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1959-12-22 第33回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月二十二日(火曜日)     午後二時七分開議  出席委員    委員長 南條 徳男君    理事 江崎 真澄君 理事 田村  元君    理事 前尾繁三郎君 理事 三田村武夫君    理事 角屋堅次郎君 理事 佐藤觀次郎君    理事 辻原 弘市君       小川 平二君    大坪 保雄君       木村 俊夫君    小島 徹三君       田口長治郎君    田中 正巳君       辻  寛一君    徳安 實藏君       中垣 國男君    丹羽 兵助君       足鹿  覺君    伊藤よし子君       太田 一夫君    岡本 隆一君       金丸 徳重君    小林 正美君       堤 ツルヨ君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君  委員外出席者         文部事務官         (管理局教育施          設部助成課長) 今村 武俊君         建段事務官         (河川局次長) 曽田  忠君     ――――――――――――― 十二月二十二日  委員加藤鐐造君辞任につき、その補欠として堤  ツルヨ君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事小林正美君同日理事辞任につき、その補欠  として角屋堅次郎君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十二月十八日  十五号台風による岩美町の国民健康保険直営病  院災害復旧費起債に関する請願足鹿覺君紹  介)(第二一一〇号) 同月二十一日  災害復旧対策即応実施に関する請願池田清  志君紹介)(第二三六五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月二十一日  災害復旧事業費全額国庫負担等に関する陳情書  (第九一九号)  同(第九  六一号)  小災害復旧事業費国庫補助に関する陳情書  (第九五二号)  同(第九  五三号)  十五号台風による愛知県下の被災中小企業の設  備近代化貸付金増額に関する陳情書  (第九六二号)  台風等による災害対策確立に関する陳情書  (第九六三号)  台風等による風水害対策に関する陳情書  (第九六四号)  七号及び十五号台風による三重県下の農林水産  関係災害対策に関する陳情書  (第九八二号)  十五号台風による災害復旧対策に関する陳情書  (第九九二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  災害地対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 南條徳男

    南條委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。理事小林正美君より理事辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 南條徳男

    南條委員長 御異議なしと認めます。  つきましては、その補欠を互選いたしたいと存じますが、これは委員長において指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 南條徳男

    南條委員長 御異議なしと認め、角屋堅次郎君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 南條徳男

    南條委員長 引き続き、これより災害地対策に関する件について議事を進めます。江崎真澄君。
  6. 江崎真澄

    江崎委員 先きに大蔵政務次官お尋ねを申し上げます。  最初に、湛水地田畑復興に関する助成の件についてでありまするが、詳細については社会党の角屋君からいろいろ御質問があるそうでございまするので、私は、大蔵政務次官に、率直にこれに対する考慮のいかん、また、大体どの程度予算を充当する考えであるかというようなことを承りたいと思います。それは、除塩関連作業除塩同様の補助対策とするということで、例の稲刈りにつきましては、寄り寄り議論がありまして、農家が、たとえばそれがだめになった稲であるにしても、刈り取るということについて補助を出すことはいかがであろうか、また稲の残骸が有毒であるか無害であるか、こういった議論等もいろいろありまして、先般の苦情処理の場合にも、この意見が二色になっておって、現地では非常に困るということが出ておりました。その後、だんだんお話し合いの結果、この稲刈りのかわりに、除塩作業を促進する上から、小さなみぞをたんぼに作ることによってその除塩を促進したいという意向が、農林省側においても強く出ているようであります。これについて、大蔵省においては、当然予算措置はしていただけるもの考えております。われわれは、この除塩を促進しなければならぬ耕地面積は約二万坪と、農林省側からの調査によって承っておるわけでございます。そうすると、反当千円の、みぞ作りに要する経費を見るということになりますと、二億円を要することになるわけでありますが、その辺について大蔵省側ではどんなふうにお考えになっているのか、これは簡単に、具体的に、率直に承りたいと思います。
  7. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 お答え申し上げます。この災害特例法の審議の最初段階におきまして、稲刈りだけを取り上げて、これが補助対象になるかどうかというお話のありましたときは、これは率直に申して、それだけを取り上げての補助としては出しにくいということを申し上げておったのでありますが、しかし、除塩作業を効果あるようにいたしますについては、除塩そのもの仕事にはいろいろな作業があります。その間、いわゆる除塩溝を作ったり、いろいろやります上において、稲の腐った残骸などがあって、それを取り片づけたりというものは、それはやはり付帯して起こることでありまして、そういうことは除塩事業の中に当然含まれてくると考えます。しかし、そういうこまかいことにつきましては、農林省の方ですでに具体案立てておることと思うのであります。予算につきましては、御承知通り補正予算予備費として相当金額が盛ってありまして、担当省から具体的に御要求になれば、要るだけのものは出す、かようなことで考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  8. 江崎真澄

    江崎委員 これはだんだん具体的にお考えをいただいておるということで、けっこうに思います。また、その詳細については、私どもも、かねてからの農林省側との折衝によって承知をいたしておりまするので、この締めくくりの機会でありまするから、あえてくどい御質問はいたしません。ただ問題は、非常に長期湛水をしておりました地内というものは、これは同じ稲は稲でも、貝がらがついておるとか、あるいはノリがこれにからんでおるとかいうようなもので、これはもう稲にあらずして汚物なんですね。そこへ家が流されたり、こわれたりというわけで、ガラスが一面に飛び散りまして、これが非常に大きな障害になっておる。だから、稲刈りそのもの対象でなくても、実質的には、稲刈りそのものも認めた姿において、いわゆる除塩のためにするみぞ作りに反当幾らという補助をしようという結論に今承りました。  そこで、一点承っておきたいのですが、そういう除塩を促進するためにみぞ作りをするわけでありますが、このみぞは反当大体何本ぐらいであるか、これは農林省側に承りたい。それから、およそ長期湛水地域二万町歩とはいいまするが、特別の配慮、特別の補助を与える地域というものは、大体湛水幾日ぐらいという辺を目標に置いておられるものか、農林省側から承りたい。
  9. 伊東正義

    伊東政府委員 今の点の大体対象にとりましたのは、約一ヵ月以上ぐらい湛水しておる地域、これは大体面積におきまして一万町歩ぐらいになります。それを対象にして考えたらどうだろうか、こういうふうに思っております。  それから反当でございますが、これは大体二十間ぐらいのものを四本程度掘りまして、そして除塩を促進するということを考えたらどうだろうか、そこに載っております、その除塩溝の上の雑物を取るというようなことは、当然これに入ってくるわけであります。そういうことで、大体反当九百円足らずぐらいのものを一万町歩考えまして、それで九割補助ということで参りますと七千万円余のものになるというようなことで、大蔵省に追加して要求をしようというような考えでおります。
  10. 江崎真澄

    江崎委員 これは大蔵省側でもだいぶ過小評価で、われわれ二億円程度は最低と思っておったわけです。大体三分の一くらいに減ってしまっておるようですが、これが大蔵省へいってまた減るというようなことになっては一大事であります。その辺は、政務次官どうですか。
  11. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 実は御承知通り、今回のは補正予算予備費で、なお足らざる分は三十五年度の本予算でやります。これは今編成中で、明日ごろに閣議決定を経て内示ということでありますので、そういう面にもまた考慮いたしたいと思っておりますから、ここでは、善処いたしますということで御了承願いたいと思います。
  12. 江崎真澄

    江崎委員 どうぞ一つ文字通り善処していただきたいので、善処がまた、大蔵省お得意の値切りというようなことになって、だんだん減って参りませんように。これは三十日というのが、二万町歩が一万町歩になったということは、これは私ども了解できるわけであります。それが九割補助でありますから、できれば、一億程度はこれに当然計算しておかれるのが妥当ではないか。私はまだ一億をおりるものではございません。どうぞ一億の線で、大蔵省側においてもお考えおきを願いたいと思います。  続いて、救農土木の問題でありまするが、この救農土木は、今度の新しい処置として三億円が計上せられているわけでございます。ところが、これはほんの当座の、文字通り救農的措置に使う金額であって、これは新しい予算においては、農林省でかねて計画をいたしておりまする興農土木ということによって、積極的に農村振興対策考えていくという予算につながる前提であるということで、われわれはこの委員会において了解をして参ったのでありまするが、この興農土木に対する考え方、またこれが実行、こういった点について政務次官のお考えを率直に、これも簡単でけっこうですから承りたい。
  13. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 今回の補正予算におきましては、救農土木予算は三億組みました。これは御説の通り興農土木として将来積極的にやっていくという御趣旨については、まことにけっこうに存じます。それにつきましては、これは農林大臣のお考えをもとにして大蔵省もそのような予算編成をやりたいと存じますが、そうなりますと、農林関係予算全般と深い関係がございますので、まあ明日の今ごろには、一応大蔵省考え農林大臣と協議の上で出て参るわけでありますから、その上でまたはっきりしたお答えを申し上げたいと思います。
  14. 江崎真澄

    江崎委員 これはどうですか、農林省も、最終の折衝段階もそれこそきょう一日というような場面ですが、どんな構想で動いておられて、またどんな経過になっているか、率直な御説明を願いたいと思います。
  15. 伊東正義

    伊東政府委員 救農土木につきましては、今年度補正予算三億は御審議いただきまして通りましたが、そのそち今まで実施しましたのは、実は開拓関係では、県に割当をいたしまして、開拓建設工当あるいは開墾作業に約九千三百万円くらいの割当をしました。残余は、実はまだ割当はいたしておりません。これは実は補助率等関係もございまして、まだ話がつかぬ点がございますので、まだ実は割当を終わっておらぬものがございます。  来年につきましては、今御質問がありましたように、特に農林省としましては、愛知県、三重県、岐阜県の長期湛水地域と申しますか、その地域だけに限定いたしまして、そこで考えられます小さな沼でありますとか、あるいは水路の埋め立てをしますことや、農地を造成して参るわけでありますが、そういう事業、それからそのほかに、それに関連しまして区画整理事業を本年に引き続きやりたいということで、明年度予算要求を実はいたしております。これにつきましては、今大蔵政務次官からお話がございましたように、まだ数字的な話が大蔵省からございませんので、その後の経過として申し上げる段階に至っておりませんが、農林省としましては、ぜひそういう地帯につきましては、来年度も、本年度に引き続きまして土木事業をやっていきたいという考えでおります。
  16. 江崎真澄

    江崎委員 その補修率は、今の区画整理においては五割、湛水面干拓においては四分の三の補助、こういうことに了解しておりまするが、折衝段階においてはどうですか。これは貫けそうですか。
  17. 伊東正義

    伊東政府委員 来年の要求につき出して、まだ補助率がどうという話は大蔵省にはございませんので、今の段階で進みたいと思います。ただ、ことしの救農につきましては、区画整理は五割ということになっております。
  18. 江崎真澄

    江崎委員 これは大蔵政務次官、お聞きの通りで、だいぶあなたに気がねをして、ほんとうのことを伊東局長言わぬようですから、あなたも政党出身ですから、ぜひ一つこの妥当性を認めていただいて、積極的に予算措置については考慮を願いたい。どうぞお願いいたします。  なお次に、米の売り渡し概算金返納の困難な農家に対する措置の問題でありまするが、たとえば、長期湛水地域被害農家に対しまして、その災害程度に応じて売り渡し概算金利子減免償還期間期限延長、あるいはまた、債務の免除というところまで、われわれは措置せられるのが妥当であると考えておるわけですが、これが、承るところによると、北海道等の例によりますと、利子減免償還期限延長はあたりまえのことですが、利子については農協立てかえ払いを行なって、その利子については国において利子補給予算措置を講ずるべきだ、こういうことで今まで折衝してきたわけですが、北海道の場合は、集荷協力費とか、奨励費というものでこの利子については補給をして、いわゆる費目変換によって措置をした、こういうふに聞いておるわけです。ところが、今度の場面は非常に範囲が広い、また額等も大きい、そこで利子補給予算措置は特に計上すべきではないか、こういうようにわれわれは考えるのですが、この点、政務次官どうですか。
  19. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 被災地におきましての生産者米代金概算払いの分の処置につきましては、これは御承知通り、この国会で特例法が規定されたのであります。それの具体的な執行につきましては、農林省食糧庁の方でやっております。まだ、お尋ね利子補給につきましては、食糧庁の方から私は御相談を受けておりません。ちょっと担当の方から……。
  20. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今お尋ねになりました、湛水等によって被害の激甚な市町村につきましては、収穫の皆無の関係もあって概算金返納することができない、その場合における措置はどうするのか、こういう御質問でございます。本委員会におきましても御質問がございまして、われわれといたしましては、その際におきましては農協等集荷業者立てかえ払いをしてもらう、その立てかえ払いによりまして農協等が受けますところの利子負担額につきましては、これは何らかの方法によって、国において補給する道を講じたい、それによって農家に対しては、自主的にこれにようての負担を軽減して参りたい、こういう考え方をとっておるということを申し上げたのでございますが、今回の災害につきましては、昨年等の災害におきます場合におきましても同様な問題がございまして、これらの利子補給方法といたしましては、今お話しの中にもございましたような集荷協力等行政措置によって、ある程度補給をいたしたのであります。今回の場合におきましても、そういうような措置でできるところはそういう措置もとりたいと考えておりますけれども、しかし三県等におきましては、相当被害量になるのじゃないか、従って、これらの金額もまだ確定いたしておりません。大体は一月末が返納期限でございますので、それによって確定いたすわけでございますが、概算いたしましても相当金額になるのではなかろうか。そこでそれに対しまする手段といたしましては、北海道の例に準じまして、農林省としては利子補給予算額大蔵省要求いたして参りたい、かように考えておるわけであります。
  21. 江崎真澄

    江崎委員 どうぞ結論的には、農家には利子負担については迷惑をかけない、こういうことで確認を願っておきたいと思います。方法については、あなた方の方で大蔵省との間で技術的に御考慮になるとして、農家側には利子負担はかけない、必ずこれは何らかの措置によって補給するのだ、こう了解していいですね。
  22. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 特例法によってきめられておることでありますので、御趣旨通り農家には負担させないという方針で食管の方で見るか、何かの措置を、農林省とよく相談して善処いたしたいと思います。(「特例法ではない」と呼び、その他発言する者あり)先ほどの御答弁で、いわゆる米の安売り法と思い違いをいたしまして答弁申しましたが、これは取り消します。
  23. 江崎真澄

    江崎委員 売り渡し概算金利子をどうするか、これを免除してもらいたい、こういう意味ですから、どうぞ御了解を願っておきます。  それからもう一点、これは官房長農林省農地局長か、どっちかに御答弁をいただきたいのであります。土地改良組合というものが、御承知通りどこにでもあるのですが、今度の長期湛水地帯土地改良組合というものは、今後の組合経常費、こういったもの負担能力というものは当分ないと見なければなりません。おそらく、これから三年くらいは不可能ではないかというふうに考えられるのでありますが、この経常費については融資の道が講ぜられております。ところが承ると、これは今までの分というものについては、八分の高利率が適用せられるというふうになっております。これは大へんなことで、本来ならば三分五厘でやってもらうべきものであると考えるが、この点についての見解はどうであるか、それからまた、来年からここ二、三年にわたって、この経常費負担能力のない農家に対してはどういう措置を講じようとするのであるか、これは農林省側から承りたいと思います。
  24. 伊東正義

    伊東政府委員 土地改良分経常費につきましては、今先生おっしゃいましたように、中金から二分二厘という金利で融資することになっております。これは一年でございます。そしてその先の問題につきましては、一年経過いたしましてどういうふうになるか、またそのときに相談しようということに相なっております。そのほかに、実は農地局としましては、今年度初めて予算に計上されました、土地改良分等調査設計をいたします場合の補助金がございます。これは土地改良分人件費にも充てられても差しつかえない補助金でございます。こういう調査設計費がございますので、来年度予算にもこれが増額を、実は要求をいたしております。こういうものにつきましては極力増額に努めますとともに、先生のおっしゃいましたような地域土地改良分につきましては、当然区画整理等がございますので、そういうところには特別に、こういう調査設計費考慮したらどうだろうか、そしてそこの土地改良区の事務費の一部に充てるというようなことも、一つ考え方ではないかというふうにわれわれれは考えております。
  25. 江崎真澄

    江崎委員 これは現地のそれぞれの事情から勘案しますと、非常に深刻な問題でありますので、ぜひ真剣にこの問題を取り上げて、善処を強く要望いたしておきます。  それから、換金がきわめて困難な流廃材及び風倒木、これは無価値ものというわけで、堆積土砂排除法高率補助を適用すべきだと思いまするが、この点いかがでありましょうか。
  26. 伊東正義

    伊東政府委員 無価値ものということがはっきりいたしているようなものにつきましては、実は農地の上にそういうものがございますれば、農地につきましては堆積土砂排除ではなくて、農地復旧ということで、暫定法の方で、当然そういう仕事は、被害の激甚なものにつきましては九割補助するということで、できることになっております。
  27. 江崎真澄

    江崎委員 これは多岐にわたりますが、大蔵政務次官善処方を御考慮おき願います。  それから最後に、これは非常に市壷な問題でありまして、文教施設改良復旧について大蔵政務次官お尋ねします。それは、今度の学校復旧に右たりまして、特に小、中学校公立学校の場合、大蔵省側査定がきわめてきびしい。もう被災現地においては、大蔵省査定官査定の仕方というものが、非常な非難の的になっております。のみならず、大蔵省側の見積もりというものがきわめて低きに過ぎた。それはたとえば、大工の日当を七百円ときめておる。現地ではもう千円以下の大工などというものはない。また、日雇い労務者査定等においても大きな食い違いができておることは、政務次官も御承知通りだと思う。この査定変更増加額というものが、二億二千万は最低要るのだということにわれわれは了承いたしております。それからもう一つ、今度の場面で非常な特殊な事情が起こって参ったというのは、被害激甚地のうちでも長期湛水地帯、それこそ三十日も六十日以上も水の中に生活を余儀なくされたという地帯が、非常に広範にわたったわけであります。この地帯においては、鉄筋建物が最近非常に再認識されてきた。それは名古屋でも、ある水没地帯、そしてこれには、貯木場の材木が高潮に乗って押し寄せてきたときに、大同工業学校という鉄筋校舎が、その材木のそれこそ障害よけの唯一の建物になった。またその近隣の人々は、その二階へ、三階へと、こぞって避難をした。非常にその学校はいたんだけれども、その鉄筋建物が付近の人々から感謝をせられ、その鉄筋建物の効用ということについての再認識がもたらされたことは、御承知通りだと思います。そこで今日、被害激甚地の全壊はもちろん、大破をいたしました校舎復旧には、たといそれが一棟であっても、どうしても一つ改良復旧の線に沿って鉄筋校舎復旧をしてもらいたい。そしてこれは、また一朝有事の際の避難場所になる。またこれが障害よけというか、一つ救難場所にもなるのだということで、非常にこれが強く要請をせられておりますが、大蔵省側の、当初のこれに対する考え方がきわめて冷淡であった。しかし、だんだん奥村政務次官政治性ものを言ったのか、佐藤大蔵大臣の実情に即した考え方ものを言ったのか、それはぜひ一つ積極的に考えようということで、今日数字になりましたのは二億六千万円、従って、見積価額増加二億二千万円と、この特殊な長期湛水地帯における鉄筋校舎への改良復旧、これを合わせましての四億八千万円というものが、今文部省大蔵省との間においては、非常に激しい数次の折衝が行なわれておる。しかし、大体これは了解点に達した。われわれ自由民主党の政務調査会からも強い要請があり、特別委員長からの強い要請等もありまして、これは二億プラス五億という線で話がまとまったと承知をいたしておりますが、この点いかがでありますか。
  28. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 御質問の後段の、学校などの災害復旧査定の四億八千万円程度増額につきましては、文部省の話は承っております。しかし、大蔵省の方では、まだ財務局からはっきりしたものが上がってきておりませんので、いずれこれは、あしたあたり、内示後にまたお話し合いになることと思っております。そこで激甚地におきましての学校校舎のうち、せめて一むねだけは鉄筋でやるということについては、大蔵省方針をはっきりきめておる次第であります。  なお、査定がきびし過ぎるというお言葉であります。これは重々注意をいたしまして、最近かなり緩和されたと思いますが、しかしこの点については、また御了解を得たいこともございます。と申しますのは、あの災害直後におきましては、くぎ、針金、杉板などは、時価の二倍、三倍と一時的暴騰をいたしました。この査定の基礎になる単価は、一応原則として時価をもって単価といたしますけれども、しかし、二倍、三倍暴騰したもの時価とするわけにもこれは参りません。その中には人夫賃もあるわけで、そこを実情に沿うようにいたして参るには、なかなか大蔵省も苦心を要するのでありますが、実情に沿うようにいたします。なおまた、足らざる分は特別交付税その他で善処して参りたい、かように存じます。
  29. 江崎真澄

    江崎委員 どうも大蔵政務次官答弁が少しうま過ぎてしまって、ポイントがはっきりしませんが、管理局長どうなんですか。二億二千万円の今の見積もり増加額は大体認められた、そしてまた、長期湛水地帯鉄筋校舎への改良復旧が二億六千万円は可能である、大体認められるであろうというふうに私ども承っておるのですが、今の折衝段階を率直に、あまり遠慮しないでおっしゃっていただきたいと思います。
  30. 小林行雄

    小林(行)政府委員 お尋ねもございましたように、当初予算を組みましたときに比べまして、立会調査の結果、査定率もかなり上がっております。また、その後激甚地も広がって参りましたので、そういった予算積算当時の金額からは、その関係からだけでも、約二億二千万ぐらいは不足するという私どもの見込みでございます。また、お話のございましたような長期湛水地域で、立会調査の結果は大破であるけれども、将来の災害対策等を考えた場合に、やはり避難場所としてどうしても鉄筋校舎を作っておく必要があるというものについて、改良復旧をするという観点から予算を組みますと、その観点だけでこれも約二億二、三千万円金が要る、合わせてどうしても四億六、七千万円金が不足になってくるのでございまして、これにつきましては、いずれも現地の非常に強い要望でもあり、また国会でも、前の法案審議の際にも非常に強い御要望もございましたので、私どもは、明年度予算で、ぜひこの分は財源をもらわなければならぬというふうに考えておるわけでございます。お尋ねの中にございましたように、いろいろと説明は財務当局の方にいたしておりますが、まだその点ははっきりした、全部承認するといった返事をいただくまでには至っておりません。
  31. 江崎真澄

    江崎委員 この改良復旧分、長期湛水地帯の特別措置二億六千万円、これについて大蔵政務次官はどう考えておられまするか。大体文部省との間に了解点に達したとわれわれは承知しておりまするが、まだ達しておりませんか。どうなさろうというのでありまするか、率直に御答弁を願います。
  32. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 これは来年度の本予算において文部省から要求がございますので、ただいま大蔵省において検討中であります。いずれ近日のうちに明確にいたしたいと存じます。私といたしましては、委員会の御趣旨に沿うように善処いたしたいと思います。
  33. 江崎真澄

    江崎委員 最後にもう一点、これは、河川局の次長がおられまするから、河川局の次長にお尋ねいたしておきます。それは、今度の災害が一番激甚であった地内というのはどこであるかというと、いわゆる木曽川のデルタ地帯であることは御存じの通りであります。このデルタ地帯、左岸の愛知県側と右岸の三重県側に集中しておった。海岸地帯はもちろんでありますが、この地帯は、伊勢湾高潮災害対策というものによって必ずりっぱな、強固な海岸堤防に改良復旧してもらえるであろう。ところが、先般来しばしば、建設大臣また河川局長等にも御質問をし、積極的な熱意を持った御答弁もあったわけでありまするが、そのうちで重要な点は、幸い今度は、木曽川の堤防決壊ということは上流、中流、下流を含めてなかった。ただ、木曽川の支派川である鍋田川、これはもう数ヵ所決壊したのは御存じの通り。また、木曽岬の木曽川堤防が決壊した、これも御存じの通り。しかし木曽川の本堤防そのものは、いわゆる最下流ならざる地点以外は幸い決壊しなかった。これは上流部における降雨量が比較的少なかったことが、しあわせをしたというべきであろうと思っております。ところがこれは、左岸、右岸ともに今度の復興への唯一の幹線道路であり、補給道路であった。それがために、この堤防というものはずいぶんいたんでおります。そこで先般の建設大臣の御答弁によりますと、木曽川の最下流からさかのぼりました約二十キロのところに、津島市というのがあります。その津島市の最北端部から下流、愛知県側で言うならば、八開、立田地内、この下流部については伊勢湾高潮災害対策の海岸堤防の改良復旧と同時解決で、これを災害対策によって処置したい、また必ずこれは処置する。これは速記録にはっきり残っておるわけでありますが、そういう言明を得たわけであります。これは、今度の被害激甚地愛知三重両県にわたる関係地においては、非常な喜びをもって迎えられました。またこれは、当然そう措置せらるべきものであることは言を待ちません、これは適切な措置としてわれわれも御努力を多とするものでありまするが、そこで、もう明日大体公表をせられるであろう大蔵省予算査定において、木曽川の改修費というものは、今までしばしば大きな問題になってきておることは御存じの通りであります。下流部は、高潮災害対策によってりっぱな堤防になる。今までは、下流の木曽川の改修工事事務所というものが桑名にあることも御存じの通り、上流部は、岐阜の忠節というところにあるわけですね。そこで今までは、この木曽川の改修で、改良費というものが、上流、下流の二つに分けられて予算措置がなされておった。今度は、高潮災害対策によって下流部は完璧になるわけですね。そういう前提に立つと、下流部の今まで使っておった予算というものは、ゼロということになる。高潮災害対策の高率補助でりっぱな、海岸堤防さながらのものができるわけですね。これはもう御答弁を待たずして、きまったことですから、われわれは喜んでおるわけでありまするが、そうすると今度は木曽川全体の予算というものは、下流部の分が高潮災害対策でいけば、その下流部の分はまた上流、中流という場面へも高率に振り向けるくらいの熱意を、河川局においては持っていただかねばならぬと思うが、これは特別会計の実現と相待って、どうしても今度の災害の跡始末としてやらなければならぬ点でございます。この点、河川局の次長としてお考えを率直に承りたいと思います。
  34. 曽田忠

    ○曽田説明員 お答えいたします。木曽川の河川改修の問題でございますが、御存じのように、われわれといたしましては、利根川あるいは淀川、そういう河川と同じように、非常に最重点的に改修計画を考えているわけでございます。お話のように、下流部につきましては、高潮対策事業に該当する分につきましては、別途高潮対策事業といたしまして相当堅固な堤防を作るということはすでに決定いたしまして、目下全体計画を着々作成中であります。特に木曽川の上流あるいは中流につきましても、幸いことしは、雨量の関係等でそう大きな被害はございませんでしたけれども、改修の進捗工合といいますものは、必ずしも十分でございません。今後相当なスピードをもって促進をはからなければ、大きな災害を受けるおそれも十分あろうとわれわれ考えております。従いまして、われわれといたしましては、木曽川の上流あるいは中流につきましても、最大限度の重点を置きまして今後実施して参りたいというふうに考えております。
  35. 江崎真澄

    江崎委員 これはぜひ一つ積極的におやりを願いたいし、また大蔵政務次官においても、予算措置において万遺漏なきを期していただきたいと思う。と申しますのは、下流部を最大に強固な堤防にしなければならぬことは、これは言を待ちませんが、今度その川が切れたら、海岸堤防がりっぱになればなるほど、ちょうど今度の長期湛水のあの地帯は、また水没をしてしまう。今度はまた、海岸堤防が逆に水の排除を困難ならしめて、非常な重大な場面が現出されることは、言を待たぬのであります。だから建設省側の、下流部は高潮災害対策で強固な堤防をもって措置する、この言明はどうしても実現されなければならぬ問題でありますと同時に、上流、中流のどこが切れても、また海面より低い海部地帯へその水がやはり押し流されていきます。そこで木曽川のどこが切れても、今度の水没地帯というものが、また被害激甚の、大へんな被災地になるという認識を十分お持ちおきを願いたいのであります。これに対する大蔵政務次官のお心がまえを承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  36. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 全く御趣旨通り、下流を海岸堤防でもって強化いたしますと、今度は上流からはんらんいたしました場合は、また今回のような悲惨な現状を繰り返すということでありますから、上流の方も、これに従って十分なかまえをいたさなければならぬということを痛感いたしておりますので、御趣旨通り善処いたしたいと思います。
  37. 辻原弘市

    ○辻原委員 ちょっと関連して河川局の次長にお伺いいたします。今の高潮対策について先般建設大臣にお伺いいたしましたら、三重、それから愛知両県にまたがる地域のみならず、熊野灘に面する地域についても、それに関連のある場合にはこの高潮対策の事業計画の中に含めていく、こういう御答弁があったわけなんです。その後新設されました中部地建の海岸部等において、すでにその調査に着手されているということを聞いているわけでありますが、どの程度まで調査が進んでおるかということを一つ承りたいのと、それから今も指摘されましたが、木曽川のみならず、各河川とも、海岸に接着している河口の部分が相当今回の災害にもいかれておりますし、また従来の災害によっても、かなりいたんでおる。たとえば、三重県、和歌山県両県にまたがる熊野川にいたしましても、現在北岸の方の河口から約一千メートルは堤防らしき堤防がなくて、もし将来、今回のような台風が襲ってきた場合においては、これは三重、和歌山両県にわたってやはり同じような湛水現象が現われるのじゃないか、こういうことを考えて、非常に心配しておるわけであります。それに伴ってそういうことが予知される今日、せっかく高潮対策として新たな海岸堤防の事業が設定されたわけでありますから、ぜひともこれらの、将来懸念される、いわゆる海岸地帯に接着する河川の堤防というものは、当然事業計画の中に含めて、そうして相当強度の高いものにしていかなければならぬとわれわれは考えますけれども、それらの点についての調査はどの程度まで進んでおるか、また、そういった問題をも含んで検討せられておるか、この点を一つ承りたい。
  38. 曽田忠

    ○曽田説明員 伊勢湾の高潮対策事業につきましては、先般もいろいろ申し上げているわけでございますが、中央におきまして伊勢湾等高潮対策協議会というものを作っております。これは関係各省並びに学識経験者の方々が入っておられますが、そういう伊勢湾等高潮対策協議会におきまして、現在全体の計画等につきまして協議を行なっております。全体計画と申しますと、堤防の高さをどの程度にするとか、あるいはその構造をどうするとか、そういう問題でございますが、現在までにおきまして数回の幹事会あるいは二回程度委員会も開かれておりますが、現在のところは、最終的な結論にはまだ到達しておりません。できますならば年内、あるいは来春早々には全部結論を出していきたい、そういうふうに考えております。  全体的な問題はそういうことでございますが、個々の個所につきましては、それぞれ各三重県なりあるいは愛知県等の意見も徴しまして、いろいろ具体策を講じておるわけでございます。特にお話のありました河川の河口等の部分につきましても、ある程度の範囲内におきましては高潮対策事業にこれを取り入れまして、海岸堤防に準じた強固なものを作っていく、そういう考えで現在案を作成中でございます。
  39. 辻原弘市

    ○辻原委員 海岸堤防と同じような取り扱いを河川の場合にも考慮する、これはまことにけっこうであります。それから技術的にもいろいろ協議会等で検討せられておることも、これは従来の堤防の強度等をわれわれが見た場合に、たびたび委員会でも指摘されておりますように、全くりつ然たらざるを得ないような、そういう工事の跡をしばしば発見しておりますので、こうした機会に技術的に十分検討をせられるということは、一番肝心かと思います。同時に、法律なり予算でもって大綱はきまっておるわけなんですが、伊勢湾等高潮対策というもの事業の範囲、これは三重愛知両県については当然重点でありますが、たびたび私が申し上げておるようにやはり熊野灘を含むとするなれば、それらに関連のある地域は当然含んで、海岸堤防なりあるいは河川の強度ということを考えなければ、これは非常に片手落ちになる。従って、どの範囲までを方針として含んで検討しておるかということが、私たちの地方にとっては非常に関心の深いところであります。ところが、関連のある点については検討するということだけであって、どの辺まで一体関連あるものとして検討を続けられるものか。今さっき言ったように、熊野川の南岸は三重県に属する、ところが北岸は、これは和歌山県に属する、そういたしますると、当然河川を含むということになれば、和歌山県側の河川堤防なり海岸堤防というものも、範囲に含んでもらわなければ意味をなさぬ。そういうところまで範囲を当然考えられておるものと思いますけれども、しかし現実に、相当問題になっておるにかかわらず、あまり話がその後進展していないようにも私ども受け取れるのです。そこらの範囲について、もう少し具体的に話を聞かしていただきたい。
  40. 曽田忠

    ○曽田説明員 伊勢湾高潮対策事業を施行する区域でございます。これは政令で定めることになっておりまして、伊勢湾、それから知多湾、渥美湾、それから熊野灘というわけでありますが、これも愛知県とそれから三重県の区域内にあります、熊野灘あるいは伊勢湾、渥美湾、知多湾、そういうふうに考えております。この高潮対策事業の区域を決定するにあたりまして、いわゆる十五号台風被害の実態をいろいろ調べてみたわけでございますが、伊勢湾あるいは知多湾、渥美湾等におきましてはすでに御承知通りでありますし、また熊野灘につきましても、これは早急に避難をいたしました関係上、人的被害はほとんど皆無でございましたけれども、家屋その他の被害相当激甚なものであったのであります。従いまして、当然三重県側の熊野灘というものが入って参ったわけでございまして、特に土木災害におきましても十数億程度災害を受けておるわけでございます。それから和歌山県に属します熊野灘につきましては、これは率直に申し上げますと、土木被害も数千万円程度でございまして、今度の十五号台風で受けました被害の額から申しますと、ほかの地域に比べましてかなり少ないというような状況もございまして、この伊勢湾高潮対策事業の区域といたしましては、愛知県と三重県の区域内にあります伊勢湾、知多湾、渥美湾、熊野灘というふうに一応決定したわけでございます。
  41. 辻原弘市

    ○辻原委員 ちょっと認識に違いがあるのじゃないかと私は思うのですが、われわれは、この高潮対策を、単に災害復旧の通例の事業とは解していない。それは災害復旧をも、もちろん高潮対策によって完璧なものにすると同時に、将来これらの台風がかなり通過するであろうと思われる地域について、将来の災害に備えて、やはり堅固なものを作らなければならぬというような意味において特別立法をあえてし、相当多額の経費をこれにかけておる。従って、それら将来考えられる地域に対して、関連を持つものは、当然その事業の中に含めていかなければ意味をなさぬ。かりに今、あなたの答弁によって機会的にこれをやるとするならば、熊野灘、それに三重県側に含まれる、いわゆる熊野川の北岸だけを、もし高潮対策として推し進めたとしたら一体どうなるのですか。現在においても、あなた方は御承知だろうと思いますけれども、この熊野川が直轄河川ならぬ中小河川のために、三重県の側においては、これは地盤を見ればわかりますが、かなり地盤的にも強固である。同時にまた、堤防もがんじょうに行なわれておる。ところが、和歌山県側においては、地盤も脆弱であって、しかも土地も低い、それに従来貧乏県、あるいは災害の常襲県でありますために、十分な手当ができていないから、堤防も三重県側に比較して若干弱い。絶えず水が出るような被害を受けておるのは和歌山県側、こういう河川の管理についても現在われわれ矛盾を感じておりますが、しかし幸いに、高潮対策ということにおいて熊野灘一帯の将来の高潮が、新しく工事によって防ぐことができる、そういう希望を持っておるにかかわらず、これが三重県に属する部分だけしかやらぬということになれば、おそらくその接触点といいまするか、接点から将来大きな災害考えられる。こういう問題が今わかっておりながら、何ゆえに、それに関連する地方をやらないで限定するのか。将来の災害対策ということを考えれば、当然関連ある事業は、大臣も言われた通り、それに含めて検討しなければならぬと私は思うのです。しかし、どうやら今の話によれば、機械的に、一応定められた範囲だけしか考えていないように受け取れるのです。そうであっては、せっかくやる高潮対策が、おそらく半分の意味合いしか持たない、この点についてもう一ぺんあなたの考えを承っておきたい。
  42. 曽田忠

    ○曽田説明員 お答えいたします。今度の特別立法といたしまして伊勢湾高潮対策関係の法律が成立したわけでございますが、これは伊勢湾以外におきましても、全国的に見まして、海岸部分につきましても、相当被害を受けておりまする個所は相当ございます。そういう個所につきまして、別に仕事を何もしないというわけじゃございません。伊勢湾につきましては、特に被害が、どなたが見ましても激甚であったというようなわけでございまして、特に、たとえば補助率を引き上げるとか、そういうような大規模な復旧あるいは改良工事を加味しなければ、完全なる将来の対策ができないというような関係からも補助率を引き上げる、そういうような心のもとにこの高潮対策事業という、新しい事業ができたというふうにわれわれは考えておる次第でございまして、そういうふうに考えますと、おのずから、今度の十五号におきまして現実に大きな被害を受けたところに重点がしぼられるものであるというふうに考えたのでございます。その伊勢湾高潮対策事業を行ないます区域以外のところにつきましては、何らの工事をやらないというわけじゃございません。もちろんそれぞれ、あるいは災害復旧工事もございますし、あるいは海岸の事業、あるいは河川改修事業、そういうものをそれぞれの実態に従いまして実施するわけでありまして、伊勢湾高潮対策卒業の区域に入っていないために、そう大した事業を行なわないのだというつもりはもちろんわれわれにはありませんし、そういう点は誤解のないように御了承願いたい、こういうふうに考えております。
  43. 辻原弘市

    ○辻原委員 そういうことを私は言っているわけではないのです。他の一般の公共事業であるとか、あるいは関連事業であるとか、こういうものでやられることは、これは私も承知をしている。しかしながら、これはあなたも御承知通り、一般の災害関連とかあるいは通例の公共事業とか、こういうことでは、海岸堤防などというものはほんとうに百年河清を待つにひとしい。幸い今度、高潮対策として抜本的な方策が伊勢湾を中心にして立てられた。従って、それならばそれに関連する地域は、たとえば行政区域が、ここまでが三重県だから、ここまでが愛知県だからということで、実際の工事がさらにそれよりも若干延長されておっても、その区域までだという考え方で機械的に切るような工事のやり方は、私は、これは将来の災害に備える策ではないと言っているのです。だから、関連のある地域については、たとい行政区域が若干またがろうとも当然含めて、いわゆる伊勢湾等高潮対策として施行すべき計画を策定すべきだと言っている。それは絶対できないものか、また絶対やる意思がないのか、ここの点を私ははっきりしておきたい。特に海岸堤防などというものは、アリの一穴によって水がこぼれるという堤防なんですから、それをここまでだとか、そういうようなことでは、これは災害復旧であれ、あるいは将来の災害に備える災害予防策であれ、およそ半分の意味合いしか持たぬだろう、私はそう思うから先ほどから言っているのです。だから、それは行政区域にまたがつた場合には絶対できないものかどうか、この点についてだけ最後に承っておきたいと思います。
  44. 曽田忠

    ○曽田説明員 先ほども申し上げましたが、高潮対策事業の区域につきまして、区域内の、たとえば熊野灘の三重県側の全地域につきまして事業を実施するというわけじゃございません。三重県内の熊野灘につきましても、今度の十五号台風によりまして甚大な被害を受けたところというものが、おのずから重点的に施行されるわけでございますから、一応行政区画的には三重県側の熊野灘というふうにはなっておりますけれども、個々の個所につきましては、必ずしも全部ではないというわけであります。従いまして、必ずしも行政区画が、その具体的な実施個所に密接な関係があるという意味ではないと考えております。問題は、要するに、今度の十五号台風相当激甚な被害を受けた個所につきまして重点的に高潮対策事業を実施する、その区域といたしましては、三重県側の熊野灘は当然入ることになる、そういうふうな考えで実はこの区域を決定したわけでございます。
  45. 南條徳男

  46. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、時間もありませんので、いただいております「昭和三十四年八月及び九月の暴風雨による堆積土砂及び湛水排除に関する特別措置法施行令」、これを中心に一つ伺ってみたいのですが、この施行令はいつ公布になりましたか。
  47. 伊東正義

    伊東政府委員 これは建設省から出た政令でございますが、十二月十八日というふうに私は記憶しております。     〔委員長退席、三田村委員長代理着席〕
  48. 足鹿覺

    足鹿委員 ところが、これが非常におくれておって、現地査定がおくれておるようにわれわれは聞いておるのです。ごく最近施行されたようでありますが、現在の査定の状況はどういうふうに進行しておりますか。
  49. 伊東正義

    伊東政府委員 この査定につきましては、農地、農業用施設その他の査定と一緒に出ているわけでございます。全般的には、大体八五%くらい農業施設につきましては査定が進んでおりますが、排水関係は若干おくれております。われわれとしましては、一月中旬くらいまでには全部のものを終わってしまうという考えでございます。
  50. 足鹿覺

    足鹿委員 これがこんなに、農地、農業用施設と並行して行なえなかった理由はどこにあるのですか。
  51. 伊東正義

    伊東政府委員 一つは、政令その他の関係もあったのでございますが、実はこの補助要綱等につきましても、水量等について、どういう水量があったところまでが、この湛水地域の指定にしていいかということも議論をいたしました関係がありまして、若干おくれたような次第でございます。
  52. 足鹿覺

    足鹿委員 私はこれは、実際の被害地においては非常に重要な問題だと思うのです。また、よほど水を引かしてから時日がたちますと、査定も、農地、農業用の大破したもの等に比べて実感を伴わないということになろうと思うのです。その点で査定等が実情にそぐわないような、あるいは表面的なものの見方や、取り扱いをされがちであろうと思うのです。大体農地、農業用施設の査定は順調に進み、かつ査定も、私どもの知る範囲内においてはきわめて公正に行なわれておるやに聞いておりまして、その点大へんけっこうだと思っておりますが、相当長文の施行令を読んでみて、政令は、当委員会に事前によく打ち合せしてその意見を聞き、慎重にやるということになっておりますし、またその政令等に基づいてこういうせっかく規定をされましても、ちょっと瞥見してもよくわからぬのでありまして、見当はずれのことを言うかもしれませんが、その点はあらかじめ一つ御了承願って御答弁願いたい。  そこで、「土砂」とあるわけです。ところが、山間の集中豪雨地帯におきましては、干拓地帯などとは違って、泥もさることながら、いわゆる岩石とか、そういうものの方が、狭い地域にわたってたくさん流入しておるのが多かろうと思うのです。この土砂の解釈ですが、この砂というものは石なり、また石を大きくした岩石、そういったものにも適用されるわけでしょうね。どうですか。
  53. 伊東正義

    伊東政府委員 実はこの政令では、農地関係堆積土砂につきましてはこの法律ではなくて、暫定法関係でいくことになっております。農地に適用がありますのは、この政令では排水だけでございます。土砂の関連は建設省の方がやっておられます。先生おっしゃいましたような点は、農地復旧で、そういう岩石とか砂が入ったということは暫定法関係で、農地復旧として取り上げていきたいというふうに考えております。
  54. 三田村武夫

    ○三田村委員長代理 ちょっと足鹿君、皆さんに御相談申しますが、今、大蔵政務次官が、あした御案内のように第一次査定で、大へん作業に忙しいのだそうです。大蔵政務次官に御質問がありましたら、なるべくまとめてお願いしたいのです。
  55. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと奥村さん、さっきの地域ですが、江崎さんの概算払いの延納措置について、この際官房長と両方から確認をしておきたいのです。この前、私がこの小委員会食糧庁長官にお尋ねしたときの答弁と、大体同じ御答弁でけっこうだと思うのですが、     〔三田村委員長代理退席、委員長着席〕 ただ問題は、北海道に準ずるというお話がありました。準ずるというのは、北海道はたしか三年だったと思うのですが、これは相当金額になると私思うのですが、大体金額にしてどの程度でありますか。また、その概算金を受けて支払い延納の対象になる戸数は、どういうふうに見て、大蔵、農林の意見が一致しておりますか、その点を、官房長並びに奥村さんからそれぞれ御答弁を願いたい。
  56. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先ほどこの点についてお答えいたしましたように、最終的には、十二月末ないしは一月末になって、どれだけ立てかえ払いをしたかという金額が確定するわけでございます。従って、それまでの間につきましてはおのずから推算になりますので、戸数なりあるいは被害程度なり、予算段階では最終的にきめなければならないとなっておりますが、今の段階におきましては、ごく概数といたしまして約三億ぐらいじゃなかろうか、こういうふうに思っております。
  57. 足鹿覺

    足鹿委員 その程度ですか。もっと私はいくような——これは根拠もないわけですけれども、その程度で済めばけっこうだと思いますが、それに対する利子補給の問題は、完全に大蔵省とも話し合いが済んで、正確な数字が出た場合には、遅滞なく取り計らいできますでしょうか。  それから三年以上というときは——北海道は三年ですね。事情によってはそれ以上に、これが一番問題なんです。復旧もさることながら、借りた金を元も子もなくして、保険金もスズメの涙ほどしかきませんし、これはほんとうに農家にとっては致命傷で、三年で解決つけばけっこうですが、——三年あれば大体見当はつくと思いますが、今回の被害の状況から見まして、冷害などはその年の収獲物がなくなるということだけですが、この種の災害になりますと、復旧はせにやならぬ、また、つなぎ資金の問題とか、あるいは相当自己資金もかけなければならぬ、労力も不足すれば自己資金で人も頼まなければならぬ、こういうことになると思うのです。これは農家にとっては一番痛い問題でして、三年ということで、まず一応は——どうとは言えませんが、私は、北海道に準ずるという、それ以上にというふうに解釈をして、できる限り実情に沿って処理してもらいたいと思いますが、大蔵省どうでございますか。
  58. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 お話のように、償還期限を、北海道においては三年というふうにとったわけでございます。今回の場合においても、少なくとも三年を最低くらいにしまして、被害程度に応じて期間を考えたらどうかというのが、農林省の事務当局の案でございまして、そういう線で今後大蔵省ともう少し詰めてみたい、かように考えておるわけでございます。
  59. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 この問題は、やはり食管の会計の中の問題でありまして、利子補給という形よりも集荷委託費というふうなことで、御趣旨通り何とか善処いたしたいと考えております。
  60. 足鹿覺

    足鹿委員 食管会計は、御存じのように、あなた方は、きょうの新聞によると、赤字埋めの一つ方法として消費者米価を少しばかり上げようということを考えておられるのですが、これは大問題なんです。それくらいこまかしく、つましい大蔵省が、この問題に対してはなかなかそう簡単には——奥村さんは農村の出身だし、農村の理解が十分あってやっていただけるものと思いますが、なかなか大蔵省主計局というところはむずかしいところで、奥村さんも大蔵委員を長いことされ、今度は次官になられたわけでありますから、その点はあなたの責任において、今の官房長答弁を具体化して実際にやるんだということを、一つ責任を持ってこの際御言明願っておきたいと思いますが、いかがでございますか。
  61. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 大蔵省方針は、いずれ二、三日じゅうに明確になります。なおまた、その上で農林省食糧庁とも御相談を申し上げるわけでありますが、その間に、この問題だけは、これは前例もあることでありますし、私も責任を持って善処いたしたいと考えます。
  62. 足鹿覺

    足鹿委員 了承いたしました。ほかに、政務次官にある方はあるのですか。それをしまってからお聞きしましょうか。——それでは簡単に、私は一問題に限定しておきますから、しばらくごしんぼう願って、他の委員がやられるまで、もう少し待っていていただきたいと思います。  そこで、これは建設省、農林省のどっちに聞いていいのかわかりませんが、この第一条の一号のしまいから二行目、「量が三万立方メートル以上である」、あるいは二号の「二千立方メートル以上の一団をなす特定泥土等又は二十メートル以内の間隔で連続する特定泥土等」ということになっておるのでございます。ちょっとこれは私の計算が間違っておるのかもしれませんが、二千立方メートルと申しますと、われわれは明治の人間で、ちょっと計算がややこしいのですが、平面的に見て四反くらいの見当になる。一メートルは三尺三寸ですから、二メートルとすれば六尺六寸の深さで約四反ということになる。これは実際問題としてこれに該当する——それは、東海三県はおそらくこれにみな該当することは間違いありませんとして、その他の地域におきましては、これはなかなか問題があるように私は思います。特に二十メートル以内の間隔で連続するというふうに、ここでは——他の農業用施設その他は、われわれは五十メートルを主張しましたが、現行通り百メートルということになっておる。ところが、二十メートルと間隔で調整をとっておられる点はけっこうだと思いますが、ちょっと私は、東海三県を除く、あるいはその三県の中でも海岸地帯等と別な地帯においては、相当適用除外される地点が出てくるのではないかと案じますが、その点はいかがですか、心配ありませんか。
  63. 南條徳男

    南條委員長 これは計画局長を今呼んでいますので、ちょっとあとにして下さい。それで今、奥村政務次官の方を先にやってくれませんか、予算折衝が忙しいらしいですから。
  64. 足鹿覺

    足鹿委員 長くなるというので、これだけ先に、簡単に要点だけやります。  それから第三号、「地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、」とありますが、これは旧市町村のことですね。
  65. 曽田忠

    ○曽田説明員 ただいまお尋ねの「地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、」これでございますね。これは、いわゆる指定都市と申しまして、名古屋市とか横浜市、神戸市、そういう五大市のことであります。
  66. 足鹿覺

    足鹿委員 特定の旧町村という意味ではないのですね。
  67. 曽田忠

    ○曽田説明員 はい。
  68. 足鹿覺

    足鹿委員 それは名古屋市その他たくさんあるのですか。
  69. 曽田忠

    ○曽田説明員 横浜、名古屋、京都、大阪、神戸の五大市ではないかと思います。
  70. 足鹿覺

    足鹿委員 それに関する限りは建設大臣がやる。これは建設大臣一本にしぼって、農林関係は、官房長、よろしいのですか。私もこの点よくわかりませんが、どうなんですか。その五つの都市の間に農林関係ものがあっても、これは全部建設大臣が定める部分に限るということになりますと、その調整は問題が生ずるのではないかと憂えるわけですが、その心配はありませんか。
  71. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ちょっと調べまして、お答えいたします。
  72. 足鹿覺

    足鹿委員 それではお調べになって……。私もいきなりこれを見ておるので、参考条文を参照する余地がありませんから……。
  73. 南條徳男

    南條委員長 後ほど答弁させます。
  74. 足鹿覺

    足鹿委員 それから今度は堆積量の問題ですが、第二条の「当該区域において、二千立方メートル以上の一団をなし、又は二十メートル以内の間隔で連続し、かつ、二千立方メートル以上であること。」ということは、先ほど私が申し上げたことと同じような杞憂を持つのですが、その点は、実際査定をおやりになって、現地の実情に著しく沿わないというような心配はありませんか。
  75. 南條徳男

    南條委員長 それは計画局関係ですね。今計画局長を呼んでおりますから……。
  76. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは三条に参ります。三条の湛水に関する被害地域、これが私は一番聞きたいところであります。三、四条ですね。一週間以上の湛水、あるいは一団の浸水地域が三十ヘクタール以上というふうになっております。これには間隔の調整規定がないようですが、それは全くこの法文通り、一団とは、ほんとうの一団を意味するのでありますか。他にはみな、何メートル間隔というふうに調整の規定があるのにもかかわらず、これだけについては、はっきり限定をしておられますが、実際に適用した場合には、少し弾力に乏しいのではないか。災害対策委員会が今日まで熱心に審議してきて、そうして激甚地指定であれだけもみ、また政令問題等で、当委員会考え方に順応していただくように重々念が押してあるはずでありますが、こういう点から見て心配ありませんか。
  77. 伊東正義

    伊東政府委員 この点は、一つの集団ということで、間隔を実は考えておりません。大体これで、実情に合った運用ができるだろうというふうにわれわれ考えまして、やった次第であります。
  78. 足鹿覺

    足鹿委員 まあよかろうということであります。私も、そう他の問題とは違って大きな矛盾はないとは思いますが、この点は、あまり調整規定がありませんから、査定に際して十分配慮をしていただきたいと思います。また大蔵省の奥村さん、農地局関係大蔵省の財務当局から一緒に査定に行かれるわけですから、この点は、特に先ほども述べましたように調整、しんしゃくの余地が令そのものにはございませんので、十分実情をしんしゃくするように査定を——これから査定が始まるわけですが、十八日にこれが公布になったわけです。現地では今やんやん言っておる。急ぎの余り、実情に沿わぬようなことのないように、十分鞭撻をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  79. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 お説の通りの、実情に即した、また法律の精神に基づいた査定が行なわれるように、指導いたしたいと思います。しかし、それについて、こちらからもお願いでありますが、何しろ法律が最近に施行されましたので、被災地においての関係者も、この法律の規定の内容を十分周知しておりません。御承知通り査定の準備は、被災地関係者があらかじめ準備してくれて、それを査定官現地に行って認める、こういう手順になるわけですが、関係者に周知させるということがなかなか困難な仕事でありますので、また機会がありましたら、皆さんからも関係者に周知していただくように、お願いを申し上げる次第であります。
  80. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、今次官が言われた点から、御注意なり、よくお願いもしておきたくて申し上げておるわけです。これが一番おくれておる。水はもう、東海三県の例を除いては、とっくに引いておるわけです。今となってこれを査定する際に、なかなかこれは問題が、その査定する人によって、あるいはまた地方公共団体の受け入れ態勢等によって、今どきになって私のところへもいろいろな照会なり、意見が出てきておるわけなんです。その辺は、十分一つ過酷に流れるようなことのないように、水が引いてしまったあとはけろりとしておるわけでありますから、その辺は切実感に乏しい点がございますので、十分考えていただきたい。これは農地、農業用施設の復旧とは趣旨が違いますが、これは相当面積があろうかと思います。そうすると、大体において三十町歩以上でありますから、水の引いたあとにおけるその線の引き方は、なかなか微妙な点が出てくるのではないかと思うわけであります。その点、一つ農地局長も、あなた方の大蔵省との折衝がもたもたして、きょうにまでこれが引き延べられたのですから、十分遺憾なきを期して何らかの措置を、地方庁の方にもよくこの趣旨が徹底をして、でき得る限り広く含まれるように、十分の配慮をしていただきたいと思います。この十八日に公布になったもので、この内容が地方へいくのは、まだ時間がかかるのじゃないか。聞けば、私どもの中国方面は、二十日ごろから、この関係査定官もお見えになるということを聞いておるのです。それで、十分一つ、ただいま述べたような趣旨において御善処あるように、地方の方にも趣旨の徹底方の取り計らいを特にお願いしておきたいと思います。やっていただけますか。
  81. 伊東正義

    伊東政府委員 はい。
  82. 足鹿覺

    足鹿委員 それからもう一点、この点も大事な問題でございます。第六条、これは今の堆積土砂湛水を行なう事業主体を規定しておられますが、「土地改良法による土地改良区又は土地改良区連合」と、特にこれを限定された理由は那辺にあるのか。私は、必ずしも土地改良法の対象にならないところにも、この種の被害がないとは言えないと思うのです。そうした場合には、この施行令第六条によってこうはっきり打ち出した以上は、適用上問題が発生するおそれなしとしないと思いますが、その趣旨は一体どういう趣旨ですか。特にこういうふうに規定をされたのは、土地改良法の土地改良事業連合会が主体となるのが原則であって、また、ほかの例外を当然認めるべき筋合いのものではないか、かように思うのですが、その点は心配ないですか。
  83. 伊東正義

    伊東政府委員 これは地方公共団体もできますので、その他農地だけの場合に、「政令で定める者」としまして、土地改良区並びに連合もできるということも考えてあるのでございまして、それだけに限定はしてございませんので、支障はないというふうに考えております。
  84. 足鹿覺

    足鹿委員 それはおかしいじゃないですか。それだったら、ここにもっと、ほかのこともちゃんと入れたらいいんじゃないですか。土地改良法による改良区あるいは連合会というふうに、ちゃんと明文にしておいて、ほかでもやれるのだというのは、ほかに何かよるべき根拠があるのですか。
  85. 伊東正義

    伊東政府委員 法律の方で地方公共団体も入っておりますので、それで、これは支障ないというふうに考えております。
  86. 足鹿覺

    足鹿委員 待って下さいよ。法律の方に入っておると言われますが、法律そのものを実際に適用していくために必要な施行令だと思うのです。法そのものにはもちろんあっても、施行令において具体化しない場合には、従来いろいろと問題が発生しておるやに私は思うのであります。特にこの場合、地方公共団体もできる。そうすると、地方公共団体と土地改良区と土地改良区連合会、この三つになるのですか。ほかのものがやった場合ですね、それはどうなるのですか。
  87. 伊東正義

    伊東政府委員 法律に書いてありますのは、「地方公共団体その他政令で定める者」というふうになっております。それで、法律と政令をあわせて読みますれば、当然地方公共団体はできる、その他政令でどういうものが必要かということで考えたのでございますが、農林省としましては、農地その他につきまして普通考えられますのは、土地改良法に基づく土地改良区、連合会でございます。その他ございますのは、農協等土地改良もできることに実はなっておりますが、これは農協が行ないます場合は、御承知のように非常に少なうございます。それで、大体地方公共団体と土地改良区と連合を入れておけば、大部分のものは実態に合うという判断で、こういうふうに限定したような次第でございます。
  88. 足鹿覺

    足鹿委員 しかし農地局長土地改良区または連合会ということになりますと、その県なら県の連合会あるいは地域の連合会が、自分の設立した範囲内における場合が主として考えられますわね、そうですね、そういう趣旨だろうと思うのです。そうした場合に、土地改良区が他の地区へ出ていって仕事した場合、やはりそれは区域外であっても、連合会がやらないで、AならAという土地改良区がB区もやってやったという場合も、この規定から見て当てはまるわけですね。
  89. 伊東正義

    伊東政府委員 そういう地帯につきましては、実はこの仕事の公共性その他から考えて、地方公共団体がやるのが私は一番適当だと思っております。ただ御質問のように、土地改良区なりあるいは連合会がやりました場合に、水の関係でございますので、若干その地域からはみ出すのじゃないか。そういう地帯の場合は、やはりそういう非常の際に土地改良区なり連合会がやりましたならば、それは当然地区外の水も入っておりましょうが、補助対象にして差しつかえないというふうに私は考えております。
  90. 足鹿覺

    足鹿委員 了承いたしました。  それでは最後に、第八条関係お尋ねいたしますが、「堆積土砂又は湛水排除事業事業費は、当該事業の工事のため直接必要な本工事費、」この解釈はどういうことになるのですか。直接必要な本工事費というものについて、一つ例をあげて説明してみて下さい、わかったようなわからぬような書き方ですから……。
  91. 伊東正義

    伊東政府委員 ここに書きました「直接必要な」という意味でございますが、これはやります仕事によりまして、この際新しく排水樋門を作ろうというようなことは、事態によっては考えられるかもしれませんが、そういう恒久的な、新しく排水樋門を作るというようなものは、この工事と直接結ぶというよりも、もっと広い面に関連するのじゃないかというようなことで、補助対象にはしないというような補助要綱を実は作っております。そういう意味で、ここに書きました「直接必要な」という意味は、今度の排水をいたす場合に実際必要なもので、あとあとまでの改良とか、そういう部門を考えものは直接この補助対象にはならぬ、こういう意味にわれわれは解しております。
  92. 足鹿覺

    足鹿委員 この「本工事費」と「附帯工事費」は密接な関係を持つわけですが、「補償費、機械器具費及び工事雑費の合計額並びに事務費とする。」という規定になっておりますが、私どもの湛水排除事業の概念からいいますと、工事という観念よりも一つ作業ですね。大体農村の考えも、そういう考えではないかと思うのです。そういう趣旨であるならば、私どもも別に異議はございませんが、ここにはっきり工事、またその工事に付帯する工事費、こういうことになると、作業費という観念とはだいぶ違ったものがここに盛られておるのじゃないかという印象を、私は一見して持ったわけです。これは作業費というふうに解釈すべきものだと思いますが、その点は、ここへ特に「工事費」とされると、相当恒久的なものを含むもののようにも解釈されますし、また、別の工事雑費というもの作業費が含まれるのかとも考えてみたり、どうもこの八条関係は非常にむずかしのですが、いかがですか。もう少し私の質問の線に沿って、局長の見解を明らかにしておいてもらいたい。
  93. 伊東正義

    伊東政府委員 「工事費」と書きましたので、非常に広く解釈ができるのじゃないかということでございますが、頭に「直接必要な」ということをつけておりますのも、先ほど、新しく排水樋門を作るとか、そういう恒久的なものではないということを申し上げたのでございますが、これについては、実は広い意味で書いたわけではございませんで、先生のおっしゃいますような作業費的な意味の方が強いというふうにわれわれも解しております。
  94. 足鹿覺

    足鹿委員 くどいようですがもう一点。工事雑費です。工事雑費とは、たとえば人力でやった場合、それにたき出しをしたとか、いろいろな経費、そういったようなものも実際の場合には含むのではないかとも思われますし、工事雑費というものは、いろいろなものを含んでいることはよくわかるのですが、人力の問題がここに全然ないわけです。「直接必要な本工事費」とあるが、作業費という意味を含むものと解して差しつかえないというただいまの御答弁からいたしますと、「機械器具費及び工事雑費」というものにつきましては、よそから借りた機械の補償とか、あるいはその作業のために田畑を荒らしたとか、いろいろな場合が「補償費」には含まれると思いますが、その「機械器具費及び工事雑費」という場合に、人件費とかそういうものを含むのですか。こういう政令が流れますと、ややもすればどこに人力ということが書いてあるか、それは機械力を使っただけじゃないかということで、前にこの委員会でもなかなか議論のあったところです。だから相当くんでおられるはずだと思うのですが、「補償費、機械器具費及び工事雑費」というものの内容としては、通じて人力を含むというふうに解釈して間違いないですか。また、そういう人力を含むとかいうことは、ちゃんと頭に書いておくべき筋のものだと思うので、それが書いてないと誤解を生みます。農村で排水作業に機械器具を持ってきても、道はこわれてしまっておるし、橋は流れてているし、一週間以上の湛水地域でありますから、人力によらざる限りなかなか湛水排除は至難な情勢であったと思う。であるならば、明確に人力なら人力というものを入れて、その合計額並びに事務費というようにすべきではないかと思う。これはもう公布されてしまっているのだから、解釈をはっきりして地方へお流しになる必要があると私は思いますが、人力問題はいかがですか。
  95. 伊東正義

    伊東政府委員 これは表現の仕方でございますが、先生のおっしゃいます人力費は当然入っております。機械を使わぬで、たとえば堤防を掘さくいたしますとか、あるいは水路を人力で掘ったというようなことは、当然直接必要な本工事費とかいうものに入るのでございまして、人力費は含めて考えております。
  96. 足鹿覺

    足鹿委員 わかりました。それではその辺、査定にあたって問題が起こらぬように明確にしていただきたい。これは奧村さんを前にして言うのはおかしいのですが、ややもすれば大蔵省がついて歩く。そうすると、どうも法律解釈の機械的な運用が行なわれるきらいなしとしないのです。  それから、三十町歩以上のものが一週間以上湛水したという場合、これの指定を受けたところは、当然市町村激甚地指定の対象になりますか。
  97. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 その点は、私どもの方としましては、このほかに暫定法に関する政令を出しております。これにおきましては、そういう地帯で、水が自然に引いてしまって全然補助対象にならぬというところは除いて、補助対象になりましたところは、これは九割の補助に指定するという取り扱いをいたしております。
  98. 足鹿覺

    足鹿委員 この程度でやめます。
  99. 南條徳男

  100. 角屋堅次郎

    角屋委員 すでに本会議の予鈴が鳴っておるわけですが、来年度予算の問題についても、政務次官からお話しのように、近日中に最終の段階だということですが、率直に言って、私ども、本年度のような災害対策の問題を特別委員会として審議する場合には、やはり来年度予算のお手並み等も見ながら最後の集約をしなければならぬ、こういう気持を強く持つわけです。これは予算のこまかい点までやるということは、通常国会で予算委員会でやることですけれども、やはり災害対策の特別委員会としては、大綱については見きわめて集約をいたしたい、率直に言って、私どもそういう気持を持つわけです。先ほど江崎委員質問された中で、私がいろいろ質問したい問題等についても触れられたわけですけれども、私がこの特別委員会の結びにあたって率直に思うことは、数日中に示されるであろう来年度予算の中で、政府としては予算編成方針として、もっと大きな骨格に災害対策の万全を期する、こういうことを明示しているけれども、例の三・五・二の一番ピークに当たる五の予算の獲得という問題、あるいはその中身の中で、たとえば十五号の中で被害激甚の県である愛知三重あるいは岐阜あたりとしては、その中で焦点になる高潮対策その他の問題について、具体的にどれだけの肉づけがなされるのか、こういうことがないと、せっかく法案等ができ、政令が出されましても、絵にかいたもちに終わるということなにるわけです。政務次官は、予算査定期間中、政務次官室にお泊まりになってまで、この予算査定に尽力されたということを聞いているわけですけれども、来年度予算の問題と関連をして、災害予算については、これはもう削るとかなんとかいうことじゃなしに、まず優先的に必要な経費を組む、こういう方針で万全が期されておるのかどうか。最後の詳細な点については、これはいずれ機会の問題であろうけれども、今まで特別委員会等で真剣に論議されてきたその前提の上に立って、次年度の五割というふうなものを、確実に確保するということでなされておるのかどうか。これが一つの大きな問題だろうと私は思うし、同時に、本年の予算の中でも、いろいろ災害対策委員会の中で前進ができておる。そうすると、すでにきめられた予算の中では、どうしてもやはり不十分だということに相なってくる。私どもは、率直に言うならば、政府は自主的に通常国会に必要な補正を組んで出してくる、こういうふうな熱意を実は期待をしたいわけです。何といいましても来年の三月までにやっておきたい仕事、そして予算的な裏づけの不十分なものについては、政府が今日までの検討の結果に基づいて、それがどれだけの額になるかは別として、自主的に補正の第二次を出してくる、こういうことさえも私どもは期待をしたいわけです。それらの問題について、今日までの予算の検討の過程の中でどういうふうなお考えで進んでおられるか、まずこれをお聞きしたのです。
  101. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 御質問によりまして、来年度予算案において、災害復旧に関する経費をどのように組むかというお尋ねでございますが、御承知かと存じますが、災害復旧につきまして、特に今年度災害関係も含めて、すでに起こった災害復旧費につきましては、これに当然の経費としまして、大蔵省で削るの切るのということをせずに、当然五割をつけねばならぬという観念であります。ただしかし、法律でいう厳密な意味の激甚ではなしに、激甚な、特に緊急に復旧をしなければならぬという地区を三・五・二ということで、来年は五割を確保する、これは政府は絶対に実行しようという覚悟でおります。具体的にこまかい計数になりますと、御承知と思いますが、まだ伊勢湾台風の査定につきましても、来年の二月ごろにならなければ全部査定が完了しませんので、工事復旧費も確定しない、こういうことでありますから、多少金額の相違はありますけれども、その不確定な分は予備費などでも組んでおく。それから、昭和二十八年の災害においては三・五・二が実現できなかったが、今度は絶対に三・五・二を実現する、かようなつもりでおります。いずれ二、三日中にはその内容もわかりますけれども、政府としてはさような考えでおります。
  102. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは最後の仕上げの気持で、近日中に示される予算を見なければわかりませんが、私が質問をした自主的な第二次補正の問題についてはお答えがなかったわけですけれども、そういう気持も含んで、災害対策にはぜひ一つ万全な措置を講じてもらいたい。細部の点に触れる時間的な余裕がないのでまことに残念でございますが、二、三点、具体的な問題について、先ほどの質問とも重複をする点がございますけれども、伺っておきたいと思います。  まず第一に、除塩の問題でございます。これは過般の委員会で私が除塩問題に触れたときに、特に特別委員長の方から、この問題については善処したいから、これ以上の追及については一つ遠慮してもらいたい、こういう連絡等もあって追及を避けたわけでございますけれども、先ほど江崎委員質問に対しまして農林省の方からお答えがありましたが、私ども、今日までの特別委員会における審議の経過、並びにただいま出して参りました最終の段階における農林省措置というものについては、きわめて不満でございます。しかし、この過程の中では、委員長初め関係委員、あるいは農林省等においても、これが措置については積極的に善処しなければならぬという熱意のもとに出されてきた結果であるだけに、私どもも、その努力は多とするに決してやぶさかではございません。しかし、出てきた結果そのものは、当初私どもが取り上げた趣旨は、申すまでもなく稲刈り等もはっきり含んで措置をする、こういう気持でありましたが、やはりいろいろの取り扱いの関係上、除塩溝をふやしてその工事費を見る、こういう結果でございまして、まことに罹災の惨状の姿から見ると不満でございますけれども、これがぎりぎりのところであるというならば万やむを得ない、こういうふうに考えるわけでございます。そこで、この場合に、除塩の政令の関係で、静岡、愛知三重、佐賀、長崎の関係市町村において除塩の特別立法の適用をやる、そこでこれとの関連で、これで上がってくる面積というのは相当面積になろうと私は思う。概略、一体どれくらいの特例法面積で上がっておりますか。その中で、先ほどの排水溝の増設によって取り扱う面積について、農地局長お話では、大体一万町歩前後というふうなお話でございましたけれども、私は、そういうふうに除塩の適用を受ける面積の中で、またさらに排水溝の増設をやる面積というものが縮小されて出てくるということになると、地域的に、この取り扱いをめぐっていろいろ問題が出てくる可能性を持っているんじゃないか、こういう感じもするわけですけれども、実際の取り扱い上、例の〇・一%以上の塩分濃度の問題との関連における排水溝の増設地区の取り扱いというものを、具体的にどうされるのかをお伺いしたい。
  103. 伊東正義

    伊東政府委員 今お読みのように、関係県は大体六県になっております。面積は、県の要望その他から出ておりますのは、約二万町歩でございます。そのうち、先ほど申し上げましたように、湛水の期間の長い地帯、そういうところでは、稲自体も非常に腐敗しているといったようなところを取り上げまして考えましたのが、その約半分の  一万町歩でございます。これは愛知県、三重県に限定されます。そこについて、私は、先ほどのように労賃も落ちるというような考え方で、そういう地帯を取り上げてやったらどうかというふうに考えております。
  104. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは先ほどお話をいろいろ聞いておるときに、反当八百六、七十円、こういう工事費の増になるというお話でございましたが、そのようにとってよろしゅうございますか。
  105. 伊東正義

    伊東政府委員 大蔵省要求いたしておりますのは、八百九十円、九百円足らずのもの単価として要求いたしております。
  106. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは大蔵政務次官にお伺いしたのですが、私どもこの特別委員会の審議の過程の中では、当初、趣旨として取り上げました稲刈りの問題の際に、先ほど江崎委員からもお話がございましたように、泥んこになったそういう稲に、ガラスその他のいろいろなものがついておる。これを刈る、あるいはこれを他に運搬するという人夫は、十人夫をこえるだろう。そうすると、これは三百六、七十円の人夫賃とかりに見ても、それの十倍かあるいは十倍以上、こういうことになってくる。そこで、それに対する九割なら九割の補助というと相当な額になる。これは実際に現地の実態から見ても、それだけの必要がある。そういうことを言って参ったわけでございまして、今日、最終段階ぎりぎりにきて八百九十円で要請しておるということになると、これをしも切られるということは、実態から見て、これは現地側の期待を大きく裏切ることになるのであって、最小限、この金額については絶対に下らないように確保してもらいたい、こういうふうに思うわけですけれども、この点については、大蔵政務次官、いかがでございましょうか。
  107. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 今、農林省の方の立てました案につきましても御不満なように承りますが、しかし、大蔵省の立場といたしましては、御承知通り今度の措置は、災害といたしましても今度初めてこういう措置をとりますので、これがまた例になるということになりますと、やはり慎重にかまえざるを得ない。それで先ほど御答弁にも申し上げましたように、単に稲刈りというと、どうも私有財産の仕事に国庫補助を出すような印象を与えて、ほかに、非常な影響を与えるということから、そうじゃなしに、除塩のために当然付帯する必要経費というふうなことで見ていこう、こういうことでありますので、多少そこは渋くなりますけれども、まあ一つそういう程度で御了承を願いたいと存じておる次第であります。
  108. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは実際の取り扱い上、今言ったような趣旨でも、私は、現段階においてはやむを得ないし、けっこうだと思うのです。問題は、やはり来年度の植付以降の作柄を成功させるということが、災害対策として罹災民に対してまず考えなければならぬ点だ、そういう場合に、この泥んこになったそういうもの、全く換金価値のないものをどう処理するかという問題、しかも、家を流されたり、あるいは全く現金収入の道を失った罹災民を対象にして、来年の植付期までに早期立ち上がりをはかっていく、そういう政治的な配慮も加えて、この問題が切実に出てきておることは御承知通りだと思うのです。当初農林省は、こういうものをすき込んでも影響はないということを言われておりましたけれども、かりに二万町歩近いそういう地域ですき込みなんかをやって、来年度極端な減収地域相当面積出てきた場合には、あれをすき込んだから出てきたのではないかということで、大きな政治問題に発展する危険性も持っておる。そうして来年度の作柄に期待する罹災民から見ると、これまた大へんなことになる。そういうこともあって、私どもは、そういう危険な要素を持っておる稲刈りという問題を、やはりこの際解決をして、そうして来年の作柄の成功を期するということが非常に必要じゃないか、そういうふうなこと等も考慮して、私は何回となくこの問題を委員会で取り上げたわけであります。もちろん、私有財産その他いろいろな関連からの理屈はつけられるかもしれませんが、今次災害の実相等から見て、この問題については来年の作柄が成功するよう、そのためには、何といっても、全く道を失っておる罹災民に対して、いささかでも誘い水に対する助成ということが政治的配慮として必要であろう、こういうことで申し上げたわけです。結果として、今お話しのような方法をとられることもやむを得ないかと思いますが、それをとられる場合には、必要最小限度のそういう経費については、やはり温情ある措置をもって確保してもらいたい、このことを特に希望申し上げておきたいと思います。  さらに、前々から問題にしておりました農林水産関係の任意団体の共同利用施設等の問題について、これは商工団体にああいう措置委員長提案でとられた、その措置等のバランスの問題から言っても、農林水産関係団体のこの種の問題について全然ネグレクトすることはアンバランスじゃないか。過般関係知事、市町村団体を呼んだ場合にもそういう強い要請がありましたし、私どもその声は当然のことだと考えておるわけですが、結局、この点について非常にむずかしいということの理由はどこにありますか。これは関係官房長がおられないようでありますが、やはり政治の公平という意味から言っても片手落ちであって、私は、そういうことであるならばまことに残念な形だと思います。これは一つさらに十分検討をしてもらいたいと思います。  それから、同じ共同利用施設でも農林水産関係農協であるとか、漁協であるとか、森林組合等の共同利用施設については、現行法でいっても、あるいはさらに今次特例法でいっても、補助率の引き上げということが現実になされておるわけでありますが、さて現実のこの査定状況等を見ておりますと、非常に現地側の不満が上がってきておるわけであります。これは前々から特別委員会で私が取り上げた問題の一つに、この評価額をどうするかという問題がある。昭和二十八年災のときには、災害復旧費に対して九割補助、こういう形をとりました。その後、この政令の中身を変更いたしまして、残存価額に対して補助率を見るというふうな考え方が出て参りました。そうしますと、共同利用施設が五年、十年、十五年たっておるという姿において、現実に復旧のためには巨額な経費がかかるにもかかわらず、残存価額という取り扱いでされるということになりますと、何がしかの金も入らない、こういう問題になってきておるわけです。過般、私が農林大臣質問しましたときに、残存価額の四割に対して助成の補助率をかけるのだという考え方等も聞いたわけですが、その辺のことも必ずしも明確でない。同時に、共同利用施設等ができましたあと大修理等がなされた場合に、残存価額の評価を立てたときの経過の年数をずっと見るのか、あるいは大修理をやったという時点のことを考慮しながら考え直すのか、こういう点についても、現地査定の状況を聞きますと必ずしも統一しておらない、こういう状況等も出てきておるわけであります。いずれにいたしましても、特に木曽岬とか長島とか川越とか、極端にやられたところで、ほとんど財政力もないようなところの関係農協組合長等から切実に訴えられましたのは、そういうところで残存価額等で取り扱われたために、これにも私どもは相当な金をかけなければならぬということになったのでは、とうていこの負担にたえられないということが強く訴えられた。せっかくこれは、激甚地においては九割負担だといって政府がいかに宣伝されましても、現実に関係団体に渡る額が残存価額というような、きわめてきびしい取り扱いの中で取り扱われるということになりますと、なけなしの金しか渡らぬということになる。これらの問題についても、再査定というか、さらに恩情ある査定の再検討といいますか、そういう意味で十分一つ考えてもらわなければ、せっかく特例法を作っても、その中身はきわめて簡単な、冷酷なものであった、こういうことに終わると思うのでございまして、これらの取り扱いについては現地側でもずいぶん批判があるわけですけれども、具体的にどう措置されようとしているのか、お伺いしたい。
  109. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 災害復旧査定額をどうするかということは、お説の通りなかなかむずかしい問題がありまして、公共土木などにつきましては、御承知の原形復旧ということが基本でありまして、原形といえば、同じような堤防にするということでそう問題もありませんし、あるいは木橋を鉄筋にするとか、学校の場合、木造の建築を鉄筋にするとかいうのは、一応の基準もありますからあまりむずかしい問題が起こっておりませんが、お説のような農協などの作業場とか、倉庫とかいうものの原形復旧と申しても、二十年もたった建物の原形復旧ということになりますと、二十年たったものの残存価額ということは、帳簿上はまことにわずかなものになっておるということになって、そこに非常に問題が起こってくるわけであります。しかし、これはむしろ査定の技術になると思います。御承知かと思いますが、査定を受けるについては、建物に対しては坪幾らで、工賃が幾らで、セメントが幾らというふうに、一応これは時価によるのですけれども、すべて計算上の単価がきまっております。それに基づいて計算を仕上げて、それを査定官査定するということになっておるのでありますから、具体的には査定官とうまく話をして下さるならば、そんなには問題は起こらぬと思うのです。その際に、大蔵省の立ち会う主計官が、あまり渋いことを申しますと非常に御迷惑もかかるということでありますので、最近は大蔵省からも、完全な復旧をするように、あまり査定で渋いことを言って中途半端な復旧をするのじゃなしに、やはり完全な復旧をするようにという指令をよく出しておりますので、査定を受けられる側も査定をしっかり通していただくように準備をなさって、十分そこは意見を戦わす、そして、いよいよ話し合いがっかぬという場合には上の役所の方へ話を持ち込んでいただくというふうにしていただければ、大てい問題は解決しておるのじゃなかうかと思います。
  110. 角屋堅次郎

    角屋委員 官房長がお見えになりましたから、今の政務次官のお答えと関連して、もう一回聞きたいのです。政務次官は、査定の技術の問題だというわけですが、そういう問題ではない。災害復旧額に対して九割の補助をするという形をとるのか、あるいは年数のたった残存価額に対して九割の補助をするという考え方をとるのかという、基本の問題なんです。これは小手先の問題ではない。そこで、昭和二十八年のときには災害復旧に対して九割補助をするという考え方をとったのが、その後において政令の中身は変更されて、残存価額中心主義に変わったというふうに承知しておるわけです。そういうことになりますと、先ほど来申し上げておりますように、現実に災害復旧をするのは、新しいものを建てるのだからそれ相当の経費はかかる、それに対して九割なら九割の補助をする、こういう形になることを関係団体としては望んでおるし、また、そのことが災害復旧の建前からすれば、当然考えていい一つ考え方だと思う。そこがやはり問題なんです。私は大蔵大臣に対して、この問題で、やはり災害復旧費ということを建前にして、二十八災同様に考えるべきではないか、こういうことをただしたのに対して、残存価額の四割増しに対して考えていくべきだというようなことも、答弁の中で言っておられるわけですが、その辺のところも必ずしも取り扱い上明確でないので、それらの点も含んで、関係官房長よりお答え願いたい。
  111. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 共同施設の評価といいますか、災害復旧対象になるべき評価税の問題でございますが、これは参議院の風水害委員会におきましても、また、農林委員会におきましてもいろいろ議論のあったところでございますけれども、われわれも、この価額をどういうふうに見るべきかということにつきまして、補助率高率補助にします場合にもずいぶん検討したのでございます。若干、先生の御意見と私の方の解釈と違う点があるかと思いますが、二十八年同様に考える。二十八年の場合におきましても、同様に残存価額で九割になっている。そこで、再建価額でやるべきか残存価額でやるべきか、もし再建価額でやれば九割に補助する必要がない、もし残存価額が二十八年並みであれば、やはり二十八年並みの建前で九割にしよう、こういう論議で、二十八年通り今回も措置するということにいたしたわけであります。  実際的な取り扱いは、それではどういう基準でやっているかという点について申し上げますと、これは二十八年から一貫した方法でございますけれども、考え方としましては単純な簿価ではないのでありまして、再建価額をとろう、しかし、再建価額をとりました場合に、まるまるとらないで税法上の耐用年数の四割増しにしよう、そうして過去の経過年数、償却年数を引いた残りの価額に、年数に按分して再建価額で評価する、こういう方法をとろう、たとえば二十年の耐用年数であります場合は、それの四割増しの二十八年にして計算して、そうしてかりに二十八万円の建物でありますれば、そのうち、もうすでに十年たっているということであれば十八万円、これに対する九割補助をする、これが二十八年以来の一貫した考え方でございます。そういう経緯もありますので、今回も、一応補助率を二十八年並みにするということで、建前も二十八年と同様な扱いをしようじゃないか、こういうことで参っているわけでございます。それに対する現地における技術的な査定のいろいろな問題につきましては、今政務次官からお話がありましたように、現地におけるそういう趣旨を、十分理解させてうまくいくようにやっていきたい、かように考えております。
  112. 角屋堅次郎

    角屋委員 今二十八災と同様に取り扱っているという官房長お話でございますが、これはさらに専門的な検討をしてみないと、今にわかに、私が言った意見と官房長の言う意見と、食い違いの点を突き詰めるわけにいきませんけれども、私ども、関係団体から聞いているところでは、昭和二十八年災のときには災害復旧費に見合って助成をしてもらう、その後、政令の中身が変わって、残存価額主義がとられるようになった、従って、それでは現実にそういう共同利用施設の復旧にあたっては、大へん財政上からも困難を来たす、ぜひ一つ災害復旧中心で考えてもらいたい、こういう要請を受けておりましたし、私どもそのように理解しているわけです。この辺のところは、専門的にはさらに検討してみないと、いずれが実際の実態であったのかということはわかりませんが、いずれにしましても、他のものについてもこれは耐用年数とか、あるいは年数がどれだけ経過しておったかということによって、必ずしも災害復旧復旧費に見合う助成の補助率をかける大もとになるものをきめておるわけではありません。これは土木関係にしたって、農地関係にしたって、何にしたって、耐用年数とかなんとかということでなくて、現実に災害復旧をするのに幾らかかる、それに見合って幾らの助成をする、こういう考え方に立っておると思う。それらとの関連において、もし残存価額中心主義であるということならば、今日の災害の実態から見て、やはりそれは関係団体としてはたえられないということであるので、これはすでに査定をしておるとすれば、この査定に、もう少しあたたかい配慮で何割プラスしてみるかという、そういう取り扱いの問題にも、今後の取り扱いとしてはなろうと思う。いずれにしても、この点については、私が理解をしておるところと官房長の理解しておるところとでは、まるきり見解の相違点もありますので、現官房長通りであるかどうかということについては大きな疑問を持っておりますが、やはり災害復旧に見合って助成するという立場から見て、今日とられておる査定というものは、きわめて関係団体で批判のあるところでありますから、今の取り扱いとしては、私は、その査定に対してさらにプラスして助成をする、こういう考え方現地の要望にこたえてもらう、そういう意味で十分さらに検討してもらいたい、こういうふうな要望にとどめておきたいと思います。  まだ救農土木、あるいは先ほど申しました概算金の問題について、特にひどいところは全免措置ということも、やはり今後の問題としては依然として残っておると私は思います。そういう問題もありまするし、自作農創設維持資金の問題についても、三県の要望として、予定をされておるであろう大体十五、六億程度では現地要請にこたえないから、増額をしてもらいたい、こういう要請に対して、これは十分努力をすると言っておりましたが、この努力の結果というものが、今日の段階においてどれだけプラスされる段階になったか、こういうふうな問題等もありまするし、その他、実際は建設省関係で、高潮対策に関連をして、伊勢湾等高潮対策協議会で今日検討を続けておりまするけれども、この機構そのものは、伊勢湾等高潮対策の仕事が仕上がるまで、各省の緊密な連携機関として残していくつもりであるのか、あるいは当面、一つの答えを出すために持ったものであって、今後別の形において農林省や建設省や運輸省の関係省の緊密な連携というもの考えていくのであるかどうか、こういう問題等もありますし、大蔵政務次官に特に要望しておきたいのは、伊勢湾等高潮対策ということで愛知県、三重県等が全域にわたって範囲として入りましたけれども、やはり被害の実相からいって、たくさんの犠牲が出た地域と、人的な被害が比較的少ないけれども、諸施設の被害のきわめて甚大である地域との、高潮対策で見る査定官ものの見方というものに差違があってはいけない。ところが、当初伊勢湾等高潮対策について、三重県でいえば四日市付近の安楽川、さらに鈴鹿川まで、さらに災害の実相から関係委員のいろいろな強い要望によって、それが愛知県、三重県の全域に広がった、こういう形に結論としては今日なっておるわけですけれども、当初の考え方というものが払拭されずに問題を処理されたのでは非常に困る、こういう現地側の要望等もありまして、今後のお手並みを拝見しないと、さらにこの問題について具体的にどうこう申すことはできませんが、私どもの要望としては、先ほど辻原委員から、熊野灘沿岸の和歌山の該当関係分についても考慮してもらいたいということもありましたが、それらも所説としてもっともだと思います。いずれにいたしましても、再度災害防止という観点から、この高潮対策の対象になった地域については、公平に今後万全の対策を講じてもらいたい、こういう要望等に関連した実情等も幾多あるわけでありまするけれども、本会議の時間、その他あと質問される委員関係もありますので、いろいろ今まで申しましたような点については、要望として今後の善処をお願いしたいと思います。
  113. 南條徳男

    南條委員長 太田君。
  114. 太田一夫

    ○太田委員 大蔵省お尋ねをいたします。それは風倒木の所得税の問題でございますが、最近、風倒木の問題で山林の業者が困っておりますのは、風倒木に対する税務署の考え方が非常に過酷だということであります。たとえば、これは評価額と時価の差がありまして、税務署の方では評価額が十万円なら十万円としてあります。ところが、今度風倒木そのものを売却することにいたしますと、それが五十万円の時価相当すると考えられれば、それは少くとも十万円よりは四十万円利益があるのだ、こういうことで、百万も百五十万もするのが、三分の一になっておろうと四分の一になっておろうと、それは利益であるから、それに対しては課税するのが法の建前だというわけで、仮借のない所得税の課税が示されるわけです。それで、山林地方におきましては、非常に風倒木の大きな被害を受けた方々が困っておる。それは堆積土砂等によって材木が無価値ものなら片づけるということもありますが、ちょっとそれにも該当しそうにない、これはどうなるだろうかということで、関係業者は、所得税の減免ないしは立木処理、あるいは跡地整理に対しては長期融資をしてもらいたいということで運動をしておるようでございますけれども、非常に現地の実情が逼迫したり、また税務署の見解がそのように過酷だというところから問題が起きておるわけなんですが、それに対して大蔵省のお考えを承りたいと思うわけでございます。
  115. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 ただいまのお尋ねは、おそらく個人所得者の場合のお尋ねと拝承いたします。もし法人でありますならば、法人企業体は、たとい山林といえども帳簿上の経理が非常に明確になっておりますから、これは別であります。個人の場合でありますと、風倒木が損害であると申しましても、もともと山林の財産そのものが明確に評価されて税務署に申告されてあるわけではありませんので、税務署の立場からいきますと、税務上は、風倒木であろうが、あるいは災害でなく立木をほかに売買しようと、ともかく人に林木を売ってお金が入れば、入っただけが所得だ、これが所得税の建前でありますので、災害のために風倒木ができて、それを五十万円に売ればやはり五十万円は所得じゃないか、所得税法上はそうなるのであります。ただしかし、その際にその山林そのものに非常な災害があって、山がくずれて、そのくずれた山に対して、いわゆる荒廃地を防止するとか、いろいろ経費がかかるという場合は、これは経費を差し引くというようなことでありまして、ただいまお尋ねのことにつきまして、一がいに風倒木は免税するとか、あるいは災害に対しては、売ったものも所得に見ないとかいう御答弁は申し上げかねますので、個々の場合に所得税法に照らして、実情に合うような処置をいたしたい。もう一つ重ねて申しますれば、災害減免の規定の適用されるような場合であれば、それで救済いたしますけれども、そうでなければ、風倒木であろうが立木を売った場合であろうが、売った代金に対してはこれは所得税がかかる、また、これに対しては一応取得原価を差し引いた所得について税金をかける、こういう基本方針は変わりませんので、そんなように御了解を願いたいと思います。
  116. 太田一夫

    ○太田委員 実情によって個々に調べてその実情に沿うようにしたい、おっしゃることは非常によくわかったことだと思います。そういうことにぜひしていただきたいと思うのですが、いろいろな角度から山を持っておる人たちの生活を考えてみますと、やはり風倒木あるいは風折木などは、実は非常な損害なんです。その損害が非常にあるのにかかわらず、これを税務署が収入と見て相当の課税をしようとするかまえを見せておることに対して、国家の施政に対する批判といいますか、冷酷さに快からざるものがあると思う。どこにひっかけたら救済できるかという問題は、皆さんの方でそれぞれ考えていただくのですけれども、特に税務署を管轄していらっしゃる大蔵省といたしましては、こういう場合の所得税の減免については減免に関する何かがあるのですから、それを活用してそれぞれ今の税法の最大なる適用をしていただいて、山林を持っている方々の被害を見舞うという気持で扱ってもらいたい。これについては、大体そんなひどい扱いはされないとわれわれは理解してよろしゅうございますね。
  117. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 私が個々の場合に照らして実情に合うようにと申し上げましたのは、実は個々の事情がいろいろ違いますので一がいに言えないのです。たとえば、今お尋ね風倒木を売ったらお金にして五十万円入った、これに税務署が所得として税金をかけるという場合に、普通なら、その立木は切って売るつもりはなかったけれども、災害のためにその木が倒れたので、やむを得ず売って入った金だ、これに普通の所得のように税金をかけられちゃ困るということでありますから、これを救済する今考えられる方法といたしましては、御承知通り、山林の所得に対しては五分五乗の方式がありまして、五年間に平均して所得と見る、つまり五十万円に売ってもそれを五年間に売ったことにしますから、十万円だけがことしの所得となる、しかも、それから経費を差し引く、そのほかにいろいろな控除もありますので、そういうふうに個々の事態に照らして税務署が実情に沿うように考えますならば、まあ妥当な処置はとれると確信しております。なお具体的に例がありますならば、詳しく申していただきますれば、国税庁の方に差し回して、具体的に研究させてお答えを申し上げたいと思います。
  118. 南條徳男

    南條委員長 佐藤君。
  119. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 最後に、二、三点だけちょっとお伺いいたします。  文部省の今村助成課長にお尋ねしますが、先般当委員会、並びに愛知、岐阜、三重の三県の連絡協議会に出ていただきまして、われわれの熱望を率直に受け入れられて現地までわざわざおいでいただいたことは、われわれも非常に意を強うするのであります。先ほど江崎委員からも質問がありましたが、災害地では学校改良復旧に対して非常に熱意を持っておるわけであります。その点で、先ほど奧村次官からもはっきりした答弁はありませんけれども、せめて海面より低いところは、一町村一むねくらいの学校だけは鉄筋で作りたいという現地の熱望があるわけで、愛知県の教育委員会からもそういう書類は出ておると思いますが、文部省としてはどういうお考えを持っておられるのか、その点をお尋ねしたいと思います。
  120. 今村武俊

    ○今村説明員 私ども、災害のために全壊あるいは半壊した学校につきましては、今後の災害を受けないように、予算の範囲内においてなるべく大きく改良復旧を認めることが適当だと思います。なお、今回のような湛水地域等、特殊な環境を持っておる学校につきまして、しかもその中で大破のうちの程度の強いもの、それはほとんど半壊にひとしいような、もし査定官がかわるならば半壊に査定したかもしれないといったようなもの、そのようなものにつきましては、やはり半壊の場合の改良復旧に準じた扱いを、その他の諸条件とにらみ合わせまして考えていくべきものだと思います。ただし、その場合におきましても、以上のような見地から精選いたしますし、さらにまた、避難所という意味を兼ねるといたしましても、従来例のない措置をとることでございますので、そういう大破のうちでも、非常に程度の強い一部分に限定して予算要求するといったような態度で大蔵省の方にお願いしておりますから、なるべく先生の御趣旨に沿うような努力はいたしたいと思いますが、二億何千万という予算の範囲内でございますし、要求自体がその程度でございますから、その内輪の事情に結論が落ちつくのではないか、かように考えております。
  121. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 奧村政務次官お尋ねします。今言われたように最小限度の予算を見積もっておられるわけで、あした内示があるそうでございますが、この点についてぜひとも御配慮が願えるかどうか、一言だけ大蔵政務次官の御意見を承りたい。
  122. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 ただいまの文部省担当官の御答弁の問題につきましては、いずれ、明日の予算内示以後、復活折衝の際にいろいろ話七合いがあると思います。その際、御趣旨に沿うように一つ努力いたしたいと思います。
  123. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いろいろ質問をしたいのでありますが、本会議も始まっておりますし、同僚諸君にも御迷惑でありますから、最後に要望をしておきます。  せんだっては南条委員長にはわざわざ現地に来られて、つぶさに激甚地の悲惨な状況を見ていただきまして感謝しております。特に私は激甚地から出ておる議員といたしまして、本日江崎委員並びに同僚の角屋君、太田君、足鹿君等がるる懇願いたしました今度の問題は、現地でごらんになるとわかりますように、新聞やラジオ、そういう報道機関の報道よりもっとひどい災害を受けておりますので、どうか農林省、建設省、文部省大蔵省関係の各省は、一つぜひとも本法律を生かして、この災害のための悲惨な状況を救っていただくように切に要望しておきます。与党の理事諸君、あるいは委員長初め各委員が、災害地のためにいろいろとお骨折りをいただきまして、きょうでおそらくこの委員会も最後だと思いますが、どうか一つ災害地に光があるようにしていただきたいことを各当局にお願いいたしまして、私の質疑を終わります。
  124. 南條徳男

    南條委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十九分散会