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1959-11-20 第33回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月二十日(金曜日)     午後一時二十八分開議  出席委員    委員長 寺島隆太郎君    理事 島村 一郎君 理事 二階堂 進君    理事 野田 武夫君 理事 濱田 幸雄君    理事 松田 鐵藏君 理事 足鹿  覺君    理事 館  俊三君       秋田 大助君    進藤 一馬君       田中 榮一君    丹羽 兵助君       兒玉 末男君    長谷川 保君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  藤巻 吉生君         運 輸 技 官         (港湾局長)  中道 峰夫君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君 委員外出席者         議     員 中村 梅吉君         衆議院法制局参         事         (法制次長)  三浦 義男君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  木村 三男君         総理府技官         (北海道開発庁         企画室長)   吉村 次郎君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房調査官) 原口  隆君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局参事         官)      南部 哲也君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局総合開         発課長)    玉置 康雄君         総理府技官         (経済企画庁総         合開発局特別地         域開発課長)  紀本 正二君         農林事務官         (農地局参事         官)      正井 保之君         農林事務官         (農地局管理部         管理課長)   長田 秋雄君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁業調整課長) 木戸 四夫君         通商産業事務官         (企業局次長) 磯野 太郎君         通商産業事務官         (企業局工業立         地課長)    柳井 孟士君         建設事務官         (計画局総合計         画課長)    佐土 侠夫君         建 設 技 官         (河川局開発課         長)      小林  泰君     ————————————— 十一月十八日  後進地域総合開発事業における根幹事業全額国  庫負担等に関する請願二階堂進紹介)(第  四二四号)  九州地方開発促進法に基く特別法制定に関する  請願二階堂進紹介)(第四二五号)  屋久島の総合開発事業に関する請願池田清志  君紹介)(第四八六号)  未開発地域開発促進事業に対する国庫負担率  の特例に関する請願池田清志紹介)(第五  八二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  臨海地域開発促進法案川島正次郎君外三名提  出、第三十一回国会衆法(第六七号)      ————◇—————
  2. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 これより会議を開きます。  臨海地域開発促進法案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の通告があります。順次これを許します。兒玉末男君。
  3. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、提案者である中村さんにお伺いしたいと思うのですが、こういう重要な法案が、もちろん前会からの継続審議になっているわけでございますが、これを議員立法として提案されたというのは、どういう意図に基づくものか、その点の見解を明らかにしていただきたい。
  4. 中村梅吉

    中村(梅)議員 先般も、野田委員類似の御質問がありましたときにお答えいたしましたが、この重要な臨海開発地帯につきまして、各府県、市町村あるいは企業体等おのおの立場において開発埋め立て実施されつつありますことは、御承知のような現状であります。しかも、何とか国家目的に合致するように、また部分々々の視野だけで進められることなしに、総合的に開発されるような工夫をこらすことがきわめて肝要である、かような見地に立ちまして、実は自民党の内部におきましてもいろいろ研究を続けて参ったのであります。その結果、このような成案を得ましたので、現状は、一刻も早く、放置しないで、総合された姿の開発になることが望ましい、また緊切な実情にあるという見地に立ちましてこの立法考えまして、提出をいたしたような次第であります。現状でありますと、なるほど土地は、埋立計画によって、あるいは担当機関によって埋め立てられましても、その埋め立て規模、あるいは最近の臨海地帯の風水害の被害等から見まして、その規模等も重要な関係がございますし、同時にこれに関連いたします道路とか水道、ことに臨海地帯については工場用地等が非常に多くなりつつありますが、それらの工業用水等関係が当然総合されて整備されて参りませんと、せっかく作られた土地が、地下水を吸い上げることによってさらに沈下をいたしまして、せっかくできましたそういう地帯が、さらに将来いろいろと処置を講じなければならないような事態が起こり得る状態でありますので、すみやかにこういう状態を解決いたしたいということが、この提案をいたした理由でございます。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 私はこのように考えるわけでございます。この法案内容を見てみますと、農林運輸通産あるいは経済企画庁、いろいろ広範にわたっているわけです。そういうものであれば、なおさら私は、この法案提案を権威あらしめるためにも、それを政府提案とすべきだと思う。その政府提案とすることがなぜ悪いのか、その点について一つ回答をいただきたいと思います。
  6. 中村梅吉

    中村(梅)議員 実を申しますと、ごらんの通り、こういう各省関連をいたしまする事柄は、他の法案についても見られますように、各省調整ということもなかなかむずかしい次第であります。われわれとしては、国内現状をいろいろ見ておりまして、できるだけすみやかにこういうような運びにすべきものであると切実に考えておるのでありますが、各省間が自主的に調整をしていくということもなかなか手間どる傾向にありますから、そこでわれわれとしましては、最も妥当と思われる見地に立って、そういうめんどうなことなしに各省にも協力をしてもらって、この種の解決をいたしたいということも若干考えておったような次第であります。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員 私は大体本末転倒した考え方じゃないかと思うわけです。各省間の調整ができないから、議員立法として提案をするのであるならば、これがもし法制化された場合、なおさら、今後の調整なり各省間のいろいろな問題の取り扱い方がより以上私は困難になると思うのですが、その点についてはいかなる見通し、見解をお持ちか、伺いたいと思います。
  8. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これは国会がきめることでございまして、この種のことにつきましては、だれが考えてもここらが妥当であるという結論国会できめていくことの方が、事態促進する上において適切である、私ども、実は若干お考えと相違があるかもしれませんが、そのような見地に立ってこのような提案をいたしたような次第でございます。
  9. 兒玉末男

    兒玉委員 これはやはり本質的な問題だと思うのです。大体それぞれの所管にたくさん分かれておるのですが、その中心をなしておるものは、特に臨海地域開発というこの内容から考えましても、所管中心は大体建設大臣になっているやに私たちは判断いたすわけです。でありますならば、当然まずこの法案審議建設委員会においてなされるべきではなかろうか、こういうような意見を持つわけですが、この法案審議国土開発委員会に持ってきた理由、その理論的な根拠というものは那辺にあるかを一つお聞きしたい。
  10. 中村梅吉

    中村(梅)議員 その点になりますと、それは一つ国会取り扱い方ということにもなろうかと思いますが、問題は、建設省中心というわけでもございませんので、この種の総合的な施策を進めるということについては、行政最高責任者である内閣総理大臣中心として、その下に開発審議会というものを設けて、合理的なさばきをしていこう。ただ、この法案の中で建設大臣ということが浮かび出ておりますのは、関係地方団体意見を徴する場合に、どこか窓口がなければなりませんので、そこでその意見を徴する場合に、建設大臣を通して窓口として意見を徴する、こういう形になっておる次第であります。なるほど、総合開発とは申しまするけれども建設に重大な関係のあることはもちろんであります。建設のみならず、運輸その他各方面関係をいたしますことは、この法案目的自体からお考えいただきましても御了承願えるのではないかと思います。
  11. 兒玉末男

    兒玉委員 そういう御見解だとするならば、この法案の最も中心をなしておる第三条の「基本計画樹立等」の第三項におきまして「建設大臣を通じて、」という、この考え方自体に非常にあいまいさがあると私は思う。もしそういうことであるならば、むしろ経済企画庁がその中心になるべきではないか、こういうふうな判断も生まれてくるわけであります。建設大臣を通じて行なうことをこの三項にうたった理論的根拠は何か、このことを私はお聞きいたしたい。
  12. 中村梅吉

    中村(梅)議員 大体臨海地帯開発ということ自体が、基本的に申しますと、国土計画あるいは地方計画一環をなすものであろうと思いますので、各省設置法との関係、あるいは従来の他の類似立法令との関係等から、実はこの第三条第三項に規定いたしましたような成案となったのであります。ここに至りますについては、われわれ提案者といたしましては、法律技術の問題になりまするので、個々の条文の立て方、あるいは、このような問題につきましては、衆議院法制局専門家に、いろいろな過去の立法、あるいは各省設置法その他関係法令を勘案の上御検討願って、その結論を実は尊重いたしまして、このような成文にいたしたような次第でございます。従いまして、その詳細につきましては、必要がありましたら法制局三浦次長も御臨席でございますから、その方から御説明をしてもらうことにいたしたいと思います。
  13. 三浦義男

    三浦法制局参事 ただいまの御質問に対しましては、提案者からお話がありました通りでございますが、私から少し補なって御説明を申し上げたいと思います。先般のこの委員会におきまして野田委員から質問がございました際に、その点に関しまして、私ども法律立案に際しまして考えておりましたところの見解を申し述べた次第でございますが、それと重複いたすかもしれませんが、もう一度申し上げます。  第三条第三項に「建設大臣を通じて、関係都道府県知事意見を聞かなければならない。」こうなっておりますのは、これは本来、この臨海地域開発促進法につきましては、その補佐経済企画庁がいたすことになるわけでございまして、その点の処置は、この附則の方でいろいろ取り扱ってあるわけであります。従いまして、全体の計画立案その他に関しまする連絡補佐役と申しますところの中心官庁は、経済企画庁、こうお考えになってよろしいかと思っております。しかしながら、そういう建前に立ちました場合、この臨海地域基本計画を決定いたしますにあたりまして、地方都道府県知事意見を聞くという場合におきまして、どういうふうに考えたらよいかという点でございますが、いろいろお考えはあるかと思いますが、私どもといたしましては、まず第一に、現在の各省権限配分の問題につきましては、行政組織法根拠に基づきまして各省設置法ができておるわけでございまして、建設省につきましては建設省設置法、それぞれの省の設置法があるわけでございます。その建設省設置法の中の権限規定におきまして、国土計画及び地方計画調査立案という問題につきましては、本来的に建設大臣がその権限を持っておるように現在規定されてあるわけでございます。従いまして、この臨海地域開発促進法に基づきますところの基本計画というものを考えました場合におきまして、それはやはり広い意味におきますところの国土計画あるいは地方計画一環の問題として考えらるべきではないか、こういうような見地に立ちましてこの計画を進めていき、地方意見を聞く場合におきまして、建設大臣を通じて都道府県知事意見を聞くということは適当であろうと考えておるわけでございます。なおまた、御承知のことと存じまするが、現在立法といたしまして国土総合開発法がございますが、その国土総合開発法におきまして、特別地域計画をきめます場合におきまして、その計画につきましていろいろ地方意見を聞きます場合におきまして、やはり経済企画庁長官内閣総理大臣補佐をいたしまして、それが連絡調整中心機関ではありますものの、地方意見を聞く場合におきましては、建設大臣を通じて意見を聞くというように、建設大臣をその窓口にしておるわけでございます。また同じその立法におきまして、都府県計画につきましても、やはり建設大臣窓口といたしましてその意見なりを総理大臣の方に提出してくる、こういう立て方をとっておるわけでございます。それらの点をいろいろ勘案いたしました場合におきまして、三条三項におきまして「建設大臣を通じて、」と規定いたしましたのは、法律上、ただいま申し上げましたような見地から申し上げるならば、適当ではないか、かように考えております。
  14. 兒玉末男

    兒玉委員 それに関連する問題としまして、関係都道府県知事ということに限定をされておるようでございますが、意見を聞くという場合、単に知事ということだけでなく、地方公共団体であるということも考えられるわけでございますが、その辺の解釈はどのようになされておるのか。
  15. 三浦義男

    三浦法制局参事 ただいまの点はごもっともな御意見でございまして、そういうような考え方も確かにございまするが、関係都道府県知事と申しましたのは、むしろ私どもといたしましては、地方公共団体であるところの都道府県、これだけの意見でなくして、いわゆる地方代表機関でありますところの都道府県知事意見を聞くということでありまして、むしろ都道府県だけでなくして、あるいは市町村、その他都道府県内におけるそれぞれの意見がもしありといたしまするならば、知事たる見地に立ちましてその意見建設大臣を通じて反映してもらう、こういう意味合いにおきまして、都道府県知事といたしておるのでございまして、お考えのような点は、都道府県知事とすることの方がむしろ広く包括されるのじゃないか、かように考えております。
  16. 兒玉末男

    兒玉委員 質問が前後いたしますけれども、さっき法制次長ですか、この窓口を基本的には建設大臣にすることが最も正しい、こういうふうな見解をとられたようでございますが、その辺の見解の統一について、いわゆる経済企画庁等関係については今後問題の起きるおそれはないのかどうか、それの見解一つお聞きいたしておきたい。
  17. 中村梅吉

    中村(梅)議員 私どもといたしましては、ただいま三浦法制次長からお答えを申し上げましたように、純理論的の立場で、このような条文の立て方が妥当であるという見地に立って立案をいたした次第でありますが、各省の間では若干意見がないでもないようであります。しかしながら、国会の意思として法律が制定されますならば、私は、各省協力いたしましてこの目的を達成するのに何ら支障のないように進行し得る、かように確信いたしております。
  18. 兒玉末男

    兒玉委員 一昨日配付されました「臨海工業地帯開発公団設置構想」という資料をいただきましたが、これによりますと、大体全国に四十カ所実施予定地点として発表されておるようでございます。そこで私の尋ねますことは、臨海工業地帯開発に伴って起こるいろいろな問題があると思うわけです。この前、参考人として呼んだ朝日新聞の比佐さんでございますか、この方も相当突っ込んだ意見を申されておったようでございますが、たとえば輸送の問題、住宅供給関係、あるいは今新潟等で発生しておるようなあの地盤沈下の問題、または工業用水の汚濁による都市災害あるいは公害等の問題が至るところに発生いたしておるわけです。ですから、この工業地帯を設置する上において、もう少し私は、将来の長期にわたる構想に立って、具体的にどういうふうな工場あるいはどういうふうな住宅なり、またはその他の機関をここに持ってこようとするのか、そういう今後の土地造成を通じての具体的な計画構想というものをこの際明らかにしていただきたいと思います。
  19. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいま三十五年度の予算関連いたしまして、通産運輸建設省三省で予算要求をいたしております臨海地域開発公団の問題について、特にその計画の中に含まれております地域についての計画の概要の説明をせよ、こういうお話がございましたが、確かにこれらの地域におきまして考えておりますのは、主として工業用地臨海地帯造成する、こういうことを中心に、今まで関係方面におきましてかなりの調査なり、あるいはまた、事業実施上、ある程度の調査のまとまったものにつきまして三省で要求をすることにいたしたわけでございます。従って、この臨海地帯開発促進法におきましては、ただいま御指摘のように、基本計画を立てまして、総合的な立場から、関連の諸施設までの諸計画を同時に立案し、またその事業促進に当たる、こういうふうな立場から参りますと、やはりその観点で、そういう計画を、いずれこの促進法成立されました後におきましては、背後地等も含めましたものをある程度検討して肉づけをする、こういうふうなところの地域もあるいは出るかとも思いますけれども、現在の段階におきまして、過去の資料に基づきまして、工業中心とする立地の地域につきましての開発地域予算要求しておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  20. 兒玉末男

    兒玉委員 そういう回答ではちょっと満足できないわけでございますが、具体的に申し上げますと、この資料にも書いてございます通り、今後の十年間に八千万坪の工業用地が必要だということを指摘をしてあるわけです。しかも、産業の分野についても区分けがしてございますが、たとえば私の宮崎県の場合を例にとりますならば、この前、足鹿委員も申されましたが、日向市の細島地区に、約十億近くの金を投じた工業地帯土地造成をやっているわけです。ところが、いまだに、どこの会社を持ってくるのか、全然わからないような状態にあるわけです。しかも、日向市の市長も言っていましたが、りっぱな一人娘が年ごろになったけれども、婿にくる相手がおらない、もしこれが婿をもらえなければ、私は市長をやめなければいけない、こういうように、きわめて責任の重大さを痛感をいたしておったような次第でありますが、何年先に工場がくるかわからない。今局長お話によると、いかにも、土地ができさえすれば、あしたにでもちゃんと工場はできるのだ、こういうふうな錯覚を起こしておるのじゃないかと私は思うのですが、具体的にどこどこの地域にはどういう工場を持ってくる、こういうふうな基本的な構想というものを明らかにしない限り、ただこういう工場用地が必要だという必要性だけを強調しても、私はこの意味がないと思うわけです。そういう点について、再度一つお答えいただきたいと思います。
  21. 中道峰夫

    中道政府委員 この臨海地域開発公団構想につきましては、ただいま建設省の方からお答えがあった通りでございますが、この内容といたしましては、現在全国の各地で実際に事業が着手されておりますもの、また今後されようとしておりますもの等につきまして、相当前々からそれらの点を調査検討をいたしまして、実現の可能性、またそれの適当な計画性というような点を考えまして、今回の構想の程度の地点を選んだわけでございます。お話のように、宮崎県等におきましては、かなり以前から土地造成が行なわれておるわけでございます。これらにつきまして、できるだけ早い機会にこれに工場を誘致し、所期目的を達成するようにいたしたい、私どもも極力そういう点で考えているわけでございますが、いろいろな情勢の変化といいますか、地方実情等もございまして、所期通り実は進んでおらないかと思います。そういう点もございますので、これをどうしても国家的な見地から取り上げまして、適当な工場を適当な地点に誘致する、誘導するというふうな政策をとる、また、それに対して国も、単に現在のように地方起債等のみにまかせることなく、資金的な援助もこれに加えるというふうなことで、それらの地点を有効に活動せしめなければならないというふうに考えているのが、今度のこの臨海地帯開発公団構想にもなっているような次第でございます。
  22. 兒玉末男

    兒玉委員 どのようにお話されましても、先ほどから私が申し上げますように、土地を作るということだけを急いで、できたところの工業用地に持ってくる工場の名前すらまだわからない。それでは、いかにこの法案成立したとしましても——私が先ほどから申し上げているような、具体的にどういう工場を持ってくるのか、そういうこともあらかじめ検討の上でこのような土地造成というものをしなければ、最初から言われておりますように、全く利権法案的なにおいがする。単に土建業者がこの法案成立によって工場用地を作ることだけに急がれておって、その後にくるところの輸送の問題、用水の問題、並びに地盤沈下等に対する恒久的な構想というものが明確にされない限り、われわれはこれに協力できない。あの宮崎県の日向市の一地域における用地でさえ、いまだに開発できていないのに、これに加えて四十カ所も今後の予定地として土地造成をする、そういう大がかりな、しかも巨大な費用を国が投じてやるところのこういう膨大な事業に対して、私が先ほど指摘するような、具体的な構想というものをもう少しはっきりしていただかなければ、われわれはこの法案成立に対して協力するという立場をとるわけにいかないのであります。この土地造成について、今後の工場誘致なり、住宅計画なり、そういう全般的な立場からの基本的構想というものをもう少し具体的にお答え願いたいと思うわけであります。
  23. 磯野太郎

    磯野説明員 今の御質問お答えいたします。工場用地埋め立ての問題と、そこに誘致されます産業なり企業との関係につきましては、大体こういうふうに考えたらどうかということを私ども考えております。御承知のように、最近の大きな産業臨海性を持っているわけでございまして、原材料を海外から輸入して、製品を海外なり、あるいは国内に出しているというふうな、そういう関係、あるいは水の関係、あるいは農地を改廃しないというふうな、そういういろいろな関係からいきまして、特に重化学工業につきましては臨海性を持っているわけであります。そのようなことから、御承知のように、東京湾、あるいは大阪湾、あるいは伊勢湾等で相当の土地造成が行なわれまして、その上に工場が誘致されているわけでございまして、最近では、たとえば東京湾につきましては、ずっと外縁の方に伸びていくような傾向が出て参りまして、千葉県等では相当な工場用地造成がなされております。ただ、現在のところ、工業用地造成では、たとえば三十三年度をとってみますと、臨海地域で約百五十万坪の工場用地埋め立てがなされたわけでございますけれども、資金的に申し上げますと、これは百五十万坪に対して約五十億ばかりの金が出ておるわけでございますが、そのうちの半分の二十五億くらいが地方起債でまかなわれております。それから、あとの二十五億が、普通の自己資金といいますか、そういう政府関係以外の金で造成をされておるわけでございますが、そういうようなことで、産業の将来の動向を見込みまして、地方庁あるいは普通の会社におきましては、造成をある程度やっておるわけでございます。ただ、そのやり方は、必ずしもここの埋め立てをしてこういう工場企業がくるというふうな契約などを結んで造成をするのではなくて、全般的な産業の動向からいって将来を予測して造成をやっているのが大部分でございます。従って、全体的に申し上げますと、お話のように、土地造成はしたけれども、なかなか企業がこないというのもございます。あるいは、土地造成する際には、こういう産業、こういう企業を持ってこようということで、その関係知事なり地方庁がそういうもくろみでやられて、ある程度話の進行したものもございます。途中でいろいろな関係からこの話がくずれたというようなものもございますけれども、これは全体的に計画的な行政といいますか、そういうものをやっておりません関係から、今おっしゃったような例は必ずしもないわけではございませんけれども、一応いろいろなところで造成をいたします場合には、ある程度将来の確実な予測のもとに造成をやるというのが現状だろうと思います。
  24. 兒玉末男

    兒玉委員 そこで、そういうふうなきわめて計画性に乏しい、見通しのはっきりと立たない上に立ってのこういう工業用地の設置でありますが、この資料にある公団の事業実施予定地の四十地区というものが指定をされて、予定をされておるわけですが、少なくともこの四十の地区を予定地として構想を決定した以上は、やはりある程度具体的な将来への見通しなり計画というものを十分調査した上で、この四十の予定地点というものはこのように決定されたもの、このように判断をするわけですが、一体、全体的にどのような構想、どのような計画のもとにこの四十の地点予定地としてきめられたか、これに関連する資料一つ提出していただきたい、このように私は要望いたします。
  25. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ちょっと補足して御説明申し上げますと、ただいま兒玉先生の御指摘資料につきましては、関係各省で打ち合せをいたしまして、適当なものを差し上げるようにいたしたいと思っておりますが、なお、三省でできております臨海地域開発公団設置の予算要求と、それに関連する開発地域というものは、今直ちにこの臨海地域開発促進法の土俵との関連で申し上げることは、今後の問題でございまして、もとより、三省といたしましては、促進法の十六条の機関としての構想予算要求いたしておりますが、促進法に盛られておりますように、これはやはり促進法が制定いたされますと、いわゆる促進法に基づく臨海地域開発地域指定が行なわれまして、それに基づきまして、その当該地域基本計画が定められる、こういうことになるわけでございます。従って、ただいま御審議促進法との関係におきましては、一応政府の側におきまして、三十五年度の要求にかかる個所につきましては、地域の指定を受けるかどうかについての審査の対象にしてもらうということが、まず第一の作業の段階になろうかと思っております。  それから第二の御質問の、こういう土地を作っても、いわゆる総合的な立地条件を整備しなかったならば、それが十分に利用されない、どういうものがくるかということがわからないで臨海地域を作ってもむだではないか、こういう御質問関連しまして、工業の立地計画なり、あるいは立地条件の整備の点につきまして、特に今回三省でも考えておりますのは、ただいま御指摘通りに、臨海性のある工業臨海地帯に置かなければならないような工業というものは、新たな今後の経済の見通しから申しまして、臨海において約八千万坪の土地というものを、工業規模の拡大に応じて予定しなければならない、その地域等につきましては、それぞれの業種によりまして、臨海性に適するものは臨海地域に持っていくというふうな通産方面の立地指導をお願いするわけでございますが、同時に、宅地の造成でありますとか、交通機関の整備でありますとか、あるいはそれらの用水確保の諸問題というものは、政府の関係におきまして、具体的地点について総合的に計画を進めて、事業の効果の上がるようにする、こういうのが、われわれ政府側の公団の計画でもありますので、つけ加えて補足説明を申し上げた次第であります。
  26. 兒玉末男

    兒玉委員 次にお尋ねしたいのは、昭和二十八年の一月と昭和三十一年の九月に、国土総合開発法に基づきまして、東京湾と瀬戸内海の調査地域というものが指定をされておるわけですが、これは今度の促進法案とも密接な関係にあると思うわけです。そういう立場に立ちますと、一昨日の朝日新聞の比佐参考人意見によりましても、いわゆる工場配置の問題、輸送の問題、それから工業用水の整備計画、住宅等の都市計画、あるいは防災施設の計画、または高潮対策、東京湾の場合においては、さらに——私も専門的なことはよくわかりませんが、沖積層で、大体三十メートルくらいが泥になっておる、こういう地域であるそうですが、科学的な調査の上に立ってこういう総合計画というものは立てらるべきだと思うのですが、この東京湾や瀬戸内海の調査地域指定のことに関連しまして、現在まで具体的にどういう調査なり分析がなされておるか、それぞれ担当の責任者からお答えをいただきたいと思います。
  27. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 東京湾あるいは瀬戸内海の地域につきましては、お話のように、国土総合開発法に基づく調査地域といたしまして、従来から調査が進められております。ただ、現在までのところ、まだ十分な調査ができ上がっておるわけでございませんので、埋め立て関係いたしますいろいろな高潮対策の問題、あるいは沖積層の泥の収縮の問題、こういうような点につきまして、なお今後とも調査を行ないまして、その結果に基づきまして、臨海地域の効率的な開発促進して参りたいというわけで、私どもなお従来に引き続き調査を進めて参りたいと思います。
  28. 兒玉末男

    兒玉委員 すでに指定がされてから六年間たってもいまだに安全な調査ができていない、そういうことであるならば、なおさら、こういう工場用地土地造成ということについては、そういう基本的な調査というものが行なわれないでおって土地造成をするということは、これはきわめて重大な問題だと思うわけです。では、一体経済企画庁としては、そういう総合的な立場からの、しかも科学的な調査というものを、大体どの時期までをめどとして完了する構想なのか、その辺について見解を明らかにしていただきたいと思います。
  29. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 私ども調査地域といたしましては、東京湾、瀬戸内海その他たくさん持っておりますので、これらの地域につきましてできるだけ早く調査を完了いたしたいと思っておるわけでございますが、具体的に東京湾調査地域につきましては、まだ来年度も調査を続けるということでございます。来年度で終わるかどうかということでございますが、これは来年度の予算のつき方等もございまして、はっきり私もお答えしにくいところでございますが、できるだけ早く基礎的な調査は済ませたいというふうに考えております。
  30. 磯野太郎

    磯野説明員 四十カ所の立地条件調査につきましては、御承知のように、通産省におきましては、工場立地の調査等に関する法律というのがございますが、その法律に基づきまして、ここ両三年ばかり、各地の、工業を誘導するのに適切だと思われる地区につきまして調査をやっております。予算的に申し上げますと、大体年間二千万円程度のわずかの予算でございますけれども、現在までに全国にわたって百十六カ所の地点調査いたしました。調査内容といたしましては、自然的な立地条件と人的な立地条件とありまして、その大体を申し上げますと、気象の条件、地質の条件、それから水の条件、特に工業用水の条件、それから輸送関係、それから市場関係では、その地点におきますところの従来の企業の散布関係、資源の関係、電力事情の関係、労働力の関係、それから工場を誘致いたしますと、教育等の関係もございますので、教育施設の関係、以上申し上げましたような点につきまして、約四十数目の調査事項をこしらえまして、各都道府県の協力を得て実地調査実施しております。この実地調査につきましては、今後も毎年、国勢調査的な意味で、できるだけ新しい事態に即応して調査を分析していきたいと思っておりますが、そういうような調査をやっておりまして、ここに出ております二十九地帯、四十地区につきましては、今申し上げましたような百十六カ所の工場適地の調査の中に大部分含まれておるものでございまして、そういうことで、ある程度の立地条件の分析なり調査はやっておるわけでございます。
  31. 兒玉末男

    兒玉委員 国土給合開発関係と、経済企画庁と、それぞれの立場から調査をしているということをお答えになりましたが、では、国土総合開発法に基づく調査地域と、それから今お答えになりました経済企画庁との関係においては、どういうふうな連携をとって、どういう形の上において調査を行なっているのか、相互の関連について一つ見解を承りたいと思います。
  32. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 私ちょっと申し上げ方が悪かったかもしれませんが、私どもの行なっております調査は、国土総合開発法に基づきまして、東京湾その他十四地域調査地域として指定しまして、その調査地域開発に必要な各般の調査をやっておるわけでございまして、それらの調査の結果を臨海地域開発促進に役立たしめたい、こういうわけでございます。
  33. 兒玉末男

    兒玉委員 そこで私は両方にお願いしたいわけですが、今までの実地調査をやったその結果というものがどういうふうになっているか、その調査結果の報告の資料をいただきたいと思うわけです。と申しますことは、今後これは多くの、四十地区にわたる——将来の予定地点であったにしても、そういう科学的な調査に基づく資料等によってさらに私は具体的な質問を行ないたいと思うわけです。ですから、その資料を早急に出していただきたい、このように考えるわけであります。  それから、これは中村さんにお伺いしたいのでありますが、今両方から御回答がありましたように、過去六年間指定地域として指定されながら、いまだにその調査が完了しておらない、しかも東京湾とか、あるいは瀬戸内海というような、きわめて重要な地域である場所が指定されながら、いまだにその調査が完了していないというのですが、中村さんとしては、そういう調査促進なり——先ほど通産省ですか、二千万円と言われたが、そういう微々たる予算で、こういう広範にわたる調査はとうてい不可能だと思うのです。そういう関連についてあなたはどういうふうにお考えになるのか。私が先ほどから言っておりますように、調査促進なり、科学的な調査ができなければ、土地造成をやっても、どこの会社だって工場を作るところはないと思うのです。それについてどういうふうにお考えになるか、お聞きいたしたい。
  34. 中村梅吉

    中村(梅)議員 御指摘通り、この種の調査が期待通り進行を見ていないようでありますが、東京湾等につきましては、昨年来海底調査を開始いたしまして、三十五年度の予算が多分予定通り盛り込まれるならば、三十五年度で海底調査は完了するというように私は承知いたしておりますが、いずれにいたしましても、先ほど兒玉委員の御指摘通り、この種の開発は総合性がきわめて必要である、この点は全く同感であります。ただ、私から申し上げておきたいと思いますが、俗に申します三省公団が、大体四十カ所くらいの事業計画予定地というものを発表いたしておるようでありますが、これとこり開発促進法とは全部同一ではないのであります。総合性は、お説の通り全く必要でありますが、総合性には、やはりその地域開発規模なり、あるいは地域なりによりまして、おのおの相当の差があると思うのです。この促進法考えておりますのは、高度の総合性を必要とするところについて、開発審議会の議を経て、内閣総理大臣から指定をしてもらう、こういうことになりますから、指定した地域については、その交通関係にせよ、あるいは埋め立て規模にせよ、あるいはその用途にいたしましても、あるいは関係用水等にいたしましても、それらがその基本計画の中に、審議会の議を経て盛り込まれて参ることになるわけでございますから、お説のような総合性というものは私どもも全く同感で、非常に重要に考えており、その総合性を盛り込むためにはこの種の立法が必要がある、こう考えている次第であります。  それから今の御指摘のように、基本的な調査がまだ完了していないようではないか、この点も全く同感でありますが、この立法が幸いにして行なわれまして、総合性のある基本計画というものを、専門委員等を置いて十分調査の上、きめていくことになりますると、自然、今国土総合開発で指定されておる地域にいたしましても、基本的調査というものは追いかけられていくとしても、これはどんな思いをしてもこの調査費を予算の上に盛り込まなければなりませんし、これは並行して非常に促進されるものであると考えます。それともう一つは、それでは、そういう状態であるにかかわらず、現状はどうかといいますと、基本的な調査や総合性も何もなしに、開発が、ある地域においては行なわれておる、私どもとしましては、これをこのまま見のがして放任しておいていいのかどうか、これらが進められるものについては、早く総合性というものをつけ加えていくべきではないかということが、実はこの立法のすみやかなる成立を期待しておる根底であるわけであります。従いまして、最初申し上げたことにまた戻りますが、今度の三省公団が予定しておりますところは、全部この開発促進法の適用地域になるものとは、私は考えておりません。そのうちで最も高度の総合性を必要とする地域が、まず先に二カ所なり、三カ所なり、数カ所なり、審議会の議を経て指定を受けて、その指定をされたところについては、最も合理的な総合性のある立案をして、それが各関係方面協力のもとに進められるということになっていくと思います。しからば、三省公団で予定しておるところでその指定地域に入らないところはどうなるかといいますと、私どもも直接その方の立案者ではありませんが、それにいたしましても、単に民間でやっていくよりは、総合性というものを保持しつつ進められるので、目下三省で要求いたしております予算が、予算編成上他の財源との関係でどうなるかは知りませんが、できますことは、私どもも、この立法の趣旨とも合致するところで、歓迎すべきものである、こう考えておる次第であります。
  35. 兒玉末男

    兒玉委員 今の中村さんの回答と、先ほどの關盛局長回答とは、だいぶ大きな食い違いがあると思うのです。中村さんは、そういう調査は三十五年度で終わるという見通しだと言われましたけれども、關盛局長は、まだ二、三年はかかる、こういう見解を表明されておりますが、その食い違いはいかなるところにあるのか、はっきりしておいていただきたいと思います。
  36. 中村梅吉

    中村(梅)議員 私、実は以前党内において首都圏関係の仕事を担当しておりましたので、首都圏整備の一環として、東京湾の海底調査必要性考えまして予算をとり始めたのが、海底調査が進行しておる実情でありますので、そのことだけについて私は承知しておるのですが、その他の基本的調査は、先ほど建設省の担当者から申し上げたのが私はほんとうだと思います。
  37. 兒玉末男

    兒玉委員 そういうことであるならば、この法案成立を通じて、多くの金を土地造成のために使うわけでございますが、私はやはり本質的な問題といたしまして、国土開発法の第二条に明らかにされておりますように、現在国土開発の、計画局で行なっているこの基本的な調査なり、あるいは通産関係が行なっているところの調査方面に経費を入れて、そうしてそういう基本的な調査事項というものを早急に完了する、そのここが最も先決ではないかと考えるわけですが、この辺について、中村さん、並びに通産省あるいは關盛局長等の、それぞれの立場からの見解一つ承りたいと思います。
  38. 中村梅吉

    中村(梅)議員 御指摘の点はまことに望ましいことでございますが、それと同時に、各地域のこうした臨海地域開発についての現状というものをわれわれただ見ておるわけには参りませんので、基本的な科学的な資料を整備するということも必要でありますが、一方、何らそれと関係なしに、部分的にはあるいは思い思いに進められておる、できてしまえば、それはやはり国家的な見地で保護もしなければなりませんし、開発もしなければならないということになって参りますが、それをすみやかに総合性をつけ加えて、同時に、総合性を付加し計画する中には、今御指摘のような基本的な問題も当然検討されなければ最終的な計画は立ちませんから、もちろん前提として必要だと思いますが、遅滞をいたしておりますそれらの基本的な資料の整備も、この立法によって自然促進されていくので、この立法がなければそっちだけが促進されるとは限らないから、やはり全体の意思として促進させるような方向に持っていくことが、そして並行してこれを進めていくということが肝心ではないか、こう思っておる次第であります。
  39. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいま調査の問題につきまして、国土総合開発法実施関係につきまして、先ほどから御質問があったのでございますが、実は国土総合開発法の特定地域その他調査地域調査実施につきましては、数年前から建設省においても実施いたしております。今いろいろ御質問の途上に出ました東京湾でありますとか、その他の地域につきましても、相当な調査の結果がまとまっておるものも多くあるのでございます。従って、これはお話のように、その調査の結果はっきりした内容につきましては、取りそろえましてお手元に差し上げたいと思っております。なお、東京湾上につきましては、先ほど提案者中村先生からも御指摘のように政府におきましても、首都圏なり、また特定地域関係でも、すでに浚渫調査等も行なったのでございますが、なお所要の調査に不足の部分につきましては、国土総合開発法調査の継続を明年度も行ない、さらに臨海地代のいわゆる地盤調査もさらに進めていきたい。ただ、今問題になっております地域等につきましては、今までの結果に徴しまして、調査の結果かなり明らかになっておる部分でありまして、今後それに付随いたしまして、補正すべき調査はやはり計画的に進めまして、所期臨海地域土地造成にうまく間に合うようにいたして参りたい、こういうように考えております。
  40. 磯野太郎

    磯野説明員 お答え申し上げます。工場立地の調査等に関する法律実施の問題につきまして、明年度は五千万円程度の調査費を要求いたしております。それからなお、先ほど申し上げました百十六カ所の調査の結果につきましては、通産省に工場立地指導室というものを作りまして、そこにその資料を備えつけまして、工場立地をされる方の便宜にいろいろ供しておりますが、同じようなものは、地方機関でございます八つの通産局につきましても同様の指導室を置きまして、いろいろPRをいたしております。それからなお、通産省といたしましては、今後、今お述べになりましたように、この調査を徹底的にやりまして、現状に合わせるように努力すると同様に、そこから出て参りました調査分析の結果を修正いたしまして、できましたら一番早い機会に全国的な工場配置計画というふうなものを作りたいというふうに考えて、努力いたしております。ただ、この工場配置計画につきましては、自由企業のそれを原則としてやるわけでございますから、もちろん、計画といいましても、それを強制するというふうなことではございませんけれども、いわば工業化に対する一つのガイド・ブック的な意味で、工場の立地を、国民経済的に見て最もロスを少なくしてやるような意味で、そういうガイド・ブックを作りたいということで努力いたしております。
  41. 兒玉末男

    兒玉委員 計画局長中村さんの回答を聞いてみますと、とにかく土地造成ということは非常に忙しいのだ、早急にやらなくちゃいけないということを力説されるその気持はわかるわけでございますが、たとえば、今度の伊勢湾台風なり、あるいは、もしあの伊勢湾台風が東京湾にきたと仮定するならば、ほとんど東京都の大半の機能は麻痺してしまうだろうということが、たしか週刊朝日であったか、具体的にしかも詳細に出ておったのでございますが、そういう高潮対策すらまだできてないわけです。しかも、江東区の地盤沈下に対する高潮対策についても、三十四年度の予算等から判断いたしますと、あと十年間しなければその高潮対策の防波堤すら完備しない、こういうふうな実情にあるわけです。しかも伊勢湾の場合においても、名古屋の土木局長でございましたか、申しておりましたが、三億円の金があれば、あれだけ多くの人的被害を出さなくて済んだのだ、こういうことが明確に指摘されておるわけでございます。特にこの東京湾埋め立て等については、まだそういう根本的な調査は完了しておらない。おそらく私は、この法案成立をするならば、早急に土地何とか公団というものを作って埋め立て工事を始めるだろうと思うのです。そういうもので埋め立て工場を作ったら、また地盤沈下の問題が起きる、あるいは地下水の問題、または工業水の問題、そうしてさらには、先般のあの伊勢湾台風のような、台風による多くの被害をこうむる、こういう総合的な土地保全ということに対する見解あるいは認識というものが少し不足しているのじゃないか、このように感ずるわけでございますが、この法案の中においても、ただ単に土地造成ということだけに力点が置かれて、土地の保全ということに対する考え方というものがほとんどないのじゃないか、しかも今度の台風によってあれだけの甚大な被害を受けた、そういう情勢の中にあって、その辺の土地保全ということについてどのような考えを持っておるのか、中村さんの見解を聞きたい。
  42. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これは非常に重要な問題と考えますが、私どもが意図いたしておりますのは、今御指摘のありましたような土地の保全あるいは防災という点につきまして、この法律ができれば、審議会の衆知を集めた審議の結果、防災その他関連諸施設についての基本計画というものをきめて、その基本計画に基づくものでなければ実施ができない、実施する以上は、その基本計画を尊重して、基本計画に基づく実施をしなければならないということになりますから、埋め立ての高さにいたしましても、あるいは護岸にいたしましても、現在でございますと、市町村あるいは企業会社等が思い思いに免許を受けて埋め立てをやっておる現状で、それこそ、これは一朝津波でもきたら一体どういうことになるか、われわれ寸刻もじっとしておれない気持でおるような次第で、これができて初めてそういう防災的の見地——他の関連諸施設ともあわせまして、防災的な見地、あるいは埋め立て規模、高さ、こういうことも基本計画の中に織り込んで、そうしてそれが基本計画に基づく実施が行なわれることによって全きを得るのではないか、こう思っておるのでございます。この立案をいたしましてから後に、不幸にして伊勢湾台風が起きまして、非常な惨禍をこうむったわけでございますが、これもこの立法についての一つの教訓ともなるべき残念なできごとでありまして、このような立法措置を講じ、そうして総合的に計画的に一つの基本がきめられて、基本に基づく実施をすることによってあのような災害も防止する道を考えられるのではないか、こう思っておる次第であります。
  43. 兒玉末男

    兒玉委員 この法律目的の、第一条にもございますが、そういう重要な、最も土地造成の前提となるべき問題である土地の保全ということに関する条項が一つも入っていないということ自体、私はおかしいと思うのです。当然私は、そういう土地の保全に関する何らかの表現というものを、この法律目的の第一条等に織り込むということは、最も立案者としては正しい考え方じゃないか、このように感ずるわけですが、その辺の見解について一つ承りたいと思います。
  44. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これは実は第一条の「関連諸施設の整備」ということですべてが含まれておると思うのでありますが、もちろん、この基本計画を立てるにあたりましては、土地を作るということでありませんで、作った以上は、それがいかに高度に利用し得るか、また、それが防災的な見地から災害を防除する一つの施設であるかどうかということ等も、当然、基本計画を立てる際には、重要項目として織り込まれてそれが策定されるべきものである、かように考えております。防災とか土地の保全という文字はこの第一条にございませんが、「利用及び関連諸施設の整備」ということの中には、それらの諸問題も当然含まれておると考え立案をいたしておる次第でございます。
  45. 兒玉末男

    兒玉委員 次に私がお聞きしたいのは、この法案は、全体を通じて私は全部検討を加えましたが、非常に内容の不備の点が多いわけです。同時に、この緊急性の問題についても、前にどなたか委員会で御質問があったと考えるのでありますが、聞くところによりますと、将来製塩業関係はほとんど規制していく、そのために将来塩田等がなくなっていく、こういうふうなことを考えますと、この塩田等の転用だとか、あるいは臨海地域においてまだ全然未利用の地域が相当私は全国的にあると承っておるわけでございますが、こういう利用すべき土地をまずこれに充てて、そうしてこの問題については第二次的な問題として、しかもこのような莫大な金を食う問題でございますから、まだ未利用の地域だとか、あるいは近い将来転用されるところの塩田等の利用、こういうことを第一次的に考えるべきではないかと思うのでありますが、この点についてどういうような見解をお持ちか、お聞きしたい。
  46. 中村梅吉

    中村(梅)議員 私どもといたしましては、確かに御指摘のように、他に転用をすべき有望な地帯全国的にはあると思うのでありますが、しかしながら、現に北九州でありますとか、東京湾でありますとか、利用度の高いところにおきましては、この法案考えておりますような総合性なしに進められている部分が相当見受けられますので、これらに対してすみやかに総合性を加えたい。その他の方に関しましては、これはそれぞれ内閣総理大臣審議会の議を経て指定をして参るわけでありますから、いろいろ工業の立地条件とか、あるいは他に転用の余力のあるところだとか、すべてを勘案して、そこで地域の指定というものについては十分検討がされるべきもので、それとこの法案立法必要性とは矛盾がないのではないか、こう思っております。
  47. 磯野太郎

    磯野説明員 塩田の問題につきましては、責任官庁は大蔵省と専売公社でございますが、今おっしゃったような傾向が、確かにある部分で出ておるようでございます。そういう話も通産省としても承っておりますが、そういう塩田予定地あるいはそういうような土地につきましては、これは積極的にその転用、活用をはかるべきでございますので、たとえば、経済企画庁に鉱工業地帯整備協議会というのがございまして、これは関係各省が集まっていろいろ地帯整備の相談をするわけでございますけれども、たとえば姫路等で起こっております問題等についても、今整備協議会でいろいろ検討を重ねております。そういうふうな塩田の関係につきましても、適地につきましては積極的に工場用地として転用をしていくべきものである、このように考えております。
  48. 兒玉末男

    兒玉委員 關盛計画局長にお伺いしたいのですが、現在埋め立てて、そういう工場の誘致のされていないいわゆる未利用の地域、あるいは利用されようとするような地域、また、今お話のありました、もう近い将来、大体ここ一年前後でほとんどそういう塩田等が他に転用されなければいけないという運命にあるわけですが、そういうふうな地域というものが全国でどの程度の広さがあるか、もしわかっておったら、お答えを願いたいと思います。
  49. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまの御質問に対応いたします資料の手持ちがございませんので、後ほど調べまして、お手元に差し上げたいと思います。
  50. 兒玉末男

    兒玉委員 それからこれは多少具体的なことになろうかと思いますが、この土地造成によるいわゆるその目的というのが「工業その他の用に供する」ということでありまして、「その他」ということは、これは非常に拡大解釈もできるわけでございます。たとえば、私たちが心配しておるところの、将来日本の自衛隊等が相当核武装されるとか、あるいはジェット化される、そうした場合に、たとえば軍事基地なりあるいは飛行場等の設置ということも拡張解釈されるおそれもあるわけですが、「その他」とは、一体どの程度まで限定された表現なのか、その辺の見解一つお聞きしたいと思います。
  51. 中村梅吉

    中村(梅)議員 お説のような点は毛頭考えておりません。ここに「工業その他」と表示いたしましたのは、工場用地造成するにあたりましては、当然これに付随いたしまするところの住宅の関係も起きて参ります。あるいは道路その他の公共用地、あるいは小公園等の公共用地関係も起きて参ります。あるいは、その一角には農業用地に適する地帯がありまして、農業用地をあわせて造成するという場合も起きてくることを予想しなければなりませんので、それらを想定いたしまして「工業その他」と表示いたしましたので、お説のようなことは毛頭考えておりませんし、また、事実そのようなことは本法の運用の上において起こってこないと思っております。
  52. 兒玉末男

    兒玉委員 今あなたの見解はそうであっても、将来そういうことが全然予想されないということはないと思うのです。ですから、「その他」の項には、軍事基地とか、そういうものは絶対に含まないという明確な表現をとるべきではないか、私はこのように考えますが、その辺の考えはいかがですか。
  53. 三浦義男

    三浦法制局参事 ただいまの点に関しましてお答えいたしまするが、第一条で「工業その他の用に供する土地」云々と書いてございまするが、大体法律の明文といたしましてこのような書き方をいたします場合におきましては、先にあげてありますところの「工業」、これと大体類似の用に供する、こういうような意味法律的に大体とっておるわけであります。従って、ここで「工業その他の用に供する土地」と申しまする場合におきましては、農業あるいは商工業であるとか、あるいは住宅であるとか、こういうような用に供する土地という意味考えておる次第でございますので、お話のような点は、この第一条の「工業その他の用に供する土地」の中には入れるつもりはごうもございません。なおまた、その点に関しましては、第一条の目的の点をお読み願いますると、この法律は、経済の発展及び人口の増加の趨勢にかんがみて、工業その他の用に供する土地造成するという前提がございます。従いまして、「工業その他の用に供する土地造成」ということは、その前提条件といたしまして、経済の発展及び人口の増加の趨勢にかんがみてやるということが一つであります。それからその第二点といたしましては、そういう土地造成ができまして、その結果におきまして、産業基盤の育成強化と民生の安定向上に寄与する、こういうことが要請されておるわけでございます。従いまして、そういうカテゴリーの中におきまして「工業その他の用に供する土地造成」云々ということは考えうるべきことでございますので、自然に用語の解釈も制約される、このように法律上は考えております。
  54. 兒玉末男

    兒玉委員 法制次長は、そういう専門の立場から、法理論的にはそういうことが言えるとしましても、実際に国の政治を行なうものは、私はそういうことは問題にしないと思います。やはり法律条文の中に明確な禁止条項のない限り、その解釈はそのときの情勢によって変わってくる、こういうふうに判断するわけですが、その辺一つ中村さんの方からお答えいただきたいと思います。
  55. 中村梅吉

    中村(梅)議員 御指摘のような点は、私どもとしては毛頭考えておりませんし、またお説の通り、この第一条の解釈については、三浦次長から申し上げましたように、経済の発展及び人口の増加の趨勢ということが基本でありますから、これと関連のない防衛施設とか何とかいうことになってくることは全然考えられないと思います。
  56. 兒玉末男

    兒玉委員 当初私が申し上げましたように、基本的な計画の三項は、これに関連する一切の問題はすべて建設大臣を通じて行なうことになっておるわけであります。ですから、私は、これらの特に基本をなすものについては建設大臣見解も明らかにしてもらいたいと思うわけです。それで、この点は、本日でなくてもいいですが、大臣にもあらためて私は質問の機会を作りたいと思っております。  そこで具体的な問題で、さらに、この土地造成をする場合に、対象として農地も入るのかどうか、この辺の見解一つ承りたいと思います。
  57. 中村梅吉

    中村(梅)議員 これは農地造成ということは直接の目的ではございませんが、工場関連する、あるいは住宅、公共用地等とともに、それに付帯した菜園に充てるべきような地域をあわせて造成した方が都合がいいという場合も絶無ではないと思うのです。そういう必要性に応じてそれらもあわせて含められるもの、こういう考え方でおるわけであります。
  58. 兒玉末男

    兒玉委員 土地造成という中に農地を含むかということは、農地を作るということじゃなくて、臨海地帯ですから、農地をつぶしてそういう土地造成をするか、農地をつぶすという意味農地を含むかどうかということをお聞きしたわけです。
  59. 中村梅吉

    中村(梅)議員 それはこの法案の何ら目的としておるところではございません。ただ、しかしながら、そこに一つのそうした集団的な造成される地域ができますと、それに即応する道路関係とか、交通関係等が当然伴って参りますので、そういった関連施設の用に供されることがあり得ると思いますが、農地を改廃いたしまして工場用地に直接しようということが本法の目的ではございません。関連として若干起きてくる場合はあり得ると思いますが、そのように私ども考えております。
  60. 兒玉末男

    兒玉委員 原則としてというような表現であったかと思うのですが、農地はほとんどつぶすことはない、こういうふうに解釈をしていいわけですね。
  61. 中村梅吉

    中村(梅)議員 そうです。
  62. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、先ほどから、総合的総合的ということを盛んに言われますが、それでは、この臨海地域の指定にあたりまして、最も基本的な問題でございます工業地域的な配置、それから人口の分布、こういうことは現在非常に重要な問題として起きておるわけですが、たとえば東京周辺だけに人口が集中する、あるいは工場が集中する、こういうふうな面について、ある程度私はやはりこの法案の中において規制を加えていく必要があるのじゃないかと考えるわけでございますが、そういうふうないわゆる工業の配置や人口分布の適正配置、こういうことについての精神というものがこの法案の中に明示されてないようでございますが、その辺の見解はどうですか。
  63. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この法案は、考え方としての基本を定めたものでありまして、その考え方の基本としては、内閣総理大臣主管のもとに開発審議会というものを置きまして、高い視野から総合的な検討をして地域の指定をするということにいたしておるのであります。従って、この法律が制定されまして、審議会が出発をいたしますならはもちろん、お話のような人口の分布でありますとか、立地条件でありますとか、あるいは低開発地帯開発でありますとかいう国家的な見地に立って検討が行なわれ、そういう視野に立って進めらるべきだと私ども考えております。ただ、これを放任しておきますと、個人的かあるいは地域的な採算主義で開発が行なわれる、また現にそういう傾向にありますし、今後もそういう危険性があるわけであります。先般も東京湾について、どなたでしたか、社会党の委員の方から具体的に御指摘がありましたから、実は私ども考え方を申し上げたのでありますが、東京湾にいたしましても、過度の集中を来たしております東京に接続したところを、むやみに採算主義で埋め立て開発をしていくということは、私は理想ではないと思うのです。従って、首都圏整備法に基づく首都圏整備委員会考え方としましても、東京湾の港湾なら港湾整備ということで、それに適する、港湾整備に必要な所要の開発をするということはいいですけれども、接続地帯にむやみに人口を集中するような土地造成というものを今のままで放任しておくということは妥当でない、従って、東京湾開発するとするならば、千葉県の側の方に、あるいは東京の既成市街地と離れたところへ衛星都市を建設する建前の開発ならばこれはけっこうでありますけれども、そういうような方向に進むべきものであるということは、いろいろ首都圏整備法関係機関等においても論議をされておるところでありまするから、それらの意見は、今後こういう総合開発が進められる場合においては、当然基本計画の中に考慮されるべきものであると私は考えておるのであります。従いまして、御指摘通り、いろいろ立地条件でありますとか、人口の分布でありますとかいうことについては、この審議会ができましてから、高い視野に立って検討が行なわれ、指定地域の選定についても、それらの問題が当然論議され、考慮を払われて指定されていくべきものである、こう思っております。ただこの法律自体は、ただいま申し上げたような考え方でまず基本をきめて、そうしてこの法律に基づくそのような総合性を付加する機関法律によって作ろうということだけでありますから、それから先のことは、今後の良識なり、あるいは今後この法律に基づいてできました機関審議研究に待つということ以外にはないのであります。それが妥当である、きわめて基本的なことだけをこの法律では取り上げるのが妥当であるというのが、私ども考え方であります。
  64. 兒玉末男

    兒玉委員 私は今の回答ではきわめて不満でありまして、しかも審議会で、良心的な審議を通じて決定をする、これは表現としてはきわめてりっぱなことでございますけれども、実際問題として、準拠すべきところの法文というものがなくて、ただその良心だけにおいて、そういう工業なり人口の適正配置が行われる、そういうことであれば、何らこういう法律によって規制することが必要でなくなってくるわけですが、そういうことは、明らかにこの目的なり、あるいはこの指定する場合の前提条件として、先ほども申し上げました土地の保全、それから今後の工業なり人口分布の適正配置、こういうことを明碓に入れておく必要があるのじゃないか、このように私は感ずるわけですが、その辺の見解について一つ法制次長見解を承りたいと思います。
  65. 三浦義男

    三浦法制局参事 ただいまの御意見ごもっともと存じまするが、この法案の趣旨といたしましては、先ほど提案者から御説明がございましたように、臨海地域開発促進に関しまする基本法という意味におきまして立案されましたので、この実行段階におきまして、いろいろそういう関連の問題が多々出てくるだろうと思っております。しかしながら、ただいまお話のございましたような点につきまして、法律的な関連において一応お答えいたしますると、たとえば、東京都におきまして首都圏整備計画という問題と関連して考えますと、この法案の十五条に書いてございますように、首都圏整備計画等とこの基本計画との間にいろいろの関連を持って参りまして、そこで調整を要するというようなことがありました場合におきましては、この規定に基づきまして、内閣総理大臣が首都圏整備委員会意見を聞いてこの調整を行なう、こういうことになっておりまして、そういうような関連におきまして、法律的には調整ができるのではないかと考えております。しかし、御指摘のような点は、実際の運営面におきまして、いろいろ重大な関連を持っておることでございまして、大事なことだと思いますが、法律的には特にそれを一々あげませんでも、この条文関連におきまして、それと関係を持ってきますので、差しつかえないように考えております。
  66. 兒玉末男

    兒玉委員 計画局長がおりませんので、総合計画課長はどういうふうな見解をお持ちか、伺いたいと思います。
  67. 佐土侠夫

    ○佐土説明員 その基本計画を立てる場合に、人口の分散とか産業の分散とかいうのが逆になって、たとえば、東京湾で申しますと、東京にマンモス東京がますます促進するような結果になるのじゃないかという御心配があるのじゃないかと思いますが、おそらく促進法考えられております基本計画の場合においても、東京を中心とした、つまりマンモス東京をますます促進するというふうな考え方ではなくして、やはり人口の分散あるいは産業の分散ということを頭に入れて、当然基本計画は立てられなければならないというふうに考えます。たとえば、東京湾の東京を中心にして考えた場合におきましても、現在約一千万に近い人間がおるわけでございますが、それがおそらく昭和五十年には、約二千万をオーバーする人間が、このまま放置すると東京の既成市街地に雲集するというふうな結果になろうかと思います。従って、これに対して、人口の集中あるいは産業の集中に伴う都市的な弊害を除去することは当然必要でありまして、首都圏におきましても、既成市街地にそういう人口の雲集なり産業の集中することを避けて、近郊開発地を作って、いわゆる衛星都市を建設して、分散をはかっていくということを、現在首都圏の構想一環として考えられておるわけでございますが、その場合に、その手段としては、一つは、遮断緑地とか、あるいは最近できました、工場とか、学校その他の文教施設に関する法律によって規制するというふうな形で、ただ運棒的に一つの都市が広がっていくというふうな形でなしに、それぞれその既成市街地から離れたところに経済基盤を作って、一つの基地を作って、それを中心にして都市を作っていく、いわゆる衛星都市の考えを持っておるわけでございますが、その場合に、その衛星都市を大体現在首都圏で考えられておりますのは、十万ないし五万を単位にした衛星都市を考えるというふうなことがいわれておりますが、その場合に、人口が二千万をオーバーするような形で自然放置するのをやめて規制する場合にどうしても二百七十万近い人間がはみ出る。それを衛星都市で今の十万単位でいくとなると、衛星都市を、緑地部といいますか、現在の都市の中で二十七の都市を作るというふうな計算になろうかと思います。しかし、その都市を作る場合におきましても、産業立場から臨海性に指向しなければならないような場合があると思いますので、そういったものを臨海地に持ってくる。言いかえますと、内陸で考えております衛星都市の一部を臨海部に持ってきて、人口分散あるいは産業の分散を考えていく。従って、東京湾をかりに開発するにしても、ただ東京湾地域をべろりと埋め立てるというふうなことになりますと、さなきだにマンモス化した東京が連檐的に一度に広がっていくというようなことになりますので、遮断緑地とか、あるいは工場、学校等の規制に関する法律というようないろいろな手段によりまして、独立した一つの都市を作っていくというふうに、東京湾については考えなければならないと思います。従って、この促進法に基づいて全国的にいろいろな地域において開発がされる場合に相当大規模になれば、やはり首都圏といいますか、東京湾等において考えられているような場合には、やはり人口分散とか、あるいは工業分散をするということについての何らかの法的な措置をとらなければいけないのではないかというふうに私としては考えております。
  68. 兒玉末男

    兒玉委員 今の総合計画課長説明によりますと、やはりそういうふうに法律をもって明確に規制をしていかなければ、とてつもないことになっていくということを非常に憂慮されておるわけです。それに対して私は再度中村さんにお伺いするわけですが、やはり法律にこのことを明示する必要がある。再三くどいようでございますが、土地保全ということと適正の配置ということをこの際明示するということは、どうしても考えられないのかどうか、その点について再度見解を承りたいと思います。
  69. 中村梅吉

    中村(梅)議員 考え方としましては全く同感なんでありますが、この法律は基本的なことだけをまずきめよう、そして今後の考え方としましては、お話のように、言葉は抽象的になりますが、今再々東京のことが出ておりますから、申しますと、現在は各埋立会社等が免許をとりまして、採算主義で埋め立てが行なわれておる現状でありますが、こういうようなことでなしに、東京湾の港の整備は、港湾局の港湾の立場からどういうふうに整備する、さらに、開発をするところは、首都圏整備構想というものと矛盾しないようにどういうふうに指導をし、計画をしていくかというような具体的な問題については、審議会の議を経て今後その基本をきめてもらい、進めてもらう、こういうように実は考えておるのでありまして、この法案自体は、基本的なことのみを取り上げております一種の基本法でありますから、これにこまごまと書き入れるということは、私は立法技術上からもどうかと考えておるわけであります。
  70. 兒玉末男

    兒玉委員 そういうとまた私も反復したいわけですが、この第一条の、土地造成、利用ということと、土地の保全ということは、いずれも重要的な基本的な問題だと思うのですが、その点について再度法制次長見解を承りたいと思うわけであります。
  71. 三浦義男

    三浦法制局参事 先ほど来の御質問、ごもっともだと存じておりますが、その点につきまして具体的に申し上げますと、たとえば、土地の保全の問題といたしまして、防災施設その他の問題が考えられると思いますが、そういう点につきましては、この法律におきましては、関連諸施設の整備の問題で考えたい、こういうふうに考えておるわけでございます。関連諸施設の内容につきまして具体的にはあげてございませんが、土地造成、利用と関連して密接不可分の関係において必要となってきます施設というものは関連諸施設だと考えていいだろうと思っております。そういう意味におきまして、ただいまお話の点は関連諸施設の問題として取り上げられ、基本計画の中においても重要な要素を置いて考えらるべき問題であると考えております。  なおまた、この法案の第五条をごらんになりますとおわかりになると思いますが、たとえば海岸法とか水産資源保護法、こういう法律の例示でございまして、そういう問題でいろいろ保全区域を指定するとか、いろいろな問題が起こってきましたり、あるいは今度はその中で許可を受け、いろいろなことをやられます場合におきまして、この基本計画との間にいろいろな問題が生じてくる場合があり得ると考えますが、そういう場合におきましては、第五条の規定によって相互間の調整をはかって、基本計画の方を引っ込めるか、あるいは、ほかの進められておるところの処分なり事業の分を引っ込めるのがいいかというような、両方の関連において相互調整をはかっていく、こういうように大体考えておるわけであります。なお先ほど私が申し上げましたように、たとえば東京都に例をとりますと、首都圏整備計画との関連におきましては、十五条にその調整規定を置いておりますので、具体的に、たとえば海岸の防災施設とか、その他のことを特にあげてはおりませんけれども、この法律の基本法の中において、どれかの条文の中との関連においてそういう問題は取り上げてこられる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  72. 佐土侠夫

    ○佐土説明員 ちょっと説明が足らなかったかと思っておりますので、つけ加えさせていただきたいと思います。  先ほど申し上げましたのは、大規模な区域を開発する場合に、その人口の分散とか産業の分散をする場合に、法的な措置が要るのじゃないかというふうに答えたと思いますが、これはたとえば首都圏構想の場合に、たとえば遮断緑地とか、あるいは学校、文教施設に関する法律というふうに、別の手段によってやられているわけでございます。そういう意味においてのことを申し上げたのでありまして、この促進法は基本法でありまして、そのほかのことにつきましては、それぞれの法律によってやるという意味でございますから、その点は誤解のないようにあらためて申し上げておきたいと思います。
  73. 兒玉末男

    兒玉委員 その点については、特に工場適正配置の問題は、通産省に非常に関連のあることでございますので、工業地課長がおいででしたら、一つ見解を承りたいと思います。
  74. 柳井孟士

    ○柳井説明員 主として私どもの担当しておりますのは工業の適正な配置でございまして、そういう観点から申し上げますと、通産省が今基本の方針としてとっておりますところは、工業の過度の集中はできるだけ避けるようにしていきたい、そうして全国的な視野で見まして、できるだけ分散をはかりまして、所得の地域較差の縮小というふうな点にまで寄与し得るように進めていきたいというふうに基本の方針を立てまして、これでもって全国の適地を調査をいたしますとともに、その調査の結果を企業家によくわかるように知らせまして、そうしてそういう方向で企業の誘致をやっておるわけでございます。しかし、まだ一般の日本の経済の基調は、自由経済を基調といたしておるわけでありますから、法的に規制をいたしまして、強制的にどこからどこまでの地域にこの工場は作らなければいけない、こういう性質の工場はこの地域には作ってはいけないというようなところまで規制をするという状態にはなっておりません。私どもは、現在の段階におきましては、納得づくの調査を十分にいたしまして、その調査に基づいて企業家に十分に国の方針を説明いたしまして、説得づくで適地に適業を誘致していくという方法によりまして、この工場の適地配置ということを進めていくのが、少なくとも現在の段階においては実際的であり、かつ妥当である、こういうふうに信じておる次第であります。
  75. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、そういう法的なある程度の規制をしなければ、結局会社にしても、地理的な条件、あるいは採算のとれるところということで、どうしても立地条件のいいところだけに集中されると思うのです。その辺は、土地は作ったけれども、条件が悪いから行かない、こういうことではなくて、やはり土地を作る前提条件として、ここに土地造成するから、こういうような形で工場の配置を行なうという、こちらが指導的な立場に立って、法的な規制をもってこれを作らせる、こういうことにしなければ、先ほど宮崎県の例を申し上げましたが、いかにりっぱなお化粧をして美しい顔をしておっても、婿さんがいないところに嫁さんを作っても意味がないということを、いみじくも総合計画課長は言ったわけですけれども、その辺の考え方について、もう少し法的に規制をするということと、工場用地を設置する場合に、  一定の工場配置ということについての、どこそこに工場用地を作るので、ここに工場配置をすべきだという規制をする必要があるのではないかと思う。この点について再度お伺いしたいと思います。
  76. 柳井孟士

    ○柳井説明員 これは非常にむずかしい問題でございまして、企業の自由という原則と、国の必要という面との調整の問題でございまして、企業の配置が立地上理想的にできるという観点にしぼって考えますと、お説のような方法によることが、一番確実に国の意思が実現できるわけでございますが、一方におきまして企業の自由という原則がございますので、その辺が相当慎重に研究を要する問題である、こういう考え方であります。そうして先ほど申し上げましたように、現在の工業立地に関する企業家の常識といいますか、感覚、そういうものを完全に入れまして、事実問題として一番スムーズな方法ということで考えますと、現在の段階においては、国が理想の姿を描きまして、それを目安にして、説得によって適地に誘導していくということが、今の段階では一番実際的な方法であろう、こう申し上げたわけでございまして、それが将来にわたって理想の方法であるというふうにまで通産省で割り切って考えておるわけではございませんで、その辺は今後慎重に研究いたしたいと思っておる次第でございます。
  77. 兒玉末男

    兒玉委員 そういうようなことであれば、今後一番問題として派生することは、それではこの土地造成を行なうところの地域をどこに指定するか、このことが私はきわめて重大な関連があると思うわけです。その際、地域の指定は単に審議会等において行なうのか。私は、今の通産省の工業地課長見解等から判断いたすとするならば、そういう会社側の条件だけによってこの場所が指定されるということは、少なくともこの土地造成なりあるいは工場配置の適正化ということからも、その趣旨に沿わないと思う。そういう点から考えますならば、この地域の指定ということは、いわゆる国土総合開発法に基づくところの国土総合開発計画においてこの場所を指定する、この指定地について、今度の臨海地域開発促進法による審議会等において、その工場誘致なり、あるいは具体化をはかる、こういう段階を踏むべきではないかと思うのですが、その地域の指定については中村さんとしてはどういうふうな形をとろうとお考えになるのか、御見解を承りたいと思います。
  78. 中村梅吉

    中村(梅)議員 地域の指定は、この法律内容で申しますと、内閣総理大臣審議会の議を経て指定をするという建前だけをきめておるわけでありますが、私どもが意図しておりますところは、お説のように、工業の立地条件、あるいは適正な分布、これらを含めて地域指定の条件として考えて、地域の指定が行なわるべきものである、かように考えます。同時に、先ほど宮崎の埋立地のお話がございましたが、要するに、今の日本の諸制度のもとにおきましては、お前さんの工場はどこそこへ行って建設をしろという強制力を用いることは不可能でございますから、結局、そうした造成された地帯工場が完全に誘致できるということのためには、造成に際してこちらが意図した工場施設等が進んでくるようなそれらの条件を整えてなければいけないのではないか、それには道路、港湾等はもちろんでありますが、臨海地帯のことでありますから、造成と同時に、適当な原材料等の運搬に容易なような港湾の施設を当然考える、あるいはまた、他の既成市街地へ参りますよりは、そこへ来たために、工業用水等の設備も完備をしておるとか、あるいはそれに並行したところの工員住宅地等の入手もまことにたやすいとかいうような、進んでくるような諸条件が整備されるということが、私は何より大事だと思うのであります。これらの点を考えましても、ただ企業会社等が採算主義で行なう臨海地帯開発にゆだねておきますよりは、この種の措置を基本的にきめまして、そして開発造成される場合には、このような総合性を盛り込んだものが実施されるということが望ましいと思うのでありまして、私どもの意図しておりますところは、そのような考え方であるわけであります。
  79. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、少なくともこの点については、この地域の指定ということは、やはり国土総合開発の精神にのっとって、国土総合開発の経過に基づいてこの地域指定というものが行なわれるのが最も妥当だ、こういうふうに判断をいたすわけであります。そういう総合的な視野に立った地域指定でなければ必ず弊害が起こる、こういうふうに私は感ずるわけですが、これに対して、これはどこの担当ですか、通産関係なり、あるいは経済企画庁の方なり、それぞれ関係のあるところから一つ見解を承りたいと思います。
  80. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 臨海地域をどういう地域に指定するかという問題でございますが、たびたびお答えもございましたけれども全国的な見地から、異様に工業用地が集まっておって、何とかここに用地造成しないと困るような場所、あるいはいろいろな関連施設が非常に詰まっておりまして、基本的な計画によってその整備をはかっていかなければ、将来の経済の発展、あるいは人口の適正な配分等もうまくいかないというような場所を選ぶべきでございまして、その精神は、総合開発によって総合的にいろいろな見地から考えていく精神と同じかと存じます。
  81. 兒玉末男

    兒玉委員 これは中村さんにお伺いしたいのですが、この地域指定のことが今後のなかなか重要な問題になろうと思うわけでございますけれども、では一体そういう地域指定を、単なる工場側、会社側だけの利便を主体とするような、そういうあいまいなものではなくて、地域を指定する場合の一定の基準というものをこの際明確にしていく必要があるのじゃないか、このように考えるわけです。この点をやはりこの法律の中において明示する必要があるのではないか、そうしなければ、単に審議会において最もりっぱな結論においてその場所を指定する、こういうことは、ただ頭の中で考えることでございまして、やはり一定の基準というものが明確にされて初めて公正なる地域指定というものが行なわれる、私はこのように判断をいたすわけでございますけれども、この地域指定の基準ということについてどういうふうな見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  82. 中村梅吉

    中村(梅)議員 私ども考えとしましては、ここにとりあえず基本的な立法をいたしまして、この法律成立をいたしましたならば、内閣総理大臣を主管とする開発審議会が必要な地域の指定を行なうわけでありますが、もちろん、いきなりどこそこを指定するということではありませんので、この審議会ができましたならば、どういう方向、どういう考え方地域の選別を行ない、指定を進めていくかという、指定企画と申しますか、そのようなことが当然ここできめらるべきものであると思います。従って、この法律で取り上げるのはまだ時期尚早でありまして、この法律ができましてから、そのような機関において慎重審議が行なわれ、また各省なり、あるいは各関係方面なり、学識経験者なりの意見が十分加えられて、そしてそれらの指定基準というものが定められ、その方向が示されて、それに基づいて指定が進められる、この方が妥当であろう、こういうように実は考えておる次第であります。
  83. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、そういう点が非常にこの法案の不備の点であるというふうに指摘をしたいわけです。基準というものが明確にされないで、審議会においてその問題は考える、先ほどから指摘する土地の保全の問題や、工場の適正配置に関する条項というものが明示されておらない、すべてこの法案は抜け目ばかりあるわけです。すべてが審議会々々々ということを言われるが、審議会においてどういうことを基準にしてその工場地域指定が行なわれるのかということを明確にしない限りは、私たちはこの法案のせっかくの趣旨というものが生かされていかないと思うのです。この点について、地域指定の基準というものを明示することについての見解を、今度は一つ法制局にお伺いしたいと思います。
  84. 三浦義男

    三浦法制局参事 法律的な点から申し上げますと、法律上の問題といたしましては、指定の基準を法律に書くという場合と、あるいは、審議会というような機関をこの法律で設けております場合におきましては、その審議会の審議にゆだねる、こういう方式があると思います。この臨海地域開発促進法におきましては第二の方式をとったのでありまして、つまり審議会の調査審議に待って、第十条に書いてございますように、「臨海開発区域の指定に関する事項」として、そこで取り上げてもらいまして、いわゆる学識経験者から成る人たちと、トップ・レベルの各省大臣級から成る審議会の議を経て、そこで慎重に検討した上で指定の基準等をきめてもらう、こういう方式をとったわけでございます。それについての御意見はいろいろあると思いますが、この法律はさような建前をとりましたということを申し上げておきたいと思います。
  85. 兒玉末男

    兒玉委員 通産省の柳井工業地課長にお伺いしたいと思うのですが、今のそういう見解であるとするならば、やはり何らかの形でそういう基準というものを明示する機関というものを考えるべきであろうと思うのですが、通産当局としては、このような基準を設ける場合、もし設けるとするならば、どういうふうなことを基準として考えるべきか、その点の見解を承っておきたいと思います。
  86. 柳井孟士

    ○柳井説明員 それは先ほど申し上げましたように、私どものところで全国的に工業立地適地調査を行なっております。それで、この調査が現在百十六カ所できておりますが、来年度はさらに六十カ所、次の年度はさらに六十カ所、年々六十カ所ぐらいずつ積み上げていって、日本全国について網羅的な調査を数年がかりで完了いたしたいという予定でございます。そうしてその調査は、重要なところから順にいたしておりますので、現在百十六カ所でほぼ大事なところはやっておるわけでございます。これを基礎にいたしまして、業種をいろいろに分けまして目下検討しておるわけであります。業種によりまして、海に持っていかなければならない業種があるわけでございます。たとえば製鉄工場でございますとか、石油精製、石油化学の系統の工場、こういうものは、貿易船の大きいものが横づけになるということが第一に必要でございますし、それから水を相当多量に使いますので、従ってまた多量の排水をするという関係もございまして、やはり臨海地でなければならないということになるわけであります。これに比べまして、たとえば、典型的なものを申し上げますと、精密機械工業でございますとか、電子工業でございますとか、かようなものは臨海地であることを必要としない、ものによりましてはむしろ空気の清い山間部を適当とするというようなものもあるわけでございます。さように、業種によりまして立地の条件が異なって参るわけでございますが、この業種ごとに、重要な業種について区分けを私どもはいたしまして、適地調査をいたしておるわけであります。そういう資料に基づきまして、主として、この法律が施行になりました場合には、臨海部に立地すべき工業を今後どのように展開していったらいいかということを考えることになるわけでございますが、通産省だけの意見としましては、その観点から、たとえば日本の製鉄工場が将来どういうふうな配置になることが望ましいか、それから石油化学工場、これが今後伸びていく工場は、全国的な視野に立ってどういうふうな立地になることが望ましいかというようなものを積み上げまして、通産省としての意見を作りまして、これを審議会の方へお出しする。その前に、経済企画庁中心になられまして——通産省は、工業の立地という観点からの案を作るだけでございまして、重点はどうしても工業の立地ということに置くわけでございますが、これに対しまして、運輸省なり、建設省なり、それから農林省の干拓地の関係というようなものもいろいろ出て参りますので、経済企画庁中心にいたしまして、各省で相談すると申しますか、各省またそれぞれの御意見のあるものは述べていただきまして、それをいろいろな角度から十分に検討いたしまして、それが審議会にかかりまして、審議会でさらに高い視野から定められていくということに相なろうかと思います。それで現在のところ私どもの方は、この法律成立した場合の地域指定の基準について、具体的な基準案は、通産省としてはまだ作成はいたしておりません。この法律が施行になりましたならば、通産省ばかりではなくて、各省それぞれ御研究になることと思いますが、私どももまた各省一つとして通産省案というものを作らなければならぬという段取りに相なろうかと存じます。
  87. 兒玉末男

    兒玉委員 今の回答によりまして、そういう地域を指定すべき前提となる調査もまだほとんどできていない、こういうことであるならば、なおさら私は、この法案の緊急性というものはないと思うわけであります。少なくともこういう法案を出す以上は、そういう関係各省の基本的な調査というものが完了して、法案成立と同時にこれが実行に移される、こういう万全の準備を整えて出すのが妥当だと思うのです。この辺の見解について中村さんはどういうふうにお考えになりますか。各省調査すらいまだに終わっていない、まして、私が冒頭に申し上げました科学的な調査も、あと二年か三年かからなければできないという、こういう実情から考えましても、いかにこの法案というものが緊急性を持っているといいながら、その具備すべきいろいろな条件というものを備えておらないというふうに判断をするわけですが、この辺の点についてどういうふうにお考えになるか、明らかにしてもらいたい。
  88. 中村梅吉

    中村(梅)議員 ただいま通産当局でお答えを申し上げたのは、審議会ができた場合に、指定基準の要請を持ち出す具体案というものはまだ作ってないということでありましたが、しかしながら、お聞きの通り通産省といたしましては、各業種別に立地条件等を合理的に考えておりまして、審議会ができて、その必要が起こりますならば、おそらく早急に意見は具申し得るものだと私は確信いたしております。また、建設当局にいたしましても、防災の立場とか、交通の立場とか、あるいは人口集中の関係とか、人口配分の関係とか、これらにつきましては、基本的な考え自体は当然あるものと私は思います。必要がありましたら、建設省関係当局の意見も伺って基本的な点をお確かめいただきたいと思います。いずれにいたしましても、法律ができないうちに、今から予想してその要請事項を作るということも至難だと思いますが、法律ができまして、審議会に具体的に各省としての意見を述べなければならないという段階に参りますならば、それに所要の基本的な意見はすぐ立ち得るものである、私ども今まで各省との調整をはかりました上におきましても、実はそのような確信を持ちまして進んでおるようなわけであります。
  89. 兒玉末男

    兒玉委員 そういうふうにあなたは確信をお持ちになるでしょうけれども先ほどもお聞きしたときに、国土総合開発法によるところの東京地区あるいは瀬戸内海等の調査は、特に東京湾等の場合は、すでに六年間の年月を経ておるにもかかわらず、まだこれから三年か四年かかる、こういうふうな状態だという。しかも、おそらく重要な各工場経営者等は、主として東京湾の埋立地に工場を作ろうという大かたの考え方を持っていようと思うのです。過去六年間たってもまだ十分な調査ができておらない、国土総合開発法に基づく指定地の調査ができてない、こういうこと等々と関連して考えますならば、中村さんとしては、過去六年間たってもできなかったのが、この法案ができて、審議会からの諮問に対しては、早急に答えが出るだろう、こういうふうに確信を持って言われますが、現実にそういうふうに調査ができていないわけですよ。その辺の関連はどうお思いになりますか。
  90. 中村梅吉

    中村(梅)議員 指定地域を定めまする方向については、私今申し上げたような次第でありますが、指定地域を大体ここと、ここと、ここにとりあえず指定をしようということがきまって参りますならば、私は、それらの科学的な各般の調査につきましても非常な促進が行なわれて、急速に間に合うような措置が、努力次第ででき得るものだと思うのであります。ただ、これを今の状態で、それでは科学的な調査が全部そろうまで待っておれということになれば、私は八年も十年も先まで待たなければならぬということになるのではないかと憂慮するのでありますが、そういたしました場合、今度はどうなるかというと、現に、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、個人的採算あるいは地域的採算にのみ立脚をして若干の開発が行なわれおる、これを総合性を加えないで放置しておいていいかというと、これは放置しておくわけにはいかない。早くこれに総合性を加えなければならない、こういう緊急性が私は一方においては迫ってきておると思うのであります。従いまして、私どもといたしましては、基本計画を立てて、基本計画が完全にすべて実施されるのについては、それに所要のいろいろな調査の基本的なことも必要であろうと思いますが、調査が完了してからスタートをするというのではおそ過ぎるのではないか、また、いろいろ今差し迫っておりますし、ばらばらに進行しておりまする臨海地帯開発というものが、何ら国家性も公共性も、全体としての考慮も払われないでやられておる、それをすみやかに調整し、総合性を付加しなければならないという必要性とどうも一致しないことになるのではないかというように思いますので、御指摘の点はごもっともの次第もありまするけれども、私どもといたしましては、早くこの立法をいたしまして、少なくとも差し迫っておる数カ所の地点等につきましては、早く総合性を付加するような道を講ずることが、国全体の立場として非常に必要である、このような考え方に実は立っておるわけであります。
  91. 兒玉末男

    兒玉委員 私、調査ということを特に強調しておるわけですが、大体この法案全体をながめましても、調査をするということについてどうも明確な規定もされておらない。ただもう、とにかく土地を作るということに非常に力を入れて、基本的な問題である調査ということについての明確な規定がされておらない。この点、審議会等においても、調査ということについてどのような考え方を持っておるのか、この法案全体を通じてそういう明確な規定がされておらないようですが、その辺の基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
  92. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 調査についてのお話があったわけでございますが、私ども今までいろいろな地域につきまして各省調査を進めてきております。しかし、この臨海地域開発基本計画を立てますにあたりましては、今までやって参りました調査ではなお若干不十分な部分もあるかと思うわけでございます。さような部分の調査はすみやかにこれを完了いたしまして、十分な科学的な調査の上に立った基本計画を作りたいというふうに考えておるわけでございます。基本計画をきめる、あるいは地域を指定するという場合には、その事前に十分な調査があるということを当然の前提として考えておるわけでございます。
  93. 兒玉末男

    兒玉委員 中村さんにお尋ねしたかったわけですが、この法案のどこを見ましても、これはまた、基本的なことだけきめてあるのだからとお逃げになるかもしれぬけれども調査ということに関して明確を欠いておるのですが、そういう点はどうですか。
  94. 中村梅吉

    中村(梅)議員 地域の指定が行なわれますのには、先ほど申し上げましたように、指定基準というものを各方面から——事務的な処理はこれを所管する経済企画庁が行なうわけでありますが、そういうところに集めまして、各方面意見を総合してその方針がきめられるわけでありますが、同時に、それがきまって、地域の指定が行なわれましたならば、この審議会の議を経て基本計画というものを立てなければならないということになっておりますが、基本計画を立てるには、基本計画を立てるに必要なだけの資料がなければこれはできないわけであります。この種の資料は、現在ある、あるいは追いかけてすぐにでも完成すればできる、こういう範囲の資料によって基本計画自体は立ち得るものであると私は思うのであります。かくいたしまして基本計画が立ちましたならば、基本計画の線に沿って開発が行なわれる、その開発自体は、都道府県がみずからやる場合もございましょうし、市町村がやる場合もございましょうし、あるいは他の機関がやる場合もございましょうが、いずれにいたしましても、だれが担当して実施をするにいたしましても、その基本計画の線に沿って、先ほどお話のありました防災の見地あるいは交通、運輸用水、その他それに関連をいたしました基本的なことを織り込んで開発をするということになりますから、私は、基本計画を進める上において、現在の国内の知識あるいは諸般の資料等によって不可能とは考えておらないわけであります。
  95. 兒玉末男

    兒玉委員 中村さんは基本計画ということを盛んに力説されておりますけれども、私はこの基本計画の性格というものはきわめて不明瞭じゃないかと考えるわけです。たとえば、首都圏整備法の第三章の二十一条によりますと、こういうふうに書いてあるわけです。これはやはり多少関連性がございますので、ちょっと読んでみたいと思うのです。「首都圏整備計画は、基本計画、整備計画及び事業計画とする。」「基本計画には、首都圏内の人口規模土地利用その他整備計画の基本となるべき事項について定めるものとする。」「整備計画には、首都圏の整備に関する事項で次の各号に掲げるものについて、政令の定めるところにより、各事項ごとにそれぞれその根幹となるべきものを定めるものとする。ただし、首都圏の建設とその秩序ある発展を図るため特に必要があると認められるときは、首都圏の地域外にわたり定めることができる。」その次に、整備計画ということで具体化されておるわけです。さっきの、中村さんの言われる基本計画というのは、本法の性格を見ると、いわゆる首都圏整備法等と比較してみますと、基本計画ではなくて、整備計画的な性格を私は持っておると思う。私は、他の諸規定等に比較すると、そういうふうな根本的な性格をきわめてあいまいにしたものではないかと考えるわけです。この首都圏整備法等との関連について、これは基本計画というよりも、むしろ整備計画に近いのではないかと判断をするわけですが、その辺の見解はいかがですか。
  96. 中村梅吉

    中村(梅)議員 首都圏整備法のただいまの基本計画は、いわゆる首都圏整備の基本構想を定めておるのだと思うのでありますが、この基本構想は、すでに首都圏の審議会の議を経て、法律制定後間もなく公表されておるところでありますが、この法律にいいますところの基本計画は、指定地域開発についての実施の基本になるべきことでございますから、そのような首都圏整備法でいっておる基本構想的なことではなしに、構想からさらに進んだ、実施の基本になるべきことまでが当然含まれるべきものだ、こう私どもとしては考えておるのであります。しかしながら、その基本計画をどのような範囲、どのような程度、あるいはどのよような綿密なものにするかどうか、これは、審議会ができまして、学識経験者や関係省の衆知を集めまして、審議会がきめていただくことに私どもゆだねておりますので、審議会ができましたときに、審議会の方々の意見が、私どもの現在考えておることと同じになるかどうかは予測できませんけれども、大体考え方といたしましては、この審議会の設立の考え方あるいは基本計画というものの考え方からいいまして、今申し上げたように、指定をされた地域臨海地帯開発をするについては、関連施設としてはこういうものが必要である、規模としてはこういうふうにやるべきものであるというように、実施の具体的な基本を定めてもらうのが妥当である、私はこのように考えておるわけであります。
  97. 兒玉末男

    兒玉委員 今の説明を聞きますと、この基本計画の中においては、いわゆる整備すべき基本となるべき事項を具体的に明示する必要があるのではないか、私はこういうふうに感ずるわけですが、その辺の見解はどうですか。
  98. 中村梅吉

    中村(梅)議員 同様に私も考えております。
  99. 兒玉末男

    兒玉委員 さらにこれに関連をいたしまして、この計画の策定にあたりまして、いわゆる全国的な規模においてこの計画を策定すべきか、あるいは個個の地域を主体とした計画にするのか、どちらを基本に考えているのか、見解を明らかにしていただきたいと思います。
  100. 中村梅吉

    中村(梅)議員 地域の指定に際しては、指定基準と申しますか、方針といいますか、おそらくそのようなものが討議されて、全国的視野に立って立てられるものと思いますが、指定地域開発それ自体についての基本計画は、もちろん全国的な視野と同時に、やはりその地方の河川とか、運航とか、水利とか、いろいろな関係を考慮に入れて、その地方実情を十分勘案した上で立てられるべきものである、また、かく運んでもらいたいものであると私ども考えております。
  101. 兒玉末男

    兒玉委員 その見解は、一応見解としてわかるわけですが、全国的か、あるいは個々の地域的な問題か、その見解というものは法文上に明確にされておらないわけです。その辺はどうですか。
  102. 中村梅吉

    中村(梅)議員 条文上は具体的には明示されておりませんけれども、大体法案の性格それ自体からいって、当然そういうようにあるべきものだ、これは一々明記いたさなくても、法律の性格上、今申し上げたような方向で進まなければならないことになっておるというように考えておる次第で、一々これを条文に明記するということは、おそらく立法技術上も非常にむずかしい点があろうかと思うのでありまして、基本を定めまする本法としては、この範囲が妥当であるというように思っておる次第であります。
  103. 三浦義男

    三浦法制局参事 私からなお提案者の今の御説明を補って申し上げます。先ほどお示しになりました首都圏の関係につきましては、首都圏自体がすでに法律の上ではっきり地域が限定されておりますので、その地域内においていきなり基本計画というものを予定することが相当に可能であろうと思います。ところが、この臨海地域開発促進法におきましては、まず地域指定ということを第一段に考えまして、地域指定がありました後において初めて基本計画立案する、こういうことが、現在第三条に明示してあるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、この地域の指定と基本計画とは非常に関連を持っておりますので、どういう地域が指定されるかということによりまして、基本計画も多分に変更し、また、その各地域ごとに相違性を持ってくるのはやむを得ないことだろうと思っております。従いまして、指定基準とかいうものはあるいは一般的に考え得ると思いまするが、基本計画内容といたしましては、それが実際実施の段階において支障がないように、かつまた、その地域に対して適切な計画がきめられるためには、指定があって、それとの関連において初めて具体性を持ち得るわけでございますから、そういう点が多少この首都圏整備法なんかと違うわけでございます。それからなお、私この前の委員会でも申し上げましたが、たとえば東北地方とか、北海道とか、あるいは九州地方開発というものにつきましては、特別のそれぞれの地域開発法ができておるわけでございます。これも、あらかじめ地域が予定されておりまして、その予定された地域内においてどういう計画をするかということでございますので、この臨海地域と、そういう点が違っておりますので、そういう点から、基本計画内容法律の上であらかじめ限定的に具体的に規定することを避けた、こういうわけでございます。
  104. 兒玉末男

    兒玉委員 法制次長、私の質問の要点ですが、先ほど中村さんは、そういうことはしなくてもいいと言われたのですが、いわゆる全国を通じたところの立場に立つ計画か、あるいは、そういう局地的な指定区域ごとにこの基本計画というものが策定されるのか、私は法律学者ではないので、そういうことがわからないのですが、法文上そういうことを明確にすることは、どういう点においていけないのか。さっきから再三見解が対立しているわけですが、何でも、これは基本的なことだから、一々うたう必要はない、こう言われるわけでございますけれども、そういうことが法文上明確にされない場合は、審議会がそういう構想を策定する場合の基準というものをどこに求めていこうとするのか、審議会の運営そのものにおいても、私は今後に非常に問題が残ってくるのではないかというふうに判断をいたすわけです。ですから、その辺の法文上の取り扱い、これらの点について私は一つ見解を承りたい。そう小さいことを一々書かぬでもわかっておるといえば、それまでですけれども、やはりできるだけそういういろいろな基本的な問題は明確にしておく必要があるのではないか、これからもそれに関連する問題を質問したいと私は思っておりますので、見解を承りたいと思います。
  105. 三浦義男

    三浦法制局参事 私も御意見と大体におきまして同感でございまして、それが特にいけないとかなんとかいう意味合いにおいては考えていないわけでございます。しかし、法律上の点から申しますと、その点はある程度予定せられていることでございまして、たとえば、具体的に申し上げますると、第四条をごらんになりますると、第四条で「基本計画には、第一条の目的を達成するため、臨海開発区域における土地造成、利用及び関連諸施設の整備に関する総合的な計画の基本となるべき事項について定めるものとする。」というように、これには一本明示してあるのでございます。従いまして、基本計画というものを分けて申し上げますと、土地造成計画、次は利用計画、それから関連諸施設の整備計画、こういうように大きく分けられると思っております。それからもう一つは、これは臨海地域の指定区域内の問題でございまするが、指定区域外にわたりましては、ただし書きに書いてございまするように、「ただし、政令で定めるところにより、臨海開発区域における関連諸施設と密接不可分の関係にある諸施設の整備については、当該区域外にわたり定めることができる。」とありますので、指定区域外におきましては、ある限定された範囲内において関連諸施設のいわゆる整備計画というものが考えられ得ると思います。基本計画は、私が今申し上げましたように分類をいたして考えることができると思うのでございまして、その点は、第四条の規定の趣旨からそういうように私どもは解しているわけでございます。
  106. 兒玉末男

    兒玉委員 やはり基本計画関連する問題でございますが、首都圏整備計画によりましても、情勢の変化に応じて当初の計画を変更するということがやはり明示されているわけであります。ところが、この法案には、さらにそういう基本計画の変更に対処する、いわゆる弾力性を持たせる、こういう場合の、いわゆる計画変更の場合の規定の必要はないのかどうか、その点、首都圏整備計画等についてはそういうことを明らかにされているわけですが、その辺の見解について一つ承りたいと思います。
  107. 三浦義男

    三浦法制局参事 法律的な点でございますので、私からお答えを申し上げます。その点につきましては、はっきり、計画を変更しました場合におきましてはさらに決定を得ろというような規定の仕方もございますし、また、その変更について特に規定をしてない場合もございます。たとえば東北とか、あるいは九州、北海道地方開発促進に関しまする法律におきましては、変更については特に規定を置いてなかったはずでございます。この臨海地域開発促進法におきましても、変更について特に規定は置きませんでしたが、その点につきましては、法律上は、いわゆる決定された計画が変更になれば、新たな決定、こういうことでございますので、それが実質上の計画の変更になる場合には、当然さらにもう一度審議会の審議を経て決定し直す、こういうことに法律上は解釈いたしております。
  108. 兒玉末男

    兒玉委員 それはあなたの解釈であって、そういうことを規定する必要はないかどうかということを私はお聞きしているわけです。
  109. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点は、最初に私がちょっと申し上げましたが、そういうことを規定した法律もあるし、ないのもございまして、規定して悪いということは特にございませんが、この促進法におきましては、規定しない立法例にならったというだけでございまして、御説の点、決してそれがいいとか悪いとかいうようには考えておりません。
  110. 兒玉末男

    兒玉委員 それから、多少法文の中には入っているわけでございますが、基本的な計画を発表する場合の公表の規定というのが——私も初めてこういうものを勉強したのですが、単なる訓示規定であって、法的な効果というものが付与されていないように判断をいたすわけですが、これはそういうような法的な効果というものを与えなくてもいいものかどうか、その辺の点について見解を承りたいと思います。
  111. 三浦義男

    三浦法制局参事 公示の規定を第二条に置いておりますし、それから第三条の四項において、基本計画につきましては要旨を公表するという規定を置いておるわけでございまするが、第二条の臨海開発区域の指定につきましての公示は、それによりまして指定の効果が発生いたしまして、その区域内がいわゆる臨海開発区域となりまして、この法律基本計画その他一連の関係の規定が適用になる範囲、こういうことになりますので、その意味におきましては、指定区域を公示いたしますことによって、そういう法律上の効果が生じてくると思っております。それから第三条の四項におきまして、基本計画の要旨の公表でございますが、これは、要旨を公表することによりまして——それと利害関係を持っておる人あるいは関係官庁等には通知はいたしますけれども、さらに要旨を公表することにいたしまして、一般にその内容を知らせるという程度の意味考えております。
  112. 寺島隆太郎

    ○寺島委員長 残余の質疑は次会に譲ることにいたします。  次会は公報をもってお知らせすることといたし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三分散会