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1959-11-13 第33回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十三日(金曜日)委員長にお いて次の通り小委員及び小委員長を選任した。  厚生労働等委員       小島 徹三君    小林かなえ君       河野 孝子君    田中 正巳君       渡海元三郎君    増田甲子七君       三田村武夫君    伊藤よし子君       太田 一夫君    辻原 弘市君       八木 一男君  厚生労働等委員長      三田村武夫君  農林水産等委員       今井  耕君    大坪 保雄君       坂田 英一君    田口長治郎君       綱島 正興君    中垣 國男君       丹羽 兵助君    足鹿  覺君       大野 幸一君    角屋堅次郎君       塚本 三郎君  農林水産等委員長 綱島正興君  通商産業等委員       小川 平二君    世耕 弘一君       高見 三郎君    辻  寛一君       坊  秀男君    前尾繁三郎君       山手 滿男君    小林 正美君       佐藤觀次郎君    横山 利秋君       加藤 鐐造君  通商産業等委員長      前尾繁三郎君  建設等委員       江崎 真澄君    岡本  茂君       木村 俊夫君    田村  元君       徳安 實藏君    堀内 一雄君       八木 一郎君    岡本 隆一君       金丸 徳重君    田中幾三郎君       堂森 芳夫君  建設等委員長        江崎 真澄君     ――――――――――――― 昭和三十四年十一月十三日(金曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 南條 徳男君    理事 江崎 真澄君 理事 田村  元君    理事 綱島 正興君 理事 前尾繁三郎君    理事 三田村武夫君 理事 岡本 隆一君    理事 小林 正美君 理事 佐藤觀次郎君    理事 塚本 三郎君       今井  耕君    小川 平二君       大坪 保雄君    岡本  茂君       木村 俊夫君    小島 徹三君       小林かなえ君    河野 孝子君       坂田 英一君    世耕 弘一君       田中 正巳君    高見 三郎君       辻  寛一君    渡海元三郎君       徳安 實藏君    中垣 國男君       丹羽 兵助君    堀内 一雄君       八木 一郎君    山手 滿男君       足鹿  覺君    伊藤よし子君       小沢 貞孝君    太田 一夫君       角屋堅次郎君    金丸 徳重君       田中幾三郎君    辻原 弘市君       堂森 芳夫君    八木 一男君       加藤 鐐造君  出席国務大臣         法 務 大 臣 井野 碩哉君         大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君         文 部 大 臣 松田竹千代君         厚 生 大 臣 渡邊 良夫君         農 林 大 臣 福田 赳夫君         通商産業大臣  池田 勇人君         建 設 大 臣 村上  勇君         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  奥村又十郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤譽三郎君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君         厚生政務次官  内藤  隆君         厚生事務官         (大臣官房長) 森本  潔君         厚生事務官         (社会局長)  高田 正巳君         厚生事務官         (児童局長)  大山  正君         厚生事務官         (保険局長)  太宰 博邦君         通産省産業事務         官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         中小企業庁長官 小山 雄二君         建設政務次官  大沢 雄一君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君  委員外出席者         議     員 岡本 隆一君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君     ――――――――――――― 十一月十三日  委員服部安司君及び金丸徳重辞任につき、そ  の補欠として八木一郎君及び小沢貞孝君が議長  の指名委員に選出された。 同日  委員小沢貞孝辞任につき、その補欠として金  丸徳重君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月十三日  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた医療機関復旧に関する特別  措置法案内閣提出第三〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害により被害を受けた公務員等  に対する国家公務員共済組合等の給付の特例等  に関する法律案横山利秋君外十六名提出、衆  法第九号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地域における失業対  策事業に関する特別措置法案五島虎雄君外十  五名提出衆法第一〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害に関する失業保険特例法案(  五島虎雄君外十五名提出衆法第一一号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害による病院及び診療所並びに  薬局の災害復旧に関する特別措置法案(滝井  義高君外十八名提出衆法第一二号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債  の特例等に関する法律案太田一夫君外十六名  提出衆法第一三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月十三日  六号台風による大分県下の被害対策に関する陳  情書(第  三二二号)  滋賀県下の台風等による農業災害対策に関する  陳情書  (第三二四号)  浜松市を天災による被害農林漁業者関に対する  資金融通に関する暫定措置法に基く特別被害  地域に指定の陳情書  (第三三〇号)  水害による自作農維持創設資金わく拡大等に関  する陳情書(第三三  一号)  台風による小災害復旧費国庫補助に関する陳情  書  (第三四六号)  台風六、七号及び豪雨による災害復旧対策促進  に関する陳情書(  第四〇二号)  十五号台風による愛知県下の商業団体共同施設  災害復旧費国庫補助に関する陳情書  (第四〇七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた  農地除塩事業助成に  関する特別措置法案内閣提出第二号)  昭和三十四年七月及び八月の豪雨、同年八月及  び九月の暴風雨又は同年九月の降ひょうによる  被害農家に対する米穀の売渡特例に関する法  律案内閣提出第三号)  昭和三十四年九月の風水害を受けた漁業者の共  同利用に供する小型の漁船の建造に関する特別  措置法案内閣提出第四号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた中小企業者に対する国有の機  械等の売払等に関する特別措置法案内閣提出  第七号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地域における公衆衛  生の保持に関する特別措置法案内閣提出第八  号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害を受けた社  会福祉事業施設災害復旧費に関する特別措置  法案内閣提出第九号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた都道府県の災害救助  費に関する特別措置法案内閣提出第一〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた者に対する母子福祉  資金貸付に関する特別措置法案内閣提出第  一一号)  中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた中小企業者に対する資金の融  通等に関する特別措置法案内閣提出第一三  号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地域における失業対  策事業に関する特別措置法案内閣提出第一四  号)  昭和三十四年七月及び八月の水害並びに同年八  月及び九月の風水害に関する失業保険特例法案  (内閣提出第一五号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害に伴う公営住宅法特例等に関する法  律案内閣提出第一六号)  昭和三十四年台風第十五号により災害を受けた  伊勢湾等に面する地域における高潮対策事業に  関する特別措置法案内閣提出第一七号)  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一九号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債  の特例等に関する法律案内閣提出第二〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた市町村職員共済組合  の組合員に支給する災害見舞金の額の特例に関  する法律案内閣提出第二一号)  昭和三十四年八月及び九月の暴風雨による堆た  い積土砂及び湛たん水の排除に関する特別措置  法案内閣提出第二二号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた公立の学校等建物等災害  復旧に関する特別措置法案内閣提出第二三  号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害を受けた私  立学校施設災害復旧に関する特別措置法案(  内閣提出第二四号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害に際し災害救助法が適用され  た地域における国民健康保険事業に対する補助  に関する特別措置法案内閣提出第二五号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた農林水産業施設の災  害復旧事業等に関する特別措置法案内閣提出  第二六号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害を受けた公共土木施設等の災  害復旧等に関する特別措置法案内閣提出第二  七号)  昭和三十四年八月及び九月の風水害による任意  共済に係る保険金支払等にあてるための資金  の融通に関する特別措置法案内閣提出第二九  号)  昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月  の風水害を受けた医療機関復旧に関する特別  措置法案内閣提出第三〇号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害により被害を受けた者の援護  に関する特別措置法案伊藤よし子君外十四名  提出衆法第一号)  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案  (角屋堅次郎君外十六名提出衆法第二号)  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(角  屋堅次郎君外十六名提出衆法第三号)  農業協同組合整備特別措置法の一部を改正する  法律案角屋堅次郎君外十六名提出衆法第四  号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  角屋堅次郎君外十六名提出衆法第五号)  天災による被害中小企業者等に対する資金の融  通等に関する特別措置法案田中武夫君外十七  名提出衆法第六号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害により被害を受け生計が困難  である者の生活の保障に関する特別措置法案(  八木一男君外十九名提出衆法第七号)  昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月  及び九月の風水害による消費生活協同組合の協  同施設等災害復旧に関する特別措置法案(岡  本隆一君外十六名提出衆法第八号)      ――――◇―――――
  2. 南條徳男

    南條委員長 これより会議を開きます。  内閣提出昭和三十四年九月の雲風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案外二十三件、及び伊藤よし子君外十四名提出昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害により被害を受けた者の援護に関する特別措置法案外六件を一括議題といたし、質疑を続行いたします。質疑の申し出があります。これを許します。伊藤よし子君。
  3. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 私は、今回の災害特徴というものは、非常に民間の被害が大きかったということではないかと思います。尊いたくさんの人命を失ったことも特徴の一つでございます。その点につきまして、今度の補正予算災害関係のものを見ますと、いわゆる公共施設に対する復旧予算に比べまして、被災者に直接援護あるいは救助するもの、そういう予算が大へん少ないのではないかということを思うのでございます。後ほど大蔵大臣おいでになりましたら、その点について御質問を申し上げたいと存じますが、厚生大臣に、まずそういう土台から御質問を申し上げたいのでございます。     〔委員長退席綱島委員長代理着席〕  ただいま申し上げましたような意味で、今度の特徴といたしましては、個人の財産、個人生活が非常にたくさん被害を受けたという点でございまして、その人たちが、五十日たちました現在におきましても、水の中につかっておりまして、そうして水が引いたあとでも、再び普通の生活に立ち至るまでには、私は大へんなことだと思うのでございます。こういう人たち生活援護と申しましょうか、立ち上がりについて、厚生大臣はどのようなお考えを持ってこの災害対策をやっておいでになりますか、まず第一にその点をお伺いしたいと存じます。
  4. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 被災者に対しましては、現在、なおかつ水没され、あるいはまた、長期にわたって非常にお困りになっている方々に対しましては、災害救助法期限延長等をやっておるわけでございます。御承知の通り災害救助法によりますると、衣類あるいは食糧あるいは応急仮設住宅、こういりような十一種に分かれておるのでございまするが、いずれもこれらの点につきましては、増額ないしは追加配給を行なっておるような次第でございます。その他生活資金あるいは生業資金、こういうものにつきましては、世帯更生資金ワク拡大、あるいはまた償還年限延長、しかも生活資金に対しましては、月三千円から一万五千円に上げまして、三月間これを見るということにいたしたような次第でございます。母子福祉資金につきましても、同様にワク拡大いたしまして、そうして償還期限延長等もいたしたような次第でございます。
  5. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 今度の世帯更生資金につきまして、一億五千万円の予算がとってございますことも承知しております。しかし、また母子貸付金につきましても、政府の方では、ただいま大臣のおっしゃったように、ワクを広げているとおっしゃいますが、私は世帯更生資金につきまして調べましたところ、実際現地では、保証人が要るとか、いろいろな点で、ほんとうに必要な人の手になかなか渡ってないのが現状でございます。しかも、額は一万二千円が最高だったと思いますが、非常にわずかな額でございまして、従来も困っている上に、またこの災害を受けました人に対しましてはまことに少額であり、しかも借りたいと思う人の手に十分に渡ってないというのが現状でございます。なお母子貸付金につきましても、今度の災害特徴といたしまして、いろいろ現地で調べますと、非常に母子家庭の方の被害が多いわけでございます。これは考えてみますれば一当然なことでございまして、あの風水害のときにも、被害を防ぐ男手がないために、自然母子家庭の人が多く被害を受けているという結果ではないかと思うのでございますが、一様にだれでもこの災害によってどん底に突き落とされた中で、特に男手がなくて自力で更生できない母子家庭などにおきましては、長年子供などを育てて一生懸命で働いて、そして保護も受けないでやってきて、ようやく家を建てたというような人が、この災害によってまたどん底へ突き落とされて、そうして世帯更生資金などを借りに参りました場合にも、いろいろ私は現地新聞現地人たちに聞いてみましたところ、窓品等の扱いなどは非常に手続がむずかしかったり、あるいは不親切でございまして、それらの人が救われていないというのが現状でございます。こういう点につきましても、特に厚生省方面では、被災母子家庭にもっとあたたかい愛の手を伸べていただきますように私は希望するわけでございます。これは現地のどこでもいろいろそういう声を聞いておりますし、いろいろな資料を私も集めておりますが、特にこの点御注意申し上げたいと思うわけでございます。そういう意味において、まだまだ現在の世帯更生資金母子貸付金では私は非常に不十分だと思いますので、私どもが先ほど提案いたしました被災者援護法などが必要になってくると思うのでございますが、この点につきまして現状で十分だと思っておいでになりますかどうか、いま一度厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
  6. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 御指摘のように、災害発生以来非常に混乱をいたしておりますものですから、それらの世帯更生資金母子福祉資金等の借り出しにつきましては、手続上などにつきましても、いろいろな複雑性を加えたことであろうと存ずるのでございます。私どもは、これらの点につきましては、担保も必要としておりませんし、それから保証人等につきましても、なるべく早く手続が済ませるように、そういうような指導方針をとって参りたいと思っております。  特別援護法を設定したらどうかという先般来からのいろいろな御質問がございますけれども目下世帯更生資金母子福祉資金等によりまして一応間に合う程度は間に合わせてみまして、将来また検討いたしてみたい、かように存ずる次第であります。
  7. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 最初に申し上げましたように、今度の災害特徴といたしましては、一度に非常にたくさんの人命を失ったことでございまして、当然なことでございますが、両親を失ったり、また片親を失った子供たちや、あるいはまた働き手を失った家庭、老人だけ取り残された家庭などがたくさん出ていると思います。その中で、特にみなしごなどに対しましてはどのような措置厚生省としてはお考えになっておりますか、この点を伺いたいと存じます。
  8. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 このたびの台風によりまして、七号台風におきましては十八人の孤児を発見いたしておるのでございます。また、十五号台風におきましては百二十四人、合計百四十二名となっておるのでございます。これらは、いずれも親戚その他関係者のところに引き取られておりますけれども、それら以外の者につきましては、養護施設あるいは孤児院等におきましてこれを収容しておりますが、まだ応急避難所にいる者が多数ございますので、これらは万遺憾なきような地方庁との連絡をとりまして、今後この応急避難所の解消と同時に、しかるべきような措置を講ずる次第でございます。
  9. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 ぜひともただいまのような御趣旨において、この非常に気の毒なみなしごの人たちが、今後就学もでき、生活も立ち直るようにあたたかい、御配慮を願いたいと思うのでございます。それに関連いたしまして、現在愛知県に大府荘という結核療養所がございますが、新聞によりますと、そこに結核児童が療養しているわけでございまして、この結核児童の中にも、今度親が被災して送金が絶え、非常に困っている人たちがあるということでありますので、こういう人たちにつきましてはどのような対策をとっておいでになりますか。
  10. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 災害救助法によりまして、医療費全額国庫が負担しているような状況でございます。
  11. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 医療費のみではございませんで、親が被災したために、学用品にも困る入院児童ができているというようなことが書いてございますが、そういう点につきましては……。
  12. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 学用品支給単価値上げ等もいたしまして、十分な処置を講じているようなわけでございますけれども、しかしながら、このたびの特別交付税等によりまして、地方庁にまかせられた金額というものは四十二億にもなっておりますので、地方庁ともよく連絡をとりまして、万遺憾なきような手配をすることになっております。
  13. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 いま一つ私はお伺いしたいのでございますが、ただいま十万戸になんなんとするような人たちがまだ水没地帯におられますし、そしてまた水が引きましたあとでも、普通の生活ができるまでには、衛生上いろいろ大へんなことがあると思うのでございます。この間、私聞きましたところによりますと、鍋田あたり干拓地災害を受けた人たちのところには、現在でもまだ野菜などが不足いたしまして、十軒に大根が一本だというようなことを訴えていた方もございます。また私どもの平坂の奥田新田あたり人たちも、昨日あたりからようやく仮設住宅に入れたようでありますが、大へん不便なところでございますので、そういう野菜とか栄養の点では、今後まだ非常に心配な点があると思うのでございます。こういう被災地人たち栄養補給の問題などについて、特に厚生省ではお考えになっておりますかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  14. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 これは食費の単価をしばしば引き上げたようなわけでございます。当初五十円でございましたが、漸次長引くに従いまして、やはり栄養上、みそ汁も与えなければならない、塩イワシの一匹も差し上げなければならない、こういったところから七十五円にし、あるいは九十円まで増額いたしました次第でございまして、最低生活保護費の基準の線にまでややこれを近づけたような次第でございます。その他栄養剤につきましては、ビタミン剤その他につきまして、これは特別追加支給をいたしておるような次第でございます。
  15. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 ただいまのことに関連するのでございますが、大へん寒くもなって参りましたし、ほんの雨露をしのぐ程度仮設住宅に住む人たちは、いろいろ病気になったりすると思います。今までは、災害救助法によって、当座緊急のものは医療の点も見ていただけたと思うのでございますが、今後一応生活平常に戻るまでの問の医療方面について、厚生省ではお考えになっておりますかどうか、この点を伺いたいと思います。     〔綱島委員長代理退席委員長着席
  16. 高田正巳

    高田政府委員 今日まで災害に起因しました、あるいは間接に原因をいたしました疾病につきましては、救助法医療で見ておるわけでございます。ただ、御指摘冠水地帯等のことは、これは別といたしまして、すでに水が引いて期間も相当たつというふうな所の方々につきましては、災害救助法趣旨から申しますと、もう災害がありましてから五十日近くもなるわけでございますので、今日まで見るということが実は若干異例に当たっておるような事態でもございますので、適当な機会に、災害救助法医療ということでなしに、保険に加入しておられる方は保険の方で見ていただくとか、非常に生活程度が苦しい方は医療扶助で参るとか、あるいは医療費貸付の制度で参るとか、自分でお出しになれる方は出していただくとか、そういったような平常医療の方に切りかえねばならない、こういうふうに実は考えておるわけでございます。ことに、ただいま入院されておる方なんか非常に問題でございますので、入院方々はどういう実態であるかということを、若干現地の方で調べてもらっておるわけでございます。そこいらのところ、よく検討いたしまして、時宜に応じた措置をとって参りたい、かように考えておるわけであります。冠水をいたしておりまする地域は、これは何と申しましても災害救助法医療というものをもう少し続けなければならない、さような事情になっております。
  17. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 私は、ただいまおっしゃいましたように、緊急、応急の医療だけでなくて、今度の災害特徴といたしまして非常に長く水につかっていて、そうしてまた、これから生活平常に戻るまでも大へん長い時間がかかると思いますので、少なくとも半年以内くらいの間の被災による疾病に対しては、国家があたたかい手で無料でやってあげなければならないと考えまして、特にそういう意味で、先日私どもの方の提案いたしました罹災者援護法によりましても医療の問題を取り上げているのでございます。しかし、この点につきましては、あと八木先生からいろいろ御質問がございますので、私は八木先生の方にお譲りしてこの程度で私の質問を終わりたいと存じますが、特に最後に厚生省にお願い申し上げておきたいのは、自分で医療費を出せる人とか、あるいは自分で立ち上がれる方たちの方はまだよろしゅうございますが、今度の災害によりまして、いわゆるボーダー・ライン層の、今あたたかい援護の手を与えなければ、保護階層に転落する寸前の人たちが非常にたくさんあると思いますので、こういう人たちに、国としても保護階層に落とさないように、いろいろな点で御配慮願いたいと思います。この点を御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  18. 南條徳男

  19. 八木一男

    八木一男委員 厚生大臣に御質問を申し上げたいと思います。いろいろと分科会もあることでございますから、なるたけ大まかなことについて、一般的な御質問を申し上げたいと思います。  先ほど同僚の伊藤委員からいろいろと御質問がありましたように、今度の災害は、天災ではなしに人災だと一般的にいわれておるわけでございますが、それにつきまして厚生大臣はいかなるお考えか、伺いたいと思います。
  20. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 天災か人災かという問題でございますが、それは見ようによってはどうにも解釈できる。大きくいえば、非常に人命被害が多かったからあるいは人災ともいわれますけれども、われわれは、過去におきましてのいろいろな体験から見まして、今のところは天災として、これをできるだけ善後措置を講じていきたい、かように考えております。
  21. 八木一男

    八木一男委員 天災、人災という言葉はおかしな言葉ですが、風の吹くことに天災ですけれども、その被害を受けたということは明らかに人災であろうかと思います。その点についてもう一回御意見を伺いたいと思います。
  22. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 人命被害が非常に多かったという面から言えば、人災とも言えます。やはり、何といいましても天変の異変によって起こったものでございますので、われわれの処置並びに対策からいたしまするならば、やはり天災的な処置として、これに万遺憾なきような善後措置を講じたい、かように考えております。
  23. 八木一男

    八木一男委員 天災と人災の言葉の遊戯はどうでもいいのですけれども、とにかく政治の責任において、被害を最小限度に食いとめられなかったということは、もう天下の人が全部言っておるところでございますが、それを政府の責任者としてお認めにならなければ、これは重大なこうだと思うその政治の責任をお認めになるかどうか。
  24. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 政治的な責任におきましては、十分これは痛感をいたしております。今後の処置によりまして、今後かかるところの災害が起こらないように善処いたしたい、かように考えております。
  25. 八木一男

    八木一男委員 今後かかるような被害が起こらないように善処する、これはもう当然のことであって、そうなさらなければならない。ところが、そういうような政府のいろいろな施策が不十分であったために、災害を受けた人々に対する対策が完全でなければ、政府の責任は、政府としてのやり方は、非常に責任を果たしたことにならないと思いますが、その点についていかがですか。
  26. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 十分な処置を講じまして、政府の責任を今後どのように果たすか、そういうことにつきましては、関係各省とも十分協議いたしまして、万遺憾なきような応急対策、あるいは科学的総合的対策のもとに、今進めつつあるようなわけであります。
  27. 八木一男

    八木一男委員 言葉をそらしておられますけれども渡邊さんは厚生大臣ですから、所管のことに頭をいたされまして、頭をそちらの方に集中されて、そっちの方でお答え願いたい。公共土木災害復旧とか、改良復旧、あるいは治山治水、そういうようなことは必要ですけれども厚生大臣としては、国の責任において、被害が起こって国民が生活に困窮をしているという点に思いをいたされまして、対策を立てられなければいけないと思う。ところが、その点についていろいろと追及されるのが工合が悪いから、天災ともいえる、人災ともいえる、あるいは今後のこと、ということばかりに言葉をそらしておられる。厚生大臣は所管のことについて一番注意を集中して、そのことで、国の責任をいかにして償うかということをお考えにならなければいけないと思う。そう言葉をそらされないで、国民の今の困窮に対して厚生省としてはどのように考えなければならないか、考えてきたか、どのような対処をしてきたか、そういうことについてお答えをいただきたいと思う。
  28. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 先ほどの御質問天災か人災かというような御質問でございましたから、先ほど申し上げた通りでございますけれども、いわゆる厚生省所管ということになりますと、今後環境衛生の整備であるとか、伝染病の予防措置であるとか、あるいはまた今後の援護措置であるとか、生活困窮者に対する生活保護の問題であるとか、そういうような面につきましては、現在各方面から遺憾なきょう措置を識じつつあるような次第でございます。
  29. 八木一男

    八木一男委員 災害救助法延長等で、厚生大臣があたたかい配慮、迅速な処置をとられたということは認めたいと思います。この点の御努力については感謝を申し上げる次第でございますが、当面のことではなしに、災害の一カ月、二カ月のことではなしに、国民の生活の困窮というのは、半年、  一年、二年、三年、四年、五年と続くわけです。それについての援護措置を十分に考えておられない。世帯更生資金貸付金のワクをふやした——たった一億五千万円だ。そんなもので大ぜいの被災者生活が回復できますかどうか、そういう点についてお答えを願いたいと思います。
  30. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 その点につきましては、災害と関係なく、低所得者層に対する対策、あるいはまた、先ほど申しましたような今後の環境衛生施設の整備であるとか、あるいは伝染病対策であるとか、そういう面におきまして十分な措置考えておるわけでございます。また生活保護法の基準等につきましても、この間、第十五次改訂をいたしまして二・六%引き上げたのでございますが、来年度もこれをまた引き上げていきたい、かように考えておる次第でございます。
  31. 八木一男

    八木一男委員 低所得者階層の生活を立て直すということは、当然考えなければいけないことでございます。そのほか、社会保障制度全般が非常に不十分で不完全だという点は、厚生大臣がこれから本腰を入れて、ふんどしを締め直して急速に立て直さなければいけないことでございますが、それとともに、今度の風水害その他の被災による人のことをすぐ考えていただかなければならないと思う。大体憲法二十五条の精神に従った、健康で文化的な生活が国民に確保されてない部分が非常に多いことは、現在の政治の、あらゆる資本主義体制の欠陥であると思いますが、それを根本的に直すことが必要であるとともに、資本主義を認めておられる自民党側においても、憲法二十五条の社会保障制度その他の完全を期してやっていかなければならないのに、それが不十分、不完全、非常におくれているわけです。ところが、その問題はさておいて、個人がいろいろと努力をして、自分が健康で文化的な生活を建設している、あるいは今非常に貧乏であっても、それに向かって一生懸命個人的な努力をしておる。その最中に、今度の災害で一ぺんにみんな転落をしている。転落をしている理由は何か。防潮堤が非常に不完全であるのに、政府の方がそれをほったらかしておいた。国民はそれで安全だと思って、干拓地で一生懸命に営々として農業をし、あるいは名古屋の低地帯において商売をし、勤労をしておった。それが、災害に対する政府対策が非常に不十分、不完全、そういうことのために、国民自体の健康で文化的な生活を維持しようという努力が一ぺんにくつがえされたわけです。総体的に、すべての国民に健康で文化的な生活を維持しなければいけない、そういうふうにしなければいけないことは政府の責任であるけれども、それについて政府は今まで怠慢しごくであった。ところが、その一般的な問題と別に、もう一つ、今個人の努力で一生懸命生活を建設しておる人が、政府の無責任な態度で一ぺんに生活が根底からくつがえされた。それに対しての措置も何ら考えておらない。世帯更生資金貸付、母子貸付資金ワクだとか延長、それはけっこうであります。しかし、そのような一億五千万というような金では救われるものではありません。愛知県だけの数字を見ましても、災害全般が三千百二十九億という数字、その中で、民間災害が二千五百四十九億という数字が愛知県の報告に出ております。全国の数字はもっと大きいでありましょう。その中の二千五百四十九億というのは民間の災害、その中に部分的に保険その他で救われる道もあるでありましょうけれども、その大部分は救われておらない。公共土木施設あるいは農業施設その他について回復をされるのは当然でありますけれども、この一県だけでこのくらいな金額で、全国の金額は、厚生省はおわかりのわけであります。そのような大損害を受けた国民の生活に対して、もっと積極的な手を打たれなければ——たった一億五千万円の貸付、それも差し上げる金ではなく、貸付であります。あとで返さなければならぬ。そのようなことでほんとうに政府の責任が果たせたと考えられるならば、これはほんとうに重大な問題であります。それについて厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。
  32. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 八木先生の御質問は、緊急災害対策ということと、また恒久的ないわゆる低所得者対策、あるいは一般民生安定施策、こういうふうに両面から御追及のようでございますが、恒久的な民生安定施策といたしましては、やはり低所得者層に対するところの対策、それから国民皆保険の徹底、あるいは医療制度の普及、国民医療制度の完成、あるいはまた環境衛生施設の整備、あるいはまた公共共同施設、いわゆる同和地区などに対しますところの、あるいはスラム街などに対するところの対策等ともにらみ合せまして、将来国民生活が、できるだけ国家負担によって生活水準が少しでも楽になる、こういうような面から私は考えていきたい。当面いたしておるところの災害対策につきましては、先般来徐々と伸びておりますところの世帯更生資金、あるいはまた母子福祉資金、あるいはまたその他の医療金融制度の創設とか、中小企業対策とか、そういった面において広く包含していきたい、かように考えておるわけでございます。その他お気づきの点がありましたら、御意見として承っておきます。
  33. 八木一男

    八木一男委員 厚生大臣、私の申し上げたことをそらさないで御答弁願いたい。一般の低所得者階層とか、そういうようなことは、社会全体の低所得者をなくす、国民の生活を向上するという点で当然お考えにならなければならないことなのです。ところが、災害について、人災であるか天災であるか、政治の責任をお認めになるかといったことを、一般的な問題とそらされては困る。この災害被災地帯にある人は、山がくずれて埋まったり、海岸の堤防がくずれて全部流されたり、そういうことを予測しないで、そういうことは政府がやって大丈夫だ、ここに住むことを、退去せよと前にいわれておるわけではないのですから、大丈夫だと思って、そこに根をおろして一生懸命農業をやり、商業をやり、あるいは勤労をして、そこで自分の生活をさんざん四苦八苦して、自分の努力で建設をしてきたわけです。また建設途上であった。それがこの災害で一ぺんにくつがえった。一般的な貧乏をなくすのは、当然やらなければならない。ところが、この災害生活の基盤を失われた人に対して、その生活の基盤の立て直しをする措置をとらなければ、災害に対して政治の責任を感ずると言われた政府の責任は、解消しないわけであります。その意味で、災害で水につかっている、堤防がこわれ、山くずれがある、それの応急の災害救助はもちろんやらなければならない。世の中一般の貧乏をなくすことは、もちろんやらなければならない。その間に、政府の施策が悪いために、自分の個人的努力を全部くつがえされた国民のための生活の保障を考えなければいけないと思う。厚生大臣は苦しいお立場にあると思う。これは岸内閣総理大臣に申し上げるのが至当であるかもしれません。しかし、厚生大臣は苦しくても、その国民の声を、国民の代表の声を聞いて、今からでもすぐ内閣総理大臣大蔵大臣にひざ詰め談判をして、それに対処されなければならないと思う。予算はまだ通っておらない。たとい通っても、第二次、第三次の補正をするのが必要だと認めたら、政府予算がきまったからもうできないということではなしに、厚生大臣がほんとうに政治の責任を感ぜられるならば、今からでもおそくはないから、生活援護法律を出すなり、それとも与党を説得して、社会党提出生活援護法案あるいは生活保障法案に対して与党全員こぞって賛成しようではないか、そのような運動をせられなければいけないと思いまするが、それについての厚生大臣の御所信を伺いたいと思います。
  34. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 社会党のお考えになっておりまするところの援護措置法あるいは見舞金等につきましても、私どもは種々検討はいたしておりまするけれども、しかし、従来他のいろいろな火災あるいは地震等の場合に起きました例もございまして、今ここで特別援護措置法といったような予算措置は、今のところは、政府当局といたしまして検討はいたしておりまするけれども、具体的にはそれが出てこないような気がするのでございます。
  35. 八木一男

    八木一男委員 激甚地指定の問題でいろいろと問題になりました境目から落ちるところ、そこにも、局部的には非常に大きな被害があるところがある。そういうところを全部救うのが政府の責任であるけれども、今度境目が作られようとしておるわけです。境目については、私どもは非常に不満であるけれども作られる。極端に言いましたならば、災害で困った人が一軒でもあれば救わなければならない、それとの均衡があるから、水につかっても、家族が流されても、全部何十年の努力がだめになっても、その人を救わなくてもよいのだというのは政治ではない。バランスがくずれると思われるならば、全国の全部の被害者に対して生活保障をなさい。それが当面できないというのなら、この災害でほんとうにひどい災害をこうむった人々の生活をまず考えたらよいでしょう。それによって突破口を見出して、小災害であっても困った人々の生活を救う道を、ここでその礎石を作らなければいけない。こういうところでなければ、頑迷固陋の大蔵省の役人なんか聞きません。そういう連中を相手に、厚生省の立場から大蔵省と大げんかをして、この芽を出すのが今の時期ではないか。小さい災害との、バランスを考えるならば、それを徹底されるなら、即時に全災害に対する生活保障を国としてお考えなさい。それが今できないなら、この大災害に対してその芽を作る、ここで大蔵省の頑迷固陋な連中を説得して、佐藤大蔵大臣が何と言っても、辞表をたたきつけて大げんかをするような勢いで、その生活援護法を通す、そのようなお考えでやっていただかなければいけないと思うわけでありますが、それについて再度厚生大臣の御所見を伺いたいと思います。
  36. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 生活援護法につきましては、現在のいろいろな法規によりまして、別途十二分な対策を講じておりまするので、特別に見舞金あるいは援護法というようなものは、現在まだ考えられるところの段階までに至っておりません。検討はしてみましたけれども、今特別にその措置が出てこないわけでございます。
  37. 八木一男

    八木一男委員 厚生大臣が、財政とか何とかへったくれということでブレーキをかけておられますが、厚生大臣自体として、そういうものがあった方がよいと思うか、悪いと思うか、どっちかおっしゃって下さい。
  38. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 もちろん、それはあった方がよいと思います。
  39. 八木一男

    八木一男委員 厚生大臣の人間の善意を信頼したいと思う。あった方がよいのです。あった方がよくないという人があったらそれは人間ではない、日本人ではない、確かにあった方がよい。それが出てこない、できない、今政府としては考えておらない、検討中である、そのようなあいまいな返事をしなければならないのは、大蔵省の官僚が無理解であるからだ。岸内閣総理大臣が、災害に対してほんとうに国民に責任を負う気持を持っておられないからだ。それを直すのには、岸さんにも、佐藤さんにもわれわれは言わなければなりません。しかし、厚生大臣が本腰に決心して、岸、佐藤に対抗して、岸内閣の閣僚ではなしに、国民の閣僚としての決心、精神力を示していただかなければならないと思いまするが、それについての厚生大臣の御所信を伺いたいと思います。
  40. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 もちろん、全閣僚とも、できるだけあたたかい気持を持って、罹災者全般に対しての財政援護措置を講じたいということは、みな一致しているわけでございます。しかし、当面の財政上、できるだけの、最高の範囲におきましてとりつつあるのが、現行制度を生かしていきたい、こういう結論におもむきつつあるような状況でございます。
  41. 八木一男

    八木一男委員 財政上ということが逃げ言葉になっている。大蔵省の意見だけではなくて、閣議がある。閣議は、大蔵省の立場もありましょう、厚生省、労働省、農林省、建設省のあらゆる立場がある。今は大蔵省の中の主計局長が、内閣を支配しているような状況です。そういうことではいけない。政治は財政だけではない、政治は、財政のほかに、いろいろな面を含んでいる。民生安定の度は、財政よりももっと重大に考えなければならない。財政当局の小手先細工の今の赤字か黒字かというような問題、そういう問題ばかりを考えているようなことで、政治を動かしておられるのでは国民は救われない。財源はたくさんあります。社会党の組みかえ案をお読みになれば、幾らでも財源はある。あのほかにもまだあるのです。インベントリーなんか二千億ぐらいある、政府の保有されている金なんかの評価益を考えれば二百億は出てくる、接収貴金属の国庫負担分も幾らでもある。インフレに対処するには、このほかに金融措置考えればよい。もしそのようなことが起こっても、まず国民全般の負担で災害地の気の毒な人々が助けられるならば、そういうようなことを排除しなければいけない。財政当局は、実に小さな近視眼的に今ものを考えている。あらゆる政策についてそうだ。そのようなことをぶち破って、民生の安定という点から、閣議で大蔵大臣が何と言おうとも一人対一人ではないですか。佐藤大蔵大臣が岸さんの弟であろうと、そんなことは問題ではない。一対一の閣僚として、取っ組み合いでもしてがんばらなければいけない。それを今のようなことで、できませんというのは、財政当局の佐藤さんではなしに、主計局長あたりの——ことに、そういう連中は近視眼的で国民を思わない、ただそろばんじりを合わせることだけを考えている。日本の政治がそのような官僚に支配されているから、国民の生活が助からない。それを助ける役目は、厚生大臣や労働大臣、あなた方じゃありませんか。もっと決心をし直して、今からでも罹災者援護法をすぐ出す、時間的に間に合わなければ、社会党の案をそっくり政府案としてお出しなさい。そのような御決意を伺いたいと思います。
  42. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 先ほどから申し上げた通りでございまして、これは十分練りに練って検討いたした問題でございますので、直ちに今社会党案を採用できる段階ではございません。
  43. 八木一男

    八木一男委員 社会党案を採用することはできないと言われたが、政府自体で援護法案をすぐお考えになって、出されるのが必要だろうと思います。それについてのお考えを伺いたい。
  44. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 各種国庫負担増額等によりまするところの法案を用意いたしております。
  45. 八木一男

    八木一男委員 各種国庫負担増額というのは、公共土木災害とか、あるいは農業の施設災害とか、そういうものなんです。生活自体の法律はないわけです。世帯更生資金の一億五千万円の貸付ワクの増大、それはけっこうです。ないよりはけっこうですけれども愛知県だけで二千何百億という民間災害があるのに、一億五千万の、しかもこれは貸付ですよ、そんなもので救われると思われるのは、ほんとにおかしな話です。政府側の立場もありましょう。二千何百億、全部補償しろといっても無理でありましょう。しかし、少なくとも何百億ぐらいのことは、腹をくくって出されることが必要だろうと思う。閣議できまって、予算がきまっているから、人のいい厚生大臣に、こういうことを申し上げるのは無理を言っているように思われるかもしれませんけれども個人的な事情ではない、国民の生活を救うかどうかという問題なんです。であれば、閣議できまっても、すでに国会に提出をしても、ある程度審議をされておっても、国民のためには、間違っておればそれを修正しなければならない。そういうことのために、厚生省はもっとしっかりやってもらわなければいけないと思う。もっと具体的な点に入りまするが、そういう勢いで、今後厚生大臣として、最善の努力を急速にされるかどうかということを伺っておきたいと思います。
  46. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 厚生省所管につきましても、あるいはまた国務大臣といたしましても、最善の努力を尽くしたいと思います。
  47. 八木一男

    八木一男委員 もう一つ。社会党は罹災地の生活保障に関する法律案というのを提出いたしましたけれども、その内容について、厚生大臣御存じでいらっしゃいますか。
  48. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 概略存じております。
  49. 八木一男

    八木一男委員 で、それについての御意見はどうで、ございましょうか。
  50. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 先ほどから申し上げましたように、現在の制度、あるいはまた、災害救助法の内容その他の充実等によりまして、現在及ばずながらこれを増額、その他の措置によりまして対策を立てておるわけであります。
  51. 八木一男

    八木一男委員 厚生大臣、あんまり内容を詳しく御存じないようです。おせわしいから、お読みになっていないところは不満ですけれども、仕方がないとして、ちょっとかいつまんで申し上げますから、それで御意見をおっしゃっていただきたいと思います。いきなりお読みになっても、ちょっと回りくどく書いてあるのですぐわかりませんから……。生活保障に対する法案と申しますのは、端的に申し上げますと、生活保護法の臨時特例法案という内容を持っているわけです。生活保護法——実は民生安定の生活援護法、罹災者援護法が行なわれないと、非常に生活に苦しむ人ができるわけです。それで、生活保護法には、第四条に非常に過酷な規定がございまして、補足の原則というのがございまして、自分の財産とか、能力を全部活用したあげくでなければ生活保護法の適用を受けられない、第二項には、扶養義務者が扶養の義務を果たしてからでないとできない、というような非常に過酷な条件がございます。政府の施策は、ほかの施策が皆無に近いわけでございますから、そうなりますると、生活保護法によらなければ生活ができないという人が非常に多くなってくると思います。ところが、生活保護法にはそのような過酷な条件がありまして、特に災害地帯においては実情に適さないわけであります。その実例を申し上げますと、財産を全部活用しなければ、生活保護法の適用を受けられない。そうなると、今度の災害で、水をかぶって農地が全部だめになってしまう。収穫はないから、財産からの果実は生まれない。それを処理しようと思っても、そのような状態では、ほとんどただ同然にしか売れない。ところが、それが名目的に財産としてあるために、財産があるということで、生活保護法の適用ができないという法律の建前になっております。行政措置として、あたたかい気持を持っているお役人がたくさんおられるところでは、ある程度の配慮をして、時宜に適した措置をとっておられるかもしれませんけれども法律的には、そういうふうになっておるわけです。そうなれば、一番最低の生活を維持する生活保護法が、被災地帯の人には役に立たないということになるわけです。もう一つ、扶養家族の点であります。扶養家族は、三親等になりますれば、家庭裁判所の判決によってから扶養の義務が及ぶことになっております。二親等までは及ぶことになっております。二親等まで及ぶことになっておりますと、名古屋で被災した人がいる、兄弟で、東京でかつかつの生活をしておる、その場合に、東京の兄弟の扶養を受けなければ——それでは足りない場合にならなければ、生活保護法の適用を受けられないということになるわけです。ところが——高田さん、そこで大臣に耳打ちしないで下さい。それで、それには第三項という、かなりいい規定があるのですが、それがほとんど事実上適用がされていない。おそらく高田さんは、第三条の規定を知恵づけをされたと思う。第二項の方はそういうことですが、兄弟だから扶養の義務をやるのがあたりまえだという一般的の考えになりますが、その兄弟としても、突然の災害の場合は、精神的、物質的準備がないわけです。弟さんの一家が貧乏であるとか、あるいは病気で困っておるという場合なら、愛する兄弟の一家のために扶養しなければならないということで、精神的にも準備をし、物質的にも倹約をして、金を回す準備をしておるでしょう。ところが、突然——弟さんはしっかりやっておった、ところが突然の災害でそうなった以上は、兄さんの方は助けたいと思っておるけれども、前の月までは夫婦と子供一人で千円の間借りをしておったけれども、幸いいい住宅が見つかったから、四千円の家賃で生活を楽しむために入ったばかりである。ところが、四千円の家賃から千円の下宿にいきなり変えることは、急速にはできないわけなんです。あるいはまた、自分が死んだときに奥さんが困ると思って、生命保険に入った。生命保険に入ってその掛金を払ってしまったわけなんです。その掛金に対して証券担保貸付という制度があるけれども、一年間では、ほとんどこれは貸付限度にならない。三、四年かけなければならない。ですから、払ってしまったものは戻ってこない。弟が貧乏であればそういうことはしないけれども、普通にやっておったから、そういう生活設計をやっておったところ、突然、災害で弟一家が貧乏になった。そうなったら、兄さんはほんとうに弟一家を援助する意思があっても、すぐにそういう援助をすることができなくなる。そういうふうな、生活保護法には、欠点があるわけです。ただ第三項には、緊急な場合には生活保護法の適用を受けるという除外例がございます。これは非常にいい規定でございますが、十分に生かされておりません。しかも、それで適用した後には、扶養義務者からあとで返すことになっておる。ところが、扶養義務者は家賃を払ってしまったあとだ、そういうことでは返すのに非常に困難である。そういうように生活保護法に欠点がある。政府のあらゆる施策がとんでもない状態にあるために、生活の困難な人が、一番最終の段階である生活保護法の適用を受けて、それで辛うじて生活を保っていきたいと考えても、生活保護法の欠陥のために、災害地の人には実際的に役に立たないということが起こるわけでございまして、そのようなことは行政運用でやりたいというようなことをおそらく社会局長は言われる。そして、知恵づけをされた厚生大臣も言われると思いますけれども、行政運用では予算の範囲が限られておって、末端においてはほとんど役に立たない。ですから、法律的に、これは臨時立法でありまするから数カ月を限って、このような減価した財産は、一時的に財産とみなさない、扶養義務者も、一時的に、期間を限って扶養の義務を解除するというような措置をして、一番最低の保障である生活保護法の適用を受けるような措置をしなければ、被災地の人は全く助からないわけであります。そのほかの措置が全く皆無に近いときに、このようなことが考えられなければ、厚生大臣としても、責任を全うされて、いささかでも責任を果たされたことにはならないと思う。このような点について法律提出したわけでございますが、与野党とか、政府がといったような、くだらない制約を離れて、ほんとうに国民のためを考えられて、このようなことについて政府が御考慮をしていただいて、与党その他に働きかけられて、この法律だけでも賛成をされる、社会党の法律が、まだ欠陥があるというなら、政府みずから、一両日の間に、いや、一日の問にそれだけの法律を出される、そのような形式はどうでもいいですが、そのようなことで生活保護法の欠陥を埋めて、被災地の人が助かるような措置をとられるお気持があるかどうか、伺いたいと思います。
  52. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 生活保護法の予算については限られておりません。それから、運用面につきましては、そう過酷な行政指導はいたしておりません。でありまして、これが法律の運用面につきましての指導といいまするか、そういう解釈というものにつきましては、あと政府委員から説明いたさせますけれども、現在、たびたび申し上げまするけれども特別災害援助法というようなものは、現在の制度で間に合わせていく、生活保護法は、これは、それに該当する人があれば、幾らでも生活保護法でこれを間に合わせていきたい、かように考えております。
  53. 八木一男

    八木一男委員 該当する人があれば、とおっしゃいましたでしょう。その該当するという、その法律が過酷なんです。ですから、いかに厚生大臣が温情を発揮されても、そういう法律が過酷なんですから、どうにもならない。行政運用でやられる範囲も相当あるでしょうけれども、行政運用ということは、とにかく予算に縛られ、それから、末端の社会福祉事務所や何かが今までの過酷なやり方になれておりますから、幾らやったって過酷なんです。ですから、法律でがちんと縛って、過酷じゃないようなやり方をするということが喫緊の必要事だろうと思う。それについてのお考えを伺いたい。
  54. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 行政運用面におきまして、これはよく指導的な処置をとりたいと思います。
  55. 八木一男

    八木一男委員 指導的な、と言うが、それだけでは行政運用面で、扶養家族については追及をしない、減価した財産は財産としてみなさい、運用面で生活保護法の運用をしなければならないという通達を、直ちにきょうでも各末端機関に出されて、こうこうこういうものを出しましたということを、きょうの午後にもこの委員会に御報告になる、このようなお気持があるかどうか。
  56. 高田正巳

    高田政府委員 生活保護法の法律的な問題でございますので、便宜、私からお答えをいたしたいと思います。八木先生のお話でございますと、生活保護法は非常に血も涙もないようなことに響くのでございますが、決して法律そのものはさようではございません。また、実際の運用も、先ほど御引例になりましたように、東京に兄弟がおって、御指摘のような例がある、そうして、被災地災害を受けられたその人が非常に生活ができなくなったというふうな場合におきましては、東京の兄弟から援助を受けなさいということで、それを保護しないというようなことはいたしておりません。御存じのように、生活保護法は、世帯単位で運用をいたしております。従って、御引例のようなこともございません。なおまた、畑が全部水をかぶりまして全然収穫が皆無である、しかるに、その畑を売らなければ保護をしないというようなこともいたしておりません。これは、もちろん銀行に預金がうんとあれば別でございますが、さようなものがない場合に、砂をかぶった収穫皆無の畑を資産と見て、これを売却しなければ保護を開始しないというような運用はいたしておらないつもりであります。なお、御指摘の四条の三項というふうな規定もございますので、私どもといたしましては、こういう災害等の場合におきましては、十分法の期待しておりますような運用をいたして参りたい、かように考えておるわけでございます。
  57. 八木一男

    八木一男委員 今社会局長からお答えになったけれども、この委員会の場では、非常にきれいな、いいことをおっしゃる。ところが、たとえば、結核患者の医療扶助について、今まで適用されている人が、北海道に兄弟が見つかった、だから、それに扶養してもらいなさいということで、打ち切るということが再々行なわれている。すでに適用をされている人までその近親を見出して、そういう連中に扶養してもらわなければいかぬ、切ってしまうぞということをやっているわけです。ですから、適用を最初にするときに、今高田さんのおっしゃるような、そんな非常に心やさしいことが全国で全部行なわれているわけじゃありません。その中で、いい運用をしておられる末端の人もないことはない、あることはあると思いますけれども、大体においては非常に過酷なんです。過酷な原因は、厚生省生活保護法の予算に関係するわけです。予算が割に楽なときは、やっぱり人間はあまりひどい顔はしたくないから、割にいいことを言う。予算が縛られてくると、今度は猛烈に過酷になって、今までやっていることまでぶち切ってしまうということをやっている。ですから、ここで一つ二つのいい例を言われても、そういうことは国民は信用しない。もし、社会局長が言われることに厚生大臣も同じ意見であれば、即座に——われわれはそれでも満足しませんけれども、少なくとも、政府としての誠意を示されるために、直ちにきょうでもはっきりした通牒——そういう減価したものは、一切財産として見て生活保護法適用のブレーキにしてはいけない、親等を追わない、扶養の義務者を追わない、そして、その手続生活保護法の適用がおくれるようなことがあってはならないというような、強力な通達を本日でも起草されて、本日の委員会にでも提出して、こういうふうにいたしましたということを言われるのならば、十分の一くらい政府の誠意は認めたいと思いますけれども、口でそのことを言われても、国民は納得するものではない。そのような用意があるかどうか、厚生大臣社会局長からお答えを願いたい。
  58. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 同じことを繰り返すようでございますけれども、この予算には縛られておりませんから、過酷な取り扱いはさせないように、できるだけ指導していきたいと思います。
  59. 八木一男

    八木一男委員 指導をなさるお気持があるんなら、前にそういう通達を出されても、重なってもいいです。災害地については、非常に困っているのだから、減価した財産は財産として認めてはいけない、一親等、二親等、そういうところまで扶養義務者を追って意地悪をしてはいけない、そういうことのために適用をおくらせてはいけない、まず、適用をすぐしなければいけないというような通達を出されなければ、今の御答弁は口頭禅なんです。そのくらいのことは出せるはずです。厚生大臣が決心したらすぐ出せる。文案くらいは、社会局長考えれば十分で考えられる。そういうことを、きょうすぐ出されるかどうか。
  60. 高田正巳

    高田政府委員 災害地に関連いたしまして、生活保護法の運用につきましては、すでに通牒を出しております。さらに、平素から、生活保護法の運用につきましては、詳細な通牒も出ておりますし、取り扱いの、いわゆるマニュアル的なものも完備しております。従って、今回の災害の後におきまして、今回の災害について、特に保護の敏速、的確を期するようにという趣旨の通達を出してありまするので、さらに重ねて、今御指摘のような通達を新たに出す必要はない、私はかように考えます。
  61. 八木一男

    八木一男委員 社会局長の御答弁は、ああいう御答弁です。厚生大臣は、また、努力をするというだけです。通達みたいなものは、何回出したってかまわないのですよ。大体通達を出しておられると言うけれども、私が知っている例で、ある小さな村で、災害後に十二件生活保護の申請をしたら、適用になったのは一件だけだ。そんなものは十全の措置とは言えない。通達を出しても、末端では行なわれていないのです。そうしたら、通達を出すくらい何ですか。文案を十分間くらいで考えて、厚生大臣が判を押して、郵便配達するくらいのことはすぐできるじゃないですか。それもしないというところに、ほんとうにしようという気がない。議会だけはごまかしておいて、あとはいいかげんにごまかしてしまえという精神が厚生大臣にあるのです。二度出したらどうですか。今すぐ文案を考えて、午後の委員会にこういうことを出しましたという御報告をなさい。それについて厚生大臣の御意見はいかがですか。
  62. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 先ほど申しましたように、通牒を出すということになりますと、あるいは法律を誤解するような面がなきにしもあらずでございますから、今の法律を十分に生かす、運用するという範囲におきまして、できるだけこれは指導していきたいと思っております。今、事務当局から申しました通り、すでに災害地につきまして通牒を出しておるということでございまするので、その点は十分に一つ政府を御信頼願いたいと思います。
  63. 八木一男

    八木一男委員 それでは、出した通達を、午後の委員会提出していただきたいと思います。これは資料提出要求であります。  それから、もう一つ。この法律ワク内で、とおっしゃったが、その法律ワク内では、ほんとうに救われない。社会局長がそういうことを言っておられるけれども社会局長がそういうふうにやってきた。やってきたのは、いいと思ってやってこられたのでしょう。それを法律的に裏づけされる方がずっといいわけです。そんなことを反対される理由は一つもない。やってこられたのがいいと思っていれば、ややこしいことを、法律的に確定させた方がずっといいわけです。そういうことについて、厚生大臣、今の場のがれじゃなしに、ほんとうに考えていただきたいと思う。社会党の案に固執はいたしません。けれども、そういうようなことを法律的に確定する、そういうような意思がおありかどうか。
  64. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 今、直ちにというわけにもいきませんが、十分御意思を尊重いたしまして、近い将来の問題として考えていきたいと思います。
  65. 八木一男

    八木一男委員 ほかにも御質問があり、建設大臣も来られたようですから、締めくくりをつけます。締めくくりといっても、まだ一、三別な点があるのですが、急いで申し上げます。  さっきの、被災者援護法も、今の生活を保障する法律も考慮すると言われますが、この点は、罹災者ですから、今までのところは災害救助法の問題で、これから半年、一年の問題は、その問題なんです。これがおそくなったのでは、全然意味をなさない。これは急速に考慮をして、急速に推進をして、急速に実施してもらわなければならないことなんです。通常国会のまん中辺に考えるのだが、どうだというような御答弁では、これは問題にならない。少なくとも、臨時国会の、あと二、三日のうちに、どういうふうにします、予算はこういうふうに変えさせるようにいたします、そのくらいの御答弁をいただきたいと思います。そういう最大の御努力、急速な御努力をされるかどうか、それについての御意見を伺いたいと思います。
  66. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 御意見は十分に尊重いたしまするが、あるいは……。
  67. 八木一男

    八木一男委員 が、は要らない。尊重いたしますだけでいい。あとは要らない。それから、保険料の免除、あるいは、また本人の一時負担分の減免、それについて補てんされる法律政府は出しておられる。これは非常にいい法律だと思います。厚生大臣もいい法律として、確信を持って出されたと思いまするが、それについての御所見を伺いたい。
  68. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 これは被災地におけるところの救済施策として、当然の処置として提出をいたしたのであります。
  69. 八木一男

    八木一男委員 厚生大臣は確信を持っておられて、私もそう思う。それはいいのです。ところが、さっきおっしゃったように、政府の方では、何でもバランス、バランス、ほかとのつり合いとか、公正とか言われる。ところが、この法律はいいのですけれども、ほかとのつり合いが全くとれておらない。国民健康保険被災地の困っている人が医療を受けるときに、本人負担分があったら困るから、減免することができる規定がある、この規定を適用させるように政府は財源の補てんをする、保険料の免除に対しては補てんをする、非常にりっぱなことであります。その程度では不十分だと思うけれども、まあ、趣旨としてりっぱだ。ところが、国民健康保険だけではない。健康保険もあれば、日雇い労働者健康保険もあれば、船員保険もある。そういうものに対して、同じように本人負担分——健康保険制度は本人は十割だというけれども、家族はそうではない。家族は平均五割です。その人たちにも本人負担分を減免してやる措置、その人たちにも保険料を免除してやる措置、これを考えなければ公平じゃないわけだ。その点をなぜ忘れられたか。忘れたつもりで、ほんとうは気がついたけれども、大蔵省の圧力によってほったらかしたのかどうか、それについても伺いたいと思います。
  70. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 専門的なことでございますから、便宜、私からお答え申し上げます。八木委員もすでに御承知の通り、国民健康保険においては、建前といたしましては、給付は全部やる建前であります。ただ、原則として、そのうちの五割は一部負担として患者から医療機関の窓口に払うように、こういうふうになっております。従いまして、もし、その一部負担を払えないような事情が出ました場合においては建前がそういう建前でありますからには、保険者の方で何とかこれを手直しをする措置を必要とするわけでありまして、そういうようなために、もし、納められないような事情がありました場合においては、保険者がその一部負担金を減免するということについて、それを保険者がみずから負担する、こういう建前をとっておるわけでございます。従いまして、その建前のもとに保険財政で負担するわけでございますが、今度のような大災害がありました場合、私どもがそのためにふだん予定しておりました予算では足りない場合が出てくるということを考慮いたしまして、今回の措置をとったわけでございます。これに反しまして、健康保険日雇い健康保険という、いわゆる被用者保険の制度におきましては、建前は、本人については保険で見る建前でございますが、家族、被扶養者の分につきましては、大体被扶養者が払っていただくという建前の上に立ちまして、そのうちの五割を補助する、こういうふうになっておるわけでございます。五割という点だけを見ますれば、どちらも同じように考えられますけれども、その建前は、今申し上げましたように、片一方においては全部給付することを建前として、それができない場合、そのうちの半分を本人が払う、払えない場合に保険で見る、片一方の場合は、そうでないわけでありまして、建前が違いますから……。
  71. 八木一男

    八木一男委員 そのことは知っております。それで、厚生大臣に今度はお答え願いたい。今、建前はそうなっておるのですが、法律の建前は、国民健康保険の方がその点でよかった。健康保険、日雇い労働者健康保険、船員保険にはそういう建前がないことは、間違いだと思う。法律の字句なんか、建前はどうでもいい。国民健康保険で、減免分あるいは保険料免除分について国庫で埋め合わせをしようということは、こういうような大被害が起こったら、減免しなければならない状態が多く起こるであろう、それで国民健康保険の減免が発動するだろう、国民健康保険財政が困るから補てんをしようということになるわけです。その政治の筋道は正しいのです。そうなれば、健康保険法律上の建前はどうであろうと、特例法を一ぱい出しているのですから、五割給付というのを十割、全額または五割以上、一定期間被災地に対して給付することができる、そのような法律を出すことは、三十分も法制局が考えればできることです。そういうふうにしてバランスをつけなければならない。国民健康保険特例法を出している以上は、健康保険なり日雇い労働者健康保険の給付の特例法を出しても、ちっとも悪くないわけです。それが考えられておらない。特に、国民健康保険よりは、健康保険政府管掌の方が貧乏な人も多いわけです。特に日雇い労働者健康保険の対象者の人たちは、総体的に国民健康保険よりも貧乏です。そういう人たちに減免の措置がとられない。給付の本人負担分についても、保険料についてもそういうことはとられない。これでは全く政治の片手落ちになるわけです。これは、厚生大臣は御就任後まだ時間がそんなに長くありませんから、各社会保険法律の組み立て方の違いまで御検討になっておられぬと思いますけれども、大衆に対して非常にあたたかい気持を持っておられる厚生大臣としては、法律の組み立て方ではなしに、国民健康保険の被保険者に、普通は、平均五割給付のところが十割給付までなることがある、八割、九割までなることがある、保険料も免除してもらうことができるということになっているのに、それよりも貧乏な日雇、労働者健康保険の対象者、被保険者が保険料も免除してもらえない、家族が病気になったとき、七万か十万の手術を、五割しか給付がないから、あと五万円の金がないから手術が受けられない、家族が死ぬのを、みすみす見ていなければならない、そういう状態であってはならないということをお考えであろう。そういう点について厚生大臣の——これは政府委員の御答弁は要りません。厚生大臣の、ほんとうに政治家としてのお立場からお答えを願いたいと思います。
  72. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 現在の法律上、八木委員も御存じの通り、やむを得ない処置と思っておりますが、将来の問題として検討してみます。
  73. 八木一男

    八木一男委員 現在の法律上で、国民健康保険は財源の補てんに特例法を出しているのですよ。健康保険や日雇い労働者健康保険の給付率を上げるような法律は、三十分あったらできますよ。私が作ってみましょうか。作って政府案として差し上げましょうか。する気があったらすぐできる。それをなさる気があるかどうか、政治家としての渡邊さんの御答弁を願いたい。
  74. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 最初に、私の方から……。健康保険の被扶養者については、先ほど申し上げましたように、本来は、本人が持つべきだという建前の上に立ちまして、しかしながら、保険の方で五割補助する、こういうことであります。それについて、ただいまの困った場合においては、その五割の補助をもっと上げたらどうだという御趣旨だと思いますが、この困るという事情につきましては、御承知のように、いろいろの場合があるわけであります。災害の場合もありましょうし、その他の突発事故でお困りになることもありましょうし、ふだんの生活においても困ることがあろうと思います。従いまして、私どもといたしましては、その五割の家族に対する補助率をできるだけ引き上げていきたい、こういう努力はいたしたいと思いますけれども、この点に関しましては、災害であろうと、あるいはふだんの極貧の場合であろうと、同じであろうと思いますので、これは将来検討して参りたいかように思います。
  75. 八木一男

    八木一男委員 一般的な社会保険が全部不十分である、政府がなまけておった、それを反省してよくしようということと、ごちゃごちゃにしてもらっては困るのです。さっきから言っているように、災害で、国がそこに住んでいるのに退去しろとはちっとも言わなかった、そこで働いておったのです、それでひどい目にあったのです。そのときに、そのくらいのことをするのはあたりまえじゃないか。しかも、国民健康保険の対象者に対してはしておきながら、それよりも貧乏な対象にはしない。法律を作るなら、すぐできる。はっきり言えば、今の経過を見ると、厚生大臣は知らなかったと思う。厚生省の各局の担当者がぼやぼやしていたわけです。厚生大臣は、そういう担当者がぼやぼやしたことを今埋め合わせるために、すぐそのことをやります、局長が何と言ってもそういう御答弁をなさらなければ、ほんとうの厚生大臣の責任は果たされない。公平にやりますとかなんかいっているけれども、こんなに不公平じゃないか。厚生大臣のお考えを伺いたい。
  76. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 将来の問題として検討いたします。
  77. 八木一男

    八木一男委員 将来の問題として検討しますといっても、災害は今の問題ですよ。厚生大臣、ほんとうにお願いしたいのですがね。厚生大臣、これは岸内閣総理大臣佐藤大蔵大臣に言いたいのだが、あの連中は逃げてしまって来ないから、しょうがないからやっているので、厚生大臣は、岸や佐藤よりおれは国民を考えているという決心を持たれたら、私が申し上げたら、それでは岸も佐藤も説得してみせる、やってみせる、そのくらいの考え方を見せなければ、国務大臣として恥ずかしいじゃないですか。その御決心を伺いたいと思います。
  78. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 御意見を十分尊重していきます。
  79. 八木一男

    八木一男委員 だいぶ荒っぽく言いましたけれども厚生大臣は国民に対して非常にあたたかいお気持がある。それのブレーキをかけているのは大蔵省であります。それから、そのブレーキをかけることにいささか協力しているのは、厚生省の各部局の方であります。各部局の方は非常に熱心にやっておられるけれども、大蔵省の壁が非常に厚いものですから、途中でぐたっとしてしまう。そんなことではいけない。厚生大臣以下全部辞表をふところにして、岸内閣総理大臣にたたきつけるぐらいの勢いでやらなければ、大蔵省の主計局みたいなわけのわからぬ連中は押しまくることができない。そのような考えで今後やっていただかなければならないと思う。  その次にごく簡単に申し上げます。母子福祉資金貸付特例法がございますが、あの特例法の中では、被害を受けた人ということになっている。ところが、中には、家が幸いにしてアパートの二階で家財が流れなかったというふうに、直接被害を受けなかったけれども、その回りの地帯で内職その他をして細々と暮らしておった母子世帯で、仕事がなくなって経済的に困ってしまって、生計が成り立たないという人もあると思う。ほんとうの直接被害を受けた人は気の毒だけれども、しかし、そのような細々とした母子世帯の人は、自分の家のささやかな家財が流れなくても、一年間、二年間にわたって内職その他の仕事がなくなるということは困る。これこそ法律の運用でできる。母子福祉資金貸付の据置期間の延長、そういうものは、被災地帯にあって生活の方途を失った者とか、生活困難をきわめている者、そういう者については、直接被災者でなくても、これも適用する道を開いていただきたいと思う、それについての厚生大臣のお答えを伺いたいと思います。
  80. 大山正

    ○大山政府委員 お答えいたします。ただいまお話にありました通り被災母子家庭に貸し付けるわけでありまして、個々の貸付につきましては、各府県にあります児童福祉審議会が認定してきめることになりますので、ただいま御質問のありましたような事例につきましても、被災の事実があれば、当然貸し付けられるものと考えます。
  81. 八木一男

    八木一男委員 ああいう形式的な答弁をするわけです。だけれども、これは大したことはないのですよ。これは貸付ですからね。上げてしまうものではないのです。これこそ、厚生大臣がやると言ったらすぐできる。被災者と同様に生活に困った者は、今度の特例法で、据置期間が少し長くなった、有利になったものを貸す。これは貸す金で、上げるものではないから、これは即座にすると言っても、大蔵省は文句を言ってこない。あんな連中はわからないし、わかっても文句は言わせないから、厚生大臣は、この際、そのぐらいのことはやると言ってもらいたい。児童局長が何と言っても、厚生大臣の決裁さえあればできます。
  82. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 運用面で、ぜひ考慮いたしましょう。
  83. 八木一男

    八木一男委員 もう一点だけで終わります。  それから、お考えをいただきたいのは、先ほども与党の江崎さんとお話ししておったことですが、福祉年金がありますね。国民年金法の福祉年金は、昨年度の収入によって査定されて、それで福祉年金をやることになった。ところが、実際に災害を受けたところの老人とか障害者とか母子家庭、これは今非常に困っておるわけです。こういうことも、行政運用で、災害の場合だけ特別に、本年は非常に収入が減ったのだからというこりとで、昨年は収入があっても、今年は収入がないところへ福祉年金を老人とか障害者とか母子家庭なんかに差し上げる、これくらいのことは、行政運用で厚生大臣は御決断できると思いますが、そういう点についてのお考えを承りたい。
  84. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 そのような御意見も各方面から起こっておりますし、これは今やりますには法律の改正を待たなければなりませんので、それで目下検討しております。
  85. 八木一男

    八木一男委員 それじゃ、それをやられるように進めておられるわけですか。
  86. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 前年度の収入、こういうことにおいて法律の内容はきまっておるので、法律改正をやらなければ繰り上げ支給ということにはなりませんものですから、それで法律を改正すべきかどうか、こういうことにつきまして今検討しております。
  87. 八木一男

    八木一男委員 それも特例法でやれば、わけはないですよ。特例法で、今のような法律の建前であってもやっているわけでありますから、これは、とにかく至急にやっていただきたい。それから、全般的に、そういうことが起こったときには、そういうふうに、前年度の収入があっても、今年収入がなかったら適用するという、根本的な改正もしていただきたいと思うのですけれども、すぐ間に合うように——これは、福祉年金は十一月から始まって、ほんとうに受け取るのは二月ごろになりますが、とにかく、それに間に合うように、そういう処置をしていただきたい。間に合えばけっこうです。間に合うように処置していただくようにお願いしたいと思うのですけれども、それについての御意見を伺いたい。
  88. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 十分検討してみましょう。
  89. 八木一男

    八木一男委員 それから、一番最後にお願いをしたいことは、いろいろと罹災者援護法とか、今の生活保障の法律について考えていただくということで、けっこうで、どんどん考えていただきたいと思いますが、今までいろいろな諸立法があったところの人は、それを災害地について拡大するとか、そういうようなことで救われる率が多い。そういう対象がない人は救われないわけです。そういうことで、社会保険の中で、失業保険なり健康保険の適用を受けておらない部分がずいぶんあるわけです。特に、これは奈良県の場合ですけれども、奈良県の災害、山の災害で交通が分断されて、そこの産業の大部分は木材の伐採と搬出なんですが、全部産業が二、三年とまるわけです。私有山林で、国有山林じゃない。日雇い形態でございますから、そういうところの人は賃金がストップになる、失業保険がもらえない、健康保険がないということで、非常に困るわけです。こういうことについて松野労働大臣に申し上げましたところ、失業保険の適用をさせるように、至急検討してみるというお話でございます。それに合わせて、どうか厚生省の方でも、健康保険の適用を至急御検討になって推進していただきたいと思います。今、擬制適用の制度もございますから、これは厚生省の方がやりやすいわけです。一つ御検討になって、できるだけ御推進を願いたい。これはお願いでございまするが、それについての厚生大臣のお答えを承りたい。
  90. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 御意見は尊重いたしまして、検討いたしましょう。
  91. 八木一男

    八木一男委員 どうも長々御質問申し上げまして、大へん荒っぽいことを申し上げましたけれども厚生大臣は国民の福祉を考え厚生大臣であると確信をいたしまして申し上げましたので、その点について御理解をいただきまして、どうか総理大臣とか大蔵大臣には、国民の立場で強力に推進していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  92. 南條徳男

    南條委員長 それでは暫時休憩いたしまして、午後は一時三十分から正確に開きます。大蔵大臣がその時間に出席することになっております。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時三十九分開議
  93. 南條徳男

    南條委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた医療機関復旧に関する特別措置法案、並びに岡本隆一君外十六名提出昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害による消費生活協同組合の協同施設等災害復旧に関する特別措置法案を議題といたします。
  94. 南條徳男

    南條委員長 両案については、法案趣旨について提出者より説明を求めます。内藤厚生政務次官
  95. 内藤隆

    内藤(隆)政府委員 ただいま議題となりました昭和三十四年八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた医療機関復旧に関する特別措置法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。この法律案の内容の第一は、公的医療機関に対するものであります。本年九月の風水害を受けた地域に存する都道府県立、市町村立等の公的医療機関につきまして、その災害復旧費に対し、国がその二分の一の補助を行なうことができるようにいたさんとするものであります。ただし、国民健康保険法により国の補助を受けることができるものに対しましては、現行制度と同様に取り扱って、この規定の対象外といたしております。  第二の内容は、私的医療機関に対するものであります。本年八月の水害または本年八月及び九月の風水害を受けた地域に存する私的医療機関災害復旧費につきましては、特別な金融の措置をとることとし、政令で定める金融機関から、他の法令の規定による制限を越えて、かつ、通常よりも有利な条件で、貸付を受けることができるようにするものであります。なお、政令で定める金融機関としましては、中小企業金融公庫及び国民金融公庫を予定しておりますが、医療事業の公益性と医療機関復旧の緊要性とにかんがみまして、貸付利率、償還期限等についても、特別の考慮をいたしたいと考えております。  以上の措置によりまして、災害を受けた病院及び診療所につきまして、その災害復旧の促進と円滑化をはからしめようとするものであります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  96. 南條徳男

    南條委員長 次は、岡本隆一君より説明を求めます。
  97. 岡本隆一

    岡本(隆)議員 私は、日本社会党を代表して、わが党提出昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害による消費生活協同組合の協同施設等災害復旧に関する特別措置法案に関しまして、提案の理由及び内容のおもな点を御説明申し上げるものであります。  消費生活協同組合の今日の活動状況を見ますと、組合数千三百、実働組合における組合員総数は三百万人に達し、その年間総事業量は三百五十億円にも上るのであります。特に最近は、地域において拡大の傾向にあり、こうした活動が、消費者の生活の安定向上に寄与していることは言うまでもありません。  去る七月、八月、九月の風水害は、これら組合の協同施設等に対して小なからぬ被害を与えました。この災害復旧を早急に行なわなければならないことは、今日の組合活動が消費生活の中に占める意義からして当然であります。  従いまして、すみやかに災害復旧を行ない、罹災組合をして事業の円滑な運営を行なわせるため、この際施設復旧に必要な資金について国が貸付金額のワク拡大することがぜひ必要であろうと思うのであります。  これが本法律案を提案するおもな理由であります。  次に、法案の内容を簡単に御説明申しあげます。  第一に、この法律の目的と対象でありますが、本年七月、八月、九月の風水害を受けた地域において被害を受けた消費生活協同組合で、生協資金貸付に関する法律の適用を受けている協同施設等について、災害復旧に関し特別措置を講ずることといたしました。  第二に、右の趣旨に沿いまして、都道府県による協同施設及び加工、生産施設への設備資金貸付金額に対する国の貸付率を三分の二に引き上げることにいたしました。  第三に、物資供給施設についても、同様に国の貸付率を三分の二に引き上げることにいたしました。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。      ————◇—————
  98. 南條徳男

    南條委員長 ただいま提案理由の説明を聴取いたしました両案も含めまして、午前に引き続き質疑を行ないます。伊藤よし子君。
  99. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 ちょっと一点だけお伺いしたいのですが、これは私の愛知県の矢作川についての事例でございます。私はこういう問題が各地にあると思いますので、建設省の御管轄だだと思いますが、一つの事例をあげまして、今後どのように御対処なさるか伺いたいと思うのであります。それは矢作川の上流に藤沢というダムがございまして、その下の方に平戸橋というダムがございます。これは中部電力のダムでございますが、その藤沢ダムが、今度の風水害による急の増水によりまして、ゲ—トをあけたわけでございす。そのときに平戸橋のダムの方は締まっておりましたために、その藤沢から平戸橋に至る沿岸の部落にかつてない浸水がございまして、ところによれば、がけくずれ等によりまして、風水害のひどい時間が済んで、夜中になりまして家が倒れましたり、急に浸水して参りまして、非常に付近の住民が困った事態がございます。その平戸橋の下の方に明治用水という、これはダムと申しますか、堰堤がございます。それがやはり平戸橋ダムのゲートをあけまして、そしてまた下の方の水源の堰堤のゲートがあいておりませんでしたために、その沿岸にあります豊田市におきましては、ほとんど堤防がかぶるような水が出まして、そして非常な危機が伝えられまして、一時夜中に緊急避難なんかをいたしました。幸い堤防はくずれませんでしたが、こういういろいろな事態から見まして、そういうときに電気もとまりますし、何か緊急に連絡ができて——私は専門的なことはわかりませんが、順序よく、ゲートをあけるとか、そういうことができれば、そういう被害も最小にとどめることができるのではないかと考えるのでございます。このような事態は、昨年和歌山県と三重県の熊野川へ参りましたときにも伺いました。ダムのゲートをこういうときにあけるというようなことによって、下の方の部落が思いがけない、予定しないような水害を受けたというような事態がございます。今後、そういう事態について何とかそういう被害が出ないようにお考えになっているかどうか、その点について一つだけ伺っておきたいと思うのです。
  100. 村上勇

    ○村上国務大臣 ただいまの矢作川におけるダムの門扉の点につきましては、これはそういうことはできないようになっておるのでございます。上流の堰堤で開く場合に、下にもあるあれを置いて、そういうことのないように、全部門扉を開いて自然に流していく、あるいはまた降雨の調整のために、何時間、雨量幾らまでは門扉を開けないで貯水して随時流していくとか、そういうことはちゃんと一つの指令というか、一つの常識になっているのでありますが、しかし、それがもしも今御指摘のようなことがありましたならば、一応私どもの方でも十分調査いたしまして、その上で御返事いたしたいと思います。
  101. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 ただいま大臣がおっしゃいましたように、上の方の部落では、平戸橋のゲートが豊田市を守るためにどうしてもあけられなかった、そのために逆流いたしまして、——これは事実でございますけれども、かつてない、思いがけないところに大へん浸水やがけくずれ等による全壊の家屋などを出しました。幸い人命には影響ございませんでしたけれども、そういう事態がございます。よく御調査の上——また緊急なときに電気なんかは消えますので、連絡ができないような事態があるのじゃないかと思うのです。そういうときに、無電装置とか、何かそんなことで今後そういう事態の起こらないように、いろいろ対策を練っていただきたいと思います。
  102. 村上勇

    ○村上国務大臣 御指摘の点は十分検討いたしまして、手配いたしたいと思います。
  103. 南條徳男

    南條委員長 この際、佐藤大蔵大臣より、災害対策特例法の適用地域の指定基準について説明したいとの申し出がございます。佐藤大蔵大臣
  104. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 激甚地地域指定の基準について、御説明をいたしたいと思います。  激甚地地域指定の問題は、今回の災害対策特例法適用の基幹をなす問題でございますので、私どもも、関係各省あるいはまた与党方面ともいろいろ協議もし、また、実情につきましても、十分調査を遂げて参った次第であります。そのために、大へん御審議に支障を来たしましたことを、私自身遺憾に存じております。それにもかかわりませず、皆様方から十分御協力を賜わりまして、調査、協議に遺憾なきを期するだけの時間をお与えいただきましたことを、厚くお礼を申し上げます。つきましては、内容について御説明いたします。  公共土木施設及び農林水産施設災害特例法は、すでに災害対策特別委員会において御審議を願っているところでありますが、これらの特例法の適用地域の指定基準につきましては、予算編成当時から各省において慎重に検討をして参りました結果、次のような基本方針に基づいて決定することとし、大略の成案を得ましたので、御報告をいたします。すなわち、基本方針として、第一に、今次災害の実情を見まするに、公共土木施設、農林水産施設、公立文教施設、その他各施設ごとに被害の態様及び地域に相当の相違があることにかんがみまして、地域指定の基準となる被害程度測定の尺度として、第一に公共土木施設につきましては、地方公共団体の税収入と被害額とを比較して、その倍率による。いずれ後ほど詳しく説明いたしますが、この考え方であります。  農地、農業用施設につきましては、被害農家一戸当たりの被害金額、また林道につきましては、被害林道の延長当たりの災害復旧工事費、これらをそれぞれ考えまして、各施設について、実情に即した合理的な尺度をとることといたしたのでございます。また、激甚な被害を受けた地域特例法の対象からはずれるということがないよう特に配慮を加え、たとえば、公共土木施設の府県工事につきまして、単純に県単位の適用を行なうことなく、県内の市町村の地域にまで考えを及ぼして、その地域での被害程度を測定して、府県工事の適用範囲を決定するとか、長期湛水地域についても特別の配慮を加える等の措置をとっております。反面、事業主体である地方公共団体等ごとにこれを見まして、全体として被害程度の低いものは対象外とするなど、基準適用が乱に流れないよう配意いたした次第でございます。  それらの結果、具体的に決定いたしました基準について申し上げます。  まず第一は、公共土木施設、この公共土木施設のうち、府県工事について申し上げます。当該県の災害復旧事業費——災害復旧事業費と申しますのは、府県工事及びその府県内の直轄工事、これを合わせたものを当該県の災害復旧事業費といたしまして、この復旧事業費が当該県の標準税収入の〇・五倍をこえる県について、まずこれを一応の基準といたしまして、混合方式によって算定した町村の被害、その町村内における府県工事ということにいたしたのでございます。さらに御説明をいたしますが、この〇・五倍をこえる府県、これを一応基準にとったのでございます。標準税収入の〇・五倍以下、これらの点についても十分めんどうを見ろという御意見があるかとも思いますが、いわゆる国庫負担法におきましては、〇・五倍以下の場合におきましては通常の措置でまかなうようになっておりますので、今回の場合におきましても、各府県において、ただいま申し上げるように災害復旧事業費と当該県の標準税収入、これを比べてみまして、〇・五倍以下の場合には特例法を適用しない、〇・五倍以上の場合に特例法を適用するという範囲をきめて参りたい、かような基本的な原則を考えたわけであります。ところで、この〇・五倍以上になります県は、愛知、岐阜、三重を初め、長野、山梨——北から申し上げますが、新潟、石川、福井、滋賀、奈良、和歌山、京都、鳥取、島根、徳島、長崎、ただいま一応この十六府県が〇・五倍以上の県、かように私ども考えております。この十六府県が変わることはないと思いますが、今後私どもさらに実情を精査いたしますと、この十六、府県があるいは一県程度ふえることがあるかもわかりません。これはしばらくその実情調査に時間をかしていただきたい、かように考えます。  そこで、この十六府県におきまして、混合方式により算定した災害復旧事業費は、その府県内の当該市町村の区域における直轄工事費、府県工事費と市町村工事費の合算額であります。これらの府県内における市町村につきまして、その工事量を算定いたします場合に、当該市町村における直轄工事費、府県工事費、それから市町村工事費、この三つの合算額を当該市町村の災害復旧事業費と見まして、この災害復旧事業費が標準税収入——明確に申しますと、当該市町村の標準税収入と府県の標準税収入のうち、当該市町村に按分された額との合算額の一倍をこえる市町村の地域、それと長期湛水地域、これらの地域の市町村における府県工事について、特例法を適用するということにいたしたのであります。これが府県工事についての適用の範囲であります。  次は、市町村工事について申し上げます。当該市町村の災害復旧事業費、かように申しますのは市町村工事費でございますが、この市町村工事費が当該市町村の標準税収入の一倍をこえる市町村の地域——これは一対一の場合は当然でありますが、これは特例法を適用する考えでございます。  さらに、この一倍にはならない市町村でありましても、当該市町村の災害復旧事業費が、当該市町村の標準税収入の〇・五倍以上になるものでありまして、混合方式により算定した災害復旧事業費が標準税収入の一倍をこえる市町村の地域、言いかえますと、市町村工事とその市町村の標準税収入を比べてみまして、一対一なら、もちろん特例法を適用いたします。一対一にはならないが、この工事費が標準税収入の〇・五倍以上であるという場合におきましては、混合方式によってもう一度計算して一対一になれば、その町村に対しても特例法を適用しようというのでございます。市町村の工事費がその市町村の標準税収入の〇・五倍に満たない町村を被害激甚地に指定することは避けたい、かように考えておるわけであります。また、長期湛水地域の市町村、これにも特例法を適用する考えでございます。  次に、農林水産施設について申し上げます。  農地、農業用施設について申し上げます。市町村の地域について、当該市町村の地域内における農地及び農業用施設災害復旧事業費の総額を被災農家戸数で除した額、言いかえますと、被災一農家当たりの災害復旧事業費でございますが、これが五万円をこえる市町村の地域に対しては、特例法を適用するということであります。それから長期湛水地域の工事について特例法を適用する、この二つでございます。だから、被災一農家当たりの災害復旧事業費が五万円をこえる場合、並びに長期湛水地域の工事について、特例法を適用するのであります。  次は、林道でありますが、市町村の地域について、当該市町村の地域内における林道の災害復旧事業費の総額を当該災害復旧事業にかかる林道の総延長で除した額が、メートル当たり四百円をこえる市町村の地域の工事について、特例法を適用するということでございます。  この公共土木施設、農林水産施設のいずれについても同様でございますが、市町村と申しました場合、旧市町村の地域による方が有利であるという場合には、これによることができる。御承知のように、町村合併が行なわれておりますから、これを新旧いずれの町村でも差しつかえない、かように考えておるわけであります。  次に、公共土木施設農地、農業用施設以外の被害激甚地の指定基準につきましては、目下鋭意取りまとめつつあるところでありますが、この際、その考え方について申し上げます。先ほど申し上げましたように、公共土木施設農地、農業用施設についての地域指定基準は、その復旧事業の性質により差異があるわけでありますが、これと同様、その他の災害復旧事業についての地域指定基準も、おのおのその性質によって差異が生ずることと相なるわけでございます。  以上をもちまして説明を終わらしていただきます。
  105. 南條徳男

    南條委員長 質疑を許します。大坪保雄君。
  106. 大坪保雄

    大坪委員 ただいま御説明になりました適用基準の決定の政府のお考えにつきまして、地方の実情を申し述べまして、また、基準を御決定になりましたその決定の要素として取り入れておられるかどうかということについて、いささか疑問を持つ点もございますから、それらの点について、ごく簡潔に一、二お伺いをしておきたいと思います。ただ、申すまでもなく、大蔵大臣は、災害以来終始非常な御苦心をなすって、こういう案をお作りになっているわけでございます。従って、よく事情は御承知でございますが、事柄は、災害の十全な復旧と今後の災害防除に関する重要な事柄であるし、自然民生安定に関する重要な事柄であるし、また、こういう問題のやり方によりますと、国民の政府に対する信、不信の問題という政治の根本に触れる問題でもございますから、しばらくお聞き取りいただいて、お答え願いたいと考えます。  ただいま大臣の御説明で、指定基準の決定をなされた事情並びにその内容は伺ったのでございますが、私は、いささか地元関係のことで恐縮でございますけれども、ただいま大臣のお述べになりました基準によって、今度の被害激甚地域として指定せられる府県は十六府県であって、その中に佐賀県が入っておりません。佐賀県は御承知と思いますが、去る九月の十四号台風で、長崎県とともに、特に有明沿岸地帯において非常な高潮の害をこうむった県でございます。その被害金額は二十四億余ということでございまして、他の府県に比べますると、総体の額はそう多くないかもしれない。しかしながら、ことしの台風は、多く一県全県をなめるような台風被害の及ぼし方ではなくして、地方によっては、県の一部の地域被害を及ぼしておる。しかしながら、その被害程度はきわめて激甚であるというような例が少なくございません。十四号台風について申しますと、佐賀県がそうでございますし、また北海道もそうである。佐賀県は、有明沿岸地区が特に甚大な被害をこうむっておる。北海道においては、非常に広範な地域でございますから、道南地区がやはり甚大な被害をこうむっておる。また、十五号台風においては、兵庫県の丹波、但馬地区が非常に大きな被害をこうむっておる。しかし、それは地域からしますと一部でございますから、その被害をこうむった土地の状況はきわめて深刻なものでございますけれども、県ないし道からしますと、まあ地域は、一部分である。従って、その標準税収との比率をとってみますと、必ずしも〇・五に及ばないというものが、復旧工事費の総額としてあるのでありますが、甚大な被害地であるということには間違いがないわけでございます。先刻大蔵大臣のお話の中に、十六府県に必ずしもとどまらない、まだ一、二県入るかもしれない、それは実情を調べてからということでございますから、そのことで非常に私は勇気を得まして、特に政治家として最も信任し、かつ、信頼しておる佐藤大蔵大臣でございますから、その政治的な配慮を特に一つわずらわしたい、かようなことで、勇気を持って実はお尋ねいたします。  これはもう時間も私あまり使いたくございませんから、るる申し上げませんが、佐賀県について申しますると——まあ他県のことは申しませんけれども台風頻襲地帯であるということ、財政がきわめて困窮しておる再建団体であって、今日なお赤字を続けておるような県であるということ、従って、県の財政の都合によっては、またしても復旧工事その他が十全を期することができなくなるおそれがあるということでございます。佐賀県の今回の十四号台風によってこうむりました有明沿岸の干拓地帯の被害の状況を見ますと、三十一年の風水害の際に決壊した二つの大きな干拓地の決壊地域が、そのまま今度もまた決壊いたしております。これと並んで、農林省が直接国営でやっております有明干拓と称せられておるところは、堤塘の高さも七メートル十、工事もまことにちゃんとしたものがやられておるようであって微動もいたしません。ところが、これと並んでおる大福がらみ、昭和がらみという二つの干拓地域は、一つは農林省が県に代行させておる、一つは建設省の所管で県が管理しておるわけでございますが、これが三十一年の災害に堤塘が決壊をした。その同じ堤防が、同じような状態で決壊しておる。それは堤塘の高さが、有明干拓と比べて一メートル低い六メートル十である、しかも、まだその復旧工事が完成しておらない。そういう欠陥を今回はつかれたのであります。従って、土地の人は、天災にあらずして人災だということを盛んに言っておるのであります。それが、県の財政状態が必ずしも十分でないのに、今回激甚地域として指定されないということのために国庫補助の率も悪いということになりますと、県が手を抜くということはないと思いますけれども、私どもの期待するような十全なる復旧工事ができ得ないおそれがあると思うのであります。そういたしますと、また再び同じようなことが次の台風に繰り返される。これは明らかに政治の不信となると思うのであります。そこで一つお伺いを申し上げたいと思いますことは、この基準をおきめになりました要素の中に、この間大蔵省の係官からのお話を伺いますと、——かりに一つの例を具体的に申し上げる方がおわかりやすいと思いますが、福富村というものがございまして、その村に大福がらみ、昭和がらみという二つのものがある。その福富村地内の国営直轄事業、県の工事の事業、復旧工事費にその二つのものがある。ところが、そのうちの大福がらみというのは、農林省で今管轄して県に代行せしめてやっておる。その農林省の所管しておる大福がらみ、これは堤塘の長さで約百二十メートルが今回決壊いたしております。その復旧工事費が合算されておらぬという話を聞いておる。これはきのうの大蔵省の係官の話でありますから、間違いないのじゃないかと思いますが、それはやはり今日でもそうであるかどうか。これがまた合算されないとすれば、その合算されない理由はどういう点にあるのか。少しこまかいようでありますけれども、この点を、これはまあ係の方からでもけっこうでありますが、一応伺います。
  107. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど愛知、岐阜、三重以下十六府県をあげましたが、これらの府県は、実はもう動きょうがないという府県でございます。そこで、私ども非常に大事を踏みまして、あげ得るというか、これから変更のないものははっきり申し上げた方が御安心がいくだろうということで、はっきり申し上げたわけであります。今佐賀県についていろいろ御心配な御発言があったようでございますが、ただいまいろいろ数字を当たっておる最中でございます。いましばらくその県をメンションすることは差し控えさしていただきたいと思います。そこで、私どもが今回の基準、標準を設けましたが、この基準によりますと、いわゆる被害激甚地も、またこれに次ぐ激甚地につきましても、市町村に関する限り変更がなくて済むのじゃないか。と申しますのは、市町村工事につきましては、県の指定はないが——そういう意味では県工事ははずれることはありましても、市町村工事につきましては、この基準を適用いたしまして救済ができるのじゃないか、実はかように考えております。そこで、これは県を一体として扱わない、こういう観点に立っての普遍的な基準を考えたもの、かように実はみずからは思っております。  そこで、具体的にただいま御指摘になりました干拓地域の問題でございますが、この県が代行いたしております干拓工事、これはまだ国に移管されておりません。その途中において事故を発生いたしておるのでございますが、この事業は、国において全額災害復旧を支弁する地域であります。従いまして、先ほどその地域内における直轄工事ということを申しましたが、分担金が一切ない実は工事でございまして、いわゆる直轄工事と申すものとは性質がよほど違っておる。こういう意味では、この二つの干拓の費用は国が全額を持って復旧に当たるのでありますので、県工事の中の直轄工事といううちには計上しないということで、今日も変わらない状況でございます。この点は、ただいま申し上げますように、直轄工事と申しましても、ただいま全然県が分担をしない工事でございますので、これは別途の扱いをするのが筋道ではないだろうか、実は、かように考えておりまして、十分内容も精査いたしました結果、ただいま申し上げるような基準にいたしておるわけでございます。
  108. 大坪保雄

    大坪委員 せっかくの大蔵大臣の御答弁ですけれども、大幅がらみというのは今農林省で干拓工事を進めておるわけであります。しかし、これは数年前から入植者もずっと入植しており、三十一年水害のときには、これら数十戸の家は完全に壊滅した。しかし、これと並んでいる昭和がらみというのがある。これが建設省に移管されて、一つはそうですけれども、もう一つの方はそうでないはずなんです。大幅がらみというのは、農林省でやっているのは、これはずっと全部やっておるのでございましょう。しかし、もう一つ建設省に移管した方の昭和がらみの方は、県で管理してやっている。従って、国の補助によってやる事業だ。現在、過去のたびたびの災害の場合にも、県も負担しますが、地元の福富村という村も一割二分は常に負担している。そのために、村の財政が非常な窮乏を来たしておるのであります。その点が少し違います。同じ並んでいるのに……。そして私の申し上げたいのは、そういうものが、村についていえば、災害のもとをなしておる。その一つのものについて、国が全額見るからといって計算の基準にしないというのがおかしくないかということであります。
  109. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私の答弁がちょっと違っておるようですから、扱っておる係官から説明いたさせます。
  110. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 答弁を申し上げます。ただいまの大坪先生の御質問昭和がらみと大幅がらみの問題でございますが、昭和がらみという方につきましては、御承知の通り、干拓も完成いたしまして県に引き継ぎが終わっております。従いまして、これは県の管理する堤塘ということになっておりますので、公共土木施設国庫負担法の対象として取り上げられることになるわけでございます。もう一つの大幅がらみの方につきましては、工事は一応完成いたしたのでありますが、御承知のように、干拓工事でございますので、入植して、すぐに地元の負担ということはなかなか困難であるというようなこともございまして、現在の建前といたしましては、入植後、数年の間は国が管理しておるという形をとっておるわけでございます。これは、どうしてそういうことをいたしておりますかといいますと、結局、災害などがございましたときに、これが地元管理に移っておりますと、やはり地元の負担を取らなければならない。いわゆる公共土木施設国庫負担法として、県あるいは市町村の負担となるわけでございますが、この干拓工事のようなものの特殊性にかんんがみまして、入植後、数年の間は、やはり地元の営農樹立ということも困難なわけでございますので、この間は国において管理の責任を負いまして、そして災害復旧事業等が必要な場合には全額国庫負担でやってやろう、こういうような措置がとられておるわけでございます。従いまして、現在の公共土木施設国庫負担法の規定におきましても、こういった工事中のもの、あるいは引き継ぎがまだ終わっておらないで、公共土木施設として地方公共団体の管理に移らないものは対象にいたさないということが法律上はっきりいたしておるわけでございまして、そういう意味で、今回の指定基準の問題といたしましても、公共土木施設の事業と地方公共団体が管理している施設災害復旧事業費と標準税収入とを比較するということは、やはり合理的と思われますので、ただいまお話しの大福がらみの堤防につきましては、一応事業費として算定をいたさない、これは別途直轄災害といたしまして、農林省の干拓農地災害といたしまして全額国庫負担で実施することにいたしております。
  111. 大坪保雄

    大坪委員 私は、そういうことをお伺いしておるのではない。今度おきめになった災害激甚地の指定についての基準をおきめになるにあたって、どういうものを要素として取り上げられたかということを申し上げておるのです。どこが管轄して、どの程度国庫が負担して、従って、復旧改修もどの役所がやるかということではなく、有明、特に福富村の場合について申し上げますと、この二つの干拓の堤防が決壊して、これが甚大な被害を及ぼしておるということなのです。現実は被害激甚の地域である。それを、どこの省が管轄しておるから、あるいはどこの省が復旧工事をやるから激甚地に指定——それはどこでやったってかまいやしません。それはどこの省がやるから、それは国庫がどの程度負担するから激甚地にはならないということは、これは、あなた方が法律をいじっての考え方でわかるかもしれませんけれども、国民にはわからない。これは大臣はよくおわかりになると思う。朝三暮四という言葉がある。これは要するに、ごまかしの悪政治の標語なのです。激甚地ということを地元民は知っておる。だれでも知っておる。従って、その激甚地に対する対策は、国が温情ある対策をやってくれるだろうということを期待しておる。それを、法律をいろいろいじってみると、こっちの方は国庫が全額従来から見ておった。従って、復旧全額国庫が見るから激甚地からはずしていい、激甚地としてこれを規定する要素の中からはずしていいということが、わからないのです。激甚地であるというその事態を作った原因は大福がらみにもあるし、昭和がらみにもある。二つのものが合わさって激甚地を作っておる。そうして、これが復旧という場合になって、一つの方は国庫が全部見てやるからいい、一つの方は補助額がきわめて少ない、激甚地としての取り扱いが得られない、今回の特例法の適用を受けない。しかし、その県が大きな県であり、財政力も豊かな県であれば問題はないでありましょうが、佐賀県のような、財政力のきわめて困窮しておる再建団体であるような県であれば、力が及びきれない。今度起こった災害は、先刻申し上げましたように、地元民はこれを人災だと言っておる。そういうものが佐賀県の場合には多い。  次に、もう一つは、今のようなことでせっかく特例法が設けられておる。それが、何か法律上の——私は、今度の特例法というものは、そういう従来の普通の手段では改められないから、そういうところをカバーして、よく懇切丁寧に見ていこうという趣旨で作られておるはずだと思う。そういうことが立法の建前であり、今度の臨時国会が召集されたゆえんであると思う。それが、従来の基準で、そういうところは除くということは明らかにこれは、朝三暮四的な政治のやり方である。私は、これはお考え願わなければならぬと思う。何ゆえに、激甚地と指定する基準の中にそういうものを入れないかということです。国が直轄でやるけれども——工事はやるのですよ、その費用をなぜ入れないかということをお尋ねしておるのです。入れれば問に合うだろうと私は思う。
  112. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 入れれば間に合うだろうとか、入れなかったら間に合わぬだろうということではなしに、これは入るべきものはもちろん入れるつもりでありますし、今回、私ども、別に災害地を縮小さすとか、あるいは制限さすとか、こういう考え方は持っておりません。その点は、どうか誤解のないように願いたいと思います。ただ、今、工事の問題でございますから、また特例法を適用すれば府県の財政にこれは寄与することでございますので、府県財政に関係のある工事かどうか、これはやはり考えていただきたい。今の問題は、県が代行いたした工事にいたしましても、全額を国庫において修理するとか、あるいは復旧するとか、こういう地方財政に関係のないもの、これまでも入れることは、私は適当でないと思う。ただいま宮崎係官から御説明いたしましたように、管理中に属する、県の負担に属するものは、もちろん入れました。それから、県の財政負担のないものは除くのが建前でありますということを実は申し上げておるのでございます。これは、やはり今回の特例法は、その結果、府県財政に寄与するかしないかの問題でございます。これは、ちょうど直轄大学の場合に、その県内において直轄大学が災害をこうむった、こういう場合に、これは全額国が負担いためますので、県の財政に関係がないということで処理いたしますが、ちょうどそれと同様のことでございます。ただ、問題は佐賀県の問題でございますが、この基準を御承認願いまして、その基準を適用いたすのでございます。私どもは、あとで数字をいじるわけに参りません。これは結局、計算上出て参る問題でございます。私どもは、この点には一つの権威を持たしていただきたいと思います。ただいま申し上げますように、大蔵事務当局なり、あるいは大蔵当局がとにかく、はずすことを念願して非常にきついことをするとか、あるいは実情に合わないような査定をとっているような点がございますれば、もちろん御叱正を賜わりますし、私も十分直していくつもりでございます。ただ、私自身が非常に佐賀県をメンションすることについて今差し控えさせていただいておりますのは、非常に数字が近接した数字でございますので、どういうように動くか、そこに一まつの疑念を持つわけであります。これは佐賀県を落とすつもりで申すわけではございません。なるべく佐賀県も十六府県に準じて扱われるような数字が出てくれればいいと、実は念願をいたしておりますが、ついずれにいたしましても、数字の問題でございますから、その結果に一つ待たしていただきたい。ただいま直轄工事として加えないものは、県の財政に関係のない直轄工事、これははずしているということを、はっきり申し上げておきます。
  113. 大坪保雄

    大坪委員 もう時間がありませんから、多くは申し上げません。一言だけ……。そこなんです。災害激甚地を指定する、その指定の基準をきめるということなんですから、どこが工事をするということではないだろうと私は思います。あとで国が負担してやるか、県でやらせるかということでなしに、原因をなしておるものがどういうものであるか、それを復旧するかしないか、復旧する場合に、それは国が全部持ってやるから計算に入れないということは、これは激甚地自体を、何といいますか、少し取り扱いを二、三にするということになるのじゃないかということを私は考える。これは私が理解が悪いのかもしれませんが、おそらくは、一般の国民は、特に災害地の者は、特にそれを痛感するだろうと思うのです。それから、やっぱり国の費用を出して県で代行してやりますが、県事業として取り扱う。そして、これは海岸なんです。私はよくわかりませんけれども公共土木施設災害復旧事業費国庫負担特例法というのがありますね。この三条で、河川とか海岸とかいうことがあげてある。その法律の施行令で、海岸はどういうものであるかということがいろいろ書いてある。それは「国土を保全するために防護することを必要とする海岸又はこれに設置する堤防、護岸、突堤その他海岸を防護するための施設」と書いてある。これは私は、今農林省が仕事をやっている干拓地で、全額国が見てやっている事業であろうがなかろうが、この「海岸」に適合するものであることは間違いないと思うのですね。でありますから、この法律の解釈からいたしましても、どういう例外規定がどこにあるか、私はわかりませんけれども、この国土を保全するということのための海岸堤防をやることに間違いはないのであるから、それの復旧工事は、やっぱりこの工事費の中に入れられていってしかるべきじゃないかと私は思うのです。私は、法律はよくわかりませんけれども、幸いに、大蔵大臣は非常に温情ある措置をやろうと言っておいでになるから、それを私は期待いたしますが、そういうことで一つ見ていただきたい。これはほんとうは、私はもう少し追及したいのです。なぜこれが入らないのか。海岸なんです。海岸堤防であることは間違いない。従って、この法律の適用を当然受けるべきものであると私は思うのです。それがどうしてはずされるか、これはわからぬが、しかし、時間がありませんから、あとでお答えを願いたいというのと、ついでに、もう一つお尋ねいたします。  大体、この基準を作られて、十六府県を今おあげになりましたが、まだ復旧工事については、いわゆる査定が十分済んでいないと思います。特に十四号台風の場合には、査定を非常に急がれまして、原形復旧というところに重点を置いてやっておられると思うのです。県からの申請も、あるいはそういうことになっているかもしれない。しかし、十五号台風で非常に大きな被害が出たから、原形復旧ではよくない、改良復旧でなければならぬという声がきわめて強く、大きくなった。私どもは、当初から原形復旧ではいけない、改良復旧工事でなければならぬ、こう考え、そういうことを申し上げておったのでありますけれども、おそらくは十四号台風の、佐賀県の有明の海岸堤防等の復旧については、いわゆる原形復旧だけを考えられておって、改良復旧までいっていないのじゃないか、そういたしますと、そういう状態であると、この次の風で、また必ずぺしゃっとやられる。従って、改良復旧工事等も今後進められると思うのです。そういう場合に、復旧工事費として、さらに査定を受けるということになりますれば、それをも当然含むことと思うのであります。従って、十六府県が十何府県になるか知りませんが、それがふえてくる場合には、この県の指定というものもやっぱり将来はふえるだろうと思いますが、そうであるかどうか、この点を一つ。
  114. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 これは、佐賀県について特に申し上げるわけではございません。被災地各地につきまして大蔵事務当局を督励いたしまして、いやしくも、激甚地であって特例法の適用を受けない地方の県なり、あるいは市町村団体等が、財政上困難を来たさないように十分指導するつもりでおります。  そこで、今、国庫負担法の問題を御指摘になりましたが、今問題になっております海岸堤防、これは、国庫負担法による一部国庫負担ということでなくて、実は、全額国庫が負担するのでございますから、国庫負担法より以上のものであることを一つ御了承願いたい。ただ、問題は、こういうような、地方で負担しない工事、それを災害復旧費のうちに計上し得るかどうかという議論に詰めていただきたいと思います。しかして、私は、この佐賀県の場合にやや問題を残していまして、佐賀県の方々が非常に御心配になっておることだと思いますが、そういう意味で、先ほど来のようなお尋ねをいただいたことだと思います。思いますが、この佐賀県の問題については、なお、私ども実情を調査いたしまして、そうして、皆さんの御満足のいくような結果になるかどうか、今から申し上げるわけには参りませんが、十分好意のある処置をとって参るつもりでございますから、この点をつけ加えさせていただきたいと思います。しかして、これはひとり佐賀県についてだけ申すわけではございません。全国の災害地につきまして、同様な考え方で事務当局を指導するつもりでございます。ですから、この点は御了承いただきたいと思います。  また、十四号までの災害の査定がおくれておるという、この点は、まだそういう個所が二、三カ所全国にあるように伺います。そういうものを、できるだけ早くとりまとめていきたいという考え方でございます。また、この改良関連事業等については、昨年の災害対策以後、非常に私どもの査定基準も変わって参っております。今日のところ、今の査定方法は全国一率な方法で考えておりますので、佐賀県だけに特にきつい考えもございませんが、同時にまた、特に佐賀県だけをどうこう扱う、こういうことはできないことになっております。どうぞ一つ御了承いただきたい。重ねて申し上げておきますが、私どもの発表が非常に厳格に申し上げておりますことは、お互いの期待をそこなうようなことがあっては大へん申しわけがない、数字が十分固まらないうちに、その見込みなどで申し上げることは親切であるようで、これは非常に不親切だ、かように考えるものですから、どこまでも数字の問題として、しばらく私どもの調査に時間をかしていただきたい、かように申し上げておるのですから、どうか誤解のないようにお願いしたいと思いまりす。
  115. 大坪保雄

    大坪委員 私は、まだ少しかゆいところに手が届かぬ感じがいたしますけれども、るる大蔵大臣がお述べ下すったように、そういうあたたかい気持で見ていこうということでございますから、その大蔵大臣に十分御信頼申し上げまして、どうか一つ政治の不信にまでなり終わらぬように御措置願うように、重ねてお願い申し上げまして、時間がございませんから、私の質問を終わります。
  116. 南條徳男

    南條委員長 岡本隆一君。  大蔵大臣予算委員会の方に出席を求められておりますから、持ち時間を厳守して下さい。
  117. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 ただいま大坪委員から激甚地の指定基準について御質問がございましたけれども大坪さんの言われるのもごもっともだと思うのです。私どもの調べましたところでは佐賀県は十九番目になっております。十六府県指定されまして、あと三県でそこへ届くというところになっておる佐賀県としては、やはり指定されるかされないかでもって、これは県の財政に及ぼす影響も非常に甚大でございますから、あのようにおっしゃるのも無理はないと思います。そこで、私は、まず大蔵大臣の、国庫負担法あるいはまた、今度の特例法の精神、ものの考え方、なぜそういうような災害に対して国庫負担法を作ったり、あるいはまた、特例法を作るのかという考え方、これからまず伺っていきたいと思います。
  118. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 国庫負担法は、皆様の御審議をいただいて成立した法律でございます。これは、やはり平素から災害が起きた場合にそれぞれの特例を設けないで済むように基準を考えようということで、国庫負担法ができたと思います。この点は、申すまでもなく二十八年災の後におきまして、二十八年災対策等からいろいろの経験を積んだ結果が、平時において、そういう場合に適用し得る法律を作ろうというので、これができ上がったと思います。ところで、今回この国庫負担法そのものによらないで、さらに特例法を設けたり、いろいろの御審議をいただいておりますゆえんは、この災害自身というものは、一応平常時に想定をいたしました災害と、また、災害が起きました後と相当態様を異にするものであります。ことに今回の非常な特質は、非常に多数の人命を損傷したこと、また、集中豪雨その他で一局部に災害が襲来した、あるいはまた、非常に長期湛水というような、予想だにしなかったような事態が起きた、こういうような点が、今回の災害におきまして非常に人心にも重大な影響を与えておると思います。われわれまた政治家といたしましても、こういう点から、国庫負担法が異常災害に対処するのに十分であるかどうか、そういうことを十分考えなければならないと実は思うのであります。本来から申しますならば、平素用意いたしました国庫負担法で大部分救済できるのではないかという議論もあろうかと思いますが、やはり災害の実情等に照らしまして、これだけではなかなか災害復旧の万全を期することができないというのが、今日の状態ではないかと思います。そういう観点に立ちまして、今日の災害復旧予算も作っておるわけであります。ところで、もう一つ問題になりますのは、二十八年災の当時と今回の三十四年災当時と、いわゆる地方自治団体の財政状態が相当変わっておる、こういう点にも一つ見のがせないものがある。そういう点から、二十八年災に対して考えましたものにいろいろ工夫をこらして、今日各種特例法を設けて御審議をいただいておるのが現状でございます。
  119. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 ただいまのお言葉を承りますと、災害が起きた場合には、それぞれの府県において非常に臨時の支出が大きくなるから、国庫がそれを救済してやるのだ、こういうふうなお考えに立っておられるかのように聞こえます。しかしながら、私は、災害についての考え方は、そのようには思わない。災害というものはこれはやはり国の負担において処理していくべきものである、こういうふうな基本的な考え方に基づいて、この国庫負担法なり特例法というものが私は出てきていると思う。とにかく、日ごろ手一ぱいの財源より許されておらない地方自治体の財政事情の立場からいけば、特別にそういうふうな臨時支出が要れば、当然国がめんどうを見ていかなければならないし、のみならず、たとえば、河川というものを考えましても、水が集まるのは非常に広い区域から集まって参ります。そうして、それが他の府県へ流れていって、どっと大きな災害を起こす。何も災害というものが、自分のところに降った雨、自分のところに吹いた風だけで起こってくるのではございません。やはり広い国土の中の一部分として、お隣からやってくるところの水のために起こってくるものであれば、当然これはみずからの力だけで復旧すべきものではない。たとえていえば、隣の境界の方から水が流れてくる場合には、やはりこれを拒む権利は個人にはないですけれども、しかしながら、その流れてきた水の処理については、互いに話し合って負担していくだけのお互いに義務があり、権利があるというのと同じように、災害の場合には、当然これはその県自体においてあるいはその市町村自治体自体において、負担していかなければならないという基本的ななにはないと思う。だから、そういう意味においては、災害というものは一応国庫において、広く国民全体の責任において復旧に当たっていくというふうな考え方が貫かれなければならないと思うのですが、私のさっきの質問に対するあなたの御答弁は、私の聞き間違いであったのでしょうか。
  120. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 そういう意味で国が補助するということで、国庫負担法ができたと思います。従って、国庫負担法で何もかも、みなまかなえるから、それで済むわけであります。だが、異常災害については国庫負担法じゃまかなえないというのが今日の状況だと思います。私の申す国庫負担法というのは、一般の国庫負担法ではなくて、こういう災害の際の公共土木その他についての復旧に関する国庫負担法でこの基準ができております。このことを申すのでございます。しかし、どうもそれではまかなえないというのが現状ではないか、かように私考えております。また、今、河川についてのお話が出ておりましたが、この河川についての話ですが、数府県を貫流しているような河川につきまして、いわゆる直轄工事で取り上げるような工事については、これは国庫が非常に力を入れてやっておる、こういう状況でございますし、また、地方河川の場合だと、その点が変わっているということでございますので、一様ではございません。しかし、災害は国が全責任を持ってやるんだということは、今日の制度から見まして、適当でないというのが、私の考え方でございます。
  121. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 私が言うのは、国が全責任を持つべきだというのではないのです。しかしながら、一応そういうふうな考え方が国庫負担法の中には精神として流れておるということを、私は、大蔵大臣もよく考えていただかなければならないと思うのです。  そこで、今度の基準でございますが、今度の基準をおきめになった理論的根拠、というと話がかたくなって参りますけれども、何かやはりおきめになるのには、ある一つの根拠というものをお持ちになってきめられるように思うのですが、今度の基準を見ますと、私どもにはそれがわかりかねますので、考え方の中心を一つ伺いたいと思います。
  122. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 いわゆる災害復旧についての国庫負担の原則、これが異常災害については適用できないというのが、今回の災害の特殊性でございます。その災害の特殊性は、先ほど三点ばかりあげて説明をいたしましたが、今回の災害の特殊性にかんがみまして、そうして、通常地方団体が負担するところを、その負担に耐えないだろうというような点があるのじゃないか、こういうことを特に私ども考えたのでございます。そこで、最初に申し上げますように、〇・五という点を一つの基準にとりまして、〇・五以下の災害の場合には、これは地方において負担して施工していただきたい。国がやるものはもちろんでございますが、いわゆる特別な率をこの範囲のものには考えないというのが一つの基準であります。この〇・五以下の場合は、いわゆる異常災害考えられるかどうかということに実はなるのでありまして、県の標準税収入とその工事費とを比べて見、しかも、工事費の中に直轄工事まで含めて計算した場合に、どうも〇・五以下なら、これは異常災害考えないで、いわゆる国庫負担法の原則でよろしいんじゃないか、これをまず第一の基準にいたしたのであります。国庫負担法では、この〇・五以下は取り上げない、普通の交付金なり、あるいは特別交付税なりでまかなう範囲に実は考えております。これはそのままとっておこう、しかし、国庫負担法では、それより以上の災害につきましてはこの収入と工事量とを比べまして、二倍に達するまでは一応の累進率はあるかと思いますが、特別補助の対象にして、そして二倍以上の災害につきましては、さらに高率を適用する、こういう建前になっております。この点を今回の集中豪雨というような点から見ますと、この考え方では非常に不公平が出てくるのではないか、と申しますのはなるほど、一局部には違いない一局部には違いないが、そのつめ跡はまことに深い、非常に深部に入っておる。かように考えますと、全体はさることだが、この一局部について十分考えてやらないと、県も困るだろうし、市町村も困るだろう、実はかように考えたので、この二倍という基準をとらないで、一対一ということにいたして、一対一でいろいろの内容を精査していく、こういうことにいたしたわけでございます。これによりまして、今回のような集中被害というか、集中的な豪雨被害というようなものも救済が可能ではないか、実はかように考えておるわけでございます。
  123. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 便宜的に〇・五というところをとり、さらにまた、混合方式でもって一・〇、こういうところをとって、それをもって一貫してやっておられるかと思うと、あるいはまた、長期湛水地域というような項目を持ってこられたり、何かしら、私は非常に便宜主義的な感じにとれるのでございますけれども、こういうふうな点が出てくるというのも、この前の二十八年の災害のときにとられた措置と、また、今度の政府措置との間には相当大きな開きがございます。それにできるだけ近づけたいという意欲はお見せになったものの、しかしながら、どうもいろいろな財政的な都合でそうもいかないということで、こういうところへ線を引かれたもののように私には見受けられるのでございますけれど、二十八年災のときの特別措置がそのまま大体今度も出る、こういうふうに地方公共団体の方ではみんな相当安心しておったのです。また、名古屋の見舞に行かれた岸総理は、あのとき、「金は何ぼでも使って下さい、金に糸目はつけないから、どんどん復旧作業をやって下さい」というふうなことを言われまして、国民の方も、その大ぶろしきの手前、今度は相当な覚悟をもって国も臨んでくる、こういうふうに思っておったものでございますから、当然二十八年災当時の特別措置が行なわれるという大きな期待を持っておりましたにかかわらず、今度出て参りました最初の基準案というものは非常にお粗末しごくである。これは発表されませんでしたが、風のたよりに聞こえてきたものは、きわめてお粗末なものである。そこで、与党内部でも非常な反撃も起こってくるし、のみならず、国民の方からは猛然として攻撃が政府にかかってきたものでありますから、まあ大蔵大臣の方もしぶしぶ今度の基準案を出してこられたというふうなのが現状のように見えるのでございます。それでは全く羊頭狗肉というふうに私どもは受け取るのでございますけれども、これについての大蔵大臣の御感想はどうでしょうか。
  124. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまいろいろ御意見をまじえての御批判であったと思います。しかし、ただいま御審議をいただいておりますように、私どもは今回の災害の非常な特異性は、多数の人命を損傷したこと、それから長期湛水であること、あるいはまた、集中豪雨によって引き起こされた災害が至るところにある、こういうところに実は重点を置いて、その特異性を考えておるわけでございます。今のお話を聞きますと、長期湛水という地域を入れたことは、社会党は何だか反対であるかのように私聞けるのですが、今回の災害こそは、長期湛水という、まことに悲惨なる事実を無視して実は対策は立て得ない、かように政府考えております。従いまして、これを一貫しておらないというような御批評をなされましたが、私は、これは一貫しないのはあたりまえだ、こういうような特異災害に対して特殊な措置を講ずるのは、これは当然のことである、もしも、その特異災害についてこれを無視するようなことがあれば、それこそとんでもない災害対策という批判が起こるのじゃないかと思います。幸いにして、社会党も長期湛水地区を入れることに御反対ではないようですから、この点、大へんしあわせに思いますが、先ほどの御批判をそのまま受けますと、何だか長期湛水地域を入れたことがけしからぬ、筋が立たぬじゃないか、こういうふうにとれまして、私非常に意外に思ったのですが、これこそは今回の災害の特異性から見て当然の措置である、この点を御了承をいただきたいと思います。
  125. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 なかなか大蔵大臣、あげ足をとるのがお上手です。私の言い回しが悪かったのかもしれませんが、長期湛水の話が出ましたから、私は大蔵大臣に長期湛水地域のことについてお伺いしたいと思うのであります。排水工事がなかなか思うにまかせず、そこで工事の進捗状況を見ている現地の人の話を聞きますと、今のようにちょろちょろというふうな形の排水工事を見ておると、もう水につかったまま年を越すのじゃないかというふうなことを現地では言っておる。そういうふうなことについては、これはもうその人らのそういうふうな工事の進み方を見ておる気持というものは、これは悲痛なものだと思いますが、それについて、やはり何としてもそこに国のかまえというものに——いろいろ自衛隊の方では作戦というふうな名前をつけて今度の工事に取り組んでおられるようでございますけれども、しかしながら、こういうふうな異常の事態が起こった場合には、全く作戦という言葉がふさわしいほど、やはり国の総力をあげて、そこへ注ぐというふうなかまえが私は必要であると思います。従って、この自衛隊の人員の投入であるとか、あるいは器材の投入であるとか、そういうふうな面においては、現地人たちにとってはまだまだなまぬるい、私はこういうふうに現地人たちは思っておると思うのです。従って、こういうふうな異常事態に際してはこれは国としても相当な予算をこの方へさいて、そしてこの長期湛水地域に対する排水事業というものを、もっと迅速に進める方途というものを当然考えなければならぬと思うのです。結局はやはり金の問題です。一挙に金をここへどれだけつぎ込むか、費用を惜しまずに戦時体制というふうなかまえをおとりになるということの中に、たといその工事が、倍の速力にならなくても三分の二の速力になるというふうに、被災住民の期待に沿い得る道があると思うのでありますが、それについて大蔵大臣は、今からでもそういうふうなことをなさるなにはないのですか。
  126. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今岡本さんの御指摘になりますように、長期湛水の事態を一日も早く解消する、一刻も早く解消する、これは政府といたしましても当然努力しなければならない点でございます。この点につきましては、私は技術者でないから詳細を明確にはいたしませんが、費用の面において支障を来たすということのないように、私も最善を尽くして参ったつもりであります。また現地における工事担当の人たちも、昼夜不眠不休で今日作業を続けておることと、かように私はかたく信じております。しかし、何分にも場所柄非常に陸地からの作業が困難である、水上をもってしないと災害地との連絡が不十分である、あるいはまた、工事を行なう場所が非常に限定されておるということで、金の面で制約を受けます前に地理的環境からいろいろの制約がある、この点はまことに私ども遺憾に思っております。今日排水ポンプあるいは器材等も各地から動員して、一日も早くこれをやろう、迫りくる寒さの前に片づけたいと非常な努力をしておるこの事実を御披露いたしまして、なお私の方で抜かっておる点がございますれば、さらに私たちの方で工夫をこらすことにやぶさかではございません。ただ、今御披露いたしましたように、場所が非常に困難な場所にある、連絡なり器材の運搬なり、また非常に限られた狭いところで作業しなければならぬ、そういう意味で、人間等もそう必要以上にぶち込みましてもその効果がない。いろいろそういう面の工事進行の制約を受けておる、この事態を一つ御認識賜わりたいと思います。
  127. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 財政的な面では相当な心がまえを持っておるというふうなお話で、非常にけっこうだと思うのでございますが、それにいたしましても、今度の災害がことに——今ここに農林大臣もいらっしゃいますが、農林省工事の方で、せっかく二十八年に膨大な費用をかけて行なった防潮堤がずたずたに切れてしまったというふうな点につきまして大きな批判の出ておることは、大蔵大臣も御承知だろうと思います。結局は、やはりせっかく防潮堤を作った、しかしながら、その裏側と上にコンクリートでもって保護しておかなかったことが今度の大きな災害の原因のように伝えられて、結局、これはむしろ天災というよりも人災である、国があのときにもう少し予算を惜しまずにあれに対して十分な補強をしておけば、このことは、今日なかったであろうというふうなことが伝えられておるのでございますけれども、こういうふうなことが大きく世論として出て参りましたときに、大蔵大臣は、今後の措置として、あるいはまた今までの日本のとってきたそういう防災工事に対して、どのような感じをお持ちになりますか、この際その所信を承っておきたいと思います。
  128. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、過去の災害復旧なりあるいは工事なり、それが不十分ではなかったか。今回の災害が、当時予想もしないような異常災害であった、この一語で尽きれば何でもないことでございます。しかし、結局異常災害であった、そういうことが、私どもの予期しないような事態を起こしたことであろうとは思います。そういう意味から、やはり安全度のとり方等について、今後予算を計上いたします場合には相当幅を持たせなければならぬ、相当高いところへとらなければならぬということは、これは抽象的には了承のできることであります。そこで海岸堤防の復旧等について、あるいは高さなり幅なり、あるいは強度なりというものについていろいろ論議がかわされておることは、もうすでに御承知の通りと思います。そこで政府におきましても、今日までの各省だけの考え方でこれをきめるわけにもいかぬだろう、将来の問題としては科学的にも十分検討し、総合的見地に立ってこの種の対策を立てよう、工事設計等も考えよう、こういうことに実はいたしております。ただ問題は、さような場合におきましても、やはり財政的な裏づけがなければ、絵にかいたもちになりましては何にもならないことであります。そういう点も十分勘案いたしまして、将来重ねてこの種の災害、惨害を引き起こさないように私ども対策を立てるべきである、かように考えておる次第でございます。
  129. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 今度の災害が異常災害だったというふうな形で、これは別に考えればもうなにでございますけれども、しかしながら、少なくも隣の強固に作られた堰堤がつぶれないで、お粗末であった方とはっきり区別がついて、だれの目にも瞭然とわかるような形において前回工事が行なわれた、そのことは、大いに国としてもしっかりと忘れないように、今後の工事というものは、一切いかなるものにも耐えるというふうな形に作っていくという確たる信念を持って、今後に処していっていただきたいと私は思うのです。  そこでもう一つ、名古屋の問題でお伺いしたいのですが、名古屋は区単位に指定されるというふうな——名古屋については「全市を一括指定することなく」というふうになってございますが、そういたしますと、名古屋市につきましては、市町村工事の項目の第三項の「当該市町村区域内に長期湛水地域が三〇ヘクタールを超える場合」に該当して、名古屋市は全市について、市工事負担分については指定地域となるようにとれるのでございますが、私の解釈はこれでいいのでしょうか。
  130. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御承知のように、名古屋は非常に膨大な都市でございます。そこでいろいろの議論が出ておりまして、ただいまはっきり結論が出た状況ではございません。長期湛水の市である、これはその通りでございますが、御承知のように、こういう大きい都市になりますと行政区がそのうちにございます。あるいは湛水の行政区に限るというような意見のあることも事実であります。まだはっきり結論を得ておるわけではございません。ただいまその程度しかお答えできないのであります。
  131. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 しかしながら、一応政治というものは行政区画単位に行なわれるのが原則であって、少なくもその基準案の中には、一つの市町村内にこれだけのこういう条件の地域があれば一応指定されるのだというふうに、はっきり文章が書かれておるのに、名古屋だけは行政区域でもってなにして、市全体としては指定しないのだというような考え方は、これは変則なように思えるのですがどうですか。
  132. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今回は、先ほど御説明いたしましたように、全県指定という処置は実はとっておりません。県におきましても被害激甚なる市町村、それを限って県工事を採用するという考え方で一貫いたしておるのでございます。そこで名古屋市のような膨大な市である、しかも幾つかの行政区に分れておるという場合に、これを非常に被害激甚な長期湛水の地区と、しからざる地区を、同一に見ることが適当なりやいなやという議論が今日あるのであります。ただいま単純に同じ市じゃないか、だから同一にすべし、この議論は、まだ結論がそういう意味で出ておらないという実情でございます。
  133. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それではそれを裏返しにいたしまして、今度は京都市の場合をとってみます。そういたしますと、京都市の一区域に相当な被害地域があって、この条件に合った場合には——一行政区でもって計算してこの基準に合った場合には、指定地域になる資格が出てくるものと解釈してよろしゅうございますか。
  134. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 その点は、標準税収入との比較の点はいかがお考えになっていらっしゃいますか、標準税収入との関係においても条件が備わっておれば、当然考えなければならないことでございます。
  135. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そこでもう少し基準の問題についてお伺いしたいのですが、前回の二十八災のときに行われたままの、そのままの基準を今度かりにもし用いるとすれば、どれくらいの財政支出になりますか。
  136. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 二十八年のときに、予算額として計上いたしましたものは三百億程度でございます。今回は、予算額にいたしまして三百四十四億を計上し、さらに予備費のうち五十億程度、あるいは国庫債務負担行為として三十億程度、これらのものを実は考えております。二十八年災の被害総額は二千七百億をこしておると思います。今回の被害総額は、最近の報告を締め切ったところで千九百億、まだ二千億には達しておりません。だから総額は、二十八年のときの方が金額は大きくて、今回の予算はたくさん計上しておる、この点は見のがすことのできない問題であることをつけ加えて発表しておきます。
  137. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういたしますと、それだけの被害額に対する災害復旧予算が、今度はそれだけたっぷり前回のときよりもあるとするなれば、基準が二十八災のときよりもさらにゆるやかになってもいいと思います。ところが逆に、この間もあなたがいろいろ御説明なさったときに、佐藤さんの名に似合わず渋い案だな(笑声)というような批評が出ておりましたが、前回よりもはるかに渋い案になって参っておる。それはどういうところに根拠があるのですか。
  138. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 問題は財政上の問題から見まして、二十八年災になるほど補助率は相当高かった。しかし、工事復旧の進行度は非常におそい。従いまして、二十八年災の跡始末は、その後数年を経過いたしましても全部できてはおらない、こういうことで、国会におきましても、二十八年災の災害復旧ができていないうちに二十九年や三十年をどうして取り上げるのだと、しばしば御批判を受けるように、こういうふうな事態に立ち至ったのであります。そこで国会において、重要工事については三・五・二の比率、三カ年で災害復旧を完了する、こういう基準が立てられ、その他のものについては、大体四年で災害復旧を完了する、こういう考え方になっております。そこで今回は、この災害復旧の進行率、これに特に重点を置いた予算を作りまして、これならば初年度において二八・五%まで大体工事は進捗する。そうして耕地については、来年の作付に間に合うように耕地災害復旧を進めたいし、また河川その他につきましても来年の台風襲来時期前に、この災害復旧の大略を完了するというように処置する。そういう点に特に重点を置いた予算が編成されております。なお工事を進捗さす点からのみではございません。この補助率に変更を来たしましたゆえんのものは、二十八年当時における地方財政、これは市町村を含めてですが、地方財政の状態と、今日の、三十三年、三十四年における地方団体の財政状態、これが相当改善されたものがあること、さらにまた、二十八年当時には平衡交付金の制度で、中央からの地方財政への援助をいたしておりましたが、その後、平衡交付金制度の弊害等が指摘されまして、いわゆる交付金制度あるい特別交付金制度等の、制度の変更もございます。これらの点をも勘案いたしまして、今回は二十八年当時と同様の補助率は適用しないということにいたしております。しかし、総体といたしましては、工事復旧について支障のないように、また地方団体の負担におきましても、これがまかない得ないようなものでないように私どもは工夫をいたしまして、それぞれ特例法で、それぞれ適用した高率補助の制度を考えた次第であります。
  139. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういたしますと、三・五・二の比率でもっていくことになっておるが、今年はそれをもっと速度を早く進めるつもりだ、そのために三・五・二となしに、三割を予算としてもらったものでなしに、五・二の分をあらかじめとってあるから、予算額がふえているのだというふうな意味にもとれないではござませんが、そういう意味ではないのですね。
  140. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 重要工事三・五・二ということを申し上げましたが、今年の進行率は二八・五心こういうことを申しますと、いかにも矛盾であるかのようにお聞き取りであるかと思いますが、重要工事は大体災害のうちの七割が重要工事だと普通査定をいたしております。七割の三割、つまり二一%。それからその他の部分、三〇%が四年がかりでこれを完了するといたしまして、これは四年の平均で見ると二五%ずつということになります。これが七・五になるわけであります。これを両方合計いたしまして、二八・五ということを計上いたしておるわけであります。しこうして、農地や特殊な地区に対する災害復旧等を見ますと、ただいま平均で計算した額が二八・五になっておりますが、地方的にももうだんだん寒さは迫って参りますし、また時期的に、やや時期を延ばしてもいいところの工事、と言うと語弊がありますが、やむを得ず差し繰りのできるものもあろうかと思います。そういう意味で、耕地については来年の作付に間に合わせるようにしたいし、また河川等については、できるだけこれを台風前に片づけたいということで、この二八・五の予算を按分して使うわけでございます。しこうして、補正予算をただいま御審議いただいておりますのは、本年度内、三月末までのものでございますので、引き続いて開かれます通常国会には、来年度予算を計上するわけでございます。そのうちの一部が、来年の作付までに使われるということにも相なろうかと思います。大体の目標といたしましては、ただいま申し上げるように、農地は作付に間に合うように、また台風襲来前に一応の工事を完了するように計画を進めていく、この考えでございます。
  141. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 二十八災のときに、基準の中に入っておった、災害救助法が発動した地域では、その府県の負担分が標準税収の百分の一をこえる地域は、指定の中へ入れるというのがございました。今度はそれが入っておりません。ところが、その災害が常襲的にやって参っております地域にとりましては、たとえば私の住む京都市の南部であるとか、あるいは福知山であるとかいうふうなところは、ことしは八月にとっぷりつかって、三日間くらい水が引かずにおる。そしてまた今度は九月というふうに、一年のうちに二回もある。ことに京都というのは災害の常襲地域になっておりまして、昭和二十二年以来、ことしで十二回目になっておる。しかも、全国の二十二年から三十二年までの十年間の災害を受けた額の統計をとってみますと、トップはあなたの山口県です。山口県がたしか二百何十億かでトップになっておりまして、その次が和歌山県、三番が京都というふうになっておる。山口県については、どうも道のないところに橋がかかっておるなんというふうな物語が出ておりまして、ある程度あなた方の政治力でこれは何か水増しされているのか知りませんが、それにいたしましても、とにかく京都府というところが、災害の常襲県で、十回をこえて災害に見舞われている。それだけにある程度復旧工事もでき、災害に対する備えもできております。しかしながら、それに伴うところの民間災害というものは非常に大きいです。ところが、大体国の災害に対する手当としては、民間災害というものがあまり見られておりません。ことに中小商工業者、あるいはまた、一般のサラリーマンというふうな人たちに対する災害の補償というものは、何ら行なわれておらないのが現状でございます。しかしながら、その災害が地方財政に与えるところの影響というものも大きいし、また、それが担税力に与えるところの影響というものも、きわめて甚大なものがあるわけです。そうしてこのように年々歳々災害に見舞われておるところが、今までの災害のために、いろいろな公共施設というものが災害を守るようにできておるために、比較的その被害が少ない。だから、補助率が大きな差異ができておる。低い補助しか受けられない。しかし、地方財政そのものの苦しさという点については、年々歳々災害に見舞われておるところの地方財政の苦しさというものは、十分あなた方にも御理解が願えると思うのです。そういう点において、この際も当然これは何らかの形で、まあ私の考え方では、やはり災害救助法を大きく発動して、そして相当な民間災害が出た場所、地方については、当然やはり高率補助というものが適用されるべきである、またそうされなければ、きわめてこれは不公平な国の措置である、こういうふうに私には思えるのでございますが、あなたの御見解を承りたい。
  142. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 連年災害につきましては、国庫負担法におきましても、その特殊性を考えて、いわゆる高率補助の適用が、収入に対して二倍というのが高率適用の基準でございますが、連年災害地については、これを一対一以上の府県ということにいたしております。従いまして、今回混合方式をとりまして特にやりますのも、こういう点、連年災害に準じて扱うべきではないだろうかという点が大きく働いた結果、今回のような基準を設けたわけであります。ところで、この連年災害についての特殊な考慮は払われますが、災害救助法を発動したら全部それができないかとか、あるいは災害救助法を発動した場合には、八割程度以上の町村をかかえておるところはこれを出さぬかとか、こういうような御意見があるやに伺うのでございますが、災害救助法は、御承知のように府県知事がこれを発動するのでございます。従いまして、これは必ずしも思想統一されたものとは思いません。従って、災害救助法災害の基準にこれを採用いたしますことは、それこそ不公平になりまして、また今後も、災害救助法をたくさん出しておけば特例が受けられるということで、これはとんでもない基準でございまして、私どもはこれには賛成ができません。ただいま発動した災害救助法を基準にする方が公平ではないかというお話がございましたが、個々の府県知事の判断によって出される災害救助法の適用地域、これこそが私は不公平になるもとであり、また将来に対しましては非常な悪例を生ずるものだ、かように考えまして、私は賛成できません。
  143. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 私が申しますのは、必ずしも災害救助法というものをものさしに置いていけというのではありません。前回はそれが一つのものさしとして使われた。しかしながら、今度はそれがものさしに使われておらない。ものさしに使われておらないところに一つのこういうふうな矛盾点が出てきておる。年々歳々災害にやられて、しかも財政力は乏しいし、復旧事業費にたえかねるというふうな地方の町村のあるということを頭に置いて、それをどうするか。災害救助法ワクをかける、網をかけるということに不賛成であるならば、何かそれにかわるものさしなり網なりを考えて、そういう地域災害復旧に対する措置を講じていただかなければならないのではないか、私はこれを申し上げておるのです。例をあげて申しますと、京都に、御承知のように福知山音頭で有名な福知山があります。この福知山というところは、標準税収が一億五千七百万円、そうして市町村工事の負担分が、公共土木の災害が一億二千八百万円というふうな数字になって、〇・五の上には、線上に上ってきております。しかしながら、混合方式をとっていきますと、混合方式によって出て参る数字が一・一三であって、一応基準の上から一以上になっておりますから、数字だけならばこれは浮かび上がりそうだ。ところが、査定がございますから、査定があると、これが落ちるだろうという悲観的な見通しになって、京都府はそういう査定において削られる率が従来少ないといわれておりますけれども、それにいたしましても、一・一三ではちとしんどいんじゃないか、こういうふうに見られておるのです。そういたしますと、福知山のごとく年々歳々水害に見舞われ、しかもその財政力が乏しいというふうなところが、今度は網の目から落ちてくるというところに、住民の問では、割り切れない、今度の基準に対する不満が出て参っております。そういうふうな町村がほかにもたくさん出てくると思います。だから、そういうふうな町村をどうしてその財政のための措置を講ずるかというふうな点での配慮が行なわれておらない、ここにあなたのお名にふさわしからぬきわめて渋い案だということが出てきているわけでございまして、この点について何らかの特別措置をこれから後もお考えになる御用意があるかないか、その辺のところを承りたいと思います。
  144. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 いろいろ具体的な例をあげて窮状を訴えられました。もちろん数字の問題でございますから、一定の基準を設けて参りますと、その基準に合うか合わないかで、いろいろの幸不幸が出てくる。非常に近接した場合に、自分の方は落ちた、これは大へんじゃないかというような議論が出てくるかと思いますが、これは基準というもののきびしさ、そういうところにあると思います。しかりといって、福知山なら福知山で、ただいまのような数字がどんな査定をするかというところへかかってくるようでありますが、先ほども申し上げますように、私どもはこの特例を受けない地域をふやすような考え方で今日査定をしておるわけではございませんので、これは工事が少なくて済めば、それこそ、被害が激甚でなかったという意味において市民の方にも喜んでいただきたいと思います。同時に、あとの処置の問題といたしましては、国庫補助は別といたしまして、起債を許すとか、あるいは交付税でその跡始末をいろいろ地方財政の面で何とか考慮をする点があるわけでございますから、ひとり補助率だけで云々することは、災害復旧には実は当たらない議論だと思います。もちろん、高率補助の方が非常に信頼が置けて、地方財政の面ではなかなか信頼が置けないというようなお話もしばしば聞きますけれども、とにかく今日あります制度を十分使っていただいて、いやしくも災害復旧に事欠かないような努力をすることが、罹災者に対しましても市の理事者として当然のことだろうと思います。私どももまた、各団体等が財政上非常な負担を受けて、将来その団体が独立できない、こういうような事態のないように十分注意いたして参りますが、それは災害復旧の跡始末だけの問題ではなく、一般地方団体の財政の問題として考究さしていただきたい、かように思います。
  145. 南條徳男

    南條委員長 岡本君、大蔵大臣はまた五時に参りますから、残ったら、そのときに……。
  146. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 先ほどから矢の催促がございますので、これでやめます。ただいまのお答えの中で、その基準に当てはまらないところは、災害が少なかったと思って喜べというようなお話でございましたが、これはもし間違いだったら、あとで訂正していただいてもけっこうでございますが、そういうふうなことではあまり冷たい言い分で、そんなことでなしに、そういうふうなところについては、今後ともそういうふうな不公平のないように、できるだけ努力していきたい、こういうふうなお考えを持っていただくように申し上げて、私の質問を打ち切ります。
  147. 南條徳男

  148. 小林正美

    小林(正)委員 通産大臣に工業立地の問題についてお尋ねいたしたいと思います。  有史以来最大の被害を受けたこの機会に、私たちは従来の既成概念というものを一応ぬぐい去って、ほんとうに新しい角度から、工業の発展ということをこの際考えてみる必要があるのではないか。災いを転じて幸いとするという言葉もありますので、このチャンスをぜひ一つ生かしていかなければならぬ、こういう工合に考えます。すでに東京湾であるとか、あるいは大阪湾などの領域においては、もう行き詰まりがきておるのではないか、こういう工合に考えられますので、この際、伊勢湾の臨海工業地帯は、名古屋、四日市を中心としてすばらしい将来の発展の可能性があると私は思われますが、その点について大臣のお考えを承っておきたいと考えます。
  149. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お説もっともでございまして、私もしかく考えております。従来、通産省におきましては工場の立地条件につきまして、特別予算を持ち、全国的に調査をしておるのであります。この事業を拡大していきますと同時に、今回の経験にかんがみまして、工場の立地条件また災害対策等を考えていきたいと思っております。
  150. 小林正美

    小林(正)委員 この際、非常に大きな災害をこうむった海岸堤防の復旧工事の問題、さらには名四国道の問題、また揖斐、長良、木曽の三大河川の水の問題と関連して、どのように臨海工業地帯造成を推進して、産業の発展と背後地帯の安全とをあわせてはかるようなお考えをお持ちになっているか、お伺いいたしたいと思うのであります。特に臨海地帯と内陸地帯の工場配置の適正化についても特別の配慮があってしかるべきだ、かように私は考えますが、何か構想をお持ちであれば、一つお聞かせ願いたいと考えます。
  151. 池田勇人

    ○池田国務大臣 わが国が原材料を海外に仰ぎ、しかも輸出をもって立つ以上は、やはり工場はおおむね臨海地に置かれるようになると思います。また輸送関係等から考えましても、それが有利な条件じゃないか。最近におきます工場の建設は、おおむね海岸地帯ということに相なっておるのであります。従いまして、工場についての水の問題、それから高潮等に対する防御の問題等々、いろいろございますが、私は今回の経験にかんがみまして、高潮対策としての防波堤、防潮堤、これも必要でございます。また、最近各地にもあるのでございますが、工業用水を地下水に仰ぐことが多く、それが地盤沈下にかなりの影響がくるのであります。従いまして、工業用水の問題も十分考えなければならぬと思います。また、今回の名古屋あるいは四日市の災害の状況を見まして、やはり工場はある程度高く盛り土をしていくべきだ、またそれと同時に、その付近に住まっておられる工員の方々の住宅につきましても相当注意しなければならぬ、あるいはまた、そういう工場付近よりも工員の住宅は他の高台地に置くということも一つの方法でございます。また、工場はつからなかったが、そこに行くまでの道路が非常に低かったために、災害復旧がおくれている、こういうことなどを考えますと、道路はやはり少し高目にこしらえるというふうなことも考えなければならぬと思います。私の所管ではございませんが、建設省その他と十分打ち合せいたしまして、今回の災害の経験から、二度とこういうことを繰り返さないよう万全の措置をとるべきだと思っております。
  152. 小林正美

    小林(正)委員 以上の点に関連して、いわゆる中央集権化、そういう意味の道州制に対してはもちろんわれわれ社会党は反対でありますが、伊勢湾であるとか、あるいはまた、水の問題では、揖斐、長良、木曽というような三大河川を利用している関係もございまして、最近は、この災害を一つの契機として、あの東海三県を一つの大きな県としてやっていった方がうまくいくのではないか、こういうような意見もあるように聞いております。この点について大臣はどういう工合に考えておられるか、何か御意見でもあったら、一つ聞かしていただきたいと思います。
  153. 池田勇人

    ○池田国務大臣 行政機構その他重要な問題でございますが、私は先般関西に参りますときに、水の問題で、大阪、京都、滋賀三府県が、毎月一回ですか、会合せられまして、三府県の意見の一致、また協力ということが行なわれていると聞いておるのであります。今回の伊勢湾台風によりましてそういう議論が出てくるのじゃないか。ことにまた東海製鉄の問題等から考えまして、先ほど言った水の問題が非常に重要なんでございますから、三県が協力していかれるというようなことは、立地条件をよくし、工場の建設また産業の発達に稗益するところがあるのではないかというくらいの気持を持っておりますが、今経済関係の同じようなところが一緒になっていくという結論にまでは到達してはおりません。考え方としりて起こり得ると私は思っております。
  154. 小林正美

    小林(正)委員 これはきわめて重大な問題でありまして、もちろん、私どもとしてもまだはっきりした結論を導き出す段階ではありませんが、こういう大きな災害があったときに十分研究するということはお互いに必要ではなかろうか、かように考えております。  その次に、中小企業に関係する問題でありますが、今回の災害をこうむった中小企業者は非常に苦しんでいる。そこで、この中小企業者を助けるためには金融の道しか方法はないと私は思うのでありますが、今回政府は百五十億円の一応手当をした、こういうことで、聞くところによりますと、通産省の内部で、この百五十億円をはたして中小企業者がよう使い切るであろうか、あるいは残すのではないか、こういうような意見さえ実は起こっておるということを聞くのであります。私はそのようには理解いたしませんが、その点大臣はどのようにお考えでありましょうか。
  155. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は、災害当初は、大体百億くらいでまかなえるのではないかというふうな気持を持っておったのでございますが、再度視察いたしまして、五十億ふやすよう大蔵省に要求いたしたのであります。私の見るところでは、これが余るというふうなことはないのじゃないか。最近の貸し出しの状況は、従来の災害のときよりも非常にスタートが早く、円滑にいっているようでございます。十月末で二十億足らずでございましたが、十一月の五日で大体三政府関係金融機関で二十五、六億までいっておると思うのであります。非常に順調にいっております。
  156. 小林正美

    小林(正)委員 私も、実はこの百五十億は使い切れないのではないかというような意味ではなくて、むしろこの額は非常に少ない、こう考えております。特に私は、この際、中小企業者のいわば親のような立場である通産大臣に一つお願いをいたしておきたいのでありますが、せっかく国会やあるいは政府がいろいろと法律を作り、また予算措置をいたしましても、これが実際に末端において、貸し出しをなされる場合においてはどうも円滑にいかない。実際末端業務をやる人が、そういう法律を作る精神、あるいは予算を組むところの精神というものを十分理解しないで、ただ自分たちの責任だけを考えて、非常に過酷な条件を加重してなかなか金の貸し出しをしようとしない、そういう声を私はしばしば耳にいたしておるのであります。大体毎週土曜から月曜まで郷里に帰っておりますが、ほとんど私の宅を訪れて相談を持ち込む人の声というものは、窓口がなかなかどうも言うことを聞いてくれない、思うように金を貸してくれない、新聞ではうまいことを言っておるが、どうもなかなか円滑に金が出てこないという声が非常に大きいのであります。こういう点について、私は、通産大臣がほんとうに中小企業者の立場に立ってものをお考えになるならば、一つあなた方の末端の仕事というものがうまくいっておるかどうか、実際に現地に人を派遣して、その業務の円滑さをさらに督励し、査察するような、そういう配慮が望ましいと思うのでありますが、その点いかがでありましょう。
  157. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話のようなことがあっては困りますので、私は、三金融機関につきまして、特に督励をいたしました。三金融機関の理事が常時名古屋方面に行って、そしてまた職員もふやす、また名古屋通産局長以下部下の者にそういうふうな心がまえでいくよう指示いたしておるのであります。名古屋通産局は、積極的に金が円滑に早く回るよう努力しておるような状況でございます。なお、今後ともこの気持を続けて拡大して参りますが、もしどの機関でどういうことがあったということがございましたら、一つお教えいただきまして、是正いたしたいと思います。
  158. 小林正美

    小林(正)委員 次に、私は、今回の災害があのような非常な民間災害が多いということから、中小企業者が大へん自分たちの仕事を復活させるために苦労をいたしておりますので、信用保証協会の問題についてちょっと触れてみたいと思うのでございます。私どもは、信用保証協会というものは、信用の薄いといわれる融資対象に対して、何とかしてこれに信用をプラスして貸し出しを円滑にしてやる、こういうところに保証協会の存在価値がある、かように理解をいたしております。ところが実際は、これも先ほどの金融機関の問題と同じでございまして、こういう公の機関である信用保証協会というものが、設立された趣旨に反して、借り手の味方になっておらない、逆に貸し手の味方となって、全く相反した仕事のしぶりをいたしておる、こういう場合が多々ございます。私は、緊急を必要とする災害融資をしなければならぬ時期でありますので、あえて申し上げたいと思うのでございますが、たとえば、保証協会の会長が何と銀行の頭取であり、保証協会の専務理事から職員の大半がその銀行の従業員の古手によって占められておる、こういう実例が相当ございます。そういうことのために、保証協会の活動というものが非常にゆがめられて、ほんとうに中小企業者の金融に役立っておらぬ、こういう事例を私は知っております。こういう点について、通産大臣は、どういうお気持でこういう保証協会というものを監督なさっていらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思うのであります。
  159. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は、中小企業の育成には、信用保証協会が非常に役立つものだと思います。もともと、これは各府県でやっておったのであります。それを法律化いたしまして、全国的なものにいたし、今回におきましても、当初は五億ぐらいでいいのではないかというような話もございました。しかし、私は、それではとてもいかないので、少なくとも十億、地方団体が二億ほど出しますから、十二億ぐらいで百億余りの金を確保しなければいかぬというので、特にこの方に力を入れた次第であります。これはお話のような点もあるかもわかりませんが、信用保証協会自体は、業務の拡張をして初めて立ち得るのであります。私は、せっかく出した十億円の金が十分使われることを期待しておるのであります。先ほどの御質問と同じように、もし、そのやり方につきまして意に満たないという点がございましたら、お教え願いたいと思います。
  160. 小林正美

    小林(正)委員 その今の保証協会の会長を銀行の頭取がやっている、また専務理事以下保証協会のほとんどの職員がその銀行の行員の古手である、こういうことは、一般論としても一体どうでしょう、どう考えられますか。
  161. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これはやはり金融に対しての経験のある人が、私は一応考えられるのじゃないかと思います。従って、もとの経歴がどうだからこうだからというので、一概にこれを排除するというふうなことはいかがなものかと思います。その衝に当たっている人の心がまえの問題だと私は思います。
  162. 小林正美

    小林(正)委員 その問題は、また商工委員会でいろいろ質問いたしたいと思いますが、そこで私は、一つの私案をここで申し上げてみたいと思うのであります。四日市のような商工業都市におきましては、今回の非常な大きな災害によって、中小企業者が大へん打撃を受けて困っている。そこで私は、四日市市が中心となって四日市に信用保証協会を作らして、これに一つ円滑な運営をやらして、中小企業者の期待に沿わすような方法はどうであろうか、こういう工合に考えますが、大臣としては、県の信用保証協会のほかに、こうした市の信用保証協会の設立を認められるかどうか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
  163. 池田勇人

    ○池田国務大臣 各県単位でやっておりますので、その県内において特にまた別の機関を設けるということにつきましては、私が意見を申し上げるよりもやはり三重県知事と御相談いただきまして、それが適当ならば、その報告によってこちらも考えたいと思います。
  164. 小林正美

    小林(正)委員 今の答弁で私もやや満足するわけでありますが、実はこういうことは前例がないわけではありません。たしか今から四、五年前と思いますが、秋田県の能代市におきまして、非常に大火で、その後中小企業者が立ち上がりに大へん困った。そのときに能代市では、これはどうしても金融のめんどうを見ることが一番中小企業者を救う近道だ、こういうことから、能代市に信用保証協会ができまして、それが非常に中小企業者の立ち直りのために大きな貢献をしたということを、私は承知いたしております。今お話のあったごとく、私は、四日市市長や三重県知事ともよく相談いたしまして、幸いに、うまく話がつけば、この問題はぜひ一つ認可をいただくように私どもも働きかけたい、こう思っておりますので、その節はよろしくお願いをいたしたいと考えております。  それから次に、私は、これは最後でありますが、大臣に一つ聞いておきたいのであります。通産大臣は、一般論として競輪とかあるいは競艇とか、競馬というものの存在を一体どのように考えられるか。いろいろ意見はございます。たとえば、ああいうものは、現在の地方財政の状態の中ではやむを得ない必要悪である、だから、当分認めざるを得ないのではないか、こういうような意見もございましょう。また中には、いや、あれはもう当然国民の娯楽であるから、また、それが産業の振興にも寄与するのだから、将来とも大いにこれは振興せしめなければならぬ、こういう御意見もございましょう。また中には、これはもうはっきりばくちである、こういうものを公営で行うということは、最もけしからぬ、通産省はこれを全廃すべきである、こういういろいろの意見がございますが、この点大臣はどのようにお考えでございましょう。
  165. 池田勇人

    ○池田国務大臣 競輪その他につきましては、お話の通りにいろいろ議論がございます。私の私見といたしましては、今新たに競輪場を設けるということにつきましては、私は賛成いたしません。しかし、できたこの既成事実をどういうふうにして弊害の少ないようにしていくかということが、私に課せられた問題だと思っております。
  166. 小林正美

    小林(正)委員 そこで、今新たに設けることについては賛成できないというお話でございまして、こういう場合にどういう工合にお考えになるか、一つお伺いいたしたいと思うのでありますが、実は三重県の四日市におきまして、霞ケ浦という、これは海岸線でありますが、そこに競輪場がございました。ところが、今回の高潮のために大破いたしまして、これが復旧にはなかなか莫大な経費が要る、こういう工合にいわれております。ところが、この実情をながめて立ち上がったのが、四日市の婦人連絡会協議会の人々でございます。競輪などというものは、健全な家庭生活のためにはまさに敵である、この際競輪は廃止すべし、そういう決議が婦人会で満場一致可決されまして、この運動が非常な反響を呼んで、災害をこうむった桑名であるとか、あるいはまた鈴鹿はもとよりその他三重県下全体の婦人会の声となり、さらには県下のいろいろの民主団体もこれに共鳴いたしまして、この際競輪は廃止すべし、こういう声が今やほうはいとして三重県下に起こっております。一昨日でしたか、たしか新聞紙上で、競輪で損をした人が一家心中をした、こういう記事も載っております。また、きのうの記事でありましたが、競輪はいわゆる八百長だというので、大へんこれが問題になっておる、こういうことも新聞に書かれておる。私は、こういういろいろの問題をかもし出しておるおりから、日本国じゅう全部が同時に競輪とか競艇をやめよ、こういうことはなかなか言いにくいことでございますが、少なくとも災害をこうむったこうした婦人会の人々の心を心として、四日市のごとき被害のはなはだしい競輪場をこの際いっそのことやめさしてしまう、もう復活は認めない、こういう工合にやっていただいたならば、今度の災害が転じてしあわせになる糸口になるのではないか、かように考えますが、この点大臣は一体どのようにお考えになるか。四日市の婦人会が立ち上がって、今や燎原の火のごとく全日本の婦人会の声となろうとするところの競輪廃止の声に対して、あなたはどのようにお考えになるか、大きな被害をこうむって、今度競輪場を再開するにも莫大な経費がかかるというこうした特殊なものに対して、あなたはどうお考えになるか、お答えをいただきたいと思います。
  167. 池田勇人

    ○池田国務大臣 従来新設は認めておりませんし、また移転につきましても、よほど厳重な審査をいたすことに相なっております。御質問の四日市の問題につきましては、よく実情を調査いたしまして、結論を出したいと思います。
  168. 小林正美

    小林(正)委員 もう一つ、これは私の要望であります。十月の初めでありましたが、これは大蔵省の役人であります、かつてのあなたの部下でありますが、大蔵省の主計官が三重県にやって参りました。いろいろ調査においでになったのだと思うのであります。ところが県庁のそばから、たまたま当日罹災者の食糧や医薬品を満載してまさに飛び立とうとするヘリコプターがあった。そこへ主計官がやってきまして、そのヘリコプターちょっと待てと言って、とうとうその薬や食糧を引きずりおろして、今度は自分がそのヘリコプターに乗って災害地を見て回った。これに対して地元の新聞が非常に憤慨いたしまして、四段抜きの記事でもって、けしからぬ、あまりにも官僚が思い上がった態度である、罹災地にはほんとうに食糧もなく、また病に苦しんでおるところの病人がおるにかかわらず、それを引きずりおろして、この主計官が——なるほど災害地を見る必要はあったであろうけれども、それほど緊急を要することとは思えない、こういうことでは、あまりにも役人が思い上がっておるのではないか、もっとあたたかい政治を行なうべきだ、もっとほんとうに困っておるところの罹災者の立場に立って仕事をしなければならぬのじゃないか、こういうことを新聞が書いておりました。この点について、国務大臣の一人として、またがってのあなたの部下であった主計官のこういうやり方について——ほんとうに今罹災民は困っておるんですよ。ちょっとしたことでも、気持が高ぶっておるので、もっと謙虚な気持で官吏というものは罹災地に臨んでもらいたい。大臣、どういうお考えですか、一つお答え願いたい。
  169. 池田勇人

    ○池田国務大臣 国務大臣としての答弁でございますが、私はお話の通りならばそれはよくないと思います。ただいろんな事情があったかどうかは存じませんが、お話の通りならば行き過ぎじゃないかと考えております。
  170. 村上勇

    ○村上国務大臣 この問題は、私関係がありますので、私からお答えいたします。当日は、大蔵省の主計官は私に同行いたしておりました。ところが、あの災害のあった翌日に、大蔵省としては木曽川下流の地区に五億円というつなぎ資金を出しております。大蔵省としてはいまだかつてないほどの非常に緊急な手を打ってくれたのですが、とうてい五億や十億では足りませんので——といって全然現地を見ないで大蔵省が金を出すということは困難であろう、それでとうていあの地域には舟も行かれない、車も行かれない、歩いていけば一日かかっても行けないという状態でありましたので、私がその主計官に、とにかく物資輸送のじゃまをしないような方法で、何か雑貨を積んでいくようなヘリコプターがあったら、それに乗って、一つ上空からでもあの地域現状を見て、直ちに査定してあとのつなぎ資金を出してもらわなければいかぬ、こういうことで当時新聞あるいは雑貨、いわゆるちり紙等が非常に不足しておりましたので、ちょうどあの地域からそれを積んでいくヘリコプターに主計官が一人乗って、そうしてあの上空から緊急査定をしてもらったわけなんです。そうして本人は、その目的を達成して、桑名あたりでおりて、また私の一行に加わった、こういうことでありまして、当時各紙にこのことが出ましたことは、まあ新聞がこれを取り上げるということは当然であります、当然でありますが、しかし、そのヘリコプターに乗った主計官が非常に物資輸送をじゃましたということは、私としては考えられなかった。十七、八貫の者が一人乗ったのですから、雑貨を積むことがそれだけマイナスになったでしょうが、しかしながら、大きな主計官の使命ということから考えますと、これもやむを得なかったのじゃなかろうか。新聞社の発表していることは、決してうそではない、真実でありますけれども、しかし、その取り上げ方については、いささか——私はあえて大蔵省の弁明をするわけじゃないのですが、これは私と同行しておりましただけに、私にその責任があると思いまして、私はその点については、中部日本の対策本部でも、本部長以下各部員に報告いたしまして、了解を得たはずでありますので、この辺はあの際のことでありますから、いろいろと地元の方も気が立っておったと思いますし、一応これは私のただいまの発言によって御了承いただきたいと思っております。
  171. 小林正美

    小林(正)委員 建設大臣は非常に熱心に三重県下をお回りになっていただいて、私ども感謝しております。ただ一言お願いしたいことは、やはり今県民が気持が立っておりますから、どうか一つそういういろいろ新聞に書かれて誤解を招かないように十分配慮をしていただいて、ほんとうに思いやりのある政治をやっていただきたい、こういうことを要望いたしまして、ちょうど時間になりましたから、私の質問を終わります。
  172. 南條徳男

    南條委員長 法務大臣に対して、田中幾三郎君から質疑の申し出がございます。これを許します。田中君。
  173. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 法務大臣にでありますが、建設大臣も関係がありますので、質問を受けていただきたいと存ずるのであります。     〔委員長退席綱島委員長代理着席〕 今次のような非常に大きい、しかも、深刻な災害に対してすら、政府はなお予算を出し惜しみ、あるいは高率の補助の適用区域についても、非常にこれをしぼろうといたし、また見舞金、救助等についても非常に消極的であります。私は、これは天災であるという大きな壁の陰に隠れて、これは政府の責任でなかったのだという考えのもとに立っておるから、積極的でないのであると思います。一たびこういう災害もまた政府の責任であるという考えに立脚いたしまするならば、跡始末であるところの災害対策はもちろん、将来再びかかる事態の起こらないような完全な施設をなすべきであろうと存ずるのであります。天災が起こると、人災論が出るのです。しかし、天災は一つの天然現象であって、天然現象には人の責任はありません。しかし、天然現象が結果したところの被害というものに対しては、一体人というものの責任がないであろうか、私はかような疑問を持つのであります。現象そのものは、今日の科学の力では絶滅することはできない。この間予算委員会におきまして、台風の目が見えたならば、その目をつぶす方法がもしできるならば、天然現象そのものを消滅せしめることはできるのでありますけれども、今日の科学の力では、台風の目をつぶすことができない。従って、天然現象そのものは必ずやってくるのです。しかし、その天然現象から生ずるところの災害というものを防止し、またはこれを軽減する力というものは、人力であり、政治の力でありますから、私はここに問題があると思う。そこでとんでもない国家賠償論をここに持ち出したのは、天災にもなお国の責任ありということを基本的にここに明らかにしておこうと思いますがために、この国家賠償論を引き出してきたわけであります。今までの大ていの場合には、天災であるから責任はないといって、政治的責任をのがれておったのでありますが、この国家賠償法によっては、国の施設その他管理に瑕疵、すなわち欠陥があれば、それによって生じたところの損害はすなわち国の責任である、こういうのでありますから、一般的に施設と管理に欠陥があった、それによってここに被害が生じたということになりましたならば、私はやはりその損害というものは、これは国家が負わなければならぬものだと思う。ここに瑕疵があったかなかったかということは議論になりますけれども、もし、その国家の施設、管理に瑕疵があったということを前提とすれば、私は国にその責任があると思うのですが、一般論としてどうでありましょうか。
  174. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 ただいま田中委員のお話しの通り、国家賠償法には、「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」という規定がありますから、瑕疵があったということを判定されれば、賠償責任があると考えます。
  175. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 それが賠償法の精神でありますから、瑕疵があったということが明らかになれば、国に責任のあることは当然だ。この国家賠償法の規定のこまかいことは、民事局長にお尋ねいたしますが、この賠償法の規定というものは、民法七百十七条の所有者の責任が根拠になっておるのです。そこでこの公の施設、管理に瑕疵があったならば、もしも瑕疵があったということに対して、注意が足らなかろうが、あるいは万全の注意をしょうが、そういう主観的条件が何らなくとも、ただ客観的な欠点があった、瑕疵があったということ、それ自体で、国家賠償法の損害に対する国もしくは公共団体の責任が生ずるという、この原理は、これは間違いないのですね。
  176. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 瑕疵という客観的な事実がありますれば、主観的な要素は、その賠償の事情の釈明になるかもしれませんが、瑕疵自体については、客観的損害によってきまると思うのであります。
  177. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 もちろん国家賠償法の規定によりましたならば、瑕疵があって損害を与えたということでなしに、自動的に損害が生じたというその結果だけで、瑕疵というものと損害が生じたという結果があれば、その結びつきがあれば、責任を負うのでありますから、大臣の解される通り、もちろん私もさように思います。この国家賠償法の理念というもの、この精神というものを政府が率直に考えて、そうしてその瑕疵というものを見つけ出し従なかった、工事でいうならば補強し得なかった、この瑕疵を埋めることができなかったということをみずから感ずるならば、私は、この生じた結果に対する全責任というものは国というものが負わなければならぬ、かように考えるのですが、いかがでございましょうか。
  178. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 瑕疵と損害との因果関係がなければいかぬと思います。その間に、主観によってそれを左右することはないと思います。
  179. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 その通りであります。それは瑕疵と生じた結果について因果関係がなければ、もちろんこれは責任はないのでありますが、そこで天災を常にとらえて、天災であるから、自然現象であるから、これは因果関係がないのだということは、私は原則的には言えないと思うのですが、どうでしょうか。
  180. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 天災が瑕疵なりやいなやということになりますと、おのずから問題は別ですが、設備に瑕疵があって、それが天災によってその瑕疵のために提防がくずれたというような場合には——天災によってくずれた場合には責任はない、こう考えております。
  181. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 そこが問題であると思うのであります。これは因果関係——不可抗力ということを言いたいのでありましょうが、天災必ずしも私は因果関係を中断するとは思わない。たとえば、いわゆるアリの一穴でも、少しの天災、すなわち自然現象によってそれがくずれるような場合があり得るのですから、私は、原則的に天災の場合はいつも因果関係がないのだということは言えないでしょうということを聞いておるのです。
  182. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 天災か人災かという問題になりますと、今度の伊勢湾台風天災か人災かということは、いろいろ争われておりますが、結局その営造物に瑕疵があった場合というので、堤防がかりに低かったとか高かったというようなことが瑕疵になるかならないかが問題になるのでありまして、それによって天災か人災かという問題とは別問題と私ども考えております。
  183. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 ですから、私の言うのは、抽象論として、天災の場合でも——いわゆる天災というのは、私は自然現象を言う。自然に風が吹いてくるとか、自然に水が出るとか、雨が降ってくるとかいう、いわゆる自然現象の場合には、これは全部どんな場合でも因果関係が中断されて、因果関係がなくなるということは言えないでしょうということを、私は一般論として聞いておるわけです。
  184. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 そういう意味ならば、田中委員の仰せの通りであります。
  185. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 そこで、天災の場合にはいつも大きい被害が生じておるのであります。私の調べたところによりましては、他の公共の設備や管理に瑕疵のあった場合には、国、公共団体を相手にして訴えた事件はたくさんある。あるけれども、しかし、この天然現象による場合には、ほとんど訴訟の起こったようなことは、私の今の調べでは見当たっておりません。この間、名古屋の南陽町のある農夫から、損害賠償を訴えたという事件が一つあります。しかし、今まで天然現象による損害の賠償を国に訴えなかったということは、これは権利がないから訴えなかったということではなくして、いろいろの原因がある。たとえば金額が非常に多額である。訴訟費用が、非常に印紙税がたくさんかかる。あるいは非常に立証もむずかしいということもありましょう。官庁相手ですから、あとのたたりがこわい。それよりも補助金を少しでも早くもらっておいた方がいいだろう。最も大きいのは、今度は政府にりっぱな復旧をしてもらって、今後再び起こらないような施設をしてもらうであろうという、政府を信頼して訴訟を起こさないというような人もあろうと思うのです。私の調べたところによりますと、京都の昭和二十六年に訴訟になりました平和池ダムの決壊の損害事件でありますが、あれは幾つか起こったそうでありますけれども、訴訟費用が足りなくて訴訟が却下になった、あるいは訴える相手が、当事者が違っておったので訴えが却下になったというようなことで、多く途中で消えてしまったそうです。しかし、今度の問題のように、訴訟費用の救助があるので、今後訴訟費用がかからない、しかも、自分のきわめて地元の問題であるから、立証も相当軽易であるかもしれぬという場合には、私は起こり得ると思うのです。ですから、今までにこういう事件があまり出なかったからということをもっては、罹災者に対して請求の権利がないとは私は断定できないと思うのであります。この趣旨は、御承知のように、被害を受けた被害者の苦痛と損害を、国家も社会連帯の理念によって持ってやろう、被害者のみに負担さすべきものではないという趣旨の含まれておるものであると、私どもは理解しております。ですから、政府は、そういうことについての自分の欠陥がはたしてあったかどうかということを調べずにおるのでありますから、やはりそこには一つの政府の行為についても責任を感じて、積極的に私はこういうものを処理しなければならぬと考えておりまするので、この点を明らかにして、法務大臣なり建設大臣あたりが閣議でももう少し主張してこれをやっていただきたい。というのは、この高率補助の適用地域についても問題になってくるでしょう。これは、被害の額と、それからその当該地域における税金の額というようなことを標準にして考えておるけれども、この災害は一体いかなるところに原因を置いておるのだということを少しも考慮されておらぬ。これはよく調べて、政府の責任は全部でなくても、その責任のまあ相殺といいますか、計算したならば政府にも五分の責任がある。そうして天災という自然現象にも五分の力があったのだというふうに考えますならば、私は高率の適用などということは、租税や被害の額によってやるべき問題ではなくして、被害の起こった原因を研究して、こういう原因だからしてここにはこうしてやらなければならぬという一つの原則というものが生まれてくると思うのであります。それを一つ閣議あたりでも御主張願いたい。  それで建設大臣にこれにからんでお伺いしたいことは、この間、揖斐川の支川の牧田川というのですか、根古地地区というのの工事の設計経過書が出ました。私ども新聞で見ましたら、この調査は、二十八年に災害にあって、三十一年まで調査をやっと続けて、それから五年計画で工事にかかった。それがこま切れ工事で完成を見なかったために、大出水を見たというふうに新聞では報じておる。私の伺いたいのは、この台風の起こったあの当時に、未完成のどんな部分があの河川の堤防にあったか。こま切れという以上は、一部分刻んでやったのだろうと思うのですが、これではちょっとはっきりしませんけれども、いかなる部分の工事の未完成があったのか——なかったのかあったのか、まずその点を伺いたい。
  186. 山本三郎

    ○山本政府委員 ただいまのお話は、牧田川の決壊の付近の工事の状況だと思いますが、あの部分につきましては、改修計画を立案しておりまして、それを現在の堤防では高さが足りませんものですから、前の方——川幅の広いところでありますから、前に堤防を出しても支障がないようなところから、前のところに護岸をやりまして、その上に堤防を作るという計画のもとにやっておったわけでございます。それがまだ完成しない、工事中にあの事件が起きた。全体の事業費は約七千万か八千万かと思いますけれども、まだ三千万くらい使った途中でございます。
  187. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 これは工事施行の計画からいえば、年度別ということでいけば、その通りに運んでおったのですがどうなんですか。
  188. 山本三郎

    ○山本政府委員 計画を立てまして、その通りにやっておったわけであります。
  189. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 この資料によりますと、この築堤の百八十メートルのうち、残った工事はほんのわずかのように書いてありますが、これはどうなんです。
  190. 山本三郎

    ○山本政府委員 全延長が七百メートル余りと思いましたが、それを全般的に下の方から工事を進めておりまして、約六千万か七千万かかるものが、本年度の予算をつけまして、三千万余りの工事費が今までについたわけでございます。今年度の工事も途中でございますが、その途中であの出水が参ったわけでございまして、この工事が完成しておれば、あそこの第一回の破堤もなくて済んだのではないかというふうに考えております。
  191. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 そこで、今のような問題は非常にむずかしい問題で、工事の途中でありますから、はたしてこれが堤防の瑕疵であるかどうかということは非常に問題であろうと思うのです。けれども、ほとんど大部分できて、雨季に際してこれが完成を見なかったということに、法律的の責任はともかくとして、施工がそういうふうになったというところは、河川のはんらんした、被害の大きくなった原因があるのですから、私は、だいぶん地元で騒いでおるようでありますから、この点も、あるいは今の賠償にからんで問題が起こってくるのではないかと思うのでありまして、これは具体的問題に入りますので、お尋ねはいたしません。  それから次に、法務大臣にちょっとお尋ねをいたしますが、今度の災害によって決壊もしくは破壊したあとに、緊急に応急の工事を行います。それが、あとにそう大きな天災でなくとも、普通の自然の現象によってくずれる危険があるというような場合に、それをなお補強しないで、そのままにしておくというような場合には、私は、やはり一つの公共物の設備の瑕疵として責任を問われるのじゃないかと思う。これはいかがですか。
  192. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 建造物の瑕疵と申しますのは、補強が十分であったかなかったかというような問題では私はないと思います。それは、むしろ民事上の責任ではなくて、政治上の一種の責任問題ではないか。民事上の責任ではない問題でございますから、国家賠償の原因にはならぬ、こう考えております。
  193. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 これはよく海岸地帯にはあるのですが、海岸の堤防がくずれて、その背後にある人家の敷地までくずれて、半ば海の底まで見えるというような危険状態、本人からいえば、自分としてはそういう堤防に手をつけることができないから、危険なままにさらされておるわけであります。人命も財産も危険に直面しておる。いわば緊急の危機、危難に遭遇しておるわけであります。そういうものもなお捨てておいて、政府の査定を待って、それから工事を始めるというようなことで、これで何ら責任がないと言えるでしょうか。
  194. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 責任がないとは申し上げませんが、民事上の責任はないと申し上げております。と申しますのは、かりにその地方に堤防が全然なくして、あぶない、堤防を作らぬのはけしからぬではないか、その責任は、政府が作らぬために災害が起こったから、国家賠償の責任になるという解釈はいたしておりません。施設があって、そこに瑕疵があった場合に、初めて国家賠償の民事上の問題が起こる。しかし、田中委員の仰せのような場合には、政治的に、政府としても、公共団体としても、十分責任を感じて、そういうことのないように善処しなければならぬことは、これは民事を離れての別問題としてわれわれは解釈をいたしております。
  195. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 私は、そういう政府の責任から、目前の危難というところから見まして、そういう公共施設を守るということは、どうしても優先だと思う。社会党は、いつも軍備の問題、軍事費をこういう施設に回せというので、非常に冷笑されるけれども、眼前の危機を前にして、これはどうしても政府の施策としてほかのことに優先する。たとえば、潜水艦もこないのに対潜飛行機を作るということよりも、目の前にさらされておるこの公共の危険が私は優先すると思う。ですから、そういう点については、今さら軍事費をやめてということはできませんけれども、建設大臣にそういうところをよく調査をして、やはり優先的にやっていただきたい。これは御異論なかろうと思いますから答弁は求めませんが、そこで今度の問題は、これは非常に地域も広くなっておりますし、被害程度もひどいですし、今申しました厳密な意味における国家賠償法の瑕疵というものは、私は隔れて多々あろうと思う。私はこの間資料の提供を求めたのですけれども、名古屋管区の行政監察局が非常に調査をいたしまして、治山、治水、水防の施設についても、幾多の欠点を指摘しております。私は、今度のこの災害について、これは委員長にもお願いしたいのですけれども、将来への政府の施策というものを、あらためて積極的にやっていただくために、この委員会に行政監察に匹敵するような災害の調査特別委員会というものを設置するか、さもなければ建設大臣の方で災害の原因を究明する、そうしてあわせて将来こういうことの起こらぬような資料にするという徹底した機構なり方法を講じていただきたいと思っておるのです。これはいかがですか。
  196. 村上勇

    ○村上国務大臣 災害防止の基本的なものは、結局災害の起きる前に施設を完備することが第一でありますので、建設省といたしましても、十分にこの点に留意いたしまして、五カ年計画等十分検討いたしまして、緊急度の高いところから順次治水事業を完備して参りたい、かように思っておる次第でございます。
  197. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 委員長におかれましても、災害の原因を調査する今の調査特別委員というようなものを設けて、この災害発生の原因究明に当たられるような方法を一度御考慮願いたいということを要望申し上げておきます。
  198. 綱島正興

    綱島委員長代理 次に、辻原委員
  199. 辻原弘市

    辻原委員 それでは最初に、建設大臣にお伺いをいたします。時間がございませんので、要点のみ伺いまして、細部はまた小委員会等で伺うことにいたします。  一つは高潮対策の問題でありますが、二十八年度の災害の際にも、伊勢湾を含めまして、愛知県等の護岸の問題については、非常にやかましくわれわれ申したのであります。それが完全に行なわれておりましたならば、今度の災害について、かなりその限度を減らすことができたのではないかとわれわれは今日になって考えるわけでありますが、幸いにして補正予算の中で、特別に約六十一億の予算でもって高潮対策の護岸工事費が計上せられております。その限りにおいて私どもも非常に歓迎をいたすのでありますが、問題は、今後の高潮、いわゆる今後の台風に対してどの程度の効用を持つ護岸工事をやるか。その場合に、地域を限定しました場合に、限定された範囲内の工事が行なわれましても、それにはみ出す地域がかりにあるとするならば、これは将来、必ず接合している地点において大きな災害が起こるということをわれわれは非常に憂えるのであります、心配するのであります。従いまして、今度のこの伊勢湾に対する高潮対策の工事は、どういう地域、どういう方面にこれが予定せられておるかを明らかにしていただきたい。たとえば、私の聞くところによりますると、伊勢湾とは言っておりまするけれども、これは三重県と愛知県両県にまたがっているようでありますが、私の和歌山県におきましても、これに重大な関連を持っております。同時に、かつての南海震災以来、太平洋岸におきましては御承知のように、逐年地盤沈下の傾向があって、それが海岸の台風に対する抵抗度というものを非常に弱めておる。そういうことを考え合わしてみますると、この高潮対策が今後の台風に対して万全の措置をとるという考え方から出たものであるならば、それらの地域も、今後十分これは考慮してやらなければならぬということに相なるのであります。従って、どういう地点までを含むか、この点について一つ明らかにしておいていただきたい。
  200. 村上勇

    ○村上国務大臣 伊勢湾等の高潮対策につきましては、先般もお答えいたしましたように、今後の防潮堤については、各省それぞれ高潮対策協議会を置きまして、民間からも相当な学識経験者等をこれに参加願って、そうして多角的に、今後いかなる台風にも耐え得るような堤防の高さ、あるいは構造、また強度等につきましても十分な措置をいたしたいと思っておるのであります。従いまして、これをただ単に伊勢湾だけということでなく、まあ三重県を例にあげますれば、三重県の南部の方、これも十分この点を検討して参りたい。従いまして、それが和歌山県方面にも、この高潮による被害のおそれがあるところには十分検討を加えて参りまして、今後かようなことのないような処置をいたしたい、かように思っております。
  201. 辻原弘市

    辻原委員 一つ具体的に申し上げますと、従来の災害で、たとえば三重県と和歌山県の境にある熊野川を例にとってみますると、川の南岸は三重県側に属し、北岸は和歌山県側に属するということで、おのおのそれについての工事の施行の方法なりまた工事量が違っておる、高さにおいても違う、またその強度においても異なる。そういたしますると、台風が起き、それによって出水がある、そうすると強度の強いところはそれに耐え得る、ところが、それにぶち当たった水は、強度の弱い河岸に対して非常に大きな災害を与えておる。これは、たとえば熊野川を一例にとりましても、災害のつどわれわれは感じることであります。従って、今大臣の、それに関連がある場合においては十分考慮する、私は当然のことだと思うのでありますが、われわれが言ういわゆる改良事業とか、あるいは将来に対する十分な予防措置を含めた災害復旧という意味は、そういう点までを含んでもらわなければ困る。せっかく作ったものが、作ったために一方がこわれたり、一方が災害を受けたりするというようなことでは、これはとんでもないことであります。さしあたってこの高潮対策のための海岸堤防を作るについては、私は、そういう点をも十分考慮いたしまして、そうして今後の研究というか、具体的計画を一つ御立案願いたいと思います。今までの御説明によりますと、愛知、三重両県についてのみしか言及せられておらない。そういたしました場合に、特に問題は、これは愛知にも三重にも関係ある、同時に和歌山県にも関係があり、場合によりましては大阪府にも関係のある、非常に激浪の地といわれる、いわゆる熊野灘の影響を考慮してもらわなければならぬ。そういたしましたならば、いわゆる三重県の伊勢湾寄りのみならず、三重県の南部、それから和歌山県の海岸、こういうものをも含めて、海岸堤防について検討してもらわなければ十分な効果が上がらないのではないか。私はこういうふうに考えますので、おそらく将来の災害の中に、そういう不幸をわれわれは予知したくはありませんけれども、もし限定された海岸堤防ということでありましたならば、現在地盤沈下をいたしまして、ほとんど在来の海岸堤防が用をなさなくなっている地域に激甚な被害が起こるということが考えられるわけです。  従って、その点は一つ愛知、三重と限定せずに、それに関連のある海岸堤防については十分意を用いて、そして今回の特別措置の中にこれを含めてもらうように一つ御考慮願いたいと思いますが、いかがでありますか。
  202. 村上勇

    ○村上国務大臣 十分検討して参りたいと思いますが、今回の災害で全然被害がなかったという地域でありますれば、今回の特別措置の中に入れるということには、相当考慮を要する点があるだろうと思います。     〔綱島委員長代理退席委員長着席〕 しかし、そういう危険のおそれあるというような地域でございましたならば、これは十分調査いたしまして、善処いたしたいと思っております。
  203. 辻原弘市

    辻原委員 建設大臣の今のお言葉に信頼をしていいわけですが、具体的には、災害程度によって特別高率補助が適用されない、あるいは今度のこの高潮対策の事業の範囲内に入らない、こういう場合が起きてこようと思いますが、しかし、そうした場合といえども災害復旧から除かれているからということでなしに、それと関連する一般の公共事業として、私は、やはりこれと関連を持ちつつやる必要があるのではないか、特にこの点は強く希望を申し上げておきたいと思います。  それから次に、先刻わが党の委員から質問がございましたが、ダムの問題でございます。これはすでに建設省においても御存じであろうと思いますが、時間がございませんので詳細は省きますが、ダムの効用、いわゆるダムが水害に対していかなる関連を持つかということについては、いろいろな論がありますけれども、最近私の感じることは、ダム必ずしもこれは防災にならない、場合によれば、その防災の限界を越えて、かえって災害を増大せしめる大きな一つの原因ともなっている、こういうふうに考えるのであります。先ほど言われた矢作川の例にしても、従来なかったところに逆流によって非常に災害が起きた、いわゆるダムの操作の誤りによって起きたのであろう、こういわれております。また、これは今回の災害ではありませんが、昨年の八月に起きました十七号台風によりまして、私の和歌山県におきましても、日置川水系に非常な災害があった。その原因をいろいろ探求いたしますと、これはダムの操作の誤りと、そのダムが単なる発電ダムであって、防災については、実際問題としてほとんど考慮を払われていなかったところに異常な出水を来たした原因があるのじゃないか。これは、地元の住民はもとよりのこと、学者の中にも、いわゆる単なる天災にあらずして人災である、こういうふうに断定を下す向きが強いわけであります。私も当時現地におきましていろいろ調査をいたしました結果から見ましても、まさにその通りではないかと実は考えるのであります。従って、このダムの構築、それからダムの操作、こういう点についての管理監督というものは、これは従来の観点より増して、かなり厳密に行なう必要があるのじゃないかということを痛感するわけであります。さらに、今度の水害におきましても、先ほど申しました熊野川においては、過ぐる二十八年の際よりも、下流においては水位が非常に上がっておった。なぜ一体、二十八年のときの雨量に比較して、今回の場合には雨量から見れば少なかったのに、下流の水位が上がったのか、いろいろ疑問の点が出て参りましたので、そういった点についても、若干検討してみれば、やはり、最近できました北山川水系におけるダムの操作が原因ではないか。いわゆる水害時にかなり多量の水を放水しておる。これが下流に対して異常な出水を促している原因ではないか、こういうふうにいわれておるのであります。従いまして、私はこの際お伺いいたしたいことは、所管が建設省、それから通産省、いろいろにこれはまたがっておりますので、非常に問題の扱いはむずかしいと思うのでありますが、しかし、政府としても、私は十分この点については検討していただかなくちゃならぬ。まずダムの管理について、現在の河川法その他の関係を検討いたしまして、もう少しこれについて国が監督、またはその以後における運用等についての監督をも含めて、やるような一つの考え方が生まれないかどうか、この点をまず第一に伺いたいと思うのであります。
  204. 村上勇

    ○村上国務大臣 一般通念から申しますと、上流にダムを築造することによって非常に災害を防止することができることは、これはもう御承知の通りであります。しかし、先ほども伊藤委員にお答えいたしましたように、万一そのダムの操作を誤った場合に、これはかえって災害助成するというようなことにもなり得ると思います。従って、御指摘のように、そういうような操作についての遺憾のないように、十分ただいまの御指摘の点を検討いたしまして、それぞれその関係者ともはかりまして、今後そういうことのないように、十分これは留意すべきことだろうと思っております。
  205. 辻原弘市

    辻原委員 先刻申しましたように、日置川のダムは、御承知であろうと思いますが、非常に問題化いたしておりますので、これは関西電力の使用に属する発電ダムでありますが、この様式は、俗にアーチ式ダムといわれているもので、当時現地におきましても、これは通産、建設に対して許可申請をする場合の地元の一つの要望としては、アーチ式ダムというのは非常に技術的にいいとわれておるけれども、しかし他にそうたくさんの例がない。だから出水時等に備えて、溢流ダムの方式を採用してほしいというようなことも申しておったのであります。それがたまたま不幸にも的中をいたしまして、昨年のような異常な出水を引き起こした。今なお現地住民は、このダムの改築と、それから操作規程の改善と、それからいま一つは、ほとんど全村に対して水没地域にたたき込んだということに対する現実の補償というものを、関西電力に要求して、紛争が今日まで続いておるのであります。従って私は、今大臣は抽象的にお答えになりましたが、すでに問題は具体的になっておるのでありまして、技術的にも、防災を兼ねるためには、一体いかなる方式のダムがいいのか、それから今日のいわゆるダム操作規程というものは、それぞれ所有者と、それからこれを管理するものとの間に結ばれておりますけれども、そうした点について、はたして国が十分注意をして管理監督をしているかという点については、はなはだ疑問であります。一例をあげますと、この操作規程を読みますと、その中には、出水時に対する備え、あるいは通報に対する備え、こういうものを書いております。ところが、現実の災害が起きてみますと、一番必要な下流に対する通報が行なわれていない。そういうことが事例として現われてきておる。それでは、一体何のためにそういう操作規程を不時の場合に備えて設けたかということも、これは疑問であります。まあ技術的に、科学的にいろいろまだ検討しなければならぬ問題がありますけれども、しかし、こういうふうに天災に加えて人災というものがかなり起こり得る可能性をダムが持っておる。従って、この点については一つ積極的に御検討を願いたいと思います。ダムは、その作ることによって防災をしようという一つのねらいがあると同時に、作ることによって、操作が誤れば災害を引き起こし、さらに建設をするその行動によって、これは地域に対して——山をはくのでありますから、非常に出水というものに対して、別途の意味において水を促すまた原因でもある。従って、従来は、あまり災害に対してこれを増大するという意味においてダムは述べられませんでしたけれども、最近において私はそういう例をしばしば見ておりますので、一つ十分この点については御検討を願いたいと思います。時間がございませんので、端折って申し上げましたが、いずれそういった詳細の点についてはまた申し上げまして、一つ個々の問題についての解決策をお願いしたいと思うのでありますが、本日のところはその程度にとどめておきたいと思います。  それから次にいま一点。これは建設大臣に、私どもの従来からの経験に徴して一つお伺いいたしたいと思います。建設大臣も、かつての二十八年災には十分当時の災害各地を回られて、いたくその点については御経験なさっていらっしゃるだろうと思いますので、あえて申し上げるわけでありますが、それは災害復旧については各方面とも精力的に行ないます。ところが、時間が経過いたしますると、次の災害が起きたり、次の問題に頭がだんだん向かっていきますので、その後におけるいわゆる災害復旧というものを完璧にやろうという点については、どうも私は国としても意欲が衰えがちだと思う。すなわち、今度の予算でも、先ほど大蔵大臣が説明をいたしておりましたように、三・五・二の比率でもってやろう、そして最悪の場合といえども四カ年にわたってこれをやろう、こういうような考え方に立っておられる。ところが実際に工事の施行というものは、そうしゃくし定木にはまらない。ある場合においては、道路等においてはそうゆうちょうに三年も四年も待っておられないから、突貫工事で本工事をやってしまおう、こういうことになる。ある場合においては、これは天然現象等の原因によって、なかなかやろうとしてもできない。従って、施行率というものは、現地々々において実際は異なってくる。そうした場合に、おくれる場合は、これは現地の実情に基づくことですからやむを得ないとしても、何とか国の金はこなくとも、ぜひともこの道だけはつけなければならぬからというので、精一ぱい都道府県がそれについてやる。ところが、その金はない。やむを得ないから、いろいろな方面からこれについての金を借り入れ、融資を受ける。ところがその利子等については、これは何らめんどうを見られておらない。ですから、借りた金はなかなか返せないということで、それが今日災害県において、いわゆる赤字のために非常に苦しんでいる私は大きな原因だと思う。たとえば、私の県におきましては、ただいま十七億程度の赤字を持っておる。その大半は、二十八年以来の打ち続く災害に対する仕越し工事の分について、今なお十分国の方でそのめんどうを見ておられないという点から起きた赤字であろうと、実は私は推察をしておる。おそらく今回の災害についても、さらに今後、明年、明後年となりますと、そういった現象が生まれてくる。ここらで、私は、それら相当の犠牲を払って、一般住民の福祉のために、自己の負担においてでも工事を推進しようという分については、何らか一つの方法を国が講じるということが必要ではないかと思う。従って、この仕越し工事についていかなる見解と、また将来何らかの措置をおとりになるというようなお考えがあるかどうか、この点を一つ承っておきたい。
  206. 村上勇

    ○村上国務大臣 二十八年の災害復旧は非常に時間がかかりました。従いまして、和歌山県等におきましては、あの大災害復旧事業のために、どうしても緊急やむを得ないところは、政府予算をつける前に仕越し工事をやって今日に至っておると思います。しかし、昭和三十年にこの立法ができてから、三・五・二というもので確実にやるということになっておりますので、今後は決してそういうことはないようにいたしたいと思っております。
  207. 辻原弘市

    辻原委員 法律で三・五・二になっているから今後は心配は要らない、私もそういうふうに思いたいのですが、現実には必ずしもそうはいきませんので、なお十分事後の工事の施行率と府県の財政状態というものを十分勘案せられて、そしてこれは自治庁長官あたりにお伺いすればよいのでしょうけれども、ついでに建設大臣に要望を申し上げておきたいと思うのですが、自治体がそれによって困らないような方法を、もう少し長い目で一つ見てやってもらいたいということを申し上げまして、建設大臣に対する質問をこれで終わります。  次に、文部大臣が御出席でございますので、文部大臣に一、二点伺っておきたいと思います。一つの問題は、今度の災害に対して文部省のとられた措置の大要は、私はまことに適切であったと思うのです。大体二十八年のときの高率補助等の措置と同じ措置をとられておる点で、前進は大してありませんけれども、おおむね私は可なりであったかと思うのでありますが、ただ一つここで考えていかなければならない問題は、私学に対する問題であります。それは、私はしばしば申し上げるのでありますが、いわゆる私学というものは、これは一種の経営者が行なう事業であるという観念を持っている人がありますが、もちろん、そのことも正しいであろうが、同時に、これは教育であることから考えてみますると、災害等によってその私学の行なう教育が現実に非常に支障を来たすということがあれば、これは国の責任に帰すると思うです。従ってそういう点について、災害復旧のために私学を助成するということは、私は観念としても正しいと思うし、ぜひやらなくちゃならぬ。今回の災害を見ましても、愛知県下あるいは岐阜県下、その他激甚といわれる地方における私学の被害は、これは従来に見ない相当大がかりなものである。そのために二分の一の私学に対する助成考えられておるわけでありますが、私はこの程度では、やはり今日の私学の現状から見て、なお不十分ではないか、少なくとも公立が四分の三補助するとあれば、私学に対しては、若干の差はついても、それは三分の二ぐらいが適当ではないかと思う。その程度補助率を現在公立でやっておりますので、考慮するかと言えば、それは今は考慮いたしませんとお答えになるに違いないのですが、そこらぐらいまでは、私は踏み切っていく必要があると思う。この点についての大臣のお考えを承りたいのが一つ。  それからいま一点は、特別法として二分の一の補助をするということ、ところが通例の災害に対しては、公立学校においては三分の二の、いわゆる災害国庫負担法があるが、私学にはそれに見合うものは何らないわけです。ですから異常災害について、特別立法をして補助することもけっこうである、同時に、通例の災害に対しても、やはり災害復旧という、先ほど私が申し上げましたような観念に基づけば、何らかの助成を考慮する必要がある。ですから、全然母法がない特例法というものは、私は非常に少ないと思う。だからそういう意味において、今後一般災害についても、私学に対する助成方法を考慮するお考えがあるかどうか、この点を第二点に承りたい、まずその点を一つ。
  208. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 わが国の私学は、全体としてきわめて大きな教育の部門を担当いたしておるのでありますから、きわめて重大な役割を果たしていると私は思います。従って、今度のような激甚の災害の場合においては、できる限り公立学校に準ずる程度に持っていきたいものであると考える次第であります。中には基礎のまだ十分でないものもあるのでありまするから、そうした国家の補助がなければなかなか立ち上がりにくい県もあるかと思われまするので、できる限り公立学校に準じた程度にまで持っていきたいという気持を持っておるのであります。従って、まずとりあえず特例法によって二分の一の国庫補助をする、そうして残余のものに対しては、私学振興会の方から一応補助するという建前をとっているわけであります。将来のお話もございましたが、できる限り私学に対しても公立学校に準ずる建前をとっていきたいと考えております。
  209. 辻原弘市

    辻原委員 次に同じく私学の問題を伺いたいのでありますが、それは、今回の災害についてこれは今度の災害ばかりではございませんが、国立及び公立の学生生徒及び幼児等については、授業料の免除が国においてはそのまま行政措置で行なわれておるし、また公立学校については、それぞれ地方々々において考慮をせられておるようであります。ところが、私学については、これはそれぞれ経営者が違うということで、現在国としての措置、方法あるいは公共団体としての措置、方法はとられていないようであります。ただ愛知県あるいは岐阜県等において、県費をもって若干、四百万ないし五百万程度補助を出して、そうしてこの免除については、当該学校に対する援助を行なっているようでありますが、私は少なくとも、同じように学校に行っておって、そうして災害を受けたということであるならば、これは国、公立、私学を問わず、平等の取り扱いをするのが公平の原則であろうと思う。それについて何らの措置がとられていないというのはいかなる理由に基づくのか、私学だからといって済まされない問題があると思う。なぜ公平にそれがやられるような措置を文部省としてはお考えにならないのか、一つ大臣の御所見を承りたい。
  210. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 お話、なるほどわれわれも、気持の上におきましては全くそういうつもりであります。いまだ志はあるが、実がこれに伴わないといううらみがあるのを遺憾といたしまするが、しかし、お話のように、私立学校におきましても、県ですでに減免の措置をとっておる次第でありまするし、またこうした場合においては、私学という建前上、設置者自体においても十分考慮してもらわなければならぬということもありまするし、またさらに育英資金あるいは私学振興法等によっても、融資の道が開かれているというようなことでありまするから、お話、なるほど気持においては全く同感でございまするけれども、いまだこれに対して、特別に公立学校と同等に対処しなければならぬとは考えておりません。
  211. 辻原弘市

    辻原委員 考えておらないというのは、私はこれは誤りであろうかと思うのであります。振興会の融資はあくまで融資であって、免除をするという場合には、それだけそれぞれ経営者側も欠損になるわけですから、単に融資ということだけでは補てんし切れない。また災害が起きると、絶えず同じような不平等な現象が生まれる、不平等な状況が生まれるというのを、いつまでも見過ごしておくという手はないだろう。ですから、考えないというのではなしに、考えたいが、なかなかもってこれはむずかしいとお答えになれば、私は非常に適切であろうかと思うのですが、ぜひともそのようにして一つ十分検討してやってもらいたいと思います。時間がございませんから、それ以上はまたいずれ申し上げることにいたします。次に、これも簡単に承っておきたいと思うのですが、それは、高率補助を出されて、今度の災害にはかなり改良復旧等も現実に行なわれるでありましょう。その場合に、私の聞くところによれば、今度の特例法においては、坪数の制限はないということを聞いております。問題は私はここにあろうかと思うので、災害復旧を問わず、いわゆる学校建築において、法律のつらは非常にこれはよくできている。法律にはそういうことは一切ないが、問題は、政令等においてその復旧についての一定限度を示しておる。ですから、改良復旧、あるいは効用復旧と、いろいろ言いましても、それに制限をせられて十分なものが作れないというのが従来の現象である。幸いに今度の場合には、そういうようないわゆる保有坪数の制限ははずされておるようで、私も非常にこの点についてはいいと思います。それに関連をいたしまして、一般の災害国庫負担法においても歩一歩を進める必要があるのではないか。いつまでもその保有坪数の限界にとどまってはこれはいかに法律で、あるいは国会におきましてわれわれが改良復旧等を要望いたしましょうとも、それは今後の災害予防をかねたり、あるいは学校が避難場所になったりするだけの効果を持つ建物にはなりがたいと思うのです。従って、特例法に関連をいたしまして、現在ある国庫負担法についてのそういう制限等を撤廃する意思はないかどうか、この点について一つ御所見を聞きたい。
  212. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 辻原委員も、よく文部省の意図、また今度の特例法の中に見える意図から申しましても、方向としては漸次改良復旧に持っていくということが明らかであると思う。そういう方向は出ておると思う。よほどの躍進であると思う。すなわち、全壊に対しては六〇%、半壊は、これは例がなかったにもかかわらず、三〇%まで見たということは、私は文部省の意向に準じて大蔵省もそういう方向になってきておると思うのでありまして、やがて順を追うて漸次そういう方向にいくと思います。また、被害坪数だけにとどまらず、それに頭打ちすることなく、原形の復旧は完備していくということになるならば、今日の場合それをもって満足していただけると私は思います。
  213. 辻原弘市

    辻原委員 一応以上で終わります。
  214. 南條徳男

    南條委員長 では、大蔵大臣が見えましたから、先ほどに引き続いて塚本君から願います。
  215. 塚本三郎

    塚本委員 時間が制限せられておるようですから、簡単に要点だけ御質問を申し上げてみたいと思います。  特に今度の激甚地指定につきましては、町村は非常に関心を持っておりますにかかわらず、この内容が非常に複雑になっておるのでございます。私はきょうは特にしろうとの立場から、もっと一般の人が見てなぜこういうふうな形になったのかというふうな、一般の被害者の立場から御質問を申し上げてみたいと思っております。特に私ども専門的な説明等をいろいろ聞いておりますが、しかし、役人のそういう説明で一問一答をいたしておりますと、大ていそこで納得させられてしまうわけです。ところが、理論的には納得せざるを得ないような説明になったといたしましても、現実にはそのような結果が現われてきておらない。建設大臣がおられるといいのですけれども、たとえば締め切りの問題にいたしましても、やはり十分な手を尽くした、これ以上の方法はない、こんなことを説明せられて、われわれも前回の場合納得せざるを得ないような形であったのですけれども、現実には、ここで約束せられたことが、現地へ行ってみますと、なかなかそれがそのようにいっていない。国会ではわれわれは一生懸命に現地の叫びを伝えておったつもりですが、いつしか役人の机上プランの中に巻き込まれてしまって、そうして現地にはね返ってこない、こういううらみがなきにしもあらずだと思うのです。従って、今度の場合、たとえば激甚地指定の指定地域を六割、こういうことに大蔵大臣は最初からきめて基準というものを作られたように承っております。しかも、これは予算委員会等の御説明を聞いておりますと、過去は五割であったから、今度は六割ならいいじゃないか、こういう自信のほどを披瀝しておられたようでございます。しかし、実際この昨日の発表によりまして、この指定からはずれたところは非常に高い非難の声を立てておることは、大臣も御承知のことだと思っております。実際この非難というものが、この機に自分のところだけりっぱな工事をしていきたいという、そういうかけ込みの要求であるのか、あるいはまた、現実の声であるのかということは、これはもはや政治家の常識と良心で大臣自身は無理からぬところだというふうにお感じになっておいでになるのじゃなかろうかというふうに考えるわけです。従いまして、これをなぜ六割と限定しなければならなかったか。あるいは過去におけるそれは五割でよかったかもしれません。しかし、聞きますと、建設省といえども、最初は、全地域の中の激甚地指定は七割ということを要求しておったやに承っております。それを六割に、過去が五割であるからということでもって、一割上げただけだというのは、未曽有の大惨害であり、しかもまた、これが公共土木及び公共被害ということ以上に、個人災害が非常にひどいという実情の中において、これを六割に限定せざるを得なかったという根本はやはり最初に大臣として集められる財源をもととしてこういうプランが組まれたというふうにしか推測できないわけでありますが、なぜ六割に押えなければならなかったか、この点を御説明を願いたいと思っております。
  216. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 六割というのは、大体そういう私ども災害を取り扱いました過去の例等から見まして、今回は特に災害もきついから、六割程度ではなかろうか、こういうところを一応とったわけでございます。そこで、たびたび御説明しておりますように、今回の災害については、実地の調査も全部完了したわけではございません。今日締め切りを終了した程度でございまして、まだまだこれから工事設計等をいたしますについては、さらに詳細な調査を要する問題もあります。そういう際に、急いで災害復旧予算を計上する、こういう立場でございましたので、一応六割程度、こういうことにいたしたわけでございまして、別に六割でなければならないと頭から縛った感じではございません。その点は誤解のないように願いたいと思います。従いまして、今後の工事設計等が進んで参りますと、相当未定の部分もあるから、そういうものでさらに追加を要するだろうという意味で、珍しく予備費の中に五十億というような、総額の一割以上に上るような金額が残っておりますのも、今回の災害の全貌をつかみ得ないという立場に立った、この点を御了承いただきたいと思います。
  217. 塚本三郎

    塚本委員 そういたしますと、この今の基準でいきますと、指定の地域は全部で大体何割になるという計算が出ておりますか、ここでちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  218. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま基準を制定いたして、その作業をいたしておる最中でございます。しかし、どう見ましても、公共事業につきましては、六〇%を相当上回るだろうということは予想できます。しかし、それが六五%になるのか、あるいは七〇%になるのか、そういう点は、ただいま申し上げる段階ではございません。御了承いただきたいと思います。
  219. 塚本三郎

    塚本委員 そういたしますと、大臣予算委員会で説明せられた金額というのは、大体六割を基準としてこの予算が組まれておる。そういたしますと、今のお話のように六〇%をこえる状態になるといたしましても、これは予備費の中でまかない得る限度内でおさめておるというふうに解釈していいわけですか。
  220. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今日きまりました基準で、大体私どもは今回御審議をいただいております予算で一応まかない得る、かような見方をいたしております。
  221. 塚本三郎

    塚本委員 私ども一番おそれておりますのは、そういうここで明らかでないということはいたし方ないと思いますが、こういう基準の中でそれにおさまらないということになりまする場合、しかも、大臣がたびたび言明しておられますように、第二次補正をしないということの中でこれを勘案していきますると、特に町村工事の事業ということを非常に力説しておられるわけです。大体の査定は、この予算を組まれるときの被害額ということで進んできたわけです。地方におきましても、被害額ということでいろいろな陳情や要請があったと思うわけです。被害額ということは少しも削られず、報告のままでやってきたということをおっしゃっておられて、このまますなおにいけば、基準がそういうふうに出ればやむを得ない、その基準の通りに従って、われわれも痛い被害被害として認めてもらい、その上に立ってわれわれは地元の建設をやっていこう、こういう考え方で一応すなおに今日まで進んできたと思うわけです。ところが、きのうの基準を設定せられる段階になりますると、工事費ということを一番大きな柱にしておるように見えるわけです。そうしますると、被害額というものはすなおに大蔵省で受け取っていただいたといたしましても、工事費という段階になりまして、これがどうも削られてしまうということの不安が非常に強くなってきておる。しかも、従来からの大蔵省の査定の方法というものは、今度は絶対そういうことはないと大臣が言明せられれば別でありますが、かつて一、二の地域において水増しの要請があったがためということかもしれませんが、ともかく相当査定でもっていじめつけられてくるということで、被害額の点ではすなおに受け取ってくれたにしましても、現実には工事費でもって削られて、指定からはずされてしまう、こんなことでもって、実は査定というものに対して非常に不安があるわけです。しかも、金額というものを先にきめられております段階になりますと、予備費でもってしてもまかない得ない部分がもし出たとしまするならば、やはり基準をもう法律として発表してしまった以上は変えることができなければ、大臣の立場としては、これはもう工事費の額を押える以外に手がなくなってしまう。こういうところで地方というものは非常に苦しい立場に追い込まれるのじゃなかろうかというふうなことを考えるわけですが、そういうことは断じてあり得ないというふうに説明できるでしょうか。
  222. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ちょっと塚本さんのお話が私にのみ込めない点がございます。ございますが、私の方の立場を御説明いたしまして、塚本さんのお話がそれに該当するかどうか御判断願いたいと思います。と申しますのは、今回査定基準をお示ししまして、そうして在来私ども大体六割だろうといったものが、六割以上になる、もしそれが六割五分だった、あるいは七割近くになった、こうしたときに、それじゃ予算に非常に支障を来たす、所要の工事量がまかなえなくなるのじゃないか、こういうことで、逆に大蔵省は予算額をきめていってそしてその方で縛るから、補助率が高くなれば、今度は逆に工事量が減るのだ、こういうような御意見かと思います。私どもは別に予等額で縛る考えはございません。ただいまお示ししておる基準で、大体今日御審議をいただいておる予算でまかなえる、かように実は申すのでございます。そういたしますと前提が違うので、率が変わっていて同じであればおかしいじゃないか、こういうような御疑問が出るかと思いますが、その点は、先ほど来申しますように、全部についての精査を終わっておらない。その点で、精査が進みましても、ある程度余裕を見た数字でございますから、大体まかなえるだろうということを実は申しておるのでございます。従いまして、まかなえると見ておる今日の段階に、私ども補正予算の必要はないということを申しておるわけでございます。だから、この点は、別に矛盾しておるとは私自身は考えておりません。ただ問題は、これだけのものを行なうについて工事費を査定する、この査定官に出て参りますのが、いかにも大蔵省自身が査定をして、大蔵省的な立場で査定をする、査定の責任が全部あげて大蔵省の査定官にあるような印象で今までしばしばお尋ねをいただいておりますが、この査定自身は、実は各省が行なうのであります。たとえば公共土木については建設省、農地及び農業施設につきましては農林省、私どもの方はこれに立ち会うということでございまして、そういう場合において、もちろん、大蔵省の査定官が何ら発言しないというものではございますまい。十分実情をよく調べまして、査定に協力するということではございますが、本来は建設、農林それぞれの主務省が査定を行なうのでありまして、その査定を行ないます場合に、大蔵省の査定官もこれに立ち会うということでございます。過去におきましては、たとえば災害復旧の場合に、全然なかった波止場がこわれた、あるいはその災害でこわれたものでなくても、橋がこわれた、こういうような事柄が過去の例においてはあったようでございますが、今日の実情からはさような点を心配する必要はないのでありまして、ことに私どもも、工事そのものとしては、関連工事なり、あるいは改良復旧工事も認める、また三十三年以降そういう方針に変わっております。災害復旧もちろん必要ではありますが、災害を重ねて起こさないように十分の考慮を払うということから、財政的にもその点を見ていくという考え方になっておりますので、在来の査定とはよほど方針が変わって参っております。  そこで、災害の取り扱い方の問題でございますが、基本的には、重要なる工事は三・五・二の基準でやる、いわゆる三カ年でこれを完成する、しからざるものについては、これを四カ年程度復旧工事を完成する、こういう某本的な建前を持っております。また今回の災害復旧に際しましては、三・五・二ばかりじゃなく、私どもはさらにこれにつけ加えて、農地においては来年の作付に間に合うように、また河川等につきましては、来年の台風襲来時期までに、一応原状は回復するように、それだけの措置をとろう、こういうことを実は申しております。従いまして、御審議をいただきます三月末までのもの並に次の通常国会において御審議をいただきます災害予算、これを合わしてごらんになりまして、ただいま申し上げるような点に支障を来たすかどうか、これを一つお考えを願いたいと存じます。おそらく改良工事あるいは関連工事、こういうものが、やや時期的におくれることはやむを得ないのじゃないかと思います。たとえば、提防なら提防にいたしましても、まず、一つの原状回復以上の改良復旧をあわせた設計をいたすのでありましょうが、その工事の施行が一体どのように技術的に行なわれますか。普涌に考えますと、区切るわけではありませんが、一応前の程度のものだけを先にやりまして、さらに、それに改良部分が引き続いて行なわれるということになるのじゃないか、かように考え費すので、それらの工事をまかなうのに支障を来たさない予算、こういうように御了承いただきたいのでございます。
  223. 塚本三郎

    塚本委員 そうすると、地方がこの指定からはずれたということで非常な不満を持っておりますが、これは大臣の立場では、どうして不満を持っているのか、地方の言うことが無理なのかどうなのか、その点、もっとはっきり大臣の見解を先に承っておきます。
  224. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 災害復旧の基本的な取り扱い方でございますが、これは災害復旧国庫負担法の基準によるべきではないかと思います。そこで、この基準では工事費と標準税収入と比べまして〇・五以下の場合には、特例法を実施しないという考え方でございます。そうして、それより以上のものについては順次高率の補助を適用いたしますが、二倍以上ということを一つの基準にしております。また、連年災害地については、一倍以上ということを基準にいたしております。しかしながら、この災害復旧に対する国庫負担法をそのまま適用することは不適当だ、かように考えまして、今回いろいろ特例法を設け、この基準について、さらにこれを緩和する方法を考えたわけでございまして、その緩和した基準が、激甚地指定の場合の内容といたしまして先ほど御説明いたしたところでございます。  そこで、問題は災害激甚なりかように認定をいたします場合に、工事費と標準税収入と比べました場合に、一体、どの程度を基準にとれば、いわゆる激甚地が救えるかという問題になると思います。そこで、私どもは、まず一対一というのが激甚地の基準になるのではないか、しかし、一対一ということを厳密にいわれますと、災害地に必ずしもそのまま——いわゆる激甚な被害、たとえば、県工事は非常に多い、町村工事は非常に少ない、こういう場合に、町村の収入だけを比べれば一対一にならない、しかしながら、県工事が非常に多いということは、同時に、その土地が激甚であるゆえんではないか、そういう点を考えて、一対一という場合にははずれるけれども、町村の負担する工事費が〇・五以上の場合には混合方式を採用してみて、それが一対一になる場合は、やはり特例法を施行するのが筋ではないだろうか、実はこういう考え方をいたしたのであります。この点で、一対一が辛いとか甘いとか、こういう御議論になりますれば別でありますが、私どもは、ただいまとりました一対一、しかも、混合方式を採用しても一対一という考え方を貫く、しかも、町村自身の工事費としては〇・五以上だ、こういうところについて激甚地というものを考えるのが普通じゃないか、そういうのが私どもの結論でございます。ただ、問題は、長期湛水という、今度の災害では特別な事由がありまして、なるほど長期湛水ならば、それで公共事業費が非常にふえるかと申しましても、湛水という事実だけでは必ずしも公共事業費がふえるとは言えないと思います。しかしながら、長期湛水しておる地区を、被害激甚地でないといってはずすことは、今日の一般の方々の常識から見ましてもそれは不適当だ。とにかく、四十日も続いておるとか、基準といたしましては三十ヘクタール以上で、そして、一週間以上というものを設けておりますが、それだけ長い間水につかっておるということは、それこそは被害激甚である、こういうう概念に入りはしないかというので、実はこれを取り上げておるのであります。今回の災害につきまして、私どもがいわゆる被害激甚地を決定いたします場合に、まず、この程度ならば罹災地の方方に一つごしんぼうを願いたいし、また、その他の地区におきましても、罹災地の方々に十分の御理解と御同情を賜わり、政府措置についても御了承を賜わりたい、かように実は考えておる次第でございます。
  225. 塚本三郎

    塚本委員 大体先ほども私聞いておりましてお宅の立場はそういうふうなことだと思います。それでも、なおかつ地方がいろいろな不満を述べておるという実情、実は従前の町村の姿と違って、町村財政自身が今度はほとんど取り得ないという状態の中にあるわけですから、〇・五以下のものについては、これはやむを得ないという形でほっておくこと自身が——もちろんそれは普通の災害並みは受けられるでありましょうけれども、この点、私は財政の全般からながめてみて、ますます地方財政は苦しい状態になってくると思わざるを得ないわけです。かつて二十八年の災害のときでも私ども愛知県におきましては、相当の手を施していただきました。しかしながら、あれから相当長い期間にわたって、非常に豊かな県であったはずでありますけれども、苦しい状態を続けてきておったわけです。時間がございませんから、これ以上お尋ねするのはなでんございますけれども、ただ、今後こういう状態を続けていきますときに、特に、一切があげて東京への陳情に罹災地が終始するという状態になっております。このことはどうしてかといいますと、やはり財源的に見て、一切国にたよらなければならない。しかも、災害地になりますと、地方財源というものは非常に少ないところに起因しております。大臣考えでは、それくらいのところ以下は、これは御理解をいただきたいということでございましょうけれども、しかし、あまりに地方の財源が災害のときには少ないところに持ってきてそのもととなるところがやられてしまうという実情でありますから、これはこのまま進んでいきますと、中央集権的な力が強くなって、地方財源だけが赤字が続く心配がある。だから、根本的にこういう災害等を考えてみますときに、地方を健全な姿にするためには、今はともかくとして、財政を将来何とか考慮しておかなければ、災害のたびに、あげて国への陳情に終始してしまう、こういうことが予想されるわけです。この点、将来何か具体的に考える必要があるかどうか、この点だけお尋ねしておきます。
  226. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 〇・五以下の場合に、いわゆる特例法を適用しないというだけでありまして、ただいま地方財政と国との関係におきましては、交付税の制度がありましたり、あるいは災害についての起債をいたします場合の特別交付税の配分の問題があったりいたすわけでございます。従いまして、全然めんどう見ないわけではございません。もちろん、それらにつきましても工事は進めていただく。しかしながら、いわゆる特例法による特別高率補助を適用するということが適当なりやいなやというだけの問題でありまして、在来通り、地方財政と国との関係においての交付税なり、あるいは特別交付税なり、この配付については、この災害の跡始末とともに十分に考えて参るつもりでございます。その点は、おそらく誤解はないことだと思いますが、つけ加えさしていただきます。
  227. 塚本三郎

    塚本委員 それは知っております。それでは最後に。災害のたびに、何かまた国にすがっていかなければならないという形が続くと思うのですが、財源的に、地方の災害の場合においてはこうだという恒久的な、いつでもこの法律を当てはめるんだというふうな、今までの災害以上に、やはり特例法のあれを恒久化する必要がありはしないかということと、もう一つは、やはり地方に何か財源を与えてやらなければ、災害のたびに中央集権的な度が増してくるのではないかと思いますが、この点だけ最後にお尋ねしておきます。
  228. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 財源の分配は別な問題として、災害としてでなしに、ただいま税制調査会で十分検討いたしております。今までも、しばしば国と地方との間に財源の分配が不公正ではないかという御議論がございます。十分それは検討いたしておるわけであります。  それから、もう一つ、恒久立法の話でございますが、災害復旧に対する国庫負担法というものは、実は恒久立法のつもりで作られたものでございます。しかしながら、災害は、私どもが想像するような一つの型にはまってくればよろしいのですが、異常災害がしばしば起こるのでありまして、そういうために、今回なども特別立法をお願いするということでありまして、これはどうも前もって予定しておくことが非常に困難じゃないかと思います。今回のような措置になることはやむを得ないだろう。先ほども御披露いたしたのですが、たとえば、長期湛水であるとか、あるいは集中豪雨だとか、非常に特殊な災害形態をとっておりますので、事前に一応予測できる、県内にまんべんなく災害をこうむるというようなわけのものでもない。あるいはまた、非常に多数の人命を損傷するとか、人身に与える影響が非常に大きいとか、いろいろなことがございますので、前もってあらゆる場合を想定してということはなかなか困難ではないか、かように私は考えます。
  229. 小林正美

    小林(正)委員 関連して、一言簡単に伺います。きょう大蔵大臣から示されました基準がありますが、あの中に復旧事業費という言葉があります。その復旧事業費という意味はどういう意味でございますか。その意味は、今回は、とにかく復旧をして、もとに返すというのみでなく、さらに改良し、関連してよりよくして、将来災害がさらに起こらぬようにしよう、政府もそういう気持でおられるようであります。われわれもそれを希望しておるのですが、そこで、復旧というと、破壊されなかった以前に返ればいいのですか、その基準がはっきり知りたいのであります。
  230. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 この復旧事業費と申しておりますのは、いわゆる査定いたしました金額を復旧事業費、かように申しておるわけでございまして、災害費全体という意味ではなくて、建設省や農林省等と相談をいたしまして、最終的に決定いたします査定を終了した金額でございます。そこで、おそらく、改良分はその中に入っておるだろうと私は考えます。
  231. 小林正美

    小林(正)委員 そうすると、復旧事業費というのは、破壊されなかった以前の原状回復というのみではなく、さらに、場合によっては改良費も含み、あるいは関連費も含むというように、広く解釈してよろしゅうございますか。
  232. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 この復旧分といたしまして改良を取り上げますと、これは入ると思います。ただ、関連ということになりますと、関連までの拡大はなかなか困難ではないかと考えますが、この点は、事務当局をしてなお正確にお答えいたしたいと思います。
  233. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ちょっと補足して御説明いたします。ただいま大臣から御説明がございましたように、災害復旧事業費と申しますときには、国庫負担法なり、あるいは農林につきましては、農林水産業暫定措置法に基づきまして、建設大臣あるいは農林大臣が決定いたします災害復旧事業、これは工事費につきまして地方の事務費を加えた意味でございます。災害関連事業費と申しますのは、この復旧事業費とは別に、災害復旧事業と一緒に仕事をするために別な予算を計上いたしております。こういうものもございますので、関連事業費は入りません。ただ、災害復旧事業費の中でも、すでに現在の法律に基づきまして、査定基準によって相当の改良復旧をやることになっております。この分が改良復旧事業費に含まれる、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  234. 小林正美

    小林(正)委員 そうすると、復旧事業費というと、こわれなかった以前の原状に戻すということを基本にしておけばよろしゅうございますか。私は、よくわかりませんが、たとえば、堤防がここにある。これだけの広さ、これだけの高さで原状には復するが、しかし、これでは将来安心しておれない。そこで、さらに一メ—トル上に上げようということになりますと、これは改良になります。あるいは、さらに横を広げようということになれば改良だ。しかし、ここを広げたならば、さらに以前あったところも今度同じように一メートルずつ広げていこうということになると、関連になるというふうに聞いておるのですが、私が実は心配するのは、原状回復だけで事業費というものが見られて、それが基準になって今の激甚地がきまるのですから、いよいよ先にいって、たとえば、建設者の仕事なら、建設省と大蔵省の意見が合わぬとか、あるいは農林省と意見が合わぬとか、あるいは今の改良費も、いろんなものを含んでいくと非常に問題がもつれてきて、激甚地という標準すら今非常に厳重に言われるのですから、大蔵省は、なるべくそういうものに手を出すまいとする、片方は、もう少しこの際改良していかなければならぬということになると、改良費が入るか入らぬか。関連費は今入らぬと言われた。改良費が入らぬということになると、原状回復ばかりが目的になってくることになるので、自然それが消極的になり、拒まれることになりはしないか、こういう心配があるからお伺いをするのであります。原状回復ということがはっきりきまってしまうならば、それだけでもけっこうですが……。
  235. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ただいまの御質問の点につきまして、事例をあげて御説明いたします。  まず、海岸堤防あるいは河川の堤防の場合でございますが、いわゆる災害復旧事業費としてとります原則は、御指摘のように原形復旧ということが原則でございますけれども、現在きまっております査定基準によりますと、これが再度災害の防止という見地から、従来の高さ、あるいは幅というようなものでは不適当であるということになりますと、これは災害復旧事業費として一メートル高くする、あるいはコンクリートで巻くということで採択されるようになっております。これも無制限にやるということはできませんものですから、これは技術的に詳細な基準が建設省なり農林省においてきめられております。それによりまして災害復旧事業費として相当の改良復旧費が出ることを申し上げているわけでございまして、こういう点につきましては、もちろん今回の基準に入って参るわけでございます。ただ、全然被災をしていないという堤防が、かりに被災個所に隣接して相当大きくあるというような場合を考えて参りますと、このものも、今までの災害を受けた事例から見て、やはり災害の個所で改良復旧として高くした高さと、同じように上げなければならぬ、こういった場合が出て参ります。こういうものを関連事業としてとっていく、こういったことが大体原則でございます。災害でこわれたところについての強度をふやす、あるいは高さを増すというものは、大体災害復旧事業としてその改良復旧をやるのだ、こういうふうなのが現在の基準と考えております。
  236. 小林正美

    小林(正)委員 どうもよくわかりませんが、もし、改良部分まで事業費に含まれるというならば、今の災害激甚地をきめるについて、どこの堤防を何メートル上げよう、あるいは横へどれだけ広げるというような意見が一致しておらぬと、事業費という基本がきまらぬのですから、そうすると、それに対する比較によってきめる標準というものがわからないように思うのです。原状回復というだけならすぐわれわれにもわかる。こわれた堤防をもとへ戻すというなら、幾らの損害ということがわかる。私もそういう意味で言われておるのかと思ったのですが、改良の分まで入るということになると、現在においては確定できぬ額になるのではないかという疑いを持つのですが、どこか私の勘違いがありますか。
  237. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今の事務当局の説明でよろしいと思います。今問題になっておりますのが、伊勢湾災害対策の問題で、これにつきましては、なお幅をどうするとか、あるいは高さをどうするとかいう問題が出るのであります。しかし幸いにして——幸いというとおかしいのでありますが、この地方は長期湛水の方の範囲に入っておりますから、今工事費云々のことで関係省の間で論争を要しない地区でございますので、ただいま御指摘になるような点はないかと思います。  また、その他の地区等につきましては、普通改良部分というものが、災害復旧についてそれぞれ今まで申し合わせしたものがございますから、それを基準にとればいいことではないか。あるいはそれより以上に特に必要のものがあるかどうか、そこらは問題が残りますが、大体におきまして、今日の基準を適用するのについて支障を来たさない、かように考えております。
  238. 小林正美

    小林(正)委員 大体その辺でいいと思いますが、私の考えるのは、今回は、海岸の湛水地区は非常にお気の毒でありましたけれども、非常に風が激しかったために、山の中もずいぶんひどく荒れておるのです。道路や橋がこわれ、風倒木が大へんなものであります。いなかの方の村で緊急に施設をしなければならぬところが、私どものところでは一つの村でも三十カ所もあるようなことで、この間もついていって見て驚くようなところがある。そういうところで、県道だとか方々こまかい道路がこわれておるものですから、それを今おっしゃるように現状回復するだけじゃなく、この橋は前にはひどい木造だったけれども、今度は鉄筋コンクリートでやろうとか、あるいはこの道はもう少しこっちへ広げてこういうふうにやった方が工合がいいとか改良すべき点が非常に多いと思うのです。それを今改良費まで加えて見て下さるということになれば、非常に激甚地が多くなるのじゃないか。それだから、そこを注意していただくように一つ申し上げておきたいために言ったわけです。現状回復に改良まで含むということになると、非常に額が不確定のものになりまして、心配になりますから、言っているのです。ただわれわれはやってもらえばいいわけですし、よけいに改良費まで入れてもらって事業費をふやしてもらった方がけっこうですが……。
  239. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま御指摘になりますような具体的の問題をただいま申すわけではございませんが、従来木橋であったのを、災害復旧いたします場合に、現状回復に必ず木橋、こういうようなことはいたしません。これで相当永久橋にいたしておるものもございます。しかし、そういう場合でも、もちろん経済的効果を考えますから、通行人員だとかあるいは通行数量等が一応は基準になりますけれども、相当の範囲において改良いたしております。そういう場合は、先ほど申しますように、査定額できまるということでございますし、今日査定を終了してない部分があるということで、非常に査定を急いでおるのが実情でございますが、大部分において査定は順調に進んでおる、今未査定の分は比較的パーセンテージが低い、かように考えますので、今回の基準を適用するには支障がないというように考えております。
  240. 小林正美

    小林(正)委員 そうすると、今査定といいますのは、現在いたんでおるところを現状回復に戻すだけのことじゃなく、ある程度改良まで含んだ査定をしていただくわけですな。それでよろしゅうございますか。
  241. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 さようでございます。
  242. 小林正美

    小林(正)委員 それでは、どうか大蔵省は、そういう意味において改良費を事業費の中に入れていただければ大変喜ばしいことでありますので、そういうことで一つお願いをいたしておきます。
  243. 南條徳男

  244. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 時間もないようでございますので、簡単に一つだけ御質問申し上げたいと思います。  特別委員会が始まりまして以来、またきょうもいろいろ皆さんの御質疑を承っておりますと、公共土木施設災害復旧がその中心になっておるように思います。現在わが国の災害対策の中心は、どうも公共土木とか文教施設公共施設とかが中心になって参ったように思います。もちろん、これは非常に大切なことでございます。激甚地指定の問題とか基準の問題につきましても、各市町村長初め災害地の方の一番の関心の的でございますので、非常に大事なことでございますし、私はぜひこれは、もう再び災害が起こらないように復旧していただかなければならないと思うわけでございまして、むしろこの点は、国としては当然やっていただきますことだと思うわけでございます。しかし、私どもが忘れてはならないことは、災害は、公共施設以外に個人の財産にも及ぶわけでございますし、特に今回の伊勢湾台風特徴といたしましては、先ほど大臣もおっしゃいましたように、たくさんの尊い人命を失なったということと、個人財産、民間の財産と申しましょうか、そういうものがたくさん被害を受けた。しかも、長期にわたって浸水しまして、御承知のように五十日たちました今日においても、まだ水が引かないでいるところがたくさんございまして、そういう特徴がございます。こういう個人生活と申しますか、個人財産に対しての被害について、国の方ではどのような対策をとられておるかということにつきまして、時間がございませんので、一々質疑応答いたしませんで、私の申し上げたいことだけを続けて申し上げまして、あとで御答弁をいただきたいと思うのでございます。今回の補正予算を拝見いたしますと、そういう被災者に直接関係のございます、直接触れる予算と申しますと、いわゆる世帯更生資金貸付補助の追加というのが一億五千万円、国民健康保険助成災害特別補助が七千七百万円、救農土木事業費が三億円、入植施設災害復旧事業費が二億二千二百五十八万円、また中小企業災害復旧資金の利子補給が二千五百万円等にすぎないように思います。その他、農林漁業金融公庫とか国民金融公庫あるいは商工中金等にも、財政投融資の方でございますが、しかし全体といたしまして、罹災者直接のものが非常に少ないと私は思うわけでございます。こういう点について、大臣はどのようにお考えになっておりますか。このような未曽有の災害あたりまして、個人の財産がたくさん被害を受けまして、公共のものの何倍だというようなことはよく皆さん方も御存じの通りでございます。そういう点について、どうも私は予算が少ないように思うのでございますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  245. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お答えいたします。災害に対して対策を立てます場合に、国も災害復旧について十分の力をいたしますが、自治体は自治体といたしまして、県あるいは市町村がこの世話をするといいますか、そういうような関係におきまして、それぞれの処置をとるわけでございます。今日まで処置がとられますのは、ただいま御指摘になりましたように、あるいは公共土木であるとか、あるいは農地、農業施設であるとか、あるいは文教施設であるとか、あるいは厚生省関係の病院その他であるとか、あるいは中小企業であるとか、こういうものについて国は国の立場において、また県は県の立場において、市町村は市町村の立場において、それぞれ協力いたしまして、この災害復旧と同時に、また、罹災者の立ち上がりについて特別に協力するという考え方でございますが、それが補助の形で行なわれたり、あるいは融資の形で行なわれたり、あるいは減税の方法でその復興再建に協力するかというような、いろいろの方法がとられるわけであります。ところで、個々の個人災害に対しましてどういう処置がとられるか、まず当座の問題といたしましては、災害救助法を発動いたしまして、これこそは貧富の差なく、特別の衣料であるとか、あるいは食糧の確保であるとかいうような点を処置するわけであります。また、順次事態が平静になって参りますと、今度は更生資金であるとか、あるいは特別なボーダー・ラインの方々に対する国としての処置をとるわけであります。その場合は、原因が災害であろうがその他の事由でありましょうが、そういうことは一緒にいたしまして、いわゆる生活の確保の方法で、一般政策でこれを処置していくというのが今日の考え方でございます。これらの点について、普通のいわゆる困貧とは事情が違い、災害によってそういう事態を起こしたのだから特別措置をとれ、こういう考え方もあろうかと思いますが、国として考えます場合には、その原因がどこにあろうと、非常に困っておられる方々に対しましては、同様の措置をとっていく、こういうことが望ましいのではないかと実は考えております。あるいはお尋ねになりました御意見と少し食い違っているかと思いますが、私ども考えておりますのは、ただいま申し上げるような考え方で処置をつけておるわけであります。そこで、自分の持っている林野がやられた、風倒木が非常に多い。財産を蕩尽したというような場合に、農地の改良復旧について何か特別の処置をするお考えはないかということが一つの問題になりまするが、ただいまはそこまでのところは実は考えておりません。おそらくその山林を復旧するために、あるいは今後植林等について農林漁業金融公庫等が特別の融資をするかという方法は講ぜられるだろうと思いますが、倒れた木自身の損害をどうこうするというところまでは参っておりません。
  246. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 倒れた木のことまでという問題ではございません。被害を受けた人たちが立ち上がれるために、もう少し全体にいろいろあたたかい援護法などが必要ではないかということが一点と、それから、ただいまおっしゃいましたように、農林漁業金融公庫に四十億、国民金融公庫に七十二億ですか、中小企業金融公庫に八十三億、また商工中金に八十三億というように財政投融資をなさっているわけでございますが、私は、これだけでは——たとえば、愛知県だけでも民間の災害は二千数百億に上るといわれております。特に中小企業以下の零細企業の人などは、転落寸前、あるいは再び事業ができないというような人たちもずいぶんおりまするし、そういう人たちを救うには、この融資のワクでは非常に少ないと思うわけでございますが、もう少しこういう方面に大きな金融をしていただきたいと思うのでございます。それからいま一つは、現在の商工中金にいたしましても、中小企業の金融公庫にいたしましても、非常に利子が高いと思うのです。たとえば、これは私の考えでございますが、大企業の方にお向けになる財政投融資の資金の融資の利子などは幾らかお上げいただいても、中小企業とか、零細企業に及ぶような金融公庫のお金の利子は下げていただくような方向に持っていっていただけないかという点でございます。  それからいま一つは、国民金融公庫やあるいは中金などの公庫からお金を借りようと思いましても、現地で非常に強い一つの声は、手続が大へんめんどうなのと、それから保証人が要ることでございます。保証人を何人立てて、そうして返済能力という点について、金融機関の窓口では、いろいろ条件がたくさんつくわけでございまして、現実に非常にほしいと思う方たちの手に渡らない実情がたくさんございますので、そういう点について、あたたかい思いやりのある方法によって、せっかくのこういう金融公庫などのお金が、ほんとうにほしい人の手にわたるような御考慮がいただきたいと思うのでございます。
  247. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほどの説明の中で住宅対策の点を省略いたしましたが、住宅などは特に私どもの気をつけなければならない点だと思います。これらの点については、個々の罹災者に対する救済をする、こういう気持でございます。  ただいままた、伊藤さんは御婦人でいらっしゃいますだけに非常にこまかな御注意でありまして、私大へんありがたく御意見を拝聴いたしたわけであります。今日融資ということを申しまして、一応のワクを作ってはおりますが、これもなかなか融資が順調に進まないとか、あるいは手続が煩瑣であるとか、あるいは扱いが非常に冷たいとか、いろいろな批判も実は受けてをります。そういう点で特に私どもも関係のところを督励いたしまして、とにかく罹災者の気持になるということは、なかなかその通りにはならないでございましょうが、少なくともその立場において十分理解を持つとか、そうでなくても非常にいらいらしておる罹災者に対して、規則一点ばりの話をすることは非常にまずいことだ。ことに伊藤さんの御意見もそういう点にあるのではないかと思いますが、そういう点は十分注意させておるわけでございます。今日までの政府関係の三公庫の貸し出し状況などを見ますと、資金は一応予定いたしまして、これだけは国会の審議終了前におきましても、すでに貸し出し可能でございますので、それぞれ進めております。ただいま、大体三分の一程度の融資が実現しておるかと思います。残っておる部分についても、さらに努力するつもりでございますが、金を貸すからと申しましても、罹災者といたしましては、やはり借金でございますので、借金よりも、まずみずからの——もし手先に金がありまするならば、まずみずからの金を使うという方が実は先になるのでございます。従いまして、損害額が非常に大きくて、融資の必要額が非常に大きい、かように申されますが、結局そのものずばりがいわゆる融資の必要の金額には必ずしもならないのでありまして、そういう点では、罹災者の方々の復興意欲とも相待ちまして、実はそれらの手当は十分できておるように考えているのでございます。国民金融公庫の生業資金であるとか、あるいは世帯更生資金であるとか、こういうような特殊の資金も、政府機関以外にもあるわけであります。それらのものも、こういう機会に十分使っていただきたい。問題は、窓口取扱者、これが十分罹災者に理解を持ち、少なくとも規則一点ばりの扱い方をしないこと、これが最も望ましいことであろうと思います。この点は、ただいまのお尋ねの中に御意見として十分入っておりますが、そういうこまかな心づかいをするように、この上とも私ども督励して参るつもりでございます。ただいま資金といたしましては、一応不足なしにこれならいくかと思いますが、まだ残っておる部分が非常に多いのでありますから、それらの点につきまして、実情をさらに私どもも検討いたしまして、必要ならばさらに手当てをすること、やぶさかではございません。
  248. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 よくわかりました。最後に、私は、今大臣がおっしゃいましたように、世帯更生資金とか母子福祉資金どもございます。そしてまた、ただいま住宅の金融公庫などもいろいろございますけれども現地を回ってみまして被災者に直接触れてみますと、非常になまなましい声は、いわゆるボーダー・ライン層の人が、災害にあいましてほんとうに現金をほしがっているわけなんですが、そういうところにほんとうにお金が渡らないわけでございまして、そういう意味で、私が先日御提案申し上げたような援護法が必要かと思うのでございますが、これらの点にまたお考えを願いたいと思うわけでございまして、そういう、ほんとうに保護階層にもう転落寸前の人たちを救うような、あたたかい御考慮をいただきたいということを要望申し上げまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  249. 南條徳男

    南條委員長 この際、小委員会の設置の件についてお諮りいたします。  本委員会に現に付託されております災害対策法律案は、内閣提出にかかるもの二十五件、議員提出にかかるもの十五件に及び、今後も、なお法律案の付託が考えられるわけでございます。従いまして、これら法案の審査の慎重を期し、審査能率の増進をはかり、あわせて災害対策の樹立に関する諸調査を行なわせるために、部門別に数個の小委員会を設けることにいたしたいと思います。つきましては、理事会の協議に基づきまして、厚生、労働、文部、自治、防衛等の関係について厚生労働等委員会、農林、水産等の関係について農林水産等委員会、通商産業、大蔵等の関係について通商産業等委員会、建設、運輸、郵政等の関係について建設等委員会、右の四小委員会を設置いたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  250. 南條徳男

    南條委員長 御異議ないと認めます。よって、さよう決しました。  次に、ただいま設置することに決しました各小委員会の小委員の員数は十一名とし、その小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  251. 南條徳男

    南條委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。追って委員長において指名の上、公報をもって報告いたします。  また、委員の異動に伴い小委員に異動を生じました場合の補欠選任、小委員辞任、その補欠選任等に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  252. 南條徳男

    南條委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、各小委員会において審査すべき案件は、各小委員会の所管に応じて委員長において定めることに御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  253. 南條徳男

    南條委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。  明日は、午前十時から会議を開いて残余の質疑をいたしまして、大体午後から小委員会を開くようにいたしたいと思います。いずれ、この小委員会委員の報告は、明日公報をもっていたしたいと思います。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時三分散会