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1959-11-04 第33回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月四日(水曜日)     午前九時三十一分開議  出席委員    委員長 南條 徳男君    理事 江崎 真澄君 理事 田村  元君    理事 綱島 正興君 理事 前尾繁三郎君    理事 三田村武夫君 理事 角屋堅次郎君    理事 佐藤觀次郎君 理事 辻原 弘市君    理事 塚本 三郎君       今井  耕君    木村 俊夫君       久野 忠治君    小島 徹三君       河野 孝子君    坂田 英一君       田口長治郎君    田中 正巳君       辻  寛一君    中垣 國男君       二階堂 進君    丹羽 兵助君       服部 安司君    坊  秀男君       山手 滿男君    伊藤よし子君       太田 一夫君    岡本 隆一君       金丸 徳重君    小林 正美君       田中幾三郎君    館  俊三君       中島  巖君    松平 忠久君       八木 一男君    横山 利秋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 村上  勇君         国 務 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         自治政務次官  丹羽喬四郎君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         大蔵事務官         (理財局長)  西原 直廉君         文部政務次官  宮澤 喜一君         厚生事務官         (大臣官房長) 森本  潔君         農林政務次官  大野 市郎君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君         通商産業政務次         官       内田 常雄君         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (中小企業庁長         官)      小山 雄二君         運輸政務次官  前田  郁君         運輸事務官         (大臣官房長) 細田 吉藏君         郵政政務次官  佐藤虎次郎君         労働事務官         (職業安定局         長)      百田 正弘君         建設政務次官  大沢 雄一君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君     ————————————— 十一月四日  委員松平忠久君辞任につき、その補欠として中  島巖君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害地対策に関する件  昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた  農地除塩事業助成に関する特別措置法案(  内閣提出第二号)  昭和三十四年七月及び八月の豪雨、同年八月及  び九月の暴風雨又は同年九月の降ひようによる  被害農家に対する米穀の売渡特例に関する法  律案内閣提出第三号)  昭和三十四年九月の風水害を受けた漁業者の共  同利用に供する小型漁船の建造に関する特別  措置法案内閣提出第四号)      ————◇—————
  2. 南條徳男

    南條委員長 これから会議を開きます。  すでに補正予算国会に提出されておりますので、本日は、まず大蔵当局から、災害対策に関する予算措置及び財政投融資計画等につきまして総括的に説明を聴取し、引き続き関係各省から、それぞれ所管に応じて災害対策の諸施策、並びにこれが予算措置等について説明を聴取することにいたします。大蔵政務次官
  3. 奧村又十郎

    ○奧村政府委員 今回政府提案昭和三十四年度補正予算につきましては、本会議並びに予算委員会大蔵大臣が概略説明申し上げておりますが、ここでは災害対策関係について主として御説明を申し上げます。  本年における災害は、先般の伊勢湾台風に至りまして、昭和二十八年災害に次ぐ大規模のものとなりました。政府といたしましては、既計上予備費使用地方交付税交付金の繰り上げ支給、応急つなぎ融資等各般行政措置を講じて参ったのでありますが、今回の災害実情に顧みまして、各般特例法案国会提案することとし、なお予算補正を行ないまして、災害対策に万遺憾なきを期することといたしております。まず、災害対策関係費といたしまして、本費に三百四十四億円を計上しておりますが、ほかに追加計上として、予備費八十億円の大部分災害対策費に充てられる見込みであります。なお、当初予算にすでに計上した予備費のうち、五十五億円を災害対策費にすでに使用いたしました。さらに、復旧促進をはかるため、国庫債務負担行為三十六億円の活用予定しておるのであります。  特に今回配慮いたしました点は、第一に民生の安定と生業の回復をはかったことでありまして、特に住宅及び農林漁業施設復旧促進をはかり、約百七億円を計上し、施策内容におきましても、従来の措置と比べて相当改善いたした次第であります。  第二に、今次災害高潮による被害が激甚でありましたので、海岸堤防事業等、新たな構想により大規模高潮対策を講ずることとして、既計上予備費からすでに十一億円を支出し、今回の予算には六十二億円を予定し、そのほかに債務負担行為七億円を用意いたしましたので、これらの予算活用によって、来年台風襲来時期までには原形の高さまでは一応復旧できるものと考えております。第三に、河川等公共土木施設等復旧につきましては約百六十億円を計上いたしましたほか、別に、七号台風以前の調査完了分につきましては、既計上予備費から合計すでに四十一億円を支出しております。なお、調査未了の分のうち、事業別所管別割り振りについて今後調整を要するものにつきましては、別途予備費追加計上したほか、債務負担行為活用も考慮しておりますので、緊要な復旧工事につきましては、再来年度までに復旧を完了する予定であります。  第四に、被災地方団体負担軽減について特段の配慮を払ったつもりであります。すなわち、今回の災害規模に顧みて、災害対策費にかかわる国の補助負担の対象及び率について、実情に照らしてそれぞれ拡大引き上げ特例措置をいたすこととしております。また、一方において地方債起債ワクを百九十五億円に拡大いたしまして、このうちに公共土木学校農地農業用施設等の十万円ないし十五万円以下の、いわゆる小災害に対する起債特例措置をもとることにいたしております。また一方、地方交付税交付金八十五億円の適切な使用と相待ちますならば、いわゆる被害激甚地に対する地方負担軽減はもちろんのこと、比較的激甚でなかった地域における地方団体負担も十分考慮しておるつもりであります。  最後に、財政投融資における災害対策についてその概略を申し上げます。  中小企業対策といたしましては、中小企業金融公庫等に百五十億円の政府資金追加を行ないまして、金利など貸出条件につきまして特別配慮をいたしました。なお、中小企業信用保険公庫に十億円の出資を行ないまして、信用補完の機能の強化をはかることといたしております。また、住宅金融公庫の災害貸付ワクを九十五億円に、農林漁業金融公庫災害貸付ワクを百四十億円に増大いたすこととし、所要資金としてそれぞれ四十億円を計上いたしました。  以上、予算及び財政投融資計画の概要でございます。
  4. 南條徳男

    南條委員長 なお、主計局長から補足説明の申し出がありますので、これを許します。石原主計局長
  5. 石原周夫

    石原政府委員 お手元に差し上げてございます「昭和三十四年度予算補正(第2号、特第1号及び機第1号)の説明」というのがございますが、それによって今回の補正予算の大要、なかんずく、災害関係においてどういう補正予算に相なっておるかということをごらんいただきたいと思います。  全体の姿をごらんいただきたいと思うのでありますが、二ページに総括表がございます。これが補正予算の全体の姿を示しておるわけであります。形式上の歳出増加額とその財源——歳入歳出は、後ほど申し上げますように、この額で増加をいたしておるわけでございません、歳出修正減少額を差し引きました額で増加をいたしておるのでありますが、今回歳出増加いたしました金額と、それに充当いたしました財源というものを比較いたしましたのがこれでございます。災害関係におきまして三百四十三億七千四百万円、そこにそれぞれの項目が載っておりますが、災害復旧事業費、いわゆる公共土木農地農業用施設という系統に属します百七十八億円というのが主たる項目でありまして、伊勢湾に対しまする高潮対策六十一億円、以下文教、あるいは緊急治山及び緊急砂防というような費目が並んでおりまして、三百四十三億円になっております。この内訳につきましては、これから逐次申し上げまするので、その際に御留意いただきたいと思います。その他の経費が百九十億円ございますが、そのうち地方交付税交付金八十五億、これが後ほど申し上げます租税自然増収四百九十億を計上いたしました中で、所得税法人税及び酒税、その三つの税金に対します二八・五%の交付率を適用いたしますその元金が三百八十億円であります。税の自然増収四百九十億円のうちで、三百八十億が三税の系統に属するわけであります。従いまして、三税の系統に属する三百八十億に二八・五%を乗じますから、後ほど申し上げます百八億となりますが、三十三年度には御承知のように歳入見込みの方が実収より多かったのでありまして、その見込みに基づきまして配り過ぎになっておりますのが二十三億円あります。それを差し引きました八十五億というものが交付税に相なるわけであります。そのうち四十一億が、いわゆる特別交付税という形で被災市町村に回るということであります。根元の方の四十四億、普通交付税に回ります分も、当然これは被災市町村にも回るわけでございますので、交付税は大部分をあげて災害地方公共団体の方に回るというふうに考えてよろしいかと考えております。それが八十五億の数字でございますが、義務教育費国庫負担金以下五本の項目がございまして、精神衛生費補助金まですべて義務費系統に属する分でありますが、これが九十一億八千五百万円という数字に相なるわけであります。石炭対策が七億二千八百万円。次に、後ほど申し上げます雑収入との見合いになっております国立学校運営費、これが二億六千七百万円。これは、これに見合う以上の収入があるわけでありますが、それが二億六千七百万円。それからその他のものが三億七千五百万円になっております。それから予備費が八十億。これは先ほど政務次官からお話がありました五十億が大体災害対策事業費、三十億が一般予備費を補てんいたします関係であります。これで総額六百十四億というふうに御承知をいただきたいのであります。  これに対する財源といたしまして、租税自然増収が、後ほど御説明いたしますが、四百九十億、税外収入が、専売益金増収額を中心といたしまして四十八億、そのほか既定経費を七十五億節減いたします。そのうち公共事業費等各省に対しまして四、五%内外の節約をお願いしております系統が六十九億、その他、これは後ほど申し上げます石炭対策費に振りかえて使うことにしております一般失業対策費の方の組みかえ減少が二億円、大蔵省証券の発行が予定より減るという見込みで出ております金が四億八千万円、合計いたしまして六億八千万円ほどの節減額をいたしておるわけであります。合計いたしまして六百十四億というような財源に相なっておりまするが、かくのごとく歳出増加し、財源をかくのごとく見込みました結果は、一番左のところに「補正(第1号)追加」の下に「小計」と書いてございまして、一兆四千四百四十三億という数字が現在の歳出の現額でございますが、これに対しまして、今回は六百十四億追加いたしますとともに、財源の方で申し上げました節減額七十五億が減少になりますから、差し引きいたしまして五百三十八億四千二百万円という金額が純増になりまして、予算現額は一兆四千九百八十一億という数字に相なるわけであります。  以上が、歳入歳出の総ワクと申しますか、全体につきまして申し上げたわけであります。以下歳出項目について申し上げます。  第一が災害復旧関係経費でございますが、これはまず災害復旧事業費といたしまして百七十八億六千万円、これにつきましてはすでに、既定予備費から二十六億八千万円という数字措置済みで、これは直轄工事締め切りのほか、七号台風以前の被害につきましても調査完了のものについては支出をいたしておるわけであります。なお、ごく最近におきまして十五号台風に対しましても予備費を支出いたしまして、合計いたしますと四十一億八千九百万円という金が予備費の中から支弁せられるというように相なるわけであります。そこで現在の査定の段階につきましては、建設省あるいは農林省から御報告があったかと思いますが、現在のところにおきましては、大体二五%程度についての査定額があります。従いまして、それ以外の分につきましては、ある程度見込みを持ちましてついておるわけであります。従いまして、これを所管別あるいは科目別に振り分けますと、相当査定をいたします結果との間に移動が予想せられるわけであります。そのうちの一部をもちまして予備費に計上いたしました。それが、先ほど申し上げました予備費八十億のうち、災害復旧等対策事業費の五十億のうちの大きな関係をなしておるわけであります。この点は、後ほど申し上げます伊勢湾台風におきましても、あるいは災害関連事業におきましても同様でございまして、一部は各省間の割り振り関係、あるいは科目別割り振り関係、そういうことの査定を待ちました後にきめたいと考えております。その意味におきまして、本費、予備費というような形で一部予備費に計上いたしておるわけでございます。なお高率補助につきましては、今回は立法措置をいたすつもりでありまして、特例法準備をいたしておるのであります。なお、工事の施行の問題でございますが、御承知のように、十六号台風までを含めまして一千九百六十二億という金額が、いわゆる被害報告額に相なっております。それに対しまして、後ほど申し上げます伊勢湾台風関係は別でございます。それを除きました分につきまして、これを従来の査定の率あるいは申請の率、そういういろいろのものをかけまして、いわゆる三・五・二という比率、これは初年度二五%ぐらいではないかと思いますが、その金額を今回計上いたしておるわけであります。その二五先、いわゆる三・五・二という比率で計上いたします。さらにそれ以上の分を若干考慮しておるわけでありますが、その第一は、御承知のように、直轄工事につきましては五割初年度に計上しておるわけであります。さらにそれに関連いたしまして木曽川外河川につきましては、五割以外にもう一割加えまして、六割という額を本年度予算に計上しております。それが一点。もう一つは、二五%という金額は、いわゆる三・五・二の振り合いでございますが、これを二八・五%という金額を一応計算いたしまして、その差額三・五%、これは農地農業用施設公共土木施設と合わせまして二十九億でありますが、これを国庫債務負担行為に乗せまして、それによりまして本年度仕事に着手ができる、仕事準備ができるということにいたしております。それが第二の点でございます。以上のようなことでこの金額を計上いたしておるわけでありますが、三ページにそれの所管別、それから事業費別に区分をいたしました金額が載っているわけでございます。  第二が伊勢湾高潮対策事業費でございます。これにつきましては、今回の被害にかんがみまして、原形復旧にとどまらず、大幅な改良工事を実施することにいたしたいということにいたしまして、干拓工事中の堤防全額国庫負担、それから愛知、三重両県の施工いたします海岸堤防事業は、これは災害復旧に相当する部分につきましては、先ほど申し上げました特例法を含みます災害復旧負担法によります災害助成に相当する部分につきましては、八割という高率補助率を適用することといたしましてやって参りたい、こういうふうに考えているわけであります。すでに当初予算計上予備費で十億九千八百万円の金を割り当てておりますが、それに今回は補正分といたしまして六十一億五千三百万円、六十二億足らずの金を計上いたしておるわけでありまして、これによりまして本年度中に締め切りを行ないますとともに、来年度出水期までに大体原形堤防の高さまで戻り得るような仕事をいたしたい。それに関連いたしまして、先ほど申し上げました国庫債務負担行為七億円をこの伊勢湾台風に関連いたしましてとっておるわけであります。  その次が直轄河川改修費でございますが、これは木曽川と富士川の分で一億円、これは両川の災害復旧をいたしますのに関連いたしまして、同時に河川改良工事を行ないまして、いわゆる改良復旧工事を行ないたいという金であります。  災害関連事業費でございますが、これは、いわゆる復旧工事改良工事をあわせ行う分でございまして、今年度防災関係工事のほかに、従来五%程度でございました農林関係、あるいは港湾の関係というものにつきましても、大体今期の八%程度まで災害関連工事を取り上げるということの計画をいたしまして、災害関連工事割合引き上げております。それを事業別に区分いたしましたものが、建設省所管河川以下、そこに三ページから四ページにかけて載っておるわけであります。なお、特例といたしましては、御承知の通り、災害関連工事費は二分の一の補助でありまするが、特例法によりまして三分の二まで引き上げることができるということで考えておるわけであります。  次に、緊急治山及び緊急砂防経費でございます。これは荒廃山地並びに河川渓流崩壊防止ということの意味におきまして、緊急治山緊急砂防工事を必要とするわけでございますが、今回は、特に被害激甚で、緊急でありまする地方公共団体の行ないまする緊急治山事業並びに緊急砂防事業、いずれにつきましても、地方債割当を、現年度以降におきまして、当該年度並み地方債割当をいたしまして、これの元利償還額に対しまして、緊急治山並み、あるいは緩慢災害並み——五七%ということになるわけでありまするが、交付税でその元利償還額を見るという仕組みにいたす打ち合わせをいたしておりまして、今回ここに計上いたしました緊急治山緊急砂防につきましては、この扱いをいたす予定であります。それが、ここに地方債起債を認めるというところに書いてあるわけでございます。以上の金が、治山におきまして七億八千万円、砂防におきまして九億一千四百万円という額に相なるわけであります。  災害救助費でございまするが、災害救助費につきましては、当初予算額から五千五百万円、予備費で十四億九千万円というものを支出いたしまして、その上にここに計上してございまする二十四億四千三百万円というものを計上いたすわけであります。今回は、御承知のように、応急住宅単価につきましても、八万円を十万円に引き上げ応急仮設住宅を建てまする割合を三割から四割に引き上げ長期収容の場合のたき出し単価も、五十円から七十円に、また、二十一日をこえる分につきましては、九十円というふうに引き上げ、あるいは毛布をふやしたりするというふうに、多少これ以外の改善事項もいたしておりまして、災害救助内容につきましては、従来に比べまして、特段の措置をいたしておるわけであります。  なお国庫負担特例法につきましても、これは提案をいたしたいつもりでおります。  次は、住宅施設災害復旧費でございまするが、これは、流失あるいは損壊をいたしました住宅に居住いたしておりました低額所得者等に対しまする第二種公営住宅建設一つ、それから滅失をいたしました公営住宅そのもの再建いたしまするのが一つ、その両者の関係経費でございまして、十億八千九百万円という金を計上いたしておるわけであります。これは、復旧限度を三割から五割に引き上げ補助率も三分の二から四分の三に引き上げるという措置をとるわけであります。  なお、鉄筋率につきましても、従来に比べましてこれを引き上げまして、三〇%というような鉄筋率でいたすつもりであります。鉄筋率と申しますか、不燃率と申しますか、不燃住宅をもちまして建設いたしますものを三〇%というように見込んでおるわけであります。  公立文教施設災害復旧費でありますが、これも三十四年災害復旧費につきましては特例法を出します予定でありまして、この場合の不燃化率と申しますか、鉄筋率と申しますか、不燃建物にいたします割合引き上げをいたすつもりであります。  その他の災害対策費といたしましては、二十九億という金について先ほども申し述べたわけでございますが、それの主たるものにつきまして、所管別に申し上げるわけであります。  第一は、総理府におきまして、警察庁の警備出動経費並びに施設復旧につきまして一億八千五百万円。  文部省の所管におきまして、私立学校助成費といたしまして五千三百万円。  厚生省所管が七本ほどございますが、環境衛生関係、上水道、簡易水道及び下水道終末処理二億七千三百万円、医療施設災害復旧、これは公的医療機関伝染病隔離病舎関係で四千五百万円、伝染病予防費補助率系統におきまして一億一千万円、社会福祉施設災害復旧費が一億三千百万円、世帯更生資金貸付が一億五千万円。なお、ここには出ておりませんで、既定予算をもってまかないますが、母子福祉貸付金におきましても、負担率引き上げまして、従来の一対二、国二に対しまして府県一という割合でありましたが、これを国三に対しまして府県一という特例法を別途提案いたす準備をいたしております。世帯更生資金の方は、ここにあります一億五千万円の追加でございます。児童保護費におきまして、これは保育料の減免をいたしますので、その手当をいたしますために三千九百万円、国民健康保険におきまして、国民健康保険事業保険料あるいは負担金を減免いたしましたものの穴埋めをいたすために七千七百万円。以上七本が厚生省所管であります。  農林省所管におきましては、共同利用施設災害復旧費が三億四千六百万円、救農土木が三億円、被害激甚地共同化施設、すなわち、こわれました激甚部落におきまして、再建をいたしますために、たとえば、農機具の購入、あるいは農作業等共同化施設というものにつきまして、補助いたします金が三億三百万円。共同利用小型漁船を、共同利用という意味におきまして再建をいたします補助が二億四千四百万円。排水事業といたしまして、これは新しい補助でございますが、補助率九割であります。一億六千二百万円の排水補助——建設省所管の分は、別に二千二百万円見ておりますが、農林省所管といたしましては一億六千二百万円。入植地被害開拓地被害につきましては、住宅農畜舎被害助成いたします金が二億二千二百万円。以上六本が農林省系統でございます。  通産省所管は、中小企業復旧資金利子補給金でありまして、これは補給額といたしまして二千五百万円。商工中金が六分五厘の利子をもちまして補給をいたします分でございます。  運輸省所管といたしましては、室戸岬にレーダーを新設いたしまする関係と、東京、大阪、名古屋に検潮儀を設置いたしまして、これによりまして、来年度台風観測期に間に合うように設備を強化いたします金が四千百万円であります。  建設省所管におきましては、合わせまして一億七千七百万円でありまするが、これは、水防資材、先ほど申しました緊急排水、あとは国有の船舶、機械の修理というような経費でございます。  その他の経費につきましては、先ほど申し上げました三百八十億が三税の増収でございまして、七ページにその計算がございますが、これに伴う交付税増加額が百八億円と相なりますが、先ほど申し上げました昭和三十三年度における地方交付税の交付超過額二十三億円というものを差し引きまする関係上、八十五億という金がそこに出て参ります。  義務教育費国庫負担金は、直接災害関係ございませんので、先ほど大ざっぱに全体の姿において申し上げましたところで御了承いただきまして、あとは財源関係におきまして、公共事業等の節約が六十九億、その他の節減が六億八千万円、これも先ほど申し上げた通りであります。  予備費は、八十億で、このうち、災害関係五十億、その他が三十億であります。  歳入関係いたしますようなことをごく簡単に申し上げますと、歳入関係は九ページでごらんになりますように、所得税において二十九億、法人税が三百二十億、酒の税が三十億の増収、揮発油税が十五億の減収、物品税が九十億、有価証券取引税が二十一億、印紙収入が十三億の増収、合計いたしまして、差引四百九十億の増収を見ておるわけであります。これは、最近の実績に基づきまして、今回の災害によりまする減収を見込みましたぎりぎり一ぱいの税収の見込額であります。専売納付金は、最近におきまする専売公社のたばこの販売実績を見込みまして二十五億、あとは、先ほどちょっと申し上げました国立学校運営と見合いまする病院収入の方の増加を三億四千二百万円見込んでおりまするほか、日本銀行納付金以下の雑収入を四本で二十億円見込んでおるというのが、収入の大要であります。  特別会計におきまして、特に災害関係についてちょっとごらんを願いたいと思いますが、第一の交付税は、八十五億を回しまする関係で、特に申し上げることはございません。食糧管理特別会計、これは麦をよけい買うという関係でございます。三番目の開拓者資金融通特別会計におきましては、これは、開拓者資金融通の融資の原資を充実いたしまするために、一億円借り入れ限度をふやすということであります。  政府関係機関、これは中小企業信用保険公庫の分でございまして、これは財政投融資の方であるいは御説明申し上げるかと思うのでありますが、出資を十億円ふやします。そういたしますると、その十億円をもちまして、災害地の信用保証協会に対しまして貸付金を増加いたします。その中小企業信用保険公庫貸付金の額というものは、当初の予算総則におきまして限度額がきめられておりますが、その限度二十四億五千万円を三十四億五千万円に増加いたしました。その関係政府関係機関の予算補正が行なわれるわけであります。  以上で私の説明を終ります。
  6. 南條徳男

    南條委員長 それでは、財政投融資関係について、西原理財局長から説明を願います。
  7. 西原直廉

    ○西原政府委員 それでは、引き続きまして、財政投融資関係につきまして、主計局長から御説明がありました三十四年度予算補正説明の十三ページに、「第四、財政投融資」とございますので、それをごらんいただきまして、御説明申し上げたいと思います。  十五号台風等による災害につきましては、早急な復旧をはかるということで、財政投融資関係では四百一億円の追加を決定いたしたわけであります。これと並行いたしまして、中小企業の年末金融の円滑化をはかるために、百億円の財政投融資追加をいたしました。  まず、農林漁業金融公庫関係でございますが、当初の計画におきましては、本年度貸付決定額四百三十二億円、資金交付額四百十二億円を予定いたしておりましたけれども、十五号台風等によります災害復旧対策融資を約百四十億円に拡充いたしますために、四十億円資金を追加することにしたわけでございます。  第二には、中小金融関係のその一つであります国民金融公庫でございますが、当初の計画におきましては、年間九百十億円の貸付を行なう予定でありましたが、中小企業災害復旧対策及び年末金融対策のための融資の拡充をはかるために、自己資金の増加を見込むほか、資金運用部資金からの借入金を七十二億円追加することにしたわけであります。この七十二億円のうち、一応災害対策関係といたしましては四十二億円、年末金融の関係といたしましては三十億円予定しております。  第三は、中小企業金融公庫でございますが、これは、当初計画におきましては、年間六百四十五億円の貸付を行なう予定でありましたが、中小企業災害復旧対策及び年末金融対策のための融資の拡充をはかりますために、八十三億円の融資を追加することにいたしました。中小企業金融公庫のこの八十三億円のうち、災害対策関係といたしましては六十三億円、年末金融の関係といたしましては二十億円を一応予定いたしております。  第四は、中小企業信用保険公庫でございますが、これは、ただいま主計局長から御説明がございましたように、今回は政府出資を十億円ふやすことにいたしたわけであります。これ以外に、中小企業信用保険公庫といたしましては、地方負担分として二億円の出資の増加があることを期待しておりますので、合計いたしまして出資金の基金の増加が十二億円に相なります。そういたしますと、大体運用効率が十倍くらいでございますので、これによって百二十億円融資保証のワクがふえるということになると考えられております。現在、この中小企業信用保険公庫の運用資産の運用で、まだ保証の余裕のございますのが、約百二十億くらいございますので、合計いたしますと、保証協会の保証額の増加は、約二百五十億くらいになるのでございます。  第五は、商工組合中央金庫でございますが、これは、当初の計画においては、産投会計から出資金十二億円、商工債券の政府資金による引き受け二十億円、合計三十二億円の政府原資を予定しておりましたが、中小企業災害復旧対策及び年末金融対策のための融資の拡充をはかりますために、八十三億円の商工債券の追加引き受けを行なうことといたしました。このうち、災害対策といたしましては三十八億円、年末金融といたしましては四十五億円を、一応予定しておるわけであります。  次は、日本不動産銀行でありますが、当初の計画におきましては、政府資金による不動産債券の引き受けを十五億円予定しておりましたが、中小企業災害復旧対策及び年末金融対策のための融資の拡充をはかりますために、十二億円の不動産債券の追加引き受けを行なうことといたしました。  住宅関係におきましては、住宅金融公庫におきまして、当初の計画では、貸付契約額が三百八十億円、貸付金が三百七十九億円を予定しておりましたが、災害復旧対策融資を約九十五億円に拡充いたしますために、三十四年度必要な資金といたしまして四十億円を追加することといたしたのであります。これによりまして、大体建設関係で一万、補修で六万五千、合計七万五千戸分の資金の手当ができるというふうに考えております。  開拓者資金融通特別会計につきましては、先ほど話がございましたと思いますが、災害被害をこうむりました開拓者に対する融資の充実をはかるため、一億円の借り入れ限度の追加がございます。そのために一億円を追加融資することといたした次第でございます。  次は、地方債関係でございますが、地方債は、当初計画は、御承知の通りに千百億円でございますが、災害復旧対策として総額百九十五億円を手当することといたしました。この百九十五億円のうち、すでに既計上の分として三十五億円がございます。従いまして、今回は百二十億円地方債をふやしまして、それ以外に、政府資金以外で引き受けになりますところの地方債として、縁故債で二十億、公営企業関係で二十億、合計百六十億円の地方債追加になったわけでございます。  これらを合計いたしますと、災害関係及び年末金融関係、両方合わせまして五百一億円に相なるわけでありまするが、この五百一億円の資金をどう調達いたしますかと申しますと、産投会計につきましては、既定の計画からの出資の振替を十億円、資金運用部資金につきましては、三十四年度の郵便貯金の増加額二百五十億円、三十三年度の資金運用部特別会計の積立金三十八億円、既定の計画の一部の変更及び節減による振替原資四十九億円、合計三百三十七億円、簡保資金につきましては、新規編入積立金等の増六十九億円、公募債借入金については四十億円、合計四百五十六億円、年度内に回収予定の四十五億円を合わせて、先ほど申し上げましたような五百一億円というような数字に相なるわけでございます。  簡単でございますが、これで財政投融資の御説明を終わります。     …………………………………
  8. 南條徳男

    南條委員長 次は、建設省説明を承ります。大澤政務次官
  9. 大沢雄一

    ○大沢政府委員 建設省関係被害の概況、並びに対策につきまして御説明申し上げたいと存じます。  まず、公共土木施設被害状況を御説明申し上げます。  本年発生災害によります被害報告額は、直轄災害におきまして百四十二億余円、補助災害におきまして千百九十二億余円、合計千三百三十五億余円と相なっております。このうち特に被害の大きかったのは、七号台風によります三百八十億余円、十五号台風によります六百八十六億余円でございます。七号台風による被害は二十四都府県、十五号台風による被害は三十九都道府県に及んでおりますが、このうち特に被害額の大きいのは、七号台風におきまして、山梨、長野、滋賀、三重等の各県であり、十五号台風においては、愛知、三重、奈良、兵庫、岐阜、滋賀、京都、鳥取、福井等の各府県でございます。  また、都市施設被害状況について申し上げますと、公共下水道、都市下水路、都市公園等の被害額は、都市内の堆積土砂及び湛水の排除事業費を含めて十八億九千余万円でございまして、このうち第十五号台風によるものが十六億六千余万円と相なっております。  次に、建物の被害状況について申し上げます。六号台風、七号台風、八月下旬の豪雨、十四号台風及び十五号台風による住宅被害戸数は、滅失、半壊合わせて十六万二千余戸に上っており、このうち十五号台風によるものは、滅失三万九千余戸、半壊十万五千余戸と相なっております。なお、既設公営住宅被害戸数は、滅失五百九十二戸、損傷二万五千九百八十戸と相なっております。  以上、被害の概略を御説明した次第であります。  これに対しまする対策といたしまして、ただいま大蔵政務次官主計局長さんからも御説明がございましたが、まず三十四年度補正予算におきまして、追加額二百五億二千五百余万円、修正減少額建設省関係といたしましては三十九億三千四百余万円、差引額百六十五億九千余万円でありまして、これをすでに成立いたしました三十四年度予算額一千五百二十四億二百余万円に加えますと、建設省関係予算の現計の総額は一千六百八十九億九千三百余万円と相なります。  次に、その内容について御説明申し上げます。  まず、治山治水関係災害に対する追加額について申し上げますと、直轄河川改修等に一億九百余万円、緊急砂防に九億一千四百余万円、伊勢湾高潮対策に四十七億九百余万円、災害関連事業に六億二千八百余万円、河川災害復旧に百二十六億余万円と相なっておりますが、このほか災害復旧促進をはかるため、昭和三十五年度において国庫の負担となる国庫債務負担行為を、伊勢湾高潮対策について七億円、河川災害復旧事業について十九億七千五百万円を予定しており、また、昭和三十四年度成立予算予備費中から公共土木災害復旧に対して十一億一千万円を支出することとし、今回の補正予算予備費中にも、各事業に対して、査定額の確定、特例法による高率補助区域の確定等によって、さらに増額分を相当額予定しております。  次に、そのおもなる内容について申し上げますと、直轄河川改修につきましては、台風第七号及び第十五号により被災した木曽川上流及び富士川の河川改修工事、並びに木曽川ほか四河川河川調査を行なうものであります。  砂防事業費につきましては、本年の風水害によって生じた山地の崩壊等による被害を防除するため、山梨県、長野県、三重県、奈良県等の特に被害の甚大な地域に重点を置き、緊急砂防工事を実施するものであります。  公共土木施設災害復旧費につきましては、まず、直轄河川については、木曽川、富士川、千曲川及び鬼怒川等の復旧促進に重点を置き、二カ年間で復旧することを目途として、本年度におきましては、平均五五%程度復旧を行なうこととし、補助災害につきましては、緊要工事は、本年度においては少なくとも三〇%程度復旧をはかることとし、これを三カ年で完了する方針のもとにその促進をはかることにいたしております。  また、これらの事業の実施にあたっては、必要あるものについては、災害関連事業費を加え、できる限り改良的復旧に努めたいと存じております。  次に、今次台風第十五号により、特に甚大な被害を受けました伊勢湾等の海岸堤防及びこれに接続する河川復旧につきましては、これを重点的に行なうため、伊勢湾高潮対策事業費を計上し、明年台風期までには、少なくとも原形規模復旧する所存であります。  なお、全体計画といたしましては、災害復旧工事改良工事をあわせ行ない、根本的に高潮防除対策を講ずる方針であります。これらのうち重要地域については、補助事業についても国が受託して施行することとし、これに関連して中部地方建設局に海岸部を設けるとともに、二百名の人員増加を行ない、必要な人件費、事務費等として四千七百余万円を計上しております。  なお、以上申し上げました公共土木施設災害復旧事業及び災害関連事業、並びに伊勢湾高潮対策事業については、立法措置を講じて特例を設け、国の補助率負担率引き上げることといたしております。  次に、直轄道路関係災害復旧費について申し上げます。八月における集中豪雨及び九月における台風第十五号により被災した一級国道の直轄災害復旧工事について、本年度中に支出を予定される経費は一億六千万円でありますが、そのうち、三千万円は昭和三十四年度成立予算中の予備費より支出することといたしておりますので、補正予算としては一億三千万円を計上しております。  次に、都市災害関係復旧事業費について御説明申し上げます。  今回の補正予算により追加される都市災害関係経費は、都市災害復旧事業に二千余万円、風水害対策費に二千二百余万円、計四千二百余万円でありまして、都市災害復旧事業としては、被災都市の都市下水路、街路、公園等の復旧事業に補助を行ない、風水害対策費は、被災都市の緊急排水に要する経費について地方公共団体等に補助するものであります。  なお、排土事業、公共下水道施設等の復旧事業につきましては、現地査定を急速に実施した上、補正予算予備費から支出することにいたしております。  また、台風第十五号等による被害の状況にかんがみ、排土事業及び排水事業につきましては、国の補助等について特別に考慮する必要があると考えられますので、別途立法措置を講ずることといたしております。  次に、住宅関係災害復旧費について申し上げます。  このたびの台風第十五号による住宅関係被害は激甚でありまして、住宅の滅失したもの約三万九千戸、住宅の半壊したもの約十万五千戸に達しております。これが復旧対策といたしましては、公営住宅建設住宅金融公庫による災害復興住宅の融資の措置を講ずる所存であります。  まず、公営住宅建設につきましては十二億一千九百余万円を計上しておりまするが、これは、復旧のための建設予定戸数九千四十八戸のうち、既定経費により建設いたしまする二百戸を除きまして、差し引きいたしまして、昭和三十四年度建設する五千二百二十九戸の建設費及び既設公営住宅の補修費に対して補助するに要する経費であります。  なお、公営住宅建設及び補修につきましては、特例法を定め、特に被害のはなはだしい地域につきましては、国の補助対象戸数の滅失戸数に対する割合引き上げるとともに、国の補助率引き上げることといたしております。  また、滅失または損傷した公営住宅再建設及び補修につきましても、特例法により、補助率引き上げることといたしております。  なお、公営住宅建設にあたりましては、特に今次災害の経験にかんがみ、堅牢な構造の住宅戸数の増加をはかりました。  次に、住宅金融公庫の災害復興住宅の融資につきましては、公庫に対して、政府低利資金四十億円の融資を行ない、これに自己資金九億円を加えて計四十九億円をもって災害復興住宅建設一万戸、補修六万五千戸に要する資金の貸付を行なうことといたしております。  次に、建設機械整備費について申し上げます。  建設機械の災害復旧に要する経費として一千百余万円を計上しておりまするが、これは台風第十五号により被害を受けた浚渫船及び建設機械等の修理に要する経費であります。  次に、水防資材関係経費について申し上げます。  水防資材緊急整備費として九千万円を計上しておりまするが、これは水防管理団体等が、水防活動に使用した資材に要した経費に対して補助を行なうものであります。なお、被害の甚大であった地域については、補助率を例年の率より引き上げることといたしております。  その他、災害に伴う事務費として一千八百余万円を計上しておりますが、これは、災害復旧事業に伴う職員の超過勤務手当、職員旅費等であります。  なお、説明書に、今回の補正予算による建設省関係既定予算の修正減額について説明を加えてありますが、この点は省略をさせていただきます。     …………………………………
  10. 南條徳男

    南條委員長 建設省は以上で説明がございませんから、次に運輸省の関係に移ります。前田政務次官
  11. 前田郁

    ○前田(郁)政府委員 資料は、お手元に差し上げてございます「災害関係予算措置について」という資料であります。  御承知の通り、運輸省関係におきましては、国鉄、港湾、海上保安、その他非常な被害をこうむったのであります。  まず、行政部費のうち災害復旧費でございますが、施設等の被害は、台風十五号関係が四億六千五百三十六万一千円、その他五千二十八万三千円、計五億一千五百六十四万四千円であって、これらの災害復旧については、既定経費の充当、流用または予備費使用によるものとし、一部三十五年度概算追加要求を行ないます。  次に、災害対策費でございますが、災害対策費としては、気象庁に、台風を観測し、高精度かつ適切な予報を行なうため、室戸岬に気象用レーダーを新設するための必要な経費、これが三千四百六十万二千円であります。次に、台風襲来時における高潮予報を実施するため、東京、大阪、名古屋の三カ所に無線ロボット検潮儀を設置するための必要な経費が六百五十三万一千円であります。計四千百十三万三千円を補正予算において要求をいたしております。  次に、公共事業費といたしまして、港湾公共事業費については、下記の通り予算補正要求を行なっております。まず、伊勢湾高潮対策事業費の一部を補助するため必要な経費が五億八千万円であります。次に、昭和三十四年の豪雨及び台風等により被災した港湾施設災害復旧工事と、あわせて一部の改修工事をば災害関連事業として施行するのに必要な事業費の一部を補助するため必要な経費が三千三百七十五万三千円であります。次に、昭和三十四年の豪雨及び台風等による港湾施設災害復旧事業費の一部を補助するための必要な経費が四億八千七百六十二万六千円であります。次に、既定の港湾事業附帯事務費の追加が六十八万円、計十一億二百五万九千円でございます。  以上でございます。     …………………………………
  12. 南條徳男

    南條委員長 次は、厚生省関係。森本官房長。
  13. 森本潔

    ○森本政府委員 資料はお手元に「厚生省災害関係特別措置法案概要」という三枚刷りがございます。これによって御説明いたします。これはおもに特別措置のことを中心に書いたものでございます。今回特別措置を考えておりますのは、法案で六本からございます。これを中心に御説明申し上げます。  最初は、昭和三十四年七月及び八月の水害または同年八月及び九月の風水害を受けた地域における公衆衛生の保持に関する特別措置でございます。これにつきましては、一つは伝染病予防法の特例でございまして、防疫業務に要する費用のうち、市町村に支弁義務のある費用については、現行の市町村三分の一、府県三分の一、国三分の一という負担率を変えまして、市町村はなし、都道府県三分の一、国三分の二に負担率を上げます。また、都道府県負担するものにつきましても、同様に、府県、国半分ずつの負担を、国四分の三という負担率にいたしたのであります。  それから、次の伝染病院、隔離病舎の災害復旧につきましては、現在、市町村、国、府県が三分の一ずつの負担でございますのを、市町村六分の一、府県六分の一、国六分の四、こういうように負担率引き上げたいと思っております。これに要する経費といたしましては、防疫業務につきましては約一億一千万円、それから伝染病院、隔離病舎の災害復旧につきましては千七百万円を予定いたしております。  次に、簡易水道及び上水道の復旧に要する国の負担率でございますが、これにつきましては、いずれも災害復旧費の二分の一という補助を行う予定でございます。所要経費は、これらを合わせまして約二億七千三百万円という計算でございます。  次に、二番目に、社会福祉事業施設災害復旧に要する措置でございますが、内容は二つございまして、一つは、生活保護法による保護施設災害復旧費でございます。これにつきましては、都道府県の設置するものについては、国と県半分ずつの負担でございましたのを、国二分の二の負担率引き上げます。それから市町村の設置するものにつきましては、現在、市町村四分の一、府県四分の一、国二分の一という負担率でございますが、これを市町村六分の一、府県六分の一、国六分の四に負担率引き上げます。それから日赤、社会福祉法人等の設置するものにつきましても、市町村と同様に、国の負担率を二分の一から六分の四に引き上げ予定でございます。所要経費は三千百六十三万九千円を予定しております。  次の児童福祉法によります児童福祉施設災害復旧につきましても、生活保護法の保護施設と同様に、国の負担率引き上げます。内容は同じでございますが、所要経費は約九千九百万円でございます。  次の三番目の災害救助費に関する特別措置でございますが、一つは、都道府県が救助のため必要な施設または設備に要する費用を支出しました場合、特にその費用に対して災害救助の国庫負担をすることになっております。たとえば、濾水器でありますとか、舟艇、給水車の購入に対して国庫負担をするわけであります。それから二番目は、災害救助費が普通税による当該年度収入見込額の千分の一をこえます場合においても、そのこえる部分について国庫負担をしております。現行法によりますと、災害救助費が普通税収入の千分の二をこえたときに国庫負担をするのでございますが、その率を千分の一まで引き下げることにいたしました。これの所要経費は、合わせまして約二十四億円でございます。  次に、四番目の母子福祉資金の貸付に関する特別措置でございますが、一つは、現行の生業資金につきましては一年間、それから事業継続資金については六カ月間の据置期間、それから住宅補修資金につきましては据置期間がないのでございますが、これらを、いずれも生業資金については二年間、事業継続資金については一年六カ月、住宅補修資金につきましては一年間というように、それぞれ据置期間を一年ずつ延長することにいたします。それから、次に、国は、都道府県被災母子世帯に対する貸付金の財源として特別会計に繰り入れる金額については、通常の場合は、二倍の金額を繰り入れて貸し付けるのでありますが、今回は、三倍に相当する額を国が府県に貸し付ける。これの予算措置といたしましては、既定予算ワク内で措置する予定であります。  それから、五番の医療機関の災害復旧に関する特別措置であります。公的医療機関災害復旧費に関する国の補助につきましては、現在の補助率は三分の一でありますが、それを二分の一に引き上げました。これの所要経費は約二億八千万円でございます。それから、もう一つは、私的医療機関につきまして、政令で定める金融機関は、その災害復旧に必要な資金を、通常の場合よりも有利な条件で貸し付けることができるように措置いたしたいと考えております。これは予算には関係なく、財政投融資の問題でございます。  それから、次の六番の国民健康保険事業に対する補助に関する特別措置でございますが、これは、災害救助法が適用されました地域において国民健康保険をやっておる市町村が、一部負担金あるいは保険料を減免いたしました場合、その減免額の八割を国が補助することにいたしたいと考えております。これの所要経費は七千七百万円でございます。  以上申し上げましたような六つの特別措置を講じたいと思っております。そうして、これが所要経費は、合わせまして約三十二億円であります。そのうち、大口が災害救助費の二十四億円でございまして、その他はいずれも一億円内外の経費でございます。  以上、簡単でございますが、御説明申し上げます。     …………………………………
  14. 南條徳男

    南條委員長 次は、文部省関係で、宮澤政務次官から……。
  15. 宮澤喜一

    ○宮澤政府委員 お手元に資料が二つ差し上げてございます。一つは、横書きの「昭和三十四年度発生災害文教関係被害調」でございます。それから、もう一つは、ただいまから御説明申し上げますことの草案を、便宜ガリ版にして差し上げてございます「文教関係被害の概況とその対策」という題のものでございます。  昭和三十四年度発生の台風等による文教関係被害の概況とその対策について御説明いたします。  今年度災害による被害の大部分は、七月以降、九月の伊勢湾台風までの被害であります。特に九月二十六日、中部日本を襲いました台風第十五号による風水害は、文教関係につきましても、まれに見る広範、かつ、深刻な被害を生じております。すなわち、人的被害といたしましては、児童、生徒及び学生の死亡者九百二十五名、行方不明者二百三十七名、負傷者五千五百四十七名、教職員の死亡者七名、行方不明者二名、負傷者二百五十二名に達しておりますし、物的面におきましては、各府県からの報告によりますと、公立学校施設八千九百七十六校、四十三億九千万円、公立社会教育施設百七十六カ所、一億一千万円、公立体育施設四十三カ所、五千二百万円、私立学校施設二百六校、五億九千万円に及んでおります。国立文教施設についても、名古屋大学その他におきまして三億六千万円余の被害を生じております。  これに対しまして、文部省では、直ちに省内に対策本部を設置いたしますとともに、中部日本災害対策本部に関係局長等を派遣しまして、教科書、学校給食等の応急措置に努めたのであります。  以上申し述べました第十五号台風による被害のほか、台風第七号による文教関係の総被害額は四億八千万円、その他の災害によるもの二億三千万円と報告されております。  教科書につきましては、現在までに被災教科書数が小学校用として三十六万冊、中学校用十九万冊、高等学校用三万八千冊、合わせまして五十八万九千冊余りに上っておりますが、これはすでにほとんど補給を完了いたしました。  学校給食につきましては、災害救助法発動地域内の学校においては、従来学校給食を実施しておりました、あるいは実施していない、そのいかんを問わず、政府あっせんの物資による応急給食の実施について各県の教育委員会に対する指導を行ないまして、必要な物資の供給に遺憾なきを期したつもりであります。また、被災により学校給食費の支払いが困難となる児童、生徒が大幅に増加すると考えられますので、これに要する国庫補助分は予備費支出によって措置いたすことといたしております。  被災学生、生徒のうちには、学業の継続が困難となっておる者が相当数あると考えられますので、これらの者に対しましては、新たに育英資金を貸与する措置を講ずるとともに、国立大学等の授業料の減免を行なうことにいたしております。  公立学校施設復旧につきましては、早期、かつ、適切にこれを行ないますため特別立法を提案し、特定地域の公立学校施設災害復旧費については、国がその四分の三を負担することといたしました。その経費の算定にあたっては、原形復旧を基準といたしますけれども、建物の新築復旧については、鉄筋、鉄骨造による改良復旧の幅を広げることといたしました。これに要する経費として総額二十一億六千万円の国庫負担を推定しておりますが、今次補正予算におきましては、十億八千万円を計上いたしております。  公立社会教育施設及び公立体育施設につきましては、特定地域におけるこれが復旧のため国がその三分の二を補助するよう立法措置を講ずるとともに、本年度分国庫補助金としてそれぞれ四百二十五万円及び三百四万円を計上しております。  私立学校施設災害復旧につきましても、立法措置によりまして、特定地域における私立学校復旧に二分の一の国庫補助を行なえるようにいたしたいと存じます。なお、私立学校振興会からの貸付を行うことにもいたしております。補正予算には、この点で国庫補助金五千三百万円を計上いたしております。  以上のほか、国立文教施設及び文化財関係災害復旧につきましては、予備費によって今後措置いたすことにいたしております。  以上、御報告申し上げます。     …………………………………
  16. 南條徳男

    南條委員長 次は、農林省関係で、大野政務次官から説明があります。大野君。
  17. 大野市郎

    ○大野政府委員 お手元に資料が差し上げてございますので、それに基づいて御説明いたしたいと思います。  「農林水産関係被害の概況とその対策」という資料でございますが、現在までに判明をいたしました農地農林水産業施設被害について申し上げますと、関係府県からの報告によりますれば、台風第十五号による被害総額は三百七十六億円となっております。このうち、農地農業用施設被害は約二百八億円で、その半ば以上を占め、林地の崩壊、治山施設、林道の被害は百三十九億円、漁港施設被害は二十九億円となっております。また、本年は御存じの通り、六月までは比較的災害が少なかったのでありますが、七月になりましてから局地的豪雨があり、次いで台風第五号が、八月には台風第六号、第七号が相次いで来襲しまして、山梨、長野県などに甚大な被害を与え、さらに、下旬には、豪雨、九月中旬には台風第十四号の来襲があり、これらの被害を加えますと、七月以降台風第十五号までの農地農林水産業施設被害総額は七百九十八億円の膨大な額に達します。これを施設別に見ますと、農地農業用施設被害が四百十億円、林地の崩壊、治山施設、林道の被害が三百三十四億円、漁港施設被害が五十四億円となっております。  次に、台風第十五号による農林水産物の被害の概況について申し上げますと、現在までに判明した被害の総額は六百四十五億円に達しております。このうち、農作物の被害については、被害面積は約百十三万町歩、被害量は約百十万トンに及び、その被害見込み金額は約四百億円と推定されるほか、家畜関係被害が約八億円、蚕繭の被害が約五億円、林産物の被害が約百六十七億円となっておりますが、水産物の被害は約五十九億円に及んでおります。  また、各種の共同利用施設、個人施設にもところによっては壊滅的な打撃を与え、現在までの報告によると、農業協同組合、漁業協同組合、森林組合などの所有する共同利用施設被害は約十六億円、その他の施設被害は約百十五億円でありますが、真珠いかだ、漁船の流失、沈没など、水産関係被害がその半ば近くを占めております。  農林省といたしましては、その被害の激甚なのにかんがみ、応急対策の万全を期したのであります。すなわち、浸水地帯の食糧を確保するため乾パン四百七十万食分を全国から調達、発送いたし、被害激甚の愛知外二県には五日分の内地米を特配することなどによりまして、やみ米価格の高騰を防止する措置をとり、食糧の確保と安定に万全の措置を講じたのであります。  また、応急仮設住宅、公共用施設一般住宅等の災害復旧用材につきましては、国有林においてすでに約二十万石の備蓄を完了し、さらに、二十万石の集積を行なっており、地元の要請に応じて逐次その所要量を供給いたしておりますほか、潮どめ材用丸太につきましては、国有林の緊急伐採によってその需要を充足する措置をも講じたのでありますが、民間材の入荷も順調でありますので、一時騰貴した木材価格も、おおむね平常に復しつつある状況であります。  鍋田、碧南等の決壊した干拓堤防につきましては、仮締め切り工事を早急に行ない、早期に完了することを目途に目下懸命の努力を払っているのでありますが、すでにこれに必要な経費の一部は予備費の支出も見ているのであります。また、愛知県海部郡、三重県木曽川、長良川下流の湛水地帯におきましては、国の保有ポンプ及び新規に購入したポンプを動員して、堤防の仮締め切りの完了後、直ちに排水できる手配をいたし、すでに活動いたしている次第であります。  その他輸入ふすま、事故麦の放出による家畜飼料の確保、緊急家畜防疫対策、災害対策用備蓄蔬菜種子の手配などについても必要な措置を講じている次第であります。  次に、被災農林漁業者の資金対策でありますが、まず、水稲及び家畜の農業災害補償法に基づく農業共済金につきましては、すでに仮渡しの措置をとっており、被害激甚地の農業共済組合連合会に対しては、漁船損害補償法に基づく国の特別会計から再保険金の概算払いも行ない、漁船に対しましても、保険金の支払いが迅速に行なわるるよう措置いたしております。  また、被災農林漁業者の経営資金、災害復旧資金につきましては、天災融資法に基づく融資、農林漁業金融公庫資金、自作農維持資金の融資等を行なうことといたしておりますが、当面の所要資金については、農林中金、信連、その他の金融機関の協力を得て貯払い資金の確保、つなぎ資金の積極的融通等の措置をとることといたしております。  以上、農林水産関係被害とその応急対策の概要について御説明した次第でありますが、今後の災害復旧については、従来の法律及び予算措置のみでは被災農林漁業者の救済の万全を期するには困難と考えまして、七月以降の風水害の復旧対策を含め、今国会に所要の予算案を提出し、また、所要の法律案の御審議を願うことといたしております。  まず、今次補正予算案に計上された農林関係災害対策費について申し上げますと、総額は八十億八千百万円でありまして、そのうち、公共事業関係は七十億二千三百万円、非公共事業関係は十億五千七百万円であります。公共事業関係の内訳は、農業関係五十一億五千三百万円、林野関係十二億八百万円、漁港関係六億六千二百万円であります。このほか、国庫債務負担行為として総額八億七千三百万円を計上いたしております。  なお、既定の予備費中より災害対策費としてすでに支出いたしたものが七億四千百万円ございます。  農地農業用施設災害復旧事業につきましては、被害の特に激甚な地域については、農林水産施設復旧暫定法の特例により、補助率を九割に引き上げることにいたしましたほか、被害地の農業者の生産活動を促進するため災害復旧事業の進展を高めることとし、従来の初年度平均二五%を引き上げて、その引き上げ分については、国庫債務負担行為に六億九千九百万円を計上したのであります。このほか、災害復旧事業の施行と関連して実施する必要のある災害関連事業については、復旧費に対する比率引き上げるとともに、被害激甚地については、補助率を従来の二分の一より三分の二に引き上げることといたしたのであります。これによって補正予算額は災害復旧費農地七億二千百万円、農業用施設二十八億六千七百万円、計三十五億八千八百万円、災害関連一億九千三百万円となっておりますが、このほか、所要の経費補正予算予備費より支出することといたしております。  また、被害の激甚な伊勢湾の海岸及び干拓堤防につきましては、直轄工事により復旧事業の一部を行なうほか、補助事業については特例法を設け、今後の災害を防止するための災害関連事業について八割の国庫補助を行なうこととし、伊勢湾高潮対策として八億四千万円を計上いたしております。一方、被害の激甚な開拓地については、住宅、農舎、畜舎等の復旧費に対して九割補助を行なうこととし、補正予算において二億二千二百万円を計上いたしております。また、被災地のうちで、主として湛水による被害のため災害復旧事業等も行なわれず、現金収入の見込まれない地域及び被害激甚な開拓地について、現金収入の道を開くため救農土木事業を施行することとし、そのための経費として三億円を計上いたしております。  林業関係は、治山施設復旧緊急治山(崩壊地復旧)及び林道復旧でありますが、治山施設につきましては、公共土木施設災害復旧に関する特別措置により国庫負担率引き上げを行なうこととし、当該地方公共団体復旧事業費が標準税収入の二分の一までを十分の八、標準税収入まで十分の九、標準税収入以上十分の十の国庫補助を行なうこととしたのでありますが、他方、当年度の事業進度につきましても農地と同様に引き上げ、五百万円の国庫債務負担行為を計上いたしたのであります。この結果、補正予算額は治山施設二千二百万円、緊急治山七億八千万円であります。他方、緊急治山事業につきましては、被害激甚の地方公共団体負担分に対して起債措置を行なうこととしておりますが、事業完了まで起債充当率を初年度と同程度に認め、その元利償還については、一定額を基準財政需要に算入し、交付税により補てんするよう配慮いたしております。林道復旧事業につきましては、農林水産施設災害復旧国庫補助暫定措置法の特例措置により、被害激甚地補助率を九割に引き上げることとしたほか、緊急に事業を施行する地域の進度を農地同様に引き上げることとし、国庫債務負担行為において七千二百万円を計上いたしております。また、災害関連事業の充実をはかるため、通常年の復旧費に対する比率引き上げるとともに、被害激甚地における補助率を三分の二に引き上げることとしたのであります。この結果、補正予算計上額は災害復旧費三億九千百万円、災害関連一千四百万円でありますが、このほか、所要経費については補正予備費中から支出することといたしております。  漁港関係災害復旧のうち、直轄漁港につきましては、当年度に四〇%の事業を行なうため千六百万円を計上いたしておりますが、補助漁港につきましては、公共土木施設災害復旧に関する特別措置により、治山施設と同様に、被害激甚地について国庫負担率引き上げるとともに、初年度の事業進度を農地及び農業用施設と同様に引き上げることとし、九千七百万円を国庫債務負担行為に計上いたしております。また、災害関連事業についても、農地、林道等と同様に取り扱うこととしたのであります。これによって補正予算においては漁港災害復旧費六億二千百万円、災害関連事業四千万円を計上しておりますが、このほか、伊勢湾高潮対策等、所要の事業費補正予備費によって支出することといたしております。  次に、非公共事業関係におきましては、風水害により滞留した湛水及び堆積土砂の排除については、特別立法により被害激甚地九割の補助を行なうこととし、このうち、農地関係排水事業については一億六千二百万円を補正予算に計上しましたが、このほか、林業関係施設及び漁場の排土及び障害物除去事業については所要の経費補正予備費より支出することにいたしております。  他方、今次災害により海水の浸入により農地に発生した塩害を除去するための除塩事業につきましても特別立法を行なうこととし、灌漑排水施設の新設、揚排水機の動力費、石灰施用等につき九割、客土につき五割の国庫補助を行なうこととし、所要の経費補正予備費より支出することにいたしております。  次に、農林水産業共同利用施設災害復旧費については、農林水産施設復旧暫定法の特例措置を行ない、農林水産業関係協同組合及び連合会の所有する倉庫、加工施設、共同作業所等の復旧費の補助率を現行の二割から被害激甚地九割に引き上げることといたし、これに要する経費として三億四千六百三十九万一千円を計上いたしました。このほか、水産養殖施設についても高率補助を行なうこととし、補正予備費より支出することといたしております。  次に、伊勢湾台風等によって特に激甚な被害を受けた農家及び農業生産手段の大半を失った部落については、単純な復旧は困難な事情にありますので、この際、共同利用方式による営農の再建をはかることとし、これに必要な共同作業所、共同農機具等の共同化施設の設置事業に対して補助を行なうことといたし、これに必要な経費として三億四百万円を計上いたしております。  さらに、本年九月の台風により沿岸漁船、特に小型漁船に著しい被害を受けたので、共同利用の方法により再建をはかるため、その組合員の所有する小型動力船及び無動力船が特に著しい損害を受けた漁業協同組合に対し、被害漁民の共同利用に供する漁船を建造するに必要な経費について八割の補助を行なうこととして、二億四千五百万円を計上いたしております。  以上申し述べました災害対策のほか、農業共済団体損害評価特別事務費、災害対策用種苗確保費、病害虫防除器具購入費、牧野災害復旧費、家畜伝染病予防事業費、製炭窯被害復旧費に対する補助金等、所要の災害対策費につきましては、補正予備費支出により措置いたす所存であります。  なお、最後に財政投融資計画について申し上げます。  まず、農林漁業金融公庫については、災害貸付ワクを百四十二億円といたし、災害に対する諸般の措置を講ずることといたしております。これに伴い当初の原資計画を変更し、資金運用部より四十億円を追加借り入れることといたしております。  開拓者資金特別会計については、今次の災害により壊滅的被害を受けました干拓地入植者並びに干拓地以外の被害激甚地の入植者に対し、その再起に資するため営農資金の貸付を行ない、早期営農の確立をはかることといたし、このため一億円の借り入れ限度の増加をはかることとし、所要の補正を行なうことといたしました。  以上の予算措置に伴って必要な法律案の提出をいたす考えでありますが、このほか、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法について、貸付対象の拡大、貸付限度の引き上げ等の措置を行なう考えであり、また、風水害により被害を受けた農家に対しては、特別価格により米の売り渡しを行なうための法律案準備いたしております。  最後に、農地及び農林水産業施設復旧事業のうち、三万円以上十万円未満のいわゆる小災害については、被害の特に激甚な市町村について、農地農林水産業施設とも工事費の九割までの起債を認め、その償還金につき元利補給を行なうことといたしたいと存ずる次第であります。     …………………………………
  18. 南條徳男

    南條委員長 次は、労働省関係で、百田職業安定局長。
  19. 百田正弘

    ○百田政府委員 労働省関係について御説明いたします。  今回の風水害によりまして被災した事業場の数は、基準局の調査によりますと、伊勢湾台風関係だけで三万四千余に上っております。これらの事業場に使用されている労働者数は、六十二万五千余の大きに達しておるのであります。  対策といたしましては、まず、被災労働者の生活の安定をはかるため、労働基準法第二十五条の規定により、賃金の非常時払いを行なうよう事業主に対して指導いたしております。  次に、事業場が被災のため休業した場合には、再雇用の条件付の一時離職の取り扱いをいたしまして、失業保険金の支給を行ない得るように措置いたしたいのであります。  このような措置とともに、被災地域の労働者の生活の確保のために、失業保険の適用事業場が災害を受けたため事業を停止し、その被保険者が休業して賃金の支払いを受けることができないという場合には、これを失業とみなしまして、失業保険金を支給するということを内容といたしまする法案、昭和三十四年七月及び八月の水害並びに同年八月及び九月の風水害に関する失業保険特例法案というものを、今国会に提出することといたしております。  また、被災地域における失業対策事業につきましては、当初被災のため安定所へ出頭することができなかった労務者が多数おりまして、この人たちに対しましては、一定期間賃金相当額を支給する特別措置を講じたのでございます。また、今後において、災害のため一時的な失業者の発生も予想されますが、一方には、災害復旧事業も相当量に達するものと考えられますので、復旧事業と失対事業の事業量の調整をはかりながら、失業者の吸収に遺憾なきを期して参りたいと考えております。また、これら地方公共団体が実施いたしておりまする失業対策事業につきましては、補助率引き上げ、これら団体の財政負担軽減して事業の円滑な運営をはかるために、今国会に、昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地域における失業対策事業に関する特別措置法案という法案を提出いたす予定でございます。  なお、被災事業場につきましては、必要な場合には失業保険料、労務保険料及びけい肺等負担金の納付期限の延長を認め、延滞金の徴収並びに滞納処分はこれを行なわない等の措置をとった次第でございます。  簡単でございますが、以上、労働省関係について御説明した次第であります。
  20. 南條徳男

    南條委員長 各省からの説明は以上でございますが、なお午後に回してほしいというのが通産、自治、郵政省の三件ございますから、これは午後に回したいと思います。  午前中はこれで説明を終わりまして、理事の諸君にお残り願って理事会を開いて、午後の日程について御相談いたしたいと思います。  暫時休憩いたします。     午前十一時八分休憩      ————◇—————     午後二時十六分開議
  21. 南條徳男

    南條委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  午前の各省説明に引き続きまして、午後は通商産業省、郵政省、自治庁関係説明を求めることにいたします。  まず、通産省関係につきまして内田通産政務次官から御説明を願います。
  22. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 お手元に中小企業関係の対策についての資料がとりあえず出ておりますが、その資料に入るに先だちまして、私から、商工業関係全般にわたりまして簡単に被害の概況を申し上げ、あわせて、これに対してとるべき対策につきまして概括的に申し述べたいと思います。  伊勢湾台風によります産業の被害額は、御承知のように愛知県を筆頭に三重県、岐阜県などが一番多うございましたが、これらの被害金額で概算をいたしてみますると、鉱工業、商工業関係で、この三県だけで八百八十億円に達しております。その他の各府県約五十億円、また、電気、ガスなどの公益事業関係で約四十五億円の被害がございまして、合計をいたしますと九百七十五億円程度に上っておるのでございます。これは、先般の十五号台風だけでありまして、山梨県、長野県などを襲いました八月の台風七号などの被害を入れますと、全体では約一千十二億円という被害に相なっております。そのうち、最も被害の激しかった愛知、三重、岐阜三県では、特に名古屋市の南部の工業地帯——これは重化学工業の中心地でありますが、この方面の被害、また、毛織物の中心地であります津島方面の地区、綿織物の生産地であります半田の地区、さらに、また三重県の四日市の工業地帯、これは繊維工業などを中心とした地帯でありますが、この方面の被害、それから、岐阜県の西美濃地方の被害など、非常に大きいのでございまして、繊維工業、機械工業、化学工業、陶磁器などの被害は、そのうちでもことに著しいものがございます。  さらに、またこの通産省関係で非常に関心を持たなければならなかった台風の被害は貿易関係のものがございまして、先般の伊勢湾台風被害によりまして輸出商品が約七百六十万ドル、これは主として陶磁器とか合板、繊維製品、ミシンなどの輸出商品がおもでありますが、これらが七百六十万ドル、また、輸入品が、綿花でありますとか、羊毛でありますとか、ラワン材、麻類などを主といたしまして約一千九百七十万ドルの被害があります。この輸出入品合わせますと二千七百三十五万ドルの貿易貨物が、冠水、破損、または流失をいたしましたために、商品価値にいたしまして約一千万ドルくらいの被害があったものと推定されております。ことに、また台風直後、名古屋港の機能が全く失われましたので、輸出の遂行に支障を一時来たしました。しかしながら、名古屋港におきましては、輸出優先の方針に基づきまして、この災害がありました後、十月八日に初めて北アメリカ向けのクリスマス用陶磁器、その他緊急船積みを要するものの積み出しが行なわれ始めまして、ようやく輸出の積み出しが開始をされるように至りまして愁眉を開いております。もっとも、輸出が再開されましたこの十月当初におきましては、人夫とか、はしけが不足いたしましたために、船積み量は正常の半分以下となっておりましたけれども、十一月十一日くらいまでには大体一日五千トンくらいの輸出船積みが可能になり、正常に近い状態になるものと見られております。  輸入の方面におきましても、名古屋向けの貨物は、一時横浜、神戸などに陸揚げをいたしまして、これを需要先に陸送をいたしておりましたけれども、最近、ようやく輸入業務も再開の段階に入っております。しかし、輸入貨物は輸出貨物よりも扱い数量が多いのでありまして、一日八千トンのベースに復旧いたしますためには、なお、まだ荷役人夫の確保でありますとか、あるいは綿花などの損害貨物の荷さばきや、また、これらの損害を受けました保険関係査定業務などを迅速に処理する必要が残されておるような状況でございます。  なお、また、これは貿易に限らず、先ほど申し述べました今回の愛知県を中心とする伊勢湾台風被害におきましては、中小企業被害が実に多い。被害総額の七割、八割くらいまでは中小企業が占めておるのでありますが、貿易業務におきましても、今回被害を受けましたものの大部分は中小の商社であり、さらに、また、その取引先の多くが中小メーカーでありましたために、その方面の金融措置など手当を必要とするものがいろいろあるような状況でございます。  さらに、また、輸出関係におきましては、事務手続などでやり直さなければならないものがいろいろあります。輸出承認書とか、あるいは輸出検査書などの手続、書類を再発行いたしますとか、あるいは訂正、変更するような事情もあるのでありまして、これらにつきましては、現地におきまして簡単な取り扱いで再発行するような手続をいたしております。さらに、輸入貨物などにおきましては、それらの災害のために、もう一度外貨の追加割当を行なわなければならなくなるだろうというようなものもあるわけでありまして、これらの外貨の追加割当につきましても、ただいま考慮をいたしておるような状況であります。  これらの災害の状況に対処いたしまして、応急対策といたしましては、通産省におきましては、生活物資とか、あるいは復旧資材などの入手や輸送につきまして、これまで特別配慮をいたして参りました。たとえば、亜鉛鉄板でありますとか、くぎ、板ガラス、石綿のスレート、セメント、畳などの復旧資材について緊急出着手続を行なう必要がありましたので、これらのものにつきましては、通産省の省内に一つの連絡機構を作りまして、これらの緊急出荷のあっせんに遺憾なきを期して参っております。  さらに、つけ加えますことは、公益事業、なかんずく電力関係におきましても相当の被害がありまして、一時罹災地区の方々に非常な不便をかけておりましたけれども、中部電力を中心といたしまして、発電、送配電などにつきましても復旧作業を急ぎまして、今日におきましては、これらの電気の供給につきましては、おおむね遺憾なき状況に立ち至っております。  以上が今回の伊勢湾台風を中心とする大ざっぱな概況でありますが、これに対しまして、通商産業省といたしましては、今後これらの企業、なかんずく中小企業復旧促進いたしますために、中小企業金融につきまして格別の配慮をいたすことが決定されております。それらのものにつきましては、あるものは法律とし、また、予算として今国会に提出する段取りがきまっておりますが、あるものは法律や予算を要せず、現実の金融措置あるいは閣議決定でその処理を済まし得るものもございます。これらの概略につきましては、お手元に一覧表のような資料をお配りをいたしております。これは「昭和三十四年度中小企業災害融資および年末金融対策(予算補正財政投融資追加)」という一枚紙の資料をお配りをいたしております。ちょうどこの災害が年末に近く起こりましたので、金融の面におきましては、御案内の通り、毎年例といたしております年末金融対策とかち合いましたので、今回の中小企業金融対策につきましては、政府におきましては、災害と年末とを合わせましてそれぞれ所要の措置を講ずることといたしております。  その第一が中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金並びに不動産銀行に対する財政投融資追加でございます。お手元の表によりまして御説明をいたしますと、中小企業金融公庫に対しましては、災害融資分として六十三億円、年末融資分として二十億円、合わせて八十三億円の財政投融資を、資金運用部から主として追加をいたすことに決定をいたしました。国民金融公庫につきましては、災害関係資金四十二億、年末対策資金三十億、合計七十二億円、商工中金については、災害関係資金三十八億円、年末関係資金四十五億円、合計八十三億円を追加して供給することといたし、不動産銀行につきましては、災害関係七億円、年末関係五億円、合計十二億を追加供給することといたしております。これらを合計いたしますと、政府関係の二つの公庫並びに商工中金、それに不動産銀行合わせまして、災害関係では百五十億円の追加融資を決定いたしております。これは、十五号台風の直後に池田通産大臣から、その災害のひどかった状況にかんがみまして、少なくとも百億円の追加融資をするということを国会において宣明いたしましたが、その後、災害の状況が判明いたしますにつれて、とうてい百億円では間に合わないという状況になりましたので、百五十億円を計上いたしたのであります。年末関係資金といたしまして、四つの機関を合わせて百億円、合計二百五十億円を資金運用部を中心として追加融資をいたすことといたしたのであります。さらに、これらの追加融資をいたしますものにつきましては、通常これらの金融機関が貸し出しておりますところの金利よりも安くすべきである、また、過去の例においても安かったということにかんがみまして、特別低金利を適用することにいたしております。このうち、中小企業金融公庫、国民金融公庫は、これは全面的に政府資金からなる機関でありますために、格別に予算は必要といたしませんので、これは十月三十日の閣議決定をもちまして、これらの二つの公庫につきましては、一貸し出し当たり百万円までの金額につきまして六分五厘の金利を適用する、しかも、その六分五厘の金利は貸付のときから三年間は六分五厘を適用する、こういう行政措置を決定いたしまして、すでに実施に移されておりますが、商工組合中央金庫は、国民金融公庫並びに中小企業金融公庫とはいささか趣を異にいたしまして、民間の資金も入っておるものでありますので、これらの特別金利を適用いたしますためには法律の規定が要る、また、特別金利を適用いたしますためには、これによって生ずる商工中金の差損を国庫から補てんをしてやらなければならないということになりますので、以上申し述べましたうちで、商工中金関係のことは、これから国会に提出いたし、皆様方の御審議をわずらわしますところの、今回の災害融資に関する特別立法の中に織り込まれておるわけでございます。  さらに、今回の中小企業に対する融資は、とうてい政府の三機関並びに不動産銀行だけの融資をもって足りるものではありません。民間の金融機関の非常に大きな協力を受けなければならない。しかしながら、罹災いたしましたところの中小企業者が受信力に乏しい、とうてい単独では市中の一般金融機関から借り出し得ない、どうしても地方にありますところの信用保証協会の保証を特に必要とするというような事態があるのにかんがみまして、政府におきましては、信用保証協会の保証能力を増大する措置といたしまして、今回予算並びに法律の改正をいたしまして、信用保証協会に対しまして再保険の立場に立っておりますところの、中小企業信用保険公庫に対しまして十億円の増資をいたし、その十億円を災害関係地の各信用保証協会にそれぞれ資金を入れる、こういう措置を決定いたしております。補正予算もすでに提出されまして審議中でございまして、関係法律も一両日中には国会に提出の運びになります。  このほか、今申しました中小企業信用保険公庫、つまり、信用保証協会に対しまして再保険の立場に立ちますこの保険公庫の保険料率を安くいたしますとか、あるいは保険の填補率を引き上げまして、地方の信用保証協会が相当勇敢に、罹災をいたしました中小企業者に対しまして保証することができるような措置をもあわせ講じ、さらに、また、この再保険の一口当たりの金額にも特別措置を講じまして、罹災をいたしました保証に対する保険につきましては、従来の保険のほか、別口で保険をつけることができるような措置を講ずることにいたしております。  さらに、またこれはお手元に差し上げました資料にはあるいはないかもしれませんが、中小企業関係におきましては、今まで中小企業振興資金助成法というのがありまして、中小企業者が設備の近代化をする、あるいは中小企業協同組合等が共同の施設を設けます際に、国と地方の県とがそれぞれ半分ずつ金を出し合って、無利子の金を貸し付けておるのでございますが、この貸付期間は、法律によりまして五年ときめられてあります。しかし、今回の災害にかんがみまして、災害を受けましたこれらの中小企業者あるいは団体に対しましては、特に法律を改正いたしまして、償還期限の延長をいたす措置をとることにいたしております。  なお、また、法律にはございませんけれども、先ほども触れました中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金あるいは不動産銀行などにおきましては、罹災者に貸し付けてあります融資につきまして、それぞれ政府の指図をもってその償還期限を実情に応じて適宜延長する措置も講じております。  なお、以上述べました災害融資等につきましては、通常の場合と異なるのでありますから、それらの機関の通常の場合における融資準則によらないで、相当融資の基準をゆるめたような融資をやらせることをそれぞれ実行をいたさせております。  なお、以上申し上げましたことは、罹災をいたしました中小企業に対する特別の金融などの措置でありますが、今回の罹災を受けました企業は、もちろん中小企業が多うはございますけれども、中企業のうち大きいもの、大企業なども相当の被害を受けておるのであります。これらに対しましては、政府から中小企業金融機関を通じて融資をすることは、その道がありませんので、あるいは長期信用銀行、あるいは興業銀行などの機能を活用いたしまして、これらの機関が発行いたしておりますところの興業債券あるいは長期信用債券等の発行を容易ならしめるような環境を作りまして、これらの興長銀資金、あるいは市中の一般の銀行等の融資能力を動員いたしまして、大企業に対しても遺憾なき処置を講ずることにいたしております。  以上が大体の状況並びに対策の概要でございます。     …………………………………
  23. 南條徳男

    南條委員長 それでは、次に、自治庁関係の御説明を願います。丹羽政務次官
  24. 丹羽喬四郎

    丹羽政府委員 本年度の相次ぐ台風及び豪雨によりまして未曽有の災害を受けたのでございますが、これらの災害による罹災者が空前の多きに上ったことは、まことに遺憾にたえないところでございます。災害による被害額は、公共施設関係だけにおきましても約二千億円に達しまして、その災害復旧事業その他災害諸対策関係の諸経費は、著しく多額に上るものと考えている次第でございます。  自治庁といたしましては、災害発生直後、八月、九月及び十月の三回にわたりまして、被害府県に対しまして普通交付税の繰り上げ交付を行ないまして、お手元に書類を差し上げてございますが、災害に伴う応急の諸措置に対する手当を講じた次第でございますが、さらに、災害関係経費の増高に対処するために、以下述べるような特別措置を講じて参りたいと存ずる次第でございます。  まず、第一番には、歳入欠陥債及び災害対策債の発行でございます。災害による地方税の減免等に基づきます財政収入減少及び災害救助、あるいは伝染病の予防等の災害対策費財源に充てるために、地方債の発行を許可いたしたいと存ずる次第でございます。  第二は、公共土木施設、公立学校施設の小災害にかかる地方債の元利補給の道を開きたいと思っておる次第でございます。公共の土木施設の小災害につきましては、一カ所の工事費用が、都道府県にございましては十万円以上十五万円未満、市町村にありましては五万円以上十万円未満のものにつきまして、また公立学校施設の小災害、一校当たりの復旧事業費が十万円以上のものにつきましては、地方債について国が元利償還金の三八・二%、被害激甚地におきましては三分の二の元利補給を行なって参りたい、こう存じておる次第でございます。  その次は、農地等小災害にかかる地方債の元利補給でございますが、農地及び農林水産業施設の小災害、一カ所の工事費用が三万円以上十万円未満のものにつきましては、農地については五割、農林水産業施設につきましては六割五分の範囲内におきまして、被害激甚地につきましては九割の範囲内におきまして、地方債の発行を認めまして、その償還費につきましては国が全額元利補給をすることにいたしたいと存ずる次第でございます。  次に、予算措置でございますが、地方債の増額につきましては、災害復旧事業の地方負担は通常地方債で処理することになっている次第でございますが、今回地方債の総額を百六十億円、内訳をこまかく申しますと、一般会計分が百四十億円、公営企業の分が二十億円を増額したのでございますが、当初の地方債計画による三十五億円を合わせまして百九十五億円をこれに充てまして、これによりまして地方負担をまかないたい、こう存じている次第でございます。  次は、特別交付税による措置でございますが、災害による財政収入減少、または特別の財政需要の増高に充てるために、財源につきましては、従来から特別交付税の配分によって措置することといたしている次第でございます。今回の補正によりまして、特別交付税の総額は四十二億円を増加することになるのでございますが、これが配分にあたりましては、被災団体の財政の状況を十分勘案いたしまして、遺憾なきを期して参りたい、こう思っておる次第でございます。  最後に、災害復旧事業の国庫負担率引き上げ、これは別途御審議をいただく次第でございますが、災害関係特別立法は、各省関係でございますが、これによりまして、各種の災害復旧事業につきまして国庫負担率引き上げまして、地方負担というものをできるだけ軽減させまして、復旧事業の円滑なる実施を期していきたい、こう存ずる次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、以上御説明申し上げます。     …………………………………
  25. 南條徳男

    南條委員長 最後に、郵政省関係で佐藤政務次官から。
  26. 佐藤虎次郎

    ○佐藤(虎)政府委員 郵政省所管事務について、本年度におきまする災害状況の概略の御説明を申し上げたいと存じます。  七月以降、数次にわたります局地的豪雨、台風等により、通信関係におきましても、大きな被害を受け、職員の中からも多数の犠牲者を出しました、また、多数の被害者を出しましたことはまことに遺憾でありまして、これらの方々につつしんで哀悼の意と同情の誠をささげたいと思っております。  まず、七月十四日には、北九州、西中国に局地的豪雨があり、八月十四日には、台風第七号の襲来がありまして、近畿、中部、北陸及び関東各地にわたりかなりの被害が発生いたしました。特に山梨、長野両県下におきましては、河川のはんらん等により、道路が破壊され、郵便物の輸送路線にも被害があり、一部地域に郵便物の欠配、遅配を生じ、また、電信、電話回線の被害は、約四万六千に達しました。次いで八月二十六日には、石川県等数県に集中豪雨があり、特に能登半島における被害が甚大でありました。また、九月に入りまして、九州、四国及び北海道、各地方に台風第十四号が襲い、特に九州、北海道において、郵便物の集配、運送に被害を与え、また、電信電話回線約一万七千が罹障いたしました。次いで、本年度の最大の被害を与えた台風第十五号、いわゆる伊勢湾台風が東海、近畿を中心といたしまして、九州を除くほとんど全土にわたって被害を与えましたが、私もさっそく名古屋に急行いたしましたが、特に東海地方の被害はすこぶる甚大でありました。郵政関係におきましても、一時、被害地域は郵便物の輸送を大部分停止いたし、また、電信電話回線の被害は約三十二万に及びました。現在なお平常に復していない個所があり、郵便物、電信電話とともにいまだにそのままになっておるところがあることを、まことに遺憾と存じておる次第であります。その完全な復旧と、一日も早く開通のできますよう努力を続けております。  これらの相次ぐ台風、豪雨等によりまして、被害を受けました郵便局舎は、半壊が十三、水没が二、床上浸水が二百四、床下浸水が百六十八、破損が千八百七十三、合計二千二百六十となっております。郵政職員中の被害者もきわめて多く、家屋の全壊が三百四、流失が四十六、半壊が千六百十六、水没が三十六、床上浸水が二千三百十二、合計四千三百十四に及び、また、死者が八名、重傷者三名を出し、また、電信電話回線の被害は、市外線二万二千三十九、市内線が三十七万三千七百六十九、電信千三百五十三、合計三十九万七千百六十一の甚大に及んでおります。  被害地に対しましては、郵便貯金の非常支払い、簡易保険の即時払い、簡易保険の資金の融資、お年玉寄付金の配分等の資金面からの援助、簡易保険救護班による医療救護を行ないましたほか、電報料金を免除し、電話料金の払い込み猶予、無料電話の設置、NHK受信料の免除等の援護措置を実施して参りました。また、被災職員に対しましては、給与の繰り上げ支払い、弔慰金、見舞金の支給、医療救護等を行なって、極力その救済をはかった次第であります。  以上、簡単でございますが、御説明申し上げました。
  27. 南條徳男

    南條委員長 以上で各省説明は終わります。      ————◇—————
  28. 南條徳男

    南條委員長 引き続いて、これから去る十月三十日本委員会に付託されました、内閣提出昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案昭和三十四年七月及び八月の豪雨、同年八月及び九月の暴風雨又は同年九月の降ひようによる被害農家に対する米穀の売渡特例に関する法律案、及び昭和三十四年九月の風水害を受けた漁業者共同利用に供する小型漁船の建造に関する特別措置法案、以上の三案を一括して議題とし、審査に入ります。
  29. 南條徳男

    南條委員長 まず、各案の趣旨について順次政府説明を求めます。農林政務次官大野市郎君。
  30. 大野市郎

    ○大野政府委員 昭和三十四年九月の暴風雨により塩害を受けた農地除塩事業助成に関する特別措置法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  本年九月に発生いたしました台風第十四号及び台風第十五号は、中部地方を初めとして各県の海岸堤防に甚大な被害を与えましたが、背後農地におきましても、激甚なる被害をこうむったものが相当面積に及び、多量の海水が浸入し、長期間湛水するという現象を生じたため、塩分濃度がきわめて高くなった農地も見受けられるのであります。このような農地におきましては、すみやかに塩分を除去して、農作物生育の障害を取り除き、被災農家の農業経営の維持をはかる必要があるのであります。かかる事情によりまして、国は、地方公共団体、土地改良区等が塩害を除去するために行なう灌漑排水施設の設置または変更、揚排水機による揚水または排水、客土及び石灰等の施用の事業につきまして、これらの事業に要する経費の一部を補助しようとするものであります。  補助率について申し上げますと、もっぱら除塩の効果を目的といたしますところの灌漑排水施設の設置または変更、揚排水機による揚水または排水、及び石灰等の施用の事業につきましては十分の九、除塩の効果のみでなく、土地改良的な効果をも含む客土事業につきましては二分の一となっております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  続いて、昭和三十四年七月及び八月の豪雨、同年八月及び九月の暴風雨又は同年九月の降ひょうによる被害農家に対する米穀の売渡特例に関する法律案提案理由を御説明申し上げます。  御承知の通り、本年七月、八月の豪雨、八月、九月の暴風雨または九月の降ひょうにより、伊勢湾沿岸諸県を初め各地において、飯用米穀にも事欠く被害農家を多数生じている状態であります。ここにおきまして、政府はかかる農家に対しまして、その食糧の不安をなくするために、政府所有の米穀を特別価格で売り渡し、他の災害対策と相待って米穀の再生産確保に寄与したいと考えまして、この法律案提案した次第であります。  次に、本法案の骨子につきまして御説明申し上げます。  第一点は、本法案の対象となる災害は、本年七月及び八月の豪雨、八月及び九月の暴風雨、または九月の降ひょうにより政令で定める地域内において生じた災害と規定しております。すなわち、適用地域は政令で定めるのでありますが、被害程度を調査いたしまして、これにより地域の指定をすることといたしているのであります。  第二点といたしましては、本法案によりまして米穀の売り渡しを受ける農家は、その生産する米穀について災害により著しい被害を受け、これにより飯用消費に著しく不足する旨の都道府県知事の認定を受けることといたしております。  第三点といたしましては、政府は都道府県及び市町村を通じて被害農家に米穀を売り渡すことにしている点でありますが、これはなるべく被害農家の米穀の購入が立法の趣旨に沿って行なわれるようにはかっているのでありまして、政府、都道府県市町村が一体となって農家の救済を期しているのであります。  第四点といたしましては、被害農家が米穀をおおむね生産者価格をもって購入できるようにはかっている点であります。  以上が提案理由の概要でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。  次に、昭和三十四年九月の風水害を受けた漁業者共同利用に供する小型漁船の建造に関する特別措置法案につきまして、その提案理由の御説明を申し上げます。  本年九月本邦に来襲いたしました第十四号台風及び伊勢湾台風は、周知のように、広範囲の地域に甚大な風水害をもたらしたのでありますが、特に今回は水産業における被害が大きく、その額は、漁港施設被害を含め約百八十億円の巨額に上っております。中でも沿岸漁業者の所有する小型漁船被害を受けたものは一万数千隻の多くに達し、しかも、その被害は地域的に集中して発生しているのであります。これら被害沿岸漁業者は、経営規模のきわめて零細な漁家でありまして、漁船はその基本的な生産手段であり、これが被害は、漁家の漁業経営と生活に対する甚大な打撃となるのであります。従いまして、被害沿岸漁業者の漁業経営及び生活を維持するためには、被害甚大な小型漁船の早急な復旧をはかることが最も必要なことでありますが、これら沿岸漁業者の信用能力は低く、自力による復旧はきわめて困難な実情にありますので、これに対する応急措置として、組合員の所有経営にかかる小型漁船被害のはなはだしい漁業協同組合に対し、国が特別助成措置を講じ、被害を受けた沿岸漁業者共同利用に供する小型漁船を建造させる必要があるのであります。このため、昭和三十四年九月の風水害による小型漁船被害が著しい都道府県を対象として、その組合員の所有する小型漁船について一定数または一定割合以上が風水害により沈没、滅失その他著しい損害を受けた漁業協同組合が、被害を受けた組合員の共同利用に供するために小型漁船を建造する場合において、国は、予算の範囲内で、この都道府県に対して、建造費の八割に相当する額を補助することができることにいたした次第であります。  以上がこの法律案提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げる次第であります。
  31. 南條徳男

    南條委員長 お諮りいたします。ただいま提案理由の説明を聴取いたしました三案に対する質疑は、追って次会に行なうことといたしたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 南條徳男

    南條委員長 それではさようにいたします。      ————◇—————
  33. 南條徳男

    南條委員長 この際、特に緊急にお諮りしたいことは、東海地方の海岸一帯におきまして、数日来の風雨と高潮により、せっかくの仮締め切り堤防が再び決壊いたしまして、相当の浸水を生じたので、この機会に、政府当局からこの状況について報告を承るとともに、これが対策と復旧の見通し等について、説明を承ることにいたしたいと思います。村上建設大臣。
  34. 村上勇

    ○村上国務大臣 桑名市福地地先の堤防破堤につきまして、御報告を申し上げます。  桑名市の福地地先の、これは第二線堤防でありますが、三十一日の夜来の風浪に伴いまして、この堤防決壊の危険を感じましたので、地元民及び自衛隊員を動員して、水防中であったのでありましたが、一日の午前七時過ぎの満潮時に、約七十メートル破堤いたしました。このために桑名市約五百ヘクタールが浸水し、床上浸水九百六十一戸、床下浸水七百六十四戸、被災人員六千四百四十三名で、そのうち二千八百六人は、六つの小学校に避難中であります。目下急速に第一線堤防の潮どめ工事をやっておるのでありますが、これができ上がらないうちに、ちょうど満潮時に波浪が加わって、第二線堤防が破堤するに至ったのでありまして、この点まことに遺憾にたえない次第でございます。  これが復旧につきましては、目下自衛隊、消防団、あるいは土建業者、三位一体となってサンド・ポンプその他の機動力を動員いたしまして、この十三日には仮締め切りを完了するように努力いたしておるところであります。これと並行いたしまして、第一線堤防締め切り事業は、サンド・ポンプ二隻、及びその他のダンプ・トラック三十台、あるいはブルドーザー二台をもって作業中でありますが、この第一線の堤防は、七日には締め切りを完了する予定であります。従いまして、この七日に第一線堤防締め切りを完了いたしますれば、この第二線の内堤は、将来第一線によって守られることになりますので、今後かようなことを繰り返すようなことは絶対にないと、私は信じておるのであります。  なお、先般の満潮時における風浪によりまして、目下自衛隊の手によって築造中の筏川の締め切りにも、一、二カ所一部決壊の個所がありましたが、これは地元民あるいは自衛隊等の手によって、大事に至らずして決壊個所の修復ができたかのような報告を受けておるのでありますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、先般当委員会において、一番最後に残るものは、十一月末日までには必ず締め切りを完了するということを申し上げたのでありますが、その後きのう、きょうあたりの様子を見ますと、従業員が全く渾身の努力を続けておりますので、大体四日、五日くらいは、先般御報告申し上げましたよりも早く締め切りを完了するはずだということでありまして、私は、なおこれが確実に、たとい幾日でも早くなり得るように督励いたしておる次第であります。何とぞ御了承のほどをお願いいたします。
  35. 南條徳男

    南條委員長 ただいまの村上建設大臣の報告に対しまして、辻原好市君から質疑の通告があります。これを許します。辻原君。
  36. 辻原弘市

    ○辻原委員 ただいま建設大臣から、数日来の豪雨によりまして、せっかく現地住民が、仮締め切りを完了し、滞水の排除に一応のめどがついたということで喜んでおりましたところに、再び相当個所の決壊を見たということでありますが、その後の復旧状況は一体どうなっているのだろうか、現地の方々の最近の状況を私どももいろいろお伺いをいたしまして、まことにこれは遺憾しごくの問題であると同時に、せっかく関係当局に御努力をいただいておるのでありますけれども、このままでわれわれとしても放置できない、何らかの緊急措置をこの際政府にも強く要請しなければならぬ、こういう趣旨でもってお伺いを申し上げるのであります  今御報告のありましたのは、桑名市の福地地区におけるこの一日に起きた決壊に対するその後の状況、措置でありますが、同時に、愛知県の海部郡弥富町におきましても、同様五カ所の再決壊を来たしておるのであります。ようやくこの間の当委員会におきまして、今もお話がありましたが、十一月までにはほぼ完了をして、少なくとも迫り来る冬に対して住民の不安を取り除くことができるであろうという、まことに心強い大臣のお話があったやさきでありまするので、われわれといたしましても、こうした状況の中で、今後の工事施行が一体どうなっていくだろうかという点に非常な不安を持っておるのであります。そういう意味におきまして、一、二点この機会に大臣にお伺いをいたしておきたいと思うのであります。  先ほど申し上げましたそれぞれの決壊個所について、これらは主として自衛隊が担当せられたようでありますが、この工事の施行についてあるいは何らかの手落ちがあったのではなかろうか、こういうことも、現地の住民の中には一つの不安として起きているわけであります。われわれはそんなことはないであろうと思いますけれども、そうした点について調査の結果、一体その原因はどこにあったのか、これを  一つ明らかにしていただきたいと思います。  第二の問題といたしまして、今も大臣からお話がありまして、桑名の福地地区の問題については、干拓地帯のいわゆる第一線堤防が七日ごろにほぼ締め切りを完了する、従って、その後においては、内堀である現在の旧堤防についての心配はなくなるであろう、それも十三日ごろに大体再復旧の見通しを持っておるというお話でありましたが、実際考えてみますると、約四十日にわたってこうした地域においては水没また滞水、仮締め切りが完了して若干排水がされ、ようやく黒い土を見たという際に、またこういう状況で、ほんとうに予定の通り工事が進捗するのであろうかどうか、こうした点についても深い疑点を持ちつつあるわけです。こうしたことが人心に非常な動揺を与えて、われわれ聞くところでありますけれども、何か不穏な情勢も伝えられており、全く私ども同情にたえないところであります。従って、再災害といいまするか、再決壊があったけれども、今後の工事の進捗については、既定の方針通り絶対完了できるのだという確固たる見通しに立って、この機会に御明言を賜わりたいと思うのであります。  まずその二点について最初にお伺いしたいと思います。
  37. 村上勇

    ○村上国務大臣 第一点につきましては、専門的なことにわたりますので、河川局長をして答弁いたさせます。  第二の問題につきましては、第一線の堤防が完成いたしますれば、内堤についての不安はなくなることは当然でありますが、ただいま御指摘になりました、第一線の堤防は必ず七日までに完成できるかということでありますが、私に参っておる報告その他から勘案いたしますと、これは絶対に七日までには完成するもの、かように私は思っておりますし、これさえ完成になりますれば、内堤についての不安は除去されるもの、かように思っておる次第であります。
  38. 山本三郎

    ○山本政府委員 先ほどの福地地区の破堤の原因につきましては、実は先ほど大臣からお話申し上げましたように、第一線堤防が近くできるということで、この部分締め切りは、実はほかの地区でやっておりましたよりも多少弱かったというのが事実であります。そこへ、普通の高潮なら一メートルそこそこの潮しか来ないのに、風速十五ないし二十メートルの風がありまして、そのために潮位が二メートルに上がった。その上にさらに波が来たわけでありまして、決してそこを弱く復旧したということはございません。しかし、付近の、もとあった堤防よりも、最近作ったものでありますから、やはり多少弱いわけでありまして、そのためにここがやられたわけでございます。第一線堤防がもう少し早くできておりさえすれば、ここはこんなことはないわけでございます。それから、ほかの地区につきましては、少なくとも三メートル以上の仮締め切りをやっておりまして、その後補強を続けておりますから、ほかの地区、たとえば長島とか、桑名のほかの地区とかいう点につきましては、そういう心配は絶対ない。ただ、ここがたまたま第一線堤防が近くできるものですから、ほかの地区よりも多少弱かったというように感ぜられるのが、正直のところでございます。しかし、この点につきましてもさらに補強を続けてやらなければならぬというふうに考えております。
  39. 辻原弘市

    ○辻原委員 今の福地地区の問題については、外の堤防が近く完成をされるから、こっちの方は若干——これは受け取り方でありますけれども、弱くてもいいというような認識の上で工事を進められたやに私は今聞いたわけなんですが、必ずしもそういうことではなかったのでありましょうけれども、実際には、これは仮締め切りが終わった後においても水が漏れておる、あるいは他の個所に比較して現実には完全な海岸堤防になっておりながら、完成していない第一線堤防に期待するあまり、従来の旧堤防よりも高くするとか、いろいろな配慮を怠っておった、こういうことは私はまことに重要なことだと思うのです。そうした若干の工事施行上の手落ちというか、計画上の誤りというか、そういうものが今日再びその災害を来たしたということはまことに遺憾だと思うのであります。今大臣及び山本局長の方から、他の地区にはそういうことはない、こういうお話でしたが、海部郡の弥富あたりの決壊個所についても、あるいは部分的に同様のことが言えるのではないか。ですから、これらの点についても早急に一つ——従来仮締め切りをしておるところであっても、工事施行後に遺憾な点があれば、それも早急に一つ応急措置をとるというようなこともこの際考慮すべきではないかと思うのです。この点については大臣いかがでございますか。
  40. 村上勇

    ○村上国務大臣 そういう点が、もしも技術的に見ましてあるとするならば、十分な措置をとらなければならないと思います。ただ、単に形だけ堤防の仮締め切りができても、今回の福地地区のような工合に再び破堤するようなことになれば、人心の不安はなお一そうつのるばかりでありますので、われわれは何としてもそういうことのないような堤防を作らなければならないと思っております。ただ、今山本局長から話のありましたように、内堤だから、こわれていいというものではないのでありますけれども、直接外海につながるはずのものでなかっただけに、やはり一つ堤防の仮締め切りの基底というものが、外海に対するだけの安全値をとっていなかったというところは、われわれは考えを改めていかなければならぬと思っております。他の部分についてはそういう点のないように十分注意させて参りたいと思っております。
  41. 辻原弘市

    ○辻原委員 もう一点だけ、桑名、それから私があげました海部郡の南部地帯、これらの地帯については、再決壊はあったが、予定の通り仮締め切り、それから排水は完了できる見通しであるという点を確認してよろしいかどうか。なお、相当日数もたっているわけで、その後建設省初め現地の方々の非常な御努力のもとに、工事はかなり進展を見ているように私どもは聞いておるのですが、予定の完了期を若干でも繰り上げられるような見通しはございませんかどうか。この点、もし繰り上げられるような見通しがあれば、現地住民に対して一日も早く安心感を持たせる意味においても、私は一つ明言をしていただく必要があるのではないかと思いますので、お尋ねをいたします。
  42. 村上勇

    ○村上国務大臣 その作業中におきましてのいささかの足踏みがありましても、これの最後の締め切りの完了ということについては、私どもは予定した時期には必ず完了するものと、かように確信して作業している次第であります。
  43. 辻原弘市

    ○辻原委員 それでは、防衛庁長官が御出席になりましたので、お伺いをいたします。  御承知のように、数日来の豪雨と大潮によって再び決壊を来たした個所が相当数に上っておりますが、それらの決壊個所を見てみますと、この仮締め切り工事は、かなり自衛隊によっているところがあります。従って問題は、今後の復旧について、これは相当量自衛隊の応援を願わなければなりませんし、また増援も願わなければならぬと思うのでありますけれども、一体その状況はどうなっておりますか。私仄聞したのでありますが、そういう現地の事情にありながら、自衛隊はこれ以上増援しない、こういうことを言われておるというのでありますが、全くもってのほかであると思いますので、その辺の事情を一つつまびらかにしていただきたいと思います。
  44. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 経過を申し上げますと、一番多く自衛隊の出ておりましたときは、一万一千六百名であります。今は一万五百名だけ出ております。まだ災害復旧作業等が続いておるのに、自衛隊が引き揚げるのではないか、こういうお話でございますが、そういうことは考えておりません。実は自衛隊が手がけた個所の堤防決壊を埋めていく作業、潮どめ等の作業も非常に進んでおります。一番大きな作業は、私の方では尾西作戦と言っておるのですが、名古屋の旧街道で潮どめしておる、この方に主力を注いでおりますが、これは大体十一月七日に終了するような見込みで現地とも打ち合わせております。そういうことで非常に進んでおります。一つの大隊だけ春日井の方から出ておりまして、これだけは、長いものですから、休養させておる。あとは予備として守山の方に、豊川部隊ですか、待機させておる。それからもう一つ桑名地区であります。桑名地区は、建設大臣からもお話があったと思いますが、内部の潮どめだけではちょっとまずいので、外の方を先に潮どめしようというので、内部にかかっておった部隊を外側の方の部隊に回しております。これも内部の方に百五十名だけ配置さしておりますが、外部の方の作業を今一生懸命やっております。それから南勢地区ですが、この方は終了いたしましたので、大久保の特科連隊は名古屋の方の砂袋の作業に回しております。それから施設中隊は長島の方へ回しております。それからさらに桑名の方にも増強しておる、こういう状態であります。また、南陽町方面にも北海道から新しく新鋭部隊を投入して、かさ上げ工事等をやっております。こういうふうに、全体として詳しく申し上げればたくさんあるのでありますが、自衛隊が引き揚げるというようなことは全然考えておりませんで、工事ができた場所からほかへ移すということはあります。それから、非常に長い部隊に対しましては、ちょっと休養させるということで交代をしておりますから、交代の時期において、あるいはこれは引き揚げるのじゃないかというふうな御懸念もあるかと思いますけれども、交代さして、新しく新鋭の部隊に作業を続けさせる、こういうふうに考えておりまして、全体といたしまして、仕事が済んでほかへ回したものは、すぐ近くの部隊で待機して、いつでも現地と話し合いの上で出られるようにしておりますし、また、一部は新しい決壊個所とか、工事のおくれているところへ回す、こういうことになっておりますので、御懸念のようなことは私ども全然考えておりません。
  45. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 関連質問。すでに同僚委員に対する建設大臣の御答弁で私のお尋ねすることも尽きておりますので、ただ一点だけお尋ねしたいと思います。  仮締め切りをいたしましてからわずか二週間で再決壊するということになりまして、災害地は人心が非常に動揺しております。まことにこれはもっともなことであると思います。さて、その再決壊した場所についての工事の責任が非常にあいまいだといううわさが現地で流れております。たとえば今回再決壊いたしました福地地区につきまして、これは私真偽のほどは確かめておりませんけれども、その当夜、非常に危機が迫ったというので、自衛隊の出動、消防隊の出動もありまして、その防護を必死にやっておったところが、現地の工事事務所かどこか知りませんけれども、大潮の時刻の測定を誤ったために、自衛隊がもう大丈夫だというので帰った二時間あとに再決壊が起こったということを伝えております。そういうことになりますと、工事事務所の責任というものは非常に重大であります。また、せっかくの自衛隊の努力を無にしたことになりますので、この仮締め切り場所における工事の責任の所在をまずはっきりしていただきたいと思います。その点について御答弁をお願いいたします。
  46. 村上勇

    ○村上国務大臣 建設省としての工事事務所ではないはずでございます。あの地区は、県から桑名市の方へ委託されまして、桑名市としてあの工事を施行いたしたはずであります。従いまして、その工事事務所と申しますのが建設省工事事務所でありますれば、直ちに報告がくるはずなんですが、多分県の工事事務所か、あるいはまた、現地の桑名市の土木事務所か何かの関係でないかと思います。これはただいまのところ私確答できませんが、十分調査いたしまして、その点についての見解を明らかにいたしたいと思います。
  47. 木村俊夫

    ○木村(俊)委員 今申し上げました再決壊についての現場の責任問題はとにかくといたしまして、建設省、また中部日本災害対策本部といたしましては、全般の工事についての御責任は、当然あると思います。その点については、なお一そう再検討の上、遺憾なきを期していただきたいと思います。  次にお尋ねいたしたいのは、この再決壊の場所は、今回は二カ所あるいは三カ所にとどまりましたけれども、まだ非常に危険な、再決壊のおそれのある場所があるやに私は聞いております。先ほど河川局長は、そのほかには絶対ないとおっしゃいましたけれども、はたしてそれが保証できるかどうか。たとえば桑名郡の長島町北部の仮締め切りの場所、これはすでに完了いたしまして、今回再決壊の難は免れましたけれども、その当時の模様を聞きますと、すでに大潮のときはわずか三寸の差であったということであります。あながち河川局長の御答弁だけでは私ども安心できません。もう一度それについての政府の言明を承りたいと思います。
  48. 山本三郎

    ○山本政府委員 ただいまのお話でございますが、確かに長島の北部の一カ所が溢流いたしまして、非常に心配されたわけであります。また、名古屋の方におきましてもそういう個所がございました。従いまして、その当時の状況といたしましては非常に危険な状態でございましたが、その後復旧手当をいたしまして、再びそういうことが心配ないような処置はいたしましたけれども、仮締め工事というものはやはりあぶないものでございますから、さらにそれらを補強するように現地でもやっておりますけれども、なお注意をいたしまして至急補強をいたし、さらに本工事を早く進めるようにということで努めるつもりでございます。
  49. 小林正美

    ○小林(正)委員 関連質問。私は桑名市のすぐそばに住んでおりますので、よく事情を知得しておるわけでありますが、先般来大臣がよく現場を見られて大へん努力されたことは、感謝しております。ただ一つ、これは地元民の気持を率直にお伝えしておきたいと思うのでありますが、やはり現場をお回りになるときは、あまりいい自動車に乗らないで、ジープで回ってもらったら大へんよかったのではないか。その点だいぶ地元民が感情を害しておりますので、一言お伝えいたしたいと思います。  そこで私が一つお聞きしたいのは、先ほどいわゆる第一線堤防締め切りが七日の日には完了するのだ、そうなれば第二線の堤防の決壊はないものと思うというお話でございましたが、それであれば、なぜ第一線堤防締め切りがこんなにおくれたか。もう一週間早ければ、今度のいわゆる第二線堤防の決壊はなかったのではないか。これはもう三千人からの人々が、緊急避難命令で現在避難いたしておりますけれども、気分的に非常に大きな動揺を来たしておりまして、一時は暴動化しようという気配さえあった。なぜもっと急がれなかったか。はたして万全を尽くしたか。私どもはサンド・ポンプの来ることを実際現場でもって一日千秋の思いで待っておったのでありますが、はたしてその点十分な手を尽くされておったかどうか、大臣のその点の見解をお尋ねしたいと思います。
  50. 村上勇

    ○村上国務大臣 第一線堤防について、少しゆるんでおったのではないかというような御質疑でありますが、第一線であるがゆえに、絶対にゆるみなく努力して参ったわけであります。また、これはあの地区だけでなく、その他の地区も、みな同時にあらゆる機動力を動員してやって参ったのでありますが、御承知のように、われわれが当初予定したような、全く絵にかいたような工合にすべてのものが軌道に乗らなかったということは、これは私は率直にこれを認めますが、しかし、ともかくも第一線については、第二線よりも第一線を急いだということは、これはもう当然なことでありまして、十分われわれはこれに対して努力して参ったつもりであります。その第一線堤防の完成前に——今回の風浪によるいわゆる高潮その他によって、悪条件が、その一週間か十日前にきたということは、何としても遺憾のきわみでありまして、その被災者に対しては、真に御同情申し上げておる次第であります。  それから、乗用車についての御注意は、十分私ども肝に銘じております。私どもは決してああいう際に自分たちが乗りものの選択はいたしておりませんので、どうぞ一つその辺はあしからず地元の方にもよろしくお伝えを願います。
  51. 小林正美

    ○小林(正)委員 それから、先ほどの御説明の中で、自衛隊、消防団、業者が三位一体となって、きわめて事がうまく運んでおるような御説明でありましたが、実際はそうでないのでありまして、たとえば、これまで消防団などがやっておったところを、今度は業者に請け負わすということになりますと、やはりそこにその仕事の段取りその他において、いろいろうまくいかない点が起こってくる。特に消防団員としては、どうも自分たちが業者の手先になって働くのは困るというようなこともございまして、私どもは必ずしもその点が三位一体となってうまく合理的に運営されたとは思わない。そういうようなことから工事がやはり延びておるのじゃないかということも考えられますが、その点大臣はどのようにお考えになりますか。
  52. 村上勇

    ○村上国務大臣 私が三位一体になってと申しますのは、いわゆる緊急非常事態である、まさに破堤に至らんとする直前であるとか、あるいはまた、破堤直後の緊急事態については、これはもう問答無用で、それぞれその立場立場によって、一体となって働いておるということは当然でありまして、今後の恒久復旧とか、あるいはまた、締め切り完了して、時間もおいてくれば、そこにはまたいろいろな問題も起きてくると思います。そういう際には、またそれに対する措置をとっていくということは、その指導者の立場である人たちの今後の運営のいかんによることでありまして、十分その点に注意してもらいたいと思っております。
  53. 小林正美

    ○小林(正)委員 とにかく非常な人心の不安を今かもしておりますので、何とか寸刻も早く潮どめができて、地元民が安心のできるように一そうの努力を要望して、一応きょうのところ私の質問を終わります。
  54. 南條徳男

    南條委員長 委員諸君のこの問題に対する質疑は終わりましたが、なおこの委員会の総意として、きょうのこの桑名地区の第二堤防の決壊について人心の不安を一掃するために、委員長からかわって政府に要望してほしいという申し入れがございますので、この機会に委員長からかわって政府に向かって御要望いたしたいと思います。  当委員会は、御承知の通り、この臨時国会においては、最も重要とされておる災害対策についての審議を進めておるので、各委員諸君は非常に熱心にこの問題に立ち上がっておるのであります。従って、今後の委員会の審議の過程におきましては、当面の災害についての復旧、その他改良についての問題はもちろん、将来の恒久対策についても十分考えなければならぬという意見が多いのでございますから、これらについてはもちろん政府との間に十分な質疑応答を願いたいのでありますが、先般建設大臣から特に政府としてのこれらに対する御方針の決意のほどを承って、私どもも一応満足いたしておるようなわけでありましたが、たまたまこの二、三日来の豪雨のために、本日問題になりましたこの桑名地区の堤防決壊の問題が非常に地元の人心を不安に陥れ、そうして政府に対する異常な不信の感を持たれたということが、この委員会に取り上げられたのでございます。よって、本日政府に対してその報告を聞き、またその対策についての御説明を願ったのでございますが、いろいろただいままで、政府建設大臣としての意のあるところも承りまして、私ども委員同士はもちろん、建設省の、また政府としての対策については了とするところがございますけれども、何といたしましても、この桑名地区だけでも、今度の浸水によって約六千数百人の人が被害を受け、床上の浸水家屋が千戸に近い、床下だけでも八百戸に近いというような、まことに悲惨な状態でございます。ちょうどたとえて言えば、重態であった病人が、瀕死の状態からどうにか回復におもむいて、そうしてやれやれと思うときに、またこれががくんと傷害を受けたというような印象を地元民に与えておると思うのであります。従いまして、これらの人心の不安を解くということが、このたびの災害対策として最も政府が留意すべき点であろうと思うのであります。この長きにわたって浸水家屋が多い、浸水地帯が多いなどということは、日本の災害対策として、かつてないことだと思うのでございますから、かような点にかんがみまして——民に信がなかったならば、その政治は私は無だと思うのでございます。この問題にかんがみまして、政府並びに建設省は、具体的に、今後の対策について自信のある御答弁がありましたけれども、どうか今後におきましては、十分この自信を裏切られないように一つ諸員を督励して対策を願うとともに、今回の問題につきましても、地元の中部災害対策本部等を通して、被災地域の人々に、政府としてはかようかような対策もするし、今後絶対にそんな不安がないことをあらゆる方法をもって広報宣伝をいたして、人心を安定するように一つ措置を願いたいと思うのであります。  以上をもって、私のこの委員会の総意による御要望を終わります。
  55. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 資料の取り寄せを申請いたしておきます。  この際、建設大臣にちょっと聞いておいていただきたいのでありますが、ただいま二回目の決壊によってまた非常な損害と被害を受けたようであります。この被害については、いかにも、自然現象による不可抗力によってこの災害が生じたのであって、政府の責任でないというような御答弁がありましたが、またそのように考えておるようであります。ただいま第二次の決壊は何によって生じたかという質問がありました。河川局長の話によると、ほかのところより弱かったということを認めておるようであります。私は少し資料を提出願って——この損害は政府の責任であると私は考えておる。こういう損害は、政府に責任がある以上は、国家はこれに賠償をしなければならぬと考えているのであります。つまり国家賠償法によってこれが規定されているのでありまして、道路、河川その他の公の営造物の設置または管理に瑕疵があったために損害を与えた場合には、国家は賠償をしなければならぬ。法的には、これは範囲の広い被害でありますから、場所によっては国家が賠償する責任があるのではないかと私は実は考えておるのでございます。それでありますから、今回のこの事件は自然現象、すなわち天災ではありますけれども、政府河川堤防等の管理にもし怠慢があり、あるいは過失があったならば、その責任はこの法律によって政府が負わなければならぬ。ですから、以後はかかることのないようにするということは、単に政治的責任のみならず、法律上も責任があると私は考えております。それでありますから、この八月に名古屋の管区の行政監察局が、この被害はどこに原因があったかということを調査したということが新聞に報ぜられております。そこで私は、この災害の対策をするには、非常にひどい天災ではあったけれども、どこに施設の欠陥があったかということを本委員会において調査して、将来こういうことがないようにするということが肝要であると存ずるのでありまして、従いまして、もしこの資料がありましたら、委員長から一つお取り寄せをお願いいたしておきたいと思うのであります。すなわち、名古屋管区行政監察局が本年八月に実施しましたところの、愛知県の水防計画と水防活動に関する実態調査、こういうものがあるようでありますが、これは地盤沈下と水防の関係のようなことも調査したようでありますし、これは単に一時の調査であるようでありますけれども、聞くところによりますと、来年三月までかかってこの実態を調査するようであります。しかし、もしここに八月に実施したこの調査の資料がありまするならば、本委員会が将来この対策をいかに立てるべきかということの重要なる資料と存じまするので、この資料をすみやかにお取り寄せを願いたいと存じます。
  56. 南條徳男

    南條委員長 本日は、この程度で散会いたします。     午後三時四十三分散会