運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-11-28 第33回国会 衆議院 議院運営委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十一月二十八日(土曜日)     午後五時三十六分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 佐々木盛雄君 理事 長谷川 峻君    理事 松澤 雄藏君 理事 三和 精一君    理事 山村新治郎君 理事 柳田 秀一君    理事 下平 正一君 理事 池田 禎治君       秋田 大助君    天野 公義君       飯塚 定輔君    池田 清志君       池田正之輔君    大坪 保雄君       鍛冶 良作君    二階堂 進君       山口六郎次君    栗原 俊夫君       小林  進君    兒玉 末男君  委員外出席者         議     長 加藤鐐五郎君         副  議  長 正木  清君         議     員 北條 秀一君         事 務 総 長 鈴木 隆夫君         衆議院参事         (警部部長)  山野 雄吉君     ————————————— 十一月二十八日  委員安倍晋太郎君、天野光晴君、加藤精三君、  長谷川四郎君、服部安司君、古川丈吉君及び毛  利松平君辞任につき、その補欠として池田清志  君、秋田大助君、池田正之輔君大坪保雄君、  鍛冶良作君、山口六郎次君及び二階堂進君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  民社クラブ結成届出の件  民社クラブ議員控室の件、議席件等  立法事務費を受ける会派認定に関する件  十一月二十七日の議事堂構内乱入事件経過及  びこれに対する措置に関する件  懲罰動議取扱の件  緊急質問取扱の件  次回の本会議議事等に関する件      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  本日は、昨日の議事堂構内乱入事件についての処置に関し、御協議を願いますために、お集まりを願いました次第であります。     —————————————
  3. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 まず、民社クラブ結成届出の件につきまして、事務総長から御報告を願います。
  4. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 御報告申し上げます。  昨二十七日に、次に申し上げる十名の議員方々をもって民社クラブを結成された旨、代表者今澄勇君から届出がございました。すなわち、今澄勇君、受田新吉君、大野幸一君、木下哲君、菊川君子君、田中幾三郎君、中村時雄君、北條秀一君、門司亮君、本島百合子君、以上十名の方々であります。従いまして、現在の各会派所属議員数は、自由民主党が二百八十八名、日本社会党が百三十四名、社会クラブが二十一名、民社クラブが十名、無所属が三、欠員が十一となっております。  また、同日、日本社会党書記長淺沼稻次郎君から、ただいま申し上げました十名の方々が、日本社会党を離脱されました旨の届出がございました。  以上、御報告申し上げます。     —————————————
  5. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、民社クラブ議席控室、その他の件につきましては、理事会で御決定を願うこととするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  7. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、立法事務費を受ける会派認定に関する件についてでありますが、事務総長から説明を願います。
  8. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 立法事務費交付を受ける会派認定は、国会における各会派に対する立法事務費交付に関する法律第五条の規定によりまして、当委員会の議決によって決定することと相なっておりますが、今般民社クラブが結成され、その代表者から所定の届出がありましたので、当委員会認定をお願いいたしたいと存じます。
  9. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 それではただいま事務総長から説明がありました通り民社クラブ立法事務費交付を受ける会派認定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  11. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、山野警務部長から、昨日の乱入事件経過、及びこれに対する処置について、説明を願います。
  12. 山野雄吉

    山野参事 数日前からの新聞報道等によりますと、昨十一月二十七日、安保改定阻止国民会議幹事会は、約七万五千名を動員、各個人が日米安全保障条約改定交渉即時打ち切りを求める請願書を携行、国会に対し請願陳情を行なうとのことでありましたので、種々これが対策を協議いたしました結果、集団的陳情はもちろんであるが、個々の陳情といえども、連鎖的に行なわれるような場合には、その行動やその他の事情から判断いたしまして、集団的陳情とみなされるような場合には、集団陳情取締要領によって取り扱うなお、請願陳情といえども、本院の事務手続許容量なども勘案いたしまして、平穏に請願陳情を行なう場合には、三十名の代表陳情を認めるという方針で臨んで参りました。  昨十一月二十七日午後四時ごろ、正門を突破される危険を察知いたしましたので、正門警備に当たっておりました警察官並びに衛視若干名は、正門全部を閉鎖しておりましたところ、チャペルセンター前の団体員は、警察官阻止を突破、喚声を上げて正門に押し寄せ、中央門を破壊いたしまして侵入構内になだれ込みました。これらの者は、中央玄関、御車寄せ等に押し寄せ、放歌高唱しつつジグザグ行進などデモ行為をし、気勢を上げました。なお、午後五時ごろ、特許庁付近に集合した団体員は、警察官阻止を突破し、そのうち、一部の者は通用門付近さくを乗り越え、構内に不法侵入してデモ行為をなし、前庭団体員合流をいたしました。さらに農林省付近に集合した団体員も、警察官阻止を突破し、そのうち、一部の者は南通用門付近さくを乗り越え構内侵入前庭団体員合流をいたしました。これら構内侵入した団体員の総数は約九千名でありますが、うち学生が約三千名と考えられます。これらの者は、午後五時四十分ごろから正門並びに南通用門より退去を始め、六時十五分全員門外に退去いたしました。その間、警察官及び衛視の制止を聞かないで、約二時間十分にわたって構内においてあらゆる不規則行為をいたしました。それがため、議事堂内に侵入される危険性もありましたので、一時本館各出入り口のとびらを閉鎖して、万一に備えましたが、議員その他特に必要と認めた者の出入は確保いたしました。  警察官派遣要請の経緯については、次の通りでございます。午後四時五分ごろ、構内に不法侵入した約九千名、うち学生約三千名の陳情団体員院外に排除するため、常時派出の警察官九十二名のほかに、前にあらかじめ要求してある警察官五百名をもってしてはとうてい不可能なため、午後四時二十分、さらに衆議院側といたしまして、二千五百名の増員派遣方要請して、これに備えました。陳情団は、正木議長さん並びに社会党議員方々あっせん等もございまして、午後五時四十分ごろから逐次院外に退場し始めましたので、警察官の実力による排除はこれをいたしませんでした。  なお、現在までに判明の人的、物的被害は、次の通りであります。院外では警察官負傷、入院した者は十一、二名、その他が約三百名、構内では衛視負傷、軽い傷でございますが、一名、その他正門中央門)のとびら破損別館窓ガラスが一枚破損正門から通用門の間の植え込みの樹木が損壊したものが七十一株、以上でございます。
  13. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これに関して御質疑はございますか。
  14. 山村新治郎

    山村委員 ただいまの山野警務部長報告をよく聞いたのでございますが、私は、最も重大なる問題がその報告に漏れているのじゃないかと思うのでございます。後段におきまして、あなたは今、正木さんを初め社会党議員諸君交渉によって退場したということを報告されておりますが、その前に、正門を破って突入した団体先頭を切って、社会党諸君と思われる方々が大勢乱入して参った。むしろその門をあけさしたのはだれかという、肝心の報告が抜けておると思いますが、その点について調べた詳細な報告を願います。
  15. 山野雄吉

    山野参事 ただいま山村先生の仰せの点につきましては、報告は受けております。しかしながら、その議員さんのお名前につきましては、私が現認をしておるわけではございませんので、その報告のことが正確でなければ困りますので、それぞれただいま調査中でございます。
  16. 山村新治郎

    山村委員 それは慎重を期された山野さんの報告でございまして、要するに、そういうように議員方々先頭に立ってあの大衆を導き入れたということについては、あなたは認められますね。
  17. 山野雄吉

    山野参事 その点につきましても、私が現認いたしておりませんので、そのようなことがあったということの報告は受けておりますが、そのことについても調査中でございます。
  18. 山村新治郎

    山村委員 一体この重大な問題を、どうしてそういうようにして責任のがれをされるのでしょうか。私は、国会の権威を守るために、この問題は一番重大だと思う、神聖な国会国会議員みずからが汚すということが、はたして許されていいかどうかということは、国民注視の的なんです。従って、この問題を最もはっきりさせなければならないと思いますから、即刻だれがそういう報告をされたか、その報告をされた方に、はっきりとどういうものを認めたかということを言ってもらいたい。
  19. 山野雄吉

    山野参事 それでは、その報告書を取り寄せるために、しばらくお時間をいただきたいと思います。
  20. 山村新治郎

    山村委員 ここにいないのか、その人は。
  21. 山野雄吉

    山野参事 すぐ取り寄せます。
  22. 山村新治郎

    山村委員 形式的なことはともかく、重大な問題だから、さっそくここで言って下さい。
  23. 松澤雄藏

    松澤委員 警務部長にお尋ねするのだけれども、名前とかなんとかは別にして、社会党議員が、先に入ってきたということだけは、認められるのじゃないかと思いますが、どうですか。
  24. 山野雄吉

    山野参事 そのような報告を受けております。
  25. 山村新治郎

    山村委員 おそらく院内におった者は、社会党諸君が赤だすきをかけて、その先頭に立って入ってきたということは、だれもが認めておるのじゃないか。どうしてそういうことを言えないのか。あなたはそれを見なかったのですか。
  26. 山野雄吉

    山野参事 私は、正門のところにはおりませんでした。自分部屋におりましたので、そういうことがあったということは報告を受けておりますが、そのことを現認いたしておりませんので、今後いろいろな写真とかそういうふうなものがあるいは出てくるかと思いますので、そのことも警視庁に命じております。
  27. 山村新治郎

    山村委員 あなたはなるほど正門におって門を守っておられなかったから、それをもっと写真その他で確かめてから報告するということでございますが、要するに、慎重なあなたの御報告かもしれませんが、その門を入ってから後におきましても、社会党議員方々が多数、赤だすきをかけて、この構内を民衆をリードして歩いたのは間違いない。それはあなたも認められるのでしょうその点はどうですか。
  28. 山野雄吉

    山野参事 そのような報告を受けております。私は外に出ませんで、いろいろと警備の関係その他の連絡のために議事堂内におりましたので、その報告によって申し上げておるのでございます。
  29. 三和精一

    三和委員 あなたは、きのうの陳情隊が来ることは前からわかっておったのか。
  30. 山野雄吉

    山野参事 はあ。
  31. 三和精一

    三和委員 それで、門はどうしましたか、締めてありましたか。
  32. 山野雄吉

    山野参事 侵入されるようなおそれがあると察知される場合には、すみやかに門扉を閉ざせという命令を出しておりました。
  33. 三和精一

    三和委員 締めてありましたか、締めてありませんでしたか。門が締っておるのを、デモ隊が破って入ったのか。それとも、代議士さんが来て、おれが通行するのだからあけろと言ってあけたのですか。
  34. 山野雄吉

    山野参事 中央門につきましては、若干の議員さんがここをどうしてもあけろと言われたので、ここをあけましたという報告を受けております。
  35. 三和精一

    三和委員 そこが大事なんで、それをあけました後、それを機会にデモ隊が一挙に飛び込んできた、なだれを打って入ってきたということは、ちゃんと新聞にも出ております。こういう事実はありますか。
  36. 山野雄吉

    山野参事 御承知の通り正門には中央門衆議院の門と参議院側の門がございます。議員さんが先頭で、そのあとに若干名の陳情団が続いて入ったのは、衆議院側の門でございます。それとほとんど同時に中央門が破壊されまして、突破されたという、以上いずれも報告に基づいて申し上げておるのでありますが、そういう報告を受けております。
  37. 三和精一

    三和委員 そうすると、あなたの言うのは、代議士が先導して入ったということは、衛視に対して、おれは代議士だからあけろと言ったのは事実ですね。そのあと、それを奇貨おくべしとして、これを利用して数千名の者がなだれ込んできた。これをあなたは認めますか。
  38. 山野雄吉

    山野参事 この点は報告でございますが、衆議院側の門を議員さんの強い要請によってあけまして、そのあとに続いた陳情団方々は三十数名だそうでありますが、この門では、陳情団方々に対して記章を確かめようとしたのでありますが、そのときの勢いで、議員さんに続行して三十数名に入られてしまったのであります。しかし、その門は直ちに閉鎖いたしました。閉鎖いたしましたが、それと時刻を同じうして中央門が破壊されて、突破されまして、そのあとに続いて入ってきたという報告を受けております。
  39. 三和精一

    三和委員 それでは、代議士諸君が先導して入ったと私は言いますよ。あそこをあけたそのあと入った者は、あなたの部下が見たのは、何千人ぐらい入ったのですか。
  40. 山野雄吉

    山野参事 これはそのときにおりました者が、その数を正確に把握をいたしておりませんが、中央の門から入られたのがほとんど全体だと思われます。そのほかは、門からではなくて、先ほど御説明いたしましたように、南側のさくを飛び越えて入ってきた者が、やはり数百名おるようであります。合わせて九千名ということを申し上げておるわけであります。
  41. 三和精一

    三和委員 それで、そのとき重大なことは、どなたか知りませんが、代議士があけろと言って入られた。そのあと続々となだれ込んだ。これは事実です。その名前をあなたは言えませんか。どなたとどなたとか、何のたれがしということは、言っても差しつかえないと思う
  42. 山野雄吉

    山野参事 先ほど申し上げましたように、名前報告は受けております。しかしながら、それをここで申しますことは、写真その他をもって確認し得るものならば確認をいたしたいと思って、慎重を期して申し上げておるわけでございますが、報告を受けた名前がだれであるかということでありますれば、これは申し上げなければならないと思います。
  43. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 山野君、君は、上司として現場確認しなければ何でも報告できないと言うが、事務的な仕事は下僚に命じてやらせる、その報告上司自分責任において出すのだ。私は、君の信頼する下僚報告したことを、一切ここにあげて報告すべきだと思う。どうですか。
  44. 山野雄吉

    山野参事 それでは、確認をまだしていないということを前提にして、報告を受けた名前を申し上げます。十一月二十七日午後四時ごろ、正門社会党議員淺沼稻次郎君、小林進君、柏正男君、岡田春夫君及び井岡大治君の各議員が、正副議長陳情すると称する約三十名の団体代表とともに来られたという報告を受けております。
  45. 小林進

    小林(進)委員 山野さんにお伺いしますが、正門の前に淺沼稻次郎氏も僕らもその三十名の陳情団と一緒に参りまして、これは事前に議長さんとお打ち合せが済んで、三十名前後の者なら院内において代表団として陳情を受けていただくという前々のお話があるので、われわれはここへ来たのであるから、一つ門をあけて入れてもらいたい、こういう交渉を門の外と内とでいたしました。その交渉いたしたことに対して、門をあけないで、その間約十分か十五分の交渉経過している。経過しているうちに——淺沼書記長以下三十名が、向かって図書館側舗道から、警官に道をあけてもらって、案内をされて、これは正式の陳情団だからという了解のもとに、舗道を通って国会正門の前に来て、衆議院の入口から、どうかそういう正式の陳情団だから入れてもらいたい、そういう交渉院内における衛視とやっておった。その時間がたしか十分前後——時間は正確にわかりませんが、十分ぐらいやっておるうちに、向かって反対側チャペルセンターの方から、デモ隊警官と押し合いをして、それがついに警官隊が破られて、デモ隊が殺到してきた。そのときに、辛うじてこちらの交渉が成立して門があけられたので、淺沼書記長以下陳情隊がその中に入った。入って門を締められたその瞬時——それは一、二秒の間でありますか、一分間の余裕がありましたか、その間に、デモ隊が来て、正門のところでその騒ぎが起こった。こういうふうに私は理解をいたしておりますが、そういう陳情団が正式であるから門をあけてもらいたいという交渉が、一体あったか、なかったか。そうして交渉をして、あなた方がおあけにならなかった時間が、十分か十五分で、その間そういうやりとりがあったということを、一体お認めになっておるか、あるいはお知りになっておるかどうか、その点をお聞かせ願いたいと思います。一体正門の前に書記長陳情団と称するものが、何分間待機しておったか。
  46. 山野雄吉

    山野参事 ただいまのお話でございますが、私は報告書に基づいて、今小林先生のおっしゃった当時の状況を申し上げます。それは今申し上げました約三十名の団体代表者が来られたその後でございますが、当時正門を突破される危険を察知しておりましたので、これは一般の陳情団に対してでございますが、正門警備に当たっておりました警察官並びに衛視若干名は、正門全部を閉鎖しておりましたところ、岡田春夫議員等社会党議員方々から、議員が入るのだからあけろと、強く要求をされたそうであります。そこで、議員さんは通さなければいかぬという判断で、議員入場を確保すべく、午後四時五分ごろ、門扉を若干あけて、議員のみの入場をはかり、議員入場させることができましたが、その瞬間、議員の背後におった三十数名の団体代表入場阻止することができ得ず、これら団体代表に突破侵入された。これらの代表は、岡田春夫先生柏正男先生等社会党議員方々とともに、正副議長陳情のため、議員面会所構内を通って向かわれたそうであります。その直後、さらにチャペル・センダー前の団体員が、警察官阻止を突破して、喚声を上げて正門に押し寄せ、中央門を破壊して構内侵入、なだれ込んで、そのあとに続いた、こういうふうに報告がなっております。
  47. 松澤雄藏

    松澤委員 議事進行について。ただいまついに淺沼稻次郎君外四名の方々が出て、当面のきょうの議題になっている同じ委員としてはなはだ申しにくい話ですが、小林進君も当面の衝に当たっております。従いまして、同じ社会党諸君に、理事方々が数名おられるのですから、できるだけ一つ小林君には御遠慮を願って、他の方々において御質問を願い、時によっては、小林君みずからに対してもわれわれが質問しなければならぬ場合もあり得るだろうと思います。さような方法でお進めを願うように、委員長に申し上げます。
  48. 小林進

    小林(進)委員 今、山野警務部長が言われたように、これは確認をしていないということを言われましたし、写真もできて参りましょうし、私自身正門から入っておりませんから、これは写真その他によって証明をしていただけばよろしいのでありますが、しかし、今同僚松澤君から、一応名前が出て、また、私自身にも別な角度でお話を聞く場合もあるだろう、こう言われておりますから、私は、同僚諸君、先輩の言葉を尊重いたしまして、問われるまで私の質問を控えたいと思います。
  49. 大坪保雄

    大坪委員 ちょっと警務部長にお伺いしたいのですが、衆議院議員のためにとびらをあけたそのときに、三十名ばかりの陳情をすると称する団体の一団は、赤旗を立てて、要するに、従来デモをやっておった状態で、赤旗を立てておったか、あるいはそうでなかったかということの報告を受けておるのか。社会党議員団と書いたたすきをかけておったかどうか。
  50. 山野雄吉

    山野参事 そのような話は聞いております。
  51. 大坪保雄

    大坪委員 現認した者はありませんか。衆議院の門を赤旗を立てて入ったということを、衛視は現認をせられているかどうか。その点をその後調べておるのかどうか。
  52. 山野雄吉

    山野参事 けさからいろいろとこまかく衛視に資料を出さしておりますが、いまだ全部目を通す余裕がございません。ただ、そういう話は承っております。
  53. 大坪保雄

    大坪委員 話はと言うが、報告は聞いていないのですか。その点、また警務部長として、部下に対してそういう実情を推問するというようなことはいたしておりませんか。
  54. 山野雄吉

    山野参事 いまだしておりませんが、その点についても、当然そのようにいたすべきだとは考えております。
  55. 大坪保雄

    大坪委員 私は、現に赤旗を立てた状態のままで議員別館の方に来ておる、柏正男君が先導して来ている約三十名ばかりの、陳情団状況を見たから、その実状を確かめたいと思って聞いたのであります。
  56. 天野公義

    天野(公)委員 部長にお伺いしますけれども、あなたは今報告心々ということばかり言っておられますが、部長さんの方としては、今までわれわれはラジオで聞いたり、テレビで見たりしているわけですが、そういうようなニュースであるとか、テレビでとったものとか、そういうものは一つも調べてないのですか。
  57. 山野雄吉

    山野参事 実は、昨日から、いずれ御質問があろうかと思って、報告書の作成その他で、私はけさからニュースも聞いておりません、テレビも全然見ておりません。
  58. 天野公義

    天野(公)委員 部長は現認していたい、現認していないと言うんだけれども、非常に職務怠慢だと思う全国のテレビとかニュースとか、そういうものが全力をあげてあの場面をとっているわけです、その場面は、実際フィルムに写って国民全部が見てるし、僕ら自身テレビであの場面を見ております。そうすれば、だれが先頭になって入ってきたか、どういう状況であったか、わかるはずなんです。それから、ただいま大坪さんの御質問にあったように、柏さんや何かが、赤だすきをかけて、陳情団先頭に立って入ってきた。その現場を僕も門の横っちょで確認している。その連中のあとについてぞろぞろ入っている。それを担当した者が目で見たのを、自分が見ていないと言って知らぬ顔しているというのは、非常に職務怠慢と思うが、それはどうなんですか。
  59. 山野雄吉

    山野参事 実は、いろいろなことで四日間一睡もいたしておりません。そしてけさからいずれ御質問があろうと思いまして、大綱だけ早く報告書を作成しなければならぬということで、報告書を作成いたしておりました。その間、いろいろな議員さんから質問を受けるために出かけていっていることもございまして、先ほど申し上げました通り新聞写真をわずかばかり見た程度でございます。まことに申しわけございませんが、ニューステレビも朝から一つも見ておりません。
  60. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 いろいろの御意見のやりとりがありましたが、私から山野部長に一言質問いたします。私は、社会党議員が赤いたすき、中には赤いたすきの上に黄色いたすきをかけて、あの陛下がおいでになる正面の玄関のところで指揮する状態を、この目で見たが、警務部として、あるいは警務部長として、あの実態を見ないのですか。あなたははっきり言いなさい。そんなことで責任が立つと思いますか。
  61. 山野雄吉

    山野参事 私自身は、先ほど申しましたように部屋の中におりまして、いろいろ連絡等に当たっておりましたので、見ておりません。しかしながら、そういったようなことについての下からの報告は受けております、こう申し上げるのであります。
  62. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 それでは、見た人をここへ連れておいでなさい、重大なことですから。これを見ないというような衛視なら、必要はない。そんな無責任な発言では困ります。わからないのですか。
  63. 山野雄吉

    山野参事 すぐわかります。——中間報告みたいで恐縮でございますが、そういったようなことは、外におりました衛視は、ほとんど現認をいたしておるそうであります。
  64. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 なお、続いてあなたに申し上げます。名前を上げて下さい。現認をした人が、だれとだれが赤だすきをかけて、だれが黄色いたすきをかけて、指揮しておったかということを、はっきりここで御発言願います。時間がかかりますか。——それでは発言を許します。鍛冶君。
  65. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あなたは部屋の中におってと言われるのですが、これはよほど離れたところなら別ですが、あなたの部屋から見ればわかるところなんだが、それも見なかったのですか。あれだけ騒いでおるのに……。あなたの窓から見えるはずですよ。
  66. 山野雄吉

    山野参事 どの議員さんがどういうふうな状態であったかということは……。
  67. 山村新治郎

    山村委員 議員がいたということを認めればいいんだよ。
  68. 山野雄吉

    山野参事 それはわかっておりますけれども、どの議員さんがどうというようなこまかいことはわかりません。
  69. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あなたに部下から報告があったんですね。これはどこへいったって、警視総監にしろ警察庁長官にしろ、日本全国へみずから行くわけじゃないですから、部下報告を聞いて常に責任を持ってわれわれに報告をしておるんだが、あなたは、その部下報告は信用できないのですか。あなたの部下には、あなたの信用するような部下はおらぬか。どういうんです。
  70. 山野雄吉

    山野参事 私の下の者は、信用ある報告をいたしております。また、それに関しての私の発言については、私自身責任を負うべきだと思っております。
  71. 鍛冶良作

    鍛冶委員 だから、部下報告は、あなたの信頼する者がその任に当たっておったのでしょう。信頼できない者がおったのか。どっちです。
  72. 山野雄吉

    山野参事 全部下を信頼しております。
  73. 鍛冶良作

    鍛冶委員 しからば、その部下報告を、あなたは信頼できぬとは何事だ。この重大なところへ来て、そんなことであなたはその職におれますか。これは重大なことだ。
  74. 山野雄吉

    山野参事 お言葉を返すようで恐縮でございますが、私は部下を信頼しないといったようなことは申し上げておりませんので、一番初めに議員さんのお名前ということについては、やはりほかのことと違いまして、議員さんのお名前を出すからには、慎重にやらなければいけない。従って、写真その他今警視庁に命じまして、やがてできると言っておりますが、まだ手元に参りませんので、議員さんの身上に関しましては、最も慎重を期さなければいけないと思って、さように申し上げたのでございます。
  75. 山村新治郎

    山村委員 そうしますと、いろいろわかりました。山野部長さんのおっしゃることは、要するに議員の身分上の問題にも関連することであるから、慎重を期したい。従って、あるいは写真とかその他目撃者とか、いろいろな証拠を固めた上で発表したいというお考えと私は察します。しかし、あなたとしても、先ほど委員長から委員長の立場として御質問があったように、社会党議員さんが大衆の先頭を切って車寄せのところへなだれ込んだという事実は、あらゆる角度から十分認めておいでになっておりますね。
  76. 山野雄吉

    山野参事 報告によりましては、さように相なっております。
  77. 山村新治郎

    山村委員 それは認めますね。
  78. 山野雄吉

    山野参事 その報告を私は自分責任において認めております。
  79. 下平正一

    ○下平委員 山野警務部長に二つだけ、今の報告についてお伺いしたいのですが、その一つは、ちょっと錯綜してわからなかったのですが、国会議員と三十名くらいの陳情団と称する人たちが入ったのは、あすこに三つとびらがありますね、その衆議院側から入ったわけなんですか。
  80. 山野雄吉

    山野参事 そのように報告を受けております。
  81. 下平正一

    ○下平委員 それから赤旗を立てたデモ隊と称する乱入してきた連中、あの連中の入ったのは、別の中央門から入ったわけなんですか。
  82. 山野雄吉

    山野参事 中央門が破壊されまして、赤旗等を持った人がながれ込んだ。それから、陳情団の方も赤旗を立てておったということを聞いております。
  83. 下平正一

    ○下平委員 そうすると、国会議員並びに三十人の陳情団が入った門と、大ぜい入った門と、別々の門ということに伺っていいですね。
  84. 山野雄吉

    山野参事 私の受けた報告では、先ほど申し上げましたように、衆議院側の門から議員さんと、それからそれに続行した陳情団の方、ほとんど同時に中央門が突破されまして、一般の陳情団合流して、議員さんのあとから入った、さように報告を受けております。
  85. 下平正一

    ○下平委員 山野部長、私の聞きたい要点というのは、国会議員があけて入ったのと、これは約三十人続いて入ったんですね、それとは別の門がデモ隊によって破られて入ってきた、こういうことですか。
  86. 山野雄吉

    山野参事 別ではあるが、その瞬間に合流したというように私は報告を受けております。
  87. 下平正一

    ○下平委員 今委員長さんの御質問ですか、国会議員の中で、赤だすきをかけた連中が構内においてデモ隊の指揮をとっていた、こういうことを確認されるかという質問で、山野部長はそのように聞いておりますと答えられたように聞きましたが、そこで私はお伺いしたいのは、実際にデモ隊の指揮をとってやっていたのか、あるいは多数の人がそこにいたのか。指揮をとったということを部長さんは確認をされているのかどうか。実は、これは私も出ていって、下がれ、下がれとやったわけなんです、デモ隊を退散させるために。そこで、ただ赤旗を立てた人が立っていた、デモ隊のところに、構内に一ぱいいた、そういう程度の確認か、それとも荒舩委員長質問のように、現実にデモ隊の指揮をとっていたんだ。あっちへ行け、こっちへ行けというように、こういう指揮をとっていたということまで確認されるのですか。
  88. 山野雄吉

    山野参事 先ほど申しましたように、先頭に立っておられたというような報告を聞いております。まだその書類は見ておりませんので、今取り寄せ中でございます。
  89. 下平正一

    ○下平委員 そうすると、指揮をとっていたということについては、まだ確認をされていないわけなんですね。
  90. 山野雄吉

    山野参事 先ほど申し上げました通り、そういったようなことがあったように聞いておりますので、それを書類によってなお確認をいたしたいと思います。
  91. 山村新治郎

    山村委員 山野さんは、非常に慎重をきわめられまして答弁をされておるようでございます。従って、山野さんの答弁の内容についてのせんさくの問題は、いずれ山野さんがあらゆる報告、あらゆる証拠を収集された後におきまして、また後刻本委員会報告があることと思いますし、これは一つ山野さんの報告についてはこの程度にいたしまして——あと大事な問題が山積しておりますから、山野さんのそういう当時の状況報告はこの程度をもって質問をやめて、議長さん、副議長さんもいらっしゃいますから、肝心な問題に移っていただきたいと思います。
  92. 栗原俊夫

    ○栗原委員 一点だけ聞かして下さい。山野さんの最初の報告によりますと、議員先頭に立って三十数名の人と衆議院通用門を通った。この三十数名の陳情団は、その議員の人たちとどっちへどのような方向をとって行動したか、この点についてわかっておったら、御報告を願いたい。
  93. 山野雄吉

    山野参事 個々の議員さんがどの方にどうというようなことについては、まだ報告を受けておりません。
  94. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 私は、議長並びに副議長に、昨日のこの不祥事態に関して、いささかお聞きいたしたいことがございます。申すまでもないことですが、全く憲政史上かつてない空前の不祥事態であって、これはわが国の議会制度の根底をくつがえす重大な局面でございます。しかも、こういう事態の起こるべきことは、あらかじめ予想されておったことでございます。従って、万一の場合に、このデモ隊国会乱入を阻止するための十分な措置を講じておかなければならないのは、あたりまえのことであります。ところが、あの周辺に押寄せて、今にも国会内に乱入しようというときに、議長は、当然あらかじめこのことを予想して、国家警察等に連絡して、この不祥事態を防止するという措置を講じなければならぬと私は考える。それに関しまして、議長はいかなる措置をおとりになったのか、あるいはまた議長は、この事態を漫然と放任されておったのか。聞くところによりますと、議長はすみやかに警察の出動を要請せんとしけれども、一部の議員議長のところに参りまして、自分たちの責任でこれを処理するから、警察を入れてはいけない、あるいは構内に入ったものに対して警察権を行使することは不穏当であるというようなことを、一部の議員議長、副議長のもとに押し寄せられて強くそのことを要求された、こういうことも、私は承っております。従って、議長は、一体この事態の起こることを予想して、いかなる措置をおとりになったか、また起こった事態に対して、どういうふうな措置を講ぜられたか。また、先ほど申した一部国会議員あたりが出てきて、そういうことを言ったことがあるのかないのか。それ自体も重大な問題でありますから、この際、全貌を明らかにしていただきたいと思います。
  95. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 佐々木君の御質問でございますが、国会の権威を保つがために万全の措置はとったつもりでありまして、ただいま警務部長から報告がありましたごとく、相当な要請はいたしてあるのであります。それから、ただいまの門を破って入りました者に対して、警察官の派遣は要請いたしましたが、警察官をもってこの入った者を外に出すということは、かえって事態を激化するもとではなかろうか。ことに議員の一部の人が、私どもの責任においてこれを退去させますからという申し入れがございました。もし、警察官を使ったならば、あるいは多数の群衆のことでございますがゆえに、かえってどうかと思いまして、自分たちがこれを退散させるから、こういうことでありましたから、しからばといって、これらの諸君にお願いと申しますか、それを認めたわけでございます。従って、それらの諸君が多数の者を退散させたのは事実でございまして、私どもは構内において流血の惨を見ずしてこれを退散させたということは、まことによかったと考えている次第であります。
  96. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 今、一部の国会議員の方が来られて、自分たちの責任において国会の外へ出るように措置をするから待ってくれ、警察権を使うことはやめてくれという要請があったということをお認めになりましたが、だれが来てあなたにそういう話をしたのですか。一部議員とはだれのことでございますか。
  97. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 一々名は覚えておりませんが、一人覚えがあるのは柏君でございます。
  98. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 それについては、おそらくは社会党議員であって、わが党の議員議長よく御承知でありましょうが、わが党の議員の中ではそういうことはなかったでありましょうか。
  99. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 社会党議員諸君であったと思います。
  100. 池田禎治

    池田(禎)委員 加藤議長にお尋ねをいたします。まず、わが社会クラブは、本日の国会対策委員会におきまして、昨日の安保改定阻止国民会議の暴力的な国会乱入に対して、基本的態度というものを次のように決定いたしました。一、暴徒を率いて国会に乱入したその総指揮者、社会党書記長淺沼稻次郎君の責任は重大である。従って、われわれは、総指揮者たる淺沼君の責任を徹底的に究明し、その責任を明確に処理する。二、デモの規制については、その責任が明らかになってからあとの問題として厳格に論議さるべきであるが、当面わがクラブとしては、大衆運動を法によって規制することは原則として反対である。三、なお、今回の計画的デモは明確に予測されたにもかかわらず、衆参両院議長がこれに備える適切な措置を欠いていた。この責任は重大であるから、両院議長は、みずからその責任をとって辞任すべきである。これがわがクラブの基本線であります。  そこで、衆議院議長にお尋ねをいたします。あなたは、今の佐々木委員質問に対する答弁において、われわれが責任をもって退去させるから、警察力の発動その他は待ってもらいたい、そういうことを要請される前に、あなたはいかなる決意を持っていたのか。私どもは、あなたに申し入れをして、これは憲法政治始まって以来の不祥事である。国会の中に数千のデモが堂々と入って来た。革命前夜を思わせることが行なわれている。議長はいかなることをなさるか。あなたにその所信がなければ、すみやかに議院運営委員会を招集せよ。その議長の諮問にこたえる用意がわれわれにある。この空前の事態に対処するためには、政治家たるものは生命を張ろうじゃないか。あなたも、失礼ですが、これからよわい何十年生きるでしょう。あなたの生命はわずかであるが、日本の国会の権威を守るために、加藤鐐五郎みずから身を挺してでもこういうものを一掃して事態の収拾をはかることが、衆議院議長たるあなたの任務であろう、われら若輩であるけれども、ともについて、自分の生命をかけてこの事態を収拾しようと申し上げた。あなたは、副議長事務総長も入れて相談いたしまして、善処すると言われたが、あなたは、その事態において何ということをなさったか。私は、少なくともあなたがみずから生命を張って、衆議院議長加藤鐐五郎の名をもってデモ隊の退去を命ずる。それによってあなたの身辺に危害を加えられるごときことがあるならば、日本の国会を守るために、あなたが生命を賭して戦われたことは、日本の歴史の上に不滅のものとして残るであろう。しかるに、周章ろうばいして何らなすところを知らない。あなたのとった態度は何ですか。あなたは、あなたの力をもってあの乱入を防ぎ得なかったかもしれない。しかし、かりに今日衆議院議長として——これは他院のことにも触れたいのですが、他院のことは申しません。憲法政治始まって以来の不祥事件である。あなたの生命をかけるだけの気魄と信念と熱意がどこにあったか。あなたは、日本の国の唯一の憲法できめられた最高機関の議長である。あなたには綸言汗のごとき権能がある。しかし、権能だけ持っていてもだめです。その信念がなければ政治家は、断じて格好やモーニングだけで世の中に立っていけるものではありません。あなたがみずから生命を張って——あなたは憲法政治の危機と申されている。本日の新聞を見てごらんなさい。議会政治の危機ということは、いかなるものといえども申さざるものはない。それを、あなた方は他人の力によって事態の収拾をはかる。何たる政治家として卑怯な態度であろうかと思うもし、かりにあなたが乱入を防止し得なかったとしても、あなたの議長のときにこういう空前の一大不祥事を起こしたということは、政治家としてはその罪がいかようにあろうとも、あなた方が辞任をして、この事態の収拾の責任をとる。そこに初めて日本の国会の権威というものが守られ、将来、かくのごときことをする人は、かくのごとき政治的な責任をとることによって、国民に厳に国会を尊重してもらえるということが立証されるものであります。それがなくして、単に懲罰を求めるとか、あるいは、本日の新聞に出ているように、国会周辺のデモを取り締る法律を作る。百の法律を作る前に、議長みずからが範を示すことが、私は将来こういう不祥事を絶滅するゆえんであると思う。百千の法律を作り、監獄を作って人をぶち込む前に、あなたみずからが責任を負いなさい。私は、このことを申し上げて、あなたの御決意のほどを伺いたいのであります。従って、あなたの答弁によっては、あらためて質問を発するものであります。
  101. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 ただいまの御質疑は、国会の権威を保つということに対する私への批判でございますが、御批判は別といたしまして、国会の威信を高め、権威を高めるということに至りましては、私はあなたに劣らざるかたい信念を持っておるということだけ申し上げます。ただ、手段、方法に対しましては、いろいろあるでありましょう。私が陣頭に立って、このやせたからだでこれを退けるということも、あなたの御意見もありますが、それも一つの方法かもしれませんが、私としては、最善の策といたしまして、あのときは警察力を使うよりも、そういう方によって事態を収拾する方が便宜だ、こう考えたのでございます。信念に至りましては同感であります。ただ、手段、方法が異なっているというだけでございます。
  102. 池田禎治

    池田(禎)委員 これはわれわれが長年主張して参りましたが、国会の開会式のときに天皇が通る通路だけは、常に閉鎖して、いかなる議員といえども通行させない。国会というものは、国民のための議事堂だ、だから、あそこを開放したらどうかということを私どもは長年主張してきた。これさえもあなたがた——というよりは、自由民主党を中心にして、天皇のあこがれ的なものは残そうというので、これを堅持して譲らなかったところであります。その前に、昨日数千のデモ隊がすわり込んで、口にすることもできない、小便はするわ、ふんはたれるわ——今は帝国憲法時代の天皇と一緒ではありません。主権は国民にある。もし、昔の天皇であったら、あなた方衆参両院議長が、辞職して済むなどという軽微なことではありません。天皇の前において腹を切って、生命をささげてあなた方はおわびをしたでしょう。今日、天皇は国民の象徴となって、主権は国民に移りましたが、その主権者たる国民に選ばれて、国会議事堂に参集し、国政の審議に当たっているものが、この殿堂を守ろうというのは、これはひとしく議員たるものの任務でなければなりません。従って、あなたに対して、きのうのことについても、私はあなたの信念をただし、激励したのです。あなたが信念があるというなら、信念は口先だけでは行なわれません、行動に移して初めて立証されるものであります。そこで私は、当然衆参両院議長責任はきわめて重大であるということを明確に申し上げると同時に、一般の大衆が、議会というものに対して、それほどの尊厳さというものを感じなくても、議員たるものはひとしくこれを感じております。その議員が先導してデモ隊国会構内に導入した、こういう議員が許されましょうか。それは、会派をもってするところの懲罰の動議でない。これこそ、まさに憲法政治の一大不幸が発生した、議会政治の危機が到来した、こういう観点に立って、みずから先頭に立ってデモ隊を導入した議員に対して、議長は職権をもっていかなる処置をする用意がありや。その決意を伺いたいのであります。
  103. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 議長といたしましては、昨日の声明で申した通りでございまして、まことに今度の事件に対しては遺憾の至りにたえません。痛恨にたえぬと申した方がよかろうと思います。ことに、今回のあの事件に対しまして、先刻来お話があるごとく、一部の国会議員の方が先頭に立っておられたということに対しましては、私も遺憾にたえぬのであります。これについては、議長といたしましては、国会の権威を保持することも、将来のことも考えなければなりません。正確な資料に基づいて慎重に検討を加えた上に、かたい決意を示したいと思っている次第であります。
  104. 池田禎治

    池田(禎)委員 私は先ほど申し述べましたけれども、自由民主党は、今度のこの事件を契機として、どうしても国会周辺のデモ禁止の立法を単独審議でも出す、こういうことが各新聞紙を通じて伝えられております。昨日の各テレビニュース等の解説、あるいは特集等を見ても、各界の知識人がこぞって、今までは反対したけれども、もはややむを得ないと考えるに至ったと、幾多の人々が申し述べている。私も、多年本委員会委員といたしまして、大衆運動を規制するような立法措置というものは、断固として反対して参りました。今後といえども、私どもは革新陣営の一員といたしまして、そういう大衆運動を抑圧するがごとき立法に対しましては、断じて私は賛成いたしかねる。従って、そういう法律を作って国会の周辺を安泰にする、そういう基本的な考え方よりも、もっとその前にさかのぼる基本がある。国会の尊厳を傷つけ、国民代表の府たる議事堂をこういうふうにしたということについては、衆議院議長あるいは参議院議長は、みずから責任をとって、その地位を去って、国会の権威を失墜したことについて、国民の前に謝罪をする、その責任を表明する。従って、これを先導したところの議員は、ことごとくその地位を去るに至らしめる。この事実が行なわれますならば、私は、一つ国会周辺取り締まり規則を作るよりも、後世にわたって、国会にこういうことをしたならこうなるということを、国民の前に示すことになる。これが民主議会の本然の姿でなかろうかと思うのであります。私は、ここにいまだ法案の提出を見ないときに議論をすることはおかしいのですが、新聞紙はことごとくこれを報道しております。そういう事態の発生を防ぐというのには、国会の最高の責任者、この事件に関与したところの議員責任を明らかにすることが、百の法律を作るよりも、ほんとうに国民の前に国会の権威を高からしめる最大のものである。これ以上は、本日は申し上げません。衆議院議長におきまして、深甚な誠意を示されることを心より希望いたします。
  105. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 ただいま池田委員の御意見を承ったのでありますが、私たちも大いに同感するところが多いわけであります。ただ、池田君は、議長がこの際責任をとることによって事態の収拾をはかるべきであるという御主張のようであります。これに対して、先刻から承っておりますと、議長のお考えは、きのうの議長声明にも表われておりますように、あくまでも事態の正確なる究明を徹底的にやり、その事態究明の上に立って、そうして重大な決意をもって対処するということを天下に明らかにされております。おそらく、今日、議長は心中深く期するところがあろうと私は推測いたしております。ところで、ただいま池田君が申されましたように、このデモ隊を先導して国会に乱入せしめたそれらの議員たちに対して、何らかこれに対する懲罰ということは、当然必要であろうと私たちは考えるわけです。国会法にもその規定はあるわけでありますが、私は重ねて議長の御意向を承っておきたいことは、国会法の規定によりますと、議員から懲罰動議を提出する場合におきましては、三日間という期限もあることであります。従って、議長が今日どういう御心境でおられるかということは、われわれの態度を決定する上におきましても、重大な関連のあるところであります。従って、私は重ねて、議長がこれに対していかなる処置をするか。議長職権によりまして、関係のその議員を懲罰委員会に付する、これは議長職権において十分やり得ることであります。その際において、議長はこの事態を究明し、同時に日本の議会制度を守るただ一つの道は、今後池田君の言ったような立法問題もありますけれども、それは次の段階でございまして、まず起こったこの事態の責任を究明し、法律に照らして、その責任者の処罰ということを当然考えなければなりません。これこそ、まさに与党、野党を問わず、超党派的に一片国を愛し、議会制度を愛する者は、賛同しなければならぬことだと考えます。かような点におきまして、議長はこの段階において、人のことだから遠慮をするのだというようなことではなくして、きぜんたる態度をもって、あくまでもこういうことを犯した人々に対して懲罰委員会に付する、議長職権をもってもそのくらいのことをやるのだという、かたい決意をこの際表明していただきたいと思います。そのことが問題解決のすべての根本になることだ、かように私は考えますから、くどいようでありますけれども、重ねて御所信を明らかにしていただきたいと思います。
  106. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 ただいまお説を承っておりますと、議長職権をもって懲罰に付せよということでございますが、私も、そういう場合もあり得ると思います。また、そういうことにつきましては、皆様より資料もいただいて、これを議長としていたします場合は、慎重の上にも慎重を期さなければなりません。皆様の御意向も承り、また資料も御提供を願えば、それによって私も決意をいたしたいと存じております。
  107. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 先刻も申し上げましたように、この懲罰委員会に付します場合においては、三日間という期限が限定されておるわけです。従って、あす日曜だということになりますと、三日間はすぐ過ぎてしまうわけでありますから、私は、議長がこれに対して責任を持って、議長職権をもって懲罰委員会に付するのだということを明らかにしていただいて、そうして少なくとも期間が切れてしまって効力がなくなった、かようなことにならないように、私はお願いをいたしたいのでありますが、そういう心配はないか、重ねて私は議長の御心境を承りたいと思います。
  108. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 議員諸君が動議によって懲罰に付せられる場合は、三日間とあるのでございますが、議長として出す場合は、会期中はよかろう、こう存じております。私、今明確にいたしませんが、二、三日で期限が切れることはないと存じております。慎重の上にも慎重を期して、皆様もいろいろどういう御意向であるか、幸いにこの機会でございますから、御意向も承れれば、まことに幸いだと存ずる次第でございます。期限は切れないと思います。
  109. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 それでは議長の御所信のほども大体了解をいたしましたが、私たちは、少くともわが党の総意において、議長にお願いをいたしておきたい。それは、ぜひとも議長職権をもってこの関係議員の懲罰について善処されますように、つまり議長職権において懲罰委員会に付されますように、このことを強く私たちは要求いたしておきます。
  110. 栗原俊夫

    ○栗原委員 議長にお尋ねいたしますけれども、昨日のあの請願隊の中から、法の定めるところ、こうしたものに従って代表を選んで、そうしてその代表の行動はきわめて平穏のうちに陳情したい、こういうことで、陳情を受けよう、こういう了解点はあったのでございますか、なかったのでございますか。
  111. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 私は、常に、平穏にして紳士的態度で来られる方には、時間の許す範囲において、お目にかかって陳情を毎日承っておりますので、どの日でありましても、私はただいま申したように承っておりまして、二十七日でも、そういう平穏な、秩序を保った請願陳情ならば、いつでも承るわけであります。別にお約束する必要もないのでございます。
  112. 栗原俊夫

    ○栗原委員 それはよくわかっておるのですが、昨日の場合、なかなか大ぜい集まり、その中で代表があるいは二十人とか三十人とか、こういう数を限って会おうという約束は、あったのですか、なかったのですか。
  113. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 私は、どなたか社会党の方がおいでになりまして、そうしてわずかな者であるがゆえに、制限して会ってくれろというお話がありました。それはいつもの通りであります。その日に限りません。いつでも議員の御紹介でおいでになって会おうということになれば、特にその日に限ってどうということではございません、いつでもお会いいたします。
  114. 栗原俊夫

    ○栗原委員 それはよくわかっておるのですが、私が聞こうとするところは、昨日のああいう陳情隊の中から代表が選ばれて出てくる、それでは会おう、こういうお約束のやりとりがあったかどうかということを聞いておるのであります。
  115. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 それは平穏に陳情をされるならお会いいたしましょうということを申し上げたのであります。それは当然のことであります。
  116. 栗原俊夫

    ○栗原委員 もう一ぺん。どなたかおいでになりまして、平穏にお目にかかりたいから会ってくれろということが、前にありましたか。
  117. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 それは特に二十七日とは限りません。いつでも明日会ってくれとおっしゃるならば、時間があればお目にかかるのですから、それが二十七日であろうと、二十八日であろうと、明日ということで承っております。
  118. 栗原俊夫

    ○栗原委員 一昨日そういうお話があったわけでございますか、一昨日、明日会いに来るから会ってくれというような申し入れがあったわけでございますか。
  119. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 さように思っております。
  120. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 ではこれに関連して、副議長正木さんに伺います。あなたは、きのう、この三十名の陳情団に会われたというお話であります。どういう経過をたどって会われたか、会っていかなることをなさいましたか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  121. 正木清

    正木議長 佐々木さんの御質問にお答えをしたいと思います。昨日の午後でありまして、時間は正確に記憶いたしておりませんが、議長室へ社会党衆議院の柏君、それからやはり社会党の参議院の方でございまして、名前は私存じません、その方がお見えになりまして、今面会所に二、三十人の方が陳情に来ておる、この方々にお会いして下されば、自分責任を持って直ちに構内から退散するように努力をする、こういう申し出が議長にございまして、私は議長と御相談を申し上げて、さっそくその二名の諸君と面会所に参りまして、まず第一に、代表団諸君に会うことになりましたが、その前提として、まず私の身分をたまたまそこにおりました社会党の黒田君から明らかにしてもらいました。明らかにしてもらった後において、私はその代表団諸君に、諸君が手分けをして、責任を持ってこの事態のすみやかなる解決のために努力をするという約束を私にするのであるならば、私はあなた方の陳情を承りましょう。そのお約束ができなければ、あなた方の陳情を承るわけには参りません。それに対して代表団諸君は、副議長が私どもの陳情を聞いて、陳情の趣旨を書類を通じて議長に伝達してくれるならば、自分たちは責任を持って、直ちに手分けをして、すみやかに衆議院構内から退出するように努力することをかたくお約束いたします。では、陳情はごくわずかの時間で、直ちに行動に入って、十分ないし十五分以内に退散するように努力するという約束ができますかと言うと、できます、こういうことで、私は陳情団諸君から、相手方も非常に紳士的に、静かに、ごく簡潔に、一人一分ないし二分——二分までおそらくかかりませんでしたが、書類を私が受け取って、その諸君責任をもって直ちに行動に入った。それから、私を帯同した柏君も、責任をもって行動に入った。そのことは確認をいたしました。
  122. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 私は、あなたのおとりになった態度を、今お話を承っておりまして、非常に疑義を感じます。国会というものは、国会の規則に従って陳情団にも面会するのはあたりまえのことでありまして、一体国会に、成規の手続を経ないで、不法に乱入してきたところの陳情団と、副議長が面会をする、かようなことは、国会の権威を傷つけるもはなはだしい行為である。この陳情請願団と面会をする場合においては、当然衆議院の面会規則その他の関係法規があります。そういうふうな周囲から威圧を受けた中で、国会議長が強要されて面会をするというようなことは、全く法の精神から照らしても、醜態しごくだと私は思うのであります。あなたは一体いかなる適法なる手続を踏んで会われましたか。いわんや、あなたがその場において陳情書を受け取るがごときは、何という不見識なことですか。私は、この際あなたの責任も、そういう点においては追及いたしたいと考えます。いかなる手続によってお会いになったか。国会の中に成規の手続を経ないで、不法に乱入してきたところの暴徒と、それに強要されて議長や副議長が面会するというがごときは、はたして妥当な行為であるとお考えになりますか。あなたは重大なる責任があると私は考えます。
  123. 正木清

    正木議長 お答えをいたします。私は、会った場所が議員の面会室、しかも、その代表者と称する諸君は、いと静粛でありまして、議会の衛視諸君もそこに立ち会っておりまして、私は全然強要されて会ったわけではないのであります。従って、私は、従来の私自身の体験から申しましても、そういうような陳情団代表にはしばしば会っておるものですから、あなたが御指摘になったような考え方は、私にはごうもなくて、そうしてお目にかかって、しかも、この事態を解決するという前提がありましたものですから、私は私なりに努力を払った、こういうことでございます。
  124. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 面会をする場合においては、必要な手続がございます。しからば、きのうの場合において、いかなる手続をなさいましたか。正式に手続を踏んで面会を申し込んできたか。あるいは面会申込書に署名をしてきたようなものであるか。赤旗を立てて構内に乱入してきた暴徒と、その威圧に押されて議長なり副議長がこれと面会をするがごときは、全く私はとんでもない話だと思います。そういう適法の措置をとり、そういう手続をとって会われたものでありますか。成規の手続をとっておるものですか。
  125. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいま佐々木君の御質問正木議長の御答弁等がございましたが、そのときに、私は、議長室に議長、副議長、私とおりましたので、決して副議長をかばうものでも何でもございませんが、真相だけはこの際伝えておきたいと思います。それは、時間はよくわかりませんが、たしか五時ごろと思いますが、何千という暴徒が乱入いたしました。この暴徒をいかにして退去させるかということが、その当時といたしましてはきわめて急を要するときでありました。従って、議長、副議長に御相談を願い、私もそこに立ち会っておりましたが、これはいかなる手段をもっても早く退去さすべきだ、こういう感じを議長、副議長も持たれると同時に、私もそういう感じを持ちました。そういう感じを持たれておるときに、社会党の柏君並びに社会党の参議院議員名前は私も初めて会う人で承知をしておらなかったのですが、議長が面会をすれば直ちに退去する、こういうことを言って参りました。しかし、この暴徒化しておる、しかも、先ほど池田君の言われる通り、天皇のただ一人通行するあの門前で、言葉には言い尽くせないような事態が起こり、しかも、名前は機会を見て申し上げますが、社会党の幹部、それがこんな広い赤だすきをかけて、隊長と目される人は、その上にもう一つ黄色いたすきをかけて、そうして指揮をしておる状況です。私はその暴徒の渦中に飛んで参りまして、何とかして早く退去してくれということを、私は身を張って交渉に行きました。その交渉に行って直ちに帰ってきたときが、その柏君が来て、議長、副議長がどうしようかという事態でありました。従って、いかなる手段をもっても直ちに退去さすべきだという、事態が緊急迫っておりますので、そこで議長がお目にかかるというようなことになって、議長室へ二十名、三十名の者が乱入してくれば、どういう事態が起こるかわからない。従って、これは議員面会所交渉をして、直ちに退去してもらうことが機宜を得た策だ、こういうふうに私も感じておりました。議長、副議長も、そういう感じを持たれました。そこで、議長は副議長に対して、とにかくすぐ退去してもらうようにあなた行ってもらったらどうか、こういう発言がありました。そこで、副議長が、それでは私がかわって参りましようというので、柏君に念を押されて、私が議長のかわりとして行った以上は、直ちに退去するか、いたしましょう、こういう約束ができまして、副議長が面会所へ行かれたわけでございます。ただし、その後の陳情書を受け取ったというようなことの事態は、まことにこれは佐々木君の発言の中にあるように、少し軽率なそしりを免れなかったかもしれません。しかし、そういう約束でとにかく副議長交渉に行った。直ちに退去せよということで行った。これだけは真実でございますから、それだけを皆さんにお伝えをいたします。
  126. 柳田秀一

    ○柳田委員 最初に、国会構内赤旗を掲げてデモ隊が入ったということは、まことに前古未曽有であり、ゆゆしき問題であり、遺憾きわまる問題である点については、私もあえて異を申しません。ただ、問題は、副議長さんにお尋ねするのですが、陳情の問題であります。従来こういうことはしばしばございました。たとえば大衆運動が起こったときに、社会党議員団は、赤の中に白で日本社会党議員団と染め抜いたたすきをかけることはしばしばございます。私も、何回もかけました。この前の警職法のときもかけました。メーデーのときもかけました。そういう大衆運動のときに、社会党議員団は、その大衆運動が国民に許された国会に対する請願陳情の権利を行使するのであるから、そのあっせん役を買って出るということもたびたびございました。あっせん役を買って出る必要上から、明確にするためにたすきをかけたこともございます。そのあっせんを買って出る場合には、あるいは議長、あるいは政党の代表、あるいは内閣官房長官等にそれぞれそのあっせん団の代表が先導いたしまして、それぞれのところにアレンジをいたしまして、約束をとりました。そうして院内ならば、院内の通行証をいただきまして、先頭に立って粛々と議長室なり、あるいは各党の代表のところへ参ったということは、しばしばございます。従って、昨日の問題は、その点に一つけじめをつけていただく必要があるんじゃないか。きのうのデモは、安保改定阻止国民会議というものが主体になっておやりになった。社会党幹部は、それぞれ首相官邸、あるいは参議院議長、あるいは衆議院議長に対するあっせんの役目を分担いたしまして、それぞれのたまりの場からその方々を先導して——その人は大衆運動とは別に、国会請願隊として、これを先導、誘導する、こういう行動をとった。たまたまそれと時を同じゅうして、あるいはそれに便乗して、デモ隊が入ったということは、あり得るでしょう。しかしながら、そういうことと、請願運動、陳情運動を先導したということは別でございます。そういうような意味において、議長さん、副議長さんのところへ、あらかじめ何時ごろにだれだれが連れて参りますから会ってほしい、こういうような申し出があったのですかどうですか、その点、先ほどどうも明確でなかったので、あったかどうか、その議員さんが連れて陳情に来たのかどうか、その点が明らかでないので、その点を一つお聞かせ願いたい。議長さんでも副議長さんでもけっこうであります。
  127. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 私が先刻お答えした通りでありまして、そういう大衆の代表者であるかどうか、私はそういうことは毎日お約束いたしますから、はっきりいたしませんことは、先刻も申した通りであります。前の二十六日に来たかとおっしゃられれば、二十六日にも来た。あくる日も来たかといわれれば、その日もそうだ。私はだれでもお目にかかるわけでございます。
  128. 山村新治郎

    山村委員 ただいま、柳田さんの社会党代表しての発言がございましたが、まことに私どもはその発言を聞いて憤慨にたえないのであります。大体きのうのあの不祥事が巻き起こったということは、社会党の全責任であることは天下公知の事実でございます。ただいま委員長からお話があったように、社会党代表の方が、議長、副議長のところへ参りまして、会ってくれれば必ず退散させるということを確約できるということは、あの大衆というものと社会党が通謀しておった証拠だと私は思うのでございます。  そこで、私は副議長にお尋ねいたしますが、なるほど、あの暴徒を静めようといたしまして、あなたが代表にお会いになられた苦労はよくわかりますが、代表にお会いになったときに陳情書を受け取られた処置というものは、はたしてあなたは正しい行動であった、よかったと今でも考えておられますか。
  129. 正木清

    正木議長 お答えいたします。私は、その諸君にお会いして、正式な請願陳情書を受け取る前に、先ほど御答弁いたしましたように、明確に念を押し、そして代表諸君から責任ある言質をとって、しかも、面会室でございますし、いと静粛でございますし、周囲には国会の職員の衛視諸君もおられたわけでありますし、従来の慣例から、ひとりそうした大衆運動の団体諸君ばかりでなく、中小企業の諸君にしても農漁民の諸君にしても、面会室のあの控室で私ども会いまして、陳情請願書を受け取りますことは、私の経験では、従来やっておった行為でございますから、私自身きのうとった処置においては、私の良心に従って間違ったとはいまだに考えておりません。
  130. 池田禎治

    池田(禎)委員 副議長にちょっとお尋ねいたします。私は、国会の最高責任者は議長であるから、あなたにまで触れませんでしたけれども、あなたにそういう御答弁があるならば……。あなたはあのジグザグ行進デモ、すわり込みをやっておる現場に出て見ておられた目撃者である。副議長が心配してあの状態を見て、これは普通の状態である、こういうふうにお考えになったか、容易ならざる事態であるとお考えになったか、そのことをまずお伺いいたします。
  131. 正木清

    正木議長 池田さんにお答えをいたします。松澤さんの御意見に従って、議長とともにあの混乱状態をまのあたり見まして、あなたの御意見の通り、これは容易ならざる事態であると、実は深く心痛をいたしました。
  132. 池田禎治

    池田(禎)委員 そこであなたはその陳情書を受け取られたとぎに、この事態を収拾するために責任をもって早く退散をさせると言ったので、それを聞いたということも、私は必ずしもとがめるべきことではないと思いますけれども、あなたは、こういうことは想像されませんでしたか。あの安保改定阻止国民会議の中には、共産党もおれば全学連もおる。その人たちが、社会党の人たちの命令一下で阻止できるかどうかということの判断です。あなたとしてはどうでしょう。社会党のおいでになった柏さんもりっぱな方であろうが、そういう共産党とか全学連とか、その他社会党員でない何万の大衆が動員されているものを、その人たちの説得で、責任で、退去させることができるとその当時御判定なすったのでしょうか、どうでしょうか。
  133. 正木清

    正木議長 お答をいたします。池田さんの御意見の通り、とっさに私も、全部が全部直ちにその代表者の意思に従って退散するという全幅的な信頼は持てませんでしたが、しかし、直ちに行動に移るというかたい約束、しかも、私に陳情している代表諸君が、陳情が終わると同時に前庭に飛び出して行って、みずからデモ隊諸君を説得して退散させる行動を見ながら、私は陳情を聞いたわけでございます。その点では、私はやはり一つの安心を得たということだけは間違いございません。
  134. 池田禎治

    池田(禎)委員 それはちょっと副議長の御答弁としては、私はあとで差しさわりができはせぬかと思う。あなたに会って陳情をして、それを受け入れるならば即座にとめる、そういうことは、いわばゆすり、たかりのたぐいである。それが通らなければあくまでもあばれるぞという、これは副議長として、失礼ですが、将来あなたの疑点として残りはしませんか。私は信じたか信じないかは、そのときのあなたの状況判断だから、そのときはそう思ったか思わなかったか知らないが、それをあなたが明確に仰せられると、あなたがそれを聞くならば押えよう、聞かなければ幾らでも騒ごう、これはとんでもない言いがかりをつけられたことになる。それはあなたとしてはお取り消しになった方が妥当ではなかろうかと思われますが、いかがでしょう
  135. 正木清

    正木議長 私は、議長の承諾を受けて議長室を出るとき、その陳情団諸君が私の意見を受け入れなければ、断じて私は陳情書を受け取る考えはございませんでしたし、請願書を受け取る考えもございませんでした。少なくともああいう事態の中に議長を補佐する私として会う限りにおいては、私は私なりの決心を持って臨んだのでございまして、御注意はまことにありがたいが、私の決意だけは申し上げておきたいと思います。
  136. 池田禎治

    池田(禎)委員 その決意を承れば、今さら私は何をか言いません。
  137. 山村新治郎

    山村委員 ただいまの副議長の答弁は、私としては非常に重大な問題であると考えざるを得ないのであります。大体、会ってくれれば退去をするということを交渉してくるだけでも、議会に対するゆすりと考えてもよろしいと思うのであります。その暴徒から陳情書を受け取ってくるがごときに至りましては、今後といえども暴力をもってすれば国会が屈するのだという、前例をあなたがお作りになってしまったことに相なると思うのであります。  そこで大事な点を一点伺います。なるほど、議長さんとのお話し合いによってその暴徒の代表の方とお会いになったかは知りませんが、そのときにあなたは、陳情書を受け取ってくれということを議長さんから頼まれましたか。その点をお伺いします。
  138. 正木清

    正木議長 お答えをいたします。私は、私の受けた主観的な感じでは、議長から請願陳情を受け取れということはございませんが、議長の御意思の通り相手方が納得するのであるならば、当然私は陳情請願は受け取って差しつかえない、こういう認定の上に立って私は行動をとった次第でございます。
  139. 山村新治郎

    山村委員 そういたしますと、今後といえども、あなたは、きのうのような暴力の連中が大ぜい押しかけて参りまして、会わなければもっと暴行を働く、もっと騒ぐ、会えばかんべんしてやるという強圧のもとに、あるいは陳情書を受け取ってくれれば退散するという態度を、今後副議長として認めようとするのでございますか。
  140. 正木清

    正木議長 お答えをいたします。仮定の御質問なのでお答えしにくいのでございますが、私は、再び昨日のような不祥事態は絶対起きないし、起こしてはならないという、固い決心を持っております。
  141. 柳田秀一

    ○柳田委員 私は、関連して副議長さんにお尋ねします。副議長さんがきのう面会されたのは、あらかじめ社会党議員があっせんした陳情団総計三十名と聞いておりますが、その陳情団の一隊と理解されてお会いになったのか、その点を聞きたい。  もう一つ、先ほど、昨日の国会構内赤旗を立ててデモるごときは、前古未曽有の不祥事であり、許しがたい、まさにモップである、その点私は遺憾の意を表明いたしましたが、従来の国会に対する大衆陳情と、きのうのそれと違ったところは、従来は、そういう大衆陳情を動員したときには、それぞれのたまりでとまっておったわけです。たとえばチャペルセンター、あるいは特許庁の前、あるいは自治庁の前、それぞれのたまりから代表者を出して、代表者陳情者になって、それをわれわれ社会党議員が先導したことは、たくさんございます。従って、われわれは、そういう意味において、昨日の大衆運動も考えて、社会党としては、それぞれのたまり所まで来て、そこから先は従来来たことはありません。警官隊阻止しますから……。そのたまり所から陳情団代表を簡抜したものを、われわれ議員が先導して、先ほど申しましたように、衆参の議長なり、政党の代表なり、内閣の代表にあっせんをしておった。そういうふうにわれわれは考えておるのであります。先ほど山村さんからえらく私の話におしかりをこうむって、社会党が通謀しておったと言われるのは、公党の面目をはなはだ汚したものであり、われわれは断じて通謀なり、結託なりをしたものではございません。ただ残念なことには、そういう代表団陳情にモップ化したところの大衆運動の一隊が便乗して、合流して、中へ入ってきたということは、率直に認めます。しかし、それはわれわれは結果的には認めますが、事前にこれを計画したり、通謀したり、通略したということは断じてありません。これは社会党として、公党の名誉のために申しておきます。
  142. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 私は、運営委員長として発言をすることは当を得ているかいないかわかりませんが、柳田君の発言につきまして、きのうの暴徒との間に柳田君の考えが違っておる点があり、また社会党の一部といいましょうか、幹部といいましょうか、その人のとられた行動に実は重大な関係もあるのでございまして、柳田君にお尋ねをいたしますが、昨日、あなたはあの暴徒のデモ運動を構内でやっているときに、おいででございましたか、どうでございましたか。
  143. 柳田秀一

    ○柳田委員 私はおりません。おりませんが、しかし、聞いております。私も党を代表してここに来る以上においては、事前に党はどういう計画で、どういう予定であったということは、一応事情を全部聞いてくるのがあたりまえでしょう。私はおらなんだけれども、党はどういう計画をした、そういうことを聞かなければ私は来ません。やはり来るからには、党はどういう計画をして、どういう行動予定であった、しかし、現実はどうであったか、その間の食い違いはどこで起こったのかということぐらいは、前後脈絡を承ってきておるのでありますから、私はおりませんでしたが、われわれ社会党としてはそういう考えであったということを天下に表明したわけであります。
  144. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 私は、柳田君におられたかおられないかの状態を今お聞きしたのですが、私は、現に最初から議会におりまして、門を破られたときも現実にあの高いところからよく見ておりました。だれが入ってきたか、だれが先頭に立って入ってきたかということは、私はこの目ではっきり見ております。また、私の周辺には、衆議院の事務をとっておる人ももたくさんおられました。そこで、私がうそを言うとか、欺瞞を申すとかいうのではございません。数千の暴徒が乱入して参りまして、それを指揮しておりました社会党議員を、私はここで申し上げたくありませんから申し上げませんが、その人に交渉をいたしました。早く退去するように、これは重大な問題だ、民主政治の破壊であり、かつて二・二六事件、五・一五事件が起こったが、あれと同じことじゃないか、議会政治の否認じゃないか、こういうことを説きまして交渉をいたしましたが、がんとしてはねつけられました。なおまた柳田さんの先ほどの御発言のように、社会党議員が指揮してないということであるならば、あの赤だすきをかけて、こちらは正面に向かえ、これは左へ向かえ、右に向かえということをなぜやったのでしょう。なお、その中には行動隊の班長というのですか、あるいは分団長というのですか、黄色いたすきをその上にかけて、高いところへ立って、あの階段の上に立って、堂々と指揮して、もっと正面に向かえと言って号令をかけていた議員の姿を、私はこの目ではっきり見ております。もし、社会党の柳田さんの言うように、社会党の方が粛々として陳情するというようなことでありますれば、議員である以上、バッジ一つで、名前衛視が知らなくても、門は自由に通れるはずじゃありませんか。また陳情をするといえば、先ほど議長が言われるように、幾らでも議員に会わないはずはございません。その方が、なぜ赤いたすきをかけ、なおその上に黄色いたすきをかけて、そうしてこれが指揮に当たったか。暴徒を静めるなら、あの赤だすきをはずして、バッジ一つで、構内をわれわれは憲法擁護のために守るのだと言って、なぜ押えなかったのかということを私は一言申し上げたい。私も、議運の委員長でありますから、それ以上申し上げませんが、まことに遺憾千万、何と申し上げていいか、かつて議会政治上にない状態であったと思います。
  145. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いろいろと申し上げたいわけでありますけれども、最初に議長さんにお伺いしたいと思います。その前に私が申し上げたいことは、自民党の方、あるいは社会クラブの方の発言を通じて、非常に重大な問題として考えますことは、この行動の計画なりあるいは実際の指揮というものを、すべて社会党がやったという先入観のもとに極言されることで、これはきわめて重大な問題であると思います。そういう組織上の問題、あるいは安保改定阻止国民会議の構成なり、その他の全般の情勢について、本日御報告を受けておりますが、そういう極限した言い方については、私は今後問題が残ることでございますので、ここで議長にお伺いしたいことは、先ほど来社会党がこの構内においても先頭に立って指揮をした、こういうことを言われますけれども、あの混乱の中において、実際われわれ社会党議員団としては、いかにしてこの状態を早く収拾して国会の権威を保つかということで、われわれは自発的に行動したにもかかわらず、そういう行為がはたして妥当でないのかどうか。私は、あの際において、われわれ議員団が先頭に立って——先導するというのではなくて、やはりこういう状態は早くおさめるべきだという見解に立って行動をとっておったわけです。その辺のことについて、議長さんはどういう感じを持っておられますか。
  146. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 私は、どういう方かわかりませんが、とにかく先頭に初めに立ってこられたということであって、その真意が那辺にあるかということは、先刻申し上げたように慎重に検討しなければわからぬと思いますが、先頭に立ってこられたということだけは事実でございまして、そのことを申し上げたわけでございます。
  147. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 社会党の柳田君の話を聞きますと、ここに来られるまで、いろいろ組織のことや、従来の運動経過を聞いてきた、こういう話である。しかも、これまでしばしば社会党諸君が大衆運動には参加した、こういう話である。あなたの方で、とにかく淺沼君が総責任者であったことは、ここに日本社会党東京都連合会執行委員長重盛君の名前で、六一〇号で通牒を出しております。それに全部指令が書いてある。「安保改定阻止第八次統一行動を中心とする動員要綱、二十七日第八次統一行動について」、これをちょっと読み上げます。   一、国会に対し安保改定案反対、交渉即時打ち切りを要求する大衆動員を行なう、労組は五号の二倍(六号)を最低規制とし、ストライキ決行の組合は全員参加し、学生一万五千、計七万五千名、外、社、共、全日農、人権を守る婦人協議会、平和団体、二千名、総指揮をチャペルセンター前にする、淺沼書記長を総責任者とする。   動員部隊は左の三方面に結集するものとする。   チャペルセンター前二万五千名、総指揮者赤松勇。人事院前(外務省)三万一千名、総指揮者江田三郎。首相官邸下二万四千名、総指揮者山花秀雄。  こういうふうになっているので、そういうものでやってきて、そのまま今度は陳情に名をかりてそれと一緒に入ってきた、こういうことです。ですから、通謀ではない、社会党はあっせんしたのだ、関係してないと言っておるけれども、この通り一緒にやっている。そうして入ってきてしまってから、はっと思って、あるいは副議長陳情書を受け取るなら退去する、こういうことになってきた。
  148. 柳田秀一

    ○柳田委員 ただいま名前をあげられた責任者は、それぞれの部署における責任者である。問題はこうなんです。昨日の大衆動員運動は、主体は安保改定阻止国民会議というものである。その主体の中に、社会党が入っております。それについて国会陳情をあっせんする、あるいは国会議員が行って激励する、そういうようなそれぞれの分担をきめて、国会議員が激励したりあっせんする、そういう意味において、淺沼稻次郎君がこの全体の総責任者であり、そうして衆議院議長陳情するところの代表者が赤松勇君であり、参議院議長陳情する責任者が江田三郎君であり、首相官邸は山花秀雄君である、そういうふうに代表をきめた。そうしてわれわれの友誼団体であるそういう国民会議が、こういう動員をするということを言っているのでありますが、厳密に、これからこれまでは党の運動だ、これからこれまでは国民会議の運動だというのは、今の文章ではわかりにくいかもしれませんが、われわれはそういうふうに計画していることは事実である。委員長は赤だすきがお気に入らないかもしれませんが、われわれは、水害のときに、肩からカバンをかけて、どうぞ一つ御寄付をして下さいというときでも、赤だすきをかげているのであって、赤旗と違う。われわれは、水害の募金運動のときでも、社会党議員団という赤だすきをかけて、名古屋駅頭にも立ったわけです。それは誤解のないようにしていただきたい。
  149. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 私の名前が出ましたから、申し上げます。なるほど、赤だすき一つのアクセサリーというお話ですが、きのうのあの暴徒を指揮していた現状をいかに柳田委員が言われても、ちゃんと赤だすきをかけて、その上に隊長と称する人が黄色いたすきをまたかけて、指揮していたあの状況——なるほど、社会党がどういう方針であったか知りませんが、あの状況を柳田君が見ないで御発言をするということは、いささか軽率のそしりを免れないと思います。こういう点を明らかにいたしておきたいと思います。
  150. 松澤雄藏

    松澤委員 ちょっと私は副議長にお尋ねをいたしたいのですが、先ほどいろいろと副議長から、自分の過去における経験から見ましてもこうだというお話もございましたが、過去の経験に徴しまして、相当その方面のお考えがあったと思うのですが、きのうのあの状況になるということをあらかじめお考えがあったのか、なかったのか。ということは、副議長は、今は無所属でございますが、過去は社会党御出身であります。従いまして、社会党の方から、ある程度お聞きになったり、いろいろなことがあったろうと思うのですが、いろいろな状況から判断いたしまして、きのうのような場面に立ち至るというお考えがあったかどうか、それが一つの問題であります。それに対しまして、数多く私は申し上げませんが、そのお考えいかんによって、結論は、議長に対する副議長の立場において相当な補佐もしなくちゃならぬし、また、私みずからが警察の小委員長という立場におきまして、あなたにかくあることを非常に心配しまして、いろいろと御相談申し上げ、また御参考等を聞かしてあげておりますので、そういうような点からも、あえて一音お聞きいたしておきたい、こういうことであります。
  151. 正木清

    正木議長 松澤さんの御質問にお答えをいたします。私は、昨日のような不祥事態が起きるとは、夢だにも実は考えておりませんでした。従って、私は、今後日本の国会を守り、日本の議会政治を守るためには、私は私なりの決意をもって、議長に私の決意のほどを申し上げました。従って、議長の出されました声明には、私は全幅的に賛意を表しております。議長からこの原稿について御相談がありましたときも、私はただ一言、議長のこの声明には賛成でございますと答えておいたのでございます。
  152. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 先ほど柳田君がいろいろと牽強付会の言辞を吐いておられましたが、やがてこれは何時間かの後にあなたの目の前で明らかになるでありましょう。そこで私は申し上げておきますが、あなたの言うことがその通りだというならば、淺沼稻次郎君、それからチャペルセンター前の責任者、赤松勇君、特許庁前、山花秀雄君、人事院前、江田三郎君、これがあなたのお説によると、平穏な国会に対する陳情をすることが目的であったというお話である。平穏な陳情をするならば、なぜああいう集団暴徒を率いて入ってくるのか。国会に入ってくるときには、通行証が要るわけです。通行証をとりましたか。通行証もとらない。しかも、入ってはならないといって、中からかたく門扉を閉ざしているのに、それをぶちこわして不法に侵入してきた。しかも、赤旗をかついで院内に入ってきた。あなたの言うように、平穏な陳情をするというなら、迂回して議員面会所に行って、成規の手続を踏んで面会を要求すればいいじゃないですか。あなたのおっしゃったことは、ことごとく事実を捏造するものであるということは、やがてあなたの目の前にこのことが明らかになりますから、その点私は申し上げておきます。  それから特に事務当局に承っておきますが、それでは柏正男君がいかなる面会の手続をとりましたか。あるいは正面からここまで赤旗をかついでやってきた三十名というものは、いかなる合法的な手続によって入ってきたか。たとえば通行証を持っておったかどうか。あるいは議員面会所に面会を申し込んだときには、柏君が紹介をする労をとられて、正式の面会の手続をとられたかどうか。この点もあなたの方で調べて下さい。そういう手続をとったことがありますか。
  153. 山野雄吉

    山野参事 正門から入られた状況は先ほど申し上げた通りでありまして、手続はございません。
  154. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 それでは柳田君の言ったことはことごとくうそであります。もし、あなたの言う通りだというならば、正式に手続をとって入ってくればよろしい。あの状況において、おれは議員だから入れろと言って入ったならば、あの怒濤のごとく押し寄せてくるものが、それを機会に入ってくることはわかり切ったことです。それを承知の上で、議員たるの身分を利用して、そうして暴徒を導入させたと言っても、決して過言でありません。しかも、赤旗をかついで乱入してくる不法の侵入ではありませんか。
  155. 柳田秀一

    ○柳田委員 私の党で、各議員に配ったこういうものがあります。   二十七日の第八次統一行動国会請願闘争    国会議員の配置について    (午後二時集結)   当日、次の要領で責任者の指揮のもとに全員参加する。陳情団が両院議長に会うための交渉は両院議運委員(○印)があたる。  1(チャペルセンター前におく)   ○総責任者 淺沼稻次郎 井岡大治  2チャペルセンター前(衆議院議長への請願)   ○責任者 赤松勇 西村力弥  3人事院前(参議院議長に会う)   ○責任者 江田三郎 小柳勇  4特許庁前(首相官邸下)政府に陳情)   ○責任者 山花秀雄 吉田法晴こういうふうに書いてありまして、われわれは、あくまでもそれぞれの陳情を行なうために、議員があっせんするということは間違いない。ただし、結果論になりますが、その陳情にああいうような大衆がそのままなだれ込んできたということは、初めに言った通り、遺憾であります。その他の事情は、その当時一番詳しかった下平君なり、先ほど名前が出ましたが、特にお許しを願って、小林君も一番詳しいのですから、なぜそういう事情になったかを聞いてもらいたい。われわれにもわれわれの言い分がある。
  156. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 あなたの言うことは、全く理不尽きわまると思う一つの例をあげましょう。柏正男君が議長に面会を求めてあっせんの労をとったときに、会ってくれ、会いさえすれば、自分責任をもってこの暴徒を退散させますと確約したじゃないか。暴徒が入ってから後でも、この暴徒を自分責任をもって退散させるということは、社会党と暴徒とが重大な関係があるということになるじゃありませんか。関係がないということは、いかなる立場においてそういうことを言うか。社会党と暴徒とが通謀しているからこそ、自分責任をもって暴徒を退去させることができる。あなたの言ったことは理不尽きわまる。言いわけをするよりも、悪いことを国民の前に陳謝するのが当然だ。
  157. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 いろいろ議論が出ましたけれども、私は、ちょうどここにニュース映画を今手に入れたので、秘密会を開いてやってみたらどうか。その方が一番よいと思う。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  158. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいま昨日の実況を長谷川君より映画で秘密会を開いて見たい、こういうことでございますが、長谷川君の動議に御賛成の方は挙手を願います。     〔賛成者挙手〕
  159. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 挙手多数。よって、直ちに秘密会にいたしまして、映画を見ることにいたします。      ————◇—————     〔午後七時三十五分秘密会に入る〕     〔午後七時五十五分秘密会を終わる〕      ————◇—————
  160. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 それではこれにて秘密会を閉じます。どうぞ順次御発言を願います。
  161. 山村新治郎

    山村委員 ただいま映画を拝見いたしましたが、この映画の中におきましても、社会党議員諸君が多数民衆を先導しておるありさまは、明らかであるのでございます。なおまた、先ほど柳田君がはっきりお認めになりましたように、私は最初この暴徒の方々社会党方々と通謀しておるということを申し上げましたが、意外にも暴徒の総指揮者は淺沼稻次郎その人であるということを、はっきりお認めになった次第でございます。従って、少なくとも、その中核体をなすものは社会党であるということは、柳田君の発言によって明らかなものがあるのでございます。そこで、すでに先ほど同僚の佐々木君並びに社会クラブ池田君から、議長に念を押されたのでございますが、いずれにいたしましても、国会空前のこの不祥事に対しまして、きぜんとして国会の権威を守るためにも善処をしなければならないときにおきまして、先ほど議長さんは相当重大なる決意を持ってこれに臨む旨の御答弁がございました。しかし、もう一ぺん自民党の立場から御確認をしなければならないと思うのは、何にいたしましても、これだけの民衆を先導して参りました多数の社会党国会議員がおったということは、このままにしておくわけには参らないのであります。ところが、この事件に関係しておりまする国会議員の人を懲罰の対象にするということになりますと、議員提案によりますと、明日までと相なりますので、どうしてもこの際においては、議長さんの発議によりまして懲罰委員会に付さなければならないことは当然であるのでございます。先ほどすでに十分その意のあるようなことを議長さんから承った次第でございますが、自民党として最後のだめ押しといたしまして、議長さんといたしましては、こういうふうなことに関連をいたしました多数の国会議員さんがおられる事実にかんがみまして、これを十分御調査の上において、もしそういうことに関係をしておった多数の国会議員がおるということが判明いたしました上においては、これを懲罰委員会に付する御決意があるかどうかということを、もう一ぺん確認いたしたいと思います。
  162. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 ただいま山村君から御質問になりました点につきましては、先刻申し上げた通り、正確な資料に基づいて慎重検討の上、事実があれば善処いたしたいと思います。
  163. 柳田秀一

    ○柳田委員 私の名前が出ましたが、私の発言を故意に曲解して、変なことを山村君が言われましたが、私はあくまでも大衆行動の中の代表者陳情と、きのうのあの遺憾な事態とは、初期の計画が別途のものであったということを申し上げた。そうして現に、今映画で見た通り、三十名ばかりでありましたでしょう、あの代表団は、赤旗も持っていないし、何も持っていない。そうして入口から堂々と入ってきた。そのあと、引き続いてたくさんの大衆がやってきた。それに対して、われわれ社会党議員が手分けして説得をしておる姿を、あなた方はどう解釈するか。それは色めがねで見れば、どんなふうにも映るでしょう。なお、今議長さんが山村君の発言に対して、議長さんの決意を述べられましたが、何か議長さんは書いたものをお読みになったと思いますが、議長さんは今の発言をあらかじめ予定された上にお書きになったのか。まるで国会の政府委員の事務官僚のように、そういう質問を予想されて、そういうものを書いてお読みになったのか、それを伺いたい。
  164. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 書いて読もうと、あるいは読まれなかろうと、それは議長さんの御自由でございますから、あまり不見識な質問はなさらないで……。
  165. 柳田秀一

    ○柳田委員 いやいや、そうでない。不見識ではない。このような質問があることをあらかじめ予期したかのごとく、書かれたものを今読まれたように思いますが、そんなばかなことはない。
  166. 下平正一

    ○下平委員 これはでき上がったことについて黒白を明らかにして、それぞれ責任をとる、あるいは責任をとらせるということについては、これだけの不祥事件を生じたのでありますから、私は当然だと思います。しかし、今ここで論議されている中で、ぜひ私も少し聞いておいていただきたい点があると思います。事いやしくも議員の一身上の問題でありますので、調査の結果がわかってくる、あるいは事実が明確になる前に、たとえば言葉の端に出て参りましたが、社会党が事前に通謀、計画をしたとか、あるいはこれとこれとが指揮者であったとかいうふうに、先入観を持って断定することだけは、これはお互いに慎しまなければならぬと思うわけであります。そこで私は、問題になります点は、二、三あると思うのです。まず、淺沼さんがデモ隊の総指揮者であったかどうかということも問題になりますが、現実に指揮官のたすきをかけてやっていたではないか、こう言われます。私は、当日の院内における陳情団の取り扱いの責任者として、この計画にも参加をいたしておりましたので、若干のお話をしますから、ぜひ聞いていただきたいと思うのです。そこで私どもはこの計画をするについて、通常の陳情以外には社会党は引き受けることはできない。通常の陳情とはどのくらいかというから、私は議運におる立場から、いろいろ過去のことも知っておるので、何十万来ようと、二十人以上の陳情については社会党としてはあっせんの労をとらない、こういう態度をきめ、これはデモ責任者にも、前もって国民運動会議からの要請で伝えておきました。そこで院外の行動で、特に二十万といわれるような動員と聞きましたけれども、そういう際に、あまり間違った混乱が起きてはいけないから、社会党議員団として、陳情をあっせんする人たち、ないしはその責任者と、直接にデモ隊を指揮する責任者がごちゃごちゃになるようでは困る。そこで、デモ隊の指揮者は指揮者の識別をする、院内陳情のあっせんをする者はあっせんをする者の識別をする、ここまで意を配ったわけであります。今の映画ではわかりませんけれども、デモ隊責任者は白いたすき院内陳情のあっせんを扱う者は……(発言する者あり)計画できめたのですから、もうちょっと聞いて下さい。国民運動会議というのは、社会党も加盟団体の一員になっておるのであります。そこでそれをきめました。きょうの映画をカラーで見ればおわかりになりますが、社会党院内交渉をあっせんする人は、黄色いたすきであります。直接デモ隊責任者は、全部白いたすきをつけておるわけであります。これはカラー映画で見ていただけばわかります。このことは、あとで機会もあると思いますから、詳しく申し上げませんが、そういう色でいろいろと識別をしてあります。一貫して、私どもは院内交渉をあっせんするという立場をとってきました。しかし、それが私たちの不注意とか、あるいはまたそのときの状況、私たちの努力の足りなさのために、私どもの意思とは違った結果になった。この点については、とるべき責任はとりたいと思います。  もう一つは、はたして議員先頭に立ってさくを破って入ってきたかどうかという点であります。私は高いところから見ておりました。自民党の皆さんの控室をお借りして、私たちは見ておりましたので、つまびらかなことはわかりませんが、委員長と同様な見方をしていたわけであります。そこで、私は警務部長にも質問をしたわけでありますが、私は今の映画を見て、私の思っていたこと、見たことが確かだと思いましたが、今の映画を見ても、社会党議員団と三十人の陳情団は別の門から入って、そうしてかなりの距離を行っております。そのあとデモ隊が別の正面の門を押し破って入ってきたわけであります。(「あれが平穏な姿か」呼ぶ者あり)平穏とか平穏でないとか——とるべき責任は私どもとりますけれども、事実が間違ってとられてそれが先入主となって結論が出されて、は困りますので、陳情隊が入って——これは実は参議院の段階では百人選んだわけですが、それではいけないというので五人にしました。衆議院は三十人にしたわけです。そうしてその三十人の陳情団社会党議員団というものは、別の門から入ってこちらに向いて来ておるわけです。その門とは別の門をいわゆる全学連の諸君がぶち破って入ってきておる。そこで門を開くすきを与えたことが、そういうデモ隊侵入されるすきを与えたということなら、これは私どもにも責任がありますけれども、直接自分たちが先頭に立って、門を破って数千名のデモ隊を引き入れたということだけはないのです。こういう点を、私どもは決して責任を回避しようというものではありませんけれども、もうちょっと……。     〔発言する者あり〕
  167. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 どうぞお聞き取りを願います。
  168. 下平正一

    ○下平委員 これが最後の段階であれば、私ももっと力説いたしますが、そういう段階ではないので、あまり申し上げませんが、それは間違ったことをやれば、国会議員としてとるべき責任はあると思うのです。しかし、それはそれとして、通謀して事前にやったとか、総指揮官を淺沼君がやったとか、あるいは議員が先に立って門を押し破って入って、続いて数千人が入ったというようなことは、これは事実に反しておりますから、この点だけはやはり事実は事実としてお認め願って、先入主だけでこれを処理することについてはお考えを願いたい。あとは別の機会に申し上げます。
  169. 柳田秀一

    ○柳田委員 柳田君はあの映画を見たら顔が青くなるだろうと言われた。私は現場を見ておらないから、あるいは顔が青くなる場面が出るのじゃないかと、内心は多少危惧していましたが、事実は青くなるどころか、やはり私が聞いてきてここで発言した事実が、いよいよ確かになったと思う。しかし、これは私が幾ら言っても、あなた方は先入観でものを見ておるから……。私たちは、ほんとうに募金運動ですら赤だすきをかけてやっておる。それすらあなた方には気に入らぬらしい。それを下平君がじゅんじゅんと言っても、おわかりにならないでしょう。ここで議長さんも決意をお述べになりましたが、それならば、私は参考人を呼んでいただきたい。あれは、新聞報道部のたくさんの人の目にもとまっております。現場で取材しております。カラー・テレビ、あるいは発声テレビもありましょう。それをやられて、各界から一つ公正な意見を聞いて下さい。そうして私たちがほんとうに間違っておるならば、われわれは皆さんの御要求、あるいは御決定に従います。しかし、われわれのここで言っておることは、何も弁解するために言っておるのではない。きのうのああいうような陳情団に全学連が合流して入ってきたのは、私はむしろモッブだと思う。私の口から言いにくいけれども、暴徒だとさえ言いたい。こんなものは少しも弁解する余地はありません。たまたまそれが時を同じゅうして、結果的には社会党に一脈の関連があることは否定いたしません。まことに残念でありますけれども、申しわけないと思います。しかし、これはあなた方が一方的にきめられるのではなしに、公正なる新聞記者諸君等、取材された方々をここへお呼びになって、そうして第三者的な意見を聞いていただかなければ、ただ多数で、あなた方が先入観をもって意識的に——あるいは警職法の問題でも、ベトナムの問題でも、われわれ社会党は一生懸命がんばりました。そうして夜明けの国会も正常に行ないました。しかし、はっきり言うならば、われわれは臨時国会以来外務委員会などでかせいで参りました点数も、きのうの問題で御破算になったとすら私は思う。しかし、それはわれわれが言うことであって、それをあなた方が奇貨おくべしとして、それをさらに意識的に色めがねをもって一方的に断定されて、議長の今の答弁のように、むしろあらかじめこういう質問をするから、こういう答弁をすべしというようにやられることは、私は断じて承服しません。私は、そういうような公正な御処置をおとり願いたいと思います。
  170. 加藤鐐五郎

    ○加藤議長 ただいま柳田君の御質問でありますが、私が書いたものを読んだ云々ということがございましたが、その通り、私は書きました。何となれば、山村君の御質問というものは、議員の身上に関する重大な問題でありますから、先刻たびたび質疑応答が繰り返されましたが、誤解を招くといけませんので、念のために、私はお答えをするためにここに書いたのでございます。すなわち、もう一度申しますれば、正確な資料に基づいて、慎重に検討の上、事実があれば善処したいと存じます、こういうことを申して、これを書いてあるのでございます。これは先刻来のことでございます。さようお答えをいたします。
  171. 池田禎治

    池田(禎)委員 先ほど来のお話を聞いておりますと、やや私は中心をそれておるような感がなきにしもあらずだと思う。すなわち、この委員会は、発生した未曽有の不祥事件に対して、政治的に、あるいは国会の権威をどういう立場において守るかということを、論議するのでありまして、ときたまたま触れて、何か人々の中に、懲罰事犯についての追及のようなところまで押し入っている感なきにしもあらず。下平君が先入観をもってものを見てもらっては困ると言われましたが、これはごもっともな話で、当然のことであります。ただ処罰の対象になる、あるいはどういうことをするのだということが、もしかりにありとするならば、それはこの委員会の関知するところにあらず、国会法の上に正規に定めました懲罰委員会においてこれを行なうべきことであります。ただ、この委員会は、国会の権威を高からしめ、国会の運営を正常ならしめ、冒涜された国会の姿を、どういう形においてわれわれは回復するか、そのことをまず当面として扱わなければならぬ。従って、その点が、後には議論がお互いにやや出過ぎたようなことで、多少中心をそれておる。何か事犯の対象の量刑にまで及んでいるかの感なきにしもあらず。それは少し行き過ぎではなかろうか。従って、本然の姿に返して、この点に関して本質的に論議するものがあるかないか。もし尽きたならば、本委員会としては、当然の事務的な日程その他をおきめ願いたい。
  172. 柳田秀一

    ○柳田委員 ただいま池田君の御議論もっともであります。従って、懲罰事犯が起これば、これは懲罰委員会でやるべきです。それは懲罰委員会にかけられるのが、自民党さんから出されるならば、これは多数でおやりになることですから、われわれの関知したところではございません。ただ議長発議でおやりになると言われるから——これが懲罰委員会にでもかかってから後のことは、池田さんの言われる通りです。ただ懲罰するか、せぬかということを議長発議でおやりになるというから、それならば、われわれの言い分があるいはあなた方に御納得がいかないとするならば、それは一つ公正なる、たくさんの取材された方々の第三者的な意見も、議長さんは十分お聞き取り願いたい。われわれもその席で拝聴いたしましょう。そして最後におきめになっても、少しもおそいことはない。議長発議でおやりになりますならば、日にちの制限がない、拘束がないというならば、それだけの公正な態度をおとりになって、しかる後に懲罰委員会に回すべきである。議運は、議長さんの補佐機関、諮問機関であります。従って、われわれは議長発議でおやりになるという、そういう重大な発言をされるならば、完全に議長さんが発議される一つの資料として、第三者的なたくさんの報道員の方々の取材があるから、その代表の方も出ていただいて、参考人としてここで御意見を聞くことは、決して不当でない。その点は一つ池田さん、御了解を願いたいと思います。
  173. 山村新治郎

    山村委員 ただいま池田君から、この委員会の使命というものは、国会の権威を高からしめるために、きのうの事態をどういうふうに処理するかという審議をしなければならぬと言われましたが、まことにその通りでございます。そのためには、いやしくも国会議員といたしまして、暴徒の先頭に立って乱入をしたり、先導したような方々に対しましては、その曲直というものを明らかにしなければならないと存ずるのでございます。そのために、場合によれば、私どもの方としては、これは議員提案によって懲罰委員会に付さなければならない必要もある次第であるのでございます。従って、先ほどの映画で見ましても明らかなごとく、また先ほどの山野警務部長の証言によっても明らかなごとく、確かにその暴徒の先頭に立って何名かの議員方々が遺憾ながら参ったことは、事実であるのでございます。このことを思いますときに、この事実がはっきりいたしておりますときに、もし、私どもがこの事実を認めながら、あすのその日にちをのがしてしまいますと、せっかく国会を正常ならしめ、国会の権威を高からしめんといたしましても、その人々を懲罰に付することができないことになってしまうのでございます。しかし、賢明なる議長が、場合によっては重大なる決意を持ってもこの事態を処理しようという決意のもとに、きのうの声明が発せられましたし、同時に、そういう事態があるとすれば、正確な調査をした上において、必ずこれは御期待に沿うように善処するという御答弁があったのでございます。先ほど柳田君自身も、確かに社会党自身もその責任があることは認める、また社会党自身が今までかせいだ点数が一ぺんにマイナスになったと言われたこと、これは相当大きな関係があるということを、御自身において告白されておるような次第でございます。そういうような点からいいましても、この際私どもとしては、一応議長さんのほんとうの御決意を聞きたいという意味から、すでに佐々木君から御質問があったのでございますが、再確認の意味において、私はお尋ねした次第でありまして、これに対しまして議長さんの答弁は、先ほどの池田君並びに佐々木君に対する答弁と同じでございますが、必ず事案を調査の上において、正確な資料に基づいて、そういうことがあるならば、御期待に沿うように善処するという答弁であったと思います。このことは、社会党諸君もおそらくいなやもないと思いますので、委員長におかれましては、その程度におきまして、あとほかの日程もございますので、社会クラブさんの御提案のように、それぞれのことを進めていただきたいと思います。
  174. 小林進

    小林(進)委員 一言関連で……。山村さんの仰せの議長さんの先ほどのことも、私どもは決して御異議を申し上げることではありません。賛成です。しかし、それは先ほど柳田さんが詳しく言われましたように、第三者を招いて、同時にフィルム自体も、今NTVのフィルム自体でも、山野さんのお話とは全然変わってくるのですから、あわせてNHKその他のフィルムも必ず見せていただきたい。録音も必ず聞かせていただきたい。そういう具体的な十分な調査の中に、フィルムや第三者の参考人も入るということを御確認の上にやっていただきたいと思います。
  175. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 この問題につきましては、他に御発言はございませんか。——御発言がなければ、本件につきましては、慎重に検討して、将来に禍根を残さないようにいたさなければならないと存じますので、今後引き続き審議を重ねて結論を出したいと存じます。     —————————————
  176. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、懲罰動議の取り扱いについてでありますが、本日、自由民主党の川島正次郎君から、成規の賛成を得て、議員高田富之君を懲罰委員会に付するの動議が提出されました。また、自由民主党の川島正次郎君から、成規の賛成を得て、議員小林進君を懲罰委員会に付するの動議が提出されました。  なお、この取り扱いについては、追って御協議を願うことにいたしたいと存じますが、いかがでございましょうか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議がなければ、さよう決します。     —————————————
  178. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、緊急質問の取り扱いについてでありますが、本日、自由民主党の倉石忠雄君から、十一月二十七日の国会乱入事件に関する緊急質問が提出されております。本件について、その取り扱いを御協議願います。
  179. 山村新治郎

    山村委員 昨日の乱入事件は、すでに今まで十分議論されましたごとく、重大なる問題でございますので、この際、わが党といたしましては、政府からもいろいろ所信をただしたいと思います。その意味におきまして、ごく最近開かれます本会議におきまして、これを許されんことを望みます。
  180. 栗原俊夫

    ○栗原委員 ただいまの案件でありますが、同じ案件について、社会党からも同日やはり質疑を行ないたい、こういうことでございますので、あわせてこの質疑を許していただくということで御賛成申し上げたいと存じます。
  181. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 本件につきましては、先ほどの理事会で、自由民主党の倉石忠雄君から、十一月二十七日の国会乱入事件に関する緊急質問が提出され、これを理事会に諮り、満場一致決定いたしましたから、まず、これを決定いたしまして、次に、栗原君からただいまお話しの緊急質問について、御協議を願うことにいたしたいと思います。  それでは、本緊急質問は、次回の本会議においてこれを行なうこととするに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、倉石君の要求大臣は、総理大臣、法務大臣、労働大臣、石原国務大臣であります。  次に、お諮りいたします。栗原君提出の緊急質問は、先ほど倉石君の提出になっております緊急質問と同趣旨のようでございますが、この取り扱いについていかがいたしましょうか。
  183. 栗原俊夫

    ○栗原委員 先ほど理事会でもいろいろ論議があったわけでございますが、やはりそれぞれの立場によって、ものの考え方も違い、いろいろ伺いたいこともある。こういう立場に立って、従来そうした問題で同じ案件について競合したようなことがあった場合に、必ずしも全部許した場合ばかりでもないというような事務総長からのお話もあったわけでありますが、とにかく、事が前古未曽有のことでもあり、しかも、今回の問題について、先ほど来のいろいろな論議を通じてみると、これは社会党が全面的にやったのだというような立場に立って皆さんが御議論をなさっているわけでありますが、それらの問題について、いろいろ見解の相違もあるわけであります。従って、私たちは私たちの立場として、昨日の案件について質疑を行ないたい、こういう考え方でございます。もちろん、皆さんには皆さんなりのいろいろお考えもありましょうけれども、私たちは、小なりといえども野党の立場として、しかも、いろいろ皆さんから一方的な判断——というと言い過ぎかもしれませんけれども、一つの予断をもって物事を考えておられる。これに対して、私たちは私たちの立場から、この問題を取り扱って質疑をさせていただきたい、こういうことでございまして、決して私たちが質疑をすることが、別にとって食うとか、そういうものではありません。言論を守っていくということで今皆さんが御尽力を願っているわけでありますので、同じ案件でございますが、ぜひとも私たちの立場にも、大きな気持を持って、よろしい、それでは社会党にも質疑をさせよう、こういう方向をぜひ与えていただきたい、こう思うわけでございます。
  184. 佐々木盛雄

    ○佐々木(盛)委員 昨日暴徒が国会内に侵入いたしましたこの空前の不祥事態、この責任の一半を社会党が負わなければならぬことは、すでに世の通念となっております。また、先刻来、社会党委員の方もそのことを十分認めておられます。悪かったということを認めておられる。従って、悪いところに対しては仮借なくむちを受けるのだということを、今もお話があったわけです。私は、そういう立場から申しますと、今日の社会党というものが、国会の内部におきましてはわれわれ同僚の議員から、あるいはまた、外部におきましては一般の社会人から、痛烈な批判を受けて、むしろさばきの庭に立つ立場にあると思うのであります。従って、そのときは、たといつらくても、仮借なきむちを受けて、その中から日本の憲政を守るのだ、議会政治を守るのだというかたい決意を持って立ち上がっていただきたい、私はかように考える。しかるに、私たち与党が、きのう起こった不祥事件について政府の意向をただすからというと、社会党の方もまた、一向にその責任を痛感しない立場において、政府の意向をただす。政府の意向をただす前に、社会党みずからがえりを正して国民の前に陳謝するのがあたりまえでしょう。それにもかかわらず、ぬけぬけしく質問するなどということは、もし責任をとらないためにおやりになるというならば、その厚顔無恥もはなはだしいものである。しかし、責任を痛感すると言いながら、なお政府に対して質問をするというならば、むしろ、その頭は噴飯に値する、物笑いに類するものです。かような点から考えまして、私たちは、わが自由民主党が代表して質問をいたしますならば、それで十分足りると思う。この際私は、社会党緊急質問を許すような必要はないと考えます。
  185. 小林進

    小林(進)委員 今、佐々木さんのお話の中に、何か社会党はこの問題についてぬけぬけしく質問をする、こういうようなお話がございましたが、何かわが党が、皆様方の質問を反駁してやるようなふうに、先入観的におとりになっている。しかし、これは大きな間違いでありまして、従来の慣行からいきまして、あるいは相手方を弾劾するような意味を含めての質問もありましょうし、あるいはあなたがおっしゃったように、前非を悔い、陳謝を兼ねる意味の質問もありましょうし、是は是、非は非、真相をそのままにお伝えして、国民の批判を受けたという立場のそういう質問もありましょうし、質問の立場というものは、いろいろございます。私どもは、決してあなたのおっしゃるような、ぬけぬけしいとか、ずうずうしいとか、そういう意味の質問をしようという気持はありません。あくまで事実の通りお訴えしてそうして政府に問わんとするところはお問い申し上げ、そうして国民にほんとうに正しい姿を認識してもらいたい。いいはいい、悪いは悪い、正しい姿を知ってもらうための質問でありますから、この点は誤解のないように、御賛成を得たいと思うのであります。
  186. 山村新治郎

    山村委員 実は、社会党さんが、きのうの事件につきまして質問をするという問題については、私自身、ほんとは議論するのがばかばかしいくらいであります。元来、私どもといたしましては、この倉石忠雄君の質問は、政府並びに国会議長にも、議事進行の名のもとにいろいろとお尋ねしたい、これによって国会の権威を保ちたいという熱意があったのでありますが、理事会におきまして、社会党諸君は、議長質問することは絶対にまかりならぬという強い反対があったのでございます。そのために、いたずらに議事を遷延することもどうかと思いまして、私どもは議長に対する質問だけはこれを撤回いたしまして、政府にだけ質問するということに相なった次第でございます。ところが、そのあとで、たまたま社会党諸君から、社会党からも質問したいのだということを言われたときには、おそらくあそこにおられた理事方々、並びにここにおられる方方で、よくまあぬけぬけとずうずうしくも質問するものだという感じを持たれない方は、おそらく社会党諸君以外にはないと思う。さっき柳田君自身がはっきりと、社会党にとっては大いにマイナスだった、社会党自身大いに責任を感ずるということを言われたが、その発言自体、きのうの事態が少なくとも社会党責任において巻き起こったということは事実である。ところが、その御自身が、問題を起こしておきながら、またぬけぬけと本会議におきまして質問せんとすることは、これはどろぼうがどろぼうをしておいて、どろぼうのよしあしについて質問するのと同じだと言っても過言でないと思う。その意味から申しましても、いやしくも国会質問というものは、権威を保たなければなりません。特にきのうのああいう事態というものは、今までなかったことである。今までなかったことの直後におきましての質問というものが、そんな権威のない、だらしのないものであったならば、われわれは後世の笑いものになるおそれがある。従って、国会の権威のためにも、あさっての社会党質問というものは、絶対に許すべきものでないということを主張いたします。
  187. 栗原俊夫

    ○栗原委員 ただいま、いろいろ激しい口調でもって議論されておりますけれども、一方的に物事をきめてかかって御議論なさっている。それはもちろん主観でありますから、それもけっこうでございましょう。しかし、われわれはわれわれとして、公党としての立場も持っております。従って、私たちもこの事件について、私たちなりの見解も持っている。これをただす。しかも、同じ立場でなくて、与党と野党という立場であるわけです。それを、お前たちは発言をするな、お前たちは発言をしてはならない、こういうようなことであっては、これは話にならないと思う。皆さんのおっしゃる通り、私たちの質疑が世間の笑いものになるかもしれません。しかし、私たちはそうとは思っておらぬのであります。私たちは私たちなりの立場で、やはり質疑を通じて物事を進めて参りたい、こう考えているので、この点は、どうしても私たちが発言を求めるということについて、お許しを願いたいと思います。もしもどうしてもだめだというならば、これは皆さんが多数でもっておきめになるならばやむを得ないのですけれども、そういう形こそ、多数を持てば、少数派、あるいは野党というものの言論も完封できるのだ、こういうことになる。一党一派が多数なるがゆえに完封していく、こういう姿になるので、そういうことのないような取り扱いをぜひともやっていただきたいと、最後に重ねてお願いをするわけです。
  188. 柳田秀一

    ○柳田委員 ただいま、栗原君からもじゅんじゅんと理路整然と訴えられましたが、皆さんがお聞きにならなければ、これは皆さんが多数を持っておられますから、国会というものは、多数派が、男を女に、あるいは女を男にはできないかもしれませんが、そのほかは何でもできるのですから、おやりなさい。いたし方がありません。われわれは、悲しいかな、少数野党です。しかしながら、なるほど昨日の事件は、われわれ国会に席を置くものとしてまことに残念なことでございましたが、翻って昨年の警職法のときを思うならば、きのうは国会構内、昨年の警職法は国会院内、しかも、あのような事件のときに、かりにわれわれがあのことで緊急質問を願ったときに、あなた方は許しますか。おそらくあなた方は言を左右にして緊急質問を認めなかったでしょう。しかし、われわれは、きょうはあなた方の緊急質問をきん然として応諾した。しかも、同一案件についてわれわれがやるというのに、自分の方の党は発言するが、同じ案件について野党には発言を許さぬ、これこそ多数の横暴です。われわれが反省の上に立って緊急質問をするというならば、われわれの言うことも聞いてみたらどうですか。それが私は議会政治だと思う。われわれは率直にあなた方の緊急質問を認めた。そうしてへりくだって、われわれも一つ同一案件についてわれわれの反省の上に立って緊急質問をするから、認めていただきたいと言って懇請しているのに、それをなお無視されるなら、けっこうですから、どうぞ採決して下さい。
  189. 山村新治郎

    山村委員 すでに議論は尽きておりますが、ただいま柳田さんから、多数の横暴によって一方的に自民党だけがやるのだという重大な発言がございましたので、あえてこの問題について、私は自民党として発言をしておきたいと思います。自民党自身がきのうの問題につきまして質問をすると同時に、反面において社会党諸君に許したくないという気持は、それは国会の権威を高からしめんとする熱意以外の何ものでもございません。ことに議運におきまして、今まで取り扱っておりました緊急質問の取り扱い方は、同種の問題は、一つの党がおやりになればそれをやらないというのが、今までの慣例でございまして、その点から言いましても、これは許すべきものでありませんし、同時に、昨日おやりになったあの現況からかんがみまして、国会がここで社会党さんにきのうの問題について緊急質問を許すということは、いささか権威なきそしりを受けるうらみもありますから、私どもは賛成いたしかねるのであります。社会党方々が、いろいろと陳弁あるいは陳謝をいたしたいというならば、おそらく今後この問題はたびたびかけられることでございましょう。あるいは懲罰委員会その他においてもいろいろな問題が起こるでございましょう。その席上において、十分社会党としての立場を御力説あらんことを望みます。従って、委員長においては、いつまでも、この見解の相違を議論してもしようがありませんから、緊急質問のようなことを採決することは、非常に不本意ですけれども、社会党が固執なさるならば、この程度におきまして採決によってきめられることを望みます。
  190. 池田禎治

    池田(禎)委員 緊急質問とか、そういういわゆる質問というものは、与党は政府と表裏一体なんですから、できるだけ与党は遠慮して、野党にやらせるのが、国会正常化の姿であると、私は多年主張して参りました。従って、今回の問題についても、同一案件であるからといって、社会党が要求すれば、本来なら許すのが至当だと思う。しかし、これは私は公正な立場に立ったつもりで——社会党諸君から見れば公正でないと言われるかもしれませんけれども、昨日発生した事態というものは、これは自由民主党がやったことでない。社会党の人も、先ほど来、社会党全体といえるかどうかわかりませんが、淺沼稻次郎君については、私どもは重大な責任があるということを発表もしておれば、取り上げてもおる。しかし、社会党にも何らの関係がないということは私はないと思う。すでに柳田君なり、下平君なりも、社会党にも責任があると申し述べている。そういうときに、それも初めから社会党がこれを提出して、ぜひともすみやかに本会議を開いて緊急質問をやらせよというところの用意をして提出して参ったならいざ知らず、自由民主党の方で、これを取り上げて、印刷物によって国会にこれだけの成規の手続をして参っているときに、それならおれの方もやらせろということは、ちょっと考えてみると、おそらく理不尽でなかろうかと思う。そこで一つだけ与党側の人にやらせて、政府が一方的な答弁をして、社会党だけがけしからんという感じを与えた場合においては、社会党は、それは違っているから、われわれにもこれに対する質問をやらせよということをあらためて提議されるならば、私はそのときには拒否することはできないし、私どももそれに反対する理由はない。ただし、今日の事態、今日の時点において顧みるときに、まず、公正に考えたならば、社会党に何がしかの、あるいは相当の責任があると思われる昨日の不祥事件について、自民党が緊急質問をやろうというなら、おれの方もやらせろということは、議会人の常識からいうなら、これは社会党がやってはいけないとは申しませんが、遠慮することがこの際は至当ではなかろうか。あえて私は自分の意見を表明しておきます。
  191. 柳田秀一

    ○柳田委員 ちょっと事務総長にお尋ねいたしますが、国会乱入事件に関する緊急質問という、この国会という定義はどういうことですか。これは提案者に聞くのが当然ですけれども、提案者に聞くよりも……。
  192. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 国会は、御承知のように、衆参両院にまたがってすべてを包含して国会といいます。
  193. 柳田秀一

    ○柳田委員 それは地域ですか、建物ですか、機関ですか。
  194. 鈴木隆夫

    鈴木事務総長 全部の地域と申しますか、この議事堂の建物ばかりでなしに、構内もみな含んでおります。
  195. 柳田秀一

    ○柳田委員 そこで、衆議院規則にも構内とかなんとか書いてあるのですが、日本の言葉というものは非常にあいまいな表現になっておりますから、これはもう少し正確な表現にされたらどうか。私の方から提案するとかえって悪いから言いませんけれども、やはり正確な表現になさった方がいいじゃないですか。国会というと、一つの機関でもあり、あるいは建物でもあり、あるいは一つの区域でもある、非常にばく然たる定義になりますから、これは一つ確実な概念規定に改めていただいた方がなおいいんじゃないか、かように考えております。
  196. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいま柳田委員から御発言がございましたが、事務総長からの答弁で言い尽くされていると思いますけれども、私の観念からいたしますと、国会というものは、建物及び構内を含めて国会と称するものであろう、こう考えます。そこで提案をしている字句を社会党から変えろと言っても、自民党の方で変えないでしょうし……。
  197. 山村新治郎

    山村委員 先ほど、社会党さんに質問をやらせるべきかどうかという問題につきまして、わが党は国会の権威のために、愚劣というと失礼ですが、この際いろいろと誤解を生む質問をやらせるべきでないと主張いたしました。それに対して社会クラブ池田さんから、国会の将来を思われて、公正な意見を述べられました。まことにごもっともであると思います。従って、この際は、一つ社会党さんに御遠慮願うということにお願いできませんでしょうか。
  198. 小林進

    小林(進)委員 今、池田さんの御意見を山村さんが取り上げてまたお話がありましたのですが、池田さんの先ほどの御発言の中に、社会党は遠慮すべきである。ただ、しかし、自民党さんの質問に対して首相並びにその他関係閣僚の答弁がややふに落ちないときには、あらためて社会党の方からそれに対する質問の通告をせよ、その場合に反対すべき理由がないから、私ども賛成してもよろしい、こういうお言葉があったのですが、もし、その点をここで確認をしていただきますならば、また私どもも、十分皆さんの御意見も尊重していきたいと考えている次第であります。
  199. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 いかがでしょう、小林君の御意見もありますが、本日理事会で決定をしておりますし、ただいま自由民主党並びに社会クラブ両党から、栗原君の緊急質問は御遠慮願いたいということですから、はなはだ不本意ですが、採決をいたしたいと思います。  栗原君の御提出にかかる緊急質問は、次回の本会議においてこれを行なうことに賛成の諸君の挙手を願います。     〔賛成者挙手〕
  200. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 挙手少数。よって、これは否決されました。     —————————————
  201. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 次に、次回の本会議でありますが、ただいま御決定を願いました緊急質問がありますので、来たる三十日、月曜日、定例日ではございませんが、特に午後五時から本会議を開くこととするに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  従いまして、次回の当委員会は、同三十日午前十一時理事会理事会散会後委員会を開くことといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十三分散会