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1959-11-06 第33回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月六日(金曜日)     午後一時十九分開議  出席委員    委員長 鈴木 正吾君    理事 井原 岸高君 理事 押谷 富三君    理事 鹿野 彦吉君 理事 田中 彰治君    理事 高橋 禎一君 理事 小川 豊明君    理事 神近 市子君 理事 山田 長司君       高碕達之助君    増田甲子七君       保岡 武久君    横山 利秋君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房会計         課長)     牧野 誠一君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      末広 義一君         大蔵事務官         (管財局総務課         長)      向井 正文君         国税庁次長   篠川 正次君         大蔵事務官         (国税庁徴収部         長)      勝原  啓君         会計検査院事務         総長      大沢  実君         会計検査院事務         官         (第一局長)  秋山 昌平君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十一月四日  委員上林與市郎君辞任につき、その補欠として  大西正道君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十一年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十一年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十二年度政府関係機関決算書  昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書      ————◇—————
  2. 鈴木正吾

    鈴木委員長 決算委員会を開会いたします。  まず、昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書議題として、概要説明を求めます。  本件は去る二月十四日提出されたものでありますが、以後委員会審査の都合上概要説明を求める機会がなく、今日に至っておりますので、昭和三十二年度決算所管別審査に入ります、この機会説明を求めることにいたします。  大蔵政務次官奧村又十郎君。
  3. 奧村又十郎

    奧村政委員 ただいま議題となりました昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書について、その概要を御説明申し上げます。  昭和三十二年度中に増加しました物品総額三百四十七億円余であり、また、本年度中に減少しました物品総額二百十億円余でありまして、差引総額において百三十六億円余の増加となっております。これを前年度現存額八百四十二億円余に加算いたしますと九百七十九億円余となり、これが昭和三十二年度末現在における物品総額であります。  この総額内訳を、おもな品目別に申し上げますと、車両及び軌条百九十億円余、土木機械百六十億円余、試験及び測定器八十八億円余、産業機械七十三億円余となっております。  次に、物品増減の内容について、その概略を申し上げます。  まず、昭和三十二年度中における増加額を申し上げますと、その総額は三百四十七億円余でありまして、この内訳を、おもな品目別に申し上げますと、土木機械において六十八億円余、車両及び軌条において五十億円余、試験及び測定器において二十七億円余の増加となっております。  次に、減少額について申し上げますと、総額は二百十一億円余でありまして、この内訳を、おもな品目別に申し上げますと、土木機械において五十億円余、車両及び軌条において三十億円余の減少となっております。  以上が昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書概要であります。何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 鈴木正吾

    鈴木委員長 次に、検査院当局より説明を求めます。検査院事務総長大沢実君。
  5. 大沢実

    大沢会計検査院説明員 昭和三十二年度物品検査報告につきましてその概要説明いたします。  昭和三十二年度物品増減及び現在箱総計算書は、三十二年十月三十一日本院においてこれを受領し、その検査を終えまして、三十三年十一月二十九日内閣に回付いたしました。  右物品増減及び現在額総計算書に傷げられます物品は、国が管理する一切の物品を網羅するものではなく、そのうち重要な物品として政令で定められたものに限られているのであります。すなわち、物品管理法施行令第四十三条第一項第二号に規定されている物品及びこれ以外のもので需給計画を立てることとされている物品であります。  次に、右物品増減及び現在額総計算書における三十二年度中の物品増減等を見ますと、三十年度末現在額は八百四十二億五千九百余万円でありましたが、三十二年度中の増が三百四十七億五千二百余万円、同年度中の減が二百十億二百余万円でありましたので、差引三十二年度末現在額は九百七十九億九百余万円となり、前年度末に比べますと百二十六億五千余万円の増加となっております。  また、物品管理について不当と認めましたものは、昭和三十二年度決算検査報告総理府所管件を掲記しておりますが、昭和三十二年度決算の御審議の際御説明申し上げる予定であります。      ————◇—————
  6. 鈴木正吾

    鈴木委員長 この際、晴れ三十一年度決算の取扱いについてお諮りいたします。  前国会閉会中、当委員会といたしましては閉会審査小委員会を設け、昭和三十年度決算中、通産省、厚生省、労働省、建設省、農林省、郵政省の各所管及び政府関係機関について審査をいたしております。小委員会審査の経過につきましては、小委員会議録を御参照いただきたいと存じます。従いまして、今国会において昭和三十一年度決算審査を進めます際には、これら閉会審査小委員会において審査を経ました分につきましては会議録をごらんいただくこととし、割愛して進めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 鈴木正吾

    鈴木委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  8. 鈴木正吾

    鈴木委員長 次に、昭和三十年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和三十年度国有財産無償貸付状況計算書と、昭和三十二年度決算大蔵省所管議題とし、審査を進めます。  まず大蔵省所管の件につき会計検査院当局より説明を求めます。  秋山局長
  9. 秋山昌平

    秋山会計検査院説明員 昭和三十二年度決算検査報告に掲記されました大蔵省関係のものについて御説明申し上げます。  まず、租税についてでありますが、租税収納状況はきわめて良好でございまして、収納割合は九七%、前年度とほぼ同様でございます。  そのうち検査をいたしまして不当と認められましたものにつきまして、五三ページ以下に二四、二五と二件ございます。  この二件は、一は源泉所得税に対する追徴税の取り消し決議をしておきながら、取り消し決議をいたしました税務署から国税局への引き継ぎが確実に行われていなかったために、税額還付が著しくおくれまして、そのため百二十万円ほどの還付加算金を支払う結果となったものであります。  次の二五は、法人税減額更正をし、納付税額還付すべきところを、すみやかに内部で連絡しなかったために著しく還付がおくれまして、そのため加算金を八十万円ほど支払わなければならなくなったという事態でございます。  次に、五九ページに不正行為として掲記したものがあります。これは練馬、村山両税務署で、職員が収納しました税金をほしいままに領得したもので、二件四十二万円余りとなっております。  その他は、検査の結果注意をいたしまして、税務当局で是正された事項でございますが、五九ページ以下に「青色申告書の提出の承認を取り消させ徴収不足を是正させたもの」、これが二七から四〇まで、いずれも仮装、隠蔽等をして、青色申告承認を取り消すべき事態がございましたのに取り消していなかったので、これを取り消し、それに伴って税額を追徴させたものでございます。  次に、六一ページ以下に「租税徴収過不足を是正させたもの」、これが四一から二四五として載っておりますが、これはおもに法令の適用を誤ったもの、それから税務部内におきまして連絡等不十分のために租税徴収不足あるいは徴収過を生じたものでございます。全部で四億三千六百万円余り徴収不足になっていますが、そのうち一件五十万円以上のものにつきましては二一二ページから二四〇ページまでの間に掲記してございます。  次に、六二ページの「租税徴収上の過誤を是正させたもの」、徴収につきましては非常によくなっておりまして、過去の報告から見ますと著しく減っております。四件ほど掲記してございます。  次に、国有財産関係でございますが、国有財産管理につきましては五一ページのところに書いてございますが、収納未済額が七%余りに当っておりまして、前年度の三%に比べると高率になっております。このように収納未済が出ますのは経済状況にもよるかと思いますが、五三ページに書いてありますように、年度内に使用料徴収決定などもすみやかになすべきとでろを、年度末の三月において三四%、金額にすれば五六%を徴収決定しておるという状況で、こういう徴収措置がおくれておることも収納未済一つの原因かと思います。  国有財産につきまして不当事項として掲記しましたものは五五ページ以下でございます。まず、「機械器具の交換に関し処置当を得ないもの」、これが二件ほどございますが、いずれも中小の企業者が自分の機械と国の機械とを交換いたしまして、価格においては三割五分ほど減額されるわけでありますが、その交換した機械を自己の用途に供しないで、売り払ってしまっておるという事態でございまして、御注意いたしましたところ、当局者において解約、弁償金徴収等措置を講じております。  次に、二八から三五号まで「普通財産管理当を得ないもの」、これは旧軍用財産で長期にわたって使用されたりしておりますのに、使用料徴収、正規の契約等の手続がおくれておったものでございますが、いずれもこれを指摘いたしまして、徴収決定等措置を講ぜられたものでございます。それぞれの個個の案件につきましては、御質問に応じて詳細にお答えしたいと思います。     —————————————
  10. 鈴木正吾

    鈴木委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。  小川豊明君。
  11. 小川豊明

    小川(豊)委員 奥村政務次官がお見えになっておるようですから、主として管財局関係についてお尋ねしたいと思います。  昭和三十三年三月の大蔵省報告の第二次国有財産白書というものを見ますと、総額は二兆二百九十二億円という膨大なものになっています。この膨大な国有財産民間委員を含めたところの審議会にこれを諮問して、売却、貸付などを行ない活用しているわけですが、まだ効率的な利用という面では改善の余地が残されているということを白書は認めているわけです。今後この運用について当局はどういうふうなお考えを持っておられるか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  12. 奧村又十郎

    奧村政委員 国有財産管理運用につきましては、今後とも十分改善いたすべき点が多々あろうかと思いますが、私も政務次官就任以来まだ日が浅いものでありますので、十分まだ私としては検討が進んでおりません。管財局長が参っておりますので、局長に御説明させていただきます。
  13. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 国有財産管理処分についての改善方策についてのお尋ねでございます。ただいま御指摘になりました国有財産審議会、これは中央一つと、それから各財務局ごと地方審議会が設置されておりまして、この審議会の活用によりまして、民間学識者の御意見を伺い、十分反映いたすことにつきまして、最近相当改善されて参ったと考えているのでございます。しかしながら、まだ個々の問題について考えますれば、必ずしも十分とは申せない点もありまして、毎年検査院からの御指摘は、数字においては減少をいたしているとは申せ、まだ若干国会にも報告されるというような状況でございますから、まことに遺憾でございます。  まず、私ども国有財産管理を適正にいたしますためには、どうしても国有財産実態を正確に把握することが必要であろうと思うのでありまして、それが必ずしも従来十分にいっておらなかったのでございます。これは戦争終結に伴いまして、膨大な旧軍の財産が一時に大蔵省管理するところになりましたし、また財産税その他の物納によりまして、非常にこまかい財産大蔵省管理しなければならないというようなことになりました結果、必ずしも台帳面と実際の財産の現況が完全に一致しておらないという点があるわけでございます。この点につきましては、昭和三十一年度から実態調査をいたしまして、当初土地につきましては六万件を目標として実態調査を、三カ年計画ということで始めたわけでございます。その後、いろいろな予算上の制約等もございまして、これはほぼ四年間で、来年度には終結するという計画でもって、ただいま鋭意調査をいたしております。なお、当初の六万件は、当初としては経済価値の高いところ、主として宅地等について調査をいたしたのでございますが、その後、御承知のように土地価格は非常に急騰しておりまして、初めはほとんど経済的な価値がないと思っておりましたところも、最近値上がりして参ったというようなことから、この当初の六万件にプラスいたしまして、相当件数をこれに追加いたしまして、今後調査するということにいたしております。それから、台帳から脱落しております土地につきましては、実は台帳にあります土地について実態不明なものを調査に参りましたついでにわかったもの、あるいは売り払いその他貸付等申請がありまして、台帳を見たが、それが載っておらないというようなことで、わかりました分をぼちぼちやっておったのでございますが、これも集計いたしますと相当数量経済的な価値に上るのでございまして、これにつきましても相当件数を今後追加して調査するという考えでおります。先ほど申しました六万件の追加といたしましては、これは台帳登載済みの分でございますが、二万件を追加して調査する予定にしております。それから、脱落地につきましては、やはり土地二万五千件ほどを追加して調査する予定にいたしております。それから、河川、道路等用途廃止になりましたもので、これは普通財産として大蔵省に引き継がれるべき財産相当あるのでございます。これにつきましても約四千件ばかりのもの——これは現在は台帳に載っておらない分でございます、これにつきましても、調査をするという予定にしておるのでございます。  こういうように、まず第一に国有財産実態を把握いたしまして、その管理が適正に行われるようにいたしたいと考えておるわけでございます。  それから、処分の点につきましては、最近契約方針改善もいたしましたし、評価基準につきましても統一的な基準を作成いたして、各財務局に流しておるのでございまして、大体順調にいっておると思うのでございますが、この点につきましても今後鑑定官等評価専門員がおりますが、その研修その他によりまして資質を向上いたしまして適正な価格による処分が行なわれるようにして参りたいと考えております。  それからもう一つ、これは会計検査院の御指摘にもありますが、債権収納につきまして、徴収決定未済あるいは収納未済というようなことがよく問題になるのでございますが、これにつきましても、今後財産処分の際に相手方の資力調査等を一そう慎重にやることにいたしまして、新しい不良債権が発生するようなことのないように努めて参りたいと考えております。また、すでに発生しておる収納未済債権につきましても、できるだけこれを計画的かつ効率的に整理していく、一定の方針を立ててやっていくという考えでいたしております。  何分にも数量が膨大でありますし、人手不足というようなこともございますが、事務の緩急、順序等をよく考えまして、できるだけ管理処分について世の非難を受けるようなことのないように尽くして参りたいと考えております。
  14. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまのお答えに関連して、ちょっと伺いたいのです。用途廃止によるものとか、あるいは価額評価の基礎を出す必要のものとか、あるいは収納未済というような問題ではなくして、たとえば台湾銀行とか朝鮮銀行等の決済などについては、どこがその措置をされる所管になっておるのか、ちょっとお伺いします。
  15. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 お尋ね朝鮮銀行台湾銀行は、御承知通りいわゆる閉鎖機関に指定されまして、これは戦争終結直後に閉鎖機関となったわけでございまして、大体特殊な清算方法をいたしたのでございます。これは原則的に申し上げますと、内地におきまして存在する債権債務を整理するということでございまして、もちろん預金等につきましては外地の預金等も支払っておりますが、原則として内地に所在しております財産でもって内地債務を支払うということによりまして一応清算を結了いたしまして、御承知のようにそのときに残りました残余財産でもって、朝鮮銀行につきましては日本不動産銀行という第二会社を作っておりますし、台湾銀行につきましては日本貿易信用株式会社という第二会社を設立いたしまして、すでにこの関係清算は結了いたしおる次第でございます。
  16. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまのお答えでさらに疑問を持つのですが、それでは、全国からの確認申請によって数字確認を出しておるものを、どなたか明確に、朝鮮銀行の場合、お答えを願いたいと思います。
  17. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 今、御質問の意味がちょっと不明でございましたので、もう一度お願いいたします。
  18. 山田長司

    山田(長)委員 確認をしてもらいたいということの確認申請が出ていると思うのです。その確認申請の数、それから、朝鮮銀行の場合にどのくらいの支払いをしているか。
  19. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 お尋ね確認申請といわれますのは、預金債務確認でございますか。
  20. 山田長司

    山田(長)委員 そうです。
  21. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 ただいまちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんので、後ほど資料によってお答えいたしたいと思います。
  22. 山田長司

    山田(長)委員 それでは、さらにその資料のときにお願いしたいと思うのですが、銀行の利息、それから聞くところによると七十七億の総額になっていたそうですが、そのうちの五十億を政府に出資したのは、どういう意図で政府に出資をしたものか。こういうことの不明確なために、引揚者の中からかなりのこういう問題についての異論が実は出ているわけです。こういう点はどうなんですか。金額などについても、七十七億という金額は、はたしてほんとうの金額であるのかどうか。これは引揚者からの訴えによった数字でありまして、当局が調べた数字と相違しているかどうか、これはまだ明確ではないのですが、そういう点もやはりお答えを願いたいと思います。それから、支払いしたとすれば、支払いした総額はどのくらいになっているか。これは、至急に一つお出し願いたいと思うのです。
  23. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 資料として提出いたしたいと思います。
  24. 小川豊明

    小川(豊)委員 今お尋ねした中で、実態の把握に重点を置いておられる、こういうことですが、これは実態を把握しなければ管理がうまくいくはずがないから当然だし、けっこうなことだと思います。  そこで、同じく三十二年に国有財産審議会では、答申の中で、まず国有財産管理機構にむだが多い、国の直営で役所仕事でするところにむだがあるのだ、こういうことを指摘すると同時に、公社か公団にこの管理処分をまかせた方がいい、この方が能率的だという意見があったということを私は聞いています。こういう答申といいますか、こういうことはありましたか。
  25. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 私の記憶によりますれば、国有財産審議会答申に、そういう制度を採用するのが適当であるということはなかったように記憶いたしております。
  26. 小川豊明

    小川(豊)委員 この審議会会長をしておられる石坂泰三さん、この方は、この国有財産というのは二兆円あるというのですが、この国有財産をうまく運用したら、一年間や二年間国民税金を一銭も納めなくてもいいではないだろうか、こういうことを審議会会長が漏らしているということを聞いているのですが、これは漏らしたというので、別にこれという確証があるわけではないのですが、あなた方はこういうことを聞いたことがございますか。
  27. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 私自身は聞いたことございません。
  28. 小川豊明

    小川(豊)委員 この普通財産処分は進んでおるそうですが、三十二年度三月末現在において、なお二千百八十七億という膨大な財産が動産、不動産の形で残されているわけです。これが在日米軍民間への貸付となっているわけですが、これが在日米軍撤退等によって返還されて、最近財産が非常にふえてきている。これは駐留軍労務者離職対策なども考慮して早急に活用する方針だということを聞いておりますが、具体的にはどういう措置が進められておるわけですか。
  29. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 御指摘通り普通財産につきまして、駐留軍から膨大な財産が返還されつつあることは事実でございまして、この財産につきましては、そのつど、そのときにおける需要を判定いたしまして、処分決定いたすわけでございます。抽象的な一般方針といたしましては、まず国に需要があるかないか。たとえば防衛庁で自衛隊のためにその財産が必要であるかどうか、あるいは病院、学校、その他国家的な施設として使う道がないかどうか。それから次には、地元の公共団体が、あるいは学校でありますとか、その他の公共施設に、その土地なり建物を使う希望があるかどうか、あるいは住宅等希望がないか。それから次に、民間施設として産業利用にこれが役立つかどうか。そういった点を勘案いたしまして、その財産の使い道として、どういうふうに使ったら一番国家的に有効であるかということを考えまして、そして先ほど申し上げました中央審議会あるいは地方審議会に付議いたしまして、民間の方々の御意見を十分しんしゃくいたしました上、この最終的な処分決定することにいたしておるのでございます。  この場合に、駐留軍労務者対策の点でございますが、これは膨大な財産をかかえて駐留軍が使用しておったのが、財産を返すと同時に駐留軍労務者を解雇するということになる例が多いわけでございますので、できるだけその国有財産駐留軍労務者を吸収するような産業に活用するという必要がありはしないかということで、その点も十分、具体的な処分考える際に考慮しておる次第でございます。ごく最近におきましては、この近くでは、御承知追浜地区相当膨大な財産が返って参りました。ここは御承知のように、日本自動車日本飛行機等駐留軍修理事業をやっておりました。これが閉鎖になりまして、膨大な駐留軍労務者失業者を出しておるのでございます。この地につきましては、私ども、できるだけこの駐留軍労務者を多数吸収する産業というものにここへ進出していただくためにこれを利用したいということで、この土地につきましては、七十数社の利用希望者がございましたが、これはごく最近、近く軍港都市財産処理審議会を開きまして、大体二十七社にこの土地を割り振ることに原案を決定して、これを正式な審議会に付議して決定をいたす考えであります。そういったように、返還財産につきましては、ごく最小限度防衛庁等の必要なものは、これはもちろん防衛庁の方に留保いたしますが、できるだけ多くのものを、そういった国民経済の発展あるいは公共の福祉という点を考慮して、今後も処分をして参りたいと考えておる次第でございます。
  30. 小川豊明

    小川(豊)委員 次官、お急ぎのようですから、管財の方の問題についてはまだお聞きしたいものが残っていますが、それはあとにして、次官お尋ねしたい。  税金に対する滞納の処分などというものは、いやおうなしに押えなければならないものなので、これは仕方がない。その税金の処理、滞納処分等が、あやまってその人に損害を与えた場合に、原則でけっこうですが、大蔵当局としてそういう処理はどういう処理をするか。損害は完全に補償してやるという形はとっておられますか。この点をお尋ねしたいわけです。
  31. 奧村又十郎

    奧村政委員 税の滞納処分につきましては、法律に基づきまして、なるべく実情に即し、法律に違反して納税者が不当にお困りになるようなことのないように十分考えていかなければならぬと思っております。しかし、大ぜいの徴税官吏のことですから、もし万が間違って取り立てをして、不当に納税者を困らせて損害をかけたという場合は、当然これに対して国は償いをいたすべきであると考えております。
  32. 小川豊明

    小川(豊)委員 そのお考えを聞いて、私は今度具体的に申します。これはあなたも御存じのことかと思います。また、あなたの方の大平さんも、それから前の次官の山中さんもよく御承知の府であって、山中さんも非常に心配しておられたが、大蔵次官が心配しておられても、大蔵省当局は、これは解決はしてない。  そこで具体的な例をあげますと、私のところ、その他にもいったわけですけれども、上申書の形できています。私は上申書は出さなかったのですが、愛媛県の伊予三島に、高石という方がずっと前から製紙並びにテックスの工場を経営しておった。ところが、昭和二十五年の十二月二十五日に、伊予三島の税務署長から、これを税金滞納によって公売に付された。そこでこの公売が不法であるからというので、高石という人は訴訟を起したら、第一審では、高松地方裁判所で高石という人が敗訴になった。ところが、第二審の高松高等裁判所では高石が勝訴になった。その次に、今度国が高石を相手どって最高裁に上告した。ところが、三十三年五月二十四日には上告が棄却になりました。従って、最終的には高石という人は、公売処分によって国から損害を与えられた。こういうことになっているわけです。  そこで、この問題は、当時私は大蔵委員をしておって、当時の国税庁長官その他に、こういう問題を聞いておるが、国会でこれを質問するよりも、これは解決したらどうかということを、忠告というか、勧告しましたところが、解決はしたいが、まだ最高裁が残っておるのだ、従って最高裁でこの勝ち負けというものをきめない限りは、国としてその損害補償には応じられない、という話であったのであります。そういうことをしなくて、やってやったら、本人は長い間——昭和二十五年ですから、十年にもなるわけなのですから、本人が参ってしまう。建物、工場、敷地など一切公売されてしまって、よそへ行ってしまっているのですから、どうにもならなくなるから、解決してやったらいいじゃないか、と言ったら、そういかないで、とうとう最高裁で国が負けているのです。そうして、今度は高石という人から、これに対して二億何千万かという請求が出てきているわけです。このことは、二億何千万が正しいか正しくないかということは、現地を見たわけでも何でもないから私にもわかりませんが、そこで、四国であるから、大平さんにもお話をし、当時の山中政務次官にも話をしたら、何とか解決するから、君、それは問題にせずにいてくれぬか、という話で、私も別に——高石という人は方々へ頼んでいるわけですが、ただ気の毒だと思うのは、弁護士を四人も五人も頼んでしまった。そうして、弁護士に対する支払いで、おそらく国からの補償というものもとられてしまうのじゃないかということを心配したから、いつまでも訴訟をしていないで、解決してやったらいいだろうということを言ったわけです。ところが、こういうふうに最高裁できまりがついても——最高裁できまったのが三十三年の五月二十四日です。ですから、もうすでに相当たっている。それでも、なおかつ国税庁の方ではこの問題の解決に対して、私の今まで聞いておる範囲においては、一つも熱意があるとは思われないわけです。  もっと具体的な、いろいろなこまかいあれは持ってきてもいいですけれども、基本的にきょうお聞きしたいのは、こういう問題は、国の権力が人の財産を公売した。その公売したことが不当であった、不当であったとするならば、これはすみやかにその補償というものをしてやる。最高裁のきまりがつかないのであれば、それもいいでしょう。しかし、最高裁のきまりがついて、すでに三十三年の五月にきまりがついているのですから、とっくに本人との交渉というものがなされなければならない。そうして、それを解決してやることが本人の立ち上がるあれではないか。ところが、公売してしまって、よそに渡ってしまっておる。競落した人は適正に競落しておる。訴訟によると、原形のまま本人に返さなければならないことになっておるが、適正に競落をしておるのですから、返しようがない。それならば、国が補償をしてやるか、さもなければ向こうから買い取って返してやるか、どっちかが当然の義務ではないかと思う。それをこうして怠って、二年も三年も引っぱっておく。本人は借家住まいをしておるということも聞いておる。よく私のところにも来た。方々歩いておる。あなたも方々歩いていては金がかかって困るだろうから、歩かずにいたらいいだろう、と言ったが、財産を全部取られて十年もたつのだから、借家住まいをして非常に苦しい生活をしておる。困った生活をしておる。それを見殺しにして、まだ法律がどうだ、役所の手続がどうだということでは、今あなたが言われた、適正に補償してやらなければならない、あるいは迅速に補償してやらなければならないという趣旨か、この現実の場合には一つも適用されてない、こういうことになるわけでありまして、ここであなたにお答を願いたいのは、こういう具体的な問題の処理について——いつかこの問題について、私はずっと前に、あなたのところにも本人を紹介してやった記憶がある。だから、こういう問題について幸いに幾らか御承知のあなたが次官になられたので、この問題に対する適正な処理を、どう、いつつけるかということについてお尋ねして、あと、くどくどしいことは申しませんが、この点をお尋ねしたいと思います。
  33. 奧村又十郎

    奧村政委員 お答えいたします。小川委員お話しの通り、私も高石何がし本人に直接会いまして、事の委細を聞きまして、なお国税庁長官なり政府当局にもその当時、もう一年ほど前ですか、話をいたしましたので、その間の事情はよく承知しておるつもりであります。今繰り返して事情を詳しく申し上げると時間がかかりますから、お尋ねに直接お答えいたしたいと思います。  私も、この高石何がしに会いまして、いろいろ事情を聞き、奔走いたしました。私の気持としては、私は政務次官以前はずっと大蔵委員会におりまして、税法を研究しておる立場から、こういう不当な国の公売処分でもって納税者が非常な迷惑を受けるというふうなことは、かりそめにもあってはいかぬ。もし高石何がし以外にもこういうことがたびたび起こるようなことであれば、これはゆゆしい問題である、こう思いまして、おそらくこんなばかな例というものは、めったにはなかろうと思いますが、まずこれを一つりっぱに解決することが肝心である、かように思った次第であります。  そこで第一に、今御指摘昭和二十五年十二月二十五日に、税務官吏が高石何がしの財産を公売処分にした、これが違法であった。ここに困った、非常な問題があります。たとい法律にいろいろきめてあっても、なるべく納税者の立場を考えて、温情をもって処置するのが国の態度でなければならぬ。ところが、訴訟によって国の処分が違法であったというのでありますから、これは、もってのほかであります。しかも、第一審においては国の方が勝った。第二審では負けた。最高裁において、これまた国の処分が違法であったということになって確定したわけであります。こうなれば、これは政府当局として何ら抗弁はできない。つまり違法な公売処分をやったということでありますから、これはまことに納税者に対して申しわけない、かように私は思います。そこで、それならばもう残された道は、何とか損害を賠償して、納税者に対して償いをしなければならない、こういうわけであります。そこで、これは私の政務次官以前のことですが、事ここに至ってしまえば、何とか国も誠意をもって償うよりほかに道がないのじゃなかろうかということで、私も努力したが、残念ながら金額において話し合いがつかなかった。現在もつかぬままである。こういうことです。高石何がしの御要求は、私の承知しておるところでは約三億円を要求しておられる。今のところ、国税庁の計算に基づく補償金は八百五十万くらいですが、詳しいことはあとからまた申し上げますが、そういうことであります。  さて、問題は、それは償いしなければならぬといっても、やはりこれについても一応の計算の基礎というものがあるので、それに基づいてやっておるわけで、これが妥当であるかどうかということにつきましては、これまた検討しなければならぬと思うのであります。  そこで、今度私は政務次官の立場で申し上げますと、まことに遺憾でありましたので、かようなことが今後絶対起こらぬように徴税当局として考えなければいかぬ。ただ、昭和二十五年の当時でありましたので、これは御承知通り占領中で、アメリカ軍が徴税事務にまで相当立ち入ったものでありましてそういう徴税攻勢の一端として、間々こういう誤ったことが起こったので、まことに遺憾である。今後十分こういうことのないように考えなければいかぬ。損害賠償については、どの程度がいいか、また検討をいたしたいと思いますが、取り返しのつかぬ損害を与えた。そこで一番いいのは、もとの工場、敷地を国が買いととのえて差し上げることでありますが、公売処分で今持主になっておる人は、そう簡単に譲ってくれませんので、そうすればその事情を考えて、国としても法律上許せる限り金額を計上して、そしてこの際はできるだけ納税者の方に納得のいくような処置をしなければならぬ。かように考える次第であります。
  34. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 関連。今、大蔵政務次官の誠意ある話を聞きましたが、しかし、いやしくも権力を持った者が権力のない者の財産を権力において競売してしまって、そしてこれが裁判となった。まずこれが普通ならば、裁判に持ち込む力のない者、弁護士を頼む力のない者ならば、これで泣き寝入りをした。しかし、彼は幸いにして弁護士を頼んだり、大蔵省を相手にして戦うだけの力があったから、戦ってきた。そうして、最高裁判所までいって、国家が敗訴になっておりながら、それを二年間も放置しておって、値段が安いとか高いとか、賠償額が高いとか安いとか——昭和二十五年当時の土地を今日の相場にしたら、一体どのくらいになっていると政務次官考えられますか。少なくとも相当価格になっているはずです。それだから、大蔵省の役人が、自分の過大なあやまちを隠すために、登記簿等によって出した地価なんというものは、これは問題にならない。少なくたって、今大蔵省が八百五十万とおっしゃるならば、それの五十倍くらいが私は至当だと思う。またそれが至当でないとしても、人の財産を不当に権力によって処分しておいて、それを十年間もほったらかしておいて、今になってそんなことを言うこと自体がおかしい。しかも、これが国会の問題にもなり、あるいは大臣のところにもいき、あるいは政務次官なども骨を折っていながら、それを聞かないで放任しておる。現在の国税庁においても、大蔵省においても、あなたが政務次官にいっていられ、もう一人政務次官がおられるはずだ。大臣には佐藤榮作なんというなかなか知恵者の権力者がいっておるが、これはただ表面に浮いているだけであって、役人を処分することはできない。役人をつかまえて処分を徹底的にやることができない。そういう権力しか持っておらない。それだから、あなたが、そうじゃないんだ、おれは政府の代表、すなわち国民の代表として大蔵省へいって、政務次官として監督しており、おれの上に大臣もおるんだから、こういうあやまちを是正するというお気持ならば、そんな値段なんということは問題にならぬ。その当時これを処分した者、放任した者、全部を初めからえんま帳に書き上げ、上は国税庁長官まで全部処分する。もう一つ、よく脱税などで起訴されている者がある。これがもし無罪等になった場合は、それを起訴した当の責任者が、賠償に応ずるはもちろん、辞職書を出して国民に謝すべきものだが、そういう処置はとられておらない。  こう考えてきたときに、あなたが政務次官としてどういう工合に考えておられるか。処分するのかしないのか。おれは力がないから処分しないのだ、役人は自由にならない、役人を調べるだけの権力がない、そうおっしゃるのか。いや、徹底的に調べ上げて、それは全部やるというのか。もし、あなたがそれだけでおやりにならないなら、私は大蔵省の役人のえんま帳を持ってきてあげる。だれが、どういうときに、どういうことをやったか。あなた、この国会決算委員会の中でそういうことの証拠が一々あがったら、全部それを処分されるか。私はこれについて、あなたに責任ある回答を求めます。
  35. 奧村又十郎

    奧村政委員 不肖でありますが、私の在任中に不当なことがあれば、それは不当なことをいたした者を処分するし、あるいは国の償いは責任を持っていたします。が、御承知のように、これは昭和二十五年に起こった。しかも占領軍がおって、非常な徴税攻勢で圧力をかけたときなんです。しかし、それにしても、政府に責任がないとは申し上げませんけれども、もう何代もずっと前の大蔵大臣の責任を、そうおっしゃらんと、この問題はこの問題の解決としてお聞き願いたい。  この問題としては、最高裁で判決が出たのは昭和三十三年の五月。従ってこの判決が出ると間なしに、国税庁においても一応法規に基づいての賠償額ははじき出して納税者の方とお話し合いをしておる。ただ、納税者の方の御要求と国税庁がはじいた金額とが合わぬということで、話がまだつまっておらぬ、こういうことでありますから、御了承願います。
  36. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 政務次官、そうおっしゃいますが、私は別にあなたをいじめるわけでも何でもない。しかし、占領下における徴税法の行き過ぎにおいてこういうことがもしあったといたしましょうか。しかし裁判は、占領が解けて、日本がりっぱな独立国になってから最高裁が下した判決だから、これはそういうものは関係いたしません。そこで、そういう判決が下ってから、これが高いとか安いとかいうことでなく——あなたでも私でも、一回代議士を落選しても、その間の冷飯の味は一生忘れられない。自分の財産を、しかも最高裁あるいは高等裁判所で勝つようなものを、権力において競売されて、そうして判決が下っても、まだ今までほうっておいて、まだ価格が高いの安いの、こういうことは実際成り立たないのです。国税庁は権力を持っている。私は、普通の役所なら言いません。国税庁は、脱税した人を刑務所に入れられるし、納めない人を差し押えする。だから、今、民間で聞いてごらんなさい。昔の特高警察ほなくなったが、国税庁の横暴だけはそれ以上泣かされます、ということは、だれだって知らぬ者はない。言っておらぬ者はない。そういう国税庁でこういうあやまちをしたときに、これは徹底的にやるべきです。あなたがそれをやられて、初めてわれわれの党から政府の代表としていかれた政務次官としてふさわしい。あなたのやったときでないと言うけれども、あなたのやったときでなければ、なおいいじゃないですか。今までもいろいろな人がだれでも聞かないが、幸いにあなたがやられ、ここでこういう問題が委員会で出たのだから、このときこれを取り上げて断固たる処分をやる。私は金を返すとか返さぬとか、金額の上下を言っているんじゃない。これに携わって、これを放任した者、これを不当な競売にした者が、もし大蔵省の中にあるとしたら、公務員としてあるとしたら、直ちにこれを馘首することです。それから、今後でもなるべくは、税金などで不当なことがあったときは、これをお調べになることもけっこう、何もけっこうだが、このごろ、もう国税庁は、何かといえばすぐ人を告発する。検事局は何も知らないから——日本の検事の情けないのは、そろばんを知らないことです。それだから国税庁がうまいこと持っていって、すぐこれを取り上げて起訴します。この起訴された事件が何年間も戦って、もしこれが無罪になったとしたら、その起訴した人、それに関連した人全部が、無罪になった人に謝して、そうして職を辞して天下に発表してこれを謝すということが、役人のほんとうの正しい行く道です。われわれ、もし政治家として間違って変なことを起こせば、やはりわれわれは謝して、これはやめなくちゃならない。これは一つ次官、ずいぶん起訴された人間と無罪になった人間で、私のところへ何とかしてくれというのがたくさんあります。しかし私も、そうそれを一々取り上げて言うんじゃありませんが、幸いにこの問題が出たから申し上げるんだ。人が脱税した、従って、あやまって、納めますと言っている。だれも、起訴してくれなんてがんばるのはいません。起訴されるのがいやだから、あやまっている。それを、お前はあれだからといって起訴する。そうして、これが無罪になった。これは重大問題です。これは国税庁あたりでまねすれば、検察庁あたりでもまねする。検察庁あたりでもそうなんです。人を起訴して、無罪になったら、起訴した検事がやめて国民に謝するのがあたりまえです。これは、政治家としてどうですか。みんな無罪になっても、迷惑して泣いておるじゃないですか。相当あなたとは議論もしたこともありますし、笑って話をしたこともあります。気骨のある政務次官だと私は思いますから、これをやられることだ。もし、あなたがおやりにならなければ、大臣を呼び出して、この委員会で解決いたします。これだけをあなたに申し上げておきますから、どうか一つ、値段がどうだとか、ああだとかいうことではございません。どうせ国税庁が八百五十万といったなら、ほんとうの公定で、そして値段がそれだけ上がったことを見ておりません。少なくとも昭和二十五年のものが五十倍から百倍に、土地、建物がなっている。建物は古くなりますが、土地は五十倍から百倍になっておりますから、八百五十万といえば、それが五十倍に査定されたって文句を言えません。もちろん彼が金をもらって、損害ともらった金との間に差金があれば、また税金を取られるのですから、そんなに国は金を出すのに惜しまなくたっていいんです。そこに次長だっておられるが、何も大蔵省の役人の金じゃない。国民が泣いて納めた税金から月給をもらっておる人たちですから、そういう工合にして下さい。いいじゃないですか。
  37. 奧村又十郎

    奧村政委員 査察事件の中には、国税当局の行き過ぎた事柄も私も間々聞いております。どうもそのやり方については、少し反省しなければいかぬ。とりわけ無実の事柄で告発されて、無罪になったということであれば、今度はそういうものを告発して、非常に迷惑をかけた国の償いということを考えなければいかぬ。こういうふうに私は考えますから、査察のやり方についてはよほどこれは反省し、やり方を変えなければいかぬということを私も考えておりますので、御趣旨に沿うて、今後善処いたしたいと思います。  そこで、小川委員お尋ねに対しましては、先ほど申し上げましたのは、政務次官任官前のことでありますので、政務次官といたしましては、これは私の立場上、もう一度この事件をよく調べまして善処いたしたいと思います。さしずめ、この補償の金額につきましては、かなり高石さんと開きがあるわけです。これもしかし、一応法規に基づいて計算をしておるのでありますが、何でしたら、ここでこの計算の基礎を御説明させたいと思いますが、いかがですか。
  38. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は、算出の基礎といいますか、そういうことを聞こうとしておるのではない。あなたが、さっきもここで答弁なさるときに、温情をもってこれは解決しようと思っておる、こう言っておるのです。温情でなければいかぬと思うが、私はこの問題は、常識と非常識との争いみたいなものでないか。これは法理論でも何でもないのですよ。法治国で、法の権威というものは一番とうとばなければいかぬと思う。高石君が僕のところに来たときには、方々を回り回って来たのです。それが私はわかるのです。僕も高石君に、こういうことをやっておっても、国を相手にしてやっても大へんだ、金もかかるだろうし、時間もかかるだろうから、参ってしまう、だからあなたは、自分で初歩から出発して事業をやったらどうか、こういうことを注意したわけです。ところが、彼が言うのには、私はこじきになろうと、のめろうとも仕方がない、おそらくこういうケースはたくさんあると思う、ただみんな泣き寝入りするから、それで国が正しかった、こういうことになってしまうのであって、従って私はどうなろうとも、私のこの主張が正しかったか正しくなかったかをはっきりさせたいのだから、せっかくだが、とりやめはしない、あくまでもこれは可否というもの、どっちが正しいかというものをきめてもらいたい。こういうことを言われて、私も、それはあなた個人からいえばそうだろうが、そういう御意思なら全くあなたの言う通りに、そういう不当な処置によって泣かされて、泣き寝入りになっておる人がたくさんあるかもしれない。そういう人に勇気と自信を持たせるために高石君がやるというなら、できるだけわれわれとしては援助しなければなるまい。しかし、援助するにしても、これを争っておっては、裁判は何年もかかるかわからぬから、解決してやったらどうか。こういうことは、当時国税庁の長官にもみな話した。そうしますと言いつつも、法は、最高裁できまらなければ払えない、こういうことになっておる。それで今までたって、最高裁ではすでに国が負けて、処置ないです。抗弁のしょうがない。だから、そこで、さっきあなたもおっしゃったと思いますが、国では八百五十万円ほか払えない。高石は二億幾らだ。こういうような開きがあることも聞いておる。そこで、大平先生も四国出身です。それで大平さんに、こういう問題をあなたもお聞きだろうが、高石君の言うことが不当ならこれは説得すべきだ。同時に、国も八百万幾らというこの価額は僕は納得いかないが、あなたは納得いくか、と大平さんにお聞きした。そうしたら、大平さんも、こんなべらぼうな数字は私にも納得がいかない、だかうちょっと待ってくれ、電話をかけるといって、国税庁に電話をかけた。かけたところが、国税庁では、やはり今あなたのおっしゃったような形です。そのとき大平さんはどう言って答えたかというと、日本の国の政府というものはそれほど冷たいものかなあ、こういう電話をかけた。お互い国会におるわれわれが、日本国の政府はそんなに冷たいものかなあという考え方があってはならない。同時に、法というものは、国家権力として絶対なんですから、その権力、国家権力は一応法律によって破られた以上は、負けた以上は、これはどうであろうとも、その法律を尊重して解決をする。することによってその他の、高石じゃない、大ぜいの人にも政府の温情というものがわかる。解決してこそわかる。それを時期を引き延ばしたり、価額が合わない——合わないというなら、合わせるように努力すればいい。一つも努力してないはずです。ただ、おれの方はどんなことやっても、八百九十万か九百何万か、ほか出せないのだ、こういうことを言っておる。それ以上は出せないのか。高石君と開きがあり過ぎるから出せないのかというと、もう少しくらいは考えてやればやれないことはないという。これはつかみ勘定です。そういうことがあってはならない。うまくまとまってもらえるならばもう少し出してもいい、私はそういう酌量というものはないと思う。さっき田中先生も言われたように、私もこの場合には、法は、国は絶対権力を持っているのだから、その権力を乱用した、あるいは誤用した場合に生じた損害に対しては、国は虚心たんかいにその損害を補償し、その再起に協力するという態度をとってこそ初めてあなたの言う温情というものが出てくるのであって、法律はこうなっているのだからこれ以上は何もできない、おれの方にあやまちはないのだ、こういうことはでき得ない。と思うのは、すでに十年も前に、進駐軍の管理を受けていたからどうだこうだとかいうことではなく、とにかく税務署が十年も前にこれを競売処分に付してしまって、その人の工場と土地というものはそっくり他へ行ってしまった。何も残っていない。そうして、残されたのは従業員だけで、その従業員に対しては月に五千円ずつ払って、おれは勝つのだから、結局はまたここでやれるのだからといって、三年間がんばったが、とうとうがんばり切れなくて、従業員は解散せざるを得なかった。弁護士を頼んだけれども、そのときに弁護士に支払う金もなくて、持っていた家具から調度から、そういうものをみんな質入れをしながら、弁護士の実費だけは幾らか払っていたのでしょう。それも払えなくなって、弁護士の方に借金ができても、弁護士の方では、やっていてくれた。今は知人のうち——最近会いませんが、知人のうちに間借りをしているが、そこも、もう引き払わなければならなくなった。こういう悲惨な状態に陥れて、なおかつ法律だ法律だと言っておったのでは、私は政府の権威、政府の信頼というものは国民から失墜するのじゃないか。こういうことを憂えるのであって、あなたが政務次官になられたということだから、事務当局がたといどうであろうと、そういうものに対する解決というものは、やはりこの点には国家の権力、一つの権威として、この解決というものは政治的になさるべきではないか。こう思うので、あえてきょう、在任中のことでも何でもありませんが、あなたにこの問題を御質問したのは、私は事務当局ではこれはでき得ない段階だ、こう思うからあなたに御質問したので、これに対するあなたの御所信を伺えればそれでけっこうなんです。
  39. 奧村又十郎

    奧村政委員 ただいまの小川委員の御趣旨、全くごもっともに存じます。従いまして、政府の今まで作った案にこだわらずに、何とか国のあたたかい気持で、取り返しのつかぬことではありますが、できるだけ御本人を納得させるような案を作りまして、近いうちに御本人にもお知らせし、また次会の決算委員会にも結果の御報告をいたすようにいたしたいと思いますから、しばらくおまかせを願いたいと思います。
  40. 鈴木正吾

  41. 山田長司

    山田(長)委員 政務次官がお急ぎのようだから、さらに私からも申し上げておきたいのです。  さっき管財局長の、小川君の質問に対する答弁の中で、朝鮮にいた日本の同胞が朝鮮銀行に七十七億預金しておった金が、それが第二会社日本不動産銀行とそれから日本貿易信用株式会社等に預金されたということを言いましたね。この預金が、管財局長もやはり今の政務次官と同じように、最近なられて、当時の様子はわかっていないと思うから私は申し上げるのです。大体預金者に支払われている金額というものは、その中から六億五千万しか支払われていない。それから一万八千人の人たちにだけしか支払われていない。そういうことで、あとの金が第二会社にいかなる名目で回されたのか。そういう点がやはり政務次官として——私は決算委員会でこれを問題にする気になったのは、実を言うと、朝鮮で預金している人が、今の小川君のとは内容が違うけれども、預金者が泣いて私のところに来たわけなんです。それで、この問題を問題にしてもらおうとすると、そのつど議員が三百万なり五百万円なり金をもらって、とうとう国会で問題にしてもらえないのだ、私はその名前を申し上げますと言って、ちゃんとその引揚者は私にその名前を言っております。そこまできているのに、この第二会社にどういう名目で回して、この金が明らかにならずにいるのか。さっきも、確認されている人員等について大蔵省資料を出すと言ってくれたが、特に政党出身者であるあなたに頼みたいことは、何も大蔵省にたよらないで、あなた自身でネジを巻いて、これらの問題についてのその後の処置がどうなっておるのか。それからこの引揚者に関して、私聞いただけで、七、八人の議員の名前が出ています。こういう状態で、三百万、五百万もらって、それで国会で問題にせずにというようなことでは、朝鮮から引き揚げてきた同胞に対して、これは一体その結論をだれがつけるかということになってくると、今の状態では、だれもつけてくれそうもない状態になっていると思います。どうか、あなたはあなたの立場で、一つこれらの金の行方——これはいずれ決算委員会で当然調べなければならぬとは思いますけれども、それらの七十七億の金がどういう形で現在あるのか、だれが保管しているのか、それから銀行——不動産銀行という第二会社というものへ投資したということを管財局長が言っているが、その金額は一体幾ら投資したのか。これらのことを、管財局長に限らずに、あなたはあなたなりに一つお調べになって、やはり今の小川君の問題と同じように、ここへ御報告願いたいと思います。
  42. 奧村又十郎

    奧村政委員 ただいまの御指摘の問題につきましては、私まだ詳しい報告を聞いておりません。ただ、朝鮮銀行の一応の清算のあとを不動産銀行に移管したということを聞いております。それについては、朝鮮銀行が一たん閉鎖機関として指定されて、日本国内における債権債務の一応清算を結了し、朝鮮におけるあるいは外地におけるその債権債務は、韓国との折衝その他ありますので、これは保留にして、とりあえず日本国内だけの清算を結了させた。そして残ったものは不動産銀行へ移管した、こういうふうに承知しておるのでありますが、あるいは間違っておるところがあるかもわかりません。しかし、今の御指摘の、朝鮮から引き揚げてきた方の朝鮮銀行に対する預金の払い戻しということについて、まだ解決ができておらぬということであれば、私の立場として、御指摘通り十分取り調べまして、善処いたしたいと思います。
  43. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 私、七十数億ということの数字は確かでございませんが、引揚者の在外店舗に対する預金、それから内地の送金小切手、そういったものにつきましては、一定の交換比率を設けまして、たしか三分の二でございますか、これは朝鮮における一円と日本内地における一円の購買力が違いますので、そのまま預金の額面通り内地でお払いするのはどうかということで、多少そういうふうな削減をいたしておりますが、これは通帳等をお持ち帰りになりまして、証拠資料が確かであれば全部お払いをするわけでございまして、まだ残っておりますものが今後出て参りました場合におきましても、これは第二会社である不動産銀行に一定の資金をリザーヴさせておりますから、その中からお支払いをするように措置を講じてございます。
  44. 山田長司

    山田(長)委員 これはいずれ資料を出していただかなければならぬ。清算人の人たちの名前もわかっております。清算人の人たちが退職手当を一千万とったというようなこともわかっているわけですから、これらのことについての資料は、第二会社等に出した金、そういうものをひっくるめて、資料として一つ提出願いたいと思います。
  45. 鈴木正吾

    鈴木委員長 鹿野彦吉君。
  46. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 この際、昭和三十一年度国有財産増減及び現在額総計算書についてお尋ねいたしたいのであります。この計算書の中において、船舶の現在額中には、国が昭和二十五年当時国有船舶であったところの興安丸など四隻と等価交換によって朝鮮郵船株式会社から取得して国有財産に編入した金泉丸、咸鏡丸、桜島丸、天光丸及び安城丸の五隻がこの中に含まれておる。ところが、こうした五隻の船舶は、終戦直後から現在に至るまで、引き続き韓国に貸与されたままになっており、日本政府の支配下にない国有財産である。しかも、うち一隻は沈没し、一隻は北鮮に抑留されておると聞いております。  このことについて、まず第一に、これらの船舶は、本計算書の中でどういうふうに取り扱われておるのか、載せたのか、除かれておるのか。  第二点は、これら五隻の船舶が韓国に貸与された事情。  第三は、国が朝鮮郵船株式会社からこれら五隻の船舶を等価交換で取得したいきさつについて。  第四点は、これらの船の現在の状況がどうなっておるか。  次は、本件について政府は現在まで韓国政府としてかような交渉をしてきたか、今後どう処理する方針であるか、などについて、お尋ねしておきたいと思います。
  47. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 お答えいたします。お尋ねの韓国へ貸与中の五隻の国有船舶についてでございますが、これは国有財産台帳には登載してございます。ただし、御指摘の現在高報告書には、これは原則として在外財産は載せない、こういうことになっておりますので、これの中には含まれておりません。台帳には登載してございます。  それから、この五隻の船舶が国有になりました経過につきましては、御質問の中にもちょっと出たのでございますが、これはもともと旧朝鮮郵船株式会社の船舶であったのでございますが、昭和二十年十一月二十七日から二十二年の六月十四日の間におきまして、五回にわたりまして、連合国軍最高司令部から、口頭による緊急配船命令によって韓国へ貸与されたものでございまして、昭和二十四年に覚書が出されまして、連合国占領軍の最高司令官から、日本政府に対しまして、日本政府の持っております船四隻と、これら朝鮮郵船の所有の五隻の交換をするようにという指令が出されたのでございます。日本政府所有の四隻でございますが、当時は国鉄が公社になっておりまして、興安丸と壱岐丸は国鉄の所有船でございます。宇品丸と室津丸、これは国有でございましたが、公社あるいは大倉海運に貸与中の船であったのであります。公社の所有の船につきましては、一たん国のものにする必要があるわけでございます。国の所有にした上で、あとの国有の二隻とともに朝鮮郵船の五隻と交換したわけでございます。この交換をするにあたりましては、いわゆるポツダム政令を発布いたしまして、これは昭和二十五年二月二十八日政令第二十五号でございまして、国の船舶と朝鮮郵船株式会社の船舶との交換に関する政令であります。これを公布いたしまして、二十五年の三月一日に国有船四隻と朝鮮郵船の五隻とを等価値ということにいたしまして、交換をいたしたのでございます。  以上によりまして、国の所有になりました五隻の船は、先ほど申しました昭和二十四年のスキャッピン七〇一〇号という覚書によりますと、現在韓国に貸与中ということになっております。それから翌年の二月十五日に連合国軍最高司令部の民間財産監理局から覚書が出されておりますが、これによりますと、日本政府はこの船舶を現在日本へ返すことを強制することは認められていない、こういうことが書いてあるのでございます。従いまして、この船舶の請求権の決定は、日本と韓国との条約または他の方法による最終的決定に従うものであるということも書いてあるのでございますが、現在はこの韓国との条約等もできておらない現状でございまして、引き続き韓国に貸与中だということで処理をいたして、国有財産にそのまま登載しておるわけでございます。  これにつきましての交渉でございますが、御承知のように、二十六年に第一次日韓会談が行われましてから、数回にわたりまして会談の行き詰まりを来たし、二次、三次、四次というふうに行われまして、最近の第四次会談は昨年の六月に開かれたわけでございます。従来ずっとわが方といたしましては、この五隻の船舶につきましては、国有でありますので、当然返還をしてほしいということを強硬に主張して参っておる次第でございます。遺憾ながらこの第四次の会談も、北鮮の帰還問題が起りまして、中止のやむなきに至っておるわけでございますが、今後におきましても会談が開かれるつど、私どもはこの所有船の返還について要求して参るつもりでございます。従いまして、それによりまして最終的な結論が出ますまでは、台帳にはそのまま登載しておくべきものだという考え方をとっております。御指摘のように、そのうちの一隻の咸鏡丸はすでに沈没をしておる。それから桜島丸は北朝鮮に抑留されておるというようなことは、これは韓国側の委員の話で承知をいたしておるわけでございますが、日本政府としては確認をいたしたわけでもございませんので、ただいまはそのまま台帳に登載して、今後の交渉におきましても引き続きこれについて要求をしていく考えでございます。      ————◇—————
  48. 鈴木正吾

    鈴木委員長 田中彰治君。
  49. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 衆議院の当決算委員会に、国有財産に関する小委員会を設置して、国有財産のすべてを処理したい、こういう工合に考えておるのでございます。そこで、皆さんにお諮りしていただきたいのですが、ちょっとその趣旨を読んでみます。  昭和三十二年度末における国有財産の現在額は、二兆千四百五十億に及んでいるが、これが管理処分については、年々会計検査院から批難せられるものがすこぶる多いにもかかわらず、改善の跡なく、三十二年度の収入未済額のごとき、前年度の四億余円に対して、七億余円であってむしろ悪くなっています。これが累積して十三億余にも達している状況であります。また普通財産貸付のごときも、正規の手続をとらずして、はなはだしいものは数年間も使用料決定すらもしていないものがある。三十二年度分についてみても、年度内に徴収決定をしていないものが、一件五十万円以上のもの二百九十七件のうち七十九件、金額にして一億七千百万円、件数にして二十六%、金額において二〇%すなわち二割にも及ぶことは実にこの上もない怠慢であります。さらにはなはだしいことは、国有財産土地が無断で十年間も使用され、これに民家が二十戸も建てられて、立ちのかすこともできないような極端な例もあります。あるいは台帳にあっても実物が消えてしまっている例もあります。また国有財産の売り払いについても、用途を指定されたものが全くこれを守らずに、大蔵省も黙認しているような実例は無数にあります。さらに国有財産の交換については、特に各省が管理する行政財産は随時交換せられ、結果においては国家予算に関係なく施設が行われ、国会審議権をおかすおそれすらあり、これら国有財産管理処分についてはすみやかにその弊を改め、適正なる処置を講ずるよう政府に要望する必要があると思料せられるが、決算委員会としては、本来の責務である国有財産の処理に関してその適否を調査するため、従前の例により小委員会を設けてこれが適正を期せんとする次第でございます。  ここに国有財産中の普通財産状況がございますが、これは非常に多額にわたっておりますから、あとで委員長の方へ出しますから、読んでいただいて、そしてこれを一つ委員会に諮っていただき、委員会の設置を一つきめていただきたい。こう考えております。
  50. 鈴木正吾

    鈴木委員長 ただいまの田中委員の御発言につきましては、次会に理事会を開いて協議の上、決定をいたしたいと思います。      ————◇—————
  51. 鈴木正吾

  52. 小川豊明

    小川(豊)委員 今、田中委員から小委員会を設置するというお話があったので、この小委員会で今度やっていってもいいわけなのですが、ちょっとお尋ねしたいのは、例の接収貴金属の問題なんです。接収貴金属等の処理に関する法律というのが本年の春の国会で成立したわけです。この法律は昭和二十八年の第十九国会以来、三十四年の四月十五日の成立まで約五年間も月日がかかっている。この間に三回もこれが廃案になったことについては、それだけの問題点がこの中には含まれているわけであります。  それらの点の論議は別として、私がお尋ねしたいのは、百円硬貨発行計画との関連において、大蔵省では接収貴金属のうちから政府に帰属すると見込まれる銀、約一千八百五十トン、これを百円硬貨鋳造の原料と予定したわけです。ところが、三十三年三月、手持ちの銀が五十トン程度となって、これでは二十億円の銀貨を鋳造することができない。どうしても接収貴金属の銀が早急に必要だというので、大蔵省では、国に帰属することがはっきりしているものは、法律によらずして取りくずしても差しつかえないという、こういう解釈を下して、この銀を解除すると同時に、三十三年九月には、この鋳造に入ってしまったわけです。  ところが、政府は接収貴金属法案の成立をはかることになり、このときの理由としては、百円銀貨の鋳造原料が足りないからということを強調されておったわけです。そこで、この銀四百五十トンを法律を待たずに先取りしたといいますか、使ってしまったわけです。この矛盾したやり方は法律軽視になるのではないかと思われるのですけれども、これに対する大蔵当局のお考えはどうですか。
  53. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 この問題は、接収貴金属等の処理に関する法律案を御審議願う際、再三御質問のありました点でございます。そのときのお答えを繰り返して申し上げますが、  御指摘通り、この法律は大へん難航いたしまして、再三継続審議になったわけでございます。不幸なことに昨年の通常国会のときには、衆議院は通過しておりましたが、参議院の御審議が会期中に終りませんでした。これは総選挙の関係もあったのですが、そのために継続審議ということにもならず、一時法律が廃案になったという時代があったのであります。ちょうどその空間の時代におきまして、たまたま御指摘通り、百円銀貨の製造用の素材である造幣局の手持ちの銀が非常に払底いたしたのであります。そこで、これは国の通貨政策からいたしまして、百円紙幣はなるべく作らない、今後は百円は銀貨でいくという大方針が流れております。それに伴いまして、銀の素材をどうしても必要とするということになったわけでございます。法律といたしましては、接収貴金属というものは、これは駐留軍が戦後において強権をもって占有を移したものであるということで、これは所有権の関係は何ら変更するものではない。すなわち接収は没収にあらずという基本的な立場に立った法律でございました。ところが、接収されました銀その他につきましては、接収したときと同じ形で今日まで保存されるものと、そうでなくて接収しました甲のもの、乙のもの、丙のもの、これをたとえば保管のしやすいように溶解をいたしまして、一つのインゴットの形にするということで、持ち分は確かにあるのであるけれども、どの部分がAの持ち分であるか、Bの持ち分であるか、これがはっきりしない。そういう関係者が非常に多数でありまして、これは民法の一般原則である共有物の分割ということ、これは当事者で協議をいたしまして、持ち分を確定するわけでありますが、当事者の協議がととのわないときには裁判所にきめてもらう、こういうことになるのでございますが、こういう手続はとうていとることができませんので、そこで特別な民法に対する例外法を作りまして、そういうふうな、不特定物と呼んでおりますが、いろいろな人たちのものが混合しておるものの分け方について、特別な規定を設けたわけでございます。しかしながら、私どもは先ほど申しましたように、没収ではないということでございますので、たまたま接収いたしましたときと同じ形でそのものが残っておる。しかもいろいろな接収した進駐軍のレシートでありますとか、接収中の管理の記録でありますとか、いろいろの証拠資料等からいたしまして、それがAならAの所有物であることがはっきりしております分については、これは理論的には法律の規定をしいて必要としないという解釈をとっておったわけでございます。ただ、こういった進駐軍の没収によって、一時膨大な貴金属が接収せられ、それが講和条約の発効とともに日本政府に返されてきたのであるから、これに対するいろいろな巷間疑惑の問題がございましたので、この点は法律上、あるいは厳密にいえば法律の規定が必要でないかもしれないけれども、これを処理するには一つの特別な法律でもって、国会の御審議を経て、どういったものが幾らそういった関係にある貴金属であるかということを明るみに出して、法律の適用をしてこれを処理するのが適当であろうということで、先ほど申しました不特定物につきましては当然法律が必要であるのでございますが、特定物につきましても、できるだけ法律の成立を待って処理したいという考えであったのでございますが、国家的な別の通貨政策という要請から、どうしても銀を必要とするということでありますれば、しいて法律的な純粋な解釈からいえば規定が必要でないそういった特定物につきまして、だれが見てもこれがはっきりとしておるものであれば、先に政府がこれを使うのもやむを得なかろうということで、処理をしたのでございます。政府だけが使って、それではそういうものが民間にもあったらどうするかということを言われるのでございますが、民間の方々の中で、接収されてそのものが特定の形で残っておるか、あるいはほかの人のものと混合されて不特定の形になっておるかということは、ごく偶然のことでございまして、特定の方たちだけに先にお返しするということも行政措置としては適当ではなかろうということで、これは新しい国会が成立すれば、当然法律も提案するつもりでありますから、いましばらくお待ち下さいということで、待っていただくことにしました。国のものにつきましては、やむを得ずそういう使い方をしたわけであります。  それは銀貨についてでございますが、前例がないわけではございません。昭和二十八年でございましたか、最初わが国がIMFに加盟いたしましたときに、これは一定額の金を分担したわけでございますが、その金を納めますために、やはり接収されておりました国の所有の金十五トンをこれに使うということにしたのでございます。  そういうふうにして、法律が継続審議にでもなっておる際でありますれば、できるだけそれを待ってということでございますが、当時、昨年の七月でありますが、この法律の廃案中にどうしても銀を使う必要が起こったということで、異例の措置としてとったわけであります。当時といたしましても、できるだけこれは慎重にということで、閣議決定を経ましたのみならず、いわゆる民間のその方の資料の鑑定等についての知識経験者といたしまして、あるいは法制局の方、技術者、あるいは学者の方たちのお集まりを願いまして、膨大な資料に基きまして、この金は明らかに政府の所有しておった金であるということを認定をいたしまして、返還措置をとったわけでございます。  なお、その後に再提出になりました法律の中には、附則に一項を設けまして、昭和二十七年の四月二十八日からこの法律の施行の日までの間に返還したものがあれば、その明細をこの法律の施行後すみやかに公告する、そうして民間の他の利害関係人がそれについて異議があれば、訴訟その他の手続を起こすことができるようにということを考えまして、そういった条文を一つ新しくつけ加えたわけでございます。
  54. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは今聞いていても、実に政府は勝手な解釈を下すものだと思うのです。こういう法律を国会で早く通してもらわなければ困る、銀貨を作る原料として足らないから、早くやってくれ、これがあなたの方の説明の要点なんです。それでいて、通らなかったら、国に帰属のはっきりしているものは、法律によらずしても取りくずして差しつかえないという、非常に拡大解釈というか、勝手に解釈するというか、大幅に、自分の都合のいいように解釈してやった。このやったことがどうだこうだでなくて、あなたの方は法律を出して、早く通してもらわなければ困ると言いつつ、それが通らなかったら、今度はそういう解釈を下して使ってしまったということは、これは法律を尊重する意味から言うならば、国会にこういう法律を出しても、あなたの方は勝手な解釈を下したんではないか。私はこういう点で御質問している。事情はやむを得なかったということはわかる。わかるけれども、やはり法律というものは、あなた方が作って国民にそれを厳重に守らせるのだから、自分の方がまず守らなければならない。ところが、出しておいても、それが通らなかったら、今度はこういう解釈を下して、取りくずして使ってしまったということは、法律軽視ではないのか、こういうことを聞いておる。あなたの方では、今のを聞くと、軽視ではないが、しかし自信たっぷりで差しつかえないと御答弁なすってもいない。やむを得なかったという御答弁。僕はこの点は、これ以上言っても水掛論になると思うが、さっきの御答弁にも触れているが、民間でも、帰属しているものがはっきりしているなら、政府が自分も取るのだから、民間のも返せるのだ、返さなければならないと思うんだが、これは返しましたか、返さなかったのですか。
  55. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 民間の分につきましては、たしか具体的に御要求もなかったようでございます。返しておりません。法律上の理屈から申しますれば、国のものを特定物で返せば、当然民間の方も御要求があれば返すべきであったかもしれませんが、そこは、先ほど申し上げましたように、偶然の機会で不特定物になった人との均衡ということもございましたし、それから御承知のように、あの法律で非常に問題になりました点は、民間に返還いたしますときには、当時の法律の原案では、一割に相当する金額徴収するということになっておったのでございますが、これが一部には、民間には返す必要はないんじゃないかというような議論すらありましたし、返すにいたしましても、一割の納付金では非常に少な過ぎるというような御議論もあったのでございます。それを特定しておった人に先に返す、——これは法律の規定がなければ、一割はおろか、全然納付金というものはとれないわけでございます。と申しますのは、先ほど来申し上げましたように、接収貴金属というものは没収されたものではない。所有権を持っておった人に、その所有権に基づいて当然返還するというだけでございますから、そういった納付金はとれないわけでございます。もし、民間の一部の方々にお返しするということになりますれば、その納付金の点でいろいろな不公平が出てくるというようなこともございまして、当時民間の要求があったといたしましても、これは返還しない方針でおったわけであります。
  56. 小川豊明

    小川(豊)委員 この点ではまだお聞きしたい点がたくさんあるのですが、時間があれしているので、この次に備えて、その他の問題について一、二点。これは答弁は簡単でいいんです。  大蔵省では三公社あるいは五現業といいますか、国鉄とか電電公社、専売公社、印刷、造幣、郵政、こういうところへ国庫余裕金を貸しているだろうと思う。貸しておるかおらないか。貸し付けておるなら、どこにどのくらい貸しておるか、各社ごとに聞きたい。
  57. 鈴木正吾

    鈴木委員長 今の問題は理財局の問題らしいのですが、理財局は来ていないそうですから……。
  58. 小川豊明

    小川(豊)委員 来ていなければ仕方がありません。  管財の方にお聞きします。東洋拓殖は閉鎖機関になっていますね。あの東拓ビルは今どういうふうに処理されていますか。一時、国税庁か何か、大蔵省で使っておったということを聞いております。今でも使っておりますか。それとも使っておらないで、ほかに出してあるか。出してあるとすれば、どういうふうに出してあるか。
  59. 牧野誠一

    ○牧野説明員 ただいまの東拓ビルの件でございますが、あれは第二大蔵ビルということで、大蔵本省の行政財産ということになっております。ただ大蔵本省としては使っておりませんで、大蔵省の出先であります東京税関、それから国税庁の出先であります関東信越国税局、それから、これは総理府に属すると思いますが、公正取引委員会、この三つの役所で使っております。そのほか、以前から何がしか、コロムビア株式会社その他、東洋拓殖株式会社に所有権がありましたとき以来入っておりますところが幾つか残っております。大部分は行政財産として、ただいま申し上げました三つの役所が現在使用しております。
  60. 小川豊明

    小川(豊)委員 こういう閉鎖機関に編入されたものはたくさんあるのですが、この中に、時間がありませんから東拓ビル一つをあけてお聞きするのです。これは第二大蔵ビルとして大蔵省が持って、東京税関、関東信越国税局ですか、それか公正取引委員会、そのほかに、従来から入っておるものが入っておる、こういうことですが、そうすると、さっきの山田君もこういう点でお聞きしたと思うのですが、この東拓ビルというのは株式会社であったと思うのです。株主というものがおったと思うのです。それから、たくさんの社員がおったと思うんですが、こういう者の救助とか援助とか、こういう措置というものは講じなくてもいいんですか。講ずべきものならば、どういうふうに講じているか。こういう点をあわせてお聞きしておきたい。
  61. 牧野誠一

    ○牧野説明員 大蔵省といたしましては、東拓——たしか株式会社だと思いますが、東拓からあのビルを終戦後買収いたしまして、大蔵省系統の庁舎の不足に充てようというふうにいたした次第でございます。その際、東拓自体は清算の段階におきまして、東拓の方から見ますと大蔵省へ売ったということになるわけでございますが、東拓の整理その他の関係につきましては、実は私、会計課長でございまして、買った方の側になりますので、買って使う方の部面からお答え申し上げておるわけであります。東拓ビルの御質問清算の段階のお話になると思いますので、それは管財局の方かと思います。
  62. 向井正文

    ○向井説明員 私も実は、現在仕事としてやっておるわけではございませんが、二、三年前にその関係をやっておりましたので、記憶をたどって申し上げますので、あるいは多少不正確かもしれませんが、お許しを願いたいと思います。  東拓は、御存じのように、株式会社でございますので、閉鎖機関令によりまして特殊清算をやりました結果、残余財産があればもちろん株主にいくわけでございますが、たしか残余財産が出ませんで、株主にはいかなかったという記憶を持っております。それから、従業員の退職金につきましても、これは閉鎖機関令に支払いの際の順位がきめてございまして、従業員の退職金はかなり優遇しておったわけでありますが、これも十分の資力がなかったために、たしか全額はお払いできなかったのではないかというふうに考えております。そういうものを国家的にどうするかという問題につきましては、これは東拓に限らず、当時外地に本店のございました満鉄その他の外地法人の職員なり、株主なりの処遇をどうするかという般の問題になるだろうと思いますが、私どもの所管いたしました閉鎖機関令の範囲では、直接そういうことは考えないで、先ほど局長も答えられましたように、国内資産で国内負債を整理していく、そして余ったら株主におわけするという処理だけをやりました。あとの引揚者問題あるいは外地問題は、般の問題として考えらるべき問題ではないかと思います。私の所管いたしました範囲では、資産がございませんければごしんぼう願う以外にはない、そういうことになっております。
  63. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは、あとでもいいのですが、東拓ビルの敷地は幾らあって、自分の土地であるかどうか、建坪は幾らで、買収した価格は幾らか、これを聞かして下さい。
  64. 牧野誠一

    ○牧野説明員 ただいま手元に資料を持って参りませんでしたので、調べまして、後日提出いたしたいと思います。
  65. 小川豊明

    小川(豊)委員 もう点。これはつい二、三日前の新聞に出ておったのですが、この下に日比谷インというのがありますね。あのインというのは英語だろうと思う。英語で言うと旅館ということになると私は解釈しているんだが、あすこは階はレストランで、二階はナイト・クラブになっているという。そういうことはどうでもいいが、敷地は千十坪で、しかもそれが道路へはみ出して困っている。どうしてこういう国有財産がそういう形になって、今何か聞くと、国と所有者で訴訟しているとかということも聞いているのだが、どういう形でそういうふうな形になってしまったのか。それから、なぜ訴訟をしなければならないのか。国有財産管理という点から見て、私はこの点を、この次の機会がありますけれども、概略、今ちょっとお聞きしておきたい。
  66. 向井正文

    ○向井説明員 本件は、実は先般一部の雑誌等に取り上げられまして、私どもも実はそれからいろいろ経過を調べておるのでございまして、十分ここで自信のある御説明もできかねますので、これもまた後刻のあれにさしていただきたいと思いますが、当初社団法人日本国際文化協会というところに——これまた二十三年でございますので、占領中に占領軍の方の強い示唆があって、貸したものでございます。それが後に東洋観光興業という会社の方に関係を生じまして、建物は東洋観光興業というところが実際には金を出して建てたようでございます。土地は協会が国から借りておる、その国から借りました関係をどういうふうに処理したか、多少疑問があるのでございますが、東洋観光興業が協会に払うべき土地使用料というものをつの出資とみなして、東洋観光と協会とで共同出資という形で建物ができたようでございます。これは貸付期限が二十八年三月までになっておりますので、その後は国と協会との間の貸借関係は切れているわけでありますので、国の方ではこれは返してもらいたいということで訴訟をやっているわけであります。第一審が三十三年の八月に出ております。関係者がいろいろございますが、一部を除きまして国が敗訴の判決が出ております。これに対して、会社の方も、国の方も、また借主の方からも、みな原判決を不服として高裁にそれぞれ昨年の九月初めに控訴いたしております。その控訴審がまだ出ておりません。  それから、一部を除いてと申しましたが、その一部を除きました方につきましての第一審判決は昨年の十月に出まして、これは外人でございますが、本人もおりませんし、本人不在のままで国の勝訴の判決が出て、確定しております。従いまして、現在おりません外人を除きます日本人関係の分がただいま控訴審で争っておるような格好になっておりますが、実はいろいろな関係相当錯雑しておりますので、私どもも、もうしばらく調べまして自信のできましたところで御報告いたした方がよろしいかと思います。
  67. 鈴木正吾

    鈴木委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十四分散会