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1959-11-13 第33回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十三日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 寺島隆太郎君    理事 島村 一郎君 理事 二階堂 進君    理事 野田 武夫君 理事 濱田 幸雄君    理事 松田 鐵藏君 理事 足鹿  覺君    理事 石山 權作君 理事 館  俊三君       進藤 一馬君    田中 榮一君       坊  秀男君    松澤 雄藏君       兒玉 末男君    中島  巖君       長谷川 保君    竹谷源太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  藤巻 吉生君 委員外出席者         議     員 中村 梅吉君         衆議院法制局参         事       三浦 義男君         (法制次長)         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  木村 三男君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房調査官) 原口  隆君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局総合開         発課長)    玉置 康雄君         総理府技官         (経済企画庁総         合開発局特別地          域開発課長)  紀本 正二君         農林事務官         (農地局参事         官)      正井 保之君         農林事務官         (農地局管理部         管理課長)   長田 秋雄君         通商産業事務官         (企業局次長) 磯野 太郎君         通商産業事務官         (企業局工業立         地課長)    柳井 孟士君         運輸事務官         (港湾局管理課         長)      岡田京四郎君         建設事務官         (計画局総合計         画課長)    佐土 侠夫君         建 設 技 官         (河川局開発課         長)      小林  泰君     ――――――――――――― 十一月十二日  北海道、東北開発公庫融資対象業種観光事業  の追加に関する陳情書  (第三四七号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  臨海地域開発促進法案川島正次郎君外三名提  出、第三十一回国会衆法第六七号)      ――――◇―――――
  2. 寺島隆太郎

    寺島委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続き、臨海地域開発促進法を議題として審議を進めます。  この際、お諮りいたしたいのでございますが、本案につきまして、委員会において参考人より意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 寺島隆太郎

    寺島委員長 御異議なければ、さよう決します。  なお、参考人の人選、期日等については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 寺島隆太郎

    寺島委員長 御異議なければ、さように決定いたします。      ————◇—————
  5. 寺島隆太郎

    寺島委員長 質疑を続行いたします。足鹿覺君。
  6. 足鹿覺

    足鹿委員 私の質疑は後日に譲りまして、今日は、この間提出を求めました資料について二、三要望し、さらに御提出を願いたいと思います。  この間要望いたしました資料は、全部で九つ要望いたしたわけでありますが、一の、本法案逐条説明書は、御提出になりましたので、これはけっこうであります。あとでこれに対する説明はお聞きしたいと思っております。二の、特に第十六条によって設置せんとする特別機関構想に関する資料というのにつきまして、「臨海工業地帯開発公団設置について」という、通産省企業局運輸省港湾局建設省計画局の編さんしました、本年十月の日付の資料があるはずであります。こういうものがあるのですから、やはり全委員出していただきたいと思うのです。それから、臨海工業地帯開発公団設置構想というものが、通産省運輸省建設省の公然の署名でばらまかれておる。その内容はきわめてPR向きのものでありますが、これには三十五年度の事業計画から、その収支予算公団の行なう業務の内容等にまでわたってすでに作っておるのです。こういうものを出しておきながら、私が要求した資料として御提示にならないということは、いささかどうも私はふに落ちないのです。やはり私どもは誠実に審議を進めたいと思っておりますので、要望した資料で、現に他方面に発表され、配付されておるものを、本委員会に出さぬという手はない。そういう態度では私ども今後審議に支障を生ずると思いますので、特に御注意になりまして、二の、十六条関係構想一切の資料を御提示願いたい。それから三、四、五は、不完全でありますが、一応出されました。特に四の、臨海開発基本計画とはどんなものか、それを理解するに必要な資料を求めたのでありますが、これは他の審議会等の事例を並べられたにすぎないのであって、この法案審議に若干の参考にはなると思いますが、あれでは不十分でありますので、もっと適当なものがありましたらお願いしたいし、なければ、当然そういうものは文書にして出さるべき筋合いのものだろうと思うのです。質疑を通じてというようなことで済み得るものと、済まないものと、おのずから限度がありますので、こういう基本的なものは全部御提示を願います。それから六の、造成せんとする工業用地等の面積と予定個所、これは古い資料のようでありますが、建設省出しておる、新都市開発公団構想というものがあり、その事業個所一覧表というものがあるようであります。直接本法案とは関係がないようでありますし、名前は違っておりますが、必要な資料であろうと思いますので、関連して御提示願いたいと思います。それから七、これはまだ出ておりませんが、北海道開発審議会のものを、ぽこつと名前予算概要をつけて出されただけでありまして、これではおもしろくない。電源開発審議会とか、特に閣僚審議会委員になる審議会はそうあまりたくさんないと思うのです。それらのものは、もっと整備して全部御提示願いたいと思います。その名称構成審議会の規約といいますか、審議規則といいますか、そういったようなものをすべて整えて御提示願いたい。それから八の、他の開発計画名称及びその実施状況年度別予算額、これをお出しになっておらぬようでありますが、非常に無理を言うようでありますけれども、決して無理ではない。勉強していただけば、あるはずです。特定地域の問題とか、いろいろな他の開発計画はある。それにはちゃんと予算もあり、事業計画もあるわけです。今度の十六条関係で作られんとするものとの関連は、あるいは本法指定地域と重複した問題もありましょう。特に現在農林省が計画しておる干拓計画との重複関係も出てくると思う。そういうようなものも含めて、この法案はそれらのものの上に総合的な力を持つように企画されておりますので、ぜひ必要でありますから、これを御提示願いたい。それから大事な点は、本法実施に必要な政令案を見たいのです。各条項に基づいて、必要な事項政令に譲るという条項が各所に出ております。非常にこの法案は大まかな法案でありまして、運用政令に今後ゆだねられる点がたくさんあると思いますので、当然御提示になる必要があろうと思います。それらについて何か御意見がありましたら伺って、これはぜひ出してもらいたいと思います。
  7. 寺島隆太郎

    寺島委員長 委員長の方から申し上げますが、ただいま足鹿君からの資料要求につきましては、前会にも強い御要望があったのでございますし、重ねて本日御要求のことでもありますので、提案者並びに特に政府関係当局におきまして、早急御準備の上、できるだけ次回の委員会に間い合いますよう御提出ありたいと思います。よろしくお願いします。  石山權作君
  8. 石山權作

    石山委員 別に開き直った意味じゃないのですが、最初一つ申し上げておきたい。  約束したことは努めてそれを守っていただかないと困る。私も内閣委員を兼任している関係がありまして、今問題になっておる機種問題をきょうやる予定でございました。そしてこっちの方は午後からだというので、都合がいいなと思っておったら、こっちの方は午前やる——こっちは一番先に私が質問するというふうにお約束をしておるのですから、委員会としてはこういうことはあってはいかぬと思うわけです。最初構想が今現われてきたわけです。午後からやれば、そういうことはなかった。お急ぎかどうか知らぬけれども、変更されたからやむを得ないと思うのですが、変更されたときには、やはり第一陣に立とうとする人、第二陣に立とうとする人に、事前に連絡していただかなければ、午前と午後とでは、四時間も五時間も時間に開きがあります。準備その他に食われる点があるのですから、努めて事前にそういう連絡を密にしていただきたい、こういうふうに御要望申し上げておきます。  では質問に入ります。  どんな法案でありましても、目的というものは、これはいいところをねらうのですから、目的についてかれこれ申し上げるわけではないのですが、目的を達成させるためには、この法案は何と申しましても内容が非常にないのではないか、威勢のいい張り子のトラを見せつけて、法案審議をやれというような格好に見えてなりません。審議内容としては必要なものをうちの足鹿君からいろいろ出しているようですが、そういうものを大体手元に整えて、そしてこれを見てから提案者との質疑応答をやらなければ、あまりに範囲が広いようでございます。特にきょうはそういう意味で、内容に入っていくと非常に問題が分散していきまして、時間がかかるので、格好がわかりません。きょうはおもに格好がわかるような質疑をしたいと思いますので、あなたの方でも全体のスケールを私の方に明示してくれる、こういう建前一つ御答弁をお願いしたいわけでございます。  第一に不思議に思っていることは、内容がそろっておらないことだ。たとえば特別な団体を作るといっても、その特別の団体なるものの姿が何にもわかっていない。基本法とかなんとかいうものをここに書いているようですが、基本計画というものを伺っても、基本計画なるものは一体何を意味しているかというと、目的に通ずるようなことをおっしゃるのです。目的基本計画と同じだと思うのですが、おそらく、今のような考え方では、それは抽象的な立場を出ないようなものだと思う。これは政治理論というならばいいと思いますけれども事業をなさる法律なんですから、事業をするのには、抽象論では済まないのだと思うのです。こういう点から見ますと、通常国会もあることですから、通常国会あたりに、内容を非常に充実整備させてお出しになった方がよかったのだと思うのです。これは前に出しているのです。四月一日というふうになっているから、前々から出していると思うのですが、またぞろそんな格好で、整備しないで今出してきているわけですが、こういう膨大な、ある意味では——人口が多く、工業を促進しなければならない、われわれは一つの希望だと思うのですが、それにしても、ずさんで、お急ぎになる、いわゆる拙速主義をとらなければならない要素というものがどこにおありであったか、この点を一つ聞きたいのでございます。
  9. 中村梅吉

    中村(梅)議員 若干説明の足らない点もあるかと思いますしいたしますが、それではこの臨海地域開発促進法案について私ども提案者としての考え方を申し上げますが、この法案は、結局、臨海地域開発についてできるだけ総合的な進め方が国家的に必要である、またその地域としても必要である。そこで、こうするのには、一挙に一つ法案で全部を尽くすということはまことに至難であります。その開発を行なわんとする地域によっても、特殊事情がそれぞれ異なることもございましょうから、そこでこの法案のねらいといたしましては、まず開発審議会を作って、そしてその開発審議会を中心にそれを所管するものを定め、そこでまず総合的開発を必要とする地域指定をしてもらう、指定があったならば、その審議会審議を通して、今度は具体的なその指定地域における開発の基本的な計画をきめてもらう、それができ、またその基本計画を作った結果、どうしてもそれは一府県だけではできない、あるいは一企業会社に免許を与えて開発を行なわせることも不適当だという場合には、特別の公団なり、あるいは特殊法人なりを作って、そして資金の調達あるいは事業実施等に当たらせなければならないことになって参ります。それにいたしましても、この特別の機関ということが先日来問題になっておりますが、実は私ども提案者立場では、これをさような方向に進めていく基本的なことをこの法律で定めたいというのでありまして、しからば、われわれは特別の機関をどういうものを作ろうとしておるかということを、私ども立場で今具体化するということは適当でないのじゃないか。むしろ、審議会が必要に応じて専門委員も置く制度にいたしておりますから、専門委員等を置きまして、しさいに基本計画検討して、その実施を企画いたしました結果、このような特殊機関が必要であるということを審議会審議を通してきめられて、初めてそこに具体的なものになるのが妥当ではないか、こういうような実は考え方をいたしているのでございます。従って、この法律案考え方といたしましては、まず前提として、臨海地域開発については、非常に総合性の必要な地域一つあるということが前提であります。そしてそういう総合性のある地域が、今まで総合性なしに開発され、あるいは関連した諸施設道路、水道あるいは工業用水、あるいは埋め立ての規模、あるいは埋め立ての高さ等につきましても、それぞれ思い思いでやっておるということでは困る地域、もっと総合的に進められなければならない地域が現にある。そこで、そういう前提の上に立ちまして、それを総合的に進めるのにはどうすればよいか、それには、こういう組織はまず基本的なものをきめて、そして審議会審議を通して具体化してもらう、こういうのがねらいでございますから、実はお考え方によりましては、法律名称からいいまして、もっと具体的な内容が盛らるべきであるという考え方も成り立つと思うのですが、そこまで一挙にいくということは、今の段階では非常に至難でもありますし、無理なことではないだろうか。そこで、基本的なことだけきめたいというのがこの法律案のねらいでございますから、どうぞ御検討の上、御理解を願いたいと思います。
  10. 石山權作

    石山委員 今中村提案者の方から、総合的なものを迅速的にやるためにこの法律が必要だということで、私はその通りだと思うのです。そのためには——また、法律というものは権力を集めるわけですね。集めても、法律というものが不均衡あるいは不公平であってはならないという条項がその法律内容に明示されなければ、法律というものは、名目とは違って非常に危険性を帯びてくるわけです。われわれが名目と異なって法律内容に対してのいろいろな問題を提案するというのは、いわゆる不均衡、不公平になってはいかぬということなんだ。目的とともに……。ですから、この場合考えられる点は、提案者考え一つの中には、各省に根をおろしているところのなわ張りを広げる、なわ張りを守る、こういうふうな官僚人たちに対する一つの規制的な法律考え方もあるだろうと思う。それが総合という名前で呼ばれているだろうと私は思う。ただ、こういう場合に、特に審議会構成等を見ますと、二十人のうち大臣が十名ですよ。総理大臣がもし大臣という名前でその中に入れば、十一名だ。これはいつでも大臣過半数を制することが、この機構からすればできるわけですよ。その意味で私は非常に危険を感じているわけなんです。というのは、各省における優秀な官僚群のいわゆる善意、国民に奉仕するという善意が、今政党内閣でございますから、大臣はすべて政党人であるということを想定しますと、そういう点でどうもチェックするところがなくなるのではないか。審議会はもちろん二十名でございますから、学識経験者が出ると、こうおっしゃっていますけれども、今申した通り議事運営をしていく上には過半数なんですよ。政党人大臣過半数を占めておる。こうした場合に、チェックする場所がないじゃありませんか。私は総合的に迅速に問題をやるということは賛成なんです。それじゃそのところがあまりに片寄って、一党の独裁的な法律運用をなされる危険性が、こまかい内容が明示されないで、あと政令へ譲るなどと逃げているだけに、私は運用の仕方によっては大へんな問題が起きるのではないか、こういう危険性を感じているわけなんです。それでは提案者としては、どこでそれは防げるのだ、法律的にこの内容でどこで防げるのだ、こういうようなことがあれば、一つお知らせを願いたいわけなんです。
  11. 中村梅吉

    中村(梅)議員 先日も野田委員の御質問にお答えをいたしたのでありますが、この審議会構成ということは、今御指摘の通り、非常に重要な問題と考えます。私ども提案者として立案をいたしまする際には、この種の審議検討をいたしまするのには、あまり大人数でも適当でないんじゃないか、そこで当初、学識経験者に十人ぐらい御参加を願うという建前立案をいたしました。しかるところ、やってみますると、結局、総合的な開発をし、各種の関連施設考え基本計画等を立てるということになりますと、道路関係しますし、運輸関係しますし、あるいは産業関係農業関係、あるいは保健衛生に関する問題等、それぞれ関連をして参りますし、特に資金的な面の当初から理解ある協力を得るためには大蔵関係財政当局も必要である、このような角度で拾い上げてみましたところが、結果的に数の上においては、学識経験者委員十名、内閣政府関係代表者十名ということになったわけでございまして、他意はないのであります。しかしながら、これは議員立法でございますから、今後の審査を経まして、私ども決して固執する考えはございませんが、建前としましてはそういうことでやって参った次第でありますから、今後十分に御審議の上、私どもとしては十分検討して立案をいたしたのでありますから、できればこのまま法律として御議決を願うことが一番願わしいのでありますが、なお審議を通しまして十分私ども委員の方々に御相談をいたしたいと思っております。  それからちょっとつけ加えますが、政令の問題もございましたが、この法律政令へ譲っておりますのは、ほとんど手続に関することだけでございまして、審議会の問題も、審議会構成運営等、ほとんど法律案で定めまして、最後に、この法律で定めておりますもののほか、審議会組織及び運営に関して必要な事項政令に譲るというだけでありまして、主として、審議会はどういう議決方法をとるとか、あるいは会議の方式をどうするとかいうような、会議進め方等についてのことを政令に譲ったつもりでおるのでありまして、内容は大体この各条に定められておるところで尽くされておるのではないか、こう思っておる次第でございます。
  12. 石山權作

    石山委員 審議会でできた案をば閣議決定する。一体今閣僚は何人いるのです。とにかく十人大臣が出るのですからね。閣議決定なんというのは、まるで有名無実みたいなことになるんじゃないですか。私はそこら辺にもいわゆる官僚善意というものがくみ取れないような仕組みになると思うのですよ。閣議をやったって、まるで名目的になってしまうと思うのです。みんな過半数だ。そのうち、横紙破りの反主流派なんという大臣がいて、問題をうんと展開すれば、ある意味ではいいかもしれません。しかし、われわれのように民主主義、多数決の原則を割合に大事にしている者からすれば、どうも問題はするするといってしまう、こういう心配が多分にあるわけなんですが、どうなんですか。閣僚を今度はふやす予定ですか。もっとも、国防省を作るとか、内務省を作るとかいうから、十人は過半数にならぬかもしれぬということならば、これはお話し合いに応じてもいいと思うのですが、どうなんですか。
  13. 中村梅吉

    中村(梅)議員 十一条で定めておりまする審議会委員に、閣僚の数からいえば、閣僚過半数が参加しておるということになりますが、これをさらに閣議決定手続を経て公にし、またその指定地域なり、あるいは基本計画なりというものを関係方面周知徹底を期するということは、これは手続上の問題でありまして、いやしくもこういうような重大な地域指定、あるいは基本計画を発表し、また実施をいたしますについては、結論的に時の政権を担当しておるものが責任を負って遂行しなければならない、そのためには、やはり一つ手続として、政府が全体として責任を負うのだという建前として、閣議決定が必要であろう、かような見地に立って審議会できめたものを、さらに最終的には閣議決定をする、こういう方向をとった次第でございます。
  14. 石山權作

    石山委員 私は何もいやみを言っているのじゃないのですよ。あなたの言うのは形式でしょうし、私の言うのは、少し中身をそれに付加して、問題がどういうふうに展開されるだろう、おそらくこういう格好になるのじゃないかということを申し上げているわけなんです。それから中村さんは、政令にゆだねるというのは手続上だというように簡単におっしゃっておりますが、ここに私はかなり問題があると思うのです。せっかくわれわれは総合的に迅速的にやるということが、手続にすべてよる、これ以外のことはすべて政令にゆだねられる、これはかなりに各省のいわゆるごねがここでむしろ始まってくると私は思うのです。それは官僚の悪いくせなんだけれども、この手続によって、皆さんが意図されることを次々にひっくり返される。これは手続であるというけれども、いわゆる許可手続の細則はこの政令でやるわけでしょう。そうではございませんか。
  15. 中村梅吉

    中村(梅)議員 法律では、大体の検討の上、考えられる限りのことを規定するのが、すべて法律を制定する場合の建前でございますが、なかなか全部を想定し切れない部分も、人間の作業でありますから、あり得ると思いますし、また、法律の中に、その会議進め方とか、議決方法とかいうこまかいことまで規定するということは、妥当でないのではないか。もちろん、会議には普通の原則がございまして少なくとも出席者過半数ということは当然でございますが、ものによりましては、出席者過半数でなくて、全員の過半数でなければならない場合もありましょうしいたしますが、そういうような会議進め方や取り扱いに関する  事項まで法律で制定するということは、繁雑にもなりますし、妥当ではないのではないか、かような考え方でありまして、石山さんの御指摘するような弊害が起こっては困ることは、もちろん私ども全く同感でございます。できるだけ民主的に各地域及びその地区の地方自治団体等意見も参酌されて、そしてだれが見ても妥当であるという結論を、この審議会審議を経て実施をするのが望ましいので、その点については全く同感であります。しかしながら、若干のそういう手続的のことを政令に譲るということは、どの法律を制定する場合におきましてもやむを得ない事項ではないか、かように考えておる次第でございます。
  16. 石山權作

    石山委員 私、この政令にゆだねるということが、ほんとうの意味の、問題を事務的に判断をするというふうな立場政令というものが出される、こういうことが想定されれば、それもいいと思います。ただここで、総合的にやる、こう言われていながらも、私不審にたえないのは、たとえば第六条でございます。港湾の場合は、運輸大臣あるいは建設大臣の認可を得なければならない。ここの六条の個所へいきますと、今度は特定の省が出てくるわけですね。港湾に関しては運輸大臣、それから埋め立ての免許、ああいうふうなものは建設大臣、こういうふうなことをやっておるわけですが、これは総合になるでしょうか。こういう考え方、この六条と、今私が申し上げましたいわゆる政令の問題を結んでみましょう。そうすると、これはあなたがお考えになったような総合的になかなか進まないだろうし、政令も、事務的にパンパンといく要素を持っていないということになるのですよ。これを結んでみますと、政令は、各省によって非常になわ張り争いをやるような政令がおのずから出てくるのではないかということです。なぜかと言うと、六条に明記されている。最初からもうそういうふうに、おそらくこの問題が出れば、建設でも、港湾でも——これは利得を受けるのは商工ですから、通産、商工は高みの見物で、ニヤニヤしていると思うのです。しかし、建設と運輸に関する限りは、なわ張り争いが露骨に出るから、それをちょっとクギを打ったわけなんでしょう。中村さんのところは、こういう建前政令に全部ゆだねる。たとえば企画庁なら企画庁の政令に全部をゆだねるという構想を立てるというなら、その範囲内の政令というふうになるならば、これは政令に惑わされずに運用は進んでいくと見られるのですが、この六条を見ますと、問題はそういうふうに進んでいかないのではないかと思うのですが、大体六条でこういうお考え出したのは、あなたの総合という言葉からすれば、かなりかけ離れたことになりはしないでしょうか。
  17. 中村梅吉

    中村(梅)議員 ちょっと私ども考えと食い違いがあるように感じるのですが、第六条の実施等については政令関係する余地はないと思う。それともう一つは、ここに六条のような規定を作りましたのは、従来、五十町歩未満のものについては、都道府県知事が随意に免許できるように権限は委託されておるのですが、しかしながら、この立法をいたしまして、大規模な開発については、できるだけ道路、水道、下水あるいは工業用水、その他運輸関係とか、住宅とか、あらゆるそういう関連したものの整備をあわせて進める総合的な開発、こういうことを考えておりますので、そうなることが望ましい、こういう角度に立っておりますので、従来のように、都道府県知事が、自分の地元だけの感覚で勝手に許可をするということになりますと、せっかく意図しておるその総合性というものは破壊されてしまうおそれがある。そこで、都道府県知事が免許をしようとするときには、所管大臣の認可を受ける、そうして今いろいろ所管争い等の問題がございましたが、港湾内のものにあっては運輸大臣、こうはっきりいたしております。そうして建設大臣または運輸大臣等の認可を受けて、初めて都道府県知事が埋め立ての免許をするような方法をとり、また一面、建設大臣運輸大臣等は、それを認可するにあたりましては、内閣総理大臣とあらかじめ協議しなければならないということは、この臨海地帯の総合的な開発をしようとする中心機関である審議会の会長は内閣総理大臣であり、またこの全責任を負うものが内閣総理大臣でありますから、そこへあらかじめ協議をいたしまして、総合性が破られないような考慮を十分払った上で認可をするということが、この法律目的を果たす上においてはどうしても必要であろう、こういう建前で六条を設けたのでありまして、ほかに意図はないわけであります。
  18. 石山權作

    石山委員 六条のところに今ちょうど話がいっておるわけですから、これについて私考えられる点は、その土地における公共団体、地方団体の創意工夫というふうなものがいたずらに押しつぶされてしまうという傾向が生まれてこないか、その土地の安定した気分というものが、国家の工業立国、そういうふうな建前でむざんにもじゅうりんされていく傾向が生まれてこないか、これについて先にも言っておる通り、人口の増加、工業の云々というふうな名目からして、そういうことを大っぴらにやってくる危険性があるのではないか。それから、この法律は既存の法律よりも上回るという条項があったというふうに、私けさ見た。そういう条項があるようですね。既存の法律よりも上回る、こういうふうな気分がこの中にあると思うのです。全体から見てもそうですし、そうでなければ総合的になり得ないわけですからね。そういう建前から見ると、私は、今まで持っている地方団体の権利、そういうふうなものが奪われていく可能性がないか。これはやわらかく出ていますけれども、この中の七条などは、これをやんわりとやはり住民の、地方公共団体の創意工夫を押しつぶしてしまうようなところがあるのではないか、そういう危険性を含んでいるのではないかというふうに心配されるのです。それからもう一つは、先ほどあなたがおっしゃった、総理大臣責任を負うのだから、各省で、たとえば建設省であれ、あるいは運輸省であれ、建設の許可の窓口はそこでいいじゃないか、こういうふうなことをおっしゃるのですが、私は、その点に関しても、許可という建前からすれば、一貫性が欠けていっているのではないかと思うのです。なぜ特定——特定といえば語弊がありますが、これはとにかく十人の大臣が出るのですから、総理大臣が調整をとる責任はもちろんあるが、その中で調整をとる一つの官庁というものが必ず必要なはずです。それは想定しておりませんか。いわゆる主管庁と申しますか、どこで一体これの調整をとらせるというふうな構想を持っておいでですか。これは企画庁のはずなのですがね。
  19. 中村梅吉

    中村(梅)議員 第三条におきまして、地元の意向は十分基本計画の策定にあたって意見を徴する、そうしてもちろん、こういうように法律で定めました以上は、その意見は最大限に尊重されなければならないし、また、されるものと私ども考えております。従って、地元の創意工夫等も十分生かされるものと考えます。そこで問題は、若干地元の意見と食い違う場合が、この臨海開発基本計画というものを立てる場合に起きるかもしれません。しかしながら、それは各単位の府県等といたしましては、やはりその府県の利害ということだけを考え、あるいは部分的な視野に立ってものを考えがちになると思うのですが、この場合におきましては、その府県のみならず、隣接の府県でありますとか、あるいは、その開発についての全体としての施設について国家的な見地で考えますから、若干の食い違いは起こるかもしれませんが、しかしながら、結果的には、やはり地元のためにもその方が、後日になれば、必ずよかったという結果を招き得るものである、かように考えております。  それから七条でありますが、これは基本計画が策定されて、実施をいたします場合に、その実施機関が、都道府県知事の認可による企業団体になりますか、企業者になりますか、あるいはそれでは不適当な場合に特殊の機関が設けられるかになるわけでありますが、その実施については、関係行政機関の長、あるいは地方公共団体関係事業者等は、基本計画の円満な実施について協力をしてもらわなければ困る。その協力がなければ、せっかくの基本計画も円滑に実施されませんから、そこでこういう第七条は念のために定めた条項でございまして、お話のような筋とは少し考え方が違うのであります。  それからこの実施の中心でありますが、これは結局、地域指定及び基本計画の策定ということについては審議会が中心になる、こういうことになります。従って、各省とか、そういう関係方面はほとんど審議会のメンバーとして、最初からその地域指定なりあるいは基本計画の策定なりに参画をいたします。そうして参画をしていただいて、審議会があくまで中心になっていく。実施についてはこれは別でありますから、実施は都道府県がする場合もありましょうし、都道府県が免許をいたしました事業体がする場合もありましょうし、それでは各関係府県の広い地域、あるいはもっと大規模な場合においては適当でないから、特別な機関にゆだねるということも起こってきましょうが、それらの方向をきめるのはやはり審議会が中心できめていくのでありまして、各省割拠とか、あるいは各省の権限争いということは起こってこない、こう思っておる次第でございます。
  20. 石山權作

    石山委員 どうも集中的にやろう、やろうというお話でありながら、なかなか集中的に問題が進まないように思われます。審議会に大へん御期待なさっているようですが、審議会は常任制になっておらぬ。専門委員も常任制になっておらない。それはそのつど寄せ集めていろいろなことをおやりになるということですから、それでは当初考えておる迅速ということとだいぶ私は違ってくると思う。しかも、集中的という表現からすれば、その点も私は欠けてくるうらみがあると思うのです。  もう一つ今のお話の中で感じた点は、これは条文にもはっきり出ているわけですが、知事の意見を聞くという。しかし、知事も、最近は二大政党対立です。今度は三大とかなんとかになりつつありますが、二大政党対立が日本の民主主義に合っているのだという建前で、もとは、自治体の長官とか、そういうものは政党から遠ざかろうという建前であったのを、むしろ逆に踏み切って、政党人の知事でなければ、有機的に仕事はなし得ないのだ、選挙民に対するいわゆる公約も果たし得ないという建前をとってきているわけです。そうしますと、知事の方に御諮問なさるのは、言葉はちょっと悪いけれども、親分から子分に諮問しているような格好になりそうなのです。非常に残念でございますが……。だから、初めから終わりまでお手盛りになりそうな傾向なのですね。知事の意見を聞くけれども、その知事も自由民主党の知事である。公選されているからというのですが、そういう傾向は生まれてくる。審議会といっても、過半数大臣で占められ、会議を開いても過半数ですから、なかなか反主流派のくちばしを入れる余地がないまますといってしまう。だから、私が先ほどから申し上げているように、善意のある官僚がチェックする場所というものがなくなるということです。公正と均衡、こういう官僚善意をどこへも採用することができないというところに、私はこの法案に対して、あなたのいう迅速、集中ということを、官僚のなわ張り争いを防ぐというその意図は大へんいいといって尊重しながらも、あまりに政党流に問題をぱしぱしと有機的にきめられる心配を持つわけなのです。あなたはあとではという言葉をおっしゃいます。あなたは、あとでは、どこの漁民であっても、農民であっても、幸福を得られるのだ、こういう建前でお話をなさっておられるけれども、やはり現実に不満なものは不満です。そこで、その不満なり不平なりは聞いてやるのが政治のめどでございましょうから、政党筋にだけ意見を出させるということも、やはり片手落ちになるのではないか。真の意味のいわゆる平安を乱される居住民の意思というものはこの場合反映しないで、見ている、見ていると言っても、これは、中村さんは御承知のように、集中的にやるといっても、今の鉄道建設の状態を見てもわかる。なかなかそうはいかぬでしょう。そうすると、居住民は平安を乱されて、それが二、三年でおさまって、あなたのいう、あとでよかったなというのが二、三年ならばいいと思うが、なかなか二、三年ではおさまらぬで、五年、六年、七年というふうにかかるとすれば、これは、あとでよかったと思われるからということでは、この場合断行できないと思うのです。私は鉄道建設を例に引いているのですが、そういうふうにならないために、あなたの方では有機的に考えておられるだろうと思うのですが、結果的にはそうなりがちじゃないですか。これは今のような政党政治の残念な一つの盲点だと思うのですが、どうしても資金計画というものは全国的にばらまかれる傾向を帯びるわけです。勢力維持のためには、特にそういう傾向が出ざるを得ない。ある意味ではそこがまた一つのねらいだとおっしゃるかもしれません。これはおれたちの選挙対策の一つ構想だ、絶対に落ちないという一つの選挙対策だ、こういうふうなことをおっしゃれば、私はむしろこの法案はそのものずばりだと思う。どうなんですか。そういう点では、知事の御意見だけを聞いて問題を展開していくことがはたしていいのか、こういう疑問を持っているわけですが、その点に関して……。
  21. 中村梅吉

    中村(梅)議員 御指摘の点は、もちろん、知事としては、最近、政党政治の時代になりましたので、一党一派に属している場合もあり得ると思いますが、知事がこの種の事項について意見を述べるということになりますれば、単なるそういう自己の立場にとらわれないで、やはり府県全体としての利害の角度、あるいは府県住民の利害の角度、あるいは開発されてから後のその地方並びに国としての将来の発展性、こういうようなものについて、もちろん公正な考え方意見を立て、またその実施をはからなければ、知事としての役目はおそらく遂行できないのではないか。従って、その知事がいかような政治的な立場にありましょうとも、私どもはその方法をとる以外にはないのではないか。やはり知事は総合的な見地に立って意見を立て、またこれを具申していくということに必ずなると思うのであります。  それからもう一つは、先ほど来、考え方に若干食い違いがあるように私感じておりますのは、この審議会実施機関ではございませんで、総合的に進めなければならない地域指定する、そして今度は、指定した地域について、総合的な見地に立っての埋め立ての規模、あるいは最近の伊勢湾台風の被害等から見れば、埋め立ての高さ等についても基本の中に入ると思うのですが、そういうような開発の方法の大体基本的なもの、あるいはそれに関連をいたしまする道路運輸関係、その他の関連施設、こういうものについて基本的なことを定めるのが審議会であります。審議会でその基本的なことを定めますと、実施機関もそれを受けて立たなければなりません。と同時に、それを決定した審議会には、それぞれ建設関係運輸関係港湾関係、あらゆる機関が入っておりますから、その基本計画に従って、たとえば工業用水に関する多目的ダムの竣工を並行してはかるとか、あるいは道路計画、都市計画、住宅の問題、そういうものが一緒に進められるということになっていく基本をきめるだけが審議会の仕事であります。従って、審議会は、こういう法案構想では、非常に総合的かつ活発にという考え方のようだが、そうならないではないかという御指摘がありましたが、審議会はそういう基本的なことをきめるだけでありまして、実施機関はおのずから別であります。先ほど来申し上げておりますように、場所によりましては、特殊の機関実施しなければできない場所もありましょう  し、場所によっては、一企業体に府県が免許する手続をとって実施してもやれる場所もありましょうし、実施機関  はおのずから別でありますから、この方法でいく以外にいたし方ないのではないかと考えておる次第でございま  す。
  22. 石山權作

    石山委員 中村さんのおっしゃるのは、既存のものをうまく利用して審議会で集約する、こうお考えになっているのですね。だが、その審議会なるものが——ネーム・バリューはいいと思うのですよ。大臣をたくさん並べて、ネーム・バリューはいいと思うのですが、私は、審議会としてのいわゆる一つの固まったものに仕上げるにしては、有終の美をあげ得ないと思う。なぜかというと、専門委員でありても、常任でないというふうな体系をとられている。そうしますと、少なからずこれは各省意見というものがなまで審議会にかかり、その中で学識経験者というものが公平な判断を申し上げ、それを総理大臣が裁断を下す、こういう建前だろうと思いますけれども各省から出てくる御意見というものが、今のように、会議に十時に集まれ、十二時で終わりだ、こういう中で熟読翫味されたものができるかということなんですよ。あなたに言わせれば、それは各省で一生懸命それぞれの経験者や、いわゆる専門の人たち立案したものを持ち寄るのだから大丈夫だ、こういう御意見だろうと思いますが、それはその通りなんですよ。ここで審議会をやるということは、各省のそういうそれぞれのものを、こっちはへずり、こっちは伸ばすというようなことをやるのが審議会建前なんでしよう。その審議会は必ず力強くなければならぬわけです。その力が強くなければならぬところの審議会が、ほんとうをいえば、名前をずらり並べた、いわゆる名前でおどかしてしまうだけのものでしょう。提案者が意図されたような、いわゆる最高の国土造成という想定からすれば、はなはだほど遠い、思いつきの、拙速主義の形しか残らぬということになる。もっと別な言葉で言えば、選挙対策の、いわゆるばらまきの立案しかできないということになる。これではほんとうに煮詰めた論議をして固まっていくというふうな傾向が、この審議会の今の構想では出ないのではないかと思う。さっきからのお話を聞いておりますと、いや、そうではないというふうな反論はなかなか示していただけないようですが、もう一つ突っ込んだ形で御説明ができれば、いただきたいし、それからここで一番問題になるのは、通産、建設、運輸の方々ですが、そこは大丈夫だ、ちょいとやれば煮詰まるのだというふうな、何か私を理解させてくれる御意見があれば、各省の代表の方々からも一つ意見を伺いたい。また、あなたは提案者だから、中村さんから、大丈夫だというふうなことを、前とはもう少し違った角度から御説明していただきたいと思います。
  23. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この審議会の任務は、先ほど申し上げましたように、総合的に開発を必要とする地域指定及び基本計画だけでありますから、内閣総理大臣が最高の責任者になる、そのような法律の制定をする以外に道はないではないか、こう考えて、この成案ができたわけであります。近来、総理府には、内閣総理大臣の担当する行政事務の処理をいたす総務長官の制度もできておりますし、総理大臣責任者であれば、その事務機構はおのずから制度上あるわけであります。またそこが中心となって審議会の庶務を進めます限りにおいては、関係各省ももちろん協力をし、あるいは資料提出をし、互いに力を合わせていくという形になりますから、これで審議会進め方としては十分ではないだろうか。反面また、石山さんにお考えをいただきましても、この中でそれでは建設大臣を中心にするとか、企画庁長官を中心にするとかいうことになってきますと、これはまた各省との関係がいろいろありまして、一つの省を担当しておる大臣審議会の中心にするということももちろん至難な事情がありますることは、御理解の通りであると思うのです。さようなわけで、内閣総理大臣責任者とし、従って、法律には明記しておりませんが、総理大臣責任者でありまする以上は、総理大臣の行政事務を処理する総理府総務長官が中心にこれを処理されれば、この地域指定及び基本計画の策定、これだけを任務とする審議会としては十分ではないか、かような考え方に立っておる次第でございます。  なお、これらの点につきましては、私どもは法制上専門的知識がございませんから、大体の考え方として、このような総合された開発をせねばならない地域が、見るところ、確かにあるのでありますし、今後臨海地域開発等は、今まで各府県で行なってきておりますように、ばらばらであってはならない——ばらばらでもいいところもありましょうが、ばらばらであってはならないところも相当見受けられると考えますので、この種の法律を作って総合的な開発をいたしたいという角度に立って、実は個々の条文の立て方あるいは整理等については、衆議院の法制局にお願いをいたしまして、そうして法制局で、法制局的な見地で、あらゆる他の法案との比較検討等もしていただき、立案していただきましたので、こういうようにならざるを得なかった、他の法令等との比較研究等の問題につきましては、法制局の担当者から御説明をいただいた方が適当であろう、かように考えております。
  24. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 ただいまお答えのありました点につきまして、若干補足してお答えをさせていただきたいと思います。  内閣総理大臣が、この法案によりましていろいろ権限を持っておられますが、実際の事務として、いろいろ指定区域をきめたり、あるいは基本計画を定めたりいたしますことは、審議会にかけましてきめられるわけでございますが、その審議会にかけます前に、事務的な運びがあるわけでございます。その点につきましては、この法案の附則の第三項というのがございます。ここに「経済企画庁設置法の一部改正」という題で、「経済企画庁設置法の一部を次のように改正する。」ということで、経済企画庁のやります仕事の一つに、「臨海地域開発の促進に関する基本的な政策及び計画を企画立案すること。」こういうふうな仕事を新たに加えることになっておりますが、この法案が成立いたしますと、経済企画庁の仕事にそういう仕事が新たに加わりまして、私どもの方で、指定地域の案なり、あるいは基本計画の案なり、さような臨海地域開発の促進に関する基本的な事項につきましていろいろ企画立案をして準備をいたす、かように相なるわけでございます。私どもといたしましては、さような臨海地域指定なり、あるいは指定された区域における基本計画立案なりにあたりましては、十分公正妥当な案を作るように努力いたしたい、こういうように考える次第であります。
  25. 石山權作

    石山委員 経済企画庁だけですか。
  26. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 便宜代表して申し上げましたが、各省意見を私の方で取りまとめました結果、そういうことに相なっておりますので、一つ一つ関係各省からお答えするのを省かしていただきたいと思います。
  27. 石山權作

    石山委員 中村さん、私たちまじめなものですから、この案が出たけれども、なかなかこれはわからぬものですから、めくらが象をなでたという話があるけれども、この法案はまるでそんなふうな感じを受ける。だから、本体は一体目方が何ぼかかるか、容積が何ぼあるかを知るために一つヒヤリングをしようといって、この前各省から来ていただいたのですよ。そうしたら、各省からおいでになっても、提案者政府でなくて、議員提案だから、なかなかわからないというわけで、肝心なところへいくとわからない、今度は提案者のあなたに御意見を聞くと、これはただ構想法案だというようなお話なんですね。実際はこれからあと審議会がおやりになるということで、まだ生まれもしない審議会に大へんにあなたは執着されておる。そうすると、私たち審議するものは、結局内容をつかめないわけですね。今ちょっと聞くと、企画庁の方では、私が代表して云々という。なおさら、一体どこへ聞けばいいのか、わからない。資料はまだなかなか出てこない。大体こういうふうな構想を立てるには、やはりあなたの方で、十年たてば所得倍増になるとかいうふうに、企画庁であろうと、大蔵省であろうと、あるいは通産省であろうと、きちんとしたものが出て、初めてここに大きな計画というものが成就するわけです。残念でございますけれども、それが全然示されていないじゃありませんか。それは審議会がおやりになるというように言ってしまえば、審議するわれわれから見れば、あまりにもたよりにならないことでございまして、それではいかぬと思うのです。何かもう少し内容的に具体的なものを私はお聞きしたいわけですが、たとえば、審議会を設けられて、そこでいろいろなことをやると言ってしまうと、まあそれで十分の九くらい審議の余地はなくなると思うのです。あと法律の条文の解釈になると思うのですけれども、それではこういう法律というものはわれわれは通し得ないのです。というのは、先ほど私がちょっと悪い言葉で言っているけれども、ちょっと選挙のにおいもある、選挙運動に利用すれば、し得るというようなことも考えられますし、党勢拡張にも利用すれば、し得ると考えられます。これの運用いかんによっては、トンネル会社の役目をなして、いろいろなこともできる可能性もこの法案の中にはあるわけなんですよ。たとえば第八条にお金の問題がちょっと出ておりますが、これは「国の財政の許す範囲内」ということをいっているのですね。この許す範囲だとか、許さない範囲ということは、なかなかむずかしいことだと思う。だれもあしたは予知できないといいますけれども、こういうふうな、国家的に見て大規模な国土の改造改変を行なうような法案で、日本の国の振興と繁栄のための法案だというのでございますから、少なくともここに御説明される場合、年次計画等がおありになって、資金はこのくらい五年間にかける、五年間にはこのくらいの態勢になるのだというふうなことをお示しにならないと、法案内容というものが、あるいは法案目的というものが生きてこないのではないか、こういうふうに思うわけなんです。ところが、先ほど私が申し上げたように、ヒヤリング等で聞いても、これは政府提案ではないから、私の方にはわからないというようなことを各省の方々から承っていますので、あなたの方でそういう構想等がおありのもとで、そういう希望のもとでこういうふうなことをやったのだというふうなことがありましたならば、この「国の財政の許す範囲内」というのは、今の現実のこの段階においての年次計画としてはどのくらいに想定していて、こういうふうな「国の財政の許す範囲内」というような言葉をお使いになっていられるのか、その端っこをのぞかしていただきたい。
  28. 中村梅吉

    中村(梅)議員 年次計画等はもちろん、この地域指定され、そして基本計画が設定される際に、その地域開発がどういう構想、どういう具体的な計画、そして年次計画はどうして進める、こういうことになっていくわけでありまして、ここでこの法律の範囲内においてきめるということは、私妥当ではないと思うのです。そのための審議会でありますから、そこで慎重審議をいたしまして具体的な方法を策定していくということになるのが妥当であり、またこの法律それ自体もそう考えておる次第であります。  そこで八条の政府予算、「国の財政の許す範囲内において、」という条項でありますが、これは、この種の法律及びその他の法律にもこれと同様の表現が多々ございまして、これは結局長期計画の年度計画にいたしましても、当該年度の財政資金の使用方法にいたしましても、これは政府が国会の議決を経て定めます予算に具体的になって参りますわけで、その予算を具体的に編成する際でありませんと、財政の許す範囲というものははっきりしてこないわけでありまして、このような表現は、他の立法例と比較して考えましても、やむを得ない表現である、これ以上は進みかねる表現である、こう思うのであります。  なお、これを立案するにあたりましては、具体的に今後産業の発展、人口の増加等に伴いまして、工業用地あるいは住宅用地、公共用地等の所要量がどのくらい見込まれておるかというようなこと、あるいはその他の点につきましては、関係各省意見を相当に私どもは徴して参考として考えた次第でございます。従いましてそれらの数字等につきましては、私からお答えするとかえって間違い等を生じては相すまないと思いますから、きょうも各省関係官が出席いたしておりますので、それらの人たちから、そういうような点については御説明を願うようにいたしたいと思います。委員長、さようにお取り計らいを願います。
  29. 石山權作

    石山委員 ちょっとその前に……。中村さん——あなたが提案なさっているので、心やすげに中村さんなんという言葉を使っていますが、先輩でございますけれども、それでもいいと思います。ただ私は、あなたが野党というふうな立場でこの案を提案されれば、政府とかなりかけ離れている、こういうふうな考え方を持ってもいいと思うのですが、やはり何と申しましても政府の高官、大臣をおやりになった方々が提案者になって出していられるわけですから、私はどうしても政府機関と表裏一体というふうな感じを受けざるを得ないのです。だから、これもかなりな突っ込んだことをお聞かせいただかないと、納得しかねる点がたくさんあるわけなんですよ。ですから、このお金の問題等も、そういう点ではなるべく詳しく発表されてもいいものだし、そういう構想がなければこういう法案は出ないはずなんです。だから各官庁もそういう意味でお答えになっていただかなければ、なかなか審議が進まぬのではないか、こう思っております。では、各省から一つ……。
  30. 三浦義男

    ○三浦法制局参事 私からちょっと関連して、御審議の御参考に申し上げたいと思っておりますが、この臨海地域開発促進法案は、ほかのこういう開発法と違いましてたとえば東北とか北海道とか九州というような、特定地域があらかじめ予定されておりますところの開発法でございましたら、その開発法を立案したりあるいは出す場合におきまして、大体の構想なり何なりがはっきり予定されるわけでございますけれども、この臨海地域開発促進法案は、まず第一に、地域指定されませんと、どこの個所をどういうふうにやるかということがちょっと予定がつかないわけでございます。従いまして、ほかのように、東北なら東北というようにあらかじめ予定されておる場合と、少し観点を変えて考えなければならない点があるのじゃないかと思っております。従いまして、この審議会におきまして、どこどこの個所を指定するというようなことになりまして、初めてその地域ごとの基本計画が具体化されてくるわけでございまして、その点は、ほかの、現在行なわれておりますところの特定地域開発促進法と違う面がある点を多少ごしんしゃく下さいまして、この案を御審議願う方がいいんじゃないかというふうな気がいたしますから、ちょっと念のために申し上げます。
  31. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 私からも補足して申し上げますと、今後十年間ぐらいでどのぐらいの土地の需要があるかということを一応想定してみたことがあるわけでございます。非常にむずかしい問題でございますが、今後の人口のふえ方あるいは経済の伸びというようなものを考えまして、今後十年間におきまして、工業用地は約一億坪、それから住宅用地といたしまして約一億二千万坪、そのほかに公共用地等がございますので、総計いたしまして約三億六千万坪ばかり土地の需要があるものと見込まれるわけでございます。そのうち、いわゆる臨海地域におきましてはどのくらいになるかと申しますと、工業用地で約八千万坪、そのほか住宅用地、公共用地等を含めまして、約一億一千五百万坪ばかり、土地の需要があるというふうに想定されるわけでございます。これは一応ただいまのところから十年くらいのうちにふえます土地の需要の数字でございます。その後どういうふうにふえるかは、十年たってみないとわからぬわけでございますが、一応ただいまから十年後くらいの間には、大体そのくらいふえるだろうということを予想しているわけでございます。しかし、その数字の中で、一体どれだけがこの法案による指定地域になりますか、これは審議会の御審議を経ないとわからないことになりますので、それに対してどれだけの資金が必要であるかということも、現在のところ計算しにくいわけでございます。
  32. 石山權作

    石山委員 法制局で言うのは、その通りだと思う。この法案内容は、全部審議会に集中されるようにできているのですから……。それだと、われわれはこの法案の条文だけを審議すれば、あとは事足りるわけだ。それだったらもうやめてもいいんですよ。けれども、私先ほど申し上げましたように、これは大へん危険性を含む法律なんです。一党一派に独占される法案なんです。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)私は先ほど数字をあげて申し上げたのですよ。あなたはお聞きにならぬから、そんなことをおっしゃっている。いずれにしても、そういう危険性のある審議会なんです。たとえば、知事の御意見を聞くというのでしょう。その知事は、最近、政党政派に属する知事が多くなってきている。特に私は善意に問題を解釈しておるから、その知事はまことのことをおっしゃることと思う。(「今は民選知事だよ」と呼ぶ者あり)民選知事でも、形式的にそういう流れをくむということなんだ。それから委員大臣その他が十名出る、学識経験者が十名出るというけれども、決裁をとるのは大臣で、政党大臣なんです。総裁なんです。するするといくのですよ。ですから、法案そのものからすれば、すべて集中的に、問題は後日に譲るのだから、簡単に通しなさい、こう言ってもよいと思う。よしあしは審議会できめるんだ、審議会を信用しなさいということになると思う。私はどっこいその審議会をまだ信頼するところまでいかないわけなんですよ。なぜかというと、審議会内容なるものが、残念ながらまだ未知数なんです。それをもう少しお知らせ願いたいと言えば、提案者中村さんも、すべては審議会でおやりになると言う。今ちょっと企画庁の方から十年間のことなどをおしやっていただいたが、それは土地が八千万坪できるくらいの話なんですね。八千万坪できるまでには、たくさんの人を動かし、たくさんのお金を動かし、たくさんの行政機関を動かさなければならないわけなんです。それの仕組みが、なかなかこの法案だけでは——これはもちろん私たちの勉強が不十分でございましょう。いずれにしましても、ぴんとこないわけなんです。ですから、このお金のこと等を聞いたら、中村さんのおっしゃるには、この法案の第八条の、国の財政の許す範囲ということは、これは法案建前はいつもこんなものだという。これじゃどうも子供とおとなの話でしょう。少なくともおとなとおとなの話とするならば、国の許す範囲内という、今の日本の経済力はどういうことでしょうというふうに私がお聞きしたら、あなたの方で資料を出すか御説明をしていただくかでなければ、これはおかしいじゃございませんか。この法案審議会方向というものはわからぬ。そうかと思えば、こういうビラが出ている。あなたの方で私の方に何にも説明しないけれども名前はやっぱりお役所の名前がついている。     〔発言する者あり〕
  33. 寺島隆太郎

    寺島委員長 御静粛に願います。
  34. 石山權作

    石山委員 通商産業省、運輸省建設省——私は構想を聞いているのじゃありませんか。まずその構想を発表しなさい。いずれにしてもこういうものが世間に流布されている。私が質問したことに対してお答えがなくて、こういうふうに出ているのは何のためのPRですか。私は条文のことは条文でいい、その通りだと思うのです。国の財政の許す範囲というのは、本文としてはその通りだと思う。法制局の言うのには、すべての問題は審議会でやるから、審議会の決定に基づくというふうに御理解願えば、この法案は軽く考えられる、その通り考えれば軽く考えられる。しかし、どっこいそういかないところに私たちの疑問があるわけなんです。その疑問を解いていただかなければ、せっかく皆さんの目的とされたところのいわゆる工業地帯の土地造成というふうな問題は、私たち初め国民も理解しないで、逆な方に理解される。トンネル会社を作って云々党勢拡張云々、こういうふうな言葉をわれわれは信じません。それを防ぐためにも、もっと皆さんの方から懇篤な御説明をいただかないといけない。その意味において、十年間に八千万坪をお作りになるというのですから、資金計画なるものはどういう格好で捻出しようとしていられるか。ということは、これは例を出すわけでもないのですが、台風で未曽有の災害を受けたという。そうかと思いますと、片一方では、去年あたりから、非常に景気のいい国民所得倍増論が出ている。そうかと思うと、生産に不要と思われるような新しい機種が選定されて、これにも八百億から一千億かかる、これも五カ年計画くらいでやらなければならない至上命令だという。一体こういうふうなお金が出るものかどうか、われわれはたとえば善意だといって法案を通したが、さっぱり法律が動かないとなれば、これはお互いさま国民に対して同罪の責任をとらなければならない。法案を通してぬか喜びさしておいて、ちっとも仕事をやらぬじゃないかということを言われますよ。この第八条の、国の財政の許す範囲という、一体計数はどの点をお考えになっていられるか。先ほど申しましたように、中村さんは野党の議員ではございません。しかも、前には高官の立場にあった党内の有力な方でありますから、この裏打ちなくして、議員提案であるから、内容の数字は私は知りませんなどと言ってはいけないと思います。御説明をいただきます。
  35. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この資金関係、八条を中心としての石山委員の御意見でございますが、私どもこの法案を通して想定いたしておりますことは、臨海地帯の開発、ことに総合的な開発を必要とする指定地域開発については、政府資金のみの開発ということは考えておらないのでございます。従って、指定地域がきまり、その指定地域開発は、埋め立ての高さでいえばこういうふうに、規模でいえばこういうふうに、関連施設はこういうふうにという基本計画がきまりますと、それを実施される機関としては、府県自体がやる場合もありましょうし、あるいは府県が私企業の会社に認可をいたしまして、民間会社がやる場合もありましょうし、あるいは、そういうようなことではとうてい基本計画目的を達し得ないという場合に、特殊機関というものの必要が出てくる場合もありましょうが、ことに特殊機関の場合にいたしましても、政府資金というもの、財政の許す範囲で十分なものを政府が出資なり助成をいたしまして、あとはその特殊機関が民間資金を吸収するとかいう方法で実施するようなことに自然なっていくのであろう、こう私どもは想定いたしているのでありまして、必ずしも政府資金のみにたよる考え方は毛頭ないのであります。従いまして、八条の表現として、政府の担当します部分としては、他の立法例にならいまして、このような表現以外に道がない、こう実は考えている次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  36. 石山權作

    石山委員 中村さん、ぼかしたってだめです。私は字句は字句、本文は本文で、それはそれでいいのだけれども、あなたの言う、国の財政の許す範囲というのは、財政の規模を今どのくらいと想定されているのか。企画庁は、十年で八千万坪やると言っている。指定地域は四条を想定していると言っている。それから審議会は御承知のように各省からエキスパートが出て、そこに  いろいろ材料を出すわけです。だから、材料は皆さんのところにはあるわけです。建設省にも運輸省にもあるわけです。どうしてそれを出し惜しみしているのです。それがわからなければ、全体の形というものは生まれてこないわけです。この法案が通ればこういう格好になるという姿が浮かんできません。審議会にまかせるということになれば、審議会ばかり考えていなければならぬじゃないですか。審議会というものは最終の目的ではないでしょう。中間の機関でしよう。この法案の最終の目的は、灰ざらを作るということです。このいすを作るということです。このいすと灰ざらの姿がわからないで、この法案を通すとか通さないということはできないと思う。そういう意味で私はあなたにお伺いしている。資金は政府資金のみではないとおっしゃる。それならば、公団特殊法人か何かお作りになるだろうと思うのだが、その構想さえもこれは審議会にゆだねるわけですか。一体何になるのです。われわれ調べることは何にもないじゃないですか。公団内容はどうなんですか。公団とか特殊法人とかなんとかいう事業団は、どういう構想で今考えて提案されているか。
  37. 藤巻吉生

    ○藤巻政府委員 わが国の産業を伸ばし、あるいは人口がふえたのに伴いまして、臨海地域における用地を造成する必要性は前から痛感されておったわけでございます。従いまして、これを推進する方法につきましては、各省それぞれいろいろと検討がなされておったわけでございます。たまたまこのたび臨海地域開発促進法案というものが国会に提案されまして、今後本法律案が成立いたしました暁におきましては、この法律案に基づきまして、全国的な視野から重点的に臨海地域開発が促進されることになりますので、今後適正な臨海開発区域の指定、及び区域における合理的かつ総合的な基本計画の策定を進めて参るのはもちろんでございますが、基本計画に基づいた実効ある事業の推進をはかっていくことも必要になってくるわけでございます。このような見地に立ちまして、従来から臨海地域開発に非常に関心を持っておられました通産、運輸、建設の三省におきまして、臨海地域における工業用地の造成を主とした事業実施する機構につきまして、いろいろとお考えを練っておられたわけでございます。各省それぞれお考えを練っておられましたために、なかなか一本のものになっていなかったのでございますが、お考えを練っておられる間に、どういう考え方をしているか、一つ三省でまとめてみようということで、いわゆる三省の公団案というものがまとまってきたようでございます。基本計画の実効ある推進をはかって参りますことは、臨海地域開発促進法にとりましても重要な事柄でありますので、ただいまの三省公団構想をも含めまして今後政府部内におきましても慎重に検討いたしまして、まとまりましたならば、そのように進めて参るということに相なるわけでございますが、ただいまのところは、まだ三省だけの構想にとどまっておるわけでございます
  38. 石山權作

    石山委員 提案者中村さんに私けさほど申し上げたように、全体の姿を見るように一つきょう工夫しようじゃないですか。あなたの方のおっしゃったことは、ある種の姿、この法案の姿だろうと思う。私たちが疑問に思っている姿ということも、一時間くらいやったのですから、あなたの方でも大がい気がついたはずでございます。今までの討論は、おおむね抽象的な、というよりも、むしろ言葉上だけのやりとりでございました。これにやはり肉づけをしなければならぬですね。もっときちんとした、たとえばお金の数字、あるいは地域でもこうする、たとえば東京湾を埋め立てる場合は、どんな格好に今われわれは考えている、しかも東京湾は早くやりたい、三年間でやりたい、こういうふうなことがどんどん出てこなければならぬ。私たちが疑問に思っている点は、まだほんとうの意味では疑問が出たという程度であろうと私は考えますが、そういう点を一つ考え願いまして、次会にまた質問を展開したい。  特に私考えているのは、この資料、何べんも出すので恐縮ですが、残念ながら後進地といわれているわが東北、北海道がこの中に少しもまるがついていません。これは東北、北海道では開発法律もあるのだからというような御意見かもしれませんが、そういう点でも私たちは不安を感じているわけであります。それらの点も今度は徐々に明らかにしていただいて——工業力のあるところの、集中的な人口の稠密な都市を今ねらわれるとするならば、せっかく特別法を作ってもらった東北、北海道であっても、これは何にもならぬと思うのです。何と申しましても、これは総理大臣が主宰する審議会でございますから、どんどんと関東から南の方ばかりいってしまう。それではとんでもない法案だということになる。何だ、これは……こういうことになります。  それらの点も私はこの次にお聞きしたいし、いろいろ申し上げた点も、あなたから、あるいは関係官庁の方々から、もう少し今度は肉づけをしてもらう努力をお願いしたい。話すとまただんだん長くなりますので、きょうは私の質問は一応これで終わりといたします。
  39. 寺島隆太郎

    寺島委員長 館俊三君。
  40. 館俊三

    ○館委員 私が聞こうと思っておったことは石山權作委員がすっかりお話しになりましたので、私は簡単にこの法案の批評だけをやっておきます。  法律というものは結局拘束性を持っておるのですが、その拘束性を実行するいわゆる主体になる役所はどこかということがさっぱりわからぬ。審議会の話も出ましたが、審議会でどういう決定をしても、それをすぐ法律の上で拘束をしていく主体がどこにあるか、さっぱりわからぬ。財政確立の場合に、財政は幾らかかるものであるということになったが、一体その財政を切り盛りする役所はどこなのか、それもさっぱりわからぬ。だんだん話を聞いておりますと、ちょうど盆どうろうの影絵を見ているような法律案だと私は思うのです。これではいけないと思う。どこが一体主体になって、執行機関がどこにあるのか、さっぱりわけがわからぬ。こういう構想は私は悪くない構想だと思うのだが、その悪くない構想を成功させる場合に、主体性もなければ、財政の切り盛りはどこが受けてどうするということが判然としないようなことでは、審議のしょうがない。構想は悪くないと思いますけれども、今の段階では、臨海地域開発に関する法律案ということよりも、これはここの委員会でこういう意味の決議案くらいをやって政府にその構想をもっとしっかり立てさせる方がいいのではないかと私は思う。決議案ならば、構想には賛成ですから、これは私は満場一致賛成すると思う。その上でもう少し今言うた疑点を明確にしてやるべき必要があるという印象をきょう受けたのです。そういうことで私の話を終わります。
  41. 中村梅吉

    中村(梅)議員 ただいまの点について私ども考え方を率直に申し上げさしていただきます。  先ほど石山さんからお話しになりました北海道等のことにつきましては、実は一部の人から、北海道は北海道開発庁というものがあり、審議会があるのだから、北海道はこの法律から除くのが妥当ではないかという意見等も聞いておるのでありますが、それらの点につきましては、私ども議員立法でありますから、原案にこだわる意思は毛頭ございません。審議過程において各委員の方々の意見を尽くしていただいて、適当な結論を得て議決をいただきたい、こう実は考えております。  それからもう一つは、少し重複するようになりますが、この法律の大体の考え方としましては、総合的に開発をしなければならない地域があるとしますれば、その地域審議会審議によって決定をする、決定した指定地域については、指定地域開発は、総合性を要するから指定したのでありますから、その総合的な開発方針あるいは開発の規模というものを基本計画でやはり審議会できめる。そして先ほど企画庁から御説明がありましたように、審議会運営いたしまする機関は、総理府設置法の一部改正をいたしまして、その方で取り扱う。それから審議会に付議いたしまする基本的な計画調査等をするのは、経済企画庁がこれに当たる、従って、経済企画庁の設置法の一部改正をいたしまして、その方で責任を持って進めていく、こういうことにいたしておるわけでございます。  それからもう一つ考え方としまして、先ほど石山委員から具体的にお話がございましたが、私どもこの立法を着想し、またこの法案を進めて参りました意思は、たとえて申しますと、北九州にいたしましても、東京湾にいたしましても、現在の埋め立てというものは、府県あるいは市町村あるいは企業体の、視野の狭い考え方で進められつつあるようであります。先ほど東京湾について具体的に石山委員からお話がありましたから申し上げますと、現に東京湾にいたしましても、東京都、神奈川県、千葉県、またその傘下の各市町村、企業団体等が思い思いに埋め立てをいたしておるわけで、総合性というものは全然ありません。この状態で参りますことは、現在既存法律として行なわれております首都圏整備法の精神とも抵触する部分が如実に現われつつあるのではないかというようなことが、私は考えられる次第であります。従って、このような法律ができ、指定地域ができて、そして審議会を中心に基本計画というものができて参りますならば、これはやがてこの法律案が通った場合にできる審議会がきめることでありますが、私ども考え方としましては、たとえば東京に過度の人口集中というものを避けるという意味からいえば、東京湾の開発はけっこうでありますけれども、この既成市街地接続地帯は、東京港という重要港の整備を中心に、あるいは港湾に付属した諸施設を必要とする埋め立てを中心に、あるいは神奈川県の方でありまするならば、神奈川県の臨海工業と化学工業等が発展しつつありまするそれらの工業の発展というものとにらみ合い、あるいは千葉県方面でありますならば、東京と接続してしまわないで、衛星都市的な開発が行なわれるような臨海地帯の開発、こういうようになっていくのが、いかねばならない姿であろう、こう私は思うのであります。しかしながら、これを放置しておきますと、そのような企画性のある臨海地帯の開発というものが行なわれるのではなくて、むしろそれは非常に混乱をしていくのではないか。これらを合理的に進めて参りますのには、こうしたような総合機関がここにできまして、その総合機関でそういったような必要な地域指定したならば、その指定した地域は、合理的な基本計画を立てて、その基本計画に従って、各府県も、各企業体も——あるいは一営利会社の企体業だけにまかせていけない場合が起きたならば、それは特殊機関を作る。その特殊な機関は、決してこの法律できまってしまうのではありませんで、特殊な機関が必要になった場合には、国会の議決を経て法律で作る以外にないのでありますから、その場合には、その特殊な機関が資金繰りをどうするか、構成をどうするか、すべての問題は国会の論議を通して公正にきまっていく、こういうことになると思うのであります。大体の考え方の、今御指摘のありました点についてだけ触れたわけでございますが、そういう次第でありますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  42. 館俊三

    ○館委員 私考えるのに、この法律案を出されたのは、議員提案として出されたわけでございますが、従って、これに関係する建設省、農林省あるいはその他の各省ですわ、それとの連絡協議の上で出されたという形勢が非常に薄いのではないかという気がする。だから非常にごたごたして、体系が頭に入ってこない。かたわらでは、建設省運輸省が、何か公団をこしらえるという法律案出してくるようであります。これと逆行するような形で各省のなわ張り争いがそこに出てきて、臨海地域開発に対して先手を打ってくる。なわ張りをとられまいとする動きが出てきているような気がする。しかも、公団は一体実施機関かということを考えてみましたならば、公団公団で、経営は企業者にまかせるというような形になるのではないかと思います。その上にまたここに公団の設立ができてくる。その辺、何かごたごたしておる。私は悪口は言いませんが、しろうととして、のみ込むのに非常にやっかいだ。今までいろいろの審議会もたくさんあった。その審議会との関連が今度の審議会とどうなるか。国土総合開発に関するいろいろな機関がたくさんある。それがどうなるか。北海道開発庁の予算を見ましても、北海道開発庁に予算があるのではなくて、各省にみな分割されて、それが総合された形が北海道開発庁の北海道開発予算になっておる。実権はやはり各省にある。そういうことを考えますと、臨海地域開発に関する法律の制約というものは、よほど強力にやらぬと、できない。その点はおかしい。どこに主体性があるか、わからない。これでは非常に疑問なんです。だから私が言ったように、盆どうろうの影絵を見ているようなもので、非常に愉快なものだけれども、どうするのか、わからない。しかもその公団は、またトンネル会社になりはしないかという疑いも持たれておる。しかも、あらかじめそれの伏線として、業者がなかなか活発ですから、いろいろなものを持ち込んでくるような形跡もある。十分にこれを吟味しないと、国民に、またぞろおかしな名目だけの臨海地域開発計画を設定したというように思われる。予算の面も、来年は予算が窮屈だ。各審議会から答申される各開発関係予算というものも、従前通り一〇〇%どころか、二〇%か三〇%しかもらえないでいるわけです。どういうことになるか。だから、私が言うように、これは非常に大事なことだけれども、賛成していいことだけれども、こういうところに着目して、臨海地帯を開発しなければならないという決議ぐらいの程度で、もっと熟するところまで待っていいのではないか、こういうふうな感想を述べておきます。
  43. 寺島隆太郎

    寺島委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕