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1959-12-16 第33回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年十二月十六日(水曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 平井 義一君    理事 天野 公義君 理事 生田 宏一君    理事 川野 芳滿君 理事 關谷 勝利君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 土井 直作君       宇田 國榮君    高橋 英吉君       高橋清一郎君    長谷川 峻君       福家 俊一君    三池  信君       山田 彌一君    杉山元治郎君       楯 兼次郎君    館  俊三君       内海  清君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 細田 吉藏君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         交通課長)   内海  倫君         運輸事務官         (鉄道監督局長)山内 公猷君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     大石 重成君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 十二月十六日  委員中崎敏辞任につき、その補欠として楯兼  次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員楯次郎辞任につき、その補欠として中  崎敏君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十二月十一日  大隅地方測候所設置請願二階堂進君紹  介)(第一四八四号)  牛深、西長島間フェリーボートの設定に関する  請願池田清志紹介)(第一五三三号)  南薩鉄道国鉄移管に関する請願池田清志君  紹介)(第一五三四号)  野沢、西方間鉄道敷設に関する請願八田貞義  君紹介)(第一五三五号)  野岩羽線及び只見線敷設に関する請願八田貞  義君紹介)(第一五三六号)  徳之島に気象通報所設置に関する請願保岡武  久君紹介)(第一五三七号) 同月十五日  会津線輸送確保に関する請願菅家喜六君紹  介)(第一七〇一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  日本国有鉄道経営東海道新幹線問題等)に  関する件      ————◇—————
  2. 平井義一

    平井委員長  これより会議を開きます。速記をとめて。     [速記中止
  3. 平井義一

    平井委員長 速記を始めて。国鉄吾孫子総裁より発言を求められておりますので、これを許します。吾孫子豊君。
  4. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私、実は昨日まで常務理事をさせていただいておりました吾孫子豊でございますが、昨日付をもちまして、小倉副総裁の後任として御任命をいただいた次第でございます。現在国鉄に課せられておりますいろいろ重大な問題の山積いたしておりますことを考えますと、私ごとき経験も足らず、かつ力もない者がこのような大役をお引き受けいたすということにつきましては、まことに内心じくじたるものがあるのでございますが、せっかく御任命をいただいたことでございますので、きる限りこれらの問題に取り組みまして微力を尽くしたい、かように考えておりますので、足らない点は多々あることと存じますが、どうぞよろしく御指導、御鞭韃下さいますよう、就任いたしました機会にお願いを申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  5. 平井義一

    平井委員長 陸運に関する件について調査を行ないます。  質疑通告がありますので、これを許します。高橋清一郎君。
  6. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 昭和三十二年十一月十九日の毎日社説によりまする「泥をはねる自動車」ということに関しましての一文でございます。「雨は天から降って来るので、傘は頭上にかざすものときまっている筈だが、我々はしばしばこれを横に構えて、足もとへとんで来る泥を防ぐタテとしなければならない。上から雨、横から泥、一本の傘ではどんなに器用にいそがしく動かしても、両方に対して無事ではいられない。仕立ておるしの服に、ぬぐうことの出来ない泥を浴びせられたシャクにさわる経験は、泥を浴びせる側の人種でない限り、どなたもお持ちであろう。庶民にとって着ているものは、高価な財産だ。これを汚されるのも痛事であるが、ゴウ然と走り去っていく車を見送っていると、奇妙な屈辱感を覚えるものだ。困ったことに、こんな場合は、ケンカのしようもない。相手はすばやく走り去って、もう目の前にはいないからだ。日本道路が悪い、舗装された路面でも、雨の日は水たまりだらけになる。タクシーはいいかせぎ時とばかり、降ればいよいよスピード・アップして、わき目もふらずに泥をはねて飛び交う。はねられてやり場のない苦情を、警察へ持ち込む人も多い様だが、実際上の取締は殆んど処置されていない。」また、同じく昭和三十三年三月十二日、衆議院議員藤本捨助氏紹介によりまする「自動車泥除装置を備えるよう現行法改正方に関する請願」というものが出ているようであります。請願の要旨及び目的は、「近時自動車の急激なる増加に伴い、その運行がきわめて混雑輻湊しているにかかわらず道路の損傷が甚しいために自動車運行によって泥土汚水小石等飛散させて沿道の店舗住宅を汚損し、歩行者にも多大の迷惑と危険を与えることが甚しいので、われわれは人権擁護の立場から到底この惨状を黙視することができない。よって政府は速かにこれ等の一般大衆に対して迷惑を及ぼすことのないよう現行法改正方を強く要望する。」こういういわゆる請願書が出ておるのであります。御存じのように、現在の自動車交通の輻湊によりまして、いろいろな事故の頻発は目に余るものがあるのでございます。ただいまも申しましたように、ぬかるみ水たまりなどによります汚水飛散が、歩行者などの衣類、その他精神的に与えまする面でも、その被害、影響というものは看過できないと思われるのであります。この法律的な根拠法規と申しまするかを見ますと、道路交通取締法施行令第十七条の操縦者遵守事項でございますが、「ぬかるみ又は水たまり場所を通行する場合においては、泥土汚水等飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないように、泥よけ器を備えるか又は徐行する等して、車馬を操縦すること。」また、第七十二条におきましては、罰則で、右違反者は「二千円以下の罰金又は科料」となっておるということであります。これはひっきょうするに、操縦者の自覚と良識を待つ形となっておるのでありますが、これが実は確実に実行されない。また取り締まりの面におきましても、厳正に運用されていないというところに疑義があると思われるので、常に歩行被害者の泣き寝入りに終わるという実情に見受けられるのではなかろうかという点もあるわけであります。また一方、この原因は、操縦者ばかりではございません。間接の原因といたしましては、ただいま申しましたのでありまするが、現在都内だけを見ましても、道路工事が一万二千カ所くらい行なわれている実情であります。これらの道路工事交通事故を誘発しますとともに、ぬかるみ水たまりなどを作るのであります。従いまして、これらの原因を除去しません限りは、現在のままでこのような事故を皆無にする、あるいは防止するというためには、これはどうしても自動車等に泥よけ器を備え付けるということを義務づけなければならないとも考えるのです。ただいま藤本議員からの請願書もございましたように、国会等におきましても調査してみたのでありまするが、しばしば請願がなされておる。当の常任委員会におきましても、採択せられまして、当局善処方を強く要求されてきておるのであります。そのつど当局の態度というものは明確を欠いておるということを聞かされておる。以上の事実から御質問申し上げたいと思うのですが、その一つは、戦前は自動車取締令によりまして泥よけ器を強制的に備えつけておったということを記憶するのでありますが、この点についてお尋ね申し上げます。
  7. 内海倫

    内海説明員 泥よけの問題につきましては、在来から非常にただいまお話のような非難が起こっておりまして、私どもへの苦情等も数少なくないわけであります。現状を申しますと、大都市のごく一部を除きましては、ほとんど道路実態というものは、雨が降り、道がぬかるみますと、泥をはね飛ばすという実態にあることは御承知通りであります。建設省の統計によりましても、道路を舗装してあるというところは、総延長の一%、最近改善されましても、その前後の状態のようでございます。従って、泥をはねる機会というものは、非常に多いわけであります。これに対しまして、警察取り締まりはどういうふうにやっておるかという点につきまして申し述べますと、先ほど御指摘がございましたように、道路交通取締法施行令でもって、操縦者遵守事項として、一応泥をはね飛ばさないという義務を課しておるわけでありますが、実態はその義務が容易に守られない、また客観的にも守りにくい条件があるように考えられるわけであります。これに対する警察取り締まりといたしましては、警察官をあらゆるところに立てて、現認してこれを措置するということができればきわめていいのでありますが、限りある人数の状態では、これもきわめて困難な状況にございます。     〔委員長退席生田委員長代理着席〕 従いまして、現在におきましては、一斉取り締まり等でやる場合を除きましては、ほとんど被害本人の親告に待たざるを得ないわけでありますが、この場合には、またどの自動車にどこでどういうふうにしてはね飛ばされたかという、いわゆる刑事手続上の証拠資料に非常に欠くところが多くなりまするので、せっかく被害を見ながら、これを処理するという上に非常に困難を感じておる次第であります。そういうふうなことと相待ちまして、現在におきましても、泥はね運転実態というものは、ひとえにその道路を通行する歩行者、場合によれば自動車等に対して被害が与えられっぱなしというような実態を、私も否定することはできないのであります。もとより、こういう実情でございますので、私どもも屡次取り締まり方針は指示いたしておりますけれども、先ほど申し上げましたような次第で、その徹底を確保するに非常に困難な実情にあります。しかしながら、この対策として泥よけ装置を具備するという問題につきましては、多くの問題点がなおあるわけでございます。と申しますのは、たとえばこれを自動車の他の構造装置と同様に泥よけ装置装着する義務を付するということになりますと、今度は逆に、天気の日には必要もないし、また徐行するなり泥を飛ばす場所を回避して通れば、当然そういう事態が起きないので、必要不可欠の装備であるという観点からは、強く主張できない点があろうと思うのであります。従いまして、結局そういう場所運行する場合における問題としてこれをとらえる以外になかろうかと考えるのであります。その観点から、現行法におきましても、自動車運転する者に対して、手段として泥よけ装置をつける、あるいは徐行する、あるいはその他の措置をとりまして、泥をはねないような形で運転するという義務が課してあるわけでありますが、その義務の遂行につきましては、以上のような実態でありますので、私どもとしても、現状を傍観して、そのままその被害実態を放置するということはできないものと考えますので、まず現行法のもとにおきましては、できる限りそういう場合におきましては泥よけ装置などで泥をはね飛ばすことが比較的避けられるものを用意して、なお徐行するなりあるいははね飛ばさないような措置をとるならば、現在よりも相当泥はねというものは改善されてくるのではないか。こういうことになって参りますと、運転者あるいは自動車を所有する人あるいはこれを使用する人が、ある意味では法律上の義務を遂行するための道義的な責任としてそういうふうなものを装備していくというふうにお考えを願うことが必要ではなかろうか、現行法のもとにおきましては私どもはそういうふうに考えておる次第であります。
  8. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 先ほどの道路交通取締法施行令第十七条、この違反を取り締まったことがございますかどうか、お答え願いたいと思います。取り締まりをやったことがあるということでありますれば、その件数あるいはその場合の措置をどの程度やったかということを御質問申し上げます。
  9. 内海倫

    内海説明員 取り締まりは、先ほど申し上げましたように、適時実行いたしておりますが、ただいま手元に泥はね運転に関するだけの件数を用意いたしておりませんので、はなはだ申しわけない次第でありますが、年間どれだけの泥はね運転を取り締まったかということは、後刻報告をいたしたいと思いますが、私どもが各県からの報告を聞いておりまする限り、たとえば兵庫県あるいは大阪あるいは三重県、愛知県、その他中、四国あるいは九州あるいは東北というような県におきましては、各県ともに、しばしば泥はね運転を中心とする取り締まり計画を立てまして、取り締まりを実施いたしております。それから実際に取り締まりました結果につきましては、その証拠の明白にあるものにつきましては、すべて立件送致をいたしておりまするので、裁判によって処断をされておるわけでありますが、これは、処断の結果につきましては、御承知通り道路交通に関する法令の違反につきましては、またさらに事故につきましてさえも裁判による処断というものは罰則の適用が非常に慎重に行なわれておりますために、その結果につきましては必ずしも現行法に規定されておる最高三千円というふうなものが課されたのはごく珍しいものと考えております。なお同時に、民事上の損害賠償などを要求して、それを得ておるという事例も相当聞いております。実情はさようなことでございます。
  10. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 この十七条の条項にございます中での徐行と申しますことに関連してでありますが、この徐行と申しますのは通常どの程度速力をいうのであろうかということであります。もちろんこれは東京都におきますような都市あるいは地方とは事情が異なると思われるのであります。また雨が降り雪が降っているという場合でも違うと思うのでありますけれども、そういう場合におきましては操縦者徐行するということは、運転上の常識であると思われるのであります。いわゆる道路上にございますところの徐行というのはどの程度速力であるか承りたいと思います。
  11. 内海倫

    内海説明員 徐行につきましては、この法律またはこれに基づきます政令におきましては明確に何キロというふうな表現はいたしておりませんが、判例によって示されたものによりますと、おおむね定められた速度の半分以下というふうな判例が出ておりますが、私どものこの法律運営上解釈といたしましては、単に画一的に半分以下というふうな考え方ではなく、徐行を命ぜられておる場所において、その徐行目的が達せられる範囲まで下げることである。従って泥よけの場合について申しますと、泥はねが起こらないところまでスピードをダウンするという考え方でありますので、場合によりましては半分程度で済む場合もありましょうが、また場合によりましては、八キロあるいはそれ以下にさえもなる場合があろう、これが私どものこの法律運営上徐行解釈といたしております。
  12. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 今日まで何らかの方法運転手あるいは使用主と申しますか、事業者等に対しまして、この種の事故防止に関する啓蒙、周知徹底ということについて御努力をなさいましたことがございますかどうか。もしございましたならば、その方法、回数などをお聞かせ願いたい。
  13. 内海倫

    内海説明員 先ほど申しましたように、とりわけここ数年来、私どもとしましては泥はねにつきましては重大な関心を持っておりますので、本庁といたしましては各県に対しまして屡次通牒を発しておりますが、その通牒の内容としましては、各県ごとにそれぞれ自動車を保有する諸団体を対象として、あるいは安全協会あるいは警察署単位あるいはその他の地域団体等を通じて、これに対する防止措置を慫慂して参りました。その線に沿いまして県ごとにそれぞれ計画を立てまして、泥はね防止運動はかなり大きく展開しておる。現に、たとえば大阪府におきましては、かなり大規模な市民運動として泥はねを防止するというふうなことを取り上げて目下実行しておる次第でありますし、あるいは兵庫県等におきましては相当きびしい取り締まり態勢と並行して、そういうふうな運動を展開いたしておりますが、率直に申し上げまして、事柄が天気の日と雨の日で異なるというふうなことの性質上、そういう呼びかけに対して真剣にこれを感ずる向きと、まあいいではないかというふうにしごく安易に考える向きとがありまして、斉一的に大きな成果を上げている段階ではない、かように考えております。なお私どもといたしましては、たとえば定期運行するようなところで、しかも状態が、雨が降った場合あるいは雪が降った場合に絶えず泥はねの可能性の非常に多いところ、しかも大型のバスとかトラックで泥はねの可能性の非常に大きいところ、しかも運行時間は確保しなければならぬというふうなところにおいては、なるだけその事業者なり運転者自発的意思に基づいて、少しでも泥が飛ばないように装置を付していくというふうなことをやるように努力を要請してはどうかというふうなことも申している次第であります。
  14. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 ただいまも申した通りに、都内の例を申しますならば、ぬかるみ、これは全国的な事象ではございますけれども水たまり、至るところにあるのであります。これに拍車をかける道路工事、これは随所にあるわけでございます。これらの道路工事につきましてはやむを得ないといたしましても、とにかく十分取り締まりもできない。操縦者良識に待つ以外に防止方法がないのだということになりますならば、結局、申し上げております、あるいは藤本議員などの強い要請があります泥よけを備えつけさせるというほかに方法がないのではなかろうかというような気もするのであります。これに対して義務づける意思はございませんかということでございます。
  15. 内海倫

    内海説明員 装置装着義務につきましては、先ほど申しましたように絶対不可欠の要件として、これを装着しておらなければ罰則をもって処断するというふうな意味においてこれを義務づけるということは、法律の性格上非常に困難ではなかろうかと考えるのでありますが、少なくとも罰則との関係を離れまして、泥を飛ばさないという前提に立って、その手段方法として泥よけ装置等装着するというふうなことを雨天の場合、特にぬかるみの多いところを通過する場合においてはそういうものを装着する、そして、絶対的とは私はなかなか言えないと思いますが、総体的にでも泥の飛ぶ率が少なくなっていくようにするというふうな努力義務を課していくという範囲ならば法律上も必ずしも不可能ではないと思いますので、そういう程度においてある程度つける義務を慫慂していくというふうなことはできるならばいたしていきたい、こういうふうに考えております。
  16. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 聞くところによりますと、近く道路交通取締法を廃止いたしまして、道路交通法を制定するということでございます。一歩前進いたしまして、この際でございますのでもう一度お尋ね申しますが、法に明文化いたしまして、これが対策を強化するというお気持はございますかどうか、もう一度お尋ねいたします。
  17. 内海倫

    内海説明員 私ども事務当局案といたしましては、今よりも若干泥よけ装置に関する規定を強化する案をもって臨んでおりますが、なお今後関係各省その他所要の機関の折衝を経た上でなければ案として確定いたしませんので、なお十分論議を尽くしたいと考えておりますが、少なくとも私どもが立案いたしました案におきましては、現行法よりは若干前進させる措置をとりまして、現実に生じておる泥はね運転に対する対策がよりよくなるような措置だけは講ずべく案として考えております。
  18. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 あとは局長さんにお尋ね申し上げたいのですが、今、内海交通課長さんと私との質疑応答の場面をわきでお聞きのわけでありますが、問題は考え方によりますならば行政委員会の管轄であるというふうにも考えます。しかし自動車ということでございますので、今の問題に関連いたしまして局長さんの御見解をお聞かせいただきたい。またこの問題に対しましてどの程度積極策をもって協力申し上げようというお気持でございますかどうかということもお答え願いたい。
  19. 國友弘康

    國友説明員 自動車装着いたします装置でありますので、この点に関しましては従来からいろいろと論議されておりました次第で、運輸省といたしましても、自動車局といたしましても、運輸技術研究所にこの泥よけ装置に関します調査を依頼いたしまして実験をいたしたことがあるのでございますが、この泥よけ装置に関しましては、御承知のように円盤型のものとつり下げ型のものと二種類ございます。それらにつきまして実験をいたしました結果泥の飛散いたします状況はほぼ半減するという実験データが出ているわけでありますが、それによりまして地方陸運局へもそういうデータを流しまして指導をしておるわけでございます。ただこの泥よけ装置に関しまして、実際にこれを装着いたしましていく上におきましては、先ほど内海交通課長からもお話がありましたように、天気の場合と雨天の場合ではまた違うし、あるいは道路状況によりましてもだいぶ違いますし、高速化の場合等におきましてはこれが高速化についての性能面でどうであるか、こういうような問題もございまして、私どもといたしましては泥土飛散防止するためには十分にそれを考えなければいかぬと思っておりますが、これに関します泥土飛散防止の十分な性能を有しておらなければならないということが一つと、そして耐久性に富んでかつ破損、脱落によって操縦装置走行装置等に障害を与えたりして自動車の安全な運行を阻害するおそれがあってはいけませんので、そういうことのないような要件を満足しなければなりませんので、それらの点を考量いたしますと、現在のところそれらの要件を完璧に満たしておるというものは実はまだ見当たらないのでございます。そういう関係でございまして、警察庁の方からもお答えのありましたように、これを必要不可欠のものとして装備することにつきましてはまだそこまではいけないのではないか、ただこれを装着いたしますについては陸運局の方へもデータを流し、そしてその装着の場合には泥よけ装置安全確認を実施して危険防止等をはかってやるようにという通達を落しておるわけでありまして、運輸省見解といたしましても今警察庁がおっしゃったような見解でございますが、今後泥よけの装置の問題につきましては、道路交通取締法改正も現在考えられている時期でありますので、警察庁の方とも十分打ち合わせまして、この泥よけ装置についての問題点を解決していきたい、こう思っている次第であります。
  20. 高橋清一郎

    高橋(清)委員 われわれの日常生活の中にこうした事象が現在しているということはお互い経験済みのはずであります。ただいま申しました要望事項も、私だけではございません。全国至るところに隠れた目に見えない大きな声があるのだということをよくお考え下さいまして、これに対する善後措置、より以上の積極さをどこで見出すかということにつきまして、警察庁におきましても運輸省その他におきましても特段の御配慮を賜わりたいということを最後にお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。      ————◇—————
  21. 生田宏一

    生田委員長代理 国鉄経営に関する件、特に東海道新幹線の問題について調査を行ないます。  質疑通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  22. 久保三郎

    久保委員 質問に入る前にちょっとお聞きするのですが、答弁のために大臣出席を要求しておったのですけれども、本日お見えにならぬ。大体どういう用件で来られないのか。毎日やっている委員会でないのでありますから、しかも予定している委員会でありますので、出席できないという理由はないのではないかと思いますが、その点どうですか。
  23. 細田吉藏

    ○細田政府委員 大へん申しわけないと存じておりますが、羽田で本日海上保安庁の航空関係の基地の開所式をやることになっておりまして、それが早く終わりましたらこちらに参る、それまでは政府委員一つやっていただきたいということで、大へん申しわけございません。
  24. 久保三郎

    久保委員 とにかく今お話を聞くと、内部的な開所式のようなお話であります。いろいろ御都合があると思うので、われわれも大臣でなくてはいけないような問題についてはもちろん大臣に出てもらうけれども、それ以外の問題についてはことさらに忙しい立場も考慮して実は遠慮しているのでありますから、要求のあった場合はぜひ出ていただきたい、かように要望しておきます。私の質問が終わるまでにおいでにならぬならば、速記録を読んでいただきまして次会に答弁していただきたい、こう思います。  それでは国鉄では副総裁がおいでになっておりますから、副総裁にお尋ねいたします。  実はこの前東海道新幹線の停車場の数についての質問が当委員会であったのでありますが、当時私は欠席をしておりましたので関連してお尋ねできなかったので、あらためて関連してまず駅の数についてお尋ねをしたいと思うのです。これも答弁に立ったのが十河総裁でありますから、当然本人がおいでになるのがしかるべきだと思うのでありますが、本日は新副総裁がおいでになっただけで総裁はおいでにならぬようであります。これは御都合はどういうふうになっているのでしょう。
  25. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 総裁は昨日あたりから少しからだの調子がよくないのと、こちらからの御要求も総裁か副総裁かどちらかということでございましたので、私がまかり出たような次第でございます。
  26. 久保三郎

    久保委員 それではかわって副総裁一つ答弁していただきたいと思います。  この前、十駅にするということで質問があったわけですが、そのとき特に岐阜県下に一駅を設けるというようなことが論点の中心になったわけであります。     〔生田委員長代理退席、委員長着席〕 これに対して総裁は、速記録を読んでみますと、岐阜県下に一駅を置くというのは主として運転上の問題である、こういうようなことを答弁されているようであります。御承知通り運転計画、いわゆるダイヤの作成というものは、そこに設定さるべきところの輸送力が前提になって、次の段階ではそこに設定さるべき列車種類と列車回数ということが前提になって、運転計画はなされると思います。具体的なことでありますが、この前の答弁からいくと、普通の急行列車を待避させるためにはぜひ必要だということであります。私もしろうとでよくわかりませんが、ダイヤを作る場合には、御案内の通り、まずもって速度の速い列車から設定していき、次にはその次。だから最初にやるのは、種類別に旅客列車からいけば、特急列車、次には急行、次には準急、普通列車、こういう順序だと思う。結局特急のダイヤを設定して、これに合わせて次の段階を入れていくというのが定石なんです。しかもこれは単線区間じゃなくて、御案内の通り複線で、自動閉塞式の区間であります。ということになりますれば、総裁の答弁されるような信号所的なことは必要がないと思う。もししいてこれが必要だというなら、これは列車の回数あるいは列車の使命によるところの時間、こういうものを勘案すれば、なるほどそういう待避駅はたくさん必要だ、だから岐阜県下に一駅を置くというだけでは事は済まない。もっとたくさんの駅が必要だ。こういうことを考えると、どうもこれは技術的な問題からくる一駅増設ではないというふうに思う。これがまず第一点。  それから二つ目ですが、名古屋と岐阜の間というか、この新しく予想されるような駅の距離は大体二十キロ前後だとすれば、これはこの高速列車からいえば、時間にして大体二分ないし三分、こういうところへ駅を作るということは、この高速列車を走らせる線の使命からいってもじゃまになる。だから、東京—大阪間三時間のスピードで走らせるという趣旨に違反している。これは全く政治的な理由によっている。だからこの際そうならそうとはっきり答弁してほしい。何か技術的な、運転整理のためにどうしても必要だというようなことを強調しているようだが、これは少し詭弁に過ぎると思います。これに対して答弁を願いたい。
  27. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私も運転技術のことについてそれほどよく知っておるわけでもございませんのですが、この点は運輸省計画の御認可の申請をいたします際に、九駅のほかに岐阜県下に一駅設けたいということで運輸大臣にそのことを申し上げたわけなんでございますが、ただいまお話のございました名古屋と米原の間に一駅要るということの技術的な必要は、やはりいろんな角度から検討いたしましてその必要があるというふうに考えられた結果、国鉄としてはそのように運輸省にお願い申し上げたわけでございまして、特に東海道新幹線の名古屋駅におきましては、特急列車のセクション・トレーンにある程度の停車時間を持たせますためには、二線の交互着発を行なわなければならないことになるのでございますけれども、そうしますと名古屋の駅の着発線が四線となりますので、セクション・トレーンが着発いたします際には急行列車の待避ができなくなるのでございます。従って名古屋の付近において、急行列車の待避設備として名古屋—米原間に待避の駅を作る必要がある。新幹線が開通いたしました際に、特急列車としては片道三十五本くらいを予定いたしておるわけでございますが、お客様の非常に多いときには最小運転時間で五分間くらいで特急を二本続行で出すというようなことが起こってくるわけでございます。これは以前、現在の東海道線で運転しておりました臨時つばめというのがその例でございます。そういたしますと、名古屋の駅で五分間停車ということになりますと列車がとれないという問題が起こって参りますので、そういうようなことからどうしても待避駅が必要であるという技術的な理由がございまして、それらの点も考えまして運輸省にお願いをいたしたというわけでございます。
  28. 久保三郎

    久保委員 あらゆる角度から技術的に検討した結果が、今言うように羽島駅というか、そういうものを想定して考えておるということですが、これは技術的にどの程度検討したか、あとから資料をもって一つ提出してほしいと思います。私は率直に申し上げますが、岐阜県下に一駅もない、しかも岐阜にはどうもこの線路の使命からいっても寄れないということで、どうしても必要なら必要だという理由をもって、正攻法でこれは一駅を増設するというのなを、これまたやむを得ないと思うのです。ところがその理由はひた隠しに隠しておいて、結局問題を技術的にすりかえるというのは、実際はこれはまずいと思うのです。私はどうしても今までの吾孫子さんの御説明では技術的に不可能だとは考えられません。もしもどうしても技術的に不可能なら、信号所的な停車場の設置はあとから考えていいわけだ。まず第一に、停車場の設定は両端がまだきまらぬでしょう。両端のターミナルがきまらぬうちに中身を一駅ふやすということは技術的にもインチキです。しかも先ほど話のあった三十五本やあるいは多客時には五分ヘッドで続行列車を出す、こういうことでありますが、三十五本の設定はどこからきたか、そういうこまかい資料があるならば、ぜひ当委員会へ出していただきたい。私はどうしてもこういうことでこの幹線に一駅作ることについては、技術的な問題だとするならばこれは反対だ、こういうふうに思います。政治的にやるのだというならば、これはまっこうから政治的にやっていらっしゃい。こういうところにどうも国鉄は何か見えない政治力によって左右されるものがあるのではないか。新幹線に向けている国民の目というものは大へんなものなんです。しかも魅力は東京—大阪間三時間、ところがこういう中間駅を作るというと、そこに運転の乱れは当然出てくるわけです。停車場が少ないほど運転の乱れは出ない、これはおわかりの通りです。停車場がたくさんあれば運転の乱れは必ず出てくる。こういうことからいってもこれは問題が出てくる。技術的なことはよくわかりません。御検討いただいているというならば、その中身について一つ御高説を拝聴したい、こういうふうに思います。
  29. 大石重成

    ○大石説明員 ただいまの二点について御説明申し上げます。  中間駅につきまして、あとから信号所的なものはもっと作るなら作ったらどうだというようなことにつきまして、私ども考えましたことは、お話にもございましたように、駅をあまり作りますと新幹線の使命にももとりますし、また安全運転ということにつきましてもいろいろ問題が出てくるということで、最初から作るべき信号所的性格のものもすべて数をきめておきまして、それ以上はどういうようなことがあっても作らないというようなことで、いろいろと技術的に検討いたしまして、今副総裁からお話のありましたように、名古屋と米原の間で一カ所どうしても列車の行き違いをしなければならぬ、なお、この点につきましてもう少し詳しく申し上げますと、名古屋におきまして、もっとホームを、ただいまホームを二本、線路数にいたしまして四本というものを名古屋駅に考えておるのでありますが、これをもっと幅広い名古屋駅を作りまして、あそこで全部の列車の行き違いをしてしまおうというようなことも一つの案としては考えたのでございますが、御承知のように、名古屋付近におきましてあまり膨大な用地をとるということはむずかしいということからいたしまして、ぎりぎりに話をいたしまして、ホーム二本というのが最後の決定になったのでありますが、そこにホームを二本ということにいたしまして、線路が上り二本、下り二本ということになりますと、今お話のありましたように続行列車が出て参りますと、どうしても線路が二本では間に合わない、もう一つ先に逃がしておきまして列車の行き違いをやらなければならぬということで、名古屋と米原の間に一駅そういうような性格の駅を作らなければならぬ、しかしながらどこに作るかというようなことが非常に問題でありまして、この点につきましては、われわれといたしましては最も線路容量の多くなります地点につきまして、ただいまその地点を研究しておるわけであります。従いまして、運輸省に、国鉄といたしまして認可をいたしますのに岐阜県下に一カ所設けたいということをお願い申し上げたわけでありますが、位置がきまりませんので具体的のことをお話しいたしませんでした。なお、このほかには作る意思はないということを明示する意味におきまして、岐阜県下に一駅作りまして、合計中間駅は十駅にするということをはっきりする意味におきまして、岐阜県下に一カ所羽島駅というものを作ったわけであります。  次に、特急が三十五本、急行が六十五本、合計旅客列車百本というものを想定の目標にしておりますが、これにつきましては、私たちといたしましては、昭和五十年の旅客数がどの程度になるかということを、経済企画庁の資料その他国鉄が多年やっております、また常に用いております資料といたしまして、在来の輸送数量の傾向から将来を推定するというような方法、またこれにつきまして神戸—東京間の高速道路、将来の飛行機の発達、船舶の発達の状態、かような各方面のことを、各方面の専門家にお集まりいただきまして、いろいろと議論をいたしまして数字をはじき出しました。そういたしまして、国鉄の輸送しなければならないであろうと考えられます輸送量を、最も効果的にやりますのにはどうしたらいいかということを検討いたしまして、特急三十五本、急行六十五本という数字を出しまして、昭和五十年の旅客の輸送目標にいたした次第であります。
  30. 久保三郎

    久保委員 いずれにいたしましても、詳細な御検討をいただいた資料を御提出いただくということでございます。  それからもう一つは、羽島駅ができるかどうかわかりませんが、岐阜県下に一駅作るという御方針であります。駅が作られればそれに合わせてダイヤは引かれるにきまっておるのでありまして、当初から東京—大阪間九駅を目当てにして引いたダイヤと、羽島ができたダイヤとは違ってくる。こんな既成事実で押しつけられては、実際はちょっと困る。いずれにしても、しさいに検討されたというのなら、その資料を御提出いただきたい、こういうように思うのであります。  次に移ります。鉄監局長政府側でおいでになっておりますからお尋ねするのですが、この東海道新幹線は、政府側では、これは何年間で完成させるということにきめてあるのですか。
  31. 山内公猷

    ○山内説明員 新幹線につきましては、各省並びに経済閣僚懇談会等を経まして決定したものでございまして、そのときの想定では、着工後五年間ということで考えております。
  32. 久保三郎

    久保委員 ところが昨年末の閣議了解事項では、これは早期着工、早期完成ということになっておりまして、五カ年計画とはいっていないようであります。これははっきりきまっておりますか。
  33. 山内公猷

    ○山内説明員 この期間の問題につきましては、国鉄がこの目的のために作りました委員会並びに今われわれの方の検討の結果におきましても、五カ年というものは困難だろうと思いますが、できるだけ五カ年で作り上げたいということでやっております。その理由といたしましては、五年後くらいの旅客の輸送量というものが非常に多くなりまして、そのころには、現在の東海道線だけでは行き詰まってしまう。現在でも、もうすでに百二十本走っておるところが相当あり、東海道線が行き詰まっておりますが、五年後になりますと、ほとんど輸送というものが麻痺するという数字的な結果が出ましたので、それに合わせまして、そのころまでに、この新東海道線の建設を完了しなければ東海道の輸送が行き詰まってしまうということから逆算をして、五年の間には作らなければならないという結論を出したわけであります。
  34. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、政府は、今年度着工であるから三十八年度完成ということで確定して、その計画を承認しておるわけですね。
  35. 山内公猷

    ○山内説明員 運輸省といたしましては、もちろんそういった方向でやりたいということは考えております。政府全体といたしましては、将来の資金の関係、予算の関係がありますので、大体そういう方向の了解を得ておりますが、必ずそうするとまではっきりはいたしておりません。
  36. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、早く言えば、希望としては五カ年で完成したい、ただし資金その他の問題があるからはっきりはわからぬということでありまして、これは固定した完成時期というのは持っておらぬということに相なりますね。
  37. 山内公猷

    ○山内説明員 そういう非常に厳密な意味でおっしゃられれば、五年以内に必ず、すでに資金の計画ができまして完成できるというふうな状態にはまだなっておりませんが、現在の輸送の状態からいいまして、どうしても輸送の要請を満たすためには五カ年に作らなければならないという客観的な情勢がありますので、運輸省といたしましてはその期間に作り上げたいという強い希望と期待を持っておるわけでございます。
  38. 久保三郎

    久保委員 国鉄にお尋ねいたしますが、国鉄は三十八年度完成ですべての計画を推進しているんでしょうか。
  39. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 お言葉の通りでございまして、ぜひ五年間に完成したいということで関係の御当局にもお願いをいたしておるような次第でございます。
  40. 久保三郎

    久保委員 そこで、国鉄では五カ年でかっちり完成したいということでやっておられるということでありますが、一番先に問題になるのは何といっても用地取得の問題だと思う。大体全体が十万五千アールといいますが、そのうちで未買収は約八万アール程度ある。この用地買収は大へんな問題だと思うのです。いつか当委員会でも申し上げた通り、鉄橋はできたが取りつけの線路を作るところの用地買収ができないで雨ざらしになっている鉄橋もあるという状態です。これは小さい土地です。ところがこれからやろうとする新幹線の用地取得というものは大へんな問題だ。特に都会地の問題が相当残っている。これに対してはどういう考えでおるのか、鉄監局長並びに副総裁からお答えをいただきたい。
  41. 山内公猷

    ○山内説明員 用地買収の問題が非常にむずかしいとおっしゃることは、われわれも十分存じております。現在、道路を作るにいたしましても、一般の新線を作るにいたしましても、用地買収ができればほとんど半ば以上事業が完成したにひとしいという状態でございます。この問題につきましてはわれわれも国鉄に協力いたしまして、どういうようにしたならば最もスムーズな用地買収ができるかということを検討いたしております。先般の参議院の委員会でございましたか、そういう御質問がございまして、中には組織その他を考えなければいけないではないかというお話がございます。もちろん国鉄におきましては県単位あるいは市単位または町単位というところで、一般の方々の御協力を強く要請をいたしておるわけでございますが、相手のあることでございますので、そういう一般の協力並びにその用地の買収に当たる方々に深い御理解を得なければならないということで、現在国鉄こぞってその問題で努力をいたしておるわけでございます。
  42. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄といたしましてはことしの四月に本社に幹線局を作りまして、また地方機関としては東京に幹線工事局また名古屋、大阪に幹線工事局の出張所を設置いたしまして仕事を進めてきたわけでございますが、さしあたりはまず新丹那隧道の工事にとりかかるということで、これは現在かかっておるわけでございます。今後の用地買収その他の仕事もございますので、つい最近にこの現地機関でありますところの幹線工事局というものを東京のほかに名古屋、大阪、静岡、この四カ所に作りまして、用地の買収等について極力推進をはかりまして、私どもの目標といたしましては今明年度中におおむね八四%くらいのところまでは確保する、こういうことでいきたいと考えておる次第でございます。
  43. 久保三郎

    久保委員 今年度中か来年度八四%程度確保したいという御希望のようでございますが、従来の例から見ても、言うまでもなく用地買収のことはなかなか困難でございます。そこで、今までのお話では従来の方法でやっていかれるというのだが、三十八年度完成というからにはなかなかむずかしかろうかと思う。それ以外に特別な何か方法を考えておられぬのか、これをあらためて質問いたします。
  44. 大石重成

    ○大石説明員 用地買収につきましていろいろ御配慮いただきましたことをありがたく存じておる次第でございますが、ただいま国鉄が取得しております用地の状態を最初に申し上げますと、これは戦前いわゆる弾丸列車と申しまして、東京—下関間にただいまの企画とほぼ同じような企画をいたしました。そのときに用地買収いたしまして、ただいまでも国鉄が所有しております区間が約二七%近くあるということを申し上げたのでございますが、その場所はどの辺かと申しますと、東京の方から申して参りますと、相模川から大ざっぱに申しますと沼津までの土地は確保してございます。それから清水、ただいまの駅の清水でございます。清水から焼津の区間は国鉄がすでに用地を買って持っております。それから豊橋、浜名湖を過ぎまして、豊橋の駅を過ぎる区間まで用地を確保しております。また名古屋付近につきましては笠寺から庄内川付近に至りますところは国鉄が用地を買収しております。大きく持っておりますところはさようなところでございまして、ただいま御指摘のございました都市付近というようなところにつきましては、すでに用地を確保しております。これは確保しておるから必ず用地を使うことが非常にやさしいということはないのでございますけれども、いろいろ都市計画その他の関係の方とお話し合いをいたしまして、逐次この点につきまして国鉄に使用さしていただけるような話し合いになっておるのでございます。その他の区間につきましては、ただいま線路がきまり次第、地方の方と具体的にお話はいたしておりますが、今お話しのように、何か特別なことを考えておるかというお話でございますけれども、今私たちといたしましては特別なことを考えるというよりも、先に沿線の方々にいろいろとお話し合いをいたしまして御協力をいただきまして買収がしていけるのではないかということを考えまして、特段の今までと違った方法で用地の取得をするというようなことは考えておりません。
  45. 久保三郎

    久保委員 どうも楽観的なお話で、その通りいくならば問題ないと思っております。心配する必要はないかと思いますが、従来の例でいくと、現場第一線の用地取得係といいますか、用地係といいますか、こういう者は長年かかっていろいろな苦労をしておるわけです。こういう点をカバーする面が全然ないというふうに私は見ておるわけです。特に線路敷地を予定しても、そこに一部、戦争中のようなことには参りません、いろいろな問題が出てきます。なかなか最後まできまりがつかぬというために、大半はできたが、それは使いものにならぬというような実態が起きないとも限らないのであります。だから、特別な方法も考えておらぬそうでありますが、せめて現有勢力の中でやるとすれば、今までのような末端の職員だけが苦労してにっちもさっちも動かぬようなことをやらせては困るということです。これでは、実際をいうと、もうらちがあきません。あと要員の問題も申し上げますが、これも一つ考えてもらわなければいかぬということでありますが、ともかく楽観的に見ておるのでありますから、特別な方法は考えないでありましょうが、われわれの見通しとしてはそういう手放しではなかなかこの問題は片づかぬだろう。よって、三十八年度完成といっても、用地買収の問題を一つ取り上げてもなかなか困難ではなかろうか、こう思うのであります。これに対する見通しを早急に立ててもらう必要がある、こういうふうに実は思います。いずれにしましても今後一つ研究をしてもらわなければならぬ事項だと思います。  次に、時間もありませんから先に参りますが、この新幹線建設と既定計画である五カ年計画、こういうものとの関係であります。閣議了解事項では、特に資金面からいってこの五カ年計画を圧縮あるいは繰り延べしてそうして新幹線建設資金に回せば大体できるだろう、こういうようなことを言っているようであります。ところがこれは御案内の通り、五カ年計画の中身を見ましても、すでに今日でももうこれは相当なおくれを来たしておる。なるほど最近見ますと、取りかえ並びに諸改良についてはそれぞれ計画以上にいっているそうでありますが、これは計画に対しての実績であります。実態に対する実績ではない。実態は老朽施設、またその他の取りかえにしてもまだ耐用命数をこえたものが数多くあるということでありまして、計画そのものを見て実際がこうだということは言えないと思う。さらにもう一つは、その他の幹線電化あるいは幹線輸送、通勤輸送、こういうものを含めてもこれはなかなかこの計画通りはいけないだろう、このままいっても新幹線建設と切り離してはいけないだろう、ところがこの関議了解事項ではそういうのを圧縮しあるいは繰り延べてやっていけばいいだろう、こういうような意味のことを結論として出しているようでありますが、これに対して国鉄当局はどういうふうに考えるか。
  46. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 五カ年計画東海道新幹線建設との関係につきましては、これは申し上げるまでもなく、五カ年計画の方は輸送の安全確保とかあるいは現在の隘路区間の輸送力増強に対する当面の対策として実施しておるものでございますし、新幹線は将来の東海道線の行き詰まりに対応するいわば国民経済上の重要施策として長い論議の末政府としてもこれを御決定になったものでございます。従って私どもとしましては、いずれを主としいずれを従とするということも申されませんので、ともにこれは完遂しなければならない性格のものでございます。もちろんこの両者を完遂するということは、主として資金の面からくる大きな制約がありますことはこれは否定できない事実でございますが、私どもとしましてはあらゆる努力を尽くしまして、その双方とも一緒に完成するようにいたしたいと思って努力をいたしておるような次第でございまして、ぜひこのことができますように御支援、御協力を賜わりたいものである、さように考えておる次第であります。
  47. 久保三郎

    久保委員 運輸省の鉄監局長にお尋ねしますが、昨年末の東海道新幹線問題についての閣議了解事項の中で、5の投資規模というところでこういうふうに言っているのです。「新長期経済計画においては、国鉄の投資基準として昭和三十三年度以降三十七年度迄におおむね六千億円程度を見込んでいる。一方国鉄五カ年計画は、三十二年度の実施分一千億円を差引けば、三十三年度以降約五千億円を要する。この計画を前項の趣旨に従って繰り延べることとすれば、一千億円程度は新幹線計画にふりむけることが可能であろう。新幹線計画は一千七百億円程度であるから、三十八年度以降に約七百億円を要する計算となる。このような投資計画によれば、近い将来における完成が期待され、従ってその投資規模も過大なものとは云えない。」こういうことになっているのですが、運輸省当局はこれに対してどういうようにお考えになっておりますか。
  48. 山内公猷

    ○山内説明員 当時検討いたしました場合に、五カ年計画を一年繰り延べるという前提になります輸送の情勢は御承知のように三十三年度というものは輸送が非常に落ちまして、経済企画庁の考えておりましたカーブの上がり万からいえば、大体一年ぐらいずれておる、こういう情勢であれば、五カ年計画が一年ぐらいずれましても、一般の輸送の要請に大きな影響は与えないであろうという想定から、そういう資金調達の方法をそこに掲げてあるわけでございます。ところが御承知のように三十四年度に入りまして、いわゆる岩戸景気といいますか、予想よりも非常に輸送が上がってきましたので、情勢がそこに一つ変わっておるとわれわれは考えております。もう一つその前提となりましたのは、五カ年計画計画通り実施されておるという仮定を持っておったわけでございますが、御承知のように五カ年計画そのものが実質的に一年おくれておるわけでございまして、その点でこの国鉄計画を実施いたします際には、もっと外部の資金の調達を考えなければならないということになるわけでございます。それで現在国鉄におきましては、その分を外資及び一般の公募債に仰ぐということを資金の計画としては考えておるわけでございます。
  49. 久保三郎

    久保委員 国鉄当局の意向は五カ年計画も並行して既定計画通りやる、こういうお話のようであります。ただいま鉄監局長の言う通り、既定計画である五カ年計画は、すでにもう一年延びることがこの内容からいってはっきりしている。それからもう一つは、実態からいって、大体当初五千九百億なんぼでありますか、約六千億程度計画をしたのでありますが、最近の実態からいけば、この五カ年計画のワクでは足りない、結局八千億をこえるであろう、こういうようなこともいわれておるのです。これに対して国鉄当局はどういうふうに考えておるか。
  50. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 資金の面におきまして非常にむずかしい問題があるということは重々承知いたしておるのでございますが、今までの五カ年計画は、確かにただいまのお言葉の通り、当初の六千億の規模で参りますれば毎年千二百億程度の資金がなければいけなかったものが、大体千億程度に切られてしまっておりますので、実際において一年ほどのずれを生じつつあります。しかしこれは国鉄としては何とかして回復いたしたいと思いまして、現在政府にお願いしております予算の要求といたしましては、その分を、三十五年度の予算において今までのおくれを取り戻す分もぜひお願いいたしたいということで、関係の方面にお願いいたしておるような次第でございます。
  51. 久保三郎

    久保委員 来年度予算ではおくれを取り戻す要求をしているそうでありますが、その中身はどの程度か、お尋ねします。
  52. 山内公猷

    ○山内説明員 現在一応大蔵省に国鉄から提出しております予算は、こまかく申し上げますと時間がかかりますので、資金運用部の借入金を、三十四年度におきましては二百六十五億になっておるわけでございますが、これを大幅にふやしてもらうという要求でございます。これが約八百四十九億という要求をいたしておりまして、総額で一千百十四億という大きな要求をいたしておりますが、そのほか政府出資、この新幹線に対する政府出資の百億を要求しておるというようなところが、外部資金に対する大きな本年度の予算との違いであります。
  53. 久保三郎

    久保委員 たとえばその要求通り通るにいたしましても、これは当然先ほど申し上げたように、中身からいって、五カ年計画は修正というか、改定をすべきではないか、こういうふうに思うのですが、運輸省並びに国鉄当局はどう思っていらっしゃるか。
  54. 山内公猷

    ○山内説明員 五カ年計画国鉄は早く始めたわけでございますが、さらにこの輸送の情勢を見ますと、現在十カ年所得倍増論というものも行なわれておりますし、この日本の経済の相当将来の伸びに合わせた国鉄の予算なりあるいはそれによって来たりますところの各施設の増強というものが問題になっておることはもちろんでございます。しかし、国鉄の問題は非常に重大な問題を含んでおるわけでありまして、現在の国鉄の合理化あるいは近代化というものにも、御承知のように限度がございまして、なかなかそういった要請にこたえていくのは大きな困難に逢着するのが目に見えて参っております。それで、われわれといたしましては、転機に立っております国鉄の財政というものを将来どういうふうにして日本の国力の発展に相応させていくかということを根本的に考えなければならない時期に立っておるというふうに考えておるわけでございまして、それで、運輸省で考えておる施策といたしましては、来年度斯界のそれぞれの専門家を集めました鉄道の審議会というものを法律によりまして作りまして、鉄道の財政並びに将来のそういった輸送要請に対する国鉄の使命というものを根本的に洗い直し、それを政府の施策の根本にいたしたいという考えを持っておるわけでございます。とりあえず現在の予算の要求におきましては、三十五年度、ただいま副総裁から言われましたようなおくれを取り戻すという程度の要求をいたしておるわけでございますが、問題はもっと根本的に掘り下げなければならないということを痛感しておるわけでございます。
  55. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまの鉄監局長の御説明につけ加えることはあまりないと思うのでございますが、まず五カ年計画関係につきましては、三十四年度予算は、御承知通り、九百九十億でございますが、それを、三十五年度の要求予算としましては千四百十七億、四百二十七億ほど増額を要求いたしております。この四百二十七億と申しますのは、先ほどもちょっと御説明を申し上げましたが、五カ年計画の遅延分をあとの二年間にぜひ取り返したいという意味で追加いたしたものが、この四百二十七億になっておるわけでございます。なお、将来の長期的な見通しにつきましての今後の計画につきましては、ただいま鉄監局長から御答弁のございました鉄道審議会というものが設置されるということもございまするし、国鉄としましても、五カ年計画が済めばそれで終わりというわけではもちろんございませんで、この五カ年計画に取りかかりましてから以後に、また種々の情勢の変化等も現われてきておりますので、それらの諸事情を勘案いたしまして、ただいま、今後の計画をどうするか、でき得れば来年度を第一年度としての新規五カ年計画というようなものを策定することも必要ではなかろうかというようなことも考えまして、いろいろ検討をいたしておるような事情、でございます。
  56. 久保三郎

    久保委員 いずれにしましても五カ年計画を修正改定するというのは、実態に合わなくなってきたということでありますから、当初計画よりは相当ふくらんだ計画になると思う。その場合注意してもらわなければならぬのは、新幹線の建設に目を奪われて、資金調達等の関係から、この政府の閣議了解事項のように、圧縮しあるいは繰り延べていくということになりますと、結局全体の国民の犠牲の上で新幹線ができるということになったのでは大へんだと思う。この点は念を押しておきます。  次いで、時間もありませんから、新幹線の資金計画についてお尋ねいたします。大体去年は三十億でありますが、来年度は先ほどの御説明では政府出資百億ということであります。これは来年度大体三百億、それから三十六年度に四百億、三十七年度が四百九十億、三十八年度が四百八十五億、こういうことで国鉄内部では立てておられるようでありますが、この見通しというか裏づけはどういう観点からなされているのか、これをまず第一にお伺いします。
  57. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 新幹線の関係の資金計画の年度割は、今先生がおっしゃった通りの額でございますが、この資金の調達につきましては、実はこの幹線計画を決定いたします際に置かれました幹線調査会でもって、政府出資及び財政資金に大幅に期待すること、さらに民間資金及び外資についても、諸条件を勘案して期待すべきであるという趣旨の御勧告があったわけでございます。そういうようなわけで、実は来年度三百億という要求予算のうちの百億は、ぜひ政府出資をお願いしたいということで、お願いをしておるようなわけでございます。一方先ほど鉄監局長から御説明のございました千百十四億という資金運用部からの借入金その他が財源に充てられることになるわけでございますが、同時にこの調査会の御勧告の中にあります外資の導入ということにつきましても、努力いたしておる次第でございまして、この十月、世界銀行の極東部長のローゼンという方が見えられた際に、いろいろ御説明を申し上げ、資料も提出して借り入れの具体化をはかっておるような次第でございます。現に、これは昨日でございますが、私の方の兼松常務理事を米国に差し向けまして、これはローゼン氏の方からいろいろの事情を聞きたいから来てくれという電報がありましたので、さっそく出向いたようなわけでございますが、それらのいろいろな方法によりまして、資金の調達をはかっていきたいというように考えております。
  58. 久保三郎

    久保委員 先ほど来年度の予算の中で、千百十四億ですか、これの財政投融資というか、そういうものは、全体五カ年計画を含めてのお話のようであります。そのうちで幹線へどれだけ振り向けるか、この点を一つ
  59. 山内公猷

    ○山内説明員 幹線の来年度の予算は三百億でございまして、来年度の国鉄の損益勘定の受け入れというものは相当減る見込みでございますので、来年度の資金計画といたしましては、全額資金運用部からの借り入れあるいは鉄道債券というものにたよらざるを得ないと思っております。そのうち百億が、政府に期待しておりますのは政府出資でございます。あとの二百億はただいま申し上げました運用部からの借り入れあるいは鉄道債券という中から支弁されるということになると思います。
  60. 久保三郎

    久保委員 今のお話からいけば、五カ年計画は来年度は資金手当は少なくなるのじゃないでしょうか、どうです。
  61. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私どもが今お願い申し上げております予算がお認めいただければ、先ほども申し上げましたように、新幹線には三百億を投入し、また五カ年計画遂行その他のために必要な改良費については、今までのおくれを取り返す分も確保できる、こういうことになるわけでございます。
  62. 久保三郎

    久保委員 それでわかりました。ところでお尋ねをするのですが、資金の調達について、政府出資並びに財政投融資、それから三番目には民間出資、ところがこの調査会の意見は、この程度の資金の国内調達が可能であろうということなんです。最近の経済事情と、この答申を出された当時ではできない見通しがあって外資導入をはかられているのかどうか。それからもう一つは、民間出資についてどういう手段を今までにこの新幹線については講じられてきたか、この二つを伺いたい。
  63. 山内公猷

    ○山内説明員 外資につきましては、ただいま副総裁が答弁いたしました幹線調査会におきましても論議されたごとく、諸条件を勘案して、期待すべきであるということになっておるわけでございます。条件によっては借りないこともあり得るわけでございます。それで、政府で考えましたのは、外資だけにたよってこれを完成しようということではないのが、先ほど先生がお読みになりましたものの考え方でございます。もし外資が入らないということになれば、さらにまた検討の要があると思いますが、現在の段階では極力外資に仰ごうという考え方を持っておるわけでございます。  次に、民間の借り入れの問題でございますが、これは御承知のように、民間といえますかどうか、現在国鉄の資金を確保する手段といたしまして鉄道債券を出しておりますが、これは公募債と利用債、縁故債とあるわけでございます。これらは金融市場の関係を見まして、毎年の予算をきめていっておるわけでございますが、本年度の公募債といたしましては二百四十億、月間大体二十億というものが認められておるわけでございます。現在の金融市場の情勢からいいますと、来年度も大体国鉄にはこの程度ではないかということで、来年度は、ことしと同じように二百四十億を見込んでおります。この公募債のワクは、そのときの経済の見通しによりまして年々違っております。もう少し将来この公募債のワクが広げられるという、日本の経済の腰が強くなればふえるということもあり得ると思いますが、来年度の公募債のワクといたしましては、大体本年程度を期待しておるわけでございます。
  64. 久保三郎

    久保委員 来年も大体公募債というか、そういうもので二百四十億ぐらいで、ことしと同じだ、こういう見通しでありまして、別に特段な配慮もしていないようですが、特別に景気が悪くなったとかいうことは聞いておりません。去年よりもいいという政府筋の発表ですが、それならもう少し民間資金も投入できるのではなかろうか、これに対して何らかの方策をとったのかというのが私の質問なんです。ただ去年と同じぐらいしか許されないだろう、まあ二百四十億でいくのだということならば、幹線調査会の答申に対して、あまりにお粗末しごくではないかと思うのです。どうですか。
  65. 山内公猷

    ○山内説明員 その辺が今後の大蔵省との予算折衝の眼目になると思うわけでございまして、運輸省といたしましては、先ほど言いました千百十四億という大きな政府の資金運用部からの借り入れが認められれば、二百四十億でいいわけでございますが、それがもしも減るということになれば、ただいま先生のおっしゃいましたような、公募債のワクを一体どれくらいふやせるのか、それのまた確保ということにつきましても、これまた財政当局に特段の配慮をしていただく必要があるわけでございまして、それは今後の予算の折衝におきましてだんだん数字が固まって参る、かように考えておるのでございまして、現在のところでは、この資金運用部の借り入れがこのまま認められれば、工事のワクから申しまして、ことしくらいの公募債のワクでやっていけるという予算の立て方をしているわけでございます。
  66. 久保三郎

    久保委員 どうも消極的なお話のようなんで、それで外債には積極的にたよっていこう、こういう結論を先に出されているのでありますけれども、外債についてはあとで御質問申し上げますが、外債を仰ぐ前に、国内態勢として政府が一応方針をきめ、国鉄がこれでやろうということになったのでありますから、五カ年でやるならおおよそのめどをつけて、このくらいは政府資金、このくらいは民間資金、それで五カ年に展望してどうにもまずいということなら話はわかるのですが、そういう展望はなされていないのですか。
  67. 山内公猷

    ○山内説明員 仰せごもっともでございまして、私どももそういう点をはっきりさせたいという希望を持っております。しかし国の財政にたよるところが非常に大きいので、来年、再来年というような継続的な了解は現在の予算の立て方からしまして取りつけにくいわけでございまして、われわれといたしましては抽象的ではございますが、先ほど申しました一応の目安を持ちまして今後予算折衝をして参らなければならない。またそれには非常な努力を要するということは十分覚悟しているところでございます。
  68. 久保三郎

    久保委員 国鉄にお尋ねしますが、国鉄は五カ年で三十八年度に完成するということで大よその資金割もしてあり、計画としては来年度三百億ということで、それからずっとあるわけですが、その場合、全体の資金調達の大よその規模というかめど、これを立てておられてそういうことになったのか、その点をお伺いしたい。
  69. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄といたしましては、とにかく新幹線を建設いたします際の全体の額がどれくらいになるかということをまず考えまして、それと現在の五カ年計画の進捗の度合いその他も勘案しまして、一応年度割をいたしたようなわけでございます。それでこの全体の千七百二十五億という所要資金のうちのどれだけを政府出資に仰ぎ、どれだけを民間資金に仰ぐ、あるいはまた外資に仰ぐかということにつきましては、特に政府の出資というようなことになりますと、これは国鉄だけではもちろんきめられないことでもございますし、国鉄としては、できるだけ政府の出資をたくさんお願いできればお願いしたいと思っておりますし、また外資につきましても、もし導入できるならばできるだけ導入いたしたいという希望は持っておりますけれども、どれとどれとをどの程度というほど明確な案をただいま持っておるわけではございません。
  70. 久保三郎

    久保委員 どうもその辺がよくわからぬのであります。たとえば一つの事業をやるのに、五年後に工場なら工場を完成して製品を出すということから始まるのでしょう。その場合に、五年なら五年間の資金調達をどの程度どういうところから充当するという目安をつげて、初めて完成時期をきめられると思うのですね。ところが今までのお話を聞いていますと、運輸省でも国鉄でも大体資金割はしたが、これはおよその目当てであって、裏づけは大体また展望はしていない、こういうことになりますと、来年度の予算がきまって、来年度だけはわかる、その次の年度も予算がきまってわかるというのであります。そうしますと、三十八年度とか、早期完成とかいうのも、これは俗な言葉で言えば、実際できなりフクベというものじゃないかと思う。あまり期限をきめないようなことなら別ですよ。しかも、新幹線の使命は、現在の東海道線が三十六、七年には行き詰まるであろうという前提から起こす仕事だとすれば、少なくとも、おくれても三十八年度には完成してやらなければならぬということでありますから、これは何といいますか、一つの期限が限定されるわけですね。期限が限定されるについて、これを作る金の目当てがそのときそのときによっていくのだということではどうもうまくいかないんじゃないか、こう思うのです。こういう点については別段あまり関心をお持ちにならないし、また政府等にも強い要望等はお出しになっておらないということでございましょうか。
  71. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 決してそのことについて関心がないどころか、非常な心配をいたしておるわけでございます。しかし、幹線調査会の御勧告にしましても、千七百二十五億というようなワクでやれるということであれば、その程度であれば、さっきも申し上げましたような政府出資とか、財政資金とか、あるいは外資とか、そういうようなものをかき集めまして何とかやれるであろうという御見解のもとに御勧告もいただいた、こう思っております。私どもとしましても、その年々の国内の資金事情その他によってそれぞれのワクは伸び縮みはいろいろあると思いますけれども、この千七百二十五億という資金を五カ年間に調達できますならば、あるいは予定の通り完成することができると思いまするし、またぜひこれは五カ年間に仕上げたいということを強く念願しておるような次第であります。
  72. 久保三郎

    久保委員 とにかく今のような計画というか、考えで参りますと、ある時期においては、先ほど念を押しました全体の五カ年計画に支障を来たす場合がありはしないか、こういう点をまず私は心配しております。そういうことがないというのならけっこうなのでありますが、そういう目当てのはっきりしないような仕事はもう少し政府筋も真剣にかかっていただいて、三十八年にやらなければいかぬものなら、およそのワクをつけてやるのがほんとうだ。ところが、そういうものもないのに、とにかく世界銀行では金を貸しそうだから借りようじゃないかというのは、無定見きわまりないのじゃないかと思う。借りられるものならどこからでも借りる、こういう思想だと思う。これは先ほどの調査会の勧告も、国内でもって調達可能だと言っておる。調達可能であるかないかの検討もしないで世界銀行に食いつくというのはどういうことなのか、私にはさっぱりわからぬ。とにかく、向こうの方がはっきりしているから、向こうは金を貸すという態度のようだから折衝するというのでは、あまりにお粗末じゃないか、こういうふうに私は思うのです。  いずれにしても、時間がありませんから、先へ進みますが、この世界銀行の借款でございますが、兼松常務理事がきのうアメリカへ飛んだそうであります。その前には経理局長が向こうへおいでになったようであります。世界銀行はことしか去年来たんだそうでありますが、来たときに、まず第一にこちらの幹線計画について了解したのかどうか、こちらの案をそのまま了解したのかどうかという点についてはいかがですか。
  73. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 世界銀行の関係の方がこちらに見えました際に、国鉄からは現在の計画の内容を詳細に御説明申し上げてあります。しかし、そのとき先方から来られた方々は必ずしも建設関係の専門家がそろっておられたというわけでもございませんので、先方としてもなおいろいろ尋ねたいことがある、また資料を出してもらいたいものもあるというようなことで、この前こちらに関係者が来られた際の説明は一応御説明を申し上げ、その説明を聞いて、先方はさらに詳細にいろいろ説明を聞きたいという意図を示されましたので、その後さらに経理局長が参りましたり、あるいは兼松常務理事が向こうに行ったりいたしまして、なおいろいろな点からよく御説明も申し上げるということにする段取りになっておるわけでございます。
  74. 久保三郎

    久保委員 それじゃ世銀との今日の交渉の中身はどの程度まで進んでおりますか。
  75. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 どの程度までというお尋ねに対しましてどういうふうにお答えしたらよろしいのか、ちょっとわかりかねる点もございますが、とにかくこれは、私が聞いております範囲では、一応一億ドル程度の借款をお願いするということで、新幹線及び国鉄全体の将来の経営の見通しその他についていろいろ資料の要求等がありまして、それについて逐一説明を加える、向こうは向こうでまた今後もいろいろ検討を加えることと思います。
  76. 久保三郎

    久保委員 それではお尋ねしますが、国鉄当局は世銀に対してどういう要求をしているんですか。今のお話では、ただ一億ドルを貸してくれということだけ御答弁があったのでありますが、そのほかにどういう要求を出されておりますか。たとえば、今までの例からいえば、世銀は原則としてこれはプロジェクト・ローン、いわゆる財貨をもってということが主のようであります。今までの過去のあれでは、それに対して現金、いわゆるインパクトでもらいたいとかなんとかいう要求をしておるのですか。話し合いの中ではどうなんですか。
  77. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 実はその辺の非常にこまかいところは私もまだよく聞いておりませんので、うっかり間違ったことを申し上げましてもいけないと思いますから、なおよく取り調べの上であらためて申し上げたいと思います。
  78. 久保三郎

    久保委員 大へん長くなりますが、大へん大事なことで、あとからということでありますけれども運輸省はこれに対して関係しているんですか。
  79. 山内公猷

    ○山内説明員 交渉の経緯並びに政府関係の連絡、十分存じております。ただ、今お話の点につきましては、私も詳細にまだ聞いておりません。
  80. 久保三郎

    久保委員 けさの新聞によりますと、兼松理事がきのう立ったということでありますが、その中でたった一つしか出ておりませんが、世銀は運賃値上げを一つ示唆しておる。これについては、国鉄当局は新幹線は別会計にして、これは黒字になる、これによってやってもらうということで了解をつけるために行ったと、こう書いてあるのです。これは一つだけです。そのほかたくさんあると思うんですが、こういうことでございましょうか。何も知らぬというのは、副総裁はもちろん昨日付けで御就任になったばかりでありますが、しかしそれにしても、今までの国鉄経営の最高首脳部としておられて、これに全然関係がないというお話はないでしょう。しかも世銀から金を借りるというのは、常務理事会で、当然討議されておいでになると思うのです。経理局長がお出になっているのですから、その御報告があったはずであります。今度兼松理事が行くについても、あなた、きのう御就任、兼松常務理事、きのう飛び立ちということでありますが、行く前には、何かお話があったに違いない、これはどうなんですか。
  81. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 この問題は、兼松常務理事が責任者として担当をやっておりましたので、きのう出かけるときには、もちろんしっかりやってこいよということは申しましたけれども、詳しいことを何か聞くとかいうような余裕はございませんでした。  それから新聞の記事のお話がございましたけれども、その点は私よく存じませんから、その辺のことはもう一度よく調べまして、あらためて御報告を申し上げたいと思います。
  82. 久保三郎

    久保委員 それでは、その外資導入の問題については、いずれ兼松理事がお帰りになりましてから、詳細お話を承りたい、こう思うのであります。  次にこの幹線の完成後の経営形態、これは先ほども申し上げたように、国鉄は分離してやるというふうなお話もあるし、あるいは調査会等も、何か経理を明確にして、責任の所在を明らかにしてやれ、こういうようなことを言っておりますが、これはどういう考えで今後進めていくつもりですか。いわゆる新幹線完成後の経営の形態は、国鉄会計の中に特別勘定を設けてやるのか、それとも国鉄経営を全く二分した形でやっていく考えか、どちらなんですか。
  83. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 経営の形態につきましては、現在いろいろ検討をいたしておりますが、むろんある程度の別会計というようなことは、これは外国から借款なりするという以上は必要であろうというふうに考えております。しかしその根本の、われわれがねらいとしておりますことは、現在の東海道線と新しい幹線とを合わせて一本に考えまして、東海道全体の輸送力の需要を充足するということがねらいでございますから、国鉄の立場といたしましては、どこまでも新幹線は新幹線の特質を生かし、現在線は現在線の特質を生かして、両々相待って東海道線の輸送需要にこたえていこう、こういう考えでおります。
  84. 久保三郎

    久保委員 今のお話でありますというと、新幹線と現在線と合わせて一本の形で運営していこう、こういうことでございますが、これはお宅の方で試算したところの完成後における償還計画というのは、やはりそういう形でできている。新幹線と現在線の収入でこの支払いも十分やっていく、こういうことであります。そこで考えてもらわなければ困るのは、現在の国鉄全体の経営からいって、いわゆる東海道の経営というものはどういう比重を占めているか。これは簡単に申し上げますと、東海道はドル箱なんです、実際。ドル箱が、その他の赤字線区、あるいはこれからできます新線、これの赤字、こういうものを埋めていく形が今日の国鉄経営形態だと思う。ところが今のお話だというと、分離してやっていくということになりますと、これは必ずしもそういうわけにはいかぬ。いわゆる国鉄経営から、極端なことをいえば国鉄全体の経営から東海道の経営を分離してしまうということになりますと、あとはかすですよ。極端ですが、そういう心配が出てくる。そういうことはどういうふうに考えているか。
  85. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 お言葉の通り新幹線というものを全然別個なものにされてしまって、現在線だけを国鉄に残すというようなことがかりにありますれば、おっしゃる通り今の国鉄はかすだということになると思います。でございますから、私どもとしては先ほども申し上げました通り、どこまでも両者一体になって東海道の輸送需要を満たすという考え方で進んでおりますので、中の勘定の仕方その他については、これはそれぞれ明確にしなければならないことでございますが、経営そのものを国鉄から分離して別にするというようなことは、国鉄当局としては毛頭考えておりません。
  86. 久保三郎

    久保委員 その話はそれでいいと思うのでありますが、ただ問題は完成後における元利償還の問題、この元利償還の問題が今までの元利償還と合わさると、ある一定の期間大へんな負担になると思う。そういう場合について今国鉄が考えておられるか、完成後においてある一定期間は当然元利償還で重圧を食うと思う。この場合に全体の経営に当然響いてくるのでありますから、これに対してどういうふうに考えておられるか。
  87. 山内公猷

    ○山内説明員 その問題は、建設されます線が赤字であるという場合には、経営上には大きな負担を生じてくるわけでございますが、ただいま考えております新幹線というものは非常に大きな黒字を生むという計算になっておりますので、十分元利の償還にたえ得る事業でございます。ほかの現在国鉄が進められております五カ年計画に投資しております資金の利潤との違いが相当あるのでございまして、その点はそう心配はいたしておらないわけでございます。
  88. 久保三郎

    久保委員 次は東海道新幹線建設の要員の問題であります。要員計画はどのように立てられて、どのように進められておるか、これを一つお聞きしたい。
  89. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 新幹線は私どもの予定といたしましては、比較的短期間の工事でございますので、建設後にその職員の跡始末に困るというようなこともあっては大へんでございますから、極力少数の人数で建設に当たる必要があることは、申すまでもございません。それで、新幹線の建設につきましては、できるだけ鉄道部外の技術力を活用するということを措置しました結果、大体二千三百名程度の要員が必要である、こういう計算になりましたので、ただいまその所要の人員に対する経費等について、これも来年度の予算の要求の中に入れて、お願いをいたしておるような次第でございます。
  90. 久保三郎

    久保委員 部外の者を利用するというが、どういう形態で、たとえば工事の施行といいますか請負、そういうものを部外をどの程度に利用していくのか、それが一つ。  時間がありませんから続けて要点だけ申し上げます。もう一つは、現在もそうだと思うのでありますが、既設の職場における技術職員を、幹線の方に集中しつつある。そうしますと、補充計画等も今日まで完全でなかったというので、特に技術系統の方の人間が減っていく。よって、今問題になっている、先ほどお話ししましたような国鉄五カ年計画、あるいは防災対策というようなものが、どんどん減っていくということがあるわけです。これに対して技術陣営の要員対策というか、今後の要員対策はどういうふうに考えておられるか、これが二点。  それからもう一つ、三点目を申し上げますと、幹線へいわゆる配置転換するという場合でありますが、これは大体先ほどのお話からいっても、長くて五年、短かければ三年、あるいは二年というような短期間の配置転換であります。さらに幹線完成後再配転をしなければならぬということであって、当然転換されるまでは別居という形になる。そうすれば従来のようないわゆる給与面においてもあまり目立ったものがなくては、なかなかスムーズに配置転換はできないだろう。よって、懸案であるかもしれませんが、特殊な旅費というか、そういうものについても早急に目安を出さぬというと、これはなかなか円滑に配置転換はできないだろう、これについてどういうふうに考えられておるか、これだけお伺いします。
  91. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまお尋ねのございましたうちの一番最後の配置転換の問題でございますが、このことにつきましては組合ともよく協議いたしまして、一応協定を結んで配転を行なうようにいたしております。  それから部外の技術力利用という問題並びに技術要員対策についてもそれぞれいろいろな検討をいたしておるわけでございますが、これは大石理事から御説明いたします。
  92. 大石重成

    ○大石説明員 ただいまお話のありましたように、急激に大きな工事がなされますので、直接この仕事をやります技術陣といたしましてはいろいろと困難はございますが、第一点の部外に工事を委託するというような方法につきましては、私たちは技術的に可能なる範囲において最近いわゆる部外と申しますか、日本の民間の技術関係におきましても、諸外国と同じように技術顧問と申しますか、コンサルティング・エンジニアと申しますか、そういったような組織が発達して参りまして、また国家におきましても技術士というような試験を国家試験といたしまして、認定をしておりまして、民間で相当の技術者が仕事ができるというような状態になりました機関を利用いたしまして、一例を申し上げますと、大体の測量なり大きな要点は直接われわれ職員でやりまして、この補充的な、またそれを完成いたしますような事務につきましては、さような部外に工事を発注いたしましてやっていくというような方法、また設計その他につきましても権威者を動員いたしまして、力を借りるというような格好で、従来よりも部外の力を借りることが相当出て参りますので、国鉄といたしましては直接必要な工事の監督といったようなものにつきましては、これは直接われわれが監督いたしませんと責任が持てません、また予算の算出といったような重要な点につきましては、われわれといたしましては、部外に委託はできませんが、補助的なもので十分信用できるものにつきましては、部外に委託するといったような方法も考えまして、極力一時的の職員の膨張というものは避けておるわけであります。また新幹線要員といたしまして、在来の職場から人間を持って参りましたときの補充につきましては、今までも新幹線要員の補充につきましては、一〇〇%補充いたしておるような次第でございまして、ただ人間のやりくり上今までは十人が十人とも非常に熟練をした人間がやっておりましたものに対して、これをある程度補助的な人間にするというような点はございますけれども、新幹線の工事をやりますために、在来の仕事をやります人間の頭数が減らないように、また実際の仕事をしていきますにも部外委託その他のようなことをいたしまして、多少質の落ちましたものにつきましては、新しい人間が養成されまして、一人前になります間につきましては、十分考慮いたしまして、支障のないこうにいたしたいと考えております。
  93. 久保三郎

    久保委員 副総裁の今のお話でもう一ぺん御答弁をいただきたいのですが、この配転の場合に協約でやっていくとおっしゃいますが、協約の中身でもまだ結論が出ていない問題があるようであります。たとえば特定旅費の制度化、そういうものであります。これは早急にやって、一つ円滑にやってほしい、こういうふうに思います。  それから今のお話で、外部は委託する工事に関連してコンサルタントの話が出ましたが、これは外国の技術顧問を雇用する考えでおられますか。
  94. 大石重成

    ○大石説明員 ただいまの日本の技術といたしますと、外国の技術を借りてくるというような必要は毛頭ございませんので、外国に依存する考えはございません。
  95. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 現在の国鉄の部内のいろいろな配置転換につきましては、一応の組合との間の協定もできておりますので、それに準拠してやっておるわけでございますが、お話通り旅費の問題その他について現在なお協議中のものが残っておることは事実でございます。それらの問題につきましては、私どもとしましても、できるだけ早い機会に了解をつけるように今後とも努力をいたしたい、さように存じます。
  96. 久保三郎

    久保委員 最後に、それでは二つばかりお尋ねをします。  大石常務理事は外国からの技術顧問というか、コンサルタントは雇うつもりはない、そうだろうと私も思います。今日の国鉄の技術からいって、外国から何も技術顧問を招聘するほどお粗末ではないはずなんです。ところが世銀との関係でそういうものが一部条件になりはしないかということなんで、そういう話が今日まで世銀の関係で出ておるかどうか、これが一つ。  第二番目は、これは副総裁にお尋ねをするのでありますが、東海道新幹線が完成するのはとにかくあなたの方の御計画からいっても三十八年です。ところが現在の東海道はもう三十六、七年に行き詰まる。そこで現在緊急対策ですか、それを推進していると思うのでありますが、どうも二重投資になるというので、いろいろな点で制約をされているようであります。こういう点もあわせて問題だと思うのです。特に技術要員等の問題、それがかかって今度は下部のそういう職員の労働強化をしいるという場面も考えられるわけであります。こういう点についてどういう対策を立てておられるか、これが一つ。  もう一つは、東海道新幹線ができた暁は、現在線は単なるローカル線に考えておられるのかどうか。これだけです。
  97. 大石重成

    ○大石説明員 第一点の世銀との話の間に向こうから技術の援助をするとか、いろいろな問題について話があったかという点については、私はさような話は聞いておりません。また外国人とこの問題について——世銀ではありませんが、話をしてみましても、今回われわれが計画しておりますような程度の高度の技術の鉄道は、諸外国にも例がございませんので、向こうの連中も日本の技術を高く信用しておりますので、ぜひうまくやってみろというような激励的な言葉は聞いておりますが、手伝ってやろうというような話は聞いておりません。  それから二重投資になるから現在線の方を手控えておるかという点についてでございますが、これは明らかにむだになるというようなものにつきましては検討をいたしておりますが、御承知のように新東海道線は長距離の輸送を目標にいたしております。また一方現在線の五カ年計画の増強というものは、主といたしまして都市付近の通勤の強化というようなもので、目標がおのずから違っておりますので、新幹線をやったから特に現在線をやめてしまうというような大きな問題ではございません。むしろそれまで軌道の強化をいたしましたりいろいろいたしまして、長距離の輸送につきまして万遺漏のないようにするという点には十分力を入れておるつもりであります。
  98. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいま大石理事から御説明申し上げましたことで大体尽きておるかと思うのでございますが、現在線の方の増強ということにつきましては、ただいまも申し上げました通り二重投資というようなことはもちろん避けるつもりでおります。しかし同時に新幹線ができるまでの間の輸送量の増加に対応するために必要な措置はいろいろやらなければならぬと思っておりまするし、そのための部分的な投資ということは起こってくるわけでございます。それの詳細につきましては結局どこのところをどうするというような話になると思いますが、考え方としましては、新幹線ができるまでの間の東海道線の輸送需要を持ちこたえるように、必要な投資は現在線に対しても行なうつもりでございます。  それから新幹線ができてしまったら現在線の方はローカル線になるのかということでございますが、これはただいま大石理事が申し上げましたように、新幹線と現在線とそれぞれの使命を分担して東海道全体の輸送需要にこたえる、こういう考え方でございますので、急直行その他は新幹線の方に大部分を置くことになりますから、そういう意味ではローカル線になるという見方もできるかと思いますけれども、要は高速度の旅客の輸送の方は新幹線で大体まかなうようにいたしまして、それ以外の列車が現在線に残る、こういうことになるわけでございます。
  99. 久保三郎

    久保委員 以上で質問を終わりにいたしますが、特にこの際要望しておきたいのは、運輸省というか政府並びに国鉄と世銀との関係でございますが、われわれは実際は世銀からの借款については疑問を持っております。しかしそれは百歩譲って、今申し上げておきたいのは、少なくとも国鉄経営の自主性を喪失するような条件のもとに借り入れるべきではない、こういうように思うし、それからもう一つは、五カ年計画との関係で、これはある時期においては必ずそういう不幸なことがくるかとわれわれは予見して、五カ年計画が犠牲になって、国鉄全体の輸送が犠牲になって新幹線ができていくという姿がありはしないか。十分そういうことのないように一つやってもらいたい、こういうように思うし、それからもう一つは、特に新幹線建設の要員対策についても、幹線における撤収計画というものも含めて考えて、しかも現在経営しておる全体の立場も十分守っていくというような立場から要員対策をしてほしい。特に昭和二十四年以来技術陣営はあまり新規採用もしてない。大きな断層がきている。断層がきているから当然これは新幹線の建設がなくてもある時期には大へんなことになる。よって、この際新規採用の問題についても真剣にかかってもらいたい。単なる配置転換で合理化だ、二重投資は辞けるべきだというようなことでやったのでは、あぶはちとらずになると私は思うのであります。十分注意してもらいたい。  以上で私の質問を終わります。
  100. 楯兼次郎

    ○楯委員 国鉄の運営に関しまして、関連して簡単に一つ質問をいたしたいと思います。  実は二十三日に運輸委員会があるそうでありますから、そのときにいろいろお伺いするといたしまして、緊急の問題と考えます国鉄の貨物の大集配制と申しますか、集約制について質問をいたしたい。時間の節約の意味で私の方で簡単に申し上げますが、きょうは専門家が来ておられぬそうでありまするから、こまかいことは伺いません。大ワクだけお伺いして、そうして次期の委員会で詳細について質問いたしたいと思いますが、今地方の小運搬と申しますか、国鉄を中心とする貨物の運送業者が非常な恐慌におそわれておる。いま一つは荷主が非常に憤慨をしておる。と言いますのは、今まで小駅でありましたが貨物の取り扱いをやっておったところが、これを廃止をして大きいところに集約をする。そういうことで、地方実情を聞きますと、どんどんその仕事が進められていっておるわけであります。私は国鉄の事情もわからぬのではないのでありますが、とにかく東方のこういう業者に対しましては生死の問題です。ところが国鉄のこの集約制に対する取り扱いについては、これら業者の境遇という点をあまり考えておらない。一方的にどんどんと進めていっておるような傾向がありますので、もっと親切な対策が樹立をされるまで、これは一時中止すべきではないか、こういうふうに考えておるわけでありますが、担当者でない副総裁にはわからぬかは知りませんが、御存じなら答弁をしていただきたいと思います。
  101. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 貨物駅集約の問題はあまり詳しいことは私承知しておりませんけれども、とにかく現在国鉄の貨物を扱っております駅の約半数の小さな駅で、貨物の量からいいますと一割未満の貨物しか扱ってない、そういうところに一々列車をとめていかなければならない、こういうようなことは非常なロスでございますので、現在さしあたって貨物駅を千八百駅程度に集約したいということで、大きな計画を立てておるわけでございますが、実際には先生のおっしゃるように地元の業者の方また荷主の方、それらの方々からいろいろ問題が出ておりまして、それほど先生のおっしゃるように国鉄が強引にいろいろなことを一方的に押し進められるような状態になっていないというふうに私は伺っておるのでございますが、なお詳しいことは担当の者が参りました際に御説明申し上げます。
  102. 楯兼次郎

    ○楯委員 こまかい問題は、私もちょっと用がございますので、次期の委員会でお聞きをしたいと思いますが、それほど大きな問題が起こっておらないということは、あなた方のやり方が狡猾なわけです。というのは、一例を申し上げますと、廃止をしようとする駅に対しては貨車を配給しないわけです。輸送要請が出ておっても貨車を配給しなければ、泣く泣く貨車の配給のある駅へ持っていかざるを得ない。それから農林水産委員会でも午後から大臣以下委員会へ出ましてこれをやるそうでありますが、たとえば青果物、農産物の特別割引がありますが、この駅から発送したものについては、特別割引をしない、この駅からこちらの駅へ持ってきたものについては、特別割引の適用をする、こういうやり方をすれば、これは真綿で首を締めて、泣き寝入りの状態にさせながら目的を達成するという——私はほかの方ではあまりそういう政治的な力を認めないのでありますが、こういうきわめて狡猾なやり方をやっておる。しかも地方実情というのは、相当小さな駅においては目的を達しつつあるわけです。相当やられておるわけです。なるほど国鉄運営の面からいけば、それも理想でしょうけれども、そのことによって生業を奪われる業者のことを、国鉄の方としてはもう少し考えてやる必要があると私は思うのです。だから、こまかい問題はお聞きしませんが、一時そういう取り扱いをしないように通達を出していただいて、そうして具体的な解決策は後日に譲る、こういうふうに新副総裁は手を打っていただきたい、こういうことをお願いしたいのですが、どうですか。
  103. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 どうも勉強不十分で、まだ御満足なお答えができないで申しわけございませんが、ただいまお話のありました点はよく関係者と相談いたしまして、検討いたしたいと思います。
  104. 楯兼次郎

    ○楯委員 この詳細の問題、あるいはわれわれ社会党としても対策を考えておるのでありますが、それはきょう時間がありませんから保留をいたしまして、来たるべき運輸委員会で詳細に一つ承りたいと思いますので、質問を保留いたしまして終わることにいたします。      ————◇—————
  105. 平井義一

    平井委員長 次に陸運、特に都市交通問題につき質疑通告がありますので、これを許します。井岡大治君。
  106. 井岡大治

    ○井岡委員 委員長の方で何か非常にお急ぎのようですから、私は、近く小委員会を小委員長さんが開いていただくようにお話し願っておることですから、簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  この間の委員会で、大臣が都市の高速度鉄道建設について、単独立法を作らない限り、当面これを収拾するというか運営していくことはむずかしい、こういうように御答弁いただいたわけです。私は非常にこの御答弁に対して敬意を表しておる次第ですが、その後運輸省でこの点についてどのように作業が進められておるか、こういう点を一つお伺いをいたしたい、こう思うのです。
  107. 山内公猷

    ○山内説明員 先般大臣が御答弁申し上げましたように、現在都市におきます交通を円滑にいたしますためには、地下鉄網の構成をどうしても促進しなければならない。ところが地下鉄というものが建設費が非常にかかりまして、現在の情勢ではそれにふさわしい運賃の収得ということは不可能な状態でございますので、その間の調整をどうするかということで検討いたしております。結局何らか国家的な手を差し伸べなければこの問題の解決はできない。そのためにはやはり画期的な立法が必要であるということで、現在各方面の御意見も拝聴し、われわれといたしましても諸外国の情勢も調べまして、いろいろな面の検討をなし、立法の準備をしておるところでございます。一応の要綱的なものは脱稿いたしております。
  108. 井岡大治

    ○井岡委員 そこで三十四通常国会に提出予定の法案の中には載っておらないわけなんです。もちろん問題が非常に大きな問題でありますから、そう簡単に、運輸省としても初めから何月何日までにやるということは困難かと思うのですが、できますならば、現在の都市交通事情等を考えてみまするとき、これが三十五年度末期ないしは六年度からでもかかっていかないと、結局これはかげ声だけで倒れてしまうのではないか、終わってしまうのではないか、こういう気がするわけです。そういう意味で、今日はこまかく御質問を申し上げることは差し控えます。そして後日の小委員会等でお伺いすることにいたしますが、そういう点について当局はどういうようにお考えになっておるか、一つお聞かせをいただきたいと思う。
  109. 山内公猷

    ○山内説明員 ただいまのお話のように、この法律は、相当国家的な助成というものを大幅に考えていかなければ、今後の地下鉄の建設というものの促進は、経済的に不可能であろうという見地に立っておりますために、関係する官庁も非常に多いわけでございまして、われわれといたしましては大都市におきます交通の混雑状態というものは、早ければ一日でも早い方がよいという情勢であることは十分存じておりまして、できるだけ早い機会にこれを法律として国会に提出をしたい希望は持っておりますが、ただいまお話のようにいろいろ非常に複雑な事情も含まれておりますので、できるだけ早く提出するように努力いたしたいと思っております。
  110. 井岡大治

    ○井岡委員 そこでお願いをしておきます。同時に私の概念だけ申し上げますが、今自動車の問題とかいろいろ出ておりますけれども、都市の交通輻湊の中で一番ガンになっておるのは、やはり何といっても路面電車だと思う。これを撤去すればどれだけ都市交通というものが円滑に流れていくかということは、これはもう鉄監局長十分御存じのことだと思う。そういう意味ですみやかに成案を得ていただきたい。このことをお願いして、こまかい問題は、委員長きょうはお忙しいようですから、私は後日に譲ります。
  111. 平井義一

    平井委員長 次会は来たる二十三日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時十七分散会