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1959-12-01 第33回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月一日(火曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長代理 理事 渡海元三郎君    理事 飯塚 定輔君 理事 田中 榮一君    理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君    理事 安井 吉典君       相川 勝六君    亀山 孝一君       鈴木 善幸君    高田 富與君       津島 文治君    富田 健治君       山崎  巖君    小沢 貞孝君       太田 一夫君    加賀田 進君       柏  正男君    川村 継義君       佐野 憲治君    大矢 省三君  出席国務大臣         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         総理府事務官         (自治庁財務局         長)      奧野 誠亮君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      後藤田正晴君  委員外出席者         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      中川 董治君         警  視  長         (警察庁警備局         警備第三課長) 倉井  潔君         総理府事務官         (自治庁行政局         行政課長)   岸   昌君         大蔵事務官         (銀行局中小金         融課長)    橋口  収君         警 視 総 監 小倉  謙君         警  視  長         (警視庁警備部         長)      玉村 四一君         専  門  員 円地与四松君     ――――――――――――― 十一月二十六日  委員鈴木善幸辞任につき、その補欠として前  尾繁三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員前尾繁三郎辞任につき、その補欠として  鈴木善幸君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員川村継義辞任につき、その補欠として神  田大作君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員神田大作辞任につき、その補欠として川  村継義君が議長指名委員に選任された。 十二月一日  委員下平正一辞任につき、その補欠として小  澤貞孝君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小沢貞孝辞任につき、その補欠として下  平正一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員下平正一辞任につき、その補欠として柏  正男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員柏正男辞任につき、その補欠として下平  正一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月十八日  鹿屋市の国有提供施設等所在市町村助成交付金  増額に関する請願二階堂進紹介)(第三七  〇号)  全日制市町村立高等学校教職員退職手当全国  通算に関する請願千葉三郎紹介)(第三七  九号)  同(秋山利恭紹介)(第四三三号)  同(渡海元三郎紹介)(第五〇九号)  同(渡海元三郎紹介)(第五六九号)  新市町村職員給与改善に関する請願鈴木善  幸君紹介)(第五〇八号)  奄美大島における小型製糖工場の救済に関する  請願保岡武久紹介)(第五三四号)  同(池田清志紹介)(第五七八号) 同月二十四日  全日制市町村立高等学校教職員退職手当全国  通算に関する請願清瀬一郎紹介)(第六二  八号)  同(横路節雄紹介)(第七〇三号)  同(岡本隆一紹介)(第七四四号)  同(石橋湛山紹介)(第七九五号)  同(遠藤三郎紹介)(第七九六号)  同(岡本茂紹介)(第七九七号)  同(加賀田進紹介)(第七九八号)  同(坂田道太紹介)(第七九九号)  同(中川俊思君紹介)(第八〇〇号)  同(中村幸八君紹介)(第八〇一号)  同(松本俊一紹介)(第八〇二号)  合併町村に対する地方交付税特例延長に関す  る請願河本敏夫紹介)(第七四五号) 同月二十六日  全日制市町村立高等学校教職員退職手当全国  通算に関する請願臼井莊一君紹介)(第八五  六号)  同(小枝一雄紹介)(第八五七号)  同(高石幸三郎紹介)(第八五八号)  同(長谷川四郎紹介)(第八五九号)  同(櫻井奎夫君紹介)(第九〇三号)  同(佐々木更三君紹介)(第九〇四号)  同(日野吉夫紹介)(第九〇五号)  同(山口六郎次紹介)(第九〇六号)  同(志賀健次郎紹介)(第九五二号)  同(中村梅吉紹介)(第九五三号)  都市の特別交付税増額に関する請願池田清志  君紹介)(第九〇二号) 十二月一日  全日制市町村立高等学校教職員退職手当全国  通算に関する請願外一件  (大久保武雄紹介)(第九七七号)  同(中原健次紹介)(第九七八号)  同(西村直己紹介)(第九七九号)  同(山口喜久一郎紹介)(第九八〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十八日  地方財政再建等のための公共事業に係る国庫  負担等臨時特例に関する法律廃止に伴う地  方財政再建措置に関する陳情書  (第四五三号)  同(第四五四号)  国庫補助事業に伴う超過負担に関する陳情書  (第四五六号)  愛知、岐阜、三重三県統合に関する陳情書  (第四五九号)  地方公務員定年制実施に関する陳情書  (第五六七号)  地方自治確立に関する陳情書  (第五六九号)  地方財政確立に関する陳情書  (第五七〇号)  国税の減税に伴う地方税減収額補てん財政  措置等に関する陳情書  (第五七一号)  地方交付税率引上げ等に関する陳情書  (第五七二号)  同(第五七三号)  地方財政再建等のための公共事業に係る国庫  負担等臨時特例に関する法律廃止に伴う地  方財政財源措置に関する陳情書  (第五七四号)  特別区の自治権確立に関する陳情書  (第五七五号)  地方公募債わく外措置に関する陳情書  (第五七六号)  交付公債制度廃止に関する陳情書  (第五七七号)  新市町村育成強化に関する陳情書  (第五七八号)  同(第五  七九号)  新市町村建設促進に関する陳情書  (第五八〇号)  全国都道府県議会議長会代表欧米派遣に関す  る陳情書(第五八  二号)  警察署及び派出所等警察関係建物改築補助金増  額に関する陳情書  (第五八三号)  後進県の行政水準引上げに関する陳情書  (第五八四号)  人命救助等による被害者補償制度確立に関す  る陳情書(第  六四三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方財政に関する件  警察に関する件      ――――◇―――――
  2. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 これより会議を開きます。  本日は濱地委員長お差しつかえがありますので、指定によりまして私が委員長の職務を行ないます。  地方財政に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。川村君。
  3. 川村継義

    川村委員 先ごろから三十三年度都道府県決算概況というものをちょっと見ていたのですが、これを見て、いろいろお尋ねしたい問題が多うございます。また、ぜひこの際ただしておきたいところが数点ございますが、きょうはそのうちで、特に地方団体公金取り扱いというような問題について、当局にこの見解等一つただしたいと思います。きょうは大臣がおられませんから、大臣にお聞きするような点はいずれその機会に譲りたいと思いますが、これは申し上げるまでもなく、八月十日の委員会で、大臣の方から、来年度地方財政の見通しという点でいろいろ説明があり、このときに歳出増として大体千二百八十億程度、それから減税の分として三百三十数億というような点について、いろいろお話がありましたので、今日から考えても、来年度地方財政というものは相当きびしい状態になるのではないかとわれわれは憂慮しておるのであります。ところが、かてて加えて、今回は八月、九月とおそるべき台風災害があって、これに対する財政的な問題も、来年の地方財政を考えるときには、実に心配でならないのであります。こういうような点から考えていくと、国として当然地方財政を健全化するための大きな対策が必要であると同時に、地方団体自身財政運営としても、また行政面から考えても、相当引き締めてかからなければ重大な事態になるのじゃなかろうかなどといういろいろ考えるわけです。そういう点から、幾つかの問題の中で、先ほど申し上げましたように、決算概況の中にある公金取り扱いというようなことなどについて、この際明らかにしておきたい、このように考えております。  その前に一つお聞きしておきたいことは、地方団体中小企業対策ということについて、どのような手を打ってきておるか。また自治庁としては、地方団体中小企業対策についてどのような手を打てばいいか、どういう指導をしておるかということについて、少し見解をお聞かせ願いたいと思うのであります。もちろん地方団体は、それぞれ財政規模、あるいはまた行政規模等が違っておりますので、実に千差万別なる対策を立てているに違いありません。しかし、今日中小企業のいろいろの諸政策が実に重要であるということは、もう申し上げるまでもないのでありまして、ただ国でいろいろ対策をやっただけでは、やはり万全を期せられない、こう私は見ております。そこで地方団体がどのような対策をとっておるか、自治庁としてはそれに対してどういう指導地方団体に加えておるか、あるいは行政的に、財政的に。そういう点をいろいろ初めにお聞かせ願いたいと思います。
  4. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私の方から中小企業対策を申し上げることは、若干おこがましい感じでありますが、ただ地方財政の計画を立てましたり、あるいは基準財政需要額の算定をいたしましたりする場合に、中小企業対策として地方団体にはどんな金が要るだろうかということは一応予定をしているわけであります。そういう場合に、やはり基本的には、一つ金融の問題があるだろう、こう思っております。そういう意味においては、地方団体信用保証協会などを設立いたしまして、中小企業に対します融資ワク拡大等をはかっておるわけであります。国の措置とも相待ちまして、さらに利子負担の軽減にも努力いたしておるわけであります。さらに中小企業の製品については、商品の展示会等を行ないまして、販路の拡張に努力をするというようなやり方をしておるようであります。そういうものも現在基準財政需要額に一応見込んでおるわけであります。さらにまた経理面指導を行なって参りませんと、将来の安定した経営が困難ではなかろうかと思うわけであります。そういう意味において、企業診断と申しますか、そういうようなことも行ないながら指導に当たっておる次第であります。さらに教養の面におきましても、講習会などを設けて、その方面の新しい知識を修得するということについても努力を払っておる次第であります。そういうようなものにつきまして若干の経費を算定していくというのが現在やっておる姿であります。
  5. 川村継義

    川村委員 今一つ二つ例示されたわけでありますが、その中で信用保証協会に対しては地方団体からいわゆる出捐金として出しておると思うのであります。この出捐金等について、あなたたちの方は、県が信用保証協会等に出す場合にどういう考え方でやっておりますか。これを引き締める方向に動いておりますか、あるいは地方団体等がそれぞれの実態に応じてそれをやる場合に、これについて適切な方法でやれるように指導しておるか、この点はいかがでありますか。
  6. 奧野誠亮

    奧野政府委員 最近この問題につきまして、具体的事案にはぶつかっておりません。しかしながら、融資保証ワクをもっとふやさなければならないということになりますれば、当然出資金増額しなければならないということになるわけでありますので、そういうような必要のある団体におきましては、出資金増額して参りますことはしごくけっこうなことだと存じております。
  7. 川村継義

    川村委員 今の保証協会等に対する出資金については、もちろんその地方団体財政規模等によって、決してむちゃなことはしないとは思いますけれども、あなた方の方では、これをこれ以上出してはいけないと、いろいろ強力に引き締めるような形で指導してはいない、こう考えて差しつかえありませんね。この三十三年度決算を見てみますと、出資金というのは、大体十三億六千万円程度決算に出ておるようでございます。これはこの説明を見ると、三十二年度に比べて——大体出資金というのにはいろいろ保証協会に対する出資金もありましょう。あるいは農林水産、それぞれの項目に、いわゆる産業経済費といわれるものの中に相当出資金があるようでありますが、昨年度に比べて五億減少しておる、こういうような統計が表われておるようであります。この昨年度に比べて五億減少しておるという根拠が私には実ははっきりわからないのでありますけれども、これは必ずしも、今財政局長説明しましたように、何もあなた方のいわゆる引き締め的な考え方でこれが出たのでなくて、三十二年度に比べて出資金が三十三年度は五億程度少ないというようなことは、これはやはりそれぞれそのときの情勢といいますか、財政事情によったものだ、そのように考えて——最も善意な解釈でありますが、そのように考えて差しつかえありませんか。
  8. 奧野誠亮

    奧野政府委員 出資金中身はいろいろでございまして、今申し上げましたような信用保証協会出資金的なものに限りませず、あるいは一つの会館を作って、会館的な事業をやっていく。そういうものにつきましても、地方団体が直営をいたしませんで、特別な団体を作る。そのかわり相当出資をするというような場合も相当ございます。従いまして出資金内容によりまして、積極的に増額が好ましいものと、案外そうでもないものというふうに分かれてくるだろうと思います。しかしながら、いずれにいたしましても自治庁の方で出資金の抑制的な態度をとった、そのことが決算の上で若干の減になっているというようなことは全然ございません。
  9. 川村継義

    川村委員 いま一つ、この出資金に付随して貸付金という問題がございますが、まず性質別にその歳出状況が報告されているのを見て参りますと、貸付金というものが議会費庁費警察消防、土木、教育、社会労働保健衛生産業経済、各種の項目貸付金というのが出ておりまして、その総額が大体二百九十九億九千万円、こういう形で三十三年度決算が出ております。その中で産業経済費に対するいわゆる出資金貸付金というのが二百十億程度出ておる。この産業経済費というものの中の貸付金にはいろいろと中身はあると思います。たとえば商工関係農林関係水産関係、いろいろ考えられるわけでありまして、産業経済関係だけでも相当の額が計上されておりますが、この貸付金取り扱いについて、われわれは疑問になっておる、あるいは問題になっておる点を聞いておりますが、この貸付金について、地方団体としてはどのような形でやればいいのか、あるいは自治庁としてはそれに対して何か指導をしておるか。その点を一つお聞かせ願いたい。
  10. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘のように最近貸付金という費目の金額が急激にふえて参りまして、これは率直に申し上げますと、福岡県におきまして預託金から問題を起こしたことがございます。それは銀行預託をいたしますが、その資金中小企業に貸し付けてもらいたい、あるいは農業関係者に貸し付けてもらいたい、要するにひもつき預金をするわけでございます。そういうことが資金管理という形において行なわれて参りますと、その間にいろいろな問題を引き起こしやすいわけでございます。そこでそういう意味預託である場合には、貸付金という費目を立てて預金する方が穏当ではないかというようなことを考えまして、その当時にそういうような指導をいたしたわけでございます。この貸付金というものは大体銀行に対する預金だと考えていただけばよろしいと思います。しかしながら預金を受けました銀行の側では、それを中小企業でありますとかいうように、特定の向きに貸し付けていかなければならない、こういうような義務を負わすわけでございます。そういたしますと、議会におきましても内容が明らかでありますから、その間に利ざやをめぐりましていろいろな不正事件が起こったりするようなことはない、こういうように考えられるわけであります。ふえて参りましたのはもっぱらその関係であります。
  11. 川村継義

    川村委員 さっき私が申し上げましたように、三十三年度出資金の額を見て参りますと全部で大体三億六千万、こういうふうに出ておりまして、都道府県産業経済トータルが八億四千万円というように出ておる。ところが三十二年度都道府県産業経済費における出資金を見てみると、大体四億三千八百万円と地方財政状況の中に報告してある。そうしてこの三十三年度決算の表を見ると、三十三年度における出資金は十三億六千万、十四億円で歳出総額の〇・二%を占め、前年度に比し五億円の減少である、こう説明しておりますが、このところのトータルが合わないのです。ここに出資金についての変化の疑点が一つ残っておる。これは今ここで説明していただけますか。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私今府県だけの詳しい決算内容を持っていないのでありますが、三十三年度決算を府県と市町村を通じて見ました場合に、その経費性質別に分類した数字を持っておるのでございますが、それによりますと三十二年度出資金総額が三十八億九千三百万円、それに対しまして三十三年度は三十一億三千九百万円で七億五千四百万円の減、こういうことになっております。出資金性格から申しますと、この程度の増減の差がありますことは、別に何か顕著な問題があってのことではない、こういうように私は思っております。ただもしなお疑問に考えられます点がございましたならば、さらに詳しく個々の団体について調べてみてもよろしい、こう思います。出資金性格から申しますと、ある年度においては相当な額があり、ある年度においてはない、こういうことがあっても何もおかしくないじゃないか、こういうように思っております。信用保証協会の問題にいたしましても、ことし思い切って出資をいたしますれば、来年は要らない。そのかわり再来年はまたワクをふやさなければならない、出資をいたさなければならないというようなこともあろうかと思います。信用保証協会はそう大きな事業にはなりませんので、ほかの事業に伴うものではなかろうか、こう思っております。
  13. 川村継義

    川村委員 今の出資金及び貸付金等のこの決算では、地方団体都道府県別のあれがはっきりしておりません。機会がありましたら、そういう点を一つ資料としていただきたいと思います。  それから先ほど局長説明がありました貸付金の問題で、福岡の事例をあげて、そういうことがあったのでいろいろ指導した。こういうことでありますが、この貸付金の問題について少しお聞きしてみたいと思うのです。  多分今局長が言われたのは、三十三年の三月に出ておる事務次官通牒によっておると思うのですが、「昭和三十三年度予算の編成について」ということで相当長文通牒が出ておる。その中に、全般的事項として、八項目に、「従来一部の地方団体において、たとえば中小企業農林水産業等に対する対策として、金融の円滑をはかる目的をもって、出納長等責任において、その保管に属する現金預託を行なう例がみられたが、公金保管重要性にかんがみ、別紙第三『地方公共団体における公金取り扱いについて』により、この種政策目的のため金融措置を講ずるには、歳入歳出予算貸付金償還金として計上することを建前とせられたいこと。」とありまして、別紙三にいわゆる公金取り扱いについてということで四項目ほど述べております。私は、これが今局長が言われた自治庁一つ指導である、このように考えるわけです。これに間違いございませんね。
  14. 奧野誠亮

    奧野政府委員 そのような指導をいたしております。
  15. 川村継義

    川村委員 そこで、別紙第三の一項の問題でありますが、一項で示しておるように、いわゆる県金庫等金庫を置かないで、いろいろ金融機関をして金庫事務を取り扱わせたり、あるいは金庫を通ずることなく預金先金融機関をして直接現金支払いをさせたり、そういうのが現在でもありますか。
  16. 奧野誠亮

    奧野政府委員 金庫銀行以外に、資金管理という意味におきまして特定銀行預金をするということは、制度上認められておるわけでございます。その制度上認められた管理形式ひもつき貸付を期待しておった、そういうことがいろいろ問題を起こしたものですから、先ほどお述べになりましたような趣旨の指導を当時いたしたのでございます。
  17. 川村継義

    川村委員 第一項については、われわれとしても、こういう第一項で示されておるような状態があったとするならば、これは確かに現金取り扱いとしてはやはり問題をかもしやすい事態だ、こう認めざるを得ません。こういう点は一つ十分自治庁として指導されることが望ましいと思うのです。  次に第二項の問題でありますが、これは読み上げるまでもないのですけれども、「出納長等権限責任の下になされる公金保管は、安全確実を絶対的条件とし、かつ、当該地方公共団体支払いに即応できるような形において行われるべきものであるから、出納長が行なう保管形式のうち最も適当と認められるのは確実な金融機関に対する預金方法によることである。」この場合、金庫銀行以外の金融機関預金しようとするときは長の承認を得ろ、こういうことをうたっております。これはもっともであります。そこでお聞きをしておきたいことは、今も局長が言われたと思うのですけれども、県の出納長権限責任のもとになされる公金、いわば歳計現金余裕金と申しますか、そういうものは県金庫だけにやるのではなくて、ほかのりっぱな、ちゃんとしておる金融機関であったらどこにでも保管預託をして差しつかえないということはいえるわけですね。行政課長でもだれでもいいですから御答弁願いたい。
  18. 岸昌

    岸説明員 ここに、ただいまお読みになりました通り、出納長公金保管いたします要件といたしましては、安全確実を絶対的条件とするということがうたわれておるわけでございます。従いまして公金保管の最も適当と認められる方法は、確実な金融機関に対する預金方法である、こういうふうに述べられておるわけでございます。従いましてそういう要件を満たす限りは、金庫銀行のほかにおきましても、そういう確実な金融機関預金をいたしますことは、現在の法律建前といたしましては認められておるわけであります。ただその場合の手続といたしまして、それは出納長限りの独断で、そういう金庫銀行以外の金融機関預託することができないで、必ず知事または市町村長承認を得なければならない、こうしておるわけでございます。
  19. 川村継義

    川村委員 われわれ、特に私などは金融関係にしろうとですから、的確に答えていただきたいと思うのですが、県の歳計現金とか余裕金というのは、この第二項にうたっておるように、県が支出に支障を来たさないように、いつでもそれが十分運用できるようにしておくということは、これはもっともだと思うのです。せっかく県に金があるのに、ある銀行に長い間金を貸しておいて、なかなか急にとれない。県としては支払いが迫っておる。そういうときに、わざわざほかから高い利子で金を借りて支払うなんていうことはちょっとおかしいと思うのです。そこでやはり第二項にうたってあるように、支払いに即応できるように預託をしておくということはもっともなことであろう、このように考えております。  ところが、第三項でありますが、今だんだんお話があったように、「公金保管はもっぱら安全確実を期すべきものであって、特定政策目的を達成することとなるものたとえば中小企業農林水産業等に対する対策として、金融の円滑をはかるためにする預託等は、出納長等権限としての現金保管とは性質上明らかに区分して取り扱わるべきものであるから、歳入歳出予算貸付金として計上支出するようにすべきである。従って、一部の地方公共団体におけるように、出納長等責任において特定政策目的を達成するために保管金品を運用することは、法の趣旨にかんがみ適当でないので、厳に留意すること。」こう書いてあります。これが先ほど局長説明しておりました福岡の例等におそらく関係のある問題だと思いますが、ここで一つ疑問になるわけであります。今の第二項に関連する考え方にもなりますけれども、県のいわゆる余裕金というようなものを貸付金にしておいた方が県の支払い等に即応できる状態なのか、あるいは預金にしておいた方が支払いに即応できる状態なのか、あるいはまた一般的に見て、貸付金の方が安全なのか預金の方が安全なのか、こういう点、われわれとしてはちょっと疑問になってくるわけですが、この辺の考え方はいかがですか。
  20. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方団体資金繰りの円滑を期する、あるいは資金の安全を期するというようなことを考えますならば、もとより預金をしておくということが至当でございます。何か政策的に運用しようとします場合には、当然ある程度の負担を伴ってくるんじゃないだろうかと思われるわけでございます。しかし若干負担を伴ってもなお特定な施策をやりたいということから貸付金等の運用が行なわれて参るわけでございます。
  21. 川村継義

    川村委員 貸付金予算に計上して、結局決算に現われてくるようにやれということでありますが、一体県の余裕金等が右から左にそういう措置がとれますか。これは一つはっきり教えて下さい。  それから問題は、予算に計上するということになれば、それは結局事業関係予算であるとか、行政関係予算ということになって参って、それは出納長が持っておるところの手元に集まってきたところの現金余裕金というものとは全然性質が違ったものになっているのじゃないですか。どうなのでしょう。
  22. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘のように貸付金の場合には、単に余裕金の運用として行なっているものではございません。余裕金の運用でございますならば、もとより銀行等に預金をするのが建前でございます。余裕金がなくてもなおかつ行なわなければならないのが中小企業者あるいは農林漁業関係者へのひもつき融資の問題でございます。金がございません場合には貸付金の財源がありませんので、団体によりましては資金運用部から一時借入金をいたして参ります。その一時借入金を財源にして銀行貸付をいたすわけでございます。大体それほど長期にわたりませんので、年度内に回収する、あるいは年度にまたがる場合もございましょうが、その場合にはやはり一時借入金でつないでいくよりいたし方がない、こう思われるわけでございます。純然たる余裕金をもって、今申し上げますような意味貸付金を積極的にやっているというような団体は現状においてはまずないのじゃないかと思います。
  23. 川村継義

    川村委員 われわれのしろうと考えですが、途中において、七月なら七月に税金がたくさん入ってきて、ある県は二億とか三億とかの現金を持った。そういうのを一々予算に計上してどうこうということはできませんね。そういうのを出納長がそれぞれ間違わないようにどこかに預けてちゃんと保管をするというようなのを余裕金だと僕たちは考えておるのですが、そう考えていいのでしょう。
  24. 奧野誠亮

    奧野政府委員 一時的な資金繰りの面における余裕金とはいえると思います。年間を通ずる余裕金でなしに一時的な資金繰り上の余裕金と言っていいと思います。
  25. 川村継義

    川村委員 わかりました。私が申し上げていることも、そう間違っていない。そうなると、やはり当初予算を組むときに、中小企業なら中小企業農林関係なら農林関係に、これだけの政策をやらせるためにはこれだけの資金が必要だから、予算にそれだけの金を見ていく、こういうことなら予算にちゃんと出てきますね。途中の一時に入ってくるような金、それは予算に計上してどうこうということはなかなか簡単にできないでしょうから、この第三点の問題については、今局長説明しておられたような、一時的に出納長のもとに入ってくるところの、そういう余裕金というものを考えているのじゃない、こう考えて差しつかえありませんね。  そこでこの第四項の問題でありますが、これは私も非常に大きな問題だと思うのです。「公金の出納及び保管の事務は当該地方公共団体責任のもとに行なうことが法令上の建前である。」こういうようにいって、「金融機関公金取り扱いを行なわせた場合についても、監査委員の監査もしくは出納検査、また出納局等の出納及び帳簿検査もしくは金庫銀行その他公金取り扱いをする機関に対する監査をすることができることとし、」こういうように通達しておる。これはさきの第三項の問題ともなるのですが、第三項にあなたたちが言っているように、貸付金の形をとろうとすれば、第一は、それはやはり地方公共団体としては条例か規則を作らねばならないものかどうか。それと、第四項の監査というものは、たとえば相互銀行等のようなものがその会計監査の対象になるのかどうか、この二点をお示し願いたい。
  26. 奧野誠亮

    奧野政府委員 第一点は、中小企業等のひもつき融資のために銀行貸付金をする、それは予算措置でできることじゃないかと思います。条例を作って間違いだということは毛頭できません。しかし予算措置だけではいけないということでもなかろうと思っております。また相互銀行の問題につきましても、相互銀行中小企業者向けの融資のための資金として貸付金をしておったということでありますならば、貸付金を受けている機関が、その通り貸しているかどうかということについての監査を受けることはあり得ると思います。
  27. 川村継義

    川村委員 初めの問題点は、必ずしも条例を作る必要はない、予算措置でよろしい、こういうことですね。あとの方は、相互銀行等もその監査の対象になるか、あなたとしてはなる、こういうことであります。もちろんそこにも書いてあるように、自治法の百九十九条には、そういう意味のことが監査委員の職務権限ということで述べております。それを見ると確かにそのように思いますけれども、そうなりますと、一つここに相互銀行を対象にいたしましょう。相互銀行に対して地方団体の会計監査というものは一体どの範囲に行われるものですか。これは全部思う通りに監査をやっていいわけなんですか。
  28. 岸昌

    岸説明員 ただいま御指摘の地方自治法の百九十九条第六項には、監査委員は「財政的援助を与えているものの出納その他の事務の執行で当該財政的援助に係るものを監査することができる。」こういうふうに規定いたしております。従いまして、相互銀行に対しますところの貸付金特定の、たとえば中小企業資金難を緩和するとか、そういった特定目的を持っております場合には、はたして貸付金がそういう特定されました目的に使われているかどうかということを監査する、その範囲でしか監査ができないわけでございます。しかしながら、そういう特定目的を持たないで——相互銀行にそういうことがあるかどうか存じませんが、たとえば相互銀行が経理が非常に困難になっておる、それを援助するというような意味における財政的援助でございます場合には、当該相互銀行の経営そのものについて監査できる、かように解釈いたしております。
  29. 川村継義

    川村委員 あなたの方は、援助にかかる部分について簡単に監査ができる、あまり広い範囲じゃないということは私もわかるわけなんですが、しかし簡単に監査ができるとおっしゃるのだが、その点について私は少し疑問がある。この点は一つ的確にお示し願いたいと思うのですが、相互銀行法によりますと、あれは第二十条でしたか、いろいろ銀行法の準用規定がある。そこで銀行法によりますと、これは銀行法の二十条だったと思いますけれども、銀行等の監査権を持っておる者は主務大臣、これは結局大蔵大臣になると思います。そうなると、相互銀行法でも銀行法のそれらを準用しておりますから、相互銀行の監査は大蔵大臣ということにわれわれは解釈しておる。それを地方公共団体の監査委員が相互銀行についてまで監査の手を伸ばすということが、一体なし得るだろうかどうかというような疑問が出てくる。この点はどうでございますか。
  30. 岸昌

    岸説明員 相互銀行法に規定されておりますところの主務大臣の監査権は、銀行一般に対する主務大臣としての権限でございまして、地方自治法の百九十九条に規定されております監査委員の監査権限は、当該地方公共団体公金をもって財政援助をいたしておるわけでございますが、そういう住民の血税の集まりでございますところの公金が、その財政援助の目的のためにはたして正しく使われているかどうかという見地からする監査でございまして、それぞれ監査をいたします目的なり見地が違いますので、両者それぞれあり得るかと考えております。
  31. 川村継義

    川村委員 お考えはわかりますが、相互銀行は、先ほど申し上げましたように銀行法の二十条を準用するわけですが、銀行法の十二条、三には、「商法第二百九十三条ノ六ノ規定ハ銀行ノ会計帳簿及書類ニ付テハ之ヲ適用セズ」ということで、結局商法の二百九十三条ノ六では、株式を持っているところの株主についてさえも「会計ノ帳簿及書類ノ閲覧又ハ謄写ヲ求ムルコトヲ得」となっておりますけれども、銀行法ではそれを否定しておる。それが相互銀行法に準用されているわけですが、商法の株主等の権限さえも銀行法では否定としておる。こういうことを考えて参りますと、どうも地方公共団体が金を相互銀行に預けたからといって、一方的に監査するということは、私はちょっと納得のいかない問題が起きるのじゃないか、こう思っているのですが、この点はどうなんでしょうか。
  32. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 関連して。ただいま自治庁の方から、監査委員公金預金している相互銀行に対して監査ができるということは、私ども初めて聞いたのであります。今お話しの財政的援助というのは、たとえばその地方公共団体の行なういろいろな事務に関していろいろ外郭団体があるわけです。社団法人何々会とか、観光協会であるとか、そのほかいろいろな外郭団体がある。それに対して県が助成金とかあるいは補助金として出しているわけです。これを私は財政的援助というのじゃないかと思いますが、相互銀行預金をするについては、これは財政的援助ではないかと思う。これは要するに相互の契約によって貸付をし、あるいは預金をするのでありまして、もし相互銀行がその公共団体の意思に反してそういう公金取り扱いをした場合においては、その預金を引き揚げればよろしいのであって、何もそれに対して監査委員——今お話しのように大蔵大臣が監査の権限を持っておるその相互銀行に対して、公共団体の監査委員が乗り込んで行って、帳簿をひっくり返して調べるということは少し筋違いではないかと思うのでありますが、これは相互銀行その他に対しても非常に大きな問題であると思いますから、もう一回はっきりその点をお答え願いたい。
  33. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほど川村さんから貸付金銀行にしている場合に監査権といいますか、調査権を自治団体が持つかどうかというような法律的解釈をお尋ねになったのだと私は考えたわけでございます。従いまして、そういう意味では貸付金を貸し付ける以上は、自治法の根拠法規に基づきまして調査をする権能を自治団体が持ちます。かようにお答えしたわけでございます。ただ具体的な例で申し上げますと、銀行貸付金という名目を喜ばない。率直に申し上げまして、貸付金という形で預託をすることは喜びません。またそういう問題でありますので、銀行の意に反するような調査を積極的にやるということも一般的にはないのではないだろうか、また田中さんのおっしゃいましたように、そういう運用はいやだということもあり得るかもしれません。ただ法的な解釈を私は申し上げているわけでございまして、自治体の場合においては、いろいろこまかいことで銀行業務をわずらわすということになりますと、その間にあるいはそういう運用がいやだという問題が起こったりすることは、これは当然あり得ることだろう、こう思っております。
  34. 川村継義

    川村委員 自治法の百九十九条には監査することができるとなっておって、必ずしもしなければならぬことではないわけですね、それが一つ。  それから銀行にそういう貸付をして、その貸付にかかる部分について調べてみるということがあった場合に、一方的に監査委員が立ち入っていろいろ監査するというわけではなくて、私が考えるのには、二百四十六条の四に、「国の監査に関する協力等」ということが出ているのです。そうなると、私はこの法の精神を生かして、やはり必要な場合には大蔵大臣がこれを監査するという建前をとって、監査委員はこれに協力する。こういう形でやるべきが至当であって、大蔵大臣に何らの連絡もなしに、銀行等のそういう監査に地方団体の監査委員が立ち入るということはどうも少し行き過ぎではないかと思うのですが、行政課の方はどうですか。
  35. 岸昌

    岸説明員 地方自治法の第百九十九条第六項の規定に基づきます監査は、監査委員は、御指摘の通り必要と認めました場合に監査をすることができるわけでございまして、監査をする必要があるかないかの認定は監査委員の認定に待つわけでございます。  それからその次に御指摘の二百四十六条の四の方は、主務大臣権限を行使します場合に、これは各省それぞればらばらに地方団体に参りまして監査をいたすということになりますと、相互の統一もとれません。これを監査する地方団体行政の運営にも支障を来たすというような配慮からいたしまして、主務大臣が行ないます権限をむしろ都道府県なり市町村の監査委員に委任をいたしまして統一的に行なわせる、こういう趣旨でございますので、監査委員が百九十九条の規定に基づきまして行使できます権限を、銀行検査につきまして主務大臣に委任して行なわせるということは、二百四十六条の四からはできないわけでございます。
  36. 川村継義

    川村委員 私は主務大臣に委任をしてどうとかいうわけじゃないのです。そういう事態が起こった場合には、何というか相談をして、しかも二百四十六条の四の二項にはそういう意味のことが書いてあるではありませんか。どこの銀行をこういう点で調べたいから、主務大臣——大蔵大臣なら大蔵大臣の方から調べるようにしてくれという形で、協力はできるでしょう。そういう形で必要な場合にはされる方が妥当ではないかと私は思っているわけです。この点について銀行局の方の見解をちょっと聞かしていただきたいと思うのです。
  37. 橋口収

    ○橋口説明員 先ほど来御質問がございました銀行法二十一条の主務大臣の検査権でございますが、これは法律の規定にもございますように、金融機関の財産内容、業務状況全般に対する検査権は主務大臣、つまり大蔵大臣に専属をしておるということを申しているわけでございます。従って自治庁当局として御答弁がございましたように、自治法の監査委員の監査権限とは相互に矛盾しない範囲において自治法の監査権限の行使がなさるべきものだということが法律上言えるかと思います。それから貸付金の問題でございますが、これは自治法の解釈の問題になりますから、私からお答えするのは適当かどうかわかりませんが、今問題になっております相互銀行に対する預託金ないしは貸付金は、本来の意味貸付金であるかどうか、つまり財政的な援助という意味貸付金であるかどうかについては若干の疑問があるのではないかというような感じがいたします。いずれにいたしましても、銀行といたしましては、資金が不足する場合に銀行の便宜において他に資金を仰ぐという場合を普通借入金勘定に計上しているわけでございます。従って県政の目的達成上資金預託をする、それに対して金融機関が協力するという場合には、できることならば預託金で経理することが望ましいというふうに私どもは考えております。
  38. 川村継義

    川村委員 法的にはそう不都合も来たさないような見解でございますが、先ほど私が初めに聞きましたように、中小企業金融の円滑化をはかる、こういうような目的で県が持っておるいわゆる余裕金というものを預ける場合に、今銀行局の課長も言われたように、私は預託という形をとって、そしてその目的を十分発揮させるということがやはり望ましいと思うのです。無理やりに政策目的だといって貸付金制度をとらなくてもいいのじゃないか、こういうふうに考える。しかもさっき財政局長が言われたように、何も条例とか規則とかややこしいことでやらなくてもやれるのじゃないかというような見解とあわせて考えると、私はそう考えておるのです。  そこで次にもう一つお聞きしますが、これは具体的に申し上げますが、私の出身であります熊本県において、今のような銀行側と県側との中小企業対策金融の面をめぐって問題が起きている、こういうことであります。そこでその点について少し今までの法的な問題と関係してお聞きしますが、熊本県が貸付金制度をとった、相互銀行に対する預託はやらないということは、結論は相互銀行がこれを受けない。そういう貸付金等制度は受けないということで対立しておるのです。中小企業金融の面で相当困っておるということは当然言えます。そこで県の方の出した案というものはこういうことなんです。予算化したところの金を——金額は三億五千万で、これは七月のことでありますが、中小企業専門の相互銀行、信用金庫に貸し付ける。受ける金融機関は知事あて借入金申込書を提出する。県と金融機関は貸借契約を締結する。貸付金の使途は運転資金であり、一件三十万円以下、二件の重複はできぬ。それから金利の問題。それから両建、歩積み等の問題。その次に、金融機関は毎月十日までに前月分の貸し出し状況を報告する。県は借入した金融機関に必要あるときは報告を求め、立ち入り検査をする。県の方針に違背し、適切でないと認めたときは資金の期限前償還を求める。こういうようなことであります。行政局長及び財政局長は、こういうような形で相互銀行等に貸し付けるというやり方が、中小企業金融政策とはいえ一体どんなものであるかと私は思っておるのですが、あなた方の御見解はいかがですか。
  39. 奧野誠亮

    奧野政府委員 相互銀行と県との関係の問題でございますので、具体的によく調査いたして参りませんと正確なことを申し上げることはむずかしいと思います。ただ、どの金融機関でありましても県の預金を受け入れたいと熱望することは一般の問題でございます。県としては、また預金先をあまり広げて参りますと、そういうような競争の問題もございますし、あるいはまた金融機関側の競争からいろいろな問題を起こしかねないというようなこともございますので、あまり広げて参りますことは、安全とか確実とかいうような問題以外にもかなり心配をする問題だろうと思います。なおまた県としても、中小企業対策その他につきましていろいろな施策を金融面でも構じていきたいというようなことを考えますのも、これも当然なことだと思うのでございます。相互銀行に対しまする措置がどういう事情から起こってきておるか、私よくわからないのでございますけれども、もし金融機関の援助かたがた特定政策を行なおうというようなことでありますならば、今お話しのような相談ごとが起こってくることはやむを得ないんじゃないか、こう思うのでございます。
  40. 川村継義

    川村委員 今申し上げたようなことについては、あまりにも相互銀行のいわゆる経営的立場とか、銀行の性質に対して深入りし過ぎた考え方ではないかと思うのです。そこで、実は県もこういうことは行き過ぎだということを認めて、立ち入り検査という点はずっとゆるめて話し合いを進めたようであります。ところが相互銀行側の言い分は、これは経営上の立場からもっともでありまして、貸付制にいたしますと、銀行からいうと、どうせその貸与率の問題にかかって参りますし、いろいろと業績の批判ということも出て参りましょうし、いわゆるバランス・シートが悪化するというような考え方を述べておる。これは当然だと思います。なお貸付制度で毎月十日までに融資先を県に報告せよというようなことでは、もちろん煩瑣であるばかりでなく、これによって銀行側の業務内容まで干渉を受けるおそれがあるというようなこと。こういうようなことで実は相互銀行側は県のこの貸付制度に応じていない。これは当然だと思います。で、県としては借らなければ借らないでいい。借らないものは貸さないと言ってしまえばそれまでなのですね。ところが、中小商工業者の金融という点から考えるとそうはいかないので、私の県においても、大体金融業者の資金繰りの大部分は相互銀行がやっておる。そういうことからすると、県も何かいい策を見つけて、非常に手きびしい条例とか規則とか、そういうものを作って相互銀行に貸し付け、相互銀行にいろいろ手きびしい条件をのませてやるということをやらなくてもやれるんじゃないかと、われわれは第三者として考えているわけです。そこで県として一番今問題としているのは、さっき私が言いましたあなたたちの通牒なんです。自治庁からこういう通牒が出ておるから、一切貸付制でなければならぬのだ、こういうことが一つの問題になっております。ところが今だんだん局長等の話を聞いておると、県が相互銀行と対立して主張している点とは、だいぶあなたたちの考えは違うようであります。この点はわれわれといたしましても、こういうような中小企業金融という面から考えて、その大事な金融を扱っておるところの相互銀行と県とが対立しないでうまく協力してやっていける方法がないものか、こう考えておるわけですが、今、先ほどから聞いておるように、初めにちゃんと県の予算に組んで、そうして三カ月なら三カ月で貸付をやっていくということならできるわけですけれども、県が一時に入ってきた金、いわゆるわれわれが言う余裕金というものも、今度は年末がきた、今度は盆だ、中小業者も金が要るだろうというようなことで、その金を相互銀行等に、貸付等の制度でなくても、相互銀行が経営上信用できる銀行であれば、まあ五千万でもよろしい、あるいは三千万でもよろしい、少しでも相互銀行に県の持っている金を預けて、いわゆる預託をして、そうして中小業者のためにやってやるということも私はできるんじゃないかと思うのですが、その点どうでしょう。
  41. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私が承知しています貸付金制度の運用は、年度当初から計画的に行なわれているというよりも、むしろ時々起こって参ります変化に応じまして予算化して、その金を中小企業等に貸し付けさせているというのが一般のように存じているわけでございます。やはりそれぞれの金融につきましては、それぞれの特別の金融機関もあることでございますし、また地方団体といたしましても、信用保証協会等も設立しているわけでございますので、当初から特定金融機関を通じて、特定の向きに貸付ワクを予想した預託あるいは貸付金というようなことはあまり好ましいことだとは思っておりません。特定金融機関があるけれども、しかしいろいろな事情からなかなかうまくいかない問題が起こってきた、そういうごくわずかな期間をこういう制度の運用によって打開をしていくというのがこの制度本来の運用の実態だ、私はこう思っているわけでございます。ただ遺憾ながら、熊本県におきます相互銀行の実態等を私存じておりませんので、正確な御答弁にならないかと思いますけれども、今申し上げましたような形で運用されておるわけでございます。
  42. 川村継義

    川村委員 私は今申し上げましたように、やはり預託という形で十分運用できるんじゃないか。その方が、当初申し上げたように、県が急に金が要るというような場合には十分支払いに支障のないように運用できる問題である。その相互銀行等が非常に経営が悪いということであればいざ知らず、大体われわれの見るところでも、七十億あるいは八十億の金を持って動かしておるのでありますから、そういう点は心配ない。こういうものについてはちゃんと県としてわかるんだから、やはり預託という形でやっていっても差しつかえない、こう私は考えておるわけです。  銀行局の課長にちょっと聞きますが、この相互銀行等は、今のような問題については勘定科目に公金借り入れの科目がない。だから、さっきも申し上げましたように、そういうような意味貸付を受けると、単なる借り入れとなって企業経営の能力が疑われる、こういうことなどいろいろ言っております。そのほか銀行側としては、自分たちの経営、これは業務の立場から、この貸付金等のこういうきびしいところのやり方については賛成できない、こう言っておるわけなんです。この点について銀行局とされまして、いろいろ見解をちょっと聞いておきたいと思うのです。相互銀行等が金を借りるというような場合には、一体どういう状態になったときに金を借りるのか。あるいはそういうように金を借りる必要はないのに、一方から公共団体等が、中小企業のために貸付をやるから金を借りろ、こういったときに、そういう形ででなければ借りられないものか、その辺のところをちょっと見解を聞かしてくれませんか。
  43. 橋口収

    ○橋口説明員 相互銀行を含めまして、一般に金融機関が借入金を計上いたします場合は、先ほども申し上げましたが、当該金融機関資金不足が生じまして、他に資金の供給を仰ぐ、そういう事態の場合に借入金勘定を計上する、つまり借り入れをするというのが普通の形態でございます。つまり本質的に申しますと、債務者の便宜のために資金を導入する、そういう場合が通常の形の借入金になるわけでございます。従って、たとえば日本銀行とかあるいはそれぞれの金融機関の中央機関、そういうようなところから資金を借り入れるという場合が通常の形態における借入金になるわけでございます。従って、ただいま問題になっております県からの資金の導入という点につきましては、通常の形の借入金ではない。つまり、ある政策目的につきまして、県側と金融機関側とお互いに利害が一致したことによる資金の導入ということになるわけでありますから、通常の形における借入金ではないということは申し上げられると思います。ただ、私どもの指導といたしまして、絶対に借入金勘定に計上してはいけないかということになりますと、それは必ずしもそうではないと思います。やはり県当局なり当該金融機関との間に話し合いができます場合には、私どもとしては、特に借入金勘定の経理を排除する、あるいは預金勘定の経理を排除して借入金勘定に計上することを不可とするというほどの強い指導は現在のところいたしておりません。ただ、金融機関の通常の経理状況あるいは経営の形態といたしまして、できることならば預金勘定として計上することが望ましいというふうに考えております。
  44. 川村継義

    川村委員 やはり相互銀行側からいうと、そういうような立場で、今日県が中小企業金融を円滑にするために余裕金を出してやろうというときに、貸付金でなければいけないと言っておるのを、相互銀行側では、そうまでする必要はないという立場でこれを承諾していない、こういうことになると思うのです。  そこで、先ほどからだんだんお尋ねして参ったように、問題は県とか銀行とかということでなくて、といっても、今日やはり非常に大きな問題になっておる中小企業者の金融の円滑ということに一つの大きな政策目的があれば、両方がそういうこだわりを持ってやる必要はない。しかも相互銀行等が、私の県なら県に占めるところの金融上の力が大きいということになれば、県も考えてやらなければならぬ、こういうふうに私は考えておるわけです。そこでくどくなるようでありますが、県が公金を大事にしたい、そういう気持から出発しておることもわかる。また中小企業のためにちゃんと一つ貸付の筋道がはっきりして貸し付けられることが望ましいという形で、そういう問題を考えていることもわかります。ところが、受けようとするところの相互銀行、そのほかいろいろ信用金庫等もありますけれども、相互銀行等は、これは私が申し上げるまでもなく、そんな大口を貸すような任務を持っていない。やはり中小企業関係金融をしょっておる。その使命を持っておる銀行だと思います。そういう点はあまり心配しなくても、余裕金があれば、相互銀行に対してやはり従来通りに預託という形で出してやって、中小企業のためにはかってやるということがあっていいんじゃないかと思う。この点どうですか、はっきりお答え願えますか。
  45. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私は、やはり問題は、どういう意味で県が一時の余裕金を運用しようとしているのかということによって違ってくるのじゃないかと思います。単純な資金管理ということでいたしますならば、それは預託の問題になって参ると思います。そのかわり、どういう金融機関預金をするか、これはある限定された範囲内の問題でございまして、その範囲をどのように拡張するかというような問題になって参りましょうし、そのことから起こって参りますいろんな問題をあらかじめ検討していかなければならないと思います。  第二に、単純な資金管理じゃなしに、それを特定目的に使いたいのだということになって参りますと、特定目的が遂行できるようにどういう形で保証が得られるだろうかという問題が起こってくるのじゃないだろうか、こう思うのでございます。ただ、今まで預託の形をとりながら特定のものへの貸付を主としておった。しかし、実際はそういう貸付を標榜しながらも、預託で適当な利息のさやをかせいでおったというようなこともあり得たわけでございますので、やはりそこは明確にちゃんとした方がよろしいということから、こういう指導になって参ったわけでございます。ただ、そういうひもつき融資を考えておるものについて、貸付金という名目がいいかどうか、これはいろいろ御議論があろうかと思うのでありますが、私たちとしましては、単純な預託とは違うのだということを予算上明らかにしていきたい。明らかにするのには何か便法はないかということから、いろいろ苦慮して、従来あります性質別の分類からいうと貸付金という費目以外に適当な名前がないようだということで、貸付金という名称をとったように聞いておるわけでございます。従いまして、将来どういう名称を用いるのがよいかということにつきましては、なお私たちとしても検討は続けていくことが妥当である、こう思っております。
  46. 川村継義

    川村委員 今、その貸付制度というようなことについて、全国的に見て、あなたたちが通牒で出したような形できちっとやっているところがどれくらいありますか。私が聞いたところではほとんどないようですが、特に相互銀行等に対して……。
  47. 奧野誠亮

    奧野政府委員 三十三年の当初に、先ほどのような通達が出ましてから、漸次やはり貸付金のような費目を使うようになってきたようであります。その結果、御指摘になりましたように、決算におきましても、昭和三十二年度と三年度との開きを見ますと、三十二年度は二百五十七億二千七百万円であったものが、三十三年度は一躍三百六十億六千六百万円というように、百三億三千九百万円の増加を見ておるわけであります。ただ相互銀行についてどうやっているかということについては、私、正直なところよく存じておりませんので、ちょっとお答えいたしかねるわけであります。相互銀行をそのような形においてどのように利用しているかということについては承知していないわけであります。
  48. 川村継義

    川村委員 貸付の形で予算決算に現われるようにちゃんとしておいて、しかし銀行等にやる場合には、実質上は預託の形をとっておる。私は、福岡県等もそういう形じゃないかと聞いておるのですよ。私が言っているのは、貸付制度という形でいろいろ条例を作ったり、規約を作ったりして、さっき読んだような相互銀行の業務に干渉するようなことまでやらなくても、予算決算にあげてもいいけれども、やはり銀行が金を預かって、しかもそれが中小企業に回るように県とよく話し合いをして協調していけば、そういう形でやっていけるのじゃないか、こういうことなんです。どうですか。
  49. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほどちょっとおっしゃいましたように、相互銀行について熊本県がどういう考え方を持っておるか、従来どういうことがあったかということを少しも知りませんので、具体的な事案でありますから、正直なところお答えしにくい感じで実はお答え申し上げておるわけであります。
  50. 川村継義

    川村委員 あなた方が出された通達について私いろいろ疑問点を申し上げましたが、あれを出されるときには大蔵省銀行局長には相談なさったのですか。
  51. 奧野誠亮

    奧野政府委員 当時、私責任者でございませんでしたので存じておりませんが、特に相談したということも別に聞いておりません。
  52. 川村継義

    川村委員 銀行局の方はどうですか。こういうことについて自治庁から相談を受けられたことがありますか。
  53. 橋口収

    ○橋口説明員 三十三年三月の通達でございますが、当時私、中小金融課長でございませんでしたのではっきり承知しておりませんが、おそらく格別の御相談はなかったように承知いたしております。
  54. 川村継義

    川村委員 通牒の問題にしても、われわれ金融関係に明るくない者でも疑問がたくさん出てくるわけです。そういう点は、やはり十分打ち合わせをしてやらなければ、熊本県でとったように毎月貸付先を報告しろ、あるいはその監査をすることもあるというような形でおりていけば、下で紛糾を来たすことは明らかです。とにかく先ほどから申し上げておるように、中小企業者の金融ということについては、政府としても地方団体としても当然考えなければならない。これは非常に必要であると思います。今貸付制度の問題あるいは預託の問題などをお尋ねしておるわけですが、そういう点から考えると、手きびしい規則等を作っていろいろ銀行の業務に干渉するような形でやらなくても、またさっき言ったように、借りたくなければ借りるなという態度でなくて、やはり信用金庫とか、そのほかの金融機関、相互銀行等はそれぞれ関係中小業者をお客さんとしてたくさん持っておる。それに県が持っておる余裕金を出して、その人たちが目的を達するように、今ここに金があるから年末に一億なら一億出す、そのかわりこの金は零細な業者に三十万でも二十万でもよろしいから貸してやるようにしてくれ、こういうことは話し合いでやれるのですから、何も貸付という形で手きびしいやり方でしなくても、従来やってきたような預託という形で三カ月なら三カ月預けておくということでやれるのじゃないかと思う。その辺のところは奧野局長は熊本の実情を知らぬからと言っておるが、知らぬでなくて、当然やっていい問題じゃありませんか、どうですか。
  55. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、資金金庫銀行管理して、それ以外にて特定金融機関管理する、これは制度上認められておるわけであります。しかし、金融機関側から見ると、どこの金融機関でも県の預託を受けたい、そこに一つの問題があろうと思います。預託の範囲、どこまで広げていくか、こういうことが問題であります。  もう一つは、県が単に預託をするのではなくて、その金を特定の者に貸し付けさしていきたい、こういう考え方があるわけであります。その場合に、その通りに運用されることについてどこまで県が確信を持っておるか、やはりある程度正確にその通り行なわれるかどうか追っていきたい。そうでないと安心が持てぬというような問題も事実問題としてはあり得るわけでございます。そういうようなことからいたしまして、県が特定ひもつき融資ということを非常に強く考えているんだということになりますと、それを担保する何らかの形——別にそれを固定した形式で私申し上げているわけではありませんが、何か担保という形をほしい気持になることも当然あり得るのではないかと思います。またそういうことでありますれば、特定の機関から預託を求められて、そちらでは預託をしないけれども、他の金融機関貸付金といいますか、あるいは預託金といいますか、そういうようなことをするということも了承されることになるのじゃないか、こう思います。そういうような入り組んだ問題がありますから、先ほどから私お答えしております。
  56. 川村継義

    川村委員 こういう形はどうでしょう。私は茨城県でやっているということを聞いたのですけれども、今のあなた方の趣旨を生かすためでありましょう。県はいわゆる歳計現金信用保証協会に貸し付ける。信用保証協会はそれを相互銀行等に預託をして運営しておる、こういう形をとっておるところもあるそうです。そうするとまた考えられることは、県がもしそういうあなたが今説明したような意味で貸し付けしなければならぬということであれば、商工会議所等に一応貸し付け、商工会議所が銀行等に預託をするというような方法等も考えられるのじゃないか。とにかく県としては、持っておる公金が正しく運用され、間違いなく運用されていくということが一つのねらいでありましょうし、中小業者に対して、その政策が適格に行なわれるように考えていきたいということであろうし、銀行側としては、ともにそれも考えて、いわゆる中小業者に対する金融面で協力していく。しかも自分たちの業務について、地方公共団体であるからといっていろいろ干渉されたり、とやかく調べられたり、そういうことはいやだ。また借入金等の勘定科目はないんだ。そういうのをこういう場合に勘定科目を求めるということは妥当でない、こういう考え方が出てくる。そうなると、私が今申し上げたような方法もやはり考えられると思うのですが、そういう形をとって差しつかえありませんか。
  57. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほども申し上げておりますように、単純な資金管理だ、運用だということでありますれば、これは預託でけっこうであります。預金でけっこうであります。ただ、おそらく今県が特定目的を追おうとしているものだから、御指摘のような問題が起こってきていると思います。そういう場合に、どういうようにすればいいかということでございまして、単純な資金管理の問題だけじゃないということになるのです。そこでいろいろな判断を要することになるのではないか、こう申し上げております。
  58. 川村継義

    川村委員 単純な県の持っている金の保管ということであれば、これは差しつかえないということですね。それから先ほどお話のあったように、何も貸付にしても、きびしいところの銀行側等の業務に干渉するようなそういう規則とか条例とか作らぬでも、予算の面で明らかにしていけば、決算の面で明らかにするようにやっていけばよろしい、こういうことですね。  とにかくいろいろ申し上げてきたようでありますけれども、私が願うことは、県の公金を大事にするという、これは非常に考えてやらなければならぬ。同時に、そういう中小零細企業者の金融ということを考えてやった場合、その場合に銀行等を無視するわけにいかないので、また借りるものは借りろ、借りたくないものは借りぬでもいい、こういう態度は私はいけないと思う。     〔渡海委員長代理退席、飯塚委員長代理着席〕 やはり全部のそういうような金に困っておる人たちに協力できるような態勢に持っていくためには、相互銀行だって、やはり県の一つ預託の対象の金融機関として考えて運用するということが望ましい。この点を自治庁としても十分指導していただきたい。県の考え方もいろいろあるでしょう。おそらく私は、そういうような対立した問題をほぐして、ここに一つの一致点を見出して、それらの目的を達するようにやれる方法があると思う。その点をぜひ十分考えてやっていただきたい。これだけ申し上げておきたいと思います。これで終わります。
  59. 飯塚定輔

    ○飯塚委員長代理 次に小澤君。
  60. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 だいぶ時間も経過したようですが、先般の災害対策特別委員会等で触れられなかった二つの問題について若干お尋ねいたしたいと思います。その一つは過年度災害復旧に対する地方負担分の起債の充当率の問題であります。その次は再建団体と災害復旧、その中でも特に緊急治山、緊急砂防、こういう問題についてお尋ねしたいと思うわけです。  二番目の方から先にお尋ねしますが、この間の七号、十五号台風等でわれわれのところは山間僻陬の地における山地の崩壊等が非常に多いわけです。新生崩壊地です。こういうものの取り扱い農林省や建設省との関係があるわけですが、自治庁取り扱いも特に考えていただかなければならない点があるわけです。今までは緊急治山というようなことで、その当該年度にわずかばかりやって、あとは一般治山ですか、そっちの方へ追い込められてしまって、予算がないといって、いつまでたっても復旧できないという関係で、全国の治山関係者が施設災害と同じように取り扱ってほしいというような大きな要望があるわけです。そういうことと関連して、ことしのこの間の予算にはこういうような説明を出されておるわけです。緊急治山事業の補助が七億八千、緊急砂防事業の補助が九億、こういうようにうたわれております。「なお、被害激甚であって貧窮な地方公共団体が施行する緊急治山事業については、三十五年度以降当該事業が完了するまでの期間、地方負担分の相当部分につき、地方債の起債を認め、毎年度支払元利金のうち一定部分を基準財政需要額に算入することとし、緊急砂防事業についても、同様に措置すること」としたい。こういうふうにうたわれておるわけですが、これは具体的に私はお尋ねをしたいと思うのです。今まで緊急治山、緊急砂防とも、これはその地方負担の起債の方は一般会計の一般補助事業というものの中で、おそらく充当率は五割に満たないか五割前後というようなきわめて少ない充当率であったと思うのです。そこでまず施設災害と同じような工合に、農林あるいは土木と同じような工合に、九割あるいは一〇〇%の地方起債を認めるかどうかということをまずお尋ねをしたいと思うわけです。
  61. 奧野誠亮

    奧野政府委員 緊急治山、緊急砂防の仕事は、御指摘のように私たちも施設災害に準ずる性格のもの、こう思っておるわけであります。ところが、従来は緊急砂防にいたしましても、災害のありました年は緊急砂防として国の予算に計上されるわけでございますが、翌年度から一般の砂防事業の中に包括されてしまうわけでございます。そこで大蔵省に対しまして、私どもの方では緊急治山、緊急砂防は他の治山事業、砂防事業とは違った性格のものであるから予算上明らかにしてもらいたい、言いかえれば、初年度だけじゃなしに後年度におきましても、その事業につきましては特殊な事業であるということを明確にしてもらいたい、明確にしてもらうなら、地方財政上の取り扱いも、災害復旧に準じた取り扱いをしていこう、こういうことを申したわけでございます。お互いにそういうような取り扱い方をしていこう、こういうことになっておるわけでございます。従いまして、地方債の充当率も引き上げて参りますし、同時に元利償還額の一部を基準財政需要額に算入していくという方式をとって参るわけでございます。
  62. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そういうように取り扱いがはっきりきまったわけですね、一般施設災害と同じように取り払うということが。これは農林省、建設省及び大蔵省、自治庁四省の関係があると思うのですが、そういうようにきまって、ことしからそういうように取り扱うことになった、こういうわけですか。
  63. 奧野誠亮

    奧野政府委員 具体的に申し上げますと、緊急治山と緊急砂防につきまして、御指摘のようにその被害が激甚であり、また財政状況も楽じゃないというような団体につきましては、全体として地方債を九割ぐらい充足できるように持っていったらどうだろうかというような一つ考え方があるわけでございます。同時に、その元利償還額の五六%を基準財政需要額に算入していったらどうだろうか、こういう考え方を持っているわけでございまして、ことしの緊急治山、緊急砂防の事業からそういう取り扱いをして参りたい、こう存じております。
  64. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 地方団体で要望しているような工合にことしから取り扱おうということで大へんけっこうだと思うのです。そこで起債の充当率が三十五億当初にあって、あとは百九十五億ですね。その起債の中で緊急治山、緊急砂防については具体的に当該年度、ことしにおいては九割地方負担分に対して起債を充当していただけるわけですか。
  65. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今年度は九割でございませんで、全額地方債を充当する原則で適用して参りたい、こう考えております。
  66. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大へんありがたいことだと思います。次いでその元利償還の問題については、今までは緊急治山の方は例の緩慢災ということで種別補正ですか、〇・六の九五%を基準財政需要額の算定の中に入れたということになっておると思うのです。これは一般施設災害と同じようにするということになると、一円のものは、一円に対して九十五銭の元利償還を認めるという工合に前進してしかるべきだと思うのですが、その辺のところはまだ総理府令の改正のめどはついておりませんか。
  67. 奧野誠亮

    奧野政府委員 緩慢災に準じた取り扱いをしていきたい。従って元利償還額の五七%を算入するようにしていきたい、こう考えておるわけでございます。施設災害に準じたものでありますが、施設災害そのものではございませんので、まず一般的な公共事業の前進と見られる部分もないわけじゃない。単純な施設復旧というわけのものでもございませんので、今申し上げますような緩慢災害に準ずる取り扱いが妥当でなかろうかと考えておるわけであります。
  68. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 緊急治山の場合には、今まで緩慢災ということで〇・六の九五%ですから五七%、これは元利償還の算定基準の中に入っていたわけです。それはいいのです。それに準じてやるということは、その通りやっているということなんです。これは地方団体では一般の施設災害と同じように、公共土木とか、それから農林水産業施設の起債に対しては、一円のものは一円について九十五銭を元利償還算定基準の中に入れたはずなんです。そういうように前進させなければ、今までやったことと同じことだと思うのです。その辺どうですか。緊急治山については今までそうやっていたはずです。しかも、総理府令にそううたわれておると思うのです。もう一つは、緊急砂防の方は全部オミットされておったのだから、これは緩慢災なり一般公共災と同じように上げてもらわなければならない、こういう二つの問題に分かれると思うのです。
  69. 奧野誠亮

    奧野政府委員 緊急治山につきまして、従来の起債の充当率は、先ほど申し上げましたようにずっと低かったわけであります。それを思い切って上げていきたい、こう考えておるわけでございますので、緊急砂防のみならず、緊急治山につきましても地方財政上の措置が手厚くなってくる、こういうことが言えると思います。なお災害並みに扱え、こういうお話でございますが、国庫負担金の取り扱いが災害並みになりますれば、私たちも当然地方財政上も災害並みにすべきだと思います。言いかえれば、緊急砂防、災害土木費国庫負担法の対象の事業になり、それに対します国庫負担も災害土木費並みに行なわれますならば、地方債上も地方交付税上も当然同じように扱って参りたい、こう考えます。これはどうすることが妥当であるかということについては、いろいろな考え方があろうかと思うのでありまして、私は先ほどいろいろ緩慢災害に準じた取り扱いをする考え方を申し上げたわけでございますけれども、国庫負担金の取り扱い方が災害と全く同様になれば地方財政上もそれでけっこうだと思います。そうでありません限りはいたし方がないのじゃないか、こう思っております。またそれはそれなりに理屈がつけられておることだと考えておるわけでございます。
  70. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それではこういうように理解していいのですか。当面緊急治山だけは緩慢災と同じように元利償還の五七%については基準財政需要額の中に算定する。これは今までやっていてもらったわけです。緊急砂防についてはそれが全然ないのです。これは当然入れてくれるということは、まず一点として理解していいわけですか。
  71. 奧野誠亮

    奧野政府委員 緊急砂防の元利償還額は従来基準財政需要額に算入しておりませんでしたので、今後算入するようにする、こういうことでございます。
  72. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それから国庫負担法の方で災害並みに取り扱われるようになれば、今度は九五%入れてくれる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  73. 奧野誠亮

    奧野政府委員 現行の取り扱い上は当然そうなるものだと考えます。
  74. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 よくわかりました。  それでは次にお尋ねしたいことは、実は再建措置法の適用を受けておる団体、たとえば私の方の長野県等は、この緊急治山、緊急砂防がきわめて多額になるわけです。ところがこの再建措置法の第十七条に基づいて再建団体には国庫負担率が多少よくなるようにという工合に考えてあるわけです。ところが、われわれは緊急治山、緊急砂防というものは当然災害だ、一般災害と同じように取り扱わなければならないという考え方を持っておるわけですが、今まではそう取り扱われておらないために、たとえばことしあたりは六億も緊急治山、緊急砂防があるわけです。再建法の趣旨は、事業をなるべく押えて、補助率をなるべく上げてという趣旨だと思うのですが、事業を押えろというのを、災害だから、緊急治山、緊急砂防は地方にしてはいいことですが、いやおうなしにやらなければならない額がふえていくわけです。そうすると国庫負担率はうんと低下してしまうという矛盾が出てくるわけです。これは、災害についてことしあたりは特別立法も作ったりしてやっていくという趣旨から考えると、矛盾することだと思うのです。だから政令の第十条の三の計算の仕方を変えなければ矛盾が出てくると思うのですが、その辺は具体的に検討なされておりませんか。これは知事会その他でもたしか要求があったと思いますけれども、その辺の検討をされておっていただけるかどうか。
  75. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話しのように問題がございます。基準事業量の一定割合を越えて参りますと、再建団体に対します補助率のかさ上げをやらなければならなくなるわけでございます。しかし緊急砂防というような格好で莫大な事業分量をかかえておりますので、そういうものにつきましてのかさ上げ補助率の適用を受けない、こういうようなことになってきます。そこで私たち今考えております一つ考え方としては、基準事業量にも緊急砂防の事業を加え、そうして当然今後施行する事業分量の中には緊急治山、緊急砂防も加え、両方へ加えていく行き方があるのじゃないだろうか、こう思っておるわけでございます。そうしますと、再建団体としてはかなり有利になって参るわけでございます。そういうような方向で政府部内の話し合いを今させておるわけでございまして、どういう結論に落ちつくかまだわかりませんが、とにかく問題のあることを今申し上げましたような方向で解決できないものだろうかというように考えまして努力をいたしておる最中でございます。     〔飯塚委員長代理退席、渡海委員長代理着席〕
  76. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 具体的に申し上げた方がはっきりすると思うのですが、私の方なら私の方の県に例をとりますと、昭和三十年の本県の状況は指定補助事業費の見込み総額、これはいろいろな計算の基礎になるものですが、この見込み総額が三十一億ばかりです。それで算定すると、その高率国庫補助率は〇・一四ぐらいに下がってしまうわけです。それから指定補助事業費の見込み総額の中から、この緊急治山と緊急砂防用の見込み、約六億一千万あるわけですが、これを差し引いてもらって率を計算すると〇・一七、こういうように率が上がるわけです。これが大体六、七千万になると思うのです。この指定補助事業費の見込み総額というのですか、これは十条の三の分母になるものです。各年度の指定補助事業に要する経費総額、こういうのが計算方法の分母になっておりますが、この分母の中から今の緊急治山と緊急砂防の事業費を取り除いてもらうと、分母が小さくなるのだから補助率が当然上がる、こういうことになると思います。この緊急治山、緊急砂防の考え方からいって、当然これは除いてしかるべきだ、こういうように政令を改正してもらって当然だというように考えるわけです。先ほどの御答弁はあいまいでしたが、それを除いてもらった方がいいのじゃないか、はっきりとそうされた方がいいのじゃないかと私は考えるのですが……。
  77. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今お話しになりました方式に、一つの疑問を持っているわけであります。というのは、指定補助事業から抜いてかさ上げ補助率を計算しておきながら、抜いて計算したものにまたその率を適用するということは筋が通らないのじゃないかと思うのであります。そこで抜かないかわりに、基準事業量の中にも緊急治山、緊急砂防のこれからやらなければならない仕事分をそのまま合算する。そうすれば自然基準事業量の一定倍数をこえるということになって参りませんから高い補助率が算出される、こういうことになるわけであります。そういう方向で今政府部内で話し合いに努力しております。結果がどうなるかまだわかりませんが、とにかくそういう方向で努力しているということを申し上げたわけであります。
  78. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 基準事業量の中に入れれば、そういう矛盾は解決されますか。
  79. 奧野誠亮

    奧野政府委員 基準事業量の中に入れますと、今の事業分量が必ずしも大きくなって参りませんので、二割かさ上げという二割の満度までの分量が多くなるわけでありますから、地方は国庫負担金をよけいもらえるということになって参るわけであります。
  80. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは次に過年度災害起債の充当の問題についてお尋ねしたいと思います。市町村等においては、たとえば来年の五月田植えをやらなければならないのに、補助金がつかないからやむを得ない、ことしのうちに施行越し工事をやらなければならないというようなことが、今盛んに行なわれておるわけです。この施越しというような問題について、自治庁はどういうような指導をしておられるか、その辺をお尋ねしたいと思います。
  81. 奧野誠亮

    奧野政府委員 補助事業でありますれば、私たちは補助金がことしの事業分量に見合って予算計上される、こういうふうに考えざるを得ないと思います。従いまして、ことしの補助金に見合う地方負担分を地方債の対象と考えたい。地方団体が施越し工事をやったから地方債を増額するというようなことじゃなしに、あくまでも補助金に見合う地方負担分を基礎として地方債の許可額を決定していきたい、かように考えておるわけでございます。しかし単独事業でありますと、それは事の緊急に応じて、県の認定するところに従いまして、一年で完成するものは一年で完成できるような地方積の充当の仕方をしていかなければならない、こういうように存じておるわけでございます。
  82. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 地方へいくと、これは大蔵省の出先の財務局ですか、施越しをやるのは地方財政に余裕があるのだから、そういうところは起債の裏づけはないんだ、こういうようなことを言われるというのです。しかしもう現実に災害を受けたのだから、補助金のついたのが幾らもないから施越しをやらざるを得ないというところにきておるわけです。この間も何か町村議長会の大会等でこれがだいぶ問題になっておるようですけれども、ことし補助のついたものに対してのことしの地方負担分の起債、これは当然だし、私はいいと思うのです。ところが施越しをやるものについては、ことしつけるのか、来年つけるのか、来年は一体何割つけるのか、はっきりつけてもらえるのかという見込みが全然立たないわけです。これは今言われたように、ことしの分についても単独のものはつけるわけですか。施越しをやっている場合に……。
  83. 奧野誠亮

    奧野政府委員 単独の場合には、施越しという感じがないかもしれません。あるいは起債許可額をこえてやった場合に施越しと、こう言うのかもしれません。しかし、単独事業につきましては、補助事業がいわゆる三、五、二の割合で完成するというような方式をとっているのに対しまして、地方財政計画上は二年で完成するというような方式をとってきておるのでございます。それも全体の話でありまして、特に一年で完成できるし、完成しなければならないというものについては、できるように地方債をつけたらいいと思います。ただ総額の問題がございますので、そこの制約を受けることはやむを得ないと思うのでございますが、一年でやれるものを無理に二年に延ばさなければならないというふうには考えていないのであります。従いまして、いわゆる施越しといわれているのは補助事業のことだと思いますが、補助事業につきましては、今申し上げたようなことでありまして、かりに施越しをやっても、それに対して地方債をつけるのじゃなしに、必要であれば一時借入金のあっせんをするというようなことにならざるを得ないじゃないかと思っております。国の予算に計上された金額のほかに、債務負担行為を行なっているわけでございますが、債務負担行為につきましては、国は別にその金額を予算計上いたしておりません。この部分についてやはり地方負担というものが起こってくるわけであります。その部分につきましては、やはり資金繰りの問題にとどめざるを得ないじゃないか、長期債の問題じゃなしに、一時借入金のあっせんを行なっていくということになるのじゃなかろうか、かように考えているわけでございます。
  84. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、施越しをやって来年は正式に予算に計上するというときには、その裏づけの起債というものは十分つけられるというように理解していいわけですか。
  85. 奧野誠亮

    奧野政府委員 その通りでございます。
  86. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 その場合の起債の充当率は、今までは一般に農林等は五〇%、公共土木等は七〇%くらいだというような通牒自治庁から出ているわけです。ところが、これは矛盾があると私は思うのです。ことしどうしてもやらなければならないのを、国の補助金がつかないので施越しで無理してやっていく。それが来年の予算になって補助金がもらえた、今度起債は、ことしもらったら一〇〇%くるのを、来年は七割しかこないということになると、非常に矛盾が出てくるわけです。こういう施越しについては、当該年度に国が補助金を出して、そして完成させるべきなのが、補助金の都合でできないのだから、来年は裏づけの起債は一〇〇%つけてしかるべきだ、こういうような解釈になるのですが、それでいいですか。
  87. 奧野誠亮

    奧野政府委員 災害復旧の地方負担分に対する地方債は、御指摘のように初年度は原則として一〇〇%つける、次年度は原則として七〇%つける、こういう考え方で許可事務を行なって参ってきておるわけでございます。ただ次年度二平均して七〇%でありますが、災害のきびしい団体につきましては、今年度の例で申し上げますと、八〇%あるいは九〇%というふうに差を設けておるのでございます。団体のいろいろな事情を見まして、特に充当率を上げる必要のある団体につきましてはそれを引き上げていきたい。来年度以降につきましてもそういう考え方を持っているわけであります。ただ一般的なことを申し上げますと、災害のあった年はもうすでに予定の予算を使ってきておるわけでございます。しかし翌年度以降になると、年度当初から災害復旧事業を予想できますので、できる限り一般財源を充当させて健全な運営をやらせたい、こういう考え方を持っておるのでありまして、ある程度一般財源を出してもらうという建前で起債の充当率をきめるというやり方をいたして参っておるわけであります。ただ七〇%というものは一般原則でございますので、団体の実態によってはその率を高めたい、かように考えておるわけでございます。
  88. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そういうような取り扱いをしてもらってきたことはよくわかるのです。わかるけれども、さしあたって今施越しをやっていいかどうかという現実に突き当たっているのです。ところが来年になると、先ほど言った起債の七割は原則としてつけるという言明があったのだから、七割までは保証されるのですが、ことしやりさえすれば一〇〇%もらえるのです。年度途中だから財政の見込みがつかないという理由のもとに、ことしなら一〇〇%もらえるのに、これは補助金がつかないために無理やり予算上来年に回されてしまうわけです。来年に回されて、そして起債の充当率は七割だということになると、これは非常に不公平なことになると思うのです。ことし国の補助さえあれば当然ことしやるべきものを、それがないため来年に回すのですから、来年に回っても一〇〇%つけるのが当然だと考える。また伊豆の災害の場合でも、九割なり一〇〇%近く充当したというのですから、この大災害のときですから、当然施越しでやって、来年に補助がつく、来年の起債は一〇〇%充当するということで筋道が通るのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  89. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘のように、どうしても施越しをやらなければならないというような事業につきましては、抽象論を申し上げることになって恐縮なんでありますけれども、国庫補助金をやはりそれだけ引き上げて配分するのが筋道じゃなかろうかと私は思うのでございます。三、五、二というのは一般原則でありまして、必要なものにつきましては一年で片づけるように補助金をつける、こういうような考え方がそこにあるわけでございますので、できるならば補助金の配分の際に、今御指摘のありましたような問題を解決していってもらえないだろうか。そうしますと、自動的に地方債の方も、地方負担額がふえて参りますからふえてくるということになるのじゃなかろうかと思います。
  90. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間も参りましたので、急いで御質問申し上げて参りたいと思うのですが、裏づけになった起算については、あと元利償還の九割五分まで見るわけでしょう。これについては法律で規定されておるわけです。また地方財政法の第五条によれば、災害については起債を認めるということが法律で規定されて認められておるわけでしょう。まん中に幾ら充当するかということだけが、自治庁の勝手な気持だけで充当されたんでは、地方財政計画も何も立たないんじゃないですか。一〇〇%起債を認めてもらえば、その九五%というものは元利償還で基準財政需要額の算定の中に入れてくれる、こういうことが法律の中できまっておる。地方財政法第五条によれば頭の方はきまっておる。災害復旧等については起債を認めるということがきまっておる。だからまん中を幾らにするか、七割とか、九割とか、一〇〇%にするかということは自治庁考え方で、あまり地方債のワクがないからことしは五割だとか、地方債のワクができたからことしは一〇〇%だとかいうことで、地方財政計画というものが未端でできますか。だからちゃんと地方債のついた災害の場合には、第二年度であるならば九割なり八割なり落とすことはしようがないけれども、やはり法律的に何か規定しなければ、地方ではやっていいかどうかわからなくなって困っている。来年度幾ら認めてくれるかわからぬ。だからここで七割までの言明は得たけれども、施越しについては来年度一〇〇%つけてしかるべきだ、これは譲れないのだ。国が補助をつけても、来年になれば起債の方は五割か七割に落としてしまう。こういうばかなことはないじゃないですか。
  91. 奧野誠亮

    奧野政府委員 施越しが全地方団体についての問題でありますならば、私は国の予算の進行割合を変更するという問題になってくるのじゃないかと思います。ただ特定団体の任意に行なった施越し工事を特に優遇するというようなことになりますと、非常に不公平になるのじゃないかと思うのでございます。やはり基本的には国庫補助金の運用の問題になるのじゃなかろうかと思います。必要なものにつきましては国庫補助金を早くつけるというようなことでよろしいのじゃないか、かように考えるのでございます。  先ほどからちょっと申し上げましたように、災害復旧でありましても、原則として健全な財政運営のもとにそれを克服していくという考え方でやってもらいたい。しかし、初年度は何分予想しないことでございますので、そのための財源というものは予定していない。従って災害復旧につきましては、地元負担について全額地方債を認める、こういう方針をとっておるわけでございます。しかし翌年度になりますと、予算を作るときから、災害復旧に伴う地方負担分が幾らあるかということは、わかっておるはずでありますから、できる限り金をやり繰りして、ある程度の一般財源は充当してもらいたい。従って地方債は七〇%しかつかないという考え方をとっておるわけであります。しかし災害が非常に多い場合には、残りの三〇%という金額が莫大なものになりますので、ある程度充当率を引き上げていくというやり方をしておるわけであります。こういうやり方をすることによって、災害復旧事業といえども、健全な考え方財政を運営してもらいたい。ただ何もかも国でめんどうを見てもらえるのだ。一〇〇%国が補助金と、地方債があっても、交付税の基準財政需要額に算入されてしまって、何も用意する必要はないということであっては困るのじゃないか、かように考えておるわけであります。従いまして、過年度災につきまして充当率を上げていくということは、もっぱら何もかも国に依存するというようなことに災害復旧事業を追い込んでしまうという、ここに一つの問題点がございます。同時にまた、一〇〇%つければ、それだけの元利償還額は基準財政需要額に算入するわけでありますから、一般財源をそれだけよけいに用意しなければならないという問題になってくるわけでございますので、やはり一応従来とっておる態度でよろしいのじゃないか、かように考えているわけでございます。施越しが客観的に見てどうしても必要だということでありますと、先ほどもちょっと申し上げましたように、国の補助金の運用の問題で片をつけてもらえないだろうかというふうに思うのでございます。ただ施越しをやったところだけ地方債の充当率を上げるということは、なかなか取り扱いがしにくいじゃないか、こう存じておるのでございます。
  92. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 簡潔にお願いします。
  93. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 伊豆の場合には、起債の充当率を過年度災害の場合に九割とか九割五分やったということは事実でございますね。これはどういう感覚でやったのですか。だから今年の災害も、激甚地指定を受けたところは九割なり九割五分の過年度災害に対する起債の充当率をやりますか。
  94. 奧野誠亮

    奧野政府委員 来年度の過年度災の運用にあたりましては、災害の激甚な地域につきましては、七〇%の率を引き上げる予定にしております。
  95. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これがきめられてだいぶ要望があったようでありますが、一件限度額の問題です。人口五万ないし十万のところは二百万、それから五万以下のところは百万、これはことしは五十万なり何なりに下げていただけましたか。
  96. 奧野誠亮

    奧野政府委員 百万円の金額を八十万円まで引き下げております。
  97. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは時間のようですからけっこうでございます。
  98. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 大矢省三君。
  99. 大矢省三

    ○大矢委員 こういう機会はめったにないと思いますから、中小金融課長の橋口さんに、一応お願いと申しますか、方針を聞きたいと思います。この年末に際して金融の事務取り扱いといいますか、手続といいますか、こういうものについては私は苦い経験を持っておるのです。それは中小企業金融公庫が非常に手薄のために、各信用金庫、相互銀行、普通市中銀行に対して事務を委託しておる。それから特に信用金庫に対しては何億という一つワクをきめてその範囲内で融資をするということで、中小企業金融公庫に申し込みますと、窓口を指定する。どこそこの金庫、どこそこの相互銀行に行けということで参りますと、申し込んでから実は四カ月かかった。それがどうも貸す見込みがない、借りられる見込みがないということで、あきらめるようならばそれは当てにしません。ところが調査の途中において、お前のところはこれこれ申し込みがあるけれども、半分にしておけ、それからその半分は定期預金にしろ、こういって、調査にあの帳簿を持ってこい、この資料を出せといって、二カ月も三カ月も調査した結果、大体これでよかろうというので当てにしておる。そうすると最後の決定で、四カ月もたっているのです。四カ月もたった年末になってだめだ。貸す貸さぬは責任がありますから、それは窓口で十分調査し、いけなければやむを得ない。しかし四カ月も引っぱって、そうして貸すようにして値切っておる。それでまたあれ持ってこい、これ持ってこいと、忙しいのにしておいて、そうして最後に貸さない。これでは中小企業はかえってそのために迷惑してつぶれる。御承知のように手形は一日違っても履行しなければ信用に大きな問題になる。しかるに八月に申し込んだのが四カ月もたった十二月の年末になって、それはだめだとキャンセルされたので、とうとうつぶれたという例がある。ほんとうに中小企業のために金融されるならば、大体事務のいろいろな調査期間というものはどのくらいかかるか研究して、それで一カ月なら一カ月、二カ月なら二カ月、この範囲内できめろ、きめなければいくとかいかぬとか。そうしないと、こういうことをされたんでは、全く中小企業はそういう機関があるためにかえって当てにして困ることがあります。私は、こういうときに、これは法律できめるというようなことはどうか知りませんけれども、事務手続、委託する事務の取り扱いについて、ある一定の基準を作る。一カ月なら一カ月以内で調査をしろ、それが金額その他について調査困難な場合には、最高一カ月半なら一カ月半、それ以内に調査ができない場合にはこれは貸付の能力のないもの、ある程度の条件の備わらないものとしてこれを処理するとか、何らかの形にしなければ、こういうことを続けたのでは、全くこれは金融目的も達しなければ、中小企業に対して大きな迷惑をかける。現に私どもはそういうことを経験しておるのです。従って、時間がありませんからこれ以上申しませんが、内規か何かで期間をつけて調査をしたらどうか。そしてこういうワクをこしらえておきながら、そういうことでは、実際中小企業のためにならない。むしろそのためにつぶれてしまうのです。そういう期間について何らか厳重な申し入れをして、それを履行しないものには預託といいますか、ワクをそこには充てないということで、何らかの規定を設けておかなければ、そういう事務の扱いをされたのでは全く迷惑する。従って、期間を設ける何らかの具体的な方針があるかどうか。  それからいま一つは、そういうように何かして時間を引っぱって、あるいは定期をさせて、金融公庫から受けながら、それを自分のところでそういう積立金あるいは定期預金の形において利用する、実に悪らつです。だからそういう内規といいますか、今の期限を設けるとして、聞かなかった場合にワクというか、預託というか、そういうものを取り上げるだけの取り締まりというか、罰則というか、そういうものを作って、何らかの形で制裁を加える。監督官庁の大蔵省として、特に中小企業の年末を控えた金融の処置についてのお考えがあるかどうか、この点お聞きしたい。どうするかということだけお聞きしたらけっこうです。
  100. 橋口収

    ○橋口説明員 中小企業金融公庫の代理貸しの事務処理の遅延に対する御質問だと思いますが、私、中小企業金融公庫の監督をいたしております課長でございませんので、公庫の指導につきまして的確なお答えがいたしかねるのでございますが、御質問の御趣旨はよく所管課長に伝えまして十分善処するように努力いたしたいと思います。ただ、受ける代理金融機関の問題についての御質問がございましたので、この点につきましてお答えいたしたいと思います。  代理金融機関が中小公庫の代理貸しをやりながら、その資金を一部定期預金あるいはその他の預金の形で拘束する、そのために中小企業者の実質的な資金の使用量が少なくなる、あるいは金利負担が多くなるという点につきましては、従来から多少そういう弊害もございますので、私どもといたしましては、機会あるごとに両建歩積みの抑制あるいは定期預金としての拘束の抑制ということについて指導いたしておるつもりであります。これはある程度は経済関係の力の強弱による問題でもございますので、完全に根絶するということはなかなかむずかしいと思いますが、今後とも機会をとらえまして、そういうことのないように、中小企業者の金利負担が軽減されるように、あるいは中小企業者の使う資金量がふえるように、できるだけ強い指導をやるつもりでおります。  先ほど申し上げましたように、中小公庫の代理金融機関の代理貸しの処理期間についての内規がありますかどうかは、私所管課長でありませんので、はっきりお答えしかねるのでございますが、そういう点につきましては、申すまでもなくできるだけ迅速に処理するするように、今後とも公庫を指導するように所管課長の方に申し伝えておきます。以上で御了承願いたいと思います。
  101. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 午前中の会議はこの程度にとどめまして、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時五十四分休憩      ————◇—————     午後二時三十二分開議
  102. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  警察に関する件について調査を進めます、  去る二十七日行なわれました安保条約改定阻止国民会議の第八次統一行動に関し、まず当局より説明を聴取することにいたします。柏村警察庁長官
  103. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 去る十一月二十七日に行なわれました安保条約改定阻止国民会議の主催いたしまする第八次統一行動におきまして、     〔渡海委員長代理退席、飯塚委員長代理着席〕 国会構内へ多数の群衆が乱入し、ジグザグ・デモとかその他の気勢をあげる等の行為をいたし、国会の神聖を侵す事態を生じましたことを心から遺憾に存ずる次第でございます。警察におきましてとりました処置並びに当日のデモ隊の状況等につきまして、簡単に御説明を申し上げたいと思います。  まずこの第八次の統一行動につきまして、安保改定阻止国民会議におきましては、おおむね七万五千の動員を指令しておったのでありますが、これに応じて動員された者は約二万五千名でございます。この動員された者は、チャペル・センター前と、人事院付近と、特許庁付近と三カ所に集まるようになっておりまして、ここから国会に向けて行動を起こすという計画がなされておったようであります。まず集まりました者は、チャペル・センター前が一万一千三百名、人事院付近が六千七百名、特許庁付近が六千二百名でございまして、おおむね二万五千という数に相なるわけでございますが、このデモ隊は国会に対する請願という名のもとに集まっておるわけでございますが、こうした集団が集まるということは、これは当然都公安条例にいいます集会に当たり、これが示威の行動に移る場合には集団示威運動ということに相なるわけでありまして、いずれも許可を要する行為とされておるわけでございますが、何らそうした許可の手続をとることなく集まって参ったわけであります。  しこうして、このような集団によって請願デモが行なわれるということになりますれば、国会の近辺でもございまするし、不測の事態も生ずるおそれがございましたので、警視庁といたしましては、これに対しまして必要なる規制を加える態勢をとったわけでございます。すなわち、チャペル・センター前には九百七十名、国会正門前に七百四十五名、国会外周に千七十二名、人事院付近に千四百十八名、特許庁付近に千百七名、総人員五千七百五十五名という警察官を配置をいたしたわけでございます。このほかに、方面警察隊約三千というものを編成して、第二次的な部隊として確保しておいたわけでございます。  ところが、非常に大ぜいの者が集まり、この勢いが、まず学生を先頭にした態勢で警察の制止線を突破するように試みて参り、人事院わきの道路上におきましては完全にこれが制止された形になった後におきまして、そのうちの半数程度の者が態勢を整え直して、議員会館の前の通り、例の大蔵省のわきのところを上って行って、そして国会への突入を試みるということで、そちらの方にまたさらに待機の部隊を回わすというような事態もございました。また、特許庁から上りました者も、非常な激突を来たしまして、一部警察の制止線を突破して、総理官邸前に殺到するというような事態もございまして、これを制止するという状況もございました。また、国会わきの地下鉄から上ってくる者が数百名、これは警察官から見て地理的に非常にむずかしいところから入ってくるわけでざいまして、これがチャペル・センター前その他へ圧力をかけるというような状況でございまして、特にチャペル・センター前におきましては自動車を連ねて制止線を確保いたしておったのでありますが、国会から見まして右側の人道上、ここは警察部隊をもって制止線を確保いたしておって、ここにおいてデモ隊との間に非常な押し合いが起こり、相当数の負傷者を出しておる状況であります。また、そういう関係でデモ隊の中においても非常な圧迫を受けて、助けてくれというような悲鳴をあげる者も出てくる状況でありまして、そういう状況下において——従来は、チャぺル・センター前に相当集団が集まりましても、代表者等を送り込む、あるいは送り込んだ代表者が帰ってくるというまで待って、おおむねこれらは人事院前の道路を通って流れ解散をするというのが従来の慣例になっておったわけでもありますし、これ以上この事態を継続すれば相当の死傷者を見るであろうという現場の指揮官の判断もあり、これからほこを少しゆるめて、人事院前の方に誘導する態勢をとったわけであります。ちょうどその時刻に、淺沼議員その他の国会議員と代表団と思われる二、三十名の者が国会の正門前におりまして、そのときは門のとびらは全部あいておったわけでありますが、今申しました人事院わきの道へ誘導するという態勢をとった連中が、警察の囲いを突破して門の方へ殺到しそうになったというので、これは国会側の仕事でありますが、門扉を閉ざした。そうしたところが議員団等によって、議員をなぜ入れないかというようなことで、一番わきの小門を少しく開いて数十名の者を通すことにしたのでありますが、それとほぼ時を同じゅうして、先ほど申しました、誘導されて誘導をきかない連中がそこへ殺到して数百名が中に入る。さらにそれにしばらく時をおきまして、その他の集団が正門を突破して構内に流れ込むという状況に相なったわけでありまして、五時過ぎごろには、最高一万二千名程度の者が国会の構内に乱入して気勢を上げたという、非常に遺憾な事態を生じたわけでございます。四時二十分ごろであったかと思いますが、衆参両院議長から警視庁に警察官派遣の要請がございまして、これは各院とも二千五百名ずつを限度としてということで、実際には四千名ぐらいかと思いますが、その警察部隊が国会の構内の議事堂のうしろわきという、あまり見えないところに待機の姿勢をとっておったわけでございます。議長の方からの要請は、応援派遣をとったわけでありますけれども、いずれ説得等によって群衆が退散するであろうから、何分の指示のあるまでは実力行使をしないようにという申し入れもございまして、警察部隊としましては待機の姿勢をそのまま持続いたしたわけでございますが、五時過ぎごろになりまして、だんだん労組関係の者は退散する、しかし数千名の学生は依然として残って気勢を上げ、おおむね鎮静に帰したのは六時過ぎになったという状況でございます。その後、夜間の学生と一部学生が合流しまして、防衛庁前等からさらにデモ行進を行なって、人事院のわきを通って国会の方へ向かったのでありますが、これは警察部隊の阻止にあって、日比谷公園の方へ向けて解散をいたしておるわけでございます。その間に、警察官としては三百数十名の負傷者を出しておるわけでございます。  以上が大体当日の国会乱入事件、請願デモの状況でございますが、警察といたしましては、こういう事態の予測につきまして、全学連等の間に相当過激な行動をとるという確実な情報もキャッチいたしておりましたので、従来にない部厚い警戒態勢をとったわけでございますが、何分にも五、六倍の集団というものに対峙いたし、態勢としては常に守勢で、これを集団的なはね上がりから防ぐ、国会乱入を防ぐという態勢をとっておりましたために、ついに突破をされ、最後には先ほど申し上げましたように、一万数千名というものが国会構内へ乱入するというような状況に相なったわけでございます。われわれといたしましては、こういう事案につきまして、やはり国民が法を守り、秩序を維持する、国会を尊重するというような気風が横溢して参ることを期待し、特にこうした集団行動についての指導者等に対しては、慎重な態度をもってよくこれらを指導するという実力と気魄とを要望いたしたいのでございますが、翻って警察自体といたしましても、今度の事案につきまして第一線の警察官は、先ほど申しますように実に五、六倍の相手に対してよく隠忍自重し、数百名の負傷者を出しながら常に守勢に立って職責の遂行に努めたわけでございまして、私も警視庁の部隊に対して、その労苦に対して非常に感謝の気持を持っておるわけでございますが、さらに今回の事態というものを重視し、警察としても部隊の配置の仕方あるいは数の問題、さらに装備訓練というような点につきまして、警察自体としては今後さらに一そうの検討を続け、遺憾なことの起こらないように努力いたしたいと思います。  なお、今後さらに第九次の統一行動がいかなる形において行なわれるかということは、今直ちに予測しがたいのでありますが、願わくはこうした平穏に行なう請願であるということであるならば、今回のような行動でなく、堂堂と大集会でも持って代表を国会に送る、もし請願ということをやられるのであるならば、そういうことをされるべきではないかというふうに考えておりますし、そういうものにつきましては関係者に対しても必要な注意、警告を行なって参りたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、当日の全国の模様をちょっと申し上げますとこれまた従来に見られないほどの盛り上がりを見せておるわけでありますが、東京におきまするようなはなはだしい不法事案というものはその割には見られておらないのであります。数字的に申し上げますと、労組のストライキ及び職場集会を行なったのが六千六百三十八カ所、六十一万四千四百五十名、これは全国でございます。集会を持たれましたのが四十四都道府県にわたり、二百六十八カ所、二十四万三千二百七十名、この集会のうちデモを伴ったものが四十三都道府県、二百五十四カ所、二十一万一千六百余名ということになっておるわけでありまして、今までの安保闘争から見ますと最大の動員を示しておるわけでございます。ただ先ほども申し上げましたように、不法事案としましては、当日公務執行妨害罪において三件四名の検挙者を出しているという状況でございます。  なお、先ほどちょっと申し落としましたが、この東京におきまする請願デモのあとのわれわれの心がまえを申し上げましたが、さらに当日の事案を慎重に、正確に把握いたしまして、刑事責任の追及という点につきましては今後捜査を着々と進めて参るつもりでございます。現在まですでに数名の逮捕を見ており、数カ所の捜索を行なっておりますが、この捜査の進展に伴いまして、さらにこれが拡大されていくであろうという予想を申し上げておきたいと思います。
  104. 飯塚定輔

    ○飯塚委員長代理 次に小倉警視総監。
  105. 小倉謙

    ○小倉説明員 ただいま警察庁長官から御説明がございましたので、私は御説明内容を聞いておりませんで、重複する点があると思いますが、ごく要点だけ申し述べることにいたします。  当時の計画はチャペル・センター前、人事院付近、特許庁付近に約七万五千の者が集まって、そこから国会に対する請願行動を行なう、こういうような計画であったのであります。国会におきまして当時私どもでただしましたところ、そのような多数による請願というものは認めない、二、三十名の者であればこれを受け付ける。こういうような意向でありますし、またそのような多数の者が集まりまして行動を起こすということになりますと、当然公安条例違反の行動が予想されますので、その前日に国民会議責任の方に、そのような請願行動は国会において認められておらないということで注意、警告をいたしまして、もし行なわれる場合には十分統制をとって違法な状態にならないように処理してもらいたいという警告をいたしたのであります。しかしながらその責任の方は、これは個々の者が請願権に基づいて請願するのである、計画通り行なうというような返答でありまして、翌日ほぼ計画通りの状況が展開されたわけでございます。  従いまして警視庁といたしましては、先ほど申し上げましたような理由から、この集まります三カ所の点に警備隊を配置いたしまして、それが不法な行動に出る場合にはこれを制止する、こういうような態勢をとったのであります。三時ごろから国会に向けての行動が行なわれまして、激しいデモ的な行動あるいは制止線を突破するというような状況がうかがわれたのでありまして、特に特許庁付近における状況は非常に激しいものでありまして、特許庁から通産省前の方に出てくるあの付近でも数十名の警察官の負傷者が出る。また総理公邸の方に出てくる公邸の坂下におきましても、相当数の負傷者が出るというようなことで、だんだんと国会周辺の近くにこのデモ隊が出てきたのであります。一方チャペル・センター前の一万余の集団は、三時四十分か四十五分ごろから、これから同会に行くのだというようなことで激しい行動に出て参りまして、車道のところは自動車が置かれましてこれを制止しておったのでありますが、国会正面から見まして右側の舗道、チャペル寄りの舗道のところに最も力が加わりまして、そこにおいて突破し出てこようとするデモ隊と警察隊との間の激しいもみ合いとなり、ここにおいて双方に負傷者が出、警察官百名余のものがここで負傷をしたというような状況になって参ったのであります。そうして中には舗道と車道の間にあります道標に足をとられて倒れる、そうしてその上にデモ隊あるいはこれを制止する警察官が通りかかり重なり合うというような状況も出てきましたし、またチャペルのへいに押しつけられて、助けてくれというような声も出てきたのであります。警察部隊がこの負傷者を救い出し、救出するというような状況になっておりましたところ、遂にこの線からデモ隊が突破して外に出てきた。これは人事院の方向の道路に規制をしようとして努力をいたしたのでありますが、一時はその方にやや行きかかったのでありますが、だんだん多数になりまして激しい行動によって遂に阻止線を破られまして、正門の前に殺到してくるというような状況に相なったのであります。ちょうどそのころ総理公邸あるいは衆議院第二議員会館付近まで押し寄せてきておりましたデモ隊、これを警察官が制止しておりましたが、さらに地下鉄から約三百名ほどの者が出て参りまして、この出てきた者を総理公邸の方の警察官をもって規制しておったのでありますが、これがチャペル・センター前の状況を見ました影響かどうかと思いまするが、急にここから国会正門の方に向かって出てくる、こういうような状況に相なったのであります。四時ちょっと過ぎであったと思いますが、社会党の国会議員及び代表と称する人たちが国会の正門から入られて、引き続いてこのデモっておりました部隊が門を破って入ってくる、こういうような状況になりました。四時少し過ぎには三百有余の者が構内に入って、国会の正面玄関に突進してくる、こういうような状況に相なったのであります。その後一たん門を閉鎖して制止いたしておったのでありますが、四時三十分ころかと思いますが、中に入っておりました学生が中から門をあけるというようなことで、またデモ隊がついに警察官の阻止線を突破して入ってくる。また総理公邸方面におった者がこちらの土手といいますか、これを乗り越えて入ってくるというような状況が出て参りまして、ついにデモ隊が構内に多数入りまして気勢を上げながらデモったというような状況になったのであります。最高の場合にはこれが約一万二千名に達しておったと思うのであります。その後五時十分ごろ、総評の責任者あるいは社会党の国会議員らの指示あるいは説得がありまして、労働組合員はデモリながら正門を出て人事院の方向に向かい退散したのでありますが、学生約三千名は、なおも構内にとどまって蛇行進し、その学生が引き揚げて国会の外に出ました時間が六時ごろであったかと思うのであります。これがさらに防衛庁の方に行きましてすわり込む、あるいはデモるというようなことになり、夜になりまして、今度は夜学連の者が多数出て参りまして、防衛庁に集まり、残っておりました学生と一緒になりまして、さらに国会の方向に向かってきたのでありまするが、これを恩給局前あたりで警察隊の力により阻止して帰した。まあ激しい投石等がございましたが、これを阻止したのであります。これらの学生が新橋付近で解散いたしましたのが、大体十時ごろであったと思います。  なお、この警備措置に伴いまして負傷しました警察官の数は、先ほど御説明があったそうでございまするから省略いたしますが、現在これらの事案につきましては、主として東京都公安条例違反、無届けの集会、集団行進、示威運動、この公安条例違反並びに国会に侵入したという点につきまして、建造物侵入罪等の法律上の根拠によりまして、厳重なる捜査を続けておる次第でありまして、十分に真相を明らかにいたしたいと思っておる次第でございます。  いずれにしましても、このような国会に対する不祥事件が発生いたしましたことにつきまして、警備に当たりました警視庁といたしましても、まことに遺憾に存じておる次第であります。今後さらに警備上の検討をいたしまして、最善を尽くしたいと存じまするが、国会に対する陳情あるいは請願というような名目で、あれだけ多数の何万という人間が集まるというようなことが容認されるというような状況であります限り、この完全なる警備取り締まりということはなかなか実際上むずかしいというふうに思っておりまするが、今回の経験にかんがみまして最善を尽くして参りたい、こういうふうに考えております。
  106. 飯塚定輔

    ○飯塚委員長代理 質疑の通告がございます。順次これを許します。渡海元三郎君。
  107. 渡海元三郎

    ○渡海委員 去る二十七日の安保条約改定阻止国民会議の第八次統一行動によりますところの国会乱入は、わが憲政史にぬぐうことのできない汚点を残すものでございまして、遺憾にたえないところであります。その概要につきましてはただいまの御報告によって了解したのでありますが、以下若干の点につきまして当局に御質問いたしたいと存じます。  昨日の本会議における倉石議員の御質問もありまして、国家公安委員長よりも御答弁があったのでありますが、明らかならざる点もありますので、簡略にまず安保条約改定阻止国民会議性格、組織の概要並びにその責任者はどこであるか、この点につきましてまずお伺いいたしたいと思います。
  108. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 安保条約改定阻止国民会議は、昨年の秋以来、その条約改定問題が大きく取り上げられて参りました過程におきまして、社会党、総評等が中心となりまして、幹事団体として十三団体、参加団体百三十四団体ということで組織されておるわけでございます。もちろん中心的な勢力としては日本社会党、総評ということになろうかと思いますが、特にだれがこの最高責任者であるということははっきりいたしておらぬようであります。なお地方におきましても、四十六の全都道府県に結成されておるような状況でございまして、この運動目標はどういうところにあるかと申しますと、当面安保条約の改定を阻止し、その廃止を要求し、進んで日本の積極的中立を実現させること、ということを共通の運動目標といたし、この目標を達成するために、安保条約改定の国際的な政治的意図を暴露するという教育宣伝活動や地方共闘組織の結成促進、またこれら地方共闘組織や参加団体との連絡を密にする。そうして全国的な統一行動を盛り上げようとするところにねらいがあるように思うわけでございます。
  109. 渡海元三郎

    ○渡海委員 昨日の石原長官のお答えにも、幹事団体が十三団体、特にその中には責任者というものは考えられない。ただ日本社会党と総評が中心的指導をなしておられるようであるという御答弁であった。今の警察庁長官の御答弁もそうでございます。あるいは幹事団体十三団体が合議体の形でやっておられる団体で、特別な責任者というものを設けておられないかもわかりません。そうなりましたら、せんだって行なわれましたところのあの統一的な行動、東京におけるあの会合の行動というものは、通達にもございました、はっきりと総指揮者という名前で掲げてあります淺沼書記長が、あの行動のまず指導的な地位になる責任者として考えられると思うのでございますが、警察庁の見解はどうでございますか。
  110. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 御指摘のように、当日の総指揮者としては淺沼稻次郎氏、また三方面の指揮者にもそれぞれ社会党の議員が当たっておられたわけでございまして、これは単に名義だけのものではないだろうと考えております。
  111. 渡海元三郎

    ○渡海委員 ただいまの答弁で大体了解するのでございますが、なおこの点もう一度重ねて明確にお聞きしたいと思うのでございますが、その後における社会党の声明等をながめますと、国会議員の方々は単に請願をあっせんする役を勤めたんだと言っておられましたが、この集会を持たれたために出された指令その他からながめましたなれば、ただいまの警察庁長官のお答えにもあったように、国会議員という立場は別といたしまして、少なくともあの行動全部に対しましての責任者として、当局としては考えられるのが私は当然であろうと思いますが、重ねてこの点を明らかにお答え願いたいと思います。
  112. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 当日実際にもそういう人たちが集団の中にまざり、また集団に対して演説等をして激励しておられる事実がありますので、指導的役割をとっておられたとわれわれは考えております。
  113. 渡海元三郎

    ○渡海委員 しかりとすれば、あの集団がただ個々の陳情の寄り集まりでなく、少なくともああいった姿になったものが都の公安条例に違反するところの集会と認められる限りにおきましては、指導的立場を果たされたこれらの方々も不法集会を催した責任者として考えられなければならないと思いますが、この点に関しまして石原国家公安委員長に御見解を承りたいと思います。
  114. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 今回のあの集まり、行動は、御指摘のように公安条例に私は明白に違反しておる不当な集会あるいは不当な示威運動、行動であろう。こういうふうに解しておるものでありまして、しかも今回の国民会議のいろいろの計画によりますと、先ほど警察庁長官がお答えしておりますように、総指揮者あるいはそれぞれ三方面の指揮者というものを決定いたしまして、それぞれの部署におきまして指導、指揮しておるということが現に確認されておるのであります。そういう行き方から見まして、今お話しになった通りであろうと思います。
  115. 渡海元三郎

    ○渡海委員 ただいまの御報告にもありました通り、今回の集合は労組員六万、学生一万五千、七万五千に上る大衆に呼びかけられたものでございまして、これらの大衆が集まりますとき、そこに何らかの不穏なることが起こり得るということを予想されて、警察当局がこれに対して五千数百名の警官を配して、そのような不法事件の行なわれないように、平常に事態が収拾するように処置されたことは、私は当然の処置と考えるのでございますが、その後、この集会を持たれた側の声明等をながめてみますと、国民会議は大衆デモとして行なわれたものでなく、憲法で認められた国民一人々々の請願権の行使である、こう言っている、また別の方によりますと、警察官による大規模な弾圧が行なわれた、このことは不当である。このような声明を出しておる。また当夜の社会党の声明にも、正常な請願行為である、これを警察が挑発して起きたのがあの事件だ。こういうふうな声明を出しておられるのでございますが、これに対する警察当局の見解はいかがでございますか。
  116. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 請願という名をとっておりまするけれども、憲法で認められております国民の権利というものは、平穏な形において行なわれるということが必要なのでありまして、あのような大集団をもって三カ所に集まり、そうして国会に向けて進むというような態勢をとることは、まさに請願に名をかりた威圧行為であると言われてもやむを得ない性質のものであろうと思うのでありまして、こういうものは正常なる請願とは認め得ない。先ほどから申し上げておりますように、従いまして不法集会、不法集団示威運動ということであり、かつこれがさらに不穏な情勢に発展することを懸念いたしまして警察部隊を配置したようなわけでございます。従いまして、警察のとりました措置というものは、われわれは妥当なものであり、決して不当な弾圧と呼ばれるべきものではないと考えます。いわんや、先ほども申しましたように、警察が終始守勢に立って事態を円満に解決すべく努めたにもかかわらず、これを突破して国会内に乱入するというような事態を起しながら、またそういうことを起こした後に、これに付和雷同して随従した者もあるごとき、こういうことの事態をもって、警察が挑発したというふうに考え、あるいは言うということは、まことにもってのほかのことであるとわれわれは考え、非常に遺憾に存じておる次第であります。
  117. 渡海元三郎

    ○渡海委員 現在の法によりますと、三々五々集まっておる体形におきましては、前に本委員会で問題になりました警職法でも、これに対して何ら措置することはできない、しかし違法な状態が起きたときには、これに対し警察として処置することができるということになっておりますが、あの場合、三々五々集まってきた者があのような集会になったときは、当然都公安条例に示すところの無届けによる違法なる集会である。従って警察官としても処置されたのは当然であろうと思いますが、聞くところによりますと、議員団のあの当時の集団におけるところの演説の中で、都公安条例は違憲だ、憲法違反だ、だからそんなものは必要ないのだ、こういった言辞まで奔されておったそうであります。私たちは、明らかに都公安条例の違反である、このように認めて、警察措置されるのは当然であったと考えるのでありますが、警察当局の御見解はどうであるか。なお、どういう現況においてこれらのことを的確に処置されようとしたか、そういう点もお伺いいたしたい。
  118. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 都の公安条例につきまして、一部違憲の判決があったことは事実でございますが、すでに合憲の判決も多く見ておるわけでございまして、現に都議会において制定され、公布されて、厳然として存在します公安条例であります以上、われわれはこれを合法的なものとして、これに基づいて必要なる措置をとって参る考えであります。また集団になりまする前、三々五々集まる者については、これは現行法においてこれを制止することはきわめて困難なことでありまするが、集まった者について必要なる警告を発し、その行動をさらに状況によりましてはこれを制止する、また事態によりまするけれども、これを解散させるということも、考え方としてはあり得るわけでございます。しかし当日の場合におきましては、再三警告をし、必要やむを得ない限度において制止をいたし、そうして解散を慫慂した。解散を実力行使によって行なわせるというところまでは至りませんでしたが、解散するように慫慂したという措置をとっておったのでありますが、先ほど来たびたび申しますように、そういう警告、制止、勧告ということをとりつつ、部隊の活動としては終始守勢に立っておったという状況でございまして、警察が積極的に動いて、これを解散させ、くぎづけにするような措置をとるのが適当であったかどうかということは、いろいろ各方面からの批判があり得ると思うのでありますが、あの際に警察として実力的な行動に出た場合におきましては、さなきだに警察官に数百名の負傷者を出しており、デモ隊の方においても相当数のものを出しておるのに、さらに多くのものを出したに違いないと思うのであります。そういうような状況が輪をかけて、非常に悲惨な状況を現出するということになることを避けて、従来の慣例から申せば、チャペル・センター前から構内に突入するのでなくして、人事院前の道路等を通って流れ解散をするという方に導くことが賢明であるという観点に立って、警視庁の指揮官がそういう処置をとったということは、私、現在の考えとしましては、やむを得ない措置で妥当な措置ではなかったかというふうに考えるわけであります。ただ力及ばずして、ああして突破されてああいう事態になったということにつきましては、先ほど申しましたように非常に遺憾に考えております。
  119. 渡海元三郎

    ○渡海委員 警察は低姿勢をとり、できるだけ事を穏便に運び、ああいった事態の起こらないように努められた。それでも三百何名かの重軽傷者が出ておるのでありますから、あるいはあのときとられた処置はやむを得なかったんじゃないかと私も了解するのでございます。しからば、これだけの群衆に対し、これだけの配置をしておきながら、ああいった事態になればとうてい阻止し得ないというのが現在の警察状態でないか、かように考えるのでございますが、その間いかなる状態で任務を守り、この国会の構内に入れないためにどのような努力が払われたか。しかもこの間に多数の議員が介入しておられました。もちろん法の前には平等でなければならないのでございますから、議員といえども構外において不当なる行動をとったときには、厳然とこれを阻止されたと思いますが、しかしながら、実情と申しましたなれば、なかなかそうはいかないのが現状じゃないかと思います。この点、実情に沿うてこれらの事態を未然に防ぐためにしようがなかったが、これらの議員の行動等によりまして、今日の事態が惹起される一つの原因にでもなったのじゃなかろうかと考えるのでございます。具体的に明らかに、この警備線を突破されるのやむなきに至ったことにつきまして、警察当局のお考えを伺いたいと思います。
  120. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 関連して。二十七日の国会の乱入事件は憲政史上まことに汚点を残したものでございまして、国民もひとしくひんしゅくしておるところでございます。そこで私が警察に今関連して質問いたしたいと思いますのは、当日のラジオ、テレビで、淺沼書記長ほか数名の方が現場におきまして、公安条例は憲法違反である、だからこんなものはじゅうりんしていいんだ、粉砕しろ、構内にデモをして突入しろというような、盛んにアジ演説をしております。このことは、むしろ私ども以外に国民全体が、もう衆目の見るところでありまして、これは現実にはっきりした証拠があるわけであります。そこで私は、すべてこうした騒擾事件とか暴行事件であるとかいうことは、これを企画し、これを推進したそのもとに遡源しまして、これを徹底的に処置するということが、これは当然のことでございますが、一つにはこうした現場におけるあの空気を醸成したものの罪というものは、決して私は軽くないと思うのであります。かような点からいたしまして、あの現場においてあの空気を醸成し、あの燃えさかるところにさらに油を注ぎ、火をつけたいわゆる扇動者、あえて扇動者と言っていいかどうか知りませんが、とにかくそれが淺沼書記長かどなたでありますか、これはあとで調べればわかることでありますから、私はあえてここで申し上げませんが、とにかくああした情勢のもとに油に火をつけたような行動に出た人に対しては、警察としていかなる措置を講ぜられるか、それについて警察のはっきりした御方針、態度を承りたいと思います。
  121. 小倉謙

    ○小倉説明員 ただいま両委員からの御質問でありますが、国会構内に乱入せられた。それを防ぐためにどのような警備配置、警察官の活動があったかという点と、それから現場におられた国会議員その他の指導者の者たちの言動、言辞がどうだったかというような点、それに対する処置についての御質問だと思います。  第一点でありますが、国会の警備につきましては、私の方としては実はこういうように考えておるのであります。ああいうような数千、数万というような多数の者が国会に対しまして行動を起こすような場合には、外周においてこれを制止するという方法一つ、それから国会構内勝周辺において構内に入られないようにこれを阻止するというのが第二、それからごく最悪の場合としてこの国会の建物自体を守る、これが第三の方法、この三つに分けて一応考えられると思うのであります。今回の事案の際にも見られましたように、非常に多数の者が旗を持ち、あるいは竹棒などを持ち、歌を歌って気勢を上げる、あるいはデモるというような状況であります場合には、どうしてもこれは外周においてこれを制止するということをいたしませんと、この構内の近くの周辺にこれらの数万というものがそのような状況で参りました際には、この構内は、ごらんの通りへいがありましても、それほどのへいでもないし、まわりはみんな飛び越えて入れるというさくでありますので、どうしてもここでは防ぎ得ないのであります。でありますから外周でこれを制止する、外周を突破されてだんだんと構内の周辺に参りました際には、やむを得ず最悪の場合を考えてこの建物を守るということよりしようがないのじゃないかこういうふうに考えておるのであります。  当時の状況は、チャペル・センター及び人事院あるいは特許庁、この三カ所で多数の者が集まり、相当激しい状況で国会の方向に参るというようなことでありましたので、この三カ所を中心にして、そこで制止をするという方法をとったのでございます。しかしながら、その激しい行動のためにじりじりと押されまして、冒頭に御説明申し上げましたように、総理公邸付近及び衆議院の第二議員公館の付近、それからチャペル・センター、そういうような構内に相当接近した周囲まで多数の者が参ったのであります。しかもその気持は、私の方はこれは正当な請願とは思えませんけれども、集まっておる者たち、また指導をされる人の気持といいますか、言葉によれば、これも一つ請願権の行使であるというような気持、それから確かに中には、公安条例は違憲である、だからこれはやっていいんだというような気持、そういうような激しい気持が多分にあったのであります。従いまして、この構内に接近したそういうような状況において、極力警察力をもって制止するということに努めたのでありますが、先ほど申しましたように、チャペル・センターの舗道のところで百余名に上る負傷者が出、助けてくれということや、あるいは続々と倒れるというような状況、そういうような状況で、その負傷者を救出しているという間隙に乗じて突破をされたのでありますが、これに対して非常に無理な強力なる圧力を加えるという場合には、死傷者がさらに多数出るというような状況でありましたので、人事院の方向に流そうというのが、だんだん押されて正門の前に参ったわけであります。正門前には当初警察官を多数配置しておったのでありますが、総理公邸前及び衆議院第二議員会館あたりの状況が非常に激しくなり、しかも地下鉄から出てくる全学連あるいは一部の組合員等の動きも激しいということで、その方に相当数の者を急派いたしましてこれを押えた。そういうようなことで、残りました警察力をもって極力正門から入られることを阻止いたしたのでありますが、ついにこれを突破されたということになったのであります。その際の武器等の使用につきましては、私どもの判断によりまして、この際そういうような武器を用うるということは、非常な混乱を来たし、また乱闘的な状況になり、死傷者が続出するというような悲惨な状況になるということをおそれまして、極力人力をもって阻止することに努めたのであります。そういうような状況でございまして、今の正門前から入らんとする状況、そういうようなものを見まして、直ちにほとんどすべての警察官を国会の周囲に集結いたしまして、先ほど申し上げました最悪の場合この建物を守るという態勢に移ったのであります。衆参両院議長の方からも、そのころ合わせて五千名の警察官の派遣を要請されて、構内に入ったのでありますが、構内に入りました警察官は議長の指示に従うことになっておりますので、指示に従って待機をいたして備えたというような状況でございます。  それから第二の点の、議員及びその他の指導者の方たちの言辞であります。これは相当激しい内容のものであったことは間違いないのでありますが、ただ、それが具体的にどのような言語でなされておったかということにつきましては、今日捜査中でございまして、その状況が明らかになりましてから、この事案とどのような関係があったかということにつきまして十分糾明をいたして参りたい。従いまして、その措置につきましても、その真相を明らかにした上で適正なる措置を講じたい、こう考えております。
  122. 川村継義

    川村委員 渡海委員の御質問に関連してこの際聞いておきますが、先ほど渡海委員の質問に対して、大臣も、それから長官も、総指揮をとった責任者は淺沼さんだ、それから各部署における指導的役割を果たしたのは議員であるということをはっきりおっしゃったですね。きのうの本会議大臣の答弁を聞いておりますと、そういう倉石氏の質問に対して、そういうところまで言明されなかった。私は言明できないことであったろうと思うのです。きょうはきのうのお考えと少し違っておる。これは何も、本会議終了後自民党の代議士会へ大臣が呼ばれて、非常にこっぴどくつるし上げを加えられた、そういうことで御意見が変わられたとは思いませんが、何で淺沼氏があの集団の総指揮という責任をとったのか、そこのところが私たちにも合点がいかない。ちょうど前の日の二十六日、私の方の代議士会が開かれたときに、私の方には御承知の通り国民運動委員会というものがありまして、その国民運動委員会委員長が、あすはこうしてたくさんの人が国会に陳情に来る。その大体の陳情に来られる場所は、あなたが知っているように三カ所になっている。そこで国民会議としては、十分統制ある行動をとって、その中から代表を選んで陳情をすることになっておるから、いろいろ不祥的なことは起こらないであろう。そう考えるけれども、やはりたくさんの者が集まるのだから、議員もそれぞれ手分けしてその場所に行って代表者の陳情をあっせんするようにする。そのときにたとえばチャペル・センター前にはこれこれの議員が行ってもらいたい、人事院のところにはこれこれの議員が行ってもらいたい、そうして代表者が国会に陳情に入られるときにあっせんをしてもらいたい。その場合の全体的な世話役——まあ総指揮という言葉を使われるかもわかりませんが、そのときには全体の世話役を淺沼書記長にやってもらいたい、そういうふうにお願いをする。こういうことが前日私の方の代議士会でも話があって、われわれはそれを了承している。だから当日もわれわれの方がとったことは、それに従ってやったわけでありまして、今だんだんお話しのように、あるいは集まった場所におった議員の人が少し大きな声で激励的なことを言ったのかもしれませんん。しかし、それは目的を同じくする仲間の者に対して、議員の人が激励的な演説をするということはあり得る。そういう形でやっているのに、あのような事態を起こしたからといって、その集団の総指揮は淺沼書記長だ、こういうような断定の仕方はおかしいのじゃないかと思うのですがね。きのうの大臣の本会議におけるお考えと、長官がおっしゃったことはずいぶん違ってきているように思うのですが、どうでございましょう。私は決して言語のかけ引きなどを言って申し上げているのではない。あなたはさっき、あの集団の総指揮官は淺沼さんと言われたし、各部署にも指導的役割を持った議員がおった、こう言うのですから、あの事態を起こしたのは社会党の陳情あっせんに出ていった諸君に全責任があるように印象づけられる。そういう印象を受けるような言葉としてやはり聞いたのですが、これは非常に大へんなことだと思うので、この際、私が知っているその前後の話をここで率直に申し上げて見解を聞いておきたいと思う。
  123. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 私、昨日申し上げたこととここで申し上げたことと別に違いないのであります。あるいは本会議が騒がしくて聞き取りにくかったのかと思いますが、速記録をごらんになればちゃんと出ております。国民会議の計画によれば、総指揮に淺沼議員、それから三方面にこれこれをそれぞれの方面の責任者とされて、当日それぞれの部署で現地において指導しておったことが確認されておると、私は昨日の本会議でも申し上げておるのであります。きょうここで申し上げたことと何ら違っていないのであります。速記録等をごらんになっていただきたいと思います。
  124. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ちょっと誤解があるのではないかと思うのでありますが、まず国会へ乱入した一万二千というものを計画的に指導したものがあるかないかという問題と、あの請願デモ全体二万五千集まったと申しましたが、そういうものを集団的に集めて、いわゆる不法デモを行なったというものとは分けて考えていただきたいと私は思うのです。そういう意味で、あとの乱入というものがあとでついて参りますので、乱入までその計画にあったという意味で私ども申し上げておるわけじゃありません。これは将来さらに調査を進めなければわからぬ問題でありますけれども、少なくとも請願デモというものについての計画は、すでに早くできておるのでありまして、二十六日に社会党でそういう委員会があったということは、私はきょう初めて伺って承知をいたすのでありますが、私ども入手いたしております十一月十八日発の日本社会党東京都連合会の執行委員長、同事務局長、これから各支部長等に対してあてた安保改定阻止第八次統一行動を中心とする行動についての動員要請という表題で、その要領の中に、総指揮をチャペル・センター前に置き、淺沼書記長を総責任者とする国民会議幹事会が当たるということがはっきりこれに書いてあるわけであります。その次に、動員部隊は左の三方面に結集するものとする。チャペル・センター前、社会党、共産党、都労連、学連、農民、婦人、平和団体、総指揮者赤松勇、その他二人と書いてあります。それから人事院前、外務省三万一千名、総評、地評、公共企業労組、国公労、学連、総指揮者江田三郎、その他三名。それから特許庁前、総評、地評、民間労組、中立労組、学連、総指揮者山花秀雄外二名、こういうふうになっておるのであります。これは十八日に出されており、事実当日の状況を見ますと、この人たちがその指揮にあたっているという現状でありますので、これがやはり指導的役割をしておられたというふうに見るのが、常識的であろうというふうに私は思うのであります。
  125. 太田一夫

    ○太田委員 関連して。特に柏村さんにお尋ねをするわけですが、先ほどのずっと最初の御説明、これは最後のところで実に簡単にお話の締めくくりがありました。六時過ぎに静まったとおっしゃった。それから小倉警視総監も同じように六時過ぎには静まった。残った約三千人の者が出たのが十八時、午後六時、こういうことをお話しになったんですが、そこのところで今田中委員の御質問になったことの淺沼さんの責任に関することに重大な関係があるような気がするのですが、大事な皆さんの報告は客観的でなければならぬと思うわけですが、午後六時ごろに全学連の、あの当時千何百人ぐらいしかおらなかったような気がいたしますけれども、この人たちが退去するという原動力をなしたのは、その前に淺沼さんが退去してくれといって説得をして、これによってすわり込みをしようとした彼らが退去することになったんだ、これが現実の事実です。このことをお話しいただかなければならないのです。その前に、あなた方の方は、おそらくこれが退去できないようならば、何時までに退去できないならば、非常事態宣言をして、まずまっ先には水をぶっかけて退去させる。そういう計画があったんだから、その前に淺沼稻次郎氏が出て行って、みんなここにおってはいかぬのだから出てくれと言ったから出たんだ。すわり込みをしてくれと言ったのではなくて、出てくれと言ったから出たんだということを、一つそこの説明の中に入れなければならぬ。事実はそのままに言って下さいということです。  それからもう一つ、田中さんに関係あることだが、当時国民会議というものの性格、これは渡海さんもそのようなことをちょっとおっしゃっておられますが、国民会議性格ということから考えたならば、この責任の中心はどこにあるかということは、当日は、この会議そのものは並列責任でございますけれども、当日の指揮車というのが一つあったでしょう。これは柏村さんも、小倉総監も——当時総評の山石井さん、それから社会党の赤松さん、国民運動の委員長江田三郎さん、それから山花さんがこれに乗っていらっしゃった。スピーカーをつけて指揮する車、国民会議の指揮車というものがあった。それがどこで機能を失ってしまったか、だれに阻止されたかということをあなた方の方は御承知だと思う。おそらくその指揮車の行動が、いわゆるスピーカーの性能というのがもう少し完備していたならば、こわされずにおったならば、あのようなことにならなかったと思うのです。まことに遺憾千万ということを考えますと、あれを行動できなくしたのはだれなのか、おそらく皆さん御承知でしょう。そういうことをお考えにならないと、赤松さんも胸ぐらをつかまえられてうしろからどずかれて、江田さんは国会内に逃げて帰ってしまった。そういう状態があった。こういうようにそのときの暴動が起きる前のいろいろなことも詳しくお話しいただきませんと、田中さんのように、あるいは淺沼さんが先導者じゃなかったろうか、渡海さんのように、国民会議の最高責任者は鈴木茂三郎さんか淺沼稻次郎さんじゃないかという疑惑が出てくる。そういう点もわかっておったらついでに発表していただきたい。
  126. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 何も私は淺沼さんが先導者であるとか、淺沼さんがあすこに誘導していったということを申し上げたわけでもなく、特別に何か含んできのうも実は法務委員会で、何か含むのかというお話ですが、そういうことをお聞きになる方が非常におかしいのであって、われわれは事実知ったことを申し上げ、必要なことを申し上げているわけなんです。それで、さっき申し上げたように十八日の通達にそう載っておるし、現実にその日にそういう方々がやはりそういう部隊を指揮する形において参加しておられるということであれば、そういう人たちが指導的役割を果たしたのであろう。これはいわゆる請願デモの集団に対しての問題を私は述べた。それから国会に入った状況、それからその後の状況というものは、とりあえずは国会内の問題でありますから、正確には、でき得れば国会事務当局がこれについてはっきりさせるべきであろうと思います。しかし、その当時警察官も、あとの五千名の前にある程度警察官というものは、常時のものと臨時のものと若干入っておりますから、そういうような者によって目撃された事実というものは、これは若干つかんでおるわけであります。また写真等もとったものを持っておるわけでありまして、われわれはそういう他の報道機関の録音とか、写真とか、警視庁自体でとった写真とか、あるいは目撃とかいうようなことをできるだけ正確を期して集めて大成しまして、そうしてはたしてどういう状況においてああいう事態が、構内の問題が起こったかという問題は、さらに慎重に検討を要するとういふうに考えておりますが、何か私に対しての叱責的お尋ねは、私がさっき言ったことが、国会乱入事件を主として私が言っておるような印象でお話しになっていると思うので、その点は誤解のないように願いたいと思います。
  127. 渡海元三郎

    ○渡海委員 ただいまの柏村長官の御答弁によりまして明らかになったと思いますから、私もこれ以上申しませんが、議員がみずからの権限を踏みにじるようないわゆる乱入を意識してやられたということは、私は決してそんなことは疑いを持っておりませんし、そんなことは信じないのでありまして、ただ三々五々に集まった集会であるが、ああいうふうな集団になった以上は、これは無届けの一つの集まりと見なくちゃならぬ。しかも国民会議なる名のもとに集められておりますが、それが並立的な団体であって、特立ての責任者がないということであれば、当日の総指揮となっておられる指揮者がその集団の責任者ではないか、こういう意味で聞いたわけでございまして、ただいまの柏村長官の御答弁で明らかになったと思いますので、この点はこれ以上申し上げません。  ただ今の小倉総監の御答弁、極力手を尽くしたがやむを得なかった、あれ以上やるときにはおそらく非常なる流血の惨事がある、あれ以上の混乱と不祥事件を惹起したであろう、やむなく引き下がったという状態は、ただいまのお答えによりまして大体わかったのでございますが、ただ岩井総評事務局長の談話で、新聞に発表になっておるところによりますと、「警察側はいつもなら国会の正門前を中心に守っているのに、今度は正門はむしろ手薄で、警察側に、挑発しようとの構えが強く見えたと思う。」こういった言辞を弄しておられるのですが、事実そういうふうな状態であったのかどうか。この点を国民の前に解明するためにも、いま一度この点も含めて御答弁を賜わりたい。
  128. 小倉謙

    ○小倉説明員 当日の警備の方針なり警備の仕方ということにつきましては、従来の方針あるいは仕方と別段変わった考えでやったわけではないのであります。ただ、従来は大体チャペル・センター前だけに集まって、そこで代表者が国会に行って陳情あるいは請願をして、その報告を聞いて人事院ビルの方に流れて解散をしていく、こういうような状況であったのでありますが、当日はチャペル・センター前のほか、特許庁、人事院、この三カ所に非常に多くの集団が集まったのであります。そのそれぞれに対して警備配置をいたしたのであります。そして国会正門の前には相当数の警察官を配置し、警戒をいたしておった。これも先ほど申し上げた通りでありまするが、この特許庁、人事院方面に集まりました集団がだんだんと阻止線を激しく押し、突破して参りまして、総理公邸あるいは衆議院の第二議員会館の方向に押し寄せてくる。また地下鉄の方から出てきました三百名余の者も、その方に加勢しておりました者が激しく動き出すということで、正面前を警戒しておりました警察官の中の相当数の者をその方に急派いたしまして、これを押えざるを得なかった。こういう実情はあるのでございます。何も特段の意図があってそういうような正門の前を手薄にしたというようなことは絶対ございません。そういうようなことを言われるのはまことに心外であります。
  129. 渡海元三郎

    ○渡海委員 先ほどの総監の御答弁の中に、警備態勢を三段に分けられました。外周でこれを防止する場合、国会の敷地のごく近くの周辺で防備する場合、それから建物を守る場合、この三段階に分けられた。外周で守るということができなくなったあのような場合には、とうてい国会の敷地の周辺において守り得ることは、ああいった状況においては今の姿ではできない、このためにやむなく引き下がって建物を守るという態勢に移った。こういうふうにお答えになられたのでございますが、そういうことでありましたなれば、現在の警察制度警察力等をもってしてはこの国会を守ることができない。そういう事態でございましたなれば、当然何らかの立法措置が行なわれなければ、このような不祥事件の再度の惹起というものを現在の警察をもってしては防止できない。こういう感覚、現地の最高責任者がそのように言われる限りにおいて、当然何らかの立法措置をわれわれは考えなければならない。かように考えるのでございますが、この点に関し国家公安委員長はいかなる考えを持っておられまするか、お聞きしたい。
  130. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 今回の第八次行動のあの実情等から考えまして、また将来かかることなしとも保せられないのでありまして、私といたしましては、やはり国会周辺なり、あるいは問題があれば裁判所周辺なり、こういうものについてのいわゆるデモ禁止と申しますか、何らかの規制措置を講じていかなければならないのではないか、かように考えております。
  131. 渡海元三郎

    ○渡海委員 国会内部の行動につきましては、議長権限でございますから、私はこの場で聞くことはやめますが、ただ最高のときには約一万二千の群集が国会の構内に流れ込んだ、かように報告がございましたが、この一万二千のおもなる団体名並びにその団体ごとの数が、もしおわかりであれば御報告賜わりたいと思います。
  132. 小倉謙

    ○小倉説明員 先ほども申し上げましたように、いまだその点ははっきりいたしておりません。調査中でございます。ただ学生が先ほど申し上げましたように三、四千名、そのほか労働組合の若い者がだいぶ多いと思いますが、その他関係団体であるとかいうことでございますが、はっきりした数字は現在調査中でございます。
  133. 渡海元三郎

    ○渡海委員 ただいま目下取り調べ中でありまして、こまかい数字はわからないということでありますが、聞くところによりますと、官公労の労働組合と目される方々も相当数入っておった。こういうふうなことを聞いておるのでありますが、この点に対する見解はいかがでありますか。わかっておる限りお答え願いたいと思います。
  134. 小倉謙

    ○小倉説明員 そういうようなことも当然考えられると思いますが、さらに調査をいたしたいと思います。
  135. 加賀田進

    加賀田委員 関連して。今の構内に乱入した団体の名前を発表してもらいたいということでありますが、それに関連して、ただいまの柏村長官の説明の中で、この計画は事前に不穏な状態のあるような動きを察知した、こういう発言があったのであります。そういたしますと、警察庁としては、何かそれに対して特殊な団体がそれらの計画行動があったということを知っての発言であると思いますが、その点わかっておったら明確にしていただきたい。団体名、時期、集合の指令等を詳細な点についてお伺いいたしたいと思います。
  136. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 不穏な事前の情報ということは全学連についてでありまして、全学連は構内に突入するという計画を持っておったような確実な情報を得ておったわけであります。しかし、その他のものについては、これから調査しなければ、はたしてそういう計画があったのかなかったのか、なくて全学連等の動きにつられて入ったのか、またこの近所に来て少し元気になってそうして入る気持になったのか、そういうような問題、またその指揮者というようなものについて詳細調べる必要があると思いますが、事前にわれわれが非常な警戒をもって考えたのは全学連についてでございまして、その他については事前に突入という情報は得ておりません。
  137. 加賀田進

    加賀田委員 そういたしますと、大体明白になりましたのは、事前にそういう不穏な計画行動等があったのではないかということは、全学連だということになりますと、それに対して事前の防備工作というようなことをやったのかどうか。やはりこの資料によりますと、全学連、学生が相当数入っておるようでありますが、従ってそういうような不穏な情勢、動きというものを察知できたような場合には、警察としては特殊な対策というものを考えてみなければならないと思う。われわれとしては、われわれの知るところでは、正常な行動であって、そういうような状態のないように、特に整然とした陳情という行動を起こそうという計画しか察知しておりません。われわれはそういうふうに信じておるのでありますが、不幸にして、こういう国会構内に多くの人が入るというような場合に、やはり今聞きました通り、全学連を中心として事前計画を立てておったということになりますると、この警備に対しては従来と異なった特殊な警備方法というものが考えられなくちゃならない。そういうことでこの警備計画を立てたかどうか、その点についてお伺いいたします。
  138. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 そういう情報を得たのでありますが、これも現行法上、三々五々集まる、また学生であるかどうか見分けのつく者もあり、またつかない者もあるということで、この点は事前にこれを阻止するという措置はとれない。ところが、この安保改定阻止国民会議が計画されたあれでは、ほとんど各部隊の先頭に全学連傘下の学生を立てて、それに続くような態勢をとっておられたように私は見受けたのであります。これは非常に遺憾なことであったと思いますが、これを一方にだけ固めるというようなことであれば、またもしあらかじめそういう計画がなかったとすれば、おのずから結果が違っていたのじゃないかというふうに考えます。
  139. 加賀田進

    加賀田委員 どうもその点が……。今の長官の発言の中で、結局構内に入ったのは学生が多かった。全学連の学生が、この資料によっても四千九百名というのが入っていた。そういうことで、これは事前にそういう計画があったのじゃないかという印象を受けるのですが、さいぜんの発言では、事前にそういうことは明らかになっていたということです。そうすると、将来の調査に支障のない限り内容というものを明らかにしてもらいたい。ただ一部下から聞いたというような簡単なものでなくて、相当確実な情報として長官がキャッチされておると思うのです。だから将来の調査、そういうものに支障がない限り、その点は一応明確にしていただかなければ、これは警察行政としても重大な問題だと思う。ただ、そういうものを明確に知りながらも、そういう事態になったということに対しては、やはり警察庁としても将来考えなければならない点があるんじゃないかと思う。もう一つ事前の情報その他をキャッチした内容について明確にしていただきたいと思います。
  140. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 入手経路その他についてこの際申し上げることは差し控えたいと思いますが、要点を申しますれば、今申し上げましたように、相当の検挙者を見ても、警察の囲みを破って国会に突入するというような趣旨であったように私は記憶しておるわけであります。こういう点、何か非常にこまかいところまでお聞きになりたいのかと思いますが、その程度で全学連の意図というものはおわかりだと思いまするし、いかがでしょうか。
  141. 加賀田進

    加賀田委員 私は、詳細な調査報告等をここでしていただきたいということは申しません。従って、今国民会議のビラ等を皆さんここで発表されましたが、そういうビラ等によって入手したのか、あるいはある会合の決定を聞いてそういう情報を得たのか。それらの点くらいは明らかにしても、将来の調査に対して決して支障を来たさないと思います。
  142. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 入手経路については、先ほど申し上げましたように、どういう形のものであるといえば経路はすぐわかるわけです。従ってちょっとこの点は私から申し上げかねます。
  143. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 ただいま全学連の問題が出たのでありますが、全学連は、皆さんも御承知のように昭和二十七年二月、東大ポポロ劇団事件を起こしまして、相当な問題を起こしております。それから同じく二十七年の四月に、破防法反対ゼネストを計画いたしまして、これにも大きな問題を起こし、さらに同年の五月一日、皇居前広場におきまするメーデー騒擾事件につきましては、全学連が外苑の集会から先頭を切りまして日比谷公園に入り、日比谷公園から馬場先門まで先頭を切り、さらに皇居前広場には、全学連が朝鮮人団体とともに先頭を切ってなだれ込んだのであります。それから同じ月の五月に、新宿駅前東口におきまして、全学連の連中が火炎びんを投下いたしまして、相当な事件を起こし、さらに六月には吹田事件、あるいはまた三十一年十月には砂川基地拡張反対闘争、それから昭和三十三年五月を中心とする原水爆禁止運動、同三十三年六月以降は勤評反対闘争、十月以降は警職法反対闘争、こういうふうに常にあらゆるこうした運動の先頭分子、中核体となりまして、相当大きな役割を演じたのであります。そこで、今回の二十七日の事件におきましても、全学連が先頭を切ったことは、これは事実でございます。同時に、それに加わって他の労働組合員あるいはまた公務員、地方公務員の人たちも、この全学連を先頭にいたしまして、相当な騒擾事件を起こしておるのであります。そこで私は、警視庁におきまして、全学連の本部を襲い、あるいは総評の本部を襲い、あるいはまた全学連の幹部を逮捕しつつあるのでありますが、この全学連だけに全責任を負わせて、これだけが今回の事件をやったというような考え方は、これは非常に危険だと思います。全学連はもちろん相当な役割を演じたと思うのでありまするが、それを囲むところのいろいろな勢力、そうしたものが、やはり今回の騒擾事件を起こした一つの大きな原因になっておるのであります。そういう意味におきまして、私は、警察当局が、単に全学連だけでなくして、その他のその周囲を囲む各種の団体、あるいは先ほどもいろいろ問題になりましたが、だれが当時の総指揮者であるか、これは捜査を進めてみればわかることでありますから、この捜査の進捗状況によりまして、最終的には総指揮者を検挙して、これを徹底的に糾明する必要があると思いますので、この点を警察に進言をいたしておきたいと思います。
  144. 柏正男

    ○柏委員 関連。私はただいまの柏村長官のお話を聞いておりまして、全学連においてそういう不穏な計画を前もってしておったという情報を入手されておったという御説明でございますが、この全体の経過を見ますと、私どもは、この中において、なるほど若い人たちが構内に入ってきたとは思います。そうしてああいうような状態でデモやジグザグ行進をいたしておりますが、けさ法務委員会に提出されました警察当局が示されましたこの構内でのデモの状況を記したあの地図の中に、その動きを記されました赤い点線の中から見ましても、あの人たちのやりました行動の範囲というものは、この構内の正面玄関のあの広場の範囲以外は出ておらないのでございます。あの結果から見ましても、その不穏な計画というものの終局なるものの範囲というものが、実に限られたものであって、私は、実に幼稚だという感じしか受けないのであります。そういう点から見ましても、ただいまお話のありましたようなそういう不穏の計画というものの実体が、はたしてどういうことまで言われておるのか、私どもは、結果から見て実に幼稚な、ほんとうに子供らしい行動であったというように考えるのでございますが、不穏の計画の内容というものに対して、もっと深くお調べになってお話を願わなければならないと思います。この点は非常に私は重要な点だと思います。警察当局は、不穏な計画があったということによって、全体のこの問題が国民に対して非常に悪い感じが残るような印象を与えるのでございますが、それだけに私は、柏村長官のところでわかっておりますだけの不穏なる計画の内容というものを一つお知らせ願いたいと思います。
  145. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ちょっと私よく受け取りかねたのですが、今非常に問題になっておりますのは、従来一時デモなどがちょっと入って、すぐやはり神聖であるということで出ていったというふうな、この神聖視されている国会の構内になだれ込むということ、しかも警察の制止をきかず、これをむしろ敵として突破して入るということが不穏な行動ではないのだ、それは子供の遊びみたいなものだというお考えでありますならば、われわれの考えとちょっと違う。暴力革命を標榜するものが、一挙に今直ちに彼らの手によって革命を起こせるものでもありません。またねらっておっても、そんなことになってはたまったものではありません。しかしながら、彼らが考えることは、一歩心々今まで入れなかったもの、犯し得なかったものを犯していくということによって世間に自分らの力を示し、また自分らの力をためしていくということなのでありまして、まず法を犯すということから始まって、だんだんそれを積み重ねて大きなものになる。そうしていよいよひどいことが実行できるという実力を整えた暁においてで一挙に革命を成就せんとするのが彼らの常法であります。そういう意味において今回の、警察官に若干名逮捕されて、そうしてさらにそれを乗り越えて国会に突入するというようなことは、それ自体私は不穏な計画であると考えるのであります。
  146. 渡海元三郎

    ○渡海委員 私は結論を急ぎたいと思っておったのでありますが、ただいまの発言もございましたので、最後の点を特にお聞きしておきたいと思うのです。この事件が起こりましてから、全学連並びに総評を捜査されたということは、新聞に出ておって承知しておるのでございますが、その後この事件に対しまして警察当局が行なっておられます処置を、許せる範囲内におきまして御説明賜わりたいと思います。
  147. 小倉謙

    ○小倉説明員 事件の翌早朝から直ちに捜査を開始いたしたのであります。全学連の拠点を捜索し、また責任者三名を逮捕いたしましたのを初めといたしまして、その後総評あるいは地評その他関係団体の捜索、さらに資料のあらゆる面からの収集をいたしておるのであります。なお、今後もちろん引き続いて糾明すべき点につきましては強力なる捜査をいたして参りたいと思うのであります。私ども警視庁といたしましては、主として公安条例違反並びに建造物侵入、また事情がはっきりいたしますならば暴行傷害その他の法律に準拠いたしまして、責任を問うべきものは厳重に責任を問うという態度で臨んでおりますが、現在進行中でございますので、この程度でお許し願いたいと思います。
  148. 渡海元三郎

    ○渡海委員 ただいま全学連の検挙者三名と言われましたが、その三名の写真は新聞で見たのですが、なお逮捕命令が出ております全学連の清水委員長、これはまだ逮捕されておらないかどうか、この点を御説明願いたい。
  149. 小倉謙

    ○小倉説明員 まだ逮捕いたしておりませんが、厳重に捜索中であります。
  150. 渡海元三郎

    ○渡海委員 新聞では、逃走中の清水全学連委員長がデモ報告会でぶった、報告会を行なっておると出ておる。現在の警察が、自分の目の前でこういうふうな行動を行なわれながら、しかも新聞がそのことを報じながら、なおこれを逮捕することができないというふうな姿でありましたなれば、八百万都民は安閑としてまくらを高くして休むことができないと思う。これでは治安の責任者としておられる皆様方の責任は果たされないと思う。  なお本事件と関連いたしまして、三十日の夜中早大の構内におきまして、一名の警官が当然公道に使用されておるところの構内の道を夜間巡らしておったところ、学生に数時間にわたってつるし上げを受けた。こういう事件が起こったが、大学当局との話し合いができまして無事に帰ったということでございます。私は、いろいろな事実もございますから、これを厳重に取り締まり、処罰しろとは申しませんが、署長の談話として新聞に発表されておるところによりますと、帰れたのだから事件としては取り上げないと言っておられます。おそらく署長としましても、この事件について考えるところあってこうされたと思いますから、私はこれ以上申しませんが、いわゆる学内自治は守らなければならぬ。私も学生生活をやったのです。学生の考えるところもある。しかしながら、現在の風潮というもの、自由に名をかりてその自由を踏みにじる行為、権利の名のもとに権利を破るがごとき行為、これを警察当局が漫然として手をこまぬいておられる。そこに今のような若い学生がみずから誤りながら、誤ったことを知らないという状態が起きておるのではないか。こういったことが続けられるようなことでは、ほんとうの治安は守られない。法治国として何が正しいか、何が正当であるかということは、責任ある当局が断固として示していただく覚悟がなければ行なわれないと思う。そこらに起こりますところの集団行為にしましても、集団であったなれば正しいんだというふうなことにおいて看過されておるところに、現在の治安の不安が起きてきておるのではなかろうかと思う。今回行なわれました全国の統一行動につきましても、この意味において厳然たるところの処置をなされるかどうか。私は、当局はもっと確信を持って、集団行為であっても不法は不法なんだ、こうやるところに初めて正常な法治国としての生活が営まれるのではなかろうかと思う。私たちが学生時分に大阪でゴー・ストップ事件というのがありました。あのゴー・ストップ事件のときには、兵士が外出をいたしまして、一市民となって歩いておった。たまたま交通警察の注意に従わなかったために警官が注意を与えた。ところが兵士であるという特権をもって、時の軍部が警官の指図に従わなくてもいいのだというような考えのもとから事件を起こして、中央の大きな問題になったのです。兵士であろうとも、一歩外出して市民になった以上は、当然法のもとに従わなければならない。この秩序が行なわれておったなれば、日本はあのような敗戦にならなんだ。このような、兵士という服装をつけておったがために警官の指図に従わなかったところに、ああいった軍部の横暴が許され、これが日本の敗戦を招いたのではなかろうかと思う。現在は変わりまして、あるいは学園の自治だといい、学園の自由だという。しかしながら、誤った学園の自由を皆様方がそのまま目をつぶっておられるところに、現在の日本の不安の根本があるのではないかと思う。この点に関する石原国務大臣の確固たる御意見をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  151. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 先ほど国会周辺であるとか裁判所とか、こういう問題について私の考え方を申し上げたのでありますが、ただいま渡海委員よりいろいろお話のありました点につきまして、現在の法制のもとにおきまして、警察官の職務執行上の行動についてまだ足りない。法制的に本来の職務を執行する上において足りない面といいますか、支障のある面もあるやに感ぜられますので、こういう面につきましても一つ今後とも検討を続けまして、私も、渡海委員より御指摘になりましたように、暴力ことに集団的暴力、組織的暴力につきましては徹底的に排除するように、諸般の法制の整備をしていかなければならない。法制の整備をすると同時に、一般の国民の教養を高めるといいますか、良識を向上せしめる。こういう方向で進んでいかなければならないと思っておるのでありまして、ただいまの御意見十分拝聴いたしまして、公安委員会等におきましても今後論議、検討を続けて参りたいと思います。
  152. 川村継義

    川村委員 長官、先ほど柏委員のあれにだいぶ長官の声が大きくなりましたが、こうじゃなかったですか。加賀田委員が、たとえば全学連等が不穏な計画を持って、ちゃんと初めから計画的に行動を起こした。そういうようなことであなたはお話しになったが、それは一体前もってそういう情報がちゃんとあったか、それは握っておられたか。握っておられたならば、それに対する処置というものを考えてしかるべきではなかったかという意味の発言があったでしょう。     〔飯塚委員長代理退席、渡海委員長代理着席〕 それで柏委員がそれに関連したようなことで、実はその構内に諸君が入った、それは悪いですよ。柏委員は、言葉の言い方は悪かったかもしれないけれども、それがよかったとかなんとか言っているのじゃない。とにかくああして構内に入っているということは悪いことで、よくないことはわかっている。しかしそれはそれとして、一応中に入ってから全学連の諸君の行動を見ておられると、初めからそんな大それたえらい計画で乱入したとも思えない。そこで、全学連がはたして事前にそういうような行動計画を持ってやっておったのか。そうでなくて、やはり集まって騎虎の勢いというか、群衆的心理というか、そういうところでああいう不祥事を起こしたのじゃないか、初めからそういう計画があったのじゃないかという疑問も出てくる。そういう点が考えられるから、前もってそういう計画があったなら、それをどういう形でその情報を握ったか、それを言うてもらわぬと、やはりこちらとしては全学連がはたしてそういうような大それた計画を初めから持って行動してきたかどうかわからぬじゃないか。こういう意味のお尋ねだったと思うのです。決してその入ったことを是認しているのじゃない。そういう意味の質問でないということをあなたもよく聞きわけて答えてもらいたい。どうもそのところを受け取り方がちょっとあなたの方が間違っていた。
  153. 渡海元三郎

  154. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私は、二十七日の国会議事堂構内への乱入事件につきまして、いろいろと国家公安委員長警察当局が、本会議あるいはまた各委員会等で答弁なさっておる。少々見解を異にする点はございますけれども、最近めずらしく当局は良心的であると、私はこういうように考えております。しかしながら一部——委員会にはそういう質問が出なかったと思いますが、自民党の諸君の質問の中には、非常に誘導尋問的な傾向が見られる。事実を非常に曲げて解釈しておられる。質問だからいいというようなものだと思うのでありますけれども、ことにまた社会党を不利に導いて、当面の問題になっておるいろいろな外交問題等にすりかえていこうというようなふうに考えられるような政治的意図が見えておる。そこで私はきょうは、あの事件は非常に遺憾な事件であるという認識を私もはっきり持っております。しかし、そういうような情勢にありますので、いま少しくこの委員会において、この事実関係等も明らかにしていきたい、もう少し真相を明白にしたい、こういうふうな考え方で、これから私は質問申し上げるのです。その点一つよく認識をしていただきたいと思います。  最初に、国家公安委員長に御質問申し上げますが、公共の安全と秩序を維持する、こういった要点につきましては去る警職法改正の審議のときにもいろいろとわれわれ議論したのであります。結局、民生の安定あるいは福祉行政というようなものが警察行政に先行しなければならないのだ。こういうようなことになり、同時にそういうことに持っていくためには、政治の公正というようなことが考えられ、それをそういうふうに持っていくためには、さらに国会の正常化という問題が問題として考えられなければならないということでもって、あの場合ああいった措置がとられたとわれわれは考えておる。同時にまた警察行政というものが不偏不党で、非常に適正な方向へ行かなければならぬ。また最近の警察の能力からいって、人員を増加するとかしないとかいうことよりも、むしろ科学性をもっと十二分に備えなければならぬというようなことも当時の論議の的になっておったように私は記憶いたします。これらの点につきましては、もう長官から承る答弁というものはほぼわかっておると思います。そこで私、先ほどから論議になっておりました中で、どうも現行法規の範囲内では、ああいったデモないし国会議事堂構内乱入というようなことについて食いとめることができないというような言い方をされているように思うのであります。そして先ほどの渡海氏の最後の質問に対する答弁によると、何らかの法によるところの規制をしなければならぬということを言っておられる。その内容が、どうも警職法の改正というものを考えられた答弁のように考えられる。なぜならば、昨日の本会議におけるあなたの御答弁の中には、あるいはまたそれと関連して岸総理が答えられておったその法の規制という内容、概念というものは、どうやら国会周辺のデモ規制の問題を論じておったように私は思いますけれども、あなたの場合あの答弁は、そういうふうに言われたものでないと私は思っておるのですが、この点につきまして、あなたが先ほどから何らかの法的規制をしなければならぬと言っておられるが、それは一体どういう内容のものを考えておられるかということが一点と、それに先だって現行法ではどうしてもやれないのだというその判断の根拠を一つ承りたい、こういうふうに思います。
  155. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 昨日の本会議で私の申し上げておりますることは、やはり今回のあのデモ事件等の情勢等から考えまして、国会周辺等につきまして何らかの法的規制措置をとらなければならぬのではないかと考えておる、こういうことを申し上げたわけであります。それから先ほど阪上委員も国会の正常化のいろいろのことを申されたのでありますが、先年国会の正常化につきまして長い間論議がかわされまして、最終の結びまでにはたしか至らなかったのじゃないかと思いますけれども、要するに国会の正常化ということについてはあれだけ論議をされ、互いに検討もされて、なお今回のような事態が起こっておるのであります。しかも今後こういうことがさらにあり得るとすれば、膨大な警察力を持ってこれを何するということも必ずしもできない。こういうことから考えまして、国会周辺なら周辺の規制措置を考えていかなければならぬのではないか。また警察官のいろいろ職務執行等につきましても、これはすでに先年警察官職務執行法のときにいろいろ論議されておりますので、私ここに繰り返さないのでありますが、いろいろの面から考えまして、警察官のあり方というものについて法制的にいま少しく考えなければならぬ点があるのじゃないか、こういうことを私いつも感じておるものでございまして、その気持を申し上げたような次第であります。
  156. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ここで警察官職務執行法の欠陥がどうであるとか、こうであるとかいうような問題は、これは論じないことにいたしましょう。ただ国会周辺のデモ取り締まりという問題ですが、先ほどのいろいろなやりとりを伺っておると、何かここでもう少し周辺の範囲を広げていったならば防遏できるような考え方を持っておられるように私思うのですが、そんなことでやり得るというふうに考えておられるのかどうか。五十歩百歩ではないか、もっと問題は深いところにあるのではないかと私は思うのですが、この点さらに一つ伺っておきたい。
  157. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 しかし、この国会のごとく周辺におきまして、今回のような事件で終始脅威を受け、またそれがこの間のように構内にまで乱入しておる。ああいう事態等から考えまして、少なくとも国会周辺の静ひつは保つようなことをしなければならぬのではないか。同時に、やはり国会の尊厳というものを互いに認めて、国会というところはやはり神聖な民主主義議会政治を守っていくところである。こういう観念を国民の間に高揚していって、両々相待って国会の静ひつを保てる。私は、こういうふうに持っていかなければならぬのではないか、かように考えております。
  158. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私は、そういうことよりも、やはり民生の安定の方向を考えなくちゃだめだというふうに考えておりますが、きょうはこの議論はいたしません。そこで警察庁長官に伺っておきたい。本論に入る前に、これは決してあげ足とりじゃないのですが、伺っておきたいのは、きょう手元に配付されましたこのパンフレット、これに「国会不法侵入事件の概要」となっております。私は、これは字句の使い方としては大へんな使い方じゃないか、こういうふうに思うのであります。警察長官が考える国会とは一体どんなものであるか。ただ静的な建物、議事堂とか構内ということを意味されておるか、あるいは国会というものは御承知のように動的なものでありまして、それも含めた国会でありますか。もしこういうようなことで、われわれの常識からいって国会不法侵入という概念はとんでもない大きなものであって、これはクーデターだと思う。この場合、これはごく簡単に、そういう意味で使われた意味ではないと思うのですけれども、こういう使い方については一つ私は御注意していただきたいと思う。どうでしょうか。
  159. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 これは別に深い意味をもって書いたわけではないのでございまして、とにかくこの国会の構内というものは一応国会の管理下にあるものでありますから、そこがじゅうりんされた。確かに不法侵入されておるので、それで国会不法侵入と書いたのでありますが、非常に国会尊重と申しますか、国会の実質的な意味ということに重きを置いてお話しになれば、そういう御意見も成り立つと思いますし、今後字句などについてはよくまた注意をいたしたいと思います。
  160. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこで一つの事実関係についてさらに警察長官等にお伺いいたしたいのです。集団デモ、これはあなた方の解釈としては公安条例に違反する、こういう解釈をしておられる。そこで、あそこから入ってきた、これを不法侵入と言っておられる法的根拠は一体どこにあるんですか。
  161. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 不法集団デモというのは国会に入る前からあるわけでございます。それがさらに激しく行なわれたということが一つと、それからもう一つは、国会が入ってはならないという意思を持っておるにかかわらず、許諾なくしてその囲いの中に入ったということで、さらにこれを強く考えたということであります。
  162. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そうしますと、見解としては、国会の構内に入ってくるということは許されておるんですが、一般には入っちゃならないという意思はどういう根拠によって明白になっておりますか。
  163. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 入らないように、あそこで門を整理している守衛が入ることを拒んでおる、そのために門を締めておるのをこじあけて入るということは、明らかに不法侵入であろうと思います。
  164. 阪上安太郎

    ○阪上委員 これは別に憲法で規定されておる請願の行動に対する基本的な態度というものから考えられたわけではないのですね。
  165. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 請願につきましては例の憲法以下ずっとございますように、請願請願として平穏な手続ならこれは問題はない。しかし、その請願と関連した問題ではなくて、それ自体の行為としてわれわれは考えておるわけでございます。それから先ほども法務委員会でもそういう話が出たのでありますが、請願することによって何らの不利益を受けないということになっておるのに、それを何とかかんとかというある委員からのお話がございましたが、これは私は違うことであって、請願請願として正規のものは受ける、正規でないものは受けない。これは別問題でありまして、われわれの問題にしておりますのは不法集団デモと、それから建造物侵入と申しますか、不法侵入の問題というふうに、問題を純粋に請願と切り離して考えておるわけであります。
  166. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それでよくわかりました。私は、巷間言われておるように何か憲法の解釈のままで直ちにそれが不法侵入だ、こういうふうに解釈される向きがあっては大へんだと思ったので確かめてみたわけであります。  次に一つ総監に伺いたいと思うのであります。おそらくあの集会に対しては、あらゆる委員会等で質疑応答が行なわれておりまして、あなたの方では公安条例の違反だ、こういうことを言っておられる。あるいはまたそのおそれがあるので事前に警戒もしておる、こういうことも言っておられる。そこで法務委員会等でも問題になっておったのですが、あの場合、なぜ集会がすでに形成されたときに解散を命じられなかったか、この点について一つ伺っておきたいと思います。
  167. 小倉謙

    ○小倉説明員 現場におきましても、責任者に対しまして、一般の交通の妨害にならないようになるべく早く流れ解散するようにということは申しておるのであります。
  168. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それは警告ですか。
  169. 小倉謙

    ○小倉説明員 警告と解されてけっこうだと思います。
  170. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこで伺っておきたいのですが、これはいつも問題になるので、そういう問題に対する解釈等もはっきりしておきたいとわれわれ思うのですが、この公安条例違反に関する違憲というのが最近三回ほどありました。これに対する判決が、御承知のように違憲だという判決が三回とも出ておる。これは御承知だと思うのです。こういう判決を配慮されて、そうして解散しろとは命じないでもって、解散したらよかろうというような程度のものになり、しかも陳情の三十名の部隊を連れて来る場合でも、警察官が誘導してくれておるというようなこともあるのですが、そこらのところを一つ総監、はっきりと公安条例との関係を示していただきたい。
  171. 小倉謙

    ○小倉説明員 公安条例につきましては、御指摘の通り三回ほどにわたって違憲の判決が出ておりますが、その以前には高等裁判所において合憲の判決が出ており、その判決は確定いたしておるのであります。合憲判決がたしか三回ほど出ておると思うのであります。その後違憲の判決が地方裁判所で出ておりますが、これはいずれも控訴中でございまして、確定した判決は一回もないのであります。従いまして、警視庁といたしましては公安条例は合憲のものということで、従来通りの方針をもって運営にあたっておるわけでございます。
  172. 阪上安太郎

    ○阪上委員 過般のあのいわゆる今警察庁長官が御答弁になりました不法侵入、これは公安条例よりも刑法との関係で問題があるんじゃないかと思うのですが、この点どうでございましょう。
  173. 小倉謙

    ○小倉説明員 その通りであります。
  174. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこでお伺いしたいんですが、この問題にからみまして警視庁は捜査されております。その捜査の場所、対象は、全責任を持っておる国民共闘会議の本部ではなくして、それ以外の都連であるとか、学連であるとか、総評であるとか、こういうところをやっておられるのです。これは捜査上の技術問題も私はあろうかと思いますが、差しつかえない限りにおいて、なぜ国民共闘会議の本部に捜査をされなかったか、できれば答弁していただきたい。
  175. 小倉謙

    ○小倉説明員 これは捜査上の技術と申してけっこうかと思いますが、最も中心となっておりました全学連あるいは総評、地評というような面から捜査を開始しておるのでございまして、今後公安条例違反あるいは不法侵入という法条に照らして、責任をとらなくてはならぬようなものにつきましては、それ以外につきましても十分なる捜査を続けていきたいと思っております。
  176. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に伺っておきたいのですが、先ほど渡海委員からも質問がありましたし、また警察庁長官の法務委員会等における答弁の中にもあったのでありますが、一部のはね上がりはわれわれとしても認めます。そういうことがあったので、事前にわれわれとしては厚い警備を配備しておった、こういうふうに言われておるのですが、あれでほんとうに警備は十分だったのですか。
  177. 小倉謙

    ○小倉説明員 全学連等につきましては、先ほどお話のありました通り、不穏な情報を得ておりましたし、またあれだけ多数の者が集まるということになれば、その間に群衆心理といいますか、そういうことで思わざる事故も発生するのではないかというような観点から、警視庁といたしましては、いまだかつてない警察官の動員を国会周辺の警備にいたしたのであります。従来はおおむね三千名程度警察官で警備をいたしたのでありますが、今回は五千の警察官を動員して現場に配置したのであります。
  178. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それだけの手厚いもので防止できるというお考えのもとに配備が行なわれておったのですが、私はほんとうのことを聞きたいのですが、警視庁は八千といいますか、一万といいますか、それであれくらいのものは阻止できませんか。
  179. 小倉謙

    ○小倉説明員 私は、警察力の活動には、やはり妥当な活動といいますか、そういう点の考慮が必要だと思うのでございまして、警察官の動員をもっとしなければならないということになれば、さらに多数の動員をすることは、現在の警視庁において可能であります。可能でありますが、当日のような状況におきましては、警察官の数をかりに一千増すあるいは二千増すということでありましても、なかなかあの事態を防ぐことは困難であったろうと思うのであります。といいますのは、あれだけ激しい活動で負傷者も多数出ておる。警察官の側だけでも三百余名の負傷者が出ておる、重傷者も相当あるということでありますから、そこでさらに警察力をもって制止するということになりますならば、私は悲惨な事態が発生したのではなかろうかと思うのであります。あの当時の状況としては、最善の方法警備に当たったということは言い得ると思います。
  180. 太田一夫

    ○太田委員 関連して。小倉総監にお尋ねいたしますが、今の警備の万全を期するという問題ですけれども、全学連の生徒を動員するというのは、これを三分割されていたように承りましたが、各所の数字をもう一度教えていただきたい。三分割されたからえらくなったんですか、どうなんでしょう。
  181. 小倉謙

    ○小倉説明員 全学連が三カ所にたしか二千と千五百と千五百ですか、お手元の資料に出ているのではないかと思いますが、チャペル前に二千名、人事院付近に千四百名、特許庁付近に千五百名、全学連のことも含めまして、集団せられる個所が多ければ多いほど、やはりそれだけ警察力はよけい要るということになると思います。
  182. 太田一夫

    ○太田委員 それはあとからお考えになったこととして、われわれも聞いてもいいと思いますが、実際四千九百名なら四千九百名の数字の学生が一ところに集まって、たとえばチャペル・センター前に集まっていた方がほんとうはもっと大きなことになるのではないかという気がするのです。分散されたからかえって勢力が減って、あなたの方の警備の方では楽になったのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  183. 小倉謙

    ○小倉説明員 分散せられたものがきわめておとなしければ問題はないのでありますが、それぞれの個所において非常に激しい抵抗があり、また全学連のみならず、全学連に続く組合員の者においても相当の激しい行動があったのであります。そうでなければあるいは勢力が分散されたということになると思います。
  184. 太田一夫

    ○太田委員 ほんとうを言うと、分散されれば勢力は弱まるということですよ。お金でも兵力でも、集中して使うというのが強いのですよ。ほんとうはわずかなところにそんな何千という警察官なんか要りませんよ、両わきしか通れないのだから。それは非常に少ない人でやれるようだが、実は後の方はわからないから、前へ前へとわけもわからずにやってきますと、それが暴徒化するということは、多数になればなるほど、おるところがなくなればなくなるほどそういう群衆心理は非常に盛んになる。ところが、実際を見ると、私はその日に地下鉄で上がりましたところが、どうしても第三会館に行かれないのですよ。国会議事堂前にどうしても来れない。弱りまして、何とか会館まで行かなければならぬ、こんなところにおっては巻き込まれそうな気もしたから、総理官邸の前に行きまして、線を引いていらっしゃる警官の方に、私は向うへ行くのだが、済まないが通してくれないかと言ったら、向うへ行く人はよろしいといって通してくれた。車の上に押し上げてもらって向うへおりて、特許庁の横から行ったのですが、そのときにあの中に入っていらっしゃったデモ隊員というのは、あの門のそばにはほんのわずか二百かそこらしかいなかった。まだ国会乱入事件の起こる前ですが、総理官邸の門のところ、そしてトラックを並べて線を引いていらっしゃる警官の方は、あそこで実にかたい線を引いて、だれも通さぬ、向こうから絶対に通さぬというかまえを見せていらっしゃる。私はそのそばを通って第三会館へ帰ってきて、こちらへ来たならば、こちらの方が大へんだ。そのときに三カ所に分けたのだから、特許庁の前の方はほとんど解散してしまってどこかへ行ってしまった。残っているのはわずかで、第二会館前のところも、実はたくさんいるように見えるけれども、そうたくさんではない。そのときにはほとんど向こう側へ行ってしまっておったから、時間的には暴動が勃発する直前の状態であったと思うのです。そうすると、今あなたは千五百、千五百と言って、片方に二千だった。分けたから警官の方は非常に手薄になって困ったとか、守りにくくなったとおっしゃるが、実はすでにあの暴動が起きるころには一カ所に集結していたように思う。ほんとうに分けていたならば、学生というものは勢力が分散してそんなことにならなかったと思う。だから分けた方がよかったのではないか。あなたの方の判断と少し違うような気がするのですが、どうでしょうか。
  185. 小倉謙

    ○小倉説明員 失礼ですが、今のお話は、全体の中の一部だけをごらんになっておるからそういうふうにお考えになると思うのです。というのは、チャペル・センターの前にもあれだけの集団が現に集まっており、それから人事院ビルのところにもそのころまだ相当の集団が集まっており、また特許庁のところはみんな解散してしまったとおっしゃいますけれども、特許庁のところに集まっておったものが総理官邸の方に進出してくる、あるいは通産省の前を通って出てくるというように、相当の集団が動いておるのであります。それでこちらとしては、全体を見まして警察の配置を考え、また人員の配置をいたしておるのであります。
  186. 太田一夫

    ○太田委員 それで実情の御説明はよくわかるのですが、一カ所にいた方が実はこわかったのか、あるいは三カ所に分けた場合の方がこわかったのですか。幾つかに分かれた少数の部隊の方がこわいというのは理屈に合わないような気がするのです。
  187. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 こまかい現実的な問題は警視総監の今お話しした通りだと思いますが、大体において、相手の力が分散すれば、分散した個々は弱くなるということは言えると思います。しかし、非常にはね上がった分子だけ固まっておれば、そこに集中的に警察としても態勢を整えて相当措置をとることができるわけでありまして、むしろそういう者が前におらなければ、はね上った行動にならなかったであろうものが、はね上がる状況になるということが非常に問題を紛糾させていくわけであります。それから、とにかく全学連の学生だけでもあそこに配備された警察官数に相当しておるわけなんです。従って、むしろそういうはね上がり分子というものは、一カ所におって、それを徹底的に押えつけておいた方が、ほかは比較的平穏に済むのではないかというふうな感じを私は持っておったわけでございます。
  188. 阪上安太郎

    ○阪上委員 石原長官が所用で五時ごろに出て行かれるそうでありますので、先に一つ長官に質問を申し上げておきます。  これはあなたの問題なんですが、私も、昨日の本会議において、倉石さんが質問なさって、それに対するあなたの答弁を伺っておったのですが、私はあの答弁を伺っておって、現段階においてはあれ以上の答弁はできないし、もしそれ以上の答弁をなさるということであるならば、これは問題があるというふうに考えておったのです。ところがあの状態をながめてみると、議場の中は、自民党の一部の人々によって物情騒然たるものがあった。ことに議運の委員長の荒舩さんが前まで出てきて、あなたに対してばか呼ばわりまでしておる。私はこの事実を見て、議会の秩序云々の問題も問題でありましょうけれども、それ以上に、国家公安委員長として警察行政を担当しておられるあなたに対して、あれ以上の答弁を求めるというその態度自体が、明らかに警察行政に対するところの——これは自民党の一部の人々のこれこそほんとうにはね上がりの思い上がった態度でなかったかと思うのであります。なおまたこれに対して、その後直ちに有志の代議士会を開いて、あなたを呼んでつるし上げをするというような状態があったのであります。私は、この状態は非常におそるべき傾向だと思います。こんなことを平気でやるということに対しては、これは絶対に許すことは、できぬと考えております。なおまた、これは新聞でありますから事実はよくわかりませんが、新聞によりますと、あなたは何か責任をとってやめられるというようなことが報道されております。社会党としましても、正し答弁をなさる、警察行政の中正を守られておるあなたが、そういうような態度になられるということについては、大いに守る義務があると思います。そこでこの問題については今後ともこの態度を堅持していただきたい。この現実を直視していただいて、弱くならぬようにやっていただきたいということが一つと、それからこれに対する党のああいう態度に対してどうお考えになっておるか、あなたの感想をこの際一つ率直に承っておきたいと思うのであります。
  189. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 私の昨日申し上げたことは、速記録を読んでいただくとよくわかるのでありますが、議場が少し騒々しかったので、私の言うていることがよく徹底しなかったために若干の騒ぎがあったのではないかとも思うのであります。その他の問題につきましては、ここでいろいろ言うことを差し控えることをお許し願いたいと思います。
  190. 加賀田進

    加賀田委員 関連して。今の問題は、単に国家公安委員長が自民党の国会議員だとか、あるいは自民党員だからというような立場に立っての個人的な発言ではないと思います。国会の重要なる役割を果しておる議運の委員長が、立法、司法、行政といういわゆる日本の民主主義の三権分立の機構の一分野の中で、どうかつ的な行動を、しかも大ぜいの前で——実は私も廊下で聞きました。ばかやろう、ここへ入ってこい。そういう思想の中で国会が運営されていったら、日本の民主政治は破壊されていくと思います。石原長官は、党内のことですから、表面的にはしこりが残っては困るという感情もあるでしょうが、この際やはり立法機関が司法、行政の方にそういう圧力をかけるような行動というものは慎まなければならぬと考えますが、石原長官の決意をあらためて聞きたい。しかも聞くところによりますと、有志代議士会とか称して筋違いだと思います。川島幹事長は政党の幹事長です。その政党の幹事長が、大臣の進退について善処してもらいたいというような要求をしていることは、全く政党と、立法権という国会と、警察行政とを混同したものの考え方をしているのではないかと思います。なるほど現在の政治は政党政治であり、与党の政治でしょうけれども、それにしても三権分立というものは厳然として守られていかなければならぬのが現在の民主政治のあり方だと思う。われわれはそういうような考え方を持っておりますが、新聞等にもこれが大々的に出ております。国民もやはり心配しております。そういうような国会の運営をしているのか、議運の委員長たるものがそういうような言葉をもって、あるいは一部の有志がいろいろ石原国家公安委員長に対してそういうような態度をとって、一体どうなるのだろう、日本の三権分立というものは将来どういうような姿になるだろうと心配しておる。この際、そういう国民の心配をぬぐい去るためにも、当面の石原国家公安委員長としては、司法、行政に対してこの点明らかに自分の決意というものを表明して、国民をやはり安心さすべきだと思う。従って、その点について明らかにしていただきたいと思います。
  191. 安井吉典

    ○安井委員 関連して。今の問題が特に立法権の行政に対する侵犯というよりも、むしろきのうの現われ方は、自民党がきのうの本会議の中でこの間の事件を大きく取り上げて、それをきょうだいぶそういったような問題点の中で明らかにされた問題もありますけれども、そういうものがただ大ざっぱにみそもくそも一緒になったような格好でずっと盛り上って、そういうものを国務大臣の答弁の中から裏づけしようというふうな演出が考えられていた。ところが、実際上やってみましたら、大臣の答弁が自民党側のその演出に沿わないような運びになったというところから、ああいうような方向が出てきたのじゃないかと思うのです。ですからこれはむしろ立法権の行政権への云々というような問題よりも、党利党略で行政の府を、特に警察行政というものは一番大事な衝に当たっている場所でありますが、そういうものをねじ曲げようといったような動きがあったところに、もっともっと大きな問題があると思うわけです。一つ加賀田委員の御質問にあわせて、重大な御決意を伺っておきたいと思います。
  192. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 先ほどお答えしておることでおくみ取りを願いたいと思うのでありますが、若干議場喧騒であったために、私の言うていることが議場内に徹底しなかったきらいが一部あったのじゃないかと思います。後段の問題につきましては、私健在でありますから、一つ……。
  193. 阪上安太郎

    ○阪上委員 最後に一つ警察庁長官に伺っておきたいと思います。自民党の声明によると、この問題に関して社会党、共産党が共同謀議をしたというふうな言い方をいたしております。これに対してあなたの方では事実をお調べになっておるのでありますか。今の段階においてそういう事実があったという確証があるのかどうか。あるいはまたそういう考え方で捜査をやっておられるのかどうか。この点一つ伺っておきたいと思います。
  194. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほど来申し上げますように、警察としては厳正に事実を究明して責任を追求して参りたいと考えておるわけでございます。
  195. 阪上安太郎

    ○阪上委員 厳正はよくわかるのですが、これは非常に答弁がしにくいと思いますが、できなければけっこうですが、現段階でわかったことがあれば一つ伺いたいと思います。厳正の方はわかるのです。
  196. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私、今まで聞いておるところでは、そういう事実を確認している段階でないようであります。
  197. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に、もう一点伺っておきたいのですが、先ほど淺沼書記長の問題が質問によって出て参りまして、長官はお答えになっております。そこでそのときのお答えとして、私は全く公正であると思うのですが、あの集会の総指揮者は淺沼さんであった。しかしながら、乱入を誘導し、指導したものが淺沼さんであったとは今のところはっきりしていない、これでいいのですか。
  198. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 その通りでございまして、先ほどから分けて考えなければいかぬ。しかし関係があるかないか、ここでは断言できないという伏見でございます。
  199. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこでこの際警視総監に伺っておきたいと思いますが、あなたの方の職員の中で公安第二課長だったと思いますが、三井という人がおられる。これが警視庁クラブで記者会見をやったときに、淺沼を逮捕するんだということを言ったということでございますが、この事実はどうなんですか。
  200. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 今お尋ねの問題は、午前中志賀委員からもそういうお話がございまして、私はそんなことはあり得ないということを言ったら、調べろというお話で、さっそく調べましたが、そういう事実はございません。
  201. 加賀田進

    加賀田委員 これは将来の問題で非常に危惧しているのですが、今度の場合、公安条例による届出もない。結局国会に陳情するために国民の権利として個人的に集まって一つの集団が作られた、こういう形態の中でなされているわけですね。将来ともそういう問題が起こり得ると私は思うのです。個人的に国会に陳情しようという形態ですね。結局一人々々は個人でありますから、線だって点の連続が線でありますから、線がいけなくて点がいいといっても、点が連続して線になる。それと同じ状態法律的解釈と言いますか、独断の解釈と言いますか、そういう形で起こり得ると思います。こういうものを事前に警察としてはうまく運営するという方法はあるのですか。たとえばそういうような状態のときには、公安条例による届出をして話し合いの上に円満に問題を処理するとかなんとかいうような方法。ただそれは届出なくして漠然と寄るのだから、寄ってその事態が起こったときには何とかしようという傍観的な態度でなくて、事前にそういう行動は大体わかるわけですから、そういうようにして各団体に事前に話し合って、もしそういう集会等が、行なわれた場合には、警察との話し合いで届出を正式にやって、秩序ある行動をとり得る可能性はあるんじゃないかと思います。これは無届けだからおれたちは最初から実力でやるんだというような気がまえが、なおこういう状態を生む大きな要素になってくると思いますが、そういう点に対して将来警察としてはどう処置されますか。これは研究する余地があると思いますが、一つ試案を発表していただきたい。
  202. 小倉謙

    ○小倉説明員 私の方としましては、請願とか陳情とかいうような名目でありましても、あのような大ぜいの者を集めて行なうということはやはりどうしても違法な集会、違法なデモになると思うのであります。でありまするから、今回もそうでありまするが、従来からも、そういうような多数の者が集まって国会に何らかの意思表示をされるというような場合には、たとえば日比谷公園とか、あるいは四谷の外堀公園とか、なるべく近い、そうして交通の妨害にもならないところで集まって、そこでいろいろ意見の交換なり演説なりあって、それから国会に対して何名か少数の者が陳情なり請願なりする、そういう方法がいいんじゃないか、こういうことは常に申し上げておるのであります。ところが、従来そういうような方法ではどうもがまんがならないようでございまして、どうしても今回のような形で行なわれるのであります。そこで私は、今後の問題として警視庁としても十分配慮しなければならぬと思いますが、要するにああいう請願とか陳情とかいうような名前であるならば何人集まってもよろしいというようなことに対して、やはりこれがいいのか悪いのかということをはっきりしていただきたいと思うのであります。私どもとしましては、請願というものは平穏に、そういうような成規の手続で行なうというようなことでなければならぬと思うのでありまして、ああいうような多数の者が集って、いかに一人々々が請願するといっても、やはり動員してやるわけですから、そういうものはいかないじゃないか、違法であるというような気持で私の方は取り締まりをいたしておるのであります。ところが行なわれる方におきましては、いや請願、陳情ということであれば何人集めてもいいのだということで二万、三万、五万と集められる。そういうことになりまするならば、勢いのおもむくところ、中には過激な者も入ってきましょうし、あるいはそのときの群衆心理によりまして今回のような事件が起こりかねない。だから、ああいうような多数集まって行なう請願とか陳情というものは、いいのか悪いのかということをぜひとも国会におきましてもはっきりしていただきたいと思うのであります。
  203. 加賀田進

    加賀田委員 そこで今度の場合には、御存じのように資料も出ており、相当団体があるわけですが、これらの人々と会って、警察としては何かこういう問題に対して、話し合いをするとか、要請をするとかいうようなことをやったのかどうか。もしまたやったとしたら、これは仮定の問題ですが、さいぜんも話した通り、全学連の動きに対して、そういうことがあるから注意してもらいたいという注意をやったのか、どうかこの点も明らかにしてもらいたい。
  204. 小倉謙

    ○小倉説明員 やはり私の方で合法と思われますたとえば日比谷公園で集まるというような話は、常時しておるのであります。今回もおそらくそういうような話も実際は出たと思いますが、そこまでは私は聞いておりませんが、私の知っておる限りでは、正式には前日国民会議の次長といわれる、名前は忘れましたが、その方ともう一人の責任者に来ていただきまして、そうして、こういうようなことでやられると、やはり違法の集会あるいはデモになる、何とか一つ考えてもらいたい、どうしてもやるということであるならば、こういうような状況でもあるので、ぜひ統制を厳重にとってやってもらいたいということをお話と、警告といいますか、注意をしておるのであります。
  205. 加賀田進

    加賀田委員 その席上で、全学連の問題があったかどうか。
  206. 小倉謙

    ○小倉説明員 そこまで私、具体的に聞いておりませんけれども、おそらくそういうような話は出ておったのではないかと思います。また国民会議の主催者側におきましても、全学連の動向については、これは想像ですけれども、ある程度おそらく御存じであったというふうに思います。
  207. 太田一夫

    ○太田委員 関連して。同じく警視総監にお尋ねをいたしたいのですが、これからいろいろな騒ぎを大きくしないための対策というのは、正しくほんとうにりっぱなものを作っていただきたきたいと思うわけですけれども、あの日の晩の情景を見ますると、これは非常に何かしら集合した人たちの気持をかき立てるようなものがあったわけですね。庭の中に入りまして、ずいぶんたくさん自動車が入っているのだが、どういう自動車かと思いましたら、これは方々の新聞社の自動車が多かったんじゃないですか。ニュース・カメラマンがたきますあのフラッシュ、何といいますか、ずっと長時間持つのを何本かたきますね。フライヤーというのですか、あれはずいぶん勇ましいですから、青年、特に女性の学生の方も多かったのですが、かなり興奮されるような節もあったように思いますが、いっそのことああいうことなしに暗やみの中にじっとあれがいたら、あんなに英雄気取りとか、気取った気持にならないような気がする。国会の中ですと、衛視の方が、そこまで入って写してはいけない、たとえば机のこういう上から写そうとして片足を上げても、ちょっとまずいというふうに制止をされて、かなりこういう委員室や議場におきましては整理をされているのですが、あの当時は、新聞の方にも無制限でありまして、いいようにやって下さいということだったのですが、空にはヘリコプターが飛び、そうして地上にそういうようにフライヤーがほとばしる。そうしてたくさんのカメラがそれによってあちらこちら動くということが、かなり人間の気持を刺激した。このことについて言及したものはないのですが、どうですか総監、あなたはそういうことをお考えになったことがありますか。これは新聞社に対して何も取材していけないということじゃないのですが、気持をむやみにかき立てるということについて、何か考えなければならぬものがあるような気がするのです。
  208. 小倉謙

    ○小倉説明員 フライヤーをたいたから興奮したのか、あるいは相当興奮して気勢を上げておるところをフライヤーをたいたのか、わかりませんが、いずれにいたしましても、それは報道関係の報道の自由という立場から行なわれておることでありますし、事柄が国会の構内のことでございまして、一切議長さんの方の御意見に従うべきものでございまして、私から何とも申し上げかねます。
  209. 安井吉典

    ○安井委員 最後に、もう時間がありませんが、一、二だけちょっと伺っておきたいと思いますが、今度の事件は、今まで国会付近のデモが幾度もあったのですが、この間みたいな結果になったというのは、これは初めてなんです。しかし国会の中で、ベトナムの賠償問題あるいはロッキードの機種の問題、そういったようなものがずっと論議されまして、その論議の過程では、国民の多くの疑問点が解明されないままに押しつけがましく結論が急がれた。そういったような事情が国民の中に、特に若い人たちの気持が納得できないままに一つのうっぷんが累積していた、そういうふうな事情も考えられると思います。ですから、そういったような際には、革命というふうな言い方は別といたしましても、何か激しい憤りといったようなものがあったのではないか、そういうようなことが言えるわけです。ですから、それらの意味では、そういうふうな事態にまで引き込んだ政府や与党の責任も大へん重大だと思うわけです。しかしだからといって、あの行動が是認されるというわけでは決してないわけであります。本日はいろいろな質疑応答の中で、自民党の今日までのいろいろなこの問題についての発言が、いろいろ中身が混乱した言い方がされておりましたものが、さすが柏村警察庁長官は、内容を分析されましていろいろお話があったわけでありますが、その中でも、特に淺沼書記長が、今までのいろいろな宣伝の中では、先頭に立って門を破って大ぜいを引き連れて入ってきた、あるいは事前に共産党と社会党との共同謀議で計画的にこの国会への乱入を計画してやったのだ、そういうふうな話があったのが、その点がだいぶはっきりしてきたと思うわけでありますが、ちょうど時間も今ごろだと思いますが、この下で、そのデモの中にパン屋さんも入っておりました。デモで歩きますと腹が減るわけですから、パン屋さんも入ってきまして、パンを売っていたと思うのですが、淺沼書記長が先頭に立ってデモ隊を引き連れて、パン屋さんまで引き連れて侵入してきた、こういったようなことは考えられないことではないかと思います。そういうわけで、計画性をもってこれらの事件が計画されて行なわれたとか、社会党と共産党との共同謀議だとか、そういったようなことではなかったということだけは、一つさらにこの際明らかにしておきたいと思うわけでありますが、どうでしょうか。
  210. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ちょっと最後のところが聞こえなかったのですが……。
  211. 安井吉典

    ○安井委員 社会党と共産党の共同謀議で計画的に乱入してきた、そういうことです。
  212. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 それはただいまの段階において、刑事事件として取り上げる問題としてそういうことを確認していないということは、先ほど申し上げた通りであります。ただ私、何も自民党を弁護するわけではございませんが、さっき私の申しました前段のところで、社会党も共産党もその国民会議というものに加入しておるので、そういう意味の共同という意味で、共同ということがたやすく使われておるのかと思います。私も一度見たような気もしますが、あまり深く関心を持たないので、ちょっと今はっきりしませんが、何もどっちを否定し、どっちを肯定するということでなしに、質問に率直に答えますれば、現在の段階において共同謀議という確証はつかんでいないということを申し上げます。
  213. 安井吉典

    ○安井委員 先ほど、社会党の声明も渡海さんから発言がありましたが、自民党の声明にも、「数万のデモ隊が社会党の淺沼書記長、共産党の志賀義雄氏等を先導として国会内に殺到乱入し、」と書いて、「この集団的暴力行為は、社共両党の共同謀議に基づく計画的な革命的破壊行為であることは明らかであり、」……とあるが、結局明らかでないということをはっきりされたわけですね。
  214. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 何度も申し上げますように、共同謀議ということの確証は握っていない。それから何か先ほど淺沼議員について、淺沼議員が指導して先導した事実がないということがはっきりしたというふうなお話があったやに承ったのですが、先導した事実があったかどうかという問題については、今後の調査に待たなければならないというふうに考えております。
  215. 安井吉典

    ○安井委員 ですから、明らかだというふうに断定していることが、一応きょうのお話の中で打ち消された、そういうふうに了解いたしたいと思います。  そこでもう一つ最後に、右翼の行動が当日若干あったように聞いておるわけですが、それについての御報告が先ほどの御報告の中になかったように思いますが、どうですか。
  216. 小倉謙

    ○小倉説明員 当時動きましたいわゆる右翼と称するものは、大日本愛国党が主たるものでございますが、これがビラをまいたり、あるいは集団のデモ隊の中に車を乗り入れてきたり、そういうような事実があったのであります。これに対しましては、直ちに警察官を派しまして、取り締まりを行ない、また乗り入れた車もろとも外部に排除いたした、こういうような報告を受けております。
  217. 安井吉典

    ○安井委員 やはりその右翼の挑発的な行動というものもあったように思いますが、時間がありませんので深入りいたしませんが、ただその後においても、社会党の幹部に対して右翼がいやがらせをやったり、まあそういったようなことがあるようでありますが、それは御存じであり、措置をされているわけですね。
  218. 小倉謙

    ○小倉説明員 そういうお話も聞いておりまするので、十分連絡をとりまして、警戒をいたしておるのでございます。
  219. 安井吉典

    ○安井委員 二十八日の日に、何か右翼の団体だと思いますが、委員長に面会に来たようです。かわりに佐々木総務局長が会いまして、そして話しているうちに、だんだん面会所から連れていかれまして、さらに外に出ていって、取り囲まれてつるし上げみたいにあっている事件があります。話しているうちに、陳情団でしょうが、その人たちのほかに、ずいぶんもぐりの人もみんな集まってきて、取り囲まれて、部屋に帰ってみたら、ちょうどポケットに財布が入っていたのがなかった。これは別にその人たちがやったわけじゃないでしょうけれども、大ぜいで、おそらくすりでも間に入ってきたんでしょうが、週末で、ちょうど月末で、お互いにそういう時期なんですが、国へ帰るというので、奥さんに持っていく三万八千円だったか入っていたそうですが、まあそれが——そういう被害は別といたしまして、今後そういったような行動があるのではないかということもおそれておりますが、今後のお考えを一つこの際伺っておきたい。
  220. 小倉謙

    ○小倉説明員 先ほどもお話ししましたように、十分よく連絡をとりまして措置いたして参りたいと思いますので、また何かお気づきの点は、どうぞ御遠慮なく御連絡願いたいと思います。
  221. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 佐野憲治君。
  222. 佐野憲治

    ○佐野委員 時間がおそいので、いろいろ今までの質疑のうちで納得できないというのはたくさんあるのですけれども、次の機会に譲りまして、簡単に一、二の問題に対して私の要望を述べて、警察庁長官の所信をお伺いしておきたいと思います。と申しますのは、長官が指摘になられますように、国会構内に乱入したという偶発的な事件と、請願権に基づく国民の権利とは、やはり厳粛に区別すべき問題だと思います。私は、国民の権利であり、憲法に保障されておる請願権に対して、やはりもっと慎重な態度が必要ではなかろうか、この点に対して非常に軽く考えておられる点があるのじゃないか、こういうことを考えるわけです。それで二十七日の場合におきましても、やはり整然と国民の憲法に保障される請願権に基づいて行動しておった、こういうことは私、確信を持って言い得ると思います。それを制約するということは重大な問題だ、かように考えますがゆえにこそ、警視庁においても、やはりそうした行動に対して認められておられたということになるんじゃないか。ですから、私は当日かぜを引いておりましたので、請願権に集まる人たちのいろいろな声を聞いて回っておったのですが、やはり善良なる国民としての請願権のもとに集まって参っておる方々が非常に多い。そういう行動に対して警察がいろいろと抑制をしておる、どうしたわけなんだ。こういう疑問を多く耳にしたわけですが、私はこれは当然な素朴な、請願権に基づいて集まってきた国民の声であろうと思うのです。ですから、そういう中からもちろん代表を選んで議長に会う、あるいはまたそれぞれの関係者に会うという行動が自然にとられるべきであることも、常識的な態度としては当然だと思うのです。しかしながら、不幸にして国会構内に乱入するという事件が起こったということから、皆さんの方においては公安条例の違反、こういう容疑を持っておられる。こういうことは私は非常に危険じゃなかろうか、かように考えるわけです。特に公安条例につきましては、私も郷土において県会議員をやっておりましたとき、ちょうど県議会の幹事をやっておりまして、やはり公安条例が問題になったわけですが、このときの経緯を一つ思い浮べて参りましても、突然県議会の幹事である私に知事から電報の招集があって、実は占領軍からこういう立法をしろという命令を受けたのだ。しかしながら、それは命令かどうかといえば、実は口頭だから命令だといえない。知事はどうなのかというと、いや、私も実はこういう乱暴きわまる条例を実は提案したくないんだ。まあ内示された条文一つ一つを見て参っても、憲法上の疑義も多いし、条文としても不備な点も非常に多い。しかも地方自治体がこういう治安立法を持つことが、はたして憲法上どうかという根本的な問題も含んでおるのだ。こういう知事の苦衷を述べられて、実は提案をするからという了解だったのですけれども、私はまあそれらの点に対して強く反対し、憲法の解釈から考えましても、地方自治体がこういう立法を持つことは間違っていることと、法が整備されていないという点を指摘しておいたわけですけれども、ところが帰って参りますと、また電報が来ておる。急施県議会招集の電報だ。かけつけて参りましたところが、ともかくこれを通してくれろ。いや、こういう重大な問題だから公聴会を開いて、議会議員も法律的な知識もないのだから、もっと多くの人たちの意見も聞こうじゃないかという提案を私がいたしましても、公聴会を開くことは必要ないということで否決される。では具体的な討論をやろうじゃないか、質疑をやろうじゃないか、いや、これすらもがまんしてくれろ、こういう中で、私の郷土における公安条例というのは、反対派の意見をすべて省略して、強引に進駐軍の内示だからという名においてこれを通り過さしておる。ですから、非常に不備なものであるということは、現在私たちの県警察本部の諸君においても、こんな不備な法律だというので、現在一回もこの法律を発動していないわけです。これは東京における場合もやはりそうだったろうと思います。死亡者も一名出して大きな騒ぎが巻き起こったことも、記憶に呼び起こされるわけです。だからこそ、この第一審においても憲法違反の判決を受ける。私も判決文を読んでみて、まさしく共鳴させられる点がたくさんあると思います。この点から先般の警職法の場合において真野最高裁判所の判事が、法律というものはおそろしいものだ、もうできてしまえば一人歩きする。かけ足をする。立法者の意思あるいはまたその立法当時における審議、附帯条件、これらのものは一切無視されて、法律というものは条文解釈によっておそるべき方向にかけ足をするものだ。こういうことを警告しておられた言葉を思い起こすわけです。こういう意味からも、私はやはり考えていただきたいと思いますのは、正当な国民の請願権に基づいて、しかも安保条約を阻止するいろいろな解釈があるでしょう。非常に危険だと国民の一部は考えておる。私もまた学生生活から六カ年簡単隊生活を体験いたしまして、終戦で日本に戻って参った者の一人として、六カ年間における軍隊の生活、多くの学友たちの倒れたことを考えるならば、戦争を阻止したいという国民の気持、不安を取り除かねばならないという考え方というものは、やはり私は理解できると思います。だからこそ、そういう不幸を救うために残された唯一の道としての国会に対する請願、これを求めて行動するということはあくまで正しい。しかも国家の運命に影響するような、自分自身の将来に大きな影響を及ぼすことが国会の審議の途上になろうとする場合にあたりましては、当然請願権というものを発動するのは当然だと思うのです。ですから、そういう正当なる行動、その行動の結果としてそこに大多数の者が集まった、これは当然起こることでしょう。だからこそ、そういう中から代表者を選んで、国会に正式にお互い一人々々が書いて参った請願書を提出することを依頼する。こういうことが行われること、これまた当然だろうと思うのです。それが偶発的にベトナム問題なんかがあって夜明けまで国会をやっておる。国民は何だかわからないというような気持でもあったでしょう。偶発的な不幸な事態が起きて参ったということのために、しかも非常に疑問の多い、国民の権利を抑圧する、地方議会がそうした自発的な意思よりも、多く他の力によってやむなくできたといわれる全国における公安条例が、ほとんどそういう意味において運用において慎重を期しておるという条例でもありますから、やはり今回の場合における、公安条例の容疑なんというものは、私は間違っておるんじゃないか、かようにも考えるし、法の運用に当たりましては、やはり成立の過程なり立法者の意思、それらも含めて十分法の運用に当たってもらいたいということを考えます。時間もおそいから、私の要望を述べますとともに、これに対する警察長官の所信を承っておきたいと思います。
  223. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 まず国会乱入事件が、何か偶発的、しかも政治的な問題がいろいろあったのでやむを得ないのだという御発言に対しては、私は首肯いたしかねるものであります。それから請願というもの、憲法に認められたと平穏な請願という権利が尊重されなければならないということは、これは私前々から申し上げておる通りでございますが、二十七日におけるああいう形の請願というものは、とにかくあるところから指令されて、動員されて、そして請願の形で集まって国会に対して威圧を加えるという形をとっておるわけでございまして、これは平穏な請願とは認められないと思うのであります。従いまして、こうした不法集会、不法デモについて警視庁のとった規制措置というものは私は妥当なものであったというふうに考えておるのでございます。しかしながら、世の中がほんとうに平静になり、国民が良識に富むようになって、公安条例のごときものがなくても平穏な社会が営まれ、公共の秩序が維持されるということになることが最も望ましいことであるのでありまして、その点は私どもも、そういうものがなくて済む世の中というものを希望いたしておるわけでありますが、遺憾ながら、現在の社会情勢においては、社会の秩序を維持するために、やはり私は現在持っておるような公安条例というものは本質的には必要でなかろうか。しかしながら、この条例に基づいて警察官が職権を行使するにあたっては、ただいまお話しのように最小限度に慎重に行なうべきものである。これは私ども常に戒めておるところでございまして、その点は同感でございます。
  224. 加賀田進

    加賀田委員 関連して。集団陳情の問題に非常に重点を置いておりますけれども、従来でもやはりそういう集団的の陳情というものが行なわれてきておるわけですね。たとえば繊維税が設定されるときに、全国の繊維業者が寄って国会周辺に相当数が集まっておるわけです。あるいはガソリン税の場合にもそういう事態が起こっておる。何百何千という人が全国から集まってやはりやっておる。そういう場合には公安条例適用ということをやってない。集団ということは一体、二名以上を集団というのですが、そういうことになると、大きい国際的な問題との政治的背景ということが非常に大きな作用をして警察庁で動くような印象を与えるのみです。だから国会に対する一つ請願、陳情に対して、そのこと自体を、集団的に行なったからといって、あまり公安条例違反だということを厳密にやられると、今後国民のいわゆる陳情、請願に対して不当な弾圧が行なわれるおそれがある。それは私は十分注意してもらわねばならぬ問題だと思うのですが、警察庁としては、その点に対してどう考えておりますか。
  225. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほど来申し上げておりますように、請願そのものについては、これをできるだけ尊重しなければならぬ、これは全く私同感でございます。しかしながら、ああいう形をとる集団的な陳情、請願というものは、憲法に許されているような性格のものではないということが一つ。それから警視庁でこれを規制するというのは、請願を規制したのではなくて、不法集会ないしは不法デモを規制したということであって、請願に関して請願をやめさせようとして規制したものではないということをわれわれはよく考えて、そういうつもりでやっておりますが、そういう警察の意図であるということをお考え下さって、決して国際情勢等のいずれかにおもねるとか、いずれかをきらうという態度から警察が行動しているものでないことを、ここに言明しておきたいと思います。
  226. 加賀田進

    加賀田委員 そこで請願そのものに対して別に抑圧する意思はない。いわゆる集団という公安条例違反、屋外において多数が集合した場合に、まず事前に許可を受けなければならぬという点が、条例違反という形で警察権が発動されてくるわけです。そこで問題なのは、従来でも国会の周辺あるいは会館において相当の数が寄っておるわけです。何々税反対というような白だすきをかけて、はち巻をしてやっておる。こういう人々に対しては、警察庁は今まで何もそういう警察権を発動されてないわけです。もちろんわれわれは発動すべきでないと思っておる。こういう今の二十七日の問題が、もし将来拡大解釈されてきますと、それらも都条例違反ということで、お前たちは屋外に寄ったじゃないかということになってくると、実質的に警察としては、請願権は何も侵していないというが、集まってはいかぬ、分散しろということになると、請願権としての集団陳情が全部侵されてくることになって参ります。これは危険な状態だと思う。何か警察としては、こういう事態のときには警察権が発動されるのだというような、一つの線が引かれなくちゃならないと思う。これは将来拡大解釈されて警察権が発動されてくると、非常に危険な状態が起こってくるのではないか。先ほど申し上げたように、再三にわたってそういう事態がある。しかし、それらは取り締まるべき問題でなくして、たとい国民が一部の集団であろうと、個人であろうとも、ほんとうに請願という国民の権利を行使するために国会に要請をされるという場合には、喜んでこれを受けるという態度をわれわれはとっております。またそうでなくちゃならぬと思いますが、そこで今申し上げた都条例違反という形で乱用されるということは、私は非常に危険だと思う。警察としては一体どこに線を引くか、どういう背景をもって考えられているか、その点は明白にしてもらいたいと思います。
  227. 小倉謙

    ○小倉説明員 公安条例につきましては、集会、集団行進、集団示威運動を規制しておるのみであります。これらはいずれも何と言いますか、表現の自由と言いますか、基本的な人権に関するところでございまして、できる限りこれは最大限にそういうような自由を認める。ただ公共の安寧と言いますか、福祉と言いますか、そういう面においてどうしてもこれを規制しなければならないというような場合にこれを規制する、あるいは違反しておる場合にこれは取り締まる、こういうような立場は従来ともとっております。そこで国会に対する集団陳情も、お話しの通りいろいろな種類、いろいろな形のものがあります。ですから、これはものによりましては、公安条例の字句をそのまましゃくし定木に適用するならば違法であると認められるものもあります。ありますけれども、それはやはりできる限りその自由を尊重して、そしてその集団陳情が平穏に行なわれている限りは、これをそのまま認める。違反として取り上げないという立場で臨んでおるのであります。ただ、いわゆる集団陳情というものが非常に多数の人間を動員して、ある場合には交通のいろいろな妨害になる、車道にまではみ出る、あるいは歌を歌ったり旗を振ったりして気勢を上げる、また帰りにはジグザグ行進等をしてデモって歩くということになりますならば、これはやはり許可されていない以上は何らか違法のデモ等ということで取り締まりをせざるを得ないのであります。そういうような場合におきましても、もちろんできるだけそのジグザグを最小限度にとどめるように現場で警告し、注意し、あるいは規制して、そしてとどめておる。できるだけ検挙者も出ないようにしていきたい、こういう気持でやっておるのであります。しかしながら、従来でもやはり激しいジグザグ行進あるいは激しいデモ行為によりまして、現場で検挙する、あるいは事後に検挙した事例もだんだんとあるわけであります。従いまして、そういうような実害というような面を十分考えまして処理をいたしておるような状況でございますので、この点一つ御了承願いたいと思います。
  228. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十三分散会