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1959-11-20 第33回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月二十日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君    理事 坊  秀男君 理事 山下 春江君    理事 山中 貞則君 理事 佐藤觀次郎君    理事 平岡忠次郎君 理事 廣瀬 勝邦君       加藤 高藏君    黒金 泰美君       竹下  登君    西村 英一君       古川 丈吉君    細田 義安君       山本 勝市君    大貫 大八君       河野  密君    北條 秀一君       山下 榮二君    横山 利秋君       松尾トシ子君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁不動産         部次長)    高野藤吉郎君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      白石 正雄君         大蔵事務官         (国税庁徴収部         長)      勝原  啓君         専  門  員 拔井 光三君     ————————————— 十一月十八日  委員横路節雄君及び春日一幸辞任につき、そ  の補欠として野口忠夫君及び西村榮一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員野口忠夫辞任につき、その補欠として横  路節雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員山本幸一辞任につき、その補欠として河  野密君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十一月十八日  鹿屋市に国民金融公庫支所設置に関する請願(  二階堂進紹介)(第三七三号)  鹿屋市に専売局煙草製造工場設置に関する請願  (二階堂進紹介)(第三七四号)  たばこ販売手数料引上げに関する請願(菊川君  子君紹介)(第四四一号)  同(植木庚子郎君紹介)(第四六八号)  同(大久保武雄紹介)(第四六九号)  同(小林かなえ紹介)(第四七〇号)  同(瀬戸山三男紹介)(第四七一号)  同外二件(池田清志紹介)(第五一〇号)  同(伊藤よし子紹介)(第五一一号)  同外五件(川野芳滿君外二名紹介)(第五一二  号)  同(鈴木善幸紹介)(第五一三号)  同外二件(瀬戸山三男君外一名紹介)(第五一  四号)  同(中馬辰猪紹介)(第五一五号)  同(根本龍太郎紹介)(第五一六号)  同(古川丈吉紹介)(第五一七号)  同外一件(保岡武久紹介)(第五一八号)  同外一件(山本勝市君紹介)(第五一九号)  同(片山哲紹介)(第五五二号)  同(神近市子紹介)(第五五三号)  同(北山愛郎紹介)(第五五四号)  同外二件(小島徹三紹介)(第五五五号)  同(塚田十一郎紹介)(第五五六号)  同(西村英一紹介)(第五五七号)  同(野田卯一紹介)(第五五八号)  同外二件(八田貞義紹介)(第五五九号)  同外一件(福井盛太紹介)(第五六〇号)  同外四件(福田赳夫紹介)(第五六一号)  同外二件(細田義安紹介)(第五六号)  同(前尾繁三郎紹介)(第五六三号)  同外二件(山田彌一紹介)(第五六四号)  ゴルフ用品物品税撤廃に関する請願古川丈  吉君紹介)(第五二〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三二号)  国有財産に関する件      ————◇—————
  2. 植木庚子郎

    植木委員長 これより会議を開きます。  国有財産に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。河野密君。
  3. 河野密

    河野(密)委員 今台風の問題についていろいろ論議が進められておりますが、まだ前の台風跡始末ができておりません。その問題につきまして今度の台風の問題にも関係がありますので、責任跡始末をつけておきたいと思いますが、実は、本年の二月二十八日に、私は、予算委員会分科会におきまして政府に第二十二号台風による被災の国家補償の問題についてお尋ねをしたのであります。それは、東京赤羽がけ下において、第二十二号台風災害を受けて、死者八名、傷害者二名、家屋の全壊八戸、半壊五戸、一部損壊三戸、こういう被害が出ておるのでありますが、この死者八名、家屋損壊八戸というその損害に対しまして、国家がこれを補償すべきではないか、こういう問題について政府の所見をただしましたところ、これはただいま調査中である、また法務省意見も聞いて、はたして政府責任であるかどうかということを明らかにした上で、これに対する損害賠償責任の有無を明らかにするということになっておるのでありますが、今国会におきましてはまだその結論を聞いておりませんので、これの政府のその後の態度と申しますか、調査の結果を承りたいと思うのであります。
  4. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 お答え申し上げます。  昨年の二十二号台風によりまして、ただいま御指摘になりましたような被害が生じたのでございます。この点につきまして、国家補償責任があるかどうかという点についてお尋ねがございましたときに、まだ十分な調査も済んでおりませんし、法律的な問題といたしまして、国に補償責任があるかどうかという点につきましても、法務省打ち合わせをする必要がございましたので、その旨お答えいたしたのでございます。その後調査をいたしたのでございますが、何しろ災害の当日からはだいぶ日にちもたっておりまして、不明な点も多いのでございますが、専門家といたしまして地質学等学識経験者にも現場を数回見ていただきまして、この被害原因等について調査をお願いいたしたのでございます。その結果、結論的に申し上げますと、排水溝その他土どめ等につきましては、一応の施設が設けられておりまして、これは長年の降雨に耐えて参ったのでございますが、不幸にして、二十二号台風は、その前からたびたび雨が重なっておりましたところへ、当日は異常な豪雨が参りまして、ついにがけくずれになったということでございまして、結論的に申し上げますと、人的な瑕疵があったとか、過失があったとかいうことではなくして、異常な豪雨に基づく天災による不可抗力であったという結論に達したのでございまして、この点は、その被害をお受けになりました方々にとってはまことに申しわけない点でございますが、法律的に国家賠償する責任はない、法務省との打ち合わせの結果におきましても、そのような見解回答を受けておりました。その旨を当事者にはお伝えいたした次第でございます。
  5. 河野密

    河野(密)委員 そうしますと、降雨が異常であるし、二十二号台風のごとき異常な降雨の際であるから補償責任がない、こういう結論に達した、こういうのでありますが、その降雨量の異常であったことは、これは自然現象でありますから認められますが、もし、その降雨量と、ほかにその施設その他において瑕疵指摘された場合においては、政府においてはどうなさいますか。
  6. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 調査いたしました結果、瑕疵がなかったというふうに考えておりまして、法律的な点を申し上げますと、民法七百十七条で無過失責任の規定がございますが、これは工作物瑕疵があった場合ということになっておるのでございます。私どもはこのがけそのもの工作物ではないというふうに考えておりますし、またその中に施されております土どめがあったのでございますが、これも土どめ自体はもちろんがけ地に埋没されておりましたもので、それ自体危険性を持っておるとは認められませんので、これも工作物ではないというふうに解釈いたしておるのでございます。次に、瑕疵の点でございますが、これは、私どもの考えでは、先ほど申しましたように、天文台始まって以来の未曽有豪雨ということで、不可抗力であったと考えておるのでありまして、この七百十七条の工作物瑕疵に基づく無過失責任は、この場合には適用がないと考えております。  それから、それでは七百九条の一般の損害賠償責任があるかどうかという点につきましては、これは過失があったかなかったかということに帰着する一わけでございますが、この点につきましても、私どもは、不可抗力を援用いたしまして、過失はなかったというふうに解釈いたしておりますが、結局は、最終的には裁判所判定を待つということによらざるを得ないと思うのでございまして裁判所判定によりまして、過失があった、国に賠償責任があるということでありますれば、当然国が賠償をいたす。これは言うまでもないことでございますが、それまでは過失がないというふうに私どもは考えております。
  7. 河野密

    河野(密)委員 そこで、二つ私はあけたいと思いますが、がけ工作物ではない、がけの中にある土どめがそういう危険性を持ったものじゃない、こう言うのですが、普通の常識で、がけを堅牢に保つためには木を植えておく。木を切ったというのは過失でしょうか、過失ではないのでしょうか。木を切ったことによって起こされたる責任は、一体あるのでしょうか、ないのでしょうか。
  8. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 木を切った事実につきましても調査をいたしたのでございますが、だれがいつどの程度の木を切ったかという点が実ははっきりいたさないのでございますが、それはそれといたしまして、この点につきまして学者意見を徴しましたところによりますと、木を切ったところによってこのような災害が必ず生ずるかどうかという点は、経験的な観点からいたしましても、木を切ったことに基づいてこのようながけくずれが必ず起こるということは、必ずしも言えないという学者意見がございました。その点は、木を切ったことが必ず過失になるというふうには、私どもは解釈いたしておりません。
  9. 河野密

    河野(密)委員 そうすると、大蔵省の方では、木を切ったことが、はたしてこのがけくずれにどういう影響があったかということについて、御調査になったのでしょうか。そして、そういうことも計算に入れた上で、賠償責任ありやなしやということを判断はなさったのでございますか。
  10. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 先ほど申しましたように、木がどのような状態であって、いつ切ったかという点については、必ずしもはっきりしない点がございますが、かりに木が切られたにしましても、そのこと自体が直接この災害に結びついたものではないというふうに考えまして、賠償責任はないという結論を出したわけであります。
  11. 河野密

    河野(密)委員 調達庁に伺いますが、これは米軍がこの基地に駐留したときには、樹木があったのでしょうか、なかったのでしょうか。そしていつ調達庁としてはこのがけの修理をしてこの木を切ったのでしょうか。調達庁に伺います。
  12. 高野藤吉郎

    高野説明員 お答えいたします。  ただいま御質問の木の問題でございまするが、問題がございましたときに東京調達局並び関東財務局現地共同調査いたしました際、軍の施設におりますガードその他からいろいろ事情を聞いたのでございますが、接収当時以後の木がどのくらいあったか、あるいは木を米軍が切ったかどうかというような点につきましては、つまびらかでございません。従いまして、今御質問の、どのくらい接収当時に木がありましてその後どういう状況であるということは、ただいま詳しくございませんので、お答えいたしかねると思います。
  13. 河野密

    河野(密)委員 私ここに持って参りましたが、これは一九四七年ですから、ちょうど昭和二十二年です。米軍が駐留する前に米軍が写した空中写真ですが、この空中写真によりますると、問題になっている赤羽兵器廠のその地点は、一九四七年の空中写真によっても明らかに樹木がこの通りずっと現われています。これは問題になった土手の辺にずっと樹木があるわけなんです。これが土手をささえていたことは間違いがない。それに、現在、去年問題の起こったところに私も数回行きまして調査をしましたが、それによりますと、樹木の繁茂しておるところはがけはくずれておらないのです。御承知のようにがけはくずれておらない。これは、切ってそれを改修されたということと、それは異常な降雨量には違いないと思うのですけれども、しかし、それよりも、またそのがけ樹木を切って工作したということの方が私は重大な要素である、こういうふうに見得るのでありますが、この一九四七年の空中写真によれば、その後、赤羽兵器廠の周囲には、土手にはずっと樹木がこの通りごらんいただけばわかりますようにあるわけです。ところが、こっちにあります一九五三年のあれによりますと、すでに樹木は切ってあるわけです。駐留軍がそこにいろいろな施設をするために樹木を取り払ったわけです。そうすると、一九四七年に駐留軍がそこを占拠する前はちゃんと土手の上には樹木が植わって、それが土手のささえになっておった。その後いろんな工作の必要上駐留軍樹木を切った。そしてがけに対する一つ工作をしておらなかったということは明らかだと思うのですが、これは少くとも私はその管理者責任であるということが言えると思うのでありますが、御意見はどうですか。
  14. 高野藤吉郎

    高野説明員 がけの斜面に樹木が前にありまして、事故の起こりました当時その樹木がない、このことによって被害に重大なる影響があったのでないかという御質問と承っておるのでございますが、私どもの方は、先ほど申し上げましたように、共同調査の際に、やはり先ほど大蔵省の方から御答弁申し上げましたような結論を出しておるというふうに、私ら不動産部事案といたしましてはさように聞いておる次第でございます。
  15. 河野密

    河野(密)委員 要領を得ないのですが、これは一体駐留軍が独自の立場でやったのですか、調達庁で、駐留軍の命を受けて、こういう施設をなすったのですか。
  16. 高野藤吉郎

    高野説明員 ただいまの御質問の点は二つに分けられると思うのでございますが、この赤羽兵器廠の提供は調達庁行政協定第二条によりまして正式に提供いたした施設でございます。しかしながら、施設内のただいまお話しのような樹木を受託するというようなことは、調達庁米軍の要求によりまして受託したものではございませんので、米軍施設管理上、米軍がかりにそれを受託いたしましたとすれば、米軍の権利のもとに受託したと思うのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、その樹木米軍が切ったかどうかという点につきましては、実は詳しい事情は聞いておりません。
  17. 河野密

    河野(密)委員 明らかにしていただきたいのですが、米軍がかりに切ったものでありまして、調達庁があずかり知らなかったにしても、その責任は一体どこにあるのですか。米軍が切ったのだから米軍に言え、こういうのですか。私の理解するところによれば、調達庁に当然責任があるわけだと思うのですが、これはどうなんですか。
  18. 高野藤吉郎

    高野説明員 米軍に正式に提供いたしております施設の中において、米軍がいろいろ施設管理上いたしますことについて、調達庁といたしましてはそのつど連絡を受けておるわけではございませんので、それはあくまでも米軍施設管理上やったことと考えております。
  19. 河野密

    河野(密)委員 私はそういうことを聞いているのではないのです。米軍がやったことであっても調達庁は当然責任を負うんじゃないか。現に、米軍が自動車で人をひき殺したような場合でも、米軍がやったことだが、過失が明らかであれば、調達庁賠償責任を持っておるでしょう。それと同じように、これは米軍調達庁の知らない間に木を切ったのかもしらぬが、それによってもしこの事件が引き起こされたとすれば、その責任は、やはりそういうことを平生米軍に交渉しない調達庁が腰が弱いんで、それゆえに責任をのがれるわけにはいかないのではないか、こういうことを私は聞いているのです。
  20. 高野藤吉郎

    高野説明員 先生のただいまの御質問に対しまする回答といたしましては、私ら不動産部事案といたしましてお答えいたしておる範囲外でございまして、ただいまのような御質問に対するお答えといたしましては、かりにそういった事案がございました際は、調達庁総務部の方で十八条関係といたしまして担当いたしておりますので、総務部の方からお答え申し上げるべきが至当かと存じます。
  21. 河野密

    河野(密)委員 それでは一つ総務部を呼んで下さい。
  22. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 ただいま河野委員の伐木の事実その責任という点についてのお尋ねでございまして、この点につきましては私どもの直接のあれでございませんが、調達庁財務局調査の結果を聞きましたところによりますと、どうもどのような経過をとって木が切られたかという点については明らかでないという報告を受けております。これと国家補償責任という点でございますが、かりに木が切られておったといたしましても、あすこにあります程度の土どめがしてあれば、通常災害には耐え得るという学者見解がございまして、また木があってかえって水がよく浸透して災害が大きくなるというような場合もあり得るわけでありますので、木が切られたことが直接災害に結びついたというふうには考えないという私ども結論でございます。その点を御了承いただきたいと思います。
  23. 河野密

    河野(密)委員 大蔵省見解は承っておきます。
  24. 植木庚子郎

    植木委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止
  25. 植木庚子郎

    植木委員長 速記を始めて下さい。
  26. 山下春江

    山下(春)委員 関連して。  私は、今の河野委員の御発言の前段のところの、樹木があればこの損害が起こらなかったかもしれないという御発言に対して私も自来ずっとそういう気持でばかりいたのですが、昭和三十一年だと思います。第何号台風か忘れましたが、福島県の会津地方に非常な大豪雨がありまして、がけくずれによって災害救助法を発動した災害がありました。私、当時ちょうど厚生政務次官でございましたので、現地を視察いたしまして、そこで私の従来考えていたことがちょっとひっくり返りました。ということは、末口が大体四十センチぐらいあるような非常に大きな木で、大体松の木でありましたが、それの密生している地域の山くずれ、がけくずれで、しかも下のため池に非常に大きな木がそのまま突っ込んで、がけがくずれておりました。その状況を見て、自来樹木がないために災害が起こるとばかり考えておった私の考え方が、ちょっと狂ってきまして、その後、林野庁等に、日本国土に断層みたいなところがずっとあるから、がけくずれがあるのだろうと思いますが、樹木が密生しておってもがけくずれが起こるという現場を見て参りまして、これは、管財局とか調達庁とかの研究でなく、もっと災害の多い日本では、こういう点を根本的に研究される必要があることを、そのときに具申いたしておきました。今度の災害等でも、そういう現場があっちこっちにあることを聞き及びましてこれは日本のように非常に台風に荒らされ、一ぺんに三百ミリ以上の雨がときどきやってくる日本国土保全の上からは、もっと根本的な機関で根本的に研究される必要があると、今河野委員のお話を聞いていて、始終私が思っておることですから、何か特別な御研究をなさる必要があることを痛感して、あらためて、そういうことに御関係のある役所では、なおさら、一つ何かの機関で、根本的に国家的に御研究なさる必要があることを考えます。そういうことを御研究なさろうとしておいでになるかどうか。私は、そのときに政府にそのことを、その土地にいる専門家等意見をもいろいろ聞き合わせて具申しておきましたが、その後何かそういうことの御研究をしようということを林野庁等と御相談になったことがございましょうか。
  27. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 まことに適切な御意見でございまして、当然なすべきことであろうと思うのでございますが、どこが担当いたしますか、そういった点についてはまだ研究の余地があろうかと思いますが、結局、私考えますのに、一がいにこれは言えないことでございまして、たとえばこの前の二十二号台風に基く降雨を見ましても、過去十年間のその年における最大降雨量を見てみますと、一五〇ミリをこえました年が二十三年と二十五年に二回あるきりでございまして、それを除きますと、大体一〇〇ミリ前後ということでございまして、十年の間で、その各年の最大降雨量の平均をとってみましても、一〇七・八二ミリという程度のところへ、二十二号台風は三九二ミリという豪雨が来たのでございます。今後またこういう豪雨がたびたび来るかという点でございますが、これは神様以外にはだれもわからぬわけでございます。しかし、一度でもこういうような経験がございますれば、相当なことを施さなければ災害が生ずるということは、これは私ども経験的に教えられたことでございますので、ただいまのような御意見もございまして、これはどこか適切なところでそういう研究をして、必要な災害防止の手段を講ずべきことは当然であろうと思っております。
  28. 河野密

    河野(密)委員 長官はきょう団体交渉でお見えになれないそうでありますから、基本的な問題についてはこの次もう一ぺん御質問をさせていただくことにいたしまして、事務的なことだけお尋ね申し上げます。  その次にお尋ねしたいのは、排水溝が放置されておってそれが一つの水害の原因になっておる。こういう事実について調査になったか、ならないか、それをお尋ねしたいと思います。
  29. 高野藤吉郎

    高野説明員 排水溝が当時詰まっておったかどうかというような、いろいろ具体的の問題につきましては、当時の共同調査の結果、米軍において特に管理上不全があったという点はないという結論が出ております。  なお、排水溝の問題につきましては、御承知と存じますが、赤羽兵器廠地勢から申しますと、がけくずれの被害のございました南側の力が地勢が高く、北側の力に地勢が下がっております。排水溝は、大体各支線を集めまして北側に集水して流れるようになっておるのでございます。従いまして、通常雨水ならば、当然、各排水溝から集水いたしまして南側まで雨水があふれるということは、考えられないと思うのでございます。
  30. 河野密

    河野(密)委員 問題は要するに災害に対する施設上の過失があったかなかったかという問題に帰着するのでありますが、なお、その賠償責任等については、長官が見えられたときにお尋ねしたいと思います。  そこで、大蔵省並びに調達庁に同っておきたいのですが、ああいう場合に、政府過失がある、ないということは別といたしまして、賠償責任を持たなくていいかどうかということは、私はまだ残る問題だと思うのです。少し古い話でありますが、赤坂の三井がけがくずれましてあそこにあるがけ下住宅が二十数戸埋没いたしまして、二十人近くの人間が死んだ事件がありました。それはたしか昭和十二年か三年であったと記憶いたしますが、そのときには、財閥に対して非常に風当たりが強かったというので、三井本家住宅でありますので、三井本家は、その住宅個人の生命に対する補償を、その当時における最高額においてあらゆる補償をしたと思いました。個人であっても補償をしておるにもかかわらず、国が、しかも駐留軍管理その他に遺憾があったと思われるようなことが十分察知せられるにもかかわらず、これに対する賠償責任はないという結論を出そうとしておる。またすでに出されたということについては、われわれとして何とも納得がいかないのであります。この点について一つもう一ぺん考え直してほしいと私は思うのでありますが、いかがですか。
  31. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 御指摘三井がけくずれの例は存じ上げておりませんが、従いまして、その場合にどのような見解のもとに個人の法律的な責任を問われたかという点は存じ上げませんが、国家国有財産がけくずれ等によります被害の場合におきましては、最近の例におきましては、法律的な補償責任はないと考えております。この点につきましては、従来もそうでありましたし、明らかに過失なり工作物瑕疵がありますれば、これはもちろんあるのでありますが、単なる豪雨に基づくがけくずれという点につきましては、従来もそうでございますが、今後も法律的な責任はないものというような処理をいたして参りたいと考えております。
  32. 河野密

    河野(密)委員 どうもはっきりしませんが、この間の台風二十二号の場合、個人の会社のがけくずれで、たとえば私の多少関係のある会社のがけがくずれて都営住宅数戸を埋没さしたというような場合、個人的にあらゆる補償をしているのです。それにもかかわらず、国が、たまたま駐留軍があれしていたというようなところについては補償責任がないということで、無理やりにこれをしようというのは、国というような一つの権力を持っているものが、権力をたてにとって、国民の権利義務に対する考え方が安易じゃないかと私は思うのですが、この点はどうですか。少し考え直す必要があるのじゃないかと思うのですが……。
  33. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 この点につきましては、法律的な事実関係の認定という問題もございましょうし、それから法律的な解釈という点もございましょうと存じます。調査の点につきましては、調査といたしましては万全の調査をいたしたのでありますが、結果は必ずしも十分でない、不明な点がありまして、すべてがはっきりいたしたというわけではございませんが、そういう調査をいたしましたことと、それから、法律的な点につきまして、そのような調査の結果に基づいて、はたして国に責任があるかどうかという点につきましては、これは専門家でありますところの法務省意見を十分徴したわけでありまして、法務省見解におきましても、そのような具体的状況のもとにおきましては、国に法律的な賠償責任はない、こういう結論でございますので、本件に関しましては、法律的な責任はないという考え方を変える意思は持っておらないのであります。
  34. 河野密

    河野(密)委員 大蔵省見解がそうでありましても、これは調達庁のあれでありますが、具体的な事実について責任の所在がどこにあるかということがはっきりすれば、おのずから問題は別になると思いますので、次の機会にもう一ぺん調達庁意見を聞いて責任の所在を明らかにしたいと思います。それまで留保いたします。  もう一つ別の問題で調達庁お尋ねいたしたいのですが、グランド・ハイツの八六一号という建物をアメリカ駐留軍が無断で取りこわしたという問題について、私のところに関係者から陳情がありました。聞いてみますと、このグランド・ハイツにあるところの第八六一号という建物は、日本人が所有権を持っておるというので、日本の不動産とし日本の難所に登記してある、こういうことであります。これについて、駐留軍がこれを無断で一方的に取りこわしたという問題でありますが、その取りこわしたという問題につきまして、私は、これは、日本の法律にすでに認められて登記してある建物を取りこわすというのは、不法行為ではないか、従って、米軍において原状に復するか、あるいは損害賠償をするか、いずれかの処置をなすべきではないか、こういうことを私は駐留軍の司令長官のロバート・バーンズにその手紙をやりました。それに対して、私に対してロバート・バーンズ司令長官から手紙が参りましたが、その手紙によりますると、これはアメリカと日本の日米共同委員会で考えるべき問題である、何か不満足な点があるならば共同委員会に持ち出せ。そして、そこにはこういうことが書いてあるのであります。この所有権について、米軍が自由にしても差しつかえないということを、調達庁が言っておったから、それをわれわれの方では一方的に処置したのである、こういうことでございますが、これは、調達庁としては、どういう見解に基いて、アメリカ駐留軍がこれを処置してもよろしいという見解をとったのでありますか。これを伺いたいと思います。
  35. 高野藤吉郎

    高野説明員 ただいま御質問事案の相手方は、会社は南十字海産食料株式会社というふうに聞いております。占領期間中の昭和二十五年ごろに、その会社が米軍と直接特約を結びまして、米軍の都合によってはいつでも撤去してよろしいという話し合いのもとに、グランド・ハイツの中に約三十坪の木造モルタル塗りの建物を建てまし  て、そこでその会社が水産食料を販売しておったようでございます。そういう事情がございましたのか、二十九年以来、米軍は、相手の会社に対しまして、その建物を撤去するように再三要求をいたした模様でございます。そこで、米軍は、その当時一応東京調達局に同人に撤去をするように連絡してくれというふうに申し入れてきたことがございます。調達局といたしましては、本件の建物は、行政協定に基づいて正式に日本米軍に提供した建物でございませんので、調達庁ではこれを処理することができませんので、その特約の当初の趣旨に従って、米軍とその会社の双方の間で解決すべき問題であるという趣旨を、米軍調達庁回答いたしたのでございまして、ただいま先生の御呈示の手紙は今初めて伺うのでございまして、そのレターの趣旨が、調達局が撤去していいというので云々というふうにちょっと読めたのでございまするが、調達局の方は、ただいま申し上げましたように、正式の提供した建物でございませんので、占領期間中に米軍個人が特約のもとに、いつでも撤去していいという何か約束のもとで、そこに売店を設けたというような事情でございますので、調達局ではそれを処理することができませんという趣旨を米軍回答したのでございます。その後、聞くところによりますと、米軍がそれを撤去したというのでございますが、なお調達局は、当該の関係者から別に何らの御連絡も受けておりませんので、はなはだ申しわけございませんが、詳しい事情はよくわからない次第でございます。
  36. 河野密

    河野(密)委員 アメリカ側から言って参りました私に対するのと、それから当事者に対するのと両方ありますが、これによりますと、調達庁は、ことしの三月十六日付の米軍の照会に対して、調達庁としては、日本の建物を日本の登記所に所有権が登記してあっても、米軍がそのものを撤去するということは何ら差しつかえはないんだ、こういう趣旨のことを米軍調達庁は答えたので、その調達庁の答申に基づいて米軍は撤去する、こういうことで撤去したというのでありますが、一体、調達庁は、どういう権限に基づいて、日本の登記所に不動産として所有権が登記してあっても、またそれはどういう理由に基づいて米軍が自由に撤去してよろしいんだという御見解を発表なさったのでしょうか。その理由を承りたい。
  37. 高野藤吉郎

    高野説明員 ただいま申し上げましたように、この建物は米軍とその会社が占領期間中特約で売店を設けたと聞いておりまして、その土地は国有地でございまして、従いまして、建物を建てました会社は、おそらく大蔵省の連絡もなかったかと思うのでございます。これが正式提供の建物でございますれば、当然調達庁の責務でございまして、当初から関係いたすのでございますが、たまたまそういったような事情のものでございますので、調達庁としては処理ができないという趣旨を米軍回答いたしたのでありまして、調達庁といたしまして、米軍がそういったものを撤去していいとか、そういう意味合いで回答したのではございませんので、あるいは手紙の趣旨がさように受け取られておるといたしますると、そこに何らか誤解があるように存じまするが、調達局といたしましては、あくまでもその当時のいきさつから申しまして、調達庁で処理いたしかねるという趣旨で回答いたしたのでございます。
  38. 河野密

    河野(密)委員 どうも少し趣旨が違うようでありますが、そうすると、国有地の中に立てて、米軍とそれからいわゆる当局で許可を受けたその人との間で建てた建物で、しかもその建物は所有権が日本の登記所に登記してあっても、国有地の上に建てたものだから、米軍は当然それはいつでも撤去してもよろしいのだ、こういうのが調達庁見解だと、こう言うのですか。
  39. 高野藤吉郎

    高野説明員 今先生のお話の趣旨で私は考えておるわけでございません、あくまでも、当初から、米軍とその会社の特約では、そういう販売のために売店を設けるということで設置し、また米軍の都合によってはいつでも撤去するという特約で、そういった建物を建てたように聞いております。
  40. 河野密

    河野(密)委員 そうすると、その撤去を米軍が一方的に撤去してしまった。それに対する補償というのは、このバーンズの私にあてた手紙によりますと、これは日米共同委員会で考えてくれ。問題は日米共同委員会の問題にしてくれ。——調達庁は、こういうどちらに賠償責任があるかどうかというような問題を、日米共同委員会でやる意思がありますか。
  41. 高野藤吉郎

    高野説明員 調達庁の事務といたしまして、事務の手続を申し上げますると、米軍から正式に要求がございました際、たとえばこういう目的で建物を設置したいと要求がありました際には、調達庁は、その土地の所有者、民有の場合あるいは公有の場合あるいは国有の場合がございますが、各権利者の了解の上において、なお設置できるかどうかということを経ました上で正式に提供をいたしました際には、当然、今のような場合に、返還の前に建物を除却すれば中間補償、あるいは返還の後にその提供の建物の補償がございますれば返還補償で処理いたすということは当庁の事務でございますが、本件事案は、ただいま重ねて申し上げましたように、両当事者の特約だけでございますもので、ただいまの段階では調達庁の所管の中には入ってないというふうに御説明申し上げた次第でございます。
  42. 河野密

    河野(密)委員 どうも、アメリカ側の方でさえ、日米共同委員会に持ち出してくれと、こう言っているのに、調達庁の方は一向そういうことをやろうとしない。まあこういう点が私は非常に卑屈だと思うのでありますが、現に、当事者間で話をしたにしても、その所有権そのものは、日本の法律によって、日本の登記所に不動産の登記がしてある。登記がしてある不動産というものを、所有者の同意なしに、一方的に私はこれはこわせるものじゃないと思うのです。そういうものを米軍がこわしておいて、しかし、それは米軍の都合でこわしたのだから、損害賠償その他については日米共同委員会で問題にしてやってくれと、司令長官自身が私にあてて手紙をよこしておる。そういうのにもかかわらず、調達庁そのものは、こういうような問題に対して、あくまでも、これは、米軍の言う通りに、米軍の一部の言う通りに考えておるという、私はその考え方がわからぬと思うのですが、これはどうなんですか。     〔委員長退席、山下(春)委員長代理着席〕 これは泣き寝入りをすべき性質のものなんですか。それともこれは当然に日本政府なりあるいは米軍に対してなり補償の要求をなし得るものなんですか。これはどういうものなんでしょう。
  43. 高野藤吉郎

    高野説明員 ただいま先生の御提示の手紙によりまする司令官の要求は、私どもといたしましては実は初耳でございます。従いまして、米軍……。
  44. 河野密

    河野(密)委員 手紙をどうぞ見て下さい。ロバート・バーンズ司令長官自身の手紙ですから……。
  45. 高野藤吉郎

    高野説明員 その手紙は私実は初めてここで御披露いただいたわけでございまして米軍から正式の要求がございまして事務に運びます場合には、当然当庁の事務として処理いたしたいと考えておりまするが、米軍から正式に要求がございません場合には、当初の特約に基づきまして両者の間で円満に解決ができますことを望んでやまない次第でございます。
  46. 河野密

    河野(密)委員 それでは、手紙を見ておらない。私あての手紙だから見てないのは当然ですけれども、これは一切の経過は私ここに持っておりますから、いずれまた調達庁長官が不日お見えになりましたときに、もう一ぺん御質問を申し上げることにいたしまして終わります。
  47. 山下春江

    山下(春)委員長代理 横山委員
  48. 横山利秋

    ○横山委員 管財局長についでに一つ伺ってみたいと思います。  先般来、災害対策特別委員会で、委員会に出ました国有機械、器具の交換、払い下げに関する法律案で、私ども見解とあなたの方の法律案の基礎について非常に対立がございます。その後、与野党の間に、災害対策の通産等小委員長であります前尾委員と私との間に話し合いが進みましてまあこういうことでどうであろうかという話があるわけであります。この点について財管局長の見解を伺いたいと思うのでありますが、大筋で申しますと、今回国会に提案をされております国有機械の交換、払い下げの特例に関する法律案の適用は、従来から行なわれております国有財産特別措置法による合理化交換と申しましょうか、あの三割五分引きの特別措置の適用を排除しない、こういうふうに解釈をしてよろしゅうございますか。
  49. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 その通りに考えております。
  50. 横山利秋

    ○横山委員 そういたしますならば、これは、そういう解釈が成り立つならば、社会党としても与党の話し合いのべースについて若干考えてもよろしいのではないか、というふうに考え方をとってはおるのであります。ただ、問題は、それをどういうふうに実現するかという点について、いろいろ想定されるたくさんのケースがあるのでありますから、これは、本日は時間がございませんが、十分に私ども意見を参酌をして善処する余地があるであろうか、それをお伺いします。
  51. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 手続的な点につきましては、御要望も伺いまして検討いたしたいと考えております。
  52. 横山利秋

    ○横山委員 次に、それではもう一つの問題点でございました被害額の算定であります。政府提案の法律案は、その被害工場における機械、器具の被害額の総額を限度とする、こういう趣旨であり、私どもの主張いたしておりますのは、そんな工作機械にしたところで、もう二カ月もたてば、すっかり分解して水洗いして、もうじゃんじゃん動かしていなければもうからないから、もとへ返っているわい、そんなものをいつまでも被害額は幾らであったかといったって、財務局と県とかじ屋さんの間にけんかが起こるばかりであって、それこそ水かけ論になってしまう、紛争を起こすばかりである、だから被害額の算定はできないから削除してくれということでございます。あなたの方は理論上困るということでありました。理論上困るか実際上困るかということが実は論争の焦点でありましたけれども、先般来あなた方が言うてきましたことは、それでは罹災者の罹災額の申請については十分に尊重いたしましょう、こういう話であります。十分に尊重というのは一体どういうことなのかというのが、私どもの追及をしておったところでありますが、少ない財務局の出張所の職員の諸君が、一々鉄工場を回って、お前さんのところの機械はどれだけ損害したか。——それは多いの少ないのといったところで、技術的にはできやせぬ。そうすると県がそれを認定をするより仕方がない。しかし、県も、愛知県だって三重県だって岐阜県だって、てんやわんやの大騒ぎをしているときでありますから、結局罹災者である工場経営者の申請を十分に尊重するより手はない、こういうふうなのが考えられるところであります。もちろん、こういうときを利用して、そんなとんでもない申請をされるようなところはないとは思うのですけれども、いずれにしても、被害を負った人たちの現状、立場、そういうものを考えて、罹災者である中小企業の申請を十分尊重をして被害額をきめるという点については、管財局長の御見解はいかがでありますか。
  53. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 だれが考えましてもこれは非常識な申請額だということが明らかな場合は、これは別でございますが、しからざる場合は、当事者の申請を尊重することにいたしたいと考えます。
  54. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、最後に一点だけお伺いをいたしますが、先ほど来第一の質問をいたしました政府提案の五割引きの問題と、それから特別措置法の三割五分引き、この二つの適用を排除しないという点につきまして、これは法律でなくて行政措置をもって行なうということでございますね。
  55. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 両者の法律をそれぞれ適用するわけでございます。その意味におきましては、行政措置ではございませんで、法律に基づく措置でございます。
  56. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、私の質問は一応これで終わります。      ————◇—————
  57. 山下春江

    山下(春)委員長代理 法人税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
  58. 横山利秋

    ○横山委員 重ねて恐縮でございますが、今度は、この間の大蔵委員会でお願いをしておきました愛知県の商工会議所連合会の要望にかかる災害被災者の租税減免等に関する件について本日資料をいただきました。同僚委員の皆さんにはお気の毒で、何か国税庁はまだ十分印刷ができていないということで恐縮でございますが、今度提案されました法人税法の一部を改正する法律案に関連をして、質問をいたしたいと思うのであります。  今回の災害によって減収になる額は、私の承知をいたした、この間聞きましたところによりますと、百二十億円くらいだといわれておりましたが、そうでございましたか。御存じありませんか。
  59. 勝原啓

    ○勝原説明員 総額を通じまして本年度に出る減収額が、私の記憶でございますが、百六億円だったと思います。
  60. 横山利秋

    ○横山委員 その百六億円の減収額が、結局今答弁書をいただきましたこれによって一つの基礎になっていくと思うのでありますが、百六億円というのは、どういう算出からそういうふうな数になってくるのですか。大よそのことをお伺いしたい。
  61. 勝原啓

    ○勝原説明員 お答えいたします。  実はそのこまかい数字を持ってきておりませんので、総額につきましても先ほど記憶で申し上げたようなことでございますが、法人税なり所得税なり、それぞれ被害者の数から推しまして、ずっと減免になるもの、徴収猶予になるもの、こういうところを積み上げまして、大体百六億という積み上げをしたのでございますが、その内訳のこまかい数字になりますと、今直ちにと言われましても不正確になります。
  62. 横山利秋

    ○横山委員 実はその百六億円という算出、私は百二十億と聞いたのですが、その算出の根拠というものがよくわからないのです。きょういただいた、たとえば第一にあります「被害納税者の資産の損害額の査定は、その見積りをできるだけ寛大に取り扱われたいこと。」この第一項にございます趣旨がどこまで一体生かされるのか。抽象的ではございますけれども、どこまで一体生かされるかということによって、そのものが百六億円にもなり、百二十億円にもなり、百五十億円にもなると私は想定がされるわけです。ものの考えようという言葉がございますが、ずっと私ども拝見をしまして、この拝見をしました国税庁の答弁書は、こういうふうに措置をしておりますから、というふうに具体的に書いてはおりますけれども、ものの考え方といいますか、被災をしました納税者諸君に対して、ものの考え方として筋の通っておるところが、しんがそこにはないわけであります。どういうつもりで、どういう気持でやるか。たとえば、実情に応じてとか、適切な措置をするとか、そういうことだけで、現場の第一線の職員諸君が、税務署の職員諸君が持つべき根本方針というのですか、ものの考え方というものがこの中にはないのです。国税庁は、こういう文書をお作りになるに当たって、傘下の第一線の諸君なり災害を受けた納税者諸君に対して、どういう態度で、どういう考え方で当たるものか、いろいろ現場では議論が出ておるわけであります。とにかくいただきます、とにかく合理的にやりますから、ということらしいのです。合理的ということは、要するに、調べるものはきちんと調べる、いただくものは書類をいただいて、負かるものは合理的に負けます、ということらしい。それは確かに一つの方法ではあろうけれども、そのこと自身では理屈には異議はないけれども、実情からいいますと、あんな泥んこにつかったところの帳面を出せの、あれ出せのと言ったって、できるはずはない。国税庁はどういう基本方針を庁内でおきめになったか。やや抽象的な御質問で恐縮でありますが、実は第一線の方で一番問題になっておりますので、お伺いいたしたい。
  63. 白石正雄

    ○白石説明員 今回の名古屋地方におきます災害が非常に甚大なものでありましたことは皆様御承知の通りでございまして、災害直後、私も、命を受けまして、わずか一日ではございましたけれども現地を見まして、水没地帯を見て回ったわけでありますが、悲惨なありさまをまのあたり見まして、非常に愁傷の思いに立たされた次第であります。名古屋国税局の職員の中にも相当罹災者があったわけでございまして、従って、罹災者の身になって名古屋国税局は一丸となってこの税務の対策に精進いたしておる次第でございまして、基本方針云々というような御質問があったのでございますが、私どもは、親切かつ迅速にことを運ぶように指示いたしまして、努力いたしておる次第でございます。
  64. 横山利秋

    ○横山委員 あなたはつい最近まで名古屋の国税局長であったのですから、名古屋の地理状況、税務署の状況は、人よりも一番よく知っていらっしゃるわけです。ですから、私は、今回の災害時におけるこの納税というものは、円滑に進むように期待せられてならぬのです。たとえば、一例を申しますと、2及び3の質問がございますが、「所得税の減免申請の手続をできるだけ簡易にし、住宅又は家財その他の資産の損害額の明細書等は、できるだけ簡易なものにされたいこと。」「災害減免法第三条の更正の請求も、前項に準じてできるだけ簡易にされたいこと。」こうあります。その答弁の「納税者については単に認印を求める手続だけで災害減免法による減免ができるよう措置している。」という点であります。手続としてはまさにこの通りであります。ところが、この基準に該当・すると思われる納税者については、事前に予定納税額の更正請求書を作成して、納税者に判こだけ押させるという基準といいますか、それが災害減免法によるやり方をやると、あなたの方で適当に作って、モデルはこうですから、こういうふうにそろばんに出ましたから、判こだけ押せばいいのですという。そのいいのですというやつが、思いのほか基準が高いというのが圧倒的な意見であります。どうしてあんなふうになるのでしょうか。私も、納税者諸君の声を具体的に個々に研究したわけではありませんから、知りませんけれども、一軒々々、私のところはこれだけ損害です、これだけ損害ですといってやったら、大へんだ。そうしたら、税務署は、いいんですよ、基準がありますから、基準でやりますから、あなたに御迷惑をかけませんよとおっしゃる。その基準はとてもじゃないけれども高いというのが圧倒的な意見であります。それは一体どうしてあんなに高いという声が出るのでありますか、聞いていらっしゃいませんか。
  65. 白石正雄

    ○白石説明員 横山先生とくと御承知のことだと思いますが、災害減免法は、住宅または家財の五割以上が被害を受けたという場合におきまして適用があるわけでございます。従いまして、とりあえず災害減免法の適用を受けるためには、五割以上の被害であるかどうかという点が問題になるかと思うのであります。従いましてそれにつきましては、一応の水害地の状況等によりまして、外形的な基準で、大体この程度なら五割になっておるとか、なっていないとかいうような意味の基準をとりあえず作りまして、簡単に適用できるように処理しておる次第でございますが、その基準につきましては、たとえば床下浸水とか、あるいは床上どの程度の浸水とか、そういった外形的な基準でございますので、個別的な場合においてそれが必ずしも実情にそぐわないという面もあるいはあるかと思うわけでございますが、そのようなことのないように、できるだけ実情に合うような基準をさらに精査いたしまして、当初作った基準の若干適当でない部分は後ほどまた修正いたしまして、実情に合うように名古屋国税局において実施しておる次第でございます。
  66. 横山利秋

    ○横山委員 先般こういうことがございました。それは、市役所で出します証明書が全壊と半壊とある。しかし市役所のものは二割以上七割までを半壊と称する。あなたの方はまさに五割以上でなければいかぬというわけで、市役所の被災証明書とくっつかぬわけです。そこで、あなたの方としては、この基準なり、あるいは調べに行って半壊だ、半壊でないという争いが起こった。そこで、私は、じゃ一つ一々そんなめんどうなことを言うよりも、市役所が、お宅は——かりに横山さんは半分以上だ、そういうふうに納税関係で証明書を——市役所が一番よく知っているのですから、納税関係用の半分以上の被害を受けたのだという証明書を出したら、国税局としても、じゃ半分以上としてお認めになるかというと、人によって多少意見が違ったわけです。私は、それはけしからぬ、市役所が半分以上だといって市長が判こを押しているのに、何をいうかと言ったわけですが、この点はいかがですか。
  67. 白石正雄

    ○白石説明員 できるだけ市役所等の意見と食い違わないように、現地におきましても十分打ち合わせをさせまして、取り計らうように指示いたしております。
  68. 横山利秋

    ○横山委員 その点はぜひ善処を願いたい。あれだけ激甚な災害の中で、税務署が、罹災者に対して、あなたのところはうそを言うとか言わぬとかいうふうな雰囲気を与えるということは好ましいことではないのでありますから、その点は十分に善処をしていただきたいと考えるのであります。  それから、第五番目です。「修繕費と資本的支出の区分については、その判定が困難であるため従来動もすれば、固定資産の簿価に比して支出金額の多い場合には、修繕費を否認する傾向があるが、今回の災害に因り被害を受けた固定資産の復旧に要した費用は、原則としてこれを損金に認めること。」という項目であります。これは、名古屋市内のほとんどのところが、これによって問題が生じておるわけです。こわされたところを直したのは当然修繕費として損金に認むべきだというのが圧倒的な意見で、それを、いや資本的支出だ、これは改良だというふうにして、けちなことをおっしゃるということは、いかがなものであろうか。大体において、災害を機会にして前よりもよくするというようなことはほとんどないのであります。原形に近づくかいなかというのが圧倒的な状況でありますから、一、二のことを推して、災害復旧費の中に資本的支出があるのだというふうな考え方を忍ばせておいて、それがためにいろいろな問題を各所で生ずるということは、いかがなものであろうか。あなたの方のお答えとしては、「単にその支出金額の多いことをもって、資本的支出として取扱うようなことはしていない。」と、原則は言っておりますが、そのあとで、「ただ災害復旧費の全額を如何なる場合にも損金として取扱うことは、他との権衡もあって困難である。」これは私はお役所の用語であると思う。私はこういうことをわざわざ入れる必要はないと思う。そんなことは常識にまかせればいいのです。あなた方はお役人として拝啓から敬具までどうしても書かなければならぬのでしょうが、敬具を書いたために、末端ではその敬具をやはり尊重するということになりますから、この「ただ」以下についてはどういうお考えであるか。注意をせよ、ごまかされるなというようなお気持があってならぬと思うのでありますが、原則として災害復旧については損金として扱うという基本的方針の確認をいただけるであろう。いかがでありますか。
  69. 白石正雄

    ○白石説明員 横山委員特に御承知のように、従来、法人税の取り扱いにおきまして、一般的に修繕費と資本的支出というのがあらゆる場合に問題になりまして、私どももそれらの争いを数々承っておるわけでございます。原形復旧に当たるようなものにつきましては、もちろん修繕費として認めるわけでございますが、中には資本的支出を修繕費として落としておるために、これを否認するという例が非常に多うございまして、しかも、それらを実情について調査いたしてみますと、やはりこれは資本的支出で改造費だと考えられるようなものが多々あるわけでございます。従いまして、そのようなものはやはりそれぞれその性質に従って処置していかなければならないというように考えておる次第であります。  そこで、今回の災害の場合でございますが、ただいま横山委員のおっしゃいましたように、災害地におきましては、原形復旧を主としておやりになっておる。まさにそうであろうと思いますので、そのような実情に応じて、これは修繕費として損金の支出を認めるという措置を取り扱うべきものと考える次第でございますが、もし中にそうでないというのがありますれば、災害地は資本的支出も全部修繕費として認めるということにはなかなか参りかねると思いますので、その点を今おしかりを受けたわけでございますが、ただし書きの方で書いた次第でございます。
  70. 横山利秋

    ○横山委員 私の聞いていることは、「ただ、しかし」ということをどうしても強調しなければならぬことはないであろう。これは拝啓敬具の敬具のことではないか。本文は前文にあって、その支出金額については、原則として災害については修繕費として考えておるというふうに理解をしてよろしいかと聞いているので、文書をもう一ぺんあなたに読んでくれと言っているのじゃない。いかがですか。
  71. 白石正雄

    ○白石説明員 災害地の実際の調査につきましては、実情をよく慎重に検討いたしまして、あまり一般でこまかいことというようなことのないように処理いたしたいと考えております。     〔山下(春)委員長代理退席、委員長着席〕
  72. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、五番についても、最終的な御返事はこまかいことを言わぬということとして了解をいたします。  六番。「災害に因り建物、構築物、機械及び設備が、滅失し又は毀損して当該資産としての利用価値を喪失したため、災害の止んだ日から一年以内にこれに代る同種の資産を取得した場合には、この代替資産に対する減価償却は、取得後五年以内の各事業年度においては、普通償却額の五割増の償却を認めること。」私これはごくごもっともな話だと思うのですが、にべもない御答弁じゃありませんか。「この要望については、租税負担の公平等の見地から特別の措置を講ずることは適当でないと考えられる。」十二ある中で、これが一番木で鼻をくくったような御答弁である。これはいかがなものでしょうか。もう少し本件について好意ある態度ができぬものでありますか。
  73. 白石正雄

    ○白石説明員 現行法では、このような五割増しの制度が認められてないわけでございます。従いまして、これは法律改正の問題になるだろうかと思いますので、むしろ主税局の方から答弁をいたすのが筋であろうかと思いますが、国税庁といたしましては、現行法にないことでございますので、他との権衡もあり、認めがたいものだと考える次第でございます。
  74. 横山利秋

    ○横山委員 私は何も国税庁から答弁をもらったわけではない。政府から答弁をもらったわけでありますから、政府からかわってだれか答弁してもらいたい。
  75. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 私からお答え申し上げます。  被災者の方に対してはできるだけのことをしなければならぬと思っておりますが、六の御要望のこの文章だけでは、これをそのまま受け入れるということになりますと、今の直税部長の御答弁のように法律改正を要します。法律改正につきましては、全体の減価償却の制度に関連することでありまして、政府としてはまだ法律改正に踏み切る考えは持っておりません。つまりほかとの比較公平などを考えますと、ここまではいたしかねます。
  76. 横山利秋

    ○横山委員 いやに簡単で、理由もおっしゃらないが、これは一ぺん機会を改めて、本件についていろいろと質問をいたしたいと思います。それでは、きょうは次へ移ります。  七番。これは本委員会に提案されたもので、「被害を受けた法人の災害に因り生じた欠損金は、青色申告者でない法人に対しても五年以内の繰越控除を認めること。」これは先ほどお取り上げ願って、本委員会法人税法の一部を改正する法律案として出していただいたことについては、私も感謝をいたしたいと思います。これに関連してちょっとお伺いしたいのですが、この間手元に入った資料を見ますと、このごろ青色法人の取り消しをずいぶんひどくおやりになっておるので、これは、私が、本委員会で、青色法人に対する処分といいますか、恩典取り消しの条件について緩和をいたすときに、緩和をするからといって簡単に取り消しはいかぬぞと言ったときに、そんなことは絶対にありませんとおっしゃっていらっしゃる。ところが、これを見ますと、取り消された法人は三十三事務年度で一万四千六百七十四件ですね。ずいぶん青色法人の取り消しが近ごろ多いようではありませんか。何か青色法人の取り消しについて、最近の特徴とか、特にこうだからこうだというような御意見なり実績がございますか。どうしてそんなにたくさんどんどん取り消すのですか。
  77. 白石正雄

    ○白石説明員 ただいま資料を手元に持っておりませんのですが、御承知のように三十二年に法人税法に若干改正がございまして、それを契機といたしまして、青色に対する従来の取り扱いを若干異にいたしまして、従来ほとんど取り消しをいたしてなかった次第でございますけれども、非常に質の悪いというようなものにつきましては、やはり他の誠実なる青色との権衡上、取り消すこともやむを得ないのじゃないかというようなことで、若干取り消しということを実施するようになった次第でございまして、そのような結果、そのころの数字が従来よりも若干ふえておるという傾向に相なっておろうかと存ずる次第でございます。
  78. 横山利秋

    ○横山委員 これはきわめてけしからぬ話です。あなたはそのときの担当者でなかったかもしれませんけれども、どういう修正であったか、今日まで出かかっていてちょっと出てこないのですが、委員会でこの法律を通すときに、通したからといって、青色の取り消しが従来よりもひどくなるようなことでは相ならぬという各位の御意見で、政府からも、それはごもっともでございます、これをやったからといって、青色を取り消すつもりはございませんというように明言して、それを通すことに相なったわけです。ところが、今お話を聞いてみると、いや、あれをやったので、あれを契機にしてどんどん取り消しをやったという話は、まことにけしからぬじゃありませんか。私は、一ぺん議事録を持ってきて、あらためて国税庁長官とこの問題について明らかにいたしたい。そういうことではだめです。すると、あなたの言をもってするならば、あの法律以後、つまり数字がふえた時期において、特別に青色の申告者がけしからぬという事態であったからふえたのでなくして、従来からけしからなかったが、従来は見のがしておったやつを、あの法律が通ったのを契機にして征伐した、だから一万四千六百七十四件にも上っておる、こういう御説明と理解してよろしゅうございますか。
  79. 白石正雄

    ○白石説明員 従来は、とにかく青色の量を伸長しなければならぬということで、その方面の育成に努力をいたした次第でございますが、青色の中におきましてあまり質の悪いものがありました場合におきましては、やはり両面相待ってやらなくちゃならぬのじゃなかろうかということで、その後若干、非常に悪質なものにつきましては取り消しをするというような方向になっておる次第でございまして、そのあたり若干増加の数字を示しておる点があろうかと存ずる次第でございます。
  80. 横山利秋

    ○横山委員 それじゃ、重ねて一つだけこれに関連してお伺いしたいのですが、その当時本委員会で各位がこもごも立って確認したことがあります。そのことは、青色の取り消しは帳簿のどこが間違っておるかということをはっきり納税者に指摘をして、つまり税法の規定を厳格に適用して、その後でなければ取り消しをしては相ならぬということが確認されたわけです。それ以外の取り消しをしたものは取り消すということを、当時の阪田長官も言明いたしました。その点においてお気持には変わりございますまい。
  81. 白石正雄

    ○白石説明員 青色の取り消しにつきましては、法律に列挙されておりますような条件がございますので、それらの条件に該当する場合に取り消しをいたしておるというところであります。
  82. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、三十三事務年度に取り消された一万四千六百七十四件、これはどういう理由で取り消されたか、三十二年度と比べてどういうような変化があるか等、青色の取り消しに関する諸般の資料を一ぺん本委員会に提出をしていただきます。  その次は、第八番の間接被害と称するやつですが、自分の被害は少なくても、取引先が甚大な被害を受けて、その被害者に対する売掛金の回収が困難なために納税がとまっている人については猶予してくれ。九番目は、同じような場合について、売掛債権の特例等に関する国税庁通達に定める債権償却引当金勘定による処理を認めてもらいたい。  まず、猶予の点でございますが、これについては、政府側から一年間を区切って猶予を認めることができるというふうになっておるのでありますが、一年以上という意見が非常に強いわけです。甚大な損害を受けたのだから、一年以上猶予してもらわなければいかぬという意見現地で非常に強いわけですが、災害という特殊な状況のもとにもこの一年以上という問題について御考慮の余地がないものか、どういう状況ならば差しつかえないか、それをお伺いいたしたいと思います。  それから、第九番目の債権償却引当金勘定による処理ということについて、私不敏で十分な知識がないのですが、この引当金勘定について御説明を承りたい、
  83. 勝原啓

    ○勝原説明員 災害減免法によります徴収猶予は、法律の第九条にございますが、これに一年以内に限るということがはっきりあるわけでございます。いわば本人が直接被害を受けていない場合でも、おっしゃるような事情がある場合には、災害を受けた人と同じような取り扱いをしましょうということでありますと、法律の限界が一年以内でございますので、現行の法律のもとではこれが最大限を見たということになると思います。
  84. 白石正雄

    ○白石説明員 債権償却引当金勘定がどういうものであるかというお尋ねでございますが、この債権については、御承知のように、これが貸し倒れだと認定されるものについては損で落とすわけでございますが、まだ貸し倒れまでは至らない。債権者の方はこれを取りたいというわけでまだ持っておる。しかしどうもそれが取れそうにもない。たとえば、手形交換所において取引の停止処分を債務者の方が受けた、あるいは会社更生手続の開始の決定があった、あるいは和議の開始の決定があった、あるいは特別清算の開始命令があった、その他これに類するような場合におきましては、まだその債権は若干取れるかもしれないけれども、大部分取れないだろうということが考えられるわけでありますので、そのような場合におきましては、その債権額の五割を落としてもいい、こういうことに現在取り扱っておるわけでございます。それがここに掲げられております債権償却引当金勘定ということでございます。
  85. 横山利秋

    ○横山委員 わかりました。時間がありませんから先に進みます。  十番の災害により死亡した者の未納の税金及び死亡のときまでの準確定申告による所得税、それから十一番の帳簿その他を流失した者、十二番の、税の知識がないから、あるいは疎開をしておるから、おやじが死んだからというような、この三つの問題は、いろいろと答弁書はいただきましたものの、要するに運用の問題になろうかというふうに私は考えるわけであります。  ちょうど政務次官が見えましたから、先ほどの第一番目の答弁に返るわけでありますが、要するに、この罹災者に対する税の問題というものは、災害を受けた直後には起こらなくて、だいぶたってから問題になってくるものです。ところが、だいぶたったころは、のど元過ぎれば熱さ忘るるという言葉がございますように、大へんだ、気の毒だという雰囲気が大体もうなくなっているのです。もちろん現場におります税務職員の諸君も罹災者であって、その心理もよくわかっておるのですけれども、二カ月、三カ月、そして来年の三月だとか、一年猶余して再来年の三月とかいうことになりますと、悪い意味の合理主義ですが、それが幅をきかせて、そんなことを言っても帳簿がなくちゃいかぬとか、帳面がないくせにそれだけの損害をしたと言うてもだめだという雰囲気が、罹災地の税務職員と罹災者との間に出て、必ず問題を起こすことを私は痛感するわけです。国民金融公庫とかあるいは中小企業金融公庫というところは、まだ熱いうちに借りたり貸したりするが、税務署はだいぶほとぼりがさめてから問題になってくるところです。その点を特に、大蔵省としても国税庁としても、傘下の税務職員諸君に対して十分にこの趣旨を徹底して、単にこまかい通達を出して罹災者のことを考えろと言ったところで、なかなか徹底しないうらみがあるから、時に触れ、おりに触れ、特に罹災者に対する納税については、あたたかい思いやりがあって善処されるようにしてもらいたいことを痛感するものでございますが、政務次官の御意見を承りたい。
  86. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 今お述べになりましたように、災害の直後はあたたかい同情の気持も厚いけれども、日がたつにつれてその気持も薄れて、いわゆる冷たい合理主義になってしまうとおっしゃいますが、私は、この税務執行における合理主義というものは、これは公平に税を納めていただく、公平に税務を執行するという意味の合理主義であろうと思うので、またこの合理主義はあくまで堅持しなければ税務の執行はできぬと思っております。従って、いろいろお述べになりましたし、またここにも御要望になっておられることについては、できるだけ善処するということを執行の面で考慮いたしますけれども、その公平をはなはだしく害するというふうなことでは、これは全体の税務執行に非常に影響を及ぼしますので、その公平をはずさない範囲でできるだけ考慮する、かようにいたしたいと思いますから、御了承願いたいと思います。
  87. 横山利秋

    ○横山委員 あなたの言う公平というのは一体何であるか、あなたの言うその合理主義というのは一体何であるかという点については、理屈を申せば私も十分言いたいことがございます。現在の税法自体が公平を欠いているということは、何も私が申すまでもなく、あなた自身が大蔵委員をしておって、しばしばおっしゃったところでありまして、特に私は租税特別措置法等の全体を考えますと、公平論で申したならば、私よりもあなた自身の方が本委員会において多く言われたことだと思うのです。今の税制というものは、あなたのおっしゃるように公平を欠いている。なぜ公平を欠くか、それは政策減税によって公平を欠いているのだという点は、万人とも首肯しているところです。その意味では、私は、あなたのおっしゃる公平論に返れという点については、原則としては賛成である。けれども、その政策減税が行なわれている立場というものは、必ずしも全部が全部無視するわけにはいきますまい。私は、むしろ、この災害については、別な意味の政策減税、別な意味の政策運用をやれという立場です。私は、基盤としては、公平論について、今まで同じような立場で、党派を超越してあなたと一緒に主張して参りました。けれども、それにもかかわらず、政策減税、政策的な租税特別措置法があるということの現状から思いをいたしまするならば、それを必要だとして政務次官としてお認めになるならば、しからば、今回はむしろ割り切って、政策的な立場で災害者を救うという立場で、かりに公平を欠いても深い思いやりをすべきではないかというのが、私どもの割った意見でありますが、いかがでございましょう。
  88. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 議論にわたって大へん恐縮でありますが、しかしこれは非常に大事な問題であります。せっかくのお尋ねでありますから、これは政府の考えをはっきり申し上げますが、税法の中には、いわゆる政策減税と見られる規定もないことはないと思います。これはまことに遺憾であると思います。しかし、税法に不公平と見られる点があるからといって、税務当局が税務執行を不公平にしていいということは断じて言うべきではない。法律にきめられた規定に基づいて、税務執行を極力公平にやっていくのが税務当局の立場である。もしかりに、被災者に対して、あたたかい思いやりをもって、特に政策的に免税をしろとおっしゃるのなら、それはどうぞ法律をもって国会で一つきめていただきたい。それなら政府はそれに従うつもりでありますけれども、しかし、そういうことにつきましても、もう国会においてずいぶんたくさんな特例法も提案されて御審議中でありますから、まずまずこの程度で、あとは執行面におまかせいただきたいと思います。
  89. 横山利秋

    ○横山委員 やや理論上の問題になりますし、当面の問題については実益がございませんから、私は論争はやめることにいたします。あなたと私の違いは、さっぱりと言えば、あなたの言う公平論というものは、きわめて事務的な冷たい感じがするから、それではいかぬ。だから、極端な表現をすれば、罹災者のためには、不公平であってもやれることは全部やってやれという気持で言っておるわけであります。その点を十分に御了承しておいていただきたい。  最後に、もう一つだけ恐縮ですが、罹災者である税務職員が、この納税の問題について、今まで質疑応答をいたしました点について、現地で当たっているわけです。その罹災者である税務職員に対して、政府は、国家公務員共済純合法による付加給付を適用して災害見舞金及び弔慰金を支給することに相なっておるそうでありますが、それは一体共済制度による見舞金でありますか。雇用者として政府は何をいたしましたか。大体の企業におきましては、従業員の労働者に対して何らかの見舞金を出しておるわけであります。政府職員である罹災者に対して政府は見舞金をなぜ出さないのですか。私の言う意味がおわかりでありますね。この点は理論上私は少し不可解に思っております。退職金というものがありますが、退職金は掛金を労働者がかけずに政府が払い切りで全額支出する。その中で、これほど激甚な災害を受けた政府職員に対して政府が何も見舞金を出さないというのは、雇用者としていかがなものであろうかという声が、先般来現場を回ってみますとあるわけであります。御見解を伺いたいと思います。これで私の質問を終ります。
  90. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 御指摘の共済組合における付加給付をいたすことになっております。詳しい内容につきましては政府委員から申し上げます。そのほかに、雇用者としてどうしておるかということでありますが、本来共済組合の掛金を雇用者として五五%負担して、その中から付加給付をしておるのでありますから、一応それで雇用者の立場としても義務を果たしておる感じでありますが、そのほか被災の住宅の修理とか、詳しいことについては、本日は担当の政府委員が参っておりませんので、次回に御報告申し上げます。
  91. 植木庚子郎

    植木委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十四日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時三十七分散会