○野田(武)
委員 私もそうではないかと懸念して質問いたしたのでありますが、私、決して皆さんを困らせて公団にけちをつけようというのじゃございません。私は長い間議会生活をして、商工
委員や何かをやって参りましたが、これは別に
通産省をやっつけようとかいうのじゃありませんが、ことに今度、通産、運輸、
建設という、直接
開発に深い
関係を持っている三省が、一団となってこういう公団の設置
構想をお立てになったということならば、これは
通産省だけとか、あるいは
建設省だけとか、運輸省だけの
構想でないだけに、一段と具体性を持った案が出てきてほしいと希望しているのです。私は特にこの
法案について実は
提案者に注文がたくさんありますが、私の質問は終わったので、時間の
関係で省きますが、そういう点は、
構想を練られる場合には、総合的な
計画性を持たしていただきたい。日本の行政の進め方か、これは役所の方々に罪を全部負わせるのではありませんが、長期
計画とか総合
計画とかいうことがよく口に出ますが、あまり実体が伴わないのが多い。これは決してこの公団をいうのではありません。それで、ことに現在
石炭事情がこういうふうに非常に困難な事情にある場合には、これはひとりこの公団ばかりではなくて、日本のエネルギー資源をどう持っていくか、ことにその
地域のエネルギーはどこをどう
開発していくかということが出て参りますと、大きな総合的な
産業政策の中の一環として非常に重要性を持ってくると思います。それはやはりこういうときにやればやりやすい。四十カ所も集めてやろう、こういうことでございますから、私、きょうは、それをどうしなさいとは言いません。せっかくこういう
構想をお作りになったのだから、やはり私
どもとして相当敬意の払える具体性を持った
計画をお立て願いたい。私は皆さんを責めるのではなくて、私のほんとうの心からの要望でございます。それで、これ以上私はその問題に触れません。まだできていないというのですから、それはあれこれ言わないでやめます。
それから、特にこれは、役所の方々でなくて、
提案者にも
一つ希望しておきますが、今回御提案になった
法案は、いわゆる
国土の
総合開発の重要な部門を占める。だから、たとえば、先ほど
進藤委員も触れておられましたが、首都圏の
計画、北海道の
開発、東北の
開発、
九州開発、こういうものよりも、もっと一段と全
国土を想定して、いわゆる日本の
国土の
総合開発ということになりますから、これは非常に総合的ないろいろな対案が必要である。たとえば、そのうち具体的に
一つ例を引いてみますと、先ほど
お話のありました漁業者の
補償の問題を
一つ取り上げましても、東北
開発あるいは北海道
開発、
九州開発となって参りますと、これは
地域的の特殊の事情がございますから、いろいろその事情によって、
補償問題がお互いの交渉の具体的な要点となってくると思いますが、しかし今度は、
国土の総合的な
開発の一環というよりも、非常に重要な
部分を占めるという高度な立場に立って参りますと、こういう問題については、こういう
法案が出たときに
一つ何かの
基準を設けるということは、私は日本の
開発、ことに臨海
地区開発に対して、非常な意義を持つのじゃないかと思います。御
承知の通り、埋め立てをやる場合に、どうしても
漁業補償を解決しなければ、何年でもなかなか解決するものではない。事実できない。どの
地区でもそうであります。そこで、
土地造成の一番大事なものは、作ってしまえば、
関連施設のことについては、これはいろいろ各省の力によってできましょうが、第一に、
土地造成の前提として、
計画があっても、
補償の問題が解決しなければ、できないというのは、これは事実でございます。そこで、先ほど
進藤委員もこの点に触れておられましたが、今までは大体
補償の
基準というものが、一応先ほどの御
説明の中で、いろいろこういう方式でやっておるとお言いになりましたが、
一つの法規に基づく
基準というものが出ていない。各
地域によって事情が違いますから、必ずしもこれを
法律できめたからそのままいくのじゃございませんが、一応こういう臨海
工業地帯の総合的な
開発をするという案でございますから、これを実施する上において一番困難な問題である
補償問題のごときは、こういう機会に
一つ基準を作りまして、これに各
土地の特殊の事情をかみ合わせてやるというようなことがあれば、私も解決しやすいと思う。そういうことをやる場合に、これは農林省の
関係もありますし、また各役所の
関係もありましょうが、これを踏み切って
一つやってみたらどうか。やはりそこまで
考えなければ、その
開発計画が、実施面において年度
計画を遂行する上において支障がありはしないか。また、先ほどこれに
関連して触れておられました
水産関係の職を失った業者の失業
対策、これはやはり労働省との
関係もありますが、きょうはお見えになりませんが、こういうものもできるだけ、いわゆる新
造成地において工場ができた場合に、これを吸収するように進めていく。これは言葉で言うことは非常に簡単でございます。また、そういうことは、行政指導の上において、また実際の面においても相当配慮することは、
提案者もおっしゃったようでございますが、しかしこれもなかなか困難です。だから、決して業を離れた漁民を全部吸収する、就職させるというようなことまではいきませんが、やはりこういう場合に安心して離職者の連中が臨海
工業の
開発に協力できるような何かのめどをつけておくというようなことは、非常に困難でございますけれ
ども、これを促進し、日本の
産業を興隆するという大きな前提のもとに、私はそのくらいの飛躍した
考え方を持っていていいのじゃないか、こう感じておる。そこで特に繰り返して申し上げますが、
補償の
基準のような問題は、こういう
法案ができてきたときこそ、真剣に農林省その他が
考えられるべきじゃないか。今までそのように聞いておるのに、そういうことはいいことですが、今までこうやっておりますとか、あるいは、それができればいいですがというようなこと、これはもう何べん繰り返してもだめだから、こういうときに
提案者も
一つそういうことに真剣に取り組んでいっていただきたい。私はこの三省公団の行なう
事業の内容を拝見しても、これだけでは、平凡な普通の会社でもやれることで、これ以外に三省がほんとうに協力して
開発しようという熱意があるならば、もう少し魂の入ったものを作ったら、国家のために非常にいいのじゃないかと思う。
提案者の方も、その
地域開発にはできるだけ活用しようということを言っておられますから、その場合には、これはほかの役所が加わっても加わらぬでもよろしいが、いずれにしても、この三省をもって構成するような公団ができるならば、そういう機会にこそ、今までの一番困難な諸問題の解決に当たっていくというくらいの熱意を持っていかれると、なるほど、これはやはり三省構成の公団だと、敬意を払われるようになる。ところが、これははなはだ失礼でありますが、非常に平凡な、今までの公団、
開発会社と同じようなことが書いてある。ほとんど全然と言っていいくらい新味がありません。こんなことなら、何も三省でおやりにならぬでもいい。十六条に、特別の
機関というものがありますが、このくらいのことならだれでもできます。せっかく三省でおやりになるのならば、なるほど、今までの特別の
機関とは違うのだ、もっとこういう三省公団を全面的に使いたいと
提案者あたりが思い込むくらいの案をお出しいただければよかったろうと思っております。今後もそういう
方向にお
考えいただきたい。この
法案は画期的な
法案である。こういうときにこそ、今までの難点を少しでも解決していく、一歩前進した
方向に持っていって、日本の
国土開発の促進、日本の
産業の発展に重要な役割を果たしたい。
提案者のねらいもそこにございますから、それに足並みがそろうように、あらゆる問題の解決にこの際こそ当たるのだ、こういうことを、
提案者の方もこの
法律に織り込めというのではありませんが、
一つ行政部の方に対して御指導願いたい。また、行政
関係の方々もそれくらいの御熱意を持ってこの
法案に協力してやろうということになりますと、われわれ国会の方におきましても、私は自民党でありますが、社会党さんも
趣旨は認めておられますから、けだしこれは全面的に協力ができる、こういうふうに
考えておりますから、お答えがあっても、なくてもよろしゅうございますが、この際
関連して私は要望いたしておきます。