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1959-11-13 第33回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月十三日(金曜日)     午後一時三十八分開議  出席委員    委員長 鈴木 正吾君    理事 田中 彰治君 理事 小川 豊明君    理事 神近 市子君 理事 山田 長司君       大倉 三郎君    高橋 英吉君       保岡 武久君    山本 猛夫君       淡谷 悠藏君    上林與市郎君       西村 力弥君    森本  靖君  出席国務大臣         国 務 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         防衛政務次官  小幡 治和君         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (経理局長)  山下 武利君         防衛庁参事官         (装備局長)  塚本 敏夫君  委員外出席者         宮内庁長官   宇佐美 毅君         会計検査院事務         官         (第二局長)  保岡  豊君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十一月十二日  委員田中角榮君及び河野密辞任につき、その  補欠として堤康次郎君及び高田富之君が議長の  指名委員に選任された。 同月十三日  委員大倉三郎君、千葉三郎君及び大西正道君辞  任につき、その補欠として高橋英吉君、山本猛  夫君及び上林與市郎君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員高橋英吉君及び山本猛夫辞任につき、そ  の補欠として大倉三郎君及び千葉三郎君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件昭和三十二年度一般会  計歳入歳出決算  昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十二年度政府関係機関決算書  昭和三十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十二年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書      ————◇—————
  2. 鈴木正吾

    鈴木委員長 これより決算委員会を開会いたします。  小委員会設置についてお諮りいたします。  国有財産増減及び現状に関する調査のため、小委員十名よりなる小委員会設置いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木正吾

    鈴木委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  ただいま設置いたしました小委員会の小委員及び委員長指名委員異動等による小委員補欠選任取り扱いにつきましては、いずれも委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鈴木正吾

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さように取り扱うことに決しました。  なお小委員及び小委員長につきましては、追って公報をもって指名いたします。      ————◇—————
  5. 鈴木正吾

    鈴木委員長 昭和三十二年度決算外三件を議題とし、審議を進めます。  まず宮内庁所管について質疑の通告がありますので、これを許します。  山本猛夫君。
  6. 山本猛夫

    山本(猛)委員 宮内庁長官お尋ねいたします。  皇居の中に勤労奉仕団といいますか、勤労奉仕隊といいますか、そういう人たちの内泊をされる宿泊所のようなものがございますか。
  7. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 宮内庁の東側の地区に宿泊設備を整えてございます。
  8. 山本猛夫

    山本(猛)委員 費用はどういう項目の中でお立てになりましたか。
  9. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 これは新規に建てたものでございません。以前からあった建物を利用いたしまして、宮内庁費をもって中を整備いたしたものでございます。
  10. 山本猛夫

    山本(猛)委員 その建物は在来あったものを充てられることになりましたということは承りますが、奉仕者宿泊させることを主たる目的としてその便に供せられることになったのか、いかがか、お聞かせ願いたい。
  11. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 現在でも御希望が多うございまして、毎日百五十人くらいの方が奉仕に見えております。もちろんその中には外泊される方がございますが、中に宿泊を希望される方もあるために、一応部屋と寝具を用意してございます。その中に関する、食事は自炊という建前になっております。
  12. 山本猛夫

    山本(猛)委員 それでは、明らかにその建物奉仕者のために使用される目的をもって、在来の用途変更して設置をされた、こういうことでございますか。
  13. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 現在はその建物勤労奉仕者宿舎だけに使用しております。
  14. 山本猛夫

    山本(猛)委員 そういたしますと、その宿舎管理人、あるいは宿舎に人を泊めます場合に世話をする人、こういう人たちはおりますか。おりますとすれば、何名。
  15. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 勤労奉仕取り扱いにつきましては、宮内庁官房総務課で取り扱っておりまして、宿舎には職員——大体泊まられる方の自主的な管理建前にしておりますが、すべての御相談、あるいは火の元の用心でありますとか、その他の意味で、職員が一名入っております。
  16. 山本猛夫

    山本(猛)委員 皇室経済法施行法の第二条についてお尋ねをいたします。  施行法によりますと、年額、お出しになる方が三百七十万円、お受けになる方が百二十万円と規定されてありますことは御承知通りであります。これは何年に立法せられて、何年に効力を発して施行せられた法律でございますか、お聞かせ願いたい。
  17. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 皇室経済法が成立いたしましたのは、新憲法施行と同時でございまして、施行令もまた同様であると私は記憶いたしております。  ただいまお示しになりましたお受けになる方が百二十万、当時最初はお出しになる方も百二十万という規定でございました。その後、恒例的に二百五十万というものを国会で毎年特別の議決をいただいておりましたが、毎年になって参りましたので、たしかただいまより四年くらい前から、その額を法律の中に加えていただいて、三百七十万になったものでございます。
  18. 山本猛夫

    山本(猛)委員 法律第四号をもって昭和二十二年に立法せられまして、その実施は昭和二十三年の四月一日からでございますが、皇室経済法によりまする百二十万円は、その当初からのものでございますか。施行法の第二条の百二十万円お受けになる方です。
  19. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 受けられます方の百二十万は、その当初からでございます。
  20. 山本猛夫

    山本(猛)委員 この皇室経済法施行法の第二条に規定せられておりまする、お受けになる方の百二十万と申しますと、年額でございますから、月額にして十七万円、貨幣価値とにらみ合わせまして、宮内庁長官は矛盾をお感じになりますか、なりませんか。
  21. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 皇室経済法及び施行令金額の制限と申しますのは、申し上げるまでもなく、憲法第八条に基因いたしております。憲法第八条には、皇室財産を譲り受け、あるいは財産を譲り渡し、または賜与する場合は、一々国会議決を要するという規定がございます。しかし、ささいなことまで一々国会に提案するという煩を省くために、一定金額皇室経済法という法律によってまかされておるという建前でございます。  その百二十万円の金額は、法律で定められました内廷費が八百万円であった当時でございまして、現在はその八百万円に見合いまする内廷費が、その後の物価上昇等によりまして、五千万円に改定になって、今日に及んでおります。そういう比例から申しますと、八百万円と百二十万円とどういう関係かということは、説明になかなかむずかしい点がございますけれども、その当時計算せられました百二十万円というものは、物価のその後の値上がりと貨幣価値の変化とにらみ合わせますと、少ないということは一応言われるのじゃないかと思うのでございます。しかしながら、皇室が多くのものをお受けになる、財産を譲り受けられるということにつきましては、相当慎重に考えるべきものじゃないかということで、今日に至ったわけでございます。しかし、ただいま申し上げましたように、当時の物価価値から考えますと、いささか低いのではないかとも思いますが、それをいつの時期にどうしていいかは、なお慎重に考えるべきものであろうと考えております。
  22. 山本猛夫

    山本(猛)委員 審議を進める上で都合がございますので、お尋ねをいたしておきますが、ただいま御説明憲法八条、それに憲法八十八条、国有財産法の第三条の二項及び国有財産法の十三条、この点について長官の御解釈を承っておきたいと思います。
  23. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 御質問趣旨が私にはどうもはっきりいたしませんけれども……。
  24. 山本猛夫

    山本(猛)委員 これからお尋ねをいたしますための必要上、憲法第八条に対するあなたのお話は今伺いました。それら憲法八十八条、国有財産法の第三条二項、国有財産法の十三条、このことにつきましてあなたの御解釈を伺っておきますことが、私がこれから本件審議いたして参りまするために必要なので、ぜひ一つあなたの御解釈を承っておきたいと思います。
  25. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 第八条の問題につきましては、それに関連いたしまして、一定の額が国会議決によって、法律によって、まかされているという点は、ただいま申し上げました通りでございます。  それから八十八条は、「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室費用は、予算に計上して国会議決を経なければならない。」という憲法規定でございます。この解釈について、特にわれわれといたしまして、過去において多少解釈上の問題が起こりましたことは、ここに書いてございます通り規定でございますが、これが経過規定かどうか。これは憲法成立のいきさつから申しまして、当時の国会における質疑応答等を見ましても、必ずしも明瞭でない点でございますが、一応これは経過規定ではないということで解釈をいたしておりまして、ただ、この場合におきましても、陛下の私的に属する財産というものは、これは別だという解釈が当時からございます。  それから国有財産法第三条二項でございます。御質問趣旨がどういうことかはっきりいたしませんけれども、この中に皇室用財産というものが行政財産一つの種類として上がっております。これは申し上げるまでもなく、「国において皇室の用に供し、又は供するものと決定したもの」というふうに規定されております。なおその関係の十三条は、その用途廃止変更に関する規定でございます。現在のところ、皇室用財産とその他の公用財産というものは台帳面において、もちろんはっきりされておりますけれども宮内庁全体の運営から見まして、この憲法施行の当時に皇室財産はすべて国有とすときめられたときに、非常に急速にいたしました関係で、十分でない点がございまして、われわれとしましては、こういう問題が今後にあるものと考えております。それから用途廃止変更については、特に現行の規定については特別の意見を持っておりません。
  26. 山本猛夫

    山本(猛)委員 ただいま宮内庁長官の御説明によりますと、憲法八十八条によって皇室財産はすべて国に属する、こういうのでございます。ところが、私的な財産に属するものもあるというふうに、長官はただいまお述べになりましたが、どういうものが陛下の私的な財産に属されるのか。憲法八十八条によりますと、ただいまお述べになりましたように、まさしく皇室財産というものは国に属すると規定してございます。陛下の私的な財産とは、何をおさしになりますか。
  27. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 この憲法ができました当時、もちろん占領下にございましたが、そのときにおきましても、これは当時の国会の記録にも残っておりますけれども、日常の経費はすべて国の予算に掲げて、皇室に関する経費はすべて予算歳入歳出に現われるということがございますし、それからただいまお述べになりましたように、財産はすべて国有ということでございますけれども、千五百万円は陛下私有のものとして保留されておるのでございます。それから同時に、解釈といたしましては、お身回りの品、たとえばめがねでございますとか、その他お身回りの品がそれに該当するということでございます。なお、制定当時の金森国務大臣の御意見としましては、お身回り意味には御別荘のようなものも入るように自分は考えておるということでございますが、現実には今の御用邸なんかはもちろん国有財産になっておりまして、そういった範囲のほんとうにお身回りのものと申しますか、当時英語ではビロング・ツーということで表現されて解釈されております。
  28. 山本猛夫

    山本(猛)委員 伺いますと、めがねとかちり紙とかドル入れ——ドル入れはお持ちになるかならぬかは別といたしまして、そういうまことに近接された、財産として計上される価値がない、価値に属しておるにしても少額に失するという程度のものだけが私有財産である、こういうふうにも長官の御説明は伺えるのでございますが、天皇は御承知のように人間として宣言をせられておる。憲法に許された基本的人権においては国民と平等であり、天皇もまた国民の一員である。しかるに皇室経済法及び皇室経済法施行法等、なお憲法の八十八条等をも含めて、国有財産法ども照らし合わせて考えますと、天皇人間宣言をされているにもかかわらず、何か考えようによりましては、天皇のお使いになるものすべてのものが国有に属する。御自分私有権に属するものは、今、長官が御説明になったように、めがねその他といったような、こまごました、きわめて身近い御使用になられます僅少のもの、これ以外は私有財産として何ら認めておられないけれども、認める場合もあるんだというような印象をお与えになるような御説明をなさいました。それはどの規定、あるいはどこの条文によってそういうことを認めてよろしいか。今、長官が言われました私有財産として認めていいという規定が、どこにございますか。
  29. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 ただいま私が申し上げましたのは、憲法あるいは皇室経済法制定当時における審議の結果の解釈でございまして、特に法文にそのことが明示してあるわけでは、もちろんございません。そういう解釈のもとにいくということでございます。  その前に一つ落としましたことは、内廷会計というものが、国から毎年法律できめられた額が内廷費としてございます。その範囲で購入されたものは、すべてこれは公金外でございまして、皇室の私的な財産になっておるということでございます。
  30. 山本猛夫

    山本(猛)委員 それでは伺いますが、この皇室経済法施行法の第二条の項目にございます、お受けになりました額の年額百二十万円、月額にいたしますと十万、これは皇室でお受けになりましたこの数字の部分は、天皇私有財産になりますか。いかがでございますか。
  31. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 なるものと考えます。
  32. 山本猛夫

    山本(猛)委員 それでは前に戻りまして、奉仕者宮内庁奉仕するのであるか、宮内庁奉仕する目的をもって全国から集まってくるものであるか、あるいは、皇室あるいは天皇奉仕する目的をもってやってこられるのであるか。その解釈を聞いておきたい。
  33. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 勤労奉仕は、すでに御承知と存じますが、昭和二十年の暮れに宮城県民の一部の方が、皇居が戦災でひどくなっております状況を心配されて奉仕を申し出られたのがもとでございます。自来今日まで十数年、すでに実際の人員で約三十五万人に達しております。この方々のお気持は、結局、皇居というものが荒れるのに忍び一ないということから来ておられますので、それを分析いたしますならば、やはり皇室のまわりをきれいにしたいということで来ておられると思います。
  34. 山本猛夫

    山本(猛)委員 それでは、奉仕をされる人たち目標というものは、天皇に対し、あるいは皇室に対しての目標をもって奉仕にこられるというふうに宮内庁長官解釈をせられておる、かように承知してよろしゅうございますか。
  35. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 もちろんおいでになります気持はそういうことであると、私は信じております。
  36. 山本猛夫

    山本(猛)委員 しからば、今日は最低賃金法というものが制定せられております。奉仕者といえども労力を提供する。労力を贈与する。贈与という言葉が適切でないかもしれませんけれども、結局においては、最低賃金法という法律制定せられておりまする以上は、人間労力賃金によって換算をせられると解釈することが妥当であると考えて差しつかえない。しからば、皇室経済法施行法第二条でお受けになる百二十万との兼ね合いはどうなりますか。
  37. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 憲法第八条は、皇室財産を譲り渡すという表現でございます。そういう面から申しまして、いわゆる短期間勤労奉仕というものが、任意に申し出られて行なわれますそういうものは、一応憲法にいう財産を譲り渡すという概念に入るだろう。もう一つは、今最低賃金法のことをお述べになりましたが、そういった短期間奉仕というものは、私ども法律に該当しないという解釈が立つのじゃないかと考えております。
  38. 山本猛夫

    山本(猛)委員 長官、私は解釈の能力が足りないのかどうかわかりませんが、世上いわれておりますニコヨンという言葉がございます。ニコヨンというのは、一日の労働賃金代名詞として社会通念上呼ばれております。ところが、奉仕というのは、長官承知通り最低三日ないしは四日。短期間と言いますけれども、一日の労働時間を賃金に換算して賃金を与えられる労働者のために付せられました、社会通念ニコヨンという代名詞をもってするようなものも、日当を受け取って労働に従事する。しからば、最低賃金法というものが制定されており、人間労力というものは賃金にかわるものだということが法律をもって定められている。奉仕とは何ぞや。百二十万お受けになる、皇室経済法施行法第二条にきめられました百二十万、これは御承知通り献上という言葉をもって呼ばれている。献上という言葉をもって呼ばれているものは、形のある。目に見えるものだけをさして言うのであるか。もし目に見えるものだけをさして言うものであるとすれば、どこにそれを明示する規定が設けられているか。労働もまた賃金にかえられる。賃金すなわちお金である。財産法をもって論じ得られる。しからば、その労働賃金を、労働力を提供する。奉仕という名において労力を提供する。言いかえるならばその賃金を提供する、献上するとも言える。この兼ね合い一つ明確にお聞かせ願いたい。
  39. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 労働賃金という面から申しますと、いろいろ御議論があるのかもしれませんが、先ほど申し上げました通り、来られる方の精神的な立っているところは、やはり皇室のお住まいをきれいにいたしたいということに違いございませんけれども、一応この皇居全体が国有財産でございまして、その清掃管理という面から申しますと、その労力というものは国有財産に帰属してくることになろうと思います。法律的に申しましても、これが憲法違反になるとは私どもは考えていないのでございます。
  40. 山本猛夫

    山本(猛)委員 今のお話を伺って、私ひょっと思い出しましたが、皇太子様の御殿を御造営なさいますのに際しまして、どこかの建築業者が一万円で落札をした。これが問題になって、多分あなたのお役所の瓜生次長の、新聞にお答えになったお答えと記憶いたしておりますけれども、そのお答えには、特定なる人間の特別な行為は受けないことになっている、こういうことを言われている。それと、ただいまの長官の御説明とはどういう兼ね合いになりますか。
  41. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 御承知通り、東宮御所の建設は、昨年度本年度、二カ年にわたって予算をいただきまして、進行中でございます。これは宮内庁予算を取りまして、それの詳細設計、請負及び施工につきましては建設省に御委任をいたしたわけでございます。ところが、ただいまお述べになりましたようなことが起こって参りました。これに対しまして世論は両論がございました。しかし建設大臣その他の非常な御努力によりまして、現在は六社協定のもとに施工されておるわけでございます。その場合の考え方と違いはしないかということでございますが、私どもは正当の国有財産建設する場合におきまして、これが世論を起こさない程度において行なわれることであればけっこうでございますけれども、特に何か非常に一般常識と離れた行き方ということについては、やはり相当考慮を要することでございます。そういうことがございまして、それは勤労奉仕に、先ほど申し上げました通り、毎年二万五千から三万ぐらいの方が入れかわり立ちかわり見えられます。これは非常に多数の方が僅時間に見えるわけでございまして、特定の人の恩恵を受けるということとは、私どもは違うのじゃないかというふうに考えます。
  42. 山本猛夫

    山本(猛)委員 長官、実は私はあなたに何の恩怨もございません。だんだんと長官の御説明を伺っておりますと、私の疑惑がだんだん深まるばかりでございます。私の疑惑はひとしく国民疑惑でございますから、私の疑惑をお解きになるというようなことで、本件審議にもう少し誠意をもって御協力を願っておきたい。従って、同時に私の疑問が国民全体の疑問であるといたしますならば、これは私ども、このままにしておくわけには参りませんので、私が了解のできますまで長官に具体的にお尋ねすることになりますが、その場合に、多分お聞き苦しい点等にわたる場合もあるかもしれませんが、前もって御了解を願って、本件審議一つ協力を願いたい。  長官は先刻、奉仕とは精神的なものである、物ではないと言われた。私の伺い方が悪いのかもしれませんが、そういうふうに了承いたしますが、社会通念上言われる献上とは何ぞや。法律的に申しますと、皇室経済法施行法の第二条に規定している百二十万のお受けになるもの、それをしかし社会通念では献上と言っている。今もそういう言葉が明らかに用いられている。献上とは何ぞや。われわれが友人から物をもらいます場合には贈物である。この贈物とは何ぞや。われわれが友人から贈物をもらいます場合にも、これは物だけではない。心がこもっている。すなわち贈物である。献上品である。皇室経済法施行法の第二条によると、百二十万円という数字をもってするところの物である。けれども、あなたのお考えを伺っておりますと、奉仕は精神的なものであるという。しかし奉仕とは何ぞや。奉仕とは労力の提供である。その労力は、最低賃金法という法律制定をせられて、経済の指数によって明確に表示せられておる。百二十万のお受けになる物は献上品である。奉仕は精神的なものである。何か別々のよりに聞こえるのでございますが、もう少し私の納得のいきますように、具体的に御説明を願いたい。
  43. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 今お述べになりました献上ということは、普通の概念におきましては、有形物献上財産をさしておるものと、いわゆる労力勤労奉仕という言葉とは、通常においても区別はいたしております。ただ私は、勤労奉仕は精神的なもので労力ではないとは申し上げなかったつもりでございます。ただ、その精神においては、両陛下皇室のお住まいになっている皇居をきれいにしたいということでありますけれども、その労力が働きますのは、現在におきまして申せば、清掃でございますとか革刈りというものは、国有財産の整備じゃなかろうかということを申し上げたわけでございます。
  44. 山本猛夫

    山本(猛)委員 それでは伺いますが、議題になっておる三十二年度の決算の中で、お受けになりました施行法の二条に基づきますものは、三十二年度でどの程度数字になっておりますか。
  45. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 約三十八件、四十数万円の程度であります。
  46. 山本猛夫

    山本(猛)委員 そこで繰り返してお尋ねいたしますが、物はそういうふうに金額に換算されているが、何を基準におきめになりましたか。
  47. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 これは皇室経済法でごらんになります通りに、そのときの時価による対価でございます。
  48. 山本猛夫

    山本(猛)委員 それならば、三十二年度において奉仕された方は何人ありますか。
  49. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 二万八千三百二十二人であります。
  50. 山本猛夫

    山本(猛)委員 どうも、長官のおっしゃることが私はわからないのです。おそらく当時の時価による価格に当てはめている。そうすれば、労賃だってその当時定められた最低賃金というものがあります。それはあなたの言うように、たとえば日当五百円とる職人さん、あるいは日当数千円になる収入のあるお店の主人公、こういうような人も参っておられますし、長官の言われるように、精神的なものによって、自分の家業を犠牲にしてやってこられるということはわかります。しかし、それも労働賃金に換算せられて、この施行法二条による百二十万円のうちに換算せられるのが至当ではございませんか。いかがでございますか。
  51. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 申し上げます通りに、その提供せられます労力によって利益を受けるのは、現実には国有財産でございます。ただ、私が先ほど申し上げました通りに、来る人の気持というものは、もちろん皇室のために、あるいはお住まいになる皇居をきれいにしたいということでございます。けれども、その利益というものは全部国有財産受けているということであります。従って、それが皇室の私的な財産として残っていかないという関係に、法律的に申せばなるのではないかと思います。
  52. 山本猛夫

    山本(猛)委員 私はまだ納得いたしませんので、これは後日に譲ることにいたしまして、それではもう一つ角度を変えてお尋ねをいたします。  憲法八十八条によって皇室財産はすべて国有とするということでございますが、内廷費と宮廷費の解釈をちょっと伺っておきましょうか。
  53. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 皇室経済法規定いたしております通りに、内廷費天皇並びに皇后、太皇太后、皇太后、皇太子、皇太子妃、皇太孫、皇太孫妃及び内廷にあるその他の皇族の日常の費用でございまして、宮廷費は内廷費以外の宮廷諸費でございます。
  54. 山本猛夫

    山本(猛)委員 皇室経済法の第七条にあります「由緒ある物」というのは、どういうものをさしますか。
  55. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」というのが第七条にございますが、これは三種の神器、あるいはこれに準ずるお品物という解釈でございます。
  56. 山本猛夫

    山本(猛)委員 宮中三殿はどういうものに属しますか。
  57. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 御質問趣旨は、所有権の区分でございますか。
  58. 山本猛夫

    山本(猛)委員 所有権の帰趨です。
  59. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 いわゆる宮中三殿のお建物は、現在国有財産としては登録されておりません。
  60. 山本猛夫

    山本(猛)委員 皇室経済法の第七条の「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」は、たとえば三種の神器である、こういうふうにお述べになりましたが、その三種の神器の財産の帰趨を伺っておきたい。
  61. 宇佐美毅

    宇佐美説明員 三種の神器につきましては、伊勢、熱田及び陛下のお手元にあります品物を込めまして、総括的に、学者によっては一種、二種の区別をするような、三種の神器について説をなす者もございます。ただ、これはもちろん皇位とともに伝わるべきものでございまして、御所有という面から申しますならば、これは公の立場におられる皇位とともに伝わるべき皇室の御財産というふうに私どもは考えたいと思います。
  62. 鈴木正吾

    鈴木委員長 この際、山本君にちょっと御相談しますが、赤城長官は四時までにどうしてもわきへ行く用事があるという話で、長官に対する質問があるのですけれども、その四時までの質問を終ったあとで、この質問を継続させるようにお譲りを願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  63. 山本猛夫

    山本(猛)委員 私は委員長のおっしゃることに同意しましょう。同意しますが、注文がある。きょうは長官も御用意が足りないようですし、お気の毒でありますから、長官が十分御用意になって——さらに委員長にお願いしておきます。さいぜんお話しになりました皇太子の東宮御所の御造営に関する資料、それから内堀の地すべりを直されたときの予算あるいはその収支の資料、これをお取り寄せになっていただきたいということを委員長にお願いいたします。それから、さらに承りたいことがたくさんありますから、この三十二年度の宮内庁に対する決算はこれで打ち切らないで、後日近いうちに委員会を開いて、これを取り上げになっていただきたい。それならば、ただいまの委員長のお申し出に同意をいたします。
  64. 鈴木正吾

    鈴木委員長 山本君の趣旨は、日をあらためて御質問になるということでございますか。きょう四時、長官が帰ったあとに継続するというのでございましょうか。
  65. 山本猛夫

    山本(猛)委員 宮内庁長官が十分な御用意がないようで、お気の毒でありますから、十分な御用意を願って、それからもう一つ、ついでに今申し上げた資料を委員長からお取り寄せになっていただきたい。次会です。きょうでなくてけっこうです。
  66. 鈴木正吾

    鈴木委員長 承知いたしました。      ————◇—————
  67. 鈴木正吾

    鈴木委員長 次に防衛庁及び調達庁所管について審査を進めます。  まず、会計検査院当局より説明を求めますが、なるべく簡単に御報告を願います。
  68. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 検査報告の順序に従いまして、調達庁から申し上げます。  調達庁は……。     〔「防衛庁を先にやれ」と呼ぶ者あり〕
  69. 鈴木正吾

    鈴木委員長 一括議題になっておりますから、防衛庁から……。
  70. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 それじゃ、あとで調達庁を申し上げます。  防衛庁の方の批難事項は一一号からでありますが、潜水艦潜航練習装置の製作代金を支払うにあたりまして、さきに債権の譲渡を認めておきながら、債権譲渡契約を解除したという製作会社の口頭の申し入れを信用し、事実の調査を十分しないで全額支払ってしまいました。しかし、事実は依然として債権は譲渡されたままでありましたので、やむなく債権者が製作会社に負っていた債務額を除き、三百五十一万円をさらに支払う結果となったものであります。また、この代金には十九万五千円がつけがけしてありまして、これを物品購入代などに充てておりました。  一二号は、イタリアのスタッキ一二会社にロケット弾を注文し、その前払金二千二百余万円を銀行保証状と引きかえに支払うことに契約していたものを、会社からの要請によりまして保険会社の保険証券と引きかえに支払いましたが、契約上の船積み時期が五月となっているのに、保険証券の有効期限はそれより早期の三月になっていたなど、前払金の保全に関する処置が適切を欠いたと認めたものであります。しこうして、現在まだ船積みされておらず、前払金の返還についてはすでに失効したと保険会社がこれを拒否している状態であります。  一三号は、工事の予定価格の問題で、諸経費を材料費、労務費等に割りかけて見積もる場合に、製品となっている材料の価額に対しましては、取り扱い経費程度にするという考慮が払われていなかったものであります。   一四号は、T34飛行機についてでありますが、二十九年に国産しましたプロペラの練習機につきまして、その部品の購入にあたりまして、その部品の製造会社が直接米国と技術提携をしていたり、独自に研究開発している部品を航空機会社を通して買ったために、一般管理費や特許使用権、治工具等の償却費をこれに割りかけられたもので、現に直接に購入した経験もあるのだから、直接購入して経費を節減すべきであるというものであります。  一五号は、海上自衛隊員の正帽について、関係法規の改正も行われず、予算においても認められないのに、従来より貸与数をふやしてきめた購入数量によって購入したものであります。それで従来通り貸与しているので在庫もあり余っている状態で、本件は全然購入する必要はなかったものであります。  一六号は、航空基地の整備用として万能研摩盤、工具研摩盤、平面研摩盤を購入しましたが、基地における工作機械の設備状況から見て、この三種類の研摩盤を取りそろえる必要はなく、万能研摩盤だけで十分な状況であるから、工具研摩盤及び平面研摩盤は購入する必要はなかったものであります。  十七号は、海上艦艇のエンジンのオーバーホール用の交換部品を米国海軍補給処から購入していますが、国産品でも使用上支障ないものであるから、国産品を購入して経費を節減すべきであるというものであります。  十八号は、ジェット・エンジンの運転検査に使用するテストスタンドについて、輸入品を購入していますが、これは一年前から実際に現物が配備されておりまして、これを見ても国産品でも十分と認められるものでありますから、高価な輸入品を購入する要はなかったというものであります。  一九号は、航空基地の野外整備隊機械工場で使用するフライス盤を購入しましたが、基地の整備作業内容からいって、二馬力程度のものが適当であるのに、七・五馬力のものを買ったことは、作業内容に適合しない。従って本件は高くて不便なものを買ったということになります。  二〇号は、普通実包の予定価格の作成にあたりまして、会社の既往の実績を資料として作成されたものでありますが、過去の実績を利用するに修正が足りず、調査が不十分で現状の把握が足りないために、予定価格が過大に積算されていると認めたものであります。  二一号は、羽田空港に自衛隊の航空機が着陸する際に給油させるガソリンの価格につきまして、空港における本件ガソリンの販売価格をもととしないで、その上に鶴見——羽田間の輸送費まで加えて買っていたのは、空港の販売価格の調査不十分の結果であると認められます。  二二号は、航空機搭載用の電子機器の点検修理について、(ア)、レーダー等の修理について前回に請け負わせた際の原価を調査して、これを反映させて契約すれば価格を減額できたというもの、(イ)は、領収検査に要する燃料費について、試験飛行用のものは同時に請け負わせた機体の方にも領収検査の試験飛行用の燃料費を計上してあり、電子機器と機体とは同時に領収検査の試験飛行を行なうことができるので計上の必要なく、また地上運転試験用の燃料も過大に計上されていたものであります。  二三号は、松島航空基地の用地買収にあたりまして、そのうち十一万余坪の分は基地内の土地を代替地としてあっせんすることにして、離作補償を別に支払った上、田を坪当り四百三十円、宅地を坪当り千二百円で買収し、一方代替地は財務局で坪当り百五十円で売り渡しているけれども、耕地はともかく、少なくとも宅地だけは等価交換できるはずというものであります。というのは、国道、学校等に近いし、宅地化や電灯線移設費、水道取付費を防衛庁で持っているので、同等以上と認められるからであります。また、ナシ畑の作物補償額の算出について、反当り補償額を出すのに、小さい面積を使い、大きい面積をその反当りにかけて補償総額を算出したりなどして、評価額が過大になっているというものであります。  以上、防衛庁につきまして、批難事項の説明を終わります。  調達庁につきまして、二件ございます。  五号でございますが、調達庁で借料を払って提供しております東富士演習場の一部に、東電と電源開発が送電線の用地としている部分があります。このうち鉄塔敷の部分は借り上げから除外すべきであり、線下地の部分は電気工作規程によって山林経営が制限される部分で、会社の方からも使用料を支払っておりますので、調達庁が他の部分と同様の借料を支払う筋はないというものであります。  六号は、提供する必要がなくなって、所有者に返還する場合は、原状回復等の補償をいたしますが、その際はなお念査の上、過去に支払った借料に過渡しがあれば返納させなければなりません。本件の場合、国費で設置した暖房設備があったことが判明し、過去に支払った借料にはこれに対する分を含んでいたので、この過渡し分を返納させるべきであったのに、部内の連絡不十分のためその処置をとっていなかったものであります。  以上、防衛庁と調達庁の説明を終ります。     —————————————
  71. 鈴木正吾

    鈴木委員長 質疑の通告がありますので順次これを許します。  田中彰治君。
  72. 田中彰治

    田中(彰)委員 防衛長官お尋ねいたします。今、会計検査院から指摘されましたこの総額をちょっと見ましても、やはり相当大きな総額になっております。防衛庁の批難事項というものは、毎年この決算委員会でも相当取り上げまして、非常に厳重にいろいろと質疑をするのでございますが、これが減る傾向がなく、かえってふえていく。しかも、一つがみな何千万円とかいうような大きなものになっている点を見ましたときに、なんと長官がおっしゃっても、考えられても、防衛庁のやることが非常にずさんである。こういう点だけは、もうここにおられる委員の諸君も認めておられるでしょうが、国民もひとしく防衛庁に対して非難の声をあげておる。この批難事項の問題については、各委員からいろいろ研究をされて、これから質疑もございます。  それで、私はこの批難事項についてお尋ねする前に、このたび非常に問題になっておりましたロッキード決定についてでありますが、これをお尋ねしたいと思います。  長官も、官房長官時代に当委員会へ来られていろいろと御説明もあり、また御答弁もされたり、いろいろ論議になったのでございます。われわれ決算委員会が、このグラマンという飛行機がこの世に存在しておらない。あったとしても、古い艦載機に古いエンジンをつけて、それを飛ばしてみる。今度は、その古い艦載機を改良して、これにロッキードについているエンジンをつけてやればこういう飛行機になるんだという予想、すなわち図面上の戦闘機にしかすぎなかったということを指摘いたしましたが、防衛庁からあらゆる、いろいろな専門家が来られて、ああでもない、こうでもないという議論があり、また五大新聞などは、できてもおらない、ありもしないものを、これがグラマン戦闘機であるというようなことを写真に載せまして、その能力あるいは機能というようなものを堂々と掲げ、また防衛庁でも、北海道の博覧会あるいはまた三越で行われました戦闘機に関する博覧会等には、できておらない飛行機の写真を掲げられて、これが今度わが日本で買うことに決定した戦闘機であるというようなことを発表され、そして写真が出ておる。これなどに対して質問をしたときに、まことに遺憾であった。だれか下の者が間違えて出したのであろう、というような説明をされておるにもかかわらず、その日の新聞を見れば、グラマンというものはやはり、りっぱにあって、ロッキード以上の安全性を持ち、また攻撃力においても、すべてにおいて優秀なんだというようなことが出ておったのであります。  しかし、善は勝つと申しましょうか、決算委員会がいかに正しい調査をしたと申しましょうか、結論においてはグラマンというものが、われわれの予想した通り完全なものがなかった。聞くところによると、これはアメリカの相当なところから入っておるニュースでありますから間違いございませんが、源田空将がアメリカに行ったとき、向こうの空軍の方では、あなたの方ではグラマンとロッキードが国会においても非常に問題になっておる、けれど、令度調査に来られたが、グラマンというものは実際はあなた方が思っておられるような完全なものじゃない。一台どうやら今エンジンをつけたから、飛ばしてみたければ飛ばしてみられるが、一台しかできておらない。それも完全なものではない。世界の各国どこでも一機も買っておらない。アメリカの空軍も採用しておらない。こういうものをお買いになっていっても、分担金も出ないし、アメリカの空軍でもこれを保障したり、お勧めするわけにいかない。まだその他にいろいろな戦闘機があるから、それをよくごらんになった方がよいでしょう。そうして、世界各国で採用しておる、アメリカの空軍でも採用しておる、現在あなた方が乗ってもみられるりっぱなものをお買いになった方がいい、というような話をしたということも事実である。  そうして、その結果ロッキードというものにきまった。ところが、国防会議も夜やられたのか、いつやられたのか知りませんが、さっとやられて、決定した。しかし、ロッキードは二年も二年半も前から研究をされておったので、別に源田空将がおいでにならなくとも、この決算委員会が、いろいろな資料で御説明を申し上げた通り、少しも変わっておらない。グラマンにおいても変わっておらない。わざわざ経費をつかっておいでにならなくともいいものを、向こうにおいでになった。ほかの飛行機でもお買いになるとか、また研究においでになったのか知りませんが、ロッキードにきまるものならば別においでにならなくてもよかった。それを今度行かれて、きめてこられて、そうして国防会議はちょこちょこっとやってしまった。  今度これだけの大きなものを作るには、ロッキードであった場合は、やはりロッキードと長い間技術提携をしておるところの川崎航空というものがある。それからグラマンにきまった場合は、グラマンを製造しようとして政府からたくさんの金を借り、そうして研究をして、あるいは技術屋をアメリカに渡米までさして研究しておったのだから、これは新三菱重工業がやるのが当然だ。しかし、これはどっちがやられてもけっこうです。けっこうですが、これだけの莫大な大きな金額のものを作らせるのに、見積書を出さしてみたり、いろいろ研究されてみたり、いろいろな方法を調べてみて、これなら安い、これなら安全だというようなことを確かめられて、作るところをきめられるのが当然であるのにかかわらず、そういうことをなさらない。新三菱重工業が主であって、川崎航空が従である。これにきまった。値段はわからない。まるでグラマンの幽霊機をきめられたような態度です。値段がわからない。われわれが自転車を一台買うにしても、物置を一つ作るにしても、図面を見るとか、写真を見るとか、現物を見るとか、これが幾らでできるとか、高いとか安いとか、だれにさしたらいいかとか、少し大きな家になれば、大工の二人や三人に見積もりさして、だれが信用あって、だれがこれを作るのにいいかというようなことをお考えになって、きめられるのがあたりまえであると思う。常識なんです。ところが、こんな何千億というものを作るのに、そういうことをおきめにならない。長官が新聞で言われたことが事実とすれば、値段はわからない。しかし、新三菱が主で、川崎航空が従だ。こういうような、非常に簡単なすべてのお取り扱いをなさるから、今、会計検査院から指摘されたような事項がたくさん出てくる。  私が申し上げるまでもなく、長官が御存じなんです。このロッキードが、非常に値段が上がっている。われわれ決算委員会がこれを取り上げたときに七十七万ドル、いろいろなものをつけて八十三万ドルぐらいならできるという見積書が出ておった。グラマンの方はもっと高かった。ところが、今度きめられたら、非常にこれは高い。高い理由は、われわれ公平に考えて、西ドイツが買ったところが、非常にロッキードの中に改良しなければならぬところがあったので、改良した。そういうようなものをまねしたり、いろいろなレーダーをつけたり、防衛庁が考えられたようないろいろなものをつければ、多少高くなるでしょう。さればといって、そんなに高くならない。高くなる原因の大半を私らが調べてみると、新三菱重工業で作れば高くなる。どうしてかと申しますと、ロッキードを作る場合、技術提携がないから。川崎航空が作る場合は、ロッキードを岐阜で作っております。水上機とか、いろいろなものを作っている。それだから、ロッキードに対するいろいろな機械設備、その他技師も、ロッキードの技師が岐阜県に百人近く入っているはずであります。ところが、新三菱がこれを主になって作るということになると、そういう提携がない。どっちかというと、今までのかたきのようなものです。かたきでもないでしょうが、反対のような立場にある工場がそれを作るんだから、設備等は全部やはりロッキードを作るように変えなければならない。そこへ技術者が一人もない。それだから、やはり百名近くの技術者を、グラマンを作るこの会社に連れてこなければならない。こういう経費も非常によけいかかる。労働賃金がこの決算委員会に出ておった。その労働賃金が出ておったときに、われわれ見たときには、川崎航空は一時間七百五十円、新三菱重工業が一千二十円、労働賃金でもこれだけ違う。設備を新たにしなければならぬから、うんと金がかかる。技師も新たに招聘しなければならぬから、金がかかる。そうして、今まで何ら提携のないものが、急に提携するのだから、これは精神的のつながりと申しましょうか、いろいろなものにおいて、やはり非常に困難な点が多少出てくる。これは人間だから、どんなにあれしても、一人や二人の人間ではなくて、たくさんの人間のつながりであるから、出てくる。そうなれば、値段が高くなる。作る時期がおくれる。うまくいかない。こういうようなことになるのを御承知で、新三菱重工業におきめになったのか。それとも、何かどうしても新三菱重工業にきめなければならないいわれがあったのか。  もう一つ。これは私、調べてみて非常に驚いたのですが、たとえば新三菱重工業が主になって、川崎が従になった。だから、たとえば三、七になる。主の新三菱重工業が七で、従の川崎が三をやる。一〇のものは七、三だというように割り出すのではなくて、主になるところがあらゆる機械とか何とかを購入してしまって、仕事の金額からいうと九をやってしまって、労働賃金に近いようなものだけの三を割り当てられるから、その金額のバランスは、一〇のものならば片方は九で、片方は一しかない。こういうような問題もある。そこで、これに対する御答弁を願いたい。  もう一つは、これは重大なことなんですが、国防会議でこれがきまると、即時に通産省の小出という重工業局長から川崎航空に電話がかかって、あした出てこい。出て行くと、即時に新三菱重工業と話し合いをしろ。話し合いとおっしゃられても、長い間、川崎航空とロッキードとは技術提携もございますので、新三菱重工業と話し合いをするには、ちょっと時間をいただきたい。そうすると、この小出局長は、君たちがわれわれの命令を聞かないというなら、これから防衛庁の仕事とか、そういうものは川崎航空にはさせない、といって一喝をしておる内幕がある。  もう一つ。防衛庁の航空機課長の馬場という人だ。この人がやはり川崎航空を呼び出して、これは電話ですが、早くきめなさい。きめないとロッキードがだめになるぞ、というようなことを言って、やはりおどしみたようなことをやっておる。  そこで、ロッキード社のハルという人が、これは社長だそうですが、長官に会われた。そう性急なことを言われても、なかなかうまくいかない。やはり川崎とは長い間、いろいろな技術提携をしておるから、御命令通り新三菱重工業とやるにしても、信義とか、今までのつながりがあるから、なかなかうまくいかない。もし、どうしてもそういう軽卒なことをやれとおっしゃるならば、仕事の関係がうまくいかないといかないから、いかなければロッキードをお断わり下さってもけっこうだ、というような話もしたということが伝わってきておる。こういうことが事実であるとすると、ほんとうにこの日本の大切な戦闘機を買うときに、いつ何どきでも、こういう政治的ないろいろなつながりがある。  これは財界の一部、政界の元老の一部から聞いた話ですから、私はほんとうと思っておりませんけれども、新三菱重工業の重役が、われわれは、グラマンにきまって、やるつもりで相当の金をかけて、設備もし、研究もした。しかし、グラマンというものは決算委員会にあばかれて、だめになったが、今度どの戦闘機にきまっても、きまったものは必ず新三菱重工業が製造できるようにちゃんときまっておるから、そういう心配はないさ。仕事の切れるような心配はない。グラマンというのは、新三菱重工業の仕事を減らさぬようにするために生まれてきたものであるから、どっちにきまってもそうだ、というようなことをしゃべっておるということが、うわさされております。これは私、本気にはしておりません。しておりませんが、そういうようなことが事実であるし、そういううわさが流布されておる。  そういうことになりますと、せっかく研究なさって、そうしてわれわれもずいぶんあらゆるところからいじめられ、たたかれ、悪口を言われ、ここで努力しておきめになったら、また戦闘機にきずがつく。われわれからすれば、戦闘機なんというものは、できたものを十機か二十機買って御研究をなさってもいいんだという考えを持っていたのですが、しかし、防衛の関係上いろいろなことをされたんでしょうが、されたならば、国民から疑惑を持たれないような、すっきりしたやり方をおやりにならないと、防衛庁の将来性とか、いろいろな問題に非常に影響してくる、こう私は考えております。  今、申し上げましたことについて、長官から一つ詳しく、いつも長官は簡単に、ぽんと答弁されて逃げられますが、いずれ通産大臣や国防会議の議長、その他いろいろな方を呼び出して、聞かなければならぬので、どうか一つ長官から、よくみんなが納得のいくように御答弁を願いたい。
  73. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 飛行機の機種が決定して、その国内生産の会社をどこにするか、こういう指定は、法律によって、通産大臣が防衛庁長官に協議してきめることになっております。そういう事情でありますから、通産大臣が指定をきめたわけであります。  しかし、その協議は受けておりますが、その協議につきましては、次のようなことでございます。全部を話すと長くなりますが、次の戦闘機の製造にあたっては、きわめて高水準の技術と膨大な製造設備を必要とする。従いまして、この生産態勢の決定にあたりましては、技術、労務、工場、施設等の点から見まして、ジェット航空機の製造の経験を有する新三菱重工業、川崎航空機工業、富士重工業の三社の中から選ぶことが適当だ。こういう前提であります。そういう前提のもとに、今申し上げました三社のいろいろな条件を調べたところ、富士重工業は現在のところ不適当である。こういうことで、新三菱重工業の実情と川崎航空機工業の実情を比較したものでございます。  その比較の内容につきましては、生産計画。この生産計画では新三菱重工業は今やはりF86Fジェット戦闘機を作っております。そのほかヘリコプターなんかも作っております。それから、工数の点でありますが、工数の点で現在三十八万工数、三十六年度末は十六万工数、三十八年度末は二十五万工数、こういうことになっていまして、新三菱重工のピーク時三十三年度の直接工が二千五百、約五十万工数の工数能力を有しておって、YS11が量産に入る三十八年度においてもなお二十五万工数程度の余力が予想される。こういうことになっております。  川崎航空機工業の実情につきましては、生産計画をまず申し上げますと、T33Aのジェット練習機二百十機を生産いたしました。そのほかにP2V17対潜哨戒機、これは三十八年三月までに四十二機を完成する。これが川崎航空機工業の生産計画の実情であります。工数の点におきましては、現在十六万工数。三十八年三月にやはり十六万工数。三十八年度以降はP2V17の生産数量の余力がありまして、ピーク時三十二年度に工員千四百、二十六万工数の実績に比べてなお潜在的に相当能力がある。こういうふうに思われている基礎があるのであります。  こういう基礎に立ちまして、労務、施設、技術等の諸点をなお詳しく調べ、今申し上げた点を総合いたしまして、次期戦闘機の生産にあたっては主契約者の新三菱重工業に指定した。それからサブ・コントラクターといいますか、これは川崎航空機工業も生産に協力する適格性は十分持っておりますので、この両社に分担さして生産させることが適当だ。いずれの一社も、単独でこの計画に従っての生産は不可能でありますから、新三菱重工を主生産者に、川崎航空機工業を従生産者として、両社協力して共同生産に当たるのが適当である。こういう通産大臣の見解であります。  その点につきまして私に話がありましたので、通産大臣が指定する権限を持っておるということでありますので、私の方でもそれが適当であるということを申し上げたのであります。  それから、お話の中に重工業局長とか、私の方の馬場航空機課長が、何かおどかし的なことを言ったということにつきまして、私、承知しておりません。なお調べてみます。  それからロッキードの日本の出張所長というのですか、ハルという人が私に会いたいというものですから、この間、防衛庁で、閣議の前でしたか、委員会の前でしたか、ちょっと会いました。会いましたところが、自分の方では川崎航空と今までいろいろつながりを持っているのだ。そういうことであるから、川崎航空を主契約者としてほしい、こういう申し出がありました。私は、この指定をどちらにするかということは、これは防衛庁長官の権限ではない。通産大臣の権限であるから、そういう意見があるならば、通産大臣の方へ話したらよかろう。しかし、決定は新三菱重工業を主契約者として、川崎が副契約者、こういうふうにこの間、通産大臣から話を受けて、私もそれはよかろうということになっておるから、なおそういう要望があるならば、通産大臣に話してみたらいいだろう。そういうふうになっているので、日本の国内生産者としては、両社協調して進めていくのが適当であろうと私は思う、こういうことを話しておきました。
  74. 田中彰治

    田中(彰)委員 今、なるほど長官は正直に、ハルさんなんかとお会いになったことをおっしゃっております。私はあなたのおっしゃることがうそとは思いません。しかし、あなたは防衛庁長官として、飛行機の飛の字も知らないような通産大臣に、ただ、これがいいから、こうしようじゃないかということでなく、私らがグラマンを審議した時分には、グラマンが内定した程度のものでした。ロッキードはまだ内定しておらない。それにもかかわらず、カタログその他生産に関するあらゆる資料を防衛庁がとって、そしてこれを非常に検討された。私らのところにもあります。きょう持って参りませんが、実に詳細にやったものがございます。しかるに今度、何十億か知りませんが、国民の血税であるそれらの大金を出して、いよいよお買いになるということがきまった。そうして国防会議できめられたその晩に、何の見積もりもとってない、何の工場視察にも行かない。ただ、下の者が調べた報告を、しかもこれがグラマンならグラマンにずっといって、決算委員会審議したことがうそであって、グラマンよりりっぱなものがあったということでおきめになるならば、けっこうですが一たん内定したものを白紙に返されて、そうして長い間アメリカに研究にやられ、調査にやられたのです。これは非常に慎重にやられた。そうしてロッキードにきまった場合には、これを製造するにはどこに見積もらした方が安くできる、どこがどんな能力を持っているかということを、もう一回あなたの方で調査をされて、そうしてあなたもその工場を視察されて、そしてまた通産大臣もきめるならけっこうです。しかも、池田通産大臣は大蔵大臣をしていたから、そういうことにこまかいはずだ。だから、そういう人もやはりそういうものを見て、そうして工場を現実に視察されて、これは川崎とロッキードの会社が長い聞こういう技術提携があったが、これを早くりっぱなものを、しかも安く生産するには、新三菱重工業の出したこの見積もり、この計画がいいのだ。川崎はそういう技術提携はあるけれども、川崎は落ちるのだ、ということでおきめになるなら、なんですが、その晩のうちにいきなり発表して、新三菱が主、川崎が従。それも値段がどうであるのか、見積もりがどうであるのか、労働賃金がどうなっているのか、そんなこともない。  しかも、私の今までに調査したことに間違いはございません。馬場さんも電話をかけておる。小出重工業局長も電話をかけている。こういうようなことがあるということになりますと、せっかく慎重に調査されておきめになったこのロッキードに対して、傷がつく。  そうして値段が高い。あなたが、何とそこでおっしゃっても、片一方はロッキードという会社と長い間、技術提携をしているから、精神的のつながり、設備のつながり、その他ございます。片一方はグラマンを作ろうとして長い間研究し、施設してきたのだから、これは違います。その違ったものを変えて、なるほど大きな設備はできるでありましょう。しかし、今あるものを使わないで、新しいものに変えて、そうして技師も新しく採用してくる。精神のつながりも新しくできる。しかも飛行機を売るハル社長があなたにお会いになって、こうしてわれわれは提携したのだから主にしてくれと申し込んだのは、やはり何か事情があるから申し込んだにきまっている。  ただ、それをあなたの方は、通産大臣の権限できめた。防衛庁長官がそれに賛同した。権限というものは、そんなに勝手に使っていいものですか。しかも、ぼくは言いたくないけれども、通産大臣はやはり指揮権発動までして助かった人ではないですか。日本の国始まって以来、やったこともないことをやった人だ。それを、あなたのようなりっぱな防衛庁長官が、こういう問題を起こし、ロッキードをきめるのに、ああそうですかと言うのは、おかしいじゃないですか。私はあなたを決して悪い人とは思わない。正直な方だ。しかし正直だからといって、その上にばかがついたら困るじゃないですか。ばか正直では困るのです。池田の口に乗って、すぐそういうことをやられては、これは重大な問題です。新三菱にやらせれば値段が高くなる。精神的なつながりがない。仕事がおくれる。片一方には技師が百名も来ている。私は、どっちにやらせと言うのではありません。見積もりを出させて、そうしてしっかりした書類をそろえられて決算委員会に出す。決算委員会国民の税金を守っていかなければならぬ。しかも、今あなたの申されておるように、一番批難事項が多いのは防衛庁だ、金額も多い。そういう指摘をされているのですから、こういうことをおきめになるのならば、川崎から見積もりを取って下さい。そうして、われわれがすっかり納得するような書類を取っていただきたい。新三菱からも取っていただきたい。その上で、つながりが、たといあったとしても、新三菱にやらせればこれだけ安くなる。早くなる。これだけの設備がある。川崎にやらせれば新三菱に劣る、あるいはすぐれる。こういうことを、はっきり通産大臣と一緒に出て来られて、説明されて、国民が、なるほどグラマンから今度はロッキードになったが、——もちろん戦闘機を買うのに反対の人も国民の中にはあるでしょう。とにかくそうやって、慎重にきめたというのでなければ、われわれ納得できません。  しかも、うわさが飛んでおるのです、ロッキードにきまるという——源田が帰ってきたときに、もう新三菱あたりが工業倶楽部などで会ったり、いろいろなところで会合して、仕事だけはおれの方に取ることにきまっている。仕事さえあればいいよ、といううわさが飛んでおる。これは私は政府の与党として本気にしません。けれど、うわさが飛んでいる。そうすると、政界の一部では、君たちが一生懸命になってグラマンの優劣をついて、ロッキードにきまったが、あの国防会議の早さ、あの会社をきめた早さ。やっぱり見ろ、グラマンからつながる新三菱が、ちゃんとつながっておったのだ。こういうことになった。しかも、内容をごらんなさい。あなたは今、従が川崎で、主が新三菱とおっしゃいますが、これは全部新三菱がやって、川崎にはほんとうに小さい小道具を預けてやる。三なら七三の三でしかございません。二なら二、四なら四でしかございません。少なくとも、そういうものを出されて、そうしてきちっと納得がいくようにされることが当然なのであります。どうか一つ、そういうことにしていただかなければ、われわれは納得できません。  それからもう一つ局長あたりがそういうところに電話をかけて、そうして今度川崎が、ハル社長が行って、あなたに会われたくらいだから、川崎を主にしてもらいたいくらいは言われたでしょう。それを、お前たちおれの命令に従わなければ、もう防衛庁の仕事をさせない。そんなことをもし池田さんが言ったとしたら重大だ。そういう点は、あなたは官房長官の時代からよく心得ておるのだから、池田君、そんなことを言ったって、君はそんなに信用のある政治家ではないのだから、あまり狡猾な変なまねをするな、これは一つまかせておけ、というようにあなたがおっしゃるのが、あたりまえだ。われわれは、これは納得できません。  それから、防衛庁のこの問題でも、あなたがそういう工合にされるのならば、われわれはもっと研究して質疑をしなければならないが、あなたのおっしゃることは私も無理はないと思う。責任ある、権限ある方ですから。といって、あなたも、そう池田勇人さんに劣る政治家ではないでしょう。おい、赤城君、これはこういう工合にきめたから、おれの方に権限があるのだから、お前ついてこい、と言われて、あなたものこのこついていって、これをきめるようなお人よしではないでしょう。それでは、その上にばかがついてしまう。  だから、これはせっかくおきめになったものだから、何とか一つ世間が納得のいくような方法にして下さい。こういうものを内定にされたのだから——決定であれば、われわれは責任問題もありますが、内定ということは、いつでも取り消したり、いつでも白紙にすることができるのだから、責任は追及しない。社会党あたりは追及しても、私はやらない。けれども、世間が納得する方法でなければ、これは承知できません。  それから、委員長に申し上げておきます。このことについて通産大臣、小出重工業局長、馬場航空機課長を呼んでいただきたい。(「総理も呼べ」と呼ぶ者あり)総理はあとでいい。これをお願いしておきます。
  75. 鈴木正吾

    鈴木委員長 今の御要求は、理事会で相談した上で決定いたしたいと思います。
  76. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 主契約者と従契約者ということは指定いたしましたが、実際にこれから契約を進めるわけでありますので、これは本社のロッキードの方の関係もあります。初めのうちは、御承知のように、向こうから部品を持ってきて、こちらで組み立てるのでありますし、そういうこともあります。  価格を決定するにつきましては、今お話しのようなことで、私どもといたしましても、できるだけ安くしなければなりません。ですから、川崎とロッキードと話し合っての価格、川崎と重工業と話し合っての価格、いろいろ、とってみます。これは安いのにやるのが当然でございます。できるだけ国民の負担が増さないような形で、価格を決定するにつきましては、私も十分慎重にやっていきたい、こう考えております。
  77. 鈴木正吾

    鈴木委員長 山田長司君。
  78. 山田長司

    ○山田(長)委員 われわれの立場から申し上げますと、世界の情勢が最近急変している事情から申し上げて、かくのごとき戦闘機の購入については、まことに理解のできない点なのでありまして、自民党の諸君の考え方とは、この問題を論議するにあたりましても、おのずと内容の異なった立場で申し上げることを一応御了解願いたいと思います。  次期戦闘機の決定にあたりましては、ちまたの寄席でさえも、この戦闘機の決定は政界空中戦だという悪口を言っているくらい、この三年の間における論議にあたりましては問題があったわけです。それが六日の国防会議でロッキード104Cの改良型と決定して、一応終止符を打った形ではありますが、われわれとしてはいまだ納得できない点が多々ありますので、どうしてもこの点を明らかにしてもらわなければならぬと思うのです。  顧みれば、昨年の八月二十二日に当委員会でこの問題を取り上げて審議をしたのでありますが、その年の四月十二日の国防会議においてグラマンに内定され、特に防衛庁ではこれを決定したと言って、先ほど田中委員が申されましたように、デパートの展覧会等を計画されて、これをグラマンに決定として当時発表されておったと思うのです。今回の源田調査団の調査によって、ロッキードということが決定を見たわけでありますけれども、われわれとしてどうしても理解のできないのは、防衛庁全体の予算の問題についても、かなりずさんなところがたくさんあって、それで今度の問題も急な変化がなされているということ。これは何としても、この急激な変化について理解ができないわけなんです。これに対して当局はどういうお考えをお持ちになっておられるものか。急変されておられるこの実情について、まずお尋ねをしたいと思います。
  79. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 お話のように、航空自衛隊の次期戦闘機につきましては、昨年の四月に国防会議におきまして一応グラマン98J—11というふうに内定いたしたのであります。その後、そのときにはまだ存在しておりませんでしたが、F104Cというものも開発されまして、アメリカ空軍にも採用されておる、こういうことで、決算委員会その他内閣委員会等におきましても、この機種の決定につきましてはなお慎重にやるべきだ、こういう議論があったわけでございます。防衛庁といたしましても、当時といたしまして集め得る資料を集めまして、グラマンが内定しておりましたので、グラマンのすぐれておる点なども説明申し上げたと思います。しかし、だんだんいろいろと調査を進めているうちに、先ほど申し上げましたように、なおこれは慎重にすべきだという議論が、国会あるいは国防会議等においても出てきたのは、御承知通りであります。  一方、西ドイツにおきましてもF104Cを採用したということでありまするし、カナダにおきましても、その後にF104Cが採用されましたが、ことしの六月にはまだ採用になっていません。これはグラマン、ロッキードで、ずいぶん争っておったようでありますが、最終的にはF104Cに決定した。あるいはまた、スイス等につきましても、いろいろ検討しておる。このいずれの国もアメリカに調査団を出しまして、そうして精密な調査あるいは操縦等をして決定しておる。こういうことも、われわれ聞いておりましたので、先ほどから申し上げまするように、国民の負担も相当増すものでありまするから、あるいはいろいろな論議もありましたので、実際にできておるところの飛行機を五機種選びまして、五つの機種をみずから操縦して、あるいは技術的な検討もして、その結果に待った方が公正だ。こういう観点に立ちましたので、ことしの六月にこの戦闘機械の問題につきましては一応白紙に返しまして、調査団を派遣する。こういう段階を経たのであります。でありますので、調査団編成にいたしましても、日本の現在のものとしては最高の権威を持つような人選をいたして、これは御承知のようにパイロット四名、技術者二名、その他民間の関係の顧問三名でありますが、これをアメリカに派遣したわけであります。  帰ってきてからの話によりますると、アメリカにおきましては、ほかの国の調査団よりもより熱心に、より真剣に操縦検討したということは、アメリカの方でも認めておるわけであります。  こういうような立場から、さっき田中委員から話がありましたが、アメリカ空軍とか、アメリカ当局がどれがいいとか、かれがいいとかいう示唆、あるいは質問などは全然なかったというふうに、私は調査団長から聞いております。これは日本みずからが決定することで、アメリカ側としてどれがいいとか、どれが悪いとかいうことでなく、できるだけの機会を提供するからということで、コンベアの102等などもなかなか乗れなかったそうですが、便宜をはかって、全部乗ってみました。そういうようなことでありますから、いろいろ論議はされましたが、何といっても現実に見て、乗って、そうして検討してきた。これ以上の調査団としての権威あるものは今ちょっとないと思うような調査団でありまするから、調査団の結論の結果を尊重することが公正な立場だ。こういう立場をとりまして、調査団の報告を尊重いたしまして、防衛庁といたしましては、従来こちらで検討した資料もありまするけれども、しかし、現地において操縦しあるいは検討したものの方がより公正だ。公正だといいますか、よりよろしいというような立場をとりまして、ロッキード系のF104Cが次期戦闘機として採用するのを適当と認める、こういう庁議にいたしました。  それを国防会議の原案として諮りましたところ、国防会議におきましても、防衛庁の決定したところのF104Cを採用し承認することが至当だ、こういうような結論に達しまして、F104Cを次期戦闘機の国内生産をするということに相なったわけであります。
  80. 山田長司

    ○山田(長)委員 ただいまの長官の答弁では——一体展覧会まで開いてグラマンに決定したということで、あらゆる国民にグラマンとして宣伝しているのですよ。それが二、三カ月の調査で、前にはロッキードからグラマンに変っているのだが、そういう変り方を平気でやっているから私は防衛庁は国民の信頼がなくなると思うのです。しかも、千二百億もの買いものを、決算委員会で問題にしなかったならば、あのまま進行していったら、とうに買われちゃったと思う。そういう点で、一体防衛庁計画の展覧会というものは、だれが計画したのか。そういうずさんなことでは、日本の防衛というものをあなた方にまかしておくわけにいかぬという気がするのです。これはわれわればかりじゃないと思うのです。展覧会を何万という人が見ているか知らぬが、ずさんな展覧会を公に見せておきながら、今度調査をしてきて、また変った。こういうことであるとするならば、私は防衛庁の威信というものは地に落ちると思うのです。せっかくたくさんの金を使っていながら、そういうむだな、展覧会計画一つでも非常にずさんなんですね。一体、この責任は一だれが持つかということです。だれが一体こんなことを計画をしているのです。
  81. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 お話通りで、ずさんなことなどでやるのはまずいとわれわれも始終考えて注意をいたしておるわけであります。たまたまこの問題等につきましても、グラマンに内定はいたしましたが、しかしながら、慎重を期して、ずさんでないような方法はどういうふうにしてやったらよかろうかということで、調査団を出して、ずさんでないような結果を得ようとしてやったのであります。でありますから、先ほど申し上げましたように、グラマンを内定したときには国内の資料、あるいは取り寄せた資料だけで内定をいたしたのであります。しかし、それ以上の方法をもって、現地において操縦し、そうしてまた技術的の検討もして、これをきめていくということでありますから、このきめ方は、何も一転、二転とか、三転とかいうことではなくて、より慎重にやろうという手順を踏んで、ずさんでないようなことにきめようということで、きまってきたのでありますので、その点は御了承願えると思います。
  82. 森本靖

    ○森本委員 関連して。防衛庁長官は、今そういうふうな答弁をしておりますけれども、先ほど来、田中委員も言いましたように、この決算委員会においてグラマンの問題を最初にわれわれが持ち出したときには、グラマンは艦上艦載機じゃないかという質問をすると、今度はグラマンのF11F—1Fの飛行機ではない。それにエンジンを改装した98J—11という飛行機だ。それなら、その飛行機はできているのか、見たのかというと、いや見ません。それなら一体、それをどういうわけで買うのだというと、今、理論上計算できる飛行機ですから、これは買ってもけっこうです。こういう答弁をこの委員会で繰り返しておるわけです。それは明らかにこの速記録に載っておるわけであります。いかに防衛庁長官が、いろいろの数字の問題を具体的に並べて答弁をしても、大体この筋書きは出てくるのじゃないか。だれか知らぬけれども、とにかくグラマンを購入をする。そうしてグラマンを引き受ける会社は新三菱である。ロッキードは川崎航空である。何とかしてこの新三菱に、とにかくこの飛行機の生産をやらせたい。  ところが、そこで決算委員会で非常に大きな問題になった。これはこのままでいったら、与党の中でも反乱を起こす者がある。これは大ごとだということで、何とかこのグラマンというものをロッキードに変えなければ、えらい問題になる。変えるためには、いい方法がなかろうか。それには源田空将あたりを一応政治的にアメリカに派遣をして、実際に乗って見ろ。乗ってみたところが、これがよかった、こういうことでこれを変える。変えても、しかし実際の引き受ける会社は依然としてグラマンのときの新三菱である。それでこれが円満にきまったら、しごく四海波平穏である。こういう考え方で、これが今日まで筋書き通り進んできたと思う。これは週刊誌にも、岸総理が新三菱のだれそれと会うて、すでに話し合いがついておるから、これはおそらくロッキードになっても、もめぬだろうという記事も、ちらほら載っておるような状況であります。  私は、いずれ日をあらためて、そういう内容等については詳しく聞きますけれども、国防会議の最高の責任者として、一応この問題については、初めから決算委員会に岸総理も出て答弁をしておりますし、今回の早急にきめた国防会議の最高責任者は、何といたしましても議長である岸総理である。そういう点からいたしますと、防衛庁長官に答弁を求めるということについても、また今回の最高の責任者でありますし、初めからこれに関係いたしております岸総理を次の委員会なりあるいは適当な時期に、先ほど田中委員が言われました通産大臣、並びに小出局長、馬場課長と一緒に、当委員会にぜひ呼んでもらいたい。そのことを一つ理事会を通じて諮ってもらいたい。こう思うわけであります。
  83. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 ただいまいろいろの御推察やら御疑問の開陳がありましたが、それは違います。私の方としては、新三菱にやらせるためにこういうことをやったのではありません。決算委員会でも御承知のように、国民の負担を重からしめてはいかぬ、こういう議論もありましたし、まだ十分なる検討を経ておりませんから、権威ある調査団を出して、その調査の結果を待とうということであります。御意見、あるいは御疑問の点があるかもしれませんが、私の方は、新三菱に初めからやらせたいということで進めておったのではないということは、御了承願いたいと思います。
  84. 森本靖

    ○森本委員 委員長、今の点は理事会に諮って下さい。
  85. 鈴木正吾

    鈴木委員長 先ほど田中君の御発言のときと同じように考えておりますから、あらためてお諮りします。
  86. 山田長司

    ○山田(長)委員 当時、本委員会において、グラマンとロッキードの比較を審議した際に、ロッキードについては速度、上昇性能、行動半径、あるいは全天候、あるいは座席の飛び出す力が上方に改められること等について、いずれも明らかにされたのですが、最も問題になった点は、安全性や滑走路の問題だったのです。神近委員が当時実例をあげて、源田空将初め牟田、松前両将もロッキードにアメリカで乗っているということがわかった。それから、マッハ二以上の速力であることも当時わかった。そういうことがわかっているところへ、今さら源田氏に七十余日も調査の労をわずらわしたわけです。私は調査団が今度行ったということは、変えるにあたって伊能長官の顔を立てるために行ったのじゃないかという気が強いのです。源田氏が、当時決算委員会において判明しているという以外に、ロッキードにすぐれている点がどの点があったということを、今度の七十日間の調査の結果発見されたのか。この点の御説明を願います。
  87. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 いろいろ数字の点もありますけれども、要約して申し上げます。  上昇力の点でありますが、上昇力の点では、こちらで考えておったように非常によろしい。源田調査団長の表現をかりて言えば、無類によろしい。それから、最高速力においてすぐれておって、しかも高空における余剰エネルギーが最大で、戦闘力も最上である。この余剰エネルギーという点については、こちらではわからなかったそうです。向こうへ行きまして、初めて余剰エネルギーというものの効果といいますか、力が非常に大事だ。その点で余剰エネルギーが最大である、こういうことです。第三には操縦性の問題でありますが、超高速における操縦性が優秀である。上がってからもゆれないで、非常に操縦性が安定であり、また地上の操作と空中における操作との機械の装置が同じなために、非常にその点が便宜である。それからまた、地上における諸操作等も簡単である。一番御心配であり、われわれも心配しておりました安全性の問題、これも非常に心配されておったのでありますが、最近あるいは解決済みとなっておるものもあるし、解決されんとするものもございまして、こちらで考えていたほどに不適当というような立証は全然できないということであります。話の途中でありますけれども、これはロッキードだけの問題についての話を申し上げておるので、全部について、もちろん調査をいたしたのであります。  それから、今話されました心配の、行動半径及び所要滑走路の長さでございます。これもいろいろ問題になりました。行動半径につきましても、現地において操縦試験をいたしましたところ、二百ノーテイカル・マイル以上の行動半径を持つ、こういうことであります。それから所要滑走路でありますが、これも非常に長いことが必要だということでありまして、これは源田調査団長ばかりではございません。ほかにパイロットが三人乗って、全部操縦したのでありますが、全部乗ってみまして、滑走路につきましても、所要の滑走路で要求を満足する範囲内に入っておる。すなわち日本の飛行場においても離着陸ができる範囲に入っておる、こういうことであります。それから、全天候性が付与されている。  それから、なおつけ加えておきまするけれども、今度行きまして、やはり訓練のために若干の複座式の訓練機が必要である。二マッハ程度の飛行機については、アメリカ軍の採用しているところではどこでも使っておるそうであります。これはやはり訓練の安全性、不安性を緩和する意味においては非常に有効である。そういうことで、今度の百八十機のほかに二十機を必要とする、こういうことであります。こういうような点があります。  なお、その他の巨細な点がございまして、五機種に対していろいろ検討いたしました。五機種とも長所を持っております。別に悪いというわけではないのでありますけれども、結論的に申し上げますならば、今申し上げましたように、日本で採用するといたしまするならばF104Cが一番適当している、こういう結論に達したのでございます。
  88. 鈴木正吾

    鈴木委員長 この際、赤城長官にちょっと御相談するのですが、この源田空将の五機種に対する調査報告書というものをこの決算委員会へ資料として出してもらうことはできるのですか。
  89. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 調査報告書は相当膨大なものでありますし、その内部には、率直に言いますと米軍の機密に属する数字も入っております。膨大なものでありますから、その調査書類を全部出すということはできません。しかし、私どもといたしましては、できるだけの範囲内におきまして、いろいろ案ぜられた点などの調査の結果の解明を加えて出したい、こう考えております。
  90. 山田長司

    ○山田(長)委員 牟田、松前両将のロッキードについての報告書が当時あったと思うのです。これが急変してグラマンに変わっておるわけです。何のために牟田、松前空将というものが、グラマンになる前に調査に行ってロッキードの報告書を出しているのか。その点がさっぱりわからぬわけなんですよ。今の答弁の中に、そういう点がちっとも含まれていないのですが、これはあとで答弁してもらいたいと思います。  それから、続いて申し上げたいのは、さっきも田中委員質問されたが、六日の国防会議で池田通産相から、国内の生産会社の主契約と従契約の両社の発表をされた。このことについて、私たちが当時ロッキードの単価の問題をこの決算委員会で調べたときには、七十五万六千ドルであった。ことしの九月十九日にはロッキードが九十五万ドルになった。ところが、いよいよ契約を発表したその次の日には、ロッキードの価格が百三十万ドルに値上がりしている。発表すると同時にこういう値上がりをしている。そのほかに装備に要する経費が二五%、さらにそのほかの経費を入れると百六十万ドルになっている。大体、われわれが前に決算委員会で問題にした当時とは、全然価格が違って、邦貨にして五億七千六百万円、倍の価格になっている。こんなばかばかしいことが——契約もしないで、金額的にアメリカで値上がりを発表していながら、一体こんな形で契約を進めようという意図なんですか。この点どうなんです。
  91. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 牟田、松前君が行ったのは、調査に行ったわけではありません。向こうに行きましてロッキードに乗った。乗ったときに、なかなかいい飛行機だ、こういう発表をしていたわけで、調査ではございません。  それから、価格の点でありますが、八月でしたか、七十五万幾らということは、これは三百機生産の場合に調査したときの価格でございますが、これは全天候性になっておらぬときの価格でございます。それから、その中途において九十何万ドルということは、私は承知しておりません。私が承知しているのは、国防会議におきまして、ことしの六月に白紙還元するというときにいろいろ価格を調査しました。そのときの価格では、百万ドルをちょっとこしておりました。  それから、機種が決定したらば値上がりして、百六十万ドルくらいになっているじゃないか。そういうことは全然承知しておりません。私はそういうことはあり得ないと思います。これはドイツの例を見ましても、また、この間いろいろ検討したことにつきましても、そういうことはあり得ないと私は考えます。  そこで、価格をもっと公表したらよかろうとかなんとかいうことがあります。私どもも、きまったら公表したいのでありますが、そういかない事情もあります。どういう事情かと申しますと、これは価格というものをまだ正式に、契約当事者と直接に話し合って相当つめてはおりません。いろいろな方法によりまして、私どもも価格の概略の見積もりというものは承知しております。しかし、私どもといたしまして、やはり負担を軽くしたいということにつきましては、これは契約するときに十二分にこれを引かせる、こういう気持でおります。田中委員からも話がありましたが、日本の生産会社におきましても、分担して共同でやるようなことになりますが、片一方が安い、他方が高いなんということは承知できません。安い方にやらせねばならぬし、またロッキードの本社に対しましても、価格の点については相当折衝しなくちゃならぬと思います。これは日本ばかりではありません。アメリカ人も税金を負担するのであります。でありますから、アメリカ政府としても高いことを好むわけはありません。私は善意に解釈します。やはり低い方がアメリカとしてもいいと思います。こういうことになっていますから、私どもとしてはこの価格の点については十二分にしぼって、せっかく戦闘機を作るのだから、国民の負担を少しでも軽くするように、安くしたい、こういうことであります。幾ら幾らだということは、契約してからでないとなかなかできませんが、そういう努力を続けたいと思っておりますので、われわれがいろいろな方面から入手した価格の見積もりがありますけれども、それを今発表していくのは適当でないじゃないか、差し控えさしてもらいたいという意味におきまして、価格がどれくらいかということを申し上げないでおるわけでございます。
  92. 田中彰治

    田中(彰)委員 関連。今、長官お話を聞いておりますと、見積もりもこれからさしてみなくちゃならない。それをしないと価格もきまらぬ。両社を呼んで見積りさしてみて、高いようなところは是正する、こういう御答弁なんですね。そうしますと、まだ見積りも出してみない、さしてもみないのに、この会社を主とか従とかきめられる。しかも、これがどっちともそういう技術提携がなくて、グラマンのような問題がなくて、平穏にいっておるときであれば、どっちにきめられてもいいんですが、一応グラマンというような問題が世上に乗って、そしてその飛行機がだめになって、違うものに変わってきた。その違うものに変わったときに、その変わったものはずっと以前から技術提携があって、今、日本でもたくさん作っている。ロッキードの教師が百人も来ている。こういうことがあるものを無視されて、そして主を新三菱、従を川崎。その技術提携のあるものを従にされた。しかも、仕事の分担の内容を見ると、七三にはなっていますが、たとえば一千万であれば、七百万、三百万じゃない。片一方は百万かそこらの三だ。こういうことをおきめになっているのはおかしい。  もう一つは、これは長官から調べていただきたい。これはりっぱに川崎の相当な責任者が言っておるのです。このロッキードとグラマンの問題が起きてグラマンに内定をしたときに、ロッキード社は、あんなものはない飛行機だから必ずくずれる。そこでコンベアになるか、あるいはノース・アメリカンになるとか、自分たちのロッキードになるかにきまっている。ロッキード社だから、ロッキードのすぐれたことを認めたんでしょう。そうなることにきまっているから、もしロッキードになったならば、技術提携のある川崎にさしていただけますかと言ったときに、防衛庁の方から——今、長官が、そういう権限はないとおっしゃるけれども、防衛庁の長官——あなたでありませんよ、前長官及び責任者が、ロッキードにきまれば川崎にさせる、仕事をお前の方にさせるのだという、証文が入っているのか、立ち会いできめたか知りませんが、これだけは間違いない。もし、うそであるというならば、川崎航空の、その聞いた人を出してもらえば、だれとだれの前でそういう話があったということは言える。しかも、その話のあったあとで、防衛庁が笑ったという。これは私、防衛庁から聞いている。どうして笑ったか。ばかやろう、グラマンに内定しているのに、ロッキードがきまったらさせるなんていったって、グラマンにきまっているじゃないか、だからさせると言ってやったら喜んで帰った。こういう話し合いがある。  もう一つ、私が非常に不思議に思っているのは、当時グラマンの問題が起きておったときに、値段の問題が出たときに、ロッキードは七十七万ドル、約二億五、六千万かそこらの値段だった。それから、グラマンは五億五、六千万の値段になるというので、私持っておりますが、表が出ております。これは新三菱の見積もりを防衛庁が承認したものなんです。そうすると、今度ロッキードにきまって、それを新三菱が製造するようになったら、やっぱり前にきめたグラマンの値段と幾らも違わない値段になりかけておる。やはり新三菱にさせればそれだけの高い値段になるというふうに考えられる。もし、長官が、それは不思議だとおっしゃれば、当時われわれのところに出したロッキード社のCの見積り、これはホテル・テートでやったときに出したものが三億幾らのものであります。それからグラマンの出したものが五億幾らについております。それで、安いじゃないかと言っておった。今度きまって、新三菱が主になって製造するといったら、やはりグラマンの値段と幾らも違わない、五億何千万円ぐらいになるように出てきた。これを私らは不思議に思う。  もう一つ。技術提携を長くして、しかもロッキードが買ってもらっておるから、その社長か副社長か知りませんが、あなたのところに来られて、やはり技術提携は重大なものだ。そういう信義を裏切って買ってもらうなら、買ってもらうこともありがたくない、と言っておるところを見ると、やはりこういう点を長官がお考えになるのは当然であり、また通産大臣、通産大臣とはいますけれども、池田さんがここに来て飛行機の説明なんかしようと思っても、何もわからぬと思う。ただ、権限があるというだけです。それも、外貨とかそういう取引に関する権限でありまして、やはり戦闘機をきめるには防衛庁長官が、池田君、きめるといっても、君、飛行機はわからぬじゃないか。やはりこうして調べてきたわれわれがあれであって、長官がこれを監督指揮し、国有財産だけれども、これは防衛庁の財産だ。製造はこういうところがいいよ、と言って、通産大臣があなたに反駁していろいろなことをやったというなら別ですが、ただ、池田君がこういうことを言ったから、私は承認してやった、というようなやり方は、おかしいと思う。どうか、そういう点をよく御考慮下さって、国民の納得のいくようにして下さい。  今、山田委員からも出ておるけれども、一応グラマンを白紙に返され、ロッキードにきまろうと、コンベアにきまろうと、ノース・アメリカンにきまろうと、われわれにはそういう権限はない。そういうことに対しては言いませんけれども、せっかくきまったものを、高くなったところにやらせて、そのやり方をずっと見ておると、さっき森本さんが言ったように、どっちにきまっても新三菱が製造するようになるから心配ないよ、と雑誌に書いてあることが、裏づけられていくような気がする。これは耐えられません。しかも、あなたが長官をやっていらっしゃる。わが党の中でも一番悪いことをしないで正直だと評判されておるあなたが、やっておる。それが、あの札つきの池田さんのけつについていって、会社をきめるというのは問題だと思う。そういう点を、一つ考慮願って、やっていただきたい。
  93. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 ちょっとお答えします。もちろん考慮に入れてやっております。ただ、今お話の中で、新三菱が主契約ときまったから価格が上がった、こういうことではございません。これはきめる前に国防会議等におきましても、われわれが入手した価格によっていろいろ検討いたしたのでありまして、新三菱にきめたからだということではございません。  それから、先ほどお話もありましたが、新三菱でやるためだ、あるいは川崎でやるためだということで決定したことではございません。  それから、前長官時代に何か約束があったかどうかということは、これはないと思います。  十分御意見を尊重して、できるだけ安く、そしていいものを生産するようにしたい、こう考えております。
  94. 田中彰治

    田中(彰)委員 今、長官が約束はないとおっしゃる。これだけは確かです。これは書いたもので約束したのか、四、五人の幹部のおるところで約束したのか、川崎航空の——私は名前は申しません、ここに呼び出してけっこうです。そこで、ロッキードにきまればお前の方でやらせるんだ。これも、技術提携ですからあたりまえでしょう。ロッキードにきまれば川崎が主で、新三菱が従でやることが当然で、これをあべこべに、ぽっと変えられておるから不思議なんです。あなたがこの次においでになったら書類は見せますが、千万と違っておりません。ちょうど五億六千万円くらいの、もとのグラマンの値段を新三菱が出してきたものと、今度新三菱が主にきまって、ロッキードが幾らになったというものと、千万と違いません。そんなにうまく、なるということは、新三菱になればいろいろな施設というものを作るから、そう飛行機は違ったものでないから、そういうものになるのじゃないか。一方、川崎なら技術提携もあり、いろいろな便利もあり、いろいろな人もおるから安くなるのじゃないか。というように私らは、しろうとながら考えております。そこは長官からお調べ下さい。一書を書いてあるか、約束してあることは間違いございません。そういうことを私が聞いたから、そんなことと思って、聞きに行ったら、決算委員会で証人に喚問していただけば全部名前は申します、と言った。
  95. 山田長司

    ○山田(長)委員 きのう、きょうの新聞を見ますと、防衛庁の加藤防衛局長、それから今井次官が辞意を漏らしておるということが出ておりますが、当時の行きがかりから言うと、私はなかなか責任ある態度だと思わざるを得ないわけです。なぜそういうことを申し上げるかというと、昨年の八月七日に、今井次官が、決算委員会で問題になったときに言われたのですが、ホテル・テートにおいてロッキード関係者と話し合ったときに、五月二十日に見積書としてロッキード会社からわざわざ出されたものを中心として、グラマンにきまるにしても、一応ロッキード会社の説明を聞かなければ工合が悪いというような関係で、聞かれたものと思うのです。ところが、そのときの価格は七十五万五千九百六十ドル、邦貨にして二億七千二百十四万余円になっておった。それが、さっき伺いますと、百六十万ドルなんということは絶対にないというたんかを切ったわけですが、百六十万ドルにならないまでも、百三十万ドルくらいになる目安はあると思うのです。これは、あなたもそのくらいのことは了解して言われておると思うのです。それにしても、倍になる。四億六千八百万円です。約倍になる。ずいぶん、そういう点で理解できないところがあるのです。この間の閣議において、価格の問題が論議されなかったということですが、その理由はどこにあるのです。
  96. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 七十五万何千ドルかというときには、全天候性ということではない価格の見積もりだったということは、先ほど申し上げた通りであります。それから、ことしの六月には百万ドル以上のことになっておったということも、先ほど申し上げた通りであります。今度、国防会議等におきましても、価格の論議がなされないわけではございません。幹事会においても検討いたしまして、また会議におきましても価格の検討がされたわけであります。これは、何もロッキードばかりじゃございません。ほかの機種等につきましても、私どもが入手しました価格によって検討をいたしたのであります。しかし、最終の決定は、やはり契約しませんとわかりません。最終の価格のことは、きまっておりませんから、そういうことはもちろん申し上げられないのであります。価格の点につきまして、いろいろ検討いたしております。
  97. 山田長司

    ○山田(長)委員 大臣、うそを言ってはだめだ。全天候の設備がないというのはうそですよ。なぜ私がそういうことを言うかというと、当時の見積書の中に、どういう設備がされるかということも説明が書いてある。その説明の中には、前記の価格については次の整備内容を持っている、一、エンジン改良型 ゼネラル・エレクトリックJ79—7 二、火器管制ASG—14、火器管制装置 全天候迎撃能力を与える一切の設備を有する、と書いてある。さらに三、射出座席、上方射出ロケット作動の座席が設備される。それから四、引きがさ、大きいサイズの二十フィートの着陸用のものを使う、こういうふうな意味のことが内容に書いてあるじゃないですか。今言われる全天候の設備は、当時の予算の中にちゃんとある。さらに、燃料搭載量についても、内部燃料搭載量は約千十八ガロン、それから七百五十個の弾薬、M61砲、三個の増槽を完備されたものが取りつけられる。改装等についてもちゃんと説明がある。今あなたが言われる全天候の設備は、ちゃんとついておるのです。どこに相違があるか。価格は、その当時のものを変更されておるものがあるならば問題はないと思う。設備を改めてこの単価以上に上げたといっても、設備を余分につけているものはないじゃないですか。
  98. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 七十九万ドル幾らというときに、全天候性ではないと言いましたのは、またその後の八十六万三千ドルのときの価格、このときにも全天候性でない制限全天候性だ。全天候性として完全なものではない、制限の全天候性だ、こういうことでございました。今度のものはナサールというものをつけまして、火器管制装置をするわけであります。それによって非常に優秀な装置であると同時に、全天候性になる、こういう違いがあるわけでございます。
  99. 山田長司

    ○山田(長)委員 火器管制装置というのは、当時もつけることで予算見積りが出ておるものと私は思います。そういう点、つまり一挙に金額が上がったということが、どうも理解のできない点ですよ。
  100. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 そのときの装置と今度は違うのです。前はナサールという火器管制装置はつけておりません。今度つけようというのはナサールという装置です。
  101. 山田長司

    ○山田(長)委員 どうも、専門語でごまかされたような気がします。私が伺いたいことは、それでは、今度のロッキードの改装型と、ロッキードを日本向きに改造するといっておる。改装と改造の内容は、どういう点なんですか。
  102. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 装備、部品等におきましては大体変わらないと思います。これはドイツで採用したのもそうであります。先ほどから申し上げますように、火器管制装置にナサールというものを採用する、これがおもなる改装です。
  103. 山田長司

    ○山田(長)委員 そうすると、改装型と改造型との相違じゃなくて、火器管制用にナサールという設備をつけるだけですね。そこに非常な金額的開きがあるというのですか。
  104. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 七月か八月にいろいろな見積りがありましたが、私は六月ころには百万ドルになったので、これは採用するとか採用しないとかという問題とはならなかったときにそうなっておりました、ということを申し上げて、前に約束するとか何とかいうわけじゃなかったので、それが上がったというふうには考えておりません。  それから、この間の国防会議のときにも、採用するとかしないとかきめる前に、最近における私どもの情報を、これはロッキードばかりじゃないのです。全部について直接向こうの方から——調べた経路等はちょっと申し上げかねますが、調べたものを資料としたということでありますので、七十五万ドルがその当時の確定的なものだとか、八十五万ドルが当時の確定的なものだとか、それが急に上がったというふうには御理解いただかない方がいいのではないか、こう思っております。
  105. 山田長司

    ○山田(長)委員 今の火器管制のナサールというのがさっぱり理解できぬが、八月現在の予算見積りと、それを一カ所つけることによっての金額的相違がどのくらいあるのか、一応御説明願いたいと思うのです。
  106. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 八月でしたか、出したときには、機数三百機というふうになっていましたが、今度は二百機であります。それで主要の装置としては、J79—GE—3、それからFCSですか、火器管制装置についてはASG—14、制限全天候、こういうことに相なっておったのであります。今度はそれをFCS、火器管制装置をASG—14でなくてナサールにする、これが全天候、こういうことになっております。
  107. 鈴木正吾

    鈴木委員長 山田君、ちょっと……。もしあなたの質問が長く続き、まだ時間を要するならば、長官の御都合がありますから、次会に延期したいと思います。
  108. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 関連して。一点だけ長官お尋ねします。  私は、戦闘機を購入するということは、国防上の立場からあなたはお買いになるのだろうと理解しているのです。ほかの問題ではなくて、国防上の必要からあなたは戦闘機を、いろいろ世論もあるけれども、買わなければならぬ、こういうことでお買いになるのだろうと思う。今、お聞きしていると、買うことは国防会議できめるけれども、それをどこへ発注するとかなんとかいうことは、これは通産大臣がやる権限だ。こう言うが、私は国防上、いわゆる防衛上こういうものを買うならば、どこへ発注するということはやはり国防と重大な関係があるので、通産大臣がやること自体が私には納得がいかない。これは当然、責任上、防衛庁長官が発注すべきではないか、こう思うのです。この点一つ、私どもに理解さして下さい。
  109. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 それは、航空機製造事業法という法律がありまして、生産会社を指定するのは通産大臣、こういうことになっております。しかし、契約は指定された会社と私の方でいたしますから、再々御議論があったことを十二分に注意して契約いたします。
  110. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 ですから、契約はあなたの方でなさるというなら、契約の責任は防衛庁がお持ちになるわけでしょう。しかるに、指定するのは通産大臣であるならば、あなたの方で契約するが、契約上の責任を持たなくてもいいことになる。そんな不確かなことじゃいけないじゃないかということが一点。  いま一つは、今、問題になっているのは、グラマンにきまれば新三菱だ、ロッキードにきまれば川崎だ、こういうことは一つの契約の建前からいって、そうなるのが当然であるにもかかわらず、これがロッキードにきまっても、主として新三菱に行ってしまう。ここにも皆さんが疑問を持っておられるようです。私はこれを逆に外国の取引の慣習からいうと、その代理店というものを取りかえることはないと思う。代理店に重大な失敗があった場合には取りかえるけれども、さもなければ取りかえることはない。そこでお尋ねしたいのは、もしアメリカのロッキードのハルという人ですか、あなたのところにお見えになったというのですが、この人、あるいはロッキードから、川崎でなければ私の方はロッキードをお引き受けすることはできませんと言った場合には、どうなるのです。私は外国の取引の慣習からいったならば、取引会社に重大な欠点がない限り、それを変更することはないと思うのです。この場合には川崎に重大な欠点があったのではなくて、むしろ日本政府の方にあった。従って、私は、ロッキードでは、川崎でなければ受けないということはあり得ると思う。その場合におけるあなた方の態度はどうおとりになるか、この点をお尋ねしておきます。
  111. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 前段の、契約は防衛庁でやり、指定は通産大臣がするということはおかしいじゃないか、ということでありますが、航空機全般の生産の関係につきましては、法律できまっていることであります。国会議決を得たのでありまして、法律が変わりませんと変えることはできません。  それから、ロッキードの方の代理店が川崎ということにはなっておりません。技術の提携はあると思います。それから、新三菱の方では、グラマンとの技術提携は全然ないそうであります。そういうようなことで、向こうの会社から来ていますが、これはそれぞれT33とかF86F、こういうものの指導に来ているわけであります。ロッキード会社が新三菱とは関係を全然つけないということになりますならば、その点につきましてまた私どもも検討しなくちゃならぬと思いますが、今、まだそういうことは聞いておりません。何か両会社の間で話し合いができるようなふうには聞いていますけれども、今確実にその話は、私聞いておりませんから、申し上げる段階ではございません。
  112. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 最後に一点お聞きしておきますが、私は、さっきの田中委員のあれで、川崎に対して、お前の方へはこれをやらない、七と三ですか、その形で受けないならばあとはやらせない、というような圧力をかけているということを聞いたから、これはゆゆしい問題だと思った。  そこで、私が冒頭に、国防上これはお作りになるのかと聞いたら、その通りだと言われる。私はそう考えていない。国防上作るよりも、最近新しい言葉として、防衛産業育成という言葉がよく使われている。防衛産業というのはどういう産業だか、私にはわかりませんが、防衛産業育成というのは、結局は三菱とか川崎とか、そういう兵器産業を育成するのが目的でロッキードなりグラマンなんというものを買うのであって、国防上必要だから買っているのだと私は思っていない。これは見解の相違かもしれませんが、そういう立場でものを見ていくと、何としても新三菱へこの仕事はやらなければならないという必要があって、そういうようなことをやられているのじゃないか。そこに私は不純を感ずるので、この点をお尋ねしているのですが、きょうは時間がありませんから、これで終らしてもらいます。
  113. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 一言だけ御答弁申し上げます。防衛産業育成のためでなくて、国防の目的から戦闘機を備えるということは、前段お話しの通りであります。  それから、主契約を新三菱にした理由ということは、一番先に申し上げましたように、工数とか、労働条件とか、今たまっておる状況とか、こういう生産の計画等とにらみ合わして、その点から通産大臣の方もこれが適当じゃないかと言われますので、私もそういう観点から、よかろうということにしたのであります。
  114. 田中彰治

    田中(彰)委員 一点だけ。今、長官がおっしゃったのは、通産大臣が法律によって作る会社を指定することができる、契約はあなただという。そうしますと、通産大臣が今度は新三菱重工業と川崎航空の両社に指定したということ、これを主だとか従だとか、量だとかいう契約は、あなたの方の責任でこれは変えられると思う。指定を一つにしたならば、ほかへ変えるわけにいかないが、指定は新三菱重工業と川崎航空と二つに指定した。そこで、指定は法律によってしたが、これを主にするとか従にするとか、量はどれだけにするとか、受け入れの価格をどうするかということは、あなたが契約をなさるのだから、あなたの自由だと思うのです。その点、いかがですか。
  115. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 これは新三菱と川崎と両方でやることになります。ただ主契約者といいますか、指定をするのは、航空事業法によりまして、二つを指定するわけには参りません。一つを指定する。でありますから、契約の点におきまして、どの程度のものを分担してやらしたらいいかというようなことは、私の方で契約に際して折衝し、きめることでございます。でございますので、そういう点につきましても、いろいろ工数その他をよく検討してきめるわけでございます。
  116. 田中彰治

    田中(彰)委員 今、あなたはそうおっしゃいますけれども、しかし新三菱重工と川崎航空機を主と従に指定したのでしょう。しかし、工場を指定する権利はあるけれども、主だとか従だとかいうことをあなたはお守りになる必要はないと思うのです。もしお守りになるなら、指定された二つの会社が非常に値段を無謀なことをやったり、信用のないものであったり、あるいは生産に支障を来たすようなものであったら、あなたは通産大臣が法律で指定したのだから、彼らの契約を入れてそのままなさるのですか。私は、なさらぬと思う。私は、指定された二つの会社にやらせることはけっこうです。しかし、主にきめるとか従にきめるとか、仕事の分担量というものは、あなたがきめるのでしょう。指定されたものは、どんなことをやってもかまわぬのですか。その点、どう考えていますか。
  117. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 もちろん仕事の分担とか量というものは、私の方で検討の上きめるわけでございます。ただ、指定は一つになっております。二つを指定したということにはなっていないわけです。法律面からいいますと、主契約者を指定した、こういうわけでございます。主契約者は新三菱重工でございます。しかし仕事の分量、内容等は、私が入ってきめるわけでございます。
  118. 鈴木正吾

    鈴木委員長 本日の審議はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会