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1959-12-08 第33回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月八日(火曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 南條 徳男君    理事 江崎 真澄君 理事 田村  元君    理事 綱島 正興君 理事 前尾繁三郎君    理事 三田村武夫君 理事 小林 正美君    理事 佐藤觀次郎君       小川 平二君    木村 俊夫君       小島 徹三君    河野 孝子君       世耕 弘一君    田中 正巳君       辻  寛一君    徳安 實藏君       丹羽 兵助君    坊  秀男君       八木 一郎君  早稻田柳右エ門君       足鹿  覺君    伊藤よし子君       太田 一夫君    岡本 隆一君       角屋堅次郎君    金丸 徳重君       堂森 芳夫君    横山 利秋君  出席政府委員         自治政務次官  丹羽喬四郎君         大蔵政務次官  奥村又十郎君         厚生政務次官  内藤  隆君         農林政務次官  大野 市郎君         建設政務次官  大沢 雄一君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建設事務官         (河川局次長) 曽田  忠君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君  委員外出席者         参  考  人         (愛知県知事) 桑原 幹根君         参  考  人         (三重県副知         事)      高谷 高一君         参  考  人         (岐阜県知事公         室長)     小川  功君         参  考  人         (和歌山県副知         事)      大橋 正雄君         参  考  人         (山梨県知事職         務代行者)   松浦  功君         参  考  人         (名古屋市長) 小林 橘川君         参  考  人         (津島市長)  竹内 節雄君         参  考  人         (桑名市長)  水谷  昇君         参  考  人         (橋本市長)  小林 豊治君         参  考  人         (韮崎市長)  浅川 彦六君         参  考  人         (塩山市長)  池田東太郎君         参  考  人         (養老町長)  山田 良造君         参  考  人         (飛島村長)  間瀬  繁君         参  考  人         (東海経済懇話         会常任幹事)  伊藤 長光君     ――――――――――――― 十二月八日  委員小坂善太郎君及び滝井義高君辞任につき、  その補欠として早稻田柳右エ門君及び堂森芳夫  君が議長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月二十六日  十五号台風災者入院費免除等に関する請願(  赤松勇紹介)(第九二一号)  宇治川右岸築堤促進に関する請願岡本隆一君  紹介)(第九四一号) 十二月七日  五十鈴川及び江の川の緊急砂防工事施行に関す  る請願周東英雄君外一名紹介)(第一三一三  号)  台風による被災開拓者特別対策樹立に関する  請願井出一太郎紹介)(第一四一七号)  台風等による果樹園芸災害対策に関する請願  (井出一太郎紹介)(第一四一八号)  十五号台風による災害救助のための国有林材の  特別払下げに関する請願井出一太郎紹介)  (第一四一九号)  緊急砂防事業及び治山事業促進のための特別行  政措置に関する請願井出一太郎紹介)(第  一四二〇号)  八、九月の台風による災害住宅復旧に関する  請願井出一太郎紹介)(第一四二一号)  七号台風による災害市町村復旧用諸機械の購  入費補助に関する請願井出一太郎紹介)(  第一四二二号)  台風等による被災者に対する租税の減免措置に  関する請願井出一太郎紹介)(第一四二三  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十八日  国道一号線白川橋復旧に関する陳情書  (第四四八号)  被災低地に対する中高層耐火住宅建設に関する  陳情書(  第四六四号)  宇治川右岸宇治橋下流及び山科川下流築堤施工  促進に関する陳情書  (第四六七号)  災害対策強化に関する陳情書  (第四七一号)  台風等による災害救済対策実施に関する陳情書  (第四七  二号)  災害事業関係事務費国庫補助に関する陳情書  (第四七三号)  災害復旧費国庫補助対象わく拡大等に関する  陳情書(  第四七四号)  災害復旧事業改良復旧に関する陳情書  (第四七五号)  台風七号による京都府下水害対策に関する陳  情書  (第四七六号)  水害復旧特別措置法制定に関する陳情書  (第四七七号)  奥能登地方災害復旧促進に関する陳情書  (第四七八号)  災害復旧のための特別法制定に関する陳情書  (第四八七号)  中部復興開発庁設置に関する陳情書  (第四八八号)  災害復旧事業促進及びり災者対策に関する陳情  書(第四八九号)  小災害復旧対策に関する陳情書  (第四九〇号)  加賀市の風水害対策に関する陳情書  (第四九一号)  風水害災害対策即時実施に関する陳情書  (第四九二号)  十五号台風による近畿、東海地方救援に関す  る陳情書(第四九  三号)  十五号台風に伴う災害復旧対策等に関する陳情  書(第四九  五号)  豪雨及び六号台風による災害復旧対策に関する  陳情書(第四九七  号)  台風等による災害対策に関する陳情書  (第四九八号)  豪雨による災害復旧対策等に関する陳情書  (第四九九号)  六号及び七号台風による福井県下の災害復旧対  策に関する陳情書  (第五〇一号)  北陸地方一帯の六号及び七号台風による災害復  旧対策に関する陳情書  (第五〇二号)  七号台風による災害復旧対策に関す  る陳情書  (第五〇三号)  七号台風による山梨県下の農作物被害対策に関  する陳情書  (第五〇四号)  七号台風による京都府下蚕糸関係被害対策に  関する陳情書  (第五  〇五号)  七号台風による長野県下の災害復旧対策に関す  る陳情書(第五〇  六号)  同(第五〇七  号)  同  (第五〇八号)  七号台風による山梨県下の災害復旧対策に関す  る陳情書(第五〇  九号)  同(第五一〇  号)  同(第五一一号)  七号台風による岐阜県下の災害復旧対策に関す  る陳情書(第五一  二号)  十五号台風による被害復旧のための金融措置に  関する陳情書  (第五一三号)  七号台風による三重県下の災害復旧対策に関す  る陳情書  (第五一四号)  七号台風による安濃川及び長野川水系の緊急砂  防事業に関する陳情書  (第五一五号)  七号台風による茨城県下の被害対策に関する陳  情書(第五一  六号)  七号及び十五号台風による被災者喪失有価証  券の公示催告期間短縮等特別措置に関する  陳情書  (第五一七号)  七号及び十五号台風等による長野県東村の災害  対策に関する陳情書  (第五一八号)  七号及び十五号台風による長野県浅間町の災害  対策に関する陳情書  (第五一九号)  台風等による浅科村の災害復旧対策に関する陳  情書  (第五二〇号)  十四号台風による長野県下の災害復旧対策に関  する陳情書  (第五二一号)  同  (第五二二号)  十四号台風による有明海地域における災害対策  に関する陳情書  (第五二三号)  災害復旧のための特別法制定に関する陳情書  (第五二四号)  十五号台風による輪島市の水害復興対策に関す  る陳情書(第五二  五号)  十四号及び十五号台風による北海道における災  害復旧対策に関する陳情書  (第五二六号)  十五号台風による鳥羽市の災害復旧対策に関す  る陳情書(  第五二七号)  十五号台風による刈谷市の災害復旧対策に関す  る陳情書(第  五二八号)  同(第五二九  号)  十五号台風による農林関係被害対策に関する陳  情書  (第五三〇号)  同  (第五三一号)  同  (第五三二号)  十五号台風等による風水害対策促進に関する陳  情書(第五三三  号)  十五号台風による山梨県下の災害復興特別融資  に関する陳情書  (第五三四号)  十五号台風による被災者救援緊急対策促進に関  する陳情書(第五三  五号)  七号及び十五号台風等による長野県下の被害対  策に関する陳情書  (第五三六号)  十五号台風による茨城県下の被害対策に関する  陳情書(第五三七  号)  十五号台風による京都府下農林水産関係災害  対策に関する陳情書  (第五三八号)  七号及び十五号台風による三重県下の風水害対  策に関する陳情書  (第五三九号)  十五号台風による兵庫県下の災害復旧対策に関  する陳情書(  第五四〇号)  十五号台風による和田山町の災害復旧対策に関  する陳情書  (第五四一号)  十五号台風による鳥取県下の災害復旧対策に関  する陳情書(第五四二  号)  同(第五四三号)  十五号台風による港湾災害等に関する陳情書  (第五四四号)  十五号台風による愛知県下の災害復旧対策に関  する陳情書(第五  四五号)  同(第五四六号)  十五号台風による長野県下の災害復旧対策に関  する陳情書  (第五四七号)  十五号台風等による福井県下の災害復旧対策に  関する陳情書  (第五四八号)  十五号台風による山梨県下の災害復旧対策に関  する陳情書  (第五四九号)  十五号台風によるり災者救援等に関する陳情書  (第五五〇号)  十五号台風による名古屋市内災害復旧対策に  関する陳情書  (第五五一号)  十五号台風による伊勢市の災害復旧対策に関す  る陳情書(第五  五二号)  十五号台風による岐阜県下の災害対策に関する  陳情書(第五五  三号)  十五号台風による滋賀県下の災害対策に関する  陳情書(第五五四  号)  十五号台風による鳥取県下の災害復旧対策に関  する陳情書  (第五五五号)  奄美大島連合青年団水害り災者救援運動等の  協力に関する陳情書  (第五五六号)  十五号台風による被災薬局等復活資金融資に  関する陳情書  (第六四五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件 参考人出頭要求に関する件 災害地復旧事情等に関し参考人より説明聴取      ――――◇―――――
  2. 南條徳男

    南條委員長 これより会議を開きます。まず、参考人より意見聴取の件につきお諮りいたします。去る三日の理事会において御協議願ったところでございますが、委員各位の非常な御尽力によりまして、災害対策に関するそれぞれの立法措置もすでに講ぜられた次第でありますので、これら特別法成立を見ましたこの機会におきまして、被害地における関係者参考人として本委員会出席願い、災害地対策立法施行に関する諸問題、並びに今後なお必要とする諸対策等について意見を承ることとし、参考人の選考は委員長に御一任願い、その意見聴取は本日及び明日それを行なうことに御了解を願ったわけでございます。つきましては、理事会の決定通り取り計らうことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 南條徳男

    南條委員長 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 南條徳男

    南條委員長 それでは、これより参考人各位より御意見を承ることにいたしますが、この際、委員会を代表して参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位におかれましては、公務御多端のおりから委員会に御出席をいただきましたことに対し、厚く御礼を申し上げます。本委員会といたしましては、先ほど委員長から申し述べました通り被害地において日夜身をもって災害復旧に御尽力いただいておる各位から、直接に災害対策に関する諸法律の施行上における問題点、その他、災害地対策として今後さらに講ずべき諸政策等について忌憚のない御意見を承り、もって災害地対策の万全を期したいと存ずる次第であります。  ただ、何分時間の関係もございますので、お一人当たりおおむね十分ないし十五分程度におまとめを願い、要点を簡潔にお申し述べ願いたいと存じます。なお、御説明を願います順序は、勝手ながら、委員長からの指名によって御発言願いたいと思います。  それでは、まず愛知県知事桑原幹根君にお願いいたします。
  5. 桑原幹根

    桑原参考人 私、愛知県知事桑原でございます。  伊勢湾台風災害発生以来、国会におかれましては災害地対策委員会を中心とせられまして、あるいは、いわゆる災害予算成立に、あるいはこれが実施の基礎ともなるべき諸立法措置等につきまして、寧日なき御努力を傾倒されておるのでございますが、今日、また引き続き私どもをお呼び出し下さいまして、このような委員会を持たれたのでございまして、まことにその御熱意、御誠意に対しましては、またあらためてここに衷心感謝申し上げる次第でございます。  私は、まずもってこの機会に、災害対策が今日までどのように進行してきましたかということを、ごく簡単に皆様方に申し上げますことが私の義務であり、責任であると存じますので、この点、まず最初に触れたいと存ずるのでございます。  まず第一は、尾張中南部、すなわち、津島市及び海部郡を初めといたしまする愛知一帯各地の、いわゆる仮締め切り工事でございまするが、これも順調に進行いたしまして、破堤個所約百八十カ所、全長約一万六千メートルにわたりまするところの応急の仮締め切り工事も、一部干拓地を除きまして去る十一月二十一日をもって完了することができたのでございます。これに投じました人員は四十六万一千人、また、これに投じました土量は百五十一万立方メートル、麻袋にいたしますと七百万袋に及んでおるのでございます。さらに、これに伴いまする排水作業も順調に進んで参りまして、海部南部を最後といたしまして、ここ二、三日中には全部完了するものと考えておりますが、宅地はすでに水面に現われておるのでございまして、現在、百台余りのポンプが常時活動いたしておるのでございます。被災地の人人は、かような次第でございますので、久々に見る黒い土地に限りない愛着を感じまして、すでに一部では着々と農地復興が開始されておるような実情でございます。  第二といたしましては災害救助活動でございます。さきに被災地災害救助活動につきましては順調に進んでおることを申し上げたのでございまするが、依然好調を続けておりましてその成果を上げておるのでございます。  一つは、避難所でございます。避難所につきましては、当初、県下八百五十五カ所、十一万六千余人を収容したのでございまするが、逐次災害終了とともに帰宅いたしまして、十一月末日現在におきましては、避難所に収容いたしております者は、五十三カ所に約八千余人でございまして、これらの人々も、災害応急仮設住宅建設と相待ちまして、おそくも今年一ぱいには引き揚げを完了する見込みでございます。  二つは、たき出しでございます。たき出しも、災害当初は約五十八万人に達し今日までに延べ千二百八十三万人分のたき出しを行なったのでございまするが、これも逐次減少いたしまして、十一月末日現在におきましては四万八千余人となりまして、これまた、おおむね今年一ぱいまでには大体たき出し終了予定でございます。  三つは、応急仮設住宅でございます。総建設割当戸数が九千二百二十三戸でございまするが、そのうち、現在約六千戸が建設完了いたしておりまするし、年内には全部建設完了予定でございます。  四つは、災害救助物資の問題でございまするが、被服にいたしましても、寝具その他の生活必需品給与は、全壊とか流失を初めといたしまして、床上浸水以上の罹災十八万七千四百三十九世帯、すなわち、約八十四万七百余人罹災者に対しまして、九億五千余万円の給与を計画いたしまして、すでにその九割程度の交付を終了いたしまして、残余は、これまた本年末までに完了する予定でございます。  なお、被災後、内外各地から寄せられました義援金品の額でございまするが、十二月一日までに金銭が四億三千四百二十五万余円義援物資は約五十万件に達しておるのでございまして、これにつきましても、公正と迅速な配分を期しておるわけでございます。それには愛知災害義援金品配分委員会を設置いたしまして、その義援金だけにいたしましても、すでに二億七千万円の配付を終わったのでございます。  五つは、医療防疫給水等でございまするが、災害発生と同時に、被災者医療救護のため救護班を編成いたしまして、十一月末日までに延べ三千八百班の救護班が出動し、延べ十五万八千名の患者を診療いたしたのでございます。そのほか、委託医療機関で取り扱いましたものの入院患者延べ五万八千七百名でございまするし、外来患者の数に至りましては、延べ十七万三千八百名に上っておったのでございます。被災地におきまして最も心配いたしましたのは伝染病発生でございましたが、これには全力を傾倒いたしまして、これに出動いたしました防疫班は五千五百六十五班、消毒戸数延べ二十四万戸に及んでおるのでございます。幸いに、伝染病発生はほとんど常時と変わらないような状態でございます。その他、広い地域の水没によりまして、当初は約二十六万人の罹災者飲料水の供給に努めたのでございますが、これらの対策も順調に進み、逐次平常に復しております次第でございます。  以上が県のこれまでとりました災害救助活動の概況でございまするが、これが経費といたしましては、愛知県といたしましては、先般の臨時県議会におきましてすでに百十九億の災害予算計上いたしたのでございますが、近日中に開かれまする臨時県議会におきましても、なお二十三億の計上を計画いたしておるわけでございまして、これらの県予算計上のうち、災害費が約百四十三億円の巨額に上るのでございます。このうちの四十七億四千万円程度災害救助費でございます。二十七日の午前一時に、名古屋市の港区、南区に災害救助法を発動し、引き続き午前二時三十分に熱田区、瑞穂区等に災害救助法を発動いたしたのでございます。これに引き続きまして、県内各地、各市町村ほとんどその大部分に、即日、二十七日中に発動いたしたのでございまするが、この経費といたしまして四十七億円を計上いたしておるような次第でございます。大蔵省といたしましては今回の災害補正予算におきまして二十四億円を計上いたしておるのでございまするが、愛知県はすでに四十七億円を計上しておるような状況でございまして、いかに今回の国の災害補正予算が、あらゆる点において内輪であるかということは、この一点をもっても御理解をいただけると、かように存ずる次第でございます。かような次第でございまして、応急の仮締め切り排水完了、そしてまた災害救助活動の効果によりまして、罹災地の人心もようやく落ちついて参りまして、明るい見通しを持ち得るようになったのでございまして、この点、まことに私どもといたしましても、関係各方面に深い感謝の念を持っておる次第でございます。しかしながら、今までの活動のすべては、いずれも応急的な災害対策でございまして、本格的な災害復旧事業は、もちろん今後に残されておるのでございます。その完遂のためには国におきまして、国会におきまして、格別の御援助を賜わり、今後迅速なる推進によらなければならぬのでございまして、国におきましては、多くの特別立法措置を講ぜられたのでございまするが、今申しました通り、三百五十億に上る災害復旧予算でございまして、これに対しましては、私どもといたしましては、今、一例を申し上げたのでございまするが、さらに多くを期待いたしておったのでございます。これらの点につきましては、なお今後適切なる御考慮を願いたいと存ずる次第でございます。今後の問題といたしまして、この災害復旧の万全を期するために、次の諸点につきまして特に御配意お願いし、これが実現に御協力を賜わりますよう、切にお願いを申し上げる次第でございます。すなわち、私ども要望事項でございまするが、この要望事項につきましては、すでに皆様方のお手元に印刷物等をもちまして御連絡を申し上げ、お願いを申し上げておるわけでございまするが、そのおもなるものにつきまして、ここに申し上げたいと存ずる次第でございます。第一の要望事項といたしましては、災害復旧事業促進についてでございます。これはすでに申し上げるまでもないことでございまするが、三十四年度災害関係補正予算は、公共災害の調査の完了する前に編成された関係もございまして、災害復旧事業実施にあたりましては、この事業費の不足することが予想されるのでございます。それにつきましては、予備費の重点的な充当、あるいはまた追加予算等の御措置も講じていただきたいのはもちろんでございまするが、さらに引き続いて本格的な工事が行なわれまする三十五年度の予算につきましても、ただいま国家予算の編成の時期でございまするので、十分なる御理解をいただきまして、適切なる御措置が願いたいと存ずる次第でございます。特に海岸堤防及びこれに接続する河川堤防につきましては、来年度の台風期までにその安全を確保できますように予算措置を講じていただきたい。これは毎々申すところでございますが、最も大事なことでございますので、第一に申し上げた次第でございます。第二の要望事項といたしましては、復旧費の査定についてでございます。特に私がこの中で申し上げたいと存じますことは、すなわち、その一つは、文教施設、特に公立学校施設改良復旧についてでございます。現在、全壊坪数の六割、半壊坪数の三割を鉄筋コンクリート造改良復旧するように算定されておるのでございまするが、本県は全壊半壊合わせて約一万一千坪に達しておるのでございまして、さらにそれが海岸及び湛水の、いわゆる常襲危険地域に多く位置しておりまする関係上、この大部分鉄筋コンクリート造にできるように措置していただきたいと、このように存じておる次第でございます。なお、さらに、このたびの災害の経験によりますと、海岸や、ことに愛知県の湛水地域でありまする海面以下の低地に位置いたしまする学校施設は、児童、生徒の安全を期する上から申しましても、その地域の住民の一朝有事の際の安全な避難所としての役割を果たす意味からいたしても、この際、これからの地域におきましては、全壊または半壊に至らない学校につきましても、ぜひ最小限度一校一棟を鉄筋コンクリート造にしていただきたい、かように切に考えている次第でございます。二つは、災害公営住宅建設でございまするが、現在の標準建設費実施額をはなはだしく下回っておるのでございます。特に、御承知のように災害によりまして資材なり労務は非常に高騰いたしておりまするために、一そうその差額が大きくなっておるのでございまして、入札の結果、容易に落札しないというふうな現状でございます。その結果、木造におきましては六七%、簡易耐火構造平家建におきましては約四〇%、また同じく二階建におきましては約二〇%の単独自費の持ち出しを余儀なくせられるような実情でございますので、どうぞ、この実情をおくみ取り下さいまして、標準建設費に改訂を加えられますよう、特にお願いいたしたいのでございます。また、やむを得ない費用増加分につきましては、全額起債の措置をお額いいたしたいと考える次第でございます。三つは、社会福祉事業の施設についてでございまするが、現地査定にあたりまして、特別措置法のせっかくの趣旨が、査定によりまして制約を受けるのではないかという疑義が持たれるのでございまして、これまた被災地実情に即しました基準単価なり、事業範囲等によりまして査定が適切に行なわれるようにお願いを申し上げたいのでございます。四つは、災害復旧工事のために、愛知県におきましては大小三十一隻のサンド・ポンプがあの海岸一帯にきておるのでございまして、今日その威力を発揮いたしまして、せっかくできました仮締め切り堤防の内側の補強に当たっておるわけでございます。この土砂の採取に伴いまして、その付近にあります浅海漁場なり、あるいはこの土砂の吹き上げ等によりまして農地の被害があるのでございます。これは、やむを得ない被害ではございまするが、同時に、これに関係いたしまする漁民なり農民の個人的な負担に帰するわけでございますから、これが復旧費、または、補償費に対しましても国庫補助の道を講じていただきたいと存ずるものでございます。第三の要望事項は、特例措置についてでございます。その一つは、特別措置法の適用地域を政令で定められるのでございまするが、特例法の制定の趣旨はすでに御承知の通りでありますので、実際に被害激甚の地域であるものが、その制定される政令の解釈いかんによりまして適用漏れとなることのないように、適正なる基準を設けていただき、また、それを設けられるにつきましては、思いやりのあるところの実情調査をしていただきまして、そのような実情に基礎を置きまして指定していただきたい、このように存ずる次第でございます。二つは、本県の特別の事情といたしまして、特にお願いを申し上げたい特別措置があるのでございます。その一点は、救農土木事業でございます。救農土木事業は、特に土地改良事業を重点として実施されますことは当然でございまするが、長期の湛水地帯に対しましては土地区画整理事業、宅地のかさ上げなどを大幅に認めまして、高率の国庫補助をお願いしたいのでございます。御承知のように、愛知県の尾張、特に中南部地帯は、いわゆる低湿地帯でございまして、そこにはたくさんのクリークのごときものがあるわけでございまして、常に水が停滞しておるところがあるのでございます。用水、排水等の施設が完全にその効力を発揮いたしますためにも、このような実情が非常に大きな支障となっておるのでございまして、これらの、いわゆる内水面を干拓することによりまして、農地をさらに拡大することができるわけでございます。いわゆる内水面干拓をいたしますと、千三百町歩ほどの農地ができるわけでございます。     〔委員長退席、三田村委員長代理着席〕 せっかく集まって参りましたサンド・ポンプ等を利用することによりまして、これらのいわゆる内水面干拓ができるのではないか、このように考えておる次第でございまして、これらの問題につきましても、とくと御考慮をいただきたいと存ずる次第でございます。なお土地区画整理事業について申し上げますと、今申しましたように、この地域が長期水没地帯と申しますか、それ自身、すなわち被害激甚地であることを証明するわけでございまするが、ここにあります土地改良組合の経営でございます。この土地改良組合の経営は、農民である組合員から会費を徴収いたすのでございまするが、この農民、すなわち組合員から会費を徴収するのが、今日の実情におきまして不可能でございます。農林中央金庫の融資によって今日急場をしのぐことに相なるわけでございまするが、この農林中央金庫の融資は日歩二銭二厘でございます。これは年八分二毛か三毛に当るのでございまするが、かような高率では、この罹災地の土地改良組合の運営はその負担にたえないのでございまして、この利率を年三分五厘程度に引き下げていただくか、またはその経費に対しまして補助の方途を講じていただきたい、このように存ずる次第でございます。特に本県の事情といたしまして第二点として申し上げますことは、緊急治山及び砂防事業でございます。緊急治山、砂防事業につきましては、七号台風の実例等を見ますと、県事業は四億四千万円以上のものが該当することになっておるのでございますが、このほかに、標準税収入の百分の二千を条件といたしておるのでございます。かような条件がありますために、愛知県は総額四億五千二百万円あるのでございまするが、いわゆるその境目にあるのでございまして、査定等のいかんによりましては、その適用を受けられないというおそれがあるのでございます。この点は標準税収入にこだわらずに、県の災害実情を的確に把握されまして、高率補助を適用していただきますように、法の運用につきまして特に御配意を願いたいと存ずる次第でございます。第四の要望事項といたしましては、復旧事業費の早期の交付でございます。応急復旧事業費の交付につきましては、ぜひ、すみやかに補助決定を行なっていただきたいのでございまして、せっかく皆様方の御配意によりまして堤防の仮締め切りも順調に進み、今日その完了を見たわけでございまするが、これらの応急復旧事業費が早急に交付されませんことには何かと支障が起こるのでございまして、ぜひともこの国庫負担金を早く交付していただきますように、特別の御配慮をお願いいたします。それとともに、いよいよこれから本工事が始まるのでございまするが、これにつきましても、一刻も早く査定を完了していただきまして、本工事を迅速に進め、関係地域住民の不安を一掃していただきますように、特段の御配意お願い申し上げる次第でございます。以上、数項目につきまして特に御配意お願いいたしたのでございますけれども、私どもといたしましては、古今未曽有の災害に直面いたしたのでございまして、災害復旧と民生の安定に、微力ではございまするが、全力を傾倒して参ってきておるのでございます。幸いに、国会並びに政府を初めといたしまして、国民の皆様方の絶大なる御援助によりまして、冒頭申しましたように、罹災地にも明るい光がさしかかってきたのでございまして、今後、一そうこの情勢を促進して参りたいと存ずるものでございます。このことにつきまして、以上申し上げまして特段の今後の御指導、御援助をお願い申し上げる次第でございまするが、ここに重ねて皆様方の御好意に満ちたるところの災害対策についての日夜の御労苦に対しまして、つつしんでお礼を申し上げまして、私の陳述を終わる次第でございます。まことにありがとうございました。
  6. 三田村武夫

    ○三田村委員長代理 次に、三重県副知事高谷高一君。
  7. 高谷高一

    ○高谷参考人 知事が参りまして、皆様方お願いやらお礼を申し上げるはずでありましたが、よんどころない用事がありまして、私かわりまして、参考人として陳述さしていただきたいと存じます。まず最初に、災害発生以来七十数日間にわたりまして、われわれといたしましても、この応急復旧につきましていろいろと配慮、努力を尽くして参ったのでございますが、その間国の補助なり、あるいは国の特別立法がどういうふうに措置されるかという点を、罹災民とともに非常に心配しておったところ、議会の皆様方の非常なる御努力によりまして、予算もすでに可決され、それから特別立法も制定されまして、災害復旧に対する見通しも幾らかついて参りまして、われわれとしては、今後の施策をこの法律なりあるいは国の補助によって一段と努力していく考えでございます。その間における諸先生方の御努力に対しまして、ここに厚く御礼を申し上げる次第でございます。十一月の五日にこの委員会に招かれまして、ここでうちの知事から県の応急復旧関係の問題につきまして御説明を申し上げたのでございますが、十月五日以降における県の復旧関係がどういうふうになっているかという点を、あらかじめ簡単に御説明申し上げたいと存じます。まず最初に、堤防関係応急復旧でございます。海岸堤防の流失、決壊は百九十一カ所ございましたが、十一月十八日で一応応急工事が全部完了いたしました。河川関係につきましては八百六十七カ所ございましたが、これらは、十月の二十五日で応急工事が全部完了いたしました。なお、最も被害の大きかった木曽三川の潮どめ仮工事でございますが、これは建設省中部地建に御依頼いたしまして、建設省の中部地建が、陸海自衛隊とともに非常なる御努力のもとに、これも予定よりも早く完了いたしまして、十月の八日から作業を開始いたしましたが、サンド・ポンプ船十四隻をもちまして、十月の十五日には多度町、十月の十七日には川越村、桑名市城南の中堤、十月十九日には桑名の地蔵地区、十月二十四日には長島町の北部、十月二十七日には自衛隊による長島作戦が終了、十一月五日には城南干拓地の外堤、十一月の九日には木曽岬村、十一月十八日には長島町の南部と、十一月の十八日で全部完了いたしました。その後の排水関係は、すでに先ほど申しましたこの地域はほとんど終了をいたしておりまして、一番最後に残りました長島町の南部も、ほとんどたまり水程度に全部排水完了いたした次第でございます。なお道路、橋梁につきましては、道路の決壊が八百二十カ所、橋梁の決壊が百十カ所、これは十一月一日で全部応急復旧を見ております。それからなお、御承知の国道一号線につきましては、十月の二十日にその仮橋も完成いたしまして、国道も通ずるようになっております。それから交通機関関係でございます。紀勢本線では、櫛田川の仮橋が、予定よりも一週間早く、十一月十七日全線開通いたしました。関西本線では、桑名四日市間は十月十日、関西本線の桑名—名古屋問は十一月二十六日余通いたしました。そのほか、名松線あるいは近鉄名古屋線は十一月八日というように、全通いたしまして、三重県の経済の中心である名古屋との関係が、これで交通が全部完全になりましたので、物資の輸送その他の連絡につきましては、もう完全になったというような次第でございます。次に、住宅関係でございますが、応急仮設住宅につきましては予定戸数が二千四百九十九戸でございまして、現在完成しておりますのは千八百十八一戸うち水没地帯のものがおくれておるという状況でございますが、これも今月の二十日ころにほとんど完成の予定でございます。災害公営住宅につきましては、県営で二百戸、市町村営で千三百九十戸予定しておりますが、市町村営につきましては約五百戸割り当て済みでございます。住宅金融公庫の融資あっせんの状況でございますが、これは認定受付件数が約九千件でございまして、認定済みのものが、建設の方が三千七十七件、補修が四千七百三十六件、計七千八百件認定済みでございます。それから県営で開設いたしました避難所の状況を申し上げますと、約八カ所ばかり県営避難所を開設しておりましたが、ただいま鈴鹿市の電通学園、それから鈴鹿市内にあります鈴峯荘の避難所、二カ所が残っておるばかりでありまして、これも今月十五日を目標に全部帰村する予定でございます。次に、自衛隊の活動状況でございますが、これは九月二十六日から陸上、海上の自衛隊に出動していただきまして、偵察、人命救助、物資の輸送、防疫、防潮、あるいは道路補修、堤防復旧、排土作業、倒壊家屋の整理など、全県下にわたり行ないました。陸上自衛隊の延べ出動人員は十三万九千人、海上自衛隊は一万一千人、航空機の出動が約百機、舟艇の出動が五百四十隻というふうでございまして、これら自衛隊の撤収は、十一月二十七日に木曽岬村の道路補修作業を最後といたしまして、全部引き揚げていただいた次第でございます。その後、復旧工事の査定状況でございますが、土木関係で約九十億の緊急査定を申請いたしましたところ、この査定の決定額が六十一億でございます。それから耕地関係が、十一億の申請に対しまして、十億の査定決定額を見ております。林業関係では、九億五千万の申請に対しまして七億六千万、漁港につきましては、約三十億申請いたしまして、十三億。この土木あるいは漁港、港湾関係につきましては、高潮対策はこの費用の中に含まれておりません。これも建設関係は今月で全部本査定が完了いたしまして、耕地、農林関係も今月中で完了いたす予定でございます。漁港、港湾につきましては、来年一月に入りまして、査定が完了するという状態になっております。次に、中小企業関係の金融関係でございます。これは金融、融資の期待額は、県下におきまして約百五十億の期待をしておるのでございますが、うち国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫等で約五十五億円を期待しておるような状況でございます。そのうち決定額が、中小企業金融公庫では五億、国民金融公庫では四億七千万、商工組合中央金庫では四億四千万という状態になっております。最後に、教育関係のことでございますが、風害がかなりひどかった関係上、学校被害が相当ございまして、主として四十三校のうち、これは応急復旧で一応授業を実施しておりますが、災害復旧工事といたしましては一億七千八百万——これは先ほど愛知の知事からも申し上げました通り改良復旧が十分に見てもらっておらないというので、これは愛知と同様に、今後改良復旧に重点を置いて御要望申し上げたい、かように考えております。授業関係でございますが、授業の状態は、高等学校以上においては大体完全に正常授業に復しております。それで中学校では六校、それから小学校では九校が、まだ二部教授あるいはその他の仮の校舎を使用しておるという状態でございまして、これもでき得る限り早く復旧をして、正常授業に復するよう努力をしておる次第でございます。以上が大体知事が申し上げましてから後の県の災害復旧の状況でございます。次に、県の方からいろいろと、今度の特別立法その他予算関係につきまして、また現地におきまして、こういう点を一つ御要望申し上げたいという点につきまして、お手元に「伊勢湾台風災害関係法令等に対する要望事項」という刷りものをお配りしてございますので、それの全部にわたって申し上げることを差し控えまして、今県として、ぜひ今後やっていただきたいという点につきまして概略御説明を申し上げたいと存じます。まず第一に、今後のこういう大きな災害のためには、災害対策に対する基本法をぜひ制定していただきたいということでございます。これは災害発生いたしますと、われわれは現地におりまして、ぜひとも二十八年災当時の特別立法お願いしたいというようなことをいろいろ考え、心配しながら処置しなくても、こういう大きな災害のときには、この基本法に基づいてすべての措置ができるというようなところまで、一つこの基本法を制定していただきたいという点でございます。次に第二番目には、今度の災害にかんがみまして、公共土木施設等の災害復旧に関する特別措置法が、地域指定によってなされることになりましたが、これの地域指定の算定方法にあたりまして、当該市町村にかかわる県の標準税収入の按分方法を、市町村の標準税収入の割合をもって配分するということになっておるようでございますが、これは県税と市町村税との課税客体が根本的に異なっておる関係上、やはり県の標準税収入の按分は県税の市町村別調定額によって按分するよう算定方式を決定されたいということでございます。次に、愛知の知事さんとダブる点がございますので、そういう点は飛ばしていきますが、公共災害復旧事業債及び災害関連助成事業債の充当率を引き上げていただきたいということでございます。発生年度は、関連事業あるいは災害復旧事業に対する起債充当率は九〇%となっておりますが、次年度以降においては七〇%、それから災害関連助成事業においては四五%というふうに、起債の充当率が下がるのが通例でございますが、これはぜひとも発生年度と同じ充当率を今後考慮していただきたいという要望でございます。特に三重県のごとく財政の非常に貧困な県におきましては、この起債の充当率の引き下げによって、せっかくの災害復旧事業も完遂できないという状態でありますので、今後この点を特にお願いを申し上げたいと存じます。それから次に、今申し上げましたことと関連いたしますが、災害関連助成事業債にかかる元利償還金を、普通交付税でこれを見ていただきたい。要するに、災害並みに扱っていただきたいという点でございます。次に、長期湛水地域避難所の設置費について、これを国庫補助の対象とされたいということでございまして、長期湛水地域に数カ月にわたって避難所を設置しておる関係上、現行法の災害救助法の適用ではまかない切れない、どうしてもこれを国庫補助の対象にしていただきたいという点でございます。その他漁業協同組合の事務所の災害復旧費について、これは商工業者の任意団体に対する助成法に準じて、組合の事務所の復旧についても国庫補助の対象とされたい。特に三重県は熊野灘沿岸の漁村の被害が甚大でございまして、ほとんどの協同組合の事務所が高波によって流失しておるというような状態でございまして、その点を強く要望する次第でございます。次に、ただいま排水完了いたしました木曽岬あるいは桑名、長島の田畑の状況でございますが、水は引きましたけれども、今後除塩作業を行なうことになっております。除塩作業に対しましては、今度の特別立法によって高率の補助をいただくことになりまして、非常に感謝しておる次第でございますが、そのうちの稲刈りの作業に対してぜひとも助成の道を開いていただきたい。実は除塩作業につきましては、大体この冬の間に十回ぐらい——十五センチぐらいの深さの真水を流しまして、十回ぐらい行なわなければ完全なる除塩ができない。ところが、ただいま稲が倒伏いたしておりまして、腐った稲が倒れておるわけでございます。この稲を刈り取らないために、水の流通がよくありません。従って、十回行なわなければならぬ作業が三分の一ぐらいになってしまうという状況でございます。今度の稲の田植時期までには、十分なる除塩作業ができないという状況でございますので、この稲刈りの費用につきまして、特別の助成方法を考えていただきたいという点でございます。これは技術的に、どうしても稲を刈り取らなければならぬという実情でございます。  それから次に、自作農維持創設資金のワクの拡大でございます。今国会におきまして約二十九億ばかりの資金のワクが計上されておりますが、このうち、聞くところによりますと、十五億が名古屋の農地事務局に割り当てられて、近く愛知岐阜三重の三県に配分されるようでございますが、この額ではとてもわれわれの要望しております額に達しません。三重県だけでも三十億の割当を要望しておるような次第でございますので、ぜひともこの増額をしていただきたいという点でございます。  救農土木事業の拡大、これは愛知の知事からも申し上げましたので、省略させていただきます。  その他緊急治山あるいは緊急砂防事業でございますが、これも今後この予算の拡大と、それから緊急治山、緊急砂防も同様、これを災害復旧並みに今後ともぜひとも取り扱っていただきたいという点の要望でございます。  それから次に、流廃材の排除費に対する助成措置でございますが、これは今度の災害にかんがみまして、家屋の押し流された流廃材が山積いたしておりまして、今なおまだ取り片づけが進行していないという状況でございまして、これに要する費用、排除費に対しまして助成をしていただきたい。次に、堆積土砂、湛水の排除に関する特別立法をしていただいたのでございますが、この法律の適用を、漁場の障害物除去にもぜひ一つ適用していただきたいという要望でございます。ただいまのところ、漁業権の漁場に樹木など五百本以上の場合には指定されることになっておりますが、立木が沈んでいる場合には、一市町村単位で百本以上というようなところまで基準を引き下げていただきたいという点と、特に三重県の特殊性にかんがみまして、真珠養殖などの被害が相当大きくございまして、真珠のいかだ、あるいはなわ、ワイヤ等が、相当波によってこわされまして沈んでおるのでございまして、この基準を引き下げて、こういう地帯の除去事業にもこの排除特別措置法を適用していただきたいという点でございます。  次に、湛水地帯の宅地造成事業に対する国庫補助の道を開いていただきたい。今度の水没地帯は、ともかくも海面よりも低い地帯でございますので、宅地を上げなければいけません。この上げる費用に対しまして、ぜひとも国庫補助などの対象にしていただきたい。これからまた、その低いところへ住宅の復旧というようなことがありますれば、今後万一の場合に、やはり同じようなことを繰り返すことになりますので、少なくとも宅地のかさ上げをぜひ実施いたしたいということで、現地でいろいろ指導しておるのでございますが、これが助成の道がございませんので、各人、個人では、今度の災害でひどく損害を受けておる上、宅地のかさ上げ費用というところまではとても財政的に持ち切れませんので、県なりで何とかしてくれという要望が強いのでございますが、県といたしましても、国の絶大なる御処置をお願いを申し上げたい、かように考えておる次第でございます。  それから災害公営住宅建設費の標準の引き上げ、これはともかくも災害発生のその年度だけでも、急いで建設する関係もございまして、資材が非常に値上がりしております関係、例年度とすれば、普通の建設省できめていただいておる単価でよろしいのでございますが、こういう被害時の場合であり、その当該年度建設する建築だけでも、この建設費の標準単価を上げていただきたいという要望でございます。  それから最後にお願いを申し上げたいことは、水道事業の国庫補助対象の基準の引き下げの問題でございます。この水没地帯あるいは三重県の熊野灘沿岸でも、かなり簡易水道が普及しておりまして、今度の災害によりましてかなりの被害を見ておる次第でございますが、今度の特別措置法によりまして、給水人口一人当たり上水道では百円、簡易水道では五十円以上というものを対象としておりますが、これをぜひとも、上水道におきましては一人当たり六十円、簡易水道では三十円以上を国庫補助の対象にして取り上げていただきたいという要望であります。  非常にかけ足で要望事項を申し上げた次第でございますが、お手元へプリントで差し上げておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。(拍手)
  8. 三田村武夫

    ○三田村委員長代理 次に、岐阜県知事公室長小川功君。
  9. 小川功

    小川参考人 本日、当委員会岐阜の松野知事がお呼び立てをいただいておったのでありまして、昨日参ったのでありますが、急に他の公務のために出席できなくなりましたので、私から、今までの御礼やら御要望を申し上げたいと存じます。  今回の臨時国会の当初におきまして、特に災害地対策特別委員会が設置せられ、自来足かけ四カ月にわたりまして、委員の皆様たちにおかれましては、被災者の心情を最もよくおくみ取りいただきまして、私ども被災者の意のあるところを国会の審議に反映させていただきまして、文字通り不眠不休の御尽力によりまして関係法案の成立を見るに至りましたことは、まことに喜びにたえないと同時に、感謝にたえないところでありまして、厚く御礼を申し上げます。ここに岐阜県民を代表いたしまして、深甚の謝意を表する次第でございます。  本日、本委員会に出頭いたしまして、私どもお願いを申し上げる機会を得まして、まことに喜びにたえないところでございますが、私のお願いを要約いたしますと、被災県、市、町村の財政負担緩和の措置を一そう強力にお願いいたしたいということに尽きるのであります。  さきに国会で検討せられました災害関係特別法二十七件の範囲のほかに、またはもれた点等につきましては、助成の問題、財政措置の問題等を中心といたしまして、東海三県国会議災害対策連絡協議会に要望事項を提出いたしておりまするが、その要領は、お手元へお配りしておる通りでございます。そのうち特に本災害地対策特別委員会お願い申し上げたいという点を重ねて申し上げますと、まず特別交付税の優先配分と起債の特例、緊急治山事業に対する補助の高率適用の問題でございます。これらの問題は、今さら申し上げるまでもなく、台風被害の最も甚大でありました東海三県の被害の特徴が個人被害でありまして、従って、災害救助費の支出が、前例のないほど膨大な額になっておることだけでもおわかり願えることでございまして、このような個人被害救済のための直接的、間接的な、災害対策という名を冠しない財政支出が非常に多きに上っておる次第でございます。また被災によりまして立ちおくれもいなめない事実でございまして、相当長期にわたって、県財政に及ぼす影響も大きいと覚悟をいたしておるわけでございます。  これらの財政支出の増加、財政収入の欠陥等につきましては、もちろん今回の特別措置で救済はされましたというものの、それは一定のルールに当てはめて計算されることになっております。そういたしますと、ただいま申し上げました災害対策という名を冠しない財政支出とか、あるいは災害に伴う立ちおくれが見のがされる結果となりますので、特別交付税の優先配分を特にお願いいたしたいと思うわけでございます。委員会におかれましては、このような事情は十分に御理解願えるものと存じておりまするので、関係方面に対しまして、せっかくのお力添えお願いしたいと存ずる次第でございます。  なお、起債の特例につきましては、災害関連事業に対する起債も災害復旧と同率で充当して、さらにその元利補給をせられたいというものでございます。災害関連事業が大幅に実施せられますことは、私ども非常に願うところでございまするが、事業の内容は災害復旧と何ら変わるところがないのでありまして、しかもそれが、後年度以降におきましても、県財政に大きな比重を占めることもまた当然でございます。私どもは、地方財政の責任者といたしまして、昭和三十五年度、三十六年度はもとより、なお長期にわたりまして財政の見通しを立てておく必要があるのでございまして、特に明年度の財政事情を一べついたしてみます場合に、税収の増加等、一部明るい面ももちろん見られまするが、それ以上に義務的な財政支出の増加がございまして、決して楽観を許さない次第でございます。さらに、本年発生災害復旧費は、明年度以降におきまして大幅に計上しなければならないのは申すまでもないところでございます。このように見て参りますると、災害対策というものは、発生したその年だけで救済できるとは考えられないのでございます。要望いたしておりまする災害関連事業に対する起債の充当率の引き上げ、及び元利補給は、災害激甚県といたしましては切なるものがあることを、十分御了知いただきたいと思うわけでございます。また、東海三県での緊急治山、砂防事業に対しまして補助の高率適用をお願いいたしておりまするのは、御承知の木曽、長良、揖斐三大川を初め、無数の大小河川が山岳部からえんえんとして伊勢湾に注いでおるのでありまして、今次の台風災害において沿岸部の被害を一そう大きくしたのも、その原因の一つに、治山、砂防事業の欠除が考えられるのでございます。従いまして、災害対策の恒久的な施策の一環といたしまして、治山、砂防事業の補助率を引き上げ、地方財政負担の緩和をはかりつつ、強力な事業の推進を期待いたすものでございます。なお、救農土木事業につきましても、その事業の拡大と補助の高率適用を要望いたすものでございます。この事業がいかに被害地の復興と民心の安定に寄与して参りましたかは、私の県の多芸輪中の例をとってみてもわかるわけでございます。先般の本委員会での福田農林大臣の言明が、被災者をしていかに大きく復興に立ち上がらせておりますかは、これを如実に物語っているわけでございます。今の段階におきまして、救農土木事業の拡大こそは、私はほんとうに多言を要しない問題であろうと思う次第でございます。以上は、東海三県国会議災害対策連絡協議会に提出をいたしておりまする要望の二、三の点でございまするが、これらの要望は、そのままそっくり本災害対策特別委員会へのお願いでございまするので、よろしくお願いしたいと思うのであります。激甚地の取り扱いにつきましては、先般来議論がかわされて参っておりまして、私どもといたしましても、そのつど意見、要望を述べて参った次第でございます。政府当局の政令案を見てみますると、そのつど新聞報道、関係資料等によりまして大体は承知することができたのでありまするが、政令の制定をめぐりまして不可解に思いますることは、当初案がいつの問にか大幅に後退をいたしまして、全く骨抜きになっておるように私思うのでございます。たとえば、激甚地指定の条件の一つに長期湛水の問題がございます。仄聞したところによりますると、最初長期湛水は、七日以上、三十ヘクタール以上の湛水をこうむった場合を考慮せられていたようでございます。また排水の基準といたしましては、侵入した水が、自然排水によっては三十ヘクタール以上の面積にわたって、七日以上湛水したであろう市町村の区域となっておるようでございます。このように長期間にわたりまして湛水した地域での被害は、住家の被害を初め、米の大減収等、個人的な大被害発生しておることは論を待たない次第でございます。従いまして、激甚地を示す一つの要件をこれは十分具備していると思うわけでございます。しかしながら、最近では、この湛水の要件が、機械排水により排水した経費にしぼられまして、著しく実態からかけ離れた感じのする案が考えられておると聞いておるのでございます。案じまするに、当初案では、激甚地としての適用が大幅であり過ぎるということでしょうか、あるいは七日以上という認定が困難だからという事務処理上の隘路からでありましょうか。私といたしましては、予算のワクとか手続上の問題も、もちろん大切ではありましょうが、今回のような異常災害に対処いたしましては、むしろ実態に即応せしめ得るような余地を残した政令案を御制定いただきたいと思うわけでございます。岐阜県では、去る十一月末の県議会におきまして、伊勢湾台風災害を中心といたしました補正予算計上したわけでございまするが、激甚地の取り扱いいかんが、どのように大きく地方財政に影響するかということを、数字で申し上げて御参考に供したいと思います。公共土木施設災害復旧について申し上げてみますと、復旧額と標準税収入の関係で、もちろん岐阜県は、高率適用について全県適用ということになっております。従いまして、混合方式によりまして国庫が負担する額、県が負担する額が算定されるわけでございまするが、本年災害額を最低四十五億円と見ました場合の地方負担の額は、現行法で約十二億五千万円でございます。今回の特例措置では六億二千万円でありまして、差引六億三千万円が軽減されることに相なっております。これをもちましても、高率適用の恩恵がいかに大きいかということが、はっきりいたしております。しかしながら、ここで申し上げたいのは、いわゆる混合方式を用いないで、二十八年災害と同様に全県適用方式をとりました場合は、さらに二億円が軽減されるはずでございます。ただいま申し上げましたのは県工事についてだけでございまして、市町村におきます影響は、もっと大きいことが予想されるのでございます。事実、私ども試案を作成いたしまして、激甚地指定がどうなるだろうかというようなことを検討いたしてみたのでございまするが、政府の案がこうだからこのような結果に相なりますというようなことは、いまだ県下に発表いたしておりません。全県下に災害発生しておりまして、当該団体の財政力だけでは簡単に激甚地指定を決定することはできない、それぞれの特異なケースが残されておりますだけに、かりに発表でもいたしましょうものなら、相当大きな問題を引き起こす心配があるのでございます。従いまして、結論といたしまして、激甚地指定の政令につきましては二十八年災害の例に準じまして、公共土木の指定地は、第一義的に他のすべての特別措置法の指定地に適用せられることとせられたいのでございます。すなわち、今回は、各法律ごとに政令により激甚地を指定せられるようでございますが、この場合、各政令中に、公共土木の指定地は原則として激甚地として適用がある旨の規定を設けられたいということでございます。第二点は、湛水の定義を、当初案による七日以上、三十ヘクタールの地域にかかる市町村の区域とせられたいということでございます。以上をもちまして私のお願い申し上げたいことは大体終わりますが、関係特例法が成立いたしました今日、政令の定め方いかんでは県、市町村の財政に重大な支障を招来するものでございますので、本委員会におかれましては、これらの事情をとくと御賢察いただきまして、最善の努力をいたされますように心からお願いいたしまして、私の御要望を終わらしていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  10. 三田村武夫

    ○三田村委員長代理 次に、和歌山県副知事大橋正雄君。ちょっと参考人に申し上げますが、せっかくおいで願って、十分御意見なり御要望なり伺いたいのですが、時間の関係もありますので、なるべく重複を避けて御開陳を願いたいと思います。
  11. 大橋正雄

    ○大橋参考人 和歌山県でございます。さきに当委員会から被災各地意見を聞いていただきまして、今回、また復旧途上にございますわれわれの現地の声をお聞き下さいます機会をお与え下さいましたことは、委員会の今回の問題を現実的に解決したいという御熱意の現われでございまして、まず、深く敬意と謝意とを表する次第でございます。今回の特別委員長からの御照会によりますと、災害復旧状況と今後の対策、さらに、法律施行上の諸問題の三点について意見を述べよとのことでございましたので、きわめて簡単に、この三点につきましてお願いやら御報告を申し上げたいと存じます。本県の本年発生災害被害額は七十億円でございますが、そのうち公共施設被害額は三十七億円でございまして、これが、いわゆる公共災害三十二億と単独災害の四億六千万円とに分かれておるわけでございます。まず県といたしましては、災害発生と同時に、十六市町村災害救助法を発動いたしまして、救助の万全を期するとともに、応急災害復旧につきましても、災害つなぎ資金の借り入れ等により措置して参ったのでございますが、政府におかれましても、今次災害の特殊性にかんがみまして、補正予算による災害復旧費計上、二十八年災にならって特別措置法による災害早期復旧措置を講ぜられましたことはまことに感謝にたえないところでございます。特に和歌山県は被害激甚県として指定をいただき、これまた厚く御礼を申し上げたいところでございます。復旧状況の概要を、公共土木関係を例にとって申し上げますと、緊急査定の終わりました額が今日までで約八億九千五百万円でございまして、総額十九億八千万円の約四五%に相なっております。これを、今回の特別措置法による被害激甚地とその他地域に分けて試算いたしますと、まず、被害激甚地の高率適用分としては、十九億円のうち十三億四千万円、その他地域分が残りの六億三千万円と相なっておるわけでございます。従いまして、このうち高率適用分は、国庫補助率が八割七分九厘であり、その他の地域分は七割一分七厘でございますから、平均いたしまして八割二分七厘の補助率となっている状態でございます。これらの公共災害のうち、とりあえず仮橋、仮桟道その他応急復旧により支出いたしました事業費を含めまして、現在までに着工できましたのが約二億二千四百万円でございまして、これが土木関係の査定総額の約一割になっているわけでございます。すなわち、今日までに約一割の復旧着工ができている状態でございます。次に、単独災害分について申し上げますと、さきにも申し上げましたように、単独災害被害額は四億六千万円でございまして、これらはいずれも一件十五万円未満の小災害でございます。公共査定見込額の約二三・五%に当たるのでございまして、和歌山県といたしましては、二十八年のあの大災害を契機といたしまして、山地、河川の荒廃によるこれら小災害が年々続発いたしまして、公共災害に対する単独災害発生率は、過去七カ年の全国比率一六・四%をはるかに上回った、二三・五%になっていることを御注目いただきたいのでございます。従いまして、これが復旧のため借り入れました地方債の元利償還金は年々多額に上りまして、これが連年災害をこうむり、本県の財政上の非常に大きな負担となっておるのでございまして、今次災害につきましては、元利補給の措置によりまして一応公共災害並みの措置をしていただいておりますけれども、七、八、九風水害のみによることなく、本年発生災害全部について、しかも、激甚地指定の基準のみによることなく、全県同一に激甚地並みの元利補給を適用されるよう、特にお願いを申し上げたいのでございます。次に、今後の対策について基本的な面を申し上げたいと存じます。まず、災害調査及び災害防除計画の樹立についてでございます。すなわち、治山治水計画については、建設、農林、両省におきまして積極的に事業を進められておりますが、現在実施されております河川、海岸、砂防の改良工事、林地荒廃防止施設、地すべり及び水源林造成施設等につきましては、総合的な関連性を持たす必要があると考えられますので、災害常襲地帯に対する調査を実施していただき、災害防除計画を樹立せられ、これを基本線として治山治水及び関係改良工事施行せられるように御要望申し上げたいのでございます。また、昨年制定せられました台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法につきましては、現在のところ、何ら国の財源措置が行なわれておりませんため、総合的な災害防除事業の実施が不可能の実情にあるのでございます。従いまして、ただいま申し上げました事項との関連において、早急に予算の裏づけをお願い申し上げたいと存じます。さらに、災害復旧工事の査定についてでございますが、災害復旧工事に対する関係各省の査定一にあたりましては、原形復旧を原則とせられているということでございます。従って、もう少しで完全な災害復旧ができるような場合でも、原形復旧を原則とするため再災害を招き、ために、次年度以降の災害復旧による国費の増大の原因とも相なっていると思われるのでございまして、必要最小限度の改良工事につきましては、災害復旧事業として御採択せられるようにお正願いを申し上げたい。これは災害県であります本県のごとき場合の痛切なお願いでございます。また、災害復旧工事は、さきにも申し上げます通り、一応三・五・二の割合で三カ年完成を目途として実施することになっておりますけれども、昭和二十八年災害のごとき、ようやく本年度末をもって完成する等、実に七カ年の歳月を要しているのが現実の状態でございます。このため、翌年度以降の災害においてその個所が増破し、被害の増大を招来する事例も少なくありません。従って、災害復旧工事の早期復旧について特別の御配慮をお願い申し上げたいのでございます。このためには、先ほども各位からお話がございましたが、起債の充当率を、次年度以降も現年度同様一〇〇%充当されんことをお願いいたします。次に、恒久的な特別法の制定についてお願い申し上げたいのでございます。伊勢湾台風災害復旧対策につきましては、政府、与党におかれましては、いち早く中部日本災害対策本部を設置せられ、適切なる災害救援に当たられる一方、二十七に上る災害関係特例法の制定、補正予算の編成等、災害対策災害復旧に万全を期せられたことにつきましては、県民ひとしく感謝申し上げているところでございますが、災害特別法立法から政令指定に至るまでの間にかなりの期間を要し、これがため災害応急復旧に万全を期しがたいうらみがございますから、これが措置として、今後恒久的な災害特例法を制定せられまして、災害発生のつど、特例法の条項に照らし、これを適用して災害救助災害対策に万遺憾なきを期し得るようにお願いを申し上げたいと存ずるのでございます。なお、仄聞いたしますと、伊勢湾等高潮対策特別措置法を制定されて、これが対策に万全を期することになったということでございまして、これが対策地域は、伊勢湾沿岸、知多湾、渥美湾、熊野灘というふうに聞き及んでおるのでございますが、今回の伊勢湾台風の上陸地は、御承知のように和歌山県の串本町でございまして、串本港以東の各港が高潮により甚大なる被害をこうむっており、これが対策に苦慮しているところでございます。従って、熊野灘地区である串本以東新宮に至る地点を、ぜひとも特別措置の対象地域に入れていただきたいということをお願い申し上げたいのでございます。次に、特別立法の運用について二、三の点を申し上げたいと存じます。激甚地指定にあたっては、市町村の標準税収に加え、県の標準税収入を市町村に按分する方法も採用せられたわけでございます。この方式によりますと、県税の性質によって、たとえば遊興飲食税のごとき、当然都市、温泉地等に多く生ずる税収を郡部の市町村に按分することによって、郡部の市町村の標準税収入が高くなり、地域指定からはずれるような囲体もできるような状態になりますので、その被害状況に照らし、きわめて不合理な結果が生じてくるおそれがあるのでございます。従いまして、合理的な基準により、御指定方格別の御配慮をお願い申し上げたいと存じます。さらに、本年七、八、九月に発生した災害であっても、発生した地区によっては政令指定基準に基づく特別法を適用する事業と、指定地外で一般基本法を適用する事業とが生じ、当然国庫補助金に差異がございますので、事務量がきわめて繁雑、かつ膨大となることが予想されるのでございます。つきましては、これが実施にあたりまして、県ごとの平均率を設け、県内一様の補助率によって事務を処理できるような御考慮をお願いできれば幸甚でございます。なお、小災害につきましても、あわせ御措置願いますことをお願い申し上げたいと存じます。     〔三田村委員長代理退席、委員長着席〕 最後に、従来におきますところの一般改良国道の補助率は四分の三となっておりますが、災害関係事業だけは一般道路の災害関連事業と同様三分の二となっておりますので、これを四分の三まで引き上げられるよう、本県の場合特に御考慮をお願い申し上げたいと存じます。はなはだ簡単でございますけれども御照会の三点について申し上げて、陳情といたします。(拍手)
  12. 南條徳男

    南條委員長 山梨県の松浦功君。
  13. 松浦功

    ○松浦参考人 知事が災害事務のために疲労いたしまして、ただいま療養中でございますので、かわって御説明申し上げることをお許し願いたいと思います。今回の大災害に際しましては、各位におかれましては適切なる御措置をおとり下されまして、ために、本県におきましても着々と災害復旧事業が進んでおります。県民も立ち上がる意欲に燃えておることにつきまして、心からお礼を申し上げる次第でございます。本県は、御承知のように七号台風による被害が主でございましたために、現在まで非常に査定事務も進捗しております。耕地の第七次査定分を除きましては、ほとんど査定が終わっております。その結果を申し上げますならば、土木事業におきまして百十七億円、耕地事業につきましては推定二十七億円、林道六億合わせまして大体百五十億という公共被害に相なっておるのでございます。このほかに、緊急砂防、荒廃地等を含めますならば、おそらく二百億に近い数字になってくるかと思います。きわめて査定の進捗状況がよかったために、工事も現在着々と進行いたしております。すでに、国から年度分として割り当てられましたものは、ほとんど全部着工いたしておりまするし、そのほかに、県独自で予算外義務負担といたしまして、土木工事では二十二億、耕地事業で三億、これらのものについてはすでに契約をする、あるいは契約をする直前の段階に立ち至っておる状況でございます。おかげさまをもちまして、どうやら県内にも明るいきざしが見えて参りまして、非常に復興の意欲に燃えておる状況でございます。本日、特例法の運用上の問題、あるいは工事施行上の問題につきまして御要望を申し上げる機会をお与え下さいまして、まことにありがたく、喜んでおる次第でございます。すでに各県の知事各位から、基本的な問題等については幾多の御発言もございまして、重複する部分もございますので、私の県からはごく事務的な問題、しかしながら、非常に重要な問題であると考えられる幾つかの問題について御要望を申し上げたいことをお許し願いたいと思うものでございます。特例法上の運用、あるいは工事施行上の運用の問題点といたしまして、土木あるいは耕地、あるいは林道、こういう一般的な公共災害に関しまして、幾つかの点について申し上げたいのでございます。まず第一に申し上げたいことは、大体、本県の見通しにおきましては、土木工事は本年度二二%、耕地事業につきましては約二五%弱ということで国の方との連絡事務が進められておるようでございますが、これでは、とても来年の田植えはできませんし、また、耕地を復旧するための堤防も完全に直せないという状況でございますので、先ほど来申し上げましたように、すでに本県独自の問題といたしまして、予算外義務負担によりまして工事の進捗をはかっておるわけでございますが、こういう状況では三・五・二の比率にすら達しておらないわけでございます。予算外義務負担ということになりますれば、勢い金利の問題で業者に迷惑をかける等、幾多の問題を生じてくるわけでございますので、予算が不足であるやの話も聞いております。これらの面につきまして、できるだけ御配慮を願いたい、このように考えておる次第でございます。第二番目の問題といたしましては、本県の公共土木に例をとってみますならば、非常に標準税収入が少ない県でございます。いわゆる貧乏県でございます。それに対しまして百十数億の公共土木被害がございますために、補助率は九八・七%という数字になります。このことにつきましては、ほんとうに貧乏県でありながら、土木災害を完全に直せるということから、心からお礼を申し上げる次第でございますが、話に聞きますならば、土木の九八・七%というような補助率についての国庫補助金は、おそらく本年度内には出ないであろう、八〇%程度しか国の補助金が出せないだろう、どういうことかと申しますと、予算が足りないからだ、こういう話を聞くのでございますが、もし、かりにこのような措置がとられますならば、九八・七%と八〇%の差額、すなわち、一八・七%というものは、県の財政上は歳入欠陥になるわけでございます。本年度、かりに二十五億程度のものをやるといたしましても、四億数千万円の歳入欠陥を生ずる。一般財源として税収入がございますが、年間八億程度の本県において四億の歳入欠陥が生じますならば、とても決算はできないわけでございます。かような点も御考慮いただきまして、ぜひ高率補助によります国庫補助金の年度内御交付を願えますように格段の御配慮を願いたい、このように考えておる次第でございます。また、本県におきましては、災害事業が先ほど申し上げましたように比較的早く進歩いたしておりますために、工事の出来高払いというものによります資金繰りという問題が非常に大きな問題になって参っております。ところが、昨年度行なわれておりました前金払い制度というのは、適正化法との関係もありまして、非常にむずかしい、こういう問題がございまして、本年度は前金払い制度が認められてないわけでありますが、できますならば、前金払い制度を何らかの格好において実質的に行なえるように御配慮願いたい。かりに、それが不可能だといたしましても、一つそういった資金繰りの面を十分御考慮願いまして、概算交付をできるだけ早く、確実に行なっていただきたい。これらの問題については、極力各省にお願いをいたしておりますが、なかなか大蔵省等の関係においてらちがあかないという話も聞いております。ぜひ、この点についても御配慮願いたいと思うものでございます。また、これもおそらく予算の不足の問題から生じておるのではないかと思いますが、話によりますと、三十四年度施工分という指令を出しておきながら、支払いは、国庫においては三十五年度で支払う、こういうような国の予算外義務負担というようなことによって、災害復旧の進捗をはかっていこうと考えておる向きがあるというふうな話を聞くのであります。かりに、そういうことになりますと、三十四年度に指令をいただきました部分については、すべて県が立てかえて払わなければならないわけでございまして、たださえ資金繰りが苦しいのに、県が立てかえて払うということになりますれば、それに伴います利子だけでも、本県のような貧乏県はとても耐えられないということになります。これらの問題は、あげて予算の不足の問題から生ずる問題ではないかと考えておりますので、公共土木災害等の予算につきましては、今後何分の御考慮をお願いしたいと思うものでございます。それから、来年度におきます災害復旧予算の問題でございますが、これにつきましても、ぜひ大幅にお認めを願うように御協力を願いたい。もし、今のままで過ごしますならば、本県の実情を見まして、おそらく三年という一応のめどを立てております災害復旧が、四年ないし五年、まずくいけば六年はかかるのではないかというように私どもは考えておる状況でございます。従いまして、これらの面につきましては、御承知のように、いかに国の補助金が四年、五年というふうに延びましても、県といたしましては、堤防を作らないで、あるいは耕地を復旧しないでおくということは許されないわけでございます。これらは県独自の仕越し工事によってどんどんやっていくということになりますと、それに伴います利子あるいは借入金、こういった問題が幾多生じて参ります。結局、県の財政というものを根底から乱していくということになりかねません。それらの問題も十分御承知おき願いまして、来年度の予算についてもぜひ大幅にお認め願うように、御配慮を願いたいと思うものでございます。工事施行上の問題にかんがみまして、現在は非常に人夫賃が高まっております。また、資材費等についても高騰のきざしが見えておるわけでございますが、これらにつきまして一例を申し上げますならば、人夫賃について申し上げますと、最低二百八十円から最高四百二十円ということで大体国の単価がきまっており、それ以上の単価は査定上認められないというのが実態のようでございます。もちろん、制度上は認めないということではなくて、実際に支払う、必要な金については認めるといっておりますが、それについては労働基準監督署の賃金がこのくらい高いのだという証明書を持ってこなければいかぬ、証明書をもらいに行けば、そんな証明書は数カ月かからなければできない、そのうちに査定が終わってしまって、すべて一律の単価で終わってしまう、こういうことでございます。現在土木、林務におきましては、査定の結果に基づきまして三百五十円見当の人夫賃を支払って災害復旧工事を行なっておる状況でございますが、実際の支払いは六百円をこえておるわけです。こういう結果が何をもたらすかと申しますならば、結局、不足分について県費で継ぎ足しをするか、あるいは工事の質を落とすか、いずれしか結論はないわけであります。本県のごとく、先ほど来申し上げておりますように、一年間の税収入八億というような県で、百億の災害で、人夫賃の差額だけで数億に上るようでございますれば、これは県費で人夫賃の不足を補うということはできません。勢い工事の質の低下ということで、この問題をカバーせざるを得なくなるわけでございます。これらの問題につきましても、実情に合いますように御考慮願いませんと、せっかく復旧いたしました橋の質が悪くなる、あるいは堤防がずさんなものになり、ひいては今後の災害をまた引き起こす原因にもなりかねない状況でございます。これらの点につきましても十分御考慮願いたいというふうに考えております。また本県の特殊の事情かも存じませんが、非常に本県につきましては鉄道が不便でございます。中央線単線一本だけでございますために、セメントその他の資材の輸送に非常に苦しんでおります。いろいろ運輸省等にもお願いをいたすのでございますが、なかなからちがあかない状況でございますので、災害のためには、これら輸送の問題についてぜひ優先的に取り扱いますように、本委員会から御指示を願えれば非常に幸甚だというふうに考えております。また、本県におきましては、各地災害が起きましたために、技術職員が非常に払底をいたしております。これらにつきまして、何か国のごあっせん、あるいは御推薦、こういった措置が願えないかということを心から痛感いたしております。かりに新しい大学卒業者を雇うということにいたしましても、直ちには実際の役に立ちません。また、これらの者を採用いたしました場合には、数百人というものが災害復旧終了時において職員増加という格好になってしまいます。これらの数百人の職員というものを将来にわたってかかえていく財力というものは、本県にはございません。そのような先行きの財政問題等を考えますならば、何とか国の方で派遣職員あるいは一時的にお貸し願える職員、こういったような制度も将来にわたって御考慮を願えないものであろうか、私どもは、ぜひその点についても御検討願いたい、このように考えておる次第でございます。また、耕地事業の年度内の完成のために、農民が金を借り入れまして、それによって復旧事業を進めるのでありますが、そのつなぎ資金は農林漁業資金を借り受けておるわけでございます。これの利子も、先ほど愛知県知事からもお話がございましたように、貧乏な農民にとっては非常に大きな負担になります。八分数厘というような利子になりますれば、大へんなことになります。これらの問題についても一つ減免措置等を十分御考慮願いたい、そのように考えるものでございます。起債の充当率については、各位からお話がございました。次年度以降も、できる限り災害発生の年度と同じようにお取り扱い願うように御協力願いたいと思うのであります。第二番目に、本県の特殊事情といたしましては、緊急砂防、荒廃林地復旧事業の問題があるのでありますが、これについての補助率等の問題については、先ほど各位からお話がございましたので省略いたしますが、緊急砂防、荒廃地復旧事業につきましては、一定計画に基づきまして、その一定計画に認められた部分についてだけは準災害的な扱いをして、九〇%の起債を認める。その起債については交付税において五七%の元利償還を認めるということになっておるのでございますが、この一定計画というものができておりません。どうも将来の問題とからみ合わせまして、できておらないのではなくて、作れないのではないかという感じがいたすのでございますが、本県におきましては、緊急砂防が二十七億、荒廃地復旧が二十一億という要望を出しております。それに対しまして本年度は緊急砂防四億五百万円、荒廃地復旧が二億五千万円ということになっております。決して満足すべき数字ではございませんが、この程度の金額すら来年、再来年になりますと大幅に削られるのではないかということを非常に心配をいたしております。従いまして、これらの問題について一定計画を作るという行政上の措置がすでにできておるのでございますので、この一定計画をできる限り早く作るよう、また、できるならば法制的に御措置願いまして、こういうものを作らなければならないというふうにおきめを願う等の御配慮をいただきたいと思うものでございます。また、緊急砂防、荒廃地復旧事業につきましては、本県並びに長野県の特殊事情だと思いますが、本県並びに長野県は再建団体でございますので、緊急砂防、荒廃地復旧事業につきましては高率補助の適用があるわけでありますが、この適用にあたりましては、基準事業量といいます従来の実績を基礎にいたしますために、せっかくの高率補助制度が十分に効力を表わしません。補助辛が、かさ上げ率が下がってしまって、ほとんど益するところがない。しかるに、逆に高率補助があるために、起債が非常に縮小されてしか認められない、こういう矛盾が生じてきます。これらの点につきましては十分検討していただくように、自治庁の方へもお願いをいたしてございまするが、再建団体という非常に追い込まれた苦しい立場にございまする本県及び長野県——これが主となると思いますが、これらの場合も御考慮願いまして、何かと御配意をいただきたいと思っております。三番目に、その他の問題といたしまして、生活保護施設あるいは公立文教施設の問題について一、二お願いがございます。生活保護施設災害復旧につきましては、補助率が二分の一から三分の二というふうに引き上げられて非常に喜んでおったのでございますが、どうも予算が不足だという理由からだと思いますけれども、査定は四百万というふうに認められておりながら、補助対象は三百万だというふうな話が持ち込まれておるのであります。こういうことになりますると、四百万で四分の三だと考えておりましたものが、三百万で三分の二でございますから、結局、補助金は二百万しかいただけない。そうすると、査定は四百万でありますから、補助率は二分の一ということになりまして、何ら補助率を引き上げていただいた効果がないわけであります。これらの点につきましても十分実態を御了承いただきまして、御協力を願いたいと思うものでございます。また、公立文教施設の激甚地指定につきましても愛知の知事からお話がございましたが、百分の二十ということでございますると、非常に財政力の弱い市町村が多い本県にとりましては、わずかの負担でございましても、えらいことになるわけでございます。標準税収入の百分の二十というふうに一応きまりかけておるそうでございまするが、ぜひ百分の十程度にお下げをいただきまして、学校の完全な運営ができますように御協力をいただきたい、このように思うものでございます。以上で山梨県の運用上の問題点について申し上げたわけでございますが、最後に、今後の災害問題として二点お願いをいたしたい。その一つは、山梨県の災害というものは、堤防を復旧し、道路を直すということでは決して将来のためにならない、緊急砂防と荒廃地復旧、このことをどうしても力を入れてやっていただかない限りは、再びあの大災害を受けることは必至でございます。ぜひこれらの面につきまして、将来にわたりまして山地が治められますように十分御協力をいただきたいということを、特にお願いいたしたい。さらに、第二点といたしましては、本県の河川は勾配が非常に急でございまして、常に川床が隆起をするという事態が見られるわけでございます。これらの川床隆起対策というものを考えますときに、常に川床を下げるように浚渫を行ないません限りは、堤防を幾ら引き上げても、再びあの惨禍を受けることは必至でございます。一つ各位の御協力を得まして、砂利を取り、あるいは浚渫をするという意味の事業というものが、今後恒久的に行なわれますように御配意を願えますならば非常に幸いであると考えております。以上、きわめて事務的なことだけを申し上げて恐縮でございますが、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。(拍手)
  14. 南條徳男

    南條委員長 次に、東海経済懇話会の伊藤長光君からごあいさつがあるはずでございます。
  15. 伊藤長光

    伊藤参考人 災害地対策特別委員会で発言を許していただいたことについて、特に委員長並びに各委員の先生方にお礼を申し上げます。お手元に謹呈いたしました伊勢湾台風の写真集、これはまだ一昨日中部日本新聞社がでかしたばかりでありますが、その前に、皆さんの委員会の御活躍ぶり、また、被災地のいろいろな状況、そういうことについての歴史的な記録と申しますか、その縮刷版が約五百八十ぺ一ジでできておりますから、これも後ほど各先生方にお届けしたい。また、下巻が年内の二十日までに出ますものですから、これも今後国土の復旧と中部災害地の改良復興のために、何かと先生方の御協力の資料としていただければ幸甚だと思っております。知事さん並びに商工会議所の会頭、それから中日の会長、皆さんと御相談の上、特に江崎先生のごあっせんで、こうして皆さんにお礼を申し上げる機会を得たことにつきまして、重ねてお礼を申し上げます。この機会に、特に二点だけ申し上げたいことがあります。去る三日午後三時、東京会館で岸総理、益谷副総理、池田通産大臣、それに佐藤大蔵大臣も御多忙の中を御出席願い、中部経済界の諸君たちも来まして、その席上、特にお願いしたことは、御承知のように明日、中部日本災害対策本部が一応の役割を果たしたものとして解散されるのであります。このことにつきましては、特にこの委員会の御協力を得、また、政府閣僚も非常に御熱心にしていただきまして、被災地の皆さん感謝しておるのでありますが、被災地の人々は、また来年の七、八月ごろにはきわしないか、こぬとも断言できないし、くるとも断言できない、しかし、くるということは常に念頭に置かなければならないという観点から、できるならば、復旧から改良への各省の総合的な機関を、皆さんのお力添えによってでかしていただきたい。名古屋商工会議所では中部復興開発庁と申しておりますが、これはほんの仮称でありまりして、東海三県はもとより、関係地方における総合的な一つの機関をまずでかして、改良復興の方向に推進願いたい、この一点であります。もう一点は、これは昨月でありましたか、特別委員会で、岸総理、閣僚のおられるところで、たしか京都の田中伊三次代議士が述べられたと思いますが、水害地の開発上の基礎的調査研究と、木曽川水系における調査が総理府の資源調査会において二年前にできておる。ここに持ってきておりまするが、科学的な航空写真三百何十枚、それから、いろいろなデータを集めてできたものが、今度の東海地方における被災状況とぴったり合っております。これができておるにもかかわらず、関係各省には配られておらなかった。特に名古屋気象台あたりでは、これをあとから見たという状況であります。今度の被災で死んだ五千の霊にもし声ありとするならば、今日の日本の政治力の貧困、官庁のセクショナリズムに対して痛憤慟哭するであろうということを、国民的立場から訴えたいのであります。このことにつきましては、岸総理外閣僚にもこの前よくお願いしましたが、そこにありまするあれは資源調査会で三年前にできました。しかも、千三百年前からの木曽川水系、中部地方における被害状況を非常によく書いてある。これを私は、この委員会に訴えてお願いしたいと思います。いかにいい企画がなされましても、それが実施面に移されなければ何にもならない。また、実施面におきましても運輸省、農林省、建設省等、ばらばらで海岸堤防がああいうふうになされては、効果が薄いということであります。どうかその点につきましては、私が今さら申し上げるまでもなく、愛国的な熱情と、国民に対する非常な愛情と、被災地復旧改良のために尽力されておるこの委員会の賢明なる皆様方お願いすると同時に、国会を通じて、被災地の皆さんが一日も早く安心していけるような方向に御協力お願いしたい。また、特に江崎先生を通じてお手元に謹呈しました画集、また、あとから本委員会の皆さん方のことや被災児童など、あらゆることが報道されておる中部地方の記録を贈呈いたしまするが、よろしくお願いいたします。私は、まだいろいろ申し上げたいことがありまするが、もう十二時四十分で、特別に時間を許していただきましたあれでございますけれども、今申しましたように、こういうしっかりしたものが総理府でできておるにもかかわらず、これが何ら活用されなかった責任は、一体どこにあるかということについてよく一つお考えの上、今後の対策に御協力願いたい、こう思うのであります。以上。
  16. 南條徳男

    南條委員長 午後は一時半から開会することといたしまして、暫時休憩いたします。午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後一時五十五分開議
  17. 南條徳男

    南條委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続きまして参考人各位より御意見を承ることにいたしますが、この際、委員会を代表して参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位におかれましては、公務御多端のおりから当委員会に御出席いただきましたことに対し、厚く御礼申し上げます。災害対策に関するそれぞれの特別措置法もすでに成立を見ましたこの機会におきまして、本委員会といたしましては、被害地において日夜身をもって災害復旧に御尽力下されておる各位から、直接に災害対策に関する諸法律の施行上における問題点、その他、災害地対策として、今後さらに講ずべき諸施策等について忌憚のない御意見を承り、もって災害地対策の万全を期したいと存ずる次第であります。  ただ、何分時間の関係もありますので、お一人当たりおおむね十分ないし十五分程度におまとめを願い、要点を簡潔にお述べ願いたいと思います。なお、御説明を願います順序は、勝手ながら、委員長からの指名によって御発言を願いたいと思います。  では、まず名古屋市長小林君。
  18. 小林橘川

    小林(橘)参考人 名古屋市長小林でございます。本日は重ねてこの委員会において意見を申し述べる機会をお与え下さいましたことをありがたく存ずる次第でございます。  過ぐる十一月五日の本委員会におきまして、私ども被災地の要望をお耳に入れた次第でございますが、本特別委員会におかれましては、災害復旧各般にわたる特別立法の御審議をいただき、委員皆様方の非常な御尽力によりまして、すでに二十七件に上る特別措置法の成立を見たことにつきまして、まずもって厚くお礼を申し上げます。  おかげをもちまして、その後名古屋市の災害応急救助もやっと終息の段階に入ることを得まして、さらに復興への道を歩みつつあるところでございます。名古屋市の受けました被害、並びにこの間に行ないました応急救助の概要等につきましては、この前の機会に申し述べた通りでございますが、その後の事情について簡単に申し述べます。  御心配をおかけいたしました堤防の締め切り工事並びに排水作業につきましては、中部災害対策本部を初め、県、自衛隊、消防団等の一方ならぬ御努力をいただきました結果、旧市内の仮締め切り工事は十月の七日から九日にかけて一応でき上がりました。また、南陽、富田地区の仮締め切りは十月の二十五日にやっとでき上がりまして、市内全体としては十一月の十四日に一応の排水完了されたのでございます。また、住宅対策につきましては、災害救助法に基づきまして、応急仮設住宅三千戸の割当をいただきましたので、とりあえず十一月末まで千二百七十六戸を建設いたし、引き続き建設を急いでおりますとともに、千五百戸の災害公営住宅建設を目下進めておるのでございます。このほか、現在まで排水後のヘドロの処理、清掃、防疫、教育対策その他の緊急処理につきましても極力努力をいたして参ったのでございます。これから緊急災害対策のための経費といたしましては、とりあえず災害救助費に十五億円、罹災中小企業の金触対策のための貸付金五千万円を専決処分によって支出をいたしております。そのほか、国庫補助あるいは起債等の特別措置をおもな財源といたしまして、臨時市議会に災害関係の諸経費全般にわたって総額九十二億二千余万円の追加予算計上いたしまして、財政の許す限りの応急措置をとったわけでございます。  しかし、何分にも今回の災害は広範な地域にわたり、かつ未曽有の規模を持ったものでございますので、今後まだ早急になすべき事業は数え切れないほどあるように考えられます。それと申しますのも、この甚大な被害によって得た貴重な教訓を何とか将来に生かし、再びこのような災害を引き起こさないようにとの根本的な、切実な気持が私どもの胸を去らないからであります。私は常に市民を私の子供と思い、その親の気持で市政を見て参ったのでございます。このたび二千人に上る市民を一瞬にして失ったことについては、ひたすらその責任を痛感するばかりでございますが、本委員会の諸先生方に甘えて、失礼をも顧みず、再び、多くの子供を失った親の気持を皆さんに訴えて、あたたかい御同情を得たいと存ずる次第でございます。  午前中各県の知事さんからいろいろ御要望がございましたが、その点は省略させていただきまして、お手元にお配りをいたしております「特別措置の拡充に関する要望」、これをごらんをいただくことといたしまして、特にその中でも、名古屋全市を激甚地に御指定をしていただきたいのでございますが、本日はさらに皆様方に一そう御配慮と御援助を賜わりたい三点につきましてお願いを申し上げたいと思います。  第一点は、無災害都市の建設ということについてのお願いでございます。去る十一月の五日にこの委員会におきまして、名古屋市の被害状況を説明申し上げる機会を得た際に、私は、このたびの名古屋市の災害の特色といたしまして、第一に、未曽有の異常な高潮であったということ、第二に、名古屋港を中心とした南部一帯の市の工業中枢が全部麻痺したこと、第三には、その後の長期にわたる湛水による被害といった点を中心として御説明を申し上げたのでございますが、これら今回の災害の特殊性にかんがみまして、ぜひ無災害都市の建設こそ、名古屋市当面の第一の目標とすべきものと考えるのでございます。本市は、最近特に躍進の目ざましい中京工業地帯の中心都市といたしまして、その都市計画においても全国に誇り得るものと考えて参ったのでございましたが、このたびの災害によって、初めて痛切に伊勢湾一帯の根本的な高潮対策、ことに名古屋港を中心とする南部一帯の防災について欠陥を教えられたわけでございます。限られた地域に人口が密集し、複雑な社会生活が行なわれておりますわれわれの大都市におきましては、一たび今回のような台風が襲来すれば、有形無形の大きな被害が、想像を絶する規模において発生することは、今回の経験に徴しても明らかでございます。願わくは、この際、名古屋市を無災害都市のモデル都市とも考えられまして、当面の伊勢湾沿岸堤防の万全な改良復旧の早期完成をお願いいたし、ことに中京工業地帯の中心としての名古屋港における大防潮堤計画の完成などにつきまして格別の御配慮をいただきたいと思うのであります。  第二の点は、ただいま申し上げました無災害都市建設に関連いたしまして、都市環境の整備と、都市活動の回復に要する立法措置並びにそれに基づく行財政の措置についてでございます。言いかえれば、災害によって痛手を受けた都市が、その傷をいやし、かつその痛手から脱却するための必要な手当をお願いしたいのでございます。この点につきましては、今回の国会において、二十七件に上る特別措置法を初めとして、数々の行財政措置が講ぜられましたことは、まことに感謝にたえないのでございますが、このたびの災害が広範かつ甚大でありましたために、各地域の特殊性に応じた措置、または将来の発展につながる措置として、はたして十分のものであろうかと考えてみますときに、なおいささか不安を覚える次第であります。先ほど知事さん方からも、今回の特別措置につきましてなお一そうの充実についての御要望が出されており、私どもも全く同じ考えでございますが、さらに、大都市においてはまた大都市としての活動のため、ぜひとも取り上げられなければならない特殊な部面が数多く存在するのでございます。これらの部面が取り残されるといったことのないように十分に御配慮を賜わりたいと存じます。  これに関しまして二、三の点について申し上げますならば、当面行ないました災害救助行政におきましても、大都市におきましては、救助の実施はきわめて多岐多端にわたらざるを得ない。事実、災害救助法に定められております救助基準以外に、都市生活者に対する基準外並びに法定外の救助のための多額の救助費を使っておるのでございまして、この際、基準外の支出につきましては、すべて基準内に含められますとともに、法定外の支出につきまして、この際私は交付税の優先的な配分についてぜひお考えをいただきたいと存じます。また、都市固有の復旧事業といたしまして、大都市市民の日常生活に欠くべからざる交通の事業、水道事業、衛生行政、清掃事業など、早急に完全な機能の回復をなされなければならないものが多いのでありますが、これらの中には、大都市にしか見られないような特殊な施設あるいは機械の復旧あるいは整備を要するものが多々あるのでございます。また、民間におきましても、都市に集中する中小企業を初めといたしまして、商工業全般の立ち直りなどに特別の措置が望まれるのでございます。これら都市固有の、しかも緊急を要する事情のあるものにつきましては、今後とも国庫補助あるいは資金助成などに一そうの強力な対策を講ぜられますように、特にお願いをいたす次第でございます。もちろん、国家財政全般の事情などから、やむを得ず次の機会にその措置を譲られるもの、あるいはすでに別途の方法を講ぜれるようなお考えをいただいておるものもあろうかと存じますが、百五十万市民を預かるものといたしましては、特に念には念を入れてお願いいたす次第であります。  それとともに、復興が軌道に乗るにつれ、私ども当事者といたしましては、やや将来にわたる見通し、あるいは計画ともいうべきものを持つに至りましたので、あらためてこの際お願いしたいのであります。すなわち、先ほど、本市将来の都市建設の目標として、無災害都市の建設ということを申し上げ、万全の海岸堤防の早期完成をお願いいたしたわけでございますが、私どもはそれのみで手をこまぬいているつもりはないのでございます。海岸堤防の完璧化をお願いしましたのは、無災害都市の第一の条件としてでございますが、それとともに、都市環境の安全化をはかるためにはなお多くの施策が必要であると思います。その施策につきましては、事情の許す限り極力名古屋市においても努力するつもりでございますが、何分広範囲にわたる膨大な事業でもあり、大災害後の本市の財政力としてははなはだ心もとない事情もございますので、どうかあたたかい御同情を賜わって、格別の措置お願いいたさなければならないと存じております。すなわち、本市工業地帯の立地条件の安全化のためには、低地帯にある工場の防災施設に対する課税の特別措置、あるいは低地帯労務者住宅の高層化のための融資等の特別措置、あるいは荒子川地区等低地帯工業地区のかさ上げ、及び幹線道路のかさ上げなどに対する国庫補助あるいは起債等の特別の措置お願いいたさねばならぬと思っております。また、背後地区におきます環境の整備に関しましては、公立学校、公営住宅の耐火高層化、低地帯都市公園のかさ上げ、あるいは将来災害危険区域を指定します場合の防火建築物に対する国庫補助の特別措置などをお願いいたしたいのでございます。さらに、将来の根本問題として、地盤沈下に関する総合的な御措置をぜひともお願いいたしたいのでございます。  以上のように、都市の基礎的環境整備につきましては、むしろ今回の災害を契機といたしまして、根本的な改良の達成せられることを心から念じている次第でありまして、また、これらの基本計画は、本市将来の産業の進展を左右する重大な要件ともなるものでありますので、それらの計画が慎重に、しかもできるだけ早急に進められることに対し、今後とも格段の御配慮を賜わりたいと存ずるのであります。  第三といたしましては、災害に関する行政制度上の問題でございます。このたびの災害のような、予想をこえた非常の事態におきましては、災害救助に関してのみでも、制度上多くの問題点が、都市の救助活動をめぐって明らかにされたと思うのであります。もちろん、本市の内部組織についても種々反省せられるべき点もあったのでございますが、根本的には、災害救助法の体系そのものの中に問題があるのではないかと存ぜられます。このたびの体験からいたしまして、優に一県に匹敵する百五十万というような多数の人口をかかえた大都市におきまして、緊急を要し、広範囲で、かつ長期にわたる災害救助活動が効果的に行なわれるためには、救助行政の実質的責任者である市長に対して、救助法上の形式的責任を明確にゆだねられる必要のあることが痛感されたのでございます。すなわち、災害救助の緊急第一段階でありますところの、自衛隊、日本赤十字桂への協力要請、輸送力の確保、法外援護の実施などを行ないます場合の緊急な事務の実施、命令権の発動等、すべて直接の責任者としての市長に委譲していただきたいと考えるのであります。こう申し述べることは、現行法における責任者の措置について不満を申し上げる気持は毛頭ございませんが、このことは、社会感情からいたしましてもきわめて当然のことと思われるので、市民は、むしろ現行法の体制がそうなっているものとのみ思っている人がたくさんありました。それが実情なのでございます。このような明確な責任が市長に与えられてこそ、災害に対する救助用物資の備蓄、避難計画、都市計画等の関連におきまして、都市における災害救助に万全の態勢をとり得るものと考えるのであります。もちろん、根本的には、そのような災害救助法の発動といった事態が再び私どもの市に発生しないことを至上の念願といたしております。先ほどから申し述べて参りました無災害都市建設に関する数々の希望も、尽きるところは、今後再び災害救助法が発動されない都市の建設にあるわけでございまして、先ほどからの希望が次々とかなえられますならば、それだけ、ただいま申し上げたようなことは無用の言葉と相なるわけでございます。しかしながら、それをもってしても、なおかつ天災の発生は予測いたしかねるのでございますので、この際あえてお願いをいたした次第でございます。このたびの災害救助、今後の災害復旧から復興に至る各般の行政に関しても、大都市としての統一的処理の必要が痛感されますことは、将来の大都市行政のあり方に対する一つの暗示を与えるものではないかと存じます。このほか、制度上の問題としましては、今回の災害を契機といたしまして、災害基本法の確立といったような構想もありますし、また中央各省間の総合調整府県の区域拡大、広域行政制度の確立などの御意見が、産業界を初めとして各方面から強く唱えられているように承知いたしております。これらもあわせて今後の重要問題として十分御検討賜わりますよう、心からお願いを申し上げる次第であります。  最後に、中部日本災害対策本部は、明九日をもって解散されるのでありますが、私はこの際、この対策本部は、次の恒久対策確立のためにも、何らかの形においてそれを持続し、さらに一そう国と県と市の三者が一体となって話し合っていかねばならぬと信じます。そうした災害救助法、河川法、その他いろいろな法令に基づく措置を、真に息の通った生命のある緊密な連絡のとれたものに改めていただきたいと存ずるのであります。たとえば、気象庁を初めとする政府の諸機関、自衛隊、あるいは河川、港湾等の権威者、その他学識経験者などを打って一丸として、まず名古屋市にそうした新構想を持った中部対策本部を持続していただくようお願いをしたいのであります。災害はいつくるかもわかりません。そのような対策本部の設置はきわめて必要なものであると思います。そうしてこのような組織を全国各地区に漸次設置をされることが望ましいと思います。  長時間にわたりまして勝手なお願いを申し上げましたが、あるいはその中には、当面の緊急問題をはずれているとのおしかりをこうむるかもしれませんが、真の復興をこいねがう私どもといたしましては、その根幹をなすものとして、今後第一にお取り上げをいただきたく存ずるのであります。  一昨日、自衛隊に参りまして、第十混本部の本部長といろいろ話し合ったのでありますが、そのときにも、自衛隊の諸君は、今後あなたの方とよく相談をし、協力して対策を立てていこうじゃないかというお話でありました。私は、わが意を得たりという気持で非常に喜んでおるのでございますが、われわれの目に見えない災害の脅威は、まだなくなったわけではないのであります。どうか災害の参謀本部としてのこうした本部を持続いたしまして、もっと国なり、県なり、市なりが、話し合いのできる場を作っていただきたいと思うのであります。なお、今回の政府の対策本部、県の災害本部、われわれの本部とも、ほんとうに円満に、うまく参りまして、今度ほど三位一本でうまくいったことはないと思っておりますが、それにしても、なぜ名古屋が早くあの決壊場所が締め切れたかといいますと、これはすべて市民の力であります。自衛隊、それに加うるに消防団、消防局員、あるいは高等学校の生徒、これらを動員いたしまして、人海戦術でもってどしどしと私の方はやりましたので——命令する人ばかりが多くて手勢がないという状態では、あの締め切りはいつまでも完成しなかったのだろう。従って、私は市民一般に対して、あの寝食を忘れて働いてくれた諸君には、非常に感謝をいたしております。どうか国におかれましても、そういう態勢をもっと進めて、ほんとうに市民みずからが立ち上がってあの災害を防ぐような実際の活動に入ることが、何より必要だと考えます。  以上をもちまして私の説明を終わります。どうかよろしくお願いをいたします。(拍手)
  19. 南條徳男

    南條委員長 津島市長竹内節雄君。
  20. 竹内節雄

    ○竹内参考人 私、津島市長でございます。再び委員会にお招きをいただきまして、いろいろお願いを申し上げる機会を与えていただきましたことを、まず厚く御礼を申し上げます。  先月の五日の午前十時に、本委員会を御開催されまして、私ども現地の知事、市長等を御招集遊ばされ、水害の状況等について、現地の状況を御聴取いただき、さらに現地の者どもお願いの筋を御親切にお聞きをいただいたことを、まず感謝申し上げる次第であります。さっそく私どもお願いをお取り上げ下さいまして、その翌日には、本委員会にありましては、水侵しになっておる地方の締め切り工事が一刻も早く完成するようにという緊急の決議案を御上程いただき、全委員先生の満場一致の御決議によりまして、現地締め切り工事に従事しておる者を心から激励、鞭撻いただいたのであります。おかげをもちまして、締め切り工事に従事する方々の士気は一そう高まり、自衛隊のまことに統制のある、陸海空三軍の昼夜不眠の肩まで水につかって努力によりまして、幸いにいたしまして、あの尾西作戦が十一月の十日に完了いたしたのであります。私どもは現地において万歳の声を張り上げたのでありますが、そのときの喜びというものは、私の過去一生におきますいかなる場合に上げた万歳の声よりも、私はうれしく思ったのであります。引き続き、あの南方の海南作戦っも、同様の御努力によりまして、十一月の二十一日に仮締め切り工事終了いたし、尾西作戦によって締め切りのできました北部は、すでに先月の終わりをもちまして、完全にもとの水位に排水が完成いたしました。海南作戦によりますその外の部門の称富町の鍋田地区、十四山村の一部分、飛島村の全地域も、昨日の情報によりますと、今日か明日をもって大体もとの水位に返るところまで排水が行なわれて参りました。これひとえに、当委員会におかれまして、現地の者の苦しみをわが苦しみとして、緊急な決議案までなして御勉励をいただいたたまものであり、一方におきましては、現地住民はもとよりでありますけれども、自衛隊隊員各位のほんとうに犠牲的な活動によったものであると思いまして、私は、本日この席から皆様に対して、ほんとうにありがとうございましたと感謝の言葉を申し上げる次第であります。かようにいたしまして、水をなくしていただきまして、わが津島市の五千戸の者——この書類に書いてありますが、四千百九十六戸の世帯、人数にいたしまして二万一千六百九十二人の者は、六十三日目に水の責苦から解放されました。水が引いたあとは、何と申しますか、私は、さんたんたるものであるとか、荒凉たるものであるとかいうような形容詞は当てはまらぬ、ひどいものであると思っておるのであります。  以下、本日与えられました時間がきわめて少なうございますので、こまかい数字的なこととかいうようなことを省略いたしまして、水の引いたあとの現況を御報告申し上げるとともに、私のお願い申し上げたいことを、五項目ほどにわたってお願いをいたす考えであります。  まず第一番に、水をなくしましたあとで何よりも先に見たかったものは、農地と水につかっておった農家、工場と織機がどういうようになったかということであったのであります。水の引くにつれまして、私はたんぼと畑を見まして、六十三日ぶりに稲穂の腐ったのと畑の塩を吹いた灰色の土とがわれわれの目に映って参りましたけれども、一体これをどうしてもとへ戻すのだ。一メートル以上も下は壁が落ち、上の方は塩水がしみ込んで、貝がら虫のついておるこの住居を、いかようにして農家はもとへ戻していくであろうかということであります。  すでに先刻来お話がございました田畑の地方復興につきましては、除塩をまず行なって、少なくとも明年六月の田植え時期までに、耕作可能の範囲にまで塩度を薄める必要があるのであります。その第一段の順序といたしましては、たんぼに腐って残っておりまする——九月の末ごろまでは黄金の波を打っておりましたあの腐れた稲穂を取り片づけることが、まず第一番に絶対必要なのであります。しかしながら、神武以来の豊作といわれた豊作を目の前にいたしまして、この悲惨な結果に遭遇した農民は、今日、腐れ果てたこの稲穂をたんぼへおりて取り去るだけの、稲の残骸を取り片づけるだけの気力さえ失っておるのであります。自分のたんぼの稲が塩水で枯れた、来年の田植えをするためには、まずこれを取り片づけなければならないことは、もとよりよく承知をいたしております。しかも、惨たんたる被害にあって、それを今たんぼに入って取り片づけようという気力さえ農民にはございません。お願いをいたします。どうか、このたんぼに腐り果てておる稲穂、稲の残骸を取り片づけるために、かわいそうな百姓たちに、一坪片づけたらお前らにまんじゅう一つずつやろうということを、政府はおきめいただきたいのであります。一坪の腐った稲を片づけたら、まんじゅうを一個ずつお前らにやろうということを、一つこの委員会でおきめいただきたいのであります。まんじゅうにも八円のまんじゅうもあります、十円のもありますし、十五円のもあります。一坪に一個、かりに一個十円といたしますれば、一反歩三百坪で三千円であります。一つそれだけのほうびと申しまするか、駄賃を百姓にやって下さい。青砥藤綱は一文銭を川からすくい上げるために、人夫を数人も雇って、多額の費用を使っても国の宝を拾わなければならぬといって拾ったという故事がございまするが、来年の耕作に、政府の親心をほんとうに身にしみて百姓がまず第一歩を踏み出すためには、どうか、小さいまんじゅうでもよろしゅうございますから、一坪について一つのまんじゅうをやるということをおきめいただきたいのであります。  次にお願いを申し上げたいことは、そういうようなことをやりながら、百姓は来年の収穫まで食いつないでいくために、仕事をほしがっております。自分らは、今日までは救助法によって、国の恩恵によって生きてきたが、いつまでもそういう恩恵をたよりに生きていこうということは考えておりません。自分の労力によって、自分たちの努力によって、来年の収穫まで生きていこう、わが家の再興をはかろうといたしております彼らに、職を、仕事を、まず作ってやっていただきたいということであります。どんな仕事でもいたします。まして、自分の住んでおる地方、自分の目の前にあるたんぼや畑、あるいは水路やみぞに関係のあることでありますならば、百姓は、朝は早くから晩は目が見えなくなるまででも働きます。どうか百姓に耕地整理、区画整理、土地改良、あるいは内水面干拓等の仕事を、まず作ってやっていただきたいと思うのであります。このことは、来年の収穫時までの救農であると同時に、ほんとうに津島海部地方におきまする濃尾の美田、穀倉を再びもとの美田に戻す、災いを福に転ずる最大の方法、近道であると私は確信をいたしておるものでございます。  ただ私がこういう席でまことに恐縮でございまするけれども、一言皆様に御認識をいただきたいと思いますることは、最近ある場所でいろいろ興農、救農に関するお願いをいたしておりましたところ、津島海部地方における農民はきわめて金を持っておる、豊地である、恵まれた農家ばかりである、海部郡の南方方面においては、農協に預金が一戸当たり二十万円からあるではないか、そういう農家に、国は今日何のために次から次への救農、興農の施策を施して、補助を出していかなければならぬのだというようなお考えがあるやに承ったのでありまするが、これは私といたしましては、まことに承服いたしかねるお考えであると言わざるを得ないのであります。私も、その話を聞きまして、さっそく津島市における状況を調査いたしました。十一月末日現在におきまして、津島におきましては、農協に対する農家の預金が二億八千四百六万円ございます。農家戸数が二千五百十五戸でありますので、二戸平均の預金が十一万二千円であります。津島におきまする農家の農協に対する預金は十一万二千円ございます。あるいは南方の農家におかれましては、先ほど申し上げました通り、二十万近い預金も持っておられるかもしれません。しかしながら、二十万円という金が、一つの農家のたくわえといたしまして、どれだけの大きさと申しまするか、幅を占めておるか、価値があるかということを考えていただきたいのであります。脱穀機一つ買うにも数万円を要します。農機具を一通りそろえるのに、十万円以下では絶対そろいません。また農家というものは、われわれ公務員あるいは会社勤めの方とか、そういう者と違いまして、期末手当もございません、勤勉手当もございません。まして、彼らには恩給はついておりません。十一万二千円、二十万円が、彼らの最悪のときにおける唯一の頼みの綱の予備費であるのであります。十五年勤めれば、公務員には恩給がつきます。病気になれば、共済組合があって、入院もただでできる。百姓は、どこからも共済保険も参りませんし、恩給もつきません。一家がいかなる場合に遭遇しても、それだけが彼らの予備費であるのであります。それを持っておるから、今日それほどまでして救う必要はないのだということは、絶対言えぬと思うのであります。また一歩譲りまして、この十一万二千円という金がかなりの金であるといたしましても、それこそ、これは彼らがほんとうに百姓として油と汗でたくわえてきた金なのであります。海部郡の南方方面に参りますと、お百姓はあれだけ広いたんぼを一生懸命作りながら、一方においては、寒中胸まで達するゴムのズボンをはきまして、海につかってノリを拾うのであります。この辺で浅草ノリと呼ばれておるものは、知多郡や海部郡の海岸でとれたノリが大部分であります。あのノリをとるのに、彼らはどのくらい水の中につかって苦労するか。さらに、屈強な男は、小さな船に乗って近海へ出て、魚をとってきて売り歩くのであります。二十万円の預金を持ったということは、そういう一家をあげて、未明から日暮れまで油と汗で十年、十五年かかってようやくためた預金であるのであります。こういう金が十一万二千円あるからといって、それでもって、今日農家は恵まれておる、津島海部の農家は金持ちであるというようなことは、私は絶対に言うべきでないと思いまするので、どうか一つその点を御理解賜わりたいと思うのであります。  次に、工場についてお願い申し上げます。先般も申し上げました通り海部津島地方は、尾西、一宮地方と同様に、御承知のごとく全国屈指の毛織物産地であります。津島等におきましても、百二十以上の工場が災害を受け、三千五百台から四千台の織機が水浸しになり、今日、彼らはそれを油で洗い、分解して組み立てて、再び音を立てさせることに血みどろになっております。しかしながら、この織機というものは、きわめて精巧なる機械でありまして、一たんそういのものにつかりますと、これをいかように洗たくをし、分解掃除をいたしましても、もとには戻りません。しかしながら、今日速急にこれを新しいのに買いかえるだけの力がなく、余力もありませんので、古いやつをがまんをして使おうといたしておるわけであります。しかしながら、修整場におきましてできたものを調べますると、以前に比べまして全く価値の少ないものしかできないのであります。今まで一等品、外国輸出の優秀なる毛織物の産地でありました津島におきましては、今日とうてい合格品の生産はできないというような現状になった。長くなりまするので、簡単にお願いをいたしまするが、どうかこれら工場に対しましては、復旧資金に約十億、つなぎ資金といたしまして六十億、さらに織機の新規買い入れ資金としまして四億、この程度の低利の長期融資の御配慮をわずらわしたいと思うのであります。彼らは、必ずやこのお借りしたものについて国家に損失を与えるようなことはいたしません。再び毛織王国を出現いたしまして、外貨を獲得する往時に戻すことは明瞭でございます。どうか、ただいま申し上げた程度の融資について、御配慮を賜わりたいと思うのであります。  さらにお願い申し上げたいことは、この被害数字におきましては、そういうことを記入してありませんが、工場主の被害というものは、この二カ月間工場その他の労務者をつないでおくために、非常なる経費を使っておるということであります。国におかれまして御心配をいただきまして、六〇%の失業保険金の御支給をいただくことに決定をいたしております。しかしながら、それだけでもって、決してあれらの人はそこにとどまっておったわけではありません。そのほかに、工員で家の水についた者には、工場主は自分のところはあと回しにいたしまして、そうしてまず工員の家を救い、工員に金を与えたのであります。六割と全部との差額の四割はもとよりでありますが、さらにそれに倍するものを見舞いなりいろいろな形で与えて、そうして今日あの優秀なる熟練工をつなぎとめて参ったのであります。ところが、六十日水浸しの間、大切な織機を保護するため、保安要員といたしまして相当数の従事員を使用いたしまして、あるいはそれに相当の手当を払っておるかもしれません。また、事実払っております。払わなければ、そういう人を使うことはできません。それによりまして、失業者ではないのだ、六〇%の保険金は支給できないのだというような、もし労働省においてお取り扱い等が行なわれまするならば、これこそまことに泣きつらにハチと申しますか、痛手を受けた工場に対する二重の苦しみを与えることになります。非常に厳格と申しますか、むずかしく調査をし、その理由をあげればあるいは支給やや困難と思われるような筋合いも出て参るかと思うのでありますけれども、この工場主が熟練工を確保するために犠牲を払った大きな金額のことをお考え合わせ下さって、六〇%のものを漏れなく長期湛水地域の工場従事員には御支給をいただきたい。工場主の手を通じてそれらの職員の方に支給できるように、御配慮が賜わりたいのであります。  次に、文教施設についてお願い申し上げます。文教施設につきましては、はなはだ残念でございまするが、一昨日十二月六日の朝日新聞、同じ日の中部日本新聞が筆をそろえて、「台風後ふえた少年犯罪、被災せぬ子への反感、暗い環境に心すさんで」あるいは「少年が不良化の恐れ、台風による環境変化で」というような記事を載せております。しかし、私は、この記事が載って初めてそういうことを知ったわけではございません。何とぞ文教施設の復興につきましては、十分なる御配慮を賜わって、青少年の士気の阻喪の起こらぬように、青少年をしてがっかりさせぬように、御考慮がいただきたいと思うのであります。数日前だったと思いまするが、文教方面におきましては、災害復旧のために相当額の資金を要するので、すでに決定をいたしましたように、補助あるいはその他の国の御認可のあったものが、幾らか取り消しあるいは中止をされて、いわゆる財源を吸収するというようなお考えがどこかにあるがごときことを伺ったのでありまするけれども、これははなはだおかしいと思うのであります。災害を受けた文教施設復旧するために、増強なり新設を決定しておった工事をやめるということであれば、これは結局プラス・マイナス・ゼロでありまして、いささか災害に対して親心をもって復旧してやろうということとは遠ざかっていくのではないかと思うのであります。わが学校には、体育館がことしできるんだ、すでに文部省なり自治庁からの御認可までいただいておるということになれば、そのことはPTAの役員も、PTAの人たちも、子供自身も、よく知って楽しんでおったのであります。もし、それを今日、水災のために金が要るようになったから、体育館はお前のところは建たぬようになったのだと生徒に言うたならば、それこそこれらの新聞が書いておりますように、生徒自身がこの災害の痛手をもう一度教室において受けるようになると思うのであります。私は、山本有三氏の小説であったと思いまするが、「米百俵」という小説を読んだことがあります。越後の長岡藩では、大災害に見舞われたときに、見舞いにもらった米百俵を分けて食おうとしたときに有識の士がとめて、塾を開いたという意味の小説であったと思うのであります。その塾からは、山本元帥とかなんとか、偉い人がたくさん輩出しておるということまで、その小説には書いてあったようでありますが、かかる際に、極端な言い方をするならば、他のことは幾らか譲っても、文教に関する、第二国民の養成の教育の施設こそは、むしろ力を入れて、そうして災害のためにむしろよくなったのだ)災害のためにこれができたのだというようなふうに一つ御配慮を願わなければならぬ。  さらに、こまかい話になりますけれども、倒壊いたしました校舎は、鉄筋にかえていただけるというようなことを伺って喜んでおりますが、倒壊せず中途半端な被害で、その査定では、これは壁をちょっと上に化粧でもすれば使えるではないかということで、どんどん過酷なる査定が行なわれるということがもしありますと、これはまことに残念でございます。  この際あわせてお願い申し上げたいのは、公共施設あるいは土木関係のものにいたしましても、文教関係のものにいたしましても、あるいは厚生、衛生、医療方面の病院等におきましても、みな中央の調査官の御調査がございます。もとより当然でございます。綿密なる御調査をいただきたいと思うのでございます。しかしながら、国の確保されている金額に限度があるので、この際査定調査をきわめて厳格にして、そのワク内におさめなければならぬというような先入意識を持って現地においでをいただいて御調査を願うということならば、この御調査は、表面調査であるけれども、むしろまことにわれわれとしては好まざる来訪者であると言わざるを得ぬのであります。いろいろな御配慮をいただいておりまする財源につきましては、きまった財源でどうしても無理やりにその財源のワク内におさめようという御方針で、御上司の方の心を理解せずにその係の方が単なる事務をもって数字を出す、日ごろのいわゆる査定即減額というような御意識で現場の査定を行なわれまするならば、被災民はまことにいいつらの皮だと言わざるを得ぬのであります。どうか、財源には限度がございましょう、きまった御予算のワクもございましょうが、必要なものは一つ御追加なり御修正をいただきまして、査定はあたたかいお気持で御査定を願うようにお願いを申し上げる次第であります。  次に、市財政と申しますか、公共団体の財政についてお願いを申し上げたいと思います。申し上げまするまでもなく、私どものごとき小さな人口四万四千の町におきましても、その約半数の住民が罹災をいたしました。固定資産税、市民税、そういうものの減免を実施いたさなければなりません。私どもも、昭和三十四年度におきまする一般会計に計上いたしました財政収入は、当初予算におきまして一億七千三百万でございました。九月の水災発生までに収納いたしました税額が、約九千五百万円であります。差引七千八百万円の一般会計における税収入というものは、今後この半額四千万円が収納できれば上々であると私は思っておるのであります。しかしながら、残額の半分四千万円を収納することは、とうてい不可能ではないかと思うのであります。こういう財政歳入欠陥を初めといたしまして、いわゆる予算外の義務負担、債務負担、というようなものと、今回市民も農家も、営農資金の借り入れ、あるいは中小企業金融公庫の借り入れ、あるいは住宅金融公庫の借り入れ等において、市は予算外の債務負担等をいたしておるのであります。  また、さらに大きな問題は、国民健康保険に対する問題であります。国民健康保険は、御承知のように、最近その収入に比べまして医療給付額が非常に増加をいたしまして、どこにおきましても、国民健康保険を実施の市は、相当額の一般会計からの繰り出しをいたしまして、国保の運営をいたして参っておるのであります。一時のごときは——私の津島市におきましても、昭和二十六年、七年ごろには、これを中止せざるを得ないのだというような苦境にも立ち至りました。しかし、がんばりがんばり続けて、今日国保を継続して参ったのであります。しかしながら、国民健康保険税を減免し、あるいは一部負担金を減免した場合に、国におかれましてはその八〇%を補給下さるとの御意向を御決定いただいておるようであります。まことにありがたいことであります。しかしながら、その残りの二〇%を市財政において負担することが可能であるかどうかということになりますと、これは絶対可能であるということは言えないのであります。一般会計においてさえ、先ほど申し上げましたように歳入欠陥を生ずる上に、国保会計に繰り出すだけの一般会計に財源の余裕がないことは、これは明瞭でございます。しかも、あの床下は全くどろどろで、いまだに潮水がたまっております。壁は一メートルまで落ち、上は潮水がしみ込んでいる、こういうところに帰って今起居しておる市民は、平常ならば健康な者でも、病気を相当に発生するであろうと、残念でありまするが、覚悟をいたしております。螢の光に送られて、わが家なつかしさの余り、水が引いて二、三日で、もう少しおれと言ってもおらずに帰っていきました。六千人からおりました。学校等に避難をしておりました市民は、水が引くともう矢もたてもたまらぬという形で、残っておる学校の子供が花束を握らしてやったり、螢の光を歌ってやったりすると、ほんとうに喜んで、私が乗せてやったバスの中から手を振りながら帰っていきました。しかし、彼らは、おそらく赤ん坊や子供は、かぜを引いて気管支炎を起こすであろうと思います。老人はリューマチを起こすとか、神経痛を起こす、これは残念であるけれども、どうしても覚悟しなければならない。されば国民健康保険におきまする医療給付費というものが、今後きわめて膨大なる増加を来たすことは当然であります。八割までが国のお金をいただきます、ありがたいことだと思いまするが、残りの二割を市において負担せよとおっしゃられても、負担の余力がありません。それならば、国保を打ち切るか、中止するか。こんなときこそ、市民も国保の恩恵を受けなければなりません。こんなときこそ、医療機関というものは、国民に医療の安心を与えてやるべきものであると思うのであります。こんなときに困るからといって、国保は中止ができません。どうか一つ、この国保の減免に対する、あるいは国民健康保険税の収入欠陥に対する補てんにつきましては、国におかれまして、国民の健康を維持してやるのだという見地から、万全の処置をお願い申し上げたいのであります。  その他、先ほど小林市長さんからもお言葉がございました特別交付税の優先決定とか、いろいろ財政上の問題につきましては、すでに他のお方々からもお言葉があり、いろいろ御配慮もいただいておると存じますので、私も強くそれをお願い申し上げる次第でございます。  最後に、私はいささか報告——お願いとは違うかもしれませんけれども、大きく言えば、これまたきわめて重大であると思えることについて、最後に皆様のお耳を汚したいと思うのであります。  それは、この地図でもごらんいただきますように、海部津島は、ちょうど北の方の一辺のない長方形の重箱でございます。その重箱の三万のどの一辺がなくなっても、今度のような水入りになります。海岸堤防もしっかりやっていただいて、先ほど小林市長さんのお言葉にもありましたように、無災都市の建設も必要でありますが、この木曽川と日光川と海岸との重箱の三辺の補強に万全の御配慮がいただきたいということであります。それにつきまして、私はこの席で特に皆様のお耳を汚したいことは、今回の災害にあたりまして、私どもがほんとうに安心感を与えられ、ほんとうにありがたく思い、これでこそほんとうに現地における水をなくする仕事が完成したのだと思えますることは、自衛隊隊員各位活動であります。私どもは、今さらそういうことを申し上げるのは申しわけございませんが、事実台風発生後から九月一ぱいはもとより、十月の中旬まで、いつになったら締め切り工事はめどがついてくるのだ、いつになったらわれわれはもう大丈夫、これならば十日なり三週間なり先に水がなくなるだろうというめどがついてくるだろうかということが握れないために、毎日不安と焦燥にかられて過ごしておったのであります。忘れもいたしません、十月の十五日であったと思いまするが、愛知県庁の知事会議室で、中部対策本部の会議が開催されました。益谷副総理、石原自治庁長官、楢橋運輸大臣、あるいは建設省の富樫技監、各省の責任者、さらにお見えの江崎先生を初め多数の代議士先生も御列席の上、きわめて深刻と申しますか、沈痛なる空気のうちに対策本部の会議が開催されました。列席の各省担当者は、所管所管について、いろいろこまかく状況の御報告やら今後の方針について御発表がありました。しかしながら、率直に申し上げますが、どなたの発言を聞いておりましても、そういうふうに計画が進んでおるのか、そういうふうに段取りができておるのか、締め切り工事は大丈夫できるというような、安心感の持てる御発言は一言もございませんでした。私並びにあそこにおいでになる海部郡の町村長さんも、全員そこにおいででありました。一人残らず、何となく物足らぬ、きわめて物足らぬ気持をもって各担当者の御発言を黙って承っておったのであります。しかしながら、一時間以上時間が経過したときに、自衛隊の責任者の幕僚の方が立ち上がられました。大きな紙を二、三枚壁に張られまして、尾西作戦というものを説明されました。そうして、ここに新しく尾西作戦を計画し、これによって自衛隊が第一工区と第二工区には全責任を負うのだということを、強い言葉で御発表になりました。その方の名前はお尋ねもいたしませんでしたが、亀ケ池重宝に橋頭屋を置いて、名古屋港の十一号地から十九万俵の石嚢を運ぶ。遠くは北海道あるいは小倉から、近くは守山方面からどんどん今自衛隊の兵力を集中いたしております。陸上は後藤一佐率いる二千五百人、海上は有村一海佐の率いる八百人、空軍は有川空佐の率いる三十三台の飛行機、さらに百三十台のダンプ・カー、ヘリコプター等によって、必ずこの尾西作戦は、皆様と御約束した一カ月で完成してみせる。これは、自衛隊が今日皆様の前で公然と発表できます。しかしながら、現地において水に浸り、ヘビやネズミと一緒に暮らし、堤防にこじき小屋を作って、自衛隊の給油タンクによってほんの三合か四合の水でその日その日を送っておる住民の苦しみはわれわれ自衛隊員こそが最もよく知っておるのだ。私どもは一カ月の約束をしたけれども、一カ月でこれをやればいいのだなどとは夢にも思っておりません。たとい四日でも五日でも短縮しようというのが、われわれの決意であります。こういう発表をされたのであります。そばにおられました佐屋町長の山田英三氏は、私の腕を隣から握りまして、もうあとのお話を聞く必要はない。期せずしてその中部対策本部におった町村長各位も立ち上がって、おいとまをいたしたのであります。これは一例にすぎませんが、防疫につきましても、小学校の子供を船で学校へ運ぶにつきましても、あるいは急病人を名古屋へ運ぶにつきましても、あの締め切り工事を水につかってやった方々と同じ心を心として、われわれを救ってくれたのであります。私は、皆様の御労苦、関係者、地元住民の労苦、もとよりありがたいと思いますが、自衛隊の今回の活動につきましては、ほんとうに頭を下げてお礼を申し上げるものであります。私は、今日こういう席でそういうことを申し上げるのは、まことにはばかり多く、おこがましい次第かと存じますけれども津島市民四万五千、海部郡十数万の住民は、自衛隊あったればこそこの締め切り工事はできたのだということを、ほんとうにみな思っております。二、三日前に、津島市から最後のダンプ・カー部隊が引き揚げました。三十数両の大型ダンプ・力ーを並べて隊員が去っていきました。わが津島市は、十何年ぶりに、町中日の丸の旗と万歳に埋まりました。かくのごときことは、私の夢にも考えなかった光景であったのであります。どうか皆さん、私が自衛隊の皆様に感謝いたしておるということを、一つお含みおき願いたいと思うのであります。私は、最後に自衛隊のますます発展されて、活躍されんことを心から念じて、私の御報告を終わらせていただきます。
  21. 南條徳男

    南條委員長 次に、桑名市長水谷昇君。時間の関係がありますから、要領だけを一つ御報告願います。
  22. 水谷昇

    ○水谷参考人 ただいま御紹介いただきました、私が桑名市長の水谷昇であります。  今次伊勢湾台風における被害地域の救済と復旧のため、さきに二十七に及ぶ法律案を御審議、御可決いただき、災害対策の万全を期されましたことは、地先市長といたしましてまことに感謝にたえません。この機会に厚く御礼を申し上げる次第であります。  去る十一月五日開催されました本委員会におきまして、御報告申し上げました通り、桑名市は、堤防仮締め切り個所の再度の決壊によって、再び仮締め切り工事前の状態に逆行する事態を生じたのであります。このため避難所の開設、たき出し等の災害救助法による救助措置の期間を延長し、万全を期したのでありまして、復旧作業につきましても、約半月の遅延を生ずるのやむなきに至りました。この堤防再決壊は十一月二日でありましたが、それより以前に、城南干拓地外側の海岸堤防締め切り工事は、すでに建設省直轄工事として着工されておりましたのでこの工事の完工を急ぎ、十一月五日に至り、一応工事完成を見ました。以来、全面的に排水作業を進めて、同月中旬に至り、ようやく全地区の排水完了したのであります。再度決壊個所も、最近に完全に締め切り完了いたしました。その間、応急仮設住宅二百戸の建設完了し、国の内外から多数のお見舞いの金品が寄贈されるなど、深く感謝しつつ、人心も次第に安定し、復興の歩みもその緒につくに至ったのであります。現在地元被災地といたしましては、一丸となって日夜復興に懸命の努力を続けておったのでありますが、何分にも、今回の災害は過去にその例を見ない激甚なものであり、かつ、浸水が長期間にわたったという特異性を持つもので、市民の多数は、その生活及び所得の根源を奪われておりますので、この上とも国及び県の積極的な御援助と御指導なくては、とうてい再起はできないのであります。なおまた、桑名市は、財政再建の途上にあります上に、さらに災害による諸支出の増大と、復旧のための諸負担によって、このままでは近い将来財政の破綻を招来することは、必至の事態にあるといっても過言ではないのであります。このため、次に申し述べます諸点につきましては、特に十分の考慮と万全の措置を賜わりますよう、重ねて懇願申し上げる次第であります。  まず、土木関係でありますが、桑名市の公共土木施設復旧工事、並びに堆積土砂排除事業につきましては、公共土木関係応急工事のみ査定を受けましたが、大部分は未査定でありますので、確実な数字ではありませんが、復旧事業費の総額は、公共土木施設にあっては五億四千五百万円、堆積土砂排除事業八百四十万円、公営住宅については四千百八十万円に達する見込みであります。このほか、市単独の復旧事業費は二千万円にも達する予定でありますので、災害特例法による政令により高率補助が受けられるように特別の御配慮をお願い申し上げます。  なお、建設省直轄で復旧工事施行せられる海岸河川堤防等の工事は、来年の出水期までにはぜひ現在の高さまで完成せられますよう特に要望いたします。  なおまた、この際、建設省御当局に特にお願い申し上げたいことは、桑名市城南干拓の旧堤防は、民堤の一千メートルは、市道改良復旧事業として工費二億六千万円程度に査定中のものでありますが、その実態として、海岸堤防並みに伊勢湾に面する地域における高潮対策事業として関係工事を進めて、地域の保全と地方負担の軽減をはかられたいということをお願い申し上げる次第であります。  次に、集団宅地造成について要請いたします。桑名市の東南部、すなわち城南干拓を含む約一千ヘクタールの地区は、海面水位より約〇・八メートル低い湿地帯でありますが、今次伊勢湾台風にあたり、その住家のほとんどが全壊流失いたしまして、長期湛水四十数日に及びましたが、この地域住民は、二度と再びこの惨禍を招来することのないよう、宅地のかさ上げと集団化を最も強く熱望しておるのであります。聞くところによりますれば、政府におかれましては、城南干拓関係六十三戸については、これが援助の道を講ぜられるやに承ったのでありますが、これと同じ境遇にある他の一般農家についても、これと同様、浚渫船による河川、海岸堤防等の復旧とあわせて、効果的かつ経済的な御援助の方策を至急に講じていただきたいのであります。  終わりにこの上のお願いは、政府はすみやかに完全な復旧対策実施するとともに、抜本的災害防止対策を樹立して強力に実施されたい。特に治水事業特別会計を設定して、新治水事業五カ年計画を完全に実施されんことを要望いたします。  次に、農林農地関係でありますが、これが復旧対策につきましては格別の御配慮をわずらわしておりますので、感謝しておりますが、そのうち、湛水長期にわたりました水没農地の、収獲皆無となりました約五百ヘクタールの稲わら除去作業は、稲わらに含む塩分及び有毒物を除く作業でありますから、ぜひとも除塩事業の一環としてこれに必要な助成措置がなされるよう、格別の御配慮をお願いいたしたいのであります。また、台風の災禍により、現金収入の方途を全くなくした被災農民への救農土木事業については、高率の補助を適用願いたいのであります。救農土木事業を興すにも、五割の地元負担金が伴うようでは、とうてい負担にたえられません。せっかくの救農土木事業も放棄しなければならない結果になるかと、はなはだ憂慮にたえないのでありますから、激甚地の改良復旧に似合うだけの高率補助をぜひとも与えられるよう懇願いたします。  さらに、罹災農家の食糧配給についてでありますが、一カ月の配給量は、六キロに加配米一日百四十グラムとなっておりますが、右数量では、空腹で、とうてい復興事業に従事することができませんから、従来の農家保有量は月に一五・六四キロになっているので、罹災農家の配給量を一カ月十五キロ以上に引き上げていただきたいのであります。  先刻、津島の市長さんが具体的に農家の困窮の状態を御披露になりましたが、今回湛水長期にわたりましたので、稲わらが腐ったのでございますが、これを除去するのには、私の方の調べによりますと、これほど費用がかかるのであります。わらの量は、平年作で百二十貫あるいは百五十貫であります。本年作はよくできておりますので、二百貫ないし三百貫であります。特別地区は四百貫もあるのでありますが、株間が八寸かける九寸、坪当たり五十株といたしまして、三百坪では一万五千株であります。刈り取り人夫を平年作では四人、本年作では十五人かかる。これは倒伏のみのもので十五人かかるのでありますが、倒伏して一部埋没したものは二十人からかかる。それからこれを農道まで搬出するためには二人の手間が要る。それで十七人。十七人に三百八十五円の日当をかけますと、六千五百四十五円要るのであります。無害地区で搬出処分をいたしますのに、一反当たりわら三百貫、平均二キロの運搬といたしまして、オートートン車一日借り上げ二千二百円、それを六回で割りますと三百六十六円でありますが、人夫三人に三百八十五円をかけますと千百五十五円、それを六回に割りますと百九十二円であります。これを焼却人夫二人に三百八十五円をかけますと七百七十円、本年作で千三百二十八円要るのであります。そこで合計いたしますと、一反で七千八百七十三円、これだけ処理するのに費用がかかるのであります。こういうふうに、稲わらを処理するのにこれだけの費用を要するのでありますが、この点を十分御考慮にいれられまして、ぜひともこの稲わら除去を除塩事業の対一象にしていただきたいということを、重ねてお願い申し上げる次第であります。そのほか、具体的なことは、時間がかかりますから申し上げませんが、先ほど要望いたしましたことをぜひとも実現していただきたいのであります。  次は文教関係でありますが、公立学校災害調査については、去る十一月上旬、文部、大蔵両省関係官の査定を受けたのでありますが、私の方といたしましては、日進幼稚園、及び城東小学校、並びに城南中学校のみを半壊と認められたのであります。しかし、ほかに精義、日進、城南の三小学校のごときは、台風及び長期湛水のため、早急に市単独事業としてこれが補修改築に着手しなければならない実情に直面しております。赤字財政の当市といたしましては全く耐えられないところであります。そこで、桑名市のごとき激甚地の学校施設につきましては、改良復旧標準建設費を大幅に引き上げるとともに、備品の流失、破損分についても高率の補助をお願いいたしたい。なおまた、水没地の学校敷地のかさ上げと基礎固めに要する経費についても、国庫補助の対象とせられますよう要望いたします。  次は社会福祉施設関係でありますが、今回の災害による社会福祉施設復旧については、それぞれ特例により、補助率、国の方が六分の四、県市が六分の一となっております。通常の率より引き上げられておりますが、今回のような大災害、特に長期間湛水という特異性から見て、当市の福祉施設は戦災後の施設が多く、老朽化している関係上、これに伴う被害程度もまた甚大であるので、補助基準対象外である内べい、建具、土盛り工事、土砂除去等についても一〇〇%の助成措置を要望いたしたいのであります。  次は財政関係であります。歳入欠陥債の対象といたしましては、法定普通税並びに法定外普通税の減免額のすべてを含めるとともに、災害に伴う担税力の減退による自然減収額三千万円についても起債ワクを認められるようお願いいたしたいのであります。なお起債の特例中、災害関連事業の起債は災害復旧と同率にこれを認め、その元利補給についても裏づけをお願いいたしたいのであります。  次に、災害対策に要する法定外支出が約四千万円を要しました実情にかんがみまして、たとえば市主催の合同葬儀の経費、消防団、婦人会、青年団その他民間協力団体の活動費、まかない費、諸手当、応急仮設住宅敷地料、屎尿塵芥捨て場の補償費、流木並びに漂流物等の除去処分につきましては、すべて災害関係対策費として起債または特別交付税の優先配分が行なわれるよう、政令等の改正をお願いいたしたいのであります。そうして桑名市財政の困窮を御救済願いたいのであります。  以上、桑名市の実情を申し上げ、これに対する率直なる要請をいたしましたが、何とぞよろしく御援助のほどを懇願いたします。  なお、桑名市隣接被災地川越村、長島町、木曽岬村及び多度町は、桑名市同様か、あるいはより以上甚大な被害を受けておりますので、私から先ほど申し上げました要望はいずれも同感で、念願をするところでありますから、何とぞよろしく御高配のほどをお願い申し上げます。  以上であります。(拍手)
  23. 三田村武夫

    ○三田村委員長代理 次は、和歌山県和本市長小林豊治君。
  24. 小林豊治

    小林(豊)参考人 和歌山県の橋本市長小林豊治でございます。皆さん非常にお疲れのようでございますので、ごく簡単に羅列的に、抽象的になりますが、御説明を申し上げたいと思います。  今次の災害に関しましては、議会におかれましては、いち早く現地調査を進められまして、未曽有の大災害であることを認識せられまして、特に本特別委員会を持たれ、災害激甚地の指定、高率補助並びに起債に関する特例等の立法をなされまして、地方自治体の枯渇せる財源と逼迫せる財政に援助の措置をとられましたことは、局に当たります私どもといたしまして、全く感謝のほかございません。  和歌山県における紀ノ川沿岸の水害は、二十八年災害が相当大きい災害だと考えられておりましたが、今次の災害はさらにそれを上回りまして、水位において一・六メートルの高水位を示しておりまして、明治、大正、昭和を通じての記録的な大災害でございます。従いまして、沿岸未改修の堤防はいずれも溢流を見ざるはない状況でございましたということを一つ御了承いただきまして、以下申し述べます災害復旧の状況と、政府においてとられようとなさいます措置に対し、被災自治体としての要望をお聞きいただきたいと思うのでございます。  まず災害復旧の状況でございますが、関係者の非常な御高配と御努力によりまして、私の方は査定が幸いに早く済まされまして、大体八〇%程度の査定が終わっております。そういうわけで、直轄工事または県工事と関連する農地災害を除きまして、いずれも復旧に着手もしくは着手せんといたしておる状態でございます。特に水道、学校、病院その他塵芥処理等の災害復旧と、これに並びまして土砂排除は、市民の教育並びに衛生上一刻の猶予も許されませんので、早急に実施いたしまして、いずれも本年度内に完了をいたしたいという予定工事を進めております。  堤防の復旧につきましては、大体県工事が多いのでございますが、来年度出水期までに完了せられなければ再災害のおそれがございますので、来年六月ごろまでに完工せられますよう、地方建設局なり県へ陳情いたしまして、目下それぞれ設計を急いでいただいておる状況でございます。  農地の災害につきましては食糧増産の上から見ましても、災害を受けました農家の気持を察しましても、来年の六月までに完成をいたしまして、表作の作付をぜひやりたいという気持で、六月までに完工いたすような手配をいたしております。  以上、大体今日の進捗状況でございますが、次に御要望を申し上げたい点は皆さんの格別の御配慮にもかかわりませず、今回の高率補助の御措置が、公共土木、農地、農林漁業施設、公立学校施設等と、事業ごとに適用されますために、高率補助の適用せられない事業、または高率補助の適用から漏れるもの等の被害合計額が相当多額に上るのでございます。また、起債の特例にも含まれません事業をたくさん持つ市町村が私の付近にたくさんございます。それで、これらにつきましては起債の充当率を高めていただきまして、または特別交付税で救済の御措置を願いたいと思うのでございます。特に和歌山県のごとき、毎年々々災害の累積いたします地方にとりましては、多額の起債をしょい込みまして、財政上の圧迫に苦しむことに相なります市町村がたくさんございます。私の方の例によりますと、現在起債をいたしております起債総額のうち約三分の一は、災害によって起こされた起債でございます。その上に今回の災害でまた標準税収入の半分以上になりますところの起債——起債といいますか、町村の負担になるわけでございまして、今回のせっかくおとりになろうとする激甚地指定には、すでに決定した法律等の許す範囲において、または適当な改正を加えられまして、範囲を広くせられるように御高配を願いたいのでございます。と同時に、市の負担につきましては、起債を一〇〇%認められなければ、再建途上にあります私の市などにおきましては、一般財源ではまかない切れないので、またやみ起債というようなことにならないとも限りませんので、その点を非常に心配いたす実情であります。どうぞこの点お含みの上で、町村自体の負担に属するものにつきましては、十分起債をお認めいただきますよう御措置お願い申し上げたいのでございます。  次に、激甚地指定にあたりましては合併前の旧市町村の区域についての基準に該当する場合は旧町村の区域のみでなく、その区域を一つ包含する新しい町村区域を激甚地として御指定になるようなお取り計らいを願いたいと思うのでございます。そうでなければ、行政上各般のトラブルが起こることも考えられますので、非常に困っておる町村が私の付近にあるのでございます。  起債の特例につきましては、公共災害復旧事業に対する国庫補助を除く市町村負担額の起債について、特例法によりますと、昭和三十四年度限り打ち切られるように解釈せられるのでございますが、後年度の財政負担に耐えられない市町村がたくさんできると考えられますので、今次の災害復旧事業が完成するまで、一〇〇%の起債を認められるような御措置お願いを申し上げたいのでございます。  次に、公共事業から除外されたいわゆる小災害が非常に多額に上りますので、国庫補助がないため市町村の負担が過重と相なりまして、補助災害に占める割合は大体一六・五%だというふうに聞かされておりますけれども実情はそうではなくて、私の市のごときは二五%の小災害があるのでございます。そういう意味からいたしまして、起債は、査定された補助災害の一六・五%というような制限をお加えにならずに、単独災害復旧事業全部についてお認めを願えるように御措置お願い申し上げたいと思うのでございます。  水道の補助基準につきましては、午前中三重の知事さんがお話しでございましたので、重複を避けますが、基準を引き下げていただきたい。と同時に、私のような小さい市と町村との基準が、あまりに開きが大き過ぎると思うのでございます。町村の倍額をもって市の基準とされておるかのように伺っておるのでございますが、こうした差を設けられずに、一つ施設について考えるならば、その施設で同じような基準をとられたいということを特に申し添えておきたいのでございます。  その他二、三特に個条書きにして申し上げますならば、三・五・二の比率で災害復旧の補助なり起債を許されることになっておりますけれども、先ほど申し述べますように、来年の作付までやらなければならぬ、来年の再災害を防がなければならぬということで、急いでやらなければならない仕事がございますので、そうしたものにつきましては、三・五・二の比率にかかわらず補助をせられたい、また起債をつけていただきたいと思うのでございます。  工事の査定は、従来数次にわたりましてなされた実例がございます。二十八年災害のごときは、査定が数度なされまして、そのつど減少に減少を重ねまして、ついに廃工のやむなきに至るものも多かったのでございます。今回の災害にあたりましては、一回当初に決定した査定を、査定し直すというようなことなく、最後までお認めを願うように政府当局にお願いを申し上げたいのでございます。  また、貧弱な市の財政で災害復旧の仕事をやりますには、補助金が唯一の財源でございますので、補助金はなるべく早期に御交付を願うようにお取り計らいを願いたいと思うのでございます。  以上、しごく簡単に要望いたします事項を羅列いたしましたが、私どもが郷土を再びこうした災害から守るということにつきましては、目下施行されておりますところの紀ノ川改修を促進していただくよりほかない、こういうふうに考えるのでございます。紀ノ川改修を促進いたしまして、抜本的にこうした災害を免れるようなふうに御高配を願いたい、すなわち、治水の面で一段と皆さんの御直配をお願いをいたしたいのでございます。  至って簡単でございますが、個条的に羅列いたしましただけでございますけれども、これをもちまして私のお願いといたします。(拍手)
  25. 三田村武夫

    ○三田村委員長代理 次に、山梨韮崎市長浅川彦六君。
  26. 浅川彦六

    ○浅川参考人 ただいま御紹介にあずかりました韮崎市長の浅川でございます。本日は、委員会の先生方に、本市の災害復旧につきましてお願いする機会をお与え下さいましたことに対しましては、衷心よりお礼を申し上げる次第であります。なおまた、災害直後はわざわざ御視察をいただきまして、応急工事等が非常に早く完成いたしましたことに対しましても、お礼を申し上げる次第であります。前の市長さん方から詳細にお願いいたしました事項は、いずれも各市共通の事項が多うございますので、省略いたしまして、本市の災害状況並びに現在の状況、今後のお願い等についてお願いいたしたいと思います。  私どもの釜無川がはんらんしたのでございますが、これは富士川の上流でありまして、その源は長野県より発しまして、そうしてこの釜無川が富士川となっておるのであります。今回の原因は、ちょうどこの釜無川へ約十の急流河川が南アルプスから流れ込んだのであります。これが非常に増水いたしまして、ちょうど七号台風におきましては、土砂と水で丈余の増水をいたしました。これが一度に押し出したという関係で、早く申しますと、山津波というような関係で大きい災害をこうむったのであります。ちょうど市内の約六キロにわたる区間が、ほとんどその両側の堤防が全滅したのであります。これがために浸水戸数も千五百戸以上に達しておりますのと、さらにまた、死者、行方不明者、あるいは橋梁等はほとんど全部が流失したのであります。なお私どもの一番遺憾に思っておりますのは、本市は米の産地であります。県下の約三分の一くらいの米の生産をしておるのでございますが、このうちの約二百町歩はほとんど全滅したのであります。中には、食べるものもないというような家庭も相当あるのでございます。この根本の原因は、ちょうど昭和九年ごろに全面的にこの急流河川へ砂防工事をしたのであります。しかしながら、その後、一部を残しまして砂防工事は全然してなかったというために、長い間の土砂が崩壊いたしまして、これが今度の七号台風によりまして一度に押し出してこういう被害をこうむったのでございます。現在の状況を申し上げますと、堤防につきましては、六業者において請け負われまして、工事に着工しております。この分で参りますと、出水期までには完成するような見込みがついております。  さらにまた、農地でございますが、二百町歩の流失した農地は、ほとんど稲が一株もありません。これに対しましては、約三分の一くらいはもう工事にかかっております。あと査定の済み次第順次着工するということを申しておりますが、これらも順次着工の運びとなるのでございますが、これらも田植えまでにはぜひとも完成いたすよう、私ども県市一体となりまして努力しておるような状態でございます。さらに橋梁でございますが、従来、この区間の橋梁が何カ所もございますが、いずれも木橋でございます。木橋のために、橋脚の問が非常に近いのであります。上流の木材あるいは家屋の流失等がこれにかかりまして、そうして対岸の堤防を流失したというのが、いずれもこの橋のあるところが堤防が切れまして、それが原因して六キロの間の全部の堤防が流失したというようなことでありまして、木橋のために大きい災いをしたというようなことでありますので、今後はこれらの橋梁に対しましては、ぜひとも永久橋にお願いいたしたいと思うのであります。  さらに、小、中学校あるいは市営住宅、養老院等もいずれも流失いたしまして、現在これが対策を講じておりますが、これらに対しましても、養老院等はやはり寺の一部を借りて収容しておるような状態でありますので、これらに対しましても一日も早く何とか着工いたしたいと考えております。また小中学校に対しましても、流失をいたしましたものにつきましては応急工事をいたしましたが、まだ本工事の運びになりませんので、これらに対しまして特別なる先生方の御配慮をお願いしたいと思うのでございます。  なお、再建団体であります関係上、財政上も非常に苦しいのでございますので、何とぞ起債の一〇〇%、あるいは補助金等も高率の補助によって何とか一つ御心配願いたいというようなことをあわせてお願いいたしまして、時間がございませんから、簡単にお願いいたします。(拍手)
  27. 三田村武夫

    ○三田村委員長代理 次に、同じく山梨塩山市長池田東太郎君。
  28. 池田東太郎

    ○池田参考人 ただいま御紹介をいただきました山梨塩山市長の池田と申します。本日はかような機会をお与え下さいましたことと、災害以来いろいろ先生方にはお骨折りいただきまして、特例法等も成立を見たような次第でございまして、私ども心から御礼を申し上げる次第でございます。  私ども災害の状況は、町村合併によりまして成立いたしました小さい市でございまして、平年の予算額は大体一億五千万くらいのごく小さい市でございます。私どもの市がこうむりました土木災害並びに農業災害等が、約七億あるわけでございます。私の市内で、県の責任において解決しなければならない災害が約二十一億あるわけであります。いかに私の町が大きな災害をこうむったかということは、この数字から一つ御判断をいただきたいと思うわけであります。しかし、時間も相当経過いたしまして、私の町では査定は全部完了いたしました。目下県と歩調を合わせて、それぞれの仕事を始めております。たまたま特別立法成立いたしまして、私どもの方といたしますれば、非常にタイミングがよかったと申すのでございましょうか、さっそく成立いたしました法律を読ましていただいたわけでございますが、非常にけっこうな法律で、前とは違いまして、補助率やいろいろなそういう点で、非常に御理解のある内容を拝見いたしまして喜んでおるわけでございますが、なお二、三、ぜいたくを申し上げてはなはだ恐縮でございますが、お願いを申し上げますならば、地方公共団体の起債の特例等に関する法律についてでございます。起債が当該年度自己負担分について七五%、後年度についてはそれが五〇%に減らされる、このことは伊豆の災害等を視察いたしましても、非常にこれはうまくない——といっては、言葉が強くて恐縮でございますが、支障があるようでございます。従って、当該年度だけでなしに、すべて七五なら七五、あるいは八〇なら八〇と、この比率を一定にしていただきたい、かように考えるわけであります。なぜならば、災害発生いたしました年度というものは年間の途中でございまして、それから査定を受けたりいろいろする、われわれはその支度にかからなければならぬということで、実際に当該年度で工事がやれるということは、これはもう幾らもないわけであります。伊豆等の町村について調べてみますと、大体一〇%から一五、六%しか当該年度にはできておらぬようであります。そういったようなことを勘案いたしまして、どうか一つこういった面につきましても、この起債の許可率を年度によって変えないようにしていただきたいと私は思うのであります。  それから次の公共土木施設災害復旧に関する特別措置でありますが、関連事業等の補助率の引き上げをやっていただきまして、これは非常にありがたいと思っております。しかし、私どもが実際に査定を受けてみますと、やはり前に木橋であったものは木橋の査定しかしていただけない、こういうことになりますと、やはり改良復旧あるいは関連復旧というふうな仕事が実際にはできないわけであります。法律の上ではできるようになっておりますけれども、さてこれが行政官庁の手に移りますと、なかなか法律通りに査定をしていただけないので、やはりもとのもくあみだ、原形復旧にしかならないということで、先ほど韮崎の市長も述べておられましたが、やはり私のところは木橋が非常に多いのでありまして、私の市では七十八の橋が流されております。これもやはり上から流れてきて、それが次の下にひっかかって順順に流されたわけでありますが、こういったふうなことで、私どもといたしましては、ぜひこれは改良復旧でやりたいのだ、永久橋にしてもらいたいのだと申しても、これはやはり予算関係等があるわけでしょうが、原形復旧の査定しかしていただけない、こういった点も、せっかく法律が、関連事業の方までの補助率を引き上げて下さっておるわけでありますから、こういう点についても特に一つ理解を賜わりたいと思うわけであります。  次は、風水害を受けた農林水産業施設災害復旧事業等に関する特別措置法であります。これは農村地帯へ参りますと、なかなか共同利用施設ばかりではございませんで、法律の方は共同施設についてのみ補助を認めておるわけでありますが、ぜひこれは一般事業費につきましても、やはり小災害の場合に、五万円程度のものについてもめんどうを見ていただきたい。僻地へ参りますと、共同施設は幾らもないわけであります。災害を受けたのは、一般事業で解決していかなければならぬ分が非常に多いわけであります。こういう点につきましても、ぜひいなかの事情を御認識いただきまして、適当な御処置をいただきたいと考えております。  次は、公衆衛生の保持に関する特別措置法でございます。これは法によりますと、伝染病患者が死亡した場合には土葬は許さぬ、火葬場へ持っていって焼かなければいけないということが一方の法律に規定してあるわけでありますが、今回の特別措置法によりますと、火葬場がつぶれた、流失したというふうな場合に、これは補助対象になっておらぬわけであります。一方においては、法律で、伝染病患者が死亡した場合には火葬にしなければならぬと義務づけておきながら、既設の火葬場が災害で倒壊なり、流失なりした場合に補助の対象にしていただけないということは、多少横の連絡において欠けるところがあるのではないか、私にはこんなふうに考えられて仕方がないのであります。こういった面も、ぜひ補助の対象になるようにしていただきたいと思うわけであります。この問題は、二十八年度の災害のときには補助対象になっておる事実があるのであります。今回は抜けておるわけであります。これは予算関係があるかもわかりませんけれども、こういった点は一つぜひ御勘案をいただきたいと思います。     〔三田村委員長代理退席、委員長着席〕  同じようなことが、福祉施設の場合にもあるわけであります。これはやはり、措置しなければならぬ児童がありますと、私どもは保育所を作らなければならぬと義務づけられておるわけであります。ところが僻地へ参りますと、そんなに大ぜいの子供でないので、保育所というばかりには参りません。やはり季節保育所を作るわけでありますが、今回の特別措置法を見ますと、季節保育所の分については、補助の対象から脱落しておるのが実情でございます。こういった面につきましても、一つ同じような意味においてお考えをいただければ非常にしあわせだ。  私どものところが実際に災害を受けまして、さてこれが復旧のいろいろな仕事の実施段階に入って参りまして、私どもが直面した、体験した点は以上のような点でございますが、なおこれに関連いたしまして申し上げますならば、私の地域へは、他府県から労務者が非常に入っておるわけであります。特に私のところへは炭鉱の労務者が、石炭産業のいろいろな関係で入ってきておるわけでありますが、こういう人たちが非常に問題を起こして困っております。これはいろいろ地元で対策は講じておりますけれども、過日も懇談会をいたしましたところが、地元民の要求は、やはり警察官の増員を望んでおるわけであります。こういった面につきまして特別に御考慮が払っていただけるといたしますならば、ぜひ二年なり三年なりの間、そういう災害のひどい府県に対しましては、警察官の増員を臨時的にもお認め願えれば非常にけっこうだ、この点もお願いを申し上げておきます。  それからいま一つの問題は、貨車輸送の面で一つ何とか御心配をいただきませんと、私どもが仕事を現実にやろうといたしましても、配車がないのでセメントの入手が非常に困難しておる、こういう実情がございますので、お話し申し上げておきます。  なお、これは非常にむずかしい問題で、私どものところにそういう現象が起きておるから申し上げるというわけではございませんが、その心配が非常にあるわけであります。と申しますのは私は、伊豆の災害地を現実に回りましていろいろ事情を調べてきたわけでありますが、伊豆におきましては、町村の農業施設復旧工事がほとんど進んでおりません。もう本年度は第二年度へ入っておるわけでありますけれども、町村の農業復旧工事はあまり進んでおらぬようであります。では農民は食うに困るんじゃないかと言って聞きましたところが、自分の農地を復旧するには非常な金なり労力がかかる、しかし、われわれは、そんなめんどくさいことをしておるよりかも、川原に行って土建工事に使ってもらえば、その方が、お天気のいい日は、おやじも妻も子供も使ってくれる、それで日当がいい、だから二反歩も三反歩もの、えらく手数のかかるものは土木工事が終わってからゆっくりやるつもりだ、こういうことを農民ははっきり言っておるのであります。私どものところにおきましても、やがてそういう現象が起こるのではないかと心配しておりますが、やはり他県からさえも土工を連れて来ておる現状でありますので、土建屋さんの方で日当を出すということになると、これは必ずそちらへ人夫が流れてしまう。いま一つの困った問題は、公営住宅にいたしましてもあるいは学校建設にいたしましても、こういったものの補助の対象になる坪当たりの単価の査定が、二年前、三年前の平年度の基準の査定されておりまして、ここへきてセメントが高くなる、人夫賃が高くなる、材木が高くなるということで、法律の上では確かに九〇%の補助をやるぞとか、何%の補助をやるとか申しましても、実際問題として、さてわれわれが請負に出す現実の金額と、補助単価を査定する基準との間にすでに相当の開きが出ておりますので、これは何とか解決していただかないと、貧弱町村の財政は、おかしなところから穴があいてくる、こういう実情一つ十分に御検討をいただきたいと思うわけであります。  私のお願い申し上げる点は以上でございます。失礼いたしました。(拍手)
  29. 南條徳男

    南條委員長 養老町長山田良造君。
  30. 山田良造

    ○山田参考人 ただいまお呼び出しをいただきました岐阜養老町長の山田良造でございます。このたびの災害につきましては、諸先生方に大へんお世話になっておりますことを深く御礼を申し上げます。ことに、この災害対策委員会から参考人としてお呼び出しを得ましたことを、深く喜ぶものでございます。  本年の八月十三日の集中豪雨と、九月二十七日のマンモス台風に、二度も決壊をいたしたのでございます。その前夜八月十二日に、昭和二十八年に決壊したところがまた決壊をいたしたのでございます。これは何を物語るかといいますると、その山の砂防工事等が不完全だったということを実証するものだと思うのでございます。それはともかくといたしまして、そういうふうに二回の災害を受けましたのでございますが、御承知の養老町の多芸輪中といいますると、ほとんど諸先生方の脳裏に刻み込まれたのでございまして、輪中と申しますると、川がありまして、それに堤防を作る、そうしてその中でたんぼを作っておるというようなことでございまして、あの付近には、輪中というものはちよこちょこあるのでございます。私の方の輪中は約三千町歩の広範囲にわたりますのでございますが、そのうちの二千七百町歩が水浸しになったという哀れな状態でございます。ちょうど十三日のときに、牧田川の堤防が破堤をいたしました。そのときに、私、何とかして助からぬじゃろうかと言いまして、苦慮して、ゲートルをはいて方々督励をいたしたのでございますが、溢流をいたして参りまして、これではとてもかなわぬというようなことで私引き下がりましたら、四、五分後に破堤したという現状でございます。あとから、しろうとでも、ようそんなところにおったなというようなことを言われたわけでございますが、それをよく考えてみますと、十三号台風というものは、揖斐川の水が非常に高うございます。揖斐川に牧田川が流れ落ちます合流点ちょっと上一で、破堤をいたしたのでございます。その堤防のあり方を見ますと、揖斐川の堤防は、牧田川の堤防より約一メートルほど低いという現状でございます。小さな川は、低いのがあたりまえだと言ってみればそれまででございますけれども、これはどうしても改正をして、直していかなければならぬのであります。これは建設省当局も、非常に御心配を下さいまして、鋭意御努力を願っておることと拝察いたしておるのでございます。そういうふうに、前後二カ月にわたって湛水をいたしたのでございます。  第一回のときには、建設省も非常に御心配になりまして、建設大臣を初めといたしまして諸先生方にお越しを願い、りっぱな仮堤防ができたのでございますが、また九月二十七日の伊勢湾台風によりまして破堤をいたしました。そのときは、前の水位より三十センチ高うございます。一尺ほど高いのでございますので、いかにりっぱな仮堤防をお作り下さいましても持たぬのがあたりまえで、よくあれだけ建設省はやってくれたと思っておったのでございますが、しかし、地元民といたしましては、容易なわざではございません。三度も災害を受けて、実はぼう然といたしておったのでございます。第一回のときにおきましては、もちろんこうした地区は湛水をいたしておりますので、収穫なんかは思いも寄りません。ただ身だけをもちまして避難をしたのでございますが、ここで一つ喜ばねばならぬことは、人口約三万のところで一千ほどの被災者があったのに、その第一回のときには、一人も死傷者がなかったということでございます。これは県の御指導が非常によろしゅうございましたために、全く不幸中の幸いだと思っておるのでございます。  第一回のときには、家屋の流失は十七戸でございました。第二回目には八戸でございます。全壊は六十一戸、二回目が三十戸、半壊が千五百三十五戸、二回目には千四百四十五戸。こういうような膨大なるものでございまして、家財は流されますし、農民は、荒廃した農地をながめてどうしようかとぼう然といたしておったのでございますが、私、そこで督励をいたしたのでございます。人間というものはこういう大災害が起こったときほど奮起すべきだ、君らは農業を捨てて山へ入ることもないじゃろう。そういうことを言って督励をいたしたのでございます。もちろん私の督励が当たっておるというわけではございませんが、非常に落ちつきを見せまして、そしてりっぱに耕地の復旧並びに堤防の増強等を、諸先生方に頼んでもらいたいということで盛んに陳情に参ったのでございます。このことにつきましては、この前においでになります三田村先生に非常にお世話になりまして、感謝をいたしておるのでございまして、おいおい軌道に乗りつつありますことを、深く御礼を申し上げる次第でございます。  そこは岐阜県といたしましての米倉でございまして、大体二割程度を供出いたしております多芸輪中でございます。従いまして、そこをやられたために、町といたしましての財政は、ドル箱をやられたというわけで、非常に窮屈になって参りました。私、そのときにざっと計算をいたして参りますと、六十億の損害になるのでございます。しかしこれは個人被害が非常に多いのでございまして、公共災害の比率は低うございます。しかし、何とかこれを復旧せねばならぬと思っておるわけでございます。ちょうど大災害が起きましたのが明治二十八年だったそうでございますが、そのときは、もっとえらかったそうでございます。六十億と六十三年ぶり、一年に一億ずつ営々と重ねてきましたものが、一瞬にして水魔に襲われたかと思いますとき、私も一時は、ほろっとしたこともあったのでございます。こういうような状態を、それぞれの諸先生方にお願い申し上げまして、災害地の復興に努力していただきましたことは、深く御礼を申し上げる次第でございます。そのためには、やはり土地改良をする、あるいは堤防の増強とか、あるいは簡易水道を設置するということにおきまして、農村を救ってもらわねばならぬと思うのでございますが、大体現在の農業といいますと、嫁のきてもないというのが現在のあり方であります。どうしてもあの地区を、こういう際に何とかりっぱな農村といたしまして、あそこの多芸輪中なら嫁さんにでも行ってやろうというような、文化的な施設に持ち込んでいただきたいと思うのでございます。  臨時国会におきましては、これが復旧対策特別立法措置を講ぜられまして、私ども被災者は深く感謝をいたしております。これが運営につきまして、災害対策特別委員の皆さん方に特段の御配慮にあずかりたいことは、養老町は、旧九カ町村合併いたしまして、人口約三万程度の町でございます。新市町村建設に鋭意努力いたしておりましたやさきでございますために、その痛手というものは、また格別なものだと思うのでございます。左に掲げます事項につきまして、ぜひとも御配慮を得たいと存ずるのでございます。第一番には、災害復旧工事費は約三億円でございまして、これが高率補助の適用をお願いいたしますとともに、その残額についても、大幅な起債をもって措置お願いいたしたいのでございます。第二には、災害によって税の減収が約七、八百万円ほどあります。それに徴収猶予の額が一千万円にも及ぶのでございます。一億三千万円のわずかな予算を持っておる町でございますために、一割余にも相当いたします重大なる影響を来たしたわけでございますので、ぜひとも救済の御措置を願いたいと存ずるのでございます。第三点といたしましては、法外出費が非常な額に上ったのでございます。とにかく一万一千人からのたき出しをやったことでございますので、今から思ってみますと、ようやったものだと自分でも思っておるのでございます。このためには、婦人会を初めといたしまして、地元の各位の絶大なる御協力はあったものの、一万人からのたき出しをやったことを今から想起いたしますときに、まことによくやっていただきましたと感謝の念にたえません。これはおもに災害救助法により措置された以外の経費が千五百万円ほどございます。以上のような次第でありますが、窮迫いたしました町財政の状況を御考察の上、一般ワク以外の特別なる御助成と財政措置の御高配を賜わり、完全なる改良復旧と充実せる復興ができますよう、特段の御配慮を得たいと存ずるのでございます。災害復旧事業費は約三億円でございまして、そのうちに公共は二億七千万円、単独事業費は三千万円でございます。税の減収額は七百万、内訳といたしまして、町民税は三百万円、固定資産税は四百万円。そのほかに徴収猶予が千万円ございます。この内訳は、町民税に四百万円、固定資産税といたしまして六百万円でございます。最後にお願いいたしたいことは、前のお方もおっしゃっておったのでございますが、収穫皆無でございますので、救農土木というところまでいかない先に、実はとにかくその日に困りますので、日雇いに参ります。災害ブームと申しますか、存外いい金を取って参るのでございます。トビ仕事のできる者は千二百円くらいふところに入れて帰る、ちょっと下の者でも七、八百円くらいの金をもらう、最低といたしまして五百円くらいの方は、送り迎えをしてもらっておるというような現状でございます。どうぞその辺も御考慮下さいまして、格段の御配慮を得たいと存ずるのでございます。簡単ではございますが、陳情を申し上げました。ありがとうございました。(拍手)
  31. 南條徳男

    南條委員長 最後に、飛島村村長間瀬繁君。
  32. 間瀬繁

    ○間瀬参考人 今御指名を受けました飛島村の村長でございます。本日は、にわかに参考人としてこの席に列しまして発言をお許しいただきますこと、まことに光栄に存ずる次第でございます。私ども海部郡地方が、今度の伊勢湾台風におきまして古今未曽有の大惨害を受けましたことは、すでに各方面の御視察を受け、御当局を初め、関係の各皆様方の日夜を分かたぬ諸対策がだんだんと推し進められまして、二カ月余にわたります窮状から救われつつありますことは、まことに衷心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。十二月七日現在尾西作戦地域は、大体水は引きましたけれども、まだ海岸作戦地域におきましては、私が村を出ますときには、潮どめ工事以来五十二センチの減水でございます。いまだに村内には、約一メートルの水がたたえておるのでございます。ちょうどきょうで七十三日目に相なるわけでございます。ただの湛水とは違いまして、海部郡地方における今次の災害台風時における湛水でございまして、その夜私はこの目でその実情を見ました。海岸堤防は、建設省のお力によりまして、約五メートル近くの高さにまでなっております。その堤防の上一メートル五十センチをこしました水が、一度に村の周囲から中に入ったのでございます。たとえて申しますと、たらいを水の中に沈めますときに、四方から水が押し寄せて参るわけでございます。ちょうどそのように押し寄せたのでございます。昔読みましたノアの大洪水は、ほんとうにこんなものであるかということを思いました。私の村はこれで全滅だ、海部郡地方全体が同じような状態にあるだろうということを、心から痛感いたしておったわけでございます。こうして七十三日目になりました今日も、なお道路上四十センチ、五十センチの水がありまして、村内は、まだ船で通行するよりほかに方法がありません。自動車はまだ通りません。船よりほかに交通の便はないのであります。隣の家に参りますのに、船の便よりかございません。中部災害対策本部がいよいよあす解散ということを承っておりますけれども、私の村は、いよいよこれからが災害の始まりだということを痛感いたしております。水は引きつつありますけれども、土台が洗われて、きょうあたり、こうして私がここでお話し申し上げておるうちも、一軒倒れ、二軒倒れしておるかもしれないことを胸の中に思っております。さらに、私どものすぐ先の海面に鍋田干拓地があります。この干拓地は、今なお堤防はもとのままになっておりまして、仮堤防すら完成しておりません。何とぞこの干拓地におきましても、一刻も早く潮どめ工事が完成されますように、ひたすらお願い申し上げるわけであります。海岸堤防の強化につきましては、再三陳情を申し上げ、われわれ郡民は切望してお願い申しておるわけでございますが、十分御理解賜わりまして、来年の台風時までにはおそらく旧に倍する堤防を完成していただけるものと信じております。ここに、私どもの郡民を代表いたしまして、皆様方に深く深くお願い申し上げるわけであります。ただいま申し上げました通り海部郡地方におきまする今次の大災害は、ほんとうに未曽有の大災害でありまして、今まで私どもの村におきましても、堤防の切れたことはございました。大正元年、大正十一年、堤防の決壊はありましたけれども、一部分の決壊でございまして、一つの字に水が入りますまでには、一日、二日を要しておったのであります。家財を運ぶことの余裕もありました。しかし、今次の大災害におきましては、ほんの五分とたたない間に、屋内でさえ首に達する状況でありました。ただいま村内を見ていただきますればよくわかりますが、うちといううちに、完全なうちは一軒もありません。最もひどい部落におきましては、部落全体の戸数が九十五戸のうち、六十五戸までが流されておるのであります。跡形は何もありません。屋敷跡も洗われて、屋敷跡すらないような状態になっております。このような状態でありますので、村民は、夜はやむを得ず屋根裏に寝ておるのであります。近く、集団で避難しておりました者たちが帰って参りますが、流失した家屋につきましては、仮設住宅が今水の上がっておる堤防の上に建てられつつありますけれども、家のある者は、帰っても休む部屋もないような状態であります。休むところもなく、耕す土もなく帰って参りましたそれらの者の心境はどうであろうかということを心から憂えておるわけでございます。このような大災害を受けましたが、私の村、海部郡全体におきましても、一度水が入りました場合に避難する場所は、海岸にずっとあります切れておらない堤防上の小高いところに、避難するよりか方法はないのでございます。どこへ参りましても水であります。堤防上よりか、避難するところはどこにもございません。もし村内に、どこかに避難するところがあったら、これほどの大災害、死者を出さなくても済んだであろうということをつくづく思うわけでございます。せめて学校の校舎なりとも、しっかりした建物ができておったら、村内のすべての人をそこに収容して、死者を出さずに済んだであろうにということをつくづく思うわけでございます。先ほどもお話がございましたが、学校建築におきましては何とか御考慮願いまして、文教施設として、一朝有事の際には避難場所として、せめて村民が安気に避難する場所を与えていただきたいということを、私つくづく思うわけでございます。何とか、切に御考慮をお願い申し上げたいわけでございます。次に、私の村はわずか四千余りの人口の小村でございます。あの大戦末期の米の供出時代におきましても、この四千三百くらいの小さな村でありましたが、米の供出におきましては、実に四万八千俵の米を供出したことがございます。四万八千俵と申しますと、小さな県の一県分に相当するようでございます。私の小さな村がそんな状況でございますから、海部郡下における米の供出の状況は、大よそ想像していただけることと思います。食糧の供出について村民はほんとうに一致しまして、食糧の増産に励んでおりました。しかしながら、今次の災害におきまして、今少したったら実るというときにこの大災害を受けまして、米は全部水に浸っております。七十三日の間、水に浸っております。その上を私どもは常に船で歩いておりました。しかし、これを刈り取る方法もありません。全部、一粒の米も食糧とすることができずに、海の底に捨てたと同様でございます。しかし、これが今後おそらく十日ほどたちますと、水の上に現われることと思いますが、現われたものは、これはどうすることもできません。地面の上にくしゃくしゃになって倒れております。今後興農土木におきまして、いろいろ御配慮願わなければならないことがたくさんあります。その第一は、除塩の事業でございます。もとの四万八千俵を供出しました、その時代の米の増産は、いつになったらできるでしょうか。一刻も早くもとの状態に返りまして、もとの増産に励むことができるようにいたしたいと思うわけであります。田の中には、今おそらく非常にたくさんのガラスが割れて入っております。稲もそのままになっております。これを刈り取るいとま、あるいはガラスを拾い上げまして中を安全にする仕事、これは大へんだと思います。どれだけの人が要るか、どれだけの人を雇わなければこの仕事ができないかということは、御想像にまかせます。何とかこの点につきましても、十分な金といとまを与えてやっていただきたい、こう思うわけでございます。村民の大部分は、家をほとんどがらんどうにしております。柱が立っておるたけであります。かもいの上だけが残っております。かもいの下は、柱が立っておるだけであります。そこに住まって、この稲を、たんぼを整理する力はどこからくるでしょうか。何とか農民がもとの増産にいそしむことができますように、せめてもの金と慰安とを与えてやっていただきたいということを、切にお願い申し上げるわけであります。住宅におきましても、流れた住宅の者におきましては宅地がほとんどありません。堤防のふちに作っておりました、わずかに上がった住宅を見ましても、ほとんど砂が洗われてしまって、もとの住宅を建てる宅地というものは影も形もありません。何とかこの住宅地をもとのように復旧する、その費用につきましても、高率の補助なりお考えをお願い申し上げたいと思います。町村道におきましても、水から上がりましたらずたずたに切れておることは、疑う余地がありません。町村道につきましても国でごめんどうを見ていただくか、国庫の補助によってこれを直していただくということについて、御考慮をお願いいたしたいと思うわけであります。私の村の例をとりますと、私の村の経営費は二千二百万円足らずでございます。この少額の経営費で何ができますでしょうか。何とかこの点におきましても、御考慮をお願い申し上げたいと思います。さらにもう一つは、私どもの郷里の隣に木曽川という大きな川があります。この木曽川は、毎年水に災いされておるわけでございます。今度は海岸から災いを受けました、大災害を受けました。次に来たるものは、おそらくこの木曽川からくるのでないかという心配が十分にございます。この海岸堤防に一生懸命になっておるうちに、裏から、木曽川から破られたら、またこれも、今回に劣らない大災害を受けることは間違いありません。木曽川堤防の強化につきまして、なお一そうの国費をお出しいただきまして、再びこういう災害の起こらないようにごめんどうを見ていただきたいということを、あわせて切にお願い申し上げるわけでございます。以上、簡単でございますが、お願い申し上げまして、私の発言を終わらせていただきます。(拍手)
  33. 南條徳男

    南條委員長 どうも御苦労さまでした。それでは、本日はこの程度で散会いたしまして、明朝は、午前十時から引き続いて参考人のお話を聞くことにいたします。午前でそれを終わりまして、午後からは政府当局と各委員諸君との質疑応答をいたしまして、本件についてのいろいろな疑義の点を鮮明いたし、そして問題の解決点を見出したい、こう考えておりますから、ぜひ御出席を願います。本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十三分散会