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1959-11-11 第33回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十一日(水曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長 寺島隆太郎君    理事 島村 一郎君 理事 野田 武夫君    理事 濱田 幸雄君 理事 松田 鐵藏君    理事 足鹿  覺君 理事 石山 權作君    理事 館  俊三君       秋田 大助君    佐藤洋之助君       進藤 一馬君    田中 榮一君       丹羽 兵助君   橋本登美三郎君       坊  秀男君    小川 豊明君       兒玉 末男君    田中織之進君       長谷川 保君  出席政府委員         経済企画政務次         官       岡部 得三君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  藤巻 吉生君         運 輸 技 官         (港湾局長)  中道 峰夫君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君  委員外出席者         議     員 中村 梅吉君         衆議院法制局参         事         (法制次長)  三浦 義男君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房調査官) 原口  隆君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局総合開         発課長)    玉置 康雄君         農林事務官         (農地局参事         官)      正井 保之君         農林事務官         (農地局管理部         管理課長)   長田 秋雄君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁業調整課長) 木戸 四夫君         通商産業事務官         (企業局長)  松尾 金藏君         通商産業事務官         (企業局工業立         地課長)    柳井 孟士君         運 輸 技 官         (港湾局計画課         長)      比田  正君         建設事務官         (計画局総合計         画課長)    佐土 侠夫君         建 設 技 官         (河川局開発課         長)      小林  泰君     ――――――――――――― 十一月六日  サロベツ原野開発に関する請願芳賀貢君紹  介)(第六八号)  渥美郡の台風常襲地帯指定に関する請願(鈴木  正吾君紹介)(第九七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月七日  東北開発推進に伴う地方負担増加に対する財  源措置に関する陳情書  (第六五号)  東北開発促進に伴う地方財政措置に関する陳情  書(第八七  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  臨海地域開発促進法案川島正次郎君外三名提  出、第三十一回国会衆法第六七号)      ――――◇―――――
  2. 寺島隆太郎

    寺島委員長 これより会議を開きます。  臨海地域開発促進法案議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の通告がございますので、順次これを許します。野田武夫君。
  3. 野田武夫

    野田(武)委員 ただいま議題となりました、臨海地域開発促進法案につきまして質問をいたしたいと思います。  最近のわが国経済界発展というものは全く顕著なものでございまして、今後産業伸張は、けだし見るべきものがあると思うのであります。同時に、人口は年々増加し、領土が狭い。ことに今後の発展する産業の形態を見てみますると、大体において重化学工業重点が置かれている。この重化学工業の原材料は海外に依存して、これをこちらに輸送しなければならない、こういう情勢から考えてみますると、わが国といたしましては、この地勢上よりいたしまして、また産業上の立場からいたしましても、勢い臨海地帯土地造成ということがきわめて必要である。その臨海地帯開発につきましては、多年各方面に計画が立てられておりまして、最近の一つとしては、産業計画会議のごときは、東京湾に二億坪の埋め立てをするというような案も発表されております。こういう意味におきまして、私は、本法案はきわめて適切妥当な案だと存じて、賛成の意見を持つものでありますが、ただ、本法案内容を見てみますと、きわめて膨大な計画であり、一種の新しい国づくりともいうべき案でございますから、この法案審議にあたりましては、われわれはあくまでも慎重審議をして、この法の目的達成に最も合理的な、妥当な案を考えなければならないという立場からいたしまして、私は以下数項にわたって質問をいたしたいと存じます。  前もってお断わりいたしておきますが、だいぶ時間が予定より経過しておりますから、その意味で、私はきわめて質問は要領のみいたしますが、御答弁はどうぞ一つ懇切丁寧に、詳細にお答えを願いたい。並びに、私の質問に対しましては、提案者はもとよりでございますが、政府委員からも一つお答えを願いたいことを、あわせて希望いたしておきます。  この法案議員提出になっておりますが、大体この法律内容からいたしましても、当然政府提案となるのが妥当じゃないか、こう感ずるのでありますが、議員提出となりましたまでの提案者のお考えと、また、提案なされるまでに、当然政府当局とのいろいろな御折衝があったと思いますが、それらにつきましてお答えを願いたいと思います。
  4. 中村梅吉

    中村(梅)議員 御承知通り、近来、各臨海地帯埋立事業等が、各都道府県、市町村等によりまして活発に進められつつある地域もございます。これらのうち、現状にかんがみまして、それが各府県あるいは市町村の思い思いの状態で進行いたしますことは、いろいろ関連施設あるいは工業用水その他との関係上、考慮しなければならない。そこで、この種の大規模事業については、国家的見地に立って事が進められることが望ましいのでありまして、かような見地から、提案者側としましては、いろいろな角度から検討をいたしておったのでございます。しかし、この及びまする範囲は、まあ政府関係で申しますと、いろいろな機関にわたりますので、それらの機関意見調整等に手間取りまするよりは、できるだけすみやかにこの種の立法をいたしまして、ばらばらに進行しつつあり、あるいは進行せんとしつつある臨海地帯開発が、総合的に進められるように、基本だけはまず作るべきである、かような見地に立ちまして、提案者としましては、議員立法の形で提案をいたしたような次第であります。
  5. 藤巻吉生

    藤巻政府委員 臨海地域開発促進法案議員提案提出になっておりますが、政府といたしましては、この種のものといたしまして、たとえば九州地方開発促進法等も、議員提案提出になりまして、成立しておるようないきさつもございますし、臨海地域開発ということにつきましては、政府も大いに努力をいたさなければならぬところでございますので、その点につきましては別段の反対はないわけでございます。
  6. 野田武夫

    野田(武)委員 ただいま提案者の御説明で、大体提案者側の御意向は了承しました。政府として反対はないというお言葉でありましたが、でき上がったものは、議員提案であっても、政府提案であっても、法律になるのでございますかう、やはりこういう重大な法案に対しましては、どの程度の熱意を持っているかということをお示しなさった方が妥当ではないかと私は思います。別に追究するのではございません。今後そういう考え方でこの法案に取り組んでいただきたい、こう希望をいたしておきます。  そこで、本法開発計画は、先ほど私が申し述べましたように、産業伸張経済発展、今後の人口増加、こういうことを勘案して立てるべきものでありますが、大体、一応今後何年後を目標として、また、これに応じてどのくらいの土地造成規模を必要と考えておられますか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  7. 中村梅吉

    中村(梅)議員 提案者側としましては、いろいろ各関係官庁等の資料に基づきまして想定をいたしておるのでありますが、日本の現在の産業伸展度合い等から見まして、今後十年間に要する工業用地あるいは住宅用地、あるいはこれに関連いたしますところの公共用地等について見ますと、大体これらを総計して約三億六千万坪くらいの土地需要が見込まれるわけでございます。そのうちで、内陸開発等もありますしいたしますが、結局臨海地帯開発というものを相当重視して考えて参らなければ、この需要に応じかねるのではないか、かような角度に立ちましてこの法案を立案しましたような次第でございます。
  8. 藤巻吉生

    藤巻政府委員 一応私どもの方で、今後十年間ぐらいに工業用地あるいは住宅用地等土地需要はどのくらいあるかということを当たってみましたところによりますと、ただいまお答えのありましたように、大体今後の人口増加経済伸びというものを考えまして、工業用地といたしましては約一億坪、それから住宅用地といたしましては約一億二千万坪、そのほかに公共用地あるいはその他の用地需要がございますので、これを加えますと、総計して約三億六千万坪ばかりの土地需要があるものというふうに見込まれているわけであります。そのうち、臨海地区におきましてどのくらいの需要があるかということでございますが、工業用地では約八千万坪、そのほかに住宅用地とかあるいは公共用地等を含めますと、約一億一千五百万坪ばかりの需要があるように想定されるわけでございます。この法律考えております臨海地域開発は十年で終わるわけではございませんが、一応十年間ぐらいのめどで試算をしてみますと、そういうような数字になるわけでございます。
  9. 野田武夫

    野田(武)委員 今の政府委員答弁の中に、臨海地区で、工業用地が八千万坪、公共用地その他で一億一千五百万坪、そういたしますと、大体十年間を目標として考えても、臨海地区用地は、工業用地公共用地その他を加えると約二億坪を要する、これは提案者政府側も大体目標は一致しているのでございますが、そういたしますと、大体十年間を一応目標として二億坪弱の用地造成する、こうなりますと、本法によるところの指定地域は、現在想定しておられるところはどういうところが、具体的にお示し願いたいと思います
  10. 藤巻吉生

    藤巻政府委員 ただいま野田先生の仰せになりました数字、ちょっと私の申し上げ方が足りなかったかもしれませんので、訂正いたしておきますと、臨海地区で今後十年間に土地需要のありますのが、工業用地として八千万坪、そのほかに住宅用地公共用地等を含めまして、合計して約一億一千五百万坪というふうに私ども推算しております。そういうような面積土地需要があるわけでございますが、この法律によりまして開発をいたします臨海地域というのは、法案の条文によりますと、地域指定をすることになっております。しからば、どういうような地域臨海開発区域として指定するかということでございますが、これは、もちろん、臨海地域開発審議会審議を経まして、内閣総理大臣指定することに法律では定められておりますので、ただいまの段階といたしまして、どこが指定になるというようなことを私ども具体的に申し上げるわけにはいかないわけでございますが、大体の原則といたしましては、造成規模相当に大きく、単に海面埋め立て土地を作るという事業だけではございませんで、その埋立地背後地をも含めました広い地域にわたって、産業経済の基盤である関連施設を初めといたしまして、各般の分野の施設につきまして、一定の計画に基づいて整備をはかっていかなければならないような地域、しかも、国家的に見まして、産業経済発展あるいは人口増加の趨勢から見て重点的に取り上げていかなければならないような地域、こういうような大きな地域を取り上げていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  11. 野田武夫

    野田(武)委員 今の政府委員お話よくわかりますが、一応提案者にもお聞きしたいと思います。  十年間で一億数千万坪の開発をやるにつきましては、もちろんこれは、この法案の九条かにあります臨海地域開発審議会審議を経て、総理大臣が決定することになっていることは了承しておりますが、この提案をなさって、この法案を実施する場合に、一応日本地勢はおわかりのことでございましょうから、十年間で一億数千万坪の開発をするのには、どこが適当だということぐらいは想定ができておるはずであります。正式にここをやるということは、もちろんそれは審議会の議を経なくちゃならぬことはわかっておりますが、一応の想定地域をお示し願えませんか。
  12. 中村梅吉

    中村(梅)議員 今政府委員からお答えしましたように、具体的には、御承知通り審議会の議を経て、総理大臣指定をするわけでありますが、この法案の精神からいいまして、いろいろ関連施設関係工業用水その他、大規模総合開発を必要とする地域が、大体この法律が制定されましたならば、審議会の議を経て、指定対象になっていく、こう思います。そういう意味から考えますと、最近いろいろ論議をされております東京湾一帯地域、あるいは北九州でありますとか、伊勢湾等でありますとか、その他にもこれに類する大規模な総合的な開発を必要と考えられる地域は、皆さんお考えになりましても、あると思いますが、法律ができましたならば、大体そういう地域対象になり、逐次審議会の議を経て、総理大臣によって指定をされ、総合的な基本計画が立てられて、所期の目的に向かって法律が運用される、こういうことになると思います。
  13. 野田武夫

    野田(武)委員 大体了承いたしました。  そこで、ただいまお答え開発地域指定対象は、もとより工業用地を主として考えておられる、それに住宅公共用地でありますが、開発地域によっては、おのおのその用地の用途に違ったものが出てきはしないか。たとえば、場所によっては農業用地なんというものが出てくると思いますが、大体、農耕地その他については、案としてはあまりお考えはありませんか。
  14. 藤巻吉生

    藤巻政府委員 法案の第一条には「工業その他の用に供する土地造成」、こういうふうにうたってございます。従いまして、この法案開発を促進して参ります土地は、工業用地だけではないわけでございまして、このほかに住宅用地公共用地港湾用地等はもちろん、地域によっては農業用地も含まれるものと解釈しております。ただ、もっぱら農地造成するというために土地造成して参ることは、予想しておらないわけであります。
  15. 野田武夫

    野田(武)委員 ただいまのお話、私も、大体そういうお考えのもとにこの法案ができていると思っておりますが、たとえば、特別に農業用地として考えないというお答えは、必ずしも無理ではないと考えますが、必要によってはこれも考えられる。そうすると、干拓農地なんかの関係とこれとの関連はどうなっておりましょうか。農林省の方に何かこれについての御希望なりお考えなりを伺っておきたいと思います。
  16. 正井保之

    正井説明員 ただいま答弁がございましたように、この法律によって指定された地域につきましての計画は、総合的な、そして相当広い地域にわたるものだと考えます。そうした場合に、その地域の中には、当然干拓に適しているというふうなところ、また、そういった干拓造成の必要のあるような地域も含まれる場合があるわけでありまして、そういった場合には、計画の中に干拓造成農耕地造成というものを含めて、またこれには当然農業用水なり、そういったものとの関連におきまして、用水計画においても総合的な見通し計画をもって具体化していくという必要があると存じます。
  17. 野田武夫

    野田(武)委員 先ほどの提案者並びに政府委員からの御答弁の中に、臨海地域開発は、必ずしも海面埋め立てばかりではなくて、関連する陸地開発もやるという御説明でございましたが、これはごもっともだと思っています。大体この内陸地開発というものは、海面との関連上、これは一貫した計画をもっていかなければ、総合計画は立たないことはもちろんでありますが、海と陸との距離がどのくらいまでは開拓なさる計画でありますか。また、今日開拓される上において、海面重点が置かれることはもちろん当然ですが、地域的にやはり陸地も合わして、いわゆる併用して効率を上げるという考えでおやりになるのが一番至当だと思う。大体距離はどのくらいのところまで陸地は入り込んでいくというお考えですか。
  18. 藤巻吉生

    藤巻政府委員 臨海開発区域にどのくらい陸地分が入るかということでございますが、具体的には、埋め立てをやりまして、そこに工業等を興して参る、その工業等が動きますのに必要な、いろいろな住宅地その他、背後地の必要がある場合があるかと思いますので、陸地分についても臨海開発区域に含めて考えておるわけでございますが、しからばその面積がどのくらいかということになりますと、これは具体的に個々の地域に当たって見ませんとわからないわけでございまして、ただいま確定的な数字を申し上げるだけの準備はできておりません。
  19. 野田武夫

    野田(武)委員 たとえば、先ほどお答えの、十年間目標で一億一千五百万坪ですか、こういう用地が必要だ、そういたしますと、相当この中に陸地が入ってくると思いますが、この一億一千五百万坪の中に、大体陸地としてどの程度考えておられますか。
  20. 藤巻吉生

    藤巻政府委員 先ほど申し上げました、臨海地区で一億一千五百万坪という面積想定いたしました場合には、これに関連してくる陸地分は入れておりませんので、海面だけの面積を一応計算したわけでございます。
  21. 野田武夫

    野田(武)委員 よくわかりました。  開発地域の実際の計画を遂行する上に、非常に大きな目的関連していろいろな問題があるのでありますが、幾多の問題の中でまず取り上げられるのは水の問題でありまして、御承知通り、現在の日本産業におきましても、水の問題は全国的に一番大事な問題であることは、お互いによくわかっているところだと思います。そこでこれとあわせて考えられることは、先ほど提案者から想定地区の中に東京湾が出て参りましたが、かりに東京湾一つ取り上げてみましても、上水、工業用水、排水その他の問題は非常に重大な問題でありますが、ことに工業用水不足は目に余るものがあり、現に地下水吸い上げのための地盤の沈下ということもあって、最近いろいろの対策をとっておりますが、なかなか容易に解決しない。東京湾考えてみましても、今日江東地区沈下状態でもなかなか解決が至難になっております。そこで、これら水の問題については、この用地造成と並行して計画しなければならぬと思いますが、まあ東京湾という想定が出ましたから、かりに東京湾想定いたしました場合の水の問題に対して、どういう計画があるか、お聞かせを願いたい。
  22. 藤巻吉生

    藤巻政府委員 お話のように、工業用地造成いたしますと、一番問題になりますのは水の問題でございまして、各地においてすでに工業用水不足に悩んでおるのでございます。特に東京周辺工業地帯京浜京葉地区におきましては、現在でもすでに用水確保に悩んでおるわけでございます。今後東京湾埋め立てをいたしまして大きな工業都市を作って参りますと、なおさらとの問題が大きく取り上げられなければならないわけでございます。東京湾周辺工業地帯におきましてどのくらいの水が要るかということは、これは将来の東京湾埋め立て規模等にも関係する問題でございますから、具体的な計画が立ちませんと、水の需要量も出てこないわけでございますが、概略申し上げますれば、現在、利根川総合開発の観点から、数カ所にダム建設し、あるいは建設するような調査を行なっておるわけでございます。何とか利根川の水を利用しないと、東京周辺京浜京葉等地区に対する水の確保がむずかしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。なお、これらのもう少し詳しいことは、関係の省の方から説明さしていただきます。
  23. 小林泰

    小林説明員 建設省の方から補足して申し上げますと、たとえば利根川の水系について申し上げますと、現在利根川を流下しております年間の流量は、約百三十億トンございます。そのうち、農業水利あるいはその他、工業水道等に使われております水量は、現在では一二%程度でございます。その利用率は非常に低い現状でございます。しかしながら、この無効な水が放流されておりますのは、主として洪水による問題でございます。勢い治水上の計画から上流地域ダム建設を現在進めており、すでに完成したものもございますが、それらのダムを、利水の面も考慮いたしまして、ダム規模多目的計画として計画し、それによりまして渇水時の需要を補うということによりまして水の利用率を高め、余剰水の活用をはかって参るというふうに考えておるわけでございます。昭和四十五年度を目標といたしまして私ども考えております計画では、現在の流量を、渇水時においても毎秒約六十トン余りの水を新たに出水できるような調整をいたしたいという目途のもとに計画を進めておるわけでございます。それによりますと、東京湾埋め立て需要水としては、利根川からは、水道工業用水合わせまして毎秒約十二トン余りの水が出水可能であると考えられております。また、その他、東京湾関連といたしましては、千葉県における養老川、小櫃川、小糸川、あるいは京浜地区における多摩川、相模川等の水の利用もはかる必要がございますので、それらについても調査を進めておる実情でございます。
  24. 野田武夫

    野田(武)委員 ただいま利根川その他における用水計画を聞きましたが、大体今の建設省や、また通産省あたりでお考えになっている今の水利計画というものは、日本産業計画と何年ごろまでマッチしていくか、どの程度目標でおやりになっておるか、ちょっとお示し願いたいと思います。
  25. 小林泰

    小林説明員 河川局の方から申しますと、現在、治水関連といたしまして、多目的ダムの場合には、通産省企業局とよく連絡をとりまして、工業用水計画にマッチした計画治水関連として調整してやっておるわけでございます。それらの計画については、すでに昭和二十八年に治山治水基本対策計画が決定されておりますが、その線に沿って現在進めておるわけでございます。それで、当面の問題といたしましては、新治水緊急五カ年計画内容として、調査あるいは建設を進めておるわけでございます。利根川については、大体昭和四十五年度を目途として調査建設を進めております。
  26. 松尾金藏

    松尾説明員 工業用水の今後の需給見通しにつきましては、通産におきまして、今後五カ年の見通しを前に一度立てたのでございますが、さらに、経済長期計画と見合いまして、八カ年の見通しを最近立てております。この計画によりますと、三十三年、昨年の工業用水——工業用水は、実は地下水とか、あるいは海水等利用するのでございますが、淡水について特に問題がございますので、淡水に限定して私ども調査で申し上げますと、大体三十三年におきまして、川で二千三百万立米利用されております。これに対して、現在の長期計画鉱工業生産伸び率と、また、その中におきまして、特に用水型の産業、またある程度規模以上の工場が特に水を使いますので、そういう工場調査対象といたしまして推定をいたしますと、昭和四十二年におきましては、三千九百万立米淡水工業用水として需要されるということに相なります。約七〇%の増大ということになるわけでございます。これに対しまして、ただいま建設省の方からいろいろ御説明がございましたような水源の問題がもちろん基本でございますけれども、その水源の問題を多目的ダムその他で解決すると同時に、その水を工場の要求に対してそれにマッチするように供給をしてやらなければならないわけでございますが、今の推定で参りますと、工業用水道によって四十二年に供給をしなければならないという意味で、その増加要求が九百万立米のものを工業用水道の形で供給せざるを得ないというのが、現在の私ども推定でございます。
  27. 野田武夫

    野田(武)委員 八カ年計画内容を承ったのですが、いずれにいたしましても、今松尾局長の御説明によりますと、現在の長期産業計画にマッチするには、七〇%の増大を見込まなくちゃならぬ、少なくとも工業用水につきましてはよほどの基本計画をお考えにならぬと、ただ、川を埋めて工場を呼んだって、仕事はできない。これは実に大事なことだと思いますが、この点は提案者の方でもおそらく重大な関心を持って考慮しておられると思います。これはひとり建設省、また直接関係する通産省だけのことでなくて、企画庁の方は、一体将来どういう考えで総合的な御計画をお立てになっておりますか。
  28. 藤巻吉生

    藤巻政府委員 水の問題につきましては、建設、通産、その他農林省等も非常にいろいろと関係がございますし、経済企画庁といたしましては、そういうような各省の方々に関係のあります事項を調整して参るのが役目でございますので、将来の工業用水需要見通し、あるいはそれに対する供給のめどというものにつきまして研究をいたしておるわけでございます。
  29. 野田武夫

    野田(武)委員 研究はしょっちゅうなさっておられると思います。別にここで企画庁の責任を問うわけじゃありませんが、よほど重大な決意を持って当たっていかれないと、これでもって日本産業は予定通りのコースを進まないと思います。ことに工業用水問題は、東京湾近辺、京浜、京葉地帯ばかりではありません。御承知通り、北も西も南も、どこも、全国的なことになっております。これは国会でも各種の委員会で取り上げてこの問題について検討いたしておりますが、こういう画期的な法案ができたことは、私は非常にいい機会だと思う。こういうときこそ、役所の中でももう少し緊密な連絡をとって、また、法案提出者も、進んでこの法案の実施について、これを生かすためにうんと力を入れて、水の問題に対する御検討を願いたい。今直ちにここでもってあなたの明確な計画を聞こうというのじゃありませんが、どうも通産省や農林省が盛んに言っておられても、一向らちがあかない。遅々として計画が進まないのです。ことに、これは金の問題だから、大蔵省の関係がございましょうが、きょうは大蔵省がおいでになっておりませんから、やむを得ませんけれども、こういう機会にこそ、あらためてまた一つ今までの計画を再検討して、この法案の実施にマッチするような計画一つお立て願いたいということを特に要望いたしておきます。  それから、この法案とは少し違いますが、今通産省松尾局長から、工業用水について、地下水と海水というお話がありましたが、海水をうんと利用すると、非常に、工業用水ばかりでなくて、ほかの水の解決にもなると思うが、海水の方はどうなっておりますか。これはこの法案とは直接関係がありませんけれども、できましたらこの機会に承っておきたい。
  30. 松尾金藏

    松尾説明員 御指摘のように、工業用水の今後の問題として、海水がいわゆる経済性の上に乗って利用できれば、これは最もいい解決方法であるわけであります。私ども聞きますところでも、たとえば米国あたりでも、将来の問題として、結局は工業用水は、その経済性を考えて、海水に依存する方法を考えるほかはなかろうというふうに議論されておるというふうに伺っております。現在でももちろん、工業用水として、たとえば冷却水その他、海水で間に合うものは極力海水を使っておるわけでありますが、その海水を淡水にして——要するに、淡水でなければ因るような工業用水に、海水を淡水にして利用するということに問題があるわけであります。これにつきましては、現在まで幾つかそういう研究といいますか、技術的な研究が行われておりますけれども現状では残念ながら、経済性の点でまだその実際的な利用にはほど遠いというのが実情でございます。これにつきましては、今後もっぱら技術的または経済性の研究をさらに進めて、将来に備えなければならぬというふうに私ども考えております。
  31. 野田武夫

    野田(武)委員 今の局長のお考えとわれわれ全く同じですが、今政府機関では海水を淡水化する研究をやっておられる、それから現在の、もちろん経済単価によるのですが、海水と普通の水とどのくらいの差がありますか、わかっておったら、お答え願いたい。
  32. 松尾金藏

    松尾説明員 現状におきましては、工業用水を、海水を淡水にして使おうといたしますと、やはり百円くらいになるのではないかといわれております。おそらくこれでは、現状では工業用水には使えないわけです。先ほど申しました技術的研究の問題といたしましては、通産省の東京工業試験所におきまして、従来二つくらいこの方法を研究いたしております。これはいわゆる製塩、塩をとることもあわせて研究をいたしまして——常識的にいわゆる蒸留法であります。蒸留法につきましては、前に、二十八年以来、大体六千万円くらいの予算をもって、蒸留法によって、塩とあわせて経済性を考えた場合にどうかというような技術的研究を進めて参っておりますが、もちろんこれは現在はまだ完成しておりません。さらにもう一つ、冷凍法、これも同時に塩をとれるわけでございますけれども、冷凍法によって塩を取り除き、それによって淡水を得たい、これも二十八年かう、三十五年くらいその結論を得たいというので、約四千万円の予算をもって、同じく東京工業試験所でやっておる。しかし、これにもやはり相当程度塩分が残るとか、あるいは、かりに試験管の中でできそうに見えても、ある程度規模を持った設備としてやってみないと、これまた経済性の問題なり運用がわからない。それではある程度工業化試験の設備を作ってみようと思いますと、四千万程度の予算ではとうてい無理なんです。東工試の方では、それだけでも三億くらいの予算が要る、こういうふうに聞いております。そのほか、東京大学等でも、やはりこれの同じような検討をいたしておりますけれども現状ではまだ解決にはやや遠いという状態であると思います。
  33. 野田武夫

    野田(武)委員 くどいようですけれども、水の問題は真剣に取り組んで御検討を願いたいと思います。  次に、産業規模の非常な拡大をするわけですが、これに伴って、道路とか、鉄道とか、あるいは港湾等の輸送施設の整備が必要であることは当然でありますが、この実施にあたって、これら重要な関連施設が整備しなければ、総合的な計画の進行を伴わないということを心配しておりますが、これらについて計画その他お考えを承りたいと思います。
  34. 藤巻吉生

    藤巻政府委員 道路とか、鉄道とか、港湾というような輸送施設、あるいはただいま問題になりました工業用水等の、産業関連施設につきましては、現在におきましても非常に不備、不足しております。たとえば道路、鉄道、港湾等の輸送施設について見ましても、増大しております貨物の輸送需要に応じ切れない、こういうような現状でございますし、また工業用水も非常に不足しておるような状況でございます。私ども今後臨海地域開発を促進して参る上には、まずこういうような産業関連施設の整備ということが一番重大かと考えております。なお、具体的にそれぞれの施設につきましては、関係の省の方からお答えしていただきたいと思います。
  35. 中道峰夫

    ○中道政府委員 ただいま御提案になっております促進法に基づきまして、運輸省、通産省建設省三省共管によって、臨海工業地帯開発公団の構想をただいま関係当局に提出いたしまして、折衝をいたしております。その内容を簡単に申し上げますが、経済企画庁がお立てになりまして、すでに御決定になりました新長期経済計画に基づきます鉱工業生産目標達成のために、その生産活動の基盤となります工業地帯におきまする立地条件の整備を緊急かつ計画的に行なうことが必要であると考えるわけでございますが、特に今後は、重化学工業の拡大に伴いまして、それに必要な工業用地工業用水不足を告げておるというのが現状でございますので、これを打開いたしまして、あわせて工業配置の適正化をはかろうということのために、昭和四十四年度までに、約四千八百万坪の工業用地、これに伴いまして、約五百万坪の関連用地造成、並びに工業用水の付設等を目標にいたしまして、臨海工業地帯開発公団、これは仮称でございますが、これを設置いたしたいと考えておるわけでございます。さしあたり本公団が昭和三十五年度の事業として百七十五億円の資金を必要とすると考えております。内容といたしましては、用地造成に百四十九億、工業用水道に六億五千万、関連産業に一億五千万、その他合わせまして百七十五億、それだけの資金をもって本公団を発足せしめたい。うち、政府出資金に期待いたしますものが二十五億円でございまして、政府の資金運用部資金からの借入金に期待いたしますものが七十五億、民間資金からの借り入れ七十五億というふうに考えておるわけでございます。
  36. 野田武夫

    野田(武)委員 今公団のお話が出ましたが、これは後刻まとめてお聞きしたいと思います。ただいまの説明によりますと、臨海開発促進法と関連して公団の案ができておるように思いますが、大体提案者は、関連したこういう公団組織というものは了解しておられるのですか、どうですか。
  37. 中村梅吉

    中村(梅)議員 ただいま関係省間において進められておる、いわゆる三省公団といいますか、これと直接結びつけた考え方で立案をし、提案をしたわけではないのであります。しかしながら、この促進法ができました暁に、大規模な総合臨海開発を実施するということになりますと、何か特殊の機関が必要な場合も起きてくると思います。さような場合に、今三省間において進められておりまする公団が幸いできますならば、ある部分については、その公団が実施の任務を担当するということもあり得ると思います。しかしながら、起案をいたしました当時においては、それと直接結びつくところがあって起案をし、提案したわけではございませんが、結果としてはそういうことになろうかと思います。
  38. 野田武夫

    野田(武)委員 公団については、あとで触れますから留保しておきます。ただいま私がお聞きしている関連施設の問題ですが、これは今の運輸省の政府委員お話の公団だけでは、やはり、提案者の御説明によると、一部部分的にはそれを有効に使えるかと思いますが、私は、この法案をお出しになるときは、こういう関連設備について毛一つ計画をお持ちになるべきだと思っております。また先ほど企画庁の政府委員から、この法案には反対ではない——反対でないということは賛成ということだと思いますが、それならば、この法案を実施する場合に、どういう総合的な関連施設の整備の方途を持つかということは、大体お考えになるべきだと思っております。そこで、これは先ほども政府委員から言われた通り、今度新たにできる、この法案に基づく地区開発だけでなくて、——ことに輸送交通問題のごときは、これは全国的に行き詰まっておる状態で、今日といえども、どのくらい日本産業のネックになっておるか知れない。そうすると、さらに膨大な新しい開発地ができるということになりますから、これもできるだけ格段の決意を持って計画をなされなければならぬ。まあ何とかなりましょうということであっては、もう十年の規定が一億何千万坪の土地ですから、きょうから計画しなければとても追いつかない。よく私どもは、多年そういう行政面を拝見しておりますが、どうもその場その場で答弁があって、それでけっこうだと思っておると、ほとんど実態を伴っていない。もとよりこれには種々の条件があります。それから役所の起案だけでできるものではありませんから、それも承知しておりますが、しかし熱意ですね。どうしてもやり遂げる、この法案に賛成して協力するというよりも、むしろ実施面の責任者は政府なんですから、きょうここでもって、どこをどうするということをお聞きするというわけじゃありませんが、一段の決意を持ってやっていただきたい。総合的な開発計画重点でございますから、その点を特に要望いたしておきます。  さらに次に、提案者一つお尋ねをしたいと思いますが、この広大なる、まことに日本の新しい国づくりというべき法案実施にあたりましては——これはしかも、この土地造成だけでなくて、今申しました関連した設備の整備、その他実におびただしい大事業であります。それに伴うて当然大きな資金を要することはもとよりでございますが、現在計画の実施にあたって想定しておられる資金源は、どこに求めておられるか。あるいは外資の導入その他もお考えであるかどうかという点を、一つ提案者からお聞きをしておきたいと思っております。
  39. 中村梅吉

    中村(梅)議員 具体的に外資導入等のことは目下まだ考えておりませんが、建前としましては、この法律が成立し、実施されるについては、国がその資金の調達ができるように努めなければならない、こういう大局的な責任を負うように立案をいたしたわけでありますが、具体的には、国も財政資金の中から援助のできるものはしていただく、それからなおそのほかに、先ほど三省公団の話が出ましたが、民間の資金を活用するという面につきましては、必要に応じて特殊機関、また三省公団にいたしましても、政府からは二十何億——さしあたり三十五年度の所要資金の百何十億のうち、二十何億が政府資金であるというお話でありましたが、まあこのような、これと類似の方法によりまして、政府からすべて全額の資金を調達するということは困難でありましょうから、一部は政府が財政資金あるいは財政投融資等から心配をする、他の資金は民間から調達をするということになりますと、自然それらの資金を調達し、事業の実施をする中心機関として特殊機関が必要ではないか、かような見地に立ちまして、そのような条項を実は設けたような次第であります。先ほど来の野田委員からの御意見、まことにごもっともな点が多かったわけでありますが、ついでにつけ加えて申しますと、たとえば、国全体としての輸送力とか輸送機関の整備等については、野田委員同様、私どもも国の発展産業の伸展に伴いまして、大いに力こぶを入れて関係当局にやっていただかなければならない、この要望する点においては全く同じ考えでありますが、同時に、この法案考えておりますように、今後の日本産業の伸展にかんがみて、臨海地帯開発の重要性というものは、これを重視しなければならないということを基本考えております。しかしながら、それを進めて参りますについては、直接関連をした輸送道路、先ほど議論になりました水の問題、いろいろあるわけでありますが、これらが、今のところで申しますと、必要な埋め立て等が行なわれ、海面利用等が行なわれて参りましても、それらの関連施設、水等の配慮なしに進みつつある状態でありますから、これを総合的に開発をする、そのために審議会が設けられ、あるいは必要に応じて専門委員等が設置できるようになっております。それらの機関を通して、総合的に臨海地帯開発するには、その関連施設をどうするか、水をどうするかということも一緒にそこで十分検討をされて、立案をして、そうして基本計画ができていく、かくして進められていく、こういうことに考えておりまするので、その考え方から申しますと、現在、水にいたしましても、関係各省間において、あるいは各方面においていろいろな構想が練られたり、調査が進められたり、立案等もありますが、ただこれと臨海地帯開発というものを切り離しておきますと、いつまでたっても所要の進行状態を見ることが困難ではないか、従って、こういうような基本計画ができて総合して一緒に進められるということは、私は、水の需要供給確保する上からも、非常な促進になっていくのじゃないか、こういうように実は考えておる次第であります。
  40. 野田武夫

    野田(武)委員 ただいま提案者の御説明を聞きまして、非常に意を強ういたしました。全く現在も、総合的な経済政策、総合的な産業政策の基本として政府当局がやっておられますが、この今提案されておりまする法案のごとき、真に画期的な総合計画を立てるというのは今までないことでございました。今提案者の御熱意のように、この法案の実施にあたりましては、そのような御意向に基づいて、強力にすべての条件、すべての計画が促進するように、うんと馬力をかけていただきたい。こちらから特に提案者に要望しておきます。  それから次に移りますが、先般の名古屋地方の災害で、御承知通り埋立地が非常な被害をこうむった。これは、わが国埋立地造成につきまして天が一つの示唆を与えたと言っても過言ではない。この災害にかんがみまして、埋立地の防災問題というものが、これは今まであまり取り上げられていなくて——今まで御意見はありましたけれども、これくらい世間で重要視しているときはなかったと思いますが、たまたまこの法案が出て参りましただけに、さらに一そうその感を深くするのであります。再びああいう悔いがないように、埋立地の防災問題について一つ積極的な策を検討していただきたい。それで、あの埋立地の災害の応急対策でなく、私が申し上げたのは、今後のわが国埋立地に対する防災問題、こういう問題についての御見解を一つお聞きしたいと思います。
  41. 藤巻吉生

    藤巻政府委員 先般の伊勢湾台風等の災害によりまして、名古屋付近等の臨海地で非常な被害を受けたわけでございます。私どもといたしましては、今後臨海地域開発をはかりますにあたって、これらの災害のありました現状あるいはその様相等も十分に反省いたしまして、今後の臨海地域開発あるいは整備計画の立案にあたりましては、特に防災的な見地からも十分考慮を払って参らなければならないというふうに考えておるわけであります。先般の名古屋地方の災害復旧対策につきましても、企画庁が取りまとめ役となりまして関係各省の協議会を設けまして、どうやったら今後このようなことがなくなるかということを目下協議しておるような次第でございます。
  42. 野田武夫

    野田(武)委員 今討議をなさっておるそうでございますが、大体具体的にどういう意見が出ておりますか。出ておりましたら、具体的に二、三お示しを願いたいと思います。
  43. 藤巻吉生

    藤巻政府委員 堤防の高さをどのくらいにするかというような問題が一番中心的な問題でございます。もちろん、防災的な見地からだけ申しますと、高ければ高いほど安全度は増すわけでございます。しかし一方、そのために非常に金がかかって参りますので、財政的な見地、あるいはそこで造成されました土地経済的な面を考えますと、十分大きな堤防を作るということも、なかなかむずかしい場合も出て参ります。どの辺へめどをつけたらいいかということを、目下寄り寄り協議しておる最中でございます。
  44. 野田武夫

    野田(武)委員 これも新しく出た問題ではございませんけれども、非常に大事な問題でございますから、一つせっかく経済的、かつ有効な方法を御研究を願いたいと思います。  次に、埋め立てをやります場合に一番問題になり、障害になる——と言うと少し語弊がありますが、問題になるのは、漁業補償の問題であります。これも各地で起こっております。どの埋め立て計画におきましても、漁業補償の問題で計画が思うように進んでいかない。時間的に、経済的に非常な損害を見ているのは、もうあちこちにあることでありますから、この点の問題は、こういう法案の機会にやはり特にお考えを願いたい。そこで今いろいろの意見が出ておりますが、これは地域によって経済単位も違いますし、それからその環境も違って参りますし、また、転業その他の問題もおのおの地域によって違って参りますかう、必ずしも画一的な対策というものが立てられにくいということはわかるのでございますが、今問題に出ておるのは、補償の基準を一応きめたらどうかという意見が有力に出ているのであります。それらにつきましては、この法律を実施する場合に、まずもって第一にぶつかる問題でございますから、農林省その他関係省でどういうふうにお考えになっておるか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  45. 藤巻吉生

    藤巻政府委員 一応私からその点につきましてお答えをいたしまして、なお農林省から補足をさしていただきたいと思います。  お話のように、漁業補償の問題が、実は埋め立てにつきましては一番重要な問題でございます。今後埋め立てを進めていくにあたりましては、漁業補償の円満な解決をはかりませんと、事業が進まないと考えるわけでございます。そこで、補償の円満な解決をはかるために基準を設けたらどうか、こういう御意見はまことにけっこうなことに存じます。私どもも、何とか今後そういうような基準のできますように努力していかなければならないと考えておるわけでございますが、補償の問題は、非常に地域的に状態が違っておりまして、なかなか統一的な基準を作ることがむずかしいわけでございます。どういうような基準ができますか、今後の大きな課題として、私どもも鋭意検討さしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。なお、農林省の方から補足さしていただきます。
  46. 木戸四夫

    ○木戸説明員 補償の問題につきましては、先ほど経済企画庁開発局長から答弁がありましたように、実は法律によって基準がいろいろ違っておるわけでございまして、法律の規定自体も、各法律につきまして違っておるようなわけでございます。従いまして、実際の算定方式も——漁業には三種類ありまして、漁業権漁業と、許可漁業と、自由漁業とあるわけでございますが、それぞれにつきまして法律の適用が違っておる状態でございます。私たちも何とか統一した方式を作りたい、かように考えておるわけでございますけれども、補償という問題は、何を補償するのだということになりまして、非常にむずかしい問題でございますので、今後企画庁とも十分連絡をとりまして、できるだけ統一したような基準ができるように努力して参りたいと考えております。
  47. 野田武夫

    野田(武)委員 今水産庁漁業調整課長の御意見を聞きまして、それはなかなか困難な問題に違いありませんけれども、これが一番むずかしい問題になっているわけですね。それでお話しの漁業権漁業の問題とか、許可漁業とか、自由漁業とかありまして、その通りであります。しかし、これは今まで長い間紛争の過程を経ておりますから、農林当局としても非常に関心が深いと思います。どの案がいいか悪いか、きょうここで審議する問題ではございませんけれども、これは、こういう法律案が出て参りまして、やり出しますと、この問題で半年も、一年も、二年もかかるという事態が起こらないとも限らないし、一番心配な問題ですから、きょうここで明快な御答弁を得ようとは思いませんが、ことに課長さんは責任の衝におられますから、一つこの問題に、万全ができないならば、次善でもいいからお骨折りを願いたい、こう希望しておきます。  次に、先ほど提案者の御答弁の中に、大体十年くらいを目標としての開発地域として、東京湾、北九州、伊勢湾等を列挙されましたが、今の日本経済拡張に伴うて、地域的に非常に経済的な差ができていると思うのであります。従って、国民生活も、地域によって非常に生活の基準が違っていはしないか。こういう画期的な法案が出て、もとよりこれはいい法案ですから、ぜひ通過させたいと思っておりますが、今日の日本経済産業の将来性を考えて、日本全体の経済力の発展ということから考えますと、先ほどの想定された地域、ごもっともだと思うのでありますが、今政府は、国民所得の倍増計画というふうなものを計画いたしております。この倍増計画も、御承知通り、これは業種によって非常に差が出てくる。われわれの憂えておるのは、中小企業、あるいは、ことに農業なんかは、はたしていわゆる政府のいう十カ年倍増計画に沿うていくかどうか、非常に不均衡なものが出てきはしないか、それと同時に、国内において、いわゆる後進地域と申しますか、あまり経済力のない地域は、これはやはりできるだけ早く経済力の均衡を保つ意味からいたしまして、後進地域経済水準を少しでも高めて、そしてその地域の住民の生活水準を上げるということを考えねばならぬと思っております。従って、今の想定された地域以外の後進地域についても、これは将来のことで、第二期計画、何計画とあるに違いありませんから、御勘案を願いたいと思います。こういう希望を持っておりますが、一つ提案者のお気持を伺っておきたい。
  48. 中村梅吉

    中村(梅)議員 まことにごもっともな次第でございまして、実は立案をするにあたりまして考えましたことは、先ほど具体的にあげました地域は、現にいろいろな埋立計画等があった地域でありますから、当然にこの総合的な計画地域とならなければならないであろうという考え方に基づいて申し上げたのでありますが、この法案の立案に際して考えましたことは、一企業会社、営利会社等が、都道府県知事の免許を受けて埋め立てをすることにのみ託しておきますと、自然、何といいますか、採算のいいようなところが先に運ばれるということになる。しかしながら、国内体として考えます場合には、これは後進地域についても十分配慮しなければなりませんから、いろいろな立地条件、あるいは国全体としての臨海地域開発、こういう高い見地に立って進めていく必要があるという見地に立ちまして、そうするのには、やはりこのような法律を制定いたしまして、その法律に基づいて国の力、あるいは国の考え方、総合された見地に立ってそれらの実施が見られなければならない、こういう考えで立案をしましたようなわけであります。従いまして、先ほど申し上げたのは、さしあたりだれでもが考えられるところという意味で申し上げたのでありますが、その他、国全体にわたって、今野田委員お話にありましたような後進地域開発という見地、あるいは運輸、あるいは原料、用水その他、そういう立地条件等も考えて、もっと高い見地、広い視野から臨海地域開発が総合的に進められるべきである、そうするためにはこのような制度が必要であるという考え方であります。
  49. 野田武夫

    野田(武)委員 ぜひ一つ今の提案者の御意見のように、後進地域開発にも心をとどめていただきたいと思います。  それから、今ちょうど提案者の御意見にありましたから、関連してお尋ねいたしますが、従来各地において開発計画が出されております。お話通りであります。公共団体、あるいは民間、その他の計画が幾多あるのでございますが、特に法律によって実施せられておる案もたくさんあります。たとえば、国土総合開発法とか、首都圏整備法とか、あるいは北海道開発法、九州地方開発促進法に基づくそれぞれの地域開発あるいは整備の計画が立てられております。そこで、今後本法が実施される場合には、既往の計画との調整が非常に大事な問題であります。困難という言葉は使いませんが、相当重大な問題となってきはしないかと思っております。たとえば、一つ身近な例を引きますと、東京湾お話が出ましたが、首都圏整備法に基づいて首都圏の建設計画をやっております。これは、中村さんも御承知通り、主要な目的は、東京都に集中する人口をどうして防ぐか、できればこれを少し分散したい、こういうのが一つのポイントになっておることは、御承知通りであります。今回この法律ができまして、東京湾埋め立てによって相当造成用地が完成する、そうすればまた人口が集中してくる、こういう矛盾も出てくると思っております。それで、また今お話通り、現在地方公共団体や民間でやっておる埋立計画、こういうものは、この総合計画が出てくると、あるいは実施中のものでも中止しなければならぬことが起こりはしないか。また、計画はそこでもってストップを食う場合も考えられる。それがまた、おのおの現在の計画は、提案者の御説明通り、民間で営利目的でやっておるものもありましょうが、主として公共団体その他のものは、真に地方の開発のために当たっておる、そういうことになると、この法の実施といろいろなものについて摩擦が起こるし、また計画にそごを来たしたり、こういう場面が各方面に現われてくる、こういうものの調整についてどういうお考えでおられるか、お伺いしたいと思います。
  50. 中村梅吉

    中村(梅)議員 御指摘の点は、内閣総理大臣開発審議会の議を経て指定地域を設ける、あるいは地域指定をするので、具体的な基本計画を立てる場合には、既往のそういう地域開発の制度があり、あるいは審議会等がみな今御指摘の開発制度の中にはあるようであります。従って、そういう関連審議会審議も経て調整をはかるというような建前にしているわけであります。  それから、先ほど首都圏整備との関連について御指摘がありましたが、これなども、この臨海地域開発法案それ自体と非常に重要な関係があるわけであります。首都圏整備の考え方からいいましても、この法案のような制度が新たにできて、そしてそれで調整されていくということが非常に肝要ではないか、私はこう思うのです。たとえば、現在東京湾について申しますと、東京湾は、東京都、神奈川県、千葉県、あるいはそれに、民間の企業体でそれぞれの都、県から免許を受けて事業を実施しているもの、こういうものがいろいろありますが、これらが首都圏整備という大方針とは必ずしも一致しないままで進んでいるわけであります。これを一致させるようにこの制度でいたしていくべきではないか。具体的に申しますと、今のようにばらばらで海面埋め立て及び開発が行われるということでなしに、既成市街地に接続したところにおいては、港湾設備なら港湾設備、及び港湾に当然伴わなければならない諸施設に所要の埋立計画というものが策定される、それから工業地帯住宅地帯を作る場合においては、首都圏整備における衛星都市建設という考え方に立って、千葉の方にはどういうふうにするとか、神奈川県の方にはどういうふうにするとかいうような、総合された見地に立って、総合計画が立てられ、基本計画が立てられ、基本計画が立てられて、進められることが望ましいのではないかというように実は考えているわけであります。そのような考え方に立って考えますと、この法案による臨海地帯開発というものは、決して首都圏整備事業というものと抵触しない。抵触するのではなくして、むしろそれと並行し、それと精神を同じくして進めることができる、こう思うのであります。  もう一つは、すでに実施中のものについてはどうなるかというお話がありましたが、これはすでに免許を受けて既得権として実施しているものについて、このような法律が制定され、新しい構想のもとに総合的に進めるにいたしましても、これをキャンセルすることはむずかしい、また無理であると私ども考えております。従って、そういうような既定の事実については、総合計画を立てるにあたって当然織り込まれて、それを含めて全体としてふさわしい基本計画が立てらるべきではないか、こう思います。同時に、先ほどお話のありましたような各地域開発計画、あるいは開発審議会との調整というような点が非常に大事でありますから、これは、この法律案の条項の中におきましても、これを主管する内閣総理大臣関係審議会審議を経て調整をはかる、こういうような建前を実はとっているわけであります。
  51. 野田武夫

    野田(武)委員 ただいまの提案者の御説明で、非常に了承しました。ぜひそういう計画のもとに一つ進行していただきたい。  そこで、実はそういうことを心配しまして、東京都と神奈川県と千葉県からお手元に送られております臨海地域開発促進法案に関する要望書というもの——私も受け取っておりますが、この中に出ているのを全部取り入れるということではございませんが、少なくとも今提案者の御説明の要旨、ことに地方公共団体の計画というもの、これはできるだけ意思をくんで、計画が生きるように、今後の運営のことでございますから、御留意を願いたい。時間の関係がありますから長く申し上げませんが、やはり地方公共団体の計画というものは、何といっても、その地方の開発、地方の経済の伸展ということを主眼といたしておりますから、特に御考慮を願う。それから首都圏の整備計画も、これは今日まで計画そのものは政府も各方面も非常に妥当なものとして遂行しておりますので、それを十分勘案して実施に当たるように、運営の場合に御考慮を願いたいと私は希望いたしておきます。  時間がだいぶ長くなりましたので、あと二、三、条文その他についてごく簡単にお聞きしたいと思います。  法案の三条の三項に「内閣総理大臣は、前項の規定により基本計画臨海地域開発審議会審議に付する場合においては、あらかじめ、建設大臣を通じて、関係都道府県知事の意見を聞かなければならない。」という項目がありますが、これは今提案者の御説明通り審議会審議を経て内閣総理大臣がきめるという建前になっておる法律でございます。これらを総合的に勘案いたしますと、審議会に付する場合においては、あらかじめ建設大臣を通じるということはどうか。これはむしろ総理大臣直接か、あるいは経済企画庁長官がその総合経済企画をやるのでございますから、その方が、この法律目的に沿うのではないかと思っておりますが、御見解はどうですか。
  52. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この点につきましては、私どもといたしましても、手続としてはいかようにしてもよろしいわけでありますが、努めて合理的な法律にいたしたいという観点に立ちまして、いろいろ衆議院の法制局の方にも御勉強いただいたわけでございます。しかしながら、せんじ詰めますと、この臨海地帯開発促進法というものは、大づかみに言えば、新しい一つ国づくりというような意味をなしておりますし、国土計画あるいは中央計画というものではないかと思うのです。さように考えますと、国土計画とか中央計画というようなことは、建設省の所管になっておるので、いろいろ法制局で御研究をいただきました結果、このような成文にすることがよかろう、こういう結論に実はなった次第であります。われわれとしては、決してどうでなければならないとは考えておりませんけれども、理論的にそういうような研究をしました結果、そういう結論になりました次第であります。なお、詳細の法律の立て方等について、必要がございましたら、その成文化に当たっていただきました法制局の人の説明を願ったらと考えるわけです。
  53. 野田武夫

    野田(武)委員 今のお答えのように、法律建設大臣が妥当であるということで法制局もお作りになったということはよくわかりますが、総合開発計画だけに、各省の関係もございますから、一つこれはお考えを願ってお打ち合せを願いたいということを希望しておきます。  次に、これは同じく三項に、「関係都道府県知事の意見を聞かなければならない。」ということが出ておりますが、意見を聞いた場合に、各都道府県知事と調整がつかないような場合がある。これは最後に審議会で決定して、総理大臣が最後の決をとるから、大丈夫ということでございましょうが、やはり国全体の開発でございまして、民意を尊重するという立場から、地方公共団体の意見を聞いた場合、もし都道府県知事と意見が対立したような場合を想像しました場合、全然これを無視しておやりになるかどうか、ちょっと御意見を伺ってみたいと思います。
  54. 中村梅吉

    中村(梅)議員 御指摘の通り関係都道府県、地元都道府県の意見は、最大限に尊重されるべきであると思います。従って、この三条三項によりまして意見を聞くことになっておりますが、この意見は、おそらく審議会においても、また、この法律の実施の責任を負います内閣総理大臣においても、最大限に地元都道府県の意向を尊重することになると思います。しかしながら、場合によっては、地元府県はやはり自分の府県の利害ということだけについての意見、そういう意見の立て方をする場合も絶無とは考えられないと思うのです。しかしながら、この促進法の建前から申しますと、国全体の大所高所に立って総合的な開発をやろうということでありますから、若干の食い違いのあり得ることは想定しなければならないと思うのです。そのような場合には、地元都道府県の意見が、審議会審議された結果、全面的に取り入れられないことも起こり得るかもしれませんが、しかしながら、実態としては、何としても地元都道府県の意見が最大限に取り入れられて、不満足だが、やむを得ないという線までいかなければ、円満な事業の実施はできませんから、結果としてはそうなると思いますが、さような建前で考えているようなわけで、条文としては、意見を聞くということにいたしておりますが、実質的には最大限に意見が尊重され、取り入れられる、こうならねばならないし、また必ずなるものだ、かように考えております。
  55. 野田武夫

    野田(武)委員 都道府県知事の意見を聞く問題と関連して、六条に「都道府県知事は、臨海開発区域における公有水面埋立法の規定による埋立の免許をしようとするときは、同法及びこれに基く命令の規定にかかわらず、建設大臣(港湾内のものにあっては運輸大臣)の認可を受けなければならない。」となっておりますが、御承知通り、埋立許可というものは、公有水面埋立法、港湾法、漁港法その他においておのおの主管大臣が免許をする。特に公有水面埋立法におきまして認められておりますのは、公有水面埋め立てのいわゆる十五万坪未満については、都道府県知事の免許によって成り立つ、こういうことになっていると思います。そうなりますと、今まで持っておりましたいわゆる地方自治体の権利を、ここでもって剥奪するということになる。この法律によりますと、地方自治体といたしましては、かなりな権限が縮小されてくる。やはりこれの前段で申しました知事の意見調整と同様に、この立法は非常に強力な立法であって、既存の権利を剥奪するということになると思うが、これらに対する調整の方法をどうお考えになっておるか。
  56. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この法案の精神自体が、努めて総合的な開発を進めたいということが基本でございますから、従って、都道府県におきまして、都道府県のみの地域的な考えで、今までは十五万坪未満の埋め立てについては許可を自由になし得るようになっておったのでありますが、その総合性といいますか、この法律の精神を生かすためには、やはり全体としての見方を必要とする。そのためには、免許をするにあたって、建設大臣あるいは所管の運輸大臣、農林大臣等の認可を受けなければできないということにした方が適切である、こう思うのであります。  ただ、そこで具体的に支障を生じないかという問題でありますが、これは具体的に支障を生ずるとすれば、埋め立てはよろしいが、それにはこういう関連した施設が必要であるとか、いろいろ総合的な見地に立って、総合的開発基本計画というものとつり合っていかなければならない。あるいは、その基本計画と合っていない分については、若干の制約はあるかもしれませんが、地元の府県としましても、国家的見地の感覚に立って考えてさえいただけば、その点の調整は必ずつくものである、かように私ども実は考えておるわけであります。形の上から申しますと、なるほど、今まで十五万坪未満の埋め立てについては都道府県知事のみの権限でできたことが、今度は所管大臣の認可を得なければならない。認可を得て、そして免許をするのだ、こういう建前になりますから、若干の制約にはなることになりますが、まあこの程度のことは、国全体としての総合的な臨海地帯開発を進めていこうとするのには、やむを得ないことではないか、こう考えておる次第であります。元来、この都道府県知事の権限というのは、これは都道府県の自治体としての固有の権利ではなくして、国家事務をかわって実施するという権限でありますから、国家的な見地に立って法律の運用をし、または臨海地帯開発目的を果たそうというに際しては、この程度のことはやむを得ないのじゃないか、こう考えておるわけであります。
  57. 野田武夫

    野田(武)委員 大へん時間がおそくなって恐縮ですが、あと一、二で終わりますから……。  ただいまの御説明に必ずしも満足ではないのでありますが、もちろん、免許の権限が国家事務の委任であるということには間違いありません。しかし、その委任する基本は、やはり地方の民意を尊重するという立場だと思っております。ただ、国が小さいものではうるさいからまかしているというような無責任な委任ではなくて、委任する根拠というものは、私は、非常にそこに民意を尊重する、地方自治を非常に尊重するという建前で委任しているものと思っております。しかし、総合計画を立てる場合に一々これとの調整考えるということになりますと、御説のようになかなか困難でありますかう、私は必ずしもこれをくつがえそうとは思っておりませんが、私、一つこの対案を持っておりますから、御参考に申し上げるが、それができれば相当調整されはしないかと思います。と申しますのは、本法の九条、十条、十一条に、いわゆる臨海地域開発審議会の設置の条項が載っております。この審議会の十一条を見てみますと、「会長及び委員二十人以内をもって組織する。」という、その二十人の委員の中に、大臣が八人、それから内閣総理大臣指定する国の行政機関の長が二人以内、学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が任命する者十人以内、この構想で見ますと、ほとんど政府が過半数を持つということに見受けられます。そこで、審議会の運営にあたりまして、今申した都道府県知事の意見を聞いたり、またはここに審議会委員として十人以内の学識経験者とありますから、相当地方事情、民意も現われて参りましょうけれども、どうもこれは少しいわゆる官僚くさいのじゃないか。こう役人ばかりそろっていてきめるということは、何だかこの国全体の総合計画に役人のにおいが強過ぎはしないか。要するに、開発計画なんというものは、用地埋め立ての場合に金を都合してやったり、または関連施設のためには鉄道を引き込んだり、道路を作ったり、これはいろいろ政府の御厄介にならなければならぬが、仕事自体は政府のやる仕事ではなくて、ここに入り込んでやる仕事は、民間の産業人、経済人が中枢に当たらなければならない。だから、この審議会は、総理大臣が最後の権限を持っておりますが、非常に重要な一種の権限を持っておると見ていい。それにただ役所の人をずらっと並べて、それからこの審議会の運営については、ここにあまり詳しく出ておりませんが、これは施行細則か何かに譲るのでしょうけれども、要するにこの審議会から参りますと、大体内閣総理大臣が思ったことは、だれが何と言ったっておれが勝手にやるのだ、一言に尽くせば政府の意のままにこの計画を遂行するという疑惑を持たれはしないか。そういうことはありますまい。これはもちろん、この法案自体から考えましても、そういうことはありませんけれども、民間その他においてそういう疑いを持つおそれがある。この開発計画というのは大事業でございますから、政府はもとより実施機関として一生懸命やらなければなりませんが、各公共団体や民間人がこぞって協力して、初めてこの大目的の完遂が実現するわけであります。そこで、この審議会委員の構成につきまして私は多少の異論を持っております。これは、今ここで学識経験者が十人入るから大丈夫だということでありますが、とにかく、それだけでは物足りない。そこで、同時に、ここに、私が今前段申し上げました都道府県知事の意見を求める、これは同意ということがあれば心配ないが、求める。しかし、運営上は、これ以上の条文は作れないでしょう。私にもよくわかります。同時に、知事の持っておった公有水面の埋め立ての十五万坪未満の権限も剥奪する、こうなって参りますと、この都道府県知事を審議会に入れたらどうか、参加させたらどうか。そうすると、知事も自分の地方だけ考えないで、その審議会に入りますと、大所高所から見て、そうして、国策の遂行だからこれに協力するということは当然だと思います。それから、もし、全国の都道府県知事が入れない場合は——これはこの法律の条文からすると、そういうことはできませんが、これは、悪い条文があったらいつでも変えたらいい。法律なんてこだわる必要はない。ことに議員立法でありますから、こだわらないで考えて、そうして、その地域関係都道府県知事を臨時の委員として入れるとかなんとかということをすれば、前段私が申し上げたことについての調整も非常にやすいし、また、地方公共団体の意見も尊重するし、民意もそこにつながって入っていくということになりますから、この審議会の構成について、一つそういう構想を練ったらどうか、こういう考えを持っております。今、直ちにこれに対して提案者から明快な御答弁をいただこうとは私は思いませんが、私は、これはぜひ一つ御考慮を願いたいと思っております。私の意見について、別にそうする、せぬという御返事はできなくても、私の意見についての御批判を一つ仰ぎたいと思います。
  58. 中村梅吉

    中村(梅)議員 この促進法が制定されて円満な実施をし、また、一面、この関連施設等を十分に円滑に完成していこうというためには、どうしても建設省を初め農林とか運輸、あるいは財政関係もありますから大蔵、あるいは施設として水道とか用水関係とかいいますと厚生とか、いろいろ各省が関係して参りまするわけで、それらに各省が協力し、理解を十分に初めから持って、そうして関連施設の充実を期して基本計画を立て、またそれを進めていこうというのには、どうしても代表者に入ってもらわなければならないということで、並べてみますると、結果的には、民間の学識経験者が十、各省関係が九ということに実はなったわけであります。元来、こういう方面に十分の関心と学識経験を持つ人が十人入ったらばよかろうという建前で立案をいたしましたようなわけであります。私どもは、このような成文が妥当であるという考えで立案をし、提案したわけでございますが、御意見の点につきましては、十分一つ今後検討をいたしたいと思っております。
  59. 野田武夫

    野田(武)委員 もう一点。本法案の第十六条では、「基本計画に基く事業のうち必要、かつ、適切な事業を実施させるため、別に法律で定めるところにより、特別の機関を設置するものとする。」これは先ほど提案者からもちょっと特別の機関についてお触れになりましたが、この特別の機関の構想はどういうふうにするのですか。
  60. 中村梅吉

    中村(梅)議員 考え方としてはいろいろあり得ると思います。先ほどお話の出ましたように、公団の方法でいくのも一つの方法でありましょうし、あるいはまた、特殊会社のような方法も考えられましょうし、いずれにいたしましても、相当量の民間資金を吸収するとか、あるいは政府の資金を投入して差しつかえない対象であるとかいうことが必要なわけでありまして、私どもとしては、これでなければならないということは、実は考えておりません。いずれ、この基本的な法律ができまして、この促進法を進めて参りまする審議会の制度ができましたならば、それらの関係の官庁を初め、学識経験者等、審議会委員の方々に、衆知を集めて、最も適切な、また、その地帯の開発に適する方法で特別の機関を研究していただきたい、こう考えております。
  61. 野田武夫

    野田(武)委員 この特別の機関は実施機関と思いますが、これは、よほど組織運営に御注意願いたいと思う。また、これはどういうものができるかわかりませんから、そうここでかれこれのことを申し上げませんが、ただ、先ほど運輸省の港湾局長からでしたか、御説明がありました通産、運輸、建設三省の臨海工業地帯開発公団でしたか、刷りものがありましたね。これが今出ておりますが、先ほどもお尋ねしたところ、別に直接この促進法と関連して出したものではない、できれば、将来こういうものを部分的に活用したいというようなお言葉であった。ここに各関係の役所の方がおそろいですが、これは、もともとこの促進法が出るということは考えないで、こういう公団組織をお考えになったのかどうか、また、これを予想しておやりになったのかどうか、ちょっとお聞きいたしたい。
  62. 中道峰夫

    ○中道政府委員 実は、この臨海地帯開発につきまして、昨年の国会でやはり三省共管で提案をいたしたいきさつがございます。臨海地帯開発につきましては、かねがね、これを総合的に、合理的に促進しなければならないということで、いろいろ構想が練られておったわけでございます。昨年の構想が、実はいろいろな事情で成立に至りませんで、私たちの方といたしましては、ことしに持ち越されたと申しますか、三十五年度にぜひ実現をいたしたいというふうに考えて参ったわけであります。そこで、昨年の提案の際から考えまして、この開発につきましては、ただいまいろいろお話がございましたように、東京湾を初め伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、北九州等、わが国の重要な臨海開発地域が現在いろいろな方法で実施されておる、これを、さらに国家的な見地から高度の調整をしなければ遂行できないというふうにお考えになられたと推察いたすわけでございます。従いまして、このようなりっぱな法案提出をされておることと存ずるのであります。従いまして、ただいま三省で提案をいたしておりまする案は、この御提案に基づきまして、この法律事業として促進をしていきたい、そうでありませんと、やはりわが国の重要な地帯の開発が、国の政策とあわせて、合理的に開発できないのじゃないかというふうな考えでございますので、これに基づいてやっていきたいというふうに、関係省の間で意見をまとめておるような状態でございます。
  63. 野田武夫

    野田(武)委員 御趣旨はよくわかります。それで、私、その公団について根本的に反対をする意思はございませんが、私、今手元にございませんけれども、刷りものをちょっと拝見したとところでは、あの中には四十何カ所でしたかね。
  64. 中道峰夫

    ○中道政府委員 一応四十です。
  65. 野田武夫

    野田(武)委員 何か四十カ所ばかりの一応開発地域が書いてある。そうすると、公共団体の計画さえもこれは途中でやめてもらわなければならないというようなことになって参りますし、あの公団の計画する四十何カ地域も、やはり公団を作って促進されるという意味はよくわかりますから、それはいいのですが、内容的に、やはりこの総合計画とマッチしない点がたくさんありはしないかと思うのです。そういう点で、せっかく公団を作られて、今度はこの法案が、実施面に入るという場合に、先ほど提案者は、まあ部分的に、場所によって公団を云々ということでしたが、私は、やはりこの法案が出た以上は、この法案の趣旨に基づいて、総合開発計画というものと方向が一致するような方法で一つあの案もお考えになったらどうかと思う。別に公団そのものに、これは問題が違いますかう、これをもって私はかれこれ申し上げるのではない。同時に、特殊機関を作るということになっておりまして、特別の機関が出てくる、こういうことを考えますかう、特にあのパンフレットを拝見してそう感じたのです。その点は、提案者の方と三省の間で一つ意見を交換されて、何らかの結論を出していただきたい、こう希望をする。  その中に一つありますのは、先ほどこの法律に基づく実施地域は大体わかりましたが、あの公団の想定されておる四十何カ所の地域は、私は、あの中にやはり農林省の関係する農耕地関係も出てきはしないかと思う。先ほど、やはりこの開発には農業用地のことも入るという御答弁でした。そうすれば、農林省はそういう必要はないとすれば別ですが——そういう感じもちょっといたしました。私はどうこう言うのではありません。はっきり言っておきます。ありませんが、そういう点も、あれを拝見してちょっと感じた。それで、私、大体これで質問を打ち切りますが、せっかくこの国土の総合開発という大目的を遂行されます画期的な法律でございますから、提案者においては、この実施機関をお作りになるには非常な留意をして、その運営が円滑にいくように、一つそういう機関をお作りになる、それから、今申しました公団なんかを活用される場合において、十分な配慮をしていただきたい。そうして、少なくとも、この法案の実施にあたっては、この目的に書いてある通り、総合的な開発目的を達成するために、政府は一段の熱意を込めていただきたい。  大へん長くなりましたが、私の質問はこれで終わります。何か御感想でもあれば提案者からお聞きしたいと思います。
  66. 三浦義男

    ○三浦法制局参事 先ほど野田委員から御質問がございました点で、二点だけにつきまして、提案者からお答えがございましたが、純法律的な見地から、審議の御参考までにちょっとつけ加えて申し上げておきたいと思います。  第一点は、第三条の三項の問題に関連いたしまして、「都道府県知事の意見を聞かなければならない。」、こういう点につきまして御意見がございまして、ごもっともだと思っております。私は、それがいいとか悪いとかいう問題でありませんで、こういうようにいたしました法律立案過程におきましての考えをちょっと簡単に、要領だけ申し上げておきます。  この建設大臣を通じまして関係都道府県知事の意見を聞くという問題につきましては、いろいろこの立案過程におきまして意見がございまして、関係各省の間におきましても、まあそれぞれの意見があるわけでございます。しかしながら、いろいろな点を勘案いたしまして、結局、法律的に考えますと、現在この法案考えておりまするところの臨海地域開発という問題は、いわゆる国土計画及び地方計画の大きい一環の問題である、従いまして、それらの問題として考えます場合におきましては、それをどこへやったがいいかという問題になりますが、御承知通り、国家行政組織法におきまして、各省権限の分配がきまっておりまして、その建設省設置法の中におきまして、国土計画及び地方計画調査、立案、こういう事項につきましては、本来的に建設省がその権限を持っておる、こういうように規定してございますので、そういう点から考えれば、建設大臣を通じて関係都道府県知事の意見を聞く、こういうことが適当ではなかろうか、こういうように考えておるわけでございます。  それからまた、その立法例といたしましても、御承知の国土総合開発法に基づきまして、たとえば、特別地域計画の場合、あるいは都府県計画の場合におきまして、やはり地方の意見を聞く場合の窓口といたしましては、建設大臣を窓口としておる、こういう立法例でありまして、その場合におきまして、経済企画庁の長官は、各省のそれぞれの事項につきましての総合調整をする、こういうような役割というか、立法例においてもそういう形になっておりますので、そういう点から、こういうふうにいたしたわけでございます。  それから、次に第二点は、第六条の問題に関連をいたしまして、公有水面埋め立ての大臣の免許の問題につきまして、運輸大臣または建設大臣の認可を受けるという問題でございますが、これは御承知通り、元来、公有水面の埋め立ては、すべて国有水面について免許という問題が起こるわけでございまして、国有水面についての埋め立ての免許の問題でございますので、本来、これは国の権限として行なう事項であって、直接に建設大臣あるいは運輸大臣自体が免許の権限を持ち、そうして、それで免許してもいいはずでございますが、地域的に方々いろいろ公有水面埋め立ての問題が起こったりいたしますので、それを全部掌握することはどうかということで、現在は、公有水面埋立法の政令によりまして、特別の事項に限定いたしまして認可を受けさせる、こういうことになっておるわけでございます。従いまして、免許いたします場合におきましても、その権限は、都道府県知事が都道府県の自治体の機関としてやるのではなくて、国家機関として免許をやる、こういう建前になっておりますので、そういう点から申しまして、特定の地域とか何とかに限りまして、全体の臨海地域基本計画という観点から、それの円滑な実施等を考慮いたしまして、都道府県知事が直接免許するのではなくて、監督行政の立場で認可をしてから免許するようにしなければならない、こういうようにいたしたわけであります。従って、免許の権限を奪ったわけではございませんので、どこまでも免許は都道府県知事が直接にやる、こういうことでございます。  それから、第十一条の審議会のメンバーの問題に関連いたしまして、今の問題ともなお関連いたしますが、都道府県の代表等を入れたらどうかというお話でございまして、最初の御意見ごもっともなことでもございますが、私どもも、との立案過程におきましてそういうことも考えてみたわけでございます。しかし、この法案におきましては、大体この計画等の決定と、あるいは立案決定等に関しまして、大きい国土計画の一環として、国の基本的な経済発展とかいうようなことから、国の責任において、あるいは国家的な見地からやるという建前に立ってこの法案考えられてございますので、そういう点から、各省の所管大臣のトップ・レベルと、それから、それと同数の民間の学識経験者と、こういう両者からなる審議会において十分に検討した方がいいじゃないか、こういうことから、都道府県のあれを入れなかったわけでございます。なおまた、都道府県の関係におきましては、先ほど申し上げましたが、基本計画につきましては都道府県知事の意見を聞くということになっておりまして、そういう面から、都道府県の意見はある意味において反映されるのではないか、こういうことも考えたわけでございます。  なお、さらにもう一点といたしましては、この地域が、どこが指定されるか予定つきませんので、これがある程度広範にあちこち指定されることになりますとそのつど、その関係の都道府県知事を任命しなければならぬことになりまして、たとえば、東京湾にいたしましても、これは三県くらいに関係いたすだろうと思いますし、そういうことからいたしまして、地域ごとに、指定があったたびに、そのところの委員を任命するということになりますと、大へんな数にもなるし、審議会の構成としてどうだろうかという点も考えられますし、その場合に、臨時委員としてそういう人を任命するということも一案でございますが、結局、この審議会指定だけでなくて、指定に伴いまして計画を決定し、また、その計画に伴いますところの事業の推進をやる、こういうことにずっと関連して参りますので、一度任命しました地方の関係者を、かりに臨時委員といたしましても、これがどこで臨時委員としての職務がもう遂行されたものとして解任されていいかという限界が、なかなか事実問題としてつかないだろうと思いますので、それらの点を勘案いたしまして、こういう構想にいたしたわけであります。従いまして、私は、結果がどうということではございませんで、一応この法案の構想といたしましては、先ほど御質問のございました点で、特に法律上の関係について一応の考えを申し述べまして、御参考にいたしたいと存ずる次第であります。
  67. 野田武夫

    野田(武)委員 今の御苦心のあともよく拝承いたしました。ただ、今お話しの、地方公共団体の代表者を、全部と言わないけれども、臨時委員にでもどうかといったことについての点ですが、審議会はこれを実施する責任がある、臨時委員を置いた場合に、どこで解任するかわからぬとおっしゃったが、何条かに、この実施に対して都道府県知事は協力せねばならないということがあったと思います。第七条に「関係行政機関の長、関係地方公共団体及び関係事業者は、基本計画の円滑な実施が促進されるように協力しなければならない。」とあります。私は、実施する面であるだけに、臨時委員において実施完成まで責任を持たしたらどうか。これは、決して私はあなたのお説に反論というのではありません。私の意見を申し上げるのです。その方が、いろいろな協力面において、責任を持って地方公共団体の代表者が入っておれば、その地方の事業促進には非常に有効ではないか、こう感ずるのですが、これは御参考ですから、どうということはありません。
  68. 寺島隆太郎

    寺島委員長 残余の質疑は次会に譲ることにいたします。次会は十三日金曜日午前十時より開会することにいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十分散会