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1959-11-25 第33回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月二十五日(水曜日)     午後一時二十六分開議  出席委員    委員長 寺島隆太郎君    理事 島村 一郎君 理事 二階堂 進君    理事 濱田 幸雄君 理事 石山 權作君    理事 館  俊三君       秋田 大助君    進藤 一馬君       田中 榮一君    丹羽 兵助君       田中織之進君    長谷川 保君       竹谷源太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  藤巻 吉生君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君  委員外出席者         議     員 中村 梅吉君         衆議院法制局参         事         (法制次長)  三浦 義男君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  木村 三男君         総理府技官         (北海道開発庁         企画室長)   吉村 次郎君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房調査官) 原口  隆君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局参事         官)      南部 哲也君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局総合開         発課長)    玉置 康雄君         農林事務官         (農地局参事         官)      正井 保之君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁業調整課長) 木戸 四夫君         通商産業事務官         (企業局次長) 磯野 太郎君         通商産業事務官         (企業局工業立         地課長)    柳井 孟士君         運輸事務官         (港湾局管理課         長)      岡田京太郎君         建設事務官         (計画局総合計         画課長)    佐土 侠夫君         建 設 技 官         (河川局開発課         長)      小林  泰君     ————————————— 本日の会議に付した案件  臨海地域開発促進法案川島正次郎君外三名提  出、第三十一回国会衆法第六七号)      ————◇—————
  2. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 これより会議を開きます。前会に引き続き、臨海地域開発促進法案を議題とし、質疑を続行いたします。質疑の通告があります。順次これを許します。長谷川保君。
  3. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この法案を一読いたしまして率直に私が感じましたことは、どうも権力集中という線で、すでに石山委員からも指摘をしておられますが、最近におきまする国内情勢政治情勢等を見て参りますと、私もそこに非常な心配を持つものであります。申すまでもなく、支配権力の問題と、民主主義根本原則でありますところの個人権の尊重という問題が、適当な緊張をもって、また適当なつり合いをもってなされるということが、民主国家において非常に大事な点でありますが、それが、ともするとどちらかに片寄ってくる。まあ見る人によってそれぞれの御意見がございますけれども、私は、最近の傾向は、その点が権力支配ということの方にむしろ重点がいって、そして個人の人権が危殆に瀕するような場面が非常に多いということを憂うるものであります。今のようなことでは、日本民主主義は発達しないというように私は率直に考えるわけです。また、それを非常に心配するものであります。最近におきまする、たとえば文教行政における勤評の問題なども教組側にも問題がありましょうけれども、同時にまた、何でもあの勤評を貫かなければ承知しない。本来勤評が出てきておりまする人事院規則一〇—二というようなものの手続も十分しないで、あれを押しまくっている。地方公務員法から申しますならば、地方行政の民主的な、自主的な運営、能率的な運営ということを目的にして勤評がなされることになっておるのでありますけれども、最近のあり方というものは、むしろ全く教育の現場というものは能率がめちゃめちゃになってしまっていると言って差しつかえないだろうと思います。問題はそこにありますけれども、いずれにしましても、権力支配傾向が非常に強過ぎる。第一、日本民主主義を育てるためには、まだまだ個人権利というものを十分に尊重していかなければならないだろう。この法案を見ますと、すでに石山委員指摘しているところでありますが、私は速記録を読んでみまして、提案者の御答弁を見まして、満足しないのでございますが、この重大な問題をきめまする審議会メンバー構成等々を見ますと、大臣が八人、それに総理大臣、それに対して学識経験者というのは十人以内ということになっておる。それから内閣総理大臣指定する国の行政機関の長というのが二人というように書かれておりますけれども、いずれにいたしましても、そういうような形でもって、いわゆる学識経験者といわれております人々にはどういう人が入ってくるかということを考えると、これは従来の審議会等々のあり方を見まして、やはり政府に御都合のいい人が過半数入ってくると見なければならない。そうなると、一党独裁という形がここでできる。そのほかにも私は幾つかの心配を持っておりますけれども、そういう形がここにでざるというように、この問題に関しましては考えられるのであります。従いまして、どこかでその一党独裁的なやり方というものをチェックしていく、規制をしていく方法が当然考えられてしかるべきであったと思うのでありますけれども、この点について提案者はこうお考えになっているか、伺いたいのであります。
  4. 中村梅吉

    中村(梅)議員 私ども考えとしましては、権力集中とか、あるいは権力支配というようなことは毛頭意図いたしておりません。しばしば申し上げましたように、要は、総合性のない埋め立てあるいは臨海地帯開発が現に見られつつありますので、これをできるだけ国全体としての利益立場、あるいはその開発された地域がかたわの状態で発達をしないように、関連施設等も並行して整備をされまして、せっかく開発されましたものが、最も合理的に高度に利用されるような方向に運びたいということだけが目標であります。ただ、御指摘になりました十一条の審議会構成について、各省大臣及び学識経験者の数が同数であるということは、権力支配の感じがするではないかという御意見でございますが、この種の審議会は、ただ議論すればよろしいという会議体とは違いまして、具体的にどの地点を指定地域に定めるか、あるいは定めた地域に対してどのような総合された基本計画を植え付けるかというような、きわめてじみな検討をする会議体でございますから、人数が多過ぎるということもこれは妥当ではないのではないだろうか、かような見地から、学識経験者の方々に約十人御参加を願うということが基本であります。それに関連しまして、関連施設等をできるだけ円滑に定められた基本計画の線に沿って実施に運びまするには、やはり建設省等を初め各関係省が、もちろん現に持っております権限の範囲において努力をし、また努力を払ってもらわなければならぬと思いますので、それらの関係機関を拾い集めました結果、はからずも学識経験者と同じような数ということになりましたが、もちろん、このような審議会は多数をもって採決するというようなところではなくて、ほんとうに議を尽くして、できるだけいい成案を得るということが審議会目的でありますから、列席をしまする人たち頭数等によって左右されるということは、ほとんど、他の事例に徴しましても、ないのじゃないかと思うのであります。かようなわけで、この審議会構成の姿は、そういう批判の余地もあるかもしれませんが、決して権力的なものではない、また、そのような考えは毛頭抱いておりませんことをここに申し上げておく次第であります。
  5. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ただいま御答弁の中の、総合的に高度に、また合理的に臨海地帯開発していくということが目的だ、またその必要がある。その必要があるということは、私どもはよく承知をいたします。確かに総合的にやる必要がある。これは今日の事態においてはその必要性は十分ある。しかし、そのことに入りまする前にもう一度伺いたいのは、提案者中村さんの人柄というものは、私はよく承知しておりますから、あなたの善意はわかります。あなたの善意はわかりますけれども、しかし、法律として動き出したときに、はたして提案者善意通り行なわれるかどうか。当然、法律を作りまするときには、逆の方へいってしまわないように適当な措置をしていただかなければならぬ、こう思うのであります。でありますから、提案者中村さんの今おっしゃいましたようなふうのみでなく、ただいま私が指摘しましたそういうふうな危険な方向にいくおそれが、あるいはあるかもしれぬ。たとえば、東条英機のような人間がまた総理大臣になるというときが万一にもきたとしまして、そういうような危険な方向にいってしまうというおそれはないか、その点をこの法案起案なさいますときにお考えにならなかったのかどうか、その点をお伺いしたい。
  6. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この法案は、かねてから申し上げましたように、ただいま申し上げましたような総合的な開発を実現するように運びたいという一種の基本法でありまして、これは、たとえば内閣総理大臣にせよ、あるいはその他の政府機関にせよ、自己の意思のみによって、戦時中の総動員法か何かのように、授権を取りつけるような立法でも決してございません。全く総理大臣は最高の機関としての責任者にはなっておりますが、それぞれこれを運びますについては、審議会の議を経、あるいは都道府県知事意見を聞き、もちろん、今日、直接法律には明記されておりませんでも、現在のような民主的な国会制度がありまする以上は、政治責任を負う者も、おのずから一党独裁的のことをなし得るものでは決してありません。従って、私どもは、他の立法例等に照らしまして、この種の立法措置は、今御疑念になるような点は毛頭ないものである、かように考えておる次第であります。
  7. 長谷川保

    長谷川(保)委員 しかし、現実にそれほど事態は甘くないのであって、この法案に関する問題はともかくといたしまして、たとえば、今日非常な問題になっておりまする外務委員会運営の仕方でも、まだ社会党はたくさんの資料を持って質問する必要がある、こう言っているのでありますけれども質問させないで、多数の力でもって審議の打ち切りをしていくという事態が起こっているのでありまして、私ども社会党が、もし単なるいいかげんな審議の引き延ばしや妨害だけを目的としておるのであれば問題外で、もちろんこれはよろしくないと思う。しかし、今日の事態においては、今日問題をはらんでおりまする外務委員会でも、まだ事実社会党はたくさんの質問資料を持っております。しかし、いろいろの御都合でもってそれを力で押し切ろう、こういう事態が起こってきておる。また、安保条約改定等の問題においても同様でございましょう。おそらく、中村さん御自身新聞雑誌等のいわゆる世論ごらんになれば、安保条約にはずいぶん無理があるということが一般国民世論となっている。しかし、これも岸総理が一月の二十日ごろには出かけていって調印するのだ、こうおっしゃる。そうなれば、結局力で押し切るということになるのであります。従いまして、道理がないのに野党がこれを妨害をするというのならば、当然そういうこともあり得るかと思うのであります。しかし、道理があってもそういうことがなされるというのが、今日の実情であろうと思うのです。だから、ほんとう国会審議というものが、道理を尽くして、議論を十分尽くして、そして双方が冷静な頭で国家国民利益ほんとう考えて、これはかくあるべきものだ、こういうように今日の国会運営されているのでは必ずしもない、こういう現実を私は知っておりますから、この法案審議にあたりまして、ここに権力支配をチェックする道が一つもついていないということになりますと、非常に重大な問題であると考えるのでありまして、起案者といたしましては、御起案のときにその点をお考えになったに違いないだろうと思うのでございますけれども、あまりにも善意にのみこれをお考えになって、だれか、ある日、あるときにおいて、これを悪用する者があるかもしれぬというような点はお考えにならなかったのでしょうか。当然それをお考えになって法案をお作りになり、一党独裁、あるいは独裁者の行なおうとすることをチェックして、個人権利を守り、民主主義を守るということを、やはりこの法案を作るときの土台にすべきである。何かこの問題をお考えになったに違いないと思うのであります。あなたの善意はわかりますけれども、しかし、この法律の動き出したときのことを思うと、私は非常にあぶない、こう直感するわけです。もう一度、くどいようでありますけれども、御起案のときにそういうことをお考えにならなかったのか、そういう危険性をお考えにならなかったのか、どうでしょうか。危険性があるとすれば、どこでチェックしようとされるのか。私が法案を見た限りにおいては、どうもチェックするところがないのでありますけれども、いかがでございましょうか。
  8. 中村梅吉

    中村(梅)議員 重ねての御質問でございますが、私ども、さきに申し上げましたように、臨海地帯開発ということが非常に国家的に重要である、のみならず、それが何らの総合性を持たないで現に各地において行なわれつつある、この現状を、総合的な開発方向に進めたいという意図だけを持っておりまして、立案の経過から申しますと、これらの個々条章そのものを実はわれわれ自身が書きおろしたものではありません。私どもとしましては、立法方向というものだけを考えまして、この個々の条項につきましては、主として衆議院法制局当局にお願いをいたしまして、そして他の立法例、同種の既存法律と比較対照して成案を得たものでありまして、私どももできましたその成案をいろいろ検討いたしましたが、他の既存法律との比較から申しましても、決して無理な点のない立案の仕方になっておるということで、これを採用いたしたような次第でございますから、今長谷川委員の御心配になりましたような点は、私どもは決して意図しておりませんし、またもう一つは、この種の国土開発のような事業につきましては、たとい時の政府なり、あるいは都道府県の場合にいたしましても、時の当局者自分の意のままに進めるということは事実不可能なことでありまして、それぞれその地域の府県なり、市町村なり、あるいは関係住民なり、あるいは県下の識者なりがごらんになって、なるほどこれならばというところの線でなければ、出し得るものではありませんし、また実施の可能のあるものでありません。従って、そういうような点にかんがみましてこの立案をいたして提案をいたしましたが、本法案が成立をして実施の運びになりましても、御心配のような事態は起こってこないと確信をいたしておる次第であります。
  9. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ところが、事実はなかなかそう参らぬのでありまして、これは私の地元で起きた問題でありますが、天龍三河総合開発の一環といたしまして、浜名湖総合開発というものが行なわれておりますが、そこで浜名湖を干拓しようという事件が起こりました。これは不幸にして、地元選出与党議員さんも全部賛成、そして県もオーケー農林省オーケーであるということで、それを推し進めることになりました。そしてある意味では、県、国の威力をもって漁民はもう方法がなくなって、あきらめましたけれども最後に私のところにやってきて、私らは先生に一票も投票したことはないけれども、面をかぶって頼みにきました、何とか助けてくれないかということでございました。事情を聞くと、ずいぶんひどい話でありますから、私は国全体のことを考えまして、これは干拓すべきではないと判断をいたしました。そして漁民を守ってやることにいたしました。約五年間この闘争が続けられて、近く終止符を打つようでありますけれども漁民が面をかぶって私のところにきたからいいけれども、こないと、全く漁民意思をじゅうりんしてしまうところであった。浜名湖は、漁業に最も大事な稚魚の繁殖地であり、非常に高く売れますクルマエビの産地でもありまして、そういうような事態現実に起こっておる。でありますから、私はこの法案を読みましても、ただいまお話しのような、現地の住民の了解がなければできないんだというようになっていない。事実はこの法案ではそうなっていかない。ここには確かに、基本計画審議会がきめるときには、知事意見を聞かなければならないという字句がありますが、知事同意を得なければならないとは書いてない。場合によっては知事意見を無視してやるのだということは、これはこの間、同僚委員から質問いたしましたのに対する御答弁速記録で拝見しましても、そこにやはり、場合によってはその県には不利益になるというのがあるかもしれない、そういう場合が出てくるかもしれぬから、必ずしも知事同意というようなことではないのだというような意味のことが書かれております。これは速記録ができておりますから、読み上げてもよろしいのでありますけれども、そういうふうに書かれておる。でありますから、知事さえもそういう立場に立つ、せめて、知事同意をしなければということであれば、まだそこである程度チェックされる場合もありましょう。少なくとも、ただいま申しました実例から申しましても、漁業者とか農民とか——大へん失礼な言い分でありますけれども、こういうような、国でやる仕事、あるいは県でやる仕事ということになれば、もう最後には負けるんだから、やむを得ないというような非常に封建的な考え方がまだ相当漁村、農村等には根強く巣くっております。ことにまた、最近の公務員あり方が、公務員法を全く逸脱いたしまして、公務員が人民に奉仕する立場というものがほとんど失われてきて、逆に上から支配するという傾向公務員の中に非常に強くなってきている、こういうような事態の中では、もしもこういうような権力で上から押えてくるときに、封建的な立場から、それと戦い、最後までがんばり得ない、あるいは、そういうような手続とかいうようなことに非常に暗いこういう漁民農民諸君のことを考えると、憲法で保護されておりまする個人権が侵害されるというおそれが相当ある。私のただいま申しました事件でも、農林省がもしあくまで力づくでやってくるというときには、裁判をするよりしようがない。裁判をするときに、漁民の中にしっかりした指導者がおり、財政的に余裕があればできますけれども、しっかりした指導者がなく、財政的な余裕がないというときには、泣き寝入りになる。でありますから、知事意見も聞かなければならないという程度であって、同意を要するのではない。まして、二条でございましたか、二条の方では、知事意見を聞く聞かぬもないというような形になってきておりますし、審議会には知事が入るのではないのでありますから、そういうような場合に、非常に危険性があると私は思います。三浦法制次長、どうでしょう、あなたがこれを立案なさったということでありますけれども、そのときにその危険をお考えにならなかったのでしょうか。
  10. 三浦義男

    三浦法制局参事 ごもっともな御意見でございまするが、私ども立案に際しましては、先ほど提案者から大体御説明がございましたようなふうに考えておりまして、たとえば選挙法とか、それから一般刑罰法規とか、こういうような性質の法規と違いまして、いわゆる計画法というような立法でございますので、審議会において案を作る場合においては、できるだけ十分民間者意見も徴して案を練ってもらいまして、そうしてそこで合理的な案ができました場合は、それにのっとって政府の方で取り上げて運営していく、こういうような善意に期待いたしましてこの案を立案いたしたわけでございます。従いまして、たとえば十一条の審議会のところでは、国務大臣級委員が十人と、それから民間代表が十人、こういうことになっておりまするが、さらに国務大臣級の十人の中でも、内閣総理大臣指定します国の行政機関の長というのが二人ございますので、これが全部指定になって十人でございますので、指定にならなければ、一人欠けて九人という場合もあり得るだろうと思っております。少なくとも対等の数の審議会、国の方の所管省大臣、それから民間学識経験者代表というものが、対等の数の十人、十人ということで運営していって、そうしてそれらの運営されるものはすべてガラス張の中でいろいろ審議会が公表されてやられるわけでございますし、また、区域の指定あるいは基本計画の公表というようなことも一般にいたしまするし、なおまた、十条の審議会所掌事務のところにも書いてございまするが、さらにその審議会と離れて、その二項にございまするけれども審議会といたしましては、直接に内閣総理大臣なり、あるいは関係大臣に対して意見の開陳ができる、こういうことにしておりますので、それらの点を勘案いたしまして、スムーズな運営が、この法律の建前に立ちましてもできるのではないか、こう今まで予定しておりましたわけでございます。
  11. 長谷川保

    長谷川(保)委員 だから、私の御質問に対する答弁になっておらないのでございます。つまり、非常な危険性を私は思う。先ほど来お話がありますように、大臣行政庁長官が十人、総理大臣を入れて十一人、学識経験者であるものが十人以内ということになるわけです。だから、そこに危険性があると私には思われるのだが、あなたはこの法案を作るときにその危険性考えられなかったかどうか。審議会メンバーは各大臣にいろいろ意見を言ったりなんかすることもできるといっても、多数決でいったらどうしようもないでしょう。だから、結局政府の思う通りになる。政府の思う通りになるということは、今日でいえば自由民主党、そのときそのときの与党の思う通りになる。こういうことになる。それをこの法律のどこで一体チェックする道がありますか、それを伺いたい。
  12. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点は、先ほど私が十一条のこの審議会の組織の点に関連いたしましてちょっと申し上げたつもりでございましたが、今おっしゃいますように、政府側はあるいは十一人ということになるかと思いますが、それは総理大臣を入れますれば確かにその通りでございます。しかし、会議の大体の運営からいたしますると、会長は、よほど最後の特別の場合でなければ、自分から決裁権をとってやるというようなことは好ましいことでもございませんので、審議会委員が、政府民間、十人、十人というような対等の数の範囲内において、そこでいろいろ審議会としての機能を発揮していただけるものだと、実はこの法律案の上では考えておるわけでございます。従いまして、この審議会運営が、おっしゃいますような、何と申しまするか、非常に一方的にばかり片寄ってやられるというようなことを前提といたしますれば、政府側審議会委員十人であり、総理大臣である会長を入れると十一人ということになりますから、そういうことがあり得るのかもしれませんけれども、私どもといたしましては、会議善意のある運営に期待しておるわけでございまして、そういう点は、法律上の問題といたしましては、一応考えられないのじゃないか、かように存じておるわけでございます。
  13. 長谷川保

    長谷川(保)委員 少しも答弁にならぬ。今日審議会委員に委託せられております諸君の中には、非常にりっぱな人もおります。しかし、私も現実を知っておる一人でございますけれども現実は各省がこういうことをやっておる。その審議会の名をあげることは大へん失礼でありますから、言いませんけれども、その審議会委員に、その関係の省が相当な研究費を出す、そういうことによって、その委員は、審議会とは別個の問題でありますけれども、たとえば何々大学教授というような人々に、その大学におきます研究の研究費を出す、そのために、私どもがその審議会速記録を読んで参りますると、どうも不明朗なものを感ずる。つまり、言うべきことを言えない、言えば、その省から研究費を切られるから、言えない、こういう形が各所に出ておりますよ。ですから、審議会というものが、こっちが十名、こっちが十名、総理大臣が入って十一名、総理大臣はめったに入らないのだから、先ほど中村さんのおっしゃったように、これは決議するというようなものじゃなしに、むしろよく相談してやるのだ、こういうことだから、そう心配はありませんということにはならない。ある意味では、そういう方がなおさらあぶないかもしれない。だから、幾ら学者でも、今日の文部行政のやり方が悪いために、研究費というものは、御承知のように、ほとんどない、きわめてわずかです。きわめてわずかの研究費の中から、研究課目によりましては、ガス代、水道代までみな出さなければならぬというような実態で、純粋の研究費に使うというものは、実際国から出ている金でも、その教授なら教授に渡りますものはきわめてわずかだ、とてもできない。そこで、今申しましたような適当な方法で、その関係する省から研究費をくれる。そうすると、それによってもう縛られてしまって、その人は正当なことが言えない。さらにこのごろ悪いことは、委員屋という商売があるようであります。それぞれ何々委員審議会委員なりというものになると、相当な手当をくれる。それを一人で七つも八つも十もやっていると、莫大な収入があるというようなことにもなる。なおさらそういうものも当てにならぬ。ほんとう国家国民のためにやってくれるのかどうだか、当てにならぬ。いずれにいたしましても、先ほど私が指摘しましたように、大体審議会委員というものは、半数以上が与党都合のいい人を入れるものでしょう。これは実例を言うと差しさわりがありますから、言えませんけれども都合のいい人を入れるものでしょう。でありますから、そういうところでは、政府もしくはその与党の独裁、あるいは場合によっては、その省にあります利権屋ども、この利権屋どもによって、こういうような国土をどうするか、そして非常に大きな影響を国民に及ぼしまするものを左右されるおそれがある。でありますから、何かの形でもってそういうようなことのないように道を作っておかなければ、こんな権力を持っておりまする臨海地域開発審議会基本計画等々におきましては——ことにまだその実施機関がよくわからない。特殊機関ということもありますけれども、よくわからない。前の委員会の質疑応答ではよくわからないのでありますが、こういうような事態において、この法案のどこかにそういうものが必要じゃないかと私は思うのです。だから、あなたはこの法案を作るときに、民主主義の社会を作っていくのは、今日のわれわれでございますから、そういうことにお気づきにならなかったか。今のような御答弁では、そういう危険はありませんということにはならないと私は思うのでありますが、どうでしょうか。今私が申しましたような二、三の例をもってしても、これは非常に危険があると思うのでありますが、あなたはそう思いませんか。私は責任を追及するのではありません。ただ御意見を伺っておきたいのです。
  14. 三浦義男

    三浦法制局参事 実はこの法案立案いたします場合に、こういう審議会の組織を持った計画法はいろいろあるわけでございまするが、結局、先ほど申しましたような、特殊の刑罰法規とか何とかというものにつきましては別問題といたしまして、この計画法とか何かというそういう関連のある法律の中におきましての審議会は、私ども立案いたしまする場合には、とにかくその運営善意においてなされるであろう、こういうことを期待いたしまして立案をいたしておるようなわけでございまして、法律ができました後に、委員の選定がどういうふうになって、どういう運営がされていくかという問題は、政府の方の関係でございまするので、私どもよく存じませんけれども、少なくとも法律の上では、そういう善意運営がなされるであろうということを期待いたして立案をいたしておるわけでございます。しかし、御懸念のような点があるといたしますれば、それは運営面なり何なりで十分に戒慎していかなければならないことだろうと想像いたします。
  15. 長谷川保

    長谷川(保)委員 運営面ということになれば、政令ということになりましょうが、この法律自体にそういうものを十分考えておく必要がある、こう私は思うのであります。提案者中村さんは、もしそういう点でこれを修正するというようなことが提案されますような場合がありまするならば、それについて受け入れる御用意がございますか、伺っておきたいと思います。
  16. 中村梅吉

    中村(梅)議員 先ほど来いろいろ御議論がございましたが、申すまでもなく、この法案は努めて臨海地帯開発について総合性のある方向方向づけるということでありまして、実施機関ではないのであります。従って、これを実施するものは、都道府県がやる場合もございましょうし、市町村が実施する場合もございましょうし、またこの法案の中にも規定いたしておりますように、規模により、あるいは状況によりまして、特殊の機関を必要とする場合もあろうかと思うのでありますが、都道府県とか市町村とか、そういう機関実施でなしに、特殊の機関を設けるということになりますと、この法律にも特殊機関実施し得るような条項を織り込んでありますが、いずれにいたしましても、その特殊機関が公団であるにせよ、特殊法人であるにせよ、そのような機関ができまする場合には、これはあらためて国会審議を経て、公団法なり、あるいは特殊法人の設置に関する法律なりというものを御審議を願いまして、それらは現在の日本の憲法下における制度の定むる手続に従って進められるのでありますから、私どもは、この法案自体に今御心配になるような点はない、こう考えておる次第でございます。ただ、先日も申し上げましたように、私ども議員立法として提案をいたしたのでございますから、十分に御審議を得まして、最終的に議決をいたします段階におきましては、十分委員の各位と御協議をいたしまして、できるだけ欠陥のない法律を作り上げたいという心がまえを持っておりますが、私どもといたしましては、今日まで大体政治的に基本となるべきことを考え、これを専門の立場人たち既存法律や各般の状況を審査をしていただいて条文化したものでありますから、これで十分であり、この程度で一番妥当なものである、目下のところ、かように考えておるわけであります。
  17. 長谷川保

    長谷川(保)委員 どうもそう言われると、次に移りたいと思うのだが、引っかからざるを得ないのですが、どう見ても、この法案は、前回石山議員指摘し、ただいま私が指摘いたしました危険性があると思うのであります。修正を協議する用意があるということを明確におっしゃっていただいて、これで十分だと思うとおっしゃると、どうも私どもはこの事態を明らかにする必要があると思わざるを得ないのです。先ほど来私がくどく申しておりまする、この審議会委員メンバー基本計画を決定してしまう、それには知事意見は聞かなければならないということになっているが、同意を要するということでもなし、知事意見を聞くというのは決定的な問題ではない。この前の石山委員との質疑応答を見ておりますと、先ほど申しましたように、場合によっては、その県知事の意向というものを無視しなければならぬというようなこともあり得るという意味のことをおっしゃっているのでありますけれども、そうなると、なおさらこれは問題だと思う。たとえば、ここに社会党の出身の知事がおる。隣には与党出身の知事がおる。最近のあり方というものは、なかなかいろいろ力でもって無理をなさることがあるようでありまして、先般の国鉄新幹線の羽島駅の問題でも、大野さんの立場というものは、私もわからぬではありません。お立場が十分あられると思いますけれども、ともかくも、もう今の東海道線ではなくて、東京—大阪間をすみやかに結ぶ、あるいは三時間で結ぶという計画が、ああいうような形で人口四万の羽島駅ができるというようなことになる。お立場はわからぬではありませんけれども、ああいうことがやはりなされていくということになりますと、一方は社会党知事であり、一方は与党知事である、その場合に、与党知事立場を守って、社会党知事立場を無視していく、そうして、与党知事でなければだめだ、こういうように選挙民の諸君に植え付けるというようなおそれもないではない。現にこれはあった事実でありますけれども、先ごろの選挙で、岸さんが仙台へ行ってそういうようなお話をなすったということも、私ども承知いたしておるのであります。だから、そういうようなことを思いますと、こういう構成ではいけません。何か、そうでない、もっとほんとうにこの法案が目ざしまする、提案者中村さんが先ほど来御説明になりました、ただひたすらに善意に、総合的な、合理的な臨海地区の開発をするのだということだけにいかないという事実が、今日あるのでありますから、そこで私は心配しているわけです。その事実がなければ、こういうものは問題ではありません。そういうように、これはもし悪用する人があれば、悪用できる。だから心配するのでありまして、こういう点について十分協議をして、修正する用意があるということで言い切って下さるならば、これ以上食いつきませんけれども、どうもただいまの御答弁では——今のような過半数が与党の出身の大臣である、あるいは行政庁の長官であるということになり、そして審議会メンバーというものも、先ほども申しましたごとくに、必ずしも純粋に、学識経験者メンバーというものが学識経験者としての任務を果たしておるとばかりは言えないような事態が今日出てきておる、こういう事態がございますから、どこかでこれをチェックする道がなければいけないじゃないか。私は今の御答弁では納得できないのであります。それがなければ、これは非常な危険な法律になる。ここにそれを修正して入れるという気持はないでしょうか。私はこの国会のいろんな運営のやり方でも、悪ければ悪いですぐ直したらいいと思うのです。それから、このごろもわれわれの党でやりましたが、自分の党で出したものがベストのものである。それが否決された。けれども、反対党のものが、現状から見ればベターのものであるというならば、少数で否決されたならば、ベターのものをとっていく、それでけっこうであると思うのです。面目にかかわらないで、国民利益というものを土台にして考えていくということでいいと思うのです。だから、一応お出しになった法案は、何でもこれでいってもらいたいということでなしに、与党は多数でありますから、あくまで力で押し切るということはできましょうけれども、私の先ほど来申しておりますることは、単なる杞憂ではございません。私は事実から申し上げる。単なる杞憂ではないと私はみずから考えている。杞憂じゃなしに、もしこういうような強力な法律が通されると、将来、運営する人によっては、非常に災いが起きる。今日すでにその憂いがある。だからこれは十分慎重に扱わなければならぬと思うわけです。どこかにこれをチェックする方法考えようという御意思はありませんか。
  18. 中村梅吉

    中村(梅)議員 先ほど申し上げましたように、われわれ議員立法として提案をいたしたのでありますから、国会審議を経まして十分に議論を尽くし、また意見を交換いたしました結果、お互いに話し合いのつく点がございましたら、私どもは決して固執をする考えはございません。ただ、先刻お話が出ました知事の問題等につきまして、私ども立案段階でいろいろ考えたのでありますが、今政党的に社会党知事と自民党の知事という具体的なお話がありましたが、そのような場合は別としましても、かりにそのような場合がありましても、知事立場というのは、やはり県民なり都民全体の利益なり世論というものを考えながら、もともとの所属政党がどちらであろうとも、できるだけ公正なことをやるのが知事の任務であり、また、現に各都道府県知事はそういう行政をいたしておると思うのでありますが、かりにそうでないといたしましても、数府県にまたがりましたような場合に、全体の知事意見が一致しがたい場合も起きるでありましょうし、また、知事立場というのは、お互いに政治関係してみますとよくわかりますが、気持としては、自分としては、全体の角度からいってこの案でけっこうだと思う、しかしながら、県民の九九%はだれもこれが妥当のものであると考えておっても、一部の者がやはり利害にからまって納得しがたいような事情があるとか、あるいはその人たち自身もやむを得ないこととは思っておりましても、利害の関係で主張を続けるような場合も、実際問題として世の中にはあり得ることでありまして、そのような場合に、たとえば、その知事同意はいたしかねるけれども実施してもらうということについては、そういうような成案を得るということについては、腹では賛成であるという場合は、私は往々あり得ると思うのであります。知事のみならず、市町村長等の場合においても、私は、全体を総括している立場の人といたしましては、そのようなことはあり得ると思うのであります。従いまして、この法案では、意見を聞くということになっておりますが、意見を聞いた以上は、その意見が一〇〇%といかなくても、まあここらで納得がいくというところまでは、審議会審議をし、あるいは専門委員が調査をし立案をする場合におきましては、当然織り込まれなければならないものだと思います。織り込まれなければ、また実施段階において困難を来たすような、所期の目的を果たすことができないような結果になりまするから、結局私はそういうように納得のいく線で基本計画等もきめられなければならないと思うのであります。しかしながら、法律そのものにおいて、同意を条件とするということになりますと、いろいろこの種の総合的な目前の利害あるいは個人の目前の利害というものとは別に、できるだけ開発されたその地帯が合理的に、しかも最も高度に国家的に、社会的に活用されるように関連施設等を整備していこうとするのには、やはりそういう窮屈なことにしてしまわない方が、大局から見て妥当なのではないかというようなことから、私どもはこの提案をいたしました。知事意見を聞くという線が、いろいろ検討いたしました結果、妥当であろう、こういう結論に実は落ちつきましたような次第でありますが、審議段階で皆さんの御議論なり御意見等の結果、どういうことになりますか、私どもとしましては、ここに至りますについてはいろいろな場合を想定し、また議論をいたしましてこの結論になったものであるということを、この機会に申し上げておきます。
  19. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ただいまの知事の問題でも、大体知事というのは、今日の地方行政が多額の交付金と補助金の交付を受けることによって運営されておりますから、よほどのことでない限り、知事はよほど自分の県がひどい目にあうということでない限りは、政府に協力するというのが建前です。だから、ただいまのような、むしろ知事には非常に警戒の目をもって、そうして内閣の大臣等々でもって構成するものには、もう全くノー・ズロースに信頼していくというような形では、私は民主社会の法律はおもしろくないと思うのです。それからいま一つ、これは申し上げるまでもないことでありますけれども民主主義の原則というものは、やはり多数決の原則とともに、たといそれがどんな人であろうと、一人の人の基本人権が不当に侵されてはならないという立場が尊重されなければ、これは民主主義社会にはならないのであります。その点で、りっぱな多数決でありまして、その方の基本人権が侵害されるおそれが多分にある。今の知事に対しましても、むしろそういう警戒をしておられる。警戒という言葉は不当かもしれませんが、ともかくも、知事があるいは賛成しない場合があるかもしれないというようなことで、知事同意ということをここに書かないということであれば、なおさら私はその点でこれは非常に心配になる法案だと言わざるを得ないのであります。この法案一つの重要なポイントであります点をあげて御意見を伺ったのでありますが、次の質問に移りたいと思います。  それから、この計画と、巷間伝えられます東京湾の埋立計画、何でも二兆円ですか幾らかの非常に大きな金をもって、東京湾の三分の一かを埋め立てようという計画が——私もちょっと新聞で拝見した程度でありまして、十分なことは記憶しておりませんが、この間稲葉参考人のお話の中にも、それをやるためのこの法案ではないか、こういうようなうわさが巷間あるという話がなされたわけであります。私は、そういうことであれば、これはまた同時にいろいろ考えなければならぬと思うのでありますが、どうもこの法案を御提出になりましたいきさつ等を見ておりましても、必ずしもそういううわさ話が出るのが不当だともばかりは言い切れないものがあるかもしれぬというふうに推測しないわけにはいかないのでありますが、提案者に、この東京湾の埋立計画とこの法案関係があるのでしょうか、どうでしょうか、伺いたい。
  20. 中村梅吉

    中村(梅)委員 近来、東京湾の埋立問題等につきましては、前の住宅公団の総裁であった加納さん、その他いろいろな人からいろいろな意見世論に発表されておるようであります。しかしながら、これらと私どものこの提案とは何らの関係がございません。ただ、問題は、世間もそういうように関心を高めておりますし、現に東京都管轄下におきましても、千葉県管轄下におきましても、神奈川県管轄下におきましても、それぞれの県または市町村が関与いたしまして、個々の法人あるいは市町村において、国全体なり、あるいは現に施行されております首都圏整備法の精神なりとは関係なしに、いろいろそのような埋め立てや開発が進められておるようであります。この事態を放置しておきますと、埋め立ての規模、たとえば高潮等の起こりまする場合の高さの問題にいたしましても、現在のような状態では、最近起こりました伊勢湾台風の経験から見ましても、将来非常に心配になると思います。また人口の適正な配置、あるいは衛星都市の建設、あるいは東京港の整備というようなことから考えましても、今のように何らの有機的な連絡なしに行なわれておる状態をそのまま放置するということは、これは一刻も早く総合化する必要があるという見地に立っておるだけでありまして、だれがどういう案を発表されたから、そのどの案にわれわれが共鳴しておるとか、賛成しておるとか、あるいはこれを実施に移したいとかいうようなことは毛頭ございません。このような機関基本的にできましたのですから、もっと高い立場に立って合理的に研究をしてもらい、最も理想的な成案を作っていただきたい、また同時に、現在施行されております首都圏整備法の精神等にも合致した方向に進めてもらいたいということを念願いたしておるだけであります。
  21. 長谷川保

    長谷川(保)委員 こういう法案を前国会からお出しになっていられる提案者の皆さんでございますから、当然、先ごろ発表された——今ちょっと記録を見ましたら、四、五兆円の金を使って、東京湾を半分とか三分の一とか埋め立てるという計画でありますが、その計画は御承知のことと思います。その計画に対してはどういうようにお考えになっておるわけですか。
  22. 中村梅吉

    中村(梅)委員 私は、稲葉さんが指摘をされました、何という団体ですかが発表しましたものはよく存じませんが、俗に加納構想といわれております、これは一番大規模な東京湾の開発、埋め立てをやろうという構想のようですが、あれは印刷物等を私一、二年前に拝見をいたしました。しかしながら、当時私どもは首都圏整備事業というものに深い関心を持っておりましたので、その首都圏整備の考え方等と照らし合わせますと、よほど批判すべき余地があるのではないか、まだ現実に加納さん自体も東京湾の海底調査等をしておるわけでもなし、また、それに要する工事費なり、あるいは実施方法なりというものを何ら具体的にしておるものではありませんので、加納さんの言うこと自体も、一つの、人間は大きな夢を持った方がいいんだという建前で大きな計画を発表しただけのようで、あれで見ますると、東京湾の中心地帯のずいぶん水深の深いところまで入っておるようでありますから、私は技術的にも専門の知識がございませんが、いろいろ批判の余地があるのではないか、このように考えております。
  23. 長谷川保

    長谷川(保)委員 企画庁の方では、ただいまお話しの加納構想なるものについてどんなお考えを持っていらっしゃいますか。企画庁でなければ、建設省の方でもけっこうです。
  24. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 加納構想、あるいはその後、産業計画会議の方で東京湾の埋立計画というものを出されたようであります。内容は私も実は詳しくは存じませんが、東京湾について二億坪ばかりを埋め立てるというような大きな計画でございます。構想といたしましては、非常に計画的であり、かつ雄大なもので、そういう点は注目すべきものがございますが、これはまあ一つ民間機関考えて発表したものでございますし、また計画案の内容自体につきましても、非常にむずかしい問題がたくさんあるようでございます。私どもなお研究を重ねて参らないと、これに対してどうというような意見は述べられないと思います。
  25. 長谷川保

    長谷川(保)委員 御承知のように、国土総合開発法というものが昭和二十五年にできている。これには、国土総合開発の計画書を作成するということに法律でなっておる。また、この計画書の要旨は公表するように法律でなっておりますが、そういう計画書ができて、要旨が公表されておるのでございましょうか。
  26. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 国土総合開発法に基づきます計画としましては、あるいは特定地域の計画でありますとか、都府県の計画でありますとか、いろいろありますが、一番今まで計画が進んでおりますのが、特定地域開発計画でございます。これは全国に二十二の特定地域がございますが、その地域につきまして開発の計画を立て、閣議決定をいたしまして公表いたしております。これはすでに二十一について閣議決定がなされ、公表されておりますが、残っておりますのは実は対馬だけでございます。これは離島振興とダブっておりますので離島振興の計画はすっかりできておりますが、特定地域としては、離島の方に譲って作っておりませんので、それだけを除いて、二十一の特定地域について計画が全部閣議決定になり、公表されております。
  27. 長谷川保

    長谷川(保)委員 国土総合開発の第七条には、「全国総合開発計画を作成するものとする。」そしてその第三項には、その「要旨を公表するものとする。」と書いてありますが、これはいきておるでしょうか。
  28. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 全国計画を作ることになっておりまして、私どもだいぶ前からいろいろと検討を重ね、一つの構想はできたのでございますが、いろいろと地域的に開発の計画をきめますのに、非常にむずかしい問題がございましたので、だいぶ手間取りまして、まだ今日のところ公表するまでの段階に至っておりませんのですが、私ども、これはまた大へんおくれておりますので、何とか早く全国計画を作りたいというふうに考えておったわけでございます。ただ、御承知のように、所得倍増計画というものを作るということになりましたので、それができますと、私どもの方で考えておりました全国計画の内容も、それに合わせて変えなければならない、こういうことで、所得倍増計画の方のでき上がりますのを待って、私どもの全国計画もそれに即応したものとしてきめていきたい、こういうことで、手続がおくれておりますのは、まことに申しわけないと思っております。
  29. 長谷川保

    長谷川(保)委員 どうも私よく了解できないところがあるわけであります。特定地域開発計画は二十一できて、あと残っているのは対馬だけだ。ところが、全国の総合開発計画はないのだ、その要旨もできないのだ、また所得倍増計画でそれが変わるのだとおっしゃる。私にはどうものみ込めないのですが、一つ質問申し上げる点は、二十一の全国の特定地域開発計画ができてしまっておる、それは閣議で決定しておる、その特定地域の中には臨海地域も含んでいるのでしょうか、臨海地域は含んでいないのですか。
  30. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 特定地域の中に、臨海地域がどこが指定になるかわからないので、はっきりとは申し上げかねるのですが、あるいは一部臨海地域を含んでおるものがあるかとも思います。
  31. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ちょっと提案者にお伺いしますが、そうすると、今まで国土総合開発法による特定地域開発計画が全国でできてしまっておる。対馬を除いて全国できておるわけです。そのできております開発計画の以外に臨海地域を作り、新しく海を埋めていって土地を造成するということにだけこの法律は適用するのでございましょうか、どうなんでございましょう。この法律を読みますと、背後地の関係までいろいろあるようでございますけれども、すでに閣議決定でいろいろ計画ができてしまっておる。そこにまたこれが出てくる。もちろん、調整のことはあとに書いてございます。けれども、一応閣議決定して、今すでに各地ともかかっておるのでございます。そうすると、この法律との関係はどうなるのでありましょう。
  32. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 特定地域の方の地域指定は、非常に広い地域にわたっておるものが多いのであります。たとえば北上地区、只見地区というようなものがございますが、かようなものは、臨海地域として考えられるような地点とダブっておらないのであります。どこがダブりますか、わかりませんが、いずれにいたしましても、かりにどこか臨海地域として指定されました場合に、そこが特定地域地域内に入っておるということはないわけではないと思います。しかし、特定地域内の非常に一部の地域になると考えておりますので、特定地域開発計画はそこまでこまかい計画は立てておらないわけであります。
  33. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると、特定地域開発の、すでに閣議決定をしております地区外のところをやるということですか、どうなんですか。
  34. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 特定地域の中の一部の地域を臨海地域として指定される場合もあるかと存じます。また、特定地域外に臨海地域指定される場合もあるかと思います。
  35. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ちょっと関連して。政府委員答弁は少し納得できないのです。私まだ勉強しておらぬけれども、今ここに来ていただいた「臨海工業地帯開発公団設置について」という、通産省、運輸省、建設省、三省から出された資料によりますと、開発公団において事業を行なう予定地区として、十二区を予定しておる。それは名古屋、四日市、海南、大阪、高砂、壬生川、松永、長府、境、博多、大分、八代、以上の十二地区、こういうことになっておるわけです。従って今長谷川委員かお伺いをしておる、国土開発法に基づく特定地域としての事業計画がすでに閣議決定されている以上、これは確定しておるわけなんです。従って、臨海工業地帯設置法がどの関係においてダブるか、長谷川委員が伺っておる点は、もう少し具体的に——たとえば北上川だ、あるいは只見だというのは、これは海に面していないのですから、臨海工業地帯には入らないということは、これはわかり切っておるので、一応二十一の特定地域というものが設定されて、事業計画が定まっておるということになれば、臨海工業地帯に基づいて、そのうちのどこの部分が予定されるかというような点については、もっと具体的に答えられなければならぬはずじゃないかと思うのですが、これは提案者の自民党側の中村さんからお答をいただいてもいいわけですけれども、同時に、この与党提案法案があるという関係から、すでに開発公団の設置についてまで、関係省が具体的な準備を進めていて、今長谷川委員質問に対して具体的なお答えができないというのは、一体どういうわけですか。
  36. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 特定地域内のどの地域に臨海地域指定されるか、あるいは特定地域外でどの地域指定されるか、これは臨海地域指定の問題になりますが、臨海地域指定の基準、あるいは具体的にどの地域指定するかということは、この法案が成立いたしましてから、審議会で御決定を願うことになっておりますので、今のところ、私どもの方としては、具体的にどこの地域が臨海地域指定されるかということを申し上げる段階に至ってないわけでございます。三省公団の方で予定いたしております事業地域は、これは三省の方で、大体公団はこういうところで仕事をやったらというお考えでお書きになったろうと思っておりますが、臨海地域がそのうちどの地域指定されるか、これもきまっておらないわけでございます。
  37. 田中織之進

    ○田中(織)委員 このいただいた資料によりますと、事業予定地域といたしましては、四十地区があげられておる。そのうちで、当面事業に着手する地帯として、先ほど私が読み上げました十二地区が出てきている。私は、その意味において、与党側が提案されているものについては、関係各省において、これが成立をした場合ということで、相当作業が進んでおると思うのです。その意味において、長谷川委員質問に対して、国土総合開発法に基づいて、すでに国自体としてやらなければならぬ地域指定がなされておるということになると、この新しく制定しようという与党提案との関連において、もっと具体的なお答えが出てしかるべきじゃないかと思うのです。今すぐお答えできないといたしましても、次会までに——私ら最近この委員会の委員になった関係で、あるいは古い諸君は御存じなのかもしれませんけれども、先ほど長谷川委員からお伺いしてお答えになりました二十一地区の問題は、具体的にはどうである、そこで閣議決定をされて事業計画も定まっておる、すでにそれは、一部分であるけれども、着手しておる、こういう状況にあるのでありまするから、事業計画の内容というものは、秘密事項でも何でもないと思いまするから、そういうものを、これは一つ委員長にもお願いをいたしますけれども資料としてお出し願い、そのうちで、この臨海工業地帯設置法に基づいて、臨海工業地帯として設置を予定されるところが、二十一地区の関係においてどことどこがあるか、これは一応予定でありまするから、最終的に変更になるという場合があり得るということは十分われわれも了解できますから、そういうような関係のものを次回の委員会までに資料として出していただきまするように、一つこの点は委員長の方のお計らいもあわせてお願いしておきたいと思います。
  38. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 田中委員に申し上げますが、ただいまの御質疑の内容は、三省でただいま配付をいたしております公団法案と本法案との関連いかんということであろうと思うのでありますが、これは前々の質疑提案者がたびたびお答えになっておる点でございますので、この際重ねて提案者から、特に田中委員に対しましてその点を明らかにしていただきたいと思います。
  39. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この法律案考えておりまする点は、同じ臨海地帯開発を要するところでありましても、相当の高い総合性を必要とする、総合性を付加しなければならないところのみを、審議会の議を経て指定してもらおう、こういう考え方であります。従いまして、俗に申します三省公団が数十カ所の予定地域考え、あるいは、公団ができましたら、さしあたりどういうところをやろうということも計画があるようでありますが、これとは必ずしも一致いたさないのであります。あるいは三省が考えておりまする中にも、相当高度の総合性がなければ、埋め立てをしても、あるいは工場ができても、工業用水の問題でありますとか、交通機関関係でありますとか、いろいろの点において総合性を十分取り入れなければならないという点がありますならば、それは審議会の議を経て、そういうところも指定をされるということになるわけでございます。従って、三省公団の考えておりますことと、これとは直接の関連は実はないのであります。  それから、先ほど国土総合開発との関連についていろいろ御質疑がございましたが、この点につきましては、国土総合開発で特殊地域として指定しておるところのあるいは一部分が、今申し上げたような趣旨に沿って、この臨海地帯開発地域として、この法律ができました暁に、審議会の議を経て指定される場合があるかもしれません。そのような場合には、第五条でございましたか、調整の規定をこの法案に設け、また、開発地域として指定した地域の今後の計画について、国土総合開発の方と関連のある場合には、内閣総理大臣は国土総合開発審議会の議を経て進めなければならない、実はこういうような調整規定を設けましたような次第であります。これも必ずしも合致するか、あるいは合致する場合が起きてくるか起きてこないか、実は私ども、先刻来申し上げましたような立法考え方の基本をここに定めたいというだけでありまして、今後審議会ができて、そうして総合的な方向方向づける必要のある場所をどこにするかというようなことにつきましては、私ども提案者としましては、そこまで深入りをするということはどうも行き過ぎになるのではないか。考え方をここではっきりさせまして、その考え方に基づいて、審議会が公正に審議した結果、しかるべき場所を指定せられるのが妥当であって、われわれが今ここで私的な考えを言ったり、あるいはそこまで踏み込んでいくということは、行き過ぎになるのではないかということで、実は差し控えておるようなわけです。
  40. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  41. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 速記を始めて下さい。
  42. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今の話を承っておりまして、ダブることもあり、ダブらぬこともあるが、ダブるところについては調整していくということでございますが、あの特定地域開発というものは、相当に詳しい、また相当に大がかりなものを作っていらっしゃる。私は十分に存じません。先ほども資料を要求しておいたのでありまして、十分に承知しませんけれども、私どもの近くの問題について考えますと、そういう点が考えられる。むしろ夢物語くらいに大きいいろいろなことが考えられておるようであります。私は、実行されればけっこうなことだと思うのでありますけれども……。それで、一体調整をするというのは、すでに閣議決定をしてあって、それに従って各地区において計画を進めておる、それが不十分だから、不十分なものにさらに継ぎ足すのだ、あるいは時代の進歩に従って事情が変わってきているから、調整をするのだ、こういうのでしょうか。もちろん、国土総合開発法による総合開発特定地域以外のところをやるのは、これはもうわかります。だが、すでにそれとダブるような点、その地域のところに新しくやっていくということについては、この法律との関係がどうなるのか、まだ十分わからないのだが、もう一度御説明願いたい。
  43. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 特定地域と、臨海地域として指定された地域と、もしダブりました場合に、臨海地域につきまして開発基本計画を立てていくわけでございますが、その場合に、今まで、場合によりましては六年も七年も前に立てられました特定地域開発計画があるわけでございますから、それと矛盾するような関係に立つ計画を立てなければならないというようなことがありました場合には、両者の間を調整いたしまして、相矛盾することのないような計画にしていく。その場合は、基本計画の方の立て方を多少変えていく場合もありましょうし、あるいは、今まできめておりました特定地域開発計画を直していく場合もあるかと思います。
  44. 長谷川保

    長谷川(保)委員 どうも私にはわからぬ。そういう五、六年前に立てた計画を訂正しなければならぬから訂正するというならば、その計画を訂正すればいいのであって、何もこの新しい法律でやっていく必要はないでしょう。それから、先ほど申しましたように、国土総合開発の特定地域以外のところをこれでやるというなら、まだわかりますよ。けれども、それだって、府県の地域総合開発、それから今の特定地域などと、国土総合開発法には三つやるように書いてありますけれども、新しいところだって、この国土総合開発法でやれるのじゃないのか。それから、全体の総合が必要だ、これはごもっともなことでございますが、昭和二十五年に作った法律に、全国の総合開発計画を作るのだときめてあり、そしてその要旨を公表するのだと法律できめてある。それができておりさえすれば、総合開発もできておるわけです。二十一地区をやって、もう対馬だけ残り、ほかにはないのだというならば、それをやればそれでできたはずだ。だから、国土総合開発法にちゃんと、全国の総合開発の計画を作れと書いてある。それが昭和二十五年にきまった。いまだにそれができておらぬ。それで新しくまたこの法律を作ってやっていく。総合計画が必要ならば、なぜその全国総合開発の計画でいかないのか、新しくこういものを作らなければならぬのか、その点は私わからぬですよ。
  45. 三浦義男

    三浦法制局参事 私から法律関係の点をちょっと申し上げておきますけれども、この法案は、御承知の通り、第一条に書いてございますように、土地の造成、こういうことが主眼目になっておりますので、従いまして、港湾の埋め立てとかいうようなことがおもな事業ということになってくるだろうと思います。しかしなが、この計画をきめます場合におきましては、埋め立てだけでなくして、そのうしろの内陸部、いわゆるヒンターランドと申しますか、そういうものをひっくるめました一つの臨海地域を想像いたしまして、そういう区域内の計画をきめていくわけでございます。従いまして、従来の国土総合開発法によりまする特定地域開発というものがどういうことになっておりますか、私ども存じませんけれども、陸地部面等におきましては、ある場合において関連してくる場面があるだろうと思います。そういう場合におきましても、こちらの方は、土地の造成というようなことをひっくるめました意味におきましての臨海地域開発でございますので、地域がある場合重なり合いましても、ちょっと観点が違うわけでございまするので、その間の計画は、両者必ずしも意図しておるところが同一でもございませんので、食い違いが起こる、こういう場合に、調整をするという問題になってくるだろうと思います。大体そういうように考えております。
  46. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それは変じゃないですか。国土総合開発法の二条に何と書いてありますか。「この法律において「国土総合開発計画」とは、国又は地方公共団体の施策の総合的且つ基本的な計画で、左に掲げる事項に関するものをいう。一土地、水その他の天然資源の利用に関する事項」と書いてある。だから、もし今の法制次長答弁提案者が御納得なさるなら、何だかこの法律の正体が読めた。というのは、こういうようなことをいろいろ書いてきたけれどもほんとうはこの法律目的は、何のことはない、特殊な機関、つまり埋め立てをやる機関を作りたいのだ。つまり土建業者がこれをねらっているのだ。それは三省の公務員諸君が、まごまごしたら自分のうば捨て山を作るのだ。うば捨て山というよりも、これは大きな月給をもらってやるのだから、大成功でしょうけれども、そういうようなものを作るのだというにおいがする。国土総合開発法にも、北海道開発法にも、東北開発促進法にも、みんなちゃんと、土地、水のことが書いてある。なぜこの法律を作らなければいけないのか。この法律の一番のめどは、この特殊機関にあるのではないか。特殊機関を作って埋め立てをやっていくということにあるのではないか。それでなかったら、この国土総合開法でやれるではないか。これをやらないで、なまけておいて、またこういうものを新しく作って、これはことに一方においては三省が各省の中心ではないかと思う。それで、自分たちがやると、いろいろ勢力争いができてきていろいろ工合が悪いから、えらい人の名前を使ってやる。また、えらい人のところには土建業者が入っていくのではないか。何だか私は今この法案のねらいがわかったような気がする。提案者は今の法制次長答弁をそのまま御納得なさいますか。
  47. 中村梅吉

    中村(梅)議員 だいぶ何でしたが、国土総合開発の方の特殊地域指定は、これは地方的に非常に広範囲地域指定して開発計画を立てるということが、基本のようであります。しかし、臨海地域というのは、その地方全体から見れば、主として開発の行なわれておるところの近辺がさしあたり問題になっておるわけでありますから、従って、国土総合開発の特殊地域として指定されるところとは、大体線としては違っていくのだと私どもは思うのであります。先ほど田中さんからも御意見がございましたが、先般の委員会でも申し上げましたように、私ども、この審議会審議してきめるべきことについてあまり立ち入ることは差し控えておるわけでございますが、私ども立案者及び提案者として、この制度ができましたならば、すみやかに指定を要すると思っており、また指定をしてもらいたいものだと思っておりますところは、北九州にいたしましても、あるいは伊勢湾にいたしましても、東京湾にいたしましても、そういうところはすみやかに指定をしてもらいたいところだ、こう実は考えておるわけであります。その他の地域ももちろん、工業の立地条件でありますとか、あるいは人口の分布でありますとか、いろいろな角度から研究して参りますと、他に出てくると思いますが、先般の伊勢湾台風の被害等から見ましても、伊勢湾というところが非常に臨海開発としては適したところでありますが、これがよほど総合的にまた十分の条件を備えてやりませんと、あのような災害も起こってくるわけでありまして、このような地帯は早く指定をしてもらいたい、こう思うのであります。これらの地帯等は、たとえば国土総合開発の特殊地域指定というところには、やや縁遠いわけでありますから、そこでこの国土総合開発法とは別に、臨海地域だけについてのこういう立法が必要であろう、かような角度に立っておるわけであります。
  48. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今お話しの小さい地区、臨海地区の計画というものも、本来国土総合開発計画の中に入っていなければならぬと思うのです。というのは、中村議員先刻御承知のように、国土総合開発計画、この法の第二条の第二項を見ますと、「前項の国土総合開発計画は、全国総合開発計画、都府県総合開発計画、地方総合開発計画及び特定地域総合開発計画とする。」と、都府県までみな入っているのです。各府県がみな入っているのです。だから、今のお話のような地区というものは、国土総合開発全体から申しましても、特定地域開発から申しましても、二県以上またがれば、地方総合開発という形に持っていけばいいのだし、一県でありますれば、都府県の総合開発計画でよろしいし、さらに大きな全体の計画を要するところでありますれば、特定地域開発計画でよろしいし、これで全部できるようになっているのです。だから、これでできるのに、なぜこの法律を新たに作るのかが私はわからない。今のように、この法律には、特別機関というもの、特殊機関というものがないから、それを作ってやるのだということならわかります。それなら、公団法なら公団法を作ればいいわけです。そういう意味ならわかりますが、今のお話のような、特別に臨海地域だけやるのだということになれば、府県なら、この都府県総合開発でみないけるじゃないか、あるいは二、三県にわたるものならば、地方総合開発計画でいけるじゃないか。この法律があるのに、なぜこの新しい法律を作らなければならぬか、これが私はのみ込めない。この点どうでしょう。今の臨海地域だって、みないけるでしょう。国土総合開発法のたとえば都府県の総合開発計画、地方の総合開発計画、特定地域総合開発計画には臨海地帯を含んではならないと書いてない。臨海地帯は一番重要な地帯でありますから、当然この中に含まれなければならぬ。また事実、私どもが拝見します計画には臨海地帯が入っておるわけです。だから、その計画が時代の推移とともに立ちおくれになったから訂正しなければならぬというなら、訂正すればいい。新しくこの法律を作って、屋上屋を架する必要はないと私どもには思える。この点いかがでしょう。
  49. 中村梅吉

    中村(梅)議員 確かに、臨海地帯を除くとは明記されてありませんが、この法案臨海地帯のみといいたいのですが、場所によっては、その背後地の道路関係とか、上下水道関係とかいうことも含まれなければ、目的は果たせませんから、そういう隣接背後地等の計画も含み得るようになっておりますが、中心は臨海地帯であります。そこで、今の国土総合開発法から見ますと、臨海地帯のみの指定、たとえば市町村区域あるいは県区域というような地域としての開発というものが中心でありまして、臨海地域のみの開発ということが非常に縁遠いのではないか。しかもこの国土総合開発の方は全国的なことでありますから、一地点、数地点にしぼって諸般の具体的な施策をきめ、そうして実施方法まできめ、実施をはかるというところまでは非常に私は至難な、縁遠いことだと思うのです。かような点にかんがみましてこの立法をいたしまして、この立法考えるところは、地域指定のみでなしに、また基本計画のみでなしに、それを実施する方法についてまで、審議会の議を経て進めていくということによりまして、現在のようにばらばらに重要地帯の埋め立てや開発が行われて、総合性が失われておる現状を是正したい、こういうのがこの法律考えるところでありまするから、国土総合開発法とは、なるほど、条文の面だけから見ますると、御議論のような点が成り立つと思いますが、実際としては、やはりこの種の臨海地帯のみに関する立法がなければ、現在のばらばらに施行されております事柄を総合的に、しかも将来悔いのないような開発をしようということには困難がありまするので、この種の立法が必要である、かような考え方でございます。
  50. 長谷川保

    長谷川(保)委員 どうものみ込めませんね。だから、この国土総合開発法でできないところは一つもないと、私にはこの法律は読める。しかも、先ほどもお話がありましたように、ちゃんとこれは閣議で決定してやっておる。二十一の特定地域開発も全部閣議でやっていらっしゃる。そういうものは全部閣議でやって、総理大臣が親方で、そうして経済企画庁が中心になっておやりになる。国土開発審議会もある。調整もちゃんと全体でできるようになっておる。この法律でもってできないところはどこにある。今の実施機関の場合は、これは別ですよ。埋め立てをやる土建会社を作る。公団と言おうか、何と言おうか、土建会社をやって、大いに一つもうけてやれ、これなら別だ。別だけれども、この国土総合開発を見て、実施機関がないから——この国土総合開発計画法で計画までは全部きまりますが、しかしそれの実施機関がない、つまり土建屋がない、土建屋が必要なのであって、だからその土建屋を作るのだ、これなら別ですよ。それは国の金をたくさん持っていって作るのだ、国の安い利子の、あるいは利子のないような金を使ってやるのだ、これなら別でありますけれども、そこだけと考えてよろしいのでしょうか。この法案はそれだけをねらっておるのだと考えてよろしいのでしょうか。そうするとまた問題が出てくるのでありますけれども、それだけ考えてよろしいのでしょうか。あの国土総合開発法で、今中村さんがおっしゃったようなことができないはずはないと私は思うのだが、企画庁の方、あるいは建設省の方、今のこの法律でどうです。私は両方の法律を読んでみて、国土総合開発法を読み、この法案を読んでみて、できないところはないと私は思うのですよ。だから、わからない。だから私のような頭の悪い議員がわかるように一つ説明してもらいたい。
  51. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 国土総合開発法によります全国計画あるいは地方計画等は、かなり広大なる地域にわたって相当大ざっぱな計画を立てるという態勢をとっておりますので、その計画では、この臨海地域開発促進法案の期待しておりますような、臨海地域という一つの特定の地域に限った基本計画を立てるというふうにはちょっと動きにくい。それから特定地域が似ておるところがあるかもしれませんが、私ども国土総合開発法によりまして特定地域指定しておりますのが、大体、たとえば只見地区のように、電力資源あるいは林産資源等が非常に未開発のまま残っている、そこを濃厚に開発いたしまして電源開発あるいは林産開発を行なう、こういうようなことだろうと思います。あるいはまた、災害が非常に多いというような、たとえば北上の水系等につきましては、計画的にダムを作って水害を防いでおる。こういうように、大体今まである地域で資源を開発し、あるいは災害を防除し、その他、建設等も必要な地域指定して開発を行なうということが本旨になっておりますので埋め立てをして新たに土地を作って、その土地を開発していく、こういうことは実はちょっと予期しておらなかったわけであります。
  52. 長谷川保

    長谷川(保)委員 あなたは大ざっぱなことをやっているというけれども、私は事実知っているのです。私の町の一反歩の畑まで水を引いてくるのを、ちゃんと総合開発計画の中の実施事業として決定しているのです。そして一反歩の畑に水を引っぱってきて水田にする、それについて地元の負担金が安いとか高いとかいうことで、お百姓が承知せぬという問題が起こっておる。そんなこまかい実施計画まで作っておるのです。なぜそれを国土総合開発法でできないのですか。何でもできるじゃないか。一反歩の畑にでも水を持ってこれるじゃないか。それをやらなければまた総合開発にならないじゃないですか。実施計画でできるじゃないですか。だから、国土総合開発法は、たといそれが府県の総合開発というようなものになっても、計画が大ざっぱなんだ、そんなことにならぬじゃないか、この点はどうなんですか。
  53. 三浦義男

    三浦法制局参事 ただいま長谷川委員からお話がございました点は、法律的に申しますと、国土総合開発法を広く読むことによりまして、必ずしも国土総合開発法で法律上不可能ということを断定することはできないと思いますが、たとえば、いろいろ開発の場合におきましては、九州地方の開発促進とか、あるいは東北地方の開発促進とか、北海道の開発促進とか、あるいはまた、四国地方の開発促進というようなことが考えられておりますが、そういう特殊の点に重点を置きまして、そうしてそういうものについての計画法を特別に立法する、こういうことは、必ずしも、国土総合開発法がありましても、そういう立法が不可能ということは言えないわけでございますので、それぞれの立場におきまして、たとえば土地造成とか、あるいはその利用、それからそれに伴います関連諸施設の整備、こういうことに特に重点を置きまして特別立法をするということは、私が先ほどあげましたような従来の開発促進法等があることに照らしましても、一向差しつかえないことだと、法律上は思っております。ただ、この国土総合開発法によってやれば、ある程度のことはできますけれども、やはり特別立法といたしまして、それらに関するものを一連の計画のもとに規制する法律を作ることは、一向差しつかえないと思っております。なお、特にこの法案の第六条でございますが、公有水面の埋立法につきましての特例をあげておりますが、こういう点は、ちょっと国土総合開発法では読めないと思っております。
  54. 田中織之進

    ○田中(織)委員 関連して。三浦次長の答弁ですけれども、国土総合開発法でやるということは不可能ではないという答弁、ちょっと私、法制次長答弁としては受け取れないのです。もちろんこれは議員立法でありますから、立法上の関係のことであなたはいろいろ答弁されているのだと思うのですけれども、私はもう少し率直に——不可能ではないという、非常に消極的な余地しかないのとは違って、長谷川委員指摘いたしますように、本来ならば、国土総合開発法に基づいてこういうところまでやることが本来の趣旨だと私は思う。ところが、現実にはそういうようにいっていないから、特に臨海工業地帯の問題を抜き出して特別立法をするのだということであれば、これはわかります。けれども、建前としては、国土総合開発法に基づいてこれはできるということが私は建前でなければならぬと思う。国土総合開発法に基づいてやることは不可能ではないという、そんな消極的な答弁は、法制局の次長ともあろう、尊敬する三浦さんの答弁としてちょっと受け取れない。それから、関連でありますから、いずれ私もあらためて伺うつもりでありますけれども、やはり中村さんが先ほど私の関連質問に答えられましたように、ただ単に臨海工業地帯の埋め立てなどをやるということではなくて、臨海工業地帯に対する総合的なものをやるために特別立法が必要なんだということになりますと、藤巻政府委員が言われる点とも私は矛盾してくると思うのです。従って、一般的には国土開発基本法に基づいてやることはできるのだけれども、臨海工業地帯だけを特に抜き出してやることが、日本の工業の現状、あるいは海岸地帯における災害等の関係から見て、その必要がある、こういうことであれば、この立法の趣旨というものはわれわれも理解できないではないのでありますけれども、やはり基本法でやることは不可能ではない——不可能と言いたいけれども、不可能ではないというようなことでは、納得できないと思います。それから今三浦さんが、たとえば北海道開発——現に私らの四国・和歌山県開発というようなものも通常国会までに促進法を出そうとしておる。しかし、九州開発伝の問題でも、東北、北海道の開発法の問題でも、日本の国土をこういうようなこま切れに切ったような形で開発促進法を作るということは、総合的な国家として私は逆行することだと思う。私ら自分の出身地がそういう法律の恩恵によってよくなろうとしておる。臨海工業地帯の中には、私の生まれた、現に住んでいる町が入っているのです。私は、そういう当面の利害関係からいえば、あえて反対するものはない。しかし、総合的な関係から見たら、九州、今度は四国・和歌山、その次には山陰、そんな形でやっていったら、一体日本国家として、これは道州制でも実施されて、連邦制にでもなれば、またおのずから別問題です。そんななわ張り的な考え方でやるということは、科学技術の発達しておる段階に逆行することなんです。私はそういう考え方を基本的に持っておる立場から見て、この臨海工業地帯の問題も、本来ならば国土総合開発法でやれないはずはないのであって、やるべきものである。やらなければならぬということまで、義務的に書いてある。しかし、これはいろいろ政府の怠慢もあるかもしれません。予算的な制約があるかもしれない。そういうような形で取り残されているものを特に推進するという立場においてこれをやるのだ、もしそういうことであれば、これは議員提案という形でなくて、われわれ立法府でありますから、議員政府の気のつかないところをやるということは当然やるべきことですけれども、今の政党内閣の建前から見るならば、私は、やはり総合開発法との関係でこの部分だけを特に推進する立場において特別立法したいという形で政府提案なら、これはまた受け取れないこともないと思う。ちょっとその点が、提案者と、現に総合開発法に基づいて施策を進めなければならぬ義務を負わされている政府行政機関との関係において、どうも納得できないものがあるのです。その点は特に政府側として、国土総合開発法に基づいて全国計画もまだ出てない、所得倍増計画が出たから、それに基づいて練り直すのだ、藤巻さん、そんなことを国会答弁して、通ると思うのですか。所得倍増ではありませんよ。そんなものによって、国土開発法に基づいて義務づけられておる全国計画が出ないということで、企画庁としての責任が果たされますか。その点は一局長を相手に質問をしても、責任のある答弁が得られないかもしれません。この次には当然菅野長官を呼ばなければならぬことになる。そんなことになると、総理も呼ばなければならぬことになると思う。それだから、もう少し、長谷川さんが指摘されておりますように、国土開発法に基づいて行い得るものの限界というものを、私は明確に政府側としては答弁をしてもらいたいと思う。
  55. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 法律的の解釈は、三浦さんの方からお答えがありました通りども考えております。不可能ではないかもしれませんが、今まで私どもが国土総合開発法を動かして参りました動かし方というものは、大体先ほど申しましたように、現在ある土地で資源が開発されずに残っている、あるいは災害を防除しなければならぬ、あるいはその他建設をしなければならぬ地域を特定地域として指定いたしまして、そこの開発計画を立てる、こういうふうに法律がきめてあるものというふうに解釈して動かしてきておるわけでございます。新しく水面を埋め立てて土地を作って、そこに工業その他を持ち込んでいくということは、ちょっと私ども今までこの法律からやらなければならぬというふうに解釈をしておらなかったわけでございます。
  56. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そんなばかなことはありませんよ。やっておるじゃありませんか。特定地域総合開発計画でやっておるじゃないですか。そんなでたらめなことを言ちゃいけませんよ。ちゃんと土地の埋め立てをやっております。やっていませんか。やってないと言い切るなら、私が言いましょう。
  57. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 若干地方的には、一部埋め立てあるいは干拓等も計画に入っておるのはございます。しかし、この臨海地域開発法で考えておりますような大規模なもの、たとえば東京湾等につきましては、私ども特定地域を設けておりませんので、そういうところまでは考えておらなかったわけであります。
  58. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それだから、今足りぬところがあれば、まだやってないところがあれば、国土総合開発の府県指定、あるいは地方総合開発、府県の総合開発計画、あるいは特定地域開発計画でやればいいのであって、何もこの法律でやらなければならぬということはないと思う。ちゃんとりっぱな法律がある。りっぱな法律があって、それをやらぬでおいて、新しい法律を作る。古い女房は飽いたから、新しい女房をもらわなければどうも気分が出ないというなら別だが、変じゃないですか。基本法という話も先ほど来あったわけでございますが、私は基本法としては、国土総合開発法の方が基本法でなければならぬと思う。これを差しおいて、臨海地域の方が基本法だという、そんなばかなことはない。筋が通らない。基本法ならば、国土全体をやる国土総合開発法が基本法でなければならぬ。どうも先ほど来の御答弁に矛盾があるのですよ。これはばらばらでは困るから、総合的にやるのだ、そこで臨海地域だけをやるのだという、それでは府県ではばらばらではなくなるかもしれません。けれども、国土全体からいえば、臨海地域という点が区切られてやられて、ばらばらになるじゃありませんか。国土全体の総合開発計画を立てなければならぬ。その法律がちゃんと昭和二十五年にできておる。もう八年かかっておる。その計画があって、しかも二十一地区については特定地区ができておって、やらぬのは対馬だけだ、こういう話であった。東京湾をやっていないというなら、この国土総合開発法でやればいいのであって、なぜ新しくこういう法律を作って、しかもこれを基本法というのであるか。なぜ国土総合開発法は基本法でないのか。土建屋を作るのなら別です。これは中村さんからでも政府側からでもけっこうです。
  59. 中村梅吉

    中村(梅)議員 ものは見方によって若干違いますが、もしこの臨海地帯開発を、私ども考えておりますように、総合的な見方で合理的な開発をしようということになりますと、国土総合開発法にやはり若干の改正を加えなければできない部分があるのじゃないかと思います。一例をあげますと、しばしば申し上げるのでありますが、この種の法律が必要であるということをわれわれ考え出しました提案者側の着想といたしましては、この臨海地帯開発につきましては、現在は、御存じの通り、五十町歩未満は府県知事の許可権であります。従って、府県知事がその範囲内においてそれぞれ適宜許可をして埋め立てが実施されておるというのが現状であります。そこで、その埋め立てをしようとするいろいろな会社などできまして、府県知事がこれを許可してやっております。許可する側から見ますと、府県知事は、自分の府県あるいは地先というだけの観点で許可をいたしましょうし、他の隣接府県との関連、あるいは人口なり工場の配分計画というものとは関連なしに許可する場合がおそらく多いだろうと思います。また、五十町歩未満が府県知事の許可でありますから、埋め立てをする事業者の方も、五十町歩未満で許可申請をいたしまして、それが継ぎはぎ継ぎはぎにつなげられていかれつつあるというのが、おそらく私は現状だと思うのです。そういうような状態にありますことは、これは将来を考えますと、とうてい放置しておくことはできない。すみやかにそれが府県全体あるいは隣接府県との関連において、またそこに開発されますところの土地を高度に利用するため、あるいは防災の見地から、あるいは工場を作りましても、その工場がせっかくできた土地に水がないために、地下水を吸い上げれば、さらに地盤沈下をいたしまして、将来、国として、また地方公共団体として、莫大な手当をしなければ処置がつかないようなものができ上がってしまう。従って、そのような開発をさせるような場合には、工業用水のことも考える、その他の関連施設も考えて、それが条件で、それらが総合されて進められるようにして実施をさせる、こういう必要がどうしてもある。しかし、これらの目的を果たすのには、今の国土総合開発法だけではできないのではないか。所要の改正を行なえば別でありますが、この条文の第六条にありますことなどは、どうしてもこうした新しい立法で制度づけなければだめなのではないだろうかということを考えるわけです。  それから、先ほど来、長谷川委員から土建屋の話等も出ましたが、現在も、私どもが見ておりますと、小規模の企業会社ができまして、それが個々権利をとりまして埋め立てをしておる。その人たちを私は土建屋といって悪口は言いませんけれども、そのような立場人たちによって事業が実施されることをゆだねておくことは、これは公的の立場から黙視することはできない。早く、もっと合理的な制度の上にこれが進められることが望ましいというようなことを実は考えております次第でありますから、法律個々の条文の議論になりますと、私どもも精通いたしておりませんから、何でありますが、考え方としては、そのような角度に立っておるわけであります。
  60. 長谷川保

    長谷川(保)委員 どうもずっと審議していくと、藤巻さんがこの法案の実際の起案者の中心になっているように見受けられるので、藤巻さんに私は十分聞きたいと思う。意地悪く聞いているのではありません。国民のために手落ちのないようにということからなのであります。  ただいま中村さんからお話のありましたような点も、私考えて参りますと、どうも納得がいかない。と申しますのは、たとえば五十町歩以下の土地造成、公有水面の埋め立てば、お話の通り、県知事が許可をしているわけであります。しかし、この法案提案理由の説明のときにあったと思いますけれども、あるいは説明のあとであったかもしれませんし、質疑応答のときであったかもしれませんが、そうすると、どうも今までの県知事権利というものを剥奪することになるのではないかという御意見があった。それに対して政府側答弁といたしましては、県知事が許可するのは、おそらく国家行政の委任事項だ、いわば委任事項として県知事が許可をするのだから、何も県知事権利を剥奪するのではない、もともと変わらないのだ、やはり建設大臣なり運輸大臣がこれを認可して、それを県知事がまた免許するようにするのだというお話でございました。それなら、もともと五十町歩以下のものでも、県知事が許可しようとしても、それが不当であるとするならば、それを差し控えさせることは、建設大臣なりあるいは運輸大臣にできるはずである。そればかりではありません。国土総合開発法によって計画されましたその総合開発計画が、府県といい、特定地域といい、どれでもけっこうでありますけれども、その中に計画されてありますもの以外の、その計画がそごを来たすようなものは、たとい五十町歩以下であっても、県知事は許可するはずがないし、またそういうことは不可能だと思うのです。すでに特定地域で計画がきまっておって、それ以外にそういうものを作っていこうということは不可能であろうと思う。その計画にことにそごを来たすようなものは、県知事も許可をするはずがございません。そういうように思うのだが、そうすると、ただいま中村さんのおっしゃったような、特にこの法律でなければ、そういう五十町歩未満の公有水面の埋め立てを禁止することができないからという話も、筋が通らないように思うのだが、藤巻さんはどう思うか。
  61. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 ただいま私にということでお尋ねがございましたが、実は私この法案起案者でございませんので、その点は一つ御了承願いたいと思います。
  62. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それでも、今の関係はどう思いますか。
  63. 三浦義男

    三浦法制局参事 御承知の通り公有水面埋め立ての問題につきましては、公有水面埋立法がございまして、その法律の中で、都道府県知事の権限に埋め立ての免許ということが属しておりますので、それに多少の変更を加えるということになりますれば、やはりこれは法律事項でございまするので、法律措置なしには、その権限に変更を加えるということはちょっと不可能だと思います。その意味におきまして、この法案の第六条に書いてございます点は、やはり公有水面埋立法の特例を規定したものでございますので、この法案の中に特別に規定しておかなければできない事項だと考えております。
  64. 長谷川保

    長谷川(保)委員 あなたじゃなかったですか。この間の質疑応答で、これは国家行政の知事に対するいわば委任事項だ、だからこれを知事からこういう制限をして取り上げても、別に違法ではない、こういうお話があったと思うのだが、あなたじゃなかったのですか、もしそういうことだと、私が言うように、もともとこれは建設大臣あるいは運輸大臣の権限ですから、そういうような国土総合開発法と不当なそごを来たすような計画がもしなされたなら、これをとめるということは、地方には行管があるのでございますから、これは当然できると思うのだが、そういう点はどうか。この法律がなくても、法律の運用で当然できると思うのですが、その点いかがですか。
  65. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点に関しましては、前の委員会で私から今の事項に関連いたしましたか申し上げたと思うのでありますが、しかし、私の申し上げました趣旨は、こういう趣旨でございます。この公有水面埋立法は、御承知の通り、国の所有に属しておる水面の埋め立ての問題で、私有のものではございません。従って、その国の所有に属する水面の埋め立てにつきまして、その免許の権限を都道府県知事——公有水面埋立法は大正十年にできましたので、地方長官という言葉をそのときには使っておったと思いますが、そういうことになっておるわけであります。従いまして、地方長官あるいは都道府県知事と申しますのは、国の水面の埋め立ての免許権限のことでありますので、国の機関としての立場においての免許の権限を与えられておる、こういうことを申し上げたわけで、地方公共団体の機関としての知事という立場ではない、こう申し上げたわけであります。しかしながら、その権限をどうするかということは、公有水面埋立法の二条で知事に権限を与えておりますので、従いまして、それを変更するには、やはり法律でなければ不可能だ、こう考えております。
  66. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると、この間の話とは矛盾してくるじゃないですか。この間の話では、今までは知事独自でできたものを、今度は建設大臣あるいは運輸大臣の認可を得なければできないのだ、そうすると、知事の権限を取り上げたことになるではないかというお話が、この間どなたか議員からあったわけでしょう。それに対して、いや、そうじゃないのだとあなたは言った。そうすると、やはりこの間の話とは違ってくる。今度は知事の権限を縮小して取り上げる、こういうことになるじゃないですか。
  67. 三浦義男

    三浦法制局参事 私がただいま申し上げましたのも少し言葉が足りないかと存じますが、私は知事の権限を取り上げるとは申し上げませんで、ただ、知事の権限に一応何らかの変更が加わることがあれば、こう申し上げた。これは法案ごらんいただけば御理解いただけると思っておりますが、第六条で、都道府県知事は、埋め立てをする場合において、建設大臣なり運輸大臣の認可を受けなければならない、こうあります。従いまして、知事の権限を奪ったわけではございませんが、今まで専属的にみずから自発的にできておった権限が、監督庁の認可を受けなければできないというふうに変更をいたした、こういうことを申し上げているわけであります。その意味において、先ほど私が説明いたしました事柄も御理解願いたいと思っておりますが、そういうことも、法律の根拠がなければできない、こう申し上げているわけでございます。
  68. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると、あなたがこの間言ったようなのとは違って、やはり知事の権限はここで縮小されるということなのですね。知事の権限は、今まで独自でできたものが、できなくなってしまうというのだから、縮小されるということになりますね。
  69. 三浦義男

    三浦法制局参事 どこまでも免許権限は知事にございますので、直接建設大臣なり運輸大臣が免許するわけではございません。従いまして、免許権限自体については、やはり従来と同じように都道府県知事が持っておる。こういう意味において権限はある、ただ、その権限を行使する場合におきまして認可を受けなければならないという意味において、変更をしておるということで、権限が奪われたという意味ではない、こう申しておるわけであります。
  70. 長谷川保

    長谷川(保)委員 どうもややっこし過ぎるのですが、ともかくも、知事の権限というものは、今までよりはいわば制限をされてきておるということであって、しかも審議会知事が入っておらぬし、必ずしも知事同意を得なくてもこれはどんどんできるのだしということになると、これは場合によっては、先ほど私が心配いたしました政府もしくは与党独裁という形ができて、社会党系の知事社会党が政権をとったならば自民党系の知事、こういうのが、場合によってはひどい目にあうという危険をはらんでいるということが言えますね。そう思いませんか。次長、どうです。
  71. 三浦義男

    三浦法制局参事 どうもその点は法律問題でございませんので、私みたいなものからお答えするのはいささか僣越かと思いますので、ちょっと遠慮させていただきます。
  72. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そこが田中委員からも突っ込まれておるわけでありますけれども、先ほど次長からの答弁の中にあります、この臨海地域開発促進法で、今国土総合開発法でできないところ、新しくこれでなければできないというのはどの点とどの点ですか。
  73. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点は、先ほど申し上げました第六条は、できない点だと思っております。それから第五条は、まあこの国土総合開発法の読み方によってはあるいは可能かとも考えておりますが、多少問題だろうと思います。それから第十六条は、これは新しい問題で、この特別の規定が要る。それからなお全体を通じましての問題でございますが、審議会構成メンバーが両方違っております。それは現在の国土総合開発法の構成メンバーでやればできるのじゃないかとおっしゃれば、まさにその通りかと思いますが、この臨海地域開発促進法がいろいろ各省にもそれぞれ権限関係がまたがったりする事項が多いものですから、そういう関係から、審議会にそれぞれの所管大臣にある程度加わっていただきまして、その審議会審議の過程を経て、ある程度案を作ります場合において調整していただく、それから最後にその案が答申になりました場合におきまして、それに基づいて計画を閣議決定によってきめる、こういう段階をこの法案はとることを建前といたしておりますので、そういう意味におきましては、それらの構想は従来の国土総合開発法と違っておる点だと申し上げてよかろうかと思います。
  74. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると、もう問題は実に簡単になってきました。第六条の、五十町歩以下の土地造成、公有水面の埋め立て等、実質的に言えば埋立会社の特別の機関、第十六条の特別の機関、これと、あとは審議会メンバー政府が自由になるように政府側与党側をたくさんにした、こういうことだけだということなんです。まず第六条の公有水面の方は、国土総合開発法をちょっとほんの数カ所改正すれば、これで十分できるものであるし、それから第十一条の審議会メンバーの方は、むしろ危険性は国土総合開発法の方がずっと少ないし、それから特別の機関を作る、これは土建屋を作るということだけにしかすぎない。その土建屋の意味意味深長だと思うのでございますけれども、それだけにしかすぎないように思うが、法制次長、さように考えてよろしいか。
  75. 三浦義男

    三浦法制局参事 法律の違っておる点につきましては、先ほど私があげました通りでございます。ただ、今おっしゃいましたようなことについては、私、純法律的な立場からだけ申し上げたわけでございますので、その運営の面において、御注意の点十分に気をつけなければならぬのは、もちろん当然のことだと思っておりますが、法律上の点は、先ほど私があげたようなことであります。
  76. 長谷川保

    長谷川(保)委員 もう全く私どもにはそう思えるのです。そこで今の中心問題になってきた特別の機関というもの、これが先ごろの提案者の御提案の説明では、あるいは質疑応答の御答弁では、まずどういうものを作るのかわからぬ、公団を作るのか、特殊会社を作るのか、わからぬ、こういうようなお話でございました。しかし、今提案者もお聞きのように、この問題の中心はここだということになってきたわけであります。そこでこの性格を解く必要がある。この性格によって、この法律案が妥当なものかどうかということがきまります。私はここに大きなきめ手があると考えるのであります。先ほどの御答弁では、公団か、特殊会社か、全然わからぬ、そういうことはほかにまかせるというような大らかなお気持のようでございますが、この法律の中心がそこにある。そうでなかったら、あと国土総合開発法をわずか改正すれば、それで間に合うように考えられるのでありますが、提案者といたしましては、やはり何かのお考えがここにあったのではないか。ただ、あと責任が出てくるからということで、この間はそういうようにぼやかしたかもしれませんが、やはり相当な御計画があって、この特別の機関というものがこの中に出てきたのではないか、これが中心であるというように考えられるのでありますが、提案者の御意向は、やはり前の通り、別に確たるお考えはないのでございましょうか、御計画はないのでございましょうか、お伺いいたします。
  77. 中村梅吉

    中村(梅)議員 先ほど申し上げましたように、この基本計画を事業に移して実施をいたします機関といたしまして特別の機関を設けます場合に、公団の方法でいきますか、特殊法人で参りますか、いずれにしましても、これは一種の特殊法人でありますが、その種の特殊法人を作ります場合には、もちろん、制度上、法律でこれを作らなければなりませんので、その必要が生じました場合には、法律によって制定をし、そうしてその特殊法人ができる、こういうことになると思います。そこで問題は、この地域指定され、基本計画ができまして、その基本計画実施する機関として、地方公共団体である都道府県実施する意思があり、あるいは実施可能の場合におきましては、私は都道府県実施させるようにすることもいい方法だと思うのです。しかし、場合によりましては、一府県のみではなし得ない事情が伴うことが想定できると思います。ことに、こういうようなこの十六条の規定の仕方は、実は最後の方に「特別の機関を設置するものとする。」とありますが、これは設置することができるという規定がいいのではないかと私も考えたのですが、前の方に「基本計画に基く事業のうち」というように上がかぶさっておりまして、これはすべてではないのだ、必要がある場合に、基本計画に基づく事業のうちでこういうことができるのだ、するのだ、こういう趣旨になるのだという法制局の説明等を聞きまして、なるほど、それならばよかろうと私どもも納得をして提案したのでありますが、なぜこのような特殊の機関なり特殊の法人なりが必要であるかということを一言申し上げますと、現に先ほど申し上げましたような数カ所の地点等においてやっております現状を見ますと、その埋め立ての免許を、ある会社——個人という場合は、今日でありますから、ないようでありますが、個々の会社ができまして、会社が免許をとって埋め立てをする。従って、非常に採算的であります。総合的な計画でなしに、水深の浅いところ、採算のいいとところからということになって参ります。同時に、できました土地については、採算主義で処分がされ、利用される、こういうことになるわけでありますが、この法律案考えておりますように、いろいろな関連施設を整備させるということはどうしても必要なんでありまして、従来のままといたしますならば、埋め立ては埋め立てで個々の企業体がやる、そして今度はそれに必要な防波堤であるとか、あるいは工業用水であるとかいうことは、公共的な府県なり国なりがやらなければならないということになってしまうわけでありますから、埋め立てをしました埋め立て経費が、その周辺の土地価格よりも安くできた場合においては、その利潤はやはり他の関連施設の整備の費用にも運用されるというように、総合されていかなければならない、そうすることがどうしても必要でありまして、そういうふうにさせるのには、一企業会社ではできない場合が起きて参ります。また、地域的の関係で、一都道府県だけではできない場合が起きてきます。そこでこのような特殊機関を設けて、利潤主義であったりなんかしないように、また採算のいいところだけをやって、採算の合わない関連施設をやらないでしまうようなことのないように、総合して仕上げていくのには、このような機関も必要な場合が起きてくるだろうということが、この十六条の趣旨である、こう思っております。
  78. 長谷川保

    長谷川(保)委員 御承知のように、最近は、各種の公共企業体、あるいは国立病院等におきましても、独立採算的な行き方をいたしております。私はそういう行き方には実は反対なんでございます。もうかる仕事ならば、私企業にやらせればいい。もうからない仕事こそ、国家が負担してやらなければいけないのだという考え方なんであります。ところが、今の政府のやり方でございますと、公団とか公共企業体とか、あるいは国立病院等の特別会計等におきましても、これは赤字を出さぬという行き方、方針であるように承知をいたしております。そういうように考えますと、今お話の、採算がとれるところだけは事業会社がやるであろう、採算のとれないところは事業会社がやらぬだろう、そうなると総合的な開発ができないから、公団がやらなければならぬ、あるいは特殊法人がやらなければならぬ、あるいは公共的な府県、市町村等がやらなければならぬということになるように伺ったのです。そうすると、ごく大ざっぱな構想をお立てになったに違いないのでございますが、その場合に、そういうような損のいくものは今のような特殊法人がやる、特殊法人は幾ら赤字になってもやる、こういうお考えでしょうか。それとも、今日の農林省の干拓計画におきましても、一反歩幾らという制限があります。そういうようなことについては、どういうような形になるのでありましょうか、ごく大ざっぱなお考えを伺いたい。
  79. 中村梅吉

    中村(梅)議員 こうした特殊の機関を作りまして実施しなければならないような場合には、関連施設に相当の所要資金を要するような場合であろうと思います。従って、この特殊法人は必ずしも採算主義というわけには参らないと思います。あるいはまた、独立採算制というわけには参らないかもしれません。さような場合におきましては、国の資金を若干入れるとか、あるいはその利益をこうむる地元の府県がある程度の拠出をいたしますとか、いずれ、国あるいは地元都道府県、あるいは民間資金、こういうようなものによって構成されるのが、私は自然だろうと思うのです。しかしながら、これらの構想につきましては、いずれ立法ができました場合のことでありますから、ほかの問題で申し上げましたように、私どもが今こうすべきであるということを申し上げるのは行き過ぎになろうかと思いますから、その辺のことは、大体の私どもの感じている程度のことを申し上げて、差し控えておきたいと思います。
  80. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この間からもそういう話がちょっと出まして、民間資金が入るということになりますと、おそらく損する仕事はできなかろうと思います。そうなると、大じかけな仕事をするという意味での特殊法人、公団というものは必要であるかもしれない。しかし、トンネル会社式な、たとえば間にやらせる、大成建設にやらせる、そういうものに下請させるというような意味でそういうものを作るということになれば、一体これを作る必要があるのかどうかということも一つ考えられるわけであります。それから、今申しましたような、損をする仕事はやらぬ。民間資金が入るとなれば、多分そうなるでしょう。政府資金だけならいいが、税金を入れるということならいいが、民間資金を入れるとなると、損する仕事はできない。そうなると、今言うような、採算に合わないところはできないというように当然私には推測できるのでございますけれども、その点やはりそうでございましょうか。
  81. 中村梅吉

    中村(梅)議員 いずれにいたしましても、この特殊機関を設けるという場合とすれば、私どもは、公的性格を持った機関、こういうことになると思います。しかしながら、そこの開発地域を利用するものでありますとか、特別の事情によって民間資金を活用し得る場合も私は考えられないことはないと思います。しかしながら、私どもはぜひそれをそうするという考え方は毛頭ございませんが、要するに、いずれにいたしましても、この特別の機関を作る場合には、公的性格のものであって、採算主義ではない、あくまでその関連施設等について十分基本計画の趣旨を実施して、そして将来悔いのないような開発をする機関を作る、こういうのが私ども考え方でございまして、今後法律ができてから具体的に運ぶ場合におきましては、審議会においても十分議を練るでありましょうし、また、そのような方途が講ぜられる場合に、どういう公団がいいとか、どういう資金関係がいいとか、どういう構造がいいとかということにつきましては、国会審議等を経てそれができていく筋合いのものでありますから、私どもが今からあまり想像的なことは申し上げない方がいいのではないか、かように考えております。
  82. 長谷川保

    長谷川(保)委員 先ほど来の質疑応答でもって、この点がこの法案一つの大きな中心だということがわかってきましたので、私は特にそれを聞いているわけであります。そこまでお考えがないというならば、それまでのことでありますが、今の御答弁を伺っておって、やはり二つの危険を私は感ずるわけであります。一つは、今のような、もうかるところだけやるということ、もし、もうからないところをやるときにはどうなるか、そこには利権が動き出す。つまりここで考えられますことは、大きな工場の敷地というようなものを作ることが当然考えられます。相当な埋め立てをするとしますれば、それを何に使うかといえば、ここに書いてあるように、臨海工業地帯、工場敷地、そうなると、大きな土地を造成いたしまして、そこに工場を持っていくもの、これが今度の新三菱重工というような形、川崎航空というような大きな建物、そういうようなたぐいのものができてくるとなりますと、国の税金でもって損をさせて仕事をやらしておいて、つまり国民全体から巻き上げた血税でもって土地造成をやって損をさしておいて、それを安い値段で大きな資本、財閥が手に入れる、これを選挙資金その他の関係から、政党諸君がいやおうなしに強奪してしまうというようなことになりますと、これまた国民に対して大きな損害を与えるものになる。その危険性が出てくると思うのであります。これらの点については、どっちにしても二つの危険があるのでありますけれども提案者立場でどうお考えになりましょうか。
  83. 中村梅吉

    中村(梅)議員 私ども考えとしましては、特殊の機関を設けて基本計画実施するような場合には、今お話のありましたような弊害を排除するために特殊機関を作るのだ、こう思うのでありますが、逆にとられておるように考えます。そうではなしに、今までのような状態に放置いたしますと、個々の企業体や何かによって、利益主義、採算主義で、将来悔いを残すような埋め立てや開発が進められる、そのようなことがないようにいたしたいというのが、実は私ども考え方であります。
  84. 長谷川保

    長谷川(保)委員 戦闘機種問題でも、どうも国民の納得のいかない宙返りが上手に行なわれますものですから、私どもそういう点は実に不安に感ずるわけです。今日の政治の非常な欠陥だと思うのでございますけれども、この点についてはまた適当なときにさらにお伺いをしたいと思うのです。  もう一つ、この特殊機関の問題で伺っておきたいことは、通産省及び運輸省、建設省が「臨海工業地帯開発公団設置構想」というのをお出しになっていらっしゃる。その中に、いろいろな予定が書いてあり、三十五年度に使う公団の収入支出予算までお書きになっている。開発地域につきましては、予想地点とはしてございませんで、予定地点と書いてあります。日本語の解釈は少しいいかげんだといわれればそれまででありますが、予定といえば、すでにきめてしまったものであります。予想なら、まだわかりますが……。こういうものがばらまかれたいきさつに、どうもやはり、さっきもちょっと触れました一つの疑惑が出てくるのです。もしこの法律案が通ったときに、審議会ができ、審議会基本計画というものを決定するのである。まだこの法案国会を通ってない先に、なぜこういうものを三省の名前をここに明確に書いてお出しになったのであるか。これは大臣責任を問いたいと思うのでありますが、各省の代表諸君が来ておるようでありますから、どういういきさつでこれが出たか、伺いたい。
  85. 柳井孟士

    ○柳井説明員 御質問の、いきさについてお答え申し上げます。これは、そこに書いてございますように、三省——私ども通産省、それから建設運輸、この三省だけの構想で、政府案ではないわけでございます。非常に関係が深い農林省の方ともまだ御相談をいたしておりませんし、企画庁の方とも御相談いたしておりません。建設と通産と運輸、三省で、将来の臨海工業地域に必要とする工業用地の需要がどのくらいあるということからはじき出したもので、三省の相談の段階にとどまっておるわけでございます。これがどうしてそういうふうにパンフレットになって出たかと申しますと、これは運輸省の系統に港湾協会というのがあるわけでございます。この港湾協会が、三省でこういう構想を練っておるということを伝え聞きまして、港湾協会で、この三省で話し合いをしておる今の段階の説明をしてくれという話がございまして、運輸省が中心になって説明をなさったことがあるわけでございます。そのときに、港湾協会さんでそのパンフレットを——テキスト用におそらくお刷りになったのだろうと思いますが、お刷りになって、話を聞かれる方にお配りになってそうして運輸省が中心になって御説明になりまして、私どもも港湾協会から呼びつけられまして、通産省としては、こういう観点から、こういう面の検討をして、この案に参画をしたという説明をした事実があるわけでございます。  以上が経緯の概略でございます。
  86. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それではこの印刷物の印刷費用はどこから出たのですか。
  87. 柳井孟士

    ○柳井説明員 港湾協会でございます。
  88. 長谷川保

    長谷川(保)委員 なるほど、港湾協会の発行としてあります。けれども、通商産業省、運輸省、建設省という名前がここにもっと大きく書いてある。そうすると、この計画は当然通産省及び運輸省、建設省が責任を持つから、これを印刷して発行してよろしい、こういう了解を与えてあるのでしょうか。
  89. 柳井孟士

    ○柳井説明員 港湾協会は私ども直接の関係がございませんから、運輸省の方から……。
  90. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 これは、先ほど通産省から御説明しましたように、三省の構想でございますが、これは主として、政府部内で来年度の予算折衝の場合に、各省は各省としての構想をきめまして、八月の末くらいから大体大蔵省に対する折衝をやるわけでございますが、そういうものに使うというふうな趣旨で作ったものでございます。運輸省としてもこれは承知はしておるわけでございます。
  91. 長谷川保

    長谷川(保)委員 どうも君たちは変じゃないか。この法律国会で作るのだろう。国会で作らぬ先にこういうものが出るというのは変じゃないか。この法律国会で作るのだろう、そして予算も国会審議するのだろう。通産省あるいは運輸省が、こういうものを三十五年度でやりたいがという印刷物を、われわれに資料として出すなら、筋が通っています。しかし、そうじゃなしに、法律は私ども国会で作るのでしょう。予算もきめるのでしょう。そうして審議会というものができて、初めて基本計画ができて参る。ところが、われわれがきめない先にこういうものが——通商産業省、運輸省、建設省の名が書いてなければいいです。けれども、堂々とここに印刷してあって、これをばらまくというのは、少し分に過ぎたことと思うのだが、その点はどうですか。
  92. 柳井孟士

    ○柳井説明員 これは先ほど申し上げましたように、三省の間だけのものでございまして、まだ政府案にもなっておりません。順序といたしましては、おっしゃる通り法律ができましてから、その基本法のもとでこの公団が設置され、運用されるという段取りになるわけでございますから、従いまして、審議会が設けられまして、これは今の段階では三省の構想でございますが、この三省の考えておる構想が妥当であるかどうかということが、おそらく議論の対象になるものと思われます。そうして公団がいいのか、特殊会社がいいのかというようなことは、審議会の段階で一ぺん御議論がございまして、それからそこで、三省が考えておるような公団という線がもしいいということになりましたならば、国会法律案の形で御検討いただく機会があるというふうに考えるわけでございます。
  93. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ここに三十五年度予算百七十五億円というものが出ているが、この予算は通ると諸君は確信しておるのかね。
  94. 柳井孟士

    ○柳井説明員 これはまだ、今のところ、見通しがつかない状況でございます。
  95. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今度は公団法は出すの。計画はどうなっているの。政府提案で出すの。
  96. 柳井孟士

    ○柳井説明員 これは、申し上げましたように、予算の見通しがまだついておりません。大蔵省との話し合いがまだついておりませんので、従いまして、予算が通らなければ、この法律案は問題にならないわけでございます。予算が大蔵省との間で通りました場合には、私ども三省は、こういう構想の公団を作るような方向で御検討いただきたい、こう思っておるわけであります。従いまして、予算が通りましたら、三省は、この公団が実現するようにという希望を持っておりますけれども、その前に、一つこの開発基本法の方ができまして、その審議会の御議論があるわけでございます。当然それは通った上で、法律案として提案するかどうかという問題になるわけでございます。三省だけの段階のものでございますから、さように御了承願います。
  97. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私どもはこれを最初どこで手に入れたかと申しますと、この予定地点と書いてありまする地区の市町村長が持ってきて、これを先生、ぜひ実現してくれと言ってきた。何だ、そんなことは何も国会で出てきてない、だれがそんなことを言った。問題はそこにある。三省がここへ名を書いて、こういう計画書を全部書いて、そうして昭和三十五年度における公団の収入支出予算なるものを書いて、昭和三十五年度事業計画を書いて、公団の業務の内容をちゃんと書いている。港湾協会がこういうものを作るというのならわかるけれども、三省が麗々しく名前を連ねてこういうものを書いて——こういう案がそれぞれの省にあることは差しつかえありません。これは案ですから、それぞれの省でお作りになって差しつかえありませんが、そういうものを地方へ流しておる。どうして流したか知りませんが、とにかくわれわれのところに市町村長がやってきて、これはぜひ実現してくれ、こういうことを言うてくるというようなことは、非常に困ると思う。これは各省の越権行為ですよ。こんなことは国会でこれからやるもので、それができなければ、どうにもならぬ。三省が書いていれば、できるにきまっている。この間の石山委員のように、東北は何もないが、どうしてくれるのだ、そうなりますよ。だから、こういうものは慎しんでもらいたい。三省が、まだ海のものとも山のものともわからぬものを、こういうりっぱなものを印刷して、とにかくこれが地方へ流れて、そうしてわれわれのところに、作ってくれと言ってくる、こういうことは非常に困ると思うのです。しかも公団については、中村さんは、国会はまだきまっておらぬのだ、これから案を作るのだと言っておる。一体皆さんは、党と連絡があっておやりになっておるのか、党から指図があってこれを計画なさったのか、それを説明願いたい。
  98. 柳井孟士

    ○柳井説明員 この公団の構想、それからその問題になっております港湾協会が作成しましたパンフレット等につきましては、提案者の方とも、それから自民党、社会党の方とも全然連絡なしに、三省だけで進めておるものでございます。もともと構想自体がそんなものでございますから……。それで、この御指摘のパンフレットが陳情等に用いられて、いろいろ世間に誤解を与えておるというお話でございますが、もしそういうことでございますれば、私どもがそういう意図を持ちましてこの構想を三省で相談をして、そうしてそれが印刷されることを承認し、それから求められて説明をいたしましたことは、御指摘のような事実を意図していたしたものではございませんので、そういう誤解を与えるような事実があるといたしますと、工合が悪いわけでございます。今後三省相談いたしまして、十分に注意をいたします。
  99. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今後十分注意するということになれば、私もそれ以上追及しないけれど、この結果がどうなるかということは、予想されるだけでも、まず土建業者が運動資金を出します。それから各都道府県、市町村はむだな金を使います。海のものとも山のものともわからぬけれども、この三省がこれだけ書いておるから、これはできるだろうと、むだな運動資金をうんと使う。もうすでにわれわれのところにほんとうにきておる。それだから、ずいぶんこの陰に国政を誤るような、正しい政治運営を誤るようなことが行なわれますから、ここらあたりについてはどうか十分注意して、この法案ができて、公団ができてしまってからならいいけれども、それまではこういうものを頒布しないでほしい。また、各地方から陳情にくるであろうが、これは海のものとも山のものともわからぬということをはっきりしておいてもらいたい。そうしないと、むだな運動費と、むだな、きたない金が使われて、先ほど来申しておりますように、どうもこの法案の陰には——中村さんはああいう善人ですから、そういう悪意はお持ちにならぬでしょうけれども、この法律は、悪人どもに悪用される、利権のにおいが多分にするというように、私どもはにおいを感ずる。そういうことでありますから、この点十分注意してもらいたい。こういうことを先ばしって御発表になるということは、国会を軽視しておるという非難も受けないわけにはいかない。どうかその点を十分注意していただきたい。
  100. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 ただいまのこの構想でございますが、いきさつといたしましては、港湾協会なり、もう一つ、ここに書いてある全国市長会港湾都市協議会というものがございますが、そういう方面では、やはりこういう公団の構想等にかねて関心を持っておりまして、そうして三省の構想を聞きたいというようなことから、そういうことに特に熱意を持っておられる向きが、いろいろこういうような形で印刷したのでございます。ただいまお話にもありましたように、非常に誤解を招くようなことがありましたことは、注意いたしたいと思います。
  101. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ちょっと関連して。今、臨海工業地帯開発公団設置構想、いわゆる三省構想といわれておりますけれども、その問題は長谷川委員が取り上げておるわけでありますが、それとうらはらの関係の「臨海工業地帯開発公団設置について」という、これもやはり三省、通産省の企業局、運輸省港湾局、建設省の計画局、これは一体どういう過程でできたのですか。
  102. 柳井孟士

    ○柳井説明員 これは大蔵省へ予算要求をいたしますとき使いました資料でございます。
  103. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これは政府で、こういう提案政府提案でされるということで、予算の問題その他についての準備をされるということは、私、これはあり得ることだと思うのです。もちろん、この臨海地域開発促進法案議員提案でありまして、先国会から継続審議中になっておるものなんですけれども、これはあくまで議員立法で、先ほどから提案者代表中村さんがるる説明されておるように、これがかりに通過いたしましたとしても、基本構想というものがやはり立てられなければならぬ。審議会ができなければならぬ。そういう点から見ると、時間的にはまだ相当な間がなければならぬと思うのです。それにもかかわらず、先ほど長谷川君から指摘したようなパンフレットであるとか、これは大蔵省との予算折衝のための資料として作ったというのですけれども、まるきり内容は同じものなんです。こういうものは、国会からこういう資料を出せという形で出てきたものではなくて、地方から出てくるというところに大きな問題があるので、自民党の政調会の方で、こういうものが出ているから、具体的な作業をしろという連絡があって、あなたたちがやられたのでなければ、これをやられるということは、どうしても僕らの方では理解できないのですが、その点はいかがなんですか。
  104. 柳井孟士

    ○柳井説明員 順序といたしましては、とじた方のパンフレット、これが先でございます。それからちょっと蛇足にもなるかと思いますが、実は公団の予算要求は、三省共同で公団を作って臨海地域を埋め立ててという予算要求は、昨年度の、三十四年度の予算要求でもいたしたわけでございます。それがものになりませんで、重ねて三十五年度の予算要求として、そのとじたものを要求したわけでございますが、一方におきまして、三十五年度要求のときにおきましては、ただいま御審議中の法案が継続審議になっておりましたので、これが基本法として成立したならばという説明を加えまして、そのとじたもので大蔵省に対する説明をいたしたわけでございます。そうしてあとのパンフレットの方でございますが、これはその後そのとじたものを港湾協会の方でピック・アップと申しますか、概要をこれにかいつまんでお書きになって、説明をするとき使われたという順序に相なっております。従いまして、骨子においては両方一致しておるはずでございます。そうして御質問の、党の方とどういう関係があったかという点につきましては、全然無関係でございます。これは、御説明しましたように、三省の事務といたしましては、三十四年度予算の要求のときにも考えたもので、これがものにならなかったという歴史を持ったものでございます。時間的な順序からいいますと、法律以前の、開発法の提案以前から、三省では寄り寄り案を練っておったということでございます。
  105. 田中織之進

    ○田中(織)委員 この「臨海工業地帯開発公団設置について」というのは、三十四年十月ということになっているのですね。それが港湾協会の手に渡ってこういうパンフレットになって、しかもこれが地方の市町村長などを通じてわれわれ国会議員の方に、こういう構想が進んでいるので、ぜひ社会党も賛成してくれ、こういう形で出るということになると、相当やはり資力があり、計画的な動きというものにこれが乗っているというところに、どうも中村さんを前に置いて何でありますけれども、利権法案ではないか、こういう与党諸君の名誉にも関するような疑惑が流れることになってきていると私は思うのです。三十四年度の予算にも要求したということであれば、何らかやはりそういうものがこの文章の中にもにじみ出てこなければならぬわけなんですけれども、そういうものがないというところに問題があると思うのです。  それから、これは実は私この間予算委員会で取り上げたのですけれども、最近、行政各部局がいろいろ地方、府県などへ通達を出す場合にも、これは政党内閣だからいいというような形でありますけれども、建設省で、不良住宅の解消問題、あるいは文部省で、これは特に同和対策に関連する問題でありますが、与党の同和対策の熱心な主張者の秋田君がこの委員会にもおるわけですけれども与党の方では同和対策についての案を具体的なものを立てられておる。それが建設省の住宅局長の通達だとか、文部省の社会局長の通達の中に、そういう与党の同和対策の要綱がそのまま引き写しに出されてきておる。あるいは民間で同和対策を推進するための、これは府県、市町村などを包含したものでありますけれども、全国同和事業対策協議会、いわゆる全同対と政府の施策は表裏一体の関係にあるというようなことが、これはほかの問題でありますけれども、局長通達の中に出てきておるわけですね。この問題について与党との連絡がないとあなたたちはおっしゃられるけれども、すでにそういう通達の中に、具体的に私が予算委員会で取り上げたような通達が出ておる。そういう関連がある場合においてもその通達が問題になるのでありますから、まして今度の場合に、それとの関連がないとあなたたちはおっしゃるけれども、現に継続審議中であるという事実に基づいて、現在国会継続審議中であるこの促進法に基づいて云々ということで、この法案が通るのが前提になっておる。その点から見たら、これはだれが見ても、与党との関連与党からの指図に基づいて具体的な作業を進めた、たまたまそういう資料であるということをはっきりおっしゃられるならば、それはまたそれでわれわれ了解ができると思うのです。あなたたちが、ないということであれば、ますますもって行政機関のやり方というものが、外部業者団体とのくされ縁に基づいてやっておるのではないかという疑いを深くするのです——が、その点は、あなたはおっしゃられることに間違いありませんか。
  106. 柳井孟士

    ○柳井説明員 私の申し上げたことに間違いはございません。御指摘の事実のうち、ほかのことは私どもの所管でありませんので、わかりませんが、この公団案の構想に関します限りは、誓って与党との連絡はございません。与党のお指図で作ったものではございませんで、歴史的に申しますと、三省で三十四年度予算要求の時期から検討しておった、その一つの段階における作文でございます。
  107. 長谷川保

    長谷川(保)委員 三十五年度の事業計画というものがこれに乗っかっておって、埋立事業三百十三万坪、百五十億円というのがございます。これだけの計画ができておるのでありますから、今までの国土総合開発の中の計画と重なっておる面が幾らあるのか、おわかりだろうと思う。それは先ほど田中委員からも資料を要求したので、そのときでもよろしゅうございますが、もし大ざっぱにわかっておれば、言ってもらいたい。わからなければ、そのときにまた回します。
  108. 柳井孟士

    ○柳井説明員 今こまかい資料を持っておりませんので、わかりません。
  109. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それではまた、資料が出ましてから、そのときに質問をいたします。  それから私非常に心配しますのは、こういうものができて、またおそらく通産省や建設省や運輸省のお役人の諸君が、高給をもらって、そこへ何々長というようなふうになっていくのではないかと思うのでありますが、そうなった場合に、国土総合開発計画によってすでに決定されておりまする事業、それが予算の関係等で事業が進捗していないものがたくさんあるわけです。予算というものはもちろん限度がございますから、いろいろ公団をお作りになるお話があるようでありますけれども、おのずからそこに限度があって、無制限というわけではございません。何と申しましても、国家資本、あるいは国家資金、あるいは税金というようなものを入れることに重点が置かれるのでございましょうから、そうなりますと、非常に制限ができてくるわけです。この間も私びっくりいたしましたのは、天龍三河地区総合開発計画の中に決定されておりまする、浜名湖の、遠州灘に面しましたところに新居港というのを作る計画がございます。それで、ある事情があって、それを一体本気に作るつもりなのか、作るつもりなら、年次計画がどうなっておるのか、僕に示せと県知事に申しましたが、半年たっても返事がこない。そこで私は、県の企画部長に、あれはどうなんだと聞いた。また、私の友達でありまする県会議員に、その方針を聞かせました。そうすると、結局、計画を作っただけであって、事実は何もないんですと、こう言う。ところが、その地方の漁民を初め、あるいはこの商工業の関係諸君は、もうそれができるものと思って、中にはその地区の土地を非常に買い占めている連中があるのです。いい悪いは別問題としまして、そういうことになっておる。そこで私が心配しますのは、こういうものができて、そうしてお役人の非常にえらい衆がそこへ入り込んでこれを推進する、本省の方のお役人諸君も、その諸君は先輩でありますから、頭が上がらないということになると、こういう計画のものだけが進められて予算を持っていかれてしまって、そうして今までせっかくできておりまする総合開発計画というものがあとにされてしまうということになりはせぬか、こういう点を私は心配するのです。事実こういう問題があるのです。日本赤十字社というのは、たとえば東京の赤十字病院でも、あれだけ赤十字社法によって公的な保護を受けて、税金も出さぬで、国の金までも入れてやっている仕事でありながら、生活保護の患者や健康保険の患者はろくに入院させない、そうして一般の病院、診療所等が法律によって強制されております診療報酬というものよりも、赤十字病院は大体二割高いものを取っている。それを、滝井委員だと思いますが、国会の社会労働委員会で取り上げまして、それを改めろといって、今の厚生次官の安田君に、当時社会局長時代でありまして、それを強く二回の国会において要求した。ところが、やり得ない。なぜやり得ないかというと、日赤本社の副社長は、前の厚生次官の葛西君だ。今の安田厚生次官の前任者であり、先輩ですから、要求できない。依然として直らない。そういう不当なことが、役人と役人との関係において今日行なわれておる。この問題においても、せっかく策定されて閣議を通っておりまするような、そういう特定計画というものが今日行なわれておらぬ。そこへ持ってきてこういうものができておる。これは今の官僚諸君の機構の関係でもってこういうものが権力的に押し出されておる。何のことはない、そこへお使いものを持って、わいろを持っていかなければ、できないということになってしまったら、国家はまっ暗になってしまう。だから、そういうことがあってはならぬと思うのであります。国家全体のことでございますから、もっと正々堂々と、ほんとう国民全体の利益というものが中心になって考えられなければなりませんけれども、事実は、ままそういうことが日本赤十字病院でも行なわれておる。そういうことを思いますと、ここにやはり私ども心配がある。一体、先ほど申しました計画がどう重なるかということがそれなんです。どっちを先にやるか、言いかえれば、この法案の計画でできるものと、国土総合開発計画で策定されたものと、どっちが優位にあるべきであるか、優先すべきであるか、この点を聞きたい。もちろん、調整をしていくということはありますけれども、本来どちらが優先をするのであるかを伺いたい。これはもう諸君に聞くよりも、提案者にお聞きしなければならぬわけですけれども提案者中村さん、これができました場合、公団等ができました場合、この開発法案でできまするいろいろな計画と、国土総合開発ですでに策定されておりますものと、本来どちらが優位であるか、優先すべきであるか。この法律によって、審議会基本計画を作って、公団ができて実施していく、その場合に、今までの国土総合開発で計画、予定をされて、閣議を通っているものがあるわけですね。ところが、その中にまだ全然手がついていないものがたくさんある。港を作る、臨海地帯を作るということがあるのです。だから、そのものと、これとどっちが優先するものであるか。どうも官僚機構という点を考えると、こっちの方が優先しそうな気がして心配なんですが、どうでしょう。
  110. 中村梅吉

    中村(梅)議員 先ほど申し上げましたように、この促進法案が幸い制定されまして、実施されまする場合に、十六条の特殊機関を設置することができる、また、その特殊機関によって基本計画実施に移さなければ、所期の目的を果たすことはできない、こういう場合には、特殊機関にその実施をゆだねることになりますが、先ほど来お話の出ておりまする、俗に申します三省公団が、審議会の議を経た結果、この指定地域開発実施機関として指定されるかどうかということについては、私ども実は言及の資格もありませんし、そのときがきて——審議会がそれぞれ自分審議、調査いたしまして指定いたしました地域、そしてまた、定めました基本計画実施するのに、どのような機関をして実施せしむるのが適当であるかということは、やはりそのときになってみなければわからないと思うのであります。従って、国土総合開発の方でいろいろな企画があるようでありますし、計画等も全国的にできておるようでありますが、これを実施するということと、今お話の出ておりまする三省の構想である公団の事業というものとが、これまたどうなっていくか、どうも私の責任範囲でちょっとお答えいたしかねるわけであります。
  111. 長谷川保

    長谷川(保)委員 三百十三万坪を百五十億円で作るというのだから、運輸省、通産省及び建設省では具体的な計画があって、積算もしてやられたものだと私は思います。  そこで伺いたいのだが、一体新しく作りまする地帯というものは、海岸堤防をどのくらいにするのか、それから埋立地ですが、海水面よりどれだけ高くするのか、そういう計画がなければこの予算はできないはずだが、その計画はどうなっておるか、それを承りたい。
  112. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 当初これを作りましたときには、今度の伊勢湾台風による高潮というふうな点は、特に考えていなかったわけであります。この点につきましては、今度のような災害にかんがみまして、そういった要素も、実際の計画になりますときには、十分取り入れてやりたい。ただ、埋立地の関係でございますので、必ずしもその土地そのものをむやみに高くするということもないかと思うのであります。今のような点は十分今後構想には入れて、具体的な案を作りたいと考えておるわけでございます。
  113. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そうすると、まだこれははっきりしたものでなしに、ごく大ざっぱな案を作ったこういうことですね。
  114. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 この構想は、まだ全体として、一応の予算計画としてはじいたものでございますので、非常にコンクリートなものになっているということではございません。
  115. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この点は、よほど慎重にやってくれないといけないと思う。私は、もう臨海地帯の干拓なんということは、根本的にすべきじゃないという考え方を持っている。日本のような台風地帯、地震の常襲地帯というようなところは、津波がくることを考えておかなければならぬと思うので、ああいう干拓地を絶対作るべきでないということを、今度の経験からも考えるわけでありますが、こういう点は、よほどしっかり考えてもらわなければならぬ。今度のように人が死んだら大へんです。人が死んだら、どんなことをやってもだめです。ぜひ十分考えてもらいたい。  それから、これだけ埋め立てをするとなると、当然漁業補償の問題が非常に重大な問題になってくる。私がこの法案を見て一番心配になったのは、これだけの、内閣総理大臣以下の機構で押しまくられたのでは、漁民は一たまりもないということです。これで、もしも漁業補償もいいかげんなところで押し切られたら、一たまりもない。しかも、その背後にもし財閥諸君の手があるなんといったら、これは実にみじめな、日本民主主義が死滅するような法律になるぞということを、私は一読して心配したのです。これはずいぶんむずかしい問題でありまして、漁業補償をどうするか。地区々々によってみな違うわけでありますが、大体この案をお立てになるについては、漁業補償の基準というものをある程度お考えになっているのだろうと思うが、参考のためにそれを伺っておきたい。埋め立てをして、公有水面、ことに漁場をつぶしていくということも——ことに非常にこの問題で考えられます点は、浅いところを埋める。ところが、浅いところこそ、浅海漁場として、ノリ、あるいはアサリ、ハマグリ、カキその他の漁業で、浅いところこそ非常に漁業的な価値のあるところです。ところが、埋める方になりますと、一坪幾らで作り出そうとするから、一番やさしい、浅いところをねらってくる。ここに漁業との非常な利害の問題が対立をしてくるわけであります。この点について、漁業調整課長の御意見も承りたいと思いますが、先に、この計画をお立てになりました三省においては、何かそういうものをお考えになってこれをおやりになったものであるか、それを承りたい。
  116. 岡田京四郎

    ○岡田説明員 この漁業補償の問題が非常にむずかしい問題でございまして、ことにそれぞれの地域ごとに具体的に非常に事情が異なって参ります。その点から、統一的な基準を作るということは、なかなか困難な問題ではございます。しかし、私たちは、その問題につきましては、これは、先ほどから立地課長の方からもお断わりしておりますように、三省だけの考えでございますが、三省の構想といたしましては、今度のこの促進法ができまして、それに基づくものという構想をとっております。その場合には、この法律によりまして審議会ができることになっておりますので、そういうところで、この漁業補償の——これもやはりごく基本的な基準のようなものだけになるのではないかと思うのでございますが、そういう点については審議会の方できめていただくということを、私たちの方としては期待しておるわけであります。
  117. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そういう問題について、今後非常に大きな問題が出てくる、こういうことで、こういう大きな機関でもって押しまくられたら、大へんなことが出てくると思うのだが、調整課長の木戸さんの方では、そういう点についてどういうようにお考えになっているか。また、もしそういうことをしていくならば、漁業補償の補償の基準というものは、従来もそういうものがいろいろあったでしょうが、どういうような計算の基礎をもってやっておるのであるか、それを承りたい。
  118. 木戸四夫

    ○木戸説明員 漁業の補償の問題につきましては、現在のところ、行なう事業によりましてそれぞれ根拠法規も異なっております。従いまして、法律的に申し上げますと、根拠法規によりまして、補償の対象になるものが違っておるわけでございます。たとえば、漁業権または入漁権を補償するというような規定もありますし、それから、それより若干広くなりまして、漁業権または入漁権等ということを補償の対象にするという規定もありますし、最近の法律によりますと、適法に漁業を営んでいる者はすべて補償をする、こういうことになっておりまして、漁業漁業も、許可漁業も、自由漁業も全部補償をする、こういうような規定もあるわけでございます。  それから補償の基準につきましては、はっきりしたものといたしましては、電源開発の方式とか、あるいは公有水面埋立法に基づく建設省の直轄工事、こういうものがあるわけでございます。そういう基準を大ざっぱに申し上げますと、収益に自家労賃を含めたものを、年利回りで資本還元いたしまして、その八掛を補償する、こういう方式がとられておるわけでございますが、実際の補償の例を見ますと、そういう補償の方式がだんだん多くなってきておるようでございます。それからまた、それと違った方式もあるわけでありますが、たとえば粗収入から経費を引きまして、その引いたものに漁業権の残存年数をかけて算出するもの等もあるわけでございます。また、自衛隊や駐留軍関係におきましては、平均収益から、練習等に使われている期間の推定の収益を差し引きますわけでございます。従いまして、その推定の損害額を推定いたしまして、それに百分の八十をかけまして、それにさらに使用期間をかけて算出する、こういう方式もあるわけでございます。私たちといたしましては、本法案が施行されるにつきましては、ぜひ適正な補償をやっていただくことが、漁民立場から申しましても、必要なことでございますし、また、本事業を円滑に進めていく上にもきわめて必要であるということで、関係各省にも、ぜひ適正な補償をやっていただきたい、こういう要望をしておるわけでございます。  また、補償に関連いたしまして一番問題になりますのは、離職者の就業対策でございますけれども、これは非常にむずかしい問題でありますが、できるだけその離職者の就職もあっせんしていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  119. 長谷川保

    長谷川(保)委員 今お話しのような補償の方式でやるというのは、たとえば永久に水面を失ってしまう、漁場を失ってしまうというような場合には、何年分を計算してやるのですか。
  120. 木戸四夫

    ○木戸説明員 資本還元の方式によりますと、純収益に自家労賃を含めたものを、年利回りで資本還元するわけでありますが、電発の場合は、年利回り八分をとっておりますので、その八掛ということになりますと、計算上は十年分ということになるわけでございます。
  121. 長谷川保

    長谷川(保)委員 正井参事官にお伺いしたいのですが、この法律ができ上がりますと、背後地の関係も出てくるわけです。おのずからそこにだいぶ農地がとられる。こういうような場合に、農地の方はまたよりむずかしい問題だろうと思うのですけれども、今日まで実際やっておりまする、農地の収用をして参りまする場合の補償の基準というものは、やはりあるのでございますか。あれば、どういうような方でやっておりますか。
  122. 正井保之

    ○正井説明員 農地の補償につきましては、特に基準というものを私ども設けてどうこうということはいたしておりませんで、大体その農業者に対する影響の度合いが、それぞれ面積によりまして違う場合がありますし、また、土地の状況等によって違うものでありますので、特別にわれわれとしてこういうふうにするということは考えておりません。実態によりまして、地元の農業をやっておる方と企業者の間できめていくわけであります。
  123. 長谷川保

    長谷川(保)委員 まだ、多分に疑問の点があるわけです。ことに、中心になっております特殊機関の問題が明確な構想がないようであります。先ほど来の質問応答で、それが一番中心であるべきものでありますが、その構想がないということでありますから、多分に残っているわけです。しかし、すでに要求されております資料等の出るのを待って、もう一度質問の機会を与えられたいと思うのでありますが、最後にもう一つだけ補足して伺っておきたいと思うのです。それは、企画庁は、全国総合開発の計画書をこの国土総合開発法の二条で作ることになっておるのだが、これはもう作る意思はないのですか。昭和二十五年にできて、八年を経過してなおいまだにそれができないということであるが、これを作る意思はないのですか。
  124. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 国土総合開発法に基づきまして全国開発計画を作ることになっておりますから、私どもといたしましては、なるべく早くこれを作りたいと思っておるわけでございます。ただいまその内容についていろいろ検討しておる最中ということでございます。
  125. 長谷川保

    長谷川(保)委員 それを作るとすれば、ばらばらのものではなくて、もちろん全体の総合的な立場で、利害とか、重複するとかいうものは、全部計画的に、合理的に総合されたものができるであろうと思いますが、それがしっかりできれば、国土全体の総合開発計画というものは一糸乱れずできることになるわけですね。
  126. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 総合開発計画ということに相なりまするので、河川だけの計画、農地だけの計画、そういうものではなくて、農業、林業、水産業、工業等々、いろいろな産業にわたりまして総合的な計画を立てる、こういうことになります。ただし、全国計画でございますので、そのこまかさのかげんは、だいぶ特定地域等の計画とは違うものと考えております。
  127. 長谷川保

    長谷川(保)委員 一応この程度にしておきます。資料が出ましてから、また……。
  128. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 残余の質疑は次会に行なうことにいたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十五分散会