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1959-12-23 第33回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月二十三日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 川野 芳滿君    理事 關谷 勝利君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 土井 直作君       宇田 國榮君    高橋清一郎君       長谷川 峻君    三池  信君       杉山元治郎君    楯 兼次郎君       館  俊三君    内海  清君       菊川 君子君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 楢橋  渡君  出席政府委員         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君  委員外出席者         議     員 兒玉 末男君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    塩崎  潤君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運 輸 技 官         (鉄道監督局国         有鉄道部保安課         長)      松本 豊彦君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     石河 正利君         建設事務官         (道路局路政課         長)      青木 義雄君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 十二月二十三日  委員高橋英吉君及び中崎敏辞任につき、その  補欠として堤康次郎君及び楯兼次郎君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員堤康次郎君及び楯兼次郎辞任につき、そ  の補欠として高橋英吉君及び中崎敏君が議長の  指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月十七日  秋田空港設置に関する請願石田博英君外一名  紹介)(第二〇九二号)  只見線買収費予算化に関する請願八田貞義君  紹介)(第二〇九三号) 同月二十一日  東北本線の複線、電化工事促進等に関する請願  (小澤佐重喜紹介)(第二三一八号)  信越線長岡新潟間電化促進に関する請願(田  中角榮紹介)(第二三一九号)  吉備線の貨物取扱存続に関する請願星島二郎  君紹介)(第二三五九号)  荒川南千住町のおやこガード拡張に関する請  願(天野公義紹介)(第二三六〇号)  荒川南千住町の隅田川踏切改善に関する請願  (天野公義紹介)(第二三六一号)  広尾港整備拡張工事促進に関する請願本名武  君紹介)(第二四三三号)  鹿児島、沖繩航空路線設定に関する請願(  池田清志紹介)(第二四五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月二十一日  国鉄旅客運賃割引制限廃止等に関する陳情書  (第八九二号)  道路運送法の一部改正に関する陳情書  (第八九四号)  観光事業振興法制定に関する陳情書  (第九三九号)  地方気象業務機関整備拡充に関する陳情書  (第九八〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ――――◇―――――
  2. 平井義一

    平井委員長 これより会議を開きます。陸運及び国鉄経営に関する件について調査を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。楯兼次郎君。
  3. 楯兼次郎

    楯委員 それでは数点、運輸関係の方にお伺いしたいと思いますが、まず間単なことから質問をいたしたいと思います。第一は、先日全逓争議解決をしまして、いよいよILO条約というものが通常国会批准をされる、こういうことを新聞等で私ども承知をいたしております。そういたしますると、国内法規整備ということで、また鉄道営業法改正ということが問題になってくると思いますが、この問題は、もう二、三年前から論議をされておった問題です。この前の前の国会であったと思いますが、運輸大臣予算委員長をされておったとっきかどうかちょっと記憶ありませんが、私、そのときに質問をしたことがございます。ところが、運輸省では、業務取り扱い法規である鉄道営業法と、労働関係法規であるILO条約とは関係がない、従って、運輸省としては、ILO条約批准によって営業法、つまり罰則強化ということが問題になりますが、そういうものはかまわない、こういう強い意向を、当時予算委員会で表明をされたわけでありますが、この点についてどういうような見通しを持っておられるか、お伺いをしたいと思います。
  4. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 前回の閣議におきまして、郵政大臣労働大臣から、全逓争議についての大体の解決のポイントの説明がありましたので、従って、ILO条約日本締結するということは、当然の事実でなければならぬ。令までILO条約締結について政府か今日まで見合わしておりましたそれらの条件がなくなったのですから、当然にILO条約についての締結をしなければならぬということについては、今御指摘のように、国内法整備をしなければならない、こういうことに問題が当然なるのでありまして、運輸省といたしましても、鉄道営業法というものを、これは明治三十三年から制定されておりますので、すでにいろいろと改正すべき点等もあるので、その態勢に沿うような改正をいたしたい。ただ私の考えといたしまして、少なくとも正常なる労働運動を弾圧するとか、あるいは鎮圧するとかいうようなことのないような配慮をしなければならぬということを考えておる次第であります。
  5. 楯兼次郎

    楯委員 私は時間の関係で簡単に質問をしたわけですが、私の質問の焦点が、すっかりそのまま答弁になっておらぬわけであります。私は、ILO条約批准をされた場合には、国鉄においては公労法の四条三項を改正をすれば、それで足りる、ただ鉄道営業法明治三十三年の法律でありまするから、いろいろな不備があることは認めます、しかしILO条約と直接の関係はない、こういうふうに考えておるわけです。しかも今日まで運輸省内の意見というものは、今私が申し上げておりまするような意見であったというふうに承知をいたしております。だからこの点について、従来の運輸省方針を堅持されるのかどうか、その点をお伺いしたい。
  6. 山内公猷

    山内説明員 鉄道営業法の問題につきましては、今仰せのようにいろいろ難点がある。特に明治三十三年に作りました法律でありますので、これを新しい輸送にマッチした法律に変えなければならないということで、もうすでに二年ほど研究をいたしております。ただしかし、鉄道営業法というものは、現在の鉄道規則の根本的なものでございまして、この改正はよほど慎重にやりませんと、ほかの法規の根本になりますので、部内の検討が終われば広く学者の意見も聞いて、十分検討した上でわれわれといたしましては改正をいたしたい、かように考えておるわけであります。ただ、ただいまお話のありましたILO条約の第八十七号の批准に対しましてどういう関係があるかと申しますと、実はあの当時、労働問題懇談会の答申がありましたが、その中にも、公共企業体等業務の正常な運営を確保するために必要な法的措置検討するという条項があるわけでありまして、この問題がどういう法体系において充足されるかということは、議論をいたしております。営業法において解決すべき問題であるか、公労法において解決すべき問題であるか、あるいはその他の方法でやるかということは、現在われわれ事務当局において検討いたしておりまして、今回そういった問題が起こりましたのは、前のときと違った一つ状態というものを考えて、法の検討をいたしておるのであります。
  7. 楯兼次郎

    楯委員 ではもっと端的にお伺いしますが、鉄道営業法改正というものは、ILO八十七号批准によっての原因によって改正すべきものではない、こういうふうに私は思うのですが、この点についてはどうですか。
  8. 山内公猷

    山内説明員 このただいま御答弁申し上げました業務の正常な運営を確保するということから言いますと、批准とわれわれの方は関係がある問題であるというふうに考えております。
  9. 楯兼次郎

    楯委員 どうもおかしいと思う。この前の国会までは、ILO八十七号批准によって、その原因によって影響によって改正すべきではない、こういうように運輸省としては答弁をしたとわれわれは承知しておるわけであります。事実また常識的に考え——今この席上では法律論をやることはいたしませんが、常識的に考えてそうあるべきが至当である、これはもう十人が十人そう考えることだと思います。それが本日ただいまの答弁で、幾分内容が変わってきたように考えられる。運輸省としては、鉄道営業法改正について、従来の方針を変更されたのであるか、お伺いしたいと思います。
  10. 山内公猷

    山内説明員 繰り返し御答弁申し上げましたように、この公共企業体等業務の正常な運営を確保するという状態を法的に規制をいたしますために、鉄道営業法改正するかあるいは公労法改正するか、そういった状態を生ずるための法的な措置が必要であるということを御答弁申し上げておるわけでございまして、このこと自体鉄道営業法改正するという根本的なものと、また別の情勢が出て参ったということであります。
  11. 楯兼次郎

    楯委員 大体ILO条約は労働問題に対する条約なんで、公労法であなた方のいう正常な運営を確保されれば私はいいと思う。だからむしろ今の鉄監局長答弁ならば、公労法改正という四条三項に関連をして改正をしなければならない、こういうふうに私どもは常識的に考える。それから、主としてこの罰則規定が問題になるのでありますが、日本国有鉄道法を見ましてもいろいろな点がうたわれております。われわれは従来から日本国有鉄道法罰則規定労働運動に適用するということは不当である、こういうことを主張してきたのでありますが、当局はこれを悪用しておるわけです。その上にさらになぜ、営業法であなた方のいう正常な運営云々とは言っておられますけれども労働運動に対する罰則強化影響を及ぼすようなことを考えておられるか、非常に二重、三重の取り扱い考えておられるようにとられるのでありまして、ちょっと従来の方針とは何回答弁を聞いても私は違うと思いますが、それは不当じゃないですか。
  12. 山内公猷

    山内説明員 現在の日鉄法、あるいは公労法というものにいろいろの規則があって、違法な行為についての処罰の規定もございます。ただしかし、それだけでは業務の正常な運営を確保するという面から非常に欠けている点が多いということで、何らかの法律の中に、たびたび申し上げましたような業務の正常な運営を確保するという社会秩序を保つ法的規制が必要であるということで、今直ちに鉄道営業法改正するか公労法改正するか立法技術の問題になりますが、そういう点につきましてわれわれ今検討の途上でございますが、今言いましたそういう目的を達するために必要な法的措置をとらなければならないということを考えておるわけでございます。
  13. 楯兼次郎

    楯委員 この問題をやっておりますと一時間余になると思いますし、委員長との約束もありますので、ここで打ち切りますが、従来もどうも答弁運輸省方針と違うような気がしますし、私が申し上げるまでもなく、全然ILO条約批准関連をして鉄道営業法を今答弁のあるように改正されるということは不当である、こういうように思いますので、この点はまた通常国会になりましたならば日を改めて一つ論議をいたしたいと思います。  次に自衛隊——鉄道の話を聞きますと教習所自衛隊の方が、委託生という形になりますかどうか知りませんが、お見えになりまして、教習をしておるようでありますので、この点についてお伺いをいたしたいのであります。  第一に、よく国鉄では委託生というようなことで外部からの学習を引き受けておられるようでありますが、それは何の法規によってそういうことをやっておられるのかお伺いしたいと思います。
  14. 山内公猷

    山内説明員 日本国有鉄道法におきまして、部外事務委託を受けるという行為能力を与えた規定がございます。それによりまして部外委託というものでやっておるわけであります。たとえば留学生を引き受けますとか、あるいは私鉄職員教習を引き受けますというようなものは、その規定によってやっております。
  15. 楯兼次郎

    楯委員 その規定によって委託生を引き受けておるということになりますと、無条件でありますか。委託依頼があれば無条件でこれを受け入れるのか、あるいはそこに何らか拒否すべき場合あるいは引き受ける場合というような判断がなされなくてはならないわけでありますが、そういう点はどうですか。
  16. 山内公猷

    山内説明員 業務委託と言いますことは、もちろん国鉄業務を遂行いたしまして余裕のあった場合に引き受けるわけでございます。また引き受けます目的が社会的に不当な目的をもってやるということは、まあ万々ないわけでありますけれども、そういった場合にはもちろん拒否することは当然でございましょうが、無条件に引き受けるというものではございません。
  17. 楯兼次郎

    楯委員 そういたしますと、防衛庁から自衛隊員委託を受けました場合は、いかなる目的と必要によって引き受けられたかお伺いしたい。
  18. 山内公猷

    山内説明員 自衛官に対する教育を引き受けましたのは防衛庁の方の目的でございますが、これはやはり一つ防衛の戦力でございまして、そのためにいろいろ訓練をする必要がある、それで防衛庁ではその場合に鉄道訓練施設がないので、また鉄道訓練するために大きな施設を持つということも国家的に不経済であるので、国鉄職員教育に支障のない程度で引き受けてくれということで引き受けたわけであります。
  19. 加藤陽三

    加藤政府委員 今の点に関連いたしまして私どもの方の考え方を申し上げたいと思います。自衛隊本土防衛ということを主任務といたしておりますので、昔のように外地に出ていくというようなことは考えておりません。従って鉄道部隊等については今までのところ考えていなかったのでございます。全般的に国有鉄道その他の国内にあります運輸機関に依存をするという態勢でございました。ただその後だんだん考えてみますと、一部の戦闘地域等におきましては、私鉄等において運転ができない場面が出てきやしないか、しかも人員、物資の輸送等につきまして自衛隊としてはどうしても必要だ、そういう場合におきましては自衛隊がある程度の——ごく小部分でございますが、ある程度の、自体輸送能力を持つということも必要ではなかろうかということになりまして、昭和三十四年度におきまして百二十名をもって建設隊というものを編成することになりました。百二十名の部隊はまだ編成いたしておりません。来年の二月ごろに編成する予定でございます。その要員といたしまして国有鉄道の方にお願いをいたしまして、約四十名の者の委託教育を実施しておる次第でございます。
  20. 楯兼次郎

    楯委員 目的抽象論で必要がある、こういうことを言われますが、今度は国鉄にお伺いしたいと思います。自衛隊有事の際といいますか、何か事があった場合には手を借りなければ国内輸送はできませんか、どうです。
  21. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄自身といたしましては、国鉄の現在の能力をもっていかなる場合にもお役に立つように努める考えでおるわけでございます。
  22. 楯兼次郎

    楯委員 私も軍隊に行きまして、終戦直後帰ってきたのでありますが、ほかの機構は全部麻痺をしておったのです。ところが国鉄だけは従来と同じような輸送が行なわれておったという実績を見まして、まあ企業のいかなる困難の場合にも正常に行なわれる唯一のものは国鉄であるというふうな信頼感を私は強めたわけです。ところが、今防衛局長答弁を聞きますと、何か国鉄でできない場合にその手助けをするのだ、私たちがやるのだ、少数ではありますがそういう目的をもって鉄道業務教習、こういうことを主張されておるようでありますが、国鉄自信防衛庁目的とする点に食い違いがあるように考えられますが、どうですか、防衛局長
  23. 加藤陽三

    加藤政府委員 私ども国鉄の御協力には全般的には期待をいたしているのでございまして、この間の伊勢湾台風のときも非常に国鉄に御協力を得まして、私ども計画以上にうまく輸送がいったのでございます。ただ問題は、そういう全般的なことでなしに、一部、非常に不幸な事態でございますが、日本本土におきまして戦闘が起こるというふうなことになりますと、弾丸雨飛の中におきまして、国鉄自体といたしましては——私は国鉄のことだけではない、私鉄も含めて申しているわけでありますから、国有鉄道私鉄合わせてのことでありますが、一般の民間輸送には必要がない、しかも自衛隊輸送だけにそういう危険な状態におきまして御協力を願わなければならないというふうなことは——やはり私どもといたしましては自衛隊でやるべき場合のことを考えまして、置く必要があるのではないかというふうに考えるわけであります。
  24. 楯兼次郎

    楯委員 再質問に対する答弁では、今度は、最悪の場合は本土戦闘が起こったような場合に云々というような答弁でありますが、それにしては、百二十名の建設隊で、今四十名教習所学習をしておるという小規模では、今局長の言われる最終の大構想に対する組織としてはあまりにも貧弱というか、これでは問題にならない。ほんとうに蚊が鳴くような存在でしかないようにとれるのですが、だいぶ違うのじゃないですか、ほかに目的があるのじゃないですか。
  25. 加藤陽三

    加藤政府委員 これはやはり侵略——悪いことでありますが、侵略様相というものをいろいろ考えなければいけないと思うのでございます。非常に大規模な侵略が起こる、全面的に本土が侵攻されるというふうになりますと、こんな部隊を持っておったって、これは役に立たないとおっしゃれば、その通りだと私は思います。しかし侵略様相によりましては、これだけの部隊でも役に立つ場合がある。二、三十キロくらいのものは自体で、二千トンか三千トンくらいの貨物輸送できるという計画を持って私どもはやっておるわけでございまして、そのくらいのものは役に立つ場合もあるというふうに信じております。
  26. 楯兼次郎

    楯委員 そうじゃないのです。それは侵略があるかないかということは、ここで論議しても平行線だと思いますが、侵略が起きて、四十名や五十名で輸送を補強するというようなことは、私は国鉄で十分できると思うのです。だから防衛庁考えておられるような場面想定をして、鉄道部隊といいまするか、鉄道業務教習をさせるにしては、あまりにもこれは申しわけ的ではないか、あまりにも小さくはないか。だから、あなたの構想に立てば、少なくとも何百名、何千名の部隊がなければ、その目的を達しないと思うのです。これは国鉄の方へ質問するまでもないと思うのです。五十名や六十名の自衛隊の諸君に手助けをしてもらわなければならないような輸送は、四十数万もおる国鉄職員で、これは常識的に考えましても十分間に合うと思う。  時間がありませんし、あなたとこれ以上論議をしても平行線だと思いますが、十二月十日に参議院で初めてこの問題が取り上げられましたときにも、運輸大臣は、緊急輸送の場合に自衛隊を使うというような、そんなばかなことはない、十分鉄道職員業務が完遂できるのだ、こういうことを相当強い言葉で答弁しておられますが、その点どうですか。
  27. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 これは国鉄ストライキをやって、そういう場合に、自衛隊ストライキ破りというような意味で養成しようというのじゃないかというような意味の心配があったが、そんなばかなことはない、そんなわずかなことで、またそういうことをする筋合いでもない。ただ防衛庁防衛庁考え方で、防衛自身のことで考えておったろうけれども運輸大臣としてそういうことを容認するわけにもいかない、こういうことを言ったのです。
  28. 楯兼次郎

    楯委員 ところが、今運輸大臣がたまたま答弁をされた通りのことを防衛庁考えておると思うのです。それは、十二月十日の参議院における吾孫子説明員答弁によっても、この日は防衛庁からの教育委託についての依頼書というのを読み上げております。その読み上げておりまする中をきのう私はちょっと見たのですが、こういう項目があるのです。「さて、鉄道輸送治安に及ぼす重要性にかんがみて、国会等におきましても再三輸送確保の見地から質疑のかわされましたことは先刻御承知のことと思います——だから、防衛局長が言っておられるのはこの依頼書とは全然違うわけなんです。防衛庁依頼書は、すでに国会において、どういう場合か知りませんけれども鉄道輸送治安に及ぼす影響論議をされておる、だから、これに対応して教育委託を行なうのだ、よろしく頼む、こういう文書を防衛庁国鉄に出して、そうして国鉄はこれを受諾して、二十三年何名、あるいは三十四年度は四十名教育委託をやっておる。だから、防衛局長の言うのと防衛庁が出した依頼書とは、全然違いますよ。すでに前にこうしたことが云久論議をされておるからお願いします、こういう依頼書なんです。おかしいじゃないですか。どうですか、関係答弁して下さい。
  29. 加藤陽三

    加藤政府委員 国会においてそういう論議もあったように私記憶いたしております。そのことも理由の中の一つに加えたであろうと思います。しかし私どもといたしましては、先ほど私が答弁いたしました線に沿って委託お願いしておるわけであります。
  30. 楯兼次郎

    楯委員 これは私が自分の考えで言っておるわけではないのです。はっきりと委託書写しを読んでおるのです。写しを読んでおるのですから、これは違いますよ。     〔「うそを言ってはいかぬ」「うそは言いませんよ」と呼ぶ者あり〕
  31. 平井義一

    平井委員長 御静粛に願います。
  32. 楯兼次郎

    楯委員 運輸大臣、どうお考えになりますか。これは、あなたはこの委員会に出席して、吾孫子説明員がこの依頼書を読み上げるとき、あなたもおられて、そんなばかなことはない、鉄道で十分やれるという答弁をされておる。だいぶ防衛庁の、将来本土戦闘侵略というような、前と違うじゃないですか。はっきっりして下さい。
  33. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 吾孫子総裁——そのときは常務理事だったか、理事が読み上げましたのを私聞いておりまして、正直なことを言って、ちょっと異様な感じに打たれたのですが、しかしだんだん掘り下げてみますと、四十名かそこらの、楯さんの言われるように問題にならない数であるし、かつまた国鉄のストについて、そういう場面が全面的にあった場合に、防衛庁が取ってかわってやるというような、そういう意図でやっておらないことも、もうはっきりしておるので、またそういうことを、当然私は運輸大臣としての立場からいっても想定もすべきことではないということで説明したのであって、きのうの参議院におきましてもそういう問題が出ました。そういう誤解を受けるようなことは、なるべく防衛庁も慎んだらいいだろう、そうしてかりに教育してもらうなら、筋をちゃんと立てて、誤解のないような筋でやるようにした方がいいだろうというような答弁をしておいたのであります。
  34. 楯兼次郎

    楯委員 これはもういいんですよ。あとで依頼書をよく読んで下さい。あなたの答弁とこれは違いますから。だから、答弁をいただいても同じことだろうと思いますが、今運輸大臣答弁をされましたように、これはそういういいかげんなことではいかぬと思う。それから国鉄の方も、同じ政府機関であるから、何でもいいから引き受けてやろう、一朝有事の際——どういうときか知りませんけれども国鉄職員でやれるという自信があるなら、こういう誤解を招くということはいけないと思います。従って、今の運輸大臣答弁で私は満足するわけでありますが、これは防衛庁運輸省の方とでよく話し合って、われわれはこういうことがないようにお願いをしたい。したいのだが、政府の方としてもいろいろ考えがあることでございましょうから、今の運輸大臣答弁の趣旨に沿って今後処置をしていただきたいと思います。これはまた通常国会でどうせ問題になるだろうと思いますから、そのときまで保留をいたすことにして、この問題に関する質問はこれで打ち切りますが、関連質問があるそうですから……。
  35. 久保三郎

    ○久保委員 関連して。——鉄監局長はどこに行きましたか。
  36. 平井義一

    平井委員長 今議運に呼ばれて行きましたが、すぐ来ます。
  37. 久保三郎

    ○久保委員 鉄監局長は、先ほどの答弁で、この教育は、日本国有鉄道法法規によって業務委託ということで受けておるということでありますが、そういう法律はどこにもありません。ここに書いてある委託は、第三条の第二項によって「日本国有鉄道は、その業務の円滑な遂行に妨げのない限り、一般の委託により、陸運に関する機械、器具その他の物品の製造、修繕、検査若しくは調達、工事の施行、業務の管り理又は技術上の試験研究を行うことができる。」、どこにも教育を引き受けるなんてないですよ。国鉄当局は何によってこれを引き受けているのか、これがまず第一です。
  38. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄がお引き受けいたしておりますのは、これは自衛隊に限らず、先ほど外国の鉄道の留学生等も引き受けておるということを鉄監局長が申されましたけれども、私の方としましては、十分余裕もありますのでお引き受けしたわけでありますが、法的な根拠ということから申しますと、自衛隊法の百一条というのがございまして、その中に「自衛隊と海上保安庁、航空保安事務所、航空標識所、気象官署、地理調査所、日本国有鉄道及び日本電信電話公社(以下本条中「海上保安庁等」という。)は、相互に常に緊密な連絡を保たなければならない。」こういう規定もございますし、また国鉄本来の業務についていろいろ見学されたり実習をされたりしたい、こういう御希望でごさいましたので、国鉄としてはお引き受けをいたした、こういう事情でございます。
  39. 久保三郎

    ○久保委員 自衛隊法は、あなたがお読みの通り、緊密な連絡を保つことであって、別にそういうことは書いてありませんよ。こんないいかげんなことでやられては困るのです。  それから、防衛庁に続けて言っておきますが、大体あなたは、先ほどの答弁と書面にあるのとだいぶ違っておるし、それからもう一つは、百二十人が——これは今後ふやすのかわかりませんけれども、少なくとも日本国土内部においての輸送は、今の国鉄ばかりでなしに、私鉄も含めて——今までたとえば中国その他の戦線でも経験なさったでしょう。あなたも現役であったことがあったでしょう。鉄道輸送はいわゆる一番初期において、鉄道の要員が足らないときにやった。戦闘行為の中で一般の鉄道職員もこれは働いたんですよ。そんなことを想定される場合でも、何ら差しつかえない。だから、もし想定するとするならば、日本国内において、野戦鉄道的なものを建設する。そうだとするなら、こんな狭いところでおかしい、道路が発達しているのだから。こういうことはやめた方がいいだろうということを言って、これについては終わりにします。
  40. 加藤陽三

    加藤政府委員 先ほど私の答弁が違っておるという御発言がございましたけれども、この委託お願いしました書類は、さっきお読みになりましたが、「陸上自衛官教育委託について(依頼)」という依頼書におきまして、「みだしの件につきましては、従来とも貴社の多大の御配慮を煩わし、輸送業務の実態についての見学や御説明を賜わる等により、緊急時の部隊輸送や、鉄道沿線警備等に関して、有事の場合に備えての自衛隊の任務遂行上非常な便宜をえてまいったことは、深く感謝しているところであります。さて、鉄道輸送治安に及ぼす重要性にかんがみて、国会等におきましても再三輸送確保の見地から質疑のかわされましたことは先刻御承知のことと思いますが、これとあわせ考え、更に、従来の教育を一層推進して自衛隊の任務遂行に完ぺきを期したいと存じ、貴社の教育機関及び現業機関等におきまして、教習及び実習を受けたいと存じますので、今後とも格段の御配慮を賜わりますようお願い致します。」こういうふうに御依頼しておるわけであります。その国会等論議があったということも一つの事由でもございましょうが、私田の申し上げましたことは私どもの事由でありますので、おもなる事由だと私は考えております。
  41. 楯兼次郎

    楯委員 答弁はいいのですが、今あなたがお読みになったのは私も読んだ。しかもその文面から受ける印象は、すでに事前に過去のことから想定して教育の必要がある、こういうふうにしかとれぬのですよ。ところが、あなたの先ほどの答弁は、あるいは侵略があるかもわからない、本土内の戦闘になるかもしれない。こういう答弁とだいぶ食い違うじゃないですか。どう考えたって、これは常識的にとって十人が十人この文章から受ける印象は、すでに過去にこのようなことがあった、あるいはそれも論議をされた、どういうことか知りませんけれども、その必要からやるんだ。あなたの今の本委員会における答弁は、本土決戦あるいは本土戦闘あるいは侵略等が行なわれた場合に備えるんだ。あなたの方では同一と考えておられるか知りませんが、受けるわれわれの印象は、これは大いに食い違うのですよ。この点をよく考え——私は現在の完璧した鉄道輸送において、自衛隊の少数の方の援助を受けなければ輸送に困るというようなことはないと信じております。また副総裁もそういうことはあり得ない。運輸大臣もそのような答弁をされておるので、これはまあおやめになった方が私はいいと思う。しかし局長にこういうことを言っても、やめますとは言えないでしょう。だから、よく御相談願って、国民の疑惑を招くようなこういう仕事はおやめになった方がいいだろう、こういうふうに考えておるわけです。だからこの問題はこれは通常国会にまた論議になるだろうと思いますので、この辺で打ち切って次に移りたいと思います。  次は、タクシーの問題で私は運輸大臣にお伺いしたいと思います。  まあ楢橋運輸大臣は非常に個人タクシーに御熱心で、あとで質問もあるかと思いますが、個人免許を受けた日は、個人タクシーに乗られて、写真がでかでかと出ておった。その日はちょうど運輸委員会で出席を要請しておったのでありますが、タクシーの方の写真だけがわれわれの目についたわけであります。とにかくこの個人タクシーの問題につきましては、どうも私はわからない点があるわけです。——自動車局長は見えますか。
  42. 平井義一

    平井委員長 今農林水産委員会に行っておりますから……。
  43. 楯兼次郎

    楯委員 大臣は個人タクシーについてはベテランでいらっしゃるから、もののついでに伺いますが、将来も個人タクシーをどんどんと免許していく考えですか、どうですか。ただ大臣がかわられたらそれで終わりということでは、これは大臣の方針にだいぶ反すると思うのですが、どうですか。
  44. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 個人タクシーの問題は、もう委員会においても説明を申し上げましたからなんですが、今後どうするかというお話でありますけれども、私の方針といたしましては、やはり個人も一定の年限、それから優良な人たちには、みずからタクシー業を営めるという、この一つの新しい方針は継続させていきたい。もちろん既存業者あるいは新免等の方々もおられますから、そういうことも勘案しながらも、やはり個人のタクシーというものを認めるという基本方針は今後とも続けていきたい、こういうふうに考えております。
  45. 楯兼次郎

    楯委員 ところが、問題は、新聞等で私の承知をいたすところからいきますと、大体免許申請が六千三百六十名ですか、もっとあるかもしれませんが、東京都だけでも出ておる。まあ東京都だけじゃないかもしれませんが、とにかく七千名に近い免許申請が出ておる。そこで、まあ一応百七十三名許可されたわけです。許可されるというその点については、これはいいと思うのですけれども、これではほんとうに九牛の一毛だろうと思うのですが、残りのやりたいと申請をしておる人たちに対しては、将来どういう取り扱いをするのですか。これでは百七十三名だけ喜んで、あとの数千名の人のかえって怨嗟の的になるのじゃないですか。
  46. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 先般百七十数名の者に認可を与えましたことは、これは今御指摘のように、約六千何百個人タクシーが出ておりますが、なるべく早く  一つ個人タクシーという道を開いたらいいだろうというので、優良マークの人だけを、とりあえず選びやすいものだけを先に選んで、あとの人を決して選ばないということではなくて、現にその審査を続けておりまして、ああいう資格条件に沿うべき人は今後とも許していくという方針で努力しておりますが、楯さんも御承知のように、何しろ陸運局の人員が非常に不足で、私がああいう新風を吹き込むということを言い出して個人タクシーが六千件も七千件も出ましたために、実際に陸運局の人たちはそのために非常に労働過重といいますか、組合からもしばしばいろいろな陳情を受けておるような状態で、急速にこれを期待に沿うようにできない点はまことに遺憾でありますけれども、そういう実情にありますので、今回も予算その他においてもそういうことを請求してやっておるのですが、この点は今御指摘のように今後とも残っておる分、あるいはこの間優良マークの中に入って、入らなかった人たちも、あの人たちが別に落ちたということでなくて、これもまた再審査するということになっております。
  47. 楯兼次郎

    楯委員 私は個人許可をされても、何らか法的に援護的なことをやらなければだめだと思うのです。といいますのは、たとえば今でこそ需給のアンバランスがあるから免許申請が殺到するんだと思う。それからこれを開業するということになると非常な金が要ると思うのです。そういう場合にはどうしてもひもつきにならざるを得ない。自己資金がそれだけあればいいんですが、失礼な言い分ではありますけれども、なかなかこの零細な運転手諸君に莫大な金はないと思うのです。だから当然多少なりともひもつきとなる。それから営業してどんどんとやっていきますと、どうしてもその中にボスが介在をして、既存業者と同じ形になってしまう。だからこれらに対しては、大臣が当初個人免許した精神を将来とも生かしていくためには、何らかの、ひもつきとならない、あるいはボスに左右をされない、あるいは需給のバランスがとれたときも十分営業がやっていけるというような法的な援護措置というものが必要だと私は思う。これなくしては長続きはしない、こういうふうに思うのですが、この点どうでしょう。
  48. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 ごもっともな御指摘でありまして、その点は私も非常に心配をいたしておりまして、従って個人免許者に対する法的擁護といいますか、そういうことは自動車局なり陸運局でよく考えてもらいたいということを申しておるような次第でありまして、同時にまた、これらの人たちがボスその他によってまたもとに戻ることのなついように、言いかえてみれば、個人企業として、またすくすくと伸びていけるような体制にするためには、やはりこれらの人たちの間において協同組合なり何なりを作る、あるいは共同修理工場等を作る、そういうことでとにかくこの精神が伸びていくような措置を、今自動車局その他陸運で研究をさせております。
  49. 楯兼次郎

    楯委員 私は、これはこの前の委員会でも久保君が質問をして、そういう答弁をされたということを聞いておりますが、免許はした、ところが何らか措置を考究中であるということでじんぜん日を経てはだめだと思うのです。だから成案は得ておらなくても、どういうような構想を持っておられるのか、簡単に説明していただきたい。
  50. 國友弘康

    國友説明員 今回の個人営業に関しましては、一人が一つの車を運用するという方針で免許したわけでございますが、このタクシーの個人営業に関しまして十二月二日に通達を出しました。それによって審査をし、免許の場合の条件を付し、免許後の取り扱いについての方針等を通達しております。それに基づいて陸運局としては免許をし指導をしていくことになっておるわけでありますが、今御質問のございました組織化の問題等についても、当該地域の実情に応じて時宜に即した措置をとるようにいたす、そのほか講習会等をできるだけ開催して事業者の素質の向上に留意するとか、さらに個人営業がそのまま今おっしゃいましたようなボスに支配されるとか何とかいうようなことなしに運営がしていけますように、免許については条件を付して措置をいたしておるわけであります。そういう点でこの個人営業が十分に健全な発達をしていくように措置をいたしておる次第であります。
  51. 楯兼次郎

    楯委員 そういう精神はわかるのですが、時間の節約で、私は具体的にどうするのか、講習会をやって幾ら訓辞を長時間やったところで何らか法的な拘束力を持たせなければ、一人一台の精神というものは将来生かされていかない。これは既存業者と同じ状態になってくると思う。だから具体的にあなた方が考えておられる構想というのはどういうことか、簡単でけっこうです。
  52. 國友弘康

    國友説明員 免許について条件をつけたわけでございますが、その条件に関しましては、免許後の事業運営の適正かつ確実を期するためにつけたわけでありまして、まず第一に、他の者に当該事業用自動車を営業のために運転させない。すなわち免許をされたその運転手個人が、その人だけが営業の場合に運転し得るということにしておるわけであります。それから、ただいま目下のところ強制保険がございますが、そのほかに任意保険で損害に関する賠償責任保険をつけさせる。そしてその証票を営業中に携行させる。こういうことにいたしております。それから月二日以上の定期休日を定めて、これを陸運局長に届出させる。それから当該事業用自動車の両側面に一人一車制の個人営業のタクシーである旨の表示をさせまして、今、(個人)というふうに入れさせることをいたしております。それから車内に写真票を張らせる。これは一番最初に申し上げました営業用に運転いたしますためには、その免許された人だけが運転するということを確保するためでもございます。個人タクシーの品位を高めますためにも必要であろうと考えまして、写真票を張らせる。その他運転日報等を携行させ、保存させる。それから陸運局長が日時及び場所を指定して出頭を求めたときは特別の事情がない限りこれに応ずるようにする。これらの点につきましては免許の際に条件を付して守らせるということにいたしたわけでございますが、さらに事後の措置といたしましては、この個人営業のタクシーが譲渡とか、管理の受委託とか、そういうようなことが容易にされましては、この個人タクシーを認めた趣旨に沿いませんので、それらの希望なり申請がありました場合には、これは慎重に取り扱って原則としては譲渡できないと考えておるのでございます。それから先ほど申し上げましたように組織化の問題等につきましては、当該地域の実情に応じて指導をさせるように陸運局に申しておる次第であります。その他条件をつけましたことについて違反等がございましたら、これはぜひ守らなければいけませんので、その適切な行政措置をとるようにし、さらにその違反の罰則を適用するとかいうことではなしに、この個人タクシーが許されました趣旨に沿って健全に発達していくために、陸運局としては、できるだけこの免許をされた人たちを指導育成するように考えること、こういうことで現在指導しておるわけであります。さらに関係官庁とも密接な連絡をとりまして、十分この個人タクシーが発展していくような方途を講じておるわけでございます。
  53. 楯兼次郎

    楯委員 今の、いろいろ細心の注意を払って具体的な条件をつけておられますが、われわれ聞きましても、なお私が質問しておるような状態には将来なっていかぬと思う。だからここで二点私は端的にお伺いしたいと思いますが、この個人免許を受けた人が将来人を雇うことができるのかできないのかという一点と、あるいは増車の必要がある場合に、この個人免許を受けた人に許可をするのか、増車の必要のある場合にもしないのか、この二点を、簡単でけっこうでありまするからお聞きしたいと思います。
  54. 國友弘康

    國友説明員 今回免許いたしましたタクシー個人営業に関しましては、一人一車制ということを申しておりますので、この点私どもとして考えましたのは、かわり番の運転手を雇うことによりまして、一人だけ雇うことで徒弟的な雇用関係になるおそれもございますので、この際考えました個人営業につきましてはかわり番の運転手は雇わせない、こういう方向で考えております。そうして増車の場合等の必要に応じましては、ただいま認めておりますタクシー個人営業の趣旨から申しますと、これは増車はさせぬのでありますが、会社としてあるいは個人が数台持って運営をしたい場合には、これを別のと申しますか、法人の関係のごとき申請をすればこれはまた話は別でありますけれども、今回の個人営業の問題につきまして増車を申請してもこれは認められない、こういう形だと考みております。
  55. 楯兼次郎

    楯委員 そこで私は一括して自動車に対する最後の質問をするわけでありますが、六条の免許基準ですね、今自動車局長の言われた精神を生かしていくということになると、六条の免許基準をどうしても変えなければその精神が貫けない、こういうふうに思うのですが、どうですか。この六条の免許基準をこのままにしていろいろあなた方が行政指導をやろうと思ってもそれはだめだ、こういうふうに考えるのですが、六条の免許基準の改正の意思があるのかないのか、お聞きしたいと思います。
  56. 國友弘康

    國友説明員 私どもとして詳細に検討いたしました結果、ただいまの道路運送法の第六条の免許基準で個人営業は認め得る、ただ条件を付して十分に運営をさせなければいけないということで考えたわけでありますが、ただ運用していきます上において、やはりこのような形態の個人営業を予想しておりませんでしたために、実際に適正な行政をやっていきます上にはやはり修正をした方がいいと考えられるところがございますので、それらの点につきましては法案を提出するように考えたい、検討いたしたい、こう考えておる次第であります。
  57. 楯兼次郎

    楯委員 実はわれわれ社会党も、協同組合を作って個人免許を許可していく、こういうことを考えたのですが、どうも六条の免許基準をかまわなければなかなか立法措置がむずかしいということを最近発見をしたわけです。だから将来にわたっては、今の自動車局長の精神なりあるいは運輸大臣の精神を生かしていくためには、六条の免許基準をどうしてもこれは改正といいますか修正しなければならぬと思いますソので、この点一つわが党もやります口が、あなたの方でも今の精神を生かすために通常国会には免許基準の改正、こういうことを考えていただきたいと思うのですが、運輸大臣どうですか。
  58. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今この問題につきましていろいろと研究をしておりますから、できるだけそういう線に沿うように努力したいと思っております。
  59. 楯兼次郎

    楯委員 それでは次に国鉄の運賃の問題、特に通行税あるいは暫定割引についてお伺いしたいと思います。  この問われわれが社会党を代表して運輸大臣に、来たる十二月末で打ち切りとなる貨物の暫定割引について、これを延長せよ、そして総合的な観点に立って将来考えよ、こういう申し入れをしたわけでありますが、新聞等に伝えるところによりますと、各省が対立をして、打ち切りをすべきかあるいはさらに延ばすべきか、こういうことでけさあたりの新聞ではまだまとまっておらないようでありますが、この点どうですか。
  60. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 この問題は八月末ごろにも非常にやかましい問題になりまして、一部非常な反対の声もありまして、そのために十二月末までに国鉄運賃全体から勘案してこの問題を処理しようというわけで、閣内におきまして菅野経済企画庁長官、福田農林大臣、佐藤大蔵大臣並びに私が懇談会を開いて、その問題についての解決を十二月までにやるということで、その後協議をやっておりましたが、まだ調整が十分につかない、また局長の方で事務的にもいろいろと内容等について今洗っておりまして、実は明日経済閣僚懇談会がありまして、そのあとでこの問題を一つ協議しようということになっておる次第であります。
  61. 楯兼次郎

    楯委員 私は国鉄の方は不満かと思いますが、今の状態において——米価は上がり、電気、ガスは上がり、あるいはいろいろな物価の値上げを許可すれば、今の岸内閣は物価値上げ内閣ですよ。あらゆる全般にわたって物価の値上げということを許可しようという趨勢にあるわけですが、ほかのことはともかくとして、この年末の繁忙期に——暫定割引といったってこれはもう数年割引しておりますから恒久割引のような形になってしまっておるわけです。だから、非常に諸物価の高騰に拍車をかけるから一応見送って、そしてもっと根本的に国鉄運賃を検討してみなくちゃならないと思います。これは運輸委員の諸君がもう委員会を通じて——公共割引、旅客、貨物を通じて、この運輸省の資料によりますと、年間五百三十一億円も割引をしておる、五百三十一億、もう全収入の二割近くも割引しておいて、そうして独算制をしているというようなことは、これはもう常識では考えられぬと思うのです。だから暫定割引ばかりでなくて、この公共割引、旅客、貨物も、この割引全体についてこれは検討をして、そうして、いろいろ論議はありますけれども、この百三十一億円のうち何割かをこれはどうしたって政府が補償なり出資なりしなければ円滑な国鉄輸送というものはできないと思うのです。これは私は論議の余地はないと思うのです。そういう意味から、一応諸物価に関係をするので暫定割引を延ばして、そうして暫定割引以外の公共割引全体について検討をし——検討をしといったって私は検討する余地がないと思うのです。割引を存置するなら大蔵省は予算措置を何がしかすればいいのです。そういう措置をとっていただかなければこれは企業をやれといっても無理だと思いますが、運輸大臣、この点はどうですか。
  62. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今楯さんのおっしゃいます通りでありまして、大体五百億近くの公共割引をさせながら、一方には独立採算というような問題をやり、また御承知のように新線建設というような四十億の赤字を出すものもやるというような状態でありますから、従って根本的に、国鉄の一番の財源といいますか、企業の源泉である運賃という問題を、少なくともある程度まで常識的にこれを解決するということをやらなければ、国鉄それ自体が崩壊するといいますか、非常ななにするということは申し上げるまでもありませんので、私は運輸大臣になりましてから、こそくなことでなくして、根本的に国鉄を一体どうするのだということを政府自身が真剣に考えて取り組みましょうということで、今ちょうど農産物の割引の問題がありましたから、あれを契機として、この問題を実は投げかけておるのであります。これは大蔵当局は、率直に申しまして、なかなかこの問題を投げかけられることについては、回避しておるといいますか、いろいろとそういうなにがありますけれども、高い見地から、この問題を当然の国策として考えなければならない、こういうことを考えておるのであります。  また、今御指摘になりました十二月三十一日までの問題等につきましては、今ここで私が見送るとかなんとかいうことを申し上げるわけにはいきませんが、御趣旨等もありますので、あす経済閣僚懇談会等において、この点を十分にお話しをしたい、こういうように思っております。
  63. 楯兼次郎

    楯委員 大蔵省は見えておりますね。——これはあなた個人でどうこうということは言えぬと思いますが、今私が質問して運輸大臣答弁された通りです。大体公共割引年間五百三十一億ですからね。これは運輸省の資料でありますが、これは信用する以外にない。五百三十一億円の公共割引をさせておいて、そうして、やれ独算制だ、やれ何々をやれということは、これは無理ですよ。そういう状態ですから、大蔵省も、これは国鉄が常識的に公共割引するなら、この際その何割かを補給するようにしなければ、企業運営はできぬと思うのです。これは一つ佐藤大蔵大臣によく伝えておいて下さい。  それから通行税のことについてお聞きしたいと思いますが、一体通行税を今日存続する根拠というのはあるのですか。なぜこれは取らないのですか。これはもちろん国鉄は、私が質問をすることもないと思いますが、非常に運賃が高いような印象を与えておりますし、あらゆる戦時中の税金と比較して——もうないのです。ところが、通行税だけ残して、大蔵省はその財源の一部にしておるのですが、国鉄は私は反対であると思うから答弁の必要はないと思うのですけれども、一体これ、考えなくちゃいかぬじゃないですか、主税局の方は……。
  64. 塩崎潤

    ○塩崎説明員 通行税の課税の根拠というやや哲学的な問題のような感じがいたしますが、まあ非常にむずかしい問題だと思います。ただ、現在私どもの税体系におきまして、通行税がどういう地位を占めておるかということを若干御説明したいと思いますが、戦争中にできたから現在やめるべきだというお話は、ときどきございますけれども、私は必ずしもそういうふうには考えておりません。相続税にいたしましても、特別法人税といたしまして始まりました協同組合課税にいたしましても、戦争時代に始まった税金でございますが、現在のところ残っておるわけでございます。入場税も同様な状況にございます。そこで、なぜ通行税みたいなものを取るかというお話でございますが、私どもの税体系におきましては、ドイツあるいはフランスと違いまして、特別な消費形態をつかまえまして、特別な消費について特に担税力があるというような考え方をとっておるわけでございます。ドイツ、フランスでは、一般的な売り上げについて全部取っていく。従いまして、通行税の一部の中には、他の消費形態と同様な税率でもって課税されておる、こういうふうなことが考えられるわけでございますが、私どもの税体系におきましては、たとえば物品のうちの特別な物品について一つの評価を行ないまして課税する。通行税につきましては、これは二等というものをつかまえまして——これは三等についても、昭和二十四年までは課税しておったわけでございますが、二十五年からは三等料金ははずす、しかしながら二等というものは、現在の状況におきまして、まだ普通の消費に比べまして担税力というものはあるであろう、こういう趣旨で課税しておるわけでございます。(「飛行機はどうだ」と呼ぶ者あり)ただいま飛行機のお話も出ましたが、飛行機も私は同様に消費形態を持っておると思いますが、飛行機につきましては、一割というような軽減税率がかけられておりますのは、これは御存じの通り、航空事業がまだ育成期にあるという政策的な理由で、三十六年の三月まで、特に一〇%の軽減税率を適用する、こういう考え方でございます。
  65. 楯兼次郎

    楯委員 あなたの方ではそういう答弁をせざるを得ないと思うのですが、育成期にあるから一割にする、そんなことは大蔵省の主税局だけの意見で、日本国民はそんなことはとれませんよ。飛行機が一割で国鉄が二割も取るなどということは、何という片手落ちの徴税の仕方をしておるか、こういう工合にとる。それから戦時中の税金がまだ残っておる、入場税だとかあるいは遊興飲食税などがまだ残っておるということをあなたはおっしゃいますが、率が全然違うではありませんか。なるほど存続はしておりますが、たびたびの国会の修正によってどんどん下がっておるのです。ところが国鉄の通行税だけは依然として、戦時中そのまま三等までも取った。それからこの二等の運賃なんか見てごらんなさい。運賃にかけ、急行料金にかけ、寝台料金もあっるわけでしょう。これはまるで二重三重の全く苛斂誅求の見本じゃないですか。こういうのを頭のいい主税局あたりが三百代言で存続しようというようなことはもってのほかだと私は考える。通行税くらいは来たるべき通常国会に、来年度予算にはずしての予算の編成の仕方をあなたは進言して下さい。
  66. 塩崎潤

    ○塩崎説明員 二、三点お答え申し上げたいと思います。  航空機だけについて一〇%にしておるのは主税局だけの考え方ではないか、こういうお話でございますが、これは御存じの通り国会を通過いたしました法律でございます。大蔵委員会におきましても、他の通行税とどうかというような議論もずいぶんございました。そういうような関係で、私どもは私ども考えるところではなくて、むしろ私どもの方は、今、楯先生のおっしゃいましたように、一率に課税する方がより公平だという気持はいたします。しかし、そこは税といたしましても何がしかの政策的な要請があることは否定できないところでございますので、今申し上げましたような税率が法律によって盛られる、これが第一点でございます。  第二点は、戦時中の他の税は相当ある。しかしながらその税率はたび重なる税率の引き下げによって相当下がっておるではないか、こういうお話でございます。そこは議論をどういうふうに立てるかというときの論争だろうと思います。私ども昭和二十五年にシャウプ勧告によりまして、大幅に税制改正を行ないました際に、通行税につきましては一つの反省を加えまして、三等料金につきましては無税にすつるという考え方をとったわけでございます。全体といたしまして、大衆課税はこの際できるだけ少なくしていくというような考え方をとったわけでございまして、通行税につきまして、これが必ずしも他の税に比べまして軽減されておらないということにはならない。むしろ相続税などにおきましては、これは日露戦争のときにできました税金でありますが、むしろ現在は高目でありますから、この点はもちろんおっしゃる点は十分問題があり、なるほど税金というものは沿革に引きずられる点がございます。このあたりにつきましては、現在政府におきまして税制調査会がございますので、他の消費税あるいは直接税と並びまして、この通行税につきましても根本的に検討を加えて参りたい、かように思っております。  もう一点、これも三百代言というおしかりを受けるかもしれませんが、急行料金、寝台料金まで課税するのは苛斂誅求だという御非難があったわけでございます。私ども一つの消費形態をつかまえて課税する。これもまた哲学みたいな答弁になるわけでございますが、そこで急行料金自体に課税することはどうかという御質問が出るかと思います。それに課税するのはなぜかということでありますが、現在の急行料金を分析いたしますと、やはり普通の料金の部分が入っておるのではないか。三等の急行料金、二等の急行料金、同じ時間に着くのに急行料金に違いがあることは、二等の急行料金の中にサービスの部分が入っておるのではなかろうか、そういう考え方をいたしますれば、これを課税すること自体一つの消費形態を全体としてつかまえる消費税の性格から見て、そう不合理ではない。これまた三百代言的な答弁だというおしかりを受けるかもわかりませんが、このあたりを通じまして税制調査会におきまして根本的な検討は加えたい、かように考えております。
  67. 楯兼次郎

    楯委員 だからあなたの答弁というのは全く三百代言です。そんなら寝台料金どうです。あの身動きできないようなものに乗っておって税金取られているでしょう。宿屋へのんびりと泊まった場合の税率と比べてどうかということを答弁できますか。列車の寝台料金の通行税の方が、宿屋にのんびり泊まった税金よりも高いんですよ。だから、あなたの立場からいえば、そういうことを言わざるを得ないでしょうけれども、先ほどあなたが答弁をされたように、国会できめるのだ、こういう答弁を聞くと、これは運輸大臣以下われわれ運輸委員も、その政治力の欠除をあなたは指摘されておるのだろうと思うのですが、だから運輸大臣に私はお聞きしたいと思う。国会できめるということは、税金であるから国会の動きによってこれはどうにでもなるのです。運輸大臣、どうですか、この不当なる通行税をぜひ削除するような決意がありますか。
  68. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 今おっしゃいましたように、通行税は、今日交通が生活に必要な要素でありますから、従ってその役割を果たしている点を考えまして、できるだけ廃止の方向へ進んでいくべきものであると考えておりまして、その減免についてできるだけ努力をいたしたいと思っておるのであります。
  69. 楯兼次郎

    楯委員 それでは次に、大臣も農林水産委員会かどこかへ行かれるそうですから、もう一つ大臣にお伺いいたしたいと思います。地下鉄運賃の値上げでありますが、抜き打ち的に地下鉄運賃の値上げをやる、こういうので相当利用者は憤激をいたしておりますが、地下鉄料金の値上げを許可されるおつもりですか、どうですか。
  70. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 地下鉄の問題は、今御指摘のように、あれを利用しておる人聞が約二億数千万といわれておるほど大衆に非常な関係のあるものでありますので、この運賃の値上げ等は十分に検討しなければならない問題でありますが、一方地下鉄それ自身が、今日新線を開拓していくのにつきまして、非常な費用等の問題があり、かつまた、地下鉄公団が対外的な信頼を得る点からいっても、やはり財的基礎等の問題がありますので、諸般の情勢等を考えまして、これは慎重に取り扱いたいと思っております。
  71. 楯兼次郎

    楯委員 新線建設を許可するときに、運賃等の検討はなさるのか、この点どうですか。
  72. 山内公猷

    山内説明員 ちょっと御質問の趣旨がはっきりのみ込めませんが、どういう意味でございましょうか。
  73. 楯兼次郎

    楯委員 地下鉄の新線建設の申請が出てきて許可する場合に、将来運賃の値上げをしなければやっていけないか、値上げをしなくてもやっていけるかというような点をあなたの方では検討されて許可をされるかどうかということです。
  74. 山内公猷

    山内説明員 地下鉄の建設の問題は、もうくどくどしく御説明申し上げるまでもなく、現在におきます大都市交通を解決する唯一の道だろうと思っております。この地下鉄建設というものは万難を排してやっていかなければならない至上命令のようなものであろう。これなくしては都市の生活というものは近い将来に麻痺してしまうというまでに、われわれ交通屋は考えておるわけであります。  そこで、ただいまの御質問でございますが、地下鉄建設をする場合に運賃を考慮するかということでございますが、もちろん遠い将来につきましては考慮しております。ただ現在の段階では、地下鉄建設をいたしまして、たとえば丸ノ内線をとりますと、池袋—新宿というあの線の収支の状態を見てみますと、大体利子と人件費をまかなう程度の収入しかございません。もちろん今回の申請の二十五円にいたしましても銀座線、渋谷—浅草線がありますので、かすかすの減価償却ができるという程度の数字でございます。運賃というものはサービスに対する対価でございまして、それが適正な部分は取ってもよろしいと思っておりますが、非常に遠い将来この地下鉄が、東京におきまして現在では七十キロくらい計画いたしておりますが、これでは、外国の状態を見まして、路面電車がなくなった状態ではまだ不足するであろうとわれわれは考えております。そうすると、そういった多くの地下鉄を建設しなければならないということでは、料金の面だけでは解決されない時代も近くくる。これは将来国家がどういうふうに助成してやっていくかということを考えなければならないことでございます。当委員会でも特別に都市交通小委員会を作っていただきまして、将来の問題についての御検討を願い、われわれ行政官に対しても御指導を願うことになっておりますが、当面の問題といたしまして、地下鉄がはたして減価償却もできない状態であるかどうか、運賃体系がどうかということは、現在申請に基づきまして検討をいたしておるわけでございます。
  75. 楯兼次郎

    楯委員 私は二つ問題があると思うのであります。というのは、これは鉄道の新線建設と違う。将来利用者がどんどん増大をしていくという見通しが立つと思うのです。だから当面、金利、人件費で赤字が出るといっても、公共企業でありますから、政府の方で何とかその点を多少とも措置をしていけば、将来は十分採算が償っていく、こういうふうに考えておりますし、それから路面電車をなくして地下鉄その他に交通機関を切りかえるということは、われわれの年来の主張でありますが、一説によるとかえって地下鉄が高いので、路面電車の撤去に反対をされてあなたの方の意思と逆現象が現われているというのが事実だと思うのです。しかも新しい丸ノ内線もまだ利用の余地があるのです。ところが運賃の関係で路面電車を利用して地下鉄の方へ客の流れがこない。ここに今鉄監局長の言われる方針と矛盾した現象が起きておる。こういう点を十分考えて、運賃の値上げをせずして解決をしていくという方針運輸省としては検討しなければならぬと思うのですが、どうですか。
  76. 山内公猷

    山内説明員 人口がふえるに従いまして利用が多くなるということは仰せの通りでございます。現在の銀座線を見ますと、お客がふえた、それではふえただけ全部運べるかといいますと、地下鉄というものは路上の施設と全然趣を異にしておりまして、初めに六両編成ということで構築いたしますと、どうしても六両以上にふやすわけにいきません。それで、何といいますか、非常に極端な言い方に聞こえるかもしれませんが、客がふえてどんどんもうかるであろうとおっしゃいますけれども、銀座線のごときは、これ以上客がふえるとかえって動けなくなる、いかにしてふやさないかということを考えざるを得ないような状態になっております。丸ノ内線につきましては、御説のようにまだふえる余地はございます。御参考に収入状態を申し上げますと、昭和三十四年度の上期の銀座線の——これは渋谷から浅草へ行っている線でございますが、営業収入は十二億四千八百万円、営業支出は八億九千百万円ということで、三億五千七百万円の益金となっております。御承知通り、この渋谷—浅草間は九千万円ぐらいの金でできておりますので、非常に利益の上がっている線でございます。ところが丸ノ内線の営業収入が九億九千万円、営業支出は十三億四千六百万円で、差引三億五千六百万円の損金を生じておるわけでございまして、ここでこういった非常なアンバランスを片方で来たしておるわけでございます。今までの状態でございますと、銀座線でもうけて、丸ノ内線の赤字を補てんしておったという状態が続いておったわけでございますが、もうすでに運賃改正をいたしましてから四年ぐら問いたち、かつまた丸ノ内線を作りますのに多額の金を使っております。全部で二百二十七億というのが丸ノ内線の経費でございます。それで、こういった状況ではほとんど減価償却ができなくなるというのが会社の言っておることでございまして、運輸省といたしましては、そういった会社の出しております数字を十分検討いたしておるわけでございますが、この会社は、御承知のように公益法人でございまして、配当もいたしておりません。ただ問題は、やはり減価償却もできないということになると、民間資金も集められない、そうすると、現在いろいろ延長の計画をいたしておりますが、資金の集まりが悪くなって、三十八年度までに相当の路線の延長を計画しておるけれども、将来のそういった建設に非常なり支障を来たすということを強く力説いたしておるわけでございまして、それらの点、将来のあり方というものにつきまして、今慎重に検討いたしておるわけでございます。
  77. 楯兼次郎

    楯委員 だから地下鉄が、銀座線は一ぱいでもうかるが、丸ノ内線は欠損だ、それでいいと思う。プール計算の上に立ってまだ利用価値がある、そうすれば、将来増収になっていくのですから、私はそういう答弁はおかしいと思うのです。とにかく将来これは増収になるということが、しろうと考えかもしれませんけれども、絶対見込まれる線であるから、一時的な運賃の値上げを考えずに、もう少し遠い将来を考えて、何とか公企業としての立場から運賃値上げを避けて措置をする方法を考えていかなくてはならぬ、こういうふうにわれわれは考えるわけです。しかし、私どももこまかい資料がございませんから、委員長を通じて、この地下鉄の関係資料を一つわれわれ委員に配付をしていただくようにお願いをいたします。
  78. 平井義一

    平井委員長 承知しました。
  79. 楯兼次郎

    楯委員 それからこの問題に関連して、私はどうもわからぬのは、地下鉄の申請あるいは許可をする場合に、あるところでは軌道法、あるところでは地方鉄道法ですか、これによって地下鉄の建設をやっておるんですが、これはどういうふうに違って、なぜ区別をしなければならないか、この点をお聞きしたいと思います。
  80. 山内公猷

    山内説明員 軌道法によるか、地方鉄道法によるかということは、私の方でも非常に問題のあるところでございまして、これは地下鉄が免許になりました初めのいきさつでそういうふうになっておるわけでございます。といいますことは、東京の地下鉄は当初から地下に構築をするという事業計画で発展をいたしておりますので、地方鉄道法によったわけでございます。ところが大阪の地下鉄におきましては、高架の部分が非常に多い、地上に出ろ部分が非常に多いという計画であって、そういう場合でございますと道路の路上を利用するものが非常に多いということで、大阪の地下鉄は軌道になったということが、免許の当初のわれわれの方の古い文書に書いてあるわけでございまして、今考えますと、そう理論的なものでないと思うのでございますが、われわれの方も、現在地方鉄道といいましても、軌道といいましても、実質的な交通機関としては大した変わりがないわけでございまして、将来この法体系整備いたしまする場合には、何らかその間の調整をいたしたい、かように考えております。
  81. 井岡大治

    ○井岡委員 関連して。——そこでお尋ねをするのですが、これは運賃を値上げすると、ペイするものじゃないということなんですね。現在の減価償却並びにすべてを考えていくならば、現在の運賃の五倍くらいの運賃にしないとやっていけない。ですから、私はこそくな運賃の値上げを考えないで、やはり地下鉄が、先ほどの鉄監局長のお話のように、大都市交通の解決策としての国としての至上命令だとするならば、当然地下鉄問題は、運賃とかいうような問題を抜きにして、別にもっと具体的な策を立てる必要があると思うのです。この点一つお尋ねをいたしたいと思います。
  82. 山内公猷

    山内説明員 その点では、先ほどお話し申し上げましたように、抜本的な施策を早急に考えたいというふうに考えておりますが、何せ片方は現在運行しているものでございますので、この問題は二つ分けて、現在と将来にわたりました問題として考えて参りたいと思います。
  83. 久保三郎

    ○久保委員 関連して、それじゃ大臣に一言だけ質問します。  きのうかの閣議のあと経済閣僚懇談会をおやりになって、現在通運料金の値上げの問題が運輸審議会にかかっているわけです。それにもかかわらず、また明日開いて二十五日の閣議で値上げを決定するのだという新聞発表をしているようですが、これは運輸審議会にまだ諮っていて、運輸審議会から答申も出ないのに、閣議あるいは内閣でそういう方針をきめること自体、あるいは運輸大臣自体がそういう値上げの方針をきめることはおかしいではないか、こういうふうに思うんですが、どうでしょう。
  84. 楢橋渡

    楢橋国務大臣 きのうの新聞にそういう記事が出ておりましたが、これは経済企画庁長官と福田農林大臣と私との間でこの問題についていろいろ話し合いをしているのでありまして、御指摘のようにまだ運審から答申が出ておりませんから、運輸大臣がこれを決定してどうこうするということを申したのではないので、ちょうど記者の質問がありまして、その問題について、通運料金は一体どうなっているか、こういうような話があって、二十八年から通運料金というものは上がっておらないし、従って、その問題についてかねて私の方からその問題を取り上げておるというかねての話し合い、大体の見通しといいますか、そういうことを話したわけであります。
  85. 久保三郎

    ○久保委員 その見通しをお話しになるのもけっこうかもしれませんが、運輸審議会からの結論が出て、運輸大臣がこれを尊重して意思決定をすることだと思う。その前に政府部内において御相談なさるということは少しどうかと私は思うのです。  それからもう一つは、先ほども質問のあった通り貨物の暫定割引の制度、これは現下の情勢からいえば、運賃体系全体の中で解決するものだという論があるわけです。この通運料金の問題も、特に貨物運賃と表裏一体というよりは、一緒のものであるという観点からすれば、これまた運賃体系全体を考えた上でやるべきではなかろうか、こういうふうに思うのです。それを早計に、一つクリスマス・プレゼントに値上げしようというようなことは、私はちょっとどうかと思う。これは考え直していただきたいと思います。
  86. 國友弘康

    國友説明員 通運の運賃料金に関しましては、運輸審議会に八月に諮問いたしまして審査をしているわけでございます。運輸審議会の答申は具体的に賃率につきまして答申をするわけでありまして、これの答申が出ました場合に、運輸大臣としてはこれを尊重して措置をするということになっておりますが、私どもとしましては、通運の運賃料金に関しましては、ただいま大臣が申されましたように、六年有余値上げにもなっておりませんし、改定の必要ありと認めまして諮問をいたしたわけであります。これにつきまして、私どもが打ち合わせ、方針考えることは、運輸審議会との関係で別に差しつかえないと考えておりますが、運輸大臣は、運輸審議会の答申を得ましたら、それを尊重して措置をするということには変わりはないわけであります。そのルール通りに守っていくつもりでございます。
  87. 久保三郎

    ○久保委員 今、自動車局長のお話を聞いていますと、運輸審議会に諮問したのは、二十八年以来値上げしていないから、値上げの必要ありと認めて審議をした、二十八年以来値上げしないから値上げする必要がある、賃率にしても、どうしたらいいかという諮問をしたという、それ自体も不見識だと私は思うのです。二十八年以来値上げしないからという理由だけで値上げする必要は私はないと思う。そういう申請があったら、現在の経営あるいは物資の輸送、こういうもの、あるいは物価の問題、こういうもの全体を考えて、この問題について一つ審議、答申してくれというのが建前じゃないか。ところが、あなたの御答弁ではおかしいじゃないかと思うのです。何だかそういう空気も反映して、運輸大臣以下経済閣僚全体は、一つクリスマスにプレゼントをやろうというので、きのうあたりから楢橋運輸大臣を先頭として御相談  いただいている。運輸審議会の答申も出ないのに、そういう御相談を出すには少し早まっている。それから、そういう理由もおかしい。だから運輸省は、何がゆえに運賃改定の必要がありと認めたか、その詳細にわたる資料を提出してほしい。われわれの手元にきているのは、通運業者からの料金値上げの資料だけしかきていない。何のために値上げする根拠があるのか、その点を資料として出してもらいたい、こう思います。
  88. 國友弘康

    國友説明員 値上げを六年以上いたしませんでしたのが経過でございまして、私どもが原価の計算をいたしました結果、欠損をしておる業種が非常に多いし、これらについて運賃改定の必要ありと認めましたのは、決して年限が長いこと値上げになっていないからということではなくて、実際に原価計算をいたしました結果そういう考え方に到達したわけでございます。その点が説明が不十分でございましたが、私どもとしましては資料その他を運輸審議会に提出いたしまして、目下そこで検討をされておる段階でございます。
  89. 久保三郎

    ○久保委員 業種によっては大へん赤字を出しておるとおっしゃいますが、大体通運の事業の大半は日通じゃないですか。日通は今日いわれているように、株の配当も大へん高率にやっておられる。これは何か金融政策だとこうおっしゃるが、実態からいっても赤字じゃない。大半の荷物を引き受けている日通が、これが値上げの理由はないと思うのです。その他の弱小というか零細な企業は、今日どこでも赤字が多い。これに対して運輸行政の中で別途考慮すべきであって、料金値上げでもって一ぺんに片づけるというのはちょっと困る。大体話が違うのじゃないかと思うのですが、これはどうですか。
  90. 國友弘康

    國友説明員 日本通運の扱い量は大体全通運扱い量の六割でございますが、日本通運の事業につきましても、現在通運事業とその他部門とに分けて私ども考えておるわけでありまして、通運事業法の二十条には、通運事業の運賃及び料金の認可ということを規定しておるのでありますが、通運事業部門で、原価計算をして、考慮をしてみますと、赤が出ておるのであります。それで他の兼業部門で黒になっておりまして、利益を上げておるのですが、これ自体どもも作為的な資料でないかと考えまして、相当詳細に調べましたのですが、これはもうずっと前から通運事業部門とトラック部門、その他の兼業部門とは別に分けまして、運輸省のみならず、大蔵省の方への報告も全部その統一的な形態でやっておりますので、決してこれは運賃値上げのために作った資料とは思われませんので、私どもとしては、通運事業だけの運賃改定をいたします場合には、通運事業の原価計算をするという建前にしておりますので、それらを考慮いたしました結果、日本通運においても、通運部門においては赤を出しておる、こういう計算になり、それが今申しましたように大蔵省等への報告もそういうふうになっておりますので、これは事実であろうと考えて現在検討しておる次第でございます。
  91. 久保三郎

    ○久保委員 今の原価計算のことでありますが、正確な原価計算でなくて、ある特定の店、特定のところをごく短い期間調査された、そういうことではたして原価計算が当たっておるかどうかということは大へん疑問があると私は思う。そういう計算からいって値上げの根拠があるというのは正しくないじゃないですか。私は時間がありませんからこの程度でやめますが、少なくとも通運料金の問題は、先ほどの暫定割引とからんで、貨物運賃全体の問題として考えるべき時期ではないか、だから何もあわててここで料金値上げを発表し、実施されるということはやめた方がいい、やらぬ方がいい、こういうふうに私は思います。以上であります。
  92. 楯兼次郎

    楯委員 それではあと集配制と労働問題で簡単に国鉄にお伺いしたいと思います。  この前集配制の問題で大ワクだけ質問をしておいたわけでありますが、どういう対策でこの貨物取り扱いを集約をしようとされているのかお伺いしたいと思います。私の質問はこういうことです。この国鉄の集配制によって、これに関連をしておる特に小さい業者、小運搬の小さい業者が生業を奪われるような状態に陥っているので、地方では相当問題が起きておる。だから公共企業体である国鉄が国民の一部の生業を奪うようなことを強行されてはいけないではないか、こういうふうに考えるわけですが、これらの人たちに対してどういう対策をとってこういう問題をやられようとしておるのかお伺いしたい。
  93. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいまのお尋ねに対しましてお答えを申し上げますが、今いろいろ考えております集約の中に、お説のように小さい駅だけでやっている運送店がございます。大体御承知通り三百数十軒のいわゆる新規免許の店がございます。大部分のものはわれわれの考えております集約駅にその本拠を持っております。中に二、三そうでなしに、当然集約をされるべき駅にのみ免許を持って仕事をしておる店がございます。それらにつきましては今のお話の通り、その駅をやめます、あるいはその駅を集約いたしますことは、その店自体の死活の問題にもなりますので、それらにつきましては、たとい数量が少ない、あるいはその運送店自身がほとんど運送店事業としては経営できないような状態にあるといたしましても、さしあたり集約のために店を締めるというようなことがないようにしたいというふうに考えております。実際の問題といたしましてもそういう点については極力配意させておりますが、そういったことなどお聞き及びかとも存じますが、具体的な問題がございましたら十分具体的に現場の方に指示いたしたい、こう思っております。
  94. 楯兼次郎

    楯委員 今、磯崎理事の話を聞きますと、二、三である、きわめて少数であるというような説明でありますが、私どもが再三陳情を受けておるのは相当広範囲にわたっておるわけです。私の記憶違いかわかりませんが、浦和ですか、浦和あたりは相当大きな駅だと思いますが、ここらあたりもあげて反対をして、われわれは再三反対の陳情を聞いておるわけです。これは一つの例でありますが、たとえば私のおります名古屋地方においても相当反対があるわけです。従って荷主あるいは関係業者とスムーズに話のついたところはこれはもうわれわれが異議を差しはさむ必要はないと思うのですが、相当反対があるにもかかわらずこれを、表面的には温和な態度をとっておりますが、裏では強行しようとしておる。この前私は一つの具体例を申し上げましたが、たとえば廃止しようとする駅に対しては貨車の配給をやらない。やらないから従って貨車の配給のある集約の中心となる駅へ出荷せざるを得ない、また到着せざるを得ない。こういう状態です。それから先ほど割引運賃のことで話があったのでありますが、たとえば集約しようとする駅で出荷をしなければ割引運賃の適用をしない。これは全面的ではないかもしれませんけれども、こういうような策をとっておるやに見受けられるわけです。だからこういうやり方をやればこれは相手がなくて自然的に集約をされてしまう。だからこれは狡猾じゃないかという話をこの聞したわけでありますが、相当問題が起きておるのです。あなた方の耳には入らないかとは思いますが、相当問題が起きておる。だから私は国鉄運営からいって全然いかぬということは言いません。一カ月に一車か二車しか出ないような駅については、これはわれわれも無理だと思うのです。しかし、少なくとも国鉄としては荷主、人も減るでしょうし、国鉄職員の面から考えても貨物係なり関係職員というものが配置転換で減少になるということが起きてくるのであるから、それらの機関と十分話し合って、事前協議という言葉が今国会でははやるのですが、事前協議をして円満に解決していかなければいけないのではないか。そのための対策というものが欠けておるように私ども考えるわけです。そういう具体的な対策をお持ちであるかどうかということです。
  95. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点につきましては私どもも、この集約を実施いたしますのに一方的に私どもの都合でやめるのだということではもちろんいけないと思っております。従いまして、たとえば一番問題の多いのは主として農産物であります。しかも青果物でない穀物類の農産物でありますが、農業協同組合あるいは農業運輸協同組合等との関係がございまして、過般も全国の農業運輸協同組合の各府県の支部長会議が去る十七日にございました。その会議などにも私あるいは貨物課長が出席いたしまして、具体的にいろいろ向こうさまの御注文も承り、こちらでもいろいろお願いする、また農林省の食糧庁からも実はいろいろ注文がきておりまして、その注文によりまして私どもの方からも正式にこういう点によく留意してやれという指示もいたしております。農協からは大体三つの条項を私の方へ条件的に示されております。たとえば集約する際には貨物のそのときの流通状況をよく見てやってくれ、それから駅の選定にあたっては農業倉庫その他について十分考えてくれというような具体的な条件も実は承っております。従いまして現地におきまして極力監理局長あるいは主管の部長が自分で相手方とお話しするという態勢でありませんと、今先生のおっしゃったようにとかく一方的にやるというような非難もございます。実は私も一、三聞いております。従いましてそれらにつきましては具体的に一々注意をいたしまして、過般も今月の初めに全国の貨物課長を集めまして、十分今お話しのような点を注意いたしております。しかしながらなお実施したい、やはりそういった問題もあると思います。十分慎重にやるということをはっきり私は申し上げさせていただきたいと思います。
  96. 楯兼次郎

    楯委員 磯崎さんの御答弁で私はいいと思うのですが、その点反対がないように、一つ荷主とそれから関係の団体ですね、その地方によって違うだろうと思うが、そことよく事前協議をして措置をしていただきたい、これだけ申し上げておきます。  それから次に労働関係について一言お聞きしたいと思いますが、これは名古屋の中部支社で発行された本ですね。これはおそらく本社の労働関係の方の指示によって出されておるのだろうと私は推量する。その中で、私は全部読んだわけではありませんが、一見をいたしますと、こういうことを言っておるのです。まあ組合といろいろ問題がある、その場合に「不当労働行為の疑があって組合から提訴した場合は、公共企業体等労働委員会において、公益委員のみで認否が決定される。不当労働行為の認定がなされたときはこれに服従し、もしなんらか処置すべき命令があればこれを行うこととなるのであるが、別に労働組合法のように罰則規定はない。」これを読み上げた私の意図というのは、不当労働行為があっても罰則を受けぬのであるから大いにやれ、こういうことで、全国の各地方本部が当局の労働攻勢にあって困っておるのです。困っておるというか、無用のあつれきを起こしておる。日本国内の労働情勢を少し考えても、今の国鉄の労働組合というものは非常に低姿勢じゃないかこれ以上当局がこんな本をでかして、不当労働行為があっても罰則規定はないから、そんなことに関係なくどんどん思うところをやれというような追い打ちをかけなくてもいいじゃないか、こういうふうに考えておるわけです。われわれの考えと違って、現場においては日本全国にわたってこういう本を出して盛んに非組合員を集め、第二組合の育成その他をやっておるわけです。これは労務担当はだれですか、磯崎さんですか。こういう指示を与えたことはありますか。おそらく単独ではようやらぬと思うのですが、どうですか。吾孫子さん、前そうだったが、どうですか。
  97. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 そのパンフレットそのものは実は私も拝見いたしておりませんけれども、一般的な啓蒙資料と申しますか、国鉄の現場長さんというのは業務上のことについては長年の経験もありますし、割合よくわかっておりますけれども、存外労働関係のいろいろな法規のことや何かについては暗い人が多いものですから、そういうような諸君に、やはり労働関係のいろいろな法律や制度というものがどういうふうになっておるかということについては、これは絶えずよく啓蒙するようにする必要があるのではないか、そういう意味で、別にどういう形でやれとか、パンフレットでやれとかいうようなことは、一々こちらの本社の方で申しておるわけではありませんけれども、場所によりまして、これは地方にもよることでございますけれども、一般労働関係の制度とかそういうようなことに詳しくないために、また組合の方や何かから、そういうことをやると不当労働行為だぞと言っておどかされるとまた間違ったことをやらぬとも限らぬ。そういう話もありますので、一般的にそういう常識を養わせるということは必要だと考えまして、各支社や局の方にもやらせているわけでございます。あくまでも不当労働行為というようなことがいやしくも行なわれることのないように、今までも注意してきたつもりでございますが、今後なお一そうそういう点を注意いたしたい、かように存じます。
  98. 楯兼次郎

    楯委員 私は当局がそういう労働問題についての教育をやられることについてはいいと思うのです。これは組合は組合の立場があるでしょう。しかしこの長い文書で、不当労働行為があっても罰則は受けないからやれということは、今の吾孫子さんの答弁とはだいぶ違った意味を含んでおるのです。こういうことでいろいろなことを強行されては困ると思う。この問題を私は別に委員会へ持ち出してやらなくてもいいと思ったのですけれども、まあ社会労働なりほかの委員会で、通常国会あたりで出てくると思うのですけれども、こういう文書が出て、下部の事情を聞いてみますと、きわめて遺憾なことをやっておる。私はここに人から聞いたことを、具体的な例をあげてずっと書いてみました。書いてみて、ここでとても読めないのですよ、これはあなた方の立場が恥ずかしくて読めないのです。ある場所においては、駅長が先頭に立ってこういう講習をやり、そうして非組合員が第二組合の結成に、もう仕事をほうっておいて盛んにやっておる具体例が出ておるのです。そういうことを現在の国鉄労働組合でやる必要は私はないと思う。そんなことをやれば、あなたの方は、政府の労働組合弾圧の一環としてやっておられるかどうか知りませんけれども、ほんとうに平地に波乱を起こすようなことになってくると思いますから、こういう点は、私もこんなことはこまかいことは言いたくありません。十分気をつけて、今日以後一切こういう動きをしないように、一つ指示をしてもらいたい。読み上げませんけれども、そういう労働組合の第二組合育成をやっておると同時に、しからば運動をしておる人たちがどういうことをやっておるかといえば、全く変わったことをやるのでありまして、地方新聞にはこういうふうにでかでかと、ばかげたことをやっておるというので、地方の新聞すら非難をしておるわけです。だからこういうところはこまかく言わなくても私はわかると思いますが、あとで必要ならば幾らでも具体的な問題を私はお話ししますが、その程度が度を越えないようにやってもらいたい。もし改められなければ、社会労働委員会なりあるいは予算委員会等で十分徹底的に、私は以後の委員会において当局意見を聞きたいと思いますが、本日は、ここであなた方がほんとうにこういうことが起こらないように指示をされるのかどうかという結果を見て、後日の問題にしたいと思いますので、これでとめておきますが、ぜひ一つそういうことのないようにしていただきたい。
  99. 平井義一

    平井委員長 久保三郎君。
  100. 久保三郎

    ○久保委員 今の楯さんの質問関連して、一言だけ私も言っておきます。国鉄、これは広報部だと思うのでありますが、いろいろなPRのものを発行しておりますが、その中で「労働ニュース」というようなものも発行しておりますね。こういうニュースを毎月出されておるようでありますが、ずっと一般職員に半強制的に読ませる。それはそれでいいかもしれませんが、その中の編集の内容を見ておりますと、今の第二組合というか、組合分裂にはちょうちん記事をどんどん書いておる、こういうようなこと。それから今あるところの国鉄労働組合なら労働組合に対しては、一般商業新聞のゴシップ欄というようなものに類するものを、当局自体が書いて流しておるということは、公平に見てあまり芳しくないし、これが度はずれになりますると、今言った不当労働行為になってくるということは、一つ御注意をいただきたい。後刻、国鉄全体で出しておる刊行物を一部ずつ当委員会に、さしあたり最近のものを配付してほしい。有料無料を問わず、全部です。それだけ要望しておきます。それで時間も迫っておりますので、端的に踏み切りの問題について、先般板川委員が長時間各方面にわたって質問をいたしましたので、私は補足的な意味一つ関係者にお話を伺いたい、りこ汽いうゆうに思います。  それで、通常国会にはこの鉄道と道路との交差に関する法律案が新しく出るそうであります。この要点については、先般鉄監局長から御説明がありました。そこで、この新しく提出を予定される法律案と関連して、まず第一に次の問題をお伺いしたい。現在ある踏み切りの設置基準、これを再検討して新しい法律に盛り込む必要があるではないかというのが一つであります。と申しますのは、昭和二十七年あるいは二十九年にできました踏み切り設置基準が今日までそのままであります。そっの間列車の速度あるいは回数、こういうものがどんどんふえたり上がったりっして参っております。そういう変化がございますので、当然現在の設置基準というものを新たな観点から検討して作り直すべきではないか。もちろんそれに対する反論としては、現在の設置基準に対してもあるいはその基準に達したものも、今日その通りに改良されておらないということが理由になるかもわかりませんが、大体四、五年前にできたものでは、設置基準としてはなはだ不足なものがあるだろうということで、新法に新しい観点から設置基準を検討して織り込んでみる必要がないかということが一つであります。
  101. 山内公猷

    山内説明員 踏み切りの保安設備設置基準の問題でありますが、お話の通り、こういう保安施設につきましては、交通状態の変化に伴いまして常に検討を加えなければならないものであろうと考えております。それで、こういうものを考えますときに、まず必要なのは、現状はどうなっておるか、結局踏み切りを第一種にするか、第二種にするか、第三種にするかということは、交通の混雑状態というものが一番の基準になります。それには列車回数、列車のスピードというものが片一方に鉄道側ではございます。また道路側では自動車の台数というものが非常に大きく響いております。それで理論的な問題といたしましては、そういったものの対比から踏み切りの設置基準が出てくるわけでありますが、現実の問題におきますと、そのほかその踏み切りの状態という具体的な問題も出てくるわけであります。それで私の方の今考えておりますのは、ただいま御説明いたしました本年の十月に、国鉄私鉄を問わず、全国一斉に踏み切りの調査をいたしました。その結果を見まして別途考えるということと、現在大使館を通じまして、世界各国のそういった踏み切りの基準というものの例をとっております。ドイツ、フランス、英国、アメリカという各国のそういった技術的な基準というものもできるだけ広く集めまして、それらを十分研究いたしまして、新しく法律を作ります場合には、法律そのものに入ることはちょっとないと思いますが、法律で委任された政令あるいは省令というもので規定されていくと思いますが、しかし実際上のスタンダードは、そういう世界の前例とか現実の日本の交通状態というものを考えてきめて参りたい、さように考えております。
  102. 久保三郎

    ○久保委員 わかりました。  次に、その立体交差の問題であります。これは先般道路局長からも答弁があり、鉄監局長からも答弁がありましたが、現在予定されているものもなかなか思うようにまかせないのだ、こういうことでございますが、今度の新しい法律では、特に費用の負担区分、こういうものについて明確にされるのだと思いますが、要は裏づけというもの、いわゆる予算の問題だと思うのであります。今度提出を予定されている法案に関連しては、運輸省としてはあまり多額の予算を要求していないように見える、これは特に私鉄の場合には無理だろうと考えるのであります。しかしながら、ここで考えなければならぬのは、立体交差は、かかる状態のものは立体交差にせなければならぬという明確な基準を、この法律なら法律で、あるいは政令なら政令で設けるべきじゃないかと思うのであります。その一定の基準を設けておいて、それに合わせて予算的裏づけをとっていくということがなくては、大体予算がこれだけくらい個所数にすればある、基準は別に設けなくても個所数は大体この程度ある。これに対しては予算の要求がこのくらいまで必要だということでは、何か予算を獲得する場合に不足しやしないか、力が足りないではないかというので、私が申し上げたいのは、今度の新法の中、それに関連しての政令で立体交差の設置基準というものを作ったらどうか、こういうふうに考えるのですが、そういう考えはどうでしょう。
  103. 山内公猷

    山内説明員 立体交差というものは交通の円滑上非常に理想といたしております。現在フリー・ウエーというものが世界各国にありまして、これが交通上の非常に大きな要素になっておるということも十分承知いたしておりますが、日本におきましては、はたしてどれだけ日本の国力でいき得るか、できれば作らなければならぬと思いますが、今後の研究課題であり、かつまたそういうふうに努力しなければならないと思っております。それでただいまの御質問といたしまして、なぜこれに補助金を出してどんどんやらせないのか、これも十分われわれ考えました。ところが立体交差というものは非常に金のかかるものでありまして、補助金が一〇〇%出るということであればこれに越したことはございません。しかし今までの補助金のあり方というものをいろいろ考えますと、ほとんどその要請の半分も満たせないという状態でございまして、かえって補助金を出して義務をつけましてもできるかできないかわからないというのが、具体的な現実の問題であろうというふうに考えておるわけでございます。それでわれわれの考えておりますのは、御承知のように道路につきましては、どうしても車が多くなるにつれてガソリン税というものがふえてくる。できるだけ道路の方でこれを考えてもらえないかということでございます。かつまた現在立体交差にしなければならないという理由の大半は、自動車が多くなってきたことでございます。それでこういう場合には、どうしても原因者負担という道路法の観念が非常に大きく左右しておる。しかし立体交差にすることによって鉄道事業も利益するところが非常に多いわけであります。その利益の限度においては鉄道の事業者も支出をする。しかしその範囲内にとどめて、そのほかは道路の方で持ってもらうということにいたしますと、利益の存する限度で鉄道事業者に持たせるということになりますと、補助という性格は出てきにくいのでございまして、できるだけそういう方向で立体交差を推進して参りたいというふうに考えておるわけでございます。  基準の問題その他につきましては、課長からお答えいたします。
  104. 松本豊彦

    ○松本説明員 基準の問題につきましては、ただいま国鉄と建設省と立体交差に対して考え方が違っておりますので、その点も十分調整いたしましてやっていきたいと思っております。
  105. 久保三郎

    ○久保委員 考え方が建設省と運輸省の方で違うということでありますが、立体交差は、それぞれのただ汽車を通すというか、あるいは道路を通すというか、そういう考え方だけでは一致しつこはないと私は思うのです。そこで高い見地に立って、単に踏み切り事故をなくするということじゃなくて、踏切道におけるところの交通を円滑にするということ、反面今度は軌道における車両の運転を円滑にする、こういう二面から相一致するものを見つけるのがほんとうだと思う。ところが今までは運輸省運輸省考えあるいは建設省は建設省独自の考えでやっておりますから、たとえば運輸省と建設省の協定がありましてもなかなかスムーズにいってないような事情にある。そこで鉄監局長に申し上げるのですが、これは事故という考えばかりじゃなくて、そういう交通円滑化のための、一つ総理府なら総理府の中に設けてもらって、そこで高い見地から統括した考えで進推してもらわなければ困ると思う。いずれにしましても、新法が出るまでには、こういう基準を建設省と運輸省が合致した線で一つ出してほしいと思います。  時間がありませんから次に移ります。警報機あるいは踏切標識、こういうものが道路標識令というかあるいは鉄道部内の規程によってありますが、これが規格というか形式は統一されていないうらみがある。それであるから、そこを通行する者は、常時通る者は別ですが、そうでない者はこれに対してなかなか認識がぴんとこないというので、たまに錯覚を起こす場合があるということであります。今度新法を作るというならば、これに関連して関係法規等も改めて、こういう警報機あるいは標識等を全国一つの規格にするというような考えをすべきではなかろうかと思いますが、どうでしょう。
  106. 山内公猷

    山内説明員 踏切警報機の規格がまちまちであるということはお話の通りでございます。私どもも、たとえば先般名古屋鉄道におきます事故において、踏み切りの所在を示す色——黄色と黒でございますが、こういうものがほんとうに人間の注意を引くのにいい色であるかどうか、そういうものにまでさかのぼって検討していかなければいけないと考えております。ただ一様にそういうものをきめた方がいいのか、あるいはその所在を示すのが目的でございますので場所によって変えた方がいいのかということを、十分検討いたしまして、何らかそういう基準というものも考えて参りたいと考えております。
  107. 久保三郎

    ○久保委員 次には踏切道の構造でありますが、これは建設省の路政課長がおいでですから、路政課長にお尋ねするのが筋かと思います。大体、今はあるのかないのか私知りませんが、踏切道の構造について、前後の見通しあるいは勾配、幅員、こういうものについて適当でないものが、この前にも板川委員からの指摘があった通り、多いわけです。そこで、これに対する規制というか法制というか、そういうのは今考えているかどうか。
  108. 青木義雄

    ○青木説明員 踏切道の改良につきましては、御指摘の通り不十分な点があるのでございますので、私どもといたしましても、道路整備五カ年計画の中でそれを改良するように計画を立てまして、目下検討を進めております。
  109. 久保三郎

    ○久保委員 検討を進めておられるのはけっこうでありますが、私の質問しているのは、そういう構想について検討しているかどうかという質問なんであります。私の持っている資料では、道路構造に関する細則というか、そういうものがあるようでありますが、これは道路構造の技術的基準は政令できめると道路法ではなっております。そこで、そういう技術的基準を現在きめてあるのかどうか、きめてないとすればきっちりきめて、それに合わせるような方針を出して推進すべきではないか、こういうことなんです。
  110. 青木義雄

    ○青木説明員 踏切道そのものは鉄道側の管理ということになっておりまして、その前後の関係でございます線形であるとか視距であるとか、そういうものにつきまして改良をいたしまして、目通しをよくするとかということによって事故を少なくするというようなことにつきまして検討を進めておるわけでございまして、今きまったものは持ち合わせておりませんけれども、至急検討いたしましてきまったものを作りたい、こういうふうに考えております。
  111. 久保三郎

    ○久保委員 では次にいきましょう。これはやはり鉄監局長にお尋ねすることだと思うのでありますが、あるいは路政課長さんの方でもあるかもしれませんが、とにかく今の踏み切り事故を見てみますと、大体事故種別からいって、直前横断というのが多いわけですね。圧倒的に多い。これは一たん停止というか、そういうものが守られていないということだと思うのであります。そこで、これに対する設備、施設の問題でありますが、これを考える必要がありはしないか。設備というのは、まず第一に、一たん停止線をはっきり規定する、これが一つ。それからもう一つは、その踏み切りの種別にもよりますが、第四種のようなものはさくがきを作るとかいうような構造も考えるべきではないか、こういうふうに思うし、それからもう一つは、通行者に対する制裁の問題として、一たん停止を怠ったような者については、これはやはり厳罰をもって臨むというようなことにならぬというと、これはなかなか事故は減らないのではないか、こういうように思うのですが、新しい法律というか、それに関連して、こういうことを今考えておるかどうか、これを一つ……。
  112. 山内公猷

    山内説明員 一たん停止ということは非常に大切なことでございまして、これは現在の法律でもそういう義務づけをされておるわけでございます。第四種の場合に、そういう事故が起こるというだけではなくて、先般の名古屋の場合には、第一種の甲というものでございまして、これは警報機がつき、機械的な踏み切りのあるものでございます。これを、踏み切りがおり、警報機が鳴っておるにもかかわらず、飛び込んでしまったというようなことでございまして、まあそういう点から考えますと、何といってもそういった交通法規を守るPRということが、迂遠なことでありますけれども絶えずやっていかなければならないということを考えまして、われわれの方といたしましては、特に名古屋陸運局長に、非常に名古屋地区におけるそういう踏み切り事故が多いので、そういうことまで指示をいたしたわけでございますが、この今度できました新しい道路交通法では、今言いました一たん停止という義務がはりきりと規定されておるわけでございます。それで、停止線その他の問題につきましては、十分われわれも、まだ新しく作る段階でございますので、検討いたしたいというふうに考えておるわけでございまして、要はやはり適確にとまってもらうのに一体どういう方法があるかということを、今議論いたしておるわけでございますが、またいいアイデアでもございましたら、お教え願いたいと思います。
  113. 久保三郎

    ○久保委員 それじゃ先にいきましょう。  次に、これは自動車局の方だと思うのですが、整備部長はおいでになりますか。
  114. 平井義一

    平井委員長 今整備部長はおります。
  115. 久保三郎

    ○久保委員 この踏み切り事故のうちで一番多いというか、そういうものを見てみますと、バスは案外なんですね。それで、多いのは、トラックあるいはオート三輪、乗用車、こういうものが実際言うと多いわけです。そこで考えられるのは今の法規では自動車運送事業等運輸規則ですか、これによりますと、バスはこの防護の器具、いわゆる危険信号を出すところの器具、こういうものを積まなければ運転してはいけない、こういうように規定しておるわけです。ところが、これはバスだけなんでして、それ以外は全然ないということなんですね。ところが、オート三輪などはちよいちょい踏み切りの上で、まあ不時に停車してしまう。それで、防護の器具は何も持っていないということで、みすみす障害事故を起こすという場合があるのです。だから、今度の改正関連して、こういうオート三輪あるいはトラックあるいは乗用車のたぐい、こういうものにも、このバスと同様な防護器具といいますか、そういうものを備えつける義務を設定する必要がありはしないか、こう思うのですが、どうでしょうか。
  116. 石河正利

    ○石河説明員 昭和三十一年の八月一日に規則改正いたしまして、その規則によりますと、今お話のような非常一信号用具を、バスだけでなく、全自動車運送事業者、それからその乗務員に拡大して義務づけるということになつ  ております。
  117. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、私の言うようなことはすでにやっておるという意味ですか。
  118. 石河正利

    ○石河説明員 さようでございます。
  119. 久保三郎

    ○久保委員 実際にそれじゃトラックあるいはオート二輪、そういうものは持っていますか。赤い旗だとかそういうものは持っていますか。これはバスは持っている。
  120. 石河正利

    ○石河説明員 言葉が足りませんでしたのですが、先ほど申し上げましたのは事業用の車のことでございます。自家用車についてはそういうルールは現在はございません。近く考えてみます改正によりまして、保安基準にそれを入れるということを考えております。それからなお、危険物を運ぶものにつきましても、検討しておる最中でございます。
  121. 久保三郎

    ○久保委員 私が質問したように考えているということですね。
  122. 石河正利

    ○石河説明員 はい。
  123. 久保三郎

    ○久保委員 それでは時間がありませんから先に進みます。  次に、踏切道の種別変更をやっておるようであります。特にこれは国鉄総裁にも関係多いのでありますが、これは国鉄の資料で見たのでありますけれども、種別を変更してこれを四種から一種に直すというような向上上、いわゆる種別を上げていくという件数が、ここ三年ぐらいの間に大体五百八十六件あった。それから種別を低下していく、一種から四種にするというようなものですね、こういうものが三百三十九件これはあるわけです。ところが、大体種別向上もこれは四種から三種に持っていく、それから種別低下の方も一種から三種に持っていくということで、現在の踏み切りが大体三種に集中してきている。二種に集中してきているのだが、一方、踏み切り事故の踏み切り種別ごとの件数を国鉄の資料で見ますと、三種はかなり多い。というよりも、これは四種を除いてはこれが一番多い。四種が一番多くて、その次が第三種だ。そうしますと、この種別変更の傾向は再検討の余地がありはしないかということです。特に今日国鉄経営は合理化だ、近代化だというので、自動遮断機等の設置をした三種、あるいは自動遮断機をつけない警報機装置によってこれを切りかえていくというようなことをやっておりますが、事故の傾向はそこへ集中してきておるということで、これはこのままでいいかどうかということも大へん問題があると思う。これは鉄監局長並びに副総裁から御答弁いただきたい、こう思うのです。
  124. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄といたしましては、これはもう前に申し上げてあるかと思うのでありますが、本社の中に踏切対策委員会というものを作りまして、大体踏切道整備三カ年計画というものを立てまして、約二十二億円の予算でもって踏切道の整備を目下推進中でございます。それで、今御指摘のございました第三種踏切道につきましては、それにさらに自動遮断機を採用するというようなことをやりましたり、また第四種を第三種に格上げするというようなことをやったりいろいろやっておるわけでございます。御指摘のように、第三種というものに相当重点を置いておることは事実でございますが、なお、この対策委員会におきましても、踏み切り事故の防止のためには引き続いていろいろと検討をいたしまして、少しでもこういうような事故を防止いたしますためになお一そうの努力をいたしたい、かように考えております。
  125. 山内公猷

    山内説明員 常識的には第一種の踏み切りの場合人がついておるのが一番安全であるというふうに考えられておるわけでございますが、これは費用が多くて、もっとこれにかわる確実な防護装置があればそれに越したことはないということで、われわれも研究いたしておるわけでございます。これはこういう席上で申し上げるべきことかどうかわかりませんが、当委員会の志鎌専門員が先般そういう研究をされまして、西独のブンデスパーン、つまりドイツ連邦鉄道における踏切問題というものを翻訳して下さいましたときに、私それを拝見させてもらったわけでございますが、ドイツにおきましてはかえってそういう閃光式遮断機、日本ではチャンチャンと言いますか、あれと、それから自動的に遮断機のおりる、あれのついている場所の事故が非常に少ない。それでドイッの鉄道におきましては、全面的に合そういう方面に切りかえるというような報道を私あの翻訳で拝見させていただいたわけでございます。それで非常に興味を持ちまして、そういうものがはたして日本の現状に適合するかどうか、実は私の方の部下においてドイツと日本の比較というものを今検討してもらっておる状態でございます。  第三種踏切が非常に事故率が高い、第四種まりもかえって高いじゃないかというお話があるわけでありますが、実は今お話のありましたように、事故の絶対数が多いことは事実でございますけれども、それとともに第三種踏切というものが非常に多いために絶対数も多い、そういうように考えておるわけでございまして、第四種を第三種に上げたためにどれだけ事故が減ったかと言いますと、これは国鉄の天王寺監理局で検討いたしたわけでございますが、第四種を第三種に格上げしました前後の一定の年月の比較をいたしますと、大体四割くらい減っておるという今までの実績が出ておるわけでございます。絶対数にいたしまして、昭和二十年から昭和三十年まで特定の踏み切りにつきまして調べましたところ百七十七件あった、それが変更後には四十九件、非常に減ったという数字を出してきておりまして、こういった点につきましても、今までの踏み切りのあり方その他につきまして十分検討——全部検討々々で申しわけない次第でありますが、幸い今踏み切りの全面調査をやっておりますので、それらの資料をもとにしまして、お話のような点も十分検討いたしまして、今後の施策のかてにいたしたいものだと、かように考えております。
  126. 平井義一

    平井委員長 この際お諮りいたします。陸運に関する件について議員兒玉末男君より委員外の発言を求められておりますので、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 平井義一

    平井委員長 御異議なしと認め、発言を許可いたします。見玉末男君。
  128. 兒玉末男

    ○兒玉議員 それでは踏み切りの問題に関しまして副総裁並びに鉄監局長に四、五点お聞きしたいと思っております。  ちょうど今、久保委員質問中で大へん恐縮でございますが、やはり重複っする点もあろうと思うのでありますけれども、まず第一点にお伺いしたいことは、国鉄から出されております資料によりましても、たとえば最近の自動車の増加ということが原因の踏み切り事故が、大半、八割以上を占めているわけでございますし、また増加率にいたしましても、昭和十一年に比較いたしまして約十五倍という全く目ざましい状況にあるわけでございますが、このように交通量の激増ということで必然的に事故というものが非常に増加する傾向にあると私は思う。統計でもはっきりそのことを示しているわけです。こういう交通量の激増あるいはスーピード・アップ等に伴うところの踏み切り事故というものが予想されながら、今日まで十分なる対策が行なわれなかったというのは、私は明らかに国鉄当局に重大な責任があろうと思うのですが、この点について副総裁としてはどのようなお考えをお持ちか、まずお伺いしたいと思います。
  129. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 先ほどお答え申し上げましたことと少しダブりますけれども、先ほども申し上げましたように、部内関係部外関係と両方に分けまして国鉄はいろいろ対策を考えているわけでございますが、部内関係といたしましては、先ほど申し上げましたように、踏切対策委員会で踏切道整備三カ年計画というものを昭和三十二年に立てまして、約二十一億円の予算でもって目下整備をやっている最中でございます。大体どんなことをやっているかと申しますと、第一種踏切道につきましては、接近標示灯とか接近ベルの装置とか、あるいは見通しの改良、そういうようなことをいろいろやっているわけでございます。それから第三種踏切道につきましては、ただいま申し上げましたように自動遮断機というものをこれに採用する。それから交通量の多い第四種踏切は第三種に格上げをする。同時に今度は列車の方で、列車の前照灯の効力を増強する。従来百ワットぐらいであったものを百五十ワットあるいは二百五十ワットに上げるというようなことをやっております。それから踏切警手の手当の支給とかあるいは服制の改良だとかいうような、待遇改善というようなことも行なっている次第でございます。以上が大体部内関係措置をいたしていることでございます。  なお、部外関係といたしましては、踏み切り事故の大体九八%が踏み切り通行者の不注意によって発生しておりますことから、毎年春秋二回交通安全旬間というものを行なっております。特に十月には踏切安全月間というものを実施いたしまして、内外に注意を呼び起こしているわけでございます。そのほか、これも御承知と思いますが、ポスター、ステッカーあるいはパンフレットの作成をいたしましたり、あるいはまた自動車の運転手に機関車試乗をやらせるとか、あるいは座談会をやるとか、あるいは小、中学校生徒に図画、作文の作品募集、講演などを行なって、交通道徳の高揚に努め、そういうようなあの手この手で、内に対してもまた外に対しても踏み切り事故防止対策の徹底に努めているような次第であります。
  130. 兒玉末男

    ○兒玉議員 いろいろな当局側の対策については敬意を表するわけでございますが、先ほどもどなたかお話がありましたけれども、運輸委員会の調査室長の志鎌さんが西ドイツから帰られました報告の中にも指摘されておりますように、やはり日本と同じような条件にあります西ドイツにおきましても、特に平面交差等についてはそういうふうな通行者に対する訓練ということに相当重点を置いているわけでございますけれども、何と申しましても、このような三十三年度の統計でも、二千五百件というような膨大な事故が起きているという現実にかんがみる際に、やはりもう少し施設の改善あるいは立体交差、または先はど言われているように警報機の設置個所を増加するとか、そういうふうな設備の面の改善に多くの費用を投ずることが最も効果的ではないかと私は考えるわけです。そこで、現在全国各地から相当踏切道の設備改善に対する要望が出ていると私は思うのですが、大体大まかな数字でもけっこうでございますから、総額どれくらいの個所あるいはどれくらいの経費を費やしたら、完全とまではいかなくても、今日激増するこの踏み切り事故を防止することができるのか、その大体の数字でもわかったらお知らせをいただきたいと思います。
  131. 山内公猷

    山内説明員 踏み切りの状態は実は簡単になかなか言えないわけでございまして、たとえば本年計画をいたしまして何カ所作らなければならないという一つの結果が出たといたしますと、最近の交通の輻湊によりまして来年度はまたそれが変わってくるという、踏み切りの基準といいますか、具体的な個所の問題は検討しなければならないというふうな交通の問題がございます。そういうことを前提といたしましてわれわれの方で緊急に整備しなければならないというものを最近とってあるわけでありますが、国鉄の踏み切りが全部で四万四千二百八十四ございます。このうち保安設備の緊急に整備を要すると考えられますものが千六百二十二でございます。費用は十四億一千三百六万円、民鉄が二万九千六百十一、総数でございます。そのうち六百五を緊急に直さなければならないので、それに要する費用が五億一千九百五十万円、こういう数字になっております。これは完全な状態になくて緊急にやらなければならないというものを調べたものであります。
  132. 兒玉末男

    ○兒玉議員 緊急を要するものは、やはり予算の関係もあるわけでありますが、将来にわたって改善すべき大体の数字なりあるいは必要個所というものはわかっておるのかどうか。
  133. 山内公猷

    山内説明員 その問題はたびたび御答弁申し上げておりますように、現在国鉄私鉄を通じまして現状調査をやっております。ことしの十月やりました。その結果、基準に照らしまして数字が出てくるわけでございまして、来年の三月になれば総計の数字を御説明できると思います。
  134. 兒玉末男

    ○兒玉議員 そういうことだからなかなか踏み切り事故は絶えない、このように私は感ずるわけであります。先ほども申しましたこの志鎌さんの報告によりますと、西ドイツにおきましては全国五万二千カ所の踏み切りに対する改善その他に約四兆三千億円という予算が必要だということを指摘いたしております。なお吾孫子さんが先ほど久保委員質問に対して、三カ年で二十二億円程度の予算を投じて設備の改善等を行なうということを申しております。この中に私は、何と言いますか、西ドイツの例をとるのはどうかと思いますけれども、たとえば過去六カ年間において一千百カ所の第三種の閃光式の踏切警報機をつけておるわけです。その予算が大体七十七億という膨大なものを費やしておるわけでありますが、こういう特に同じような立場にある敗戦国の西ドイツ等においても、踏み切りに対しては非常な関心と努力を払っておるということをこの数字でもはっきり示しておると思いますので、この点については、何も踏み切りに要する経費を国鉄だけが負担すべき筋合しいはないと思いますけれども、少なくとも西ドイツ程度のそういう積極的な政策というものをやはり進めていく必要があるのではないか、このように私は感ずるわけでありますが、その点に対する副総裁の見解を承りたいと思います。
  135. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 現在国鉄が実施いたしつつある対策は先ほど申し上げた通りでございますけれども、これで決して十分であると思っておるわけでもございませんし、私どもといたしましてもできるだけ、西ドイツのせめて何分の一にでもやれるように努力をいたしたいと思います。
  136. 平井義一

    平井委員長 兒玉君、関連質問ですから簡潔に願います。
  137. 兒玉末男

    ○兒玉議員 あと二間で、時間もありませんからまたやりますが、二十一年から三十三年までの過去の統計によりますと、死者において約六千名、それから負傷者において大体一万一千名程度出ておるわけでありますが、この人的な被害というものをまず金銭的に見積もった場合にどの程度の国鉄の負担になっているのか、それから物的な損害としましては列車の遅延時分あるいは列車の運休ということの具体的な数字が出ておりますが、この両面の損害というものをもし傘銭的に考えたならばどの程度の損害になるのか、もしわかっておったらお答えいただきたいと思います。  それから引き続き第二の問題としまして、これは建設省との関係もあるわけでございますけれども、やはりこの際道路法の改正なり、または西ドイツで立法化しておりますところの交差法でございますか、これによっていわゆる踏み切り設置の基準または費用の分担ということが明確に立法化されておるわけでございますが、こういう法的な措置に対しましてどのような見解をお持ちであるか、との二点についてお伺いして私の質問を終わります。
  138. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 損害額を金額に換算して見積もるとどれくらいになるかというお尋ねでありますが、今すぐにはちょっとお答えいたしかねますので、調べた上で申し上げたいと思います。
  139. 山内公猷

    山内説明員 先ほど来御説明いたしております踏み切りに対する法案といいますのは、私どもの方も鉄道と道路との交差に関する法律案という考え方で立案しておりまして、御質問のような趣旨の内容のものは盛れると思っております。
  140. 久保三郎

    ○久保委員 先ほどの答弁でございますが、第三種の問題であります。これは鉄監局長のお話の中で、結局第三種が多いからして絶対数が多いのだ、こういうふうな御答弁があったと思うのでありますが、絶対数が多いばかりでなくて、これは国鉄だけの資料ですが、この踏み切り種別別の事故件数の中で、第二種の方は一応別といたしまして、第三種の百カ所当たりに対する件数が最高なんです。その次がこれは第四種になります。そういう順序になっているのですね。第三種が一番やはり多いということになるわけです。一番危険だということになる。そこで先ほどのような閃光式に半遮断機をつけるという新しい様式もございますが、それも一つの方法ではあります。しかしもう一つ考えていただきたいのは、外国の人間と違って、日本の人間はまだそこまでの訓練というかなかなか持っていけないということも勘案していただかなければいかぬと思うのです。第三種に全部切りかえれば事故が減るということだけではこの事故は減っていかない、こう思うので、結局今たとえば国鉄でやっている合理化の一環として踏み切りの種別も変えていくというようなことは、これは少し考えものであろうということであります。よって私は第三種にいたしましても、そこに踏切警手をつける、両側につける必要がなければ片側につけるというような万全の策を講じないというとなかなか無理だと思うのです。この点はそういう観点からも一つ検討してほしいということを申し上げておきます。  時間がだいぶおそくなって恐縮ですが、最後に踏切警手の問題でございます。これは鉄監局長並びに国鉄の方にお尋ねするのでありますが、新しくできる法律では、この踏切警手も踏切保安人ということで職務権限を与えていくというような御説明がありまして、当然なことだとは思いますが、ただそこに考えられるのは、どの程度の職務権限を与えていくのか、およそどういうふうに今考えられておるのか、その点一つ伺っておきます。
  141. 山内公猷

    山内説明員 現在の踏切番という言葉、これを踏切警手というふうに国鉄では使っておりますが、これには通行人を制止するというようなことは、実際上はできますけれども法律上の根拠に基づいてやっておるわけではありません。そういったものを有権的に行ない得るようにいたしますとともに、踏切保安人という一つ法律上の地位を与えまして、その地位にふさわしい職務権限というようなものを与えて参りたいと思っております。これは国鉄だけではなくして、国鉄私鉄を通じましてそういった地位を与えて参ろうと思っておるわけでございまして、それらの内容その他につきましては、現在の状態を調べ、かつまたそういった国鉄私鉄意見も十分聞きまして、ふさわしい職務内容を盛って参りたいと思っております。
  142. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、大体今の踏切警手の身分では、交通整理というかそういう権限は持っていないわけですね。それを与えていくということに相なりましょうか。
  143. 山内公猷

    山内説明員 そういうことも一つでございますし、そのほかにもまだいろいろ検討いたしておりまして、具体的にまだこういうふうな案文ができましたという状態ではございませんので、いろいろ各方面の意見を聞きまして、今その内容を整理いたしておる次第でございます。
  144. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、これはなかなかむずかしい問題だと思うのでありますが、ただ、今踏切警手諸君が非常に困っているのは、踏み切りを通ってはいかぬという制止ができない。そういう権限もないということでは、困るのであります。せめて踏み切りの通行を制止するという程度の権限は、これを与えてもらわねば困るだろう、こういうふうに思うわけです。単に踏切警手から踏切保安人になっても、そういう何らかの強権というか、権力的なものを採用しなければ、これは何にもならぬということでありますから、それを考えていただきたい。  それともう一つは、これが相反して、権限を持つというと責任という問題が出てきます。これは大体踏切警手は、列車頻度、通行の頻度の多いところは、その前後の監視を全部やらねばならぬ。権限を与えると同時に、交通整理の全体の権限を持つと、その全体について責任を持つということでありますので——結局今でも大へんなんであります。責任が加重されないような、しかも今申し上げたような権限が付与される立場をぜひ考えてほしい、こういうふうに思います。  それから、続いて申し上げますが、踏切警手の責任でありますけれども、たとえば、この間の亀有の事故一つ取り上げましても、検察庁で現在起訴されておるそうでありますが、これは今の鉄道内部の運転取扱心得ですか、そういうものによる八百メートルの防護装置ができなかったという点の責任を問われているのではなかろうかと思うのであります。こういう点を考えると、この列車頻度の多いところで、しかもとっさの場合に、そういう規程のあること自体が私はおかしいのではなかろうかと思う。不可能なんですね。不可能なものをそのままにしておいて、事故ができた場合に、それに責任をしょわせるということは、これは大へんなことだと思うのであります。そこで、今度のこの機会に、こういう問題についても、やはり合理的に解決する方法を見出すべきだと思うのだが、これに対する御研究はどうなっているか、これを国鉄当局鉄監局長にお伺いします。
  145. 山内公猷

    山内説明員 御説ごもっともでございまして、まだ、正直に申し上げますと、そういう細部の点までは検討いたしておりませんが、そういった点も十分考慮いたしまして、規定をしていきたいと思います。ただいまの御質問は、大体法律ができましたあとの政令、省令の段階において規定すべき問題であると思っております。ただ、亀有の場合のような場合を想定をいたしますと、どうも、列車のスピードが非常に速くなりましたので、八百メートルということも考えられるわけでございますが、密度が非常にこまかくなって参りましたので、検討する余地があるということで、国鉄ではもうすでに、ああいった場合に、踏み切りが電話をかければ、全部の電話がそれを聞くというふうに改めたわけでございまして、あの事故にかんがみまして、いろいろ国鉄当局では、将来のそういった措置というものについて改善を加えつつあることを申し添えておきます。
  146. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいま鉄監局長から大体お話がございましたが、国鉄としましても、作業の近代化等に伴いまして、踏み切りのみにとどまらず、いろいろ検討しなければならぬ問題がありますので、運転取扱心得というような規程の面についても、新しい作業形態にだんだん合わすように検討いたしております。また設備の面でも改善に努めておる次第であります。
  147. 久保三郎

    ○久保委員 最後になりますが、さらに国鉄並びに鉄監局長にお伺いしておきたいのは、現在の踏切警手の勤務形態ですね、これは大てい事故のあるようなところは、国鉄は大体変則三交代というようなものが多いのですね。これは、休憩というか、そういうものもあまりないということの無理は、この間の亀有の事故にも見られる通りであります。そういうことでありますので、先ほど待遇改善もまあいたしておるという副総裁のお話でありましたが、待遇改善といっても微々たるものでありまして、人事管理の面からいっても、大体踏切警手などには、何か事故でも起こしたような人を入れておこうかというような観念がまだ濃厚にあるというようなことでは、法律を変えて踏切保安人にこれを格上げしましても実体が伴わないということであります。現在それが私の住宅のあるところで、毎日こちらに来るときには通る踏み切りでありますが、つい最近これもやはり事故がありました。これは非常にたくさんな人間が通るところですが、おそらくこれは交代時間だと思うのです。八時半から九時ごろの間にあった事故であります。これなどは両側にぱい人間なり車が詰まってしまう。そしてこれは上下列車のほかに貨物入れかえ線、それから今度は機関車の出入り、機関区の入れかえ等で、八線またぎか十線またぎになっておる。踏切警手は朝の通勤時において、一ぱい詰まれば、前後注意しなければならぬけれども、その交通を円滑にしようということで、さらに勤務形態もこういうことでありますから、たまたま踏み切りの門扉をあけた。あけたとたんに気動車が陰から出てきたということで衝突事故がございました。これも今日行政処分に付されておるような始末であります。こういうことも全体的に考える時期ではないか、こう思うのですが、これに対する考えはどうですか。
  148. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 踏切警手の人選につきましては、最近では特に重要度の高いと思われるようなところでは、比較的若い人でしっかりした人を選ぶようにやっておるつもりでございますけれども、踏切警手の作業能率、また安全の確保、いろいろな点を考えまして、いろいろ御指摘のありましたような部分につきましては十分考えていくようにいたしたいと思っております。
  149. 山内公猷

    山内説明員 私どもの方で踏切保安人というのを特に規定をいたしまして、法律の中でそういう職務権限をはっきりさせようということは、ただいまの御質問の趣旨のようなわけでございまして、今までのような踏切番でなくて、もっと権限を持った踏切保安人という地位を確定いたしまして、事故なくすということにいたしたいと考ておる趣旨でございます。
  150. 久保三郎

    ○久保委員 待遇面と責任面でありますが、保安人に格上げするというなら、これは給与その他の面でもやはり相当格上げしなければならぬとわれわれは思っているのですが、副総裁どうでしょう。
  151. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 給与というものは労働の質と見合うものでなければならぬということは申されるまでもないことでありますが、それらの点については十分検討いたしたいと思います。
  152. 久保三郎

    ○久保委員 それではほんとうに最後にしますが、いずれにしましても、人間の問題は非常にむずかしい問題だと思うのであります。たとえば服装一つとりましても、踏切警手の被服の耐用年限は何年になっておるかわかりませんが、たとえばこだまの専務車掌はりっぱな服を着ているが、踏切警手はズボンのひざが出ていたり、ひじが切れたりしているのを着ているということでは、なかなかいい待遇とは私は考えられない。だから、そういう点もあわせて法律改正と同時に考慮してもらいたい、こういうふうに思うわけです。  時間もございませんからくどくは申し上げませんが、ただもう一つ言いたいのは、さっきの私の近所で事故のあったところなどは立体交差の規定をきっちりして推進すればそういう問題はないし、しかもあの鉄道明治四十何年かにできたのですが、その当時から見れば、当時は一線であった。ところが現在は十線もまたぎになっているということになると、道路は鉄道には関係しないということで、この立体交差とか踏み切り改善のために消極的であったのでは、鉄道のほんとうの姿ではないだろうと私は思うのです。だからそういうことからいきまして、この立体交差なり何なりはここを通行する者の立場、それからそこにおける踏み切り警手の立場、それから列車の運転手の立場、そういう三者から今日抜本的な解決を迫られていると思うのであります。そういう意味で、新法も通常国会に用意するとすれば、あとだあとだというさしあたりの便法ではなくて、抜本的な対策をぜひ一つ立ててほしい、こういうふうに要望して質問を終わります。
  153. 平井義一

    平井委員長 次会には請願の審査を行ないますから、念のためお知らせいたします。  次会は来たる二十五日午前十時より理事会、午前十時二十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十一分散会