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1959-12-09 第33回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月九日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 南條 徳男君    理事 江崎 真澄君 理事 綱島 正興君    理事 前尾繁三郎君 理事 三田村武夫君    理事 佐藤觀次郎君 理事 辻原 弘市君    理事 塚本 三郎君       大坪 保雄君    岡本  茂君       木村 俊夫君    小島 徹三君       小林かなえ君    河野 孝子君       辻  寛一君    徳安 實藏君       丹羽 兵助君    堀内 一雄君       前田 正男君    八木 一郎君     早稻田柳右エ門君    足鹿  覺君       伊藤よし子君    太田 一夫君       岡本 隆一君    角屋堅次郎君       金丸 徳重君    堂森 芳夫君       田中幾三郎君  出席政府委員         自治政務次官  丹羽喬四郎君         大蔵政務次官  奧村又十郎君         厚生政務次官  内藤  隆君         中小企業庁長官 小山 雄二君         建設政務次官  大沢 雄一君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         文部事務官         (監理局助成課         長)      今村 武俊君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      茅野 一男君         水産庁次長   高橋 泰彦君         運 輸 技 官         (港湾局計画課         長)      比田  正君         建設事務官         (河川局次長) 曽田  忠君         建 設 技 官         (道路局国道課         長)      谷藤 正三君         参  考  人         (奈良県知事) 奥田 良三君         参  考  人         (榛原町長)  前川 秀一君         参  考  人         (十津川村長) 後木  実君         参  考  人         (愛知農業協         同組合員連盟事         務局長)    日下部庸三君         参  考  人         (三重農業協         同組合中央会会         長)      小林 慧文君         参  考  人         (愛知商店街         連盟会長)   山田 泰吉君         参  考  人         (三重中小企         業団体中央会会         長)      清水 壱郎君         参  考  人         (三重漁業協         同組合連合会専         務理事)    仲村 安平君         参  考  人         (和歌山漁業         協同組合連合会         会長)     和田 鶴一君     ――――――――――――― 十二月九日  委員渡海元三郎君及び中垣國男辞任につき、  その補欠として大坪保雄君及び前田正男君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員前田正男辞任につき、その補欠として中  垣國男君が議長の指名委員に選任された。 同日  理事八木一男君同日理事辞任につき、その補欠  として辻原弘市君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十二月八日  農業関係水害対策に関する陳情書  (第六七一号)  十五号台風による中小商工企業者共同施設災害  復旧費国庫補助に関する陳情書  (第六八四号)  豪雨による岩手県下の災害対策に関する陳情書  (第七二  三号)  台風等による災害復旧事業対策促進に関する陳  情書(第七二五  号)  十五号台風による災害復旧対策に関する陳情書  (第七三三号)  同(  第八四〇号)  十五号台風等による災害復旧事業促進に関する  陳情書(第七三四  号)  同(第七三五号)  十五号台風による農林水産関係災害対策に関す  る陳情書  (第七三六号)  同  (第七三七号)  十五号台風による名古屋市内災害復旧対策に  関する陳情書(  第七三八号)  十五号台風による愛知県下の災害復旧対策に関  する陳情書(第七  三九号)  六号及び七号台風による群馬県下の災害復旧対  策に関する陳情書  (第七四〇号)  十五号台風による岩手県下の災害復旧対策に関  する陳情書  (第七四一号)  十五号台風による福知山市の災害復旧対策に関  する陳情書(第七  四二号)  十五号台風による私立学校災害復旧に関する  陳情書  (第七四三号)  同  (第七四四号)  愛知県下の私立幼稚園に対する災害復旧費補助  対象に関する陳情書  (第七四五  号)  十五号台風による通信関係被害復旧に関する  陳情書(  第七四六号)  十五号台風による中小商工業者協同施設に対  する復旧資金交付に関する陳情書  (第七四七号)  十五号台風による中小企業等災害復旧対策に  関する陳情書(第七四  八号)  十四号及び十五号台風による災害対策に関する  陳情書(第八四一  号)  十五号台風による被災者救援緊急対策促進に関  する陳情書  (第八四二号)  十五号台風による西三河地方災害復旧対策に  関する陳情書  (第八四三号)  十五号台風による額田郡地方災害復旧対策に  関する陳情書  (第八四四号)  十五号台風によるり災者救援等に関する陳情書  (第八四五号)  十五号台風による私的医療機関に対する災害復  旧費融資に関する特別法制定等に関する陳情書  (第八四六号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  災害地復旧事情等に関し参考人より説明聴取  災害地対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 南條徳男

    南條委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。理事八木一男君より、理事辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 南條徳男

    南條委員長 御異議なしと認めます。  つきましては、その補欠を互選いたしたいと思いますが、これは委員長において指名したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 南條徳男

    南條委員長 御異議なしと認め、辻原弘市君を理事指名いたします。      ————◇—————
  5. 南條徳男

    南條委員長 本日は、午前中は昨日に引き続きまして参考人の御意見を聴取いたし、午後は政府に対する質疑を行なうことにいたしますから、御了承願います。  それでは、災害地における復旧事情等について、参考人の御意見を承ることにいたしますが、この際、委員会を代表して参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位には、公務御多端のところを御出席いただきまして、まことにありがとうございました。御承知の通り、すでに災害対策に関するそれぞれの特例法も成立し、いよいよこれらの法律に基づく措置が、軌道に乗って推進される段階にあるのでありますが、本委員会といたしましては、これら諸法律の運用について遺憾なきを期するとともに、なお今後さらに講ずべき措置があれば、これが実現に努力いたす所存でございます。つきましてはこの機会に、現に被災地において災害復旧に日夜御奮闘されておりまする各位から、それぞれのお立場において体験せられておる、各特例法施行に伴う問題点及びさらに講ずべき対策について、忌憚のない御意見を承りたいのであります。ただ、何分時間の関係もありますし、また各位からの御意見参考として、午後は本委員会といたしまして、政府に対しただすべきはただし、災害対策の万全を期したいと思っておりますので、ただいま申し上げました二点について、具体的に要点のみを簡潔にお述べ願いたいのでございます。  それではこれより順次御説明を願いますが、その順序は、勝手ながら、委員長指名によって御発言願いたいと思います。  まず初めに、奈良県知事奥田良三君に、大体二十分程度におまとめを願って御発言を願います。奥田良三君。
  6. 奥田良三

    奥田参考人 私は奈良県の知事でございますが、今回の災害につきましては、国をあげて御同情いただきまして、ことに当委員会としては格別御好意をもって善処していただきまして、その点におきましては、私ども罹災地の者として、あるいは被災者一同が心から感謝いたしておるところでございます。厚く御礼申し上げます。しかしながら、今回きまりました特例法あるいは予算措置を見ましても、あるいはこれが今後の施行につきましても、いろいろ現地におきまして仕事をやっておる者として、いろいろ意見があるわけでございますが、幸い、ただいま御指摘いただきましたような委員長の御好意によりまして、さらに過去におけを実績あるいは今後の問題につきまして私ども意見を開陳します機会を得まして、まことに感謝いたしておるのであります。私、実は昨日お呼び出しを受けたのでありますが、この問題は、ぜひ一つ私が自分で出て皆様に御説明申し上げたいと考えまして、昨日は、残念ながら本県として議会を開会しておりましたので、差し繰っていただきまして、本日時間をいただいた次第でございます。以下、時間の許された範囲におきまして説明さしていただきます。  私の県は、非常に災害が激甚でありまして、あの地図でごらん願いますように、災害山間地でございます。山間部は、国道一六九号線、あるいは県道久居—榛原線までが、あるいは百十キロにわたり、あるいは二十数キロにわたりましてずたずたに道路がやられまして、それがため災害応急措置にも、あるいは復旧にもいろいろ不便を感じたのでありますが、ただいまのところでは、被災者応急住宅を初め一応の善後措置ができまして、災害復旧に極力努力をいたしておるところであります。ただいま申し上げました国道の百十キロにわたる不通の点、あるいは二十数キロにわたる県道の点につきましては、初めから、せめて小型トラックを早く通したい、できれば小型バスを通したい、さらに大型バスを通したいというような順序で、だんだんと道路を整備して参りまして、今日では、一六九号につきましては、わずかのところがまだ大型バスは通りませんが、その他は大体大型バスが全通いたしたような次第でございまして、小康を得ておる次第であります。  本県災害復旧の概況につきましては、お手元概要として差し上げてございますので、その書類についてごらんいただきたいと思うのでありますが、三ページに出ておりますように、本県被害総額は当初百八十三億という見当でおったのであります。しかも本県は、その大部分が公共的な被害であったわけであります。第一ページでごらん願いますように、二のところの土木関係被害は、当初は七十五億という計算でおったのでありますが、その後の緊急査定、あるいは今後査定を受ける見込みを現在から考えてみますると、百億をこえるという姿であります。土木関係公共被害だけで復旧に百億以上を要するという数字が出ておるのであります。この数字は、本県として、当初から、災害について山をかけた報告はしていなかったということを一面物語るものであり、かつまた、被害がいかに激甚であるかということを物語るものであると思うのであります。私の県は、税収入年間十億でございます。それに対して、公共土木被害だけで百億であります。この分について、五%県が負担するとしても五億の負担をしなければならない、一〇%負担するとすれば十億、すなわち年間税収入を全部出さなければならぬ、こういう姿であるということを御了承いただきたい。しかも、そういうような事業のほか、あるいは応急のたき出しであるとかの事業、あるいはせっかく開通いたしました道路維持修繕に、国の公共的に補助をいただけない、ワク外のものがたくさんあるのでありまして、そういう意味におきまして、県税収入わずか十億というふうな奈良県としては、今後の措置に非常な財政的な負担を受けておるという点におきまして、御同情をいただきたい。従って、これに対しましては、できるだけの起債あるいは特別交付税交付をいただきたい。これは私どもの県のみならず、こういう弱小府県災害復旧については、格別な財政的な御援助を願うようにお願いしたい、こう考えるのであります。災害復旧概要につきましては、ただいま申し上げましたほかは、その書類によりまして、御迷惑でございますが、ごらんを願いたいと存じます。  次に、別冊といたしまして、災害復旧対策についての問題点と要望として、第二冊をお手元にお上げいたしておりますので、以下、それによりまして大略の御説明をいたしたいと思います。  その第一が、一般的事項として、一、吉野川本川河水統制計画の再検討をいたしたいという点であります。先日も申し上げましたように、吉野川上流に未曽有の水量が出ましたために、吉野川沿岸に著しく河床が上がり、あるいは水が出たのであります。従って、本吉野川だけで、永久橋が、県道を加えまして十橋流れておるという姿であります。ああいう水害を今後防止するためには、どうしても上流に、洪水調節用防災ダムを作ってもらうほかはないと私は考えます。これは奈良県といたしましては、水害の翌日から今日に至るまでの強い希望であり、念願であります。しかも、西の和歌山県のところは、一応政府直轄河川になっておるのでありますが、奈良県に入りましてからは、直轄河川に入っておらないのであります。二十八災以来、私ども直轄河川編入を希望いたしておるにかかわらず、現在までまだその実現を見ておらぬのであります。それがために今回の被害が大きかったと、私ども考えざるを得ないのであります。ぜひとも今回は、先ほど申し上げました上流防災ダムを作っていただくとともに、奈良県内も、そこに書いておりますように、ぜひとも直轄河川編入を願いたい、これが奈良県をあげての災害復旧についての最大のお願いでございます。  第二といたしまして、災害基本法改正についてでありますが、これはそこに書いておりますように、今回のような大きい災害なら別として、今後小地域において、小府県が大きな被害を局部的に受ける場合があろうと考えますので、そういう場合に災害救助あるいは復旧対策の円満な実施ができますように、災害基本法改正お願いしたいというのであります。第三は、災害関連事業国倉補助についてでございます。災害関連事業につきましては、今回の特例法で三分の二に補助率を上げていただいておるのでありますが、これは一率であります。災害復旧につきましては、そこに書いておりますように、再災害発生防止ため改良復旧の趣旨からも、また、この関連事業災害復旧事業と合併施行せられます関係からも、災害復旧事業と同様に、当該団体財政力に応じて国庫補助率を増すというふうな取り扱いをぜひ願いたいと思うのであります。しかしながら、法律はすでにきまっておるのでありますから、それが今さら、直ちにお願いすることは無理といたしますならば、次に私は二つお願いを持っておるのであります。すなわち、その第一は、災害関連事業は大部分道路になっておるようでございます。河川の方は、多くは災害復旧に入れてもらっておる。道路の方は災害関連が多いのであります。ところが、道路については道路整備五カ年計画があるのでありますが、私どもが仄聞するところによりますと、今回の災害関連復旧事業も、この五カ年計画ワクのうちできめられるように承っておるのであります。もしそうなりますならば、今後私の県として、道路改良について関連事業ワクが非常に減ってくるのであります。ぜひとも今回の災害についての関連事業については、道路整備五カ年計画ワク外でやっていただくようにお願いしたいことがその一つであります。その二つ目は、そこに書いておりますように、補助率を上げ得ないといたしますならば、ぜひとも多額の起債と、これが元利償還に対する一般財源の付与について格別お願いいたしたい。ことに道路関連事業につきましては、道路の、災害年度におきましては起債等便宜を得るようでありますが、二年度以降においては著しくそれが減るようであります。ぜひとも二年度以降、翌年度以降においても、当初の年度と同様の起債あるいは元利補給等財政措置お願いしたいと考えます。  第四には、緊急砂防緊急治山事業費国庫負担についてのお願いであります。緊急砂防並びに治山事業につきましては、現行法においては一率に三分の二と規定せられておるのでありますが、私の考えるところでは、この事業は、むしろほかの事業よりも公共的性質が多いものである。すなわち、部落の上の山がくずかかっておる、部落治安維持ためにも、保全のためにも、山のくずれるのを防ぐ措置をやらざるを得ない、そういう意味から、治山の多くは一般公共的性質が非常に強いものであります。砂防についても、また同様であると私は考えるのであります。そういう意味から、緊急砂防並びに治山事業補助率が三分の二であるということについては、私は非常に疑問を持っておるのであります。これもきまっておることでございましょうから、今さらやむを得ないかと思うのでございますが、ただ、これが行政措置として治山につきましたは三分の二の国庫補助、残りの地元負担の三分の一については九〇%の起債、それに対する五七%の元利償還等財政措置を願うということであります。こうなりますと、大体八四%程度国庫援助がありまして、一五、六%が府県負担となるように私は計算できると思うのであります。そこで、やむを得ないことでございますが、その行政措置を、本年度のみならず来年度以降の事業についても、少なくとも、あるいは農林省が、あるいは建設省緊急治山事業として査定をし、緊急砂防として査定を受けた金額については、ぜひとも行政措置が間違いなく確実に行なわれまするように、お願いいたしたいのであります。今申し上げましたように、確実に行なわれるとしても地元負担は多いのである。ましてその財政措置が不確実になりましたならば、なお私ども負担が多くなりますので、とうてい、今申し上げましたような公共的意義のある治山あるいは緊急の砂防事業もうまくいかぬ、こういうふうに考えまするので、特にこの機会にこれをお願い申し上げておきたいのであります。  それから次に、第二といたしまして、政令指定基準案に対する私どもお願いでございます。  その一は、公共施設災害復旧費国庫負担取り扱いについて、今回はいわゆる混合方式をとられまして、県の分と市町村の分とかね合わせてお取り扱いを願うようであります。県の事業としては、高率補助のある市町村区域と、高率補助のない市町村区域を別々にやるわけにいきません。同時に、同様にやっていかなければならぬのであります。従って、事務処理の上から非常にむずかしい問題が起こるようでございますので、補助率の算定は、おきまり願ったようにお願いすることはやむを得ないのでありますが、府県工事につきましては一本の国庫負担率をきめていただいて、それによって実施できるようお願いいたしましたならば、その間の事務的な繁雑が非常に省けていいのではないのではないかと考えまして、このお願いをここにいたしておるのであります。  二には、堆積土砂及び堪水排除費国庫負担について、奈良県では湛水問題はございませんが、堆積土砂についてお願いいたしたい。今回の災害復旧につきましては、私ども災害地としては、ぜひとも二十八災に準ずる措置お願いし続けて参りました。政府あるいは国会御当局としても、二十八災に準ずるということを、いろいろの機会に明言しておられるのであります。今回の災害措置を大観いたしますと、二十八災よりもいい、便宜を与えておる措置もある、同様の措置もある、またよくない措置の仕方もある。堆積土砂の扱いについては、二十八災よりも著しく割る措置であると思う。非常にこれは地方として困る問題を持っておるということを、この機会に申し上げたいのであります。それは、そこにありますように、市町村指定につきましては、標準税収入の一割以上の災害であるとか、あるいはまた、三万立米以上の堆積土砂とかいうものがある市町村指定されるようであります。それはそれで、私どもとしては、ある程度けっこうかと考えるのであります。しかしながら、その市町村内における一団地堆積土砂が二千立米以上ときめられておることについては、非常に私ども農山村に推積土砂が著しい点におきまして困るのであります。二千立米と申しますと、それを排除する、費用は約二十万円以上の金額になろうかと思います。そこで私どもは、少なくとも普通扱われております十万円という程度、すなわち五、六百立米に下げていただくか、さらにできるならば、一団地排除量いかんにかかわらず、御指定願うようにいたしたい。と申し上げますのは、私ども災害当初から農山村に参りまして、二十八災に準じて、堆積土砂についても政府援助があるんだということを、いろいろの機会説明しておるのであります。しかるにかかわらず、今回のような取り扱いになりましたならば、私の県では、指定を受ける市町村は十五、六カ町村あるようであります。しかしながら、ほんとうに一団地二千立米として指定を受け得る部落は数団地しかないのじゃないか。ごくわずかしか、この恩恵に浴し得ない結果になろうと思っております。しかしながら、承りますと、建設省ではただいまさらに、高率補助をしないところの五割補助程度のものをもっと広く、薄くやってやろうというふうなお考えもあるようであります。もしもそういうお考えをしてもらいます場合には、一団地二千立米というものを、一団地の量を削るとか、少なくとも千立米あるいは五百立米に下げていただくとか、そういうふうにいたしまして、薄くても、わずかながらでも、農山村の二十戸、三十戸、あるいは四、五十戸の団地部落にもこの恩恵を及ぼし得ますような御措置お願いいたしたい。少なくとも私どもは、そういうつもりで指導してきたのであります。その建前から申し上げますと、ただいま非常に困る立場にあるのでありますので、特にこの問題につきましては、高率九割くらいの補助を受ける団地が少なくてもやむを得ないかもしれませんが、少なくとも薄く、広くお取り扱い願うようにいたしたい。おそらくこれは私の県のみならず、農山村を持っておるほかの府県でも、同じような状態じゃないかと私は推察いたすのであります。  次に、三の公営住宅についてでございます。公営住宅は、ここにございまするように、住宅戸数の一割以上が流失しておるか、あるいは二百戸以上であるかである、こういうことに相なっておるようであります。私の県では災害救助指定町村が十九あるのでありますが、この割合で参りますと、一市一村しかこの恩恵には浴し得ないのであります。こういうふうな制限を受けますと、小さい村、小さい部落ではこの恩恵に浴し得ない。大きな町でございましたら、住宅戸数の一割の流失がなくても、少なくとも二百戸くらいの流失戸数があるとできるのであります。小さい村ではこれがあり得ませんために、私どもの県では、この恩恵に浴し得るところが少ないものと考えております。それはまずやむを得ないといたしましても、四分の三の補助あるいは三分の二の補助をいただきまする残りの、四分の一あるいは三分の一の市町村負担についてぜひとも起債お願いいたしたい。市町村では、被害ためにそれぞれ財政的に非常に困っておるのであります。それが今、自分の持ち金を出して、四分の一でも三分の一でも出さなくては公営住宅ができないというのでは、せっかくの希望を持ちながら、とうてい住宅が建てられぬと思うのであります。そういう意味から、補助率を上げることがもしむずかしいといたしましても、ぜひとも残りの分について起債お願いいたしたい。そうでないと、私の県の市町村としては、せっかくの数字的な割当を受けましても、実際上、災害復旧ため公営住宅の建設の戸数が非常に減るというふうなきらいがありますので、特にお願い申したいと思います。  次の四と五は、御説明を省略いたします。  次に、六について御説明いたします。地方公共団体の起債の特例についてであります。これは農地及び農業用施設の小災害についての起債の所要金額の最低を下げてもらいたい、八百万円を五百万円に下げてもらいたいという点と、税の減免による歳入欠陥債のみならず、この災害ため標準税収入の減少するものについても、起債を認めてもらいたいという点であります。なお、本県など、山間部におきましては、小災害復旧も単年度にやることは無理であるから、県と同様に二カ年というふうにお願いいたしたいという点であります。  次に、七、医療機関の復旧に関する国庫補助であります。これは私の県の例を一つ申し上げますと、私の方の大淀町立病院でございますが、これの災害が、建物の被害が百二十万円でございます。機械器具等の被害が六百六十万円でございます。ただいまの取り扱いとしては、建物等に対する補助は認められるが、機械器具等に対する補助は認められないようでございます。機械器具といっても、最近はレントゲンであるとか、相当多額なものがあるのであります。そういうものの復旧には補助がなくて、建物、わずか全体の被害の二四%に対するものについてのみ補助をいただいても、災害復旧には非常にむずかしい事態が起こってくると考えますので、単にそういう不動産のみならず、病院として必要な動産の復旧にも御援助願えないものかというのでございます。  八の御説明は省略いたします。  第三、その他、一、災害土木費国庫負担金の交付について。これは二十八災の概算交付を願い、今回も概算交付を願えるものと考えておりますが、二十八災のときは約八〇%程度のものが概算交付されまして、あとは翌年度においてこれを精算せられておるのであります。二〇%を地元におきまして負担するといたしましても、金額が大きいために、相当多額の負担と相なるわけであります。ぜひとも早く高率の概算補助、できまするならば、全額をその年度にいただけるようにお願いいたしたいという点が一つであります。  それから、二は省略いたしまして、三の災害事業費に充当する起債についてであります。これは先ほどからお願いいたしました、翌年度以降につきましては、従来の例によりますと、農業、林業についての災害復旧などが著しく補助率が減る、起債が減るようでございます。それで、当該年度に劣らぬ程度起債お願いできるように御措置を願いたいという考えであります。  以上、私は本県災害復旧の概況と、今回御制定いただきました特例法、あるいはこれが施行についての私の県のお願い、あるいは問題といたしておりますところを要約して申し上げたのであります。私は、今回の災害につきまして、国をあげて御同情願ったことに対して深く感謝いたしますとともに、のど元過ぐれば熱さ忘れるで、当該年度についてはいろいろ御措置を願うけれども、翌年度以降について、あるいは竜頭蛇尾と申しますか、しり切れトンボと申しますか、そういうふうなことになりませんように、政府並びに国会として格別の御考慮を願いたいというお願いを持っておる次第でございます。御清聴を感謝いたします。
  7. 南條徳男

    南條委員長 次は、奈良榛原町長前川秀一君。
  8. 前川秀一

    ○前川参考人 奈良榛原町長の前川秀一でございます。先刻来、奈良県知事さんから大体の説明がありましたので、重複を避けさせてもらいたいと存じます。  本委員会はもちろん、議会全体におかれましても、いち早く被災地市町村に対しまして少なからざる御心配をいただきまして、私どもの方へは十月十日に議員団がお見えいただきまして、それぞれ被災地をくまなく御案内を申し上げたような次第でございます。いろいろ御心配をかけ、御配慮をわずらわしております点を、被災地市町村として、厚く御礼を申し上げたいのでございます。県並びに県選出の代議士の方などから、いろいろ御心配になっておりますことを承りまして、今次の災害におきましては、二十八災の災害に劣らざる救援の手を国から差し伸べていただけるものだということを伺いまして、非常に安堵もし、喜んでおる次第でございますが、日がたつに従い、それぞれの面の応急措置なり応急復旧につきましては、県当局は、全力をあげて交通の確保を初め、それぞれ御努力を願い、被災地といたしましてもやっと愁眉を開いたような次第でございまして、さらにまた、残された災害復旧という面に、ただいま一生懸命に取り組んでおるような次第でございます。  その面におきまして、それぞれ議会なり政府を通じましていろいろと御措置をとっていただいておるわけでございますが、この災害復旧査定というものが、実際面におきまして——それぞれ市町村がただいま受けておるところもございますし、これから受けようというところもあるわけで、私の方の町では、耕地の災害査定は去る二日から行なわれておりまして、大体本日あたり終了するのではないかと考えておりますし、さらにまた、建設の一般土木におきましては、明十日から査定を受けることに相なっておるのでございます。この査定をいただきます現況を拝見いたしておりますと、われわれがいろいろ御心配をかけ、また御配慮を賜わりました面と、よほどのかけ離れがあるのじゃないかということを痛感いたしておる次第であります。まだ全部の査定を終わっておりませんので、それを云々することはあるいは早いかも存じませんが、今日まで見聞いたしました実情から申し上げますと、の方でお取りきめを願った面より、この査定が非常に辛いと申しますか、われわれの伺っておりましたのは、今度の災害復旧にあたっては、改良復旧を主眼としてやってもらえるんだというところに大きな期待を持っておりましたし、また再び災害を繰り返すことのないような復旧工事がやってもらえるんだというので大へん喜んでいたのでありますが、農地並びに農業施設の面では原形復旧より認められない、こうしていただけば非常に都合がよいがというような考えを申し上げても、それはお取り上げをいただけないというような実情を目撃いたしておるのでございます。そういった面につきまして、それぞれ、農村のことでございますから、この査定においで下さったのだということで農民もこれを拝見等に出ますが、いろいろとお言葉をいただいております中に、どうもふに落ちない面もあるということをつぶさに直感をいたしておりますような次第でありまして、これは政府なりあるいは議会等において、十分改良的な復旧をやってやろうという、きわめてあたたかいお取りきめであるのにもかかわらず、出先の年の若い査定官の意見によって、これがある程度曲げられておるのではないかという感を深くする次第でありまして、こういう点につきましては、当初から新聞紙上なり、また県当局なり、地元選出議員さん等から伺っておりますように、でき得るだけ改良復旧の方法をとっていただけば、どれだけありがたいかわからぬということを痛切に感じますので、今後こういった出先の一査定官の意見によって、その本旨が曲げられることのないような御措置を切望する次第でございます。  なお、政令指定基準について、それぞれの面で災害激甚地の指定が変わってきておりますが、災害激甚地の指定を受けまする区域については、公共土木事業関係の激甚地に指定されておるところはそれぞれに大きな傷を受けておるわけでございますから、公立学校とか、病院とか、社会教育施設とかいうような面におきましても、公共土木事業関係で激甚地の指定を受け得る市町村に対しましては、ひとしく激甚地の指定を仰ぎたいという希望を持っておるのでございます。  改良復旧の徹底につきましては、先刻来申し上げた通りでございます。  なお、小災害の点でございますが、これは先刻知事さんからもお話し下さいましたが、被災のワクが十七億と十九億にきめられておりまして、これが全般の被害地に割り当てられた場合、はたしてわれわれの町村がどれだけの恩典にあずかり得るかということを考えました場合に、被災地の小災害に属しまするものがあまりにも数が多いだけに、非常な心配を持つものでございます。それと同時に、これは何としても一年限りでなく、継続していただきたいということを切にお願い申し上げたいと思います。現在農林災害において十七億、一般土木災害に対して十九億というわけでございますが、橋一つかけるにいたしましても現在補助の対象にならないものが相当あるわけで、ごとに市町村道というように、はっきりと公共事業としてお取り上げを願えるものはよろしいが、お取り上げの補助の対象にならないもの、そういった小災害が無数にございまして、これらのものは、何としても被災地市町村復旧をいたさなければならないわけでございますが、被災地の現状といたしましては、まことに財政的に恵まれておりません。従って、これをやろうというのには非常に大きな無理が伴いますので、こういう面に対しましても格別の御深慮を賜わりまして、町村がそういったような災害復旧することに対して、何とか御援助の手を伸ばしていただきたいということを切にお願いを申し上げたいと存じます。  まことに取りとめもないことを申し上げましたが、今日までいろいろと委員会並びに議会を通じて、御配慮をわずらわしております点を深く感謝申し上げると同時に、きわめて粗雑でございましたが、今申し上げましたような点だけを申し上げさせていただきまして、私の意見発表を終わらしていただきたいと思います。
  9. 南條徳男

    南條委員長 御苦労さんでした。  次は、奈良県の十津川村長の後木実君。
  10. 後木実

    ○後木参考人 奈良県の十津川の村長でございます。先刻来知事さんなり、榛原町長から要望された点とそれぞれ重複するきらいはありますが、二、三の点につきまして特にお願いを申し上げたいと思います。  まず第一に、起債の特例についてであります。税の減免について歳入欠陥債を認められることになっておりますが、たとえば木材引取税のごとき、村道あるいは県道国道、林道等の被害によって木材の輸送が困難のために、当然行なわれるところの木材の引き取りが行なわれず、そのために生ずる税の減収についても起債を認められたい。この問題でございますが、奈良県における今次の災害は、特に吉野、宇陀の山間、いわゆる林業地帯にはなはだしかったのございまして、このために林道、すべての道路が非常な災害を受けまして、木材の搬出、輸送というものがとだえまして、業者はほとんど休業の状態にある。また、大半の労務者が山林労務をもって生計を営んでおるという特殊な地帯でございますので、そうした労務者の日常生活はもちろんでありまするが、一方、これらの町村の歳入の首位を占むるところの木材引取税の減収もはなはだしいのでございまして、これを数字的に見ますると、奈良県の町村数は四十カ町村でございまして、このうち木材引取税を徴収しておる町村が十八カ町村あるわけでございます。この標準税収入が四千二百万円でありまして、この四千二百万円に対する減収が二千三百万円と計算されておるような状況でございまして、当該の町村の財政上に与える打撃はまことにはなはだしいのでございますので、この実情を十分御了察を願いまして、減収に対しても起債の特例を認めていただきますように、特別の御配慮をお願いいたしたいと思います。  その次に、土木等小災害は単年度をもって完了する計画になっておりますが、奥地において多数の被害個所を有する町村では、とうてい単年度に完成し得ない実情にあるので、二年度以上にわたって起債を認められたい。これも先ほど来お願い申し上げましたように、小災害は一カ年にこれを完了するということになっておりまするが、奥地におきましては、被害の個所が非常にたくさんございまして、とうてい単年度におきましては全部これを復旧するということができ得ない状態でございますので、これを二年以上にわたって復旧するように、そうしてその起債を認めていただきたい、こういうことでございます。  次に、道路橋梁等の災害復旧事業一ついてでありますが、公共土木にも該当せず、また、いわゆる小災害にも該当しないものがある。たとえば幅員二メートル以内の村道。しかも、これが復旧費は、一つの橋梁でも百万円以上を要し、これらの道路橋梁費の復旧に一千万円程度を必要とする町村もある。これらについては補助の適用は全然なく、また特例債の適用も受けられないので、ただでさえ貧弱な町村財政に致命的な圧迫を加えることになるから、これについても救済の方法を講ぜられたい。先ほども申し上げましたように、非常に山間部の地域が広うございます。従って、平坦地方と異なりまして、町村道というものがきわめて多数に及んでおるのであります。たとえば私の十津川村に例をとりましても、もちろん十津川村は七百平方キロございまして、少し地域が大きいのでございまするが、村道の延長も一千キロに及ぶというような状態でございます。従って、この村道の被害個所が非常に多数に上るわけであります。十津川村の補助の対象にならない被害額でも一千二百万円に達しております。現在の補助の対象になる町村道は、幅員二メートルということに限定されておりまして、町村は、その制限にかかりまして、この災害時における復旧に一番苦慮いたしておるわけであります。二メートル以下の道路にいたしましても、その町村にとりましてはきわめて重要な、いわゆる動脈ともいうべき道がたくさんあるわけでございまして、そういうような特殊な道路につきましては、二メートルという制限をはずして、これも一メートルあるいは一メートル五十というふうに緩和を願いまして、それらの復旧費に対しましても、起債あるいは補助の対象にしていただきたいということでございます。  次に、堆積土砂の排除事業についてであります。県当局の説明によれば、堆積土砂排除について高率補助の適用を受け得るのは、予算ワク等の関係上、ごく少数の町村のみに限られる由であるが、法律の趣旨に基づき、適正な運営をはかられたい。先ほど知事の方からも、このことにつきましては詳細に要望せられました通りでありまして、ぜひ現在の政令を緩和していただきまして、九割の補助がたとい五割になりましても、堆積土砂の排除がまんべんなく行なわれるような特別な措置を講じていただきたい。かようにお願い申し上げたいのでございます。  次に、農地のことについてでありますが、政令案によれば、一町村内の農家平均被害が五万円以上の町村が激甚地に指定されることになっているが、一町村平均は五万円に達しなくても、局所的に被害のはなはだしいものがあります。これらは普通補助の五割しか受けられませんが、かくては、農家におきましては全く復旧をなし得ない、災害のまま放置せなければならない結果となりますので、一町村五万円という平均を、一団地ごとの被害額によって高率補助を受け得るようにお取り計らいを願いたいという点であります。先ほども申し上げましたように、災害地山間地帯が多うございまして、山間の田畑は、谷合い、あるいは方々の団地にございまして、そうした団地被害がきわめて大きいけれども、村全体の被害から見れば五万円に達しないというのが非常に多うございますので、町村平均ということをはずしまして、その町村の団地、そうした特殊な事情によられまして、一団地に五万円以上の被害があれば、これを高率補助の適用を受けるようにいたしていただきたい、こういうことでございます。  私のお願い申し上げる点は以上の通りでありまするが、これを要するに、大災害に際しましては、国としてはきわめてあたたかい方針を立てていただきまして復旧に当たっていただくのでございまするが、先ほど榛原の町長からも発言せられましたように、町村の実態によりましては、十分これが施せないという結果になるのでございます。せっかく国のあたたかい方針が、現地に参りますと、きわめて期待にはずれるというような結果になりますので、どうか一つ、今後そうした点にも、国会なり政府担当の各省におきましても、深い御理解をいただきまして、町村民の期待を裏切らないようにしていただきたい。かようにお願い申し上げたいのでございます。  なおもう一点、この機会お願い申し上げたいと思いますのは、これは本委員会の所管でないかも存じませんが、災害の発生にあたりまして、特に私ども被災地の町村長として痛切に感じておる点は、現在の災害救助法の問題でございます。災害救助法によりますると、大幅な権限は府知事にありまして、ごく軽微なものは知事から市町村長に委任されておりまするが、実際大きな災害を受けたときに、一番早く処置せなければならないのは、民生の安定ということなのです。ところが、災害が発生すると、多くは通信、交通が途絶いたしまして、県その他の機関と連絡することができません。従って、町村長は、いろいろなことをやりたいけれども、やはり法に制限がありまして、思うような処置ができないというのが実情でございます。でありますから、こうした機会災害救助法の改正——あるいは改正しなくとも、府県知事の権限を市町村長にもう少し大幅に委任して、町村長みずから直ちに応急復旧の処置が講ぜられますようにしていただきますならば、民生の安定上きわめて有効でなかろうか、こういうことを私は数回の災害を経て痛切に感じておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
  11. 南條徳男

    南條委員長 御苦労さんでした。  次は、愛知農業協組合員連盟事務局長日下部庸三君。——他の方もおられますから、大事なことだけお願いいたします。
  12. 日下部庸三

    ○日下部参考人 日下部であります。お呼び出しのございました趣旨に沿いまして率直に実情と意見を具申したいと思います。  第一点は、除塩事業の問題でございます。今度の災害で、除塩をしなければならない区域が、愛知県の場合約一万三千町歩、市町村でいいますと、三十二市町村が該当しております。この面積は、愛知県の全部のたんぼの一割四分に当たる膨大なものでありますが、二十八年のときに一部の地帯に例はありますものの、今回が初めての、いわば前例のないことでございまして、しかも、時間的に申しますと、来年の三月二十日ごろまでにはこれをやり遂げていただきたい。そうでなければ、来年の稲作は無理だ。こういう時間的に制約のある問題であります。ところが、実態は、ようやく水がこの二、三日で引く程度であり、引いたらすぐこの仕事にかかってもらわなければいかぬのでありますが、前例がないだけに、率直に申し上げますが、国の方も、県の方も、完全なる態勢ができておりません。従いまして、罹災者の農民も自信はもちろんございませんが、何とかしてもらえるであろうというその期待が、実は今裏切られるほどではございませんけれども、進行しておりませんので、非常な不安も持っております。そこで問題点になることを数点申し上げまして、御高配を願いたいと思います。  第一に申し上げますことは、時期の問題でありますが、これは今度の災害にかんがみまして、従来、なかてあるいはおくてを多く作りました稲作を変えたい。大体農業試験場などの技術者の判断では、二割程度はいわゆる早植えにしたいということになりますと、苗しろ準備のためには、先ほど申し上げましたように、三月二十日までには除塩を終わらなければほんとうの仕事になりません。すなわち、ゴールインの時期がきまっておるのでありますから、それまでにはたしてやってのけられるかどうか。方法はすでに御案内の通りでありまして、その態勢がまだできていないから、すみやかにその態勢を整えていただきたい。このためには、目下いろいろな査定ために、政府当局からいろいろな係官が愛知県へいらっしゃっておりますが、農民の希望で申しますならば、係官の長期駐在を願いまして、県の当局とともに、この指導に当たっていただきたいという希望を持っております。  次に、問題になっております稲のわらの除去の問題でございます。私ども仄聞いたしますと、政府並びに国会の御審議の場合には、稲わらは除かなくてもいい、むしろ有効であるから残しておけ、こういうふうになっておるそうでありますが、現地の農業試験場初め県当局の意見は反対でありまして、稲わらを置くことによりまして一番障害のありますのは、次の稲作をやった場合に根腐れが起きるという問題であります。これは科学的に見まして、酸化還元電位というむずかしい問題でありますが、土の中の酸素が不足してくるということなのだそうでありまして、そのために根腐れを一そう助長する。農林省の技術者のおっしゃるには、従来関西方面の例があるから、わらは除かずに残しておけ、こういうことだそうでありますが、わが愛知県当局の技術陣営、及び農林省の東海近畿農業試験場、並びに三重県の技術者、こういう方の一致した意見は、これはどうしても取らなければいかぬ、こういうことであります。取るためにはもちろん費用もかかりますので、すでに先生方で御心配をいただいておりますが、これは実現をしてもらいたいし、目下のところでは、そうした諸論もすみやかに一致して、取りたい。そのためには、前段に申し上げましたように、この際係官に長期御駐在を願いまして、完全に意見をスピーディに一致し、すみやかに態勢を整えていただきたい、こういうことであります。  もう一つ、除塩に関連いたしまして申し上げたいのは、区画整理あるいは救農事業でございまして、地元の農民は、この機会にある程度の共同化をしたい。ためには区画整理もしたい。ところが、完全なる長期水没地帯でありまして、金を取らなければなりません。そのために、今すでにあらゆる仕事に奔走いたしまして、地元でやれるだけはやり、他の名古屋、四日市、桑名方面へも仕事を求めまして、働ける人は出ておりますが、それを、相当長期間にわたりまして仕事にありつくような、しこうして、区画整理のできるような方法を講じていただきたい。  以上、これを要するに、除塩事業につきましては、総合的な施策をスピーディに講じていただきまして、やっていただきたい、こういうことであります。申し上げましたように、前例がないということは、自信がないということだと私は思いますが、あるかないかを言っておるときではないと思います。来年の稲作というものを放棄するならば問題は簡単でありますが、それはとてもできません。そんなことをやったら、おそらく百姓一揆をやるでありましょう。私どもは、関係者の人として、そういう点を非常に心配しております。さらにつけ加えますならば、今日まで国会方面あるいは政府方面へ連絡、陳情が行なわれておりますが、かような長期水没地帯は、出るに出れず、その実情、意見というものが他の地帯ほど反映していないということをお考えいただきまして十分な御高配をいただきたいのであります。  第二点は、被災農家に対する融資の問題であります。天災法初めいろいろな法律をおきめいただきまして、まことにありがたいのでありますが、実は、現在の段階におきまして、それが末端までいまだ周知徹底しておりません。従いまして、この際最もスピーディに、しかも、総合的に御指導を願うことが、まず第一に必要である。第二は、手続を簡略にしてもらいたいのであります。自作農の手続はある程度簡素化されたというものの、実際におきましては、いまだなかなかめんどうでございます。それからもう一つは、経営規模の小さい、担保力のない農家は、実際問題としてなかなか貸してもらえません。いま一つは、たとえば天災融資法におきましては、市町村当局がこの議決を渋られます。以上のような点にかんがみまして、愛知県の農業協同組合は、ある程度金も持っております。だから、かような融資につきましては、努めて農協の考え方を尊重していただくということが、お願いしたい大眼目であります。地元のことは、農協が一番よう知っております。市町村当局と相談をいたしまして、最も適切に効果のある融資をするためには、今回の立法措置ではできておりませんが、今後考えますならば、臨時災害融資法というような、天災法や農林漁業金融公庫や、あるいはその他の融資にかわるような、もっと地元の農協などを信頼し、有効に使えるような施策を、今後の措置になりますが、講じていただきたい。今のところ、自作農資金が一番早く仕事が進んでおります。また、評判もよろしゅうございます。これはほんとうは逆であります。天災融資や主務大臣指定や、そういうものを先に借りまして、足らず前を自作農で借りるのがほんとうでありますが、施策が前後いたしまして、本末転倒になっております。そういうことも、以上申し上げましたような総合的に事を運び得る金融機関——大体は農協だと思いますが、それを利用するような施策をとっていただきたい。  第三は、農業の共同化についてでございまして、この機会に便乗する意味ではございませんが、今後の日本農業の指向すべき点としまして、やはり共同化、あるいは畜産、果樹を大いに取り上げなければならぬのであります。そういうような施策、指導におきまして、率直に申しますならば、ばらばらでありまして、十分でございません。任意団体でありまする実行組合の施策につきましても、これもまだ十分な施策が講じられておりません。これらを十分お取り上げいただきまして、すみやかに徹底するようにお取り計らいをいただきたい。  第四点は、概算金の問題、あるいは救農土木事業の問題、その他いろいろありますが、時間もございませんので省略さしてもらいたいのであります。幸いに東海三県の議員諸先生から、決定事項が、本委員会へもすでに要請があったように承っております。内容は、くどく申し上げなくても、先生各位御承知のことでありますので、すみやかにそれらの要望事項のお取り上げをいただきますように、お願いをしたいのであります。  きわめて粗雑な言辞を弄しまして恐縮でございますが、以上で終わらしていただきます。(拍手)
  13. 南條徳男

    南條委員長 御苦労さんでした。  次は、三重県の農業協組合中央会会小林慧文君。
  14. 小林慧文

    小林参考人 私は、三重県の中央会の小林でございます。五、六点簡単にお願いしたいと思いますが、この委員会で、諸先生におかれましては、われわれの意思を代表して、相当意見を述べられた点があるわけでありますけれども、なまの声としてお聞きをいただきたいのであります。  三重県からまとめて出してある資料の十三ページにありますが、予約概算金の返納の免除、並びに期限延長、及び利子補給の問題であります。御承知のように、収入皆無でありますから、来年の出来秋までこれを免除してやろうというようなうわさは聞いておりますけれども、その場合、農業協同組合が代行して支払え、こういうことであります。しかし、私も農業協同組合の立場では、一家離散してしまったような農家、あるいはわずかに幼少な子供しか残っていないような農家を対象にして、農業協同組合も、一般から預かった預金の中から運用するわけでありますから、将来を憂えるものであります。よって、一家離散したような、離農しなければならないような農家に対しましては、免除の処置をとっていただきたい。それから甚大な被害を受けた農家に対しましては、年賦償還というような形において、三年ないし五年の分割償還をさしていただくようにお願いしたい。それから農協が代位支払いをしたところの概算金に対しましては、これまた利子補給の措置をとっていただきたいということが、お願いの要点でございます。詳しい数字は省略さしていただきます。  次に、この概算金の支払いの問題とからんでおるわけでありますけれども、収入皆無の農家に対して、飯用の米を廉価に払い下げることをきめていただきましたけれども、しかし、来年の出来秋までは待ってやろうということであります。その出来秋になりますと、借りました営農資金あるいはまた概算金というようなものもからんで、膨大な借金を返さなければなりません。従って、この飯用米の代金につきましても、罹災農家の実情に即しましてこれまた年賦償還を認めていただきたいということが一つであります。  それから十四ページでありますけれども、農林水産関係の任意団体の作っておるところの共同利用施設があります。これは法人格を持っていないために、今回法の対象から除外されておるわけでありますけれども、これら部落で作っているところの農林水産加工等の共同利用施設は、欠くべからざるものであります。従って、これの復旧には、財政的その他におきまして負担にたえられない、復旧をしたくともできないというのが実情でございます。従って、この法律を拡大していただきまして、任意の共同利用施設に対しましても、何らかの処置をとっていただきたい。いわゆる利子補給なり、長期融資の対象なり、あるいは法人と同じように十分の九の高率補助の適用をしていただきたいということが一点でございます。なお、これにからみまして、農林漁業の法人であるところの共同利用施設に対しましても、大臣なりその他の方が現地に見えまして約束されたときは、二十八年の台風以上の立法措置をするということを言われましたけれども、共同利用施設については、遺憾ながら以上の立法措置ができていません。いわゆる二十八年にできました立法措置では、復旧に対して九割の補助を出してやろうというのでありましたけれども、三十年に改正になりまして、二割の補助ということに変えられております。しかも、それが残存価額というような政令でもって逃げられておるわけでありますが、その三十年に立法されたものを、ただ単に高率補助の適用ということであげただけでありますから、これまた、二十八年災の台風以上の処置とは言えないと私は信じるのであります。この点につきましても、一つ御考慮いただくようにお願い申し上げたい。  次に、農業協同組合が任意共済でやっておるところの建物の問題でありますけれども、これに対しましては、四億のワクで、三重県にはすでに一億三千五百万円が貸し出されております。これは国家との契約の損失補償の問題でありますけれども、貧弱な三重県の財政として、全額国庫の方で補償していただくようにお願い申し上げたいのが一つであります。  次に、十八ページの自作農維持創設資金の拡大でありますけれども、われわれといたしましては、三重県だけでも三十億円ほしいという要請をいたしました。これが、東海三県にわたって十五億しかないということを聞いております。三重県としては十億円以上のものが緊急に必要なのですが、それが東海三県で十五億円配分されたときに北は、おそらく要求を満たすだけの額にならないと信ずるのであります。よって、このワクの拡大をしていただきたいというのが一つであります。これは先ほど目下部さんが申されたように、農業協同組合に資金があるんですから、利子補給さえしていただけば農協として貸し出すことができますから、この点あわせて御考慮願いたいと思います。  先ほど除塩事業について、愛知からお話がありました。われわれ三重県といたしましても、あの稲わらの処分の問題でありますけれども、現地ではあれは刈り取らなければいかぬと指導されておるにかかわらず、四、五日間前に、農林省の偉い技術者の方から、あれはすき込んだ方が効力があるということから、すでに二本の指導が行われておる。このようなことで、農家としては全く迷惑をこうむっておるわけであります。従って、これは早い機会に指導一本化の措置をとっていただくように、お願い申し上げたいのであります。  救農土木事業につきましても、これまたわずかのワクでとっていただきましたけれども、実は私四、五日前に現地に見舞に行きましたところが、六十町歩ある村の耕地が、三十町歩流されておる。それで、救農土木事業が行なわれているであろうと思っておりましたら、これが山間地帯であるために、家財道具も全部流されて、壁もまだ塗っていないようなところで、寒さにふるえながら炭俵をあんでいるものですから、あなたは、救農土木事業があるんだから、それを受ければいいのに、なぜこんなことをするんですかと聞いたら、これは一日五枚で百円にもならないんですが、こんなことでもやらなければ食べていかれぬじゃないかというようなことも、聞いて参ったようなわけでありまして、救農土木事業につきましても、灌漑排水あるいは暗渠排水等いろいろな事業がありますけれども、これに対しましても、ワクを広げると同時に、補助率五割となっておりますけれども、これを全面的に八割に引き上げて実施していただくように、これは土地改良区連合会を通じてすみやかに実施していただくように、お願いいたしたいのであります。  次に、治山治水の関係でありますけれども、今回三重県では、新生崩壊地が約四百九十八町歩にわたっております。これを復旧する場合におきましては、初年度のこの事業の対象としては復旧に重点が置かれて、これで一年過ぎますと普通の事業に落とされてしまうのですから、補助率がうんと下がっていきます。従って、地元負担等にたえられないためになおざりにされておるのが、今日までの実情であります。よって、これを継続事業として、さらに砂防工事等を通じまして、原形復旧のみならず、やっていただきたい。飯南郡の飯高町でありますけれども、現在一センチずつ、ずるずるとずれていきます。その下に約三十戸の部落があるわけでありますけれども、二、三の家では、壁を破ってどんどん入ってきております。しかし、これらは今度の災害でくずれなかったから、おそらく対象から除外されるでありましょうけれども、これらのものも含めまして、一つ早急に新生崩壊地の復旧を継続事業としてやっていただきたいということを、お願い申し上げたいのであります。  次に、砂防工事の問題でありますが、砂防工事につきまして、今申しましたような観点から、一日も早くやっていただきたいということをお願い申し上げたいのであります。ことに三重県におきましては、宮川という川が毎年はんらんしたのでありますけれども、それが今年ははんらんしなかったという原因は、県営事業としてダムを作って発電所を作ったために、調節ができたから、その沿岸は何ら災害を受けなかったというような例も出ておるわけです。櫛田川あるいは安濃川等におきましては、惨たんたる被害を出しておりますけれども、こういう結果から見ますと、やはり治水事業にも十分力を入れていただきたいと思います。  最後に、実は熊野灘沿岸の山林地帯でありますけれども、潮風の被害におきまして、当時は何ら被害がないように思いましたけれども、毎日だんだん色が枯れて参りまして、枯木同然に今なりつつあるのであります。これらの植林に対しましても、治山意味におきまして、十分御措置をいただくようにお願いを申し上げたいのであります。  時間がありませんので、簡単ではありましたけれども、以上お願い申し上げたいと思います。(拍手)
  15. 南條徳男

    南條委員長 次は、愛知県の商店街連盟会長山田泰吉君。
  16. 山田泰吉

    ○山田参考人 ただいま御紹介をいただきました愛知商店街連盟の会長山田泰吉でございます。私は愛知県の商店街連盟の会長と同時に、全日本の商店街の連合会の理事長をいたしておりますが、このことは今回の災害地の小売商業者の問題だけでなくて、全国の百五十余万の小売商業者の方々が、この災害地の処置がどうなるか、大へん深い関心を持っておられますので、申し上げたわけでございます。  私の愛知商店街連盟の構成を申し上げますと、二十一市三百八十二団体をもって組織されておりまして、会員は二万余でございます。このほかに、愛知県には商工会に属するもの百余団体がございまして、合計商工会、商店街を合わせまして四百八十余団体あるのでございます。この四百八十余団体の傘下にございます今回の災害に対します政府補助をいただこうといたしております補助対象は、街路灯、アーチ、アーケード等でございまして、これらの施設は、御承知の通り個人の利益のものだけでなくて、防犯の見地からも、また都市発展の面からも、半ば公共用になっておると思うのでございます。これらは戦後十四年にわたりまして零細な小売商人の方々が、県、市のわずかな助成を得まして、そうして今日まで作り上げて参った数々の共同施設でございます。御承知のごとく、私も見て参りましたが、欧米の先進国ではほとんどこうしたものは国なり県、市の力で建設されておりまして、零細な業者の手により建設されたものでないことは、私は注目をしていただきたいと思うわけでございます。現在の零細な小売商人の方々が、社会的立場から見ましても、経済的立場から見ましても、日本の各層の間におきまして最下位にあるような生活状況を続けております。そのことは、御承知のごとく、朝は早くから夜はおそくまで十時間、十数時間を働いて生活を立てておるのでございますが、しかもこれらの方々に対しまして、社会施策におきましては今日まであまり政治的に見るものがなかったのでございます。しかるに、今回の災害に対しまして、諸先生方の御尽力によりまして、これらの方々が持っております共同施設に対しましてその損害の助成が特別立法されましたことは、ただ単に災害地の小売商の喜びだけでなく、今申しました全国百数十万の小売商の方々が、ほんとうに待ちに待った政治の余恵を与えられたものでございます。この点を厚くお礼を申し上げる次第でございます。  ここで私は——本問題は簡単でございますが、その前に、今回の私たちの共同施設の損傷は、ただ水害でなく、風害であった。八十余メートルの風害によりまして路上に立てられた建設物がこわれまして、これを再建するのに政府の助成をお願いしておるのでございまして、水害地であり、また水害地でない各地の写真をとられましたものが、委員長さんの手元にただいま参考に出してございますので、これをごらんいただきたいと思うのでございます。  それからいま一つ災害の直後に、私の傘下一万八千二百余の個人商店に対しまして今回の損害調書を出しましたところ、そのうちの四千九十七の小売商の報告を見ますと、七億六千二百余万円の損害の報告が参っております。激甚地は当時この調査ができなかったのでありまして、あまり激甚地でなかったところでそれだけございます。商品その他項目に分かれて各明細に報告を受け取っておりますので、委員長さんのところの参考書を、後刻御調査をいただきたいと思います。  かように零細業者といたしましては大きな損害を受けておるのでございますが、私たち小売商人は、そうした損害に対します補助政府にいただこうというのではございません。零細でありましても、それらはおのおのの力でただいま立ち上がっておりますが、これらの零細業者が、今日大資本といわれております百貨店等のいわゆる文化施設、これらに押されまして非常な不況にあえいでおりますのを、共同の力でせめて町を明るくし、きれいにし、そうして自分らの商店を守ろうといたしております。この共同施設の損傷だけ、何とか国の政治の力で見ていただきたいというのがこの対象物件でございます。しかも、悪いことには、わが名古屋市におきましては、本年御承知のように市政施行七十年にあたります。名古屋域の落成と同時に、この祝賀記念事業として、各発展街では過去の古い街路灯、アーチ、アーケード等を修復したり、または新設いたしました。大へんたくさんのものがようやくでき上がらんとした間ぎわに、九月二十六日の台風でこれが壊滅したのでございます。新築、改築等、多額の金を要しましたものが壊滅いたしました。再び今改修しつつあるのでございまして、自分の損害、その上共同施設の損害までも入れると二重の負担になります。この二重、三重負担に対する政府の余恵を与えていただきたいというのが、私どもお願いでございます。  そこで本問題に移りますと、今回の災害復旧補助につきまして、第一に地域指定の問題がございました。中小企業庁の施行令の内案とも申しましょうか、それらを伝え聞くところによりますと、一定の条件を備えた被災団体の所在する市町村を各個に指定せられる方針と承っております。その団体の被災要件をイ、ロの二種に分けて規定されるようでございますが、愛知県の場合は、被災実情から見て、市町村別に指定するということは意味がないのではないかと思います。水害は海岸地方に限定されておりますが、今回のあの風害は全県下一様でございまして、しかも商店街の共同施設である街路灯、アーケード、アーチに至りますところの被害は、すべて風害によるものだからであります。街路灯、アーケード、アーチ等はすべて屋外の路上に構築されておりますから、御注意いただきたいのでございます。現実として、現在判明いたしておりますだけでも三百余団体にわたります共同施設でございまして、愛知県全般にわたっておること、これが何よりもその災害の状況を、私は物語っておると思うのでございます。     〔委員長退席、三田村委員長代理着席〕  第二は、被災団体の補助要件でございますが、内案によりますと、被災団体の対象になる要件といたしまして、イ、ロの二つの要件が示されております。この要件も、実情に適しないと思うのであります。イの計算で割り出された数字が幾らになるかわかりません。ただ〇円としてございますが、事業費も少なく、復旧費も金額として少ない団体は、その構成商が零細業者でできておるからでございまして、それが一人当たりの負担額が五万、十万以下だから補助から除外される、こういうことでは、私は補助金は全く的をはずれておると思うのでございます。小さい業者こそ、補助してやっていただきたいと思うのでございます。ロの面でございますが、構成員の何%が全壊、半壊、流失等の大被害を受けているかということも、私は無意味であると思います。この補助金は、個人の損害に対して与えるのではなくて、屋外の道路上に構築されておる共同物件に対しまする共同施設の損害でございますので、これはその施設の損害の程度によってその差のあることは当然でございますが、構成員の被害程度を標準とされることは、全く私は見当が違っておると思います。構成員の負担力として考えるというならば、その節は、イの場合と同じことが言えると思うのでございます。  第三に、協同組合移行を条件とする問題でございますが、企業庁の内案によりますと、商店街、商工会等の任意団体が協同組合に移行することを条件としておられるようでございますが、これは賛成できないのであります。なぜならば、商店街、商工会等は、協同組合に改変することは、原則としては私も賛成しておりますが、今補助金給付の対象として、急速にこれを移行させることは無理が生ずるからでございます。地域的な共同組織であります商店街、商工会等は、御承知のように同志的な経済組織である。協同組合とは全く性格が違っておりまして、いわゆる構成員から見ても地域組織でございまして、商店街、商工会等は、同じ町内に住んでおります各種いろんな商売の方々や、中小さまざまの会社、商店が一様に加入しておりますから、これを急に協同組合にしなければならない、そしてしかも、その物件を協同組合の管理に移行しなければならない、財産権の移行でございますが、こういうことを急速にやりますと、いろんな問題が生じますので、この点は、指導方針としてはどこまでも私たちも、協同組合にして参りたいと思いますので、根本的な条件となさらないようにお願いしたいのでございます。  第四は、協同組合に準ずる団体としての認定を第一にしてもらいたい。補助の対象とする団体の認定は、御承知のような当該府県知事さんの認定にまかしていただきたいと思うのでございます。従って、イ、ロのごとき認定の基準をあらかじめ定めて制約することは、適当でないのではないか。この物件に対しましては、県の方から今まで長い間相当助成金をいただいておりますので、その実情は知事さんの方で一番よくおわかりだと思います。ですから、知事さんの御認定におまかせいただければ、私ども一番いいのではないか。そこで知事が、協同組合に準ずる中小企業団体であると認定したもの、任意団体である商店街、商工会であっても差しつかえない、こういう点を明示していただくならば、大へん私どもはしあわせだと思うわけでございます。被災地商店街、商工会等が所有、管理いたしております街路灯、アーチ、アーケード等の共同施設が補助の対象である、これも重ねて明示していただきたいのでございます。  以上、大体今回の法案の政令等に対しまする私どもの要望を申し上げたわけでございますが、重ねて最後にお願いいたしますことは、どこまでも水害地だけ、こういう御限定をなさらないで、この街路上に立ちました街路灯その他の物件に対しましては、風害で災害をこうむったもの、こういうことに一つおきめをいただきたい、かようにお願いするものでございます。要点のみを申し上げましたが、終わりに臨みまして、暗い政治の谷間に長年埋もれておりました全国百五十余万の小売商のために、また災害地の小売商のために明るい内容を持った政令を定めていただいて、ほんとうに災害者が喜んでくれる法令を作っていただきたい。あまりむずかしい内容がつきますと、せっかくいただきますものもこれを捨てなければならぬ、こういう実情がほんとうにございますので、この点をよく勘案されまして、災害者が喜ぶ法令を作っていただくことをお願いいたします。大へんありがとうございました。
  17. 三田村武夫

    ○三田村委員長代理 次に、三重中小企業団体中央会会長清水壱郎君。
  18. 清水壱郎

    ○清水参考人 ただいま御紹介を受けました清水でございます。私は第一に、こうした機会をお与えいただきました皆様方に、心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。  私の申し上げたいことは、今回災害を受けまして、中小企業者の受けた災害に対してどの程度の救助の手が政府から与えられたのかということをつくづく考えてみまして、何もないということを思って、非常にびっくりいたしたのでございます。これが農林であるとか、漁業でございますと、いろいろの国家補償による損害復旧対策がございますが、中小企業者に対しては何も与えられておらないのでございます。ただ金を安く貸してやろうという点にしぼられておると思うのでありますが、はたして金を貸していただけるのかどうか、それも金を貸していただける人だけの問題でありまして、金を借りられない人たちに対してはどうなるのか。なぜあの水でおぼれて死んでしまわなかったかと悔やんでおる多くの零細業者に対しては、これを見殺しにするのか、この点が私は一番皆様方に訴えたい点でございます。しかし、そうした点について申し述べておりましてもせんないことでございますので、せっかくお与えいただきました安い金を貸してやろうという点につきまして、先生方訴えたいと思うのでございますが、国民金融公庫の副総裁がこの間三重県へ参られまして、三重県は大体六億だけワクをつけてやっておる。現在の申し入れば十四億でございます。それに対して六億だけだ。二十万であとは全部切っておるのだ、こういう御発言がございました。これが副総裁からのはっきりしたお話でございます。今まで政府当局からわれわれが聞いておりますのは、今度の災害復興の金については絶対に心配をさせない、十二分に与えてやろう、こういうことをお聞きいたしておりましたのが、案に相違いたしまして、十四億の申し入れに対して、わずか六億しか貸せないんだ、こういうことでございます。これが実情でございます。これは中小企業金融公庫にいたしましても、商工中金にいたしましても、同様のことが言えるのでございます。こういう点につきまして、一つ諸先生方に十二分の御考慮をお願いいたしたい。政府がわれわれにお約束いただきましたように、復興の金については絶対に心配はかけないということを、ぜひお守りをいただきたいと存ずるのでございます。  次に申し上げたいことは、ただいま山田君からも申しましたが、いろいろ特別立法をいたしておっていただきますが、今の安い金利という面につきましてもいろいろの制約がございます。この制約が非常にむずかしく出ておりますので、おそらく金を借りてあとでいろいろ問題が起こるか、あるいは金を貸す方において、はたしてこれが災害復興の特別立法の金になるかどうかいということについて、非常に心配をしております。あとになってから問題が起こらないように、ぜひこの点については十二分の御考慮をお願いいたしたいと存ずるのであります。たとえば、法律によりますと、指定被害中小企業者とは、全壊、半壊、流失、床上浸水またはこれに準ず被害を受けた中小企業者となっております。これに準ずる被害として、製品、半製品、仕掛品、原材料、いわゆる流動資産の相当額、カッコいたしまして二分の一程度ということになっておりますが、はたしてこれは一体だれが証明してくれるのか。市町村長の証明は、全壊、半壊、流失、床上浸水というような点については証明してくれますが、製品、半製品、仕掛品、原材料というような点については、だれも証明をしてくれないのであります。そういう点について十分に御検討いただきまして、せっかくの政府の施策が、絵にかいたもちに終わらないようにお願いをいたしたいと存ずるのであります。  もう一点は、われわれ三重県のような貧乏県——と言っては申しわけございませんが、全く貧乏県でございます。こういう県におる県民といたしましては、あらゆる場合におきまして、金を持っておる県と比べてみて、県が予算をつけられないがために、せっかくの政府の金もいただけないというのがたくさんあるのであります。この災害を受けたわれわれといたしましては、せっかく政府が特別立法によってきめていただきましても、それが県が貧しいために受けられないというようなことのないように、われわれも同じ日本国民として、災害を受けた他の県民と同じような政府の恩典が受けられるように、せっかく御施策いただきたいということを特にお願いをいたしたいと存じます。だいぶ先生方も、今までの陳情で食傷なさっておられると思いますので、私はその点を一言申し上げまして、この機会に、こうした機会をお与えいただきましたことを深く深く感謝いたしまして終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  19. 三田村武夫

    ○三田村委員長代理 次に、三重漁業協同組合連合会務理事仲村安平君。
  20. 仲村安平

    ○仲村参考人 私、三重県漁連の仲村でございます。簡単に陳述して要望を申し上げたいと存じます。  波、風、潮という今次災害は、海によって生活する漁村、特に沿岸零細漁民に対し甚大な被害をもたらしまして、ために国会におきましては特別措置が講ぜられまして、これらの漁民を対象に各般にわたって立法化されましたことは、関係者といたしまして、まことに感謝にたえないところでございます。さらに次の諸点に対しまして今後特段の御配慮をいただけるならば、漁村の復興も期して待つべきものがあると存ずるのであります。  その第一点は、漁場の復旧と大規模な増殖施設の早期完成についてであります。このことは、堆積土砂の排除、漁場障害物の除去対策として立法化されておりますが、これらの事業主体を漁業協同組合とされることによって、この復旧を一日も早くすることができるとわれわれは信じておるのでございます。特に漁場障害物の除去についてでございますが、現在一市町村当たり五百本以上の場合が指定されておりますが、実際その漁村に行ってみますと、多数の労力と費用をかけまして、二十日間ぐらいかかっても約五十本程度しか引き揚げられないという実情にありますので、これらの基準を引き下げまして、一市町村の地先百本以上と限度を緩和されたいのであります。  なお、本県の特産品である真珠、カキなどのいかだ、なわ、ワイヤー、いかりなどが、船びき漁場にだんごになって重なって堆積いたしておりますので、これが除去にあたりましては、地元の漁業協同組合におきましては潜水夫及び海女と起重機等を使用いたしまして、多大の経費と日時を費やして作業いたしておるのでありますが、これらも漁場障害物の五百本以上には該当しないのであります。ぜひともこういう実情をごらんを願いまして、指定基準の中に入れていただきたいのであります。  なお、これと若干趣を異にいたしますが、特にお考えいただきたい問題は、漁場の被害は陸上被害と異なりまして、海の中に隠れてその様相が全くわからないということであります。被災後七十日を経過いたしました現在、アワビ、エビ、サザエなどの根つけ資源はとみに枯渇いたしまして、水揚げは極度の不振をかこっております。これは四十メートル以上といわれる大波のために漁場は根底からかき回されまして、極端な磯荒れを来たしている証拠であります。これらの変貌した漁場を精密に調査をいたしまして、農地に比すべき漁場の保護育成こそ、刻下の急務であるというべきでありますので、大規模な築磯投石等の施設を実施する場合、特に被災地に対し高率の適用をお願い申し上げたいのであります。また、緊急仮締め切りのために、ノリ、ハマグリ等の漁場が大きく変化いたしておりますので、こうした災害後の漁場の被害については、工事補償の面と関連して、その対策に適宜の措置お願い申し上げたいのであります。  それから第二点は、漁業協同組合の事務所の問題でございますが、今次災害によりまして全、半壊したものは、今後漁村機能の発揮のため、相当数の恒久的な建築、いわゆる鉄筋コンクリートの共同利用施設と関連いたしまして組合事務所を建築する予定でございます。従って、これらの被災建物が、今後漁村の中心といたしまして漁民の共同利用施設と併設されるものにつきましては、これを共同利用施設として認定されまして、助成の対象とされたいのであります。  なお、これに関連しまして、特に三重県における特殊事業といたしましていわゆる任意組合による定置漁業が経営されておりますが、これは漁業法の定置免許の最優先といたしまして村張り方式が認められているように、部落全体の事業であり、漁村における共同施設という性格等が全く一致しているのでございまして、これらの所有する陸上施設の被害につきましても、共同施設として同様の取り扱いを認めてもらいたい。  それから加工業者の問題でございますが、加工業者の点につきましても、これらの共同利用施設と同様に補助の対象にしてもらいたい、こういうふうに考えているわけでございます。  最後に、今回特別措置の重点として御推進になりました小型漁船の共同利用に関する助成についてでありますが、漁業の実態、漁村の実情等から、せっかくの国の補助政策に乗り得ない部面もあります。三隻に一隻の割で補助されるのでありますが、あとの二隻は登録から抹殺されていきますので、これらのいわゆる建造につきまして肝補助対策もなければ、融資のワクもないというようなことでございまして、漁村におきましては、これらの今後の措置につきまして非常に心配いたしておりますので、こういう点につきましても今後の問題として十心御研究され、補助の対象、あるいけ融資の対象となり得るように御推進をお願いしたい、こう思うのでございます。  以上三点を申し述べまして、われわれの、要望、陳述にいたす次第でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。(拍手)
  21. 三田村武夫

    ○三田村委員長代理 次に、和歌山漁業協同組合連合会会長和田鶴一君。
  22. 和田鶴一

    ○和田参考人 和歌山の和田でございます。だいぶおそくなりましたので、簡単に、原稿を見ながら申し上げたいと思います。  本日、諸先生に対しまして災害対策についての意見を申し述べて、お聞きいただく機会を与えられましたことを衷心より感謝申し上げます。  このたびの台風十五号は、全国を席巻いたしましたが、和歌山県におきましても、五十メートルに達する風速と、六百ミリを突破する雨量と、高潮と激浪によりまして、甚大なる被害をこうむったのであります。特に和歌山県はこの台風の上陸地に当たりましたので、紀南の海上では六十メートルをこす強風と、いかなる故老もかつて経験せざるという高潮と激浪のために、沿岸一帯にわたりまして、漁港、船だまり、船揚げ場、あるいは漁船、その他共同利用施設等にわたりましてきわめて甚大な被害を受けました。  その復旧状況でありますが、和歌山県におきましては、零細漁業がその大半を占めておりますので、自力による復旧はとうてい望むべくもなく、政府、国会並びに関係諸機関の援助に待つほかはないのであります。幸いにいたしまして、政府、国会におきましては、今次台風災害に対し特別の考慮を払われ、立法措置を講じ、あるいは政令の制定等、適宜な処置をなされているのでありますが、本県のように、来る年も来る年も台風に見舞われるそうした実態からして、漁港、船だまり等の施設の復旧整備はまことに緊急を要することであり、漁期に入ったものの代船建造ということは瞬時を争う問題でございますが、これら政府、国会の措置の進捗とともに、あるいはつなぎ融資等の措置によって復旧整備の促進をはかりつつありますけれども、零細漁業者にとりましてはこのつなぎ融資自体がまことに過重な問題でありまして、遅々として容易に進まないのであります。     〔三田村委員長代理退席、委員長着席〕  今後の対策といたしまして特にお願いいたしたいことは、施設の災害復旧の早期完成ということであります。すべての災害対策融資に対する利子補給の措置を講ぜられたいということであります。従来施設の災害復旧につきましては、三・五・二の率によりまして、三カ年完成ということでありましたが、四年以上にまたがることは常例となっているのであります。今次の台風被害に対し、過般来実施されておる漁港等の査定復旧予算は、三十四年度分として二五%程度を予定していると聞くのであります。これでは私たちの望む半分も復旧されないのでございまして、僅少な被害額の差や程度の差によりまして後年回しとされるために、仕越しその他の方法によりまして、来たるべき台風による増破を防ぎ、漁船の管理を確保するため、きわめて過重なる利子の負担に耐え忍ばなければならないという状態でございます。今後は、五・三・二の率により三カ年完成が完全に実施されますよう、万全の対策をお立て願いたいと思うのであります。なお今回は、特に御留意をいただいたということでございますけれども、もっと大幅に改良復旧を認められたいのであります。  さらに、特に和歌山県の場合、県の財政が赤字をかかえてきわめて困難な状態にあること、市町村においても同様の状況にあることと、五百キロの沿岸にわたりまして、小さな漁港や船だまりが数多くあり、漁業協同組合もきわめて弱小なものばかりであるために、従来の査定額によっては僅少の差額によりまして国の援助を受けることができないため、さらさら財政的に過重な状態にあるのであります。この点を改善されたいということと、仕越しの場合等におきます利子の全額補給ということをお願い申し上げたいと思います。すなわち、公共土木施設災害復旧事業国庫負担法の適用範囲の拡大と利子補給ということでございます。なおこの場合、海岸保全事業について申し上げますと、建設省、農林省等におきましては、この問題につきましてはどうか総合的な観点に立って、お取り扱いを願いたいと思うのであります。和歌山県におきましても、所によりますと、漁港指定を受けておるために十分な海岸保全事業をやってもらえない、だから海岸保全事業を済ましたあとで、漁港に編入させてもらいたいというような問題も聞くのであります。  次に、二、三、法について申し上げたいと存じますが、漁港整備に関しましては、ただいま三重県の方から詳細な御説明がございましたので、省略させていただきます。  次に、共同利用施設につきましても、ただいまお述べになりましたが、農林水産業施設災害復旧事業国庫補助の暫定措置に関する法律におきまして十分の二の補助でありますけれども、共同利用施設はもちろん、特に組合事務所の漁村において果たす役割はきわめて重大でありまして、近年、漁業振興対策として、沿岸漁業の振興が目下の急務として国の重要施策に取り上げられつつあるとき、漁村における中心基盤としての組合、その拠点としての組合事務所の持つ役割は、他の産業におけるそれとは、根本的に異なるものがあると思います。国の施策が一貫するならば、当然この補助等において十分な考慮をお願いいただけるものと存ずるのであります。  漁村に関するものといたしましては、今回特に制定されました、昭和三十四年九月の風水害を受けた漁業者の共同利用に供する小型の漁船の建造に関する特別措置法は、まことにありがたいのであります。もちろん、これを実施する場合におきまして、ただいま三重県漁連の方から御発表がございましたようにいろいろと問題もありますが、小型漁船による零細漁民のことごとくが、一様にその建造資金の借り入れ返済はできない状況にあります。この法律の適用によりましてかなりの範囲に救われるのでありますが、少なくともこの法律の精神やねらいを、少しでも零細漁民にその恩恵を得さしめるということから、施行令第四条にかかる、著しく困難なる程度の損壊とあるものの適用範囲を、従来の災害調査における場合の、被害程度中破以上のものとされたいのであります。  次に、天災融資法に基づく政令への要望といたしましては、特別被害地域以外の特別被害者の償還期限は、特別被害地域指定内の特別被害者並みとされたいということを申し上げたいと思います。  次に、災害融資に関しまして、農林漁業金融公庫への要望といたしまして、その融資のワク、適用範囲の拡大、長期低利による融資方法を取り上げ、万全の復旧対策に御協力をお願い申し上げたいと思うのであります。  以上、まことに簡単でございますが、和歌山県の特殊事情を考えながら申し上げたのでございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  23. 南條徳男

    南條委員長 どうも御苦労さんでした。  それでは午前はこれにて休憩いたしまして、午後は一時半から再開いたします。  午後は、前々申し上げましたように政府委員に出席してもらいまして、特に委員各位からの質疑の時間といたしますから、できるだけ御出席願います。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後一時五十九分開議
  24. 南條徳男

    南條委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  災害地対策に関する件について議事を進めます。災害対策の各種特例法施行に伴う問題、その他今後さらに必要な諸対策等について、政府に対する質疑を行ないます。   この際、大蔵政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。大蔵政務次官奧村又十郎君。
  25. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 先般の当委員会におきまして、辻委員からの御質問に対しましての私の御答弁の一部に間違いがありましたので、ここに取り消しをさせていただきたいと思います。  その間違ったことにつきまして申し上げますと、辻委員の御質問の趣旨は、名古屋市の激甚地としての指定は、かりに行政地域に限って行政地域単位に指定した場合に、その国庫負担率の適用は、標準税収入も当該行政地域、災害被害額も行政地域と、このようになるのか、それならば、実質は激甚地に対しては非常に手厚いことになるのだが、その通りか、かような御質問でありました。それにつきまして私が御答弁申し上げましたのは、そのとき実は手元に資料がありませんので、明確なお答えができないでまことに恐縮でありますが、まあ重ねての御質問でありますので、私の解釈といたしましては辻委員のおっしゃる通りになると存じますと、かように申し上げた次第であります。ところが、後ほど大蔵省へ帰りまして法律をよく照らし合わして、現行の国庫負担法並びに特例法を照らし合わせ読み合わせてみますと、私の答弁は間違うておりましたので、——それは正しい解釈といたしましては、激甚地としての指定は行政区単位でありますが、激甚地に対する国庫負担率の割合をはじき出す方法としては、名古屋市全地域における標準税収入と名古屋市全地域における災害被害率と、それに対する特例法による高率の適用をいたしまして、そして総額における国庫負担率をはじき出す。その負担率を行政区単位の激甚地のみの災害額に当てはめて計算する、こういうことでありますので、それでいきますと、辻委員の御心配になった通り、激甚地の行政地域には非常に十分な手当ができないということになるわけでありまして、このような誤解を招きましたことについては私の不徳のいたすところで、まことに申しわけないと存じますので、取り消すとともに、この点はあしからず御了承を願いたいと存ずる次第であります。つきましては、激甚地に指定されなかったほかの地域を含めまして、名古屋市の災害復旧について行政的に十分善処いたしたい、かように考えておりますから御了承願いたいと思います。
  26. 辻寛一

    ○辻委員 それは弘法にも筆の誤りということがありまするから、さすがに頭脳明敏をもって聞こえる奥村政務次官も、時にお間違いになることもやむを得ませんし、また間違っておったから改められるということを、これを私は執拗に追及するものではございません。しかしこれは時と問題によるわけでありまして、この重大な問題を、ただ間違っておったから取り消すというだけじゃ味もそっけもないので、これはなるほど拝承はいたしますけれども、私は了承するわけには参らぬわけであります。資料とおっしゃいまするが、私がお尋ねいたしましたのは、さきにいただきましたところの資料に、県工事の場合は区に分ける、しかも市町村工事の場合は名古屋市は区に分けるということが書いてないから、それはどうなっているかと言っただけで、これは基本の問題でありますから、こういうことをお間違えになることはおかしいと思う。と同時に、ですから私の意見にさっそく御賛成をいただいて、ありがたいお言葉をいただいたのでありまするから、これは早合点してあとでぬか喜びになっちゃいかぬと思って、あなたに念を押したわけです。ここにあります通り、あなたははっきりと「その高率適用を受けることになった数カ区の国庫負担の率は、御指摘の通り、その当該区の標準財政・収入額に比較して、それの二分の一までは十分の八、それをこえ、同額までは十分の九、それからそれをこえるものは十分の十、御指摘の通りに国庫負担率を計算するわけであります。」こういうお答えをいただいた。私はまことに鬼の首を取ったように、取りそこなっては大へんだと思って、そこで「念を押しておきますが」という前提のもとに、しかも正直に、私はざっくばらんに、名古屋市のそういう計算によるとどういう勘定が出てくるかということまであなたに申し上げまして、お間違えございませんかと私は念を押したのです。それに対しまして、「これは特に申し上げますが、ただいまの最後の御質問は、非常に味があると思います。長時間の御質問の最後の締めくくりとして、政府にとって非常にけじめのあるお言葉でありますので、長期湛水として区単位でいたします以上は、私が御答弁申し上げた通りなすべきであると思いますが、それでいきますと、名古屋市全地域を指定するよりも、区単位で指定する方が、名古屋市に対する国庫負担率は多くなるということに理屈上なるわけでありまして、政府としては、区単位で指定した以上はその通りやらなければならぬ、かように私は確信しております。」こうお答えをいただいたわけであります。それで実は私がお尋ねをいたしました趣意は、名古屋市の場合に限って単なる行政区をどうして分けようとなさるのか、これは筋が通らぬじゃないか、これはうかつに東京などの特別区なんかとごっちゃにして、名古屋は財政的規模も大きいし、地域も広いというきわめて単純な考え方から、これは割ってもよかろうとお考えになったのだろうと思います。これはほんとうに行政区で分けておるだけでありますから、極端に言えばそういうことになりますから、選挙区と同じように名古屋市全地域を指定してしまうことがいいと思う、そういうものを、行政区の一単位とすべきところを分けるということ自体が間違いである、しかしそれも、湛水地域自体をお設けになったこと本来がやはり政治的考慮に基づいておるのでありますから、標準税収入を仮定的に区に分けてやった方が名古屋市の方としては得がいく、この方が利益であろうということまで御親切にお考えをいただいたその深謀遠慮の結果であると、この御答弁によっても実は承ったのであります。それがこれは間違っておる、やはり分けるだけは区に分ける、そうして湛水地域を全市の標準税収入と照らし合わせるのだ、だからそれは十分の手当ではない、あしからずこれはしんぼうしてくれということは、これはどうも私は納得するわけには参らないのであります。ですから、そもそも少々無理なようにも思う。お分けになること自体に、私は筋の通らぬ点があったのだろうと思いますから、どうぞあやまちを改めていただくなら、この御答弁の取り消しでなくして、既往にさかのぼって、その点だけつよくお考えをいただきたいと思うのであります。くどくど私は申し上げませんが、名古屋市は、助役の手記を見まして、地図を見まして、いわゆる長期湛水地域は三割七、八分と思っておりましたが、四割をこえておるわけであります。そういたしますと、たとえば小さいところ——小さくなくても中都市といたしましても、そういうところで、名古屋市は百五十万近くありますが、たとえば二十万とか三十万とかの中都市、こういうところ、一割に満たないところでも、百分の五でございますか、そうなっておるらしいのですが、その地域の一割に満たなくても、長期湛水地域として、この激甚地としての特例法を受けるわけです。ところが名古屋は、なるほど広いことは広うございますけれども、四割の余以上は、しかもなみなみならぬ湛水地域であったわけなのでありますが、それを区によって帳消しということは、どうしてもふに落ちないわけであります。ですから、今言ったように、区にするというあなたのお言葉、あなたがうかつにこういう御返事をなさるはずはないので、そこに無理があったのだから、区に分けて考えてやろうというお気持が動いておったから、こういうふうに念を入れてお尋ねをいたしたにかかわらず、はっきりした御答弁をいただいておるのでありますから、一つこれはお取り消しもけっこうですが、お取り消しと同時にもう一ぺん振り出しに戻りまして、名古屋市だけはほんとうにこういう行政区域を割るということでなしに、ほかの市町村と一体にやっていただきたい、こういうことにどうか一つ御考慮をわずらわしたい。これをお願い申し上げるわけであります。ちょっとそのお気持を承っておきたいと思います。
  27. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 ただいまの御発言の通り、全く重大な間違いを申し上げましたので、これは私の不勉強、不徳のいたすところで、申しわけないと思います。これは言いわけになりませんが、実はあの御答弁を申し上げたときは、まだ全般的な湛水地域の適用の規定というものの話が固まらぬ際でありまして、そして役所へ帰りまして国庫負担法、特例法並びに政令と読み合わせてみましたときに、初めは、大蔵省の部内でも解釈が実はまちまちであった。ところが、最後に宮崎主計官法律の条文にのっとってやりましたときに、なるほどそういうものかということになったので、申しわけないのですが、十分おわびをいたす次第です。そこで、次いで、私が重大な御答弁を申し上げたものですから、その答弁の通りになるように努力したら、こういうお言葉でございまして、これも実はいろいろ研究をいたしました。市町村の場合においては、旧市町村に対しては、これは御承知の通り標準財政収入も被害額も別途に計算する。名古屋も行政区域ごとに、辻委員の御主張の通りにならぬものかということで研究いたしましたところ、市町村の場合は、これは新市町村合併促進法に基づく適用規定であります。名古屋市の場合はこの適用にはならぬということで、行き詰まっておる次第でありますが、しかしせっかくのただいまの御発言であります。私もまた申しわけのない手落ちをいたしておりますので、なおこの上研究いたしまして、善処をいたしたいと思っております。
  28. 小島徹三

    ○小島委員 関連して。ただいま湛水地域についてのお話がございました。その中で百分の五という数字が出たようでありますが、私うわさを聞きますと、三十町歩以上であって、かつ、その市町村の地域の百分の五以上の広さでなければならぬ、こういうような政令があるというお話でございますが、ほんとうでございますか、それをはっきり聞いておきたいのです。
  29. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 長期湛水の地域としまして、公共土木施設あるいは農林水産業施設その他のものにつきまして特例法の適用地域に指定の政令を出すわけでありますが、この政令につきましては、目下関係省、大蔵省あるいは法制局の方で案文を練っておる段階でございます。そこで今御指摘の、町村の面積に対しまして長期湛水地域が非常に狭小であるというような場合につきましては、その全体の市町村の地域ではなくて、長期湛水となった区域だけをやるかというような案が出ておりまして、現在いろいろ検討いたしておる最中でございます。そのパーセンテージが何%であるかということにつきましては、特に政令で明確にいたすということにいたしますかどうか、その辺はまだ明確になっておりませんが、おそらくそういう%を書かないことになるのではないかと私は考えております。
  30. 小島徹三

    ○小島委員 パーセンテージをおきめになるということになりますと、そもそも三十町歩ということをおきめになったことはおかしいということになります。それならば百分の五以下とか以上とかお書きになればいいのであって、三十町歩とお書きになったことは、必ずしも適当であったかどうか疑問だと思います。われわれ考えましても、三十町歩は小さ過ぎたのじゃないかと思いますけれども、すでにそうきまった以上は、今さらそれを、しまったと思って、なるたけ適用地域を狭くしてやろう狭くしてやろうというような気持で、一つのパーセンテージを作って、これ以上でなければならぬというようなことをおきめになることは、せっかく仏を作って魂入れずということになって、そういう特例地を特にこしらえたために、かえって恨みを持つ人間がたくさんできてくるということになるのであります。私は、財政的にいってもそんな大きな差異が出てくると思いませんから、そこは親心で、三十町歩、七日以上ときめた以上は、それ以上かれこれいろいろな条件をつけて、できるだけちびってやろうというような根性をお捨てになって、どうかそういうことによって喜んでおる災害地の人間を喜ばしてやっていただきたい、これが私のお願いであります。でありますから、どうかそういうパーセンテージ云々ということについては、お考えをお捨て願いたいと思う次第であります。
  31. 大坪保雄

    大坪委員 今名古屋市の問題が主でありますけれども、関連して尋ねさしていただきたいと思いますことは、今度の昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた公共土木施設等の災害復旧等に関する特別措置法、これはいわゆる激甚地指定ということがなされるようになっておるわけでありますが、府県市町村に分けてやられることになっておる。府県が激甚地として指定された場合はともかく、府県が激甚地として指定されなくとも、市町村個々についても激甚地と認めらるべきものがあるわけでございますね。そのうちに、従来は、政府当局からも私は話を聞いておりますが、長期湛水という条件で、それは七日以上の三十ヘクタール以上、この地域は、市町村については激甚地として指定して特例法を適用する、こういう話であったのであります。従来、そういうことで政府部内は統一された方針を持っておられたと私は思うのでありますが、それは変わっておりませんか。政令が制定されるにあたって従来言われておりましたような市村村の激甚地指定は、長期湛水ということを条件とする、それは三十ヘクタール以上の七日以上であったものが、激甚地指定としてこの特別措置法を適用するということに、方針は変わってないかどうか。少し最近変更されるような気配があるということを聞き及びますから、その点をお伺いいたします。
  32. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 お答えいたします。市町村区域におきましての長期湛水地域については、七日以上、三十ヘクタール以上という条件をもって指定するという方針においては、何ら変更はありません。
  33. 大坪保雄

    大坪委員 くどいようでございますが、ちょっと私はほかで聞き及んだことで、心配をいたしておることがあるものですから、もう一ぺん確かめておきたいと思います。  先刻申し上げました公共土木施設等の災害復旧等に関する特別措置法がございます。これの政令を定められる場合についてのことでありますが、ただいまの答弁で、その通りであるならば、従来の政府の方針として承っておったところと変わらないことになるから、安心いたすわけであります。それは当該市町村区域内において、長期七日以上の湛水地域が三十ヘクタールをこえる場合は、やはりいわゆる激甚地として市町村災害復旧事業費についてはこの特例法が適用される、こういう御答弁であったと拝聴いたしましたが、もう一度これは確めたいと思います。その点はよろしゅうございますね。
  34. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 御答弁の正確を期する意味において、担当主計官から御答弁をいたさせます。
  35. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 今政務次官から御答弁申し上げました通り、三十町歩以上、七日以上という認定でもってやることになるわけでございますが、当然この長期湛水地域というものをきめますにあたりまして、これは調査をいたしてきめることに相なるわけでございます。そこで、この長期湛水地域の基礎となります法律は、御承知の堆積土砂及び湛水の排除に関する特例措置法でございまして、これによりまして調査をいたしまして、そうしてその排水事業に対して補助をいたすということに決定いたしました地域というものを、この公共土木施設あるいはほかのものに援用いたすことにしたい、こういうふうになっております。
  36. 大坪保雄

    大坪委員 これは、私どもは非常に違うと思うのです。今私が読み上げた法律施行の政令なのですよ。それを今あなたは、その基礎になる堆積土砂及び湛水の排除に関する特別措置法で措置すべきであると仰せられたけれども、私ども従来政府の方針として伺っておったのは、そういうことでなしに、今後その市町村の行なう公共土木事業に対して国がこれだけの補助をするという規定を定めた。それは私が今読み上げた、公共土木施設等の災害復旧等に関する特別措置法の適用としてなさるべきことだと私どもは了解しておったのであります。そういうことで関係の知事も安心しておるし、関係市町村長も安心して帰っておるのです。それが一カ月もたたないうちに、政令の段階において、その基礎となる堆積土砂及び湛水の排除に関する特別措置法に定むるものによってきめるということになりますと、羊頭狗肉というのはこういうことだろうと思う。これは要するに、政府がだましたということになるのですよ。私どもはそういうように了解しておる。堆積土砂とか湛水の排除、そういうことに関係なしに、七日以上、三十ヘクタール以上の湛水であれば激甚地として指定するということであったのであります。そうして激甚地、それだけの大きな災害をこうむっておる市町村でありますから、その負担が相当過重になるから、その復旧土木事業市町村営でやる場合に、これだけの補助をするということを定められたもの、それを言われたものと私どもは了解しております。それを聞いて知事も安心し、市町村長も安心して国へ帰っておると思う。ところが、一カ月もたたないうちに政令によってこれが改変されるというのは、私はこれは国民を欺くことになると思う。特に政務次官にお残りを願ったのは、このことを申し上げたかったからであります。上信なくんば立たず、こんなうそをついたような政治にならぬように、政府当局においてもとくと御勘考を願わないと、私は了承できません。
  37. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 今回の特例法は二十数件ありまして、長期湛水という言葉が各法案に出ておるわけですが、長期湛水という言葉が、法案ごとに解釈が変わるということではいけませんので、そこで統一する意味において、いわゆる堆積土砂の排除法にいうところの長期湛水をもってしておるわけでありますが、その長期湛水というものは、七日以上、三十ヘクタール以上のものを長期湛水という、こういうことでありまして、それはどの法律、どの政令で言ってもその解釈は変わっておりません。
  38. 大坪保雄

    大坪委員 それは次官、もう少し二つ法律を見て下さい。私は今読み上げたでしょう。公共土木施設等の災害復旧等に関する特別措置法と、堆積土砂及び湛水の排除に関する特別措置法という法律があるのです。その前の法律については、公共土木事業府県でやる場合にはどの程度国庫補助がある、市町村事業でやる場合にはどの程度国庫補助があるということが、従来政府の方針として言われておった。それが、公共土木施設の復旧に関する特別措置法の適用をするのにあたって、堆積土砂及び湛水の排除に関する特別措置法できめた基準をもってするというようなことは、私はおかしいと思うのです。公共土木事業についても長期湛水というものがあるならば、それはそれで、やはり適用するようにしてもらわなければならない。堆積土砂と排水とは違うのです。長期湛水であっても、自然排水ということもあるでしょう。たとえば具体的に申し上げますと、私の県の佐賀県の有明地区はそうです。干拓地帯で非常に潮の干満の度が強いのです。でありますから、満潮時には六メートル五十も潮が満ちてきますけれども、干潮時にはそれだけ引くわけです。従って、非常な遠浅になるから、締め切りをすれば干潮時には自然排水ができるわけで、排水という特別の工事をやる必要はない。だからこういうものは入らぬということになる。しかしながら、三十ヘクタール以上、一カ月も湛水しておったことは事実であります。潮水が毎日二回出たり入ったりしていることは事実です。現地は潮によって非常に汚染されているのです。それのために、村においては村税の収入もほとんどないし、災害救助法も適用しているというような村であるが、村営としての土木事業は三百万くらいあるのです。それはときどきの災害をこうむるので、その災害復旧ためにも、年々一割二分か三分の工事費の負担をさせられておる。非常に財政困窮である。それがまたしてもこんな大きな、激甚な災害をこうむっておるのに、そういうものがのけられるということになる。法律が違うのですから、違う法律に対して、こっちの法律の基準をそっちに当てはめるというようなことでは、まかなえればいいけれども、現実にまかなえないのだから、それは私はいい処置ではないと思う。それをもって安心している国民に対して、政府はうそをついたということになる。そこを御勘考願いたいということを申し上げている。もう少し次官自身が法律をお読みになって、そうしてもう少し検討をして、間違いない政治になるようにやっていただかなければならぬと思う。
  39. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 この政令の案を作る経過におきましても、ずいぶん当委員会理事会などにおいて政府とお話し合いがありましたので、現在において、意見の食い違いというのは、起こるはずはないと私は思っておるのです。そこで今お尋ねの公共土木施設の災害復旧の特別措置法、これは御承知の通り、長期湛水は補完的な規定になっている。というのは、われわれ、今回の災害に対しては二十八年災害特例法と同等、あるいはそれ以上のものにしたい。特に高潮対策あるいは長期湛水という今回の災害の特殊の事情にかんがみて、昭和二十八年の特例法の上に、なおこういう特殊な事態に即応するような特例規定を作りたいということであります。そこでこの二十八年災の特例法でいきますと、公共土木災害復旧法はいわゆる九割の高率適用、しかしこれに対しては、あくまでも標準税収入に対する災害被害額が根本であった。しかし、これだけでは今度の長期湛水という特殊な事態には合わぬ、あるいは高潮対策に合わぬというので、これは補完的につけたのです。  そこでもう一つの土砂の排除法は、これは長期湛水のところへ特に適用する主たる法律であるから、この長期湛水なるものの意味というものは、やはり主たる意味を持った法律の方で規定して、その補完的な適用については、この長期湛水の方の堆積土砂排除法にきめられた規定を補完的に適用する。その両方の法律において、長期湛水というものの規定は何ら変わったものはないのでありまするから、政府としては最初の方針を変えておりません。
  40. 大坪保雄

    大坪委員 次官はよく事態を了承されておりませんよ。私が今説明した通りなのです。土砂排除及び湛水排除に関するというのは、今主計官説明された通り、たとえば湛水であれば、湛水を排除する排除費に対して国が補助するようなものを激甚地として取り扱う、こういう御説明なのです。私の今申し上げたのは、排除をする状態でなくても、長期湛水したこと自体被害が大きいじゃないか。登熟しかかった水田が何百町歩、何十町歩とつぶされておる。そういう地域をかかえ込んでおる市町村というのは、財政的に非常に困窮なんです。しかも、町村土木によって災害復旧をやらなければならぬものが少なくない。たとえば、先刻申し上げた私のところの福富村というのは、一村三百万円くらいの町村土木費があるのです。そういうものも見てやろうというのがこの公共土木施設等の復旧に関する特別措置法なんで、その場合でも、長期湛水というものを、二十八年災よりも新しく条件を加えたということは、そういうところも見てやろうという趣旨であったはずであります。それが片方の法律でそうでないから、それを適用されないということは、先刻小島君が言ったように、何かしら災害復旧に対する国の措置というものを、狭く狭くしようという特別の意図を持って削っているのじゃないかと邪推しても、それは仕方がないと思われるようなことになる。しかも県知事も安心して帰り、私どもも安心していた、町村長も安心して帰っているのです。それを一カ月もたたないうちに、そうじゃございませんでしたということになることは、これは政治の不信になるのです。それから先刻次官のお話しになった、委員会等で政府と話し合いをしたと仰せられましたけれども、御承知の通り私もこの委員会に所属させられましたが、小委員会のときに、農林水産の方が重要だと思ってそっちの方に参って、建設関係に参っておりませんでしたから、どういう話し合いがされたかわかりませんが、委員会が開かれたのはきのうときょうであります。そういう事柄は、われわれのところまではきておらぬのです。それが今政令という段階において、そういうことがすべて変改されて、もとの政府の約束といいましょうが、私は約束と言っていいと思う、政府の方針というもので安心しておる国民の安心が、一朝にしてくつがえるというような政治は、なさらぬでほしいということを申し上げたい。これは政務次官なり、大臣なりのところで御検討下さらないといかぬ。私はそれを強く申し上げて、そういうことでなければとても承服することはできません。非常に時間をよけいつぶしますから、もうおわかりになったと思いますが、十分御検討願いたい。
  41. 南條徳男

    南條委員長 お諮りいたします。この問題は大事なことでありますから、政府部内でもう少し意見を調整してもらって、後刻この委員会に報告してもらう。その場合に、大臣あるいは主計局長にでも来てもらうことにします。後刻大蔵省の意見を調整してから報告して下さい。場合によっては、大臣にも来てもらうかもしれません。
  42. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 なおよく検討いたしまして、後刻御答弁申し上げたいと思います。
  43. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 奥村さんの今の問題、これは自民党、社会党両党の理事会で了解事項になったはずだから、今委員の言われるようにやはりわれわれ解釈しておる点を、あとから大臣に声明してもらいたいと思います。  実はしろうとの意見でありますが、農林省に二、三の点についてちょっとお尋ねしたいと思うのです。それはあとから専門家の角屋君からもいろいろ詳しい質問があると思うのですが、私たちが心配しておりますのは、例の除塩の問題で決議案を出したわけなんです。実はこの問題についても、いずれあとでいろいろ伺うわけですが、今農村の一番困っておるのは田を刈る問題です。塩の田を刈る問題について、農民は、現在六十品も湛水しておりますから捨てられない、そうかといって、収穫がないので一つも田を刈れないという現状だから、何とか処置していただきたいということが問題になっておるわけでありますが、この点について、実は三田村委員からも決議案の問題について私も角屋君などには諮らずに簡単な了解でやったのですが、これは重要な問題でありますから、農林省の当局から、この除塩に関する稲刈りの問題をどういうように処置していただけるのか、この点を一つはっきりここで言明していただきたい。
  44. 清野保

    ○清野説明員 除塩の際に、そこにあります稲の刈り取りをしろ、こういう問題につきましては、再々当委員会におきまして農地局長からも答弁いたしました通り、現在あります稲を突っ込んでも事実上何ら支障がない、こういうことを検討の結果、除塩の際の稲の刈り取りに対しては除塩法を適用するというふうには考えておらない、かように現在も過去において申し上げましたように変わっておりません。
  45. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 おかしいな。この間の共同決議で、除塩の際の場合には、稲刈りの問題については特別な援助をする、特に参議院の風水害委員会でももっとはっきりしておるはずですが、その点はどういうようになっておるか。大蔵省の宮崎さんが来ておりますが、大蔵省の反対があってこれができないというような話になっておるのか、その点を、委員会の終わったあとで、理事会あたりで話していただこうと思うのですが、その点のはっきりした回答を与えていただきたいと思うのです。清野さん、どうですか。
  46. 清野保

    ○清野説明員 委員会の決議を尊重いたしまして、いろいろとこの被害の有無につきまして技術的に検討いたしました。しかしながら、特に刈らなければならないという技術的な見解に達しませんので、遺憾ながら除塩法の適用除外というふうにいたしておることにつきましては、先ほど申し上げた通りでございます。
  47. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 先ほど愛知県の農協事務局長の日下部君が来て、農林省の専門家あるいは地元の人は、やはりこの除塩をやるのにはどうしても稲を刈らなければいけない、こういう結論に達したから、除塩作業についてはぜひ稲を刈るように援助をしてもらいたいという、先ほどから参考人意見があったわけです。これは愛知県の場合、それから三重県の場合がありますが、現実的には収穫が皆無ですから、もう稲を刈る意思はほとんどないのです。しかし、一反三人区か四人区にしてくれればやろうじゃないか、こういう希望があるわけです。これは私はあとで問題にしようと思いますけれども、一体農林省がそういうことであれば、われわれの決議なんというものは全然無効だということになるから、こういう点について一つ清野さんの御意見を承りたいと思う。
  48. 清野保

    ○清野説明員 除塩法の附帯決議に対しましては十分尊重いたしまして、いろいろな角度から検討したのであります。つまり技術者を派遣する、親しく現地を調べるとか、あるいは農林省の専門家の振興局の研究企画官によってその問題について十分討議もし、検討いたしたのでございまして、今お示しになりましたように、附帯決議を無視するという意思は全然ございません。
  49. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 これは水かけ論になりますから、それ以上言いません。  もう一つは、救農土木の問題で、大体三億くらいの予算ではとうていだめだということで、どうしてもこの際補正予算——まだ予備金があるそうでありますが、そういう点についてはどういう配慮がされるのか。少なくとも現在、きょうの陳情にもたくさんありましたけれども、全然収入のないこの農家の立場から、救農土木をどんどんやれということになっておりますが、一体農林省は、この点にわずか三億円くらいの救農土木費で、しかもそれが三県で、岐阜県、愛知県では二億円くらいになるそうでありますが、これでやっていけるかどうか、この点をもう一度伺いたいと思います。
  50. 清野保

    ○清野説明員 救農土木事業につきましては、当委員会でも再々大臣その他から御説明申し上げました通り、その地帯における災害復旧事業によるところの労銀の獲得の機会、または土地改良その他の事業による労銀等を差し引きました残りのものに対して、必要な救農土木事業を行なうようにというふうに計算の結果、一戸当たり一万円程度の労銀が落ちるだろうということを想定いたしまして、三億円の国費を計上いたしました。これにつきまして不足であるとか、あるいはもう少し考えてもらいたいというような御意向のあることは十分承知いたしておりますが、一応今のところそれで間に合うのじゃないか。なお救農土木は三十四年度年度事業でございますので、三十五年度以降の被災農村の立ち直りを政府としまして考え意味におきまして、でき得るならば、財務当局と十分交渉の上で、興農土木事業の趣旨を考え、その付近の内水面干拓並びに区画整理事業を行ないまして、私有財産その他を失いました農民の立ち直りを現在企図いたしております。
  51. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 三十五年度は、救農土木に予算をどれくらい立てられる方針ですか。
  52. 清野保

    ○清野説明員 現在、三十五年度に行なおうとしております事業は、救農土木とは申してございません、興農土木と申しますが、いわゆる収穫皆無になり、家屋を失い、あるいは財産を失った農民が立ち直るために必要な土木事業——労銀も落ちるけれども、今後営農を立ち直らせる意味において必要な経営面積の拡大なり、あるいは営農努力を少なくする、こういう意味において内水面の干拓と区画整理等をそれぞれ明年度行なって参りたい、かように考えて予算を編成いたしましたが、その要求額あるいは今後の見通し等につきましては目下折衝を行ないつつありますので、極力これが目的を達成するように努力いたしたいと考えております。
  53. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ぜひその点も十分に勘案して、再建ができるようにお願いたしいと思います。  もう一点、農林省にお願いいたしたいのは、自作農創設維持資金のワクは相当拡大してもらったが、実際上手続がめんどうで、なかなかうまくいかないという非難があります。この点について、農林省の方はどういうように考えておられますか。
  54. 清野保

    ○清野説明員 自創資金の手続が非常に繁雑であって、実際の取り扱い上困っておるというような実情も聞いておりますが、できるだけ簡易化するように管理部——私、所管でございませんけれども、管理部方面で公庫方面と折衝しておるはずでございますが、私、詳細は存じません。以上をもって御説明といたします。
  55. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一点。建設省国道課長にお伺いいたしたのですが、名古屋から三重県に行く国道第一号線です。ドラムカン作戦をやってもらって非常に助かったわけですが、あのままにしておかれるのかどうか、この点が非常にはっきりしないので、土地の者は大へん心配して、どうしていいかということもわからないから、その本心を聞いてもらいたい、こういう意見があるのですが、あのままにしておいて舗装されるのか、あるいはあれを前のようにされるのか、どういう方針になっておるか、ちょっとお伺いいたしたい。
  56. 谷藤正三

    ○谷藤説明員 かさ上げの問題については、御承知と思いますけれども災害では現在道路のかさ上げができませんので、一部改築費を投入いたしまして、資材運搬のために一日も早くと思いましてかさ上げ工事をいたしましたが、最近水の引きましたあとで、かさ上げをそのまま続行いたしますと、改築費をさらに投入しなければならぬ結果となります。いろいろ検討いたしましたけれども、今度の災害に伴いまして避難場所もありませんし、どうしてもかさ上げのままで残してもらいたいというような地元の要望がありまして、現在のところ、私どもといたしましてはあのままかさ上げを残しておく、そうしてさらに、今の七メートルしかございませんものをもとの十一メートルまで拡幅いたしまして、現在の高さは残したままで舗装したい、こういうことで今検討を加えております。まだこまかい計算は出ており歩ませんが、一応残すつもりで検討しております。
  57. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 残していただいた方がいいと思いますが、一つ問題があるのです。残していただくと、御承知のようにひどいところは、一メートル半くらい自分のうちがちょうどまん中にかかってしまって、店の入口が低くなり、それで道路にかかるので、そういうことになってしまう。百軒くらい国道にかかるので、この人たちが補償金をもらいたいというのです。これは災害ために自分たちはこういうようになったのだ、商買もできない、店も全部改装しなければならぬから、そういうことも何とかしてもらいたいというのですが、地元ではおそらくそういう予算はない、こういうことを言われて非常に困っておるわけです。そういう点の配慮がしてもらえるかどうか、その点をもう一点お伺いいたしたい。
  58. 谷藤正三

    ○谷藤説明員 その問題につきましては、地元が非常に災害を受けて、家もほとんどこわされております。お気の毒にたえないと思う次第でございますけれども、先ほど申しましたように、道路のかさ上げ工事そのものが、一兆円のワクの中の改築費をさらに投入しなければならないという現状になっておりますので、本来ならば、あのかさ上げは全部とりまして、路肩の補修だけをいたしまして、舗装のこわれた部分を直していくのが、災害復旧という事業からいたしまして原則になるわけでございます。ところが、地元の要求でかさ上げを下げることは大体において不可能であるということもございますので、私たちとしましては、とにかくかさ上げは残したい。それからできるだけ民地の方には被害を与えないように、用地を取らないように擁壁などで高さを上げまして、そしてたんぼもつぶしたくない。ただ、あの付近にあります弥富地区が約五十何軒、蟹江から十四山のところで約二、三十軒、全部で百軒近くかかります。ところがその中で、実際に店を営んでおりますのは約七十軒近くございまして、あとは農家と一般住宅でございます。実はせんだって私も現地に参りましたが、特に現地で一番困るのは、弥富地区の一メートル四十上がりましたあの商店街でございますので、弥富地区の方々に集まっていただきまして、かさ上げするのはいたしますけれども、十分な補償は現在のところではできかねます、ただ、地元の方々は、下に下がったのでは困りますから家だけは上げてもらいたいという話がございますので、現在の一メートル四十の下に家を残しておくということは、これは店の営業上の問題もございますので、あれだけは何とか上げたいというつもりで、道路に沿いました家だけは道路の面までは上げるというふうな話し合いをいたしまして、帰って参りました。
  59. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 これは建設省のどういう局か知りませんが、もう一点お尋ねしたいのです。これは三重県にも名古屋にもあるのですが、今度堤防が切れて、みお筋になったところが、海部郡だけで六十五カ所かあるのです。ところが、みお筋になったところは水田ばかりでなく、住宅地もあるし、同時に自分の田畑が二町くらいも流れたところがあるわけです。こういうことについて補償がしてもらえるものかどうか。これは私たちもほんとうに困るので、実はあとで建設省から聞いて返事をすると言っておきましたが、こういうものに対して建設省は補償されるのか、あるいはそういうことは絶対できないかということについて、私たちがその人たちに返答ができるような理屈が何かあれば教えてもらいたい、こういうことを最後に一つお尋ねしたいと思います。
  60. 曽田忠

    ○曽田説明員 お答えします。なかなかむずかしい問題だと思いますが、そういうふうに、みおによりまして相当深掘れしておるという現状はあちらこちらにあると思います。このことにつきましては、一応これは、たとえば農地等の問題におきましてはいろいろ農業関係災害措置ですか、そういうことがあるかと思いますけれども、特に宅地等につきましては、今まで災害関係におきまして宅地等の災害助成というものは、実はないかと思っております。そういう意味におきまして、一般的には、特に災害ための補償というものは考えられないというふうに現在考えております。
  61. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そうすると、今まではそういうみお筋になった損害の補償をした例はないのですね。
  62. 曽田忠

    ○曽田説明員 実は私は聞いておりません。
  63. 江崎真澄

    ○江崎委員 ちょっと関連してお尋ねしますが、これは農林省にも関係があると思うのですけれども、原形復旧ということがしきりにいわれる。特に今度は改良復旧ということも大きく取り上げられてきたわけですが、たとえば海部郡現地の状況は、本来ならここにみおがあって、堤防があった。その海岸堤防をここで復旧するのがあたりまえだが、非常に困難である。みおが深い、湛水が長期にわたったということで、これを下げてとめるという場面があったわけですね。そうすると、これは原形復旧じゃないわけなんです。むしろ原形から後退した復旧という姿でしょう。それを何ら補償しないということでは筋が通らぬ。たとえば農地の場合ですと、内水面干拓、これは清野さんのところで強く取り上げておっていただくが、そういうもので土地造成が新たにできたものによって交換分合をするとか、あるいは新たにその土地を与えるとか、そういうことは当然行なわれなければならぬので、そういうものの補助率はまた別途考慮していくとか、新たな一つのケースが起こってこなければならぬと思うが、その辺はどうですか。農林省の方からでもいいですから、一つ見解を承りたいのです。
  64. 清野保

    ○清野説明員 みお筋の変更によりまして、もとありました農地がみお筋になった。これは農地の復旧事業として取り上げるのが当然と考えます。しかし、今お話しになりました堤防線の位置が極端に変更になりまして、農地が中に介在するというような場合は、もとの位置に堤防線を戻すか、あるいは経費の関係、いわゆる経済的にものを考えて、それを一部変更するというのは、その個々の場合によって査定官が現場で立ち会った上でやるのが至当と私は考えます。従いまして、もし堤防線の位置が極端に変わって、その中に農地等が入った、あるいは河川の堤防がかまどめによって動いたというような場合の補償は、従来はいたしておらないと思います。ただ、農地の復旧の場合には、それに伴って区画整理、いわゆる交換分合をいたしまして、極力農民の土地の変更が少ないようにしておるのが現状でございます。
  65. 江崎真澄

    ○江崎委員 これもぜひ一つ大きく取り上げてもらわなければならぬと思うことは、今度の海部郡地内の長期湛水地域というものは、非常に広範囲にわたっておって、御承知の通りに二十キロ以上奥まで湛水したのです。そのために、たとえば海岸線でない旧街道で締め切るということがあったことは、皆さん十分御存じだと思う。やかましかったあの締め切りの北部作戦のときに、二十キロも奥までの非常に大きな水が、締め切り個所がだんだん締められてくるに従って、潮の干満によって動いたわけですね。そのために、だんだん締め切りが最後の段階に入るに従って、みおはどんどん深くなって、とても人力をもってしては締め切れないというので、数十町歩を犠牲にして、あの十四山村亀ケ地というところで大きく後退して締め切った。これは有名な話だから、皆さんきっと御存じだろうと思う。そうすると、その数十町歩の減歩がそのまま何ら措置されないということでは、これは非常な不公平というより大悲惨事です。ですから、これは大きく取り上げていただかなければならぬと思う。大蔵省どうですか、宮崎君、一つ承りたいのですが……。
  66. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 大へんどうもむずかしい問題でございまして、私も実は、そういう場合にいかなる措置をとるのか、前例はあまり承知しておりません。しかしながら、ただいまの農林省の方のお話にもございましたように、これは災害復旧あるいは応急工事をいたすための緊急の措置として、やむを得ずやるというようなことであったようでありますから、その具体的適用については、結局これは研究されなければならぬ問題として取り上げられて参るかと存じます。それで、そういう場合において、これが現地でもって決定いたされまして、そして無理なく行なっておればけっこうだと思いますが、もし何か問題がありまして、予算的な問題として私どもの方に御相談があるようなことがございました場合には、十分実情も考えまして善処したい、こういうように考えております。
  67. 江崎真澄

    ○江崎委員 宮崎さん、それはお説の通りだと思うのです。そこでわれわれも現地の方と十分連絡して遺憾なきを期したい、こう思っておりますが、ぜひその点は一つ留意してもらいたいと思います。それからまた、農林省では清野部長のところでかねて了解をしておっていただく内水面干拓とにらみ合わせて、そういう極端な減歩等については交換分合をしてもらうというような措置も、その考慮の中へ入れていただきたい。なおまた具体的な問題については、今後建設、農林、大蔵三省間において十分お打ち合わせをいただきまして、結論的なものが出ましたら、ぜひ一つ委員会で御報告願いたいと思います。
  68. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 実は今江崎君からも関連質問がありましたが、私たちも、一カ所くらいならがまんしておれと言えるのですけれども、今言われたように相当広範囲にわたって、おそらく三重県あたりにもあるのではないかと思いますが、農地の跡が池になってしまって、二町歩も三町歩もだめになったところがある。そこでちょうど自衛隊がおるので吹き上げてもらいたいと言っても、なかなかそういうところまではやってくれない。そんなことになっておるわけです。そこで江崎君の言うように区域が相当広い。おそらくあしたあたりは水が引くと思うのです。まだ水につかっている南部方面も、十日までにはだいぶ引いてしまう。まだ文句は出ておりませんけれども、弥富地区から十四山地区は、そういうところが相当出ております。私は簡単な返事しかできず、農林省、大蔵省、建設省によく聞いてから返事をすると言っておりますが、わずかな犠牲ならがまんしろと言えますけれども、相当たくさんの被害者があるわけなんです。ぜひ一つ、何とかある程度まで補償を考えていただくように善処をお願いいたしまして、私の質疑はこれで終わります。
  69. 南條徳男

  70. 三田村武夫

    ○三田村委員 冒頭に委員長に一言申し上げておきたいのですが、御承知のように、当委員会災害対策に対する特例法の二十七件はすでに議了いたしました。予算も特例法も両院を通過し、成立したのであります。実は昨日ときょうの二日にわたって、災害地の知事もしくは市町村長、自治体の責任者あるいは関係団体の責任者等々に当委員会に来てもらって、いろいろ実情を伺ったのでございますが、どの参考人も、冒頭には、大へん御心配をいただいてありがとうございました、感謝いたします、こう言います。しかしながら、内容に入っていくと、ほとんど不平、不満をぶちまけていきました。それは全部速記録に載っております。われわれは国権の最高機関たるこの国会で法律案を審議し、予算を通した。これはただ一に災害地対策ためにやったものでありますが、その予算も成立し、法律も成立した後において、その法律、予算の適用を受ける現地の人々から昨日ときょう、中には憤りに満ちた意見も述べられたのでございます。はなはだ私たちは遺憾千万と思うのであります。従いまして、きょうここに委員会を開くことになった次第であります。委員長も十分その点をお考えいただきたいと思います。予算と法律施行するのはこれからでありますから、そのために、昨日、きょう災害現地の責任者の意見を聞いたのでありまして、遺憾のないようにその実行を期したいというのがこの委員会の趣旨であります。そういう建前から、私は少しばかりお尋ねしておきたいのでございます。昨日、きょう二日間聞いておりますと、各責任者がどうしてこういうことを言われるかと思うくらい、多くの疑問を残しておられます。先ほど大坪君も言われましたが、初めの出だしと途中から行なわれました諸政策、多少の食い違いがあったかもしれませんし、同時に、いろいろな意見が方々で流されておる。私はよく初めに言ったことですが、端的な言い方をすると、落ちるか落ちないかわからぬ手形を最初に出しちゃった。その手形は、実に御丁寧にも一個人の足元まですでに行ってしまった。それを完全に落とすことはなかなか不可能でありますが、しかしながら、十分理解と納得をさしていきませんと国会に対する権威も失われて参りますし、またせっかくの予算措置、立法措置も、何か不信の対象になることを私はおそれる。そういう意味から——私はあまりむずかしい質問をいたしません。ただ具体的な問題について、この点はどうだ、この点はどうだということを少しばかりお尋ねいたしておきたいと思います。ほんとうは私は、大蔵省の主税局長にも出てもらって、実際の予算の運用、それから法律の適用、何と申しましても中心は政令でありますから、政令のこれからのきめ方についても十分意見の交換をいたしたいと思うのでございますが、自治庁が先に来ておられますから、具体的な問題を自治庁から伺っておきます。  地方自治体に参りますと、今度の国会で成立いたしました小災害等に関する起債特例の法律、これは非常に重要な関係であるのであります。この法律は、御承知の通り、二つの建前であります。これは歳入欠陥の補てん、いま一つは、公共土木の小災害に対する手当、あるいは農地等の小災害に対する手当、これに対する元利補給付の起債を認める特例でありますが、だんだん法律ができまして現地の人々がいろいろ心配いたしますことは、一体おれの方の町、おれの方の村にこの法律は適用されるであろうかということなんであります。これは大きな国庫負担によって手当のできない小災害に対する手当でありますから、非常に零細でありますが、非常に効果は大であります。従って、その起債が認められるかどうかということは非常に重要な問題でありますが、これは自治庁、どうでしょうか、元利補給付の特例起債、たとえば公共土木について高率国庫補助の適用される地域、いわゆる激甚地、それから農地、農業災害について高率補助が適用される地域、いわゆる激甚地、学校災害については、その学校の復旧事業費に対していわゆる百分の十の比率でその適用をされる地域、こういうところにこの起債というものは認められるのでしょうが、この点をまず具体的に伺っておきます。
  71. 丹羽喬四郎

    丹羽政府委員 ただいまの三田村委員の御質問でございますが、被災団体の御心配は当然でございまして、私どもといたしましては、できるだけ御趣旨に沿いまして被災団体の気持になりまして折衝さしていただきたい、こう思っておる次第でございます。具体的のただいまの御質問でございますけれども、今御質問のいわゆる激甚地につきましては、御意見の通り元利補給と申しますか、第三条の農地あるいは農業施設につきましては全額元利補給、それからまた公共施設、学校施設につきましては、交付税の算定と合わせまして九十何%の元利補給と申しますかを出すことになっております。これは、あるいは農林、あるいは建設、あるいは文部その他の方面でそれぞれおきめになりました激甚地につきましては、ことごとくこれを適用いたすことといたしております。
  72. 三田村武夫

    ○三田村委員 私、その通りだと思います。そこで問題が出てくるのは、公共土木の激甚地として指定を受けなかったところ、農地、農業用災害としての指定を受けなかったところ、学校災害としての指定を受けなかったところ、そういうところの小災害、つまり非常に大きな被害はなかったが、小さく拾って歩かなきゃならぬような被害が、風や水で一ぱいあるところがあるのです。本来から言うと、そういうところの小さな災害こそ、町村の責任で全部手当しなければいけないのです。激甚地には指定されておりませんが、手当をしなければいけないので、ほんとうは、趣旨から言うと、この起債特例の恩典に浴させていただきたいのです。ところが、法律と政令の建前からいきますと、私の解釈の通りに、政務次官の御答弁の通り公共土木については公共土木施行地域、適用地域として指定された町村、農地、農業用についてはその指定された町村あるいは地域、学校についてその指定された、つまり政令の基準に当てはまる地域、こうなる。それ以外のところは、小災害は認められぬということになるのです。そこに私、一つ問題があると思う。小災害に対する起債特例ができたから、全部どの町村にもくるとみんな思っておる。ところが、読んでみると——読んでみるんではなくて、実際の法の建前からすると、今私が申し上げた通り、今政務次官が御答弁になりました通りになるのです。これがいいか悪いかは別ですが、その点をはっきりしておきませんと地方自治体が迷いますから、ここで私ははっきり確認をしておきたいのであります。  それからもう一つ、これはもちろんこの特例法の適用は受けませんが、そのほかの起債は認めていただけます。これは一般の手続に従って認めていただけます。われわれがここで論議の対象にするのは、この委員会でやったことは全部災害地に対する特例措置なんです。一般法の立場を離れた特例措置でありますから、この特例措置、いわば恩恵が、どのような条件で、どのような地域に持っていかれるかということが問題なんです。その点をはっきりしておきたいのです。  それからここにいう六六・七%元利補給、それから二八・五%普通交付税で手当をする、合計九五・二%、これは被害激甚地の地方公共団体については、とにかくこういういろいろな手段方法で手当ができる。つまり国からの手当ができるわけであります。これはやはりあくまでも、今私が申しました被害激甚の地域、地方団体についての手当でございますね。
  73. 丹羽喬四郎

    丹羽政府委員 ただいま三田村委員からの御指摘の通りでございます。先般来御議決をいただきました特例法によりましても、被害激甚地につきましては、公共事業あるいは文教施設につきましてはその災害復旧費の起債に対しまして九五・二%ですか、それから農地あるいは農林災害につきましては一〇〇%元利補給をするということになっております。ただ、今の御質問で御懸念がございましたけれども災害復旧につきましては、地方財政法の第五条に認められております通りに起債の対象になりまして、できるだけ起債をつけたいと思っておる次第でございます。ただし、その場合におきましても、いわゆる補給の点につきましては、交付税法によりまして二八・五%だけは財政基準の算定に加えますと、事実上は、約三割は補給金を出すと同じことになるわけであります。また、激甚地には至りませんけれども、私どものいわゆる一般の政令の定めるものというものは、それより地域を広くいたしまして、当該団体標準税収入より、公共施設あるいは文教施設あるいは農地の災害の分、直轄事業あるいは補助事業被害額が上回った地域につきましては、先ほど三田村委員が御指摘になりました、ここにございます元利補助といたしまして三八%、それから交付税の算定基準によりまして二八・五%、合計いたしまして六割六分五厘の元利補給をすることになっておりまして、これによりまして幾分そういう方面で、被害は僅少ではあるけれども、気の毒な地域につきましては救うという規定もここにございますので、その点におきましてできるだけ救って参りたい、こういうふうに考えております。
  74. 三田村武夫

    ○三田村委員 時間の関係で繰り返しませんが、それはその通りなんです。しかし、今政務次官のおっしゃった通り、直轄事業、県工事、市町村工事、それがその市町村の標準税収と同額以上というもの、これはもうすでに激甚地として指定されるのでして、これは大体別の公共土木なら公共土木として、公共土木被害としての激甚地に当てはまるのですが、それが百分の百になれば、標準税収から……。そうでしょう。
  75. 丹羽喬四郎

    丹羽政府委員 そこがちょっと違うのです。
  76. 三田村武夫

    ○三田村委員 それではあとにします。時間の関係で、あなたの力の質問はそれにして、次に移っていきます。自治庁の方の、今のあなたの説明はそのまま伺っておきます。私の言った、これから具体的に公共土木の激甚地として指定される地域は、建設大臣が指定して参ります。それから農地、農業用土木の激甚地として高率補助を適用するということは、農林大臣が公示で指定してきます。それ以外のところでも、今あなたの御説明のところにはこの特例起債を認めるということは、それはその通りで、私も了承しております。それは了承いたしましたから、話は次にいきます。先ほど奥村政務次官は、二十八災よりもより厚い手当をしたのだ、それからより合理的で進歩的な手当をしたのだ、こう言っておられます。大蔵省からはしばしばそういう説明を聞きましたが、実際第一線の人は、ことごとく口をそろえて、だまされたと言っておる。二十八災のとき以上の手当をするのだ、政府の責任者ことごとくそう言明をされました。しかし、現在われわれの手元にきておるものは、みんなそうじゃありませんといっておる。そうじゃないのですよ。だからそういうことを言葉の上で言われない方がいい。大坪君の御意見じゃありませんが、つまり政治に対して一番重要なものは信用なんだ。財政上の都合とか、あるいは現在の日本の地方財政あるいは国の財政の観点から、ないしは将来の計画から、二十八災とはこういう違った点があるのだということを、はっきりおっしゃった方がいいのです。二十八災以上のことをやったと言ったって、それはもう通りません。なぜ通らないか、これは大蔵省もはっきりお認めだろうと思うのですが、二十八災のときは、今度の激甚地指定とやり方が違う。府県府県市町村市町村で、被害程度に応じて段階をつけて地域指定をやった。しかも、地域指定高率補助の対象とする条件は、二十八災のときより——私はここに全部法律を持っておりますが、今度の公共土木復旧事業に対する激甚地指定ワクが違うのです。このときはもっと条件がよかった。つまり第一は、公共土木河川、海岸、砂防施設、林地荒廃防止施設、道路、港湾、これはいわゆる公共土木施設、それから二として、高潮対策の施設、三として、公営住宅復旧費、四として、公立文教施設の復旧費、五として、堆積土砂の排除の費用、六として、農地、農業用施設復旧費、この六つがプラスされて、これが分子になっている。分母はその県なら県、その市町村なら市町村の標準税収だ、そうだったでしょう。はっきり法律に書いてある。そうなんです。ところが今度は別々にして、このときもこういう地域指定ワクにはこういうものを入れましたが、農地及び農業用施設については別にしました。二十八災のときにも別にしたのです。あのときは一戸当たり三万円、今度は五万円で別にしました。これは一本筋が通っているからいいとして、今度はこれを混合方式というものをとってきた。そうしますと、これは分子をこれだけ落としただけでなくて、分母もどえらいことふえてくる。なぜかならば、この前は県なら県の標準税収でいった、市町村なら市町村の標準税収でいった。私はこれをここではっきり申し上げておきませんと、きのう、きょうここでたたきつけられたような意見災害地一ぱいに充満しておりますから、それを解消するために私は申し上げるのだけれども、これははっきり割り切っていただきたい。それはそうだ、こうだということを言ってもらいたいのですが、たとえば私は、自分の手元にある岐阜県の数字をとってみたのです。岐阜県の標準税収を見ると、県の標準税収は二十八億三百三十五万円、市町村の標準税収は四十四億九千七百二十八万八千円、両方合わせると七十三億六十三万八千円、これが分母になるのです。そうして分子になる方は、直轄事業費は、大体災害のケースを拾ってみると八億五千三百五十四万四千円、県工費は四十四億九千四百四十一万七千円、市町村事業費というものはわずか四億八千二百六十三万六千円しかありません。全体のトータルが五十八億三千五十九万七千円、つまりこれを災害激甚地、つまりどういう地域に災害がひどかったかということを測定する計算の基準といたしますと、二十八災のときであれば、かりに県工事だけを取り上げて、県の事業費だけ取り上げていっても四十四億九千万、約五十億、それから県の標準税収が二十八億ですから、二十八億を分母にして五十億を分子にする。ところが混合方式でいきますと、七十三億を分母にして、五十八億を分子にする。ですから、全体の比率はぐんと落ちるのです。私は落とす必要があればそれで了承いたします。それなら二十八災と同  一以上の手当をしたということは、おっしゃらない方がいい。なぜ私がそれを言うかというと、公共土木国庫負担については、公共災害事業国庫負担などは一般法がある。一般法に、ちゃんとどのような災害のあった場合には、どれだけ国庫負担するかということがきちんと書いてある。標準税収の半分、つまり二分の一まではどれだけ——三分の二でしたか、それから二分の一をこえ、その標準税収の倍になるものは四分の三、二倍以上のものは四分の四とちゃんと書いてある。十割と書してある。なぜこういう規定を作ったかというと、災害の際に、災害復旧ため地方負担が重いから、国でそれを助成してやろうということが国庫負担法の建前で、これが原本であって、これが一般法で、この一般法の特例法だ。今度は災害が激甚だから一般法では間に合わぬから、さらに特別の高い補助で手当をしてやろうというのが特例法でしょう。これは法律の原則です。私は冒頭に一ぺん法律論をやろうと思ったが、ついにきょうまできてしまいました。特例法ですから、ここに私は、非常に割り切っておかなければならぬ重要な問題があると思う。特例法であるならば、一般法で手当の足りないもの、言いかえますと、一般法では足りないから特別な手当をするんだという趣旨をゆがめてはいけない。行政の便宜上とか、財政上の制約でゆがめてはいけない。ゆがめるなら、ゆがめるように法律の書き方を変えなければいけないし、政令の書き方を変えなければいけない。これは法律の原則です。われわれは政令の内容をどうかこうか言いますが、本来私たちは言いながら、内心大いに反省すべきものがある。立法府と行政府は別です。われわれはこういう政令はけしからぬじゃないか、いいじゃないか、これが一般の国会の国政調査権ではありますが、しかしながら、こういう政令を書けとか、こういう政令を作れということは行政権の侵害で、本来立法府の責任ではありません。     〔委員長退席、前尾委員長代理着席〕 同時に、高率補助をやるならば、その高率補助はどういう条件でどういう地域に適用するかということは、本来立法事項、法律事項なんだ。本来法律事項でありますが、二十八災のときには、全部議員立法でやった。議員立法でやったが、みずから作って、法律ですから、この法律についている法律の必要な事項は、これこれの条件で政府でやってくれというので、行政委任をやった。これが政令です。今度は全部政府提案であります。二十八災のときの経験があるから、法案も予算も政府でやりますとおっしゃるから、その通り、政府で提案してもらった。しかも、それでその前提は、きのうもここで議論したように、二十八災を基準にして下回らない、足りない点はこれで手当をする。たとえば改良復旧とか関連復旧とか、そういうことについては、新しくこれにプラスしていくという方針で出発したものでありますから、少なくともこの一般法、つまり基本法と特例法の建前というものを曲げてはいかぬ。私は、これからの法律施行にあたって、今ここで申し上げたことは、しっかり政府全体としても御記憶願いたいと思う。そうしませんと、あとで問題になる。私たちも立法府の一員であります。立法府、国会の権威にかけて、この委員会の速記録を見て、後世に恥を残したくない。この点は一つはっきり申し上げておきます。  そこでこれも私はやってみた。やってみると、どえらい違いになります。どえらい違いになりますが、これはここでは申しません。きちっと計算して、きちっと出てくる。これはむずかしいことではありません。架空の数字で按分するのではないから、はっきり出てくる。県の標準税収は県で持っております。自治庁にもあります。自治庁の数字もとってみました。これはちゃんと県の標準税収、自治体の市町村の標準税収はきちんと出てくる。これはこれくらい数字が違うぞということは、ここにちゃんとゆうべ一晩かかって計算してきちっと数字がございますが、これはやめます。  さてここで、私は大蔵省と、特に建設省にお伺いしたい。先ほども申しましたように、農林省は、農地及び農業用災害五万円を計算の基礎にして、これは大体架空の数字で按分する必要はありませんから無難にいきますが、いわゆる混合方式市町村を単位に、市町村の標準税収とその市町村の地域に該当する県の標準税収、第一、市町村の標準税収ははっきいたしますが、県の標準税収だけはあくまでも仮定の数字です。これは分母になるものですよ。それから今度は分子になる災実費、その市町村災害復旧費、いわゆる公共土木事業費ははっきり出ます。しかし、その市町村の上に乗っかってくる県の行なう災害復旧費、これまたあくまでも仮定の数字なんです。その上にもっと大きな仮定の数字は、私は直轄工事だと思う。これはどうやって算出されるか、私は一つ知恵のあるお役所の人の御意見を伺いたい。どうやって算出するのか。たとえば建設省直轄の一番大きいのは川です、橋、港湾です。川というのは、本来長いものですよ。池じゃない。川は山から海までつながっておるのですが、この川にずっと連なってくる建設省直轄工事、その災害復旧費を、当然その川一本につながっておる関係町村にどういうふうにお割りになるか、これは大蔵省と建設省と両方に伺いたいんですが、どういうふうにお割りになるか。たとえて私は申し上げます。河川を中心とした災害というものは、おおむね数カ町村に加わります。一番端的な例は堤防の決壊、地図をもって示すまでもなく、大がい堤防の決壊は川の上流、伊勢湾に入ってから堤防は切れませんよ。上です。上で切れますと、切れた個所の町村は、その決壊個所の事業費、国直轄の事業費はうんと大きいです。ところが、その切れた個所の町村の被害は案外少ない。なぜかならば、水は下へどっと流れてしまう。その水で荒らされて土砂を流入され、あるいはさっきから問題になっておる、一週間も二十日間も一カ月も湛水させられ、道路も荒らされる、家も荒らされる。そういう激甚な被害を受けるものはむしろ下流です。ところがその工事費をどういうように割り振るか、私はどうやってもわからない。堤防の切れた個所の町村には、その国の直轄事業は非常に大きいですから、その町村の実際の被害、県の仕事も町村の仕事もなくたって、国の直轄事業だから工事費でかぶさってくる。事業費でそれは激甚地になります。その下の水で荒らされた町村は、特に町村の税収入が多い、たとえば大きな工場が一つある、たとえば非常に従来経済の豊かな地域であった——直接この頭に乗っかってくる事業費というものはありませんから、つまり分子が足りないから基準に入ってきませんよ。こういう問題が出てくる。私はここで特に言いたいことは、とにかく激甚地として指定されることは、法律上の権利の設定であると同時に、また不利益の条件の設定でもある。高率補助の適用を受けることは、住民一般について非常に利益です。同時に、適用をはずされることは、その関係住民全体にとって非常に不利益です。しかして不利益の法律的条件、権利の設定を、架空の按分された数字でそれを基礎に置かれるならば、私は非常に重要な問題が残るのではないかということを申し上げたい。ここで言うべき問題であるかどうかわかりませんが、私がもし関係町村の住民であるならば、あるいは行政訴訟をやるかわからぬ。何を基礎にしてこの地域指定をやったか、こういう問題が出てくるので、一つ大蔵省、建設省、どういう算定方式で、どういう計算でこの分子を積み上げられましたか。国の直轄工事、県工事、市町村工事、その地域に該当する分子、つまり工事費というものの集計をどうやって計算されるか、それから町村の標準税収、はっきりわかりますが、その町村の上にあるべき県の標準税収をどういうふうに算定されるか。これはきのう、きょう、みんなどの自治体の責任者も非常に大きな疑問を持った点でありますから、自治体の責任者が疑問を持つのではなくて、当然当委員会で明らかにしておく必要のある問題でありますから私はお尋ねするのです。一つわかりやすく御説明願いたいと思う。
  77. 大沢雄一

    ○大沢(雄)政府委員 ただいま三田村先生の御意見でございますが、基本的な考えといたしまして、政治は国民の信頼を基本としなければならない、政令は本来法律事項であるので、従って、法律の趣旨を曲げてはならないという点につきまして、全く同感に存じておる次第でございます。私どもも政令の制定また法律、政令の施行にあたりましては、心いたしまして、御趣旨に沿いまして運用しなければならないと心得ておる次第でございます。  さて、お尋ねの件でございますが、このたび初めて混合方式というものを採用いたしました。混合方式の内容につきましては、いろいろただいま御指摘に相なりましたように、市町村区域内における県の標準税収の算定と申しますか、分割の問題、あるいは直轄工事費の分割の問題、いろいろと新しい、今までなかった、御指摘のようにいわば急場の要請に応ずるための仮定的なものがここに出て参りましたので、いろいろと問題になりますことは全く御指摘の通りだと思うのでございます。しかしながら、速急にこの混合方式をとりまして算定をして参りますためには、現在のところ、かような方式で考えていくほかに方法はないという観点から、こういう方式がきめられて進んでおりますと承知をしております。この具体的な算定の仕方についてでございますが、標準税収につきましては、建設省といたしましては、何としてもこれは自治庁からその基本的な数字を求め、その意見を重要な参考にして、分割をして参るほかはないと考えておる次第でございます。直接建設省関係でございます直轄工事費の算定でございますが、これにつきましても、ただいま御指摘の通り非常にむずかしい問題がございます。特に事務費のごときをどういうふうに関係町村に配分するかというような点は、確かに、ただいま御提起になりました通りの非常にむずかしい問題がございます。これにつきましては、事務当局の方から一つ建設省としての考え方を御説明させたいと存じますので、御了承願っておきたいと思います。
  78. 曽田忠

    ○曽田説明員 お答えいたします。ただいま政務次官から大体の考え方をお話し申し上げたわけでございますが、根本の考え方といたしまして、本年の災害は特に深度が深かったわけであります。従いまして、必ずしも本年度標準税収入額との対比におきまして、被害の激甚度を推定するというのみでは不足であるというような考え方をもちまして、たとえば二十八年災には考えられておりませんでした長期湛水区域というものを指定する、それで長期湛水区域といいますものは結局県の一部の区域になっておりますが、そういうふうに被害の深度というものを考えますと、おのずから区域が客観的に見られるところにしぼられてくるのじゃないかというのが前提でございます。  また計算の方法でございますが、標準税収入につきましては、実は実際に各市町村ごとの府県税の収入額というものがわかりますれば、それを基礎にいたしまして按分するということも考えられるわけでございますけれども、現在におきまして、いろいろ、たとえば法人税等におきましては、個々の市町村で具体的に幾らになるかということは、これも一つのある形式に基づきます按分をすれば出るわけでございますけれども、その実際の数字は出ないというような状況もございまして、一番客観的に簡単にわかる方法といたしまして、県の標準税収入額を当該市町村標準税収入額と、それからその県内の全体の市町村標準税収入額とに按分いたしまして、当該市町村標準税収入額を出すというふうな考え方でございます。  それからもう一つの分子の問題でございますが、これはお尋ねのようにいろいろな問題がございます。たとえば、原則といたしまして、市町村区域内の県工事あるいは直轄工事を算定するわけでございますが、この県工事あるいは直轄工事にいたしましても、これは個々の災害の個所ごとに積み上げて設計をいたすわけでございまして、たといその区域が広範にわたっておるといたしましても、個々の個所ごとに全部設計は違ってくるわけでございます。従いまして、当該市町村区域内の直轄の工事費といいますものも、その個々の設計によりましておのずから出てくるわけでございます。ただし、ちょっと先ほども政務次官が申されましたが、これに要します事務費につきましては、これは実は個々のものを出すということはできないわけでございまして、この事務費につきましては、たとえば直轄の工事事務所単位に申し上げますと、工事事務所単位の全体の事務費をその当該の個所ごとに按分して算出する、そういう方法で具体的な工事費と事務費を算定する方法もあるかと考えております。
  79. 三田村武夫

    ○三田村委員 御苦心のほどはわかりますが、これは建設大臣が最終的にはその地域指定をされるのです。そこでこれは私自身も心配をするのですが、あくまでも仮定の数字なんですよ。分母の中のその市町村の標準税収だけは的確です。ところが、それにプラスされてくる県の税収というものは、あくまでもこれは仮定の数字なんです。按分すると言われますが、私はここで法律論をやるわけではないけれども、実際は便宜主義ですよ。その権利義務の関係を規定する根拠になるものを、仮定の按分で出していいでしょうか。たとえば岐阜県には電気もたくさんきておりますし、電車もきておりますが、その電力会社の本社は名古屋です、それから軌道会社の本社も名古屋です。そうするとそういうものは、ひとり中部電力や名鉄本社だけではなくて、東京に本社を持ったものもありましょうし、そういったものを、その市町村の中から出てくるであろう標準税収というものは、これは神様ならわかるかもしれぬけれども、幾ら頭のいい人でも、これで正確だ、これでどこの裁判所に行っても間違いがないということは、私はむずかしいのではないかと思う。これは大蔵省の宮崎さんも来ておられますからお尋ねするのですが、私はここで決して意地悪な質問をするわけではない、それは一つ誤解をしないようにしてもらいたいのです。これはきっとこれからも実際運用し、適用する場合に起こってくる問題であります。しかもきのう、きょう、この委員会で出た問題でありますから、この委員会で明らかにしておく必要がある。その責任感に立って私は申し上げる。これは一つ誤解のないようにその点は割り切っていただきたいのですが、今の、たとえば分子になる県工事でも、一応町村工事との関連はありますが、このごろはほとんど町村独自の工事よりも県工事の力が多いんですよ。県道、これはどこの県に行っても至るところ非常に整備されてきておりますが、大がいは大きな川に橋がかかっておる。岐阜県は、御承知の木曽、揖斐、長良の三つの川がありまして、価数に橋があります。その橋がたくさん落ちております。これはおそらく岐阜県だけではありませんが、橋は大てい両端が別の町村につながっている。その左端は甲の市または町村、右端は乙の市または町村、この甲と乙とでは、ことに川を中心にした周辺では、被害程度に雲泥の差があることがあります。橋の半分は被害激甚地で高率補助、橋の半分は激甚地ならざる低率補助、こういうことになる。そうすると、その橋の工事費というものをどういうふうにして割られるか。二つに割って半分はこっち半分はこっち、半分に切ってこっちへ持っていったおかげでここは激甚地でなくなった、こっちの町につけてくれれば、この橋がまるごと激甚地に指定されたんだがという問題は必ず出てくる。そういう問題は、これから建設省で作業をおやりになるのですから、私は心配をして建設省の事務次官まで聞きに行った。これはどういうふうにしますか、われわれ与党であるとか、野党であるとかという立場だけでなくて、すでに法律も予算も成立してしまった今日、地方に行くと実際にいろいろな疑点があり、疑問があり、不安もあるんだ、この問題を、せっかく予算補正をやり、特例法を作って災害地から恨みを買うような——恨みを買うということは金銭的な多寡じゃないんですよ、どうしてこういうインチキをやったのだという声は、はかり知れない政治に対する不信の種になる、そういうことを作りたくないから、心配してこの間行ったのですが、建設省当局も非常に苦慮されておることはわかります。自治庁も、建設省の要求で、今政務次官がおっしゃったように、各府県から、自治庁の責任で県の標準税収を各町村に割り当てて自治庁から建設省に持ってこいといわれたら、もし自治庁がここにおられたら私はそれに聞くのですが、自治庁はどうやられるか。自治庁が、たとえば岐阜県なら岐阜県の百九の町村に岐阜県の標準税収を割って、この市の標準税収はこれだけだ、この村の標準税収はこれだけだということを、自治庁がきちんと算定をして建設省にお持ちになったら、これは私一つお目にかかろうと思う。それならまることの愛知県の標準税収入はこれだけだ、愛知県の各市町村標準税収入はこれだけだ、これで建設省指定の基準を作って、その上に分子を乗っけて計算して地域指定をやってくれ、こういうことになると、今度は建設省の方はどうされるか。私は実はそれを心配するのですが、どうです、宮崎主計官、すっきりこれを一つ——もともとこういう非常に進歩的というか、超近代的な方式を作られたのは大蔵省だから、その大蔵省の頭のいいところで、一つわかりやすいように、納得のいくように御説明を願いたいと思うのです。
  80. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 御質問の過程におきまして、大へん詳細に、かつ研究的なお話、御意見がございまして、私も聞いておりましてまことにごもっともな点が多いと思いまして、拝聴しておった次第であります。ただいま三田村先生の御意見の要旨は、結局において、今回の混合方式と称する激甚地指定の方式が、一体根本において、こういうことをやることが適当であったかどうかということころに、まず発しておったものと思います。最初に御指摘がございましたように、現在公共土木施設国庫負担法の対象になっております国庫負担率の算定の対象は、これは事業を実施いたします当該団体税収入当該団体事業費というものを比較して、国庫負担率をきめて参る、つまり財政力の判断の要素でもって国庫負担をきめていく、こういう形になっておるわけでございます。で、その形をそのまま存して、特例法において、これをたとえば一段上げるとか、あるいは何割増しにするというようなやり方が合理的ではないかという御意見も、これはことに意見といたしましては、理論的に十分に成り立つものであると私ども考えております。むしろ大蔵省の立場といたしますれば、そういった財政力を非常に重く見るというのが通常の立場でございます。ただ、今回の災害にあたりまして、先ほど河川局の次長の方からもお話がございましたように、結局災害の実態というものが、県の内部において非常に大きな相違がある。その深度が違う。そこで実際に被害が激甚であるということを、常識的にと申しますか、客観的に判断をいたします指数として、単にその事業を実施する団体の財政力のみをもって判断することは適当でないのじゃないか、こういう御意見が非常に強かったわけでございます。そこで、方法といたしましては、もちろん反則は県の財政力、それから事業というものを基本にいたしまして、特例法の適用の大原則である、たとえば公共土木施設でありますと、標準税収入と、それから災害復旧事業費とを比較しまして、〇・五倍以上という、その比較をとるところに使ったわけでございますけれども、実際に特例法を具体的に適用いたします地域につきましては、ただいま申し上げましたようなその県の中における災害の深度というものを判断していこう、こういう考え方になったわけでございます。そこで、この県内の一部地域指定という場合におきまして、ではどういう方法があるか。そこで第一に出て参りますのは、これはやはり本則である税収入というものと災害復旧事業費の比較でやっていくということでございますが、この場合において、結局県内の一部地域ということになりますれば、市町村の地域をとることが当然であろと思うのであります。そこで、その市町村の地域につきまして災害の深度をはかる、こういう場合におきまして、たとえば市町村災害復旧事業費と市町村標準税収入のみをもって災害の深度をはかるということも、これはあり得るわけでございます。しかしながら、一つ市町村の地域をとって災害の大きさということを見ます場合には、ただいまの三田村先生の御意見にございましたように、災害は、県工事というものが相当大きゅうございますので、これを除外してはかるということは、むしろ非常に実態に合わないのじゃないか。それから、国の工事になりましても、県が付帯的に負担をいたしますので、これもやはり考えに入れることが妥当であろう、こういうことになって参りまして、結局災害復旧事業としては、国、県、市町村を問わず、その地域にある全体の災害復旧事業費をもって見ることが妥当であろう、こういうふうになったわけでございます。そこでそういたしますと、これの比較の対象となります税収入につきましては、これはその市町村のみの税収入をとるということであっては、やはり不公平になって参ります。そこで、今回の混合方式にとっておりますように、その市町村の地域における県の税収入というものを、何らか合理的な方法によって計算をいたして、そしてそれによってその県の按分された税収入を加えたものと比較をしていく、これが最も実情に合い、公正ではなかろうか、こういうことで、今回の方式がきめられたというふうな経過でございます。そこでその県の税収入といいますものを——これはあくまでもその県の標準税収入でございますが、それを一つ市町村の地域に按分いたすわけでございますから、いずれにいたしましても、これは計算の問題となるわけでございまするが、しからばどういう方法が最も公正で、かつ合理的であるか、こういう問題になって参ります。いろいろ議論もございましたが、やはりこういったことをやりますにあたりましては、あまりにむずかしくて、そうして非常に解釈も多いというのでは、これは使いものになりませんので、ただいま河川局の次長からもお話がございましたように、県内の全市町村標準税収入と、当該市町村標準税収入との割合をもって按分する、これでもっていこう、こういうことになったわけでございます。このような方法が、はたして側々具体的に適用いたしました場合に、必ず最も合理的であるかどうかという点につきましては、御指摘のように、それは若干の問題を生ずることと思いまするが、私どもといたしましては、あの災害直後の緊急の際におきまして、ともかく何らかの方式によりまして、特例法をできるだけ実情に合うようにやっていきたい、こういうことでこのような方式をきめたわけでございます。現在、政令案等につきましても、建設省その他といろいろお話し合いをしている最中でございますが、またこの運用面におきましても、工事費の確定というような問題につきましていろいろ議論もあることと思います。これについては十分に慎重な態度で、できるだけ無理のないように一つ処理して参りたい、こういうふうには考えております。たとえば、ただいま御指摘のありました市町村の境界にかかる橋梁の問題でございます。こういった問題につきましても、考え方はいろいろあると思います。しかしながら、このような問題につきましたは、すでに現在におきまして、県界にかかる橋粱というような場合におきまして、建設省その他におきまして具体的に処理をいたしております実績もございますから、そういった点も十分考えてやりますれば、そうおかしくなく、支障なくこの規定を使っていけるのではないか、私どもはこのように考えておる次第でございます。いろいろ長くなりますけれども、今後とも十分注意をいたしまして、善処して参ります。
  81. 三田村武夫

    ○三田村委員 一つ怒らぬで聞いてもらいたいのですが、私は今度のこの混合方式というやつは、知恵者知恵に倒れるという結果になりはしないかと心配するのです。非常に巧妙に考えている。今もおっしゃるように、その県においてもおのずから深度が違うのだ、だから普遍的にやるのではなくて、その深さによって厚い手当をしていこう、その気持はわかりますよ。そうでなければいけないと思うのだが、しかし一体、この基本法である国庫負担法を作った趣旨は何だ。これは災害時における地方自治体の負担をどれだけか軽減さしてやろう、つまり国で肩がわりしてやろう、こういうことが趣旨なんですよ。その一般法の上に乗っかってきた今度の特例法は、また同じことなんです。災害によって、その災害地の受ける、自治体すなわち県及び市町村負担が非常に重くなる。負担が重くなれば、財政力の問題もあって復旧も進まないし、また復旧が進まないだけでなくて、全体の復興も進まない。だからどれだけか政府がより手厚い補助をして、その復旧を助けてやろうということが、私は特例法の大筋だと思うのです。そういたしますと、この補助率が、今度特例法の、つまり標準税収の二分の一まで十分の八、標準税収まで十分の九、それから上のものは十分の十、この補助率が適当かどうかわかりませんよ。これは僕はもっと下げたっていいと思う。考え方によっては、下げたっていいと思うのです。しかし、これは一つの県からピック・アップして——何べんも繰り返して申しますが、非常に合理的なような計算方式でありますが、内容は不合理なんです。事実によってないんだから……。事実に合わないもの、これを称して不合理という。そういう仮定の数字で権利の設定をやる、利益、不利益の法律的根拠を作るのですから、これは私は考えた方がいいと初めから申し上げておったのです。私がぎゃんぎゃん大蔵大臣と議論した焦点もここにあった。私は何も大蔵省の態度がいいとか悪いとかいうのじゃなくて、政治は、できるだけあやまちを残さない方がいいという、政治家的な良心から私は申し上げたのであります。たとえば、これは特例法の適用されない地域は一般法でいくでしょう。同じことじゃないですか。そうして、つまり被害の激甚な地域に、深度によって手厚い手当をするのだとおっしゃいますが、県の税金で手当をする場合は、被害の比較的少なかったところ、激甚地指定にならなかった、つまり低率補助で、一般法で手当をされる地区のものは、全体の負担をしなければなりません。つまり重い部分負担までしなければならぬということになる、こういう不合理が当然出てくる。だから、あくまでも、今の県と国、国の財政と地方自治体の財政というものの調和をとっていく、これが政治だ、こういう建前からするならば、むずかしい理屈ではなくて、すかっと割り切った、つまり一般法、特例法関係でいく方がすなおじゃないか、私は今でもこういう考えを捨てておりませんが、しかし、きまったものだから私は文句は言いません。しかし知恵者知恵に倒れるという言葉があります。先ほどの長期湛水地帯の問題も、一週間、三十ヘクタールという、これもきわめて常識的に見なければならぬことだ、つまり常識的に受け取るというのが民主政治のほんとうのルールなんです。常識的に、だれにもわかりやすいように受け取るやり方をするのが、民主政治の原則なんです。だから一週間、三十ヘクタールというだれでもわかる常識、あっ、おれの方は一週間以上水につかったのだ、激甚地だな、こうだれでも受け取るものにむずかしい注釈を加えてはいけません。それと同じように、一般自治体の負担を軽減することが目的であるならば、ややこしい方式よりも、すかっとした方が——予算上、財政上の制約があって、なるべく予算というものを締めていきたいのなら、十分の八、十分の九、十分の十というものを下げたっていいのです。つまり工事の施行責任者は県であり、地方自治体であり、市町村でありますから、これを施行する実際の責任者の負担が、国の助成によって軽くなる措置をとってやることが私は政治だ、特例法の趣旨だと思うのです。理屈はこれでやめますが、とにかくそういうわけで、私が今まで言ってきた計算でやってみますと、どうしても激甚地指定がぐんと落ちます。分子と分母の比率が違いますから。これは私が非常に甘い計算をやってみたのですが、たとえば岐阜県の公共土木が四十九億九千万ですから、かりに五十億としてやってみて、岐阜県全体で百九町村ありますが、その半分が激甚地指定を受けるとして、激甚地指定を受けた分が二十億九千万円、一般負担法でいくものが十七億五千八百八十万円、合計三十八億四千八百八十万円、こうなって、単一方式でいく場合には四十五億六千万円になるのが、うんと開いていきます。これは開くのが当然です。だから四十五億六千万円を補助することが必要でなければ、やらなければいいのです。率を下げてくればこんなことになりはしない。ところが、はっきりこういう矛盾が出てくる。しかも矛盾が出てくる地域には生きた人間が住んでいる。ものを聞く耳を持ち、新聞を読む目を持っており、ものを考える能力を持っておる者が住んでいるのだから、私はわかりにくいことはやらぬ方がいいと言うのです。これはきのう、きょうの意見を聞いておって、きょうこれをやらざるを得ない心境に実は追い込まれてしまったのです。どうぞ大蔵省と自治庁、それから建設省の方も、せっかく——大へんな作業だと私は思いますが、間違いのないように最善を期していただきたい、これを申し上げまして、この問題に関する質問を終わります。  それから、文部省はきておりますね。これは簡単に伺いますが、指定基準を、つまり特例法の適用を標準税収の百分の二十から百分の十にいたしまして、そのことによって準備しておられることと思いますが、これはどうですか、これだけ別個にいきますか。このほかに、学校災害に対する高率補助特例法の適用は、標準税収百分の二十から百分の十にしたというだけではなくて、これは公共土木の激甚地指定とか、そういったものも別に考慮されるのか、そういうものと別個に学校災害なら学校災害だけでやられるのか、その点はっきりお答え願いたい。
  82. 今村武俊

    ○今村説明員 この委員会でさきにも御説明いたしました通り、公共土木とは別の関係で作業いたします。
  83. 三田村武夫

    ○三田村委員 そうすると、学校災害だけはひとり歩きするのですね。ひとり歩きという言葉は語弊があるかもしれませんが、学校の災害がその市町村の標準税収の一日分の十であればこの特例法を適用する、そういうふうな解釈ですね。
  84. 今村武俊

    ○今村説明員 さようでございます。
  85. 三田村武夫

    ○三田村委員 終わりました。
  86. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長代理 角屋堅次郎君。
  87. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 だいぶ時間もたっておりますので、関係各省の方に数点についてお伺いをいたしたいと思います。  三田村委員からもいろいろ基本的な問題について御質問があり、しかも冒頭に、きのう、きょうにかけての被害激甚地の県知事、あるいは市長、あるいは関係団体の代表等の陳情を聞いた印象等についてもお話がございました。この点は私も全く同感でございまして、今次臨時国会における最大の焦点の一つは、十五号台風等を中心にした本年度災害対策の問題であったことは、言ったことは、言うまでもないのでございます。われわれは、過般衆議院におきまして、政府提案との関連において私どもの出しました法案等を十分勘案しながら、まず一段落の仕上げをやったわけでごいますけれども、しかしその後における実施状況等について、きのう、きょうの代表者等の意見を聞いて参りますと、一応の仕上げをやりましたわれわれの答案というものは、合格点すれすれのところであったということが明確になって参っておるわけであります。従いまして、残された期間において、りっぱな法案を仕上げなければならぬという責任を実は負わされておると思うのでございます。ことに、その後におけるラジオその他で被災地の状況等についていろいろ放送等がなされておりますが、私も過般愛知県等の浸水地帯のラジオ放送等を聞いたわけでございますけれども、年老いた老婆が親類に身を寄せておって、むしろこんなことなら死んだ方がよかった、こういうふうに切々と訴えておる言葉を聞きまして、政治の一翼にあります私どもの、災害対策に対する責任をことさらのように痛感させられたわけでございます。従いまして、これらの点については、特に十五号台風被害のひどかった愛知三重、岐阜等の三県で従来から国会議員の協議会を持ちまして、最後の集約として、過般本委員会理事会にも早稻田会長が十二項目にわたっての要望を述べたわけでございますけれども、せめてこれは最小限の仕上げとして、やはりわれわれの方で各委員の協力を得て実施をいたしたい、かように実は考えておるわけでございます。きょうは時間の関係もありますので、若干、十五号台風を中心にした数点についての質問にとどめておきたいと思います。  まず、愛知県、岐阜県、三重県にかけての伊勢湾に直面をする地帯の、例の伊勢湾等高潮対策の関連の問題でございますが、これにつきましては、過般建設大臣あるいは農林大臣等にいろいろお伺いをいたしました際に、伊勢湾等高潮対策協議会を作りまして、それぞれ関係各省でもって今協議中である、大体十二月の中ごろには一応の結論が出ると思う、こういうお話がございました。今次災害における三県の被害の実相から見まして、もちろんこれは伊勢湾等という名前はついておりますけれども各位御承知の通り、愛知県、三重県の全海岸地帯を含んでの対策ということに相なっておるわけでございますが、この伊勢湾等高潮対策の今後の仕上げがどうなるかということは、今次災害対策の重要な問題であることは御承知の通りでございます。この中で、最近新聞紙上でもって伊勢湾沿岸開拓計画、こういうふうなことで、愛知県の鍋田からずっと新川、庄内川にかけて、それから三重県の木曽岬等にわたるところの問題等について、計画が最近素案として新聞で報道されておるわけであります。これによりますと、鍋田干拓から新川にかけまして、鍋田干拓で六百ヘクタール、あるいは新しくそれに膚接した地区で千一百ヘクタールの農用地の造成、あるいは南陽町の地先のところで三百ヘクタールの農工業用地の造成、こういうことで、鍋田干拓で海岸地四千八百メートル、それから引き続きまして八千メートルの区間にわたるところの護岸工事、あるいは農地、工業用地の造成、こういう計画とも関連をいたしまして、鍋田干拓の地先から、当面の計画でいきますると、新堤防の防潮堤をずっと、いわゆる名古屋の工業地帯を包繞するごとく作る。つまり新しく干拓の形式によって防潮堤を作り、その中にまたさらに堰堤を築いて高潮等に対する計画の万全を期する、こういう計画のようでございますが、この計画について、膚接しておりますところの三重県の関係の方で、いろいろこの問題についての意見が出て参っておるわけです。たとえば、愛知県に接するところの木曽岬は、今度の災害では非常に甚大な被害を受けまして、約二カ月にわたるところの長期湛水地区であることは御承知の通りでございますが、この木曽岬の地先に、すでに認証を受けておるところの干拓の計画があるわけでございます。従いまして、木曽岬関係あるいは三重関係の方の意見として、新防潮堤を作られるならば、せめて最低限木曽岬の地先の干拓地の計画を含めての新防潮堤の建設ということを考えてもらってはどうか、こういう意見も強く出て参っておりますし、同時に、これは名古屋の工業地帯を背景とした新防潮堤の建設ばかりでなくて、桑名から、四日市から鈴鹿川にかけての三重県の地域でも今日相当大きな工業地帯があり、今後、ともに大いに発展する計画がなされているわけでありますから、こういう計画との関連において三重県側の高潮対策も推進せらるべきであり、現在そういうものも具体的にどういうふうに検討されておるか、こういう点についても、いろいろ注目が寄せられておるわけであります。従いまして、この機会に、今次十五号台風の最も大きな焦点の一つである伊勢湾等高潮対策の問題に関して、従来から進められておりますところの高潮対策協議会における審議の状況、また、いつそれが具体的に結論を得る見通しなのか、それと関連をして今指摘いたしましたような点について、農林省あるいは建設省、運輸省等におけるところのそれらの経過について、関係者からお話を承りたいと思うのであります。
  88. 清野保

    ○清野説明員 高潮対策協議会の経過並びに実情、高潮対策に対する三重県等における問題についてどう考えるか、こういうような御質問と拝聴いたしましたが、農林省で所管しておりますのは、伊勢湾におきますところの干拓堤防並びに農林省所管の海岸堤防の問題でございます。  高潮対策協議会におきましては、主として海岸堤防の高さの決定、それに必要な設計潮位の取り方、波浪の高さの決定、余裕高等につきまして数回の幹事会を開き、去る十一月の下旬に第一回の正式の協議会を開催いたしまして、いろいろなさような問題と、さらに農林、運輸両省から伊勢湾等高潮対策に関する根本的な問題を提示して種々検討を行なっておりましたが、現在さらに引き続き幹事会を開催し、それらの問題を早急に取りまとめるよう、各省間で連絡を密にして努力をいたしつつあるのであります。  三重県の問題につきましては、農林省の所管とするところではございませんが、ただいまお示しになりました木曽岬と防潮堤の関係等につきましては、幹事会では、防潮堤を作った場合には木曽川に対する吹き寄せ作用が起こって、河川の治水上問題があるのではないか、こういうような点に対する問題点の提示がありまして、それぞれそれらの問題を含めまして、種々検討を加えている現状でございます。
  89. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この新防潮堤は、所管といたしましては運輸省に直接所管があるわけでありますが、承りますと、この新防潮堤等を含む今指摘しました計画等について、新しく模型等を作って学問的な検討をいろいろ加え、来年のおそくも三月ごろまでには、どういうふうな形にするかという結論を得るために、今準備中であるというふうにお伺いをしておりますが、これらの点について、もう少し詳しくお話を承りたいと思います。
  90. 比田正

    比田説明員 お答え申し上げます。先ほど防潮堤というようなお話でございましたが、これは私の方では、防潮堤を兼ねました防波堤というふうに解釈しておりますが、さようでよろしゅうございますか。——そういう意味合いにおきましてお答えいたします。  名古屋港の入口に、ただいまでは両側から防波堤を約九千メートルほど出しまして、まん中から船が入るようにいたしまして高潮が入ることを防ぎたい、それから波を防ぎたい、こういうような計画でございます。その計画は、波につきましては、外洋からきました波を全部そこで一応殺します。従いまして、新上くくる波は港内だけで起こった波で、破壊力の非常に小さいものにして岸で受けこたえよう、こういう計画でございます。そういう計画でございますが、木曽川寄りの方は、先ほど御指摘がございました鍋田の干拓の端から出ることになります。それが同時に、鍋田川と中間の地を隔てまして、木曽川にすぐ接続いたしておるのであります。農林省の方からも先ほど御答弁申し上げましたように、木曽川に関します、木曽川の入口から防波堤が出るものですから、それに外洋から波が当たりましたときに、それがある角度をもって川の方にはね返るだろうということは、これはある程度予期されます。従いまして、それがどれだけ川に影響するかということにつきましては、防波堤の形と防波堤の位置の問題が、二つあるのでございます。これらにつきましては、最近は科学的に模型試験等もやりますと、そういう性質が科学的にも把握できるということになっております。本年度予算等も特にそのために使えることになっておりますので、おそくとも本年度内には最終的な方向等をきめたい、かように考えております。  それからお話の中に三重県側の方のお話もあったようでございましたけれども三重県側につきましても、できれば、理想的には、全延長にわたりまして、少なくとも四日市港から木曽川の川じりの沖まで全部防潮堤を作れば、これは完璧でございますけれども、木曽川寄りの方は非常に海が深うございまして、一朝一夕にして工事の促進するような深さではございません。従いまして、四日市港に面したあの側は、ある程度今度の計画ではいたしたいと思っておりますけれども、なお今後の状況を把握しましてから、必要があればまた根本的に考えたいというふうに、三重県側は考えております。従いまして、木曽川の方から名古屋港の方に防波堤を作りましたはね返り等が、ただいま木曽川だけのように申し上げましたが、いろいろ調査いたしまして、万一これが三重県にも影響があるということでございますれば、影響のないような形をとるとか場所を選ぶ、あるいは三重県側の方の川口に何か施設をするということも考えなくてはならないかもしれませんが、ただいまそこまでは影響がないだろうと考えております。木曽川の問題を主として……。
  91. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 伊勢湾等高潮対策の問題については、今次災害の実相から見まして、高潮対策協議会でも検討を加えられ、さらに模型等を作って理論的にも分析をされる、こういう段階にあるわけでございますが、これらの問題については、やはり関係県である愛知、岐阜、三重等のそれぞれ土木なり、農林なりの関係の者の十分なる現地側の意向、やはりこういうものも尊重しながら実施計画に持っていく、こういうことにぜひしてもらいたいと思うのです。現地のこういう計画に対するなまの声が、全然反映されない姿においてこういうものが一方的にきめられるということは、今次災害の実相から見て、たとえば木曽岬の地先の干拓計画というふうなものが、新防潮堤の外になるという場合に、はたして安全であるのかどうか。これが計画通りいく場合には、そういういろいろな問題等もありまするから、現地側としては、木曽岬の地先の干拓地を含んでの新防波堤を設置してもらいたい、こういう要請も強いわけでございますけれども、いずれにせよ、最終決定までには、関係各県の意向というものをやはり十分に聞きながら実施計画に持っていく、こういうことで、慎重な態度で臨んでもらいたいと思うし、同時に、今お話のように万全を期するためには、四日市あるいは桑名等のところも含んでの態勢をとれば万全である、こういうことでございますけれども、これはこの防波堤の位置そのものとしては、そこまで含むということはできなくても、別個の計画としては、やはり十分検討してもらわなければならぬ、こういうふうに思いますので、それらの点については今後十分御配慮願うように、現段階においては希望を申し上げておきたいと思います。  次に、現在、災害が終わりましてから、それぞれ建設省におきましても、農林省におきましても、あるいは運輸省その他におきましても、査定を実施されておる段階でございますが、今日の段階において台風十四号までの段階はほぼ完了して、台風十五号の段階がどうか、こういうふうな進捗の状況にあると思いますけれども査定の現段階における台風十四号までの完了状況、台風十五号についての進捗状況、こういうものについて、それぞれ建設、農林、運輸あるいは文部等の関係のところから結論だけをお伺いしたいと思います。
  92. 曽田忠

    ○曽田説明員 お答えいたします。ただいまお尋ねの十四号台風までと、それから十五号台風との両者に分けました資料をちょっとここに持っておりませんが、全体を含めまして現在約七〇%進捗しておりまして、全体の完了目標は大体十二月の下旬に終わるというように考えております。
  93. 清野保

    ○清野説明員 農林省におきましても十四号台風と十五号台風と区別しておりませんので、全般について申し上げます。現在までの農地及び農業用施設の査定の進捗状況は約七割でございます。十二月末までには山梨、長野、石川、福井、岐阜、滋賀、京都、奈良、兵庫、和歌山等の査定を全部終わりまして、ただ愛知三重が若干来年度にかかることになると思います。     〔前尾委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 比田正

    比田説明員 お答え申し上げます。運輸省におきましては、土木災害は従来同じ県の土木部が対象でございますので、すべて建設省と同じような歩調で相談してやっております。大体私の方も約八割強終わりまして、うまくいけば二十日内外、おそくとも下旬には全部終了いたす予定であります。
  95. 今村武俊

    ○今村説明員 文部省の関係は、サンプル調査でございますが、十四号、十五号は昨日をもって全部終わりました。
  96. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 申し上げるまでもなく、台風十五号以降相当期間もたっておりまして、今お話しのように、大体七、八割程度査定が進捗をしておるわけでございますが、来年の三月まで、工事を初年度として三割しておりますが、それよりも若干今度の予算では下がりますけれども、それだけのものを完了させなければならぬ。現地側の要請を聞きますと、各省によって査定にアンバラがある、また査定考え方等についても、改良復旧等の関連においていろいろ問題があるということが指摘されておるわけでございますが、これらの点については、先ほど農林省関係愛知三重等においては一月にまで入ってくるかもしれぬというお話もございましたけれども、早期に査定を完了いたしまして、仕事の第一期分の来年の三月までのものが、早期に仕上がるように最善の努力をしてもらわなければならぬと思います。この査定の進捗状況と関連をいたしまして、本委員会でも一番大きな問題の焦点でありました被害激甚地の指定という、それぞれ関係各省にまたがるところのそれぞれの問題の指定の最終的な結論の時期というものについて、どういうふうにお考えになっておるか、承りたいと思います。
  97. 曽田忠

    ○曽田説明員 お答えいたします。激甚地の指定の問題でございます。これは公共土木関係について申し上げますと、公共土木関係は建設、農林、運輸と各省ございますが、その関係の全部が査定が終わりまして、それから先ほど来お話がありましたように、今回は混合方式で計算をやっております問題、もう一つは、旧市町村区域で計算した場合が有利であります場合は旧市町村区域で計算する、そういう問題がございまして、現在のところ、そういういろいろなすべての関係につきまして、査定の事務が終わるというのは大体三月に入るんじゃないか、最終的にはそういうふうに考えております。
  98. 清野保

    ○清野説明員 農地及び農業用施設の激甚地の指定は、先ほど申し上げましたように、愛知三重が一月に入りますので、その間の事務をいろいろ勘案いたしますと、二月末ごろになると思います。なお、林道関係につきまして申し上げますと、一月二十日ころに査定が終わりますので、査定終了次第直ちに指定に入ると思います。
  99. 比田正

    比田説明員 私の方は、先ほど申し上げましたように、建設省と同じ計算をいたしますので、同じ時期になります。
  100. 今村武俊

    ○今村説明員 二月の末ごろになろうかと考えております。
  101. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 激甚地指定の最終の時期というのが二月の下旬ないし三月に入るというふうなことになるのは、激甚地のいわば採択基準というようなものからいたしまして、しかもまた、今お聞きしました査定の実施の終了時期、こういうふうなものからいたしましてある程度想像されますけれども、やはり現地のこれからの事業実施の心がまえ、推進の計画というふうなものから見て、慎重に配慮すると同時に、なるべく早く機会に激甚地の指定が終わるように、十分今後とも努力を願いたいと思います。激甚地指定の問題については、いろいろ知事あるいは市町村長、関係団体からもお話がありまして、さらに指摘しなければならぬこともあるわけですけれども、これは、時間の関係もありまして、本日は省略をいたしたいと思います。  先ほど佐藤委員から指摘をした問題に関連して、同じことを申し上げるわけですけれども、まず第一に、除塩の問題でございます。この点については、私は、本委員会において農林大臣にもしばしば指摘を申し上げ、また、愛知県、三重県等の長期湛水地帯の実相からいたしましても、ぜひやはり稲刈り作業等を含んでの助成を実施してもらわなければならぬということを強く申し上げて参りました。現実に現地から出て参りました知事にいたしましても、あるいはまた、農業団体の代表にいたしましても、飛島、津島あるいは桑名、それぞれの関係市町村長の陳述にも、はっきりこの点についてはぜひ一つ助成の措置を講じてもらいたいという強い要請があったことは、各位も御承知の通りだろうと思う。また、同時に、本委員会においても、私どもこの点に配慮いたしまして決議案を可決決定いたし、参議院においても、この点について同様の趣旨の決議が決定になったことは、御案内の通りでございます。にもかかわらず、先ほど佐藤委員の質問に対しまする農林省の方からの説明によりますと、稲刈りについては助成ということを全然考えていない、こういう意味の御発言がございましたのは、まことに心外でございます。これは、きのうの飛島村長の陳情の中にもありましたが、単に稲が泥んこになって、これを刈るのに相当に時間を要するということにとどまらず、家屋その他が流失をしたというふうな状況から見て、ガラスの破片があったり、その他いろいろなものがあって、どうしても今後の農作業のためには除去しなければならぬ。しかも、その除去のための作業はずいぶん人手間を要す。こういうふうなことから、ぜひ稲刈り等を含む田園の清掃については、助成の措置を講じてもらいたいということを切々として訴えておられましたし、この点は、津島の場合にも、また桑名の場合にも同様でございます。桑名市長の陳述の中に、なぜ稲刈りをやらなければならぬかという理論的根拠についても十数項目にわたって説明がありましたので、この点についての説明は省略いたしたいと思います。この点については、愛知県、三重県の県立農事試験場、あるいは一身田にあります東海近畿の国立農業試験場も、現地調査の結果に基づいて、やはりどうしても稲刈りをやったあとにおける除塩、こういうことをしなければいけないということを、本省に連絡をしておるはずでございます。しかし、愛知県の場合に一万数千町歩、三重県の場合にも三千町歩に上るこういう該当地区の状況から見て、今日予算もきまり、あるいは除塩に対する法律もきまった段階の中で、必要性を認めながらも、なおかつ、従来の若干の試験例からして、まあすき込んでも大して悪影響はないのだというふうなことで、このことを糊塗されようとしておるように私どもは感ずるわけでございます。この点について、やはり現在農林省としてやる気はないということであるならば、私どもは、委員各位の協力を得て現地側の要請にこたえる立法措置等も講じなければならない、こういうふうにも考えるわけでございますが、これらの点については、委員会として善処をするという温情ある委員長の御連絡がありましたので、この問題についての追及はこの程度にいたしたいと思います。農林省といたしましても、過般来の衆参両院の決議、あるいは現地側の切々たる要請の実態から見まして、特にわれわわの要望をすなおに受けていただくように、ぜひお願いしたいと思います。  次に、これもやはり佐藤委員が触れられた問題で、これは単に愛知県、三重県、岐阜県等の三県ばかりでなく、その他の災害県においても同様な要請がある救農土木事業の問題でございますが、愛知県の場合には相当な予算額に上ろうと思うのです。三重県の場合の計画は、私ども手元にきておりますが、約八億三千万円に上っております。過般、国政調査で私が愛知、岐阜を訪れたときに、岐阜県の多芸輪中を中心にしての今後の救農土木事業については、約六億円の計画と私どもに話をしておられました。これはやはり長期湛水地帯の惨状、あるいは全然現金収入のない現地の実態から見て、当面救農から興農土木への発展の過程の中で罹災地を救わなければならぬということは、だれしも一致した意見であろうと思います。こういう観点から見ますと、今日予算上三億円程度のもので、いわゆる開拓には一億円、一般のものに二億円というようなことでは、十分罹災地の要請にこたえられないのは当然でございますから、いわゆる予備費の中からでも、さらにこの方面に相当な予算を回していただく。さらに、私は、全般を通じて痛感をすることでございますけれども、先ほど三田村委員からも指摘されたが、私どもの解答、答案というものは合格点すれすれである。やはり八十点なり九十点なりの答案を書こうと思えば、予算委員会におけるわが党の田中さんの質問に対して、必要があれば大蔵大臣としても第二次予算の補正を考えたいという、この第二次予算の補正を考えるというところまで発展をした中で問題を処理しないと、いわゆる満点の答案は書けないんじゃないか、あるいは現地側に相当程度満足を与える答案というものは書けないんじゃないかというふうにも考えておりますけれども、これは通常国会にわたっての問題でございますから、これ以上深く触れることは避けたいと思います。救農土木の問題については、三億円程度で当面を糊塗しょうということでは済まされない。当局の救農から先ほどお話しの興農土木事業への発展、こういうことについて、やはり農林省として、積極的な考え方のもとにおいて対処しなければならぬじゃないかと思いますが、この点について再度お伺いしたいと思います
  102. 清野保

    ○清野説明員 救農土木につきましては、当委員会におきましても再々の御質問があり、また、われわれも、被災地の現状をつぶさに調査いたしまして、被害農民に賃金を得させる手段といたしまして、あらゆる工作を講じ、また、今後も考えていきたいという気持については、御質問になりました先生方と変わらないつもりでざいます。従いまして、かかる意味合いにおきまして、農林省といたしましては、農村の立ち直りというような意味合いにおきまして、明年度以降におきまして興農土木を起こし、内水面の干拓による経営面積の拡大、または区画整理によるところの労力の節約、両者を画一的に取り扱いまして、今後の農家の立ち直りを考えておるような次第で、これにつきましては先ほどからもいろいろな御質問がございましたので、極力これが実現に邁進する所存でございますから、御了解いただきたいと思います。
  103. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農林水産関係の任意団体の共同利用施設の問題について、これは過般、委員長提案によって商工関係のこういうものの措置をいたしたわけでございますが、私ども現地に帰って参りますと、それとの見合いにおいて非常にやはりアンバラな取り扱いになってくる。申し上げるまでもなく、政治はあくまでも公平を期さなければならぬわけでございますが、そういう観点と同時に、十五号台風等災害の実態を見ますと、高潮、高波による大災害、同時に六、七十メートルの強風によるところの風害、こういうものが並行的に起こっておる実情から見ましても、農林水産関係の事務所といわず、共同利用施設といわず、あるいは任意団体の共同利用施設といわず、非常な大災害を受けておる状況でございます。これらについては、やはり本委員会の後ほどのいろいろな話し合いの中で処理すべき問題でございますけれども災害の実態と過般処理いたしました商工関係のこういうものの処置との関連において、政府側においても、この面については一歩前進ということを考えるべきじゃないかと思いますが、それらの点についてお考えを承っておきたいと思います。
  104. 清野保

    ○清野説明員 共同利用施設に対しまする御質問でございますが、私所管でございませんので、関係筋に御質問の趣旨を十分伝えまして、善処するようにいたします。
  105. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 林野庁の方にお伺いいたします。これは本委員会でもずいぶん三田村先生初め、その他の方々からも触れられた問題でございましたが、緊急治山の適用県の問題について、これは特に愛知県の知事から、県の財政の状況とにらみ合って、画一的にぴしゃりこれらの適用県の指定をやるということは、もう少し恩情ある措置考えてもらいたい、こういう要請が出ております。入った県ではこの問題は片づいたというふうに考えておるかもしれませんけれども、私ども承っておるところでは、緊急治山指定県は、当面十圏内に入った、あと三、四県のところがいろいろ問題になっておる、そうして十五号でずいぶん被害を受けた愛知三重、岐阜の中でも、愛知県のみがあぶない状態にあるということを聞いておるわけでございます。隣県のよしみというわけでありませんが、災害の実態から見ましても、愛知県知事が切々として訴えておるような被害の実相というものに十分配慮されて、緊急治山の——これは適用ばかりの問題ではなくて、冒頭に取り上げました高潮対策に限らず、根本的な治山治水の必要性ということについては今さら申し上げるまでもないことでございまして、そういう意味の万全な態勢を期するためには、被害県の財政の実態から見ましても、こういう面について、特に現地側の要請というものを十分尊重して対処していくということが必要であろうと思いますが、これらの問題について、現段階どういうところまできておるか、お話を承りたいと思います。
  106. 茅野一男

    ○茅野説明員 お答えを申し上げます。実はただいま御質問の問題につきましては、その後被害激甚県というような解釈につきまして、ちょうど今大蔵省と建設省と、三省で折衡中でございますので、私ども、できるだけ災害県の御要望をいれてきめたいと努力中でございます。今どの程度までいくかということを申し上げたいのでございますけれども、実はこれはきめるとなればぱっぱっときまるものでございますから、どの程度までという限度はございません。努めて努力いたしたいと思います。
  107. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 同じく山の問題でございますが、三重県の志摩から南勢、南島の町、それから尾鷲にかけてのところでございますけれども、われわれヘリコプターの上から災害直後に視察をする機会がございましたし、その後また直接現地にもずっとお伺いをして見て参りますと、今申しましたような地域の山の樹木というものが、潮風で全く色が一変してしまっており、同時に、その後においてどんどん枯れていく、こういう状況が出てきておるわけでございます。御承知のように、今度の台風では風倒木の莫大な量が出ております。この風倒木対策という問題についても、委員会ではしばしばお伺いしておりますが、同時に、今申しましたように潮風によるところの木がどんどん枯れていく、こういう問題の処理ということが、現地側では真剣な問題に相なって参っておるわけでございます。こういう問題について、今後どういう助成的な対策をとろうとしておられるか、承っておきたいと思います。
  108. 茅野一男

    ○茅野説明員 先般の風水害によりまして大量な風倒木が生じましたために、私ども非常に心痛をいたしておるのでございますが、これに対しましては、原則として、融資によってなるべく手厚くこれを救っていきたい、こういう方針に立っております。そこで風害木の整備につきましては、御承知のように零細な農山村が多いものでございますから、できるだけ共同の整備をいたしたいということを考えまして、森林組合を中心にいたしまして、共同の伐出作業をなるべく指導していきたい、これにつきましては、すでに農林中央金庫から岐阜県は一億円の低利の融資を受けまして、着々整備中でございます。なおまた、被害を受けました立木につきましては、これも販路がなければ非常に不幸になりますので、この点につきまして、パルプ業界その他木材を使用いたします工業の者とも十分連絡をとりまして、各県にこれの利用対策協議会を設けまして、実質的に現地で、需要につきまして具体的に相談をし合うような対策を立てております。なお、ただいまお話がありました潮害の場合につきましても、これの除去、さらにまた、それに対する再造林の補助金につきましても、できるだけ実費を弁償するような計算をいたしました造林の補助をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  109. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 水産関係で高橋次長にお伺いしたいわけでございますが、これも過般来委員会で、私は水産関係の問題について漁港の問題、漁村の問題あるいは真珠問題、こういうふうな各般の問題についていろいろお尋ねをして参ったわけでございますが、今日法案が通って実施段階にきておるわけでございます。たとえば漁船等の問題についても、御承知のような基準に基づいて、三隻に一隻の割合でおろしていくという、こういう段階で、いつこれが完全実施の段階になるか、あるいは特に被害を受けておる愛知県や三重県、あるいは和歌山県等は、大体どれくらいその中でいくのか、あるいはまた、これは陳情の中にもあったわけでございますけれども、三隻に一隻という、あとの残りのものについてやはり十分考えてもらいたいという要請もありましたが、そういう問題について、水産庁としてはどういうふうにされようと考えておられますか。  また真珠の問題についても、御承知のように、私ども聞いておるところでは、いろいろ私どもから要望申し上げましたが、最終的には、十台以下のものについて助成をするように承ったわけでございます。そういうことで、総額どれくらいのものを助成することに、結論的に相なったのか。また今朝来の団体側の要望の中にもありましたが、志摩から南勢、南島にかけての真珠地帯のいかだは、新聞でも写真でも皆様御承知のように、あるいは水産庁からも見地に行かれたと思いまするが、いかだが陸地に打ち揚げられ、あるいはワイヤ・ロープがめちゃめちゃになるとか、いろいろなことで、やはり堆積土砂の排除等の関連においてこれを処理する、高率の助成によって処理する、こういうことをぜひ考えてもらいたい。現行の基準では、真珠等の場合にはこれは当てはまらない。やはりもっと、真珠は真珠なりの適用基準に基づいて助成を講じてもらいたい、こういう強い要請も本日述べられておりました。また、漁場が非常に荒廃しておりましても、耕地等の荒廃は目に見えるわけでございますけれども、漁場の荒廃というのは、海の中でございますから、ややもすれば実態が把握されないということで、この助成措置等については従来から軽視されがちになる。しかし、現実に五、六十メートルの高波ということになって参りますと、海の底は相当に荒れている。こういうことから、海岸地帯においては、沿岸漁業振興の一環として漁場の荒廃の復旧、こういうものについても十分の措置を講じてもらいたい、こういう強い要請があるわけでございますけれども、具体的にこういう問題に対してもどういうふうに今処置されようとしておるのか、こういう問題について、まず高橋さんからお伺いをいたしたいと思います。
  110. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。まず、小型漁船の共同利用に関する法律とその政令の進行状態についてのお尋ねだと思います。これは、政令はすでに法律施行と同時に出しておるわけでございますが、具体的な措置につきましては、明日から二日間水産主務部課長を招集しておりまするので、その席上で具体的にきめてもらいたい、かように考えております。従いまして、その事務的な連絡を遂げた上で、早ければ今年じゅうにもスタートして参りたい。これは現地側も非常に急いでおりますし、私どももそのように考えまするので、そのような感覚で極力急いで本年内にも実行に移して参りたい、このようにも考えております。  それから小型漁船の共同利用に関する問題で一番問題になりました点は、御指摘のように三隻に対して一隻の割合ということでございまして、残りの二隻をどうするかということでございました。それでこの問題につきましては、かねて当委員会においてもたびたび申し上げましたが、やはりこの法律の趣旨から申しますと、漁船の建造は本来金融でやるべきであろうけれども、このような今次の災害では、とうてい金融では解決できない、また建造能力から見ましても、ただいま急速に全部の漁船を復旧することが間に合いませんので、そういう二つ意味から、三隻に対して一隻だけは大至急補助金をもって共同利用という格好で復旧いたしたい、こういう趣旨でございますので、残りの二隻が、今直ちにその共同利用の漁船とともに金融で復旧されるということは実は考えておりませんので、そういうことが不可能な地帯に、この法律によって三隻に一隻だけは大至急に復旧したい、こういう趣旨でございますので、御了承をいただきたいと思います。ただし、この残りました二隻が、永久に建造してはならないということではございません。先ほどの陳述も私聞いておりましたが、何か残りました二隻は永久に建造できないように誤解されたような陳述があったと思いますけれども、これは誤解でありまして、やはりまずもって共同利用としての三隻の一隻は至急作りますけれども、残りの二隻につきましても、決して永久に作ってはならないというような考え方は持たないのでありまして、これはやはり、応急措置としては、共同利用でございますけれども、漁船は、かねがねお答えしましたように、個人で持ちたいということは当然の御要望でございますので、先ほど陳述のありましたような永久に持てないとか何とかいうことは決して考えないで、それもなるべく早い機会に建造されることを望むものでございます。  以上が小型漁船に対するお答えでございますが、次に真珠の問題でございます。まず、真珠につきましては、その対象とするのを限定するかどうか、こういうことでございますが、御案内のように、同じ真珠養殖業と申しましても非常に零細なものから、きわめて大きな資本によって経営されるものまで非常にその階層差のあることは、よく御承知の通りでございます。従いまして、ここでいかだに対しまして九割の補助をするということになりましても、おのずから全部のものに対してということはなすべきではなくて、やはりこの法律の趣旨から申しますと、補助金がなくては立ち上がれないという階層以下のものに限定すべきでありまして、その上の者につきましては、金融措置、特に農林漁業金融公庫ないしは天災法その他によるところの金融でいくべきものではないかというふうに考えております。従いまして、ただいまの御指摘のように、ただいまの段階といたしましてはまずいろいろな点から調べまして、たとえば年収入、それから平均の台数、その他いろいろ考えまして、十台未満ぐらいにするのが妥当ではないだろうか。それ以上の階層につきましては、金融で対処するのが妥当ではあるまいかということをただいま検討いたしておる段階でございます。  それから真珠のいかだにつきましては、ただいま大きな被害を受けて、その破片が方々に散らばっておるというような御指摘がございまして、なおそのほかに、漁場に対するいろいろな障害物が沈んでおりまして、漁業の操業上非常な支障になっておるという御指摘がございました。この問題につきましては、かねがね御説明いたしましたように、堆積土砂の特別措置法によりまして、ある一定限度のものの除去につきましては九割の補助金で対処して参りたい、このように考えております。  それから、これも先ほどの陳述でございますが、この海底に沈んでおる樹木その他の障害物を除去するのに、非常に時間と労力が要るのだというようなお話がありました。その点につきましては全く同感でございます。それからなお、この樹木の解釈につきましての若干の御指摘があったわけですが、これらは、なるべく実情に沿うようにもう一度よく検討して参りたい、このように考えております。  それからなお、漁場が大風、大波等によりまして非常に荒廃しているので、これに対する対策はどうかという御指摘でございます。これは今次の災害復旧と一応無関係でございますが、私ども考えておりまするのは沿岸漁業の振興でございます。この沿岸漁業の振興につきましては、何と申しましても、基本的には沿岸漁場が改良されるということが必要であろうというふうに確信いたしております。従いまして、来年度の予算におきましてもこの漁場改良に関しまする費用について、財政当局になお一そうの御相談をいたしたいというふうに考えておる次第でございまして、先生のただいま御指摘の漁場荒廃につきましては、そのような観点から、荒廃した漁場の復旧につきまして全力を尽くして御援助を申し上げたいというふうに考えておる次第でございます。
  111. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農林水産関係の問題については、昨日来の陳述をもってしても、先ほど佐藤委員からお触れになりました自創資金のワクの増大問題、あるいは米の安売りの延納期間の問題、あるいは米の予約概算金の延納ないしは全免の問題、さらに今度農業共済基金から金を貸すことになりました建物共済の、それぞれひどいところの県における償還期間の延長問題、あるいは損害補償の問題について、極端に困窮をしておる県の財政状況の場合にはこの負担を国が責任を持つというふうな問題等、まだ幾多お尋ねしたい点もあるわけでありますが、すでに各位の要望の点は十分聞いておられるわけでございますので、来たるべき機会までにまた委員会でも御相談があろうかと思いますから、これらの点は本日は省略をいたしたいと思います。  最後に、文教関係でお尋ねをしたいわけでございますが、これは先ほど三田村委員からも指摘された問題でございますし、同時に、過般本委員会理事会におきまして、愛知三重、岐阜の三県の協議会を代表して早稲田会長からもるる要望があり、またその三県の申し合せに基づいて、私ども代表団が、文部大臣あるいは大蔵大臣、こういうふうなところにもいろいろ御要請を申し上げましたので、その間の事情は十分御承知のことであろうと思います。実は文部大臣に会いまして驚いたわけでございますが、本年度は補正で十億八千万円もとったので、次官あるいは局長、課長あたりから聞いてみると、これで大体十分であろうということを言われていたので安心しておったところが、皆さんからお話を聞くと、改良復旧もあまりできない、あるいは現地の要請から見て、いろいろ要請が出ておる点にもほとんどこたえておらない、これは言外な話を聞く、そういうことであるならば、文部省内でもさらによく調査をしてみなければならぬ、大蔵大臣にも、さらに予備費から相当金をもらうように要請もしなければならぬ、こういうことを言っておられたのでございます。私は文部省の内部事情というのはよくわかりませんが、われわれ局外から見ておりますと、ここにおられる建設、農林あるいは港湾、こういう各省は、予算の折衝というのはやはり政治的にも国会議員の御支援もあろうし、また外郭団体も非常に関係の深いところがありますから、現地の要請にこたえる率というのが、やはり相当高いところへ落ちつくという可能性もあるいは多いかと思う。まあ文部省というところは教育をつかさどるところでございますから、人間が非常にまじめにできておって、いわゆる要求も小じんまりとやる、あるいは大蔵省からずたずたに切られてくると、それで途中であきらめるということがあるのかどうか知りませんけれども、各省から見るとやはり背景も薄いし、なかなか思うように予算折衝がいかない、こういうことがあるのじゃないかというふうに思うのです。宮崎さんもおいででございますが、その間の事情を私は直接には知りませんけれども、そういうふうな局外者の判断をしておるわけです。しかし教育の問題は、私が申し上げるまでもなく、これは日本の次代をになうべき青少年の場でございまするし、同時に、当災害特別委員会でも指摘されておりますように、低湿地のデルタ地帯あるいは海岸の危険な台風常襲地帯、あるいは高台、こういうふうなところの文教施設については、全壊であるとか、半壊であるとか、あるいは大破であるとかいうふうな、画一的ないわゆる採択基準から鉄筋の採択をやるなり、原状復旧にするなりということを解釈するのではなくて、いわゆる低湿地のデルタ地帯には、この機会に避難所を兼ねて文教施設を改良復旧してもらいたい、それが現実には水が引いたあと、全壊、半壊ではなくて、さらに大破程度であるにしても、この機会に避難所を兼ねた改良復旧で、万全な鉄筋コンクリートの建物を作ってもらいたい、最小限旧市町村で一カ所くらいはそういうものを無条件で作ってもらいたいという強い要請が、昨日来述べられておりました。この点について、私は、鍋田あるいは城南、碧南、平坂等の、特に干拓地等の場合においてその必要性を指摘したこともございまするし、それは単に干拓地のみならず、低湿地のデルタ地帯あるいは海岸の台風常襲地帯等においてはそういう観点をやはり取り上げて、災害復旧のうちで、これを積極的に改良復旧していくという考え方がなければならぬと私は思う。そういうことを彼此勘案して参りますと、今日、十億八千万円程度の金で文部大臣は大体できると考えておったのは甘い観測であり、また過般、私どもここにおられる課長の御説明を聞いたときにも、大体いくと思うというふうなお話もございましたけれども、現実に文部省関係査定については、現地側では非難ごうごうというところでございます。もちろん農林、建設、運輸等の査定についても不満はございますけれども、最も大きな不満を聞くのは文部省というふうに、私どもは三県の状況から聞いておるわけでございます。これは、それでは文部省が悪いということではないでしょうけれども、辛く査定された大蔵査定にも責任があるかと思いますが、元来——予算折衝もうまくいかなかったということもあるのかもしれませんけれども、やはりそういう予算折衝とか何とかいう問題ではなしに、大きな文教の観点から、あるいは先ほど申しましたような災害対策としての避難所的な性格を持つ重要性から見ても、これは真剣に再検討してもらわなければならぬ。すでに査定を終わっておるところについても、そういう観点からもう一回査定の仕直しといいますか、再査定といいますか、そういうことを含んでの対策を真剣に考えてもらわないと、二カ月以上浸水した現地の避難民の要請には絶対にこたえられないと私は思う。こういうことで、私は何もことさらに文部省に非難を申し上げる気持は毛頭ございません。これは今次災害の実相から見まして、そういうことを切実に訴えざるを得ないわけでございまして、十億八千万円ではとてもとても足りない、さらに最小限十億程度の予算をプラスしなければ、そういう要請にこたえる改良復旧なんというものは、とてもできないのじゃないかと思う。こういう点について、痛いことを申し上げて恐縮でございましたが、今年度並びに従来査定の経験を持っておられる大蔵省の宮崎主計官の方からも、お話を承りたいと思います。
  112. 今村武俊

    ○今村説明員 いろいろありがたい言葉いただいて——査定はきわめて適正公平に行なっておるつもりでございます。従って、私どもがサンプル調査で全事業地の約七割について査定をいたしましたところ、申請に対する査定の割合は八四%でございます。これは従来の実績に比べても、まあいいところでありまして、関係団体において、きわめて適正、かつ着実な資料を作っていただいた結果であろうかと喜んでおるような次第でございます。  私の方の予算要求が少なかったのではないかということを、ただいまの御質問から感ずるわけでございますが、私どもの方では、いかに湛水地帯であっても、補修で足りるようなものを引き倒して、それに鉄筋で新築復旧するものを災害復旧考えておりませんでしたので、そういうものが計算の中に入っておらない、そのゆえに、現実の現地の希望と私ども数字との差ができておることは、確かに御指摘の通りであろうかと考えるのであります。しかしながら、そのすべてを、全部予算の中に取り込まなければならないということも考えません。御指摘のように、海岸地帯あるいは長期湛水地帯において、被害程度のはなはだしいものについては、これを改良復旧するということはまさに同感でございまして、そのような気持で大いに仕事を進めていきたいと思っております。ただその関係で、あと十億予算が要るのじゃないかという御判断でございますが、その点は若干違うと思います。私どもの予算要求の段階におきましては、まだ現地査定を行なう以前において、しかも、従来の査定率等を用いまして計算をいたしまして、それにまた一応の被害激甚地指定の目安をもって計算をいたしたわけでございますが、現在の段階では、それらの基礎資料が若干違ってきておりますし、さらにまた査定の割合も、従前の査定率よりも多少よかったという実績もございますので、これらを基礎にいたしまして、早急に計数をとりまとめて大蔵省の方にお願いをするつもりでございます。
  113. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 お答え申し上げます。文教施設の災害復旧の問題でございます。この問題は、私は実は所管をいたしておりません事項でございますが、ただいま御意見を拝聴しておりまして、まことにもっともであると思う点もいろいろございます。特に、今回の災害のように、非常な低平地におきまして甚大な災害を受けたというような場合で、現在伊勢湾等高潮対策事業というようなことで、いろいろ堤防の計画等について各省で議論がある際でございまするが、この中にも、そういった低平地においては単に堤防だけをむやみに強くするというような方針ではなくて、背後の施設についてもいろいろ考慮してはどうかというような、学識経験者の御意見どもある際でございます。ただ、ただいま御指摘の災害復旧の問題といたしますると、これは国庫負担法としておのずから限度もございます。私、詳細にその基準等を存じておりませんけれども、そういうことできまって参りますと思いますが、これが確定いたしますれば、もちろん現在予定しておる予算でできない場合には予備費で措置する、こういうことに大蔵省としての方針はきまっておりますので、その点は抜かりなくやって参りたいと思います。なお、担当の主計官並びに上層部の方に対しまして、ただいまの御意見は十分に伝えます。
  114. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今、今村助成課長のお話を聞いておりましても、やはり文部省らしい答弁でございます。これは県の教育委員会、あるいは学校関係の校長その他のお考えもきまるというと、それは非常に学術的に、まじめに考えてやらなければならぬ。いわゆる将来の展望の上に立って積極的な改良復旧、再度災害防止という上からの積極的な災害復旧ということは、単にこれは公共土木、農地、農業用施設その他ばかりではなくて、文教の場合にもこういう機会に鉄筋等に切りかえて、教育の場というものをより快的な場所にしていく、そして次代の青少年の教育を十分にやり得る態勢というものを作っていくことは、私は教育の非常に崇高な使命から見て当然だろうと思う。災害復旧ということに関連をして、まだ十分使えるものを破ってまでというようなお話がございましたけれども、それではそのままにしておいて、次に同じような災害がもし不幸にしてきた場合にどうか、こういうことを私どもはいわざるを得ない。堤防とかなんとかいうものについては相当巨額の金をかけてやろうとするのに、なぜ学校について、避難場所の性格を兼ねてそれができないのか、こういうことに私は相なろうと思う。堤防等の改築の場合においてだって、若干使えるところまで破って、改良復旧をやらなければならぬということも起こり得る。現地側の市町村長の切々たる要請の中でも、一つの学校の全部を鉄筋にかえてくれとは言わぬ、最小限一棟だけでも、それをかえてもらいたいという強い要請がございました。これは非常につつましやかな要請でございます。せめて最小限の場合でも、それくらいのことは今次災害では考えてやらなければならぬというふうに思うわけでございまして、これらの点は、大蔵省におられる宮崎さんにおいても、あるいは文部省においても、そういう積極的な意欲を持って今後学校の施設の改善、こういうことを積極的に進めていただきたいということを希望しておきたいと思います。  本日は、時間の関係もありますので、私は一応この程度で質問を終わらしていただきます。
  115. 南條徳男

    南條委員長 本日は、これにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後五時十六分散会