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1959-11-24 第33回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月二十四日(火曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 山下 春江君 理事 山中 貞則君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       荒木萬壽夫君    押谷 富三君       鴨田 宗一君    黒金 泰美君       進藤 一馬君    西村 英一君       藤枝 泉介君    古川 丈吉君       細田 義安君    毛利 松平君       山本 勝市君    河野  密君       北條 秀一君    山下 榮二君       松尾トシ子君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君  委員外出席者         調達庁次長   真子 伝次君         総理府事務官         (調達庁不動産         部次長)    高野藤吉郎君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三二号)  国有財産に関する件      ————◇—————
  2. 植木庚子郎

    植木委員長 これより会議を開きます。  法人税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 植木庚子郎

    植木委員長 御質疑がないようですから、本案に対する質疑はこれにも終了いたします。  なお、本案に対しましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  採決いたします。  本案原案通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よって、本案原案通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。  ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成並びに提出等手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。      ————◇—————
  6. 植木庚子郎

    植木委員長 国有財産に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。河野密君。
  7. 河野密

    河野(密)委員 この前、調達庁責任ある方がお見えになりませんでしたので、調達庁に対する質問を保留いたしておりましたが、きょうそれを続けさしていただきたいと思います。  お聞き及びでもありましょうが、昨年の二十二号台風の際の被害に対する補償の問題でございますが、私が今まで申し上げましたのは、この被害に対しては、駐留軍が占拠いたしておりました赤羽兵器廠施設そのものに対する責任があるのではないかという問題であります。この点について、この前写真をお見せいたしまして御検討を願ったのでありますが、昭和二十二年、一九四七年の空中写真によりますと、問題になりましたところには樹木があって、土手をささえておる。しかるに、その後この樹木が切られてしまって、そして一九五三年、昭和二十八年になりますと、これがほとんどまる裸になってしまった。こういうことは一体どういう事態によって起こったのか。駐留軍施設のためにこういう処置がとられたのであるかどうであるか。その点は調達庁においてはどういうふうに御調査になっておるか。これを承りたいと思います。
  8. 真子伝次

    真子説明員 お尋ねのFAC番号三一三七、いわゆる東京補給廠といっておった地のがけ崩壊に関する御質問でありますが、そのがけもと樹木があったのを米軍が切ったために、がけがくずれたのじゃないか、米軍が管理しておる間にそういうことをやって、そのためにがけがくずれたのじゃないか、こういう趣旨に帰するだろうと思うのでございますが、私ども調査では、もとどれだけの木があり、そしてどれだけ米軍が切ったかということについては、判然いたしかねる次第でございます。また、この崩壊して後に関係各省関係者調査いたしました結果、またその結果について関係方面専門家意見を徴しましても、米軍側不法行為による日本側責任あるいは米軍責任ということは考えられないという結論に達しておる次第でございます。
  9. 河野密

    河野(密)委員 ただその結論だけを  聞かしてもらっても、その理由はどういう理由なんですか。
  10. 真子伝次

    真子説明員 御承知のように、米軍不法行為があれば、行政協定十八冬に基づいて国がまず責任を負う、それから米軍側から四分の三の償還を受けるという手続が踏まれるわけでございますが、今までの調査によりますれば、米側不法行為というものがここに存在するということも認められないので、国が責任を負うことができない次第でございます。
  11. 河野密

    河野(密)委員 各省関係者がお集まりになって調査されたというのでありますが、私も何べんか現地に参って調査をしたのでありますが、御承知のように木の植わっております土手は、亀裂は生じておりますけれども崩壊しておりません。樹木の残っておるところは、ちゃんとそのまま残っておるわけであります。樹木を切ってしまったところは崩壊しておるわけであります。そこに災害が起こって、死者八人という被害を出したわけなんですが、その木があったことは間違いがない。そして現にその一部には残っておることも間違いがない。しかるに、その木はいつ切られたのか。そして一九五三年、昭和二十八年にはすでにその木がなかったのだから、その間に切られたことだけは間違いないが、米軍施設のために切ったのか、そうでないのか、そこに施設をしなかったのかしたのか、その点を明確に一つお答えを願いたい。
  12. 真子伝次

    真子説明員 もとはあそこのがけ相当樹木があったということは——現在残っている木とか、それからいろいろな目撃者とか、こちら側の調査関係した人たちのことを聞きましても、木が相当数あっただろうということは推定されるのでございますけれども、どれだけ木がそこにあり、またそれがその後どういう経過でどういうふうに切られていったかというようなこと、それから、その木がなくなったためにがけがくずれたというようなこと、そういうことがはっきりいたさないのでありまして、現実に起こった被害者の方々に対しては非常にお気の毒ではございますが、理屈を申し上げるようではなはだ恐縮でございますが、責任を国が負うというわけに参らない次第でございます。
  13. 河野密

    河野(密)委員 これは言葉じりをつかまえるわけではないのですけれども、実際にわからないとおっしゃるのですから、責任があるかないかも実際はわからないんじゃないですか。木がはたして原因であったかなかったか、木を切った者がだれであったのか、そこに米軍施設をしたのかしないのか、そういうことはあなたの方の調査ではわからないと言う。わからないから責任がない、こうおっしゃるならば、責任のあるかないかもわからないわけなんですね。これはどうなんですか。そこはあいまいだから、あいまいなものは責任を負わない、こういう態度だ、こうおっしゃるのですか。
  14. 真子伝次

    真子説明員 災害発生後に現地の実情について調査いたしましたところでは、その土地の事情を見ますと、大体水の流れる方向というものが、御承知のようにがけは大体南側にございますが、上の平地のところは大体北側に向かって傾斜しておる。水の流れは北にいくようになっておる。それから、排水溝が設けられておって、その水は大体北の方向へ流すようにしてある。それから、がけの方へ水が、特に上の平地にあるものが流れていくような誤った措置——誤ったと申しますか、がけの方へ水が流れていくようなふうにはなっていない。それから、土質等関係から見て、大体粘土質でかたいところである。表面に砂れきとかあるいは石炭がら等のある場所もあるようでありますが、大体地山と申しますか、かたい土質のものであって、そう簡単にくずれるようなしかけになっていない。今まで長い間そこがくずれておらないことで、この二十二号台風の前の二十一号から続いて相当雨が降っておるけれども、そのときも異状はない。いろいろなことを総合してみると、やはり二十二号台風という、いまだかつてない異常な降雨のために発生した事故であって、不法行為とかあるいは手落ちのあったために、その被害が起こったというふうには推定されない、こういう結論にきておる次第でございます。
  15. 河野密

    河野(密)委員 その排水溝北側に向かって流れるようになっておったということは、この前も承りました。しかし、その排水溝北側に流れるようになっていた、それだから水はそっちの方へ行くはずはない、水はそっちの方へ行くはずがないのにかかわらず、二十二号台風でくずれたというのは、一体どういう理由に基づくものでしょうか。異常なる降雨量というようなことをおっしゃいますが、異常なる降雨量でありましても、水がそっちの方へ流れていかなければくずれるわけはないのでありまして、それがくずれたというのは何らかの理由がなければならない、こう思うのです。そのあなた方の方の理由はどういう理由——ただ異常な台風、異常な降雨量ということ、では理屈にならぬと私は思いますが、それは一体どういう理由でくずれたのでしょうか。
  16. 真子伝次

    真子説明員 考えられますところは、上の平地に水が落ちたものでない、がけそのものに落下した水が流れて、そうしてそれがくずれた、一口に申せばそういうことに帰するのじゃないか。上の平たいところ、あの広大な面積のところに流れ落ちた水ががけへ落ちていったものではない、北側に傾斜になっている排水溝は、北の方へ、あるいは横に向けて作られて、がけに落ちていくような状況にない、そういうふうなことでございまして、がけそのものにかかってきた水が、落ちてきた水が、このがけの中に浸透していった、こういうようにしか考えられない、こういうわけでございます。
  17. 河野密

    河野(密)委員 そうすると、がけに落ちた、降った水のためにがけがくずれた、その水が異常であったからくずれた、こうおっしゃるのですね。そういうことなら一つ私はお尋ねいたしますが、もしその排水溝が何らかの事情で埋まっておって、その水が、あなたの言われるのとは逆に、逆流するような方向、少なくとも水が流れないで詰まっておったという事態がもし立証されたら、あなたの方は当然責任を負わなくちゃならぬと思いますが、どうですか。
  18. 真子伝次

    真子説明員 私ども調査関係各省調査では、その発生後に調べましたところ、そういうことは考えられない、こういうことでございますし、また、調達庁自体から申しますと、実は、この問題のFACは、昭和三十一年十二月十日に、国有地でございますが、米軍から返還されて、大蔵省普通財産になっているもので、災害が起こりましたのは、御承知通り三十三年の九月二十六日でございまして、調達庁が間接に管理しておりましたときから相当時間も経過しておりますし、その間二年間ばかりの間のことは、私どもとしても十分にはわかりかねる点もございますので私からお答え申し上げ得る範囲のことは以上の次第でございます。
  19. 河野密

    河野(密)委員 そうすると、責任大蔵省管財局にあるとおっしゃるのでしょうが、そうなりますと、もし、この排水溝の問題が、その間に駐留軍がいなくなってから二年間、その排水溝相当埋まっておるということを地元から言ったという事実もあると思います。現にそういうあれはあるのでありまするが、それからもう一つは、この事件が起こりましてから、ここに地元がけ下におる住民は、家のつぶれた者もつぶれない者もくるめて、避難をして、そこの駐留軍がおった建物の中に収容されておったのでありますが、それらの人々の目撃したところによりましても、その排水溝はほとんど埋まって、排水溝の水が逆流しておった、こういうことを言って、その逆流した水が土手から流れたという事実をみんな目撃しておるのであります。これは単なる架空の事実でなく、また想像の事実でなく、それらの人々がみなそこに行っておったので、石炭がらがつまっておったとか、そういう事実を言っておるのでありますが、この事実に対しては、大蔵省責任かあるいは調達庁責任かは存じませんが、この事実が立証された場合においては、これは責任は免れない。今調達庁から御答弁になった点から見ても、がけに降った水のためにくずれたんだ、それ以上の水がそこに流れたはずはないのだ、流れないはずだ、こういうことを前提にしての調査でありますから、もしそういう逆流したという事実があったら、これは責任は免れないと思うのですが、大蔵省並びに調達庁のはっきりしたお答えを願いたいと思います。
  20. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 ただいま調達庁次長からお答えしておりますように、崩壊のありましたあと、関係省調査いたしました結果によりますと、必ずしも排水溝が通常の働きをしておらなかった、従って、逆流いたしまして、それが直接このがけ崩壊を導いたというような事実は認められない、という結論報告を私ども受け取っておるわけでございます。まあ、かりの話として、それが逆流したために崩壊したという立証がされた場合どうであるかという御質問でございますが、その排水溝が、はたして工作物として——民法の無過失責任の規定七百十七条にあります工作物の保存に瑕疵があったということになるかどうかという問題、それとがけ崩壊との間の因果関係が、はたしてそれだけによってがけくずれが起こるものであるかどうかという点に、法律的な検討を要する問題があろうと思われますので、この点がかりに——かりの話でございますが、訴訟とでもなりまして、一方においてそういう事実が認定され、またその事実のもとにおいて、法律的な解釈が、この七百十七条の工作物瑕疵ということによりまして、そういった損害を生じたということになりますれば、そういう判決でありますれば、もちろんこれに従わざるを得ませんが、仮定の問題といたしましては、まだ私どもはっきり、この場におきまして、逆流したことからすぐそれのみによって直接このがけくずれが起き、国が負担を負うべきものであるかどうかという点は、まだ一がいに言えないのではないかというふうに考えております。
  21. 河野密

    河野(密)委員 今のお答えの中には問題が三つくらいあると思うのです。排水溝がはたして役をしておったか、しておらないかという事実の認定の問題ですが、この問題は、今管財局長が、必ずしもその役をしなかったとは考えなかったという、多少含みのある言葉を言われましたが、言葉じりをつかまえるんじゃないですが、そのことは、現状を見た者によって、ある程度まで排水溝が詰まっておったという事実は、否定するわけにはいかないから、必ずしもとおっしゃったと思うのですが、この排水溝自身がある程度まで詰まっておったことは、これは間違いない具体的の事実であります。その調査の結果、あなたの方はどう御認定になったかは存じませんけれども、事実はそういうふうになって、普通の場合ではそれで役をしておったんでございましょうが、異常な降雨というような場合には、詰まった水がはけなかったという事実はあり得る状態になっておったことは、これは間違いないと思うのです。その事実の認定の問題が一つと、それからもう一つは、第二番目におっしゃいました、はたして排水溝というものは工作物に該当するやいなやということでありますが、私は、これは工作物に該当するものである、こう思うのであります。これははっきりそう申し上げることができると思います。それからもう一つは、がけとかそういうものに対する施設も、これは工作物なりやいなやということは、工作物であるというふうに認定をした判例があるということを私は聞いております。そういう判例がかりにあった場合には、これは裁判を新しくやるまでもなく、実際においてその判例に拘束さるべきものだと私は考えるのでありますが、これはどうでしょうか。
  22. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 判例の点はまだ私ども調査いたしておりませんので、この点につきましては、判例を見た上でお答え申し上げたいと思います。
  23. 河野密

    河野(密)委員 判例があるならば、これはほかの委員会でもいろいろ問題になっている。外務委員会等でも、いろいろ判例がどれだけの政治的な拘束力を持つかという問題が——これは非常に重要な問題だと思いますが、しかし、判例があった場合には、私は、判例裁判所だけが尊重すべきものでなくて、一般行政の面においても、それを一つ前提として考えてもいいんじゃないかと思うのであります。
  24. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 判例に拘束されるかどうかという点、また政治的に、判例がある場合に、裁判の結果を待たずに、それと同じ処置をすべきであるかどうかという問題でございますが、私考えますには、法律的な解釈の点につきましての判例は、あるいはこれは何度裁判しましても同じかもしれませんが、事実認定の問題になりますと、個々のケースケースによりまして非常に違って参ると思いますので、ある具体的なデータ、ケースに基づきまして、その上で法律を適用してある結果が出てくるという場合におきましては、やはりその具体的な事実をまず調べてみる必要があり、その結果によっては法律の適用もされない場合もあり得ると思われますので、一がいには言えないのではないか、私、しろうと考えですが、このように考えております。
  25. 河野密

    河野(密)委員 その点につきましては、また具体的の判例を私が調べてみて、なお御質問申し上げますが、問題は、要するに排水溝の問題、樹木の問題、この二つが、かりに政府過失そのもの賠償の要因とするという見地によるとして、当然この二つがきめ手になる問題だと思うのですが、この問題については実は今までのところ水かけ論で、私の調べ、また私の実地に見たところでは、排水溝は必ずしも用をなさないとは申しませんというお答えと同じような状態になっておったことは、間違いはない。半ば詰まっておる。石炭がらがある程度あったり、それから木の葉が詰まったりして、そういうもので完全な用をなさない状態、それが異常の降雨のためにその水が逆流したということは、これはもう否定することのできない事実だと思うのです。しかし、あなた方の方で御認定にならないのならば、これは立証をして、そしてなおあれしなければならないと思うのです。同時に、一九四七年には、お見せしたようにちゃんと樹木があって、その樹木が残っておる。がけはくずれないで残っておる。亀裂は入っておりますけれども、残っておる。しかるに、この樹木を切り倒したところだけは、がけがくずれて、ああいう惨害を引き起こしておる。この事実によって、樹木のあるなしということが非常に大きな関係を持つのであるが、その樹木を四七年から五三年までの六年の間に切って、そこにいろいろな工作をした。一体その責任というものはないものだろうかどうだろうか。これは、私は、調達庁あるいは駐留軍というものが完全な土手の建設をしないで、ただ樹木だけを切ってしまったというようなそのことについての責任は免れないのじゃないか、こう思うのですが、この点について、なお立証方法等は、こういうあれでありますから、どういうふうにこの委員会として運ぶべきかは今すぐには浮かびませんけれども、しかしこの点が要点であろうと思う。この点を一つ調達庁の方においてもいま一段の調査を願い、管財局の方においても、もう一度、現地人たち意見なり、あるいはそこに避難した者は数十世帯あるわけでありますから、あのがけ下に住んでおる者は、みんなその駐留軍のおりましたところに避難をして、数日間あそこで過ごしておるので、その事実を知っておるわけですから、この事実についてもう一段の調査をすべき義務があるのじゃないか、こう思うので、この点も一つしかるべくお取り計らいを願いたいと思うわけであります。
  26. 真子伝次

    真子説明員 河野先生のおっしゃる通り排水溝の問題、樹木問題等は、この原因調べるのに重要なファクターであろうと私も考える次第でございます。私どもの今までの調査につきましては、先ほどだいぶ御説明申し上げた通りでございますが、樹木の問題も、先生写真にはおありだそうで、もとはおそらくあったものと推認されるわけでございますが、はたしてそれを米軍が切ったのか、あるいは、最近切ったとしても、いつごろ切ったものか、それから、その木を切ったということが決定的なものであるかどうかというようなことについては、先生自身もあるいは御疑念をお持ちであろうと思います。たとえば、米軍が木を切ったということは、今までの調査でははっきりしないのでありまして、ああいうところは、これは誤解を生ずるかもしれませんが、盗伐等もあり得ることでございまして、これをだれがいつごろ切ったかということを調べ上げることは、きわきて困難、不可能じゃないかというふうに考えられる点も多いのでございます。私どもの方でももちろんわかる限り御要求に従って調べはいたしますが、これは非常にむずかしいことじゃなかろうかというふうに思いますので、御了承願いたいと思います。
  27. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 河野委員のかねてからの御指摘、御意見であり、また被災者事情は非常にお気の毒でありますので、政府としては何とか好意的にできるだけのことはしたいということで、いろいろ相談して参ったのであります。何がしかの見舞金は差し上げましたけれども、それ以上の損害賠償相当するようなことにつきましては、政府のいたすことですから、御承知通り法律に基づいていたさなければならない。そこで、今回の災害が、政府責任として、いわゆる過失によるものかどうか、法律に基づいて損害賠償すべきものかどうかということに実は一番研究の焦点があって、いろいろ研究してみたのでありますが、政府損害賠償すべき責任があるというところまでは、どうも理論がまだ立ちませんので、ただいま御指摘のように、工作物等瑕疵によって損害賠償をしたという判例があるというお言葉ですが、その判例が実は政府の方ではまだ見つかっておりませんので、判例一つ指摘いただいて、その判例が今回のこの事態に適合するものかどうかということもよく研究してみましてそして善処しなければならぬと思います。現在のところでは、ただ排水溝が詰まっておった、それから未曽有の豪雨でもってがけがくずれたということで、すぐ政府損害賠償責任が生するというところまでは法的に理論の筋が立ちませんので、実は私ども苦慮しておる、こういうことでありますので、一つ判例などを御指摘いただいて、政府もまたそれなどに基いて研究してみたいと存じます。
  28. 河野密

    河野(密)委員 御趣旨はよくわかりますが、私は、この前も申しましたように、個人の場合においては個人に対する非難、あるいは私の会社の場合においては私の会社に対するいろいろな周囲の声というものがあるので、賠償もいたしますし復旧もやっているわけです。ところが、それがたまたま政府国有財産であるということのために、同じような被害を受けても、何らの補償もなく、単なる見舞金だけだというようなことでは、非常に片手落ちではないか。国家である場合においては、むしろもっと手厚くやるべきはずのものではないか。私はこの前赤坂で三井の土手がくずれて埋没した例を申し上げましたが、去年の九月二十六日の二十二号台風の際にも、名前をあげればすぐわかりますけれども、私の多少関係を持っている板橋のある会社土手がくずれて、都営住宅が数戸埋没をいたしました。幸いにしてけが人、死者は出なかったのですが、それでも四千数百万円の金を出して、復旧もするし補償もしている。個人会社であってもそれだけのことをする。それは、やはり、会社である以上は、近所あるいは関係方面に迷惑をかけてはいかぬという一つの考慮があってやる。しかるに、国有財産である、しかも駐留軍が撤退した跡というものは二カ年ほとんど放置してあるというような状態にしておって、排水溝であろうと、そういうものに何らの修理を加えていることはあり得ないと思うのです。それで、現に、そこに行った者は、排水溝が詰まっておって、その水が逆流したことのために、土手の方に水が流れてきたという事実は歴然としていると、問題が起こりまして私が呼び出しを受けて行ったときに、すでにそういうことをみな口々に言っておったわけです。それにもかかわらず、一年有余かけて、調査々々ということに名をかりてした結果、単なる見舞金の程度で済ますべき問題だというように決定されること自身が、私は非常に不合理だと思うのです。その点について注意を喚起しながら、私もたまたまこういう問題に関係したのでありますから、一つこれの結末をつけたい、こういうつもりでしつこくお話を申し上げておる次第なんですが、政府においてもそのつもりでしかるべく善処していただきたい、こう思います。それについて何か……。
  29. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 御趣旨まことにごもっともに存じます。御指摘のように、もしこの旧兵器廠の土地が個人の所有であり、たとえば工場でも経営している、そしてこういう惨害が起こったということであれば、その工場の所有主の人柄にもよりますけれども、普通法律に基づかずに被災者の方にできるだけのことをするのであります。百に一つ二つどうしても話がつかぬ場合には、それは損害賠償法律にもかけますけれども、そこまでいかずにあたたかい処置がつくものですし、またつけております。ところが、国のことになりますと、法律に縛られて、個人でできることも国はなかなかできにくい。しかし、国としては、また国のなすべきことはすべて法律に基づくということに、ある程度縛っておかなければならぬ建前だと思いますので、私も実はしみじみ感じておりますし、決算委員会などにもこれに似た事例が多々あるので、いかがなものかと思います。さてそれじゃどうするかとなると思案にくれますが、この問題については、御指摘のように、できるだけ法律を寛大に解釈してできるだけの処置をとるべきだ、かように存じます。
  30. 河野密

    河野(密)委員 その点については、判例等を調べまして、もう一ぺん重ねて御質問することがあり得るということを保留いたしまして、この間に、もう一つ伺いましたグランド・ハイツの八百六十一号の建物の問題について、調達庁責任者がお見えになりましたから、私は端的にお尋ねいたします。グランド・ハイツの責任者から参りました手紙によりますと、いわゆる東京プロキュアメント・ビューローがグランド・ハイツのこの問題についてヘッド・クォーターにお出しになった書類の中に、こういうことが書いてあるのであります。この問題になりました建物は個人の所有であるが、個人の所有であるその建物がかりに日本の法律によって登記されておったとしても、それを取りこわしたり移転したりするということは進駐軍の権利であって、日本の法律において正当にこれが登記されておったとしても、何らのその建物に対する権利を保障するものではない、こういうことを調達庁が進駐軍に書簡を出しております。この書簡に基いて、進駐軍は、自分の権限によってこわすというので、その建物をこわしておるのであります。日本の法律によって登記をされておったといえども、これは何らの法律上の保障になるものじゃない、一体どういう理由でもってこういう回答をお出しになったのか、これを一つ明確にお答えいただきたいと思います。
  31. 真子伝次

    真子説明員 お尋ねのグランド・ハイツ内の建物の件につきましては、これは先生承知のことだと思いますが、調達庁が知らぬ間に米軍が直接個人と契約をしてそういう建物を作らしたものでございまして、これは調達庁が提供しあるいは施設をしてやったというものではないわけで、全然調達庁が関知しない軍と個人との契約上の紛争である、こういうように考えておるわけでございます。それで、米軍とその個人との間で適当に解決をつけてもらいたい、また解決すべき事柄であろう、こういうように考えております。
  32. 河野密

    河野(密)委員 私はそういうことを伺っておるのじゃないのです。グランド・ハイツ内のその建物は、個人米軍との間でやったとかやらないとかいうことを聞いておるのじゃないのであります。そうなのではなくて、そのグランド・ハイツの中に建てた建物は、かりに米軍個人的な契約によってできたものであっても、それは日本の法律によって個人の所有権、不動産として登記されている、こういう事実。あなたの方からお出しになった書類には、こういうことが書いてあるのであります。これは、日本の民法によって、このビルディングのオーナーシップというものはきまったけれども、そのオーナーシップというものは、その持ち主に対して日本に駐留するアメリカ軍の命令によってこのビルディングを移すということを妨げるものではない、こういうことが書いてある。日本の民法に従ってその所有権がかりに登記されておったとしても、それを米軍がこわそうと、それを移転しようと、そういうことは何らの保障になるものではない、日本の民法によって不動産が登記されておったということは妨げにならぬのだ、こういうことをあなたの方で言っておるのでありますが、これは一体どういう法律上の根拠、いかなる見解に基いて、あなた方はこういう回答をお出しになったのか、それを聞いておるのです。
  33. 真子伝次

    真子説明員 聞くところによりますと、当該物件は当事者の米軍個人との間にはいろいろ条件、約束があったそうでございまして、米軍はその約束に基いて約束通り処置をしたということにすぎない。一口に申し上げればそういうことであろうと私は考えているわけでございます。そこで、かりに登記をいたしましたにいたしましても、米側に対してこういう措置を講じていいという本人の承諾があるのであるからして、その承諾に基いて米軍が適当な措置をとった、また私の方でも、そういう約束があるなら適当に米軍の方で処置して下さい、こう言ったまでのことであって、権利のあるものを無視してこうする、そういったことは全然ございません。
  34. 河野密

    河野(密)委員 あなたの方からこの書類はお出しになったわけですね。東京プロキュアメント・ビューローが出した一九五九年三月十六日付の回答書というものは、ヘッドクォーターにお出しになった。これは間違いなしにお出しになったのですね。
  35. 真子伝次

    真子説明員 昭和三十四年三月十六日に米軍責任で解決すべきものであるという趣旨の回答を出した事実は間違いございません。
  36. 河野密

    河野(密)委員 その中に、これは私にはこういう趣旨に英文で解せられるのですが、その所有主である会社、サウザン・クロス・シー・フッド・インスチチュートは、日本の民法に従ってビルディングの所有権についてとった法律的な行為というものは、レジストレーション・アット・ザ・ネリマ・レジストレーション・オフィス——練馬の登記所に登記したという事実は、これは、ギヴス・ツー・ジ・オーナー・ノー・パワー・ホワットエヴァ・ツー・プリヴェント・ザ・リムーヴァル・オブ・ザ・ビルディング・バイ・ジ・オーダー・オブ・ザ・US・フォーセス・ジャパン——日本駐留のアメリカ軍の命令によってこの建物を動かすということを阻止するべき何らの権利を所有主に与えるものではない、こういうふうになっておる。これを見ると、登記があるとかないとかいうことは何ら問題にならない、こういうふうに解釈されるのですが、日本の法律というものをなぜこういうように調達庁解釈されるのか、その点を承っておるのです。
  37. 真子伝次

    真子説明員 米側がその建物を作らせたときに、当事者間の契約として協定書の中にこういった条項があるそうでございます。その第十六項に、本協定は、営業を廃したとき、三十日の予告期間後終了する。第十七項に、本協定の破棄または終了の際、協定の相手方はその財産を施設内から直ちに撤去すること。もし期限内に相手方が撤去しないときは、米軍は相手方の経費の負担のもと施設内から財産を撤去することができる。こういう約束が書類の中に取りきめになっておるそうでございます。そういうことがございますれば、これは事実だそうでございますから、それに基づいて米側処置をするということは適当ではないかと考えるわけでございます。
  38. 河野密

    河野(密)委員 それだったら、あなた方の回答の第三項に書いてあるように、この建物というものは個人の財産であるからして、その建物を移転するとかこわすとかいうようなことは、駐留軍会社との間で決定さるべきものだ、これだけで足りると私は思うのです。それを、登記があるにかかわらず、その登記という事実は米軍の行動を何ら妨げるものではない、こういうことを何でつけ加えなければならないのか。これを聞いておるのです。不動産の登記があるにかかわらず、米軍個人のあれが優先するというのは一体どういうわけなんですか。不動産というものは、私が言うまでもなく、物権と債権との関係を今さらとやかく御説明をしなくともよくおわかりだと思うのですが、これは、登記がしてあるにかかわらず、それは米軍の行動を何ら妨げないということが書いてある。これは、失礼な言い分だけれども、日本の法律があっても何があっても、アメリカ軍に対しては御無理ごもっともだという調達庁の卑屈な態度がこの中に露骨に現われておると思うのです。日本の民法に従って登記がしてあっても、そんなものは意味がないんだというようなことをなぜ言ってやったのか。アメリカ軍は、現に、私に対する手紙においても、調達庁が承諾しているのだからいいんだということを言っておるのです。これはどういうわけですか。
  39. 真子伝次

    真子説明員 その回答を出したときの事情を、私は、ただいまここで、どうしてそれを書いたかと申されると、関係者がおりませんので、お答えできかねますけれども……。
  40. 河野密

    河野(密)委員 そういう責任のがれのことばかり言っておるからいかぬのです。責任ある態度で答えて下さい。日本の民法は、そういうときには幾ら登記をしてあっても、何があっても、アメリカ軍の命令の方が優先する、こういうことなのか、日本の民法は要らないのか、そういう考え方なのか、それをはっきりして下さい。
  41. 真子伝次

    真子説明員 調達庁はこのFACを提供はいたしておりますが、調達庁が知らないうちにそういう建物を米軍が勝手に作ったのでありまして、私の方でそれがわかれば、そういうものは取り除いてくれという筋合いの性質のものでございます。しかし、できてしまったものをすぐこちらから勝手に米軍の承諾なしにこうするということもできませんので、しかも、当事者の間には、そういう、さっき申し上げましたような協定条項で、そういう条項に従えば、米軍が取り除くことができる、こういうことを本人が承諾しておるわけでありますから、かりに登記があっても、当事者の間でそういう協定があるなら取り除いていいじゃないか、あるいは当事者の間で片づけて差しつかえないじゃないか、こういう趣旨の回答をしたということは、そう大して間違っておるとは私は現在考えません。
  42. 河野密

    河野(密)委員 私が聞いておるのは、それだったら、三番目までの回答をして、米軍とその会社との個人的な関係であるから、調達庁は関与するところではない、あなた方の間で御決定下さい、こういうことでいいのです。それを、かりに日本の民法に従って登記がしてあったとしても、それは何ら米軍の行動を妨げるものではない、所有者の所有権を何らオーソライズするものでないとか、そういうようなことを書き添えなければならないという理由は一体どこにあるのだ、一体なぜそんなことを書くのか、私はそれを聞いておるのです。あなたの言うのは、顧みて他を言う答弁であって、何も、私は、これを米軍に百パーセントの非があり云々というようなことを考えているのではないけれども、そういう調達庁自身の態度というものは卑屈だと思う。何もあなたに説明するまでもなく、登記されておる不動産であるから、合意によって取りこわすということなら合意によって取りこわしができますが、もしその間に協定が、話し合いができないという場合には、日本の法律によったら、撤去するというような場合にはだれがやるのですか。裁判所によってやる以外にはないじゃありませんか。そういうことを日本の法律ではきめてあっても、米軍が自由に取りこわしてもよろしいのです、こういうことを調達庁は何で書く必要があるのか。しかも、日本の民法に従ってちゃんと登記がしてあるにもかかわらず、それは米軍がやっても差しつかえないのだ、こういうことを、一体調達庁は、いかなる法律上の根拠に基づいて、どういう見解に基づいておっしゃるのか、その法律上の理由を聞かせてもらいたい、私はそう言っているです。
  43. 真子伝次

    真子説明員 お話のように、卑屈であるか卑屈でないかということは、調達庁は断じて卑屈な態度をもって臨んでいるわけではございませんが、その文言に、お説のように——登記があるなしにかかわらずといったようなことを記載してあると先生がおっしゃるから、私の方には今その書類はございませんけれども、おそらくそういうことを書いてあるのだろうと思います。しかし、そういう言葉は、お説のように、やはり蛇足であったと私は考えます。しかし、当事者、その当時書いた局の者あるいは本庁の者がただいまここに在席しておりませんので、どういうわけでそういう蛇足をつけ加えたかということを今御回答申し上げることができないわけであります。御了承願います。
  44. 河野密

    河野(密)委員 これは、少なくとも間違いでなければ、あなた方の言わなくてもいいことを言ったんだということをはっきりお認めになりましたから、この点は私も一つ速記録にとどめておいていただいて了としますが、そのアメリカ軍は、今になると、個人の所有物である建物を米軍が勝手にこわしてしまったということで、今度私がロバート・バーンズというコマンダーに手紙をやりましたところが、その返事の中に、この前もちょっと申し上げましたが、調達庁が所有権というものは別に日本の法律によっても差しつかえないんだ、こう言うからこわしたのだ、こういうことを答えてきているわけで、もし意見があるならば日米共同委員会へ持ち出してくれ、こう私のところに言ってきているわけなんです。そういうようなことで、この調達庁が出した文書を今よりどころとして、向こうは自分たちの行為をオーソライズしようとしておるわけです。その点は、調達庁が行き過ぎであったというならば、一つそのようにはっきりと明記していただいて、私の方は、その調達庁の見解に従って、また米軍との交渉その他に当たりたいと思う。  そこで、もう一つお尋ねしたいのですが、ここに私あてにきております司令官のロバート・バーンズの手紙によりますと、もし不満足であるならば、一つ行政協定の二十六条に従ってこれを日米合同委員会に持ち出してくれということが書いてあるのですが、この日米合同委員会にはどういうふうにして持ち出し得るのですか。調達庁が介入しなくても、個人として日米合同委員会に持ち出すことができるのですか、どうなんですか。
  45. 真子伝次

    真子説明員 現在の問題になっておる事案でございますが、私がただいま考えるところでは、合同委員会の議題となる事柄ではないと思います。しかし、調達庁といたしましては、本人から、個人の側からの申請がございますれば、事情をなお検討いたしまして、どういうふうにするか考えてみたい、こういうふうに考えております。
  46. 河野密

    河野(密)委員 大体問題は非常に明らかになりまして、米軍側でもって、日本の民法にあるにかかわらず、米軍が自由に行動をとっても差しつかえないのだという米軍の行動をオーソライズするような調達庁の回答というものは、調達庁としてはなすべからざるものをなした、こういうことがはっきりしたわけであります。従って、これは、ロバート・バーンズの言っておりますように、日米合同委員会に持ち出すというならば、そこで相談をしようということでありますから、これは、一つ、日米当事者間において、もし日米合同委員会に持ち出すというような事態になりましたならば、調達庁の方でもしかるべく御協力願いたい、こう思う次第であります。  大体私の質問は終わります。
  47. 植木庚子郎

    植木委員長 次会は公報をもって御通知することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十五分散会      ————◇—————