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1959-11-16 第33回国会 衆議院 災害地対策特別委員会通商産業等小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和三十四年十一月十三日(金曜 日)委員会において設置することに決した。 十一月十三日  本小委員委員長指名で次の通り選任された。       小川 平二君    世耕 弘一君       高見 三郎君    辻  寛一君       坊  秀男君    前尾繁三郎君       山手 滿男君    小林 正美君       佐藤觀次郎君    横山 利秋君       加藤 鐐造君 同日  前尾繁三郎君が委員長指名で小委員長に選任  された。 ————————————————————— 昭和三十四年十一月十六日(月曜日)     午前十時五十七分開議  出席小委員    小委員長 前尾繁三郎君       小川 平二君    世耕 弘一君       辻  寛一君    山手 滿男君       小林 正美君    佐藤觀次郎君       田中 武夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君         通商産業政務次         官       内田 常雄君         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (重工業局長) 小出 榮一君         中小企業庁長官 小山 雄二君  小委員外出席者         大蔵事務官         (財務調査官) 大月  高君         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      中尾 博之君         国民金融公庫理         事       水谷登代七君         中小企業金融公         庫理事     片岡 亮一君     ————————————— 十一月十六日  小委員横山利秋君同日委員辞任につき、その補  欠として田中武夫君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員田中武夫君同日委員辞任につき、その補  欠として横山利秋君が委員長指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた中小企業者に対する国有の機  械等の売払等に関する特別措置法案内閣提出  第七号)  中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた中小企業者に対する資金の融  通等に関する特別措置法案内閣提出第一三  号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害により被害を受けた公務員等  に対する国家公務員共済組合等の給付の特例等  に関する法律案横山利秋君外十六名提出、衆  法第九号)  天災による被害中小企業者等に対する資金の融  通等に関する特別措置法案田中武夫君外十七  名提出衆法第六号)      ————◇—————
  2. 前尾繁三郎

    ○前尾小委員長 これより会議を開きます。  中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案内閣提出第一二号)外二件、並びに天災による被害中小企業者等に対する資金融通等に関する特別措置法案田中武夫君外十七名提出衆法第六号)外一件、以上五件を一括議題として審査に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。辻寛一君。
  3. 辻寛一

    ○辻小委員 激甚地指定の問題について、また重ねてお伺いをいたしたいと思います。盛んにもみにもまれまして、御苦心の結果、やっと編み出されました激甚地指定公共土木施設災害復旧事業費国庫負担特例法の政令に規定するこの激甚地指定の腹案をいただいておりまするが、これによりますと、市町村府県工事でございますね、これには標準税収入とにらみ合わせる場合と、それからいま一つ、その市町村区域長期、すなわち七日以上の湛水地域が三十町歩をこえる場合には、その区域府県工事には激甚地特例適用する、こうありますね。そうしてその中に特に注が施してありまして、「名古屋市の長期湛水地区については全市を一括指定することなく概ね行政区を単位として指定する事」と、こうあります。それから今度市町村自体工事の場合におきましては、やはり長期湛水地域が三十町歩をこえる場合というこれは入っておりますが、ここには特に名古屋市に対しての注は出ておりません。そういたしますると、名古屋市の場合の府県工事におきましては行政区を単位として分ける、そうして市の方の工事は一括していく、こういうことになるわけでございますか。
  4. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 府県工事の場合は市の行政区域、それから市町村工事適用する場合は、名古屋市の場合においては今御指摘通り、区の単位ということになります。
  5. 辻寛一

    ○辻小委員 名古屋市におきまする府県工事愛知県の分担する工事の場合におきましては、ここにはっきりと区に分けるように書いてある。市のやりまする工事には、それが入れてないんです。ですから、同じ名古屋市の公共土木工事をやりまする場合におきましても、県の工事は区に分けてやる、市の工事は一本でやる、こういうことでございますが、その点です。私はこのいただいた資料に基づいてお尋ねをいたしておるのです。
  6. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 私実は資料大蔵省に置いてきましたので、さっそく取り寄せて御答弁いたします。
  7. 辻寛一

    ○辻小委員 それではお取り寄せをいただいて御検討をいただくことにいたしまして、とにもかくにも、これにはっきり出ております。すなわち、名古屋におきますところの府県工事というものは、各区に分けるということになっておることだけは確かなんでありますが、一体名古屋市の長期湛水地区を、たとい県工事のみにいたしましても、各行政区に分けて指定をされるというその考え方根拠はどこにありますか。
  8. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 これは資料を取り寄せて明確にお答えいたしたいと思いますが、私の承知いたします範囲におきましては、市町村工事については行政単位高率補助適用する、こういうふうに承知いたしております。それで今のお尋ねの、なぜこのようにするかということにつきましては、名古屋市だけは特に大きな市でありまして、行政区域の中で、市全体を、市町村工事高率適用適用するよりも、その中の区の単位高率適用指定した方が実情に即する、かように考えていたしたものと存じます。御承知通り市町村単位高率適用適用されない区域におきましても、旧市町村単位適用することもできるようになっておりますから、そのような精神に基づいて、今御指摘のような措置をとったと承知いたしております。
  9. 辻寛一

    ○辻小委員 どちらにいたしましても、その単位というものが、一つのやはり公共団体になっておるわけでありますが、たとえば名古屋市の場合の区というものは、これは大都市特例法にありますように、市長の権限をたまたま行政事務の便宜上これを委任してあるだけなのでありまして、たとえば東京都のごとき特別区と違いまして、課税権も何もない、事務的に、便宜上区別してあるだけの区なのでありますが、そういうのを、名古屋は大きいからといって、大小にかかわらず、とにかく普通公共団体を規模としてこれを適用されておるにかかわらず、特に名古屋市の場合、こうして単なる行政区を単位とされるその根拠がはっきりいたさないように思いますが、いかがでございますか。
  10. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 なおこれは資料を取り寄せて、明確にお答えを申し上げたいと思います。
  11. 辻寛一

    ○辻小委員 保留しておきます。資料が入りましてからまた……。
  12. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 関連して、奧村次官激甚地の問題で質問いたしたいのですが、七日以上ということがありますけれども、七日入った人と、今私どもの選挙区では五十日も入っている人は、やはり同じ査定でやられるのですか。七日と五十日ではずいぶんえらい違いがある。現在水に浸っておるところが、十万人くらい水にひたって——きのうも見てきたけれども、まだ入っているんですが、そういうところを七日と五十日、同じような標準でやられるのか、その点ちょっとお聞きしておきたい。
  13. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 これはなかなかむずかしい問題でありまして、七日以上でありますから、七日以内の場合は適用されませんが、七日以上であれば、五十日湛水したものも含まれるので、その程度の、七日以上という線を引くのが最も妥当でなかろうか、かように考えた次第であります。
  14. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 七日ということに不平を持っておるわけではないけれども、七日の人も五十日の人も同じ適用を受けるということは、ちょっとおかしいのではないか。相当被害額が大きいので、同じようにやられるということについては、ちょっとわれわれ疑問に思うし、おそらく地元の人も、同じ被害激甚地であっても、七日の人と——まだひどいのはおそらく六十日以上になるのです、私どものひどいところは。そういうところを同じ単位でやられるかどうかを、はっきりした御返事をしていただかないと、同じ激甚地でも、七日の激甚地と六十日の激甚地とはその差が非常にひどいと思うのですが、その点についてどういうような解釈をしておられるのか、もう一つお話し願いたい。
  15. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 御指摘の点はごもっともと存じますが、しかし御承知通り、今回激甚地指定になりました高率適用は、ほとんどもう九割ないし十割という適用をいたしておりますので、五十日以上湛水したから、高率適用の上にもう一つ高率というようなことは、とてもそういう余地がないので、実は政府部内においても、もう七日以上ということで、それ以上の区分はする余裕がない、かように考えておる次第でございます。
  16. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 どうもその点が不公平でないかと思うんですね。七日以上の激甚地はやむを得ない。それはいいのですが、しかし、六十日も七十日もつかっておる人も同じ標準でやられることについて、私たちがそういうところの言いのがれができるような、そういうあなたの方での解釈をしていただかないと、われわれは納得できないのです。この点は、おそらく現場を見ていただかないとわかりませんが、どうも大蔵省査定官は、あまりに現地に行くと同情してふやすといかぬからという声が最近あるわけです。そういうことについて、大蔵省はもっと具体的に、現地へ行って一つ綿密に調べていただくような方途はとってもらえるかどうか。そのことだけちょっとお伺いしたい。
  17. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 現地公共土木事業復旧あるいは農地農業用施設災害復旧査定につきましては、まだこれからいたすのが多いのであります。今のところ大体査定の済みましたのは、三割余りと承知いたしております。従いまして、これから現地査定に際しまして、もちろん、建設省なり農林省なりの査定官査定をいたすわけでありますが、大蔵省の出先も査定に立会するわけでありますので、十分実情に沿うようにやるように指示をいたしております。  それからただいまの五十日以上の、特に湛水のはなはだしいものについては、何か考える必要があろう、こういう御趣旨でありますが、公共土木などの災害復旧につきましては、これは湛水期間が長ければ長いほど復旧費用もよけいにかかるわけで、これはその通り実情に即して査定ができるものと思いますし、災害救助法などの適用につきましては、これは佐藤委員もよく御承知通り湛水期間が長くて災害救助法適用発動期間が長いところは、たとえば食糧費とか、あるいはその他の救助法発動適用については、湛水期間の短いものよりもずっと手厚くいたしておるつもりであります。
  18. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 農村で問題になるのは、学校被害状況ですね。今度おそらくこういうものの査定に行かれると思うのです。そういうことになりますと、長期湛水地帯学校は、表向きはどうにか建っておっても、被害程度が非常にひどい。そういうことについて、大蔵省査定官が行かれる場合には、そういう含みを持ってやっていただきたいということを私は考えておるわけです。そういう点は、長期湛水したところと一週間か十日くらいやったところとは、区別して査定をしていただくようにお願いしておきたいと思います。私は関連はこれで終わります。
  19. 辻寛一

    ○辻小委員 それでは、資料が参りますまでにお尋ねしておきたいと思いますが、この湛水地域が三十町歩というのは、これはまたどういう根拠でありますか。市町村におきまして湛水地域三十町歩市町村と申しましてもピンからキリまでありまして、名古屋は大きいからというお考えもおありのことと思いますので、一概にはお考えになっておらぬと思うのでありますが、そうすると、一市町村について三十町歩というのは、一体どういうところから割り出されておりますか。ただ三十町歩は多いなという程度じゃないと思うのです。やはり何か根拠がなければならないと思いますが、三十町歩というのは、これはどういう根拠に基づいておるのですか。
  20. 中尾博之

    中尾説明員 三十町歩自体、二十五町歩というわけにいかぬので、やはり三十町歩でなければいかぬという意味ではございませんが、これはある程度地域がまとまりまして、それで長期にわたって湛水するというところに、社会的なあるいは公私の被害の激甚さの基準を求めたものであります。湛水と申しましても、いろいろ御疑念があるようでありますが、その点はまだいろいろ各省で案を作っておりまして、湛水定義と申しますか、そういうものがなかなかはっきりしておりませんと疑いを生じますので、だんだんはっきりして参ると思いますが、三十町歩自体は、ある程度まとまった地域ということであります。こまかいものは手が届きませんし、そうかといって、あまり大きなところばかりとるということでも手が行き届きません。ことに七日と申しますと、もう相当過去のことになります。そういうような関係から、ある程度まとまったところをとろうということをねらいまして、三十町歩というところに線を引いたものでございます。
  21. 辻寛一

    ○辻小委員 三十町歩と申しますと、これは、大体三十町歩ならば、この市町村、つまり湛水地域によって特例法適用し得るといったような地域を大体お考えいただいたのではないかと私思うのです。元来ならば、この標準税収入とにらみ合わしていくというのが原則であるけれども、それでもっては、とにかく実質的に激甚地であるところをカバーすることができないというその親心から、こういう湛水地域というものをお作りになったのだろうと思うのです。そういたしますれば、大体そういうところは現実的にわかっておると思う、そういうところからお考えになって、こういう三十町歩というような基準が出てきたのじゃないかということになりますと、これはその市町村の大体何割になるかというような御勘定から考えてこられたのじゃないかと思う。そうでなくて、ただ漫然と三十町歩だということになりますと、これは名古屋なんか、湛水地域が何千町歩になるかわからない。これはお調べいただかなくても査定に手間取りません。この標準税収入比較の方は査定がむずかしいかもしれませんが、こちらは水につかったか、つからぬかということで、たとえば名古屋のごときは、ここにあるのが十月三日の地図ですが、ちょうど八日ですから、そのときにどういう湛水状態であるかということははっきりわかっておりますし、こんなものはうそ偽りがあるはずがありません。ですから、名古屋のごときは、そういたしますと、これは私勘定したことがございませんが、おそらく何千町歩ということになるだろうと思うのです。ですから、ただ三十町歩ということで、大きな市も小さな町村も一緒にして三十町歩で区切って、名古屋は大きいからこれはちょっと区に分けようという考え方は、長期湛水地域を特に特例法適用しようとしてお作りになりましたその根本のお考え方と、相反するというような事例が出てきはしないか。名古屋におきましてはまさにそうであると私は思うのでありますが、どうも三十町歩ということが、現実長期湛水地域になっておりますところと照らし合わしてお考えになったのじゃないか。そのときに、名古屋はとにかく大きいから割ろうじゃないかというような単純なお考えからこれは出ていやしないか。そうすると、その根本のお考え方がだいぶ違ってくるわけであります。その辺、もう一ぺんお伺いしたいと思います。
  22. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 ただいま辻委員から御指摘通り、基本には当該市町村標準税収入被害額とを比較して指定する、そこで何と申しますか、それに対して補完的に長期湛水地域、こう考えましたので、どちらかと申しますと、主として愛知県、三重県のような、この標準税収入比較だけでは非常に実情に沿わないというので、これを補完的に入れた。これは御承知通り昭和二十八年のときとは違う大きな点であります。そこで、それならば長期湛水のこの三十町歩というものはどういう基準でと、こうお尋ねになりますと、明快な答弁はなかなか困難であります。今政府委員から申し上げました通り湛水というのには、農地もありますし、また市街地もありますし、それの定義というものをぎりぎり明確にということになりますと、今検討しておりますが、そういう愛知県、三重県などの実情に沿うように、こういう精神で、補完的に規定を入れたわけであります。かようなことであります。名古屋市においては、なぜそれじゃその点をもう一つ徹底させなかったかという御疑問があろうかと思いますが、これは今資料を取り寄せて御答弁申し上げます。
  23. 辻寛一

    ○辻小委員 私、せんだってもとくと申し上げたのでありまするが、大都市災害実態というものを、よく一つつかんでいただきたいということを申し上げます。幾分かは御考慮をいただいておるようでありますが、何しろ関東大震災以後は、この名古屋、これだけの大都市が、これだけこっぴどくやられたということはないわけでございますから、非常に今までの災害と様相が違っているということは、せんだっても申し上げた。たとえば、しばしば出ますように、公共被害に比して民間被害は非常に多いといわれますが、多いといわれましても、今までは大体四倍くらい、ところが名古屋市の場合は、公共被害と比べますと、民間被害が十七倍です。それに名古屋は、標準税収入は相当多いわけです。九十何億になるわけでありますから、公共被害と比べてもらったのでは、とうてい被害程度というものは出てくるものではない。いわんやほかの地方におきましては、公共被害の中におきまして、公共土木とかあるいは農林関係、こういうものがおそらく首位を占めるだろうと思いますが、これまた名古屋のごとき大都市におきましては、非常にこの形態が違っておるわけであります。公共被害の中でも、一番多いのは住宅関係なんです。公共住宅被害が一番多いのです。その次になりますのが公共土木公共土木は大体標準税収入と比べますれば、一割五、六分にしかならぬのです。名古屋港は復旧に約十七億からかかる。これは管理組合、つまり県、市で分けてやっておりますから、半分持つといたしまして、それを加えてみましても、二割四、五分にしかならぬというわけです、この標準税収入と比べて。そういうようなわけで、ほかの地方とは非常に違っておる。しかし、いかに激甚であったかということは、  これは想像外なんでありますから、さればこそ、こういうふうにお考えいただいておるわけで、水につかっておらないところがそれじゃ被害が少ないかというと、大へんなことです。名古屋では、このごろお宅の被害はどうでしたと言いますと、世間並みでございますという言葉が通用しておる。世間並みというのはどういうことかといいますと、かわらの百枚や百五十枚飛んだり、へいが倒れたり、車庫が吹っ飛んだくらいのことは、これは当たりまえのことであります。普通だったら大へんなことなんでありますが、南の方一帯のあの状態を見まして、これは被害でございなんということは言えぬという状態であります。われわれの家も、被災者ではございませんけれども、やはり十万や十五万は近所隣みんなやられておるというわけなんであります。ですから、県工事のみにいたしましても、区にお分けになりますと、ちょっと地図を見ても、全区ほとんど水につかっておる区というのは、一べつして直ちにわかります。これは四区あります。あと、三十町歩になるかどうかというような区が、二区ばかりあるわけであります。それが入るにいたしましても、半分にしかならない。名古屋は十二区ありますから、四区ということになると、三分の二は、名古屋激甚地じゃなかったのだということになる。半分入りましても、名古屋は、半分は激甚地じゃない。ほかの町や村は全部激甚地指定されているが、名古屋は半分の激甚地だそうだ、半分にも足らぬそうだということになりましたら、公共土木の方が少ないのですから、補助を受ける金額はそんなに多くございませんけれども、これは気持の上なんです。世間激甚地々々々というのは、これは公共土木だけなんということは、考えていやしません。いわんや、名古屋なんかにそう多いことはないのでありますから、何も災難を大きく言われることがうれしいわけじゃございませんが、人間は妙なものでありまして、われわれは二十八災以上だと思ったが、二十八災に次ぐなんて言われたら、それを認識しておってくれぬのだという気持が起こるのと同じように、名古屋は半分にも足らぬ激甚地だ、こういうことになりましたら、ほんとうに名古屋実態を見ておってくれるのかという市民の不満が、非常に出てくると思うわけです。ただ、名古屋が大きいからというだけで、しかも、公共団体そのものでないところの区に分けていくというようなことは、私はどうも筋が通らぬと思う。そうしますと、今佐藤委員からも言われましたが、同じ湛水地域といわれても、ピンからキリまであります。私の方も、五十日くらいつかっておったところもありますし、なるほど、七日くらいのぎりぎりのところで済んだところもございましょう。そうすると、その被害というものは、五十日、七十日つかっておったところとは、うんと違って参ります。そうすると、今度はそこの被害額復旧事業費というものをはじき出すことになる。これはあなた方の方の厳重な査定が要ると思うのでありますが、査定をしました場合に、同じ高率適用でも、十分の八から十分の十までございましょう。それと照らし合わせるときに、一体何とお比べになりますか。区に割っておいて、そうして標準税収入だけを名古屋と照らし合わせたら、最大の高率適用を受ける地域というものは、全然出てこないということになるわけでありますが、こういう点にも、私は相当矛盾があるように思うのであります。ちょっとこの点のお考えを……。
  24. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 御承知通り、今回の激甚地指定で、県工事にいたしましても、市町村工事にいたしましても、激甚地として高率適用をいたしますのは、主として市町村区域単位にしております。従いまして、愛知県は、県全体としても非常な災害を受けましたけれども愛知県の中で高率適用を受けない市町村も、かなりあるわけであります。それは、なるべく災害実態に合うように激甚地国庫負担を多く出そう、こういう趣旨でありますので、それからいたしますと、少し政府がいたしましたのは渋過ぎるという御非難があるかもわかりませんが、現実被害の多かったところをなるべく見ていこうということになりますと、ことに名古屋市のごとき大きな市においては、まあ高率適用のなにを、先ほど申し上げたように、まず標準税収入比較し、次いでは湛水地域、こういうふうにできるだけ拾おうという趣旨でやったので、名古屋市の中に、一部の区域適用にならぬところがございますが、しかし、それ以外に愛知県において高率適用を受けない地域がかなりありますので、御了承願いたいと思います。しかしこれは、御承知通り公共土木高率適用ですから、たとえば厚生関係文教関係、あるいは御指摘のように住宅がやられたとか、商工業がやられたということになれば、これは金融その他いろいろな処置をとっておりますが、こういう処置につきましては、この公共土木激甚地指定には何ら関係なく、実情に応じて処置をいたす、かようにいたしておる次第であります。
  25. 辻寛一

    ○辻小委員 それはわかります。公共土木だけということはわかりますが、今申し上げましたように、激甚地指定というもの自体が、やはりここはひどかったんだ、ここはそれほどでもなかったんだという大きな区分けをやるがため、えっさもっさやっておるように思うのです。実際、名古屋市あたりは、公共土木そのものの比率がそんなに大きくないのですから、金額にいたしますれば、ほかの市町村と比べまして、そんなに少なくはないのでありまするが、全体から申しますれば、そう大きくはないのでございます。しかし、その心理的影響が大きいということなんです。と同時に、三十町歩ということは、名古屋のような大きなところを目標にしておられないのだろうと思う。ですから、もしこの三十町歩に入れられるならば、合わせて全地域の何割以上とか、こういうことを入れていただくと、私は一番いいと思う。それよりも、一番いいことは、せっかくこの実情に合わせようとして、こうした長期湛水地域というものまでお作りになったのでありますから、名古屋市は全部一本としてお入れになるということが、私は至当であると思う。それを区によって分けるということは、しかも、しばしば申し上げますごとく、これはほんとうに行政上、便宜上できているだけのものであります。それを分けるということになりますと、たとえば問題の山崎川のごときも、大部分が南区でありますが、瑞穂区にまたがっておる。その瑞穂区が高率適用がされないということになりますと、同じ県がやる、市がやる工事でありましても、同じ区域内にあって適用が違ってくるというような、まことに妙な形ができてくると思うのです。ですから、これはどういうお考えから——ただ単に同じ市町村といっても、名古屋は特別大きいのだから、ちと割ったらよかろうぐらいの簡単なお考えで、ほんとうに名古屋実情というものをお考えなしにおやりになった思いつきじゃないかと私は思うのです。思いつきなら、一ぺん思い返していただかなければならぬ実情であるということを、私は申し上げておるわけなんです。
  26. 中尾博之

    中尾説明員 質問の御趣旨はよくわかります。名古屋自体が都市災害として非常に激甚なものがあるということは、もちろん十分伝えられておるところでございますし、私どもも十分にその報告も受けました。私どもは、各省の意向もくみまして仕事をいたしておるわけでございますが、何と申しましても、公共土木と申しますと、公共団体の受けた打撃であります。それを早く復興しなければならぬ。復興のための条件を考えまして、単なる地方財政措置ではいかぬ、当該補助そのものを高率に持っていかなければ復興できないというところをねらいまして、特例を作って参るわけでございます。しかし、そういうことばかりでは、ただいま御質問にもございましたように、いわゆる激甚地という部分が必ずしも割り切れないというところから、非常に理論的な分と常識的な分との、いわば妥協でありまして、いわゆる混合方式もその一つでありますし、単に混合方式をもってしましても、どうも理論によりまして志が届かないという部分につきまして、さらに湛水というような観念を導入いたしたわけであります。従いまして、いわゆる特例でございますから、至るところで、特例を受けるところと受けないところの境目というものは、おそらく理屈は理屈として、当事者、さしあたりそこにおられる方にとってみれば、いずれにしても意に満たない考えをお持ちになるという向きがあるということは、十分わかるのでありますが、事情はそういうことでございまして、地方財政との関係、さらに若干地方財政との関係に弾力性を持ちました混合方式、さらに、それに公私の人的、物的ないしは社会的な打撃というものの激甚なショックを受けたところに対し、単なる地方財政措置でなくて、高率の適用をしよう、そういう意味の適用をとにかくつけなければならぬというところを拾うという建前を立てまして、それで、湛水ということにいたしたわけであります。従って、この湛水というものは、もはやそこまで参りますと、地方財政とか、そういうような理屈の方からはだいぶ離れた方面の一つの解決でございます。従いまして、行政区というようなことでは、財政単位になっておらぬじゃないかというような御意見にもなってくると思いますが、そこは、そういうような一つ区域として、最後にとらざるところをとったわけであります。その辺を御理解願いたいと存じます。決して名古屋その他の地域が激甚でないとか、あるいはそれに対しては何ら意を用いてないという次第ではございません。都市災害そのものは、今回の災害の大きな特色でございます。従いまして、先ほど政務次官からも御答弁がございました通り、従来にない、非常に人口の密度の多い地域におきまして、生活の根拠、親企業を一切破壊され、教育のあれも破壊されたというような地区におきまして、災害でございまするから、当初より災害救助法適用にあたりましても、迅速、かつ、その幅を広げまして、いろいろ心がけておるわけでございます。なお、文教施設の復旧あるいはそれの不燃化といいますか、耐久化といいますか、あるいは住宅関係における充足というような面につきまして、いろいろ都市災害そのものを頭に置きまして、十分に考えておる次第でございます。また、土木の関係となりますと、名古屋自体は小さいということですけれども、絶対額においては私は必ずしも小さいとは思っておりませんけれども、それ自体がさらに財政的にも未曽有のショックとして、非常に困っておる向きもあるわけでございますから、どうぞそういう方面のこともお考え合わせ願いまして、一つ意のあるところを御理解願いたいと存じます。名古屋そのものの都市災害に対して、事を軽く考えたり、あるいは思いつきでもってやっておるというような趣旨では、決してございません。十分にいろいろ考えまして、端的に申しまして、名古屋のこの湛水をいかに地方財政の関係と離して持ってくるかということは、非常に問題であったわけでございます。何とかして考えなければいけないということで持って参りましたのが、これでございます。それで参りますれば、その他の地区におきましても、社会的な集団に対する手当というものと大体権衡がとれようかと存じますが、境目の点その他につきまして、なかなか御理解がむずかしい点は多々あるかと存じますが、よくそういういきさつと、それから対策の実情を御理解願いたいと存じます。
  27. 辻寛一

    ○辻小委員 実情を御理解願いたいということは、私の方が申し上げることなんでございまして、その被害の絶対額は決して少ないことはございません。公共土木だけでも二十一億ございます。ただ、他の公共被害、それからさらには民間被害と比べると、比較的少ないということでございまして、名古屋市にとってはゆゆしき問題でありますから、私もお尋ねいたしておるのでありまするが、そういたしますると、三十町歩といいますと、町村でも小さいのもありましょうね。ですから、三十町歩で全地域の相当の割合を占めることがあるのじゃないかと思うのでありまするが、たとえば名古屋のごときは、浸水地域だけで五割になっております。まず半分は浸水したのです。これは今のこれに入っておりませんから、水は引いておりまするが、これに適用されない七日以上という長期浸水地帯でも三割五分、ほとんど二週間以上であります。さらに五十日以上も、このごろやっと水が引いたところだけでも、全地域の一割余はあるんです。それをただ三十町歩だけで仕切る、ということは、これは他の方との比較がかえって妙なことになりはしませんか。小さなところで三十町歩というのと、名古屋の三十町歩……。だから、これは幾つかに割るということになりますと、あなたの方は、実情に即していこうというお気持から、標準税収入が幾らあろうと、とにかくひどかったところはそのように見なければならぬというお気持から、こうしてお作りになった、特に名古屋をこうやって出されたということは、名古屋実情考えられたあなたの方の考え方が違っておるわけで、名古屋は広いのだから、小さいところと比べて見れば、これは少し切ってもよかろうという考え方なんです。名古屋は、浸水地域というものは全部で三割五分からあるのです。それをずっとちょん切られてしまいますと、半分あるいは三分の二というものは、これには適用されぬということになってくるわけです。だから、ほんとうに名古屋実情というものを御存じない。名古屋実情をよく一つ御理解をいただいて、この点をお考え直しをいただきたいというのは、私の方が申し上げたいことなんです。
  28. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 個々の該当市町村実情を調べて、この七日以上、三十町歩以上の湛水と、こういうことが個々の市町村にどのように該当するかということを、あらかじめ検討した上でやるべきでなかったかと、こういうふうに考えますけれども、しかし、実は私どもとして、この規定をもしきめたならば、どの市町村が入ってどの市町村が落ちるかというふうなことを検討して、またそれが一般に漏れたりいたしますと、これまたいろいろ物議をかもしますので、そういうことは全然考えずに、ただ一応のものさしをきめたということで、三十町歩ということにそう深い基礎はありません。しかし、議論になってまことに恐縮ですが、御理解いただきたいのは、二十八年災と比べてということをわれわれ特に頭に置いたのです。そういたしますと、愛知県におきましても、三重県においても、高潮対策につきましては、これは今度の補正予算で六十一億組んでいる、それから予備費でも十億余り組んでいるのです。来年度の予算においても、これに劣らぬ予算を組まなければならぬ、これはおそらく名古屋市にとりましても、沿岸の一部の区だけではない。この高潮対策を完備するということは、名古屋全市に非常に大きな関係を及ぼすことであります。それから湛水地域も、まだ不完全とはいいながら、これも二十八年災にはなかったことを、特に名古屋市、三重県の実情に沿うようにといっていたしましたので、その点を御了承いただきたいのと、それから実は、名古屋市全地域湛水地域と見てとるべしという議論は、なるほどごもっともございますけれども、しかし、一方において全国漏れなく、特に被害激甚のところは狭い区域でもとって上げようということからして、今度の激甚地指定の規定の中に、市町村単位で拾われないところは旧市町村単位ででも拾うということを特につけ加えておるので、そういたしますと、指定されない府県でも、激甚な旧市町村でとろうという以上は、名古屋市内で比較的軽微なところは拾えない、これは理論的に当然そうなりますので、一つ政府の苦衷のほどもお察しいただきたい。
  29. 辻寛一

    ○辻小委員 まず、その問題はちょっとお預けにいたしまして、それではほかの面からお尋ねいたしまするが、そういうふうに行政区に割って湛水地域というものでお拾いになるということでありますれば、そうしますと、今度高率適用の場合十分の八から十分の十までございましょう。これは標準税収入に照らしてやるわけですね。その場合の標準税収入は、各区に大体振り分けて、各区で照らし合わせて下さいますか。これは市一本でやるのではどうにもなりませんが、各区に標準税収入というものはありませんが、割り出しはできます。区民税とか固定資産税は区に台帳がありますから、あるいは電気、ガス税は人口割はいくとか、いろいろな方法で——市町村でさえも、旧市町村に戻してできるだけ高率適用実情に即して見るようにしようというような非常な親心なんではが、これをどうしても今区にお分けになろうということでありまするならば、そのように各区にこの標準税収入をずっと割り当てて、そしてそれと照らしてうんと高率適用のできるものはできるようにしてやろう、こういうお気持はお持ちなんでございましょうね。片方は区に分けていて、片方は全市の標準税収入と照らし合わせるということになると、これは理屈が合わぬことになると思いますが、これはどうなりますか
  30. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 理論からいきますと、そういうことにも理論は成り立つと思います。そこで旧市町村単位激甚地指定もできるという規定をいたしました以上は、一体旧市町村単位ではたして標準税収入というものがはっきり割り出せるか、また旧市町村単位災害復旧工事費というものが計算できるかという問題も実は生ずるので、政府部内でも、この点法制局といろいろ検討いたしました。これは市町村合併促進法などの規定にも、旧市町村というものの規定が出ておりますので、その通りやろう、こういうことになりました。つきましては、名古屋市は、新市町村合併促進法などで最近に合併した市ではありませんので、その規定には入らぬかと考えます。
  31. 辻寛一

    ○辻小委員 そういたしますと、湛水地域だけは、便宜上単なる行政事務だけでやっているところの区に分けて、そうして今度その復旧工事費を標準税収入と照らし合わせる場合には、これは市一本でいこうというお考えですか。これはどうも首尾一貫せぬように私は思う。区にお分けになるならば、その区でやはり勘定をしていただかぬと、私は困ると思うのですがね。大体区にお分けになったということは、便宜でお分けになるんでしょう。そうでなければ、区に分けるということにはならないわけですから……。一本の公共団体を区に分ける——東京のような特別区なら別なんですけれども、分けて勘定なさるというほどの融通無碍なる方法をおとりになるならば、やはり標準税収入と照らし合わせる場合においても、標準税収入に準ずべき区の分を出して、それと照らし合わせてその高率適用単位をきめていっていただくのが、私は本筋じゃないかと思う。大体分けること自体が本筋じゃない。間違った道へ行こうということならば、これはそれなりにやはり首尾一貫した方向へ向かっていっていただかなければならぬと思うのです。
  32. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 名古屋市全域といたしますと、名古屋市の標準村政収入と名古屋市の公共土木復旧費を比べますと、これは高率適用になりません。そこで、その補完的措置として湛水地域——それから湛水地域として高率適用を受けるところは、これはもう御承知通り標準財政収入との比較は全然とりませんから、問題外です。湛水地域以外に、標準財政収入よりも被害額が多いところがあれば、これは検討しなければなりませんが、名古屋市は、それはないのじゃないかと思います。
  33. 辻寛一

    ○辻小委員 区にお分けになるんでしょう。区に分けて、この区は激甚地、こういうふうにいかれるんでしょう。各区に分けるということは、そうじゃございませんか。行政区を単位として指定する。名古屋市の何区は激甚地、こういうふうにいこうというお考えでしょう。そうしますると、先ほどもちょっとお話に出ましたように、同じ湛水地域名古屋市と申しましても、五十日以上、この間まで水につかっておった湛水地域もあります。これは被害が甚大であることは御想像にかたくないところであります。そうでないところもあります。まず、少なくとも四つあるいは六つ入り得ると思うのです。二つは、一部分でありまするが、少なくとも三十町歩以上にはなろうと思います。ほとんど大部分は——面積的にはもう全区に及んでおると思いますが、その中におきましても、今非常にひどい、五十日以上というようなところがあるわけです。これまた被害額が多いわけです。そうすると、この指定されましたA区、B区、これは同じ湛水区域でも違うわけですから、それぞれのところでやはり被害額を出すということになりましょう。各区で指定するのですから……。そうしますと、そのA区の被害額とA区における標準税収入に準ずべきものとをにらみ合わせて、B区はまたB区の被害額復旧額と申しますか、それとその区におけるところの標準税収入に準ずべきものとを照らし合わせて、そして三段階に分かれておるところの高率適用考えていっていただく、こういうことがほんとうの実情に即する行き方じゃないか、こう私は言っているのでございますが、それはいかがでございましょうか
  34. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 市内の中の数カ区が、長期湛水地区として高率適用を受けることになります。その高率適用を受けることになった数カ区の国庫負担の率は、御指摘通り、その当該区の標準財政収入額に比較して、それの二分の一までは十分の八、それをこえ、同額までは十分の九、それからそれをこえるものは十分の十、御指摘通り国庫負担率を計算するわけであります。
  35. 辻寛一

    ○辻小委員 そうしますと、念を押しておきますが、これは実は私の方の重大問題でありますので、試算をしてみたのですが、名古屋市全域を指定するということが一番筋が通っておると思っておりますが、もしあくまで行政区を単位としてということにでもなりますれば、一体どういうふうになるのかというので、私の方では勘定してみたわけであります。名古屋市全域を指定されないで、半分、三分の二が残るということになりますれば、今申し上げましたごとく、名古屋市の被害というものは実に甚大で、二十八年災とは比べようもない空前の被害でございますので、その名古屋市において激甚地は半分だ、三分の一しか激甚地でなかったというようなことになったら、非常に影響が大きい。しかし、何というか、花よりだんごということがある。名をとるより実をとるということもありますので、実がとれるということになりますれば、市民の感情もおさまるだろうと考えまして、実は二つそろばんをやってみたのであります。各区に分けていただいて、各区に標準税収で振り分ける、そういうふうにやっていただきますと、私の方の勘定におきましては、国庫補助額は相当額多くなるという結果になるわけでございます。そういうことになりますれば、私の方は名を捨てて実をとるということになるわけでありまして、筋としてはいささかどうかと思いますが、しかし、区に分けていく以上は、標準税収もそれでいく、こういうふうにはっきり言われたのでありますから、そうしていただきますれば、私の方は泣き寝入りというわけじゃありませんが、実の方がちょっとよけいになりますから、それをもって瞑すべしということになろうかと思います。今名古屋市のほんとうの実情をお考えいただいて、一本にしていくということの方が、私はかえって筋が通ると思います。これを一つ考えをいただきたいと思います。標準税収入も各区に分けてやるというお言葉をいただきまして、私はまず半分程度満足いたしました。
  36. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 これは特に申し上げますが、ただいまの最後の御質問は、非常に味があると思います。長時間の御質問の最後の締めくくりとして、政府にとって非常にけじめのあるお言葉でありますので、長期湛水として区単位でいたします以上は、私が御答弁申し上げた通りなすべきであると思いますが、それでいきますと、名古屋市全地域指定するよりも、区単位指定する方が、名古屋市に対する国庫負担率は多くなるということに理屈上なるわけでありまして、政府としては、区単位指定した以上はその通りやらなければならぬ、かように私は確信しております。
  37. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 今の激甚地指定について、全国で十六の府県指定地になったわけですが、その基準について、たとえば愛知県の場合は、どこどこの町でどこがどうなるか、名古屋市はどことどこがどうなるかというような、具体的な案ができておりますか。
  38. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 御承知通り標準財政収入額は、大体自治庁の方できまって、わかっております。がしかし、これに比較すべき公共土木災害復旧額、つまり被害額、これはただ単に、ただいまのところでは府県庁からの報告額に基づいておりますので、これは確定したものじゃありません。御承知通り、実際比較するものは、査定後の確定した災害復旧額でありますから、そういう事情からいたしまして、今度の政令によって愛知県内にどの市町村指定されるかということは、今まだはっきりお答えする段階ではございません。
  39. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 しかし、県の方から秘密書類でありますか、ちゃんときておるわけです。そこで、あとの標準額を調べて、大蔵省から参考資料として出してもらえないでしょうか。全部とは言いません。たとえば、愛知県の場合はどことどことどこだ、それから名古屋市の区はこうこう、そういう意味で資料として提出をお願いしたいのですが……。
  40. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 これは、どうも誤解を招く憂いがあると思うのです。というのは、府県庁から報告をなさっただけのことで、その報告額が、はたしてどの程度実際査定して確定するかということはわかりません。そのわからぬのをもって、たとい暫定的にも政府指定できるかできぬかというようなことを発表するということは、いたすべきでないと思います。
  41. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 それについては、予算額はそういうように当てずっぽうにやっているわけですか。そういうような大体の基準額のこれだけの費用が要るということで予算を組んであるわけだから、そこで私が問題にするのは、おそらく県の考え方大蔵省査定考え方との間に、相当矛盾がくるんじゃないかと思う。そこのところに、大蔵省のいわゆるずるいあやがあるんじゃないかと言われているもとがあるんじゃないかと思う。だから、せっかくこっちで予定したのを県の方では拾っても、大蔵省でそんなものは入らぬということになれば、そこにえらい食い違いが出てくるんじゃないか。そういう点で、われわれは市町村単位基準にしようというところがあるので、何か参考資料としてこれだ、これだというようなものを、たとえば愛知県のような場合には、そういう参考資料をもらえないでしょうか。
  42. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 それは愛知県の県知事から建設省の方へ報告してきておる被害額というのがあります。それと標準財政収入とを比較対照いたしまして、その報告した被害額をその通りで確定できるものと仮定して、指定できるかできぬかということをはじき出すのは、それは簡単にできます。がしかし、それは政府の責任としてちょっとできないと思う。と申しますのは、今御指摘になりました、それじゃ予算はどうして組んだかとおっしゃいますが、これは大体過去数カ年の実績に基づきまして、県庁からの報告額に対して実際の復旧の申請額が何%たまるか、あるいは申請額に対して査定率が何%たまるかという大体の実績に徴して、計算して予算を組んだ、かようなことでありますから、御了承願いたい。
  43. 前尾繁三郎

    ○前尾小委員長 辻君、世耕君と小林君の質問があるんですよ。それは非常に部分的な質問のようだから……。
  44. 辻寛一

    ○辻小委員 ほんのちょっと続いて……。先ほど資料を取り寄せるとおっしゃいましたのですが、名古屋市における府県工事は、今申しましたように、行政区を単位として指定する、こうなっていますが、次の市町村工事、市の方の工事は、私の方でいただきました資料では一本になっておるのですが、これは落ちておるんじゃないのですか。別々でいかれるわけでございますか。落ちておるのですね。
  45. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 それじゃ、主計局総務課長から御答弁いたさせます。
  46. 中尾博之

    中尾説明員 これはまことに申しわけありませんが、落ちております。これは実は政府の方からやったわけではないのでありますが、もちろん当時忙しい最中で、私どもも一応目を通しておりますので、私どもにも責任がございます。これは裏話でございますが、落ちておりますので、同じでございます。
  47. 辻寛一

    ○辻小委員 了解しました。
  48. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 ちょっとお願いしたいのですが、政府委員でどういう人とどういう人が来ているかということをお知らせ下さい。
  49. 前尾繁三郎

    ○前尾小委員長 ただいまのところは、大蔵省管財局長と主計局の総務課長、それから通産省が政務次官と中小企業庁長官、それから官房長、重工業局長、これだけ来ているわけです。  それでは世耕弘一君。
  50. 世耕弘一

    世耕委員 私は総体的に簡単に質問いたします。  ただいま辻委員から、いろいろ災害の問題について、質問なり、御意見のありましたのを私は拝聴いたしまして、同感の意を表する点が非常に多かったと思うのですが、質問の内容の重複を避ける意味において、二、三点簡単に根本問題に触れておきたいと思うのであります。それは、災害対策の取り扱いに、ややともすれば、政府側が機械的にものを扱うという非難が非常に多い。この点はよほど上手にやらないと、せっかくの官庁の親切がむだになるということがあるのであります。それで私は、今度の災害、特に和歌山県方面の災害については、これまでの工事のやり方、あるいは工事をする場合の役所の査定の方法等において、災害がどういう結果を生み出したかということを、私の方の大学の土木部の教授、助教授を帯同いたしまして、写真班を連れて現地全部写真にとって、そうして地元の意見と、当時の建設事情を詳しく調査いたしてみましたところ、どうもその点において機械的な欠陥が、大きな災害をかえって生み出したという結論が出たことを発見したのであります。その点についてごく簡単なことを申し上げたいと思うのは、今申し上げました機械的に扱わないで、むしろ人間的に扱っていただきたい。これは、今辻君から質問なさったところも、そこにあったと思うのであります。  ここで、突っ込んでもう一つ申し上げたいことは、公私という問題を非常に区別して扱っておる。これも余談でありますが、最近政治と経済とは分離すべきであるとか、あるいは合一だとかいう議論が世間にいわれておるが、しかし政治も経済も、国民生活というものが基本になって、政治なり経済として現われてきておるから、根本は国民生活なんだ。だから、災害対策も、いかにして災害を急速に復旧せしめ、あるいは災害を防止するかという根本問題に触れなければ、ほんとうの目的は達せられないのじゃないか、かように思うのであります。  私は極端な例を一つここに申し上げてみたいと思うことは、一万円札と千円札と落ちていたら、どれを先に拾うか。人情として、目で見て一万円札の方へ手が先に行くということは、人情だろうと思う。ところが、一万円札と千円札との区別を形式的だけとらえて、ほんとうの価値というものを誤る場合が多いのです。この点が予算措置の上に非常に誤りがあるということ、もう一つ例を申しますなれば、今ここに橋の上から下を見ていると、官僚と民間人と二人おぼれている。どっちの方が個人で、どっちの方が公人かと見れば、官吏は公人で、一人の人は個人だということになる。どっちを先に助けるかということが、すぐに問題になる。官吏を先に助けるのが当たりまえじゃないか、これは公の仕事をしておる、こういう論議が出てくる。それは形式論で、官吏を先に助けるか、個人がおぼれているのを先に助けるか、どっちを先に助けなくちゃならぬかというところに、観点を置かなければならぬ。もし早く官吏を助けてやらなければおぼれて死んでしまうというなら、民間人のおぼれているのをあと回しにして、官吏を先に助ける。あるいはまた、民間人と官吏と比較して、民間人はあと回しにする従来の慣例であるけれども、この際は、ほうっておいたら先に私人の方がおぼれてしまうから、これは先に私人を救わなくてはならぬということは、常識だろうと思う。だから公私ということは、民主主義の時代にはあり得ないのだ。どちらを先に救うことが、国家、社会のため、国民のために満足するかというところに、査定根本を置き、また国策の線がされるべきじゃないか。この点は私はもう少し掘り下げて考えていただきたい。きょうは写真を持って参りませんけれども、この間の例を見ますと、ここは公共土木事業であり、こちらは民間の土手なんです。だから民間の土手は自分でやるけれども、公共事業、ここは完全なものはでき上がっておりますけれども、こちらの方は個人の方だからほっといたために、かえって個人の方の土手がくずれたがために、せっかくの公共土木事業が根こそぎやられてしまったという例がある。これは常識で判断できることなんです。だからその点が——今私の申しましたのは、はなはだ適当な例でないかもわかりませんが、官吏のおぼれているのと私人のおぼれているのと、どちらを先に助けるかというごくあっさりした観念が、往々にして、土木事業にせっかく使った金が効果を現わさないで、非難のまとになるということを、私は考えていただきたいと思う。  それからもう一つ申し上げたいことは、予算が足りなかったからこの程度で置いておくというて、ここまで工事をやっておいて、このあとのところを土岐で、こっちまでコンクリートで打っているけれども、こっちは土岐で打っている。これがやはり、こちらのコンクリートも、こっちの上坂のために、こちらがくずれたために、こちらに水が入ってきて、そのままばっさり倒れ込んでいったという例があるのです。もしそれほど予算がないならば、私はむしろ基礎だけ置いて、あとの予算のない分は、この次の予算で作られるようにすればどうか。そうすればこわれても基礎が残る。予算がないからということで、いいかげんなコンクリートを打つものだから、このまま先にいってしまうから、今度はあらためてまた大きな工事の費用を出さなくてはならぬというようなことが、至るところに発見される。これは常識ある技術者のすべきことじゃない。私は二十年前に名古屋に二年ばかりおりましたから、名古屋の築港が今日の被害の起こり得ることは想像できる。この点についてはいろいろ議論がありますから、私はこの機会に申し上げることは避けますが、要は、いかにして災害を防止するかという根本に立ち至って一つ考えを願いたいということを、特にこの際強調しておきたいと思います。  大体そういう点で申し上げたいと思うのでありますが、結論を申し上げれば、機械的ではなしに、人間的に、災害をいかに防止するかという根本に触れていって、そこに個人と公ということはなくなるはずなんです。だから隣の個人のがけが落ちたために、かえって公の被害が大きくなったという、先ほど申しました例もあることでありますから、どうぞそういうふうな常識的な処置をとっていただくことを、特に私はお願い申し上げて、これは質問じゃない、希望でありますから、この程度で……。
  51. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 公の仕事と個人の企業などとの関係を調節して、国全体の経済を発展させるということの計画指導をなさるのが、経済企画庁でありますし、その経済企画庁の長官とし、国務大臣として、国の行政を十分ごらんになられた世耕委員の、ただいまの御意見をよく拝聴いたしまして、御趣旨に沿うように善処いたしたいと思います。ただ私見を申し上げて恐縮でありますが、私は実は七月に初めて大蔵政務次官にしていただきまして、生まれて初めて役人の仲間入りをさせていただいた。それは官僚攻撃の声も聞きますけれども、役人の立場になってみて、私は官僚攻撃が少しお門違いが今あるように思う。というのは、何も役人がかわいいから役人の肩を持つのではなしに、国民全体、公がかわいいから、役人を大切にし、また役人の間違ったことは是正する、役人がしっかりしなければ国民全体が救われぬ、こういう意味において、やはり官僚組織がよくなっていく、これが日本の国の政治をよくする根本であると私は思う。こういうように存じておるのであります。その中の官僚のやり方がまずいことはぜひ直さなければならぬ。しかしあくまでもその意味においては、一人の役人をりっぱに育てるということは、百人の大衆をしあわせにすることである。これは事実上そうなります。その意味においては、やはり役人を大切にし、またまずいところはため直す、こういうことにしなければ私は政治はよくならぬ、こういうように痛切に感じますので、間違っておるところがあれば、また御指摘、御指導を賜わりたいと思います。
  52. 世耕弘一

    世耕委員 もう一言つけ加えて、誤解のないようにしておきたいと思いますが、私はほんとうを言うと、官僚を攻撃したのではないのです。しかし、官僚を攻撃したのではないのですけれども、民間の非難というものを常に念頭に置いていただきたい。その非難がどこから出たかということを検討していただかなければならぬ。そうして往々にして、世間の非難の出てくるところは、あまりにも機械化しておる、法律化しておる。その間に民情というものを無視しておる。私は法律化する前に、まず民情を十分のみ取る、くみ取るということが、法律根本精神でなくてはならぬと思う。それにしっかり当てはまったら、いわゆる世間の言う官僚の非難がすっかりなくなって、むしろ絶えることになるのではないかと思う。先ほど来辻委員政府側との応答を見ましても、多くは常識的な議論ではなかったかと思う。お互いの気持は一致しておる。ただ議論で機械的に論じてくると、際限なく論じられるような気がするのであります。今日はいわゆる民主が土台なんだから、民意を調達する、民意によく耳を傾ける。これは一例でありますが、私は内務省の政務次官時代の一例を申し上げますと、私の方の国の海岸から、波が打ち上がって、町の中を通っておる道路がこわれてしまった。それを視察に参りましたところ、随行の役所の人たちは、これは復旧事業だからここをまた復旧するのだという話だから、町の中の道路を復旧することよりも、海岸べりを埋め立ててそこに道路をつけたら、同時にそれが防波堤になり、新しい道路をつけた一つの効果が現われるのではないかという意見を並べたら、それは法律違反です、責任を持てません、次官が責任を持ってくれるかと言うから、よろしい、私が責任持ちましょう、そういうことをすることが、法律趣旨に反することではない、むしろ趣旨に合することである、私の責任が追及されたら、国会で答弁を幾らでもしますから、やりましょうと言ってやったのが、この間私が一緒に行って感じたのですが、そのおかげで——海岸に約十メートル以上の波が打ち上げている。朝日新聞の写真報道班がそれを新聞写真に載せておりました。十メートル以上の波が打ちましたけれども、しぶきが町にかかるだけで難をのがれた。これはほんの一例でありますから、どうぞ——役所の御苦心、いかにして予算を有効に使うかという大蔵省その他の役所の苦心のほどは、十分私もわずかながらお勤めして承知しておりますけれども、民間の声をなるべく取り入れて、かた苦しい法律論にたよって事を処理しないようにしていただきたい。せっかくの親切があだになるということを私は実は言いたかった。ことにこれは税務関係にも関係することですけれども、税務の方でも、民間がそれは不合理だからこうしてくれと言うと、そんなことはわしら知ったことじゃない、それは国会できめたのだから、国会の人に言うたらいいだろうというような捨てぜりふすら言う人がある。これははなはだ不合理だと思う。せっかくの役所の親切がむだにならないように、民意を十分くんで合理的な対策をぜひやっていただきたい。これはいわゆる国民の声としてお聞き取りを願いたい、かように思いますが、よろしくお願いいたします。
  53. 前尾繁三郎

    ○前尾小委員長 小林正美君。
  54. 小林正美

    小林(正)小委員 重工業局長お尋ねをいたしたいと思います。今度の伊勢湾台風で、相当各地域とも、いわゆる競輪場が大きな被害を受けていると私は考えるのでありますが、あなたの手元で今わかっている資料がありましたら、一つお知らせをいただきたいと思います。
  55. 小出榮一

    ○小出政府委員 今回の伊勢湾台風によりまして、各地の競輪場は相当の被害を受けておりますが、現在までのところ、一番被害がひどいのは四日市の競輪場でございます。これは御承知通り、直ちに開催するということは不可能な状態でございます。そのほか、名古屋、豊橋、一宮、岐阜という競輪場がございます。これはいずれも災害を受けてはおりますけれども、しかし四日市に比べますれば、被害程度はきわめて軽微でありまして、開催をするということが不可能ではない、こういう状況であります。
  56. 小林正美

    小林(正)小委員 この間全国の罹災をしました市長会でも、こうした被害をこうむった競輪場を再開すべきかどうかということについて、いろいろ議論が戦わされて、大勢というものは、この際競輪場をやめた方がいいのではないかという意見が非常に強かったということを私は聞いておりますが、その点局長はどういう工合にお考えになりましょうか。
  57. 小出榮一

    ○小出政府委員 災害を受けました地域の中にあります競輪場を再開するかどうかという問題につきましては、今お示しの通りいろいろ議論がございまして、一つには、やはり災害の状況が一応鎮静しない間にそういった競輪というようなものが行なわれるということは、人心に与える影響等から考えましても、非常におもしろくないというような趣旨もございまするし、またかねてから、競輪というものの存廃についていろいろ根本的な議論がございます。災害を機会にということはちょっと表現が適切ではございませんけれども、この際、少なくとも災害を受けた競輪場は閉鎖したらどうかという意見があることも承知いたしております。しかしながら、私どもといたしましては、結局競輪を行ないまする施行者、これは地方自治体が御承知通り施行者でございますが、その施行者の意見をまず尊重するということを、基本的な方針として考えたいと思っております。しかし少なくとも災害がありました愛知三重、岐阜というような地方におきまする競輪場は、当分の間は自粛するということで、かりに開催が可能な状況でありましても、開催しないということで今日まで参っております。ただ残りました問題としましては、これをいつから再開するか、あるいは被害を受けた競輪場につきまして、これをどういうふうに処置するかという問題は残っておりますけれども、私どもといたしましては、一応やはり施行者の意見を十分聞いた上で、今後の処置を考えたい、かように考えております。
  58. 小林正美

    小林(正)小委員 施行者の意見を十分尊重してというお話でありますが、私はこれは非常にずるいやり方だと思うのです。地方自治体が競輪をやるということは、何も好んでやっておるわけではない。ただ地方財政が苦しいから、その一助としてこういう方法をやむを得ず必要悪として認めざるを得ないというのが、きょうまでの段階であったと私は思うのでありますが、四日市の場合は、今度の場合あのような大きな損害を受けて、そうしてあなたも御承知かと思うのでありますが、四日市の婦人連絡協議会が一番最初提唱いたしまして、こういうような競輪場の再開ということはまかりならぬ、これこそ家庭の平和を害するものである、この機会にぜひ一つ全廃してほしいということを、非常に強く叫び声をあげた。これが三重県下の各地域の婦人会の方々にも非常に大きな共鳴を呼び、さらに民主団体などの共鳴も呼びまして、今三重県下全体の声となって盛り上がっておる。こういうときに、少なくともこの中央官庁の通産省の重工業局長が、地方自治体のまず意見を聞いた上でないと、どうにも自分としては意見が述べられぬということは、私は少し情けないような気がするのです。あなたが真に日本国民のしあわせを考え、まじめな気持に立ってこの問題をお考えになるならば、この際よろしく一つ、競輪場はもう復旧すべきではない、やめたらどうか、こういう意見を大胆にお出しになる気持はありませんか。
  59. 小出榮一

    ○小出政府委員 ただいまお話の通り、四日市市の地元におきましても、またこれが三重県下全般にわたりまして、少なくとも四日市の競輪場の復旧再開ということにつきましては、相当の論議が行なわれておりますことは、承知いたしております。従って、ただいま四日市市の市議会におきましても、この競輪場の再開あるいは復旧、開催の可否ということについて、真剣に検討されておる実情であります。私どもといたしましては、競輪場を再開することを認めない、再開すべからずという指令と申しますか、行政指導をするかしないかということは、これは、先般来問題になっております、競輪そのものの今後における持っていき方に関する根本方針の問題に関連するわけでございまして、その点につきましては、すでにこの夏以来、競輪の今後の持っていき方につきましては、十分政府としても検討を重ねてきておりますけれども、今日現在におきまして、これを将来どういうふうな方向で処置するかということは、政府全体としてまだ最終結論は出ていない実情でございます。従いまして、私の一存といたしまして、あるいは私の個人の意見ということはあり得るかもしれませんけれども、責任者といたしまして、この四日市の競輪場をこの際閉鎖するということは、行政指導の方針といたしましても、打ち出すことは、まだそれは適当ではない、かように考えておりますが、一応施行者である地元の四日市市自体の態度決定ということを待ちまして、その上で処置を考えたい、かように考えております。
  60. 田中武夫

    田中(武)小委員 ただいまの小林委員の質問に関連して、ちょっとお伺いしますが、今局長が、こういうような地方の情勢であるから、今直ちに閉鎖ということについての意思表示をすることはできないと言われた。これは一応認めるとして、それではそういう状態であるので、この際被害を受けておるところの復旧工事といいますか、あるいは再開の準備、そういうことは中央の態度がきまるまで待て、一歩を譲って待てという指令を出す、そういうことはどうですか。今検討中であるから、もし全般的に廃止という方向へ強く進むならば、被害を復興さしてもむだである。だからそういうことがきまるまでしばらくそのままにしておけ、こういう考え方はどうですか。
  61. 小出榮一

    ○小出政府委員 ただいまの問題でございますが、実はこの伊勢湾台風が起こりまして、被害の状況が大体判明しましたころにおきまして、この四日市の競輪場の施設は、御承知のように、霞ケ浦土地株式会社という近畿日本鉄道の子会社が実は経営しているのであります。この近鉄の子会社であります施設者が、いち早く競輪場の復旧から手をつけるというようなうわさが、実は通産省の方にも伝わったことがございました。それは非常に好ましくないということで、実はその当時におきまして、少なくとも競輪場の復旧というような問題はあと回しにしてもらいたいということで、その点は通産局長を通じまして、そういった関係方面には指導をしてもらったのであります。ただ御承知のように、法律的に申しますと、施設に関しましては、自転車競技法の十三条でございましたか、施設者は法の定めました基準に適合するように施設を維持する義務があるという規定があるだけでございまして、通産省として直接この施設の復旧に関しまして、復旧を取りやめろという指令を行政的に出すことは、実は法律上ではできないのであります。ただ、今の田中委員の御指摘通り行政指導としてこれを注意を喚起するというようなことが、やるとすればできる程度でございますが、ただいまのところ、伊勢湾台風が起こりました直後におきましては、そういうふうな指導をいたしたのであります。あるいは現在その会社自体といたしまして、復旧に取りかかるというような事態が起こっておるかもしれないのでありますけれども、もちろん施行者でありまする四日市市当局と施設者との間において、十分これは施行者を通じまして施設者に対しまして、施行するかどうかわからないものを復旧することは、非常にむだであるというような趣旨において、施行者の方から指導していただく、こういうふうな処置をとる以外にはないのじゃないか、かように考えております。
  62. 田中武夫

    田中(武)小委員 実はあすにでも商工委員会において、根本的なことについて質問いたしたいと思っておりますので、この際飛び入りの関連質問ですから終わりたいと思いますが、ただその際に、災害を受けて復旧した費用がこれだけ要っておる、あるいはそれだけ努力したとかいうことによって、いざ存廃問題になったときに、存置の方へそういうことが一つの理由となる、こういうことになっては困る。そこで今申したような法律的な措置はできないとしても、少なくとも行政指導という話し合いで、当分待て、少なくとも多くの民家あるいは施設が被害を受けて困っておるときに、まだ水も引かないという所があるときに、競輪場だけをいち早く復興するということは、とんでもないことだ。またそのことをもって今後存置する一つの理由としての、請願とかあるいは陳情が行なわれるようなことがあっても困るから、あるいはそういうことをやったとしても、いよいよこの問題に通常国会において本格的に取り組むことになるというときに、そんなことは理由にならぬ、そういうことをはっきり申し上げまして、善処を要望いたしまして終わります。
  63. 小出榮一

    ○小出政府委員 今お示しになりましたような趣旨に従いまして、さらに指導をいたしたいと思います。
  64. 小林正美

    小林(正)小委員 重工業局長お尋ねしたいのですが、あなたは霞ケ浦の土地というものが、どういうふうな地形の所で、将来どういう性格を持つということを御存じでしょうか。
  65. 小出榮一

    ○小出政府委員 率直に申し上げまして、霞ケ浦という区域は、大体四日市周辺の海岸地帯から、あの辺一帯の土地をさすということは承知いたしております。それから相当工業地帯としても発達しつつあるし、また将来相当発展し得る可能性のある土地である。こういうような趣旨において私は了承いたしておりますが、詳細な地形その他につきましては、具体的にはそうこまかくは存じておりません。
  66. 小林正美

    小林(正)小委員 ぜひ一つ地図をよくごらんになって、三重県なり市なりの将来計画というものも見ていただきたいと思うのですが、今県なり市なりの方針としては、大体宇午起、霞ケ浦、冨田、冨州原、あすこら辺は少なくとも二百万坪の埋め立てをして、あすこを将来重化学工業地帯として造成して、大工場を誘致したい、こういう基本方針ができているわけですね。ところがその場合にまず一番ガンになるのは、何といっても霞ケ浦のこの競輪場の問題であるということで、いろいろこれについてはこれまでも意見の対立があった。そこへ今度この台風があって、競輪場は非常に大きな損害があったというときに、私たちは、今度の災害は非常に大きな災害であって、県民にも大きな被害を与えておりますけれども、一面少なくともこの霞ケ浦競輪場の問題だけは、むしろしめた、これはよかった、これによっていわゆる健全な家庭生活を破壊するような、そういう賭博行為がなくなり、さらにまた四日市の二百万坪の重化学工業地帯としての、あすこの大きな土地造成の一つの障害が排除されるということで、私たちは非常に期待を持っておるわけなんです。だからそういうことを頭によく入れて、この四日市の問題をお考えにならないと、従来許可しておったのだ、やっておったのだから、これをやめさすわけにいかない、行政指導もなかなかできないということでは、何と言いましょうか、あなた方のやり方というものが真の核心をつかんでおらぬ、こう思うのですね。しかもあの霞ケ浦土地株式会社というものは、御承知通り近畿日本鉄道の傍系会社でありまして、近鉄としては、これは真偽のほどはわかりませんけれども、将来そういうことになれば、なるべく高い価格でもってこれを売りつけようという魂胆があるやにも聞いておる。そういう非常に重大な時点に現在立っておりますから、この問題についてはよほど慎重に考えてもらいたい。それから地元の市議会なり、市なりの意向ということをよくおっしゃいますけれども、市会議員の中にも、これは霞ケ浦土地株式会社、あるいは競輪場で飯を食っておる人間がたくさんおる。利害関係者がたくさんおる。そういう連中が先頭に立って、競輪を一日も早く再開さすことの運動をやっておる。これは自分たちのふところを肥やすためなんです。名前まであげませんけれども、私はそういう市会議員の名前を全部知っておる。ところがそれに対して、いわゆるほんとうに市民のしあわせを願う、まじめな立場に立った議員が、これは保守、革新を問いません、こういう競輪場を再開すべきでない、しかも四日市の大きな将来の計画とにらみ合わせて、この競輪場の再開に反対しておるのだから、あなたの方で一人くらい現地に派遣して、場合によってはあなた自身が行って——私はこれが将来の日本の競輪場に一つの重大な意義を持っておるところの問題であることを考えるのですから、あなた一ぺん四日市に行かれたらどうですか。地元のそういういろいろの、何と申しますか、利害関係に結びついた連中の意見なんか耳に入れないで、現地にほんとうに行って、婦人会の連中とか、あるいは地元の市民の声を聞いて、あるいは市長の将来計画なども聞いて、この問題に対してあなたが判断しないと、ただ競輪場がこわれた、これに対してはわれわれとしてはまだ地元の意見が上がってこないから何とも言えぬということでは、あなたは何のために重工業局長として高額をはんでおるのか、私にはわからない。その点どうですか。
  67. 小出榮一

    ○小出政府委員 四日市の競輪場の処置につきましては、実は先ほど来、競輪全般の根本的な問題に関連をするので、今日現在のところ、確たる処置につきましての的確なお答えがここでできないのは、きわめて遺憾でありますけれども、今お話にございましたような趣旨に関連いたしまして、実は私もかねがねこれはこの夏の委員会等におきまして、個人的意見として申し上げたこともございますけれども、将来の競輪場の処置に関連いたしまして、競輪の存在理由の一つは、地方財政に相当貢献をしておるということが、存在理由の一つの大きな柱になっておるわけであります。しかしこれを反面から申しますれば、地方財政にそれほど大きな貢献をしていない、あるいはほとんど貢献していない競輪場については、適当な機会に、随時これを整理していくということも一つの方法ではないかというような、個へ的意見を申し上げたことがあろうかと思います。四日市の競輪場につきましては、実は、過去におきましては、災害前におきましての収益率は二・六%くらいでございまして、大体一般の競輪場が、平均して一割くらいの収益率を上げておるのに比較いたしまして、ほとんど収益は上がっていないというような実績を持っております。かたがた、先般、これもやはり台風前の問題でありまするが、四日市の競輪場におきまして、車券の売り上げに関連して、計算を間違えて払い戻ししたという事件があったことは御承知のことであろうと思います。これらのことにつきましても、やはり競輪場の運営等につきましても、必ずしも適切でなかったというような点もございまして、実は四日市の競輪場の問題につきましては、かねがね、私は個人といたしましては、これについては相当問題があるというふうには考えております。従いまして、ただいま私どもの方においてとり得る処置といたしましては、行政指導という方法しかございませんが、先ほども申し上げましたように、施行者というものがやはりどうしても存在して、これの意見を聞かなければならぬという立場でありますので、まず施行者とよく話し合いをしてみたいと思います。その話し合いをいたしまするときには、ただいま小林先生がおっしゃったような趣旨を十分尊重いたしまして——どもは、地元の、いわゆる競輪によって飯を食っておるという利害関係者だけの意見を耳に入れるわけではございません。むしろ、公平な第三者の意見を十分尊重いたしまして、今後、四日市の問題をどういうふうに処置するか、これは先ほど来お答え申し上げましたように、復旧そのものについての直接的な法律上の指導権はございませんけれども行政指導の面におきまして、まず施行者であります市当局あるいは県当局というようなところとよく話し合いをして、この処置を適正に持っていくように考えてみたい、その程度のことは、今日申し上げることができると思います。
  68. 小林正美

    小林(正)小委員 先ほど申し上げましたように、その土地造成で、あそこへ臨海工業地帯としてのりっぱなものを作りたいという、これはわれわれの大きな一つの悲願でもあります。もうすでに大阪湾とか東京湾は、工業地帯としては大体飽和点に近づいておるというときに、残された問題は、私は、この北伊勢臨海工業地帯、これは非常に大きなウエートを持ってきておりますから、そういうことも、一つあわせて十分お考えをいただきたい。そういう視野に立ってこの競輪場の問題を考えたら、私は、ほんとうに今度の十五号台風で、天が与えたたった一つのプラスではなかったかというふうにさえ理解しております。  それから、今県なり市なりの意見を聞くと言われましたが、同時に、やはり今度の問題については、婦人会が非常によく動いております。だから、ぜひそういういわゆる民間の声、家庭を守る婦人の声なども、特にあなた方は現地へ出向いてよく聴取をして、あなた方の指導方針をきめてもらわぬといかぬのじゃないか、こう思いますが、いずれ、この問題は、商工委員会においてさらに私どもは掘り下げていきたいと思いますから、これくらいにいたしておきたいと思います。
  69. 前尾繁三郎

    ○前尾小委員長 午前中の会議はこの程度にいたしまして、午後は一時三十分より再開することとし、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後二時十二分開議
  70. 前尾繁三郎

    ○前尾小委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  休憩前の質疑を続行いたします。小林正美君。
  71. 小林正美

    小林(正)小委員 質問の順序が若干変わるかわかりませんので、中小企業庁長官にまずお尋ねしたいと思うのでありますが、今度の中小企業信用保険公庫法の改正で、今回十億円の出資というわけで、合計二十億円になるわけですね。これだけの増資で、はたしていいかどうか。たとえば、東海四県、愛知三重、岐阜、静岡、この四県だけで、県の信用保証協会へそれぞれ貸付をしていただきたいということで、大体十億円の貸付の要望をしております。これは大蔵政務次官にも聞こうと思っているのですが、中小企業庁長官として、どうですか。これは、十億円の出資だけで、そういう各府県の信用保証協会の要望にこたえられますか、その点どうでございましょう。
  72. 小山雄二

    ○小山政府委員 災害に関連しまして、信用保証協会に対する保証増加をどのくらいするかという点につきましては、各府県の信用保証協会から、今、保証目標額といいますか、そういうものをとりまして——これが、また各都道府県が信用保証協会に対するいろいろな出捐その他をやる基準になるわけでありますが、それをとりまして、それからいろいろ逆算いたしまして、十億円の融資基金ということを算定したようなわけであります。この十億円の国の融資基金に加えまして、各都道府県からの融資基金の出資あるいは貸付ということを行ないまして、それを合わせまして、この災害の信用保証協会における保証財源ということになるわけでありまして、もちろん、十分とは申せないかもしれませんが、大体、各地区の信用保証協会の災害融資目標はまかなえるという見当でわれわれは算定いたしたのであります。
  73. 小林正美

    小林(正)小委員 今は、まだ災害後、そう日もたっておりませんし、実際に民間災害などというものはなかなかその算定がむずかしいと思うのでありますが、将来、これが復興の軌道に乗りかかってきたときに、私は、さらに資金を必要とする時期が近いうちにあるのではないかと思うのです。そういう場合に、中小企業庁としては、重ねて出資をふやすというような、今のところそういう御意向があるかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  74. 小山雄二

    ○小山政府委員 今回の災害融資の問題につきましても、そうであります。被害額はある程度逐次つかめて参っておりますが、これが具体的に融資にどう現われてくるかということも非常にむずかしい。その上に、この保証の問題になりますと、なお実績がつかみにくいということは、ただいまお話の通りであります。できるだけの資料を集めまして、誤りなきを期していっておるつもりでございますが、なお、これで足りないという見込み等が出ました場合には、来年度予算その他で、そういうことも含めて、一般の問題でございますが、予算増額をはかるように努力していきたいと思います。
  75. 小林正美

    小林(正)小委員 政務次官にお尋ねしたいと思いますが、この中小企業信用保険公庫の、いわゆる保険料率の問題と填補率の問題について、現在、政府の方で考えられておるような案というものでは、私は、必ずしも中小企業者の救済を積極的に行なうものにはならない、こう考えるわけです。なるほど、保険料率におきまして、現行七厘三毛を四厘七毛にするとか、あるいはまた、一分一厘を七厘三毛にするとか、二分のものを一分三厘強にするとかという、一応ある程度の考慮は払われておりますけれども、やはり現地の声としては、保険料率は、これを少なくとも半減してほしいという声が非常に強い。それから、填補率の問題にしましても、現在は七〇%ということで、政府率ではこれを八〇%に引き上げる、こうなっておりますが、やはり地元の声というものは、この方は、ぜひ一つ前例にならって九〇%にしてほしい、こういう要望が強いのです。われわれ社会党としても、現在の政府原案というものは、はなはだ民間の要請にこたえ得るものではない、かように考えておりますが、この保険料率の問題と填補率の問題について、政務次官のお考え一つ伺いたいと思います。
  76. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 御指摘通り、保証保険の割合については、七〇%を九〇%にしてほしいという非常な要望もございましたが、それは一〇%だけ率を引き上げて、八〇%にいたしました。保証保険料率も三分の一だけ引き下げたわけで、まだ不十分かとも思われますが、政府としては、できる限りのことをいたしたつもりでありますので、あと、個々の保証協会における運用上、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたい、かように存じておるような次第であります。
  77. 小林正美

    小林(正)小委員 この点は、私ども考え方政府考え方はだいぶ開きがありますので、今後いろいろ協議の中で、こういう問題の解決をはかっていかなければならぬと思うのであります。  その次に、これは政務次官に一つお尋ねしたいのですが、今回の災害の特色は、民間災害が非常に大きい、こういうことなんです。そこで、この民間災害の総額というものと、その総額の内訳を大企業と中小企業とに分けて、どういうような金額になっておるか、一応お知らせをいただきたいと思います。
  78. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 まず、額につきましては、一つ中小企業庁長官からお聞き取りをいただきたいと思います。
  79. 小山雄二

    ○小山政府委員 台風十五号の関係で、商工業関係全体の被害は、各府県の報告をまとめましたのが九百三十億です。そのうち、中小企業関係が大部分でございまして八百十五億、こういうことでございます。十五号台風以前の台風十四号、八月豪雨、台風七号を加えますと、商工業関係全体の被害額は一千十億、そのうち、中小企業関係がこれまた大部分でございまして八百八十八億、こういう数字が出ております。ただ、この被害額は、当初非常にできるだけのことをやって調査したのでございましょうが、不分明な点等があって、それが逐次変わっておりますので、最近——これは大体十月末日で締め切った数字でありますが、その後、多少の出入りがございまして、多少これよりふえております。
  80. 小林正美

    小林(正)小委員 私は、中小企業の問題についてお尋ねをするわけでありますが、ただ、その前に、一応大蔵当局の注意を喚起しおきたいと思うことは、実は、こういうことがあるんですね。今、中小企業庁長官の説明されたように、この秋の災害による被害を通算すると、全体で千十億である。その中で、中小企業が八百八十億、そうすると、差引しますと、百三十億が大体大企業の被害だ、こういう工合に、私たちもこれまでの数字の中からは理解をいたしております。そこで、政務次官に一つよく御注意いただきたいことは、こういうことなんですよ。大企業の被害は、私は、この百三十億にとどまらないと思うのです。これは、もっと多いのです。ところが、なぜ大企業が百三十億しか、実は被害の調査の面で、被害額として現われてこないかといいますと、大企業というものは、自分の被害を隠しているのです。なぜ隠すかといいますと、結局、たとえば、ある会社なら会社が、非常に大きな災害を受けたということになりますと、そのことが、直ちにその会社の業績に反映をして、それが株価に反映するということで、大企業が自分のところの被害を非常に過小に報告をしておる。こういう事実を、これは大蔵省としてはつかんでおいていただきたい。なぜ私はこういうことを申し上げるかというと、大企業に対して特別な救済の措置をやれという意味ではなくて、このことが、実は地方自治体に対して非常に大きな将来のマイナス点となるということなんですね。たとえば、四日市なら四日市において大工場がたくさんある、それが被害をこうむった、ところが、表面に報告された数字というものはきわめて小さい、そうすると、その被害の小さいという大企業の報告をもとにして、そこからいわゆる税金関係がずっとそろばんではじき出されてきて、そうして、明年度も、再来年度も四日市の税収入はこれくらいあるだろうという、そこに一つの欠陥が生まれてくる。ところが、実際来年、再来年になると、そうじゃないんですね。実は私の方はこういう被害があって、これだけしか生産ができなかった、これだけ復旧費に金がかかったということで、最終的には、すべてのしわ寄せが地方財源に——予想以下のものが結局税金として納められることになって、しわ寄せされるということが、非常に今懸念されておるわけです。こういうことは、あまり実は政府当局の耳に入っておらぬと思いますけれども、これは、地元の町長とか、村長とか、あるいは市長など、自分のところの地域内に大きな工場を持っておる地方自治体の長というものは、大へんこの問題で困っておりますから、どうかその点は、御答弁は要りませんが、大企業の被害というものは、現在報告されておるものがきわめて過小に報告されておる、このことが将来地方財政を圧迫するもとになるのだということだけは、一つ頭の中に置いておいてもらわぬと、あとになって地方財政が大へん困難を来たすことになりはせぬかと私は思うので、この点は、一応御注意を喚起しておきたいと思うのであります。  それから、今度政府は、百五十億円の予算的な措置をしていただくわけでございますが、実は、愛知県だけでも百五十億円どうしても金が要る、こう言っているのですね。そういう場合に、百五十億円だけではたしていいのか。もちろん、年末金融として百億円予定されておりますから、合計二百五十億円になりますけれども、これは、毎年、年末金融ということはきまっておることですから、災害のために百五十億円しか政府は組んでおりません。この間も、ある通産省の幹部の方が私に対して、百五十億円組んだのはちょっと多過ぎた、おそらく、よう使い切らぬのではないか、大へん、こういうような心配をしておられたけれども、私から言わすと、そうではない。愛知県だけでも百五十億円の要望が出ておる。これは、もう実際県庁からきたわれわれに対する要望の中に、そういうことが書いてあるのですね。そういうことを考えたときに、この百五十億円は、私は少ないと思うが、将来実際にやっていって、この金が足らなかった場合に、大蔵政務次官としては、一体どういうようなお考えで、この中小企業者災害復旧に臨んでいかれるのか、その点、お尋ねをいたしたいと思います。
  81. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 政府の立場として、政府資金を中小企業に回すということで、ことさら政府金融機関の災害融資だけが強く要望され、また報道されるので、私は、多少誤解を生むんじゃなかろうかと思う。というのは、御承知通り、中小企業融資といえども金融は、本来これは民間金融機関がその主体であるべきであります。大体愛知県、三重県、岐阜県の東海三県で、民間金融機関から約五千億あるいは六千億近くの金が融資されておる模様であります。これは、まことに大ざっぱな数字で恐縮でございますが、五千億あるいは六千億、大体東海三県で日本の一割ですから、六千億ぐらいは融資されておると思います。そのうちの、中小企業の分はどのくらい回っておるか。まあ、少な目に見ましても、中小企業融資はおそらく千数百億から二千億、その中で、政府金融機関で融資する分、中小企業金融公庫、国民金融公庫及び商工中金ということになりますと、そのうちの、また一割ないし二割ということになるのではなかろうかと思いますので、政府金融機関からの政府資金の融資だけで中小企業の金融を全部をまかなうんだ、災害融資全部をまかなうんだということは、これは、まあ、とうていできるものではありません。ただ、民間金融機関の融資を促進するために、御承知通り、信用保険公庫を活用いたしまして、各府県における信用保証協会の機能を十分活用いたしまして、総額において、御承知の約百億円の保証をいたしまして、そうして民間金融機関がこれによって大いに融資をしてもらおう、それから政府金融機関としては、中小企業金融公庫、国民金融公庫及び商工中金においては、特に災害被災者に対しては、百万円までは三年間六分五厘の低利の融資、これはもう全く補完的に、特別に、被災者の方にできるだけのことを政府として処置をとる、こういうことでありますから、御了解願いたいと思うのであります。
  82. 小林正美

    小林(正)小委員 まあ、銀行に信用があり、商売も繁昌しておる、また担保力も十分だ、そういった業者は、これはもう救済の対象にはならない。これは、独自の力でもって、銀行は何ぼでも貸します。ただ、問題は、そうではなくて、今度は自分の住宅もやられた。住宅と工場、あるいは店舗とが一緒になっておる場合が、中小企業者には多いのです。だから、全部がやられてしまった。そうなると、もう担保物件もない。また、自分の保証人も同じようにやられているというような状態の中で、一般市中銀行がそう金をやすやすと貸すかということです。むしろ、そういう一般市中銀行だけでなくて、政府金融機関さえも、きわめて過酷な条件を実はつけて貸し出しをようやく承認するというのが、現実の姿なんですね。そういうわけでありますから、私どもとしては、こういう百五十億というものを一応お組みになったけれども、実際に将来貸し出しをやっていったその結果、さらにどうも少ないようであるということであれば、これは一つ大蔵省としても、その金額をふやすにやぶさかでないというようなお考えを持っていただけないかどうかということが一点。もう一つは、一応今はその対象となるものが、貸し出し限度が一件について百万円となっております。ところが、百万円で一体何ができるかということです。そこで地元業者などの意見を聞いてみますと、少なくとも、百万円の限度は百五十万円にしてほしいという声が強いんですね。そういう点、この百五十億のワクの問題と百万円のその限度の問題と、こういうことを、もう一ぺん現地の声も聞いて、さらにお考えを改めていただくことはできないものかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  83. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 お尋ねにつきまして、私は、問題は二点あると思います。第一点は、民間の金融機関が被災者の家も流失したとか、機械もいたんだという場合に、そう簡単に融資しないではないか、こういうことですが、こういう場合に、特に信用保証協会の保証でもって融資をする。従って、民間金融機関もこういう保証協会を十分活用して、この際、災害融資をできるだけ円滑にするという気持を持ってもらわなければなりませんので、政府もそのように指導しているつもりであります。  第二点といたしまして、中小企業金融公庫、国民金融公庫及び商工中金の、特に六分五厘の低利の融資のワクが百万円、これは百万円では少ないじゃないかというお説は、ごもっともであります。しかし、その百万円までしか貸さないというんじゃありませんので、中小企業金融公庫等では、本来の業務は、たしか一千万円までは貸してくれるのです。ただ、六分五厘の低利の適用は一人百万円まで、こういうことで、もっとずっと大口に借りたい方はお貸ししますが、低利は百万円でごしんぼう願いたい。これは、政府としても、資金コストがもうそれ以上は下がりませんので、そのようにいたしておるので、その点は一つ御了承願いたいと思います。
  84. 小林正美

    小林(正)小委員 この点も、われわれの党の考え方政府の案と少し違っておりまして、今後さらに話し合いの中で一つ検討を続けていきたいと思いますが、今次官のお話の中で、保証協会でやってもらったらいいだろうというお話もありましたので、大月財務調査官お尋ねをいたしたいのであります。信用保証協会というものが、——これはいつも私は言うのですけれども、この信用保証協会ができ上がったそのほんとうの目的は、単独では借りる力がない、そこで保証協会が保証の裏づけをして、金を貸してやる。つまり、ボーダー・ラインにある者に対して融資をするというのが、ねらいであろうと私は思うのです。ところが、実際に保証協会の実態というものをわれわれがよく調べてみると、そういうボーダー・ラインにある者に対して金を貸すために保証協会というものができ上がっておる、つまり、言うならば、借りる者のためにこれはできておるわけですね。ところが、実際にはどうかというと、そうじゃないのです。たとえば、ある商店なら商店が金を借りておった、ところが、どうもその銀行としては、貸した金がなかなか返済されない、そこで、その銀行がその商店のおやじを呼びつけて、どうも右のところは返済状態が非常に悪いじゃないか、一つ保証協会の保証をとりたまえといって、銀行が保証協会に肩がわりをして、銀行が逃げてしまうという例があるんですね。また、保証協会の保証をとって金を借りようという場合には、ほとんど銀行の意見によってこれが左右されておるというのが実態なのです。もっと極端な例を言うならば、保証協会の会長から、保証協会に勤めておる専務理事、職員までが、ある銀行のほとんど古手の職員をもって占められておるという一例がある。だから、こういうことは、保証協会の真の目的をいつの間にやらゆがめてしまって、銀行に奉仕するところの保証協会になり下がっておる。こういう現実がある。そういうことについて、一体大蔵省はこれをどうして黙っておられるのか、この点について、あなたのお考え一つ承りたいと思う。
  85. 大月高

    ○大月説明員 信用保証協会の制度は、今のお話にございましたように、一般のベースにおきましては、金を借りる信用力のない人に対して、保証人の立場に立ってやる、それによって初めて金融べースに乗る、金融の対象になる、こういう制度だと思います。ただ、信用保証協会の制度が法制的に確立してからまだ日が浅いわけでございますので、そう理想的な運用というわけにはいかないと思いますけれども、ただいま仰せになりましたように、ただ銀行のために利用されておるということではなしに、各協会とも、本来の趣旨にかなうように一生懸命やっておるものと考えております。協会の職員につきましても、御存じのように、出資の関係からいきまして、都道府県あるいは市町村の出資が一部入っておるものが多いわけであります。それから、一部金融機関、それから、一部は中小企業金融公庫からの貸付金、こういうような資金構成になっておりますので、職員ないしその運用につきましても、必ずしも、貸す方の金融機関の意向ということではなしに、それらの国なり、都道府県なり、あるいは一部金融機関なり、そういうところから出ております職員が一致してやっておりまして、必ずしも金融機関の立場ではなしに、やはり公共的な色彩を持って運営するという理念は非常にはっきりいたしておるわけであります。ただ、具体的な運営として、あるいは万全を期し得ない面はあるかと思いますけれども、仰せのような極端な場合も、最近はないというようにわれわれは思います。ただ、指導については、まだ制度が若いものでございますから、できるだけ完全になるようにいろいろ指導をいたしておる次第でございます。
  86. 小林正美

    小林(正)小委員 名前はちょっと言えませんが、ある県の信用保証協会においては、会長がA銀行、専務理事がA銀行、職員のうちの半数以上がA銀行というもので占められておる。こういうことに対して、大蔵省は別に何らの指導もなさらないのか、その点どうですか。
  87. 大月高

    ○大月説明員 各都道府県実態によりまして職員の構成が出ておるわけでございまして、あるいはそういう極端な例があるかと思いますけれども、直接の監督関係は都道府県知事になっておるほかに、今申しましたような出資の関係が、それぞれの関係方面から出ておりますので、銀行だけの便宜のために運用されるということはないと思うのです。ただ、仰せのように、かりに銀行の職員だけしか——銀行と申しましても、いろいろな銀行であったらよいと思うのでありますが、ある特定の銀行だけの職員でかりに構成されておるということで、しかも、それが非常な弊害の原因になっておるということでございましたら、よく実情を調査いたしまして善処いたしたいと思います。
  88. 小林正美

    小林(正)小委員 ぜひ一つ、そういう例がありますので、あとで申し上げますが、御調査を願いたい、こう思います。  それから次には、いつも中小企業に対する金融が行なわれる場合には、名前は中小企業金融ということになっておりますけれども、その中小企業金融の運営によって恩典を受けるものは、中小企業の中の比較的恵まれた、いわばボスどもがその恩典に浴しておる。真に金融を必要とするところの小さな業者というものは、いわゆるオミットされておるという例がはなはだ多いですね。特に私はこの際大蔵政務次官お尋ねいたしたいことは、いわゆる勤労性の事業者、これは使用人が、工業の場合は五人以下、それから商業、サービス業においては二人以下の場合ですが、そういう勤労性の事業場に対して、あなた方は今度の災害でどのようなめんどうを見ようとなさるのか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
  89. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 ただいま御指摘のような、比較的小規模の中小企業と申しますか、あるいは家内工業的なものもありますが、そういうものは、大体国民金融公庫並びに中小企業金融公庫、それからそれらが組合を結成しておれば、組合中心で商工中金という融資、こういうふうになろうかと思います。こうした小企業に対するいわゆる事業資金、これは案外国民金融公庫で比較的円滑に融資が行なわれておるように承知しております。特に今回の災害においては、国民金融公庫においては、本委員会からも非常にやかましくお話がありまして、被災地においての国民金融公庫の支所においては、特に人員を増員するとか、その他いろいろな工夫をいたしまして善処しておるつもりでございます。
  90. 小林正美

    小林(正)小委員 私は、実はそのように理解できないのです。ということは、結局比較的大きな工場あるいは商店に対しては、国民金融公庫も相当利用されておりますけれども、小さな勤労性の事業場は、やはり国民金融公庫においても、融資の場合は非常にむずかしいというのが実例でございます。いわんや、今次官がおっしゃった中小企業金融公庫からも金が出ておるというお話でありますけれども、これは中小企業金融公庫の理事がおられますからお尋ねしますが、こういう使用人五人以下、あるいはサービス業においては二人以下というような勤労性の事業に対して、中小企業金融公庫がお金をお貸しになったことがありますか、ちょっと御答弁願います。
  91. 片岡亮一

    ○片岡説明員 お答えいたします。ただいま私の方の貸出残高は千百七十億、もうじき二百億になると思いますが、この貸し出しの口数は七万件をこえております。そのうち、先ほど先生の御指摘になりましたような、一部のきわめて好ましくないボスに利用されておるのじゃないかというようなお話は、これは七万口のうちでございますので、あるいはわれわれの知らないうちに多少のものはそういうこともあろうかと存じますけれども、大勢といたしましては、私ども常に支店あるいは代理店の指導について、中小企業者のための、中小企業者による、中小企業者中小企業金融公庫でなければいけないという理念で指導いたしておりますので、大勢から申しますと、決して不純な方にたくさんの今が流れておるということはないと存じます。ただ、今御指摘のように、二人以下のサービス部門にも出しておるかというような御質問につきましては、ただいまちょっとそういう統計を持って参りませんので、的確な御答弁はいたしかねますが、またあとで調べまして、適当に御返事いたしたいと思います。
  92. 小林正美

    小林(正)小委員 今、理事は政務次官の立場も考えてああいう御答弁をなすったと思うのですけれども、これは次官、勤労性事業者に対して、中小企業金融公庫なんというものはちっとも役に立っておりませんよ。これは相当大きな企業でなければ、実際貸付をしておりません。あとで調べて報告するということでございますから、これは片岡理事にぜひ一つお願いしたいのでございますが、そういう二人以下の零細勤労性の事業に対して、あなたの方が金を貸しておられる例があったら、ぜひ一つ示していただきたい。それは全体のどのくらいの比率になっておるか。これはあとで資料を出していただきたいと思います。  そこで、私も大体質問を終わりたいと思うのでありますが、とにかく今度の政府のいろいろ出された原案を調べてみますと、もう中小企業者という十ぱ一からげの言葉で、ほんとうに困っておるところの零細勤労性の事業者に対しては、何ら特別な思いやりがなされておらない。国民金融公庫へ行ったって、一人か二人しか使っておらぬような商店には、実際はほとんど金を貸しませんよ。現に、私のところにそういう訴えがたくさんきておる。この間も、通産大臣がぜひそういう例があったら教えてくれということで、私もその例をどんどん集めておりますけれども、私は、こういう際は、非常に零細業者が実際数が多いのでありますから、十ぱ一からげに中小企業者ということでなくて、勤労性のそういういわゆる零細企業に対しては、特別な措置考える。たとえば金利を三分五厘ぐらいに引き下げるとか、あるいはまた償還期間を三カ年くらいにするとか、いろいろそういう特別なあたたかい、言うなれば多分に社会保障的な意味を含めた金融措置があってしかるべきではないかと私は思うのですが、この点、大蔵政務次官どうでしょうか。私は、ここに中小企業庁長官もいらっしゃいますし、大月さんもおいでになりますけれども、どうもお役人という方々は、実際業者の苦しみを知らないと思うのです。たとえば、約束手形を持ってきますね。これは大月さん、あなた手形の書き方を知っていますか。中小企業庁長官、あなたは防衛庁におられたから、あるいは御存じないと思いますけれども、これは非常にきめのこまかい施策が必要ではないかと思うので、とにかく百人使っておるところの工場も、二人か三人しか使っておらぬところのサービス業に対しても、ただ中小企業だということだけでもって、資金を流したから何とかなるだろう、これはなかなかそうはいきません。これはぜひ一つ、もし幸いにして大蔵政務次官にそういうお気持があるならば、念のために、やはり金融公庫の末端に至るまで、特にそういう零細企業に対しては十分めんどうを見てやれ、零細企業は、実際のところ担保物件も小ない、保証人になってくれる人も少ない、そういうところに一つ特別なあたたかい配慮をしてやれということを、あなたの方で国民金融公庫の方へ特別にそういった指導をやるお気持があるかどうか、一つお尋ねしたいと思います
  93. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 御趣旨まことにごもっともです。そこで、政府としては、制度はいろいろできておるので、その制度さえ十分活用され、運用されれば、御心配の点は解消すると思うのです。国民金融公庫につきましても、特に零細金融については、御承知でしょうが、一口五万円以内の生業資金の貸付の制度もございます。それから民間金融機関におきましても、労働金庫、これは主として金庫に加盟しておられる労働者に対する融資の方法ですが、それから中小企業者に対しても、特に零細な方々に対しては、これは信用金庫でいわゆる相互共同融資という道もあるわけです。従って、こういう制度の精神に沿うて、政府の指導ももっと積極的に手の行き届くように指導いたしますならば、御心配の点はほぼ解消できると思いますが、政府も、また十分手の届かぬ点は、御指摘通り、今後大いに努力いたしたいと存じます。
  94. 小林正美

    小林(正)小委員 それから大月さんに一つお尋ねしておきたいと思いますが、今度伊勢湾台風で非常に海岸線がひどくやられまして、特に水産加工業者は、自分の家も加工場も全部吹っ飛んでしまった例が非常に多いのですね。それで立ち上がりに非常に困っておりますが、この水産加工業者に対する融資の面は、農林中金でやった方がいいのか、あるいはまた商工関係の方で貸付をした方がいいのか、その点、大月さん、どちらがうまく出そうですか。
  95. 大月高

    ○大月説明員 水産加工業者一般として考えますと、いずれの機関からも出し得ることになっていると思います。ただ、商工中金は、御存じのように、組合金融を主といたしておりますので、組合を組織しておられるならば、組合金融の商工中金の系統がいいのじゃないか。それから、一般の独立した企業としておやりになっておれば、それは国民公庫なり中小公庫というのが、一応の筋かと存じます。ただ、具体的の事例によりまして、いろいろ問題はあろうと思いますけれども、大体の筋として申し上げれば、そういうことであります。
  96. 小林正美

    小林(正)小委員 もうこれで終わりたいと思いますが、要するに、私の言いたいことは、やはり中小企業対策と  いうのは、きわめてきめのこまかいところの施策が必要である。従って、やはりそれを扱う方々は、ほんとうにあたたかい気持でやってもらわぬと、ただもう窓口が書類々々でもってやかましいことをおっしゃると、実際困るのですよ。だから、ぜひ一つそういう点は特別なお気持をもって、なるべく零細なものにまず救済の道を考えてやる、そういうことで、今後万全を期していただきたい、かように考えます。あらためてまた質疑を行ないたいと思います。一応これで私は終わります。
  97. 前尾繁三郎

    ○前尾小委員長 佐藤觀次郎君。
  98. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 中小企業公庫の片岡さんにちょっとお尋ねしたいと思うのです。今中小企業公庫において、銀行に代理店とやらずに、直接やるところの支店あるいは支所、そういうものの数は、日本で幾つあるのですか。
  99. 片岡亮一

    ○片岡説明員 本店を入れまして、ただいま十一カ所でございます。北の方から申し上げますと、札幌、仙台、新潟、それから東京の本店、それから名古屋、大阪、高松、広島、それから金沢でございます。九州にあと福岡と熊本、支店が十カ所ございます。
  100. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 実は私は、大蔵委員を、代議士やってから十年近くやっているのですが、一度も中小企業金融公庫から借り入れたことがないのです。私は名古屋の近くなんですが、国民公庫は非常によく行きますけれども、中小公庫の方は、今まで一度も、私があっせんしたのでは、貸してもらったことがない。そこで、きょう坂口さんにぜひ会いたいと思ったのですが、坂口さんは、中小企業公庫からずっとやっておられるのですが、今まで実際に私たちの希望は通っておらないのです。これはおそらく一部の銀行との取引のある人以外は、まずまず利用されていないという点が多いのじゃないか。そこで、今度は大災害が起きたから、そんなことは言っておられませんけれども、そういうように、今までせっかく大きなこういうような機関ができておっても、先ほど小林委員からもいろいろ質問があったのですけれども、事実は利用されていない。私は大蔵委員関係で、むしろそんなに利用できないものなら、国民公庫と一緒になって、そうして国民公庫でたくさんのワクを持って、五十万とか三十万ぐらいのやつをどんどん貸した方がいいのじゃないかという意見を持っておったのです。ところが、今度は中小企業がひどい目にあいまして、そういうことを言っておられない。そこでこれからお尋ねするのですが、今まで、最高どのくらいまで貸して、最低はどのくらいのところが、大ざっぱでいいですけれども、金額としてどれくらいのものをお貸しになっておるのか、また最低はどのくらいかということを、簡単でけっこうですから一つ
  101. 片岡亮一

    ○片岡説明員 お答えいたします。ただいまの御質問は、大体今度の東海三県の災害融資に限っての御質問と考えますが、今日まで大体十六億くらい、名古屋支店で直接貸し、代理貸しまぜまして貸し出しいたしておりますが、これを一件平均にいたしますと、大体二百万円ちょっと上になっております。中には千万近いものもございますし、すその方は五十万とかいうくらいになっておると思います。ただ問題は、国民公庫さんとの重複をなるべく避けるというような意味で、三十万以下の小口のものは、なるべくこちらでお扱いしないというような考えでございますので、平均としては大体二百万ちょっと上くらいにいくと思います。
  102. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 私、名古屋の近くなんですが、たびたび中小企業公庫の方へ紹介してやっても、銀行との取引がないからいけないというのが今までの例ですが、最近は、今言われたように、直接のあれができたのだから、最近は行きませんけれども、その点で、私たちも、せっかく中小企業公庫という名前があっても、実が伴わないような、そういう懸念を持っているのです。そこで、今度は相当資金量のワクも多いし、それから私たちにも、直接そういうような中小企業公庫に対する需要が非常に多くなっているわけです。そこで国民公庫は、割方簡単に、簡単といえば、これは額も少ないから——三十万か四十万くらいのところだからいいけれども、中小企業公庫はそう簡単にいかないところもわかりますけれども、しかし、どうも銀行との取引がないと金が融通してもらえぬ。これは国の金を扱うわけございますから、そうやたらに貸してもいけない、あと返済する必要もある関係上、それはわかりますけれども、どうもそこのところが少し窮屈ではないかと感じます。そういう点について、もう少し中小企業公庫のワクを一つ広げて、もう少し簡易に貸せる方法はないかというように考えるのですが、そういうお心持があるのかないのか。あるいは今度の災害関係で、御承知のように災害にあったのですから、せっかく持っておったものも、現にまだ水についておりますが、そういうところは不安定といえば不安定、安心ができないといえば安心ができないような点もありますが、そういうような点についても、もう少し深い思いやりがあったらどうかということを——あなたは総裁でないから、そう強いことは言えぬかもしれませんけれども、その点をお伺いしたいと思います。
  103. 片岡亮一

    ○片岡説明員 お答えいたします。私、災害の直後、切符とれますとすぐ名古屋に飛んで参りまして、約一週間滞在いたしました。私も、この年になりますまで、各地のいろいろな災害を経験しておりますが、今回の東海地区の災害は、従来の災害に比べまして、その質において、またその大きさにおいて、比較にならぬ非常に大きなものであります。従って、今回のこの災害に対するわれわれの態度というものも、従来幾多の災害融資を扱って参りましたが、そうした態度よりはもっと飛躍的な考えを持って、これに当たらなければいけないということで、帰りましてすぐ本店に災害対策本部というものを作りましたし、さらに、役員を常に名古屋に常駐させる、あるいは職員もたくさん動員いたしまして、できるだけ広く早く、いただきました財政投融資の金が中小企業の方々に御活用いただけるように、種々対策を講じたわけでございます。  御指摘のことでございますが、第一点は、私どもの方の資金、先ほど申し上げましたように、全体で千百何十億の残高がありますが、これは全部やはり中小企業の方に使っていただいておるのでございまして、決してよそに流れておるわけではございませんで、いわゆる中小企業者のための中小企業金融公庫としての役割を十分果たしておると思います。  なおまた、その次の点で、条件の問題でございますが、災害融資に限りましては、たとえば百五十万以下のものは、代理店の判断によりまして、無担保でも貸し出しをするという手続をやっております。それからまた、従来代理店の保証責任は八割持っていただいておったのでございますが、百五十万以下の分については、この保証責任の率を引き下げるということで、ただいま主務官庁ともいろいろ折衝申し上げておるわけでございます。  それから代理店の方に対しましては、先ほど先生の御指摘もございました自分のところの取引先以外には貸し出しをしないというようなこと、これは今でもそういうことは決してないのでありまして、私どもの方で統計的に調べますと、四割近くのものは代理店の新規の貸付になっておりますので、決して従来の自分のところの取引先のところにだけ公庫の金を流しておるということはないのでございますけれども、特に今度の災害融資につきましては、そういう点について万遺漏のないようにということで、常時代理店の指導はきわめて緊密にやっておるわけでございます。
  104. 前尾繁三郎

    ○前尾小委員長 佐藤君、国民金融公庫の理事の水谷さんが来ておられますから……。
  105. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 そこで、災害が起きましてから今ちょうど五十日ばかりになります。今度の政府のワクの中でいろいろと苦労されていると思うのですが、名古屋の現場はどのような状態になっておるか、ちょっとそのことについて御報告願いたいと思います。
  106. 片岡亮一

    ○片岡説明員 先ほど申し上げましたように、今回の災害の質と量というものは、非常に深くして大きいのでございますので、はたしてわれわれどもの方の資金は確実にどれだけ用意すればよいかというようなことは、なかなか現在の段階ではそろばんがとりにくい面がございます。ことに、私先々週も名古屋に参りまして、その後の復旧の状況を見て参りましたが、大体現在のところでは、今さら申し上げるまでもないと思いますが、根本的な復旧というものはかなりあと回しになって、要するに目先の復旧、とにかく早く商売を始めよう、仕事を始めようという機運が非常に強く、それに伴う資金の需要が多いのでございますので、さしあたりのところは、先般ちょうだいいたしました額を上手に繰り回して参りまして、そして先へいきまして若干何かこぼれが出るようでございますれば、私どもの企業努力によりまして、従来の一般のワクを使っていく、あるいは場合によっては三十五年度の方にずり込ましてやっていきたい、かように考えております。
  107. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 現在これだけ借りたいという人の申し込みと、それからあなた方の資金量のワクというものとの間に、どのくらいの差があるんですか。
  108. 片岡亮一

    ○片岡説明員 お答えいたします。現在どれだけの需要があるかということは、これは毎日々々お客さんが参るわけでございまして、たとえば今度の台風の結果、お前の方の資金需要は総額幾らかということになりますと、これは今の段階では的確なものがつかめないわけでございますが、現在私どもの方へ申し込みをいただいておりますものは、特に資金の使途で工合の悪いものは若干除きまして、ほとんど百パーセント近く資金を融通いたしております。
  109. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 一ぺん私も名古屋で調べてみます、片岡さんの言うことがほんとうかどうか。申し込めば大体よいというふうに考えてよいと思います。ちょうど国民金融公庫の水谷さんが来られましたから、水谷さんにちょっとお伺いしたいのですが、この間私名古屋に参りました。私は名古屋ではございませんで、郡部の方に選挙区を持っておりますが、国民金融公庫においては、相当資金を上回った需要があるということですが、それで現状はどのようになっておるのか、こういう問題がありました。それは御承知のように、名古屋には二つ国民金融公庫の支所があるわけですが、熱田区の方は非常に水がひどかっただけに、非常に多くの申し込みがある。しかし、御承知のように、調査をしなければならぬけれども、一日調査をしても平均三件か四件しか一人でやれないというようなことで、年末を控えて非常に熱心にやっておられるわけです。そこではたして年末にうまくマッチして政府資金が一般に考えられるようにうまくいっておるのかどうか、その現状を少しここで発表していただきたいと思います。
  110. 水谷登代七

    ○水谷説明員 お答えいたします。名古屋というお話でございますが、東海三県の中の愛知県だけ統計を今持って参ったわけでございますので、この中から豊橋の管内を除いて御説明いたしてよろしゅうございますか。それとも愛知県だけでよろしゅうございますか。
  111. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 豊橋を入れても、のけても、どちらでも……。
  112. 水谷登代七

    ○水谷説明員 それでは愛知県には豊橋を入れて三つの支所がございますので、愛知県を合計して申し上げます。これは十一月十四日現在でございますが、融資相談を受けましたのは一万一千三百九十二件、金額にいたしまして四十八億六千三百余万円となっております。そのうち、申し込みを実際受け付けましたのが九千七百七十三件、四十三億一千四百万円、それで貸付決定いたしましたのが五千四百九十九件、十二億四千二百万円でございます。そのうち、貸付を実行いたしましたのが三千二百三十二件、七億六百万円という数字に相なっておる次第でございます。それで大体二週間ぐらいで申し込みから貸付の決定をいたしております。ところが、零細金融と申しますのは、貸付の決定通知をもらいますと、安心してなかなか金を取りにこない人がいるというような関係がありまして、十二億四千二百万円の決定をいたしておりながら、貸付実行いたしておりますのが七億六百万円という数字になっておる次第であります。この調子で参りますと、年内に来年度第四・四半期に持ち越す分もある程度できると思いますが、ある程度申し込みは山を越したのではないかというこの間の報告でございますので、年内に大部分の貸し出しを実行できるのではないかと考えておる次第でございます。私どもは、伊勢湾台風の未曽有の被害であるということにかんがみまして、十月十七日から東海三県に対しまして、五十名の応援を出してやっておる次第でございます。東京その他から応援を出しておりますので、割にスピーディに仕事が進んでいると考えている次第でございます。
  113. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 大体東海三県で四十二億のワクがあるのでしょう。四十二億あって十二億とすると、三十億ぐらいまだ残っているわけですね。
  114. 水谷登代七

    ○水谷説明員 そういうことに相なります。
  115. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 実は私きのう行ってきたんですが、まだ水の入っておるところに十万人ばかりおるようであります。そこで、今あなたが大体これで終わるだろうと言われましたけれども、まだこれから水が引いてから商売を始めるという人があるわけです。それだから、おそらく年末を控えて、水が引いてから一週間ぐらい仕事ができないわけですから、そういうような点でまだこれからも申し込みがあると私は見なければならぬと考えますが、その点について、遺漏ない用意をしていただけるということですが、もう一つは、五十人応援を出されたということですが、この間現場を見て参りましたけれども、なかなか初めての人でもあるし、せっかく有能な人でも、土地の事情になれない点があるわけです。そういう点で、必ずしも仕事が円滑にいっているとは考えられない点があるわけです。こういう点について、もっと中央の方からも、適宜暮れから正月に間に合うように努力していただきたいと思うのですが、そういう点についてどういうお考えがあるのか。これでいいなんということを考えているとすれば、水谷さんなどは、中央におってあまり地方の事情を知らないということになるわけです。私らはしょっちゅう行っておるからわかるのですけれども、必ずしもあなた方の報告とわれわれ現場を見てきた者とは一致しないのです。そういう点についてのあなたの考えは、大丈夫だと言われるが、大丈夫だとはだれも思っておらないんだ。あなたの方は、大丈夫だろうと、遠くの方で、ずっと天井から下の方をのぞいておるようなことですが、そういう点については、われわれは現実に見ているので、必ずしもあなたが言っているほど現場は円滑にいっていない。そういう点を考えられたことがあるか。そこにおるあなた方の支店長あたりは、よく知っていますから、そう簡単にうまくいっているとは思っておりません。これはいろいろな事情がありまして、そうあなたがここで報告されるように、うまくいっているならば、私は質問する必要はないのです。必ずしも現状はそれほどうまくいっておりません。そういう点についての最近の報告をあなた方は受けておられるかどうか、この際お伺いしたいと思う。
  116. 水谷登代七

    ○水谷説明員 私ども、東京からだいぶ出しておるのでございますが、応援に出しておりますのは、審査に経験のある者を出しておる次第でございます。特に優秀な人間をピック・アップして出しておる次第でございますが、何分にも土地にふなれだという点は、これはいなめないことだと思います。今まで報告を受けておりますところでは、二週間ないし三週間で貸し出しを実行できるような段階になっておりますので、割合に順調にいっておるのではないかと考えておる次第でございます。
  117. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 私は、ここに大蔵、通産の政務次官がおられますから、一言申し上げておきたいと存じますが、実際は、国民公庫は支所を比較的たくさん持っておりますから、相当円滑にいっておることは事実です。しかし、中小企業金融公庫は、金を貸す額が大きい関係もありまして、一般にはなかなか行き渡らない点があるように考えておるわけです。そういう点で、私は、必ずしも地方においてそれが円滑にいっておるかどうかということについては、疑問を持っておるのです。これは大蔵、通産両方の関係の政務次官がおられますから、この際お伺いしておきますが、あなた方は、このままでやっていっても大丈夫だ、こういうふうに思っておられるかどうか、その点を両次官にお伺いしたいと思います。
  118. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 佐藤委員承知のように、私は、実は長年商工委員会で苦労して参りまして、自分では、この面について非常な研究をして参ってきておるつもりでありますが、なかなか満足がいくような結果が得られているとは今日考えていません。それは佐藤委員がおっしゃるように、国民金融公庫は百近い自己の店舗を持っておる。商工中金にしてもまたしかりでありますが、中小企業金融公庫は、先ほども政府委員から説明がありましたように、本店を含めて全国十一しかありません。あとは一般の金融機関の代理店貸し出しにたよらざるを得ない。代理店たる金融機関は、それぞれ独立の営利金融機関でありますから、私ども昭和二十八年に中小企業金融公庫を作りました当時の理想が、今日これらの代理店運営のみによって行なわれているとは、私は今まで考えていなかったわけでありますが、その考えを私は通産省へ持ち込みまして、今後は自己の店舗の増設をはかる。しかし、これは金がかかります。わずかに政府から毎年入れる程度の財政投融資では、にわかに自己の店舗をふやすということになりますと、貸す金よりも自己の店舗の営業資金がたくさんかかってしまう、これまた困りますので、一挙に支店は作れないのでありますが、漸次ふやす。もう一つ大切なことは、代理店の指導監督ということを今後さらに徹底して参らなければ、先ほど佐藤委員も言われましたように、代理店は自己の従来の取引先のみに重点を置いて、自己の店舗に取引関係のない中小企業者が申し込んだ場合には、言を左右にかまえてなかなか利便をはからないという弊害が、今なお若干残っておりますことは私も認めますので、これらの点を今後十分改善をして参らなければならぬ、かように考えております。
  119. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 私は、ずっと大蔵委員会に所属しておりまして、金融行政を勉強する立場から、中小企業金融公庫のあり方を研究して参りました。現在の中小企業金融公庫のあり方については、その見方において、先にお述べになった内田通産政務次官の見方、考え方と全く同一であります。特に今度百万円以内は三年間六分五厘の低利融資をするということは、一般の金利と比べるとかなり恩恵的なことでありますが、これが十分一般中小企業者に行き渡るほど潤沢にこの資金が流れればいいけれども、ごく僅少であるということでありますと、そういう恩恵的なものならだれしも利用したがるということになって参りますから、その代理店の金融機関が、日ごろのお得意には恩恵的に貸すが、全然初めてのお客はつい人情としても出しにくくなる、そういうえこひいきが起こりはしないかという懸念を実はなおさら持つくらいでありますので、大体内田政務次官と同じような考え、また懸念を持つ次第で、こういうことのないように、今後十分指導しなければならぬと存じます。
  120. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 この据置期間をもう少し延ばしてもらう方法はないのか。どうも今のような状態だと、実際の場合において、金を借りてもすぐ返さなければならぬ。私は、二年か三年くらい先にならなければもとには復しないように思うのですが、この据置期間をこのような短い期間にされた理由は、どういう事情によっておるのか、その根本のあれを、奥村さんか大月さんか、どちらでもけっこうですから、説明していただきたいと思います。
  121. 大月高

    ○大月説明員 中小企業金融公庫につきましては、従来据置期間六カ月を、災害に関しましては一年に延長しておるわけでございますが、全体の貸し出しの期間自体がそう長くないわけでございまして、五年見当でございますから、一年の据置期間というものは相当大きなものでありまして、これを二年、三年にするというのは、つり合いがとれないのではないかと考えております。
  122. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 それでは利息の問題ですが、先ほど奥村さんはこれくらいの安い利息ならいいだろうというお話でありますが、高いという声もあるわけです。それはおそらくこういうふうな場合には、政府資金の場合ですから、一般の商取引の場合と違いまして、今度のような大きな災害を受けているような中小企業者に対しては、利率をうんと下げて、ほとんど無利息くらいな程度で貸し与えることはできないのか。その点については、何か基準があって三分五厘という利率になっておるのか、その点をもう一度大月さんから伺いたい。
  123. 大月高

    ○大月説明員 ただいま特別金利六分五厘ということでございますが、従来、一般に借りますと九分三厘でございますので、相当大幅な優遇をいたしておるのであります。三分五厘という金利は、今の政府機関においてはまだとっておりませんので、コストの上からいって非常に困難かと思います。
  124. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 内田政務次官にもう一つお尋ねしたいのですが、この中小企業金融公庫が比較的利用しがたいというのは、先ほど申されたように、やはり代理店銀行との取引関係でやられるというような関係上、非常に不便を与えておると思うのです。幸いにして、国民金融公庫は支所もできて完備もしているし、おそらく将来そういうような傾向は少なくなると考えておるわけです。しかし、中小企業金融公庫の方の支所は、現在のところどれくらいの数が全国にあったならばどうにか面目が保てるかということについて、通産省の方にもそういうような一定の基準があるのではないかと思うのですが、そういう点をどういうふうにお考えになっておるのか。幾つぐらいまでいけば、どうにか直接的に国民金融公庫と同じような機能を果たし得るかということの、一定のワクが考えられると思うのですが、その点の数はどれぐらいに見込んでおられるのか、この際伺っておきたい。
  125. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 私の個人の見解を申しますならば、全国で三十ないし五十はぜひほしいのでございます。  なお、お尋ねがございませんでしたけれども中小企業金融公庫が主として代理店にたよっている結果、中小企業者一般が非常に不満を持っていることにつきましては、これは私の持論でありますけれども政府ではない、中小企業金融公庫は、その代理店に保証責任を持たしてやっておることは、御承知通りであります。代理店が貸した場合には、その八割は代理店が保証の責めを持つ、こういうことでありますから、代理店としてみれば、信用状態のわからない、従来取引のない中小企業者のために、八割の保証責任までもしょいながら中小企業金融金庫の金を代理融資するということは、なかなか踏み切れないんじゃないかということで一保証責任の限度を大いに下げるべきである、他の農林漁業金融公庫とか、国民金融公庫などにも例があるので、思い切って下げるべきであるということを、私は政府に参りましても主張をいたしておることは、これは佐藤委員承知通りであります。今回、さきに公庫からも御発言がありましたように、災害融資につきましては、その保証の率も下げまして、やや私も満足いたしておりますが、あれやこれやのところを用いて、一挙に三十、五十は作れませんけれども、それに達する間、中小企業一般の人々が満足のいくようなことをぜひ考えてみたいと考えます。
  126. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 やはりそういうような見解でやらなければ、せっかく中小企業金融公庫があっても、頭だけあって、足はないというような形になるんじゃないかと思われますので、ぜひ一つそういう点も考えていただきたいと思うのです。  それからもう一点、片岡理事にお伺いしたいんですが、国民公庫の方は多少知っておりますが、損害補償はどの程度のパーセンテージなのか、パーセンテージにすればどのくらいの金が回収不能になっておるのか、そういう点がわかっておったらお答え願いたい。
  127. 片岡亮一

    ○片岡説明員 お答えいたします。大体私の方は、先ほど来話しにも出ておりますように、代理店の保証責任でございますので、現実に回収不能になったものが全部私の方でかぶるというわけではございませんで、中に立っております代理店が相当それを処理してくれるわけであります。現在のところ、それでもなおかつ回収不能になっておりますのが、大体三%前後というふうに考えております。これが少なくていいか、もっと多くなければいけないのか、いろいろ議論のあるところと存じますが、大体三%ということに相なっております。
  128. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 大月財務調査官にもう一つお伺いしたいんですが、今度は災害関係で、多少出先の方ではそういう回収不能の問題が出てくると思う。しかし、これは国家がこれほど大きな災害を受けたので、各機関の資金需要者も、そういうことになって多少は減らしてほしいということもあるので、そういうことについては、政府はどういうふうに考えておられるのか、大蔵省の見解を一つ聞いておきたいと思う。
  129. 大月高

    ○大月説明員 ただいま片岡理事からお話がございましたように、中小公庫につきましては、若干の貸し倒れが従来あるわけでございますが、これは今度の災害に関しましても、特に貸し倒れがふえてもいいとは考えておりません。やはり従来の国民公庫ないし中小公庫のぎりぎりの線までお貸ししておるんだというように了解いたしております。むしろ資金の量をふやす、それから代理店を活用するという意味で、今の保証責任を若干軽減する、その結果として、公庫がかぶる量はふえてくるかもしれませんが、危険率は、少々危険であって貸してもいいというわけにはいかない。むしろ従来、災害の観点を離れましても、相当努力して貸しておるというようにわれわれは考えております。
  130. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 現在の状態では、やはり中小企業金融公庫、国民金融公庫にたよる点が非常に多いと思うのです。特に今度の災害のために、おそらく東海三県の各地とも、非常に中小企業金融公庫や国民金融公庫に殺到しておると思うのです。そういう点で、せっかくの機関があるし、同時に政府も、十分とは言えませんけれども、ある点までの相当のワクを東海三県にも与えておる関係もありますので、どうか一つ悔いを残さないように、この際特に留意していただくようにお願いしまして、私の質疑を終わります。
  131. 辻寛一

    ○辻小委員 今お話の出ておりました中小企業金融について、ちょっとお尋ねしたいと思います。私の手元には、先日お尋ねをいたしました十月三十一日現在の三公庫の災害融資の処理状況がございまするが、今国民金融公庫の方から、十一月十四日現在の処理状況をお話しいただいたのであります。従って、ほかの中小公庫も商工中金も、そうした処理状況の一番新しいのを一つお出しいただきたいと思います。実はそれに基づきまして、この十月三十一日と、ここ約二週間の間における数字の動きによりまして、一体世間で非常に不満を述べておりますそれが、ある程度当たっているかどうかということを分析してお尋ねをいたしたいと思ったのでありますが、とりあえず今承りました国民金融公庫、これは私、今少し数字をしるしただけでありますから、間違いがあるかもしれませんので、照らし合わせてなにしていただきたいと思います。私はのみ込みの悪いものですから、お教えをいただきたいのですが、申し込みの受付というものは、ずっと通しで、延べじゃございませんか。それとも処理をいたしました分だけは落として、そうして現存いたしておる申し込み、こういうことでございますか。まずその点。
  132. 水谷登代七

    ○水谷説明員 お答えいたします。ただいまのは、延べでございます。初めからずっと現在までの計算でございます。
  133. 辻寛一

    ○辻小委員 そういたしますと、私の承ったのは、国民金融公庫の受付、十一月十四日現在一万一千三百九十二件でございますか、そういうことじゃございませんでしたか。一万一千三百九十二件の四十八億六千万円——違いますか。
  134. 水谷登代七

    ○水谷説明員 ただいまの御質問は、東海三県でございましょうか、それとも……。
  135. 辻寛一

    ○辻小委員 東海三県です。今あなたのおっしゃったのも東海三県でしょう。
  136. 水谷登代七

    ○水谷説明員 一等最初に申し上げたのは、愛知県だけです。
  137. 辻寛一

    ○辻小委員 愛知県だけですか。
  138. 水谷登代七

    ○水谷説明員 はい。——それではあらためて申し上げます。東海三県の十一月十四日現在の申込件数は、一万四千九百十八件でございます。金額にいたしまして、六十一億八千六百二十三万三千円ということになっております。貸付の決定をいたしましたのは、そのうち八千二百五十三件、十八億五千四百十万五千円という数字でございます。
  139. 辻寛一

    ○辻小委員 わかりました。私が勘違いをいたしておりました。十月三十一日現在で、一万二千三百幾つあったのが減ったように思いましたが、これは私の勘違いでありました。そういたしますと、これは貸付を済ました分でございますね。貸し出し済みの分が十八億五千四百万円ということに相なるわけで、そういたしますと……。
  140. 水谷登代七

    ○水谷説明員 ただいま申し上げましたのは、貸付の決定をいたしました数字でございます。貸付の実行の数字は、そのうち四千六百五十六件、十億一千百九十二万五千円という数字でございます。これが貸付を実際に実行した数字でございます。
  141. 辻寛一

    ○辻小委員 わかりました。  それからこの中小公庫の方の直接貸しは、十月三十一日によりますと、一件五百万円しかございません。貸し出し済みの方でございます。四百五十三件の中でわずかに一件、九億九千八百万円の中でわずかに五百万円しかございませんが、その後二週間のうちに、この方はどういうふうになりましたか。
  142. 片岡亮一

    ○片岡説明員 直接貸付は、私の方へお申し込みをいただいたのが、十月もかなり押し迫ってから、業者の方といたしましても相当計画が固まりましてからお話をいただいておりましたので、それに伴いまして処理もだんだんおくれておりますが、現在のところ、大体四千三百万円の決定をいたしております。
  143. 辻寛一

    ○辻小委員 何件で……。
  144. 片岡亮一

    ○片岡説明員 六件でございます。それで目標といたしましては、年内に五億、それから第四・四半期に参りましてから、五億くらい処理いたしたいと考えております。いただきました財政投融資の額全体のうちで、十億だけを直接貸付いたしまして、あとを代貸しの方に回すという一応の割り振りで考えておりましたので、ただいまのような目標をきめておるわけであります。
  145. 辻寛一

    ○辻小委員 役員まで派遣して、飛躍的にやろうという、先ほどあなたのあたたかいお気持まで承ったのでありまするが、ともいたしますると、中小公庫へ参りましても、やはり銀行回しということになってしまう。銀行へ行けば、やはり今までの取引のある人にほとんど限られるというような状況でありまするから、やはり新しい人は、たよりにいたしますのは直接貸付なのでありますから、これはあなたの方が模範を示す意味におきまして、普通銀行に積極的に、それこそ文字通り、飛躍的な努力をもちましてこれをおやりをいただかなければならぬ。一応十億ということでありますが、この状態では、十億も直接貸しをやられることはなかなか容易じゃないというようなスローモーぶりとしか承れませんが、どうかこの点を、——こういう不満が多いわけでありますし、せっかくこの直接貸しをおやりになったのでありますから、銀行へおっぽっていかれたんじゃ立つ瀬はございません、積極的にあなたの方でめんどうを見てやろうという気持で督励をして、まずこの代理貸しの方へその見本を示す、手本を示すというような方法で、意気込みでお行きを願いたいと思います。
  146. 片岡亮一

    ○片岡説明員 ただいまの御要望につきましては、われわれの方といたしましても、できるだけ御期待に沿うように努力いたしたいと存じます。従来は、直接貸付は、実は審査にかなり長い期間を要しておりましたのですが、今度の災害融資につきましては、少なくとも一件二週間ぐらいの審査で、どんどん早くやって参りたいというふうに考えておるわけでございます。先ほど来お話の出ております通り、東海三県には、われわれの方は名古屋一つ支店がございますだけで、災害融資のように広く早く金を出す場合には、やはり代理店網というものを活用することが一番理想的であろうという考えから、資金の割り振りを、十億を直接貸し、三割を代理貸しというふうに一応やっておるのでございますが、なおこれは、何もそうきまった、きちんとしたものでございませんので、直接貸しがどんどん申し込みがございますれば、それに応じまして、できるだけ努力して参りたいと考えております。
  147. 辻寛一

    ○辻小委員 それから国民金融公庫の方でありまするが、十月末で四億でありましたのが、十四日で十億こえたということでありまして、この刻み足の工合、この分でさらに加速度的に進んでいただけばけっこうだと思いまするが、ただ金額が、やはり平均いたしてみましても、二十二、三万くらいにしかならぬようでございます。大体申し込みの方は、平均いたしまして、やはり約四十万そこそこのようであります。何といったって、国民金融公庫、百万まで貸すということにはなっているけれども、あれは言うだけのことで、とても三十万以上はだめなんだからということで低目に見まして、これはどうせいかぬものをよけいかけても仕方がないということで、四十万くらいだろうと思いますが、現実にお貸しになっているのは二十二、三万ということですね。これはそれで足りる人もありましょうが、やはり四、五十万というところが実は生きるかどうか、実際はほしい金なんです。あとは中小公庫、平均やはり二百万は飛びます。商工中金はやはり四百万から五百万というところになりまして、百万から五十万、三十万あたりというところが、ここに非常に大きな空白があるわけでございまするから、もう一つ勉強されまして、平均額はこれでもうけっこうですが、一体一番よくお貸しになっておるのはどれくらいでございますか。聞くところによると、三十万以上はもうてんから貸してくれぬ、相談にも乗ってくれぬということを聞いておりますが、どうなっておりますか。
  148. 水谷登代七

    ○水谷説明員 これは一般の貸付でもそうでございますが、五十万円をこえたものは東京まで書類が回ってくることになっておりまして、最近の書類を見ますと、災害貸付で二百万円というのがちらほら見える実情でございます。そうたくさんは回って参りません。最近は二百万円しか出ておりませんので、そういうふうになっておる次第であります。
  149. 辻寛一

    ○辻小委員 二百万円というようなのは暁の星のごとく少ないでしょうが、その程度になりますれば、これは中小公庫に行かれましても優に融通できると思う。やはり四、五十万円程度というものは、一番過不足なく、需要の最適度だと私は思うのでありますから、どうか借り手が行きましたら、一番適当なところを十分考慮をされまして、その需要に応じていただくように、この上ともお骨折りいただきたいと思います。  それから今度は通産省の方にお尋ねいたしたいと思います。中小商工業者の共同施設、これは今度ずいぶんやられましたが、この修理復旧につきましては、先日も通産大臣から、商工中金から六分五厘の低利で、三百万円を限度として融通をするというようなお話がございましたが、このほかに、何か彼らが修理復旧のために特別な方策をお考えいただいておりませんか。この間も、農林方面の団体とはおのずから、中小商工業というものはおい立ちといい、またその性格といい、違っておるからというお話もございましたけれども農林関係の方の協同組合には、共同施設に対しましても国庫補助もあるわけでございますから、何か利子のつく金を貸してやる、これもありがたいことでございますが、それより以上に、さらに一歩を進めて、中小企業者の共同施設修理復旧のためにはだお脱ぎをいただきたいと思うのでありますが、何か一つ考えのほどがありましたら承りたいと思います。
  150. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 私も実は辻委員と同感の点があるのでありますが、今回の法律措置によりましては、中小企業者の共同施設に対しましては三百万円までではなしに、五百万円でも一千万円でも二千万円でも、商工中金から金を出すように指導をいたします。ただし、法律の規定によります六分五厘の低利の適用を受けますのは、一千万円貸す場合には三百万円までであるということでありまして、三百万円で切ってしまうつもりはありませんので、商工中金もそれ以上の融資のめんどうを見ることが一つと、もう一つは、御承知のように通商産業省の関係におきましては、中小企業の設備の近代化資金というものと、それから共同設備に対する助成資金の制度が法律化され、また予算にも組んでございます。この金は、ことに合理化資金の方が主でありますけれども、年々飛躍的にふえておりますので、これらの共同施設の本格的復旧につきましては、通産省から明三十五年度の予算におきまして、共同設備の建設助成資金の予算をできるだけ多く獲得する努力をいたしまして、これは御承知通り府県に無利子で渡しまして、同額を府県が集めまして、そうして共同設備所要額の一定の範囲内で、三分の一とか二分の一とかいうような範囲内で無利子の金を出すわけでありますから、他の半分は、一般の金融機関から借りましても非常な安い利息ということになりますので、その制度を、さらにこの際、あるいは今後にわたりまして、積極的に活用して参るような心組みでおりますので、御了承を願います。
  151. 辻寛一

    ○辻小委員 今の無利子のお金でございますが、これは来年度でなく、今年度そういうような方法にしていただくわけには参りませんか。今の三百万円に限らぬ、何千万円とおっしゃいますが、そんなに貸してもらっても利子のつく金ではしようがありません。よく名古屋を言いますが、これは都市に一番多い現象でありますが、たとえば、商業者なんかでアーケードだとか、街路灯とかを発展街ではやっておりますが、こういうものの修理復旧なのであります。従いまして、これを全部やられましたし、また不景気でもありまするし、元来ならばこれは、県、市、わずかではございまするが、補助金を出しておるような状態でございます。しかし、なかなか自力でもって、このときこの際、都市美を整えるというわけには参らないわけであります。そんなに大きな金ではないわけでありますから、せめて無利子で貸し付けていただく。年賦で返すというような方法でも、さっそく一つおとりを願えればまことにありがたいと思いまするが、ほのかに聞くところによりますると、近代設備化資金の貸付金のうちに、だいぶまだ不用の項目ができておりまするけれども、お客さんが来たら、閑古鳥が鳴いておるような金なんかもあるように承っておりますので、来年度はまた来年度でなにすることにしていただいて、今年度は、もしそういうものがありますれば、せめてその中からでも一つ無利子で長期貸付というような方法でもやっていただく。元来ならば、一つ補助金でも出していただきたい。そうした特例法でもお出しをいただければまことにありがたいと思いまするが、法案も出そろっておりますし、そこまで御無理も言いがたいかと思いまするので、せめて実質的にそういう商業者、中小企業者が喜ぶことのできるような方法を一つ講じていただくことは、まことにありがたいと思うわけでございます。
  152. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 辻先生は、私ども通産省におきまして、同じような関心を持っておることは御承知のようでありまするが、本年度の予算におきましては、中小企業振興資金助成法の関係の予算は全体で十一億四千五百万円あるのであります。そのうちの十億は、今お話しの共同設備に対する助成資金ではなしに、設備近代化の方の資金でありまして、これはありていに申し上げますと、大体全部各府県にこれまで割当を要しておりましたところが、三千万円くらいの不用額が出る見込みでありましたので、これは設備共同化資金ではございません、近代化資金でありますが、今回の災害が一番ひどかった愛知県を中心とする地域に、再配分をすることで計画を立てております。それから残り一億四千五百万円というのは、今お話しの共同設備に対する助成資金でありまするが、このうち五千万円くらいまだ配当いたしてないものがございます。やや当初の配当目的と、今回の災害にかかる共同施設の復旧建設の目的と異なる点がありますので、はたしてこれが仰せのように、流用、活用できるかどうか、まだ未確定の点があります。これは私どもも、先般来実は鋭意大蔵省と相談をいたしておりますので、極力御趣意に沿うことができるようになればよいと思いまして、努力を続けております。しかし、一般的に申しますと、先ほども他の政府委員から話がありましたように、災害による施設の本格的復旧というものは、これは明年に持ち越されるものが相当多いと思いますので、ことしに流用できる資金考えますと同時に、明年度もあわせて考えていきたいと存じておる次第でございます。
  153. 辻寛一

    ○辻小委員 今通産政務次官からああいうようなお話がありましたが、大蔵政務次官はいかがでございますか。これにつきましては、あなたの方と御折衝をいただいておるそうでありますが、何か色よい返事を出していただきたいと思います。
  154. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 ただいま内田通産政務次官から、共同施設の本年度の予算の使用について大蔵省と折衝中ということについては、私はまだ承知しておりません。さっそく大蔵省へ帰って、調べまして、なるべく御趣旨のように、また通産政務次官のお述べになりましたように、実現いたしますように取り計らいたいと思います。来年度予算においても同様にいたしたいと考えております。
  155. 辻寛一

    ○辻小委員 なおその御好意をお示しいただきます場合に、中小企業等協同組合法によって正式にできておりまする組合は、適用を受けることは当然となりますが、商業者の団体はそうではない任意団体がずいぶんございます。こういう方面にもこの恩典、特典を一つ与えて、均霑せしめていただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  156. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 辻先生の言われることはごもっともでありますが、法律的には不可能ではないかと思うのでございますけれども、この金の出道は商工中金を使いますので、商工中金を指導いたしまして、組合の結成できるような見通しがつきますならば、商工中金を通じまして、行政措置で目的を達するような方途を考究して参りたいと考えております。
  157. 前尾繁三郎

    ○前尾小委員長 ほかに御質疑はありませんか。——次回は明日午前十時開会することとしまして、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十六分散会