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1959-11-17 第33回国会 衆議院 災害地対策特別委員会建設等小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十七日(火曜日)     午前十一時一分開議  出席小委員    小委員長代理 田村  元君       岡本  茂君    徳安 實藏君       堀内 一雄君    八木 一郎君       岡本 隆一君    金丸 徳重君       田中幾三郎君    堂森 芳夫君       中島  巖君  出席国務大臣         建 設 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         運 輸 技 官         (港湾局長)  中道 峰夫君         建設政務次官  大沢 雄一君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君  小委員外出席者         災害地対策特別         委員      伊藤よし子君         災害地対策特別         委員      太田 一夫君         災害地対策特別         委員      小林かなえ君         災害地対策特別         委員      小林 正美君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         農 林 技 官         (農地局建設部         開墾建設課長) 小松 義郎君         農林事務官         (水産庁漁港部         長)      林  真治君         運 輸 技 官         (船員局教育課         長)      木内 文治君         運 輸 技 官         (港湾局首席港         湾工事検査官) 栗栖 義明君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  石井  健君         建 設 技 官         (道路局国道課         長)      谷藤 正三君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本電信電話公         社保全局長   黒川 広二君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  山本 英也君     ――――――――――――― 十一月十七日  小委員田中幾三郎君同日委員辞任につき、その  補欠として中島巖君が委員長の指名で小委員に  選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害に伴う公営住宅法特例等に関する法  律案内閣提出第一六号)  昭和三十四年台風第十五号により災害を受けた  伊勢湾等に面する地域における高潮対策事業に  関する特別措置法案内閣提出第一七号)  昭和三十四年八月及び九月の暴風雨による堆(  たい)積土砂及び湛(たん)水の排除に関する  特別措置法案内閣提出第二二号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた公共土木施設等の災  害復旧等に関する特別措置法案内閣提出第二  七号)  公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部  を改正する法律案中島巖君外十七名提出、衆  法第一六号)      ――――◇―――――
  2. 田村元

    田村委員長代理 これより会議を開きます。  小委員長所用にて不在のため、私が小委員長の職務を行ないます。  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害に伴う公営住宅法特例等に関する法律案外三案、及び本日付託になりました中島巖君外十七名提出公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案建設省関係法案を一括して議題とし、審査を進めます。  昨日に引き続き質疑を行ないます。八木一郎君。
  3. 八木一郎

    八木一郎)小委員 昨日私は、一般的なことについて、伊勢湾等高潮対策事業法律施行方針内容に関して建設当局より説明を受けたのでありますが、これに関連をして、きょうは建設運輸農林三省それぞれの本法律施行についての関連事項をつぶさに説明を得たいと思います。  項目を簡単にしぼって申し上げます。五項目ございますが、明確にいたしたい点のまず第一点としては、二十八年災には愛知県、三重県、静岡県の一部を政令により法律施行地域にきめてあったのですが、今回は伊勢湾等云云と規定されております。実際問題としては同じではないかと思うのですけれども、何か違うというのに理解しがたい部分がありますので、まずこの点を説明していただきたいと思います。
  4. 山本三郎

    山本政府委員 伊勢湾等高潮対策適用地域政令の問題でございますが、この前の政令は、仰せの通り愛知県、三重県、静岡県ということになっておりましたけれども、今回はどういうふうな表わし方をするかということは、まだ政令の案ができておりませんが、きのうも御説明申し上げましたように、伊勢湾等の中には、伊勢湾はもちろんのこと、知多湾渥美湾熊野灘等を含むものと解釈しておるわけでございまして、具体的にどこの地域が入るかということは、今後全体計画を作りまして、具体的の地域を決定して参りたい。その地域決定等につきましては、告示をいたすかどうかという点がございますけれども、その段階において確定をして参りたいというふうに考えます。
  5. 八木一郎

    八木一郎)小委員 今の説明ですと、被災地域の民主安定と生業の復旧を眼目として、これから堤防に関することの心配はないのだということで、憂いを分かっていただくならば、きのう私が質問したように、伊勢湾等という響きでは出てこないかもしれないけれども、太平洋に横っ腹をさらして伊勢湾に頭を突き出している、そうして知多湾渥美湾伊勢湾に影響を非常に持っておる愛知県の渥美半島の全域、こういうものは当然含まれるという解釈でこの法律を通過成立させたいというふうに思うのですけれども、その点は明確にはならないかどうか、もう一ぺん伺いたいと思います。
  6. 山本三郎

    山本政府委員 先ほども説明申し上げましたように、大体の概念といたしましては、先ほど申し上げました湾に面する地域ということを考えておるわけでございまして、具体的な問題につきましては、三省を主といたしました協議会も発足いたしましたので、その協議会結論を待ちまして具体的な計画を立てまして、どうしても災害が激甚でございまして、それの関連工事も行なわなければならぬという結論に到達いたしますならば、そこも入らなければならぬというふうに考えております。
  7. 八木一郎

    八木一郎)小委員 そこできのうは、調査に行きます、調査の上で確定します、こういうことでありましたので、この第一問の点は、結局は二十八年災を下回らないという基本方針に立って進んできた経緯もあり、実態は変わらないのだ、こういう大体の了解を取りつけて、次の質問に移りたいと思います。  地図を広げて見ますと、きょうは私関係地図をみな持って参りましたが、この地図を見ても明瞭なように、津々浦々打ち続いた海岸線というものになっている。二十八年災の災害実態に徴して、海岸堤防工事を二百キロにもわたる大きな範囲から実施いたしましたにもかかわらず、今回はまたぞろやられた。そこの打ち続く海岸線河川の下流、なぎさに打ち続いている海岸堤防というものは、いわば一つの帯である。背後地もありますから、一定海岸線から入った帯状地帯みたいになっているところは、この法律適用地域であるとみなして、その中で、具体的な三省協議会、学者を加えた専門の御調査の結果によって、どことどこに予算づけをすれば、もう二度と再びこういう海岸破堤という悲惨事は起こさない、こう持っていくのが常識的だし、当然だと思っているのですが、そうすると、帯状をなしている海岸線一帯は、一応全部調査対象にする御意思があるのかどうか、そうしなければならぬと思っておりますので、この点についてもう一度確かめたいと思うのです。
  8. 山本三郎

    山本政府委員 先ほどお話し申し上げましたように、各湾の沿岸につきましては、いずれも調査対象にいたしまして、それらの地域において、今回の台風によって災害を受けて、しかも、それと関連してやられなければ効果がないという区域につきましては、伊勢湾対策事業対象に取り上げなければならぬというふうに考えております。
  9. 八木一郎

    八木一郎)小委員 調査実施時期は、十二月半ばまでには、今私の確かめたような方針内容において三省ともこれを完了するというようなことを昨日受け取ったわけですけれども、きょうは運輸省農林省もおられますから、以上の二点について、調査方針、その時期、十二月中旬をそのめどとして三十五年度予算に間に合うという意味において、今回の御計画調査企画が確定しておるかどうか、それぞれ伺いたいと思います。
  10. 中道峰夫

    中道政府委員 伊勢湾高潮対策事業調査につきましては、将来考えられまする最も激しい風浪、高潮等、これらの自然条件に対しまして、十分安全な対策計画し、その構造物建設しなければならないわけであります。従いまして、現地調査波浪調査土質調査、さらに模型実験等の諸調査を行なうように予定をいたしております。本年度につきましては、さしあたって今年度直ちに着手しなければならない災害個所復旧、及び来年度におきまして実施予定いたしておりまする高潮対策事業計画並びに構造物設計のために必要な現地調査及び模型実験を行ないたいと考えております。このうちで、現地調査につきましては、伊勢湾台風時の自然条件被災状況被災原因等調査いたします。また、地盤沈下が予想されますような地区につきましては、今後の地盤沈下推定量現地において判断いたすために行なうものでございます。また、この模型実験は、高潮対策のために建設をいたします名古屋港、四日市港、及び衣浦港等の防波堤遮蔽効果、また海岸堤防屈曲部におきまする波の集中状態を知るために模型実験を行なうわけでございます。来年度以降につきましては、伊勢湾内の各港の高潮対策事業構造物計画設計のために必要な波浪調査土質調査模型実験等を本年度調査に引き続きまして行なうように考えております。この波浪調査をいま少し申し上げますと、現在全国二十七カ所で沿岸波浪観測中でございますが、伊勢湾地区におきましては名古屋四日市二港、また、その設備も十分とは考えられませんので、さらにこの観測所を整備いたしますとともに、新しく常滑衣浦、蒲郡、松阪、木本伊良湖等の六カ所に観測所を設けて、沿岸波浪を常時観測をする。その結果得られました数値によりまして、現在推定をいたしておりまする波の高さ、それを逐次さらに程度の高いものにしていきたいと考えておるわけでございます。また、土質調査につきましては、名古屋四日市衣浦防波堤予定地点基礎地盤をボーリングによりまして調査して、構造決定のための資料とする。さらに、今後の地盤沈下観測を行なう施設もあわせて残しておきたいというふうに考えておるわけであります。なお、模型実験につきましては、実験設備から申しますと、平面的な模型実験断面的な模型実験と二つになるわけでございますが、本年度同様、防波堤遮蔽効果は、高潮対策事業実施する各港に対しまして実験をしたいというふうに考えております。断面模型実験と申します点は、防波堤防潮堤等断面の大型の模型を作りまして、波浪に対する抵抗力、越し波、漏水、堤体の転倒、すべり出し等に対して、最も効果的な断面の形状、あるいはそれの材質等を選定するための実験考えているわけであります。以上各般の調査を行ないますために、調査機構につきましても、さらに一そう整備をいたしたいと考えております。  なお、これらの点につきましては、昨日もお話がございました三省連絡協議会におきまして、建設農林両省とも同じく歩調を合わせまして、十二月中旬までにはこれらの現地調査を行なうというふうに予定をいたしております。
  11. 林真治

    林説明員 伊勢湾高潮対策に対します調査の問題でございます。河川局長並びに港湾局長から御説明があったのでございますが、御承知のように、御説明のありました三省連絡協議会の問題もございまして、私どもといたしましても、同様十二月中旬を目途といたしまして、現地調査を終了したいということで考えているわけであります。ただ、先ほど港湾局長からお話のありました模型実験あるいはその他の調査の  一部につきましては、私ども漁港関係におきましては、港湾関係と類似の点も技術的には多いわけでございますから、また、一面直ちにこれを実施いたしますだけの実は能力も持ち合わせていない等の関係もございまして、港湾の方にあわせいろいろお願いをいたしまして、その結果によりまして処理をいたして参りたい。現地調査におきましては、同様に十二月中旬を目途といたしまして完了をいたしたいと考えている次第でございます。
  12. 八木一郎

    八木一郎)小委員 十二月末までに、三省とも――三十五年度予算編成にも関係が多いので、応急復旧に必要なる調査と同時に、明年度対策に関しても必要なる調査は終わる、こういう言明をいただいたものと理解をいたしまして、質問の第三点を申し上げたい。これは、何と言いますか、海岸堤防工事施行区とでも申しますか、さっき申したように帯状になっている海岸線一帯について、くまなく目のとどくような調査をしていただいた上に、いよいよ工事を施行しようとなりますと、その工事施行担当者は、ばらばらに区分されてすることになるので、やむを得ないとも思いますけれども、それにしても、その結果は、県と国との関係――農林省の場合は、ほとんど県に全面委託といいますか、おまかせというような状態にあるし、建設省の一部には直轄でがっちりした関係も出てくるというふうな、県と国との関係において調整をする必要を感じますし、また、国は建設省運輸省農林省、その所管に従って予算も別々でありますが、一般の海岸については、建設省海岸堤防工事において御担当になりますし、農林省漁港干拓堤防中心にして御担当になり、運輸省商港中心として御担当になるわけで、それぞれ分担個所を別々に持っておって、別個法律別個予算の制約を受けるのはやむを得ないかもしれませんけれども、二十八年災のあとを受けて、またぞろ悲惨な目にあいました私ども被災地の側からこれを検討してみますと、各省関係工事進度と申しますか、高さとかその強さとか、こういう技術問題は、一定の基準を設定なされば、これでばらばらにおやりになっても、その接続地さえしっかりしておればまあいい、こう思いますけれども進度について、予算関係も伴ってきて、具体的に農林漁港干拓進度はおくれておって、商港運輸工事は進んでいるというような関係からいたしまして、来年とか再来年とか、途中にまた台風に見舞われますと、そのために起きる不測の損害というものは莫大なものがあると思うのです。そこで、ここのところを何とか調整をしていく問題については、それぞれ三省考えになっておることであろうとは思いますけれども、この際伺いたいのは、そういう問題についての御所見と、それから総事業費について、さらっと聞かしていただきますと、しあわせだと思うのであります。総事業費と申しますのは、予算の総額は出ておりますから、運輸省関係においては何億、建設省は何十億、農林省は何十億といったような、そういう一応の持ち込み要求基礎となっております数字でけっこうでありますが、その点についての説明を求めます。まず、運輸省から、大体何カ所、何億円くらいで、そうして他の工事区分との接触面その他についての調整はどうしますということに関して、御説明を求めます。
  13. 中道峰夫

    中道政府委員 運輸省で現在計画いたしておりまする伊勢湾等高潮対策事業におきます対象港湾につきまして申し上げますと、伊勢湾につきましては、名古屋港でございますが、これは名古屋港の港外に防波堤を築造いたしまして、高潮による波浪勢力を減殺する、また、波の高さを引きげるという効果を持つものでありますが、一応予定いたしておりまする事業費は、約百三十九億円、常滑港につきましては、これは海岸堤防でございますが、これの事業費は約十五億一千万円であります。富具崎の港につきましては、約五千万円の事業費堤防を築造する考えであります。  知多湾について申し上げますと、衣浦港につきましては、これもやはり堤防でございますが、事業費は約六十七億、なお、その一部にはやはり名古屋と同じように湾の入口に防波堤を設けまして、名古屋同様、高潮波浪による勢力を減殺する目的を持たそうと考えるわけであります。師崎の港は、海岸堤防でありまして、これの事業費約一億二千万円であります。  次に、渥美湾でありますが、その中の吉田港につきましては、海岸堤防でございますが、事業費は約一億一千万円、それから東幡豆港、これもやはり海岸堤防で、事業費といたしましては約三億四千万円、また西浦港、これも海岸堤防で、事業費約八千万円、蒲郡港、これはやはり海岸堤防でございますが、事業費が約五億九千万円、豊橋港、これは事業費が約二億六千万円で、海岸堤防考えております。それから倉舞港でありますが、同じく海岸堤防で、事業費は約七千万円、泉港、これも同じく海岸堤防で、事業費約二千万円、福江港、これも事業費は約一億八千万円で、海岸堤防であります。  次に、三重関係で申し上げますと、伊勢湾関係で、桑名港、これもやはり海岸堤防でありまして、事業費約一億四千万円、四日市港、これは沖合いに防波堤を築造する。それからなお海岸部には防潮堤を作るということをあわせて考えておりますが、事業費は約九十四億円を予定いたしております。それから千代崎港、これは堤防でありまして、事業費は約一億三千万円、津港は、海岸堤防で、事業費約二億七千万円、白子港、これはやはり海岸堤防で、事業費約四千万円、宇治山田港は、同じく海岸堤防で、約十五億七千万円、鳥羽港は、海岸堤防で、事業費約九千万円であります。  次は、熊野灘でございますが、的矢港が、海岸堤防で、事業費約八億四千万円、賢島港は、海岸堤防で、事業費約二千万円、浜島港は、海岸堤防で、事業費約二億八千万円、五カ所港は、海岸堤防で、事業費約四億八千万円、吉津港の海岸堤防が、事業費約三億五千万円、長島港が、海岸堤防で、事業費約二十億三千万円、引本港が、海岸堤防で、事業費約三億一千万円、尾鷲港が、海岸堤防で、事業費約十二億三千万円、三木里港が、海岸堤防で、事業費約一億三千万円、賀田港が、海岸堤防で、事業費約一億円、二木島港が、海岸堤防で、事業費約二億五千万円、木本港が、海岸堤防で、事業費約二億二千万円、鵜殿港が、海岸堤防で、事業費約五億三千万円、以上が一応予定いたしておりますものでございます。  なお、お話各省別事業のアンバランスの点につきましては、三省連絡協議会等におきまして十分連絡をいたしまして、調査はもちろん、それらの計画予算実施等について、実施機関においてそごを来たさないように十分注意をして進めていきたい。なお、予算関係につきましては、この連絡協議会大蔵省が加わっておられますので、それらの点も遺憾のないようにいたしたいと思っております。
  14. 山本三郎

    山本政府委員 建設省関係といたしましては、個所別の具体的な資料につきましては、現地を今査定中でございますので、こまかく申し上げられませんけれども概略数字を申し上げますると、あの区域――大体考えられる区域におきまして、災害額といたしまして約二百億、それに予定を加えて対策事業を行なうわけでございますが、それが約三百億くらいになる。合計いたしますと五百億余りになるというふうに考えております。これは接続する河川も全部含まっておる数字でございます。
  15. 林真治

    林説明員 漁港関係につきまして、概略を申し上げたいと思います。  漁港におきましても、まだ全部現地査定が完了しておりません。いま一つは、地域の問題につきましては、私どもとしましては、なるべく全県下にわたるものを考えたいということでただいまのところ進んでおりますので、そういう関係も含めてでございますが、両県下におきまして一応考えておりますごく概略的な数字でございますが、港数におきましては、五十六港ぐらいになりまして、その事業費といたしまして、大体百億ということを考えておるわけでございます。これは今後異同があると思いますが、御了承願います。
  16. 八木一郎

    八木一郎)小委員 第四点に入りますが、工場費負担区分、国と県と地元、それに高率適用地関係からくるいろいろな問題を、各省ばらばらとは申しませんけれども各省別建予算別建方針内容において進めて参りますというと、災害基本法通常国会にはとにかく出したい、その裏づけとなる予算、施工の計画も、年次計画をもって完全なる台風予防対策にも資するように持っていこうという抽象的な政府方針は、予算委員会の審議を通じて明らかになっておりまするが、実際に明年度以降に期待いたしまする額――この補正でとりあえずの措置をし、来年の出水期までには原形復旧程度まではみな持っていく、こういうもり合わせで仕事は進んでおるようでありますけれども、そこに不安があるわけであります。二十八年災は、三カ年に完了するという義務づけを政府法律でつけて、そして大体は三年間に終わりましたけれども過年度災として残った分は、今日まで残っておる。こういう苦い経験がありますので、現に過年度災を数年かぶっております各省災害予算対策の上に、その上積みとして、今内閣方針として、ここ数年間には抜本的、根本的な台風予防的な措置まで完了するといわれても、はたしてそれがいけるかどうかということに非常な不安を持つわけです。この不安を除くために説明を求めるのでありますが、三省連絡協議会という問題が登場してきて、大蔵省も加えて、官庁の方針、技術的なこと、みんなそこでうまくいきそうなふうに思いますけれども実態は、三省連絡協議会というものはいわゆる連絡協議だけである。事業進度を総体の予算の中で分け合って、総合的な成果を期待するという、そういう企画、立案、実施面にまでこの三省協議会を発展させて、私の意見をもってすれば、これを飛躍させて、三省連絡協議会の一元的なところへ各省事業委託をし、県も委託をし、中心になっておる港湾局なら港湾局という技術と伝統、歴史を持っておるところに集約して、集中的に、一元的に三省連絡協議会が運営されていきますならば、私はこの不安は排除できると思いますが、そこまで飛躍することはできないとするならば、一歩譲っても、今ある三省連絡協議会の話し合いの場所だけではどうしても不十分である。特に予算づけのない抽象的な、この波の力にはこれだけの高さを、この堤防の質、強さはこういうふうにというようなことだけでは、満足し得ないのであります。こういう問題について、三省それぞれお考え事務当局におありだろうと思いますが、私が飛躍してそうはできないだろうかというのは、県の工事までも建設省委託を受けて、建設省が数年間県の職員もその委託工事の中に包容していくといういき方もできないわけではないわけです。この点については、今御検討中という言葉だけでこの場の御答弁は済むかもしれませんけれども、率直な当局としてのお考えをそれぞれ述べていただきたい、こう思います。
  17. 中道峰夫

    中道政府委員 私どもの方は、今回の災害にかんがみまして、どうしてもこの程度事業実施しなければ将来の不安を除去することはできないという観点に立ちまして、現在財政当局にも追加予算等の要求をいたしておるわけであります。連絡協議会も、実は発足いたしたばかりでございます。お話のような線に沿うて、できるだけ実効を上げるように努力いたしたいと考えておるわけでありますが、財政との問題については、さらに一段と努力をいたしたいというふうに申し上げるよりないと思います。
  18. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまの問題につきましては、建設省といたしましては、大体少なくとも一連の堤防になっておりまして、われわれの建設省で直接やっております河川につながるような堤防で、一カ所河川だけやりましても、海岸堤防が同じようにできなければいけないというような重要な個所につきましては、本年度から建設省委託を受けまして、一緒にやろうということに相なっておりますので、今八木先生の御質問の趣旨は、その点におきましては、私は一応軌道に乗ったというふうに考えておるわけでございます。その他の地区につきましては、各省所管のものもございますし、あるいはそれらの施工を各県がやるわけでございますが、それらの点につきましても、やはり計画だけでなく、進行度合いもある程度並行して参らなければならぬというふうに考えるわけでございますので、協議会におきましても、具体的にそれらの点もできるだけ並行できるような措置考えなければいかぬというふうに考えております。  また、施行機関の統一の問題でございますが、これにつきましても、いいとはわかっておりましても、一挙に全部そういうふうな形にするということも、なかなか混乱も生ずるわけでございますので、たとえば県にいたしましても、相当施工能力を持っておるわけでございまして、これらが十分に働けば、仕事もできるわけでございますので、要するに計画なりあるいは進行速度が統一がとれて進むならば、その効果の万全を期することができるわけでございますので、そういう線に沿いまして、現状に即して、しかも、従来よりもさらに一そう計画的に、有効的にできるようなことにしなければいかぬというふうに考えております。この協議会の持っていき方につきましても、各省ともよく相談いたしまして、今の御趣旨に沿うように努力をしたいと考えております。
  19. 林真治

    林説明員 漁港関係事業実施につきましても、予算の面につきましては、できるだけ早期にこれが完成をいたしますように裏づけをすべく努力をいたしたいと考えておりますが、事業実施の面につきましては、先ほどからお話がございましたように、関連の個所におきまする事業になるべくでこぼこの起こりませんように、連絡協議会等で十分御連絡をいたし、その効果が現われますように努力をいたして参りたいと考えております。なお、施行の実際面におきましては、あるいはお話のございました漁港に関する府県工事等で、他の事業と直接統一施行をいたします方がきわめて都合がよろしいというものがありました場合は、工事施行そのものは、あるいは委託ということができるのではないか、こういう問題については、今後研究して参りたいと考えております。
  20. 田村元

    田村委員長代理 この際お諮りいたします。  本日の小委員会において、小委員外発言の申し出のありました場合は、これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 田村元

    田村委員長代理 御異議なしと認めます。小林正美君。
  22. 小林正美

    小林(正)委員 私は、今度の伊勢湾台風で非常に大きな被害を受けた三重県の、特に四日市市民の立場から、二、三お尋ねをしたいと思うのでありますが、まず、最初に運輸省の見解をお尋ねいたしたいと思います。  例の関西線と近鉄が今度の水で不通になっております。その後いろいろ工事を急いでおられるようでございまして、近く開通するという運びも私ども伺っておるのでありますが、はっきりした日にちを一つ御明示をいただきたいと思います。
  23. 石井健

    ○石井説明員 最近までの情勢を申し上げたいと思います。大体現在締め切りが終わって排水に従事しているそうでございますが、排水が終わりましてから九日か十日で開通する。従いまして、排水の完了予定が二十四日と承っておりますから、十二月の二日ないし三日に開通すると承知しております。国鉄の関西線も近鉄も同じでございます。
  24. 小林正美

    小林(正)委員 そこでぜひお考えを願いたいことは、御承知の通り名古屋四日市間というのは、ああいう木曽、揖斐、長良という三大河川を控えたデルタ地帯になっておりまして、ちょっと雨が降ればすぐに水がつく、そういうことで、関西線も近鉄も、これまでよくストップすることが多いのでありますが、こういうような重大な価値を持つところの二つの国鉄線と近鉄線が、並行してあの非常な湿地帯を走っているということは、私から言わせると、そもそも計画からおかしかったのではないかという感じがするのでありますが、そういう点についても、運輸省としてはこの際根本的に考え直す必要はないか、運輸省側の御見解を承りたいと思います。
  25. 石井健

    ○石井説明員 国鉄につきましては私御返答申し上げられないのでございますが、近鉄に関しましては、これを機会に、従来復旧と申しますと原形に復旧するというのが通俗のやり方でございますが、原形以上にかさ上げした改良をして復旧をしたいという希望を持っておりまして、その資金計画もしておりますので、その部面について開銀その他と交渉をいたしまして、その希望に沿うように援助していきたいと考えております。
  26. 小林正美

    小林(正)委員 国鉄の副総裁にお尋ねいたしますが、私は長年関西線を利用しておりますけれども、関西線の老朽化といいますか、非常に程度が落ちておると思う。関西線の開通以来、すでに数十年たっておると記憶しておりますが、その間に、ほんとうに大改修が行なわれたということは聞いていない。こういう点について、一体国鉄側として関西線の価値をどのように考えておられるか。私どもといたしましては、御承知の通り、北伊勢臨海工業地帯として、桑名、四日市方面は将来ますます発展していく。さらにまた、東海道線に何か問題があった場合には、一つの迂回線になるわけでありまして、どうも関西線に対する国鉄側の力の入れ方が足りないのではないかという感を常々抱いておりますが、その点、一体国鉄当局としては関西線をどう思っているのか。あんなものはローカル線でどうでもいいのだというきわめて冷淡な扱いを受けているように思うのでありますが、その点を一つお尋ねいたしたいと思います。
  27. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 国鉄といたしましては、関西線は非常に重要な路線と考えております。ただいま御指摘の通りに、東海道線に一朝事がありました場合の補助の線区といたしまして非常に重要でございますが、そういうことを除外いたしましても、中京と関西とを直接結ぶ重要な路線でございます。それで、私ども国鉄といたしましても、関西線の強化ということはかねがね考えておりましたが、資金その他の点で強化できませんでしたことをはなはだ申しわけなく思っておりますが、本年度から着工いたしまして、王寺―奈良間は、最近この方面からの通勤客が激増しておりますので、それに対する方策といたしまして王寺―奈良間をもとの通りの複線にいたしたい思っております。  それからただいまお話がございました名古屋四日市沿線に至る地帯は、最近工業が非常に発達して参りましたので、これに対処する輸送力の強化ということをできるだけすみやかに取り上げたいと計画中でございます。
  28. 小林正美

    小林(正)委員 あなたは副総裁として、四日市駅へ実際おいでになって、あの辺の状態をごらんになったかどうか、お尋ねをしたいと思うのであります。ちょっと雨が降りますと、もうすぐ四日市の市中というのは水づかりになりまして、四日市駅なんかすぐ水が二尺、三尺たまってしまうんですよ。たとえば亀山―四日市間、あるいは津から亀山を経て名古屋間を、将来そういう水害の場合などを考えて、具体的にどのように改良しようとされるのか。先ほど近鉄の話では、かさ上げをして、そういうことのないようにしたいという答弁でありましたが、国鉄としては一体どのようになさるのか。なるほど奈良と王寺間は複線にするというお話でありますけれども、一体北の方をどうされるのか、この際もっと具体的な御説明がないと、私は納得ができないのです。
  29. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 本年、私は四日市に参りまして親しくその付近を視察いたしました。ただいま申し上げましたように、四日市付近の最近の工業の発展ということにつきましては、私も驚異の目をみはった一人でございます。ただ、ただいまの関西線は、はなはだ申しわけがないのでございますが、まだ水に浸っておりまするために、線路の状況が判明いたしておりません。それで、水が引きましたらすみやかに応急復旧をいたす用意といたしまして、数百車の貨車を用意し、復旧材料も付近に配置させておりまするが、将来の線路の強化ということにつきましては、もちろん、現地調査に基づきまして、必要な場合にはかさ上げもいたしますし、あるいは路床の改良、そういった線路の強化ということは、もちろんそのときに具体的に計画して参りたい、少なくとも今後の災害に対する強度の向上ということにつきましては遺憾なきを期したい、こう考えております。
  30. 小林正美

    小林(正)委員 国鉄側に要望したいことは、東京―関西間をいわゆる超特急の三時間で走るというようなデラックス版の計画も大いにけっこうですけれども、こういうような、ローカル線ではあっても、きわめて重要な意義を持つところの関西線に対しては、私はこの際もっと抜本的に考えてもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。  最後に運輸省にもう一つお尋ねいたしたいのでありますが、運輸省は、たとえば近鉄なら近鉄に対して十分な指導監督をやっておるのかどうか、そういう点について私は非常に大きな疑問を持っている。たとえば、近鉄が先般短絡工事を行ないまして、塩浜から直接四日市駅を通らずにずっと名古屋の方に抜けるようになった。そのことで近鉄路線というものは四日市の市中をまっ二つに分断しておる。これは現在分断しておるわけです。このことが、ちょっと雨が降ると、四日市の市中の繁華街に非常な大水を招く結果を現在招来しております。もう少し運輸省は、こういった私鉄の計画なり、実際の業務の運営について、指導監督を厳重に行なってもらわぬと、困るのであります。一例を申し上げますと、あなたはおそらく御存じないからお話をしておきたいと思いますが、近鉄の四日市駅へ行かれますと、金を出して切符を買って改札口を通って中へ入りますと、便所もあるし、また旅客の待つところのちゃんとしたいすもできておる。ところが、切符を買わないと、改札口の外においては、便所もない、また腰かけて休む場所もない、そういうような、実に独占企業が横暴をきわめておる、こういう感じを私たちは強く持つのです。しかも国鉄がどうも旧態依然たる状態で、ちっともサービスがよくならないというのは、何だか、どうやら国鉄さんや運輸省が近鉄に気がねをして、ことさらに国鉄がサービスを悪くして近鉄にもうけさせておる、こういう感じがきわめて強い。だから、もう少しこの際十分にこういう問題を考えていただいて、私鉄に対しても十分な指導監督をやっていただきたいと思う。この点について一つ運輸省の御見解をお尋ねしたいと思います。
  31. 石井健

    ○石井説明員 ただいまの短絡線のことでございますが、短絡線につきましては、私どもとしましては、今まで中川駅で乗りかえないと名古屋へ行けないという状態を、大阪から名古屋へ乗りかえなしで行けるためにゲージといいますが、レールの幅を広げる工事の一環としまして短絡線をやったのでありますが、あれにつきましては、サービスの向上になると考えまして、われわれとしても喜んでおる次第でございます。ただ、その工事の場所につきましては、われわれとしてはできるだけ地理的にも検討したつもりでございます。万一そういうことがありましたら、そういうことのないように、その現場の工事その他について指導を強化していきたい、こう考えております。  なお、駅のことでございますが、私初めて伺いましたけれども、そういうような状態でありましたら、できるだけそういうことのないように十分指導していきたいと考えております。
  32. 小林正美

    小林(正)委員 運輸省にも国鉄にもこの際特にお願いしたいことは、少し雨が降ると、もう汽車もとまる、電車もとまる、これでは困るのであります。ああいう重要な地点でございますから、どうか一つこの際真剣にお考えをいただいて、国鉄は国鉄自身として、また運輸省は監督官庁として、国鉄に対しても、また近鉄に対しても、この際十分な御指導をやってもらわぬと、またちょっと雨が降ると、鉄道がとまる、電車もとまる、そういうことになりますので、これは三重県民百五十万を代表して私は心から要望いたしまして、私の質問を終わります。
  33. 八木一郎

    八木一郎)小委員 結論のところで発言を封じられてしまったのですが、質疑応答を通じて、大体私が期待しておる方向はおわかりいただけたと思います。  そこで委員長に申し入れ、善処方をお願いいたしたいのは、この伊勢湾等法律案成立については、この法律によって民生安定、生業復旧、安心度というものを沿岸住民多数が非常に期待をしておるわけです。ところが、看板はりっぱだが、出足はりっぱだが、それが後年度においてさっぱり雲散霧消してしまって、名目だけの法律が残っておるというだけでは残念ですから、三省協議会の適切な運用によって、継続予算化に対処するための措置を、当委員会の理事会において、付帯決議その他適当な方法を取り上げてお取り計らいが願いたい。これを委員長に申し入れ、一任いたしまして、私の結論としたいと思うのであります。  そういう意味で、きょう貴重な時間をおさきいただいたのは、私どもは、各省それぞれのお立場において、三十五年度予算を続いて企画される際でありますから、党におきましても、政府与党の一人として、二度と再びこのような災害海岸堤防海岸の線からこうむることは絶対にない、政治の信頼をつなぐ意味からいっても、何を犠牲にしても、他の重要な施策と衝突した場合は、優先的にこの問題、治山治水、海岸保全、国土保全の問題を取り上げると、総理は何回も繰り返し議場を通じて国民に約束しておるのですから――これはその中で大きな柱だと思うのです。それだけ国民は大きな期待を持ってこれを見守り、政府与党としてもできるだけの配慮をせられまして、府県、市町村の間に全体として脈絡のある、そうして効率的な、所期の目的が達せられるように対処したいと思っております。明年度以降の構想に関して、事務当局から、私どものこの意に沿うてどんな素朴な構想を持っておられるか、そういうものがそれぞれおありだろうと思いますが、大体予算規模はどのくらい何年間ぐらいに所期の目的を達成したい、こういう心づもりをしておられるかということを承りまして、私の質問は終わります。委員長においては私の申し入れをお取り上げ下さることを重ねてお願い申したいと思います。
  34. 中道峰夫

    中道政府委員 高潮対策事業の構想でございますが、運輸省といたしましては、今回の伊勢湾台風によりまする被害が非常に甚大であったということを考えまして、単に伊勢湾だけでなくて、今後台風時の異常高潮によって、今回と同様またはそれ以上の災害の発生が予想されますような地区につきましては、この際抜本的な計画を立てまして、国土保全、安定に資したいというふうに考えておるわけでございます。さしあたり対象として取り上げました地区は、東京湾、伊勢湾、大阪湾、周防灘及び有明海といたしまして、その海岸地区港湾地区及び臨海工業地区につきまして、総合的に防潮対策計画し、早急にその実施計画を立てることといたしたいと考えておるのでありますが、その構想につきましては、さらに必要な調査及び実験等の技術的検討を加えまして、恒久的対策を樹立したいと考えております。  基本方針の大略を申し上げますと、堤防の頂面の高さ、つまり天端の高さでございますが、海面下にありまする地区の前面の防潮堤の天端の高さは、高潮並びに波浪による海水を堤内に流入せしめないものにする、満潮時の水位に予想されます最大の偏差及び波高を加えました合計以上のものをとりたい。なお、背後の土地が高くて、比較的人家等が少ない個所につきましては、その実情によりまして、一部越波があることもやむを得ないと考えますが、高潮の堤内流入及び波浪のエネルギーはこれを阻止したいというふうに考えておるわけでございます。港湾の埠頭地区及び臨海工業地区につきましては、港湾荷役の機能及び工場生産機能を妨害しない最大限の高さにしたい。高潮時の一時的冠水は、荷役その他の関係から申しまして、やむを得ないものと考えたいと思います。埠頭地区にありましては、貨物の損傷を防ぎますために、上屋とか倉庫とか、これらは多階建にするとか、あるいは一階の場合には、側壁に防水施設を施すというようにしたい。また、臨海工業地区につきましては、高潮の一時的冠水を許すような場合には、工場の責任において、防潮壁の設置、または工場敷地の一部の地盤をかさ上げすることによりまして、重要機械の冠水防止等の対策を講じたい。また、木材の流出防止対策は十分に行なおう。また、その地区の湾の形あるいは地形等によりまして、防波堤をその湾口あるいは港口付近に築造いたしまして、海岸における波力を極力この防波堤によってまず減殺してしまおう、そして異常なる高潮を、その高さにおいても、また勢力においても減少せしめようというふうに考えておるわけでございます。なお、干拓堤防等の前面に埋立地造成の計画がある場合には、この埋立地が非常に強固な防壁になりますので、この埋立事業を促進いたしまして、この埋め立てによって背後の土地の浸水防止措置を講じたい。また、防潮堤の構造等はできるだけ強固なものにして、特にこの堤体ののり面、これは頂面及び背面は必ずコンクリート等によって被覆する、また、のりじりの洗掘防止等に特に留意したいというふうに考えておりまして、以上のような基本方針に基づきまして、各地区別に一応の対策考えております。たとえば、伊勢湾地区、これは三重県及び愛知県の各港を対象にいたしますが、たとえば名古屋港につきまして申し上げますと、名古屋港の埠頭岸壁等の地区、それから干拓地区、河口地区等を遮蔽するために、防波堤を約九千メートル築造いたしまして、港内の波浪高潮を減少せしめよう、港内の埠頭の前面及び運河の岸には、約三十八キロの防潮堤及び防潮壁を作りまして、波浪及び高潮の浸入を防ごう、鍋田の干拓、海部郡の南部の前面及び横須賀地区海岸の前面には、埋立地造成約八百万坪を計画したい、また、木材流出防止のためには、囲い堤を強固にいたしまして、さらに木材の整理場を作って、再び木材流出による危険を防止したいというふうなことを考えておるわけでございます。その他、大阪、東京等につきましても、それぞれの地区の実情に即しまして、また今回の台風の状況、また災害の状況にかんがみまして、適当な措置を講ずるように考えておる次第でございます。
  35. 山本三郎

    山本政府委員 建設省におきましては、先ほども説明申し上げましたように、今回の十五号台風によりまして被害を受けた区域につきましては、目下検討中でございますが、建設省所管の海岸堤防並びにそれに関連する河川につきましては、今回の高潮に対しても十分安全な程度のものを築造しようということで計画しております。その他、東京、大阪あるいは有明海等の問題につきましても、今回のような台風がきたときを想定いたしまして、計画を再検討いたしております。これらも今回の伊勢湾の付近における被害にかんがみまして、それらを増強しようということでございます。伊勢湾付近の沿岸につきましての復旧計画につきましては、今回の補正予算の御説明で申し上げましたように、来年の台風期までに原形の高さにするということを目途にいたしまして、来年度におきましてももちろん予算に要求いたしておるわけでございます。その後の復旧計画あるいは関連事業の施行計画でございますが、これは国庫負担法の趣旨に盛られておりますように、緊要な工事に属するわけでございますから、関連工事で増強するものは多少あとに残りましても、災害復旧に属するものは三カ年以内に完了するというのが国庫負担法の趣旨でございますから、その趣旨に沿いまして来年度以降の実施計画を定めまして、その線に沿いまして強力に予算の裏づけをいたし、事業を施行して参りたいというふうに考えております。
  36. 林真治

    林説明員 水産庁におきましては、漁港復旧態勢は、先ほど港湾お話がございましたように、潮位偏差あるいは波高、衝突波高、その他関連する問題につきまして十分検討いたしましてこれらに対処いたしまして、再びこういう災害を受けませんように的確な事業計画を定めて、これを推し進めて参りたいというふうに考えておるわけであります。なおまた、大体におきましては防潮堤が主になると考えるわけでございまするが、先ほどもお話がございましたように、ある場所につきましては、防波堤防潮堤と、その二つの混用によりまして災害の防止に努めなければならぬという場所も出てくるであろう、そういう場所につきましては、十分検討の上その方法を定めて参りたいと考えておる次第でございます。なおまた、進度につきましては、緊要なものにつきましては三カ年間に終了いたしまして、その効果を期するように、その他のものにつきましては、多少のずれが出てくるかと思いますが、少なくとも緊要なものにつきましては、三カ年間に終わるように今後の努力をいたして参りたいと思います。
  37. 田村元

    田村委員長代理 先ほどの八木君の御要望に関しましては、小委員長にも報告いたしまして、理事会にお諮りいたすようにいたしたいと存じます。  午前の委員会はこの程度にとどめ、午後は一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十四分開議
  38. 田村元

    田村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続けます。太田一夫君。
  39. 太田一夫

    ○太田委員 伊勢湾高潮対策につきましてお尋ねをいたします。運輸省港湾関係の方にお答えいただきたいと思います。まず、先ほど八木委員質問に対してお答えになりましたのは、運輸省農林省建設省三省がそれぞれ対策を持ち、それぞれ予算を持ち、それぞれ復旧計画を持っておるという内容がこまかく話されたわけです。これに対して、はなはだ角度が違って恐縮ですが、現在国会にかかっております国土総合開発法案、これとの関連が非常にあると思いますが、今皆さんのお考えになっていらっしゃることは、この国土総合開発法案の中に盛られている思想と抵触する点はないかどうか。
  40. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 国土総合開発法の計画は、今度の臨海水域の開発に関連いたしまして総合的な計画を立てるという趣旨だと私は了解しておりますが、直接の担当でございませんから、詳しくありません。今度の伊勢湾高潮対策も、大きく言えばもちろん関係ございますが、高潮対策の方は、今度の台風のような被害に対応いたしまして、これが再び起こらないような措置を講じたいということでございます。ただ、その場合に、すでに埋め立ての計画のきまっているところは、これを促進するとともに、けさほど港湾局長から説明いたしましたように、公有水面の埋め立ての高さ、その他につきましては、今度の災害を参考にいたしまして、再びそういう災害の起こらないようにやりたい、そういうふうに考えたわけであります。大きな開発計画といたしましてはまた総合的にできると思いますが、目的は違いましても、筋としてはそう大きく違わないというふうに考えております。
  41. 太田一夫

    ○太田委員 筋としては違わないということになりますと、国土総合開発法案も実現して、国土造成の問題があの法案によって行なわれることになっても、それから、同時に、今あなたの方でお考えになっている、港湾中心とする伊勢湾等高潮対策という計画は進められても、その間に何ら矛盾も重複もない、こういう見通しだということなんですか。
  42. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 今までのと、今後の新しく立てられる、これは時限の問題がございますが、両方が調節されていくものと思います。
  43. 太田一夫

    ○太田委員 実はこれは大臣でないとまずいのですが、臨海地域開発促進法案、これを国土総合開発法案といっておりますが、これが出ておりまして、今まで地方自治体の長、県知事などにもありましたところの、いわゆる公有水面の埋め立ての認可権、これが建設大臣に一本に今度しぼられることになる。そうすると、あなたの方の運輸省というのは、少なくとも港湾に関して今まで別個の行政をなさっていらっしゃったのですけれども、この国土総合開発法案が通りますと、建設大臣がすべて指揮権を持つ。それと、高潮対策で先ほど港湾局長は非常に詳細な計画をお述べになった、おそらく何百億という予算のように聞いておりましたが、非常に膨大な予算で大がかりな工事をなさる、この国土総合開発法案というものができますと、逆にそういうものがじゃまになることがあると思いますが、いかがですか。
  44. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 今の埋立権につきましては、これは臨海地域開発促進法の方にも書いてございますように、港湾区域については運輸大臣というふうになっておりまして、港湾につきましては従来通り運輸大臣が一貫してやられるというふうになっております。ただ、その場合の全体計画につきましては、審議会で、関係各省寄りまして相談してやるというふうになっているかと思います。従いまして、先ほどからの計画説明、もちろん、これは各省と相談いたさなければならぬかと思いますが、そういう意味ではそごがないように考えております。
  45. 太田一夫

    ○太田委員 臨海地域開発促進法というのをお読みになっているでしょうか。第三条によって、所管の中心建設大臣になっているはずですが、それは御理解していますか。
  46. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 それは今の法案で参りますと、たしか都道府県知事の計画建設大臣を経由して上がっていくというふうに規定されているかと思いますが、埋立権につきましては、カッコして運輸大臣と書いてあると思いますので、そのまま残っていると思います。
  47. 太田一夫

    ○太田委員 あなたに押し問答してもこれ以上進まないでしょうね。それでは、今度の運輸省の五億八千万円の高潮等対策費は、ほとんど補助というように説明を承っていましたが、補助でございますか。
  48. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 補助でございます。
  49. 太田一夫

    ○太田委員 高潮対策というような、考え方からいったって、これは直轄工事であるべきものであるし、国が責任を持って二度とこういう被害を起こさないようにするということを、補助というような形にして、あとの足りないものは地方自治体でやれということになっているのですが、そういう思想は矛盾じゃないでしょうか。
  50. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 従来の災害復旧につきましてもやっておるのでございますが、設計とか、そういう技術的な指導は国がやりまして、特に今度の補正予算の問題になりますけれども、五億八千万円の事業費は、今度破壊されましたところを一応応急に復旧するということが主体になっておりまして、技術的にはもちろん国が責任を持って指導しておりますが、事業は補助でやりたい、また公共団体もそれだけの工事力は持っているというふうに考えております。
  51. 太田一夫

    ○太田委員 それは運輸省が地方自治体というものを所管なさったことがないから、おそらく持っていらっしゃるだろうと、こうお考えになるのは、隣のうちの身上がよく見えるようなもので、おか目八目の当てずっぽうの話であって、具体的に地方自治体の財政をしさいに検討された結果ならば、そういう御返事には相ならないだろうと思う。今度の場合、ほとんど、災害関係の復興は十分の十、いわゆる全額国庫負担してくれというのが、地元の切なる声です。それが運輸省当局に届いておらない、農林省当局に届いておらない、建設省当局にも届いておらないということになりますと、国民の声というものはどうなってしまうのでしょうか。あなたの方は主観的に、地方の自治体は何とか力があるだろうといって、わずか十分の八とか、今度の高潮対策災害復旧は十分の九ということで、一割ぐらいのことであれば何でもないだろうとおっしゃいますが、三省の今度の予算は六十億くらいありますね。六十億の一割といえば六億でしょう。高率補助で出したところで、一割は地方の愛知三重の二県で持たなければならぬでしょう。そんな金はどこにあるのですか。文部省の方はいらっしゃいませんけれども、学校が倒れた、その学校だって四分の三が最高ですよ。それも標準税収の二割以上の被害がなければならないといいますと、せいぜい全体の二割くらいの学校しか入らない。あとのものは、何百万あろうと、入らない。みんな自分でやらなければならない。地方財政はそんなことで、減収あり、かつまた減税あり、災害復旧あり、いろいろなものがありまして、あなたのおっしゃるように、高潮対策の一割というのを地方財政でまかなえるだろうということは、私は認識不足だと思うのです。従って、補助という建前になさったことに対しましては、これは在来の慣例があるかもしれませんが、はなはだ不可解なんです。もう一度、この予算五億八千万円を主として補助とされたことの理由を伺いたいと思います。
  52. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 今度の新しい臨時措置法その他につきましても同じでございますが、地方負担と国の負担割合は、直轄でも補助でも同じかと存じます。ただ直轄工事ですと、立てかえて、あとは交付公債という形になりますし、補助になりますと、直接の負担分は公共団体が負担する、これは起債その他で負担することになると思います。国の負担割合は同じでございますし、事業の範囲あるいは緊急度その他考えまして、特に応急復旧でございますから、地元公共団体が直接関連していることでございますので、補助で考えております。
  53. 太田一夫

    ○太田委員 今度は建設大臣にお尋ねをいたしたいのですが、海岸付近の河川高潮のために著しい災害を受けたので、今度こういう伊勢湾等高潮対策特別措置法を作って、特別に海岸を守ろうということになったと思うのです。建設省の場合は四十七億の予算を計上されたのですが、これも直轄予算と補助予算と両方あると思いますが、特に海岸の保全の不備が今度の大災害の第一歩であったということを考え海岸の保全こそは国土の保全であり、人命の保持であるということを考えますと、これは全額国庫でもってやるから、地方自治体には迷惑をかけないよという思想があっていいと思うのです。これはどうして東海二県に六億近い金を負担させることになっておるのでしょうか。
  54. 村上勇

    ○村上国務大臣 これは、従来の国の財政というようなことから考えまして、昭和二十八年の十三号台風当時は、御承知のように、改良復旧の面につきましては大体二分の一補助でありましたが、今回は特に政府も、この改良復旧を十分にやるために、地方の負担等も考慮に入れまして、十分の八というような――地元にとってはまだまだ意に沿わない点があろうと思いますけれども、やはり国の財政のいろいろな規模から考えましても、まあこの程度の高率助成をすることによってその目的を達成することができるであろう、かような意味で、改良に対しましては十分の八の助成をいたした次第であります。
  55. 太田一夫

    ○太田委員 国の規模から考えて、このくらいで目的を達成するだろうということでありますが、それは非常に大きな予算でありますし、それの一割なり、今の関連復旧、新設の改良工事の場合、十分の八、いわゆる二割は地元負担ということになれば、地方自治体の財政というのは非常なしわ寄せを受けると思うのです。これに対しては、極力大幅増額――地方の声は、十分の十国庫が負担してくれ、いわゆる国庫の責任で、高潮対策、今度の海岸の防護はやってくれ、こういう声なんです。予算がないということでこういうことになったのでしょうけれども、この声というものはお忘れにならないように、今後の政令その他の運営についてはお計らいをいただきたいと思うのです。  ついては、先ほど八木委員のお尋ねに対する建設省の御答弁の中に、この伊勢湾等高潮対策というのは、熊野灘伊勢湾知多湾渥美湾である、こういうこまかいお話があったのですが、八木さんは渥美湾の方に近いから、渥美湾という名前をちょいとのぞかせてみたということなんですが、どうして三河湾という名前が出なかったのか、不思議に思うのです。三河湾のあることは御存じでしょうが、これはあのときの説明では忘れていらっしゃったのかどうか、これを一つはっきりとお答えいただきたい。
  56. 村上勇

    ○村上国務大臣 固有の地名は一つ一つ取り上げてはいないようでありますが、しかし、大体常識から判断いたしましても、三重県の一帯がこの指定を受けることになっております限り、愛知県におきましても、三河湾も含まれておることと私どもは解釈しております。
  57. 太田一夫

    ○太田委員 含まれておるとはっきり解釈をなさるという程度のことでなくして、当然だと思うのです。われわれは不思議なことと思われるのですが、今度の高潮は全部袋のすみっこに吹きつけられて、ことに風と高潮とで大きな被害が出たわけです。先回来、災害地対策特別委員会において建設当局お話のありましたときには、知多半島に関して、たとえば半田、半田の付近あるいは常滑付近とかいうお話が、具体的な地名として出たのです。これはあくまでも名古屋港に入る両わきということが、主としてあなた方の印象にあるような気がするのですが、そうでなくして、実際は通称三河湾の小区域の幾つかは、渥美湾というものに対する三河湾の両側は、一番どん詰まりは刈谷でございますが、刈谷というのはどうしてあんな大きな災害を受けたかというと、あそこはどん詰まりだから、全部そこに波が吹き寄せられてきたからです。従って、その左側で半田、武豊、衣浦干拓のあの付近でございますね、あれにつながる東浦から東側にいき、東側は幡豆、一色の海岸か  ら碧南の海岸を伝わって高浜まで、ずっと同じように高潮が相当大きく吹きつけているわけです。当然この海岸線は入るだろうと思いますが、大丈夫これは入っている、言うまでもなくそうなんだと理解してよろしゅうございますか。
  58. 山本三郎

    山本政府委員 三河湾と今先生のおっしゃいましたのは、私ども考えております知多湾区域に属するところだと思います。この付近はお説のように、今回におきましても非常に災害を受けているわけでございますので、私ども現地の実情を調べてはおりますけれども、あの付近は含まなければならぬものだと考えております。
  59. 太田一夫

    ○太田委員 従ってこの海岸線は、ずっととだえることなしに連続するわけですね。  そこで今のさかのぼる河川の奥行きの問題ですが、建設省におきましては、海岸からちょっと入ったところの堤防の決壊などにつきまして、河川の改修費として予算を計上されて、すでに改修に取りかかる準備ができておるわけですが、高潮対策でやられるところの関連する河川としての奥行き、この奥行きというものは、基準として、腹づもりとしてあるのですか。
  60. 山本三郎

    山本政府委員 港湾でも、海岸関連する河川におきまして、それを同時に改修いたしませんと、海岸だけやりましたのでは、河川の部分が破堤いたしますとまた同じことになるわけでございますので、海岸と同じように補強していかなければならぬ、河川を同時にやろうということになっております。  それじゃ河川をどこまでとるかという問題でございますが、これは川の広さとか、川幅あるいは水深、あるいは河川の勾配なり等によりまして、波なり高潮の入っていく距離がおのおの異なるわけでございます。これは非常にむずかしい問題でございますけれども、従来の各河川についての実績等を調べる上に、さらに港湾の実際の状況の模型などを作りまして、波がどっちから入ってきたらどういうふうにいくかというようなことを模型でも調べまして、そして具体的に延長をきめて参りたいということにしております。従いまして、各河川ともどのくらいに延長ということは、具体的に今申し上げられませんけれども、今回の高潮によりまして、海岸もやられ、河川も非常にいためられたというふうな区域は、当然入るものと考えなければならぬと思っております。
  61. 太田一夫

    ○太田委員 当然入るということになれば、これは常識ですが、海岸が丈夫になりますと、河川というものは逆に弱くなり、だんだん弱いところが上流にさかのぼるのです。模型を作ってテストしてごらんになるまでもなく、十三号台風海岸がしっかりしておれば、そうならなかったと思うのですが、今度の災害によって、今まで切れたことのない川に潮が入っていって、そして上流の堤防が切れる、こういう現象があるわけです。これはすでに実例があるわけですから、海岸高潮対策堤防が強くなると、今度は川の方が弱くなるというこのことだけは、当然のこととして御理解いただきたいと思うのです。従って、今度建設省災害関係河川改修の事業費が百二十七億三千万円ありますね。そういう河川の改修として今度おやりになる作り方と、伊勢湾等高潮対策でおやりになるのとでは、補助率も違いますし、また構造も違うような気が、お話を聞いておりましてするのですが、どうですか。これは直轄河川建設省がお直しになる直し方と、高潮対策として直すこととは、海岸付近の河川堤防におきましても同じ規格になりますか、関連なしになりますか。
  62. 山本三郎

    山本政府委員 海岸堤防とこれにつながる河川におきましては、当然相関連いたしまして、同じ考えのもとに計画をいたしまして施行しなければならぬというふうに考えておりますので、取りつけ部分で高さが違うとか、護岸が途中で切れるとかいうことがあってはいけないわけでございます。ただ、直接波を受けるのと川の中で波を受けるのでは、波力も違うし、波高も減水するわけでございますので、それらを十分研究いたしまして、それに応じて連続して堤防を補強して参りたいというふうに考えております。
  63. 太田一夫

    ○太田委員 建設省の方からお答えいただきたいのですが、農林省考えております河水の利用計画、水利計画に基づきまして、河川の途中で小さな農業用水の調節ダムを作ってやろうという計画が、別途に進んでおりますね。ところが、建設省の方にはそういうことが合議されておらない。あなたの方の直轄河川の途中にダムを作る。農業用ダムです。これは河川を全部締め切ってしまうわけですね。そうしてそこに夏は全部水をとめておいて、用水を両わきにとって全部農業用水として利用しよう。だから、途中から取り入れ口を作るということはこの際やめてしまって、上流にはダムを作る。たとえば、名前は忘れましたが、農林省が作っていらっしゃるダム、このダムができますと、その川の水というのは、農林省が途中でむだのないようにとめ、そうして農地の用水用に使いたい、こういう計画があるのですよ。こういう計画など、あなたの方に今まで御相談になった例がありますか。
  64. 山本三郎

    山本政府委員 河川法を適用している河川につきましては、農林省が作ろうとどこが作ろうとも、河川管理者である県知事に、国がやる場合には協議いたしますし、一般がやる場合には許可を受けます。そうして、その場合には、建設大臣の認可を受けた上で許可を出す、こういう建前になっておるのでありまして、適用河川の部分にそういうものを作るときは、全部建設省に相談があるわけでございます。
  65. 太田一夫

    ○太田委員 それから地盤沈下対策、このことは、先ほど運輸省の方からあったのですが、だいぶ前に地盤沈下対策の検討を建設省でやっていらっしゃる。最近ほとんどその予算がなくなりました。少なくなった。これが川というものに非常に関係があるのですが、地盤沈下対策については、今度の災害復旧関連して、引き続いて相当強力に考えられる用意があるかどうか。
  66. 山本三郎

    山本政府委員 地盤沈下の問題につきましては、原因が、終戦後の天然現象、地震等によりまして沈下したものがございます。これにつきましては地盤変動対策事業というのを設定いたしまして、建設省も補助を出しております。これは建設省所管の公共土木を、地盤沈下に応じて復旧する際における補助を出しております。  それからもう一つは、工事用水等のくみ上げによりまして起った問題がございます。これは主として大阪、東京、あるいは最近におきましては新潟等におきまして、原因はまだはっきりはいたしておりませんけれども、そういう現象が起きております。これにつきましては、海岸に面するところにおきましては、海岸堤防を上げなければならぬという問題が起こってきております。河川につきましては、やはり堤防を上げなければならぬという問題が起こってきております。従いまして、これらの問題につきましても、運輸省の所管の海岸堤防もございますし、建設省の所管する海岸堤防もございます。それから河川の部分につきましては建設省の所管でございますが、おのおの各省におきまして、その状況に応じまして、補助率の点につきましては多少の違いはございますけれども、各県のやる事業に対して助成を行なっております。  それから調査の問題でございますが、大阪、東京等につきましては、前に調査をいたして一応の結論はできておりますけれども、その後の沈下の状況等につきましては、引き続いて調べております。新潟につきましては、各省合同いたしまして、主として運輸省中心になられまして調査を進めておるのが実情でございます。
  67. 太田一夫

    ○太田委員 地盤沈下対策をお考えになる場合には、湧水なども相当に関連があるわけですが、国土開発の問題に関連してきまして、先ほど申し上げました、現在国会にかかっております臨海地帯の造成法案、あの国土開発法案と今の地盤沈下対策が、これまた非常に関連があるわけなんです。  そこで、それに関連してもう一つ御所見を承りたいことがあるのです。それは河川堤防でございますが、形の上では規格に合っている、ところが中の砂とか土とか泥――泥が入っているということはないでしょうが、しんになっておりますものが不純なものでありますと、堤防は非常に脆弱になってきますね。常時は水位が低いからいいでしょう。これが高くなってきますと、毛細管現象というか、何という現象ですか、幾ら内面に護岸がやってありましても、どんどん水がふき出てきまして、裏側の方に漏れて泉の状態を作る。そこが非常にうんできまして、長期に出水いたしますと、思いがけないところでこわれるという危険が出ているわけですね。こういう堤防を直すということになりますと、一回こわして直さなければならぬ。しんが悪いのだと思うのですが、そういう堤防のことについて御研究になったことがありますか。
  68. 山本三郎

    山本政府委員 堤防は、それを作るときによく材料を精選いたしまして、長い間水を通した場合に、水と一緒に土の成分が流れ出すようなことがあってはいけないわけでございますから、作るときには、初めから十分土質を吟味して作らなければいかぬということが、まずもって必要なことでございます。しかし作っておきましても、長年何回も何回も繰り返して出水を受けますと、その間にやはり堤防の中に水を通すような穴ができて参ります。そういう点で、各地の古い堤防におきましては漏水が起こっておりますので、これに対しましては、建設省といたしましても各地でいろいろ調査をいたしておりますし、またこれに対する工法も研究いたしております。堤防の中の浸水につきましては比較的物事は簡単でございますが、堤防の下の地盤から水が通っておるというのが非常に問題でございまして、これについては地下深く矢板を打ち込むとか、コンクリートの膜を作るとかいうような方法をとっております。堤防の中の問題につきましては、ほんとうにひどい場合には土を全部置きかえなければいかぬ、いい土に置きかえなければいかぬというような方策をまずとらなければいかぬと思います。あるいは今おっしゃったように、護岸等をしっかりやれば持つような場合もございます。これらの問題につきましては特に意を用いまして、堤防の漏水対策というものを考えまして、災害復旧でできるものはやりますし、また改修費等で処置しなければならぬものは、それについて重点的に処置をいたすという方向で進んでおります。
  69. 太田一夫

    ○太田委員 この漏水対策というほどむずかしいものはない。何か隠れておるものを探し出すようなものですから、常日ごろ草の中にもぐっていて、ちっともわからない。その付近に人家があったり、たまたま草でも刈りまして堤防をしさいに踏査できる場合はいいですが、ちょうど出水期は草が長いものですから、その中から水が流れ出たって、こわれるまでわからない。大体くせができてきまして、この辺までくればこうなるということはわかっております。今おっしゃった古い堤防に漏水があるというのではなく、新しく建設省がお作りになった堤防に漏水が多いのです。前回津島の市長が、津島の方の、昔薩摩藩士の作りました古い堤防はいまだにびくともしないけれども、外観のりっぱな新しい昭和の時代の堤防がくずれたのだ、こういうことをおっしゃいましたけれども、どうも新しく河川の改修がなされてから、そういう漏水現象が非常にふえておる。それに対して、まん中の土というものがありますけれども、大体現場の人の意見を聞いてみますと、純粋の砂がよろしいということを言うんですね。いっそのこと砂がよろしい。砂でなく土を盛った場合は、大ていいけないということを建設省の当事者が言っておるそうであります。矢板でも打ち込めばいいのでしょうが、矢板を打ち込むということになると、何百メートルもやるのは大へんえらいことですから、仕方がない、もう少し片をつけようということで、押えるのですが、どうもこの工法には自信がないようです。これは自信がある工法をやっていただかぬと、今度の災害で、そういう河川の異常出水のあったところの現場の湧水の実情を聞いてみますと、ほとんどのところが、大した予算はなさそうだが、何とか工事をした、改修をしたという実績くらいで、どうもおさまりそうだ。毎年そうだ。また同じように漏水が続くという不安を持っておりますから、一つ十分お考えをいただきたいと思います。  続いてそれに関連して、国鉄の副総裁がいらっしゃいますからお尋ねいたしますが、新東海道線の建設計画が今度発表になりました。この新東海道線と水防、こういう関係がございますか。
  70. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 新東海道線は、全部高架にいたしたいと考えております。もちろん河川を渡る橋梁その他につきましては、十分注意をいたして参りたい、こう考えております。
  71. 太田一夫

    ○太田委員 新東海道線の線路の測量は完了しておりますか。
  72. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 完了いたしておりません。ただいまから――三十四年度におきまして三十億の予算がついております。そのほか債務負担行為で四十億ばかりつきましたので、一部着工はいたしましたが、本格的な測量及び着手は三十五年度からかかることになっております。
  73. 太田一夫

    ○太田委員 まだどこを線路が通るかわからないのですか。
  74. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 ルートはきまっております。ルートを申し上げますと、東海道新幹線の経過地は、東京と大阪はまだ駅の選定がきまっておりません。それで横浜から申し上げますと、横浜の港北区から始まりまして、西南に向かい、相模川を渡り、小田原市の北部を通りまして丹那極道にかかり、それから三島を経て、冨士山麓を伝いまして静岡に達し、安倍川を渡り、日本坂を越え、焼津市の北方を越えて大井川を渡り、掛川付近で二俣線に沿いましてさらに南方に転じ、天龍川を渡り、浜松市の南端を通りまして、浜名湖を渡ります。そうして愛知県に達し、さらに豊橋を過ぎまして、坂野坂に隧道を貫きまして矢作川を渡ります。さらに笠寺付近で紀伊線を横切り、名古屋市に至ります。次に庄内川を渡り、濃尾平野を過ぎ、関ヶ原付近を越えて滋賀県に入り、米原付近に出ます。しこうして近江平野を通り、瀬田川を渡り、京都市内を経て、山崎付近に出て淀川に接し、これに沿って吹田市付近、大阪府三島郡地内に達する。大体こういうふうな想定で考えております。
  75. 太田一夫

    ○太田委員 新聞に出たあれの御説明でございますね。しかしもうちょっとこまかくわかっていると思うのですが、そういうものは発表をはばかられるのでございますか、いかがですか。
  76. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 はばかることはございませんが、これで抜けておりますのは、先ほど申しましたように、東京のステーションをどこに置くか、あるいは大阪においてどこに駅を作るかというふうな点がきまっておりません。また通過地の途中停車駅につきましても、現在線の駅に密着いたしますか、多少離れておるか、そういう詳細な点までははっきりいたしておりません。
  77. 太田一夫

    ○太田委員 必要とあれば、もう少し詳細な御説明をいただけるものと了解してよろしいですね。しかし線路の高さというのはどれくらいでありますか。
  78. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 大体ただいまの東京都内の高架線くらいのことは考えております。これもまだ詳細な設計は完了いたしておりません。
  79. 太田一夫

    ○太田委員 しかし一キロ三億というおよその予算はきまっておるのでしょう。
  80. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 私どもの方で、建設線の予算は、新線建設その他におきましての標準が大体ございますから、それは全線を完了いたしますのに一千七百億円、建設利子も入れまして大体二千億円という予算をこしらえておりますが、これは一々、たとえば駅の設計を了して積算したとか、橋梁の長さを精密に設計して計算したとか、そういうところまでは至っておりません。
  81. 太田一夫

    ○太田委員 そういうこまかい具体的な点はあとでけっこうだと思いますけれども、高架の高さ、これは全部大体原則として、平野を走るときもそれに近い高さと了承してもよろしいでしょうか。
  82. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 あるいは多少地形によりまして高低が生ずることもありましょうが、大体立体交叉で進むということでございますから、立体交叉の十分な高さだけはとって参るつもりでございます。
  83. 太田一夫

    ○太田委員 十分な高さということですが、これは立体交叉で、道路の方を上にさせるということではないでしょう。線路が上を越すということですから、相当に高い高さだ。それが海岸線をずっと走りましたときに、もしも堤防がこわれて出水したときに、大てい警防団あるいは警察署当局から、警察署長名によるところの避難命令が出ますね。元来鉄道線路というものは避難場所になっておる。何もないところで鉄道線路があれば助かるのです。なかったから助からなかったというのがたくさんある。今度の新東海道線というものが、交通の安全を考えたならば、だれも上がるべからずというように絶壁型にしなければならない。それから場合によって避難場所と考えたときには、どこか上に上がることができるという配慮も要るような気がする。そういう点をお考えになったことはありますか。
  84. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 私はまだ、特にそういう詳細な設計は聞いておりませんし、また詳細な設計も先ほど申し上げたようにできておりませんが、線路の補修関係のために、始終線路工夫その他が線路を見回る、それから線路をおりることもございましょうから、そういう上りおりの設備はあると思いますが、それが何キロ置きにあるかというようなことは承知いたしておりません。
  85. 太田一夫

    ○太田委員 今まできまっていないにしましても、これからそういう点のことも、あわせてお考えになる必要があるような気がする。同時に、これを原型のまままたぐ、跨線していく、これをオーバーしていく。キロ当り三億という単価から見て、細い農道はそのまま、あるいは溝川は今のままというように、将来の改修を見越したものがおそらくとられるんじゃないだろうかという気がする。水が出た場合に備えて、川を広くしようとする、今までならずっと広いところを流せるが、今度線路ができると非常に困るところが出てくる。これは大きな河川じゃございません。地方の小河川、それを広くしたいと思ったら、新東海道線ができたからだめだ、地元負担だからお前たち金を出すならやれ、そうでなければやらないということになると、非常に将来の水の計画に支障を来たす。そういう点につきましては、避難道路の問題とあわせて御配慮されるものと考えてよろしいか。
  86. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 鉄道線路の問題につきましては、河川港湾その他水の関係が非常にございまして、私どもも強い線路を作るには、水ということを始終念頭に置かなければならないことは、常々しみじみと承知いたしております。従いまして、私どもの方は、鉄道沿線における河川改修ができるだけ促進されることを希望いたしておりますし、また鉄道線路を作ります場合には、それぞれの関係の向きあるいは地元の声を聞きまして、十分御連絡をとりまして、ぜひ水の災害から線路を守る、また治水に妨げのないような線路を作って参りたいと考えております。
  87. 太田一夫

    ○太田委員 災害に関して新東海道線関係考えますと、小倉副総裁の今のお話はよくわかります。独善的に最後まで設計を内緒にして、くいは打ったがさあとなったときには、請負者が出てきて飯場を作ってしまって、いや応なしにきまったところに線路を通して、設計もその通りにいくというような無理なことのないように、十分配慮をしていただきたいと思います。  次に、運輸省の高浜の海員の学校の問題ですが、あそこは港湾と学校施設、一緒にいろいろと関係があると思うのですが、あれが今度かなり被害を受けましたが、あの復旧予算というのは、今度の予算の中に載っておりませんが、既定予算でおやりになる予定でございますか。
  88. 木内文治

    ○木内説明員 建設省査定の六百二十五万で修理をやることになっております。
  89. 太田一夫

    ○太田委員 六百二十五万であそこの施設を全部改修をされる、こういうことですか。
  90. 木内文治

    ○木内説明員 高浜の学校は、従来千名の定員でございましたが、今二百名の定員でございます。遊休施設がありますので、遊休施設の一部はそのままにいたしまして、当座教育ができる程度の改修工事をいたします。
  91. 太田一夫

    ○太田委員 あなたの方の施設は、従って当座できるというのですが、全部この六百二十五万で何とか復旧ができる、あらためてそれはやめてしまって新しいものを作る、こういう二段がまえでございますか。
  92. 木内文治

    ○木内説明員 さようでございます。
  93. 太田一夫

    ○太田委員 その次の本格的な工事予算はいつおきめになる予定ですか。
  94. 木内文治

    ○木内説明員 実は東京の商船大学の分校が清水にございます。清水の分校が来年の八月までに東京に移ります。従いまして、そのあとの施設を高浜の施設に使う予定でございます。
  95. 太田一夫

    ○太田委員 これには地元負担は何か将来ともありますか、それとも全然ございませんか。
  96. 木内文治

    ○木内説明員 地元負担はございません。
  97. 太田一夫

    ○太田委員 そこで建設大臣にちょっとお尋ねをいたしますが、このように国家の施設につきましては、警察の施設にいたしましても、あるいは運輸省のそういう一般的な学校の施設にいたしましても、全額国庫をもっておやりになるにかかわらず、その他の公共的なものは――これは学校ということになっていますけれども港湾にいたしましても、河川の改修にいたしましても、橋にいたしましても、道にいたしましても、一般公立学校にいたしましても、四分の三といったところで七割五分、三分の二といえば六割六分六厘ずっとですね、このわずかなことで、これで現在の規模からいってやむを得ないものだとか、当面間に合わうのだとかいって、高潮対策のときに、先ほどお話もあったのだが、こういう矛盾をどう考えていらっしゃいますか。
  98. 村上勇

    ○村上国務大臣 国の財源その他の関係で、従来はこういう高率補助というものはなくて、もっと何十年も前はほとんど、まあ波よけなり何なりが破堤いたしましても、村有林を切って、国から一銭ももらわないで、地元負担でそれぞれ片づけてきた。だんだん国の繁栄とともに、こういう災害なり何なりという場合に、高率補助で国が助けていくというようなことに置きかえられてきております。従って、私どもその精神から申しますならば、これはもうあなたと同じように、何もかも国が全額負担して、そうして抜本的な対策を講ずるということが最も願わしいことであります。しかし現在の――これは私の言うところじゃないと思いますが、しかし、私も一国務大臣として、また一議員として考えた場合に、常識的にもまずこの程度の国庫助成によって、そして地元の一部負担と相待って、これらの復旧をやっていかなければならない。なお地元負担につきましては、これはいろいろな事情で、地元の地方公共団体、いわゆる都道府県等がどうもその負担にたえられないという場合には、起債の措置とか、あるいはまたその起債で払えないという場合には、特別平衡交付金とか、いろいろな措置によってこの地方公共団体等の不足を補っているのであります。従いまして、一応ここに国の持ち分、また地方の持ち分というものに一つの折り目をつける方法というものが、こうして特別立法として現われてきておるのでありまして、われわれの気持としては、十分の八でなくて、十分の九も、あるいは十分の十も補助率を引き上げていきたいということは考えておりますが、しかし現状は、まずこの程度一つ復旧をしようというようなことになっておるのであります。
  99. 太田一夫

    ○太田委員 いろいろと衷情を承りましたが、一言でもって言えば、地方の方に御迷惑をかけるのもやむを得ないことだ、何とも仕方がない、必要悪だということですか。善ではないと思いますが……。
  100. 村上勇

    ○村上国務大臣 必要悪というようなことでないのでありまして、これは私はかえって必要善だと思っております。
  101. 太田一夫

    ○太田委員 十分の十という十分な国庫負担による直轄工事、この全額国庫負担が、あくまでも災害復旧の理念だと思うのですが、激甚地基準にいたしましても、あるいは特別措置法にいたしましても、二十八年災の先例がこうであったというようなことから、それに引きずられて、それと同等ないしはそれ以下となっていますのは、まことに心さびしく思うわけです。そのような現状から、国の財政規模から考えれば、あなたの方の御意見として承っておきますけれども、国家のものは十分に回復ができるが、地方団体並びに個人のものはなかなか思うように復旧できないというようなことがないように、十分政治の上に御配慮をいただきたいと思うわけです。  次に、郵政省にお尋ねしたいと思いますが、いらっしゃらないそうですから、郵便局のことはずっと省略しておきます。ただ一つだけ申し上げておきたいのですが、名古屋付近の水没地帯が多くなりましたとき、建設省も非常にお困りのようであったが、どこも困ったのが船なんです。建設省の方は、人命救助ということもあり、船の大量調達があったが、郵便関係の配達は、この船がないために、現場の配達の方がお困りになったようです。しかし胸までつかって配達をなさったという美談がたくさんある。こういうことが見のがされておりますのは、常時対策に手抜かりがあったのではないかと思う。こういうときにはこうするという対策があってしかるべきだと思いますが、きょうは郵政大臣もいらっしゃらないようでございますから、あるいは交通途絶の場合の郵便の逓送の問題につきましても、だいぶ問題があったようですけれども、その対策についても意見がありますが、これは省略いたします。  次に、電電公社の方にお尋ねいたします。電話開通の問題ですが、私どもが仄聞いたします限りにおきましては、非常にテンポがおそかったという声がありますが、その点の御見解はいかがでございますか。
  102. 黒川広二

    ○黒川説明員 お答えいたします。実は今度の台風によりまして、市外回線は、全国の市外電話回線の一七%に当たる一万五千回線が障害いたしましたし、市内電話につきましては、全国の加入者の一〇%に当たりますところの三十万回線が罹障いたしましたために、ただいま先生からお話しのあった通り、復旧がおくれましてまことに申しわけないと思っております。しかしながら、おかげをもちまして、現在では市外回線の方も市内の電話回線もほぼ復旧いたしまして、残っておりますのはごくわずかの数になっております。
  103. 太田一夫

    ○太田委員 ほぼ回復したというのですから、まだ残っているところ、これは水没地帯がありますから、とやかく申すわけではありませんが、風もおさまり、水も引いてしまった地域におきまして、非常に回復のテンポがおそかった。これは比較論でありますが、電力会社に比べて見劣りがするという声がある。しかも電電公社というのは、もうかっておって裕福なところだと世間でうわさされていたのに、さてとなりますと、一向に早く電話が通じてこない、何をしているのだろう、どの電柱にも上がっている人もなければ、倒れたのを起こしている人もないし、線を張りかえている人もいない、どこに何をしているのだろう、ずいぶん電話の災害に対する復旧がおそかった、何かしら意気込みがないというように国民は感じていたのですが、その点実情はどうでありましょうか、御見解を承りたいと思います。
  104. 黒川広二

    ○黒川説明員 お答えいたします。ただいまのお話でございますが、先ほど御説明いたしましたように、相当の被害を受けましたので、まず第一に市外線の復旧を主といたしました。すみずみまでの郵便局等にございます市外線の復旧を主といたしまして、約二週間くらいで復旧をいたしました。しかし郵便局等で水没しておるところもございますので、その方に対しましての臨時の市外線といたしまして、携帯用無線機をもって非常無線を開通いたしたものもございます。そのときの動員の状況でございますが、地元の人々はもちろん、私どもでは東海以外に九通信局ほどございますが、各通信局から約五百名以上が、自動車、食糧、材料等も持ちまして現地にかけつけました。約一カ月間のその人たちの努力並びに地元の請負業者の努力によりまして、ようやく今日の状況に達したわけでございます。十一月九日現在の復旧状況でございますが、罹障数は愛知県でまだ約一千加入ございまして、これは水没地帯の方々でございます。三重県は五百三十二ございまして、これも水没地帯でございます。岐阜県はおかげさまで十月十五日に市内電話は復旧いたした次第でございます。
  105. 太田一夫

    ○太田委員 一生懸命におやりになったということだろうと思いますが、五百名という数字がどうだかこうだか知りませんが、さてあなたの方の会計で、今度の災害復旧はどれくらい計上されておるのですか。
  106. 山本英也

    山本説明員 今度の補正予算にどれだけ計上されておるかというお尋ねであると思いますが、電電公社の災害復旧関係のものは、補正予算には計上されておりません。
  107. 太田一夫

    ○太田委員 あなたの方にはあるでしょう。
  108. 山本英也

    山本説明員 今回の伊勢湾台風におきまして、被害を受けました総額を申し上げますと、設備関係におきまして十八億五千万円、局舎関係におきまして二億六千九百万円、その他七千八百万円でございまして、二十一億九千七百万円に相なります。それでこの災害に対しますところの復旧の費用は、これだけ要する次第でございます。
  109. 太田一夫

    ○太田委員 従って、二十一億円計上してあるのですか。
  110. 山本英也

    山本説明員 この三十四年度におきましては、伊勢湾台風以外の災害もございまして、これらの災害復旧に要しますところの総額は約二十八億四千四百万円ほどに相なります。そのうち、八億円ほどは既定経費をもちましてそれに充てたい。二十億につきましては、公社の予算におきまして、今年度の収支状況等にかんがみまして、それだけ予算額をふやしていただくことを行政措置としておとり願うように、郵政大臣の方にお願いをいたしました。
  111. 太田一夫

    ○太田委員 郵政大臣はそれを承知されておりますか。オーケーされておりますか。
  112. 山本英也

    山本説明員 大体御承認を得られる見込みでございます。
  113. 太田一夫

    ○太田委員 この災害復旧というのは、きょうは電電公社のお方にはお気の毒かもしれませんが、もう少し急いでやっていただく必要があると思うのです。特に電話線の強度というのは、あの風には非常に弱いのです。ずたずたに切れるというところもあったのですが、この強度についてさらに改善をされる意図がございますか。
  114. 黒川広二

    ○黒川説明員 裸線は御承知の通りの構造でございまして、どうしてもこの前のような台風が参りますと弱いものでございますから、なるたけケーブル化する、あるいは架空ケーブルは地下ケーブル化するという方法でやっておりますが、予算関係上全部が全部そういうこともできませんので、重要幹線からだんだん、ただいま申し上げましたようなことをやっております。もう一つ、裸線、有線の回線ばかりでなく、長距離回線等につきましては、マイクロ回線等を併用いたしまして、被害を最小限度にしたいというようなことにいたしております。
  115. 太田一夫

    ○太田委員 大いに改善してほしいと思います。  もう一つ、先ほどお話しがありましたが、電気の回復、早く電灯をともそうという方の気力に比べて、あなたの方が早く電話を開通させようという気力に見劣りがあると見られたのは、残念だと思います。それは全体の傾向かどうか、ちょっと私も申し上げられませんけれども、少なくとも電話の方は相当おそかった。特殊なことか知りませんが、災害対策につきまして、郵政省自身も、これははっきりしたものを持たなければいけない。電電公社が勝手にやればいいということじゃいけません。郵政省は、補正予算もないし、特例法も何も出ておりませんけれども災害となれば、末端へいけば、郵政省の郵便局も、それから電話の方も同じところにいく、一緒になっているところがたくさんあるのだから、こういうときには、郵政省全部打って一丸となって、災害復旧のために努力するという形を示すべきじゃないか。そのために要る予算は、どんどん取るべきじゃないかと思います。郵政省というところは、非常に会議は派手だそうですけれども、仕事の方は地味だという定評が世間にありますが、この定評は早いところぬぐい去って、災害復旧につきまして十分な効果を上げてもらいたいと思います。過ぎてしまって、ほとんどでき上がってしまったことですからよろしいですけれども、民間の電力会社などに比較して見劣りがするということは、何かしら応援態勢に欠くるところがあったからだと思います。その点を御要望申し上げまして、お答えがあったらお答えをしていただきまして、私の質問は終わります。
  116. 黒川広二

    ○黒川説明員 ただいまの先生の御趣旨に沿いまして極力努力いたしますが、なお、非常無線等の設備も、従来に増して一そう増強し、そういう事態に備えるように努力したいと思っております。
  117. 田村元

  118. 八木一郎

    八木一郎)小委員 午前中に海岸線、特に伊勢湾等関係法律の成立を前にして、三年間に完成するという政府の確たる決意と、その裏づけになる法律、負担法の規定をもとにして、特に大臣の御出席をわずらわして締めくくりをするものであります。  大臣は、二十八年度災の際には議員立法二十数件のあの災害対策委員長として御活躍になって、私どもも当該委員、また予算委員として、今きびしく反省をしがてら、今度こそは二度と再びかような大惨害は受けないように、法律的にも予算的にも万全を期したい、こういうかたい決意でこの審議に取り組んでおるのであります。この審議過程において、私が本日あえて大臣の出席を要求して申し上げたいことは、二十八年のときも、三・五・二の進度の問題、そうしてこれを完成するに、かすに三年をもって必ず仕上げる強い院議の要請を裏づけとして復興にかかってきたのでありますが、このほど私が予算委員会における資料要求において、現在残っておるいわゆる過年度災害の実態を出してもらって、今これを見ますと、二十八年度災の残、つまり過年度災として残っておるものが、驚くべき数字でここにあるわけです。これは他山の石ではない。顧みて、こういう過年度災をきれいに片づけると同時に、これから始まる伊勢湾台風被災の法律予算の施行に対処するについては、きわめて具体的に、がっちりと立法もいたしたいと思うのです。すでに負担法においては立法されておるわけであります。今検討してみますると、三年以内にはこれを完成するものとする、こうなっておるようでありますが、これは、一体政府に義務づけて、政府はこの計画を責任を持ってやらなければならぬと法律で規定されておるものと解していいのかどうか。まず、法律の根拠について御説明を聞き、あわせて大臣の御決意を承りたいと思うのであります。
  119. 村上勇

    ○村上国務大臣 昭和二十八年の大災害当時の特別立法による指定地域が、五年も六年もたって、三カ年で復旧すべきはずの緊要度の高いものが復旧していなかった。従って、今回もまた法律はできても、やはり二十八年の大災害と同じような轍を踏むのではなかろかというような御配慮の御質問と思います。御承知のように、昭和二十八年当時には、いわゆる公共土木施設災害復旧事業費の国庫負担法というものがまだなかったのでありまして、昭和三十年にこの法律が出ましてからは、例年の災害が三・五・二でりっぱに復旧いたしておるのであります。ただいま八木委員お話になりました二十八年災がどう、あるいは二十九年災の残りというようなことにつきましては、これは提出資料に誤りがありまして、これはもう二十八年完了、二十九年も完了、三十一年完了、そして残っておりますのは、三十二年と三十三年の災害復旧費というものが残っておるわけであります。従って、近年は、この三十年の立法によって、政府もその法律を守ってずっと実行いたしておりますので、今回の大災害にあたりましても、必ず私どもはこの法の命ずるままに、緊要度の高いところは、もう何としても三年以内にはこれを完成せしめるということを、ここではっきり申し上げておきたいと思います。
  120. 八木一郎

    八木一郎)小委員 この法律の裏づけに基づいて、政府の責任において、完全に三年完成を実施いたしますという御言明は、私も信頼するものでありますが、今後は裏返して言うと、その結果として、三年完成の義務を強く負わされるから、計画、立案の過程で、たっぷり予算化というふうにいかないで、きびしい査定で緊要度と激甚度等を値切られてしまっては、これはまた何にもならないという心配が出るわけであります。われわれは、三年間にたっぷり予算で完成を――それこそ政治に信頼をつなぐこれが最後だと思います。こんなことが二度も――六年もたたぬうちに何千人も人を殺して、どこに政治の信頼があるかとさえ、きびしい自己反省にかり立てられるのです。そういう意味で、今度は一つたっぷり予算をつけて、三年で完成をしてもらいたい。なるほど、この災害については、どういうめぐり合わせか、二十八年のときには災害対策委員長として村上勇さんであり、今度は政府の責任大臣としての村上さんであるのだから、そういう意味からも、二度と再びというような言葉でなしに、何としても予算法律政令、行政措置の全般の中から、間違いのない、確実な裏づけにおいて、午前中審議を尽くしました諸問題を実行していただくことを御期待申し上げて、重ねてその御決意のほどを承って、私の質問は終わります。
  121. 村上勇

    ○村上国務大臣 このごろの査定は、決して指定地がきまったから、どうも指定地域が広がったから、あとで少し査定を締めておこうじゃないかとか、あるいは指定地域が、特別立法の適用地帯が少ないから、少し甘くしようじゃないか、そういうようなことは絶対にないのでありまして、ずっと以前は建設省だけが査定して、それをあとでまた大蔵省現地も見ないで一応査定するというような慣習もあったように私は聞いております。これは間違っておるかもしれませんが、そういう考え方に私どもはひがみを持っておりましたが、最近では、建設省査定をするのでありますが、大蔵省も係官が立ち会って、そして厳密な査定をいたしますので、そういう指定地域云々によって筆を曲げるようなことは断じていたしません。また、そういうことはさせませんし、しもいたしません。でありますから、その点については御安心願いたいと思います。  なお、ただいま申し上げましたように、昭和三十年、公共土木災害復旧事業の国庫負担法というものが制定されて以来、政府は、まず災害復旧を優先的に取り上げて予算づけをいたしておるのでありますから、必ず、今後といえども、この負担法の命ずるままに――たっぷりと、ということはちょっとどうかと思いますが、しかし、われわれは、今回の災害はどの地点も相当緊要度、緊急度の高いところであろうと思いますから、十分予算措置をいたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思っております。今回の補正予算にいたしましても、この補正予算の中に、私どもとしては、初年度復旧事業に対しましては、従来より以上に万遺憾なきを期しておる次第でありますので、さよう御了承のほどを願います。
  122. 小林錡

    小林(か)委員 関連して、ちょっとお伺いいたします。高潮対策についてですが、法律では「伊勢湾等に面する地域における高潮対策」となっております。これはもう質問があったかもしれませんが、これはどこを標準としてきめられるものか。ついでに申し上げておきますが、高潮対策としては、この地域にあるところの海岸及び海岸付近の河川が、高潮のために著しい被害を受けたから、これに対する対策を講ずるということになっておりまするので、大体その考えからワクというものがきまるであろうと思いますが、御承知のように、伊勢湾というのと三河湾というのは、知多半島を区切っております。そして三河湾の中に知多湾があり、渥美湾がある。伊勢湾等というと、何だか三河湾の方は含まないんじゃないかというふうにも考えられるし、台風というものの問題からいえば、三河湾までも、やはり風が吹いてくれば高潮の問題が起こるであろうから、この範囲も含まれるであろう、こういうふうにも考えられるのでありますが、従来、愛知県を含むかというと、愛知県は含むという御答弁はありますけれども、こまかい意味においてのはっきりした御答弁を聞いておりませんので、この点について一つお答え願いたいと思います。
  123. 村上勇

    ○村上国務大臣 大体今回の台風の名前のつけ方が私どもはどうかと思うので、だれがつけた名前か知りませんが、ちょうど、私が現地に行っている留守に、伊勢湾台風という名前がつけられたのです。しかし、伊勢湾台風ということよりも、十五号台風における海岸云々ということになれば、今のあなたのような疑問は生じてこないのであります。そういう固有名詞をつけたところに、私は特に「等」という字を入れてこれをカバーしていると思います。従いまして、渥美湾といい、あるいは三河湾といい、また三重県の海岸といい、今回のいわゆる高潮あるいは台風によって受けた被害の復旧につきましては、これはこの中に含まれておる。また、特にこの海岸に近い河川堤防等につきましても、この伊勢湾等というものに含まれておると私どもは確信いたしておりますし、また、われわれはそういうふうにきめて予算措置もいたしておる次第であります。ただ、伊勢湾という名前がこの台風の名前になっております関係だろうと、私はかように考える次第であります。
  124. 小林錡

    小林(か)委員 そうしますと、この地域というものは、どういう標準できめられるのですか。これから先何か気象やいろいろな方面から研究をされて、その上で最後的には確定するものであるか。
  125. 山本三郎

    山本政府委員 今回の高潮の状況をもちろん勘案をいたしますし、将来あの付近を通った場合にどうなるかという点も考えなければいけませんし、また、今回の被害の状況、どういうふうに海岸堤防がやられておるかというような状況をつぶさに検討いたしまして、災害復旧だけやったのでは持たぬ、それだけではだめだというような点を検討いたしまして、概略今のような区域の中でございますけれども、その中の個所々々について検討いたしまして、どうしてもやらなければならぬものは取り上げていくということでございまして、はっきりどこを取り上げるかというような点につきましては、各省の告示で出すか、あるいは予算の取りきめでいくかというような点はございますけれども、いずれにいたしましても、計画を検討いたしまして確定して参りたい。こういうように考えております。
  126. 小林錡

    小林(か)委員 そういたしますと、今後その災害の状況を調べて、どういうふうに風がきて、どういうふうに高潮の影響があったかということを研究された上で決定される。これは各省の打ち合わせできめられるのでございますか、あるいは大体今きまっておるのであるか。
  127. 山本三郎

    山本政府委員 この点につきましては、各省にまたがっておりますので、少なくとも農林運輸建設三省事業はまたがっておりますし、また県も一県だけではございませんので、それらの意見も聞かなければいけませんし、あるいは災害査定も、今現地で進行中でございますので、それらの結果をみな持ち寄りまして、これから協議会で相談をいたしまして――これは現在大蔵省も入っております協議会で相談をいたしまして、あるいは学者の意見も聞いてやるということでありまして、決して、今きまっておるわけでございません。今後の問題になるわけでございます。
  128. 小林錡

    小林(か)委員 くどいようですが、そうしますと、知多半島の西海岸と東海岸、それから碧海郡のはずれ、それから蒲郡付近から伊良湖岬、渥美の沿岸、あんなところも大体入るものというように見ていてよろしゅうございますか。
  129. 山本三郎

    山本政府委員 もちろん、この地域につきましても協議の対象にいたしまして、その決定するときにどこまで入るかということは、今具体的に申し上げられませんけれども、協議の対象にはいたすことにしております。
  130. 小林錡

    小林(か)委員 大へんよくわかりました。  ついでに、はなはだ問題が小さいようでありますが、簡単にお伺いいたします。それは矢作川の問題であります。木曽川、長良川はだいぶ出たようでありますが、矢作川の問題はまだあまり出ておらぬように思います。矢作川は、今回九六%ですか、七%というほどの洪水によりまして、所によっては水が堤防をオーバーしております。久澄橋のそばでも、洪水がそのまま堤の上を流れ落ちていた次第であります。また、上郷村戸狩辺の内堤防が決壊して、耕地十八町歩ぐらいにわたり冠水いたしました。それから、挙母の対岸の野見というところでも堤防が切れまして、河水がはんらんし、人家を水に浸しました。その他ずいぶん方々に水がオーバーしたり、多少切れたりしておりますし、下流の方にも高浜、碧南等では相当程度堤防がいたんで、石が出たりしておるところもあったようです。水がふえたのは平戸橋のダムを一度に開いたからだというふうな話もありますけれども、要するに洪水量がふえたので、東加茂の山奥の旭村方面のごときは、集中豪雨で水量も非常に増した。今回は割合に雨は少なかったけれども、部分的に多い。風も非常に出ておる。そして御承知のように、加茂橋、久澄橋、日名橋、それから美屋井橋という大きな橋が、全体的にこわれておらないにしても、まん中の重要な個所が切れておる。こういう点から見ますと、相当これは堤防をオーバーして水がこぼれるおそれが将来ないとはいえない。しかも、御承知のように、片方は日本のデンマークといわれる非常に広い農耕地であります。豊田、碧南、岡崎でも、切れれば大へんな戸数の人家が水底に沈むという状態になるのであります。今回も早く避難命令を出したので、だいぶそのおそれは少なかったようでありますけれども、非常に切れるおそれがあるようであります。御承知のように、昭和七年ごろから、石狩川と一緒に十年計画で矢作川の改修というのを内務省で計画いたしまして、着々進んできておりますけれども、今日なお上の方はそのままであります。そういう状態でありますが、将来堤防をさらに高める心要があるのか。私は、むしろ上の方でダムでも作って、河水統制の計画をやった方がいいんじゃないか、幸い、建設省では局長さん御心配下すって、調査員も出していただきましたが、いたずらに堤防を高めるだけでは、水の問題はなかなか解決がつくまいと思います。農林省との関係もありましょうが、われわれが見ると、農林省建設省との連絡がないためか、ずいぶんむだな金を使ってダムを作ったり、何億、何十億というような場合もないとはいえない。この点、矢作川の治水対策としては、堤防をどのようにお考えになっておりますか、ちょっとお伺いしたい。
  131. 山本英也

    山本説明員 矢作川の問題につきましては、ただいま小林先生御心配になっておりますように洪水の出方も非常に大きくなって参りました。また、下流の地区におきましては、地盤沈下の問題がございまして、堤防がいたんでおるという点も承知しておるわけでございます。従いまして、何とか一つ河川の改修以外に洪水を調節する方法を考えなければいかぬ。また、あの付近で用水等も非常に不足しておりますので、上流のダムの計画一つ調べようということで、県と協力してやっておるわけであります。それができましても、さらに下流部におきましては堤防の弱い所等もございますので、それの補強を五カ年計画の中に入れまして、早急に弱い所を補強したいと考えております。また、下流部につきましては、やはり今回の高潮等にもかんがみまして、海岸堤防関連して処置しなければならぬ問題があるのじゃないかということで、今現地ともどのように計画したらいいかという打ち合わせ中でございまして、これも高潮の一環として下流部は扱わなければならぬじゃないかという気持を、私としては持っておるわけでございます。それらを総合的に考えまして、流域は非常に重要な地域でございますので、全体計画を作って、従来の計画を促進すると同時に、新しい計画も付加して促進したいと考えております。
  132. 小林錡

    小林(か)委員 もう一つ簡単に。御承知のように、この間池田通産大臣の言われたように、最近工業用水が非常な問題になっておる。それから灌漑用水、生活用水等、あの近所は非常に水が足りなくなりまして、今豊田市でも、トヨタ自動車などは水が足らないで困っておる。しかも、岡多線が実施線に入りましたし、あの西加茂から瀬戸の方にかけて、地下資源として陶土が無尽蔵に出る。こういうわけで、旭ガラスの原料の硅砂の九割何分はあの辺から行っております。もし、鉄道が敷けるようになれば、自然あそこに会社がたくさんできるようになります。そうするとますます工業用水が足りなくなるというのでありますから、どうか洪水方面のみならず、将来中部地方の中心となって伸びていくあの地方をお考え下さって、大きな計画をお立て下さるようにお願いいたしたいと思います。  ついでにもう一つお願いいたしたいことは、今申し上げたように、大部分の橋が落ちてしまいました。しかも、日名橋も木橋でありましたし、久澄橋は、三分の一は永久橋にしていただきましたが、三分の二が残ったために狭い。あそこで自転車がバスと衝突して、死んだりしましたが、幸いというか何というか、落ちたわけでありまして、一つでき得るだけ永久橋にしていただきたい。上の方の加茂橋というのも、狭い小さい橋ですが、小学校の生徒が通う非常に重要な橋であります。今までは、まん中が鉄筋コンクリート、両側が木橋になっておりましたが、これが落ちたのであります。ぜひこれも永久橋にお願いいたしたい。それから日名橋も美屋井橋も、木橋ですぐ腐りますから、こういう際、費用が惜しまれるでありましょうが、一つ思い切って奮発してやっていただきたい。  それから河口の方の話がありました。海岸からつながっておる上流が、やはり海岸並みに堤防ができないと、あの地方はまた水に浸らなければならないということであります。一つこの点もお考え下さるようにお願いいたす次第であります。
  133. 山本三郎

    山本政府委員 橋梁の永久橋の問題につきましては、最近災害対策の取り扱い基準が改正されまして、バスの通っておる橋だとか、あるいは学校、役場に行く橋だとかいうものにつきましては、緩和されておりますので、できるだけそういうように処置いたしたいと考えております。具体的な問題につきましては、現地査定官が参りますので、実情をよく述べていただきまして、基準に合うものにつきましては、できるだけ改善するような方策で臨んでおりますから、さよう御了承願いたいと思います。
  134. 小林錡

    小林(か)委員 まことにありがたい御答弁で、非常に期待しておりますから、何とぞよろしくお願いいたします。
  135. 田村元

    田村委員長代理 堂森芳夫君。
  136. 堂森芳夫

    堂森委員 建設当局にお尋ねいたしますが、気象庁の調査によりますと、何でも太陽の黒点か何かの関係があって、三百年来の気象の調査をしたそうであります。そうしますと、大体八十年目くらいの周期になって災害がきておるそうであります。現在どういう時点かと申しますと、大体今がはなはだしい災害の時期に来ておって、しかも、まだ十年くらいは災害が続くであろう。私はしろうとでよくわかりませんが、こういうことを気象庁の責任ある人が言っておるのを私は読んだことがあるわけですが、災害がまだ十年くらいはあるであろう、こういう事態に対して、建設省としてはこれに対処して災害を今後防いでいく確信があるのでしょうか、どうでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  137. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまのお話につきましては、私も気象庁の関係者にもときどきお伺いいたしますが、御承知のように、明治の末期におきまして、全国的に非常に災害が起こったわけであります。それから戦争直後になりまして、毎年のように災害が発生いたしました。ここ二、三年なかったのでありますが、またことしの災害が起きたわけでありまして、統計的に今のお話もそうだと思いますけれども、ちょうど明治の末期くらいの全国の雨量状況であるというようなお話でございまして、多少そういうような周期的な問題も考えられるのではないかというふうに考えるわけでございます。建設省といたしましては、こういうふうな時期でございますので、ぜひ一つ国土保全の事業計画的に推進いたしまして、もちろん財政の限度もありましょうけれども、地元の方々の要望、あるいは民生の安定上、この堤防はいつまでかかればできるのだと、はっきりと計画実施のお約束ができるような形にしなければ私はいけないと思う。それには、まず五カ年計画というものを作りまして、どの川はいつまでにどの程度できるのだということがはっきりできるような程度にだけは、少なくとも持っていかなければいかぬということでございまして、五カ年計画を確定いたしまして、それを着実に三十五年度からは実行していただきたいというのが、われわれの念願でございます。  さて、その五カ年計画をやれば完全に災害がなくなるかということでございますが、これはなかなか、考えてもおらぬところに考えも及ばぬような雨の降ることもあるわけでありますので、完全に災害をゼロにすることは非常に大きな金もかかりますし、また、これは物理的にも不可能なことに属する面もございますので、私どもといたしましては、五カ年計画をやりまして、今起きているような災害は、少なくとも半額程度には五カ年計画を遂行したら減るような状況に持っていきたい。引き続いてさらに次の五カ年計画をやりまして、さらにその残りの分を非常に少なくしたいというふうな考えのもとに、来年度予算あるいは五カ年計画の問題を財政当局等に強く要望をしておるのが実情でございます。
  138. 堂森芳夫

    堂森委員 建設省の三十四年度関係の補正予算の概要の説明を先般われわれは承ったわけでありますが、このプリントを見ておりますと、追加額が二百五億二千五百余万円となっております。そして修正減少額が三十九億三千四百万円、差引額百六十五億九千余万円、こういうふうなことになって、その内訳はこうこうだ、こういう説明を承ったわけでありますが、三十四年度のために組んだ予算から、修正減少額というものが四十億ぐらいある。そうしますと、この修正した額約四十億というのは、一体どういう内容のもの――こまかいことはいいですが、どういうことなんですか。
  139. 山本三郎

    山本政府委員 この修正減少額につきましては、各局の事業にまたがるわけでございますが、便宜私から御説明を申し上げますと、概略の四十億の内容でございますが、一番大きいのが道路の特会への繰り入れでございます。これが約二十七億三千万円、それから治山治水の七億六千八百万、次は公営住宅が二億一千八百万、官庁営繕が二億五千五百万、そのほか都市計画におきまして二千八百万というふうな内容に相なっております。     〔田村委員長代理退席、徳安委員長代理着席〕
  140. 堂森芳夫

    堂森委員 道路の場合は別にいたしましょう。水を治めるものは国を治めるといわれるごとく、水に対する対策というものがきわめて重要であります。そうしますと、治山治水に七億を修正減額したとかいろいろございましたが、局長がおっしゃるように、今後五カ年計画を立ててやっていこうというときに、こういうふうな減らし方をしていくということは、少しく論理が矛盾しませんか、いかがですか。
  141. 山本三郎

    山本政府委員 おっしゃる通り、災害復旧なりあるいは治山治水を大いに推進しなければならぬ場合に、せっかくことしきまっておるのを減額いたすという表向きのことがございまして、御心配いただくのは当然のことだと思いますが、実は河川あるいは海岸等の改修をやろうと思っておったときに、今回の災害が参りまして、災害復旧なりあるいは災害関連事業なりでその仕事が全部カバーされたというようなところにつきましては、県にいたしましても、それがそのまま施行することができなくなったわけでございまして、その点につきまして災害費を今度はいただくわけでございますから、その方に振りかえるというのが実情でございます。ただ、ダムの問題が中にございますが、これは実はまことに申しわけない次第でございますが、事業費がついておりましたけれども、まだ地元の用地補償が片づかないで、ことしは計画的にできないというような点がございまして、これをことしは返して、来年度は、話し合いがついたならば、計画以上にそれをもらおうというつもりでおりますので、話し合いがつけばその金は出せるので、全体の計画といたしましては支障がないというふうに考えております。
  142. 堂森芳夫

    堂森委員 具体的にどこの予定地が災害がきたかわかりませんから、議論になって参りますから、これはこまかく追及いたしませんが、しかし、せっかく建設省が慎重審議せられたものだと思うのでありますから、そういう予算が修正されていくということは、やはり私はきわめて遺憾なことではないかと思うわけであります。  そこで、やはり同じく建設省説明によりますと、直轄河川については重点的に木曽川、富士川、千曲川及び鬼怒川などの復旧に重点を置いて二カ年間で復旧をさせていく云々と書いてあるわけでありますが、おそらく今後十年間は災害が繰り返しくるかもしれません。こういう状態であるときに、これらの川のみでなくて、全国的にやはり重要な直轄河川があると思うのであります。それらの河川が全国で大体どれくらいあるかという、これは御計画があると思うのですが、こういうような河川、この重点を置いた河川はもちろんであるが、さらに全国的に見ると重要な河川があっちにもある、こっちにもある、そしてこれを五カ年計画なら五カ年計画でやっていかなければならぬ、こういうものがあると思うのでありますが、御記憶にある分をお聞かせ願いたいと思います。
  143. 山本三郎

    山本政府委員 この補正予算説明に書いてございます木曽川、富士川等の例示でございますが、これらは直轄の河川で今やっておる区域堤防が切れたところが非常に多い。従いまして、これは今年度中に全体の災害の六〇%くらい復旧しておかぬと、来年の台風期に切れ個所が残るということになりますので、それは特に六〇%進捗をはかる。ほかの河川につきましても、いずれも災害は直轄河川では重要のところが多いのですから、これはことしのうちに五〇%はやっておくということでございまして、特に六〇%災害復旧をやる河川の名前をそこにあげておるわけでございます。ほかの直轄河川につきましても、二カ年完成ということはもちろんでございますし、その五〇%もやはり本年度中に施行するという予算内容に相なっております。  それから重要な河川というお話でございますが、あるいは別の観点のお答えになるかもしれませんが、国で直轄でやっておりますのは、利害が広範囲に及ぶという観点からやっておりますが、これは全国に約九十本ございます。そのほかに中小河川の改修がございますが、これが県営でやっております河川でございます。今改修中の河川が約三百本ございます。今後さらに改修をやらなければならぬ河川は、中小河川といたしまして千本近くあるわけでございます。直轄の方は、工事中のものが約九十本でございますけれども、さらに全国に、現在のところ要望があるのが十本くらいございます。これらについては、さらに今後五カ年計画の中で事業を促進して参るわけでございますが、新規の問題につきましても、逐次五カ年計画の中に取り入れて、工事を促進していこうというように考えておるわけでございます。従いまして、今予算説明の中にありました重要河川として特に名前をあげたのは、堤防が切れた川だということでございまして、決してそれだけが重要河川だという説明ではございませんので、御了解いただきたいと思います。
  144. 堂森芳夫

    堂森委員 そこで、これは局長にお尋ねするよりは、政務次官が来ていらっしゃるから、政務次官に申し上げた方がいいかもしれませんが、治水特別会計と申しますか、五カ年計画で水を治めていくために、今後政府は重点を置いて特別会計を作っていこう、こういうようなことが新聞によく書かれておるわけでありますが、この方の見通しはいかがでございましょうか。
  145. 大沢雄一

    ○大沢政府委員 お尋ねの特別会計の問題でございますが、建設省といたしましては、継続的に昭和三十三年度を起点としてこの五カ年間に、先ほど河川局長から御説明申し上げましたような、従来の被害を少なくとも半減いたしたいという考えのもとに、その方法といたしまして特別会計の設置ということを強く要望いたしておるわけでございます。これにつきましては、本年度予算の編成の際におきまして、相当この問題につきましてはその必要性が検討されたのでございますが、いろいろの事情がございまして、今後に持ち越されたわけでございます。関係閣僚懇談会におきまして、これにつきましての結論を出すということになって、ただいま検討いたしておるわけでございますが、大蔵省におきましては、主計局長の意見といたしまして、特別会計の設置について反対の意見がすでに建設委員会に対しても表明されておるわけでございます。しかしながら、御案内の通り、岸総理大臣も、根本的な災害の克服の対策といたしまして、予算の裏づけのある施策を明年度において実現するということを言明されておるのでございます。予算の裏づけをするということになりますれば、相当の金額をどうして裏づけをするかということになりますれば、私どもといたしましては、現状これは特別会計の形でなければ、総理の言うように継続的な、恒久的な裏打ちをするということは、なかなかほかに方法が考えられないと思いますので、私どもといたしましては、特別会計の設置問題が何とか実現を見なければならぬ、かような信念のもとにただいま強く折衝をいたしておる次第でございます。
  146. 堂森芳夫

    堂森委員 災害特別委員会におきまして、わが党の中島委員から総理への質問の際にも、総理はそうしたいという答弁をしておるわけであります。もっとも、そうするという答弁ではありませんが、そのようにしたいという答弁をしておるのでありまして、これはぜひとも実現をしてもらいたい、こういうふうに思っております。  そこで、質問を次に進めまして、河川局長にお尋ねいたしますが、名古屋管区の行政監察局が、本年八月に発表いたしました「愛知県における水防計画並に水防活動に関する実態調査結果報告書」これを見ますと、すでに高潮対策というものが強調されております。読んでみますと、「三河地震(昭和十九年)等を契機とする、県内海岸一円に亘る地盤沈下の現象に鑑み、又沿岸町村は、何れも高潮水防の意識が低く、且つ指定団体においてすら、これが水防体制の整備は、甚だ不十分である現況であるから、速かに高潮対策を完備する要がある。」、こういうような警告を発しておるのであります。もちろん中央、特に建設省方面から、こうした地域に対して注意を喚起し、万全の策を講じなければならぬ問題であろうと思うのであります。今回高潮対策事業に関する特別措置法案というものが提案されておりまして、高額の国庫負担をもって事業をやっていこう、それに関連して建設省の職員をふやして万全を期そうというふうな関連した法案が提案されておるわけでありますが、この間も、本災害対策特別委員会におきまして、同僚の議員から、今回の災害、たとえば高潮による被害などを見て、これは国家賠償法の対象になるかどうかというような質問も繰り返されておられました。政府当局は、これに対して、国家賠償法の対象になるかどうかはきめ得ない、こういう答弁をしておりましたが、行政監察局がそういうふうな警告を発しておるということは事実でありまして、そうした警告があったということから見て、政府当局には責任がない、こうは言えないと私は思うのであります。この点に関しまして、局長の御答弁をお願いいたします。
  147. 山本三郎

    山本政府委員 昭和三十四年八月の行政管理庁の名古屋管区行政監察局の報告の第五の三項に、「三河地震等を契機とする」という今お読みになった文章があるわけでありまして、これに対してお前らは何をやったかというお話でございますが、この地区におきましては、指導者の方々は、二十八年の十三号台風によりまして三河地方は大いにやられたのであるが、幸いにして海部郡方面の地域がやられないで済んだという点があるけれども、今度はここが一番弱いのだぞというお話は、地元の代表の方からはずいぶん要望がございまして、建設省といたしましても、海岸事業建設省が補助事業を起こして取り上げたのは昭和二十五年か六年からだと思いますけれども、そのころからこの地域高潮対策をやらなければいかぬということになっておりまして、できる限りの補助金をつけて県が補強工事をやっておったわけでございます。何せ、今回の高潮による潮位なりあるいは波高なりは、いまだかつて記録的にもないような大きなものでありましたために、ああいう被害になったわけでございます。この間法務大臣からお答えがありましたように、私どもといたしましても、不十分ながら、ほかの地区に比べまして建設省海岸予算の中からはもう最大のものを出して、県と協力してやっておったわけでございますので、施策といたしましてはあるいは不十分の点もあたっと思いますけれども、何せ、参りました高潮なり波浪が、今まで考えられたことのないような大きなものが参りましたために、ああいう大きな被害になったわけでございまして、地域の方方にはまことに申しわけないことでございますけれども、私どもといたしましては、天然現象の要素が非常に大きなものであるというふうに考えておる次第でございます。
  148. 堂森芳夫

    堂森委員 方面を変えまして、河川局長にもう一度お尋ねいたしますが、特に戦後河川のはんらんというものが著しくきた、こういうふうに私は思うのでありますが、この河川のはんらんによる災害が多いというその理由はどういう点にあるのでしょうか。もちろん、雨が多いということはあるでしょう。豪雨が集中的に降るということはあるでしょう。雨が多く集中的に何か局部的に降る、こういう現象もあるかもしれません。しかし雨が多いということは、必ずしも従来よりも非常に多かったかどうかという科学的な根拠は、私はむずかしいと思うのです。それはやはり科学の進歩というものによって、降雨量を調査する機関がどんどんふえてきたのじゃないか。従って、降雨量についての詳細な調査がだんだんとこまかくやられる、こういうこともあって、決して雨だけが原因であるということではなかろうと思うのです。幾つか原因があると思いますが、どういうところに原因があるのか、御説明願いたいと思います。
  149. 山本三郎

    山本政府委員 先ほどもお話し申し上げたのでございますが、大正年間から昭和の初めにかけた時代の年間の総雨量よりも、最近の年間の総雨量は、約一割五分くらいは、年間の総雨量といたしましては多いという統計があるようでございますけれどもお話のように、しばらく前の時代におきましては、一番雨のよけい降るようなところに雨量計がなかった、従いまして、その辺の雨の状況はしっかりつかむことができなかったというようなことが、雨量の統計もはっきり出てきまして、多く降るところの資料が出てきたというような観点もあると思います。従いまして、観測地点の雨量をそのまま寄せまして昔と比べましても、はっきり最近の雨量が多いというようなことには結論づけられないと思います。従いまして、雨の方の状況におきましては、もう少しよく調べないとわからぬと思いますけれども、その他の条件で非常に川の被害が多くなったということは、要するに川の入れものが、上から流れてくる土砂なり水の量に対しまして、強さなり容量が足りないということが原因だと思いますが、昔の時代におきますれば、大きな町を囲うために、堤防をところどころに作ればよかった時代でございますが、最近は相当上流地帯も開発されまして、遊水地帯などが非常に少なくなって参っております。従いまして、一度改修いたしました下流の河川におきましても、従来同じ雨ならこないような流量が下流に到達してくるというような点もございます。また、雨のために起こった洪水の出足も川の形態が狭まってくると、早くなる。そういうような結果から、下流方面などは、従来考えられなかったような大きい流量が一ぺんにくるというようなことが考えられております。もう一つは、山の状況がしっかり治まっていないと、雨が強く降ったときに、水ばかりではなくて、土砂が  一緒に流れてくる。従いまして、ふだんは十分水を流せるような川だったのが、洪水のときに土砂で埋まって、その上を水が流れるというようなことになりまして、もともとは十分な川の容量を持っておったのが、洪水のときに  一ぺんに小さくなってしまって、水を流す能力がなくなるというようなことが起きてくるわけでありまして、それらが相重なりまして川の容量以上の水が流れてくるというようなことが、一つの原因だと思います。それからまた、一度作った施設も、長い間手を入れないでおきますと、やはり強さが弱くなるので、そういうところに被害の原因が起きてくるのではないかというふうに考えております。     〔徳安委員長代理退席、田村委員長代理着席〕
  150. 堂森芳夫

    堂森委員 大体私も、局長が答弁されることなどが原因であろうと思いますが、たとえば、私若いころから山登りが少し好きなんですが、われわれの若いときに、学生ごろに登った当時の山の姿と、この二、三年前くらいに登ったときと、谷とか、いろいろな山の姿が全く変わっている、そういう事態をよく見まして、これは一体どういうことだろう、こういうふうに思うことがよくあるわけですが、やはり砂防とか、そういうこともなかなか関係がございましょう、乱伐その他いろいろなことがございましょうが、もう一つは、やはりどこの県でも、湿田を乾田にするという事業が全国的に行なわれております。そして局長も言われましたように、従来は何か自然的に水がそうした湿田にたまってくれて、川下の方のはんらんを防ぐような調節作用を、川上の湿田地帯なんかが沼地になったりして果たして、はんらんを防ぐ、こういうこともあったと思うのであります。とにかく、いろいろな開発その他で水が急激に、しかもまっすぐに大量に流れ出る、こういうことが原因であろうことには間違いありませんが、そうしますると、そうしたことと総合的に関連して、やはり河川の改修といいますか、根本的な改修が伴っていない、こういうことが言えるのではありませんか、いかがですか。
  151. 山本三郎

    山本政府委員 お説の通りでございまして、流域地帯の遊水能力が減少いたしまして、雨が降ったのが一時に川の中に流れてきますと、重圧が河川に加わるわけでございます。私は、この方法に対しましては、河川沿岸の遊水機能を減らした分につきましては、それに応じて上流で洪水をためる貯水池を作らなければいけないという、一つの川の方法でございますが、そういうことを考えなければいかぬのじゃないかということでございます。  それから、山の様子が変わってきておるというお話であります。これにつきましては、従来の砂防なら砂防の施策は、川が荒れてから砂防施設などをやるというのが、今までの状況でございました。これは予算等の不足の問題もございましたので、そういう点が十分できなかったわけでございますが、これにつきましては、荒れそうなところに対してあらかじめ手を打つことができるならば、被害が最小限度にとどめられるのではないかというふうに考えておるわけであります。総合的に河川を扱うということが、仰せの通り必要なことでございまして、上流は山地から河川の河口、あるいは海岸堤防も含めまして、総合的に立てなければいかぬ。しかも、総合的に立てる以上は、相当先に起こるべきことも想像いたしまして、流域がどういうふうにして開発されていくか、あるいは上流の区域がどんな危険性をはらんでいるかというようなことも想定いたしまして、それに合致できるような計画を立てまして、逐次やっていかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  152. 堂森芳夫

    堂森委員 私ある専門の学者に聞いた話ですが、河川を改修して参りますと、水の流れがうんと変わるそうです。これは受け売りですが、何か流れ方が非常に変わって、河床がぐんぐんと上がるということが起きる。これは一つは、川上から流水量が激しくなって、土砂をどんどんと川下に送ってくるので、川下の方の河床がうんと上がっていくということになる、その点がなかなかむずかしいのだというようなことを聞いたことがありますが、これはある人から聞いた話です。そこで、私この間災害が起きました当時、愛知県へ行きまして、鍋田干拓ですか、あそこが全滅したところの説明を聞いたわけです。そうしますと、何でもあの晩の八時半ごろに、何という川ですか、川があって、そこの堤防が切れてきたそうであります。そして川の水がどんどんと流れてきた。そこへ持ってきて、一時間ほどしたら、今度は防潮堤ですか、防波堤ですか、潮を防いでいる堤防が決壊してきて、川の水と海の水と両方にのまれてしまって、ついに全滅していったというようなことを聞いたわけです。そこで、これは理屈になるかもしれませんが、この川の流れというものと、潮ですか、あるいは波ですか、高潮ですか、とにかく満潮になればうんと上がってくるでしょう。これは非常に技術的なむずかしい問題でしょうが、そういうふうな考慮というものは十分されて工事がされておるのでしょうか。その点、現地でいろいろ訴えを聞いたものですから、お伺いをいたします。
  153. 山本三郎

    山本政府委員 なるほど、河川のはんらんに対しましては、従来いろいろと工事も行なわれましたし、また研究もなされておったわけでございますが、海岸の研究というのは割と日が浅かったわけでございます。従いまして、海と川の接触点というのが、経験上も、あるいは学問上も、一番むずかしいところでございまして、川の流れと、海の潮流なりあるいは潮とがぶつかったところでどういう形態になるかということは、非常にむずかしい問題でございます。これにつきましては、理論的に出すことがなかなかむずかしいわけでございまして、そういうときには、われわれの分野におきましては、現地の縮尺、現地を縮めような模型を作りまして、そこで波を起こし、上から川の流れをよこしまして、どういうふうな形で水位が上がるかというふうなことを研究いたしております。大阪の淀川でも、ジェーン台風のあとで高潮計画を作りましたけれども、そのときにもそういうふうな方法を使いまして、高潮がきたときに川の中にどういうふうに潮が伝播していくか、さらにそこへ上から洪水がきたときにどういうふうな水位になってくるか、あるいは水がどういうふうに減水していくかというふうなものを研究いたしたわけでございますが、今回におきましても、伊勢湾なり、あの辺の三河湾なりの形が変わりますと、それらの問題がまた変わってくるわけでございます。川の入り方の方向によりましても変わってきますから、それらの模型を作ると同時に、また実績等も調べ、また計算等で、できるところはそれを補って参りたいということでございまして、それらの結論を待って、高潮が参りましても、あるいは洪水が参りましても、あるいは同時に参りましても、安全なような方策を作りたいというふうに考えております。
  154. 堂森芳夫

    堂森委員 次に住宅局長に伺います。  これも災害地である名古屋を見て、私は非常に感慨深いものを覚えたわけでありますが、名古屋の都市計画というものは、なるほど、中心市街では道路も広くなりましたし、日本でも、復興というようなことでは戦後の第一位にあるような、非常にりっぱな、はなばなしい復興を見せている町だろう、こう思います。たとえば、山の方にはりっぱな鉄筋の住宅も並んでおりますし、また、墓地が山の方に持っていかれるとかというふうにして、近代的な都市形態をどんどん整えていることは、よくわかるわけであります。りっぱな工場、近代工場は、なるほど、災害がきても、水害がきても、これを防いでいけるような、そうしたことを考慮したような建築方法もとられているということがわかるわけです。ところが、一方、今度災害がひどかった干拓地帯と申しますか、低地帯、それから一般市民が住んでいる小住宅を見ておりますと、非常に粗末な――これはやむを得ないといたしましても、災害がきたならば全部水にのまれてしまうのはやむを得ぬだろうと思うほどの無統制な、しかも低地帯できわめて危険だというようなことが全然考慮されずにやられているのじゃないかという印象を私は受けたわけであります。当時名古屋で聞きましたが、戦後、何でもこの地帯に工場が三千くらいできたそうでございます。この工場で働く人たちの住む小住宅も、従ってどんどんふえていくということも当然でありますが、今度の災害によって、こうした小住宅が全部と言ってもいいくらいにひどい災害を受けたというようなことに対しまして、建設当局としてはどのような対策をもって今日まで指導してこられたのか、承りたい、こう思います。
  155. 稗田治

    ○稗田政府委員 高潮、出水等のおそれのある地域につきましては、建築基準法の三十九条におきまして、災害危険区域として地方公共団体の条例で区域を指定し、なお、その危険区域内の住宅の禁止あるいは建築物の規制等の制限を条例によって制定できるようなことに相なっておったわけでございます。建築基準法のこういった災害危険区域の条例制定の根拠の条項があるにもかかわらず、これの活用が十分に行なわれておらなかったという点につきましては、建設当局としてもはなはだ遺憾に存じているわけでございます。今後、これらの常時災害の予想されるような地域につきましては、地方公共団体に災害危険区域の条例制定を、十分積極的に指導していきたいと思っているわけでございます。なお、建設省といたしましては、従来から、建築物の防災性能の最も高い鉄筋コンクリート構造のものを――水害の場合は言葉はおかしいのでございますけれども、耐火構造の建物を非常に奨励して参ったわけでございます。耐火構造と申しましても、これは単に火災の防災上の効力ばかりでなしに、耐風であり、耐震であり、耐水である、あらゆる防災性能を兼ね備えた構造でございますので、こういった点につきましては、従来も、住宅金融公庫の融資等におきましても、あるいは防火地域内の助成金等につきましても、いろいろと努力をして参ったわけでございます。今後も、こういった災害危険区域の指定を積極的に行なうように地方公共団体を指導するとともに、住宅金融公庫の融資等によりまして、これらの住宅が防災性能を持った構造となって復旧できるように努力いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  156. 堂森芳夫

    堂森委員 この名古屋周辺の低地帯では、何でも地下水の水面が五十メートルくらい下がってきたそうであります。地下水の水面が下がるということは、地盤沈下があるということの証拠にもなると思いますが、こうした地帯に対する建設省としての対策は、さっき太田委員からもございましたが、特に住宅地帯としてのそうした地帯に対して、どのような対策を講じてきておられましょうか、お尋ねいたします。
  157. 稗田治

    ○稗田政府委員 大都市の地盤沈下につきましては、従来からも、地殻の変動によるものと、地下水の吸い上げによるものと二通り、その他いろいろ学説があるわけでございますが、われわれといたしましてはっきり認識できますのは、むしろ住宅街と申しますよりも、都市のビル街でございますが、ビルが冷房の用水を地下さく泉によって吸い上げておるわけでございます。たとえば、東京の丸の内の近辺でございますとか、大阪の梅田近辺におきますというと、一年間に十センチ、あるいはひどいところは二十センチくらい地盤が沈下したような例もあるわけでございます。それで、これらのビル街の地下水の吸い上げにつきましては、最近の冷房装置によりますと、吸い上げた水を何回も回転して使うといったような新しい構造のものができてきておるわけでございます。従いまして、今後ビルを作りまして、地下水を吸い上げて冷房用に使います場合には、そういった水が回転して使われるような形式のものを指導していくというようなことが必要ではないかというように考えておるわけでございます。これらの規定を建築基準法の中に入れるかどうかという問題が今後あるわけでございますけれども、あるいは単独立法の形が適当ではないかという点もございますが、十分これらにつきましては検討して参りたい、かように考えております。
  158. 堂森芳夫

    堂森委員 これと関連しておるわけですが、東京都内でも、たとえば有楽町のあの辺のどぶ、排水路を埋めまして商店街にしたり、いろいろああいうことをやっておりますが、この間も、雨のひどい日にNHKの前を歩いてみますと、水がものすごくたまっておりまして、私、おそらく災害がくるとこれは大きな影響があるのじゃないかと思うのですが、こういう方面の監督、あるいは建設省方針はいかがなんですか。ああいうむちゃなことでいいんですか、どうなんですか。
  159. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまの御質問の中に、たとえば有楽町付近の、現在道路運送法によってでき上がっております自動車道路、その下がいろいろなショップ・センターになっておりまして、そのもとはあの付近の川を埋めた、その事柄についてのお話一つございましたが、これは公有水面の埋め立ての行政でございまして、東京都知事があの河川を埋め立てまして、そうしてでき上がった都の土地を、あの事業に賃貸をしている、一方、その上に道路運送法の道路ができている、こういう形でございます。こういう都市内に施設ができ上がります際におきましては、私の方の関係では、あの東京都の施設は、部市計画事業として都市計画決定でやったわけではございませんけれども、たまたま下水道の仕事も関係しておりますので、関係があろうかと思って申し上げるのでございますが、今後、東京都内の、御承知のように、高速路の首都高速道路公団が実施する計画もございます。これらはなるべく民有地を避けようということで、公共用地あるいは公有水面等を埋め立てまして、その上に道路を作るわけですが、もとより、都市の排水設備につきましては、十分そごを来たさないように措置をいたしまして、関係事業が並行して進むようにいたさなければならぬということで、これは下水道並びに都市下水路の関係施設の整備をあわせて促進する考えでございます。
  160. 堂森芳夫

    堂森委員 ただいまの計画局長の御答弁でございますが、やはり国は強い方針を持って、災害があった場合には、どのような災害がくるかというようなことも大いに頭に入れて一つ監督指揮をしてもらわなければならぬと思うわけであります。  そこで住宅局長にお尋ねするわけでありますが、実はこれは一つのひどい例であります。私の県の勝山市というところに、公営住宅、県営住宅、市営住宅が数十戸建っておりますが、九頭龍川がはんらんしまして、あまりに急な増水であったために、逃げおくれた人が一人ございまして、木に登って、約十時間ぐらい、水が引かないものですから、そこにつかっておったわけです。ようやくヘリコプターが来まして、十時間後に救出されて助かった、こういうことがございます。この公営住宅が建っているところを私、災害後見に行ったわけです。九頭龍川の河原の中に公営住宅が建っているわけです。だれが見ても、大水が出たら家がやられてしまうということは、しろうとでもわかるわけです。そこで私が市の当局に聞いてみたわけです。公営住宅をなぜこんなところに建てたのだろうか、こう聞きますと、ここだと、地面がただみたいなものだし、どうせ、他の市の地面を探すと、たんぼを埋めたり、あるいは山を開墾したり、いろいろなことをすると費用がかかるので、ここであれば、地面はただのようなものだから、ここへ建てたのだ、こういう話でありました。私はそのときに、これは大へんだ、なるほど国の補助をもらったり、あるいは県の費用で、あるいは市の費用で建てる住宅であって、やはり市民なり、あるいは県民なり、あるいは国民の税金がここにつぎ込まれておる。そういう意味で、金銭的な面からいっても、もちろん慎重にしなければなりませんが、一たん災害があったときには、人命に関することであるから、あなた方は、人が入るのだからこういうところでもよかろう、地面がただみたいだからよかろうというような考えでやってはいかぬではないか。一刻も早く今度の災害があったのを機会として、中に住んでおった人は全部待避しておったわけですが、また来るといけないから、早くどこかへ移転するという方法を考えなければいかぬのではないか。市営住宅の方はまだことし建ったばかりであります。ところが、これは七号台風のときでありまして、そして今度は十五号台風がきますと全部流されまして、もう数十戸の住宅は一軒もないというようなことになりましたが、一体公営住宅を建てる場合に、どういうところに敷地を選ぶか。もちろん、それは財政的な面もございましょうが、やはり根本的には人間の命ということが大事でございますから、そういう方面の災害に対して、どういうところを選ぶべきかというような監督はしておられるのでしょうか。いかがですか。
  161. 稗田治

    ○稗田政府委員 今回の災害におきまして、各地におきまして公営住宅が非常な災害を受けたわけでございます。その点につきましては、今後公営住宅の団地建設にあたりまして、従来より以上の防災的な考慮を払わなければならないというようにわれわれも認識いたしておるわけでございます。御指摘の福井県の勝山市におきます公営住宅の団地につきましては、県からの報告によりますると、県営と勝山市営と合わせて四十三戸流失いたしておるわけでございます。用地の選択等につきまして、もちろん建設省は従来から住宅地として最適の土地を選択するように指導はいたしておるわけでございますが、用地事情等が最近相当窮屈になっておりますので、廃川敷に建設することを禁止するというところまで、思い切った指導はいたしておらなかったわけでございます。今後におきましても、やむを得ず廃川敷でございましても、やはり住宅街として利用した方がいいような場所もたまにはあるかと思いますが、そういうような場合には、今後はその防災性ということを考えまして、土盛りを十分させるとかあるいは基礎を高くしまして、縁の下の高い建物にするとか、あるいはむしろ鉄筋のアパートを少なくとも団地の外側にめぐらして団地内の建物を保護する、あるいはその災害が起きた場合に、避難する人が鉄筋のアパートにすぐ避難できるように、そういった防災的な考慮を団地建設にあたって十分いたしていきたい、かように考えておるわけでございます。今回の補正予算に組みました災害公営住宅におきましても、三割は木造以外の構造にいたしたわけでございます。もちろん三割で十分というようにわれわれ考えておるわけではないのでございますけれども、一方罹災者の方が一日も早くと住宅を求めておるという、災害の公営住宅の緊急性もございますので、三割程度にとどめたわけでございます。今後公営住宅におきましては、木造以外の耐久堅牢な構造を今までよりも以上にふやしまして、団地建設において防災的な性能を与えていきたいというように考えております。
  162. 堂森芳夫

    堂森委員 それは私の県の一例でありまして、局長は現地を知りませんから、そういうのんきなことを言っておられますけれども、私のようなしろうとが見て、どうしてこんなところに建てたのだろうと思うようなひどいところに建ててあるわけであります。これは一例でありますが、名古屋の低地帯におけるあの何万の小住宅が、ずっと水浸しになっておるというような状態を見ましても、やはり建設当局は、防災という面から全国的にもっと厳重な監督指揮をなさらねばならぬ、こう思いますが、そういう方法も講じておられるのでしょうか、いかがでしょう。
  163. 稗田治

    ○稗田政府委員 御趣旨のような線に沿いまして指導をいたしておるわけでございますけれども、今後一そうその実現に努力いたしたいと思っております。
  164. 堂森芳夫

    堂森委員 戻りまして河川局長にお尋ねをいたしますが、それは私の県の九頭龍川の問題であります。これは約十くらいの相当な中河川が合流しまして、そして三国という河口の町に流れ込む、福井県における唯一の大河川でありますが、これが近年非常にはんらんしておるわけであります。たとえば、この河口の三国という町は私の生まれた町でありますが、私の子供のころには水がつくなんということは知らなかったわけであります。ところがことしは三回水がつきまして、七号と十五号はもちろんですが、その間にも一回つきまして、大体二、三十分くらいで、ひどいところは床上から五、六尺以上ずっとついてくる。そして二、三十分でぱっと増水してきて、割合早く減水はするわけでありますけれども、大体数百戸に水がつきます。さっきも河川がどうしてはんらんするかということにつきまして、いろいろと質疑応答をやったわけでありますが、この私の県の九頭龍川の改修について、建設当局はどのような計画を立てられておるか、承っておきたいと思います。
  165. 山本三郎

    山本政府委員 九頭龍川につきましては、下流部の大部分につきましては、明治の時代でございましたか、大正の初めからでございましたか、改修工事を行ないまして、一応改修が終わっておったわけでございますが、例の福井震災がございまして、九頭龍川の構造物が全般的にいためられたわけでございます。その後、震災復旧をいたしておる途中に昭和二十八年の大出水がございまして、沿川の日野川であるとか、足羽川の付近に大被害を起こしまして、福井の市内も浸水いたしたわけでございます。それにかんがみまして、下流部の再改修をいたさなければならぬということに相なりまして、主として下流部の川が埋まったからこれを一つ浚渫して、その上を沿岸の耕地の客土に使おうということで、工事をやっておったわけでございますが、また本年になりまして非常に大出水がございまして、下流部におきまして、直轄で改修をいたしておる区域におきましては、破堤等のことはなかったわけでございますが、上流の地域におきましては、先ほどお話の勝山、大野郡等におきましては、非常に被害が発生いたしたわけでございます。これに対しましては、何と申しましても、上流地帯も何とか改修いたし、災害復旧をすると同時に、関連工事をつけ加えまして、一定計画の改修工事を行なわなければならないというふうに考えておるわけでございまして、目下災害査定と同時に、改修計画をどうしたらよろしいかということを検討いたしております。さらに九頭龍川の上流には、県営工事で行ないましたダムがございますが、そのダムの下流の河川におきましては非常に被害が少なかったのでございますが、本川筋におきましては非常な水害が発生いたしました。たまたまその本川筋には、北陸電力あるいは電源開発株式会社におきまして発電の計画がございます。これの計画内容はまだ確定したものではございませんけれども、相当大きなダムを作りまして、ピーク用の発電所にしたいという計画がございますので、どうせダムを作るならば、今回の災害にかんがみまして、ぜひ一つ洪水調節もこれに付加したらどうか、下流の河川の改修計画関連いたしまして、ダムの問題もあわせて検討いたしたいということでございまして、本年の出水の直後から調査を始めておりますし、ダムの計画につきましては、電発あるいは北陸電力から計画内容を聴取いたしまして、どうせダムを作るならば洪水調節の目的にも役立たせようという観点から、この問題を検討いたしております。要するに、上流の砂防からダムの計画、あるいは河川災害復旧、あるいは改修の計画を早急にまとめまして、それぞれの観点から早く実施に移していきたいというふうに考えております。下流地域におきましては、従来もポンプ船を入れまして浚渫をいたしておったわけでございますが、さらにこれらの増強をいたさなければならぬではないかというふうに考えております。
  166. 堂森芳夫

    堂森委員 たしか昭和三十一年でございましたか、下流地域における国の直轄事業として根本的改修、たしか予算額は十一億五千万くらいであったと思います。昭和三十一年ですから、もうすでに四年を経過しておりますが、たしか今までに投じておる予算額は二億数千万くらいであって、五年計画でやるというのに、もう四年たっても十一億数千万の予算のうち二億数千万、こういうことではわれわれはとうてい目的を達すこともできないし、またただいま局長から、河床を掘り下げて、サンド・ポンプなんかでこれを上げて、そして農地の乾田化に資していこう、こういう答弁でありますが、しかしさらに川下の港を作っておる三国港というのが、これがもう非常に底が浅くなってきました。もっとも、港は運輸省の管轄にもなりましょうが、この河口の方との関係というものが、非常に重要ではないかと思うのです。  それからもう一つですが、この福井県という小さい県ではありますが、ただ一本の大きな川として、九頭龍川が数多くの支流をかかえて海に流れ込む、こういう状態でありますが、この河口というものが一つになって流れておるということが、はんらんがくる大きな原因の一つになるのではないか、こう思うのですが、局長はいかがでございますか。
  167. 山本三郎

    山本政府委員 九頭龍川は非常に大河川でありまして、上流地帯の荒れ川から下流部の日野川、足羽川等を合わせまして、福井県の非常に大きな流域の排水をいたしておるわけであります。そうして三国港の付近におきまして海に注いでおるわけであります。お話のように、三国の港は河口港でございまして、この川が浅くなるということ、この港が浅くなるというのは、要するに川から出てくる土砂が非常に多くなりますと浅くなるわけでありまして、港の中にたまりました土砂を掘ったり、維持したりする仕事は、これは運輸省の所管ということに相なりますけれども、川の中に堆積しておるうちに掘り上げるということは、建設省の所管でございますので、非常に相関連しておるわけでございます。今のお話は、川の口が一つだから非常にいけないのではないかというようなお話でございますが、やり方によりますと、川の口を二つにいたしましても、上から流れてくる水の量が少ないと埋まるわけでございます。従いまして、これを埋まらぬように処置するためには、上流から土砂を流さぬということと、海岸の漂砂を河口の中に入れないような方法を考えなければならぬわけでありまして、私は川の口が一つでも、うまくその辺を処理するならば、河口の維持はできるのではないかというふうに考えております。ただ港と川を一緒にしておきますと、先ほど申し上げました、川から流れてきた土砂が港の深いところにたまるということがあるわけでございまして、川港の宿命と申しますか、土砂が川から流れてくると、港湾の船着場が埋まるというのが宿命でございまして、これを根本的に除去しようという観点に立ちますならば、港と川を分けなければならぬという考えは成り立つかもしれませんが、川を二つにしたから流れはよくなるというようなことには直ちに考えられないと思いますけれども、ただしかし、もっと近距離で海に落とすことができますれば、洪水のときには非常に水のはけはよくなるのではないか、海にもっと短い距離でそれを落とすことができますならば、洪水のはけはよくなるのではないかということは考えられると思います。
  168. 堂森芳夫

    堂森委員 局長から、研究課題として今いろいろと対策を練っておるのだ、こういう答弁でございましたから、それ以上申し上げませんが、ただ今回の全国的な河川のはんらんによる災害というものを見ておりますと、この関連事業としての多くの工事というものがなされなければならぬと思うわけであります。ところが予算を見ますと、この関連事業に向けるような予算がきわめて少ないと思うのでありますが、これでできるのでしょうか、いかがでしよう。
  169. 山本三郎

    山本政府委員 ここにあげておりまする関連事業というのは、たとえば橋がありまして、その橋が一部流れまして、災害復旧で永久橋にする。残りのものは木橋で残っておる。これを一つかけかえしようとか、あるいは幅を広げようとかいう場合に使う小規模の関連だけをあげてありまして、大規模な、河川が全般的にやられてしまった、そのときに災害復旧とあわせて改良をやろうというようなもの、いわゆる河川災害復旧助成工事といっておりますが、その予算は、来年度からやろうということで、ことしの災害で、もう関連工事も一部分やっておりますが、来年からその部分はつけかえる。これは要するに、まだ計画ができませんものですから、全体事業ができないものですから、ことしの補正予算に入れられない。しかし、ことしやる分ぐらいは災害で手をつけておいて、来年度から追っかけ着手しようということで、今考えておりますのは、河川で四十本以上くらいを災害復旧助成工事として取り上げようということで、追加要求を今作成中でございます。補正予算のうちに組まれておりますのは、今言う小規模な災害関連事業でございまして、大規模なものは来年度予算に現われてくるわけでございます。
  170. 田村元

  171. 中島巖

    中島(巖)小委員 河川局長に最初にお尋ねいたしますが、この公共土木施設災害復旧の国庫負担法ですが、この法文を見ますと、具体的に申し上げますれば、第二条の第二項なんかから見まして、これは原則として、精神からも法文の上からも、原形復旧、こう  いうようにわれわれは見ましてどうしても解釈をせざるを得ぬのでありますが、建設省の見解はどういう見解でありますか。
  172. 山本三郎

    山本政府委員 お説の通り、この公共土木施設災害復旧事業費の国庫負担法の対象といたしまするのは、原則といたしましては原形復旧でございますが、原形に復旧することではだめだというような場合には、かわるべき施設をやることも災害復旧事業と認めて、国の負担をきめようというのが、この法律の趣旨でございます。
  173. 中島巖

    中島(巖)小委員 それは、局長の言われるのは二条の三項をさして、そういうような拡大解釈をしておると思うのですが、この法律はどう幾ら読んでも、もう基本的には精神においても法文においても、原形復旧である、こういうように解釈せざるを得ないのです。まああまりこまかく法文のことを突っ込んだいろいろ質疑応答をする時間もないので、避けますけれども、こういう精神、体系でできておるというように、どうしても私どもは解釈せざるを得ぬのですが、御見解はいかがですか。
  174. 山本三郎

    山本政府委員 お説の通りでございます。
  175. 中島巖

    中島(巖)小委員 そこで、この間も災害対策委員会において、岸総理、大蔵大臣その他からも、関連事業を今度はやるのだ、こういうお説でありました。これに確かに今回の臨時立法において、そういうことを明記してあるから、今回の災害に関してはそれでいいと思う。今回の災害に限っては、この法律で明示してあるからいいと思うのですけれども、常日ごろの災害に対しましても、先ほど自民党の八木委員ですかの質問に対して、局長は、橋梁なんかの災害復旧に対して、かつて木橋であったものが、通行量が自動車で百台以上とか、あるいはバスも通るものは、永久橋にかけかえる方針だ、こういう答弁だったのですが、それではいかなる法律、いかなる政令の根拠によってそういうことを言われたのか、その点をお伺いしたい。
  176. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまの問題は第二条の三項に掲げております「不適当な場合」ということでございまして、その内容といたしまして、先ほど申し上げました取り扱いをしておるということでございます。
  177. 中島巖

    中島(巖)小委員 僕らはそういうことをやることは非常に歓迎しておるのですが、ただいま局長の言われる第三項の「不適当な場合」ということは、これはこの法文から見て意味が違うのだと思う。拡大解釈をしてそれをこじつけておる、こういうふうにしか僕らは解釈できぬのです。この法全体の体系から見てそういうように考える。従って、すでに建設省でもそういうことをやっておるわけでしょう。それから与党の議員も、全部災害関連事業として、改良を加えるということを要望しておるわけです。われわれも要望しておるわけです。従って、ちょうど岸さんの再軍備の憲法第九条の解釈みたいなこじつけをせぬように、この法律を、すらっとそういうことができるような法律に改正すべきだ、こういうようにわれわれは考えるのですが、そういう意味において、今回私が提案者となりまして、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部改正案を提出したわけでありますが、これに対しての御所見はどうであるか。
  178. 山本三郎

    山本政府委員 私はまだ、どういうふうにして改正されるか、提案理由の説明を先生がされたのはここで拝見いたしましたけれども内容をまだどこをどういうふうに改正されるか、拝見しておりませんが、おそらく想像いたしますと、「著しく」でもとるというお話でございますか、お聞きしては申しわけありませんが……。(笑声)
  179. 中島巖

    中島(巖)小委員 それはただいま申し上げましたように、この法文の解釈というものは、ただいま木橋なんかを永久橋にかけかえるというのは、あなたの答弁では、第二条の第三項によって「不適当な場合」ということを引用して言われておるのですが、これは実際はこじつけ理屈であって、これはこの法文を読んでいきますと、ほんとうの筋のものじゃないのです。あくまで法文の文章に現われた上からいっても、精神からいっても、原形復旧、これがこの負担法の精神なんです。ところが、今回のは特別立法によって、原形復旧じゃない、改良を加えることができることに今度法律でなっております。しかし次の災害復旧のときも、あなたが先ほど八木委員に対する答弁に言われたように、自動車が百台以上、バスが通るところは、木橋であっても永久橋にする、現在また実施しつつある、そういうことを政府が現にやりつつあり、また自民党の諸君も僕らも、それをいつもの委員会で要望しておるのです。従って、すなおにそういうことができるような法文に直したらどうか、こういうことにほかならないわけです。それについての御所見を伺いたい。
  180. 山本三郎

    山本政府委員 私どもといたしまして、法律を曲げて適用しているということではまことに申しわけないことでございますから、今取り扱いをやっておることにつきましては、この法律の「不適当な場合」ということで取り扱いをやっておるわけでございますので、改正という問題につきましては、従来もいろいろ政府部内でも検討されましたけれども、現在までこれを改正するということは、政府部内ではまとまることができなかったわけでございます。それらが現在の状況でございますので、御了解をいただきたいと思います。
  181. 中島巖

    中島(巖)小委員 それで、これは政府部内で財政当局やいろいろな関係があって、ごもっともだと思うけれども、こういうような時期に、建設省でも現にやりつつあり、与党からもそういう要望があり、われわれからも要望があるのでありますから、ぜひこれはすなおな、こじつけでない理屈でできるような法改正をしていただかぬと、国会においてこういうような論議をしておるからわれわれはわかるけれども、末端の者は、法律そのものを読んでこれに合うようにやらざるを得ぬ、こういうことになるから、今回のこういう災害の際に、ぜひすなおな負担法に直していただきたい、こういうことを希望いたしておるわけであります。  それから今回の提出法案に、昭和三十四年八月及び九月の暴風雨による堆積土砂及び湛水の排除に関する特別措置法案というものが出ておるわけであります。そこで、この中に「政令で定める程度」という字句があるわけです。従って、政令で定める程度にならぬと、この法案が指定区域に適用にならぬわけです。政令に定める程度という堆積量はどれだけの量であるか。まだ僕は政令を見ておりませんけれども……。
  182. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまお尋ねの堆積土砂の、つまり地域政令の基準の問題についてのお話でございましたが、これはまだ未確定の要素もございますが、大体のところを申し上げますと、一つは、堆積土砂が当該市町村の区域に、宅地等につきまして堆積いたしましたものが、三万立米というのが一つの基準でございます。なお、その堆積土砂を排除するに要する経費が、昭和三十四年の当該市町村の基準財政収入額の一割以上をこえる、こういう場合も、その堆積土砂を排除するに必要な事業を行なうべき地域というものに考えたらどうかということと、そのほかになお、長期にわたって湛水しております地域、これらのいずれかに該当する場合を、この第一条の堆積土砂の十分の九の補助率を適用する地域、こういうふうな方向で今相談いたしております。
  183. 中島巖

    中島(巖)小委員 そこでお尋ねいたしますのは、堆積土砂の排除、これは私ども考えといたしましては、いわゆる激甚地と申しますか、政令の基準ですね、これが税収入の幾らということが基準になるわけでしょう。その場合において、これは公共土木施設災害の中へ含んで、建設省としては計算する気であるか、あるいは別個に切り離して、堆積土砂だけで計算する考えであるか、この点明らかにしてもらいたい。
  184. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまの御質問は、堆積土砂の排除に要する事業費を、当該市町村の公共土木施設等災害に要する事業費の中に加えるかどうか、こういう御質問でございましたが、今回の特別措置法につきましては、第二条以下でごらんの通りに、公共土木施設災害復旧に付随して行なわれます堆積土砂、たとえば河川の敷地あるいは道路の敷地等に堆積いたしましたもの、あるいは農地であれば農地の復旧といたしまして、とにかく当該負担法あるいは法令の規定によりまして排除を行ないます堆積土砂もありますので、今回の堆積土砂に関する法律の分担といたしましては、それらの他の法令によって行ないます事業を除きました、宅地等を中心に、また公共土木の負担法によれない公共施設等の部分を取り上げたのでございまして、従って、財政負担との関係におきましては、それらと切り離して規律することが適当でありますので、そのような立て方になっております。私が先ほど申しました堆積土砂の特例の事業の適用を受けます市町村と申しますのは、土砂量の関係に該当するか、あるいはその要する事業費が十分の一以上になるか等の、いずれかに該当する地域、こういうふうな方向で進んでおりますので、ただいまの御質問の点は、公共土木とこれとは法律の立て方が分けておりますので、堆積土砂は堆積土砂としての基準に従って律していきたい、こういうふうな考え方でございます。
  185. 中島巖

    中島(巖)小委員 どうもその辺がはっきりしないのですが、たとえば河川関係なんかに堆積した土砂がこの法律に適用するとした場合においては、これは公共土木の関係になるのじゃないか、あるいは農林漁業関係の場合においては、あるいは農林漁業関係の中に含まれるのじゃないか、こういうように僕らは解釈しておるのですが、その辺もう少しはっきり、具体的に御説明願いたい。
  186. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまお説の通りでございます。この第二条にあります通りに、公共土木施設等の中に堆積したもの、それが河川であればそれを放置することが治水上支障があるということで、災害復旧事業を行なうわけでございますから、農地関係におきましても同様に、暫定措置法の特例によって実施いたしますので、それらはそれらの法律によって実施する、こういう建前でございます。
  187. 中島巖

    中島(巖)小委員 それからこの条文の中に、市町村が放置しておいた場合には非常に公益上支障ありと認めたものに対してはこれを適用する、こういうような文句があるのですが、すでに道路なんかに堆積土砂がものすごく出た場合には、当然市町村でもってこれは排除しておるわけなのです。従って、排除してしまったあとに現在この法律が出たわけですが、その場合これを適用する、せぬというようなことについては、どういう認定をするのか、あるいは適用するのであるか、せぬのであるか。するとすれば、どういう認定をするのか。その辺の具体的な問題について御所見を承りたいと思う。
  188. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまの法律の適用の時限についてのお話がございましたが、この法律は、附則の第二項におきまして、この法律施行前に堆積された土砂等の排除事業にも適用するということになっております。もとよりこの堆積土砂は、建前といたしましては、第二条の第二項に掲げてございますのは、宅地の中から皆さんが道路なら道路にお出しになる、そういう場合に、道路から捨てにいくものを補助の対象にいたしております。ただ、たとえばその堆積した場合が私有地でありましても、それは本人がなかなか運び出すことはできない、また、それを放置しておくということが、衛生上も、また諸般の情勢から見ても公益に重大な支障がある、こういう場合には、市町村長はその私有地まで立ち入って、通路とか――あるいは市町村長はその場所に立ち入って排除事業を行なうというので、公益上支障があると認めた場合の排除事業を市町村長ができることにいたしたわけであります。従って、それらの泥は今は跡形もなくなっておるはずだが、どのようにしてこれを見分けてやるのか、こういうことでございますが、まず、この排除に関して、災害発生直後ではありますけれども、その後いろいろなデータを握りまして、照会をいたしまして、一応の報告はもらっております。しかし、それだけでは十分ではございませんので、現地調査を行なうことにいたしております。現地につきましては、この基準に該当する地区関係もございますので、堆積いたしましたという写真、あるいは現地の状況というものを断面とか縦断面によってよく調べまして、さらにこの予算を配賦する場合におきましては、排除に使いましたところのいろいろな証拠書類等も十分調査いたしまして、この予算の的確な実施に努めたい、こういうように考えております。
  189. 中島巖

    中島(巖)小委員 これは河川局長にお尋ねしてよいのか、だれにお尋ねしてよいのか、ちょっとわからぬのですが、具体的な問題を申し上げた方がはっきりすると思うのですが、実は七号台風で山梨、長野が非常にやられたわけです。長野県の諏訪地方が非常な大災害をこうむって、あの小さな郡で何十人かの死者が出ておる、こういう状態なのです。あの地方の河川は、全部諏訪湖に注ぐわけで、おびただしい流木で諏訪湖が埋まってしまったような状態です。しかも、砂も非常に出て、あそこの漁民がシジミの採取がだめだ、ワカサギがだめだということで非常に騒いでおるのですが、そこで河川の方は建設省の所管だということはわかるのですが、湖水に入ってみると、漁業関係もあり、非常に土砂が堆積しておる。漁業関係になると農林省関係になるだろう。それでああいうような湖沼の管理というものは、どの辺が建設省の所管であり、どの辺からが農林省の所管になるのか、こういう点についてお伺いしたいと思います。
  190. 山本三郎

    山本政府委員 諏訪湖は、あれは河川法を準用していると思います。従いまして、治水であるとか利水の面につきましては建設省の所管でございますが、これを漁業に利用するとかいうような問題になりますると、その点は――その中に工作物を作って漁業を営むというようなことが生じて参りますと、工作物の設置等については河川法上の取り締りがありますけれども、普通の漁業を営むというようなことになりまするだけならば、これは農林省の所管になるというふうに考えております。
  191. 中島巖

    中島(巖)小委員 そうしますと、河川はもちろんでありますが、この湖水に堆積した土砂であるとか、流れた流木であるとか、こういうような跡始末に関しては、建設省の所管だ、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  192. 山本三郎

    山本政府委員 諏訪湖が土砂で埋まったというような問題につきましては、これが治水上どうしなければならぬというような問題になりますると、建設省の所管になると思います。
  193. 中島巖

    中島(巖)小委員 それからこの前も大臣に建設委員会で質問しておいたのですが、国土総合開発の基本計画と申しますか、これについて、今回の愛知県のあの大被害が、私が回って感じたことは明治時代、あるいはさかのぼって徳川末期にもなるかもしれぬが、ほとんど災害地が海岸の埋立地帯、干拓地帯であったのですが、これらに対して愛知県の被害の何%がこの干拓地帯であるとかいうような調査をされておるかどうか、あるいはされる意思があるかどうか。この点、将来の国土計画に非常に大きなウエートを占める問題だと思うので、お伺いしておくわけであります。
  194. 山本三郎

    山本政府委員 この前もそのお尋ねがございましたが、私どもといたしましては、海岸堤防関係する被害地がどのくらいあるかというような点につきましては、経済的の観点からも検討しなければいけませんから、それは調査しなければならぬというふうに考えております。
  195. 中島巖

    中島(巖)小委員 調査次第、書面でけっこうですから、完了したら御報告願いたいと思います。  それから地方問題に入って大へん恐縮ですが、国道課長が見えておるようでありますので伺いたい。実は長野の方から東京方面に出るのは、長野から碓氷を通って出る国道と、それから長野県の七割を占める中信、南信は国道二十号線で東京方面に出ておるわけであります。これが、唯一の自動車道の幹線道路になっておるわけであります。これは例の笹子有料道路なんかできて、今非常に利用価値があるわけでありますが、この甲府から諏訪に至る釜無川沿いが災害復旧が完成せずに、ほかのバイパスと申しますか、迂回線を回っておるわけでありますが、この迂回線が非常に道が悪いために、最近に至って非常に事故が多いわけなんです。そこで、この県の貨物自動車組合や乗合自動車の組合なんかで、大挙してここ三、四日のうちに陳情に来るというような、こういうふうな状態になっておるのですが、この国道二十号線を完全に復旧できて通れるようになるまでは、どんな予定になっておるか、その点、国道課長にお尋ねしたいと思います。
  196. 谷藤正三

    ○谷藤説明員 ただいまの御質問に対しまして、国道の、直轄で工事中の区間は、直轄の方で復旧をやっております。釜無川の、韮崎から先の武川の国道につきましては、知事の管理する区間になっておりまして、そのために災害関係も国道課の方に参っておりませんので、内容はわかっておりますけれども、実際に具体的には直接の連絡はなくなっております。ただし私の方で――韮崎から武川の間、つまり一番荒廃しました地区の間につきましては、御承知のように、全部土砂に埋まりまして、道路の形がなくなっております。その点につきましては、五カ年整備計画の中で工事をやることになっておりますので、災害復旧事業と合併いたしまして、今年度に繰り上げて大体手をつける、こういう方針で今着手しております。  具体的なことを申し上げますと、ほかの地建の中で、目下工事中で今年度に完成しない部分、あるいは用地関係で現在もめていて今年度中に使用ができない部分がごいますので、それから一億の金を引き上げまして、今年度中に大体用地買収その他の工事は、若干の工事と用地買収は進めていきたいということになりまして、今年度、三十四年度につけております予算のほかに、プラスの一億になってございます。その点で、道路はなるべく早く使うように、早急に着手するように目下準備を進めております。そういう状態であります。
  197. 中島巖

    中島(巖)小委員 国の基本計画は今の御説明でよくわかったのですが、御承知のように、あの辺は、富士見近所は海抜八、九百メートルありまして、雪が多く、現在の迂回線では、雪が降れば冬季間はおそらく交通が不能になるだろう。そうしますと、長野県の約七〇%近い地域からの唯一の幹線でありますから、地元では、交通業者のみならず、非常な恐慌を来たしておるわけであります。従って、そういう御計画で直ちにこれができないとすれば、迂回線なり何なりを県の方と打ち合わせを願って、そして冬季の交通が、若干支障があってもできるような措置を講じてもらわねばならぬと考えます。これに対する御所見いかがでありますか。
  198. 谷藤正三

    ○谷藤説明員 お答えいたします。迂回部の――今度の災害に伴いましては、山梨、長野のほかに、愛知、岐阜、三重関係につきましても、一級国道が途中で寸断されまして、そのために、従来使っておりません主要地方道、府県道その他の町村道の方へ大型のトラックが回るような状態になり、非常に地元の方に御迷惑をかけておる状態でございます。その点につきまして、一応迂回路の復旧、あるいはまた補強につきましては、災害の採択の基準からはずれておりまして、これは災害の中では予算がとれません。そのために、やむを得ず、五カ年整備計画の中の道路整備費を使うことにいたしまして、各県に実は全部問い合わせをいたしまして、そして集計をしております。それで、ある県につきましては、いろいろ県の財政の問題もありまして、災害の問題――こちらの方の整備計画で参りますと、二分の一の補助ということになりますので、県としては非常に迷惑だというふうなところもございますし、他のいろいろな関係がございますために、まだ具体的にこの県に幾らというふうなところまではっきりきまっておりませんが、その整備に対しましては、県と打ち合わせて逐次実施するように予算措置をいたしております。
  199. 中島巖

    中島(巖)小委員 あの付近は、十二月半ばはもう降雪期になるのでありますから、こういうところは、ここだけでなしに他にもあるだろうと思うのですが、早急に山梨、長野の道路課長か土木部長でも呼んで、お打ち合わせ願って、支障のないように一つお願いしたい、こういうことを希望いたしておくわけであります。  農林省、見えておりますか。――これは先ほども堂森委員からお話があり、このごろの災害地対策特別委員会などにおいても問題が出たのでありますが、例の鍋田干拓復旧の問題について、政府はどんなふうな予算措置をして、どんな救済策を講じておるかということをお尋ねいたしたいのです。  それともう一つの問題は、鍋田干拓は、まだ開拓民のものでなくて、政府のものである、そしてこれが開拓完了してから本人のものになるのだ、こういうようなことを聞いておるのですが、それがほんとうかどうかという点と、それから鍋田干拓に入植した者は、大体五十万円以上の金を持って入らねばならぬ、こういうことで、私の方からもたくさん行っておりますが、五十万円以上の金を持って入って、そして粒々辛苦して、干拓がやや緒についたというところで流されてしまったわけなんです。そこで、あとに残る者の問題については、政府はいろいろと救済策を講じておるようでありますけれども、全然子供も夫婦もなくなってしまって、そして、あと干拓地を引き継いでいく者もないというようなものも、たくさんおるわけなんであります。これらに対しては、どういう処置をするのであるか、この三点についてお尋ねいたすわけです。
  200. 清野保

    ○清野説明員 お答えいたします。鍋田干拓復旧措置につきましては、他の干拓事業と同様に、一応三十四年度内に応急復旧を終わりまして、来年の作付に間に合うように、三十五年の台風期までに原形に戻したい、こういうふうな考えでもって、現在すでにポンプ船も二台入りまして、工事をいたしております。なお、堤塘の復旧、堤塘の設計、つまり構造、その高さ等につきましては、三省連絡協議会でもって、あの鍋田干拓に接続いたしますところの海岸堤防と同様な構造、あるいはそれよりも若干高くしておりますから、多少それよりも強固な堤防になるかもしれませんが、そういう点を加味いたしまして、今検討をいたしつつあります。予算につきましては、農林省伊勢湾高潮の直轄、代行干拓の補正予算といたしましては四億七百二十五万円――これは鍋田干拓を入れまして、その他、碧南、衣浦、境川河口、乙川、以上五地区干拓復旧事業につきまして、補正予算として四億七百二十五万円、予備費として一億四千七百五十万円、これはすでに既定分で決定いたしたものでございますが、合計五億五千四百七十五万円をもちまして、直轄、代行干拓を三十四年度実施していきたい。なお、実施設計の上で予算に不足を生じた場合には、なお補正予備費を要求する、こういう考えでおります。
  201. 中島巖

    中島(巖)小委員 ただいま建設部長からお話を聞くと、大体昭和三十五年度の植付に間に合うようにするというお話でございますが、これは塩害が非常にありはせぬかと思うのですが、これらに対して、来年の植付でそのまま完全な成育ができるという見通しなのですか、それともこの塩を除くために、相当の期間がかかるという見通しなのですか。
  202. 清野保

    ○清野説明員 二十八年の十三号台風のときの三重愛知等の塩害の事例から判断いたしますると、大体〇・二ないし〇・三%程度の塩分の濃度を持っておる干拓地に作付をいたしました場合には、おおむね六割五分から七割程度の収穫があげられる。なお、鍋田干拓につきましては、干拓の第二線堤防背後地に、標高としまして約プラス一メートル程度の高いところがございますので、その部分を特に上流からの揚水で洗いまして、塩分濃度を希釈してやれば、十分にとれる、こういうふうに確信いたしております。
  203. 中島巖

    中島(巖)小委員 それで、ほとんどうちもやられているのですから、うちの建設だとかいろいろ問題があるわけですが、これは住宅局なんかの災害融資住宅でやるのか、あるいは開拓の関係の法案でやるのか知りませんけれども、これはあなたの方で所管でなくてもおわかりのわけだと思いますので、どういう方法で住宅関係なんか更生をいたしておるわけですか。
  204. 清野保

    ○清野説明員 御存じの通り、鍋田干拓の入植者の住宅は全部破壊いたしまして、残っておりますのは基礎だけでございます。従いまして、今後の住宅の復旧方法といたしましては、干拓堤防の補強はもちろんでございますが、なお最悪の場合を考慮いたしまして、干拓地の住宅の宅地の造成、つまり住宅地を従来よりも上げる、地上げをする、こういうような方針を現在とり、かつその上に、一般の木造の入植者住宅でなく、でき得れば、住宅金融公庫とも協議いたしまして、一般の入植者住宅の補助十七万八千円プラス金融公庫の資金と合わせまして、永久的な建築をいたしたい、目下そういうふうに考えて、三十五年度予算追加を大蔵省の方へ要求いたしております。
  205. 中島巖

    中島(巖)小委員 それから具体的な問題ですが、先ほど申し上げたように、五十万円くらいな金を持って、それ以上の金を持って入って、夫婦も子供もなくなってしまって、あと受け継ぐ者がないというようなものもたくさんあるわけです。それらに対しての援護措置は、どんな方法をお考えになっておるか。これは法律にもないでしょうが、そういうところまで政府として考えてやらねばならぬ問題だと思うのですが、それらに対しての案ができておるか。できておらぬとすれば、建設部長の考えでもいいですが、承りたい。
  206. 清野保

    ○清野説明員 被災入植者の家族の救済策につきましては、いろいろと各方面からの御要求がございますので、目下検討を加えつつあります。現在のところ、どうするかという点につきましては、的確なお答えができませんのを遺憾に存じますが、入植者の中で、生存いたしまして、あの干拓地に入って、今後営農を続けたいという者に対しては、優先的に入植を認める方針でございますし、なお、他の干拓地あるいは他の開拓地へ転住を希望する者につきましては、そういう措置をとる考えでございます。御質問になりました主人をなくし、あるいは母親をなくしました遺児等の処置につきましては、今後なお十分検討いたす考えで、遺憾のないようにいたしたいと思います。
  207. 中島巖

    中島(巖)小委員 くどいようになりますが、まだ本人の土地になっておらぬ。政府の土地で、そして現在干拓事業を進めておったという土地でありますから、政府が相当の慰謝料を出してもいい性質のものではないかと政治的には考えるわけなんですが、これは遺憾ながらどの法律を見てもないのじゃないか、こういうように思うわけですが、何かそれに対する法的な措置ができるような法律があるのか。あるいはないとすれば、何らか考えてやらねば、いかにしても気の毒だ、こういうように考えるわけですが、政府の現在のお考えはどうか、その点を承りたいと思います。
  208. 清野保

    ○清野説明員 御質問になりました被災者の慰謝料の件でございますが、政府といたしましても、正式な慰謝料というものを従来出したことはございません。従いまして、いろいろと内部でこの問題について検討を加えて、何らかの形で考えたいとは思っておりますが、今のところ、はっきりどういう方法で、また額が幾らかということは申し上げられないことを遺憾に存じます。
  209. 中島巖

    中島(巖)小委員 これ以上質問をしても、究明しても、仕方がないと思いますけれども、これは国会でも全部同情しておるわけでありまして、それから私もあちらへ視察に行きましたが、自民党の代議士諸君も、社会党の代議士諸君も、名古屋から出ておる諸君は、実際鍋田干拓の人々にはほんとうに気の毒で、申しわけない、こういうことを異口同音に申して、何とか法的根拠によって相当の慰謝料をやりたいということを、議員の諸君が全部言っておるわけであります。一つ政府でも御考慮を願って、その遺家族に対して万遺漏ない措置を講じていただきたい、こういうように希望いたしまして、私の質問をこれで終わることにい  たします。
  210. 田村元

  211. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 ただいまのことに関連して、ちょっと私からも御質問をしたいのですけれども、碧南の干拓地と奥田新田の干拓地がございますが、あそこの除塩作業は、来年度の作付までに十分間に合うようにできるお見込みでございましょうか、その点ちょっと伺っておきたいと思います。
  212. 清野保

    ○清野説明員 碧南並びに奥田新田に対する除塩の御質問でございますが、除塩全般といたしまして、塩分濃度が〇・一%以上であって、その地域内にある面積が十町歩以上の場合には、その市町村を除塩対象として指定をする考えでございます。従いまして、今御質問になりました碧南及び奥田新田の地域は、いずれもそれに該当いたしますので、除塩法によって、本年度、碧南はすでに締め切りが終わりして、堤防の補強にかかっておりますし、奥田新田の方は、ポンプ船の到着が若干おくれておりますが、これも十一月の末には締め切りが終わります。従いまして、それらの堤防工事応急復旧が終わりましたら、直ちにいずれも、水源は矢作川になると思いますが、矢作川から水を引きまして洗い流します。なお、その水で洗い流しても不十分な場合には、石灰をまきまして中和をはかる、こういう方法をとって、その地帯の除塩に努めて、来年の作付には水稲作としては十分収穫ができるというところまで持っていく考えであります。
  213. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 次に、先日私は建設大臣に、風水害のときに、ダムの開閉の問題で、その操作を誤りますと、いろいろ沿岸地方に被害が出るところが起きるという点を申し上げたのでございますが、一例として矢作川の問題を取り上げて、各地にもそういう問題があるので、そういう点で特に建設省なんかの御見解を伺ったわけでございます。そのとき時間がございませんでしたので、続いて御質問申し上げられなかったわけでございますが、そのときちょっと申し上げましたが、矢作川はただいま直轄河川でございますね。先日申し上げたのでございますが、豊田市から、次に明治用水をとっております堰堤がございます。その間の堤防の件でございますが、私は今度の災害などでも各地にそういう事例があると思うのでございます。従来は台風風水害によって決壊しなかったわけなんですが、次の風水害のときに、その決壊しなかったところが弱くなっていて決壊して、そしてまた災害を起こすというような事例があると思うのです。矢作川は幸いその地区においては今回は決壊はいたしませんでしたが、ただいま申しました豊田市から、久澄橋という橋がございますが、それから明治用水に至るまでの間が非常に危険でございまして、水があふれ出て参りまして、夜中に避難命令なんかも出て、幸い今回は決壊いたしませんでしたが、ウの首というあたりまでが大へんあぶなくなっているわけなんです。私も見たわけですが、内側の堤防などはそのちょっと先で決壊しております。今回は雨は百ミリから二百ミリぐらいしかし流の方では降らなかったようでございますが、今まさに切れんとしつつあったような状態でございましたので、こうしたところはぜひ早急に改修をしていただきませんと、次にまた風水害がございますと、必ずと言ってよいくらい危険な個所ではないかと思うのです。今回の災害対策の中で、河川の方でこのようなところは改修をなさる予定になっておりますのか、そういうところはだめなんで、決壊したような場所だけでございますか、その点ちょっと伺っておきたいのでございます。
  214. 山本三郎

    山本政府委員 矢作川は、国の直轄事業といたしまして改修をいたしておるわけでございまして、ただいまの具体的な地点につきましては、現地によく問い合わせてみようと思っていますが、ウの首という地点は私も承知しておりまして、この付近も一部工事をやっておりますが、まだその工事が十分ではございませんので、今回のような危険な状態になったと思います。従いまして、工作物がこわれておりますれば、これは災害復旧で直しますけれども、さらに堤防を増強しようというのは、直轄河川の改修費で行なうわけでございますので、矢作川につきましても、五カ年計画事業を遂行することになっておりますから、それらをさらに増強いたしまして、今回の水害で危険であったというようなところは、特に優先的にやらなければならないというふうに考えております。
  215. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 ぜひそういう点を現地をお調べいただいて、非常に危険な状態にあると思いますので、またそのような個所がほかにもございますと思いますので、お願いしたいと思うわけでございます。  それからいま一つ住宅局長にお伺いしたいのでございますが、公営住宅の修理の問題でございます。これは私はどういうところに責任がおありになるか、それを伺いたいのでございますが、県営住宅などで、今回愛知県では大へん被害を受けまして、全壊ではございません、補修の場合ですが、たびたび県の住宅課の方へ申し出てあるのですが、なかなか修理をしていただけないのです。そうしてそこに住んでおる人たちは、なかなか当座の修理をしていただけませんので、たとえばガラスが割れたとか、あるいは屋根を一時的に直していただいてもまたすぐ漏るのです。紙のような急場の屋根でございますので、雨が降ったり風が吹いたりしますと、また飛んでしまう。すでにあの災害から一回あるいは二回くらい雨漏りがして、そのつど申し出ているのですが、もしそういう際に、一応住居しております者が自分の費用で直したならば、あとで何らかの形で返していただけるのかどうかという点を問い合わせに私が参りましたところ、そういうのは手をつけてもらっては困るから、こちらが行くまで待てというようなお話でございまして、ずいぶん待っていたのでございますが、なかなかやっていただけないわけです。それでもう五十日にもなりまして、私はとっくに直していただけたと思っていたのですが、昨日愛知県に帰りましたら、いまだに補修がついてないのでございます。そういうところの責任はどこにございますか、県営住宅の場合でございますが、国の方では、御監督とか、そういう点について、今度の災害に際してお考えになっておりませんか、その点ちょっと伺いたいのです。
  216. 稗田治

    ○稗田政府委員 公営住宅の補修の責任でございますが、これはもちろん、事業主体が責任を持っておるわけでございます。御承知のように、公営住宅は、建設費に対するある一定の割合で修繕費というものが含まれて家賃が構成されておるわけでございます。従いまして、通常の建物を賃貸していく途上におきましての修繕というものは、当然その家賃の中に含まれておる修繕費によってまかなわれるように計算されておるわけでございます。ただ、今回の災害におきましては、公営住宅の損傷が非常に広範囲にわたって起きたわけでございます。従いまして、通常の場合と違いまして、御審議願っております今回の公営住宅の方の特例に関する法律におきましては、損壊の非常にはなはだしい公営住宅につきましては、従来第一種住宅の二分の一の補助のものは三分の二の補助、従来第二種公営住宅で三分の二の補助のものは四分の三というように、補修に対しても補助金を出せるように今回の法案に入れたわけでございます。従いまして、これは通常の損壊でなしに、はなはだしい損壊というので補助の対象になる損壊戸数というものは、ある限度以下にしぼられるわけでございますけれども、修繕を容易に、すばやく行なえるようにというような意味で、こういった特例を考えておるわけでございます。
  217. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 そうしますと、この法律ができて、特に損傷のひどかったところについてそういう国の補助があるということになるわけでありまして、それでは、これから法律ができるわけですから、実際上そういう県営住宅におる人たちは修理がされないという結果になるのでございますか。
  218. 稗田治

    ○稗田政府委員 法律は、補助率を引き上げるということと、そういった補修につきましても補助金の方途を講じたということでございまして、一応事業主体は公営住宅の家主という立場にございますので、当然補修の義務はあるわけでございます。ただ、財政上の負担が今回は非常に大きくなっておりますので、こういった特例を考えたわけでございます。従いまして公営住宅の補修は、その補助金がいくといかないとにかかわらず、事業主体の方でできるだけ早くやっていただかねばならぬと考えております。
  219. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 現実に社宅なんかの場合は会社で直してくれますし、また市営住宅の場合なんかはこまかくやっておるようでありますが、県営住宅の場合だけ、五十日たちましてもまだ補修がつかないで、しかも自分で直さなければ、いつまでも直してくれないというようなことでございまして、そういう人たちは大へん困っておるようなわけでございます。今のような補助金が少ないために事業主体の方がやらないのかどうか、その間の事情はよく存じませんが、現地にはこういう困っておる人たちがたくさんございますので、この点の責任がどこにあるかという点をお伺いしたわけでございます。監督の衝にあるのかどうか存じませんが、県の方へ、県営住宅などの補修はできるだけ早急にやるように御配慮いただきたいと思います。私の質問はこれで終わります。
  220. 稗田治

    ○稗田政府委員 事業主体に県を通じて、また県営につきましては県当局でございますけれども、住宅局の方におきまして督励いたしまして、修繕を早くやるように監督いたします。
  221. 田村元

    田村委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十七分散会