○辻
委員 私は、通商産業等小
委員会の
審査の概要を御
報告いたします。
本小
委員会で
審査いたしました
法律案は、
内閣提出、
中小企業信用保険公庫法の一部を改正する
法律案外二件、並びに、
田中武夫君外十七名
提出、
天災による
被害中小企業者等に対する
資金の融
通等に関する
特別措置法案外一件の五
法案でありまして、これらについて終始熱心なる
質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は
会議録をごらん願うことにいたしまして、ここでは、十六日、十七日の二日にわたって論議されました問題の主要点を御
報告することといたします。
本小
委員会において取り上げました問題点は、大別して四つであります。第一の問題は、
激甚地指定の問題であり、第二は、被災
中小企業者並びにこれに
関係の施設に対する
融資等の問題であります。第三は、国有機械等の払い下げの
特例に関する問題、並びに競輪場
復旧の
問題等の四点であります。以下、順次問題別にその概略を申し述べます。
まず最初に、
関係の
法律案に関する
激甚地指定の問題について、その
質疑応答の要点を申し述べますと、
高率適用の
補助を受ける際の単位のとり方が明確でないのではないか、同じ
激甚地であっても、七日ぐらいの湛水区域と、六十日も七十日もの長期にわたる湛水
地域とは区別されてしかるべきではないか、
被害査定の際の
基準が、単に何日間、何十町歩の湛水地区であるというだけのものでは、公正を期せないのではないかという
質疑に対し、
政府から、
激甚地の単位のとり方については、
被害と
標準税収入とを比較検討して決定する今回の方針にのっとり、ひどいところは、広い行政区をこまかく区分しても、できるだけ多くを
適用させようという方針である、また、七日以上の湛水区域をさらに区別し、一部を引き上げることは、他の面からの考慮はされるとしても、今回の
激甚地の多きにかんがみ、困難である、
被害地域の査定に関しては、でき得る限り実態を調査して万全を期したい旨の
答弁がありました。これらを要約しまするに、
指定するための単位のとり方の問題にせよ、また、
指定後の
段階を設けることの可否につきましても、表面上に出た数字あるいは机上の計算から決定してしまいますと、往々にして実態にそぐわない結果を生ずるおそれがあるので、よろしく正確な
実情の把握に努め、物心両面に及ぼす影響を十分に考慮して、いやしくも機械的な処理に終わってしまわないよう、
実情に即した査定をするようにとの要望がその根幹であると考えられるのであります。
二番目の問題としては、被災
中小企業者並びにこれに
関係の
施設等に対する
融資等の問題であります。これらの問題につきましては、一、保証協会の
資金増額の問題、二、信用保険
公庫の保険料率
及び填補率改訂の問題、三、零細企業に対する
融資についての問題、四、
資金利用について公平を期し、
特別措置を中小企業全般に及ぼすべしとする問題、五、中小企業
公庫の支店数増設の問題並びに貸し出し方法の問題、七、
据置期間延期の問題、八、
災害の際の保証料率引き下げの問題、九、中小商工業者の共同施設の
復旧資金についての問題、十、小組合に対しての
政府の具体策、十一、
政府案と議員
提出法律案との相違点について
質疑があり、
政府または
提出者より保証協会用の
資金に不足を生じた場合は、何らかの方法によって善処したい、信用保険の保険料率、填補率等については、可能な限り引き下げた。
融資額の問題については、信用保証協会の活用が十分でき得るような方途を講じたい、百万円の限度額については、低利の分が百万円を限度とするのであって、一般の利率の分は、一千万円までは貸し出すことになっている、
資金の円滑な
利用問題については、それが一部のもののためにのみ
利用されるということはないと考えるが、なお十分調査する、中小企業
公庫の支店は、不足ではあるが、
事業の円滑をはかって努力中である、中小企業金融
公庫は、
災害適用の
据置期間を一カ年に延期した。それ以上は現状では望めない、保証料率の引き下げ問題については、一応引き下げを実現してはいるが、満足のいくよう努力したい、中小企業の共同施設については、
資金助成の
制度が新設され、一部を無利子で貸し出しており、さらに積極的に
対策を考慮する、小組合に対しては、商工中金に小口
貸付制度を設け、極力簡素化を旨として努力中である、
衆法第六号について、
天災という言葉は恒久立法を意味し、不完全な工事に起因した
災害をも全部含めて取り扱うものであり、
政府案は低利貸出限度額が百万円であるのに対し、
衆法第六号は百五十万円としている旨の
答弁がありました。
これらの
質疑応答を要約しますれば、今次の
災害による
被害総額のうち、大体八割までが、中小企業の
災害であります。この甚大な
被害に対しましては、ある面におきましては、農業、水産業等の金融機関よりもきびしい制限のある三
公庫等の貸出
制度において、少なくとも
災害によるものについては保証協会を十分に活用し、これの
利用面におきましては、一部の者のための
利用に偏することのないよう十分注意いたしますとともに、力の弱い零細企業者や
災害によって初めて
利用する者のためには、
実情をよく把握し、制限を付するに厳に過ぎて、
利用の実をあげ得ないことのないよう、また、十分とはいかないまでも、
資金面の調達に積極的な援助を講ずるよう、さらに努力すべきであるというのが発言された各位の大要であります。
第三の問題といたしましては、国有機械等の払い下げの問題であります。その
質疑応答の要点は次の通りであります。
国有機械を五割引をもって
貸付または交換をする場合に、割引額の総額が
被害額の総額を限度とするということは、個々の複雑な事情もあり、実態の把握が困難であり、限度を設けない方が妥当ではないか、
貸付の場合も交換の場合もともに五割ということは、交換についてはすでに現在においても三割五分引きの
制度がある点にかんがみ、均衡を失し不当ではないか、以上のごとき
質疑に対し、
政府より、査定が困難であることは同感であるが、
趣旨は、
被害を受けて減価しているものでも、損害を受けた限度の国有機械の評価減により、有利に交換、あるいは譲渡しようということにある、査定の困難性については、本人とか県の商工課あたりの意見を十分尊重する、交換の
制度は、現行においても三割五分引きの
制度があるが、これは全部の
制度ではなく、中小企業の合理化を促進するため、老朽機械を
特別に制限を設けて交換する
建前になっており、
災害による割引を受けることと合理化のための割引を受けることは別個の問題であり、有利な割引率となっている、従って、
災害の面だけから考えると、交換と譲渡を区別する理由はないので、他の場合との均衡も考慮して五割とした次第である旨の
答弁があったのであります。
以上の
質疑の主軸をなすものといたしまして、要するに、これの立法後の効果を十分考慮して、この問題を処理すべきであり、それについては、一つには
被害の限度においてという制限を設けることは妥当であるかどうかを再検討すべきではないか、また
貸付と交換の率を同率にすることが妥当であるかどうかも考える余地がないかということであります。
その他の問題といたしましては、甚大な
被害を受けました競輪場の
復旧問題について存廃が論議されております現状にかんがみ、いたずらに
復旧に着手すべきでないという意見が述べられ、これに対し
政府からも、でき得る限り
趣旨にのっとった
措置をとっている旨の
答弁がありました。
以上簡単ではありますが、本小
委員会の論議の主要点を概略御
報告いたした次第であります。(拍手)