156のエンジンのことが、今ちょっと資料を持ってないので忘れたということだけで、初めからこれを除いてかかったということではないので、初めからみな調査をいたしました結果、そういうのが選別から落ちたといいますか、調査の結果落ちておるということは事実でございますが、初めから調査をしないという意図ではございません。
  66. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私どもの考えでは、飛行機といえばまずエンジンだ、こう思うのですが、防衛庁はそう思わないのですか。エンジンなんかどうでもいいのですか。機能そのものだけを対象として検討する場合、何が大事なんです。
  67. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 エンジンはもちろん大事でありますが、エンジンとともにその他のものも検討いたしまして、日本に最も適当なものを選ぼうというのが私ども立場でございます。
  68. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それはFCSも大切ですよ。しかし何といっても、飛ぶ根本のエンジンが一番大切だということは、どんなしろうとだってわかりますよ。その一番大切なエンジンをどういうものを載っけているかということもわからないような、そういう資料を私どもは信頼することはできません。  それでは公平にやったとおっしゃいますが、その具体的に乗りました時間、どの機種についてはどれだけ乗ったか、この点を御説明願います。
  69. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 具体的に何時間という資料を今持っていませんが、グラマン、ロッキード、コンベア、これは大体同じ時間であります。今のN156、これは米軍の方でなかなか許可しなかったそうですが、しかしこれもやはり乗ることができた。こういうことでありますから、時間は少ないと思います。
  70. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 事務当局でけっこうですから、具体的にどの機種にどれだけ乗ったのか、明確にお答え願います。
  71. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 今ちょっと調べて御報告申し上げます。
  72. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは、その調べが済むまでちょっとの時間お聞きしますが、この報告書によりますと、コンベアの飛行機はF102、F106とありますが、F102の方は102のAですか。F106の方はBですかDですか。
  73. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 その方はF102A、F106Aであります。
  74. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 はっきりして下さい。F102の方はAですね。これは私もAという種類があることは知っていますが、F106もAですか、そういう機種があるわけですね。
  75. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 F106です。Aという字は入っていません。
  76. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 入ってないから聞いているのですよ。F106は私どもの方の調査ではAとBとあるようですが、どちらでございますかと聞いている。
  77. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 報告を受けているのはF106ということだけで、あとの数字はないのです。
  78. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 先ほどお尋ねがありました調査団の飛行機に乗った回数及び時間を御報告申し上げます。F102には十三回、十五時間五十五分、102Aには九回、九時間五十五分、104Aは十三回、十三時間二十分、104Cについては八回、八時間三十五分、104Dにつきましては十九回、二十二時間余乗っております。F11F―1、すなわちタイガーには十九回、二十三時間余、それからF11F―1Fには二十四回、二十時間、F106Bにつきましては十三回、十五時間余、N156、先ほどお尋ねの飛行機には、三回、三時間二十分乗っております。
  79. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 今の官房長にちょっと。F106のものはF106AですかBですか。
  80. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 F106はBでございます。
  81. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大臣、おわかりですね。Bだそうです。  それから大臣にちょっとお尋ねしますが、昨年の国防会議で内定いたしました機種は普通F11F―1Fといっておるが、そのうちの日本向けに改装されたいわゆる98J―11であったことは御確認になりますね。
  82. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 その通り承知しております。
  83. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは今度源田調査団が乗りました98J―11これについておったエンジンは何ですか。それからファイア・コントロール・システムは何ですか。
  84. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 事務局からお答えさせます。
  85. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 エンジンはJ79―GE―7です。
  86. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 射撃管制装置は。
  87. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 98J―11につきましては、これは前々御説明しております通り、エアロ13級のものを考えておるのでありますが、エアロ13級のものはついておりません。
  88. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その点に問題があるのですよ。この間御説明がありました報告書の八、安全性の項に、98J―11は全天候性だと書いてあります。ところが今まで本委員会あるいは決算委員会等で審議をいたしましたときに、政府側が終始一貫答弁しておったのは何ですか。98―11、すなわちF11F―1Fを日本向けに改装した98J―11というものは、全天候性だということをしきりに強調されております。これは答弁の個所は私が調べただけでもずいぶんあります。しかし一番肝心なところといいますか、単なる政府委員として答弁したのではなしに、決算委員会の証人として答弁をした項目を読んでみましょう。廣岡さんの証言です。「繰り返して申し上げますが、F11F―1Fを基礎にして日本において採用したいと申しておりまするものは、これをオール・ウェザーとして開発したものでございます。その機種をただいまお話のありましたように98J―11ということに呼ぶ。これがわが国における名前として用いられるものでございますが、これを略してF11Jということに私は申し上げたつもりであります。」と何度も申しております。国防会議が内定した、今大臣も確認しました98J―11というのは、エンジンは今防衛局長が言ったJ79―GE―7というものを積んでおる。それからファイア・コントロール・システムは完全な全天候性のものを装備しておる、こういう御説明でございましたが、今までの廣岡証言というのはうそですか、いかがですか。
  89. 廣岡謙二

    廣岡政府委員 私から昨年の決算委員会において証言いたしましたのは、ただいまお読みになった通り申し上げました。当時は98J―11に搭載すると予定されておりまするFCSはエアロ13でありまして、これは全天候性を持つものであるという意味におきまして申し上げたのであります。今回ロッキードの104C―J、これに搭載いたしますのはこのエアロ13でございませんで、ナサールをもって搭載するのだというようなことになっておりますが、昨年の時点におきますFCSとグラマンの関連におきましては、確かにそういうことをわれわれも防衛庁において採用するめどとして申し上げる意味において私はお答えしたわけであります。
  90. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 これは廣岡さんだけではないのです。当時の防衛庁長官の左藤さんも、本委員会においてはもちろんのこと、決算委員会における証言においても、同じようなことを言っている。98J―11というのは全天候性だということを繰り返し繰り返し――今私が読んだところだけでもそうでしょう。「繰り返して申し上げますが」とあなたはおっしゃっている。この一ページのうちに、98J―11というのは何だということが必ず一回は出てくるのです。そのときにあなたが重点を置いて説明しているのはオール・ウェザーです。全天候性です。エンジンの方は言わなくてもこの方は言っているのです。F11F―1Fを日本向けに改装した、すなわちエンジンを取っかえてオール・ウェザーにしたものを98J―11というのだと、それこそあなた方にしてみれば口がすっぱくなるほど言った覚えがあるでしょう。結論的に言えばどういうことになるかというと、グラマンをきめようとするときには、まだできてない。これから開発されようとする見込みのもの、いわゆる見取図、設計図にすぎないものを出して、そして対抗馬のF104の方は現実にあるもの、これを出して勝負さしている。グラマンの幽霊とロッキードの実用機、現在ある飛行機とを勝負さしている。今度期のロッキードにきめようとするときには逆です。現にあるグラマンと104の開発した理想像、見取図、これとを勝負さしている。そうじゃありませんか。あなた方が今まで証言してきたことを私が一つ例をあげましたが、私の言っておることをはっきり裏づけておりませんか。グラマンをきめようと思うときには、とにかくグラマンがすばらしいのだという印象が与えるために、これから開発するものを今すぐにでもできているような、そういう言い方をしてきておったのです。そして対抗馬のロッキードは現にあるものだけを勝負さしておりました。今度はちょうどその逆じゃないですか。98J―11にあなたは乗ったとおっしゃるけれども、当時説明があった98J―11ではないということを大臣御確認になりますか。98J―11と名づけるにはふさわしくない飛行機に乗ったのであって、当時国会に責任を持って説明したその機種に乗ったのではない。この点はお認めになりますか。
  91. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 国会説明したものと一致していないかと思います。しかしグラマンのいわゆる98J―11というものは二機できておりまして、それ以上は開発ができておりません。これは御承知のように艦上機から改装したものですから、陸上機としてはそれだけであります。だからグラマン系のものを乗るとすれば98J―11、こういう名称を持っておるものを乗って試験する以外に方法はありませんから、それを相当乗りこなしました。これは説明したものと何から何まで全部一致だというわけには参らぬかと思います。これ以外にグラマン系のものは乗りようがないので、98J―11というものを乗ったわけでございます。
  92. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大切な問題ですから、正確にいきましょう、お互いに。当時国会において98J―11というものがこういうものだとあなた方が責任を持って御説明になったものには確かに乗っておりません。そういうものはございませんということを御確認になるわけですか。
  93. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 正確とかなんとか言いますけれども、そこまで私はよく検討しませんが、先ほど申し上げましたように、昨年国会説明申し上げましたのは、日本で生産するということになりますならば、多用途性という点もありますから、日本向けに改装しなければならぬ、こういうことは申し上げたと思います。改装した場合にはこういうふうになるということは御説明申し上げたと思います。しかし現実に98J―11でもアメリカに存在するものが日本で改装されるものまでにいっていたかどうか、詳細の点については、私はほんとうに日本向けになっておったとは考えられません。しかし改装されて二機だけあった。ですからこれは実際問題としてあなたがおっしゃるけれども、実際に搭乗してみるということになれば、それに搭乗してみて日本で改造するものというものをも含めて、どうゆうふうにするかということまで考えて検討するという以外に方法はないと思います。たとえばF106A、104Cにいたしましても、現実にあるものは現実にあるものとして、それを改装するものは改装するものとしてたとえばナサールならナサールを別の試験、検討を加えてきたわけであります。向こうであるものでなくちゃならないというわけではありませんで、やはり日本に適当したもの、これは何もドイツのまねをしたというわけではないそうですが、結果においてはドイツもカナダもF104C、FCSはナサールにするというというようなことで、たまたま結果が一致したそうでありますが、どこの国でもそういうふうになっておるのでございまして、あるものそのものというわけには参らぬかと思います。
  94. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうはおっしゃいますけれども、非常に大切な問題なんです。グラマンとロッキードの性能の差というものは、ほんの紙一重じゃないかと思う、あなた方の報告を読む限りにおいては。だからどちらにひいき目に見るかによって頭が出るか出ないか、この違いじゃないかと思う。それはそのはずでしょう。エンジンは同じなんでしょう。同じエンジンでそんなに大きな開きが出るわけですか。その辺専門的に一つ説明願います。
  95. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 事務当局から答弁させますけれども、エンジンはエンジンといたしましても、そのほかの要素において非常に違った面が出ているようであります。
  96. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 エンジンは同じものだということは御承認になるわけですね。
  97. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 エンジンは同じだ、こういうふうに了解しております。
  98. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大臣は今確かめなければ知らなかったのですが、エンジンは同じなんですよ。スピードなんかどうだったんですか。順番だけ書いてありますが、前会の説明では104Cも、当時は104Aですが、F11―1Fも二マッハ級だ、こういう御説明があったんですが、今度乗ってみてどうだったですか。これはうそだったですか、いかがです。
  99. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 速力は前に調べたのと違いがないようであります。しかし今度操縦いたしまして発見された、また今までもそういうことは知っておったのだが、非常になるほどということで力強く思われたのは、余剰推力が非常に大きい、こういうことであります。余剰推力が非常に大きいということは、戦闘任務においてその推力を使えるので非常に役立っ、こういうことが――余剰推力ということは今までも考えてはおったのだが、これは実際に操縦してみて確信をもって、その点では余剰推力の多いのがいいということが言い得る、こういうことを報告を受けております。
  100. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 余剰力が大だ、だから性能向上の余地がある、こうおっしゃっていますが、グラマンも同様でしょう。先回の場合などは、同じようなことをグラマンに言っているのですよ。性能向上の余地があるのだ、グラマンだけわざわざ取り上げて言っている。期の方にはないかのごとく言っているのですよ。今度だってさすがにそう言っておる手前、グラマンの方にはないとは言えないものですから、余積が多い、性能向上の余地があるような表現をちゃんと使ってある。それから今の速力の点でございますが、104Cが一番で、106Dが二番で、98―11が三番と言いますが、あまり変わらぬと言いますが、どの程度変わらぬのですか。今の二つの点御説明願います。
  101. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 速力の順位は、今申された通りであります。なお詳しい点については政府委員から答弁させます。
  102. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 この前F104、グラマン98Jはいずれも二マッハ級と申し上げましたが、今度の結果によりますとF104及びF106は確実に二マッハ級でありますが、グラマンの方は若干劣るというふうに示されております。それから将来の開発性の点でございますが、これもこの前は余積のことについて申し上げたわけでございます。余積の方はやはりグラマンの方が若干大きいようでございます。ただこの前申し上げたことのほかに、将来の開発性と申しますかにつきまして、調査団は余剰推力の大きいことを非常に重要な眼目として見ておるわけであります。
  103. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 どうも聞けば聞くほどおかしいのですよ。あまり自信もなさそうですし……。  それではもう一つお聞きしましょう。こういうスピードを持ち、こういう上昇性能を持ち、こういう行動半径を持つ。すなわちあらゆるこういった性能を持ったロッキードを選んだ、この選定の基準になったものは一体何かということです。もっと端的に言いますと、どういう飛行機が攻めてきた場合にこれでなくちゃいかぬか。おそらくこういうふうな形で検討が加えられておると思うのですが、攻めてくるであろう飛行機はどういうものを想定したわけですか。
  104. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 一九六〇年代におきましては、大体高度六万フィートを標準に考えなければならないと思います。もちろん超低空の場合もございますけれども、一応の考え方としては高度六万フィート、速度は一・五マッハから一・八マッハくらいで攻撃してくる、こういうことを考えたわけでございます。
  105. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そういう飛行機を持っているのはどこの国ですか。
  106. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 これはやはり一九六〇年代でございますので、だんだん開発されるという前提でやっているのであります。ここに私が申しましたのは爆撃機でございます。戦闘機におきましてはすでに二マッハのものもございますが、爆撃機につきましては、一九六〇年代はそういうふうな状態を前提にして考えなければいけないだろうというふうに想定したわけでございます。
  107. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そういう高い性能を持つ爆撃機を持ち得る見込みのある国はどこですかと聞いている。
  108. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 将来の開発のことでございますので、今ここでほかの国はできないということは申し上げにくいと思いますが、一応そういうふうな面におきまして能力を持っておりますのは、米国のほかソ連、英国というふうなところであろうと思います。
  109. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大臣お尋ねいたしますが、日本が今度のロッキードをきめるためにいろいう性能を検討したわけですが、このロッキードが持っている高い性能、なぜこれを必要とするか。それは今防衛局長説明したように、爆撃機の性能が非常に向上するだろう、高度は六万フィート、スピードは爆撃機といえども一・五から一・八マッハ、こういうものが進攻してくる、だからそれにこたえるためには、この程度の高い性能を持ったものでなくちゃならぬ、こういう検討を加えたという話です。しかもそのような高い性能を持った爆撃機を持ち得るものは米英ソ三国、こういう御説明もございました。さすれば今の岸内閣、赤城防衛庁長官防衛庁が、米英を仮想敵国としてこういった計画を立てる道理はございません。さすれば残されたソ連、これを一応仮想敵として想定したと考えて差しつかえございませんね。
  110. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 戦争をしようというようなことで自衛隊を整備しておりませんから、現在のところ仮想敵というものを設けて、これと戦争するための準備というようなことは全然いたしておりません。
  111. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 何も私戦争する、しようとして準備していると言っているのじゃないですよ。このような高い性能を要求しておるのは、ソ連の爆撃機というものを目標にして、これにでも太刀打ちできるようなものでなくちゃいかぬ、こういう角度で選んだと今防衛局長から説明があったじゃありませんか。その点間違いないのでしょう。仮想敵という言葉を使いたくなければそれでもいいです。しかし少なくともロッキードを選んだその根拠にある、進攻してくるであろう爆撃機、この爆撃機はソ連の爆撃機だということを頭に置いて検討したことには問違いないわけでしょう。
  112. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そういう性能の爆撃機にも対抗できる、こういう意味では選定の基準になります。しかしやはり日本において、たとえば多用途性という点から考えましたり、いろいろな要素を入れて、日本として適当だ、こういうふうに考えたわけであります。戦闘能力のいいということも大きな要素ではもちろんあります。
  113. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 ロッキードを選ぶからには、選定の基準というものがなくちゃならぬのです。その選定の基準にもまた一番重点となるものというものがなくちゃならぬ。いいですか、私がこの御説明を聞いた範囲において感じました結論は、非常に高い性能のものを選んだということなのです。速力はとにかく一番速いもの、上昇性能はこれまた一番すぐれたもの、行動半径もできれば足の長いもの、いろいろとありますけれども、かつて源田空将が名人でなければ乗りこなせないだろうと言われたほどのこの飛行機を、無理して選んだ根本の原因は、攻めてくるであろう飛行機もうんと高い性能のものだ、こういう仮定の上に立たなければ出てこないじゃありませんか。それでなければむだづかいになりませんか。大臣その点はいかがです。
  114. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そういう爆撃機の性能が発達したものに対してもやり得る、こういうことで選んでいることは事実であります。それから操縦性につきましては、パイロットにおきましても名人でなければ乗りこなせないということでなくて、名人でなくても乗りこなせるということを確信をいたす、こういう報告を得ております。
  115. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その高い性能を持った爆撃機というのは、防衛局長も、六〇年までには米英ソ三つの国しかおそらく持ち得ないだろうと言っているのですよ。そうすれば明らかにソ連というものを意識して防衛計画策定し、機種の選定をやったと考えるのは常識じゃありませんか。なぜそれをお認めになろうとしないのですか。何も目標もない、相手もない、でたらめにこんな大切なものをおきめになる道理がないじゃありませんか。いかがです。
  116. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ですから、繰り返して申し上げますように、そういう性能にも対抗できるためにこういうものを選んでおるということを再三申し上げております。
  117. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 わかりました。ソ連の爆撃機を頭に置いてロッキードを選んだ、こういうことで了解いたします。  次に、製造会社を新三菱にしたという問題にからんで、いろいろお尋ねしてみたいと思います。昨年の四月十二日に国防会議がグラマンを内定いたしました。本内閣委員会に御説明があったのが昨年の九月の二十七日です。これまでの問でもようございます。また白紙還元になったのはことしの夏、これまででもようございます。グラマン98―11というものを次期戦闘機として採用するという内定があって、それ以後この新三菱重工と何ら話は進めなかったわけですか。この点はいかがです。進めないということになりますと、左藤長官の本委員会において行なわれました報告と食い違う点が出てくると思うのです。いかがですか。
  118. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 グラマンの内定以後新三菱と話を進めたかどうかということでありますが、これは前々から申しておりますように、値段等につきましていろいろ国産化の条件あるいはまた生産計画等打ち合わせの必要がありましたので、そういう点につきましてはわれわれは新三菱といろいろ具体的に打ち合わせをいたしております。
  119. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 具体的な国産化についての準備というものは、新三菱としては何にもしなかったということなんですか。
  120. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 今申しましたように生産計画及び見積り等、そういった程度の準備はいたしましたが、生産のための具体的な工場施設等、そういう準備はいたしておりません。ただ見積りをやります場合におきましていろいろ現地に行って調査する必要がありますので、この問題のために新三菱からアメリカに調査に行っております。それ以外には準備はいたしておりません。
  121. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 今度、普通にロッキードならば川崎だろうと今までのロッキードと川崎の関係から、みんなが常識的に思っておった観念をくつがえしまして、新三菱にした。すなわち製作会社を新三菱にいたしました理由について、この問十一月十四日の本会議で池田通産大臣は、こういうことを言っている。「なぜ通産大臣は新三菱重工業を主たる契約者とし、川崎航空機を従たるものとしたかと申しますると、私は、両会社の設備能力、技術者数、あるいは技術の能力、経験、試験設備、その他経営状況を調べまして、これによってきめたのでございます。」この通産大臣答弁防衛庁長官も支持されたわけですね。
  122. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 さようであります。
  123. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 ということは、設備能力、技術者数、技術の能力、経験、試験設備、経営状況、どの点を見ても、新三菱の方が川崎よりすぐれておるという判断を下したことになるわけですね。
  124. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 その前提があるのであります。その前提といたしまして、この戦闘機種を国産する場合に一社ではできない。どうしても二社を必要とする。そういうことで、日本では三つしかありません――ほかにもう一つありますが、これはちょっと現在の状況では無理だということで、二つの生産工場に一緒に協力してやってもらわないと計画通り生産ができないだろう、こういう前提があったわけです。そこで両社の生産状況とか工数とか、そういうものを比較いたしまして、優秀とか優秀でないとかいうわけではありませんが、現在の計画に当てはまってそれを国産させていく上におきまして、これは新三菱を主契約とし、川崎重工をサブオージネートなものにする、こういうふうにした方が生産の予定とマッチする、こういう見方から通産大臣が通産省で検討した案を私に提示されましたから、私もその点に同意したわけであります。
  125. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 一社では生産の能力はございませんか。
  126. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 一社だけでは無理のように私聞いております。
  127. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 どういう点でですか。
  128. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 事務当局から御説明いたさせます。
  129. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 お答えいたします。ただいま川崎航空機の方は、御存じの通り33とP2Vをやっております。大体現在の発生工数を申しますと、これはいろいろ設備、技術者及び労務者等の関係で発生工数がきまってくるわけでありますが、最高のピークのときにおきまして川崎社の発生工数は大体二十六万であります。現在は十六万工数くらいやっております。それに比べまして新三菱は、最高の発生工数は五十万工数になっております。現在新三菱の工数は十六万工数でありまして、大体新三菱の方はF86をやっておりますが、三十八年度までにおきまして二十五万工数、最大のピークのときにおきましては五十万工数までをやる実力があるわけでありますが、現在予想される三十八年度末の工数が二十五万工数、これに比べまして川崎の最高のピークは二十六万工数でありますが、三十八年度におきまして大体十六万工数、現在と同じような工数でいくわけでありまして、その点から見ましても相当新三菱の方が余力があるわけであります。そういう点におきまして当然新三菱の方が十分余力がある。設備、労務及び技術の点からも余力がある、かように考えております。  なおさっきN156Fのエンジン、源田調査団が乗ったエンジンの名称は何であるか、これは調べてお答えしますと申しましたが、今私連絡しましてわかりましたので、あわせてお答えいたします。これは源田調査団からはN105が今後つけるであろうJ85―5、これについて詳しくいろいろ向こうで調査した結果につきまして、もちろん乗った経験等も加味しまして詳しく説明があったわけでありまして、現実に乗ったもののエンジンはこれより劣るという説明があったので、その劣るエンジンにつきまして私何であるかというところまで聞かなかったということだけを申したわけでありまして、そういう意味合いにおきまして、私が審議の途中その現実に乗られたエンジンを聞かなかったということは私不注意でありますが、将来装備するであろう能率のいいエンジンにつきまして詳しく説明があったのでありまして、それ以上にそれに劣るエンジンの名前を具体的に聞く必要がないだろうということで、私その場で聞かなかったということだけでありまして、御了承願います。
  130. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私が具体的にお聞きしたのは、通産大臣答弁についてですよ。すなわち技術、能力、経験、試験設備、こういう点で明らかに川崎が落ちるのだ、新三菱の方がすぐれているのだ、こういう言い方をしたのです。ほかのなぜ新三菱にしたかという点についての通産大臣説明はございませんでした。そんな劣るような会社に、あなたが今おっしゃったようにT33やP2Vを生産さしているのですよ。これはおかしいじゃないか。ほかの理由で新三菱を選定したというなら、私もまあそれなりに理解できるかもしれぬけれども、新三菱の方がずっと優秀なんだ、川崎は劣るのだ、こういう表現をされれば、そんな劣る会社に防衛庁は今まで仕事をどんどんやっているじゃないか、おかしいじゃないか、こういう意味で今質問をしているわけです。いかがです、大臣。あなたは通産大臣答弁を支持されたわけですが。
  131. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 劣るという意味がどういう意味か私も了解できませんが、私としては先ほど申し上げましたように、今百八十機を生産するという場合に、工数とか、また注文している、今生産にかかっているもの等がありますから、そういうのをしんしゃくいたしますれば、余力は新三菱の方にあって川崎の方に少ない、こういうふうに了解して私はお答えをいたしたわけであります。優劣というわけではございません。
  132. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 あとの時間の都合があるようでございますから、最後に一つ質問して終わりたいと思います。  それは価格の問題ですが、防衛庁長官はことしの夏ごろ、第二次防衛六カ年計画という構想を発表されまして、その予算についても触れておられたわけでございますが、昭和四十年度、最終年度の所要経費は三千億近くになるだろうというようなことを言っておられました。こういった計数をはじき出す段階において、FXの生産費というものも、日本側の負担は大体六百六十億というふうに見積られておったようでありますが、間違いございませんか。
  133. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 日本側の負担につきましてはまだ交渉に入ろうというところでございます。防衛計画の中においてFXの生産についてどれくらい見込んでおるかということですが、これはまだ見込みの確定数字は出てないと思います。また事務当局からお答えいたさせます。
  134. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 防衛整備計画は検討を進めておりましたけれども、まだ最終的な決定には至っておらないのであります。飛行機の価格そのものにつきましても、具体的な検討はいたしておりません。
  135. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 見込みでいいです。
  136. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 大体全体で、航空自衛隊に何百億、海上自衛隊に何百億、その内訳につきましては各幕僚監部で裁量するという方針で来ております。
  137. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 しかしその中で、空幕で最も大きなウエートを占めるFXについて、どの程度の予算を見込んだかくらいのことを防衛局長は知らないはずはない。私が今日本側の負担は六百六十億という数字をあげているわけですから、大体その辺の見込みであったかどうかお答え願いたいと思います。
  138. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 その点だけ特に私正確に覚えておるというのではないのですが、その辺の数字に近い数字を試算の段階においては出しておったこともあるような記憶もございます。正確ではございません。
  139. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 正確ではございませんけれどもという注釈はついておりましたが、大体その辺ですね。アメリカ側と早くから話はついておるということなんです。日本側の負担は六百六十億、アメリカの負担は七千五百万ドル、すなわち二百七十億、七対三の割合で負担をしよう、総経費九百三十億円、この数字は早くから出ておるのです。赤城さんが北海道で、札幌かどこかで第二次防衛六カ年計画というものを防衛庁の試案として発表された。そのころからすでにこの数字は出ているわけなんです。いまだにひた隠しに隠さなければならぬ理由が一体どこにあるかと私は思う。この金額を二百機に振り分けてみますと、一機当たり大体百三十万ドルです。四億六千八百万円、この辺の数字に落ちつくことはもうはっきりしている。そんなに早くから大体把握されているものを、なぜいつまでもひた隠しに隠さなければならないのか、この点にも非常に大きな疑問があること、疑いがかかっておることは、防衛庁長官も御承知だと思います。いかがですか。
  140. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 アメリカとの費用分担の点につきまして、ひた隠しに隠しているという事実は全然ありません。その点につきましては、向こうと交渉を続けて早くきめたいと思っておったのですが、機種を決定いたしませんければこの交渉には入らぬ、こういうことで応じなかったのであります。ですから分担の率等につきまして、ひた隠しに隠したということはございません。向こうの予算等からいろいろおあげになったような数字が出ておりますが、これはこれから交渉に入りますので、そういう点におきまして私どもは、交渉に入ります前でございますので、分担の率とかなんとかいうことがわからないので申し上げなかったのであります。隠しておる、こういうことでは決してございません。
  141. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 正式な交渉は決定してから始めることはわかります。少なくともアメリカの軍と空幕あたりと、非公式に話はもう早くから済んでいるということを私は言いたいのです。赤城さんがいわゆる第二次防衛計画というものを発表したそれ以前に、大体きまっているじゃないかと私は言いたいのです。しからばアメリカが七千五百万ドルという数字を出しているのは、どのような機種がきまろうとも、金目はこれだけだぞということであったわけですか、この点はいかがです。
  142. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これからの折衝によりますので、どういうことであるか、今ちょっとわかりません。
  143. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは先の予定があるそうですから、一応私これで質問を終わります。
  144. 福田一

    福田委員長 午後一時半より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十六分開議
  145. 福田一

    福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。受田新吉君。
  146. 受田新吉

    ○受田委員 赤城さん、おかぜでちょっと調子が悪いそうですが、精励恪勤されることに敬意を表します。あまり御無理がないように私はやりますから……。  私ちょっとだけ赤城長官に伺いまして、後ほど源田報告のあとで重ねてお尋ねをしたいと思います。赤城さん、今回源田調査団を派遣されたことについて、こうしたメンバーをおきめになられた根拠はどういうところにあったか、これをちょっと。
  147. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 メンバーをきめるにつきましては、それぞれ階層といいますか、たとえば将官級なら将官級の人でも乗れるよう、それでいいもの、あるいはまた佐官級なら佐官級、尉官級なら尉官級、こういう年令あるいは部隊に対する今までの訓練の状況等をしんしゃくいたしまして、そういう点から結論が、どの階層からもできるならば同じような結論が出た方がいいし、あるいは違う結論が出るかもしれないけれども、そういうことで初めから結論を予定したわけではないので、いろいろな人々を出す、パイロットではそうであります。また技術の方面では機械の方の専門家と、最近エレクトロニクスの発達に伴いまして、電子関係の方で非常に明るい者、こういう標準で技術関係は二人を選定いたしたわけであります。あと民間方面においてはそれぞれやはり技術等の点で民間人の意見も入れたい、こういうことで選定いたしたのであります。
  148. 受田新吉

    ○受田委員 それでこの源田調査団の一行の結論によって、機種をきめるという前提のもとに派遣されたわけですね。
  149. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そういう前提でというわけではございません。しかし私は、私の考え方としてはこれ以上の調査団はないから、この調査団が正当に、そうしてほんとうに真剣にやってきた結果というものは尊重しよう、尊重して結論を出したい、こういう考えはかねがね持っておったわけであります。ですから、出るときにお前の調査団の結論通りにやるのだからというようなことは申しません。ただ私の考え方としてはどういう結論が出ようと、その結論を尊重していきたい、こういう考えで進めておったわけであります。
  150. 受田新吉

    ○受田委員 すでに佐薙さんが昨年調査に行っておられるわけなんです。それの前永盛さんが行っておられるわけなんですが、佐薙前空幕長がグラマンをきめる当時の責任者であったわけで、佐薙氏を顧問団の中へでも入れて、前空幕長としての責任のある相談役を命じておく必要はなかったのですか。
  151. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 佐薙前空幕長は向こうから招待がありまして、その招待を受けて向こうへ行った。そのついでと言っては悪いかもしれませんが、そういうことで次期戦闘機のことにつきましても調査をしてきたわけであります。今回の調査団の編成につきましては、民間の方は学者が一人、それから、民間といいますが科学技術庁関係で、科学技術に非常に優秀な判定力を持っている者を一人、もう一つは財界の関係ですが、これも片寄ってはいけませんので、一番片寄らぬものでそういう方面の知識を持っておる者、こういう選定をいたしたので、それは今お話のように入れれば入れて悪いこともなかったでしょうが、そういう基準からいいますると民間の顧問というのは三人で足りたわけでありますから、特に佐薙前空幕長を入れようというこではなかったわけであります。
  152. 受田新吉

    ○受田委員 佐薙氏の立場は、グラマンを内定した当時の責任の地位にあったのでありますから、その人の意見も現在のところではこのように変わったのだということが納得できるように参加してもらったならば、この調査団の意義はもっと大きいものがあったのではないかと思うのです。グラマン派を拒否して、とかくロッキードに近いといわれる源田空幕長だけを責任者にして、前後のつながりもなく、ここで面目を一新したような調査団にされておるということ、これは機種を変更するという真意が、調査団を選定されるときにすでに伏在していたという批判を受けても仕方がないと思うのですが、いかがでしょうか。
  153. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今の源出調査団長も、その当時におきましてはやはりグラマンがいいのじゃないかという考えを持っておったのですから、あえて佐薙前空幕長をわずらわす必要はなかったと思います。そして現地に行ってみますると、御承知のようにグラマンは海軍機でありまして、陸上の飛行機といたしましては二機できたままで開発も何も行なわれておらない、こういう事情に相なっておりましたが、それにいたしましてもこれを日本で採用する場合にはどうであろうかということで、午前中にも御質問がありましたが、これもずいぶん乗りこなしてみたわけであります。でありますから、今度の機種の決定につきましては、初めからどうこうということを見通したわけでもなし、実際に乗る前と乗ったあとにおいて確認できたものや発見したものが出てきて、その結果F104Cが適当であるという結論が出てきましたので、お疑いのような、あるいは憶測されるような事態は全然ないのであります。
  154. 受田新吉

    ○受田委員 あなたのような清廉潔白な人にわれわれは疑いを持っているわけじゃないのです。あなたはその点においては白であるとわれわれは今まで見ておるので、一応あなたに敬意を払って聞いておるわけなんです。しかしながらこの調査団の選定、それから調査団の報告に基づく防衛庁の措置、国防会議決定等をずっと見ると、一潟千里にこれが運んでいることは、しばしば同僚諸君から指摘された通りなんです。調査団の派遣についても、それだけの念を入れるべき性格のものでなかったかと私は思うわけです。当時源田氏はグラマン支持派であったと今申されましたが、間違いございませんか。
  155. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私の方には支持派とかなんとかいう派はないのです。派はないのですが、グラマンに一応内定したときにはやはりそういう気持でおったわけでございます。グラマンの内定について異論があったわけではない、こういう意味でございます。
  156. 受田新吉

    ○受田委員 私はここに加藤さんも御出席しておられるので申し上げますが、大体防衛庁は文官優位の原則をもって、制服を押える立場にあらねばなるまいとわれわれは考えてきておる。この文官優位の立場日本自衛隊が指揮されるときに、初めて往年の軍国主義的な軍隊になり得ない性格が保持できる。あなた方の立場でもそう思っておられると思う。私は今回の防衛庁議の決定国防会議決定を拝見しますると、内局の参事官たちにはあまり知恵を借ることもなくて、源田調査団長という制服の親玉と、それから多くの優秀な部下の答申をもとにして、防衛庁議をきめられておる。国防会議もこの間のあなたの御説明では、単に承認にとどまるような形に進められておられる。そうすると制服の見解が結局防衛庁を動かし、内局の意向のいかんにあるを問わず庁議としてきまる。国防会議の諸君も全くでくの坊で、前のときの意見はどこへやら、さっさと国防会議決定に持ち込むという形になっておる。ここに私といたしましては、赤城さん御自身が制服に圧倒されておるという印象を受けるのです。そしてこの間も加藤さんが辞意を表明されたとかされないとかいうことが起こっておるのも、内局の皆さんにだけ責任をかけて、制服の人々の責任問題は、もう停年でやめたのであるからといって、何ら追及されておらない。ことに防衛庁の最高首脳部は、防衛庁長官を初めとして内局の皆さんもひんぱんに更迭しておられるから、責任の所在がはっきりしない。これは私は非常に遺憾なことだと思う。文官優位の原則と制服の横暴というつながりで、今回の機種決定について御所見を伺いたいと思います。
  157. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今回の機種決定は、なるほど空幕長を団長として実際に操縦できるパイロット三名のほかに技術者ということでありますから、いささか制服に偏重したような形はありましょう。しかし文官に乗ってみろといっても、文官には乗れないのです。民間にはあるでしようが。そういうことで実際に操縦してみるということになると、勢いそういう点から選定せざるを得ない、こういうことになるのは御了解願えると思います。  それから文官優位ということでありますが、これは憲法上、議会あるいは国防会議において政治的にチェックするものはチェックするという原則でありまして、防衛庁内において制服を内局の者が押えるということは別にあり得ない。そういうことがきめてあるわけではありません。これは内局と制服が一体となって、日本防衛の行政事務を進めていくわけであります。制服を押えるために内局がある、あるいは政治性を発揮させるために内局を設けておるということではないと思います。やはり制服と非制服とよく連絡をとって行政をやっていく。政治優先というのは、やはり国会あるいはそういう面の意見を相当いれていかなければならない、こういうことにあると私は思います。そういう点におきまして、今の制服が横暴だということは全然ございません。自衛隊建前が非常に民主的になっておりまして、戦前のような立場ではない、こういうことは御精通の受田さんもよく御承知だと思います。
  158. 受田新吉

    ○受田委員 今あなたが政治優先と言われましたが、そうなれば責任問題がまたむしかえされると私は思うのです。事務的な立場の責任、行政的な立場の責任はない。政治優先という立場から政治家が責任を負わなければならぬということになるならば、ここでちょっと私お伺いしますが、昨年グラマンを内定された当時の国防会議の議長は岸さんです。総理です。今回これを変更し、白紙還元し、さらに新しくロッキードを決定された責任者も、議長としては岸さんです。そうするとあなたの方の党の立場からいえば、防衛産業に非常に支障を起こさせ、次期機種決定をおくらせて、防衛上の大問題を起こしておる。あのときはもうせっぱ詰まったように急いでFXの問題を考えなければならぬのだといって、防衛庁はとるものもとりあえずあせっておられたのでありますが、それが一年、二年とおくれてきたのは、確かに自由民主党の立場をもっていわしめても、防衛産業上の支障と防衛上の直接の問題とに大へんな混乱と支障を起こさしめたといえると私は思うのです。国民にも疑惑を与えたと思うのです。これだけ防衛庁そのものの立場を困らせ、国民に疑惑を与えた責任は、最終的にだれが負われるのでしょうか。
  159. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 防衛庁そのものが困らされたという事実はありません。防衛庁といたしましては、集まってくる資料をだんだん集めて、そうしてほんとうに国民が納得するような方法で機種を決定しようということでありまするから、これは慎重にやった、こういうことでありますので、防衛庁が騒がされたとか、じゃまされた、こういうことはありません。また防衛産業を直接目的としておるわけではございません、でありまするから、やはり私どもといたしましては、国民の負担において、そうして一方においては防衛の目的にかなうようなりっぱな機種を選定しようと、こういうことで進めてきたのでありまするから、この点に責任はないと私は思います。判決でも何でも変わることもありますし、資料や材料が変わってくれば、これは変わることがあるので、変わってはいけないということがむしろおかしいし、正しく、いいものに変わるならば、これは変わった方が私はいいと思います。あなた方の立場でも、裁判の問題でもそういうことがあると思いますが、私どもはそういうふうに考えております。
  160. 受田新吉

    ○受田委員 私は責任政治の立場から、あなたの御発言に非常に不満足です。それは何となれば、政治家というものは自分の信ずる方向によって政治をやり、その結果が誤った方向であったとしたならば、いつでもこれは責任を負わなければならぬ。昨年の内定がすでに誤っておったのです。十分調査もしないうちに内定してしまった。そのことは非常に重大なミスだったわけです。そういうふうにあせって内定をしたというのは、防衛計画の上に次期戦闘機を早くきめなければならぬというあせりがあったわけです。はっきり言うておられるじゃないですか。四月十二日を急いでやらなければならなかった理由を、この前のとき言っておられるのです。そういうことからいったならば、政治責任の所在というものがはっきりしないような形であるならば、責任政治の所在というものがどこにあるかと私は疑いたくなるのです。あなたとしては昨年の四月十二日の内定は誤っていないと、こうお考えになるのですか。
  161. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は誤っていない、こういうふうに考えております。
  162. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、内定をしてその後にこれだけの間違いを起こして、あらためて乗ってみたりして新しい機種の決定をせざるを得なかったような事情を見たときに、急いでやるべきでなかった、もう少し慎重に検討して、国民に与える疑惑なども巻き起こすべきではなかったとお考えではないのですか。
  163. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 やはりもう少し慎重にやるべきだったということは考えます。その後に新しい機種もできましたので、そういう機種のできました事情、あるいはまた西ドイツで採用した事情、あるいは調査団をほかの国で出しておったのに出さなかった、こういうような点からして、もう少し慎重にやるべきだったという気はいたします。でありますからことしの六月に私ども白紙に還元して調査団を出す、こういうことに相なったのであります。
  164. 受田新吉

    ○受田委員 私、あなたにまだ御答弁が足りないことを残念に思うのですが、四月十二日に内定を急がないでゆっくり検討をして今日まで持ち越すべきであった。それから今あなたがいろいろその後にも事情が変わってきたことを申されておりますが、それはこれからもそうなんです。これから一年も待てばどのように事情が変わるかかもしれない。また二年待てばもっと事情が変わってくるでしょう。五、六年先にこの問題が討議されたら、有人機の不要論が起こるでしょう。そう考えると内定を急いでやられたということは非常に重大なことだと思う。あなたがある程度責任を感ずると言われましたが、政治的な責任は非常に重大なんです。国民に与えた疑惑と、防衛庁がかねて主張してきた次期戦闘機の早期決定と、それから防衛産業の発展というようなものを、あなた方の立場から言わしめても決定がおくれたことは、非常なマイナスであったということになりませんか。
  165. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今度の決定がもう少し早かった方がいいのでありますが、やはり順序を追うて決定するのには、今決定する以外に方法がないのであります。早いおそいは見方の相違でありますが、決定する時期としては今決定するというようなことになっていきまして決定したのですから、それ以外にはないといいますか、これが適当だ、こう考えております。
  166. 受田新吉

    ○受田委員 はなはだあいまいな御答弁なので私不満なんですが、大体今日まで決定がおくれ、かねて防衛庁が主張したところの、前々長官たちからずっと唱えられてきた次期戦闘機の早期決定というのが、防衛庁のスローガンだったのですね。それが変更されてきた、おくれておる、そういうところの責任は一体だれが負うべきか。前の長官はもうおやめになっておる。国防会議が軽はずみに内定した。そうして白紙還元し、また決定した。この責任はだれが負う。これが最終責任は岸総理にあるのじゃないのでしょうか。国防会議の議長として前には軽はずみに内定した。実際乗ってもみないで内定し、今回白紙還元とし、新しく今度は簡単に防衛庁の案をうのみにして承認するような形をとることは、これは非常に国民に疑惑を与え、防衛庁の事務運営、防衛力漸増を阻害したという、あなた方の立場からいっても責任があると思うのです。そうでないでしょうかね。最終責任、政治責任、岸さんにこれは重大な責任がありませんか。
  167. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そうは私は考えておりません。
  168. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、これには政治的な責任は全然ない、内定も大した誤りではなかったのだという形で、政治責任の所在は全然存在していないと言明できるわけですか。
  169. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 政治的責任という言葉の定義がはっきりいたしませんが、世間を騒がせたという点におきましては私も遺憾に思っております。しかしそれ以上、この決定が間違っておったとか、内定が間違っておったとか、それを早くすべきものをおくらさしたとか、政治的責任を感ずるという必要は私は感じておりません。
  170. 受田新吉

    ○受田委員 内定を軽はずみにやったという責任がないということは、これは大へんなことだと思うのです。昨年の内定というのは非常に軽はすみだった、これは十分乗ってもみない飛行機を勝手に内定したということは誤りであったと、あなたは言っておられるわけです。乗ってみて初めて現在のロッキードがいいと、断定をされたわけですから、当時乗ってみないで機種を決定したことは、間違っておったという御判断をされておるのでしょう、それは。
  171. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 乗らずに内定したから間違っておるとは申し上げておりません。乗らない段階におきましては、そういう内定は内定として必要な措置だったろうと思います。しかしより慎重にやるのには乗った方がいいと、こういうことですから、ことしの六月に白紙還元して調査団を出して操縦さしたり、機械の点検をする、こういうことでありますから、乗らないできめるとするならば、そういう内定のときのような措置が別に悪かった、こういうように私は考えておりませんし
  172. 受田新吉

    ○受田委員 ここはあなたの責任がないと言われることになると、責任ある政府のやり方としては、国民は何ら納得をすることができないのです。あなたが繰り返して申されるように、乗って初めて優秀性を発見したというのでございますから、乗らないときの決定ということに対しては、これは十分調査ができていないということになるわけです。それで再調査団を出されたわけです。その点、内定に事を急がれたことの責任問題は、これはおろそかにできないと思うのです。政治家として、今回の内定、白紙還元、再決定、機種変更の決定というようなことは、国民が非常に疑惑を持ち、不審を抱いておるということを、あなたはこれはお考えでございましょうね。
  173. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 従来不審を抱いておったと思いますが、今度の決定方法によって、この不審は相当解消された、こういうふうに私は考えております。
  174. 受田新吉

    ○受田委員 この責任問題については、また総理に直接お聞きしますし、飛鳥田委員からもお尋ねがありますので、源田さんも来られたから、これで質問を打ち切りますが、もう一つ最後にどうしてもあなたにお確かめしておかなければならぬことは、さっき飛鳥出委員から日米両軍の指揮権の問題が出ておったのですが、あの問題について、今回政府が原案として用意されておる条約草案、これはあなたは一応相談を受けておられますか。
  175. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 条約草案については相談を受けております。一々の条文とか、こまかい点は相談を受けておりませんが、相談を受けております。
  176. 受田新吉

    ○受田委員 そういたしますと、今度の相互協力及び安全保障に関する条約の草案の第六条に、「日本国における合衆国軍隊の地位並びに施設及び区域の使用については別に合意するところによる。」という原案が一応あるわけですが、合衆国軍隊の日本における地位というものをあなたはどういうふうに考えておられるわけでしょう。
  177. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ほかの条文等によりまして、アメリカ軍日本を守る義務を持って駐在する、こういう地位だと思います。その地位についてどういう権利か保護かということを規定するのは、御承知のように今の行政協定で規定されておりますので、そういう意味を今のものでは含んでおるのじゃないか、こう思いますが、まだそこの行政協定の方はこまかく私も承知しておりません。
  178. 受田新吉

    ○受田委員 指揮権の関係になってくると思いますが、どちらが指揮権を持つか、日本自衛隊と合衆国軍隊との指揮権の関係、こういうものがここの中で日本国内における合衆国軍隊の地位ということになるのじゃありませんか。
  179. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 その地位というのは、今の行政協定で言われている地位をさしておるのだと思います。
  180. 受田新吉

    ○受田委員 現在の行政協定の第二条の問題ですか。
  181. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 今大臣のおっしゃいました通り、あの個所で言っております合衆国軍隊の日本における地位というのは、私どもは、主として米国軍人の裁判官轄権の問題でありますとか、あるいは関税の取り扱いの問題でありますとか、そういうふうな、今行政協定で考えられておるようなことをそこでは言っておるのだというふうに了解しております。
  182. 受田新吉

    ○受田委員 その前に「日本国は日本国の安全に寄与し、極東における国際の平和と安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国の陸軍、空軍、海軍に」云々とある。そのような身分上上の問題だけですか。
  183. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 直接私所管でございませんので、正確にお答え申し上げることはいかがかと思いますが、私が関係の方々と相談をしたりしました結果におきまして了解をしておりますることは、以上のようなことでございます。
  184. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、一体世界のどこの国に指揮権のはっきりしない軍隊、両方の話し合いで行動する軍隊というのがあるのでしょうか、実際問題として。
  185. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほど申し上げましたように、日本憲法は特殊性を持っています。ほかの憲法でありまするならば、相互援助関係といって、たとえば日米関係でも、アメリカまでも出て行ってこっちが守る、アメリカの方は日本の方へ来ても守る、こういうような形でほかの条約等はできております。ところが日本では御承知のように海外派兵まではやらない、こういうことになっています。そういうような関係で、日本自衛力というものはほんとうに自衛のためのものだけで、ほかは自衛のためといっても外へ出ることができるのです。ところがそういうことはできないのが日本憲法建前であります。でありまするから、共同防衛ということに相なりましても、どっちかの指揮下に入るということではなくて、やはり両方、これは作戦その他につきましては、統一作戦が必要でありますから、協議はぜひして、同じような行動をとらなくちゃならないと思いますけれども、しかしアメリカ軍の指揮下で日本自衛隊が動くとか、あるいは日本自衛隊の指揮のもとにアメリカ行動するということでは建前はない。しかし作戦そのもの、あるいは行動そのものは、これは非常に一体化したものでなければならないと思います。
  186. 受田新吉

    ○受田委員 これは岸総理に国防会議の問題と今の指揮権の問題とをあらためてお尋ねする機会を作って、そのとき質疑を続行するお約束で一応おきます。
  187. 福田一

  188. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 源田さんがお見えになっておられますが、その前に赤城さんにぜひ聞いておきたいと思うことがあるわけです。今までいろいろ石橋君も伺いましたし、参議院でもいろいろの人が伺いましたが、私など考えておりまして、何か今度のグラマンの白紙還元、そしてロッキード、こういう形の中には日本だけの意思でないものがあるような気がする。アメリカの側からの指示が相当あったような気がするわけです。グラマン白紙還元について、アメリカの側のそういう示唆が全然なかったのですか、この点を伺いたいと思います。
  189. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 白紙還元等につきまして、アメリカ側の示唆というものは絶対にございません。また調査団もそういう示唆は受けないと私ども聞いております。
  190. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、あなた方のところで白紙還元をなさる前にアメリカ側からの資料、アメリカというよりも米軍からの資料をほとんど御検討にならなかったのですか、軍から出された資料を。
  191. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 軍あるいは顧問団を通じまして資料は相当入手して、検討を続けておったわけであります。しかし六月には、先ほど申し上げましたような白紙還元、調査団派遣、こういう結論に最終的には到達したわけでございます。
  192. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 当時国会でも世間でも、非常にこのグラマン、ロッキードの安定性などというものについて議論があったわけです。そして疑問があったわけです。そういうものについて集めた資料をあなた方はできるだけ国会で公開する、こういうお話がありまして、私たちとしては必要な資料を公開していただけるものと考えておりました。ところが現実には、米軍の側から出た資料というものはほとんど秘密に隠して、ただ一つといえどもわれわれに示したり、国民に見せたりしたことはないじゃないですか。そういう米軍からの資料を国民や国会に示した事実がありますか。
  193. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今まで提供いたしました資料は、その中には米軍からの調査によるものも人っておりまするし、あるいは業者のカタログ、見積もり守によるものもあります。そういうものを総合して出した資料でございまするから、特に米軍というふうに指定してはおりませんけれども、資料の中にはそういう要素も入って作られたものでございます。
  194. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 もしそういうものを現実に参考として、要素としてお出しになったというのならば、ロッキード及びグラマンに関する安全性の問題、すなわち十万時間飛行した場合書に、どのくらいの事故があったか、こういう問題についての数字的なものくらいは、御発表になってしかるべきじゃないか。これが当時国会で一番問題になっておる焦点のものであったわけです。しかも現実に、商社その他の資料がありましても、制式機として採用して使っておるのは米軍なんですから、米軍の資料というものが一番正確なものだと一応は考えられるかもしれない。そうだとするならば、そういうものがあればお出しになるべき責任があるのじゃないでしょうか。具体的に申し上げます。六月十五日にグラマン白紙還元をなすった。その六月十五日のわずか二十日前の五月二十五日には、米軍在日顧問団の方から正式に公文書として、七つの機種に関する事故の報告があった、こういうふうに私たちは聞いておるのです。このマーグが五月二十五日付で防衛庁に出した七種の飛行機の事故についての意見あるいは数字、こういうものを赤城さんは御存じですか。
  195. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私もそれを見たと思っています。ただそれをなぜ提供しないか、こういう問題でございますが、この事故率は米軍の秘密事項になっています。でありますので、私どもが聞いたからといっても、それは聞かぬことに表面上はなっています。しかし事実はそういうことは大事でありまするから、私どももそういう事故率を検討はいたしております。でありまするから、きのうも参議院の方でいろいろな表が出ましたが、私どもはその表が実際どういうところから出たか不思議なんでありますが、米軍といたしましては事故率を発表しないことに相なっております。ただわれわれが今度のことでもわかりましたことは、もっと詳しい事故率もあるのですが、発表できない面もありますが、飛行時間がF104A及びC合計で、部隊における飛行時間は約五万時間でありますが、十万時間に換算いたしますと六十五件、そのうちF104Cになってからの事故は五件であります。こういうことは発表していい範囲だと思いますが、そういうことに相なっております。その他各機種についての車の配置による事故率――98Aは部隊における実績はありませんから、これはちょっと無理であります。そういうものは私ども承知していないことではありませんが、外部に発表ということは、米軍の方で発表すべからざるものを私の方に教えたものでありますから、私どもとしてもその信義上発表できないというだけでございますが、検討はいたしております。
  196. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 ところがそのマーグからの回答文書と今あなたのおっしゃった事故件数とは、どうも違うと私たちには思われるのです。あなたは今五万時間のうち六十何件で、そのうちCになってからわずか五件だ、こうおっしゃるのは、マーグの五月二十五日の回答文書によるものですか、それ以外の資料によるものですか。
  197. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これはごく最近のもので、源田調査団が向こうに行きまして調査したものの一部でございます。十万時間に換算すると六十五件。
  198. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 これは、この基準問題について国民も一番心配しておりますし、あなた方御自身御心配をしておることだろうと思いますし、それからこの国会でも一番重要な問題となっている点でありますから、私は何も、マーグの方から公式の文書として防衛庁におよこしになったものを、故意に隠される必要はないのじゃないか、こう思うわけです。しかもその相当な部分の数字は、この航空情報という雑誌を見ますと、かなり詳しく書いてあります。たとえば十万時間当たりの航空事故の平均は、七種類の飛行機で二百二十五、そのうち最高の事故を起こしたものは三百六十八、ところがF104は百二十四で、平均より下回っておる。ノース・アメリカンは百五十六、だというような数字が、一応かなり詳しく出ておるわけです。こういう程度に漏れておるものを、何も米軍の秘密だというようなことで無理にお隠しになる必要はないじゃないか。むしろこの際明確に公表していただいて、国民の疑問に答えていただいていいのではないか、こう私たちは思うわけです。当然これは比較的に内容としてはロッキードに有利な内容が書かれておるらしゅうございますが、それが白紙還元の直前に米軍から寄せられておる、こういうことになればなお国民としては、白紙還元の理由の一つとしても、あるいはその他の問題としても、これを知るべき権利が私はあると思います。秘密秘密とおっしゃって、一番重要なことはみな秘密で隠してしまう。それでは国民は国会を通じたって何一つ正確な事実を知ることができず、自分たちはまるで防諜法か秘密保護法があるような時代に生きておるような錯覚を持つに違いありません。一体これを秘密として、あなた万が米軍に対する信義ということで、国会で公表を拒絶する何か法律的な根拠がありますか。刑事特別法を私見てみましたが、この程度の事故数字を出すことは、決して刑事特別法に触れません。お出しになることを断わるという正当な法律的な根拠があるならば、聞かしていただきとうございます。もしその根拠がなければ、私は委員長のおはからいで提出を要求していただきたいと思います。
  199. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この事故率等の問題は、これは話し合いによってはあるいはできるかもしれません。ただそういうものを報告しないという理由はどこにあるか、こういうことでありますが、一般的に言いますならば、向こうでは聞かすことができないものであります。向こうで私どもに漏らすことのできない事実であります。漏らすことのできない事実を私どもの方の便宜のために漏らされたことを、私どもは公表するわけには参りませんから、正式にお問いになれば、私どもはそういうことは聞いておりません、こう言わざるを得ない。ですから資料はない、こう言わざるを得ないのです。しかし事実は私ども日本のために必要でありますから、向こうから漏らされておるのを聞いております。こういうことになれば、これは漏らすべからざるものを漏らされて、そうして私ども決定に非常に参考になったことでありますから、信頼からいって申し上げたくない。それでは日本の法律的根拠はどこにあるかと言えば、これは向こうの秘密事項は、やはり国際慣例によって申し上げることはできない、こう言う以外にはないと思います。
  200. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 まあ一つ親切に教えてくれませんか、まあお願いします、こういうことで向こうが、ないしょだけれども特にお教えしましょう、こういうことでその回答を得たのだとあなたはおっしゃるのですが、しかし私たちが伺うところによりますと、航空幕僚監部がマーグに対してF104の安全性について公式の照会を行なった。これに対してマーグから返事が寄せられて、五月二十五日付で公式文書が航空幕僚監部に届いた、こういうふうに僕らは伺っておるわけです。防衛庁が正式に防衛庁の名前において照会をし、それに対して向こうが在日米軍顧問団の名において正式に回答をしてくれた、こういうものは、親切にちょっと教えてちょうだい、うん、ないしょだけれども教えてあげようというのとは、意味が違うだろうと私は思うのです。防衛庁としての正式の行為が、なぜ発表できないのですか。国際慣例などということで、国会質疑あるいは調査という問題が制約されていいものかどうか。国際慣例なんてはっきりきまっていますか。国際慣例と申しましても、その慣例は国際法上――まあ国際法というものも、それ自身が非常にあいまいなものですが、国際法上少なくとも何人によっても慣例と認められる程度まで熟していなければ、これを慣例と認めるわけにはいかないわけです。米軍だって公式文書に対して公式回答した以上は、これはある程度発表されることを当然覚悟しているに違いありません。また官公庁の公式照会、公式返答というものは、そういう性質であるべきです。一体そういうものをこの国会において公表することを拒絶し得べきいかなる法律上の根拠があるのですか。慣例なんてだめですよ。何条とはっきり言って下さい。
  201. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 公式に照会をして回答があったといたしましても、それは外部に発表はしてくれるな、こういうことになれば、その信義にこたえなくてはなりません。それから何から何まで国会へ出せというから出さなければならぬということは、これは別に法律に規定はないとしても、そういうことはできません。たとえば防衛庁の書類をみんなここへ出せといっても、そういうことはできないのです。それと同じように、何でも出せ、全部を出すということになれば、これは行政の機能は停止いたします。けれどもどももできるだけ国会の御審議に便宜のように、そうしてまた疑問がありますれば便宜をはかり、また御審議をしてもらうために、資料はぜひ出したい、こういうふうに思っておりますが、公的文書によってそれは外へ出してくれるなというような場合には、信義にこたえて、差し控えたいと思います。この場合の問題は、また話し合いによっては出せないこともないではないかという気がいたしますが、しかしものによっては相当機密の約束、機密の文書などがあります。ことに外務省などでは、それが多いのではないかと思います。それを一々出せ、こう言われても、出せないと私は思います。これはやはり国際的な慣例とか、あるいは日本の議会の今までの慣例もあると思います。
  202. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 僕は防衛庁にある書類を、紙くずに至るまで全部出せなんて、そんなばかなことを言っていませんよ。この国会で今一番重要な焦点として、安全性の問題が出てきている。この事実は赤城さんだって否定をせられないだろうと思います。もしそうだとすれば、その一番重点に関して一番使ってみた経験のある米軍が、公式の文書として返答をしてくれた。これを国民に提示するのが、国民に対する政府義務じゃないでしょうか。私はそういう点で何も紙くずに至るまで全部出せなんて言っておるのじゃありません。そういう点でもし問題がありますならば、私は委員長にお願いして、国会法の百四条に従って、「調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」こういう規定発動をしていただくよりほかに仕方がないと私は思うわけです。しかしそれもずいぶんえげつない話ですから、こんな程度のものは大したものではないわけです。米軍だっておそらく相談に行けば、にやにや笑ってよかろうと言うに違いないと思いますが、一つこれの御提出を願いたいと思います。このことについてどうでしょうか。
  203. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、向こうの便宜、向こうの特別の取り扱いで私どもの方に報告をよこしたわけであります。それを外部に出してくれるなということになりますれば、正式に要求があるとすれば、私どもはそれを返してしまって報告がなかったということよりほかにないと思います。これは信義の上から言ってそうせざるを得ないと思います。でありますが、できるだけ私は事故率等については御説明を申し上げたいと思います。こういうふうには考えておるわけであります。
  204. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 これは基本的な問題ですから、もう一度くどいようですが……。一体今の日本憲法の中で、秘密だとか信頼とかいうことだけで、この国会に問題を提出することを拒否すべき理由がどこにあるのだろうか、こう私は思うわけです。もし政府が真に、そう思われるならば、これを提出することによって、国際的にも国内的にも非常に公共に害があるとか、問題があるとかいう声明をなさるべき責任があるわけです。そういう意味で、それをなさらない以上は、提出をせられるべきである、こう私は思います。従ってこの点については、あなたも今御努力下さるということですから、一度向こうと交渉をしてみていただきたい。国民の非常に興味を持っておる中心点ですから、五月二十五日付のマーグの回答書を公表するということについて、一つ交渉をしてみていただきたいと思いますが、どうですか。
  205. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私ははっきり五月何日に来ているか知りませんが、それをすぐ調べて、よく向こうと話をしてみたいと思っております。
  206. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それでは、せっかく源田さんにおいでいただいたのですから、長官に対する質疑はその後に残しまして、一、二伺いたいと思います。本来でありますならば一応御調査をいただいた概況の報告をいただいた上で御質問を申し上げる、こういうことがいいのかと思いますが、時間も少のうございますから、防衛庁長官の方から先日御発表をいただいた文書を御報告いただいたものとして伺います。  まず第一に伺いたいと思いますのは、このロッキードを最優秀の飛行機として防衛庁長官に御報告になった。この御報告になる、すなわちロッキードを選ばれる基準ですね。この基準は、純粋に技術的な観点からだけで行なわれたものなのか、あるいは日本自衛隊が持っておる戦略構想、戦術体系、こういうものとからみ合わせてロッキードをお選びになったのか、こういうことをまず伺いたいと思います。
  207. 源田実

    ○源田説明員 技術的と申しますと、飛行機の構造、中にある装備品、こういうものの構造その他を含むものと思います。従ってその技術という意味においては、もとよりこれを調査しております。同時に日本の置かれておる地理的な情勢から割り出した日本の戦略的地位と申しますか、これを同時に考慮しております。従ってその両者を考慮の上と申し上げます。
  208. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 グラマンとロッキードではかなりその性能も違いますし、またグラマンによって達することのできる目的と、ロッキードによって行なうことのできる目的とでは相当の開きがある、こういうふうに巷間ではいわれてきておるわけです。端的に比喩的にいえば、点か線かというようなことさえ言っている人々もあります。そういう違いがロッキードとグラマンの間にはあるように思うのですが、どうでしょうか。
  209. 源田実

    ○源田説明員 御質問の点か線かというようなところの意味がよくわからないのでありますが、このF104とスーパー・タイガーは、プロダクション・タイプと申しますか、それで達し得る、たとえば高度であるとか速力であるとか、その他旋回性能であるとかいうものには、両者の間に明らかに差異がございます。
  210. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 国防会議でグラマンを内定したときには、当然日本作戦計画防衛体制というものの基本観念に合わせてグラマンを内定した、こう考えております。別にその間スキャンダルがあって、金のやりとりがあったからグラマンに決定したのだ、こうは考えたくありません。もしそうだとすれば、グラマンによって日本防衛体制が一応想定されたわけです。それが今度上に乗っかっているグラマンというものを、ロッキードにぽんと変えるだけで済むものだろうか。当然ロッキードを採用することによって、グラマンを前提とした幾多の防衛体制というものに変更が加えられなければならないのじゃないか、こういう感じがするわけです。従ってグラマンを選ぶかロッキードを選ぶかということは、単にこっちの飛行機かあっちの飛行機かということでなしに、防衛体制の根本的な観念というものまで、こっちを選ぶかあっちを選ぶかという大きな差異を生ずるもののように思えるわけですが、そういう点についてまで御考慮の上でロッキードがよろしい、こういう報告をなすったのかどうか、これを伺いたい。
  211. 源田実

    ○源田説明員 防衛体制の基本においては相違はございません。しかしながら現地において実地に各飛行機の評価をやりますと、それはこういう新しい非常に高性能の飛行機による戦法でやらなければならないわけであります。こういう音速の二倍付近にある飛行横は、在来の飛行機に比べて若干変わった方法の戦闘法が採用されなければならないのが、今度行ってわかりました。従ってその戦闘法によってこれを見る場合、F104の方が優秀である、こういう意味であります。
  212. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今戦闘法を変えなければならぬというお話がありましたが、それは少なくともアジアにおいてあり得る攻撃、こういう場合の爆撃機がマッハ一・五ないし四くらいだとお考えになっていらしたのが、向うへ行ってみてマッハ一・八くらいの爆撃機を考えなければならぬ、こういうようなことを知られ、そこで初めて戦闘法というものについての考え方、さらにはロッキード、グラマンいずれを選ぶかという問題、こういうことをお考えになったという意味でありますか。
  213. 源田実

    ○源田説明員 爆撃機の速力については、出る前から一応の最高速力については予想がついております。しかしながらその爆撃機の技術的な用法及びそのこまかい内容については、今まで防衛庁で得た書類だけでは入手ができない程度のものであります。従って結果的に申しますと爆撃機の用法というものが、こちらで予想し得ないようなものがあった、こういうのが一番正しいお答えかと思います。
  214. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますとあなたがグラマンでなくロッキードをお選びになった一番大きな原因は、爆撃機の性能が日本で考えておったものとアメリカヘ行っていろいろな情報を聞いてみたのとでは全然違う――全然違うというのは言い過ぎかもしれませんが、非常に高性能であった。従ってこれに対処をするという基準からロッキードを選ばれた、こういうふうに今お答えになったように思うのですが、そう解釈してよろしいわけですか。
  215. 源田実

    ○源田説明員 爆撃機の性能、用法に非常に大きな変化があった、こういう工合におとりになってはこれはちょっと違うのでありまして、爆撃機の性能の中のある部分にその差があるのであります。従って同じマッハ一・五なら一・五、一・六なら一・六の飛行機にしましても、その速力以外のものに若干差がありますと、その用法が変わって参ります。従ってこれに対処するために104の方がグラマンの飛行機より有利である、こういう工合に判断いたしました。これは私が車を最良として報告した理由の中の一つであります。
  216. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 この爆撃機の性能の中の一部に違いがあった。しかもその一部は今あなたのおっしゃるように、あなたをしてグラマンからロッキードを選ばしめた重要な部分ですから、その一部とは一体どういうところですか。私たちしろうとや国民にわかりやすいように一つ説明をいただきたいと思います。どういう部分ですか。
  217. 源田実

    ○源田説明員 飛行機というものは全速力で長時間走ることはできません。全速力というのはマッハ二ならマッハ二としましても、これはほんのわずかの時間走れるというのが通常の飛行機であります。ところがわれわれが向こうで得た情報によりますと、そういう種類のものに、われわれが考えていた常識よりも相当大きいものがある、こういうことであります。これが一つの例でございます。
  218. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、飛行機というのは全速力ではそう長時間飛べるものではない。ところが現実にぶつかってみたら、現実に聞かされてみたならば、全速力で飛ぶ時間が非常に長い時間であった、こういう意味ですか。
  219. 源田実

    ○源田説明員 私は非常に長いとはこの非常という言葉の考え方でありますが、非常に長いという言葉をどういう工合に解釈させていただいたらいいかわからないのでありますが、まず私の考えで言いますと、われわれが考えておったよりは相当長い、こう申し上げたらよかろうかと思います。
  220. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 かなり具体的に伺いました。すると、その飛行機は具体的に何という飛行機ですか。
  221. 源田実

    ○源田説明員 この飛行機については今のところ申し上げるわけにはいかぬと思います。
  222. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 まあはなはだ失礼ですが、源田さんは政治家ではありませんから、ずばずばお答えいただいていいのじゃないかと思いますが、今私たちはロッキードを選ぶか、グラマンを選ばせられるかという、しかもその金が八百億もかかるという段階です。いずれにもせよ、地方では橋がこわれかかったり、道が悪かったり、あるいは伊勢湾台風で困ったりしている、そういう部分があるにもかかわらず、八百億に近いものがこちらでそれに振り向けられようとしているわけですから、従って国民としては、この問題についてある程度の納得をしない限り、これは賛成できないだろう、こう思うわけです。またあなた方も賛成せしめるべく努力をなさるというのが義務だろう、こう思うわけです。かなり具体的に、全速力で走る時間が思ったより長かった、そういうものを考えてみても、グラマンからロッキードを選んだのだ、こうおっしゃる以上、その思っておった、変わっておった飛行機が何という飛行機であるか、このくらいはお答えにならなければ、人は苦笑いをするだけで終わってしまいますよ。これは残念だと思うです。いかがでございますか。ずばずばお答えになっていただいていいのじゃないですか。
  223. 源田実

    ○源田説明員 これはこういう工合にお答えすればいいかと思います。アメリカの最も新しい爆撃機あたりは大体そういうところである、こうお答えした方がいいかと思います。
  224. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 問題は、今の日本の戦略構想というものがアメリカの爆撃機を対象に行なわれているなどとは、僕らにはちょっと信じられないのです。そこで、これはやはり国民の安全の問題であり、経済の問題である以上、この問題についてはっきりこれこれとおっしゃっていただいていいのじゃないか。アメリカの飛行機がその段階に達しているから、他の飛行機も必ずそれと同じ段階にきているという保証はないはずでしょう。むしろこちらの方がうんと行っている場合もあった、こういう場合もあります。アメリカの方がうんと進んでいる場合もかつてはありました。従って、いずれにしても、私たちはアメリカのものを見てというお話では、これは納得できません。やはり報告を長官にきちっとなすった、そしてロッキードを選んだ。それの重要な根拠は、行って見たら、爆撃機について、われわれの考えておったよりもはるかに高い水準のものを考えなければならないから、従ってロッキードにしたのだ。こうおっしゃるのですから、その場合にこの飛行機とこうおっしゃるのが当然ではないでしょうか。政府は仮想敵とかなんとかいう形を言うのをいやがって逃げ回っているのですが、そんな必要は一体どこにあるのですか。ソビエトの飛行機の何という爆撃機か、IL28ならIL28を想定しました。しかし、実際に行ってみたら、IL28の機能はもっとこんなに上がっておりましたから、ロッキーでなければならないのです。こうずばりおっしゃらないと国民は納得しないのじゃないですか。国民は一体どこに目を向けて、あなた方のおっしゃっる防空、防衛というものを考えたらいいのか、わかりはせぬじゃないですか。こんなところは政治家であられないあなたなんですから、ぜひ、一つずけずけおっしゃっていいのじゃないですか。
  225. 源田実

    ○源田説明員 世界の有力な国家の飛行機の最先端というものは、短かい期間――この私の言う短かい期間とは、まず長くて二年とか三年とかいう期間であります。その期間においてある国が若干すぐれ、ある国が若干おくれというようなことは、今の御説のようにあることであります。しかしながらこれを五、六年とか、七、八年とかという期間を通じて見ますと、いわゆる世界の一流国の最先端をいく飛行機の最高速度あるいは最高高度というものは、ほぼ似通ったところにあります。従ってわれわれがアメリカにおける爆撃機の最先端、これは計しいものまで向うは全部知らせてはくれません。従ってその全部についてはわれわれはどうしても知ることができなかったわけでありますが、しかしそのうちのさっき申し上げたようにことを知らされた。そうするとこういうものによって、世界各国の最先端をいく飛行機は、大体今どのあたりにいっておるであろうかということは、まず航空の常識として推知することができると思います。
  226. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 どうもあなたにあまり僕らの考え方を申し上げるのもいやですが、今のお話を伺っておると、なお私たちにはわからなくなってしまうわけです。ソビエトの爆撃機がどの程度の水準に達しておるかは、日本防衛庁の持っておる情報網ではなかなか完全にはつかめなかった、それをアメリカヘ行ってみて、アメリカのより発達した諜報網から聞くとこういうことだった。なるほどそういうように性能が高まっているのならロッキードでなければならぬ、こう私は思いました、こうおっしゃるのならば、まだ私たちにもわかります。ところが、世界の各国の爆撃機の平均水準はこんなものだ、それをアメリカヘ行って聞かされて、初めて悟ったと幕僚長がおっしゃるとすれば、率直に言って僕は残念です。アメリカ日本は始終情報交換をやっていらっしゃるはずです。せめてアメリカの爆撃機の技術水準、能力の水準、最新式のものがこの程度の力を持っておるということぐらいは、日本の国内にいらっしゃって、あなた方は始終接触していらっしゃるわけですから、ある程度お間きになっていらっしゃるはずです。それをアメリカまで行ってみなければわからなかった、そんなばかなことを言って、あなたは御自分のおなかの中で苦笑いをなさいませんか。失礼ですが、やはりソビエトのものを考慮してこうやったのだ、こうおっしゃらないと、国民はもう少し――政治屋さんの赤城さんがのらりくらり言うのは仕方がない。これなら国民だってあきらめてくれるかもしれないけれども、少なくとも技術的な、しかも現実に牧間をされようとする軍人の最高の地位にいらっしゃるあなたが、赤城さんの亜流の答弁をなさっては、国民はますます混迷に陥ってしまいます。  そこで、くどいようですが伺いますが、アメリカヘ現実に行ってごらんにならなければ、アメリカの到達している技術水準とか、その他のものについてはこまかいところは無理でしょうが、大体御承知になることはできないのですか。そうして、アメリカに行って現実に聞かされたものは、アメリカの飛行機についてだけなんですか、こういうことをはなはだ失礼な言い方ですが伺わざるを得なくなってきます。どうでしょうか。そんなことをお答えにならずに、ずばりとこの飛行機というふうにお答えになることがいいのじゃないでしょうか。
  227. 源田実

    ○源田説明員 アメリカと情報交換をやっておる――大体日本はいろいろな飛行機のデータとか情報をもらうのでありますが、しかしアメリカ日本に対して与える飛行機の性能については、日本で作るとか、あるいは日本で使用する飛行機については、きわめてこまかいところまでこれは教えてくれます。しかしながら、日本で使わない飛行機については、そんな詳しいものは教えないのであります。またアメリカに行かなければわからないということはないだろうとおっしゃいましたが、事実今度行ってみまして、F104に転換する要因となったものは数件あるわけであります。それはやはり向こうに行って新しい飛行機で飛んでみて初めてわかることでありまして、ただ机の上で考えただけではこれはなかなか出てこない性質のものであります。
  228. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 もうお答えにならぬ御覚悟のようですから別にこれ以上は伺いませんが、きょう初めて源田さんがお見えになって、ロッキードを採用する重要な根拠として予想せられる爆撃機の性能向上というものが、大きな役割を果たしたということを伺ったわけです。そこで国民は勝手に、それではどこの爆撃機であるかということを想像するより仕方がありますまい。従ってもうこれ以上は伺いません。  続いて伺いますのは、純技術的な面からだけではなしに、戦略的な構想の面からもロッキードを選ばれたということでありましたが、それならばなぜ三百機が二百二十一機に減縮されたのでしょう。あなたの御報告にはたしか二百二十一機と出ておるそうであります。三百機のものがなぜ二百二十一機に減縮をせられて報告をされたのか、これを伺いたいと思います。
  229. 源田実

    ○源田説明員 この点は調査団長といたしましては、飛行機の機数が何機でなければならないということを私は長官にと要求する立場ではございません。しかし航空幕僚長として同時にこの調査団長を兼務しておりますから、これは別個の立場から出たものであります。二百機に対して複座機を二十一機、二百二十一機ということは、まず日本防衛体制上どういう工合に飛行機を配備すればいいかということから考えまして、極力財政的にも右利であり、安上がりにいくという考えから割り出していきまして、最小限の要求であります。われわれ航空幕僚監部といたしましては、二百機より三百機の方がいいにきまっております。
  230. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 三百機のものを二百機に――二十一機は練習機でしょうから、二百機に百機減縮をせられたのは、実はナイキと地上、空中という形で併用する、こういう形の戦略構想を持たれたので二百機になった、こういうふうに私はちょっと伺っておるのですが、機数を減らせるということが今のお話では説明がつかぬ、よくわからないわけです。何か純粋に経済的なもので三百機が二百機になったのか、あるいはナイキ等との組み合わせでそうなったのか、あるいはほかの戦術的、戦略的な兵器、こういうものとの組み合わせで二百機になったのか、こういう点は幕僚長として当然お考えになっていらっしゃると思うのですが、どうでしょうか。
  231. 源田実

    ○源田説明員 この点は私が調査団長として命ぜられたときには、はっきりした機数について何らの命を受けておりません。しかしながら、今まだ準備中であるところのわれわれの研究過程において、いろいろな経済力、そのほかのFX及び在来の飛行機、そういうものを全部考えまして、ここに一つの機数を割り出したわけであります。その中から割り出されたものでありまして、三百機という数は私全然初めから聞いておりませんから、私が三百機を二百機にそういうわけで変えたというわけでは全然ありません。
  232. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 三百機ということを聞いたことはおありにならない。これはけっこうです。そういたしますと、二百機ということを割り出されたあなたの根拠は何でしょうか。
  233. 源田実

    ○源田説明員 これはわれわれの兵術的な研究の上からであります。
  234. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、兵術的な御研究の上からとおっしゃる場合に、今私が冒頭申し上げたように、日本自衛隊がナイキを装備する、こういうようなことも兵術的な研究に含めて考えられるように私は思いますがいかがですか。ナイキとこのロッキードとのからみ合わせというものをときどき私たちは耳にいたしますので、そういう点でその関係があるのかないのか、こういうことを明確にしていただく必要があるだろう。そうしてあなたの御決定の中にそういう要素は何ら考慮せられておらなかったのかどうか、こういうことをお伺いします。
  235. 源田実

    ○源田説明員 われわれが機数を割り出すその根拠となるべき各要素について、これを今私はここで申し上げることはできないと思います。
  236. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 なぜできないのか。先ほど赤城さんにも申し上げたのですが、防衛庁の方々や軍人の方々は、何かというとできない、秘密だ、こういうことで、国民が当然参画すべき権利のあることについておっしゃらない、こういうことははなはだ残念に思います。ただここで述べることは、できるだけ正確に述べたいから、時間がかかってできないのだ、こうおっしゃるならば、これは文書にしてでもけっこうです。あるいはまたあなたの論文にして下すってもけっこうですから、そういう点を私たちは教えていただきたい。国民は少なくとも相当の部分、軍備は要らないのじゃないかという考え方も持っておりますし、それから相当の部分の人は、その必要を認めながらもどうやってやるのだ。今のミサイルの時代にどうやって守るのだ。また昔のようにB29に対して火たたき一本でもってけんかするような形になるのではないかという懐疑を持っております。ただおれを信じろと言って胸をたたいてみたところで、それでは人は信用しないのであります。やはりそういう問題を明確にせらるる必要が国民に対する義務としておありになる、こう私は思いますので、秘密で国民には知らせられないのだ、国民はただわれを信ぜよとおっしゃる意味なのか、時間がかかってどうもしゃべりにくいから時間さえかければよろしいのだ、こういう意味でありますか、いずれでしょうか。
  237. 源田実

    ○源田説明員 これは可能な限りは国民にできるだけ多くわかるように発表するのが妥当であろうかと思います。しかしながら現在はまだ研究の段階でありまして、これを発表すべき段階に至っておらないものと考えております。
  238. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 研究の段階で発表はできない。――現に二百機ときまっているじゃないですか。二百機という具体的な数字を出しておきながら、その根拠が発表できない、研究中であるというに至っては、何かキツネにつままれたような感じが率直にいってしますよ。少なくとも二百機という数字を戦術的な、兵術的な根拠から割り出されたとおっしゃるならそれを伺いたい、こう言うと、それは研究中である、これではどうにもならないじゃないでしょうか。私たちにもその辺はもうわからなくなってしまいます。実際御発表になる意思があるのかないのか、これを一つ伺わして下さい。
  239. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 ただいまの源田空幕長が申されました機数の問題でございますが、これは皆様方にも前々から御説明しております通り、現在の防衛力整備計画におきましては三百機ということできておったのでございます。しかしながら現在の防衛力整備計画の進行状況、主としてこれは飛行場の問題、パイロットの養成の問題、それから価格の問題、そういうような経済上の事情からいたしまして、私どもはなかなか現在の計画の遂行が困難であるというふうに考えたわけでございます。そこで将来は、ある程度は世界の一般的な傾向といたしまして、有人機というものとミサイルというものとを併用いたしまして防衛を全うするという情勢を考えあわせて、航空幕僚監部の方において次期戦闘機は二百機として計画を立てろということで、作業をさしておる状況でございます。この結果は次期の防衛力整備計画を立てます際には結論としては出ます。ただこれをその際出ましたものを御発表できるかどうかということにつきましては、先ほど源田空幕長のお話もありました通り、国民にはなるべく知らせたいという気持もありますが、同時にわが国の防衛構想を公にいたしますることは、いわば手のうちを見せることになりますので、おのずから限界があると思いますが、なるべく国民の御理解を得るようなことはできるだけいたしたいという気持は持っております。
  240. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 関連して。防衛局長から答弁がありましたから詳しいことは私の質問の時間でやりますが、先ほど空幕長が三百機という数字は知らないという答弁をせられたように私は聞いたのですが、それは間違いありませんか。
  241. 源田実

    ○源田説明員 三百機という機数は私は正式には聞いておりません。
  242. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そんなばかなことがありますか。あなたは少なくとも空幕に関しては責任者じゃありませんか。今の防衛庁が推進しておる、保守党の政府、自民党の政府が推進しております第一次防衛力整備目標において、航空機が何機目標になっておるか。そのうちに新しい機種のものをどれだけ予定しているか、そういうこともわからない空幕長がありますか。はっきり言って下さい。
  243. 源田実

    ○源田説明員 この問題が論議されましたのは私の着任以前でありまして、私が着任したとき正式に聞いたのはさっき申し上げた数字であります。
  244. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 第一次防衛整備目標国防会議でいつ変更になったか、答弁して下さい。
  245. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 第一次防衛整備目標は変更になっておりません。ただ私どもは次期の防衛力整備計画を検討しておりまして、次期の防衛力整備計画は三十五年を含めて決定したのではございません。けれども三十五年を含めて四十年度までやりたいというのが当初の構想でございました。その構想に基づいて作業して、航空幕僚監部の方に先ほど申しました二百機というようなことを申したのであります。当初の計画では八月ごろまでには次期の防衛力整備計画をきめまして、それを国防会議決定していただきまして、あわせてその際に現在の防衛力整備計画の変更も含めてきめていきたいと思っておったのですが、それが順次おくれて参ったのであります。
  246. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 防衛局長ははっきり第一次防衛計画に基づいて、新機数は三百機だと言っているではありませんか。その肝心なことを空幕長たるものが知らぬとは何ですか。三百機という数字は聞いたことがない、そういう無責任な答弁が許されるのですか。二人の答弁が食い違っておるではありませんか。その点を調整して下さい。まだ知らぬとおっしゃるのですか。
  247. 源田実

    ○源田説明員 三百機という数字が防衛局長から言われましたが、これは私の着任する以前のことであって、私が着任してから、また申し継ぎを受けた数は二百機というその数字であります。
  248. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは先ほど防衛局長答弁されたように、国防会議においても変更はまだ確認されておらない。本委員会において左藤長官が責任を持って答弁した内容が変わったということも私ども聞いておりません。あなた方内部ではそういう話があったかもしれませんが、少なくとも表面に出ております計画というものはまだ依然として三百機です。それがいろいろな事情から二百機に変更されつつあるということはわれわれは知っておる。自分が着任する前のことですから知らぬということで済むかということです。三百機が二百機に変わるということは、三百マイナス百の二百、そういう簡単なものではないはずだ。今飛鳥田さんが盛んに質問しておるように日本防衛力を担当する、しかも日本防衛計画、これは防空第一だということ左藤長官も言っておる。防空第一でいくために戦闘機が何機要るか、この一番大切な問題がどういうふうな変化をたどっていっておるのか、自分が着任する前のことは知らぬで済むという考えですか。そんなばかなことはないでしょう。当初の計画が三百機ときまっておるのだ。しかしそれがいろいろな事情でおくれて残念ながら二百機になった。あなたが着任して二百機になったかしらないが、その前のいきさつは全然知らぬということが言えるのですか。あなたの立場で率直に間違なら間違いと言いなさい。
  249. 源田実

    ○源田説明員 私が申し上げたのは、私は正式に三百機ということを聞いておりませんと申し上げました。私はもとより自衛官でありますから、どういうような防衛構想が必要であるかということは、それまで私は航空総隊司令をしておりまして、その航空総隊としての防衛構想というものは持っております。しかしながらこれら防衛庁内部において行なわれるいろいろな思想の変化というものは、私が部隊におるときに一々知ることはできません。また幕僚長に就任しましたときもすでに二百機という数を示されておるので、私としましてはその二百機をもっていかに有効にこの計画を立てるかということに専念するのでありまして、その前のいきさつというものを一々こまかくやってはおりません。
  250. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その一々こまかくというところが気に食わないのですよ。三百機といえば三百機でもやれる。二百機といえば二百機でもやれる。その程度の気持であなたは空幕を預かっているのですか、いかがです。
  251. 源田実

    ○源田説明員 いろいろな用兵上の計画を立てる場合に、用兵の方からは一応理想案がみな出てきます。しかしながらそれは国家の経済力との関係で、用兵家の要求通りにいかないのは、世界各国どこでも通例だと思います。従って当初防衛庁において、幕僚監部からの要求を十分研究、討議され、そうして一応二百機ということで落ちついて示されたならば、われわれはそれでやらざるを得ない状況にあります。
  252. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私が言っていることは、この結論のことではありません。少なくとも今まで第一次計画において、新機種FXを三百機そろえなくちゃいかぬのだということが十分に論議され、それが採用されてきた。それがあなたの着任以後に変わったかもしれないけれども、少なくとも三百機が二百機に変わったということのためには、相当あなたの方の心がまえなり、あるいは研究調査なり、いろいろな面でいろいろな変化が現われてくるはずです。三百機のときにはどう対処しなければならぬ、二百機になったからどうなくちゃならぬ、こういう研究が行なわれるはずでしょう。おれが来てから二百機になってしまったのだから、前にどういう経過をたどって三百機になったか、それは知らぬ。前の空幕長がいいかげんに三百機、ああようございますと言ったのだろう、そういう態度であなたの責任ある地位が勤まりますかと私は言っている。三百機なんていうのは知らぬ、とにかく自分が着任してから二百機という数字を示されたのだから、その二百機でやればいいのだ、そういう態度で済まされる問題ですかと私は聞いておるのです。そんな問題ではないはずです。
  253. 源田実

    ○源田説明員 これはさっきも申しましたように、われわれは一応用兵上の見地からの要求は出します。しかしそれを削られたら、それではわれわれは知らないというようなことはできないのでありまして、その与えられたワク内でどうしてやるかということに、その次は集中すべきであります。私は三百機ということは正式に――三百機今要求しておる、これがこういう事情で二百機になったのだというようなことを、正式には受けていないと言ったのであります。
  254. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今の石橋君の問題ですが、一体防衛庁の中で、外に対しては三百機、内に対しては二百機なんという、ずいぶんおかしなことでしょう。三百機々々々と、胸を張ってこの国会答弁をされた左藤さんの時代の態度が変われば――源田さんが二百機という指示を受けているということは、まさかうそではありますまい。あんなにはっきりおっしゃるのですから……。そうすると源田さんは、調査に行くときからもう二百機のつもりで出かけて行った。ところが国民の方は、依然として左藤長官説明で――その後皆さん方同じ答弁を繰り返しておられますから、三百機のつもりでおる。こんなばかなことがありますか。一体その責任はだれがとるのですか。これははなはだ失礼ですが、石橋君の言うように、赤城さんにもう一度戻っていただかなければならぬでしょう。これでは今後防衛庁の発表する数字は、全部疑ってかからなければならぬ。千機と言っているけれども、きっと百機に違いない。タンク百台と言っているけれども、二台に違いない。それではおかしいじゃないですか。国民に対してなるべく事実を知らせる――一体三百にするか二百にするかがそんなに秘密ですか。秘密主義もほどほどになすったらいいじゃないですか。くどく聞きますが、一体外に対して三百機ということを堂々と言っておられて、実際は調査に出す源田さんに対して二百機という指示をしている。そういうことしか源田さんはお聞きになっていらっしゃらない。この違いに対する責任はだれが負うのですか。これは次官に伺いましょう。
  255. 小幡治和

    ○小幡政府委員 前の左藤長官のときに二百機と皆さんにお話ししてありますが、しかしその後のいろいろな状況から見まして、結局先ほど防衛局長お話しいたしましたように、財政予算の面、あるいは飛行場の面、あるいは先ほどちょっと触れられましたがミサイルも考えていきたいというふうな気持もありまして、そうして二百機というところに縮小して考えていくということになってきておるのでありますけれども、しかしこれがほんとうに決定するのは国防会議においてでありまして、そこではっきり決定されなければ、そういう点ははっきり皆さんに申し上げることにいかないわけであります。しかしわれわれ内部としてはそういうふうに考えざるを得ないのではないかというふうなことで、三百機と思っておったものが、今二百機というふうになりつつあるわけであります。
  256. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 源田さんが調査に行かれる前、そうして行かれた留守も、再々この問題は問題になっているわけです。その間になぜ、実は源田さんには二百機という話をして、二百機のつもりで行ってきてくれないか、こういうふうにお願いしたのだとおっしゃれないのですか。ミサイルをあわせ考える。この点は先ほど源田さんはお答えになりませんでしたが、次官はかなりすなおにお答えをいただいて、大へんけっこうですが、ミサイルと考えあわせて、三百機を二百機にする。そうだとすれば、国防のやり方について相当大きな変化ですよ。しかもこのミサイルのうち、あなた方はナイキを考えていらっしゃる。しかもこのナイキについて私たち社会党はかなり強く反対をしているはずです。なぜそういう点を明確にしておかないのか。調査団には二百機といって出しておいて、そして国民には依然として三百機のような顔をしている。そんなばかな話がありますか。こうなれば国民は防衛庁はうそつきだと考えないわけにいかないでしょう。しかももっと重要なことを今次官はお話しになりました。機数を決定するのは国防会議である。従って国防会議決定があるまでは発表できない、こういうお話でした。それならなぜ国防会議で機数をきめてから源田さんにお出かけを願わないのですか。これは既成事実を作っておいてそして国防会議におっつける、こういうことしかあり得ないじゃないですか、今のお話では。国防会議防衛庁は自由自在に操ろう、こうおっしゃるのか、こういう疑問もまた私たちに出てくるわけです。いかがですか。
  257. 小幡治和

    ○小幡政府委員 源出調査団には機数の問題よりも、むしろ機種の問題について調査してきてもらったわけなんでして、別に機種という問題をそう強くわれわれとしては変更したことを申し上げているのではありません。大体それくらいなことになるだろうという点の含みというものは源田調査団も持っていたでしょうけれども、しかし源田調査団の調査の目的は機数でなくて機種なんですから、(「空幕長に着任と同時に二百機と言ったじゃありませんか」と呼ぶ者あり)その問題については大体われわれとしては内部的にそう考えているということなんで、正式にきまりましたら皆さんにはっきり正式に申し上げたいということなんです。
  258. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 内部的にそう考えておりますとおっしゃりながら、実際は既成事実を作っておるではありませんか。空幕長は、源田さんは、三百機、そんなことは私は知りませんでした、私の着任以前でしょうとこう言っていらっしゃるわけでしょう。空幕長というものは率直に言って一体何なんですか。日本の航空軍の少なくとも最も重要な方だと私は思います。私の考え方に誤解があるならば訂正していただいてけっこうです。最も重要な方だと思うのですが、その方には三百機なんて一ぺんも話をしない。二百機々々々、そういうことしかおっしゃらないでおいて、今度はたまたま空幕長が調査団の団長になって行かれた。これにも二百機、そうして外に対しては三百機、何だかばかにされたような気が私たちはするのですね。そうしてなおかつ国防会議で機種の数をきめないうちに、そういう既成事実をどんどんお作りになってしまう。しかも外に向っては三百機ということをちゃんと国防会議決定に従うようなふりをしていらっしゃる。こんなばかな話がありますか。私は、委員長、これは赤城さんにおいでをいただかなければこれ以上質問を続けられません。こんなばかな話で国民は納得しますか。一つ至急赤城さんをここへおいでをいただくように、委員長お取り計らいを願いたい。
  259. 福田一

    福田委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  260. 福田一

    福田委員長 速記を始めて。
  261. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 源田さんに伺いますが、航空幕僚長、こういう職務は国防会議決定というものを、それが過去のものであってくつがえされているものなら別ですが、現実に、現在生きている国防会議決定、こういうものをお調べになる義務が職掌柄ありますか、それともないとお考えになりますか。
  262. 源田実

    ○源田説明員 この国防会議決定については、逐次研究して、勉強していくつもりであります。しかしながら私は幕僚長に就任して、直ちにアメリカに参りまして、自後帰ってきて、その報告等で時間をとられております。従って今ここに、過去において国防会議でどういう論議がされ、またどういう決議がされたかということについて、全部を勉強しておるというわけにはいかないので、今勉強中であります。従って知らないところがあります。
  263. 福田一

    福田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十三分散会