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1959-11-07 第33回国会 衆議院 外務委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十四年十一月七日(土曜日) 午前十時三十分
開議
出席委員
委員長
小澤佐重喜
君
理事
岩本 信行君
理事
佐々木盛雄
君
理事
松本
七郎
君 愛知 揆一君 石坂 繁君 菊池 義郎君 北澤 直吉君
椎熊
三郎君 園田 直君 福家 俊一君 森下 國男君 柏 正男君
勝間田清一
君 堤
ツルヨ
君
穗積
七郎
君 帆足 計君
出席国務大臣
外 務 大 臣
藤山愛一郎
君
出席政府委員
外務政務次官
小林
絹治
君
外務事務官
(
アジア局長
)
伊關佑二郎
君
外務事務官
(
賠償部長
)
小田部謙一
君
外務事務官
(
条約局長
) 高橋 通敏君
委員外
の
出席者
専 門 員 佐藤 敏人君
—————————————
十一月七日
委員伊藤卯四郎
君辞任につき、その補欠として
堤ツルヨ
君が議長の指名で
委員
に選任された。
—————————————
十一月六日
在日朝鮮人
の
帰国促進
に関する
請願
(
倉石忠雄
君
紹介
)(第一三号) 同(
中澤茂一
君
紹介
)(第一一四号) 同(
原茂
君
紹介
)(第一一五号)
核実験
及び
核武装反対
に関する
請願
(
關谷勝利
君
紹介
)(第六九号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
日本国
と
ヴィエトナム共和国
との間の
賠償協定
の
締結
について
承認
を求めるの件(
条約
第一 号)
日本国
と
ヴィエトナム共和国
との間の
借款
に関 する
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件(条 約第二号)
——
——
◇—
——
——
小澤佐重喜
1
○
小澤委員長
これより
会議
を開きます。
日本国
と
ヴィエトナム共和国
との間の
賠償協定
の
締結
について
承認
を求めるの件及び
日本国
と
ヴィエトナム共和国
との間の
借款
に関する
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件の両件を
一括議題
といたします。質疑の通告がありますので、順次これを許します。
佐々木盛雄
君。
佐々木盛雄
2
○
佐々木
(盛)
委員
ベトナム賠償
につきましては、先般
外務大臣
から
提案理由
の御
説明
は承ったわけでありますが、従来
外務委員会
の
慣例
として、かような
重要案件
につきましては非常に難解な
外国語
を御
説明
願うことになっているわけでありますが、
一つ
本日も
慣例
に従いまして一応
逐条説明
をお願いいたしたいと思います。
小田部謙一
3
○
小田部政府委員
御
説明
いたします。
日本国
と
ベトナム共和国
との
協定
の大きいものは
賠償協定
と、それから
国会
に提出して御
承認
を願っておりますものは
日本国
と
ベトナム共和国
との
借款
に関する
協定
と二つでございます。
あと
は
参考資料
としてお配りいたしました。 まず
賠償協定
のおもなところを御
説明
いたしますと、この
賠償協定
は従来
フィリピン
や
インドネシア
、それから
ビルマ
と結びました
賠償協定
とほとんどあまり差異はございません。まず一番重要なところは第一条でございまして、それは、「
日本国
は、現在において」云々「に等しい円の価値を有する
日本国
の
生産物
及び
日本人
の
役務
を、この
協定
の
効力発生
の日から五年の
期間
内に、以下に定める
方法
により、
賠償
として
ヴィエトナム共和国
に
供与
するものとする」、これはほかの
協定
にも、額は
ビルマ
の場合は二億でございますし、
フィリピン
の場合は五億五千万でございますが、それをこういうふうに払うという同じ文句が書いてあります。その第二項には、普通の
協定
は非常に額が多いものでございますから、毎年
平均幾ら
という額になって十年なら十年に大体やることになっておりますが、この
協定
は三千九百万ドルの
賠償
でございます。まず
最初
の三年間のうちに三十六億円つまり一千万ドル、それから
あと
の二年間のうちに残りの四百五千万ドルにひとしい円の
年平均額
によって行なうということが書いてございます。 それから第二条には、「
賠償
として
供与
される
生産物
及び
役務
は、
ヴィエトナム共和国政府
が要請し、かつ、両
政府
が合意するものでなければならない。これらの
生産物
及び
役務
は、この
協定
の
附属書
に掲げる
計画
の中から選択される
計画
に必要な項目からなるものとする」となっておりまして、まずこの
賠償協定
が議会の御
承認
を得まして発効した後に至りまして、
ベトナム政府
の方からどういうものをやりたいかということを
日本側
に要請してきて、そこで
日本側
はこれをいろいろ
審議
いたしまして、どれはいい、どれは悪いということをいうのでございます。それでその第二条一項の後半に書いてある
部分
は、
生産物
及び
役務
は
協定
の
附属書
に掲げてあります。すなわち
発電所
、
機械工業センター
の
設備
、第三に両
政府
間で合意されるその他の
生産物
及び
役務
の
供与
、その中から選択されなければならないことになっております。それから第二番目に、この第二条には、これはどの
協定
にも大体入っておるのでございますが、「
賠償
として
供与
される
生産物
は、
資本財
とする」、
原則
としては
資本財
とする。ただし、
向う
から請求があった場合には「
資本財
以外の
生産物
を
日本国
から
供与
することができる」ということがありまして、いわゆる
消費財
というものを提供することができることになっております。これは
フィリピン
の場合も
インドネシア
の場合も、同じようなことでございます。ただその次の第三、これもほかの
協定
も同じでございますが、これは
日本
から
役務
の場合はあまり問題はありませんが、
資材
を出す場合に、「
外国為替
上の
追加
の
負担
が
日本国
に課されないように、
実施
しなければならない」、もう
一つ
は「
通常
の
貿易
が阻害されないよう」ということが書いてございます。ここで
外国為替
上の
追加
の
負担
と申しますのは、
日本
は御承知の
通り
ほとんど原料は
外国
から買ってきておるのでありまして、そこで
通常
の外貨の
負担
は
賠償
する場合があるのでございます。それか
追加
の
負担
、特別の
負担
をそのためにするというようなときは、これは断わるという
原則
になっております。従来も断わっておるわけでございます。それから
消費財
などよく出します場合には、
賠償
でやっても普通の
貿易
が減るということがあってはならないというか、できるだけ
消費財
などをやる場合に
通常
の
貿易
と抵触しないようなものをやるというようなことになって、おります。 それから第三条は
生産物
、これは
実施計画
の
部分
でございまして、毎年一回
実施計画
を大体両方の
政府
で協議の上決定するものでございます。つまり
ベトナム政府
はこういうものを作るためにことしはこういう
資材
と
役務
がほしいということをいって参ります。わが方としましては
資材
が
外国為替
上の
追加負担
があるかどうかというようなことを考えまして、また
消費財
の場合は、
通常
の
貿易
が阻害されるかいなかというようなことを考えまして、その結果いいということになれば同意をするということになっております。これもほかの
協定
と同じでございます。 第四条は「第六条の1の
使節団
は、」と書いてありますが
使節団
の
条項
が
あと
に出てきますから、第六条の1の
使節団
ということでございますが、「各
年度
の
実施計画
に従って
生産物
及び
役務
の」、これは直接
契約
の
原則
がきめてありまして、これはほかの
賠償協定
の場合も同じでございまして、
向う
は
ベトナム政府
を代表する
使節団
、従来
普通各国政府
を代表する
使節団
が
東京
に来ておりますが、それともう
一つ
は
日本国
の市民もしくは
日本国
の会社というものは直接
契約
を結ぶことになっておりますので、直接
契約
をいたしましたものを、
政府
としましてはこれがこの
協定
に違反するかどうかというようなことを基準にいたしまして、これを認証するわけでございます。その次の第二項は、そういう直接
契約
ではあるけれどもその直接
契約
が「この
協定
の
規定
」とそれから「この
協定
の
実施
のため行う取極の
規定
」この
協定
のもとにおきまして、今後どういうふうな
方法
で認証するかとか、どういうふうな
方法
で送金するかというのは
通常
の場合、
各国
の場合もそうですが、
両国政府
で合意されるものでございます。その
規定
に従わなければならない。この
規定
に従って、そういうことに従っているということがわかれば、
日本国政府
が認証しなければならない。この認証を得た
契約
を
賠償契約
と、こういうふうに言っております。それから第三は
仲裁条項
の
規定
でございます。それから第四は「1の
規定
にかかわらず、
賠償
としての
生産物
及び
役務
の
供与
は、
賠償契約
なしで行うことができる。」これはたとえば
東京
に
ミッション
が駐在するということになりますれば、
ミッション経費
というものが要るのでございます。そういうような場合に
契約
じゃなくて、
ミッション
から言ってきたものを
実施計画
によって、年にたとえば一千万円要るとか、適当な
費用
を相手方に供給することをきめてございます。これは
賠償契約
がなくてできる、
協定
というフォームをとらなくてできるということが書いてあります。現在やっておりますのは
ミッション経費
とか、あるいは
銀行
に
ミッション
が払う
費用
でございます。それをやっております。 それから第五条はこれは一応
日本側
は金を
ミッション
に
支払
う。実は
ミッション
、
銀行
が授権されまして、授権先が
銀行
ということになっておりますが、ここでは一応
使節団
にかかる債務をわが方はこれを果たさなければならない。その
支払い
は
日本
円で行なう。その次が
賠償協定
の
義務
が履行した時期が書いてあるわけでございます。「
日本国
は、
前項
の
規定
に基く円による
支払
を行うことにより及び
支払
を行った時に、その
支払
に係る
生産物
及び
役務
を
ヴィエトナム共和国
に
供与
したものとみなされ、」そこまで
契約賠償義務
を履行したものとするということになっておりますから、いくら
日本
が
賠償義務
を負っておりましても、そのうちで、
ベトナム
の
ミッション
から授権された
銀行あて
に小切手を切って
向こう
に渡した瞬間にこの
限度
までは
賠償義務
を履行したもの、こういうふうに考えられておる次第であります。 それから、第六条以下は、これはおもに
使節団
に関する
規定
でございまして、ほかの国の
協定
にもこのままございます。第六条の1項は、まず、
ミッション
が置かれるということ、それから、
ミッション
の事務所は
東京
に設置されるということです。それから、
使節団
の
日本国
におけるあれは、その他
義務
の遂行のためには
外交官待遇
に似たものを与えるというようなことが書いてあります。それから、第4には、
使節団
の長及び
上級職員
の二人は一般的に認められる
外交
上の特権及び免除を与えられる。その他5、6は、
使節団
の適用される法の
範囲
というものが書いてある。7は、裁判のこと。 そこで、七条は、これは普通の
規定
で、どこの
規定
にもございますが、「この
協定
の円滑なかつ効果的な
実施
のため必要な
措置
を執るものとする。」それから、
ベトナム共和国
として現地の労務、
資材
及び
設備
を提供するというようなことで、これは
向こう
で仕事をするときの
規定
でございます。その他は大体大したことはございません。それからもう
一つ
、第5に、
ベトナム共和国
は、
日本
から行った
生産物
を再輸出しないことを保証するということが書いてある。これも普通の
賠償協定
に書いてあります。 それから、第八条は、
東京
に
ミッション
が来ますから、そこで
合同委員会
をやる。 第十条は、この
協定
の解釈及び
実施
に関する紛争の
規定
でございます。大体そういうことでございます。 そこで、
附属書
には、ほかの
協定
ですと額が非常に多いものですから網羅的にいろいろな品目があげてありますが、この場合は、
発電所
と、
機械工業センター
と、両
政府
間で合意されるものの
三つ
にしぼってあるわけでございます。 なお、
協定
に関しましては
参考
としてお手元に差し上げてあると思うのでございますが、
一つ
は、細目に関する
交換公文
、これは、ここで御
説明
するまでもなく、
行政権
の
範囲
内でできる細目的なものが書いてあるのでございます。もう
一つ
は、
賠償協定
第二条2にいう
生産物
に関する
交換公文
というのがございます。これによりますれば、わが国は、
資本財
以外の
生産物
の
供与
を七百五十万ドルをこえない額までやるということが書いてあります。どういう
生産財
以外のものをやるかということは、
実施計画
のときに合意するということが
通常
の例でございます。 それから、その次に、
日本国
と
ヴィエトナム共和国
との間の
借款
に関する
協定
でございますが、これは、七百五十万ドルにひとしい円の額までの
貸付
を、この
協定
の
規定
に従い、この
協定
の発効の日から三年の
期間
内に、
ベトナム共和国
にやるということが書いてあります。 それから、この
規定
の中で一番重要な
規定
は第三条の2項でございまして、この第三条第二項の「
日本国政府
は、
日本輸出入銀行
が
前項
の
規定
に従って
締結
される
契約
に基いて
貸付
を行うために必要とする資金を確保することができるように、必要な
措置
を執るものとする。」これが重要な
規定
でございまして、ほかの
借款——
もう
一つ
九百十万ドルに関する
借款
の
交換公文
がございますが、その場合は、
日本輸出入銀行
は金がないから貸さないということができるのでございますが、この場合は、金がないから貸せないと言えないように、
日本政府
としてそれだけの額は確保するようにするということが書いてあるわけでございます。 それから、それ以外には、この
借款協定
は大して重要なことはございません。ただ、
輸銀
からの
貸付
でございますが、これは
賠償
の履行と密接な
関係
をつけるために、一条の2には、両
政府
が合意する
計画実施
に必要なる
日本国
の
生産物
及び
日本人
の
役務
は、製品としてどの程度のものをやる、ということを話をするにようにしております。 それから、
最後
に、
経済開発
に関する
交換公文
でございます。九百十万ドルにひとしい円の額までの
長期貸付
または類似のクレジットとありますが、これは、
両国
の
関係法令
に従って行なわれるものとするということになっておりますから、もし業者がこれを
輸銀
に持ってきた場合に、こういうことに
日本
としても、まあまあ
関係法令
の
範囲
内で便宜をはかろうじゃないかということが書いてあるだけでございます。 大体以上でございます。
堤ツルヨ
4
○堤(ツ)
委員
議事進行
に関して。
委員会
で
質問続行
中でございますけれども、私は、
議事進行
について、私の
会派
として
委員長
にお取り計らいをいただきたいと思います。と申しますのは、
ベトナム賠償論戦
は今
国会
の
重要課題
であり、
外務委員会
におきましては、本
会議
の
論戦
とは別に、非常に慎重な
審議
がかわされなければならないのであります。きのうの
予算委員会
を通じて、御存じの
通り
、非常に大きな疑惑と
国民
の不信の中に、今
審議
が
外務委員会
でなされようとしておりますけれども、この重大なときにあたって、
与党
の十九人おいでになるところの
委員
のうち、
出席
するからとおっしゃいましたけれども、今は三人であります。
最後
のところは数で押えたらよいという
態度
かもしれませんけれども、最も大切な
与党委員
がこうした
審議
に加わらないで、
最後
は数で押えてしまおうという行き方は、
日本社会党
の
審議権放棄
と同時によくない
態度
だと思います。従って、もう少し
与党委員
がまじめな
態度
を示されないと、このような、
国民
を侮蔑した
委員会
の席上で
ベトナム賠償
が論議されるということは、選良の一人として、私
たち
の
会派
として納得できません。従って、自民党が、もう少し
与党
としてまじめな
態度
をとられるまで、
委員会
は中止されて、その態勢を整えられると同時に、問題にしておられる
日本社会党
の御
出席
も悪いようでございますから、
一つ
考慮していただきたいと思います。
委員長
の処置をお願いいたします。
小澤佐重喜
5
○
小澤委員長
堤さんの御
発言
はきわめて妥当な御
発言
であります。あなたの方でももう一人いるのですから、どうぞ御
出席
するようにお願いいたします。また、私の方でも極力協力いたしますから、もう少しお待ちを願いたいと思います。休憩の点は御了承願います。
佐々木盛雄
6
○
佐々木
(盛)
委員
ただいま逐条的に御
説明
を願ったわけでありますが、この
説明
を承っておりますと、三千九百万ドルについて、
水力発電所
の
建設
と、
機械工業センター
の
設備
と、第三番目に、
両国
間で合意されるその他の
生産物
及び
役務
の
供与
、この
三つ
が
賠償
の
内容
になっておるわけであります。三千九百万ドルというものの
内訳
は、三千七百万ドルが
水力発電所
の
建設費用
で、二百万ドルが
工業センター
の
設備
の
費用
だというふうに、もうすでに事前にきまってしまっておるといたしますと、第三の、
両国
間で合意されるその他の
生産物
及び
役務
の
供与
というのは、実際問題として、金は
一文
もないということになるではないでしょうか。この
附属書
には
三つ
の場合が、しかも、それが合意によって初めて
賠償
が成り立つことになっているわけであります。非常に矛盾しておるように私は思うのです。すでに一方においては額というものをきめてしまっておいて、そうして
あと
の方でこの
三つ
の中から選ぶということになっておることは、実際問題として、観念的には成り立ちますけれども、具体的な金が
一文
もない。第三に回される金が一体この三千九百万ドルのどこから生まれてくるか、こういう点
一つ
御
説明
願いたいと思います。
小田部謙一
7
○
小田部政府委員
これは、あるいは
水力発電所
が三千七百万ドルとか、
機械工業センター
が二百万ドルとかいう話が
交渉
の過程において出たかと思います。しかし、この
協定
のどこを見ましても、まず
水力発電所
というものに関しましても、
協定
上からは
ダニム
ということは出てこない。
ダニム
のことは、
向こう
がこれを要請した場合に、
日本
としても
異議
ないと思いますが、出ておりません。
機械工業センター
に至りましては、一体どういう
内容
のものかということも突き詰めた話をしてないということでございます。そして御指摘の
通り
、三千七百万と二百万がもしほんとうに固定したものであれば、
ミッション
がこちらに来ましても、
ミッション
に払う金は
一文
も出てこない、あるいは
銀行
の手数料も
一文
も出てこないということになるのでありまして、実は、
水力発電所
の
建設
に関しましても、将来
ビッド
する場合に、もし
ダニム
ということを
向こう
が申しまして、
日本側
が法律上これをアクセプトいたしましても、これが三千七百万になるか、
ビッド
の結果それ以下になるかということはわからないのであります。
機械工業センター
に至りましては、二百万ドルかかるのか、百万ドルかかるか、五十万ドルなのか、
向こう
の
内容
につきまして、こちらの合意する
範囲
内におきまして、きまってないのであります。ですから、実際上も金はどこに
幾ら
ということはきまってないのでございますから、「両
政府
間で合意されるその他の
生産物
及び
役務
の
供与
」の金は十分ここから出るのでございます。
佐々木盛雄
8
○
佐々木
(盛)
委員
私
たち
は今まで
外務当局
から御
説明
を承っておりましたときも、大体三千七百万ドルが
ダニム
の
発電所計画
に必要であって、
あと
の二百万ドルが
工業センター
に回るのだというように大体
内訳
を承っておったのですが、これは全然間違いだったのですか。
小田部謙一
9
○
小田部政府委員
これは、
交渉
の
経緯
におきまして、そういうふうな話は、大体
ダニム
をやるのには
向こう
が
幾ら
ぐらいという額でやったので、
機械工業センター
も
内容
もはっきりきめないでやったものでございますから、その数
自体
というものは
賠償協定実施
上何ら
拘束力
があるものと考えておりません。
先方
もそれはそう考えておるというのであります。そうであるから、「両
政府
間で合意されるその他の
生産物
及び
役務
」が出たのでありまして、これを三千七百万ドル、二百万ドルと正確に考えますと、
ミッション
の
経費
も何も出てこないという非常におかしいことになるのであります。
佐々木盛雄
10
○
佐々木
(盛)
委員
そうすると、大体三千七百万ドルと二百万ドルというように分けること
自体
が、これは観念的にも、実際の上においても間違いないのですか。
小田部謙一
11
○
小田部政府委員
これは、たとえば三千七百万ドルの方をとってみますと、
ダニム
を
向こう
が非常に希望しており、おそらく
賠償協定
が
締結
されれば言ってくるだろうと思うのでございます。その場合、
日本政府
としても
異議
ないということになりますれば、これが一千万ドルというような少ないことはない、三千七百万ドルに近い
数字
かなにかにはなるだろうと思うのですが、これは
ビッド
によってきまる
数字
でございまして、何とも言えないのでございます。それから
機械工業センター
というものの今までの
交渉
の
経緯
を見ましても、一体これが何であるかということの具体的な話は全然詰まっていないのであります。そうでありますから、これは詰めてみれば、どのくらいの額になるかということはわからないのでございます。そういうわけで、それでは全然三千七百万、二百万の
数字
が
交渉
の
経緯
において出なかったかということ、出たことは出たのでありますけれども、これは一種の見積もりなり、また
交渉
の途次における考え方でありまして、現在においては、かかる
数字
には拘束されないということであります。
佐々木盛雄
12
○
佐々木
(盛)
委員
第一条の第一項の、五年の期限以内に
賠償
を
供与
しなければならぬ、あるいは第二項において同じように、
最初
の三年間に
幾ら
、その次に
幾ら
ということが
規定
してあるのですが、この
年次計画
というものは何を根拠に割り出されたものでありますか。
向こう
の、たとえば
ダニム
の
発電所
の
建設計画等
とにらみ合わせてできたものではないのでありますか。
小田部謙一
13
○
小田部政府委員
これは、たとえばもし
ダニム
を
向こう
が持ってくると仮定し、
日本
がそれにオーケーすると仮定しましても、
年次
の
計画
によって
ダニム
をもし
建設
するといたしましても、
初年度
はどれだけのセメントなり、どれだけの
役務
なり、どれだけの鋼材が要るというふうにこれをブレーク・ダウンするということができるのであります。それから
機械工業センター
というものを持ってきましても、その他のものを持ってきたと仮定しましても、そのときどきに
支払
う
限度
が、たとえば一千万
米ドル
に等しい円をこえない額以上には
初年度
は
支払い
ができないわけであります。そこでその
限度
において、
片方
において
ダニム
より大きい
計画
があっても、
片方
においてことし
支払
う額は、
ダニム
なりいろいろなものを寄せましても、
最初
は一千万
米ドル
をこえられない、その次も一千万
米ドル
をこえられないというように、
資材
がその年々の
支払い額
に応じたものが組まれている。それが
年度計画
でございまして、その
年度計画
は、
賠償協定
が批准された
あと
で、
先方
がこういう
計画
をやる、それにはこれだけの
資材
が
初年度
に要るということになっているわけであります。ですから、
年次計画
というものは、どういうものを持ってくるかということはわからないのであります。
佐々木盛雄
14
○
佐々木
(盛)
委員
私はよく
説明
がわからないのですが、そうするとこれは、
日本
の
支払い能力
に応じて
年次計画
がきめられたのですか。そうではなくして、
向こう
の方の
要求
に基づいてこれはきめられたのでなかろうかと思うのですが、もし
向こう
の方の
要求
に応じてきめられたものならば、
向こう
にある
年次計画
というものと、それから
ダニム
やあるいは
工業センター
などの
建設計画
というものから割り出されたものじゃなかろうかと私は考えたわけなのでありますが、そうではなくて、今の御
説明
だと、
日本
の払う
範囲
内で、そうして
向こう
の
建設計画
というものはことごとく
日本
の
支払い
によって左右されるのだ、拘束されるのだ、こういうふうな御
説明
のようですが、これはそういうことから割り出された
数字
でありますか。
小田部謙一
15
○
小田部政府委員
これは額が非常に
——
というとあれですが、額が一千万ドルというように少ないからでございますが、その他の
賠償協定
の場合も、たとえば年に二千万ドルとか二千五百万ドルとかいう、
日本
としてはこれ以上
支払
わないで、一年にはこれだけの
支払い
をするのだというのがあるのでございます。その中で
向こう
がいろいろ
計画
を持ってくる。しかし
計画
を持ってきても、その年はその
限度
においてしかできないのでありまして、その
限度
以上の円を
支払
うような
年次計画
というものは持ってこられないわけであります。そこで、たとえば
ダニム
は持ってくると思いますが、
ダニム
を持ってきましても、
ダニム
の工事としても、またこれは実際上もそんなにふやすことはできないと思いますが、第一
年度
においては、
ダニム
その他いろいろなものを合わせまして、その
範囲
内に
支払い
が終わるような
計画
というものを今後合意しなければならぬわけであります。前から詳しい
年次
実施計画
というようなものがきめられているのではないのであります。
佐々木盛雄
16
○
佐々木
(盛)
委員
私は
附属書
の書き方がまずかったのじゃないかと思うのでありますが、
附属書
の中に、
水力発電所
と、第二には
工業センター
と、第三に今後
両国
で合意する
生産物
及び
役務
というように
三つ
あるわけですが、三千九百万ドルという純
賠償
の中から
ダニム
の
発電所
の
建設
費に充当されるということは、もとより当然のことだと思うのです。そうすると、
工業センター
が何ぼかかるかわかりませんが、大体第三項のためにどれくらいな金がなお残される予定でございますか。
小田部謙一
17
○
小田部政府委員
これは今まで
説明
いたしました
通り
、
水力発電所
が、たとい
向こう
が持ってきて、こっちが合意いたしましても、これが
幾ら
で
ビッド
が落ちるかわかりませんし、
機械工業センター
にいたしましても、規模その他によりまして、この
工業センター
は、
向こう
が言い出してもこちらが困るというようなこともございますから、
幾ら
かかるということはわかりません。それがわかりませんから、正確に、
両国政府
間で合意されるその他の
生産物
及び
役務
が
幾ら
と申し上げることは、今ここではできないわけであります。
佐々木盛雄
18
○
佐々木
(盛)
委員
附属書
に
規定
されておりまする第一、第二、第三の
建設
について、
日本側
に申し出たときに、
日本側
と合意ができないということで、たとえば
ダニム
の
発電所
を
向こう
が持ってきても、
日本
との相談が合わぬというので取りやめにすることもできるのですか。
小田部謙一
19
○
小田部政府委員
水力発電所
の
建設
、
機械工業センター
の
設備
と書いてありますが、両方とも
向こう
がいやだということになって、何か別のことをしようということになれば、そうして両方の合意が成立すれば、理論上できないことはないと思いますが、しかし
通常
は
水力発電所
の
建設
と書いてあるから、これがあるいは
ダニム
でやるか、あるいはその他の場所でやるか。やるという権利は
向こう
が持っておるわけであります。
佐々木盛雄
20
○
佐々木
(盛)
委員
附属書
の第一、第二はすでに合意されたものではないのですか。
小田部謙一
21
○
小田部政府委員
第一、第二は
向こう
が非常にこれを望んできたので入れたという
経緯
があるので、これをやる。
水力発電所
をどういう規模でどこにやるかということは、
協定
上は書いてありません。
機械工業センター
の
内容
はどういうことをやる、規模はどれくらいでやるということは、この合意には入っておりませんが、これは一応そういう意味では、
日本政府
としても
異議
がないということであります。
佐々木盛雄
22
○
佐々木
(盛)
委員
従って第一、第二は正式に最終決定はないまでも、一応
両国
間で合意しているのだとすると、それにどれくらいな
経費
がかかるということを頭の中で考えますと、第三に残される、
政府
間で合意されるその他の
生産物
及び
役務
供与
ということに回される金というものは、ほとんどないのじゃないかと思うのです。かりにあったとしても微々たるものでしょう。大したことはできないのでしょう。
小田部謙一
23
○
小田部政府委員
理論的にこれを考えますと、たとえば第二をとってみましても、これは第一期、第二期の工事がございまして、これは分けられるものなんでございます。そこでこれは
交渉
の過程においては第一、第二というようなことも入ったかもしれませんけれども、第一期で
向こう
が終えるということも、この
協定
上からは可能なんでございます。そこで私が申し上げる
通り
、第三に残される金がどのくらいあるかということは、この
協定
批准後の
実施
状況を見てみないとわからない、そういうことであります。
佐々木盛雄
24
○
佐々木
(盛)
委員
非常にくどいことを聞くようですが、
水力発電所
を途中で、第一次
計画
でやめてしまうというようなこともあるのですか。
小田部謙一
25
○
小田部政府委員
それは第一期の工事と第二期の工事と分かれ得るものでありまして、第一期八万キロ、第二期八万キロということも考えられるのでございますが、八万キロワットの電力で
向こう
は十分で、その他の仕事がしたいということになりますれば、それも可能なんでございます。
水力発電所
の
建設
、
機械工業センター
というような一、二の例を例示しまして
規定
し、
あと
は総括的に、
両国政府
間で合意されるというふうに書いてあるのでございますから、その点は自由なんでございます。
佐々木盛雄
26
○
佐々木
(盛)
委員
私はその問題を深く承る必要もないと思いますけれども、
ベトナム政府
で設計を募集して、
日本
の
日本
工営かどこかで引き受けて、
日本側
の設計を採用することになったというように承っております。そういう
説明
を今まで聞いておりましたが、その設計というものをあなたは全然御存じないのですか。設計によるとどれくらい金がかかるか、どういう
計画
だというようなことは、外務省の関知するところでない、こういう立場ですか。
小田部謙一
27
○
小田部政府委員
設計は私らの方でも見ております。それには第一期工事、第二期工事というようなことは書いてあります。ただしかし久保田工営の設計は、一番
最初
は七万二千キロワットのものを書いていた。ところがこれを国連に出したときに、フランス側が十六万キロワットだから、
一つ
十六万キロワットのものを出してみたらどうかというので、八万キロ、八万キロというようなことになったわけであります。そこで私の聞いたところでは、
日本
工営の調査も七万二千キロワットまではあるいは正当であったと思いますが、その後は別に深い調査もしないで八万キロ、八万キロという
数字
を出したのでございまして、この
数字
がはたして正当なものかどうか、この点はわからないと存じます。
佐々木盛雄
28
○
佐々木
(盛)
委員
私は確認しておくわけですが、そうするとこの第一条の
日本
の
支払い
時期の問題、金額の問題等については、
附属書
に
規定
された各種の
建設費用
等とは全然
関係
がない立場においてきめられたものである、こういうふうにわれわれは考えておいていいわけですね。
小田部謙一
29
○
小田部政府委員
ベトナム政府
がこれらのものを持ってくるかもしれませんし、そうでないものを加えて持ってくるかもしれませんが、とにかくこの
協定
が発効いたしましたときに、
実施計画
を持ってきた場合に、
両国政府
でいろんな見地から検討しようというための
規定
でございます。
佐々木盛雄
30
○
佐々木
(盛)
委員
それじゃ、まあその程度にしておきましょう。 それから、きのう私は
予算委員会
における岡田君の質問を聞いておりまして、また本日の新聞などを見まして、
ベトナム政府
の代表としてサンフランシスコ
会議
に出かけていって調印した人間がフランス人の国籍を持っておるので、従って
ベトナム
の国内法の
規定
に従って、国籍がフランス人である者が
ベトナム
を代表するようなことはできないことだから、サンフランシスコ
条約
というものは無効であるのだというふうな、私は初めて聞いたお説でありまするが、そういう説を主張されたわけであります。それに対して
外務大臣
も
条約局長
もその合法性を主張されておったようでありますが、きょうの新聞などを見ると、
政府
が答弁に窮してしまったというようなことも書いてあります。
政府
としてはそんなことでちっとも答弁に困っておるわけではないと思います。それでこの際明確にしておいてもらいたいということと、私どもが常識的に知っておりまする
範囲
におきましても、
外国
人がその国の全権委任状を持って国際
会議
に出かけていって、
条約
を結んだというような例も一、二ならずあったように思われます。かような点から考えまして、私どもこの際世の中の誤解を一掃する意味におきまして、
外務大臣
からもお話を願い、また
条約局長
などからも
一つ
そういう点についての具体的な事例を表示して、
国民
に誤解のないようにしていただきたい。何分
賠償
というものは
国民
の税金につながっておるだけに、
国民
は重大な関心を持っておるわけでありますから、それが社会党の主張されるような、サンフランシスコ
条約
は無効であるのだということになりますと、
国民
として非常な疑惑を持つ。私
たち
は何も全権となったフランス人に金を払うわけではないのでありますけれども、そういうことを主張されますと、世の中に非常な疑惑もあるわけでありますから、この際私は
政府
として明確に御答弁願っておきたいと思うのです。きのうの岡田君に対しても、
外務大臣
の御
説明
で十分だと思うのでありまするが、あれで不十分であるというような見解も新聞に出ているようなわけでありますから、この際
一つ
明確に言ってもらい、また
条約局長
あたりからも
一つ
具体的な例をもって、
説明
する意味において、啓蒙する意味において明確にしていただきたいと思います。
藤山愛一郎
31
○藤山国務大臣 こまかい点については
条約局長
から補足
説明
させますが、
条約
を結びます場合にだれに全権委任状を出すかということは、別段
条約
の効力に影響を及ぼすものではないと思うのであります。成規の全権委任状が出まして、しかも
会議
においてそれが資格審査の上で、
会議
に参加した人が適当な、合法的な資格を持った代表だとして
会議
に参列するということになりますれば、当然それが調印したものは国際
関係
においては有効であろうと思います。ただその人がその国内でどういう
関係
にあったかということはありましても、そのこと
自体
は国際
関係
の上に影響を及ぼす問題ではございません。私こまかい事例は存じておりませんけれども、たとえば国連に参りまして、多分サウジ・アラビアだったと思いますが、今年も出て参りましたが、シリアの国籍を持っておる大使がおります。これは二重国籍だと思いますが、これが国連にサウジ・アラビアの大使として来ておりまして、国連の総会に
出席
して、代表としての資格審査を終わって、代表の権限をふるっております。私の乏しい経験でも現在そういうものもございますので、私といたしましては今申し上げたところで適当だと考えております。
高橋通敏
32
○高橋(通)
政府
委員
今大臣の御
説明
の
通り
でございますが、私が今思いつきます事例といたしましても、たとえばイタリア・エチオピア戦争のときのエチオピア代表、これはエチオピアの国籍ではなく、多分英国の国籍だったと思います。国際連盟においてそのイタリア・エチオピア戦争の問題が
審議
されたときに、エチオピアの代表として出ていると思っております。 それからまだその他、たとえば国際連盟における中国の代表も、中国及びアメリカの二重国籍を持っていたというようなこともありますし、国籍の点については多々そういう事例があるかと思っております。
佐々木盛雄
33
○
佐々木
(盛)
委員
従ってその全権のトラン・ヴァン・フーという人間がフランス人であったか、あるいはそうでなかったかというようなことは、私は問い合わせたりする必要もないことだろうと思うのです。そういう意味でなくして岡田君がどこの国籍の人でありましたかということを聞かれるならば、外務省が
参考
までにどこかに問い合わせてみてもけっこうでありますが、その国籍がどうかということによって、
条約
の有効性がどうかこうかという問題について、疑念が生じるというような性質のものでは全然ないと私は思っております。従ってそういう意味で、後ほど国籍を
参考
までに聞いてみましょうといこう程度ならば答弁してもけっこうでありますが、新聞などによると、何かこの国籍問題でサンフランシスコ
条約
そのものが有効か無効かということにつながっておるのだというような印象を与えていることは、私は非常に残念だと思います。私はかつての吉田さんなら、答弁の限りではありませんというようなことだと思うのであります。これは社会党から初めてそういう珍説を聞いたわけでありますが、それにしたところが今ごろ出すのは、ちょっと証文の出しおくれの格好でもあるようでありまして、ナンセンスだと思うのであります。 それはその程度に打ち切りまして、私この前のときにちょっと大臣にお聞きしかかったのでありますが、例の
賠償
で、今度南
ベトナム
に払えば、将来北
ベトナム
が
要求
することがあっても、これは払う必要はないのだという国際法上の通念に立っておられるわけです。そこで中共についても、すでにわれわれは蒋介石政権を今日合法政権、正統政権として
承認
し、国際連合にもこれは加盟しておるし、世界のほとんどすべての国々がこれを
承認
している立場から、その
国民
政府
政権が
賠償
の請求権を放棄した限りにおいては、将来中共政権が
日本
に対して
賠償
請求の権利はない、従ってまた
日本
としてはそういうものに応ずる必要はない、こういう見解を私は堅持すべきだと思うのでありますが、その点について重ねてもう一度大臣からお聞きしたいと思います。
藤山愛一郎
34
○藤山国務大臣 お説の
通り
中華民国との間の
協定
によりまして、サンフランシスコ
条約
を引用しながら
賠償
の権限だけを除外いたしております。その限りにおいて、むろんわれわれとして
賠償
は放棄されたものと思っております。
佐々木盛雄
35
○
佐々木
(盛)
委員
これは正式に言ってきたものはないでありましょうが、中共の毛沢東方面で、
日本
に対する
賠償
を七百億ドル、邦貨に換算すると二十五兆二千億だそうでありますが、こういったものを請求する権利を留保するというようなことを、何かの機会に表明していることはありますか。
伊關佑二郎
36
○伊關
政府
委員
そうしたはっきりした意思表示があるという記憶は、ちょっとございません。
佐々木盛雄
37
○
佐々木
(盛)
委員
今度の
日本
と朝鮮との日韓会談においても、
賠償
というものが問題になっておりますが、この日韓会談における
賠償
の根拠というか、それはどういうところから出ているのでありましょうか。
藤山愛一郎
38
○藤山国務大臣 韓国に対しては
賠償
という問題はございません。お互いに財産請求権の問題は残っておりますけれども、
賠償
という
関係
のものはございません。
佐々木盛雄
39
○
佐々木
(盛)
委員
今まで韓国側は、財産請求権の立場から
日本
にこれを
要求
してきていることは、かなりのものが
要求
されておりますか。
藤山愛一郎
40
○藤山国務大臣 御承知のように、韓国は日韓会談を再開いたします場合に、いわゆる財産請求権という名目のもとにいろいろな主張をいたしてきております。しかし一昨年の暮れでございますか、日韓会談を開きます予備会談のときに、財産請求権の問題について
一つ
の解釈ができました。そして相互に持っているものを相殺した上で初めて請求すべきものがきまるのだ。あるいは
日本
が残してきたもの、韓国がこっちに持っているもの、そういうものを相殺した上でありますから、従ってそういう財産請求権の上においても、そう大きなものはあり得ないと思っております。
佐々木盛雄
41
○
佐々木
(盛)
委員
韓国の場合においては、かりに財産請求権があるという立場をとるならば、
期間
はいつごろから起こった
期間
についてでありますか。今度の
ベトナム
に対する
賠償
だとか、中華民国に対する
賠償
ということは、もとより今度の戦争の
期間
が明らかになっておるわけでありますが、財産請求権でありますから、
賠償
とは本質は違うといたしましても、これはいつごろから始まっていつごろに
——
極端なことをいうならば神功皇后の三韓征伐以来だということになるわけでありますが、大体どういうふうな根拠に立ってきておるものか、私は
参考
までに
一つ
教えていただきたいと思うのであります。
高橋通敏
42
○高橋(通)
政府
委員
韓国との問題は、平和
条約
の第四条の問題でなかろうかと思うのでありますが、すなわち第四条では韓国が独立いたしましたら、独立いたしました地域と
日本
とのお互いの貸し借りと申しますか、請求権というのは、これを特別の取りきめの主題として特別に取りきめてそれを清算するのだ。こういう
規定
が第四条の趣旨だと思っております。従いまして時期とかそういう問題は、おそらくそういう特別取りきめの個々の問題として話し合う問題ではなかろうか。すなわち戦争の開始だとか、そういう
賠償
の問題とは別でございますから、お互いに
一つ
の国が独立して分離する。そうしますと分離した独立した国と、前に属していた国との
関係
におけるいろいろな財産整理の問題が起こりますから、その問題ではなかろうかと思います。
佐々木盛雄
43
○
佐々木
(盛)
委員
それは
日本
に対する
義務
規定
でありますか。額は別としても当然それには応じなければならぬという
一つ
の
義務
が
規定
されておることですか、第四条というのは。
高橋通敏
44
○高橋(通)
政府
委員
そのように両方で話し合いできめなければならない、こういうふうになっております。従いまして話し合いをこちらからも、しなければなりませんし、
向こう
からも話し合いを求めてきた場合には、それに応じまして、そしてそこで解決をしろという
規定
でございます。
佐々木盛雄
45
○
佐々木
(盛)
委員
そうすると
日本
としては、当然
向こう
の話し合いには応じなければならないわけですね。最終的にどういう額がきまろうとも、これは一応頭から問題にしないということではいけないことになっておるわけですか。
高橋通敏
46
○高橋(通)
政府
委員
その
通り
だと思います。
小澤佐重喜
47
○
小澤委員長
堤ツルヨ
君。
堤ツルヨ
48
○堤(ツ)
委員
外務大臣
にお尋ねをいたしたいと思います。私がこの間本
会議
の席上で総理大臣にもお尋ねしたのでございますが、南北統一後の
ベトナム
に対して
賠償
を
支払
うべきが正当である。これに対して南だけをもって
政府
は対象としておられる。南だけに
賠償
をされてその後、北
ベトナム
は
賠償
の請求権を保留しておると従来言ってきておるが、
賠償
後あらためて北
ベトナム
から
賠償
を
要求
してきたときにはどうなさるのか、これが再度
要求
されないという自信がおありになるのか、また絶対にしないというところの何か
一文
をかわしておられるのか、こういう点について私が御質問いたしました。そのときに
政府
側の答弁は、依然として統一後に再
要求
をされることはないと思う、という
日本政府
の一方的な見解を述べてこられました。それからまた二、三日
たち
まして、やはりはたせるかな北
ベトナム
は、後日あらためて私
たち
は請求権を保留して、この問題を持ち出すのだということを正式に発表いたしております。これはあくまでも
日本政府
の一方的見解であったことが、あらためて
国民
の前に証明されておるわけです。そういたしますと、
国民
はやはりこれは二度払いの懸念があるということを今日もなお疑惑を持っておるわけでございますが、これに対して私
たち
は、
政府
の一方的な解釈でなしに、はっきりとした
国民
の前に証明のできる根拠を明らかにしていただきたいと思うのですが、これがまだありません。従ってこの席上でも
一つ
これをはっきりしていただいて、ぼかさないで、こういう根拠に基づいて二度と
要求
されないのだ。
向こう
は一方的にそういう発表をしておるかしらないけれども、
政府
はこういう理由によって
要求
されない自信があるのだという根拠を、
一つ
この席上ではっきりしていただきたいと思います。
藤山愛一郎
49
○藤山国務大臣 統一になりますれば、当然統一された
政府
がこうした国際上の諸
条約
、諸
協定
というものを引き継いで参りますことは当然なことだと思います。これは南と取りきめたものでも、北とどこかの国と取りきめたものでも、南北統一されればともに継承されていくことになろうと思います。そうしてわれわれといたしましては、当然今回の
条約
も統一
政府
によって継承される。そうして今回の
協定
というものは、私どもといたしましては、全
ベトナム
に対する地域を対象としての南の
ベトナム共和国
に対して払っておるわけでありますから、北の方に払っていないというわけではございません。従ってその限りにおいても統一後に継承されたものが全土に及んでおるということは言えると思います。しかも今回の
条約
締結
にあたりまして、南
ベトナム
側からは今後こうしたところの
関係
は、戦時中の
関係
は一切これを終了したということを意思表示を受けておりますので、その限りにおきましてもそれが引き継がれていくわけでありますから、そういう意味において私どもは請求されないと考えております。
堤ツルヨ
50
○堤(ツ)
委員
ただいまの御答弁で、継承されると思うという
外務大臣
のお言葉がございました。これは
慣例
だとかいう御弁解があるかと思いますけれども、私は、南北間で南がもらったものは将来統一後に北はこれを継承して
異議
を持ち出さないのだという南北間の了承、また南に対して払うところの
政府
の立場に対する北側の了承というものがなかったら、これは問題にならないと思います。これは国際問題にいたしましても、またお互いに、私
たち
個人の立場におきましても、
向こう
はそう思っているだろうということを両方が言っておりましても、これは確証にならないのでございまして、両方が相思相寄って確認した何ものかがなければ、私は、北
ベトナム
からも再請求されないという実証にはならないと思う。この間いろいろ言われます、南
ベトナム政府
は自由主義陣営の、ことにフランスのかいらい政権だ。逆の思想の人から言わしむれば、北
ベトナム
は共産主義陣営のかいらい政権だ、こういう水かけ論が行なわれております。こういう思想的な対立を背景として微妙な空気の中にありますところの、北
ベトナム
というものから
政府
が何かの一札をとらないで、南
ベトナム
だけを対象として話を進めていくということは、これは私はほんとうに
国民
に納得がいかないと思います。お払いになる前に、私
たち
がこれを了承します前に、やはり北から
政府
が確証をとるというのでなければ問題にならないと思うのです。ここのところを
一つ
、とっておられないのですから
一つ
そういう努力をしようとなさる意図があってしかるべきだと私は思うのですが、いかがでございますか。
藤山愛一郎
51
○藤山国務大臣 現在のような北と南との状況において、われわれはそういう確証を北からとり得るとは思っておりません。同様なことが、おそらく北を援助している国も将来統一をむろん願っておるのですから、南からそういうものをとらなければ援助ができないといっているわけでもないと思います。でありますから、その
関係
においては私どもはやはり国際通念で、国家が統一されて
一つ
の政権ができますれば、その
政府
というものは統一後にそれらのものを引き継いでいくということは当然のことだ、そう考えております。
堤ツルヨ
52
○堤(ツ)
委員
並行線になりますから、私はこの点について私
たち
の主張をはっきりしておいて、この質問はまた
あと
から聞きます。 それからもう
一つ
、この間伺ったことでございますけれども、北
ベトナム
との
貿易
にこの
賠償
が非常に影響しやしないかということが問題になっております。これは三月二十四日の松本
七郎
さんの
ベトナム賠償
に関する本
会議
場での質問の中でも相当克明につかれておりますが、北
ベトナム
と
日本
との
貿易
が今日まで盛んに行われておるわけなんです。この
貿易
が、実は
日本
が
協定
を
承認
して、調印をすっかり終わってしまいますと、そのときには請求権を保留すると言っておる北
ベトナム
が、同時に
貿易
をストップさせる危険があるという見方をしておる人が非常に多いのでございます。これに対しては、そういう心配はないんだ、むしろ年を追ってこの
賠償
問題が取り上げられてからでも、
貿易
の率は伸びておるのであって、決して減っていくとか、それがストップされるとかいうふうな心配はないんだということを
政府
はお答えになりましたけれども、これは非常にでたらめな御答弁のようでありまして、私は当然北
ベトナム
が
貿易
をストップさせる懸念があるという見方をいたしておりますが、ほんとうにしないという自信がございますか、これをちょっと伺いたい。
藤山愛一郎
53
○藤山国務大臣 今日、南
ベトナム
との
賠償
の折衝というのは、すでに七年有余を経過いたしておるわけであります。ことに昨年以来相当に
交渉
が妥結に近づいたというような状況にもございます。従ってこの問題を深刻に考えるとすれば、当然北
ベトナム
側におきましても、
賠償
というものに対して今日でもすでに神経質にならざるを得ないと思います。ことに
貿易
の面を見ますると、輸出は一昨年が二百万ドルでありましたのが、昨年は百四十四万七千ドル、それから本年は一月から七月までに二百七万ドルくらいになっております。また輸入の方も昨年の六百八十八万九千ドルに対しまして、本年は一月から七月までの半年間に四百十九万五千ドルですから、これを倍増すれば、昨年の六百八十八万ドルに対して約五割くらいふえるような
貿易
が現在進行しておるわけであります。そういう点から見ますと、
貿易
関係
というものは、私ども今後盛んに進んで参るのではないか、そう存じております。
堤ツルヨ
54
○堤(ツ)
委員
今
外務大臣
がお答えになりました
数字
、よろしゅうございますか。私はその
数字
をもとにしての質問は後日に譲ろうと思っておりましたので、明細な
貿易
額のこの二、三年の消長のデータを持ってきておりませんが、これはあらためて大臣がお示しになった
数字
と照らし合わせて、ほんとうにうそをおっしゃっていらっしゃらないか、はっきりしたいと思います。しかし私
たち
が承知いたしますところでは、実際第一線に立って
向こう
の人
たち
と苦しい中から
貿易
をしている人
たち
の陳情や
数字
を伺いますと、
日本政府
の答弁はでたらめもはなはだしい。ことに藤山さんが行かれまして、本格的に
賠償
の問題が調印される見通しがついてからというものは、本気で
向こう
が相手にしてくれないのだ、そうして約束したものまでもストップする懸念があるのだということをるる言っておられます。これは私は
数字
的根拠をもって、また次の
委員会
にお尋ねをしたいと思いますけれども、私
たち
の見解では、北
ベトナム
の
賠償
の請求権をあらためて出すというところの主張と同時に、
貿易
に対しましては今後その
通り
にいかないという見解の上に立って質問をいたしておりますので、これは
あと
に残しておきたいと思います。 私はもう
一つ
外務大臣
にお伺いをいたします。いろいろと商社が先にすでに行っているのだというようないかがわしい風評が、この
ベトナム
の
賠償協定
をめぐってあるということは、私が本
会議
でちょっと触れたのでございますけれども、今現に
日本
工営の名前も
賠償部長
の口から出ておりましたけれども、
ベトナム
の
賠償
借款
の背景に民間資本家というものがいろいろございます。また触れますけれども、今年の三月二十四日に松本
七郎
さんが相当こまかい商社の名前を出して疑惑の点をついておられます。ところがこれに対するところの
政府
の答弁は、そういうややこしいことはないのだという反証は
一つ
もないわけなのです。大臣が三人寄られましても、なぜ反論ができないかということを非常に私は不思議に思います。従ってこれは
日本
の資本家が企業的な
計画
を持ち、施設、資金を
ベトナム
の
賠償
に逆算したのではないか。
向う
から一方的に出されたところの
ダニム
・ダムか、
計画
の上に乗って、
政府
が戦争被害と何ら
関係
なしに、
向こう
から持ち出されたものにこちらから乗っていって、被害を無視した、非常に業者に踊らされたような賠賠
協定
を結びつつあるのだという印象を与えることにつきましては、少くも本
会議
でこういうふうに松本さんあたりにつかれましたならば、
一つ
一つ
の名前をあげて責任ある反論をなさらなければ、私は
国民
は納得しないと思うのです。今日はお忘れになっておりましたら無理かと思いますけれども、ちらほら出ておりますところの商社、資本家の名前につきましては、
一つ
一つ
国民
が疑点を持たない答弁ができるように御用意を願って、この
外務委員会
ではっきりしていただきたい。今この席上でどの商社が名前が出ておるじゃないか、これはどうしたんだということを私は申し上げません。もう一度官報の速記録とか、今までの
論戦
、いろいろの問題をお調べいただきまして、ちらほら出ております幾つかの商社や資本家の疑いを持たれております点を、この次に
一つ
委員会
ではっきりしていただく。そうでないと、非常に急がれるが、急がれるについては商社が先に行って仕事をやっているのじゃないか、これが
政府
の要人あたりと連絡があるので、この人
たち
にどんどん金を出してやらなければならぬから
賠償協定
の
承認
を急いでおるんだ、こういう勘ぐった見方をされても、
政府
の御反論がない限り疑われっぱなしであるということは、おわかりになると思う。どうぞこれははっきりと答弁していただきたい。これは今私が求めましても時間がありませんし、にわかでございますから、私は次の
委員会
に御答弁をいただくようにお願いをいたしておきます。この御答弁だけでもだいぶ時間がかかると思いますから、きょうはこれだけで、
あと
また私はあらためて質問を続行させていただきます。
藤山愛一郎
55
○藤山国務大臣 御指摘のありましたどういう商社でありますか、私ども存じておりませんが、少なくも私がはっきり申し上げられますことは、この
賠償
にあたりまして、いろいろの商社の力によってわれわれの
交渉
が動かされたことは、断じてないことだけははっきり申し上げられると思います。 また
日本
工営の
関係
におきましては、申し上げております
通り
ベトナム
側が
水力発電所
を作りたいということで、この
賠償
とは
関係
なしに国際入札をいたしまして、フランスと
日本
とがその設計に応じたわけであります。その設計に応じましたのが
日本
工営でございます。そうしてその設計について、いずれを採用するかということを
ベトナム
側においては国連の技術
委員
の三人に委託して調査した結果、
日本
工営の設計が適当であろうということに決着をいたしたのであります。 これを
賠償
に載せるか載せないかという問題でございますが、むろん
ベトナム
としては、こういう水力発電というような全
ベトナム
にも将来好影響を及ぼし、また
ベトナム
の産業開発にも適当であろうというので、これらのプロジェクトを優先的にやりたいと希望いたすことは当然のことだと思います。しかしそのこと
自体
が、外務省が何か
交渉
に際して、そういう一々の業者を助けるという立場において
交渉
をいたしたことは全然ございませんし、また
日本
工営はすでに設計監督料を四十五万ドルほどもらっております。従ってその限りにおいては何の
関係
もございませんし、今後は
ベトナム
がもし
賠償
でやるといたしますれば、
ベトナム
自身が公の入札等をして工事をいたすことになろうと思うのでありまして、その工事
関係
者等も全然きまっておりませんし、それらのものをわれわれが推薦することも予期しておりません。そういうような状況でございますから、今後の
賠償
を通じまして、そういう点が
交渉
に影響されておらぬということだけははっきり申し上げたいと思います。 なお個々の問題につきましては、いずれ
政府
委員
の方から、また後日御答弁する機会があるかと思います。
堤ツルヨ
56
○堤(ツ)
委員
ただいま大臣がおっしゃいましたけれども、これは松本さんの質問の要旨だけで、これはお聞きになったことですけれども、こういうひどいことを言われているのです。私が
政府
の要人だったらこういうことを聞きっぱなしにしないのです。ところが御答弁がないのです。「
日本
工営は、」もうちょっと前から読みますが、「
ダニム
・ダムは、すでに戦時中におきまして
日本
が
計画
したこともあります。戦後は、久保田豊氏が社長をしておられる
日本
工営が民間ベースの
契約
で従事してきたものでございます。それが、そのまま純
賠償
に繰り入れられまして、三千九百万ドルのうちの三千七百万ドルという、ほとんど全部を独占しておる状態であります。そのため、
日本
工営は私設
賠償
庁の観を呈して、
賠償
そのものがまだ
国会
で
承認
も受けておらない前から、商社、電機電線メーカー、土建業者などの間では、この
日本
工営と結んで
賠償
の分け前を獲得するための乱戦を展開していると報ぜられておるのでございます。その間、
日本
工営は、植村甲午郎氏を通じまして、
賠償
繰り入れのための強い働きかけを
政府
に対して行なったと報ぜられているのでございますが、この間の事情を首相からつまびらかにしていただきたいのであります。」こういうことを言われている。このときの岸さんの御答弁にも、非常に怒ったような答弁もないわけなんです。私ならこういうことを言われますと、とんでもないぬれぎぬでありますから、徹底的にはっきりしなければならぬと思いますけれども、しかしこれ全体を拝聴いたしまして、
通り
一ぺんの
——
もちろん
関係
があるとも言えませんから、ないといった程度のものでございまして、やはりこの点は、
ベトナム賠償
に関する限りは、今までの
賠償
にはそういうことがなかったのでございますけれども、疑惑のあるおりからでありますので、
一つ
この辺を十分注意して私に答えていただきたいと思います。
藤山愛一郎
57
○藤山国務大臣
日本
工営に関する限り、私ども請託を受けて
賠償
にこれを繰り入れたということは全然ございません。ただいま申し上げました
通り
、
ベトナム
側が長い間の懸案としてそういうものを
要求
してきて、そうして
日本
工営はこれがコンサルティング・エンジニアとして設計をいたして、すでに四十五万ドルを
賠償
と全然別個にもらっております。従って
日本
公営の設計が適当なものだと国連の
委員会
で認められておりますから、あるいは
ベトナム
側としては実際にプロジェクトをもしやるとすれば、
日本
工営の設計を採用するかもわかりませんけれども、しかしその場合に今申し上げたように、
賠償
部を通じて直接
契約
で
ベトナム政府
が
日本
の民間の工事請負人あるいはメーカーと
契約
をするわけでありまして、
日本
工営はそういう立場には、監督以上にはないと思います。むろん民間の業者でありますから、こういうふうな場合にいろいろ策動して、もしそういうことが起これば
日本
工営として非常に
向こう
側に信用があるから、そういうところの口ききをしてもらいたいとかいろいろ策動したかもしれませんが、われわれ
外交
交渉
上そういうことについて何らの
関係
を持っていないことは、はっきり申し上げておきたいと思います。
小澤佐重喜
58
○
小澤委員長
菊池
委員
。
菊池義郎
59
○菊池
委員
南
ベトナム
を正統の
政府
として
賠償
を払うことは当然であると思いますが、もしこの国際法のルールをはずしてしまったならば、今日中共の要人は国際法を無視して、蒋介石が帳消しにした対日
賠償
を
日本
から七百億ドル、邦貨に換算して二十五兆二千億円になる
賠償
を取るということを放言しておるのでございます。もし
日本
がこの南
ベトナム
に対するところの、これを正統
政府
として認めないで統一を待つようなことがあるといたしますならば、この中共要人
たち
が放言しております七百億ドルの
賠償
を、
日本
が中共と国交回復のときにおいて払わなければならない当然の羽目に陥ると思いますので、この問題につきましては断固たる
態度
をもって臨みたいと思います。御答弁は要りません。一言申し上げておきます。
小澤佐重喜
60
○
小澤委員長
それでは本日は、これにて散会いたします。 午前十一時四十九分散会