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1959-11-17 第33回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十七日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君    理事 山下 春江君 理事 山中 貞則君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君    理事 廣瀬 勝邦君       押谷 富三君    加藤 高藏君       鴨田 宗一君    黒金 泰美君       夏堀源三郎君    西村 英一君       濱田 幸雄君    山本 勝市君       大貫 大八君    久保田鶴松君       北條 秀一君    山花 秀雄君       横路 節雄君    横山 利秋君       春日 一幸君    松尾トシ子君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (銀行局長)  石野 信一君         国税庁長官   北島 武雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      佐々木庸一君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    大月  高君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    塩崎  潤君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   亀長 友義君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    村田 豊三君         日本専売公社副         総裁      石田 吉男君         日本専売公社理         事         (販売部長)  三枝 正勝君         農林漁業金融公         庫理事     小山 正時君         農林漁業金融公         庫協同利用部長 平木  桂君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 十一月十二日  委員加藤高藏辞任につき、その補欠として三  浦一雄君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員横路節雄辞任につき、その補欠として堀  昌雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員堀昌雄辞任につき、その補欠として横路  節雄君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員三浦一雄辞任につき、その補欠として加  藤高藏君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月十四日  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月十二日  公共企業体職員等共済組合法による増加恩給受  給者取扱是正に関する陳情書  (第二一四号)  米穀の予約減税制度存続等に関する陳情書  (第三〇七号)  同(第三〇八号)  同(第三〇九  号)  同(第三一〇号)  葉たばこ災害補償確立に関する陳情書  (第三三二号)  酒類の保全及び酒類業組合等に関する法律の一  部を改正する法律案の一部修正に関する陳情書  (第三七〇  号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三二号)  国の会計に関する件  税制に関する件  金融に関する件  専売事業に関する件      ――――◇―――――
  2. 植木庚子郎

    植木委員長 これより会議を開きます。  去る十四日本委員会に付託になりました法人税法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 植木庚子郎

    植木委員長 政府より提案理由説明を聴取いたしたいと存じます。大蔵政務次官奧村又十郎君。
  4. 奧村又十郎

    奧村政委員 ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案について、提案理由説明いたします。  現行の法人税法におきましては、青色申告書を提出する法人につきましては、正確な帳簿を備え付け、その欠損金計算も明確に行なわれておりますので、ある事業年度欠損を生じた場合に、次の事業年度以降五年間はこれを繰り越して控除することを認めているのでありますが、それ以外の法人にはこのような制度を認めておりません。しかしながら、災害によって生じた損失は、他の損失とは事情も異なりますので、本年四月所得税法を改正し、青色申告書を提出していない個人につきまして、災害によりたなおろし資産等損失を生じた場合に、その損失を繰り越すことを認めたのであります。  従いまして、今回の大災害機会に、青色申告書を提出していない法人につきましても、震災、風水害、火災等によりその法人のたなおろし資産固定資産等について損失が生じたため、その事業年度欠損を生じたときは、その欠損金のうち、災害によって生じた損失の金額に限りまして、青色申告法人の場合と同様、五カ年間の繰越控除を認めるよう改正を行ない、これにより災害を受けた法人事業復旧に寄与することを期待している次第であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  5. 植木庚子郎

    植木委員長 これにて提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  6. 植木庚子郎

    植木委員長 国の会計に関する件、税制に関する件、金融に関する件及び専売事業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
  7. 横山利秋

    横山委員 税制について各般の点からただしたいと思うのでありますけれども、時間があまりありませんから、一つ簡明にお答え願いたいと思います。  最近新聞に伝うるところによれば、税制については政府二つの問題を決定し、ないしは方向づけようとしておるかに伝えられております。一つは、来年度は減税をしない、こういう態度、それが政府及び与党首脳部で決定したかのように伝えられております。もう一つは、来年度一部を増税をするというふうに、与党の中ないしは政府の一部で固まったというふうに伝えられておるわけであります。これはきわめて重大な情報なり決定でありまして、まず第一にその点を確かめたいと思うのですが、来年度減税をしないという方針大蔵大臣なりあるいは与党の皆さんがおきめになった根拠というものは一体どういうものであるか。これを、単に抽象的でなく、具体的に——来年度は自然増収が千五百億と伝えられ、そうして三十三年度からの送り財源が約百億近くもございましたか、ある程度そういう財源はあるわけであります。そのほか、私どもが主張しております接収貴金属なりあるいは軍事費なり、いろいろなものを計上いたしますならば、相当財源はあるはずであります。どういう根拠をもって、どういう具体的理由をもって、来年度は減税をしないというふうにきめられたのか。まずそれを具体的にお伺いをしたい。
  8. 奧村又十郎

    奧村政委員 お尋ねになりました第一点の、来年度は減税をしないということについてお答えを申し上げたいと存ずる次第であります。  減税をしないということよりも、むしろ減税をする余地がなかろうということであります。これは、一方において自然増収がどのくらい見込めるかということと、また、一方において法律に基づいて歳出の面で当然増を見込む経費が非常にたくさんありますことと、災害復旧などの当然必要な経費が非常に多額に上っておるということであります。せっかくのお尋ねでありますから、その点についてもう少し詳しく申し上げてみたいと思うのであります。  まず第一に、来年度の租税自然増収がどの程度見込めるかということであります。しかし、これはまだほとんどどの程度という計算はできない段階でございます。現に、今年度のこの補正予算編成に際しましても、一体今年度中の自然増収がどのくらい見込めるか、補正予算におきまして政府といたしましては四百数十億円の自然増を見込んでおりますが、これにいたしましてもいろいろ議論があります。御承知通り社会クラブの方々は六百億以上も自然増を見込んでおられますが、これは、実は、政府といたしましては、とてもそうは見られない、かりに見込めましても、国の財政根幹である予算を作りますのに、いささかでもあやふやな見積もりはいたすべきでないということを考えますと、今年度の自然増収の見込みはぎりぎりその程度でなかろうか、かように考える次第であります。これとても、もう少しかたい見積もりは、せめて今月末の、いわゆる九月決算法人所得の確定が行なわれますならば、もう少し手がたい見通しがつく、かように存ずる次第であります。  そこで、来年度の自然増収はどの程度か。大ざっぱに見込みまして千五百億以上は出るだろう。しかし、それなら千八百億以上に見込めるかというと、これはとても今すぐに即断はできない、こういうことでございます。御承知通り、現に昨年度の税収の決算におきましては、ついに二十億の赤字を出しておりますから、これから考えましても、あまり過大な見積もりはできない、かように考えておる次第でございます。そういたしますと、一方において、御承知通り経済基盤強化資金の繰り下げとか、あるいはその他の租税収入以外の歳入に対しては、目ぼしいものは見当たりません。中には、いわゆる接収貴金属の方から何がしかの歳入が見込めるではないかという御意見も一部ございますが、政府としては、まだこれは直ちに歳入に見込むべきではないと考えております。  一方において、歳出の方では、国民年金制度の平年度化に伴いまして、当然その経費がふえます。その他御承知通りいろいろの経費、また災害復旧費などの経費の増を考えますと、減税に充てる財源はとうてい見当たらない。  かような現実論をもって、来年度は一般的な減税はできないだろう、こういう見通しが一致しておる、こういう事情でございます。
  9. 横山利秋

    横山委員 あなたの御答弁に私は意見を差しはさむという気持はさしあたりないけれども、しかし、二つの点で見解が異なる点だけは明らかにしておきたいと思うのです。  一つには、自然増収についての考え方及び幅の問題です。それから、もう一つは、あなたは、何か、この減税ということが二の次の話として、歳出ということに優先度がある、銭が余ったら減税するという立場のようであります。これは私は非常な誤りだと思うのです。いつものあなたらしくない。減税ということが今の国家の政策上優先度を持たないという見解に対して、私は同意ができません。その点については今議論しようと思いませんから、一つ考え直しを願っておきたいと思います。  第二番目の、増税をするという政府態度であります。伝え聞くところによりますと、政府としては、今あなたがお話をなさったような延長として、まず第一に、たばこ、あるいは酒、あるいは原油、重油関税を、あるいはガソリン税をというふうな計画、構想がいろいろとあるようであります。これも個々の問題についてはあとで触れていきますけれども、やはり、先ほどお話しになったような、減税どころじゃない、歳出の方でやらなければならぬことがたくさんあるから、財源がないから増税をするというふうに固まってきつつある。その辺についての政府の基本的な見解をお伺いしたい。
  10. 奧村又十郎

    奧村政委員 国会皆様方のうちには、一部増税をしたらどうかという御意見があるように承っております。(「一部とは何だ、自由民主党の一部じゃないか」と呼ぶ者あり)それは、治山治水の基本的な対策確立などに関連して、その財源の一部に充てるために、酒とかたばこの比較的高級品臨時的課税をしたらという意見が一部あるやに承っておりますが、政府におきましては、現在さようなことは考えて  おりません。御承知通り税制調査会におきましても、たびたび、特に酒などの間接税については、財源の余裕があれば減税すべしという答申が出ております。その他、事情があってさようなことをいたしましても、これはせっかく税制調査会でいろいろ根本的な検討をいたしておる事態でありますので、政府としては、ただいまのところ増税のことは全然考えておりません。
  11. 横山利秋

    横山委員 とぼけようと思ってもだめです。大蔵大臣は、委員会で、あるいは記者会見で話をされておるのです。第一に原重油関税については特例措置をはずすというようなことを言っているじゃありませんか。そうでしょう。あなた御存じのはずですよ。第二番目に、たばこ、酒についても一考に値すると言っているじゃありませんか。それを、あなたは、全然言わないとか、全然考えておりませんということは、いかがなものですか。
  12. 奧村又十郎

    奧村政委員 重油関税につきましては、御承知通りただいまはこれは特例措置で免税しておりますが、本来は一〇%かかることになっているのです。これは、本来関税の規定の通り一〇%とるということは、いろいろ影響するところが多心あるものでありますから、検討しておるということで、簡単に増税とは言い切れぬと思うのであります。その他のことは、それは大蔵大臣の言として新聞に伝えられているようですけれども、それは大蔵大臣が確定的に話したのではなく、新聞の方があのような報道をなさったので、責任大蔵大臣にないと私は考えおります。
  13. 平岡忠次郎

    平岡委員 関連。  わが党で大蔵大臣に十四日に申し入れをしたわけです。この値上げ問題に対しては厳に慎むようにということで、その際ほんとうにそういう意思があるかどうか聞きただしましたところが、景気がいいんだから、高級物の酒、たばこに対してとるのも、これはやむを得ぬじゃないかということを言うておるわけです。だから、あなたは、大蔵大臣責任がないというけれども、わが党からの正式の申し入れに対して、増税も一案であると、それを裏書きしたような言明をされておるわけですから、あなたはそれを頭から否定するわけにいかぬと考えます。
  14. 奧村又十郎

    奧村政委員 大蔵大臣お話ししたことは、おそらく、増税の点だけでなしに、災害復旧対策を完全に行なうとか、あるいは治山治水対策を基本的に確立することと関連して、増税考えられ得るというふうなことを申したように思います。また、こういうことは、最終的には来年度予算編成に際して確定することでありますので、それは、大蔵大臣としては、これからあと国会皆様方の御意見その他をよく考慮してという含みをもって申し上げたので、別に確定的なことを申し上げたわけじゃないと思います。
  15. 横山利秋

    横山委員 政務次官、それは少し無責任過ぎやしませんか。大臣が言ったことは責任はない、書いた新聞記者責任がある。——大臣は、平岡委員が会ったときの話では、景気がいいのだから少しはとってもいいのじゃないか。あなたはとらないという立場に立っておる。まことに支離滅裂で、責任のなすり合いです。  それでは、大蔵大臣代理であるあなたに聞きますが、一体、酒、たばこ増税するのか、せぬのか、どうです。
  16. 奧村又十郎

    奧村政委員 お答えいたします。  酒、たばこ高級品に対して二部増税をかりにいたすといたしましても、具体的に考究いたしますと問題が多々あると思います。たとえば酒の一級特級だけを上げるというふうなことになりますれば、はたしてそれで増収になるかどうか。これはいろいろ問題がありますから、今そういうことをはっきり答弁しろとおっしゃるのも少しいかがかと存じます。
  17. 横山利秋

    横山委員 それでは、御注意もありますから、やはりあなたには酒とたばこと別々に御質問をした方がいい。  まず、それではお得意のお酒の方からお伺いいたします。何かきょう大蔵委員のところへきておる業界タイムスですかを見ますと、酒類業の八団体が、全力をあげて、減税をしてもらうように要望いたしておる。それはあなたが一番御承知通りで、おそらくあなたもこの間の卸の大会ですか御出席なさって、大蔵大臣代理としてのお話と、個人奥村先生としてのお話をなさったと思うんですが、その際、全部減税だというふうな方向にみんななっているわけです。あなたがおっしゃるように、減税をして、その減収分増収で穴埋めができる、たくさん売れるから。そういう理論一般理論として今日まであるんです。あなたはそれを信じますか。あなたはそれを妥当と思われますか。これが第一の質問です。それから、第二番目に、伝えられるようなお酒の特級酒なりあるいは一級酒増税をするというのが最近伝えられている案ですが、それをやるならば、清酒業界においては、灘五郷あたりのいわゆる銘柄の通った二級酒が地方の銘柄の弱い二級酒を圧迫している現状が、この際特級一級増税することによって、さらに拍車をかけるであろうといわれている。この点についてあなたはどういうふうにお考えですか。この二つの御答弁によってまあ結論が出てくると思うのですが、いかがですか。
  18. 奧村又十郎

    奧村政委員 酒類関係の八団体がかねてから高率な酒税を減税してもらいたいという要望のあることはよく承知しております。が、しかし、先ほども申し上げますように、来年度予算編成に際して、政府としては減税財源がないということから、一般的に減税はできないという方針を立てております。従って、その点は誤解のないように、先般御指摘の卸の大会においても、来年度減税はできないということを私はっきり申しております。しかし、そのような要望がかねてからあるし、また税制調査会でもそういう答申も出ておる際ですから、逆に増税をするというふうなことも現在政府考えておりません。
  19. 横山利秋

    横山委員 それでは、酒については簡明直截な御答弁がございましたから、これは了承いたします。  今度はたばこの方であります。たばこについて、専売公社の副総裁がおいででございますから、まず専売公社からお伺いをするのですけれども、今回伝えられておりますピース光等三十円以上のたばこについては増税をするという情報について、政府から御相談を受け、かつ御意見を表明なさったことはございますか。
  20. 石田吉男

    石田説明員 まだそういうことはございません。
  21. 横山利秋

    横山委員 それでは、おそらくそういう新聞もごらんになり、伝えられるところによりますと、新聞を見てびっくりして、初めて政府のところに聞きに行ったと伝えられておるのですが、本件について専売公社見解をお伺いしたいと思うのです。
  22. 石田吉男

    石田説明員 新聞などで拝見いたしまして大蔵省とも連絡はとりましたが、別に大蔵省の方からどうこうしろというふうなお話もございません。しかし、かなり問題になる事項ではあると思いまして、ただいまいろいろな数字を自発的に作って研究を始めております。
  23. 横山利秋

    横山委員 私の調査したところによりますと、本件については、従来の経緯が非常に審議研究するに当たって議論になっておる。この点は政府専売公社も同じだろうと思います。たとえば、ピースの売り上げの、この前値上げして失敗をしたそのときは、値上げ前二十八年度に百五十億本売れておったのが、値上げ後二十九年度は何と半分以下の七十七億本になっちゃって、三十年度にはさらに五十七億本、三分の一になっちゃった。これが全数量に対する割合は、値上げ前は一五・五%、値上げ後は二十九年度が何と七・五%、三十年度が五・五%、それを三十二年度にもう一ぺんもとへ返した。もとへ返したら九・八%に全数量構成比が復活をしたということが、苦い経験としてわれわれの前にあるわけです。私どもは、この値上げをするときに反対をして、そんなことやったところで、政府の意図する増収は行なわれやしないと、口をきわめて言ったのですけれども、それを、値上げだと言って値上げをして、まんまと失敗して、わずか一年や二年でもとへ返したという、この苦い経験が今回も非常な参考になると思うのであります。この経験から、今回の問題についても同様な結果が起こるのではないかと憂慮されるのですが、仮定の問題かもしれませんけれども仮定の問題であればこそ、よけいすなおに答えられると思いますから、専売公社の御見解を承りたい。
  24. 石田吉男

    石田説明員 ただいまお話しのようなことがございましたのは事実でございます。従いまして、私ども数字検討をいたします場合には、何といいましても過去の実績が一つ検討の資料になりますので、そういう事実は検討上いろいろ反映して参るということは申し上げられると思います。
  25. 横山利秋

    横山委員 まだ政府の御答弁あとでいただくのですが、あなたもお聞きになっておるからわかると思いますが、本件については政府の内部で必ずしも完全に固まったという問題ではない。ですから、私ども本件について審議をいたしますについても、自由な立場議論をしてもいい条件にあるし、あなたも、自由な立場で、この際せっかくの機会でございますから、意見の表明をなさることが必要なことではないかと私は思うのです。ですから、まあ公社理事者としてのお立場はあろうけれども、それなるがゆえに、よけいたばこ値上げについての公社側見解——見解までいかないにしても、今日までの経験、今後の希望、そういうような点にいま少し率直なお話を承って、私ども参考にいたしたいと思います。いま少し御意見伺いたい。
  26. 石田吉男

    石田説明員 私ども値段をいじるということを考えます場合には、もちろん、社会的ないろいろな要望といいますか、そういうことも考慮に入れるわけでありますが、事務的に考えますと、現在たばこ値段というものは一円とか二円とかいう刻みで上げにくい。取引上非常に支障になるということで、どうしても十本当たり五円とか十円ということでいじらなければならない。そういたしますと、現在銘柄が大体同じくらいの値幅で上級品から下級品とつながっております。そこを中間的に一部分だけ五円なり十円なり動かすということは、次の銘柄との間に非常にギャップを生じます。従いまして、そうなった場合に、売れ行きがどういうふうに変動して参るかということをきめることがなかなかむずかしいのでありまして、これにつきましては、たとえば財源としてこのくらいほしいんだという一つの目標といいますか、そういうものがありませんと、具体的な考え方というものはなかなかできないのでございます。従いまして、私どもは、今研究しておりますということは、過去においていろいろなそういう事例がありますが、同じような姿で値上げなり値下げなりする場合というものはなかなかございませんので、それをどういうふうに研究のときに盛り込むかという基礎的な検討をいたしておりますので、公社はどう思うか、こういうふうに言われましても、御承知のように、専売事業というものは、ある程度財政収入を上げるという目的に従って仕事をしておりますので、そういう御要求というものがはっきりして参りませんと、私どもも具体的にどうというふうな考え方が非常にしにくい。事務的には、今申し上げたようないろいろな制約と申しますか、そういうものがありますということを申し上げる次第であります。     〔委員長退席足立委員長代理着席
  27. 横山利秋

    横山委員 副総裁に重ねて最後にお伺いしたいのですが、財政上の立場から財源がないから、このくらいの財源を得るためにどうしたらいいかというふうなことで、どうしても結果論的にそういう話になるというお話でございますが、今回伝えられております三十円以上のたばこを最低五円上げるというふうにいたします。それを根幹とした今までの議論ですが、それによってどのくらいの財政収入が予想されましょうか。
  28. 石田吉男

    石田説明員 まだその検討の結果が出ておりませんが、大体のことを申し上げますと、全銘柄について値上げをするという場合には、ある程度消費源がやはり起こります。それの差引をしないとわからないのですけれどもかなり増収にはなるというふうには考えております。
  29. 横山利秋

    横山委員 そのかなりをお伺いしているのです。
  30. 石田吉男

    石田説明員 かなりと申し上げるだけで、まだいろいろの前提がきまって参りませんと、計算が締めくくって出て参りませんので、ここでどのくらいということはちょっと申し上げにくいのです。
  31. 横山利秋

    横山委員 それはあなた不親切じゃありませんか。かなりといったところで、一億もかなり考える人もありますし、百億もかなり考える人もある。まさかあなたが一億や十億でかなりとおっしゃるはずはないと思うのですが、大体の目算用として、このくらいから最高このくらいまでは確保できるであろうというくらいのお話はあってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  32. 石田吉男

    石田説明員 最高の方はこれこそいろいろ検討しないと申し上げにくいのですが、少なくとも百億以上は出ると思います。
  33. 横山利秋

    横山委員 最低百億円以上。これは、消費減になる分も含めて、総体的に百億でございますね。
  34. 石田吉男

    石田説明員 精密な計算をした結果でございませんので、ふだんたばこを売っております一つの直観といいますか、そういう点から申し上げているわけでございます。
  35. 横山利秋

    横山委員 それで今度は政府側にお聞きしたいのですが、今のお話を承ると、専売公社にも何の話もなく相談もなく、とにかくまあたばこ値上げしてもいいじゃないかというふうなお話は、どうも私は軽率に過ぎる話じゃないかと思うのです。もちろん最終決定はしてはおりませんけれども、一体、大蔵省としては、たばこ値上げする方向で議論がされておるのか、検討がされておるのか、この点はいかがですか。
  36. 奧村又十郎

    奧村政委員 政府といたしましては、先ほど申し上げましたように、たばこ値上げするとか、あるいは酒の税を引き上げるとかいうことは全然考えておりませんし、また検討もしておりません。
  37. 横山利秋

    横山委員 その点は隣におる主税局長の手元で検討するという事務的な方法と、大臣新聞に語り、自分も委員会でちらほらほのめかすということは、政治としては、主税局で検討しておるということよりも、大臣の言うことの方が、より重要で、より真実性がある。それが政治だと思うのです。ですから、主税局で検討しておるかおらぬかというよりも、大臣の言ったことをどういうふうに受け取ってよろしいかということが、私は政治の大問題だと思うのです。ですから、あなたは大臣の言ったことを否定なさる。そうしてたばこ値上げは全然検討していない、こういう立場なのか、その点を明らかにして下さい。
  38. 奧村又十郎

    奧村政委員 大蔵大臣はいろんな意見を承って自分の判断の参考にすることは当然であります。そこで、大蔵大臣お話しになったのは、災害復旧対策事業を早期に完成したり、治山治水のいわゆる国土計画を確立するには、どうしても財源がうんと要る、とすれば一部に酒たばこ値上げ意見もある、こういう程度お話をなさったので、そういう表現なら私は別に差しつかえないと思います。
  39. 横山利秋

    横山委員 それはそうはいきませんせ。本人の腹にないものであるならば、酒たばこ値上げはどうだ、財源がないからどうだと言われたときに、それはしないよと言うのが、正しい。誤解を与えない。騒ぎを起こさない問題です。本人に多少気があるから、一考に値すると言うのです。そうでしょうが。一考に値すると言って、世間にたばこが上がるかもしれぬというショックを与えた。酒の方については、それはあなたが責任を持ってそれはさせないと言うから、それは信用します。またそうでなければならぬ。けれどもたばこは一考に値すると言ってしまった。今は公式の場面ですから、あなたが一考に値しないと言えばはっきりするのです。一考に値するということは世人の耳に残っているのですよ。値するということは、値上げしてもよろしいということを含んでいる。だから、私は、あなたに、一考に値するという大臣の言葉をお取り消しになるのか、そのままに残しておくのですか、こういうことをお伺いしておるのであります。
  40. 奧村又十郎

    奧村政委員 大蔵大臣の真意は、おそらく災害対策を早期に完成しよう。これは横山委員も大賛成のことと思います。また治山治水の国土計画も早期にやろうということで、非常に財源の要ることをこの際一気にやろうとすれば、酒たばこなどの値上げもしなければ財源の出しようがないというふうに、つまり一方の歳入財源と一方の歳出財源とにらみ合わせて、国民の皆さんに御理解のいくような説明をしておるのですが、その意味において、大蔵大臣お話しになったことは私は当然であると思います。
  41. 横山利秋

    横山委員 それでは、大体あなたの気持もわかってきました。あなたの言う災害対策や治山治水には、私は大賛成です。けれども、あなたは、社会党の私に向かって、私が賛成しそうなことだけをあげて、反対しそうなことはちっともあげないのです。新鋭戦闘機はどうするのですか。接収貴金属を使えという主張についてはどうするのですか。共通の広場を求めてあれもこれもやってなおかつ足らぬというのなら話は別だけれども、それは詭弁もはなはだしい。しかし、今最後にあなたがおっしゃったことは、一考に値するということを取り消そうとなさらないで、逆にそれを裏書きされるということは——酒については先ほど済んだからいいですが、たばこについては、たばこ値上げという構想がそこに明らかになってきたというふうに感ぜざるを得ないのです。
  42. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 ちょっと関連して。  今横山委員からたばこ値上げの問題で質問がありました。新聞にも、論説で、若干の新聞で、自民党の政調内にたばこ値上げの声があるが、これは検討を要するというような論説を私は見たので、これは重大な問題だと思って、私も、財政部長を押しつけられたというか、引き受けておりますから、そういうことが一体あるのかないのかと思って調べてみましたけれども、どこへ行っても自民党の中でそういう声はない。もっとも、個人が、廊下の立ち話で、しろうとが——しろうとと言っては語弊がありますが、そういう財政問題についてはしろうとの連中が、安いたばこは上げてはいかぬけれども、高いたばこは上げたらいい、こういうふうなことを言うておる者は二、三おりました。しかし、それは、横山委員も言われた通り、上の方を上げれば、ピース経験したように減収になる。そうかといって、一番下を上げれば、それは、税収は、百億どころでなしに、三百億も四百億も上げられると思いますけれども、それは非常に影響を持つ。そういう意味で非常に反対であるから、どこからああいうことが出たのかというので、調べたわけです。ところが、政調会長に聞きましても、その他それぞれ責任のある人は、そんなことは言っていないということです。大臣にはまだ会っておりませんけれども、おそらく、そういう個人的な声を聞いて、大臣だってその方ではしろうとですから、税収が上がるのならそれも考えられるくらいのことは言われたかもしれませんけれども、しかし、それは、ここで真剣に取り上げる——あなたとしてはそれは無理もないですが、根も葉もないことを、一犬虚をほえて万犬実を伝うというような、実際実情はこういうことなんです。僕が少なくとも部長をしておる限りにおいては、そういうことは絶対させませんよ。
  43. 横路節雄

    横路委員 大蔵政務次官質問しますが。先ほど、あなたは、横山委員質問に答えて、酒については増税しないと、こう言った。おそらく、その考え方の基本になっているのは——灘の酒等において、今日売れ行きをできるだけ増加するためには、一級酒であっても、これを二級酒として売っていく。そういうのがだんだん地酒の二級酒について売れ行きがうまくなくなってきている。あなたは酒の専門家ですから、そういう点を十分御承知の上で、やはり一級酒特級酒並びに一本千円以上のウイスキーについて増税をすれば、逆に一級銘柄であってもそれを二級に落として売るから、やはり地酒の二級については圧迫をしていくという点があって、あなたはしないと言われたのだと思う。あなたは酒の専門家だし、賛成しているようだが、たばこだって同じだと思う。先ほど総裁が言われたように、横山委員からも指摘されたように、二十九年に値上げをしたら、一挙に総体の一五・五%の半分に落ちた。三十年には五・五%に落ちた。それが三十四年の四月にもとへ戻したら、七・五%にふえてきたわけだ。そうなると、奥村政務次官お尋ねしますが、酒は絶対に増税しないとあなたは言い切った。それであれば、たばこについても、もしも「ピース」であるとか「富士」であるとか、そういうものについて五円でも値上げをしていけば、どうしてもたばこをのまなければならぬ人々は、当然「いこい」だとか「新生」だとかにどうしても変えていかなければならぬ、それだけ家計費を圧迫するから。そうすると、酒については増税をしないと言ったあなたの考え方からすると、たばこについても、絶対値上げをしない、こういうように言わないと筋が通らないんですよ。酒だけはおれの方の商売だから絶対増税しない、たばこの方は、おれの方の関係なしに、一般の国民大衆のものだから、値上げがあるかもしらぬと言うのは、政務次官としては不当だと思う。だから、酒については増税しないと言われたんだから、たばこについても増税しないというようにここではっきり言えば、この大蔵委員会の論議はこれで終るんですから、はっきり言った方がいいですよ。
  44. 足立篤郎

    足立委員長代理 横路委員に申し上げますが、今御発言の中でちょっと不穏当と思われる点があるのですが、「奥村政務次官が酒の方はおれの商売だから」というような表現をされましたが、これはちょっと訂正なすったらいかがですか。
  45. 横路節雄

    横路委員 ただいま委員長お話がありましたから、「奥村政務次官の家業の方でおありのようでもあるし」、こういうことに訂正いたしておきます。
  46. 奧村又十郎

    奧村政委員 ただいま委員長から非常に好意あるお取り計らいをいたかきまして、実は私は戦前までは酒造業を家業としておりましたが、もう現在は家業を離れておりますので、失礼ですが、酒だけでなしに、税制金融については、将来全般にわたって専門家になりたいと希望しておりますので、誤解のないようによろしくお願いいたします。  そこで、お尋ねの、酒についてはきっぱり御答弁申し上げたが、たばこについては言わぬじゃないかとおっしゃいますが、横山委員は特に酒についてお尋ねになったから、酒についてお答えしたんで、たばこについてもお尋ねがあれば、大体同様のお答えをいたしたいと思っておったのです。特に大蔵委員皆様方はもうおわかりのことと思いますが、こういう税制改正は来年度予算編成に深く関連をしておりますから、予算編成のときに確定するんで、それまでは、たとい多少の改正を考えておっても、確定的なことはうっかり言えない、こういう政府立場もよくお察しを賜わりたいと思います。
  47. 横路節雄

    横路委員 今政務次官から、三十五年度の予算が確定をしなければ、財源についてもはっきり言えない、こういうお話でしたが、今、政務次官は、御自分のお言葉の中にあったように——横山委員質問に答えて、酒については増税しない、こう言ったのです。再度横山委員から、たばこについては絶対に増税をしないのか、こういうお尋ねがあれば、そういうようにもお答えしたいと思っておったんだが、別にそういうこともなかったから言わなかったんだ、こう言うなら、私は重ねて聞きますが、たばこについては、酒同様、絶対に増税しないということを、ここではっきり御答弁いただきたいと思います。
  48. 奧村又十郎

    奧村政委員 どうぞ誤解のないように。現在としては政府はそういう考えを持っておらぬし、またその検討もしておらぬ。しかし、来年度予算編成は、おそらく政府案がきまるのは年末になります。それまでにはいろいろまた意見も出ることと思います。また強く申し上げましたが、治山治水特別会計とかあるいは災害対策というふうな問題に関連して、国民大多数の中に、高級たばこが一時的に高くなっても、全国民がしんぼうして、災害復旧一つやろうというような全国的な機運が高まれば、政府としてもそういう声を聞かざるを得ぬ、こういうことはあらかじめ御了承願いたい。
  49. 横路節雄

    横路委員 今あなたが増税しないというのは、今の時点で増税しないということであって、昭和三十五年度の予算の中で増税しないとは、そんなことは言えないということを言われていますが、私たちみんな大蔵委員をやっている。今ここで予算の関係なしに、年度の中間で、たばこを上げたり酒を上げたりなんということをやりますか。今私たちが聞いていることは、昭和三十五年度の予算編成の中で、酒の増税たばこ値上げについてはやるのがやらないのか、われわれとしては絶対やるべきでない、こう言っているのですよ。だれも今の時点について言っているのではない。そのことは三十五年度の予算編成の中で言っているのです。だから、あなたも、答弁の中で、先ほどは酒の増税はしないと言ったが、それが間違いだったら、あれは間違いだった、こう言ってもらわなければならぬ。私たちは、来年度、三十五年度から一体酒の増税をするのか、それからたばこ値上げをするのか、どうなんだ、こう聞いているのです。
  50. 奧村又十郎

    奧村政委員 政府の中でも大蔵省、御承知税制を担当し、また専売公社などを監督する大蔵省立場であれば、これは今増税はできませんし、またとりわけ酒たばこ値上げ考えられませんので、来年度予算編成に対しても、その方針を貫いていきたい。これは大蔵省考え。しかし、政府としては、今非常に困難な来年度の予算編成、特に災害対策や治山治水などの大幅な歳出増の意見が高まって参りますと、大蔵省方針が必ずしも貫き通せないという節もあるわけです。この点を大蔵委員の皆さんは特に御了察いただいて、この大蔵省方針を貫き通して、酒たばこ値上げしないというふうな来年度予算が作れるように、どうぞ御協力のほどをお願い申し上げます。
  51. 横路節雄

    横路委員 今、政務次官から、大蔵省方針としては酒の増税はしない、たばこ値上げはしない、こういうことをここではっきり御答弁いただいたわけですから、いずれ大蔵大臣にこの委員かに出てもらいまして、この点については、奥村政務次官の言だけでなしに大蔵省の貫いた方針だと言うんだから、次の機会にぜひ大蔵大臣から今の点を確認をしたいと思う。この点だけははっきりしておきたい。  それから、石田総裁に一言。あなたは、先ほど、初めは金額があいまいでしたけれども、大体新聞に出ているこれらのたばこについて、十本当たり五円値上げすれば百億ぐらいになるのじゃないか。しかし、これはあなたの方でピース値上げで苦い経験がある。だから、当然、先ほど私から政務次官に指摘をしたように、「いこい」や「新生」に乗りかえるということも生まれてくるのではないか。ですから、専売公社としては、今政務次官から大蔵省方針としては値上げ反対だ、こういうのだから、専売公社としてはその点があいまいであってはならないと思う。その点は、またとない機会ですから、専売公社としても値上げは反対だ、こういうふうに言っておいてもらうと一番いい。——今副総裁に聞いておるのです。副総裁答弁したらいい。大蔵省もそう言うのだから、副総裁もそう言ったらいいじゃないか。
  52. 奧村又十郎

    奧村政委員 大体先ほどまでに申し上げたことでおわかりだと思うのです。もし専売公社たばこ値上げを計画するとすれば、これは、国家財政の必要から、いわば大蔵省の方からそういう指図を受けてすることですが、しかし、大蔵省方針としては、今申し上げた通りでありますから、それですでに副総裁の御答弁を待つまでもなくおわかりのことと思いますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  53. 横路節雄

    横路委員 公社公社としての立場があるでしょう。今いろいろ副総裁に聞いておるのですが、公社としての立場がある。しかも、前のピース値上げで、売れ行き不振を招いて、またもとへ戻した苦い経験がある。本数は、先ほど横山委員が読んだように、実際には御承知のように約三分の一に落ちたときがあるのです。昭和三十年は本数が三分の一に落ちた。今やっと回復しつつある。そういう苦い経験からいって、専売公社としては私は値上げは反対だと思う。だからここで副総裁から公社立場を明らかにしてもらいたい。
  54. 石田吉男

    石田説明員 先ほども申し上げましたように、専売事業財政収入を上げるという非常に大きな目的がありますが、そういう方面からの御要求があれば別でございますが、現在公社たばこ事業を運営していく上からは、特に値段をいじらなければならないという必要はないように考えております。
  55. 春日一幸

    ○春日委員 関連。  私は今の問題は国会審議の上に悪い例になると思いますので、特に申し上げておきたいと思うのであります。横路君が専売公社の副総裁に対して質問をいたしました。これは議員に与えられております専属固有の権限、質問権であります。この質問権を行使して質問をしたら、政府委員国会法に基づいて答弁の義務があるわけです。その質問をしたのに対してこれを抑止し、さらに答弁に立たんとするものを阻止する。こういうようなことは国会法を無視するものであって、わがクラブは国会審議を冒涜する者に対しては糾断しなければならぬ立場であります。こういうようなことは厳に今後慎んでもらわなければならぬ。われわれは、どんな問題であろうと、何人に聞こうと、これはわれわれが国家によって保証されておる権限を行使することであるから、政府委員に対してそれだけの義務が課せられておる。いかにあなたが副大臣であろうと、思い上った言動をなされておることは、今後そういうことのないように十分あなたを戒告いたします。
  56. 横山利秋

    横山委員 時間がありませんから、最後に二つばかり別な問題で質問をいたしたいと思います。  主税局長にお伺いをします。  先ほどからの政務次官答弁によって、原則としては来年度減税しないというような方向の答弁がございました。原則としてはということは、必要やむべからざる税制の改正、減税を伴う税制の改正というものは抑止するものではないというふうに受け取れるわけです。そこであなたにお伺いしたいのは、これは時間がありませんから、詳しく聞きたいと思ったのですけれども、できませんから、お願いしたい第一は、税制審議会の最近の状況について、当委員会へ文書をもって報告をしてもらいたい。  第二番目に、さしあたり今御答弁いただきたいのは、原則に対して、例外が予定されておる問題が何かあるか。当面、均衡論からいっても、あるいは課税負担の上からいっても、これだけは減税すべきであろうといわれておる問題があるのかないのか、あるとすればそれはどういうものか。  第三番目に、これが例になるかどうかわかりませんが、具体的な問題についてお伺いしたいのですが、先ほどの奥村さんじゃないけれども、私ももと稼業は国鉄であった。この間国鉄に乗っておりまして、付近の人と話をしておったら、こういう話が出ました。出たとえば、宿屋に泊まると税金はどうかというと、八百円まで免税で、八百円をこす分について五百円基礎控除があって、残った分について一割の課税、国鉄に乗ると、三等寝台は八百円以下ですけれども、三等寝台でも全部二割だ、こう言われた。私といろいろ話をして、一体宿へ泊まることがぜいたくでなくて、夜行で行くことがぜいたくなんでしょうか、こういう意見です。私は、それを聞いて、なるほど私も出は出ではあるけれども、汽車に乗る人の感じからいうと、これはもっともな話だ。そこで思い出したのが、飛行機に対する航空税といいますか、通行税であります。飛行機に対する通行税は、たしか今一割になっていますね。飛行機に乗るのがぜいたくでなくて、汽車に乗るのが一体ぜいたくなのか。これは庶民の感覚です。飛行機については産業育成という面があるであろうけれども、それにしてもこれは納得のいかぬことではなかろうか。いろいろな税金については、今日までわれわれに対する各種の陳情がありますが、通行税という不特定多数の人たちの問題については陳情を受けたことがないのです。ですから、日の当たらないところとして、ずっと放置されているというような感じがいたします。三等と二等と比べますと、三等でたとえば千円なら、二等は二倍で二千円、それに税金が二割ですから、二千四百円、三等が満員で二等へかわってきた人がある。その二等へかわってきた人が私にぶうぶう言ったわけですが、三等で千円払って切符を買って、しようがないから、移動してきたらすわれた。そうして倍出せばいいなと思ったら、千四百円出さなければならぬ、ちょっと腰かけるだけでこうも違うものでしょうか。近ごろは、東海道線なんかは三等と二等の二・四倍というような、そんな区別はそうないように思うのです。私はここで二等擁護論をやっているつもりはありませんけれども、均衡論として、宿屋に対する税金と汽車に対する税金、飛行機に対する税金と汽車に対する税金、通行税全般の税制の均衡論からいうと、これは、その人が汽車の中で私にいろいろ話をしてくれたことは、まことにもっともなことだと私は思うわけです。こういう点は一つの例でありまして、まだほかにもございますけれども、もう申しません。第三点は、通行税について、政府検討を総合的になさったことがあるだろうか、そしてなさったとしたならばどういうことに今なっているか、それがお伺いしたい。  それから、時間の関係上、ここで御答弁を求めようとしませんけれどもあと国税庁長官一つだけ文書をもって御報告いただきたい。それは、災害の罹災に対する税金の問題であります。実は質問をしたい点が十数点あるのですけれども、時間がありませんので申しません。ずいぶん陳情があなたの方に来ていると思うのですが、その中で一番まとまっておりますのが、名古屋商工会議所が十数項目にわたって——あなたの方へも確かに行っておると思うのですが、罹災に伴う税金の諸問題についての意見であります。これをお受け取りになっているか。ごらんになっているかどうか。もしなっていられるなれば、またお受け取りになってなければお調べになって、その各項目について、本委員会に文書をもって回答いただきたい、これをお願いしたい。  以上につきまして政府側の御答弁伺いたいと思います。
  57. 原純夫

    ○原政府委員 第一点の税制調査会の議事の次第につきましては、御要求通り、後ほど文書をもって御報告することにいたします。  第二点の、来年度減税を原則としてやらないというお話の、原則という場合の例外は何かということでございますが、これは、私、この原則としてやらないということの「原則として」ということに、非常にかっきりした意味があってのことではなくて、この二十五号の台風の被害ということが非常に大へんなものである。先ほどお話のありました通り、これに対する手当をし、治山治水面もいろいろ手当が要るということになれば、たださえ苦しい来年度の財源の中であるから、とうてい減税ということはできまいという、いわば直感的な、もちろん数字の裏づけは腹の底にあってのことでありますが、感覚としてのかまえをとったということであります。その場合に、一切がっさいやらぬのかと言われて、えらいこまかいことまでやらぬのだというふうな言い切り方をする、しないというその面を、今どうと言っているのでなくて、とにかく災害治山治水、ここに突っ込んでいこうというかまえであります。従って、何が例外かというようなことを、今別段考えておりませんし、またお尋ねになりましても、ちょっと申し上げかねると私は考えます。  第三点の通行税の問題、特に通行税の体系の中における三等寝台の課税、また航空機の乗客に対する税率が一般税率の二〇に対して一〇になっているという問題、また三等と二等とのアンバランスというようなお尋ねがございました。この問題につきましては、御存じの通り、一昨年以来当委員会の御決議の次第もあって、間接税体系の詮議をいたしました際に——通行税を間接税と見るか、あるいは直接消費税と見るか、いろいろ見方はありますが、いわば大きなその面の一つの問題点であろうということで、一昨年、昨年の税制関係の調査会、懇談会におきまして、はっきり議題として取り上げて議論をいたしております。その際、関係方面から、お話の鉄道関係も含めましていろいろ御意見も出て、そしてそれらを検討しました結果、やはり通行税は今の体系でしばらくいくべきであろうという判断をわれわれは持っておるわけであります。一々こまかく申しますと、相当時間もとりますので、ざっと申しますれば、税率の問題、特に通行税のように三等はかけない。ただし寝台料金はかける。あとは、一、二等と三等で境するというような場合、その境目について御議論が出るのは当然であります。非常にきめのこまかい御議論となれば、そこにいろいろのニュアンスが出るのは当然で、お話の点はごもっともな点があるわけでありますけれども、それはやはり、間接税というものは、どこまでを課税対象にして何パーセントという盛り方をするのに、いわばいつも出てくる問題だというふうに考え、そしてそのきめを非常にこまかくするのがいいか、あるいは一本税率でいくかという問題になると思います。この点は、御存じかと思いますが、沿革的にも、昔は、シャウプ改正の前は寝台料金、急行料金はちょっと高うございましたが、一等も二等も三等も一律五%という税率を持っておったわけであります。大体これが直接消費税というか、あるいは流通税というか、そういうものにおいては概して一本税率でいくというのが多い。その中で三等の通常の乗客の方をはずしたらどうかということではずして、そのかわり、そうなると一等、二等の消費というものは、全体の各般の消費の中で、いわば高級消費的な面が強いということで、一律二割ということになったわけです。その際課税に残すものとして、寝台、急行料金は前から二割であった関係もあって残したというようなことで、まあ多分に沿革的ななにがありますが、別途しからば三等寝台の消費はどうかというのを見ますと、非常に伸びがよろしいというようなこともいわれ、また宿屋との比較などでは少しなにでありますが、宿屋の八百円というのは、料理といいますか、朝晩の御飯が入って八百円だ、寝台の八百円とはだいぶ——寝台は寝るだけでございますから、いろいろ考え方はあると思いますけれども、宿屋と比べる場合には、寝台は食事を入れて比べてみなければいかぬというふうに考えております。少しこまかい点で恐縮でありますが、航空機の方は毎年のように運輸省からもいろいろ御意見をいただいております。私どもとしてはこれは廃止すべきだと思っておりますが、毎年民間航空の援助ということで延ばして、今回も二年間延ばしてやるというような事情でございます。
  58. 北島武雄

    ○北島政府委員 名古屋の商工会議所から確かにお話のような陳情書類が出て参りました。おそらく、私のところだけでなく、税制方面にだいぶ関係がございますので、大蔵大臣、すなわち主税局長の方にも出ておることと私は承知いたします。内容を拝見いたしまして、現在の税制の中で取り扱い上できることについては、できるだけこれを取り入れることにいたしまして、相当程度実行いたしております。なお、税制の改正を要する面につきましては、係の方から主税局と打ち合わせいたしまして、いろいろ話し合っておる次第でございます。追ってまた、私の方の国税庁におきましてとりました措置につきましては、文書をもって御回答いたします。
  59. 横山利秋

    横山委員 希望だけ申し上げます。今の通行税に関する主税局長見解には同意しがたい点があります。これはあらためて十分に議論をいたしたいと思います。主税局においても、あなたの今の御答弁が、言うならば自信満々たる答弁ではなくて、まあまあ一つというようなお話のように思います。これはもう一ぺん真剣に検討され善処されることを要望しておきたい。  それから、長官の御担当以外の質問も来ておると思うのですが、恐縮ですが、質問の全文と全文に対する回答を政府からいただく、こういうふうに順序を追ってお願いしたい。
  60. 足立篤郎

    足立委員長代理 春日一幸君。
  61. 春日一幸

    ○春日委員 最初に奥村政務次官に申し上げておきたいのでありまするが、ただいまの御答弁の中で、社会クラブが今回の予算組みかえを求むるの動議の中に、政府考えておるよりも百九十億多かったことについて、何かはなはだしく荒唐無稽であるような、そんなニュアンスのある見解を述べられました。これは今ここで論じても水かけ論になる心配もあるかと思いますけれども、これは私どもがラフな腰だめでそういうような積算をしたのではない。少なくとも、この予算組みかえの要求をいたしまするからには、やはり天下の公党として、あらゆる角度から科学的な綿密なデータを集めて、その上に立って積算をいたしておるのであります。ただ、この問題は架空の想定ではなくて、四月、五月になれば決算で明らかに出てくるのでございます。そのときに、私どもの想定が正しかったか、あるいは、政府が言っておるように、あれでもって洗いざらいの財源であったか、これはそのときにおいて証明がされると思うのであります。これは厳粛な数字によって証明されると思うのであります。申し上げておきますが、現実に政府が百九十億の伸びをあの限界でとどめておるとするならば、しかも、これ以上の財源準備がないからこれ以上の災害補正は組めないのだ、こういう答弁があったが、四月、五月になって、はたせるかなわがクラブが指摘したように税収の伸びがあった場合に、これは相当の責任を負ってもらわなければならぬと思う。従ってこの問題については十分銘記されておかれたい。そのときにおいて責任をとるか、あるいはまた百九十億以上の相当の収入の伸びがあったような場合は、これをことごとく減税していくか、いずれかの手かげんをとってしかるべきであると思うが、この点を十分心に銘じておいていただきたい。  そこで、私は、これは主税局長にお伺いをいたしたいと思うのでありますが、問題は登録税に関する問題でございます。現在、登録税は、中小企業金融公庫と国民金融公庫は、全額国庫出資であるという立場から、これが課税の対象外に置かれておるのでございます。これでもって満足すべき状態であるかどうか、機会均等を失しないかどうか、この問題でございます。さらにつけ加えて、今回伊勢湾台風の災害によりまして、災害の融資が政府金融機関によって行なわれておるのでございます。すなわち、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工組合中央金庫、それから中小企業保険公庫でありますが、政府は、災害復旧融資といたしまして、この四つの機関に対して相当な金を流しておる。被災者は、これらの窓口を通じて、それぞれ政策的な救済を受けるわけでありますが、ただこのとき、中小企業金融公庫から借りるものと、国民金融公庫から借りる場合は、これは登録税というものが免除されるわけですね。ところが、同じ性格の金を、しかも政府の政策金融機関であるところの商工組合中央金庫、さらには金融保証協会、その資金源は中小企業保険公庫でありますが、これも政府が四十億貸して、今回十億追加をいたしておる。同じ性格の金、そして資金源は全額国庫であるか、あるいはその中の一部が国庫であるかの差によって、ある者は登録税の減免が受けられる、他の者は受けられない、こういうようなことは、この際機会均等を失するのではあるまいか。この融資の性格が被災者に対する救済である、しかもそれは中小企業、零細業者に対するところの政策的な金融であるというこのダブった意味の中において、一般融資の場合は別に論ずるといたしまして、少くとも災害融資に関する限りは、この登録税というものは減免されてしかるべきものであると思うが、これに対する政務次官の御意見はいかがでありましょうか。まず政策的立場から、ただお互いにこの機会に、見解の相違であるとか、そんなものを論じ合うというのではなくて、本来は大臣に出ていただいて、そういうような高度の政策的な立場からお互いに意見をかわし合って、そこで適切妥当な処理をしたいということでお伺いをいたしておるのでありますから、あなたも、その気持の上に立って、今原さんが何か資料を出したようですが、そのようなくだらぬ資料には目を通すことなくして、あなたの政治家的良心と判断によって、一つ問題の処理をはかるために、私の質問に対して御答弁を願っておきたいと思うのであります。
  62. 奧村又十郎

    奧村政委員 御要望に沿いまして、政治家的な判断に某づいてお答えを申し上げたいと存じます。  国民金融公庫と中小企業金融公庫からのいわゆる政府資金の融資をする場合に、抵当権設定に際しての登録税を免除するということにつきまして、登録税の趣旨からして、たとい政府金融機関といえども免除するということは、これは非常な恩恵であります。そこで、これは政府金融機関また政府資金ということの、もともと恩恵的なものにもう一つプラスした、こういうわけです。ところが、お話の商工中金、これは、御承知通り、全部が政府の資金とは限りません。これは組合融資でありまして、商工中金の組合資金にプラス政府資金を補完的に添える、こういう建前であります。また、法人格においても、国民金融公庫や中小企業金融公庫とは建前が根本的に違っておりますので、ここまで登録税減免の恩恵を与えるということは、少しいかがなものか。またもう一つの中小企業信用保険公庫あるいは保証協会のいわゆる保証にかかわる融資につきましても、これはそういう機関によって融資の保証をするのであって、資金そのものは民間の資金であります。ここまで恩恵を広げるということになると、民間の一般金融機関の一般融資とどうして区別をつけるか、こういうことになりますのと、もう一つ最後に、災害だけは特に考えたらどうかとおっしゃいますが、一体災害の融資と一般の融資とをどのように区別をつけるかということになると、これまた非常に困難な問題が起こりますので、ただいま検討しておりますが、なかなか結論が出にくい、こういう事情でございます。
  63. 春日一幸

    ○春日委員 政務次官は酒のことは明かるいようだが、金融の問題も税金のこともまるきりしろうとのようで、まことに悲しい限りでございます。私の申し上げたいことは、災害金融と一般金融の区別ができがたいというようなことは、いやしくも政務次官たる者は言うべきじゃない。災害融資というものは、罹災証明を受けて、かくかくの被害があったのでそれを復旧しなければならぬというので、所要のそれぞれの証拠物件を添えて融資の申請を行なう。それをするにあらざれば、それぞれの金融機関はこれを受理しない。従って、災害融資であるということは、そのような書類によってはっきりと証明がつくのです。あなたの後段の答弁の中に、災害融資というものは、これは明らかに救済融資であるし政策融資であるのだから、従ってこの問題については大いに考慮しておるという御答弁なんですけれども、考慮ならば、私は、あなたが政治家的良心の上に立って大いに一つ踏み切ってもらいたいと思うのです。商工組合中央会庫の金が一部出資であって他は民間だと言うけれども、これの資金の性格を分析してみれば、そのパーセンテージは明らかに出てくる。なるほど、政府の出資は少額であるとはいえ、その資金源の大半のものは、財政投融資によって、国会が議決してその資金源を供給しておるのです。原資を供給するか、あるいは国の保証によって、責任において財政投融資によってやるか、その資金源の公共的性格というものについてはみじんといえども間違いはない。ただその形式が違っておる。われわれは質の問題を論じなければならぬのです。そういう意味で、私は、一般融資についてはなお量の点において多少そこに開きもあるであろうから、その点は後日論じたい。ただ問題は、今被災者たちが、ある者は国民金融公庫から受ける、ある者は中小企業金融公庫から受ける、ある者は商工組合中央金庫から受ける、ある者はそれぞれの保証協会の保証を受けて市中金融機関から受ける。この四つの金融の道が開かれておる。いずれかの一つをとれば、大体においてダブって他の金融機関からの融資は受けられないというのが一つの常識でございましょう。あそこからもここからも全部これを満喫するというわけには参らぬ。それはすなわち罹災証明書というものがおのずから一つの限界がありますから、そういうような限界において、国民金融公庫、中小企業金融公庫から融資を受けた者に対しては登録税法上の免除がある。ところが、同じ性格の金であって、政策金融であって、同じ催災者であって、同一性格の金融を受けるのに別の取り扱いを受けるということは、これは不当である。これはまさに政策の盲点である。われわれの手落ちである。そこを正当にあなたが理解されて——一般金融の問題についてはこれは後日論じましょう。けれども災害金融に関する限りは、特例を設けて、そしてこの際登録税については他の二公庫と同じような措置をとって、これを免除する、ここに一つ踏み切ってもらいたいと思うが、あなたの御見解はいかがでありますか。
  64. 奧村又十郎

    奧村政委員 ただいまの御質問は、大体つまるところは商工中金からの災害融資の際の登録税免除ということにしぼられてくるように思うのであります。そこで、商工中金につきましては、ただいまの御趣旨に沿うて、一方において今回の補正予算の中に利子補給をいたしております。そのほか国民金融公庫も中小企業金融公庫も、また今の商工中金も、百万円までは三年間六分五厘の低利の融資をいたしておりますのも、すべて今お話しのような御趣旨に沿うて、できるだけ被災者に特に重点的に政府として取り扱っておる。そこで、その上に登録税を免除せよということでありますが、どうぞ政府の苦労するところをお考えいただきたいのは、あまり政府金融機関の融資に恩恵を与え過ぎますと、もう災害融資は政府資金だけにすがる。そうすると、一般金融機関の融資というものは非常に後退することになる。しかし、御承知通り、本来中小企業金融は一般金融機関が主体である。とても政府の資金でそんなに全部まかなえるわけがないのですから、だんだん政府の恩恵が多過ぎて、一般金融機関の災害融資が後退する心配があるので、この上またさらに登録税の恩恵をということになりますと、またその弊害が多くなり過ぎるということで、実はどうにも踏み切りにくい困難があるので、なおこの上一つ検討させていただきたいと思います。
  65. 春日一幸

    ○春日委員 私はそういうことを言っているのじゃないんです。それこそ、現実の問題として、たとえば農業災害だとか、そういうものについては、あなたも御承知通り、協同組合の共同設備であるとかいうようなものは二割から九割まで、あるものについては一〇〇%の補助だとか助成がなされるのが実際の話です。少くとも国民が被災をして、そこから立ち上がることのためには、理由が許せば、財源があれば、やれるだけのことをやるということは差しつかえないじゃありませんか。通産大臣もこれは予算委員会において答弁されておるのだが、中小企業の被災に対する救済措置というものは、現実には金融以外にないと言っているのだ。金融以外にないんですよ。だから多々ますます弁ずということがあって差しつかえないじゃありませんか。農業については全額補助だとかいろいろな問題があっても、中小企業に対しては共同設備がないのだ。また現実に援助しようと思っても援助のしようがないのだから、金融の面においてあとう限りの救済をやっていくのだ、こう言っているのです。だから、あなたの理解がちょっと少ないけれども、残ったものは商工中金だというのだが、商工中金ばかりではない。やはり民間の金融機関から金を借りる場合には、保証協会の保証を受けて、しかもその保証協会のバック・アップになるものは中小企業信用保険公庫ですよ。従って、これはいずれも公的性格を持っているのです。政府がそれだけの金を出した商工中金であって、政府財政投融資で何百億というものを引き受けているのです。そういう性格の金であり、被災者であるのだから、しかも中小企業者に対する救済は現実に金融以外に他に方法がないのだから、登録税くらいのものを負けたって一体どこが悪い。実際の話が国の負担が大きくなるというわけのものではないけれども、合理的に負担し得るものがあったら、これを全的に負担していくということが一つ、もう一つは、同じ性格の資金であり、同じ質の金なんです。しかも同じ政策目的である。それを、二つは課税の対象にならぬ、他の二つのものは課税の対象になるということは、明らかに政治的な手落ちになっておる。政策的な手落ちになっておる。それを気づいたら改めるということに対して、何らやぶさかであってはならぬと思う。そこで、今原さんから答弁しようということだが、原さんの答弁は大体わかっておる。そういうような意味合いで、あなたと大臣と二人がよく話し合われて、なおかつ私の申し上げたこともさらに補足をいたしまして、あなたの方の国会対策、政審の方にも話してもらいたい。そういうふうにして、こういうふうな手落ちのあることは、一つ官僚の諸君の意見に拘束されることなく、ほんとうにすっきりした政治をやっていただきたい。かって池田さんが大蔵大臣であったとき、私どもの質疑応答を通じてお知らせ制度について論じ合ったことは、貴殿もここにおられて御承知通り政府が悪かった、あしたから改めましょうということで、悪いことは改めるにやぶさかであってはならぬです。それが議会出身の副大臣責任なんです。だから、そういう意味合いで、この問題は、今もあなたは考慮するとおっしゃっておるのだから、どうか一つ、政策的見地に立って、貴党の財政部会等でも十分検討されて、さらに大臣の決断を促して、この問題は池田大蔵大臣委員会における答弁も参酌されて、そういうような方法以外に中小企業に対する被災救済の道はないのだ、この理解と決意に立たれて、この問題を踏み切られるようにお願いしたい。  次は、銀行局長にお伺いをしたいのでありますが、十一月七日に中小企業の金融公庫、国民金融公庫、商工中金、信用保証協会、こういうようなものの東海三県における災害融資の申し込み件数、金額、決定件数、それから融資件数、実行件数なんかデータをずっととって調べてみたのです。そういたしますと、この資料は正確であるかどうか知りませんが、私も正確な機関からこの資料をとったのですが、中小企業金融公庫、信用保証協会の業務の進捗率は大体七〇%です。ところが、国民金融公庫、それから商工中金の業務の進捗率がはなはだ劣っておりまして、これは申し込みに対して現在やっと五割くらいにしか達してない。ここに二〇%のおくれがあるわけです。私はこの際特に申し上げたいのでありますが、前の大蔵委員会においても、休会中でありましたが、特に当時国民金融公庫からも石渡副総裁に御出席を願って、何千件という申し込みが予想される、とても手が足りないであろう、調査能力を補完するためにどういう態勢だと言ったら、十八名ばかり応援に出すということだったのです。十八名くらいでは、これはとてもとても消化できないであろう。これは同時に並行的に端的にすべての申し込みに対して消化しなければならない、相手が被災者なんだから。これは、できることならば何とかして、極端な例を言うならば、全国に八十何カ所にか支店がある。そこから一人ずつ供出したって八十人くらいできるじゃありませんか。それを名古屋なり岐阜なり三重なりに持っていって、申し込みに対してもっと進捗が能率的に行なわれるようにお願いしたい、こういうことでありました。そこで善処するという御答弁で別れておるのでありますが、その後応援はどのくらい現地に派せられておるものであるのか。大体現在の経過を見ますと、はたせるかな、われわれが心配をいたした通り非常におくれておる。この点はどうなっておりますか。こんなにおくれておっては、やがて年末金融のシーズンにもかかっておりますので、これではせっかくこちらに資金源を予算で用意しても、向こうでこれをこなす能力がないということになれば、実際この金が死んでしまう。災害融資なんていうものは、タイミングにそれが活用されなければならぬのです。この点に対していかなる措置をとっておるか、御答弁を願いたいと思います。
  66. 奧村又十郎

    奧村政委員 前段のお尋ねに補足的にちょっと申し上げます。  池田通産大臣答弁を受けて、中小企業者の被災者に対する復旧金融でやるしかない、従って金融の面にうんと力を入れろというお言葉に対して、私も全幅的に賛成であります。それにつけてこの登録税の免除でありますが、これだけでなく、一つこれは春日委員にお願いでありますが、中小企業金融については、たとえば貨し倒れ準備金の税の特例措置とか、いろいろまだ懸案がありますので、これらを含めまして御趣旨に沿うように善処いたしたい、かように存じます。  なお、後段の銀行局長に対する御答弁は局長から申し上げますが、今国民金融公庫の関係者がおりませんので、ちょっと申し上げますが、昨日国民金融公庫の総裁国会における答弁で、とりあえず五十人だけ被災地に増員をいたしまして、(「いつやった」と呼ぶ者あり)これは十月ごろに派遣をいたしまして、今相当融資の事務は進捗しておる、こういうことであります。あと銀行局長から答弁いたします。
  67. 石野信一

    ○石野政府委員 災害地の中小企業金融につきまして、特に政府機関、関係機関につきましてできる限り円滑に融資を行なうという点につきましては、私どももできる限り配意いたしておるのでございます。国民公庫につきまして、ただいままでのところ大体五割程度しか申し込みに対して貸付が行なわれていないということは事実でございますが、この点につきましては、前回の委員会において、各委員から非常に強い御督励のお言葉もございまして、確かに最初出足はおくれたことは率直に認めます。しかしながら、十月末ごろ四十八名、約五十名の増員をいたしまして、これは公庫の理事等も随時呼びまして、また公庫の理事も直接向こうにかわるがわる出張いたしまして、様子を見てきて報告をいたしておりますが、最近においてはこの申し込みの受付に対して貸付決定がかなり順調に行なわれておる。従いまして、これがだんだんにたまっていくということはもちろんなく、融資の決定の進捗状況は今後改善していく。なおこれでも不十分であるという場合には、一そうの応援をするというふうに申しております。
  68. 春日一幸

    ○春日委員 私は、国会審議をするのだから、政府に申し上げると同時に、与党の諸君も実際問題として聞いておってもらいたいのだ。実際これはひどいよ。一人もおらぬということがあるか。これは少なくとも何たることだ。審議権放棄というか、傍若無人というか、見られたものじゃないよ。こんなことで国会の秩序は保てぬ。むちゃじゃないか。僕は委員長を通じて猛烈に猛反省を促します。良心がないじゃないか。  そこで、私は、国税庁長官主税局長に特に聞いてもらいつつ、政務次官にもお聞き取りを願っておきたいと思うのでありますが、これはこの前も私は特に強調した問題でありますが、その後ずっと私はこの資料を作ってみたのです。災害減免法による控除と雑損控除と計算が結果的にどうなるか。この前、この被災者に対する減免措置というものについては、国税庁といたしましては特にこのPRにウエートを置いてもらいたいということを強調いたしました。と申しますのは、この災害減免法による税の減免、それからこの雑損控除による所得控除のやり方とでは、これは有利不利というのが非常にはなはだしく現われてくるのです。従いまして、この被災者の一人々々について、あなたはこれが有利だ、あなたはこれが不利だということを、われわれ専門家ですらなかなかわからないのだから、いわんや一般の納税者についてははなはだ理解いたしがたいところであろう。さればこそ、この際、被災者に対する徴税当局としては、彼らが法律によって保障されておる、与えられておるその権利を最大限度に行使できるように、PR活動をしてくれと強く要請をしておきました。そこで、その所轄税務署だけではおそらく人手も足らないであろうし、のみならず、たくさん取らなければならぬという責任立場にある諸君が、こうやった方があなたは得だというふうなことは、事実上これは二律背反の原則みたいなもので、たくさん取りたい人が、これはあんたの方が得になるからということは言いがたかろう。従って、他の税務署から、ほんとうに学識経験立場で、また国家的立場でそういうPR要員を現地に派遣しろと私は強く要請し、あなたはそれに善処を約束したと思う。その後実際はどういうふうに処理されておりますか。私はこれは念のために伺いたい。現地の事情を私知りませんけれども、いろいろこうやって資料を作って計算をしてみますと、この二つの税法の特例を受ける受け方によって不利と有利の開きがあまりにひどいので、どんなふうになっておるか、その点を一つ長官から伺いたい。
  69. 北島武雄

    ○北島政府委員 被災後直ちに、名古屋国税局におきまして、罹災された納税者の方々に対する災害減免の措置等についてPRを開始いたして、ただいままで参っているわけでございますが、お話災害減免法による場合と雑損控除による場合と、いずれが得かという問題につきましては、これは最終的に来年の三月十五日の確定申告の際にきめればいいことでございます。それまでは、とりあえず災害減免法による措置を講ずることにいたしまして、納税者には手っとり早く災害減免法の措置の方をお励めいたしておるわけでございます。三月十五日の確定申告の際にあらためてすべて清算することになっております。その際におきまして、どういう場合には雑損控除が得であり、どういう場合には減免の方が得であるかということにつきまして、さらに一段と注意いたしましてPRに努めたいと存じます。ただいままでのところにおきましては、私は名古屋国税局管内の災害減免措置は順調にいっていると考えております。     〔足立委員長代理退席、委員長着席〕  なお、先般の委員会におきまして、他局から応援する必要はないかというお話でございましたが、私といたしましても、その当時の情勢からして直ちに応援をするまでの必要はないだろうと存じておりましたが、ただいままでの状況におきましても、まだそれほどまでの必要はないようでございまして、地元の国税局及び管内税務署の職員の努力によりまして、ただいままで私は順調に減免措置はとられておると存じております。
  70. 春日一幸

    ○春日委員 今長官の御答弁によりますと、すべては雑損控除は確定申告のときにというお話ですが、この表をあとであなたに見ていただきたい。私がこれを見てみますと、災害減免法による救済と雑損控除による救済とを比較してみると、災害減免法の特徴は災害直後に直ちに税の減免が受けられる。徴収猶予も受けるし、たとえば勤労所得者のような場合は払い過ぎのものをすぐ返してもらえるんですね。だから、低所得者の人々にとっては、これが復旧のためには非常に効果的だと思うんですよ。これに対して、雑損控除による救済は、確定申告の段階にならなければこれを受けることができませんね。ところが、一体この二者択一、いずれをとった方が有利であるか不利であるか、あなたの方で資料を作られたか知らぬけれども、私が、四十万円の場合と七十万円、それから百万円、百五十万円の場合と、ずっと資料を作ってみると、この災害減免法による税の減免額と雑損控除による所得控除のあれとは、ある場合においては不利であり、ある場合においては有利なんだ。いずれ一方が有利、不利ということは断定しがたい。その人その人の所得額とその被害の額に応じて違っておるんですよ。だから、今のあなたの御答弁によると、確定申告のときに指導すればいいからというようなことであっては、これは実態に沿わぬじゃありませんか。われわれがずっと前からあなたの方に要請しておるのは、個人々々の立場を見て指導をしてやって、得な方をとらせるように、別個の立場からPR活動をする義務がある。それだけの法律を作ってあるんだから、そのことを言って、あなたの方も善処を約したんだから、今のようにすべて問題のしわを確定申告のときを待ってというようなことでは、私はいかぬと思うんだ。必ずしも災害減免法だけが有利ということではありません。不利の場合もある。不利の場合は、一方を受けたら一方を受けることはできないだろう。だから、そんなインチキをやったらいかぬですよ。だから、法律が保障しておるところの権利、フェーバーが納税者に及ぶようにするためには、被災者に対してそれだけのPR活動をする必要がある。名古屋国税局はそれをやっておるというが、どの程度のことをやって、どの程度の効果があったか。今の長官の答弁だと、すべてのしわは確実申告まで待って、そのときに指導すると言う。ところが、それではだめなんです。それでは不利な人がある。そのことが不利をしいる形になる。ここに資料があるが、あなたは、そうでなければ、そうではないという答弁をして下さい。
  71. 北島武雄

    ○北島政府委員 雑損控除は、前年中の所得がきまりまして、その所得によりまして雑損控除が行なわれるわけでありますから、三月十五日の確定申告の際に雑損控除をする必要が起ってくるわけであります。そこで、お説のように、あるいは災害減免法の方が得であり、あるいはまた逆に雑損控除の方が得であるという場合があるわけでございますが、それは今のところは考える必要はない。ただいまのところは、ことし一ぱいといたしまして、とりあえず災害減免法でもって応急的な措置をいたしておきまして、そうしてことしの所得がすべてわかりまして、来年の三月十五日のときの確定申告の際に、さていずれをとったらよろしいかということを考えて、有利な方をとればいいわけであります。その際の指導といたしましては、私ども十分の手を尽すつもりでございますが、ただいまから複雑なことを納税者方にPRをいたしましては、かえって混乱を招くだけでございます。ただいまのところは災害減免法によって応急の措置をやっておるが、私の方が簡単で効果的であると存じます。なお、お説のように二者択一で、とり方によっては損得ございますので、確定申告の際には十分取りこぼしのないように注意いたしたいと思います。
  72. 春日一幸

    ○春日委員 問題は、その確定申告のときの取り扱いが、すでに災害減免法によって控除を受けても、確定申告のときにさらに計算をし直してみて、あなたこれは損です、だからこの方にやりかえなさいと、ことごとくそういう処理をしますか。そのお約束が願えれば、私はその方針で進んでいただいていいと思うのです。その点をお伺いいたします。
  73. 北島武雄

    ○北島政府委員 当然私の方といたしましてはそうすべきであると考えております。確定申告の際に、そういうように慎重に、しかも納税者に有利なような取り扱いになるように、十分指導いたして参りたいと考えております。
  74. 春日一幸

    ○春日委員 それで、私はこの表を作ってみて、非常にショックを受けたことは、すなわち災害減免法による税の減免額と、雑損控除による所得控除の減免との間に非常に有利、不利を生じてきた。このアンバランスのよってきたる原因は何であろうかといろいろ探索、研究をいたしてみますと、災害減免法には、家財と住宅についてそれぞれ二分の一以上の損害があった場合に、その減免を行なう、この段階が政令で定められているからであるということを発見したのです。そこで、この十分の五以上の規定のよってきたる法律は何かと言いますと、本法の中には甚大な損害を生じたときと規定してあるのです。国会においての意思決定は、甚大な損害を生じたときと規定しておるのであるから、従ってこれを政令で十分の五以上と切ってしまったということについて、ここに適当であるか不適当であるかという問題が起きてくる。いろいろと積算してみますと、こういうアンバランスが生じてくる。私は、法律の精神というものは——甚大な損害ということは、なるほど十分の五以上ならばこれは甚大な損害ではありますけれども、しかし、その人の立場々々によって、たとえば一千万円程度資産を持っている人について、住宅と家財を加えまして五百万円も損害があれば、あるいは甚大なということになりますでしょうが、家と家財とで四十万円とか、かれこれ家が四、五十万、家財が二、三十万、こういうような人では、二、三十万も損害があれば、これは甚大な損害だと思うのです。実際その被災者の持っている資産力、資産と受けた被害のパーセンテージというものは、やはり段階的に見るべきではなかと思うのです。一律にこれを十分の五という工合に切ってしまうということは、必ずしもこの法意に忠実な政令ではないと思う。こういう意味合において、この際、政令というものは、少なくとも住宅が五十万円ぐらいで、家財が十五、六万円ぐらいしかない人々、さらにたかだか両方合して百万円以下ぐらいの人が、両方合して三十万あるいは四十万程度の被害ならば、こういうものは甚大な被害であるとみなすべきであると思う。この点については現実の問題としてよく御検討願いたいと思うのです。  この率によって参りますと、たとえば住宅が五十万で、その被害が二十四万円しかなかった人、それから家財の時価が総額十五万円であって七万円しか被害がなかった人、そういたしますと、それぞれ五〇%以下でありますから、被害総計額が三十一万円ですから、このときには災害減免法による恩恵は現実に何ら受けられませんね。ところが、こういうような問題は、どこでこういうふうになってきたかと言いますと、これは五〇%と切っているからですよ。法律に、甚大な被害等を受けた場合、家財が十五万円で住宅が五十万円、合して六十五万円、六十五万円の家と家財を持っている人が三十一万円の被害を受けた場合、これは甚大な被害でないという工合に切り捨ててしまうということは、法律の精神に対して必ずしも忠実なものではありません。政令の書き方が間違っている。法意を滅却していると思う。だから、やはりこの際災害減免法と雑損控除の比較をいろいろ検討されまして、そしてそこに一つの不均衡、不合理な点がありとするならば、この際、政令の書き方を変えていただいて、損害金額が住宅または家財の価額の十分の三以上であるとか、あるいはまた、別の案といたしましては、住宅及び家財の損害合計金額が、住宅または家財の価額の十分の五以上であるとか、こういうような二様の方法によって積算をしてみて、いずれにしても住宅と家財とが六十五万円の人が三十一万円の被害を受けても、災害減免法の恩恵が受けられないというような、低資産の諸君に恩恵の及ばぬような災害減免法というようなものは、法律としての権威のないものである。価値の少ないものである。私は、こういうような意味において、この問題は十分検討さるべきものであると思うが、これについて長官の御見解はいかがでございますか。
  75. 北島武雄

    ○北島政府委員 お説のように、法律には「甚大な被害」とありまして、政令は住宅または家財の価額の十分の五以上の損害があった場合、こう限定いたしております。税務の執行面といたしましては、ただ甚大な被害というだけで税務官吏にまかされますと、非常にアンバランスになりますので、政令で何らかの規定をする必要があるんじゃないかと思うのであります。そこで、ただいまの十分の五以上の損害という規定になっておるわけでありますが、実行といたしましては、お説のようにそうぎくしゃくした取り扱いはいたしておりません。今般の災害の状況にもかんがみまして、罹災者の身になって取り扱うという方針でやっておりまして、ただいまのようなぎくしゃくした計算はいたしておりませんので、現地においてそのような御不満はないのではないか。少なくとも私どもの耳には今のところ届いておりません。なお、よく実態を調査いたしまして、そうぎくしゃくした取り扱いにならないようにいたしたいと考えております。  なお、政令の改正につきましては、私どもの問題ではございません。
  76. 春日一幸

    ○春日委員 政務次官はちょっと席をはずされておりましたので、かんじんの点をあなたはお聞き取りにならなかった。これはあなたに申し上げたいと思っておったので、簡単に申しますから、もう一ぺん聞いて下さい。災害減免法では、甚大な損害を生じたときは災害減免法を適用する。どういう工合に適用するかというと、これは所得が五十万以下は全免、五十万以上八十万までは半減、八十万以上百二十万までは二五%減、こういうことになってくるのです。ところが、これが、政令で、甚大な被害とは何ぞやということを受けておるのです。その政令が、住宅、家財それぞれ二分の一、十分の五の被害を受けたときだけこれが適用される、こういうことに政令が受けておるわけです。そうすると、具体的にどういうことになるかというと、たとえば五十万円の家、それからたんすや長持、そういう家財で十五万円の時価、そうすると、この六十五万円の資産を対象にした場合、被害が家について二十四万円、すなわち十分の五をわずかに割る。それから家財において十五万円の時価について七万円、これも十分の五をわずかに割る。そうした場合には、その被害実額は三十一万になる。ところが、そのもとは幾らかというと、五十万プラス十五万だから六十五万です。六十五万円の中で三十一万円の損害が生じても、これは恩恵が受けられない。これはもう災害減免法の法律を見れば受けない。法律というものはそんなふうに書いてない。法律というものは、甚大な損害を受けたときには、これは気の毒であるから、この法律の適用によって税の減免を行なう。法意はそこにある。法意は政令によって生かされなければならないですね。六十五万くらいのわずかな家と家財を持っておる人が三十一万円の被害を受けた。法律がその人を救済しようと思っておるのに、十分の五と政令を書いたがために、これが救済されないということは、まさに不当なことである。法意というものが政令によってゆがめられておるのではないか。そこで、どうして救済したらいいか。これは政令を書き直せばいい。書き直し方は何か。それは十分の五というやつを十分の三に直していけば、はるかにこれが救済されていく。だから、そういうふうにやってちょうだいと私は今長官に言っておるわけなんです。ところが、長官としては、それは権限外のことだから……。意見もいささか述べられたようだが、これは聞くにたえぬ答弁だ。そこで私は参考として申し上げたいと思うのでありますが、かつて、損害保険のときに、損害保険契約がなされて、そのときにたしか付帯契約だと思うのですが、水害の場合はどう扱うかというときに、数年前は、これはその九割の損害があった場合には、それに応じて——家財を対象とする損害契約として、九割の損害があった場合には、それに準じて払うということになっておったのです。ところが九割というのは幾らなんでもひどいということで、それからいろいろと論議がされて、ずっとこれが減ってきて、本日は、これがかって九割であったものが不当だ、あたかもこれと同じような前例で、これが五割にずっと減ってきておる。だから、そういう意味において、この精神というものは、みだりに政令によってゆがめらるべきではない。政令は、忠実にそれを受けて執行すべき義務があると思う。それが、いやしくも六十五万円の家と道具のある人が、三十一万円の被害を受けて、これは甚大な被害でないというような受け方は、これは明らかに間違った政令の書き方であろうと思うのです。だから、私は、この際はぜひともこれを、いろいろと損害保険において改良を加えた前例もあるのですから、これを改善していくという立場において、すなわち甚大なる被害とは、それぞれの十分の三という工合にこれを下げていく、こういう努力がされたいと思うのであります。現地においてこれらの諸君が結局恩恵が受けられないのです。なぜ受けられないかというと、これらの諸君は、結局の話が、雑損控除においても、夫婦子供三人のような場合には、基礎控除、扶養控除、さまざまなものがあるから、これはすでに他の法令で恩典がいっておりますから、災害を受けた場合においてもなかなかこれは受けられない場合がある。私は、そういうような意味をも含めて、この際、法律の精神通り、法意にのっとって政令を変えてもらいたい。書き直してもらたい。これはあなたの責任で今ここで御即答願うということも困難でありましょうが、ぜひとも一つ大臣と御相談願って、これは国会審議を必要としない、政府限りの処理でできることでありますから、被災者の要望にこたえて、そういう恩恵の及ぶように取り扱ってもらいたい。そうすると、零細な所得者たちは、被害を受けて、納め過ぎの源泉徴収なんかも返してもらうこともできるのです。一つそこまで恩恵が及ぶように処理をしてもらいたい。この点、御意見いかがですか。
  77. 奧村又十郎

    奧村政委員 被災者の方々の現実の事情にお触れになって、具体的に法令の実施状況を御体験になっての御意見で、まことに貴重なお話と存じて、私も承っておった次第であります。そこで、問題は、お話通り、納税者の方々に、特に被災者の方々にとっては、いろいろ精神的にも打撃を受けておられるから、御指摘のように税法がよくおわかりにならぬ。雑損控除の制度を受けるのが有利なのか、あるいはいわゆる災害租税減免法の適用を受ける方が有利なのかという判断も、なかなか納税者にとってはわかりにくい。そこで、税務当局としても、この点についてのPRがまだまだ必要だ、こういう御趣旨については大へん私はごもっともに存ずる次第であります。そこで、しかし、基本的には所得税法にある雑損控除の規定が基本になって、これは御承知通り所得の一割以上の損害については全額控除し、またはその手で控除できなければ繰り延べの方法もあるということであって、これを土台にして、いわゆる租税減免法の規定というものはまことに規定が簡単にできておるから、せっかくの規定を廃止することもないということで現在に至っておるので、その趣旨を十分生かしまして、今の御意見まことにごもっともでありますから、なお政府部内で十分検討の上、御趣旨の通り改めるべき点があれば一つ善処いたしたい、かように思います。
  78. 春日一幸

    ○春日委員 あなたの答弁は錯乱してしまっている。そういうことはそういうことで前にやった。それは災害減免法ですでにフェーバーを受けても、フェーバーの受け方が足らずんば、今度、確定申告のときに、これはあなたは損でしたよ、こっちをやりなさいと、一つ一つについて税務署で国税庁長官責任において皆さんにそれを教えるから、それならいいということで済んでおることです。私の言ったことはこういうことですよ。災害減免法では甚大な損害を生じたとき減免すると本法で規定しておる。ところが甚大な損害とは何ぞやということは政令にゆだねられておる。ところが政令はそれを十分の五ということにしているんですね。家が十分の五、家財が十分の五、こういう工合に書いてあるものだから、今申し上げたように時価五十万の家で二十四万の損害を生じて、それから十五万の家財があってその中で七万円の損害があった。そうすると二十四万と七万だから三十一万でしょう。一方家と家財とのグランド・トータルは六十五万でしょう。その六十五万の中で三十一万の損害があっても、これは減免法の恩恵が受けられないということになる。六十五万の中で三十一万だから、これは甚大な損害でしょう。あなたそう思うでしょう。甚大な損害があったときは法律は減免してやるといっておるのに、政令はそれがだめになっておるから、政令の書き方が間違っておると思う。従って、その政令の書き方を直せ。いかに直すべきか。十分の五と書いてあるやつを十分の三に直せ。そういう例はいろいろあると思う。あなたの所管で、損害保険契約のときに、火災保険の付帯契約としての水害の場合の損害保険、そのときには水害による損害が九割に達したときには保険金を払うとあるやつが、九割じゃいかぬということで、ずっと減ってきて、今では五割になってきておる。必要に応じて実態に徴してみんな直されてきておる。だから、今度の被害は、これはこの必要のいい例なんだから、この法律が死んでしまっておるなら、この法律を生かさなければだめだ。直すときには今申し上げたような例で、十分の五というやつを十分の三に書くか、あるいは他の方法としては、それぞれにしないで、合計金額のどれどれ、こういう工合に書くか、いずれかの書き方にして、この法律の精神を生かした執行をしてもらいたい、こういうことです。なお、ここに私が私なりに作りましたいろいろな場合を想定しました資料がありますから、これをあなたに差し上げます。これによりまして、なお国税庁と主税局と御相談願いまして、私どもの主張に合理性があるならば、ぜひとも一つそのような方向で政令を書き改めてもらいたい。それはよく御検討願ってやってもらいたい。これでございます。いかがですか。
  79. 奧村又十郎

    奧村政委員 御質問の御趣旨よくわかりますし、またごもっともな点も多々あると思います。ただ、御指摘のような場合においては、所得税法に君ける雑損控除の規定でほぼ該当すると思いますが、それなら今の災害減免法でも該当するように、災害減免法の政令の五割というのを三割程度にならぬか、こういうことになりますので、ごもっともな節も多々あると思いますから、よく検討いたしまして、次回の委員会でお答えいたしたいと思います。
  80. 春日一幸

    ○春日委員 では、それだけでけっこうです。
  81. 植木庚子郎

  82. 横路節雄

    横路委員 食管特別会計についてお伺したいと思います。実は、十月十三日の大蔵委員会で、食糧庁に消費者米価についてお尋ねをしてあったわけでありますが、きょうは、その点の、長い間保留されていた点について回答をいただきたいと思うのですが、それはあとで担当官が出てきてからお尋ねをいたしたいと思います。  実は、食糧庁の業務第二部長お尋ねしたいのですが、これは十一月八日の読売新聞だけだったと思いますが、出ておるのです。結晶ブドウ糖の工場について、実は味の素株式会社が約四〇%、アメリカのコンプロ社が約二五%、東洋製糖が約三五%で、資本金二億円で日本糖化工業株式会社を新設することにして、国内の過剰澱粉を結晶ブドウ糖に転化して、年間一万三千五百トンの生産を上げる。初めこれに対しては農林省はあまり賛成してなかった。ところが、反対しているのには中小メーカー等もございましょうけれども、ことしの秋に入って、澱粉の市場価格が政府の支持価格を大きく下回り、原料コストの点でも国内業者もコンプロ社の進出に対抗できる、こういうので、農林省との間で事務的にだんだん話が進められている。なおまた大蔵省の外資委員会を通じて政府に申請を行なっている。この点については、現在食管特別会計上で財政上の負担となっている澱粉の二十二万トンの政府過剰在庫の解消に役立つなどから、提携に非常に乗り気だ、こういう記事なんです。この点についてはどういうようになっているのか。その点について最初にお尋ねしたいと思います。
  83. 村田豊三

    ○村田説明員 ただいま御指摘のありました新聞の記事でございまするが、正式には、御指摘の通り味の素株式会社を中心にいたしまして、政府の方に外資導入に対しまする手続の申請が出て参っております。実は、率直に申し上げまして、こういう外国の技術を導入いたしまして、国内の澱粉を有利に処理をし、結晶ブドウ糖が生産されるというそのこと自体は、われわれも非常にけっこうなことであると存じております。特に御承知のように非常に大量の澱粉をかかえておりまして、政府の在庫もただいま御指摘のような数量に相なっておりまして、これらの過剰澱粉の処理、ひいてはイモ作農家の経営安定にも資することでありまするので、それ自体としては、けっこうな計画であろうかと存ずるのでございまするが、たまたま、これまた御承知のように、現在すでに国内におきまして、小規模でございまするけれども、結晶ブドウ糖の製造に乗り出しておりまする工場が相当数あるわけでございまして、それに対しまして、御承知のように、政府は、原料の安売措置でございますとか、あるいは農林漁業金融公庫によります融資措置でありまするとか、あるいは製品の売買に当たりまして粗糖とのリンク措置をとって奨励策を講ずるとか、各種の奨励措置をとって、まだ日が浅いのでございますけれども、今日に至っておるような状況でございます。従いまして、これらの既存の工場との関係をどういうふうに調整して参ったらよろしいかというふうな問題があるわけでございます。かたがた、これも御承知のように、現在わが国で作っておりまする結晶ブドウ糖の製法は大体酸糖化方式が多いのでございますが、ただいま計画されております味の素の方の計画は、それと違った製法のように伺っております。しかし、その製法が必ずしもわが国において絶無なのかどうか、これらにつきましてはなお検討を要する面があるように私どもも思われますので、ただいま、これらの問題につきまして、いろいろ技術的な問題等の見地からも、農林省といたしましては十分なる検討を加えて参らなければならないというふうに考えまして、慎重に検討いたしておるような段階でございます。
  84. 横路節雄

    横路委員 これは業務部長お尋ねいたしますが、検討ということになると、それは大体許可するという方針でいくわけですか。それとも中小メーカーについて圧迫をする。また、これは昭和三十三年十月六日の大蔵省、農林省の告示第五号で、農林漁業金融公庫法第十八条の二の第一項の規定に基づいて、初めて結晶ブドウ糖の施設の改良、造成または取得に必要な資金を出すようになったと思う。それからまた、日本としては結晶ブドウ糖に関する工業というものは日なお浅い。そういう意味で、外国からの資本、技術というものが入ってくれば圧迫される。だから、これは当分見合わせていこうというのですか。その点はどうですか。
  85. 村田豊三

    ○村田説明員 やや私見にわたりまして恐縮でございますが、許可すべきかどうかということについても慎重に検討中でございます。
  86. 横路節雄

    横路委員 農林漁業金融公庫の方来ておりますか。
  87. 植木庚子郎

    植木委員長 見えております。
  88. 横路節雄

    横路委員 昭和三十三年の十月六日の大蔵省、農林省の告示第五号、農林漁業金融公庫法の第十八条の二の第一項の規定に基づいて、初めて結晶ブドウ糖製造施設についての資金が出るようになったと思いますが、その点は今日までどれくらい出ておりますか。
  89. 小山正時

    小山説明員 御承知のように、法律ができ、それからまたいろいろの業務方法書の改正がありまして、次のような融資を決定しております。三十三年度におきまして、すなわち今年の三月末までに、四社で、金額は四億円であります。それから、三十四年度になりまして、やはり四社、合計二億一千百七十万円、合計いたしまして——これは延べが四社でありますけれども、資金の関係上同じところに二回に分けてやった、こういう関係がありまして、五社合計六億一千百七十万円を融資をしております。なお、このほかに、農林省の方から育成要領によりまして融資あっせんを私の方に言ってきて、借入社から申し込みが来ておりますけれども、目下審査中のものが一社あります。それで、資金のワクは三十三、四年度の二カ年で八億を一応予定されておりますので、今その一社のためというわけでもありませんけれども、一億八千八百三十万円を保留しております。  大体は以上のようでありますけれども、このほかに、すでに融資をしたところのものから、その計画の変更、端的に申しますと、設備を最初の予定よりももう少し大きくするというような要望がありまして、それが、今申しました六社といいますか、融資決定をしたのは五社でありますが、そのうちの二社から約一億一千万円ばかりの追加融資の申し込みが来ておりますけれども、これは、資金ワクなどの関係で、保留と申しますか、実は本年大体余る見込みがないと思いますので、保留しているような状況であります。
  90. 横路節雄

    横路委員 業務第二部長お尋ねいたしますが、大体本年度の国内における結晶ブドウ糖の年産はどれくらい予定しておられますか。
  91. 村田豊三

    ○村田説明員 本年度大体一万トン程度になる見込みでございます。
  92. 横路節雄

    横路委員 部長お尋ねしますが、政府の方では、昨年手持ちの澱粉の処理対策として結晶ブドウ糖工業の育成措置を決定して、三十四年度を初年度として三十八年度までの五年間に、大体最終年度に四万二千トン製品を目標としておる、こういうわけですが、この計画からいけば、これは達成しますか。
  93. 村田豊三

    ○村田説明員 政府は、甘味資源の総合需給対策の一環といたしまして、結晶ブドウ糖の生産を積極的に奨励して参るという措置を決定いたしましたことは、ただいま御指摘の通りでございまするが、その計画によりますると、今後十年間に結晶ブドウ糖を大体十五万トンくらい生産できるようにしたいということであったのでございますが、できるだけこの計画のテンポを早めるべく、ただいま結晶ブドウ糖の育成措置を再検討いたしておるような段階でございます。従いまして、ただいま御指摘の四万二千トンという数字は、政府の施策いかんによりましては達成は可能であるという見込みをわれわれは立てているような次第であります。
  94. 横路節雄

    横路委員 そうすると、三十八年度の最終年度の四万二千トン、ことし、三十四年度まあ大体一万トンの予定、それから先ほどお話しの今日までの資金については八億を予定していたけれども、六億一千万、こういうことになると、四万二千トンが三十八年度にできるという見通しにおける資金はどうですか。大体どれくらい予定しておりますか。工場の建設その他ですね。
  95. 村田豊三

    ○村田説明員 当該事業に要しまする所要資金でございまするが、大体年度別に、これは概数にわたりまして恐縮でございますけれども、ただいま私どもが見込みとして計画を立てておりまするものを申し上げますると、設備資金の所要額として、三十五年度十一億八千万円、三十六年度十三億二千万円程度の計画にいたしております。そのうち公庫で融資を期待しておりまする額は、三十五年度は約七億、三十六年度が約八億というふうな、これは概数でございまするけれども、計画を立てておるような次第でございます。
  96. 横路節雄

    横路委員 先ほどお話のございました、ことしはさらに強化対策の方針を打ち出して、十年後の四十三年度には、結晶ブドウ糖の自給量を十五万トン見込むそうですね。大体これがビートと、それから結晶ブドウ糖で、いわゆる国内で消化する甘味の原料の約五〇%をそれで確保したい。そういうことですね。そうすると、結晶ブドウ糖の自給量が十五万トンということになる場合における、いわゆるカンショ澱粉、それからバレイショ澱粉の生産との関係はどうなるのですか。
  97. 村田豊三

    ○村田説明員 大体結晶ブドウ糖の歩どまりは六五%という計算でいたしておりまするので、かりに、御指摘のように、今後十五万トンの結晶ブドウ糖が生産されるということになりますると、逆算をいたしまして、約二十万トンの澱粉が消化できるという見込みに相なろうかと存じます。
  98. 横路節雄

    横路委員 本年のバレイショ澱粉並びにカンショ澱粉の生産は、大体どれくらいの見込みですか。三十四年度です。
  99. 村田豊三

    ○村田説明員 カンショ澱粉はおおむね一億一千万貫、バレイショ澱粉は大体四千万貫くらいの見込みをいたしております。
  100. 横路節雄

    横路委員 トンにしてどうですか。
  101. 村田豊三

    ○村田説明員 トンにいたしまして—ちょっと恐縮でございますが、お待ち下さい。
  102. 横路節雄

    横路委員 それは今計算していただいているのだけれども、これは実は業務第二部長考えておいていただきたいのは、米作地帯でない地帯においては、とりわけ寒冷地においては、バレイショの畑作が多いわけです。それが今日非常に買上価格が思うようにいかない。政府が買い上げても、それがいわゆる在庫品としてたまっていく。なかなかそう大きな拡大ができないというところに、今日のバレイショ畑作地帯の大きな問題がある。だから、私は、先ほどから、この結晶ブドウ糖について、十年後の四十三年度に十五万トン、約二十万トンということになると、今日の生産というものの関係からいって、寒冷地の畑作地帯におけるそれぞれの農家の諸君の見通しが明るくなるのではないか、こういう考え方で実は聞いているわけなんです。  トン数についておわかりでしたら一つ……。では、もう少し検討していただいていいです。  農林漁業金融公庫の方にお尋ねしますが、今、たとえば北海道等においてもそうですが、できるだけ澱粉工場について合理化をしよう、今まで農家が五人か十人でやっていたのをやめて、できるだけ単位農協で合理化をしていこう、近代的な設備をしていこう、こういうときに、農林漁業金融公庫は、その近代的な施設に関して、ほんとうからいえば農協がやるんだ。——たしか、農林漁業金融公庫においては、農協、農業協同組合連合会あるいは会社においても、農民が九〇%以上の施設を持っておる場合には、貸付ができるようになっているけれども、なかなか、あなたの方では、澱粉の合理化のための近代的な施設をする工場には貸さないのであります。新農村建設の指定を受けたところには貸すけれども、そうでないところには貸さないということになっておるそうですが、それは事実かどうか、お尋ねをしたい。
  103. 小山正時

    小山説明員 今の問題は、まず前提としまして、食糧庁の方から、澱粉工業の育成について通達したあの話は、もしわかりましたら……。そのあとで私の方から……。
  104. 村田豊三

    ○村田説明員 澱粉工業の育成のために融資を認めないという方針は私どもとしてはとっておらないのでございますが、ただ、御承知のように、澱粉工場の新規の乱立と申しますか、乱設されますものにつきましては再検討を要するのではなかろうか、しかし、既存の工場がその工場の合理化のために施設の整備をいたします場合は、これは、ある一定の条件のもとに、そういう場合に資金的な援助をするのはやぶさかではないというふうな基本的な考え方もとに、実はこれは直接食糧庁ではございませんけれども金融担当の農林省の方の経済局の方から、農林漁業金融公庫に対しまして、ただいま申し上げましたような趣旨で、単なる増設のための新設ではいけないけれども、従来の工場が施設の合理化をやる際の資金的な措置についてはこれを見ていくというふうな基本的な方針で、経済局の方から農林漁業金融公庫の方にも指示が出されておるはずでございます。
  105. 横路節雄

    横路委員 業務第二部長お尋ねいたしますが、そうすると、たとえば一つの村で今まで澱粉工場が多いところは三十も五十もある。そのためにコストが非常に高くつく。だから、その三十も五十もある個人経営、あるいは三人か五人で経営しておる澱粉工場を全部やめて、農協が一本にしてやる。そういうような合理化のための工場については、農林漁業金融公庫は貸付をする、こういう方針だ、こういうことですが、この点は非常に大事で、今一番問題なのは、どうやったならば澱粉のコストを下げていくかということだ。この点貸すということがここで明確になれば、その方針で、とりわけ北海道等におけるバレイショの澱粉工場は今まで個人でやっておった、あるいは三人、五人でやっておったのがほとんど廃止されて、単位農協で経営されていくということになる。この点ははっきりしてもらいたい。それでよろしいのですか。
  106. 村田豊三

    ○村田説明員 関連して私からお答えを申し上げますけれども、農林経済局の方から公庫に向かって指示しております内容を多少具体的に申し上げますならば、まず第一点は、澱粉工場の新設の計画がありました場合には、農協系統もございましょう、あるいは商人系統も工組系統もございましょうが、それらを含んだ当該地方におきまする総合的な計画にしてもらいたい。このことは特に農林省から都道府県当局に向かっても要請している問題でございます。やはりその地方全体が総合的に計画された計画でなくてはならない。それが第一点でございます。第二点といたしましては、ただいま御指摘のありましたことに関連するのでございまするが、工場の設備能力というものは、大体廃止されます能力に見合う範囲内、いわゆるリプレースとしての合理化でなくてはならないというふうに指示をいたしておるのでございます。それから、第三点は、新設計画というものは、合理化を目標といたすのでございますから、ただいま御指摘のように、製品価格がそれによって引き下げになるということを目途にするという三点につきましての指示をいたしておりまするので、ただいま御指摘のような事例は、あるいはこの三項目のそれぞれに該当いたしまするならば、公庫といたしましても、融資については、これを拒否されることはないのではなかろうかと私ども考えております。むしろ以下は公庫からお答えを願う筋かと存じます。
  107. 横路節雄

    横路委員 今の点で、私の聞き違いかもしれませんが、農業協同組合、それから商業協同組合ですか。
  108. 村田豊三

    ○村田説明員 商人系統、工組系統です。
  109. 横路節雄

    横路委員 これは農林漁業金融公庫にお尋ねしますが、これは差しつかえないのですか。私は、農業協同組合の経営でなければならない、こういうように考えておったが……。
  110. 小山正時

    小山説明員 それは北海道開発公庫からの融資のことでございます。
  111. 横路節雄

    横路委員 だから、農林漁業金融公庫としては、商人系統のではだめですね。これは北海道東北開発公庫でやっているのですね。その点ははっきり、今のお話がちょっと不明確でしたから、それでは一つ農林漁業金融公庫の方にお尋ねしますが、この方針で澱粉工場の合理化のために資金を融通したのは、どこどこですか。今日まであるのかないのか。
  112. 小山正時

    小山説明員 今の問題につきましては、こういうふうに分けて申し上げます。第一点は、三十四年度の問題をどうするかという問題と、それから三十五年度以下をどうするかという問題に分けて申し上げたいと思います。  まず、三十四年度、すなわち今の年度につきましては、これはどこがどうということはありませんが、端的に申しますと、ワクがないのであります。もっと正確に申し上げますと、新農村建設の方のワクはありますが、共同利用の中の澱粉に対するワクは全然ないと申し上げてもいいと思うのです。そこで、新農村の方できたものにつきましては、これはどんどん今申しました方針で融資をやっておりますけれども、それに乗らないところの一般の共同利用の方は、ワクがないために、一カ所だけ今までワクの差し繰りをして融資をいたしました。
  113. 横路節雄

    横路委員 どこですか。
  114. 小山正時

    小山説明員 留寿都です。これは七千五百万円であります。それから、それ以外に四つばかりきておりますが、それに対しましては、私の方として、農林省の食糧庁にお願いし、金融課にお願いし、大蔵省ともいろいろ折衝して、ある程度見通しがつきそうになったときに、御承知の伊勢湾台風がきたわけです。そこで、その方の関係もありまして、非常に資金需要がなにしたものですから、今のところまだ本年度融資するというはっきりした結論が出ておらないのであります。それはだめかと申しますと、だめともまだ結論が出ておりません。結局本年度は、今後の災害を含めての私の方の貸付の状況を見まして、年度末に調整を——余ったワクから足らないワクに回すという調整を毎年やっておるわけでありますが、その際に、当然、この澱粉工場の合理化の方は、われわれも実は頭の中にこびりついておりますから、考えるつもりでおるのであります。それが本年度の状況であります。  それから、三十五年度につきましては、実は、今申しましたように、最初の資金計画を作るときに、この情勢の把握が——これはどこが悪かったかといっても、ちょっとはっきりしませんけれども、情勢の把握が十分でなかったためにワクの要求がなかった。そしてあとからずっとたくさんきたわけです。そこで、そのワクは今申しましたように足らぬ、こういうふうな状態が起こりましたので、先般道庁の方で北海道の澱粉工場をどのように持っていくかという、いわゆる道としての政策を立ててもらいまして、それを農林省——どもももちろん参加いたしましたが、検討いたしまして、そして北海道の澱粉工場の合理化対策というようなものが一応できておるのです。具体的に申しますと、大体既存工場をつぶして、小さいのを千二百五十整理しまして、四十四の合理化工場を作る。これは今まで融資したのを含めて四十四でありますが、そういうのが大体農林省——農林省も、また関係は食糧庁の方、それから振興局ですか、それから経済局と、いろいろ関係の局がありますが、そういうところと道の方とで大体の話し合いがついておるわけです。もうすでに本年やったのは、先ほど申しましたように七千五百万やっておりますが、三十五年度は、その分といたしまして五億八千万円を融資のワクとして、今大蔵省に要求しておるわけです。そこでこれは幾らになりますか、そのワクによりまして融資をしたい、かように思っております。
  115. 横路節雄

    横路委員 そうすると、先ほどお話で三十四年度から必要だけれども、ワクがないというのが非常におかしいと思うわけです。しかし、共同利用についてこれは差しかえをして、北海道の留寿都村の農協について七千五百万円の融資をしたというお話ですが、あとの四カ所というのは、やはり北海道ですか。どこどこになっておりますか。お差しつかえなければちょっと……。
  116. 小山正時

    小山説明員 北見とそれから南網走、中標津、それと北連の斜里の工場、以上四カ所であります。
  117. 横路節雄

    横路委員 大体全体の資金計画はどれくらいですか。
  118. 小山正時

    小山説明員 全部で、向うの融資の希望額は三億二千五百万円になっております。
  119. 横路節雄

    横路委員 それでは、業務第二部長に、先ほど数字、カンショで一億一千万貫、バレイショで四千万貫、これのトン数を……。
  120. 村田豊三

    ○村田説明員 大へん失礼いたしました。一億一千万貫で約四十一万トンでございます。四千万貫で十五万トンになります。
  121. 横路節雄

    横路委員 これは、そうすると、十年後の四十三年度における結晶ブドウ糖の需給量が十五万トンと見込んで年次計画をやっていくわけですが、そうすると、今あなたのお話で六五%だと言うから、換算すると約二十万トン消費される。そうすると、今ここで五十六万トンですか、これは全体でことしは四十一万トンの十五万トンで五十六万トンですか、大体十年後に結晶ブドウ糖に澱粉が二十万トン消化されれば、需給のバランスがとれていくことになるのですか。その点は、十五万トンの結晶ブドウ糖の目標を立てたということは、生産との関係はどうなっておるか。十年後に結晶ブドウ糖が十五万トンだ、それは澱粉の消化が二十万トンだ、だから今のように政府としては倉庫に過剰澱粉をよけいかかえなくてもいいのだ、こういう計算でいっているのか。なお十年たっても政府としては相当な在庫品を持っていることになるのか。毎年の買い上げとその点はどうなるのですか。
  122. 村田豊三

    ○村田説明員 この点はやはり今後のイモ作の傾向が十年後どういう傾向をたどるかということ、それから、それによってできました澱粉の用途が、ほかの用途にどういうふうな消長をたどって参るかということとも非常に関連が深いのでございまするが、この十カ年計画を立てました際には、それらの見通しにつきましては、大体現状のままで推移するという一応の前提に立っておるわけでございます。この点についてもいろいろ御論議があろうかと存じますけれども、ただいまの段階ではそれ以上の正確な予測を立てる的確な資料もございませんので、一応現状で推移するであろうという前提に立ちましたわけでございます。さようにいたしまするならば、ただいまの御指摘のように、結晶ブドウ糖によりまして過半の澱粉は処理が可能になるというふうな見通しに相なるわけでございます。
  123. 横路節雄

    横路委員 それでは、第二部長に対する質問はこれで終わりまして、あと農林漁業金融公庫の方に重ねて質問したいと思うのですが、食糧庁の企画課長に……。  実は、九月の十三日の本委員会と十月十三日の本委員会で、消費者米価についてお尋ねをしていたわけです。われわれの希望としては、十一月一日から新米穀年度になったのだから、その際やはり消費者米価についても十分考慮さるべきだというので、御承知のように、今日までいわゆる中間県であるという形で、十キロ当たり八百五十円の消費者米価によって配給を受けていたそれぞれの県も、ことしばかりでなしに、こ三年ないし四年ほど前からすでに生産県になっておる県については、やはり規則の示す通り十キロ当たり八百三十円ということに下げるのが正しいのではないか。しかも、それぞれの当該県においては、農民の諸君が一生懸命働いて、そして今まで生産が県における配給の状態にまで達しなかった。それが農民の諸君の努力によって生産が過剰になって、他の県にも出せるようになった。そうすれば、農民の諸君の努力とあわせて、当然中間県、いわゆる消費県といわれていたのが生産県になったのだから、十キロ八百五十円は八百三十円に下げるべきだ、こういうようなことを二回にわたってお尋ねをしていたわけです。十一月一日は過ぎたわけですが、いまだに実施されません。しかし、もう食糧庁としても相当検討されたことだと思いますので、きょうは一つこの委員会でその点に関して明確な御答弁をいただきたいと思います。
  124. 亀長友義

    亀長説明員 前々から御質問のある点でございますが、現在の分け方は、三十二年当時の状況を基礎にいたしまして、全国平均して八百五十円という消費者米価の水準を、自給度あるいは受配率というふうな区分で各県ごとに分配をいたしまして、各県ごとの価格を決定いたしました。それが四段階に相なっておるわけでございますが、ただ、自給化という傾向は、どこの県においても生産が伸びて参りまして、自給度が向上して参るという結果は各地に出てきております。その当時考慮いたしました受配率というようなものも、需給の緩和によりましてその当時よりもむしろ下がってきております。従いまして、現在の体系に作るときの区分をいたしました基礎をそのまま適用いたしますと、消費者米価の水準を相当大幅に下げなければならぬという結果になるわけでございます。これは御承知のように食管の財政負担という問題にすぐつながる問題でございまして、現在でも生産者価格と消費者価格との間にかなり開きがありまして、これが大きな財政負担の原因になっているわけでございますが、それがさらにひどくなる。こういうことでございまして、先ほどから御指摘のありましたような条件の変化という点は、われわれも十分承知をいたしておりますけれども、これ以上財政負担を増加するという問題がございますので、まだはっきりした結論に至っていない理由もそこにあるわけでございます。ただ、全体的な食管の赤字負担の問題もさることながら、やはりそういう状態が非常に顕著になって参りました府県がございますので、そういう府県につきましては、私の方でできるだけ詳細な検討をいたしまして、またその範囲もできるだけ財政負担に及ぼす変化が少ないような方法で、できるだけ限られた範囲で御指摘のような趣旨を取り入れたらどうかということで、検討を続けて参っておるわけでございます。現在のところ、政府部内で、食糧庁、農林省と大蔵省との間にこの問題を検討しておりまして、まだ明確な結論を申し上げるには至っておりませんけれども、数日来検討をずっと続けておるわけでございます。ただ、十一月から実施してはどうかということにつきましては、われわれもいろいろ努力をいたしたのでございますけれども、ただ消費者米価につきましては一月から値段を変えた先例もございますし、十一月から変えた例もございますので、必ずしも新米穀年度でなければならぬということはないわけでございます。ただ、でき得べくんば、やるものならば早い方がいいということは言えると思いますが、そういう線で私ども検討いたしております御指摘の点につきましては、現在の形から見れば、昔のままの計数を用いていることは妥当でないということは十分承知をいたしておりますが、検討の結果が出るまで、もう少し時間をかしていただきたいと思っておるわけでございます。
  125. 横路節雄

    横路委員 具体的に一つお尋ねしたいと思うのですが、この場合一つの例として、御承知のように北海道は三十年は非常な災害でございましたが、三十二年、三十三年、三十四年と、三十二年以来毎年生産過剰で他府県に出しておるわけであります。おそらくことしは約十一万トンくらい他府県に出すようになるのではないか、こういう見通しです。これは非常に不安定な要素があるというお話が前にもございましたけれども、実際には、いわゆる不安定な要素ではなくて、土地の改良やあるいは農薬その他によって生産も向上し、しかもだんだん安定しながら向上してきている。そういうわけで、実際消費者米価八百五十円か八百三十円かということは、消費者側からすると非常に大きな問題だ。だから、私は、一つ具体的に北海道についてどうなるか、この点お聞きしておきたい。
  126. 亀長友義

    亀長説明員 北海道につきましては、作柄が不安定と申しましても、御指摘のように三十一年に作況指数が五一であったほかは、毎年一〇〇以上の指数を示しておりまして、三十二年一一七、三十三年一一三、三十四年一二六という作況指数になっております。生産の方もそのようになっておりますし、搬出県という見地から申しますと、三十三年、三十四年の両米穀年度を通算いたして考えまして、私ども計算では二九%程度他県へ出せる、北海道の自給度を考えれば約三〇%程度になるであろうというふうに、私どもも、三十二年の消費者米価を決定いたしました当時との条件の変化を各県について考えますと、北海道はその中で最も顕著なるものの一つであろうということは、十分承知いたしております。従いまして、目下検討中の府県が若干あるわけでございますが、その中に北海道も取り上げて検討いたしております。
  127. 横路節雄

    横路委員 それでは、これ以上あなたにお尋ねをしても、あるいは御答弁ができないかもしれませんが、十一月一日の新米穀年度から消費者米価については変わるところもある。しかし前例としては一月一日の場合もある。そうすれば十二月一日だってあっていいわけですね。何も一月一日まで待たなければならぬということはない。十一月一日は過ぎたのですから、これはやむを得ないとして、何も一月一日を待たないで、十二月一日からぜひ一つ実施するように、とりあえず検討してもらいたいと思うのです。特に今あなたもお話しのように、生産が一三〇%になっている。約三〇%ほどは他府県に出せる。これは北海道の農民の諸君の努力だと思うのです。だから、それにやはりこたえるように、ぜひ一つしてもらいたいと思のですが、期日についてはどうですか。
  128. 亀長友義

    亀長説明員 期日につきましては、政府部内でいろいろ相談をする部面も多いわけでございますから、私の方だけでここでお約束することはできませんけれども、別に何月からでなければならぬという限定は一切ございませんので、結論を得次第できるだけ早い月から実施するということになります。月の途中からということは、これはいろいろ計算上の問題もございますのでできませんが、政府部内でできるだけ早く話をまとめて進めるということに、努力をいたしたいと思います。
  129. 横路節雄

    横路委員 それでは、企画課長に対する質問はこれで終わります。  大月さんに一つお尋ねしたいのですけれども、実は八月に大蔵委員長と私ども一緒に北海道へ視察に参りまして、北海道における酪農施設についていろいろ話し合いをしたわけです。で、この農林漁業金融公庫から前に酪農乳業関係で長期資金を受けていたのは、御承知のようにクロバー乳業会社であった。これは農民が九〇%株を持っていましたので、業務方法書の適用を受けまして受け取った。ところが、今度雪印乳業と合併いたしましたので、雪印乳業とクロバー乳業の株の状況が非常な差がありましたために、今日実際には、雪印乳業というのはクロバー乳業を合併して、農民の持ち株というのが七〇%以上になっているわけです。そこで、これはやはりだんだん農民の持ち株をふやしていくのでしょうが、今日非常に牛乳の生産がふえている。ただいま十万石の牛乳を処理する原料乳の工場を建てるためには、五億七千万くらいかかる。これは毎年ふえていくわけですから、どうしても建てなければならぬ。農民から買わないというわけにはいかない。しかも、酪振法で御承知のように集酪地域というものを指定して、その中に絶対に中心工場は建てなければならぬ。その建てた工場は、絶対に農民から買わなければならぬ。お前のところからは買わないというわけにいかぬ。だからどうしても処理工場を建てなければならぬ。しかも、それは、一般市乳であれば、こういう都会において、いわゆる牛乳——私たちが毎日飲む一般市乳としてそれがくる工場であれば、投資した資金についての回収も早いでしょうけれども、原料乳工場としてはなかなかいかない。ですから、私どもは、この際業務方法書を変えて、一つは九〇%以上の持ち株であったというのを、現実に即して七〇%とか七五%とかということに変えて、そしてやはり農民を主体にしたそういうような会社を伸ばしていくか、そうでなければ、酪振法の規定に基づいて、集約酪農地域に中心工場として建つものについて、いわゆる原料乳の処理工場として建つものについては、それらにかかわらず貸付をするというか、そういう点について検討さるべき時期が来たのではないか。たとえば、十万石の処理工場について五億七千万円くらいかかる。それを十五カ年なら十五カ年ということで考えていくと、農林漁業金融公庫から借りた場合と、一般の市中銀行から借りた場合とでは、利子について一億円以上の違いがある。こういう具体的な数字も出ているわけですから、私どもは、農林漁業金融公庫の業務方法書についても、いろいろ大蔵省との関係で、そのつど時勢に適応したように内容を変えてきている。ですから、私はそういう意味で検討すべき段階にきているのではないかと思うのですが、大月さんの考えはどうですか。
  130. 大月高

    ○大月説明員 三十四年の三月二十日の衆議院の農林水産委員会の御決議等もございまして、いろいろ検討いたしておるところでございますけれども、根本的には、農林漁業金融公庫の貸付の対象というものを、はっきり農林漁業者ということに限定しておるわけでございます。この特例を開いていくということになりますと、公庫の性格自体について根本的な考え方の変更をしなければならぬというような問題になります。具体的に牛乳の問題というものは、また別途農林行政として重要な問題であるということも承知いたしておりますので、その辺のところは、農林省ともまた御相談いたしまして、研究しなければいかぬ問題だと思いますけれども、われわれの立場から、農林公庫という立場から考えますと、なかなかむずかしい問題である。いろいろ御相談もしなければいかぬ問題でありますけれども、なかなかむずかしい問題であろうと考えております。
  131. 横路節雄

    横路委員 あなたの今のむずかしいという意味は、私もわからないではありません。しかし、農民の持ち株が九〇%以上、こうなっておるのだが、ここで春日委員の罹災者に対するところの減免措置についてのお話——あなたはおくれてきたからお聞きにならなかったかもしれないが、法律で規定しているものと政令で規定しているものとは違う。たとえば政令では十分の五以上の災害を受けたものとなっておるが、それは十分の三以上ということで措置してもよろしい、こういうことで政務次官検討するということになっておる。農林漁業金融公庫の業務方法書では農民の持ち株が九〇%以上だ。しかし、それは何十パーセント以上が農林漁業で、それ以下は会社だという、こういうことになるかというと、あるいは六〇%以上農民が持っていれば、それは農林漁業者と言えるのではないか。それが二〇%か三〇%しか農民が持っていなければ、それは農林漁業者とは言えないかもしれないけれども、少なくとも持ち株が過半数以上、とりわけこれは七〇%以上ですから、そういう意味では必ずしも今あなたのおっしゃる農林漁業者というワクに入らないわけではない、こう思うのです。だから、持ち株が何パーセント以上なければそれは農林漁業とは言えないのだということは、私は言えないと思う。少なくとも過半数以上である場合にどこでやるかということは、それはむしろ政治的配慮以外にないと思うが、この点どうですか。
  132. 大月高

    ○大月説明員 持ち株の比率を何パーセントとするか、どの程度あれば農林漁業者と見るかという、一般的な常識の問題に入ると思います。われわれといたしましては、農林漁業者としてはほかの部面においては相当厳格に読んでおりますので、この点についても九割という原則を立てておるわけでありますが、若干御質問の趣旨と違うかと思いますけれども、たとえば、今の金利の問題があって、牛乳の問題が非常にむずかしいということにつきましては、たとえば開発銀行の融資の対象にもなっておりますし、あるいは具体的には、北海道について考えますと、北海道東北公庫の融資の対象にもなって、これはいずれも政府機関として、安い金利、九分でお貸しする、こういう制度も開かれておるわけでございます。そういう意味におきまして、制度考え方といたしましては、農林漁業者というものをルーズに読むという方向でこの問題を解決するのか、あるいは政府機関は政府機関でそれぞれのフアンクションを持っておるわけでありますから、その機能に最も適合するところを逆に使っていくという方で考えていく方がいいのか、そういうような制度論と実体とのかね合いの問題でございますので、一がいに農林公庫から出すという前提で議論をするのも、割り切り過ぎたのじゃあるまいか。そういう意味において、われわれも問題は十分承知いたしておりますが、この九割を六割にするとか、あるいは七割にするとかいうことについては、まだ相当慎重を要するのではないか、こういうふうに考えております。
  133. 横路節雄

    横路委員 だいぶ時間もたちましたし、この問題は、あらためて適当な機会に、業務方法書の改正については、ぜひ一つ検討してもらいたい、こう思っておる。検討の仕方は、今私が申し上げましたように、持ち株については、過半数以上の場合には、どこかで限度がある。何も九〇%以上でなければならぬということもないと思う。もう一つは、酪振法で定められた集約酪農地域というものは法律が定めた地域だ。それで、そこに建てた中心工場は、何といったって農民から買わなければならない。こういう点は私は別途考慮さるべきではないかと思いますが、これはぜひ検討していただいて、あらためて適当な機会にさらに質問したいと思います。きょうはこれで終わります。
  134. 植木庚子郎

    植木委員長 本日はこの程度にとどめたいと存じます。  次会は公報をもってお知らせすることとして、これをもって散会いたします。     午後一時四十四分散会