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1959-12-02 第33回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月二日(水曜日)     午後二時十分開議  出席委員    委員長 寺島 隆太郎君    理事 島村 一郎君 理事 二階堂 進君    理事 野田 武夫君 理事 濱田 幸雄君    理事 足鹿  覺君 理事 石山 權作君    理事 館  俊三君       秋田 大助君    池田 清志君       進藤 一馬君    丹羽 兵助君       兒玉 末男君    田中織之進君       長谷川 保君    竹谷源太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  藤巻 吉生君  委員外出席者         議     員 中村 梅吉君         総理府事務官         (首都圏整備委         員会計画第一部         企画室長)   黒田 俊雄君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  木村 三男君         総理府技官         (北海道開発庁         企画室長)   吉村 次郎君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房調査官) 原口  隆君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局参事         官)      南部 哲也君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局総合開         発課長)    玉置 康雄君         総理府技官         (経済企画庁総         合開発局特別地         域開発課長)  紀本 正二君         農林事務官         (農地局参事         官)      正井 保之君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁業調整課長) 木戸 四夫君         通商産業事務官         (企業局次長) 磯野 太郎君         通商産業事務官         (企業局工業立         地課長)    柳井 孟士君         運輸事務官         (港湾局管理課         長)      岡田京四郎君         建設事務官         (計画局総合計         画課長)    佐土 侠夫君     ――――――――――――― 十二月二日  委員小泉純也君及び佐藤洋之助君辞任につき、  その補欠として池田清志君及び木村守江君が議  長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十一月二十八日  後進地域における開発事業費国庫負担制度確立  に関する陳情書(  第四五八号)  東北開発事業推進に関する陳情書  (第四七九号)  中国地方総合開発促進に関する陳情書  (第四八〇号)  四国和歌山地方開発促進法制定等に関する陳  情書(第四八一  号)  四国総合開発促進に関する陳情書  (第四八六号)  輪島市等を台風襲地帯における災害防除に  関する特別措置法に基く地区指定陳情書  (第四九四号)  台風襲地帯における災害防除に関する特別  措置法等に基く補助率引上げ等に関する陳情書  (第四九六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  臨海地域開発促進法案川島正次郎君外三名提  出、第三十一回国会衆法第六七号)      ――――◇―――――
  2. 寺島隆太郎

    寺島委員長 これより会議を開きます。  臨海地域開発促進法案を議題といたします。  この際、足鹿委員より発言いたしたいとの申し出がありますので、これを許します。足鹿覺君。
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 質疑に入る前に、資料提出の問題についてお願いを申し上げたいと思います。  今まで要求してありました資料は、大体において御提出を願ったわけでありますが、この前の公聴会の際に、全漁連岡参考人から提出を約束しておりまして、委員長も御了解の、全国漁業補償事例、それをすぐにでも出すようなお話でありましたが、いまだに御提出になりませんので、委員長より全漁連の方に、急いで提出するように御督促をいただきたい。これは非常に大事な問題であります。  それから第二に、公有水面埋立法に基づく埋め立て許可をされた全国事例内容を、これは政府なり提案者に御提出をお願い申し上げます。その内容を若干申し上げますと、公有水面埋立法に基づく埋め立ての規模は、五千ヘクタール以上であったと思います。そのものと、その他、地方長官といいますか、知事の権限内でやったものとに分けてお願いします。許可年月日、その期限許可した年月日から向こう何年間というふうに期限がついておるはずですから、その期限、それと、工事の進捗状況、それから埋め立てを申請したものに対する用途、また、埋立地に対して地盤調査を行なったかいなか、その結果、また工場用地を築造していく許可基準といったものは、従来どういうもので許可を与えておるか、大体埋立法に基づく関係資料を以上のように御提出をお願いいたします。  それから、これは経済企画庁にお願いしたいのですが、最近経済企画庁は、干拓に関する新構想を発表されたように聞いております。たとえば、大山出雲地区特定地域の中にあります中海干拓等についても、農地造成は時代おくれだ、むしろ臨海工業地帯造成し、これに用水を確保していけばいいんだというような、思い切った見解を発表されたやに伝わっておるのでありまして、一つ事例として、中海干拓に対して島根県側に提示されました計画を至急御提示を願いたい。こういうようなことは、この法案との関係において非常に私は重要であろうと思うのです。農地造成が時代おくれだというような思い切った表現をされるというようなことについては、われわれはよくその内容検討さしてもらいたいので、この中海事業のみならず、他にもそういう企画提示された地区があるならば、それもあわせて綱提示願いたい。  それから、現に政府が三千万円の予算をもって本年六月から発足せしめておる農林漁業基本問題調査会設置をされておる。これは農林漁業基本問題について調査検討を進めておられるようでありますが、その基本問題調査会において、臨海工業都市の問題、あるいは農地造成、いろいろな点について、総合開発関係についていかように調査が進んでおるか。必要があれば何か文書で資料をいただくのもけっこうですが、これはその事務局長あたりに来てもらって、ここで一つお話を聞くことがいいのではないかとも思います。いずれにいたしましても、農林漁業基本問題調査会において、国土開発関係をいかに検討しておるか、これは大きな問題であろうと思いますので、その点、第四番目にお願いしたい。  最後に、水産庁諮問機関であると聞いておりますが、漁業制度調査会設置されており、その中間答申については、この臨海地域開発漁場ないしは漁業補償問題等について答申がなされておると聞いておりますので、その全文を一つ提示を願いたい。  以上であります。全部よろしいですか。確かめておいていただきたい。
  4. 寺島隆太郎

    寺島委員長 わかりました。     —————————————
  5. 寺島隆太郎

    寺島委員長 質疑を続行いたします  質疑の通告があります。順次これを許します。丹羽兵助君。
  6. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 質問の順序は竹谷委員になっておりますけれども竹谷委員のせっかくの御了解をちょうだいいたしまして、きわめて簡単に私は提案者並びに政府関係に若干お尋ねをさしていただきます。  本法案について賛成のメンバーに加わっております私から、かようなことをお尋ねすることはどうかと思いますが、先回、社会党長谷川委員であったかと思いますが、お尋ねのございましたときに、経済企画庁からの御答弁では、開発法でもいけるのだというような話もあり、まあ無理して解釈すればこの法案の必要なことを考えるが、開発法でも全体的にやればやれるのだ、こういう意味の御答弁を私は聞いたのであります。そこでお尋ねしたいのは、そういう工合政府考えており、また国土の総合的な開発ということを念願しておられるときに、政府自身提案しないものを議員立法としてこれを出された、そうして議員立法でこれを作り上げていかねばこれらの問題がなし遂げられないというか、工合が悪い、こういうねらいどころ、開発法でもいけると政府自身が言っておるのに、特にこの法案を出して第一条の目的を達成せしめんとせられる提案者のはっきりした御説明を願いたい。簡単でけっこうですけれども、その点に私は一つの矛盾を感じておりまするから、お聞かせを願っておきたい、こう思っております。
  7. 中村梅吉

    中村(梅)議員 開発法は、すでに制定されて相当年月を経まして進行中でございますが、私ども臨海地帯開発につきまして、今ございます国土総合開発法のみでは万全を期することが至難である、こういうように考えております。と申しますのは、その臨海地帯開発につきましては、港湾関係その他非常にいろいろな関連を持っておりまするのと、この基本法では内容までは触れておりませんが、この種の開発を行ないますのは、政府機関あるいは都道府県のみの力ではむずかしいのではないか、そこで特殊の機関を必要に応じて設けて、これの活用もはかって進める方が、開発が適切に進められるという角度に立ちまして、この立法計画し御提案をいたしたような次第でございます。かようなわけで、私どもといたしましては、臨海地帯開発を十分に期して参りますのには、そして総合性を十分発揮いたしまして目的を果たしていくのには、この種の立法が必要である、かように考えておる次第であります。
  8. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 そうしますと、開発法とは矛盾するものではない、開発法そのもので広くは進めていくことはできるが、特に臨海地区土地造成というものは、これを作って積極的に進めていく、いろいろと考えてみた結果、この方が積極性がある、こういう工合解釈いたしましてよろしゅうございますね。
  9. 中村梅吉

    中村(梅)議員 さようでございます。
  10. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 それじゃ続いて——私は先ほどの理事会の席で皆様方意見を聞いておりました。特に、今後委員長のもとにおいて社会党とも話し合いの上処理されることでしょう。私は今農林水産委員会委員なんですが、農林委員会でも特に本法案については少なからぬ関心を抱いております。そこで、この委員会に付託された案件でありますから、農林委員会では正式に取り上げておりませんが、理事会等で非公式に話されておるその席では、本法案に対し非常な関心を持った意見が出ておるのです。私はきょう、その農林水産委員会にも関係する委員の一人として、きわめて事務的なことにわたりますけれども、二、三点簡単にお尋ねをさせていただきたい、こう思っております。その私がお尋ねさしていただくことにつきましては、すでに本法案が出ました直後において農林省の方へも意見を聞いておられる、また農林省自体からも、提案者の方に対し、また政府自体に対しても意見を出しておるようであります。それに基づきまして、ただいま申し上げたような立場から、きわめて簡単に数点をお尋ねしたい、こう思っております。  法案の第一条に「臨海地域における工業その他の用に供する土地造成、」これについて、ただいま足鹿先生からもお話が出たのですが、私どもは、先回の御説明で、「工業その他の用に供する土地造成、」とは、農地造成を含むこういうように御説明をいただいておりますが、そのように解釈いたしましてよろしゅうございますでしょうか。その点、どなたでもけっこうですけれども、御説明というか、御答弁を願っておきたいと思っております。
  11. 中村梅吉

    中村(梅)議員 私ども提案者といたしましては、農地のみの造成についてはこの法律では考慮しておりません。ただ、工業用地あるいは公共用地等々作ります場合に、それに隣接いたしました地帯等において、若干開発の総合的な関係から農地もあり得るという程度考えておるわけでございます。
  12. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 ただいま私の質問の仕方があまり極端過ぎてわからなかったかと思いますが、「工業その他の用に供する土地造成、」ということは、農地も含まれる、私はそうでなくては、ならぬと思うのです。でないと、いろいろの議論が出るのですが、農地造成をも含む、こう提案者考えていらっしゃると見ましてよろしゅうございますか。
  13. 中村梅吉

    中村(梅)議員 言葉の表現の仕方でございますが、内容といたしましては、工業用地造成ということを主にいたしまして、それに関連して、関連施設等公共用地、あるいはそれに関連する農業用地、こういうようなことも、もちろんあらゆる場合に含んでいるという考え方でございます。
  14. 館俊三

    館委員 関連質問。今の中村さんのお話ですが、はっきり言えば、こういうことじゃないですか。臨海工業地帯を設けるのだ、そのためには水面もつぶさねばならぬし、農地もつぶさねばならぬときがあるから、そういうことで関連しているということじゃないですか、むき出しに言いますと。目的臨海工業地帯開発にあって、そのために、極端に言えば差しさわりになる水面あるいは農業地帯、そういうものにも影響を及ぼすのだというお話を婉曲に言っているのではないですか。
  15. 中村梅吉

    中村(梅)議員 農地をつぶすということは、何ら目的にいたしておりません。ただ、背後地域でありますが、関連施設、ことに道路運送関係、河川あるいは工業用水、こういうようなことを考えますと、その背後地農地関連を持ってくる場合が若干起こり得るのであります。それは、そういうような関連施設を行なうに所要の最小限度農地関連を持ってくるわけで、農地をつぶして工業用地にしようというような意図は毛頭含んでおらないのであります。
  16. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 それでは先ほどの提案者の御説明のように、つぶすごときではなくて、農地造成も含まれる、そういう土地になるようなことも含まれる、こう広義に解釈してよろしゅうございますね。
  17. 中村梅吉

    中村(梅)議員 そういう場合があり得るということになります。
  18. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 次に、私はこの第二条の関係お尋ねいたしたいのですが、この臨海地区指定基準範囲がきわめてはっきりいたしておりません。「臨海地域関発審議会審議を経て、」こういうように二条にも書き、また十条にもそういうふうにうたっているのですが、これらの点は、前会の提案者お答えによりますと、審議会ができて、それからしっかりこの基準及び範囲をきめていきたいということであったと私は記憶いたしておりますが、せっかく法案審議の過程ですから、もちろんその審議会できめるのでしょうけれども、どんなに考えていらっしゃるか。しいて言いまなすらば、私は審議会審議して基準がきまり、それを政令で定めるという程度の制限は与えてもいい、政令の定めるところによっていくという工合にせられたらどうかという意見を持っているのですが、先回のような、ただ審議会できめるのだというようなことより、もう少し具体的にお考えがあったらお聞かせをいただいておけないか、こう思うのです。
  19. 中村梅吉

    中村(梅)議員 ごもっともなお考え方であると思いますが、ただ、この審議会ができまして、開発指定地域の選定をいたしますにあたっては、いずれ審議会において指定すべき地域指定基準というようなものをまず検討いたしまして、お説のようなしぼり方をすることになると思います。ぜひそうしていただきたいと思います。私どもここで今度の立法段階におきましてあまり詳しく内容に触れませんでしたのは、実はこのような学識経験者等の加わった審議会の組織ができまして、そこで十分議を練っていただく、同時に、その間において、この基本的な立法ができましたならば、この立法に基づく指定を受けてそうして開発をしてもらいたいという地方全国地区から起こってき、あるいは各都道府県知事等から要望等が出て参りまして、それらが含められて初めて十分の検討をして指定基準を作っていく方が、今から中身の構想を練ってしまうよりは妥当なんではないか、それでまた各地方要望にもこたえ得るのではないか、こう考えておる次第であります。従いまして、政令字句等はこの法案にございませんが、やがて審議会ができまして、審議会が十分検討して、これならばもう動かさない基準としてよろしいという線が出れば、あるいは政府としてはそういうような地域指定基準に関する政令等を出す段取りになるかもしれませんが、今からあまり窮屈にきめない方が、議員立法の姿としては適当なんではないだろうかというように考えておる次第でございます。
  20. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 提案者の御意見、なるほどその通りだと思うのですが、そうしますと、一応今のお話のように、ある程度まとめてきて、それを審議会でとりあえずきめて、審議会としての方針を立てる、その後において政府立場考え政令なんかで定めるということもやぶさかでないというのですか、結局反対するものではない、こういうように聞き取れまするが、簡単に言うとそれでよろしゅうございますでしょうか。と同時に、それに関連いたしまして、第二条の関連ですが、そういうような御解釈で私の方ではけっこうだと思うのですが、そうなりますると、一応基準をきめるその前提となる調査というのですか、そういうものを作るについては、出す前に、これに関係するものが多いのですが、関係大臣が独自な立場で一応そのかけるものを作り上げる、こういうようなことになるのですか。審議会にかけるまで、それぞれの所管大臣は、自分としての構想のもとに一応計画を立て、地方意見も聞く、こういうようにして審議会にかける、このように聞き取れまするが、間違いございませんでしょうか。
  21. 中村梅吉

    中村(梅)委員 前段につきましては、お説のように考えております。  それから後段につきましては、この法律案の附則におきまして、経済企画庁設置法の一部改正を行ないまして、それらの総合的な調査立案等経済企画庁が担当いたしまして、各省及び関係方面等意見を徴して審議会にかける諸材料を集める、こういう考え方でおるわけでございます。
  22. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 あまり一つの問題に時間をとってはいけませんので、簡単にお答えをしていただきたいと思いますが、なるほど、経済企画庁中心になって各省各庁を動かして、それぞれその前提となる基本調査をする、いずれ経済企画庁ですべてのことはできるのでしょうが、その足回し、手回しになって各省はそれぞれ政府立場において一応考える、それを経済企画庁でまとめて審議会に諮る、簡単に言うとこういうように思いましてよろしゅうございますでしょうか。
  23. 中村梅吉

    中村(梅)議員 そうであります。
  24. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 続いて第三条に関係してお尋ねをさせていただきたいと思いますが、ただいまも手元へ配られたのでありますけれども、三条の今お尋ねしておりまする基本計画立案に際しまして、関係大臣はそれぞれのことを述べるでしょうし、考えるでしょうが、特に農林水産等関係は、土地を作っていただくにしても、背後関係にしましても、また土地埋め立てることにつきましては、水産関係が非常にやかましい。今日せっかく皆様方のお世話になって愛知で計画しておりまする東海製鉄土地造成につきましても、一番問題になっておるのは、やはりこの漁場補償工合よくいかないとか、話が進まないとかいうようなこともあるのですが、水面を埋められるのでありますから、これについては当然第三条の、内閣総理大臣の協議すべき関係大臣といいますか、企画庁が中心になりまして相談なさる関係大臣は、臨海工業地帯という意味から、また水面という関係から考えまして、私ども農林水産委員でありまするから、こういう質問が出るかもしれませんが、漁民、農民の立場考えて訴えもし、意見も述べてくれるのは農林大臣だと思っております。そこで、この協議に加わる閣僚は農林大臣も入っておる、こういうように私どもは聞いてもおりまするし、解釈もしておるのですけれども、それについて間違いないとか、その個々の問題として、加わるときもありましょうし、加わらないときもありましょうが、根本的にはやはり協議する大臣農林大臣も入っておるのだ、こういうように解釈もし、そうでなくてはならぬと思うのですが、提案者のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  25. 中村梅吉

    中村(梅)議員 私どもも同様に実は考えておりまして、この基本的な法律の主宰をいたします中心は、終始内閣総理大臣ということにいたしておりまするのも、及ぼす関係が非常に広くなることが予想されますので、それらの際には、内閣総理大臣でございましたら、政府全体、また政治全般について考慮を払うべき立場におりますから、関係大臣の意向はもちろん重視いたしまして十分聴取もし、調整もいたしまして進行するようにということが、考え方基本でございます。また同時に、審議会メンバーには農林大臣も入っておりますので、その審議会審議段階においても、それぞれ所管関係のありまする大臣は、十分その機会意見を開陳されて、自分主張が貫徹されるように努力をせらるべきものであると思います。同時に、この種の審議会は、多数決等を行なう場合は、過去の他の立法例等から見ましても、また過去の実例から見てもほとんどございませんので、十分そういう機会において意見が開陳され、それが調整をされまして、円滑を期することができると思っておる次第であります。
  26. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 次にお尋ねしたいのは、この法案の第三条の第三項ですが、これでは、せっかくわれわれが賛成し、また提案者提案してお見えになるこの三項のところのあれとはちょっと異論があるわけですけれども、これは私だけの考えかもしれませんが、今の御答弁を聞いておりますと、やはりすべての計画と、非常に広範囲にわたる、たとえば運輸、通産、商工、農林、すっと考えただけでもそれだけある。また、すべてのものが関係するでしょうが、そのように広い、いわゆる内閣総理大臣が握るすべての仕事に関係するわけです。それでありますから、前にも意見が出ておったと聞いておりますが、ただ建設大臣というよりも、今も御意見があったのですが、これは経済企画庁が取りまとめてやるべきだ、またそうすべきだ、意見を聞くべきだ、取りまとめ役というか、世話役というか、こういうようなことで、非常に各部門に関係する広範囲なことですから、経済企画庁第三者的立場に立ってやるということが、今後この法律はできるでしょうが、できた上の運営にきわめてスムーズにいく、かようにも思うのです。そういう意見がわれわれ寄ったときに出るんですね。でありますから、せっかくこれは建設大臣と書いておられるが、そういうことについての考えはいかがでございましょう。提案者はこれをと言われるでしょうが、私どもは、ただ一省の大臣意見を徴するよりも、全体にわたることだから、経済企画庁意見を徴した方がいい、こういうふうに考える。先生の御意見を承りたいと存じます。
  27. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これはお説のように各省いろいろ関連がございますので、各省それぞれの主張なり意見が、立案段階におきましてもございました。ところが、なかなか統一がつきませんので、私ども立案段階におきまして、これはどうしても公正な第三者といいますか、そういう意味からいえば、衆議院法制局に、過去の立法例あるいは各省設置法等を勘案いたしまして十分掘り下げた御研究を願って、結論を出していただく以外にはさばきようがない、こういうことで実は法制局に御研究を願いまして、得ましたのが、この第三条第三項の条文の立て方になったわけでございます。しかしながら、その後も、各省間においても、あるいは各省の行政に御熱心な常任委員会等におきましても、いろいろ御意見のある点のように拝聴いたしております。つきましては、私どもといたしましては、公正な立場法制局の方々に御研究をいただいた結論でございますから、これが今日も妥当であると、提案者自身としては考えております。しかし、十分御審議をいただきまして、ことに議員立法として国会の御審議を願うわけでございますから、十分御審議を願いまして、できますことならば、最終段階において、委員長初め委員各位において御協議の上、しかるべき結論を見出していただくことについては、私ども決してやぶさかではございません。実はそのように率直にこれは申し上げた次第でございますが、そのような考え方をいたしておる次第でございます。
  28. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 私はお考えを承らせていただくだけで、一議員がどういう考えを持っておって、その通りに直していただきたいとか、直すべきだというようなことをここで論義はすべきでないし、また提案者のただいまのお言葉で、十分意のあるところを解釈できますので、今後法案の結末において取りまとめ等においてまたいろいろと御相談をさしていただくことにしておきたいと存じます。  次に、先ほどもちょっと触れましたけれども、第四条の、同じようなことですが、基本計画内容範囲がきわめて——これも先ほどの答弁でわかるのですけれども、今の法案審議の過程においては、これ以上どういうように書くかということはむずかしいかもしれませんが、これは水面の利用計画とか事業ごとの主体性というものもありまして、非常にこれはむずかしい問題のようでありますけれども基本計画内容、こういうものでも、一つこの場合、第四条に関する点でありますが、これをもう少しはっきりと——どの法律でも実は書いてありますね。私は新米のことで、五年や六年で、法律の十分な研究はしておりませんから、わかりませんが、私ども見ます法律からいうと、計画内容というものはこれこれということで、ある程度示されておる。しかし、これに限ってはばく然としておるが、今言ったようにいろいろ関係があるのですが、そういうものを列挙するように、もう少し記載の事項を明文化することはできないものか、また、なぜできなかったものか、それを一つ承らさしていただきたいのです。
  29. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この点は私どももいろいろ検討いたした次第でございますが、列挙主義にいたしますということは、その列挙したほかに、等とか、その他とかいう項目は、いずれの場合においても加わるのでございますが、臨海地帯開発につきましては、その地域地方によりまして相当の相違が起こって参ると思います。また、地域によりましては、かなり関連するところが広範になって参りますから、列挙主義をとりますことは、どう検討して参りましてもなかなか至難であります。さようなわけでございますから、この法律は、基本的なものとして、まず審議会を設けて、いろいろな地域指定基本計画を定めるということが建前でございますから、審議会ができまして、そこで審議をされてそして初めて基準が出てくる、こういう建前を実はとったわけであります。いかなる立法におきましても、列挙主義をとり得るものについては、できるだけ列挙主義をとる力がけっこうだと思いますが、この場合におきましてはなかなか至難と思われますので、このような条文の立て方にいたしたようなわけであります。
  30. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 次に、もう一、二点だけなのでありますけれども、同じ第四条に関連いたしまして、お話しの、基本計画指定地区外に及ぶ場合の政令内容でございますね、これは私ども農林水産の関係には非常に重大な関係があるわけなのであります。それでこの点を明らかにしておいていただきたいのです。と申しまするのは、先ほど館先生からお話のありましたように、なるほど、この法律は、農地をつぶして工業地帯を作るわけではありません。しかしながら、やはり一つ工業地帯ができますと、背後にありますところの農地には住宅を作らなければならぬ、あるいは、時と場合によっては埋め立てもしなければならない、あるいはまた、新たにできた土地に対する通路と申しますか、道路を作らなければならぬ、こういうことになってくると、区域外の農地の転用という問題が生じて参ります。それから、先ほどもちょっと申し上げましたが、一番大きな問題と考えられるのは、工業地帯を作りましても、地下水の利用が十分いかない面がある、そうしますと、現在の上水道を利用するわけにいかぬから、やはり農業水を利用して工業水にかえていくということで、今日も愛知用水が農業用水で作ったものを東海製鉄工業水にかえるというので、盛んな反対と、いろいろな意見が出ておる。反対ばかりじゃない、賛成の意見も出ておるのですが、こういうように、農地の転用等の関係やら、あるいはまた、工業水と農業水との関係等々生じて参りますので、この点をもう少し提案者考え方を明らかにしていただけたらけっこうだと思いますが、御所信を承りたいと思います。
  31. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この四条の後段に書きました考え方は、臨海地域開発と密接不可分の関係にある諸施設、こういうことで実はしぼりました。密接不可分のものとは何かということになりますが、これまた、この法律で表示するのは妥当でないと考えまして、政令に譲りました次第でございます。まあ大体考えられますことは、こうした臨海地域開発をいたしまして、そこが全く完全な区画整理のできた地帯としてできまする場合には、それに隣接する地域にも区画整理を関連させまして、そして道路の関連、水路の関連等をしなければならない場合等も起きてくると思います。あるいは鉄道等の運輸機関関係等も起こって参ると思います。なお、今御指摘のございました工業用水等は、工場地帯を造成いたしまする場合には、これは当然必要なことでございまして、特にこの種の立法考えました基本一つには、従来のような埋め立て開発の方式で個々に参りますと、結局工業用水計画も何もなしで土地が作られる、できた土地には工場ができる、水が必要だから地下水を吸い上げるということになりますと、せっかくできた用地が今度は地盤沈下をいたしまして、公共の力によってこれを挽回するということは、事実上なかなか不可能な事態というものが各所に起こってくるのではないかということを考えますと、工業用水等も、これは開発関連して当然やらねばならない施設として、総合計画において、審議会の議を経て基本計画を定めまする場合には、当然付加される、こういうようなことが今日の時代においてきわめて緊要であるということが、やはりこの種の立法を必要といたしまする根源であろうと私は思うのであります。工業用水の問題につきましては、これは単なる隣接地の密接不可分という程度ではなしに、お説のように、水利の問題、それから水域の問題、近ごろ各地においてやっておりまする多目的ダムとの関係等、いろいろございますので、ここに申しまする四条の後段よりは、私はもっと地域の離れたところにまで関係して参るのだと思うのですが、この四条の後段は、実は最も開発地域に接近いたしました背後地のことを考えて、背後地としてできた開発地域と密接不可分な諸事項が若干起こって参りますから、これらを処理する条文の基礎として、ここにこのような表現方法をとりましたわけであります。
  32. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 提案者のお気持、十分とまではいきませんが、ある程度どもお聞かせいただいて知ることができましたが、今お話のありましたように、そこに一つ土地を作りましても、やはり背後関係というものは十分考えていただかないと、ましてや、工業地でありまするから、水というものの関係がある。こういうような工業用水との関係、農業用水との関係は、非常に広く大きく高度に考えていただかないと、かえって片方が幸いをして、片方が災いをする、アンバランスになってしまうような結果にもなってしまうおそれがありますから、御説明をいただきましたような方法で政令内容等を考えていただくように、提案者としては、法案が成立した後、よく一つ御配慮を願いたい、こういうふうに思っております。  もう一、二お尋ねをしたいのは、先回どなたのお尋ねでありましたか、この法案と三省公団との関係ですが、提案者及び政府の御説明では、三省公団とこの法案とは期せずして一緒にいっているだけのことで、別段これと不離一体のものとは考えない、こういうような御説明をいただいておるのであります。当然だと思うのです。この法律ができるのかできないのか、まだわからないのに、片一方で三省だけが集まってこの公団を作るのだというように、設置についてのいろいろの資料やら方針を定めておられるようですが、こういうことを考えますると、提案者お話のように、必ずしもこの法案と三省公団というものは一体のものではないということは、これは解釈されまするが、しかし、これの内容をちょっと見ると、「臨海工業地帯開発公団設置について」というので三省から出しておる基本方針、この一の基本方針のところに、明らかに、臨海地域開発促進法に基づき、すみやかに臨海地域開発を実施する必要があるという説明をしておるのです。でありまするから、これは先回のこの御説明と全然違うわけなんですね。提案者の方は、こんなものがついてきてくれては困る、それは審議会で議を経た後に作るかもしれないし、作るべきだというように考えていらっしゃる。それが先ばしって、三省間だけでこういうものを作って進めていくということは、何かこの公団を作るためにこの法律を作るのだ、こういうふうにも憶測——憶測と言っては失礼ですが、そういうふうに解釈される向きも出てくるわけなんです。そういう点を一つ明らかにしていただきたい。前会と同じような御答弁でしょうが、これをずっと読んでみると、もうできたもので、その上に乗って作るのだということで、三省もどんどん進められておる。もととなる法律案はまだ今日審議の過程だというのに、聞いてみると、今言ったような答弁だというのでは、全く食い違い過ぎるわけなんですが、その点もう一ぺん明らかに提案者のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  33. 中村梅吉

    中村(梅)議員 私どものこの法律案立案及び提案いたしました考え方を率直に申し上げますと、これからこの法律に基づく開発地域を作りますことについては、審議会法律成立の後にできまして、審議会で十分に議を練り、また各方面の要望等を受け入れまして審議をいたしました結果、指定地域を設け、指定地域ができたものについて基本計画を立てて、実施方法を考えるわけでございます。三省の構想として予算要求等に出ておりまする地域の中にも、この指定地域になるものがあると私は思います。そうなった場合に、今三省で考えられておるような公団ができておりまする場合においては、この審議会で十分審議した結果、その公団に担当せしむることが妥当であるという場合が必ずたくさん出てくると思います。従って、三省の考えておりまする構想と歩調は別々に出発をし、今日も考えは必ずしも一体ではございませんが、私どもとしては、そういう公団ができることについては、実は歓迎をいたしておる次第でございます。同時に、今御指摘になりました臨海地域開発促進法に基づく云々という点でございますが、これは三省の構想による予算要求は、昨年、三十四年度予算編成の際から企画がありまして、予算要求をされたものであります。その後この立法計画をわれわれは別の角度から立てまして、提案をいたしました。そこで、三十五年度予算編成に際して目下この法案提案をされておりまするので、三省合議の上、予算要求をいたします公団の方でこの法律と結びつけた御説明をなさった、その説明書であると私は思うのであります。今後かりに三省公団なるものが予算化されまして、公団設置法が国会に出まする場合にはどういう御説明になるか知りませんが、予算要求の説明資料としてそういう御説明をなすったのではないかと私は実は想像いたしておるのであります。繰り返すようになりますが、この法律案におきましては、三省の構想であります開発地域全部を指定地域にしなければならないとは実は考えておらない。規模の小さいもので——このような総合計画審議会に付して行ないますが、総合計画の必要のない部分も必ずあると思います。必要のあるところもあると思いますから、合致する部分も起こって参りましょうし、合致しない部分も起こってくるのではないかと考えております。
  34. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 本法律案提案者としてはさような御説明であろう、また先回もあって、それ以上のことはできぬと思うのですが、実際これを見てみると、今年度政府からとにかく二十五億の要求を出しておる。そして、これをやるのはすべて臨海地域開発促進法というものがこの上に立っての要求もし、事業の運営もしていく、しかも——実際三省ばかりの関係じゃないのです。今の提案者の御説明を聞いてみると、すべてこれを三省でやるのが最も理想的のようにお考えになりますが、何と言ったって、海を埋めなくちゃならない。海を埋めるについては、一番最後にお尋ねをし、お願いもしようと思いますが、漁場を失う漁民の立場考え農林省なんかが全然関係していない。まだ法律もできないのに、勝手に三省がこれを基礎として政府に要求をし、またこれを運営していこう、しかも土地を使用しておるところの漁民の立場というものはさらにいれられずに、いかにも、今日議論をしており、審議をさしていただいておりますこの法案をうしろだてにして独走している感があるんですよ。これは先生方のようなりっぱな人の耳には入らないかもしれませんが、世間ではとかくの批判を受けておる。これは私はかけ出し者ですから、率直に言えると思うのですが、これが非常にこの法案に対する疑義を抱かせておる一つの材料になっているのです。だから、その点を、あとからついてくるのはよその立場のものであって、全然考えないと言っておられますが、そうでもないと思うのです。その点、もう少しお聞かせいただいたら幸いだと思います。
  35. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これは私どもから率直に申しますと、独走ということよりは、三省構想の方が先行しておった。これはそういう公団ができるにいたしましても、いずれにしても、臨海地帯開発については、かなり広い面にわたって総合された計画が立ち、またその計画が実行されなければ、国家的な目的を完全に果たすことが至難である地域全国的にございますから、そういう地域開発についてこの種の基本的な法律がどうしても必要であるという建前に立ちまして、われわれはわれわれの立場検討を加え、そうして立案をいたしましたのがこの法律案でありまして、これは、三省で公団の構想を立て、また始められたよりもはるかにおくれて実は立案が終わり、提案をいたしたのでございます。従って、この法律ができまして、審議会が十分審議をして指定をされまするところは、私はどうしても三省の公団が開発をしたいと考えておる地域とは必ずしも合致しないと思うのです。もっと総合的な施策を必要とするところだけを指定するということになっていこうかと思うのであります。
  36. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 私も、三省公団のこの経緯、経過につきましては、正直に申しますと、まだ一晩勉強したばかりで、よくわかりませんが、今の御答弁でほぼわかるんですけれども、しかし、世間でいわれ、また私どもがそうかとも思われる向きもあるのですから、御答弁は御答弁として、私の考えはまたの機会にもう一度委員長のお許しを得てお尋ねをさしていただくことにしたい。  最後にもう一点だけ、竹谷委員にまことに相済みませんので、簡単にお尋ねしたいと思いますけれども、再三言っておられますように、こういう土地造成をいたしますると、一番被害といいますか、関係の深いのは、新しく世界を作るんじゃなくて、現在利用している立場から考えると、漁民で、漁民というものが非常に大きな関係があるのです。一昨々日でありますか、漁民の協同組合の大会もございました。ただいまもここへそれに対する意見書というんですか、陳情書要望書が配られたようなわけであります。でありますからして、ただ漁場が奪われるということばかりじゃなく、汚水なんです。きょうも私は農林水産委員会で水俣病をやって参りましたが、必ずこういう問題が起きてくる。汚水の問題、あるいは漁業者の漁業補償、あるいはその職を離れた者の補償問題等、これは一つ十分考えてやっていただきたい。特にそういうことについて、せっかく画期的な法律ができて、日本の将来、産業のために工場敷地を作ることは、私どもは絶対に反対をするものではありませんで、賛成ですが、それならそれのように、こういうような大改革をするんですから、そういう面と同時に、失われるものと、将来支障のおそれのあるもの等の補償対策なんかも、これはこういうようなことをするんだというくらいのことは、この法律案の中にうたっておいていただいてもいいと思う。これは先ほど理事会のときにも先生聞いておられたと思いますが、理解ある施行者であり関係者だと、早く漁場問題が解決いたします。しかし、どうもそこがこじれて参りますと、一つのきめ手もないので、これが非常におくれていくし、不安の的になる。だから、今申し上げたように、これだけ大きな法律まで作って、新しい臨海工業地帯を作ろうというのですから、これに関係のある漁民、また将来汚水なんかにも十分な配慮をするように明文化しておく方が、今後——ここばかりじゃない、日本の工業、産業の発展のためにも、また漁民諸君の気持の上からも、私は安心感が抱かれると思うのです。これはむずかしいことだと思いまするが、これだけの法律を作っていくのですから、この機会に、将来漁民に補償と安心感を与えるために、明文化しておくべきだ、私はこう思うのです。  それと同時に、今度の審議会メンバーに、——私は、議論じゃなくして、お願いをいたしておきたいのは、一番利害関係の深い漁民の代表を審議会の中に入れて、一つすべての案を作っていただくような御意思は持っておっていただけるだろうと思うのですが、その点も一つ聞かしていただきたいと思います。
  37. 中村梅吉

    中村(梅)議員 審議会メンバーにつきましては、学識経験者として就任を願う方々が十名ということにいたしておりまするので、その中には、たとえば、今お説のように、公用水面埋め立て開発につきましては、漁業関係等はきわめて重大な関連がありますから、その代表者に入っていただきまするとか、あるいは先般来、都道府県知事を入れたらどうかという御議論もございますが、都道府県知事の中から、若干の人に代表的に学識経験の委員としてお入りを願うとかいう方法があると思います。私どもも、ぜひそのような方向に学識経験委員が人選されることを期待いたしておる次第でございます。  次に、お答えが逆になりましたが、漁業者の補償の問題を初めといたしまして、離職をいたしましてから後の就職の問題、あるいは汚水の関係、このようなことは実に重大な問題でありまして、私ども今のように、臨海地帯開発埋め立てというものが、一企業者や何かによって、都道府県知事の免許を受けて実施をされておるというようなことで参りますと、これこそ、これらの点が十分に満たされないと思うのであります。この立法の角度から申しましても、実はそのような点に万全を期するような方法を基本計画の中で立ててもらいたい。そうするのには、十分審議会の議を経て立てまするこの基本計画で、補償基準でありまするとか、あるいはまた、離職をいたしました漁民の中でも、十分労働能力を持った者に対しては、相当大規模の開発をいたします場合においては、その地元府県と政府側と十分連絡をしまして、地元府県に委託をするか何かいたしまして、その職業訓練等をいたしまして、それらの人たちが労働能力がある限りにおいては、開発をされた地域にできまする工場その他事業場の適当な仕事につけるような職業訓練をいたしますとかというようなことも、基本計画の中にぜひ織り込んでいくべきであり、そういうふうになることを実は期待いたしておるのでございます。  汚水につきましても、汚水に関する立法が行なわれておりまするが、これを厳守せしむるということは、何らかの規格を与えなければ厳守至難の場合もあり得ると思いまするから、これらの点につきましても、当然総合的な基本計画を立てまする場合に、それらを全部検討をいたしまして、それを含めた基本計画を立てるようにわれわれは期待をいたしておるわけでございます。しかしながら、この法律案議員立法でもございまするから、あまりこまかい点にまで触れるということはどうかという配慮から、実はこまかい点には触れておりませんが、基本的なことだけをきめまして、そうして公正な審議会において十分議を尽くし、各方面の意見も聞き、識者の意見も聞いて、それらが織り込まれて万全の基本計画を立てて、それが実施に移されるということが望ましいのでありまして、その方向に進めるのには、この種の基本立法が必要であるという考え方に立っておるわけでございます。
  38. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員 ただいま提案者からあらゆる方面からの御説明をいただきまして、了承いたしました。提案者の口からもお話がありましたように、これは議員立法で、役人が出したというか、政府が出した案でありますと、この責任というものは政府は十分考えるのですが、今までの例から私ども聞いておるところによりますと、議員立法というものに対する予算の裏づけの努力が、政府、役人というものはどうも薄いように聞くのです。だから、最後にお尋ねいたしました漁業者の関係等でも、提案者が特にけっこうな考えを持っておられても、実際においてそれが予算措置等において行なわれないということになりますれば、せっかく基本法をお作りになっても前進しない、これが大きな支障になっていく、こういうことでありますから、これらは一つ十分今後考えて、方策をこの委員会においてもっとはっきりとお示しをいただくように、もう少し研究を進めていただきたいと私は思うのです。  それと同時に——竹谷先生にお許しをいただいたんですから、私は時間をとってもいけませんから、これでやめます。ただ一点、先ほど申し上げました三省公団、それの関係は、どうも提案者説明を了承しかねますので、私は勉強をして、次の機会にもう一度委員長において発言を許していただく機会を与えて下さることをお願いして、質問を打ち切るわけです。何となれば、これはどう考えても非常に範囲が広い。農林省等においては、干拓計画も立てておる。三省でそういうことを無視して新しい計画を立てる、こういうようなことがあってはならぬ。だから、それらの点等も考えまして、三省公団に対するその他のことはほぼ了承しましたけれども、この問題についてはまだ了承しかねますので、また次の機会に、いつでもけっこうですから、発言の機会をお与えいただくことを特にお願いして、質問を終わらせていただきます。
  39. 寺島隆太郎

  40. 竹谷源太郎

    竹谷委員 この法案の第一条を見ますと、経済の発展及び人口の増加の趨勢にかんがみまして、臨海開発区域を指定して、いろいろ基本計画を立てたり、そうして実施する、こういう法律のようであります。臨海開発区域の指定、これは最初の大きな問題でありますが、提案者として、臨海開発審議会審議をしてもらってきめてもらうのだというようなばく然たることでは、とうていこの法案審議はできません。大体の構想提案者にはあるはずでありまして、どういうような地域がまず指定になるべきものと考えてこの法案をお出しになったのであるか。指定せんとする提案者考えでいいんです。これはそれぞれ法律ができたら、それに従ってきまるのであって、今からどうということは指定はできないけれども、こういう地域指定することが必要であり、またこの法律を作る趣旨であるということくらいの具体性がなければならないと思う。どういう地域指定しよう、こういう腹がまえであるか、まずそれをお伺いしたい。
  41. 中村梅吉

    中村(梅)議員 大体の考え方といたしましては、最近の経済企画庁等における調査等から見ましても、日本の産業発展の度合い及び将来の見通し等から見て、臨海地帯開発を行ないまして、そういう地域に立地条件として発展すべき産業部面の量等を、私どもとしては統計的に自分自身で調査するわけには参りませんが、経済企画庁等の調査から考えまして、その必要性を大いに痛感をいたしておるわけでございます。しかして、それを実行に移して参りますについては、でき得るだけ各地方に分布されて、人口の問題あるいは産業の分布状態等も適正に行なわれていくことが望ましいと思うのであります。しかるところ、現状はこの種の基本的な立法や総合的な企画がございませんから、現状は個人の埋立会社等があちらこちらできまして、採算主義でそれが行なわれておるというのが実情であろうかと思うのであります。かような状態にゆだねておきますることは、非常に臨海地域開発というものが片寄りますることと、同時に、開発されたものが、港湾計画の上からも適当でなかったり、あるいはまた、工業用水その他、人口の分布の上からも、あるいは交通運搬の上からも適切でないような状態のもとに開発をされていく可能性なり、危険性が如実にあるわけであります。これらを国全体の立場から、できるだけ高度の総合性と施策を付加して進めさせるのには、この種の立法が必要であるという考え方に立ちまして、本法案提案をいたしたわけでございます。     〔委員長退席、濱田(幸)委員長代   理着席〕
  42. 竹谷源太郎

    竹谷委員 中村議員の言われた抽象論については、われわれも同感であり、そのように思うのでありますが、さてしからば、それをわざわざこのような法律を作って、どのような地域臨海地域指定して、今後発達させていくかという、ある程度構想が必要なんでありまして、その構想提案者としてはお持ちになっていないのであるか。そのうちの五か十の例でもいいのです。たとえばどういう地帯——全部を網羅はできますまい。しかし、あなたがお考えになっている点でこのような地域はぜひ必要である、このようにお考えになっておるものがあろうかと思いますが、それを一つ御例示を願いたい。
  43. 中村梅吉

    中村(梅)議員 現に採算主義でのみ埋め立て開発が行なわれておる地域がございまして、これを放置いたしますることは、今後国として、また公共の上から、非常に支障を来たすような事態が私は見受けられると思うのであります。そこで、そういう地域は、検討の上、当然に指定地域にしていただきたいということを立案者といたしましては熱望をいたしております。さらに、先刻申し上げましたように、臨海地帯に適する産業が相当の速度で伸びて参るといたしますると、それらの臨海地帯であることを条件とする諸産業ができるだけ各地方に分布されることを望まなければならないと思いますので、それらの点につきましては、この基本的な立法ができまして、各地方要望等も起こってくると思いますから、その要望に沿うて審議会があらゆる角度から検討し、輸送の関係、あるいは港湾をどうするかという関係、あるいは背後地との関係、人口の分布等の関係、あるいはそこに就業いたしまする労働力の関係等、あらゆる角度から検討をいたしまして、そしてできるだけ全国的に各方面に指定地域を分布してもらいたいというように私は考えているわけでございますが、これらの事柄につきましては、私ども議員立法をいたしますにあたって、われわれ自体がどことどこというふうな工合考えを浮かび出させるということは、どうも僣越になるのではないだろうか。従って、今申し上げましたような趣旨に立って、本法によります、内閣総理大臣中心とする審議会において十分に検討の上、逐次指定地域を作っていただきたい、かように考えているわけでございます。
  44. 竹谷源太郎

    竹谷委員 指定すべき地域は、抽象的にお話しになりました、すなわち、東京湾とか、伊勢湾とか、あるいは大阪湾だとか、そういう現在埋め立てが行なわれており、何とかこれを規制するなり、あるいは発展させなければならぬ地域、それに加えて、今後の国土開発上、全国的に臨海地域の分布、産業の立地条件の整備、こういう必要から指定していきたい、この趣旨はむろん私ども異存はないわけであるが、はたしてそうであるとすれば、日本にどのように工業を分布すべきか、すなわち、日本の地域的産業構造をどのようにしたらよいか、しこうして、その産業立地条件のうち、臨海地域でなければならないものはどれであるか、このような全国的な計画がなければ、たといこの法律ができても、いかんとも手の下しようがない、指定もできない、これは目先だけの区域を指定するだけに終わってしまう、こういうふうになるのではないかと思う。それならば、今、昭和二十六年に制定された国土総合開発法という法律があって、その中には綿密に規定がしてある。まず第一に、全国総合開発計画というものをこの法律によって策定をしなければならない、次は、都道府県単位で総合開発計画を作る、また第三には、数府県にまたがる共通の場面、あるいは一緒に開発すべきものについては、地方総合開発計画としてこれまた策定する、なおそれに加えて、特定の地域のために特定地域総合開発計画を作る、このように四段階で国土の総合開発をするという法律がすでにできておるわけです。この四つの総合開発計画に共通することとして、この国土総合開発法の第二条に、開発計画基本的な方針が書いてある。その三番目には「都市及び農村の規模及び配置の調整に関する事項」これは都市、農村の地域構造の計画であると思う。その次には、「産業の適正な立地に関する事項」次は、「電力、運輸、通信その他の重要な公共的施設の規模及び配置並に文化、厚生及び観光に関する資源の保護、施設の規模及び配置に関する事項」このように、あらゆる全国的あるいは都府県計画地方計画、あるいは特定地域開発計画、これらは当然に国土総合開発計画によって、地域的産業構造、産業配置の方針、立地条件、公共施設の規模、配置というものが定められ、それによって実施せらるべきものであって、従って、港湾なりあるいは埋立地域というような、産業の立地条件となるべき工業施設につきましては、当然総合開発計画によって行なわるべきであり、また、この計画なくしては、その枝葉末節の基本計画を作れないし、作ったところで意味をなさぬ、こういうことになると思うのでありますが、国土総合開発法経済企画庁所管である。企画庁長官はおりませんが、きょうは経済企画庁開発局長がお見えでございますので、一体経済企画庁としてこの法案に対していかなる御所見を持っておるか、それを承りたいと思います。
  45. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 お話のございましたように、国土総合開発法に基づきます国土の総合開発計画としては、全国計画地方計画、都府県計画特定地域計画等、いろいろの計画がございます。その計画を作ります内容は、法律の二条に書いてあるようなものとなっておるわけでございます。  そこで、臨海地域開発基本計画を、わざわざ別に法律を作らなくても、国土総合開発法で作っていけないかどうか、こういう問題でございますが、臨海地域の区域は、私ども国土総合開発法によります、たとえば特定地域開発の区域と比べてみます、特定地域開発の区域は非常に広い区域でございます。そのうちに、河川なり山なり、いろいろな資源がございますのを開発し、あるいは治水の計画を立てる、こういうようなことをやっておりますのが特定地域計画でございますが、臨海地域は、そのごく一部につきまして、別々の特別の、埋め立て中心とした計画ができるようになっておるわけでございます。そのほか、これまでの本委員会におきまして御質問もありましたように、法律上は絶対に不可能ではないとは言いながら、別に法律を作った方がよろしいような条文も、この臨海地域開発促進法案にはあるわけでございます。私どもも、この臨海地域開発国土総合開発法でどうしてもできないというものではございませんが、しかし、審議会委員関係なり、あるいは公有水面埋立法関係なり、あるいは特殊の機関を作るという関係なり、国土総合開発法と非常に建前が違ったところもございますので、別に法律を作って特に臨海地域につきまして開発を促進していくということは、適当なことではないかと考えております。
  46. 竹谷源太郎

    竹谷委員 私が開発局長にお尋ねしたいのは、そんなことではなくて、このような臨海地域に関する開発計画特別法を別に作っても、そのもととなるべき企画庁の全国的な計画、または地方的な総合開発計画がなければ、勝手ほうだいに独走されたのでは、企画庁が困りはしないか。企画庁は消極的で、仕事をしないからというので、建設省なり通産省なり農林省、あるいは議員までが、それに加わってやっさもっさやられたのでは、全く経済企画庁の面目まるつぶれといわなければならない。みずからやらなければならないことをやらないでおいて、そうしてやれるかもしれぬとかなんとかいう問題ではなくて、そういうことを勝手にやられたのでは、それに拘束されて総合開発計画というものは樹立できない。企画庁として根本的な、基本的な問題としてそれはどういうふうに考えるか、それを聞いておる。
  47. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 国土総合開発法に基づきます、たとえば全国開発計画というものができておりまして、これによっていろいろな工業の立地なり何なり計画がきちんと立っておる、こういうことになっておりますと、この計画に基づいて臨海地域もきめて参る、そういうことができていくわけでございます。これは私ども事務的に、はなはだ申しわけないと思いますが、現在全国開発計画構想は一応できておりますが、これはまだ計画として公表するに至っておりません。ただ私ども各省と十分連絡をいたしまして一応全国開発計画構想を持っておりますので、計画として閣議決定にはなっておりませんけれども、その構想に従って臨海地域開発を進めていくということであれば、まず全国的な見地から見て、そう私どものやっておる仕事と間違いを起こすことはないというふうに考えておるわけであります。
  48. 竹谷源太郎

    竹谷委員 昭和二十六年にこの法律はできた。それからすでにもう八年を経過して、今の答弁では、まだ全国開発計画ができておらない。構想はあるけれどもと言うが、これははなはだ怠慢といわざるを得ない。その構想はこの臨海計画とあまり変わりもないだろう、こういうお話であるが、変わりがないかあるか、われわれはその構想を知らないので、審査のしようがありません。そこで草案ではありましょうが、もし全国開発計画構想があれば、これをお示し願いたい。それをお示し願わないと、この法律家の審議もできません。こんなものを作ったって意味をなさないかもしれないというので、あと回しにせざるを得ないと思うが、港湾あるいは臨海地域に関しましてはどのような産業配置の計画であるか、どのような埋め立てをしなければならないか、どのような臨海地域工業地帯を造成しなければならないか、施設をしなければならないかということは当然、産業、のうちでも最も重要な工業用の立地——あるいは農業用の農地造成せられることもありましょうが、非常に重大な日本産業の基盤となるべき地域の問題であります。これが全国計画の実に重要な部分を占めることであって、この構想臨海地域に関してはどのような構想を持っておるか、今ここで明らかにしていただく、また資料によって詳細にわれわれに示してもらいたいと思うが、その点はできますかどうか。
  49. 磯野太郎

    ○磯野説明員 臨海地域につきましてどういうような産業が適当であって、それについて現在の段階でどのような計画があるかという御質問だと思いますが、通産省といたしましては、従来のいろいろな経験に徴しまして、臨海性を持っております産業といたしまして、たとえて申しますと鉄鋼、石油、火力発電、アルミニウム、セメント、石油化学あるいは合成繊維、紙パルプ、自動車、機械、こういうふうな、分けますと、主として重工業と化学工業というふうなものが、原材料の搬入の関係、製品の輸送の関係、それから水の関係その他によりまして、臨海性を持っておるというように考えております。逆に申しますと、機械工業の中の精密機械工業、それから繊維工業というふうなものは別に臨海地に限りませんので、内陸部で十分育成、立地で青るというように考えております。大体産業の関係はそういうように区分けをして考えておりますが、一方、この間も申し上げましたように、全国の工場適地と認められます百十六カ所の地点について、それぞれ四十数項目にわたって産業の立地条件を調査いたしました。これはある程度の結論も出ております。それから、こういうふうな、ただいま申し上げました臨海性を持っております重化学工業の将来の計画につきましては、これはただいまのところ、たとえば新長期経済計画に準拠いたしまして、それぞれ各産業界で長期計画を持っておるわけでありまして、大体五、六年ないし七、八年の長期の生産計画は一応あるわけであります。それで今申し上げましたように、産業の臨海性の問題、それから長期生産計画の傾向、それから一方、個々の地点の産業立地条件、そういうものを組み合わせ判断して、一応こういうふうな地点にはこういうような産業が好ましいという程度考え方なり、調査はでき上がっております。ただ、これは申し上げるまでもございませんが、現在の自由企業体制でございますから、通産省といたしましては、産業の振り分けはいたしておりますけれども、個々の企業の立地の仕方、あるいは地域への進出については、これは個々の企業の自主的な判断によって行なわれている、こういうふうに考えます。
  50. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今通産省の磯野企画局次長からお話がありましたが、少し質問がありましたが、少し質問の要点をはずれているわけですが、今お話があったので、お尋ねしたいと思います。政府は、ことしの春以来、国民所得倍増ということを言っている。これは大体今のままでもいくかもしれない。かりにそうだとして、十年後の日本の経済のあり方から見て、工業の構造もだいぶ変わるであろうと思う。今おっしゃったような石油化学なり、石油精製なり、あるいは鉄鋼なり、火力発電なり、いろいろと重要物資の運搬が行なわれ、また海外から原料資材の輸入が必要である、こういうような考えから、臨海地帯であることが、最もコストを安くする便利な場所である、こういう産業が、国家の基礎原料、第二次製品を作る原料の重要産業として、できるだけ安いコストで作らなければならぬ、そして日本の製品が安くできるようにしなければならぬために、臨海地帯であることは妥当であろうと思うのだが、そういうふうに、どうしても臨海地帯でなければならないという産業が、今後十年後の経済の姿に応じて、そういうものが工業のうちの一体何%を占めるのであるか、これはみんなそういう臨海地帯に持っていかなければならない、山の方や平地の方は、もう仕事がなくなる、工場がなくなる、海にばかりいってしまって中はがらあき、そういうことにならなければならないのか、それとも、臨海地帯にはどうしてもこれは集中しますから、それはなるべく避けて、広く日本全体に産業が分布せられて、非常に普遍的な産業の地域的な構造を作るということの計画考えなければならぬ、十年、二十年先を見通して臨海工業地帯造成も、総合計画から見て、しなければならぬ、そういう場合の判断の材料として、一体どのくらい臨海地帯に持っていかなければならないか、なるべく臨海地帯に持っていくものをチェックしていくとしても、どれくらいは持っていかなければならないか、どれくらいは平地に持っていき、どれくらいは、内陸というか、海から離れたところでもいいか、あるいは山村地帯でもいいか、そして今開発されてないところでも、工業を持っていってその地帯の民度を高める、失業者の救済もやる、普遍的に日本に産業が分布せられて、もっと均衡のとれた日本の社会を造成する、こういう方向にいかなければならないのじゃないか、こう思うのでありますが、そういう意味で、私は、臨海地帯に一体どれくらい十年後の姿において持っていかなければならぬものであるか、そういう調査が通産省にあるかどうか、お尋ねしたい。
  51. 磯野太郎

    ○磯野説明員 今御指摘のございました点については、まだ詳細な調査資料はございませんので、大へん申しわけないと存じておりますが、大まかな数字といたしましては、ただいま工業用地が大体一億三千万坪というふうに一応相なっております。今後十年間に所要となる工業用地は、大体一億坪というふうな一応の見通しをしておりますが、その中の大体六千万坪程度が、一応ただいま申し上げましたような業種を中心にして、臨海地における工業用地造成、残り四千万坪が、大体内陸部における工業用地として造成されると考えております。工業、産業の地域分散としては、ただいま御指摘のように、通産省といたしましても、現在すでに御承知のように過度の工業、産業集中がいろいろな産業立地条件の基盤にゆがみを与えたり、あるいはいろいろ国民生活その他に相当の負担を与えつつある現状でありますので、なるべく地域分散の思想に立って、適地適産主義によりまして工業の分散をはかるべきだというふうに考えております。
  52. 竹谷源太郎

    竹谷委員 将来の必要な工業用地が一億坪、そのうち六千万坪は臨海地帯に対する造成、こういうのですが、その六千万坪というのは、多分特別なものを除いては、海の方が、原料の搬入、製品の搬出からいって、また消費地が近いという点からいって、現在の状態のまま問題を考えればそういうことになるのですが、それは十年後の日本のもっと計画された経済に基づいて、産業の適正な配置が行わわれるという時代のことを考えない想定の目標じゃないかと思う。それとも、もっと計画された、少し理想を経済構造の上に実現したものにおいて考えたものであるのかどうか、それをお尋ねしたい。
  53. 磯野太郎

    ○磯野説明員 臨海性の問題につきましては、ただいま申し上げましたようないろいろな問題のほかに、たとえば鉄鋼業をとって考えてみますと、十年前までは、鉄鋼一貫作業の工場の敷地につきましても、大体百万坪あればよいというようなことになっておったわけでありますが、最近では、規模の拡大によって大体二百万坪から二百五十万坪、高炉を二、三本作りますと、それくらいの敷地が要るというくらいなことがいわれておりまして、大体それが実情であります。そういうふうに、どうしても今後産業の発展に伴いまして、企業としての経済単位が非常に大きくなるというふうなことからいいますと、所要敷地が非常に大きくなるわけでございますが、そういう点も入れますと、やはり農地関係、あるいは住宅地の関係その他を考えてきますと、土地のないところに土地を作っていくということが、やはり一つの大きな手段であるように考えておるわけであります。ただ、先ほど申しました十年後の工業用地一億坪の、六千万、四千万坪というような振り分けにつきましては、一つは、御指摘になりましたように、この内陸、臨海の開きにつきましては、大体現在の段階に立って、現在の段階におきます産業立地条件を前提としてそのような考え方をいたしております。従って、今後国の大きな政策によりまして、地域間の格差を埋め、あるいは産業の分散というふうなことから、現在の段階では産業立地条件が整備されておらないところに、今後社会的資本の増加といいますか、そういうようなことによって産業立地条件が整備されて参りますれば、またこの数字は多少変わり、あるいは考え方も、そういう点からもう少し検討する必要があると思います。大体そういうふうに考えております。
  54. 竹谷源太郎

    竹谷委員 将来一億坪の工業用地造成する、そのうち六千万坪が臨海、四千万坪しか奥地へ持っていけない、こういうことになると非常に今産業いんしん地帯が、ますます産業いんしんになり、一方ではますます人影まれなる里になる、日本はこういう非常にへんぱな発達をする。しかし、もっとそれに政策や理想を加えれば違っていく、こう今おっしゃったのであるが、私はいろいろな観点から想定をして臨海地帯は二、三割でよろしい、奥地を五、六割というところにうまく配置をして、産業の立地条件を検討しなければいけないと思うのです。むろん、今は生産のコストということを無視してはできない。むろん、経済の発展のためには、経済的な合理性のもとに発展をさせていかなければならぬが、それは国の政策によって合理的になるように是正ができる。それが国土総合開発計画でなければならぬと思う。そういうふうにして、将来工業用地が一億坪、そのうちどれだけ臨海地帯に持っていかなければならぬかというような問題が十分に検討されなければ、この臨海工業地帯をむやみやたらに作っても、台風がくればみんな沈没して、またもとの海になってしまう、こういうようなことは、全く金をむだに海へ捨ててしまうという結果になることであり、そういう意味からも、この問題は、日本全体の全国計画というものをもう少しはっきりさせてから、それに基づいてこういう臨海地帯開発というようなことをやっていいんじゃないか。間違いを起こして、あと是正ができなくなる、こういう危険を非常に感じるわけでございます。  そこで通産省にもう少しお尋ねしたいのであるが、われわれのところに「新規工業地区立地条件調査について」という参考印刷物をいただいておる。これは全国各地のずっと目ぼしいところをあげて、何がしかの費用を出して、通産省がずっと数年来調査をしているようであるが、これを見ましても、臨海地帯でないところはほんとに少ないのですね。これは、今までの工業発展の趨勢から見てやむを得ないことであろうと思う。だからこれは、通産省ばかり責めるわけにはいかない。どうしても経済企画庁において全国的な経済開発計画を立てて、もっと総合的に日本の経済が発展するように、もっといい姿に国土開発されるように、大至急検討してもらわなければならぬ。それをやって、そして臨海地域問題等に取っ組めばいいと思う。中村さん、そういう情勢であるのに、何も急いであわててやる手はないと思う。それを勘案して、間違いのない政策を……。     〔「自民党は一人もいないじゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕
  55. 濱田幸雄

    ○濱田委員長代理 今連絡しているから、すぐ来ます。
  56. 竹谷源太郎

    竹谷委員 きょうはどうですか、お流れですか。あしたにしましょうか。
  57. 濱田幸雄

    ○濱田委員長代理 どうか継続願います。今自民党の委員に連絡していますから、竹谷さん、どうかお願いします。
  58. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そこで中村さん、今のように、この法案を実施するについては、その前提となるべき基礎工事がまだ行なわれていない。土台をやっていないのに家を建てたら、ひっくり返るだけですから、これはもう少し慎重に考慮してはいかがでございましょう。私は今一例を質問しただけなんであるが、いろいろな問題でこういうことにぶつかってしまって、せっかくこの法律を作り、そうして審議会などを発足さしても、審議会としては手のつけようがない。臨海地域開発審議会国土総合開発計画をまず作らなければならぬ、こういうことになって、政治が非常に不統一になる。まず、企画庁においてすみやかに全国計画を立て、それに基づいて、臨海地帯はどうするか、首都圏はどうするか、あるいは地方計画はどうするか、こういうことをきめないと、場当たりの政治で——北海道開発計画で八百億円をどぶに捨てたと悪口を言った人もあるが、まさか全部どぶに捨てたわけではない、中には効果のあった金もあると思いますが、そういう点も勘案して、せっかくこういう法案を苦心して作られたのであるが、この法案がよりよいものになり、よい効果を現わすために、今あります国土総合開発法というものを完全に実施さすように政府を鞭撻する方が大事じゃないかと思う。いろいろこういうことを尋ねていくときりがないわけですが、中村さん、その点についてはどうですか。
  59. 中村梅吉

    中村(梅)議員 竹谷さんのお説のように、将来発展して参りまする各種産業を、あるいは山間部に、あるいは内陸地帯にできるだけ適切に分布をはかっていくということは、私ども同感でございます。しかしながら、目下想定されておりまするところだけでも、十年以内に臨海性を持った工業用地として六千万坪は必要である、こういうわけでありまして、もちろん、この立法が行なわれ、臨海地帯開発に努力いたしましても、六千万坪ということはなかなか容易でないことでありまして、私どもは、かりにその二割として、千二百万坪にいたしましても、今から相当に総合的な企画を持って進んでいかなければ至難であろうと思うのであります。それともう一つ切実に考えますることは、現在は臨海地帯開発というものが、五十町歩未満の範囲におきましては、都道府県知事の認可にゆだねられまして、これによって各企業会社等が権利を獲得して進行いたしておるわけでございますが、五十町歩未満という一つの制限はありましても、やろうといたしまするならば、こまかく切って幾らでもできるわけであります。かように各企業会社が採算主義によって、埋め立てが数地点において、国内においても行なわれておるわけでありまして、これらの埋め立ては、たとえば防災の面からいいましても、何メートルの高さでなければいけない、どれだけの護岸をしなければいけないという制限なしに行なわれておりまするから、せっかくそれができましても、一たび何事か起これば、非常な災害を惹起するというような危険性もございます。また同時に、それらの埋め立て開発等が行なわれましても、それに伴う工業用水とか、あるいは人口の度合いとか、交通関係とか、運搬関係とかいうことが考慮を払われないで進行いたしまするために、将来を考えますると、非常に憂慮にたえない点があると思うのです。一例を工業用水について考えましても、埋め立て開発をされて、そこに工場ができますと、近来の工場は非常に水量を要しまするので、地下水を吸収する。その結果、せっかくできた土地というものがまた沈下をして、どうしても国家、公共の手によって何とか処置をしてやらなければならぬというような事態も、まことに憂慮されるのであります。その他、ただいま申しましたように、関連いたしました諸施設というものの総合性なしに行なわれつつある地帯が、全国におきましても、埋め立て採算ということが非常に有利である地域においては、相当に行なわれております。これを放置しておくということは、非常に将来のために容易でないことであると思いますので、この基本的な立法を行ないまして、まず、すみやかにこういうところを指定地域として、そして総合性を付加し、今後、国家的な見地に立って、心配のないような開発が進められるようにいたなさければならない。あわせて、それらの地域のほかに、今後臨海性を持って発展をして参りまする工業の立地等につきましては、全国に適当に分布されることが必要であるしいたしますから、この基本的な制度を作りまして、審議会に対して各方面から、あるいは各都道府県知事等から要望等を受けて、さらに検討しながら追加指定をしていくというようなことが、私どもとしては非常に焦眉の急務のように考えるのであります。全体ということももちろん非常に大事でありますが、当面いたしておりますそういうような企業採算主義で、悪く言えば、一面から言えば、利権的に埋め立て開発が行なわれておる地域が、御承知の通りございますので、これらに対して、相当の企画性、総合性を与えていく。また、場合によっては、そういう企業会社の事業実施では適当でない場合においては、特殊機関を設けまして、採算のとれるところと、とれないところを総合して行ないますとか、あるいは関連施設についても相当の投資を行なってその充実をはかっていくようにいたしますとかして参ります必要が非常に私はあると思いまして、かような緊急性といいますか、事柄を考慮いたしまして、この立法企画いたしたようなわけでございます。提案の趣旨のようなこととあわせまして、ただいまの御質問に的確なお答えになるかどうかわかりませんが、私ども考え方を実は率直に申し上げたようなわけであります。
  60. 竹谷源太郎

    竹谷委員 首都圏整備委員会の人が見えているので、首都圏整備のことをお尋ねします。首都圏整備法の第二十四条に「委員会は、既成市街地への産業及び人口の集中傾向を緩和し、首都圏の地域内の産業及び人口の適正な配置を図るため必要があると認めるときは、」云々、こうなっております。そこで首都圏整備委員会においては、どうでしょう、東京湾がますます埋め立てられ、そこへたくさんの工場ができ、そこに働く人たちも集中をしてくる。住宅が必要である。ところが、埋立地ではいつまた台風なんかでやられるかわからぬから、なるべく従来の陸地へ住みたいということで、首都圏は、ますます現在の東京なり横浜なり千葉なりが非常に人口が過剰になる、こういうことになるのでありますが、一体首都圏整備委員会としては、首都圏で増加した人口を首都圏内で消化すればいい、千葉県とか、埼玉県とか、神奈川県に居住させればいい、この首都圏内には幾ら人口が増大してもかまわない、こういう方針なんでしょうか、それとも、首都圏内の人口は、全体としてはある程度押える方針があるのか、それとも、東京都内だけこれ以上ふえなければいいと考えるのか、あるいは東京都において人口は一千万なら一千万、一千二百万なら一千二百万として、それ以上のものは、首都圏内の東京都外へ分布させるという考え方なのか、その点お答え願いたい。
  61. 黒田俊雄

    ○黒田説明員 首都圏整備委員会といたしましては、基本計画というものを——基本構想でございますが、昭和五十年を目途に立てまして、首都圏整備審議会の議を経、関係各省とも御相談申し上げ、首都圏整備計画基本計画というのを、おととしでごいざましたか、発表いたしました。その考え方は、今先生が申されましたように、一応現在の趨勢が続くことを前提にいたしまして、首都圏に集まってくるであろう——ただし、東京都を中心とした既成市街地に集中することは非常に好ましくない、よってもって昭和五十年までの二十年間に二百七十万人を衛星都市を整備することによってセツルしていく。そのうち、臨海工業地帯においてセツルするのに好ましいものについては、臨海工業地帯における衛星都市として整備する。大体七十五万程度になりましたでしょうか、まだ最終的なものはきまってはおりませんが、大体そのぐらいの程度臨海工業地帯、あとの約百九十万程度は内陸諸都市において吸収せしめるような方途を講ずる。ただし、衛星都市の整備につきましては、前期と後期と分けまして、前期百万、後期百七十万というふうに計画いたしております。後期の方に実は相当のウエートを置きましたのは、おそらく後期の十年間において、全国的な分担の計画も軌道に乗るであろう、あるいはこの百七十万が若干中断するかもしれない、こういうような考え方に立ちまして、現在のところでは、集まってくる人口については、一応既成市街地の人口の特に過度集中を押える、それから内陸地帯及び臨海地帯の衛星都市を工業的都市として発展させる、こういうふうな考え方に立っておりまして、東京湾の埋め立てが、衛星都市の建設という観点において総合的に進められる限りにおいて、必ずしも首都圏の構想とは矛盾しない、こういうふうな考え方に立っております。
  62. 竹谷源太郎

    竹谷委員 声が低くて聞き取れない部分が多かったので、もう一回お尋ねします。現在の首都圏内の人口の総数、昭和五十年にはその人口が何ぼに増加するかという想定を一つ。  それから東京湾の今後の埋め立てが、昭和五十年度までには何百万坪になるか、どのような埋め立てがあるという想定でそこに工場ができるとお考えになったのか、その数字をお知らせ願いたい。
  63. 黒田俊雄

    ○黒田説明員 首都圏の総人口は、昭和三十年におきまして千九百八十万人といたしまして、現在のところでは、昭和五十年に二千六百六十万になるであろう、合計いたしまして、六百八十万ふえるであろう、こういうふうな見通しに立っているのでございますが、そのうち、既成市街地とわれわれが申しております東京の区部、横浜、川崎、それから三鷹、武蔵野、並びに川口の連檐した市街地の人口が、昭和五十年には、おそらく自然のままに放置すれば千四百三十万にふえていくであろう。昭和三十年に八百七十万人おりましたのが、自然のままに放置いたしますと一千四百三十万で、五百六十万ふえるだろう、このうち、ふえても都市施設の整備その他で過大都市としての弊害は起こらないであろうという限界を三百九十万と押えまして、二百七十万人を市街地開発区域、いわゆる衛星都市で措置していく、こういう考え方に立っております。  それから、現在までに総合的な衛星都市の整備計画というのは、全体にわたってはまだ立てておりませんが、部分的にはいろいろとやっておるわけでございます。そのうち、埋立地につきましては、現在のところ、東京都の区部の前面におきまして三百十九万坪、横浜の前面におきまして百四十万坪、川崎で百六十万坪、昭和三十二年から十年でございますので、昭和四十一年までにこの三市の前面において六百二十万坪を行なうということは、首都圏整備計画といたしまして定めまして、官報をもって公布いたしました。
  64. 竹谷源太郎

    竹谷委員 その他の、伊勢湾なり、あるいは大阪辺等において、現在新たに造成というか、許可された水面埋め立て計画はどのくらいあるか。これは、先ほど要求がありましたが、建設省でわかっておりますか。
  65. 佐土侠夫

    ○佐土説明員 手元に資料がございませんから、正確な資料をあとで提出いたします。
  66. 竹谷源太郎

    竹谷委員 それから、ここに通産省、運輸省、建設省、三省の公団設置についてという印刷物があるのです。これは石山委員からあるいは質問したかもしれないが、資料の二ページの「公団の事業計画」の中ごろに「(2)事業予定地区」というところがある。この中に東北、北海道がのけてあるのはどういう意味であるか。それは東北開発あるいは北海道開発計画によって別途行なわれているから、公団としては関与しない、その他の地区考えるというのでこれはのけたのであるかどうか、お伺いします。
  67. 磯野太郎

    ○磯野説明員 御指摘のように東北関係が入ってないわけでございますけれども、この事業予定地と申しますのは、一応の予定地点でございまして、これは別に東北あるいは北海道につきましてそれぞれ開発計画があるというふうな考え方もございましたけれども、一応の予定地でありますから、今後いろいろな観点から検討されるべきものと考えております。
  68. 竹谷源太郎

    竹谷委員 公団設置については、先ほどからの質問応答を聞いておると、昭和三十四年度予算編成にあたって、その予算要求か何かやったという実績があるような話でありましたが、その通りですか。したとすれば、それはどこの省がやったのか。それとも、各省ばらばらに、自分所管に関しては自分の方でやって、まとめればこうなるのだ、こういう意味であるのか。
  69. 磯野太郎

    ○磯野説明員 ただいまお話がございましたように、三十四年度におきまして、これはいろいろ経過的に名称その他の変更もございましたが、最終的には工業地帯開発公団ということで、やはり三省から大蔵省の方に予算要求をいたしております。
  70. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そのときの予算要求は、この四ページの、昭和三十五年度予算と同じような収支予算をつけて予算要求をやったのだろうと思うのですが、政府出資金が二十五億、財政融資が七十五億、合わせて百億、こういうものを三省まとめて昭和三十四年度予算編成にあたって要求したのでしょうか。
  71. 磯野太郎

    ○磯野説明員 数字は三十五年度の数字と多少違いがあるかと思いますけれども政府の無利子の出資金、資金運用部の借り入れ、それから公募債による民間資金の吸収活用というような、予算全体に対する考え方は、お手元にございます三十五年度要求と大体同じような考え方をいたしております。
  72. 田中織之進

    ○田中(織)委員 関連して。その点について、この前の前の委員会でありますか、長谷川委員からも質問をいたしたのでありますけれども、三十四年度の予算を要求するときは法律の根拠はどこに置かれておるわけですか。
  73. 磯野太郎

    ○磯野説明員 三十四年度に予算要求をいたしましたときには、本委員会でもいろいろ御審議がございました。要するに、産業の臨海性指向というような考え方から、今のような法律提案はございませんでしたけれども、三省の考え方として、臨海地を中心として工業用地造成することが必要であろうというような考え方のもとに要求いたしたのであります。法律との関係はございません。
  74. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そのときにはすでに、自民党からの提案でありますけれども臨海地域開発促進法案が国会に提案されていたのではないのですか。それからもちろん開発公団ということになれば、公団に関する法律が予定されなければならないと思うのですけれども、前々からありますところの、たとえば国土総合開発法というような関係からくるいわゆる行政的な施策としてお考えになったということであればわかるのです。     〔濱田(幸)委員長代理退席、委員長着席〕 その点は、現に今議題になっておる法案がそのときにはすでに国会に提案されておったと思うのですけれども、それとの関連は全然ないのですか、どうですか、重ねて明らかにしていただきたい。
  75. 磯野太郎

    ○磯野説明員 法案との関係でございますが、三十四年度の予算として、ただいま申し上げました工業地帯開発公団の予算を三省で要求いたしましたのは、三十三年の十二月でございます。それから臨海地域開発促進法案提案になりましたのは、三十四年、つまりことしの四月でございますので、私どもが予算を要求いたしましたときには、法律案との関係は全然なかったのであります。経済基盤の強化というような構想のもとに要求いたしたのであります。
  76. 竹谷源太郎

    竹谷委員 公団の設置について、昭和三十四年度予算に三省が一致して予算の要求をやって通らなかった、こういうのでありますが、それならば、なぜ三省においてこの公団の基本となるべき法案考えておらないのか、それとも、ここに議員立法提案されたこれがそのときできておったのか、どうですか。公団だけ通して、あとは法律は要らない、こういう考えであったのですか。
  77. 磯野太郎

    ○磯野説明員 私ども三省といたしましては、予算の要求が認められまして、公団設置の予算がつけば、工業地帯開発公団法というふうな公団法を出したいということを考えておりましたが、予算がつきませんでしたので、それに至らなかったわけであります。当時といたしましては、その公団法以外に、私どもといたしましては、こういうふうな関係法律を出すということは考えておらなかったわけでございます。
  78. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうすると、公団だけ作って、それに関する法律だけあればいい。どの地帯をどうやるかというようなことについては、一体どこでその計画企画をやってもらうつもりだったのですか、その公団だけでやるつもりだったのですか。
  79. 磯野太郎

    ○磯野説明員 当時の考え方といたしましては、御承知のように、公団法は、公団に関します組織法でありますけれども、その組織法でありますと同時に、これは一部実体法的な規定も入っておったわけでございまして、具体的に申し上げますと、その公団がいろいろ事業をやる事業計画を作るわけでございますが、その公団の事業計画につきまして、関係省の三省でいろいろ審査をいたしまして公団の事業を進めるというふうな構想になっておったのであります。
  80. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうすると、この通産、運輸、建設の三省だけで、これは企画庁が入っておらぬ。全国計画あるいは地方計画がめちゃめちゃにされる危険がある。これはそれでいいんですかね。開発局長、その点、経済企画庁がオミットされて、勝手なことをやられてもかまわないのですか。
  81. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 私ども全国開発計画はできるだけすみやかに作りたいと思っておりますが、三省公団の構想なりあるいは事業予定地等につきましては、私どもは全然まだ聞いておらなかったわけでございまして、三省限りでやっておったのであります。
  82. 竹谷源太郎

    竹谷委員 日本経済の企画に当たる経済企画庁が知らないで、日本工業の最も重要な臨海地帯、そして工業用地、それからそれに関連する各種の公共施設、そういうことをやる仕事が、経済企画庁開発局と何ら関連なしに行なわれる、これは行政の不統一を暴露したものである、こういう点からして、これはいろいろとどうも疑わしい。これは一つこの四省においてよく協議し直して、この委員会へ来て答弁してもらわぬと困る。全くちぐはぐで、臨海地域開発計画、それが、日本全体の開発計画を担当する庁なり部局が知らない間に片一方が走っていくということは、これは権限の侵犯でもあるし、この点一つ次の委員会までに、これらの四省が思想統一をしてきて答弁をしてもらいたいと思う。まるでばらばらに走っているのでは、どうもわれわれどっちを信じ、どのようにこの法案審議を続けていいか、非常に迷うわけであります。一つ委員長にしかるべくお取り計らいをお願いしたい。
  83. 磯野太郎

    ○磯野説明員 先ほど申しましたことに、多少正確を欠きましたので、訂正をいたしますが、公団法のときにいろいろ考え方があったわけでございますけれども、御指摘がございましたように、工業地帯の開発というのは、一種の総合開発でございますので、通産、運輸、建設の三省の主務大臣だけでこれを作成、決定するのは好ましくないという考え方からいたしまして、三主務大臣が、おのおの自己の主管省については、原案を——原案と申しますか、開発計画と申しますか、それを作成する、そうしてその作成したものにつきまして、三主務大臣経済企画庁長官と協議をいたしまして、そうして企画庁長官の総合調整のもとに、最終的には閣議決定を求めていく、こういうような方式になっております。(「構想はあったのだな」と呼ぶ者あり)そういう構想がございまして、その資料につきましては、多少記憶の正確を欠いておりますから、この次に資料として提出いたしますが、たしか最終的にはそういうことになっておったと思います。
  84. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今お聞きの通りの答弁なので——開発局長は知らぬ、私の方はそうしなければならぬが、手落ちだったと言っておるようです。だから、これは四省でよく相談をして、まとまりのある見解をもってわれわれのこの法案審議に対する答弁をしてもらうように、一つ委員長からお取り計らいを願います。こういう無統一でいくから、日本の総合開発計画はやはりうまくいかない。一つどうか委員長が、各四省間で意見をまとめてそうしてこの委員会に臨むようにお取り計らいをお願いしたい。  もう一つは、今の公団法というようなものの草案が三省間でできておったようであります。これは今議題となっておりまするこの法案審議上、その草案はいろいろ参考になると思いますから、その草案をこの委員会に出していただきたい。この二点を要求いたします。
  85. 寺島隆太郎

    寺島委員長 ただいまの御発言につきましては、委員長も同感の点もありますので、政府においてもしかるべくお取り計らいを願いたいと思います。  ちょっと速記をとめて下さい。     〔速記中止〕
  86. 寺島隆太郎

    寺島委員長 速記を始めて下さい。  田中織之進君。
  87. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私も質問の過程でその問題に触れますから、従いまして、その問題についての三省、それから経済企画庁を入れますと四省間の意見の統一がされた後に、この質問をさせていただきたいと思うのです。さらに私は、本日これから質問をするにあたりましても、提案者である自民党の中村梅吉議員のほかに、やはり国土総合開発との関係で、建設、通産、運輸、特に運輸大臣建設大臣はどうしても出ていただかなければならぬ。それから主管大臣として、経済企画庁長官の菅野国務大臣にもぜひ質問をさしていただきたいと思います。きょうこれからでも今私が要求しました大臣が御出席願えるなら、私質問を展開いたしたいと思いますが、その点、委員長の方でいかがなものでしょうか。私も相当長時間にわたる質問を用意いたしておりますので、最初になにしないと、質問を始めたが、話が違うということになっては、各委員諸君に御迷惑をかけるかと思いますので、その点を一つ委員長に申し上げるわけでありますけれども……。
  88. 寺島隆太郎

    寺島委員長 ちょっと速記をとめて下さい。     〔速記中止〕
  89. 寺島隆太郎

    寺島委員長 速記を始めて。
  90. 長谷川保

    長谷川(保)委員 委員長の顔を立てて質問します。  臨海地域開発は、国土総合開発法による、たとえば特定地域総合開発、あるいは都府県総合開発、こういうものの中に当然入っており、この中の一部分だと考えますけれども、もちろん、場所によってはそういうところはないかもしれませんけれども、原則的には、国土総合開発特定地域開発あるいは都府県の総合開発計画の当然一部分であると考えるのであるが、そう考えてよろしいかどうか、政府当局に伺いたい。
  91. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 臨海地域がどういう地域指定になりますか、いわゆる臨海地域指定基準、これは審議会等において御審議の上で決定されることでございますので、今のところ、まだどういう地域臨海地域指定されますか、具体的に申し上げかねる段階かと思うわけであります。従いまして、国土総合開発法によります特定地域とどういう関係になるか、あるいは一部同じような地域が、特定地域のごく一部を臨海地域として指定することがあるかもしれませんが、全体としてどういう関係になるか、ちょっとわかりかねるわけでございます。
  92. 長谷川保

    長谷川(保)委員 あなたの方でこの間お話しになりました全国特定地域総合開発計画の二十一の地域、これはないところもあるかもしれませんが、大体これは全部臨海地域を含んでおりましょう、どうですか。
  93. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 現在までに国土総合開発法指定になっております特定地域二十二で、海に面しておらないところもございます。海に面しておる地域もございまして、これは資料として御提出してあるかと存じますが、現在指定されておる特定地域内にあります公団の事業予定地、これも別にきまったものではございませんが、おそらくこの公団の事業予定地は海に面した地域になっておると思いますけれども、そういうものを含んでおりますのは、木曽の特定地域と天竜東三河、大山出雲、飛越、北九州、この五つが臨海の工業地帯を含んでおるというふうに考えてよいかと思います。あとの地域も、海に面しておるところももちろんございます。また、面しておらないところもございます。大体において海に面しておる特定地域で、産業立地条件の整備ということを開発の目標にしております地域が、北上、天竜東三河、北九州、錦川、飛越、木曽、那賀川、この七つくらいかと存じます。
  94. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そこで先ほど伺いましたように、この臨海地域も、本来、特定地域もしくは府県の総合開発計画、その中に当然その一部分として含んでも差しつかえないわけですね。
  95. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 たびたびのお尋ねでございますが、この法律案にある臨海地域がどういう地域指定されるかによりまして、特定地域に入ってくるかどうか、きまってくるわけでございまして、場合によっては入ってくるものもあるかと存じます。
  96. 長谷川保

    長谷川(保)委員 もう一つ別に伺いますけれども特定地域とか、あるいは府県の総合開発地域とか、こういうようなものは、つまり地方開発、市町村総合開発地域とか、こういうようなものは臨海地域を含んで悪いことはないのですね。
  97. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 含んで悪いことはないわけでございまして、現に、小規模ではございますが、そういうような工業立地条件の整備ということを開発目標として掲げておるものもあるわけでございます。
  98. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そういたしますと、常識といたしましては、どこの府県でも、特に臨海地域工業を——先ほど来この法案提案されておりまする趣旨のように、この地区を非常に重要視するわけです。ですから、常識として考えますと、どちらの府県でも、原則的には、こういう臨海地域というものは、あるいは今はまだないかもしれませんが、都府県総合開発計画というものを作れば、それは必ず入れるであろうし、また地方総合開発計画というものを作れば、当然入れるでありましょうし、特定地域総合開発計画というものを作れば、当然入れるでありましょうし、少なくともこの法案がねらいといたしますような重要な臨海工業地帯となるところは、当然計画の中に入れるように私には常識的に考えられるのでありますが、どうでしょう、その点はやはり除外するという方が常識でしょうか、それとも、そういう総合開発計画を立てるとすれば、入れるというのが考え方でしょうか、局長としてはどう考えますか。
  99. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 特定地域の中で、臨海地域開発促進法案目的といたしておりますような臨海地域というものが、もしその一部に含まれておる場合には、特定地域計画一つとして、そういうようなものを取り上げるということはあり得ることと考えております。
  100. 長谷川保

    長谷川(保)委員 だから、この臨海地区というものは、そういう開発計画の中に入れてはいけないということはないのですね。むしろ、常識としては、当然入れるべきだ、こう考えられるのですが、その点はいかがですか。
  101. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 常識として、当然入るかどうかわかりませんが、ちょうど地区がダブって参りますれば、入ってくることになります。
  102. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうしますと、いろいろおっしゃっていますけれども、私は、そういう重要な地区開発計画の中に入れないような府県があるとすれば、その府県はどうかしておりますし、ちょっと頭が左巻きだと言わざるを得ない。また、都府県開発計画ができるとすれば、当然そういうところをねらってするというのが常識でありまして、そうした重要地区をはずした総合開発をするなんということは、大よそ考えられないわけであります。そういたしますと、国土総合開発法の第七条の二項を見ますと、各種総合開発計画ができた場合には、この国土総合開発全国計画というものを基本とするものとすると書いてある。そう書いてありますね。それだから、全国計画というものが基本になりますね。そうして、その基本になるといたしますと、そこでこの全国計画が非常に重要性を持ってくるわけであります。先ほどお話しの新規工業地区立地条件調査というものを拝見すると、その中に地図が入っております。この地図で勘定してみますと、臨海地区が、本土と申しますか、本島と申しますか、それが五十六カ所、四国で七カ所、九州で十五カ所、北海道が六カ所、離島で一カ所、計八十五カ所臨海地区調査されておるわけであります。これは三十三年度、三十四年度の予算を多額につけまして——これに出ておりますように千八百万円つけまして、この調査を、全部で百十六カ所ですか、なさるわけでしょう。そのうちに、今申しました臨海地区というものが八十五カ所ある。そうすると、もう三十三年度、三十四年度で、この調査をこの予算でするわけですが、ほとんどこれで終わりということになりますか、まだ全然そこまで参りませんか。
  103. 磯野太郎

    ○磯野説明員 この百十六カ所の調査が今後続くかどうかにつきましては、既存の百十六カ所につきましても毎年毎年産業立地条件というものは変わりますので、これは一番新しいものを調査のデータに表わすという意味で、累積継続調査をしていく考えであります。それからなお、この百十六カ所以外に、新規の地点を今後も調査いたしたいと考えております。
  104. 長谷川保

    長谷川(保)委員 先ほど申しました地図で見ますと、確かにあなた方は的を射たところを調べておる。ずっと私ども全国をよく調査しますけれども、なかなか的を射たところをやっていらっしゃる。なるほどここは御調査なさるべきだろうと思われるところが、全体としてよく選ばれて調査をされております。ですから、ほとんどこの調査は、ここまではできておるわけですね。そうなりますと、もう一つ伺いたいことは、開発法の第十三条の二及び三を見ますと、ここに調整のことが書いてありますが、もしこれらの開発計画というものの実施に支障を及ぼすおそれがあるというような場合におきましては、「内閣総理大臣に対し、当該特定地域総合開発計画との調整を要請しなければならない。」というように書いてあります。また第十三条の三には、「経済企画庁長官は、総合開発計画の実施について調整を行うため必要があると認める場合においては、関係各行政機関の長に対し、必要な勧告をすることができる。」こういうふうに書いてございますが、この中には、たとえば五十町歩以下の公有水面埋め立てるというような場合にも調整ができるというようには、読み取ることはできないでしょうか。それがもし総合開発計画に支障を来たすような、そういう場合には、調整することができるというように読み取ることができないでしょうか。
  105. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 五十町歩未満の埋め立てをする場合には、地方長官ができることになっておるわけでございます。それはここの、国土総合開発法の第十三条の二の調整という場面には至らないのではないかというふうに考えるわけであります。
  106. 長谷川保

    長谷川(保)委員 もしそれが、どういう総合開発計画にしても、その総合開発計画に何らかの支障を来たす場合には、調整ができると思いますが、いかがでしょうか。それでもできませんか。法理論的に考えるわけですがね。
  107. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 事実問題といたしまして、特定地域総合開発計画には、そこまでこまかいのは載っていないのではないかというふうにも考えますし、また、かりに閣議決定になっております大きな計画の実施に支障を及ぼすようなおそれが、その埋立行為によりまして、あるという場合に、各行政機関の長から要請があれば、これは聞かなければならぬわけであります。
  108. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そこで、その総合開発計画に支障を来たす場合には、各行政機関の長からいろいろ出せば、これは当然調整ができるのでしょう。また、企画庁長官は、それに対して勧告することができるのでしょう。そうなりますね。たとえば、東京湾なら東京湾の中の総合開発計画があるとしますね。そこで、公有水面を大きく埋めようとしておる。ところが、その一部を、先ほど来お話があるように、企業会社が埋め立ててしまおう、こういうことをする。つまり、二重になってくるというようなことがある場合ですね。現実問題としては、知事が許すはずはありませんけれども、法理論的には、もしそういうことがある場合には、当然これでもって調整ができると私は思うのでありますけれども、その点、できないでしょうか。私はできるというように読み取れると思うのでありますが……。
  109. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 第十三条の二の関係各行政機関の長というのに地方長官が入るかどうか、私どもはこれは各省大臣というふうに解釈しておりましたが、各省大臣が、五十町歩以上の埋め立てでございましたらば、自分が認可をするわけでございますから、そういう際に、この認可をした結果が、特定地域の総合開発計画の円滑な実施に支障を及ぼすおそれがあるというふうに考えますれば、内閣総理大臣に対して調整を要請するかと存ずるのであります。
  110. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすれば、五十町歩未満のものを知事が許そうとしても、この点は、法理論的には各関係大臣が、それは困るということになれば、これは当然調整できるでしょう。
  111. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 第十三条の二の関係各行政機関の長というのは、各省大臣でありまして、地方長官は含まないといたしますと、各省大臣のやる処分または事業ということになります。この場合は、五十町歩未満の埋め立ての免許というのは地方長官にまかされておりますので、各省大臣は委任したきりになっておりますから、自分でやる処分または事業ということになりませんので、調整を要請する場面には至らないというふうに解釈できるのではないかと存じます。
  112. 長谷川保

    長谷川(保)委員 しかし、この総合開発計画等で、たとえば農林省直轄の埋め立ての事業がある、その場合に、知事が、その計画がそごするような、衝突するような、そういうものを許すということは、現実にはあり得ません。現実にはあり得ませんが、もしあるとする場合は、当該大臣は、今の話でいえば農林大臣は、このことの調整を要求することが当然できるし、また調整すべきものであるというふうに考えれば、この十三条の二や三は生きてくると考えますが、いかがですか。生きませんか。
  113. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 関係各行政機関の長の一人に農林大臣がございます。農林大臣が直轄の干拓工事をやるということになりまして、その干拓の工事が、特定地域の総合開発計画の円滑な実施に支障を及ぼすであろうというふうに考えた場合には、内閣総理大臣に対して調整を要請しなければならぬ、こういうふうに読めると考えます。
  114. 長谷川保

    長谷川(保)委員 だから、この臨海地区法案一つの重要な目的であるところの、五十町歩未満というものを片っ端から作られては困るという提案者の御意向はもっともだと思いますが、しかし同時に、先ほど来申し上げておりますように、すでに全国でおもな臨海地帯は八十五カ所も調査済みであって、その関係調査事項につきましては、地区の概況(産業の概況、地区の特色と工業的環境、新規工業立地の受入態勢)、それから地区の経済(経済の沿革、産業構成、工業生産の推移、工業生産の現況、既存企業の立地因子)、それから工業用地、これについては、地質、工業適地、埋立予定地、さらに工業用水(地下水、河川水、取水可能量、工業用水道)、その他輸送施設、エネルギー資源、機械修理能力、労働、気候、住宅事情、文教厚生施設云々と、工業地帯の立地条件のすべてのことの調査がほとんどできておる、こういう先ほど来のお話であります。そういうことであれば、さきに申しましたような一切の事情がすでにわかっているのでありますから、わかっておるとすれば、各種の総合開発計画の中にこれは当然取り込めるものである。しかもそのときに、五十町歩未満の公有水面埋め立てというものと、もし各種総合開発計画、ことに特定地域開発計画等々の計画と衝突するようなものは調整ができるのだ、すでに国土総合開発法によっても調整できるのだとすれば、この法案目的国土総合開発法でできるということになるのであります。重要なポイントがそこでできるということになるのであります。言いかえますならば、先ほど来お話しの、今日差し迫っております問題は、すでにこういう調査ができ上がっておる、全国八十何カ所も臨海地帯にでき上がっておるという事態を見ますならば、むしろ国土総合開発でできることでありますから、それでいくべきであって、必ずしもこの法案がなければできないというものではないということになったわけでございますが、この点、提案者の御意向はいかがでありましょうか。
  115. 中村梅吉

    中村(梅)議員 お説のように、特定地域の総合開発等が企画されました場合は、私は計画はできると思いますが、しかしながら、都道府県知事が五十町歩未満の埋め立て許可し得る力を押える根拠は、どこにもないと思うのです。従いまして、この法案目的を完全に果たすために、総合開発法のみでいこうとするならば、これは総合開発法に対して、いろいろなその他の点につきましても——私とも考えられる点だけを見ましても、漁港法等の関係でありますとか、資金の確保の問題でありますとか、審議会の構成も若干構成の仕方が違っておりますが、いろいろな点において相当大幅な改正を行なわなければできないのではないだろうか、実は私どもかように考えておる次第でございます。総合開発法に対して、相当大幅な改正手続をするとするならば、臨海地帯というものについては、一般の開発計画とは相当趣を異にいたしますから、特殊の立法をする方が妥当である、かような見地に実は立っておる次第でございます。総合開発でいきまする場合には、臨海地帯をやるからといって、臨海だけで済むことはできない。この場合でありますと、背後地の交通関係、輸送関係とか、水の関係とかいう程度関連ということの問題は済んで参りますが、総合開発で参ります場合には、そのほかに、内陸地帯についても相当のものが一緒についていくのが自然ではないかというような解釈を私はいたしておるのであります。かような見地に立ちまして、実は率直に申し上げた次第でございますが、この立法計画をいたしまして、提案をいたしました次第でございます。
  116. 長谷川保

    長谷川(保)委員 水の問題一つ考えてもさようでございますけれども、今のような臨海工業地帯を作る。先ほど来のお話を聞いておりましても、大体将来一億坪の工業用地を必要とする。うち、六千万坪は臨海地帯を必要とする。一企業単位の仕事がだんだん大きくなって、二百万坪ぐらいを要する。もし二百万坪ということにしますと、それだけで割ることは変なことでありますけれども、六千万坪を割りますと、三十企業単位しかできないということになる。まあそういうことは少し無理なそろばんでございますけれども、そういう計算になります。そういたしますと、何といたしましても、水の問題一つ考えましても、今までありまする農業、工業、あるいは上水道、その他あらゆる問題を、その臨海地帯だけでなしに、背後地全体について考えなければ、できるものではありません。電力でも同様です。あらゆる問題がそうであります。従って、今こそ国土総合開発全国計画ができて、その上に臨海工業地帯というものが開発されなければ、背後地にありますものは、既存の工場、その他農村、あるいは住民の福祉というものが全く破壊されてしまうということになります。だから、臨海地帯だけやるのは、安直だから、しごく簡単にできるからということには参らぬ。むしろ、そうではなくて、今こそこういうような大きな計画を立てましても、三十もしくは五十の企業体——二百万坪で六千万坪を割れば、これは三十です。だから三十もしくは五十の大きな企業体、それが三菱であるか、三井であるか、だれだか知りませんけれども、そういうようなものによって、その背後にありまする農業とか既存の工業とか、あるいは住民の福祉というものが、決して破壊されてはならないのであります。従いまして、水の問題一つ考えましても、電力の問題一つ考えましても、今こそ徹底的な国土総合開発全国計画ができなければ、そういう大きな資本力を持ちましたものに一般の国民がひどい目にあうということにならざるを得ないのであります。でありますから、こういう臨海工業地帯を作るのであればなおさら、こういう大がかりなものを作るのであればなおさら、全国計画というものをまず先にすみやかに作って、その上にこれがなされなければならぬ、そうしてその間五十町歩未満のものがもしめちゃくちゃに埋められるという事情がありますならば、そうして将来大きな弊害を残すとしますならば、当然各省、ことに経済企画庁中心になって、農林省、建設省、運輸省、その他一切が一緒になって、もうすでに臨海地帯調査は、ほとんど重要地帯はできているのでありますから、それならば、各府県に対してそれぞれの指導をする。各府県、地方自治体は、最近は、本省の補助金あるいは交付金をもらうというようなことから、非常に弱いのでありますから、もし将来非常なそごを来たすかもしれないというようなことがあるならば、このことについての助言をし、あるいは勧告をするということは、当然の義務だと思う。助言をすることができることが、たくさん国土総合開発法に出ておるようでありますし、当然私はできると思います。だから、今こそ、むしろ逆に根本の計画を立てる。それも遠い将来ではない。臨海地帯は大体基礎ができている。だから、そのすべての背後関係との関連において臨海工業地帯というものが建設をされるべきだ、こう思うのです。だから、今こそ、むしろ特定地域の総合開発計画をさらに訂正し、あるいは拡充し、あるいはさらに府県あるいは地方の総合開発計画を推し進める、それが国土総合開発計画全国計画の基盤の上になされることが当然だと思う。臨海地帯だけ切って、これだけやるということは、めちゃくちゃにしてしまうと思う。そういう点はどうでしょうか。非常に私は不安に思いますので、提案者お尋ねいたします。
  117. 中村梅吉

    中村(梅)議員 実は私どもも、率直に申しますと、臨海地帯開発によって背後地や内陸地帯が迷惑をこうむったり、あるいはその開発地帯がかたわであったり、将来防災等の見地から見まして、不適当であったりするような開発が行なわれないように、総合性を持たせる必要がある、かような見地に立っているわけでございます。ただ、そこで、そういう総合性ならば国土総合開発法でできるではないか、こういう御意見がございまして、この点も一つ考え方でございますが、国土総合開発法のみによりましては、いろいろこの目的を果たす上においては十分でない点があると、私ども検討した範囲においては考えておるわけでございます。またこの種の総合的な企画性を持った開発をいたしまするのは、ときに特殊の法人等の力に待つことが妥当である場合もあろうかと思いますので、さような点等を本法に織り込みまして、新たな臨海地域開発のみを目的とした立法、しかも、総合性を持った立法措置を講ずることが、現在の国内の実情から見て非常に緊急である、かような考え方で実は提案をいたしておる次第でございます。
  118. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今の御答弁に対してまだまだ疑問が非常にあるのでありまして、今の御答弁では了承ができないのでございますけれども、すでに時間もありませんし、前質問者の御発言もあるようでありますから、質問を中途で留保しておきまして、重要な一つのポイントでありますから、次の機会に十分に伺いたいと思います。
  119. 寺島隆太郎

    寺島委員長 この際、先ほどの竹谷委員質問関連いたしまして、磯野通商産業省企業局次長より発言を求められておりますので、これを許します。磯野通商産業省企業局次長
  120. 磯野太郎

    ○磯野説明員 先ほどの御質問お答えいたします。公団の予算要求に関連しまして参考資料として作りました公団法におきましては、公団の行ないます事業の基本となるべき計画につきまして、三省においてあらかじめ経済企画庁と協議をいたしまして、経済企画庁長官の総合調整権によって総合調整された後にきめられる、こういうことに相なっております。
  121. 寺島隆太郎

    寺島委員長 竹谷君、よろしゅうございますか。
  122. 竹谷源太郎

    竹谷委員 その三省間で協議して、公団の事業計画内容について経済企画庁とよく相談して、その承認を得た、こういうのですか。そこがはっきりしないのですが……。
  123. 磯野太郎

    ○磯野説明員 ただいま申し上げました公団につきましては、これは三十四年度の公団の予算要求の参考資料に作りました公団法でございますが、公団の行ないます事業の基本となるべき計画につきましては、三省においてあらかじめ経済企画庁と協議をし、経済企画庁長官の総合調整権によってよく調整をされた後にその計画がきめられる、こういうことに相なっておる次第であります。
  124. 竹谷源太郎

    竹谷委員 先ほどは、経済企画庁は公団のことは知らない、こういう発言があった。そこがちょっと理解できない。
  125. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 三十四年度の予算要求の資料といたしまして、通産、運輸、建設の三省で公団法案というものを考えたわけでございます。その場合には、ただいま磯野説明員からお答えがありましたように、公団の基本となるべき計画は、三省で打ち合わせ、経済企画庁と協議をして、その調整を待ってきめる、こういうふうに書いてあったようでございます。ただそのときに、公団の予算が三十四年度の予算に認められませんでしたので、事業計画も進まないで、簡単に申せば、つぶれてしまったわけでございまして、経済企画庁の方まで協議するに至っていなかったわけでございます。従いまして、私どもは存じなかった。     〔発言する者あり〕
  126. 寺島隆太郎

    寺島委員長 静粛に願います。
  127. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 一応予算要求をする場合に、そういうような要綱を作って出してあったということでございますが、企画庁に持ち込むことに固まらないうちに、予算が認められなかったので、そのままになってしまったというのが実情であります。今回公団構想というのが出ておりまして、それには企画庁と協議するというようなことがないかと存じますが、これは、今度の公団構想考えましたときに、すでに臨海地域開発促進法案というのが提案になっておりまして、基本計画内閣総理大臣関係大臣と協議してきめるということになっておりますので、三省の考えとしては、前の公団法案にありましたような条文を削って出した、こういうことでございます。
  128. 竹谷源太郎

    竹谷委員 たとえば、建設省がある河川の治水の目的でダムを作る、そしてそれが農業用水にも工業用水にも直接関係はない、本来の建設省だけの所管であるという建前で計画したのなら、それは了とする点もありますが、この公団は、日本の工業の最も大事な臨海地域に関する総合開発計画の一環でございます。この問題をとり行なう公団、これは私的な株式会社ではなくて、パブリック・コーポレーションという公のもので、三省の打ち合わせだけではできない。そういう総合的な計画を含む公団でありますから、当然これは経済企画庁とまず最初に十分に打ち合わせをした後に、大蔵省に予算を要求されなければならない。ここに大きな手落ちがある。だから、結局計画がつぶれたのは幸いという気がしますが、この点非常に手抜かりがあったと思う。ぜひ各省間で事務の調整をし、意見の統一をして、その上で、各大臣から政府の統一した意見として当委員会において見解を発表し、それに基づいてわれわれはこの法案審議に当たりたい、このように思うので、あらためて委員長に対しその措置をとられんことを要望いたします。
  129. 寺島隆太郎

    寺島委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後五時三十一分休憩      ————◇—————     午後五時三十三分開議
  130. 寺島隆太郎

    寺島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  残余の質疑は次会に行なうことといたします。  次会は公報をもってお知らせすることといたし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十四分散会