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1959-11-20 第33回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月二十日(金曜日)     午後二時八分開議  出席委員    委員長 南條 徳男君    理事 江崎 真澄君 理事 田村  元君    理事 綱島 正興君 理事 三田村武夫君    理事 小林 正美君 理事 佐藤觀次郎君    理事 八木 一男君 理事 塚本 三郎君       今井  耕君    小川 平二君       大坪 保雄君    岡本  茂君       小坂善太郎君    小島 徹三君       河野 孝子君    坂田 英一君       田口長治郎君    田中 正巳君       辻  寛一君    渡海元三郎君       徳安 實藏君    中垣 國男君       丹羽 兵助君    堀内 一雄君       増田甲子七君    山手 滿男君       足鹿  覺君    井手 以誠君       伊藤よし子君    大野 幸一君       太田 一夫君    岡本 隆一君       角屋堅次郎君    金丸 徳重君       辻原 弘市君    堂森 芳夫君       八木 一男君    横山 利秋君       加藤 鐐造君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松田竹千代君         厚 生 大 臣 渡邊 良夫君         農 林 大 臣 福田 赳夫君         建 設 大 臣 村上  勇君         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         自治政務次官  丹羽喬四郎君         総理府事務官         (自治庁財政         局長)     奧野 誠亮君         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君         農林政務次官  大野 市郎君         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君         通商産業政務次         官       内田 常雄君         建設政務次官  大沢 雄一君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (河川局長) 山本 三郎君         建設事務官         (河川局次長) 曽田  忠君         建 設 技 官         (住宅局長) 稗田  治君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         農林事務官         (畜産局畜政課         長)      岡田 覚夫君         水産庁次長   高橋 泰彦君     ————————————— 十一月十八日  委員五島虎雄君、中島巖及び八木一男辞任  につき、その補欠として辻原弘市君、田中幾三  郎君及び中井徳次郎君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員中井徳次郎辞任につき、その補欠として  八木一男君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員大坪保雄及び大野幸一辞任につき、そ  の補欠として小坂善太郎及び井手以誠君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として大  野幸一君が議長指名委員に選任された。 同日  理事岡本隆一君、同日理事辞任につき、その補  欠として八木一男君が理事に当選した。     ————————————— 十一月十八日  十五号台風による日野川堤防災害復旧等に関  する請願今井耕紹介)(第四二六号)  十五号台風による被災者救援に関する請願(赤  松勇紹介)(第四五〇号)  同(伊藤よし子紹介)(第四五一号)  同(太田一夫紹介)(第四五二号)  同(角屋堅次郎紹介)(第四五三号)  同(田中幾三郎紹介)(第四五四号)  同(小林正美紹介)(第四五五号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第四五六号)  同(楯兼次郎紹介)(第四五七号)  同(中井徳次郎紹介)(第四五八号)  同(穗積七郎紹介)(第四五九号)  同(山本幸一紹介)(第四六〇号)  同(横山利秋紹介)(第四六一号)  同(春日一幸紹介)(第五〇〇号)  同(伊藤よし子紹介)(第五四六号)  同外一件(志賀義雄紹介)(第五四七号)  十五号台風等風水害による災害復旧対策促進  に関する請願池田清志紹介)(第四九八  号)  台風による公立学校施設災害復旧に関する請  願(江崎真澄紹介)(第五八三号)  十五号台風による木曽川下流左岸堤防災害復  旧に関する請願江崎真澄紹介)(第五八四  号)  十五号台風による弥富町地内鍋田堤防災害  復旧に関する請願江崎真澄紹介)(第五八  五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた  農地除塩事業助成に関する特別措置法案(  内閣提出第二号)  昭和三十四年七月及び八月の豪雨、同年八月及  び九月の暴風雨又は同年九月の降ひようによる  被害農家に対する米穀の売渡特例に関する法  律案内閣提出第三号)  昭和三十四年九月の風水害を受けた漁業者の共  同利用に供する小型漁船建造に関する特別  措置法案内閣提出第四号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた中小企業者に対する国有の機  械等の売払等に関する特別措置法案内閣提出  第七号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地域における公衆衛  生の保持に関する特別措置法案内閣提出第八  号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害を受けた社  会福祉事業施設災害復旧費に関する特別措置  法案内閣提出第九号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた都道府県の災害救助  費に関する特別措置法案内閣提出第一〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた者に対する母子福祉  資金貸付に関する特別措置法案内閣提出第  一一号)  中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた中小企業者に対する資金の融  通等に関する特別措置法案内閣提出第一三  号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地域における失業対  策事業に関する特別措置法案内閣提出第一四  号)  昭和三十四年七月及び八月の水害並びに同年八  月及び九月の風水害に関する失業保険特例法案  (内閣提出第一五号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害に伴う公営住宅  法の特例等に関する法律案内閣提出第一六  号)  昭和三十四年台風第十五号により災害を受けた  伊勢湾等に面する地域における高潮対策事業に  関する特別措置法案内閣提出第一七号)  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一九号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債  の特例等に関する法律案内閣提出第二〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた市町村職員共済組合  の組合員に支給する災害見舞金の額の特例に関  する法律案内閣提出第二一号)  昭和三十四年八月及び九月の暴風雨による堆(  たい)積土砂及び湛(たん)水の排除に関する  特別措置法案内閣提出第二二号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた公立学校等建物等災害  復旧に関する特別措置法案内閣提出第二三  号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害を受けた私  立学校施設災害復旧に関する特別措置法案(  内閣提出第二四号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害に際し災害救助法適用され  た地域における国民健康保険事業に対する補助  に関する特別措置法案内閣提出第二五号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた農林水産業施設の災  害復旧事業等に関する特別措置法案内閣提出  第二六号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた公共土木施設等の災  害復旧等に関する特別措置法案内閣提出第二  七号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害による任意  共済に係る保険金支払等にあてるための資金  の融通に関する特別措置法案内閣提出第二九  号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた医療機関復旧に関する特別  措置法案内閣提出第三〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害により被害を受けた者の援護  に関する特別措置法案伊藤よし子君外十四名  提出衆法第一号)  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案  (角屋堅次郎君外十六名提出衆法第二号)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(角  屋堅次郎君外十六名提出衆法第三号)  農業協同組合整備特別措置法の一部を改正する  法律案角屋堅次郎君外十六名提出衆法第四  号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  角屋堅次郎君外十六名提出衆法第五号)  天災による被害中小企業者等に対する資金の融  通等に関する特別措置法案田中武夫君外十七  名提出衆法第六号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害により被害を受け生計が困難  である者の生活保障に関する特別措置法案(  八木一男君外十九名提出衆法第七号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害による消費生活協同組合の協  同施設等災害復旧に関する特別措置法案(岡  本隆一君外十六名提出衆法第八号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害により被害を受けた公務員等  に対する国家公務員共済組合等の給付の特例等  に関する法律案横山利秋君外十六名提出、衆  法第九号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地域における失業対  策事業に関する特別措置法案五島虎雄君外十  五名提出衆法第一〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害に関する失業保険特例法案(  五島虎雄君外十五名提出衆法第一一号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害による病院及び診療所並びに  薬局の災害復旧に関する特別措置法案(滝井  義高君外十八名提出衆法第一二号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債  の特例等に関する法律案太田一夫君外十六名  提出衆法第一三号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害に係る私立学校の児童、生徒  等の授業料徴収免除に関する補助及び資金の  貸付に関する特別措置法案辻原弘市君外十六  名提出衆法第一五号)  公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部  を改正する法律案中島巖君外十七名提出、衆  法第一六号)      ————◇—————
  2. 南條徳男

    南條委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。理事岡本隆一君より、理事辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ございせんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 南條徳男

    南條委員長 御異議なしと認めます。つきましては、その補欠を互選いたすわけでございますが、これは委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 南條徳男

    南條委員長 御異議なしと認め、八木一男君を理事指名いたします。      ————◇—————
  5. 南條徳男

    南條委員長 内閣提出の、昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案外二十四件、及び伊藤よし子君外十四名提出の、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害により被害を受けた者の援護に関する特別措置法案外十四件を一括議題といたし、審査を進めます。  右の法律案につきましては、先日来、部門別に各小委員会において、それぞれ詳細な質疑が行なわれたところでありますので、この際その状況について小委員長報告を求めることにいたします。まず、農林水産等委員長綱島正興君。
  6. 綱島正興

    綱島委員 農林水産等委員会における審査状況について御報告を申し上、げます。  本委員会は、内閣提出の、昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案外五件、及び角屋堅次郎君外十六名提出の、天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案外三件の農林水産関係議案について、去る十六日、十七日、十八日の三日間にわたり慎重に審議をいたしたのでありますが、各小委員におかれては、終始熱心に政府側に対し質疑を行なったのであります。その詳細は会議録に譲ることといたしまして、以下簡単にその内容について申し上げます。  まず、農業災害補償制度に関する問題であります。任意共済にかかる建物共済については、支払い不能となるようなことのないよう、国家的に保証のある安定した制度とし、掛金率支払い金額についても、実情に即し、統一的なものとする等、農業災害に対する補償制度全般について根本的に改正すべきではないか、また、従来の無災害地域における被害激甚地については、共済掛金の掛捨て等による農民の不信を招来することのないよう、特別措置を講ずべきである等の質疑に対し、共済制度抜本的改正については、農林省内に農業災害補償制度対策協議会を設けて検討しているが、今後もすみやかに、広く学識経験者を含めて、基本問題を十分調査いたしたい、低位災害地帯救済については、制度上の根本問題として検討を要するが、現状においては、選択制建前から、いかんともなしがたいが、今後十分検討いたして参りたい旨の答弁があったのであります。  次に、再度災害防止の問題でありますが、査定基準を緩和するとともに、関連事業ワクを拡大し、無災害地改良事業も、この際関連事業として実施すべきである、また、復旧工事は、原形復旧にとどまらず、改良復旧を主眼として、再度災害防止対策を真剣に講ずべきではないかとの質疑に対し、査定基準改良復旧的なものに改正する問題は、予算折衝段階で検討したが、いまだ決定を見る段階に至っていない、農業用施設等については、大体七四・五%くらいの査定率になっている、無災害地改良事業については、今回関連事業ワクをやや拡大して、干拓地を取り上げている、その他の農地農業施設については、さらに具体的問題を追加して検討しているが、極力趣旨に沿うよう努力したい旨の答弁があったのであります。  林道復旧費基準については、二十八年災では、一メートル当たり三百円以上となっていたのに、今回は四百円となっているが、適正であるか、林道改良復旧はどうか、防災ダムに対する補助率を上げて、思い切った事業をなすべきではないかとの質疑に対しましては、一メートル当たり四百円は、総合的に見て適切である、なお、林道改良復旧の問題については、再査定等も考慮している、二十八年災に比し、治山事業は総体的に補助率は相当よくなっている旨の答弁がありました。  次は、救農土木事業の問題であります。救農土木事業費ワクをさらに拡大して、適用範囲、労賃の引き上げ、及び地元負担軽減等、その内容を充実させるべきでないかとの質疑に対しては、救農土木事業適用範囲は、湛水地帯を原則としているが、さらに開拓地についても考えている、なお、救農土木事業費の三億円は、水害に対しては従来全く予算措置をしなかったものを、今回特に計上した旨の答弁がなされたのであります。  また、天災融資法の問題につきましても論議がなされたのでありますが、天災融資法融資ワクを拡大し、償還年限等にも考慮を加え、対象事業畜産その他拡大されたのはけっこうであるが、政令にゆだねた点に解決すべき問題が残っている、すなわち農業用施設範囲について、温室フレームも含める必要がないか、また、経営資金の使途として、カキボラ金魚をも追加すべきであるとの質疑に対しましては、天災融資法は、元来経営資金を貸し付ける建前であるから、温室フレーム等施設資金に入るものは、公庫融資対象として考えていきたい、カキボラ金魚等についても、一般貸付及び公庫融資の面で見ていきたい旨の答弁がありました。  さらに、米の予約概算金及び減額補正の問題でありますが、これにつきましては、農家農協壊滅的被害を受けた場合の米の予約概算金の返納問題について、政府はいかなる方途を講ずるか、また、被災地における米の減額補正については、実情に即し早急になすべきであるとの質疑がなされたのでありますが、これに対し、予約概算金返納の問題は、三十一年の北海道の大冷害で前例があるので、大体これに沿って対策を立て善処したい、すなわちその前例は、集荷団体たる農協等農家にかわって代位弁済する建前で、農家被害の程度により年賦で分割返済し、利子については国が全額補給を行なわんとするものである、また米の減額補正については、実情に即すべくすでにその認定等を知事に一任し、今月末より実施する旨の答弁がなされたのであります。  なお、激甚地指定の問題について、その基準を一律に適用する場合、特に湛水地帯被災地間においてアンバランスの生じないよう、実情に即した適用を行なうべきである旨の要望がなされたのであります。  以上申し述べました数点以外に、農地農業用施設査定基準の問題、緊急治山砂防事業激甚地指定の問題、小型漁船建造及び共同利用化の問題、被災農協再建整備問題、自創資金ワクの拡大及び貸付条件緩和の問題、農地小災害に対する財政的補償の問題、除塩及び障害物除去問題、被災木炭がま救済の問題、天災国家賠償問題等農林水産関係災害復旧対策各般にわたり、真摯かつ活発なる審議を尽くした次第であります。  以上、簡単でございますが、一応御報告申し上げます。     …………………………………
  7. 南條徳男

  8. 三田村武夫

    ○三田村委員 厚生労働等委員会における審議の概要について簡単に御報告申し上げます。  本小委員会は、十一月十六日より十八日まで三日間にわたって会議を開き、内閣提出昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地域における公衆衛生保持に関する特別措置法案外十一件、及び伊藤よし子君外十四名提出昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害により被害を受けた者の援護に関する特別措置法案外七件について審査を行ないましたが、その質疑応答の詳細なる内容については、会議録をごらん願うこととし、以下部門別にそのおもなる点を簡単に申し述べます。  第一に、自治庁関係について申し上げます。  まず、起債特例の問題についてでありますが、対象となる起債について質疑があり、これに対し政府当局より次のような答弁がありました。すなわち、その起債については三つの種類があり、その一つは、特別法の第一条にある、減免による減収補てん、あるいは災害救助対策のいろいろの地方負担分に充てる地方債については、二十八年度災害のときと同様な考え方にのっとって、地域指定を行ないたいということであり、その二として、土木小災害学校小災害についても、災害復旧事業費がその団体標準税収入を上回っておる団体について特例債の発行を認め、そのほか、激甚地指定地域については、あわせてその地域公共土木公立学校災害復旧事業についてこの特例債を起こさせる。第三として、農地農林業施設については、三十三年災当時の特例法においては、一市町村当たり農地農林業施設災害復旧事業費が一千万円をこえる市町村というように指定していたが、今回は八百万円ということにして、特例債を出させる市町村範囲を広げており、なお、激甚地については、農林省で立案する激甚地指定に見合わせていきたいということでありました。そのほか、地方債資金配分特別交付金配分の問題、市町村職員共済組合員見舞金の額の特例等について質疑が行なわれました。  次に、文部省関係においては、公共土木事業について激甚の指定を受けるような地域であれば、学校被害標準税収入の百分の二十に達しなくとも、当然高率補助が行なわれるべきではないかという質疑に対し、政府当局より、対象によって被害実情がそれぞれ異なるので、学校学校独自として、特に被害の大きいところについて、当該市町村財政事情その他を勘案して激甚地指定をやっていきたい、これは公立文教施設だけでなく、他の特例法関係についても同様であって、それぞれにきめていくのが今回の考え方であるとの答弁がありました。また、高率補助ワクを百分の二十とすることは実情に即しない、百分の十としてはどうかという質疑に対し、政府当局より、府県を通じ各市町村から報告された被害に関する資料によって検討したところによると、二〇%を一〇%まで下げるとしても、予算上の計算においては大した数字の開きは出てこない、六五、六%にしかならないであろうとの答弁かありました。  また、文化財関係災害復旧に関連して、それ以外の宗教関係施設災害復旧の問題については、これに国が負担するのは憲法第八十九条に違反するのかとの質疑に対し、現行の宗教法人法立場から考えて、国が援助するという考えはないとの答弁がありました。その他、私立学校においても、公立学校と同様に授業料を免除すべきであり、これについては国が補助すべきであるとの発言がありました。  次に、厚生省関係のおもなるものにつきまして申し上げます。  まず、医療機関復旧についてでありますが、公的医療機関たる国保の直営診療所復旧を本法の適用から除外し、しかもその補助予備費に回している点を指摘した質疑がなされ、また公衆衛生保持について、簡易水道補助二分の一は僅少に過ぎ、しかもせっかく当初予算に計上した簡易水道施設費を削り、これを簡易水道復旧費に回しているのは納得できないとの意見がありました。また、私的医療機関災害復旧資金貸付条件について、政府より、金利は六分五厘、償還期限は七年まで、据置期間は一年とすること、また、今回の災害の場合は、個人医業者については、特に三十人以上のものについても融資対象としたいとの説明がありました。  なお、社会党提案生活保障法及び被災者援護法趣旨たる個人災害民間災害救済について推進する意思があるかどうかとの質問に対し、個人災害に対しても、できれば救済するのがいいことであるが、現在の財政及び制度上の立場等から、直ちに実施することは困難であり、あらゆる方面において、財政が許す限り、国民生活の安定に資する施策を講じたいとの答弁がありました。  次に、労働省関係につきましては、失業保険と失業対策に関する特別措置法について、それぞれ政府案と社会党案との比較において論議が行なわれました。特に社会党案における、いわゆる交通機関途絶による休業の確認の問題に対しては、政府は、現在の失業保険の体系をくずさず、現実に失業という状態を認めて、失業保険のベースに乗せていこうという建前をとっているという趣旨答弁がありました。なお、失業策事業に対する国庫補助率特例失業保険財政問題等についても質疑応答が行なわれました。  三日間にわたる審議において、委員各位が終始御熱心に質疑をいたされたことについて敬意を表し、報告を終わります。     …………………………………
  9. 南條徳男

    南條委員長 次は、建設等小委員長江崎真澄君。
  10. 江崎真澄

    江崎委員 建設等小委員会審査の概要を簡単に御報告申し上げます。  本小委員会は、内閣提出昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害に伴う公営住宅法の特例等に関する法律案外三件、及び中島巖君外十七名提出公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案の、建設省関係法案につきまして、十六日、十七日、十八日の三日間にわたり、各委員が慎重に審査をいたしました。これらの熱心な質疑応答の詳細は、会議録をごらん願うこととし、ここではその数点だけ取り上げ御報告することといたします。  まず、伊勢湾等高潮対策事業につきましては、政令で定める指定地域を明確にされたい、伊勢湾等に面する地域とあるので、伊勢湾を中心とし、他が薄くなりはしないか、また、この法律に伴って中部地方建設局に臨時海岸部を設けると、その管轄の範囲はおのずから限定されはしないか、海岸に接続する宅地が海になっているところの復旧はいかにするか、工事の緊急度についての方針はどうか等の諸点について質疑応答がなされたのでありますが、これに対し政府は、指定地域で大体考えられるのは、伊勢湾、知多湾、渥美湾及び熊野灘に面する海岸または海岸近くの河川となっており、個々の個所は現在調査中であって、改良復旧計画に従って決定していくことになる、指定されない地域も、別途に重要度によって改良事業を施していかねばならないと思うので、十分措置したい、建設省で委託を受けて直轄でやる区域と、伊勢湾の対象の区域とは異なるものであって、委託の区域に制限されて伊勢湾対策事業が広がらないということはない、護岸工事は必要により民地を買収して行なうが、土地所有者には納得のいく方法で買い上げたい、工事は、地元県の意見を聞いて、緊急度の高いところから行なうとの答弁がありました。  また、海岸堤防対策協議会を名実ともに充実させるために、それに沿うだけの調査の必要があると思うが、その時期と方法はどうかとの質疑に対しまして、協議会としては、災害直後、各省とも権威ある学者等に依頼して調査を行なったが各省、各県、各市町村で計画しているものを全部集めて、全体のめどがついた上で、具体的に現地を見、その調整を行なって、全般的に付近の海岸を考察して将来に遺憾なきを期したい、目下のところ、十二月半ばまでに計画の方向を定めて、来年度予算に間に合わせたいとの答弁がありました。  次に、堆積土砂及び湛水の排除の問題につきましては、政令で定める指定基準についての根本的な考え方について質疑があったのでありますが、これについての大体の考え方は、次の三点の一に該当すれば指定されることになるのであろうとして、一、宅地等の堆積土砂が三万立方メートル以上の地区の存する市町村、二、浸水日数が七日以上でその面積が三十ヘクタールの区域の存する市町村、三、市町村が行なう宅地等の泥土の排除事業事業費がその市町村の三十四年度の標準税収入の一割をこえる市町村、以上の三点が示され、また、農林省関係の部分、すなわち林業用施設及び漁場については、林業用施設は一万立方メートル以上、漁場は五万立方メートル以上、それから樹木の数が千本以上堆積した地先漁場にかかる市町村、こういうように農林省でも話をまとめつつあるとの答弁があったのであります。  次に、河川の治水につきましては、上流部における砂防工事、洪水の調節のためのダム建設、下流部における河川改修、高潮対策を含めて、海岸堤防と河川堤防の関連、さらに老朽堤防及び漏水の処置、河床が上がることに伴う安全度の低下、遊水地帯の干拓及び住宅地建設に伴う排水施設の整備等に対する対策等に関しまして、さまざまな角度から具体的な質疑がなされたのでありまして、これに対し政府は、旧来の計画を今次災害に即して改善、促進し、総合的な見地から、恒久的河川計画を樹立して、いやしくも民家が浸水地帯になることのないよう、誠意をもって措置する旨の答弁があったのであります。  なお、今後直轄河川をできるだけふやす方向に努力されたいとの質疑に対し、これはきわめてむずかしい問題ではあるが、最近の災害を見ると、県として手の回らぬ大きな仕事もあるので、国が積極的に計画を作り、工事においてできるだけそのような方向に持っていきたいとの答弁があったのであります。  次に、公営住宅対策につきましては、台風常襲地帯におきましては、災害応急住宅でなく、都会地における防火地帯の鉄筋不燃化住宅が考えられているのと同様に、永久建築の住宅構想が強く打ち出されるべきであり、たとえばモデル・ケースとして、全戸流失した鍋田干拓地のごときところに、将来の農家形態との関連とも考え合わせて、鉄筋高層建築を建ててはどうか、また、第二種公営住宅の標準建設費は低過ぎる、これではバラック建しかできないので、もっと実情に合うよう引き上げるべきであるなどの質疑に対しまして、今回の災害公営住宅では、三割程度を不燃化し、低温地帯等、適地適地に配分していきたい、また、緊急避難ができる公共的建物を設けたい、金融公庫貸付にも改善を加えたい、また、将来営農の形が近代化されるにつれて、一種のジード・ルンクのような形が考えられてよいと思われるし、開拓者住宅などで一部そのような構想のモデル・ケースがあるので、今後農林省とも協議の上努力したい。標準建築費については、本年度は年度当初に定められた地域別の単価をそのまま踏襲しなければならなかったが、来年度からの予算要求に際して努力したいとの答弁がありました。  道路対策につきましては、一号国道、名四国道の将来計画についての質疑に対しまして、この災害にかんがみ一号線は約一メートルかさ上げされているので、これを活用したい。名四国道についても相当上げることで目下検討中であるとの答弁があり、また、運輸及び電信電話関係につきましては、国鉄関西線と近鉄線の開通及び復旧、国鉄東海道新幹線の水防問題、並びに電話施設の迅速なる復旧対策等についての質疑に対し、それぞれ十分研究努力する旨の答弁があったのであります。  なお、査定の問題及び設計、工事の適正化の問題につきまして、査定については、一査定官のきびしい処理の仕方によっては、今回のこの災害立法あるいは予算が死んでしまうこともあると考えられるので、十分注意をされたいとの意見が表明され、設計、工事につきましては、今までの例ではかなりずさんなものが見受けられ、また県工事と市町村工事の境界部あるいは各省管轄の接続点などがおざなりになる傾向がある、このような点については十分取り締まるべきであるとの質疑に対しまして、補助金等の適正化の法律により、虚偽のものを行なった場合は処罰されるが、単に処罰で臨むことなく、工事の途中において中間検査を行なうことに重点を置くよう指導していく、また境界部についても、十分総合的な計画をもって遺憾なきを期したいとの答弁があった次第であります。  最後に、過般の本委員会及び予算委員会において示された、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担特例法の政令に規定する激甚地指定基準におきまして、長期湛水地域、すなわち三十ヘクタール、七日以上の湛水地域のある市町村地域の全体は、激甚地指定されるものと解釈されておったのでありますが、その後の質疑応答によりますと、それは原則であって、その市町村全体の面積に比べて長期湛水地域がきわめて小さい場合は、市町村全体を特例法対象とせず、その小部分の湛水地域のみを対象とするとの考え方もあり、目下大蔵省などと協議中であるとの政府答弁がなされたのに対し、これはきわめて重要な問題であり、原則通りこれを適用すべきであるとの強硬な意見の表明がなされた次第であります。  以上のほか、港湾対策改良復旧事業関連事業との関係、あるいは混合方式の問題、その他さまざまな問題につきまして、細部にわたり、きわめて熱心な質疑が重ねられましたことを申し添えまして御報告を終わる次第であります。     …………………………………
  11. 南條徳男

    南條委員長 次は、通商産業等小委員長代理辻寛一君。
  12. 辻寛一

    ○辻委員 私は、通商産業等小委員会審査の概要を御報告いたします。  本小委員会審査いたしました法律案は、内閣提出中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案外二件、並びに、田中武夫君外十七名提出天災による被害中小企業者等に対する資金の融通等に関する特別措置法案外一件の五法案でありまして、これらについて終始熱心なる質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録をごらん願うことにいたしまして、ここでは、十六日、十七日の二日にわたって論議されました問題の主要点を御報告することといたします。  本小委員会において取り上げました問題点は、大別して四つであります。第一の問題は、激甚地指定の問題であり、第二は、被災中小企業者並びにこれに関係の施設に対する融資等の問題であります。第三は、国有機械等の払い下げの特例に関する問題、並びに競輪場復旧問題等の四点であります。以下、順次問題別にその概略を申し述べます。  まず最初に、関係法律案に関する激甚地指定の問題について、その質疑応答の要点を申し述べますと、高率適用補助を受ける際の単位のとり方が明確でないのではないか、同じ激甚地であっても、七日ぐらいの湛水区域と、六十日も七十日もの長期にわたる湛水地域とは区別されてしかるべきではないか、被害査定の際の基準が、単に何日間、何十町歩の湛水地区であるというだけのものでは、公正を期せないのではないかという質疑に対し、政府から、激甚地の単位のとり方については、被害標準税収入とを比較検討して決定する今回の方針にのっとり、ひどいところは、広い行政区をこまかく区分しても、できるだけ多くを適用させようという方針である、また、七日以上の湛水区域をさらに区別し、一部を引き上げることは、他の面からの考慮はされるとしても、今回の激甚地の多きにかんがみ、困難である、被害地域の査定に関しては、でき得る限り実態を調査して万全を期したい旨の答弁がありました。これらを要約しまするに、指定するための単位のとり方の問題にせよ、また、指定後の段階を設けることの可否につきましても、表面上に出た数字あるいは机上の計算から決定してしまいますと、往々にして実態にそぐわない結果を生ずるおそれがあるので、よろしく正確な実情の把握に努め、物心両面に及ぼす影響を十分に考慮して、いやしくも機械的な処理に終わってしまわないよう、実情に即した査定をするようにとの要望がその根幹であると考えられるのであります。  二番目の問題としては、被災中小企業者並びにこれに関係施設等に対する融資等の問題であります。これらの問題につきましては、一、保証協会の資金増額の問題、二、信用保険公庫の保険料率及び填補率改訂の問題、三、零細企業に対する融資についての問題、四、資金利用について公平を期し、特別措置を中小企業全般に及ぼすべしとする問題、五、中小企業公庫の支店数増設の問題並びに貸し出し方法の問題、七、据置期間延期の問題、八、災害の際の保証料率引き下げの問題、九、中小商工業者の共同施設の復旧資金についての問題、十、小組合に対しての政府の具体策、十一、政府案と議員提出法律案との相違点について質疑があり、政府または提出者より保証協会用の資金に不足を生じた場合は、何らかの方法によって善処したい、信用保険の保険料率、填補率等については、可能な限り引き下げた。融資額の問題については、信用保証協会の活用が十分でき得るような方途を講じたい、百万円の限度額については、低利の分が百万円を限度とするのであって、一般の利率の分は、一千万円までは貸し出すことになっている、資金の円滑な利用問題については、それが一部のもののためにのみ利用されるということはないと考えるが、なお十分調査する、中小企業公庫の支店は、不足ではあるが、事業の円滑をはかって努力中である、中小企業金融公庫は、災害適用据置期間を一カ年に延期した。それ以上は現状では望めない、保証料率の引き下げ問題については、一応引き下げを実現してはいるが、満足のいくよう努力したい、中小企業の共同施設については、資金助成制度が新設され、一部を無利子で貸し出しており、さらに積極的に対策を考慮する、小組合に対しては、商工中金に小口貸付制度を設け、極力簡素化を旨として努力中である、衆法第六号について、天災という言葉は恒久立法を意味し、不完全な工事に起因した災害をも全部含めて取り扱うものであり、政府案は低利貸出限度額が百万円であるのに対し、衆法第六号は百五十万円としている旨の答弁がありました。  これらの質疑応答を要約しますれば、今次の災害による被害総額のうち、大体八割までが、中小企業の災害であります。この甚大な被害に対しましては、ある面におきましては、農業、水産業等の金融機関よりもきびしい制限のある三公庫等の貸出制度において、少なくとも災害によるものについては保証協会を十分に活用し、これの利用面におきましては、一部の者のための利用に偏することのないよう十分注意いたしますとともに、力の弱い零細企業者や災害によって初めて利用する者のためには、実情をよく把握し、制限を付するに厳に過ぎて、利用の実をあげ得ないことのないよう、また、十分とはいかないまでも、資金面の調達に積極的な援助を講ずるよう、さらに努力すべきであるというのが発言された各位の大要であります。  第三の問題といたしましては、国有機械等の払い下げの問題であります。その質疑応答の要点は次の通りであります。  国有機械を五割引をもって貸付または交換をする場合に、割引額の総額が被害額の総額を限度とするということは、個々の複雑な事情もあり、実態の把握が困難であり、限度を設けない方が妥当ではないか、貸付の場合も交換の場合もともに五割ということは、交換についてはすでに現在においても三割五分引きの制度がある点にかんがみ、均衡を失し不当ではないか、以上のごとき質疑に対し、政府より、査定が困難であることは同感であるが、趣旨は、被害を受けて減価しているものでも、損害を受けた限度の国有機械の評価減により、有利に交換、あるいは譲渡しようということにある、査定の困難性については、本人とか県の商工課あたりの意見を十分尊重する、交換の制度は、現行においても三割五分引きの制度があるが、これは全部の制度ではなく、中小企業の合理化を促進するため、老朽機械を特別に制限を設けて交換する建前になっており、災害による割引を受けることと合理化のための割引を受けることは別個の問題であり、有利な割引率となっている、従って、災害の面だけから考えると、交換と譲渡を区別する理由はないので、他の場合との均衡も考慮して五割とした次第である旨の答弁があったのであります。  以上の質疑の主軸をなすものといたしまして、要するに、これの立法後の効果を十分考慮して、この問題を処理すべきであり、それについては、一つには被害の限度においてという制限を設けることは妥当であるかどうかを再検討すべきではないか、また貸付と交換の率を同率にすることが妥当であるかどうかも考える余地がないかということであります。  その他の問題といたしましては、甚大な被害を受けました競輪場の復旧問題について存廃が論議されております現状にかんがみ、いたずらに復旧に着手すべきでないという意見が述べられ、これに対し政府からも、でき得る限り趣旨にのっとった措置をとっている旨の答弁がありました。  以上簡単ではありますが、本小委員会の論議の主要点を概略御報告いたした次第であります。(拍手)
  13. 南條徳男

    南條委員長 以上をもって各小委員長報告は終わりました。     —————————————
  14. 南條徳男

    南條委員長 引き続きこれより各案について質疑を行ないます。質疑の通告がございます。これを許します。岡本隆一君。
  15. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 前回の建設関係の小委員会で、堆積土砂及び湛水の排除に関する特別措置法の法案の中の湛水という言葉の定義についてお伺いたしておりましたが、その節、それに関連いたしまして、先般政府から提出されました激甚地指定に関するところの基準の中の、当該市町村区域内に七日以上、湛水地域が三十ヘクタールをこえる場合という、この項を具体的に説明していただきたいと申しましたところが、まだそれについての意見の調整ができておらないから、次の委員会まで待ってくれ、こういうことでございましたので、きょうはまずその御説明からお願いいたしたいと思います。
  16. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 湛水の排除に関する排水事業の行なわれる地域に関する条項が、堆積土砂及び湛水の排除に関する特別措置法案の第二条の第二項にあるわけでございますが、この第二項におきまして政令で定める湛水の被害地域と、それからもう一つは湛水の程度、両方に関する事項が政令の内容になっております。この湛水の被害地域及び湛水の程度に関しましては、最終的にまだはっきり申し上げる段階にはなっておらないのでありますけれども、大体のところは、まず湛水に関する被害程度として考えておりますところは、一団地につきまして一週間以上かつ三十ヘクタールにわたる浸水地域というものを考えるように目下いろいろ打ち合わせを進めております。
  17. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それではその三十ヘクタールというものの深さであるとか、それらはどういうふうに理解したらいいのでしょうか。どの程度に湛水しておればそれに該当すると理解していいのでしょうか。
  18. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 建設省といたしましては、この湛水の程度に関しましては、排除される浸水の量が三十万立方メートル以上という程度の浸水状態が政令で定める程度に達する浸水状態だ、こういうふうに考えながら目下相談をいたしております。
  19. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 排除される水が三十万立方メートルというふうな言葉は、先ほどいただきました基準案の中にはどこにもそういう概念が入っておりません。従って、それは新しい概念になって参りますが、この政令の大体の基準内容というものから、激甚地というものは一応こういうふうなものさしに当てはまるものと考える、こういうふうな目の網ですくって、それにすくわれてくるものを被害激甚地として考えますということを政府からお示しになった。われわれの目に見えておった網の目の一つが、湛水地域が七日、三十ヘクタールというふうになっておったのです。湛水というのは水がたたえられておるということですね。ある程度、われわれが水害地でもって浸水状態にあるということですね。そういうふうにわれわれは理解しておった。ところが今度は、それを三十万立方メートルという新しい概念を持ってきておられる。それともう一つは、聞くところによりますと、それは機械排水を用いたものというふうな概念が入っているかのようにも聞くのでありますが、それについてはどういうことなんですか。
  20. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 湛水の排除に関する特別措置法の第一条の第二項におきましては、湛水に関する被害地域の政令と、それから、浸水状態が政令で定める程度に達するものと、この二つが政令事項になっております。従って、ただいま申し上げましたのは、地域の問題と程度の問題との二つでございまして、その程度につきましては、排除される水量が三十万立方メートル、こういうふうに申し上げたのでございます。なお、その排水の方法につきましては、ただいま機械排水のみに限るかという御意見がございましたが、その点につきましては、目下協議を進めております。
  21. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 目下協議を進めておりますというような——きょう法律案をもう議了しようかどうかという段階なんです。しかも、この政令の基準というものは、実質的には法律の中身なんです。その一番重要な問題が、最後のきょうになってもまだきまらない。こういうことになって参りますと、それじゃ、そのあとでどのようにおきめになったとしても、私たちは中身のない法律をきめて、結局考えようによっては、これは白紙委任状を渡してしまうことになるんです。白紙委任状に判こを押して、それであとどうなっても私らは知りませんよというような法律案を、私たちはきょう国会を通過さすことはできないと思うんです。しかも、この問題は、おととい指摘して、二日間の、十分な協議をしていただくだけの猶予が与えられているはずなんです。にもかかわらず、まだ、今協議中でございますというふうなことでは、これは困るんです。この点について私は大蔵政務次官にお伺いしたいのですが、しからば、堆積土砂及び湛水排除に関する法律案の中の湛水という言葉と、それから政府がさきにお出しになりましたこの政令の基準案の中の湛水という言葉と、これは別々ですか。別に必ずしもこの法律案にいうところの定義にとらわれずに、すなおに、最初私たちがこの案を受け取ったときに理解したような形において基準というものを理解していいのですか。
  22. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 お尋ねの昭和三十四年八月及び九月の暴風雨による堆積土砂及び湛水の排除に関する特別措置法案の第一条第二項にある湛水の意味と、それから、ほかのいろんな法律案における政令の中の湛水の意味と、これは同一のものであります。
  23. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうなってくると、政府は最初お出しになった場合の排水の方法であるとか、あるいはまた水の量というふうな概念がこの中には入っておらぬ、盛られておらないのです。そのときに当然御説明あるべきなんです。それならそれで、このように三十ヘクタール以上というふうなことは書かずに、このときその中に水の量として三十万立方メートル以上の場合、こういうふうに指示されるべきだと思うのです。機械によるところの排水三十万立方メートルというふうな形であなたの方でお出しになってこられたら、また私たちの考え方も違ったと思うのです。この基準が出るまで、私たちは一応この法案審議はやらない、それじゃ基準を出しますからということでお出しになっているわけです。だから、こういうふうに内容が、あとでどんどんいろいろに変わってくるということでは困ると思うのです。
  24. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 湛水という観念、これは、政令の内容できめるということについては、各省の間の意見をまとめて、そうして、政府として今度の幾つもある法案の中にある湛水というものは同一の意味、定義を持たなければなりませんから、それで、初めは今の幾分ばく然とした御説明を申し上げましたけれども、今回それを明確にして、どの法案においても、湛水というものは同一の意味を持つように各省との問の意見を統一して参りまして、もうほとんど意見は統一しておるのであります。まだ微細の点で完全に話がついておりませんので今ここで申し上げられませんが、この湛水とは、今度の特例法全部同じ意味を持つものであります。
  25. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この法案をお作りになったときには、なるほど湛水の排除に関する法律でございますから、排除については特別の操作を知らなければ出なくなる、つまり、特別の操作を行なわなければ出ていかない水なんです。そういうふうな湛水を対象として、この法律案は作られているのです。ところが、湛水にもやはり違った種類のものがあるのです。たとえば、宇治川の例をあげていきますと、琵琶湖の水量がうんとふえます。そうしますと、今度その水はある程度しぼられつつ放出されていきますから、琵琶湖の下流の宇治川沿岸は雨がやんであと数日水位が上がっている。だから、その沿岸で浸水が起こりますと、十日以上も高い水位のまま置かれるわけです。琵琶湖の水位がある程度の基準に達するまで、水位は高いままに置かれるわけです。そのまま湛水しているわけです。ところが、何らの操作を加えなくても、琵琶湖が一定の水位までおりてきますと締めますから、今度は自然に引いていくわけです。その間、下流の者はやはり湛水に耐えていなければならない。滋賀県の水は、琵琶湖周辺の水位を下げなくてよいのならずっとすぐ引くのです。ところが、琵琶湖の中に大量の水がささえられておると、それを放出する間、浸水状態のままじっと幾日でもそれを待っていなければならない。そういうような湛水もあるのです。名古屋の湛水は、海ですから、上流にそういう大きな湖水というのがありません。だから、海より低いところは何かでもって排除していかなければ引いていかないでしょう。しかしながら、自然に引き得る地形にありながら、しかも治水のいろいろなダムの操作のために、高い水位がいつまでも保たれているという湛水地もあるのです。あるいは滋賀県にだって、下流の何を考えずに満開すれば、どんどん引いていくかもしれない湛水地帯がある。それは必ずしも機械的操作を加えずに水がなくなるんです。これにいうところの湛水と違った形の湛水の状態があるわけなんです。だから、そういうものがやはり当然この政令の中には含まれていなければならないと思うのです。この政令というものは、湛水状態に幾日あったか、どれほどの範囲、そうしてまたどういうふうな程度の浸水状態に幾日あったかというふうなことをこの政令はきめて、この網の目にかかるものは一つ引き上げましょう、こういうような形であったから、私たちはこれで了解していたわけです。だから浸水状態が三十町歩以上あれば、それは政令に適用されるのだ、こういうふうに理解しておった。ところが、今度ポンプ・アップして出ていく水でないとだめだ、ぐるりと中身が変わってくると、全然違うのです。だからこの政令とこの法律の中の湛水というなにを、そういうふうな意味においてあなたがお使いになるとすると、これは話は全然別になる。湛水というのは、たたえられた水を出すのに必要なための手段ですね、出すのに必要なための手段のために、金が要った場合には補助をするという法律なんですね。だからここだって、すなおに湛水は浸水状態にある水がずっと長くそのまま停滞しておる状態というふうに理解して、ちっとも理解できないことはないのです。にもかかわらず、この法律案の定義の中にもそういうものを持ち出してきて、最初に出した基準の案の内容をすりかえようとしている。それは大きな食言ですよ。そんな食言をやっちゃいけませんよ。少なくもわれわれがまじめに、あのときに、白紙委任状のような形になっちゃ困るから中身を示して下さい、かっきりしたものにして下さい、こういうふうにあなたの方へ申し入れて、それでもって、政府から、それじゃこういうふうにいたしましょうといって出されたものが、またあとでぐるぐる、どんなものにでも内容が切りかわっていくことじゃ困るのです。だからそういうふうな湛水状態があるということを理解して、その上でそういうふうな今おっしゃるような定義を下されようとしておるのか、あるいはそういう点を、そういうふうな浸水地帯があるということをそのときついうっかりしていた、だからそういうふうな浸水地帯があったとするなれば、それもその考慮の中に入れますという意味において、その湛水を理解していい、こういうふうにおっしゃるのなら、私もそれで了解できるのですが……。
  26. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 あらゆる場合の湛水の被害政府が国庫補助するというのじゃなしに、この法律にありますように、湛水とは、今度の災害において一定地域内で浸水状態にあったもの、その意味を明確にしておるので、多少技術的になりますから、なお詳しい御答弁は説明員にいたさせます。
  27. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 だいぶ内容が、技術的な問題にもわたりますので補足いたします。まず、ただいま御指摘のような事例でございますが、公共土木施設とか、農林水産施設の指定基準におきまして、長期湛水地域というものを引いておりますが、その場合の説明として、従来もいたしております通り、これはここにあります堆積土砂及び湛水の排除に関する特別措置法にいう湛水、これがこれらの長期湛水地域としてこの法律の規定できまる。この政令できまる長期湛水の地域を引いて、これを基礎として定めるということを御説明いたしておるわけでございます。そこで、ただいまの御指摘のような問題というのは、常にボーダー・ラインの問題として出て参るわけでございますが、これは農林省や建設省からも、いろいろこの予算段階、さらに今回の政令の規定をどうきめるかということで議論になっておるところでございますけれども、やはり今回の災害の一番の特質となっております長期湛水というものの性格を見て参りますと、これは非常に異常な事態として、たとえば高潮が非常な奥地まで入って、それが海面より低い土地であるために排除ができないで、また海岸堤防の締め切りができないために排除できないで、そして長期にわたって湛水しておる、こういった性格のもの、あるいは岐阜県の輪中地帯の浸水におけるように、堤防で囲まれた土地でありまして、そしてそこに破堤によって全部湖面のようになってしまった、こういったものを中心に考えていく、これが今回の災害の異常な事態でございまして、そういうものを特別の扱いとして考えていこうというような点に重点があることは、おわかり願えると思います。そこで、ただいまのような河川の樋門の操作であるとか、あるいはダムの間門の操作、そういった問題以外にも湿田地帯に若干の雨が降りますと、相当長期間湛水するという場合もございます。そういったものまでもやはり特別のものとして救うということは、今回の災害に対して、特別措置としてやっておりますこの長期湛水地域というものの性格から見て、いかがであろうかというような点も考えられるわけでありますので、ただいま建設省の計画局長から御説明のありましたように、やはり今回の長期湛水として問題にいたすものは、そういうものを排除いたしました特別の湛水、そういったものに限って問題を議論すべきである、こういうように大体意見の一致を見ておるわけでございます。
  28. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 今度の特例法、これは大体二十八年のときの災害に準拠した法律適用をやる、大体二十八年のときの災害と同じような意味において高率補助をやるんだ、こういう考え方から出発をして、それでもっていろいろな法律案ができておる。その中で湛水の排除というものは、何しろ名古屋のようなところがあったから、非常に多量の水を排除するのには莫大なお金がかかるから、それについては特別の立法措置をしましょうというのでもって、この法律案が出ておる。しかしながら、二十八年のときには、今言うように自然に流れて、その湛水が排除されるような地域もやはり特例法適用を受けておる。ところが今度は、その地域は、特例法適用がほかのファクターにかかってこなければ適用が受けられない。しかし問題はここにあると思うのです。つまり二十八災にもやられておる。その後二回、三回やられておる。しかも今年は、二回も数日にわたって湛水しておる。たとえばそれらの人は、八月十三日のときには、十日間避難所が開設されております。ことに八月十三日のお盆前に浸水して、十日間自分の家へ帰れない。こういうふうな地域の人たちにとっては、よし水が自然に引いたとしても非常に甚大な被害を受けております。十日も床上浸水しましたら、壁は全部落ちてしまいます。壁が全部一たん落ちてそして壁はやっと塗りました。そしてその左官にその補修費を払っていないうちに、九月二十六日にまたしても湛水してしまう。そしてまた壁が落ちる。そのような被害を二回も受けながら、しかもこれは、自然に出ていくんだから話にならないというようなことでは、これはむしろ財源の出ていくのを、何とかしてしぼっていこうという考え方から持ってきたワクであって、これは最初出された意味と非常に違った内容にすりかえられてきておる。これは政府の方で、もう一度考え直していただかなければ、この法律案はきょうはちょっと休んでもらわぬと困る。きょうこのまま通過さしてもらっては困る。そういうふうな点について、あなたの方で、なるほど、そういうような地域があるということを、つい、うっかりしていた、だから、その地域については考えないでもないというふうなことであるならばいいですが、そうでなければ、だいぶ話が違って参りますから、その点、くどいようですが、もう一度……。
  29. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 岡本委員もよく御存じの通り、昭和二十八年災害のときに高率適用された、いわゆる激甚地指定は、長期湛水というようなことは基準になっておりません。今回の災害で、特に海岸堤防が破堤して長期湛水するとか、あるいは河川の堤防がこわれて長期湛水するという特殊の事情がありますので、今度の激甚地指定に、二十八年災のときのように、標準財政収入と被害額と比べて基準をきめた、それの補完的に長期湛水というものをつけ加えたわけです。そういう意味からいたしまして、長期湛水というものが、やはり今度の災害によって特にそういう事態になったということをはっきり規定していきたいということで、今申し上げるような規定を考えておるのでありまして、単に堤防も破堤しないとか、あるいは海岸堤防が破堤しない、ただ水がたまったということをも含めるつもりはありません。
  30. 小島徹三

    ○小島委員 関連してちょっとお尋ねいたします。先ほどの政府委員のお話では何か閘門を開いて水が出たというふうな、そういう人為的なことによって増水して長期湛水したというようなものは含まれない、かようにおっしゃったのですが、それは岡本君が承知する、しないは別として、一応の説明として承っておきます。それでは、ただいま政務次官のおっしゃったように、堤防が切れて水が流れておる、三日も四日も水がどうしても減らない、同時にまた、流れるべき口が土砂の堆積によって水が流れない、やむを得ないから四日目か五日目に自衛隊に来てもらって堤防を仮修復して締め切った、同時に、そのたまった土砂を取りのけてもらって、ようやく徐々ながら水が引き始めた、こういうふうなことになったときはどうなるのですか。
  31. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ただいまの小島委員の御質問は、破堤をしたところの工事のやり方によって長期湛水の考え方がどう分かれるかということであったように思いますが、先ほど建設省の計画局長からも御説明がありましたように、そういった場合においても、その後ポンプを持ってきて排水をする、こういうことになる場合には、もちろん、それは長期湛水地域として採用されるわけでございます。その場合に、堤防が破堤しておるならば、もちろん、問題はございません。それから、今回の場合ですと堤防の上を水が全部越えてしまうというような場合も当然考えなければならないと思っております。そういったものになりますと、内容も、今度はいろいろこまかい問題が出て参ると思いますが、ただいま私が御説明した程度のことは当然考えなければならぬ。なお、詳細な問題については、これは技術的な査定の問題も入ってくるかと思いますが、大体、各省打ち合わせておりますところでは、私が申し上げた程度のもので考えていこうというようなことになっております。
  32. 南條徳男

    南條委員長 ちょっと委員諸君にお諮りいたします。  この問題は、多少政府側でもまだ意見が調整されておらぬように思われますから、十分調整された上で御答弁願うとして、その点、質問者もどうぞ一つ……。
  33. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 まだこの問題はお話し合いをしておられる最中のようでございますので、こういうふうな地域があるということを十分考慮に入れていただきたい。私が特にこれを強く主張しますのは、今後とも、その地域はやはり何回か水害に見舞われると思います。大雨が少し降りますと、琵琶湖にうんと水がたまる。それでどんどん放出すれば、あるいは、その他の方から各河川が寄ってきて淀川の水位が高くなれば、必ず浸水がくるというふうに、常襲地も常態地、ほんとうに毎年のように浸水がくる。十年に一回、二十年に一回浸水したというふうな地域と、年々歳々そのようにして相当長期間浸水状態に置かれるのだという地域と、どちらが住民の痛苦かということを、あなた方にもよくお考え願って、そう機械的にだけお考えにならないように要望して、次の問題に移りたいと思います。もう一つお尋ねしておきたい問題は、前回の委員会のときに、特例法の同率補助を府県に適用する場合にあっしは、補助額を、災害高率補助分と、そうでない分とに、按分形式で割り当てていくというふうなお答えを願ったのでございますけれども、今度この政令の基準の案の中には、第三項に、「災害国庫負担法特例の計算については旧市町村区域によることが出来る。」こういうことを書いてございます。そうすると、これは合併町村です。合併町村の場合に、たとえば六町村が合併をしました、その中の二町村が激甚地指定をされた、こういうふうに仮定いたしますと、その二町村だけについてその補助額を計算し、それからまた、その高率補助を受けない区域だけについて補助額を計算して、それを合算するのですか、それとも、府県にやったような形の按分方式をとるのか、どちらにされるのか。私は、これからいけば、各激甚地ごとに計算して、それを集めた合計が補助額になると、こういうふうに理解するのでございますが、その辺について、一つ次官からお答えを願いたい。
  34. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 法律内容の問題でありますので、私から最初に御説明させていただきます。  町村合併促進法によります旧市町村の区域を、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法あるいは農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律におきまして、一つの公共団体とみなして負担率の計算をするという方法は、この特例法の出る前から、すでに行なわれておった問題でございます。その場合における計算方法といたしましては、これは、もちろん新市町村としての大きな単位では、標準税収入災害復旧事業費との関係を比較して国庫負担率を出します場合に、従来の旧市町村の場合で計算いたしますときに比べて不利になるということを救済する規定でございます、従いまして、前回のときに問題になりました長期湛水区域の問題、あるいは府県工事の場合における市町村地域ごとの、いわゆる混合方式による指定の問題、こういった今回の新しい問題とは違いまして、いわば、その市町村そのものを見て、この市町村激甚地指定に該当しない、こういうことになった場合に、さらにもう一段旧市町村の区域までおろして、はたしてそれで計算した場合にどうかという救済規定でございますから、当然に計算のやり方といたしましては、旧市町村の区域における災害復旧事業費と、また旧市町村の区域における標準税収入——これは現在は正式な標準税収入というのはないわけでございますけれども、政令の規定でもってそれを計算する方法を定めまして、この標準税収入というものと比較してやって参る、こういうことになるわけでございます。先ほどの一般府県工事の混合方式でやるような場合でございますると、これは今回の新しい規定でございますが、前回も御説明いたしましたように、その公共団体の県全体の標準税収入、それから県全体の災害復旧事業費、これとを比較して、特例法に定められまする標準税収入の比率によりまする国庫負担率というものをそれに乗じて参りまして国庫負担額を計算していく、こういうことになっておりまして、この間の計算方法は違っております。しかしながら、これは前回も御説明をいたしましたように、私どもといたしましては、現在の府県工事の場合にやっておりますような計算方法というものが、いわば原則である。そして旧市町村の区域の場合のような計算方法というものは、そういう計算方法をとることによって救済規定を働かす、こういう意味でございまして、その点は、何ら矛盾なく行なわれるもの、こういうふうに考えております。
  35. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 私のお尋ねしているのと違った内容についてお答え願ったような気がする。私が今お尋ねしていますのは、補助額を決定する計算の方法です。それで、六個の旧町村が合併して、そのうちの一つだけが激甚地指定を受けたとしますね。そうしますと、個々の小さい部分の標準税収を見合いにして、それに基づいて国庫負担法の特例適用して、その地域だけについての補助額を決定する、それからまた、残りの部分は残りの部分として別に計算してそれを寄せるのか、あるいは府県に行なったように、その個々の激甚地部分と、今のなにで縦割りの平均値のようなものを出していって、それでかけてやっていくという行き方、あなたからこの間御答弁を願いましたね、ああいう方法をとるのか、どっちですか。もし、そのような方法をとるとしますと、合併したことによって補助を受けられる金額が非常に減ってくるのです。つまり、激甚地が広い標準税収のために薄まりますからね。従って、たとえば、六町村が合併した、そのうちの小区域が激甚地域に指定された、そういうような場合になって参りますと、広い地域基準にして全体を計算していくと、十分の十というような高率補助は受けられなくなるのです。だからそういう意味においては、やはりその小さい地域について、二分の一まで、二分の一をこえる部分一に達するまで、あるいは一以上というふうな三段階の方式を当てはめて計算して、それを合計するんでしょうな、そういうことを念を押しているわけです。
  36. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 法律の規定にもございますように、旧市町村の区域をとりまする場合には、旧市町村というものが、いわばこの法律にいう公共団体になるわけであります。従いまして、その場合には、当然旧市町村事業費と旧市町村標準税収入とを比較して率をきめて参る、こういうことになるわけでございます。
  37. 南條徳男

  38. 辻原弘市

    辻原委員 文部大臣に公立文教施設災害復旧特例法と、一般法である公立学校文教施設の国庫負担法との関連についてお尋ねをいたしたいと思います。第一点は、この間も申し上げましたが、特例法の中では、第四条の二項で、鉄筋、鉄骨について改良、効用復旧は認めると明文化をしております。ところが、一般法にも、それに関連をする私学の学校施設の復旧に対する特例の中でも、これについては触れていない。ところが、この間からだんだんお尋ねをいたしますと、現行の負担法の第五条の効用もしくは改良復旧という項で、鉄骨及び鉄筋についての復旧も含めておるのだ、こういうお話があったのであります。そういたしますと、今回、特にこれを明文化した理由は、いわば法律の中で強調するという程度であって、実際には大した意味合いがないじゃないかという疑問が出てくるのでありますが、その辺の関係を、もう少し明らかにしていただきたい。そういう程度であるならば、これは一般法にも、それから私学の復旧特例法の中にも当然含めるべきじゃないか、こういう議論が出てくるわけでありますが、その点については一体どうなのか。かりに、第四条の第二項がなくともあっても、取り扱いは同じなのだということが、ここではっきり言えるかどうか、この点についてお尋ねをいたしておきます。
  39. 小林行雄

    小林(行)政府委員 改良復旧の点でございますが、御指摘のございましたように、一般法においては、特別法の四条二項のような規定がございます。今回、特別法に二項を入れた趣旨は、御承知のように、公立学校の施設に対しましては、できるだけ災害に対処できるような鉄筋校舎あるいは鉄骨校舎をもって新築していきたいということで、五カ年計画におきましては、従来の、いわゆる構造比率を改めまして、五〇%までこれを認めているわけでございます。この点につきましては、文部省としては、もちろんこれで完全とは思いませんけれども、従来極力努力をして参っておるところであります。今回の災害にあたりまして、特に従来、ただいま申し上げましたような経緯もございますので、この際は、将来の災害というようなこともあわせ考えまして、できるだけ改良復旧に重点を置きたいということから、それに見合う予算措置もいたしたし、また、それを強調する意味で、四条の三項という規定を挿入いたしたわけでございます。もちろん、一般法のままの形でも改良復旧は読めないことはないわけでございますけれども、特にその点を強調し、また、予算措置もいたしたという趣旨でございます。私学につきましては、ただいま申しましたような経緯がございませんので、この際は、従来の通りの一般法における五条の一項のような規定で一応対処して参りたいと考えております。
  40. 辻原弘市

    辻原委員 監理局長、私は、その解釈が非常におかしいと思うのです。これは国庫負担法にある第五条の文句も、特例法の第四条の一項にある文句も、それから私学の特例法の中にある効用、改良復旧の文句も、全部一字一句違わない。同じ文句なんです。同じ文句でありながら、ある法律においては、鉄筋、鉄骨の改良がやれるのだというふうに読んでおりますと言い、ある法律においては、それは必ずしもそういうふうには含めてはおりませんというような解釈が法律上できるということになると、法律の解釈というのは、そのつどそのつど適当に行政府によって行なわれるということになるので、従って、解釈の統一をする必要がある。だから、できるならできる、できないなら、われわれとしてはやはり法文を修正しなければならない、こう考えておる。今度の特例法に関する限りは、第二項で特別に取り出しているから問題はありません。それとの関連で、一般法の国庫負担法はどうかといえば、ないけれども、それは、従来第五条に含めておるのだとあなたは答弁されておる。そうならば、あってもなくても、実際上の法律上の効果は違わぬのじゃないか。ただ、それを政策的に非常に強調しておるその意味はわかります。私のお尋ねしているのは、そうじゃなしに、法律から実際行政措置する場合にどういうような効果が生まれるかという点についての具体的な点を伺っている。特例法でもやれるが、一般負担法でもこれはやれるのだと、この間からの答弁で私は承っておる。それに相違はございませんかとお尋ねしたら、今の御答弁でもそういうふうに取り扱っておるし、含められるというふうに解釈ができるという答弁であります。それならば、私学にも同じ文句があるが、同じように解釈をして差しつかえないか、こういうように私は尋ねておる。
  41. 小林行雄

    小林(行)政府委員 私の説明が不十分かと思いますが、一般法の五条の規定で改良復旧は読めるのでございます。従って、それと同じ条文を入れておりますところの私学の施設の災害復・旧でも改良復旧は読めるのでございます。ただ、今度公立学校施設災害復旧特別法におきまして、従来の条文のほかに四条の二項というものを入れております趣旨は、先ほど申しましたように、公立学校につきましては、できるだけ改良工事に重点を入れていきたいというのが、最近における施設整備計画の一つの要点になっておりますので、そういったことも考えまして、今度の災害復旧におきましては特に改良復旧の点を強調し、また、推進するという意味から、四条の第二項を入れておるわけであります。この点は、二十八年災の施設費特別法におきましても同様の規定が実は入っておるわけでございますので、そういうことも勘案いたしまして、やはり二十八年災と同様に、こういう規定を入れておくのが適当であろうというふうに考えたわけでございます。
  42. 辻原弘市

    辻原委員 適当であろうと強調する意味は、私はよくわかる。そういった程度であるならば、また、鉄筋、鉄骨というのは、特にこの災害の場合にやらなければならぬということじゃなしに、全体として、一般建築においてもそうであるし、また、普通の災害の場合においても、そのことは今後の方針としてぜひやらなければならぬ。そうなれば、ただ単にこういう特例法の機会にこれをうたうということじゃなしに、すべての災害にわたってそれを強調し、そういう形に——いわゆる改良、効用復旧というものをできるだけ永久建築に持っていくという建前から、全体をやはり統一する必要があるのではないか。だから、災害国庫負担法の五条も、そういう統一をこの際考えるべき段階ではないかと私は思う。従って、これは、あるいは事務当局の方ではお答えしにくいかもわかりませんが、むしろ、それは含めておるとか、含めていないという、あいまいなというか、そういう単なる解釈論によらずして、必要な点ならば、当然法律の中に明文としてうたっておく必要がある。ですから、私立もあなたは今含めると言い、また、一般災害の場合も国庫負担法の中でそれは含めるのだ、こう言われる、であるならば、政策的にいずれの場合も強調する、こういうことに私は強調してもらいたいと思うのですが、大臣、この点はいかがでしょうか。
  43. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 これからの学校の建築にあたりましては、危険校舎の改築といわず、増築といわず、また災害の場合はもちろん、改良復旧の方向に持っていきたいという私どもの趣旨であります。辻原委員の御質問の趣旨も、そこにあるのではないかと考える次第でありますが、これらの点につきまして、法制上これを一そう明確にしなければならぬじゃないかというお話に対しましては、これは特に検討いたしたいと思います。
  44. 辻原弘市

    辻原委員 あるいは蛇足になるかもわかりませんが、もうちょっとはっきりしておいていただきたいと思うのは、改良復旧、効用復旧法律の上では、先ほど来言っているように、これは負担法には第五条にそのことが盛られている。特例法では一項と二項のいわゆる鉄筋、鉄骨の改良復旧と効用復旧改良復旧という通例の意味と使い分けているわけです。そこで心配になるのは、コンクリート建、鉄骨建にするには第二項でいいが、一項の場合は、通例の意味の効用や改良なんだ、こういうふうに言っている。もし、将来実際に工事をやる場合に、そういうふうに使い分けられると、これは国の方針として、われわれもしばしば強調しているし、大臣も今回特にこのことを強く主張せられた、いわゆる永久建築でということが、どうもぼやけてくると思うのです。だから、それは強調しているが、負担法でいう、いわゆる改良、効用、それから特例法でいう第一項の効用、改良、そのいずれもが鉄筋、鉄骨を含めた意味における効用、改良というふうに、はっきりここでしておいてもらった方がいいのではないか。私が今お伺いした点を、はっきりとお答え願っておきたい。
  45. 小林行雄

    小林(行)政府委員 今お尋ねの御趣旨の通りだと思います。特例法改良復旧といっております。いわゆる鉄筋、鉄骨による建築、これは一般法の第五条の第一項にありますところの改良復旧工事と、私ども同等に扱っているわけであります。
  46. 辻原弘市

    辻原委員 第二点は、同じく負担法との関係でありますが、先般も申しましたように、激甚地指定をせられましたところは、これは改良を含めて、かなり今後の効用に耐えるという復旧が行なわれるということは、私、事実だろうと思うのです。ところが、そうでない地域復旧は、一般法においてやられるということになると、最も問題になるのは、いわゆる政令によるというこの点だろうと思う。そうなれば、この取り扱いに、この前に申し上げましたように大きな実際上の差が出てくる。従って、災害に関する限りは、これは他の災害でも原形復旧を基本にし、それに改良、効用を加えるというのが建前なのです。ところが、この場合のいわゆる三分の二の補助をもってする公立学校文教施設の一般法は、中身はそうはなっておらない。いわゆる政令基準に縛られて、必要な一定限度の坪数しか復旧できない。現状はどうかというと、必要坪数よりも実際の所要坪数が上回っているというのが現状です。その実際上回っているのが流失もしくは倒壊して、そうして新しく建て直すという場合に、前よりも小さな不便なものを建てなければならぬということが、その政令基準によって現実に縛られて問題となってくるわけです。このことは、私は、実際の災害復旧という現状にそぐわない点であろうと思うので、これも一般の整備をする必要がある。この点、特例法は一歩前進をいたしまして、政令基準は設備だけにとどめておいて、少なくとも施設については政令基準をはずしておくのが災害復旧建前から正しいと思うのですが、この点について、大臣はいかに考えられまするか。早々に一つ御検討いただいて、特例法にいうがごとき、いわゆる災害復旧建前を一般法にも十分均衡をとるという形に御処置が願えるかどうか、お尋ねをいたしておきたいと思うのであります。
  47. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 災害に際して、これが復旧に対処するための災害に対する特別法と申しますか、そういう制度については、一つ、これまた文部当局として至急に検討してみたいと思います。
  48. 小林行雄

    小林(行)政府委員 大臣の説明を、補足して申し上げますが、御指摘のように、確かに一般法で復旧をいたします場合には生徒一人当たり何坪というような基準に縛られて、それ以上の規模を持った校舎等が被害を受けました場合には、前ほどの大きなものが作られないというのが実際の状況でございます。ただ、実際の地方の実情から申しますと、基準以上の坪数を持っているということは、それぞれの市町村が自費でなり、あるいは父兄等がいろいろ金を拠出いたしまして努力して、基準以上の校舎を作っておるというのが実情でございますので、災害復旧にあたって前よりも小さい校舎でなければならぬということは、昔のように非常に校舎の不足の時代ならば別でございますが、最近のような状況から申しますと、これは実情に沿わないというふうに私どもも考えるわけでございまして、将来災害復旧の一般法を検討します場合には、もちろん、そういった政令で定める基準というようなものは置くべきでないのじゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。そういう意味で、そういう方向に向かって私どもも検討をいたして参りたいと考えております。
  49. 辻原弘市

    辻原委員 この際、大蔵省にもその点をお尋ねいたしておきたいと思うのでありますが、大蔵省がいないようなんで、また別の機会にお尋ねをいたしますけれども、どう考えてみましても、今局長が言われましたように、これは戦後の混乱期における一つの基準であって、最近の校舎建築を見ても、相当量充実をしてきた今の一つの基準としては、およそ実情にそぐわないものになっている。小学校の場合に〇・九坪、中学校の場合は一・〇八坪、これは主として教室だけの対象坪数です。災害復旧は教室、講堂その他管理室、いろいろなものを含めて復旧ということになれば、これは災害復旧の尺度にならぬことは明らかだ。だから、私は、検討する場合に、こういうようにしてもらいたいと思う。一般の施設国庫負担法では、通例の建築をやる場合には、ある程度実情に合わないような基準があってもやむを得ない、奨励する意味において……。従って、一般的な建築、これについては基準を引き上げるべきだ。それから災害復旧ということにおいては、いずれの場合も原形復旧ということが建前なんで、原形復旧に、原形とは関連のない一つの基準を設けるということは、そもそも法律上においても矛盾している。従って、災害復旧の場合には一般法、特例法を問わず、その頭打ちの政令基準というものは、これは撤廃すべきだ。そういう方針に基づいて整備をしてもらいたいということで、大体私の趣旨局長も了承せられておるようでありまするので、強くその点を要望いたしておきます。  それから、第三点として、もう一つ整備してもらいたい問題は、二十八年の災害特例法においてもそうでありますし、今回の特例法においてもそうでありますが、すなわち、社会教育施設、それから私立学校のいわゆる施設復旧は、特例法のみにゆだねておる、そうして一般の災害復旧国庫負担法には何らこれは触れていない。法律の題目まで違う。この取り扱いは、私はいかがなものかと思うのです。少なくとも災害復旧というものについて、社会教育施設あるいは私学というものを対象にするのであれば、当然その母法においても対象とするような措置がとられなければならぬ。従って、一般の災害国庫負担法の中に、これを文教施設と限定せずに、社会教育施設並びに私学についてもその項目を設けて、通例の災害について、社会教育施設については幾ばくの助成をする、私学についてはどうだということを、まず母法の中で整備しておくことが必要ではないかと思います。特に二十八年から今度の災害に至るまで、何ら一般災害についてそうした面が顧慮されていないということは、はなはだ遺憾であると思いますので、これもこの機会に一つ整備をやってもらいたいと思うのですが、大臣にそのお考えがありますか、これもお尋ねいたしておきたいと思います。
  50. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 社会教育施設——公民館や体育館、そういったいろいろの施設に対しては、現在は災害法がなくて、一般災害法の学校のようになっておりませんことは事実であります。また、そこに多少の差異もありまするけれども、御趣意に基づいて、これまた検討してみたいと思います。
  51. 辻原弘市

    辻原委員 終わります。
  52. 南條徳男

  53. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 災害対策特別委員会法案の取りまとめの最終段階にいよいよきておるわけでございまして、私は、この機会に、今次台風十五号を中心にして災害対策について、本委員会において、特に南條特別委員長以下超党派的に今日まで真剣に災害対策について熱心な論議が続けられてきたことを深く敬意を表するわけでございます。いよいよ法案の処理の最終段階にあたって、私ども、今日までの段階の中で、いろいろ与党とも話をして参りました経緯につきましては、必ずしも十分満足するわけには参らない点が多々あります。しかし、補正予算も通った今日の段階において、なおかつ与党の皆さんも非常な努力をされてきたことについては、私ども十分認めておるわけでございます。今後、参議院でもさらに本問題について審議をされますので、より前進を私どもは期待しながら最終結論に到達したい、かように実は考えておるわけであります。  そこで、今度の台風十五号を中心にした災害対策の中では、何と申しましても、愛知、三重、岐阜等を中心にした十五号台風の海岸地帯の問題、河川関係の問題、山の関係の問題、あるいは農林水産関係問題等、幾多各般にわたっての問題がございますが、特に長期湛水地帯等の問題を含めまして、海岸、河川の今後の対策の万全を期するのにどうするか、これが一つの大きな焦点であることは御承知の通りであります。そこで、過般建設大臣にお伺いをいたしましたときにも、伊勢湾等高潮対策の今後の万全を期するために、伊勢湾高潮対策協議会というような仮称のものを作りまして、十分台風の風速あるいは潮位その他各般の問題について科学的な検討をし、それに対処する十分な設計基準に基づくところの海岸の構築をやりたい、こういうことで、鋭意目下検討中であるというふうにお伺いをいたしておるわけでございます。もちろんこれは伊勢湾等高潮対策に対するところの本法の適用について、当初三重県におきましても、あるいは朝明川までと言われ、あるいは鈴鹿川までと言われ、あるいは愛知県においても、必ずしも愛知県全域が含まれた形で考えられておりませんでしたけれども、その後皆さん方の非常な努力によって、愛知県、三重県の海岸地帯全体にわたって伊勢湾等高潮対策の中で改良復旧も含めて万全を期する、こういうことになったことは、まことに私ども感謝にたえないところでございます。そうなって参りますと、伊勢湾等高潮対策の対処のあり方としては、今度のいわゆる三重県の北部から愛知県の海岸地帯にかけての高潮問題のみならず、三重県で申しますならば、熊野灘等における高潮、高波等の問題も含めてやはり十分万全の態勢を期さなければならぬ、そういうことに相なろうと思うのであります。そこで、過般建設大臣がお答えになりました伊勢湾高潮対策協議会、こういう中でどういうふうな論議の内容段階であり、そしていつごろ結論に到達の目標でやっておられるのであるか、こういう点について関係の方面から御説明をお願いしたいと思います。
  54. 山本三郎

    山本政府委員 その点に関しましては、この前建設大臣からお答えはしてありますけれども、その後の状況につきまして御説明申し上げます。今お話しの伊勢湾等の協議会につきましては、すでに発足をいたしまして、まず、幹事会をもうすでに今日まで三回くらいやっております。そこで大体の各省の考えております事業計画、あるいは各県各市町村等で考えておる事業計画を全部集めまして、資料を今整備中でございます。そしてこの高潮対策協議会におきましてはどういうことをやるのかということでございますが、それらの計画をもとにいたしますと同時に、今回の台風によりまして起こりました波の高さであるとか、潮位がどれくらいあったかというふうな、現実に起こりましたものをよく調べるということと、それからはかることができなかったような数字がございますから、それは一つ学問的にも出していこうということを併用いたしまして、今回のような台風が参りましても、十分安全なものを作るには、堤防の高さをどのくらいにしたらいいか、あるいは構造はどういう形でよろしいかというような点、さらに進んではやはり年次計画も大体各省がそろわぬといけませんから、そういう点まで各省で話し合いをしようということで進めておるわけでございまして、大かたの計画の各省間の話し合いがまとまるのは、来月の中旬を目標にしております。そういたしまして、来年度予算もそれを基礎にいたしまして編成しよう、大蔵省に要求しようということでございます。
  55. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいま局長の方から伊勢湾等高潮対策協議会内容についてお話があったのでございますが、従来海岸の災害の問題につきましては、海岸法に基づくところの建設省、農林省、運輸省等の所属の関係等がそれぞれ十分統一した連絡のもとになされていない問題や、あるいは設計基準の不統一等の問題や、あるいはまた今日における日本の海岸工学というものが歴史がまだ浅いという問題や、いろいろなことが関連をいたしまして、今次災害の一つの大きな要因になったということが指摘されておるわけでございます。従いまして、本伊勢湾等高潮対策協議会等においては、十分この三省の間においても、あるいはまた権威ある学者等の衆知を集めて、十分自信のある科学的検討をするということが必要であろうかと思うのでございます。私は、まだ、こういう中に入っておるメンバーがどういうものであるかということについては、必ずしも十分承知しておりませんけれども、今日日本で求められる海岸工学等の権威等について十分この協議会の中で総合的に活用してやっていかれる、こういう態勢であるのかどうかという点について、重ねてお伺いをいたしたいと思います。
  56. 山本三郎

    山本政府委員 もちろん権威ある学者につきましては、すでに各省におきましても依頼いたしまして、現地の状況も見てもらっております。従いまして、その先生方におきましても、いろいろの意見は持っておられるわけでございます。そして今回の協議会におきましては、各省間でいろいろ話をいたしまして、その結果、各方面の権威者の意見も聞きましてその上で決定しようということにしております。
  57. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今日まで学者等で現地の調査を正式に行なった人々の名前、あるいは時期等について、さらに具体的にちょっとお伺いしたい。
  58. 山本三郎

    山本政府委員 建設省におきましては、土木学会というのがございまして、土木学会に海岸工学の委員会がございます。そこの委員長に建設省から依頼をいたしまして、その委員長が人選をいたしたわけでございます。具体的の名前はちょっと今持っておりませんけれども、京都の大学の防災研究所の教授、それから名古屋大学のやはり防災の担当者東京大学の方も入っております。六人くらいで現地を見てもらいました。その他農林省におきましても、やはりそういうふうな関係者の方に現地を視察していただいたはずでございます。
  59. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私がなぜこういう具体的な問題までお伺いするかの真意は十分おわかりかと思いますが、今度の十五号台風は史上最大の台風だ、こういうふうにいわれた。この機会に、やはり科学的な検討というものを十分にしていく。今日日本で求められる学識経験者等のあらゆる技術陣なり、学者なりの総動員態勢のもとにおいて検討を加えるということは、目下の急務だろうと思う。そのことが、今後同様の台風が、あるいは東京湾にくる場合、あるいは大阪湾にくる場合等における万全の態勢を作る根本的な基礎になるだろう、こういう意味で、私どもは強くこの成果というものに期待すると同時に、その成果に基づいて自信のある海岸護岸の構築というものをやってもらわなければならぬ。従って、私どもといたしましては、こういう調査検討の結果については、今度の台風の惨状にかんがみまして、やはり集約されたものを国会に提示され、そうして国会の関係委員会においても十分それに基づくところの検討をする、資料にする、こういうことが必要ではないかというふうに思うのですが、その点についてさらにお伺いしたいと思います。
  60. 山本三郎

    山本政府委員 その結果につきましては、国会に御報告をいたしたいと思います。
  61. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今の各関係県、市町村からの災害のいろいろな関係のデータというものは、伊勢湾等高潮対策範囲の拡大に伴いまして、愛知県の三河湾であるとか、あるいは三重県の熊野灘であるとか、こういうふうなものも含んで資料が提示されて検討されておるかどうか、この点をお伺いします。
  62. 山本三郎

    山本政府委員 もちろんその通りであります。
  63. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 伊勢湾等高潮対策の問題については、時間の関係上これで終わりまして、次の質問に移りますけれども、こいねがわくは、今申しましたような気持でもって、三省ともに一致協力して万全の自信のある海岸構築というものをやっていただくように、特に強く希望申し上げておきたいと思います。  次に、簡単と言っては何でございますが、農林省関係の問題に入ります。過般来の委員会の中で、私はあるいは農林大臣等にしばしば除塩に関連した問題でお伺いをして参りましたところ、この問題については、与野党の委員の非常な努力によって、除塩に関連をした事業として稲刈り作業というものが入ることになったことは感謝にたえません。そこで問題は、午前中の理事会でも論議があったようでございますけれども、稲刈り作業というものについて九割の助成を行なう、これはまことにけっこうでございます。その場合に、法律が施行されてからあとの稲刈り作業、これも当然入るわけでございますけれども、法律施行前においてすでに稲刈り等をやったものはどうなるか。法律関係では、すべての堆積土砂その他の問題については、施行前にさかのぼって法律が実施できるようにちゃんと書いてありますが、この除塩関係法律については、施行のときから実施をする、こういう形になっておる。従って、稲刈り作業が含まれるということになりますと、当然これは修正をして取り扱う、こういうことにならなければ手落ちになるわけでございます。しかも、私は、数日前の段階で三重県の方に帰る場合に、まだ鉄道あるいは電車等の不通のために、愛知県の名古屋から益生までバスでいかなければならぬ。そのバスの途次、いまだ長期湛水地帯で水につかっておる蟹江その他ずっと木曽岬、長島にかけての悲惨な部落の姿を見たわけでありますけれども、所々方々で泥んこになった稲を刈っておるところの農家の姿等も見受けたわけであります。大体本日の段階で集約ということになりますけれども、たまたま審議の経過の中でお互いの協議によってこの問題が入りました以上は、当然実施の時期というものはさかのぼる、こういうことでなければならぬかと思います。先ほど齋藤官房長にお伺いしましたところが、当然これはさかのぼって実施をいたします、従いまして、法律等についてはそういう取り扱いにしてもらってけっこうでございます、こういうふうなお話があったわけでございますけれども、正式の機会に一つ農林省の方から、今回与野党の相談によって加わりました稲刈り作業等の問題については、法律の施行の期日からではなくて、さかのぼって実施をする、こういうふうに確認してよろしいかどうか、お伺いしたいと思います。
  64. 伊東正義

    ○伊東政府委員 御質問の附則の問題でございますが、稲刈りだけではなくて、その前に水をかけるとかいろいろございますが、われわれ法制局と御相談をしておりましたときには、その書き方でその前にさかのぼって大丈夫だという見解で御提出したわけでございます。われわれとしては今でもそういうお考えを持っております。  それから前段の稲刈り等の問題でございますが、これにつきましては、政府部内におきまして、もう少し検討して、明確にお答えいたしたいと思います。
  65. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 内容の検討は別として、今私が聞いておる焦点は、法律の施行の後ではなくて、施行前の時期においても、いわゆる除塩対象になる地域については、稲刈り作業の助成をやるかどうか、この問題についての見解でございます。
  66. 伊東正義

    ○伊東政府委員 これは除塩法全部の問題でございます。除塩法で補助対象になるというものにつきましては、施行前のものでも、法律ではっきりしておれば運用できますということで、法制局と話し合いをいたしましたので、われわれとしては前でもはっきりしておれば対象になるという考えを持っております。
  67. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 わかりました。次に、農地局長がお答えしましたので、農地局長関係から参りたいと思いますが、いつも農地農業用施設等災害復旧の場合に問題になります、例の三万円以上十万円の小災害に関する問題でございますが、今回は昨年の伊豆災害に準じまして起債の形において処理をする、こういうことに相なっておるわけでございまして、激甚地については九割の起債、あるいはその他の場合においては農地について六割、農業用施設について六割五分に対する起債を行なって、これに対するところの元利補給をする、こういう形で御承知のように提案をされておるわけでございます。この場合に、私ども農林水産委員会でもしばしば論議の対象になりました問題の一つは、この起債の場合における条件の問題であるのでございます。いわゆる災害被害額が総計一千万円に達するとか、あるいは人口割におけるいろいろな問題、こういう問題については、総額については五百万円まで緩和すべきではないか、あるいは人口比率等の中におけるところの限度額等の問題についても、もう少し緩和すべきではないか、こういうことがいろいろ論議されて参ったわけでございますが、法律の施行にあたっては、私どもとして、地方自治体から見れば、当然看過できない問題でございますので、前々からの関係委員会におけるところの要望に沿いまして、どういうふうな条件の緩和に到達しておられるかという点を明らかにしていただきたいと思います。
  68. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 農地農業用施設の小災害に関します市町村債につきましては、お話のように昨年度からこのような措置をとったわけであります。その際に、市町村におきます農地農業用施設被害額が一千万円をこえる団体に限って認めたのでございます。その結果恩典に浴するところが少ないというような非難もございましたので、今回はこれを八百万円に引き下げたい、かように考えております。なおまた、起債の一件限度額についてお話がございました。一般に町村が起債をいたす場合でございましても、百万円をこえませんと起債を認めない、こういう取り扱いをいたして参ってきております。しかし、お話のような問題もございますので、これを引き下げたい、かように考えておりまして、八十万円をこえれば地方債をつける、こういうような取り扱いに今回はいたして参りたい、かように考えております。
  69. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 小災害の問題については、これも関係委員会で問題にしたときに、いろいろ私がお尋ねしたこともありますが、御承知の土地改良法の場合には、事業主体というものは必ずしも県や市町村ばかりでなくて、土地改良区あるいは農業協同組合、こういうものも事業主体として施行できる、こういうことになっておるわけでございますが、土地改良法で考えておるところの事業主体というものは、起債の性格から見て、やはり市町村等でなければ起債対象にならない。従って、こういう起債を受けようと思えば、従来の土地改良法におけるところの事業主体というものをある程度弾力的に考えていかないと、実際問題として起債対象になってくる。これらの点の取り扱いの考え方、こういうものについて一つ関係の方面からお伺いしたいと思います。
  70. 伊東正義

    ○伊東政府委員 土地改良一般の場合でございますと、ほとんど大部分事業主体が土地改良区であることは御承知の通りでございます。災害につきましては、最近におきまして、御承知のように市町村事業主体となりまして、災害復旧を施行するという事例が非常に多くなってきております。われわれとしましては、昨年も小災害につきまして、いろいろ過去の経験にかんがみまして、だいぶ問題も起きてしましたので、これはやはりちゃんとした団体である市町村当局が、はっきり責任を持ってやっていくという形の方がいいんじゃないかということで、市町村事業主体になる場合だけに限定しております。私ども農林省としましては、災害復旧等の場合におきましては、やはり一般的にもそういう形の方がいいのではなかろうかというような見解を持っております。
  71. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 天災融資法関係の問題について、与野党でいろいろ努力がなされまして、対象政府提案よりもさらに追加されまして、あるいはカキ金魚ボラが入り、あるいはノリそだ、あるいはお茶が入る。こういうふうに対象品目が拡大をして参ったことは、今次の災害の実態から見て非常に歓迎すべきことだと思いますけれども、私ども党として出しております修正案の趣旨から、やはり天災融資法償還期限の問題、あるいは利子率の問題については、いわゆる金利の比較的高い当時の考え方がそのまま今日に継続しておる姿をこの際改めるべき段階にきているのじゃないか。ことに第一次産業といわれるような原始産業である農林水産関係における天災の際の融資の問題としての償還期限、利子率等の問題を考える場合には、たとえば利子の場合においても、被害激甚地において三分五厘その他の五分五厘、六分五厘等の問題について、五分五厘、六分五厘については、少なくとも一分の引き下げを行なうべきであろう。さらに、償還期限等の問題についても、今回果樹について特に御配慮を願いまして、五年以内の償還期限を七年以内ということにされたことは非常にけっこうだと思いまするけれども、この際、やはり全般的に八年程度の償還期限を考うべきが妥当じゃないか。これは私ども関係委員会においても、すでに幾たびか決議等もなされたり、あるいは相談等もなされた経緯もありまして、今次大災害において、これが前進することを強く期待をいたしておったわけでございますが、こういう問題について農林省関係局として、償還期限の問題あるいは利子率等の問題について、今後どういうふうにされるつもりであるか。さらに改善をされるというつもりで真剣に検討されておるのであるかどうか。また、こういう問題については、来たるべき通常国会の際に出すという前提において真剣に検討をされておるという段階であるかどうか、こういう問題についてお伺いをしたいと思います。
  72. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 ただいま角屋委員の御質問の天災融資法の問題でございますが、これはすでに何回も本委員会におきましても申し上げましたように、今次の災害が非常にひどかった、こういう点にかんがみまして、この融資の限度を大幅に引き上げますとともに、特に必要なものにつきまして、果樹のようなものにつきましても、償還期限を、従来五年のものを七年ということに延長いたしました。その中で据置期間等も作っていこうというふうに考えておるわけであります。この天災融資法趣旨は、災害によりまして非常に被害をこうむりました者に、次の作付期までの経営資金を貸し付けるという考え方でございます。償還期限の問題も、一般的にはそれほど長期に置くという考え方をとる必要はないのじゃないか。従来のような五年の範囲で大体やっていけるのではないかというような考え方をいたしておりまして、特に果樹のようなものについては、その実態に即応いたしまして、今回償還期限の延長をいたしたわけでございまするが、一般的な問題といたしましては、五年の償還期限でそう支障はないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  また、利子率の問題でございますが、これにつきましても、一般の場合には六分五厘、それから特別被害地域の場合には三分五厘ということで、非常に低利でございます。それからその特別被害区域といたしまして、三分五厘を適用する区域をきめます場合にも、すでにいろいろ御説明申し上げておりますように、大体農業者の個人を主体にいたしまして、その被害農業者の損失とかあるいは被害状況とか、そういうようなものを主体にいたしましてこれははじいておりまして、大体におきまして、はなはだしい被害をこうむった農業者というものには、三分五厘を適用される場合が非常に多いのであります。特に今回のような場合には、非常に広範囲被害地域指定が行なわれるというようなことでございますので、はなはだしい被害者というものは、現在の利子率でやっていってそれほど支障はないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  今後の問題といたしまして、これを根本的にどうするかという御質問でございますが、これにつきましては、一般的にはこの天災融資法の根本を今後も続けていくという考え方でいいのではないかと思いまするけれども、いろいろ災害の実態というものは、そのときどきによって違って参りますので、その実情に応じまして、またいろいろ運用の問題等は考えていかなければならぬというような場合も起こるのではないかというふうに考えております。
  73. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 天災融資法の利子率の問題については、これは御承知の北海道の寒冷地畑作農業の場合における利子の五分という引き下げの問題で関連をして参りまして、大蔵省と農林省との間にいろいろ難航した折衝のあったことを承知しておりますが、あれがいわば農業金融における突破口といいますと語弊がありますけれども、それとの関連においてもやはり考えていかなければならぬ。そういう北海道の寒冷地畑作振興ということについて、あの北海道の悪い条件から考えて、それ以上に災害の場合の条件というのは劣悪である、非常に悲惨である、こういうことから見ても、これは来たるべき通常国会等を目ざして、真剣に、他の問題とも関連して参りますけれども、こういう問題については十分御検討を願いたい。こういうことを強く希望を申し上げておきたいと思います。  なおまた、農業協同組合整備特別措置法の一部改正を私ども提案しておることは御承知の通りでございますが、これはもうすでに私どもが農林大臣等に対する質疑の経過の中においても、大臣も今次災害の実態から見て、おそらくそういう必要が生まれてくる、必ずそういう事態になる、従って、もう少し事態の推移というものを見て、そうして来たるべき通常国会において対処したい、こういうことをお答えになっておるわけですけれども、私どもとしては、やはりこれは社会党が提案したとかなんとかいうことにこだわることなく、私どもは常に与党の出して参りましたたくさんの法案については、ほとんど七割、八割は賛成をして参っておるわけでございますから、こういう災害の場合には超党派でやって参っておりますので、できれば社会党の提案に一つくらいは満場一致で賛成をしてもらいたいという強い熱望を持っておりますけれども、それはそれとして、こういう問題については、当然おそくも通常国会に提案をして、非常な災害を受けた農協の立ち上がりのための再建整備に対処する、こういうことでなければならぬのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  74. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 今次の災害で、農業協同組合におきましても、非常な被害をこうむりましたことは事実でございます。こういう実情にかんがみまして、御承知のように組合の共同利用施設の復旧のためには、特に暫定法を作りまして、お願い申し上げておるわけでございますし、また、大蔵省関係も、法人税の一部改正というような法律案を出しまして、これは、今次の災害につきまして、法人の赤字を繰り越すというようなものでございますが、そういう内容法律案も実はお願いいたしておるようなわけでございます。また、天災融資法におきましても、特に被害をこうむりました農業協同組合につきましては、事業資金の低利の融資ということもできるのでございまして、そういうようなこともあわせまして、農業協同組合の内部におきましては、農林中央金庫等が特別措置をとりまして、特に低利の融資を行なうというようなことで、相当思い切った措置を考えておるわけでございます。ですから、今回の場合におきましては、大体そういうような措置で協同組合の復旧ということもやっていけるのではないかというふうに考えているわけでございますが、これらの措置、それから今度の被害が農業協同組合の経営にどういう影響を与えるかというような問題は、現在のところはわかりませんので、これは事態を見まして、その実情に応じてどうするかということは、そのときになって考えていかなければならぬというふうに考えております。
  75. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 小型漁船の問題については、すでに結論の段階になってきていることは、私どもも承知しております。この問題については、前々から申し上げておりますように、沿岸漁業の振興のために、従来例のなかった小型漁船の損失等について政府が積極的な助成を行なうという大きな前進を示されたことは、私ども心から歓迎をしたいと思います。しかし、前々からの論議でも明らかなように、せっかく小型漁船助成を行なうということであるならば、今次の愛知県、三重県、あるいは長崎、北海道等、漁船の場合には相当被害の激甚なところがたくさんありまして、各県に及んでおるわけでございますけれども、そういう沿岸漁業の漁船の実態から見まして、もっと前進をした態勢をとってもらいたい。そういう意味から、私どもは、これを農林水産業施設災害復旧の国庫負担の暫定措置法関係において処理をしていく。これは農林水産委員会においても、そういう形において与野党で確認された事項でございまするけれども、今回独立立法として出して参りまして、前々からこの適用条件ということがずいぶん問題になっておりました。その間与野党の皆さんも非常な努力をされまして、二十五隻の喪失漁船ということについては、ついに動かないという事態にあるようでございますけれども、喪失率七五%という問題については五〇%まで下がり、さらに四〇%まで下がる。こういうことで、今日四〇%の段階まできたことは、その労を多とするにやぶさかではございません。しかも三隻に一隻の割合で八割補助、こういうことになりますると、非常な災害を受けた沿岸漁民の実相からしますならば、まだまだきわめて不十分であるということに相なって参ります。従いまして、私どもはこの条件の緩和ということを与野党の折衝の際にも強く望んで参りました。そして今日最終段階ということになっておるわけですが、こいねがわくは、政府でいろいろ政令等をきめられる場合においても、喪失漁船あるいは喪失率という問題については一分一厘たりとも厳密に取り扱わなければならぬ、こういうきびしい気持ではなくて、沿岸漁民の被害の実相をいささかでも救うというあたたかい気持をもって弾力的に運営をしてもらいたい、こういうことを強く私どもは望んでおるわけですが、こういう問題の処理についてお伺いしたいと思います。
  76. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 お答えいたします。このたびの災害で、沿岸漁業の小型漁船が相当の被害を受けたことは、たびたび御説明いたした通りでございます。従来小型漁船復旧につきましては、主にして金融措置によってまかなわれてきたのでございまするけれども、今次の災害は非常にその深度が深かったので、このたび新しく助成の道を講じたわけでございます。従いまして、従前の例のない措置でございましたので、いろいろと問題のありましたことは十分承知しておるわけでございます。御指摘のように、これも弾力的に運用をするべきであるということでございますが、やはり政令できめられますことは、私どもとしては忠実に実行せざるを得ないわけでございます。しかしながら、実情に合致するように運用して参りたいという気持においては、いささかも変わるところがないのでございまして、そういうふうに運用さしていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  77. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 真珠関係の問題についても、前々からいろいろ審議をして参りまして、私の意思はお伝えしてあるわけですが、お答えの中で出て参っております十台以下の経営者に対して真珠いかだの助成を行なうという考え方等については、これはやはり前々からも申し上げておりますように、もう少し経営の台数というものを拡大をいたしまして、そうして十台なら十台あるいは十五台なら十五台という、きめられた台数に対して助成を行なう。こういう形で、やはり被害の実相からいたしましても、必ずしも零細な真珠業者が非常にひどい被害を受けて、他のところは軽かったという姿ではなくして、今回の十五号台風のあの猛烈な風でもって、英虞湾や、あるいはその他志摩から尾鷲付近までの真珠のありました地域においては、全く見るもむざんな状態になっておることは御承知の通りであります。従いまして、被害の実際の姿からいくならば、中程度の経営者のところが、やはり一番ひどい被害を受けているというふうに私どもは聞いておるのでございます。そういう点からいって、しかも、海外に対するところの輸出振興という観点で支柱になっている経営の層という実態からいきましても、前々から私どもが強く希望しておる助成対象の経営の台数というものをもう少し拡大をされて、そして助成を何台に対してやるかということは、これは予算その他の関係できめらるべきものについてやる、こういう弾力的な運営についてはぜひ一つ考えてもらいたい、こういうふうに考えているわけですが、いかがでございましょう。
  78. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 このたびの災害で、特に三重県地方の真珠に大きな災害があったことは今御指摘の通りでございます。この真珠の災害に対しましては、金融の方法としては、御承知の天災融資法、それから施設に対する金融といたしましては、農林漁業中央金庫によるところの融資を考えておりまして、これらの融資の限度等につきましては、御説明いたしましたように、いろいろと手を打つような考え方で万全を期して参りたいと考える次第でございます。  なお真珠のいかだにつきましては、金融だけでも不十分でございまするので、御指摘のような助成の道を考えたいと思っておるわけでございます。ただ、何と申しましても真珠につきましては、零細な養殖漁家層から相当の水準の業者の方々までございまするので、従いまして、やはり助成措置を、何としても零細なある段階に限定するのが妥当であろうというような考え方をいたしておるのでございます。この予算につきましては、予備費で組むことになっておりますので、まだ具体的な案については、きまってこれから検討するわけでございます。いずれにいたしましても、零細な漁家層を中心にして助成をして参り、中小以上の経営者につきましては、主として金融をもって対処していくという考え方が妥当なのではないかというふうに、ただいまのところ考えている次第でございます。
  79. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 ただいまの高橋次長の考え方そのものについては、私も了承する点が多々あります。しかし、真珠産業の経営の実態並びに被害の実相、そして助成すべき対象はどういうところに限度を求めるか、こういう問題については、やはり必ずしも固定した観念でなくて、もう少し現地の実情に見合って考えていく、こういうことを私は前前から強く申し上げている。従って、経済力の非常に貧弱なる零細経営者に重点的にこれを施行していくという考え方は、私も全面的に賛成でございます。しかしそれだからといって、今言ったように十台以下ということに限定してやっていくということについては、あまりにも画一主義ではないか、あまりにも固定主義ではないか、現地からそういうふうに聞いておりますし、またそういうふうにも考えますので、運営面で十分実情に見合ってやっていただきたい、こういうことを強く要望しておきたいと思います。  そこでこれは官房長の方に相なろうかと思いますが、大臣、政務次官がおいでになりませんので、あるいはそこまで官房長からお答え願うのは無理かもしれませんけれども、御承知の農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律、これの一部改正ということで私どもは提案をして参りました。そして今日までの委員会の論議の中でも、今度の災害から見て、積極的な改良復旧主義をとらなければならぬ。それがためには、やはり本法の改正を行なう必要がある、あるいはまた、一工区五十メートルの問題についても百メートルに改めるべきである、その他各般の問題を含めまして、私どもは必要な本法の改正について提示をして参りましたが、政府の方といたしましては、今次台風に対処する特例法という形で出して参りまして、いろいろ今日まで審議して参りました。私は、こいねがわくは、これは公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の問題とも関連をするわけですけれども、今後再度災害を防止し、積極的に改良復旧を行なうためには、従来この両法の中にある強い原形復旧主義というものを揚棄して、積極的な改良復旧主義をとる、あるいは関連災害助成等についても本法の中に明記して、この補助率その他についても実情に見合って引き上げを行なう、こういうことを根本的に考えて提案すべきであろう、こういうふうに実は考えておるわけでございます。従いまして、今次臨時国会には、政府からは提示はありませんでしたけれども、この問題については、やはり今後長期にわたる基本的な問題でございまするから、来たるべき通常国会においては、これらの法案について十分検討の上に立って提案される、こういうお気持であるかどうかをお伺いしておきたいと思います。
  80. 伊東正義

    ○伊東政府委員 暫定法の関係で御質問でございますが、今先生のおっしゃいましたように、いろいろ問題もございます。今度の災害につきましても検討いたしまして、先生が例にあげられました五十メートル、百メートルの問題等につきましても、これは小災害ということを考えれば、今の規定でいいのではないかというような結論を実は出して、御審議を願っておるわけでございます。また改良復旧等の問題につきましては、現在の原形復旧が不適当というときには、改良復旧がやれるというようなことでできるんじゃないかというような見解のもとに、今回の法案提出いたしまして御審議願っておるわけでございます。ただ先生おっしゃいましたように、暫定法等につきましてもう一回検討せよという御意見でございますが、われわれもこの問題につきましては、将来の問題として、検討は続けてやっていきたいというふうに思っております。次の通常国会に提出するかという御質問でございますが、まだわれわれとしては、そういうことをきょうお約束して検討するという段階には実は至っておりませんが、将来の問題として、これは全般的に検討は続けていくというふうに考えております。
  81. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 本災害地対策特別委員会において、最も大きな論議の焦点の一つでありました激甚地指定の問題についても、農地農業用施設関係の問題の激甚地指定については、過般の農林水産関係の小委員会においてもいろいろ質問もし、また私どもの見解も申し上げたのでございまして、この機会に重複は避けますけれども、私どもは、政府から提示されております公共土木関係にしろ、農地農業用施設関係にしろ、提示されておりますところの激甚地指定基準というものについては、きわめて不満でございます。ことに、農地農業用施設等の問題について考えます場合にも、昭和二十八年度の災害の際にとられた採択基準の六項目というものの単に一項目が生かされ、新たに長期湛水地帯というものが入ってきておる、こういう取り扱いに相なっておりまするが、これは少なくとも第四項にあったような、いわゆる被害の三割のものが百町歩をこえる、あるいはまた全耕地面積の一割をこえる、こういうふうな市町村等を対象にする、これはぜひ入れるべき項目じゃないかということもいろいろ指摘して参りました。同時に、こういう非常に焦点になる被害激甚地指定の問題については、やはり合理的、科学的な基礎の上に立って、だれしもが納得できる被害激甚地指定基準というものを明らかにしなければならない。災害の実相というものもありまするけれども、いわゆる政治的な話し合いの産物としてこういうものが出てくるのではなしに、実際に、やはりだれが見ても納得し得る基準というものを考えていかなければならぬ。そういうことに相なって参りますと、農地農業用施設等災害激甚地指定基準の場合には、過般も申し上げましたように、いわゆる天災融資法において特別被害農業者であるとか、あるいは林業者、水産業者についても、そういうものがそれぞれの地域で上がってくる。そうして、それらの率や程度によって、特別被害地域というものがきまってくる。これはやはり、それぞれの地域におけるところの農林水産業者の被害の実相というものを具体的に現わす一つのバロメーターである。しかもそのことによって、その地域がどれだけの負担能力を今後持つかという判断の基礎でもあろう。従いまして、こういう天災融資法でいろいろきめられてくるところのこの被害の実相、こういうものも織り込んで、だれしもが納得できる被害激甚地指定というものをきめなければ、私どもは、そのときそのときにおいてこの激甚地指定というものは動揺するのじゃないか、こういうふうに痛感させられるわけでございます。従いまして、これは単に農地農業用施設ばかりではありませんけれども、農林省の場合でいうならば、農林省関係のものについて、特例法等の高率適用をする場合の被害激甚地指定をどういうふうにするのか。科学的、合理的な立場からいいのであるか、こういうことについては、十分一つ検討を加えてもらわなければならぬ。こういうふうに思いますが、それらの点について今後どう対処されるか、お伺いしたいと思います。
  82. 伊東正義

    ○伊東政府委員 先に私からお答えいたしますが、今、先生おっしゃいましたように、今度の場合、たとえば農地基準あるいは開拓地基準あるいは共同施設の基準天災法の基準というように、いろいろおのおのの事業につきまして、独自といっちゃ何ですが、別な角度からの基準を設けております。これはこれなりとして、私は妥当なもんだという考えでやったんでございますが、先生がおっしゃいますように、もう少し総合的なものも検討すべきじゃないかという御意見は、私どももごもっともと思いますので、この点につきまして、総合的に何か基準というものが設けられるかどうかということにつきましては、これは検討いたしたいというふうに思います。
  83. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間の関係もありますし、最後に、自治庁の方がおいでになっておると思いますので、希望かたがたお伺いをいたしたいと思います。  今度の台風十五号関係で、特に被害の中心になりました愛知あるいは三重、岐阜等の中で、三重県の場合に例をとって考えてみますと、御承知のように、大体千七百億の被害というふうに報告をされて参っておるわけでございますが、最近臨時県会が開かれまして、その中で知事が説明しておる内容等を新聞を通じて見て参りますと、災害復旧のための災害復旧事業費あるいは災害対策費を合わせて五百六十四億円の支出が必要になる。この場合、県費負担額は百十億円で、これに本年度の県税減免と自然減収額三億円を加えると、県費所要額は実に百十三億円に上る。そのうち県債に充当できるのは百五億円で、差引県費所要額は八億円となる。一方県費の償還費は、元金百五億円に利子五十九億円を加えた百六十四億円で、この償還に対して交付税などで措置される見込み額は三十八億円、差引百二十六億円の県費が必要となろう、こういうふうに実はいわれておるのでございます。今度の激甚地公共土木その他農地農業用施設等指定の場合におきましても、それは全国的台風六、七号以来非常に大きな災害でございましたが、特にやはり県財政のきびしい三重県等において、二十八災にも見られなかったような、千八百億からの大災害——個人災害等も含めてこういう巨額に上る大災害の中で、今度政府で提示されて参りました公共土木関係にいたしましても、県一本の指定というものが考えられなかった。こういうふうなこと等ともからみ合いまして、非常に巨額の借金をかかえて、これから償還をしなければならぬという立場に立たされるということになると、地方自治体としては暗たんたる気持でやらなければならぬ。今後再度災害を防止するために復興に立ち上がらなければならぬという、一方において強い熱情を持ちながらも、他面において、地方におけるところの財政状況と見合って、これをどうしていくかということにも直面をしておるわけでございます。私どもは、こういう点から見て、やはり国で責任を持ってやるべき面を積極的に伸ばして、地方自治体がこのことによって瓦解をする、地方自治体を、このことによって災害復旧のみに追われて、他の積極的な建設面というものを全然取り上げることができないという事態に追い込むことは、大きな問題に相なるだろうと思うのです。こういう地方財政と見合って災害の深度等も考えて、今後被害激甚地の地方財政の前進のために万全の態勢をとり得るお考えであるかどうかということを、この機会にお伺いしておきたいと思います。
  84. 奧野誠亮

    ○奥野政府委員 御指摘の問題を中心といたしまして、現在伊勢湾高潮対策についての特例法が提案されておるわけでございます。しかし全体の事業分量が確定して参りませんと、御指摘になりましたような心配がないとは言い切れないと、私たちも考えております。しかしながら、現在のところ、所要経費が今お話しになりましたようには確定を見ていないわけでございますので、私たちといたしましては、今後の推移を待って、三重県の財政が非常な混乱に陥ることのないように、いろいろな工夫はいたして参らなければならないという覚悟でおるわけでございます。
  85. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これで私の質問を終わりますが、今度の台風の実態から見て、特に自治庁関係においてもいろいろ御苦心をされておると思いますけれども、単に積極的な災害復興ばかりでなくて、地方自治体は、御承知のように、いろいろな解決をしなければならぬ問題を従来から懸案事項としてかかえておるわけでございますから、並行してといってはどうでございましょうか、やはり災害復旧を当面重点としてやらなければならぬことは当然でございましょうけれども、他の面においてもやはり並行してできるような力を持つように、今後地方財政の充実について十分御尽力賜わりますように特にお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。     〔委員長退席、三田村委員長代理着席〕
  86. 三田村武夫

    ○三田村委員長代理 太田一夫君。
  87. 太田一夫

    太田委員 農林省にお尋ねをいたします。最初に畜産関係のことをお尋ねいたすわけですが、実はずっと法案審議の経過を見まして、自作農創設維持資金、これの方もあまり大きくワクがとられずに、地方におきましては受付を押えられておるという状態がある。先ほどお話のありました天災融資法におきましても、この金額が相当上がったようではあるけれども中途半端である、こういう点から考えてみますと、どうも今日の災害のあとのお百姓さんの非常な危険の状態を救うには、非常に不十分なものがあるやに痛感されるわけです。そこで、どうしてそういうことになっているのだろうかということを今からいろいろと事情を承りますと、それぞれの御事情もあるようであります。やむを得ないものといたしますにしても、なおどこかのみ込めないものがある。予算上におきましては、農林漁業金融公庫におきましても四十億の追加が出ておるようでございますけれども、どうして自作農創設維持資金などはたくさん出ないのか、ワクを思い切って拡大されないのか、ふしぎでございます。しかし地方では、実際押えられてみますと、安い金利のものは貸してくれない、高い金利でなければ借りられないというので、あきらめてしまっている。お百姓さんというのは、元来あきらめやすいものでありますので、そういう政府の御方針なら仕方がないというのであきらめて、自分の親戚か何かに金を借りて、家を作ったり、いろいろ作業場を作ったりするわけです。  そこで畜産のことについてお尋ねするのは、実は日本の国の法律の中に、昭和二十二年にできました物品の無償貸付及び譲与等に関する法律というのがありますね。この物品の無償貸付及び譲与等に関する法律に基づきまして農林省は省令を出されまして、昭和二十五年四月二十六日付四三号、家畜等の無償貸付及び譲与等に関する省令、これができたわけです。これにつきまして、どうも今度の災害に関しては、これは発動しないというように聞いておるのですが、ほんとうに今度の災害には何ら適用されることはないのでありますかどうか。
  88. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 お答えいたします。家畜等の無償貸付及び譲与等に関する省令につきましては、現在農林省の種畜牧場におきましては種畜の生産をいたしておるわけでありますが、この種畜牧場におきまして生産されました優秀な種畜につきまして、現に無償貸付をいたしまして、その貸付をいたしました種畜によりまして人工受精等を行なっておるわけであります。そういう意味におきまして、現在都道府県に対しまして、この省令に基づきます無償貸付をいたしておるわけでございます。今回のこの伊勢湾台風に基づきます災害によって家畜を喪失いたしました農家に対しまして、新たに家畜を導入いたします場合におきましては、天災融資法に基づきまして貸付をされる貸付費の中から購入できるような措置を講じましたことと、現在家畜の導入のために、有畜農家創設特別措置法がございます。これによります資金貸付、利子補給をいたしたいと考えておりますと同時に、また予算的な措置といたしまして、中小農家に対する家畜の導入に関する措置を行なっております。この措置によりまして、家畜の導入の援助をいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  89. 太田一夫

    太田委員 お答えによりますと、この省令というのは非常に限られた対象に対して適用されておるように思います。ところが、これは第二条におきまして、農林大臣は、家畜の改良または増殖をはかるため、牛、馬というものを無償で貸し付けることができる、こうあります。先ほどおっしゃいました有畜農家創設特別措置法というのは金融でございますから、どっちみち無理しても返さなければならぬ。お百姓さんは金を借りるということには非常に神経質でございまして、そういう点で無償貸付という制度があるならば、無償貸付ほどいいものはない。無償貸付といっても、何も貸し付けたままで死んでしまおうが何しようが、あとはいいということでなくて、子供が生まれれば子供を返してもらえるのです。政府が損になるものではない。しかも農家にとっては、これがために当場の急が助かるのです。今度の災害で農作物の被害は四百億といわれておるのですから、この災害で収入がない、場合によっては牛が傷ついたり、死んでしまったり、どこかに逃げていってわからなくなったり、今までいた牛がいなくて、困っているところがたくさんあるのです。この法律、省令を生かして、乳牛なら乳牛を貸してあげましょう、三頭貸してあげますから何年か後に三頭を返して下さい、これでいいわけです。和牛一頭貸してあげますから、耕作にお使いなさい、そのかわり今から何年か後に返して下さい、こういうことができるわけだが、どうしてこういうのを適用する御意思がないのか、どこか差しさわりがあるのか承りたいと思います。
  90. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 ただいまの省令に基づきます貸付は、優良な家畜を増産いたしますための種畜の貸付ということになっておりまして、これは農林省の種畜牧場で生産いたしました優秀なる種畜を県、あるいは場合によりましては——牛の場合人工授精いたしますので、大部分県に貸し付けておるわけでございますが、馬等の場合、人工授精が困難なものにつきましては、狭い範囲貸付になりますので、たとえば、農協等貸付を行なう場合もあるわけでございますが、そういう形で、この省令におきましては、種畜の貸付をいたすことになっております。
  91. 太田一夫

    太田委員 しかし、これは省令自身が、そこまでくると法律を少し制限し過ぎておるような気がします。それは、自作農維持創設資金あるいは天災融資法、農林漁業金融公庫こういう金融措置というものをずっとつぼめていって、農家はなお不十分だという現実の声が出てきておる。だから、そういう声が現実に高く上がってきておるから、この際、自創資金を押えるとか、抑制しておるとか、ブレーキをかけておるということを言われなくてできる方法があるなら、この法律によって無償貸付をしたらどうか。和牛、乳牛にして特にしかりだと思います。四万だ、八万だという金は、今の農家には出せませんよ。うちを直さなければならぬ、融資を与えて直さなければならぬ、こちらの方で借りなければならぬ、そういうことのほかに、なお牛や乳牛というものをそう簡単に買えないのだから、ここで見てやることが必要ではないか。特に物品の無償貸付法律によりますと、これは「家畜の改良、増殖」というのがまっ先にあるのですよ。また「有畜営農の普及」ということが目的になっているのに、省令において種付だけだということはちょっとおかしいのですね。だから本来の法律に基づいて、そういう農家のことを救うという方をやってもらいたい。資金貸付融資が不十分であってもわかるような気がするがこちらの方が非常に窮屈だとか、農協から申請すればできるようになっているが、実はそれは有名無実だということになると、どうも法律というものは非常に冷たくなってしまうのです。どうですかね。何かこの道を考えていただく御意見はありますか。
  92. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 先ほども申し上げましたように、種畜の貸付をいたしておりまして、現在畜場で生産いたします種畜には数量的な限界がございますので、そういう意味で、計画的に各県に毎年配布をいたすようにいたしております。従いまして、現実に種畜場におきました家畜の貸付というものは、事実上、今の段階では困難だという実態にあるわけでございます。毎年計画的に都道府県に貸付をいたしておるような次第でございます。それで、今回の災害に対しましては、先ほど重々申し上げましたように、従来天災資金では大家畜の購入は困難でございましたので、この点を改正いたしまして導入ができるようにいたしましたことと、有畜農家、それから中小農家でやりたいという各県の希望には大体応ぜられるという見込みに考えております。
  93. 太田一夫

    太田委員 別な言葉でお尋ねいたしますと、そういう省令があって、あまり思う通りできないということならば、自作農維持創設資金というものはふやそうという御決意はあるのですか。これはあなたではちょっと無理かな。どなたか農林省の方でお答えができたら……。
  94. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 私からお答えいたします。ただいま畜産担当の課長から申し上げましたように、今回の災害実情等から見まして、特に畜産被害が非常に多かった。従って、それに対する対策につきましては、われわれ内部におきましてもずいぶん検討いたした次第であります。その一つといたしまして、従来は、災害におきまして、特に家畜の購入資金というものは認めていなかった点につきまして、特に改正の措置をとるというような方法をとりまして、それに応じまして、かつ貸付限度も必要な所要量というものを講ずるように掲げたわけであります。具体的に申しますと、普通の農家であります場合には二十万円、それを三十万円までに上げる。さらに、専業の畜産業につきましては五十万円までに引き上げるというような措置をとったわけでございます。なお、これらの天災関係資金につきましては、総額といたしまして、七号台風以来百三十億の融資をしようということにいたしております。さらにそれに加えまして自作農資金が増額できないか、こういうお話でございますが、これは七号台風を含めまして、自作農資金としては総額四十七億円の資金をこれに出す、こういうことにいたしておりまして、今回のそういった畜産関係も含めまして、農業、林業、漁業、それらの資金の総融資額というものは、大体今申し上げました天災資金で百三十億、さらに個人の畜舎であるとか、農舎であるとか、こういう資金につきましては農林漁業金融公庫から融資するということにいたしておりますが、この面につきましても約三十五億出すという措置をとることにいたしております。その中におきましても畜産施設資金につきましては、特別融資額も拡大するというような措置もとることにいたしまして、全体といたしましては、自作農資金も含めまして、今次の災害に対応する融資総額といたしましては二百億をこえる資金ワクが用意いたしておるわけでございます。従いまして、大体におきまする今回の災害の所要額というものは、それらの資金によってまかなっていけるのじゃないか、こういう見通しを立てておる次第でございます。
  95. 太田一夫

    太田委員 それは二十万、三十万、五十万という天災融資法融資ワクの拡大はわかりますよ。しかし、これは実際の農家から言いますと、中途半端だというのです。あなたの方だって十分じゃない。実力はもうちょっと、一般農家でも三十万円くらいという声が強いのだけれども、これを二十万に下げているというふうに、どことなしにブレーキが——全体にワクがかかって下がっちゃっているのだから、中途半端のそしりは免れないですよ。中途半端だというところから、どうも不親切だという声が上がってきている。農林省はもともと非常に農民に対しては天災融資法などというりっぱな制度を作られた建前からいっても、もう少しものわかりのいい話があってもいいのじゃないかという声が強いのです。今のお金を貸すだけでやれるじゃないかというのは、実はあなたの方としては、その程度でやってほしいということではございましょうけれども、現地では中途半端で、そんなものではしょうがない。いろいろなものに要って、わずかなものであれも直し、これを復旧するということはできないという声がある。そこで国家の無償貸付という制度があるのだから、それを生かしてもらってはどうだろうかということ。その制度があるのですけれども、法律の方では増殖とか、復旧というところに重点が置いてあるが、あなたの方は改良の方に重点を置いたから、そこで貸付制度というのが天地逆になっているわけですね。これはほんとうを言うと、ちょっと逆だと思うのですね。思いますけれども、道がないわけじゃないから、そういう制度については、一つ今後とも、——今、当面間に合わないかどうかということはわかりませんけれども、私は当面でも間に合うと思うのです。農協が申請してきたら、あなたの方でも何か考えてもよさそうだ。今の省令でできるだけ親切に扱ってほしいと思いますし、解釈もしてほしいと思います。これは特に御要請を申し上げておきます。  ついでに農林省の方にもう一つお尋ねをいたしたいと思うのです。これは救農土木事業のことでございまするが、救農土木事業は、たしか今度被災して収入のなくなった方全部には適用できなかったのですね。
  96. 清野保

    ○清野説明員 救農土木事業適用します市町村は、まず三割以上の被害を受けました市町村であって、五割以上の被害を受けました農家に対して救済する、こういう条件が一つと、それから、資産その他を浸湛水のために失いました被害激甚な市町村、こういうふうに一応考えております。
  97. 太田一夫

    太田委員 被害激甚な市町村というのをやりますと、今の収入の道がなくなった方を救えない場合がありますね。ないのですか、ありますね。
  98. 清野保

    ○清野説明員 今申し上げましたのは救農土木でありますので、その市町村で一つの事業を起こしまして、それによって労賃を与えるというような、こういうような意味合いでございますので、被災農民がそれによって労賃を得るというような機会がある、かように考えております。
  99. 太田一夫

    太田委員 そこで、市町村に三割という被害の制限をつけるというのは、実はこれは無意味じゃないでしょうかね。ことさらこの条件をつけられたような感じがしますが、いかがですか。
  100. 清野保

    ○清野説明員 救農土木を行ないますので、やはり相当程度限定せられるというような意味合いがありまして、従来から冷害対策等の救農土木の場合には、さような被害市町村対象にしておったわけでございます。
  101. 太田一夫

    太田委員 従って、在来やっていた一つの制限であるから今度も同じようにやった、それ以上の意味はないとおっしゃるのですか。
  102. 清野保

    ○清野説明員 被害の程度を表わす意味におきまして市町村指定する、つまり、仕事をいたしますのに、その仕事によって被害農民が救済される範囲をどうしてもある程度限定しなければならぬ。市町村のある一部に被害がありまして、その被害によってその村の者が、いわば救農土木事業の恩恵を受けるというようなことは、やはり行政上思わしくないので、さような制限を作ったのであります。
  103. 太田一夫

    太田委員 じゃ、別の角度からお尋ねをいたします。失業策事業との関連というものはやはりあるのでしょうが、その辺の関連を考えてお作りになっていらっしゃいますか。
  104. 清野保

    ○清野説明員 救農土木事業によって農民を救済するという意味合いは、あくまでも農作物被害が激甚であって、そのために収入もない、こういうものに一応限定しておりますので、特に失対との関係は考慮しておりません。
  105. 太田一夫

    太田委員 考慮してないというのはおかしいと思うのですよ。それじゃ、救農土木事業の日当は幾らですか。三百六十五円ですか。
  106. 清野保

    ○清野説明員 さような数字でやっております。
  107. 太田一夫

    太田委員 一般の失業対策の方は三百六円で、あなたの方は三百六十五円。これは三百六円というのも平均ですから、若干幅があるわけですけれども、二割の違いがあるのです。私は、この救農土木事業の今度の制度そのものに対して、原則として反対するわけじゃありません。了解してよろしいわけですけれども、激甚地というわけで、三割以上の被害がないところはこれを起こさないというように、はずれるところが出てくる。実は救農土木事業によって救われる人は三百六十五円の金額であるが、片方の失業対策で救われる場合は三百六円ということになる、この辺に非常にアンバランスがあると思うのです。これについてあなたの方は、そういうことは別に考えなくてもいいとお考えになっていらっしゃいますか。
  108. 清野保

    ○清野説明員 救農土木事業を行ないます場合にわれわれが考えましたことは、この救農土木事業は一つの土木事業でありますので、そこで使用されます、いわゆる人夫賃の単価は、その付近で通常行なわれておる労賃、こういうことを一応想定いたしまして、労働省の統計で出ておるところのその地方の労働賃金で行なったものが三百六十五円でございます。
  109. 太田一夫

    太田委員 三百六十五円というのは、労働省の何か統計からとったとおっしゃるわけですけれども、あなたの方の今の話を聞きますと、山村の農林業の方、小さな農業をやっていた、山仕事をやっていた人が、今度仕事がなくなった場合に救えませんね。これは救えるのでありますか。
  110. 清野保

    ○清野説明員 先ほども申し上げました通り、救農土木事業対象になります市町村が、今回の伊勢湾台風その他の災害によって起こりました農民の被害を救う、こういう意味合いでございますので、いわば激甚地というふうに考え、かつまた、その労賃は、その救農土木事業によって普通必要とする労務者の賃金、つまり従来三百六十五円で使われておった、こういう意味合いでございます。
  111. 太田一夫

    太田委員 いや、私は救農土木事業のはっきりしていることだけは、ずっと審議されてきておりますからそれに反対しません。けれども、もう一つ忘れていらっしゃるものがありませんかということをお尋ねしているわけだ。どうも山間部の農家は救われそうもないという点に、このあなた方の制度に欠陥はなかったか、盲点はなかったか、こう申し上げているのです。
  112. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 私からお答えいたします。従来、救農土木事業を実施する場合におきましては、水害等の災害復旧事業がない場合、たとえば、冷害であるとかいうような場合におきまして救農土木事業というのを実施して参っているわけであります。と申しますのは、水害等の場合におきましては、今度の場合においても同様でございますが、非常に大きな復旧事業が行なわれるわけでございます。従いまして、それらによって相当の賃金収入の道が開かれるというのが通例であったわけでございますけれども、     〔三田村委員長代理退席、委員長着席〕 今回の災害に伴いまして、復旧事業がなくして、なおかつ、相当長期にわたって冠水するといったような非常な特殊な災害激甚地があるわけです。そういう地帯に対しましては、従来の復旧事業によっても賃金収入の道を与えるというふうな機会が与えられない地域が生じますので、そういう地域対象といたしまして、今回、従来にない特例措置といたしまして、救農土木事業というものを実施したわけでございます。御質問になりました山村等における一般的な被害を受けた労務者等についてはどうするのだということでございますが、これらの地域におきましては、林道復旧であるとか、あるいは畜産事業であるとか、そういったような事業につきましては極力地元の被害農民の労力を活用いたしまして、賃金収入の道を与えたい、かように考えているわけでございます。なお、山村の労務者に関連いたしまして、われわれといたしましては、今回の災害に伴いまして国有林が相当被害を受けている。流木の被害あるいは治山の関係被害が生じております。なおまた、国有林といたしましては、これから造林にかかるところもあるわけでございます。そういった国有林の事業の中で、地元の労務者を活用できるものについては極力それを活用して参りたい、あわせて賃金収入の道をこれによって講じていきたい、かような考え方でございまして、一般的には、救農土木事業につきまして先ほど申し上げたような考え方で取り上げておりますほかに、国有林事業としても、そういった趣旨で吸収できるようなものにつきましては、できるだけ就労の機会をはかって参りたい、かような考え方で対処していきたいと考えておる次第でございます。
  113. 太田一夫

    太田委員 では、重ねてお尋ねいたしますが、山はそういう道がある。また、一般的な農家におきましては、この激甚地に入れば救農土木事業で仕事をして三百六十五円の日当で、自分の被害にかかった田地、田畑を回復しつつ収入を得ていくという方法がある。ところが、海に参りますと漁民がおりますね。あなたの方の関係ですが、この漁民は何によって救われるのですか。
  114. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 水産業につきましても、今回は非常な大きな被害を受けましたことは先生御指摘の通りでございまして、われわれの第一の考え方といたしましては、零細な沿岸漁民につきましては特に大きな被害を受けたのであります。そういうことに対応いたしまして、今回は二十八年の例に準じまして、水産動植物の養殖施設につきましては特別高率補助をするというようなことにいたしまして、当面の生業にいち早くつけるような道を講じて参りたい。さらに、また、沿岸漁民の何としても大きな生産手段は漁船でございます。従いまして、漁船につきましては、今回、本委員会におきましても御審議願っておりますように、被害の特に激甚な組合に対しましては、小型漁船を組合で建造する場合に、それに対する特別助成措置を講じまして、それによって共同利用の道を開いて参りたいというようなことを考えておる次第でございます。
  115. 太田一夫

    太田委員 そういう制度があるだろうということはいいのですが、それにしては小型漁船の問題、先ほど角屋委員の方から質問も出ておるのですが、これは二十五隻という制限がありますから、あるいは四〇%以上どっちかに当てはまらなければ、その対象になれませんね。生産の用具を失いましたからといって、岸で魚をつっておるわけにいかないでしょう。してみれば、そういう人たちは、海岸の工事があればそこの工事に人夫になっていきなさい、自由にやりなさいこういうことに相なるとするならば、救農土木事業の精神からいって、そういう人をはずしてあるのは少しばかり片手落ちじゃないかと思うんです。別に差しつかえない、そういうことは苦情が来たこともないし、今度苦情が来るだろうという見通しもないという確信をお持ちでございましょうか。
  116. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 御指摘のような地帯におきまして、あるいは漁港においても、困窮するような事態が生じておるということもあり得ると考えるのでありますけれども、われわれといたしましては、何をおきましても沿岸におきましては必要な生産手段を与える、これによってあしたからの生業を営む道を作るということが、第一の要件であるというふうに考えるのであります。従って、今申しましたような各般の施策を今回については考えたわけでございますけれども、農業の場合におきましては、御承知のように、やはり季節々々がございまして、その間何らの収入の道がない。しかもまた、まわりには農地その他の災害復旧事業ない、つまり就労の機会が与えられないというようなところもあるわけでございます。そういうことに対応する措置といたしまして、今回の特別措置として救農土木事業というものを実施したわけでございまして、若干それ以外の産業とは趣旨が異なると御了解願いたいと思います。
  117. 太田一夫

    太田委員 実は労働省の方で、失業策事業の見通しを立てられる場合に、場合によっては山の方から失業者が出てくるじゃないだろうか、あるいは海の方からも来るじゃないだろうかというような想定をされた考え方があったんです。あなたの方は救農土木事業でほとんど大部分は救うとおっしゃるのだが、これは三割という被害に当てはまらない場合におきましては、何としてもこの土木事業を起こすわけに参りませんから、そこで非常に困る者ができる。そういうものを救うには、今度の災害で何かその辺に自然に工事が起きるだろうから、そこへ行って働きなさいということで、早くいうならば、救う方法はあり得るという見通しをしていらっしゃる、こう理解することになるのですか。
  118. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 先ほど申し上げましたように、風水害の場合におきます救農事業というものは、従来とも変わった例はないのでございまして、大体におきましては、相当広範囲災害復旧事業というものが行なわれますので、それによって就労の機会を与えられるだろう、こういうことで従来は中止して参ったのであります。今回は、特殊な災害の事情にかんがみまして、救農土木事業という措置をとることにいたしたのであります。
  119. 太田一夫

    太田委員 あなたたちのお考えになる通りにいけばよいのですが、平均して三百六円賃金というような、失対によって吸収されなければならない、こういうみじめなことになっては困ると思うのです。救農土木事業なら三百六十五円、失業の方でいけば三百六円、これでは困りますから、そこで、何とかしてなるべく高い賃金で生活保障していくということをしませんと農業というものは扶養家族が多いのです。何にもなくなった人たちは非常にお困りになる。そこで、三割に漏れた、いわゆる激甚地に漏れたところに対して、相当の対策があるかどうかということが心配の種でした。この三割あるいは五割の被害という二つの制限によりまして、今度の被害東海三県なら三県を例におとりになってもよいのですが、およそ何%くらいの町村が指定されると想像しておりますか。
  120. 伊東正義

    ○伊東政府委員 市町村までの被害につきましては、実はまだ統計調査の方で資料が出ておりません。県単位に出ておりまして、そこまで出ておりませんので、極力早く調査は進めます。私ども、激甚地については一戸当たり大体一万円くらいの収入になるように考えたらどうかというめどは持っておりますが、まだ戸数幾らというところまでつかんでおりません。
  121. 太田一夫

    太田委員 一万円くらいのところとぎりぎり一ぱいのところをお考になって、三百六十円とか六十五円というのはわかるのですが、それに漏れた山間部など困ったものである。植林などあればよいのですが、一般に風倒木の多いところは、植林をするというよりは、何年かたった苗木が傾いているので、それを起こすということがある。これをまずやるだろうと思うのです。かたいだ苗木を起こすためには、山主だけではいけないから、相当労務者が要ると思いますが、これは個人がやるのです。三百六十円というものは、どうですか、その場合取れるのですか。
  122. 伊東正義

    ○伊東政府委員 今山の労務者の関係の御質問でございますが、今先生がおっしゃいましたように、個人の風倒木につきまして、国で事故の跡を救うということはなかなか困難であります。今考えておりますのは、林道復旧事業に山村の人に出てもらいますとか、あるいは治山事業、また、特用林の関係の、今先生のおっしゃいました撫育でございますが、そういうようなところにも出ていただいて賃金を落としたらどうかというようなことを考えておりまして、これにつきまして、全般的に賃金幾らとまでは今決定いたしておりませんが、なるべく御希望に近い収入が得られるようにいたしたいと考えております。
  123. 太田一夫

    太田委員 そうすると、砂防工事などは三分の二の国庫補助でございましたね。普通ならば六割六分六厘。今度これを九割にしてくれという声があったのですが、これは通ったのですか。
  124. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 緊急治山につきまして、今回の措置といたしましては、従来の補助率三分の二で計算いたしております。ただ、今回の災害につきましては、残りの補助率の三分の一につきまして、約九〇%起債を認めることにいたしまして、事業完了までその充当率を下げないというような措置をとりたいと考えておる次第であります。従って、全体として起債を認めました場合におきましては、一定率につきまして、基準財政需要に対応する交付税の対象にすることができると考えておりますので、そういうような措置をとりますれば、補助率といたしましては、八割四分か五分程度に相なるではなかろうかというようなことで今回は考えております。
  125. 太田一夫

    太田委員 その点は一応わかるのです。それは足らないから九割くらいの補助をしてくれ。ところが、今の補助残については起債でまかないたい。これには元利補給はついておらないようでありますが、できるなら元利補給をしてくれということを私の方から申し上げているのですが、十分お考えをいただきたいのです。今度の場合、各山持ちの被災県というものは、あなたの方がおっしゃる今の特別扱いの中にほとんど入りますか。愛知とか京都とか。
  126. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 われわれといたしましては、できるだけ激甚県につきましてはカバーできるようにということで、現在検討いたしておる次第であります。
  127. 太田一夫

    太田委員 それは、たとえば私が申し上げました愛知、京都、あるいは兵庫というところも入るだろうと思っておってもよろしい、こういうことでございますか、言葉の感じですがね。
  128. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 本件につきましては、農林省関係でいえば緊急治山、建設省関係では砂防がございまして、同様な扱いになるだろうと思うのでありますが、これにつきましては、今建設当局とも相談いたし、最終的な確定をいたしておりませんので、決定後御報告申し上げたいと思います。
  129. 太田一夫

    太田委員 だから、そういうことになってくると、たとえば愛知県でも京都でもそうですが、非常に山の多いところ、そういう山村の人たちを救うというのは、実は手厚いようでも、実に薄いような感じがするのです。山村というのは、今度の被害によってほとんど何もなくなってしまった、しかも風で木が倒れたというところから、山主の方が非常に調子が悪くなりまして、一般の山村人の方に潤ってこないわけです。だから、ことしの暮れ、来年の正月を迎えるこの年の瀬というのは、よほど考えてやらなければいけないような気がするのですが、場合によっては救農土木事業に漏れるということになりますと、その生活は苦しいと思います。しかし、大丈夫、山の人たちはこうして救うことがあるんだ。海の方はこうして救うことがあるぞという、絶対の確信というものをお持ちいただきませんと、われわれの方も不安なんです。それはあなたのおっしゃるように、いろいろ方法があるから、あの手この手を寄せ集めて、必ず山村の人たちの収入なり、ほんとうにわずかの山畑を耕した人たちを泣かせず年越しをさせる、海の方におきましても、あすの生活に困らせないように、正月には子供にたびの一足も買ってやれるような、生活を必ず保障するという制度があるということを確言をしてほしいと思うのですが、救農土木事業によって救われないということから考えまして……。どうですか、確言をしていただけますか。
  130. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 先ほど申し上げましたように、今回の災害によりまして、海におきましても、山におきましても、農地におきましても、一般の復旧事業というものが相当大規模に行なわれることになるわけであります。それによりまして、従来であれば、特別の救農事業というものは取り上げられなかったわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、特に今回は救農土木事業というものを取り上げる。私が先ほど申しました山の関係でございますが、これにつきましては、一般的な復旧事業のほかに、国有林事業というのが通常行なわれておるわけでありますが、この国有林事業の運用の面におきまして、たとえば造林であるとか、伐採であるとか、こういったような面におきましても特別の考慮を払いまして、救農の措置の一環にしたいということで、農林省といたしましては、あらゆる面から、今御指摘になりましたような措置につきまして努力をいたしたいという考えでおります。
  131. 太田一夫

    太田委員 努力をされることは非常にけっこうでありますし、ぜひ一つそうしていただきたいと思います。特に農林省の中で、ある条件に当てはまったときに、激甚地中の激甚地については救農土木事業で救うけれども、その他の人は一般失業対策なり、あるいは自由な労働者となって日傭をかせぎなさいでは、これは非常に聞こえない話ですから、大いにこの救農土木事業適用につきましては、その査定に厳格過ぎることのないようにしていただくと同時に、そういう山間部の人たちを救う方法については、十分工事の進行その他いろいろな災害復旧事業の実施について配慮をしてほしいと思うのです。必ずしも農林省だけではない、他の方と関連もあるでしょうから、関連を考えてやってほしいと思う。  最後に一つ承りますが、この救農土木事業はいつまででございますか。
  132. 伊東正義

    ○伊東政府委員 時期でございますが、原則としましては、本年度中に終わりたいというふうに考えております。内容は、区画整理を中心とした土地改良でございますとか、開拓地におきまして全額国が持つ事業でございますが、その二種類を考えております。原則としては今年度内でございますが、ただ、ところによりましては、あるいは次年度にまたがって考えることもあるかもしれぬという例外は若干考えております。
  133. 太田一夫

    太田委員 私は小委員会の方などで、もうちょっといろいろな意見が出ておるだろうと思うのです。私は聞いておるのだが、一年間要るというのが声なんだから、半年やそこらでは、今から四カ月でしょう。三月末といったら四カ月しかないのですから、四カ月では足りないじゃないですか。一年くらい続けるという覚悟を持って、そのくらいの用意があってしかるべきだと思うのです。そういう点、どうなんですか。一年ということはとても考えられないですか。しかし、それは情勢によってはさらに続ける用意ありということでございましょうか。
  134. 伊東正義

    ○伊東政府委員 過去におきましても、実は救農土木をやっておりますのは、一年限りということでやっております。次の年からは、その収入でまかなっていくという考え方でございますが、今度の場合に、非常に激甚地地方におきましては、若干例外等も考えていっていいのじゃないかというようなことで、大蔵省に来年度の予算を要求いたしておるような次第でございます。
  135. 南條徳男

    南條委員長 暫時休憩いたします。六時半からこの委員会を開会いたします。     午後五時二十七分休憩      ————◇—————     午後七時四十九分開議
  136. 南條徳男

    南條委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。質疑を続行いたします。まず、昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案について綱島君から質疑がございます。
  137. 綱島正興

    綱島委員 附帯決議だけでいいのです。
  138. 南條徳男

    南條委員長 附帯決議だけなら、これは後ほどいたします。  次には、角屋君から、昭和三十四年九月の風水害を受けた漁業者の共同利用に供する小型漁船建造に関する特別措置法案について御発言ございますか。——角屋君。
  139. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 小型漁船の問題については、本委員会でも、これが実施の問題につきまして、政府が提案になりましたいわゆる漁協による共同利用の形における小型漁船建造助成、こういう考え方に対して個人的な問題も並行して考えたらどうか、あるいはまた、政令で規定されますところのいわゆる喪失漁船の一漁協当たり漁船数の問題、あるいはまた漁船喪失率の問題、こういう点の条件緩和の問題についていろいろ論議されて参りました。その間政府与党におきましても、当初予定をされておりました条件の問題について、ある程度歩み寄りがありまして、今日に至っておることは御承知の通りでございます。すなわち、喪失漁船については、当初予定をしておりました二十五隻という点については依然として変わらないわけでございますけれども、喪失率の問題につきましては、当初七五%というふうに聞いておりましたけれども、これが五〇%に緩和され、さらに最終段階においては、四〇%まで緩和されて参ったわけでございます。しかし今日、一万数千隻から失ったいわゆる愛知県、三重県、和歌山県、あるいは長崎県、北海道等を中心にしました沿岸漁民の実態からいたしますと、こういう二十五隻なりあるいは四〇%なりという条件で、そのまま画一的に適用されるということになると、必ずしも実情に即さないところの実態というものが出てこようということを私はおそれるわけでございます。従いまして、過般来の委員会におきましても、この点については農林大臣にもいろいろお伺いをしたわけでございますし、同時に、この適用の問題については、当初漁船保険をかけていないものに対して適用する、漁船保険をかけておるものについては、これは保険が当たるからいいだろう、こういうことでありましたが、いろいろ委員会審議を通じて農林大臣も、漁船保険をかけているといなとを問わず適用していく、こういうふうに言ってこられました。従いまして、本法案が成立するに先だちまして、漁船保険の適用の有無にかかわらず適用するということについての言明と、さらに、今喪失漁船二十五隻あるいは喪失率四〇%の問題についても、沿岸漁業の実態から見まして弾力的に運営をしていく、つまりあまり画一的に、厳密にこれをぴしゃっと適用するのではなしに、それぞれの実情に応じ、沿岸漁民の立ち上がりのために弾力的に運営を考えていく、こういうお気持があるかどうか、この二点についてお伺いをいたしたいと思います。
  140. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいま角屋委員からお話しのように、私どもも、本法律案適用につきましては、できる限り条件の緩和を考えた次第でございます。  なおその上に適用運営の弾力性を考えろ、こういうお話でございますが、ただいま申し上げました条件範囲内におきまして、これが運営につきましては十分配意をしていく所存でございます。
  141. 南條徳男

    南條委員長 次に、文部省関係で、昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた公立学校等建物等災害復旧に関する特別措置法案について三田村君より質疑がございます。これを許します。三田村君。
  142. 三田村武夫

    ○三田村委員 この際政府にお尋ねをいたしておきますが、ただいま委員長が示されました法案の、第二条のいわゆる政令指定基準であります。これがいろいろ当委員会でも論議されてきたのでございますが、政府も御承知の通り、当該市町村の標準税収百分の十ということに、当委員会においても、政府の方においても、大体了解がついたように了承しておるのでございます。この点、一つ公式にこの委員会において、政府の御所見を承っておきたいのでございます。
  143. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 ただいまの御発言に対しては、文部省といたしましては、何ら異議のあるところではございません。
  144. 南條徳男

    南條委員長 それでは、昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案昭和三十四年七月及び八月の豪雨、同年八月及び九月の暴風雨又は同年九月の降ひょうによる被害農家に対する米穀の売渡特例に関する法律案昭和三十四年九月の風水害を受けた漁業者の共同利用に供する小型漁船建造に関する特別措置法案昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた中小企業者に対する国有の機械等の売払等に関する特別措置法案昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた都道府県の災害救助費に関する特別措置法案昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた者に対する母子福祉資金貸付に関する特別措置法案中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた中小企業者に対する資金の融通等に関する特別措置法案昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害に伴う公営住宅法の特例等に関する法律案昭和三十四年台風第十五号により災害を受けた伊勢湾等に面する地域における高潮対策事業に関する特別措置法案昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債特例法に関する法律案昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた市町村職員共済組合組合員に支給する災害見舞金の額の特例に関する法律案昭和三十四年八月及び九月の暴風雨による堆積土砂及び湛水の排除に関する特別措置法案昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた公立学校等建物等災害復旧に関する特別措置法案昭和三十四年八月及び九月の風水害を受けた私立学校施設災害復旧に関する特別措置法案昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた農林水産業施設災害復旧事業等に関する特別措置法案昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案昭和三十四年八月及び九月の風水害による任意共済に係る保険金支払等にあてるための資金融通に関する特別措置法案、右十八件の内閣提出にかかる法律案については質疑を終局いたしたいと存じますが、これに先だって、特に太田一夫君より、昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた中小企業者に対する国有の機械等の売払等に関する特別措置法案についての政府に対する質疑をいたしたいとの申し入れがございます。これを許します。太田一夫君。
  145. 太田一夫

    太田委員 この際、特にお伺いをいたしておきたいのでございまするが、内閣提出第七号法案昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた中小企業者に対する国有の機械等の売払等に関する特別措置法案、この法案につきましては、「時価からその五割以内を減額した対価で売り払い、若しくは貸し付け、」とあります。この五割につきましていろいろと意見がありまして、その間政府におきまして、災害割引は五割であるが、その残額について、さらに合理化割引三五%をプラスする、こういう意向が表明をされておるように承りましたが、念のため、それに間違いないかどうかをお伺い申し上げます。
  146. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 被災者に対する災害のための今回の法律規定に基づく減価は、五割以内を減額する、合理化による三割五分の減額はまた別の法律に規定してあるので、これは別途に、合理化の法案に適合する場合には、これは適用いたします。
  147. 太田一夫

    太田委員 従いまして、今切り離して話がありましたけれども、これをプラスするものとして理解しておいて差しつかえないですね。
  148. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 災害の被災者であって、しかも合理化促進に有効と認められる場合は、これは適用いたしますが、災害の被災だけの場合は、これは五割の範囲内において減価割引いたします。
  149. 太田一夫

    太田委員 それでは先般来の種々なる御説明にやや反するわけでありまして、あまり遠く離れてしまいますと——われわれは、五〇%と二五%、合わせて八五%になるから、言外においてこれはよろしかろう、こういう政府側の説明に対して了承してきたわけでありまして、災害であるということによって、これがそのまま合理化割引の三五%を適用される、このような説明があったわけであります。これに対しまして、何かあなたの方は間違いであるような御回答でありますが、大体そういう解釈であるというふうに解してよろしいと思うのですが、いかがでありますか。
  150. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 災害の被災者の復旧に際しまして、必ずしもそれが合理化促進にかなうというわけのものではありませんので、これは政府としては分けて考えております。
  151. 太田一夫

    太田委員 それはちょいと困ることが起きるわけですね。先ほど来の数回の説明において、災害を受けられた方は、合理化のためにも三五%のプラスをしなければならぬという事情にあるというふうに理解をするのだから、従って、それはプラスされるものと理解してくれこういう話でありました。大体そういう理解で差しつかえないと思うわけですが、そんなに大きく隔たらない、私の言うこともあなたの御回答も、ほぼ同じものと理解してよろしいと思いますが……。
  152. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 御承知の通り、この法律に基づいて国有の機械を利用できる中小企業者は、おそらくごくわずかであろうと思います。この方々に限って特に五割減価して政府の機械を払い下げるということでありますので、その上に被災者は全部合理化を適用して、八割五分の減価を受けるということについては、これは政府としてはそこまでは踏み切れません。
  153. 太田一夫

    太田委員 それでは、これは先回来の、あなたが出ていらっしゃる会合の話じゃなかったのであなたの口からそのことを開いたわけではない。しかし、政府の意向として、災害の場合の五〇%は当然そうであるけれども、合理化割引もプラスするから、それでもって原案を了承してもらいたいという話があった。それに対してあなたの方が全然別個のものだということになると——よく御了解いただきたいことは、われわれはそのように理解をしておりましたので、今後運用上の問題が相当ありますから、運用上は、十分この災害割引と合理化割引とのかね合いで妙味ある運用をしていただきたい、これを要望しておきます。
  154. 奧村又十郎

    ○奥村政府委員 ただいまの御意見は了承いたしました。
  155. 南條徳男

    南條委員長 お諮りいたします。  これにて先ほど申し述べました内閣提出にかかる十八件の法律案質疑を終局いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 南條徳男

    南條委員長 御異議ないと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  157. 南條徳男

    南條委員長 この際、河野孝子君より、昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案に対し伊藤よし子君外二名より、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた者に対する母子福祉資金貸付に関する特別措置法案に対し、また、渡海元三郎君より、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債特例等に関する法律案に対し、それぞれ各派共同提案による修正案が提出いたされております。また、日本社会党の伊藤よし子君外二名より、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた都道府県の災害救助費に関する特別措置法案に対する修正案が提出されております。     —————————————
  158. 南條徳男

    南條委員長 この際、各修正案の趣旨について順次提出者の説明を求めます。河野孝子君。
  159. 河野孝子

    ○河野(孝)委員 私は、自由民主党、日本社会党、社会クラブを代表しまして、昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案に対する修正案の趣旨説明を行ないます。  まず、案文を朗読いたします。   昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案の一部を次の  ように修正する。   附則を次のように改める。   (施行期日)  1 この法律は、公布の日から施行する。   (この法律の施行前にした除塩事業)  2 この法律は、この法律の施行前に行った除塩事業についても適用する。  説明は案文でおわかりと思いますから、省略させていただきます。(拍手)
  160. 南條徳男

  161. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 私は、自由民主党、日本社会党、社会クラブを代表いたしまして、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた者に対する母子福祉資金貸付に関する特別措置法案の一部を次のように修正しようとするものでございます。案文を朗読いたします。   第二条第一項中「、生業資金にあっては二年間、事業継続資金にあっては一年六箇月間」及び同条第二項中「一年間」を「二年間」に改める。 こういう内容でございます。  理由は、ただいま読みましたように大へん簡単でございます。つまり貸付金の据置期間をすべて二年間に延期することによりまして、風水害によって被害を受けました母子家庭の立ち上がりを容易ならしめるための修正でございます。何とぞ満場一致をもって御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  162. 南條徳男

  163. 渡海元三郎

    ○渡海委員 私は、自由民主党、日本社会党並びに社会クラブを代表いたしまして、ただいま提案になりました昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債特例等に関する法律案の修正案について、提案の理由を御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。   昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債特例等に関する法律案の一部を次のように修正する。   第二条中「地方公共団体のうち政令で定めるもの(以下この条において「被災団体」という。)が施行する」を「地方公共団体が政令で定める地域(以下この条において「被災地域」という。)において施行する」に、「被災団体のうち政令で定める特に被害の著しいものがその」を「被災地域のうち政令で定める特に被害の著しい地域について」に改める。   第三条中「被災市町村のうち政令で定める特に被害の著しいもの」を「被災市町村の区域のうち政令で定める特に被害の著しい地域」に改める。  簡単に理由を説明いたします。今次の災害にあたり、政府は、公共土木施設等災害復旧事業に関する各種の特別措置法案により、通常の災害復旧の場合の国庫負担率を、政令で定める被害の激甚な地域にかかる災害復旧事業について、特に高率にする特例措置を講ずることとしているのであります。起債特例法案におきましても、土木小災害及び農地等の小災害にかかる地方債につき、今回特に国がその元利償還金の一部を元利補給することとされており、政令で定める特に被害の著しいものについては、高率の元利補給がなされることとなっているのでありますが、この被害激甚地を、公共土木施設、農林水産業施設等の被害激甚地と一致させる必要があるのであります。しかるに、現在提案されております政府原案では、政令で定める地方団体のうち、特に被害の著しい団体を政令で限定して高率の元利補給をする建前であり、団体全部を指定する関係上特に被害の著しい団体指定は相当限定されると思われるのであります。従って、このままでは、公共土木等の指定激甚地が小災害の面では激甚地とならない場合が生ずることが予想されますので、小災害の面でも激甚地指定範囲を拡張し、公共土木等の指定激甚地は、同種事業の小災害についても激甚地とする必要がありますので、団体指定考え方地域指定に拡張しようとするものであります。  以上が修正案の提案の説明であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  164. 南條徳男

  165. 伊藤よし子

    ○伊藤(よ)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた都道府県の災害救助費に関する特別措置法案の一部を次のように修正したいと思うものでございます。  案文は、   第二条中「「千分の二」とあるのは「千分の一」」を「「費用の合計額が」とあるのは「費用の合計額につき」と、「収入見込額の千分の二を超過するときは、その超過額に対し」とあるのは「収入見込額に対する当該費用の合計額の割合に応じ」と、「千分の二を超え千分の二十」とあるのは「千分の二十」」に改める。 こういうものでございます。  理由を簡単に申し上げます。災害救助法による出費が普通税収を越える分すべてについて国庫補助をすることといたした次第でございます。これに要します費用は四千七百万円でございます。  何とぞ満場一致御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
  166. 南條徳男

    南條委員長 右の各修正案中、伊藤よし子君外二名提出災害救助特別措置法案に対する修正案は、予算を伴うものでありますので、この際内閣の意見を聴取することにいたします。渡邊厚生大臣。
  167. 渡邊良夫

    ○渡邊国務大臣 災害救助費の国庫負担に関しまするところのただいまの御意見につきましては、政府といたしましては賛成いたしかねる次第でございます。     —————————————
  168. 南條徳男

    南條委員長 それでは、まず、日本社会党の伊藤よし子君外二名提出の、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた都道府県の災害救助費に関する特別措置法案に対する修正案を討論に付します。  別に討論の申し出もございませんから、直ちに右の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  169. 南條徳男

    南條委員長 起立少数。よって、右の修正案は否決されました。     —————————————
  170. 南條徳男

    南條委員長 引き続き、先刻質疑を終了いたしました内閣提出にかかる十八件の法律案及びただいま否決されました修正案を除く各修正案を一括討論に付します。討論の通告がありますから、順次これを許します。田村元君。
  171. 田村元

    田村委員 私は自由民主党を代表いたしまして、今次の災害により犠牲となられた方々の御冥福と、あわせて被災地の一日も早く復興されますことを祈りつつ、ただいま上程せられました昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案外十七案に、修正部分も含めて、賛成の討論をいたすものであります。  本年は局地的豪雨を含む幾たびかの災害、加うるにその規模、深度、被害において史上未曽有といわれた伊勢湾台風に見舞われ、産業は萎まし、施設は破壊され、特に個人被害がはなはだしく、人心は動揺し、ややもすれば政治に対する怨嗟の声がちまたにあふれたとさえいわれることは、政治をあずかるわれわれとしてまことに遺憾であると同時に、深く考えさせられるものがあるのであります。もし既往の天災に対する復旧施策にしてよろしきを得たならば、今回のような惨禍を見ずに済んだのではないかという反省に立つとき、率直に申して、われわれは、このたびの災害復旧対策は、単に過去の災害対策の惰性を踏襲して、傷ついた施設を以前通りに直すという無策をとらず、むしろ将来の災害の襲来に対して、万全の予防的効率を持つ恒久性ある改良復旧方針をとるべきであり、岸総理初め政府要路の人々も直接現地でこの点を強く言明、約束されているのであります。しかしながら、現に提案せられた諸対策は、なるほどこの点を相当考慮しておる点は了承するにやぶさかでありませんが、台風常襲地としての日本の諸条件に照らしまして、遺憾ながらこれをもって十分の措置がとられたものとは考えられないのであります。しかし予算を伴う案件に関しましては、国家財政の全体とのにらみ合わせも当然でありまして、国家財政を破壊して混乱を来たしてもなりませんし、また、被災地の方々が首を長くして待っておられるであろう心情もくみ、今後すみやかに恒久立法たる災害基本法、すなわち、人間生活の安全と国土保全の完璧を期し、あわせて社会保障の要素を十分に取り入れた災害予防の施策を講ぜられんことを同僚議員諸君とともに誓い合って賛成をいたすものでございます。(拍手)
  172. 南條徳男

  173. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました十八法案について、賛成の討論を行なわんとするものであります。  本年度災害は史上未曽有の被害をもたらし、その規模は、昭和二十八年災を上回るものであります。岸首相が、二十八年災を下回らない対策を講ずると約束されましたのも、このためにほかなりません。ところが、政府提出した補正予算及び災害関係各種法律案内容を見ると、二十八年災を下回るものであって、きわめて不満足なものであります。わが党は、できる限りこの対策を推進するために、補正予算については予算組みかえ案を提出し、また法律案関係におきましては、十五法案のわが党独自の法律案提出いたしました。補正予算につきましては、わが党の組みかえ案は否決されましたけれども、もし政府案の予算の執行の過程で不十分な点があるならば、引き続き第二次補正あるいは三十五年度予算において必要な予算措置をとるとの政府の意向の表明がありましたので、これを信頼して、わが党は政府の補正予算案に賛成いたした次第であります。  さて、ただいま討論の議題となっております十八の法律案は、言うまでもなく、さきに衆議院を通過いたしました補正予算の執行のための手続を規定する法律案であります。これらの内容が、二十八年災の対策と比べて不十分なことはすでに述べた通りでございますが、また振り返ってみますと、被災地の住民が一日も早く救援及び復旧措置が講ぜられることを待ち望んでいることは申すまでもありません。  そこでわが党といたしましては、政府提出法案に、わが党の主張いたしました修正を加え、また附帯決議を付し、一日も早く救済並びに復旧措置を講ずるという立場から、これら法案に賛成をいたすものであります。従いまして、政府は附帯決議を尊重し、法律の運用は最大限にこれを行なうよう要望するとともに、不十分な点につきましては、今後参議院における審議あるいは次期第三十四国会の審議によりまして、今なお水没地帯にある住民を思い、さらに十分なものといたすよう努力せんとするものであります。  以上で簡単に賛成の討論を終わります。(拍手)
  174. 南條徳男

    南條委員長 塚本三郎君。
  175. 塚本三郎

    ○塚本委員 本日上程されました各法律案に対しまして、社会クラブを代表いたしまして、賛成の討論をいたすものであります。  未曽有の災害に対して、被災者の救済災害の復興のためには、本法案は決して十分と申すわけには参りません。特にこの法律案適用範囲がきわめて狭いことを残念に思っております。なるがゆえに、わがクラブは予算案に反対をいたしたのであります。しかし迫りくる寒さを迎えて、政府の救援の手の一日も早からんことを望んでおる被災地住民の立場を考え、本法律案の最上でないことを認めつつも、わが社会クラブはこれに賛成いたすのでございます。(拍手)
  176. 南條徳男

    南條委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  177. 南條徳男

    南條委員長 これより各案について順次採決に入ります。  最初に、昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案について採決いたします。  まず、本案に対する河野孝子君提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  178. 南條徳男

    南條委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  179. 南條徳男

    南條委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては原案の通りに決しました。  次に、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた者に対する母子福祉資金貸付に関する特別措置法案について採決いたします。  まず本案に対する伊藤よし子君外二名提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  180. 南條徳男

    南條委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  181. 南條徳男

    南條委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては原案の通りに決しました。  次に、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債特例等に関する法律案について採決いたします。  まず、本案に対する渡海元三郎提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  182. 南條徳男

    南條委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  183. 南條徳男

    南條委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては原案の通り決しました。  次に、昭和三十四年七月及び八月の豪雨、同年八月及び九月の暴風雨又は同年九月の降ひょうによる被害農家に対する米穀の売渡特例に関する法律案昭和三十四年九月の風水害を受けた漁業者の共同利用に供する小型漁船建造に関する特別措置法案昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた中小企業者に対する国有の機械等の売払等に関する特別措置法案昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた都道府県の災害救助費に関する特別措置法案中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた中小企業者に対する資金の融通等に関する特別措置法案昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害に伴う公営住宅法の特例等に関する法律案昭和三十四年台風第十五号により災害を受けた伊勢湾等に面する地域における高潮対策事業に関する特別措置法案昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた市町村職員共済組合組合員に支給する災害見舞金の額の特例に関する法律案昭和三十四年八月及び九月の暴風雨による堆積土砂及び湛水の排除に関する特別措置法案昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた公立学校等建物等災害復旧に関する特別措置法案昭和三十四年八月及び九月の風水害を受けた私立学校施設災害復旧に関する特別措置法案昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた農林水産業施設災害復旧事業等に関する特別措置法案昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案昭和三十四年八月及び九月の風水害による任意共済に係る保険金支払等にあてるための資金融通に関する特別措置法案、右十五件を一括採決いたします。  右各案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  184. 南條徳男

    南條委員長 起立総員。よって、各案はいずれも原案の通り可決いたしました。     —————————————
  185. 南條徳男

    南條委員長 この際、昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案に対し塚本三郎君より、昭和三十四年九月の風水害を受けた漁業者の共同利用に供する小型漁船建造に関する特別措置法案に対し田中正巳君より、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた農林水産業施設災害復旧事業等に関する特別措置法案に対し綱島正興君より、また、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案に対し辻原弘市君より、それぞれ附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。この際その趣旨説明を求めます。塚本三郎君。
  186. 塚本三郎

    ○塚本委員 私は、各派を代表して、昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案に対し、次の附帯決議を付されんことを望むものであります。附帯決議の案文を読み上げます。    附帯決議(案)   政府は、除塩事業の実施に当り、長期湛水地帯の、稲に含む塩分の除去に必要なかかり増し経費についても、助成対象とすべきである。  以上が附帯決議の内容であります。  理由につきましては、御承知の通り、除塩事業の中に、稲のかかり増しの経費についても助成しろということであります。
  187. 南條徳男

    南條委員長 田中正巳君。
  188. 田中正巳

    田中(正)委員 私は、自由民主党、日本社会党、社会クラブを代表して、昭和三十四年九月の風水害を受けた漁業者の共同利用に供する小型漁船建造に関する特別措置法案に対し、本案の内容及び委員会における審議の経過にかんがみ、左の附帯決議案を付したいと存じ提案する次第であります。  附帯決議案の内容を朗読いたします。    附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当り沿岸漁業地域の被災の激甚なる実情に鑑み、小型漁船建造助成について、実情に即応する弾力的な措置を行い、以て沿岸漁民の早期立上りを促進すべきである。  内容につきましては、ただいま朗読した通りで明瞭であると思いますので、趣旨は説明いたしません。何とぞ各位全員の御賛成をお願いいたす次第であります。(拍手)
  189. 南條徳男

    南條委員長 綱島正興君。
  190. 綱島正興

    綱島委員 私は、自由民主党、日本社会党、社会クラブを代表いたしまして、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた農林水産業施設災害復旧事業等に関する特別措置法案に対して、左のごとき附帯決議の動議を提出いたします。    附帯決議(案)   政府は、農林水産業施設災害復旧事業については、再度災害の発生を防止するため、原形復旧主義を改良復旧主義に改め、一工区五十米を百米とし、また災害関連事業助成についても、所要の措置を講ずべきである。 こういう動議を提出いたします。  理由は、連年災害の実績にかんがみ、かつまた、その復旧事業の実績にかんがみまして、本決議案は必要だと存じまして提出する次第でございます。(拍手)
  191. 南條徳男

  192. 辻原弘市

    辻原委員 私は、日本社会党、自由民主党社会クラブを代表いたしまして、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案につきまして、特に今後の災害復旧の全からんことをこいねがって、左のごとき附帯決議の動議を提出いたします。    附帯決議(案)   政府は、公共土木施設等災害復旧については、再度災害の発生を防止するため、原形復旧主義を改良復旧主義に改め、これにつき充分なる財政措置を講じ、また災害関連事業助成についても、所要の措置を講ずべきである。  この点に関しましては、委員会の経過からそれぞれ各委員の十分主張せられました点でありまして、政府の考えは、またこれに応ずる由の答弁があったのでありまするが、なお予算措置において、また法律内容において、またその運用において、十分この点を現実の上に打ち出すために、以上のような動議を提出いたしたのであります。(拍手)
  193. 南條徳男

    南條委員長 これにて趣旨説明は終了いたしました。  これより採決いたします。  ただいま提案されました通り、各案に対し、それぞれ附帯決議を付するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 南條徳男

    南條委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  なお、ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 南條徳男

    南條委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後八時三十四分散会      ————◇—————