○松平
委員 ただいまの動議に対しまして、
日本社会党を代表して賛成の意見を申し述べたいと存じます。
提案理由の
説明にもございましたが、ここ三年間で千人以上の人命が失われておるような
火薬並びに
花火等の
爆発事故があったわけであります。私はこの商工
委員会におきまして、二回ほどこの問題について質疑をいたしましたが、こういうひんぴんたる
災害のよって来たるところはどこにあるかということを分析をしてみますと、第一は現行
法規そのものを適用する十分なる
予算的
措置、人員というものがないことが一番大きな
原因であろうと思います。
第二は現行
法規そのものに欠陥があるということでございます。そこで、現行
法規そのものに欠陥があることは、昨年十月、
警察庁から
通産省に対しまして二十二の項目にわたって
火薬類取り締りに関する申し入れをいたしておるわけであります。その申し入れに対しましては、おそらく
通産省におきましても検討を加えられておることと思うわけでありますが、大体がこの
火薬類取締法並びにその施行
規則というものを、ずっと熟読いたしてみるのに、指揮系統、
監督の系統というものが若干統一を欠いておるような感があるわけであります。同時にまたこの法の中の解釈も、まちまちに解釈されるような条文がございます。たとえば
火薬類取締法の第四十三条にありますところの、
都道府県知事の
製造所に対する立ち入り
検査の
権限でありますが、この立ち入り
検査の
権限は、
通産省の直轄しておる三十四
工場については
都道府県知事は立ち入り
検査の
権限がないような解釈が一方ではなされておる。
秋山軽工業局長の
答弁によっても、都道府都知事がそういう三十四
工場に対して立ち入り
検査をする
権限があるのかないのかということに関しまして、
答弁の明確を欠いております。同時にこのことは
通産省から法制局に対しましてその見解を求めたところが、法制局もこの法文によると、どうとも解釈ができるのであって、どうもこれはおかしいということを言っておる。ところが内田政務次官の
答弁によりますと、
都道府県知事は固有の
権限をもって立ち入り
検査ができるようなことを言っておるわけでありまして、そういうこと自体がもはやあいまいなんです。だから、
都道府県知事は三十四の
工場に対して立ち入り
検査ができるのかどうかということすら、今日法的な解釈の統一がなされておらない、こういう実情であります。
次に
都道府県知事に対する委任事務に関しましても、この前の
委員会におきまして、
火薬類取り締まりに対して、一体どの程度の
予算をもってこの委任事務を行なわしめておるかということに関しまして
質問をしたところが、
秋山軽工業局長は、それは交付税の中に含まれておる——交付税の中に幾ら含まれておるのだ、そういうことに対してはっきりした
答弁をいたしません。私は交付税の中に
都道府県における
火薬類取り締まりのものとしてどの程度の額ということを、自治庁と話し合わなければならぬと思うのだが、そういうことを自治庁との間に明確なる話し合いはしておりません、そうしてたぶん
都道府県においては
火薬類取り締まりをするための必要な経費として交付税に含まれておるものが、他の方面へ流用されておる節があるのではないかと思います。こういう
答弁をいたしておるのであります。当局が自分のやっている
仕事について自治庁と話をしてみればすぐわかるのにかかわらず、それをあえてそこまで究明しようとしない。そういうところに一体人員的な欠陥があるのかどうか、委任事務の
規定はあるけれ
ども、その委任事務が的確に行なわれておるというふうには、この
予算関係、交付税の
関係から見て見えないわけであります。
次に動議の
説明にもありましたが、現在直接技術的な
監督のできる者というのは実質的に三名しかいない。三名しかいないのに三十四の
工場がある。こういうことでありますから、とてもできるはずのものではない。従ってこれはどうしても
監督官制度とかそういうものを設ける必要があるが、それに伴って
予算の大幅増額をしなければならぬ、こういうふうに私は見ておるのであります。
その次に問題はどこにあるかというと、
通産省の省令ですか、
火薬類取締法施行規則に、相当直さなくちゃならない問題があるのではなかろうか、こういうふうに私は思います。それは
技術基準の確定についででありますが、たとえば
保安距離に一例をとってみても、
火薬庫の場合において、二十トンを貯蔵する
火薬庫におきまして、その
保安距離はどういうふうになっているかというと、国宝の建物があった場合には二千メートルが
保安距離でございます。人家の場合は百メートルでございます一体人家と国宝の建物とどこが違うのか。人間の命と国宝とどこが違うのか。国宝の建物の中にはほとんど人間は住んでおりません。人家には人間が住んでおる。しかるにもかかわらず、
通産省の
規定によりますと、国宝の建物の場合は二千メートルの
保安距離が必要であるけれ
ども、人家の場合は百メートルでよろしい、こういうべらぼうなセンスでもって、すべての施行
規則というものの
基準が貫かれておる。私はこれは人命軽視の最たるものじゃなかろうかと思う。こういうのを今日なおかつてんとして、そうしてあの
東洋化工の問題にもなっておりますところによりましても、そこでも現行の施行細則によって
保安距離は十分だ十分だといっておるが、その施行
規則の
保安距離を調べてみると、人家は百メートルでいいという。そうして国宝の建物は二千メートル、いや鉄道はどうだ、道路はどうだといって、一種、二種、三種、四種と、それぞれメートルが違っておるわけでありますけれ
ども、一番人命に影響のあるものは最も軽く扱って、百メートルでよろしい、こういうことになっておる。そういうようなことが、私はやはり今回の場合におきましても、付近の民家にかなりの損害を与えた大きな
原因ではなかろうか、こういうふうに考えておりますので、
小平君
提案のこの
決議には全面的に賛成すると同時に、これは
一つ政府におかれてもこの趣旨を体して、
法令の全般的な再検討、
改正、同時にこれを裏づけするところの十分なる
予算的
措置を講ぜられんことを私も要望いたしまして、私の討論を終りたいと存じます。